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1967-06-23 第55回国会 参議院 本会議 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月二十三日(金曜日)    午前十時三十五分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第十九号   昭和四十二年六月二十三日    午前十時開議  第一 炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関す   る特別措置法案及び炭鉱労働者一酸化炭素   中毒症に関する特別措置法案趣旨説明)  第二 道路交通法の一部を改正する法律案(趣   旨説明)  第三 通関業法案内閣提出)  第四 地方自治法第百五十六条第六項の規定に   基づき、税務署の設置に関し承認を求めるの   件(衆議院送付)  第五 船舶整備公団法の一部を改正する法律案   (内閣提出衆議院送付)  第六 宮内庁法の一部を改正する法律案内閣   提出衆議院送付)  第七 石炭鉱業再建整備臨時措置法案内閣提   出、衆議院送付)  第八 昭和三十九年度一般会計歳入歳出決算、   昭和三十九年度特別会計歳入歳出決算昭和   三十九年度国税収納金整理資金受払計算書、   昭和三十九年度政府関係機関決算書  第九 昭和三十九年度国有財産増減及び現在額   総計算書  第一〇 昭和三十九年度国有財産無償貸付状況   総計算書     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、国会法第三十九条但書規定による議決に   関する件(米価審議会委員)  一、原子力委員会委員任命に関する件  一、公正取引委員会委員任命に関する件  一、土地調整委員会委員任命に関する件  一、日本銀行政策委員会委員任命に関する件  一、運輸審議会委員任命に関する件  一、日本放送協会経営委員会委員任命に関す   る件  以下 議事日程のとおり     —————————————
  2. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。  この際、日程に追加して、  国会法第三十九条但書規定による議決に関する件(米価審議会委員)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。  内閣から、衆議院議員大野市郎君、角屋堅次郎君、坂村吉正君、本院議員園田清充君、高橋衛君、渡辺勘吉君を米価審議会委員任命することについて、本院の議決を求めてまいりました。  これらの諸君が同委員につくことができると議決することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。      ——————————
  6. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) この際、日程に追加して、  原子力委員会委員任命に関する件を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。  内閣から、原子力委員会設置法第八条第一項の規定により、武田榮一君を原子力委員会委員任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。  本件同意することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  8. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よって、本件全会一致をもって同意することに決しました。      ——————————
  9. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) この際、日程に追加して、  公正取引委員会委員任命に関する件を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。  内閣から、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第二十九条第二項の規定により、山田精一君を公正取引委員会委員任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。  本件同意することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  11. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よって、本件全会一致をもって同意することに決定しました。      ——————————
  12. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) この際、日程に追加して、  土地調整委員会委員任命に関する件を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。  内閣から、土地調整委員会設置法第七条第一項の規定により、關道雄君を土地調整委員会委員任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。  本件同意することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  14. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よって、本件全会一致をもって同意することに決しました。      ——————————
  15. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) この際、日程に追加して、  日本銀行政策委員会委員任命に関する件を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。  内閣から、日本銀行法第十三条の四第三項の規定により、東畑四郎君を日本銀行政策委員会委員任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。  本件同意することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  17. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よって、本件全会一致をもって同意することに決しました。      ——————————
  18. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) この際、日程に追加して、  運輸審議会委員任命に関する件を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。  内閣から、運輸省設置法第九条第一項の規定により、吾孫子豊君を運輸審議会委員任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。  本件同意することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  20. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よって、本件全会一致をもって同意することに決しました。      ——————————
  21. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) この際、日程に追加して、  日本放送協会経営委員会委員任命に関する件を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。  内閣から、放送法第十六条第一項の規定により、靱勉君、太田十君、櫻内乾雄君、杉野目晴貞君を日本放送協会経営委員会委員任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。  本件同意することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  23. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よって、本件全会一致をもって同意することに決しました。      ——————————
  24. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第一、炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法案及び炭鉱労働者一酸化炭素中毒症に関する特別措置法案趣旨説明)。  両案について、国会法第五十六条二の規定により、提出者から順次趣旨説明を求めます。早川労働大臣。    〔国務大臣早川崇登壇拍手
  25. 早川崇

