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1967-07-20 第55回国会 参議院 農林水産委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月二十日(木曜日)    午後二時五分開会     —————————————    委員の異動  七月十九日     辞任         補欠選任      田村 賢作君     柴田  栄君      和田 鶴一君     廣瀬 久忠君  七月二十日     辞任         補欠選任      柴田  栄君     田村 賢作君      廣瀬 久忠君     和田 鶴一君     —————————————   出席者は左の通り     委員長         野知 浩之君     理 事                 任田 新治君                 山崎  斉君                 川村 清一君                 中村 波男君     委 員                 青田源太郎君                 岡村文四郎君                 小林 篤一君                 櫻井 志郎君                 田村 賢作君                 高橋雄之助君                 温水 三郎君                 堀本 宜美君                 森部 隆輔君                 八木 一郎君                 和田 鶴一君                 達田 龍彦君                 鶴園 哲夫君                 村田 秀三君                 矢山 有作君                 渡辺 勘吉君                 北條 雋八君    国務大臣        大 蔵 大 臣  水田三喜男君        農 林 大 臣  倉石 忠雄君    政府委員        農林政務次官   久保 勘一君        農林大臣官房長  桧垣徳太郎君        農林省農林経済        局長       大和田啓気君        農林省畜産局長  岡田 覚夫君        農林省園芸局長  八塚 陽介君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君    参考人        畜産振興事業団        理事長      須賀 賢二君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○加工原料乳生産者補給金等暫定措置法の一部を  改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○果樹保険臨時措置法案内閣提出、衆議院送  付)     —————————————
  2. 野知浩之

    委員長野知浩之君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  加工原料乳生産者補給金等暫定措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、おはかりいたします。本案審査のため、畜産振興事業団理事長須賀賢二君を、本日、参考人として出席を求めることといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  それでは、これより質疑を行ないます。本案に対し質疑のある方は、順次御発言願います。
  4. 矢山有作

    矢山有作君 まず農林大臣にお伺いいたしますが、酪農に対する今後の政府基本的な態度といいますか、そういったことについて所見を承りたいと思います。
  5. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 御承知のように、最近の国民食料需給動向を見ておりますと、だんだん変化がありまして、酪農産品、くだもの、野菜等にその需要は逐年増加いたしております。かたがた、国民体位向上といったような意味においても、われわれは酪農事業はさらに一段と努力をしていかなければならぬ、このように考えておる次第でございます。
  6. 矢山有作

    矢山有作君 いや、酪農情勢をお聞きしたのではないので、現在のそういう酪農情勢にありますから、今後酪農に対する政府基本的姿勢としてはどういう姿勢をもってやるのか、こういうことをお伺いしたわけです。もっと端的に言えば、要するに将来自給体制の確立を目ざしてやるのかやらぬのか、こういう意味です。
  7. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 自給体制をできるだけ整備いたして需給に見合うようにやっていかなければならない、こう思っております。
  8. 矢山有作

    矢山有作君 ところで、自給体制を確立していくという基本的な姿勢はあるわけですが、私は、最近の酪農動向から見て、はたして政府が考えておられるように、たとえば近代化計画に定められておるああした目標達成できるかどうかということに対して、多分の疑問を持っているわけです。しかし、そのことはまた後ほどこまかく伺うことにいたしまして、要するに、最近の酪農停滞ぎみであるということはおおい隠すことのできぬ事実であると思いますが、その酪農停滞しておる原因は何にあるのか、このことを承りたいと思います。
  9. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 御承知のように、最近、その伸び率が二、三%程度に低下いたしてまいりまして、それらの要因といたしまして考えられますことは、零細農家酪農から脱落をいたしてまいっておることもありますし、一方において、御承知のように、肉の価格が暴騰をいたしましたに伴って、肉牛、特に若年齢の牛をそのほうに回すというような傾向も出てまいり、それらの要因がいろいろ重なりまして、同時にまた、飼料問題等もありまして、生産率低下をいたしてまいっておるものではないか、このように考えておるわけでございます。
  10. 矢山有作

    矢山有作君 現象としてあらわれた問題としては、先ほどおっしゃったように、零細酪農民がだんだん脱落していった、あるいはまた、農家労働力の流出の問題とか、あるいは、牛肉が高くなったから肉用に屠殺されていったとか、いろいろな理由があると思います。しかし、要するに現在の生産条件の中で酪農が今日ほど停滞しておるその基本的な要因というのは何かということを考えてみましたときに、私は、根本に横たわっているものは、酪農というものの収益性がきわめて低いということがやはり根本に横たわっておる原因ではないか、こういうふうに思っているわけですが、どうですか。
  11. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 生産者の話を聞いてみますというと、やはり生産に要するいろいろな要素、すなわちコストが高くなってきている。それにつれて、乳価、乳製品の関係がそれほど上がっておらない。要するに、収益性の問題も一つの大きな原因である、こういうことはいなむことができないのではないかと思っております。
  12. 矢山有作

    矢山有作君 まあ収益性一つ要因であるというよりも、いまの酪農背景にあるといいますか、基底にある生産条件の中では、収益性が低いということが端的に言って酪農停滞を来たした基本的な原因だと言わざるを得ないと思うのですが、そういうふうに収益性が低いその原因といいますか、なぜこれほど酪農収益性が低いのか。いろいろの生産条件があると思うのですが、その中から割り出されてくると思いますが、それについて専門的な分析を、これは畜産局長でなければできますまいから、畜産局長のほうからお伺いします。
  13. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 収益性が低いという問題でございますが、これは、非常に零細規模酪農が行なわれていることが多いということが一つ原因であろうかと思います。また、一つは、自給飼料に依存する分がなおかなり低い、輸入飼料に依存する分がかなり多いというふうなことも一つ原因であろうかというふうに考える次第でございます。
  14. 矢山有作

    矢山有作君 私は、現在の生産条件前提にして考える場合に収益性が低い、その収益性が低い原因は何か、こういうふうな聞き方をしたわけですから、いま局長がおっしゃった自給飼料確保が十分でないとか、あるいは、零細規模経営であるとかということは、現在の日本の酪農背景をなしておる条件ですから、そういう条件前提としていまの酪農収益性が低いということはなぜか、こういうことなんですから、私は生産条件の問題を伺っておるわけじゃないんです。生産条件前提にして酪農収益性が低い、それはなぜかといったら、結局、端的に言うならば、生産費を十分に償うだけの乳価というものが保証されていないということにあると思うわけです。私はそういうふうに理解するのですが、その点はどうですか。
  15. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) お話のように、生産費につきましては、加工原料乳につきましては特に交易条件が不利である、こういうふうな前提のもとに不足払いができ上がったわけでございまして、これによりまして生産費保証するというふうなたてまえになっておるわけでございますが、市乳につきましては、これは自由に取引当事者の間において価格が形成されるということになっておりますけれども、必ずしも生産費を十分に保証するものでないような事態もあったわけでございます。
  16. 矢山有作

    矢山有作君 加工原料乳生産者補給金等暫定措置法をつくった手前から、加工原料乳については生産費保証できておるけれども、飲用乳については必ずしもそうでないという答弁になるということもおおよそ予想できるところなんですが、しかし、そうなると、加工原料乳保証価格のきめ方、これが、言うと言わぬとにかかわらず、飲用向け市乳価格に対しても何らかの影響を及ぼすということは、これは当然だと思います。したがって、私は、自分のほうから、収益性の低い根本原因生産費を償うだけの乳価保証されていないというところにあるんだということを申し上げたわけですから、これをめぐって一、二御質問いたしたいのですが、まあ加工原料乳については、暫定措置法で一応生産費を償うだけの保証ができている、こういう意味の御発言であろうかと思います。  そこで、お伺いしたいのは、御存じのように、本法の第十一条の中に、加工原料乳生産者販売価格つまり保証価格のきめ方というものが出ております。それは、私が言わんでも、要するに「生乳生産条件及び需給事情その他の経済的事情を考慮し、生産される生乳相当部分加工原料乳であると認められる地域における生乳の再生産確保することを旨として……定める」と、こうなっているわけですから、この場合の再生産確保、これを具体的にどういうふうに理解をしておられるのかということをお伺いしたいと思います。
  17. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 再生産確保でございますが、これは生産が継続されまして拡大をしていくということであるというふうに考えております。
  18. 矢山有作

    矢山有作君 保証価格は、要するに、生産が継続されて拡大されていく、縮めて言えば、拡大生産を実現する、そういう立場からきめられるんだと、こういうことだと思います、いまの答弁は。そうすると、拡大生産を実現をしていくために、現在のような資本主義経済のもとで保証価格決定にあたって、一体、どういうことが必要なのであるか。私は、拡大生産保証するためには、保証価格というものが、剰余価値といいますか、あるいは利潤といいますか、そういうものが十分見込まれてきめられておらなければならぬというふうに考えておるのですが、そういう点から、保証価格というものははたしてそういう立場できめられておるかどうか、このことを伺っておきたいと思います。
  19. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 要するに、生産費保証いたしまして、それによって拡大生産が可能になるというふうに考えておるわけでございます。
  20. 矢山有作

    矢山有作君 これは、畜産局長生産費保証されただけで拡大生産ができるというのは、経済原論にも書いてないですよ。拡大生産をやるためには、利潤部分というものがどうしても見込まれていなければ、これは拡大生産はできぬわけですよ。もし生産費が完全に補償される形で保証価格というものが定められておるとするなら、この場合は単純再生産はできます。しかし、私は、単純再生産も厳密に言えばむずかしいと思う。そういう場合は、むしろ、縮小再生産傾向が出てくる。私は、生産費を補償する保証価格というのは、拡大生産にならぬ、これは経済のイロハだと思うんですね。この点、大臣、どうですか。
  21. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 生産費を償わないような仕事では、翌日への生産意欲はなくなるはずでありますから、これを償ってなおかつ拡大生産に向かい得るためには、おっしゃるように、企業としての利潤の分が見込まれなければ拡大生産はできないと思いますが、そういう意味で、ただいまの保証価格については、御存じのように、かなりそういう点をおもんぱかって取り扱っておると私どもは考えております。
  22. 矢山有作

    矢山有作君 局長大臣答弁でよろしいですね。
  23. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 現在のたてまえといたしましては、再生産を……。
  24. 矢山有作

    矢山有作君 拡大生産だけをあげて聞いているわけです。拡大生産ではどういう……。
  25. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) ということで、生産費を補償するというたてまえになっておるわけでございます。ただ、生産費の補償でございますけれども、酪農につきましては、生産につきましての特殊性もあることを考慮いたしまして、特殊な労働につきまして他産業労賃に評価がえをいたしまして妥当な価格をきめるということにいたしておるわけでございます。
  26. 矢山有作

    矢山有作君 意地が悪いようですが、保証価格の問題はこれから第二段でお聞きしますから、私が局長にお聞きしたのは、拡大生産ということを指向する以上は、保証価格は当然利潤部分を含まなければならぬ、この大臣の御答弁にはそのまま首肯されますか、こういうことです。
  27. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 現在の保証価格におきましては、一定の利潤を認めるという立場をとっていないわけでございます。生産費そのものを補償するという考え方をとっておるわけでございます。
  28. 矢山有作

    矢山有作君 そうすると、現在の保証価格のほうへ話を持っていかれるのですが、現在の保証価格は、生産費を補償するという立場でつくっておられるというところできめておられる。そのことは、先ほどの大臣答弁から照らし合わせたら、結局、現在の保証価格拡大生産を指向する価格にはなっておらぬということはあなた認めなければいけないわけですが、これは認めますか。
  29. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 現実生乳生産がふえております。そういうふうなことから、生産拡大が可能であるというふうに考えておるわけでございます。
  30. 矢山有作

    矢山有作君 それは、畜産局長畜産政策を担当する責任者としては、きわめて現状認識ができていない。現在、生産費を償うだけで拡大生産ができるということは、これはその生産に従事しておる人間が何かを犠牲にしておることですよ。生産費しか償われない中で拡大生産ができるということは、これは絶対言えないです。事実の問題でなしに、そういう一つの論理的な立場から正直にものを言っていただきたい。拡大生産はできないです、生産費を償うだけでは。ところが、あなたは、そういうふうに私が言うと、現実には多少最近になって乳がふえかけたから、あるいは二歳以下の牛も多少ふえかけたから、飼養頭数も多少ふえかけたから、拡大生産ができておると、こうおっしゃる。いまの農民はそうじゃないんですよ。経営実態は、自分の身を削って、そして何とかしていまの経営の苦しさから抜け出すために経営改善をやっていく、そういう姿勢基本にあるから、多少ふえておるということは言えるかもしれぬが、それと同時に、現在の酪農家というのは、私は実態を一ぺん調べていただいてお聞かせ願いたいんですが、相当のばく大な借金をかかえながら経営をやっておるんです。借金から抜け出すためにはもう酪農をやめてしまってやったらいいじゃないかという議論もあるかもしれない。しかし、おそらく、いま、酪農をほうり投げてしまったら借金だけ残るという形の経営がかなり多いんです、実態として。それだから、先ほど言いましたように、その借金苦から抜け出すためには、農林省も多頭化頭化といって太鼓をたたくものですから、ほんとうかいなと思って信じて、中には多頭化につとめる人もあるかもしれない。しかし、農林省のそういう単純な話にはごまかされない人もあるかもしれない。いずれにしても、とにもかくにも、いまの苦しい状態から抜け出すために、何とか頭数をふやしたらよくなるんじゃないかということで頭数がふえていると思う。いわばタコの足を食っているようなものです。だから、現実の問題としてふえているから、拡大生産ができておるというようなことは、これは暴論だと思うんですが、どうですか。これは、私は、あなたと私とやり合ってあなたをへこまそうとかなんとかいうんじゃないんで、畜産政策を正しく進めていくためには、やはり現実認識を正しくやらなければならぬし、理論的に明確なものは理論的に明確に理解をして、その上に立って政策を展開されぬと、とにかく質問者がこう言うから、それに対して賛同するようなことを言ったら自分がシャッポを脱いだことになるから、何とかして反論しようと、こういう形の答弁では、私は前向きの畜産政策というものは出てこないと思うんですがね。その点はどうですか。
  31. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 現在の法律のたてまえが、お話しのように、再生産確保するということで生産費を補償するという形になっております。お話のように、どんどん拡大生産を続けていくということになれば、おそらく生産費だけでは必ずしも十分でない面もあろうかというふうに考えるわけでございます。いかにして合理化をして再生産に持っていくかということになるのではないかというふうに考えております。
  32. 矢山有作

    矢山有作君 そういうふうに最初からちゃんと御答弁願いたいんです。現在のように生産費を補償するという立場からつくられた保証価格では、あなたがいまお認めになったように、拡大生産ということにはならぬ。したがって、政府があくまでも将来の政策基本として考える以上は、特に近代化計画に示されたようなあの達成を考える以上は、やはり再生産確保されるようなそういう法律の趣旨に正しく沿う保証価格決定する必要があると、こういうことに私は筋として落ち着くと思うんです。あなたがいくら強弁なさっても、自分自身でおっしゃったように、現在の保証価格生産費を補償するということでつくられておるのだから、したがって、利潤部分はないのですから、一切拡大生産にはならん、このことはやはりはっきり認識をされて今後の政策展開をやられる必要があるだろう、こういうふうに思います。  次は、先ほど、現在の保証価格拡大生産をやっていくためには、生産合理化等をはからなければならん、こういう意味のようなお話だったと思うのですが、拡大生産をやるんだということが大前提になってものを考えていくのであれば、現在の生産条件というものを無視して保証価格をきめることはできないと思うのです。現在の生産条件というものを踏まえて、そうして拡大生産ができるように保証価格をきめていく。そして、その保証価格がもし高いとかなんとかという議論が出てくるならば、生産合理化されるようなもろもろ施策を積極的にやっていって、そして生産費低下をしてくる。その現実の上に立って保証価格が下がるというんなら、これは話は別です。しかしながら、そうでなくて、保証価格生産費を償う価格しか出さないでおいて、そして生産条件合理化されぬからいかんのだという議論は、私はさかさまだと思うのです。ということは、私が言うだけではなしに、一昨日、大蔵大臣も、こういうことを言われましたね。現在の農業状態の中では農業改善をどんどんやっていく、農業改善ができるまではやはり価格政策を積極的に展開しなければならぬ、こういう意味のことをおっしゃっておったのです。あなたそういうふうにお考えになりませんか。
  33. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 価格政策というものも、生産をふやすという意味におきましてはきわめて重要なものであるというふうに考えております。
  34. 矢山有作

    矢山有作君 それでは、来年度保証価格等価格決定にあたっては、いまの御答弁十分腹に秘められて決定をしていただきたいと思います。特に政府方針畜産審議会からは国会議員は締め出された今日の状態においては、審議の場でわれわれがこういう議論を展開することはできないわけですから、農林大臣も言われるように国権の最高機関である国会の場でこのことを論議し、あなたも十分それを認められたわけですから、したがって、来年からは保証価格決定は、いまおっしゃったことをよく踏まえて真に拡大生産保証されるような保証価格決定をやっていただきたいと思います。  次に移りますが、近代化計画によりますと、四十六年度に、生乳生産量が七百九万トン、飼養頭数にして二百十九万六千頭ですか、これを達成するという計画が立てられておるようです。私はこの計画達成していくためには、生産から価格対策その他もろもろ施策がかなり積極的に展開されていかんと、これは前からの目標ですから、現状に比べてなかなかむずかしいんじゃないかと思うのですが、これを達成するための具体的な方針といいますか、それがあったらお伺いしたい。
  35. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 酪農近代化計画目標は、昭和四十年度に立てられたわけでございますが、それ以来、近代化計画目標達成のために努力いたしております。残念ながら最近生乳生産停滞をいたしましております等の関係もございまして、計画目標達成するためには格段の努力を要するものだというふうに考えておるわけでございますが、多頭飼育の近代的な酪農家群をできるだけ多数育成するという方向で各種の施策を総合的に実施をすることによってこの計画目標達成をいたしたいというふうに考えておるわけでございまして、このための施策といたしましては、何と申しましても、まず第一に飼料基盤整備でございまして、草地改良事業自給飼料増産総合対策を積極的に推進していくということと、酪農経営の安定をはかるための家畜導入事業であるとか、加工原料乳不足払い等施策を積極的に推進してまいるいうとふうに考えております。
  36. 矢山有作

    矢山有作君 いまのお話は、委員会たびごとに聞かされる話なんで、だいぶわれわれも耳にたこができますが、その話を聞かされて三年たっても、二年たっても、一年たっても、さっぱりはかばかしい効果が出てこぬ、これもまただれも否定することのできない現実だろうと思うのです。  そこで、私は、口先でそういうことを言うだけでなく、近代化計画達成のためにもそれはそれぞれの年度で具体的な方針というものが確立されて、それをやっていくためにどういう裏づけ、特に資金面なんかの裏づけ等が具体的に考えられているのか、それを聞きたいと思うのです。それがなしに、ただ目標だけ示して、そしてそれを達成するためには飼料基盤整備をやるのです、導入事業をやるのです、不足払い制度をやるのですと言っているだけでは、私はできぬと思う。計画を立てた以上は、その計画達成するために、一つ一つ初年度から積み上げていかにやならぬ問題があるわけですから、それを積み上げていく。その仕事をやるには金が要る。したがって、それらの具体的な計画というものを立てておるのかおらないのか、これを伺いたい。
  37. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 草地改良事業につきましては、御承知のように、土地改良長期目標を立てまして、この目標に従いまして毎年度事業実施をいたしておるわけでございますが、自給資料増産につきましても、これに即しまして毎年度予算要求をいたしまして実施をいたしておるわけでございます。家畜導入その他の問題につきましても、おおむねこの線に沿って努力をいたしておるわけでございます。  畜産全般につきまして年次計画を具体的につくって実施するということもかなり困難の問題もございますので、可能なものにつきましては目標を立てまして実施をいたしておるのでございます。
  38. 矢山有作

    矢山有作君 しかし、近代化計画達成するために、総合的な施策を立てぬとそれが達成できぬと自身でおっしゃっておるわけですから、そうすれば、それを達成するための総合的な立場から立てた年次的な計画というものは、これはなければならぬと思うのですがね。これがもしあるなら、具体的にそれを資料を出していただきたいし、全然ないんならないで、いま言った程度のことしかないのですということであるならば、それははっきりしていただきたい。
  39. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) ただいま申し上げましたようなことで、草地改良事業につきましては具体的な目標をきめて実施をいたしております。それから飼料増産につきましても、そういう目標を立てまして努力をいたしておるのであります。
  40. 矢山有作

    矢山有作君 資金計画は……。
  41. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 資金計画につきましては、具体的な資金計画は立てておりません。
  42. 矢山有作

    矢山有作君 これは大臣に伺いたいのですが、近代化計画を立てて、四十六年度目標に、飼養頭数においても生産乳量においても倍ないし倍近いものをやっていくというんです。ところが、今年の酪農がどういうようなテンポであるかということは、これはもう大臣もよく御承知でしょう。停滞しておるんです。この調子で四十六年といいますと、あと四年ですよ。これであの目標達成できますか。具体的な年度ごとの計画を立て、それが達成されるような資金的な裏づけをやり、そして積極的に推進しようという姿勢は、いま畜産局長の考え方では出てこぬわけです。できるとお考えになりますか。ただしゃべっておるだけなら、これはだれでもしゃべれるんですが、一体どうなんですか。
  43. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 私は、畜産局の近代化の計画につきまして、実は内部でいろいろ議論し合ったわけでありますが、この目標どおりに年次を追うて到達いたしますにはなかなか困難が伴うということを私どもは決して否定するものではありません。しかし、この目標にぜひ到達をいたしたい、こういうことで、いまお話し申し上げました草地改良その他のことに全力をあげようということでありますが、率直に申し上げまして、年次計画でこのようにやってまいるというその計画目標に到達するためには非常な困難を伴うことを覚悟しなければなりませんが、私どもといたしましては、来年の予算編成もありますし、ひとつさらにこの点については検討をいたしまして、最終目標に到達のできるための年次的計画を資金的にも急いで立案をいたして、その目標に進むように全力をあげたいと、こう思っております。
  44. 矢山有作

    矢山有作君 私は、大臣のお答えは、計画達成のための熱意のあるお話だと思うんですがね。近代化計画が最終的にきまったのが四十一年の十二月ですから、そうすると、大臣のおっしゃったようにほんとうに計画目標達成するということになれば、これは真剣に取り組んでいかなければならぬ。ところが、大臣がお約束になっても、これまでの例を見ると、往々にして、言ったほうがうそをついたのか、それでやれと言われてやるほうの事務当局が横着をしているのか、どっちか知りませんが、実現しないことがよくあるんです。これは実際にやるとなるとむずかしい仕事ではありますが、しかし、大臣がそこまで言明されたなら、事務当局としては、困難があろうと、やらなければいかぬと思うんですね、やらなければまた計画目標達成できないと思うが、畜産局長、全力をあげておやりになりますか。ここではっきり言っておいてもらいたい。
  45. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 少しざっくばらんに申し上げ過ぎるかもしれませんが、私、就任いたしまして、いろいろ各局の計画等につき一応の検討をいたしましたときに、最終目標の年のこの計画に、はたしていまのテンポで追いつき得るだろうかということを畜産局の者にも尋ねた次第でございますが、そう自信がだれもあるわけではありませんけれども、とにかく私どもはこの目標に向かって全力をあげなくちゃならない。政府もしばしば申しておりますように、選択的拡大と言っておる一つの重要な部分でありますから、そのことにつきましては畜産局もたいへん心配をいたし、努力をしようといたしておるわけでありますから、及ばないところはわれわれの力の足りないところでありましょうけれども、畜産局をあげてこの計画達成のためにいろいろな要素をぜひ完成するように最善の努力をいたしたい。これは畜産局長からあらためて申し上げませんでも、私に局長が常々言っておることでありますから、その目標で最善の努力をいたしたいという情熱を局をあげて持っておりますことを御了解願って、御援助をお願いしたいと思います。
  46. 矢山有作

    矢山有作君 私は、大臣は率直に言われたと思うのです。なるほど、計画目標達成には自信がない、そのとおりだと思うのです。われわれしろうとが見ておっても、現在の状態でほんとうに達成できるのかどうかということは、きわめて疑問を持っているわけです。しかし、いまおっしゃったように、自信がないとわかっておる目標だけ掲げておったんでは、政策遂行にならぬし、また、それではある意味で言えば農民をだまかすことにもなるんですからね。したがって、自身がないならないで、計画を立てる以上は、自信の持てる計画をぜひ立ててもらいたい。そうして、それだけはぜひとも遂行していくんだという姿勢がないと、そんなことを申しては失礼ですが、目標に達する事業をやっていくためには、金が要ります。そのようなことを考えて、はたして農林省が大蔵省から実際の資金的な裏づけをとれるだけの力があるのかないのか、きわめて疑問なんです。私も、率直に言いますと、計画目標が立ったら、これだけはどうしてもやるんだということでよほど強い腰で交渉しなければならない、予算獲得のために。だから、私はこのことを言っておるんです。まあ畜産局長をかばわれて大臣のほうから積極的に答弁をされたんですから、私はそれを信用いたします。来年の少なくとも畜産審議会等が行なわれるまでには、この問題は、きょう言われたことですから、われわれは覚えておりますから、必ず問題になるんですから、そのときに、実は努力しましたができませんでしたというようなことのないように、事務当局としては全力をあげてもらいたいというふうに思います。よろしいですか。
  47. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 大臣お話のとおりに努力いたします。
  48. 矢山有作

