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1967-07-20 第55回国会 参議院 文教委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月二十日(木曜日)    午後一時五十三分開会     —————————————    委員異動  七月十七日     辞任         補欠選任      戸田 菊雄君     成瀬 幡治君  七月十八日     辞任         補欠選任      重宗 雄三君     鬼丸 勝之君      柏原 ヤス君     渋谷 邦彦君  七月十九日     辞任         補欠選任      渋谷 邦彦君     柏原 ヤス君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         大谷藤之助君     理 事                 楠  正俊君                 中野 文門君                 秋山 長造君                 鈴木  力君     委 員                 北畠 教真君                 近藤 鶴代君                 内藤誉三郎君                 二木 謙吾君                 吉江 勝保君                 小野  明君                 小林  武君                 千葉千代世君                 成瀬 幡治君                 柏原 ヤス君                 林   塩君        発  議  者  鈴木  力君        発  議  者  小林  武君        発  議  者  小野  明君    国務大臣        文 部 大 臣  剱木 亨弘君    政府委員        文部大臣官房長  岩間英太郎君        文部大臣官房会        計課長      井内慶次郎君        文部省初等中等        教育局長     斎藤  正君        文部省大学学術        局長       天城  勲君    事務局側        常任委員会専門        員        渡辺  猛君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○日本学術振興会法案内閣提出衆議院送付) ○国立及び公立学校教員に対する研修手当の  支給に関する法律案鈴木力君外一名発議) ○日本育英会法の一部を改正する法律案秋山長  造君外一名発議) ○日本育英会昭和二十五年四月一日以後の貸与  契約により貸与した貸与金返還免除に関する  法律案秋山長造君外一名発議) ○女子教育職員の出産に際しての補助教育職員の  確保に関する法律の一部を改正する法律案(小  野明君外一名発議) ○高等学校定時制教育及び通信教育振興法の一  部を改正する法律案秋山長造君外一名発議) ○産業教育手当法案小林武君外一名発議) ○へき地教育振興法の一部を改正する法律案(鈴  木力君外一名発議) ○産炭地域における公立の小学校及び中学校の学  級編制及び教職員設置に関する特別措置等に関  する法律案小野明君外一名発議) ○難波宮跡保存に関する請願(第一号) ○へき地教育振興法の一部改正に関する請願(第  二号)(第三号) ○高等学校すしづめ解消教職員定数増員等  教育条件改善に関する請願(第四号) ○教科書無償給与完全実施に関する請願(第五  号)(第六号) ○靖国神社の国家護持に関する請願(第七号)  (第五〇五号)(第八七五号) ○学校栄養士設置に関する請願(第三四号)  (第三八号)(第四二号)(第四三号)(第一  一二号)(第一一七号)(第一二一号)(第一  二七号)(第一九六号)(第二三七号)(第二  五三号)(第二六〇号)(第二七五号)(第三  三六号)(第三三七号)(第三四六号)(第三  九一号)(第四七六号)(第六四〇号) ○各種学校制度早期確立に関する請願(第九  六号)(第八九〇号)(第一〇五七号) ○難波宮跡田能遺跡等文化財埋蔵地完全保存  措置に関する請願(第一〇三号) ○義務教育施設等整備促進に関する請願(第一  七三号) ○心臓病の子供の教育のため病、虚弱児学校及び  学級増設に関する請願(第一九七号)(第三三  八号)(第八九一号)(第八九六号)(第八九  七号)(第一〇二五号)(第一一五九号)(第  一一七〇号)(第一一八一号)(第一一八二  号)(第一一八三号)(第一一九九号)(第一  二五八号)(第一三七二号)(第二〇六六号)  (第三三七〇号) ○学校給食用小麦粉国庫補助に関する請願(第二  三八号) ○戦時動員学徒公務殉職者在籍校卒業認定に関  する請願(第三八二号) ○ローマ字つづり方統一に関する請願(第四七  九号)(第五〇七号) ○幼児教育振興に関する請願(第七二六号)(第  七二七号)(第七二八号)(第七二九号)(第  七三〇号)(第七三百万)(第七三二号)(第  七八三号)(第七八四号)(第七八五号)(第  七八六号)(第七八七号)(第七八八号) ○学校建築費国庫負担率引上げに関する請願  (第八七六号) ○鹿児島大学水産学部水産増殖学科新設に関す  る請願(第八七七号) ○校庭拡張等に伴う校地取得に対する国庫補助に  関する請願(第八七八号) ○第二十七回国民体育大学の鹿児島県開催に関す  る請願(第八七九号) ○大学等授業料値上げ反対並びに奨学資金拡充  に関する請願(第八八八号)(第一〇六九号)  (第一五四九号)(第一五五〇号)(第一五五  一号)(第一五五二号)(第一五五三号)(第  一五五四号)(第一五五五号)(第一五五六  号)(第一五五七号)(第一五五八号)(第一  五五九号)(第一七六八号)(第一七六九号)  (第一七七〇号)(第一七七一号)(第一七七  二号)(第一七七三号)(第一七七四号)(第  一七七五号)(第一九一六号)(第一九一七  号)(第一九一八号)(第一九一九号)(第一  九二〇号)(第一九二一号)(第一九二二号)  (第二〇七四号)(第二〇七五号)(第二〇七  六号) ○伊勢皇大神宮等特定神社国家護持等に関する  請願(第九九三号) ○公立高等学校設置適正配置び教職員定数  の標準等に関する法律改正に関する請願(第  一〇三七号)(第一〇四三号)(第一〇七〇  号)(第一〇七一号)(第一二六九号)(第一  四一四号)(第三六〇九号)(第三六一〇号)  (第三六九五号)(第三八三九号)(第三八八  五号)(第三九三八号)(第三九三九号)(第  三九四〇号)(第三九四一号)(第三九四二  号)(第三九四三号)(第三九四四号)(第三  九四五号)(第三九四六号)(第三九四七号)  (第  三九四八号)(第三九四九号)(第三九五〇  号)(第三九五一号) ○複式学級解消並びに級外教員及び養護教員の配  置に関する請願(第一〇九九号) ○在日朝鮮公民民族教育の保障に関する請願  (第一一〇〇号) ○ローマ字統一促進に関する請願(第一一〇二  号) ○公立義務教育学校学級編制及び教職員定数  の標準に関する法律改正に関する請願(第一二  二九号) ○義務教育における毛筆習字必修に関する請願  (第一一四五号)(第一二八四号)(第一二八  五号)(第一二八六号)(第一二八七号)(第  一二八八号)(第一二八九号)(第一四五六  号)(第一四八〇号)(第一四八一号)(第一  九一五号)(第三二四〇号) ○ローマ字に関する請願(第一四一五号) ○戦傷病者の子女の育英資金等に関する請願(第  一四四六号) ○司書教諭即時発令及び学校司書制度法制化  に関する請願(第二三一一二号)(第二四四〇  号)(第二六一六号)(第二七五七号)(第三  〇三七号)(第一二五七号)(第三一五八号)  (第三二〇六号)(第三二〇七号)(第三二三  八号)(第三二三九号)(第三四四五号)(第  三四四六号)(第三六一一号)(第三六四三  号)(第三六九三号)(第三七四三号)(第三  八二四号)(第三八八六号)(第四〇一九号)  (第四一五七号) ○国立大学授業料値上げ反対並びに米軍大学  への資金導入反対等に関する請願(第二三三二  号) ○学校警備員設置に関する請願(第二四四三号)  (第二四四四号)(第二四四五号) ○公立高等学校設置適正配置び教職員定数  の標準等に関する法律改正に関する請願(第  三一五五号)(第三一五六号)(第四〇二〇  号) ○国立大学における助手の名称変更に関する請願  (第三三六四号)(第三三六五号)(第三三六  六号)(第三三六七号)(第三三六八号)(第  三三六九号)(第三四四七号)(第三四四八  号)(第三四四九号)(第三四五〇号)(第三  四五一号)(第三六九四号) ○学校教育費財源措置に関する請願(第三四三  八号)(第三六二七号) ○自閉症児教育施設等整備に関する請願(第  三五〇〇号) ○へき地教育振興に関する請願(第三六一九号) ○公立特殊教育学校の非義務学年学級編制及  び教職員定数に関する法律制定に関する請願  (第三六三四号)(第三八二五号)(第二八二  六号)(第三九五二号)(第三九五三号)(第  三九五四号)(第三九五五号)(第三九五六  号)(第三九五七号)(第三九五八号)(第三  九五九号)(第三九六〇号)(第三九六一号)  (第三九六二号)(第三九六三号)(第三九六  四号)(第三九六五号)(第四〇二一号)(第  四一五九号)(第四一六〇号)(第四一六一  号)(第四一六二号)(第四一六三号) ○公立学校職員の時間外勤務手当支給に関する請  願(第三七八四号) ○国立電波高等学校高等専門学校昇格に関する  請願(第三八四〇号)(第四一五八号) ○女子教育職員育児休暇法制定促進に関する請  願(第四〇二二号)(第四〇二三号)(第四一  六四号)(第四一六五号)(第四一六六号)  (第四一六七号)(第四一六八号)(第四一八  九号)(第四一七〇号)(第四一七四号)(第  四一七二号)(第四一七三号)(第四一七四  号)(第四一七五号)(第四一七六号)(第四  二〇九号) ○奈良県橿原市の藤原宮跡保存に関する請願(第  四一七七号)(第四一七八号)(第四一七九  号)(第四一八〇号)(第四一八一号)(第四  一八二号)(第四一八三号)(第四一八四号)  (第四一八五号)(第四一八六号)(第四一八  七号)(第四一八八号)(第四一八九号)(第  四一九〇号)(第四一九一号)(第四一九二  号)(第四一九三号)(第四一九四号)(第四  一九五号)(第四一九六号)(第四一九七号)  (第四一九八号)(第四一九九号)(第四二〇  〇号)(第四二〇一号)(第四二〇二号)(第  四二〇三号)(第四二〇四号)(第四二〇五  号)(第四二〇六号)(第四二〇七号)(第四  二〇八号) ○継続調査要求に関する件 ○委員派遣承認要求に関する件     —————————————
  2. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  七月十七日、戸田菊雄君が委員辞任され、その補欠として成瀬幡治君が選任されました。また、十八日、重宗雄三君が委員辞任され、その補欠として鬼丸勝之君が選任されました。     —————————————
  3. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 日本学術振興会法案を議題といたします。  まず、文部大臣から提案理由説明を聴取いたします。劔木文部大臣
  4. 剱木亨弘