    国務大臣早川崇君) 炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法案について、その趣旨を御説明いたします。  炭鉱災害による一酸化炭素中毒症につきましては、昭和三十八年の三井三池災害以来、とみに一般の関心が高まっておりますが、その後も昭和四十年における北炭夕張山野炭鉱ガス爆発等、大規模な炭鉱災害が続発し、これにより、重篤かつ多数の一酸化炭素中毒患者発生をみたのであります。政府としましては、かかる炭鉱災害防止に十全の努力を払うとともに、災害発生に際しては、被災労働者に対する救急対策災害補償に万全を期してまいったところでありますが、特に炭鉱災害に際しては、著しく多数の一酸化炭素中毒患者発生し、しかも、重篤な精神神経症状を呈する者が多いことから、昨年の通常国会におきましては、一酸化炭素中毒症について何らかの特別な立法措置が必要ではないかとの論議が行なわれ、参議院社会労働委員会におきまして、「政府一酸化炭素中毒被災者援護措置について差当り炭鉱労働者に限り今後一ケ年以内に立法措置を講ずるよう努力すべき」旨の決議が行なわれたのであります。政府といたしましては、かかる経過等にかんがみ、昨年十月、労働者災害補償保険審議会に対し、一酸化炭素中毒症に関する特別措置について諮問し、去る五月十六日答申を得たのでありますが、さらに社会保障制度審議会にも諮問の上、ここに炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法案提出いたした次第であります。  次に、この法律案内容につきまして、その概略を御説明申し上げます。  第一に、この法律適用範囲につきましては、炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に限定しております。炭鉱災害に限った点につきましては、労働者災害補償保険審議会答申においても、「一酸化炭素中毒症炭鉱において特に多数発生し、かつ、重篤なものが多い等の特殊事情および国の石炭政策等にかんがみ、この際は、炭鉱における一酸化炭素中毒症に限って措置するのはやむを得ない」としておるところであり、また、先に申し上げました参議院社会労働委員会における決議趣旨をも考慮して措置することとした次第であります。  第二に、使用者及び労働者に対し、一酸化炭素中毒症防止について適切な措置を講ずるよう努力すべき旨の努力義務規定を設けることといたしております。炭鉱における一酸化炭素中毒症防止につきましては、現在、鉱山保安法等において所要の定めがなされているのでありますが、さらに労使の自主的努力なくしては実効を期し得ないものであることにかんがみ、その趣旨を明文で定めることにしたのであります。  第三に、使用者に対し、一酸化炭素中毒症に関する特別の健康診断実施を義務づけることとしております。健康診断については、現在、労働基準法におきましても、所要規定を設けておりますが、本法案におきましては、さらに一酸化炭素中毒症に関する災害直後の健康診断を義務づけるとともに、原則としてさらに二年間、定期に一酸化炭素中毒症に関する特別の健康診断実施すべきこととしております。  第四に、一酸化炭素中毒症にかかった者に対する介護料の支給についてであります。炭鉱災害被災者につきましては、もとより労働者災害補償保険法により、療養補償をはじめ、必要な災害補償が行なわれるのでありますが、一酸化炭素中毒症にかかった者のうちには、重篤な精神神経症状のため家族等による特別の介護を要する者が少なくないので、その実情に応じ特別の援護措置として一定介護料を支給することとしたのであります。  最後に、一酸化炭素中毒症がなおったと認められた者につきましても、その特殊な症状の推移から必要と認める場合には、アフターケアとして所要措置を講ずることとしております。  なお、この法律施行期日につきましては、健康診断方法等について専門家意見を徴するための期間をも考慮し、公布の日から起算して九十日をこえない範囲内において政令で定める日といたしております。  以上が、炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法案趣旨でございます。(拍手)     —————————————
  26. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 藤田藤太郎君。    〔藤田藤太郎登壇拍手
  27. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 ただいま議題となりました炭鉱労働者一酸化炭素中毒症に関する特別措置法案提案理由とその内容について説明いたします。  去る昭和三十八年十一月九日、三池炭鉱における炭じん爆発は、炭鉱合理化政策の途上に発生した悲惨な労働災害でありました。日本一の優良鉱といわれた三池三川鉱の入気口よりわずか千メートルの地点で大爆発を起こし、大量の一酸化炭素ガス発生し、これが三川鉱の全坑内、各切り羽に侵入充満して、坑内労働者は一瞬にして倒れ、四百五十八名の死亡者と八百名にのぼる一酸化炭素中毒患者を出すという大災害となったのであります。  また、昭和四十年二月二十二日には、三井三池に劣らない優良鉱といわれる北海道の北炭夕張鉱においてガス爆発により六十一名の死亡者と二十名にのぼる一酸化炭素中毒患者を出すという災害発生し、次いで四月九日には、日鉄伊王島炭鉱においてガス爆発により三十名の死亡者と十四名の重軽傷者を出し、さらに六月一日には、山野炭鉱においてガス爆発により二百三十七名の死亡者と二十名をこえる一酸化炭素中毒患者を出すという災害が連続して発生し、昭和四十一年十一月一日には、住友奔別鉱においてガス爆発により十六名の死亡者と五名の重軽傷者を出すという災害発生し、炭鉱におけるガス爆発等による災害の絶滅は期しがたい状態にあります。  一酸化炭素中毒は、肺から吸入された一酸化炭素ガス血液に入って、血液中の酸素が減少し、その結果、人体の各組織特に中枢神経系が侵され、人体の各組織に回復不能な後遺症をもたらすものであります。また、心肺系も侵され、それが再び中枢神経系その他に影響を与えるといわれています。一酸化炭素中毒症状は、中枢神経等の侵された程度により異なりますが、重症の場合は、罹災後数年を経過するも、新生児にみられるような原始反射を示すほか、全く意識なく、全神経の麻痺した状態を示します。軽症の場合でも、痴呆状態を呈するものが多く、身体の動きも少なく、幻覚、妄想等に襲われ、精神分裂症に似た症状を見せるものであり、その他記憶力障害意欲減退性格変化を来たすとともに、心肺機能循環器系障害をも伴うものであります。以上のごとく複雑な病状と悲惨な後遺症を残す疾病であるにもかかわらず、今日の高度の近代医学をもってしても、その根本的治療方法はなく、対症的治療が行なわれているにすぎないのであります。しかも、現行労働基準法労働者災害補償保険法及び鉱山保安法では、その発生予防において不十分であるのみならず、治療方法においても、この中毒症の特徴からみて、特に必要であると考えられる長期にわたる継続的治療回復訓練実施及び職場復帰の機会を与える措置等に欠けるところが多く、中毒患者に対して、適正かつ十分な治療災害補償が行なわれているとは認めがたいのであります。特に、三池炭鉱爆発による約七百名以上の被災労働者は、すでに罹災後三年以上を経過し、現行法に基づく補償ではその療養及び補償が困難となっております。したがって炭鉱労働者一酸化炭素中毒症に関し、適切な予防及び労働者健康管理措置を講ずるとともに一酸化炭素中毒症にかかった炭鉱労働者に対し、長期療養を保証し、また残存労働能力を有する者については、その活用をはかるために特別の措置が緊急に必要であります。  次に、本法律案のおもなる内容を申し上げます。  第一に、石炭鉱業を行なう事業の使用者及び労働者は、一酸化炭素ガス発生とこれにによる中毒防止するため、作業環境条件整備関係労働者全員についての防護、その他適切な措置を講じなければならないこと。また使用者は、労働者に対して一酸化炭素ガス発生防止発生後の応急措置及び健康管理等のため必要な教育を行なわなければならないこと。  第二に、被災労働者健康管理に万全を期するため、使用者は、被災労働者に対して所定の健康診断を行ない、都道府県労働基準局長は、被災労働者健康管理区分を決定するとともに、健康管理手帳を交付すること。  第三に、被災労働者健康保持のため使用者は、健康管理区分により就労可能な者は労働省令で定める危険な作業以外の作業に従事させるようつとめなければならないとともに、被災労働者作業転換をした場合は、当該作業転換前に支払っていた賃金に見合う賃金を支払わねばならないこと。  第四に、使用者は、被災労働者健康管理区分が決定された場合は、その区分に応じて被災労働者が安定して長期にわたる療養に専念できるようにするとともに、また残った労働能力を活用させるために、管理一に該当する被災労働者については二年、また、管理二に該当して一酸化炭素中毒症にかかっていると認められる被災労働者については、一定の年齢に達するまでの期間は、労働基準法規定にかかわらず、これを解雇してはならないこと。  第五に、被災労働者一酸化炭素中毒症にかかる療養補償を受ける場合、またはリハビリテーションを受ける場合は、その期間中一日につき平均賃金の百分の四十の準障害補償を行なうとともに、一酸化炭素中毒症がなおった場合は、その障害程度に応じて、当該障害の存する期間一年につき平均賃金の三百六十日分から百二十日分までの障害補償を行なわなければならないこと。また、常時介護を要する被災労働者に対しては、月額五千円から一万円までの範囲内における額の介護補償を行なわなければならないこと。  第六に、この法律による補償は、労働者災害補償保険によって行なわれるべきものであること。  第七に、本法の規定により、準障害補償労働基準法規定による障害補償の額をこえる部分障害補償及び介護補償の給付に要する費用の二分の一は国庫が、残りの二分の一に相当する部分当該保険加入者がそれぞれ負担するものとすること。  以上のほか、一酸化炭素中毒症に関する予防被災労働者健康管理障害等級区分、その他の事項について調査審議するため、関係労働者及び使用者を代表する者と精神医学または神経医学に関し学識経験を有する者十五人以内の委員をもって組織する、一酸化炭素中毒症対策審議会設置すること等であります。なお、この法律施行時に過去の突発事故により、被災した労働者に対して、この法律を適用するため必要な経過措置を定めることにいたしました。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。(拍手
  28. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。大橋和孝君。    〔大橋和孝登壇拍手
  29. 大橋和孝