    矢山有作君 局長みずからやるということをはっきり言われたわけですから、私はもうこれ以上申しません。それに期待をいたします。ところで、私は、実は、近代化計画を調べておったら、近代化基本方針のほうでは四十六年度生乳生産量見込みは七百九万六千トンと、こう出ております。これは近代化基本方針に即してこれをつくらせたと考えておりますが、都道府県の近代化計画では六百七十三万九千トンを目標にしておりますね。四十六年度生乳生産量として、ここにある都道府県の計画と国の示した基本方針との間に、生乳生産量目標に大体五%すでに差ができておる。これは一体どっちをやるんですか。
  49. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) お話のように、国が示しました目標は、七百九万六千トンということになっておるわけでございます。これは、御承知のように、積み上げ計算ではないわけでございます。国としての全体の生産目標を示したわけでございます。この目標に基づきまして、各都道府県において近代化計画をつくったわけでございますが、これはそれぞれの立地条件に即しまして具体的に検討いたしました結果、積み上げました生産量の見込みというものが六百七十三万九千トンということに相なったわけでございます。したがいまして、国でつくりましたものと都道府県で積み上げ計算をいたしたものとの違いがあるわけでございます。そこで、法律の規定に従いますと、農林大臣がこの都道府県の計画を承認するということになっておるわけでございますが、承認の際に、近代化方針に即したものでなければならないということに相なっておるわけでございます。五%程度の違いでございますので、これは近代化方針に適合したものであるというように考えております。近代化計画は、その後客観的な事情に応じましては改定をすることができるというふうなことにもなっておりますので、したがいまして、ここで必ずしも一致しなくとも、おおむねこの程度のところが要するに目標であるというふうに考えられるわけでございまして、形式的には国で示しました七百九万六千トンですか、これを一応の目標として実施をするというふうに考えておるわけでございます。
  50. 矢山有作

    矢山有作君 私は、現在の地方自治体の状況から見て、国が近代化方針を示したら、極力それに近づけるように努力をしたと思うんです。こういう計画をやっていく上には金も要るのですから、その金は自治体だけの問題ではない、国の裏づけ等の問題が将来起こってくるんですから、それらをもらわなければならぬという考えも自治体には出ますから、そうしてできるだけ近代化方針に近い数字を出そうと思って、これは四苦八苦して都道府県は計画をつくったと思うんです。そうなると、この計画目標達成するのは、先ほども指摘しましたように、きわめて困難な問題であろう。それだけに、少なくとも近代化目標達成するための努力はやっていただかなければならぬと思うんです。ところが、その努力をやるにいたしましても、もう需給のバランスは四十六年度でく、ずれてくるわけですね。基本方針需給の数字で見ますと、やはり計画の改定というものが問題になってくると思うんです。そうすると、四十六年度目標にして需給達成ということでつくられました近代化計画ですから、それらの点をも全部含めて、やはり計画を、基本方針を、これもあなたのおっしゃるように、考え直さなければならぬ問題が出てくる。考え直す段階で、私が先ほど言ったような、ぜひ実現できるような裏づけをきちっとやった計画にしてもらいたい、こう思いますので、それらの点を含めて御答弁をいただきたい。
  51. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) ただいまのところは、この目標達成は、先ほど大臣も申し上げましたように、かなり困難が伴う。相当努力をいたさなければこの目標達成は困難であるというふうに実は考えておるわけでございます。一応目標としてつくりましたもので、われわれとしましてはこの目標に向かって全力をあげて努力をいたしたいというふうに考えておるわけでございますが、最近、御承知のように、乳牛もふえつつございますし、それから生乳生産もふえつつある、こういうふうな現状でもございますので、これらを一そう促進することによりましてできるだけこの目標達成できるように努力をしてみたいというふうに現在のところは考えておりまして、近代化基本方針そのものを改定する時期といたしましてはなお若干時間を必要とするのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
  52. 矢山有作

    矢山有作君 この問題は、これくらいにいたしておきましょう。  その次は、子牛の増殖の問題で伺いたいんですが、四十年、四十一年の二月の対前年比を調べてみますと、二歳未満の乳牛飼養頭数はいずれも一〇〇%を割っていますね。四十二年二月は前年よりちょっとふえてきたようですが。いずれにしても、一〇〇%を割っておる。これは、先ほど話に出ましたように、牛肉の価格が高くなった、そうして収益性の低い育成牛の飼養はもうやりたくないということで屠殺に回ったというようなこともあると思うんです。そこで、乳牛飼養を増大していくためには、どうしても必要な育成牛を経営内部でふやす、これは言うまでもなく必要なことだろうと思うんです。が、同時に経営外における育成というものもやはり積極的にやっていかなければならぬと思うんですがね。ところが、子牛の再生産事業というものは、相当多額な投資が要りますし、資金の回収がおそい、また、収益性が低い、これらの事情があるので、なかなかむつかしいと思う。そこで、現在国や地方公共団体その他の公的の機関の相当強力な援助措置がないと子牛の増産ということはやれぬのじゃないかと思うんですが、現在の状況というのはどうなっておりますか。
  53. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) お話のように、本来的には子牛というのは自分経営の中で育成すべきものだというふうに考えておるのでございますが、わが国のように土地条件の恵まれていないところにおきましては、なかなか子牛の育成ということは自家経営の中では困難な面が多い。ことに多頭飼育になりますと、そういう傾向が強くなってまいるように思われるのであります。そこで、地方公共団体または農業協同組合等の公共的団体が管理運営いたしまして、個別経営の外において個別経営のために子牛の育成を行なうところのいわゆる公共育成牧場というものが出てまいっておるわけでございますが、最近の調査によりますと、全国で三百二十七地区、一万四千ヘクタールということになっておりまして、この育成牧場へ現在入っておりますものが、二万二千頭の乳牛、そのほかに肉牛が六千五百頭程度が集団的に放牧飼育されておるわけでございます。
  54. 矢山有作

    矢山有作君 子牛の増殖の面は、いま状況を聞きましたが、これではやはり近代化計画達成の上にも問題があると思いますので、これは今後ともその施策の充実をはかっていただきたいと思います。  それから次は、いまの日本の畜産の中での一つの大きな問題点というのは、やはり自給飼料の問題だと思うのです。そこで、自給飼料といった場合、いろいろ施策はあるわけですが、草地の改良のことはしばらくおきまして、最近の農地の利用状況、特に裏作放棄が非常にふえておる、したがって利用度が非常に落ちておる、こういうようなところからして、何とかこの面からの飼料問題の解決というものを積極的にやっていかにやならぬのじゃないか。麦の問題、あるいは飼料作物の問題等々があるわけですが、私ども現在までに知っておるところでは、麦の対策にしたところで、飼料作物の問題にしたところで、効果のあるような積極的な施策というものはあまりないのではないか、こういうふうな見方をしておるのですが、この問題を今後どういうふうに具体的に解決していくのか。これは、私は、当面、解決の急がれる問題だと思っておりますが、どうですか。
  55. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) お話のように、最近、裏作が放棄されている事例が多いわけでございます。畜産に関連して考えてみますと、畜産をやっている農家で十分土地を持っていない農家が一方にある。一方では、畜産をやっていないけれども、相当な土地を持っている農家がある。しかも、裏作があまり利用されていないということは、非常に問題があるわけであります。したがいまして、裏作を積極的に利用するというためには、それらの間の関係を結びつけるという必要があろうかというふうに考えるわけでございます。そういう意味から、四十二年度から、自給飼料増産総合対策というものをつくりまして、これによりまして飼料の面積の拡大ということをはかることにいたしておりまして、その一環として裏作の利用等につきましてもその拡大をはかるというふうにいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  56. 矢山有作

    矢山有作君 この飼料問題は、また時期を改めて、草地の改良造成の問題あるいは裏作の問題等で一ぺんぜひとも具体的な問題についてお伺いしたいと思うものですから、きょうのところはいまの答弁を承っておく程度にいたしまして、次の質問に移ります。  それは、乳製品の市場価格を一定水準に安定させる、こういう目的で、事業団による価格安定操作がいままで行なわれてきたわけですね。私はその効果が期待するようにあがっていないのではないかというふうに思うのですが、事業団運営の中からどういうふうに農林大臣認識しておられますか。
  57. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) ただいまお話しの乳製品の問題でございますが、お話のように、四十一年度は、畜産振興事業団の一元輸入が始まった年でございまして、いわば第一年度でございまして、そこで、必ずしも十分操作になれなかったという面もあったわけでございますが、また、生乳生産の見通しにつきましても必ずしも十分でなかったという面がございまして、年度の半ばから急激に生産の伸びが停滞をしたということもございますし、また、一方、予想を上回る需要の増大もございまして、いろいろと努力をいたしたわけでございますけれども、残念ながら年間を通じて乳製品の価格はかなり高い水準で推移をいたしたわけでございます。昭和四十二年度におきましては、前年度の経験もございますので、その経験を生かしまして、畜産振興事業団価格安定操作が十分効果を生むように、常時相当量の乳製品を保有いたしまして、主導的に、しかも、まとまった数量を売り渡し得る体制をつくることにいたしておるわけでございますが、最近の生乳生産の増大というふうなこともございまして、これらとの関連で乳製品の価格が安定をいたしますように努力をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  58. 矢山有作

    矢山有作君 乳製品輸入の四十一年度の実績と差益、それから四十二年度の見通しですね、これはどうなっているのですか。
  59. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 輸入の契約について、四十一年度三月末現在で申し上げますと、バターにつきましては、輸入契約は一万二千百トンでございます。脱脂粉乳につきましては二万トンでございます。全粉乳が三千五百トン、ホエイパウダーが四千七百十一トンということでございます。三月末の買い入れ済みは、バターが九千百四十トン、脱脂粉乳が一万五千七百五十トン、全粉乳が二千七トン、ホエイパウダーが二千五百二十九トンということになっております。  四十二年度につきましては、需給計画といたしましては、生乳に換算いたしまして四十三万九千トンが不足をするというふうに推定をいたしておるわけでございますが、これに基づきまして事業団が輸入をいたすというふうに予定をいたしておりますものは、バターが一万六千二百トン、粉乳類が五万四千六百トンというふうに考えておるわけでございます。
  60. 矢山有作

    矢山有作君 差益はどのくらいになっておりますか。
  61. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 四十一年度の差益につきましては、四十八億ということになっておるわけでございます。
  62. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 四十二年度の見通しもしゃべってください。
  63. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 四十二年度におきましては、五十六億程度ではなかろうかというふうに推定をいたしております。
  64. 矢山有作

    矢山有作君 乳製品輸入が四十一年度から非常にふえておる。まあ乳製品の輸入はずっと逐年ふえておりますが、特に四十一年度は、先ほどおっしゃったような理由で急激にふえたんです。それから四十二年度につきまして見ましても、いまおっしゃったように、四十一年度に比べて総体として二倍半くらいにふえるのじゃないかと思うのですが、こんな乳製品輸入の増大傾向というのは、今後まだまだ相当期間続くとお考えになっているのかどうか、それをひとつ承りたい。
  65. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 先ほど申し上げましたように、最近の状況といたしましては、子牛がかなりふえつつあるというようなこともございまして、また、生乳生産もふえつつあるわけでございます。こういうふうな状態にありますので、できるだけこういうふうな状態をさらに発展をさしたいというふうに考えておるわけでございますが、何と申し上げましても、牛につきましては、頭数をふやすということにつきましてはかなり時間を要するというふうなこともございまして、急激に生産を増大するということは困難な問題があるわけでございます。そういう意味から申しますと、現在程度の輸入がここ二、三年の間は続くのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
  66. 矢山有作

    矢山有作君 そもそも、暫定措置法の目的というのは、国内酪農を保護するという目的が大前提にあったわけです。そういう前提を踏まえて私は乳製品輸入というものを考えておる。したがって、できるだけ乳製品輸入をしないというのがそこから考えられる当然の結論であるし、また、乳製品を輸入するにしても、国内の価格調整ということから最小限緊急の場合に限るということは当然出てくる結論だと思うんですが、そういうところから照らし合わせてみると、畜産振興事業団を置いて、そして乳製品を輸入して国内の価格調整をやって、そして国内酪農は保護するんだ、こういう法の趣旨というのは全く守られておらぬ、立法の趣旨に反するような現象ができておる、こういうふうに思うんですが、これは大臣もそのとおりだとおっしゃるでしょうね。
  67. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) ただいまお話しの点でございますが、できるだけ国内で自給をいたしまして、輸入を少なくするということが望ましいわけでございます。ただ、残念ながら、現在のところは、輸入がふえておるということでございます。したがいまして、この輸入から生じました差益等を使いまして輸入差益の発生しないような形に今後酪農を振興いたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  68. 矢山有作

    矢山有作君 大臣にと言ったのですが、大臣はお答えにならずに、畜産局長がお答えになり、まあ畜産局長も、現実状態は法の趣旨に反するということはやっぱり認められたのだろうと思うんですね。これは認めざるを得ぬですね。  ところで、こういうふうに乳製品輸入が増大してきたというのは、何と言ったって、国内の生乳生産が見込みが大きく狂った、酪農停滞がきわめてきびしくあらわれてきたという一語に尽きるのだと思うんですがね。そういうふうになるというのは、先ほど私が指摘したように、保証価格決定ということに問題があると思います。保証価格決定がきわめて低いところにきめられておるから、したがって、国内の酪農生産が思うように行かなかった、きわめて停滞をする現象があらわれたということと、もう一つは、安定指標価格のきめ方というところに問題があった。安定指標価格というのが、現実の国内の乳製品市況というものを反映しないようなきめ方がせられた。したがって、外国から大量の乳製品を輸入せざるを得なくなったんだ、こう私は理解するのです。したがって、この法の運営の中に問題があったと、私はこう思うんですが、その点は、畜産局長、どうですか。
  69. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 御承知のように、不足払い法律のもとにおきましては、指標価格と基準取引価格保証価格と、三つの関連があるわけでございますが、指標価格につきましては、乳製品の需給事情その他経済事情を参酌しまして消費の安定ということを旨として定めるということになっているわけでございます。したがいまして、指標価格につきましては、従来四カ年の乳製品の市場価格というのを基礎にいたしまして、物価の変動等を考慮して定めたものでございます。基準価格は、それから算出することになっておるわけでございます。一方、保証価格は、生産費から積み上げていくわけでございますが、問題は、指標価格の水準に必ずしも乳製品の価格が安定しなかったというところに問題があるわけでございますが、これは、先ほど申し上げましたように、事業団の操作が必ずしも十分でなかったということによりまして指標価格に安定させることができなかったというふうに考えておるわけでございまして、今後は適切な需給操作によりまして安定指標価格を実現することは不可能ではないというふうに考えておるのでございます。
  70. 矢山有作

    矢山有作君 私は、事業団の運営だけに問題があったということではないと思うんですよね。それは事業団の技術的な運営のまずさもあったでしょう。しかしながら、これだけ酪農停滞して乳製品輸入がふえたということは、一つには、保証価格が先ほど言ったようにきわめて低いところにきめられておるということ、これはあなた方認められた。生産費を補償するということできめられたということでね。これは低過ぎるということを認めたということになると思うんです。一つは、安定指標価格現実の市況を反映しないような低位にきめられておる。したがって、これは輸入はふえるんです。安定指標価格の上限四%上回ったらどんどん輸入される。だから、あなたがおっしゃった安定指標価格を過去四年間の平均で出すというその出し方に問題があると思うんです。このことは、かつてこの委員会でも非常にこまかく議論したことですから、私はこの問題でいつまでも議論しようとは思いませんけれども、そう思いませんか。やはり安定指標価格がきわめて低いから輸入せざるを得ぬということになるのじゃないですか、率直に言って。
  71. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 安定指標価格が低いから輸入をどんどんしなければならないということではなかろうと私は思っております。問題は、国内の需給の量の問題になってまいるわけでございます。指標価格というのは、一応現在のたてまえとしましては、安定をさせる指標としての目標価格でございますから、行政目標価格になってまいるわけでございます。したがいまして、どの辺の水準にやったら適当かということになるわけでございますが、それは需給関係なり消費というふうなものを前提にして考えるべきものではないかというふうに考えておるわけでございます。
  72. 矢山有作

    矢山有作君 これはいつの委員会でやってもすれ違いの議論になるのですが、私どもは、やはり市況価格よりきわめて低いところにきめておくから輸入がふえるんだ。じゃその市況価格が逆に言って高いという原因は何かといったら、それは需給状態がバランスがとれていないから高いんだということ。それは、押しなべていくと、それほど国内生産が不足しておるのはなぜか、生産費を償わないような一あなた方で言えば生産費だけは償っていると言うかもしれませんけれども、そういうような保証価格しかきめていない、こういうところに問題が発展していくわけですから、これは幾らやってもあなたと私の意見はすれ違ってくるんです。しかし、安定指標価格のきめ方が、これはもう率直に言って問題になるんですね。安定指標価格より四%上回ったら輸入するということになっているのですから、これくらい明瞭なことはない。国内の市況よりは安定指標価格を低くきめておくから、したがって、輸入が幾らでもふえるんだ。これは単純な理屈なんで、そういう点から考えたら、将来、保証価格の問題についても再検討していただくとともに、安定指標価格のきめ方という問題についても、この膨大な輸入を押えていくという立場から、やっぱり考えなければならぬと思うのです。しかも、あなたの話によると、今後、需給事情からして、ばく大な輸入の傾向は当分続くだろう、こうおっしゃるのですが、それを続くだろうとおっしゃって続けておったら、これはばく大な外国からの乳製品の輸入のために国内酪農というものはますます後退しますよ。だから、いま必要なことは、国内酪農を真剣に伸ばそうというのであれば、そういう安い外国の輸入乳製品をたくさん入れちゃいかぬということなんです。そこで一つ垣根をつくっておいて、そうして国内の酪農を伸ばすということを考えなければ、この状態で行ったら、幾らでも転入はふえますよ。大臣、そうお考えになりませんか。いまの状態で行ったら、幾らでも乳製品輸入がふえていく。そうなれば、国内酪農の圧迫になることは明白でしょう。国内酪農の圧迫になれば、停滞するわけでしょう。そうなれば、近代化も何もあったものじゃない。そういうことにしないためには、一応輸入というものを少なくするという垣根を置かなければならぬ。その点はどうです。
  73. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 市乳価格は、御存じのように、ああいう関係で自由にきめられることになっておりますが、それとても、やっぱり生産の原価のことになりますと、私どもの郷里に半分以上牛乳の生産者がおりますけれども、なかなか自分のところの生産コストというものを明確に計算して出せるようなぐあいに近代化しておらないのが一般に多いわけでございます。そういうところで生産をあげてまいるためにどのようにしたらいいかということは、十分、考え、研究しなければならない問題でありますが、やはり乳製品の輸入をできるだけ押えてまいるためには、どうしても国内産の増産をはかっていくということがまず第一に何よりも大事ではないか。そのような角度で、ひとつ生産を増強して、できるだけ輸入を押えていくように努力したいと、こう思っております。
  74. 矢山有作

    矢山有作君 よく聞くと、私の言ったことと合っているのか合っていないのかわからぬような話なんですが、私は、国内の酪農の、発展をはかっていかなければいかぬというなら、まずいまのばく大な輸入をチェックしなければ、この傾向がまだ数年続くというようなことでは、ぼく大な外国の乳製品の圧力で国内酪農が伸びませんぞと言っているわけです。だから、国内酪農を伸ばすということは、いまの現状では、輸入というものを何とかもう少しとめる努力をしなければいけないのじゃないか、こう言っているんですがね。ですから、国内酪農を発展さして輸入を少なくするんだというのと私の言っているのは逆なんです。国内酪農を発展させるためには、大量の輸入を何とかチェックしなければいかぬ。そうしないと、その圧力で国内酪農の発展ができにくくなると、こう言っているんです。
  75. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君)あなたのお話と私の申していることは全く同じことだと思います。頭のほうから説明するか、しりのほうから説明するかの違いだけじゃないかと思うのでありますが、生産費が償うようにはできるだけしなければならぬ。そこで、生産をあげることに政府としても行政の面においてできるだけのことをいたして、そして輸入を防遏する結果になるように努力をしなければならない、こう言っているわけでありますが、同じことだと思います。
  76. 矢山有作

    矢山有作君 どうも、頭としりの議論になったのですが、頭としりとどっちを先に言うかで、全く話は変わってくるんです。それは、あなたがおっしゃるように、頭が先になってもしりが先になってもよろしいが、まず国内の酪農を発展させるために生産費を償うぐらいな保証価格をやって発展させるんだという一つの大きな前提があって、それからいまのことを言われるならば、私はわかるんです。ところが、保証価格のほうの低いことがしり抜けになっておって、国内酪農の発展だ発展だと言う、輸入はどんどんやっていく、これじゃちょっといかぬと思うんですよ。だから、あなたが、保証価格は必ず国内酪農の発展の立場から先ほどおっしゃったように拡大生産をねらってきめるんだと、これをぴしゃっと入れていただくなら、私はそれはそれなりに一応納得する点はあります。しかしながら、それをやらずにおいて、国内酪農を発展さしてできるだけ輸入が少なくなるようにするんだというのでは、ちょっと桶のしりの抜けたような話になるわけです。これじゃ頭としりの議論じゃ片づかぬですね。しつこいようですが、これは大事なことですからね。
  77. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 第一には、生産をあげるようにしなくちゃならぬ。生産が増強されることが第一でありますが、それには、やはり生産意欲を持っていただくように、経済的にも諸般の事情がありましょうが、そういうことについて行政面ではできるだけ政府努力をいたさなければなりません。それからまた、事業団は、御承知のように、制限もなく買い入れるわけではありませんで、必要に応じて補完的に入れよう、こういう立場でありますから、やはり何よりも生産者拡大生産に向かい得るような基盤をつくってやるということがたいへん必要なことではないか。そういうことで、あらゆる角度から生乳生産にさらに力を入れていかなければならない、こう考えておるわけでございます。
  78. 矢山有作

    矢山有作君 この問題は、先ほどは局長だけの答弁で、大臣から答弁をいただいていなかったので言いますが、まず国内生産をあげるということに全力をあげるとおっしゃった。そのためには拡大生産だと、こうおっしゃったわけです。そうすると、あなたも、保証価格のきめ方は拡大生産ということを踏まえて来年からおきめになりますか。これは、局長は、そう努力しますと、こう言ったのですがね。
  79. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) その点は、私ども内部でいろいろ相談をいたしておりますので、畜産局長が申し上げましたのが私どもの方針でございます。
  80. 矢山有作

    矢山有作君 そうすると、私は、大臣局長も、保証価格のきめ方は拡大生産目標にきめると、こういうことを今日おっしゃったということで了解をしておきます。それでいいですね。
  81. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) どうしてもやっぱり生産に引き合わないようなことをしておったんでは生産拡大されることはないのでありますが、生産費が補償されるようにひとつ伸ばしていくと、こういう趣旨でございますから、局長の申し上げたとおりでございます。
  82. 矢山有作

    矢山有作君 それは、大臣答弁は後退しましたよ。拡大生産をやるには、生産費を補償する価格では拡大生産はできぬと最初おっしゃった。拡大生産のためには利潤部分がなければできないということを大臣は前のことでおっしゃっております。そうすると生産費を補償するというそういう保証価格では拡大生産はできぬですから、そこは前の答弁より後退しないようにしてください。やっぱり利潤部分を入れて保証価格をきめる、それが拡大生産、こういうことでいいですね。これは大事なことですから、すぐ目の先にまた保証価格をきめなければならぬときがあるわけですよ。これをはっきりおっしゃってください。
  83. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 私が先ほど申し上げましたのは、拡大生産が行なわれるためには、その翌日への生産意欲を持ってもらうような、生産費を償うようにめんどうを見てあげなければだめだろうと、こういう考え方で申しておるわけでございますから、さっきとちっとも違っていないわけでございます。
  84. 矢山有作

    矢山有作君 これはさっきと違っていますよ。明日への生産の意欲が持てるように生産費を償う、そういう立場とはおっしゃらなかった。拡大生産と言ったから、何ですかと言ったら、拡大生産には利潤部分が含まれた価格がきめられなければ拡大生産はできぬと大臣はおっしゃったんです。だから、いざ大事なところで詰める段階になったら、それから一歩引き下がった答弁をされたんでは困るですよ。大臣は少なくとも経済の問題には非常に詳しい方なんですから、拡大生産やるのに利潤部分が要るんだとおっしゃる。これは原則ですよね。だから、その原則を酪農の場合にもそのとおりに持ってきて答弁をしてもらわないと、酪農の問題で、では保証価格どうするんですかと言い出したら、今度は、前のところを薄めて、生産費を償って明日の生産の意欲が出るようにとおっしゃったんでは、これは不明確です。だから、そこをはっきり言ってください。——局長からはもう答弁を聞かぬでもいい。あなたからは聞いた。
  85. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) ちょっと申し上げたいと思いますけれども、先ほど私が申し上げましたのは、要するに生乳生産拡大をはかっていかなければならぬということを申し上げたわけでございますが、一応生産費を補償することによりまして、生産拡大現実に行なわれてきておるわけでございまして、そういう意味で、生産費を補償することによりまして生産拡大されるというふうに考えて申し上げたわけでございます。
  86. 矢山有作

