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1967-06-06 第55回国会 参議院 農林水産委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月六日(火曜日)    午前十時三十七分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         野知 浩之君     理 事                 任田 新治君                 山崎  斉君                 川村 清一君                 中村 波男君     委 員                 青田源太郎君                 櫻井 志郎君                 園田 清充君                 田村 賢作君                 温水 三郎君                 森部 隆輔君                 和田 鶴一君                 武内 五郎君                 達田 龍彦君                 鶴園 哲夫君                 村田 秀三君                 矢山 有作君                 渡辺 勘吉君                 北條 雋八君    国務大臣        農 林 大 臣  倉石 忠雄君    政府委員        林野庁長官    若林 正武君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君    説明員        農林省農政局植        物防疫課長    安尾  俊君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○森林病害虫等防除法の一部を改正する法律案  (内閣提出)     —————————————
  2. 野知浩之

    委員長野知浩之君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  森林病害虫等防除法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案に対し質疑のある方は、順次御発言願います。
  3. 中村波男

    中村波男君 今回、森林病害虫等防除法の一部改正を行ないまして、病害虫駆除してその蔓延を防止しようとしていることにつきましては、私も賛意を表するものでありますが、その内容は、文字どおり、一部改正でありまして、これだけの改正ではたして所期の目的を十分果たすことができるかどうか、こういう点についていろいろな疑問を持っておりますので、ただいまから若干の質問を申し上げてみたい、こう思うわけであります。  第一の問題点といたしましては、本法案改正主要点が、防止策に終始しておりまして、すなわち、出た被害をどう防除するか、こういう対策でありまして、積極的な対策に欠けておるのではないかと思うのであります。人間の例で申し上げますならば、いわゆる予防医学——病気の出ない前にからだをつくるというそういう点がほとんど法案の中には見当たらないのであります。すなわち、病害虫におかされない山なり木なりをつくる、こういう問題をどう考えておられるのか。さらに、早期発見ということが防除上重大だと思うのでありますが、そういう点がほとんどこの法案からはうかがい知ることができないと思うのであります。  以上、私が指摘をいたしました事柄について、まず農林大臣から御所見を承りまして、次々と質問を申し上げていきたい、こう思うわけであります。
  4. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) お話のように、予防医学的な予防事業は、これはぜひ大切なことだと思いますが、病害虫等発生の時期、それから発生量、それからまた防除事業費などにつきましては、あらかじめ的確に予察してその情報を関係者に提供してそれを活用するということは、その被害を未然に防止して防除の効果の実効をあげるというためにはぜひ必要なことであると存じます。しかしながら、現在のところ、森林病害虫等につきましては、その発生予察をするということのために基礎的な事項、たとえば発生の模様とそれから気象などとの相関関係が十分に明らかにまだされていないんではないか、そういうことについて調査研究が必要であることは、お話のとおりでございます。いま申し上げましたような段階でありますので、今後こういうことを積極的にやってまいる必要はお説のように私はあると思いますが、なかなかこれは困難な問題が伴いますので、さらに検討を続けてまいりたいと、こういうふうに思っております。
  5. 中村波男

    中村波男君 ただいま大臣からも予察制度の必要についてはお認めいただいたわけでありますが、申し上げますまでもなく、農業部門では植物防疫法によりまして不十分とはいいながら予察制度規定いたして、相当な実効をあげておるわけであります。しかしながら、森林病害虫防除法適用いたします山林というのは、全国土の六五%、二千五百万ヘクタールに及ぶ広大な地域でもありますから、言いかえれば人目につかない地帯を対象にする防除でありますから、困難なことはよくわかります。それだけに被害が相当出ないと気づかない。だから、今回、いろいろ法改正をして代執行等規定されたのでありますが、そのときには相当な被害量にのぼっておりますし、なかなか完全な防除ができない。こういう点を考えますと、いろいろな困難はありましょうけれども、前向きでやはり予察制度というものをつくり上げるというこういう点が重要ではないかというふうに思うわけであります。  ただ、予察制度といいましても、出たものを発見するという組織的な制度と相まちまして、従来、マツクイムシの例をとりましても、あとからまた具体的に質問をいたしたいと思いますが、毎年毎年被害減少するどころか、多少の高低はありまするけれども、全国に拡大をいたしておる。多少の農薬等開発が行なわれたといたしましても、まだまだ根本的な防除対策というものが打ち立てられておらないのではないか。そういう面から言いまして、虫あるいは病気そのもの生態と申しまするか、そういう点をもっともっと研究をいたしませんと、また、技術的な開発が行なわれませんと、予察目的を達成することはできないのではないか、そういうふうに考えるのであります。  したがって、重ねて大臣に御質問いたしますが、必要であるというお答えはありましたけれども、今後具体的に予察制度を確立するために、政府として、農林省として、どのような具体的な対策をもって臨まれようとしておるのか。全くことばの上の必要を認める答弁で終わりますならば根本的な解決はいつまでたってもでき得ないという立場で私は御質問を重ねて申し上げるわけであります。
  6. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) いまさっき御質問のございましたように、人間で申せば予防医学、これはもう大事なことで、したがって、森林病虫害等につきましても、予察ということはできればぜひ実施しなければならぬ。しかし、これは、先ほどちょっと申し上げましたように、いろいろと困難な事情もございますので、これをどのようにして実施してまいったらいいかということについては、なおひとつ部内において十分研究をして、何しろいまお話しのように広範囲なところでもあり、種類もなかなか多いわけでありますから、どういうようにしてそれが可能であるかということについてさらに掘り下げて検討を続けてまいりたいと思っております。
  7. 中村波男

