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1967-07-11 第55回国会 参議院 文教委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月十一日(火曜日)    午前十時四十五分開会     —————————————    委員異動  七日八日     辞任         補欠選任      船田  譲君     重宗 雄三君      宮崎 正雄君     米田 正文君  七月十日     辞任         補欠選任      鈴木 一弘君     北條  浩君  七月十一日     辞任         補欠選任      重宗 雄三君     玉置 和郎君      米田 正文君     青田源太郎君      中上川アキ君     高橋雄之助君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         大谷藤之助君     理 事                 楠  正俊君                 中野 文門君                 秋山 長造君                 鈴木  力君     委 員                 青田源太郎君                 北畠 教真君                 近藤 鶴代君                 高橋雄之助君                 玉置 和郎君                 二木 謙吾君                 吉江 勝保君                 小野  明君                 小林  武君                 千葉千代世君                 成瀬 幡治君                 柏原 ヤス君                 林   塩君        発  議  者  鈴木  力君    国務大臣        文 部 大 臣  剱木 亨弘君    政府委員        文部大臣官房長  岩間英太郎君        文部省初等中等        教育局長     斎藤  正君        文部省体育局長  赤石 清悦君    事務局側        常任委員会専門        員        渡辺  猛君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○公立高等学校設置適正配置及び教職員定数  の標準等に関する法律の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○公立学校学校医学校歯科医及び学校薬剤師  の公務災害補償に関する法律等の一部を改正す  る法律案内閣提出) ○女子教育職員育児休暇法案鈴木力君外一名発  議)     —————————————
  2. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る七月八日、船田譲君、宮崎正雄君が委員辞任され、その補欠として重宗雄三君、米田正文君が選任されました。  また昨十日、鈴木一弘君が委員辞任され、その補欠として北條浩君が選任されました。  また本日、重宗雄三君、米田正文君、中上川アキ君が委員辞任され、その補欠として玉置和郎君、青田源太郎君、高橋雄之助君が選任されました。     —————————————
  3. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 公立高等学校設置適正配置及び教職員定教の標準等に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  別に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  5. 秋山長造

    秋山長造君 私は日本社会党を代表して、ただいま議題となっております公立高等学校設置適正配置及び教職員定数標準等に関する法律の一部を改正する法律案に遺憾ながら反対の意思を表明するものであります。  そもそも本法は、いわゆるベビーブームによる高校進学者急増に備えて、去る昭和三十六年、主として財政的見地から制定されたものであり、高等学校整備教職員定数の確保と教育水準の維持のために、応急的な役割りを果たして今日に至ったのであります。しかしながら、いまやベビーブームの波も去り始め、高校教育本然の姿に立ち返って、その根本的な整備充実をはかるべき時期が来たと思うのであります。しかのみならず、今日科学技術の発展はめざましく、これに伴う社会経済の変動も、またますます急ピッチに進む事態の中で、後期中等教育、なかんずく高校教育重要性、それらへの期待と要求は、いやが上にも高まりつつあり、高校進学率もすでに八〇%台に迫ろうとし、やがて高校義務制ないしは準義務制化をも考えなければならなくなりつつあるのであります。したがって、本法もまたこの機会に、抜本的、画期的改正を行なって、この新時代要求に十分にこたえる必要があると思うのであります。政府もおそらくこのような見地に立って、本改正案を用意されたはずでありますし、生徒数の減少に伴う教職員大量首切りを回避しつつ、ともかくもこのような形にまとめ上げられた文部省局の御労苦に対しては、それだけの敬意を表するに決してやぶさかではありませんが、高校教育根本的改善充実という見地から、その内容をしさいに検討すれば、なお多くの見逃し得ない問題点のあることを指摘せざるを得ないのであります。  第一に、わが社会党としては、このような抜本的見地に立って、本法にかわる画期的新立法として、公立高等学校学級編制及び教職員定数標準に関する法律案、並びに公立の盲学校聾学校及び養護学校幼稚部及び高等部学級編制及び教職員定数標準に関する法律案衆議院に提出したのでありますが、ついに与党の同調を得ることができなかったことは、返す返すも遺憾にたえません。  第二に、昭和二十三年に制定された高等学校設置基準第七条は、高校学級生徒数を四十人以下ときめており、その後衆参両院文教委員会でも、再三その決議を行ない、また歴代文部大臣も同じ趣旨発言を繰り返してこられたにもかかわりませず、制定後すでに二十年を経過した今日、本改正案におきましても、なおいまだ全日制学級編制は四十五人にとどまっているのであります。もちろん高校教育改善のためには、いろいろな施策が総合的に押し進められなければなりませんが、何よりもまず設置基準本則どおり、一学級四十人以下に持っていくことが基本にならなければならぬと信ずるものであります。  第三は、教職員定数の算定にあたり、いわゆる規模別補正によって、教頭、定時制主事生徒指導担当教員等配置をはかっておりますが、一学級当たり教員数現行とほとんど変わらず、いたずらに管理体制の強化に終わるおそれなしとしない点であります。  第四は、高校教育多様化のための教職員定数加算措置政令にゆだねている点であります。昨年秋、中教審の答申が出て以来、多様化問題がにわかに脚光を浴びてまいりましたが、議論の盛んなわりあいにはその内容が明確になっておりませんし、その具体化の方法については今後よほど慎重な検討を要すると思うのであります。いずれにせよ、かかるばく然とした問題について一切を政令にゆだねることには疑問を持たざるを得ません。むしろ今後具体化段階で逐次立法化していくのが現実的かつ妥当な道ではないでしょうか、  第五に、特殊教育部門について、新たに学級編制及び教職員定数標準が設けられたのでありますが、これが後進県の水準引き上げに役立つ反面、先進的な都府県では、かえって財政考慮等から逆に現行水準の切り下げというマイナス方向に作用するのではないかとの不安を禁じ得ないのであります。むしろ特殊教育については、その画期的振興という時代の要請とその特殊性にかんがみ、幼、小、中、高を一本化した別立て立法を考慮さるべきではないでしょうか。  最後に、今後政府がこれら問題点の解決に最善の努力を尽くされるとともに、可及的早い機会高等学校飛躍的前進のための抜本的、画期的立法に踏み切られることを強く要望して、私の反対討論を終わります。
  6. 楠正俊

    楠正俊君 私は、自由民主党を代表して、本法案に対する賛成討論を申し述べたいと思います。  本法案は、国公立高等学校及び特殊教育学校高等部教育水準の向上のため、学級編制及び教職員定数標準改善するものでありまして、現時点において最も適切な措置であると考えます。これにより、わが国の高等学校教育振興が一そう期待できるものと信じ、心から賛成するものであります。
  7. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 他に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。公立高等学校設置適正配置及び教職員定数標準等に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。本案賛成の方の挙手を願います。  〔賛成者挙手
  9. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 多数と認めます。よって本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  11. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 公立学校学校医学校歯科医及び学校薬剤師公務災害補償に関する法律等の一部を改正する法律案議題といたします。提案理由説明を聴取いたします。剱木文部大臣
  12. 剱木亨弘

    国務大臣剱木亨弘君) このたび、政府から提出いたしました公立学校学校医学校歯科医及び学校薬剤師公務災害補償に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及びその内容概要を御説明申し上げます。  この法律案は、最近における国家公務員等災害補償制度改正にならって、公立学校学校医学校歯科医及び学校薬剤師公務災害補償制度改正を行なおうとするものであります。  すなわち、第一には、公立学校学校医学校歯科医及び学校薬剤師公務災害補償に関する法律の一部改正でありますが、その内容は、国家公務員等災害補償制度にならって、打ち切り補償を廃止し、負傷または疾病がなおるまで療養補償及び休業補償を継続することとし、また障害補償及び遺族補償にかかる消滅時効についてはこれを二年から五年に延長することとするものであります。  第二には、厚生年金保険法の一部改正船員保険法の一部改正でありますが、この内容につきましても、国家公務員等災害補償制度にならい、学校医学校医科医及び学校薬剤師障害補償及び遺族補償厚生年金保険法及び船員保険法による障害年金及び遺族年金との併給に関する制度を改めるものであります。  第三には、国民年金法の一部改正児童扶養手当法の一部改正特別児童扶養手当法の一部改正についてでありますが、この内容も、国家公務員等災害補償制度にならうものであり、学校医学校歯科医及び学校薬剤師災害補償のうち年金たる補償国民年金法による福祉年金児童扶養手当法による児童扶養手当及び特別児童扶養手当法による特別児童扶養手当との併給に関する制度を改めるものであります。  この第二及び第三の改正は、学校医学校歯科医及び学校薬剤師障害補償年金の範囲の拡大、遺族補償年金化に関連するものであります。すなわち第二の改正については、厚生年金保険法及び船員保険法による年金制度本人保険料を分担しているので、本人負担を全く要しないで支給される業務災害補償制度による年金との併給を禁止しないものとされていますが、従来一時金を主としていた学校医等障害補償及び遺族補償年金を主とするものに改めるにあたり、学校医等障害補償及び遺族補償を受ける場合は厚生年金保険法及び船員保険法による障害年金及び遺族年金一定期間支給停止していたのを廃止して、直ちに併給することに改めるものであります。第三の改正については、学校医等障害補償及び遺族補償年金を主とするものに改めるにあたり、これを公的年金給付として、公的扶助たる国民年金法による福祉年金児童扶養手当法による児童扶養手当及び特別児童扶養手当法による特別児童扶養手当との一定期間以後の併給を廃止して、当初から併給しないことに改めるものであります。  最後に、これらの改正に伴って必要な経過措置を定め、関係条文の整理をいたしました。  以上が、この法律案を提出いたしました理由及び内容概要であります。何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成くださるようお願い申し上げます。
  13. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 以上で、本法案についての提案理由説明聴取は終わりました。     —————————————
  14. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 女子教育職員育児休暇法案議題といたします。  本法案につきましては、すでに提案理由説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。  ちょっと速記をとめて。  〔速記中止
  15. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 速記を起こして。
  16. 千葉千代世

    千葉千代世君 この提案理由を拝見いたしますというと、たいへんいい法律のように拝見いたしますけれども、この育児休暇法案と、それからもう一つ保育所の増設ということが、やはり並行的に行なわれていかないというと、婦人教師、ひいては一般婦人労働者がほんとうに職務に専念して、よい能率をあげていくということは全きを期し得られないということを感ずるものであります。そういう観点から、保育所の問題を少し伺いたいと思うのでございますけれども、どなたか保育所に関連した方、文部省にいらっしゃいますでしょうか。
  17. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 斎藤初等中等教育局長が見えております。
  18. 千葉千代世

