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政府委員(
久宗高君)
漁業協同組合合併助成法案の提案理由につきまして、補足的に御
説明申し上げます。
本法案は、提案理由で御
説明申し上げましたとおり、
漁業協同組合の合併の促進をはかることを目的としておりまして、
法案の
内容といたしましては、第一には合併及び合併後の組合の事業経営計画の樹立に関する
事項、第二には都道府県知事による計画の適否の認定、第三には認定にかかる合併についての
政府の助成措置、第四には認定にかかる合併後の組合の
漁業権行使規則の変更等についての特例につき
規定いたしております。
以下、その細目につき、若干補足させていただきます。
まず、第一に、合併及び合併後の組合の事業経営計画についてでありますが、これは第二条及び第三条に
規定しております。合併及び合併後の組合の事業経営についての
方針は、合併参加組合の
組合員にとって最も関心が高く、かつ、あらかじめこれを策定しておくことは、合併を自主的、計画的に進めるためにきわめて重要なことであることにかんがみて、合併参加組合は、これらに関する
基本方針を定め、総会の特別議決を経ることといたしております。
第二に、都道府県知事による合併及び事業経営計画の適否の認定でありますが、これは第四条に
規定いたしております。都道府県知事は、その組合の経営的基礎が適正な事業経営を行なうのに十分なものであり、かつ、その事業経営計画が経営条件から見て適当でしかも達成可能である場合に限り、合併及び事業経営計画が適当である旨の認定をすることといたしております。なお、都道府県知事が合併及び事業経営計画につき適否の認定を行なうにあたっては、学識経験を有する者の意見を聞くことといたしております。
第三に、
政府の助成措置でありますが、これは第五条に
規定しておりまして、都道府県に対して補助金を交付することができることといたしております。補助金といたしましては、合併後の組合が合併による
規模拡大に伴い施設の統合整備が必要となることが考えられますので、都道府県知事の認定を受けた合併及び事業経営計画に従い、合併後の組合が施設の改良等を行なう場合にこれに要する経費につき助成することができることといたしておりますほか、合併参加組合が自主的に行なう合併及び事業経営計画の樹立、実施につき都道府県が指導を行なう場合に、この指導に要する経費を補助することができることといたしております。なお、
昭和四十二年度予算におきましては、合併助成のための経費として二千七百五十五万六千円を計上しております。
第四は、
漁業権行使規則についての特例でありまして、第六条に
規定しております。これは
漁業協同組合が、販売事業等の経済事業の主体であるとともに
漁業権の管理主体としての性格をも有しておりますため、経済事業の面から見れば明らかに合併したほうがよいと思われる場合でも、
漁業権管理の面で話し合いがつかず合併に踏み切れない場合も見られますので、このような事情のもとにある組合の合併を促進させるため、部落総有的な
漁業権につきましては、従来
漁業を営んでいた
漁業者が合併により不利な扱いを受けることがないように配慮したものであります。
なお、
本法案と
関連して別途提案され、先般成立をみました租税特別措置法の一部を
改正する
法律におきまして、都道府県事の認定を受けた合併及び事業経営計画に従い
昭和四十六年三月三十一日までに合併した組合の清算所得等につきまして課税の特例を設けることにいたしております。
その
内容は、合併後の
漁業協同組合が被合併組合から引き継いだ欠損金につきまして
法人税の課税標準たる所得の金額の計算上損金算入を認めるとともに、合併の場合における清算所得に対する
法人税及び不動産または
漁船の権利取得にかかる登記に対する登録税につきましてもそれぞれ課税の特例措置を講じ、また、合併によるみなし配当に対する所得税の源泉徴収はしないこととすることにより、従来から合併推進の障害となってきた問題につきまして税制面での優遇措置を講ずるものであります。これに伴いまして、事業税につきましても、合併による清算所得及び被合併組合から引き継いだ欠損金につき
法人税におけると同様な優遇措置が講じられることになります。
以上をもちまして、
漁業協同組合合併助成法案の提案理由の補足
説明を終わります。
続きまして、
漁業災害補償法の一部を
改正する
法律案につきまして、提案理由
説明を補足して御
説明申し上げます。
昭和三十九年に
漁業災害補償法が制定されまして以来、
政府は、同法に基づき、
漁業共済団体の行なう
漁業共済事業及び
漁業再共済事業の適正円滑な運営をはかりますとともに、この制度をさらに充実したものにすることを目途に、資料の蓄積とその分析につとめ、学識経験者の意見も聞いて各般の
検討を加えてまいったのでありまして、その結果、ここに
政府の保険事業の新設と
漁業共済への加入の円滑化のための
規定の整備を主たる
内容とする
改正法案を
提出いたした次第であります。なお、このような立法措置とあわせて、本制度の健全かつ円滑な運営を確保するための措置といたしまして、共済限度額率の引き上げ等による給付
内容の充実、国庫補助の強化等をはかることとし、所要の予算措置を講ずることといたしております。
以下、
本法案の骨子について、その概略を御
説明申し上げます。
第一に、
政府の
漁業共済保険事業についてでありますが、保険の
基本的な仕組みといたしましては、
漁業災害の特殊性にかんがみまして、全国
段階において保険設計を行ない、
政府と
漁業共済組合連合会との間に保険契約を成立させることといたしました。この保険契約は、連合会とその会員との間に漁獲共済または養殖共済にかかる再共済契約が成立いたしますと、当然に、
