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1967-04-01 第55回国会 参議院 予算委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年四月一日(土曜日)    午前十時十七分開会     —————————————    委員の異動  四月一日     辞任         補欠選任      二木 謙吾君     中村喜四郎君      西田 信一君     西村 尚治君      斎藤  昇君     豊田 雅孝君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         新谷寅三郎君     理 事                 白井  勇君                 西田 信一君                 日高 広為君                 平島 敏夫君                 八木 一郎君                 亀田 得治君                 小林  武君                 鈴木 一弘君     委 員                 青田源太郎君                 青柳 秀夫君                 井川 伊平君                 植竹 春彦君                 梶原 茂嘉君                 熊谷太三郎君                 小山邦太郎君                 斎藤  昇君                 杉原 荒太君                 任田 新治君                 豊田 雅孝君                 内藤誉三郎君                 中津井 真君                 中村喜四郎君                 西村 尚治君                 二木 謙吾君                 船田  譲君                 増原 恵吉君                 宮崎 正雄君                 山下 春江君                 吉江 勝保君                 吉武 恵市君                 占部 秀男君                 岡田 宗司君                 北村  暢君                 鈴木  強君                 瀬谷 英行君                 羽生 三七君                 藤田  進君                 矢山 有作君                 黒柳  明君                 中沢伊登子君                 春日 正一君                 林   塩君    国務大臣        内閣総理大臣   佐藤 榮作君        法 務 大 臣  田中伊三次君        外 務 大 臣  三木 武夫君        大 蔵 大 臣  水田三喜男君        文 部 大 臣  剱木 亨弘君        厚 生 大 臣  坊  秀男君        農 林 大 臣  倉石 忠雄君        通商産業大臣   菅野和太郎君        運 輸 大 臣  大橋 武夫君        郵 政 大 臣  小林 武治君        労 働 大 臣  早川  崇君        建 設 大 臣  西村 英一君        自 治 大 臣  藤枝 泉介君        国 務 大 臣  塚原 俊郎君        国 務 大 臣  二階堂 進君        国 務 大 臣  福永 健司君        国 務 大 臣  増田甲子七君        国 務 大 臣  松平 勇雄君        国 務 大 臣  宮澤 喜一君    政府委員        内閣法制局長官  高辻 正巳君        警察庁長官    新井  裕君        行政管理庁行政        管理局長     大国  彰君        防衛庁防衛局長  島田  豊君        防衛庁教育局長  中井 亮一君        防衛庁人事局長  宍戸 基男君        防衛庁経理局長  大村 筆雄君        防衛庁装備局長  國井  眞君        公安調査庁長官  吉河 光貞君        公安調査庁次長  宮下 明義君        大蔵省主計局長  村上孝太郎君        大蔵省国有財産        局長       松永  勇君        文部省初等中等        教育局長     斎藤  正君        文部省体育局長  赤石 清悦君        文部省管理局長  宮地  茂君        厚生省公衆衛生        局長       中原龍之助君        厚生省環境衛生        局長       舘林 宣夫君        厚生省医務局長  若松 栄一君        厚生省児童家庭        局長       渥美 節夫君        厚生省年金局長  伊部 英男君        社会保険庁医療        保険部長     加藤 威二君        社会保険庁年金        保険部長     網野  智君        農林大臣官房経        理課長      稲垣 元宣君        農林省農林経済        局長       大和田啓気君        農林省農地局長  和田 正明君        林野庁長官    若林 正武君        水産庁長官    久宗  高君        通商産業省企業        局長       熊谷 典文君        通商産業省重工        業局長      高島 節男君        海上保安庁長官  亀山 信郎君        労働省労働基準        局長       村上 茂利君        労働省婦人少年        局長       高橋 展子君        労働省職業訓練        局長       和田 勝美君        建設省計画局長  志村 清一君        建設省住宅局長  三橋 信一君    事務局側        常任委員会専門        員        水谷 国一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和四十二年度一般会計暫定予算内閣提出、  衆議院送付) ○昭和四十二年度特別会計暫定予算内閣提出、  衆議院送付) ○昭和四十二年度政府関係機関暫定予算内閣提  出、衆議院送付)     —————————————
  2. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  昭和四十二年度一般会計暫定予算昭和四十二年度特別会計暫定予算昭和四十二年度政府関係機関暫定予算、  以上三案を一括して議題といたします。  昨日に続いて質疑を行ないます。小林武君。
  3. 小林武

    小林武君 防衛庁長官にお尋ねいたしますが、前回のここでの質問の中に対象国対象国というのは幕僚用語としてはある、こういう御答弁、これはあなたそのときに、そんなものは知らぬとおっしゃったけれども、これはお認めになりますか。
  4. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 小林さんにお答えいたします。私は他の委員の御質問の際に対象国というものはないということを申し上げました。政府委員がかわりまして対象国というものはないということを申し上げました。ただその際に、政府委員幕僚等で使っておるかもしれないがということでございまするが、そういうことを言っただけでございます。
  5. 小林武

    小林武君 言っただけでございますということは、これは答弁にならないと思うのです。これは私も聞いているのです。やはり予算委員会等で視察もいたしておりますし、いろいろしておりますので、そういう用語はあるということは承知いたしておる。だから、あることは事実間違いない。そうすると、対象国というのは一体仮想敵国ではないけれども一般の国とは違うということに、これは理解してよろしいと思うのですが、よろしゅうございますか。
  6. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 私の答弁に対して御質問願いたいと思いますが、私は対象国はないということを言っておるのでございます。そこで、対象国はあるとしてもという、その仮説の上に立った御質問はお答えしにくいのでございます。
  7. 小林武

    小林武君 それでは私に答弁をなさった局長さんはいらっしゃいますかな。
  8. 島田豊

    政府委員島田豊君) 一昨日でございますか、本委員会で申し上げましたように、防衛庁の正式のことばとしては、対象国ということばは使用しておりません。
  9. 小林武

    小林武君 前言をひるがえすのはいかんね、それは。
  10. 島田豊

    政府委員島田豊君) そのときには幕僚の監部で対象国ということばを使っておることがあるかもしれないということを申し上げました。その場合の対象国として私が考えましたには、要するに特定の国というものを対象国にするという意味での対象国ということばでなくて、要するに相手の国といいますか、いろんな場合を想定いたしますような場合に、演習等におきまして想定いたします場合に、当然相手の国というものはあるわけでございます。それを対象国ということは、これはことばの普通の用語としてあり得るわけだというふうに考えましたので、そういう対象国ということばは使用しておるかもしれない、こういうことを申し上げたわけでございます。
  11. 小林武

    小林武君 自衛隊は、わが国を直接、間接侵略するものに対して存在している。その場合ですね、対象がなくして一体存在の意義があるのかどうかということは、これは理屈の上からは成り立つでしょう。目標なしにあなたは国民の血税が浪費されているとはおっしゃらないが、このことについては、松野防衛庁長官も大体それに類似したことを言っておる。実際われわれが直接行ってみるというと、対象国ということは言っておるのです。仮想敵国ということを言いかねるので言っておるのだと私は言いたい。あなたはそういうあいまいなことを言わないで、公認ではございませんけれども、彼らは使用しておるのなら、そういうふうに言いなさい。
  12. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 政府委員は、総理大臣国務大臣補助者としてお答えしておるのでありまして、私が答えたことで御了解を願いたいと思いますが、対象国というものはございません。侵略者というものはございましょう、仮定の侵略者というものが。対象国ということの称呼を使っておりません。
  13. 小林武

    小林武君 松野防衛庁長官は、直接的に間接的に侵略する勢力、これを対象勢力と一応概念的に呼んでおると、こういうことを言っておる。このことについて、いろいろ考えれば、自衛隊の内部において、これは政府委員の話だと、幕僚間にそういうことが言われておるということは事実です。あなたは少なくとも防衛庁長官として、幕僚間にそういうことが行なわれたら、自衛隊はそういう方針のもとに教育され、日ごろ訓練されているということは認めないわけにいかないでしょう。どうですか。それはあなたがんばるのですか。
  14. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) わが国侵略するものがある場合に、日本国家日本国民とを守る、こういうことで平素訓練をいたしております。
  15. 小林武

    小林武君 それではひとつもう少し具体的にお話いたしましょう。三次防の大綱の中に、周辺海域防衛能力、これを特に重要視しているというところがある。周辺海域というのは、日本海入りますか。
  16. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 日本四つの島を囲む周辺海域でございます。すなわち太平洋あり、支那海あり、日本海あり、オホーツク海ありでございます。
  17. 小林武

    小林武君 周辺というのは、どの程度のことをいいますか。これについては松野さんが前に答弁をいたしておりますが、周辺というのは、あなたが防衛庁長官になってからはどんな、周辺というのはどの程度までおっしゃるのか。——政府委員は出ないことになっている。あなたのほうの大臣がそう言っている。補助的なものは出さぬと、こう言っている。
  18. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) わが国周辺が何海里かというようなことはまだ——演習際等は考えておりまするが、私が防衛庁長官として申し上げ得る段階ではございません。ただ、周辺海域といえば、日本海だけをさすものではない。私ども太平洋、支那海、オホーツク海、日本海等に囲まれておる四つの島から成り立っておるのでありまして、その四つの島を守る上におきまして周辺海域防衛に任じておるのが海上自衛隊でございます。
  19. 小林武

    小林武君 それではあなたは太平洋オホーツク海、日本海みなお認めになった。周辺というからには四つの島を囲んでいる海域である、こうお認めになっていますね。  そこで、一体自衛隊というのは、そういう場所におけるさまざまなわが国に直接あるいは間接侵略の事態が起こるか起こらないかということを、常に検討していなければならない、この検討は行なっておりますか。
  20. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 検討を行なっております。
  21. 小林武

    小林武君 それはごもっともだと思いますね。検討を行なっていれば、この極東海域における問題の調査ですね、日常の状況等について、これは防衛庁的立場からどういういま実情にあるか、ひとつここで御報告をいただきたい。
  22. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 防衛庁的見地からは種々調査をいたしておりまするが、防衛庁的見地から周辺状況等防衛庁判断等は申し上げかねる次第でございます。
  23. 小林武

    小林武君 申し上げられないというのは、いかなる理由によるわけでありますか。
  24. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 外交的、経済的見地からの周辺諸国情勢等は申し上げますけれども周辺諸国がいかなる意図を持ち、日本にいかなる侵略を加えつつあるかというようなことについては、私どもは研究はいたしておりますけれども、申し上げ得ないことである、こう思っております。
  25. 小林武

    小林武君 その点は理解いたしました。侵略意図があるかないかというようなことをここでお聞きするつもりはございません。また、あなたもそのことについていまここで答えるということは、いまの事情の中ではまあそうおっしゃるのは無理がないと思う。しかし、どういう一体軍備をしておるか。事が一朝起こった場合にはどう対処するかという立場から、そういう調査は十分に行なわれていると、どういう軍備をしているか、どういう装備を持っているか、この点についての答弁はできるはずであります。
  26. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 総理がいつもおっしゃっているとおりに、また私がいつも申し上げているとおり、海上からくる通常兵器による局地的侵略に対処すると、こういう見地から考えております。そこで発表がございまして、三月十四日の閣議決定発表になっております。海上自衛力というものは、三次防の末期、昭和四十六年には十四万二千トンくらいにいたしたい、こういうことでございまして、このトン数あるいは艦船等によってもおわかりのとおり、あくまで局地的の侵略に対処するだけの防衛力を備えたいと、こういうわけでございます。
  27. 小林武

    小林武君 私の質問は、日本海周辺にある国国のあるいは海軍の、陸軍の、空軍のそういうものですね。自衛隊として調査しなければならないことについて、ここで述べてもらいたいと言っている。わが国のあれを言ったんじゃないんです。違っておりますから、ひとつ……。
  28. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 小林君、それは再質問してください。
  29. 小林武

    小林武君 そんなことはないですよ。ぼくが質問したのに答えないのに、一々再質問でやっておったら——もうだいぶ減ったんですから、あそこを見なさいよ。あれをとめてくれりゃぼくは言ってもいいけれども、そういうわけにいかぬでしょう。やっぱり質問しないことを答えるときは、それは別ですけれども……。
  30. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 日本周辺諸国海上——われわれは自衛力と言っておりますが、海上兵力、向こうさまでございますから。海上兵力状況等は、もし小林さんが御要求でございましたならば、政府委員をしてお答えをさせますから……。
  31. 小林武

    小林武君 けっこうです。どうぞ政府委員
  32. 島田豊

    政府委員島田豊君) 先ほど長官から、周辺諸国のいろんな軍備状況等につきまして調査をしておると、こういうお話がございましたが、実は御承知のとおりに、わが国情報を収集いたします場合には、一般的には交換をされておるところの資料、これが一つの検討材料でございますし、それ以外は、防衛駐在官が各国の在外公館の大使、公使のもとにありますので、それを通じて情報を入手する。それ以外は、一般的な外務省等資料に基づきまして分析すると、こういうことでございまして、ほんとの的確なる判断、まあ見積もりというのはなかなかむずかしいのでございますが、いろいろな資料から、われわれが総合いたしますと、わが国周辺諸国におきますところの軍備状況、これはまず極東ソ連から申し上げますと、陸軍が約十七個師、約二十七万人。海軍が約八百隻、そのうちに潜水艦約百隻を含んでおりますが、約六十万トン。空軍が約二千機、このほかに海軍機が約二百機ございます。  中共は、陸軍が約百十五個師、二百二十五万人、ほかに公安軍が約二十五万人でございます。海軍が約九百隻、潜水艦約三十隻を含む約二十万トン、海兵隊が約二万八千人。空軍が約二千三百機、ほかに海軍機が約五百機。  北鮮陸軍が十九個師団、約二十二万五千人。海軍が約百四十隻、約一万五千トン。空軍が約五百機。  韓国、陸軍が約二十九個師、約五十四万人。海軍が約七十隻、約五万七千トン。海兵隊一個師一個旅団、約二万七千人。空軍が約三百二十機。  中華民国、陸軍が二十三個師、約四十万人。海軍が約二百十隻、約十三万トン、海兵隊約二万七千人。空軍が五百機ないし六百機。  米国につきましては、極東におります米軍は、陸軍が二個師を基幹といたしまして、その他司令部あるいは兵たん、防空部隊などを合わせまして約七万人。海軍が、第七艦隊でございますけれども、約百七十五隻、五十万トン以上。こういうふうに考えられます。七艦隊の航空機は約七百機。空軍は、これはただ太平洋全域でございますけれども、千百五十機以上というふうにわれわれとしては考えておるわけでございます。
  33. 小林武

    小林武君 ただいまの資料をひとつ提出してください。  それから増田長官にお尋ねいたしますが、いまアメリカのことを報告したわけでありますが、アメリカは、この三次防の大綱の中に明らかに書いておるように、安保体制下における三次防というものになっておるわけですから、その点ではアメリカを入れるというのはおかしいんじゃないですか。アメリカ以外でしょう。どうですか。対象国というようなものは。
  34. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 繰り返して申し上げますけれども対象国ということは言っておりません。ただ、日本周辺諸国兵力はいかんという御質問でございまするから、政府委員は懇切丁寧にすべてのことを申し上げたわけでございます。
  35. 小林武

    小林武君 あなた、盛んに煙幕を張りたがりますけれども、これは防衛庁長官だからしかたありませんが、やはり答弁政府委員が、これは幕僚間では使われている用語だということを認めているわけですから。われわれは、そのことについてあれですよ、あなたが幾ら否定なさっても、われわれも聞いていることですから、やはりその立場で、三次防というものをあなたの立場で、いわゆる政府立場国民に訴えるとしても、明らかなやっぱり態度を持っていかなければだめだと私は思います。  それはひとつそこで打ち切って、総理にお尋ねいたしますが、総理は何か国防会議の席上でですね、——これは新聞で見たんでありますが、中国の核開発核武装状況から、それに対する対策は十分かという御質問をなさった。こういうように報道されていますが、非常に私は関心をお持ちだというふうに考えて見たわけでありますが、これは事実でありますか。
  36. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私が関心を持っておることは確かでありますけれども国防会議の席で話したということはございません。これは衆議院でもそのとおりはっきり申し上げております。私はさようなことを国防会議で話した覚えはございません。
  37. 小林武

    小林武君 そこでもう一度総理にお尋ねいたしますけれども総理施政方針演説に対する質問に答えて、自衛力というものは、国力国情に応じたものでなければならないという意味の御答弁をなさっておったと思います。私は、その国力に応じたということは、これはまあわかったような気もするんでありますけれども、しかし、防衛ということは相手のあることであります。それから同時に、一体兵器というようなものが進歩発展すれば、いやおうなしにそれに追いついていかなければならない。これは兵器に対するお互いの競争でございますから、こういう角度から見たら、三次防というようなものばかりでなく、やっぱり四次防も考えなければならぬでしょう。あるいは五次防も六次防もあるかもしれない。一体その国力に応じたということは、どういう具体的な内容をもってお話しになったのか。
  38. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま小林君から言われるように、他国の軍備がどんどん変わっていく、進めば、日本軍備も進むのじゃないかと、こういうお尋ねでございますが、私どもは、外国がどういう態度をしようと、これは憲法で認められておるものは自衛権、その自衛権行使、そこの自衛力でございます。したがいまして、外国がいろいろ動いておる、そのことについて、もちろん関心なしにそんなものをほうっちゃおりませんけれど、最大の注意は払いますけれど、私どもが持ち得るもの、一体これは何かといえば、はっきりしておるので、いわゆる自衛隊としての自衛力というものは、これはもう国防に関する基本方針から申しましてもはっきりいたしておるのであります。そこで、この点についてですよ、これを、国防に関する基本方針をきめておりますが、それでもなおかつ国力国情に応じて自衛力の整備をしていく、こういう考え方でものごとを立てておるわけであります。幾ら自衛力だからと申しましても、国力以上のものを持つわけにはまいりませんし、また、国民の理解もしないようなものを持つわけにはいかない。ただいま自衛力として持ち得る限度、これはしばしば申しますように、通常兵器による局地戦を抑止するその力、したがってこれは通常兵器でございます。しかも長期にわたるものじゃございませんで、抑止する力、かようなものを、いわゆる自衛範囲を出ない、こういうところでいま整備しておるのでありますから、したがって、この国の安全を確保するのにはそれじゃ不十分だと必ず言われると思います。そこで日米安全保障条約というものがあるわけであります。私は、今日国内、国民の大多数も、日米安全保障条約は、これは必要だ、かように認めておるように確信しております。ただいま、いろいろの事情お話しでございますけれども、私どもが持とう、またこれから持つもの、これは、ただいま申し上げるように自衛隊自衛力、その範囲にとどまるのでございますから、どうか誤解のないようにお願いしておきます。
  39. 小林武

    小林武君 誤解ないようにというお話でございましたけれども、私は、その抑止力というものに対する政府考え方には必ずしも同調できないと思います。抑止力というものは固定したものじゃない。相手方の変化によって抑止力も変わっていくのです。この点を考えていった場合に、これは必ずしも国力に応じた、あるいは国民の要望に応じたようなものにとどまるというようなことはあり得ないということは、これはもういままでの歴史はそれを証明しておると思います。だからこそ、国民はいろいろな点でこれは関心を持ち、あるいは心配もするんだと思うのです。  そこで私は三次防が出て、私は三次防というのは四次防に発展するものだと思うのです。そういうことを考えますと、これはこちらがどんなことを考えようと、仮想敵国と思われているというような国がやはり相当あると思う。そのことの証拠に、とにかく日本のそれに対してきびしい批判の目を向けている国々があるということを承知しなければならん。そこで私は三次防というものが出てきて、日本が国内で兵器を生産する。やがては核武装もするのではないか、核持ち込みをやるのではないかという不安、やがては戦前の侵略日本を想起して、そうしてどんなことをやられるかというような心配を持っているところもあると思う。こういう角度から、外交的に一体どんな反響があるのかということを、外務省においては十分御検討いただいたのかどうか、外交的立場から御検討をいただいたかどうか、この点を三木外務大臣にお尋ねをいたしたいと思います。
  40. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 防衛力の点については日本の努力が少ない。各国とも予算の二〇%ないし三〇%は防衛費のために使っておるわけです。したがって、これはもしそれが使わずに、社会保障なんかに回せれば、これはもうこしたことはない。だれも好んで防衛力を持ちたいという国はないわけですが、しかし何となしに世界の情勢が安定していないというところで、国土、国民を守るためにやむを得ずみな持っておるわけです。日本は努力が少ないではないか、これを絶えず国際的な会議などにおいては、われわれがむしろ努力の少ない点を責められる立場であります。しかし日本政府は、幾ら外国からそう言われても、防衛力を、総理も言われるように、国民の生活、日本国力の限度、いろいろ政府の考える限度以上な防衛力はやらぬ。非常にやはりまあ日本防衛力というものは、全体から比べれば、防衛力は最小限度だと私は思う。したがって、このことが、第三次防というものが、いま小林君の言われるように、日本がやがて侵略国家になるんだと、そんなことではなくして、三次防があっても、なおかつ日本防衛努力は少ない、もっと今日の経済的に発展もして国力もあるのだから、もうすこし努力をすべきであるというのが、偽らない世界の声であることは、正直に申し上げておく必要があると思います。
  41. 小林武

    小林武君 明敏な外務大臣のおっしゃることでございますけれども、私は、それはまあアメリカであなたが何か会議をなさったら、そういうことをおっしゃるかと思う。しかし、先ほど来言っているように、これについて厳重に警戒の目を持っている、むしろいまの政府に対して敵意を持っているような国もないわけではないでしょう。このことをお認めになるか。私は外交というものは、日本に、あなたの政府が都合のいいような国の外交だけを言っているのではないです。これはどうでしょうか。あまりにも一方的で、これはあらゆる国がそれじゃ全部、三木外務大臣のおっしゃるように、もっと再軍備をして、もっととにかく強力な武器を持って、核武装もやってもらいたいというような気持ちがあるのですか、これは。
  42. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 御承知のように、軍縮というものは世界的に熱心に、まあジュネーブなんかでも、会議が何か支障が起こって、会議がやまったと思うと、火が消えないですね。軍縮の声は、これは世界の声である。しかし、いまの世界情勢から、やむを得ずしてある程度軍備は持っておる。日本のこの程度軍備で、私は脅威を感ずる国はない。周辺の国を見ても、みな非常に大きな軍備を持っておるわけですね。日本周辺の国で、非常に大きな軍備、予算の三割、あるいはそれ以上も使っておる国が多いんですから、このことが、日本に好意を持とうが持つまいが、この三次防程度のことで日本の将来に非常にやはり侵略的な危険を感ずるようなことは、私はないと考えております。
  43. 小林武

