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小野明君 確かにおっしゃるような
措置が実質的にはとられておりますけれども、これは特別
措置ではないわけです。全国一律の
措置によって配慮されておるのでありまして、特別
措置ではない。何も施設のかさ上げなり、あるいは学用品の
援助にいたしましても、就学奨励の問題にいたしましても、生活保護、準要保護全体に適用するというのであって、産炭地に特別
措置をしておるという、こういうことではないのでありまして、それにいたしましても、こういった
措置が実質的に産
炭地域に厚くなっておるということはもちろん私も認めておるのであります。で、例を充て指導主事の増配という問題にとって見ますと、この充て指導主事というのは地教委に勤務いたしておるわけですね、一つの地教委が五つないし六つの
学校をやはり小さいところでは所管をしておる。そうすると、産
炭地域では両親がおらない、あるいは非常な窮乏
状態にあるということから非行少年が非常にふえておるわけです。しかも、その非行少年が年々若年化しつつある。四十年の警察庁の白書によりましても全国第一位、こういうありがたくない数字が出ておる。虞犯少年の数につきましても、犯罪のおそれのある少年の数につきましても全国一位である。年々若年化の傾向、あるいは青少年非行の
増大の傾向という問題から、やはり警察官を幾らふやしても、あるいは民生
委員をふやしても、指導
委員をふやしても、やっぱり子供に対する愛情というものがうつらないものですから、子供の非行化がとまるものではない。子供の非行化についてはやはり愛情というものが必要でありますから、それについてはやはり親が第一であり、第二はやはり教師でなければならぬと思うのであります。こういったところから充て指導主事によってこういった青少年の補導をやっていく、こういう
制度がつくられたわけであります。しかし初めに申し上げましたように、一つの地教委で五つ、六つの
学校を持っている。そうすると、充て指導主事というのはこの地教委に勤務しているわけです。ですから一つの
学校の一つの学級で、きょう子供が
学校に来ていない、しかも生活保護で
心配になっておる、それであるいは警察から電話がかかってきて、いまこういう子供を預っているがどうなのかと、こうなりますと、この先生が授業をやめてその警察に行ったりなんかしなければならぬ、ほかの子供とも遊ばなければならぬ、こういうことなんです。ですからやっぱり
学校に補導教師を配置してもらいたい。充て指導主事というのは補導教師ではないわけです。ですから、そういうものは兼ねておりますけれども、やはり補導教師というものを新設していただいて
学校に配置をして、担任の先生にすぐ相談してもらえるとか、すぐ学級にそういう子供があれば家庭に走っていってもらうとか、そういう
学校配置というものがほんとうに必要なんでありまして、充て指導主事を地教委に配置するということは、ほんとうは現場の先生から見ますと、そういう
制度は要らない、こういう声が非常に強いのであります。でありますから、充て指導主事の増配によって産炭地の青少年非行、あるいは補導というものが直っていくかというと、なかなかそうはいかない。実際的な効果をおさめていないということが言えるのであります。でありますから、これは去る四十八国会の愛知
文部大臣の答弁でも、その際第二次有沢
調査団というのが出されまして、それを受けて愛知
文部大臣が四十八国会で産
炭地域の
教育の問題を取り上げた画期的な国会でありますけれども、特別
措置が必要なんだ、そして補導教師が必要なんだということが言われておる。しかし今日なお国の
施策によって特別
措置がなされていなという結果になっておるのでありまして、やはりこれから先五年間にわたって閉山合理化が進んでいく、あるいは離職者がふえていく、国の政策によってこうなっていくのでありますから、石炭産業には、この国会でも先生御承知のように一千億の肩がわりとか、いろいろな手厚い保護がなされている。手厚いといってはなんですけれども、かなりの保護がされてまいった。一つ山をつぶせばトン当たり百二十円の交付金を出すようになった。あるいは離職者には再就職の道をあけるようになった。いろいろな手当も出るようになったのでありますけれども、ただ一つ
教育の面においては何らなされていないというのは、これは少し表現が悪いのでありますけれども、放置されたままの
状態である。でありますから、国の政策によって石炭鉱業の合理化政策が進められる以上、国の手によって
教育の荒廃も救っていただかなければならぬ、これが
趣旨であります。