漁業の種別または養殖業の種類に応じた保険区分ごとに、その共済責任期間の開始日が同一の会計年度に属する共済契約についての再共済責任を一体として成立するものといたしております。
政府の保険金につきましては、連合会が支払うべき再共済金の合計額が一定額をこえる場合に、そのこえる金額を支払う方式をとっておりますが、この場合の一定額は、保険区分ごとに、再共済金額の合計額のうち、連合会の再共済責任にかかる危険の態様を勘案して算定される金額といたしております。また、保険料の金額は、保険区分ごとに、純再共済掛金の合計額のうち、
政府の保険責任にかかる危険に対応するものとして算定される
部分の金額といたしております。
なお、
政府は、連合会が法仲もしくは連合会の共済規程に違反し、または損害額を不当に認定して再共済金を支払ったとき等の場合には、保険金の支払いを免責される旨の
規定を設けております。一方、連合会は、この保険事業に関する
政府の処分につき不服があるときは、農林
大臣に対し、審査を申し立てることができることといたしておりまして、審査の申し立てがありますと、農林
大臣は、農林省に附属機関として設置される
漁業共済保険審査会の審査を経て裁決することといたしております。
以上のほか、
政府の保険事業の実施につきまして所要の
規定を設けておりますが、保険事業の業務の執行に要する経費は、一般会計から
漁船再保険及
漁業共済保険特別会計に繰り入れて国庫で負担することといたしております。
第二に、漁獲共済及び養殖共済についての
改正でありますが、漁獲共済につきましては、加入の円滑化をはかることを主眼として、次のような
改正を行なうことといたしております。
まず、漁獲共済について申し上げますと、その対象とする
漁業のうち、採貝、採そう業等につきましては、都道府県知事が定める一定の水域単位にこれらの
漁業を営む
中小漁業者の全員で
一つの団体を構成して加入する方式をとっておりますが、二以上の
漁業協同組合の
組合員が入り会い操業する水域での加入を円滑に進めるため、
政令で定めるところにより都道府県知事が当該
中小漁業者の住所地のすべてが含まれる地域を分けて二以上の区域を定めたときは、その区域ごとに団体を構成し得ることといたしました。この区域は、当該
中小漁業者の全員の住所及び漁獲物の販売に関する事情を考慮して、それぞれの
漁業協同組合の地区ごとに定めることとする予定であります。
さらに、十トン
未満の
漁船漁業につきましては、一定の区域内に住所を有する被共済
資格者の二分の一以上から加入の申し込みがなければ、共済契約を締結できないこととなっておりますが、この要件が成り立ちやすくするため、被共済
資格者のうち当該
漁業を営む日数が一年を通じて九十日以下である者は除くことといたしております。
これらのほか、漁獲共済の適正円滑な運営をはかるため、国庫補助を強化することとあわせて、採貝、採そう業等につき共済金額の最低限度を設けるとともに、漁獲共済の対象とする
漁業についての
規定等の整備を行なうことといたしております。
次に、養殖共済について申し上げますと、
漁業者が個別に加入する現行の方式を
改正して、漁場管理が団体的に行なわれている
漁業法第七条の特定区画
漁業権に基づく養殖業のうち
政令で定めるものにつきましては、都道府県知事が定める一定の水域内においてその養殖業を営む
中小漁業者の全員で団体を構成して加入することといたしております。また、共済金の支払いについて養殖業のうち特定のものにつきましては、共済責任期間中の損害額の通算による超過支払い方式をとることといたしておりますが、これを適用する養殖業は、その経営事情及び共済事故の発生の態様に照らして特例を定める必要があるものとして
政令で定める種類の養殖業といたしております。
第三に、連合会の再共済事業の
改正について申し上げます。
現行制度では、
漁業共済組合と連合会との間の再共済契約は、共済契約にかかる支払い責任を連合会と組合とが一定の割合で分担する比例契約となっておりますが、
漁業共済団体の事業経営の健全化を期する観点から、漁獲共済及び養殖共済については、共済契約ごとに、支払い共済金が一定額以下であるものについては組合の責任を重くし、損害査定等についての組合の努力を促し、支払い共済金がこの一定額をこえる深い事故については連合会の責任を重くする比例超過契約に改めることといたしております。
第四に、以上申し上げた
改正に伴う
規定の整備といたしまして、
漁業共済保険事業の経理を行なうため、
漁船再保険特別会計に独立の勘定として
漁業共済保険勘定を新設して、その歳入歳出科目を明らかにし、これに伴い同会計の名称を
漁船再保険及
漁業共済保険特別会計に改める等、
漁船再保険特別会計法の一部
改正を行なうことといたしております。なお、当然のことでありますが、
漁船再保険事業と
漁業共済保険事業とは、保険の対象や仕組みを異にいたしますので、それぞれ明確に区分経理することといたしております。
以上のほか、
漁業共済基金の監事の権限を強化し、役員の欠格条項を
改正する等、所要の
規定の整備を行なうことといたしております。
最後に、
本法案の施行期日及び適用区分につきましては、今回の
改正が制度の全般にわたりますため、相当の準備期間を置くことが必要でありますので、
本法案は、
昭和四十二年十一月一日から施行することといたし、
政府の保険事業の新設その他漁獲共済及び養殖共済に関する
改正規定は、漁獲共済では
昭和四十三年一月一日から、養殖共済では同年四月一日から共済責任期間が始まる共済契約について適用することといたしております。ただし、
漁船再保険特別会計法の
改正関係
規定は、公布の日から施行し、
昭和四十二年度の予算から適用することといたしております。
以上をもちまして、
本法案についての補足
説明を終わります。