    中村波男君 三十四年から継続して調査をされてまいりました森林病虫害発生消長調査、この事業を打ち切られた理由でありますが、打ち切られたのは、この調査が完了したから打ち切られたのであるかどうか。したがって、資料を先般の委員会で御要求申し上げまして、御配付いただいたのでありますが、この機会に、具体的にこの調査の結果、また問題点等について御説明を承っておきたい、こう思うわけであります。
  8. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 政府委員のほうから申し上げます。
  9. 若林正武

    政府委員若林正武君) 先生から御指摘のございましたように、発生予察制度必要性ということにつきまして私どもも痛感をいたしておりまして、昭和三十四年からその前提になりまする発生消長調査というものを実施いたしてまいったのでございます。  対象病害虫につきましては、マツケムシスギタマバエ、マツバノタマバエ、マイマイガスギハダニマツクイムシノネズミにつきまして、発生経過発生地域別特徴防除要否の判定基準発生予察基礎資料等を明らかにいたしますために、発生消長調査というものを実施してまいったのでございます。一部の森林病害虫につきましては、発生経過地方別特徴防除要否の判定基準等につきましては一応の結果が得られましたのでございます。すなわち、ノネズミスギタマバエスギハダニマツケムシにつきましては、防除を行なう必要があるかどうかということにつきまして、あらかじめ、害虫によりまして違うのでございまするが、二ないし六ヵ月前に判定ができまする調査方法を確立いたしまして、現に実際に適用いたしておるのでございます。  しかしながら、他の多くの森林病害虫につきましては、なおその生態あるいは樹木の性質との関係等基礎的な問題に未解決なものが非常に多いのでございます。したがいまして、昭和三十四年度からやってまいりました発生消長調査を継続いたしましても、現在のところこの基礎的な諸問題の解明がございませんと、現行以上の発生予察方式というものを明らかにすることが困難ではなかろうか、さらにこの必要な試験研究等の進捗にまつべきであるというふうな判断をいたしまして、実は昭和四十一年度をもって調査を一応中止いたすことにいたしたのでございます。  そこで、問題点でございまするが、二、三例をあげまして申し上げますると、まずマツケムシでございまするが、マツケムシ成長は、積算気温のほかに、日照時間との関係がむしろ影響が大きいのではなかろうかというふうなことが最近になっていわれてきておるような状況にもございます。また、タマバエ類につきましては、発生羽化気温との相関関係が依然としてまだ求められるまでに至ってない。さらにまた、マイマイガにつきましては、不規則に大発生をいたしまするが、この大発生後は、従来の経過を見ますると、急激に減少いたしておるのでございます。こういった減少の原因が何であるか、こういった点が残念ながら明らかになっておらないのでございます。また、マツクイムシにつきましては、その生息数被害との相関がまだ求められていないのでございます。マツクイムシの中でも主要な種類でございまするシラホシゾウなどの一部の生活史がまだ明らかになっていない。また、マツクイムシの発育と気象との相関、これも明らかになっていないというふうなことで、まだまだ基礎的に相当研究をしなければならない問題点が残っておるのでございます。今後、こういった面につきましては総合的に取り上げまして、積極的に試験研究というものを進めてまいりたいというふうに考えておるのでございます。  以上が発生消長調査の大体の経緯と結果でございます。
  10. 中村波男

    中村波男君 いま長官からも御答弁がありましたように、この資料の「はしがき」を読んでまいりましても、「この調査は、発生時期の予察防除適期の予測についての資料収集も行なったが、基礎的な研究がまだ十分なされていないことなどのため、とりまとめの段階にいたっていない。すなわち、発生予察については発生消長気象等との相関係資料が必要であるが、本調査では最寄りの測候所資料を使用することとしているので、相関は得られなかった。」と、このようなことが正直に書かれておるのであります。数年にわたって調査をされた結果としてある程度成果もあったと思うのでありますが、いま長官答弁にありますように、まだまだ調査を要する点が多く残されておりますし、さらに、「はしがき」にも書いておりますように、「本調査の規模では困難である。」と、こう指摘をいたしておるのでありますから、これはやはり農林大臣としてこの調査を完成させるためには、予算的にも機構的にも大がかりな方針を打ち出されないと、いままでのような調査では、中途はんぱで、結局金を使っても成果を得られない、こういう結果になっておるのではないかというふうに思うわけであります。したがって、予察制度の必要を強調し、お認めになるならば、やはり科学的な基礎の上に立たなければ予察制度は確立されないのでありまするから、今後、この問題について、これで打ち切って何とか考えます、何とかやらなければなりませんということで終わりますならば、被害が出た、さあ防除体制だということだけに今後何十年間も追われるのでありまして、したがって、被害最小限度に食いとめることにきゅうきゅうとして、根本的な解決をはかることは困難ではないかと、こういう立場であえてひとつ大臣の所信をお伺いするわけであります。
  11. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 大事なことでございますから、ひとつ部内においてどのようにしてうまくいくかということについて研究を進めてまいりたいと思っております。
  12. 中村波男

