運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1967-07-20 第55回国会 参議院 内閣委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月二十日(木曜日)    午後一時五十四分開会     —————————————    委員異動  七月二十日     辞任         補欠選任      田村 賢作君     柴田  栄君      鬼木 勝利君     鈴木 一弘君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         豊田 雅孝君     理 事                 石原幹市郎君                 八田 一朗君                 稲葉 誠一君                 北村  暢君     委 員                 内田 芳郎君                 源田  実君                 柴田  栄君                 玉置 和郎君                 中村喜四郎君                 船田  譲君                 宮崎 正雄君                 山本茂一郎君                 伊藤 顕道君                 瀬谷 英行君                 前川  旦君                 山崎  昇君                 鬼木 勝利君                 鈴木 一弘君                 多田 省吾君                 中沢伊登子君    国務大臣        国 務 大 臣  増田甲子七君    政府委員        内閣法制局長官  高辻 正巳君        内閣法制局第三        部長       荒井  勇君        防衛政務次官   浦野 幸男君        防衛庁長官官房        長        海原  治君        防衛庁防衛局長  島田  豊君        防衛庁教育局長  中井 亮一君        防衛庁人事局長  宍戸 基男君        防衛庁衛生局長  高部 益男君        防衛庁経理局長  大村 筆雄君        防衛庁装備局長  國井  眞君        防衛庁参事官   鈴木  昇君        防衛施設庁長官  小幡 久男君        防衛施設庁総務        部長       財満  功君        防衛施設庁総務        部会計課長    春日敬太郎君        防衛施設庁施設        部長       鐘江 士郎君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  清君     —————————————   本日の会議に付した案件防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付)     —————————————
  2. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。田村賢作君が辞任され、その補欠として柴田栄君が選任されました。     —————————————
  3. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案並び防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案の両案を一括議題とし、前回に引き続き両案に対する質疑を続行いたします。  関係当局からの御出席は、増田防衛庁長官高辻内閣法制局長官その他政府委員の方々であります。  それでは、御質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 まず防衛庁長官にお伺いいたします。昨日の私の最終的な質問であった、この法案外務省定員を振りかえて韓国南ベトナムへ、いわゆる防衛在官を派遣するということ、これは私の質問の要旨は、このこと自体に賛成とか反対ということではなくして、この法案が通ってから履行すべき筋合いのものである、こういう角度からお伺いしたわけです。そこで、どうも聞くところによると、韓国へはまだ行ってないようだが、ベトナムへは、もう現実にはこの法案内容の一部に先行して、すでに派遣されておるのではないかということに対して、あなたから南ベトナムには行っておる、韓国へはいま現在準備中で語学の研修中である、そういう意味の御答弁があったと思うのです。しかし、いろいろな角度からこれを追及して、どうも筋が通らぬということで、あなた並びに官房長からいろいろ御答弁があったわけです。どうも納得しがたいということで、それでは法制局とも相談して、われわれが納得するに足る見解を出してもらいたいということであったわけです。そこで冒頭、まずそのことからお伺いしたいと思うわけです。
  5. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 私は昨晩伊藤さんにお答えしたとおりでございまして、また、官房長お答えしたとおりでございます。そこで、法制局ともこの件については打ち合わせをいたしておりますということをお答えいたしましたが、それが私ども発言最終末尾であったと思います。そこで、法制局のほうに、ここへ出向いてそのことを答弁願いますということを私がお約束いたしております。また、皆さまからも御要望がございまして、ただいま法制局長官出席いたしておるわけでございます。私ども答弁答弁のとおりでございまして、その裏づけとしての法制局長官が御説明申し上げる、こう存ずる次第であります。
  6. 高辻正巳

    政府委員高辻正巳君) ただいま伊藤先生からお話がありましたような大体の経緯を実は伺っております。で、先生のおっしゃることでありますから、私どものほうでもむろんいろいろな角度から、もう一ぺん勉強いたしましたが、先生の御質疑の中心は、外務省設置法のほうの定員の増を一方において法律改正でお願いをし、他方において、防衛庁のほうの職員定員を二名、これは総合して増員になりますから、おもてにはあらわれておりませんが、二名の減を勘定に入れて、定員を今回の法案で御審議を願っているわけでございますが、その減を計算に入れた定員のほうの国会議決成立していない前に、外務省のほうの防衛在官用要員として出向させるというのはどうかということでございますが、これはまあ昨夜来お話があるいは出ているかもしれませんので、あるいは同じようなことを申して、といっておしかりを受けるかもしれませんが、ともかくも法律的な論点からだけ申しますけれども定員は御存じのように、その定員をこえて職員を採用するということは、むろんできないわけでございますが、その定員内で職員一定の職につけるという実は限度をきめていると、こう私は理解をいたしております。現に定員一ぱい常に職員が置かれているわけではございませんので、定員はすなわちその職に置かれる職員定数上限であるというふうに考えられております。むろん各省ではその事務の遂行には一応それだけの人数が要るという考えでございますから、むろん定員は充足されるのが一般のことではございますけれども、しかし、いろいろな事情から定数一ぱい充員されているとは限らぬわけでございますが、そういう意味法律的に申しますと、定員というのは上限をきめたものであるということになるわけでございます。したがって、外務省のほうの定員が増加いたしますまでは、いままでの外務省職員にオーバしてこっちから出向させることはむろんできませんので、それが成立した暁において出すということは、外務省筋から見れば、これはもう問題がないことは先生も御承知のとおりでございます。  ところで、防衛庁のほうでございますが、ただいま申し上げましたように定員というのは上限であるというわけでございますので、その定数範囲において一定のものを減ずる、それがすなわち外務省のほうに行って、いわゆる防衛在官になるわけでございますが、そういう意味からしまして、今回といいますか、昨夜来お話が出ております防衛庁措置は、少なくも法律的に違法であるということにはならないという考え方でございます。  なお、不足の点は御質問によってお答えを申し上げます。
  7. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これはこの問題にごく似た問題がかつてあったわけです。それは第五十一国会自治省設置法の一部改正案審議されたことがあるわけです。その五十一国会に出された自治省設置法なる内容は一名減員です。一名減のこれはおそらく振りかえであったと思います、今回の防衛庁の場合と同じように。それは結局、自治省設置法成立後に、たとえ一名の減であっても、それだけを内容とする自治省設置法がかつて審議されて、これはむろん成立いたしましたから、その後に自治省減員をしている。自治省の場合はそうであったわけです。これは相当問題であるというので、一つの生きた事例を出したわけです。そうしますと、いまの法制局長官見解によると、防衛庁の場合は他省庁のそれとは違って、特別にこういうことができる法的根拠は那辺にあるのか、こういう問題が当然出てくるわけですね。同じ佐藤内閣の各省庁ですから、防衛庁を除いた他の省庁については当然設置法改正しなければならぬ。そしてその内容の一名減は当然その法の成立後にしなければならぬ。そこで、防衛庁についてはいわゆる自衛官の一名減、人数は何でもいいわけですが、たとえば今度の場合は南ベトナム一名ですから一名減、そういう場合に他省庁と同じ扱いをするということになると、これはおそらく脱法行為になる、そういうことははっきり言える。ただ、防衛庁防衛庁特例法のようなものが別にあって、そういう法的根拠によって防衛庁の場合には法的には違法にならないんだ、そういうことであればわれわれは納得できるわけです。そうであるとするならば、その法的根拠を示していただきたいと思います。
  8. 高辻正巳

    政府委員高辻正巳君) 先ほども申し上げたとおりでございますが、ただいま御引用になりましたその例は確かにございます。これはただいま防衛庁のことについて申し上げておる私自身が、自治庁設置法改正について、あれは二名でしたか一名でしたか、はっきり記憶しておりませんが、それを減ずる法案をわざわざ御審議をわずらわしたのは、実は私ども大いに考えてやったものでございます。確かに外務省に対して定員を増にする、それは振りかえでもってやるわけでございますので、実際問題としてはそういう結果になりますので、その自治省要員を他省庁に回したということなら、他省庁のほうでふやすと同時に自治省のほうで定員を減ずるというのが、これはきちょうめんと言いますか、当然の措置であると考えております。定員という制度はむやみやたらに政府職員を置くことをしないということでございまして、国会の御承認を得た範囲内で、職員を、先ほど上限と申し上げましたが、範囲内でというふうに申し上げてもむろんよろしゅうございますが、そういう意味で、他方にふやすと同時に、自治省設置法のほうは、先ほど申し上げた理屈理屈として定員を落としていく、これが、わざわざそのための法案を御審議わずらわすのはいかがかと思いながらも、実はそうすべきであるということで、法制局といたしましてもその措置をとったものでございますので、よくそれは承知をいたしております。ところで、防衛庁のほうでございますが、防衛庁のほうにつきましても、いまと同じ考えからやはり定員を落とすべきであるということで、定員を落とす考慮を入れているわけでございます。ただ、この防衛庁設置法定員のほうは増員分が相当ございますので、その定員の減分差し引き計算して増になっているということはございますけれども、その二名の減というのは当然勘定に入っているわけでございまして、そういう意味で、同じように国会の御審議をわずらわす手続をとりました点は、全く自治省の場合と同じでございます。先生がおつやいますのは、そのことではむしろなくて、法案法律として可決されるまでに駐在官を一人出向させた、駐在官のために出向させたということでございますが、この点は先ほど申し上げたとおり定員内の処理でございますので、実員をそれだけ一人減らしただけのことでございまして、定員オーバーをするわけではむろんございませんことから申して、先ほども申し上げましたように、法律的には違法ではないと申し上げているわけでございます。なお、当時その法案あるいは今回の法案についても担当している部長がおりますので、さらに詳しいことが必要であれば正直に経緯を御説明申し上げます。
  9. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 せっかく法制局長官がきて、法制局としての見解をいま長官述べられているわけですけれども長官自体がおっしゃっているように、これはもう昨日、防衛庁長官はじめ防衛局長等がわれわれに答弁している、これと同じ、政府の一環としてそれをむろん援護するための発言であることはもう伺うまでもないわけです。したがって、それに反するような、防衛庁長官の意思に反するような御答弁はちょっと立場上出にくかろうかと思うのです。しかし、そういうことは抜きにして、われわれは是々非々でこういうことを、駐在官を派遣することを反対するとか賛成するとか、そういう内容に触れて言っていることではなくして、必要なら合法的な手続をとってやるべきだ、そういう角度からお伺いしているわけです。さっき、たとえ一名であって、これは問題にならぬようですけれども定員内の一名だから、これはもしかりに数字を入れかえて、一名を一万にしたらどういうことになるのだ。先ほども申し上げたように、自治省のかつての設置法ではわずか一名減、全く今回のこのベトナム防衛在官と同じわけで、たった一名ですよ。繰り返し申し上げます。ほかに何も内容ないのです。ただ一名の減だけで自治省設置法をかつて出したこと、われわれ審議したからよく覚えている。こういう場合はどうにも理解できないのです。だから、防衛庁だけにそういうことができるとするならば、そのできる法的根拠があるかということをお伺いしているわけです。
  10. 荒井勇

    政府委員荒井勇君) ただいま法制局長官から御答弁したことで大筋は尽きていると思いますが、昭和四十年の四十八国会自治省設置法の一部を改正する法律案を提出するにつきまして、審査をした立場と、それから今回の防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を審査した立場から申し上げますと、まず第一の、四十年の自治省設置法改正案につきましては、当初、提出予定法案にはあがっておらなかったわけでございます。それは法律解釈としまして、定員というものは上限をきめているものである、それから、六カ月予算というものがついたということで、外務省設置法の一部改正は出しまして、その中に自治省からの振りかえ定員一名分を含めまして、二千五百四十三人を二千六百八人にするという改正法案外務省設置法といたしまして出しておるということで、それが成立するならば、その範囲外務省のほうは一名増をすることはできるし、そして、定員法律で定められている趣旨というものが、その上限を定めるものであるという点から言いますと、法律的には必ずしも自治省設置法改正を、まあ成立させるというか、それがない場合においても、その一名出向させるということは可能であるというふうに当時解しておったわけでございます。で、法律的に可能ではあるけれども、しかしながら、予算上の定員とそれから法律上の定員というものは極力一致させることのほうが望ましい、その実態に合わせるようにしたほうがベターであるという意味で、法律的にぜひとも自治省設置法の一部改正が出なければ、この人事異動ができないというふうには解釈はしないけれども、その点は合わせることのほうがより望ましいという意味で、結局、当初の予定法案にはあがっておりませんでしたけれども、最終的に、まあいろいろ比較考慮し審議をしました結果、出したほうがよろしいということで提案をして御審議をお願いしたということでございまして、法律解釈は、その前提として必ずしもなくても、その最高限度範囲でその一名なりあるいは二名というようなものの出向をさせるということは、外務省設置法改正にして成立する限りにおいては可能であるということの考え前提にしておったわけでございます。
  11. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これは繰り返してお伺いしておるように、ことばをかえて言うと、いま論議しておるこの問題は法改正内容ですね、内容の一部であるわけだ。法改正内容の一部が、法いまだ成立以前に先行して行なわれるということを、今度はほかのことに置きかえて、定員でなく他の案件に振りかえて考え場台、これは国会でまだ審議して成立するやいなやもしれないそういう案件を、その内容の一部を法成立に先立って先行して実行されるということがもし可能であるならば、国会は何も骨折って審議する必要はない。そういう論議も出てくると思う。当然そういう見解が出てきましょう。内容の全部であるならもちろんですが、たとえその一部であっても、その法が成立しないのにそれに先立ってどんどん行なわれるということがもし許されるならば、これはもう非常に紊乱してしまうと思うんですね。これはおそらく通るであろうからということで先行してどんどん行なわれる、これはいろいろ弊害が出ると思うんですね。今度の防衛庁の場合は、ごく最近行ったということではなくして、防衛庁長官答弁しておるように、ベトナムへの防衛在官派遣は昨年五月にもう現実に行っておるわけですね。しかし、この法案は、御承知のように、四十年から四十一、四十二年と、今度は三年目の法案であるわけです。しかも、まだ成立していない。こういう時点で、一年以上も先行してこの内容の一部が実行されておる、これは実に国会軽視もはなはだしいと思う。そう思いませんか。
  12. 高辻正巳

    政府委員高辻正巳君) お答えを申し上げます。先生のおっしゃることもむろんよく理解して申し上げておるつもりでございますが、先ほど主管部長から申し上げましたように、自治省設置法の一部改正のときのことは、実は、主管部長申しましたように、一名なり二名なり出向させる、当時一名だったようでございますが、出向させるについて、法の改正は必ずしも必要がない、しかし、別の意味定員改正はすべきであるというので、いまお話しの経過から、御推察いただけますように、法制局審議の過程において一案を作成して御審議をわずらわしたという経過でございます。今度の場合も、実は二名、防衛在官にするためにはやはり二名の減をもくろむべきであるということで、当然、先ほど申し上げましたように二名減にする。実は法律案には、これは結果において増員でございますので表には出ておりませんが、そういう計算の上に立って、ただいまの定員について御審議をいただいておるわけでございます。で、これはもう少しおわかりいただきますために申し上げるわけでございますが、それじゃ定員審議する実益はないではないかということは、実はそうではございませんで、何よりも意味がありますのは、各省庁における定員をこえて人数を採用するということは、少なくも国会の御議決になった法律の制定がなしには絶対にできないわけでございます。これはどの省庁といわず、まあ防衛庁自身がかねて苦慮しておりますように、全くそれができないわけでございます。そういう意味で御審議をいただき、法律を制定していただく実益はむろん大いにあるわけでありますが、たまたま、その定員定員のままとして、そのうちの一人が、その定員範囲内で実員が減ぜられるということを妨げるわけではないということは、定員の性質からいって当然のことであろう。現に私どもの一番身近な例を申し上げますと、内閣法制局というところは実は各省庁有能経験者参事官として来るわけでございますが、それにつきましては、各省庁から実は参りました者を法制局参事官として任命いたしております。それは定員の中で実際に減ることもございましょうが、あるいはこちらから帰る者によって補充されるということもございましょうが、いろいろの場合がございますが、その定員の内でやりくりをしておるということになるわけでございます。その点が、やはりいまの場合でも、外務省に、定員の中から防衛庁職員としては実員が一人減って、そしてそれが向こうの外務省定員実員として入っていくということでございますので、法律的に、これは増員の場合と違って、つまり定員をこえて人をふやすという場合と違って、法律的には問題がないだろうということを申し上げたいのでございます。
  13. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いま定員の問題について論議しておるわけですが、先ほど私がお伺いしたように、いま定員だから、かりにそういうことが言えるとしても、今度はほかの案件に入れかえたらそういうことが可能なのかどうか、こういうこともあわせてお答えいただきたいと思います。
  14. 高辻正巳

    政府委員高辻正巳君) ちょっと御質疑趣旨が十分に的確に把握できなかったわけでございますが、たとえば、まず第一に、その増員定員がきまらないのに増員することができないとか、あるいは部や局の設置法が通らないのに部や局は設けられないとか、これはしごくあたりまえのことを申し上げて恐縮でございますが、そういうこと——あるいは見当違いの御答弁かもしれません。もし、そうでありましたら、さらに重ねて御質疑をいただきたいと思います。
  15. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それでは問題をひとつしぼって具体的の例を申し上げましょう。たとえば、法務省設置法の中で、前にありましたけれども、かりに法務省設置法刑務所をAからBに移すと、そういう法案が出たとしますね。そういう場合、これはAからB、Aを廃止してBに新たにいく、こういうのはしばしばあるわけです。そういう場合に、この法務省設置法は、通過しない前にかってにもうどんどんAからBに移すことができるのですか、たとえば一つの例ですが、それは差しつかえないのですか。
  16. 高辻正巳

    政府委員高辻正巳君) その刑務所設置法律でAに置くということになっておりました場合に、Bにそれを移す法律案が出ておって、いまだ議決に至らないのに移せるかということのように伺っておりますが、そういうような設例の場合には、法律案法律として成立しない前に、正規にAにあるA刑務所B刑務所に移す。つまりA刑務所が廃止されて、B刑務所成立したというふうな点は当然できないと思います。
  17. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そうしますと、いま一つのそのことに関連してお伺いいたしますが、この法案に、先般、防衛庁長官提案理由の説明を承って、その第三に、「第七航空団司令部を、埼玉県の入間基地から茨城県の百里基地へ移転するものであります。」、これは第三項にあるわけですね。このことに関連して、やはりこういう問題が出てくるわけです。現在すでに政令二百六十四号で、百里基地自衛隊法でいう基地として現実に第七航空団が全部移っているのではないか。ただ単に司令部の看板だけが入間基地に残っておるのではないか、こういう問題があるわけです。このような姿になっているのではないかというこの疑問に防衛庁長官お答えいただいて、もし、現実には移っておるのだといたしますと、これはいま法制局長官が明確にお答えになったように、いわゆる法案不成立時点ですね、まだ成立していない、不成立時点に、現実法律案内容の一部がそれに先行して進められておるということは、これはもう違法である、いまも法制局長官はそうお答えになったわけですから、全くその事例に当たるわけですね、これは。この法案提案理由の、あなたが説明された第三の第七航空団司令部入間基地から茨城百里基地へ全然まだ移転していなければ、これは問題ないわけですよ。全然移転の行動をまだとっていないとおっしゃれば、これはこの問題はおのずから解消する。どうもそういうにおいが強いので伺っておるところなんです。もし、そうだとすると、これはいま法制局長官お答えになったように、当然違法になってくるわけです。まず、その事実があるのかないのか、これをはっきり防衛庁長官からお答えいただきたいと思います。
  18. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 司令部というものは法律によってきまっておるわけでございまして、そこで、法律の御改正を願わないと司令部は変わり得ませんし、現実の問題といたしまして、百里基地へ隊のある程度は行っております。しかし、司令部要員等は現在入間におりまして、せんだっても、私は視察に行って参った次第でございます。
  19. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 どの程度残っておるのですか。
  20. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) たしか四十三名と聞いております。
  21. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 総員何名中何名が残っておる。
  22. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 今度、現在、百里の基地に行っておりますのが千二百二十八名でございます。入間に残っておりますのが二十三名です。
  23. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 数字が違うじゃないか。
  24. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 現在は二十三名でございます。ただいま長官から申し上げましたのは、四十三名というものは、これは全体の定員でございます。現在数は二十三名でございます。
  25. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 かりに二十三名でも二十四名でもいいですが、そのほんの一部を残して、私どもが見たのは看板だけ残っておるように聞いたんですが、現実に二十三名残っていて、大部分は法成立に先行して行動を起こしている、そういうことははっきりいえますね。そうだとすると、これは先ほどから繰り返し申し上げておるように、防衛庁長官がかつて提案理由を説明された第三項に当たって、したがって、このことは、入間から百里基地に移るということは、法案内容の一部ですね。それははっきりしておる。全部じゃない、一部。ところが、大部分をもう先行して百里に移して、ほんの一部が言いわけ的に残っておると、こういうことになると、その法案内容の一部はもうすでに法成立に先立って行なわれておるということははっきりいえると思うのです。こういう見解に立つと、先ほど法制局長官お答えになったこの違法行為であるということに明確に当たると思うのです。よもや法制局長官先ほどの御発言を取り消すようなことはなかろうと思うのです。そうだとすると、これはまさしく違法行為になる、こういうことが断定できると思うのです。よく聞いてくださいよ。
  26. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 第七航空団、これが法律の別表にございまして、その別表は入間郡武蔵町ということになっております。それを茨城県の何町かわかりませんが、俗称百里基地というところに移すというのが法律改正でございまして、これが皆さまの御賛同を得た法律になりませんから、現在入間基地におりまして、私が視察に行ったときにも司令部要員はおります。そうして非常に不便で困るということをかこっておりました。こういうことを申し上げておきます。すなわち法律に従っておるわけであります。
  27. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 司令部というのは、ただ単に二十三名云々を言っておるのじゃないでしょう。司令部にはその所属の要員がおるわけでしょう。その司令部の一部が移って、幹部連は残っていると、こういうことにも受け取れるわけです。そういう解釈であっても、すでに司令部の一部が現実に百里に行っておることは事実でしょうが。たとえ一部でも先行しておるということははっきりしておると思うのです。先ほどの長官の御説明でも、相当数はもう百里に行っておる、司令部二十三名、これが現在残っておるという説明ですが、一部はもう百里に行っておるのでしょう。これはどうなんです。
  28. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 司令部は行っていないのでございます。そこで入間基地におりまして、通信等の関係を利用いたしまして、通信は始終できますから、そこから指令をいたしておりますけれども、やはり場所が同じでないと、隊のほうはこれは訓令以下でできるそうでございまして、隊のほうは法律の下の政令のまたその下の訓令でございまして、それ以下でできるそうでございまして、隊は百里基地に展開しておることは事実でございますが、司令部並びに司令部要員は現在入間基地におりまして、非常に不便だということを嘆いて長官に訴えておりました。
  29. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そうしますと、その二十三名残っておる、それが司令部要員を含めた総数だということですか。——質問意味かわからないのですか。それじゃもう一度言いましょう。  先ほど防衛庁長官が、司令部は残っておる、二十三名だと。その中には司令部に所属した要員一切が残っておるのかどうか。
  30. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 詳細なことは防衛局長からお答え申し上げますが、司令部が入間におりまして、それから隷下部隊が百里基地におることは事実でございます。そこで連絡上非常に不便を感じて嘆いておる。そこで、司令部要員入間基地におるわけでございます。
  31. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 隷属部隊が嘆いておるか嘆いていないか、そういうことを伺っているのではなくして、二十三名残っておるとおっしゃる。それをこちらが肯定しても、司令部というものは、ただ単に——第七航空団司令部ですね、これは二十三名で構成しておるのかどうか。そうじゃないでしょう。要員が相当おるわけでしょう。その要員の一部はもうすでに先行しておるんじゃないと、そこを伺っておるわけです。
  32. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 団司令部定員が現在四十三名でございます。そこでまあ総体といたしましては、このたびの法案増員をお願いをいたしておるわけでございまするが、それを総体を入れますと、千四百五十名という数字になるわけでございます。で、現在の実行の定数といたしましては、千百九十三名ということで、これは法案が通過いたしましたら、それに対する充足を完全にしたいというふうに考えておるわけでございます。現在数はそういうふうな状況でございます。  そこで団司令部でございますけれども、二十三名現在、先ほど申しましたように、入間におります。そこで、もちろん百里にも各種の連絡のために司令部要員が出向いておるということはございます。
  33. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そうしますと、御答弁意味をそのまま受け取っても、司令部要員を含めて四十三人、そのうち現存しているのは二十三名、そうすると、二十名はもう百里基地へ移転しているわけですね。
  34. 島田豊