    千葉千代世君 それでは伺いますけれども、これは厚生省の所管になると思いますけれども、今度の国家予算を見ていきますというと、三歳未満の子供を預かる保育所で、予算の中に、いままで保母さんが子供七人に対して一人であったのを、六人に対して一人にしたと、こういうふうに換算していった予算内容になっておりますけれども、しかし全国的に見ていきますというと、たいへんに数が少ないわけです。五カ年計画を見ますというと、五カ年間に保育所を四千カ所予定しております。ことしはとりあえず増改築を合わせて四百五十カ所、あるいは僻地保育所の千九百五十五カ所とか、新設については二百四十二カ所とか、こういうふうに述べられているわけですけれども、この提案理由の中にもありますように、だんだん働く婦人がふえていっているわけです。ごく最近の統計でもわかりますように、大体働く婦人全国約九百三十万で、その中で既婚の方が三百三十万人いるという、そうすると、全国のいまあります保育所公私合計で約一万一千六百五十五カ所、その保育所に預けております園児保育料でございますか、それを見ますと、預かっております園児の六割が時間外の保育料を払っているということでございます。そうしますと、一定の時間内におかあさんが帰れないと保母は帰れない。ですから、時間外に子供が残っております。だから時間外の手当を払う。その時間外の手当が平均、これは厚生省の資料でございますが、三十円となっておりますけれども、実際調べてみるともっと多いわけです。こういうふうに調べていきますと、毎月いま多い人は月六千五百円、あるいは一万円、五千円というように段階がございます。町域によって差がございます。こういうようにたいへんな負担をしているわけです。  そこで、教員の場合はどうなっているのだろうかということで、これは日教組の女の先生方調査なさったわけですが、静岡県の例で、ここに調査書がまいっておりますが、静岡県の婦人部の例をとってみますと、これはまたたいへんお金が高いわけですね、たとえば各市の保育料の様子がここに載っております。その中で一番高い例で申し上げますと、沼津最高が一万九千円、同じ沼津でも七千円のところもあるということで、同じ沼津市内でもこれだけの差がございます。それからそこに近い三島では最高が八千円、最低が六千円ということになっております。こういうふうに静岡全市をずっと見ていきますと、平均していきますと、かなり高額になっておりますが、全部の中で最高を申しますと、一番高いのは一万九千円、最低が二千三百五十円という非常なアンバランスになっております。この二千三百五十円というのは、あるいはこれは正式の保育所ではなくて、家庭に預けるとか、いろいろなことがあるかもしれませんが、それは詳しく私は聞いておりませんが、こういうふうに保育料一つをとってみましても、婦人教師の収入の中に占める支出の割合がたいへん多いということ、これはもう一歩進めて、こんなに預けてお金を払っているのだから、どのくらいの率で預けているのだろうかということを見ていきますと、乳幼児を持っていらっしゃる方方で、お手伝いさんに頼んでいらっしゃる方々が大体全体で一一%、赤ちゃんを持って、乳幼児を持ってお手伝いさんに頼んでいらっしゃる方々が一一%、二歳以下の方々を。それからよそへ預けるというのが三〇%、乳児施設というのが一%、それから家族の人が五八%、こういうふうに見ていきますというと、よそへ預けるというのが圧倒的に多いわけですが、したがいまして、一番いま望んでいられるのは保育所であるわけです。さっき申し上げたように、一般婦人労働者を含めた勤労者家族、そこでは保育所を非常にほしがっている。それにこたえる施設がさっき申し上げました全国で公私合わせてわずかに一万一千六百五十五カ所、こういうことになっております。したがいまして、これがございませんために、婦人教師たちは自分の持っている全能力をあげて教育に取り組んでよい能率を上げていくということで全力を尽くしておりますけれども、いろいろな条件にはばまれているわけです。そしてやむなく退職しなければならないということがあるわけです。  そういう観点からこれは文部省に伺いますけれども、この保育所について文部省はどのように考えていらっしゃいましょうか。これは管轄違いなどと逃げ口上をおっしゃらないで、やはりこれに真剣に取り組むならば、やはりこういうことも研究されていなければならないはずと思っておりますが、いかがなんでしょうか。
  19. 斎藤正

    政府委員斎藤正君) 文部省関係保育所が問題になりますのは、従来先生承知のように、幼稚園教育保育所教育と、教育というか世話というものの関係で問題になります。私どもはこの保育所の本来の任務である、いろいろな事情によって保育に欠ける親にかわりましてお子さんを預かってそこで世話をなさるし、またその機会に適当な教育もなさるというふうなところに集中していただきたいということを厚生省と相談をいたしまして、御承知のように、かって幼稚園拡充するというその機会に、その両者の本来の任務というものを明らかにして、それぞれの形で就学前教育に必要な部分文部省幼稚園拡充をはかり、保育所保育に欠ける子弟を預かるという任務充実をはかっていくという角度で両者の話し合いが済んで、その方向でそれぞれの任務に従って拡充措置をとっておるわけでございます。ただ、先生がいま御指摘の点は、比較的女子の働いておる、その教育者をかかえておる文部省といたしまして、母親にかわって教育をすべき保育所設置についてどう考えているかということだろうと思うのでございますが、私どもといたしましても、女子就業者というものが今後ますますふえていくという段階でございますから、文部省といたしましても、地域的に見ても、その実情に即するように保育所拡充されるということを望んでおるような次第でございます。
  20. 千葉千代世

    千葉千代世君 努力しているということはわかりますけれども、具体的に、たとえば女の先生方育児のために年間どのぐらいやめると、やめる原因はこれこれだと、そこでどのぐらいの保育所がほしいという、こういう具体的な計数を持って厚生省に何か要求でもなさるとか、交渉なさるとか、大蔵折衝するとか、そういう段階をお踏みになったことがあるでしょうか。
  21. 斎藤正

    政府委員斎藤正君) 育児のためにやめるか、それからその他の事由でやめるか、これはなかなか要因は複雑でございますが、女子職員の離職していく状況というものは、四十年度の数字で申しますならば、小学校が五千四百九十七人、中学校が三千五十五人という数字がございます。この中で、いまの先生の御質問に該当する部分があるものは、小学校で申しますならば、三十九歳以下のところが、この五千四百九十七人のうちの六〇%でございます。それから中学校が、その三千五十五人の中で、三十九歳以下が七八・九%、三十九歳以下、これがまあ出産育児能力のところでございますから、端的にそれだけの理由であるかどうか、これは家庭の生活というものはいろんな要因がございますからはっきりいたしませんけれども、一応離職していく数字というものはいまのような状況でございます。まあそれについていかなる対策をという御指摘でございますが、その教員のための育児施設というものは、まだ私どもは具体的に施策検討段階には入っておらないのが実情でございます。
  22. 千葉千代世

    千葉千代世君 その件について提案者であります鈴木委員のほうではどのようにお考えになっていらっしゃいましょうか、保育所問題について。
  23. 鈴木力

    鈴木力君 この提案をいたします場合に、元来であれば、いま千葉委員から御質問のありましたように、完全に保育施設ができておって、何ら育児のために仕事をする場合に支障が全然ない、そういう条件をつくるということがこれは基礎であると思います。ただしかし、そうなりますと、たとえば公的育児施設、あるいは保育所設置ということになりますと、極端に言えば、いまおそらく全町内会ごとにでもこれが完備しないと、およそ徹底はしないであろう、そういたしますと、たとえばいま専売がやっておりますように、あるいはその他大企業がそろそろもう手をつけておるところもありますけれども、おそらく職場におけるその婦人労働者保育施設設置完備、こういう問題が次の問題に出てくるだろうと思います。しかし、この問題についても、なかなか容易なことではないわけでありますが、しかし、そういう保育施設あるいは育児施設完備という一つ方向と同時に、さらに育児休暇という問題は、そういう施設ができればそれで済むと簡単に言えるものでもないような気がいたします。法律的な問題もあろうかと思いますが、少なくともこの施設との関係からいうと、この施設完備を待っておるうちには、婦人教師は今日の情勢でますます退職をしていくということがしいられてくるであろう、そうすれば、それを救うためには、どうしてもいまの育児休暇という制度を創設しまして、そういう面からの救済をいたしたい、これが提案趣旨でありますが、なお、ただいまの御質問の中に、退職者状況についてということで御質問一つあったわけでありますが、これは私ども調査でも正確な端数までは出ておりませんけれども、大体いま斎藤局長からお答え申し上げたような数字と、多少は違うようでありますが、傾向的にはほぼ同じような傾向をたどっておると思うのでありますが、その中で、育児のために退職をしなければならない者はどれだけあるのか、こういうことが問題であろうと思いますが、退職者の私ども調査の結果は、私ども提案理由説明でも御説明申し上げましたように、おそらく出産者総数の四分の一が育児のために退職をせざるを得ない、これが私ども調査の結果でありますから、そういたしますと、出産者総数の四分の一ということになれば、これは退職した婦人教師のうちの相当数育児理由退職をしている、こういう把握をしているのでございます。
  24. 千葉千代世

    千葉千代世君 いま退職した方々の若い層、それから中年層、その大部分がやはり育児その他が中心になって退職しているということは想像にかたくないということをいろんな資料を私ども拝見しているのですが、ちょうどこのついでに伺いますけれども、これは文部省に伺います。婦人教師の年間退職者総数の中に、大体やめた方々、あるいはやめさせられた方々は、どういう理由によってそうなっているのかという、この理由を聞かしていただきたいのですが、それから人数と。
  25. 斎藤正

    政府委員斎藤正君) その理由についての実は資料は私持っておりませんので、お答えいたしかねます。
  26. 千葉千代世

    千葉千代世君 理由についての資料は持っておりませんですか。
  27. 斎藤正

    政府委員斎藤正君) そういうような調査をいたしておりませんので、お答えいたしかねます。
  28. 千葉千代世

    千葉千代世君 それはおかしいですね。文部省教育の行政的なものをつかさどっているところで、婦人教師のやめた原因がわからない。教育委員会その他でやっていることがわかりませんか、各県で。
  29. 斎藤正

    政府委員斎藤正君) 私どもはどういうふうな年齢層が離職していっているかというようなことの数字は持っておりますけれども、一々の事由についての統計資料はございませんから、先ほど離職者あるいは死亡者というようなものを合計いたしまして、先ほどのような女子教員の年齢別の推移というようなことは、私ども全国的には状況として把握をしておるものですから先ほど申し上げましたけれども、お尋ねは個々の離職者の理由別の数字ということでございますから、そこまでは私は現在持っておりませんということを申し上げた次第であります。
  30. 千葉千代世