    矢山有作君 それは、あなたが答弁すると、前の私の議論との蒸し返しになるんですよ。あなたは現実論を出しておる。現実には、正常な拡大生産の姿をとっておらぬということで私があなたに反論したとおりです。タコの足を食うようなことはするなとあなたに申し上げた。それではだめなんですよ。それで、あなたの答弁では不満足だし、経済の原則をあなたは知っておられると思うんだけれども、それは知らぬ顔をして答弁されるから、経済の原則をよく御理解になり率直な答弁をなさる大臣に、拡大生産をやるにはやはり利潤部分が含まれたような保証価格でなければいけますまい、こう言っているわけです。一般論としては、大臣は、そうですとおっしゃった。ですから、酪農のところにきてそれが後退しちゃ困る。その一般の原則論を酪農保証価格にも適用しますと言っていただきたい。そうでしょう、大臣局長答弁すると、前のやりとりになるので、だめなんです。一つことを繰り返したくない。大臣のほうから、酪農拡大生産目標にしてやります、経済の一般原則と同じように、保証価格をきめるにあたっては利潤を入れます、こうおっしゃっていただければいい。利潤部分を含めると一口に言えばいいんですよ。
  87. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) よくわかりました。私どもの考えておる概念から申しますというと、生産者が、生産をして、そして食べて、着て、生活をして、そしてさらに生産を繰り返していくわけでありますが、いわゆる生産費というものの要素の中には、いま聞いてみますと、いろいろきびしい要素があるようでありまして、私どもは、そういう要素の中に、翌日への拡大生産をやり、生活を維持していくだけのものがいろいろな要素で含まれておる、こう解釈しておるわけであります。したがって、特別に計算をしてまいる中に利潤という形で特に取り出してはいないようでありますけれども、生産費の要素を積み上げていく間に、当然そういう考え方、つまり翌日の再生産への意欲を持ってもらえるに足りるような十分な要素が含まれておる、こういう分析だそうでありますから、それでいいんではないか、特に積み上げていく要素の中に特段に特別な要素を加えないでも、それでいままでやっておるし、それでいいんではないか、こういう解釈であります。
  88. 矢山有作

    矢山有作君 局長がそばでごそごそ言ってそういう答弁をするようにしたのでしょうが、そうなると、拡大生産を指向するんだ、このことは明白になった。拡大生産を指向するということの前提でいまきめられておる保証価格拡大生産に見合う価格なんだ、こういうことにいまの答弁を聞いておると落ちつくのです。そうなると、畜産局長、いまの保証価格の内容の分析まで立ち入ってものを言わなければならぬようになってくると思うのです。拡大生産に向かうような要素が、いまの保証価格の中に、はたして組み込まれておりますか。これは冗談じゃないですよ。そのとおりだとおっしゃると、私はそんなことじゃ納得できませんね、きょうは。その内容をここで明らかに全部積み上げて示してもらわぬことには、そうですかといって質問を進めるわけにいかなくなるわけです。
  89. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 拡大生産ということばは必ずしも適当でないと思いますが、生産拡大というふうに考えるべきであるというふうに思うわけでございます。もちろん、保証価格につきましては、生産拡大するために投資をいたしますというような場合には、その地代、必要な利子そういったものが当然計算をされているわけでございますが、そういう意味においては保証価格において補償されるというふうに考えておるわけでございます。
  90. 矢山有作

    矢山有作君 いまの保証価格の中に入っておる地代やその他利子の問題は、あれは拡大生産の要素にはならぬです。それはわかり切ったことでしょう。そうならぬでしょう。だから、私がこの質問を進めるためには、いまやっておる保証価格がイコール拡大生産を指向する価格だとおっしゃるなら、この質問を進めません。そんなことをおっしゃらずに、いまの保証価格の問題は、ここで議論をしておると一日かかってしまいますから、いまの保証価格の問題イコール拡大生産を指向しておるんだというようなことをおっしゃらずに、それを取り消してもらって、要するに、将来拡大生産を指向いたしますということをおっしゃっていただけば次に進んでいきます。いまの保証価格の問題を議論していますと、これはむずかしくなります。
  91. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) お話のとおり、現在の保証価格というものは、現在の状態において幾らかかったかという費用を明らかにしたものであります。したがって、この問題は、いまの保証価格が将来生産拡大するのに十分であるということには直接には結びつかないというふうに思います。
  92. 矢山有作

    矢山有作君 それじゃ、いまの保証価格は将来の拡大生産に結びつくものではないということを確認されました。そうして、将来、保証価格拡大生産を目ざすということだけは再確認されますね。もう利潤のことは申しません。拡大生産を目ざすということははっきり言われますね。
  93. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 生産拡大ということにつきましては、単に価格政策だけの問題ではございません。生産政策、構造政策その他すべての施策の問題が含まれておるわけでありまして、保証価格はその生産費保証するということになります。したがいまして、そういう全体の観点から生産拡大ということを考えるべきだというふうに思うわけでございます。
  94. 矢山有作

    矢山有作君 価格に限って……。
  95. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) したがって、いまの保証価格拡大生産ということで利潤を含んで考えるというふうなことは、現在の段階では考えていないわけでございます。要するに、保証価格なり生産政策、構造政策、金融政策なりその他の政策を含めまして生産拡大していくというふうに考えるべきではないかというふうに思います。
  96. 矢山有作

    矢山有作君 くどいようですが、これははっきりしておきたい。だから、金融だとか生産施策がどうとかということでなくて、要するに、価格は将来の拡大生産を目ざすのでしょう。大臣、そうなんですね。
  97. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) そのとおりでございます。
  98. 矢山有作

    矢山有作君 それでは、こういうふうに確認します。現在の保証価格は、イコール拡大生産を目ざす価格そのものではない、しかし、将来価格決定については、保証価格ですね、拡大生産を目ざす、こういうふうに確認しておきます。もしそうでないとおっしゃるならば言っていただけばよろしいし、そのとおりであるならばもう次に移ります。
  99. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 繰り返しになるわけでございますけれども、整理をして申し上げますと、一応、保証価格というものは、生産費を補償するという形でいまやっておるわけでございます。これを通じまして生産拡大も行なわれたというふうにわれわれは考えておるわけでございまして、拡大した生産生産費を補償して再生産が可能になるように価格の面においても考えていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  100. 矢山有作

    矢山有作君 それでは、拡大生産を指向して保証価格をきめると、つづめて言えばそういう御答弁になったと思うのです。いろいろな付属物は抜きにして、単刀直入に答えていただいたほうがよろしい。  次は、事業団の運営に関連して一、二お尋ねいたしたいのですが、最近の事業団放出の乳製品の落札価格と国内の乳製品価格、これはどうなっておりますか、御説明がいただきたい。ことしに入ってからの分でよろしいです。
  101. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) ことしに入りましてからの事業団の売り渡し価格について申し上げますと、何回も売り渡しの回数がございますが、これについて一々申し上げますか。
  102. 矢山有作

    矢山有作君 一カ月に何回かやっているんでしょう。それですから、月のを一つずつ取り上げてずっと言ってください。
  103. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 四十二年度におきましてバターは……。
  104. 矢山有作

    矢山有作君 何月ですか。
  105. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 五月の二十三日に売っております。五百十六トン。これにつきましては、加重平均額がトン当たり六十二万三千百円となっております。
  106. 矢山有作

    矢山有作君 それじゃ、簡単に済ますために、私のほうから言います。この価格を一々ずっと言っていただいておると時間もかかることですから、したがって、ことしの一月以降の、国内の乳製品に対する落札ごとの落札価格の比率ですね、それで言ってください。そのほうが簡単にわかりますから。これは特に資料をそろえてもらうように言ったはずですから。
  107. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) バターにつきましては、三月に売りましたものが八八、二%、七九・四%、七五・八%、その次が五月の九一・四%、九〇・九%、六月の七八・二%、九一・四%ということになっております。  それから脱脂粉乳につきましては、二月が一〇二・三%、一〇五%、三月が九九%、八五%、八九・八%、それから、五月が七八・八%、八五・一%、七三・八%、八四・四%ということでございます。
  108. 矢山有作

    矢山有作君 これは事業団のほうに聞きたいのですが、事業団が乳製品を放出する場合、入札方法をどういうふうにやっているのですか。
  109. 須賀賢二

    参考人須賀賢二君) 入札の方法につきましては、そのときの需給状況によって多少異なりますが、原則的には一般公開入札でやるのを原則にいたしております。ただ、需給が非常に窮屈でございまして一般公開入札ではわれわれが供給をしたいという実需者の手元に的確に入りにくいというふうに判断されます場合には、業種を限定する等の方法によりまして多少やり方を変えております。原則は、法律にもきめられておりますので、一般公開入札でやっております。
  110. 矢山有作

    矢山有作君 入札をやる場合、入札の予定価格というものはきめてやっておるのですか。
  111. 須賀賢二

    参考人須賀賢二君) 入札をやります場合は、私どものほうで、落札の最低価格、いわゆる予定価格を積算いたしまして、これは農林大臣の承認を要する事項になっておりますので、農林大臣に承認を申請いたしまして、その承認を受けました価格を予定価格として落札の最低価格としておるわけでございます。
  112. 矢山有作

    矢山有作君 その予定価格をきめるきめ方ですね、これはどういうふうな何を基準にしてきめておるのですか。
  113. 須賀賢二

    参考人須賀賢二君) これは不足払い法の施行規則に規定がございまして、安定指標価格の一〇四%をまず基点といたしまして、それから入札で売ります場合は、通常一般の取引と、決済条件が現金払いである、あるいは引き渡しの条件等が違いますので、そういうようなものを織り込みましてきめておるわけでございます。
  114. 矢山有作

    矢山有作君 私ちょっといまの答弁でよくわからないのですが、入札のずっと御説明いただいた経緯が、国内の乳製品の価格と落札した価格との比率をずっと見てみますと、五月段階で急激に低くなっているような気がするのです、落札価格が。これは、そのときの国内の市況の動向その他をやはり考えながら予定価格をきめているのかどうか。
  115. 須賀賢二

    参考人須賀賢二君) 昨年来私どものほうでやっておりまする入札におきましては、予定価格をきめます場合に、国内の市況の動きを織り込むということはいたしておりません。去年来、予定価格は、ことしの四月に安定指標価格が変わりましたことによる積算の若干の変化はございますが、それ以外、たてまえとして特に変えております点はございません。先ほど畜産局長が御説明になっておりましたが、大体ことしは五月くらいまでで、それ以降、特に脱脂粉乳につきましては、需給の事情が落ちついてまいりまして、最近二回ばかりありました入札では、非常に落ちついた価格になっておるわけでございます。これは需給事情が反映いたしているわけでございまして、需給事情が落札価格に反映しているわけでございます。私どものほうで予定価格の積算において特別な工作をいたすというようなことはございません。
  116. 矢山有作

    矢山有作君 そうすると、予定価格というのはどういうふうに具体的にきめるのですか。予定価格というのは、入札のたびごとにいろいろ違うでしょう。それは、輸入乳製品の値段にいろいろな諸掛かりの要素を加えたり、その他いろいろの要素を加味してやっているのでしょう、予定価格をきめるのに。そうすると、予定価格というのは入札のたびごとにそう大きな変化はないというのですか。
  117. 須賀賢二

    参考人須賀賢二君) 私どもが一元輸入によりまして国内の乳製品の価格を安定さすという現在の方式は、安定指標価格を基礎にいたしました一定の基準に基づきまして安定させようということでございますので、入札のたびごとに予定価格を変えるというような売却のしかたは現在いたしておらないわけでございます。
  118. 矢山有作

    矢山有作君 そうすると、入札のたびごとに変えるようなことはしていないと、こういうことになると、入札のたびごとに予定価格というのはほとんど同じということに解釈していいのですか。
  119. 須賀賢二

    参考人須賀賢二君) これは入札のたびごと農林大臣の承認をとっておりますが、先ほど来申し上げておりますように、特に積算の方法等について変わった考え方はとっておりませんので、最近やっておりまする入札の場合の予定価格はほとんど同じでございます。
  120. 矢山有作

    矢山有作君 それで、入札をやった場合に札を開くときは、これは入札業者の前で、つまり公開でやっておりますか。
  121. 須賀賢二

    参考人須賀賢二君) 最近は入札に参加する人の数が非常に多うございますので、私どものほうでは、日をちゃんときめまして、公告によって日きをめまして、まず入札を所定の時間にとります。それから一日整理をいたしまして、その翌日発表をするという方法をとっておりますが、その整理は別に公開はいたしておりません。
  122. 矢山有作

    矢山有作君 それはなぜ公開をしないのですか。やはり、入札をさして公正を期そうと思うと、それは公開したほうがいいのじゃないですか。公開をしないから、そこにいろいろ問題が起こってくるおそれが出てくると思うんですがね。なぜ公開しないのですか。
  123. 須賀賢二

    参考人須賀賢二君) 別に公開をしないという特別の理由はございませんけれども、私どものほうで公告をいたしまして入札を受けましたものを、現在までのやり方としては、事務的に整理をして発表しておるという方法をとっておるわけでございます。
  124. 矢山有作

    矢山有作君 それがおかしいんです。公開をして差しつかえるようなことがあるのですかね。私は、公開をして差しつかえる問題はないと考えておりますがね。入札の公正を期するという立場からいえば、整理をしたものはやっぱり公開すべきじゃないですか。なぜ公開しないか、それを言ってください。理由がないのなら公開すべきです。
  125. 須賀賢二

    参考人須賀賢二君) だれが幾らで入れたということを公開することは、それぞれ入札をされる方々の営業上の問題もありますから、そういうものを公開をすることが適当であるかどうかということは十分検討しなければならないと思います。御指摘の点は、今後の運営の課題として農林省ともよく協議をしてまいりたいと思います。
  126. 矢山有作

    矢山有作君 そうすると、これは大臣に聞きたいのですがね。予定価格大臣に協議があってきめられるということもあるし、畜産振興事業団大臣の監督下にありますから、私は秘密に札を開かなければならないという理由はないと思いますね。理事長があなたのほうと相談すると言っているのですから、これは入札の公正を期して一片の疑惑も持たれないというためには、やはり公開入札にしますか。これは方針として示していただきたいと思います。
  127. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) いまのお話を聞いておりますと、逐一農林大臣に御相談になっておるようでありますが、ただいまのようなことについては、十分検討さしていただきたいと思います。
  128. 矢山有作

    矢山有作君 大臣に相談することになっておるのに、大臣は、相談をされておるようですがということなんで、大臣はよく実態御存じないようですね。これは困りますね。こういうような問題でどういうふうに動いておるのか大臣御存じない。あなた、監督者の責任の立場として、それはちょっと無責任ですよ。しかし、あなたが事実御存じないとするならば、これは不都合だということは言っておきますよ。しかし、知らなかったものをどうこうするといったって、あなたは正直者だから、たいていの人なら知っておるのですがと言うでしょうが、知らなかったと。これはまあ事務的にやっておるとするならば、局長が一番御承知でしょう。局長のそういう考え方を承りましょう。私は公開にすべきだと思う。
  129. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 公開すべきであるかどうかという問題でありますが、この問題については、もちろんこれは重要な問題ではありますけれども、事務的な問題でもございますので、畜産局長が指示をいたしておるわけでございます 営業の秘密等の問題もございまして、これは従来から公開という形にいたしておりません。十分公正は保たれておるというふうに考えておるわけでございますが、御指摘の点につきましては、さらに検討をしてみたいというふうに考えております。
  130. 矢山有作

    矢山有作君 私は、公正が保たれておるとお考えになっておることはいいと思う。しかし、公正が保たれていないという疑いもたくさんあるし、私はそれを実例をあげてここでどうのこうのと言いたくないんです。言いたくないから、あえて実例についてはあげませんけれどもね。しかし、公正が保たれていないということは、そういうおそれがあるということだけは申し上げておきます。したがって、これはやはり公開に踏み切っていただく、このことを申し上げておいて、この問題、さらにこれに続く問題は、あとに回します。  大蔵大臣がお見えになりましたから、大蔵大臣に関連をする問題をお聞きしたいと思います。ところが、すぐその問題にぽんと飛び込んでも、大蔵大臣にはおそらくよく酪農問題についての御認識がないと思いますから、あるならけっこうなんですが、ないと思いますから、したがって、一、二農林大臣のほうの御所見を承りながらあなたのほうにお伺いいたします。  それは、補給金の問題についてなんです。御存じのように、不足払い制度における生産者補給金の財源、これは、立法の精神なり、さらにこの暫定措置法審議されたときの審議の経過、大臣答弁等からして、あくまでも一般会計に求める、これが中心になって、乳製品の輸入差益から求めるということは補完的なものである、このことは私は明確になっておると思いますが、そのとおりですね。これは農林大臣に……。
  131. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 酪農政策の一環として講ぜられております不足払いの制度は、本来乳製品の輸入差益に大きく依存するということを初めから期待いたしておるものではございませんが、ことばをかえて申しますならば、不足払い制度の財源としては輸入差益はいままでの使い方は補完的にこれを用いる、こういうたてまえにはなっておるわけであります。
  132. 矢山有作

    矢山有作君 そうすると、補給金の財源は主として一般会計から求めて、輸入差益に求めるのは、補完的なものである、このことは明らかになったと思うのです。  そこで、お伺いしたいのは、四十一年度において補給金総額が三十八億五千万、このうち三十億が一般会計から支出されました。したがって、乳製品の輸入差益から出たのは八億五千万です。ところが、四十二年度の予算では、補給金総額が四十億を見込まれております。二十億は一般会計、それから残りの二十億は輸入乳製品の差益金から支出すると、こうなっております。つまり、輸入差益に依存する度合いがきわめて大きくなったわけです。そうすると、これは立法のときの大臣の言明とは大きく違ってきておると思います。補完的である乳製品の輸入差益が、いまや補給金の財源をおもにそこから求めようとするような傾向が出ておる。このことはお認めになりますか、大臣
  133. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 現実需給関係が、先ほど来ここでお話のありましたように、かなり輸入差益が出てまいったわけであります。したがって、これをどのように使用するかということでありますが、ただいま申し上げましたように、現行法では不足払いにのみ充当するということになっておるわけでありますが、輸入差益が非常に大きくなってまいりましたので、これを生産のために活用すべきではないかという考え方をもって今回の御審議を願っております法律改正をお願いしたわけであります。たてまえは、先ほど来私が申し上げましたのが本製度のたてまえでございます。
  134. 矢山有作

    矢山有作君 制度のたてまえが、補給金は差益金から求めることはあくまでも補完的であるということになっておるのなら、乳製品の輸入がふえて差益がふえたから輸入差益金に依存する度合いをふやしたんだという言いわけにはならぬでしょう。最初から基本がはっきりしない、あやふやで来ておるから、輸入乳製品がふえました、したがって、差益金に依存度を高めましたと、これは言っているとおりかもしれませんが、しかし、あくまでも法律審議する過程で大臣が言明したことは、一般会計から主として財源を求める、差益からは補完的なものとして求めるんだということになっておるわけです。乳製品がふえて輸入差益が大きくなったとか大きくならぬとかいうことは理由にならない。しかも、農林省の事務当局は、最初予算要求したときには、この法の精神なり大臣の約束をそのまま実行しようという考え方で、私の聞いておるところでは四十億まるまるを一般会計から支出するように予算要求をしたということを聞いております。なぜそれを農林省は貫かなかったのですか。制度の根幹をゆるがすようなことをやってはいけない。その点、大臣、どうなんですか。
  135. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) たてまえは先ほど来申し上げているとおりでありますけれども、こういう現在のような需給関係に立ちまして、差益が非常に累積してまいった。そこで、こういうものはやはり生産増大のために活用すべきではないか、こういう考え方を持つに至った経路はいま申し上げましたとおりでありますが、やはりたてまえは一般会計にまつべきものである、こういうたてまえは少しもくずしておらないわけであります。
  136. 矢山有作

    矢山有作君 たてまえがあるのに、それをくずすということはおかしいじゃないですか。たてまえはたてまえとして守られなければ、たてまえということばはなくなるんですよ。しかも、四十二年度においては、さらに差益が五十六億と見込まれておるでしょう。この調子で行ったら、大蔵省は、来年度の輸入差益は今年度に比べてまたきわめて大きくなった、だから来年度の補給金財源はもっと大く差益金から求めなさいということになりますよ。たてまえを守らなければいけませんよ。大臣国会で言ったことは、冗談で言っているのじゃないですよ。それを実現するという意欲に立って言っているんです。これはあなたとのやりとりになりますが、要求するときには全部一般会計から財源を求めるということを要求したのでしょう。これは間違いありませんね。
  137. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 矢山さん御存じのように、輸入差益を初め予想いたしました当時の状況から申せば、今日のように多額の差益が出るということは大体予想しておらなかったようであります。ところが、今日の需給関係で差益が非常に多く出てきた。そこで、これをどのようにするかということで、この差益はやはり助成勘定に入れて助成をしたほうがいいのではないかということで、生産者もそういうことについては非常は喜んでおりますので、こういう方向にやりたいということでありますが、たてまえは、先ほど来申し上げておりますように、一般会計で出すべきものである、こういうたてまえはちっとも変わっていないわけであります。
  138. 矢山有作

    矢山有作君 予算要求はどうしたのですか。
  139. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 予算要求につきましては、ただいま大臣が申し上げましたように、予算要求する段階においてはおおむね五、六億程度の差益しか発生をしないであろうというふうに考えられておったわけでございます。したがいまして、予算の要求といたしましては、お話のような要求をいたしたわけでございますが、その後需給関係から差益が非常に膨大になったと、こういうふうな実情にあるわけでございます。
  140. 矢山有作

    矢山有作君 輸入して差益がたくさん出たから、それを助成勘定に入れて酪農振興に使う、それを団体も歓迎しているし、そういうふうにしたんだと、それは言いわけにならないですよ。私のほうに言わせれば、国内酪農を犠牲にして膨大な乳製品を輸入して国内で売ってもうけたんですから、それは全額酪農に支出する、酪農振興に支出する、これが筋なんで、だから、あなたのおっしゃるように、たくさん出たから、それをまあ助成勘定に回して酪農を振興するようにしたんだと、これは逃げ口上ですよ。あくまでも一般会計から財源を求めるべきだと言っているんです。  大蔵大臣にお伺いしますが、この加工原料乳生産者補給金等暫定措置法というものの立法の精神なり、これの審議の過程で、私が先ほど言ったように、大臣のほうから、補給金の財源は主として一般会計から求める、輸入差益から出すのは補完的なものであると言ったこの経過はよく御承知ですね。
  141. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 経過は十分承知してります。
  142. 矢山有作

    矢山有作君 御承知になっているのに、農林省から一般会計から全額出してもらいたいという予算要求があったときに、なぜそれを二十億に削って、差益のほうに残り半分の二十億を求めるような予算編成をやったんですか。
  143. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 御承知のように、不足払い制度というものは、酪農政策の一環として講ぜられておるものでございます。したがって、この補給金を出すということは、これは政策から来た政策費でございますので、こういう制度を政策的につくるというからには、一般会計からこの不足を出すということに踏み切った制度でございますので、たてまえとしては、いま農林大臣が言われているように、一般会計から出すということを本来のたてまえとして、輸入差益金にそう多く依存するということを最初から考えたものではなかったと思います。また、当時、各大臣やそのほかの人の答弁を見ましても、輸入差益というものはごくわずかなものであろう、当てにできないものだというようなことを答弁しておるようでございますが、その後、見込みが違って、輸入差益金というものは現在非常に多くなってきておるところでございますので、さて、そうしたら、この輸入差益金をただ積んでおくのか、これをどう使うかということがいま問題になって、今度の法案の改正をお願いしているということでございます。  今度私どもがやりました特別会計で一つの例をあげますと、石炭特別会計というのがございます。これは本来一般会計の財源になるべきものをこの石炭の特別会計の財源に特定してしまって、石炭問題の再建、振興をはかろうということからできた特別会計でございますが、そういう目的がある以上、目的を果たすために金が不足する限りは一般会計から出すということで、私どもは、今年度特定財源が不足するというものを全部、特別会計であっても一般会計で負担するということで出しました。そのかわり、この財源は、将来成長財源でございますので、どんどんふえていく。ふえていったら、いま一般会計の世話になった分は将来余裕財源として全部お返しします、こういう形でできている特別会計でございますから、まあ特別会計は、本来の立場としましては、政策的に必要があるから一般会計で出すのだが、一般会計は国民の税金でございますので、できるだけ特別会計の負担を一般会計にしわ寄せしないように運営されるのがたてまえであろうと思います。  そういう意味から石炭会計もできたわけですが、ただ、石炭会計とこれの違うところは、石炭会計の特定財源というものは成長財源であって、だんだんに年を追って成長していくということでございますが、酪農においては、輸入差益金がたくさんあるようでば困ると思います。国内の酪農対策の金がもっと出されて、進んでいって、こういう輸入差益金がなくなることがやはり政策的には理想というふうにされておりますので、この財源は今後そう毎年こういうふうになると期待すべきものではございませんで、なくなったら必要な財源は全部一般会計から出すというかわりに、これが余裕が出て相当の差益が出たというときには、それでは一般会計から負担する分とそれから他の助成金勘定に入れる分をどうしようか、そこらを勘案するのがこの会計のこれからの運営ということになろうと思いますので、私どもは、立場はくずしませんか、しかし、特に予想しないこういう輸入差益が出たというときには、これをどういうふうに不足を埋め、さらに助成勘定へ入れ、一般会計の負担をどのくらいにするかということは、そのつど実情に応じて勘案されてもいいのじゃないかというような考えを持っております。
  144. 矢山有作