    国務大臣剱木亨弘君) このたび政府から提出いたしました日本学術振興会法案につきまして、提案趣旨及び内容概要を御説明申し上げます。  学術の急速な進歩とその影響力の飛躍的な増大とは、現代世界の著しい特色であり、このような動向を反映して諸外国は、学術振興につき国として各種方法手段を通じ、多角的かつ効率的な施策を講じつつあり、わが国においても学術振興をはかることはいまや国に課せられた重要な責務であると考えます。一方、最近の学術研究の急速な進展に伴い、共同研究を通じての研究組織化国際化の傾向が強まるとともに、また研究の規模も拡大の一途をたどっております。  このような研究活動の態様の変化、発展に即応し、学術研究助成研究環境整備学術に関する国際協力促進研究者養成確保等、各般にわたり国として一そう積極的に有効適切な施策を講じ、体制整備して、学術振興に関する諸事業を推進することは、学界はじめ各方面から強く要請されているところであります。  ところで、これら学術振興に関する事業のうちには、弾力的に運営をはかる必要のあるものがあり、その性格にかんがみ、国が直接実施するよりもむしろ法人等の団体にその実施をゆだねるほうが適切なものが実際上多いのでありまして、従来とも財団法人日本学術振興会にこの種の事業を行なわせてまいりました。しかしながら、国の学術に関する施策と密接な関連を持ちながらこれらの事業を一そう拡充発展させるため、さらには国際的な信用を高める上からも、特殊法人実施主体となることが最も適切妥当と考え、特殊法人日本学術振興会設立することとし、この法案を提出いたした次第であります。  次に、この法案内容を申し上げますと、特殊法人日本学術振興会設立目的を定めるとともに、その組織業務、財務、会計、監督等に関し所要の規定を設けております。すなわち、第一に、日本学術振興会法人といたしますとともに、学術研究助成研究者に対する援助学術に関する国際協力実施促進その他学術振興に関する事業を行ない、もって学術進展に寄与することをその目的とするものであります。  第二に、この法人業務についてでありますが、その第一は、共同して行なわれる学術研究に関し、研究者研究活動を行なうために必要な資金支給することであります。業務の第二は、学界産業界との協力による学術応用に関する研究に関し、資金支給その他必要な援助を行なうことであります。業務の第三は、学術に関する国際協力に関し、海外への研究者派遣外国人研究者受け入れその他国際協力による研究に必要な援助を行なうことであります。業務の第四は、優秀な学術研究者の育成に関し、研究者研究を奨励するための資金支給することであります。業務の第五は、学術に関する情報資料について調査を行ない、その結果を利用に供し、及び学術に関する研究成果を普及することであります。なお、この法人は、これらの業務を行なうほか、この法人目的を達成するため必要な業務を行なうことができることといたしております。第三に、この法人役員としては、会長一人、理事長一人、理事三人以内及び監事二人以内を置くこととし、これらの役員は、文部大臣が任命することといたしております。なお、この法人には、その運営の適正を期するため、会長諮問機関として、評議員会を置くことといたしております。  第四に、この法人は、文部大臣一般的監督を受けるほか、特にその業務公共性にかんがみ、業務方法書事業計画予算財務諸表等については、文部大臣の認可または承認を受けることを要するものといたしております。  第五に、この法人設立のために所定の準備手続について規定いたしております。なお、財団法人日本学術振興会は、この法人設立の時において解散し、その権利義務は、この法人が承継することにいたしております。  以上が、この法案提案理由及び内容概要であります。何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成くださるようお願いいたします。
  5. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 以上で本法律案についての提案理由説明聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。本法案に対し質疑のある方は順次御発言願います。  なお、政府側より剱木文部大臣天城大学学術局長が出席いたしております。
  6. 鈴木力

    鈴木力君 いま提案理由を御説明いただきましたけれども、その中の、基本的に財団法人特殊法人に切りかえなければならない、その理由についても承りましたのですが、たとえば予算書を見ますと、どちらかといえば人事管理費といいますか、人件費のほうが大幅にふえておりますけれども、事業費のほうは財団法人時代予算とあまり大きくふえていない、そういうふうにも見えるのであります。そういたしますと、この財団法人特殊法人を比較をいたしますと、何か管理面は強化されるけれども、事業面については従来と同じではないかというような疑問を持たざるを得ないわけでありますが、そういう立場から、そういう立場といいますか、そういう見方を私するのですけれども、積極的に財団法人特殊法人にしなければならなかった理由について具体的に御説明を願いたいと思います。
  7. 剱木亨弘

    国務大臣剱木亨弘君) 財団法人学術振興会は、ずっと学術振興業務をやってまいりましたが、三十三年ごろから特殊法人にしてほしいという希望が相当起こってまいりました。そのことにつきまして、この特殊法人に切りかえる必要がございますということについて、この財団法人学術振興会の今日までの踏んでまいりました状態を一応申し上げれば御了解いただけるのではないかと思います。それは終戦後、学術体制をということが問題になりまして、日本学術の新しい体制を整えることになり、その際におきまして、この学術の基本的な政府に対しまする建議機関といたしまして、学術会議がいわゆる各界の学者の間におきまする選挙によりまして、民主的に選ばれました者をもって組織した学術会議がまず設立されることになり、従来ありました学術振興会は、学術会議決議機関でございますので、その学術会議実施面については財団法人学術振興会をその傘下に置きまして、実施面を、大体学術会議の方策にのっとりましたものを実施に移していくという形をとりまして、学術会議傘下に置かれたわけでございます。学術振興会終戦前までは大体におきまして、その財団法人運営費は主として一般寄付金に依存をいたして、政府の出資ということはきわめて少なかったわけでございますが、学術会議がいろいろな業務につきまして振興会をしてやらせるにつきまして、業務内容について国費をもって、予算をもって学術振興会にその資金的な援助をいたす必要がだんだん生じてまいりました。現在の段階におきましては、学術振興会のほとんど大部分のものが国費をもつて行なうという形になってまいりました。特に最近におきまする学術振興ということは、やはり国の責任におきまして、国際的な学術振興に立ちおくれないためにどうしても国費をもって学術振興をやっていかなければならない。こういうことでいわゆる国費、国の責任におきまして、予算において学術振興会にその仕事をやってもらうという性格が、いわゆる公の性格が非常に強くなってまいったのでございます。でございますから、それをそういう意味から申しまして、財団法人特殊法人にするということの要望が強くなってまいりましたが、特にこの特殊法人に、国自体がその業務をやりませんで、やはりいままでのようないわゆる法人にこれをやらせるということは、その業務実施につきましては、対象になりますのが学問研究振興でございますので、あくまで学術自主性学問研究自主性を尊重し、学問の自由を尊重する意味におきまして、その実施判断においては、学者協力によりその判断におまかせするという面が非常に重要なポイントになっておりますので、これは一面において国家的な使命が非常に強いにかかわらず、その実施面においては学問の自由の意味において学問的な判断におまかせすると、こういう機能を発揮するというので、この性格財団法人から特殊法人に直しまして、その実施については、やはり財団法人の長所を生かしまして学者判断におまかせして学問の自由を守っていく、こういう意味合いにおきまして特殊法人にいたしましたのが主たる理由でございます。その他におきまして、国際的信用とか、あるいはまた財団法人でございました場合においては、なかなかその組織なりまた従事してもらいます人を集めること、そういうことが非常に困難でございまして、やはりその従事いたします方々給与を公務員に類似して、また身分を保障するということが非常に必要でございまして、財団法人としてはいまこれ以上事業拡大するという余力がもう限界にまいりました。そこで今度の予算といたしましては、特殊法人にいたしまして、まず事業受け入れいたしますだけの機構と申しますか、その受け入れ体制を、管理体制をまず整えまして、そして本年度の予算は、なるほど御指摘のとおり事業のほうにおいては増加いたしておりませんけれども、この事業のほうを増加していいような状態受け入れ体制を確立するというのが今度の特殊法人設立いたしました理由であり、予算的措置をいたしましたおもな点でございます。
  8. 鈴木力

    鈴木力君 そういたしますと、いまの予算事業面関係でもう少し念を押しますと、今回は特殊法人をつくって、いままでの財団法人のいねば機構面からの不足といいますか、人事面の弱さ、こういう面を強化しながら、特殊法人が成立をいたしました暁には、その法人活躍部面としての事業量拡大をしていき、また財政上もそういう形で飛躍的に増大をさせていく、そういう意図があるというふうに理解してよろしゅうございますか。
  9. 剱木亨弘

    国務大臣剱木亨弘君) もちろんこの事業拡大等につきましては、この振興会のほうの希望もございますけれども、やはり学術奨励基本方針というものは、学術会議のほうでいろいろ御考究願えると思います。その事業拡大につきましてはもちろん学術会議と十分御相談をいたしますけれども、できるだけのいまの学術振興事業拡大してまいりたいという意図があることは事実でございます。
  10. 鈴木力

