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最高裁判所長官代理者(
菅野啓蔵君) この点が、実は
執行官法制定の際に、私
ども執行官の
制度を実施するものといたしまして、その切りかえにつきまして非常に考慮を払わなければならない点であるというふうに考えておったところでございます。さような
意味におきまして、いわゆる
執行吏代理の
制度というものは、これは不合理であるので
廃止するということにいたしたわけでございますが、いま直ちにその
制度をやめろということではございませんで、その間の
経過規定をつくっていただいたわけでございます。当分の
間執行吏代理——いまは
臨時執行官事務取り扱い者というものがいまでもおるわけでございます。しかし、これは
制度の目的といたしましては、将来解消していくべきものである。そういう
人々が、実は
法律施行の際に、現在まだ二百七名おるのでございます。その中では、御
承知のように、
執行官事務取り扱い者ではありますけれ
ども、その
執行官の
事務のうちいわゆる
執行を取り扱う者と、
送達だけを取り扱う
送達執行吏代理と言われておった人がおるわけでございますが、その二百七名のうちの内訳を申し上げますと、
執行をする資格のある者が九十七名、
送達のみの者が百十名、それでいわゆる
執行吏代理をなくしていくという
執行官法の趣旨でありますが、その
執行吏代理というものの中で特にその
執行をやる
執行吏代理というものをなくさなくてはいかぬ。
送達につきましては、これはなお将来研究すべき余地があるというので、まあこの
送達代理というものはしばらくの間また残っていくかと思いますけれ
ども、
執行吏代理というものは、私
どもといたしましては、暫定的といいましても、ここ二、三年のうちにそういう姿をなくしていこうというふうに考えておったわけでございます。したがいまして、現在その
関係の
執行吏代理の九十七名という
人々の
処遇ということが問題になるわけだと思うのでございますが、このいわゆる
執行吏代理のうち数名の者が
執行吏になる
実務の
修習ということを現に命ぜられております。そういたしまして、昨年の
執行官法は、そういう者につきましては、新法にかかわらず、旧法の
規定によって
執行官に
任命することができるということになっておりまするので、この九十七名のうち現に
実務修習中の者につきましては、
試験の上しかるべき時期におきまして
執行官になり得るというふうに考えておるのでございます。それで、あと九十名くらいの人でございますが、従来の
実績から申しますと、
執行吏代理の方で年齢のために自然
退職されるという方が、年間にやはり三十名くらいはあるわけでございます。まあ三年くらいの後には、従来の
実績から言いますと、そういう
方々はいなくなると、なおそれでも残る方があれば、これは先ほ
ども申し上げましたように、
会計方面につきまして
裁判所の
職員が必要であるというような
事情もございまするので、できればそういった面に
裁判所の
職員として取り入れていきたい、かようにしてこれらの
方々の後々のことを考えたい、かように思っているわけでございます。それからなお、
事務員がいるわけでございます。これが二百九十九名ただいまのところおります。全国的に見まして、これが
大半が未婚の
女子の方で、まあ結婚前に
事務の手伝いをするというような方が
大半でございます。そういう
意味で、この
執行吏代理の
制度は三年先にはなくなるだろうと思いますけれ
ども、
事務員の
制度というものはいましばらく残るんじゃないかと思います。その間に
女子の
方々は何とかなるんじゃないかというふうに考えておりますし、それからなおその他の方につきましても、
裁判所の
職員として採用できる人はなるべくそういうような
方法をとってまいりたい。で、
最後までこういう
方々が
制度の
犠牲といいますか、
制度改正の
犠牲にならないような配慮は十分にいたしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。