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1967-06-23 第55回国会 参議院 物価等対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月二十三日(金曜日)    午後一時四十二分開会     —————————————    委員の異動  六月九日     辞任         補欠選任      中沢伊登子君     高山 恒雄君  六月十三日     辞任         補欠選任      高山 恒雄君     中沢伊登子君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         櫻井 志郎君     理 事                 木村 睦男君                 高橋  衛君                 渡辺 勘吉君                 田代富士男君     委 員                 岡本  悟君                 岸田 幸雄君                 任田 新治君                 林田悠紀夫君                 山本  杉君                 吉江 勝保君                 木村美智男君                 田中寿美子君                 村田 秀三君                 中沢伊登子君    国務大臣        国 務 大 臣  宮澤 喜一君    政府委員        経済企画庁国民        生活局長     中西 一郎君        経済企画庁総合        計画局長     鹿野 義夫君        農林省畜産局長  岡田 覚夫君        運輸省鉄道監督        局長       増川 遼三君        運輸省自動車局        長        原山 亮三君    事務局側        常任委員会専門        員        坂入長太郎君    説明員        公正取引委員会        事務局官房総務        課長       吉野 秀雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○当面の物価等対策樹立に関する調査  (物価対策基本方針に関する件)     —————————————
  2. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) ただいまから物価等対策特別委員会を開会いたします。  当面の物価等対策樹立に関する調査中、物価対策基本方針に関する件を議題といたし、前回に引き続き、質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。木村君。
  3. 木村美智男

    木村美智男君 経済企画庁長官に少しお聞きしたいんですが、この間、同僚先輩渡辺委員から、経済社会発展計画中心にして、基本的な問題について質疑がなされたわけですが、私は、大臣のこの前の本委員会におけるごあいさつ中心に、若干基本的なことをお伺いして、それから具体的な問題に入りたいと思います。  従来は、物価問題については物価問題懇談会を柱にして問題を扱ってきたが、今後は、物価安定推進会議を設けて、内閣総理大臣中心関係大臣一体になって有効適切な物価安定対策をとっていくんだというごあいさつをされたわけですけれども一体物価安定推進会議というのは、これは従来設けられておった物価問題懇談会とどういうような点が違うのか。その性格なり、それからこれからの運営にあたって、今度の安定推進会議政府との関係ですね。こういったようなものについて、ひとつ基本的な考え方を聞かしていただきたい。
  4. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 物価問題懇談会物価安定推進会議と、どういう意味合いにおいて、あるいはねらいにおいて違うかというお尋ねでございますが、御承知のように、前者は経済企画庁長官の私的な諮問機関として設けたわけでございます。これに類するものは以前にも設けられたことがございます。物価安定推進会議のようなものは、かつて以前に例はございませんでして、これは総理大臣中心関係閣僚全部が出席をして学識経験者意見を伺う、こういう仕組みでございます。  で、そのように経済企画庁長官諮問機関からこれを総理大臣に対する意見具申機関というふうに位を高めました意図は幾つかございますが、一つは、やはり物価問題というものが経済企画庁という政府の中の一つ機関の問題ではなくて、むしろこれは政府行政全般の問題である、したがって、その行政のおのおのの長である国務大臣一人一人が関心を持ち、またそれに対して対策を考えていかなければならない問題である、長であるところの国務大臣がそのように考えることによって、その区処を受けます各省行政官がおのずからそのような心がまえ行政をするようになる、そういうことを一つのねらいといたしまして、総理大臣レベルに高めたわけでございます。効果といたしましては、かつてのように、いわゆる産業官庁あるいはその他もろもろの機構監督している官庁、一応自分の主たるつとめだけを果たせばいいという考えが従来多うございまして、したがって、ともすれば自分監督をしている業界でありますとか、あるいは機構でありますとかの利益、まあ、言ってみれば生産者的——少し荒いことばでございますけれども、そういうふうに、ほとんど一面的に片寄りがちでありました行政態度というものが、やはり消費者全体というものも考えて行政をしなければならないということに最近かなり顕著に変わってきております。これは、行政の末端に至るまで、とはなかなか申しかねますけれども、大部分、国務大臣自身がそういう心がまえになってきておりますので、下のほうまで、そういう意識がそろそろ出始めているということが言えると思いますので、この点が一つやはり安定推進会議という高いレベルへ問題を移しました一つ効果であろうと思うのでございます。  それからもう一つのねらいは、従来、物価問題懇談会ではかなり具体的な、しかも当面喫緊とするような幾つかの問題を取り上げまして、一年の間に幾つかの提案が行なわれたわけでございますが、今度の推進会議は、原則としては、大体喫緊の問題はともかくでございますが、一カ月とか二カ月という時間を急がずに、現在の消費者物価問題あるいは卸売り物価問題にありますところの基本的な問題を検討して、そうしてそれを検討していきますと、たとえば従来当然として考えられておりました慣行であるとか機構であるとか、あるいは法令であるとかいうもの自身に、むしろ問題があるのではないかというようなところにも突き当たるわけでありますけれども、むしろそういう問題の基礎構造というものをいかに見、いかに改めるべきかと、そういうことに重点を置こう、そういう方針物価安定推進会議は出発をいたしました。  まあ、大まかに申しますと、ただいま申し上げました二つの点に両者の相違が見られると、こう申し上げてよろしいかと思います。
  5. 木村美智男

    木村美智男君 いまの大臣お答えによりますと、意見具申機関として持ったことについては変わりがないけれども、要するに、経済企画庁長官のもとにあった物懇を、さらに一段高い内閣全体の水準にこの物価安定推進会議というものを置いた、これはわかるわけなんですが、しかし、その効果の問題について、各行政部門一体になって物価というものをながめ、あるいは対処するという、こういう関係はまだ不十分だと思いますよ。これはあとで伺いますがね。しかし、そういう効果が、従来よりも、経済企画庁の中にだけというか、もとにあった物懇と比べてみて、まず、幅が広がったというか、コントロールがうまくいく方向にあるということは、これは認めますけれども、しかし、その問題を取り扱うこれからのやり方ですが、むしろ基本的な問題の検討を重点にして基礎構造の面に少しメスを入れていくんだということについては、これは、大臣物価がある程度安定をして、いろいろ今日まで提起された問題について具体的な施策が一応成功をしたという段階なら、私はそういう考え方もよろしいと思うんですが、いま大臣が答えられたようなことを聞きますと、物価問題懇談会のときには、とにかく当面の物価問題についていろいろな問題点提言をされ、勧告をされて、消費者中心にしてというか、あるいは国民大衆が非常に物価問題についてこの物懇提案というものを歓迎をした。しかし、これは提案歓迎をされたというだけであり、問題点指摘されたというだけであって、その問題が解消をしたわけではない、こういう事態に今日私はあると思うんです。ですから、この基礎構造メスを入れて、法律なり慣行なりというようなもの、それに目を向けていくことも、これは必要ないとは申しませんけれども、もう少し物懇のときにやった提案というか、あるいは提言というか、勧告というか、これを具体的に実行段階に移すという意味で、これは佐藤総理の本会議における演説等も、今度は内閣総理大臣も出て各省気持ちを合わして物価問題安定のために一歩踏み出すんだということは、言ってみれば天下の公約だから、佐藤自民党内閣の二大政策の柱は物価の安定だと言ったその筋から見ると、大臣、あなたの答弁には私は納得できない。もし今日の政府佐藤総理の言っているような物価の安定に重点を置いていくんだとするならば、せっかく前後十一回にわたってりっぱな提案が出ているんだから、この提案を、一つ一つ現実に障害を排除しながら、その勧告の筋を生かしていくという実行路線を進むのが、私はこの安定推進会議役割りでなければならぬと、こう思うんです。ここは、大臣、ちょっと了解できぬので、もう一回ひとつ答えていただきたい。
  6. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 物価問題懇談会提案並びにそれがどのように実施されつつあるかということにつきましては、すでに過日資料として当委員会に提出を申し上げましたので、あるいはごらんをいただいておるかと思いますが、このたびの推進会議がいわゆる基礎構造的な問題に手を触れようとするに至りました経緯は、昨年、物価問題懇談会を通じましてただいま御指摘のように十一の問題について提案があったわけでありますが、そのかなり多くのものが、実は委員各位が問題を検討しておられますと、その現象をとらえてその現象を改めるというわけにはいかなくて、その底には、従来からの慣行であるとか、法令であるとか、あるいはものの考え方であるとかという、そういうものがその根のほうに根深くあるということを、一つ一つ提案をされ、研究をされるに従って、関係者がみんな認識をするに至った。したがって、そういう深まった認識ないしはその反省の上に立って、安定推進会議では、少し問題をゆっくり掘り下げようということになったわけであります。したがって、御指摘のように、物価問題懇談会提案そのものを実施しないで基礎の問題に移ろうということでは、もとよりありませんので、提起された十一の問題については、かなりの程度に、私ども、十分とは申しませんけれども、その趣旨に沿うようなことをやりつつございます。これはむろんなくなったわけではございませんので、そういう提案を早急に一年のうちにしたあと、さらにその問題を研究した際に認識となってあらわれてまいりましたその基礎構造的な問題、それに取り進もう、こういうことになった、こういうふうに私は見ておるわけでございます。
  7. 木村美智男

    木村美智男君 大臣の御意見を伺っておると、基礎構造の問題がさっきから言われておるわけですが、むしろ私は、基礎構造の問題を問題にするなら、それは、今日の法律なり慣行なりも、あるいは一つ基礎構造かもしれぬが、もう少し国全体の財政政策なり金融政策なり、こういうものこそ根本的に物価問題の立場から考えてみなければならぬ問題であると思うのです。しかし、まあ大臣、必ずしもそれだけじゃなくて、いま言われておるように、物懇提案についても、それはそれなりに実行もしていくのだというその一面を言われたから、その気持ちは私も了解をしますけれども、ただ、現実現象現象と言われましたけれども、私は、物価問題というのは、大体これは、いま現象としてあらわれているものに政治的にどう対処して国民生活を安定させるかということが当面の物価対策としてはきわめて重要なウェートを持つものだと思うので、あまり現象的にだけ見ていま騒いでいるのは大したことじゃないのだというふうに、たとえば牛乳の問題についても、あるいはカルピスの問題についても、こういったものは大したものじゃないのだというような印象を受けるような大臣のいまのその答え方は、私必ずしもこれは賛成できないのです。  しかし、いま言ったように、物懇提案あとを継いでいく、それはある程度推進はしていくのだという、こういう立場だとすれば、十一回にわたるこの物懇提案、これに対する実行計画というかね、これは資料を見ましたけれども、しかしこれは必ずしも私十分じゃないと思う。特に、いま大臣が答えられた中で基礎になるのはいま大臣が言われたようなことだから、物価問題懇談会というのがだんだん政府の目の上のたんこぶになってきて、どうも都合が悪くなってきたから、目先を変えて安定会議にした、ただ名前を変えるだけじゃどうもおもしろくないので、内閣総理大臣を頭に据えて、たいへん店を広げたようなかっこうだけは示した、こう言わざるを得ないのですよ。大臣が答えられたことを勘ぐっていくと。だから、これは基本的な問題で基礎構造の問題も十分やってけっこうだと思うけれども、もう少し、大臣、これは物価問題の少なくとも総元締めだから、経済企画庁長官は、やはり物価安定推進会議が今日当面している物価問題に一番に四つに組んでいくという姿勢を示してもらうということは何としても必要だ。それをもしやってもらうことができなければ、実際問題として、極端な言い方をすれば、物価対策特別委員会というものはあまり必要なくなるので、基礎構造なんかの問題を推進会議がやるというならそれにまかしておいて、あとはほかの委員会でもいいわけだ。特別に今日物価対策特別委員会を持っているということは、やはり大臣が、あるいは現象的と言われるかもしれぬけれども、今日起こっておる食肉の問題や野菜、生鮮魚介類の問題や、あるいはカルピスであるとか、牛乳であるとか、こういう問題がやはり当面国民生活にとってはたいへん大事な問題だということから、いまの特別委員会も設置されておるし、政府側としても店を広げて、安定推進会議ということにしてきたのじゃないかと思うので、そういうことにやはり大臣考え方も立って、物価問題に積極的な姿勢を示してもらわぬと、大臣は必ずしもそうだとは言っておりませんけれども、ただ、いまのような答え方だけを見ると、どうも政府はあまり当面の物価問題については最近熱意がそがれてきているのじゃないかというふうに、印象として受けます。そこら辺は、大臣、はっきりしてください。
  8. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 私どもは、ここ数年続いております消費者物価上昇の問題というのは、やはり根本的には国の経済成長が非常に早かったことに対して、国内のほとんどあらゆる部門が十分これに急速に対応し得なかったというところに消費者物価上昇が起こってきたと考えておるわけであります。それは、生産性の低い部門、農業でありますとか、中小企業はもちろんでありますけれども生産性が高いといわれておる大企業においても、やはりこういう早い経済成長にいろいろ即応していないところがございます。国の財政においてすらそうではないかと思われる面がございます。また、消費者消費態度についてもそうではないか。ほとんど国民経済のあらゆる部門が十分に即応していないというところに消費者物価の問題があって、したがって、そういう即応体制ができるということが必要でありますし、したがって、体制そのものが従来のものとある程度変わってこなければならないという要素を含みますから、したがって、消費者物価問題というのは短時日には解決し得ない、そういう基本的な体制を改めていくということから始めなければならないと、こういう観念が基本にあるわけでございます。しかし、さりとて、御指摘のような、個々の喫緊の問題というものはもちろん無視するというわけじゃございません。ただ、これは主として各省行政の面で対応し得る問題でございます。対応する心がまえがあれば対応し得る問題でございます。たとえば、生鮮食料品価格が非常に上がっていくというようなことについては、それはおそらく消費地の周辺に生産を確保すればいいのであろうというようなことは、すぐ行政の面でわかりますし、そのためには、指定産地制度のようなものを設けて、ある程度の値段が下がりました場合の補償措置というようなものをとっていけばいいのではないかといったようなことは、すでに数年前から行政の面で気がついておりまして、そういうふうに行なわれつつあるわけであります。でございますから、そういう問題は、どちらかと言えば、懇談会あるいは学識経験者をまじえたような会議でなくとも、行政面心がまえ次第によっては措置し得るものが多い。しかしながら、物価安定推進会議におきましても、先ほど御指摘牛乳の問題がございましたが、これなどは、本来は推進会議で取り上げるという種類の問題ではなかったわけでございましょうが、しかし、推進会議四つ部会に分かれまして、ほとんどどの部会かが必ず週に一ぺんぐらい会合を開いているわけでございまして、そこでも御発言があって、根本問題ではなくても、しかし、これだけ国民的な関心を集めた問題を推進会議が放置しておくことはよくない……。ただいま木村委員の御指摘になったと同じような御指摘委員何人かの中からございました。それではということで、今度ひとつ本格的な調査団を組織して問題を洗ってみようということになったわけであります。これとても、もちろん公正取引委員会のやることをかわってやるというわけでもございませんし、農林省のやることをかわってやろうというわけでもございません。ただ、関係者全部が、消費者処理業者生産者学識経験者も、また関係各省の役人も、みんな一緒になってこの問題を調査してみよう、全国各地でやってみようというのでございますから、いわば、この牛乳問題を通してあらわれたところの消費者物価問題のもとにあるものは何かといったような、そういうものをも含めての調査になると思います。したがって、喫緊の問題は全部やらないというわけではございませんが、本来は基本構想をやっていこう、こういうことになっているわけであります。  国会特別委員会を設けていただきましたことは、実は消費者物価問題にとりましては非常に私どもありがたいと思っております。と申しますのは、御指摘のように、現象になりました問題は主として行政関係ある問題でございますので、国会というお立場から行政に対して、行政が十分でないというふうに指摘をしていただくこのような機会というものは、行政府といたしましては、非常に問題解決にお助けをいただくという意味でありがたいと思っているわけでございます。
  9. 木村美智男

    木村美智男君 大臣、それでは、いまの関係は、まあ多少私もまだ釈然としない点があるのですが、要するに、物価問題懇談会のその提言というものは、これは政府としては、いずれにしても、特に経済企画庁長官の場合には、その諮問機関として設けた機関であるから、その提案をされた過去の十一項目については、今後もできるだけその筋を尊重して進めるという、こういう立場に立っているのだと理解をしてよろしいのですか。
  10. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) さようでございます。
  11. 木村美智男