    鈴木力君 次に伺いますが、いまのような関係でいくのでありますけれども、なおこの法案提案をされましてから、やはり学者研究者方々からだいぶ心配な点が指摘されておるのでありますが、若干の点をまず先に伺いたいと思います。  たとえば二十条の二号でありますが「学界産業界との協力による学術応用に関する研究」への援助、こういうことがございます。すなわち、いわば産学協同ということになるだろうと思いますけれども、この形はともすると、最近の趨勢からして産業界科学界といいますか、学術界学者研究者人たちとの関係が、つまり科学のほうが産業界の上に立って優位性を保たなければならぬのに、おいおい資金面やその他の関係から産業界のほうが科学を隷属させるという方向にいきつつあるという心配を非常に持っておるわけであります。だからいま申しましたように、たとえば国の方針でありますとか、そういう形で産学協同というのを強く打ち出します場合、もちろん資金面ということもありましょう、その他の政策から。いままで大臣の御答弁によりますと、あくまでも基本方針学術会議である、それからまた従来学術会議実施面としての財団法人であるそういう法人特殊法人になっても、そういう性格を変えないようなといいますか、基本的には学者協力による判断によって運用していくのだ、こういう趣旨でありますけれども、そういたしますと、産業界科学を隷属させるといいますか、従属をさせるという形にしてはならないという趣旨だと私はいま伺ったのでありますけれども、趣旨はそうだといたしますと、具体的に、たとえば何かやはり学者研究者のほうが上にあって、産業界をリードするといいますか、そういう形に持っていくために機構上何か考えておることがあったらお聞かせいただきたい。
  11. 天城勲

    政府委員天城勲君) 御指摘の点につきましては、学振のあっせんいたします産学協同事業学者産業界の方が純粋に学術上の問題を中心にして協力し合えるという体制を考えておりまして、従来もやってまいりました具体的な様子から申し上げますと、テーマごとに委員会を設置いたしますが、委員会の委員長は原則として学者側が当たっております。それに民間の技術者と研究者、それから大学あるいは研究所の研究者が集まりまして、一種のシンポジュームあるいは共同研究方式等を使いながら、それぞれのテーマを進めていくというやり方をいたしておりまして、御指摘のように一方的に流れるということは、いままでも十分注意しておりましたことでございますが、ただいま申し上げたような方針によりまして、今後も、このねらっている本来のいわゆる産学協同研究の実があげられるということを期待いたしております。
  12. 鈴木力

    鈴木力君 いまのおっしゃる趣旨はよくわかるのですけれども、この法案を読んでみますと、そういう向きのところはなかなか読みとれない。ですから、たとえば私どもがこの法案を拝見をいたしまして、十八条ですか、十八条のこの評議員会の権限等を見てみましても、単なる諮問機関だ。この学術会議との関係についてはあとで伺いますけれども、この機構それ自体を見ましても、役員会というのがありまして、それから評議員会というのがあります。その評議員会はいわゆる諮問機関になっております。そういたしますと、この役員会——役員会といいますか振興会自体の意思によって、かりに評議員会学者がおる、しかし聞きたくない場合には評議員会に諮問しなければ永久に——永久にというのは極端でありますけれども、ほとんど評議員会も開かなくてもやれる。こういうような仕組みに、勘ぐってみるとそういうふうに見える。それからまた評議員会の構成等につきましても、大臣はいま学者の優位といいますか、基本的に学者協力による判断によっていろいろ運用していく、そういう基本的な御答弁がありましたけれども、場合によりますと、そのときの状況によって評議員の数を半分ぐらいは産業界から、あとの若干の数は政府側から、そうして学者側のほうが数が少なくなる、こういうことだって可能なようにこの法案が読めるわけです。こういうことになりますと、私はやはりこの評議員会の権限というようなものを、いまおっしゃったような趣旨であるとすれば、この法文の上でももう少し明らかにしておく必要があるような気もいたしますけれども、そういう点につきまして、たとえばこの評議員会の構成なり機構なりあるいは運営なり権限なりということについては、単なる諮問機関として考えておるのか。それからまた構成については、大臣の権限によって自在に構成をしていくというそういう道を歩もうとするのか、具体的にどういうことを考えていられるのか、これは具体的にやろうとしておる、お考えになっていることを伺いたい。
  13. 剱木亨弘

    国務大臣剱木亨弘君) これはまあこの法案の作成過程におきまして、いままでの特殊法人法案のつくり方というものに、いろいろそれにのっとって、形にはめてつくったということにつきましては、私も全くそういう感じがいたします。学術振興会は一つの学術振興のためにつくる特殊法人でございますから、普通の特殊法人とは異なり、やはりそういう学術の自主的な学問研究を阻害することのないような面を考慮して、特殊法人としては多少異なる法の体系を考えるべきであったかと思うのでございますが、しかしこの法のきめ方は、そういうまあニュアンスはいたすのでございますけれども、実際問題としましては、私どもは、この振興会を、いよいよ法律が通りますと、設立備準会をつくる。それにはまあわれわれの十分意見を聞かなければならぬ方にひとつ集まっていただいて意見を聞き、またその組織構成等につきましても十分相談をして、この設立をやっていこうと。それから評議員の問題につきましても、これももともとこの事業そのものをやるのではないので、援助学術研究を奨励するのでございますから、こういう事業をやるかやらぬかということについては、さきにも申しましたように、事業をやる大綱については学術会議の権限に基づいてやっておるのでございますから、内部的にまあ援助のいろいろな方法についての御相談でございますから、そういわゆる利害対立するという面は実は想像していなかったのでございます。しかし、やはりいま申されましたように、規定上は一方的にやらないでも、いわゆる諮問しなければ何もできないというような規定のしかたになっておりますので、こういう点については相当考慮すべきであったと思います。
  14. 鈴木力

    鈴木力君 それでは念を押しておきますけれども、いまの十八条の評議員会については、あとで学術会議との関係にも触れるわけですけれども、それはあと回しにしまして、少なくとも大臣の意思としましては、評議員を選任する場合にも、学者研究者、いわばその代表である学術会議と相談をして選任する、それからまた構成の場合、さっき申しましたように財界側が強くなるのではないかとか、あるいは政府側が強くなるのではないかという心配があるわけですから、その心配を評議員の構成の面でも除去しようとする御意思がある、こういうふうに確認してよろしゅうございますか。
  15. 剱木亨弘

    国務大臣剱木亨弘君) まあこの事業は、かつて財団法人学術振興会でございました場合に、先ほど申し上げましたように、大体財界からの寄付金によって運営されておった時代があったわけでございます。そういう時代には、学術会議から最小限何名入れると、こういうことを評議員の構成上入れておかないと、実は財界ばかりの評議員がなってしまうというおそれがあったと思うのでございますが、現段階におきましては、もう学術振興会のほとんどの、まあ一部分はこれは幾らか寄付に期待する面がございますけれども、事業の大半はこれは国が責任をもって予算措置をいたすのでございますから、財界方面からそうたくさんの人を入れる必要ないと思います。ただこれを全然入れなくするかどうかということは、多少のいままでのつながりがございますし、産学協同研究の面もございますので、幾らかの方は——やはり絶対に一人も入れないということはいかがかと存じまして、多少入ると思いますが、その大体の組織は、もはや財界の大多数を入れなければならぬという理由は全然ございませんので、その点は構成からいえば、学者を主体にしてやってまいるということになると思います。
  16. 鈴木力

    鈴木力君 時間がありませんので、焦点をもう少し伺いますが、問題はやはりそうなってまいりますと、従来の財団法人振興会学術会議のいわば実施面を担当する機関、いまこういう形になっておると思うわけです。それがこの法案を読む限りにおいては、学術会議実施面の役割りを果たす振興会というのは、学術会議というのが完全に消えてしまって、そうして文部省の——文部省というとことばが悪いと思いますけれども、政府学術研究の政策の実施機関というふうにしかどうも読みとれないわけです。そこで文面はそうなっておりますけれども、この法律提案するときの趣旨において学術会議との関係をもう少し伺っておきたい。つまり、さきに申し上げましたように、さきの文部大臣の答弁にもありましたように、学術会議実施機関、こういう形になっておれば、あるいは学者研究者協力によって判断を求めていく、そういう形でこれが事業をしていくということでありますから、したがって、たとえば学術会議法の第二条にあります、「日本学術会議は、わが国の科学者の内外に対する代表機関として、科学の向上発達を図り、行政、産業及び国民生活に科学を反映浸透させることを目的とする。」、この第二条の精神によって新しく生まれる特殊法人運営されるもの、そういう解釈をしたいのであります。そう解釈をしてもよろしいかどうか。
  17. 剱木亨弘

    国務大臣剱木亨弘君) 実は衆議院でもこの点について触れましたが、学術会議はいま申されましたとおり、内外に対します日本学術の代表機関としまして、政府に対しまして学術振興の問題につきましても、学術会議の勧告を待ちまして政府が政策を遂行するという形をとられてまいっておるわけでございます。したがいまして、いままでも財団法人でございました場合もそうでございますが、特殊法人になりましても、学術会議がこの学術振興に対しまする基本方針を文部省のほうに勧告をいたしまして、文部省がそれを受けて学術振興会事業予算化していく、こういう形をとってまいりますので、私ども特別に学術会議から直接に事業についていろいろな勧告をするということを法文上あらわしませんでも、政府内部の機構によりまして当然そうなる、こう一応解釈いたしておったのでございます。その点については私どもは当然のことでございますから、これを法文にあらわすということは差しつかえない問題だと思います。
  18. 鈴木力

    鈴木力君 たとえばこの法案にも出ておりますけれども、外国との学術の交流なり、研究の交流なり、こういう面があるわけです。最近よく伝えられておるところによりますと、世論で批判もされたりしておるわけでありますが、ある特定の国の研究費が来てみたり、特定の国との交流が非常に太くて、そうして他の国との交流は非常に細い。中には他の国との交流はほとんど行なえないような状態にもなっておったり、こういう批判があるわけです。しかし、学術会議がいまのように、科学技術研究の主体的な役割りを果たすといたしますと、学術会議には科学国際協力についてという五原則を立てておるわけです。つまり科学国際協力は平和への貢献を目的とすること、科学国際協力は全世界的であるべきこと、科学国際協力に際しては自主性を重んずべきこと、科学国際協力は科学者の間で対等に行なわるべきこと、また科学国際協力についての成果は公開されるべきこと、この五原則というのが学術会議で決定をしてある原則なわけです。そういたしますと、この法案に盛られてあるいまの国際交流という問題につきましても、いま大臣がおっしゃったような趣旨からいいますと、特殊法人になって、それぞれの事業をするにいたしましても、こういう五原則が基礎になった公平なといいますか、全世界的な、それから平和を基調にしたそういう立場での国際協力が、あるいは国際交流が行なわれる。そうなければならないということも確認できるわけでございますか。
  19. 剱木亨弘