    千葉千代世君 それでは具体的に伺いますが、たとえば日本全国婦人教師退職する年齢、自分から退職していく年齢、そうではなくて今度は逆に、いま停年制というのはございませんけれども、その県の内規とかあるいは申し合わせ等によって男女の年齢の差がついておったり、いろいろ条件があるわけなんですね。たとえば富山県ですと、四十五歳で退職勧奨があったり、それから夫婦でつとめております場合に、だんなさんが校長さんになった場合に、おなたはやめなさいというようなことを言ってみたり、ついこの間私が相談を受けた例ですが、それはごく近いところの県ですが、だんなさんが市会議員に当選した、そうしたら奥さんが、中学校先生ですが、校長先生に呼ばれて、あなたは内助の功がたいへんでしょう、ですから学校教育も大事ですけれども、もっと大きな意味でこの市の発展のために尽くしてもらいたい、ですからおやめになって内助の功を全うしたらいかがですかって、全く前時代的な、聞くも腹の立つようなことをぬけぬけと言う校長があるわけなんですが、これはいま証拠をそろえているわけなんですけれども、そういうふうなこともあるわけで、これはほんのばかげた話といえばそれまでですけれども、こういうような露骨なことから、もっとじょうずなオブラートで包んだような、さっき言いましたじょうずに四十五歳以上——これは富山県です。これはかっての校長先生文部省教育委員会その他に配られている日本教育新聞の四十一年二月二十二日ですから、三月を控えた人事異動の件を取り上げた新聞でございます。ですから全く客観的に書かれている中に、そのことが書いてあって、「30歳までに65%が退職」、「“女性”ゆえに差別」、「根本的な対策樹立が必要」と、こういう見出しの中に各県の具体的な例があげられているわけです。そこにいま申し上げました、富山県では四十五歳で退職勧奨、年度末には婦人教師は落ち着けないと、こういうふうなことがずっと書いてありまして、もっと具体的に例がずっと述べられております。私はこの日本教育新聞に待つまでもなく、現実に現場の婦人教師方々から、あるいはいろいろな団体からそういう例を幾つもここに実情をいただいておるわけなんです。それを見ていきますと、これではとても具体的な例がないから知らないでは済まされないと思います。しかし、きょうは育児休暇の問題でございますから、これに言及することは避けますけれども、やはり婦人教師が総体的に職場が狭められていく条件がある、その条件一つの中にいまの保育所の問題がある、それを何とかして打開していきたいというのがこの育児休暇であろうと思います。したがいまして、私はこの内容を明らかにして、文部省がこれに対して総体的にどのような考えを持っているかを、提案になってからもうかなり間がありますから、総括的にお考えになっていらっしゃるかを、これは文部大臣から聞かしていただきたいと思います。
  31. 剱木亨弘

    国務大臣剱木亨弘君) 私はこの女子教員のこういう勤務の関係につきまして、かねてから重大な関心を持っておりますし、育児に関しまする勤務関係につきましては、かねてから関心を持ちまして、いままでも、各国におきまする育児関係の勤務関係について調査をいたしましたし、また国内の問題につきましても、各会社その他一般の業種につきましてのとっておる措置、これらについても調査をいたしておるのでございます。でございますから、今回こういう法案提案されたわけでございますが、私どもとしましては、結論を申し上げまして、はなはだ申しわけございませんけれども、しかし、この育児休暇の問題は相当重要な関係がございますので、文部省としましては、もう少し時間をかしていただいて、前向きの調査を今後やってまいりたい、こういう気持ちでおったわけでございます。いまこの法案が出まして、その取り扱いにつきましてはこの委員会でおきめになるわけでございますけれども、私といたしましても、この女子教員方々の勤務につきまして、育児問題は重大な問題でございますので、将来これをどう取り扱うかということにつきましては、十分前向きの検討をしてまいりたい、こう考えておるわけでございます。
  32. 千葉千代世

    千葉千代世君 それじゃ鈴木委員にお尋ねいたしますけれども、いま文部省が前向きの検討という、まことに聞こえはよろしいのですけれども、あまり具体性がないのですが、発議者としてそれについてどうお考えになっているでしょうか。これはわれわれがここで審議してきめることで、発議者はこれについては早くきめたいのは、これはまあ当然のことですけれども、どうでしょう。
  33. 鈴木力

    鈴木力君 発議者といたしますと、いろいろとなお御質問もちょうだいしたいのでありますけれども、現在の状態では、この法案が通過すること以外にいまの婦人教師の将来の教師としてほんとうに生きていく、あるいはいまの教師の配置状況からして、もうこれからの少なくとも小学校、あるいは中学校までは相当数以上に婦人教師によってささえられるという段階がきておると思うのです。たとえばことしの教員養成大学に入学した学生の数を調べてみても圧倒的に女子学生が多い、こういうことから見ますと、数年後といいますか、十数年後には少なくともいま申し上げたような、婦人教師によって日本の初等教育がささえられる、このことはいまから準備をしていかなければならない、こう思いまして、そういう意味で発議者からどうかと言われますと、この法案を満場一致でお通しいただきますと、いまの教育をささえていく一つの大きな成果になるであろうと、こう確信をしておるところです。
  34. 千葉千代世

    千葉千代世君 いま文部大臣が緊急要件で退席するということを理事会で了承されましたので、質問を文部大臣にしたわけですが、あとへちょっと戻りまして、斎藤局長にさっきの続きを伺います。  退職勧奨の件ですけれども、これは文部省としては、各県教育委員会のつまらないところに自主性にまかせると言わないで、やはり婦人教師がどんなに教育上大事かということ、教育の中で車の両輪のように、両性が相まって特質を生かして教育を全うしていくんだというこの基本的な理念に立った教育の推進が行なわれていくというこういう見地から、これを守るという観点から、少し詳細にお調べいただいて、年度末になって、あるいは途中でこういう不当な勧奨がないように配慮をすべきだと思うんですけれども、その点についてお答えいただきたいと思います。
  35. 斎藤正

    政府委員斎藤正君) まあいわゆる勧奨退職の年齢の問題につきまして、先生指摘のように、府県によりましては、なお男女の差があるということは事実でございますが、そのことも、年齢のその状況も逐次改善をされてきておるわけでございます。私どもといたしましては、まあ全般に、特に初等教育におきます女子教員の占める割合というようなものは現在でも四八%に達し、そして今後もなおそのシェアというものは拡充していくというふうな状況でございますので、まあ全般的に女子教員の処遇というような題問につきましては、十分に配意してまいりたいと思っております。  これは、考えるべき要因というものはまあいろいろございまして、たとえばその学校の管理というもの自体も、こういうふうになっておりますと、経営自体も従来のままでなく、もう少しいろいろな意味でいわゆる近代化をしていくということも、間接には女子就業者というものの勤務しやすいような状況にもなるわけでございまするし、また先ほど大臣が申されました育児に関するいろいろな勤務体制につきましても、私ども地方団体に実は頼みまして、教育長協議会と協議をいたしまして幾つかの作業仮説を設けて、本年度中にいろいろな検討をしてくれということも頼んでおります。それからまあこういうふうになりますと、いろいろな管理的な地位に女子先生方がつくということも予想されますので、それに対するその報酬というようなものも、本年度文部省自体としても新たに始めましたし、また地方でもそれをやることをすすめて、財政的な援助をいたしますというように、まあ多角的にこの女子教員の題問について配意してまいりたいと思います。まあどこの県でも、人事行政の問題はいろいろな事情がございまして、一律に文部省がどうこうするということにはまいりませんけれども、全体を、そういう気持ちを各種の施策に反映させながら、女子教員の地位の向上というようなことに心がけてまいりたい、かように考えます。
  36. 千葉千代世

    千葉千代世君 それでは端的に伺いますが、どうして男子の教員女子教員の年齢の差をつけているんですか。その理由をどのように把握していらっしゃいますか。これはいま始まったことではなくって、もうずっと前からあるんで、だんだんこのごろはなくなったんですがね、東京とか福岡とか、大阪とか北海道とか、まあこういうほとんどの県ではなくなっていってはおりますけれども、まだまだいま申し上げた県のように幾つかの県でかなり残っているわけなんです。ですからそれをどのように考えて男と女となぜ差をつけるんですか。どのように理解していらっしゃるんですか。局長さんは文部大臣代理ですから、ちゃんと責任を持って答えてください。女の先生がふえているのをどのように把握をして、ただ足りなくなったから女をふやせばいいんだという簡単な考えでものを言われたのでは、えらい迷惑をするし、教育にとっては非常なマイナスになりますから、私らそんな形式的の考えでなくて、やっぱり価値観というものを非常に重視していますから、そういう意味でお答えいただきたいと思います。
  37. 斎藤正

    政府委員斎藤正君) この先生方につきましても、まあ一定の限度で新陳代謝をはかる必要があるので、ある年齢——地方団体によって差はありますが、男女を問わずまあ高齢のお方からお引き願って、そうして後進者を入れる、これは一般問題としてあり得るわけです。またやらなければならない面もある。その場合にいろいろどの方にお引きを願うかということについて、いろいろなその家庭状況、子弟の状況、それから収入の状況、そういうものを人事担当者としては比較考量しながらまあすすめをするということも、これもまたやむを得ないことなんです。ただ男であるから、女であるからという差別をしないようには私どもも担当者と会う際に指導しているわけです。もしかりに停年制という問題になりまして、そういう問題がありましたときに、男は何歳、女は何歳というようなきめ方をいたしましたら、先生のおっしゃるとおりこれは取り扱いとして平等を欠くことになるわけです。これは疑いもないことです。しかし、いま勧奨退職ということでございますから、おすすめをする、お引きを願うと、これはまあ人事行政上どこの社会でもございますが、そのときにいろいろな点を総合判断する場合に、まあ家庭の事情等がありまして、比較的お二人で働いているという方のほうに多くいくということもまあ事情としてはわからぬわけではございません。しかし、私どもといたしましては、人事主管課長会議の席上等では、これは退職年齢について正確に男女の差をつけてやるということのないような指導はわれわれはしているわけでございます。しかし、これは各県の人事行政の具体的な判断でございますから、一律にどうこうするということのわけにはまいらない。しかし、その傾向がだんだん是正されてきているということは私は事実だろうと思います。ひどくなっているということではなくて、少しずつ是正されているという実情にあると思います。まあそれは人事行政の問題でございますから、お答えすることも非常にむずかしゅうございまして、まあわれわれはとにかくできるだけ合理的な方向に進めるようには努力してまいりたい、かように存じております。
  38. 千葉千代世