    大橋和孝君 私は、日本社会党を代表し、ただいま議題となりました炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法案について、総理大臣並びに関係大臣にお尋ねをいたします。  三池爆発で四百五十八名の死亡者と八百二十二名にのぼる一酸化炭素中毒患者が出てから、すでに三年七カ月もたっているのに、まだこの事件は解決していないのであります。この問題では昨年の国会決議もあるのであって、政府当局も前向きに取り組んでいると思うのでありますけれども、昨年十月二十五日労災補償打ち切り問題以来、その処理も今日まで解決していないのである。ために労災病院にいる六十名の入院患者は何らの医療、給食も施されず放置されているのである。のみならず、残る七百名近くの患者も、職場に帰ることもできず、医療も受けられず放置され、現地では大きな社会問題となっているのであります。これは今日、一酸化炭素中毒医学的な解明が十分行なわれていない現状を無視し、強引に資本欲意を受け入れて行なった行政の基本的な政府の姿勢に起因するものであります。  そこで次の諸点について、関係閣僚見解を問いただしたいと思います。  まず、佐藤内閣総理大臣にお伺いをいたします。  三池災害後、夕張伊王島山野、空知、奔別と、相次いで炭鉱災害が続発し、多数の一酸化炭素中毒患者発生しているのであります。これらの災害原因は、いずれも労働者の責任は皆無であって、資本保安サボタージュによるものであります。特に三池における一酸化炭素中毒患者は、三年七カ月をたった今日、なお意識を回復しない者、あるいはまた妻の顔さえ識別できないというような悲惨な者もあるが、これらの患者救済は人道上の大きな問題であって、昨年、本院社会労働委員会におきましても、特別立法を一年以内につくるよう決議をいたしました。この決議について政府はどのように理解をしているのか。また、このたびの政府提出法案内容は、当然、一酸化炭素中毒患者現状に即して十分な救済がはかられるものを具備していなければならないと考えるのでありますが、総理大臣所見を伺いたい。  次に、早川労働大臣にお伺いいたしたい。  第一点は、昨年、本院社会労働委員会における決議は、社会党が第四十八国会と五十一国会提出した一酸化炭素中毒症に関する特別措置法案の取り扱いと、その後の三池現地における一酸化炭素中毒患者に対する援護社会的要請を背景として行なわれたものである。その意味においては、今度の特別立法は、その前提になったこれらの問題の解決をはかる内容であらねばならないと考えるが、所見をお伺いしたいのであります。  第二点は、現在提出された政府の案は、政府の現在行なっている行政措置範囲を一歩も出ていないものであって、特別に立法化する意義は失われてしまっているのであります。これは、昨年の社会労働委員会決議趣旨を無視したものではないか。また、少なくとも国会決議を尊重するというならば、その前提となった前国会社会党法案の骨子、すなわち配置転換と前収補償解雇制限障害補償特別措置等の諸問題について、十分な考慮が払われるべきであると考えるが、この点について労働大臣見解を述べていただきたい。  第三点は、政府法案原案の作成にあたって、労災審議会社会保障制度審議会のいずれにも十分な討議の時間を与えず、基本問題である前収補償解雇制限等特別保護措置について結論を得なかったので、それを幸いとして、法案内容にこれを入れなかったことは、国会決議尊重ということに対して、十分な誠意を尽くしたとは言いがたい。これについて労働大臣はどのように考えているのか、意見を伺いたいのであります。  第四点は、三池医療委員会すなわち勝木委員会は、昨年の十月末、解散したと聞いております。三池にはいまなお多数の患者が存在しており、一酸化炭素中毒についての結論的な医学上の解明が行なわれていない現段階において、何ゆえ解散したのか。われわれとしては、勝木委員会としての信頼性は別といたしまして、このような医療委員会は、まだ当分必要ではないかと思うので、早急に勝木委員会にかわるような、しかも、さらに民主的な医療委員会設置をして、今後の医療対策の推進と紛争解決に当たらしめるべきであると考えるのでありますが、所見をお伺いいたしたい。  一酸化炭素中毒予防については、爆発等予防対策と、事故発生後の中毒予防の二面があるのであります。このことについて、事故発生予防通産省所管事項であって、労働省には鉱山保安監督権はなく、勧告権のみあるが、予防対策は当然のこととして、この両面がともに推進されなければならないし、そうでなければ、効果もあげられないと思うのであります。現在、鉱山保安通産省で、一般災害保安労働省で、船員の災害保安運輸省と、このようにしてばらばらの労働災害保安対策になっているのであります。しかし、将来労働省に一元化された保安対策でなければ強力なものとならないが、労働大臣はこの点どう考えているのか、所見を伺いたいのであります。  第五点は、本院社会労働委員会決議は、立法措置が成立するまでは、療養その他の援護措置現状のままとする、となっているが、現実においては、さきに述べたように、七百名以上の大多数の患者が、治療訓練を受けられずに放置されているばかりでなく、生活保障も与えられず、一銭の収入もなく、一家の生活労働者同士救済によってはかっているような実態であるが、これをこのまま放置しておいてよいのかどうか、具体的な今後の方針を示していただきたいのであります。  次に、菅野通産大臣にお尋ねいたしたい。頻発するところの炭鉱災害、それは爆発だけでなく、一般災害も増大しているけれども、その原因は、石炭合理化に帰着すると思います。この時点で、抜本的な対策樹立が必要だと思われるが、政府は将来、いかなる対策を講じようとしているのか、見解を伺いたいのであります。  また、今度一酸化炭素中毒特別法を作定するにあたり、当然のこととして、その内容には災害予防を含めなければならない。特別法である以上、所管官庁の違いとか。行政機関が異なるとかいうような問題は超越して、この法の目的に関係するところの官庁がすべて協力しなければならないと思うが、通産省として、一酸化炭素中毒立法に対する基本的な姿勢を述べていただきたい。  最後に、坊厚生大臣にお伺いいたしたいと思います。  一酸化炭素中毒立法は、今回は炭鉱労働者に限るということになっております。しかし、一酸化炭素中毒症発生は、石炭鉱業のみではなく、他の産業にも発生し、また一般社会にも、家庭にも発生しているのであります。一酸化炭素中毒症医療効果は、リハビリテーションの充実がはかられなければならないのであります。一酸化炭素中毒を、労働省の問題としてとらえるのではなく、広く一般社会の人道上の問題として、また、国民の医療上の問題としてとらえるならば、厚生省はこれの対策に積極的でなければならない、このように思うのであります。厚生省として、今後の一酸化炭素中毒症に対する医療対策や、中毒患者援護施設の設置等についても、前向きの姿勢で取り組むべきだと思うのでありますが、厚生大臣見解を承りたいのであります。  以上をもって私の質問は終わるのでありますが、私は、昨年一月と今月と、二度にわたって現地の状況をつまびらかに視察してまいったのであります。三池の状況をつぶさにこの目で見、あるいはまた聞いてまいったのであります。再三申し上げるとおり、患者や家族または遺族の人たちは、極度に悲惨な生活を送っており、意識障害、情意の障害、心身障害の訴えがありまして、基本的な家庭生活も送れず、大きな社会問題となり、人道上の問題でもあります。こういう悲惨な者を救済する政治的責任をとるという観点に立って、総理大臣はじめ関係大臣からの十分な配慮の届いたあたたかい答弁を伺いたいのであります。  以上をもって私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作君登壇拍手
  30. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) ただいま引用されました四十一年の参議院の社会労働委員会の決議、これは私、もう読む必要はないと思いますが、ここに手元に持ってまいりましたので、一応朗読さしていただきます。  一、政府一酸化炭素中毒被災者援護措置について、差当り炭鉱労働者に限り、後一ケ年以内に、立法措置を講ずるよう努力すること。  二、政府は右の立法措置が成立する迄被災者に対する療養その他の援護措置は現在の状態と変らざるよう措置すること。  右決議する。  この決議趣旨を尊重いたしまして、このたび、特別措置法を提案したのでございます。私は、労働災害、そのうちでも、ことに炭鉱災害の絶滅を期したい、かような念願のもとに、鉱山保安を一そう充実強化する、そういう方向で努力しております。不幸にして事故が発生いたしました場合の被災者に対しましては、この決議の御趣旨により、医療から社会復帰まで十全の処置をとるよう、十分注意するつもりでございます。在来の行政措置につきましても、これらの点で、なお御意見も伺い、さらに充実するようにいたしたいものだと思います。また、このたび提案いたしました法律案に対しまして、社会党からも特別な法案提出されておりますので、これは超党派で、皆さんの御意見によりまして、りっぱな特別措置をつくる、これは私の考えでもありますので、どうか御協力のほどをお願いいたします。(拍手)    〔国務大臣早川崇登壇拍手
  31. 早川崇

