○川村清一君 その
生産者の言っている補償の問題ですね、これはいまはっきり補償を出すとか出さないとかいうようなことは言えないと思います。といいますのは、はたして検疫所のほうに責任があったのかなかったのかというきめ手になるものがはっきりいたしませんわけですから。私が
一つ要望したいのは、私に言わせれば、横浜検疫所の
措置は万全であったとは言えない。もうすでに船中でそういう病気を持って流産した馬を、隔離するんなら別ですよ。法定伝染病でないからということで
一般の馬と同じ厩舎に入れておいたというこのこと、これは私はりっぱな
措置であったとは言えないと思う。しかし、これだけで責めていってもきめ手にならないわけでありまして、その後発生した病菌が、
生産者の言うようなアメリカ型のウイルスによるものか。アメリカ型のウイルスによるものであるとすれば、これは検疫所の責任である。これは追及されてもやむを得ないと思う。しかしながら、イギリス型のウイルスであるということであれば、イギリスから持って来たのでありますから、これは検疫所の責任ではないわけであります。これがはっきりされないとすれば、これはどうもしようがないわけでありますが、しかし、これが衛生
試験場あたりでわからないということも妙な話で、ぜひそれを
検討していただきたい。そうして、補償の道を講ずるか、補償の道を講ぜられないとするならば、先ほど言いましたような業者の経営の実態なのでありますから、何らかのやはり
措置を講じてやらなければかわいそうでないかと私は思うわけであります。
私はあえて馬のことを取り上げましたのは、私の出身地の問題でありますからまあ取り上げたのでありますが、それ以上に将来に向かって非常に大事な問題だと思ってこれは取り上げたのであります。これは、ただサラブレットという競争馬だけの問題であるから、単に北海道の日高というようなあの
地域のある
産業に従事している業者の問題で済むわけであります。しかしながら、これが牛であったらどうしますか、牛であったならば。この
予算の説明書にも明らかに書いてありますように、こういうようなことを勘案されてことしはこういう
政策をとられたと思うのであります、「家畜
畜産物の輸入機会の増大に対処し」云々と。
そこで、これは
農林省からいただいた資料でございますが、たとえば牛の輸入状況などを見ます。馬の輸入状況などを見ます。それから鶏、特は初生ひなですね、これなんかを見ますというと、ばく大な数のものが外国から輸入されてくるわけです。
畜産が盛んになればなるほど、よい品種が外国から入ってくるでしょう。サラブレットは、うんと走る馬をつくるためには、常に種を入れて更新していかなければいい馬はできませんから、それでもう何千万という金をかけて種を外国から輸入する、また牝馬も入れると、こういうようなことをやっておるわけでありまして、牛なんかも、もしもいま言ったようにウイルスなんというものがイギリスのウイルスとアメリカのウイルスと違うと。その牛が、今度アルゼンチンからも来る。それからニュージーランドからも来る。あっちからもこっちからも来る。その国によってみなウイルスが違うなんというようなことになってきまして日本が処女地だなんということになってきましたら、よほど防疫をしっかりやってもらわなければ、これはたいへんなことになると思うのであります。先年、わが北海道におきまして小児麻痺が猛烈にはやったことがあります。これは夕張炭鉱において初めて蔓延したんですが、全くの処女地であった。処女地にそういう小児麻痺が入り込んでくるというと、猛烈な勢いで蔓延してくるんです。それと同じように、全然免疫のないところへそういう菌が入ってきたら、たいへんなことになるんです。もしも牛に入ってきまして、それが蔓延しまして、農家の大事な牛がみんなこの病気にかかって死ぬとか病気になるなんといったら、これはたいへんなことなんですよ。そういうことを心配するものですから、私はあえてこのことを言って、そうして「
予算の説明」における内容もお尋ねしたわけであります。
そこで、お尋ねしますけれ
ども、このいただいた資料の中で「動物検疫所家畜防疫官配置状況」というのがあるわけでございます。これを見ますというと、まあ数はだんだんふえております。しかし、
昭和四十一年は、
予算定員が五十六人いるに対して、実員は四十九名しかいないのですね。四十年も、
予算は五十二名に対して、実員は四十八名でございます。三十九年は、
予算が五十名に対して、実員は四十六名で、
予算だけの定員がいないわけですね。こういうことではあまりうまくないではないか。横浜本所を見ますというと、ここは、
予算十一人に対して、実員が十三名おります。
予算よりも実員のほうがむしろ多いわけであります。しかしながら、いま申し上げましたように、三日、四日おきに出ていくと、すぐ次にどんどん入れかわり立ちかわり新しく馬が入ってくるわけですから、また牛なんかも入ってくるわけですから、そうすると、防疫の仕事に追われてしまう。したがって、徹底したそういう防疫ができないのではないかと、こういうことが心配されます。
それから牛でございますが、これはどういうわけでこういうことになるのか、これは聞かないとわかりませんが、牛の輸入が、
昭和四十年、四十一年と鹿児島が非常に多いですね。
昭和三十九年で五百七十六頭。四十年は千三百四十九頭も入っていますね。四十一年には九百四頭と、鹿児島にこれだけ輸入されておりますね。そこで、鹿児島の検疫所の人員を見ますというと、二人ですね。二人の防疫官で、こんなに牛が輸入されてくる、この牛の防疫をしなければならないということになれば、ずいぶんな労働過重にもなるでありましょうし、それからまあ衛生
課長は手抜かりがあったとはあなたの責任で言えるわけではないのでありますが、手抜かりがかりに生じた場合において、その波及する影響というものは甚大なものがあるわけですね。こういう点はどうお
考えになりますか。