    小林武君 まあこういう話は水かけ論になるおそれが十分あることですから、あれですけれどもね、それはあまりにも一方的だと私は思う。総理大臣お話の中にもあるが、もっとやはり軍備について日本は金を払ってもよろしいというような、こういう考え方をすべての国が持っておるという意味に理解されては、これは私は重大なことだと思う。しかし、これをいま論争してみてもしかたがございませんが、しかしまあ、ほぞをかむようなことを、少なくともいまの政府がなさらないように、私は警告だけは申し上げておく。  そこでお尋ねいたしますが、この三次防で兵器の国産化をやっていった場合、これは日本のこの経済産業構造にどういう影響を与えるか。防衛産業をやっているような人たちはたいへんこれは、日本の経済に大きな好影響を与えるというような、こういう理解を持っているようでありますが、通産大臣はどうお考えになっておりますか。
  44. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) 三次防のことについてお尋ねがありましたが、三次防のことにつきましては、具体的に防衛庁のほうから通産省のほうにまだお話がありません。どういう装備でやるのかまだわかっておりませんから、三次防についてははっきり申し上げかねますが、昭和四十年度についてのことを申し上げますと、大体生産額は民需を含めて航空機で五百五十億円、武器で百三十二億円でありまして、日本全体の産業としてはそう重きをなしていないと考えております。三次防におきましても大体その装備はこれをそれほどふえるということは——若干の増加は見ますけれども、それほど飛躍的に伸びるというようにわれわれのほうではまだ考えていないのであります。
  45. 小林武

    小林武君 三次防について防衛庁長官からまだ聞いておらないというお話でありますけれども、通産大臣はやはり閣僚でございますから、三次防全体でどれだけの予算のワクを持って、どれだけ実際の生産に投資されるかということは、これはおわかりだと思います。そのことが一体日本の産業上にどんな影響を与えているのか、そのことをやはりもう少し何といいますか、筋を立ててお話をいただきたいと思います。
  46. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) 三次防のことにつきましては、大体の装備のことについては承っております。それがどれだけ国産化してやっていくかということについては、まだ具体的な話は聞いておりませんが、しかし、いま申し上げましたとおり、第二次では全体の生産額の〇・五%でありますが、三次防ではいまの予算では増加するという見込みは一応いたしております。
  47. 小林武

    小林武君 この点について、いま通産大臣からお話がございましたけれども、その将来の経済上の見通しについては企画庁長官はどういうふうに、何かお考えございますか。
  48. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 国民総生産との関係で申しますと、日本の経済は大きくなっておりますから、ほとんどたいした影響はないというような見方をしております。
  49. 小林武

    小林武君 これはどこに申し入れがあったのかわかりませんけれども防衛生産委員会から業界の意向として政府兵器生産に関して申し入れがございましたか。
  50. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 小林さんのおっしゃることをもう少し具体的に御質問願いたいと思います。それによってお答えいたします。
  51. 小林武

    小林武君 防衛生産委員会というのを御存じありませんか。あったらそこからどういう申し入れ——私はこれは防衛庁であるのか、通産省であるのか、どちらかよくわからないのです。その関係のところに申し入れがあったのだと思うのですが、ありませんでしたか。
  52. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 防衛生産委員会というものがあるということは知っておりまするけれども、どういう申し入れがあったか答えろとおっしゃいましても、いろいろな意思表示があるわけでありまするから、その防衛生産……。
  53. 小林武

    小林武君 そのいろいろな意思表示を聞かしてください。重大なことなんですよ。
  54. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 後刻お答えいたします。
  55. 小林武

    小林武君 いろいろな申し入れというのは……、そのいろいろな申し入れでけっこうです。
  56. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) お答えいたします。経団連の中にある防衛生産委員会という一つの部門でございます。その部門から書面をもって防衛庁に、防衛産業の発注は長期一括契約で相なるべくはいたしていただきたいと、こういう申し入れがございました。
  57. 小林武

    小林武君 それについて防衛庁は、どういう御返答をなさったのですか。あるいはそれにどういう答えをなさるつもりですか。
  58. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) お答えはいたしておりません。財政の都合等もございまして、なかなか長期見通しの一括の契約をいたすということはいたしかねる部分も相当多いのでございますから。
  59. 小林武

    小林武君 いまのような受注方式ですがね。これについて一体回答を与えないでおって三次防というものは進行していくめどがあるわけですか。長期一括受注方式というものは二次防からもうすでにやっているのでしょう。ローリング・バジェットという方式で今度やってくれとあなたに申し入れた、こう言っておるのだが、一体この方式を採用するかしないかということは今後の問題じゃありませんか。
  60. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) ローリング・システムとか、ローリング・バジェットというのは道路計画等にはありまするが、三次防等にはないわけでございまして、そういう意思表示、陳情、懇請等はございまするが、財政等の都合上できかねるということをこちらから、防衛庁から申しておる状況でございます。
  61. 小林武

    小林武君 それでは政府委員にお尋ねいたしますが、二次防において陸上甲類装備ですか、戦車、火器等の直接兵器、一体これの受注方式はどういう方式でしょう。
  62. 國井眞

    政府委員(國井眞君) 二次防におきまして甲類等で調達をいたしました場合に、ものによって方式がいろいろございますが、たとえば小銃あるいは機銃、戦車というようなものにつきましては、長期一括方式による調達をいたしております。その他単年度で調達するものもあるわけでございます。
  63. 小林武

    小林武君 従来もそういう方法があったことは明らかにわかりました。それで今後三次防の、そんなに詳しいものは要りませんが、三次防において特に重点的にこれから開発し、あるいは実用化していくというようなものについてはどうやるかという方式があるわけでしょう、それをひとつお答え願いたい。
  64. 國井眞

    政府委員(國井眞君) 三次防におきましても、ただいま申し上げたようなものにつきましては、引き続き長期一括の方式でいきたいというふうに私ども希望いたしております。この方式につきましては、生産が円滑にまいりますために、あらかじめ見通しがはっきりいたすということが重要でございますので、できるだけ私どもはこの方式を活用していきたいということで、できる限りこれを拡充をしたいということを思っておるわけであります。
  65. 小林武

    小林武君 そこでお尋ねいたしますが、増田防衛庁長官に、私は国民が心配していることですね。この軍事産業というようなものは業界からは非常に強い関心を持たれている。いまはもうからぬが、将来は非常にもうかる。それから軍事産業というものが非常にもうかるというのは、これはアメリカの例を見てもよくわかる。そのもうかるものの方法の一つの中に、いまの受注方式というのが大いに関係があるわけです。そしてそのことはまた当然この種の生産にはついて回るやっぱり一面を持っているわけですよ。兵器の開発とかなんとかいうことについては、これはやはりどうしても抜け切れないような一面を持っている。でありますから三次防、四次防にわたってだんだん兵器の国内生産をやれば、そこにいろいろな汚職が起こるとかなんとかいうことに、たいへん心配をしているわけであります。それで私はあなたにもう少し詳しく、国民の心配を明らかにするような、やはり三次防に対するがっちりした方式を聞きたかった。しかし、あなたからついにそれについてお答えいただけなかったから非常に残念なんです。心がまえは聞かなければいかぬ、どういう方針でいくのか、一体受注方式はどうか、開発の問題について費用はどうなるのか、そういう問題について、あるいは開発の途中にもう陳腐化現象を起こしてしまってどうにも使いものにならないようなものも出てくるかもしれない、これから高度な兵器をつくるという場合に。そういうこともいろいろ考えて、どう一体三次防なり四次防に対処するかということは、当然お話があってしかるべきだと思う。私はあまり週刊誌の話をしたくないけれども、週刊誌に防衛庁の問題が出ている。これ事実あったのですか、何とか訓練計画とか、野外訓練計画とか、あなたのほうの海原さんとかなんとかいう人も、それについてはなはだ遺憾だとかなんとかいう談話を出しているところを見ると、あったのではないかと思いますけれども、そういうようなことがすでに週刊誌の材料になっているほど問題が問題だから、あなたもこれからの兵器の国内生産についてはっきりした方針があるならここで述べてもらいたい。
  66. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) まず綱紀粛正の点についてのお尋ねでございますが、防衛産業等につきましては、きわめて正しく、正確に、いやしくも疑われるようなことがないように、ということはいつも総理大臣がおっしゃっておることでございまするし、私は身をもって信念的に防衛産業については正確を期し、清くやっていく、綱紀粛正の点につきましていささかも疑われるようなことのないように、局長、私はもとよりでございますが、内局あるいは幕僚その他を戒めておるわけでございます。これは長期にわたって——何も本年とは言いません、長期にわたって、将来四次防もあることでございましょうし、そういう態度で終始するという政府態度をこの際厳粛に申し上げておきます。  それから長期発注計画というものはなるべくやってくれということを経団連の防衛生産委員会から申し入れがございました。ということは、いま装備局長が私の補助者として申し上げている点もございますけれども、その他の点についてもお願いをしたいということがあればこそそういう陳情があるわけでございまして、でございまするから、私のお答えといたしましては、必ずしも防衛生産委員会の要望のように長期発注計画をいたしていない、これは国情国力、財政に応じまして第三次防をつくったからでございます。  それから週刊誌に伝えられるような事実は半分はございました。半分はなかったというのは、つまり会費を全部払っておるからでございます。しかし、先輩といえども業者の顧問になっておるわけでございまするから、先輩がかつての陸将とか空将とか海将とかその点はよく私は忘れましたが、そういう先輩がゴルフに来ないかということでゴルフに行ったという事実はございます。そこで会費は払っておりまするけれども、先輩がやはり業者の顧問になっておるわけでございまするから、いやしくもそういうことをしてはいけないということで厳重に——会費を払ったという点はそれは私は了としておりまするけれども総理にも申し上げ、また厳重に参加者を戒告いたしておるわけでございます。将来いやしくも業者とあるいは会食するとかそれ以上のことはもとより、絶対に私の許さぬことでございまするが、会食、ゴルフ、マージャンといえども絶対に許さぬという態度をもって私は臨んでおります。私のこの一心というものが綱紀粛正の象徴であるというふうに御理解願えれば幸いでございます。
  67. 小林武

    小林武君 その決意は壮といたしておきましょう。しかし、これはやはり私は防衛庁長官にお願いしたいのですが、その三次防の一体発注の方法とか入札の方法とかというようなもの、これはやはり一つの方針を、ひとつ資料としてお出し願いたいと思うのです。それがなければ国民はわからないどころか、われわれもわからぬですよ、この予算書だけながめただけでも。ですからこの点については一つ資料をお出しになって、われわれが十分理解できるようにしていただきたい。  それからこれは要望しておきますが、やはり防衛庁の高級な官僚が業界にどんどんどんどん入り込んでいって、いまアメリカが一体問題にしているようなああいう状態はできるだけ避けるような方法をとられないというと、幾ら増田さんが悲壮な考えをしてもこれはなかなか思うようにまいらぬと思う。一体その就職のことでございますからかれこれ言うべき筋合いではないようなことでございますけれども、やはり李下に冠を正さずということをやはりお守りになるような指導というものがあってしかるべきだと私は思う。高級官僚であればなおさらです。こういう点について十分ひとつ御検討いただきたいし、お守りをいただきたい、こう思うわけであります。これはどうですか。
  68. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 小林さんの御意見は非常に有益な御意見でございまして、服膺してまいりたいと思っております。
  69. 藤田進

    ○藤田進君 委員長
  70. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 関連ですか……。藤田君。
  71. 藤田進

    ○藤田進君 委員長に遠慮してあまり関連やらなかったのですが、どうしてもやらなければならぬ三点がございます、いまの問題に関連して。外務大臣、どこへ行った……。外務大臣の非常に重要な、外相の発言として承わるについては、そのまま野党委員として見過ごせないものがあります。  それはですね、PRの意味もあったのかもしれませんが、これは後ほど答えていただきたいんですけれども、世界各国がお前のところは軍備は少ないからもっと増強しろと言っていると、そんなでたらめはないです。第一、ソ連がそんなことを言うはずがない。これは極端な例です。むしろ逆にですね、特定な国——言いませんが、これはソ連とかそういうわけじゃありませんが、日本は軍事費があまり要らないから、経済の発展というものに非常な寄与をしている、まことにけっこうだと言っている、そういう国は。私はここに資料を持っています。  それから第二点、これは外相いないのに困るんですが、何ら各国ともわが自衛隊自衛力の脅威は持っていないという明確な御判断答弁です。各国の外相がここへ来てそう言うなら話はわかるけれども、よその国が脅威に思っているか思っていないかということについてのあの答弁は適当でないと私は思う。同時に、逆に言えば、嵐の前にチョウチョ、トンボでさっぱり脅威がないと、信念として日本の外相が考えているとすれば、いまの防衛なんてむだ金だという論理の帰結になるでしょう。何も脅威も、何も関心も持ってないというのですから、いまの答弁ね、これは問題だと思う。それは外相にお答えいただくとして。  三次防から漸次相当高額な兵器の国産化ということに踏み切るということになるようであります。過去のそういった兵器産業の歴史を各国見ますときに、アメリカにおいても軍需関係が中心になって、いわゆる国営工廠ですね、オークリッジの原爆はむろんのことです。というように、軍事産業が、兵器産業が漸次各国とも国有国産ということに移行してまいりました。このことは、わが国においても、御承知のように、初期の段階から第二次世界大戦で敗戦に至りますまでは、膨大な各地に軍工廠を持ち、海軍工廠、陸軍工廠、それから何々工廠ですね、こういうふうになってくるのです。これは兵器自体の機密もありましょうし、また国民が膨大な軍事産業を国費でささえるということについては問題が出てきます。一々申し上げませんが、そこで、私はその情勢から見て、とりあえずは、これは民間の産業が虎視たんたんとすでに三次防をねらっていることも聞いております。しかし、いわゆる民間の兵器産業と政界のいろんな意味での結びつきが、軍工廠といういわゆる国有国営には移行させまいとする努力があろうかと思うが、しかし防衛庁ないし防衛庁長官としては、そういうことについていかに考えているか。あくまでもわが国は民間産業、私的資本、私的経営の産業にこれをゆだねるという大方針かどうか。  第二の点は、お答え次第ではあと総理に聞きますが、防衛庁長官、いまですね、日米相互防衛協定等に伴う秘密保護法ですか、これがありますね、あと公務員法。きのう来、防衛の機密だからということをお答えになっております。議会で答弁される以上、防衛の機密としてこれを発言しないということになれば、根拠法を実は知りたかったわけですけれどもね。こうして国産化されるという膨大な兵器が、漸次、いわゆる対象勢力との関係で、進歩というか、変遷を見るでしょう。となれば、勢いこれまた過去の歴史が示すように、非常に強い機密保護法というものが法規として必要になってくるということにも、まあ当然の帰結でそうなってくると思うのです。これについて、防衛庁長官の所見をただしておきたいと思います。  それから第三の点は、いま小林委員から指摘もいたしましたが、これは総理にお尋ねしますけれども、行管も、つとに各省と関係の深い公社、公団、特殊会社等に、いわゆる官僚、まあ高級のお役人さんの方々がここに横すべりをなさる。そのための弊害が出ている。大蔵省から何名、建設省から何名とかですね、まあ割り当てで、そのあとはちゃんとその省が引き受けている。ただし、その間一年ぐらい、人事院関係等があって、ちょっと腰かけにどこかにいるとかね。しかし、一年を待ちかねて、そこに直接民間の会社へでもいくというようなことで、その人事では、確かに利害関係の深いところに荷物を背負って就職しているというようなことがありますので、したがって、防衛産業についても、こういうことがやはり当然行なわれるような気がしてなりません。そこで、防衛産業を含む、公社、公団、特殊会社等を含めて、画期的な態度でこれに備えられるということをきのうの実は新聞報道で見たわけですが、これを含めて総理からお答えをいただきたい。
  72. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 藤田さんにお答えいたします。  まず、軍工廠をつくる意思ありやいなや、総理からもたびたびお答えいたしておりまするが、本会議等におきまして。日本防衛産業は相当進歩しておるし、重要度も加わってきておるけれども、しかし日本の総生産の〇・五%ないし〇・六%の内外である。そう重要性を占めるものではないということを繰り返しておきます。また、防衛産業を軍工廠にこの際するというようなことは、したがいまして、まだ比較的〇・五%といえばそう多いほうではございませんが、考えていないわけでございます。  それから、昨日来、機密に属することであるからということを私はたびたび申しておりますが、これは国家公務員の機密の関係で申しておるわけでございます。防衛計画あるいは演習計画等は機密でございまして申し上げかねますということを申し上げております。兵器そのもの等は、先ほどもお答えいたしておるとおり、申し上げております。兵器そのもの等は申し上げておりますから。  それから、軍機保護法を、日米安保条約に伴う各種の兵器については、国会において議決していただきました、制定していただきました法律がございまするが、わが国の軍機の——軍機と言えるかどうかわかりませんが、防衛機というような性格かもしれませんが、その保護法ということはいまだ考えておりません。
  73. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 最後の締めくくりの発言だと思いますが、私は、わが国自衛隊自衛力、これについて、外国からいろいろな批判を受けると、先ほどの外務大臣答弁でございました。御承知のように、私どもの許されておる自衛隊、これは外国に対して、他国に対して侵略的脅威を与えないもの、これにもうちゃんと限定しておりますから、その範囲のことでございます。外国からもっと防衛力を増強しろとこういう話があっても、そういう意味でございます。まして、他の国から、外国人に侵略的脅威を与えるようなものではございませんから、そういう意味で、外国で批判の対象にはなっておらない、これをよくひとつ御了承いただきたいと思います。  また、わが国の軍需産業——まあ軍事産業とかように言えますかわかりませんが、私は、ただいま防衛庁長官から申しましたが、だんだん国産の方向へ行く、これはもう当然のことであります。外国に依存することではなくて、自衛力、これを整備する。これはやはり国産の方向に行く。このことは御承知願いたいと思います。ただ、その場合に、わが国自衛隊、ただいまのような、外国に対して侵略的脅威を持たないような自衛隊の軍需産業というものを米国の軍需産業に置きかえられることは、これはたいへん例があまり適当でないと思います。そのパーセンテージ——生産力に対しましてどういうような生産のパーセンテージを持つかということは、防衛庁長官から説明いたしましたが、どうもわが国自衛隊というものはそんなものじゃございません。これはもう、社会党の方はこれをなくせとまで言われる。私のほうも、積極的に外国侵略的な脅威を与えるような、そんなものを持とうとはしておりません。何度も申しますが、通常兵器による局地的侵略を抑制する力、それを整えようとするのでございますから、例といたしましても、米国の軍需産業、これを持ってこられることはどうも適当でないように思います。  それから、私に直接尋ねられました事柄ですが、公務員でございますから、公社、公団等につきまして、それぞれ官僚がシェアを持っておる、こういうようなお話ですが、こんなものを、シェアなんかもちろん与えません。また、民間の工場等に出かけるにつきましては、人事院等がちゃんと監視いたしております。一そうこの点は注意してまいるつもりであります。その点が昨日等の新聞に出た、かように思います。  以上、お答えをしておきます。
  74. 藤田進

    ○藤田進君 防衛庁長官は、機密保護法の要なし、工廠のことは考えていないというように私は受け取れるわけですが、ただ、いましばしば言った、機密というのは国家公務員法が根拠法規だというふうに言われたと思うのです。これは、いまの国家公務員法のたてまえからして、これは条文をいま見ましてもそうですが、いわゆる一般職の国家公務員を対象に書かれて、上司の許可なくして機密保護条項に触れるとかいう意味ですから、国会に対して国務大臣答弁するのが、国家公務員法の適用で、おれは言えないということについては、ひとつどうも御再考いただきたいと思います。  それから総理に、この際、非常に重要ですからお伺いしておきたいのですが、いま申し上げた機密保護法、これはMSAに関連してアメリカから兵器供与についての保護法がいまありますね。ですが、だんだん国産化されるということになれば、勢い、機密保護法というか、そういう性格の立法を必要とすることが要求されてくるようにも思われるわけで、この点についての、いまは考えていないというのは、いまのこの瞬間、きょう一日というようなことではなしに、相当長期にわたる見通しの上から、どういうお考えか、お答え願いたい。  それから、ことばじりをとらえるわけじゃありませんが、各国が脅威を感じていないとおっしゃいますが、これは少し違うので、安保条約と、わが国自衛隊が漸次増強されるということに関連して、ソ連はしばしば声明を出しました。中共しかり。対象国があるなしとか言ってみても、今日常識的に、韓国やあるいはアメリカわが国仮想敵国だとか、対象勢力だと、おそらく現在考えていないでしょう。これは明らかです。とすれば、言うと言わないの違いで、大体狭められてくる。そういう常識的に世間が見ている国々は、むろん脅威を感じ、そうしてそれぞれの声明を過去に出しているということは、これはもう忘れてはならぬと思います。
  75. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいまのお話、藤田君と別に論争するつもりはございません。これは、私の申しますような、自衛隊というものはこういうものだということを重ねて申しまして、誤解のないようにしたい、かように思ってお話をしたのでございます。外国からいろいろな批判も、それもございましょう。自衛隊、何と言おうとけしからぬという方もあるようですから、これはもう外国から言うのも当然かと思います。いま論争しようとは思いません。  それから次に、機密保護法の問題ですが、ただいま現段階において必要ない。そういうことは、もう答弁としては、必要ない、こういうことでございますが、これはもう正確に申せば、現段階として必要ない。ということは、これから後軍機の保持を必要とするような武器をそれじゃ持つのかという問題ですが、私は、いまの自衛隊自身がたいしたものじゃございませんから、外国に対して侵略的脅威を与えるようなものでない、侵略的脅威を与えない、かように考えますと、積極的に軍機の機密保護法、そういうものがまだ必要だという段階に私はないように思っております。
  76. 亀田得治

    ○亀田得治君 議事進行。これはきわめて突然でございますが、ただいま党本部から連絡がありまして、美濃部候補の政連車——候補者の乗っているやつじゃなく、政治活動の政連車、これに対して荻窪団地で演説中に発砲された。そうして、マイクを持っている、これはお茶の水の女子大生ですが、負傷をしたわけです。この注目の東京都知事選につきまして、すでにいろいろなことが言われているわけですが、重ねてこういう問題が起きてくると、社会党としては、これはもう放置できない問題だと考えております。あとわずか三分しか党としての持ち時間がありませんので、この際警察庁長官をすぐ呼んでもらいたい。あとの三分間で、小林君のほうからその間の質問をしたいと考えますので、ちょっと休憩していただいて、その間に長官を呼んでもらって、そうしてこの点の質疑をしたい、こういうふうに思います。これは理事会でなかったことですが、突然の情報でありますので……。
  77. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 速記を止めて。  〔午前十一時二十八分速記中止〕  〔午前十一時四十八分速記開始〕
  78. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 速記を始めてください。  小林君、警察庁長官が見えましたから、質疑をしてください。
  79. 小林武