    木村美智男君 大臣、実はこの間、当委員会として、再販問題に関連をして、三共製薬に視察に行ったわけです。その問題は、再販制度全体の問題に関係をして、別途委員会で、ほかの委員の皆さんからもやられると思うので、きょうは具体的にその内容に入ろうとは思わぬのですが、実はこれは物懇提案にもあるわけですが、医薬品をはじめとする六項目再販の問題があるのですね。これについて、さっき大臣は、安定推進本部になったので行政の面が各省間連係も密になるし、あるいは広く消費者立場をも考えてやるようになったという効果が出てきていると、こう言われたのですが、私は、そのことが、この再販問題をめぐって、そうでない結果も一つ今日あらわれつつあるようなことを実は聞いているものですから、これは公取の来られる前に少し伺っておきたいのです。  たとえば、こういう法案が準備されているというようなことについて、私は実は不明にしてわからぬかったのですけれども、この間視察にまいりましたら、向こうの経営者側というか、その会社側連合で、再販について、拝みます頼みますで、何とかひとつ再販制度をなくさぬようにしてくれと……。まだ、なくす、なくさぬという話までいってないのに、実はそれでやられたんですが、そのときに出された資料、この資料の中に、「再販売価格維持行為規制に関する法律案」というのがある。これは、大臣、どっか国会委員会の中へこういうようなものが出されてあるんですか。不明にしてと私申し上げたんですが、実はこの民間の薬品会社視察に行ったらこういう法律案がつくられつつあるということを初めて知ったんですよ。これは何でもないような話かもしらぬが、とかく今日まで、再販問題なり物価問題で、どうも生産者あるいは業者癒着関係というものが問題にされているという中で、私はこれは重要な問題だと思って実は受け取ってきたんですよ。これはわからんかったが、帰ってきて広げてみたら、ひょっこりこんなのがあったので、これは大臣御存じですか、こういう法案が準備されているということを。
  12. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 正確には、公正取引委員会関係の方からお答えがあるかと存じますが、私の知っております限りを申し上げますと、物価問題懇談会が、御案内のように、再販価格維持契約についての規制を強化するために何かの立法措置が必要であろうという勧告をいたしたわけであります。それを受けまして、公正取引委員会において問題の研究をされて、何らかの立法措置が必要であろうという結論に立って法律案を考えておられる。おそらく、ただいま御指摘がありましたものは、もちろん政府法律案として最終の決定をいまだにいたしておりませんので、その研究の途中にありますものが、たしか一部報道されたと私も記憶いたしますから、それをそのまま引用をされたものであろうと考えますので、それは政府閣議決定をいたしました法律案ではございません。したがって、国会に提出されてはおりません。が、何か必要であろうということで公正取引委員会で考えておられますことは確かでありまして、私どもの役所も非公式には御連絡を受けました。それに対して私どもは、必ずしも公正取引委員会の示された案は十分に満足とは申しがたいけれども、現状よりは何がしか前進をするものであると考えましたので、不満足ではありますけれども、それをあまり強く申すことによって法律案が確定しないということは避けるべきであると考えましたから、私ども公正取引委員会のその案を推進する、少なくともじゃまはしないという立場をとっておるわけでございます。で、ただいまその法律案がどういう起案の過程にございますか、ただいまの点以上のことは私は実は存じませんので、後刻関係者からお尋ねがあればお答えをいたすことになろうかと思います。
  13. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) 速記をとめて。   〔速記中止
  14. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) 速記を起こして。
  15. 木村美智男

    木村美智男君 それじゃ、公取委員会の方がまだ来ておらぬようですから、これは一時、いまの問題はここでとめておきます。  引き続き、長官に伺いたいと思います。長官、なお先般のごあいさつの中で、特に今後の経済運営にあたっての考え方長官言われているわけです。「物価及び国際収支の動向に細心の注意を払いつつ、財政金融政策の機動的、弾力的運用を」はかっていくという一節があるわけであります。この「財政金融政策の機動的、弾力的運用」ということは、物価問題と関連をしてどういうことを実は具体的に意味しているのか、それを少しお伺いしたい。
  16. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 消費者物価問題を基本的にどう見るかということは先刻申し上げたとおりでございます。財政といえどもこれと無関係ではあり得ないわけでございます。先般ああいうことを申し上げましたのは、主として国内で非常に設備投資の水準が高くなった。私ども、いまわが国が設備投資を新たに必要としているという認識には立っておりますけれども、しかしその中で、たとえばいわゆるシェア競争のような、かつてのような無秩序な設備投資が行なわれるということは好ましくないと思っておるのでございまするが、そういったように設備投資の水準が非常に高くなる、これはおのずから内需を刺激いたしますので、その結果、両方の面、すなわち価格そのものと、それから超過勤務等々に伴います所得の面と、その両方から消費者物価問題に影響を及ぼしてくることがあり得るわけであります。したがって、もしそのような事態になれば、同じく大きな需要者でありますところの政府は、ある程度財政支出等々を控える必要があるかもしれない。現在そういう事態になっておるとは思っておりませんけれども、そういうときには、やはり政府は大きな需要者でありますから、政府の消費というものをある程度は差し控えることが必要かもしれない。また、それをやりますためにはどういう方法でやるか、これはいろいろございますと思うのですが、財政金融面にわたって、もしそういう事態になれば考える必要がある、こういう意味で先般申し上げたわけでございます。
  17. 木村美智男

    木村美智男君 そこで、実は大臣、私少し伺いたいのは、最近——これはきょう大蔵省に来てもらうようにしていなかったものですから、いずれ正確にしたいと思うのですけれども、どうもことしは景気の立ち直りから税金の自然増収というものが非常にばく大なものになってきているという、この問題が一つ。実は、これはいま大臣が答えられた民間の設備投資といったようなものについて、物価の面から差し控えるという意味と、やはり経済原則的な意味でいけば、今度は、実はいま相当の建設公債を発行している——名前は建設公債だけれども、お札に赤字公債と建設公債と判が押されて区別されているわけじゃないのですから、その意味でいえば、民間が設備投資をする、そのことと、政府が公債を発行してこれが出ていく問題と、物価ということに影響する意味合いにおいては、金が出回るということ、信用膨張をもたらすといったことは、やはり同じようなケースに考えられるのじゃないか。そういうことで、物価問題懇談会提案を受けて大臣あいさつをされていると思うんですが、この物懇提案の中にも、「財政弾力的運用」という項目があって、民間の投資活動が旺盛な時期においては公債といったようなものについてはできるだけこれを償還をする——まあ、これは発行二年目ですから、償還というのは今年はたいしたことはないと思いますけれども、しかし、新規発行を停止をするとか、あるいは発行額を押えるとか、これは相当今年度においても、単に財政金融政策の問題を別にして、将来の物価安定という観点から考えても、公債発行の圧縮といったような問題については、やはり考えなければならぬのじゃないだろうか。特に私の聞くところでは、正確ではないかもしれませんけれども、とにかく一説では、ことしは六千億ぐらいの自然増収が見込まれるということが言われておるわけです。これが五千億か六千億かは別にして、相当これは巨大な金額であることは間違いない。そうすれば、やはり公債は、言ってみれば借金政策であることは間違いないんですから、したがって、その結果がインフレなり物価に重大な影響を持ってくるということになると考えられる以上は、これはやっぱりこの際、たとえば補正予算の段階というようなことも最終的にはあるかもしれませんけれども、しかし、公債発行を抑制をする、圧縮をするということは、今日の時点でもなし得ることですね。経済計画というものを立てて推進をしている責任者である経済企画庁長官としては、この点については一体どういうふうに考えられるのか。これは、本来は大蔵委員会かなにかの議論かもしれませんが、物価の問題にたいへん重要な関係を持つと思うので、ひとつ聞かしていただきたい。
  18. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 確かに、それは物価の問題に関係があると私も思っております。ただいま私どもが発行しております国債は、第一に、それが建設投資をまかなうという目的に限られているということ、それから、第二に、いわゆる市中消化であるということ、その両方の意味で、いわゆる赤字公債とは性質を異にしておると私は考えておりますけれども、それはただいまの御質問の本論ではございません。本論は、かりに現在の経済状況を見ると、相当の自然増収があるのではないか、そういう場合に政府はなお予定どおりの建設国債の発行をするつもりであるかということがお尋ねの本論であります。  本予算を施行いたしましてからまだ一カ月経過しておりませんので、はたして自然増収があるであろうか、あるいは、あるとしてどのくらいあるであろうかということは、ただいま見通しを立てることが困難でございます。しかし、もし御指摘のように相当の自然増収があるということになりますと、予定しておりました公債の発行額をその程度に削減をするということは、私は経済政策財政政策として当然のことだと考えるのであります。この点は、昨年の物価問題懇談会でも、昭和四十二年度の国債依存率——財政の国債に対する依存率でありますが、それは四十一年度をこえるべきではないという勧告になっております。確かに当初予算対比ではこえておらないのでございますけれども、御承知のように、四十一年度は、年度末になりまして国債発行を取りやめた部分がございますために、もし四十二年度、ただいま計画どおり国債を発行いたしますと、実績対比では、四十二年度の国債依存率のほうが高くなることになるのでありますから、これは物価問題懇談会提案に徴しますと、もしそういう結果になれば、それは提案の趣旨に沿うものではないことになるわけであります。そういうこともあり、また先刻申しましたような、あるいは御指摘のような意味合いから、自然増収が相当にあるということが非常にはっきりいたしました段階では、やはり国債発行額の一部を取りやめるべきものであろう、この点は、総理大臣あるいは大蔵大臣も、何度か国会でそういう考えであることを申し上げております。ただ、ただいまのところ、自然増収の見通しがつきませんので、現実にそういうことはいたしておりませんが、そういうことになればそういう方針であるということは、私ども意見が一致しておるところでございます。
  19. 木村美智男

    木村美智男君 これはちょっとしろうとの質問なんですが、最近、大蔵省の資金運用部資金、これが四千億をこえているという話を実は聞いているわけです。これは、大臣の言われるような財政弾力的運用という問題からは、こういう問題をどういうふうに理解をしたらいいのか。大臣あいさつ関連すればどういうふうに理解をしたらいいのですかということをちょっと伺いたい。
  20. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) もし資金運用部の余裕金が予定を相当額こえており、しかも、年度間を通じて、郵便貯金、簡保等の状況から、当初の運用資金を相当上回る資金の吸収があるということが明らかになりました場合には、やはり運用部としては、その金をただ短期に運用せずに、何かの形でより長期的な運用をいたすべきものであろうと考えるわけであります。相当大きな規模でございますから、何がしかの余裕を持っていなければならないということは明らかでありますけれども、余裕の限度が、その常識的に考えられるリザーブをこえていくというようなことであれば、それは資金の使い方をやはり別途に考えるべきではないか。さりとて、資金運用部が民間の市中金融機関に対してオペレーションを行なうというようなことは、これは本筋ではございません。これは日本銀行の行なうべきことでございましょうから、運用部はやはり相当の余裕金があるときは、それを長期の投融資に持っていくべきものであるということは、これは私は一般の金融機関の原則と変わらないのではないかというふうに考えております。
  21. 木村美智男

    木村美智男君 大臣お答えからすると、さっきの税の自然増収の問題、こういったようなものと関連をして、やはり長期的な運用という問題であれば、たとえば建設公債の発行を押えるとか、あるいは償還に充てるとかいう関係のものに運用をすることも、これは全然間違ったことではないというふうにも考えられるわけですが、そういう理解でいいですか。
  22. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 預金部自身も一定額の国債の引き受けを予定しておるわけでございます。預金部と市中金融機関とでそういうような話し合いがあるわけでございますが、まあいろいろな状況においていろいろな考え方があると思います。現実に私どもがいまいたしましたことは、片方で七月、八月の民間の資金需給が相当窮屈であるということがわかっております。他方で、預金部の余裕金が予想以上であるということもほぼ想像がついておるわけでございます。しかも、その間で相当額の国債を国が発行する七月−九月の予定があるわけでございます。しかし、現在まだ自然増収がわかりませんから、国債発行額を削減をするという決断はすべきではないし、できない。そこで、いたしましたことは、それならば、その決断をしないままで、とりあえず七月、八月の国債発行額をある程度うしろへ送ろう、下半期とまでは申しませんが、少なくとも少しあとに送ってみよう、こういうことをいたしたわけでございます。そうすることによって、少なくとも市中の金融梗塞をそれだけ除くことができるということになるわけでございます。もう一つ考え方によれば、それではそれを預金部がそのまま引き受けてもいいではないかという議論もあるであろうかと思いますが、当面はそういたさずに、ともかく二カ月間で四百億円ほどあとへ送ってみよう、こういうことをいたしたわけでございます。御質問の御趣旨は、私は大体いまの私どもの持っておる問題を的確に御指摘の上でのお尋ねのように考えます。
  23. 木村美智男

    木村美智男君 大臣、それは公債発行の繰り延べのことが実は質問の焦点じゃなくて、あくまでも物価委員会でございますから、そこで、大臣、少し私思いつきのようなことを言って、あるいはそれはとっぴに聞こえるかもしれませんけれども、これだけ税の自然増収が上がり、少なくとも大臣も認められておるように、大蔵省の資金運用部もとにかくいまだかつてない多額の金をかかえ込んでおることだけは間違いないですよ。そこで、大臣物価の担当大臣なんだから、この際世の中があっと言うような目のさめるような物価対策をやってみる気はないかということを私は実はいまから聞きたいわけだ。衆議院のほうにかかっている健康保険の問題もありますけれども、しかし、何といっても物価の問題の中心はこれはやはり米ですよ、消費者米価。これは少し内閣が見通しを間違えたのかどうかわからぬけれども政府のほうが見通しを間違えたか、あるいは承知の上でやったかわかりませんが、とにかく十月一日から一四・四%上げるのでしょう。だんだん情勢は一般国民には理解されないことになってきます。何としても食管会計の赤字をここで千二百億埋めなければならない。そのためにはどうしても一四・四%値上げせなければいかぬのだといって、とにかく早いうちにきめてしまったわけです。選挙の前は四月から一二%くらいで予定していたやつを十月に持っていった、十月に持っていって一四・四%にするということは、これは将来に向けて政府側がもうけて、国民大衆はえらくしぼり上げられることになるんですよ。なぜかと言ったら、ことし一年だけの話ではないんですから、ここ二、三年一二%の値上げでいくのか、それとも十月から一四%でいくのかというのは、たいへんな違いですよ。そういうことから考えてみれば、ここで物価の担当大臣として、私はやっぱり佐藤内閣の二大政策一つの柱が物価の安定だということをほんとうに言ってきておることを具体的なものであらわすのは何かと言ったら、大臣がいみじくもあいさつをされておるように、物価関係を横ににらんで、そうして財政面の機動的弾力的運用ということは、この際、一体十月一日からの米価を何%にするのが適当か、私はまだ計算しておりませんよ、だけれども、一四%で突っ走るということについては、これはちょっと物価対策特別委員会の末席をけがす一人としては、これは黙って見のがすわけにいかぬという気持ちで私はいるわけです。大臣、ここのところ、どういうふうに考えられるか。これは大臣一人で責任持って答えられるかどうかわかりませんけれども、ここは、ほんとうの政治を佐藤内閣がやるかやらぬかのせとぎわに今日この問題が立っている、こう私は見ておるから、きょうは質問のはしりで、これからずっとやっていきますが、大臣にまず考え方を伺いたい。
  24. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 考え方としまして、一方において生産者価格を全部消費者に転嫁すべきであるという考え方があると思います。その場合には、若干の経費等々いろいろなものがございましょうけれども、概して国庫によるその間の負担はない。これが一方の極端な立場だと思います。それから他方において、食管というものは財政に余裕がある限りは消費者に対する影響を緩和するために働くべきものであるという考え方があると思うのでございます。もし、後に申しましたような極端な考え方をとりますと、ただいま御指摘のように、ことしは財政の余裕がないと思ったがあるんだから、したがって、当初これだけ値上げするつもりであったものを財政の余裕があるだけ値上げ幅を縮めてもいいではないか、御質問の趣旨はそういうことをどう思うかということだと思うのであります。そういうことも、もちろん考え方としては可能でございます。ただ、従来私どもがやっておりますのは、そのいずれでもない、ある程度中間的な立場をとってきておると思います。つまり、生産者価格を全部消費者に持たせるということも、そのときどきの状況で、どうも物価問題等々から適当でない。そうかといって、財政の余裕がある限りで全部それを国が背負うというのは、これも適当でない。かりに一四・四%値上げをいたしまして、それで食管の赤字が全部きれいになるかといえば、もう御承知のように、もちろんそうではございません。将来に向かって赤字が増大するであろうということも、ほぼ明らかでございます。ですから、私はその程度のことはまずやむを得ないではないか、ある程度そのときどきの常識的な判断で、ただいま申しましたいずれの立場にも立たない、その中間的な処理を今日までやってきたと思うのでございます。なぜ、食管が財政の余裕があればみんな背負ってもいいではないかと考えないかといえば、それはいろいろな理由がございますけれども、やはり一律に、国民のすべての人の所得が同じでありませんのに、国がいわゆる食糧費の補助をするということは、どうもやはり社会正義に合わない。国の補助を必要とするかどうかは、所得あるいはその人によって非常に度合いが違うのでございますから、だれでも同じだけの米価の消費者補助を受けるということは、どうもやはり社会正義に合わない。こういうふうに考えますし、ほかにも理由がございますが、したがって、財政の余裕ができたから、食管でその分だけは持ってもいいではないか——これはまあ、短期的な物価問題だけから言えば、確かに一四%が九%で済めば、それは楽でございますけれども、どうも経済政策としては、そういう立場は私自身はとるべきものではないのではないかというふうに考えております。ただ、言われますことはもちろん全く間違いだということではなくて、政府自身がそれならば生産者価格を全部消費者にぶつけておるかと言えば、そうでないのでございますから、それは程度問題であろうとは存じます。
  25. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  26. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) 速記を起こして。
  27. 木村美智男