    矢山有作君 大蔵大臣、何をおっしゃったのか、こっちが聞いておってよくわからぬのですが、私が申し上げたように、この法律審議の過程では、輸入差益が大きくなったらそっちへ財源を求めましょうというようなことになっていなかったんです。それは論議されたことなんです。将来差益から補給金の財源を求めることになるのじゃないか、そんなことになったらたいへんだということで論議し尽くされたことなんです。ふえたときにはどうする、なくなったときにはどうするといって議論をやったんです。その中で、当時の赤城農林大臣のほうから、一般会計を中心に求めるんだ、差益は当てにしません、もしあてにしても、補完的なものだということになったんです。だから、輸入差益がふえたからそちらのほうに求めてもいいんだ、たてまえはくずさぬけれどもと、こういうのは理屈にならぬのです。たてまえはくずれているじゃありませんか。すでに大臣がこの委員会で約束したたてまえはくずれているんです。くずれているから、五分五分になったんでしょう。しかも、乳製品の輸入差益がふえるような状態は好ましくないとおっしゃる。そのとおりです。乳製品の輸入差益がふえるということは、日本の酪農停滞しているという証拠なんですからね。その停滞をするようなことになったのは、政策上の欠陥でしょう。ですから、輸入差益がふえた半面、日本の酪農停滞した。これは政策上の欠陥である。輸入差益を減らすようなことをやらなければいかぬ。そのためには、酪農振興対策を積極的にやりましょう、そうすれば輸入差益はそれに全額振り向けましょう、これが趣旨でしょう。これは単純明快な趣旨です。あなたのおっしゃるのは答弁にならぬですよ。たてまえを守る守るといって、くずれているじゃないですか。今後どうするんです。
  145. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) いま言ったように、当時、輸入差益金はほとんど期待できない、もうわずかなものであろうという予測で出発して、したがって、不足払いの資金は一般会計に依存するというのを本来のたてまえにして出発したのでございますが、事実はそういうふうに当初の予測と違って、現実に輸入差益金が非常に多く出たという場合になったら、これをどういうふうに使用するか、積み立てるだけではなくして、有効にこれを使用するということは別途にいろいろなことを勘案してきめられてもいいのじゃないかというふうに、最初から幾ら幾らこれは一般会計が負担すべきものだというふうに全部かたくきまったきまり方ではなかった。たてまえがそういうことから出発したので、実情に応じて、輸入差益金が一銭もない、しかも不足払いの金額は多くなったというときには、これは多くなった分全部一般会計が見ればよろしいと思いますし、また、そうでなくて、非常にそういう余裕金が出たというときには、これをどういうふうにあんばいしようかということは別個にまた考えても決して悪いことではなくて、むしろそういう運営をすることが妥当な運営ではないかというふうに私は考えるということを申したのであります。
  146. 矢山有作

    矢山有作君 これは、いくら言っても、あなたと私と言い合いっこになってしまって、すれ違いになるんです。しかし、この法律をつくったときに、期待できないと言ったから一般財源からおもに出すようなことを大臣が言ったということにはならぬのです。われわれは、あの審議をやるときに、この補給金の財源がどこから出るのかということは一番注目された一つの論点なんです。輸入差益がない場合、たくさんふえた場合、全部想定して議論をやってきているんです。その中で、乳製品輸入差益というようなものには依存しない、これは補完的にしか考えないということになっているんです。それがたてまえなんです。ふえたからくずしていいということにはなっていないんです。また、あなたのおっしゃるようにふえたらふえたものを有効に使うんだということになれば、有効に使うなら、酪農振興に全額を回せばいい。私が先ほど言ったように、乳製品輸入差益がふえたということは、これは国の政策の欠陥ですよ。そのために日本の酪農停滞した。だから、輸入差益を将来ふやさないようにするために、乳製品の輸入を早く減らしていくためには、早急に国内の酪農振興策をはからにゃならぬ。そうでない限り、この輸入は減りませんよ。ですから、そういうことで言うなら、最も有効な差益の使い方は、将来好ましくない輸入を減らすために、緊急に国内の酪農振興対策を講ずるということが一番有効な使い方です、あなたの理論から言うと。そうしたら、当然全額を酪農振興のほうに送り出すべきですよ。助成勘定のほうに全額送り出していくべきで、あなたのは理屈にならぬですよ。それで、しかも、本年度は輸入差益が五十六億見込まれるという農林省の話です。さらに突き詰めて言うと、今後も乳製品の輸入増大の傾向は当分続く。そうなると、あなたのような考え方でいったら、乳製品の輸入差益がふえるために、一般会計から支出する補給金を減らして、そうして輸入差益のほうからたくさん補給金を出していく、余ったものを酪農振興に回すということになるのじゃないですか。それば、法のたてまえからいっても、大臣の約束からいっても、違いますよ。  早い話が、来年度はどういう方針ですか、五十六億になる見込みなんですが。
  147. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 最初の立法のときの趣旨から申しますと、矢山さんのおっしゃることとはやはり少し違って、輸入差益がこうあるというふうにみな予想しておりませんでしたから、そっくり他の酪農振興のためにこの費用を使うということは当初考えていませんで、当初全部積み立てておくという考えから出発しておったと思うのですが、現実がこういうことでございますから、単にこれを積み立てるのじゃなくて、酪農振興のために有効にこの金を使うのがいいというので今度改正になったということですから、今度の改正は出発の当時もう予想していなかったことであるとも言えようと思います。したがって、これが出てきたら全額これにしなければならぬということは当初方針としておったわけでもございませんし、この不足を払ってそうしてまだ余裕が出る場合に、それではいまのままなら一般会計から入れる必要がない金額になっておりますが、そうじゃなくて、最初からのたてまえとしてありますから、一般会計からはやはりこれに補給金を入れる。そうして、どれぐらいの助成費にしたらいいかというようなものは、この実情を勘案して適当にきめられるべきものだということを私は言っていますので、全部これは不足がどんな状態にあろうとも一般会計で見るんだとか、どんなごとがあろうとも出た限りのものはみんなほかへ使わなければならぬとか、そんなにかたいいろいろなことから出発した制度じゃないので、そこらはよろしく運営されてこれが酪農のためになる目的を果たせばいいのじゃないかというふうに私は考えます。  したがって、来年度も、もし輸入差益金が非常に多く出たからといって、国費はもう出しませんよということをするわけではございません。そのくらいは一般会計からの負担はしてくれということは当然農林省からお話もございましょうし、これは十分相談して善処したいというふうに考えております。
  148. 矢山有作

    矢山有作君 大蔵大臣に時間がきたというので連絡があるんですが、大蔵大臣、私は全額を回すというような約束を大臣がされたとは言っておりませんよ。輸入差益がどうであろうと、主として補給金の財源は一般会計に求める、差益から求めるのは補完的だということになっておるわけです。五分五分に出したら、これは補完じゃないでしょう。たてまえがくずれたわけでしょう。だから、輸入差益が大きくなったらどうとかこうとかいう議論はやめてください。もしあなたの言うように、最初農林省からこの法律について相談があったときにはこんなに多く輸入差益が出るはずじゃなかったんだと言ったから、そういうことで去年はたくさん組んだというなら、あなた農林省にだまされたと、こう言っているんですか。そうじゃないんでしょう。農林省がだましたわけじゃないでしょうね、私は審議の経過をよく知っているんですから。少ないときは主として一般会計から財源を求めて、輸入差益がふえたときには五分五分になってもいいんだと、そういうことにはなっていないんでしょう、農林省。それで、農林省は、もちろん、この法律を通すための手段として、輸入差益はふえりゃせんです、わずかなものですといってだましたわけじゃないでしょうね。大蔵省を農林省がだましたのか、だまされたのか、その辺はどうですか。
  149. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) これはもう農林省がだましたということではございません。当時の情勢から見て、与党の質問でも見られるとおり、大臣は輸入差益はあまりないと思うというようなこの質疑応答を見ても、当時はだましたとかだまされたのじゃなくて、輸入差益が今日ほどあるということを予想しなかったのじゃないかと私は思います。
  150. 矢山有作

    矢山有作君 農林大臣はどうなんです。
  151. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) ただいま大蔵大臣お話しのとおりでございます。
  152. 矢山有作

    矢山有作君 そうなると、しつこいようですが、論議の過程において、輸入差益が多いとか少ないとかいうことを前提にして論議したわけではない。輸入差益が多くなったら、補給金は差益に半分求めてもいい、こんなことを論議したのじゃない。輸入差益がどうであろうと、補給金財源は一般会計から主として求めるんだということで論議したでしょう。大臣もそれを約束した。あなたのやり方は、大蔵省の予算編成のやり方だったら、まるで国民をだましているじゃありませんか。しかも、一議員や、あるいは国会関係のない者が言ったのじゃありませんよ。政府責任者が約束したことですよ。差益がふえたらその輸入差益からたくさん補給金を出すことにしたんだということでは、国民をだましたことになりますよ。そんなべらぼうな話はない。しかも、来年度からの見通しはどうなんだと聞いたら、まあ相談があるでしょう、この程度——この程度だったら、来年度も五分五分でやるんですか。そんな一ぺんだましたで足らんで、二度、三度とだまそうというのは、ちっと性悪ですよ。あなたもこの議論を聞いて、少なくともこの法律審議の経過、さらに大臣が約束をされたことは明らかになったんだから、一ぺんだましたらいいんで、二度目からはだまさぬようにしてください。いくら差益金がたくさん出ようと、主として一般会計から財源を求めて、輸入差益から求めるのは補完的。そうして、あなたの言うように有効に使いたい。有効に使うなら、乳製品の輸入を早い機会に減らし、国内の酪農振興に重点的にこの差益をつぎ込む、そういうことをはっきり言うてください。二度も三度もだましてはいけませんよ。
  153. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) だますということではなくて、問題は、不足払いという制度を置くことによってこの沈滞した酪農を振興させよう、ここに政策目標があったんでございますから、この不足払いが完全にできるということが保障されれば、まず第一段の酪農政策の目的は達成されたということになろうと思います。したがって、その費用が足らなければ、一般会計から出すのを原則とする。これは制度のたてまえからそうでございますから、そういう踏み切り方をした制度をつくった。つくってみましたら、当初予想しなかった差益が出てきた。出てきたら、国民の一般の税負担に負う分を全部また出してもらうか、一部はその中でまかなうか、あるいは酪農振興の別個の費用としてそれを使うかということは、また次に出てきた事実を妥当なようにみんなが考えて運営すればいいんじゃないか、そういうふうに考えておるので、だますとかだまさないとかの問題じゃないと思います。不足払いするということは、酪農にとっては今度は画期的な制度であったろうと思います。この政策目標を達すればそれでいいんであって、達する過程においていろいろな問題が起これば起こったように合理的に解決すればいいんじゃないかというふうに思っておるわけです。
  154. 矢山有作

    矢山有作君 これでやめますが、足らなければ主として一般会計から補給金財源を求めるということになっているんじゃないですよ。輸入差益には関係なしに、主として一般会計から補給金の財源を求めるとなっておるんですよ。誤解しちゃいけませんよ。足らなければ一般会計から出す、そんなことになっていないんです。しかも、不足払いのこの制度は、大きな貢献を果たしていないんです、現在日本の酪農にとっては。現在の酪農停滞の状況は、いままで話してきた。あなたは酪農現状までは詳しく御存じないから、私はこの場では言いませんけれども、現在の酪農停滞状況というものはずっと続いておるんです。これを早急に停滞現状を打破しなければ、いつまでたっても日本の酪農は発展しないし、乳製品の輸入は減らないんです。ですから、私どもはそういう立場に立って、大臣の約束もあったのだから、主として一般会計から補給金の財源を求めてほしいと言っているんです。来年度計画を端的に聞かしてください。来年度五十六億あるから、やはりことしのように輸入差益からたくさん出さすんですか。そうなると、これは問題になりますよ。どうなんですか。
  155. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) まだ来年度の予算編成に取りかかっておりませんので、やり方につきましてはこれから考えたいと思います。
  156. 矢山有作

    矢山有作君 これを最後にします。農林大臣に聞きますが、農林大臣は、少なくとも農林大臣としての約束を尊重して、今年度の予算においては、当初に、補給金財源を全部一般会計から出してもらうように予算要求をやられた。来年度はどうされるんですか。やはりたてまえはくずされぬでしょう。私は全額とは申しません。全額は私は本来の希望する姿です。しかし、全額やれないにしても、主として一般会計から求めるということは変わりませんね。主として一般会計から求めるのであれば、今年度のような五分五分の求め方は間違いだ、そう思いませんか。その点はどうですか。
  157. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 不足払いの制度ができましたときのたてまえは、大蔵大臣の申されましたように、一般会計が支出すべきものであるという法のたてまえでありますから、そのたてまえは政府部内においては一致しておるわけであります。したがって、予算要求にはもちろんそういうたてまえで要求するのは当然だと思います。
  158. 矢山有作

    矢山有作君 大蔵大蔵、お聞きのように、農林大臣はこの不足払い法の立法精神、審議経過、大臣の約束、それをよく御理解になっておりますから、今年度の当初予算の編成において、最初、補給金は全額一般会計から支出する予算要求をやった。そのたてまえで予算要求をやると言っていますから、あなたのほうはその大臣の約束したたてまえを二度も三度もほごにしないように、来年度の予算編成ではぜひ考えてください。私はもっと突き詰めて聞きたいけれども、約束がありますからこれでやめますが、よく農林大臣立場というものを理解して予算編成に取り組んでいただきたい。できますね、それは。
  159. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 来年度の予算の編成に取りかかるようになったら、農林省立場を十分理解して相談いたします。
  160. 矢山有作

    矢山有作君 農林大臣にお尋ねしますが、今度の改正案を見ると、まず輸入差益金から補給金に充当する金額を引くんです。引いて、残りの八〇%を酪農振興に振り向ける、こう言っておるわけですが、そうすると、この調子で行きますと、大蔵省はわりあい強いですから、補給金に何ぼ出すと言ったら、それだけ引き抜かれたあと酪農振興に回すという、こんなぶざまなかっこうになる。これは私は間違いだと思うな。やはり、たてまえは、先ほど来繰り返すようなたてまえですから、そのためにはまず酪農振興のために助成勘定にどんと取ることです。そして、余ったら、これだけしか余らなかったといって補給金に回してやるのが筋ですわ。そうじゃないですか。それをばっと補給金の財源にほしいだけ取ってください、あと残りの八割を助成に回してもらいましょう、こんな姿勢では話にならぬ。どう思いますか。
  161. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 今度の予算でこういういま御審議を願っておるような方法を考えますときに、もちろんこれは財政当局とも十分相談しなければならない立場であることは当然でありますが、私どもとしては、意外にもこういう差益が出た、これはひとつできるだけ生産者生産対策に回そう、こういうことで、いろいろな経過でいまお話しのようなことになりましたが、できるだけわれわれといたしましては生産対策にこの資金を活用できるように今後ともつとめてまいりたいと思います。
  162. 矢山有作

    矢山有作君 そういうふうにつとめるとおっしゃるのですが、この法律の規定がいかんですよ、私がいま言ったように。不足払いの財源にまず取りますと、残ったやつを助成勘定に入れますときめてある。これがいかんです。これを直さなければいかん。本末転倒なんですよ。もしこの法律が直せぬというなら、ここで明確にしてもらいたい。まず、一般会計から補給金にどの程度出させる、残ったどの程度を輸入差益に求めるのか、そういう考え方があるのかどうか。それがなしでこの法律をこのまま通しちゃったら、これは大蔵省の言うままになってしまいますよ。ぼくはそういう危険を感ずる。どうです、危険がありませんか。努力する努力すると言っても、努力にならぬ。
  163. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) それが努力になるのじゃないですかな。大体、この差益が当初こんなに出ると思っていなかった。差益が非常に大きく計上された。そこで、これを助成勘定に回したい、まあここまではみな御賛成いただけることと思います。そこで、やはり財政当局と、予算を編成してわれわれの希望をできるだけ到達するために、財政技術的にも先方に話し合いもつけなければなりませんし、したがって、私はいま御指摘のようなことがありましても、かりにさらに差益が続いて出るような場合には、私どもの期待いたしておるようにできるだけ助成をすることができるようにいたしたいと思いますし、また、われわれの希望は到達されるものであろうと、こう思います。
  164. 矢山有作

    矢山有作君 それは大臣流の期待であって、この法律を通してこれでやるという段になると、その努力がなかなか実らぬおそれがあるわけですよ。きわめてこれは危険な法律です。そう思われるでしょう、二十条の二というのを読んだら。私はそれを心配しているんです。  それじゃ伺いますが、今年度のように五分五分に、一般会計から五割、それから輸入差益金から五割というふうな補給金の出し方が、これはいいと思われますか、たてまえから言うたら悪いと思われますか。私は、これはたてまえをくずして悪いと思います。どうですか、ここら辺は。
  165. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 今度初めてこういう状態になったものですから、それにしては私どもとしてはわれわれの希望をかなり入れたつもりでありますが、いま大蔵大臣も答えておられまして、このたてまえはもちろん一般会計から支出すべきものであって、差益金は補完的に用いるものであるということは政府部内において一致した見解でありますから、私は、この法律を通していただいて私どもの期待いたしておるようにたてまえをくずさずにやってまいると、そういう考え方でもあり、また、それは可能であると、こう思います。
  166. 矢山有作

    矢山有作君 これは、まあ大臣答弁はその答弁が繰り返されるのですが、局長、あなたはどう思いますか。主として一般会計から補給金財源を求めるという大臣の約束なり立法趣旨からいって、今年度のように五分五分に求めた求め方は、このたてまえをくずしたと思う。くずしていないですか。
  167. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 御質問の点でございますが、たびたび両大臣からもお話がありましたように、たてまえとしては一般会計から出すという考え方でございますから、そういう精神で今後とも努力をしたいというふうに考えております。
  168. 矢山有作

    矢山有作君 いや、今後の努力じゃない。私が聞いているのは、今年度の補給金財源の求め方はたてまえからいうと間違いじゃないかと、たてまえをくずしたことになりませんかと言っておるわけです。これは大事なところなんです、今後のあなた方の姿勢にとって。
  169. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) くずしたか、くずしていないかという点については、議論もあろうかと思うわけでございますけれども、先ほどもお話しのように、乳製品の輸入が急増しまして、したがいまして、その結果として非常に予想せざる差益が発生した、そういう事態のもとにおきましてこういう予算の結果になっているわけでございまして、今後ともそのたてまえは維持するということで予算的に努力をいたします、こう申し上げる以外にないと思っております。
  170. 矢山有作

    矢山有作君 私は、あなたと、何といいますかね、敵対関係でいま議論を進めているのじゃないんですよ。立法の趣旨をできるだけあなた方に守ってもらいたい、大臣の約束を守ってもらいたい、そのことは酪農振興に取り組むのにあなた方ができるだけやりやすいような場をつくろうと思って私は議論をしているんです。そうすれば、だれが見たって、この補給金財源の求め方はたてまえを守っているということにはならぬでしょう。ですから、常識どおりのたてまえを守っていることにはなりませんということをはっきり言われて、それから来年度からの心がまえというものに、心がまえを私聞きますから、それに対してあなたは心がまえを率直に言われて、そういう方向で力を合わせて行きましょうということでなければだめなんです。質問をはぐらかしさえすればいいというような姿勢で、とにかくしっぽをつかまれまいとする姿勢だけではだめです。だから、はっきり言ったらどうですか、たてまえはくずれておりますと。
  171. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) その辺は先生がいろいろとお考えがあろうかと思うのでございますけれども、なかなかまあその点が答弁のむずかしいところでございまして、今後こういう趣旨にのっとりまして努力いたしたいということでひとつ御了承を得たいと考えております。
  172. 矢山有作

    矢山有作君 私は、あなたがまじめに本気で畜産行政に取り組んでこられて、あまり過大評価はしませんが、少しずつでも評価の成果があがってきていると思っているんですが、もう少し直截に言ったらどうですか。あなたがほんとうに畜産局長としてりっぱなことをやったなあということを言われるためには、やはり補給金の財源を主として一般会計から求める、これを貫いたときにはあなたの成果はまたまたあがるんですよ。そう思いませんか。だから、この場で、あなたが率直に、五分五分では不満足です、これはたてまえを守ったことになりませんと言われたほうがいいですよ。それはそうでしょう。
  173. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) まあおほめにあずかりましてはなはだ恐縮でございますが、今後ともさらにほめていただきますように努力をいたしたいと思うことでよろしくお願いを申し上げる次第でございます。(笑声)
  174. 矢山有作

    矢山有作君 私がせっかくあなたに言っているのに、それをおっしゃらぬのだから、よほどあなたも頑固な人ですね。大臣、これは笑いごとでなしに、これから私の聞くことは来年度の予算編成の上において大事だと思うので、基本方針を言ってくれませんか。主としてなんということを言っていると、これまたたてまえ論議になって妙なことになりますから、一般会計から大部分財源を求める、輸入差益からはもう求めません、求めるにしても一部しか求めませんとはっきり言ってください。どうですか。
  175. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) たてまえという字を使うということでありますが、たてまえが一番大事でありますから、たてまえはやっぱり政府部内においても一般会計の財源に求めるということであります。来年度予算でどのくらい差益が出てまいりますか、それについてはまた財政当局と相談しなければなりませんが、私どもとしては、この財源は一般会計に求めるのが筋である、そういうたてまえで折衝をいたしたいという決意であります。
  176. 矢山有作

    矢山有作君 この問題だけやっておってもあれですから、それじゃ、こういうことになりますか。補給金の財源は一般会計から来年度は八割、九割なり求めると、これも言えませんか。そういう姿勢で臨むとか、あるいは、われわれが希望するのは、補給金の財源は一般会計から全額求めるという方針で臨みますと、どちらか言えませんか。私は、全額一般会計から求める方針で臨むとおっしゃっていただきたいんです。方針で臨むということは、そういう予算要求をしますということをおっしゃっていただきたい。どうですか、その姿勢がなければ、大蔵省にしてやられますよ。
  177. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 大蔵省にはしてやられないように真剣に取り組むわけでありますが、してやられるということばもおかしいと思いますが、部内でありますから、本日のこのやりとりも財政当局もよく心得ておるのでございますから、私どもとその点においては理解ある行動がとれると思いますが、具体的にどのくらいと言われても、いまなかなかむずかしいと思いますが、この法の原則が一般会計から支出すべきものであるということでありますから、そういうたてまえで折衝をいたしたいと、こう思います。
  178. 矢山有作

    矢山有作君 それでは、私は、大臣が法の基本が補給金の財源は一般会計から支出すべきものだというたてまえで予算編成には臨んでいく、予算要求には臨んでいくということですから、これでやめますが、今年度ですら四十億の補給金をすべて一般会計に求めたわけですから、来年度予算要求においては、今年度と同じように輸入差益はふえようがふえまいが全額を一般会計から求めるという方針で予算編成をやってください、予算要求をやってください。そうせぬと、頭から譲歩をした形で出たら、ますます追い込まれて譲歩をせざるを得ないようになって、五分五分になるどころか、逆に今度は、輸入差益がべらぼうに出たから、主として輸入差益から補給金の財源を求めるというようなことになりますから、そんなことにならないようにしていただきますように、特にこの点は強く要望しておきます。  それで、大臣のほうが何か衆議院のほうに御用事があるようですから……。
  179. 野知浩之

    委員長野知浩之君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  180. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 速記を起こして。
  181. 矢山有作

    矢山有作君 事業団の運営上の問題に戻ります、前の話の続きもありますから。局長、公開入札でやるという方針で行かれますね。それをはっきりおっしゃってください。
  182. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 先ほど申し上げましたように、営業の秘密等の問題もあって非公開であるということで従来からやってまいっておるわけでございます。したがいまして、ただいま先生のお話もございましたので、この点につきましてはさらに検討いたしまして、公正を確保するということを旨といたしまして処置をいたしたいというふうに考えます。
  183. 矢山有作

    矢山有作君 私が聞いておりますのには、大手の乳業会社が入札に臨むときに小さいメーカーその他の名義を借りて入札に参加をしておるということが言われておりますが、その実態御存じですか。
  184. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) ただいまの御質問の点でございますが、一応資格がある者は入札に参加できるというたてまえになっております。したがいまして、ほかの人の名前を使って出たという場合には、必ずしもはっきりはいたしません。これは、ただ、一人当たりの買い入れの要するに制限というものをしておりますので、非常に多数の人を参加させるということになれば別でございますけれども、少なくとも四十一年度当時におきましては乳製品が相当逼迫しておりまして、それぞれの業者において需要が強いわけですから、そういうふうなことはあまりないのではないか。まあ絶対ないとは私たちもわかりませんけれども、それほど多いものではないのではなかろうかというふうに実は判断いたしております。
  185. 矢山有作

    矢山有作君 これは資金繰り等いろいろな問題があって、私は不確実な情報ではないと思います。具体的にここでこうだああだということはきょうの席では申しませんけれども、入札参加するのに名義を貸した形で参加をしておる、落札したものが少数の大手のところに集まっておるということが言われておりますが、この点はひとつ実態を調べていただきたい。このことは、あとから多少触れますが、いろいろ大きな弊害を起こしますから、この点を調べていただきたいと思います。  それからそれに関連してぼくが問題になると思うのは、先ほど、理事長のほうから、予定価格というのは大体あまり動かないということをおっしゃったわけです。安定指標価格に、あれは四%ですか、それを加えるんですね。それに多少加えるものがあるのかもしれませんが、そういうふうにきめて、あまり動かないということを言われたわけです。そうすると、私は一つここで問題が出てくるのは、国内乳製品とそれから落札した価格との比率を見てみますと、だんだん下がってきている。これはまあ市況等のいろいろな需給事情等の問題があるかもしれません。ところが、そういったような入札の予定価格のきめ方の方針というものがメーカーにわかった場合には、これは何も高く札を入れる人はない。しかも、名義貸しで入札参加者が多いということになると、これは談合で片がつく問題で、安いところに落とす。それで、ちょっと油断した人は、その辺がわからぬから、高い値段で入札するようになる。こういう現象が起こってはきませんか。私は、最近五月になってから急激に落札価格が下がったという原因には、そういう予定価格のきめ方の方針というものが漏れたのではないか、こういう気がするんですがね。そうなってくると、入札方式全体より再検討し直さぬと、安い値段で落札された外国の乳製品がますますいろいろな形で国内酪農を圧迫するような現象が出てくるのですが、どうなんですか、これは。
  186. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) お話しの点でございますが、安定指標価格に安定させることを旨として事業団が取り扱うということにいたしておりますので、予定価格等も変えないでやっておるわけでありますが、予定価格が漏れるというようなことは私はまあないと信じておるわけでございます。現状におきましても、事業団が売り渡しをいたしました場合にも、なおかつ全部売れないというふうな状態もございますので、必ずしも先生のおっしゃったような状態には現在はないのではないかというふうに考えております。
  187. 矢山有作

