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政府委員(久宗高君) これはいろいろ御意見のあるところだと思うのでありますが、一応私
どもの考えを申さしていただきますと、いまの領海ないしは専管水域の問題でございますが、御
承知のとおり、例のジュネーブにおきます海洋法
関係の会議を契機といたしまして一連の動きがあるわけでございます。私
どもは、一貫いたしまして、国際法上少なくとも現
段階におきまして確立された慣行といたしましては、三海里というものではないだろうかというふうに考えておるわけであります。しかしながら、専管水域の設定が徐々に行なわれておるわけでございます。これは、ある特定の国と私
どもが合意してきめる分にはかまわないと思うのでございますが、どこかの国が一方的にそれを宣言いたしましても、それが第三者を拘束するものではないという
立場を堅持して
処理に当たっておるものでございます。
なお、この間誤解を避けておきたいと思いますのは、三海里と申しますのは、御指摘のございましたように、はなはだ古典的な感じがするものでございます。私
どもは、十二海里ないしは専管水域そのものが現在の国際漁業におきまして次第に熟しておるという傾向は無視してないのでございます。なぜこれに私
どもが固執しているかと申しますと、専管水域を引かれました場合に、その中において行なわれておりました歴史的な漁業をどう取り扱うかということは、なんにも確立してないのでございます。あるグループにおきましては、年度をきめまして、その中におきます継続した
実績で認めようというようなことで数国間が話をきめておるところもございますし、全然認めないという
立場にあるところもあります。あるいは、先般アメリカとやりましたような
現実的な交渉におきましては、十二海里法案をつくったけれ
ども、その中で歴史的な
実績は考えよう。その考えるのをどう考えるのかという中身はきまってないわけでございますので、したがいまして、十二海里そのものをのんでしまうということになりますと、全くまだ
内容のきまってないものをのんでしまうということになりますが、少なくとも諸国におきます専管水域と言えるものの中で相当の歴史的な
実績を持っておりますわが国といたしましては、この
段階におきましては十二海里法案をそのまま容認することができないわけでございます。われわれの歴史的な
実績を、それぞれの法的な
立場を一応たな上げにいたしまして、具体的な
話し合いにおいてその
現実的な漁業の
調整をはかって、そういうものが次第に熟してまいりますれば、十二海里法案といった場合に、その中身はこういうもので、その中では歴史的な
実績はこういうふうに認められるのだということがいろいろな
実績でほぼ国際的にも明らかになった
段階におきましては、必ずしも固執をするものではない。しかし、現在の
段階ではさような踏み切りはできないということでございまして、決してその古典的な三海里だけ守っておればよろしいという考え方ではないわけでございます。この点は誤解のないようにしていただきたいと思うわけでございます。
なお、わが国の水産
業界におきましても、
地域によりましては、たとえば北方の
関係におきましては、沿岸に他国の船がいろいろ出てまいっておりますので、専管水域を引いてはどうかというような御意見も一部にはございます。しかし、たとえば北海道を頭に置いて考えました場合でも、一応まあ十二海里という問題を頭に置きました場合に、十二海里で専管水域を引いたらばそれで事足りるだろうかということを考えますと、私はむしろそれよりももっと沖合いまで含めた何らかの取りきめが必要なような事態が徐々に醸成されておるように思うのであります、特に多獲性魚につきまして。そう考えますと、専管水域をかりに十二海里と引きましても、必ずしもそこにおきます沿岸漁業の実質的な権益が十分に守れるとは必ずしも思えない。もっとドラスティックな措置が場合によれば必要なんじゃないか、こう思うわけであります。それからまた、現在の
段階で出入りがございますけれ
ども、外の国に行っております
関係を考えますと、やはり、たてまえといたしましては、十二海里をそのままのんでそして相手方が何を言うのかわからない
状態で交渉するんではなくて、別途に、そういうような
立場を離れまして、実際の漁業
調整はどうするのかという話をしたほうが得策である、この
段階では、と考えておるわけでございます。