    木村美智男君 大臣ね。どうもいまの大臣の答弁では、これは納得できないのですよ。私が言っているのも、生産者価格を全部消費者にぶっかけていくということは酷だからという、そういうことではもちろんないわけですがね。それを食管で全部見ろと、こういうことを実は言っているわけじゃない。長期的な見通しというものについて、私自身も今後二年、三年にわたって財政が非常に余裕を持てるという確たる見通しが立つと言っているわけじゃないのですから。しかし、少なくとも一四・四%をきめた時点というものは、これは相当財政的には逼迫をして、どうにもこうにもならぬから、少なくとも消費者の負担にこれは背負わさなきゃいかぬのだという、それも猛烈な世論の反対のある中で、とにかく国家予算の決定という中でこれはつくり上げた問題だからね。だからそれは、私はその時点はその時点で、賛成反対は別にして、それはそれなりのやり方だと思うのですよ。しかし、今度は少なくとも、さっきから言っているように、税の自然増収が期待をされ、国民が余裕を持ったのではなしに、将来の不安を解消するためにとにかく貯蓄意欲というものを燃やして資金運用部資金もたんとたまってきたのだから、そういう事情の中では、これはやっぱり全面的に食管がこれを背負えということは言おうとはいたしていない。それは将来の見通しの関係があるから。しかし、このままで済ましていいかどうかという問題が一つあるのじゃないか。そこのところが実は政治じゃないのかとぼくは言っているわけだ。  このことについて、大臣ここで答えることができなければ、あなたやっぱり閣議に持ち込んでこの問題を相談するとか、あるいは閣議自体がそういうことをやることはちょっと面目上うまくないと——ざっくばらんな話ね、いうなら、それこそ物価安定推進会議という便利な機関もあるじゃないかということを言おうとしておるわけですよ。そこら辺が実はほんとうの政治というものじゃないのか。いや、おれのほうはそうじゃないのだ、消費者のほうを考えるよりは、政府は今日銭ためのほうが重点なんだ、というなら、これはその主張をはっきりすればいい。そうしたら、ああそうですか、それは基本的に違うのだからしようがない、このやり合いは終わりだ、ということになるのだけれども大臣、それだけじゃ済ませぬのじゃないかという気持ちを聞いているわけです。そこから何かのことをやってもらった場合には、これは、政策的に間違ったの何だのという議論よりは、国民の少なくとも大半は、もろ手をあげて佐藤内閣を見直すと思うね。ぼくはそういう問題だと思うよ。だから、ここは大臣、やはりざっくばらんに、あんた物価の元締めとして責任ある態度を明らかにしてほしい。
  28. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 十月から一四・四%の値上げを予想して予算を組みましたことは、これはもうこれ以上の赤字に財政上食管が耐えられない、こういう理由では私はやはりなかったように思うのでございます。むろん赤字が少ないことはいいにきまっておりますけれども、もう食管会計が破綻するのでひとつ消費者に持っていただきたいというのでは必ずしもなくて、やはり米という一つの物資でございますから、それを政府が買う価格と、それから消費者に売り渡す価格とは同じでなくても、ある程度の追随性、連関性がなければならないということ、これはやはり経済でございますから、ある程度のその法則というものは働かなければならないということ、及び、御承知のように、逆ざやというようなことも起こるわけでございますから、そういったようなことをいろいろ勘案してきめましたものであって、したがって、ここに新たに財政にこれだけの余裕があるから即それで食管を埋めて値上げ幅を小さくしたらいいではないかということは、すぐにはそういう結論になってこない。財政窮乏のゆえをもって、それのみをもって消費者米価を上げようと、こう考えたわけではないというふうに私は考えるわけでございます。
  29. 田中寿美子

    田中寿美子君 委員長関連質問です。いま木村委員が、今年度税の自然増増収が相当額にのぼるから、それを物価対策に使うような提案を企画庁長官はされてもいいのじゃないかと、その一つとして、米価の値上げの一四・四%というような比率をもう少し下げてもいいのではないかというような意味のことをおっしゃったのだと思います。で、実はこれは大蔵大臣にお聞きすべきことだと私も思っていたのですけれども、予算委員会のほうで大蔵大臣がそのようなことをほのめかしなすったように私も何かで見ましたが、それからいま経済企画庁長官がおっしゃた言い方と、大蔵大臣がよくたびたびおっしゃっていることと、みんな符合するのですけれども、つまり、いまのおっしゃり方ですと、食管法のたてまえというものは、生産者に妥当な米価を保障するということと、それから消費者のほうには家計を圧迫しないための消費者米価を保障するという二つの目標が食管法にあるはずだと思うのですが、それを否定されているような言い方であるという点が一つと、それから、収入がいろいろ違った収入、たくさんの収入の者にも低い収入の者にも一律に国が補助をするということは、それは正しくないのではないかという言い方をされているわけですね。大蔵大臣もそういうことを参議院の予算委員会でおっしゃっております。一律に全部補助金を出すというような制度が一番経済の効率をなくす制度だというふうにおっしゃっているのですね。この言い方は、実はもう昨年ごろも一昨年ごろも、大蔵省の主計局長だった谷村さんですか、いま次官ですが、あの方が言い出されたときから、私は非常に不当な言い方ではないかと思っているのです。もしもそうであるとするなら、いわゆる悪平等ということばになるかと思うのですけれども、そういうものはいっぱいあるのじゃないでしょうか。たとえば、義務教育費なんかというのは、それは金持ちの子供にも貧乏の子供にも、みんな一律に国の費用は出ているわけです。それから間接税なんかになりますと、これは高額の所得者にも、それから低額の所得者だって、みんなそれこそ、たばこなんかの税金は全部同じに取られているわけです。その論理からいきましたら、収入の低い者には物品をもっと安く売らなければならないということになるわけです。ですから、私は木村委員が言われた自然増収を物価引き下げのほうに回せという問題とは、もう一つ別な問題がいまあったと思うのですね。ですから、つまり生産者米価を上げたらそれに見合うように消費者米価も上げていかなければならないという考え方は食管法の趣旨にもとるものだということと、それからいまの一律に補助をするということは正しくないから社会保障の方向でやるべきだとおっしゃっている、その言い方について、やはり経済企画庁長官のお考えは少しおかしいんではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  30. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) まず、前段の問題でございますが、生産者米価即消費者米価ということになりますと、事と次第によっては、確かに食管法のたてまえにそぐわないことがやはり私もあるであろうと思います。消費者米価というものは、ただいま田中委員が御指摘のとおりのきめ方をすべきものだということになっておりますから、生産者米価と消費者米価と同じでなければならないというたてまえは、それはなかなかやはりとれないであろうというふうに考えます。その点はそのとおりだと思いますが、さてその次に、しかし片一方で生産者米価を上げる必要があり、他方で消費者米価を安定させる必要があるというときに、その差額をどこまでも国民の租税をもって補っていいものであるかどうかということには、やはり私問題があるのではないだろうか。それは結局、限度と申しますか、程度の問題だと思いますので、どれならば適正であり、どれならば不適正であるということは申せませんけれども、やはりどこまでも食管がそこを持つのだということではないのではないだろうか、こう考えます。  それから第二の点でございますが、間接税というものは確かにそういう効果を持っております。したがって、どちらかと言えば直接税にウェートをかけるというのが近代的な租税制度であろうと思いますので、わが国も非常に、ではございませんが、かなりの程度、シャウプ税制以来、そういう方向へ向いておる。ことに累進課税のほうに向いていると思います。しかし、間接税というものが本来そういうものではないかとおっしゃる点については、私もそういうものであろうというふうに考えております。義務教育の問題になりますと、これはおそらくは、国民に最低限度の教育を与え、あるいは国民が国家から受ける権利がある、国のほうに義務があるということから、万人一律に扱うということになったと思うのでありまして、その点は、国民がすべて健康で文化的な生活を享受する権利がある、したがって米は一律に無償あるいはだれもが同じコストで食べなければならないという、そういうこととは幾らか違うのではないだろうかというふうに考えますが、しかし、いずれにしても、いま田中委員の御指摘になりました問題にちょっと短時間で……。もう少し考えてみませんと、どうも完全にお答えいたすことは私にはいまちょっとできかねるわけでございます。
  31. 田中寿美子

    田中寿美子君 義務教育費というのは、ほんの例として出したのにすぎないのです。ポイントは、むしろ、さきに大臣のおっしゃった一律に全部に米を補助するということはどうかと思うという考え方、これは大蔵大臣も言っておられ、それから大蔵省の役人の人たちもみんなたびたび言われて、そうして食管法のたてまえをくずしていくのに使っていらっしゃる論理だものですから、その論理はおかしいではないかということです。非常に収入のある人も収入のない者も、米の補助を同じように受けるのはおかしいじゃないかという言い方がおかしいのではないか。米というのは、低所得層にとっては、ウェートは高額所得者にとってよりは非常に大きいですけれども、それにしても、大臣であろうと、それから普通の一般の国民であろうと、食べる分量というものはそんなには違わないのですね。それに対する補助が、全部一律にやったからといって、それが何か非常に悪平等であるような言い方というのは非常におかしいと思うのです。
  32. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それは哲学の問題になると思いますので、あまりこんなことを申し上げたくもないのですが、相当富裕な家では犬に米を食わせたりしておられることが実際あるのでして、これもやはり国民の租税でというような感じが実際しないこともないので、どうも……。しかし、いまずっとそういうたてまえできているのでございますから、あまり深入りはいたしたくございませんが、しかし、何かうまい方法があって、そうして実際その日の米代にも事欠かれるような人には、できるならばあまり困らないように、そうしてそれはやや高所得者の犠牲において行なうということが、私どもの考えている社会正義だと思うのでございます。ただ、まあ実際に人を分けて米の値段を異にするということは、またそれなりに名誉の問題もかかってまいりますので、何とか研究しつつ——うまい案がございませんのですが、少なくともそういう方向のほうが、私はできることなら政策としては望ましい、こう思っております。
  33. 木村美智男

    木村美智男君 大臣、哲学的な答えだからぼくもよくわからぬけれども、ほんとうにその日の生活にも事欠くような者には富裕者から負担をさしてやりたいというほどの大臣気持ちなら、むしろいまの、米価を一四・四%上げるやつをゼロにするか、半分にするか……。そういうことが理想論であって現実の問題としてはできないのだとすれば、半分にするか、ゼロにするか、そうしてやることが、あなたの趣旨にぴったり合うのであって、大臣、この点は、失礼だけれども、答弁になっていませんよ、これは大臣の負け。  この話はこの辺にしまして、あともう少し、大蔵省の見通しの話も大臣されましたから、これ、私も見通しをきちっと持っているわけではないので、そこら辺の計数の整理もした上で、この問題は引き続いてやることにします。きょうはこの辺で、この問題については一応たな上げをして、引き続きやることにいたします。  それで、公取の総務課長さんが来ておられるようですから、さっき中途にしました問題で、ちょっと伺いたいのですが、再販価格維持行為の規制に関する法律案というものを、実は民間の薬品工場を視察に行って、私そちらからいただいてきたわけなんですが、先ほどの答弁の中からは、大体これはまあ公取研究をされて、そうして研究過程にあるといったような段階だというふうに伺ったわけですが、公取として、これは去年の物価問題懇談会からの勧告を受けて立って、公取がそれこそまじめに消費者物価を安定さしていこう、あるいはでき得れば物価引き下げの方向に努力しようという、そういう誠意のあらわれがこの法案として手を染められた、こういうものと実は思うんですが、一体この法案の取り扱いについて、今日までどういう経過を経て現在どうなっているのかということをひとつ聞かしていただきたい。
  34. 吉野秀雄

    説明員(吉野秀雄君) お答えいたします。  再販法案につきましては、できるだけ今国会で御審議をいただきたいと存じまして、目下公取の案を各省にお示しして、その内容について極力意見の調整をはかっておる段階でございます。
  35. 木村美智男

    木村美智男君 いや、総務課長さん、私が伺いたいのは、そういうことだということは知ってるわけで、先ほども多少聞いたんですが、実は、あなたのほうの立案の基本的な考え方は、去年の物懇勧告、ここにもありますがね、読むと時間がかかりますが、再販契約というものは原則としてこれを禁止して、そうしてコストやマージンというものを公開させるというような、規制を強化するという立場に立って原案が組まれたと私聞いておるものですから、そういうものがいつごろ公取として考えられ、そしてそれが今日の段階ではどういう変化を示しているのかということ、現状、いま今国会に出そうとしているものは、いま私が申し上げたような当初の考え方というものはそのまま貫かれているのか、それとも変わってきているのか、こういうことを実は伺いたい。
  36. 吉野秀雄

    説明員(吉野秀雄君) 公取といたしましては、昨年六月の物価問題懇談会の御提案を受けまして、できるだけその内容、御趣旨に沿った案を作成いたしました。問題点は、再販制度それ自体を原則的に禁止をしていく、さらに適用除外として例外的に認めてまいります商品につきまして十分監視の行き届くような体制をとるという点でございまして、その基本的な考え方は現在もくずしておりません。当初の方針どおりの考え方で目下各省意見を詰めておる段階でございます。
  37. 木村美智男

    木村美智男君 で、各省はどういう考え方ですか。たとえば通産省なり、あるいは厚生省なり、さらに法案となれば当然法制局にもかかってくるだろうと思う。そこら辺はどういう意向を持っておられますか。
  38. 吉野秀雄

    説明員(吉野秀雄君) 現在、各省との調整が最終的な段階になっておりますので、その具体的な内容につきましてこまかくお答えすることは、もうしばらく御猶予をいただきたいと思います。
  39. 木村美智男

    木村美智男君 いまの、詳しく実はお伺いしようとは思っていないのですけれども、先ほど言われました公取基本的な考え方が、どうも通産あたりから相当な抵抗にあっているというふうに実は聞いているものですからね。そうだとすれば、物価安定推進会議を設置した、実はさっきの大臣お答えにもあるので、これは公取といえども、あるいは各省庁といえども、それこそ一段次元の高いところでいまの問題はむしろ調整をする必要があるので、私はそういう意味で別に公取の皆さんのほうに何か詰問しているわけではないので、むしろ実態をあからさまに出してもらって、そしてできる限り公取基本的な考え方が貫かれるようになっていくことが実は物価対策としては望ましいのであります。そういう意味で当委員会としてもこれは努力をしたい。というのは、この間三共製薬の視察に行った際にも、実は公取でいみじくも指摘しているとおりであって、実際問題として、一流の薬の単価が、たとえば十二円なら十二円という単価が出ているけれども、この中に原価計算からいってどのくらいの経費がかかり、あるいは利潤を入れて、そしてそういう割り出しになっているかということについては、実は説明を聞くことができなかったので、これはいずれあらためて委員会で聞きたいと思うのです。よくそこら辺の事情を考えてみますと、ますます、公取がこの問題に乗り出したということ、物懇指摘というものが、まさに物価問題として核心をついているというふうに私ども実は思っているものですから、したがって、実は公取には自信を持っていまの法案を私は準備をしてもらいたい、そういう立場で、きょうこまかいことを言えないならば、基本立場に立ったその原案、大体一月ごろ作成をされたそうですけれども、この原案というやつを実は資料として提示をしていただきたい。あと、その後の経過については、きょうはちょっと質問の時間の関係もあるようでありますから、先ほどのお答えで私一応了承しておきますから、一月当時における原案をひとつ出していただいて、次の機会にでもまた、今日の現状、これはその際伺いたいと思っております。その資料のほうはいいですね。
  40. 吉野秀雄

