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説明員(
安原美穂君)
法務省関係の当第五十五回
国会提出予定法案について簡単に御
説明申し上げます。
すでにお手元に差し上げてあります
予定法案の表の順序に従いまして御
説明申し上げたいと思います。
※印は
予算関係の
法案でございまして、それは二件でございます。△印は、
予算関係の
法案ではございますが、
法務省関係あるいは
裁判所関係の
予算には入っておりませんで、総理府の
関係予算に入っている
恩給関係でございます。その他の四件は、
予算関係法案ではございません。
さて、第一番目は、
裁判所職員定員法の一部を改正する
法律案でございますが、これは新たに
地方裁判所及び
簡易裁判所において取り扱うことになります
借地関係事件の適正迅速な
処理をはかるというようなことを主とした理由といたしまして
裁判官判事の
員数を四人、
簡易裁判所判事三人、
補助職員である
裁判官以外の
裁判所の
職員の
員数を四十七人
増加しようとするものであります。
それから、この
裁判所職員定員法の一部
改正案は、すでに
国会に
提出になりまして、目下衆議院の
法務委員会におきまして審議中でございます。
続きまして、
法務省設置法の一部を改正する
法律案でございますが、要旨にも書いてございますように、最近の
少年犯罪の
傾向にかんがみまして、栃木県の塩谷郡喜連川町に
少年院を新設いたしますとともに、神戸の再度山学院を廃止しようというのが、改正の第一点でございます。続きまして第二点は、秋田市、いわき市、七尾市、小松島市大分市及び日向市に入国管理
事務所の出張所を置こうというのが主要な改正点であります。
第二点の、秋田市には秋田港、いわき市には小名浜港、七尾市には七尾港、小松島市には小松島港、大分市には大分港、日向市には細島港という港がございまして、最近これらの港の出入国者数が逐次
増加してまいりましたので、これらの港の出入国管理
業務を円滑に行なう必要上、出張所を設ける必要があるのでございます。これは衆議院の内閣
委員会に付託になりまして、ただいま審議中であります。
第三番目は、旧執達吏規則に基づく恩給の年額の改定に関する
法律案でございまして、これは一般の公務員の恩給の
増額に伴いまして、すでに退職いたしました執行吏の受ける受給額
——執達吏規則に基づく恩給の年額を、一般公務員の恩給の
増額にスライドいたしまして
増額しようとするものであります。これもすでに衆議院の
法務委員会で審議中であります。
続きまして、下級
裁判所の設立及び管轄区域に関する
法律の一部を改正する
法律案でございます。市町村の廃置分合等に伴いまして、若干の
簡易裁判所で、吉原、布施、平、
簡易裁判所の名称を、それぞれ富士、東大阪、いわきというように名称を変更するということ。第二に、尾道、福山、平、福島、富岡の
簡易裁判所の管轄区域が、一つの市が二つの
簡易裁判所にまたがっているという点を改正しようとするものであり、第三に、下級
裁判所の市町村の廃置分合に伴いまして管轄区域の市町村の名称が変わっておりますので、これを整理しようとするものでございます。これはまだ
国会に
提出されておりませんが、近く
提出し、当参議院において先議をお願いしたいというふうに考えておる
法案でございます。
次は、会社
更生法等の一部を改正する
法律案でございまして、会社
更生事件の最近の実情にかんがみまして、会社
更生手続の円滑な遂行をはかるため緊急に改正を要すると認められる
事項につきまして所要の改正を行なおとするものでございまして、第一番の柱といたしましては、中小企業者の債権の保護その他各種の権利者の利害の調整をはかろうとするのが改正の主要な柱でございまして、たとえば
更生手続が開始されますと共益債権以外の一切の債権は
裁判所による弁済計画の認可に至るまでたな上げにされるところから、御承知のとおり、
更生会社への依存度の高い中小企業者の下請業者等は大きな影響を受けまして、いわゆる連鎖倒産におちいるおそれがありますので、中小企業者の債権につきましては、共益債権と同様に、
更生計画、すなわち弁済計画を
裁判所の認可する前でも
裁判所の許可を得て随時弁済の先払いができるというようにしようとする等、関係各種の権利者の利害の調整をはかることを一つの柱とするとともに、第二の柱といたしまして
更生手続の乱用を
防止しようとするものであります。たとえば保全処分
——更生手続の開始の申し立てをいたしますると、直ちに
裁判所に申し立てをした者が保全処分を求めますと、財産の処分が
更生計画開始前におきましても禁止されるようになります。それを一つの金科玉条といたしまして債権者に対して話し合いをつけてしまい、その後に申し立てを取り下げるというような悪用される
傾向がございますので、
裁判所の許可を得なければ
更生手続の開始の申し立てをした後は取り下げられないということにしたいというふうに、
更生手続の乱用
防止の対策を一つの柱といたします。第三番目に、
裁判所の補助機関の
強化という意味におきまして、
調査員制度というものを
更生手続の開始の前後を問わずいつまでも
裁判所が利用して、企業の診断役として利用できるというようにしたいというのが、改正の大きな柱の第三点でございます。以上でございまして、改正の
内容は全文百条をこえる大きな改正でございますが、最近におきまして法制審議会の答申を得ましたために、いまだに
提出されておりません。近く
国会に
提出される予定になっております。
それから次は、司法書士法及び土地家屋
調査士法の一部を改正する
法律案でございまして、この表にも書いてごいますように、全国に司法書士会というものは連合会を含めまして五十、土地家屋
調査士会も同じく五十ございますが、これがいまのところ人格なき社団といたしまして法人格を持っておりませんが、最近これらの書士会あるいは
調査士会がそれ自体の財産を保有するようになる状況に立ち至りましたので、これに法人格を与えることによって権利義務関係を明らかにしようとするのを主要な
内容とする改正でございまして、すでに当参議院に先議としてお願いを申し上げておる
法案でございます。
最後は、すでに二回にわたりまして当
国会に
提出いたしました刑法の一部を改正する
法律案でございまして、最近の交通事情にかんがみまして、併合罪の規定を
整備し、
業務上過失致死傷の罪に対する刑の引き上げをはかろうとするものであります。すでに
国会には
提出されておりますが、まだ審議が始まっておらない状況でございます。
以上、簡単でございますが、
説明といたします。