    中村波男君 次に、植物防疫法では、緊急防除規定を設けまして、病害虫を限定することなく緊急防除の道を開いておりますが、この法案によりますと、法定病害虫以外のものは法律的義務を一切課さずに、奨励駆除をもってこれに当たることになっておるのであります。そういうふうにいたしました理由としては、局地的なものであるのと、その生態が不明確なために安全確実かつ経済的な防除方法が確立されていないためでないかというふうに私は思うのであります。したがって、最近におきます法定病害虫法定病害虫以外の発生状況被害額等については、資料をいただいたのでありまするけれども、さらにこの際御説明を承わっておきたいと思うわけでありますし、最近になりまして薬剤並びに防除方法等について相当進んできておりますことは認めますが、まだまだ未開発なものが相当残されておると思うのでありますので、それらの状況もあわせてこの機会にお聞きしたいと思うわけであります。
  13. 若林正武

    政府委員若林正武君) ただいま政令指定をいたしておりまする病害虫等は九種類でございまするが、それ以外の森林被害を与えておりまする病害虫等につきましては、最近では種類にいたしまして二百種類以上に及んでおりまして、その被害面積は十万ヘクタール以上に達しております。その四割程度虫害でございまして、特に近年はアブラムシ、シンクイムシ等被害が顕著でございます。  資料として提出いたしました二ページの「法定外の主な害虫獣被害面積調」という表がございまするが、種類別年度別にその被害面積を計上いたしております。これは年間千ヘクタール以上の被害のありましたものだけをこれに掲げたのでございます。  それから三ページのほうに参りまして、二行目の「スギ赤枯病」以下、政令指定以外の病害の発生面積でございます。最近になりましてこの法定外森林病害虫等被害も非常にふえてまいっておるというふうな現況でございます。
  14. 中村波男

    中村波男君 いま、法定外病害虫被害状況の概括を御説明いただいたわけでありますが、この資料によって見ます限りにおいて、法定病害虫よりもむしろ被害の多いものが、また同じくらいのものもまだ相当あるのでありますが、これらについて、さらに法定病害虫として指定を追加する必要があるのかないのか。被害面積等々からいえば、法定のものよりも多いなり、またそれに近いものがあるのでありますから、それを入れられないでいるというものが何かあるのか、それについてひとつ具体的に御説明を承っておきたいと思うわけであります。
  15. 若林正武

    政府委員若林正武君) 政令指定をいたします場合の基準でございまするが、森林病害虫等防除法の第三条第一項第三号の規定に基づきまする指定種苗にかかります樹木を加害するもので、その加害により当該樹木成長を著しく阻害し、また成林を不能におちいらしめるもの、それから被害発生が全国的に発生をいたしまして、またその発生のおそれのあるもので、被害面積も大きく、蔓延速度も早く、かつ天敵等によりまして自然に減少を期待することができない病害虫等でありまして、防除方法も確立しておるというふうなものにつきまして、政令指定を行なってまいっておるのであります。  それで、政令指定外病害虫につきましては、先ほど概括的なことを申し上げたのでありまするが、一般的に申し上げますると、それらの大部分は、発生特定区域に限られておる、あるいは、被害程度蔓延性向などが比較的軽微である、また、一部には生態等の不明確なものもございまして、さしあたり本法の適用によりまして全面的かつ一斉に防除しなければならないものはあまりないのではなかろうかというふうに考えておるのでございます。ただし、その中におきましても、スギハムシ、コガネムシ、毒ガシンクイムシ等数種のものにつきましては、比較的被害も大きくございまして、現在も突発病害虫駆除費を交付いたしまして適切な防除をいたすように措置をいたしておるのでございますが、今後、被害推移等を勘案いたしまして、これらのものにつきましては、政令指定ということについて検討いたしてまいりたいというふうに考えておるのであります。
  16. 中村波男