    千葉千代世君 この問題はやっていると与えられた時間がなくなってしまうので、私やめたいと思うのですが、ちょっとやめられないです。これは。というのは、ある年齢がきたらお引きを願うなんて、あなた何を言うのです。そうでしょう。しかもその中にですね、これはたとえば東京の場合ですと、校長の場合は六十歳、あるいは場合によっては延びることもありますけれども一般教員の場合には年齢で制限なしと、しかし、七十五にもなって一般先生はいないですよ。これはお引きを願うと言わなくても、自分の体力を考えて、能力を一応考えてやっているわけです。そこらはやっぱりこれは常識というものをお互い仲間の問題として、いろいろな点を総合判断していくわけでね。これは百になって、いろと言ったっていられやしません、正直な話言って。子供はぴんぴんはねていますからね。そこらのやっぱりめどというものがあるわけなんです。一定の年齢になってお引きを願うという内容の中に、あるいはもう一つ理由の中に、ある程度収入その他によって勘案すると、こう申しましたね。そのことばにはしなくも出ているのですよ。ある地方からの訴えの中にこういうことがあるのです。御夫婦で俸給十一万以上の共働き、その共働きは、だんなさんが銀行で奥さんは学校の場合はいいんです。二人が教育者としている場合には十一万円以上の人はやめてほしいと、こういう方針が出されたわけです。そうすると、その十一万円取っていらっしゃる御夫婦は、やはり結婚してからそれぞれ生活設計があって、いろいろ必要なことがあるからいるわけでしょう。お金が要るためにだけ働いているのじゃないですよ。教育に熱意を持って生命を打ち込んで、そうしてやはり教育のために一生をささげようという、これがもとになっているわけなんですよ。そうしていくというと、借金が幾らか、知らないでしょう。借金のある人は、私はこれだけ借金があるなんて言っていく人は一人もありませんよ。私だっていま選挙の借金があったって、あるなんてだれも思っちゃいませんよ。違うでしょうと言う。みんなわからない。いなかから借りにくるのですよ。それ式なんですよ。だから、外から見て、教育委員会のたとえば指導主事、係の人が、自分が一人で働いていて月給七万、八万円だとすると、あそこの校長さんと奥さんは片っぽが七万円、二人で十四万円だと、だから細君はやめても食べていかれるんだろうと、このものさしなんですよ。これを当てはめられるから、上手にやるというと、御主人のほうはやはりそこは弱い立場で管理職ですから、幾らかもらっているでしょう。そうすると、やはりそこでもってまあまあという因果を含められていくという実情なんですよ。そこをやはりくみ分けるのが行政者なんですよ。逆なんですよ。そうしていったって別に指導主事といいますか、職員課長といいますか、管理者という首切る人の名前は私何の職だか知りませんが、人の月給をどろぼうして先生二人がもらっているわけじゃない。出るべきところがらちゃんと堂々と取っている。労働なら労働の報酬として対等にもらっておる。学校につとめている先生は一人の教育労働者として、対等の価値観として堂々ともらっているので、だれに遠慮が要りますか。一々学校に行っていて、あそこは夫婦だからおれより月給が高いからといってにらまれたらたまったもんじゃないでしょう。幾ら借金して、どのくらいいなかにお金送っていると思うのですか。うちにはお金を毎月三万円送って、そうして十年寝ているしゅうとにお金を送っていますと、そうして手足の不自由な義兄をかかえていますとか、涙の出るようなことを書いてあるのですね。そういうことを全然考えないで、机の上で、あれは月給が二人で十四万円だ、十一万円以上はけしからぬと、そういう人の首を切る人がほしいと思うくらいですよ。たいへん恐縮ですけれども。機械的なそういう申し合わせとか内規とかでなくて、やはり真のお互いの平等権とか対等権とかいうものがあるならば、男女の特質を生かし合った教育の場があって、はじめて子供たちがほんとうに持っている力をフルに生かし合うということを学び取っていくんでしょう。人は人間として権利はこれこれあるんですといって教えたってだめなんです。そういう体験を持った人の中でいい教育がされていかなければだめだと思うのです。  そういうわけで、たいへんお説教じみましたけれども、どうも首切り浅右衛門みたいに、見てください、全部首切りじゃありませんか。これは特定のところじゃなくて、どっちかといえば文部省のたいへんひいきにしている新聞でしょう。校長さんはみんな読んでいます。こういう新聞に書いてあるのです。だから今度校長会のほうからは、六十歳以上まではやめさせないとかなんとかいって、いろいろな要求がきているわけですね。こういうふうになっておりますから、これはやめますけれども、そういうふうに男女の差というもの、なんで差をつけるかということ、これは差をつけてはならないということで、そういう中で今度は女教師をたくさんふやしていきたいという観点で、この女子教育職員の育児休暇法案というものは、私はたいへんいい法案だと思っているわけなんです。そこでいまの問題で、保育所とあわせて、やはりほんとうに婦人教師が安心して職場で働くために、婦人教師を過重な労働から解放するということと同時に考えていくという中で、たいへん熱心に研究していらっしゃる先生方があって、この教育研究のレポートをずっと拝見した中に、これらのことばで尽きると思うのです。婦人教師がふえたふえたというけれども、量的にふえたということで、女の先生がふえてよかったななんて、量がふえることはけっこうだが、私はやはり質的な転換をして、うんと質的にいいものを、量質ともにふやしていきたいという願いなんです。今の質が悪いというのではありませんが、もっとよくしていきたい。この間テレビを見ておったら、甲府の教育長さんが朝のNHKのテレビで、一〇二ですか、そこで教育長さんが、甲府の学校で女の先生ばかりの学校をやったことについて批判があって、自分の所信を述べていたのです。たいへんいい御意見であったので、私すぐ甲府へ電報を打ったのですが、電報の中に、男女の能力にいささかも差はない、もし能力に差があるとしたならば、それは能力を十分に伸ばす体制がいままでなかったからだ、だからあなたの意見賛成だから絶対ひくなと電報打ったのです。そばにいた人が、何でもすぐ感激して、教育長なんかに電報打ったってって言うのですが、教育長だって何だって、いいことなら打たなければならないといって笑ったのですけれども一つのそういう意図が、女の先生が足りないからだといってふやしたという意図であっても、ふやしたならば質をよくしていくことが、今度あとから続く者の任務なんだから、ですからそういう意味で考えてみますと、これは千葉県の女の先生の木村俊子さんという方が、「女教師の過重労働からの解放と定員闘争」ということで、これでちょっと一くぎりつきますから、これでくぎって次に進めますけれども、「女教師時代きたるといっても、それは現在のところ、単に量の上の問題でしかない。真に女教師が義務教育の主体となって活動するためには、現状のような教育条件の枠の中での研修は女教師に負担をのみ背負わせて問題を解決するものではない。むしろ女教師たちを過重な労働から解放することが先決であると思う。」、こう言って、ずっと一週四十四時間の勤務時間から始まって、具体的な例を全部調べて、女教師の労働、それから疲労度、それからいろいろな欠勤数とか、たくさん調べあげていって、やはり量的転換をはかりながら、男女の特質を生かし合ったいい教育分野を築いていくのだという使命は、みんなでやっていくのだということが述べられているわけですが、私はそういう意味で、やはり男女の差をつけていくという、旧来の観念を払拭しながら進んでいくという一つ条件整備が、この休暇法案だということを把握しておりまので、そういう観点からもう少し時間をいただいて進めていきたいのですけれども、この中に選択制というのがございますね、鈴木委員に伺います。選択制ということばではありませんが、そういうことが盛られておりますけれども、どちらを選んでもいい、とってもとらなくても、産休が終わったら出て行ってもよろしいし、あるいは続いて育児休暇をとってもいいということが書いてありますね。もう一つ、休職でなくて休暇にしたらというのはどういうことでしょう。二つをちょっと。というのは、これには育児休職というのが全電通の書類に書いてありますね。育児休職をとって——これは法律ではございませんから、そうすると了解事項ですか、団体協約になっているのですか、その辺ちょっとどういう観点からでしょうか、お答えいただきたいのです。
  39. 鈴木力

    鈴木力君 この選択制と言われましたけれども、その意味は、この法律で規定しておりますことは、育児休暇をとるという場合、要するに出産をした婦人教師が休暇をとらなければ教育職を続けていけない、そういう状況のものが希望する者には件命権者は半ば義務的に休暇を与えなければならない、そういう趣旨のことをこの法律で規定をしておるつもりです。したがって、これはたとえば休暇をとらなくても自分の職責を全うしていける、その仕事を続けていける、こういう教師は休暇をとらないで教職を続けていける、そういういわゆる出産をした婦人教師の主体的な意思によって選ばれるということにしたということで、それはなぜかというと、この法律の目的自体は、これはただ単に出産をしたら権利として休暇がとれるのだという、そういう考え方だけではなしに、さきにも申し上げたように、婦人教師が将来いわゆる初等教育の柱になる、こういう前提で、そういう婦人教師育児の障害のために退職をしていくことを防ごうということが趣旨でありますから、それはどこまでも婦人教師の力による教育体制を強化しようとするのが趣旨でございますから、そういう意味からいいますと、休暇をとる必要がないものに無理に休暇をとらせる必要がないというのがこの考え方であります。したがって、よく伝えられますように、もし休暇をとったら、全部その期間だけは休暇をとる、半ば義務的にというような考え方は全然持っておりませんし、それからまたもう一つは、ともすると育児というような期間が、これは望ましいことではありませんけれども、事実としては職場からうとんぜられるというような訴えも実はわれわれのほうにもきておるわけです。そういうような育児ということが職場からうとんぜられたり、あるいは父母からいろいろな障害となるような目で見られたり、こういうような圧迫から守るということもこの法案趣旨には入っておる。こういうつもりでわれわれのほうでは提案をしておるわけであります。でありますから、お産をしたら校長さんをつついて、あの先生は一カ年休ませなさい、こういうような圧力は絶対にかけてはいけませんぞという意味と、そういう圧力からはこの法律でその婦人教師を守ってあげますよという保障の意味も含んでおる。こういうように御理解いただけたらと、こう思います。  それからその次の休暇と休職の関係でありますけれども、これもまた育児休職という考え方と育児休暇という考え方と二つあるようであります。たとえばILOあたりのいっておることの中にも、何か休職みたいな表現も見えておるわけでありますけれども、しかし、さっき全電通のお話も出たのでありますけれども、全電通は一つの労働協約でこれは休職をとっておる。くわしい統計ではありませんけれども、全電通の人たちの状況を聞いてみますと、やはりこの休職制度というものは必ずしも成功しているとは言えないという報告を私どもは聞いておる。全電通が必ずしも成功していないというのは、これは休職だというところに非常に大きな理由があるように見受けられる。特に無給休職ということになりますと、その働いて生活しておるそういう職員や労働者にとりましては、これは歯をくいしばってもやはり給料をとらなければいけないという生活条件があるのでありますから、したがって、この休職という制度は必要な制度でありながら、無給ということと休職であるという二つの条件によってその必要な制度が生かされていないというのが、全電通からの私どもに聞かされておる主たる理由なわけであります。そういう経験にかんがみて、せっかく制度はつくっても、これは対象となる婦人教師がこの休職をとることができないというようなそういう制度であっては、これは名ばかりであって実がないと思うわけでありますから、そういう意味で、これはぜひ休暇でなければいけない。付け加えて申し上げますと、有給でなければいけないという立場をとったわけであります。  それからもう一つの意味は、特に今日の教師の給与体系から見ますと、何といいますか、年功序列型という一の給与体系を持っておりますから、そういたしますと、休暇ということによって将来の給与の見通し、あるいは保障というものがないと、これもまた一年くらいの期間を休職あるいは休暇をとらないでがまんするというような傾向になってくるわけであります。したがって、この将来の保障ということも、つまり育児休暇をとることによって将来損失を与えないという保障をしておくことによってこの休暇の制度が十分に生かされる。そういう立場で休暇の制度にして提案をしておるわけです。
  40. 千葉千代世