    政府委員(島田豊君) それは先ほど申しましたように、連絡に行ったり帰ったりということでございます。
  35. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 その二十名何がしが連絡に行ったり来たりしているということは、それは連絡に来るなら一部が百里のほうに行っていなければ連絡もつかぬでしょう。だから、私の伺っておるのは、何人か知らぬけれども百里へもう現実要員が一部行っておることは確認できるわけでしょう。正直に言いなさいよ。行ったり来たり連絡、ただ往復しておるだけじゃお答えないでしょう。
  36. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 先ほど申し上げましたように、定員四十三名でございまして、二十名程度が入間から百里のほうへ連絡に参っておるということでございます。
  37. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこでですね、こういうことがはっきりしたわけです。連絡に行ったり来たりということであったが、連絡のために現実入間基地から百里基地へ行っておることだけはここで確認されたわけです。そういうことになると、数の問題ではなくて、質の問題であって、たとえ一名であっても、法成立以前にその法内容の一部が、もう法成立に先立って先行して行なわれておるということは明確にいえる。そうなると、先ほど法制局長官がおっしゃったように、法成立前に改正内容の一部であろうと全部であろうと、たとえ一部であろうと、先行して行なわれた場合には、これは違法行為であると明確にお答えになったわけです。そうなれば、そういう趣旨から押していくと、との第三項はまだ法成立してないわけだから、たとえ一部であっても、現在の入間から百里基地へ行っておることだけは事実だということになると、これは違法行為じゃないですか。どなたがどう考えてもそういう結論を出さざるを得ないわけです。正直におっしゃいよ、正直に。
  38. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 私は事実問題を申し上げます。私は入間というところへは参りました。観閲で。しかしながら、百里というところは非常に遠いところで、まだ参っておりません。そこで、入間において第七航空団の司令、また司令部、それから司令部の幹部要員等と各種の打ち合わせもいたしましたし、報告も聞いたりいたしておりまするが、行くところは、百里は行ってないのでございます。百里には隊が展開しておりますが、多少は向こうに連絡に行くかもしれませんけれども、法を厳重に守りまして、現地の航空団司令も私に申しましたが、百里へ司令部が行くことに早くしていただかないと、私どもはここにおりまして非常に困っておりますと、これは事実を正直にお話ししておるわけです。それから、私が長官に任命されました後に、最初に参ったのは府中でありますし、その次に参ったのは入間でございます。まだ百里には、国会でも済んだら参ろうと——事実を正直に申せということでございますから正直に申します。でございまするから、司令部は厳として法のもとにおいて入間に存在いたしておりまするし、また司令もおります。これは空将補でございまするから司令官とは言いませんが、司令と言っておりますが、司令もおりますれば要員もおります。ただ一部のそのまた部下の部下くらいが少しくらいあっちこっちに動いても違法とは私は断じて言えないのじゃなかろうか。これは伊藤さん、いかがでございましょうか。
  39. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 あなたがうそを言っておるかほんとうを言っておるかということでなくして、現在の姿はだんだんわかってきたわけです。そこで、私は伺っているのは、これは第三項があるわけでしょう、あなたが読んだこの提案理由の説明に。だから、この法案が通らないとですね、この第七航空団司令部というものは完全に、もちろんたとえ一部であろうとも、百里基地へは移せないわけです。そこを伺っておる。そうすると、先ほどの局長の話で、一部はすでに二十名ほど行っておる。四十三名おるのだけれども司令部要員を含めて。二十三名は入間に依然として残っておる、ところが、長官も正直におっしゃったんでしょう、あとの二十名は百里に行っておる。もちろんその二十名の中には連絡員もおるでしょう。連絡はそれはむろん必要でしょう。たとえ一部であっても、法成立以前に法内容の一部が先行されておるのじゃないかということを言っておる。この点はどうなんです。これは早く明快な御答弁をいただきたいですよ。他にお伺いしたい大事な件がたくさんあるわけです。こんなことで時間とりたくないです。
  40. 高辻正巳

    政府委員高辻正巳君) 国家機関の一定の機関が法律で所在地等がきまっております場合に、その所在地を、法律で変更せずしてその所在地を変更することは許されないことは、これはまあ先ほども明言しましたとおりに、そのとおりでございます。したがって、もしも今回ただいま議論になっております第七航空団司令部がいままでありますこの入間武蔵町からもうなくなりまして、百里基地に移っているとすれば、これは先ほども申し上げましたことからいって、まことに先生のおっしゃるように法律違反は明瞭でございます。しばしば御説明申し上げておりますように、私そばで伺っておるわけでございますが、御存じのとおり、航空団と申しますのは、自衛隊法によりますと航空団司令部及び飛行隊その他の直轄部隊からなるということになっております。しこうして、その名称、所在地について法律で定めておりますのは航空団司令部、ただいま申し上げましたそのうちの一つである航空団司令部の名称及び所在地が第三の別表できまっております。この第三の別表を法律改正によって変えることにいたしたいというのが今回の法案でございますが、ただいま申し上げましたように航空団司令部と言いますのは、現に防衛庁長官が御視察になりましたように、いまだ厳として武蔵町にあるわけでございますので、これが法律に違反しているということには、あえて一生懸命弁明するわけではございませんが、事実のお話を承っておれば、どうしてもこれが法律に違反するということにはまいらないというふうに、私は聞きながら理解いたしておりますので、若干の法文を引用しつつ申し上げさしていただいたわけでございます。
  41. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 関連してお聞きしたいのは、いまの司令部の話は、なるほど形式的にはこういうふうになるかもしれないと思いますが、司令部というのと、いろいろな部隊とが一体となって実際の働きをしているわけですね。ですから片方が政令でいいことになればなるほど、形式的にはそうかもわからないけれども、実体はほとんど百里のほうへ移っているということなんだから、なるほど形式的には違法でないとしても、実質的にはこれはやっぱり妥当であるかないかということになってくると、妥当でないということが当然考えられてくるのじゃないですか。法律改正があって、その実体のものがはじめて全部移るというのが、これが正式な移り方なんだ、それをやらないで、実体的なものがほとんど向こうへ行っている。だから司令というのは、四十三人のものというのは、これは形式的にはそうかもわからぬけれども、その実体千四百名全部ここにいるわけですからね、それから見ると、もうこれは九割何分のものが移っているということになるわけですから、ですから行き方としては妥当でないということになるのじゃないですか。
  42. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 現在、百里に展開しておりますF104部隊は、F104が装備されてきましたことに伴いまして、それにパイロットを配置いたしまして、現在訓練をやっておるわけでございます。その場合に二個スコードロンを維持いたしますにつきましては、これは百里の基地を使うということで前から百里の工事に着手しておりまして、百里の工事も完成いたしましたので、この二個スコードロンというのを百里に配置いたしたわけです。そうなりますと、この二個スコードロンを維持します場合の整備関係、補給関係、あるいは基地業務関係の人員が当然必要となるわけでございまして、そういう意味で、現在、飛行群、あるいは整備補給群、あるいは基地業務群、こういうものが百里のF104の訓練を実施いたしますために百里に行っておるということでございます。そこで、御承知航空団司令部が入間でございますので、勢いその間にいろいろ不便がございます。しかしながら、これはやむを得ざる措置でございまして、その不便を現在は忍んでおるわけでございますが、これがやはり今後任務付与をされまして警戒配置につくというような場合になりました場合には、団司令の統率のもとに迅速なる指揮運用ができるということが望ましいということで、この司令部の移転をお願いをいたしておるわけでございます。しかしながら、現在の段階におきまして不便はございますけれども司令部そのものと、現実のF104部隊の配置場所、これが全く同一場所でなければならないということも必ずしも言えないということでございます。しかしながら、これはやはりでき得べくんば団司令が部下を掌握するということにつきまして、この指揮運用の適切を期するという意味におきまして、同じ場所にあるほうがいろんな面で効果的であり、能率的である。こういうことでございます。
  43. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そうすると、入間の基地にいた人ですね、入間の基地にいた人は、司令か部隊か何か知らぬけれども、全体として一千四百人いたうちで、それじゃ九割何分、全体のうち何%が百里へ移っちゃっているのです。それが一つですね。  もう一つは、これはちょっと前に戻って恐縮なんですけれども法制局長が、駐在武官のときに、何か二名の定員減だ、二名の定員減だと話していましたね。これは二名ですか、どこから二名と聞いてきたの。二名じゃないのじゃないですか。これはあとで答えてください。それが一つ。  それから、ただ人員、それはたとえば防衛庁の人員を、定員を削減してというか、いわゆる減員して、そうして外務省ならば外務省にやるという場合に、一人の問題ならばあれだけれども、それじゃ、ある部というか、ある部を全部廃止して、外務省ならば外務省にかりにやるといったときに、それじゃ片一方のほうの外務省設置法は通ったけれども防衛庁の分は廃止する必要がない、残しておく必要があるのだというようなことになることもなきにしもあらずですね。その場合に、片方が通ったからって、こっちは廃止になってしまうのですか、かまわないのですか、機構の問題のときに。同じ問題として人員の問題がありますね。人員の問題、一人の問題ならばいいけれども、千人とか一万人という場合、こっちがそれを削減して、こっちへ全部移す、こっちは通ったけれども、こっちのほうはどうしても残す必要があるというときに、片方のほうは法案が通らなくても片方のほうへどんどん移っちゃってかまわないのですか。実際に条件的にからみ合っている場合もあるのじゃないですか。こちらを削減するということと、向こうを増加するということが条件的にからみ合っている場合、そういう場合もあるのじゃないですか、問題によっては。そこはどうなんですか。  それから、関連ですから全部まとめてやっちゃいますが、もう一つは、これは防衛庁に答えてもらうべきだと思うんですが、前に話した駐在武官というのはどこからの減という形をとっているかということですね。これはもう時間の関係で言ってしまいますけれども、一等陸佐とか何とかいう自衛官を全部外務省へ回しているわけでしょう、防衛庁。ところが、これは予算書なり何なりを見ると、非自衛官の減という形をとっていますね、これ。これはどういうわけなの。これだけ一ぺんに質問しちゃいますから。
  44. 荒井勇

    政府委員荒井勇君) 法律の関係からお答えを申し上げますと、その二名の減であるということを先ほど申し上げたということでございますけれども、それは、四十年度の予算関連といたしまして一名、それから四十一年度予算の関連といたしまして一名ということで、合計二名だという趣旨だと思います。
  45. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 三名じゃないの。
  46. 荒井勇

    政府委員荒井勇君) それは四十二年度予算の関連も一名でございますから、それも入れれば三名ということになろうと思いますが、過去にすでに出したものがあるではないかという点の御追及があったと思いますので、その人員は何名かと言えば、四十年度予算関連及び四十一年度予算関連それぞれ一名、合計二名だということでございます。  それから、一名、二名の出向をするということは外務省設置法改正があれば可能ではないかという議論に対しまして、千人とか二千人とか、あるいは一つの組織を廃止してあげて外務省へ移ったらどうかという御質問がございました。
  47. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そういう場合があったらの話。
  48. 荒井勇

    政府委員荒井勇君) そういう場合があったらどうかという御質問がございました。その中で、防衛庁における組織を廃止してということと、外務省設置法定員を増加することとは、これは法律的に言って密接不可分な関連ということはないと思うわけであります。というのは、一方は組織であり、一方は定員の問題であるわけでございます。その次に、一千人とか一万人とかいうような非常に国の重要政策にわたるような改正が二つの設置法に関連して行なわれるという場合に、その審査をお願いをするという場合の形式といたしましては、そのような密接な関連のある法案は、この外務省設置法及び防衛庁設置法の一部を改正する法律案というような形で、一方が通り一方は通らないというような、ばらばらの意思決定が国権の最高機関によってされることのないような形で御提案を申し上げたい、そういう場合にはですね。というふうに考えております。
  49. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 何%移っているの。
  50. 島田豊

    政府委員(島田豊君) ただいまちょっと計算しておりますが、もう一つ、四十年度にインドネシアに一人、海上自衛官を私どもとして派遣しておりますが、この人員の減でございますが、これは今回御提案申し上げております自衛官以外の職員が五十五名の増、それに対しまして、先ほどお話が出ておりますように、陸上自衛隊の一般の職員二名減いたしまして五十三名ということになっておるわけでございますが、もともとこの五十五名という数字が、海上自衛隊といたしましては五十六名でございます。そのうちに、インドネシアに四十年度に派遣すべき職員をそれから一名減じまして、そこで五十五名という差し引きが出ております。五十五名からさらに陸上自衛隊で出します二人の自衛官以外の職員定数を二名減じまして五十三名と、こういうことになっておるわけでございまして、計算の中には入っておりません。
  51. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 いや、ぼくの聞いているのはそういうことじゃないですがね。行っているのは自衛官が行っているんでしょう。一等陸佐にしろ、一等海佐というのか、ぼくはよくわからぬけれども、四十年はインドネシア、四十一年はベトナムでしょう。自衛官が行っているのに、あなたのほうの計算では非自衛官が減になっているでしょう。だからそれはどういうことなのかと聞いているわけです。——待ってくださいね。まああなたのほうではいろいろ説明するわ。また適当に何かあやつったような、何というか、ごまかしたような説明するのだろうと思うのだけれども、これはまあ行政慣行としてやっておるのかどうかはぼくはわかりませんけれども、これも筋がおかしいじゃないですか。と思うんだ。これは自衛官現実に行っているのに、今度、自衛官を減らさないで非自衛官のほうから減らしている。そうでしょう、これ。
  52. 海原治

    政府委員(海原治君) この件は、昨晩私がここで御説明しましたことと関連がございますが、外務省に出向します場合には外務事務官ということになるわけでございます。このことは昨日るる御説明いたしましたが、外務事務官ということになりますと、これはいわゆる一般の事務官、非自衛官ということになりますので、定員の減の関係におきましては、従来いろいろと解釈はございましたけれども、最近は事務官のほうから落とすことが慣例になっております。したがいまして、先ほどのインドネシアに参ります分は、海上自衛隊の行政職四等級の中から一名、今度南ベトナムに行っておりますのは陸上自衛隊の四等級の中から一名、韓国要員については同じく陸上自衛隊の五等級の中から一名、こういうことで、計三名の減員を実施しているというのが現状でございます。
  53. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 おかしいな。まあいいや。
  54. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこで、先ほど来お伺いしている防衛在官の問題にしろ、いま現実にお伺いしておるいわゆる第七航空団司令部移転の問題にしろ、どうもそういう答弁ではわれわれとしては理解しがたいわけです。そこで、これ以上時間をかけてもこの場ではなかなか解決しませんので、他に重要な案件もあるし、遺憾ながらこれは未解決な問題として保留して、将来審議に付したいと、こういうふうに考えますので、一応この二つの問題についてはそういう意味で保留にして次に進みたいと思います。  次にお伺いしたいのは、これは長官にお伺いしたいわけですが、自衛隊は基本的な任務の中に、間接侵略に備えるということで、はっきり国内治安対策ということを掲げておるわけです。この国内治安対策については、先般、稲葉委員からも一部御指摘があったわけです。したがって、その重複を避けて、別の角度からお伺いしたいと思います。この治安対策が打ち立てられておって、当然、治安出動ということが任務の一つとして成り立っておるわけです。そのために装備もしておるし訓練も行なっておる。ところが、各国の軍隊の状況を見ますると、国内治安についてはその役割りをほとんど警察に分譲しておるのが常態であるわけです。ところが、日本の自衛隊では、いま申し上げたように、自衛隊自体がこういう装備をし訓練をして国内治安対策を進め、必要に応じて出動しておる。こういうことはきわめて新憲法下では望ましくないし、これは検討すべき問題ではないか、そういうふうに考えられるわけです。この点、長官いかがお考えですか。
  55. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) お答えいたします。伊藤さんの御指摘のとおり、自衛隊は直接侵略並びに間接侵略に対処するということが規定されておりまするが、間接侵略の場合、あるいはそれに類似するような緊急事態、そういうような場合はいわゆる治安出動でございまして、あくまでも全面的に、第一義的に責任を負うのは警察隊である、こう考えておる次第でございます。治安出動する場合には、ことに第七十八条によりまして、そのあとで国会の承認を得なくてはなりませんし、警察力をもってしては不足であるというふうに内閣総理大臣が認めたときであって、そして事後において国会の承認も得んなりませんし、慎重な態度をとっているわけでございます。
  56. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 戦前の帝国軍隊の場合であっても、国民に対して銃を向けるということについては、これはタブーであったわけです。たとえば米騒動があったわけです。そのとき多くの軍隊を出動さしたことから、逆に国民の軍隊であるはずの日本軍は、国民に対して銃を向けたということで、非常な強い国民からの反撃を受けた事例があったわけです。そこで戦前の軍隊ですら、そういう問題が、あってから以後は、国民に銃を向けないという、そういう姿勢で事に当たってきたわけです。したがって、治安のことは一切警察にまかしてきたわけです。ところがこの自衛隊は、いま長官自体もおっしゃっておるように、国内治安対策として治安出動もするし、そのために、出動するためには平素から装備をし、訓練を続けておる。これは新憲法下ではまことにふさわしからざる一面であろうと思うのですけれども、このことに対する長官のお考えをこの際はっきり承っておきたいと思います。
  57. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 伊藤さんの御意見は、原則としてごもっともでございます。同感でございます。そこで、しかしながら、第三条には自衛隊の目的といたしまして、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対処する、それから、それが主たる目的でございまして、必要に応じて公共の秩序を維持する、これが自衛隊に課されたる使命でございます。そこで、七十八条によりまして間接、七十六条の場合は直接侵略に対処して出動する、いわゆる防衛出動でございます。七十八条はいわゆる治安出動でございまして、内閣総理大臣が一般の警察力をもってしては平和を維持することができないと認めるときに限る、しかも国会の承認を得んなりません。もっとも昔の法規にも、地方長官が師団長に出兵の請求を求めることができるという、それと同じような法規が、いまの自衛隊には八十一条に、要請による治安出動——都道府県知事が都道府県公安委員会、すなわち都道府県の警察力をもってしては不十分と認めた場合に、公安委員会にはかつて、そうして内閣総理大臣に対して出動を要請しまして、そのあと出動した場合には都道府県会というものにはかりまして、事後承認を求める、こういう八十一条の規定もございまするが、まず七十八条、八十一条というようなことはめったに発動すべきものではない、あなたのおっしゃるとおりにきびしく考えておる次第でございます。
  58. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 長官もおっしゃるように、命令による治安出動、これは自衛隊法の七十八条、これと治安出動待機命令、これが七十九条、要請による治安出動、八十一条、国会の承認が必要だ、そういう意味のことは御答弁のとおりであるわけです。しかし、これに多くの問題が含まれておる、隠されておるということをお伺いしておるわけです。自衛隊がだんだん強化されていく、そういう部門の中で中央調査隊、あるいは中央資料隊という調査情報機関がこれと並行して強化されている。一体この調査隊あるいは資料隊というのは何を調査し、いかなる資料を集めておられるのか、その大要を承りたいと思うのです。
  59. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 中央調査隊につきましては、陸上自衛隊の組織でございまして、陸上自衛隊は中央調査隊、それから各方面の調査隊を持っております。海空につきましては、それぞれの基地におきまして必要な調査要員を持っております。この調査業務の内容は、自衛隊の中におきますところの秘密を十分保全をするという業務、そのために必要な調査を行ないますのが一つ、それからいま一つは、いろいろ自衛隊員に対しますところの外部からの働きかけがございますので、そういう事案が起こりましたときに、それについて必要な調査をいたしまして、その隊員に所要の指導を加える、こういう趣旨で調査をやっておるわけでございまして、その目的は、自衛隊を秘密漏洩から守る、あるいは外部からの働きかけから守るという自衛隊自体防衛ということでございます。  それから資料隊は、これは陸海空それぞれ部隊がございますが、これは公に刊行されております、公刊されております資料に基づきまして、その中からいろいろな軍事的な問題につきまして調査をし、分析をし、整理をする。さらに外国の諸文献につきまして、これに翻訳を加えましてこれを整理する、こういうふうなことを目的といたしておるわけでございます。
  60. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いまお伺いした中央調査隊、中央資料隊、このほかにも各方面総監部とか、方面隊師団の中にも調査部門や資料部門がだんだん自衛隊の強化に並行して大きくなりつつある、こういうことは確言できると思うのです。こういう部門は一体何をやっておるのか、いま一部御答弁がございましたが、こういう総監部以下の方面隊師団、これの調査情報収集はどうなっておりますか。
  61. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 調査隊につきましては、組織としましては中央調査隊と各方面に方面調査隊、これは陸上自衛隊の場合でございますが、ございまして、師団以下につきましては、それぞれの駐とん地にその調査隊を派遣いたしまして所要の調査を行なう、こういう組織になっておるわけでございます。  資料隊につきましても、陸上自衛隊の場合は中央資料隊、方面資料隊というものがございまして、資料隊につきましては師団以下の部隊にはございません。そういう状況でございます。
  62. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いま御答弁になっておるとおり、ほかに何もないということなら問題はないのでございますけれども、警備情報の収集はもとより思想調査をやっておるという事実があるわけです。その点はどうなんです。
  63. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 先ほど申しましたように、いろいろと事案が起こりました場合に、主として隊員の指導監督ということを目的といたしまして必要な調査を行なうということでございまして、あくまでそういう事実に即しての調査でございまして、一般的な思想調査というふうなことは自衛隊においては行なっておりません。
  64. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この各部隊ですね、またもっと下の駐とん部隊ごとの各部隊、こういう面が地方の警察と緊密な連携をとって、付近の都市で工場労働者、あるいは学生、あるいは革新政党の動向に関して詳細な情報を収集し、ただ情報を収集するということにとどまらないで、これを分析し、一体どこが重要な地域だとか、あるいはどこにどういうものがあるとか、そういう一見してわかる地図をつくって、治安出動準備のこれが一環であろうと思うわけですが、こういう工作を進めておるということを聞いておるわけです。そうだとするとなかなかこれは容易ならぬことだと思うわけです。行き過ぎではないかということが当然出てくるわけです。その点どうです。
  65. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 一つの問題は、自衛隊が一般的ないわゆる情報というものを収集するということは必ずしも必要でないわけでございまして、何かたとえば基地周辺におきましていろいろなトラブルがある、自衛隊に対する働きかけがある、そういうふうな情報を収集いたします場合に、それは地元の警察署につきましていろいろ聞くということはございますけれども、これは調査隊みずからがそういうふうな外部についての調査というものを行なう、そういう力もございませんし、またそういう必要もないわけでございます。  それからいま一つ警備地誌の問題でございますが、これは自衛隊が防衛出動、あるいは治安出動、あるいは災害派遣等をやります場合に、いろいろなやはり地誌関係が必要になってくるわけでございまして、そういう地誌の材料を集めるという必要はございますけれども、これは何も、ある都市なら都市におきますところのいろいろな外部の団体でありますとか、あるいは社会的な勢力でありますとか、そういうふうなことについて一般的に知っておるということは必ずしも必要でないわけでございまして、そういうものを一般的に調査をするというふうなことはいまの自衛隊はやっておりません。
  66. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なおお伺いいたしますが、六〇年の例の安保闘争が激しかったあとで、治安行動草案というものができて、これは大きな問題となったわけです。その後これは廃案になったというふうに聞いておったわけですが、有力な新聞報道によると、いやそうではない、実際にはこれはまだ生きておって使用されておるということを報道されておったわけです。これは誤報であれば問題ないわけですが、実際にはそういう面があるんじゃないでしょうか、この点を確かめておきたいと思うのです。
  67. 中井亮一