    国務大臣剱木亨弘君) 全く学術会議の五原則の線に沿いまして、振興会国際協力をやっていくべきものだと考えます。特定のところといま一応協力体制ができておりますけれども、特定のところだけを考えておるわけじゃございません。全世界をやはり対象に学術協力をやっていくと、こういうことを考えておるわけでございます。
  20. 鈴木力

    鈴木力君 まだまだ問題はたくさんあろうと思うけれども、大体問題は具体的にこの場合にどうするということを逐一きめるということも非常に困難な問題であろうと思いますが、基本的に何といってもいままでやってまいりました学術会議と、それから財団法人振興会との関係、それに特殊法人としてより強力に事業援助していく、より強力な団体にするという趣旨でありますから、精神は変わらないが、機構が変わって強力にしていく、こういう趣旨だと承りましたので、そうであるといたしますと、学術会議との関係においては、もっと明らかに私は伺っておきたいと思います。つまり、それは具体的に伺いますけれども、たとえば役員の選任につきましては、法案によりますと文部大臣が任命をする、これ以外には何もないわけであります。そしてまた役員の欠格条項等につきましても、これはいろいろな客観的なものがあるわけでありますけれども、文部大臣の任命権だけでいくということになれば、先ほどから私が多少問題点として指摘いたしましたことが、これは問題としてさらに拡大する可能性もあるわけでありますから、私はそこで実際この法案を出しますときに、役員の任命につきましては、学術会議と相談をする意思があったのかなかったのか、そのことをまずお伺いいたしたいと思います。
  21. 剱木亨弘

    国務大臣剱木亨弘君) たとえば会長理事長等の人事の決定のしかたでございますが、学術振興会性格上、国の内外につきまして、学問的にも、また法人管理面におきましても、十分信頼のおけるりっぱな人物を選ばなければならぬ。それにはぜひとも学者の中にも相当信頼度の高い人をお選びしなきゃならぬと思っております。したがいまして、この振興会法が国会を通過いたしました際におきましては、相当の時間を、通過いたしますと同時に準備体制に入るわけでございますが、その準備段階におきまして、設立準備委員会というようなものを文部省で持ちまして、もちろん、その中には学術会議の代表者も数人お入りいただいて、そして今後の業務運営から、またどういう方を会長にし、理事長にしたらいいか、そういう面を一切あげてそこで御相談申し上げまして、この人選をしていこう、こう計画いたしておったのでございます。また実際そうすることが私は一番正しいことではないかといまも考えているわけでございます。
  22. 鈴木力

    鈴木力君 この法案に対して私どもが非常に危惧の念を持ちますのは、心配をしてまいったのは、いま大臣が答弁をされましたたとえば役員を選ぶ場合にも、学者の信頼度の高い人ということをおっしゃいました。これはその限りにおいてはそのとおりだと思いますけれども、いろいろとだんだんに国がいろいろなところに権力を持ってくる形になりますと、信頼度というそのことばの意味学者側の信頼度という意味もあるし、国側のほうから見た信頼度という意味もあるわけでありますから、そこのところが私どもは非常に重要な角度だと思う。先ほど指摘申し上げましたように、文部大臣がいま御答弁で、いろいろと御相談をされるとおっしゃるから、その真意は別といたしまして、文章で読んだ限りにおいては文部大臣が任命するのだと、そのときに信頼度のある人と、こういうことになりますと、ますます不安になってくるわけでありますから、その信頼度のあるというのは、学者研究者として信頼度のある人は、学者研究者がお互いに信頼をし合っている、そういう意味にぜひこれは持っていくようにお願いを申し上げたい。これはもう私のほうからは強く要望を申し上げておきたいと思います。  それからいまお話を伺いましたこの設立準備委員会に学術会議側からも入れる、このことはよくわかります。ただ、私はこの法案をつくるときに、設立準備委員会に学者側の代表を入れたからということだけではなしに、私はやはりその次の段階まで、将来とも設立したあとずっと運営をしていく場合に、役員というのは永久じゃありませんから、任期は二年であります。そういたしますと、役員の更改のたびにでもやはりこの上位にある学術会議と相談をしていく、学術会議という機関の意思というものを相当に尊重していくということが運営上ぜひ必要だと思うのです。先ほどは設立準備委員会というところで具体的におやりくださる、こう伺いましたが、そのあとについてもひとつつけ加えてお答えいただきたい。
  23. 剱木亨弘

    国務大臣剱木亨弘君) 前のは御要望だけということでございますが、しかしこの学術振興会業務の一番大事なところは、実際実施いたします場合に、学者判断力にお願いするということが主たる業務内容でございます。したがいまして、学者の御協力をいただけるような方がこの会長にならなければ業務一切がこれストップになるおそれがございます。そういう意味合いにおきまして、学者の信頼を得る方でなければこの会長には適任者でないと言わなければなりません。それからそういう意味合いがございますから、将来にわたりましても、当然にこの学術会議等と十分な連絡をして文部大臣が真摯に——国の一方的な考え方で会長をきめていくなんということは将来にわたっても絶対にないと断言してはばからないと思います。
  24. 鈴木力

    鈴木力君 つけ加えてもう一つだけお伺いいたしますが、役員選任について、これはもう伝えられるといいますか、伝えられるところでも正確ではありませんけれども、政府特殊法人なり、あるいは公社、公団なり団体等をつくります場合に、天下り人事というのが非常に大きな問題になっております。でありますから、ある勘ぐる人たちは、文部省がこの特殊法人をつくるのは、先ほど申し上げましたように、予算の面については将来の構想を伺いましたので、まずわかりましたけれども、そういうところともかねあわせますと、文部省はまたこの法人に対して天下りの人事を予定しているのではないかというふうに勘ぐって見る向きもあるわけです。そういうことはどう言えばいいのかな、天下りというようなことは考えているのかいないのかと聞いたほうが一番正確かと思いますが、はっきり御答弁いただきたい。
  25. 小野明

    小野明君 関連。ちょうど天下り人事という問題が出ておりまして、この公社公団の整理という方向にもかかわらず、やはりなかなか整理できない。この法案は、もちろんこの振興会というのは行管の意見もお聞きになった上で、了解を得て提案をされておると理解をするのでありますけれども、その問題と関連をいたしまして、この法律は公布の日から施行と、こうなっておるのですから、ほぼ大臣のほうで予算規模というものについて腹案がおありになるであろうと思うのであります。この予算の規模、それと三十条に「役員及び職員に対する給与及び退職手当の支給の基準」と、こういう項があるわけであります。それでこの役員給与並びに退職手当の基準、職員は別にいたしまして、これがどういうものであるか、ひとつお尋ねをいたしておきたいと思います。
  26. 天城勲

    政府委員天城勲君) 会長は非常勤職でございます。したがって、フルタイムの給与は予定しておりません。それから理事長予算上の予定としては二十三万から二十一万という幅のあるものを一応積算いたしております。それから理事は常勤の場合が二十万、監事は常勤の場合十七万五千というのを一応予算上の見積りとして定めております。
  27. 小野明

    小野明君 退職手当の基準並びにこの法人予算概要、それもあわせてお尋ねをいたしておきたい。
  28. 天城勲

    政府委員天城勲君) これは他の特殊法人、大体文部省で教育会館ですとか、競技場、この役職員の退職手当のベースを予定しておりまして、現在のところ、これが発足いたしますと、そういう給与上の基準をこれも定めますので、現在の考え方としては、他の特殊法人の役職員の退職手当のベースをとっていこうと考えておるわけでございます。したがって、金額がここで幾らというふうにきめるわけでございません。なお、他の例で申しますと、俸給月額の百分の六五以内を月にかけて計算した金額というような規定がございますので、そういうものに合わせて今後退職手当の基準を定めるつもりでございます。
  29. 剱木亨弘

    国務大臣剱木亨弘君) それから先ほどの関連でございますが、さっき鈴木委員からちょっと質問があった点、人事に関しましては全く白紙でございまして、設立準備委員会と十分相談をいたしてやるつもりでございまして、天下り的な考え方は毛頭持っておりません。
  30. 小野明

    小野明君 どうも局長、私の聞いていることをぴしゃっとあなたは答えてもらわなければ困りますよ。予算の規模は一体幾らになるのか、それと他の特殊法人の計算のしかた、いろいろあるでしょう。しかし、この法人としては、ここに書いてあるように退職手当の支給の基準、これを書いておるわけですから、その腹案はどうか、こう聞いておるわけです。この法人についてどうなのか。
  31. 天城勲

    政府委員天城勲君) 四十二年度の予算でございますが、一応予定しております数字でございますが、三億三千四百九十三万六千円というのを、現在のところ財団法人のベースを前提におきまして、考えております。これには国庫の補助金が三億三千万組まれております。  それから退職手当の問題でございますが、基準を定めることでございまして、現在あらかじめ退職手当を幾ら組むというやり方をどこの法人もしておるわけじゃございませんで、この法律で言っておりますのは、基準を定めるということでございますので、基準につきましては、他の特殊法人の退職手当のベースを大体踏襲するであろうということを申し上げたわけでございます。
  32. 鈴木力

    鈴木力君 そこで、その人事についてはわかりました。  もう一つだけ、いまの関係についてお伺いいたしますが、これは法律では非常にむずかしいことだと思いますけれども、事実上は、たとえば業務についての連絡——連絡といいますか、学術会議等の関係、こういう場合には、おそらく振興会財団法人であったような関係で直接学術会議との連絡、こういうこともあると思う。こういう場合にどういう機関をつくって連絡をするか、こういうことについても、つくる暁には考えなければならぬことだと思いますが、私はいまどういう機関をつくるかということをお伺いするのではなしに、そういう機関を設けて連絡をさせる意思があるかどうか、こういう配慮をされているかどうか、このことだけをお伺いいたしたいと思います。
  33. 剱木亨弘