    説明員(吉野秀雄君) 意見調整の段階で、各省とも基本的な公取考え方につきましては特に反対を受けておりません。ただ、新しい考え方、新しい法律立場から具体的な問題がどう処理されるであろうかという点について、通産省、厚生省から実態を示されて、新法との関係を現在検討を進めているような状況でございます。  なお、資料につきましては、後ほど御提出さしていただきたいと考えます。
  41. 木村美智男

    木村美智男君 それでは、いまの問題については、時間の都合もありますから了承をいたします。  続いて、食肉関係の問題で若干伺いたいのでありますが、きょうは実は牛肉と豚肉の問題、その両方伺いたかったのですが、時間の関係で、まあありましたらやることとしまして、豚肉の関係農林省に伺いたいと思うのです。  昨晩、実はテレビかなにかで、久しぶりに、東京市場の標準価格と言いますか、これがキロ当たり三百三十六円くらいに戻ったという話があったので、価格面での質問は、ある程度きょうは、従うほうの従点に考えまして、そうではなしに、畜産事業団が相当膨大な豚肉の買い入れをして、東京あたりでは百五十トンぐらいの不良肉を処分したとか、もう数カ月ないしは一年近く冷凍となって眠っておるというような話も聞くので、これはたいへん重要な問題だと思うので、この関係を大ざらいひとつ状況をお知らせいただいて、その中で二つ三つ伺いたいと思います。
  42. 岡田覚夫

    政府委員(岡田覚夫君) それでは、豚肉の関係について御説明さしていただきます。  御承知のように、豚肉につきましては、畜産物価格安定等に関する法律というのがございまして、この法律によりまして豚の安定的な需給の発展をはかるということにいたしておりまして、一定の価格より市価が低落をいたします場合には、事業団が市場を通じまして、または生産者団体を通じまして豚肉を買い入れまして、価格が高騰いたしました場合に、上限価格というものがございますが、一定の上限価格をこえまたはこえるおそれがあるというふうな場合に放出するというふうなたてまえになっているわけでございます。原則はそうでございますが、ただ、管理上の必要があります場合だとか、あるいは一定数量を保有いたしました場合だとか、一定期間を経過いたしました場合等には、必要に応じて、価格が上限価格に達しないような状態にありましても事業団はこれを売り渡すことができるというたてまえになっておるわけでございます。  昨年、昭和四十一年に入りまして豚肉の価格が低落をしてまいりましたことに伴いまして、三月から事業団が豚の買い入れを実施いたしたわけでございます。その後、価格の低迷というものが続きまして、現在におきましてすでに一年有余経過いたしておるわけでございますけれども、なお低迷をいたしまして、事業団が買い入れを続けておるというふうな状態でございます。で、当初のころは毎日千頭程度の買い入れをいたしておったわけでございますが、昨年九月ごろからだんだん多くなりまして、ことしに入りまして大体毎日四、五千頭という豚を買い入れをいたしておるわけでございまして、現在八十五万頭程度の買い入れをいたしております。肉量にいたしまして三万四千トン程度でございます。買い入れました豚肉は、もちろん御承知のように、枝肉で買い入れいたしますわけでございますが、それを買い入れました場合に、処理加工業者に委託をいたしまして、それを部分肉に処理加工をいたすわけでございます。それを冷凍いたしまして、冷蔵庫の中に貯蔵するというふうな形をとっておりまして、現在、事業団が持っております肉は大部分がそういうふうな部分肉という形で冷蔵保管をされておるという実情にあるわけでございます。  大体の経過を申し上げますと以上のとおりでございますが、ただ、販売につきましては、昨年の九月、十月に一部試験的に販売を実施をいたしたわけでございますが、その後も価格の低落が引き続いて行なわれるというふうなことから、放出はいたしておりません。最近になりまして、相当貯蔵が長期にわたっておりますこともありますし、また、若干価格が持ち直しておるというふうな実情もございまして、二千トン程度の放出を決定いたしまして、現在それぞれの買い入れを希望しておるものと話をいたしておるというふうな実情にあるわけでございます。
  43. 木村美智男

    木村美智男君 そこで、何か実は非常にもったいないような話を伺っているわけですよね。これに対して、どういう対策をとられておるのですか。
  44. 岡田覚夫

    政府委員(岡田覚夫君) ただいま申し上げましたように、いま買い入れはなお続いておるわけであります。そこで、相当長期にわたりまして冷凍いたしました肉がいつまで保管できるかということにつきましては、国際的にももちろん、国内的にもはっきりした基準はないわけでございます。そういう点もございまして、私のほうはたびたび在庫貯蔵されておるものの肉質につきまして検査をいたしておるわけでございますが、現在のところは、まだ想像しておりますよりはるかに良質でございます。腐敗するというようなことは全くないわけでございます。しかし、先ほど申し上げましたように、いつまで冷蔵できるかということにつきましては、はっきりと基準がございませんので、相当長期になりますことからいたしまして、これは放出をする必要があるというふうに考えて、先ほど申し上げましたように二千トンの放出を決定をいたしておるわけでございますが、一方で買い入れがなお継続をしておるというふうな事情もございまして、できるだけ消費を拡大しながら事業団の肉を放出するというふうな基本的な考え方に立ちまして、まず第一に学校給食、自衛隊、それから農村消費ということを第一に考えておるわけでございますが、第二といたしまして、小売り業者あるいは加工メーカー等につきまして需要の拡大ということ等を前提にいたしまして、こういう業者に販売をする。第三といたしまして、婦人団体等の消費者団体にも特定の肉を売り渡すということにいたしておるわけでございます。
  45. 木村美智男

    木村美智男君 そこでちょっと、これは、大臣、あなたのほうに聞くのです。いまの説明を聞きまして、とにかく八十五万頭というのですから、大体あれでしょう、日本の豚が総数約六百万頭ですからね、これは相当なものですよ。一四、五%になるのじゃないか。それがいま冷蔵庫に眠っているという話ですよね。冷蔵についても、いまのところ思ったよりは良質だと、こう答えておるのですが、現に、もうさっき私が言ったように百五十トンの不良肉が出て、これは処分をしたんですね、この間。去年の三月から買い入れをやっているわけですから、腐ったとなったら、半分くらいはこれは腐ってしまうわけですから、そういう関係にずっとあるわけでしょう。そのことが一つは考えられるし、それからこの三万四千トンの中の二千トンの放出では、これは全然問題になりません。半分くらい放出してしまうなら、これはなるほどたいへんはけたということになるから心配はないのですが、このままだと、どうもこれはいかぬので、これは少し大臣政府がやはり直接手を入れる必要があるのではないか。手を入れると言うか、手を貸す必要があるのではないかということが、実は私の言いたい点です、まず第一に。これはおかしいんだね。国内で肉を余しておいて、輸入をどんどんいまあれでしょう、野放しでやらしているでしょう。言ってみれば、まず馬肉、マトン、これは去年より輸入がふえていますね。数字を一々申し上げなくてもおわかりだと思います。これはどう考えたって、おかしなことです。日本の国内では肉がとにかくゴマンと冷蔵庫に眠っておって、そして外国からどんどん輸入している。これはどうあっても、政府の責任問題だと、ある意味では、場合によってはなりますよ。だから、この輸入の問題について政府はまず規制をすべきであるというのが私の考え方であり、質問なのです。なぜかと言うと、ハムとかソーセージというのは本来豚肉をもってやるべきものが、外国から安いマトンが入ってくるから、マトンをハム、ソーセージの加工用に回している。だから加工の需要がちっともふえない。ここに私はいま豚肉がさっぱり消化をされない原因があると思う。農林省のほうは、畜産局のほうは、一生懸命になっていま小売り業者や加工業者にと言っているが、これはやはり輸入をある程度とめるか規制をしない限り、こんなものはあまり期待できませんよ。そういう意味で、まず第一に、この肉の輸入について政府方針がやはりきちっとしてもらわなければいかぬということが一つ。  それから二つ目には、まあ豚というのは、私が言わぬでもわかると思うけれども、牛は年に一回しか分娩しない。豚は二回ですよね。しかも、牛は一回に一匹だけ、豚は大体一ダースが常識なのだから、そうすると二十四対一というのが牛と豚の効率の問題ですよ。きょうは、ほんとうは、足りないほうの牛の問題を少し聞きたいのだけれども、時間がわずかだから、いま豚をあれしているんですけれども、その豚のほうも、最近はどうかというと、ヨークシャーとかバークシャーとか(笑声)というような問題……。いやほんとうの話。そういうものは最近はだめで、もうランドレースですか、こういう非常に何と言いますか、早くふとる豚、そういうものをどんどん外国から輸入しているわけですよ。そこで、肉は何ぼ買い上げたって、それはもう子供はどんどん生む、育ちは早いときているのだから、回転が早いのですから、これは買い上げたって間に合わない。したがってこの問題についても、私はやっぱりこの外国豚の種豚の輸入について政府は手をつけなければいかぬじゃないか。そいつをどうするかというのは、あなたら知恵があるのだから、それはひとつ対策を考えてもらうということで、まずマトン、馬肉の輸入の規制と、それから外国種豚の輸入の問題も政府が直接やってもらう必要がある。  それから、もう一つの問題は、要するに海外からの飼料ですね、大量にこれは入れているでしょう。結局、畜産というのは、本来、日本ではあれでしょう、農業をやりながらできたイモやあるいは穀物の関係の悪いやつを食べさして、そしてやって、きたということなんですが、最近はそうではなくて、どんどん外国からの飼料を多く入れているという、こういう関係が出てきていますから、当然負担が重くなるので、多少やはり規模を拡大するという、こういう関係になって、生産が畜産全体では五・九%ですか、去年ね。ところが、豚は三三%ですからね。もう畜産の中でも圧倒的にというか、抜群に生産率というものは上がっているわけです。そういうことから考えると、これもやっぱり飼料の輸入を一時ストップさせるぐらいの英断は私はとる必要がある。そうして、いま倉庫に入れている手持ちの飼料を放出をするか、できるだけ自家飼料をもってこれに代替をしていくというようなことを思い切ってやはりいまの輸入問題と並行してやっていかなければ、いまの豚肉問題は解消しない。  これは、大臣、豚の頭数とトン数だけ言ったからわからぬけれども、銭の話をすればすぐわかる。大体百六十億円冷蔵庫に眠っているのですから、いまに腐ったなんという話になってきたときには、これはたいへんな問題なんで、そういう意味で、それでは一体市価ではどうなのかというと、六十五円という豚肉そのままになっている。腐らせるなら、むしろ三十円で売ったって、そのほうが償却は国のほうにとってはいいのですから、私は、最後の段階には、それはある場合は英断をもってやらなければならぬのじゃないかと思いますよ。そこまでいく前に、いまのことをぜひやってもらいたい。  そうして、去年なんかは生産者はそれではどうなのかというと、三百二十円の標準価格をこえた場合であっても、全国平均キロ当たりの手取りが幾らかというと、農家は百八十円から百九十円ぐらいしか手取りもらっていない。もらっていないということは、要するに中間における流通問題にやはり問題があるということでしょう。そうだとすれば、農林省は、この点については、ある程度中間における畜殺商とか、いろいろ介在するものがあるわけですから、それを、やはり農協なら農協を軌道に乗っけて、そうして共同出荷なり、そういうルートに乗っけるということも、これはひとつ非常に大事だ。そうしてやっぱり一面ではそういう流通機構をそういう方向にやることによって、生産者の所得というものをふやす。肉の値段は下がっても生産者のふところぐあいは決して悪くならないという関係がここから具体的な対策として手は打てるはずですよ。そこら辺のことを、この際、何というのですか、本腰を入れて、物価対策立場からこれは経済企画庁長官にも実は申し上げて、関係農林省なり、ほかにどこが関係するかわかりませんけれども、さっき言ったいわゆる物価安定推進会議の構想からいけば、やはり各行政庁間のコントロールというものをはかるという立場からきわめてこれはいい問題なんで、ぜひひとつ、いま私が申し上げたような筋で解決をはかるべきだ。  以上は、まあ質問というよりも、むしろきょうは、この問題に関しては与党議員といったようなつもりで一生懸命言っているわけですよ。これは、ほんとうに百六十億も冷蔵庫に眠っているのがむだになるということなら、私はもう半値にしたって、売れてどんどんはけていくというやつをとるか、それはもう少し将来を見通した場合の問題なんだというならば、さっき言った外国からの輸入の問題、それからさっき言った中間段階における流通機構の問題を、農協等の共同出荷というような形を通して生産者も救い、なおかつ消費者にも安く売れる、こういう関係で、しかも肉を腐らさない、こういうことを、この際やっぱり関係する部門を全部集めて、経済企画庁中心になってやってもらってもいいし、それが適当でなければ、それは農林省かどこかわかりませんが、この際早急にそういう対策をとってもらいたい。これはまあ一カ月もあればできることだと思いますから、一カ月ぐらいたったら委員会でその実行経過を聞きますから、きょうはそういう提言をして、この次は質問をやりますからね。そのことについてどうなったか。やっぱりそういうことをほんとうに一つ一つやっていくことが具体的な物価対策じゃないかと、私はこういうふうに思うものですから、大臣にひとつその考え方を聞かせていただいて、そうしてできれば、いま言ったようなことも、別に私の案でも何でもないのですから、ぜひ参考にして、早急にこの豚肉問題について手を打っていただきたいということで、大臣あとで答えてください。
  46. 岡田覚夫

    政府委員(岡田覚夫君) 大臣お答えの前に農林省のほうからお答えを申し上げたいと思います。  今回二千トン放出をいたしますにつきましては、買い上げが続行されておる、価格が低迷をしておるというふうなこともございまして、試験的にまず二千トンを放出するということにいたしておるわけでございます。そういうふうな事態を見ながら今後も放出をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  それから輸入の問題でございますが、マトンだとか馬肉につきましては、先生御承知のように、すでに自由化をした品種でございます。国内生産も非常に少ないわけでございまして、そういう意味から自由化をいたしておるわけでございますが、御承知のように、ハムだとかソーセージの原料として、豚肉だとかそのほかの国内の畜肉と、それからマトン、馬肉が使われておるわけであります。豚肉だけで加工いたしました場合にはかなり高いものになる。そこで、マトンとか馬肉というものが入りまして、やはり安いハム、ソーセージを食べるというふうな階層もございます。そういうふうなことから、マトン、馬肉が輸入されまして加工されてハム、ソーセージになっておるわけでございます。そこで、マトン、馬肉も、四十一年は若干輸入がふえておったわけでございますけれども、四十二年になりましてから、豚肉の価格の問題もございますし、また在庫等の問題もございまして、逐次輸入は減ってまいっております。特に六月から御承知のようにJASの規格の改正をいたしまして、ハム、ソーセージにつきましては、中に入っております肉の名前を明示するということにいたしたわけでございます。そういうふうなこともございまして、比較的マトンや馬肉の入っておりますハム、ソーセージ等の消費が減退をいたしまして、豚の入りましたもの、また大部分が豚であるというふうなものの消費がふえつつあるというふうな現状でありまして、今後の推移をにわかに速断はいたしかねますけれども、現在のような事情がかなり続くのではなかろうかというふうに実は考えておりまして、マトン、馬肉の輸入は昨年に比べますと減ってくるのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。  それから第二の御質問の輸入豚の問題でございますが、先ほど先生がおっしゃいましたように、昔は日本の豚はヨークシャーとかバークシャーとかいう豚であったわけでございますが、アメリカのランドレース等の豚につきましては非常に飼料効率が高いわけでございます。一単位の飼料から生産される肉の量が多いということと、それから飼育期間が非常に早いということもございまして、まさに合理的な生産が可能になる品種でございます。そういう意味から、ランドレースが国内に入りまして、現在は主としてランドレースだとか、国内のヨークシャーというふうなものとの一代雑種が生産されまして、それが出荷されるというふうな形に変わってまいっておるわけでございまして、その意味においてはきわめて合理的な生産をやっておるということになるわけでございますから、ある程度の豚の輸入もやむを得ないのではないかというふうに実は考えておるわけでございまして、国内におきましては、農林省の牧場を整備いたしますと同時に、各県の牧場等を通じまして、国内的に優良品種の造成をはかり、輸入されるものに対抗できるような品種をつくるということで鋭意努力をいたしている次第でございます。  それから第三点のえさの問題でございますが、えさにつきましては、最近はえさの輸入量がふえているわけでございますが、特に中小家畜——豚鶏等が非常にふえました関係から、外国からの飼料の輸入がふえておるわけでございます。牛につきましては、御承知のように、これは草食性の動物でございますから、できるだけ草を食わしたほうが家畜の生理上からもいいわけでございます。そういうようなこともございまして、牛につきましては鋭意草地の開発をやりまして、草の造成をいたしますなり、あるいは自給飼料作物の増産をいたしているわけでございますが、何といたしましても、豚鶏につきましては、大部分が濃厚飼料に依存するという形でございまして、自給部分はきわめてわずかな量にしか過ぎません。したがって、国内での合理的な濃厚飼料の生産ということにつきましては努力をいたしておるわけでございますけれども、何ぶん、なかなかコストが高いということもございまして、大部分が外国から輸入されるというふうな形になっておるわけでございまして、飼料の輸入というのは国内で家畜が生産されますのに伴って必要となるわけでございますから、国内の家畜の生産を調整をいたしまして、できるだけ需給のバランスのとれたような形にするということが望ましいことだというふうに考えておるわけでございます。  豚の生産につきましては、御承知のように、従来、三年サイクル、ビッグ・サイクルというものがございまして、これは世界的にも、価格が非常に高いときと低いときとの価格変動に伴います生産変動というものがございまして、ビッグ・サイクルと称せられておるのでありますが、そういうものがあるわけでございますが、できるだけこれがバランスがとれ、消費と生産がバランスがとれたような形で生産が進められるように私たちは指導をいたしておるわけでございますけれども、なかなか零細な多数の生産者がつくっておるということもございまして、十分な効果を発揮いたしておらないわけでございますけれども、今後もできるだけ努力をいたしたい、こういうふうに考えております。  それから出荷流通の問題でございますけれども、先ほど先生おっしゃいましたように、生産者は百八十円前後でございますけれども、これは生体でございますので、現実の肉は、皮だとか骨だとかいうようなものが取られまして、きわめて少なくなってまいります関係から、価格をそのまま卸売り価格なり小売り価格と比較するということはむずかしいと思うのでございますけれども、できるだけ消費者には安く、生産者には高くということが望ましいわけでございますから、共同出荷体制によりまして、できるだけ流通経費において節約しまして合理化するというふうなことで努力をいたしておるわけでございます。
  47. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 私が前回この仕事をやっておりましたころに、数年前でございますけれども、豚の価格が非常に不安定でありまして、ただいま政府委員から答えがありましたように、いわゆるビッグ・サイクルというものがあったわけでございます。それで、いろいろ当時政府部内で議論をしておりまして、やはり最低値段になったときには政府が買うということが結局生産を安定させることになるのではないかということで、畜産物の価格安定等に関する法律というものをつくりましたわけで、その当時から考えますと、ただいま御指摘の問題というのは、ちょうど逆になってきたわけでございます。おかげで生産のほうは非常にふえて、むしろ国の持っているものが多過ぎるというようになってまいっておるのでございますが、しかし、御指摘のような問題は確かにいまあって困っておる偽りない現状であります。やはり、少し長期的に考えますと、多頭飼育をするというようなことが、一つはコストの節減になるのではなかろうか。数年間にほぼ二倍程度にはなっておりますけれども、まだまだ一戸当たり十頭に至っていないわけでありますから、そういうことがだんだん進んでいくということと、それからやはり買い入れの価格というのも問題がないわけではない。ただ、私ども、その価格を非常に低くいたしますと、生産がまた激減するというふうなことにもなりましょうし、まあその辺のところをどういうふうにすべきかということが、かね合いがあるかと思いますけれども、いずれにしても、この問題も何か考えませんといけませんので、先ほど御指摘のように、少しみんなで相談をいたしまして、またお答えさしていただきたいと思います。問題は、もう確かに私どももよく認識をいたしております。
  48. 木村美智男