    矢山有作君 これは、漏れた漏れぬの議論はきょうはいたしません。私はいろいろな話を聞いておりますが、漏れた漏れぬの議論はいたしませんが、何回か入札に参加しておると、予定価格のきめ方というものがほとんど動いていないのでしょう。そうなると、これはわかるわけです。大体予定価格がどの程度ということは感づく。これは善意に解釈して感づくということにしておきましょう。わかります。そうなると、だれも高い値段で入札する者はおらぬですよ。しかも、入札参加のときに大手メーカーのひもつきの形で入札に参加する者が相当数おるとなれば、これはそこらでいいかげんな談合も行なわれるだろうし、いろいろなことで落札価格というものがどんどん下がってくる。予定価格がいま理事長がおっしゃったようなところできめられて、これが動かぬのであるということになれば、今後落札価格というものはずっと予定価格に近いところへほとんど下がっちまう。そういうふうになりませんか。
  188. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 問題は先生のおっしゃるようなお話も考えられるわけでございますけれども、実態といたしまして、需給関係が逼迫しまして一般的に価格が高くなっております場合には、安く札を入れましてもなかなか落札をしないというのが実態であろうと思います。したがいまして、非常に安く入れればいいのだということにはどうもならないのではないか。現実にいままでやりました落札者につきましても、そういうふうな形にはなっておらないように私は承知をいたしておるわけでございます。したがいまして、問題は、需給関係が一体どうであるのかということに帰着するのではないかというふうに思うわけでございますが、われわれの立場といたしましては、安定指標価格に安定させるということを法律上旨とすべきことを義務づけられておるわけでございますから、そういうふうなところに安定するような形で事業団の操作をやるべきではないかというふうに思っておるわけでございます。
  189. 矢山有作

    矢山有作君 それは、正面から正直に見た場合には、あなたのおっしゃるとおりになると思います。ところが、予定価格というものは、ほとんど動かないんです。それは安定指標価格へ近づけるという形で大体きめられてくるんだということがわかってしまえば、需給価格がどうとかこうとかいうことはこれは表の議論であって、実際入札に参加したときに私は問題が起こると思う。だれも高い値段で落札したい者はおらぬのですから。できるだけ安い値段で落札したいのですからね。一応この程度に入札予定価格というものがあるんだということがわかれば、それでは商売の常道としてできるだけ安く手に入れるための談合もあれば、いろいろなこともあるでしょう。しかも、それをより安くしやすくするために、いま言ったような名義を大手に貸して入札に参加しているような分子がかなりおるとしたら、より安くしやすくなる。そうなるんです。その辺でやはり入札方法というのを改善する必要がありはせぬかということなんです。これはないとは言えませんよ。
  190. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) まあいろいろな問題が全くないということでも私はないと思いますけれども、いずれにいたしましても、ねらいといたしましては、安定指標価格の水準に安定させるということがねらいでございますから、そういうふうな点でお話しのような点も十分検討はいたしてみたいと思いますが、問題は、最近のように、需給が緩和してまいりまして、かなりの量を放出をいたしましてそれによりましてむしろ買い受け者がないというふうな実情でございますから、したがいまして、かなり問題はなくなってきておるのではないかというふうにも感じておりますが、いずれにいたしましても十分検討さしていただきたいと思います。
  191. 矢山有作

    矢山有作君 それは最近のことをおっしゃっていると言われますがね。ただ、このあいだ入札いたしましたときはなるほど落札した者が少なかったことは、これは知っております。しかし、それだから需給事情を反映して入札が行なわれているということには私はならぬと思う。この制度が始まった前の段階で比較的高く落札しておるというのは、おそらく業者一般には予定価格のきめ方というものがはっきりわかっていなかったと思うのです。それが大体予定価格のきめ方がわかってくれば、これは需給事情とかなんとかいうことの関連でなしに、できるだけ安い落札価格が出てくるというのはあたりまえだと思う。需給事情を反映しておる反映しておるとおっしゃるなら、逆に言うなら、国内の乳製品の市況を加味して予定価格というものを立てていく、そうして徐々に安定指標価格の方向に近づけるように予定価格を下げていくなら話はわかるですよ。それをやらないで、需給事情がどうであろうと、それに関係なしに予定価格というものは大体動かないということで安定指標価格を基準にしてぽんときめていったら、これはこうかつなやつほどもうけることになるんです。だから、国内の乳製品の市況を安定指標価格の線に近づけるということが行なわれておる。そうしたら、需給事情というものを考えながら予定価格を立てていかんと私はいけないと思う。そうなりませんか、理屈として。私はちょっと頭が悪いから私の言う理屈が違うかもしれませんが、私は私の言う理屈が正しいと思うのですがね。
  192. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 安定指標価格水準に安定させるというふうな目的があるわけですから、いままでそういうふうなことをやっておるわけです。ただ、いままでやった経験にかんがみまして、やはり量的に非常に足りないというときになりますと、皆さんがどういう価格で札を入れるかわからない。したがって、自分のところへ品物が入らないと非常に困るというふうな考えがあります場合には、どうしてもある程度高く入れざるを得ないというふうな事態があるわけです。皆さんが全部が談合しましてやるということになって、わずかの量だけしかもらわないということになれば、そういうことは可能かもしれませんけれども、ある一定の量は必要であるというふうな事態のもとにおきましては、やはり自分がほしいということになれば、ある程度高く入れざるを得ないということになりまして、現実には相当高いものも入っておるという実態でございますから、それほど問題はないのではないかというふうには思っているわけですけれども、いずれにしても、安定指標価格に安定するようにやはりやっていかなければならぬのじゃないかというふうに思っておるわけでございます。
  193. 矢山有作

    矢山有作君 こういうやりとりばかりやらなければならぬのですが、あなたは正直ですから、それはそういうふうにまつ正直に考えておられると思います。ところが、あなたの言う理屈は、予定価格がどの辺にあるかということがわからぬ時点ではそのとおりに通るわけです。ところが、予定価格の立て方というものがわかった段階では、それは通りません。とにかく予定価格より少し上回っておれば落札するんでしょう。そうしたら、一部それは何も知らぬ人があって高い札を入れる人もいるかもしれぬ。ところが、よく知っている連中は、予定価格すれすれのところへ入れたら、これはやはり落ちるんです。そのときの量にもよりましょうが、落ちる。そうなると、ぼくは非常に不公平が起こると思う。だから、安定指標価格のところに市況を安定させるということが制度のねらいですから、そうすれば、需給事情が逼迫して国内乳製品市況が非常に高い段階では、予定価格はそれを加味して立てていく。それなりに立てたらたいへんですから、それを勘案しながら立てていく。そうして放出をする。そうして、市況の鎮静するに従って予定価格というものを考えていったらいい。そうしないことには、これは不当にもうける人が出てきますよ。これは、理事長、どうですか、あなたやっているんだから。    〔委員長退席、理事任田新治君着席〕
  194. 須賀賢二

    参考人須賀賢二君) 予定価格は、先ほど御説明申し上げましたように、従来安定指標価格に四%をプラスしたものを基準といたしまして、それから若干の経費をかげんいたしましてきめておるわけでございますが、従来私どもがこの制度を運営いたしておりまする基本の考え方といたしまして、不足払い法によって不足払いを行なっている以上、乳製品についてはっとめて安定指標価格に近い線で価格を安定させるということを最大の目標として運営をしてまいってきたわけでございます。したがいまして、ただいま申し上げましたような予定価格の立て方をいたしてまいったわけでございますが、だんだん需給事情も緩和してまいったわけでございます。その事態に即しまして今後の運営のしかたにつきましてはさらに十分検討してみたいと思います。
  195. 矢山有作

    矢山有作君 いまの説明は、先ほど聞いた説明なんです。私の言うのは、予定価格の立て方を需給事情だとか何だとかということを加味してやったほうがいいんじゃないかと言っているわけです。それをやらぬと不公平な事態が生ずるのじゃないかと言っておるんです。あなたは実際にやっておられるんですから、おわかりのはずなんですがね。私のいま局長とのやりとりを聞いておられたら、私が何を言おうとしているかは。だから、あなたの答弁で私がいただきたいのは、予定価格を、安定指標価格に対する一〇四%、それにプラス諸掛かりというふうに一定さした形でいつの場合でもやられるから問題が起こるのじゃないか、不公平な事態が起こるのではないかと言っているんです。それがそうであるならば、将来の予定価格の立て方を検討しますとか何とかいうことばがほしい。
  196. 須賀賢二

    参考人須賀賢二君) なおよく検討いたしてみたいと思います。
  197. 矢山有作

    矢山有作君 全くなまくら答弁で、局長農林省のほうが相談にあずかるのでしょうから、あなたの方針を言ってください。
  198. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 従来は、私のほうは、安定指標価格水準に安定させるということをたてまえといたしております関係から、現在のようなやり方をやってきておるわけです。そこで、先生のお話しのそういうふうな考え方も私はあり得るというふうにも思います。そういう点につきましては、さらに検討いたしたいというふうに思っているわけでございます。
  199. 矢山有作

    矢山有作君 安定指標価格に安定させるということはわかっております、制度の趣旨から。ですから、私は入札の際の予定価格の立て方を言っておるんです。これは大臣がおりませんから、政務次官、入札に際しての予定価格の立て方というものは再検討するということはお約束できますか。
  200. 久保勘一

    政府委員(久保勘一君) 先ほど来御意見を承っているわけでありますが、私もこの問題につきましては具体的にいろいろ知識を得ておりませんので、私が問答を承っておりまして、率直に感じました点についての意見を申し上げることをお許しいただきたいと思うわけでございます。御指摘のように、安定指標価格というものがはっきり線が出ている。それに百分の四プラスし、諸掛かりを多少プラスした線で予定価格を出して入札に付する、こういう運びのようでございますが、御指摘のように、入札に際しましての予定価格が、市場の価格と著しく何と申しますか開きがあります場合には、やはり入札の実態について公正を欠くことがある、御指摘のとおりだと思います。したがいまして、事業団といたしましては、やはり乳製品の価格をある線に安定させるというねらいはもちろん持たなきゃなりませんけれども、そのことにだけとらわれまして市場の需給実態を把握しておりませんと、多少何と申しますか、事実に合わないのじゃないか、こういうふうに感ずるわけであります。したがいまして、御指摘もございましたように、入札に際しましては、市場のそれぞれの商品の需給状態価格状態等、事業団としては十分絶えず調査をしまして、そういう実態、そういう動きを十分把握をして、そういう検討の上に立って予定価格というものの設定について十分慎重に検討する、こういう態度が必要ではないかということを感じたわけでございます。したがいまして、そういうことを含めまして、十分今後入札の問題についてはやはり慎重に検討をいたしてみなきゃならぬ、かように存ずるわけでございます。
  201. 矢山有作

    矢山有作君 次は、大手の乳業会社の中に、落札されて自分が取った脱粉などを、国内粉のレッテルを張りかえて売っておる、それで非常な利益をあげているという向きがあるのではないかということが言われておりますが、この心配はありませんか。
  202. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 売り渡したものがどのように利用され消費されるかということまでの実態は私どもは必ずしも十分把握はいたしておりません。したがいまして、どのような形になっているかということについては明確ではございませんけれども、それほど価格的に有利であるかどうか、その辺については問題があると思います。それほど有利で処理されておるというふうにも考えられないわけでございます。
  203. 矢山有作

    矢山有作君 それは考えられないとおっしゃいますけれども、落札の値段がだんだん下がってくれば、国内乳製品の市況のほうがずっといまでもやっぱり上なんですからね。いままではその差がもっとひどかったのですから、落札価格と国内乳製品の価格というものは。そうなると、やはり自分の手に入れたものを、ほとんど品質は変わらぬそうですから、これはもう内粉だということで売るという手は考えられますよ。これは、事業団がこういう仕事をやるたてまえから考えても、そういうことのないように十分な調査をしなければならぬと思うのです。まして、いわんや、大手の乳業メーカーが、中小企業の資金繰りの悪いような人たち、自分の資力だけでは単独に入札になかなかはいれない、そういう人たちに名義を貸して入札に参加さして、そうしてたくさんのものを落札して手に入れて、そうしていまのように国内脱粉にレッテルを張りかえて売る、これは当然予想されることだし、そういうことが現実にいわれておるわけです。そうすれば、事業団としては、また農林省としては、そういうような不正の行なわれないように十分制度の改善を考えたり、あるいはそういうことがあるのかないのかということを実態を調査していくということがないといかぬと思うのですが、どうですか。
  204. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 先ほど申し上げましたように、売り渡したものがどういうふうな形になるかということの調査は、なかなかこれはむずかしいと思うのであります。需給の逼迫しておりますときには、中小メーカーのほうからの要請等もありまして大手乳業者を排除いたしまして中小業者のみを対象にしまして売り渡しをするというふうなこともいたしまして、できるだけ広く公平に均てんができるようにというふうに実は考えて、そういう措置もとってまいっておるわけでございますが、お話しのような点がもしもあるとすれば、それは妥当なことではないと思いますので、極力そういうふうなことがないように努力はいたしてまいりたいというふうに考えます。
  205. 矢山有作

    矢山有作君 そこで、私は、一つ申し上げたいのですがね。そういうようなことが行なわれておるとすると、国内の酪農の犠牲の上に立って乳製品をたくさん輸入して、それを安く手に入れて高い値段で売ってもうける、こんなことは許されるべきではない。安く入ってきたものが消費者の手に渡るときには高い値段で渡るなんというべらぼうな話はないんです。そこで、先ほど来指摘しましたような、入札にあたって名義を貸して入札に参加させるとか、こういうようなことを改善する、あるいは、予定価格の立て方等を改善する問題とあわせて、安く入った乳製品が消費者に安く行き渡るような入札方法も考えられていいんじゃないか。そのためには、一つは、メーカーだけでなしに、消費者団体等に入札に参加させる。そうして、消費者団体が手に入れた脱粉を加工する必要があるなら委託加工して使うとかなんとか、そういうふうな方法を考えられませんか。このままにしておくと、私はちょっと問題があると思うんですよ。
  206. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 非常に逼迫しておりますときには、乳処理業者等でどうしても乳製品が必要だというふうなことになりますので、まあ実需者等を指定して入札をやっておった場合もあるわけですが、しかし、原則として一般競争入札というたてまえでございますから、これはだれでもはいれるというたてまえになるわけです。ただ、あまり小口で個々の消費者が買うというようなことは、これはとても煩瑣にたえませんし、また、そういうこともないと思いますが、一応買い入れの数量というものは限定をしましてやっておりますけれども、お話しのように一般競争入札というたてまえでございますから、特にだれかれはいけないということは原則的にはないというふうに考えておるわけでございます。
  207. 矢山有作

    矢山有作君 ですから、おっしゃるようにあまり小口だと、これは問題があるでしょう、手続が煩瑣で。ですから、消費者のかなりの団体ですね、相当まとまっているものがはいるというなら、そういう消費者団体を入札に参加させるということは、あなたのおっしゃった一般入札の原則からして考えていいのじゃないかと思います。これは前向きで検討されますか。
  208. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) それはもう一般競争入札としてはそういうことでございますから、その点は問題はないと考えます。
  209. 矢山有作

    矢山有作君 そうすると、こういうふうに理解します。今後の入札にあたって消費者団体も入札に参加できる道を開くと、こういうふうに理解していいですね。
  210. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 一般競争入札をやります場合にはもちろんそういう方もはいっていただく、だれでもはいれます、こういうことでございますから、お話しのとおりでございます。
  211. 矢山有作

    矢山有作君 ところが、原則は一般入札になっておって、事実上は一般入札は全然やらないでやっておるという中でそういう答弁をいただいたのじゃ、ちょっとこれは答弁は逃げられたことになります。ですから、原則を重んじて一般入札でやる方式を中心にしながら消費者団体等をも入札に参加させるとおっしゃるならいいんです。ところが、原則は一般入札であるけれども、現実的には一般入札をほとんどやらないでおいて、消費者団体を参加させると言われると、ちょっと困るんですがね。
  212. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 先生のおっしゃいますように、需給が逼迫しております場合には、特殊な実需というものがございますから、実需者というものを指定しております。しかし、そういう状態でない場合には、一般競争入札に付しましてどなたでも参加ができるということにいたしたいと思っております。   〔理事任田新治君退席、委員長着席〕
  213. 矢山有作

    矢山有作君 需給が逼迫しておろうがおるまいが、要するに、この法の精神というのは、安定指標価格に国内乳製品を押しつけるということがねらいなんですから、あんまり需給の問題にとらわれる必要ないと思います。振興事業団が放出した効果は、消費者団体に行こうが実需者に行こうが出てくるんですね、同じように。ですから、これ以上詰めませんが、ひとつぜひ検討していただきたい。消費者団体を前向きで入札に参加さしてもらいたいと思います。これは、きょうの答弁だけでこれで済んだ、もう逃げたんだと思ったら間違いますよ。これは閉会になったって必ず月に一ぺんはやるんですから、委員会は。ですから、これは言うただけであとしないでおくというようなことのないように、私は約束を破られると非常に腹が立つ性分ですから、あまり約束を破らぬようにしてください。
  214. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 現にやっておりますし、これからもそういうことをやります。
  215. 矢山有作

    矢山有作君 それでは次に移ります。  差益金の使途、これはいままでいろいろと衆議院段階でも説明をされておるようですが、きょう概略御説明を願って、相当考え方も固まってきただろうと思いますので、今後の問題もありますから、どういう方向に差益金を使わせるのかということを資料として出していただきたいのですがね。
  216. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 資料というお話でございましたが、一応考え方を申し上げてみたいと思います。  畜産振興事業団の乳製品の輸入差益による酪農振興対策の内容につきましては、全国的に共通して講ずべき施策というものは、これは一般会計予算に計上して一般会計予算で支出すべきものであるという考え方に立っておりまして、当差益によります酪農振興費は地域の実情に応じた全国的施策を補完する機能を持つものを対象とするというふうな基本的な考え方に立っております。  具体的な方法としましては、各指定生乳生産者団体に配分をいたしまして、これをファンドとして管理をさせ、その資金の使途については委員会のようなものを指定生産者団体につくっていただきまして、そこで慎重に検討をしてもらったものを農林省と協議をして具体的に決定をしてもらうというふうなことを考えておるわけでございます。  酪農振興対策の具体的な内容につきましては、酪農生産の増強、生産性の向上ということに主眼を置きまして、既存の各種の助成制度との競合、バランス等の事情を考えまして、また、個人施設に対する補助だとか零細補助金だとかあるいは運営費だとかといったようなものにつきましての助成に対する一般的な常識的な制限は守ることを考えておるわけでございますが、それ以外につきましては、具体的にそれぞれの都道府県において十分検討をいただいたものを協議をしていただくということでやりたいと考えておるわけでございます。  どういうものがあるかというふうなことは、それぞれの各県の必要性にゆだねたいというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、われわれのほうでこういうものとこういうものをやるべきであるというふうなことはいたさないつもりで、もっぱら地方の実情のしからしむるところにゆだねたいというふうに考えておるわけでございますが、試みにどういうものがあるであろうかというふうに考えてみますと、酪農関係の施設、乳牛の購入だとか育成だとか、草地飼料畑の改良造成に対する系統プロパーの融資への利子補給であるとか、現行草地改良事業の採択基準を下回るような草地改良事業に対する補助だとか、そういったものが一、二の例として考えられるのではないかというふうに考えております。  したがいまして、いまおっしゃいました資料ということでございますけれども、具体的に私たちのほうで事業を指定をいたしませんので、資料として出すのもいかがかというふうに考えておる次第でございます。
  217. 矢山有作

    矢山有作君 この問題は、もう衆議院でかなり論議が尽くされておるようですし、時間の関係がありますから、これでとどめておきます。ただし、それに関連して一つだけ伺っておきたいのは、指定生産者団体に関連する問題なんですが、いまの指定生産者団体の実態というものをまず説明していただきたいと思います。
  218. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 指定生産者団体は、御承知のように、昨年の四月一日から設立いたしたわけでございますが、当時四十二府県について指定生産者団体が設立をされたわけでございますが、その後、新潟、埼玉が加わりまして、四十四府県となっております。神奈川県並びに京都府、東京都の八丈島、ここにだけは指定生産者団体がまだでき上がっておらないわけでございます。  指定生産者団体といたしましては、御承知のように、これは不足払い法律に基づきます実施の機関でございますし、また、本質的には生乳の一元集荷多元販売というふうなことを実施する機関でございます。設立されましてから一年有余でございまして、必ずしも法律の目的どおりに運用されていないところもあるように聞いておりますけれども、われわれとしましては、酪農の発展の上におきましてきわめて重要な団体でございますので、極力育成発展をはかるようにしてまいりたいという、ふうに考えております。
  219. 矢山有作

    矢山有作君 私は、この暫定措置法の立法趣旨を生かして国内の酪農振興をする上から考えて、指定生産者団体の強化ということは非常に重要だと思うのです。ところが、いままでの実態を見ると、農民の方があれは手数料取りの団体だと言っておるくらいなんで、そのくらい弱体なんです。やはり指定生乳生産者団体を強化するということが当面の急務だろうと思うのです。そこで、団体強化のためにどういう具体的な方針をもって今後臨んでいかれるのか、そのことを聞きたい。
  220. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 指定生産者団体の強化につきましては、基本的な方向として先生のおっしゃる方向にわれわれとしても努力をいたすつもりでおるわけでございますが、それを行ないますために、四十一年度から、指定生乳生産者団体の事務運営をする経費をまず助成いたしておるわけでございますが、さらに、学校給食の事業につきましても指定生産者団体に主導的な役割りを持たせるというふうな措置を講じたわけでございます。四十二年度からは、これに加えまして、さらに指定生乳生産者団体を強化し、実質的に一元集荷多元販売としての機能を発揮させることにいたしますために、集送乳施設の設置に対する助成をすることといたしておるわけでございます。また、指定生乳生産者団体が主体となりまして広域にわたりまして需給調整をやる牛乳製品工場をつくります場合には、これに対して畜産振興事業団からも出資をいたしたいというふうにも考えております。さらに、一般的に家畜導入事業等、各般の酪農生産対策に積極的に関与させるということをいたしまして強化をはかりたいと考えておるわけでございます。さらに、今回の法律改正に基づきます輸入差益の生産対策につきましては、指定生乳生産者団体を通して行なわせるということにいたしておるところでありまして、これらによりまして、指定生乳生産者団体の主体性を確立するように積極的に指導してまいりたいというふうに考えております。
  221. 矢山有作

    矢山有作君 昨年来の乳価紛争等を見ておって、酪農民が強大な乳業資本に対してその利益を守っていくというためには、どうしても生乳生産者団体の強化が必要だ、このことは異論はないと思うんです。ところが、実態を調べてみて、先ほど話が出ましたが、集送乳施設すら満足に持っていない。みんなメーカーのほうから借りて使っておるというのが実態なんです。これでは、いくらメーカーに対して主体的な立場を堅持して酪農民に有利なような乳価交渉その他をやれといっても、これはできない。したがって、集送乳施設の整備ということは、私は非常に急がれておる問題だと思う。この実態御存じでしょう。これに対しては早急にやってもらわなければならぬと思う。その場合に、そういう方向にこの差益金を使うということは考えておられますか、どうですか。
  222. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 先ほど申し上げましたように、基本的なものは一般会計でやる。一般会計でやれないもので、地方においてぜひやる必要がある、また、酪農振興のために大いに役立つというふうな施設に限定をいたしたいというふうに考えておりますので、現に一般会計で助成の対象にしておるものにつきましては、本資金は使わないというふうに考えております。
  223. 矢山有作

    矢山有作君 それはわかるんですがね。じゃ、集送乳施設整備のために、一体、一般会計でいままでどういうふうな手を打ってき、それからまた、今年度どういうふうに具体的にやるんですか。
  224. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 本年度は、二十三カ所につきましてクーラー・ステーション、ミルク・タンクローリー、生乳検査施設等に対する助成をいたす予算といたしまして七千三百二十九万二千円というものを計上いたしておるわけでございます。今後も続いてこの予算につきましては努力をいたしまして、必要なところには配置をするというふうなことにいたしたいと考えております。
  225. 矢山有作