    小林武君 私の質問を続行するところでございますけれども、ただいま緊急に質問いたしたい事項がございますから、お許しをいただきたいと思います。  わが党の政連車が荻窪団地に参りましたところ、これに向かって発砲をいたしまして、乗員の一人が負傷をいたしたという事態が起こったことは、先ほど亀田委員から申し述べられたとおりであります。この都知事選挙は、候補者はいずれもきれいな選挙をやろうということで申し合わせもし、われわれもそのことを深く望んでおったわけでございますけれども、選挙戦がようやく白熱化してまいりました段階で、候補者の中で美濃部候補に対して脅迫がましいことを言い、浅沼の二の舞いをやってやると言わんばかりの発言をする者さえ出てまいりまして非常に憤激にたえない、憂慮にたえないと私は思っているわけでございますが、いま御報告申し上げましたような事態が起こったことについて、警察庁長官はどういう報告を受け、事実はどのようなことになっているかということについて明らかにしていただきたいと思うわけであります。
  80. 新井裕

    政府委員(新井裕君) 詳細はまだ報告がございませんが、ただいまお尋ねのございましたように、けさ十時十五分ごろに、杉並区の西田町の荻窪団地内で宣伝カーをとめて運動中のところ、大体この団地の中と思われるところから空気銃を撃った者がありまして、美濃部派の運動員であります榎垣日出子さんの頭に当たりまして外科病院に収容されましたが、いま捜査一課長が現地に行って捜査しておりますが、第一報だけで、それ以上詳細まだわかっておりません。
  81. 亀田得治

    ○亀田得治君 委員長、関連。総理に最後にお尋ねしますが、その前に長官にお聞きしますが、傷ついた方の状態ですね、それをもう少し、これはわかっておると思いますが、明らかにしてほしいと思うんです。  それからもう一つは、加害者の捜査はどうしておるのか。ただいまの説明ですと、どこからこの発砲をしたかということが不明確でありましたが、そういう点もわからないのかどうか、あわせてその事実関係を明確にしてほしいと思う。  それから、この車にはわが党の都議会議員の諸君も乗っていたようでありますから、直ちにこれは警察に連絡しておると思いますが、これはもう非常に重大な性格の問題ですから、すぐ警察が動いておるのかどうか、動いたとしたらだれが動いたのか、動いた状態というものをはっきりしてほしい。  以上三点、被害者の関係、加害者の関係、それから捜査の具体的な動き、そのうち調べて報告すると、そんなことじゃわれわれは引き下がれません、これは。で、その点をまず長官から明らかにしてもらう。
  82. 新井裕

    政府委員(新井裕君) 先ほどお答え申し上げましたように、第一線の捜査の状況の詳細はまだ参っておりませんのでわかりませんが、被害の状況は一一〇番で警視庁へ入りまして、直ちに所要の係員が現場に急行すると同時に、先ほど申し上げましたように、警視庁の捜査一課長以下捜査一課の係員が現場で捜査をしている、そういう状況でございます。
  83. 亀田得治

    ○亀田得治君 被害者と加害者の関係。
  84. 新井裕

    政府委員(新井裕君) ただいま、先ほど申し上げましたように、被害者は女子大の生徒で宣伝カーに乗っておった人でありまして、近くの外科病院に収容いたしておりますが、犯人その他につきまして目下捜査中でわかっておりません。
  85. 亀田得治

    ○亀田得治君 この警察が連絡を受けたのは何時、出動したのは何時、何名、そいつをはっきりしてください。
  86. 新井裕

    政府委員(新井裕君) お尋ねのことにつきまして、私報告を受けない前に参りましたので、わかっておりません。
  87. 亀田得治

    ○亀田得治君 そういうことではいけないですよ。この東京都知事選挙に対する全国民関心は非常に高まっておるわけですね。そして、今度こそはきれいな選挙をやらなきゃいかぬと、これは候補者みずからがそう約束をしているわけなんです。こういう事態があれば、警察としては直ちに最も重大な関心を持たなきゃならぬのです。自分たちの部下が適切な行動をとっているのかどうか、そりゃあなた長官としては非常に重大なポイントだと思う。警察がそういう真剣な態度をとっておるかどうかを私客観的に知りたいと思って、いま二、三お聞きしたようなところを明らかにしてほしいと思ったわけなんです。ところが、そういうことが、聞かれるまでわからない、そんなことじゃ困りますよ。そんな、ほかの事件のように、そのうち調べて報告しますと、そういうことで済む問題じゃありません、これは。いま何かメモでわかったんですか。わかったんなら、長官、追加してひとつ答えてください。
  88. 新井裕

    政府委員(新井裕君) 負傷の模様だけいまわかったのでありますが、右の頭頂部に全治二週間の傷を受けたということでございます。重ねていろいろお尋ねがございましたが、私どものほうといたしましては、一一〇番によりまして現場のパトカーがどれだけ行ったかは報告聞いておりません。捜査一課長及び鑑識課が現場に行って、重要事件としての捜査をいたしておる段階でございます。
  89. 亀田得治

    ○亀田得治君 ともかく、こういう事件に対する反応が弱いですよ、これは。どういう態勢で捜査しているのだろうか。どこかに殺人事件が起きた、ぱっと手配するでしょう。それにも何倍も増したことを考えなければだめですよ、これは。政治の基本でしょう、選挙のことをやかましく言っているのは。抜けていたら、長官としてすぐその点を指示する。それはまあ部下を一切信頼しているというふうにお答えになるのかもしれませんが、普通はそれでよろしい、普通は。しかし、こういうことはめったに起こらないことでしょう。まかり間違って、十分間おくれたために、つかまえられるところの犯人、それがつかまらない、そういうことだってあるわけでしょう、捜査上。指示が十分間おくれたために。最大限の私は注意を払ってほしいと思う。とんでもない話だ。  それで、総理にお尋ねしますが、一体、せんだっては赤尾敏氏の事件があって、総理もお聞きでしょう。それに対する世間の非難というものも大きい。しかし、その処分というものは、何か警告を与えたという程度に終わっておる。これは、はなはだ不満だ、われわれは。浅沼委員長の二の舞い、こういうことまで言われてですね、言われて、一体それが革新陣営に与える受け取り方というものを、皆さんはどういうふうにとっておるんですか。あまりにも軽くとり過ぎると思う。そういうことばが立候補をしておる対立候補者から出る、そんなことを簡単に見過ごしていいんでしょうか。私はもっとああいう事柄は重大に考えてもらわぬといかぬと思う。そういうふうにしておるから、こういう事件がまだ起きてくるわけよ。起きてくる。大きな私は責任があると思う、前の事件の処理に。今度のやつは、単なることばじゃなしに、いきなりこういう発砲されておるわけですね。けが人まで出ておる。選挙で大事なのは、金のことも大事。しかし同時に、言論に対するこういう実力による圧迫、これが第二に重大なことでしょう。私から言わぬだってわかり切ったことなんです。民主政治の基礎だ、選挙は。言論しかないわけです。それに対してたまが出てくるというようなことはもってのほかですよ。これは金以上に重大な問題。どういう陣営でこういうことが出たって私は総理大臣として大きな責任を感じてもらわなきゃいかぬと思うのですよ。それは自民党として関係のないことかもしれません。しかし、そうはいかぬと思う。総理としてこの一切の責任を持っておられるわけですから、選挙がうまくいくことについてもやはり最高の政治的な責任が私はあると思う。その立場からどういうふうにお考えになり、これからいよいよ激戦の時期に入るわけですが、どういうふうにされようとするか、赤尾敏のあの処置の問題と、ただいま起きたこの具体的な事件に対する考え方、処置、これらについてはっきりとしたひとつ考え方を表明してほしい。
  90. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいまお尋ねですからお答えいたしますが、私、いま新井警察庁長官から報告いたしました事件について、私も亀田君同様実はたいへんびっくりしております。今回の選挙は保守、革新の一騎打ちだといわれておる東京都知事選、そういう意味でたいへん関心の深いものであります。また、その立ち会い演説等におきまして、もうすでにある候補から特別な発言があった、こういうことなども新聞に出ておる。したがいまして、今回の選挙はぜひとも公正にまた公明に行なわれることを私は心から念願しておるものであります。やじ等はあまり出ないというその記事を見まして、私はたいへん都民の方々の関心の深さ、それを示している、かように思いまして喜んだのでありますが、しかし、次々にこういうような不祥事件が起こりましてたいへん私も心配にたえません。また、ただいま言われるように、最高責任者としての私たいへん遺憾に思います。しかし、これは私どもももちろん今後とも警察も督励もいたしますし、また選挙管理委員会も督励してまいりまして、そして公明に行なわれることを念願しますが、期待しますが、同時に、都民の協力もぜひ得たいと思うのであります。私は都民の方々に責任を転嫁するつもりは毛頭ございません。しかし、みんなでりっぱな選挙をしよう、こういうことでありたいと思います。特にただいまの発言でございましたが、私は聞き方によりましては、何らか自民党とも関係があるかのように言われたかと思いましたが、さような点はないようでございますから、その点だけは誤解のないように願いまして、私は政治の最高責任者としてこういう問題について真剣に取り組んでおる、そうして選挙が公明に行なわれることを心から期待しておる、念願している。そういう意味であらゆる機関を動員いたしまして、今後再び不祥事件が起こらないよう最善を尽くしたいと、かように思っております。
  91. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 関連。まず警察庁長官にお伺いしたいのでありますが、事件が起こりましたのは十時十五分でございます。あなたがこちらへ来られましたのは十一時五十分ぐらいであります。すでに一時間と三十五分ぐらいたっておる。その間にこういう重大問題について、警視総監からあなたのところに直ちに詳しい報告がなかったということで、これはあなたの指揮者としての責任ではないかと思うのですが、まずその点についてお伺いいたします。  第二に、その次にメモが参りまして、あなたは被害者の状況についてお話がございました。しかしながら、加害者のほうがどうなっておるかということについては何のお話もなかったのであります。私どもが知りたいのは、さらに加害者かどうしたのか。もちろん、私はアパートの窓から狙撃をして、そうして逃げ去ったものと思うのでございます。しかしながら、一体アパートの住民がどういう人であるか、またその人と犯人との関係がどういうものであるか、あるいはまた、狙撃をした際に使った空気銃を置いて逃げたものであるかどうか、そういうことについては、もう一時間半もたっておれば、大体あなたのところに報告があっていいはずである。それがないとすれば、これまた怠慢と言わなければならない。あるいはこの事件を不当に過小視をして、そうしてそういうような報告をしないでもいいという考え方にあるのか。そういう点が非常に私どもには奇怪に思われるのであります。まず、警察庁長官から加害者のほうの問題について、そちらのほうの取り調べの状況について報告を伺いたい。
  92. 新井裕

    政府委員(新井裕君) お尋ねでございますが、加害者はまだつかまっておりませんで、犯人は捜査中でございますので、被害者とどういう関係にあるかどうか、どういうものであるかということはわかっておりませんが、大体は、身長は百五十センチから百六十センチで、ネズミ色の洋服を着た二十歳前後の男だという目撃者の言があるそうでありますが、まだ犯人はつかまっておりません。  それから、たいへん重要なものであるにもかかわらず報告がおそいというお話でありましたけれども、犯人を捜査し、逮捕するのが先決問題でございますから、刻々の捜査状況を私のほうが徴するということは普通ございません。いかなる大きな事件につきましても、むしろそれは非常な捜査について支障がありますので、ことに最初の時間は捜査に専心させるというのがわれわれの鉄則でございますので、詳細について刻々報告があるという体制はとっておりませんし、これからもとらないほうが効果的であると私は信じております。  先ほどお話がありました一一〇番が入った時間は十時二十一分だそうですが、それで緊急配備をいたしまして、全署に指令をすると同時に、機動捜査隊百人、それから捜査一課長以下の人間二十人、これが現場に出動いたしまして所要の捜査をしておるという報告であります。
  93. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 ただいま、まあ緊急手配をして捜査をやっておる最中に報告はないというふうに言いますけれども、いま言われたように、百人も出ておるならば、それは一人や二人連絡をするのは当然じゃないですか。所轄署にも連絡するだろうし、警視庁にも連絡するだろうし、それが、あなたのところにこういう問題について報告がないというのはおかしい、そんなことは弁解にならぬ。  それはそれといたしまして、いま私が質問いたしました問題のうち、アパートから撃ったということでありますが、そのアパートは何人が所有をしておるか、何階であるか、何人が住んでおるか、そしてそこに空気銃が置いてあったのかどうか、それから、いまあなたが言われた犯人とおぼしき人を目撃をした人たちはどういう人であるか、その点についてお伺いしたい。
  94. 新井裕

    政府委員(新井裕君) 私の説明が不十分で誤解があるかもしれませんが、まだ犯人がつかまっておりませんので、どういう種類の人間でどういうところにいたかはわかっておりません。ただ、いま犯人らしい男ということで申し上げましたのは、目撃者からの証言でございまして、それ以上のことはわかっておりません。それから、空気銃を持って逃げたらしいというのが目撃者の証言でございます。目下捜査中でございますので、これ以上詳細はわかっておりません。
  95. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 そういう御説明ではふに落ちない。私はアパートのどっから撃ったのかもお聞きしたいんですが、それについてはお答えがない。それはアパートの一室の窓から撃ったのか、あるいはアパートの外から撃ったのか、どっちですか。もうあんた時間が二時間たっておる。どっから撃ったぐらいわかるだろう。
  96. 新井裕

    政府委員(新井裕君) 先ほどから何回も申し上げておりますとおり、犯罪の情況を、全貌をまだ掌握するに至っておりませんので、これ以上もし申し上げようとすると完全な推測になることだけしかございません。いま地取り、聞き込みの基本捜査をしておる段階でございます。普通の捜査でもそれ以上はわからないのが普通だと思っております。
  97. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 それでは、ある時間を経ましたならば、なお報告が入り次第、それらについて明らかにすべき点を明らかにしていただきたいと思うのです。  次に、私は法務大臣にお伺いをしたい。それは、あなたの下に公安調査庁がある。この公安調査庁が右翼の取り締まりをやっておるはずであります。そしていままでの例からいくと、とかく右翼に対する取り締まりが非常に手心が加えられておるというようなこともいわれておるのであります。そして過日赤尾敏氏が、「浅沼の二の舞いになるぞ」というような、ああいう言辞を弄したあとで、一体公安調査庁としては、これらに対してどういう取り締まりをしておるのか。公安調査庁がおそらく相当な内偵をやっていると思うんですが、この右翼の今次選挙中における動向等についてどれだけの調査をしておったのか。そして、こういうことを未然に防ぐためにどれだけのことをやっておるのか。それから、今後公安調査庁はこの右翼の動向に対してどういう取り締まりあるいは調査をするのか。そういう点について法務大臣の御見解を承りたいし、なお、私は後に公安調査官の出席を求めて、右翼の取り締まり状況に対する内容をお伺いしたいと思うのです。
  98. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 公安調査庁本来の目的任務、これをひとつ御承知いただきたいと思います。犯罪捜査と申しまするのは、破壊活動——私の言うことをお聞きください。破壊活動の実態を調査しておることが公安調査庁の目的でございます。そういう調査をいたしております。そういう立場から申しますと、この間赤尾敏なる人物の行ないました言動というものに関しましては、犯罪捜査として捜査をすべき筋合いのものでございます。この実態から申しますと、警視庁を中心といたしまして警察の手で調べるべき第一次的な責任のある問題であります。したがって、警視庁がこれを目下調査をしておるという段階でございます。調査ができ上がりますれば、私のところ——ところと申しますよりは、検察庁に対して事件の送致がある。送致を待って検察庁は厳重な態度をもって調査をいたしたい、こういう考えでございますから、犯罪捜査に関しましてどのような態度であるかということはいかがかと存じます。これは警察当局にお聞きをいただきたいと存じます。また、私のほうに送致のありましたものについては御報告を申し上げ、御説明を申し上げることにいたしたいと存じます。
  99. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 どうもいまの法務大臣お話は責任のがれの感を免れないのであります。私がお伺いしておるのは、つまり、公安調査庁は左翼と右翼についての破壊活動について調査をしておる、こういうことだろうと思うのでありますが、そのために右翼の動向全般について公安調査庁は相当な調査をしておるはずであります。そして右翼のこういうような動向から、まあいろいろな言動なりあるいは行動なりというものがあらわれておるわけでございますが、たとえば赤尾敏の発言というものは、いま法務大臣の言われるように、一つの犯罪的行為として直ちに警視庁のほうで取り調べをしておるといたしましても、その根源になっておる右翼の動向というものは、公安調査庁において常に警戒をし、そしてそれらの事態を未然に防ぐことになっておると思うのですが、そうじゃないですか。もし、そうでないとすれば、公安調査庁は不必要なものになってしまうではありませんか。私どもは、公安調査庁があってそういう任務を果たしておるとすれば、これはこういうようなものについてたとえば赤尾敏の言動があった。警視庁にその捜査をまかせるだけでなくて、それが及ぼす右翼の内部における動向等については、公安調査庁が直ちに捜査活動を開始していなければならぬと思うが、その点についてはたして公安調査庁は何をやっておったかということをお伺いしたいのであります。
  100. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 私が勘違いをしたのかもしれませんが、お話の趣旨はよくわかりました。赤尾敏の言動をめぐる犯罪捜査に関しましては、私のほうには第一次的な任務がないということを申し上げたのでありますが、そういうことをする人物を中心とする団体、そういう団体の思想的な破壊活動というものはどういう状況になっておるかを調べておるかというお尋ねと承りますと、それにお答えを申し上げますが、それば調査をいたしておる。相当に調査をいたしております。そこで、その調査をいたしております具体的な内容につきましては、公安調査庁の専門家を呼びましてお答えをすることが最も適当であろうと思います。
  101. 亀田得治

    ○亀田得治君 それじゃその調査官を呼んで内容を明らかにしてください。非常に重大な問題ですから。
  102. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 専門家の答えが正確であろうと存じます。間もなくこちらのほうに出向くようになります。しばらく御猶予をいただきます。
  103. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 一つさらにお伺いしたいのは、昨日、東京駅におきまして、御承知のように、火薬の爆発事件が起こりました。前にも羽田空港でああいうことが起こりました。こういうような風潮もまた、私は今回のことに影響があると思うのであります。今回は空気銃でございますから爆発物には関係はない、こういうことでございますけれども、もし、これが空気銃でなく、銃砲火でありましたならば、これは最近ひんぴんとしてある、銃砲が盗まれて使われたりなどする問題とも関連がありますし、また、いま申し上げました爆薬との関係も出てくると思います。私どもは、今回の事件が今回だけで終わる、はっきり終わる、また終わらせ得る、そういうふうに甘くは見ておりません。これから先の問題が重大だと思うのであります。今回の事件において、もし犯人が至急につかまらないというようなことがありますというと、さらにこれに力を得まして、そうしてまた計画的にいろいろなことが行なわれる、そういう風潮がさらに高まっていくことも考えられるのでございます。今後の問題に対して、私は政府としてどういう態度をもって臨まれるか。単にこの事件の捜査、それだけでなくて、今後の問題についての政府の見解というものをはっきりさしていただきたいと思うのです。この点については総理大臣のお考えを承りたいと思います。
  104. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) この種の事柄は、ただすべきはただすというか、早く犯人をつかまえる。そうして治安についても不安を与えないように問題を明確にする、これが一番大事なことだと思います。どうか御協力お願いいたします。
  105. 春日正一

    ○春日正一君 関連。とにかく選挙をやっておって、その候補者なり弁士なりが暴力を加えられる。これは選挙法の上でも選挙妨害をしてはならぬといわれておるんだけれども、さらにその道具としてこういう暴力が加えられてくる。そうしていろいろなけが人を出すということはこれは重大なことだと思います。こういうことが度を増していけば、結局、総理の言う議会制民主主義というようなものは当然こわれてしまう。そこで、どうしてこうなったのか。いままでもこれに類する事件というものはしばしばあったわけであります。たとえばこの前の選挙のときに、わが党の野坂議長が大阪で演説会をやっておるときに、関西の右翼の団体の者が演壇にかけ上がろうとした。これをとめようとした人にけがをさしたというような事件がすでに何年か前に起こっている。しかも、つい最近も野坂議長が尼崎で演説をした際に同じ団体の暴力団員が野坂議長に襲いかかってそして危害を加えようとした。しかも、これに対して警察は一度つかまえて写真をとりながら、けがをさしていないと言って逃がしておるというような取り扱いをしておるわけであります。今度の場合でも、たとえば、いま聞いたところによりますと、犯人が逃げた。しかも警察——天神橋の交番ではそれを追跡しようとしなかったということで、あの辺の人たちが交番に抗議をしておるというふうにいわれている、こういう点では……。
  106. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 春日君に申し上げますが、関連質問ですから簡単に願います。
  107. 春日正一

    ○春日正一君 関連で一つ二つの点で私ははっきりさせたいと思って聞いている。  だから、こういうことで、つまり犯罪が行なわれて犯人が逃げていった。警察がすぐ追っかけない。あるいは犯罪が行なわれてそうして人をつかまえたけれども、けがさせていないからと言って逃がしてしまった。こういうところに右翼がさらにのさばっていき、こういう危険がつのっていく原因があるのじゃないか。この点について警察庁長官、一体どういうふうな指導をしておるのか。特に今度の場合で天神橋の交番で犯人を追わなかったということが事実とすれば重大な問題だと思うのであります。その点を聞きたい。これが一つ。  それからもう一つの問題は、これは総理にお聞きしたいのですけれども、選挙は言論戦でありますから、相手を大いに批判する、これは当然でありますけれども、たとえばこの間から問題になっておるこの文書を見ましても、これを見れば、表紙から、「東京を革命から守ろう」というようなことで、「無法な暴力デモが横行して、都民に迷惑をかけ、不穏な空気のただよう街——。」、「教育は“赤い偏向教育”が大手をふってまかり通る、自分の子供がいつの間にか紅衛兵みたいになっている、」というような非常に極端な形。この選挙の結果、東京が大混乱のちまたに陥るようなことが宣伝されておる。こういうことが他の人を刺激し、そうしてそういう方向に行かせる。直接やれといったことじゃないけれども、そういう度を失した反対党に対する非難、宣伝というようなものがこういう過激な行動にかり立てるような原因になるのじゃないか。そういう点ではやはり度の過ぎた反対党に対する攻撃、そういうことを政府みずからは慎しむ必要があるのじゃないか、その点が第二点。  もう一つ具体的に聞きます。たとえば右翼を激励しておる問題で、東京においても労働組合、民主的な政党が町にポスターを張ったということでは、しばしば検挙されるというような事件が起こっております。しかも、それは政治目的自体ではなくて、道交法違反で、ビラまいたからといって引っぱられたという問題もあるし、あるいは広告条例違反であるからといって引っぱられておる。そういう政治活動に関係のない法律まで使っていわゆる民主的な団体の活動というものは弾圧しておるけれども、私ども町を歩いてみて、この国会周辺でもそうだけれども、たとえば愛国党というような名前で、「首都東京に赤旗を立てさせるな」というようなポスターが東京の至るところに張ってある。こういうのは大っぴらに許されておるということになると、警察庁のこの取り締まりが明らかに民主的な勢力は弾圧するけれども……
  108. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 春日君に申し上げますが、質問の要点を簡単に願います。
  109. 春日正一