    中村波男君 将来といいますか、近い将来だと思いますが、検討して法定病害虫に入れていきたいということでありますが、発生をすれば、どっちみち駆除をしなければならないのでありますから、したがって、ある程度強制力を持ち、また、最近のように自主防除というのがいろいろな面で困難になっておりまするおりからでありますだけに、法定病害虫として指定をすることが適切ではないか、こういうふうに考えておるのであります。特に、さいぜんも指摘をいたしましたように、植物防疫法では緊急防除規定を設けておりますが、森林病害虫防除法では突発病害虫としての措置はとられますけれども、植物防疫法とは内容的にゆるやかでありますので、そういう意味からいいましても、早急に検討をして、法定の中に組み入れるべきではないかという意見を強く持つものであります。  また、二つ目質問といたしまして、最近、薬剤あるいは防除技術等について相当開発はされましたけれども、まだまだ未開発なものが相当あろうと思うのでありますが、それらについて、資料としては一応拝見はいたしておりますが、これまたこの機会にその実態をお聞かせいただきたいと思うわけであります。
  17. 若林正武

    政府委員若林正武君) 森林病害虫等防除に関しまする技術開発、あるいは新しい薬剤開発、こういったことにつきましては、御承知のように、現在、林業試験場をはじめといたしまして、各大学、都道府県の試験研究機関でいろいろと研究をいたしておるのでございますが、さらに、行政試験研究連携を緊密にいたしますために、林野庁林業試験研究推進協議会というものを現在設けておりまして、研究推進体制充実強化とその効率的な運営をはかりつつあるわけでございます。  国立の林業試験場につきましては、四十一年度には、本場林業薬剤研究室を、関西支場保護部をそれぞれ新設いたしまして、さらに、今年度におきましては、林業試験場本場に、浅川実験林のほうでございますが、そこに天敵微生物研究室九州支場保護部を新たに設置することにいたしておるのであります。  今後、さらに、研究費の増額、試験施設整備等をはかりまして、各大学試験研究機関等々と緊密な連携のもとに、総合的な技術開発体制を整備いたしまして研究推進いたしまして、薬剤の新しい開発なりあるいは防除技術開発というものにつとめてまいりたいというふうに考えております。
  18. 中村波男

    中村波男君 私、国会におきまして答弁を聞いておってどうも納得いきませんのは、やっております、やろうといたしておりますこういう問題は、政党政派を越えて、いかにして森林病害虫から守るかということでありますから、答弁を願うほうも、実態としてはなかなか予算が即応していかないんだと、こういうことを明らかにされて、やはり一体になって推進をするという、こういう姿勢で議論をしていきたいと思うのであります。  お届けいただいた資料を見てみまして感じました第一点は、マツクイムシ対策であります。言うまでもなく、森林病害虫防除制度の確立の原動力になったのは、マツクイムシ被害がますます蔓延をいたしまして大きくなったことから発しておるのではないかというふうに私は承知しておるのでありますが、そのマツクイムシ被害実態というのはどうかというならば、昭和二十五年から昭和四十一年まで連続的に十七年間大きな被害を出しておりますのは、九州の宮崎、長崎、鹿児島であります。二十五年から四十年まで十六年間は岡山であります。二十六年から四十一年、これまた十六年間は熊本である。二十七年から四十一年まで十五年間は佐賀である。全く、被害は、減少するどころか、連続被害を出しておるのであります。こういうことはどこに問題があるのか、この機会に根本的に掘り下げて積極的な対策をやらなければならないのではないかということを痛切に感ずるのでありますが、たとえて申し上げますならば、地勢によって、あるいは気象等によって被害襲地とも言うべき九州というようなものがあるのかどうか、こういうことが究明されておるのかどうか、こういうこともあわせてお聞きをいたしてみたいと思うのであります。  なるほど、最近になって試験研究をする機関が一応拡充されたとはいいながら、まだまだ私は不十分ではないかというふうに思うのであります。聞くところによりますと、学者等マツクイムシについてはお手あげをしておる。したがって、そういう民間なりあるいは大学等々の専門的な学者による研究というのは、いまあまり進んでおらない。そうだとするならば、やはり国がもっともっと研究機関を拡充して、専念させるような体制をつくらない限りは、進まないのではないかというふうに考えるのであります。そういう意味で、特にマツクイムシ防除対策としては、私は、総合的に、研究機関ばかりでなしに、防除技術の面でも検討されるべきではないかというふうに考えるのでありますが、残念ながら、従来、行政指導研究試験等々が全くばらばらになって行なわれて、いわゆるお茶を濁してきた、どろなわ式の対策以外に一歩も出ておらなかった、ここに今日のような特にマツクイムシを中心にする山林虫害被害というものが激甚をきわめておるのではないかというふうに思うのでありますが、これに対して大臣はどうお考えになっておるのかどうか。  また、さっきからくどく私は大臣に追っておるのでありますが、むずかしい問題だから十分研究をいたします、検討いたしますということでなしに、大臣としてひとつしっかりと指示を願って、倉石農林大臣のうちに山の問題は解決したのだということをひとつお示しいただきたいと思うのでありますが、どうですか。
  19. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) お説のようだと思います。そこで、この法律を立案いたしますときも当局では話しておったわけでありますが、さっきからお話しのとおり、ただいま政令指定いたしております病害虫等は九種類でございますが、さらに必要に応じてはその他のものも政令に加えるべきこと等も考えておりますが、まずもってやっぱり総合的な研究を国内においてもさらに推し進めて、多くの国民の期待に沿うようにいたさなければならないと存じますので、そのように鋭意努力をして、総合的な研究をまず進め、対策を講ずるようにひとつ努力をいたしてみたいと存じます。
  20. 中村波男