    国務大臣早川崇君) 第一は、参議院の決議と今度の立法との関係の御質問でございます。この新しい立法は、その決議の御趣旨に沿いまして審議会でまとまりました線、すなわち、介護料の支給とか、石炭労働者に限るとか、あるいは健康管理とかというものを中心といたしまして、この法案が立案されたわけでございまして、御趣旨の線に沿った措置だと考えておる次第でございます。その中で、解雇制限あるいは前収保障、配置転換等、重要な問題につきましては、審議会におきまして意見がまとまりませんでした。なお今後の検討課題として検討してまいりたいと思う次第でございます。  次に、審議会は早急にこの審議会の意見をまとめたのではないかという御疑念でございまするが、十月以来十回審議会を開きまして、そうして、公益、労使三者一致した結論が出ました次第でございまして、その結論に従いまして、今回、国会政府案を御提案申し上げた次第でございます。  第三番目の、三池医療委員会を廃止、解散したのはどうかと、こういう御意見でございまするが、これは三年間にわたりまして医療委員会は一応の結論を出されまして、政府三池災害の経過報告と意見書を提出されました。また同時に、この委員会から、もう辞職したいという強い御要望がございましたので、委員会を廃止したのでございまするが、それにかわりまして、八名の医療専門家労働省は委嘱いたしまして、三池のこの中毒患者の問題に、専門的な顧問として委嘱をして働いていただいておるわけでございます。  四番目には、通産省との鉱山保安に関する行政の一元化をはかる、労働省で一元化しろと、こういう御意見でございます。現在、御承知のように、鉱山に関しましては、通産省鉱山保安局がやっておりまするが、労働省も決してこれとは無関係なわけではないのでございます。法律によって勧告権を与えられております。この勧告権を、三十一年以来四回にわたりまして実行をいたしまして、通産省と一体となりまして労働災害防止努力いたしておるのが現状でございます。  最後に、三池災害中毒者の実情でございまするが、現在、三池災害による被災者は八百余名ございまして、なお療養を必要とする者は八十四名、これは現在療養を継続中でございます。その他の七百余名のうち、一部は症状が回復し、逐次職場に復帰しておりますが、残りの大部分は、昨年十月に、三池医療委員会医学所見により治癒したとの判定が下され、職場復帰のための訓練等の措置が講ぜられているのが現状でございます。ただ、これらの治癒と判定されました者のうちで、三百六十名につきましては、これらの治癒判定の処分を不適当として、審査の請求がなされており、現在、慎重に審理中でございます。いずれ近く、権威ある専門医師の診断意見が出されまするので、それによりまして、治癒したかしないか、医療的最終決定がなされる予定になっておる次第でございます。(拍手)    〔国務大臣菅野和太郎君登壇拍手
  32. 菅野和太郎

    国務大臣(菅野和太郎君) 石炭の合理化が炭鉱災害原因になっておるのではないかという御質問がありましたが、申すまでもないことでありますが、保安の確保ということが人命尊重の基本でありますので、したがいまして、保安の確保ということを石炭政策の基本としてやっておるのでありますからして、合理化する場合にも、保安の確保ということを基礎として合理化をやっておる次第であります。なおしかし、炭鉱災害が起こらないようにするために、監督指導の体制を拡充強化いたしまするし、また、保安の施設の整備もやっておるのでありますが、なお保安の教育を施すために、重要地点に鉱山保安センターを設けて、そして保安に当たる人々を養成したいと、こう考えている次第であります。  それから、この炭鉱災害の問題について、災害を絶滅するようなことについての根本的な対策がないかという御質問がありましたが、もちろん、われわれは、保安の確保ということが重要な問題でありますので、したがいまして、一酸化炭素中毒症防止するためには、何よりも炭鉱災害の絶滅ということを期したいということで、通産省といたしましては、災害原因の技術的な解明につとめるとともに、鉱山保安法規の整備をはかっておるところでありまして、今後ともその強化をはかりたいと考えておる次第であります。  なお、この一酸化炭素中毒症発生を防ぐという点において、労働省とはよく協力して、万遺漏なきを期したいと考えている次第であります。(拍手)    〔国務大臣坊秀男君登壇拍手
  33. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) 私に対する御質問にお答え申し上げます。  一般に、一酸化炭素中毒患者については、事故が起こったら、できるだけ早くこれを発見して緊急に治療を行なうことが、患者救済上最も必要なことであります。現在、交通事故をはじめとして、このような緊急を要する医療体制を整備するために、強力に救急医療対策を推進しておるのでございまして、一酸化炭素中毒患者救済策も、この一環として推し進めてまいりたいと思っております。  それから、一刻も早く手当によって生命を取りとめ、もとのからだに回復させるための努力が行なわれることが第一でございますけれども、不幸にしてこの手当がおくれることによりまして、後遺症を残すといったような場合もあることは予想されます。このような人々のためには、リハビリテーションを進めることによって、社会復帰の促進をはかるべきものであります。目下、国立病院、国立療養所をはじめとして、医学的リハビリテーション施設の充実をはかっておるところでございまして、一酸化炭素中毒患者のリハビリテーションもこれによって促進されるものと考えております。  以上でございます。(拍手
  34. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これにて質疑の通告者の発言は終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。     —————————————
  35. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第二、道路交通法の一部を改正する法律案趣旨説明)。  本案について国会法第五十六条の二の規定により、提出者からその趣旨説明を求めます。藤枝国務大臣。    〔国務大臣藤枝泉介君登壇拍手
  36. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 道路交通法の一部を改正する法律案について、その趣旨を説明申し上げます。  この法律案は、最近における道路交通の実情にかんがみ、交通事故の防止をはかるため、所要規定整備するとともに、大量に発生している自動車等の運転者の道路交通法違反事件を迅速かつ合理的に処理するため、交通反則通告制度を新設すること等をその内容としております。  まず、交通事故の防止をはかるための改正について説明申し上げます。  第一は、横断歩行者の保護の徹底をはかるため、交通整理の行なわれていない横断歩道を通過する車両等の通行方法に関する規制を強化することであります。  第二は、大型自動車による交通事故を防止するため、所要規定整備することでありますが、その内容は、運行記録計による記録及び保存について規定すること、積載制限違反の罰則を強化するとともに、安全運転管理者等が積載制限違反の運転を下命し、または容認することを禁止すること、並びに大型自動車免許の資格年齢を二十歳に引き上げる等、大型自動車の運転の資格要件を引き上げることであります。    〔議長退席、副議長着席〕  第三は、運転免許の行政処分の制度の合理化をはかるための改正でありますが、そのおもな内容は、運転免許の効力の仮停止の制度の新設であります。これは、酒酔い運転またはひき逃げの死傷事故、居眠り運転による死亡事故等一定の悪質重大な交通事故を起こした者については、警察署長が運転免許の効力を二十日間仮停止することができることとし、都道府県公安委員会がその者の運転免許を取り消し、またはその効力を停止するまでの間における危険を排除しようとするものであります。もとより、この仮停止を受けていた期間は、運転免許の取り消しまたは効力の停止を受けた場合の期間に通算することとしております。このほか、運転免許の行政処分の迅速化をはかるため、都道府県公安委員会の運転免許の効力の停止等に関する事務の委任の規定を設けること等もその内容となっております。  以上のほか、若干の規定整備を行なっております。  次に、交通反則通告制度の新設のための改正について説明申し上げます。  まず、この制度は、自転車、荷車等を除く車両等の運転者がした違反行為のうち、比較的軽微であって、現認、明白、定型のものを反則行為とし、反則行為をした者に対しては、警視総監または道府県警察本部長が定額の反則金の納付を通告し、その通告を受けた者が反則金を任意に納付したときは、その反則行為について刑事訴追をされず、一定期間内に反則金の納付がなかったときは、本来の刑事手続が進行するということを骨子とするものでありますが、これによって、大量に発生している自動車等の運転者の道路交通法違反事件について、事案の軽重に応じた合理的な処理方法をとるとともに、その処理の迅速化をはかろうとするものであります。  次に、この制度は、事案の軽重に応じた処理をすることを目的としておりますところから、反則行為をした者であっても、無資格運転者、過去一年以内に運転免許の効力の停止を受けたことがある者等、危険性が高いと考えられる者に対しては、この制度を適用しないこととしており、また、少年につきましては、この制度を適用しないこととしております。  次に、この制度は、警視総監、または道府県警察本部長の通告によって反則金を納付するのがたてまえとなっておりますが、警察官の告知の制度を設け、この告知によって反則金を仮納付することができることとし、国民の利便をはかっております。  次に、反則金の額は、その最高限度額を法律で定め、その限度額の範囲内で反則行為の種別ごとに政令で定額を定めることといたしております。  また、反則金は、国に対して納付することとしておりますが、国は、当分の間、交通安全対策の一環として、反則金収入額に相当する金額を、交通安全対策特別交付金として、都道府県及び市町村に交付することとしております。この交付金は、地方公共団体が単独事業として行なう道路交通安全施設の設置に要する費用に充てさせるため、交通事故の発生件数、人口の集中度等を考慮して、政令で定める一定の基準により交付することとしております。  なお、この交通反則通告制度は、全く新しい制度でありますため、実施のための準備に相当の期間を要すると考えられますので、この制度の実施は、昭和四十三年七月一日からとしております。  以上が道路交通法の一部を改正する法律案趣旨でございます。(拍手
  37. 河野謙三