    ○春日正一君 右翼の取り締まりは大目に見ておるというようなことが現実だれの目にも見える形でここに出ておるじゃないですか。こういうことが今日のこの不祥事をもたらした原因ではないか。だから、そういう点で今後そういう方針を固めて、しかも、関西の場合なんか、野坂議長を襲撃したのは数年前にやった団体。今度やった団体と同じだ。何回もこういう事犯を繰り返しておるのに野放しにされておるというような状態。これをそのままにしておく気であるかどうか。本気でこういう問題を根絶しようとするならば、この三つの質問に対してはっきり納得のいく答えをしていただきたい。
  110. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 今回の事件ははなはだ残念なことでございました。至急に犯人の逮捕を急ぎ、しかもその原因を探求いたしたいと思います。ただいま春日さんからお話しのありましたような点につきましては、私ども警察といたしましては十分にその能力を発揮いたしまして根絶いたしてまいりたいと思います。ただ、先ほど御質問の中にありました尼崎において野坂さんが右翼の者と接触したというようなお話がございましたが、そういう事実のなかったことだけは申し上げておきます。
  111. 春日正一

    ○春日正一君 委員長
  112. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 春日君、まだ関連質問あるのですか。簡単に願います。もう一回だけ。
  113. 春日正一

    ○春日正一君 事実がなかったというから、はっきりさしておかなければならない。明らかに右翼の人間が野坂議長に接触してきてまわりの人たちに妨げられてそれができなかった。しかも、からだに触れておる。これは目撃者が見ていることです。しかもそういうことを、からだに触れなかったからいいじゃないかというようなことで逃がしておる。そうして、いまの答弁で見ればそういう事実はなかったという。そうすると、あなたは、共産党は全く何もないことを持ち出してきて、ここでデマ宣伝でもしているというようにお言いになるのかどうか。
  114. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 尼崎の会場で、野坂さんと右翼の団体とが接触した事実はなかったということだけを申し上げておる。
  115. 亀田得治

    ○亀田得治君 議事進行。委員長に申し上げますが、大体約束の時間が過ぎておることは理事の私も承知なんですが、ただ、この質問者の皆さんがこれでは了承できないということで、もう少し事態を明らかにしてもらわぬと困る、こういう要求が先ほどから出ておるわけです。私とこう少し口論になるくらいにえらい強い希望が出ておるわけです。それで法務大臣は、先ほど、公安調査庁のほうは呼んで明らかにさせる、どういう調べをしておるか、それもあるし、もう一つは、検察庁の報告ですね、これももう少し明確なものにしてほしいと思うのです。この二つのために暫時休憩をして、そうしてその準備をさせてほしいと思います。こういうことで委員長に要求をいたします。しかるべく取り計らってください。
  116. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) お答えをいたしますが、この問題の取り扱いにつきましては、先刻、亀田委員とは十分打ち合わせをしたつもりでございます。委員長といたしましては、亀田理事御要求のとおりに取り計らっております。すなわちこの問題の持ち時間、小林委員の持ち時間にはこれを計算をしない、別ワクでいってもらいたいということでそのとおりに取り計らっております。  なお、関連質問につきましても、亀田理事御要求のとおりに、亀田理事と、地元の関係もあるからというので岡田委員、また地元の関係もあるというので春日委員、このお三人の方に関連質問を許してほしいということでございますから、そのとおりに私は取り計らっておるのでありまして、あなたとお打ち合せのとおり、先ほどから進行しておりますことを御了承いただきたいのであります。
  117. 亀田得治

    ○亀田得治君 委員長、それについて。いま委員長が理事打ち合わせ会の結果を言われたのは、それはそのとおり、これは私もそのとおり認めておる。ただ質疑の経過の中で、それではいけないという非常に熱意のある要求が出ておるという立場で、新しくこれは委員長に要求しておるわけなんです。そういうふうにひとつ理解をして新らしく取り計らって下さい。
  118. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 公安調査庁の長官が参りましたので、岡田君に対する答弁をさせます。
  119. 吉河光貞

    政府委員(吉河光貞君) 御指名によりまして、お答え申し上、げます。  大日本愛国党は、破壊活動防止法に基づきまして、破壊的容疑団体の一つとして、かねてから調査をいたしております。先般の衆議院選挙におきましては、党首の赤尾敏が東京の第六区から立候補いたしまして、四千八百二十九票というような得票をおさめておるのでございますが、このたびまた東京都知事選挙にも立候補いたしまして、その言動に穏やかでないような節も見受けられますので、関東公安調査局を中心に厳重にその動向については調査を進めておりますが、現在までのところ、さしたる特段の動きは認められない状態でございます。
  120. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 ただいまの御報告を聞きますというと、一体そんなことで調査が十分にできておるのかどうかを言いたいのです。赤尾大日本愛国党首の言動は、これは単に立ち会い演説会の場だけではございません。街頭においても同じようなことをやっておる。しかも、この団体に属するものは、さきに浅沼委員長を刺殺し、その後もあらゆる面におきまして暴行をやっておるのであります。その報告はあなたのほうでよくおわかりだから、いま私はここで列挙はしないけれども、これだけ一つの目的を持って暴行を働く、あるいは団員を使嗾していろいろなことをやらしておるこういう団体が破壊活動に値いしない、どういうところからそういう御判断ができるのでありますか。こういうような点について、私どもは公安調査庁にいたしましても、あるいは政府そのものにいたしましても、右翼団体に対して甘い、こういうように考えるのであります。おそらくきょうこの予算委員会に傍聴しておる新聞記者の諸君も、公安調査庁がこういうふうだから右翼がばっこするのだと、そういうように感ぜられたに違いない。総理大臣は、いままでに一党の党首の暗殺をやった者を出し、そうしてまた、その後も累次政治的暴行を重ねておったこういう団体が、いま公安調査庁長官の言うように、破壊活動をやっておるものと認められないような、そういうことをあなたも同意されるのでありますか。私は総理が、もしほんとうに日本の民主主義を守っていこうとするならば、そうして治安の維持をしていくならば、こういうような団体に対してこそ、もっと厳重な取り締りをすべきであると思う。当然、破壊活動防止法に基づいて、この団体は解散をさすべきであろうと思うのであります。その点に対する総理並びに法務大臣の御意見を承りたい。
  121. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 破壊活動の団体として調査対象としなければならない危険のある団体である、こう考えましてこれを対象に加えて厳重に調査をさしておることはいま長官から報告をいたしましたとおりであります。そこで過般の赤尾敏なる人物の発言、その発言以後においては特に担当局を中心として厳重調査をしておる。しておるけれども、その後の団体の動向というものにはさしたる変化がいまのところは認められない、さらに引き続いてこれを調査をしておるということを長官は御報告を申し上げておるのでございます。そこで御理解をいただかないとたいへんに困りますことは、この破壊活動調査という調査のやり方でございます。これは犯罪捜査のごとき捜査権は持ちません。また犯罪捜査のごとき態度をもって、右翼にしても左翼にしてもこの団体を調査すべきものではないのでございます。極力調査に重点を置いて、調査には多額の予算をちょうだいをいたしまして、これに重点を置いて民間人その他の者の協力を求めまして、報償費を払いまして、そして調査をいたしております実態は御承知のとおりでございまして、これは時間をかけていろいろな現象が表面にあらわれてまいりますことをとらえてはその現象を中心として、どうしてこういう現象が出たものかという、その根源を確めるために慎重調査をしておるのでありまして、この現在の調査の段階においてはさしたる変化はない。こういう報告でございますから、決してたよりないことはないのであります。
  122. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま田中法務大臣から詳しく御説明いたしました。私は政局を担当する者として、秩序の維持、あるいは国民の安全確保につきましてあらゆる機関がそれぞれ権威をもってそれと取り組んでいる、このことを御報告申し上げておきます。
  123. 小林武

    小林武君 ただいまの法務大臣の話の中で、そんなたよりのないことではないというようなお話でございますけれども、これは私はよほどお考え願わなければならぬことだと思うのです。赤尾敏という者については、私は経験者ですからよく存じております。それから、あれとかこれとかいう暴力団についてはある程度私は知っている。しかしながら、あなたのようなお立場の方は案外その点については甘いのです。ある者が私に対して、あなたたちのような立場にある人が、直接第一戦に働く人が私に対して、赤尾敏はそんなに悪い者じゃないはずだというようなことを言った。そういうことのあと、わが党の浅沼さんが殺された。私はいま重大なこの選挙の途中で発砲事件が起こった。しかも、それが二十才前後の青年であるということになりますというと、これはもうこの種のことに関係する皆さん方はいつも言うのだけども、その程度の人間に気をつけろということは皆言っている。そうでしょう。とにかく二十才前後の人間とわれわれが見た場合の者が身辺に来たらそれに気をつけろ、親分らしいやつにはたいしたことはないのだというようなことを、あなたたちもそういうことを言っている、あなたたちの関係の人たちは。われわれもそういうことを十分知りながら警戒してきた一人です。私はそういうことから、一体、美濃部さんにしろだれにしろ、選挙が終わるまで一体命が大丈夫で選挙ができるような状態にあなたたちは置くかどうかということを約束するかしないかという問題なんです。そのことが問題なんですよ。過去のことがどうなんだというようなことは問題じゃない。かつて東京都知事に革新のほうから立候補をうわさされたある人はこういうことを言っている。おれは出たら命があぶないかもしれないなというようなことを言っている。このことは新聞にも報道されておる。そのぐらいの覚悟をきめてやらないというと選挙に出られないというような現状を、私は心配しております。あなたたちはそのわれわれの心配に対して、それほどわれわれがたよりないものではないというようなことをおっしゃることは、これはたいへん心強い。責任感、りっぱだと思うのです。しかしながら、きょうの事態を考え、この二、三日、あるいはこの選挙が始まって以来のことを考えますと、一体選挙運動が命がけ、からだを張ってやらなきゃならぬというような中で結局やらなきゃならぬかということを心配しているのですよ。そういうことについて一体関係の方々は胸をたたいて、責任を持っているから心配するなということをおっしゃれますか。どうですか。
  124. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) お説はよくわかりました。ごもっともな御意見と考えます。公安調査庁は破壊活動を中心とする調査をする役所ではありますけれども、その調査の過程においてこの動き穏やかならずと見ましたときには、捜査当局にも十分連絡をしなければならぬ責任もございます。ただいま仰せのようなことを十分に念頭に置きまして、厳重かつ慎重に調査をしていくことをお誓い申し上げます。(「委員長委員長」と呼ぶ者あり)
  125. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 何ですか、関連ですか。藤田君。
  126. 藤田進

    ○藤田進君 いろいろ質疑を聞いておりますが、佐藤総理にも、関係省庁の長にも申し上げたいが、真剣に考えてもらいたい。けさの新聞を見ると、警察官が殺人をやったかもしれないような被疑者になっているでしょう。こんなことはもう数数出ています。いや、豚に御承知のような菌が入ったものを売ってみたり、いや、ヤギもまた出てきた。世の中乱れに乱れておるじゃありませんか。(笑声)実際笑い話じゃないですよ、これ。アメリカでもオズワルドが殺され、また殺したのが殺され、どうですか、最近。次々に殺されて、ガリソン地方検事が今度摘発しているというような調子。アメリカだけではない。わが日本ではるる言われているように、私ども委員長である浅沼稲次郎は日比谷で消えていったでしょう。そのときに殺したのはだれです。埼玉県草加ですか、毎日わら人形をしつらえてこれに突っ込む訓練をしたのですよ。これもわかった。肝心かなめなときにその犯人は自殺したということになっている、わが国でも。そうして資金関係の背後関係に至るや、ぱったりと捜査はとまってしまって、釈放したでしょう。大日本愛国党という国を愛する政党が破壊活動のこの指定になるというようなことは、名前から見たらあるはずがない。三悪追放というような団体が急拠できた。三悪追放するというのはありがたいこととおっしゃるが、羊頭を掲げて狗肉を売るということはこのことなんです。もっと真剣に政権を持っている者は考えてもらいたい。過般の日韓条約のときは、亀田議員と私は毎日のように殺すという電話で悩まされた。その後、共和製糖では大森君がこれまた毎日脅迫を受けた。これが何ら手をつけられていないのです。  そこで、私はお伺いしますが、いま公安調査庁長官が破壊活動防止法に沿っていろいろな行動をやっていると言うけれども、いま言われた団体の資金関係——いやしくも選挙に出るということになれば相当な金は要る。総理も一金がかかると言う。何の事業活動をし、何の収入でこれがまかなわれているのか、この点だけははっきりしてもらいたい。そして関係治安大臣からいま申し上げたことについての決意を聞きたい。ここで質疑応答等やった者が、外に出れば殺されるかもしれないというようなことは、人ごとではない。われわれは過去体験してきているのです。これらについて、治安対策並びにいま固有の問題についてどこまでやる気なのか。資金関係に入ってくると、これで捜査の打ち切りなんだ、いつも。相手方にあなた方が手がつけられないような相手があると、そこで消えてしまうんです、事件の捜査は。これであってはならぬ。どうするのです、これから。
  127. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 公共の秩序を維持することは当然のことでございまして、従来遺憾の点のありましたことは率直に認めますが、今後われわれ全力をあげまして、特に選挙等が自由濶達に行なわれるような、そうした体制をしいてまいるつもりでございます。(「資金関係のやつ、答弁しなきゃ承知せぬぞ」「どこから金が出て選挙をやっているのだ」と呼ぶ者あり)
  128. 吉河光貞

    政府委員(吉河光貞君) 御答弁申し上げます。大日本愛国党の資金関係については、十分なところはまだ解明はできておりませんが、大体機関誌紙代並びに機関誌紙配布の際にいろいろと民間各層から零細な寄付金を得ているような状態でございまして、その資金関係は決して潤沢なものではないように考えております。
  129. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 小林君、質疑を続けてください。
  130. 小林武

    小林武君 文部大臣にお尋ねをいたします。  私学問題が、経営の困難な中からさまざまな学校騒動を続けざまに起こしていることは、文部大臣も御承知のとおりであります。私はこの点について抜本的な対策をこの際立てるべきだと考えるわけでありますが、それには、再々申し上げておりますように、経常費に対して国が補助をするという形をとらなければ、これはなかなか抜本的な解決というのはできないように考えます。この点について、私学対策に文部省もここしばらく取り組んでいるわけであります。大臣の一体いまのこれに対する扱いの態度をひとつここでお示しを願いたい。
  131. 剱木亨弘

    国務大臣(剱木亨弘君) 仰せの、ただいま私学関係におきまして、特に授業料等の値上げのために引き続きまして学校騒動が起こりました。現段階におきまして、私学におきまする経営は、授業料収入によるのが大部分でございますが、授業料の額も限界点に来ておると思います。そこで、私学経営の根本的な対策を講じなければならぬのでございますが、いま申されましたように、あるいは経常費の補助というようなことも考えられるのでございますが、この六月末をもちまして、せっかくただいま私学振興対策調査会におきまして結論を得ることに急いでおるのでございます。どういうような方法におきまして抜本対策を講ずるか、その結論を得るのも間近でございますので、これを待ちまして、その結論を検討いたしまして、私どもとしましても、私学の抜本的な今後経営をできるような方向に持っていきたいと、目下検討をいたしておるのでございます。
  132. 小林武

    小林武君 いまその調査会で審議していることは私も知っておるわけです。しかし、まあ私が私学関係者に聞いてみるというと、大体抜本的な対策というものは、私が申し上げたいことは、こう言っているのです。出る結論がもしそうでないとすれば、私は文部省の指導よろしきを得て調査会がそういう結論を出したということになるとさえ思っているのです。その点、この際やはり私学問題についてもはっきりした態度をもって臨んでもらいたいということを希望しておきます。  もう一つお尋ねいたしますが、一体外国人教育についてどうしても、いまのようなやり方で、朝鮮人教育を何か否定するような、あるいは学校閉鎖というようなものを当初目標に置いたあのような態度でいまも臨むつもりでありますか。私は、もうああいうものは撤回して、日本人が外国へ行った場合には、その外国へ行った者の子弟が外国において日本人らしい教育をやってもらえるためにも、常々申し上げているとおり、外国人教育についてはああいうものをつくらないほうがよろしいと思いますが、どうでしょうか。
  133. 剱木亨弘

    国務大臣(剱木亨弘君) 外国人学校の問題につきましては、ただいま学校教育法の改正案を起草中でございまして、近く国会に出していただくようにする運びでございますが、まだ提案の時期及び内容等については確定しておるわけではございません。  ただ、お尋ねでございました外国人学校の問題でございますが、これは国際的な意味から申しましても、外国人の学校を認めるすべての国におきまして、その国の法律に基づきまして外国人学校の教育というものは認められておるわけであります。特に、今回私どもが考えております外国人学校と申しますのは、ただいままで各種学校として認められておる外国人学校もあるのでございますが、しかし、その学校教育法の改正におきましてわれわれが一番重点的に考えておりますのは、現在の各種学校の格づけの問題でございます。この各種学校の規定を整備いたしますると、外国人の学校はその整備された各種学校に入らないのでございますから、そこで外国人学校制度を設けて、そうしてそれに対しまして、その祖国のことばで、祖国の国語を自由に教えていくことを保障していこう、こういう意味でございまして、非常に巷間においてこの外国人学校について誤解があるのは残念でありますが、いよいよ法案を出すようなことになりますれば、十分この問題につきましては、皆さま方にも御納得のいくように私から説明を申し上げてまいりたいと思っております。
  134. 小林武

    小林武君 剱木さんは文部行政については専門家ですから、私はそのことについて、ここでいま長々やる時間がございませんから、申し上げません。当初一体どういう出発のしかたをしたかということ、それからそれに対して朝鮮人がどういう受けとめ方をしているかということを考えた場合には、私はいまのような通り一ぺんのごあいさつは、これはとても聞かれません。しかし、これは委員会等でひとつ十分これから検討いたします。  それから、総理府総務長官にお尋ねいたしますが、沖縄におきまして、教員組合関係の者が教育二法に反対したというようなことで殺されかかったという事件があったように、私は新聞紙上で見ておるわけでありますが、これについて一体どういう状況にあるかということを、おわかりでしたら、ひとつお聞かせをいただきたい。
  135. 塚原俊郎

    国務大臣(塚原俊郎君) 「三月二十九日午后二時過ぎ、那覇市松尾の沖縄教職員会館附近の路上において、沖縄教職員会福地政経部長が二人組の暴漢におそわれ、福地氏は右大腿部を短刀様のもので刺された。犯人は犯行後逃走した。福地氏は刺傷によって静脈を切られ、輸血をした。重傷だが生命に別状はない模様である。那覇署においては、ただちに市内に検問所を設け、聞き込みを行なうなどして手配したが、犯人を逮捕することはできなかった。」、以上が事件の概要であります。なお、詳細についてはその後報告は承っておりません。これが南連事務所から私どもの特連局に入った報告です。
  136. 小林武

    小林武君 その問題、あるいは先ほど来非常にわれわれが憤激にたえないといって質問いたしておる問題、こういうテロ行為問題が沖縄でも行なわれておるわけであります。これはあれですか、施政権がわれわれに全然ないということで、その点については報告を受ける程度のことで大体おさまっておるわけでありますか。
  137. 塚原俊郎

    国務大臣(塚原俊郎君) そういうことではございません。南連からは何かあるごとに報告が入っておりまするが、いま入っております報告の詳細はいまの程度であります。  なお、暴力に対しては、私はこれは絶対に排撃するものであります。
  138. 小林武