    中村波男君 森林病害虫等防除法適用を受けないものでありますけれども、アメリカシロヒトリ発生季節にも入っておりますので、特に——大臣が三十五分から衆議院のほうへお行きになるというような時間的な制約がございますので、森林病害虫等防除法質問の中途でありまするけれども、ただしておきたいと思うわけであります。  いま申し上げますように、発生季節に入っておるのでありますが、今日の時点ではアメリカシロヒトリ発生しておるのか、発生の気配があるのかどうか、その点からひとつ伺ってまいりたい、こう思うわけであります。
  21. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) そのほうの政府委員が参っておりますので、政府委員から……。
  22. 安尾俊

    説明員(安尾俊君) 本年も、昨年同様、ぼつぼつアメリカシロヒトリ発生を見始めておりまして、去る五月三十一日に次官通達で六月五日から十四日までを一斉防除旬間といたしまして通達を出して、第一世代の防除の徹底を期すようにいたしております。
  23. 中村波男

    中村波男君 いまのお話では、ことしもぼつぼつ発生しかけておるというお話でありますが、きのう配付された資料によりますと、ことしは発生をしておらない、こういうふうに書いてございますので、これはひとつ訂正をしておく必要があるのじゃないかと思います。小さな問題でありますが、御指摘を申し上げます。  そこで、原生地のアメリカでは、十数種類の天敵昆虫を繁殖させて食いとめておるというような実例が報告されておるのでありますが、わが国のアメリカシロヒトリ防除対策としてどのような方法がとられておるかどうか。これは、お聞きいたしますと、農林省の管轄に入るもの、文部省に入るもの、厚生省に入るもの、防衛庁に入るもの、建設省に入るものというふうに、防除の主管官庁としては幾つかに分れておるようであります。それだけに、これを総合的に研究をし防除するという体制が欠けておる。私は、そういうことも今後の問題として重大でないかと、こういう感じがいたしますゆえに、特にこの機会に取り上げてお尋ねをいたしたわけであります。いま申し上げますように、防除方法として日本としてとられておる具体的な例をお示しいただいて、次の質問に移りたいと、こう思うわけであります。
  24. 安尾俊

    説明員(安尾俊君) ただいまの先生の御質問の前に、先ほど御指摘ございましたアメリカシロヒトリが本年発生しているかいないかという問題でございますが、私がお答えいたしましたのは、市街地等の街路樹等ではぼつぼつ発生を見ておるということでございまして、森林には発生をいたしておりません。  それからアメリカシロヒトリ防除体制でございますが、先生御案内のように、この虫は、戦後間もなくわが国に入ってまいりまして、まだ当時進駐軍の植物検疫の手が及ばない時代に入った次第でございますが、昭和二十四年から三十八年まで、この虫の根絶を期すために、発生県に補助金を出しまして防除を進めてきたのでございます。その結果、発生減少することはできたのでございますが、根絶するということはもう不可能と、こう判断いたしまして、一般害虫同様に自主防除に切りかえました。  ところが、昭和四十年夏、低温であった等のせいもございまして、街路樹、それから公園、学校等の樹木、あるいは一般家庭でも庭木等に大発生を見たのでございます。これに対しまして、直ちに総理府を中心にいたしまして各省が集まりまして対策を協議したのでございますが、御承知のように、この虫が一般家庭の庭木にまで発生しておるということ、それからこの虫の性質といたしまして、卵からかえった幼虫がしばらくの間巣の中にかたまっておって、これを取ることが最も防除上効果があると、こういう二点から、国、地方公共団体、民間団体、それから住民、それぞれ管理する樹木を自主的に防除するのが最も効果的であるというので、自主防除の線を出したわけでございます。ただ、防除をいたしますにつけても、ばらばらにやっては効果がございませんので、先ほど申し上げましたように、最も防除の適期と思われる時期を一斉防除旬間ときめまして、みな共同して、一緒に防除するというふうにいたしております。  森林のほうは現在発生しておりませんで、主として、先ほども申しましたように、街路樹、それから公園あるいは学校等の樹木、それから一般家庭の庭木に出ておりまして、そのために各省がそれぞれ管理する樹木に対して自主的に防除すると同時に、防除方法の周知徹底につとめておりまして、その結果、昨年の結果を見ますと、発生本数で、第一世代は約二百万本、それから第二世代が約三百五十万本発生いたしておりますが、ほとんど被害を食いとめておりまして、各省の連絡によりまして、現在の自主防除は最も効果をあげておると私ども信じております。
  25. 中村波男

