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川村清一君 それじゃ、時間も四時を過ぎましたので、
あとこれ一問で終わりたいと思います。
私が申し
上げました、まず、漁村の精神的な基盤といいますか、それをつくるために御
努力を願う。これはまあ水産庁の直接の仕事でもございませんけれ
ども、そういう方向にも指導の目を向けられると同時に、その基盤の上に、今度は、合併することによってこのようによくなるんだということを啓蒙されると同時に、合併した暁にどんどんとそういう
事業を進められる。すなわち、
組合の施設を拡充していき、
組合の援助
措置を進めていく。現在、沿岸構造改善
事業というようなものが行なわれておりますが、これは予算が少ないのであります。効果があがっておりません。これは前に申し
上げたとおりであります。
次に、漁村の生産をあげるための大事な基盤である漁港の整備、これな
どもとんとして
実績があがらない。先日も
指摘されておりましたが、これなどはこの数字を見ますというと、驚くべきほど少ない。第一次漁港整備計画は、
昭和二十六年から二十九年まで、それの進捗率はたったわずか二二・三%。第二次の漁港整備計画は、これは
昭和三十年から三十七年年まで行なわれまして、この進捗率は七一%であります。それから、第三次の整備計画は、
昭和三十八年から四十五年度まででございます。これは四十一年度推定三五・四%、四十二年度推定四九%、こういう率で進んでおりますが、最終の四十五年度で一体何%になるか。これを道路整備などの進捗率と比べてみると、全然問題にならないわけです。こういう点にはもっともっと
努力していかなければどうにもならないと思うわけです。
それから合併のいま問題になっておるようなそういう漁村は、第一種、第二種、第三種、第四種というような漁港よりももっと小さな補修改良と、こういう
程度のものだと思うのです。まあこれだっていまなかなか進度がおそい。ですから、こういう漁港の整備と同時に、最小限度船揚げ場のようなものはどんどんこれはつくってもらわなければならないと思うわけです。
それから道路でございますが、これも前の
委員会でもお話がございましたが、私はこういう実例を
一つ知っております。これは、終戦後、樺太引揚者が、北海道のある海域に開拓漁村をつくったわけであります。そうして漁業をやった。相当水揚げがあるわけであります。その水揚げされた魚を運ぶことができないのであります、道路がないから。トラックが入ることができない。そこで、せっかく漁獲した、そういう魚がちっとも商品価値が出てこない、こういうことになる。ついにその部落はみんないなくなってしまった、こういう例を知っております。あるいはまた、これはそういう開拓地でございません。もうそこに漁村ができてから百年近くもそういう歴史を持っておる地帯でありまして、魚の種類は相当あるわけです。あったところで、とった魚をどこにも運ぶことができないのです、道路がないから、したがって、その辺では、しょうがないから、イカだけをとっておる。イカに依存する漁業。ほかにまだ魚がある、とったらよさそうなものだけれ
ども、とったところでしょうがない、こういうようなところもあるわけです。したがって、道路をつけるとか、道路がなければそれらの魚が冷凍船でもつて運ばれるとか、こういう
処置がされれば、その辺では経済的に非常にためになるわけです。そのような
処置もぜひ考えていただかなければなりません。
いずれにいたしましても、私は声を大にして申し
上げたいのは、これは私一人の意見ではない。いろいろな人に聞いているのです。みんなが言うのですから、おそらくみながそう思っていると思うのですから、
水産庁長官、ひとつ聞いていただきたい。役所の中で大蔵省に一番弱い役所は水産庁だと、これはうそですかね。みんなそう言っていますよ。これではたいへん困るのです。私は
漁民の声を代弁してきょうはいろいろ長持間にわたって御
質問申し
上げておりますが、皆さんが、全国の
漁民の利益代表という立場で、
漁民の生活を守るんだと、こういう立場から大蔵省にどんどん折衝して、強く当たって、予算を獲得してもらわなければいけないと思うのです。漁港の予算の進歩率が四〇%や五〇%ではしょうがないじゃないですか。構造改善
事業は相当やっているんですよ。やっておったって、それが数字的に効果が
一つも出てきていないのです。これは白書にちゃんと出ております。出ておらないというのはどういうことかというと、予算が少ないから、効果があがるような仕事にまで進んでおらないということなんです。それをもっと大きな予算でどんどん
事業を拡大していくならば、必ず構造改善
事業は効果をあげてくるはずなんですよ。
それから資源がない、資源がないと言うのだが、
ほんとうにないのか。あれほどとれたサンマなんかちっともとれなくなったのは、一体どこへ行ったのか。まさかソ連の船がやってきて全部とっているわけでもないでしょう。白書の上では、何おは不漁であった、しかし漁価が高くなったので
漁民の生産高は上がったなんということを平面的に書かれておりますが、なぜ一体そういう資源がいなくなったのかということは
一つも
分析されておらない。これは皆さんの
責任じゃないのですがやはりこれは資源調査ですよ。もっと資源調査の予算をどんどんとって、そうして沿岸にはもう資源がないのか、また、ふやす資源があるのかどうか。あるいは、底びきなどの問題がありますが、底びきは沿岸をひけば沿岸のじゃまになるから、もっと深海をひいて沿岸のじゃまにならないように底びきができないかどうか、深海に資源がないのかあるのか、こういったようなことをもっともっと調査してもらわなければならないと思うわけです。そうして、そういうようなものが遠洋へあるいは沖合いへどんどん出ていってしまうというと、沿岸のほうがあきますから、そうすると、沿岸
漁民のいろいろな生産をあげることができて経済生活が楽になってくる、
組合の
運営も楽になる、こういうようなことになるのじゃないかと思うわけでございます。
要約して申し
上げますと、世間では水産庁という役所は大蔵省に対して一番弱い役所だと、こう言っておりますが、決してそういうのではないんだ、水産庁は大蔵省に対しては一番強い役所なんだと、こう
漁民に言われるような役所になっていただきたい。きょうは大臣がいませんから、久保政務次官から、あなたは
責任者でございますから、これに対して御見解をいただきまして、私の
質問を終わりたいと思います。