    木村美智男君 大体、大臣のいまのお答えで、今日の問題としては了解をしたいと思いますが、ただ局長さんね。自由化の問題、自由化をやって馬やあるいはマトンの関係は、何か全然これには規制を加えないようなお話はちょっといただけないのですがね。これはやっぱり自由化になってもある程度の輸入についての規制というものはあり得るはずで、それは、輸入しようとする、たとえばハム、ソーセージの加工業者に対する一つの指導というものはあり得ると思うのですよ。そういう面を私は申し上げているので、原則的に自由化であることは、そうなったことは認めますがね。しかし、そういう面を少しやらないと、あんたら自由化に籍口して加工業者と多少癒着しているのじゃないかというような話だってちらほら出てきているのですからね。あまりそういうことは私は言わぬほうがいいと思う。そんなことは別にあるとは思いませんが、原則的に自由化は認めるけれども、しかしこんなに国内においてどうしようかと頭を痛めるような段階だから、少しやはり何というか、輸入に対する加工業者の指導をして、そして全体としていまの肉を腐らせないという基本原則に立って、そして価格は安定をできるだけさしていく。でき得ればこれを多少下げていく。しかし、生産者には、さっき答えられたように、流通関係を改善することによって手取りをふやすような方向もこれはあわせて、そうして総合的にひとつ大臣が答えられたように対策を立ててもらいたい、このことを最後に要望しまして、私の質問をこれで終わらせていただきます。
  49. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) 木村君。
  50. 木村睦男

    木村睦男君 私は、時間があまりないようですが、政府物価対策と、それに関連しての公共料金に対する対策、特にその中で陸上交通事業関係の公共料金、そういうものを中心政府考え方を簡潔にお尋ねいたしたいと思います。  政府が公共料金を物価政策の対象として取り上げましたのは、もう七年前になります。昭和三十五年ころからだと思います。当時、池田内閣の所得倍増計画で非常な経済成長を見てまいったのですが、その後、安定成長ということで、最近ではやや成長も安定化してきた。その間、長官は、その当初のころと、それから現在と、二度にわたってこの責任者として非常に活動をしてこられまして、今日のように、今年度は大体年率実質九%の安定成長というふうなことを目途として、さらに成長をはかってきておられるので、まことにその努力は多とするものでございますが、その間、成長に伴う物価の高騰、これを極力押えていこうという、この物価政策一つの大きな柱としていままで政府がとってこられたものに、公共料金の抑制といいますか、公共料金対策があったわけでございます。しかし、この公共料金というものが、政府がこれに何らかの形で干渉ができるという形になっておる理由には、いろいろあろうかと思います。ただ単に物価の抑制という立場からのみ政府がこれに干渉し得るという性質のものでないことは御承知だと思いますが、当面、物価対策として、この公共料金をずっと政府が干渉をしてこられた。その間いろいろ、そのこと自体に、長官自身も、あるいは矛盾を感じておられたこともあろうかと思うのでございまするが、今日までの経済成長と、これに伴う物価対策の中の、政府がとってこられました公共料金に対する今日までの対策について、まず、長官の御感想なり、あるいはこういう点が無理があったというようなことがあれば、一応お話し願いたい。
  51. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 一般的に申しまして、消費者物価が非常に上昇期にありますときには、なるべく政府自身がそういう消費者物価上昇に油を注ぐようなことはすべきではないということを一貫して考えてまいりました。したがって、ある段階では公共料金値上げの一斉停止というようなことも試みたことがございます。これはそのときの緊急対策として無意味ではなかったと思っておりますけれども、しかし、そういう政策は、しょせん長続きがするものではないし、当時から、おそらく長続きはしないであろう、あとに必ずその他の条件が改善されない限りその反動が来るであろうということは予測をいたしておりました。事実問題としてやはり反動が来たように考えるわけであります。それは、いろいろものによって違いますけれども、公共料金の中でも、かなり経済法則に従ってきめられなければならないものが多いわけでございます。中には、官営企業のように、民間と比べればどこかにむだがあるというようなものもございますから、それはそれらを排除することによっていわゆる合理化ができるというものもございますけれども、また中には、純粋に、いわば民間企業あるいはそれに近いものであって、経済法則に従って料金がきめられなければならないというものもございます。したがって、私としては、基本的にはいわゆるお役所仕事に類するようなむだは排除しながら、まずまず経済法則に従って料金というものは構成されざるを得ないし、また構成されることがいいであろう、ただし、その裏面といたしまして、うらはらといたしまして、そのかわりそのような企業は民間企業らしく、できるだけ自由な競争原理がその間に働いていくことが望ましい、基本的にはこういうものの考え方をいたしてまいったつもりであります。
  52. 木村睦男

    木村睦男君 ただいまお話しのように、いわゆる公共料金の中に、特に私がきょう御質問申し上げようと思っております交通料金の中に、たとえば国鉄のように、国あるいは国に準ずる、まあいわば官営的な事業もございますし、それから純粋の民間企業があるわけであります。まあ、官営にかかる企業につきましては、またこれ、政府が直接その裏打ちもできる施策はいろいろと直接講ぜられるのでありますが、民間企業は、何といいましても、自由競争の中で、そして料金収入というものがやはり唯一の収入源として自由競争をやってきておるわけであります。この純粋の民間企業である交通事業の料金、これがやはり公共料金ということで、物価政策の対象として、あるときには抑制をされ、あるときにはその必要がありながら物価政策の必要上実施の時期を延ばされる、そういうふうなことが今日まで繰り返されてきておるのでございます。この交通関係の料金でございますが、実は、言うまでもございませんが、非常に範囲が広い。したがって、現在政府がとっておりますいわゆる公共料金というものの中に入る交通事業というものは、バス、あるいは鉄道、あるいはトラック、ハイヤー、タクシーはもちろんでございますが、ごく零細なロープウェーであるとか、あるいはケーブルカーといったものも、実は広く網を広げれば入るわけでございます。  そこで、今日まで、この公共料金に対する対策といたしまして、ずっと過去のいきさつを、経緯を見てみますと、昭和三十五年に閣議了解で、まず公共料金の引き上げについて極力これを抑制するということから始まりまして、その間、あるいは例外的に、閣議了解のもとにおいて例外を認められた場合もあるわけでございまして、たとえば、昭和三十六年の七月ごろの閣議では、この同じ公共料金の中でも、事業の収支が非常に悪化して、もうこれ以上押えられない、また、やむを得ず値上げするとしても、その影響が一地方の小都市に限定されるといったようなものは、合理的な範囲で料金改定をやってもよろしいというふうに、いろいろ変わってきておるわけであります。その後も、いろいろと何回も閣議了解が繰り返されまして、若干の変化はあるのでございますが、今日ただいまのところで閣議了解できまっておりますこの公共料金に対する抑制の事業の範囲、それから抑制の内容というものは、今日ではどういうふうになっておるのでございましょうか。
  53. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 今日では、昭和四十年の一月の閣議了解に従いまして、いわゆる公共料金については物価対策の観点から臨時物価対策閣僚協議会に付議をするということになっておりまして、その準備段階として、経済企画庁で、各省の所管の公共料金について異同のありますときに御説明を聞いておるわけでございます。したがって、法律によって定められ、あるいは政府決定をする、あるいは政府が認可をする料金あるいは価格等は、すべて経済企画庁が協議を受けるたてまえになっておる。したがって、ただいま御指摘の料金はほとんど運輸省の関係でございますけれども、運輸省関係の料金はほとんどすべて協議を受けることになっております。実際上の行政としては、このことはきわめて煩瑣でありまして、私ども自身としても、もう少しこれを簡略化することはできないだろうか、ことに私の一貫した考え方といたしまして、消費者物価の抑制ということを経済企画庁だけの仕事というふうに世間にも思ってほしくありませんし、各省にも思っていただきたくないので、むしろ、政府各省機関行政をやられる上において消費者あるいは利用者の立場も考えて両面を考えて行政をやっていただくことによって初めて消費者物価の問題が政府全体の問題になる、こういう考え方をいたしております。これは、先ほど木村委員——前に御質問になりました木村美智男委員にも申し上げたわけでございますが、そういう観点からいたしましても、どうも少し行政が煩瑣になり過ぎているという感想を持っております。
  54. 木村睦男

    木村睦男君 実は、私もそのことをお尋ねしようと思っておったんでございますが、このいまの物価政策の中における政府のきめる交通料金のきめ方の手続、これらの点につきまして、少し詳細になりますが、お聞きしてみたいと思うのでございます。   〔委員長退席、理事田代富士男君着席〕  長官、こまかいですから、局長のほうからお答えいただいてもいいのですが、実は、この交通関係の料金の中で、特に自動車関係の料金、これは、道路運送法の中に、所管の運輸大臣は料金改定の申請が出た場合にはこれこれの判断によって料金改定の措置をしなければいかぬということが法律で明定してある。交通事業の中に、さらにこまかいタクシーであるとか、あるいはトラック、そういったものは、この権限を運輸大臣からさらに地方の陸運局に移していく。平常においては運輸大臣もこれにタッチをしない、しかし、料金の改定の申請があった場合には守らなければならない条項が明記してある。これは四項目ほどございまして、一つは、「能率的な経営の下における適正な原価を償い、且つ、適正な利潤を含むものであること。」それから、「特定の旅客又は荷主に対し不当な差別的取扱をするものでないこと。」また、「旅客又は貨物の運賃及び料金を負担する能力」——利用者のことでございますが、「負担する能力にかんがみ、旅客又は荷主が当該事業を利用することを困難にするおそれがないものであること。」、「他の自動車運送事業者との間に不当な競争をひきおこすこととなるおそれがないものであること。」、あとにもう一項、運賃のこまかいことについての基準がありますが、大体こういうような基準が法律で示されておりまして、これによって運輸大臣なりあるいは権限を移された陸運局長が審査をして決定していくのでございますが、   〔理事田代富士男君退席、委員長着席〕 そこで、いま長官のお話のように、今日の物価政策上、閣議了解によって、この運賃の処理が、責任大臣である運輸大臣、これが企画庁長官と十分に相談をし、関係閣僚協議会にかけるという手続になるのですが、具体的に事務の処理になりますというと、一つの事務が二つ以上の省にまたがるとどうしても非常に繁雑になる。繁雑になるということは、やはり非常に時間がかかる。もともとこういった認可申請事案というものは、できるだけすみやかに、ノーであろうとイエスであろうと、早く処理するということが、これは国民のためにぜひとも政府としては守らなければならないことになっているのでございますが、運賃というものの性質上、専管であってもなお相当いままでの実績からいうと時間がかかる。それが、今日のように、一地方陸運局長の権限でできるものが、さらに企画庁と協議するためには、まず運輸省の本省に上がらなければいけない。そうしてさらに今度は企画庁に相談する。それから閣僚協議会にかけるという、この三段にも四段にもわたる手続を要するために、非常に時間がかかる。  そこで、問題は、その場合に、この法律によりますというと、運輸大臣がいま申し上げましたような原則に従って、一応、申請された申請事案、運賃改定の申請というものを認めるべきか、あるいは却下すべきかということの判断をこの原則によってするのでございますが、それを企画庁に協議をするということになりますと、今度は企画庁としては、すでに具体的な内容について、責任大臣である運輸大臣において事詳細に調査したものを、企画庁という立場に立ったときに、さらにこの内容を突っ込んでもう一度これを審査するという手数を繰り返すべきものであるか、あるいは物価対策という観点から見て、運輸大臣調査をして一応の結論、判定を出したものに対して、物価対策上、たとえばそれが二割なら二割の値上げがぜひ必要であるというふうな結論を運輸大臣が出しましたときに、その二割では物価に対する影響が非常に大きいから、あるいはこれを一割五分に下げることができないかとか、あるいは一割にすることができないかという、いわゆる政治的な折衝ということに終始するものであるか、この辺によって、同じことを二度繰り返すというふうなことで、ますます事の処理が延びてしまうというふうな弊害が大きくなってくるのではないかと思うのでございますが、この点に対する企画庁としての考え方をお示しいただきたい。
  55. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 木村委員の御指摘になりましたことは、実は私は前回も二年ばかりいたしまして感じましたし、ただいまも感じておるわけでございます。非常にざっくばらんに私の経験を申し上げますと、これはことに前回経験したことでございますけれども、まあたとえばある地方のタクシー料金について値上げの申請が出てきた。御指摘のようなルートを通って経済企画庁に協議がある。その場合に、その値上げが適正であるか適正でないかということは、ただいま御指摘になりました一つの条件でありますその企業の経理というようなことを見まして、これが一つの基準になるわけでございますけれども、非常に正直に申しまして、会社が持っております経理関係資料が整っておって、それから経理内容を把握できるというような企業は、ことにそのような業界にあってはきわめて少ないのでございます。大都会においては、有価証券報告書などを見ましても信頼していいというものも幾つかはございますけれども、もう地方あたりになりますと、ざっくばらんに申し上げますと、なかなか真相というものはわからない場合が多い。おそらく、これはだれにも真相はなかなかわかりにくいというものではないかと思いますので、したがって、運輸大臣はこう考えるが経済企画庁はどう考えるかというようなことについて、具体的な資料に基づいてこうでなければならないというような主張をすることは実際むずかしい場合が多いのでございまして、したがって、勢い、ただいまの物価情勢から見てそこのところをもう少し低目に押えられませんかというような、そういうお話し合いになっておったことが、前回は少なくとも多かったように思うのでございます。  そこで、当時私は、これはもうこういう煩瑣な行政をやっておってもしかたがないので、何かもう少し簡素化するわけにいかないだろうかということを考えまして、ただ、それにはむろん幾つか条件があるので、許認可をされる当該官庁においても、どうか企業のこともさることながら、それが利用者に及ぼす影響ということについても今度はひとつ自主的に判断の中にそれを入れていただきたいというようなこと、それからもう一つは、冒頭にお答え申し上げましたように、そういう私企業でありますから、できるだけ自由な競争の条件というものを導入をしていただきたい、それらの前提の上に立って何とかしてこの煩瑣な手続を簡略化してみたいということを、前回も実は一度は提言をいたしたわけであります。もっとも、これは道路行政、陸運行政でありますから、交通上の考慮もございましょうし、また安全というか、警察上の考慮もございましょうから、必ずしも野放しにできるものではないであろう、しかし、何かもっとこの自由競争の原理を導入する余地はないのか、それに従って私どものほうも考え方によってはこれはもう公共料金と考えなくてもいいんじゃないか、というところまで前回提案をいたしたことがございましたけれども、必ずしもそれは十分にいれられませんで、やはり、最近までほぼ似たような行政が行なわれてきておる。それは、両者において同じような行政が行なわれてきておるように見ております。  で、ただいま考えますことは、しかし、この節は、利用者の立場消費者物価との関係についてのものの考え方も、行政をやられる各省も当時とは相当違って強く認識をされるようになってきておることは事実でありますから、何かやはり、お互いに自由化すると申しますか、陸運行政をされるほうでも、従来よりもう少しこの自由競争の原理を導入するというようなことで行政を考えていただくと同時に、私どものほうも、しょせん、とことんまではわからない経理の問題やなにかを、ただ時間とエネルギーを使って議論をするという煩瑣な手続を少しお互いに省けないだろうか、まあ六大都市なんかにおきましては、これは多少事情も違うと思いますけれども、実際私どもに、たとえば岩手県とか、あるいは宮崎県とかいうところのタクシー会社の経理内容をつかめといっても、それはもう、しょせんできることではございませんから、何かそういう前向きの、お互いにもう少し自由化するような行政のやり方はないものだろうかということを、実は私のほうの関係の局には申しているところでございます。
  56. 木村睦男