    国務大臣剱木亨弘君) 振興会業務の決定につきましては、学術会議の勧告に基づいてやりますので、いま現に行なっております業務を拡張するとか、あるいはまたこれ以外のものを振興会にやらせるというような場合には学術会議の主として勧告に基づいてやりますが、御相談してやるわけでございます。  それから内容の事務、たとえばある特定の選定をいたしますときに、どういう学者委員会で選ぶとか、いろいろ学者の御協力をいただかなきゃなりませんから、これは学術会議と常に密接に連絡して学者等に御依頼をするという形をとるわけでございます。これはこの前ここでは申し上げませんでしたが、衆議院でははっきり申し上げましたように、連絡会議を常時に持ちまして、そういうことを御相談してまいろうということをはっきりお約束いたしておるわけでございます。
  34. 鈴木力

    鈴木力君 最後にひとつ御要望申し上げておきたいと思います。実はきょう大臣に持ってきてお目にかけようと思ったのでありますけれども、私のところにも、あるいは大臣のところにもきておると思いますが、連日学者研究者人たちから、この法案提案されて以来非常に不安になっておる。したがって、この法案については通してくれるなという御意思の文書が私のところにもきておるわけです。きょうあたりも積めばこれほどに——特に若い学者人たちの署名をしたものなども届いておるというような状態であります。私はそういう学者人たち心配をしている諸点というのは、いま御質問で申し上げましたような、法律を読みますと、非常に文部大臣の権限が強くなって、そして学術会議がかすんでしまう、あるいは学者研究人という立場がどこか優位性を失ってしまう、そういうところに科学学術研究の国家統制が強化されるのじゃないかという心配が非常に強い。そういうふうに私は受け取っておったわけです。それからまたたとえだ産学協同でありますとか、あるいは外国との連絡、交流でありますとか、それも先ほど申し上げましたようないろいろな不安がやはりまだ残っておるということは、これは私はどうしても無視することができないと思います。したがいまして、こういう問題についていま御質問申し上げましたところが、大臣はそういう心配がない、そういうこととは別の全くこの学術会議を従来のとおりに位置づけて、学術会議の意思によってといいますか、学術会議の意思を尊重して、それぞれ組織なり運営なり機構なり業務なりというものをやっていかれるという配慮があるわけでありますから、将来の運営につきましてもそういう制度はきちっとなさって、また運営についてもかりそめにも、学者たちの間でもいろいろ小委員会やそういう機構もつくるでありましょうけれども、そういうときに政府側からこの人が望ましからず、排除せよというよりな、かりそめにもそういうようなことをやられることによって、学者研究者をおこらしたり、悲しましたり、そういうことのないような配慮は、運営についても考えられて、そういう安心感を与えて、何といいますか、積極的に自由に研究に突っ込んで行かれるようにという体制をつくる、そういう機構をも具体的に研究をされて、少なくとも学術研究機関でありますから、どこからつついてみても非民主的なところというのは一点もないというものをぜひ具体的にあらわして進めていっていただきたい、このことを御要望申し上げまして私の質問を終わります。
  35. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) ちょっと速記とめて。  〔速記中止〕
  36. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 速記を起こして。
  37. 小林武

    小林武君 若干文部大臣にお尋ねをしておきたいのですけれども、学術振興というものを解釈をする場合に、大ざっぱな分け方で自然科学だけを行えていますか。
  38. 剱木亨弘

    国務大臣剱木亨弘君) 自然科学、人文、社会、全部学術とこう考えております。
  39. 小林武

    小林武君 これを見ますというと、この研究、たとえば学術振興会のいままでの例を見ますというと、これはいま大臣のおっしゃったような一切のものが入っていないのですね。将来これは振興会が取り上げる内容はもっと広げられるということですか。
  40. 剱木亨弘

    国務大臣剱木亨弘君) たとえば研究助成でございますとか、研究員の助成でございます。これは自然科学に限っていないわけでございます。
  41. 小林武

    小林武君 時間を取らないようにお互いに申し合わせをしておりますから、これは私は学術振興会概要というものを手に取って申し上げておるのです。それならば、将来の学術振興のしかたについては、これは大臣の御答弁とは違ったやはり形をとっていると思いますから、そういうことについては今後御配慮いただけるものだと考えますから、その点についてはひとつ具体的にそういうふうにお進めいただきたい。  それからもう二つ、昭和二十四年に日本学術振興会維持会というのが組織されておったが、これはどういう仕事をやっておったのでありますか。
  42. 剱木亨弘

    国務大臣剱木亨弘君) これは主として産業界とタイアップしてやります産学協同研究をやるために、産業界の維持会員というものをつくりまして、その会費制度寄付金を拠出をしてもらって、それで振興会業務を遂行しておった、いわいる後援団体の維持団体のようなものでございます。
  43. 小林武

    小林武君 産学協同のための一つのまあ財源の捻出のためと、こういうふうに理解してよろしいですね。で、そのことについてここでかれこれ申し上げませんが、この点について一体財政上どの程度占めておったかということについては、私がもらった資料の中にはないわけです。この説明をいまここで求めようと思いません。思いませんが、そういう点についてはやはりあとで資料として、予算全体の規模はどのくらいであって、収入はどういうふうになっておったかということを明らかにしないと、これはまずいと思うのです。その点はひとつ御要望申し上げますから、資料をひとつお出しいただきたい、過去のものを。  それから、今後、先ほど来のお話のように、学術というようなものをもっと広範な観点に立ってこれの振興をはかるという御所存であるならば、それについてのやはり一応の見通しというものは出さなければ意味がないように思うのです。これはきわめて限られた一部門だと思いますから……。  それから私は、金の出し方の問題でちょっと御要望申し上げたいのですが、これは昭和三十四年度までは政府補助金というものはわりあいに少なかった。それが昭和三十四年に一挙に二千万円になった、こうここに書いてあるのです。ところが、池田・ケネディ会談の共同声明に基づく日米科学協力研究事業を、日本は管理機関として本会が担当するようになったときに、政府補助金というのはこの面に対して昭和三十八年には一億五千万、三十九年——四十一年度には二億円の交付を受けている。私は何か、やはりここに金の出し方についての——これは日米がついているからぼくが反対するとか何とかいう意味じゃない。やはり出せば出せる。ケネディと話をしたから学術振興会に金を出したという問題じゃなくて、私はやはり学術に関しては思い切った金の出し方というものを、やればやれるのであるから、今後この法律案がもし通って、やるようになったら、思い切った施策というものを、金の出し方の面からおやりになる必要があるのじゃないか。これは私の意見だけを申し述べて、またあとで予算の問題は、来年もあることですから、皆さん方のそれに対する熱意のほどを御期待申し上げたいと思います。  もう一つ、これはどなたか質問なさったかどうかわかりませんけれども、事務局体制ですね。これは役員体制ということもたいへんこれは会の振興のために、優秀な仕事の進展のために役立つわけですけれども、一体現在の学術振興会というものの事務局体制というのはどんなことになっているんですか。まあはなはだ悪いけれども、十分に会を活動的にするような陣容というものがあるのかどうかということについては、実はこれはちょっとわからないのですね、この資料だけでは。それについてちょっと御説明をいただいて、これがもし今度特殊法人となった場合には、一体どういう体制をしくということについて、何か前の場合との間に変化が起こるならば、その点の御説明を若干いただきたい。
  44. 天城勲

    政府委員天城勲君) 率直に申しまして、現在の財団法人におきます事務体制と申しますか、能力は必ずしも十分でございません。これはいろいろな沿革的なこともございますし、また給与関係等もございまして、一言で言うと、十分働けるような方を適当な待遇で迎えるだけの体制ができてない点が一つ私たち残念ながらあると思っております。人員としては現在二十八名でございますけれども。それからもう一つは、今度予算的には三十六名まで拡充できる用意はいたしておりますが、同時に全体の組織が、理事関係も非常勤の方が奉仕的と申しますか、お仕事のある方にやっていただいている関係もございまして、ほとんど責任のある方が非常勤のような状況もございまして、事務的には率直に言って十分と私たちも考えておりません。今後は組織もきちっと整えまして、これは仕事の面でございますので、事務的に堪能の方をそれぞれのポストに迎えたい、かように考えております。
  45. 小林武

    小林武君 ここであまりこまかいことは申し上げたくありませんけれども、あなたの答弁だけでは、これからどんなに強力になるかということの説明にはなっていないですね。そこで私が申し上げるのは、二十八人だ、そうして二十八人が何人になるかわかりませんけれども、それはあとでいいです。ひとつ十分案をつくって、通らなければやる必要はないのですから、通ったら早急にそういうものを見せてもらいたい。本来は通るまでに予算はどのくらいかかって、人件費がどうだということになるわけです。これがはっきりしていなければなりませんけれども、これは問いません。  ただ私は、学術振興会法を通すにあたって、一体職員の人員構成というものはどうであるかということについては、一つの見解がなければいかんと思うのです。これはたとえば文化財行政をやるにあたって、私は文化財の職員というものを見た場合に、この面にもっとやはり人間を置くべきだ、専門家のあれを置くべきだという考えを多少私は持っている。だから学術振興特殊法人をつくる場合に、いわゆる事務系統の人だけではなくて、私のしろうと観だけれども、いわゆる研究者といわれるような人たちが相当大幅にここに入らなければ、これは単なる事務的なものでいくというようなことになると、発展の余地もないし、皆さんが期待されるほどこれはうまくいかないような気がするのですが、そういう点についてはどうなんですか。文部大臣は今後抜本的に人事面からひとつ大きくどうかしてやろうというような御意図をお持ちなんですか。あったらひとつお聞かせいただきたい。
  46. 剱木亨弘