    ○副議長(河野謙三君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。松本賢一君。    〔松本賢一君登壇拍手
  38. 松本賢一

    ○松本賢一君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま御説明のありました道路交通法の一部を改正する法律案につきまして、佐藤総理並びに関係大臣に御質問を申し上げたいと存じます。  質問にあたりまして、前もって御注意なりお願いなり申し上げておきたいことは、皆さん方、つまり大臣諸卿の御答弁をいつも伺っておりますと、ややもすれば、的はずれであったり、つじつまの合わないような論理を展開されたりいたしますので、きょうはひとつ、そのようなことのないようにお願いいたしたいと存じます。  質問の最初にお尋ねいたしたいのは、この改正案と並行して、政府は、刑法の一部改正案を提出しておられますが、それは、業務上過失あるいは重過失の事件に対し、懲役刑を適用するという改正であります。しかし、これは、その改正の理由が、政府も説明しておられますとおり、悪質な自動車事故に起因するものであります関係上、基本法である刑法の改正によって、自動車事故以外のあらゆる過失事件に大きな影響を与えるのは、いささか当を失しておると考えます。それよりも、むしろこの際、特別法である道交法の改正によって、自動車事故の悪質なものを処理することが、筋も通るし、国民の理解も得やすいと思うのでございますが、政府は、なぜ刑法の改正に固執して、道交治の改正によろうとはなさらないのか、法務大臣並びに国家公安委員長のお考えを承りたいと存じます。  次に、この改正案のうち、その眼目ともいうべき反則金制度について御質問申し上げます。  この反則金制度は、今回初めて脚光を浴びたものでありますが、この制度そのもののよしあしは別として、私は、いま示された原案には、一見ささいなことのようで、実は大きな矛盾が含まれていることを指摘したいのであります。この制度にいう反則行為とは、提案理由の説明によりますと、「違反行為のうち比較的軽微」なものといい、また、去る十三日の衆議院における国家公安委員長の答弁では、「非常に軽微な違反に限定」と言っておられます。軽微な違反とは、ついうっかりとか、ちょっとした不注意とかで起こした違反と考えるのが常識でありましょう。ところが、この法律案の別表に列記されております反則行為の中身は、必ずしもそうではありません。たとえばスピード違反におきまして、バスも、ダンプも含めた大小全車両にわたって、制限速度超過二十五キロまでのものが、ことごとくこの反則行為の中に含まれておるのであります。また、トラックやダンプの積載量の超過違反は、青天井でこの中に入っておるのであります。しかも、その両方が同時に行なわれても、それが酔っぱらい運転や無免許運転でない限り、やはり単なる反則行為と認められているのであります。私もハンドルを持った経験がございますが、五キロや七キロのスピード・オーバーなら、ついうっかりということもあり、単なる反則行為とも言えましょう。しかし、二十五キロもの大幅オーバーは、たとえば、人間も通り、自転車も通る、あの狭い国道や県道を、ダンプカーやトラックが八十五キロのスピードでぶっとばすことであります。しかも、同時に、積み荷を二倍も超過している場合もあり得るのです。そんなことが、ついうっかりや、ちょっとした不注意で起こる現象ではありません。それはもう交通安全思想など無視された全く質的に異なった危険な行為と言わなければなりません。こうしたものを十ぱ一からげにひっくるめて「非常に軽微な」ものの中にランクすることは、運転車の安全意識をゆるめ、一方では、たださえ問題になっておりますノルマ過重の傾向を助長することにならぬかを憂えるものでありますが、公安委員長のお答えをいただきたいと存じます。  世はあげて交通安全を叫んでいるときに、危険なものとそうでないものと混同することは、国民を戸惑いさせるもので、慎重に検討すべきものと考えます。と同時に、私は一方では、この反則金的考え方をいま一歩前進させて、ほんとうに危険を伴わない単なる形式的な反則に対しては、この法案にいう反則行為よりも、いま一つ下にランクして、単に説諭を与える程度にとどめるような制度を考えるべきだと思います。また、この制度の実施にあたっては、運転者の業務に支障を来たしたり、生活に影響を及ぼしたりするような取り扱い、たとえばやたらに免許証を取り上げたりするごとき処分をできるだけ少なく、簡略にするよう心がけるべきだと思います。こうした基本的な考え方に立って一方ではきびしく交通の安全と秩序を守り、一方では悪意なき者の生業をあたたかく守ることが、政治の要諦であると心得ますが、これに対する総理並びに公安委員長の御見解を承りたいと存じます。  なお、この反則金制度によって徴収する反則金の総額は百四十億と見込まれているそうでありますが、これは交通安全特別交付金として地方自治体に交付されることになっております。とすると、市長さんや村長さんが、交付金ほしさに、反則多かれと祈るような、珍妙な現象が起こるかもしれませんが、まあ、それはそれといたしまして、この交付金が、他の法律、たとえば交通安全緊急措置法などによって国が行なうべき事業の地元負担金などとごっちゃにされて、自治体のプラスアルファにならぬかもしれない心配があるのですが、この点はっきりさせておいていただきたいと存じます。この私の質問と同様の質問に対し、衆議院における総理の御答弁は、その金では歩道橋を設けるのだとか、信号機をつくるのだとか、少々的はずれだったように思われますので、きょうは的のまん中を射抜くような御答弁をお願いしたいと存じます。  次に私は、本法案関係の深い交通問題について、一、二お伺いしたいと存じます。「黄河の水を治める者は天下を治める」とは堯舜のいにしえのことでありますが、いまや日本の現状は、「車の洪水」を治めなければ真の為政者とは言われないのであります。車の洪水を治めるのには、第一に道路の整備でありますが、現状では車と道路とのアンバランスがなかなか解消できないのではないかを憂えるものでありますが、いかがなものでしょうか。この点について、西村建設大臣は衆議院での御答弁で、それは第五次五カ年計画によっておおむね対処し得る、自動車の伸び率は一六%だが、道路事業費の予算も一六%伸びていると、こうおっしゃっておるのであります。しかし、これは理屈がどうもおかしいんで、自動車はお札の上を走るんじゃないんですから、予算が車の台数と同じ率でふえるからいいというのではありますまい。私がつじつまの合わない論理と申し上げたのはこういうことをさしたのであります。どうかきょうは、つじつまの合った御説明を建設大臣にお伺いいたしたいと思います。  次に、車に対する歩行者の問題です。これが日本における交通事故の最も大きなパーセンテージを占めておるわけであります。これを解決するのには、第一が歩行者保護施設の完備、第二が車の運行、すなわちスピードなどの問題です。保護施設については、昨年十二月十五日のあの愛知県における大惨事以来、総理府の交通対策本部におきましても大いにあわてて力こぶを入れ、昨年立てた交通安全施設整備事業三カ年計画を早めて、本年度中に大部分やってしまうという決定がなされておりますが、この三カ年計画の進捗状況と今後の増強計画について建設大臣からお聞かせ願いたいと同時に、特に総理大臣にお願い申し上げたいのは、きょうは大蔵大臣がお見えになっておりませんので、この計画の財政的裏づけについて、大蔵大臣は研究費なら金を出すのを惜しまないとおっしゃっておりますが、研究費などよりも、このほうをもっと早く出し惜しみしないように説得していただけるかどうか、お伺いいたしたいと思います。  第二の、車の運行について、先ほど私はスピードの問題をやかましく申しましたが、かといって、私は違反者を大いにつかまえて重く罰せよと決して主張しているのではありません。