    矢山有作君 しかし、局長ね、わずか七千三百万や四百万の年間の支出で、現在のような全く弱体な指定生乳生産者団体の集送乳施設の整備ができますか。私は、一般会計でやられておるものに対しては差益金からは出さないようにするという原則はわかります。しかしながら、一般会計で集送乳施設を整備していくのはたった七千三、四百万、それも全国ですからね。全国の生産者団体ですよ。こんなことじゃとても話にならぬので、現在一般会計から行なわれておる施策であっても、早急にやらなければならぬものについては、これはやはり差益金から出していくと、そして整備をやらせるということはやはり考えるべきじゃないか。ばらっと金をばらまくだけでは効果はないので、そういう点でも私はある程度お考え願いたいと思うのですがね。
  226. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 私のほうで、指定生産者団体がどういうふうな実態にあるかということは調査をいたしておるわけでございますが、既存の施設の買い取りとそれから新しい施設の新設という二つの場合があると思うのです。現在、助成の対象にいたしておりますものは、要するに新設の場合に限られております。既設のものにつきましては、近代化資金等をもって買い取りができるということにいたして、そういう方向で処置をお願いをいたしておるわけでございます。
  227. 矢山有作

    矢山有作君 それは、私も、大体そういうことをやっておるということはわかっていますが、われわれが周囲で見る生産者団体をながめてみて、あまりはかばかしく進んでおらないんですがね。これは、近代化資金で金を貸してやるというやり方だけでは、それから現在のような助成のしかたでは、問題があると思う。だから、せっかく差益金がたくさんあるんですから、不足払いの制度の一つの柱である生産者団体強化の方向には、一般会計で十分でないところを補っていくという意味で、つまり、何と言うか、施策をどんどんもっと厚味を増していくというか、そういう意味でやはり考えてもらったほうがいいと思うんですがね。
  228. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) お話しの点でございますけれども、私たちのほうとしては、できるだけ新設の必要なところには一般会計で新設を認めていこうという考えでしておるわけであります。したがいまして、先ほど申し上げましたように、一般会計でとるべきものは一般会計としてやる必要がある。そこで、差益はそれ以外のものに使ったほうがいいんではないかという基本的な考え方に立って今度の資金を使いたいというふうに考えておりますので、一般会計で必要なものにつきましては、一般会計としてできるだけそれを確保するように努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  229. 矢山有作

    矢山有作君 たてまえはわかりました。それは手数のかかることとは思いますが、今後の指定生乳生産者団体の整備の問題についてもわれわれは関心を持ってこれを推進していく必要があると思うので、現在の指定生乳生産者団体の実態、集送乳施設がどの程度整備されておるのかその実態と、それからたとえば今年度にあたってはどういうふうに具体的に整備されてきたか、これをひとつ資料で出してもらえませんか。これはわれわれもぜひこの問題は勉強さしていただきたいと思うんです。いいですね。
  230. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 資料として提出いたします。
  231. 矢山有作

    矢山有作君 それからもう一つは、先ほど、事務費の補助をしていると言われたんですがね、生産者団体に対して。これはたしか来年度までじゃなかったですか。そうですね。
  232. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 一応、設立時から三カ年間ということできめられておるわけでございます。
  233. 矢山有作

    矢山有作君 そうなると、またその時点で事務費の助成が打ち切られるということになると、やはり問題になります。そこで、私は生産者団体の人からいろいろ聞いてみますと、生産者団体強化のために集送乳施設を持つこと、それから直接農民につながっているという面で技術指導員というものを生産者団体で持ちたい、これが必要だと、こう言っておるんですがね。技術指導員の配置の問題はどう考えますか。この差益をそういう方面に使うという気持ちはありませんか。
  234. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 最初申し上げるときにやや落とした点もございますけれども、先ほどからいろいろ御議論ございましたように、この資金というものは非常に不安定な資金でございまして、したがいまして、本年五十六億程度の差益が発生するであろうというふうな見方をしているわけでございますけれども、国内の生産がかなり伸びつつあるという事情もございまして、はたして幾らになるかということについて的確な見通しをすることは、現在の段階ではかなり困難があるわけであります。来年度につきましてもそういうことが言えるかと思います。  したがいまして、いわば非常に不安定の資金であり、まあできるだけなくすべき資金であるというたてまえから見まして、長期にわたって助成をするというふうなものにこの資金を使用するということは必ずしも適当ではないというふうに思っておりまして、暫定的にこの際やれるというふうなものに対象をしぼりたいというふうに考えておる次第でございます。
  235. 矢山有作

    矢山有作君 いや、それはわかるんです。あまりあけすけな話をするのはこういう場所だからしたくないのですが、技術指導員を配置するということが生産者団体強化のために必要な要素であるとするならば、私はこの際差益金を使ってやってもらいたい。それから差益金というものがいつまでも続くものでないということは、それはおっしゃるとおりであろうと思う。それはその段階で考えていくべきで、やっぱり実績をつくることだ。それ以上もう言わぬでもわかるでしょう。これをやって、そうして指定生産者団体を強化するんだという姿勢を示し、実績の上に立って、これを恒久的なものとしていく。それは、畜産局長、真剣に考えたほうがいいですよ。予算をとらなければいかぬのですからね、振興をやるためには。
  236. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 指定生産者団体を強化するという趣旨については全く同様でございますが、いかなる方法で強化すべきかということについては、いろいろな方法があり得ると思うわけであります。そういう点で、私たちもこの問題は今後ともひとつ十分検討していきたいというふうに思っております。
  237. 矢山有作

    矢山有作君 それで逃げられると、すっぱり何も出てこなかったことになるので、もしあなたがおっしゃるように、何というのか、そういうやり方はちょっとようやらぬというのなら、別途そんなら一般会計なら一般会計で——技術指導員が指定生産者団体にほしいというのは事実だし、また、それがあるというのは指定生産者団体にとっては非常な力ですよ、強化していく点において。だから、そういう一般会計からの方向からでも考えますか。
  238. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 人件費の助成ということにつきましては、これは予算上のいろいろ問題もあるところでございます。したがいまして、私はなかなか困難ではなかろうかというふうに判断をいたしておるわけでございます。そこで、指定生産者団体といたしましては、必要なものについてはある程度自分で負担をせざるを得ないというふうに思うわけでございまして、われわれといたしましては、可能な限りにおきまして指定生産者団体を強化するという方向におきまして適切なものについてできるだけ助成をしていきたいというふうに考えておりまして、助成のなかなか困難なものにつきましては指定生産者団体みずからそれは設置をしていくというたてまえでいくべきではなかろうかというふうな考え方は持っておるわけでございます。
  239. 矢山有作

    矢山有作君 これもこれくらいでやめますが、現在の指定生産者団体の力では、技術員は実際問題として持てないんですよね。ですから、一般会計から頭からそういうものを出すということもむずかしいでしょう。むずかしいから、あけすけには言いませんが、差益金で配置をしなさいと言ったんですよ。これが必要だということなら、実績をつくって、その段階でこれをどう継続さしていくかということをやっぱり考えるべきだ。そういう前向きの姿勢がないと、近代化計画だ何だと絵を一生懸命かいてみたところで、いつも絵になってしまうのです。予算をとるのがなかなか容易でないでしょう。容易でないから、私がわざわざ持ち出したわけです。検討してみなさいよ、真剣に。検討してください。
  240. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 非常に応援をしていただいておるのは感謝いたしております。一応助成は助成だということだものですから、弾力的には考えたいと思っておりますけれども、しかし、人件費の問題につきましてはさらに検討いたしますけれども、かなり困難ではなかろうかというふうに私たちは考えておるわけでございます。そういうことで御了承を得たいと思います。
  241. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 関連ですから、資料抜きで簡単に申し上げますが、私の身近な岩手大学の毎年の獣医科の卒業生の就職先の動向を見ますと、あれだけ酪農なりあるいは肉畜に県是として重点を置いているにもかかわらず、地元に新卒の獣医師資格者がほとんどと言ってもいいくらい残らないで、大半は大資本の中の獣医師の受け入れ体制に就職をしており、地元のそういう条件の悪いところには来手がない、こういう実態なわけです。私は、たくさん最近の実例も持っておりますし、待遇その他の具体的なデータもありますが、そういうことを県の実態から見ますと、やはり相当思い切った獣医師に対する政府の畜産振興のさらに先駆的な大きな課題としてこれを現地に定着させるということが家畜の積極的な増殖を言う前にないと、これが非常に大きな問題になっておる。そういう点から、いま、矢山委員も、せっかくこういう予期せざる膨大な輸入差益が出たことであるから、これを一つの突破口として、何かそういう指定団体の体制の中にこれを大きく生かすような方途が考えられていいのじゃないかという問題の提起だと思うんですね。これはお考えがないようでありますけれども、いままでの矢山委員審議を通じて、これ一つにしぼってどうこうということでないにしても、これこそ真剣に政府当局としては考えなければ、大きな矛盾というものが拡大する一方で、たとえば共済制度に続く家畜診療所の機能の問題等にも関連いたしますし、将来のわが国の畜産政策の大きな恥部ともいうべき問題ではないかというふうに思いますので、るる矢山委員が取り上げた問題については、通り一ぺんの意見として聞き捨てることなく、十分ひとつ積極的に検討して善処していただきたいというふうに思いますが、せっかくですから、これについて久保政務次官の大所高所に立った御見解をこの際承っておきたい。
  242. 久保勘一

    政府委員(久保勘一君) 先ほど来局長よりお答け申し上げておりますように、この差益金によりまして生産者団体に獣医師を配置するという問題につきましては、説明をいたしておりますように、この差益金が非常に不安定な性格を持っておりまする点から考えまして、半ば恒久的な使途の人員の配置の問題については多少性格的になじまないのではないか、こういう意見も私は一面の理があると思うわけでございます。しかし、先ほど来から御指摘がございますように、畜産特に酪農を振興してまいりまするためには、従来とも努力はいたしておりまするけれども、特に御指摘のように獣医師の問題を大きく私どもが考えなきゃならぬと思うわけでございます。いろいろと畜産振興については施策が行なわれておりますが、何を申しましても、高度の技術、りっぱな畜産管理をいたしますためには、どうしても獣医師の指導助言と申しますか、そういうことが農民の間に徹低しまいりますることが基本であろうと思うわけであります。  私ごとを申し上げて恐縮でございますが、私も従来畜産団体の役員をいたしております体験から考えましても、御指摘のように、今日、地方におきます農業団体、畜産団体で獣医師を得ることは非常に至難でございます。そういう点から、酪農民は、何と申しますか、手さぐりで酪農をやっておるという例が非常に多いと思うわけでございます。そういう現況からながめましても、どうしても獣医師の配置という問題については畜産振興の立場から重点施策として考えていくべき性格のものであると思うわけであります。したがいまして、冒頭に申し上げますように、差益金によって直ちにこれを充足していくということについては今日なじまない点もございますけれども、それはそれとして、畜産全体の問題として獣医師の配置という問題については真剣に前向きで努力いたすべきであると、かように存ずるわけでございます。
  243. 矢山有作

    矢山有作君 政務次官の非常に理解のある御答弁ですから、ぜひそれを実現するように御努力願いたいと思います。  それから次は、これは局長も御指摘になったのですが、生産者団体強化のためには、みずから加工処理施設を持たせるということはやはり重要な問題だと思うのです。そこで、ただ持たせることが必要だから希望があれば事業団から出資するということでなしに、生産者団体強化という見地に立って、また、酪農民保護という立場に立って、あまり乳業メーカーに遠慮するのでなしに、積極的に全国を見渡して、大体どの地域にどういう規模需給調整のために加工処理工場を設けたらいいのじゃないか、こういうような計画を検討されたことはありませんか。
  244. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 具体的に検討はいたしておりません。おりませんが、主として需給調整を行なうというふうなことになろうかと思うわけでございまして、これは企業でやりますからには、採算の問題もあるわけですから、かなり慎重に考えていかなければならぬ問題であろうかというふうに思っておるわけであります。やはり狭い地域において計画してもなかなか不可能だと思います。したがいまして、相当広域な地域にわたりましてそういうふうなことをやるというものにつきましては、積極的にこちらとしても指導助成をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  245. 矢山有作

    矢山有作君 おっしゃるとおりなんですがね。だから、私は、やろうとするところには助成をするというのでなしに、あなたのほうで全国の各地域の需給事情というものは調査なさればわかるわけですから、どの地域にどの程度の規模のものを持たしたらいいのじゃないかということを積極的に検討する必要があると思うんです。そうでないと、やれば助成はあげましょうということでは、なかなか生産者団体自身が踏み切るということはできぬと思うのです。役所は膨大な人員をかかえて調査能力もあるわけですから、そういった点を調査し、そうして積極的にやはり取り組む必要があると思う。私が聞いておるのでは、振興事業団が出資したのは九州くらいなものですか、だからこれはぜひやってもらいたいと思うんですが、どうですか。向こうの出方を待つのでなしに、こちらから積極的にやるんですよ。
  246. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) こういうふうな制度を開くということになっております関係から、それぞれの指定生産者団体において相当真剣に現在検討されておるわけであります。私の聞いておるところでも、数カ所におきましてそういうことを具体的に詰めておるというところもあるわけでございます。したがいまして、そういう点は指定生産者団体の検討と相まちまして相談をしながら進めていくべきではないかというふうに思っているわけであります。
  247. 矢山有作

    矢山有作君 私は、それを積極的に進めるために、生産者団体が自主的に調査して準備しているという点もありましょうが、さらに調査し、そういう方向に行くことを助けるためにも、積極的にこの問題と取り組んでほしいと思います。  それからこれはまあこの問題については最後になりますが、いまの不足払い制度というものが、実態においては、要するに全国の生乳生産量の七〇%が飲用に回っておって、残りの三〇%程度のものを対象に運営されておるわけですね。だから、これでは、やはり毎年のようにいろいろ乳価紛争等もある。さらに、そういう形の中では実際に酪農氏を保護するということにはなっていないということは、これは現実が証明しているわけですから、したがって、この際、われわれがいつも繰り返していることなんですが、国内の全生乳を対象にしてこういう制度を考えていく方向で検討する意思があるのかないのか、この点について。
  248. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) これは法律制定の際にもいろいろ御議論があったように伺っておるわけでございますが、原料乳については交易条件が不利であるということにかんがみまして不足払い制度ができたということでございます。市乳につきましては、本来、当事者間の交渉によって価格形成がきまる。しかも、今後市乳がふえていくという事態におきましては、需給関係から言いまして有利な価格形成が行なわれるであろうというふうなことが想定されておるわけでございます。一方で、市乳につきましては、どのような形で不足払いをするかというようなことにつきましては、かなり技術的な問題があります。そういうふうな点から、加工原料乳のみに限定されたというふうに考えておるわけでございますが、先般の衆議院の審議の附帯決議においても、生乳につきまして価格対策について十分検討するようにというふうなこともございましたので、こういう点につきましては今後検討をいたしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  249. 矢山有作

    矢山有作君 これは大臣の見解を伺っておいたほうがいいのですが、実は、長たらしいことは申しませんが、現在の不足払い制度が国内生産乳の三割程度を対象にして運営されておる。その運営の実態は、率直に言うたら、大乳業メーカーをもうけさせて、実際に酪農民に対してはマイナス面が多々出ている。私は、現実を見て、それを否定することはできぬと思います。そこで、やはりこういう矛盾を正していくためには、全部の生産される乳を不足払いの対象にするというような制度の改善というものを今後検討してもらいたい。そういう意思がありますかどうかといってお伺いしておったのですが、大臣のほうからこれを締めくくる意味で御答弁願いたいと思います。
  250. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) ただいまのところ、市乳に関して不足払い制を同じくやるという意思はございませんけれども、諸般の事情を考えましてこれらの点につきましてはさらに検討を重ねてまいる必要があると、こういうふうに思っております。
  251. 矢山有作

    矢山有作君 以上で牛乳問題を中心にした質問は終わりますが、あとほんのわずか時間をいただきまして、現在いろいろと陳情請願がなされておりますので、一つお伺いしたいんですが、中国産の食肉のの輸入の問題ですね。これは檜垣畜産局長のときであったと記憶しております。たしか、渡辺委員の質問に対して、かなり積極的な答弁が出ておったはずです。ところが、その後、もうすでに二年ぐらいになるのに一向に進まない。聞くところによると、むしろ後退をしてしまったんじゃないかということを聞いているんですが、中国からの食肉輸入についての考え方を聞きたいと思います。
  252. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 中国産食肉輸入のことにつきましては、海外からの食肉、特に牛のような有蹄類の動物の輸入については、家畜の悪性伝染病のわが国に侵入いたしますことをわれわれは非常に警戒をいたしておるわけであります。特定地域からの輸入を禁止いたしておるのは、そういうわけでございます。そこで、食肉需要の増大に対処いたして、現在の輸入禁止区域につきましても、家畜衛生状況を調査して、家畜衛生状況が良好で適切な防疫措置が行なわれておる地域につきましては、食肉の輸入禁止措置を解除する方針をとっております。  そこで、中国の家畜衛生状況につきましては、最近二回にわたりまして調査をいたしたわけであります。わが国の民間調査団による調査であります。これが行なわれまして、その報告をもとに家畜衛生関係者の意見を徴して技術的な検討を行ないました結果、なお不明な点がございますので、これらの点について所要の資料の提供を求めておるわけでありますが、さらに専門的な具体的な検討を行なってみたいと考えておるというのが現状であります。
  253. 矢山有作

    矢山有作君 これは私がある筋から聞いたところによると、技術的な問題が不明な点があるということで、この問題は、LT貿易のある責任者が中国に行くときに、もっと技術的な問題を解明してほしいというような話を向こうでしてもらいたいということを政府で頼まれたということなんです。ところが、私はこういうふうに聞いておるんですね。もう何回も調査団が行って、実情はかなり詳しくわかっておる。政府方針が輸入するのかしないのかさっぱりわからないというままの状態でまだどうだこうだと言って向こうに積極的な話は実はしにくいといったようなふうに聞いておるんですが、不明な点があるとしましても、日本政府の態度が輸入をするということに踏み切るのか、踏み切らぬのか、まず輸入をするのだという方針が出るならば、その方針を確立して、それから実はこういう点が不明なんですがということでないと、いままでにもう数次にわたって調査に出ておるんですから、前向きせぬのじゃないかと思うんですが、どうですか。
  254. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 二回にわたる民間の調査団の調査報告書ができておるわけでございますが、調査報告書では中共においては口蹄疫が存在しないだろうというふうな意見を述べておりますけれども、口蹄疫が存在しないというふうな確証は得られておらないわけでございます。  そこで、御承知のように、口蹄疫というのは非常におそるべき伝染病でございますので、これについてわが国としては慎重な扱いをしなければならないというのがまあ当然であると思うわけでございまするが、そこで、獣医学界の権威を集めまして中共の問題についていろいろ検討を願ったわけでございます。その結果、やはりこの点だけは十分調べておかなければならぬというふうな点が出されておるわけでございます。したがいまして、そういう点についての資料の提供なり、あるいは民間の話し合いなりということを実は要望いたしておるわけでございますが、方向としては、ただいま大臣が申し上げましたように、特定の輸入を禁止をいたしております地域におきましては、そこが正常な地域であるということがわかりますれば禁止を解除する。今後増大する食肉需要に対しまして門戸はできるだけ開放したほうがよろしいという考え方に立っておるわけでございますから、あえて中共を否定をするわけではないので、ただ、先ほど申し上げましたように、口蹄疫は非常に重要な問題でございますから、この問題が明らかになれば当然これは輸入禁止が解除されるということになるというふうに考えておるわけでございます。
  255. 矢山有作

    矢山有作君 私はこの際資料としてほしいのは、先般田中さんが調査に行かれましたね。これは私は日本の現在の陣容としては最高の調査団だと思うのです。その調査報告で、われわれはその報告自体は見ておりませんからわからぬけれども、問題がないような報告になっておるように聞いておるんです。しかし、調査団の調査報告書は、私ども検討しなければわかりませんから、これは資料として、もう文書で報告が出ておるでしょう、出してほしい。それが一つです。これは資料要求です。  それからもう一つは、最近、前の中華人民共和国の中国農業開発西北地区獣医研究所獣医副研究員という肩書きで向こうに長くおっていろいろとこの関係仕事をやられた方が報告書を持ってきておるのですけれども、それを見ると、口蹄疫の問題は全く絶滅されて問題ないようなんだすね。それからさらに、その報告によりますと、中国産食肉は、ソ連、東独、チェコ、エジプト、シンガポール、香港、マカオ、スウェーデン、イギリス、フランス、イタリー、ポーランド、朝鮮、こういう各方面に年間三、四十万トンぐらい輸出しておる、現時点ではもっと多いかもしれない、こう言っておるんですね。こうしてみると、私はもう口蹄疫等の心配はないのじゃないかと思うのです。そういう現状を踏まえて、私はこれ以上の調査ということになるのなら、先ほど言いましたように、政府基本方針として輸入をしますということをまず前提として確立して、それからやっぱり聞くところがあったら聞くということでなければ、いままで何べんも何べんも調べているのだから、輸入するかしないかを態度をきめずにおいてまだああだこうだと言っても無理じゃないか。ですから、まず輸入をしましょうという態度を確立する、このことが先決問題じゃないかと思うんですが、どうなんですかね。
  256. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 実は、中共から食肉をどこに輸出しているかということにつきましては、必ずしもわれわれとしては明確な資料を持っておりません。ただいま先生からお話がありましたような地域は、おおむね口蹄疫で汚染されておる地域でございます。したがいまして、わが国のように口蹄疫に汚染されておらない地域におきましては、処女地でございますから、口蹄疫が入った場合に非常におそるべき結果になるということは従来の経験から明らかになっております。したがいまして、非常に慎重な態度をとっておるわけでございます。  報告書の提出はいたしますが、それらの報告書を基礎にいたしまして獣医学界の権威にお集まり願って検討をお願いしたわけでございますが、その際においてわれわれとしてぜひ知りたいというふうに思っておりますのは、過去における口蹄疫の発生の状況と実害、あるいは、いままで行なわれた口蹄疫の撲滅方法の具体的な経過、あるいは、口蹄疫のワクチンの種類、製造方法、口蹄疫の診断方法等、そういったものにつきましてまだ十分な資料を得られておりません。御承知のように、口蹄疫は、非常に種類が多い病気でございます。一つのワクチンで一つの病気に効くから、すべての口蹄疫に効くと限らないわけです。いろいろな種類があるわけであります。したがいまして、一体、どういうふうな種類があったのか、それがどういうふうな形で処置されたのかということにつきましても、十分認識をしておかなければならぬ問題であるというふうに考えておるわけでございます。
  257. 矢山有作

    矢山有作君 それじゃ、問題点がいろいろあるようですから、私どものほうはいままでのいろいろなお話を聞いた上で早急に輸入に踏み切るべきだと思います。しかし、私どももいろいろ検討したいと思いますから、田中さんの報告書に加えて、獣医学界で指摘された問題点があるようですから、それをあわせて資料にして出してください。  なお、この問題は、今後の委員会等で実際に現実に携わっておる人等の意見を聞いて前向きに検討していただくように希望しておきます。  私の質問は、きょうはこれで終わります。
  258. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 資料を提出いたします。
  259. 北條雋八

    ○北條雋八君 私は、最初に大臣に伺いたいと思うのは、わが国の酪農停滞ないし窮状を打開するには、生産政策それから価格政策並びに特に飼料政策というものを関連総合的に企画実施することが必要であることはもちろんでありますが、本案の趣旨からいいましてこの課題として根本をなすものは、何といっても小牛の増産を急ぐことであると思います。乳用牛の年齢別飼養頭数がこの参考資料に出ておりまするが、それで見ますと、政府の調べによって、小牛の生産が、四十年には四十二万九千五百五十頭で前年比が九七%、四十一年には四十二万五千百六十頭で前年比が九九%、いずれも一〇〇%を割っておる。これは先ほど矢山委員からもお話がありましたが、非常に減ってきておる。この乳用牛の飼養の拡大をはかっていくというためには、経済的にもまた労力的にも非常に困難でありますから、小牛の生産確保がこの際喫緊の急務であると私は思うのでありまして、それに対しまして、大臣の御所信をまずもって伺っておきたいと思います。
  260. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 御説のように、計画どおりにはこれはまだ進んでおりませんが、ただ、四十一年二月に比べますと、四十二年二月にようやく八・一とやや伸びてまいりました。これは、私どもといたしましては、先ほどもお答の中にございますが、選択的拡大という方向で努力をいたします。その中でわれわれの意のように動いておりませんのは、過去の畜産関係でございます。まず子牛の導入等について努力をいたしますと同時に、もう一つは、飼料が、前のいろいろな機会にお話がありましたように、草地の造成をして自給飼料を増大するということがなければならない。したがって、そういういろいろな政策面もあわせ、ただいまお話しのように、価格政策生産政策は並行して必要なことでございますから、やっぱり政策面において増産対策をして、長期計画の実現のために全力をあげてまいらなければいけないと、こういう方針で、これからも続いて努力をしてまいるつもりでございます。
  261. 北條雋八

    ○北條雋八君 ただいまのお話のとおり、飼料問題が最もこの際大事であるということを大臣も言われました。私は、いま、主として飼料その他の問題で伺いたいと思います。日本の乳牛生産費も六〇%以上がえさ代で占めておるということがいわれております。購入飼料の値上げが大きく生産農家を圧迫し、苦しめております。政府は、飼料の安定的供給をはかるために、どんな具体策をもって推進していかれるお考えでございましょうか、また、酪農近代化方針によってみますと、四十六年までに飼料の自給率六五ないし七〇%にその目標を置いているようでありますけれども、実現可能な自信がおありかどうか、これをまず大臣に伺いまして、それに到達するための計画をどのように立ててあるのか、その点を政府委員から説明をしていただきたいと思います。
  262. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 畜産及び酪農は、御指摘のように、飼料の面においてネックがございます。これを解決しなければなりませんことは、お話のとおりでございますが、政府は、まず何よりも自給飼料の供給に全力をあげて、もちろんそれの半面において当然車地の造成をいたさなければなりません。そのようにいたしまして、われわれはやがては需給の大部分は国内産でまかなうという計画を立てて進んできておるわけでございますが、それの数字的な計画につきましては、一応持っておりますから、政府委員のほうから……。
  263. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 御承知のように、自給飼料をつくりましてできるだけ自給率を上げるというふうなことで、草地改良事業につきましては土地改良事業の長期計画の中に包含しておるのでございます。十ヵ年間に四十万町歩の草地開発をいたしたいというふうに考えておりまして、そのための所要の金額は八百億ということにいたしておるわけでございます。
  264. 北條雋八