    政府委員(中井亮一君) お尋ねの治安行動草案でございますが、草案でございまして、まだ防衛庁として権威づけられたものではございませんので、一部参考にしているところは従来あったかと思いますけれども、現在それは生きているものではございません。
  68. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この問題についてはさきに稲葉委員からも質問があったと思うのです。同じ質問を繰り返すことは控えたいと思いますので、これはそっとしておきますが、次にお伺いしたいのは、このような治安訓練、いわゆる暴徒鎮圧訓練なるものを各部隊がどの程度やっておるのかということをここで確かめておきたいと思うのです。
  69. 中井亮一

    政府委員(中井亮一君) これも昨日お尋ねがあったかと思いますが、部隊で普通科の中隊に例をとりますと、部隊訓練を約四十時間やるように基準が定められております。
  70. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 私の把握したところによると、各師団で年間最低四十六時間、それと東京警備の必要のある第一師団についてはこれの大体三倍、約百五十時間足らず、こういう時間をかけて訓練をやっておるようですが、そういうふうに理解していいのかどうか。
  71. 中井亮一

    政府委員(中井亮一君) 部隊訓練といたしましていま四十時間を基準にしておりますが、そのほかに各個の訓練というものを若干基準としてはやらせるようにしておりますので、それだけの時間は多くなるわけでございます。ただ、第一師団につきましては普通の部隊に比べまして二倍以上の訓練をやるように基準をきめられております。
  72. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 まあこういうような時間をかけて、自動車を狙撃したり、ガスを使ったり、あるいは特定な地点の確保をするという訓練をやったり、まあいろいろな訓練をやっておると思うのですが、この訓練計画についてもできておると思うのです。それはまだでき上がったものはないのか。こういうことを実際に、私がいま指摘したようなことを現実にやっているのか、いやそれは間違いで、これとこれだ、そういうものなのか、こういう点について明確にお答えいただきたい。
  73. 中井亮一

    政府委員(中井亮一君) 部隊訓練の中で、基本的な隊形の訓練でありますとか、あるいは警護行動というようなものをやるように、それぞれ班の単位でやる時間、それから小隊の単位でやる訓練、それから中隊の単位でやる訓練、こういう訓練というようなもののそれぞれ基準が設けられている実情でございます。
  74. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 特にここで問題だと思われるのは、各連隊に最近特に強化されてきた面として、ゲリラ訓練とか、あるいはレンジャー訓練というものがあるということを聞いているんです。この点について要点だけをお答えください。
  75. 中井亮一

    政府委員(中井亮一君) レンジャー訓練につきましては、普通科連隊で通常五十名ぐらいの要員を訓練をするということで、計画的に教育を進めているわけでございますが、この訓練の目標は、きわめて困難な各地区の状況下で、長期、独立して行動ができるような、そういう精神力、体力を練摩をするということがこのレンジャー訓練の目標でございます。
  76. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 抽象的に言うとそういうことでありましょうけれども、具体的に言うとどういうことになるんです。時間がないからこちらから申し上げますと、たとえば、悪質と見られる文書を摘発する、そういう訓練をやったり、あるいは要人を守ったり護衛したり、そういうふうな意味の訓練をやっているというふうに聞いておるわけです。この点はどうなんです。
  77. 中井亮一

    政府委員(中井亮一君) やっております訓練からいきますと、初めにあげられましたようなことはやっておりません。ただ、病人等を困難な山の中から救出をするというようなことにつきましてはやっております。
  78. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 私がここで問題としてお伺いしておるのは、いま幾つか伺ったわけですが、こういういわゆる治安面に対する目標を掲げて訓練、教育が行なわれておる、こういうことが三次防においてますます強化されてきつつある、こういう点を前提としてお伺いしておるわけです。もちろん、まっ正面からこういうことを伺うと、これはそういう危険なことはやっておりませんとか、それは言えないでしょう、あなた方の立場では。事項に属するのだから。この前も私は本会議でお伺いしたように、いろいろとこれは軍事上の必要だということで自衛隊はなかなか——当然これは国民に知らしてしかるべき問題でも、秘密主義でやっているからなかなか部外には出さない。そういうために三矢計画問題とか、いろいろな面に具体的に出ておるわけです。そこで、ここでまっ正面からそういうことはけしからぬじゃないかと言えば、そういうことはございません、それ以外の訓練はやっております、そういう答弁をする気持ちはわかりますけれども、こういうような事実がいろいろな端々から、いま私のお伺いしているようなデータとなってはっきりしつつあるわけです。そこで、もちろん機密の限界がございますからこれ以上のことは言えないと、そういう事情はあるだろうと思う。しかし、ある程度国民の前に訓練の内容をある程度率直に言っておかないと、あとでそういうことは国民の面からはっきりしてくるということになると、これは容易ならぬ問題になると思ってお伺いしておるわけです。この点はいかがですか。
  79. 中井亮一

    政府委員(中井亮一君) ただいまのレンジャーの訓練に関しましてのことでございましたならば、部隊でやりますレンジャー訓練を人に見学をしてもらっておる事例もたくさんございますし、別に特にいま伊藤先生の御心配になられたようなことはございません。
  80. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 時間の制約がございますので、これで了解したわけでは毛頭ございませんが、次の問題に入りたいと思います。  現在、日本で装備しておるレーダーの探知能力範囲は約二百キロだと思うんですが、この二百キロ以内に、もしかりに国籍不明機が入ってくると、これはすぐ待機中の北海道千歳の航空団の戦闘機が二機飛び上がるということになっておろうかと思うんですが、飛び上がって行ってその不明機に接近して警告を与える。もちろんこの戦闘機はサイドワインダー以外の完全武装をしておる、こういうことであろうかと思います。この場合、もしかりにソ連機といたしましたならば、ソ連機に接近すると、向こうは領空内に入らないで退避してしまう、こういうことが年じゅう繰り返されているのではなかろうか。そうだとすると、このことは大体過去において一体どのくらい繰り返されてきたか、こういうことを含めてそのことについてのお答えをいただきたいと思います。
  81. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 昭和三十三年度以降昨年度まで緊急発進をいたしました件数は千九百六十六件、そのうち四十年度が三百八十七件、四十一年度が三百五十六件でございまして、ここ数年来、大体三百五十件ないし四百件近くの緊急発進をやっておるわけでございます。これは先ほど先生がおっしゃいましたように、レーダー網でキャッチいたしまして、わが国の飛行計画等と照合いたしまして、国籍がわからないという飛行機が本土に近づいてまいるという場合には緊急発進をいたすわけでございまして、いわゆる領空侵犯に必要な措置をとるわけでございます。しかしながら、この中でいまだかって領空に現に入ってきたということはないわけでございます。ただ、もしそういう領空に入ってくるということはいけませんので、これに対して所定の必要な措置を講ずるというために緊急発進をいたしておるわけでございます。
  82. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この領空侵犯に対する措置については、自衛隊法八十四条に明確に出ているわけですね。これはそういう領空侵犯の場合云々ということであるわけです。ところが先ほど来お伺いしておるように、この領空侵犯措置ということは八十四条に基づいてやっておると思うのですけれども、領空とか領海は国際法上はたしか海岸から現在は五・五キロでしたか、間違っていたら御訂正いただいて、そういうことであろうかと思う。そうだとすると、領空侵犯というそういう名前、そういう名目で二百キロも海の向こうにいるのに飛び立っていくということはどうもおかしいと思うんですが、特に、かりにソ連機とした場合に、日本とソ連とは宗谷海峡で一衣帯水で接近しておる。そういう情勢の中で二百キロ向こうからレーダーに入ってきたらすぐ二機が飛び出す、北海道の千歳の航空団の戦闘機二機がすぐ飛び上がるでしょう。そういうことになると、もしかりにいままであなたの御説明でも千九百何がしという回数があったということは、相当いままでそういう事例が多かったということを意味するわけですね。幸いにいままでそういうあやまちはなかったわけですけれども、こういう多くの回数を重ねている間に間違いということはあり得るわけですね。もし、たとえば間違いにもいろいろございましょうけれども、両機が衝突するというような場合もあり得るわけです。いままではなかった、いままでなかったから心配ないということは言えないと思う。いままで全然なくても、今後あるかもしれない、今後ないかもしれない、そういうことははかり知れないわけですね。で、ここでお伺いしたいのは、そういうひんぱんな回数が繰り返されておる中に、もしかりにあやまちがあったらどうするのか、たとえば衝突するようなことがあったら、一体どう措置するのか、その点が一点と、いま申し上げましたように、国際法上のいわゆる領空、領海は五・五キロというのに、二百キロ先からレーダーに入ったらすぐ二機が飛び立っていくということ、千歳の航空団の戦闘機が二機飛び立つということになると、これは行き過ぎではないかという感じが当然出てくるわけですね、しかも、この自衛隊法八十四条は領空侵犯に対する措置ですね。二百キロ先からレーダーに入ったものを、こちらがすぐ千歳の航空団から戦闘機二機が飛び立つということになると、もしそういうことになりまして、かりにソ連機であると領空内に入らないで退避していってしまう、領空内に入った場合、この領空侵犯に対する措置であろうと思うんですね。そうでしょう、領空侵犯に対する措置とあるわけです、この八十四条は。そうでしょう。そういうことになると、二百キロ先からレーダーに入ったら、すぐまた飛び立つ、そうすると、これは領空侵犯に対する措置ではないんじゃないですか。領空に侵犯があったら、この第八十四条が適用されるんであって、二百キロ先からすでに、レーダーに入ってきたから、すぐ飛び立つ、こういうことを繰り返しておるわけでしょう、そういう必要はないんではないかという当然な考え方が出てくるわけです。そこで繰り返しお伺いするように、お伺いしたい点は二点あるわけです。もしかりに二千回に近く多発的にそういうことが繰り返されている間には、たとえば二機がいわば衝突するということも理論上成り立つわけですね。そういう場合は一体どう措置なさるのか。それからいまの二百キロ先の云々とこの第八十四条に関連して、領空侵犯でないのに——向こうは領空侵犯の目的で来るのかもしれません、しかし、領空侵犯としてこの五・五キロ内に入ってきた場合もあるんですか。そういう場合に初めてこの八十四条が適用されるわけです。その二千回返いそのつど、そのつど領空侵犯ではないと思うんですね、そうだとすると、この第八十四条に照らして、これは合法的ではないんではないか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
  83. 島田豊

    政府委員(島田豊君) まず危険防止の問題でございますが、これはスクランブルをやりますパイロットに対しましては、そういう意味での危険を十分防止するように注意をさしておるわけでございます。一つ、二百キロというお話が出ましたけれども、実はレーダーの範囲はもっと遠いわけでございます。ただ二百キロと申しますか、それは必ずしも明確に定めてあるわけではございませんけれども、かなり時間的に前から飛しょういたしませんと、相手の国籍不明機がわが領空に入ってくるおそれがありますので、そういう関係でできるだけ早く飛び立つということでございます。そこで現実の領空侵犯措置は領空、領海に入ったときでございますけれども、それ以前におきましてわが航空機が緊急発進いたしますと、大体従来の例ですと、まあそれを避けて、反転していくというのがまあ普通でございまして、先ほど申しましたように、まだ領空、領海に入ってきたという事例はないわけでございます。そういう意味でわが国の領空侵犯措置というもの、緊急発進措置というものがかなりの成果をおさめておるというふうに考えておるわけでございますし、これは各国ともそういうことは実施いたしておりますので、われわれとしては十分事故ということについては留意をしながら、今後も引き続きやっていきたいというふうに考えております。
  84. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 まあこういうようなわれわれから見ると必要以上の訓練をやっておるように考えられるわけです。これはまあ日本の立場がアメリカの防衛体制の中に入って、そういう任務を担当しておるのでやっておるということになろうかと思うのです。これは一体日本の国民のためのいわゆる防衛といったことと関連があるのかどうか、そういう問題も出てくるかと思うのですね。もし間違いでもあって、国際紛争にでもなると容易ならぬ事態が考えられるわけです。そういう危険をおかしてあえてもう二千回近いことが繰り返されておるということ、もし間違いがあったら一体どうなるのか。こういう危険をおかしてあえてやっておるのは、アメリカの防衛体制の中に日本が一環として入っておる、そういう義務を押しつけられておる、こういうことでやっておるのだと思うのです。こういうような点についてひとつ御説明をしていただきたいと思います。
  85. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) いわゆる緊急発進というものは国際法規、あるいは航空法に違反するおそれのあるものに対して行なうわけでございまして、あくまでも日本のいわゆる領海、領空、領土を守るためでございます。
  86. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 私どもが特におそれるのは、いろいろこういう訓練を繰り返しておるうちにあやまちが起きたら一体どうするのか。こういうことについて、これはいままではなかったからといって済まされぬと思うのです。今後あるかもしれぬ。こういうことについても明快に長官から御答弁をいただきたいと思うのです。
  87. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 伊藤さんの御指摘のように、あやまちがないように事故防止につきましては厳重に部下を督励してまいる所存でございます。
  88. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なおお伺いいたしますが、繰り返し申し上げますように、日本はアメリカの戦略体制に寄っかかっておるわけですから、そうだとすると、アメリカの戦略体制の基本は核装備であり、核兵器である。そうでしょう。これは間違いないですね。そうだとすると、それに組み込まれておる、その中で一定のパートを受け持っておる日本にとっては、やはり核戦争を想定しておる自衛隊であるということが言えると思うのです。この点はどうなのですか。——意味がわからなければもう一回言います、意味がわかるように。これは明快に何べんでも。日本はアメリカの戦略体制に従属しておると言うことでしょう。そうだとすると、アメリカの戦略体制の基本は核装備であり、核兵器であるわけです。そういう観点からお伺いしておるわけです。そうだとすると、それに組み込まれており、その一定のパートを日本は受け持っておるわけでしょう。そういうことになると、やはり日本の自衛隊は核戦争ということを想定して訓練をしておる、こういうことが言えると思うのです。その点をお伺いしておるわけなのです。
  89. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 日本はアメリカの戦略体制に隷属いたしておりません。日本は日本の防衛体制がございまして、それが日米安保体制のもとにおいてアメリカにも共同して防衛してもらう、こういうわけでございまして、アメリカの戦略体制の一部分としての日本の防衛体制があるわけではございません。日本の防衛体制がまずございまして、それにはアメリカに事があるときには助けてもらう、これだけのことでございまして、こちらからいろいろ隷属的なことは一切いたさないのでございます。ただ、安保条約第六条によりまして、極東の安全を保持するためにアメリカ軍に基地その他施設を供与する、これだけのことは、あまり助けてもらったり、助けてもらったりばかりではいけませんから、少しは助けてやろう、こういうことでございます。
  90. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それでは具体的な問題からお伺いいたしましょう。ことしになっていよいよ三次防が始まるわけですが、都下の大新聞に自衛隊に関するいろいろ記事が載せてあったわけです。その中に、海上自衛隊の艦船が全身水をかぶって核放射能の洗浄訓練をやっている写真が明確に出ておったわけです。こういう一面もあるわけです。また陸上自衛隊の場合でも小型師団というのを今度つくっておるわけです。この小型師団というのは、私が言うまでもなく、核戦闘団としてアメリカの戦略にならったものだということが明確に言える。こういうことが常識的に言えると思う。こういうようなことで、先ほど日本のいわゆる防衛戦略は日本独自のものであって、アメリカの戦略体制には従属していないと言いましたけれども、日本のレーダーは、一応、日本の自衛隊に預けられておるけれども、それを指令しておるのはアメリカでしょう。アメリカなんです。日本はかってにそういう戦略を進められるわけではない。アメリカの最高の指揮官の隷下に入っているわけです。だからアメリカの最高指揮官の隷下にあった場合に、日本の独自の防空体制はとれぬわけですよ。先ほど長官は日本の防空体制は日本独自のものだとおっしゃったから、こういう点を伺っておるわけです。
  91. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 新聞のことについての御答弁等は政府委員に言わせます。  そこで、アメリカの最高指揮官があって、日本がその隷下に働くというようなことをおっしゃいましたけれども、これは伊藤さんと私とは見解が違うのでございまして、毎回明瞭にいたしておりますが、平時においても有事においても、日本は日本の独自の防衛体制のもとにおいてアメリカの防衛体制と協力しつつわが祖国を守る、こういうことでございます。
  92. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なおこの問題を深くお伺いしようと思いましたら、いま御注意をいただいて、もうそろそろ時間がきておるから、あと若干でやめていただきたいという要請を受けましたから、すなおにこれを受けて、残念ながらあと二、三の問題をお伺いしたいと思います。  あらためてお伺いしたいのは、新島射爆場の設置問題ですね。これは増田長官が去る五日の衆議院内閣委員会で、もし地元の同意が得られなければ新島射爆場建設を強行するつもりはない、こういう意味の御答弁をなさっておるわけです。この真意を伺いたい。
  93. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 私どもは新島の射爆場が水戸の射爆場にかわるものとして、米軍も約六分の一に譲歩してまいったわけでございまして、施設庁長官以下非常に奮闘した結果でございます。そこで、厚木、立川等から約二百キロ以内の射爆場を求めるとすれば新島という島の南端が最も適当である、こういうことを考えておりまして、従来とも地元あるいは東京都当局と交渉をいたしておる次第でございまして、あくまでも地元の御同意と御理解と御協力を得てから——得てからということは、つまり得なければという意味伊藤さんはおとりくだすってもけっこうです。得てから射爆場を設置したい、こう考えておる次第でございます。
  94. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なお同日の衆議院内閣委員会で、厚生省とか水産庁が、それぞれ立場が違うわけですね、防衛庁と。それぞれ立場があるので、防衛庁側の見解に対して難色を示したというように聞いておりまするし、また東京都知事である美濃部さんも反対の態度を表明されたということであるわけです。そういう立場立場でのこういう御意向はもちろん尊重されると思いますけれども、このことについてはどうお考えですか。
  95. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 漁民の皆さまを守る水産庁、その他関係各省とも十分協議いたし、また条件といたしまして漁業権の保障ということを十分にいたしまして、それからこの反対は、東京都におきましては美濃部さんが知事になってからではございません。前から東京都会においては反対の意向でございます。そこで東京都議会、美濃部さん等の御同意、御理解、御協力を得まして後に設置いたしたい、こう考えておる次第でございます。
  96. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 昨年六月、水戸射撃場を新島に移すことを内容とする合意書を米側と交換したことがあったわけです。そのときに、その前提については地元側と十分話し合いはなされたのではなかろうかと思うのですが、この間の事情はどうなんですか。
  97. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 昨年の共同声明を出します前には、およそ一、二年前に、大臣が、新島を含めまして複数の島嶼についていろいろ水戸の代替地を物色しているということを言明いたしまして、やや公然とした時期がございました。それ以後はいろいろ検討しておったのでございますが、また、私のほうも新島には射爆場でなくて現在試射場がございます。試射場関係の問題で新島当局とはたびたび接触を持っております。したがいまして、非公式にはいろいろと話しておりましたが、しかし、公式にはまだ具体案がきまっておりませんので話しておりませんでしたが、非公式には、将来、新島が有力候補地になるかもしれませんので、その節にはひとつよろしくお願い申し上げたいということは話しておりましたが、同意は得るに至らず、そのままで共同声明を出したというのが実情でございます。
  98. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それじゃ時間がもうまいりましたから、最後に一点だけお伺いいたしますが、私はこの委員会で約十年間お伺いしてきた群馬の太田大泉飛行場返還問題、この問題が水戸射撃場、新島射撃場に直接結び付いておるわけですね。そのときの日米のいわゆる合意書で、アメリカ側としては代替地さえあればいつでもということで、その太田大泉の代替地が水戸射撃場、水戸射撃場を新島に移す、三段飛びになっておるわけですね。したがって、その最後の受け入れ側である新島が反対している限り、たとえアメリカ側が代替地があればというこの水戸射撃場も、完全には太田大泉飛行場を移すわけにはいかぬわけですね。そうなると、もう十年間も問題になっておった問題、またいつになるかわからぬという見通しになるわけですね。これは直接関連がございますから、この機会に明確に、ひとつ現状はどうか、将来の見通しについてお伺いして、私の質問を遺憾ながらこの程度で終わっておきたい。
  99. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) ただいまお話がありましたように、昨年の共同声明で太田大泉が水戸に移るということも同時に声明しております。これはよく存じておりまして、その後われわれのほうでは、この共同声明に基づきましてできるだけひとつ新島の負担を軽くしたい、こういう見地から米側の技術提案を検討しております。いまの問題点は、たとえば飛行機の侵入方向とか、あるいはパターンの方向、それから陸上へ接触する部分をどれだけ少なくすればいいか、あるいはその方向を式根にかからぬように、騒音の少ない方向にどうしたらいいか、そのほか漁業の制限区域をこれまたできるだけ少なくする方法はないかとか、あるいは付属施設でありますところの観測施設、通信施設、飛行場施設、それから避難港というふうなものはできるだけ村当局の意向に従ってやるにはどうしたらいいかというふうな点をいろいろ詰めておりまして、現に飛行機も飛ばしまして、パイロットが実際に空中から実演をしつつ検討させております。この検討の結果がおそらく間もなく出ると思いますので、それができましたら、米側に対しましては、日本側の自主的な意見を申しまして、つとめて新島島民の負担を少なからしめるような青写真で新島当局に折衝したい。具体案が発表になりますれば、おそらくいまの段階では非常に誇張して考えられて不安を持っておられる向きもありますので、おそらく代案が出ますれば、そういう誤解に基づく反対は少なくとも減るのではなかろうかという点にも期待を持っておりますし、そういう点でいろいろ努力しまして、今後誠実と忍耐をもちまして必ずやってみたいというふうに念願しております。
  100. 山崎昇