警察官諸君は、どうも違反者をつかまえるのにはすこぶる熱心ですが、違反の起こらないように親切に指導する努力が少し足りないんじゃないかと思われます。警察官は常に運転者のよき助言者であるべきで、いやしくも点数かせぎのため運転者を不意打ちにするような態度は改めねばならぬと思いますが、公安委員長のお考えを承りたいと存じます。  次に、事故を防止するには、運転者の心身の状態をよくしておくことが大切と思いますが、これには労務管理が重要な問題であります。労働大臣の説明によりましても、ダンプカーなどの運転者の二七%が十時間以上働いているそうであります。これはゆゆしい問題でありまして、現在行政的な指導につとめておられるそうでありますが、なかなかそんなことではなまぬるいと思われます。そこで、労働大臣にお伺いいたしたいのですが、この際、労働基準法を改正して、業務上の運転者の労働時間を制限し、ノルマ過重のために違反や事故を起こすことのないよう法的措置をとることができぬものかどうか、お答え願いたいと存じます。  最後に、総理大臣にお伺いいたします。現在、政府は、交通対策本部あるいは関係閣僚協議会を持って、交通問題にかなり積極的な態度を見せておられはしますけれども、まだいままでのところ、いわゆる交通戦争に対する戦術的な対策に追われ、基本的な戦略が確立されているとは申されません。戦略の確立こそ交通戦争に勝つ道であります。そこで、私は、道路の整備及び安全施設の整備、交通安全思想の徹底、交通秩序の確立、事故犠牲者に対する補償など、いわゆる四本の柱、その他、物心両面にわたる総合的な交通安全基本法というものをつくる御意思があるかどうか、もしすでにその準備が進められているとすれば、いつごろ御提案になれるか、総理の明白な御答弁をお願いして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作君登壇拍手
  39. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。  ただいま自動車事故が起きておる、これはほんとうにどうしたら絶滅が期せられるか。私は、国民総ぐるみ運動によって自動車事故の絶滅を期したい、かように念願しております。ただいまの松本君の御意見も、この点について、るる御説明がございました。特に御自分の体験からしてのお話もございました。私も傾聴したのでございます。ただいま申し上げますように、輸送交通、これはまことに大事なことでございます。しかし、この輸送交通が事故を発生した場合に、これが大事なことだということで、この事故を弁護するわけにはまいりません。私はそういう意味で、事故発生者の責任、これは十分、その範囲、有無に関しまして、十分調査も必要でございますが、事故発生者の責任は重大視しなければならない、かように私は思っております。そういう意味で、いろいろ刑法の改正の問題が考えられたり、あるいはまた事故の件数、頻発するその状況から見まして、いかにしたらこの事務処理が円滑にできるか、こういうようなところから、今回特に反則金制度なるものをくふういたしたのであります。私は、この事故絶滅、また交通の重要性等から見まして、起こる違反行為あるいは事故、こういうものに対処する場合の警察当局なり検察当局等、これは同情すべき点は同情いたしますが、事故をなくするということに重点を置いてぜひとも法の運用をはかっていただきたい、かように私は思うのであります。それかと申しまして、ただいまお話になりましたように、事、生活権に関する問題だ、まことに重大な問題である、かようにも言われるので、その衝に当たる者といたしましては、これがいやしくも過酷に過ぎる、こういうことがあってはならないと思います。ただいま行政のむずかしい点、政治のむずかしい点、こういうところじゃないか、るるお話になりました。私もそのとおりに考えるのでございます。ただいま、この時代におきまして、何とかして交通秩序を確立し、交通事故を起こさないように、最善の努力をしたいと私は考えるものでございまして、そういう意味で、運転者諸君もぜひとも協力をしていただきたい、かように念願するものであります。もちろん私は、取り締まり官庁に対しましては、ただいま御注意のありました点に十分思いをいたしまして、生活権を守り、また過酷にならないように、また権力的にならないように、十分注意するようにいたしたいものだと思っております。  次に、反則金の使い方の問題であります。これが特別交付金として市町村に出されました場合に、いわゆる国の直轄事業あるいは補助事業にこの金を使ってはならない、財源にしてはならない、この金はどこまでも単独事業に充てるのだと、こういうことがはっきり、実は明らかにしてあるのでございます。ただいま、施設あるいは信号機等の話が出ましたが、私は、そういう点も地方公共団体が単独事業としてする場合もあるのでございますから、いわゆる国の直轄事業あるいは補助事業、こういうものとはせつ然と区別する、こういう考え方でございます。  次に、大蔵大臣に対して、十分の財源措置をとるようにということでございますが、これは私、総理といたしまして、予算編成上において、財政の許す限り最善の努力をするようにいたすつもりであります。  次に、交通安全基本法をつくれ、こういう御提案でございます。私は、交通安全基本法の四本の柱として述べられるもの、これは、それぞれまことに意味があり、大事なことだと思っております。しかし、まだこの安全基本法の中身については、さらに私は検討を必要とするのではないかと思っております。ただいま直ちに安全基本法は起案する、提案するというようなところまでは行っておりません。しかし、冒頭に申しましたように、交通事故、これを国民総ぐるみ連動で絶滅を期したい、かように念願しておりますので、前向きでこの中身等をさらに検討してみたい、かように思っております。(拍手)    〔国務大臣藤枝泉介君登壇拍手
  40. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 刑法改正については法務大臣からお答えしたほうがよろしいかと存じますが、私どもの理解の範囲におきましては、業務上過失致死傷罪というものは、元来、刑法の体系に入るべきものでございますので、その中で、自動車による業務上過失致死傷罪だけを摘出するのはいかがかと存じたわけでございます。  反則行為の中には、軽微だ軽微だと言うが、危険なものがあるではないかというお話でございました。スピード違反、積載制限違反などは危険なところもございますが、元来、この制度の対象となるものは、酔っぱらい運転、あるいはひき逃げ、無免許運転というようなものを除き、しかも、たびたび事故を起こしたような反復行為者もこれから除いております。それで、この反則行為をした者でありましても、反則金を納めるほかに、運転免許の取り消し、停止を受けるような場合もございますので、そうすれば、それは反復行為者になりまして、この制度からはずれるわけであります。それで、この程度のものでよろしいのではないかと存じております。  警察は指導本位であれ、運転者のよき助言者であれというお説につきましては、まさにそのとおりでございまして、従来もそのような意味におきまして、できるだけ指導本位に、違反を起こす前に注意をして是正をするという努力につきまして、警察官の教養につとめてまいったわけでございますが、今回のこの反則金制度になりますれば、なおさらそのことが必要でございますので、この一年間の間におきまして、さらに教養を深めさせてまいりたいと思います。  なお、反則金による交通安全特別交付金につきましては、ただいま総理から申し上げましたが、要するに、直轄や補助の地方負担には充ててはならないということがはっきり書いてございます。また、その使途等については報告を求めることもできますので、この特別交付金ができました趣旨にのっとって使用されるように今後も地方団体を指導してまいりたいと存じます。(拍手)    〔国務大臣田中伊三次君登壇拍手
  41. 田中伊三次