    ○北條雋八君 それで、先ほど伺いましたが、前の近代化の方針どおりに自給率を七〇%まで持っていくことの自信がおありかどうかですね。特に飼養頭数を見ましても、現在の百三十万頭から、昭和四十六年には二百十九万六千頭、それまで伸びる計画になっておりますが、これらは現在の約二倍の増加でありますからしたがって、飼料の量も今後わずか四年間に二倍にふやさなければならないということを考えますと、容易なことではないと私は思います。この点、まず政府のほうから、どういう自信を持っておられるか、一応伺いたい。
  265. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) お話のように、四十六年に近代化方針の定めております目標に到達するということは、相当努力がなければむずかしいとは考えておるわけでございます。しかし、それにいたしましても、乳牛のごとく草生動物につきましては、生理の面から考えましても、また、経済の面から考えましても、草に依存するということが最も妥当であるというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、それに向かいまして積極的に努力をいたすつもりにいたしておるわけでございますが、昨年度におきましても、育成牧場を中心にいたしまして草地改良事業の補助率の引き上げをはかったわけでございますが、本年度におきましても、国営、県営、公団営の草地改良事業の採択基準の引き下げを行ないまして、草地改良事業が積極的に行なわれるような措置をいたしておるわけでございます。さらに、補助残融資の金利の引き下げ等もはかってこれに対処いたしておるわけでございまして、今後とも草地改良事業目標達成できるように最大限の努力をいたしてまいりたいというふうに考えております。
  266. 北條雋八

    ○北條雋八君 努力されることはよくわかりますけれども、実際その計画どおり行くと思っておられるのか、また、計画をし直さなければならぬと思っておられるのか、その点を伺いたいのです。
  267. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 草地改良事業につきましては、おおむね目標達成できるのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
  268. 北條雋八

    ○北條雋八君 次に伺いたいのは、裏作可能なところでもって、不作付地がだいぶあります。水田の不作付地、並びに木炭の需要が変わりましたので、薪炭林などの放棄をされたところ、あるいは未利用の入り会い原野ですね、そういうようなものの未利用地全体を考えますと、昭和四十一年現在でもって約百万町歩くらいあるというふうにいわれております。それで、はたして百万町歩あるかどうかですね。また、あるとすれば、この未利用地を粗飼料生産に利用していくことが現在のような飼料逼迫を打開するために絶対必要と思います。未墾地の草地の造成あるいは既耕地の契約栽培それから飼料畑などの造成拡大等について、政府は、どのような新構想を考えておるか、その点を大臣よりお答えいただきたいと思います。
  269. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 未利用地のあること、それから畑作の不作付地帯がありますことは、まことに私どもとしても心痛をいたすわけであります。したがって、こういうところをつまり引き合わないということであるいは裏作を放棄しているものもありますし、あるいは畑地の作付地をそのままにしておるところもあり、いろいろ態様はございますけれども、そういうようなところであとう限りわれわれはやはり草地の造成をいたしたい。それからまた、そういう飼料作物の植え付けをいたしたりするというようなことに力を入れなければならぬことは、ただいま御指摘のとおりでございます。それで、こういうことについて政府がいままでどういうふうにやってまいりましたか、政府委員のほうから申し上げたいと思います。
  270. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 草地改良につきましては、長期計画に従いまして積極的に実施をいたしておるわけでございますが、なお、そのほか、里山地帯におきまして薪炭林等の利用可能のところもまだあるわけでございます。そういう点につきましては畜産の可能性について調査をいたしておりますし、また、入り会いの畜産的利用についても調査をいたしておるわけでございます。これらの利用につきましては、さらに積極的に草地改良事業を行なうようにいたしたいというふうに考えております。  それから裏作の利用につきましては、おそらく相当な裏作が放棄されたままになっておるわけでございまして、この点については飼料作物をできるだけ導入をいたしたいということで、契約栽培あるいは期間借地というようなことを通じまして容易に行なえるような方策を現在検討しておるわけでございますが、一方におきまして、本年度から開始をいたしました自給飼料増産総合対策におきまして、これらの裏作利用が十分できるような機械等の施設に対して助成をいたしまして積極的に裏作利用がはかれるようにいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  271. 北條雋八

    ○北條雋八君 百万ヘクタールあるというのは確かですか。
  272. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) その程度はあるというふうにいわれておるわけでございます。
  273. 北條雋八

    ○北條雋八君 百万ヘクタールもあるとすれば、これはもうとうに手を打たなければならないと思う。裏作の期間借地の作付はもちろん推進しなければいけませんけれども、不作付の水田の作付につきましては、特別措置等もして奨励金を出すとかその他助成措置をとるべきだと思うのです。また、裏作休閑地等に作付をします農家に対しては、その土地に適合した牧草の種を無償で配布するとか、あるいは肥料その他の経費の一部を政府として補助するとか、また、乳牛導入の生産農家に対しては無利子でもって金融をしてやる、まだ場所さえあればやることはたくさんあると思うのです。現在、それらに対して、どういう奨励を、また、推進に力を入れておられるか。また、今後それらについてどういうふうにして草地の造成をはかられるか、その点について政府委員から……。
  274. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 裏作の畜産的利用につきましては、農地を持っておる方で畜産をやっていない人がいる、一方では、畜産をやっておりながら十分な土地を持ってないというふうなところに、畜産的利用としての土地利用の問題があろうかというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、先ほど申し上げましたように、期間借地をして裏作を利用する、あるいは契約栽培によりまして裏作を利用するとかいうようなことを考える必要があるのではないかというふうに考えておるわけでございまして、自給飼料増産の総合対策というふうな施策を本年度から開始をいたしたわけでございますが、これはもとより畜産農家において自給飼料増産するということを中心にした助成対策でございますが、その対策の一環といたしまして先ほど申し上げましたような契約栽培なり期間借地をして裏作をするなりというふうなことに対しましても助成をいたすことにいたしておるわけでございます。その際、助成の内容といたしましては、最も問題であります動力問題というものを解決するために必要な機械類の助成をいたすということにいたしておるわけでございまして、今後ともこういうふうな考え方でできるだけ裏作利用もはかりながら自給飼料増産がはかられますようにいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  275. 北條雋八

    ○北條雋八君 裏作をするにしても、いろいろ植物、農産物、あるいは牧草、こういうものの研究もされていることと思いますけれども、牧草などについてその地方地方に適合する牧草について研究はされておると思います。何か非常に収穫のあるまた栄養のある牧草を最近発見されたとかいうようなことはおありかどうか。この前もぼくはこの席でちょっとお話ししましたけれども、オーストラリアから八年くらい前にこっちへ入ってきましたコンフリー、あれが非常に牧草でいいということでありまして、現在日本ではまだあまり知られていないようでありますが、台湾でもこのごろあれは非常にいい、畜産に利用されて非常に成績をあげておるということを聞きました。私も自分の庭に一昨年もらって植えておりますけれども、非常に成長がいいですね。一年に一反歩で四十トンが優にとれる。いいところでは五十トンが確かにとれるということを言っております。私の家でも、宿根性ですから、植えっぱなしですが、非常に成長がよくて、しょっちゅう家で食べておりますが、ほかの植物にはないそうですが、ビタミンB12があるので、これは薬にもなる。万病の薬にもなると思うのです。古くからイギリスあたりで軍隊の薬としても、あるいは昔から医者要らずというような意味で栽培をしているというようなことも聞いておりますが、あれは非常にいいと思う。ただ、水けが多いので、サイロなんぞに詰めるのに一ぺん乾燥してから詰めなければならぬ。ですから、乾燥設備がないと、ちょっと大量にとったときに始末に困るという点はあるらしいのです。そういう点をあまりまだ研究されていないようですが、その点をこの前伺ったら、畜産局でも三、四年前に植えて試作してみたということを伺いましたが、もし御存じであったら、その点について説明していただきたい。
  276. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) お話しのコンフリーというのは、新しい牧草ということで知られておるわけでございます。非常に多肥性があり、かつ多収穫であるという点に特色があるわけでございますが、一方で機械化に向かないというふうな点で労力がかなりかかるという若干の難点もあるわけでございます。いずれにいたしましても、現在、実用化試験の段階というふうな形になっておりまして、私たちのほうでもこれに対しまして地方競馬の益金等を使いまして助成をいたしまして、現地の農家並びに地方試験場において十分実験をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  277. 北條雋八

    ○北條雋八君 機械が使えないと言われますけれども、あれは機械で刈っちゃってかまわないのです。それは房州ですでに実験しているところもあるので、私は現地を見ませんけれども、話を聞きました。機械が使えないわけじゃないのだそうです。ですから、この点はもうちょっと精細に調べて、また、実際に試験場で実験をしていただきたいと思います。あれがもし成功すれば、飼料の解決に非常に役立つのじゃないかと思います。この前伺ったら、苗が高いというお話でありますけれども、現在は、人間の食べる食用で、葉っぱを三越だの二幸で売っております。だから、そういうような食いものみたいに考えておるから高いのでありますけれども、実際栽培すれば、宿根性でどんどんふえるのです。ですから、私はあれは安いものだと思うのですが、それはその点でとどめます。  なお、この次に伺うのは、牧草や飼料作物の研究と生産技術というものは、諸外国に比べて非常に日本はおくれておることは事実だと思うのです。にもかかわらず、その指導組織が貧弱で、県においても農協においても非常に貧弱であります。全国で農業専門技術普及員、これが七百六十四名おりますけれども、飼料関係の普及員というのは全国でわずか十八名しかいないそうです。それで、この指導の組織が設置されていない県が二十八府県あるとも聞いておりますが、このようなことで、政府の考えているように、粗飼料対策と言っておられますけれども、こういうようなことではとうてい満足な推進はできないと思うのですが、政府委員にお答え願ったあとで大臣にも御意見を伺いますが、それらの点に対して現状はどういうことになっておるのか、また、今後どういうふうに増員してこれを充足して飼料対策に力を注がれるか、その点をお答え願いたいと思います。
  278. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 草をはじめ自給飼料につきましては、諸外国に比べてわが国はおくれておるということは確かでございます。そこで、最近の畜産の発展に伴いまして、試験研究を拡充いたしまして、新品種の育成なり栽培等につきましての研究につとめておるわけでございます。お話しの専門技術員につきましては、全体が七百六十四名のうち、飼料関係が十八名ということで、非常にまあ少ないではないかというお話でございますが、まことにごもっともだと思うわけでございます。ただ、この飼料関係につきましては、先ほど申し上げましたように、わが国はおくれて出発をしたという関係から、飼料の十分な技術者を多数得るということがなかなかまだむずかしい段階にあるわけなんであります。専門家というものはきわめて少ないわけでございますので、したがって、専門技術員も必ずしも全部置かれておるというふうな状態にはなっていないわけでございますが、普及員につきましては、現在、畜産飼料関係といたしまして千七百六十名の普及員が設置されておりまして、この普及員が自給飼料増産等につきましても鋭意指導普及をいたしておるわけでございまして、こういうふうな普及員の研修等を通じまして飼料の専門技術員をつくり上げていくというふうなことにいたしたいというふうに考えておるわけでございますが、今後におきましては全県、に飼料の技術員が置かれるように努力をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  279. 北條雋八

    ○北條雋八君 このあいだちょっと雑誌か何かで見たのでありますけれども、農林省は、ことし、飼料対策の事業として、飼料作物の奨励品種を県別にきめたということ、それから県別、地域別の飼料作物の作付体系と基準を設けた、三番目に全国的の牧草の種子の保証制度を確立したということが出ておりましたが、それは一体どういうことなんでございましょうか。
  280. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 四十二年度におきまして都道府県別の適品種を決定をさせるということで、現在実施を始めておるわけでございます。四十三年度も引き続いて実施をすることにいたしておるのでございます。  それから優良品種の保証につきましては、これは保証のための組織が必要になるわけでございます。今年中にそういう組織をつくりたいということで現在具体的な内容を検討いたしておるわけでございます。
  281. 北條雋八

    ○北條雋八君 まあ幾ぶんでも前向きでスタートしているという証拠の一つになるのではないかと思うので、けっこうだと思うのですが、もっと画期的に飼料対策には力を注いでいただきたいと思います。  次に伺いたいのは、わが国のように土地基盤が制約されておりますその中で多頭化飼養を進めていくには、濃厚飼料への依存が宿命的なものと思います。したがって、酪農基盤を定着さしていくには、飼料をふやし、できるだけ価格の負担を軽減させていくことが最も重要な要素だと思うのであります。しかるに、先ごろ、民間業者において、ふすま、あるいは麦、ぬかなどの飼料の卸売り価格を値上げをいたしました。それにならいまして政府までが手持ち飼料の値上げを行なったということを聞いたのですが、これはあまりにも農民に思いやりがなく、かつ酪農振興にブレーキをかけるいわゆる本末転倒の処置であると言わざるを得ません。これに対して大臣はどう考えておられますか、見解を伺います。
  282. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 政府操作飼料売買価格につきましての考え方としましては、価格を自由流通の一般飼料価格より著しく低位に置くということは流通上好ましくないというのは、おわかりのとおりであります。そこで、もしそういうことにいたしますというと、かなり市場において摩擦的な影響が生じますし、また、供給量に限界のあります政府操作飼料に対する依存度を不自然に大きくいたす結果になりますので、そういう事情で政府の操作しておる飼料といたしましても若干の値上げをせざるを得ない、こういうことでございます。
  283. 北條雋八

    ○北條雋八君 それは何とでも理屈はつきますけれども、できるだけ飼料の値段を現状にとどめる、なお進んではどうしたら下げることができるかということを考えるこの時期で、民間が上げてもこれはやむを得ないとしても、少なくとも政府で持っている飼料は上げなくたって、安く農民に分けてやるということはできるんじゃないかと思います。何もそれを民間と歩調を合わせなくてもいいんじゃないかと考えますが、特に麦を輸入しまして自然にできるふすまでありますけれども、元はかかっていないのですから、そういうものをできるだけ安く農民に分けてやるということはできないことはないのじゃないかと思います。  なお、製粉会社が扱うふすま、ああいうものはどのくらいあるものか、また、このふすまをどういう経路で農民に還元させておるか、その点がおわかりだったら……。
  284. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 一般製粉会社のつくりますふすまは、食管で売ります小麦から小麦粉をとりましたあと、ふすまをつくっておるわけでございます。これは自由流通のものでございますので、それぞれ卸、小売等を通じまして農家に売り渡しをされておる。一方において、配合飼料メーカーに売られまして、配合飼料として農家に供給されるようになっているわけでございます。この数量は約八十万トン程度でございます。  政府が操作をいたしております飼料につきましては、輸入しました小麦を特定のメーカーに売却をいたしまして、この売却いたしました麦からふすまをとりまして、これを畜産関係の団体を通じまして農家に売却する、また、配合飼料工場に売却するというふうな措置をとっておりまして、四十二年度におきましては五十五万トン程度の生産が可能になるわけでございます。  価格の問題につきましては、御承知のように、最近、麦の国際価格が値上がりをいたしております。そういうことに伴いまして食管の飼料小麦の売り渡し価格が若干高くなることに伴いまして、ふすまの価格が上がることになったわけでございますが、先ほど大臣からお話もございましたように、少なくとも酪農につきましては自給飼料をできるだけ増産をしして牛に給与すべきであるというふうな方向で努力をいたしておるわけでございますが、濃厚飼料価格が著しく安いということになりますと、濃厚飼料依存度が高くなりまして、自給飼料増産政策というものと矛盾をしてまいることにもなるわけでございます。したがいまして、政府の操作いたしますふすまの価格につきましても、適正なる価格ということを考えざるを得ないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  285. 北條雋八

    ○北條雋八君 生乳のことについて伺いたいと思うのですが、この資料によって見ますと、四十一年度飲用向け生乳が、百九十七万一千七百トンが生乳として回されておるわけですが、このうちで学校給食用が含まれているんだと思うのです。この学校給食用向けと一般向けの内訳がおわかりになったら、それを明示していただきたいと思うのです。このほか、一般市内に配達されております加工乳の生産量はどのくらいか。その二点を政府委員からお伺いいたしたいと思います。
  286. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 百九十七万一千トンのうちで、学校給食用は十八万二千八百十六トンということになっております。
  287. 北條雋八

    ○北條雋八君 学校給食用は、文部省のほうではないのですね。やはり扱いは農林省で、この中に入っているわけですね。
  288. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 学校給食につきましては、農林省で助成をいたしておるわけでございます。数量といたしましては、先ほど申し上げました十八万二千八百十六トンというのは、百九十七万一千トンの内訳でございます。
  289. 北條雋八

    ○北條雋八君 このほか、一般市内に配達されている加工乳の生産量はどのくらいありますか。
  290. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) ちょっと単位が違うわけでございますが 普通牛乳の生産量が九十二万四千キロリットルでございます。それに対しまして、加工乳が八十六万三千キロリットルということになっているわけでございます。
  291. 北條雋八

    ○北條雋八君 この加工乳が生乳と比べて割り高でありまして、どうしてそういう割り高になるのか。粉乳とバターの安い原料でつくるものでありますのに、非常に高いのですね、ふつうの生乳より。われわれが生乳を飲みたくても全然飲めないということに対して、どういうわけでそうなるのか。生乳の実際われわれの口に入る数量が不足しているのか、その点がわからないのですが。
  292. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 御承知のように、 牛乳というのは、生乳を熱処理をいたしまして殺菌をいたしたものが普通牛乳と称しているのでございます。加工乳というのは、普通牛乳の場合と違いまして、それに脱粉だとかバターだとかというものを添加をいたしまして、脂肪分だとか無脂固形分等につきまして増量をいたしておるのでございます。したがいまして、価格的に申しますと、加工乳のほうが普通牛乳より高くなっているわけでございます。普通牛乳につきましては、もちろんこれは加工乳とともに販売されているわけでございますが、昨年度は御承知のように生乳生産がやや停滞をいたしましたこともございまして、普通牛乳が不足をいたしました関係から、加工乳が増加をいたしておるということになっておるわけでございます。そういうふうな関係から、あるいは普通牛乳が入手できないという場合があったかと思いますが、これは今後できるだけ牛乳の生産をふやしまして、消費者に十分届けられるようにいたす必要があるというふうに考えておるわけでございます。
  293. 北條雋八

    ○北條雋八君 生乳のことで少しまだ聞きたいと思うのですが、大臣は私はもうよろしゅうございます。
  294. 野知浩之

    委員長野知浩之君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  295. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 速記を起こして。
  296. 北條雋八

    ○北條雋八君 その七〇%が市乳で、そうして三〇%が加工乳だから、相当市乳があるはずなんですが、どこへ行ってもないといって断わられるのはどういうわけなんですか。
  297. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) そういうふうなことは全くないのではないかと思います。まあたまに普通牛乳がないという場合もございますけれども、しかし、どこへ行っても普通牛乳の全くないというようなことはないのではないかというふうに考えております。
  298. 北條雋八

    ○北條雋八君 いや、私は現に二、三カ所飲みたいものであちこち尋ねたのですけれども、置いてないと言うんです。みんな加工乳ばかりだと言う。それはどういうのですかね。生乳を扱っていないのです。
  299. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 普通牛乳につきましては、主としてこれは家庭配達に向けておるわけでございます。したがいまして、家庭配達に向けて余裕がある場合にもちろん、店頭で販売されるということになるわけでございますから、したがって、店頭で全く普通牛乳を売っていないということもないように私たちは存じておりますけれども、店頭販売の場合には、先ほどのような生乳生産停滞ということもございまして、比較的に少なくなっております関係から、加工乳が販売されておるという場合が多いように承知しておるのでございます。
  300. 北條雋八

    ○北條雋八君 いや、それは、私の言う場合は、家庭配達に注文しても配達してくれないんです。それは二ヵ所もそうなんです。だけれども、その点はほんとうにどういうわけだかわからないから伺ったわけですがれ。数量が足りないのか……。
  301. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 一般的にはそういうふうなことはないというふうに存じております。私も最近住宅をかわりまして、牛乳の申し込みをいたしまして普通牛乳をとっておりますけれども、快く牛乳屋から毎日配達を受けておるわけでございます。したがいまして、一般的にはそういうことはないと思いますが、あるいは特定の場合にそういうことがあるかというふうにも思いますが、よく調査をいたした上でないと現在のところ申し上げられないというふうに思っておるわけでございます。
  302. 北條雋八

    ○北條雋八君 そうすると、あなた、なんですか、生乳を毎日飲んでおられるわけですか、加工乳でなしに。
  303. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 私は普通牛乳を飲んでおります。
  304. 北條雋八

    ○北條雋八君 値段は幾らですか。
  305. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 値段は二十円でございます。
  306. 北條雋八

    ○北條雋八君 そうですか、やはり。  次に、ちょっとこれをまたついでに伺うのですが、現在配達されております牛乳の鮮度をチェックする何か機関があるのかどうか。われわれ飲んでおります牛乳のふたに、日にちが書いてなくて、何曜日何曜日と書いてありますね。これが配達ができないで、残ったやつを一週間後に配達されてもわからないです。この点はあちこちから何とか日にちを入れるようにしてもらいたいということを聞くのですが、この点はむろん御承知と思いますが、これはどういうふうに処理されますか。
  307. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 牛乳の品質管理につきましては、御承知のように、厚生省が所管をいたしておりまして、衛生的な観点から検査等を行なっておるわけでございます。  それから曜日制の問題につきましては、日にち制がいいか、曜日制がいいかというのは議論がございまして、まだ的確な方向が出ておらない現状でございますけれども、普通牛乳につきまして一週間以上普通の状態でもつということはないわけでございますから、したがいまして、火曜日とありますのが翌週の火曜日に配達されるという場合には、かなり変質をいたしておりまして、普通の状態でも十分見分けがつくという状態にあると思いますし、現実の普通の家庭の状態においては、そういうことは全くないのではないかというふうに考えております。
  308. 北條雋八

    ○北條雋八君 それじゃ、これで終わります。
  309. 野知浩之

    委員長野知浩之君) これにて暫時休憩いたします。午後八時零分より再会いたします。    午後六時五十二分休憩      —————・—————    午後九時二十八分開会
  310. 野知浩之