    ○山崎昇君 私はまず第一に、防衛問題なり軍事問題というのはもちろん専門家でもありませんから、くろうとのような質問はできません。しかし、いま国民がこの自衛隊に抱いておる疑問、あるいは日本の政府がいろいろなことをいうことについて多くの疑問を持っています。私も党の役員でありますから、いろいろ日本全国歩く際に、各層の人から素朴な質問を受けるわけです。そこできょうは、きわめて常識的な素朴な質問を少し展開してみたい。そうして、私がこれから演説会あるいはその他等で回るときに、正確に国民の質問に答え得るようにしたい、こう思うわけです。ほんとうはあらゆる角度から質問をしてみたいと思っておりましたが、いま私のほうの理事から、時間があまりないし、また多くの方が質問したいという希望があるようでありますので、三分の一くらいに縮めろという命令がありましたので、たいへん残念でありますけれども、二、三点にしぼってきょうはお尋ねしたい、こう思うわけです。  第一は、これは私が言うわけではございませんが、評論家の大宅さんの言葉をかりると、日本の自衛隊というのはアメリカの入れ歯である、こう定義をしているわけです。そうしてその入れ歯は、ろくすっぽものをかむことができない。アメリカはそのろくすっぽものをかむこともできないような入れ歯を、注射をしたり、何かをすれば何か本物の歯になるのじゃないかという錯覚におちいっているのじゃないか、日本政府もまた、そういうアメリカの言い分をそのまま受け継いで、盛んに自衛隊の増強に力を用いているようでありますけれども、一体この自衛隊というのは何なのか。災害が起きたら災害対策に出ていくのが自衛隊なのか、こういう素朴な考え方もありますし、感情もあります。そして、この自衛隊を少しでも補おうというんですか、あるいはまた協力というんですか、そういう意味でアメリカの軍隊もかなり日本に駐在をされておる、そして、その軍事基地を設けるために日本人同士が血を流すような戦いが行なわれておる、こういう実情にあるわけです。したがって、私はほんとうはそういうことから長官にお聞きをしたいんですが、冒頭申し上げたように、時間がありませんので、いま一番新聞紙上でもにぎわっておりますし、また佐藤内閣にとっても最大の課題だと思う沖繩の問題について、まずお聞きをしたいと思うんです。で、防衛庁長官はこの沖繩の返還というものをどういうふうにお考えになっておるのか、まずその点からお聞きをしたいと思うんです。
  101. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 山崎さんにお答えいたします。  私が沖繩に対して持っている感じというものは、同胞一体感を早く実現してほしいと、こういうことで、山崎さんや同胞一億国民の皆さまの持っておる感じ方と全然同じでございます。
  102. 山崎昇

    ○山崎昇君 気持ちはわかりましたよ。しかし、沖繩の住民が言うように、サンフランシスコ条約ができてからでもすでに十七年たっておる。戦争が終わってからもすでに二十二年たっておる。現実的にはいまだに沖繩というのは返還にならないわけです。そこで、最近はさまざまな論が流れるわけです。全面返還とやら、あるいは機能別返還とやら、あるいは地域の一部返還とやら、さまざまな論が出るんですが、長官としてどういう返還をさせるというふうにお考えになっているのか聞きたいんです。
  103. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) これはなかなかむずかしい問題でございまして、そのために沖繩問題等特別委員会もあるわけでございまして、また現地へも総務長官も国会直後参るわけでございまして、そこで、私といたしましては、いつも沖繩委員会においてお答えいたしておる限度のことをお答えいたします。すなわち、防衛的見地から見ますというと、沖繩の基地として日本並びに極東の平和の維持に貢献している度合いは相当濃厚でございます。でございまするから、沖繩の基地というものの機能、効用というものを感じないことで、しかも立法、司法、行政の三権が日本に返ってくることが一番望ましい、こう考えております。
  104. 山崎昇

    ○山崎昇君 そこで、私は二つの点について具体的に長官に聞きたいと思うんです。  一つは、先般来盛んににぎわしておる下田発言という、いまのままで沖繩を返還させる、いわばいまのままの沖繩の基地を自由に使わせるということを含んでならば、日本に返還することが可能ではないか、こういう下田発言があるわけなんですが、しかし、政府がたびたび、日本は核武装しない、あるいは核の持ち込みもしない、あるいはまた核装備も自衛隊はいたしません、こういう政府の態度からいうと、核基地である沖繩をそのまま日本に返還をさせるということは、これは日本の憲法に照らして言うと、憲法違反の議論になるんではないかと私は思うんです。そのとおり長官はお考えになるか、まずお聞きをしたいと思う。
  105. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 全面的に返還された場合において、現在の核基地があるとすると、おそらく山崎さんのおっしゃるとおり憲法の問題に触れてくると思います。すなわちわが国の憲法は、外国に脅威を与えない範囲の実力を持ってよろしい、そこまでは否定するものではない、こういうふうに自衛隊法防衛庁設置法あるいは安全保障条約その他を理解しているわけでございます。そこで、ただし外国の戦力であるならば、これを——もちろん外国でございますから外国で製造するわけで、日本で製造するわけじゃありませんが、持ち込みあるいは保有することまでは憲法で禁じているわけではございません。しかしながら、今度は行政府の方針ということになります。一転いたしまして——憲法上の問題はそれだけでございますが——行政府の方針といたしまして、従来わが国施政権下における本土におきましては、核兵器を製造せず、保有せず、持ち込まずと、こういう方針がございますから、その行政府の方針に衝突することになって、そこで政府としては全面返還を欲するけれども、その辺のことを悩んでいるのではないかと考えている次第でございます。
  106. 山崎昇

    ○山崎昇君 いまのままの、核基地のままの沖繩を日本にかりに返還するとすれば、これは日本は核装備になるのですね。あるいは核基地化される、こうなるわけです。そうすると、どうしても私どもはいまの憲法からいうと、日本が核基地となることは許されないのではないか。だから、長官に私が具体的に聞いているのは、核基地のまま日本に返還をするという理論は憲法違反の理論ではないのでしょうか、こうお尋ねしているわけです。行政府考え方はわかります。政策も私はわかっている。しかし、憲法論からいって、日本に核基地をつくるということになると、私はこれは憲法違反になるのではないか。だから長官から、それはそのとおりだ、憲法違反になるから日本政府はやりませんというなら、それでもけっこうですが、憲法論としては私は違反になるのじゃないかと思うのですが、どうですか。
  107. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 憲法論と行政府の方針との二つに分けて山崎さんがお尋ねでございますから、まず憲法論のことを、これ、むずかしくなるとまた法制局長官の助けを借りなくちゃならないかと思いますが、憲法論といたしましては、わが国が外国に脅威を与えるような武装をしないと、こういうことだと思います。すなわち、その外国に脅威を与えない範囲の、自衛の範囲の実力を持つのが自衛隊の精神でございまするし、また憲法九条一項、二項を通じての精神だと思います。ところが日本の本土あるいは沖繩——沖繩は日本に返ってきた場合はまた本土になるわけでございますが、すなわち日本の施政権下に——憲法論で申しておりますよ——外国の戦力を借りてくるというようなことは、憲法九条一項、二項とは関係ないのだという砂川判決も出ているように思います。これは高辻君がしばしばお答えいたしておりましたものでございまするから、外国の——すなわち具体的の場合は米国ですよ、米国の戦力として、核戦力を日本に配備することは憲法違反ではない、こういうことになっております。しかしながら、今度は行政府の方針といたしまして、安保条約の六条の配置、装備その他に関することは、すべて事前協議をすることでございます。その事前協議をするときの政府の態度としては、従来、岸内閣以来、核兵器はもちろんわが国では製造しません。まあ憲法論もほんとうは二つに分かれるのでございますが、すなわち外国に脅威を与えない——憲法論だけで申すのですよ、外国に脅威を与えない純粋の防衛力だけのための核装備ならば憲法違反ではないという従来解釈になっています。しかしながら、そういうものも含めて日本では製造しない、それから外国の戦力を借りてきて日本の防衛力の不足を補うことはできるけれども、核戦力はこれを持ち込まず、また保有しない、こういう方針がございまするから、その行政府の方針に正面衝突することになりまするから、沖繩問題の解決はなかなか行き悩んでおると、こういうことが現状ではないかと防衛庁の見地からは考えておるわけでございます。
  108. 山崎昇

    ○山崎昇君 あまり論争しようと思いませんが、重ねて、いまの長官の答弁からいくと、自衛のためという範囲内なら、憲法上日本で核基地を持つことができるというふうにお考えですか。端的にお伺いします。
  109. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 憲法論の外で、つまり砂川判決等を見ますというと、憲法九条一項、二項の外の、——ですから憲法論と言えるかどうかわからぬです、これは。すなわち、わが国の生存と存立とを他国の信義に依頼することに決意したというような前文と合わせていろいろ考えますというと、いまの設定された具体例は米国でございまするから、米国の戦力のうち一番戦力の大きいものは核戦力だと思います。核戦力を借りてきてわが国防衛力の不足を補うことも憲法の禁ずるところではないというふうに判示されておるように、高辻法制局長官はいつも言っておるわけであります。そこで、ただ純粋の防衛だけの核兵器ということに考えています。これは憲法論の問題になるわけでありまして、純粋の、つまり距離が非常に短いということですね。外国に脅威を与えない、向こうにはとうてい到達しないということです。そういう核兵器は憲法九条から見て別段自衛力の外ではないと考えられるのです。しかしながう、いずれにいたしたところで、一方の外国の戦力を借りてくるというのは憲法の外の問題ですから、純粋の憲法論とは言えないかもしれません。それから憲法論の第九条一項、二項から見て、レンジの非常に短い、外国には絶対脅威を与えないという核兵器があるならば、それを持つことは憲法の禁止するところではないでしょうと、これも高辻君が言っておることを私も引用しておるわけでありますから、あまり私も自信がないわけであります。それは憲法九条一項、二項の禁止するところではないが、しかし、行政府のきびしい方針で、岸内閣以来、外国のものたると——内国のものはもとよりのこと、製造せず、保有せず、持ち込まずと、こういう方針を堅持しておりまするから、沖繩の状態が防衛上の見地からもうまく解決できて、全面的に返還することを佐藤総理は望んでいるということを申しておりますが、私も同感でございます。
  110. 山崎昇

    ○山崎昇君 政府が政策上核基地を持たない、あるいは核装備をしないというきめ方をする根拠は、一つは憲法の九条にぼくらは置いているのではないかと思うのです。政府がそういう政策をとる根拠の一つに、やはり何としても憲法の九条との関連があるから、核基地を設けることができないとか、あるいは核装備をしないとか、そういう私は政策の一つのあらわれになってきているのではないだろうか。もう一つは、政府がしばしば言うように、日本の国力だとか、あるいは置かれておる情勢だとか、そういう要因で政府は核装備しない、あるいは核基地を持たないのだと、こういう政策となってあらわれているのではないかと考えるわけです。そこで、第一の憲法第九条との関連について長官に聞いているわけなんですが、長官はやはり二つ説があってあやふやだと自分自身で言っているわけなんですが、できれば私は、やはり憲法九条からいって核基地をつくることはできないのだ、あるいは核装備をすることをしないのだ、こういうふうに明言できないものかどうか、もう一ぺんこれを聞いてこの点を終わりにしたいと思うのですが、ひとつ確信のある答弁がほしいと思うのです。
  111. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 砂川判決等を根拠にして申し上げますが、砂川判決等によりますと、最高裁の判決でございまするし、しかも合同の判決でございます。この判決によりますというと、外国の軍隊をもってわが国の防衛力の不足を補い得ることは当然である。そこで、外国の軍隊は戦力であってもこれは憲法九条一項、二項の禁止するところではない、こういうふうに書いてあるわけでございます。しかしながら、わが国は行政府の方針といたしまして、平和憲法といわれているのでございまするから、その精神をくんだというふうに山崎さんはおとりになってもそれはけっこうでございまするが、何ら漫然と、岸内閣以来、核兵器のことについてはわれわれは製造せず、持ち込まず、保有せずと言っているわけではないのでございまして、平和憲法の精神もくんでおる、こういうふうに考えます。
  112. 山崎昇

    ○山崎昇君 それじゃもう一点、沖繩の問題についてお聞きをしたいと思うのですが、それは安全保障条約との関係について長官の見解を聞いておきたいと思うのです。最近、沖繩問題懇談会の大浜会長だとか、あるいは、かつては日本のアメリカ大使をされたライシャワーさんとか、いろいろな方々の最近の書いたものなり、あるいは新聞記者会見なり談話等を総合してみるというと、できるならば一九七〇年ぐらいまでに沖繩は返還したほうがいいんではないか、これが一つ。そしてその際に、沖繩は返すけれども、極東のいろんな情勢もあるから、沖繩は基地として自由に使うことが保障されれば返すこともまた可能ではないだろうかというようなことがかなり言われているわけです。そこで、私が長官にお聞きしたいのは、いま沖繩は安保条約の適用外なんですね。これを日本に返すということは、安保条約を改正をしなければ日本に返されないのではないだろうか。いわば適用外から適用内にするためには安全保障条約というものは改定をしなければならぬのではないか。そうでないと、沖繩というのは幾ら返還を叫んでも、政府は何か努力していると言っても、これは返還できないのではないだろうか、こう私ども考えるわけです。そこで、ちょうど一九七〇年は一応の期限であります。十年が過ぎて、あの条約がそれで期限が切れるというものではありませんけれども、ただ、十年が過ぎればあとはいつでもどちらかの政府が通告をすればあの条約は一年後にはなくなりますという、こういう規定なんですね。そこで私は、一九七〇年に政府はこの安全保障条約の改定案を国会に出して、そして沖繩が返還できるように、この安保条約というものを変える考え方があるのかどうかという点が一つと、安保条約と沖繩基地との関係について長官の見解をお聞きをしたいと思います。
  113. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 沖繩を返還するときは、おそらく沖繩返還に関する協定というものができましょう、これは。その協定というものは、憲法上は条約と同じでございまするから、国会における批准を前提としての御同意が必要でございます。しかしながら、安保条約を改定しなくとも、日本の施政権下において云々というのが第五条でございますから、第五条は働き得るし、第六条は、沖繩基地というものは、今度は他の極東の——日本の施政権下における日本はもとよりのこと、他の極東の平和維持のために施設並びに基地を使用し得る、そういうことになりまして、その次に今度は交換公文がございまして、装備あるいは配置、その他の重要なる変更は協議が要る。協議ということは、こちらで承諾しなければ、配置の変更、装備の変更はできない、重要なる変更はできないという、そういう範囲になるのではないか、奄美大島式になるのではないかと考えております、単純に考えれば。しかしながら、各基地の問題は、日本政府の従来とっておる方針とまた違ってまいりまするから、その点が調整を要する点ではないか。ライシャワーがどのようにおっしゃったか、大浜先生がどういうふうにおっしゃったか知りませんが、ライシャワーの言われたことは新聞で拝見しておりますが、おそらく自由使用ということは、現在の形における使用であって、しかしながら、立法、司法、行政の三権がございまするから、地位に関する協定がございまして、裁判関係は、アメリカの軍人同士の、あるいは軍の民間に対する犯罪行為等であって職務上のものはアメリカの裁判権、あとの一切の条約の関係は日本の裁判権に入るという、すなわち基地の中でも日本の立法、司法、行政の三権に入ってくるというのがほんとうの意味の施政権返還だと思っております。
  114. 山崎昇

    ○山崎昇君 そうすると、安全保障条約そのものには手をつけぬでもいい、別な返還に関する協定を結べばそれでやれるんだと、端的に言えばそういうことになりますか。
  115. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 国際公法上の問題でございまするが、協定と条約は同じように扱われておりまするから、そこは条約の特別立法といったような協定になるかもしれません。しかし、一般論として申し上げますというと、いまの安保条約をいじらなければ沖繩は返還されないというふうには考えないわけでございます。
  116. 山崎昇

    ○山崎昇君 それでは沖繩問題はその程度にして、私は今度、自衛隊法について具体的にひとつ聞きたいと思います。  自衛隊法の三十八条に、「次の各号の一に該当する者は、隊員となることができない。」、一、二、三、四と、こうあるわけですが、きょうお聞きをしたいのは、四の「日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者」は、これは自衛隊員になることができない、こういう欠格条項があるわけです。そこで、この条項に当てはまるような政党が存在をするのか、あるいはまたその他の団体が存在をするのか、まずその点からお聞きをしたいと思います。どうお考えになっておるか。
  117. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) あとで政府委員から補足させることを前提としてお答えを申し上げます。  山崎さんの御指摘の件は、破壊活動防止法の関係だと思います。破壊活動防止法によりまして解散を命ぜられました団体が従来相当ございます。ただ、いわゆる政党というもので破壊活動防止法によって解散を命ぜられたとか、非合法化された政党というものはないと思います。
  118. 山崎昇

    ○山崎昇君 いま日本にある政党は、自由民主党、社会党、それから公明党、民主社会党、共産党、この五つしかないのですね。そうすると、いずれもこの政党は合法的な存在の政党なわけですね。そうすると、この第三十八条の四に該当する団体ではない、政党ではない、このことをまず確認をしておきたいと思うのです。
  119. 増田甲子七

    政府委員増田甲子七君) こういう関係は、公安調査庁で扱っておりまするが、いま御指摘の五つの政党は合法政党でございます。
  120. 山崎昇

    ○山崎昇君 さらにそういう「団体を結成し、又はこれに加入した者」と、こうありますから、今度は団体でなくて個人になるわけなんですが、そこで、今日まで自衛隊員でこれに該当した者がいるのかどうか、あるいは現実にいまいるかどうか。そうして過去にこういう者があって、第二項でそれに該当すると当然失職すると、こうなっておりますから、そういう失職した者があったのかどうか、二つ目にお聞きしておきます。
  121. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) いま御質問の御指摘の者はいままで全然ございません。
  122. 山崎昇

    ○山崎昇君 全然ないという答弁ですね。  それからいま自衛隊ではそういう疑いのある者について調査か何かやられているのですか。
  123. 島田豊

    政府委員(島田豊君) そういうものについて調査いたしておりません。
  124. 山崎昇

    ○山崎昇君 それはほんとうですか、あなたのほうで調査について何か指導要綱か、通達か何か知りませんけれども、そういう意思表示を地方の機関に出して、実際は調査をやっているんじゃないですか。
  125. 島田豊

    政府委員(島田豊君) いま御質問の点がどういうものであるかよくわかりませんけれども、ある一つの特定の団体、あるいは政党というものが、そういうものに該当するおそれがあるというので調査しているということはございません。
  126. 山崎昇

    ○山崎昇君 団体もさることながら、自衛隊員の中にこの第三十八条の四号に該当するような者がおるのかどうか、そういう点についてあなたのほうは調査したことはありませんかというのです。あるいは調査をしなさいというような指示をしたことはありませんか。
  127. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 自衛隊員の中にはまだ若年の隊員が非常に多いわけでございますので、外部からのいろいろな働きかけに対しましてこれを個人的に指導し、あるいは監督していくという必要がございますので、先ほど伊藤先生にもお答え申し上げましたとおり、そういう意味での調査はいたしております。
  128. 山崎昇

    ○山崎昇君 よくわからないのだけれども、私の聞いているのは、三十八条の四号に該当するようなものについて、あなたのほうで何か調査する、そういうことはないかどうか。それから調査しなさいというような何か指示したことはないかどうか、あるいは文書を出したことはないかどうか、こういう点について聞いているわけです。
  129. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 各自衛隊におきましては、こういう調査業務に関しまして通達を出しております。おりますが、それはそういうおそれのある団体を結成する、あるいはそれに加入する、こういうふうなおそれがある個人がおりますれば、これは自衛隊としては厳に排除しなければならない、あるいは十分指導監督しなければならないというふうに思うわけでございます。そういうものについての調査はこれはいたしております。
  130. 山崎昇

    ○山崎昇君 通達を出したというのですか、それではどういう内容の通達ですか。
  131. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 調査業務に関する通達でございます。内容は、先ほど申し上げましたように、個々の隊員につきまして平素指導いたしていく必要がございますので、外部からのいろいろな働きかけに非常に乗せられやすい、そういうような、あるいはまだ言動が必ずしも十分定まらないというふうな者につきましては、いろいろ誘惑に負けると申しますか、そういう危険がありますので、自衛隊を十分守っていくというふうな意味において、そういう者の指導をいたしますために必要な調査をやるということでございます。
  132. 山崎昇

    ○山崎昇君 その通達ありますか。
  133. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 通達を出しておる事実がございます。したがいまして、そういう書類はあるわけでございます。
  134. 山崎昇

    ○山崎昇君 何だかさっぱりわからないのですけれども、これはそしたら何年ごろに出して——その通達とにかく資料として出してください。
  135. 島田豊

    政府委員(島田豊君) これは内部的な通達でございますし、その中身につきまして一々外部に公表できるようなものではございませんので、御提出は差し控えさしていただきたいというふうに思います。
  136. 山崎昇

    ○山崎昇君 私のほうは明らかにする必要があるからあなた方に要求をしておるのです。それは国民が判断すべきことですよ。あなたの判断だけで出すとか出さぬということにはならない、きわめて重要な内容を含んでおるから私は言っている。私は一部持っているのです、ここに。持っているのだけれども、あなたのほうからもらわないと、これはあなたのほうで否定をされても私は困るから、出してもらいたいと言っているのです。きわめて重要な内容を含んでいる。あとで私はこれに従ってあなたにお尋ねしますけれども、出してもらいたい。いまあるなら取って出してもらいたい。
  137. 島田豊

    政府委員(島田豊君) そのお手元にお持ちの資料がどういう資料か知りませんが、先般、衆議院の予算委員会ですかにおいて、淡谷先生が御指摘になりました資料でございますれば、それはすでにもう回収をいたしておりまして、ございません。
  138. 山崎昇

    ○山崎昇君 それはいつ回収したのですか。回収した証拠を見せてください。それじゃ、全部ここへ出してください、回収した通達。
  139. 島田豊

    政府委員(島田豊君) はっきりした日付は承知しておりませんが、三十七年ごろこれを正式に回収の通達を出しております。
  140. 山崎昇

    ○山崎昇君 まあそれも資料で出してください。私のほうは証拠がなければそれは論戦するわけにいかない。
  141. 島田豊

    政府委員(島田豊君) それは三十七年の三月三十一日付で回収いたしております。
  142. 山崎昇

    ○山崎昇君 何年ですか。
  143. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 昭和三十七年三月三十一日付でございます。これは淡谷先生にも申し上げております。
  144. 山崎昇

    ○山崎昇君 淡谷先生に言ったって、私がいま質問しているのだから、筋違いだ、その答弁は。三十七年の三月三十一日にどういう通達を出して、どういう方法でじゃあ回収したのですか。回収したものは全部焼いた——お手元にあると思うので、あれば出してもらいたい。
  145. 島田豊

    政府委員(島田豊君) これは全部廃棄いたしておりますので、自衛隊には持っておりません。
  146. 山崎昇

    ○山崎昇君 廃棄したと言うのですね。それじゃあね、私のほうでこれを写したのはごく最近ですよ、これは。私の手元にあるこれはごく最近、これはコピーとったんです。どういうことになりますか、あなた、廃棄したと言うが。
  147. 島田豊

    政府委員(島田豊君) いま、お手元の書類はどこから入手されたのか知りませんけれども、私が確認しておりますところでは、これはもう全部廃棄いたしまして、現にないということでございます。
  148. 山崎昇

    ○山崎昇君 それは、あなたがないと言われれば、私のほうでそれ以上ないものを出せと言うわけにいかないけれども、ただ、私があなたに言っておくのは、これはごく最近コピーをしたものだということだけ指摘をしておきます。ですから、あなたのほうでは、苦しいから、それは廃棄をしたとか、あるいは全部引き揚げたとかいう答弁だろうと思う。しかし、実際はこれは生きていると思っている、これは。内容はあなた方は御存じかもしれませんが、ほかの先生方はあまり知らないと思うから、二、三紹介さしてもらおう。「本調査業務は、外国勢力並びに国内不穏分子によってなされる破壊活動に対処するために調査を行なう」と、こういうふうになっております、まず目的は。そして隊員を五つの特定隊員に分けておる。ABCDX、五つの特定隊員に分けて、それぞれ定義がある。さっき、あなたは暴力的な政党は存在しないと言う。第三十八条は該当者がいないと言う。いないのになぜこういう通達を出して——かりに引き揚げたとしても、なぜこういう通達を出して、隊員を五つに分けて、そして暗号まで使ってなぜ調査をしなければならぬのか、その点についてどうですか。
  149. 島田豊