    国務大臣剱木亨弘君) 事務そのものは、法人自体が研究機関でございませんので、実際上の研究者を常勤でお迎えするということは、事務組織としてはなかなか困難じゃないかと思いますが、しかし、業務内容について、研究者助成する意味におきまして、相当学者の御協力をいただかなければなりません。これはどういう形になりますか、御協力をいただけるような形を今後考えていかなければならないと思いますが、その形式その他につきましては、これから設立いたしましてから、いろいろ会においても考慮していただきたいと思っております。
  47. 小林武

    小林武君 これでやめますけれども、私は大体においてそういう態度は若干不満なんですよ。特殊法人にしたらこのくらいの陣容をもってやるということを、実際問題として私は事務を担当する人たちの力というものは、必ずしも非常勤の人たち会議や何かできめることよりも、ずっと仕事を実際運ぶ上においては大きなあれがあると思うのです。その場合に、こういう仕事をやる場合に、一体この方面に対する知識がなくて、間に合わせ的人事をやっていった場合には、全く活動というものができないのじゃないか。私は若干以前においてそういうことを聞いたことがあるわけです。いまの事務部局の問題について、二十八人という数がいいかどうかということは、その中の二十八人が一体どういう人間が配置されているかということについて、私はかなりあれではできないという声も聞かないわけじゃない。しかし、いまここで長々とそういうことは言いません。言いませんけれども、文部大臣に御要望申し上げるのは、もしこれが通ってやるという場合には、これは相当その面での思い切ったやっぱり措置をとらなければできないのではないかと思う。どこかの借りものを借りてきてちょっとその頭へ乗っけたとか、あるいはどこかから余ったものをそこへ持っていってやると、島流しの場所みたいだと、これはちょっと口は悪いけれども、そういうような人事をここでやるのだったら、私はこれは重大だと思う。こう思うのです。その点については前の質問者がそれぞれ重要な点についてお尋ねしましたから私は申し上げませんが、以上のことについては十分御検討いただいて、後刻われわれにお示しください。
  48. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  49. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 速記を始めて。
  50. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 この法案を拝見いたしまして、日本学術振興会というのが問題になりますが、この振興会は三十五年の歴史を持って今日までまいりました。それを今回特に特殊法人としなければならないという理由をお伺いいたしたいわけです。で、この提案理由を読みますと、一口に言えば学術振興をはかるためである、そしてもう少し詳しく言えば、いろいろとここに提案理由に書かれておりますけれども、特に特殊法人としなければならないという理由について、もう少し御説明をお願いしたいと思います。
  51. 剱木亨弘

    国務大臣剱木亨弘君) 先ほど実は先生お見えになられる前に鈴木委員からその点はございまして、私としては相当詳しく、いままでの沿革から申し上げたつもりでございます。一言にして申し上げますれば、いままで財団法人でございました時代は、ほとんど国が直接的な関与をいたしておりませんで、それが最近に至りまして、非常に日本学術会議の勧告に基づいてたいへん業務が拡張してまいりまして、それがほとんど国の予算で、国の責任においてやらなければならぬという面が強く出てまいりました。それでその点から言えば、公的性格が非常に強くなってまいりました。だが、その業務内容につきましては、これは直接国がいたしますよりも、学者判断におまかせして、実際の学問の自由を守っていく、学問の自由を尊重するという意味合いにおきまして、政府以外の法人にしておくべきであるというので、公的性格を持ち、しかも業務内容については一般学者の御参加を願うという意味で、特殊法人ということが一番適当であると私ども考えたからでございます。
  52. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 今回のこの法案は、今後の学術振興のために国内的にも国際的にも重大な影響を与える法案であると思います。この学問研究は外部の圧力などによって拘束されるものでもなく、自由と自主性というものが保障されなければならぬ。したがって、今後この学術振興会に対する基本的な姿勢を大臣の所見としてお伺いしておきたいと思います。
  53. 剱木亨弘

    国務大臣剱木亨弘君) 特殊法人といたしましたのは、まあほとんどこの法人の経費は国の予算でございますので、これは国民の血税でございますから、その使途については私ども責任を持たなければなりません。しかし、実際上の学術振興の具体的な業務の遂行にあたりましては、あくまで学者自主性を尊重いたしまして業務を遂行していただく。これに対して私ども文部省として、その内容に干渉をいたすということは絶対にいたす意思はございません。
  54. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 本法案の第八条、第九条、第十条などを見ますと、人事、指揮監督などすべて文部大臣によって一方的に決定されるように拝見いたしますが、この点について、一部から官僚統制のおそれがあると言われておりますが、この点どのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  55. 剱木亨弘

    国務大臣剱木亨弘君) この点について、鈴木委員にも先ほど申し上げましたが、これは特殊法人の例にならいまして、この型をとったのでございます。やはり学術振興会としては、もう少し異なった規定の方があったかと思いますけれども、ただ私どもはあくまで、こういう規定はございますけれども、人事その他業務につきましても、十分学術会議と密接な連絡をとりまして、今後これを遂行してまいって、やはりこの文部官僚の独断とか統制とかそういうことのないように、これを十分心がけていきたいと考えております。
  56. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。  なお、修正意見のある方は、討論中にお述べを願います。
  58. 楠正俊

    ○楠正俊君 私は、本法律案に対する各派共同提案にかかる修正案を提出いたしたいと存じます。  まず、案文を朗読いたします。    日本学術振興会法案に対する修正案   日本学術振興会法案の一部を次のように修正する。   目次中「第三十二条・第三十四条」を「第三十二条—第三十五条」に、「第三十五条・第三十六条」を「第三十六条・第三十七条」に、「第三十七条—第三十九条」を「第三十八条—第四十条」に改める。   第十八条に次の一項を加える。  4 評議員会は、振興会業務運営につき、会長に対して意見を述べることができる。   第三十九条を第四十条とし、第三十八条を第三十九条とし、第三十七条を第三十八条とする。   第七章中第三十六条を第三十七条とし、第三十五条を第三十六条とする。   第六章中第三十四条の次に次の一条を加える。   (日本学術会議との連絡)  第三十五条 文部大臣は、振興会組織及び業務運営に関し、日本学術会議と緊密な連絡を図るものとする。  修正の第一点は、評議員会が、業務運営につき、会長の諮問事項を審議するほか、会長に対して意見を述べることができることとしたものであります。  第二点は、文部大臣振興会組織及び業務運営に関し、日本学術会議と連絡を密にすべきことを規定したものであります。  何とぞ御賛成くださいますようお願いいたします。
  59. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 他に御発言もないようですから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより日本学術振興会法案について採決に入ります。  まず、討論中にありました楠君提出の修正案を問題に供します。本修正案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  61. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 全会一致と認めます。よって、修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  62. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 全会一致と認めます。よって、修正部分を除いた原案は全会一致をもって可決されました。  以上の結果、本案は全会一致をもって修正議決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  速記とめて。   〔速記中止〕
  64. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 速記を起こして。     —————————————
  65. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 国立及び公立学校教員に対する研修手当支給に関する法律案日本育英会法の一部を改正する法律案日本育英会昭和二十五年四月一日以後の貸与契約により貸与した貸与金返還免除に関する法律案女子教育職員の出産に際しての補助教育職員確保に関する法律の一部を改正する法律案高等学校定時制教育及び通信教育振興法の一部を改正する法律案産業教育手当法案へき地教育振興法の一部を改正する法律案、産炭地域における公立の小学校及び中学校学級編制及教職員設置に関する特別措置等に関する法律案を一括して議題といたします。以上八法案に対し、質疑のある方は順次御発言願います。  速記とめて。   〔速記中止〕
  66. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 速記を起こして。
  67. 楠正俊

    ○楠正俊君 最初に国立及び公立学校教員に対する研修手当法律案について提案者の鈴木委員に御質問します。  この研修手当は、直接教員に渡すことになっておりますが、全国の教育長協議会の要望でも、学校支給するほうが現実に合った合理的な制度だというような意見が出ておりますが、この点に関して御意見を承りたいと思います。
  68. 鈴木力

    鈴木力君 学校に研修費として予算化する、そういう考え方と、個人的に支給するという考え方と二つあるわけですが、その個人に研修費として支給をするという考え方に立ちましたのは、一つは、現在の教育行政が行なっておる教員教育研修は非常に教員の主体的な、いわば自主的な研究を否定しておる面がたくさんあるわけです。でありますから、いまそういう体制にありますときに、学校に研修費として支給をいたしますと、いわいる官制の教育研究ということはさらに強化をされますけれども、教師自体が自分の教育の仕事から生まれ出てくる必要によって行なわれる自主研究というのにはその研修費が回らない、これが今日の現状であるわけであります。ところが教育の現場は、実際は研修というのは非常に幅が広くて、一々学校の研修という形でだけ行なえない面がたくさんにあるわけでありまして、それが一つの根拠であります。  それからもう一つは、やはり研修費というのは、これはいまの給与制度とも関係いたします。今日の給与制度が本給が一般行政職を基準とした給与制度でありまして、いわいる教育職というその業務と言いますか、職務の内容に見合った給与体系はまだ出てきてない。そういたしますと、その給与体系を救済するにもやはり研修費ということで救済する一部の役割りを果たさしたい、この両面がございますけれども、主たる理由は、さきに申し上げました、いま行政が行なっておる研修それ自体が教師の自主的な研修を殺しておる。この殺しておることによって教育が魂がないとか、そういう批判を受けておるわけでありますから、もっと教育を自発的に強い教育にするために、自主的研究助成したい、それが提案趣旨であります。
  69. 楠正俊

    ○楠正俊君 次に、もしお調べになっておられましたら、外国における研修制度と、それから研修費の制度、そういったことを御参考までに承っておきたい。
  70. 鈴木力

