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政府委員(中西一郎君) お話の点に関連しまして、去る五月一日に、当
委員会に関連予算の
説明書をお配りいたしました。それと同様なものを本日調製しましてお配りいたしました。御参考になるかと思います。
なお、これに入ります前に、若干の最近の
動向を申し上げておきますと、
大臣のごあいさつにもありましたように、四十年度は、対前年度で六・四%の
上昇である。四十一年度は、生鮮食品などの
関係、特に野菜の値
動きが比較的安定したというようなこともありまして、四・七%という
上昇にとどまったわけです。しかし、住居費や雑費などの値上がり
傾向は持続しております。依然警戒を要する点が多いと思います。
なお、昨年度一年間振り返ってみまして、それがそれぞれどの
程度物価安定に寄与したかという測定はむずかしいのですけれども、年度初めの小麦粉の値上げ
抑制、それから、
中小企業の
価格協定につきまして、
中小企業庁のほうから、そう容易には行なえない、都道府県で
相当な行政の指導をいたしまして、いろいろ多方面にわたる
価格カルテルの結成を困難にしたというような点もありまして、さらに、御記憶だと思いますが、コイン・オペレーション・システムの導入というようなことで、クリーニング
関係での
競争が
相当激しくなった。そういうようなことは理髪
関係でも見られましたし、とうふ
関係でも見られるというようなことで、総じて
中小企業関係で
供給側の態勢に
競争条件が
相当導入されてきた、そういうことが言えるのではないかと考えています。
卸売り物価のほうは、年度で見ますと、
海外事情あるいは木材の
関係等もあり、鉄鋼が一時非常に値上がりしたということもありましたが、最近は、二月以来いろいろな要素もからんで反落を示しております。四十一年度は対前年度で四%上がりましたが、四十二年度では対前年度で一・二%というところにおさまればいいのではないか。むしろ、おさめたいというふうに考えております。
物価上昇の原因その他については、あまり触れる必要もないかと思いますが、予算を編成するときの大きな柱としましては、先ほど来、
経済社会発展計画あるいは本年度の
経済運営について若干話が出ておりますところと重複もするのですけれども……。といいますのは、
物価対策は、何といいますか、
経済全体の運営と密接不可分であります。そんなことで取り上げて
物価対策としての柱を申し上げるのは抽象的にならざるを得ない点があるし、また、重複を避けられない点があるわけですが、あえて申しますと、
一つは、
生鮮食料品が非常に問題になっております。それの
生産性の
向上とか、
供給力の
計画的な
増大、あるいは出荷
調整といった面での
供給対策、あるいは肉その他につきましては
輸入のことも考えていく。さらに、そういった日常のいわば
消費者物価を構成しているウエートという点ではさほど大きくはないにしましても、
わが国経済で指導的な
立場を占めているいろいろな製造業その他の
産業がありますが、
生産性の
向上の成果が、ともすると
賃金と利潤のほうにだけ分けられて、
価格のほうになかなか回りにくい。そういう点が
指摘されてきております。そういうことを実効的に進めていくことをねらいまして、独占禁止法の適切な
運用その他のことが緊要の
課題になっておるというふうに考えておるわけです。
さらに、
財政金融が、何といいますか、
経済運営の中でほんとうに必要な部内に円滑に流れ、そして均衡のとれた
発展を遂げるようにするということも重要な柱になります。今後の
景気動向に十分な注意を払いまして、弾力的、機能的に運営するという方針を貫いていく必要があろうかと思います。
地価につきましては、先ほど総合
計画局長から触れましたので、あえて申し上げる必要がないかと思います。
消費者行政でございますが、言われ始めて、すでに数年たっております。最近の概要を申し上げますと、都道府県あるいは市町村段階で、中央にあります
国民生活審議会、あるいは
物価問題懇談会とか、あるいは安定
推進会議、そういった中央の
機構に準じた
機構が設けられつつあります。われわれの手元にある限りでも、二十二、三の府県においてそういう組織ができまして、活動を始めておりますが、地域の問題、あるいは大きくいえば国の
政策にかかわる問題、いろいろあると思うのですけれども、そういう段階で、
消費者の保護あるいは
消費者の啓発ということの進むことを期待しておるわけであります。これに関連しまして、
大臣のごあいさつにもありましたモニター
制度なども
経済企画庁として取り進めてまいる、そういうことにいたしておるわけであります。
なお、
物価安定推進会議でございますが、四つの部会ができまして、低
生産性部門の
関係、大
企業あるいは
公共料金の問題、さらには
財政金融の問題というふうに分かれまして、主査は、第一が馬場先生、第二が有沢先生、第三が都留先生、いずれにも属さない総合的な問題というので中山先生が総合部会の会長をなさっております。そういうことで、個別の問題から入らざるを得ないかと思いますが、ねらいとしては、
物価問題の根底にひそんでおります
制度あるいは秩序、慣習、そういった点にメスを入れていこう、こういう
態度で御
審議が進んでおるわけでございます。
予算の
関係につきましては、以上申し上げたような幾つかの柱をそれぞれ立てまして別紙に記載しておきました。これを読んでおりますと非常に長くなるのですが、柱で言いますと、「農林水
産業の
近代化」、あるいは「
中小企業の
生産性向上対策」というのが、先ほど申し上げました
生産性の低い分野についての柱、さらにそれに関連しまして、
流通機構が特におくれておるということで特別の柱を立てております。なお、
競争条件の
整備の問題あるいは住宅
対策等の各項目にわたりまして金額を表示してございます。最後のところで、先ほども申し上げました
消費者対策のことに触れております。なお、
物価、
賃金、
生産性の問題がいろいろ議論されておるわけですが、
経済審議会のほうで所要の事務費を計上して研究を深めていただくということも来年度予算に入っておることを申し添えておきます。
以上で、簡単でございますが、
説明を終わらしていただきたいと思います。