    政府委員(島田豊君) その通達はすでに廃棄しておりますので、その中身につきまして、一々私から御答弁申し上げる筋ではないと思います。
  150. 山崎昇

    ○山崎昇君 あなたが答弁できないというから、私のほうで具体的に聞くから答えてくださいよ。「A種特定隊員とは、暴力主義的革命勢力の構成分子であることが確認された隊員を言う。符号共、B種特定隊員、前項勢力の同調者であることが確認をされた隊員を言う。記号秘、C種特定隊員、本条第一号、第二号に該当する容疑の容疑事実のある隊員を言う。符号同調者。D種特定隊員、第一号に掲げる勢力の影響下にある労働運動、サークル活動等関係ある隊員もしくは同勢力の構成分子ないし同調者を縁故者に有するか、あるいはこれらと親密な交友関係にある隊員」と、こうなっております。だから、あなた方は第三十八条の四号は何にもないと言うけれども、実際にやっていることは、縁故者にだれかでもおれば、その隊員はすでに調べられる。サークル活動なんか出れば、それは何かあるのではないかということで調べられる。この者に対する符号は容疑者、さらに特と称してX特定隊員というのがある。私は、これを見ると、自衛隊は隊員についての思想調査をやっているのじゃないか。そして符号で分けてすみやかに上司に報告をせよということになる。その報告のしかたもきわめて短期間にやれということになる。そして、もしもそういう容疑があれば、秘密保持を必要とする職務から排除しなさいと書いてある。そして、排除した場合には、いつでも視察に容易な配置につけること、毎日監視をしなさいと書いてある、これには。だから、私はあなた方の出したこの通達を見ると、廃棄して、ないなんということを言うけれども、事実上は自衛隊の思想調査が、隊員を五つの種類に分けて符号をつける。これは人権問題でもあり、もっと大きく言うならば憲法上の問題に私はなってくるのじゃないかと思うのです。こういうこと、あなた、やっているじゃないですか。さっき聞いたら、白々しく、そういうものはおりません、調査やっておりません、該当者おりません、こう言う。さらに私はこの調査書を見ると、私ども社会党としてどうしても納得できない。さらにそのほかに、秘密用語並びに符号というものがつけられておる。その中には、共産党、社会党、創価学会、組合と、こうなっている。一体、社会党は暴力政党ですか、合法政党じゃないですか。なぜ友だちに社会党員がおったり、あるいは縁故者に社会党員がおったからといってこういう調査をされる。尾行される、監視される、職場はかえられる、こういうことがされて、許されていいと思いますか、これについて答弁願いたい。
  151. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 私が山崎先生の御質問がありましてから、ちょっと厳重に調査いたしましたら、ただいま御指摘のような社、共というふうな符号をつけた文書がついに確認できておりません。これはですから正式の文書ではないというふうに私ども考えております。
  152. 山崎昇

    ○山崎昇君 だから私は、あなたに出してくださいと言った。これは第二十一条だ。だれも個人が書いた字ではありませんよ。タイプ印刷をさらにコピーしたものですよ。あなたがこれを否定するから、私はあなたに証拠として出してくれと言っている。そしたらあなたは焼いたと、こう言う。そういうあなた、いいかげんな答弁では私は許されない。特に、共産党、社会党、創価学会、組合等があたかも暴力政党であるように、あたかも何か政府を転覆させる運動を展開しているようにあなた方はもう想定をして、隊員を調査しているじゃないですか。ぜひあなたの手元から、これに同じ資料を出してもらいたい。廃棄されたとはどうしても私は承服できない。
  153. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 先ほど申しましたように、その書類はすでに廃棄されてありませんので、手元にございません。また、いろいろ確認をいたしたところでは、そういうふうな符号を使ったことはかつてないということでございます。
  154. 山崎昇

    ○山崎昇君 これは長官にお聞きしたいのですが、いまあなたは、何べん言ってもそれは廃棄したと言う。それ以上私は追及することができない。それは検察庁でないからやることはできない、限界がある。しかし、これはかつてあなた方の部下が現実に出した書類なんです。これは三十四年に出ている。そして、いま聞いたら、三十七年に回収したという。三年間にわたって、かりにいまないとしても、三年間にわたってこれは行なわれておる、現実に。これについて長官、どう思いますか。
  155. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) いま防衛局長が申したことは、そういう山崎さんの御指摘の内容のものとは違うということをまず一つ言っております。  それから、すでに廃棄処分にいたしまして、そういうことをいたしておらない、これだけのことをお答えできます。
  156. 山崎昇

    ○山崎昇君 私は、わざわざ表題を読まなかった、ね。しかし、そこまで言うなら、航空自衛隊第五十六号(一〇二)、調査業務に関する達を次のように定める。三十四年八月八日。九月一日から実施をしなさいと、こうなっている。そして第一章、総則から始まって、第九章の雑則まで二十八条にわたってこれは詳細に書かれておる。だから、いまあなた方の答弁のように、私はどうしても調査の限界があるから追及できませんけれども、いまこれがないとしても、過去三年間これでやられたのです、現実に。そして私は、あなた方これを回収したというけれども、いまもなお続いていると私は思うのです。それは私の判断です。ですから、あなた方の判断と違うかもしれませんが、私は、こういう調査が全然いまないとはどうしても思われない。これだけ長官、私のほうから読み上げても、まだあなたはこれを否定しますか、これを。
  157. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 私は、防衛局長の言明したとおりでございます。ただ、ここに私が社会人として、また防衛庁長官として感ずるところは、自衛隊員は勤務条件その他に関し、交渉するためのいわゆる労働組合をつくってはならない。ですから、労働組合をつくっているかどうかというようなことは、私はやっぱり調査すべきだと思います。これは警察官も労働組合をつくってはいけない。治安に関係する者は、ILOの関係から申しましても、労働組合はつくれないということになっておりますから、労働組合その他の関係は、やっぱり調査してしかるべきだと思います。  それから、政治活動も、選挙のほか政治活動をしてはならない。その政治活動とは、政令に定めるものである。政令がずっと何条か書いてございます。その政令に該当するような政治活動をしたかどうかというようなことは、やっぱり自衛隊が非常な実力を持った有機的の存在であることにかんがみまして、部隊を練成する必要上政治活動も禁止されておる、労働組合の結成も禁止されておる、そういう見地から、そういう秘密活動をしているかもしれませんから、そういう、秘密であっても労働組合をつくっちゃいけないんですから、まあ労働組合をつくってはいないかといったような調査をすることはしかるべきことであると私は考えております。法令に従った行為でございまして、法令に従わなかったならば、防衛庁の部局長といえども違法なものになるわけでございますから、その範囲のことはそれぞれの隊長がやってしかるべきであると考えております。
  158. 山崎昇

    ○山崎昇君 いま長官から答えがありましたがね。だから私は冒頭に三十八条の条文を引いたわけですよ。自衛隊員である欠格条項というのは四つしかないのですよ。これに該当するもの以外は自衛隊員の欠格条項にはならないのですよ。あなたの言うようなことは、三十八条で明確にきめているじゃないですか。「一 禁治産者及び準禁治産者 二 禁こ以上の刑に処せられ、その執行を終るまで又は執行を受けることがなくなるまでの者 三 法令の規定による懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から二年を経過しない者」、そうして四号に、先ほど私が言ったような条文になっておる。だから、こういうことがありますかと聞いたら、ないと言う。過去にもありましたかと言ったら、ないと言う。こういうことを調査したかと言ったら、最初は調査しないと言ったのじゃないですか。だんだん、だんだん私のほうでおかしいじゃないかということで追及したら、三十何年に書類を出しました、三十七年に回収しましたと、こうなってきました。あなた方は最初、私が証拠を突きつけない場合は、何にもないと言ったじゃないですか。調査をしておりませんと言ったじゃないですか。それでもあなたは合法的ですか、やり方が。
  159. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) あなたの御指摘の三十八条というのは、隊員になるときの条件でございまして、隊員になってから後は各種の制限を受けます、これは。自衛隊員としてのその各種の制限のまず第一は、勤務条件に関して使用者といいますか、代表者側と交渉するための組合を結成してはいけないと、政治活動も、選挙投票はできるけれども、あとはしてはいけない云々、こういうことを書いてあるのでございまするから、それらのことをまるっきり知らないじゃぐあいが悪い。それをやっぱり監督者としては、監督の義務を果たす必要がある。調査というようなことは、私は、最初はあなたがおっしゃったことだった、三十八条の第四項のことは。これは公安調査庁で調査しているのです。大体公安調査庁で調査しておりまして、破壊活動防止法の関係だと思います。条文も全く、全くとまでも申さんですが、大体同じようでございまするから、そこで公安調査庁のような調査をしているかと、あなたが私に聞いたような感じがいたしたのですが、それを答えたのに、防衛局長が引き取って答えたわけでございますが、公安調査庁のごとき調査は、社会に向かって全然いたしておりません。それから今度は、隊員になった場合に、どんな監督をしているかというと、政治活動をしてはいけないぞとか、あるいは労働組合へ入ってはいけないぞということは、これは当然の、監督者としての監督義務であると、政治活動をひょっとしたらしているかもしれませんから、そういうようなことは、どんな政治活動だっていけないのですから、そういうような法令に関係のあることは監督者として監督するのは当然である。私は調査とまでいっておりませんが、監督の目を光らしているべきものである、こう思っています。
  160. 山崎昇

    ○山崎昇君 これはね、あなたのほうから公安調査庁に出した書類じゃないのですよ。航空自衛隊から下部の機関に出した調査票ですよ。あなたの部下がやっているのですよ。公安調査庁がやっているのじゃないのですよ、これは第一に。第二は、いまあなたは隊員になる欠格条項だという。それじゃ第二項どうなりますか。隊員はこういうものに該当したら当然失職となるというんだから、隊員も入っちゃう。だから私は聞いているんです。そして本人がどうしても法令違反するようなことになれば、当然懲戒処分になる。しかし私が長官にどうしてもお伺いしなきゃならぬのは、同調査を縁故者に有するか、家族まで調べられる、親戚まで調べられる。そして一人でも何か労働運動をやっているとか、社会党員であるとか、創価学会の会員がいれば、その者は調べられるわけです、極秘で。そしてD特定隊員という名称のもとに、場合によっては職場をかえられる、監視をされる、やり方にもよるのでありますけれども、尾行をされるじゃないですか、このままでいけば。そういう、あなた方はこういう通達を出しているんじゃないですか。いまこれは回収したと言うけれども、三年間にわたってこういうことをやっておるのです。いまこういうことがやられていないとは私はどうしても思えない。あなた方は困って、これは回収したかもしれないけれども、実際はこれにひとしいことをやっているんじゃないんだろうか。自衛隊は思想調査をやる、本人だけならいざ知らず、家族まで及ぶ、縁故者というんですから、かなり幅広いのです。そういうものまであなた方調査をやっているじゃないですか、これで。それでもあなた、合法的ですか。それでもあなたは自衛隊法によって正しいやり方だと思いますか。そういうあなた方、自分の隊員が信用できなくて、何で自衛隊が日本の国家なんか守れますか、あなた。あれは何か同調者じゃないか、あの家族に社会党員がいるんじゃないか、そんなことばかり調査をやっておって、日本の自衛隊が何で日本の国家を守れますか。私はきわめてこれは憲法違反の疑いもある、思想信条は自由なんですから。さらに言えば、人権問題にもこれは関連してくる。そしてやめたあとまでの対策まで講じておる。これはどうしても私は許せない。とりわけ私は、符号の中に、共産党、社会党、創価学会、組合、こういう符号をつけて、さもさも社会党は暴力政党であるような、社会党員は何か政府を転覆するような印象づけをあなた方しているんじゃないだろうか。そういう頭であなた方は見ているんじゃないだろうか。  だからかつて衆議院でもやられましたけれども、自衛隊が福岡県の県会議員選挙に介入をしてくる。北海道の方面本部はその機関紙によって、社会党その他革新勢力をたたきつぶそうとするような機関紙が出てくる。そういう態度に私はなってくるのじゃないかと思う。どうしても私は、あなた方がこれを回収したと言うけれども現実には私は行なわれておると思うのです。しかしあなた方は、何ぼ聞いても否定をするわけです。ですから、私の追及にも限度がありますけれども、今後一切こういうことをやらないように、私は厳重にあなたに抗議をしておきたい。そして偏見を持って人を見ることをやめてもらいたい。きのうの質問ではありませんけれども、一人の自衛隊に百五十万もかかり、募集するのに八万円もかかる、そういう多額な税金を払って雇っておるこの自衛隊員に、こういう思想調査だとか、こういうことに金を使うようなことはやめてもらいたいし、人権無視のこういうやり方は、名実ともにやめてもらいたいと思うのです。長官、約束できますか。
  161. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 私はまずもって御指摘のような記載は当該文書にないと聞いております。したがってその前提に立つところのきびしい御発言に対しましては肯定できません。  それから将来どういう監督をしていくか、これは自衛隊というものは相当国の守りに任じ、一億国民の生命財産、平和、しあわせというものを守る実力部隊でございます。でございまするから、規律ということを厳正に守らんなりませんから、その規律の関係におきまして、上司が監督をしなかったならば、その上司が悪いのでございます。そのまた上司の上司が悪い、最後には私が悪いと、こう考えております。やはり相当の監督をきびしくしていく必要がある。  御指摘のような仮定の質問にはお答えにくいのでございまして、ただ組あるのが労働組合、つまり勤務条件に関し使用者側の代表と交渉するための組合を結成してはならないということがございますから、そういうような組合をつくっているならばこれはいけないことだと私は思います。あとは自分の友だちに社会党があろうが、自分が社会党であろうが、どこの政党であろうが、合法政党である以上は、これは私どもの干渉すべき限りではない、こう考えておる次第でございます。
  162. 山崎昇

    ○山崎昇君 いまの長官の態度は、私はそれは容認できない。規律違反なら懲戒処分やればいいじゃないですか。その隊員が自衛隊法に違反をする、あるいは上司の命令に従わないと、それは規律違反なら懲戒処分の条文もある。あなた方のやっておるのはそうじゃないのじゃないですか。まだ何にもやる前に、本人は規律違反も何もしておらぬのに、あなたのほうの目から見て、私なら私のどっかの親戚に社会党員がいる、そうすると、もう私が何かそういう容疑者みたいに仕立てられて、そしてD種なりC種という特定隊員のグループに入れられて、要注意者として、あなた方は場合によっては職場をかえる、監視のしやすいようにしなさいと書いてある。そういうことがあなた方合法的ですか、いいのですか、これで。私はあなたのほうでこういう通達を出して三年間にわたってやっておるから言っているのだ。仮定のことで言っているのじゃない。どうしても、それでもあなたは否定するのですか。
  163. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) せっかくの山崎さんの御指摘でございまするが、そういう文書を私が肯定しないのですから、また、他の局長等も肯定しないのですから、そこであるという前提でいろいろおしかりになっても困るということでございます。
  164. 山崎昇

    ○山崎昇君 さっき防衛局長は、そういう通達は出しましたと言ったじゃないですか。通達を出した。しかし三十七年の三月三十一日にさらにまた通達を出して引き上げました、そして廃棄をしました、こう言うのです。だからこの通達を出したのは三十四年の八月の八日だから、三年間にわたってあったじゃないですか。いまはなるほど、あなたの言うことをそれ以上私は追及できませんから、だから三十七年の三月三十一日以降かりにないとしても、かってはあったので、これは架空の文書ではありません、コピーとったのを、これでもあなた否定しますか。
  165. 島田豊

    政府委員(島田豊君) いま長官が申されましたのは、私の申し上げましたとおりに、符号につきまして私が確認した限りにおきまして、そういう符号を使ったことはない、この点は事実でございますので、長官からその点を申されたのでございます。
  166. 山崎昇

    ○山崎昇君 いかにあなたが否定しようとも、第二十一条符号となっている、これは私が書いたのではない。これでもあなた否定しますか。
  167. 島田豊

    政府委員(島田豊君) そういう点がございますので、その文書そのものについても、私は実は信憑性を持たないのであります。
  168. 山崎昇

    ○山崎昇君 あなたさっき何と言いました。衆議院で淡谷先生に出しましたと言ったじゃないですか。
  169. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 淡谷先生がお持ちになっておった、要するにそういう件名の文書はございました。いまおっしゃいました昭和三十四年九月一日航空自衛隊の調査業務に関する達、これはございましたと、淡谷先生に申し上げたのでございます。ただその中身が、その後いろいろ確認いたしましたけれども、真実と違っておるということを淡谷先生にもお答え申し上げたのでございます。
  170. 山崎昇

    ○山崎昇君 あなたね、いくら否定しても、それは無理というものですよ。通達に関する達、目次から始まって一連の条文ですよ。これは途中で別なものを持ってきて入れたものじゃないんですよ。表紙だけは通達で中身は違うとあなたは言うんですか。そういう強弁はしないほうがいいじゃないですか。——しかしこれはどうしてもあなたのほうは廃棄をしたと言うんですから、私もさっきから言うように、追及するにも限度がありますから、資料をひとつ要求します。あなたは、通達を出してこれを廃棄したと言うから、廃棄の通達を資料として出してもらいたい。そして必ず私は、役所である限りはどっかに一部は保管されておる。公務員ならすべて知っていることです。だからできるならば探して、この通達もあわせて、一部資料として出してもらいたい、これを要求してこの質問を終わります。  さらに適格者名簿についてお伺いしたいと思うのです。いま三千ほどある自治体のうち約千ぐらいだといわれていますけれども、あなたのほうのこれまた通達等によって、いま適格者名簿というのがつくられているんですね。この適格者名簿というのは一体どういう名簿なのか、それからまずお聞きしたいと思う。
  171. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) どういう名簿かとおっしゃるのは、名簿の内容でございますか。内容でございましたら、募集の対象になります十八歳から二十四歳までの年齢の者を対象にしまして、そういった人たちの住所とか氏名とか、生年月日とか、そういったものを住民票から写したもの、そういう内容でございます。
  172. 山崎昇

    ○山崎昇君 これは昭和四十一年の五月二十六日ですか、人事局長名か何かで、要綱案というのが出ているわけですね。それに基づいて各自治体でこの適格者名簿というのをつくっているんですね。間違いありませんね。
  173. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 手続的なことを申し上げますと、人事局長名で、いわゆる適格者名簿をつくれということを地方公共団体に直接指示はしているわけではございません。いろんな広報をやっていただきたいという意味のことをお願いをして、その中に、適格者の情報についても御連絡願いたいという意味のことは書いてあります。そういう通牒に基づきまして、都道府県知事のほうは、われわれのほうで広報宣伝をやってくれ、いろいろな方法がありますということに基づきまして、またその中で、なるべく名簿もつくっていただきたいというようなことは申しておりますが、府県ごとにさらに通知をつくられて、市町長に流しておられる。それによって市町村はまた市町村の判断でつくっておられる、こういうふうな手続になっております。
  174. 山崎昇

    ○山崎昇君 そうすると、自衛隊では適格者名簿をつくれという指示をしたことはない、各都道府県知事が、この要綱に基づいて自主的に市町村を督励をして、適格者名簿をつくっていると、こうなりますか。
  175. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 正確に申し上げますが、全国的に全部つくれというふうに申しているわけではない、全国各市町村全部こういう名簿をつくりなさいということを申しているわけではない。しかし、それぞれ地域の特性がございますから、地域の特性に応じて募集広報が効果的にいくと思われるいろいろな方法の中に、名簿をつくるという方法も有意義なものの一つだから、なるべくつくってほしいということを全国的にはお願いをしているということがまず第一でございます。それを受けて、さらにわれわれのほうの下部機関であります方面総監部というようなものがありますが、そこでまたさらに具体的にお願いをしている。それを受けて府県なり市町村なりがおつくりいただいている、こういう手続になっているわけでございます。
  176. 山崎昇

    ○山崎昇君 このあなたのほうの出した四十一年五月二十六日人二第二〇七号防衛庁人事局長通達ですね。間違いありませんね。これをまたあとで否定されると私は困るので、間違いありませんね。
  177. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 四十一年五月二十六日人二第二〇七号募集事務主管部長殿、防衛庁人事局長、こういう通達を出したことはございます。お手元のがこれに合っているかどうかわかりませんが、そういう通牒を出したことは確かにございます。
  178. 山崎昇

    ○山崎昇君 それじゃこれは極秘の書類じゃありませんね。いまあなたの言った通達は、これは秘密書類でも何でもありませんね。ではあとでいいですから一部ください。あなたからまた、私の持っているのはあなたのほうと違うなんて言われたのでは——私はこれコピーだから違わないと思っているんだけれども、どうもお役人さんのほうは否定するようですからね。
  179. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 私のいま申し上げておりますのは秘密書類ではございません。都道府県庁に出しました。それで都道府県庁にはもちろんございますし、お出ししてちっとも差しつかえないものでございます。ここに一部ございますけれども、ただお持ちになっているのがちょっと遠くて見えませんけれども、それと一致しているかどうか確認できないだけのことでございます。
  180. 山崎昇

    ○山崎昇君 またあとで否定されるととてもやり切れませんので、これは群馬県庁にある。そこでまず順序として、こういう要綱というのは、どういう条文によってあなたのほうはこういうものをつくられるのか、それからお聞きしておきます。
  181. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 法律では、自衛隊法の第九十七条によって「募集事務の一部委任」という条項がございまして、「都道府県知事及び市町村長は、政令で定めるところにより、自衛官の募集に関する事務の一部を行う。」、こういう条文がございます。これが大元でございます。さらにそれを受けまして政令、自衛隊法施行令でございますけれども、それの第七章、第百十四条から第百二十条にかけまして募集に関する告示等、いろいろな手続なり内容なんかが規定してあります。それを根拠にいたしまして、先ほど御指摘の局長通達を出している、こういうことでございます。
  182. 山崎昇

    ○山崎昇君 いま説明のあった都道府県知事または市町村長の委任関係については九十七条にあります。しかし、実際のそれならば自治体の長が行なう仕事は何かといえば施行令の百十九条しかないんですね。そのほかに試験の告示等はありますけれども、包括して自治体の長が行なう仕事というのは百十九条しかない。この百十九条によると広報宣伝なんですね。そうすると、この百十九条の広報宣伝という内容はどうなっているのか。
  183. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 地方公共団体が行なう内容は、百十九条以外にも百十四条から百二十条までいろいろ規定がございますが、御指摘の広報宣伝に関しては百十九条でございます。そして、お尋ねの広報宣伝は、これはいろいろ方法はございまして、いまお届けいたしました局長通達にずっと例示してございますように、たとえば新聞広告ももちろん方法の一つでございます。テレビ、有線放送、ポスターを張ること、パンフレットを配ること、いろいろ説明会を開くこと、それから先ほど御指摘の名簿をつくってそれを広報に役立てること、そういったことも広報宣伝の一つだと、こういうふうに考えております。
  184. 山崎昇

    ○山崎昇君 私どもすなおに広報宣伝やるというと、それは自衛隊のやっておることが正確に対象者に知られるようにするのが広報宣伝ですね。そうすると、軒並みに十八歳から二十四歳までの人を住民台帳から拾い上げる、そういうものはやっぱり広報宣伝に入りますか。私もずっと長い間公務員やったけれども、あまり聞かないんだね、そういうやり方というのは。それはどうですかね。
  185. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 広報宣伝のやり方には、不特定多数に向かってやるやり方もございましょうし、個別的にやるやり方も、広報宣伝のやり方としてあり得ると思います。いま御指摘の名簿は、広報宣伝をやる仕事がまずきめてありますから、それを効果的にするための資料としてつくるわけでございまして、そしてそういう名簿をつくりますと、まずどの町に、どの部落に十八歳から二十四歳までの対象者が何人いる、それが府県にどういうふうに分布されているというようなことがわかりますので、一般的な不特定多数に対する広報も有効的でございます。さらに狭い地域にいきますと、個別的に手紙を出したりするような、パンフレットを配ったりするようなこともやるわけでございますけれども、それも二十五歳以上の方に出してもむだでございます。また十七歳以下の方に出してもむだでございます。そういうことをできるだけ限られた費用の中でやらなきゃなりませんので、きわめて効果的にやるために、そういう名簿がありますと、広報宣伝が効果があがる、このために資料としてつくっている。もとは百十九条で広報宣伝をやるということになっておりますので、それをやるために資料をつくっておる、こういうことでございます。
  186. 山崎昇