    鈴木力君 全部はありませんけれども、たとえばイギリスでは職責手当、地域手当、特殊学校勤務手当、宿直手当、兼職手当というのがありますが、その中の職責手当というのはこれは名前が違いますけれども、やはり職務に対する手当という性格が相当含まれておるようであります。それからフランスでは、教職担当特別手当というのがございます。あるいはなお試験手当、試験委員手当、それから住宅手当、これはまあ他の公務員とも共通なようでありますけれども、そういうように研修費と比較的近いところになりますと、そういう手当があるようであります。それから西ドイツでは、特に研修関係の手当は私は見当たらないと思っておりますが、研修関係として見えるのは、あとソビエト連邦は特別奨励手当という中に、これは全部が直ちに研修費ということにはならないと思いますけれども、そういう趣旨のものが含まれておるというふうに見ます。それからベルギーには専門資格所有手当、この辺がやはりそういう性格が含まれておる。大体おもに拾ってみますというと、研修手当というものはそういうところにあると思いますが、なお、さきに申し上げげました自主研究ということになりますと、これは相当の法的な費用が、法的といいますか、旅行とか、いろいろそういう方面での援助はあるようでありますけれども、確かな統計等は持っておりません。
  71. 楠正俊

    ○楠正俊君 続いて鈴木委員に質問いたしますが、僻地教育振興法のほうですね、この法律で、級別指定基準を定める場合に、市町村の財政状況を考慮するということになっておりますが、その理由はどういう理由かお聞かせ願いたい。
  72. 鈴木力

    鈴木力君 僻地、いわいる現在の僻地指定の学校のある市町村を見ますと、ほとんどの市町村は、もう非常に、財政力指数が二〇%未満というのが四百一団体もある。それから二〇%から四〇%という市町村が七百八十六団体もある。これは私どもの調査では、圧倒的にやはりこの財政力の指数が僻地に行けば行くほど下がっておるということが言われると思うのです。そういう意味では僻地教育振興するのには、その村の財政自体を相当に見てやるということが一つの級地決定としては重要な要素である、こういうふうに見たわけであります。
  73. 楠正俊

    ○楠正俊君 次に僻地手当の支給率の引き上げと、それから最低保障額をこの法律できめておりますが、その理由を御説明願います。
  74. 鈴木力

    鈴木力君 これは例を申し上げたほうがいいと思いますけれども、たとえば教育職の表でいいますと、三表、いわいる義務制学校の職員の二等級の一号はいま一万八千七百円が本俸です。一級地といたしますと、今日の手当では千八百七十円にしかならない。そういたしますと、これに二〇%をかりに加えたといたしましても三百七十四円しかプラスになりませんから、いわいる若い教師にとりましては今日の率だけをもっていたしますと、僻地手当というのは、僻地に行っているがゆえにという救済には非常に弱いわけであります。さりとて、しかしこれを全部何といいますか、平均額でということになりますと、これはまた相当の年配の教師も、いわいる年齢構成というのが若いところから相当の年配まで必要な僻地教育が要求されているときでありますから、若い層だけ見てやっての平均というわけにもまいらない。そこである一つの基準を考えたのが、大体その地域におります教師の収入の総平均というようなもの、大体これは確たる全部を出しての精査した数字ではありませんけれども、その辺までのところへは、すべて平均額のところまでは若い層ものぼせていくべきである、こういう考え方に立ちまして、いわいる最低保障額というのを設けたわけでございます。
  75. 楠正俊

    ○楠正俊君 次に、産業教育手当法案に対して、提案者の小林委員にお願い申し上げます。  この法律によりますと、産業教育を行なっている国公立高等学校の教職員全員に手当を支給するということになっておりますが、普通課程の高校の教職員に対する影響が非常にあるわけなんで、この点について提案者の御意見をお願いいたします。
  76. 小林武

    小林武君 その影響というのを、私なりに解釈して申し上げますが、二つぐらい考えられると思うのですね。一つは産業教育をやっている者だけが手当をもらうというのはおかしいじゃないかという考え方が、これは影響として出てくるかもわからぬ。これについては、産業教育振興法というのがあったり、それから手当を支給する法律があるわけですから、法律がある限りにおいてはこれは多少そういう法律に対する問題点を感ずるものがあってもこれはしかたがない。それからもう一つは、それはいい、手当のもらえるところへみな行こうということになるような影響ですね。たとえば農業高校へみな行ってしまおうとか——普通科の教師はこれはそういうおそれは、そういう影響はないと思うのですよ。大体やはりどっちかというと、人材難はむしろ産業高校のほうにあるんですね。そこへ行っている先生が悪いというわけではないのですよ。そういう意味じゃないけれども、わりあいに、希望者が私はないと思う。だから、いわゆるあなたのおっしゃるのは、何かそこに不平不満があるかとか、人間が片寄りやせぬかという御心配じゃないかと思いますけれども、そういう点はいまの私の回答で尽くされるのじゃないかと思うわけです。  それから、特に私この際申し上げておきたいのでありますが、この産業手当の法律があるという立場に立ってまずものを考えていただくと同時に、一番問題点だと私思いますのは、これを強く主張いたしますのは、一つの学校でも弱り切っているわけです。工業高校なら工業高校がありますね。そうすると、そこでもらわないのともらうのとあるわけです。一般教科を担当している者はもらえない。そこで、いま実際に運営上どうやっているかというと、これは別なところから金を出しているのです。これは一々例をあげてやれないまた理由があるのですけれども、これを例をあげて、どこの学校はどうしたということは、私どもはかなりの数字を持っておるのですが、やると、何県のどこがということになると、穏当を欠きますから、ただいま申し上げられませんけれども、非常にずいぶんたくさんの学校がともかくPTAその他から金を捻出してそうしてやる、やらなければ一つの学校の不公平さを解消することができない。そのことが、ひいては教育に影響するものですから、経営するものの悩みの種になっている。だから私は産業教育手当というものが法律で現存しておって、そういう問題が起こっておるとすれば、私はそれに対してはっきりしたやはり金を出してやるべきだという考え方でこれを提案しておるわけです。  もう一つは、やはり片手落ちじゃないかということが一つあるのは、特殊教育の盲や聾やその他特殊な教育に携わって苦労しておるものでも、やはり社会に出て活躍したいということがある。それをそうしなければならぬからいろいろ教育しておる。それが産業教育という振興法のその法の中に明らかに規定されていながら、それを担当していてもらえないということは、これは片手落ちじゃないか。やはりぼくらに言わせれば、むしろそういう少数の人間に苦労をして教えている、だからといってやらないというほうが不当だと思われるくらいに感ずるわけです。その二点がこの法律の中に入っておるわけです。これはあなたの御質問につけ加えて御理解をいただくために申し上げるわけです。
  77. 楠正俊

    ○楠正俊君 いまのあれは併設校のですか。農業課程と普通課程、普通課程と工業課程というような併設校の場合ですね。その普通課程のほうには支給しないで工業課程や農業課程のほうには手当を支給するといったようなアンバランスですね、これはどうでございますか。
  78. 小林武

    小林武君 その場合、これはやはり見方はいろいろあると思います。たとえば併設の学校があったときに、おまえは併設の学校のこの部面を教えるというあれをもらっているわけではなく、それは毎年毎年変わりますよ。大体ことしはどういうあれでいくか、これは教育の持っておる免許状だとか、いろいろな要素を勘案してやるわけですから、だから私は併設校の場合には全員にやるのが至当だと、こう思うのです。併設校は若干普通教科を持っておるほうが得だというような気持ちも起こるけれども、これは何といいますか、任命のあれからくる点からいえば全員にやるべきだ。しかしながら、またその運営の面ではっきりとそれが区別できるような場合には、私はまたそれに対してはっきりこれはおまえはこっちのほうにはいかないのだから、そっちのほうの担当のあれになっていないからやらないということも、一校の中で取り扱う余地はないとはいわれないと思います、それは。しかしその点はやはり学校自体の中で検討すべき問題点ではないかと、併設校の場合はですね。それから併設校でない場合には、先ほど言ったようにこれを全部やる、こういう考え方です。
  79. 楠正俊

    ○楠正俊君 次に、小野委員に産炭地の問題で質問いたしますが、この法律昭和四十六年三月三十一日に効力を失うという時限立法になっておりますが、その点、そのあたりに産炭地域の問題が何か上向きに問題が解決するのか、そういった見通しについて御説明願います。
  80. 小野明

    小野明君 これは今度の国会でもきまったのでありますけれども、石炭鉱業の臨時合理化措置法というのがありまして、昭和四十二年までになっておったのが昭和四十五年に延期をされたわけです。というのは、まだこの期間にさらに合理化計画を進めなければならぬということで、この合理化計画の態様を申し上げますと、約八百万トンの合理化計画をしている。人員につきまして約三万人、九州だけですと約八千名ぐらいの整備になるわけでございまして、そういうことでさらに石炭鉱業において合理化閉山が長期にわたって進められる、こういう一つは事態が発生をしておるということ。同時に産炭地域振興という面につきましても、審議会の答申なり、あるいは閣議の決定におきましても、これをさらに具体的な計画を立て振興しなければならぬ、こういうことになっておりまして、五年間にわたりましてこの産炭地価の振興計画を立てなければならぬようになっておるわけです。実際に石炭鉱業における、あるいは産炭地域における諸問題の抜本的の解決をはかるために年限が五年間延長をされておるのでありますが、これにも見られますように、急速な合理化閉山の進行によりまして、一向に産炭地域の窮乏状態というのが改まっていない、なお強力な対策をしなければならぬ、こういうことが認識をされておるのでありまして、したがって、まあこの教育の面におきましても、そのワクからはずれるものではないのでありまして、やはり急速な児童生徒の減少、あるいは一人の賃金では食えませんから、夫婦共かせぎになる。したがって、まあ子供を見るものがいないという実情、あるいは産炭地域の疲弊といった実情から、国の産炭地域における政策なり、石炭鉱業の政策に合わせまして、さらに産炭地の教育振興的な性格のものを延長しなければならぬし、この特別措置の立法化をお願いしたい、こういう趣旨であります。
  81. 楠正俊