    国務大臣(田中伊三次君) 別案で刑法の一部改正をお願い申し上げておりますが、なぜ刑法の一部改正でやるのか、これを道交法でやればよろしいではないかという御意見でございます。ごもっともな御意見と考えるのでありますが、ありのままに申し上げますと、最近の交通事犯中、特に目立つものは、自動車という凶器を振りかざして人を殺傷するような悪質な者が非常に多くなっております。で、そういう悪質な者、いわゆる殺人傷害罪をもって処断すべきものであると考えられるような業務上の過失致死傷罪がふえてきたわけであります。それをかりに道交法の改正でやるといたしますと、軽いものは刑法に残っている、悪質な重いものは道交法で処断するという、同じ業務上の過失致死傷罪、重過失致死傷罪という同じ罪名に関して、刑法という法律と道交法という法律と二つの法律が国家にあるということになるわけであります。そういうところから見ますると、かりに道交法の改正をいたしました場合には、自動車の運転者のみは悪質の場合に重い刑罰を受ける。自動車の運転者でない似たものといたしましては、電車の運転手、汽車の運転手、船舶の運転手、飛行機の運転手というようなごとき場合には、いかに悪質なる違反がありましても、これは刑法によって軽く処罰せざるを得ないことになってくる。で、刑罰法規の大原則は、申し上げるまでもなく、公平でなければならぬということが原則でございます。そういう点から、どうしても道交法の改正に持っていくわけにはいかない、やはり刑法を改正するということによって悪質の場合においてのみ厳重処罰をしよう、こういうことがねらいでありますから、どうか御協力をお願いいたします。(拍手)    〔国務大臣西村英一君登壇拍手
  42. 西村英一

    国務大臣(西村英一君) 私に対する御質問の第一点は、交通量と道路とのアンバランスの解消をどうしてするかということでございます。自動車の生産、自動車の運営というものを押えられない限り、やはり道路の新設、道路の改良ということを、予算をたくさん投入しましてやる以外に方法はないのでございます。したがいまして、今回の第五次五カ年計画の改訂につきましても、従来の四次計画では自動車の増加に対応できないので、今回改正をしたいのでございます。また、第五次五カ年計画をやる場合でも、この相当先の見通しをつけまして、そのときの社会経済のもとではどれだけの交通需要量があるであろうかということを一応計算をいたしまして、それにふさわしい道路はこのくらいにやらなければならぬ、国道につきましてもこうやる、有料道路につきましてもこのくらい金を投入しなければならぬということで申し述べたのでございます。私は、四十六年度の第五次五カ年の最終の自動車数は、四十一年度が二輪車を除きまして八百万台、そうすると四十六年度は千六百万台ぐらいになるであろう、そのもとで、こうした自動車の道路を拡充しなければならぬということで、その自動車の伸び率と予算の伸び率を申し上げたのでございまして、これは私、参考のために申し上げたのでございます。あくまでも自動車道路を改良するということにあるのでございます。  第二点の問題は、交通安全整備のこの進め方はどうかと申しますが、大体昨年交通安全施設の整備計画を立てまして、四十一年と四十二年でおよそ三百五十億、六三%ぐらいの見通しでございます。しかしながら、この金をもっていたしましても、まだ最近の自動車事故には、やはりあまり改善は、われわれが期待するように改善はできませんので、新しい観点からこの安全施設につきましては将来とも十分取り組んでいきたいと、かように考えておるものでございます。(拍手)    〔国務大臣早川崇登壇拍手
  43. 早川崇

    国務大臣早川崇君) 交通事故をなくするために、運転者の労務条件の向上という面からアプローチをし、また必要であれば基準法を改正しろという御意見でございます。私といたしましては、交通事故対策に、運転者の労務管理の面からアプローチしていくという御意見に対しては全く同感でございまして、労働省といたしましては、昭和四十二年二月九日に特に自動車運転者の労働時間等の改善基準をつくりまして、全国一万二千の事業場につきまして監督を実施いたしました。また、四十一年度は一般産業の三倍にわたる事業場の実施率をはかっているわけでございまして、超過勤務、休日を与えないとか、あるいは過当な歩合い制度等は、労働基準法の現在の法律にも抵触をいたしますので、そういう事業主に対してはどしどし処罰をする方針で実施をいたしておる次第でございます。したがって、労働基準法を特に改正するよりも、現にある労働基準法の条項を完全に実施するように労働省は指導してまいりまして、労務面から交通事故の根絶のために努力をいたしたいと考えております。(拍手
  44. 河野謙三

    ○副議長(河野謙三君) これにて質疑の通告者の発言は終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。      ——————————
  45. 河野謙三

    ○副議長(河野謙三君) 日程第三、通関業法案内閣提出)。  日程第四、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、税務署の設置に関し承認を求めるの件(衆議院送付)。  以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 河野謙三

    ○副議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員長竹中垣夫君。     —————————————    〔竹中恒夫君登壇拍手
  47. 竹中恒夫

    ○竹中恒夫君 ただいま議題となりました一法律案外一件につきまして、委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  まず通関業法案について申し上げます。  本案は、現行の税関貨物取扱人法が明治三十四年に制定されて以来、今日まで、実質的な改正が行なわれておらず、また、昨年十月より関税について申告納税制度が採用されたことに伴い、今回、実情に即した制度の整備をはかるため、現行法を全文改正しようとするものであります。  以下その概要を申し上げますと、  第一は、税関貨物取扱人法の名称を通関業法と改めることとし、  第二は、通関業者の営業の範囲、許可の基準及び欠格事由等について、現状に即するよう規定整備を行ない、  第三は、通関業者は一定の資格試験に合格した通関士を各営業所ごとに少なくとも一名以上配置しなければならないこととし、  第四は、通関業者の業務の遂行について、秘密を守る義務、料金の掲示義務、信用失墜行為の禁止等の規定を設け、利用者の利益の保護をはかることとし、その他、通関業者及び通関士に不正があった場合の処分、罰則等に関して、所要規定整備をはかることとしております。  なお、経過規定として、従来の税関貨物取扱人については、三年間は従来どおり営業を認め、その許可への切りかえについては、許可の基準を緩和する等の措置を講ずることとしております。  委員会における審議の詳細につきましては、会議録によって御承知を願いたいと存じます。  質疑を終了し、採決の結果、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。     —————————————  次に、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、税務署の設置に関し承認を求めるの件について申し上げます。  本件は、最近における大都市地域の納税者及び課税物件の大幅な増加等による事務の増大に対処し、納税者の利便と税務行政の円滑な運営をはかるため、東京国税局に北沢税務署を、大阪国税局に東淀川税務署を、広島国税局に広島南税務署をそれぞれ設置することについて国会の承認を求めようとするものであります。  委員会における審議の詳細につきましては、会議録によって御承知を願いたいと存じます。  質疑を終了し、採決の結果、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  48. 河野謙三

    ○副議長(河野謙三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  まず、通関業法案全部を問題に供します。本案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  49. 河野謙三

    ○副議長(河野謙三君) 過半数と認めます。よって、本案は可決せられました。      ——————————
  50. 河野謙三

    ○副議長(河野謙三君) 次に、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、税務署の設置に関し承認を求めるの件全部を問題に供します。本件を承認することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  51. 河野謙三

    ○副議長(河野謙三君) 過半数と認めます。よって、本件は承認することに決しました。      ——————————
  52. 河野謙三

    ○副議長(河野謙三君) 日程第五、船舶整備公団法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。運輸委員長天坊裕彦君。    〔天坊裕彦君登壇拍手
  53. 天坊裕彦

    ○天坊裕彦君 ただいま議題となりました法律案について、運輸委員会における審議の経過及び結果を御報告申し上げます。  本法律案の要旨は、第一に、船舶整備公団の資金の調達を円滑にするため、その発行する船舶整備債券にかかる債務について政府が保証することができるよう改め、第二に、公団の余裕金の運用の効率化をはかるため、従来の方法のほか、運輸大臣の指定する有価証券の取得を認めようとするものであります。  委員会におきましては、内航海運対策の進捗状況と今後の見通し、及び公団の資金構成と公団経理との関係等について質疑が行なわれましたが、詳細は会議録に譲りたいと存じます。  以上で質疑を終るし、討論、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  54. 河野謙三

