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政府委員(若林正武君)
提出をいたしました
資料につきまして
説明を申し
上げます。第一ぺ一ジの、民有林の「森林病害虫等の
被害と駆除調」でございますが、
昭和三十八年度、三十九年度、四十年度、三カ年間にわたりまして
被害量と駆除量及び駆除率を掲記いたしたものでございます。駆除量の中でその他という欄がございまするが、これは市町村及び個人が
防除をいたしました駆除量でございます。
まず、マツクイムシについてでございまするが、駆除率でごらんをいただきますと、
昭和三十八年度が九九%、三十九年度が八七%、四十年度が九四%ということで、若干駆除量のほうが下回っております。これは、地形等の関係で駆除がはなはだしく困難であるというふうなものもございますし、また、一部におきましては、労働力の不足というふうなことによるのではなかろうかというふうに考えておるのでございます。
マツクイムシ以外の法定病害虫等でございまするが、その中でまずノネズミでございまするが、駆除率をやはりごらんいただきますると、
昭和三十八年度におきましては約十四倍、三十九年度におきましては四倍半、四十年度におきましては約十二倍というふうな駆除率に相なっております。これはノネズミにつきましては予防的な
防除というものが可能でございまして、
被害発生が予想されます林地につきまして予防措置といたしまして薬剤の散布を
相当広い範囲に実施をいたしておるのでございます。
国有林につきまして御指摘がございましたように、ノネズミは、民有林におきましても、予防ということを加味いたしまして
相当大面積の薬剤散布をいたしておるのでございます。
ノネズミを除きましたその他の病害虫でございまするが、これは森林の食葉性の害虫でございまして、マツクイムシのように
被害を受けますると枯死をするというふうなものではないのでございます。備考欄にもございまするように、私
どものほらでは、激害、中害、微害というふうに三つの区分をいたしております。その基準といたしましては、食葉量または罹病枝の率というものを
前提にいたしまして、五〇%以上が激害、二〇%から五〇%未満が中害、二〇%未満が微害というふうにいたしておるのでございますが、この二〇%未満の微害につきましては、天敵その他によりまして自然に回復をするという場合が多くございまして、現在、
防除事業といたしましては、激害及び中害というものを主体にいたしまして
防除を実施いたしておるのでございます。この駆除率でございまするが、
昭和三十八年度が三五、三十九年度が二七、四十年度が二八というふうに相なっておりまして、大体、激害、中害を
対象にいたしまして駆除が行なわれておるのでございます。
この数字につきましては、欄外の注にもございまするように、「森林病害虫等
被害報告」というものによって取りまとめをいたしたものでございます。それで、この報告は、毎年、民有林につきましては、都道府県知事から調査年度の翌年度の六月末日までに林野庁のほうに
提出をされておるものでございます。
この作成につきましては、民有林につきましては、森林害虫
防除員等が、その担当
区域内の
被害量につきましてはみずから調査をいたしまして、また、駆除量につきましては、国費及び都道府県費に関連いたします駆除量は
事業の指導検査等によって確認いたすとともに、市町村及び個人によります駆除量は聞取調査を行ないまして作成をいたしておるのでございます。
市町村及び個人によります駆除量は、ただいま申し
上げましたように、聞取調査をやっておりますため、以下申し
上げますような不明確な点があると考えられております。なお、この点につきましては、従来から改善につとめておりますが、今後さらに積極的に改善をはかってまいりたいというふうに考えておるものでございます。
まず、第一に、マツクイムシの駆除量につきましては、
被害木の周辺にありまする健全木を同時に伐倒いたしました場合に、当該健全木というものも駆除量に含めているものがございます。また、ノネズ、ミ、マイマイガ等の駆除量につきましては、森林に隣接いたしまする牧野、畑地等を同時に駆除をした場合に、これらを駆除量にやはり含めているものがあるわけでございます。また、実際に駆除しているものにつきまして聞取調査漏れ、あるいは、個人によります駆除量につきましては見込駆除量が多いというふうなことで、若干不正確な点もあるようでございますので、今後精度の向上につとめてまいりたいというふうに考えておるのでございます。
それから四ページでございまするが、「森林病害虫等に関する研究の現況」でございます。現在、林業試験場におきまして研究テーマといたしまして取り
上げておりますのは、病害関係で十三、虫害関係で十二、獣害関係で二、合計二十七取り
上げております。それで、森林病害虫等の生態、気象、地形、土壌、水分、栄養等の林地の諸条件、あるいは樹木の生理等々、森林病害虫等の
被害の発生との関係、こういった基礎的な面におきましてまだ
相当これから研究をしなければならないものもたくさんあるわけでございまして、私
どもといたしましては、試験研究の充実強化というものをはかりまして、効率的な駆除、予防技術ということをすみやかに確立をいたしたいというふうに考えておるのでございます。