    中村波男君 新聞によりますと、神奈川県の農業試験場ですか、あるいは東京大学等で、シロヒトリを病死させるウイルスを発見したということが書かれておったようなことを記憶しているのでありますが、それは実用化の見込みはあるのか、それとも、研究としてそういうことが発見されただけで、それを実用化する見込みといいますか、そういうものが全くないのか、こういう点はどうなんですか。
  26. 安尾俊

    説明員(安尾俊君) ただいま先生の御指摘のございました多角体ウイルスにつきましては、この培養が非常に多量に培養しませんと実際の実用に供せられないわけでございまして、その点に問題はございますが、本年、神奈川県におきまして、実際に実用性があるかどうかという試験を行なう予定になっております。
  27. 中村波男

    中村波男君 昨年シロヒトリの駆除に都道府県あるいは市町村等が使った金が二億一千五百万だ、こういうふうにいわれているのでありますが、いまおっしゃるようにこれは自主防除だ、国は、いわゆる指導、あるいは駆除しろという宣伝啓蒙をするんだ、こういうことでありますが、この被害がさらに今後発展をするというようなことになりますならば、これはなかなか自主防除にも限界があるのじゃないか、そういう点を私はおそれるのでありますが、このシロヒトリの防除について、官庁等で幾つかにまたがっているいまの行政を連絡機関というような形でいま調整をしておられるようでありますが、根本的な対策を立てる必要があるのじゃないか。そういう立場農林大臣等に考えていただかなければならない政治問題ではないかと思いますので、大臣のおいでになる時間にあえて私は質問をいたしたのであります。  さらに、いままでは山には全く発生をしておらない、こういうことでありますが、シロヒトリの習性といいますか、あるいは嗜好といいますか、山にはそういうものは発生しないということが、試験研究の結果、明らかになっているのかどうか。もちろん発生をした経路が、街路樹とか公園とか、人に関係をし、あるいは船に関係をしてアメリカから渡ってきたというようなことがありましていままでは山には入らなかったけれども、山には全く入らないというそういう危険はないのかどうか、こういう点もひとつあわせてお聞きをしておきたい、こう思うわけであります。
  28. 安尾俊

    説明員(安尾俊君) この虫は雑食性でございますので、森林という問題につきまして全然ないということはいまここで断言できないとは思いますが、しかしながら、森林には鳥等の天敵が非常にございまして、現在では全然発生を見ておりません。
  29. 若林正武

    政府委員若林正武君) 森林につきましては、ナラ等の広葉樹に入ってくる可能性があるのじゃないかというように考えております。
  30. 中村波男

    中村波男君 大臣に総合対策についてお伺いしておきたいと思います。
  31. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 大事な森林でございますので、先ほど来お話のございましたように、必要がございますれば、たびたび政府委員からも申し上げておりますように、いま政令の中に指定しておりますもののほかにも、政令指定して対処いたしてまいらなければならぬという基本的なことを申し上げましたが、いまお話しのような問題につきましては全く困ったことでありまして、農林省といたしましては、こういうこともあわせて総合的に掘り下げて検討して対策を講じてまいりたいと思います。
  32. 中村波男

    中村波男君 法案の条文について、掘り下げて御質問を申し上げたいと思うのでありますが、第四条の代執行の規定をさらに強化して、当該措置を行なっても不十分であった場合、あるいは該当者が不在のため実施見込みがないときには、命令者が防除措置を行なうことができるというふうに改正をいたす案でありますが、旧法の盲点を補強いたしますにはそれだけの具体的な欠陥があったと思うのでありますが、今回このように改正をされます理由についてまずお伺いをしておきたいと思うわけであります。
  33. 若林正武

    政府委員若林正武君) 旧法におきましては、指定されました期間内に命ぜられた措置を行なわない場合に、はじめて代執行を発動いたしておったのでありますが、それでは適期の防除ということにも支障がございますし、さような見地から、たとえその命ぜられました期間の中であっても代執行ができる。あるいは、行なっても十分でない、また行なう見込みがない、こういう場合に発動ができるように強化をいたしたわけでございます。
  34. 中村波男

    中村波男君 それから事務的な質問でありますが、たとえば、不十分であった、だからやり直すんだというときには、不十分であった場合にはその費用等についてどういうふうに処置するのか、こういう点はどうなっておりますか。
  35. 若林正武

    政府委員若林正武君) 不十分な場合におきましては、第八条の第一、項の規定によりまする国のほうから出しまする補償の額をこえておる部分につきましては、受命者から徴収するということになっております。
  36. 中村波男

    中村波男君 第八条第一項の、いま長官の御答弁にありました、損失を受けた者に対して損失の補償をしなければならない、こういう規定を設けているのでありますが、私のいま質問をいたしたのは、そういう道を開いたけれども、具体的には、不十分であったときには、その事業量といいますか、そういうものをどう見るのか、不十分とはどこに基準を置いて判定するのか、そういうものが具体的に施行をされます場合には用意されておらないと、全く主観的に判断をするというようなことであってはならぬと思いますし、実際にはそういうことではできないと思うのでありますが、そういう点をお聞きいたしたのでありますので、具体的にひとつ御説明をいただきたい、こう思うわけであります。
  37. 若林正武