    木村睦男君 ただいまのお話しの、もう少し自由競争ができる余地はないかという点でございますが、まあ、この交通事業の料金が認可制になっているということは、交通事業において料金だけがこういった認可制になっているのではなくて、事業そのものが認可制になっている。これは、交通事業の持つ公共性といいますか、あるいは直接には交通安全、人命の輸送、あるいは大切な財産の輸送という見地から、事業自身も自由競争を避けて認可制になっている、こういうことでございます。したがって、いま長官のおっしゃる自由競争の原理をもう少し入れたらどうかという点も十分考えなければならない問題だと思いますが、お話の要点は、自由競争化することによって——もちろんこれは料金のことだろうと思うんでございますが、料金を自由競争化することによって料金が下がるんではないかというところに、この自由競争論が出てくると思うのでありますが、まあ、その点について、この交通安全、そういった面から考えて、はたして料金というものを自由競争のもとに野放しにするということが適切であるかどうかという点については、これはおそらく、企画庁あるいは運輸省といろいろ議論があったことと思うんでございますが、運輸省のほうは、この問題についてはどういうふうに考えているか。
  57. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 私が抽象的に申し上げましたので、多少私の思っておりますことがはっきりいたしませんきらいがあったかと思うのですが、私が自由化と申しましたのは、この料金ということもさることながら、これが免許行政であるということは、御指摘のように、交通安全の見地、あるいは交通混雑の見地から、これは理由のあることであろう、しかしながら、新規の免許であるとか、あるいは増車の申請であるとか、あるいは個人タクシーの免許であるとか、そういったようなことそのものについて、もう少し改善の余地はないものかと、こういうことを前回も考えましたし、今日も考えておるわけでございます。それはおそらく野放しではあり得ないので、これはもう交通の混雑とか安全とかいうことがございますから、野放しになってよろしいとは考えておりませんけれども、そのような許認可の行政そのものについても、もう少し改善の余地はないものであろうか、こういうことにむしろ重点を置いて申し上げたつもりでございます。ちょっとことばが足りませんでしたので、補足をさせていただきます。
  58. 木村睦男

    木村睦男君 いまの長官の御意見につきまして、運輸省のほうとしてはどういう考えをお持ちですか。
  59. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) 交通事業につきまして自由競争の原理を入れるという問題につきましては、われわれのほうの担当しております自動車運送事業の関係では、バスについては、同一路線につきまして複数の業者が走っている場合におきましては、これは運賃調整ということを行ないまして、大体同一の路線について二社走っている場合においても同一運賃でいくというのが、旅客を一本に偏在せしめないという意味において当然考えられる措置だと考えております。したがいまして、いま長官の仰せになりました問題につきましては、主としてタクシーの関係のことじゃなかろうかと考えるわけでございますが、この問題につきましても、タクシーについて現在免許制をとっているものを、いま直ちに免許制を撤廃するというふうな問題につきましては、先ほど先生も仰せになりましたように、交通安全対策という問題、あるいは運転手の労働条件というふうな問題等もありますので、そういう面から旅客の利便を確保する、いわゆる悪質な、もうろうタクシーが横行して、利用者が非常に痛い目にあうというようなことのないように、そういう面は十分監督する必要がございますので、そういう現在とっておる免許制の趣旨をいま直ちに撤廃して、これを自由の競争にまかせていくということは非常に危険があるんじゃなかろうかと、こういうふうに考えているわけでございます。ただ、個人タクシーの問題について、個人タクシーの評判がいい、事故が少ないからそういうようなものをふやしていくというふうな問題につきましては、従来から特に大都市におきましては、その地域におきます需要と供給との状況を見つつ、その個人タクシーの増車をいままでもやってまいりましたし、今後もそういうことでふやすつもりでございます。  また、そういう自由競争の原理について、運賃面におきまして全面的にそういうことをしたらどうかというふうな御意見もあろうかと思いますけれども、タクシーに乗る場合におきましては、一般商品のように、商店に品物を並べておきまして、その品物を、これがいい、これが悪い、というふうに見比べて買い得るものでありますならば、自由競争の原理というものは相当働くことと思うのでございますけれども、タクシーの場合におきましては、路上で立っておって、そこに来た車に乗らざるを得ないというふうなことでございますので、それをより好みして、これはいいから乗る、これは悪いから拒絶するというふうなかっこうの性格のサービスではないのではないか。というふうに選択性がとり得ないということもございますので、御趣旨については十分今後考えてまいりたいと思いますけれども、特殊的な、一般商品とは違った、そういう特殊なサービスの提供でございますので、その辺については非常にむずかしい面もあるということについては一応御理解を願いたいと思っております。
  60. 木村睦男

    木村睦男君 いまのこういった種類の交通事業に自由競争原理を入れたらどうかという問題につきまして、企画庁長官の御意見は、運賃の問題をこういう物価対策の一環として処理する場合に、非常に煩瑣であるからということが一つの大きな理由になっておるように私は受け取ったのでございますが、運輸省の見解は、運送事業そのものの本質から、自由競争原理というものには非常に大きな制約があるというふうな意見です。で、私は憂えますのは、具体的な運賃改定その他の申請が出ましたときに、その具体的な事案の処理が、こういう原理的な問題のために、とれが解決がつかないために延び延びになってくるということを私は実は憂うるものでございます。  そこで、まあ法律のたてまえから言えば、当然、事業全般について内閣を代表して運輸大臣が責任を持っていく。それから料金の点では物価政策の点から企画庁もこれに関与する。こういう場合に、いまの自動車事業のあり方の原則論といいますか、そういったものについて意見が十分に交換されて、意見の一致を見れば、これはもうけっこうなことでございますけれども、これがいつまでも水かけ論になって、そのために具体的な申請事案というものが、それが解決を見るまではできないというふうになることは、私はいかがなものかと考えるわけです。で、こういう根本的な問題について両省の見解がなかなか一致しないというふうな場合には、一体最後はそれではどういうふうにしてこれの結着をつけることが、いまの行政のあり方として妥当であるかという点についても、ちょっと御意見を聞きたい。
  61. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 私は、料金について全面的に自由であったほうがいいと申しておるわけでもございませんし、また、こういう陸運は、自由企業であって免許企業たるを要しないといっておるわけでもございません。そうではありませんで、陸運行政を考えられるにあたって、利用者の利便ということも、あるいは消費者物価ということも一つの要素として勘案をしていただきたい、またできる限り差しつかえない範囲で免許を与えてよろしいものには与えていただきたい、これはまあむしろ行政をされる際の基本的な心がまえと申しますか、方針の問題だと思いますが、私はそういうことを申しておるわけであります。一方、運輸省のほうにおいても、ただいま政府委員が答弁をされましたように、従来もそうやってきたつもりではあるけれども、今後とも交通の安全あるいは交通のふくそう等々から支障のない範囲では推進をしていってみたいというふうに考えておられますので、木村委員の御指摘のとおり、こういう問題についてはやはり何か原則的な了解に達することが必要であろう、また私は実は先般からそういうことを申しておりますので、両省の話し合いを聞いておりますと、ある程度近いうちに幾らかの原則的な了解の前進が見られるのではないかというふうに思っておるのでございます。もしある程度そういう合意に達しますと、これは当然、先ほど申しました物価対策閣僚協議会にその了解点を示して、その了解を得て実施に入るということになると思うのでございますが、一足飛びにお互いが考えておることをお互いに充足するというわけにはいかないかと思いますけれども、何かの前進をすることができるのではないかと、実は御指摘のようなそういう話し合いをしばらく前からいたしておりました。ただいまそういう期待を持っておるわけでございます。
  62. 木村睦男

    木村睦男君 いま長官のお話しになったことは、この自動車事業のあり方という原則論についての両省の意見が、いろいろ話し合った上である程度の妥協点に達したので、これを閣僚協議会にはかるという意味なんでしょうか。あるいは、料金の処理の方法について、現在あるように、たとえば北海道の端っこのタクシーの料金一つ改正するにしても、普通であれば陸運局長の権限で、運輸大臣にすら連絡をせずにできることが法律で認められておるのを閣僚協議会の席まで持っていくという、この料金のきめ方自体について、これを簡略化するために、料金のきめ方の基本について何か原則的なものを両省の間で話し合いができて、そしてこれをその場からはずして、地方に移して自由にやらせ得るように物価対策の面からいってもできるというふうな方法を講じて、そういう措置をとりたいと、こういう意味なんでしょうか、どちらでしょう。
  63. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 私が所期をいたしておりますのは、確かに、その北海道のどこかのタクシーの料金について経済企画庁に検討しろと言われても、それはなかなか事実問題としてむずかしいことでありますし、全体の物価問題にさして大きな影響があろうと思われない。したがって、私どもとしては、そういう行政を簡素化したいと考える、簡素化したいと考えるについては、陸運行政をやられる方々に、今度は私どもにかわって、利用者なり消費者なりの立場も加味して考えていただきたいし、またできる限り競争原理の導入も考えていただきたい、もともとそういう簡素化いたしたいというつもりがございますから、そこで運輸省に、それについてはこういうことについてお考えをいただけるかという、そういう原則上のお話し合いをしておるわけであります。したがって、もしそういう両者の了解ができたとして、そして閣僚協議会がそれを承認をいたしますと、——これは仮定でございますけれども、そういうことになるといたしますと、今後は、おそらく、そういうあまり物価行政に直接大きな影響がないと思われるものについては、経済企画庁は別段一々の協議を受けることなく、むしろ運輸大臣が運輸大臣の責任においてこれを処理される、ただその際、そのような公共料金については臨時物価対策閣僚協議会に付議するという閣議決定は残っておりますし、したがって、これを事前に付議すべきか、あるいは事の軽重に従って事後に報告すべきか、この辺のところは、私どもとしてはできるだけ簡素化迅速化の線に従って処理すべきではないだろうか。いずれにしても、まだこの原則の了解ができたというわけでもございませんし、また閣僚協議会の承認を受けたというわけでもございませんから、確定的には申し上げかねますが、大体そういう方向で私としては進めてまいりたい、こう思っておるわけであります。
  64. 木村睦男

    木村睦男君 私もできるだけ早くそういうような方向に事務的な手続的な問題を処理をしていただいて、とにかく事態に合うように、迅速に処理ができるような方法をぜひ講じてもらいたいと思うのであります。  そこで、いま長官からお話がありましたように、いろいろ企画庁の立場に立って料金の決定については注文がある。一方、この料金問題につきましては、先ほど私が申しましたように、一応の基本原則というものが法律に明定してある。従来、運輸大臣並びに陸運局長はこの法律上に示された原理によって公正な運賃というものをきめてきておったはずでございますけれども、いまこの段階になって企画庁のいろいろな注文なり御意見をいれて、そうして今度は運輸大臣なり陸運局長が運賃を決定するという場合に、しからば、従来運輸省が運賃の決定をしておったときの考え方というものをどういうふうに変えていくことを企画庁は希望をされておるのか、また、運輸省のほうとしては、企画庁の意図を受けて、どういう点を従来の運賃の決定の場合のやり方に改正を加えていかなければならないと考えておられるのか、両省から考え方をお聞きしたい。
  65. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 先ほどそれについてほぼ申し上げたつもりでございますけれども、第一に、かりにそのように簡素化迅速化するといたしますれば、陸運行政をやられる上において、これは当然のことかとは思いますけれども、利用者なりあるいは一般の物価情勢ということも、これも勘案をしていただきたいということが一つ。この点は、最近はそのような機運が各省行政に出てきておりますので、私はお願いすることができるのじゃないか、無理なお願いではないだろう、それが一つであります。  それから次に、行政をやられる上で差しつかえない限り、と申します意味は、安全上、あるいは交通のふくそうなどの観点から、差しつかえない限り自由競争の原則というものに近づけていっていただきたい。これに限度があろうということは十分承知をいたしておりますけれども、これが第二であります。  第三に、従来、ともすれば、一地方で料金値上げの申請がございましたときに、これは主としてタクシーなどについてかと思いますが、料金をそろえる意味で、競争関係にある業者全部の申請を待って行政をされるというようなことがあったように思います。また、大都会では実際そうなさらなければならない、いろいろな交通機関がございますから、そういう場合もわかりますけれども、これが地方のようなところでありますと、中には申請をしなくてもいいというものもございましょう、中には申請をしたいというものもございましょうから、それが均一的にならなければならぬと、そうと限ったものではないのではないかということも考えていただけないか、大体こういったような、非常に無理な御注文を申し上げておるつもりではありませんので、まあ主として心がまえと申しますか、のことでございますけれども、そういった点について一段の御配慮を願いたい、こういうことを考えておるわけでございます。
  66. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) ただいま企画庁長官の申されましたように、われわれとしましては、従来からも、道路運送法の八条に、先生の申されました運賃及び料金の認可の際に運輸大臣が守るべき基準がございますが、この基準にのっとってやることはもちろんでございまして、この中にも利用者の負担という問題も書いてありますし、今後とも利用者の負担等についても十分配慮していくということでございます。  それからバスの運賃に関連しまして、定期の問題等につきましては、すでに十分通学者の負担等については考慮いたしてまいっておりまするし、今後ともそういう点については十分配慮したいと考えておるわけであります。  それから運輸省の立場としましては、バスなりタクシー、そういうものの運賃の認可の際には、その地域におきますいろいろな交通機関の運賃体系の調整というふうな面も十分配慮する必要があろうと思いますし、そういう交通調整上の見地も今後配慮してまいりたいと考えております。  それから先ほどお話しのように、交通安全上あるいは労働条件上、そういう面から運賃料金が非常に効果のあるような運賃料金体系ができるとすれば、そういう面については今後とも十分研究してまいりたいと考えております。
  67. 木村睦男