    委員長野知浩之君) ただいまから委員会を再会いたします。  休憩前に引き続き、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のある方は、順次御発言願います。
  311. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 先ほど、矢山委員から、補給金に対する差益金の問題と一般会計からの交付金の問題でいろいろ質疑があって答弁があったのですが、私もこれを聞いておりまして重ねていろいろお尋ねをしたいというふうに思っておったのですが、いま附帯決議でいろいろ御論議の最中のようでございますから、これは後ほどにいたしまして、畜産局の酪農振興、これは、広く言いまして、畜産振興の施策のための補助金は、畜産局から流れるものと、地方競馬全国協会から流れるものと、さらにまた事業団から流れるものと、三つあるのですね。この点について若干お伺いをいたしたいわけなんです。  国が直接補助金を出してやっているものというのは、私のほうで調べさせましたところが、二十九億くらいあるんですね。あと、まあ交付金という形で、あるいは食管特別会計の繰り入れとか、あるいは学校給食に対する交付金とか、あるいは公共事業関係がありますが、そういうものを除きまして、非公共の畜産振興の政策のための補助金というものは二十九億くらいある。地方競馬会が出している補助金というのが十四億。そこで、先ほど、局長が、今度のこの法律の改正によりまして差益金を事業団の助成勘定に繰り入れる。この繰り入れたあとの使い方について、これは各県にある指定生産者団体に出してファンドとして使うんだというような話でしたね。これはファンドとして使うのですか、それをまず聞きたい。
  312. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 事業団から指定生産者団体に交付いたしまして、指定生産者団体からそれぞれの団体なり共同利用者に交付する、こういうことになるわけでございます。
  313. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 そうですか。私はそれじゃ誤解しておりましたですね。ファンドとして使うという話ですから、それはたくわえておいて、それの運用利子ですか、利子で補助をされるのかというふうに受け取ったのですが、そうじゃないわけですね。  そこで、地方競馬会が競馬法に基づいて十四億の補助金を出しておるわけですが、これは具体的にどういう形で交付されるわけですか。それは農林大臣の承認を得るということになっておるようですけれども、具体的にはどういう手続を経て交付されるのか、その場合の都道府県知事というのはどういう立場にあるのか、これの関係について何かタッチをしているのか、それをまず伺います。
  314. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 地方競馬会の益金につきましては、これを助成をいたしますについては、もちろんお話のように農林大臣の承認を受けて交付することになるわけでございますが、その際、地方競馬全国協会から直接に助成を受ける者に交付をいたします。ただし、交付決定をいたすにあたりましては、都道府県知事の意見を聞いて決定をするということにいたしておるわけでございます。
  315. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 そうしますと、この十四億の補助金については、都道府県知事の意見を聞くということですから、監督はないのですかあるのですか。それから畜産局の、この実施についての効率とか、あるいはその追跡をするとか、そういう関係はないのですか。
  316. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 都道府県知事の監督はございません。単に都道府県知事の意見を聞くのみでございます。農林大臣は地方競馬全国協会の監督をいたしております。この交付されます助成について直接の監督はございません。地方競馬会全国協会が助成をいたしました場合においては、その助成金が適正に使われるかどうかということにつきましては、地方競馬全国協会が監督をするという立場に立つわけでございます。
  317. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 そうしますと、地方競馬会のこれは、十四億の補助金を出す場合に、大臣の承認を受けるけれども、畜産局でこれをプラスしたり、削ったり、あるいはこれを査定をしたり、そういうことはしない、承認を得るだけだ、都道府県知事は監督はしないということですね。  そこで、これは、性格上、地方競馬会というのが、政府の出資もないし、競馬法に基づいてできた団体だという関係もあって、そういうことをやっておられるのだと思うのですが、いささか私は不備なような感じがするんですね。この補助金の内容を見てみますと、項目は相当な項目にわたっているんですよ。しかし、中を見てみると、ほとんど継続的なものはありませんですね。散発的なんです。毎年、ことしは十四億ですが、去年は十二億、その前の年もまた十一億か十二億程度の補助金を流しておるわけですが、畜産の振興の施設に対する補助金としては、先ほど私が申し上げましたように、非常に大きなウエートを占めているわけですね。そのウエートを占めているこれについて、項目を見て、三年間の項目を見ただけでも、継続的なものはない、非常に少ない。二つか三つ程度でありますけれども、あとは全部何かその場限りの補助金のように見えるのですね。これはどうも私は合点がいかないのですけれどもね。法律のたてまえはそうなっているのだからやむを得ないということで済まされない問題じゃないかと私は見ているのですが、局長はどういうふうにお考えになっておられますか。
  318. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 先ほどお話しを申し上げましたように、一般会計から出します補助金につきましては、全国的な観点から基本的なものに出すというふうな考え方をいたしておるわけであります。したがいまして、地方競馬全国協会から助成をいたすものにつきましては、一般会計と競合しないようにということで、酪農をはじめ畜産一般の振興に役立つものというものに限定をいたしまして支出をするということにいたしておるわけでございます。
  319. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 この補助金については、先ほどお話がありましたように、畜産局としても、その補助金の交付の効果なんというものについてはとやかく言う筋合いのものではない、都道府県知事もこれについては行政的な監督権はないというわけでございますね。まあ大臣は承認しているだけだと、こういうわけですね。そうして、その項目は、いま言うように非常に多項目にわたっているけれども、継続的なものというのはほとんどない。そして、その効果その他については競馬協会がやっているんだ。しからば、その競馬協会というのはどの程度の補助金についての効果を測定したり科学的に判断する力を持っているのかということになりますというと、これは十四項目にわたります補助金の項目を監督をする、その効果を測定していくといいますかね、あるいはその申請事業計画を査定をするとかというにははなはだ不十分だと思うのですがね。私の言いたいのは、そういう意味で見てみますというと、悪い意味で言いますと、ことばがいささか過ぎるかもしれませんが、何かつかみ金みたいな感じを非常に受けるのです。競馬でもうけたんだからという感じがあってはまずいわけですけれどもね。そういう感じを受けるわけなんですが、どういうふうに見ておられますか。
  320. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) その点につきましては、もちろんこれはつかみ金で交付するというふうな性質のものであってはならないというふうに思っておるわけでございます。承認を農林大臣がいたします前提といたしまして事務的に具体的に事業計画等については協議をいたしまして、両者で検討いたしまして最終的に承認をするという形をとっておるわけでございます。もちろん、その前に都道府県知事のそれについての意見を聞くわけでございますから、そういうものも一つの判断の資料といたしまして具体的な計画を妥当なものであるという判断を下したものにつきましては助成するということになるわけでございまして、その際に農林大臣が承認をするということにいたしておるわけでございます。
  321. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私は、いろいろな理由をあげて、つかみ金的な感じがするということを申し上げているわけです。それはいま局長答弁いたしましたように、大臣の承認を得るということなんですが、その承認の得方についても承知をしておるつもりなんです。さらに、都道府県知事の意見を聞くというんだが、その意見の聞き方についてもほぼわかっておるつもりです。そして、十四項目にわたりますこの補助金についての事業計画なりあるいは希望書等についての競馬協会の判断力というものがどうかという不信の念を抱かなければならぬ点が多々あるということ。そして、その補助金を出したあとについての監督は、先ほどお話しのように競馬協会しか持っていない。その競馬協会はとてもそういう能力はないんではないか。能力がないと言いますと語弊がありますが、能力については大いに欠ける点があるということになりますれば、結論として、ことばはいささか過ぎるかもしれませんが、つかみ金みたいな感じがするという表現をとっても過言ではないではないか。これは、いまの局長答弁その他から、私は証拠をあげて申し上げておるわけです。これを何らかの形ではっきりする必要があるのではないか。あと大臣が見えましたときに若干伺ってもいいんですが、ただ、これはいろいろ問題になっておる団体ですし、特に私はこの補助金の問題については非常に疑問にしなければならぬ点が多いと思うんです。どうも、畜産局は、新しく急に補助金をもって政策を展開しなければならぬような局になった関係もあって、ほかの局とは違った形になっているような印象を受けるわけですね。つまり、国が直接補助金をもって政策を展開するという以外に、それとは相当違った形で競馬協会というものが十四億の金を出す。さらに、この事業団というのが、これは後ほど畜産振興事業団についてはお伺いしますけれども、いろいろ問題のある団体ですが、この団体が百億をこす交付金なりあるいは助成をやるという状況なんですね。私は、そういう意味では、畜産局として何らかの措置をとる必要があるのではないかという考えを持っているわけなんです。ですが、それは次にいたします。  次に、畜産振興事業団について伺いますが、これは、今度の法律の改正によりまして、さらに年間数十億の金がここに行きまして、それが直接補助金として流れるわけですが、この補助金のやり方はどうゆうふうになっておるわけですか。申請はどこが出すのですか。監督権はどこにあるんですか。その補助金の効果なんというものについての判定なり、あるいは査定なり、そういった点についての責任なり権限は一体どこにあるんですか。
  322. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 補助を行なう場合には、内容の点につきましては農林大臣の承認を受けることになっているわけでございますが、事業実施事業団の業務方法書に規定をいたしまして、その規定に基づきまして実施することにいたすわけでございます。出されました助成金につきましては、もちろん補助金適正化法の適用を受けることになるわけでございまして、会計検査を受けるわけでございます。
  323. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いや、競馬協会とほぼ似たような形になりますか。
  324. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 手続的に申しますと、競馬協会と似たような形で、農林大臣の承認を受けて畜産振興事業団事業実施するということになるわけでございます。ただ、地方競馬全国協会の場合と違っておりますのは、補助金適正化法の適用を受ける。地方競馬全国協会についてはその適用を受けないという点が違うということになるわけでございます。
  325. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いまの点は、あとでまた振り返ってお尋ねをいたしますが、畜産振興事業団は債務保証業務というのをやっていますね。どこに債務保証をしておるのかという点を見てみますというと、ここに書いてありますからわかるのですが、債務保証業務というのをやっておるわけですね。それから出資をいたしておりますね。十一億という出資をやっておりますが、この出資の団体はわかっておりますね。個々の団体を調べてみますというと、いろいろあるわけですね。出資にいたしましても、それから債務保証にいたしましても、債務保証の点から申しますと、運転資金の債務保証、設備資金の債務保証とありますね。その内容は、私はどうも問題があるように思うんですね。代位弁済が多過ぎはしないのですか。大体四年くらい前から代位弁済が非常にふえていることから言いますと、相当なものじゃないかと私は思うんですね。だから、どういう保証をしておるのだろうという感じを受けるわけなんです。しかも、運転資金と設備資金、両方にわたってやっておるわけなんですね。それから出資は、いま申し上げましたように、十一億円という出資をしておるわけですが、この出資の内容を見ますというと、これはいろいろ問題がある。どうも私の感じでは、競馬協会といままでの実績が似ておるような感じがするわけです。そこへもってきて、今回、年間数十億の助成勘定に入ったものから補助金をやる。その補助金については、いま局長お話のように若干違った点があるが、おおむね競馬協会の補助金と同じだというようなことになりますと、これはどうもおかしなものじゃないかと私は思うんですがね。  冒頭に申しましたように、畜産振興のために、その施策のために、補助金として流れているのはいま三つある。その三つは、それぞれ非常に大きいのです。事業団の場合においては、畜産局よりもはるかにでっかい補助金をもって仕事をやるわけですね。競馬協会も十四億という金です。この三つの間に、総合性と統一性というのはどういうふうに持たれているのですか。
  326. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 先ほど申し上げましたように、一般会計で交付いたします補助金は、全国的な観点から見まして基本的なものに交付するというふうな考え方をいたしておるのでございます。それの補完的なものとして一定の考え方のもとに助成をするというのが地方競馬全国協会の助成の方法でございます。今度の輸入乳製品によりまして生じました差益につきましては、ひとしく補完的なものでございますけれども、これは、先ほど申し上げましたように、中央で一定の企画をつくるということではなく、非常に不安定な、おそらく短期的な資金であろうというふうに考えられますので、地方の実情に応じまして最も酪農振興をする上において必要であるというふうに地方で考えますものを取り上げまして、それに助成するというふうな考え方に立っておるわけでございます。  したがいまして、これらの間の総合性といいますか、統一性につきましては、農林大臣が承認をいたすという立場にございますので、その承認という立場を通じましてこれらの事業の間の重複を排除したり、あるいは総合性を確保するというふうな形を考えていきたいということでおるわけでございます。
  327. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 じゃ、たてまえはまあそういうふうな形になっているでしょう。ですが、私は、先ほどから事業団の補助金の問題についていろいろ出資について伺ってきましたし、また、競馬協会の十四億の補助金についての模様についても伺ってきたわけです。そういう中で、私は、統一性と総合性というものがないという判断をしたわけです。だから、形の上では大臣の承認をするという形になるわけですけれども、先ほども局長答弁にもありましたように、単なる承認であるのか。具体的に言えば、先ほどから私が伺っているとおりなんです。もう少しそういう点について畜産局として根本的に再検討する必要があるのではないかという考え方を持っておるわけなんです。ですが、これはどうですか、検討しますか。私も、もう少しこれは突っ込んで伺ってもいいんですよ。いいんですが、時間の関係もありますから省略しますけれども、これは検討する必要があると思うんです。あまりにも容易にといいますか、安易にというのですか、科学的でない。つかみ金ということばをさっき使って、言い過ぎという感じもするのですが、そういう感じすら受けるのです。ですから、もう少し何かがっちり統一性、総合性を持つような一せっかくの大きな金でありますから、全体として総合性と統一性を持たせるという検討は要るのではないか、こう思うのですけれども、いかがでしょうか。
  328. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) もちろん、私たちも、相当な金額がそれぞれのところに団体を通じまして助成をされるということになるわけでございますから、これが真に畜産振興なり酪農振興を有効に果たすということでなければ意味がないというふうに思っております。したがいまして、その点につきましては、私たちも慎重にこれに対処し、総合的な統一的な形で運用されるようにやっていきたいというふうに考えておるわけでございますが、今後実施をいたしますにつきましては、その点については十分検討を進めながらやってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  329. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 畜産振興事業団は、出資を、十一億七千万円を七つの団体に対して出しております。どうも、私は、畜産振興事業団として考えました場合に、これは積極的な意味というのはあまりなくなっているんじゃないかというふうに思います。それから債務保証についても、同じようなことが言えるんじゃないか。畜産振興事業団としてどの程度の積極的な意味があるのかといいますと、どうも非常に疑問に思うのです。そこで、今回、また非常に大きな数十億という金が毎年流れるわけですが、この際に畜産振興事業団というものをやはり根本的に再編成する必要があるんじゃないか。臨時行政調査会が答申を出したり、行政管理庁がいろいろなことを言っているわけなんですけれども、そういう中で私どもも確かにうなずける点があるんです。もっと、臨時行政調査会の意見なり、行政管理庁の意見よりも、この点は畜産振興事業団というものを根本的に再編成する必要があるんではないか、こういうふうに考えているのですけれども、局長、どうですか。
  330. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 畜産振興事業団についての意見は承知をいたしておるわけであります。この点につきましては、十分検討もいたしておるわけでございますが、特に学校給食、債務保証等についての意見があるわけでございますが、債務保証につきましても、まあ過去からの経過があるわけでございまして、当初酪農振興基金というのがございまして、これで債務保証をやっておったわけでございますけれども、畜産振興事業団ができるのに伴いましてこれを吸収いたしまして畜産振興事業団でやるようにいたしたというふうな経過があるわけでございます。そこで、まあ学校給食等のいわば生乳需給調整等との関連もございまして、中小乳業者等に対しまする債務保証というものも関連をいたしておるというふうに考えておりまして、検討はいたしておりますけれども、現在畜産振興事業団でやっておりますことにつきましては十分な意味があるのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
  331. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 債務保証なり出資金なり、こういうものは考える必要があると思いますね。非常に混雑していますね、この事業団というのは。つけ足しつけ足しでバラックをつけ足していったわけですね。しかも、非常に大きな仕事を背負っているわけですよ。おそらくこれは六百億ぐらいの仕事になるでしょう。いま四百億ぐらいの仕事だと思いますが、非常に大きな仕事をやっておるわりにしては中が混雑しているように思うし、それから不純なものも入っているように思うしという私は考えなんですよ。そういう空気を一掃しなければ、畜産振興事業団というのは今後問題が出てくるんじゃないか。出資のやり方を見ましても、補助金の出し方を見ても 私は相当問題があると思うんですね、このやり方は。あるいは、債務保証の問題についてもですよ。こういうやり方をやっているというと、先ほど矢山委員からも話がありました価格安定業務に対する問題についても、私は根深いものがあると見ているんです、豚肉の問題についてですね。ですから、こういう機会に、相当変わっていくわけだから、根本的に再編成する必要があると思うんですが、局長はいまのところないというお話なんですが、あらためてまたこの点についてお尋ねをいたしますけれども、ただ私は、ここでちょっと申し上げておきたいのは、昨年五月ごろですか、この委員会で牛肉の問題をやったでしょう。そのときも、青天のへきれきのごとく肉牛が減ったというんですね。青天のへきれきだというわけですよ。今度のこの差益の問題にしましても、何か突如としてたいへんな輸入激増になったと、一億かそこらだと思っておったら、四十何億ですかの差益になっちゃったというような、突如として差益になってきたというような感じなんですね、畜産局の言い方がですよ。私はそういうものじゃないんじゃないかと思うのですがね。なぜこういうふうにまあ言い方によれば突如として何十倍かの差益になっちゃったかと理由を聞きますというと、これとこれだ。そんな理由なら、これはもう二、三年前からわかっていることじゃないかというふうに言いたいんですよ。それから肉牛の問題にいたしましても、青天のへきれきのごとく数十万頭減っちゃったというおかしなことがあるわけはないんです。ああいう詳細な統計を持ち、いまからいえば四カ月くらい前の統計というのが完備しているわけですからね。そういう点から言いますと、何か私は畜産局の政策の考え方の基礎にあるものに問題を感ずるわけなんです。この畜産振興事業団についても同じ。競馬協会の問題についても同じ。ですから、何かそういう点についての欠ける面があるような気がしてしようがないものだから、この補助金の問題についても、総合性と統一性のために格段の検討が要るのではないか、事業団の問題についてもこの機会に再編成する必要があるのではないかという意見を申し述べておるわけです。  それはそれだけにいたしまして、次に、先ほど大臣答弁いたしましたが、また、局長答弁したんですが、四十六年を目標にいたしまして需給のバランスをとるというお話でしたね。それで、すでに法律に基づきまして酪農近代化方針決定をしているし、それに基づきまして近代化の計画もでき上がっているわけですね。そういうところから言いまして、四十六年に需給の均衡がとれるのですか。何かそういうふうに先ほどは答弁になったように思うのですが、とれるのですか。
  332. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 酪農近代化の目標につきましては、昭和四十年度に策定をいたしたのでございますが、その後、生乳生産伸び率停滞をするというふうな事態もございましたこともございまして、この目標を実現するためにはなみなみならぬ努力を要するであろうということを申し上げたわけでございます。ただ、しかし、私たちといたしましては、酪農基本的な方針といたしましては、できる限り国内で自給をするように生産を振興いたしたいというふうに考えておりますので、この目標に向かって最大限の努力をいたしたいということを申し上げたわけでございます。
  333. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 そこで、最大限の努力をされるというわけですが、法律に基づきまして出しました酪農近代化方針と、それに基づいた酪農近代化計画と、相当食い違っておりますね。これはなみなみならぬ努力ではどうにもならぬというふうに思うんですけれどもね。私は、畜産局が出した近代化方針よりも、それに基づいた計画のほうがもっと事実に近いだろうと思うんですね。それを比較してみますというと、四十六年度には相当なアンバランス——まあ七%と八%の経済成長率に分けてやっておりますが、少なくともこれはたいへんな差がありますね。百四十四万トンぐらいの差があるんじゃないですか。あるいは、最低の成長率七%と見ても、七千何万トンの供給不足。とても局長がいまおっしゃるように最大限の努力というふうにおっしゃっても、これはとても間に受けられぬ。しかも、行政管理庁が「行政監察月報」を昨年の十二月に出しておりますね。この中に、酪農の問題についてほとんど全面にわたって監察をいたしておりますね。その監察を見ましても、とても県の計画自体が一つまり、法律に基づいて出した畜産局の近代化方針に基づいて県がつくった近代化計画、この近代化計画そのものが非常に裏づけのないものだということを指摘していますね。そういう点から言いますと、いま局長のおっしゃるように最大限の努力をしたいとおっしゃる気持ちはわかりますけれども、まあそう気張らないで、ここらあたりで御修正なすったらどうかと思うわけなんですよ。こんなに差があったのじゃ、これはどだい話にならない。百四十四万トン差があったり、最低の伸び率の場合でも七十何万トンという差があるでしょう。しかも、県が出した計画がずさんだと書いてある、あらゆる点をあげて。非常に裏づけがないと言っているでしょう。そうしますと、もっとこれは落ちると見なければいかぬですね。これは局長の精一ぱいの最大限の努力とおっしゃっても、何とも真に受けられないのですが。
  334. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) 四十六年の目標につきましては、七百九万六千トンということを一応目標といたして努力いたしておるわけでございます。行政管理庁の指摘も、もちろん承知をいたしております。畜産につきましては、御承知のように、動物でございますために、なかなか計画としてもむずかしい面があるわけでございます。しかし、最近の情勢で御承知のように乳牛の頭数もふえつつあるというような状態にもなってまいっておるわけでございます。その状態をさらに推し進めていくということによりまして、できるだけ目標に接近するように努力をしたいというふうに考えておるわけでございます。相当長い期間の目標でございますから、計画どおりに進めるということは困難な点があるわけでございますけれども、できるだけいろいろな施策を講ずることによりましてこの努力目標達成するように努力をしたいというふうに考えておりまして、現在の状況のもとにおきましては直ちにこの計画を改訂すべきであるかどうかという問題がございますので、なお情勢の推移を見ながらこの問題についても検討を進めたいというふうに考えておるわけでございます。
  335. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 昭和四十年に酪農三法が出ますと同時に、酪農政策が大きく前進したといわれておりますね。つまり、酪農が飲用の牛乳に大きく転進をして、加工原料乳のほうが軽視されるといいますか、中心は飲用乳になるという事態に大きく転進したといわれておりますね。確かに、全牛乳の生産高の四六%程度からいまは三五%か三六%に落ちておりますね。今後、先ほどお話しのような四十六年を目標にした計画の中で言いますというと、非常に供給が不足する。そうしますというと、これは輸入というのはどんどんふえるじゃないですか。これからもますます輸入というのはふえるのじゃないか。畜産局の計画の中では、生産はなかなか思いどおりにいかないが、需要の測定だけはほぼ推定どおりいくようですけれども、それから言いますと、相当不足している面は輸入にたよらざるを得ない。それは、原料乳といいますか、乳製品だということになる。乳製品はどんどん輸入される、差益金はふえるというようになるでしょう。そういうことになりませんですか。
  336. 岡田覚夫

    政府委員岡田覚夫君) お話のように輸入がどんどんふえるということになりますと、差益金がふえるということになるわけでありますが、先ほどから申し上げておりますように、この際、生産の振興をはかりまして、できるだけ差益金をなくするという方向にこれを使用したいというふうに考えておるわけでございまして、われわれとしてはできるだけ最大限の努力をいたしまして四十六年の目標達成するようにいたしたいというふうに考えております。
  337. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 局長、最大限の努力がだいぶ続くわけですが、しかし、先ほど私が申し上げておるように、たいへんな開きがある。もっとそれが開く。その点について、最大限の努力、最大限の努力とおっしゃるのですが、しかし、開く限りにおいては、輸入はやはり増加していくと見なければならない。なくしようとおっしゃるのだけれども、そうはならぬじゃないですか。その限りにおいては、やはり輸入差益金というのはどんどんふえるでしょう。そのことは、日本の酪農というのは非常な圧迫を受けるということになるわけですね。犠牲の上に今度酪農の近代化が進められるわけです。  それはそれくらいにいたしまして、先ほど冒頭に申し上げました差益金の問題、一般会計の差益金と補給金に対する関係について、先ほどの矢山委員大臣局長との論議の中で重ねてお伺いをしようと思っておりましたのですが、いま附帯決議もまとまったようでございます。したがいまして、いささかしり切れトンボの形になりますけれども、この辺で終わりたいと思います。
  338. 野知浩之

    委員長野知浩之君) ほかに御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  339. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  340. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。加工原料乳生産者補給金等暫定措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  341. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  矢山君から発言を求められておりますので、これを許します。矢山君。
  342. 矢山有作

    矢山有作君 ただいま可決されました加工原料乳生産者補給金等暫定措置法の一部を改正する法律案について、自由民主党、日本社会党、公明党、三党共同による附帯決議案を提出いたしますので、御賛同をお願いいたします。  案文を朗読いたします。  以上でございます。
  343. 野知浩之

    委員長野知浩之君) おはかりいたします。  矢山君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  344. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、農林大臣から発言を求められておりますので、これを許します。倉石農林大臣
  345. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) ただいま御決定になりました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重して努力をいたしたいと存じます。
  346. 野知浩之

    委員長野知浩之君) なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  347. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  348. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 果樹保険臨時措置法案を議題といたします。  提案理由の説明を聴取したします。倉石農林大臣
  349. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 果樹保険臨時措置法案につきまして、提案理由を御説明申し上げます。  果樹農業につきましては、政府は、農業生産の選択的拡大の一環としてその振興をはかってまいりましたが、最近、国民生活の高度化による需要の増大と、それに対応する農業者の旺盛な生産意欲にささえられ、果実の生産は急速に増加し、逐次その成果があらわれてまいっております。  したがって、わが国の農業における果樹農業の占める比重も最近とみに大きくなっており、これに伴い、適切な災害対策の必要性がますます大きくなっていることは、あらためて申し上げるまでもないところであります。  このような果樹農業を取り巻く諾事情にかんがみまして、政府は、昭和三十五年以来、果樹保険の制度化につき種々検討を続けてまいりました。しかしながら、果樹農業におきましては、保険制度を樹立するのに必要な諸種の資料がなお十分整備されておらない状況でありますので、果樹保険の全面的な制度化をはかるための準備として、まず、試験的に事業実施し、保険料率算定のための基礎資料の収集、損害の評価等、事業運営上の諸問題の検討を行ない、その成果に基づいて適切な損失補償制度の全面的な確立をはかることといたした次第であります。  以上がこの法律案を提出する趣旨でありますが、以下そのおもな内容について御説明申し上げます。  第一に、果樹保険の対象とする果樹につきましては、主要な種類の果樹として政令で定めることとしておりますが、当面、ミカン、ナツミカン、リンゴ、ナシ、ブドウ及びモモの六品目を予定しております。  第二に、事業実施主体につきましては、農林大臣の認可を受けて農業共済組合連合会が果樹保険事業を行なうことができることとし、これに必要な手続を規定いたしました。  第三に、果樹保険の内容につきましては、果実の減収、樹体の枯死等による損失をてん補の対象として取り上げることとし、保険金額、保険料率等につき所要の規定を設けることといたしました。  第四に、政府は、果樹保険事業を行なう農業共済組合連合会と再保険契約を結ぶことができることとし、その再保険契約の内容は、いわゆる超過損害歩合再保険方式、すなわち連合会の保険責任のうち異常責任部分の一定割合を再保険する方式によることとし、再保険金額、再保険料率等につき所要の規定を設けることといたしました。  第五に、国は、農業共済組合連合会が果樹保険事業を行なうのに要する事務費を補助するとともに、果樹保険事業の円滑な実施をはかるため、果樹保険に加入する農業者に対して交付金を交付することとしております。  このほか、農業共済基金は、果樹保険事業を行なう農業共済組合連合会に対してその保険金の支払いに要する資金を融通することができることとするとともに、農業共済組合連合会は、農業協同組合その他の果実出荷団体に対して資料の提供につき協力を求めることができることとする等、事業の円滑かつ適正な運営を期するため必要な規定を設けることといたしました。  なお、この法律は、昭和四十三年四月一日から施行し、この法律が果樹保険の試験実施のための臨時措置法であることにかんがみ、その施行日から五年以内に別に法律で定める日に失効するものといたしました。  以上がこの法律案の提案理由とおもな内容であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますよう、お願い申し上げます。
  350. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 本日はこれにて散会いたします。    午後十時二十四分散会      —————・—————