    小林武君 終わります。
  139. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 以上で小林君の質疑は終了いたしました。  一時半まで休憩いたします。    午後一時九分休憩      —————・—————    午後一時四十三分開会
  140. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  まず、委員の異動について御報告いたします。  本日、二木謙吾君、斎藤昇君、西田信一君が辞任され、その補欠として中村喜四郎君、豊田雅孝君、西村尚治君が選任されました。     —————————————
  141. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) それでは午前に引き続き質疑を行ないます。中沢伊登子君。
  142. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 初めに総理大臣にお伺いをいたします。  先日の施政方針演説のときに、風格ある日本社会を建設していきたい、こういうお話がございましたが、その風格ある日本社会というのはどのような社会か、国民がよくわかるように具体的に御説明をいただきたい。
  143. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 風格ある日本社会、なかなかわかりにくいことばです。また人によりましてそれぞれかってに考えておるようです。私は別に統一見解がこれだと、かように申すつもりはございません。  御承知のように、最近の経済発展、これはもうすばらしい状況であります。どうもよほどものの考え方が合理主義になるとか、あるいは合目的主義だとか、そういうような方向にばかり走ってるような気がいたします。世の中はそう簡単なものじゃない。ことに日本人として、いまの経済発展だけで物質的にものごとを見ることに、必らずしも満足しておりません。でありますから、日本国民の持つ歴史的なものもひとつ生かしてみたらどうか、特有の文化を持ておる、そういうものも、成果も、ひとつ社会の中に取り入れたらどうか、そういう意味で風格ある社会と、こういうことを実は申したのであります。  私はいずれにいたしましても、とにかくりっぱな社会をつくる、りっぱなというだけでもどうも満足ができない。実力のある社会、実力のある社会をつくる、これも一つの目的であります。しかしやっぱり何と申しましても、日本人としては日本らしい、そこに風格のある社会、こういうものをつくりたい、これが私の念願でございます。
  144. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 いまの御答弁で、私も一応非常に賛成をすることができます。人間がいろいろな理想を追求しながら、希望に満ちた未来を建設していく、そういうことにたゆまざる努力を惜しまないということは、非常に崇高な私どもの使命でもあるし、また生きがいでもございます。しかし現実はなかなかそう私どもの考えているような風格のある社会というのは実現できない。ほんとうはいま私どもの目の前に、もう少し困った現実が非常にたくさんころがっている。先ほど午前中からもいろいろ社会党の方からお話がございましたような問題、あるいは羽田空港の問題、きのうの東京駅の問題、あるいは私どもが家族に物を食べさせようとしましても、豚肉のあのばい菌が入ってる問題、あるいはヤギだの鶏だのいろいろな問題がございます。そういうのも、私ども現実を忘れてはならない。理想ばっかり追っかけていてはいけない。こういうふうに考えますと同時に、風格ある社会とはおよそほど遠いところに住んでいる人たちが非常にたくさんあるのでございます。こういうようなことについて、総理の御見解を伺いたいと思います。
  145. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 中沢君の御指摘のとおりであります。なかなか風格ある社会とか、そういうことも言っておれない人たちも多数ございます。そこで、いわゆる福祉国家建設と、こういう意味から、社会保障制度、これが医療保険になりあるいはさらに進んでは所得保障にまで発展しようといたしております。しかし私は、政治をあずかる者といたしまして、やはり一面、現実のものを忘れてはいかぬ、同時に、ひとつ高い理想を持つ、そうしてたえず国民がその理想に向かって前進していく。このためにも現実の問題を着々と解決する。これが政治の姿でなければならぬだろう、かように思っておる次第でございます。
  146. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 私は一つの例としてこれからお伺いをするわけですが、先ごろ八戸と、それから塩釜というところに参りました。そこには私どもがまだまだかつて知らなかった後家さん部落というものがあるのです。それは北洋漁業で遭難をされた漁船の遺家族の人たちがあまりたくさんいるからそういう名前がついているのだそうでございますけれども、海難による船員の死亡やあるいは行方不明者、そういう数は一体どれくらいあるか、また一年間にどれくらい平均あるか、そういうことをお伺いをしたいと思います。
  147. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) 海難の防止と救助につきましては、いろいろと努力をいたしておりますが、依然として毎年かなりの海難が発生いたし、とうとい人命と貴重な財産が失われておりますことはまことに遺憾でございます。昭和四十一年に発生いたしました漁船の要救助海難は千百四十五隻と相なっております。この漁船の遭難による死亡、行方不明が三百四十八名、漁船遭難と関係なく——遭難と関係なくというのは、漁船は助かりましたけれども、乗員が転落したり、その他事故によって死亡したり行方不明になりましたものが三百一名、都合四十一年度には六百四十九名が死亡、行方不明ということになっております。この漁船の行方不明あるいは死亡者は、毎年海難全体の六割から七割に相なっておりまして、その特徴といたしましては、海難に際して特に漁船は死亡、行方不明が非常に多いということでございます。
  148. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 私が調べてまいりましたところでは、昭和二十五年以降、いままでに海難で死亡された船員の数は一万七千八百三十名、大体平均一年間に千三百四十名ぐらいある、こういうことでございますが、いかがでございますか。
  149. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) ただいま私申し上げましたのは昭和四十一年の漁船だけに限りました。漁船以外の海難を入れますというと、大体お述べになりましたような数が正確になると思います。
  150. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 それでは今度、炭鉱災害による死亡者の数、これはどれくらいございますか。  〔委員長退席、理事平島敏夫君着席〕
  151. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) ただいま資料がありませんので、資料を追ってお届けいたします。
  152. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 そうしたら、全産業の労働災害による死亡者の数はおわかりになりますか。
  153. 早川崇

    国務大臣(早川崇君) 通産省の鉱山保安局関係と、運輸省の船員、漁船関係以外の数を申し上げますと、大体ここ二、三年、死者は七千人近く、死傷者合わせますと七十万人に達しております。
  154. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 いま伺ったように、いろいろな災害でなくなる人が非常にたくさんあるわけです。そして、そのあとに残された未亡人というのがまたそれと同数ぐらいあるわけでございますが、こういうことでありながら、例を——私は八戸のほうへ行ってまいりましたので、時間も非常に私には限られた時間しかありませんので、例を海難家族にとってみますと、昨年全日空機、飛行機が二度も落ちましたが、そのときの死亡者は全部で百八十三名であったはずでございます。それにもかかわらず、こういう飛行機事故などというものは非常に大きく取り扱われて、またショッキングな事件として国民政府も、そして事業をされる方も非常に心にとめられるわけですけれども、事、漁船の未亡人部落、こういうようなところにはあまり政府のほうも関心がないように思いますし、国民の目も届かない。こういうことについて総理はどうお考えになられますか。
  155. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) たいへん不幸な方々だと心から御同情申し上げます。ただいまそういう意味で、農林省におきましてもまた運輸省におきましても、それぞれの官庁で事故が発生しないようにいろいろくふうしておるわけでございます。ただいま御指摘になりましたが、近代産業で最も私ども心配しておりますのは交通事故による死傷者、これが非常な数にのぼっております。これは国民総ぐるみ運動でただいま事故防止に取り組んでおります。また、いま労働大臣から御報告いたしましたが、最近の近代産業から生ずるいわゆる労働災害と申しますか、そういうものも非常にふえております。ことにただいま御指摘になりました、御自分で出かけてごらんになった八戸等の漁民、そのあとに残された人たち、そういうものもやはり近代産業の生んだ一つの災害だと思います。もう一つは一般に公害だといわれているもの、この三つを同じような観点に立って、またこれに取り組むことが私ども言う人間尊重の政治でもあるし、また、ただいま社会開発として特に力を入れなければならないのはこういう問題だと、かように思います。このことは、事故防止について最善をはかるばかりではございません。不幸にして事故が発生した後のそういう方の援護等の措置につきましても万全を期していく、こういう考え方でございます。
  156. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 厚生大臣にお伺いをいたしますが、原爆者の方々のいまの状態をおつかみになっていらっしゃいますか。
  157. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) 御質問の原爆被爆者につきましては、今日原爆被爆者の調査を始めておりますが、その調査におきまして一応の中間報告を聞いておりますが、その調査が完全になるのはことしの秋のころだと思います。なお、原爆被爆者に対しましては、御承知のとおり医療につきましては完全に公費負担によりましてその医療を見ておるというのが今日の状況でございます。
  158. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 厚生大臣にもう一つお伺いしたいんですが、その被爆者たちのいまの生活の実態というものをつかんでいらっしゃいますか。
  159. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) その生活調査というのがこれからの調査という段階になっておりまして、確実にはことしの秋ごろに御報告を申し上げられると思います。
  160. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 この間被爆者の方々が陳情に見えられましたので、非常に苦しい生活状態、あるいはおふろ屋に行っても原爆病がうつるといってみんな逃げてしまう、そういうような実態もおそらく御存じだと思います。  それでは、母子家庭というのは一体日本にどれくらいあるか、またその人たちもいろいろな段階があるでしょうけれども、その人たちの生活状態をつかんでいらっしゃいますかどうか。
  161. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) 母子家庭につきましては、全国で約百万世帯でございます。これらの母子家庭の生活の状況について、昭和三十九年八月現在の調査をもとにして申し上げますと、これら母子家庭には一世帯当たり平均一・五人の子供がありまして、その世帯の収入状況は年収平均でございますが、約三十一万円であります。なお、生活保護法による補償を受けている者が約八万世帯ございます。また、住居の状況につきましては、自分の家——自家に住まっているのが約六割、借家等が約四割、こういうような実情になっております。
  162. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 突っ込んでいろいろお伺いをしたいと思いますけれども、持ち時間がわずかでございますので、漁船の遺家族を例にとってお話を伺ってみたいと思いますが、漁船の遺家族の人たちはだんなさんがなくなったあと、何を生活の支えとして、基礎として、収入ですね、それで生きていらっしゃるか。
  163. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) 御承知のとおり、船員の遺家族には船員保険という制度がございますが、これについて申し上げます。  船員保険におきましては、船員の遺族に対し遺族年金を支給して生活の安定をはかることにしております。遺族年金の給付の改善をやってまいりましたが、職務外の遺族年金はいわゆる一万円年金、国民年金でありますが、一万円年金の実施に対応いたしまして、昭和四十年五月から、職務上の遺族年金は、陸上の労災保険の給付改善に即応いたしまして、昭和四十一年二月からそれぞれ年金額の引き上げを行ない、その結果、職務上の遺族年金にあっては約二・二倍、職務外の遺族年金にあっては約二・四倍に引き上げられております。  遺族年金の支給状況は、昭和四十一年十二月末におきまして次のとおりとなっております。受給者数が約二万二千八百人でございますが、その内訳は、職務上が一万九千五百三十人、職務外が三千三百二人。受給者一人当たりの年金額が約八万三千四百円になっております。その内訳は、職務上のほうは八万五千九百七十三円、職務外が六万八千百二十三円、そういうことでございます。
  164. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 そのいまの年金の一人というのは、家族なし、奥さん一人ということですか。
  165. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) 子供一人当たりにつきまして私は加算があろうと思いますけれども、詳しくは政府委員からお答えいたします。
  166. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 私が調べて聞いてきたところでは、漁労長といって、普通の人の二倍ぐらい給料をもらう人が、六人家族で年金が十三万四千二百円、それから、機関長が九万三千円、一般が七万五千円。いまお伺いしたような八万三千四百余円とか、いろいろな年金額を考えてみても、これでこの人たちが生活ができるとお考えになられますか、どうですか。
  167. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) もちろん十分ではないと思いますけれども、保険制度でございますので、いろんな関係がございまして、結局こういう平均でございますから、そういうことに現在の事態においてはなっておるということを御理解願いたいと思います。
  168. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 そうしますと、そういう人たちが年金だけでは暮らせないから、働くことのできるような働き場を与えてやることが必要だと思うのでございますが、そういうところになかなか、いま日本の全部の状態を考えてみても、保育所とか託児所とか乳児院とか、そういうものが非常に足りないことは御存じのとおりだと思いますが、こういう問題についてどうお考えになられますか。
  169. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) お答え申し上げます。  年金等でもっては十分ではないということで、ただいまお答えを申しましたが、そういったようないわゆる母子家庭に対する福祉対策として、まず第一に母子福祉年金、児童扶養手当の支給などがあります。それから、また、経済自立のための母子福祉資金の貸し付け、母子相談員による生活一般にわたる相談、指導、あるいは母親の就労のために関係機関の積極的な協力をまつなど、その家庭生活の独立、自活に必要な諸施策を推進しているのでございますが、今後とも、これらの諸施策がほんとうに母子家庭の自立に役立つよう充実強化してまいるとともに、現在不足しております保育所を緊急に整備することといたしまして、これら母親の方々の就労が促進できるように鋭意つとめてまいりたいと、かように考えております。
  170. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 物価がどんどん上がってきますし、それから、働くにも保育所が足りないし、職業補導もなかなかしてもらえないし、辺地のようなところでは、内職をしたくても内職をするその内職もない。非常に困っておられるわけですが、こういうのこそまずそういうところを引き上げて、ほんとうにわれわれとひとしくみんながしあわせな生活ができるように、特にそういうところに恩典を与えていただきたい、このように考えるわけですが、恩給ではどうしても暮らせない。恩給だけは何かスライド制を取り上げたようなことを伺っておりますが、船員の保険にも、年金についても、スライド制をとられる考えがおありになるかどうか。
  171. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) 御承知のとおりに、年金のスライド制は、改定期が五年ごとにまいっておりますので、  〔理事平島敏夫君退席、委員長着席〕 そこで、物価、生活、そういったような実情と勘案いたしましてこれを改定してまいっておりますが、それよりも、最近におきましては年金の基金、年金の基本給というものをだんだんとふやしてまいっておるということでございます。スライド制はそういうようなことで大いに考えなければならないと思っておりますけれども、現在のところは改定期、改定期というところで十分実情に合わしていくように努力をしてまいりたいと思っております。
  172. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 それでは生活保護費をちょっと教えていただきたいと思います。一級から四級ぐらいまでございます。
  173. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) 生活保護費は、御承知のとおり、一級から四級までありまして、たしか一級が昭和四十二年度の予算におきましては引き上げられまして、二万三千円かそこらだったかと思います。それから、四級が一万七千円であったか、その間の一級、二級、三級の詳しい数字はちょっと私記憶しておりませんので、もし必要があれば政府委員からお答えさせます。
  174. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 いまお答えいただいた数字ぐらいでけっこうなんですが、先ほど漁船員の年金のことを伺いましたが、それを考えてみますと、せっかく長い間一生懸命で働いてきた人の遺族の年金のほうが生活保護費よりも低いと、こういう結果になっておるわけです。私は、これは非常な矛盾ではないかと考えますが、いかがでございましょうか。
  175. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) 年金も生活保護費も、いずれもこれは所得保障でございますが、生活保護費というものは、これでもって生活をしてもらいたいと、こういうぎりぎりの線でございます。年金は、先ほど申し上げましたとおり、保険のシステムをとっておりますので、いろいろの保険料、掛け金といったような関係もございまして、十分というところまでは私はいっていないと思いますが、これも漸次この所得保障が完ぺきであるように持ってまいりたいと思います。
  176. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 まあほんとうはもっと突っ込みたいのですけれども、時間がございません。そこで、できてしまった後家さんはもう何ともしようがないのですが、これから後家さんを一人でも多くつくらない、こういうような立場から海難防止対策はどのようになっておられますか。
  177. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) 漁船の海難防止対策について申し上げますと、第一に、海上保安庁におきましては、海事法令の励行をはかりますとともに、海難防止のための旬間運動、海難防止講習の実施などの方法によりまして、海難防止思想の普及及び技術的な指導を実施いたしております。特に海難の多い海面におきましては巡視船を配置しまして、気象情報の伝達、避難の勧告などを行なう等、海難の防止を積極的にはかりますとともに、一たん海難が発生した場合には迅速確実に救助するように期しております。なお、遠距離海難に対処いたしますために、目下二千トン型の巡視船を建造中でございますが、本年七月に第一船ができる予定でございます。また、今年度、明年度にかけまして第二船を建造する予定であります。それから、やはり海難に対処いたしまするために、航空機YS11を四十二年度末に整備いたす予定になっております。  第二に、船舶の安全性の確保につきましては、積み過ぎによる事故が多いようでございますので、昭和四十年度以来、造船技術審議会船舶安全部会にはかりまして検討を続けてまいりました結果、乾舷についての基準が得られましたので、近く二十トン以上の全漁船について、これに基づいて航行安全上のめどとなるような乾舷の表示を行なうようにさせたい予定であります。  それから、第三に、船員対策といたしましては、船員の教育養成を強化し、海難防止に必要な船舶職員等の確保をはかりますとともに、特に漁船船主等の中小企業者に対しまして労務管理の指導を実施するほか、労働条件の改善をはからせたいと思っております。  最後に、洋上の気象観測を強化し、精度の高い予報を船舶に迅速に伝達することが海難防止上必要でございますから、このために大型巡視船を建造して、これに気象レーダー等を整備し、台風等の移動観測を行なえるようにいたしますとともに、重要な地点全国十五カ所に農林省におきまして漁業無線局を設けておられますから、この無線局と気象官署との通信回線を整備いたしまして、気象通信の迅速的確な伝達をはかるようにいたしたいと考えております。
  178. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 まず、何といっても人命が一番優先しなければならない問題でございますから、海難の救助は葬式屋みたいだといわれることもありますし、救助体制を万全にしてほしいと思います。陸上交通については交通安全特別委員会というものもできまして、一生懸命でそのほうをやられますが、補償の手当にしても何にしても、海難というのは非常に少ないですね。そういう点をもう少しいろいろな点から配慮していただいて、どうか未亡人部落、後家さん部落といわれるような人たちが楽な生活ができるように指導してあげてほしいと思います。  なお、今度の予算の中で海上人命救助基金という制度が設けられるやに伺っておりましたが、これが完全に削られてしまった、こういうことでございますが、これを今後もなお続けて要望されますか、いかがですか。
  179. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) 海上人命救助基金というのは、海上における海難救助をした場合の経費をこの基金から支出しようという考えで検討を進めて予算要求をいたしてみたのですが、賦課金の徴収、救助費用の支払い等になおいろいろ問題があるようでございまするので、今後もう少し検討を進めた上で決定したいと思っております。
  180. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 後家さん部落の例をとっていろいろ申してまいりましたけれども、日の当たらないところに、木陰のようなところに甘んじて暮らしている人たちが非常に多いわけでございます。問題は、総理のよくおっしゃられる人間尊重、こういうことを第一義に考えるべきだと思いますが、家庭生活問題審議会が中間答申をされたようでございます。新聞でおととい見たと思いますが、この問題について私はある程度賛成をしたり、あるところはまた賛成しがたい点もあるのでございますが、ともかく人間が一番尊重されなければならない。それには、まず家庭が一番大事だ、こう思うわけですが、住みかとか生活とか、いろいろいいますけれども、家はやはり生活の一番のとりでだと思います。そこでやはり子供たちが精神的にも肉体的にも大きくなってくるわけですから、総理はよく国民の住まいを安定し、改善することを社会開発の中心とする、こういうことを言明しておられますが、四十五年度までに一世帯一住宅を建設される意思がほんとうにおありになるか。
  181. 西村英一

    国務大臣西村英一君) お答えいたします。  政府は、昨年、住宅建設五カ年計画をつくりまして、現在の住宅の不足に対しまして対処したいと思っている次第でございます。五カ年後の四十五年には一世帯にぜひとも一住宅を提供したい、この計画を強力に進めてまいって、いまおっしゃいましたようなことを解消したいと、かように考えて、目下慎重に推進中でございます。
  182. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 中沢君の持ち時間を終わりましたから、結論をお願いします。
  183. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 はい、結論を……。昨年度三十万戸くらいしか政府住宅を建てず、今年度の目標もまた三十四万戸、これで今度は材木が約三〇%くらい値上がりをしております。そこに消費者米価が一四・四%くらいこの秋から上がる、あるいは牛乳が上がる、こういうことになりますと、また大工さんの賃金も上がる。これでは、人間が一番尊重されなければならないが、住宅というものが、ほんとうに五カ年間で政府の言うような政府住宅というものが二百七十万戸建つかどうか、このようなことを非常に心配しておりますが、時間がありませんので、その問題にお答えをいただくと同時に、最後に、一つ総理大臣にお願いをし、お答えをいただきたい問題は、先ほどからいろいろ申し上げましたけれども、厚生省にも、あるいは労働省にもせっかく優秀な婦人の局長とか、あるいは課長がおられるわけです。日本の政治が縦割り政治過ぎる、自分の、何というのですか、派閥みたいなことばっかり一生懸命でやられて、なかなか横の連絡をしない。先ほどからいろいろ婦人問題がここで話されましたけれども、せっかく婦人のそういう人たちがいるのですから、婦人問題は、お互いに横の連絡をとり合いながら婦人問題を解決してほしい。そういうためには総理府の中にでも婦人局みたいなものを一つつくっていただきたい、このように思うわけですが、住宅問題にあわせてお答えをいただきたい。
  184. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 住宅問題だけお答えをいたしますが、公的資金でやるものがこの五カ年計画で二百七十万戸でございます。これは相当に思い切った戸数でございまして、過去この計画ができる前、つまり昭和三十六年から四十年の間とこの計画を比べてみますと、公的資金のものが約二倍くらい計画しておるのでございます。しかし、御指摘のように、多少戸数割り等も高くなりましたが、また、用地等も高くなりましたが、それに対しましては十分対処いたしまして、ぜひとも二百七十万戸の主として低所得者の住宅は完成したい、かように考えておるものでございます。
  185. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 住宅問題につきまして、御婦人の立場から、こまかないろいろの御注意がございました。建設省も、ただいま、いろいろの道をつくったり、あるいは河川を改修したり、いろいろの仕事もございますが、ただいま最も力を入れておりますのが住宅問題でございます。まあこの上とも御叱正を願いたいと思います。  また、婦人問題について、婦人局をつくったらどうか、こういう私の意見をただされましたが、御承知のように、ただいまは、男女の間に何らの区別はいたさない、また、いたしておりません。そのたてまえでございますから、婦人局を特につくりますと、片一方に男子局をつくらなければならなくなっても国損と思います。(笑声)どうか、そういう意味で、両者の間に全然差別のないこと、これをひとつ御了承いただきます。ただいままた政府答弁要旨などもそれぞれ婦人の課長さんがちゃんと意見を書いております。そういうような状況でございますから、婦人の地位をさらにこの上とも向上するように私ども努力してまいりたいと考えております。
  186. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 以上をもちまして中沢君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  187. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 次に、春日正一君の質疑を行ないます。春日君。
  188. 春日正一

    ○春日正一君 さっき、自治大臣は、尼崎で接触した事実はないというふうに言われましたけれども、これは私ども承服できませんから、別な機会に徹底的に明らかにしたい、そう思います。  それで、本論に入りますけれども、きわめて具体的な問題を二、三お聞きしたいと思います。  防衛庁長官にお尋ねしますけれども、三次防の予算二兆三千四百億の中で、装備関係の予算がどのくらいになるのか、また、その中で国産化される部分の金額はどのくらいになるのか、これを説明していただきたいと思います。
  189. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 五年間に調達総額は約九千億でございます。そのうちの装備は約三千三百億でございます。そのうちの国産額は約二千八百億でございます。
  190. 春日正一

    ○春日正一君 この調達の方法ですね。随意契約、指名入札、あるいは一般競争入札、これはどういうふうになっておりますか。
  191. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) それぞれ法に従いまして、随意契約あるいは指名入札あるいは一般購入等いたしておりますが、詳細のことは政府委員をして答弁させます。
  192. 國井眞

    政府委員(國井眞君) 三次防におきます物品、ことに装備品の調達の随意契約あるいは一般入札というものについては、まだ実は最終的な決定をいたしておりません。これから逐次物の購入にあたりまして法規にのっとって決定をするということでございます。
  193. 春日正一

    ○春日正一君 最近の実情はどうですか。最近の実情がその内訳はどうなっておるか、聞かしてほしいと思います。
  194. 國井眞

    政府委員(國井眞君) 最近の例で申しますと、昭和四十年度の契約方式別の実績がございますが、これによりますと、随意契約によりますものが件数で三九%でございます。その他は指名競争並びに一般競争の比率でございます。
  195. 春日正一