    千葉千代世君 発議者の鈴木委員に伺いますけれども、ほかの休暇で有給の場合は大体給与はどのくらいの保障をしているのでしょうか。休職の場合はどのくらいでしょうか。その点文部省のほうでちょっと答えてもらえますか。教員の場合、休職の場合と休暇の場合の給与のパーセンテージ、大体でけっこうです。
  41. 斎藤正

    政府委員斎藤正君) 休暇の場合に、九十日までは普通全額保障しております。  それからいまの休職の場合の給与関係は、これはいろいろな定めがありますが、私傷病、人が自分の原因で病気、けがをした場合には休職期間は八〇%であって、そのうち満一年に過するまでの期間について八〇%という規定がございます。休職の理由と給与の関係はいろいろな関連があるようでございます。
  42. 千葉千代世

    千葉千代世君 これは前に産休補助教員法律をつくりますときに討議されたのですが、お産のあれは病気ではありませんですね。生理的なもので、病気ではないですね。したがいまして、これは病気とか何とかそういう種類の項には入っていないわけですね。これはそういう意味で立法したわけですね。  これは鈴木委員に伺いますが、この育児休暇というのは、病気とか何とかではないわけですから、たとえば産休補助教員法律をつくりますときに、あれは病気ではなくて婦人の当然な生理的な題問として扱ったわけです。ですから、そのような観点でこれはよろしいのですね。
  43. 鈴木力

    鈴木力君 この考え方は、病気か病気でないかというと、これは当然病気ではないわけです。したがって、出産に基づく育児の休暇はこれがぜいたくであるというような言い方も、私ども話には聞いておる、これはやはり出産ということと育児ということの評価というものにかかってくるのじゃないかと思います。出産するということ自体かぜいたくな現象であると見る場合には、育児休暇に対する給与もぜいたくな給与になってくると、こう思うのですけれども、そうではなしに、今日の情勢からして、育児あるいは出産ということは病気であるかないかといえば、もちろん病気ではない。これはやはり当然あることであって、しかもそのことの評価というのは、病気やその他のものと比較して評価すべき筋合いのものではないというふうに私どもはいま考えておるところです。でありますから、たとえば八〇%という給与をつける考え方も、いろいろ考え方がありましょうけれども最低でもいまの私傷病の八〇%の休職給よりも下回ってはならないという考え方が、ここに入っておるわけです。と同時に、休職ということになりますと、私傷病と同じだという考え方が成り立ちますから、そうすると、少なくともいまの文化国家などと言って世界に宣言しておる日本の法律で、出産と私傷病と同じに取り扱うということではあまりにも少し考え方がおくれているんじゃないかという気持ちをわれわれは持っておるわけでありまして、したがって公的にはこれは休暇に属するものである、そして給与の面につきましては、これは最低でも、私傷病の休職給よりも下回ってはならないという考え方で休暇にし、それから給与は八〇%、こういう考え方を貫いておるわけです。
  44. 千葉千代世

    千葉千代世君 はい、わかりました。というのは、これが提案されて、私もこれは男の方々に特に御協力いただきたいと思って、文教委員とか社労委員は別にいたしまして、ほかの方々にちょっと御意見を伺おうと思って、いろいろな意味の御意見をちょうだいしたいと思って聞いたのですが、なあに、休んで八〇%なんてぜいたくなことだ、というようなことで、まるで人の話を聞かないうちから言っている。そういうのがかなりあるということを聞いて、私はこれはたいへんな問題だなと思ったのです。そこでいま発議者からその意味がはっきりつかみとれたわけなんですけれども、やはりその根拠をはっきりした中でこれは審議していかなければたいへんこれは間違われやすい、しかも無給でいいということがあるというのですが、その中に全電通が無給だ、ところが、全電通が無給でたいへん困ったことが言われたわけです。それからよく言われることは、ILO問題を討議していく中に、無給ということがあるのですね。勧告百二十三号の中にございますね。家庭に責任を持つ婦人の雇用に関する勧告ということ、百二十三号に関連し、一、二、三、四とずっとあります。その中に「育児休職制度の実施と保育所施設とは併行すべきである」と、こうございますのですけれども、この国際的な最低基準でこれが無給だというこれを出すまでの根拠というのは、これは日本の条件とたいへん違うわけなんです。それを出すまでには、いわゆる先任権がすでに確立されている国なんです。やめてもすぐ職場へ復帰できるわけです。それから休んでいる間の別の法律ができているのです。給与でなくて別の法律がある。その休んだ間の生活を保障する法律があるわけなんです。社会保障の一環としての法律があるわけなんです。それは国によって違いますけれども、そういうものがあって、それを抜きにして、ただこれだけ見ていて、ILOが無給になっているのに何でILOよりもあれだと。しかも、この間の文教委員会で小林委員と国連のユネスコの方と外務省の方がたいへん激しいやりとりをした。従来の形の勧告の中で斎藤さんもずいぶん本気になって討論していらっしゃいますけれども、あの中で勧告の食い違い云々ということを言ったのですけれども、これはやっぱりそのことと関連いたしますけれども、これは実際的に方々の国の中でこれを批准する段階の中の背後をやはりきちっと考えていきませんと、これだけ見て、無給だから日本で八〇%というのはと、全然絵空ごとみたいなことを言ってくれる。それじゃ——なんということを言われたのでは困るので、現実に婦人労働に非常に理解があって、この人こそはナンバー・ワンと尊敬している人が、それは時期尚早じゃないかと言う人もいるし、今度は逆に、そんなもの出したら婦人の首切りにつながるからやめたほうがいいよ、とおためごかしみたいにいかにも婦人の味方のようなことを言うのです。ところが実際にそれを探っていくと、よくILOの精神を見ていくと、やはり社会的責任の中で、このことを解決をしていくという、個人の責任でなくて、社会的責任の中でこの条件を獲得していくというのが近代社会の中で婦人労働を守っていくんだという、このことが国際常識になってきているわけです。そうすると、その一つとしてとらえた場合に、日本の中でいまやめさせられたならば、それでは教師の場合に再び就職をする場合に何があるかというと、すごい隘路でしょう。教育委員会別になっておりますから。たとえば東京でやめて今度は千葉県へ行って再就職する場合、また選考試験を受けなければならぬ。千葉県で二十年つとめて東京に出て行く場合、また選考試験を受ける。そうすると、年が超過しているからだめですということになると、先任権なんて何もないからたいへんです。どんなに実際の経験があってすぐれておっても、選考試験を受けると、今度は新しい暗記力の強いものにはかないませんから、実際に就職できない。しかし向こうは先任権があってできるから、その最低生活には日本のように企業別組合でなくて、産業別の最低賃金制があって、しかも、その根拠になっておる未熟練工について、家族何人、それについて最低賃金がどのくらいという時間給があって、週給については幾ら、時間給幾ら、その国々によって時間給の場合もあります。労働時間がどのくらい、こうした中で全部守られている。病気になった場合はだれが保障をする、お産をやる場合にはお産の費用をだれが出して、食べる物その他の最低生活はだれが保障する、そういう保障があるわけですから、そこらを全部抜きにして都合のいいところだけ取ってしまう。向こう側は無給なんだから、こちらが八〇%というのはとても聞いたこともないと、くすくす笑うのがいる。私はたいへん不謹慎だと思って、二度言う勇気もなくなって引き下がったのですけれども、今度は席を改めてもう一ぺん審議の場でよく話し合って、通るまでは何日でも何時間でもやってもらいたいと思う。そういう意味で時間が制約されておりますので、これくらいにして次に譲ります。
  45. 楠正俊

    楠正俊君 この女子教育職員が育児のために休暇をとるというこの法案は、非常に私本質的には重要な問題であると思いますし、また学校先生子供を愛情を持って育てるという場合に、子供を育てた経験のある教員ということになりますと、また子供を育てたことのない教員と違った意味の深い愛情を子供に持つという意味におきましても、こういったものを保護してあげるということは非常に重要だと考えます。文部大臣は、先ほどこの休暇の問題に関しては、前向きで研究を進めておるというお話でございましたが、現にここに鈴木議員から法案提案されておりますが、この法案につきまして、文部省としては現に研究を進めておるならば、どういったところが問題点であるか、もしこのままの法案が通過した場合には、文部省としてはどういったところが問題点になるか、その点をちょっとお聞かせ願いたい。
  46. 斎藤正

    政府委員斎藤正君) 私どもはまだ国内の女子従業者のこういう問題に対するいろいろなもの、あるいは諸外国の例というようなことも部分的にしか承知しておりません。それからもう一つは、このことが府県の人事行政というものにどういう影響を実態として及ぼすかというようなこと等も、なお府県の実情について研究しなければ、文部省だけの研究では不十分でございますから、先ほど千葉委員にお答えいたしましたように、府県の段階での今年度の課題といたしまして、特に教育長協議会に申しまして、具体的には静岡県でございますけれども静岡県にいろいろな作業仮説を設けまして、この幾つかの制度があった場合に、どういうことを実態として及ぼすかということを具体的にやってもらうというようなことの結果を待ちたいと思うのでございます。  それからいま千葉先生からの御質疑と私の答弁の中にありましたようにこういう制度をしくための基底となります一種の優先権問題というものが主であるならば、いかなる制度が主になってしかるべきか、それが主として何といいますか、給与上の保障というところに重点があるのか、それとも優先権の確保というようなことに主があって、一定の時期お子さんをお育てになってもまた優先権を持ち得るということに主を置くならば、その点に着目をしなければならぬ。いろいろなことがありまして、まだ研究も緒についた段階でございまして、仕事と研究と合わせまして、なお今後十分に考えていかなければならない。しかし私どもは単に検討ということでなくて、もっとこういう育児に関する勤務関係というものについてどういうふうに進めていくかというような観点検討を命じておるようなわけでございます。
  47. 楠正俊