    ○楠正俊君 この産炭地域教育関係につきましては、行政措置として充て指導主事の増配とか、要保護、準要保護生徒の就学援助費のかさ上げとか、それから教育施設費補助のかさ上げなど、いろんな措置が行政措置としてとられておりますから、特にこの法律を必要とするというようには、特にこれは時限立法でありますから思わないのですが、その点について御意見をお伺いしたいと思います。
  82. 小野明

    小野明君 確かにおっしゃるような措置が実質的にはとられておりますけれども、これは特別措置ではないわけです。全国一律の措置によって配慮されておるのでありまして、特別措置ではない。何も施設のかさ上げなり、あるいは学用品の援助にいたしましても、就学奨励の問題にいたしましても、生活保護、準要保護全体に適用するというのであって、産炭地に特別措置をしておるという、こういうことではないのでありまして、それにいたしましても、こういった措置が実質的に産炭地域に厚くなっておるということはもちろん私も認めておるのであります。で、例を充て指導主事の増配という問題にとって見ますと、この充て指導主事というのは地教委に勤務いたしておるわけですね、一つの地教委が五つないし六つの学校をやはり小さいところでは所管をしておる。そうすると、産炭地域では両親がおらない、あるいは非常な窮乏状態にあるということから非行少年が非常にふえておるわけです。しかも、その非行少年が年々若年化しつつある。四十年の警察庁の白書によりましても全国第一位、こういうありがたくない数字が出ておる。虞犯少年の数につきましても、犯罪のおそれのある少年の数につきましても全国一位である。年々若年化の傾向、あるいは青少年非行の増大の傾向という問題から、やはり警察官を幾らふやしても、あるいは民生委員をふやしても、指導委員をふやしても、やっぱり子供に対する愛情というものがうつらないものですから、子供の非行化がとまるものではない。子供の非行化についてはやはり愛情というものが必要でありますから、それについてはやはり親が第一であり、第二はやはり教師でなければならぬと思うのであります。こういったところから充て指導主事によってこういった青少年の補導をやっていく、こういう制度がつくられたわけであります。しかし初めに申し上げましたように、一つの地教委で五つ、六つの学校を持っている。そうすると、充て指導主事というのはこの地教委に勤務しているわけです。ですから一つの学校の一つの学級で、きょう子供が学校に来ていない、しかも生活保護で心配になっておる、それであるいは警察から電話がかかってきて、いまこういう子供を預っているがどうなのかと、こうなりますと、この先生が授業をやめてその警察に行ったりなんかしなければならぬ、ほかの子供とも遊ばなければならぬ、こういうことなんです。ですからやっぱり学校に補導教師を配置してもらいたい。充て指導主事というのは補導教師ではないわけです。ですから、そういうものは兼ねておりますけれども、やはり補導教師というものを新設していただいて学校に配置をして、担任の先生にすぐ相談してもらえるとか、すぐ学級にそういう子供があれば家庭に走っていってもらうとか、そういう学校配置というものがほんとうに必要なんでありまして、充て指導主事を地教委に配置するということは、ほんとうは現場の先生から見ますと、そういう制度は要らない、こういう声が非常に強いのであります。でありますから、充て指導主事の増配によって産炭地の青少年非行、あるいは補導というものが直っていくかというと、なかなかそうはいかない。実際的な効果をおさめていないということが言えるのであります。でありますから、これは去る四十八国会の愛知文部大臣の答弁でも、その際第二次有沢調査団というのが出されまして、それを受けて愛知文部大臣が四十八国会で産炭地域教育の問題を取り上げた画期的な国会でありますけれども、特別措置が必要なんだ、そして補導教師が必要なんだということが言われておる。しかし今日なお国の施策によって特別措置がなされていなという結果になっておるのでありまして、やはりこれから先五年間にわたって閉山合理化が進んでいく、あるいは離職者がふえていく、国の政策によってこうなっていくのでありますから、石炭産業には、この国会でも先生御承知のように一千億の肩がわりとか、いろいろな手厚い保護がなされている。手厚いといってはなんですけれども、かなりの保護がされてまいった。一つ山をつぶせばトン当たり百二十円の交付金を出すようになった。あるいは離職者には再就職の道をあけるようになった。いろいろな手当も出るようになったのでありますけれども、ただ一つ教育の面においては何らなされていないというのは、これは少し表現が悪いのでありますけれども、放置されたままの状態である。でありますから、国の政策によって石炭鉱業の合理化政策が進められる以上、国の手によって教育の荒廃も救っていただかなければならぬ、これが趣旨であります。
  83. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 他に御発言がなければ、八法案に対する本日の質疑はこの程度にいたします。
  84. 小林武

    小林武君 ちょっと委員長法律案の扱いについてお尋ねをいたしたいのであります。  きょうこれで、もう明日はないわけです。かねがねこれは私もいままで主張してきたことですけれども、議員提案というものに対する、議員立法というものに関する扱いの問題ですね。きょうは楠委員から御質問いただいて、たいへんいろいろな面でわれわれも参考になった。しかし、議員立法と政府提案というものが差別されるという法的なぼくはあれは別段ないと思うんですよ。われわれが法律案を出したら御質疑はいただく、質疑をいただいたら、これは賛否を明らかにしてもらうというのはこれは当然です。私はそう思っておるんです。しかしまた、そういうことのできない事情があるというようなお話もかつて承ったことがある。その際にはいろいろ御意見は承る。そういう事情にあるけれども、いろいろ今後話し合いも進めていくというようなことも事実あったですね。それが具体的にどうなったかというようなことは、ある場合もあるだろうし、ない場合もある。政府側も十分それについて検討を加えてくれたということも若干私はあったと思う。そこで、私は、この点について議員提案というものが手軽く扱われるということについては、これは与党の立場とか野党の立場とかいう問題じゃないと思うんですよ。それをいま急にあなた委員長にだけそれをめんどうくさいことを言って、ぼくは難くせつけるという気持ちは絶対ない。絶対ないですけれども、まあ何というか、悪いところがあったら大いに指摘してもらう、不合理な点があったらうんと指摘して、そうしてとれるものがあったらとってやるというような態度がやっぱりあってほしいと私は思う。しかし、何ぼとってやりたいと思っても予算上どうにもならぬということであるならば、これは与党の立場としてどうだとか、あるいは野党の立場としてどうだとかいうことはあったって、これはわれわれが何も言うべき筋合いではない。しかし、何とはなしに消えていくなんという話は、これは議会の運営上妥当な方法なのかどうかということについては、私はたいへんな疑問を持っているんですよ。法律に従ってわれわれは議案を提出するのです。そうして皆さんの前に出すんです。賛成いただくいただかないは、われわれの持っている法律内容と、それから皆さんに共鳴いただくようなことになっているかなっていないかということはいろいろ事情があるでしょう。それはかまわない。でありますから、私はやはりこれが何とはなしにうやむやになるということについては、ここしばらくの間文教委員会の中で常に不満を持ってきたのです。だから、端的にいえば、私は決着をつけてもらいたい。あなたのほうでは政府提案の場合には委員長は採決とこういかれる。われわれはそれについて、ある場合にはそう賛成でもないのだけれども、賛成しなきゃならぬような場合もあるし、反対でも、これはまあしかし通ったらやむを得ないというような、こういうこともあるだろうし、いろいろな場合があるのです。われわれは反対されたからって文句を言うわけじゃない。否決するならはっきりと否決してもらいたい。結末のないやり方というのはごめんだ、こう思うのです。しかし、審議の時間がなくて、まだ十分でなかったというようなお気持ちならば、またそのあれもありましょうけれどもね。私はまあいまの質問の状況から見れば、まさか審議の時間がなかったと、こうは思えないのだ。審議は十分尽くしていると、そう思っている。それで、これに対する委員長の見解を承りたいのですよ。私はいままで委員長におなりになった方々は、どっちかというと、この文教委員会においでになって顔を合わした方ばかりで、しかし今度大谷先生がこちらに来られて、ひとつ新鮮な感覚でもって私の言うことが誤りであるかどうか、委員長の御意見を承りたい。
  85. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) ただいまの小林君の発言は、まことにごもっともだと考えます。まあいままでの委員会の議員立法に対する審議の経過もございますし、ただいまの審議の姿もございます。まあこの議員立法の扱いについにつきましては、ただいまの小林君の発言も十分ひとつ受け取めまして、委員長理事打ち合わせ会におきましても、基本的な問題当面のさような法案の扱いについて、やはり慎重にひとつ検討していただく余地もあると存じておりますから、御一任をひとつお願いいたしたいと思います。
  86. 小林武

    小林武君 委員長がそうおっしゃったから、私はもうこれからこうしてくれということは申し上げません。申し上げませんけれども、理事会でひとつ御検討いただきたいと思います。これはこのままでいったら、私は国会運営の際のやはり重大問題になると思いますから、十分御検討いただいて、どうぞひとつ後刻委員長の御発言で明らかにしていただきたいと思います。
  87. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) はい、承知いたしました。     —————————————
  88. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) これより請願の審査を行ないます。  本委員会に付託になっております第一号難波宮跡保存に関する請願外二百六十二件を議題といたします。  速記やめて。   〔速記中止〕
  89. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 速記を起こして。  ただいまの審査の結果に基づき、第一号難波宮跡保存に関する請願外百十一件の請願は、議院の会議に付するを要するものにして、内閣に送付するを要するものと決定することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  90. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  92. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 継続調査要求についておはかりいたします。  教育、文化及び学術に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本院規則第五十三条により、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  93. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成及び提出の時期等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  94. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  95. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 委員派遣承認要求に関する件についておはかりいたします。  教育、文化及び学術に関する調査のため、今期国会閉会後委員派遣を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 御異議ないと認めます。  つきましては、派遣委員の人選、派遣地、派遣期間等は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  97. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、本院規則第百八十条の二により議長に提出する委員派遣承認要求書の作成等も、便宜委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  98. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十五分散会      —————・—————