    ○春日正一君 さっき小林委員からもちょっと出ましたけれども、三月十一日から十二日にかけて、箱根で、野外訓練計画と称して、業者と自衛隊幹部を交えた接待ゴルフが行なわれた。これが週刊誌に書かれております。これは、三次防をめぐって関係業界が血みどろの受注合戦をしているというふうに伝えられているときに、国民の間に重大な疑惑の種をまくものだ。さっき、長官は、あれは半分ほんとうで半分は違っていると。そういう簡単なことでなくて、海原官房長も遺憾なことだというようなことを言っておられるようだし、この事実関係についてもう少し詳しく説明してほしい。
  196. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) お尋ねの事実関係について、私から御説明申し上げます。  本年三月十二日でございますが、元陸将和田盛哉氏の誘いによりまして、陸軍士官学校の後輩であり、陸上自衛隊での部下でありました数名の自衛隊幹部、四名でございますが、これが箱根の仙石原でゴルフを行なっております。これは、先輩後輩のゴルフ好きの者がゴルフの会を催そうという話がありまして、当初は千五百円程度でできる場所を予定しておったのでございますけれども、都合でその予定したゴルフ場の予約がとれなかったために、急に予定を変更して、先ほど申し上げた仙石原に出かけたのでございます。経費は各自が分担、割り勘というつもりでおりましたが、実際にはそれをこえましたので、こえました分は私が立てかえまして、その後私に各自が返却をいたしております。また、当日、箱根に着いてみますと、私のほかに会社関係の方数名の方が同行しておられまして、それに引き合わされて一緒にゴルフをいたしておりますけれども、幹部たちが当初計画しましたときには、幹部たちの者はこのことは全く承知していなかったわけでございます。しかし、先ほども長官からお答えがありましたように、先輩後輩という私的な交際でございますけれども、世間から疑惑を受けるようなことは厳に慎むべきことでもございますし、かねがね上司から厳に注意されておるところでございますので、関係者は深く反省している、こういう状況でございます。
  197. 春日正一

    ○春日正一君 その説明は非常に不十分だと思うんです。雑誌の記事によれば、当日の参加した人は、防衛庁側として、東部方面総監部幕僚長陸将補斎藤春義氏、同じく幕僚副長陸将補堀江正夫氏、陸上幕僚監部第三部防衛班長一陸佐高品武彦氏、同じく編成班長一陸佐田中潔氏、大体こう読み取れるんですがね。それから業者の側からは、いま話の出た和田盛哉氏、それから日本アビオトロニクス社の顧問元陸将補藤原一郎氏、その他出ているわけです。  それで、御承知のように、伊藤忠商事、日本アビオトロニクス社、ヒューズ社というのは、共同してバッジのシステムを納入した業者であるし、現在ミサイル射撃管制装置TSQ−51、これを自衛隊に売り込むために強力な運動をしておる。これは関係者の間ではよく知られておることであります。しかも、伊藤忠商事は、グラマン、ロッキードの問題のときにも相当あくどい売り込み工作をやって、当時の国会でも問題にされて、速記録にもいろいろ出ております。こういう業者と、先ほどあげたような兵器の採用決定に重大な影響力を持つ自衛隊幹部との接待ゴルフということになれば、何としてもこれは不明朗な印象はぬぐい切れない。そういうところからいろいろな不正事件も発生してくるのじゃないか、こういうふうに思われるわけです。それで、いまの説明ですと、非常にきれいに会費を払ってやるつもりだったけれども、しかし、足りなくなったから立てかえておいてもらったと。しかし、少なくともこの週刊誌に出た当時、この経過を見るなら、たとえばロマンスカーの旅費を差っ引いちゃったら三百六十円ですよ。三百六十円で一晩泊って、ゴルフを一日楽しんでというようなことは、常識で考えたってできることじゃない。それにのこのこ応じて行くんですね。しかも、伊藤忠の交際費というものがどのくらい使っているかというのを見ますと、四十年度の交際費は、大蔵省に届け出たあれを見ても、四億五千万も使っておる。こういうことを考えれば、単なる割り勘で行ったというようなことで済まされない。世間はそうは思わないんじゃないか。その点はどうなんですか。つまり、こういうふうに書かれたから、しょうがないからまああとで払って問題にならぬようにしたということなんじゃないんですか。その点はどうなんですか。
  198. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 方針態度の問題でございますから、私がお答えいたします。  佐藤内閣総理大臣は、政界、官界に対しまして、最もきびしい態度をもって綱紀粛正をうたっております。それを受けまして、防衛庁関係におきましては、私は綱紀粛正については非常にきびしいのでございまして、当初赴任したときに、たとえばゴルフといえども業者等とやっては許さぬぞということを厳重に末端まで示達いたしております。李下に冠を正してはいけないと、こういうことを言っておるのでございます。この方針で終始いたすつもりでございますことを春日さんにおいてよく御認識願えれば幸いでございます。  そういう見地から見まして、箱根のゴルフというのは、たとえ先輩の陸将であっても、社交的のことであっても、国防産業の関係に携わっておる顧問であるから、よろしくない、会費を払ってもよろしくないと、こういうふうに考えておりまして、厳重に戒告を加えたということを先ほど申し上げたわけでございます。こういう政府態度防衛庁の幹部の態度というものをぜひとも春日さんに御了承願いたいと、こういうわけでございます。
  199. 春日正一

    ○春日正一君 この問題の関係者の一人が、尊敬し、親んだ上司のけいがいに接しられるという理由でゴルフへの招待に応じた、こう言っておりますけれども、このことは、自衛隊の高級幹部が、退職したあとでも、現職の元部下に対して相当の影響力を持っておるということを証明しておると思います。しかも、防衛庁の調達に関係のある主要な会社のほとんどすべてに、自衛隊の元高級幹部が何らかの形で就職しております。こういうことになれば、今度のような不明朗な事件というものが起こるということは避けがたいことじゃないのか。おそらくもっと大きな不祥事件が起こらないという保証すらないということになると思います。この点で、法制的、実際的にどういう措置がとられておるのか、これを詳しく説明していただきたいと思います。
  200. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 社交といえども、業者と一緒にゴルフをやったということは、会費は一万三千数百円払っておりますけれども、おもしろくないことである、許せないという態度で臨んで、厳重戒告を加えたわけでございます。しこうして、一般論といたしまして、官吏服務紀律もございまするし、また、国家公務員法もございまするし、防衛庁につきましては特に防衛庁法にきびしい規定がございます。将来、国防産業につきまして寸毫の不正がないように、どうぞ、しっかりやっておりまするから、佐藤総理大臣のある限り、増田防衛庁長官のある限り、御安心を願いたいと思います。
  201. 春日正一

    ○春日正一君 法制的、実際的な保証というものを……。
  202. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 法制的な面についてお答え申し上げます。  自衛隊法第六十二条第二項に、就職制限の規定がございます。これは、国家公務員法の第百三条と同じ趣旨の規定でございます。内容を申し上げますと、「隊員は、その離職後二年間は、営利を目的とする会社その他の団体の地位で、離職前五年以内に従事していた職務と密接な関係のあるもので総理府令で定めるもの」については長官の承認を受けなければ就職できない、こういう内容の規定でございます。これによって規制を加えております。
  203. 春日正一

    ○春日正一君 ちょっと待って。自衛隊法施行規則第六十二条というのを底のほうまでずっと説明してください。訓令があるでしょう。
  204. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 法律は、自衛隊法第六十二条第二項でございます。その内容は、いま申したとおりでございます。  それからその内容の詳細がさらに総理府令に委任してございますけれども、その総理府令の内容を申し上げますと、総理府令は自衛隊法施行規則といいますが、その六十二条に、長官の承認がなければ就職できない地位が規定してあります。それは、防衛庁の登録会社の役員またはこれに相当する地位、つまり会社の意思決定に当たる地位が規定してあります。  それから総理府令で定める長官の承認の基準がやはり総理府令できめてあります。内容の概略を申し上げますと、階級によって違いまして、たとえば二佐以下の者であるとか、行政職の三等級以下、わりあい中級以下の幹部の者でありましたら、就職が公共の利益に反しないと認められる場合には承認できるということになっております。さらに、高級の者につきましては、公共の利益に反しないことは当然でございますけれども、停年とか勧奨退職とかいう事情がございまして、会社に就職しましても支障がないと長官認めた場合に限ると、こういうふうな規定になっております。
  205. 春日正一

    ○春日正一君 就職してはならない会社として登録するものという範囲には、どういうものが入っておりますか。
  206. 國井眞

    政府委員(國井眞君) 私のほうで調達の対象となり得る資格ということで登録いたしておりますのは、申し出のありました会社の状況を調べまして、一定の欠格条件がないものは登録をいたしておるわけでございます。たとえば、税金の未納というような欠格条項等につきまして調査をいたしまして、欠格条項に触れないものを登録するということでございます。
  207. 春日正一

    ○春日正一君 そうすると、防衛庁に入れる、納入する会社は全部登録してあって、そこには就職してはならぬというような規定になっておると、そういうことですか。
  208. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 先ほど申し上げましたように、登録会社は全部就職してはならないということではございませんで、登録会社の役員、つまり、会社の意思決定に参画し得る地位に就職してはならない、こういうことでございます。長官の承認がなければ就職してはならない、こういうことでございます。
  209. 春日正一

    ○春日正一君 役員でなければいいということですか。
  210. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) さようでございます。
  211. 春日正一

    ○春日正一君 で、この防衛庁からもらった資料によりますとですね、昭和四十年の四月一日以降就職した者、将官以上百十七名あるわけですけれども、これを調べてみますと、大手の防衛庁に納入しておる会社ですね、これのほとんどすべてにこういう高級幹部が就職している。しかも、四十年一月以降で——四月一日以降ですか、二年間という時期以後に——つまり、それに満たない者がどんどん就職しているということになると、野放しで天下りがやられておると、こういうふうに理解してよろしいか。
  212. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 先ほど申し上げましたように、長官の承認がなければ就職していけないのは、登録会社の役員たる地位でございます。御指摘の数字は、こちらから提出した資料かと思いますけれども、その人たちは大部分役員たる地位にない人たちで、法令上の制限はない人たちであります。一部役員の地位についている人もいるわけでございますが、それは長官が厳重に審査されまして、御承認があって就職している、これは職務上密接な関係があるなしというふうなことを判断されまして承認があったと、こういう両方の方々でございます。
  213. 春日正一

    ○春日正一君 役員ということに限定すれば、こういう禁止をつくるのは全く意味がないことになるのじゃないですか。先ほどの和田盛哉氏にしても、四十年七月の退職でしょう、まだ二年の期間切れてない。しかし、伊藤忠の顧問になっている。そうしてゴルフの接待を呼びかけるというようなことができるようになっておる。あるいは、ここに出ておる熊倉というような人は、四十一年四月三十日退職で、キャタピラ三菱の直納部長というようなことになっている。役員でなければそれでいいということになれば、まるっきりこの面での防止、法律の文句というものは空文になっているんじゃないですか、どうですか。
  214. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 御承知のように、自衛隊員は若年の停年制、任期制がございます。で、現在の退職金とか年金だけではなかなか生活できない方々も多いわけでございまして、停年後は適当な、つまり、弊害のない会社に就職されるという方々が大部分でございます。法令上の制限は先ほど申し上げたとおりでございます。
  215. 春日正一

    ○春日正一君 総理にお伺いしますけれども、いまお聞きのとおりですよ。一般職の国家公務員の場合でさえ、国家機関と営利企業の不明朗な結びつきを防ぐという文句——退職後の就職について一定の法的の規制をやり、しかも、特別に許した者というのは、俗にいう天下り白書というような形で人事院から発表されておる。ところが、防衛庁の関係は人事院の管轄でもない、行管に聞いてみれば、私も知らぬと言う。まるっきり防衛庁の中だけでそれがやられておるわけですね。増田長官、私を信用しろと言うけれども、過去において予備隊の汚職もあった、保安隊の汚職もあった、あるいはロッキード、グラマンというような事件もあったということになれば、自衛隊の仲間うちだけで監査をしているからそれを信用してくれというようなことで、二兆三千何百億というような予算の使い道をかってにまかされるかどうか。その点について世間の疑惑を解く、もっと明朗に不正をほんとうに防ぐという意味で、もっと公開を当然させなければならぬ。私これを調べるのにずいぶん骨を折った、自衛隊に頼んだって、なかなか出してくれないんだから。そういう状態に置いといて、私にまかせてください、信用してくださいだけでは、制度的な保証も何もないわけなんだから、当然こういう関係会社に対しては、特に防衛庁というような密接な上下の関係のつながりの強いところでは、就職を禁止するとか、あるいは、そういういままでの問題についても、人事院でさえやっているんだから、当然これこれの理由でこの者はこういう就職をしているんだというようなことは、世間に発表すべきものじゃないか、最低限。そういう点について総理、どう考えますか。
  216. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 先ほど増田防衛庁長官からもお答えいたしましたが、ただいま御指摘になりますように、綱紀厳粛でない限り士気また衰える、私かように考えております。したがいまして、この自衛隊、またいろいろな問題がこれからもあるわけでございます。ことに、先ほどもお答えいたしましたように、防衛生産、これはまた国産にたよろうと、こういう際でございますので、そういう際、特にみずからを正しく律しなければならない、これは御指摘のとおりだと思います。いままでも十分注意はしておりますが、なお疑惑がある、かような御指摘でございます。しかし、私は、先ほど増田君からもお答えいたしましたように、非常な自信を持って綱紀の問題と取り組んでおります。したがいまして、問題らしい問題はおそらく今後とも起こらないだろう、かようには思います。しかし、こういう事柄は現在がいいとか、こういうことで看過はできない。この上とも、みずから自粛自戒する、これは当然でございます。一そうそういう意味で気をつけてまいるつもりであります。  また、この機会に私お答えをいたしますが、先ほど関連質問で亀田君お立ちになりまして、いろいろいま起きました空気銃による狙撃事件等に関連してのお話でございますが、選挙はもちろん、いかなる場合におきましても公明に行なわれなければなりません。それにはやはり言論中心であろうと、これが必要だと思います。また、私どもは人によって差別する、片寄った待遇はしない、かようにたびたび申しておりますが、ことに、暴力事犯等につきましての左右両翼と、かように見られるものにつきまして、いわゆる右には寛大だ、左には非常に厳正だ、かような非難がないように、どこまでも公正の処遇、これをするつもりでございますから、これもあわせて——おくれましたが、あわせてこの機会にお答えしておきます。
  217. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 春日君、あなたの持ち時間はもう終わっておるんですが、簡単にやってください。簡単にお願いします。
  218. 春日正一

    ○春日正一君 だから、これで締めくくりをやります。  なお質問、聞きたいことたくさんあるんですけれども、この防衛庁の三次防の問題については、分科会その他でさらに明らかにしていくということにして、きょうのところの質問はこれで終わります。
  219. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 以上をもちまして春日君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  220. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 次に、林塩君の質疑を行ないます。林君。
  221. 林塩

    ○林塩君 最初に、佐藤総理にお伺いいたします。  総理の施政方針といたしまして、常に社会開発なることばが出ております。  私はそのことにつきまして伺いましたが、人命尊重ということ、あるいは人間尊重というふうにお答えになっております。私は、人命尊重であるから、あるいは生命尊重であるから社会開発があるんじゃないか、こういうふうに考えておりますが、そのことについて間違いはないかどうかを伺いたいと思います。
  222. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ちょっと私どういう御趣旨か理解しかねておりますが、もし私の答えが間違っていたら、重ねてお尋ねをいただきたいと思います。  私がすべてあらゆる機会に申しておりますのは、われわれの経済活動あるいは政治活動、それはもうとりもなおさず、お互いの人間尊重、人命尊重といいますか、そういうところへ帰一すべきものだと、そういう立場で、ものごとを考えていかなけりゃならぬ、かように申しております。社会開発もその人間尊重の当然の帰結だと、かように私は理解しておるのであります。
  223. 林塩

    ○林塩君 人命が尊重され、人間が尊重されることこそ、大事な政治の姿勢であろうと思います。そこで、いろいろな施策が出てまいるのでないかと考えておりますが、だれでもが、国民一人一人が人命を尊重されたいのでございますが、その最も弱いところ、ことに自分で守ることができない人たちについて、どういうふうにお考えになっておりますかということを伺いたいのでございますが、時間の関係で私は本日は、特に心身障害者の問題につきまして、総理の御見解を伺いたいわけでございます。  全国に三百六十八万という大きな身体障害者がございます。で、内容につきましては申し上げませんが、心身に障害のある人の不幸な生活を考えてみますときに、それからまた、この人たちを持っております家庭の状態を考えてみますときに、すこやかで、そしてまた、よい生活というのが社会開発の根本であろうかと思うのでございますが、そういう意味におきまして、この方面への施策、また、予算の割り振りというようなことにつきまして、総理の御方針または御施策を伺いたいと思います。
  224. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 心身障害者に対する政府の施策、この詳細は厚生大臣からお答えさしますが、私は、こういう非常に不幸な生まれつきと申しますか、不幸な方々に対しまして、他の健康体の方と同じように政府としてはこれを処遇しなきゃならない、かような意味で、教育といい、あるいは療養といい、また、生活そのものにつきまして最善の注意を払っておるような次第でございます。
  225. 林塩

    ○林塩君 それで、推定三百六十八万というたいした数のこういう人たちがあるのでございますが、本日は時間の関係で、特にその中でも苦しんでおりますところの重症心身障害者につきまして、一応厚生当局の施策を承りたいと思うのでございます。厚生大臣に伺いたいのでございますが、全国でどのくらいの重症心身障害者がありますかどうか。それで、これは「拝啓総理大臣殿」のことによりまして、社会がこの辺に非常に目を向けてまいりました。いま世論になっておるのでございます。それにつきまして、厚生大臣のほうから、どのくらいあるものか御存じでございましょうと思いますので、伺いたいと思います。
  226. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) 御質問の重症心身障害者は、特にこれは佐藤内閣の人間尊重という理念から発想いたしまして、厚生省としても重点的にこれを取り上げまして、昭和四十二年度におきましても、施設をふやしていく、かつ、療育費の増額をはかるとともに、国立コロニーの建設に着手する、いろいろの施策を実現をしたいと思って予算に計上いたしております。重症心身障害児やあるいは障害者の医療及び介護は特殊性がありまして、また、非常に困難な業務であるので、これに従事する職員の確保については、政府としても十分に努力をするつもりでございますが、昭和四十二年度の重症心身障害児者の対策費でございますが、四十一年度の八億八千九百万円余りから、二十一億五百万円余りにこれをふやしてまいっております。  全国に重症心身障害児が何人おるかという御質問でございますが、その正確な調べにつきましては、政府委員からお答え申し上げます。
  227. 渥美節夫

    政府委員(渥美節夫君) 御質問のありました重症心身障害児及び重症心身障害者の数について御説明申し上げます。  昭和四十年八月の調査によりますると、重症心身障害児は全国で一万七千三百名、重症心身障害者、つまり、満十八歳以上のこういった障害のある方々の数は約二千、合計いたしまして一万九千三百名、かように相なっております。
  228. 林塩

    ○林塩君 そういう人たちをどのようにしようとしていらっしゃいますか、あるいは施設がどのくらいあるか、その施設の中にどのくらい収容されているかというようなことなど伺いたいと思います。
  229. 渥美節夫

    政府委員(渥美節夫君) ただいま御説明いたしました一万九千三百名の子供たちあるいは大人たちに対しまして、特に施設において収容されることを希望し、かつ、それが必要であると考えられます数は、約一万六千五百名でございます。そこで、厚生省におきましては、その約半数でございます八千名につきまして、五年間の計画によりまして収容いたしたい、かように考えております。現在、施設数は国立及び民間合わせまして約十一カ所、収容人員は約一千百名でございます。これが昭和四十二年度になりますと、さらに約一千六百ベッドばかりふえる、かような予定にしております。
  230. 林塩

    ○林塩君 施設がずっとふえていくことはけっこうなんですけれども、実際には、その施設がフルに使われているかどうかという問題があるわけでございますが、それについてはどうでございますか、伺いたいと思います。
  231. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) 重症心身障害児等の医療だとか介護だとかというものは、非常に特殊性がございまして、施設がふえましても、まことにその仕事が困難でございまするので、これに従事いたしまする職員の確保などにつきましてもこれは十分努力してまいらなければならないと思います。  それから当面の具体策といたしましては、給与等の処遇の、従事者に処遇の改善をはかり、有資格職員の確保を期するとともに看護婦、保母等の従事者の養成についても引き続き努力を続けてまいりたい、かように考えておるわけであります。
  232. 林塩

    ○林塩君 私が調べましたところでは、国立療養所の中にそういう重症心身障害者の施設ができました。建物はできたのですけれども、それが十分に使われませんで、四百八十床のうち二百二十八床しか使われておりません。これでは実際に机の上で幾ら筋を立ててみましても、身障児は特に手を、人手を要するのでございます。荷物じゃございません。建物だけを建てればそれでいいというものではないのですが、実際はそういうふうに常に上すべりになっているということについて、厚生省ではそのことについてよく御存じのはずだと思いますが、従業員の確保についてはどのようにお考えになっていらっしゃいますか伺いたいと思います。具体的に伺いたいと思います。
  233. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) 一般にこの医療従事者というものが、最近におきまして御指摘のように非常に不足を告げておりますので、これにつきまして厚生省といたしましては、非常にこれは国民の健康保持、増進からたいへん大事なことでございますので、医師不足の解消策については、基本的にはその数を増加させる必要がありまして、このためには文部当局とも密接に連携をとり、近年、大学医学部の定員の増加をはかっているというところでありますが、医師不足については、また、その偏在をしておるということは皆さん方も御存じのとおりでございますが、これは僻地医療対策を各般にわたって進めつつ、国立病院の医師を、これを僻地に派遣するといったようなことで、ことしも予算におきましてその増員をはかっておるような次第でございます。  その次に、看護婦につきましては、国庫補助を逐年これを増額をいたしまして養成施設の増設対策を促進してきておりますところから、就学者の数が年々増加いたしまして、この面からの需給の状況はこれも漸次好転してまいっております。それにいたしましても勤務条件の改善ということをはかることが充足上非常に大事な不可欠の対策であるというので、逐年医療の職務従事者の給与改善をはかっておるところでございますが、また、看護婦の宿舎の整備、夜間勤務に対する環境のこの改善等についても鋭意配慮をいたしております。  なお、その他医療従事者としては診療エックス線技師あるいは衛生検査技師あるいは理学療法士、作業療法上等の特殊な職種がございますので、これからこれらにつきましても養成施設の増加、待遇の改善等を行ないまして医療需要の拡大に即応して充足対策を配慮してまいりたいと思っております。また、医療社会事業に従事する人たちについては、厚生省及び各都道府県において講習会を開催するなどのことによりましてその養成、資質の向上につとめておるところでございまして、処遇については身分、資格等の確立をはかって、今後これら万般のことにつきまして制度の拡充整備をはかってまいりたいと、かように考えております。
  234. 林塩