    楠正俊君 鈴木委員質問いたしますが、この法案についてですが、第四条の「育児休暇の期間は、任命権者が定める日に始まり、育児休暇に係る子が一歳に達する日に終わる。」と書いてございますが、つまり一年間休暇を与えるというその根拠、理由、そういったことをお聞かせ願いたい。
  48. 鈴木力

    鈴木力君 一年間としたのは、これは二つのことを説明申し上げますが、一つは、まず育児休暇にかかる子が一歳に達するというこの場合に、やはりわれわれはあくまでも期間を決定する主体は育児される子供が主体であるという考え方をとりまして、いろいろな考え方がありまして、もし休暇をとる職員が主体である場合には、同じ一年でも産後休養が済んだあと一年という考え方も成り立つわけでありますけれども、しかし、いま労働基準法でもありますように、育児の時間とかそういうことは大体育児が満一年、こういうことできめられておると思いますので、そこに根拠を置いたわけであります。  もう一つの面は、一年では短いんじゃないかという議論があろうかと思います。これは一年あるいは二年、三年という考え方もあるわけでありまして、もし必要ならば三年も与えてもいいじゃないかという御意見があろうかと思うのですけれども、この立法趣旨は、そこにもございますように、「学校教育に経験のある女子教育職員の確保を団ることを目的とする。」、つまりこれは有能な女子教育職員が教育職員として将来大きな実績をあげられるように確保する、これが目的でありますから、そういたしますと、今日のように教育の考え方なり、非常に複雑でもあれば、そうしてやや研究、研修も非常に強いられておる、少なくとも今日の教師が教師としてその任務を達成するためには、日常主体的な研修を怠ってはならないということが、これはもうはっきりしていることでありますから、でありますから、一方からいえば研修手当制度をつくらなければならないという声さえ非常に強くなっておる時期でありますから、そういたしますと、育児という条件のために職場を離れて、家庭におりながら教師としての研修が続けていかれ、その間に教師としての有能な諸条件を持っている期間というのは最大どの程度である、だろうか、これはしかし教育的に、学問的、統計的に一年が最大だという、まだその研究した結果もないようでありますけれども、私どもいろいろ検討いたします際に、あるいは現場の職員等からもいろいろと意見も聞きまして、やはり一年間というのが大体その辺の一つの区切りではないか、これが三年も育児のために職場を離れておるということになりますと、そのことがこの主体的な教育研究と生活との間が遠くなるとすれば、この法律趣旨と少し変わってくるのではないか、こういう意味で一年を一応規定したわけであります。
  49. 楠正俊

    楠正俊君 そうしますと、この育児期間が満了して、そのときにその子供をめんどう見てくれる人がいないといった家庭の事情があった場合は退職するということになるわけですね。
  50. 鈴木力

    鈴木力君 それでもなおどうにもならないという場合は、いまのようなこともあるいはあり得ると思うのですけれども、しかし総括的に言いますと、これもまあ大体の婦人教師等のアンケート等によって調査をした結果でありますけれども、致命的に救えないのは、やっぱりこの満一カ年の保育期間といいますか、乳児期間といいますか、そういう時期がどうしても手に負えない、ある程度ここを過ぎますと、それからは、またたとえばお守がないというような場合にもどこかの代理のところに便宜的にお守を頼める、あるいは学校に簡易の育児施設をつくって、そこで何とか授業しながら、遠くから見ても育児ができるとか、そういうところまで子供が成長をする。であるから、ぎりぎりのところどうしてもこの満一年というのは見てやらなければいけない。こういう意味であって、一年たったら、それでもだめな場合には退職するのだということが趣旨ではございません。
  51. 楠正俊

    楠正俊君 この法律の本来の目的が鈴木委員の言われるように女子教育職員が育児のために退職することを防止する、ベテランの教員退職をしないようにそれを防ぐということが目的であるとするならば、この一年とかいうようにはっきり限定しないで、一年とか二年とかといった本人実情に合った選択制をとったほうが私はいいと考えるのですが、その点どうでございますか。
  52. 鈴木力

    鈴木力君 そういう考え方もあろうかと思います。でありますが、しかし無制限に何年でもということになりますと、これは逆にいったら、さっきの無給制度にもまた通じるおそれが一つは出てくると思います。もう一つは、この婦人教師の雇用問題に、育児のために無制限に休暇をとり得るということになりますと、これは雇用問題との関係も出てくるのじゃないか。しかし、いまの楠委員の御意見のように必ずしも一年でなければならないと固執する根拠はありませんし、これはある程度はその幅を持たせることもこれは検討の余地があろうかと思います。
  53. 楠正俊

    楠正俊君 ちょっと変な質問なんでございますが、この第五条の一項一号に書いてございます「女子教育職員が出産したとき。」というのは、つまり一年たたないうちにまた次の子供が生まれた場合のことですか。そうじゃないのですか。
  54. 鈴木力

    鈴木力君 これはそういういまの御質問趣旨のことを意味しております。つまり出産をいたしまして休暇をとっておって、満一年にならないうちにまた出産をした場合には産前休暇に入りまして、前のこの育児休暇はここで終わる、こういう意味であります。
  55. 楠正俊

    楠正俊君 そうすると、またそれから一年間延長できるということですか、新しく。
  56. 鈴木力

    鈴木力君 これは新しく休暇が始まるという意味でございますけれども、これはしかし最近では特例中の特例であろうと思いますけれども、こういう面の規定もなければならない、こういうつもりで規定したわけでございます。
  57. 楠正俊

    楠正俊君 休暇期間中有給制度であるということは、むしろ婦人の職場を狭めて、雇用促進の障害になるというような考えもあるのでございますが、先ほども話が出ておりましたが、ILOの中に、「子どもをもった女子職員は、子どもの生れたのち一年までは無給育児休暇のような措置により在職でき、」と書いてございますが、百二十項ですが、そういったような無給にして、むしろ先ほど私が申しましたように、休暇期間のほうを一年以上にしたほうがいいと考えられますが、その点いかがですか。
  58. 鈴木力

    鈴木力君 無給にするというのは、これはすでにさっき千葉委員の御質問にお答えいたしましたように、全電通も経験済みでございまして、つまり教育職に携わっておる職員が今日では主たる収入——主たる収入といいますか、ほとんど全部の収入が俸給によって生計をささえておるわけでありますから、したがって、かりに一年以上の長期にわたって無給になるということになりますと、別な生活条件が出てくるわけであります。そういう意味でせっかく休暇の制度をとってもこの制度を利用できない状態に今日の職員がいる、このことを見のがしてはならないと思うのであります。つまり、だから生活上の脅威がなければこれは無給にして三年もゆっくり育児に専念したらよかろうということになるわけでありますけれども、今日の状態はそういう状況ではない。これがさっき申し上げましたように、すでに経験があることでありますから、したがって私は提案にあたりましては、有給ということについては相当にこの法案を生かすかなめであると考えておるわけであります。期間につきましては、いま申し上げたように、満一年というのは先ほど申し上げましたような根拠で一年という期間をつくりましたけれども、しかしこれはなお検討の余地があるのではないか、こう思いますが、しかし、無制限に長くなりますと、教育職員としての持続という点から考えてみれば若干の問題があるのではないか、やはり私は対象となる育児教育職に従事するのに支障がない、あるいは多少の支障があったにしても従事ができるという段階にきたら、休暇期間は終わるべきではないか、こういう考え方をいたしております。  なお、このことが雇用促進の障害になる、こういう御意見があることも私ども承知しております。これはやはり私は教育における婦人教師の功績の評価にかかってくると思う。つまり、いまの学校構成からいって、さっきも申し上げましたように、おそらくここ十年後あるいは数年後には婦人教師によって初等教育がささえられるだろう。この場合に有能な婦人教師育児という障害条件のためにはずれていって、そうして残った人をかき集められて教育をするという状態と、それから現在一生涯教職で打ち込もうとするこの婦人教師たち育児という障害、そういう条件が障害とならずに打ち込んでいけるという教育の状態を評価する、どちらの評価をするかということにかかってくると思う。それを単なる企業と教育と同じような考え方で育児をやるから、月給を払っているから、能率があがらないから、これでは婦人教師を採用しないことになっていこう。そういうことで免許状のない、あるいは他の企業に就職をしようとして就職をはずれた人を何とか集めて教育をやろう、こういう考え方と、二つの分かれ目だと思うんですけれども、私はやはり今日までの教員養成の実態、あるいはいまの教育の職場の実態等から見て、もしそういうような、休暇があるから雇用制度が狭められるというような社会情勢であるならば、それこそこういう休暇制度をつくることによって、文部省を中心にした総力をあげた啓蒙が必要であろう。したがって、そういうように教育の評価のしかたの間違っておるものに対する蒙啓の役割りは、この法案が通過することによって非常に大きな価値があるであろう、こう考えておるわけであります。
  59. 楠正俊

    楠正俊君 文部省にお尋ねしますが、いまのように有給休暇ということになると、雇用促進の障害になって、むしろ婦人の職場を狭めやしないかということに対して、文部省も前向きの姿勢でこの問題に取り組んでおられるときでございますが、鈴木委員の言われるように、文部省を中心として、そういうことのないように啓蒙をしなくちゃいけないといういまの鈴木委員の御意見に対して、文部省ではどういうような見通しを持っておられるか。
  60. 斎藤正

    政府委員斎藤正君) 私どもは、先ほどもお答えいたしましたように、女子教員が現在におきましても、特に初等教育の場合には半数に達しているような実態、そしてこれはなお、先ほど来お話がありましたように、教員養成における大学における実情というものから考えましても、初等教育の分野におきまして女子教員の比率が実態として増していくだろうという見通しを持っておりますので、私どもは各般の問題につきまして、女子教員の地位、これはまた先生方のほうの御努力にも待つところも多うございますけれども制度上、条件上いろいろな女性の特色を十分に教育の面で発揮できるような環境を盛り上げていく、そのためには逐次教育委員会の考え方につきましても、能力ある者は性別を問わず、その地位につけるようにする必要があるということで、実は本年度から始まりました、これは単に管理的な地位ということだけでございますが、そのこと自体も私どもが言い出したときには、やはりこの女子教員重要性ということを認識するその契機になっているようでございますので、今後も各般の問題につきまして、その点については留意してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  61. 楠正俊

    楠正俊君 休暇を取っております女子職員の代替職員を九条に書いてございますが、正規採用職員でまかなうというようなことが原則的な制度になっておりますが、これはやはり一応恒常的な必要人数をつかんだ上で、一応臨時に臨時職員でまかなうというような形をとったほうがいいように考えるんですが、その点どうですか。
  62. 鈴木力