    木村睦男君 一刻も早く両省の間で、その方向で早く、とにかくノーにしてもイエスにしても、申請はやむにやまれず申請をしておるのが実情でございますので、両省にまたがるということのために、いたずらに時間を空費しないで、早く処理できるように、ぜひともお願いしたいと思うのです。  いまお話の中で、同一地帯で同一の運賃というふうなことは必ずしも考えないで、早く出たものからやったらよかろうというふうな御意見長官からちょっとあったように思うのでございますが、これはちょっと、交通料金の本質からいうと、実は非常に疑問を持つのでございます。なるほど、いまの法律で言いますと、料金というものは事業者別に法律のたてまえはなっております。しかし、たとえば東京で都内三百有数社のタクシー業者がおりますが、これらの一つ一つの会社が、九十円、百円、九十五円、七十五円というふうにばらばらに料金がきまると、かりにそういうことがあったとすれば、これはたいへんなことでございまして、客が安いものの前に早く行こうとして交通混雑を起こすし、お客としても、利用者としても、料金がまちまちであるということは非常にいろいろな面で不便でありますので、やはり交通というものの本質上、ここに料金の調整、交通の調整ということが出てくるわけであります。その点を十分考えて処置をしていただきたいと思います。  時間がないようでございますので、具体的な問題でちょっとお伺いしたいと思うのですが、実は、すでに新聞に出ておりますが、今回、東京都が交通事業再建のために、いよいよ交通料金の改正を都議会に上程しようということが新聞をにぎわしております。この点でありますが、東京都内には、都バスの路線と競合いたしまして、約九社の民営バスがそれぞれ入り込んでおります。これらのバス事業者はすでに料金改定の申請を出しておるのでございますが、いま私がちょっと触れましたように、同一地帯においては同一料金でなければ交通行政上も非常に支障があるということから、東京都とこの民営九社と歩調を合わすことによって東京都内のバスの料金は決定されるべきものであると思うのでございますが、そこで、いままで都のほうの態度がはっきりしなかったために、おそらく乗り入れしておりますこれらの民営九社の処理も待期の形であったのではないかと思うのでございます。  ところで、都の案で見ますと、電車については十五円が二十円、それからバスについては若干運賃の体系を変えるようでありますが、地帯制の運賃にして二十円のところを三十円というふうに改正をする、こういうふうな案が出ておるのですが、問題は、東京都営が非常に赤字に悩んでおる。いまでも一日走れば約二千万円の赤、すでに今日まで二百七十数億の赤をかかえておる。こういう際に、この運賃値上げ案で一体健全な経営ができるかどうかということが非常に問題でございまして、かりにこれで運賃改正するといたしましても、いつまでこれが持ちこたえられるか、またすぐ運賃値上げの必要があるのではないかというふうなことも憂慮されるのでございます。きのうの新聞を見ますというと、いろいろ載っておりますが、こういう問題につきまして、美濃部知事が、昨日自治大臣と、それから運輸省にもこのことで事務次官に会われたということでございますが、運輸省に対しては、この問題に対して都知事はどういうふうな申し入れなり注文なり話をされたかということをちょっとお伺いしたい。
  68. 増川遼三

    政府委員(増川遼三君) 東京都の都営交通の再建につきましては、相当前から大問題であったわけでございまして、昨年の暮れにも、都議会を通過してその上で正式にわれわれとしましては認可の可否の審査に入ろうという段階があったわけでございますが、都議会の都合によりまして、議会で議決をするに至らなかったわけでございます。その後、本年に入りましても、再三の機会でやられたのでございますが、そのつど、この再建案並びに都営の運賃料金の問題も結論を得ずに延びて来ておったわけでございまして、このたび都知事がかわられまして美濃部さんになられましてから、あらためて都営の交通企業の再建並びにこの中に含まれます運賃料金の改定案につきまして再検討されたおもむきでございまして、これに基づきまして先般美濃部知事が運輸大臣を訪れまして、るる事情を話されたのでございますが、その再建計画の内容につきましては、すでに新聞等にも公表されておるとおりでございまして、これがどういうふうに議会のほうで取り扱われるかということは今後に待たなければならないと思うのです。われわれといたしましては、今回出てまいりました内容を拝見いたしますると、すでにわれわれのほうで運賃料金の改定につきまして申請を受理いたしておりますものとは若干の相違がございますけれども、大体のところは以前出ておりますものとそう変わりのないものでございます。これらにつきまして、すでにわれわれといたしましても下審査はやっておりましたけれども、今日の状況におきましては、いよいよ本腰を入れて審査に取りかからなければならないというふうに存じております。  なお、この再建計画の中には、路面電車につきましては、これを今後約五カ年間で撤去しようという意図が含まれております。そういう路面電車につきましても、やはり運賃の値上げの意向が入っておるわけでございます。これにつきましては、これ以上、現在出ております値上げ案以上に上げますると、ますます利用者が減りまして、路面電車の企業というものは崩壊せざるを得ないような状況になることをおそれておるのでございますが、まあ、都営といたしましては、路面電車とバスとの運賃の調整という観点から、バス料金よりも低い運賃に押えて改定の申請をいたそうという気がまえでございます。われわれといたしましても、現在の路面電車の状況から考えまして、早晩撤去の方向にいかざるを得ないだろうということはよく承知しておるのでございますが、これについてはなお慎重に取り扱いたいと考えております。  それから、その際に、再建計画の中には入っておりませんけれども、都営の地下鉄につきまして、これの運賃料金の値上げの問題と、さらに都市計画できまっております地下鉄七号線、八号線の問題につきまして、これをぜひ都にやらしてもらいたいという御意向が示されたわけでございますが、これに対しましては、再建計画の中にも入っておらないことでございますし、また、現在の計画であります七号線、八号線につきましては、なお再検討をすべき問題が多々含まれておりますので、この点につきまして、運輸大臣諮問機関であります都市交通審議会にもう一度はかり直した上で処理したいということで、運輸大臣のほうからは、これをいま直ちに都にやらすかどうかということについては返答を保留したわけでございます。また、単にそういう政治的な判断だけで、この線をどちらにやらすということがきまるものでもございませんので、そのような運輸大臣からの回答がなされた次第でございます。  企業の再建計画の全般につきましては、われわれといたしましては、自治省とも十分連絡をとりまして、その内容の妥当性につきましてわれわれも十分検討いたしました上で、都議会で議決をされました暁におきまして具体的に手をつけていきたいと考えておる次第でございます。
  69. 木村睦男

    木村睦男君 時間がございませんので、もう多くを申しませんが、この東京都の問題につきましては、特に競争関係に立っております、競合しております民営バスとの関係をずっと見てみますというと、まあ、民営九社の経営の状況と、都の経営の状況と非常に格差がある。格差があるという意味は、経費が非常に都営のほうがかかっておる。都営よりも経費のかかっていない民営のバスですら、もう昨年あたりから非常に弱りまして、採算のとれない路線をやめていくとか、あるいはワンマンバスにほとんど転化していく、交通安全ぎりぎりの線まで転化しているという方向をとっておる状況でございますので、都がそれよりも三、四〇%経費が高くなっております都バスをとめることは当然のことでございます。  ただ、いま運輸省の説明の中で一点だけお聞きしたいのは、先般知事が運輸大臣に会って、いまお話しの地下鉄の建設予定線になっております七号線並びに八号線、これをぜひ東京都で建設さしてほしいという要望があったということを私も聞いておるのでございますが、七号線というのは目黒から本郷・駒込を通って赤羽のほうへ行く路線、八号線は中村橋から目白・水道橋の付近を通って錦糸町に行く路線のはずでございますが、これらには非常にばく大な、御承知のように建設費がかかる。しかも、当分赤字が続く地下鉄の路線であるというふうに聞いておりますが、今回かりに東京都の要望のごとく運賃改定が得られたとしまして、こういうふうな建設を重ねて東京都がやるということになりますと、そうでなくても今回の東京都が要望しておる運賃改正ではまたすぐ運賃改正をしなきゃならぬというふうな台所の状況であるにもかかわらず、こういったばく大な投下資本を要し、また採算上も非常に疑問のある路線を引き続いてやるということはどうも解せないのでございますが、こういうことのために、さらに運賃の値上げというふうなことに非常に加勢するというふうなことにもなりかねない。この辺の真意がよくつかめないのですが、その点を一点お聞きしたいと思います。
  70. 増川遼三

    政府委員(増川遼三君) 地下鉄七、八号線につきましては、以前に免許申請が出たときとは、まただいぶ経済状況が変わっておりますので、つい最近に至りまして、あらためて試算をやり直してもらったわけでございますが、この都の試算から見ましても、両線とも相当長期間にわたりまして赤字が続くものと考えられます。すでに現在手をつけております一号線並びに建設中の六号線というものをあわせて試算いたしましても、相当の国庫補助あるいは一般会計からの繰り入れ等の大幅助成措置を行なわない限り、黒字となる時期は全く遠い話でございまして、少なくとも十年以上の先ではないかというふうにわれわれは見ておるわけでございます。都におきましては、地下鉄建設につきましてこういった助成の拡大につきまして強力に政府に要請する考えのようでございまして、地下鉄自体の再建計画につきましてもできるだけ努力を払うとともに、国の積極的な協力というものを得るものとして、別途再建計画ということをやはり考えておるようでございまして、こういった点につきましては、われわれといたしましては今後詳細に検討を加えて審査を進めたいと考えておるわけでございます。また、こういった今後の申請につきましては、片や営団というものがございまして、これとの比較ということも考えざるを得ないわけでございますので、慎重に扱う必要があろうと思います。
  71. 木村睦男

    木村睦男君 この東京都のバスの料金の問題は、いまから都議会へかけようという段階でございますので、これ以上質問をいたしません。どうぞ都民の要請に十分こたえ得るだけの合理的な経営ができて、そうして合理的な運賃がきまるように、そうして都内の交通の混雑緩和なり、あるいは交通の便のために十分な指導と監督をしていただきたいと思います。企画庁のほうでも、東京のこういった電車あるいはバスその他の料金は、首都の問題でございますので、十分関心は持っておられるのでございますが、さらに一そうよく見られまして、交通事業本来のあり方というものを中心にされて、合理的な運賃をきめるようにぜひ要望いたしたいと思います。時間がございませんので……。
  72. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) 田代君。
  73. 田代富士男

    田代富士男君 あまり時間もありませんから要点だけを……。  いま、タクシーの問題について論議されましたから、関連して質問をしていきたいと思います。  従来、国鉄料金の値上げのときにも、大衆からはいろいろな声があらわれまして、われわれ一般大衆が利用するのは、国鉄もあります。私鉄もあります。飛行機もあります。バスもあります。タクシーもあります。ところが、一番われわれに関係の深いのは、国鉄よりも身近なものはタクシーじゃないかと思います。このタクシーの運賃値上げの申請というものがいま全国的に起きているということを聞いておりますけれども、最初に、運賃値上げの申請が全国的に起こっているその実情というものをお聞かせ願いたいと思います。
  74. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) 現在のタクシーの運賃改定の申請の状況でございますが、四十年の十月ごろから申請がございまして、各地域から申請がございまして、現在まで全国八十五地区ございますが、その八十五地区から申請が出ておりまして、その間の事業者数は八千八百九十四の事業者数から申請が出ております。
  75. 田代富士男

    田代富士男君 いま、申請が八十五地区、八千八百九十四社ですね。
  76. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) さようでございます。
  77. 田代富士男

    田代富士男君 八千八百九十四社から出ているということでございますが、では、タクシー料金の認可というものは、どのような手続で、どのような規定で、基準で査定されるのか、その点をお聞かせ願いたいと思います。
  78. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) タクシーの運賃は、法律上は、先ほど木村先生からお話のございましたように、陸運局長権限でもって処理し得ることになっておりますけれども、総合物価対策の観点から、現在では、企画庁のほうといろいろ協議いたしまして、その協議の済んだものについて処置をするというふうなかっこうになっております。  それから審査の内容でございますが、これまた、いろいろその原価計算につきましては、企画庁のほうと事務的に詳細に打ち合わせをいたしました結果の書類を提出させまして、それに基づきまして認可の可否を決する次第でございます。
  79. 田代富士男

    田代富士男君 いまもお話がありましたが、道路運送法の八条にも、いま話されたとおりに載っておりますが、このように、申請は、法律によれば個々の事業者がなすことになっていると思うのです。ところが、実際は、全国を百二十五地区に分けまして、その関係の地区の業者が委任状を組合の代表に提出しまして、そうして組合幹部の合議の上に協定をいたしまして、料金認可の申請を陸運局長にされているという、そういう事実があると聞いておりますけれども、はたしてそのような事実があるのかどうか。その点をお聞かせ願いたいと思います。
  80. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) タクシーの運賃の認可申請につきましては、各地域地域によりまして運賃が違うわけでございまして、先ほど申請の状況でも申し上げましたように、全国八十五地区それぞれ少しずつ違っているような運賃になっているわけでございますが、その一地域では、大体先ほど申し上げましたように、タクシーというものは、旅客がいい悪いを陳列品を選択するようなわけにまいりませんで、そこに来た車に乗るというふうなことになりますので、同一地域におきましてはおおむね同一条件の運賃制度を持っているというふうなかっこうになっておるわけで、したがいまして、法律上は、個々の申請者が一つ一つ申請するということでもけっこうでございますし、まあ、それが通常のたてまえでございますけれども、同一内容で申請する場合において、他の事業者にその申請を委任するというふうなこともあり得るわけでございまして、すべての場合にそういうわけでございませんで、そういうふうな委任状によって処理する場合もあるというふうなことでございます。
  81. 田代富士男

    田代富士男君 私が聞いているのは、そういう事実があるのかないのか。——個々に申請されてもけっこうでありますけれどもとか、地域によってはそういうことをされる場合もありますと……。一体、個々の申請されているのが多いのか、いま申しましたとおりに、地区内の業者が組合幹部の合議の上に料金認可の申請を陸運局長に出される数が多いのか、どちらが多いのです。
  82. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) この申請は各陸運局のほうに申請がございますので、われわれのほうで、どういうふうな申請の形であるかということについては、詳細には現在存じません。
  83. 田代富士男

    田代富士男君 いま詳細にはおわかりにならないということで、私はこれ以上、わからない人に対して追及はできないわけなんですが、私もお聞きする以上は、そのような事実を知ったわけなんです。だから、そのような事実があるとするならば、いま申されているように、あなたは知らないと、実情は。そういうことで自動車局長としての任務がつとまりますか。たったそれだけのことが。一年や二年、そのような陸運行政に携わった人でないでしょう。それが、私はいま陸運局の資料がありませんからわかりませんと……。むずかしい問題と違いまして、このくらいのことはお答えできませんか。どうなんですか。
  84. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) 先ほど来から申し上げておりますように、タクシーの場合におきましては、一地方におきましてはおおむね同一の運賃制度をとっているという関係で、従来からおそらくそういうふうな同一の運賃でもって申請するというふうでやってまいっていると思いますので、先生御指摘のような委任状によって処理する場合が非常に多いのじゃなかろうかと、こういうふうに考えております。
  85. 田代富士男

    田代富士男君 最初からそれを言えばいいじゃないですか。私はそういうむずかしいことを聞いているわけじゃありません。事実を事実として伺っておるのです。だから、そのように、こういう組合幹部合議の上に協定して料金認可の申請を出される場合が多いということにいろいろ問題があるために質問しているわけなんです。もっと質問に対して誠意をもって答えていただきたいと思うのです。もし、そのような、言われるとおりの事実であるとするならば、それはいまいろいろ話をされたけれども、いろいろ理由もあると思いますけれども、運輸省自体は、いろいろな陸運行政上の特殊な問題もありますから、第八条によりますと、「自動車運送事業者は、旅客又は」あと云々と、ずっと書いてありますけれども、いま個々の申請をされてもかまいませんと……。第八条では個々の申請というものをうたってあるわけなんです。しかし、いま私が聞いたときに、各地区において業者がそのような申請をやっているということに対して、運輸省がそのような指導をやっているのか。もしそれをやっていたとするならば、道路運送法の第八条の違反ではないかと思うのです。また、もしそのような、同一地方で一括してやるならば独禁法の違反でもあるんじゃなかろうか。経企庁長官が最後に三つの項目を並べて言われましたその三番目に、要望としまして、一地区でタクシー料金を改正する場合に、業者全部の申請を待って行動させる面がいままであった、これが地方の場合は、申請したい人としない人と立場の違う場合もありますから、均一的にしなければならないということはない、そういう点を今後加味していっていただきたいという、経企庁長官も、ほんのいま半時間前でありますが、そのような要望を言われたわけなんです。道路運送法の第八条にそう言ってあります。いま経企庁長官もそのように言われたわけなんです。この事実が行なわれるとするならば、こういうことに対してどういうお考えであるか、経企庁長官並びに運輸省として、あるいは独禁法違反じゃないか、それに対する公取の見解をお聞きしたいと思います。
  86. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) 道路運送法上から申し上げますと、現在、委任状でやっておる場合におきましても、個々の申請者が一つ一つ申請しているということは法的にはそのとおりでございまして、これが一つ一つの申請ということでなくて、委任状によって処理された場合におきましても、一つ一つの事業者一つ一つ個々に申請をしているということになりますので、道路運送法上は、これをもって形式的に却下するわけにはまいらない、かように考えております。
  87. 中西一郎