    ○山崎昇君 いまあなたは百十九条の中身としてそういうことを言われる。ところが、これについては山形県の酒田市長から、どうも疑義がある、こういうことであなたのほうに照会がありましたね。それに対するあなたのほうの回答を私手に持っているけれども、これまた言うと違ったら困るから、あなたからひとつ説明願いたいと思う。
  187. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 御指摘のように、山形県の酒田市長から募集事務に関する照会がございました。昭和三十三年のことでございます。それに対しまして、当時の人事局長から回答をいたしております。これも、別に秘密文書でも何でもございませんので、一般にお配りしておりますので、お手元のものもおそらくこれと一致していると思いますけれども、念のために読み上げてみますと「広報宣伝の概念には文書、放送によるほか口頭によるものも含まれるのみならず、不特定多数の者に対して一般的に行うものに限らず、応募の可能性が多いと認められる人々を対象として個別的に行うことも差支えない。また、上記の広報宣伝のため必要な資料として名簿類を作成することは何等差支えないものと解する。」、こういう内容でございます。
  188. 山崎昇

    ○山崎昇君 そこで、私は二、三の県へ行っていろいろ実情を聞いてみたのです。私の手元にあるのは、ある県の県会議員が知事に対する質問をしているわけですが、そんな中身は言いません。ところが、その質問の中でこういうことが言われているわけです。適格者名簿を市町村がつくらない、あなたのほうの、何だか、地方連絡部からいろんなことが何かいくようですけれども、つくらないところも出てくる。そうすると、地方連絡部の人が役場へ行って、台帳持って帰って、そうして名簿を今度はつくって、逆に市役所にそれを送る。次からはいやでもおうでも名簿をつくって出さなければならぬような仕組みにされているところもある。そういうのはどうしますか。そういうのでもあなた方は、これはただ一般的に広報宣伝の内容としてですね、お願いしたという範疇に入りますか。
  189. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) まず名簿のつくり方につきましては、先ほど申し上げましたように、命令し、強制するというつもりはございません。命令し、強制するというつもりはございませんけれども先ほど申し上げましたような理由で、なるべくつくっていただきたい。しかし、たとえば東京とか大阪のような大都会ではつくってもむだだからそれほどお願いをしていない。しかし、効果的なところではできるだけお願いをすると、地方連絡も、そういう意味でたびたび市町村なんかにお願いをしに行っていると思います。そうして御指摘のような事実について、私直接聞いておりませんけれども、市町村のお手伝いをするというふうなことはあろうかと思います。
  190. 山崎昇

    ○山崎昇君 この適格者名簿については、私はまたあらためてゆっくりお聞きします。きょうは向こうからかなり急いでとのあれもあるので、ですから私はあらためて詳細にやりますが、ただ、私がこの問題をいま出しているのは、先ほどのあの調査要綱と関連をして、隊員ばかりでなしに、今度は十八歳から二十四歳までの何にも知らない青少年にまで及んでいるのではないかという疑いを持っている。これは私の疑いですよ。なぜかと言えば、その家族も調べて、先ほど来あるように、縁故者でありますとか、きわめて幅の広い調査のしかたをしているわけですから、ですから、これがやがて若い青年層に対する広範な思想調査になるおそれがあると私は考える。さらに、もっと突っ込んで言えば、あなた方が考えているか、考えていないか知らぬが、将来の徴兵制につながるのではないかと私ども考えているから、ほんとうはもっとこれは突っ込んで聞きたいと思うのですが、時間もだいぶたちましたから——この適格者名簿については、自治体の長の仕事ではないと私は思う。これは百十九条あるいはその前の百十五条等見ても、これは自治体の長の仕事ではないと私どもは判断しますから、そうしていま一点だけ指摘したように、きわめて強制的なやり方でやっているところもある。すべてだとは言いませんよ。強制的なやり方をしているところもある。そういう点も、この次に私は具体的に指摘をしますが、きょうは、この適格者名簿については、きわめていろんな影響を及ぼす問題だから、したがってこういうことをやらないように、最後に指摘だけしておきます。  そこで、私は最後の質問一つしますが、自衛隊、これはこれから言うのは海上自衛隊です。海上自衛隊の船は何か毎年定期的に日本の港をあっちこっち回るのですか、そういう計画があるのか、あるいはそういうシステムになっているのか、まずお聞きしたい。
  191. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) いまの山崎さんの適格者名簿は徴兵制につながるということに対しましては、一言明確にいたしておきます。徴兵制をつくるかつくらぬかというようなことは、これに憲法上の問題でもございますし、また肝心の法律上の問題であることはきわめて明白でございます。すなわち、あなた方がおつくりになる法律でございます。でございますから、何か法律ができるようなことをおっしゃいますのは、立法府の構成員としていかがなものでございましょうか。それから適格者名簿というものは、やはり百十九条に基づいて将来もなるべくやってもらうつもりでございます。
  192. 山崎昇

    ○山崎昇君 適当な答弁をするんじゃないよ、あなた。いまの実情は、ほとんど行政府提案しているじゃないですか、法律は。議員提案なんてまことに少ないじゃないですか。そういう実情だから私どもが言っているのですよ。アメリカのように、すべて議員が提案して法律ができるならば、いまのようなことは言いませんよ。あなた、少し出過ぎた発言は慎しんでもらいたい。  これは重ねて私の質問お答えください。海上自衛隊の船は一年間に、定期か不定期か知りませんが、日本国内の港を何か回って歩く制度でもあるのかどうか、あるいはどういう計画になっているのかどうか、その点についてひとつお答え願いたい。
  193. 中井亮一

    政府委員(中井亮一君) 海上自衛隊の自衛艦隊は、日本海周辺海域を必要に応じて訓練のために港に立ち寄る、あっちこっちの港に立ち寄る、それから沿岸を航海するというようなことを毎年のように進めてやっております。
  194. 山崎昇

    ○山崎昇君 いまのお答えですと、何か演習のために日本の島のまわりの港に寄ることもあり得ると、それ以外の目的で何か計画的に海上自衛隊の船が回るなんということはありますか。
  195. 中井亮一

    政府委員(中井亮一君) 私申し上げましたのは、訓練のために港に寄るものを申し上げたわけでございますけれども、訓練をかねまして、親善のために港に寄るというようなことももちろんございます。
  196. 山崎昇

    ○山崎昇君 それは中央のほうで、ことしは大体どことどこというように計画的にやるのか。あるいはまた、地元のほうから、たって寄ってくれとか、そういうことでやられるのか。あるいはまた、それをかねて二つの理由でやられるのか、その点をひとつお聞きしたい。
  197. 中井亮一

    政府委員(中井亮一君) いま御質問ございましたいろいろな例はもちろんございます。
  198. 山崎昇

    ○山崎昇君 そこで、ことしは何か八月の上旬ですか、釧路に親善訪問と称して海上自衛隊の船が行かれる。そうして何かいろいろな行事があって、親善訪問という名前で行かれるというふうに聞いているのですが、それはそのとおりですか。
  199. 中井亮一

    政府委員(中井亮一君) 訓練をやっております途次、釧路港に寄る計画が八月の上旬にございます。その際親善をかねて港に訪問したいと、こういう趣旨でございます。
  200. 山崎昇

    ○山崎昇君 それはあなたのほうで、私が聞いているのが間違っていたら指摘願いたいと思うが、室蘭あるいは大湊等で訓練がなされる。そうして釧路に寄るというのは、何か釧路のほうからぜひ来てほしいとかどうとか、そういうことで寄るのか。あるいは室蘭まで行ったから釧路に寄ろうというので寄るのか、そのどちらですか。
  201. 中井亮一

    政府委員(中井亮一君) 道東方面の海域につきまして航海の訓練をする、そういう必要がございますので、あちらのほうに参りまして、そのついでと申してはなんでございますけれども、釧路にも寄ろう。で、釧路の地元の一部の人かもしれませんけれども、寄ってもらいたいというような声もあるということも聞いております。
  202. 山崎昇

    ○山崎昇君 釧路に寄るのは、主たる目的は親善訪問ということになりますか。
  203. 中井亮一

    政府委員(中井亮一君) 親善ということばの内容でございますが、港に入るということも訓練の一つとしては必要なことであると私どもでは思っておりますし、また、入りました際に、土地の方々と交歓をするということは親善の一環にもなるのではないだろうか、こういうふうに思っております。
  204. 山崎昇

    ○山崎昇君 どうもあなたの答弁ね、私どもから言うとあいまいじゃないかと思うのだ。じゃ私のほうから率直に聞きますが、親善訪問をする、そうして市長、市議会議長等を正式に訪問する、市長あるいは市議会の議長は、また艦長を正式に訪問をしてレセプションをやります、そのほかさまざまな行事をやりたい、そういう意味であなたのほうが釧路に行きたいということを申し込んでいるというのですね。どうなんですか。
  205. 中井亮一

    政府委員(中井亮一君) 普通、港は国内の港でも、お寄りした場合には、土地の市長さんをはじめ、いつも自衛隊がお世話になるような方々を御訪問し、あるいは船の見学にも来ていただくというような趣旨で、行く前に御連絡にお伺いをするというようなことは普通やっていることでございます。
  206. 山崎昇

    ○山崎昇君 そうすると、これは新聞ですから、正確かどうかわかりませんが、地元の自衛隊を通じて釧路の市長から正式に寄港は遠慮してもらいたい——まあ理由は言いませんよ、二つ三つあるようですけれども。そういう場合にあなたのほう、どうするのですか。
  207. 中井亮一

    政府委員(中井亮一君) 寄港をすることによりまして、地元で何かトラブルが起こるというようなことがもしも予想をされるようでございましたら、それは当然検討しなければならないだろうと思っております。
  208. 山崎昇

    ○山崎昇君 いや、すでに地元の市長はそういうトラブルが起きるから寄港をしないでほしいということを正式に、地元のこれは陸上自衛隊だそうでありますけれども、通じてあなたのほうに回答を出しているというのですね。ですから私は聞いているのですが、そうすると中止しますね、どうですか。
  209. 中井亮一

    政府委員(中井亮一君) いまのお話でございましたら検討さしていただきます。
  210. 山崎昇

    ○山崎昇君 私はまだまだほんとうは在日アメリカ軍隊についてもいろいろお聞きをしたいし、そのほかたくさんきょうお聞きしたいと思うのですが、先ほど来向かいのほうで気をもんでおるようですから、それから私のほうの理事からの話もありますから、あらためて適当な機会にお尋ねすることにして、きょうの質問はこれで終わります。
  211. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 私は長官に対してお尋ねをしたいと思いますが、三次防は向こう五カ年のわが国の防衛を方向ずける三次防だと、まあ皆さんおっしゃっておるのですが、非常に国民の大きな関心を集めておると思うのですが、日米安保体制のもとに通常兵器による局地戦以下の戦略に対処する、こういうことを前提としているようでありますが、国民一人当たりの負担額は実に約二万三千円という計算になるようであります。ところが陸上十八万人、海上十四万二千トン、航空機八百八十機、こういうものを四十六年度までに確保したいというようなお考えのようでございますが、現在の自衛隊の防衛力といいますか、現有勢力を一応私は承りたいと思います。
  212. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 二次防の末、四十一年度末におきます自衛隊兵力は、陸上自衛隊について申し上げますと、五方面隊十三個師団という体制でございまして、陸上自衛官は十七万一千五百人の定員でございます。そのほかに航空兵器といたしまして航空部隊を二個大隊保有いたしております。海上自衛隊につきましては、艦艇が十一万六千トンでございます。航空自衛隊につきましては、航空機が千三十九機保有しております。航空自衛隊につきましては、それ以外にナイキ部隊を二個高射群保有いたしております。
  213. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 一次防、二次防ともに、一応あなた方の御説明ではやや所期の目的を達したと、こういうふうにおっしゃっておるようでございますが、これはあとでまた詳しくお聞きしたいと思うのですが、現在の自衛隊は二万数千名も足らない、不足しておる、ここ数年来これは不足しておる。どういう理由によるのか、この点を承りたい。
  214. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 現在自衛隊員は総体的に言いまして、九二、三%の充足を示しておりまして、従来から比較いたしますと、必ずしも不足の度合いが大きいというわけではございません。ただ陸上自衛隊におきまして、最近九〇・三%ということで、海空に比較いたしますとやはりまだ充足が十分ではないということが言えるわけであります。なぜそれでは九〇%台にとどまっているかということでございますけれども、これは陸上自衛隊は定員が海空に比較いたしまして非常に多いわけでございまして、毎年二万から二万数千人の募集をいたさなければならない。やはり数年前の経済の成長というようなことから企業の求人と重なりまして、数万人の募集を達成することがなかなかむずかしいということ、それから内部におきましては、いろいろな待遇が数年前は必ずしも十分ではなかった。それから自衛隊に対する認識が国民各層に十分まだ浸透していなかったというようなことが、過去において十分な充足を示さなかった理由かと思います。それに対しまして、それぞれわれわれのほうで手を打ちまして、次第に効果をあげまして、数年前は八〇数%の充足率しか示さなかったものが、最近では九〇%をこえる充足を示すようになってきた、こういう状況でございます。
  215. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 一次防、二次防、三次防と、あなた方が非常に熱心にやっておられるけれども、なおかつ不足を来たしておるところへ、今回また防衛法案が出て、定員増ということが出ているようだが、そういう点においては私はどうしてもまだ納得がいかない。その点についてはまたあとで詳しくお尋ねしますが、今回の三次防の特色は、最大の特色というのは、国産化による装備の近代化であると、かように私は承知しております。しかも非常にこれは一面物議をかもしておりますが、その主となるものはミサイル、ナイキ、それからハーキュリーズ及びホーク、こうしたものが国産化に踏み切ったと、全長約十二メートル、射程距離が百五十キロ、高度三万メートル、速度はマッハ三・三、特に核弾頭が装置される、ここらにわが国防衛論争の重要な私はポイントがあるのだと、こういうふうに私らは解釈いたしておりますが、この点長官はどのようにお考えになっておるか。聞くところによりますと、ミサイルは沖繩米軍が装備し、国府などにも配置されておる、最も効果的な実績のある防衛ミサイルと、このように評価されておる。それは核弾頭をつけないように装備しておる、あなた方はそのように答弁されるかと思いますが、このようにミサイルの国産化と相待って、いわゆる量より質への装備の転換は、今回の三次防に広く共通して見られる特色だと私は思うのです。かつて佐藤総理は、わが国は核兵器を持たないし、また、持ち込みもしないというように繰り返し強調しておられるが、この点に対して、国民はどうしてもまだ納得がいかない。長官はどういうふうにお考えですか。   〔委員長退席、理事八田一朗君着席〕
  216. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 御指摘のものは、ナイキハーキューリズとアジャックスとホークとに及んでいるようでございます。そこで現在われわれが持っているものはホークとアジャックスを持っております。それぞれ二個大隊持っております。今度新しく設けようとするものはホーク二個大隊と、それからナイキハーキュリーズ二個大隊でございます。新しくホーク一個大隊、それからナイキハーキュリーズ一個大隊を準備せんとするのが、三次防のミサイルの概要でございます。  そこで、このミサイルにはもちろん現在も核弾頭がついておりません。ホークにもアジャックスにも、ミサイルではございますが、核はつけない、非核用の弾頭をつけておるわけでございます。非核用の弾頭でございます。来たるべきハーキュリーズは、核、非核両用ではございまするが、わが国において製造する場合には、非核用の弾頭を製造し、そうして発射装置等も非核用の弾頭は発射し得るが、核用の弾頭は発射し得ない、こういう規格に生産をいたすわけでございます。なお、国産を何ゆえにするか。国産をはかりまして、なるべく日本の技術の向上もはかりたい、こういうわけでございます。  繰り返して申し上げまするが、ナイキハーキュリーズも、ナイキアジャックスも、ホークも、すべてこれ防衛用の武器でございます。
  217. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 自民党の国防部会では、中国の核装備化が着々進んでいる現在、核無用論では軍事的にこれはおかしなことだ、自主防衛立場からいっても、少なくとも防衛的核兵器、あるいは限定核兵器の保有については検討する余地を残しておくべきである、このように強調しておられるようですが、この点について防衛長官はどのようにお考えになるか、御見解を伺いたい。
  218. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 自民党の国防部会といたしましては、熱心に検討しておる模様でございます。防衛庁といたしましては、防衛用の核兵器のことも検討いたしておりません。考慮の外でございます。考慮の中ではございません。
  219. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 防衛長官としてはそのように御答弁願わなければなるまいと思いますが、それではまたさきに戻りまして、二兆三千四百億という三次防の予算が発表されまして、朝鮮戦争の再来だ、景気再来だというので、経団連の防衛生産委員会ですか、防衛装備の発注については、混乱を避け、合理的にやってもらいたいと、政府に申し入れを行なったというように承っておりますが、そういう事実がありますか。
  220. 國井眞

    政府委員(國井眞君) 防衛装備国産化懇談会のほうからは、装備の国産に際しての発注はできるだけ合理的にやってもらいたい、こういうような話を聞いております。
  221. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 そこで、各社は一斉に設備投資をして、わが国の兵器産業の中小企業の中心地は名古屋方面だと思いますが、早くも朝鮮戦争以来の景気再来だと、こうわき立っておる。まして大手どころはむろんのこと、各地で一斉に設備投資を行なっている、かように聞いております。いずれにいたしましても、三次防をめぐる産業界の動きはすこぶる活発である。そこで政府は、事前に発注あるいは契約あるいは仮契約等でもしているようなことがあるのじゃないか、あるいは予算を見越して継続生産などをやっている会社があるのじゃないか、こういう疑念がありますが、その点……。
  222. 國井眞

    政府委員(國井眞君) ただいまお話しのような事実は、私どものほうにはございません。
  223. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 重ねてお尋ねしますが、そういう事実は絶対ありませんか。
  224. 國井眞