    鈴木力君 便宜的に言えば、いまの御意見のように、まず臨時的な職員を採用するということを原則にいたしまして、そうしてある数字をつかんだ上で正教員を採用するという方向に変わっていくべきだ、こういう御意見が成り立つだろうと思います。しかし私どもがこの法案を立案するにあたりまして検討いたしました場合には、一年間という期間がかわりの教員によって教育が営まれるわけでありますから、そういたしますと、具体的には、臨時教員の採用の見通しも残しておきながらも、やはり教育は正規の教員によって常時行なわれるという原則をこれで踏みはずしてはいけないということが、この法案趣旨であります。これがもしもたとえば、短期間の一カ月間の病気に対する代用、こういうような場合と一カ年の休暇に対する代用という場合とでは、この臨時であるか正規であるかということを議論いたします場合に、やはり正規の職員ということがどうしても原則でなければいけない、こういう気がいたしますただし、その法案にも出しておりますように、正規の職員を原則といたしまして、しかしその正規の職員を配置することに著しく困難な場合には臨時の職員を配置することもできる、こういうことで、具体的な技術的な人事面の調整はとり得ると考えているわけでございます。
  63. 林塩

    ○林塩君 私は少し違った観点から向ってみたいと思います。先ほど提案者のほうから、一年の年限を切ったということは、婦人教師よりも育てられる子供に重点が置かれたということでございますが、それについて非常に重要だと思いますので、育てられる子供が一年という限定をしたということに何か根拠がございますか、伺いたいと思います。
  64. 鈴木力

    鈴木力君 これは育児という言い方に、労働基準法でも育児の時間を設けなければならないという場合に、生児一カ年という期間がございまして、大体その期間というのが、生児一カ年ということを根拠にしているようでございますから、そういう意味で生児を対象として一カ年こうきめただけであります。その他の根拠はござません。
  65. 林塩

    ○林塩君 私はこれが非常に意味があると思うのです。といいますのは、何と申しますか、子供は発育をいたします。教育をいたしますというにはもう三歳になったらだめだと言われております。それで母親は教育者である、こうもいっております。で、そういう意味におきまして、学校先生女子教育職員は同時に社会の教育者でなくてはならない、自分の子供教育者でなくてはならないと思うのです。そういう意味におきまして、保育所に入れればそれでいいじゃないかという考え方には私は不賛成。といいますのは、だれが一番よき教育者であるかといいますと、母親であります。その母親が、ただ栄養を与えればそれでからだが育つ、それならばそれは育てるということではなくて、同時に母親がおっぱいを与える、母乳を与えることによりまして、子供の精神的な芽、それからまた感情の芽というのが育つわけであります。これは精神身体医学の上からも非常に大事な問題であります。母親よ家庭に帰れというようなことをよく言われております。私は両方の意味におきまして、家庭に帰るということはいいことだと思うのですけれども、帰れない事情が一ぱいあるという社会情勢の中にあってこのことは考えられていかなくちゃいけないと思うのです。そういう意味におきまして、母親が一番よい教育者であるというならば、自分の子供のよき教育者でなくてはいけないと思うのです。自分の子供のよき教育者でなくしてどうして社会のよき教育者になれるであろうかということを思いますときに、そういう職員が足りないために、そして社会の責任においてこれが果たしてもらっております役割りを、ほんとうに女子教育職員として果たしてもらいますためには、この人たちの子供はどうしても社会において、社会の責任において育てていかなくちゃならないという意味におきまして、託児所に行けばいいという問題ではなくて、もう一年間というものはどうしても母親が母乳を与える。そうして母乳を与える中から感情の芽を育てて、将来性格異常者をつくらないように、そうしてまたいろいろな意味におきまして、教育を受けるにふさわしい人をつくるという意味におきまして、教育者であるがために、女子教育職員であるがために、よけいに私はこの休暇が絶対必要であろうと思うのでございます。もちろんそういう理想的なことばかりは言われません異常な事情がございます。ございますから言われませんけれども、この育児の一年間の発想の中心になりましたものは一体どこにあるのかということでございます。教育を論ずることでございますから、そういう意味で、社会の子供教育はいいけれども、自分の子供教育についてはかってたるべしという考え方が、もしかりに女子教育職員の中にありましたならば、それは社会の子供を育てるに足るだけの女子教育職員ではないと思うのでございます。よく言われる例でございますけれども学校先生子供を持つ看護婦については、自分の子供については何にも知らないのだ、学校先生子供はあまりよくないのだというようなことを言っております。それはなぜかといいますと、他の子供を教えるために自分の子供のことについてあまり注意をされておらない。ことに感情的なものというものについてのこまかい心やりができておりませんことで起こってくる問題がたくさんございます。それはもう何といいますか、せいぜい満一歳過ぎたときにはだめだと言っております。子供は無心であるから何にも知らない、三歳児になってようやくできるのだというようなことをいっておりますけれども、私は生まれたときから教育があると思います。その教育はしっかり母親がするべきものである。何を教えるとか、どうしたらいい、こうしたらいいということでなくて、心理的なあるいは感情的な、人柄として非常に円満な人柄をつくります。ためには、子供をしっかりと母親が抱いて、四六時中ついている母親の愛情というものが、本人が関知しない間に、しっかりとしたつながりを通じて結ばれていくものでなければつくられるものではないということは、心理学者が言っております。そういう意味におきまして、心身を育てる母親の役割りをまず果たして、その上で社会のまた責任も果たしてもらう、そういうことをするためにはどうしても——もちろんこういうことは他の分野においてもあると思います。婦人の職業は女子教育職員だけではありませんけれども女子教育職員なるがために私はぜひこの育児休暇の問題については、経済的な問題とかいろいろございましょう。雇用関係の問題もありましょうけれども、ぜひ教育の根本でございますので、これはぜひとも通過できるように御努力願いたいと思いますが、提案者の御意見がそういうところにあったかどうか。それからまた一年と切られました御理由の中に、そういうものが含まれておったかどうか。私はたいへん興味がございますので、他の国の例、それから青年になりましてから精神病者が非常にできてきて教育がしにくい状態というものが、はるか生まれたときから起こっておるというような統計もございますので、そういうことなどを考えながら提案者の御意見を伺ってみたいと思ったので、質問に立ちました。
  66. 鈴木力

    鈴木力君 さっき申し上げましたように、一年というのは、生児を対象にした一年、考えました場合に、生児が母親の手によって成長しなければならない最低限度の期間が生児一カ年だと、こういう把握で生児一年を期間にしたわけでございます。一方休暇をとる対象のものは、教師としての任務と両立できる最低の期間としての一年といて、いま林委員のお説のとおり、教師として一年ということと同時に、最低自分の支障のない期間はその母親がその子供の場所にいる、そういう考え方を持っておるわけでありまして、でありますから、先ほど千葉委員の御質問にも、保育所との関係というときに、保育所設置も必要であるけれども、本質的には別の意味がある、こう申し上げた意図は、いま林委員からの御説の意味を含んでおったつもりでございます。
  67. 小林武

    ○小林武君 先ほど来の質疑で大体よくわかりましたが、私は文部省のほうに一、二の点だけ御質問したいわけです。  私の考えを一つ述べますというと、これは女性であろうと男性であろうと、世の中で働くということはこれは当然のことだと思います。私はその点について、労働力が不足になったから女が働くのだというふうには考えない。これは前回もここで私発言したと思いますけれども、これは二、三回前の国会でしたか、分科会で労働省から出しました予算案の中に、補助労働力としての女子というような項目がございまして、私はそのほかの省がそういうことをいうならばかんべんしてやってもよろしいけれども、労働省がそんなことを言うのじゃ困ると、こう言ったら、たしか局長さんか課長さんが女性の方で、労働大臣をだいぶ突っついて、労働大臣は、いやそんなことは考えておりません、これは間違いである、というような意味の御発言もあって、私はたいへん安心したのですけれども、そういう意味に私は考えないという立場で申し上げるのですけれども斎藤さんの先ほど来の御答弁の中に、非常に私は共感したというか、たいへん文部省のいき方けっこうだと思ったことがあるのですが、これは管理職になることがいいとは思いませんけれども、女性の中から管理職的な地位を考慮してそういうことをだんだんやっていかなければならぬという考え方は、とかくこの先ほど来の千葉委員質疑の中にもありましたように、女は早くやめてよろしいというよう低いという考え方、たとえば甲府で行なわれました女子だけの学校を経営しょうという教育長さんの考え方が、PTAといってもこれは父兄の方でしょうけれども、父兄の方の何か総スカンを食って、ついにそれがうまくいかなかったということは、これは一面女性に対するたいへん誤まった考え方をよくあらわしておると私は思うのです。そういうことからいえば、文部省の態度というのは私はたいへんいいと思うのです。そこで私は文部省にはっきり聞きたいのだが、ことしのこの予算案の中に、日本のこの労働力というものを十カ年ぐらいずっと見れば、女子労働力というものが、女子は男子と同じに能力を持ってるものとしてこれは働くという、そういう見地にありながらも、二面またこの労働力の不足の問題からいえば、あなた方がおっしゃるように、これは提案者鈴木委員からも言ったように、特にこの初等教育に進出してくる女性というものは、これは皆さん大いにかねや太鼓でやらなければいかんと思うのです。きのう労働省から出た、女子に適する職種百種とか何とかいう表を新聞で見ましたけれども、あの中にはなかなか一般化されたものでないものもありますけれども、しかし、あの中に私は女性が活躍する場所というものを一応ああいうふうに出したということについては注目しておるわけであります。でありますから、どうしてもこれは女性も大いに教育界で働いてもらわなければならぬでしょう。いままでのように早くやめろとか、共稼ぎをやめさせなければならぬとか、そういうようにいまやられているのですよ。そういう誤まった考え方をぱんとなくしてしまうことが一つ必要だと思う。同時にどうしても考えなければならぬことは、女性は男と違う面がある。出産があり育児があるということ、これを抜きにして考えるというと、女性教師は全部結婚してはいけないということになってしまうわけです。あるいは結婚しても子供も産めないというようなこと、これはやはりあるのですよ。そういうことを何となく女性教師が感じて、そして子供を産むことをたいへん遠慮しているというような事例も事実あるわけです。そういう考え方に立っちゃいかぬのです。これは千葉委員がるる述べたところだと私は思う。でありますから、文部省としてはここで女子教職員に対して、出産の問題についてははっきり法案賛成しなければならぬような立場のところにきていると私は思うのですが、この斎藤さんの先ほどのお話だというと、だいぶいいところまできているが、あと一歩のところで何か気迷いがあるような気がするのですが、どうですか。いま事態が労働省の関係からいってもそこまできていると思うのですが、どうでしょう。あなたのほうでも早急にこの問題については手を打たなければならぬと私は考えるのですが、どうですか。
  68. 斎藤正