    政府委員(中西一郎君) お話の点、先ほど来大臣から自由競争の要素をできるだけ……。
  88. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいま御引用になりました私の先ほど申し上げました答弁でほぼ明らかかと思います。
  89. 田代富士男

    田代富士男君 先ほどの答弁で明らかということでございますが、これでも私は理解できます。しかし、いま申すとおりに、第八条のうたってある文面からいきますと、個々の申請ということになっておりますけれども、事実は業者が同一地域でそのような申請を行なっているということに対して、それも知った上に申されたのであるか、それとも原則的なものであるか、その点をもう一度お尋ねしたい。知った上のことであるか、原則論であるか。第八条をもとにいたしましてお願いしたいと思います。
  90. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) やはり原則の問題として、そういうことは好ましくないのではないかというふうに申し上げたつもりでございます。
  91. 田代富士男

    田代富士男君 そうすれば、第八条の趣旨というものはどこまでも生かしていかなくてはならないという長官の御意思であると解してよろしゅうございましょうか。
  92. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 法律のたてまえに従うべきであると思います。
  93. 吉野秀雄

    説明員(吉野秀雄君) 独占禁止法は、御承知のように、自由な競争によって適正な価格が形成されることを目的にしております。ただ、問題のタクシー料金につきましては、ほかの商品と違いまして、多少考慮すべき面もございまして、現在道路運送法によりまして運輸大臣が法定の要件に照らして適正なものと判断をされて認可をしておるわけでございます。したがいまして、その前段階で、業者で何らかの話し合いがあったといたしましても、これを直ちに独禁法上の問題にできるかどうか非常にむずかしい問題があろうかと存じますが、この点は、なお慎重に検討をさせていただきたいと思います。
  94. 田代富士男

    田代富士男君 それは、ほかの公共料金と違いまして、特殊な事情はあると思います。いま、慎重に検討していきたいと……。私は慎重に検討してもらいたいんですが、いままでも、ほかの料金と違いまして、いま百数十カ所に地域が分かれておりますが、タクシー料金は県単位に一律にいままで値上げされてきております。だから、そういう特殊性はありますけれども、そういう県単位で一律に上げられた特殊性は含まれておりますが、たとえば、この前の牛乳の問題にしましても、牛乳なら牛乳なりの特殊な条件があります。それにおいても、価格協定したものは全部に審査をしていく立場公取委はとってきていらっしゃると思う。それに対して、このようなタクシー料金は一県単位にこのような値上げが繰り返されている。それに慎重に慎重にということばを繰り返すのみで、何ら手をつけないということはどうかと思うのです。公取委、一体どうなんです。牛乳の問題も、価格協定したものに対しては全部審査しているでしょう。一番最近の問題としていろいろやっているでしょう。県単位で上がることも、これはよろしいのですか、どうですか。公取委、どうなんです。
  95. 吉野秀雄

    説明員(吉野秀雄君) 牛乳の問題につきましては、これは明らかに業者の自主的な協定でございまして、その協定の結果が直ちに一般消費者等についての利益を侵害するものでございますので現在審査を進めておりますが、ただいまのタクシー料金の問題につきましては、その最終的な決定というものが認可にかかっております。したがいまして、その前段階の話し合いの結果がそのまま実行されるものかどうか、その辺について問題もございますが、いま御指摘のような実態につきましては公取委といたしましてもつまびらかにしておりませんので、よくその辺の実態を明らかにした上で慎重にその取り扱いを検討させていただきたいと思います。
  96. 田代富士男

    田代富士男君 それは、わかったようなわからないような、私の聞きたいことを一つも答えていただけませんけれども、これは、きょうあなたにこれ以上お聞きしても申しわけないと思いますから、このことについては後日に回したいと思います。  私は運輸省の人にお聞きしたいんですが、いま、委任状で申請すれば個々の申請に見なすことができるということを申されたんですけれども、それは何かそういう条文があったら教えていただきたい。もしなければ、あなた個人の見解であるか、それともそういう考えで進んでおるのか、その点をお願いしたいと思う。
  97. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) 委任状によって申請する場合の問題でございますが、別に法律でそういうことを規定しているわけでもございませんけれども、そういう個々の事業者が、ある人に委任するという私的な契約によってやったわけでございまして、そのAとBとの関係において、Bも自主的にこういう運賃で申請するということでAに委任した場合におきましては、その委任した内容というものはBという委任した人の意思であるというふうに考えていいのではなかろうか。したがいまして、たまたまAと同じ申請でありましても、委任状を出してBはBの自主的判断に基づいて申請したと解釈してもよろしいのではなかろうかと思いますので、AとBとが個別に申請したと同一の解釈をとっているわけでございます。
  98. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ、このような価格協定によって高い水準で地区ごとに一本化して実現してやることに対しましては、運輸省とすれば、これは認めてよろしいという立場ですか。どうでしょうか。
  99. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) そういうふうな申請のしかたが独禁法上どういうふうな結論になりますかは、この問題につきましては、公正取引委員会のほうで御検討願いまして、それが違反であるということでございますれば、その線に従いましてわれわれとしても措置したい、かように考えております。
  100. 田代富士男

    田代富士男君 公取のほうで違反行為であると認められれば改めるということでございますね。  では、このように価格協定によって運営されておりますけれども、たとえこのような高い水準で地区ごとに県単位にこのような料金値上げされるということは、あくまで道路運送法第八条の精神に反することじゃないか。今後公取としましても、この点を十二分に検討していただきたいと思います。だから、いま申されました申請というものは、個々でやってもけっこうだし、このように地区ごとに一本化してやることも個々の申請に通ずるというようなお話でございますが、そういうことを頭に入れまして、一つ実例を取り上げますと、これは五月十一日の朝日新聞でございます。ここにどういうことが載っているかと言いますと、タクシー料金のことについた記事でございます。読んでみたいと思います。「百円から百二十円へ、一斉に基本料金を値上げした同業者の中で、ただ一社、百円の旧料金を守り続けてきたタクシー会社が、陸運局の〃圧力〃で、値上げに踏切らざるを得なくなった。「法律違反」をタテにとる陸運局、「利用者にソンさせたくない」という会社側。だが、だれよりも怒っているのは利用者。「安くしたいという業者に、値上げを強要する役所があるものか」。陸運局のいう「法」はともかく、この利用者の声もまた本当なのである。」——こういう見出しが出ております。  この会社という問題の会社は、東武鉄道東上線の大和町駅前で営業する大和タクシーという会社でございます。東京陸運局の話では、同県内のタクシー業界は、さる三十九年に基本料金値上げを申請し、十二月に認可されて、四十一年一月から百二十円の新料金を実施した。ところが大和タクシーは、値上げの申請もせず、旧料金百円のまま営業を続けていたわけなんです。その理由といたしましては、同社の加藤営業部長は、このように言っております。大和町は東京の練馬区と境を接し、一日延べ三千台も東京の車が入ってくる。東京の車は百円だから、こちらが百二十円にすると、利用客が激減する。一つ東京寄りの駅に寄るならば、その駅で車を拾えば百円、大和町だと百二十円。客がこちらの車を利用しなくなるのは当然である。だが、それでは同県内のタクシー業者は大和タクシーばかりに客を取られるおそれがある。そういうわけで、埼玉県旅客自動車協会からは、同社に他業者と同調するようにという再三の注意をやっております。そこで、そういうことがありまして、同大和タクシーの会社は、先月末に大和町駅前に、利用者への「お知らせとお願い」として、次のような趣旨の掲示を出したのです。「当社が百二十円の値上げをしないため、陸運当局より一切の認可事項が停止されているのみならず……陸運局からは認可違反につき強硬な処分をすると言われている。このために五月二十一日から、やむを得ず値上げをすることになりました。」——この掲示が出てから、同社への客の苦情がひっきりなしに来て、値上げするならば大和タクシーの車には絶対乗らない、そういう激しい声にまじって、陸運局が値上げをしいるという点はどう考えても納得できない——こういう事態が起きております。陸運局が、安くしたいという業者に値上げを強要するというようなことがあるでしょうか、このような事実です。  これに対して、どういうお考えでしょうか。その点で、いまさっきからいろいろ私は、この運賃料金値上げのことに対しまして、個々の申請あるいは地区一本化の問題について、話をしてまいりましたけれども、こういう事実に対して陸運局はどういうお考えであるのか。あるいは公取はこの問題に対してどういう見解をお持ちであるか。この点に対してお答え願いたいと思うのです。
  101. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) 朝日新聞にそのような記事が載りましたので、陸運局長を直ちに呼びまして事情を聞いたわけでございますが、この問題の発端は、警察のほうから陸運局長あてに、あの問題のタクシー会社についての取り調べを依頼されたわけであります。と申しますのは、御承知のとおり、タクシーにつきましては事業区域というものがございまして、東京都の事業区域と埼玉の事業区域は分かれております。それで、当該会社の事業区域は埼玉の地域でございまして、東京の事業区域に入って旅客を扱うことはできないわけでございます。ところが、警察署からの調べによりますと、当該会社の車が区域外運送ということで東京のほうにしょっちゅう来て荒らして困る、したがって、至急それをやめさしてくれということでございます。したがいまして、当該会社の認可運賃を——車両をある数を持っておりますけれども、メーターを、一部は認可運賃の百二十円にし、一部百円のメーターにしておきまして、百円の車につきましては、埼玉地域の事業区域は運送せずして、主として東京の、事業区域外で運送するというような違法行為を犯しておったような次第でございまして、そういうような点について、警察のほうからは、非常に困る、したがってそういう取り締まりを厳にやってほしいというようなことがございましたので、陸運局といたしましては、警察のほうからの通報に基づいて取り調べをした結果、そういう事実が判明いたしましたので、その是正方を強硬に申し入れたような次第でございます。
  102. 吉野秀雄

    説明員(吉野秀雄君) ただいまお話しの実態につきましては、内容をよく運輸省からお聞きをいたしまして、独禁法に照らして善処いたしたいと存じます。
  103. 田代富士男

    田代富士男君 いま言うように、ここに読者の声もありますし、ここにありますとおりに、業者間の価格協定がやかましく問題にされているときに、監督官庁が、このように安くしたい業者に値上げを強要する、奨励しているということは、これはとんでもないじゃないかと思うのです。ただいま公取のお方が、これをよく実態を知って善処するとおっしゃるならば、勇断をもって、佐藤さんがよくおっしゃる勇断をもって善処してもらいたいと思うのですが、これはとんでもないことじゃないかと思うのです。そういう一つ一つの事実の上から私はいま再三申し上げておることでありますから、その点よろしくお願いしたいと思います。  時間もありませんから次に移りたいと思いますが、そういうわけで、いまいろいろ話しましたが、今日のタクシー料金値上げの申請に対しまして、運輸省の態度は値上げに賛成の態度であるのか、あるいは反対であるのか、的確にその点をお願いしたいと思うのです。
  104. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) 運輸省としましては、申請を受けました場合におきましては、当該申請者の経営の実情等、あるいは利用者に及ぼす影響等勘案しまして、企画庁と協議の上、必要やむを得ないものについては認めますし、必要性のないものについては認めないという考え方でございます。
  105. 田代富士男

    田代富士男君 だから私は、値上げに賛成なのか、そのものずばり、と私は言ってるわけなんですけれどもね。そのものずばりで、どうなんですか。値上げに賛成であるか、賛成でないか、です。
  106. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) ただいま申し上げましたように、所要の手続を経まして、必要のあるものと必要のないものとに分けまして、必要のあるものについてはこれを認めるし、必要でないものは認めないという考えしか申し上げることはできません。
  107. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ、何回聞いても同じようなことでございますが、一つの例をあげますと、今月の七日の日であると思いますが、衆議院の物価対策特別委員会におきまして、自動車局の蜂須賀業務部長は値上げを示唆された。それに、こういう事実があります。議事録を見ていただいたらはっきりしておりますが、これに対しまして、木村官房長官は、ことし中は値上げをしないと言っている。これは一体どうなってるのか。意思の不統一じゃないかと思うのですけれども、この点はどうなんですか。業務部長は値上げを示唆した、官房長官はことし値上げをしない、一体どうなっていますか。いまの話も、わかったようなわからないような話なんですけれども、このような、今月の七日のこういうことも起きておりますから、これも含めた上で、どうなんですか。意思の不統一じゃないかと思うのです。
  108. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) 蜂須賀業務部長が申し上げましたのは、現在全国にどのような申請があるかという実情を申し上げて、それをよく審査して、先ほど私が申し上げましたように、十分審査をして、必要やむを得ない範囲内では認めますというふうな答弁をしたように記憶いたしておりますので、私が先ほど申し上げましたことと同一の趣旨のことを申し上げたわけでございます。
  109. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ、委員長からも、きょう時間だからということでございますから、またその点は次回に回したいと思いますが、最後に、さっき経企庁長官から、こういう物価問題等に対しまして、三十五年から物価問題抑制のために尽くしてきておりますけれども、最近は情勢が繁多になってきている、そういういろいろな面から、改善策といたしまして、こういう簡素化しなくちゃならない、また、いまさっきの木村委員の質問で、こういう手続上のいろいろな問題が遅延している、こういう問題を解決するにはどうすればいいかということに対しまして、物価問題等の閣僚協議会においてそういう問題を解決していくように、前向きのそういうものが一方示されるんじゃないかというお話をいま伺ったわけなんです。そのときに、いま運輸省のこういう運賃値上げの問題に対しまして、経企庁は消費者立場として、あくまで消費者生活の、われわれを守る立場として戦ってきたんですけれども、いまさっきの話を聞いておりますと、何か知らないけれども、経企庁長官業者の味方をされたような感じを受けてならないんです。だから、いまさっきの話では、運輸大臣が責任を持って処理されたならば、そういういわゆる経企庁が一々協議を受けることはないんです。閣僚協議会も残っておるし、あるいは事後報告をされてもよろしい。これはあくまでも簡素化という目的の上から申されたことだと思いますけれども、私はそうあってはならぬと思うのです。だから、事業に対しましては通産省が指導監督をして規制しております。ところが、消費者に対して、消費者を守っていくのは経企庁以外にないわけなんです。その経企庁長官があればこそ、大衆は安心して生活しているわけなんです。消費者が安心して生活を保てる長官が、もう運輸大臣がきめたならば私は事後報告でもけっこうですと、またあとには閣僚協議会も残っておりますからと……。私は、もっと堂々と、消費者の代表としてやってほしい。私はこの前も長官に期待しておりますと言っておりますけれども、どうもきょうの話は、業者の味方をされたような感じがしてならないんです。言いにくい点もあると思いますが、いま三つの長官が申されました、何回も言いますけれども、これを聞いておりますと、業者の人が喜びそうなことを全部言っております。で、最後の三番目に、ちょいとばかりワサビとも言うべきものをつけたような感じがしてならない。こういうことならば、経企庁は、私は、そういう大企業の味方であるか、あるいは消費者の味方であるか、疑わざるを得ないんです。そういう点、いろいろ差しさわりもあるんじゃないかと思います。それは、忠ならんと欲すれば孝ならず、孝ならんと欲すれば忠ならずと、つらい立場と思うけれども、最後に、経企庁長官の勇気ある御答弁をいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。どうか勇断をもってやってください。
  110. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) これは、今日の委員会の冒頭から申し上げておりますとおり、消費者物価の抑制ということは経済企画庁だけの力でできるわけではございません。むしろ、過去の私の経験から考えますと、経済企画庁だけがその荷物をしょったかっこうになる結果、かえって関係各省はそういう問題についてあまり考えなくてもいいというような印象を持ちやすいのであります。したがって、私はその後考え直しまして、できるだけ直接の担当行政をやっておられる官庁に対し、監督をされておる業界の立場もさることながら、国民大衆消費者あるいは利用者というもののことも考えてもらいたい、これはおのおの力を持っておる官庁でございますから、その力を持っておる半面として、国民全体の立場も考えてもらいたい、こういうふうに持っていくべきだというふうに考えてまいりました。物価安定推進会議総理大臣のところに置きましたのも同様な発想であります。また、実際最近では、少なくとも各行政官庁の長である閣僚はそういう考えで行政をしてきてもらっておるように思います。そういう閣僚の考え方は、おのずから行政をやられる各省の事務当局にも、反映を、時間とともにしていくであろう、そういうふうに考えておるわけであります。したがって、今回のことにつきましても、私はただ簡素化をすればよい、したいと言っているわけではございませんので、先ほどお聞き及びのような幾つかの条件のもとに、今度は運輸大臣あるいは運輸省の行政当局にそういう心がまえ行政をやってもらうということのほうが有効なのではないだろうか、ただそれには条件がございます、こういうことを申しておるわけでございます。
  111. 櫻井志郎

    委員長櫻井志郎君) 本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十分散会      —————・—————