○
国務大臣(
倉石忠雄君)
果樹保険臨時措置法案につきまして、提案理由を御説明申し上げます。
果樹
農業につきましては、
政府は、
農業生産の選択的
拡大の一環としてその振興をはかってまいりましたが、最近、
国民生活の高度化による需要の増大と、それに対応する
農業者の旺盛な
生産意欲にささえられ、果実の
生産は急速に増加し、逐次その成果があらわれてまいっております。
したがって、わが国の
農業における果樹
農業の占める比重も最近とみに大きくなっており、これに伴い、適切な災害対策の必要性がますます大きくなっていることは、あらためて申し上げるまでもないところであります。
このような果樹
農業を取り巻く諾事情にかんがみまして、
政府は、
昭和三十五年以来、果樹保険の制度化につき種々検討を続けてまいりました。しかしながら、果樹
農業におきましては、保険制度を樹立するのに必要な諸種の資料がなお十分
整備されておらない状況でありますので、果樹保険の全面的な制度化をはかるための準備として、まず、試験的に
事業を
実施し、保険料率算定のための基礎資料の収集、損害の評価等、
事業運営上の諸問題の検討を行ない、その成果に基づいて適切な損失補償制度の全面的な確立をはかることといたした次第であります。
以上がこの
法律案を提出する趣旨でありますが、以下そのおもな内容について御説明申し上げます。
第一に、果樹保険の対象とする果樹につきましては、主要な種類の果樹として政令で定めることとしておりますが、当面、ミカン、ナツミカン、リンゴ、ナシ、ブドウ及びモモの六品目を予定しております。
第二に、
事業実施主体につきましては、
農林大臣の認可を受けて
農業共済組合連合会が果樹保険
事業を行なうことができることとし、これに必要な手続を規定いたしました。
第三に、果樹保険の内容につきましては、果実の減収、樹体の枯死等による損失をてん補の対象として取り上げることとし、保険金額、保険料率等につき所要の規定を設けることといたしました。
第四に、
政府は、果樹保険
事業を行なう
農業共済組合連合会と再保険契約を結ぶことができることとし、その再保険契約の内容は、いわゆる超過損害歩合再保険方式、すなわち連合会の保険責任のうち異常責任部分の一定割合を再保険する方式によることとし、再保険金額、再保険料率等につき所要の規定を設けることといたしました。
第五に、国は、
農業共済組合連合会が果樹保険
事業を行なうのに要する事務費を補助するとともに、果樹保険
事業の円滑な
実施をはかるため、果樹保険に加入する
農業者に対して交付金を交付することとしております。
このほか、
農業共済基金は、果樹保険
事業を行なう
農業共済組合連合会に対してその保険金の支払いに要する資金を融通することができることとするとともに、
農業共済組合連合会は、
農業協同組合その他の果実出荷団体に対して資料の提供につき協力を求めることができることとする等、
事業の円滑かつ適正な運営を期するため必要な規定を設けることといたしました。
なお、この
法律は、
昭和四十三年四月一日から施行し、この
法律が果樹保険の試験
実施のための臨時措置法であることにかんがみ、その施行日から五年以内に別に
法律で定める日に失効するものといたしました。
以上がこの
法律案の提案理由とおもな内容であります。
何とぞ慎重御
審議の上、すみやかに御可決くださいますよう、お願い申し上げます。