    政府委員(國井眞君) 現在そういう事実はございません。
  225. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 なければけっこうですが、防衛庁の将官級が退職をされて、ほとんどこの防衛産業のほうに、退職後は全部なだれ込んでおる、そういうあれがありますが、その点はいかがでございますか。
  226. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 自衛隊の幹部の退職と就職状況の問題かと存じますので、数字を申し上げてみたいと思いますが、将補以上の幹部を申し上げてみますと、四十一年で八十八名退職いたしまして、そのうち企業に就職いたしました者が六十一名、四十年度では七十五名の退職者で四十六名、こういう状況でございます。将補以上の幹部で申し上げてみますと、そういう状況でございます。これは一般職と同じように、自衛隊法に就職の制限というのがございまして、制限の規定がございまして、一面においては、本人の生活のための就職ということを考え合わせると同時に、法令に違反しないように、防衛庁において審査をいたしております。その就職制限の根拠は、自衛隊法の六十二条及びそれに基づきます自衛隊法施行規則の六十二条、この条文によりまして非違のないように審査をいたしまして、その審査の結果、差しつかえないということで就職をいたした者が、先ほど申し上げた数字でございます。
  227. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 えらくあなたは簡単に説明されるが、将官級の退職者はほとんど防衛産業になだれ込んでおるといういまの事実、会社側では雇ってくれと言われるので、おつき合いのつもりで引き受けておる、あまり企業のプラスにはなっていない、このように受け入れ側は今日述懐しております。しかも、将官の退職金は一千万近くももらっておる。そうしてまた、そういうところにひもつきで——そういう事実をあなた方はそんなに簡単に説明されますが……。
  228. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 先ほど数字を申し上げましたけれども、正確に申し上げますと、四十一年度の企業への就職者六十一名のうち、防衛庁の登録会社に就職した者は、この約半数の三十二名で、残りの二十九名は非登録会社でございまして、防衛庁と直接全く調達には関係のない会社でございます。約半数は登録会社でございます。  で、その登録会社に就職しますにつきましては、先ほど申し上げました法規に照らしまして、厳重な審査をいたしております。精神といたしましては、本人の、これは御承知のように自衛官は法規上の停年制がございまして、一番上でも五十八歳、将補級ですと五十五歳、一佐級では五十三歳といまの社会の実情から見ますと、定年は一般に若くきめられております。で、そういった若いときに退職しなければならない。年金は、生活をささえるほど十分でないという面もございますので、就職の援護ということは全般の士気のために、われわれとしても十分心配してあげなくてはならないということが一面ございます。ただ、防衛庁の調達その他に悪影響があってはもちろんいけませんので、そういうことのないように厳重な審査をいたしておる。会社との関係では、もちろん会社にこちらから押しつけるとかいうふうなことをいたしておるわけではございません。
  229. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 答弁としては一応それで通ると思いますけれども、社会はそう見ていないのです。これはまあその高級公務員が外郭団体に流れ込んで横すべりをするというのと、これは多少意味が違う。その点は私もわかっておりますが、しかし防衛庁は、業界に対して新しい兵器を発注する。そこにはどうしても規律ということがやっぱり考えられると思う。そういうような場合に、高級将官がそういうところへ流れ込んでいくということは、いわゆるひもつきの人材を多数産業界に流れ込ませる。そうしてきびしい干渉と強力な指導監督を行なう、こういうような私は考えがあるのじゃないか。押えつけはやらないとあなたはそうおっしゃっておるけれども、受けるほうはそういかない。あなたのほうでは、それはあるいは辞を低くして就職先に売りつけるかもしれないけれども、受けるほうはそう考えない、発注するほうですからね。あなた方のいうことを聞いておかなければ、これはやはり都合が悪いと、だから実際は、雇ってくれ雇ってくれといわれるから、おつき合いのつもりで引き受けておる。あまり企業のプラスにはならないと、こういうことを会社側は言っておる。そういう点において、あなたのそうした御答弁は、一応答弁のための答弁であって、いま少しあなた方は考えられるべきではないかということを私は申し上げる。そうせぬと、将来これは不測の事態が引き起こらぬとも限らない、その点いかようにお考えであるか、もう一度お答えをいただきたい。
  230. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 理想的に申し上げますと、自衛官を退職いたしました者が、退職金とか年金とかで、それぞれの地位なり年齢なりにふさわしい一人前の生活ができまして、子弟の教育もできるということで、自衛隊をやめて会社に就職しなくてもそういう生活ができるということが理想かと思います。しかし、御承知のような現在の経済事情では、自衛官の年金なり退職金ではなかなかそういう生活を維持し、かつ子弟の教育をするだけの余裕がないのが一般でございます。そこで若年でやめたあと会社に就職する道を講ずるということは、本人にとりましても、また後進にとりましても、ある程度やむを得ない措置ではないかというふうに一面考えられるわけでございます。しかし、一面、先生の御指摘のように、会社と防衛庁との関係がそれによって多少でも不正の疑いを持たれるとかいうふうなことがあっては絶対いけないことであるというふうに考えます。そこで、もちろん法規のことは厳重にやりますし、そして個人個人もそれぞれの技術を生かした方面に参りますけれども防衛庁と直接接触するような部署にはつかないというような配慮もやっている、そういうふうなことで、マイナス面をできるだけ避けながら、一面先ほど申し上げましたような本人の生活の方面の処置も講ずるというのが現状でございます。
  231. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 いや、あなたの御答弁はね、半ば私の答弁にかなって、半ばは全然はずれている。もう将官級にそんな若年の方があるわけないでしょう。あなたの答弁はどうも的はずれで、将官は停年は五十八歳じゃないですか、五十八歳くらいでしょう。将補が五十五歳ですか、そうじゃないですか。それをあなた若年なんということを言うのですか、おかしなことをあなたおっしゃる。私は将官の、もう少し私の質問をよく聞いて、あまりうろたえぬでいいから、もう一回それをおっしゃってごらん。あなたそうおっしゃるなら、私は人員の名前までここにあげますから、数をあげますから、そんないいかげんなことを言わないで、もう少しまじめな答弁したらどうです。若年なんて、そんなことを言っているのじゃない。生活ができるとかできぬとか、あたりまえです。生活ができないから再就職するのだもの、そんなものは常識もんだよ。
  232. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 停年は将のクラスで五十八歳、将補のクラスで五十五歳、一佐のクラスで五十三歳ということになっております。将以上のことで申し上げれば若年と申し上げたのは不適当かと思います。私の頭には自衛官一般の就職のことがあったもんですから、若年と申し上げましたが、将補以上のことを申し上げれば、五十五というのは、一般の企業の重役、社長クラスに比べれば若いほうでございますけれども、公務員としては必ずしも若年とはいえないと思います。そういうふうに訂正いたします。
  233. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 それをもう一度はっきりおっしゃってください、将官の、あるいは将補以上の防衛産業に流れ込んだ数。
  234. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) もう一度数字を申し上げますと、四十一年度将補以上で退職した者が八十八名、そのうち企業に就職した者が六十一名。六十一名のうち防衛庁の登録会社に就職した者が三十二名、登録会社以外の会社、防衛庁と直接関係のない会社でございますが、二十九名。四十一年度で申し上げますと、そういう数字になります。
  235. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 それは四十一年度ですけれどもね、四十年度あるいは三十九年度、三十八年度、おびただしい数になっております、私の調査では。そこでいずれにいたしましても、そういう産業界との密接なつながりがある、そこに再就職をするということには、よほど慎重な態度をとっていただきたい。再就職することを私は否定しているのではない。それはあなた方がいろいろなところにお世話されることは大いにけっこうです。ですけれども、あらゆる観点からいたしまして、社会の批判を受けるような、あるいは疑念を受けるようなそういうことには、十分注意をしていただきたい。というのは、この数から見ましても、なるほどそういう疑念がわくような点が非常に多い。そこで私はその点を申し上げておるわけです。それおわかりになりましたか、局長、私の言っている真意はわかりましたか。
  236. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 御趣旨は十分わかったつもりでございます。
  237. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 わかったらどうしますか。
  238. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 繰り返して恐縮でございますけれども、御趣旨もよくわかりましたし、またわれわれのほうも、先ほど申し上げましたように、法規に照らしまして非違のないように、そうしてまた、法規に直接触れないでも、疑惑の持たれないような措置を講ずるべきだと、こういうふうに考えております。
  239. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 大体わかりました。  そこで、その次の問題についてちょっとお尋ねしたいのですが、一次防、二次防、三次防と果てしなき戦力の増強と、このように自衛隊は、今日まで相当の戦力でありながら、また二兆三千億というばく大な予算をもっておそるべき戦力に脱皮しようとしておる。この三次防のように、先ほどから申しますように、量よりも質に急速に充実しつつある自衛隊が、いつまでも防衛力であって、攻撃力でないと、どこでそういう強弁ができますか。防衛力と攻撃力の限界ですね、その点について防衛庁長官の御見解を承りたい。
  240. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) われわれが防御力だと言っているゆえんは、自衛隊法の定めるところでございます。すなわち、自衛隊は直接侵略並びに間接侵略に対処するために存在する、この法規にのっとった実力部隊が自衛隊でございます。侵略がなければ動かない、こういう部隊でございますることは、法規に明らかに定めてございます。
  241. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 直接、間接の侵略に対する防衛だとおっしゃいますが、これはわかりますが、しかし直接、間接の侵略という点につきまして、いささかもそういう想定が国民の前に明らかにされておらない。そもそもこの防衛論議というものは、決して古い時代の国防論、軍事思想を新しくつくりかえたようなそういう復古的なものになってはならない。こうした私は反省が必要ではないか。現にわが国は、御承知のとおり、かつてお互いに太平洋戦争の苦しい経験を顧みて、平和憲法を制定したわけでございます。それを保持しておるという事実を無視して、防衛の技術論のみ論ずるということは、私はこれは許すことができないじゃないか、このように考えますが、その点、防衛庁長官お答えをいただきたい。
  242. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 自衛隊法ができまして、憲法九条一項、二項はございますけれども、しかし九条一項、二項は、わが国の無防備をきめたものだとは考えていないのでございます。すなわち、自衛力を持ってよろしい、そのことを受けました、憲法のそのことを受けましたのが自衛隊法でございまして、自衛隊法三条によりまして、わが国の平和と独立を守り、また国の安全を保つために直接、間接の侵略その他の緊急事態に対処する、すなわち、あくまで防衛的の存在体が自衛隊でございます。
  243. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 長官のお答えは、先ほどお答えをいささかも出ていないようですが、私のお尋ねしていることは、結局直接、間接の侵略に対する防衛だ、こうおっしゃることはわかります。そこまでは。ところが無制限に防衛防衛だとおっしゃって、しかも直接、間接の侵略の想定ということは国民の前に明らかになっていない。そこで、防衛力と攻撃力の限界はどこにあるのか、ただ防衛力、攻撃力の限界、区別がつかぬままに戦力の増強のみをはかっておる、その点お尋ねしておる。長官、いかがですか。
  244. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 昭和三十二年に決定されました国防に関する基本方針を受けまして、第一次防、第二次防、第三次防等には、いずれも防衛に関する大綱がうたってございまして、その中には、通常の兵器による局地的侵略があった場合に、わが国を守る実力部隊が自衛隊である、こういう限界は世間一般に公表されてあるわけでございます。閣議決定の昭和三十二年の国防に関する基本方針も公表されてございまするし、その後の一次防、二次防、三次防の大綱も、今度の三次防にあたりましては、大綱はもとより、大綱に基づく防衛の主要項目並びにこれに要する所要経費等も明瞭にいたしてございます。でございまするから、鬼木さんにおかれまして、通常兵器による侵略に対処できる実力部隊である、こういうことは御納得をいただきたいと私は思うわけでございます。しからば攻撃的兵器になるか、防御的兵器になるかということは、私は客観的にきまると思います。外国に脅威を与えるかどうかということで、一応客観的にきまると思います。客観的にきまらないものは主観できめるより仕方がないという微妙な分野もあると思いまするが、すなわち常識的に見て、攻撃的な武器でないものを備え、また隊を備え、航空自衛隊を備え、艦隊を備え、陸上部隊を備えておるという、こういうわけでございます。
  245. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 なるほど、あなたのおっしゃるように、一次防、二次防、三次防、それは基本方針は出ております。けれども具体性がなくて、非常に抽象的でありますが、いまの長官の御答弁で、防衛力、攻撃力というのは主観、客観の問題だ、なるほどそれはそうかと思いますけれども、いずれにいたしましても、これは防衛力と攻撃力の区別がつかぬままに戦力の増強をはかっておられるのだ、かようにわれわれは考えておる。戦力が逐次増強されつつある、そういう自信のもとに、先般佐藤首相の沖繩派兵の発言というようなことになったんじゃないか、まさにこの今日の防衛力強化ということは、その構想、思想において、軍国主義のあらわれであり、復古調のあらわれである。であるからしてああいう発言になったんではないか、こういうふうに私らは憶測するのですが、長官の御見解いかがですか。
  246. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 鬼木さんは戦力の増強とおっしゃいますけれども、われわれは、いまの自衛力は戦力でないと思っております。戦力に至らざる範囲の実力でございます。  それから総理が、沖繩の船が日本の旗を掲げて——いよいよこの七月一日から掲げておるわけでございまするが、掲げておった場合に、急迫不正の侵略を受けた般というものは、これは領土と同じ扱いを受けます。外国の領海に入るまでは日本の領土でございますから、そこで沖繩の日本の旗を掲げた船を、できるならば日本の自衛隊で守りたいという感情を持っておる、しかしながら、現在施政権がないからできないのである、こういうところまではっきりと始末をつけた発言をされておるということを、鬼木先生におかれましても御了承を得たいと思っております。
  247. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 これは佐藤首相の発言自体につきましては、ずいぶん物議をかもして、結局は、いまあなたのおっしゃったようなことに結論的には統一見解で落ちついたんじゃないかと、そういうふうに思いますけれども、そういう発言の出た根拠は、佐藤首相のお考えはそういうところにあったんじゃないかと私は思ったから、いまあなたにそういう点をお尋ねしたわけであります。  それではその次に、三次防の計画について、われわれがどうしても納得いかないということは、わが国の防衛構想の基本が、あなたは示されておるとおっしゃるけれども、実は示されていない。三次防は一体第何次防の三次防であるか、あるいは十次防、二十次防に到達するための三次防であるのか、あるいはこの三次防で終了するのか、そういう点が明らかになっておらない。一次防、二次防の場合には、その一次防の基本方針は出ておりますけれども、わが国の防衛体制ということに対しまして、防衛構想の基本が示されていない、そういう点について防衛長官のお答えをいただきたい。
  248. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 国防の基本方針というものは、昭和三十二年の閣議決定によって示されております。その項目は鬼木さんが御承知のとおり四項目でございます。これを受けました第一次防衛三カ年計画がございまして、それが昭和三十三年から三十五年まででございます。三十六年は、単年度の防衛計画であり、防衛費を御賛成いただいたわけでございます。昭和三十七年度から四十一年度末、すなわち暦年から申しますと、本年の三月三十一日までは第二次防でございまして、これが五年で終了いたしまして、第三次防は昭和四十二年、すなわち本年の四月一日から昭和四十六年の三月三十一日に至る五カ年計画でございます。  そこで、三次防が終わったときはなくなるかという御質問お答えいたします。三次防がなくなりましても、おそらく自衛隊はその存続が必要である。どういう、四次防という形が五カ年計画であらわれるか、あるいは三カ年計画であらわれるか、そこまでは今日予言はいたしかねますけれども、三次防が終わったときに、あと国防費がなくなる、自衛隊がなくなるというものではないのでございます。
  249. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 私は納得ができませんけれども、時間がありませんので、その次の問題に移りたいと思います。  第三次防の主要整備目標で、特に私はふしぎに思うことがあるのですが、その中で二次防と三次防の予算内容でございますが、二次防における人件費、それから物件費、三次防における人件費、それから物件費、その比率をちょっと承りたい。
  250. 島田豊

    政府委員(島田豊君) お答え申し上げます。二次防におきましては、人件費の比率は四六・三%でございます。三次防におきましては、四二・五%、物件費につきましては、二次防におきましては五三・七%、三次防におきまして五七・五%、こういう数字になっております。
  251. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 二次防における人件費は四五%で、物件費が五五%のように私は承っておりますが、三次防においては人件費が三五%、物件費は六五%と、一段と物件費のウエートが高まっている、こういうふうに私は考えておりましたがね。その点、もう一度確かなところをはっきりおっしゃってください。
  252. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 先生のお持ちの数字がちょっと私にはよくわかりませんが、私の計算によりますと、二次防は補正後の実績でございますが、人件費が約六千四百五十一億でございます。三次防におきましては約九千九百億でございますので、全体の比率からいたしますと、人件費は二次防におきまして四六・三%、三次防におきまして四二・五%、それ以外のものが物件費ということになるわけでございます。
  253. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 そうすると、二次防と三次防の人件費及び物件費は、ほとんど大差ない、かように解釈してよろしゅうございますか。
  254. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 第三次防の数字は、まだ実は計算の段階でございますけれども、この数字から言われますことは、三次防におきまして、相対的に人件費が若干減少をいたして、物件費が相対的に高まっておる、こういうことが言えるかと存じます。
  255. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 二次防においては一兆三千億、今回の三次防において二倍強になっておる。これはどう考えても兵力から兵器へという色彩が濃いんですが、私の計算では、二次防よりも三次防において物件費がその比率が高いように思われるが、そうなっていませんか。
  256. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 二次防に比べまして三次防のほうが物件費が高くなっております。先生おっしゃいますのは、少なくなっておるかということでございますか。
  257. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 いや、多くなっているでしょう、物件費が。
  258. 島田豊

    政府委員(島田豊君) そうでございます。
  259. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 そこで、人件費が少なくなって、物件費が二次防よりも多くなったということは、結局人件費を減少して、なるべく物件費に回すと、そういう点から自衛官の充足というようなことに支障を来たしてくるんじゃないかと、こういうふうに思われるが、そういう点の影響はありませんか。これはもう少し私は詳しく調べたいと思うんだが、局長。
  260. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 二次防の人件費につきましては、これはベースアップ——実績でございますのでベースアップが含まれております。三次防におきましては、約一兆と申し上げましたけれども、これは今後のベースアップをどういうふうにこの中で計算をするかによって違いますけれども、これ以外にベースアップの分が含められるということでございますので、全体の比率におきますところの、これは二兆三千四百億と申しますのは、一応いまの計画でございますけれども、これを実際に四十六年度末までに経費を支出いたしました合計が、これも若干変わり得るわけでございます。しかもこのほかにベースアップ分というものが含まれてまいりますので、人件費の比率がまあそういう意味でかなり変動してくるということは申し上げられると思います。
  261. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 結局ベースアップ分を含んでいないと、私はもっと人件費がずっと上昇すべきだと、こう考えておった。で、人件費が非常に少ないということは、結局充足率に影響すると、したがって給料を安くして、少年自衛官とかあるいは婦人自衛官をこう回すんじゃないかと、そういうふうなところに考えがいっているんじゃないかと、そういうことはないですか。
  262. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 少なくとも計画面におきまして、人件費をできるだけ節約するために、そういう少年自衛官あるいは婦人自衛官を採用するということを意図してこれは積み上げた数字ではないのでございます。
  263. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 まあその辺はまたあとで……。  次に、この三次防決定の時期でございますが、この防衛計画という国の重大問題の決定が、一次防、二次防の場合を見ましても、偶然といいますか、国会閉会直後に決定されておる。これはまあむろん国防会議の決定事項であるとは思いますけれども、私は当然これは国会にその大要を示すべきである。そうして国民の理解と協力を得るのが私は筋であると、こう思うのでありますが、いまだかって首相の所信表明にもこういう報告をしたことは一回もなかった。そういう点についてですね、どのように長官は考えられますか、その点ちょっとお尋ねしたい。
  264. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 国会のことは最も尊重いたしまして、三次防の二兆三千四百億のうち、本年度はその初年度として三千八百九億円を先般予算として両院の御賛成をいただいた次第でございます。なお、三次防の内容等は、でき得る限り公表をいたしております。
  265. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 しかしですね。その三次防について国会を通じて国民の前に明らかにされている内容というのが、わずかな資料だけでありましてね。昨年の十一月二十九日の国防会議決定の第三次防衛整備計画の大綱、本年三月三十一日の国防会議決定の第三次防衛整備計画の主要項目、まあこういう資料は私どもいただいておりますがね。これ以外の資料は何らいただいてない。まことに不完全しごくです。これで国民の理解が得られると、そういう安易な考えを持っていらっしゃるとしたら、これはたいへんなことだ。これを長官はどのようにお考えになっていますか。
  266. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 鬼木さんの御質問ではございまするが、両院におきまして、ことに予算委員会における総括質問の際、また両院における予算委員会の分科会の際、それから両院における内閣委員会の際に、でき得る限り議員各位の御質問に対しましてはお答えを申し上げまして、御了解を得ることに一生懸命努力いたしておるのが防衛庁でございます。
  267. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 まあそうでしょうけれども、実際はそうわれわれにですね、まあ総理の所信表明にも何らこのことの、三次防に対しては触れてない。防衛を国民的基盤に立つものとすると、こういうふうにうたっておられながら、二兆三千億もの税金をですね、納税者である国民に、もっと私は細部まで明確に示されることが、これが国民の理解を得るゆえんであると、こういうふうに考える。私どもにもわずかな資料しかいただいておりません。いま大臣のおっしゃったように、衆参の委員会で質問に答えて、まあちびりちびりその内容を小出しにされておる。質問が触れていないところは一般にはわからない。細部にわたってこまかく何も明らかにしていない。そういう点においてですね、いささか私どもは不可解です。ところが、一方財界の方面には詳細にこれはお話がしてある。私ここへ持っておりますところの経団連の月報でございますが、この月報なんかには詳細に発表してある、三次防の年度別の詳細から、微に入り細にわたって説明をしてあります。だから私ども考えますのは、防衛産業界にのみこういうことを方向づける防衛政策であってはならないんじゃないかと、こういうことを私は痛切に感ずるから、それを長官にお尋ねしておるわけです。
  268. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 経団連に防衛生産委員会なるものの存在を私は知っております。しかしながら、経団連の出した数等は私自身が詳しく存じないわけでございます。そこでいつも国会において申し上げておりまするのは、今回の二兆三千四百億円、上下幅二百五十億円、そのうちの調達の方面、物資調達、武器を入れまして調達関係は約九千億円、こういうことだけしか私自身もあまり実は知らないわけでございまして、それから本年の三千八百九億円の内容予算書にも書いてございます。第一年度である本年度の三千八百九億円の内容は、予算書にも書いてあるわけでございます。それから各部隊等は、でき得る限り皆さまを歓迎申し上げておりまするから、F104等は体格検査等がございまして、なかなか乗れないかもしれませんが、これは体格検査の関係でございます。あとは何でも歓迎いたしておりまするから、ぜひとも艦船あるいは部隊あるいは航空自衛隊等を、陸上部隊はもとよりでございまするが、鬼木さんにおかれましても、ぜひごらんを願いたい、こう思う次第でございます。
  269. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 次に、第三次防の期間中に、一九七〇年のいわゆる安保改定の時期を私は迎えると思うんですが、あるいはまたこの期間には中共の国連加入というような問題、これはどうなるかわかりませんけれども、こういったような、その他複雑きわまりない国際情勢の見通しについて、三次防の改編ということを想定に入れていらっしゃるかどうか、その点を長官に承りたい。
  270. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 第三次防を策定する三月十四日の閣議決定の当時におきましては、国際関係の情景は、現在の二兆三千四百億プラスマイナス二百五十億の国防費が必要である、こういう考えでございます。そこで国際関係におきましては、外交方針はもとより、善隣友好でございます。あらゆる国との善隣友好がわが国の確固たる外交方針でございます。しかしながら、一面国際環境から見まして、国防というものはやっぱり存在が必要である、国防を存在させつつも善隣友好の関係はできるだけ発展させてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  271. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 国際情勢の見通しと同時に、また軍事情勢について、中共の核武装の問題だとか、核兵器の進歩、米ソの核戦略の変化——情勢の変化、さらにまた軍縮委員会などで現在熱心に討議されておる軍縮問題の今後の発展などについて、これは私は軍事問題につきましてもなかなかそういう要素が多いと思う。かかる要素等のいかんによって、第三次防の把握を、十分こういうことを加味されてやるのか、随時そういう点によって第三次防も変更していくのか、そういう点をお尋ねしたい。
  272. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 第三次防の期間は昭和四十六年三月三十一日まででございます。その間異常な事情の変更というようなこともございますならば、考えられないわけでもございませんでしょうが、事情変更の法則というものが適用されるようなたいした国際情勢の変更はないと、こう考えております。中共関係におきまする核実験等は、六回に及んでおりまするが、わが国は日米安保体制のもとに国の平和と安全をはかっていくと、こういう方針でございまして、核兵器のことは中共側でいろいろいたしましても、われわれは考慮の中に入れていないのでございます。
  273. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 そこで三次防という点についていろいろ私ども考えまして、基本的に一国の防衛は、必ずしも私は軍事力のみで構成されるものではないと、むしろ軍事力偏重の防衛構想は、すべての場合に不幸な悲惨な結果を招くことは歴史の教えておるとおりであります。国の防衛を構成するのは、軍事力のほかに外交、経済の充実、政治の安定、国民的合意の成立、あるいは科学技術の発展、こうしたことなどより盛り上がったことが、私は重大なことではなかろうかと思うんですが、そういう点については長官としてはどういうお考えを持っていらっしゃるのか。長官はこれは軍事力ではないと仰せになっておる。そういう点はどういうふうにお考えでしょうか。
  274. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 鬼木先生のお説と大体において同感でございます。
  275. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 そういたしますと、さらにこのわが国経済、国民経済と国民生活との上から考えました場合に、非常に防衛費負担の問題は、政府考えておられるように、外国の例を引いて簡単に、これはパーセンテージが低いんだというようなふうに考えておられますけれども、国民経済の発展の上に大きな私は障害となっているんではないか、国民生活をはなはだしく圧迫しているんじゃないか、こうした考えを持っておりますが、その点長官はどうお考えになっておりますか。
  276. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 日本の生産力の発展の度合いというものは、世界の驚異になっておる次第でございまして、そこで政府の発表いたしました経済社会発展計画におきまして、昭和四十二年から昭和四十六年に至るまで、その間の五カ年間の国民総所得は二百二兆円と踏んでおるわけでございます。しかしながら、これは内輪の見込みであって、識者は、あと二十兆円ぐらいふやしてもいいと、こういう説をなす方もございます。しこういたしまして、私どもは、ベースアップは二兆三十四百億の外でございまするから、ベースアップが相当あったと仮定いたしまして、二兆六千億ぐらいにあるいはなりはせぬかと思っております。五カ年間のうちに、物件費は二百五十億しかふえないわけでございます。しかしながら、人件費は二兆三千四百億の外ということになっております。そういたしてみますと、国民所得の多い場合でも一・三%でございまして、世界の先進国といわれるうちでどの国に比べても圧倒的に少ないのが日本の国防費でございまして、国民負担に異常に重荷になっているとは考えていないのでございます。
  277. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 先ほど私が申しましたように、皆さんはすぐに外国の例をとられておっしゃいますけれども、大体日本は軍事力を憲法九条によって持たないことになっておるんですからね。だから、これを他国と比較するということは当を得ない。そういうことは、私は全然話にならない。しかもわが国の国民総所得が非常に上がっておる——なるほどさように私ども承知いたしておりますが、一般大衆に対する経済の圧迫というものは、先ほど申しましたように、国民一人当たりの負担力は二万三千円、こうした負担ということは、何といっても私は大きいと思う。この点は長官もお認めになるはずだと思うんですよ。その点はどうですか。
  278. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 国民負担といえば、それは負担でございます。しかしながら、本年度の予算で申しますと、本年度の予算は、国の予算が約五兆円より五百億円少ないわけでございます。それから、都道府県の予算というものが、おそらく同じ額でございます。これを機械的に加えますというと、約十兆円でございます。しかしながら、交付税、交付金、助成金、補助金等が通り抜け勘定になって、二重に帳簿に載っておりますから、どちらかをとります。とりますというと、七兆円ぐらいになります。しかしながら、特別会計というものがやっぱり五兆円ぐらいございます。これを、国によりましては、一般予算に計上している国もあり、また特別会計に組んでいる国もございますが、国民負担という見地から見れば、大体十二兆円ぐらいになるところを、私は略して約十兆円と見ております。十兆円から見ますというと三千八百九円、一方は十万円でございますが、十万円の国民一人当たりの負担が、国、都道府県、市町村の一般会計、特別会計の国民負担になるわけでございます。その十万円から見ますというと、三千八百九円——額として、負担といえばそれは負担でございますが、きわめて僅少なる負担である。これもやっぱり、日米安保体制のもとに、こういうように少ない負担でやっていけるんではないかと私は考えておる次第でございます。
  279. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 防衛力を推進されるあなた方はそのようにお考えになるが、私はそう考えない。わが国は、みずからの防衛策として、軍事的防衛力に依存するよりも、アジア開発に全力を投入して、経済援助、文化交流に努力すべきである。さらにまた、科学振興、あるいは原子力の平和利用、こうしたことによって経済発展の道を講ずべきであるのじゃないか、究極的には世界の完全軍縮を目ざしていくべきではないか、暴によって暴にかう、いまだその非を知らず——武力による解決はしょせん武力による報復を覚悟しなければならないと、こうした考えを私は持つべきじゃないか、  このように考えますが、長官はどのようにお考えになりますか。
  280. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 鬼木先生のおっしゃることは、一々ごもっともだと思っております。そこで、わが国におきましても、東南アジアの援助ということには特に力を入れております。また、国際連合貿易開発会議におきましても、わが国の総生産の一%を後進国に向けるようにという決議もございます。一%といえば約十一億ドルになりまするが、いまのところ十一億ドルになっておりません。すなわち四千億円以上を出すべきはずでございまして、出すために努力するようにということを、閣僚といたしましては、総理にも、外務大臣にも、他の閣僚にも……、私は特にアジアの開発のことにつきましては従来長年努力をしてまいった一人でございまして、お説は全体としては同感です。
  281. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 長官のお考えが私の考えと同感だという御答弁には、私大いに満足に思います。  次に、三次防における施設面についてお尋ねをしたい。(「どうやら時間ですよ、鬼木さん」と呼ぶ者あり)いや、まだ一時間と十分しかやっていない、何言ってる、そのために時計があるんだ。(笑声)従来の計画では、この施設の取得の裏づけというか、その面の計画が全然なかった。そのため、基地の取得等には長年月を要しておるのみならず、計画実施の熱意が大体あるのか、ないのか、その点疑うような点がないでもなかった。今回の第三次防では、一体どうするのか。ナイキ、ホーク等の防空施設をあるいは都市近郊に施設するんだとか、そういうような計画も入っておると、これにも載っておるようであります。基地を一体どこに取得し、部隊をどこに置くか、そういう点、第三次防においてどういうふうに計画しておられるか、お尋ねしたい。
  282. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 私から概括的に申し上げますと、三次防におきましては、施設の計画は毎年毎年の業務計画なりあるいは予算を通じまして決定いたすわけでございまして、特に三次防としての整備目標というものは設定してございません。その中身については、これからいろいろ検討いたすわけでございますが、特に三次防として重点を置きたいと考えておりますのは、隊員の勤務環境の改善という意味におきまして、老朽隊舎の建てかえあるいは隊員の宿舎の増設というような点にできるだけの力を注いでまいりたいと考えておる次第でございます。なお、細部につきましては、また担当の部局のほうから御説明申し上げます。
  283. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 ぼくの尋ねるのには、これではまだ百分の一も答弁ができていない。これからがぼくの一番大事な、いよいよ本文に入るところだ。とんでもないことになってしまったんだが、それではこれに関連してちょっとお尋ねしたいが、宮崎県の新田原のF104が板付に移転をする、一時行く、こういうことになっておりますが、これは地元民は極力反対しておる、しかも板付基地は移転してくれといっておる。これはおそらく日本でも板付基地のようなところはほかにはないと思う。市街地の中心地にある。だから移転をしてくれと言っておる。それを移転するどころか、F104を宮崎から今度は持ってくる。地元民は極力これに対して反対しておる。それに対して何ら法的準備もやらないで、防衛施設周辺整備法もあるのに、これは強引に無理押しであそこに持ってくるということですが、そういう点について一体どういう考えを持っておられるのか、この点をひとつ承っておきたい。
  284. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 板付に自衛隊を常駐するという計画は全くございません。新田原に現在F104の部隊がございます。航空団がございますが、この航空団の滑走路のコンクリートの打ちかえなりあるいは滑走路のオーバーホールをやりますために、一時必要な警戒配置の場所を九州に求めておるわけでございます。その場合に、現在ございます基地はF104の基地として必ずしも適当でないといいますか、要するに滑走路が短いのでございますので、でき得べくんば板付において領海、領空侵犯の措置をやりたいと考えておりますし、それから新田原でやるべき訓練をあそこでやりたい。その期間は、滑走路の閉鎖期間でございますので、約八十日程度でございまして、常駐するという計画はないのでございます。
  285. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 八十日であろうが、百日であろうが、何のために防衛施設周辺整備法というものはあるんですか。そういう防音装置とか、すべてのことをやって、そうして地元民が承知したならば、それは移してもいい。承知もしないのに移すというようなこと、そういう一方的なことで——それじゃ何のためにこの法律があるのか。そんな子供だましみたいな答弁はよしなさいよ。そんなことはわかっているんですよ。新田原の滑走路なんかを幅広くするためにあっちへ持っていく、そういうことはわかっているんですよ、そんなことは。
  286. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) お答え申し上げます。施設周辺の整備法に関しましては、昨年先生にもいろいろ貴重な御意見をいただきまして痛感いたしておりますが、これに対しまして周辺対策は105が横田に移るのも現在やっております。しかしながら、また今回いろいろ相談の結果、地元の理解と協力を得まして新田原在駐の飛行機が臨時に駐とんすることになりまして、その際に何か格段の障害があるというふうなことが予想されます場合には、それに応じた施策は十分考えた上で、地元の御理解と協力を得たいというふうに考えております。
  287. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 そういう施設をやって、そうして地元民の了解を得て移るんだったら、地元民が了解すればよろしゅうございます。いまのところは地元民は全面的に反対だから、それを承っておけばよろしゅうございます。私は福岡だからはっきりわかっている。私自体はまだ納得しないんだから。  これはかけ足でもう一つ、まだたくさんあるんだけれどもね。先日、防衛局長は、三次防には人的の面も物的の面もすべて入れている、こういう答弁でございましたが、隊員の優遇について、隊員の帰郷制度について、これは数年前こういうことを提唱して、帰郷制度ができたと思いますが、四十一年度は五千六百万、四十二年度は七千八百万、わずかに二千二百万の増である。これで三次防というのは、何を言っているのか。一体対象は、人員はどれだけであるか、これでは少しも優遇はしていない。こんなべらぼうな、ふざけたことを言って、人間尊重とかなんとか言って、何が人間尊重ですか。これは兵器尊重で、人間尊重じゃない。  それから、自衛隊の医官の問題ですが、これこそまことに遺憾である。現在の医官の定員並びに欠員状況をお聞きしたい。これは自衛隊法にも載っておる。大体医官の充足率はどういうふうになっておるか。この問題は従来国会でも問題になっておって、これはまことに私どもは言語道断だと思っている。人道問題である。何らこれに対して対策が講じられていない。先年の予算委員会において私が質問しました場合にも明らかになったんでありますが、陸上自衛隊では、五千人以上の駐屯地には医官の配置はあるけれども、五千人以下の駐屯地——百五カ所あるようですが、その三分の一には医官が一人もおらない。だから、今日までとられた具体策をお聞きしたい。また、三次防にはいかなるこれに対策が加えられておるか。もう少し私は医官を優遇すればいいと思う。自衛隊の俸給表から切り離して、特別に医療職としての俸給表を準用するというような特別措置をとったらいいと思う。現在のようなわずかに二号俸程度の色をつけるというようなこそくなびぼう策では私はお話にならないと思う。しかも、せっかく貸費学生を設けておって、二〇%程度はもう全部やめていく。これでは隊員の健康管理というようなことは全然なっていない。戦前の軍隊においても、軍医というものがおって、各地に病院があった。そして兵隊のいるところには必ず軍医がおった。それが今日は、二十数万の自衛隊員を擁しておりながら、医官はわずかにその何分の一にすぎない、何分の一もない、そういうことではたして自衛隊員の健康管理ができるかどうか。これは予算委員会で私が質問しましたときには、管理ができると言っている。できないんです、事実。できると言ったのは——私はできていない事実をもっていまからお話ししますよ。実際に健康管理はできていない。私は隊に行って事実調査してきたんです。この点、長官の御説明、それから局長の御答弁願いたい。
  288. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) まず帰郷制度の問題について申し上げます。  昭和四十一年度で、人数にしまして約六千五百人、費用にしまして約五千六百万円でございました。本年度の予算で、人数にしまして七千五百人——千人ほどふやしました。費用にしまして七千三百万——約千七百万円の増でございます。三次防におきましても、この制度をもっと拡充したいと、まだ具体的な数字その他はきまっておりませんけれども、伸ばしていきたいと、かように考えております。
  289. 高部益男

