○森中守義君 政務次官の大臣にかわる答弁はちょっと早過ぎた。まだありますよ。といいますのは、ここ数日来私
どもが異常な関心を持って林野庁にこの
お尋ねをするのは、もとより他意はございません。ただあるのは、先般私が
お尋ねをした林野庁日給制職員の中に三十六世帯の生活
保護の適用世帯があるというこの事実ですよ。この事実がいやしくも国家事業に従事をする諸君の中に存在するということを見のがすわけにはいかない。同時に、三公社五現業はもちろん、一般公務員の例等を見ても、七百五十円の
保護法適用の
基準に満たないようなところはない。たまたま符節を同じようにして憲法二十五条による朝日訴訟が最終の判決の時期を迎えた。あれで国が勝訴をした。しかし、裁判が承継されるものじゃない、こういう法理論のたてまえよりも、
実態としてどうなのかという問題だと私は思う。したがって、国が勝訴したから、いやしくも生活
保護者に対してもこれでいい、こういうことにはならぬのですね。いわんや、林野庁は、生産部門ですよ。生産部門に従事する職員諸君がかりにも生活
保護法の適用を受けておるということは、これは何としても私
ども国
会議員としては見のがすわけにはまいりません。実は、そういう基本的なものの考え方に立って、きょうもあすもかと言われるように実はしつこくこの問題をとらえているわけです。少なくとも私
どもは改善改革の方向に行きたい。むしろ今日までこういう問題が不問に付されたということ自体が、私は国会に議席を置く者の一人として残念でたまりません。同時に、林野庁首脳部の現在に至るまでのものの考え方がわからない。まさに歴代
長官の責任ですよ。いまの若林
長官お一人の責任ではないが、過去数代にさかのぼる
長官諸君の責任です。
そこで、私は、こういう機会に改善しなくてはならない、こう思うんです。これは少し想像がたくましゅう過ぎるかわかりませんが、田舎のことだ、山の中のことだ、幾ら低賃金に置いておいても、雇ってくれと頭を下げて頼みに来るだろう、だから低賃金で置いてよろしいということをもし歴代の
長官が考えておったとするならば、先回私がきつい表現で申し上げましたように、まさに林野庁は、閉鎖的です、反社会的ですよ。そういうものの考え方で今日の事業経営ができますか。近代産業の
一つの部門と言えますか。それが問題ですよ。たいへん説教がましい
質問で恐縮ですが、非常にしつこくこの問題に取り組んでいるのは、そういう反社会的な閉鎖的な国家事業というものをわれわれは見のがすわけにはいかぬというのが、国政をあずかる者としての使命であり課題だと私は心得ておる。これはどうぞ今日この問題に直面をしておる現
長官の胸に刻み込んでもらいたい。
さて、具体的解決をどうするかということはさして困難なことじゃございません。たとえば、
予算総則を見ても、相当
規模の
予算の移用あるいは流用が当然認められてしかるべきであろう、こう思う。のみならず、せんだって二、三の例を
指摘したように、俗にいわれる公共林道、こういうものを一本つぶしてごらんなさい。私の試算によれば、今回額において四千五百円ずばり適用しても、四十億そこそこですよ。公共林道のために幾ら金を使っていますか。せんだって、
長官から、監査報告は監査官個人の意見だというお話があったので、実は林野六法をわざわざ見てましたが、監査規程というのがあって、この規程に照らして監査官が監査を行なった答えとして、公共林道については、林野庁がやるべきものではないのにそれをやったんだと、こう書いてある。私の試算でいけば、四千五百円を積み上げても、四十億そこそこです。他面、公共林道等のためにやらなくていい金を林野庁が出している金は年間五十数億に及んでおるようです。やるべきことをやらないで、やらぬでいいことをやる。こんなむちゃな話はないじゃありませんか。問題はその辺にあると思う。
私は、先回、二、三の例を
指摘いたしましたが、そのほかにもまだあります。二、三の実例を知っている。しかし、いまはそのことを暴露的に申し上げることが私の本旨ではない。しかし、その事実があるということを十二分に認知をするがゆえに、理屈に合わぬことはやめようじゃないか。それよりも、国有林野事業において一番大事なものは何か。それは、
長官をはじめ首脳部の頭脳であると同時に、その頭脳を受けて伐採にあるいは搬送に従事をしている現場の諸君だと思う。それならば、七百五十円に満たないそういう安い賃金でこき使おうというものの考え方は、まさにこれは反社会的と言わざるを得ない。くどいようですけれ
ども、いや、いくら安い賃金であったにしても、どうぞ営林局へ使ってくださいといって人が来るから、賃金は安くてもいい、もしそういう考え方があるとするならば、これは国家企業の近代産業の中における経営者のとるべきことじゃない、私はそう思う。いわゆる特別会計、独立採算というものは、そういう精神を踏まえておりますよ。採算を上げよう、同時に上げられた利潤というものは適切に開発のために投資をする、かたがた働いている労働者諸君に配分しようというのが独立採算の本旨であると私は考えている。ですから、自主交渉で話がまとまるものであるのか、あるいは調停に移行するか、その辺は当事者間でよく話をしていただきたいと思う。しかし、でき得べくんば自主交渉でまとめてください。万が一調停に移行する場合には、何としても公労委も財政当局も固有の意見を持っているでしょう。だから、ある
程度双方において話を詰めて、いわゆる前向きの
状態の中にかなり高額なものを積み上げて調停に移行するなら移行する、そういう
方法をとるべきだと私は思うのです。いま私が試算した結果四十億になるかどうかということは、日給制において二百円、これを月額に直して四千五百円と言っているわけです。これは、林野庁の今日の歳入、歳出の
状態からいけば、右にも左にもどうにもならないという財政の
状態ではない、こういうように私は思っている。したがって、問題は、歴代連綿として続いてまいった反社会的な閉鎖的な林野庁に開放の時を迎えるかどうか、近代産業として出発するかどうかはまさに若林
長官の双肩にかかっている。せんだって、農林大臣も、前向きの姿勢で検討するという答弁がありました。いままた、政務次官からも、同様趣旨のお答えがありました。ですから、先ほど来申し上げるように、在来は率をたてまえとしてまいったのでありましょうが、この際は額で是正すべきである。こういうことが八万数千余の林野事業を背負っている前線諸君の期待であり、そうして希望にこたえるゆえんではないか、こういうように思うのですが、たいへんどうも深刻なお話までしましたけれ
ども、でき得べくんば
長官の所見をひとつこの際明らかにしてもらいたいと思います。