    政府委員若林正武君) 第四条の第二項で「その費用の額」という項がございまするが、これは、当該代執行を行ないますのに実際に要した費用の額でございます。具体的には、当該駆除措置の実施に直接要しました薬剤費、伐倒費、あるいは、剥皮、焼却または薬剤の散布費等の費用でございます。したがいまして、代執行にかかります費用でございましても、一般行政事務にかかるものと見られる費用、すなわち、監督指導等に要しまする旅費でありますとか事務費とかといったような間接的な経費というものは、この中に含まれないのであります。
  38. 中村波男

    中村波男君 さらに、幼齢木等の伐倒費が損失となる場合の補償の道を規定いたしておるのでありますが、これも、具体的に実施をいたします場合には、その見積もり基準というものが林野庁として示されなければ具体的にはむずかしいのではないかと思うのでありますが、そういうものは政令にゆだねるのか、あるいは実施要領というものをおつくりになるのか、そういうものはすでに用意されておるのか、そういう点はどうですか。
  39. 若林正武

    政府委員若林正武君) ただいま御指摘の幼齢木、あるいは幼齢木以外におきましても、孤立点在、その他林道からの距離あるいは地形その他の条件からいたしまして、いわゆる不採算木の場合でございますが、こういったものの補償の基準でございますが、これは実施要綱できめてまいりたいというふうに考えております。具体的な基準につきましては、ただいま申し上げましたような地位あるいは地利その他の条件というものを勘案いたしまして、実施基準につきまして目下検討いたしておる段階でございます。
  40. 中村波男

    中村波男君 法案を出すまでにそういうものが検討されてまとまったものが提案になるというのが法案の出し方ではないかと思うのでありますが、従来そういうものはあとにゆだねまして、法案だけを出してくるというようなことは、本法案のみではないようでありますが、それでは具体的な審議には私はならないのではないかと思いますので、できるだけ早くそういうものをおきめになって、われわれにもこの資料をお示しいただきたいと、こう考えるのであります。  そこで、今度代執行の道が開かれたのでありますが、従来の経験からかんがみまして、具体的に予算的にそのような措置を発動しなければならない面積、件数というものをどれほどに見て予算措置が行なわれておるかどうか、こういう点もあわせてお聞きをしたいと思うわけであります。
  41. 若林正武

    政府委員若林正武君) 代執行によりまする駆除量は、年度によって差はございまするが、立木駆除はおおむね二万から三万立方メートル、伐採跡地の駆除は百ないし三百ヘクタールでございまして、その経費は三十五年度は約一千二百万円でございましたが、四十二年度は二千八百万円計上いたしておるのでございます。御承知のように、個人防除というものがだんだん困難性を増していくだろうということで、組織防除、集団防除に私ども切りかえてまいりたいという考え方で、従来予算的にも損失補償金で計上いたしておりましたものから、相当のものを四十二年度はこの委託費、代執行のほうに回しておるようなわけであります。
  42. 中村波男

    中村波男君 先般の当委員会においても、専門家的な立場にある山崎さんからマツクイムシ防除等について御指摘があったのでありますが、奨励による防除等は、その基準といたしておりますのは、二府県以上にわたるとか、あるいは広範囲な地域とか、一つの基準があると思うのでありますが、問題は、早期発見、早期防除でなければ、最小限度被害を食いとめることはできないのでありますので、この機会にそういう基準というものをずっと下げて、そうしてやはり自主防除から国あるいは県が肩がわりをしてやるんだという、こういう防除体制へ切りかえることが特にマツクイムシ等については必要ではないかというふうに思うのでありますが、私からも重ねてその点を指摘して、長官の御意見を承っておきたいし、できるだけそういう方向でそういうものを考えていく意思があるのかどうか、そういう点はいかがですか。
  43. 若林正武

    政府委員若林正武君) 基準につきましては、さらに私どもも検討いたしまして、先生の御注意を体しまして、完全防除、適期防除というものの促進をはかってまいりたいというふうに考えております。
  44. 中村波男

    中村波男君 参考資料によって私感じたのでありますが、空中防除によって除草剤の散布等を四十一年度に行ないました面積が四千二百二十二ヘクタールに及んでおるのでありますが、その中で民有林はわずか三十八ヘクタールであるという現状でございます。問題は、これはこの法律とは直接関係はございませんけれども、最近植林等が進まない原因についても労力が不足しておるという問題がある。植えることもたいへんだが、植えたあとの管理がたいへんだということもその隘路になっておるのではないかというふうに思うのでありますが、除草剤散布が相当効率的な方法であるから林野庁がおとりになっておるのではないかと思いますが、なぜ民間でそれが普及しないのか。これは五ヘクタールや十ヘクタールでは空中防除等はできませんから、大がかりな林野庁の植林というそういう結果から出てくるとも考えられますが、その間の事情がわかっておるならば、この説明を一応この機会に伺っておきたいと思うわけであります。
  45. 若林正武