    ○林塩君 大臣、そういうふうにいろいろおっしゃいますけれども、ほんとうはなかなかそれができていきませんために困っている状態があるのでございます。そういう意味におきましてこの医療従事者の問題は非常に大事な問題でございます。最近いろいろ問題になっております医師の問題にいたしましても、それからまた看護婦の問題にいたしましても、また医療社会事業家の問題にいたしましても、その他こういう保護所でございますので、保護施設でもございますので、保母の問題にいたしましても非常に手が足りておりません。それでそれにつきまして全国で、何とかする、するといわれておりましても、絶対数が足りなくなってきている状態があるわけでございます。先ほど申し上げましたように、せっかく施設ができましてもそこに収容することができないというこの状態は、私は憂慮すべき状態であろうと思うのでございます。いつでもそのことにつきまして、いつでもそのことを申し上げているのでございますけれども、予算の面にも、あるいは施策の面にもこの医療従事者の拡充というのがどうしてもできないというふうに思うのでございますが、これにつきまして厚生大臣は何か大きな御計画でもお持ちでございますかどうか伺いたいと思います。
  235. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) 医療従事者の不足しておりますことは国民の保健上非常にこれは憂慮すべきことであるということで、ただいま御答弁を申し上げたようなことを鋭意考えておるのでございますけれども、一挙にしてこれを解決するということはいろいろの点から非常に困難であろうと思いますけれども、私は人間尊重の立場から何よりも大事にこのことを考えまして、そしてこれを充足すべく努力をしてまいりたい、かように考えております。
  236. 林塩

    ○林塩君 さらにいろいろ職業補導をしましたり、あるいは社会復帰ができるような心身障害者である場合には何とか指導ができるかと思いますけれども、どうしても社会復帰ができない人々のために最近コロニーをつくるというふうな御計画があるようですが、これはどうなんでございますか。
  237. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) 御質問はコロニーのことであろうと思いますが、一般の重症心身障害者・障害児施設については、従事者数は現状ではほぼ充足されておる——十分ではございません。おると思いますが、なお、その確保についてはさらに努力をいたしてまいりたい、かように考えております。  一方、国立療養所における重症心身障害者・児の収容については、本年一月以降病棟の開設に伴いまして逐次患者の収容を行なっているところでありますが、重症心身障害児は環境の変化に即応しがたいということが、特殊な事情がありますので、慎重を期して少数ずつ入れておりますけれども、そういったような環境に順応しがたいというようなこともございますので、そこでそのコロニーを新たに考えまして、そして四十二年度の予算におきましてもこれを計上さしていただいた、こういうような次第でございます。
  238. 林塩

    ○林塩君 そこにもたしか従業員がたくさんいるはずでございますから、あわせて医療従事者——この施設で働く医療従事者の確保には格別の御配慮が願いたいわけでございます。なおそれにつきまして、どうしてこういう心身障害者が出てくるかという問題につきましてどういうふうにお考えになっておりますか。私のお伺いしたいというのは、予防面につきまして何らかの対策がなされているかどうか、それについてお伺いしたいと思います。
  239. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) 心身障害者が何ゆえに発生するのかということにつきましては、この原因の究明については、今日、大学試験研究機関等において個々に行なわれておるもののほか、厚生省としましても、厚生科学研究費、医療研究助成費、補助金などの研究費を交付いたしましてこれが推進をはかっておる次第でございますが、そういったようなものが何ゆえに生まれてくるかということは、これは非常に的確に学問的につかんでいくことは困難なことだと思いますけれども、これにつきましては、大いに努力をしなければならぬことですが、しろうと考えから申しますと、人間の健康だとか身体だとかというものは、生まれて、赤ん坊のときから寿命の終わるまでの一生の間、健康に留意しなければならぬことでございますけれども、さらに一歩さかのぼりまして、婦人が受胎をされたというときに、つまりおなかの中の、赤ん坊にまだならない過程から、私は大いに注意をして、その生活環境もよくしていきますし、あるいはその母体の健康あるいは栄養といったようなこと、すべての母体の生活環境というものを改善いたしましてよくしていくということが、一つの、そういったような身体障害児の発生を防ぐ原因ではなかろうかと思っております。
  240. 林塩

    ○林塩君 それの対策につきまして、研究所をつくるとか、あるいはその方面の予算措置をするとかというようなことはお考えでございませんか。
  241. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) 申し忘れました。御説のとおりでございます。
  242. 林塩

    ○林塩君 まだまだこの問題につきましては、いろいろお聞きしたいし、意見も述べたいと思うのでございますが、時間の関係もございますので、一応それで要点だけ質問いたしまして、次に文部大臣にお伺いしたいと思うのでございます。  この質問の要旨といたしましては、学校の義務教育の中で健康のしつけ等の教育がなされておりますかどうか。一応それにつきまして、現在の状態が文部大臣として思わしい、あるいは十分だとお考えになっておりますかどうか。もちろん、学校教育法の中にそのことも出ておりますので、各学校ではなされていると思いますけれども、これにつきまして、将来の国民の健康の保持、増進の上に非常に健康教育上大事なことだと思いますので、これにつきまして文部大臣の御所見が伺いたいわけでございます。
  243. 剱木亨弘

    国務大臣(剱木亨弘君) お説のとおり、特に義務教育の諸学校におきまして、保健教育というのはきわめて重要だと考えております。国民として必要な保健に関しまする知識、習慣、能力、体力と、こういったものに重点を置きまして、小学校の過程におきましては主として体育、中学校におきましては保健体育の時間で取り扱っておりますが、しかし、その教科の中で取り扱うばかりでなく、この保健教育は全教科を通じまして行なっていかなけりゃなりませんし、特にまた家庭教育とも密接な関係をいたしますし、また、学校の行事、たとえば学校給食、その他遠足でございますとか運動会、あらゆる行事を通じまして、全課程でこれを行なっていくというので、重点的にやっておるわけでございますが、なお、ただいま学校の教科課程につきまして、審議会を開いて、小・中学校におきまする教科のあり方について研究をいたしておるのでございます。その際におきましても、保健教育につきましては十分重点的に取り扱ってまいりたいと考えております。
  244. 林塩

    ○林塩君 最近——と申しましても、二年前になりますか、三年前になりますか、ことし卒業——二年前だと思いますが、高等学校の教育の中に看護教育を入れるということになりまして、看護高校が発足いたしております。それにつきまして、特にこれは卒業いたしますれば准看護婦の受験資格をもらうことになっておりますが、これがややもしますと先ほどいろいろ論議になっておりますところの看護従事者の不足対策のためにだけあるかのように感じられる点がございます。それにつきまして、ただそのことだけでなくて、女子教育の一環として、将来、家庭の妻となり母となる人たちのためにも、健康教育の一環として看護高校ができていると私は思うのでございますが、文部省としましては、この点をどのようにお考えになっておりますか、御意見を伺いたいと思います。
  245. 剱木亨弘

    国務大臣(剱木亨弘君) 最近、高等学校の看護科がずっとできてまいりました。この教育方針といたしましては、いま申されますとおりに女子に対する一般教養といたしまして、家庭生活において必要な衛生、看護等につきましての知識、技術を授ける、あわせて専門的な衛生、看護に対しまする知識も授けるというので、女子に対する教養といたしましても、ぜひ教えるという方針でやっておるのでございます。
  246. 林塩

    ○林塩君 このことは非常に大切な健康教育の問題と非常に関連することでもございます。将来の国民の健康の保持、増進の上に非常に大事なことであると思いますので、教育の一環としてやるというふうにぜひ文部省も厚生省も考えてもらいたいし、また当局としても、ぜひその方針でやってもらいたいと思うわけでございます。  で、その上の教師の問題でございますが、看護の高校ができましても、教師がないというのが問題でございます。したがいまして、この課程を教える教師の学校ということになりまして、文部当局におきましては、看護大学をつくるということをずいぶん前から約束があったのでございますが、この問題につきまして、将来、どのようにお考えになっておられますか。一応、文部大臣の御見解を伺いたいと思います。
  247. 剱木亨弘

    国務大臣(剱木亨弘君) ただいま申しましたように高等学校の看護科は非常にたくさんになってまいりました。四十二年度に二十四学校できますから、合わせて七十九学校ができることになります。これに要しまする先生が非常に必要になってまいっておるのでございます。この先生の養成につきましては、ただいま、東大、それから聖路加大学、高知の女子大学、それから熊本の大学、この四学校でやっておりますが、なお、四十二年度では徳島にまたつくりたい、しかし、これだけでは十分足りませんので、現職の助教授等に対しまして十分な現職教育をやりまして、早急にこの教員の充足をはかりたいと考えております。
  248. 林塩

    ○林塩君 看護問題といいますのは、大きな問題になってまいっておりまして、社会福祉政策が進みますとともに、質も大事になってまいるわけでございますが、いずれも看護従事者の不足のために、できるだけ拙速な状態で看護要員をつくればいいじゃないかと、そういうふうな風潮もなきにしもあらずでございます。しかし、私考えまするに、生命を預かる、そうしてまた、国民の福祉を増進するという非常に大事な使命を持っております看護従事者に対しまして、拙速に、しかも、年齢も非常に若くてもいいというような考え方であって、ほんとうに命を守り得るだけの資格のある看護従事者を育てる意味におきまして、医療費その他の関係、あるいはその養成費の関係、あるいはその他のいろいろな事情によりまして、ともすると看護制度が低下しようとする傾向でございます。それにつきまして厚生大臣の御所見を伺いたいと思います。
  249. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) 現在看護婦には、御承知のとおり正看護婦と准看護婦の二つがございます。これを一本化というようなことはいろいろな意見がありますけれども、看護婦の需給が逼迫しておる現状において、早急に統合することについては問題があるので、看護制度全般について各方面の意見を聞きながら慎重に検討しておるのでございます。当面は医療看護の複雑、高度化に伴う看護職員の資質の向上、並びに准看から正看になるための進学コースの整備拡充等につとめていきたいと思います。看護職員の不足解消については、従来から養成施設に対する助成、就学資金の国庫補助を行ない、その確保につとめてまいりましたが、昭和四十二年度においては、さらに養成施設の増強、就学資金の増額を行なうほか、家庭等にある潜在看護力を効果的に活用するための再教育を実施するなど、看護対策の推進をはかってまいりたい、かように思います。
  250. 林塩

    ○林塩君 そういうことで人命尊重の意味から、人間尊重の意味から福祉政策は非常に大切でございます。重症心身障害児をとって見ましても、一番困難になっております、隘路になっておりますのは医療従事者の不足と、特に看護従事者の不足でございます。この点につきましては、予算その他の関係もあると思いますが、それにつきましては、総理大臣の常々言っておられますところの人命尊重、人間尊重の意味におきまして、この方面に対する施策に十分なる予算をとってもらえるように、将来ともお願いしたいと思いますが、大蔵大臣にお願いしたいところでございますが、要求しておりませんので、総理からひとつ御答弁をお願い申します。
  251. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) たしか、この前も本会議でお尋ねをいただいたと思いますが、医療従事者、お医者さんを主にしての看護者等だと思います。さらにまた、いま言われますように、看護従事者、これも特に心身障害児の場合、そういうのが不足しておる、先ほど来のお話でもはっきりいたしております。これは、やはりこれらの方々が特別に仁愛の気持ちから、こういうことに従事されると、かようには思いますが、しかし、やはり適当なる待遇もしなきゃならぬ。ただいま不足しておるのは、やはり待遇の面ではないかと思います。学問研究の面におきましても、不足ながらも、ともかく整備されつつある。ただいま申し上げるような方々に対する適切なる待遇が絶対に必要だと、私もかように思いますので、そういう意味で、大蔵省も特にくふうしておると思いますが、この上とも努力していきたい、かように思います。
  252. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 以上をもちまして、林君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  253. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 次に、先刻質疑のありました件につきまして、新井警察庁長官からその後の経過につき報告を求めます。
  254. 新井裕

    政府委員(新井裕君) 先ほど御報告いたしましたけさの事件でありますが、先ほどちょっと答弁の漏れたところがございます。場所は杉並区の西田にあります住宅公団の荻窪団地の道路上でございます。いままで報告のありましたことではっきりしたことを申し上げますと、けさ十時十五分から二十分までの間でありますけれども、この団地の前の道路で演説中に十七号館の方向からと思われる空気銃のたまで狙撃をされまして、弾丸が御本人の右後頭上部に命中して、約二週間の傷害を受けたということでございます。近所の外科病院に収容され、無事たまは摘出されまして、空気銃弾であることが確認されました。  先ほど事件発生後の処置につきましては申し上げましたが、ただもう少し詳しく申し上げますと、運動員から天神橋の派出所に急訴がございまして、派出所の中から、警察の部内にも一一〇番というのがございますので、その一一〇番で警視庁に報告して、パトカー六台が現場に急行したと同時に、先ほど申し上げました移動捜査隊及び本部の捜査班あるいは鑑識課から関係者が現地におもむきまして、捜査を始める、それと同時に緊急配備を行なって捜査しておるわけであります。  それから、先ほど犯人らしい者を見かけたということでございますが、身長は大体一メートル五十六センチ程度だと、こういうことでありますが、しかし、これは目撃者の一つの証言でございます。われわれとしてはこれだけにとらわれないで、もっと広い範囲で捜査をいたしております。  ただいま申しましたように、被害者は無事に手術が終わりまして、空気銃のたまが摘出いたしたのでありますが、目撃者の言によりますと、大体二十五、六メートル離れた距離から発射された模様であります。それから車は、宣伝カーは社会党の本部の宣伝カーでございます。いま刑事部長が総指揮をとりまして捜査をいたしておるところでございます。
  255. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 ただいま警察庁長官の報告を聞きまして、いまだ犯人逮捕の手がかりがないということば、まことに遺憾にたえないところでございます。すでに事件が起こりましてから五時間余を経ておるのでございます。捜査の最初が非常に重要でございますが、これまでの間に何ら手がかりがないということは、かなり捜査が困難であろうことを示すものでありますが、私はこの捜査が長引きまして、真相がはっきりしないということの及ぼす影響を非常におそれるのであります。御承知のように浅沼委員長が殺害されましたあと、右翼団体は、あの山口二矢なるものの行動を非常に称賛をいたしました。それは今日まで続いておるのでございます。おそらく今度の事件につきましても、右翼団体の間におきましては、かなりこれによりまして影響を受けておろうと存ずるのであります。おそらく彼らはこの何者のしわざかわかりません、これをやりました者並びにその行為に対して称賛をしておるに違いがございません。そうして、こういうような心理状態が右翼の間につくられるといたしますならば、こういう事件が今後続発しないとは限らないのであります。私は最もおそれるのは、逮捕がおくれることによりまして、これが刺激となって、この選挙中にさらに美濃部候補に対して危害が加えられるであろうということを最もおそれるのであります。もしこういうことになりますならば、これこそ法治国として重大な汚辱であると同時に、日本におけるいわゆるファッショ的な傾向の者をさらに刺激して、そういう右翼的、暴力的な行為を一そう誘発することになりはしないか、こう考えますときに、この問題をどう処理していくか。一刻も早く犯人を逮捕し、そうしてその犯人がいかなる動機でかような行動を起こし、またそれによってどういう右翼団体等が動いたかということを十分に糾明していただかなければならぬと思うのであります。それがなければ、誘発されるおそれがあるだろうと思うのであります。もし一刻おくれるといたしまするならば、それだけ危険は増すのであります。このことを関係者は十分に銘記して、そして捜査をして、一日も早く犯人をあげていただきたいと思うのであります。  これにつきまして、私はもう一つ危険な問題を提起したいと思うのであります。それはいまかなり銃砲であるとかあるいはまた爆発物であるとか、あるいはまた火薬であるとかいうものが容易に手に入るという事態でございます。最近起こりましたいろいろな事態が、そういうものが容易に手に入り、容易に使用されておるということでございます。ことに二十前後の若い人たちの間に銃砲を手に入れたい、いわゆる銃砲マニアが多くあります。こういうような銃砲マニアが右翼暴力団のうちに多くありまして、そういう人たちが何らかの経路からいたしまして、どんどんとそういう武器を手に入れるといたしまするならば、それこそ今後こういうような凶悪な事件が続発しないとも限らないし、また空気銃よりももっともっと大きな危害を人に及ぼすことにもなろうと思うのであります。こういう点について、はたしていままで銃砲、火薬、そういうものの取り締まりが万全であったかどうがということについて、私ばかりではありません、また国会議員ばかりではありません、一般国民は非常に疑惑を持っておるのであります。草加次郎はいまだつかまっておりません。昨日の東京駅事件は、皆目まだ見当がついておらないという状況であります。それに今日起こりました事件、これまた皆目見当がつかない、こういうことになってまいりますならば、その影響するところは、いま私が指摘したように大きいのであります。どうかそういう点につきまして一そう捜査を進めていただいて、一日も早く犯人をあげてもらいたいと思います。そしてそれを糾明していただきたいと思います。  次に私が要望したいことは、このことが右翼団体に関係がある、あるいはまた右翼団体の人ではなくて右翼が宣伝をする思想によって刺激され、動かされてこういうような事件を起こしたといたしまするならば、これはまことに重大なことであります。このことがさきに申しましたように、右翼団体に影響を与えておるといたしまするならば、今後の右翼の動向に対しましては、単に内偵査察だけではなくて、相当な取り締まりを要すると思うのであります。未然の警戒というための取り締まりも必要でありましょう。私どもはそれに対して、一体捜査当局は本気になってやるかどうか、この点をあらためて念を押したいと思うのであります。  第三には、直接の問題でございますけれども、今後の美濃部候補等の身辺に対する警戒でございます。いままでどういう警戒をやっておったか、今後、こういう事件が起こりましたあと、さらに万全を期すためにどういう警戒をこれからおやりになろうとするのか。たとえば、候補者カーに対する警戒、演説中に対する警戒、立ち会い演説会場における警戒、あるいはまた個人演説会場における警戒、そういうものについて一定の方針をすでにお立てになっておるかどうか。これはまた右翼の動向、特に前の大日本愛国党のやりましたように少々左巻きになっておる狂信的な若い者に影響を与えて起こさす行動について、どういうような取り締まりをされるのか。そういう者がまぎれ込んでやることに対する措置というものをどうするか。それらの点について責任者から明確なる答弁を要求したいのであります。
  256. 新井裕

    政府委員(新井裕君) 本件の捜査につきまして強い御要望がございましたが、先ほども申し上げましたように、単なる目撃者だけにこだわらないで、できるだけ広範な証人を求め、できるだけ可能性を創造いたしまして大きく網を張っておりますので、私はこの事件は比較的早くわれわれのほうは認知いたしましたので、遠からず解決できるものと思っておりますし、またそういうことを岡田委員と同様に期待をいたしております。  ただ、先ほど御質問の中にありました候補者の身辺のことにつきましては、われわれもいまの社会的な情勢なり条件なりを考慮しながら、しかも選挙運動の自由というものを確保するようなことを考えつつ、候補者並びにその陣営の方々と相談しつつやっておりますけれども、あまりその内容を詳しく申し上げることはどうかと思いますので、御容赦願いたいと思いますけれども、十分に情勢の変化に応ずるようにやってまいりたいと思います。また、ただいまの状況はそれほど私は険悪だとも思いませんので、特にそういうふうに神経質になるよりは、やっぱり自由濶達に選挙の行なわれるということを前提としつつ警察の仕事をしていきたいということを考えております。  それから右翼運動なりそのほかについてのいろいろな御要望がございました。われわれとしては犯罪があり、あるいは違法状態があれば、左右を問わずそういうものを断固としてやることには変わりはございません。今後ともわれわれとしてもできるだけの力を尽くしてまいりたい、こう思っております。  それからもう一つ、銃砲と火薬の問題ですが、銃砲は去年国会で御承認をいただきまして銃刀法の改正がございまして相当強化されました。これに基づきまして、五年ごとに所持の更新があるほか毎年一斉検査をいたしております。いま御指摘のようにいわゆるガンブームというものは最もよくないことでございますが、私は銃刀法を改正して、これがある程度心理的に抑制し得たというふうに思っておりますけれども、なお今後ともこういうものをある程度所持をすることを認めておるそういう法律でございます、できるだけわれわれも努力しなければならぬと思っております。  火薬は御承知のように通産省が直接所管でございますけれども、この間羽田空港でああいう爆破事件みたいなものがございましたので、それを機会に全国的に現場に警察官が出向いて、保管なりその他の処置の状況をいま査察させております。できるだけ今後ともそういう情勢に応じて考えついた策を実行いたしまして、なるべくそういう御心配をいただかないようなふうに持っていきたいと思っております。
  257. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 ただいまの御答弁のうち、情勢はそれほど険悪ではない、こういう答えがございました。私は、これはたいへんなことだと思う。選挙戦にとにかく銃砲が持ち出された。そうして人がそのたまによって傷つけられたということは、これは重大なことと考えなければなりません。これは国民の間に非常に大きな不安を招く一つの政治不安であります。そういうことを認識しないということは、これは警察庁長官としてはまことに遺憾であると言わなければなりません。こういう点については、警察庁長官としては十分心していただきたいと思うのであります。  そこで、総理に最後にお伺いしたいのは、こういうような事態に対しまして、政府といたしまして万全な今後の対策を講ずるということが必要でございましょうが、警察庁長官のいまの発言のような認識であってはならないと思う。総理は、この問題は政治的に重大な問題である、そうして、こういうことが今後いろいろな事件を誘発するようなおそれがあるとお考えになるかどうか。そうして重大であるとするならば、いま警察庁長官の言われたようなことではなくて、ほんとうにこれに対して万全な策を講じてもらうことを、内閣として、日本政府として考えていただきたいと思う次第でございます。どうかこの点について、総理のお考えを明らかにしていただきたいと思います。
  258. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま岡田君の御意見を冷静に私伺ったのでございますが、こういう事態が起こりましたことを、私はまことに残念に思います、まず第一に。しかしながら、こういう事態が起こったこの際に、やはり政府またそれぞれの取り締まり機関といたしまして、も冷静に、緻密にこういう問題に対処すべきだ、かように私は考えております。また、国民の皆さま方も、こういう事態に際して、こういうものが幾つも連鎖反応でさらに波及する、こういうような心配を抱かれないように、政府自身が自信のある冷静なる判断、それで対処し、そうして重ねてかような事故が起こらないように万全を尽くす、これをひとつ皆さん方に申し上げたいと思います。
  259. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 次に、坊厚生大臣から発言を求められておりますので、この際これを許します。坊厚生大臣
  260. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) 昨日の本委員会におきまして、私に要求せられました、三月二十三日の三悪追放推進協会の集まりについての状況を述べろ、こういう御要求でございましたので、これについて申し上げます。  案内状の送付先は、麻薬相談員等約八十名、性病予防関係者約百名、婦人相談員及び民生委員約百五十名で、東京都、神奈川県、千葉県、及び埼玉県の範囲にわたっております。  出席者は、前記のうち八十六名でございます。  案内者は、会長菅原通済氏でございます。  協会の発足にあたりまして、関係者の集まりを求める——関係者と申し上げますのは、先ほど申し上げましたそれぞれの関係者であります——求める案内状に、設立趣意書とほぼ同文の文章を印刷したものを同封いたしております。  集会の模様につきましては、出席した課長から次のように報告をされております。  参集者は、東京、千葉、神奈川、埼玉等近県の婦人相談員、麻薬相談員、性病予防関係者、民生委員等約百名前後、三時十分ごろ、菅原会長がみずから司会し、まず婦人相談員代表からあいさつがありまして、次いで福田幹事長のあいさつがありまして、続いて菅原通済氏の講演に入りましたが、三悪追放の必要を約四十分間力説したそうでございます。  福田幹事長の件につきましては、目下調べておりますので、後刻判明いたし次第御報告申し上げます。  以上でございます。
  261. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) ちょっと速記をとめてください。  〔速記中止〕
  262. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 速記を始めてください。瀬谷君。
  263. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 一言私から関係者に御答弁をいただきたいことがございます。  いま厚生大臣から答弁していただいたのでありますけれども、問題は、三悪追放協会のこの趣旨なり何なり、この問題についてわれわれ言っているわけではない。ただこの三悪追放協会というのは、趣旨においては、麻薬であるとか、あるいは売春であるとか、性病、こういう関係の婦人相談員その他の人たちを呼んだのだけれども、三悪追放を看板にして、その際福田幹事長が出席をし、皆さんの顔が票に見えると言って、そうしてその松下候補の応援を依頼した。これはもう選挙に入っている最中でございます。こういうことは、まことに許し難いことであって、これは投書があるわけです、婦人相談員の方から。だからその点をごまかしてはまずいと私は思う。先ほどの美濃部候補の運動員に対する狙撃事件が硬派だとすれば、この三悪追放関係の話は、これは軟派です。裏口営業のようにして、この三悪追放に名を借りて、こそこそ都知事選挙の推進をはかるということは、きれいな選挙とはおよそかけ離れたことではなかろうか。だからこの問題に対しては、自治大臣あるいは法務大臣といったような関係者から、厳に取り締まるということを約束してもらい。また、その実情等についても調査の上、やはり違反があれば、政府与党といえども、そういう点は、公平にきれいな選挙のモットーに従って厳に取り締まってもらう、こういうことを約束してもらわなければまずいと思う。これは投書があり、しかも、こうした事実があったのですから、その点を明らかにしていただきたいということを申し上げます。
  264. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) その問題については、いまだ報告に接しておりませんが、私どもといたしましては、違反の事実があれば断然取り締まります。
  265. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 以上をもちまして質疑通告者の発言は全部終了いたしました。  よって暫定予算三案の質疑は終局したものと認めます。     —————————————
  266. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) それでは、これより三案の討論に入ります。  通告がございますので、順次発言を許します。発言者は、賛否を明らかにしてお述べを願います小林武君。
  267. 小林武