    ○副議長(河野謙三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  55. 河野謙三

    ○副議長(河野謙三君) 過半数と認めます。よって、本案は可決せられました。      ——————————
  56. 河野謙三

    ○副議長(河野謙三君) 日程第六、宮内庁法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長豊田雅孝君。    〔豊田雅孝君登壇拍手
  57. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 ただいま議題となりました宮内庁法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  現行宮内庁法では、宮内庁の職員の定数は、特別職と一般職とを区分してそれぞれその定数が定められているのでありますが、本法律案は、同庁職員の定員管理の合理化をはかるため、その区分を廃止しようとするものであります。  委員会におきましては、一般職と特別職の区分を廃止する具体的理由、宮内庁職員の待遇改善、新宮殿建設の進行状況等について質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。  質疑を終わり、別に討論もなく、採決の結果、本法律案全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  58. 河野謙三

    ○副議長(河野謙三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  59. 河野謙三

    ○副議長(河野謙三君) 過半数と認めます。よって、本案は可決せられました。      ——————————
  60. 河野謙三

    ○副議長(河野謙三君) 日程第七、石炭鉱業再建整備臨時措置法案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。石炭対策特別委員長鈴木壽君。    〔鈴木壽君登壇拍手
  61. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 ただいま議題となりました石炭鉱業再建整備臨時措置法案につきまして、委員会における審査の経過並びに結果を御報告いたします。  本法案は、石炭鉱業のいわゆる抜本的安定策の重要施策として、石炭鉱業の過重負担を軽減するため、通産大臣から再建整備計画の認可を受けた会社の借り入れ金一千億円を限度とし、十ないし十二年間の元利均等で国が元利補給をすることとし、したがって、再建整備会社は業務及び経理の監査を受けねばならず、利益を計上した場合は一定金額を国庫に納付することにしようとするものであります。  委員会におきましては、労使双方からの参考人を招いて意見を聞くとともに、総合エネルギー政策における石炭の地位、石炭鉱業の再建見通し、私企業としての限界性、出炭の維持と需要の確保、鉱区調整等、石炭鉱業の各般にわたる諸問題について質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録に譲ります。  質疑を終わり、討論なく、直ちに採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次いで、西田委員より「政府は、今後の石炭対策を一そう強化し、本法が企業努力を失わしめないよう弾力的に運用すべし」という旨の附帯決議案が提出され、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  以上御報告を終わります。(拍手
  62. 河野謙三

    ○副議長(河野謙三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  63. 河野謙三

    ○副議長(河野謙三君) 過半数と認めます。よって、本案は可決せられました。      ——————————
  64. 河野謙三

    ○副議長(河野謙三君) 日程第八、昭和三十九年度一般会計歳入歳出決算昭和三十九年度特別会計歳入歳出決算昭和三十九年度国税収納金整理資金受払計算書昭和三十九年度政府関係機関決算書。  日程第九、昭和三十九年度国有財産増減及び現在額総計算書。  日程第十、昭和三十九年度国有財産無償貸付状況計算書。  以上三件を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 河野謙三

    ○副議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長の報告を求めます。決算委員長亀田得治君。    〔亀田得治君登壇拍手
  66. 亀田得治

    ○亀田得治君 ただいま議題となりました昭和三十九年度決算関係四件及び国有財産関係計算書二件につきまして、決算委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  まず、昭和三十九年度決算関係四件は、昭和四十年十二月二十八日、国会提出され、昭和四十一年三月四日、当委員会に付託されました。  当委員会は、本件決算の審査にあたりましては、会計検査院の検査報告中心の審査ということではなく、国会としての立場から、国民の声の反映としての批判を通して、国会議決した予算及び関係法律が、適正かつ効率的に執行されたかどうかという点を主眼といたし、さらに必要ならば政策の批判にまでも及ぼうという心がまえで審査を行なった次第であります。かくて、委員会を開くこと二十九回に及び、慎重に審査を重ねました。  なお、審査及び議決の方式についても、種々意見の開陳があり、委員会としては、これに関し、将来一そう財政民主主義の趣旨に沿わしめるよう検討を進めるとの申し合わせをするなどの経過を経たのであります。それらの詳細は会議録によって御承知を願います。  委員会は、六月十四日質疑を終了し、一昨二十一日、委員長提案の十六項目にわたる警告を与えること、及びそれ以外については異議がない旨の議決案につき討論、採決を行ないました。  討論においては、社会党、公明党及び共産党を代表した委員から、議決案記載の警告事項については賛成であるが、本件決算については数々の不当事項が検査院から指摘され、なお、これは氷山の一角と思われるので、承認することには反対である旨、また自由民主党を代表した委員から、警告を発しながらも決算は承認する旨の開陳がありました。  かくて、討論を終わり、採決の結果、本件決算四件は、多数をもって審査報告書のとおり異議がないと議決されました。  内閣に対する警告事項内容を要約すれば、次のとおりであります。  (1) 基地周辺における民生安定に関する諸施策については、一段と行き届いた措置を行なうよう努力すべきである。  (2) 松山刑務所の看守にかかわる贈収賄事件はまことに遺憾であり、法務省は、この種の事案の絶滅に一そう努力すべきである。  (3) 法務局における登記関係の事務が渋滞し、国民が不便をこうむっているので、法務省は不便解消につき対策をすべきである。  (4) 計画的な巨額の脱税が検察当局の取り調べによって摘発された事態は遺憾にたえない。政府は大口脱税防止措置をさらに強化すべきである。  (5) 国有財産の管理処分につき、政府は、管理方式上の相次ぐ改正を行なったが、その具体的な運用にあやまちなきを期すべきである。  (6) 社会福祉法人日本ベル福祉協会に対する厚生省の補助金交付については遺憾な点が多い。猛省の上、補助効果の確保、向上を期すべきである。  (7) 共和製糖グループに対する農林漁業金融公庫及び農林中央金庫の融資は、債権管理上不十分なところがあるので、両金融機関は、その資金の運用にあたり、なお一そう慎重な配慮を加えるべきであり、政府もまた両金融機関の指導監督について十分反省すべきである。  (8) 中小企業対策は、決して十分であるとは考えられない。真に効果ある対策を確立すべきである。  (9) 日本国有鉄道の営業成績は、三十九年度以降巨額の赤字を計上している。政府は、国鉄の経営について一そう適切な指導監督を行なうべきである。  (10) 郵政省部内における職員の不正行為につき、当局は一そう実効ある防止対策実施して、その絶滅をはかるべきである。  (11) 労働者災害補償保険及び失業保険の保険料の徴収不足については、労働省は、被保険者の生活実態を調査の上、是正防止に一そう努力すべきである。  (12) 住宅建設については、民間住宅の建設促進のための施策を強化すべきである。  (13) 公共土木事業の請負の実態については、政府は、建設業者の指名制度及び指導行政の運用の面に反省を加えるべきである。  (14) 災害復旧工事費の査定について、例年会計検査院より指摘されているのは遺憾である。政府は、これが絶滅を期し、努力すべきである。  (15) 日本専売公社における歳出のうち、旅費などの一部費目について、いまだ多額の流用増額が行なわれているが、これは早急に改善すべきである。  (16) 日本住宅公団の用地取得については、円滑を欠く事態が見受けられる。改善の措置をとるべきである。  以上であります。     —————————————  次に、昭和三十九年度国有財産増減及び現在額総計算書昭和三十九年度国有財産無償貸付状況計算書について申し上げます。  この二件につきましても、採決の結果、多数をもって異議がないと議決いたした次第であります。  以上報告いたします。(拍手
  67. 河野謙三

    ○副議長(河野謙三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  三件全部を問題に供します。三件は、委員長報告のとおり決することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  68. 河野謙三

    ○副議長(河野謙三君) 過半数と認めます。よって、三件は、委員長報告のとおり決せられました。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時十八分散会