    政府委員若林正武君) 先生も御承知のように、民有林の所有規模というものは、非常に零細でございます。そういったところから効率的に進まないという問題があろうかと思うのでありますが、私どもといたしましては、共同施行ということで、所有というものを離れまして総合的に実施を進めるように今後もさらに指導を徹底してまいりたいというふうに考えておるわけであります。
  46. 中村波男

    中村波男君 これはひとり除草剤の問題だけでなしに、本法案の審議の重点でありますいかにして蔓延を防止するかというその一つの原動力と申しまするか、防除の組織体制というものが今日確立されておらないのではないか、こう思うわけであります。したがって、集団防除の実をあげますためには、それに対応する防除組織というものがっくり上げられなければならないと考えておるのでありますが、なるほど森林組合は全国に幾つ幾つある、ここに防除組織が幾つあるというふうに資料には出ておりまするけれども、それはほんとうの意味防除組織ではないのではないか、こういうふうに考えますがゆえに、これらの実態と、防除組織を今後どのように編成をし活用していくかという対策があろうかと思いますので、それをこの機会に承っておきたいと、こう思うわけであります。
  47. 若林正武

    政府委員若林正武君) 防除組織についてでございまするが、現在約千三百名の森林害虫防除員というものがおります。さらにまた、約三千名の林業普及指導職員というものが各地に駐在をいたしております。こういう県の職員を中核といたしまして、さらに今回の法律改正によりまして地方公共団体あるいは森林組合等の協力も得たいというふうに考えておるのでありますが、こういうものを総合いたしまして森林病害虫等防除体制というものを強化いたしてまいりたいというふうに考えておるのでございます。
  48. 中村波男

    中村波男君 きょうは、もう一つ御質問申し上げまして、また次の機会に譲りたいと思うのでありますが、それは、代執行に要した費用につきまして地方自治法の二百二十四条を適用するということになっておりますが、この適用をする場合に、受益の限度において分担金が徴収できるのでありますが、その「受益の限度」をどのような基準で算定するのか、これも実施要領として必要な条項になると思うのでありますが、これにつきまして具体的な例をあげて受益の限度をどのようにきめるのだということをお示しいただきたい、こう思うわけであります。
  49. 若林正武

    政府委員若林正武君) 分担金の徴収の問題でございまするが、御承知のように、都道府県あるいは森林害虫防除員の行ないまする防除措置の実施に要しまする費用につきまして、その実施により特に利益を受ける者とそれ以外の者との間の費用負担についての具体的公平を確保するために設けられた措置でございます。したがいまして、その地域におきまする防除実施の態様等によりまして著しく異なるというものでございまして、あらかじめ全国一律の基準をつくるということにつきましてはなかなかむずかしい問題もございますし、現在それぞれの地方公共団体の具体的な判断にまかせておるのでございます。  実際にこの分担金をしからば徴収しておるかどうかということについて申し上げますると、受益者の範囲や受益の程度というものの判定等、技術的な面でいろいろと困難な問題等がございまして、現在までのところ実際に運用されたという例はございません。
  50. 中村波男

    中村波男君 実態として正直にお話をいただいたと思いますが、しかし、こういう規定を設ける以上は、やはり一つの基準というものを設けて運用しないと、その地域の力関係によって当然受益者の負担すべきものが国なり公共団体が負担をするというこういう悪弊が出てくるのではないかというふうに思うわけであります。もちろん、実施するほうからいえば、また、防除の効果をあげまするためにも、負担をとらないことのほうが望ましいと思いますが、しかし、それにも一定の限度というものがあろうと思うわけです。その一定の限度の上に立ってこういう規定を入れたのでありますから、やはりその趣旨を生かすような今後の運用がはかられないと、結局、不明朗な問題というものが出てくるのではないかと思うのでございまして、そういう必要がないのであるならば、そういう規定を設けずに、全部国なり県でやるんだというふうにしたほうがすっきりするのではないか、そういう意味で私は御質問を申し上げたわけでありますが、どちらにしても、指導官庁として林野庁がはっきりとした基準をつくって、とらぬならとらぬという基準でもいいでしょう、お示しをいただくことを希望するのでありますが、以上につきましてお答えをいただきまして、本日は終わりたいと思います。
  51. 若林正武

    政府委員若林正武君) 実態についてありのままを申し上げたのでありますが、ただいまの先生の御趣旨を体しまして、第十条の趣旨を生かしますように、さらに検討をいたしてまいりたいと考えております。
  52. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  53. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 速記を起こして。  本案につきましては、本日はこの程度にとどめて、これにて散会いたします。    午前十一時五十五分散会      —————・—————