    小林武君 私は、日本社会党を代表して、昭和四十二年度一般会計暫定予算三案に対し、反対の立場に立って討論を行なうものであります。  言うまでもなく財政法上暫定予算の性格は、本来の予算成立までの暫定的なものでありまして、本予算の成立によってその効力を失うところの仮のものであります。財政法第三十条に、「内閣は、必要に応じて、一会計年度のうちの一定期間に係る暫定予算を作成し、これを国会に提出することができる。」とあるだけで、その性格がどういうものでなければならないというような規定はないが、しかし、本来国の予算は、あくまで憲法第八十六条による年度予算でなければならないのでありまして、暫定予算は、この原則に対する重大な例外であることを銘記しなければなりません。したがって、暫定予算は、その性質はあくまで本予算成立までのつなぎ予算であり、骨格予算たる性格のものでなければならないのであります。そのことはわが国憲法の精神から理論的に当然であるばかりでなく、実際的にも過去四回にわたる暫定予算において例外なく厳格に守られてきたたてまえである。すなわち、暫定予算に盛らるべきものは、国政運営に支障を来たさない程度の必要最小限度の骨格的なものだけに限られ、本来の予算の審議に影響を及ぼすような政策的なものば一切取り上げることができないとされておるのであります。したがって、従来の画定予算は、経費の積算にあたって、前年度予算を基準として、二カ月分の暫定予算の場合、公共事業費は四分の一、その他既定経費は六分の一を計上し、新規政策は本予算成立までその計上を見送ってきたのであります。その原則に立てば、今回の歳出規模は六千八百三十億円、本年度補正後予算の一六・七%にとどまるべきであります。しかるに、本暫定予算は、積雪寒冷地帯の公共事業費、本年度の税収見込みで算定した地方交付税、大学生急募関係費、生活扶助基準引き上げなど、従来の暫定予算に見られなかった新規施策経費が計上されておるのであります。この措置に伴う経費約二千四百七十億円が上積みされ、そのために四、五月分二カ月の暫定予算は九千三百億一千六百万円の、本年度予算に対して一八・八%と、六分の一を上回わる異例の大型暫定予算ができ上がったのであります。ことに景気刺激効果の強い公共事業費に限っては、前年度予算額の二六・八%、すなわち、四分の一を上回わり、本年度予算に対してさえ、二三・六%と二カ月分六分の一をはるかに超過しておる。このような経費計上のしかたもまた暫定予算の範囲を逸脱するもので、それ自体妥当性を欠いておるが、弊外はそれのみにとどまらないのでございます。すなわち、八千億円の公債をかかえ、前年度に比し一五・九%も膨張した四十二年度予算の景気刺激効果が懸念されておる際に、暫定予算についても、本予算の二カ月をこえて大型化したことは、形式こそ違え前年度に不況対策としてとられた財政支出の早期促進と全く同じ刺激的効果を指揮するものであって、前年度と反対に、いまや景気過熱が懸念されているおり、このような大型暫定予算を組むことは、本予算の与える心理的効果と両々相まって財政面から景気を過渡に刺激するおそれがあるものと言わなければなりません。政府は、民間に設備投資などについて節度を要望しているが、民間に節度を要望する前に、まず政府みずから財政の節度を守るべきであります。政府の暫定予算編成の意思は、四十二年度予算の成立が総選挙、統一地方選挙のために四十一年度内に成立しないとの見通しに立って、従来のそれとは成立の過程が相違しているとして、暫定予算の内容がしたがって従来に異なったものであってよいという理解に立ったと見るべきであります。この考え方は、明治憲法のもとにおける施行予算の権限に通ずるものがあると見られるのであります。政府のこのような解釈は、現行憲法が、予算不成立の場合における措置について何ら規定することのないことを悪用したものであって、暫定予算制度を設けた意義と、その慣例を無視したものである。政府が理由とする国の予算が経済全体の中で果たす役割りが増し、国民生活との密接なかかわり合いがあるとしても、国家財政に関する議会主義の原理、財政民主主義原則の無視、逸脱は許されないということは明確であります。  今度の暫定予算は、歳出九千三百億円、歳入八千百三十五億円で、差し引き千百六十五億円の歳出超過となっているが、その資金繰りについては、国庫余裕金もあるし、大蔵省証券を五千億円まで発行できるようになっているのでありますから、公債一千八百八十億円の発行を取りやめてもまだ十分余裕がある。したがって、国庫の資金繰りに関する限り、何も無理をして公債を発行する必要はない。公債を発行しなくても国庫の資金繰りには何ら支障はないはずであります。従来の暫定予算も、歳出超過のときは国庫余裕金と大蔵省証券の発行でしのいできたわけで、今度もそうするのが当然であって、暫定予算で公債を発行することはいかなる点から見ても不当といわなければならないのであります。暫定予算の中に公債を導入する理由として、季節的に金融がゆるむ四、五月中に公債を発行するのが都合がよいというような、全く枝葉末節の理由で、この重大な政策を暫定予算の中に盛り込んでおるということは、暫定予算の性格を著しく逸脱するもので、憲法及び財政法の精神に違反する疑いがあるのであります。この際四十二年度本予算が国会に提出されているということは、何ら理由にならないので、それがあたかもそのまま議決されるものであるかのごとく考えること自体、国会の予算審議権を軽視するものであるといわなければなりません。ことにわが党は、公債政策反対の立場から、四十一年度予算の公債政策導入に強く反対してまいりましたし、四十二年度予算においても公債発行に反対の立場を堅持している。このように年度予算の審議に譲るべき重大な政策案件をあたかも既定の施策であるかのように前提して、暫定予算に含めることは、前述のように、憲法、財政法の精神に違反する疑いがあるのみならず、明らかに国会の予算審議権を軽視するもので、政府の責任はきわめて重大であるといわなければなりません。  また、大型暫定予算は、統一地方選挙目当てのものであるために、当面する経済情勢への配慮が欠けているところにある。このことは、暫定予算に先行した来年度予算の編成も、総選挙、続いて行なわれる統一地方選挙の人気取りに最重点を置いたといって過言でないのであります。政党の選挙公約は当然なければならない、しかし、公約そのものが単に票を集めるだけの目的であるとすれば、公党として無責任のそしりは免れないのであります。予算編成の大詰めにあたっての予算ぶんどり合戦ともいわれる愚劣な行動は、こうした批判を実証したものといえるのであります。公約は一二〇%織り込んだと自讃してはみても、歳出全体の効率化を没却して、大衆の切実な要求にこたえなかったものといると思うのであります。これは三悪追放推進協会の名を僣称して六千七百万円余を支出したことに端的にあらわれているということができるのであります。  以上の点から、私は本予算案に対して反対をするものであります。(拍手)
  268. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 日高広為君。
  269. 日高広為

    ○日高広為君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました昭和四十二年度一般会計暫定予算外二件に対し、賛成の討論を行なうものであります。  今回提出されております暫定予算は、御承知のごとく去る一月二十九日の衆議院総選挙によりまして、昭和四十二年度本予算の編成、提案がおくれまして、昭和四十一年度内にその成立をはかることが困難となりましたので、国政の運営に支障を来たさないように、四月及び五月の二カ月間につきまして暫定予算が作成、提案されたのであります。戦後暫定予算が提案になりました例は四回ございましたが、いずれも本予算成立までの応急的な性格上、新政策を盛り込まぬ前年度の既定の施策に基づく経費及び経常的な経費に限って作成されております。しかしながら、今日のごとく経済規模の拡大いたしました社会におきましては、暫定予算といえども、財政の果たす役割りにかんがみ、時の経済情勢に応じた編成をいたすことが財政運営の使命であろうかと思うのであります。今回の暫定予算の編成方針は、やはり従前の例にのっとって、経常的経費並びに法令に基づく義務的経費を計上することを原則にいたしたのでありますが、先に述べましたように、財政が国民生活に及ぼす重大な影響を考慮いたしまして、前例を踏襲するにとどまらず、必要最低限度の新規の政策、並びに公債発行を取り入れました点に特色がございます。  まず、教育及び社会政策上の配慮から、暫定予算の期間といえども、このまま放置することは適当でない経費に限っては、その経費を計上いたしまして、社会の要請にこたえんとしております。すなわち、社会保障の面におきましては、生活扶助基準を新年度におきましては、昭和四十一年度の基準より一三・五%アップいたしまして、生活困窮家庭に対する福祉の増進をはかろうとしております。また、失業対策事業に従事されております勤労者に対する賃金日額を新年度より八十一円四十二銭引き上げまして、七百十円七十銭といたしまして、地方公共団体の実施しております失業対策事業の推進を期するとともに、その勤労者の所得の向上に資そうとしております。  教育面におきましては、最近の大学入学志願者の急増に対処するため、大学生の増募を行なわんとしておりますが、これに伴う教職員の定員増に必要な経費が計上されておりまして、以上、これら社会の谷間にあるお気の毒な方々に対する措置並びに大学入試難の解消措置といたしまして、時宜を得たものであると思うのであります。  次に、公債発行についてでありますが、昭和四十一年度より新たな財政政策といたしまして、本格的な公債発行政策が導入されたのでありますが、その効果が今日遺憾なく発揮せられまして、経済が回復から上昇基調に向かっておりますことは、同慶にたえないところであります。昭和四十二年度本予算におきましては、一般会計の規模を四兆九千五百九億円と五兆円以下に押えまして、公債発行額を当初発行予定額より二百億円減じまして、八千億円にとどめております。これにより、一般会計予算の実質規模に対する公債発行の割合は約一六%となりまして、前年度よりその依存率を低めておりまして、公債発行の節度が守られていると思うのであります。今回の暫定予算における公債発行は、このような前年度の公債制度を変更しない限り、暫定予算期間分、これを踏襲することは、別に新規政策というものではなくて、従来の政策の存続と考えられるのでありまして、けだし当然なる措置であると考えます。このような趣旨に基づき、年度間における公債の円滑なる市中消化を確保するため、季節的な金融緩和期である四、五月に公債を発行することとし、その額は前年度の同期に見合う千八百八十億円が発行されることと相なっております。この期は、申すまでもなく財政の散布期であり、民間の金融市場には相当の余裕資金があるのでありまして、この期を逸しますと、その後は決算資金の入用とか、金融市場の逼迫から、公債の発行は九月まで待たねばならたくなり、公債の市中消化の原則とその健全性の意味からも、この四、五月にこの程度の発行は、その果たす財政への役割りを思うとき、適切な措置と思うのであります。  以上、今回の暫定予算における特色について述べましたが、その他公共事業費、出資金、減税、地方財政等の各般にわたって特別な配慮がなされておりまして、いずれも妥当なる措置であります。  最後に、政府に要望いたしたいのでありますが、いまや、わが国経済は昨年の不況から立ち直り、予想以上の根強い上昇発展を続けておりますが、最近における産業界の旺盛なる設備投資の現況から推察すれば、今後再び景気過熱の懸念なきにしもありません。申すまでもなく、国民生活の向上発展には景気の変動を最小限度にとどめて、安定した成長を長期にわたり持続することが肝要であります。政府にはかかる点に十分留意せられまして、健全なる財政の運営を望みますと同時に、過般の総選挙に寄せられました国民の信頼と期待に報いるよう、尽力せられんことを希求してやみません。  以上をもって私の賛成討論を終わります。(拍手)
  270. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 鈴木一弘君。
  271. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 私は、公明党を代表して、昭和四十二年度一般会計暫定予算ほか二案に対して反対の討論を行なわんとするものであります。  今回の暫定予算は、四、五月の二カ月分にわたるものであります。したがって、その性格は、あくまでも必要最低限度の経費にするべきが当然であります。もしも百歩譲って考えてみましても、生活保護費、失業対策賃金など、限られた政策的経費増を見込むのが至当と思うのであります。しかるに、政府は、あまりにも政策的配慮を暫定予算に盛り込み、輸出入銀行への出資金三百七十億円を含んでいるなど、多くの悪例をつくっているのであります。公共事業費、国債もいままでの暫定予算と異なり大幅に計上していることは、一つには、従来までの暫定予算の例を破り、暫定予算の本来あるべきたてまえをくずしているのであります。二つには、普通の暫定予算で経常的の経費や既定の施策費の増加なら、審議日数が少なくとも審議できるのでありますが、今回の暫定予算は、御承知のように政策的配慮が非常に多い暫定予算であるにかかわらず、審議期間がきわめて短かったのでありまして、これでは必要にしてかつ十分な審議をするということは、とうていでき得ないのであります。この点が反対の第一の理由であります。  反対理由の第二は、政府は、本年度の予算を景気警戒中立型予算と言いながら、すでに暫定予算において千八百八十億円の国債発行を盛り込み、財政面から景気を刺激している点であります。四十一年度においては、不況対策として景気を刺激するための国債発行と言い、四十二年度では景気調整、景気鎮静のための国債発行と言うことは、全く二枚舌にほかならないのであります。国債発行によって当座は民間資金を吸収して景気鎮静になるかもしれませんが、二カ月もすれば再び公共事業費などとなって支出され、景気を刺激することは明白であります。本暫定予算では、政府は四、五月の金融緩和期に本予算の八千億円の国債発行の約四分の一に相当する千八百八十億円を消化しなければ、すべての公債消化が不可能になるとしておりますが、国債の市中消化に無理がないのであれば、何もこの年度の六分の一に当たる四、五月の二カ月に総発行予定額の四分の一を消化させる必要はないのであります。民間金融の緩和期でなければ消化できないということ自体、国債発行に無理があるということを示しているのではないでしょうか。四十一年度の国債も市中公募と言いながら、事実はシンジケート団への強制割り当てとなっていることは御承知のとおりであります。今年度のように民間経済の活動が活発な見通しの年には、必ずや民間資金需給に非常な悪影響を与えるおそれがあるのであります。このような国債の新しい形による、しかも無理な発行には賛成できないのであります。  第三の反対の理由は、景気上昇期にこそ健全均衡財政に戻す努力をしなければ、今後半永久的に赤字財政やむなしとするおそれがあるからであります。本予算が公約のための総花予算となり、そのあおりを受けて公債発行を暫定予算にまで盛り込まねばならぬということは、とりもなおさず財政健全化への熱意が全くないとしか言えないのであります。すでに暫定予算の四、五月だけでも、実際の税収は政府見積もりの租税及び印紙収入を六百億円から七百億円上回ると見られているのであり、無理に国債発行を盛り込んだことは納得でき得ないのであります。  最後に、千八百八十億円の公債発行とともに五千億円の大蔵省証券の発行限度を予算総則では示しておりますが、暫定予算の期間中は公債を発行しなくても、大蔵省証券で十二分に歳出をまかなえるのであり、何もわざわざ暫定予算で公債を発行する必要はないのであります。  以上の四点から、暫定予算三案に対しわが党は反対するものであります。  以上をもって討論を終わります。(拍手)
  272. 新谷寅三郎

  273. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 私は民主社会党を代表して、ただいま議題となっております昭和四十二年度暫定予算三案に反対の意見を表明いたします。  そもそも暫定予算は、前年度を基準とする事務的経費を計上するにとどめるのが従来からの慣例であります。しかるに、今回の暫定措置はいまだ国会で決定されておらない昭和四十二年度本予算案を基本にし、大幅な政策経費を盛り込んだものとなっております。これは明らかに暫定予算としての限界を逸脱したもので、容認することはできません。  第二の理由は、本予算案編成にあたり、国民生活の重要課題であります物価、住宅、減税等について、わが党の要求を無視するばかりか、政府自身選挙中の公約を破ったことであります。政府は今次暫定措置に際し、これまでの慣例をくつがえし、大幅な政策経費を盛り込みながら、特に物価対策については、単なる事務的経費程度しか計上しておりません。このような予算は国民の期待に反するもので、とうてい賛成することはできません。  最後に、私が反対をいたします理由は、昨年当初に比べ、景気の状況が著しく変化したにもかかわらず、多額の国債発行を計画している点であります。すなわち今次暫定に盛られた千八百八十億も昭和四十二年度発行計画の一環であります。昨年十月物価問題懇談会は国債発行について、昭和四十二年度は四十一年度発行額を下回るよう提案いたしました。財政の持つ本来的な景気調整機能を発揮するならば、四十二年度発行額はむろんのこと、今回の暫定措置においても大幅に減額するのが当然と考えます。  私は以上の理由から、暫定予算案に反対の意向を表明いたしまして、私の討論を終わります。(拍手)
  274. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 次に、春日正一君。
  275. 春日正一

    ○春日正一君 私は日本共産党を代表して、昭和四十二年度暫定予算三案に反対するものであります。  反対理由の第一は、この暫定予算案も昭和四十二年度本予算の一部であり、その本予算案は全く反動的な性格に貫かれているからであります。  まず、佐藤内閣は、物価対策を強力に推進するとか、住宅、生活環境施設の拡充などと、人民の要求にこたえるかのようなそぶりを示しながら、アメリカ帝国主義のベトナム侵略がますます凶暴化するもとで、二兆三千四百億にのぼる膨大な第三次防衛力整備計画を立て、その初年度分三千八百億円を計上して、兵器の本格的な国産化、自衛隊の増強と核武装を進め、核拡散防止条約に賛成することによって、わが国へのアメリカの核兵器持ち込みを合法化し、日米安保条約の堅持、自衛隊の適格者名簿の作成、紀元節の復活、小選挙区制の準備等、軍国主義復活の政策を一段と強化しようとしています。また、佐藤内閣は、アメリカ帝国主義のアジア侵略に協力して、アジア太平洋地域への経済的進出を大規模に進めることを目ざし、貿易振興及び経済協力費や日本輸出入銀行への投融資を大幅に増額しています。  さらに、佐藤内閣は、資本取引の自由化に備えて、一段と独占資本への奉仕を強め、高速道路、工業用地、用水、港湾の造成などに一兆円の公共事業費を組み、二兆三千億円をこえる財政投融資を通じて独占資本の集中と合併、アメリカ資本への従属的結合を進め、軍国主義復活の経済的土台を急速に強化する政策をとっています。一方その財源を確保するために八千億円の赤字公債と五千百億円の政府保証債を発行し、消費者米価、健康保険料等公共料金の大幅値上げ、自然増収の名目による七千三百五十億円の税の増徴など、人民に対しては徹底した収奪を行ない、さらに労働者の大量首切り、近代化の名による農業、中小企業の取りつぶし政策を強化しようとしています。わが党は、このような対米従属の軍国主義復活と、徹底した人民収奪の本予算案を基本とするこの暫定予算案に反対であります。  反対理由の第二は、この暫定予算案には財政法のたてまえに反して、政策上の争点となっている新規政策費が盛り込まれていることであります。暫定予算は本来基準的経費のみに限るべきであることは、本予算案が国会において十分審議される時間がないため、つなぎとして編成されるものであることからして当然であります。にもかかわらず、千八百八十億円の公債発行、租税特別措置の延長、本予算案の三カ月分近い公共事業費の支出等、政策上の重要な争点となっている新規政策費を計上していることは、国会の審議権を軽視するものであり、断じて許されません。  わが党は、以上の二点から暫定予算案三案に反対し、既定の行政上の経費及び人民の生活の必要に限定した暫定予算の編成を要求するものであります。(拍手)
  276. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 以上をもちまして、討論通告者の発言は全部終了いたしました。よって暫定予算三案の討論は終局したものと認めます。  それでは、これより三案の採決に入ります。昭和四十二年度一般会計暫定予算昭和四十二年度特別会計暫定予算昭和四十二年度政府関係機関暫定予算、以上三案を一括して問題に供します。三案を原案どおり可決することに賛成の方の起立を求めます。  〔賛成者起立〕
  277. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 起立多数と認めます。よって三案は、原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  278. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれをもって散会いたします。    午後四時十九分散会