    政府委員斎藤正君) 非常に重要な基本的な問題をお出しになっておられるわけでございまして、私どもは別に補助労働者ということでなくて、特に専門職のような分野で能力のある女子は十分に活用さるべきだ。社会のためにも個人のためにもそれがいいという考えを持っております。その場合に、いろいろな経験から、教育界というものは長い間の伝統的にも十分な地位を占めておられる。そういう実態。それから不可避的に生産労働というものには、これはこのほうに男子が流れていくということはこれはやはり一面にあるわけでございます。そういうことを考えまして、能力のある者は男女ということの差でなく、管理職というような地位についてもらいたい。それについては、私は率直に申しまして、女子先生方にはやはり男と同じに、という意味は、教育に関する限りは同じように内部からも心がけていただきたい。それからわれわれは今度は学校の管理の上で、別に本質的なところでないところで、男女の差によって男が有利になるというようなことはだんだん直すように考えてみましょう。この両者がなければ、幾らわれわれが同情的にものを言ったって、社会でなかなか受け入れられるわけがない。両方が相まって地位の向上がはかられるのだということを私たちは率直に申しております。一つの例をあげますれば、私たちの中にも女子職員がおります。そうして重要な地位を占めている者もございますけれども、私は別に差別はいたしません。差別をしないで、そのかわり、たえられるかどうかということは、私は相当の女子職員で高級の地位を占める者に対しては申しております。そのことは一面やはり先生方にも心得ていただかなければ、甲府の例のように、突如としていろいろなものをやりますと、これは無用な反撃が起こる。そこが一番大事なことだと思う。  もう一つは、先ほどの御質問のように、今度は一般的に申しまして育児という問題、先ほどありましたように、一種のどんないい教育施設でも、不完全な家庭のほうがまさるのだというのがこれが今日教育界の一つの理論であります。施設主義というものから転換いたしまして、家庭というものに教育の機能を負わせるということがきわめて重要な認識だということで、社会福祉の関係も非常に転換をこの二十年くらい各国ともはかっているというような実情、そういうものを考えますと、この女性の置かれております職場での問題と家庭の問題をどういうふうに調節が可能であるかということが、私ども一つの課題であるということは十分に認識しております。その場合に先生おっしゃるように、そこのところを最後にいくとぼけると申しますのは、これが現実に府県の人事行政でどういうふうに受けとられていくか、それからいまの両者の目的をどこで調節すればいいか、あるいはそれを財政上どういうふうに考えるべきか、いろいろなことがあって、その点は私ども直ちにこの法案について意見を言うという段階には至りませんで、なおいま少し検討さしていただきたいということを申し上げておりますので、基本的な問題については私ども十分な認識を持っておるわけでございます。そういう角度で検討を進めてまいる、いまの段階ではそういうふうにお答えしておきたいと思います。
  69. 小林武

    ○小林武君 あまり長いことやりませんけれども、あなたの意見の中で若干問題だと思いますのは、やはり女は男に劣るというような考え方がどうも底流にあるのです。そう受け取れるというのではなくて、たとえば女性のいろいろな職場にある人たちが、あなたの耐えられるか耐えられないかという問題を考えた場合に、女性の能力の問題とかなんとかという問題ではなくて、それは家庭というものを持った場合に、日本の女性は必要以上に負担を感ずる。それに今度は女性特有の出産育児というような問題があるわけですから、女性の労働力というようなもの、女性の各職場におけるところの活動というようなものを健全な社会の場合に、それはやらなければならないということは明らかですから、そういうことを望むならば、どうしてもその対策というのは必要でしょう。女性労働者というものが存在する限り、出産があり育児があり、それからまた家庭が民主化されず、そうして家庭の中における必要以上の負担をかけるというようなことになると、これはもうその負担にたえ切れなくなって、どうしても脱落していくようなことになるわけですから、そういう状況の中では、あなたがおっしゃるように、あなたのほうの立場の発言ですけれども、重要な役目でそういうものを与えようとする場合には、これはもう心得だけではおさまらない。心得を説く前にそういう条件をつくらなければいかぬ。でありますから、私はあなたのほうで、それはいまあなたに言えといっても無理なことはよくわかっているのですけれども、しかしながら十分に検討しないで、管理職の地位に関して考えようというようなことだけではだめなんです。その先にもっとやることは、むしろいろいろな内容がなければならないということ、それを言っているのです。  それからもう一つ、これは先ほど林さんの御意見もございましたし、いろいろな御意見もございましたから、これは検討に値する問題であると思いますが、私はそれについて特別結論というようなものは持っておりませんけれども、かなりやはりほかの国では非常に徹底したやり方があるのです。たとえば中国に行った合場においては、女子教員にしろ女子労働者にしろ中にはまるっきり一週のうちに土曜日に子供を受け取りに来て、そして月曜日に子供をあずけていくというようなそういう保育所というか、幼稚園を兼ねたようなものがあるわけです。このことについて一体いいか悪いかという大論争を私はやったわけです。毎日のように論争をやって、ついに結末がつかないで、私は勝ったと思うけれども、勝ったじゃないかもしれないですけれども、どうしても納得いかない。そんなことはだめだという議論もあるけれども、それが教育的に決してだめなことはない。かえって効果があるという主張もあるわけです。私はそれについては論争したのでありますから、ここでいいとか悪いとか判断はくだせませんけれども、くだして相手を悪いというようなことを言うわけにはいきませんけれども、私は少なくともそれはちょっと疑問である。しかしながら、必ずしも朝から晩まで三百六十五日子供のそばにいなければだめだという考え方ばかりでもないわけでありますから、そういう意味では私は一年とか二年とかいう年限の問題は、いろいろ検討する必要があると思いますけれども、母親の手でやるある年限というものがあって、そしてさらに今度は育児を補助してやる保育所であるとか、たとえばいまのような性格を持った幼稚園とかいうものをこれから女子労働者に保障しなかったら、教育ばかりじゃない、どこの場合でもたいへんなことになる。それなしにやるということになると、もう女性をまるで殺してしまうというようなことに私はなると思うのです。でありますから、そういう点について、これは答弁は要りません。少なくとも文部省では検討をしていただきたいということを申し上げると同時に、それからここにこの議案を審議していらっしゃる各委員方々にお願いしたい。早急にこの問題については結論を出すべき時期がきているということを御理解いただきたいと思うわけです。  以上で終ります。
  70. 小野明

    ○小野明君 関連。いまの小林委員質問に関連するわけでありますが、私はこの法案について非常に重要だと思っているのは、提案理由の第三の項であります。これには責任ある乳児の保育施設が少ない、あるいは私設の乳児施設が流行しておって、高い託児料にあわせて乳児を不注意から死なしていく、こういう項があるわけであります。先ほど初中局長は、省内にも女子職員がおって、私は留意しているというふうに言われておったのでありますが、学校の職場というのは非常に多数の女子職員がおるということで、あなたの経験とはちょっと問題にならぬ職場環境にあるわけです。そこで話が飛ぶようでありますけれども、ここに書いているような実情、これをどういうふうに文部省は把握されているのか。これは所管外だというふうに言われるかもしれませんけれども、自然多数の婦人教師をかかえているという面からこれは大きな社会問題である、このように考えざるを得ぬのであります。現状をどういうふうに受けとめておられるのか、この打開策をどのようにお考えになっておるのか、まず局長に伺いたいと思うのであります。
  71. 斎藤正

    政府委員斎藤正君) 申されるように、女子の有職者というものがふえてまいりました。それからこの傾向は今後どんどん拡充してきますから、おっしゃるように社会問題であるという認識は私は持っております。ただ、私どもが託児所について具体的な施策検討する段階にまだ至っていないということを先ほど千葉委員の御質問にお答えしたわけでありますが、これは教職員を問わず、女子の有職者というものに対する社会的な問題として、大きく今後課題になってくる問題だと、かように存じているわけであります。
  72. 小野明

    ○小野明君 こういう問題があるということをお認めいただいたのでありますけれども、私はさらにお尋ねしたいのは、時間もありませんから要約しているわけですけれども、一体保育所なり託児所の不足、こういった現状を踏まえてどうすればいいのか、答えは私は簡単だろうと思いますけれども、その打開作というものをお尋ねしているのであります。  なお鈴木委員に続けてお尋ねをしておきたいと思うのでありますが、こういった実例なり、はなはだしい例というものを御調査になっておれば、そういった面からくる本法の必要性という問題を続けてお答えいただきたいと思います。
  73. 鈴木力

    鈴木力君 先ほど申し上げましたように、教師の職場という点から考えますと、やはり一カ年は育児休暇をとる。しかし一カ年で完全ということにはならないのでありますから、これた当然その地域における保育施設完備ということも必要なんでありますけれども、教師の職場という立場からすれば、どうしてもさきに申し上げましたように、たとえば専売でやっておりますような職場における保育施設、そういう問題については直接検討し、取りかかっていかなければならない課題ではなかろうか、こう思っておるわけであります。
  74. 小野明

    ○小野明君 局長にお尋ねをしておるわけですけれども、そういう問題は問題として受けとめておられるということになれば、先ほど大臣も、調査をいたしまして云々ということがあるんですけれども、この問題にどう対処されるのか、それについて局長にお尋ねをしておるわけです。
  75. 斎藤正

    政府委員斎藤正君) 女子有職者に対する託児所等の問題につきまして、これは非常に大きな問題でございますから、文部省自体としていまどういうふうな施策を考えておるかということをお答えするには非常に大きな問題でございまして、率直に言って私どもはその問題についての検討に入っておらないのでございます。しかしこういう問題が、これはそれぞれの地域におきましてだんだん女子の有職者が増すに従いまして大きな問題になってくる、社会的に解決をしなければならぬ問題であるということはよくわかりますけれども、いま文部省としてどうだというお問いに対しましては、どうもまだ的確にお答えをするだけの余裕は自身持ち合わせておらないのであります。
  76. 小野明

    ○小野明君 これは要望いたしておきますけれども全国的に非常に保育所の不足、婦人労働力が必要であるということは、そういう社会情勢にあることは御承知だろうと思うのですけれども保育所が非常に不足をして婦人が働こうにも働けない、これは婦人教師でも他の場合でも同じなんであります。そこで、まあ所管外であるということでこの責任をのがれられるのではなくて、やはり厚生省と積極的に連絡をとりながら、私設のものが多くふえておると、こういって現状から、この問題にも積極的にひとつ取り組んで、完備した保育所増設という方向をたどっていただきたい、こう思うのであります。要望でありますけれども、やはり事が重要でありますから、ひとつ初中局長の後見解を最後に伺っておきたいと思います。
  77. 斎藤正

    政府委員斎藤正君) いまお話のことは重要な課題でございますから、私ども検討してまいりたいと存じます。
  78. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 他に御発言がなければ、本法案に対する本日の質疑はこの程度にいたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後一時三分散会