    政府委員(高部益男君) 医官の充足率の非常に悪いことについての御懸念、はなはだ御指摘のとおりでございまして、まず御指摘のとおりの現状から申し上げさしていただきます。自衛隊の医官の定員は八百十七名でございまして、それに対して最近——現在と申してよろしいと思いますが、三百二十名の充員でございまして、充足率にして三九・二%という状態でございます。なお、このほかにいわゆるシビルの医官がおられまして五名、それからいわゆる予算措置といたしまして民間の医師を二百七十名ほどお願いしております。それ以外にもし必要があるならば——と申しますと、いろいろこれだけの人数ではすべての範囲の隊に医官を配置するわけにまいりませんので、民間医療機関に隊員を出向かせまして、その経費を防衛庁で全部支払うということで、現在いろいろ診療あるいは健康管理上の問題をまかなっておるのが現状でございます。なお、御指摘の健康管理上五千人以上の駐とん地にしか医官はないじゃないかというお話もございましたが、その後各幕僚幹部の格別の努力がございまして、現在におきましてはかなり好転しておりまして、たとえば陸上自衛隊におきましては、総駐とん地——分とん地を含めまして、百四十三カ所ほどございますが、そのうちはっきりした数字はちょっと覚えておりませんが、約百カ所以上のところに先ほどの嘱託医師を含めまして医官の配置を見るようになっております。なお、一般的に申し上げまして、医官の充足対策、先生承知のように、まあ一例をあげられまして俸給表を別個に設定すればいいじゃないかというふうな御意見、はなはだ貴重に承っておりますが、現実はかなり一般医療職の俸給表をやや上回るという程度までやっておる、並びに昇進につきましても、他の一般自衛隊幹部に比しましてはかなりよく進めておるというふうなことによりまして、現在まかなっておる実情でございます。また、三次防の期間におきましてどうかというふうな御質問もございますが、これにつきましては、医官の特性がいろいろございますので、主として病院、研究施設等の近代化の予算をお願いいたしておりますし、また教育の体系も変えまして、医官のいわゆる研究意欲に——研究並びに診療技能の向上に対する特別な熟意に対しましてこたえるつもりでございます。また、健康管理につきましては、医官の不十分な点、御指摘のとおりでございます。十分にはまいっていないことは、もう認めるにやぶさかでございませんが、一応定期健康診断、臨時健康診断、あるいは特別の場合の特別健康診断というようなことをやっております。定期診断を例にとりますと、毎年毎年約二十数万名の——年に二回でございますか、二十数万名やって、ほとんど一〇〇%の定期健康診断の成績をあげており、そのためには、病院と部隊との連携、あるいは病院、部隊等からのいわゆる僻地駐とん地に対する診療並びに健康管理のための巡回、あるいは先ほど申し上げましたような地元嘱託医あるいは医療機関等の連携によりまして、健康管理にもできるだけの範囲の努力を続けてまいってきておるわけでございます。以上簡単でございますが。
  290. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 帰郷制度につきましても、私はどうしてもこれは納得できない。わずかに千名程度ふやして、予算が一千万くらいの増で、そうして三次防だなんて、何が三次防だ、そんなことじゃ絶対私は承知できない。隊員の優遇なんてほとんど皆無だ。医官の問題も、これはまた私はあとでやります、臨時国会でもやりますが、いま衛生局長のお話では、万遺憾のないようにすると言っておられるけれども、こんなことはあるわけないもの。そんなわずか三〇%の充足率なんかで、どうして医官の完ぺきが期せられますか。事実、私が言いましたように、現地において隊員の健康管理はできていない、まことにずさんきわまりがない。そのために、非常に不幸な隊員がいる、そういう事実がある。この点、こういうことは私言いたくなかったけれども、いずれにしましても、隊員の優遇ということについては、いま少し考えていただかなければ、そうしなければ充足ができない。ただ防衛力の強化だということに夢中になっている。そうして隊員はおろそかになっている。全国二十数万に対して、わずか八百名か六百名の医者で何ができる、そんなことできるはずない。病院もわずか九カ所くらいの病院で、駐とん地にはいないんだ、医者は。それで民間に頼んでいる。不見識きわまりがない。これはいずれにいたしましても、まだまだここにたくさん持っておりますけれども、抜粋して医官の問題と、帰郷制度の問題だけに私はしぼってお尋ねしたのであって、防衛法案についても直接お尋ねしたいことが何ぼでもあるけれども、遺憾ながら言論を防遏されたから、味方は少なく敵多しでやむを得ませんが、これは後日の問題として、これで私は解決しておりませんから、納得しておりませんから、なお後日の問題として再質問をいたしますから、その点だけははっきり申し上げて、これで終わります。
  291. 前川旦

    ○前川旦君 長官に質問いたしますが、先ほども時間、時間ということで制限されました。予定の質問百ほどございますので、六時間ぐらいかかりそうなので、残念ですが質問をはしょってやります。質問ははしょりますが、答弁はどうぞはしょっていただかないように、答弁をはしょっていただくとかえって長くなります。  そこで、最初にお伺いいたしますが、昭和三十六年の七月に二次防が決定されました。それと三次防の決定をされました今日までの、国際情勢の面で二次防決定時と三次防決定時とどういう変化があったか、どのように国際情勢の変化を防衛庁として把握していらっしゃるか、この点をごくかいつまんで承りたいと思います。
  292. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 二次防決定後五カ年を経過しておることは、前川さん御存じのとおりでございます。少し話が長くなるかもしれませんが、ジュネーブにおきましては、十八カ国軍縮条約というものが持たれております。わが国といたしましても、その中に参加することを望んでおりまするが、まだ十八カ国の了承するところとなっておりませんが、熱心に参加を望んでいるのです。  それから、いわゆる米ソ、あるいは東西といいますか、そういう二大勢力がございますことは事実でございますが、これは全面戦争が起きるという可能性はだんだん減少しつつございます。局地的の戦争というものは遺憾ながら方々にあるわけでございまして、でございまするから、全体として考えまして、二次防策定当時と三次防策定当時、すなわち去る三月十四日の時点、また今日までの時点から見まして、最小限度の外国に脅威を与えない三次防の自衛力は必要である、こういう結論のもとに策定されたのが第三次防衛計画でございます。
  293. 前川旦

    ○前川旦君 長官にお伺いいたしますが、この二次防の決定したときとそれから今日とできわ立った国際情勢の変化というのは、やはり中国の問題であろうと思います。中国の核武装の問題は、先ほどから論議されましたから、私は省略いたします。これはただ、中ソ間の対立といいますか、あつれきといいますか、これは二次防あるいは三十六年九月の安保の改定のとき、今日のように顕在化してなかったわけです。非常に最近中ソ間の対立は顕在化してまいりました。そこで、いわゆる中ソの友好同盟条約といわれているのがあります。これは安保のときも、これに対抗するために安保が必要なんだという論理の展開がなされたというように記憶しております。この中ソの友好同盟条約というものについての、どうこれが質的に変わったか、第二次防当時と比べて今日と当時と同じような効力を持って生きておるのか、それとも、死文化と言うと少しきついかもしれませんが、形骸化しつつあるのか、この点の中ソ友好同盟条約に関する防衛庁見解をお伺いしたいと思います。
  294. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 一九六〇年ごろからだんだん中ソの対立は出てまいりまして、六一年ごろから今日までは悪化の傾向になっていることは、前川さん御指摘のとおりでございます。しかしながら、一面、中ソ友好条約はございまして、これはやはり効果を失ったものではないと私ども考えておるわけでございます。中ソが、相当の冷却現象を起こしておりまするが、武力衝突を起こすというようなことは毛頭考えていないのでございまして、やはり友好条約は存続いたしておる、これを忘れてはならないと私ども考えております。
  295. 前川旦

    ○前川旦君 条約としては、確かにいま期限のうちですから存続しておりますが、最近の中ソのあつれき、非常に激しいあつれきがありまして、国境でも非常に緊迫した状態で紛争状態があります。外交関係でもほとんど断交に近いような形がいろいろ伝えられているというようなことになれば、なるほど形としては、中ソ友好条約、これは有効でしょうが、条約として実質はほとんど形骸化しているのではないか。これはいろいろ内容がありますが、日本に対する条項もあったと思いますが、そういうのを含めて、中ソが共同して事に当たるというようなことが今日の国際情勢のいまの段階ではとても考えられない、これは常識になっていると思うのです。その点、なるほど形としては効力があるかもしれないけれども、実際はどう判断をなさっているのか、重ねてお伺いしたい。
  296. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君)私は、国境はずっと七千キロもございまして、これは昔から、清国といった時代から、一方は王政のロシアといった時代から、紛争はいつも絶えないようでございます。いつもあるわけでございまして、私は特別に激しくなっているということは考えておりません。しかしながら、中共から見まするというと、アイ琿条約とかネルチンスク条約等によって東シベリアが割譲されたということが、根本に一つの意識の中にあるとは思っております。しかしながら、一面、ベトナム戦争等の状況を見ますというと、ソ連も中共も共に北ベトナムを相携えて支援をいたしております。そういう状況その他からかんがみまして、現に存在いたしております日本を仮想敵国としておる中ソ友好同盟条約は無視できないのではないか、こう考えておる次第でございます。
  297. 前川旦

    ○前川旦君 これは判断の問題が多分に入ると思いますが、私どもの判断と長官の判断と若干食い違いがあります。しかし、質問をはしょるとさっき約束しましたので、次に参りますが、こういう国際情勢のかなりの変化、あるいは中国の核武装、こういうものが三次防の中に二次防とどう違った形であらわれているのか、どういうふうに、国際情勢の変化ですね、二次防と三次防の間の変化が今度の三次防の中にどういう具体的な変化となってあらわれておるのか、それをお尋ねしたいと思います。
  298. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 三十二年に決定されました閣議決定の国防の基本方針にのっとって、国情、国力に応じまして自衛力の整備充実をはかる。この方針はいまもって変わらないのでございまして、この基本原則に基づいて三次防は、文章は相当長うございまするが、でき上がったものでございます。  そこで、具体的には、いつも申しておりまするが、艦船において四万八千トン、それから陸上の自衛隊におきまして八千五百人を五年以内に充実する。それから航空自衛隊におきましては、ナイキハーキュリーズを二個大隊編成し、さらに一個大隊の準備をする。その間できれば、現在ありまするアジャックスをハーキュリーズに変更いたしたい。なお、艦船のうちには、新しく涙滴型という潜水艦を考えております。しかしながら、全体の飛行機の機数等におきましては、漸次新鋭なるものに置きかえてまいりたいとは思っておりまするが、FX等も三次防の中においては近く決定しなくてはならぬと思っております、来年あたりは。   〔理事八田一朗君退席、委員長着席〕 そういたしまして、要するに航空自衛隊は二百機ばかり飛行機数は減少してまいります。それに対して、ナイキハーキュリーズが約三個大隊ふえるということで、プラスマイナスそうたんとは違わないのじゃないか、多少充実したとも言えるのじゃないかと思っております。ただ、飛行機に関する限りにおきましては、二百機減少してまいっております。それから、海上自衛隊におきましては、涙滴型潜水艦がふえる。護衛艦も約十隻ふえまするが、しかし昭和二十年ころの建造にかかるアメリカの給与いたしました護衛艦をポンコツにいたしますから、全体のトン数は変わりはございません。ただ海上自衛隊の人数が相当ふえますけれども、これは新しく護衛艦その他に相当の充員をしなければなりませんから、ふえるものと御承知を願いたいと思います。陸上自衛隊が十八万になって八千五百人ふえるのは、本年度、ヘリコプター大隊、気象隊の関係でございます。明年度以降ふえるべき七千人は、師団の編成を、七千人とあるのを八千人とするのが五個大隊、ただ目標は九千人でございまするが、なお九千人のところまでなかなかいかないわけでございまするが、それから陸上部隊といたしまして、ホークが二個大隊新しく増がございまするから、これは要するに多少の自衛力の充実整備になっておる。第二次防の末期に比べまして第三次防の末期は多少の自衛力の充実整備になっておりまするが、いわゆる漸増という線を、ゆるやかなる斜線を描いて充実いたしておるだけである、こういうふうに御承知おき願いたいと思います。
  299. 前川旦

    ○前川旦君 私がお伺いいたしましたのは、三次防のいまの内容ではなくて、それは活字になっていますからそれを読めばわかることなんで、そうじゃなくて、たとえば仮想敵ということは一切長官お使いになりませんし、仮想敵はないんだということで通していらっしゃると思いますが、これは国会用の発言であって、実際にはやはり相手を想定しての配備がされておるわけですね。私どもが常識的に聞いておりますと、だれでも知っていることなんですが、北海道には最精強の機械化師団が配置されておる、これは北方に対する備えだということであります。そのことが、最近の中ソの問題、それから米ソ間のいわゆる雪解けの問題とからんで、その配置計画が次第に西向きに変わってきているというふうなことをジャーナリズムで最近指摘をされ出してきておると思うのです。そういうふうな国際情勢の変化に従って、自衛隊の配備、配置、その辺の変化がやはり出てきているのかどうか、その点を実はポイントとしてお伺いしたいと思うのです。
  300. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 中共の核爆発の実験は六回にわたっております。第六回目は水爆であろうという推察をされております。まだ確かなところまではわかりませんが、これに対処してどうこうということはわれわれは考えていないのでございます。日米安保体制のもと自衛力の充実整備をはかる、こういうのが一貫したわが国の国防の基本方針でございまして、中共がいろいろなことをなさろうとも、われわれは核のことは考えていないわけでございます。それから、北の守り、南の守り、西の守りということをおっしゃいましたが、陸上関係の御質問だと思いますが、別段変更する所存はございません。
  301. 前川旦

    ○前川旦君 それじゃちょっとお伺いしておきます。これは長官でなくてけっこうですが、西のほうに対するいわゆるスクランブルという件数が最近ありますか、あれば教えていただきたいと思います。
  302. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 現在の航空自衛隊は、地区を北部、中部、西部というふうに分けております。その北部、中部、西部別に申し上げますと、三十九年度で北部が百六十四件、中部が五十六件、西部が八十五件、四十年度は北が百八十九件、中部が九十一件、西部が百二件でございます。四十一年度につきましては、これは四月から九月までのまとまった数字でございますが、四十一年度で申し上げますと、北が百四十八件、中部が九十五件、西部が百十三件という状況でございます。
  303. 前川旦

    ○前川旦君 従来、スクランブルと言われるものは、北方からの接近に対して飛び出すということが、新聞でも言われ、普通国民の常識になっております。私どもそういうふうに考えておったわけですけれども、西のスクランブルが非常に多いというのは、これまたいままであまり知られないことだろうと思うのですが、これはどういうことなんでしょうか。どこの、まあ国籍不明機ですからわからないかもしれませんけれども、一体どこの飛行機と接触することが多いのですか、スクランブルとして出ていって。
  304. 島田豊

    政府委員(島田豊君) まあ国籍不明機でございますので、どこの国の航空機ということは必ずしも十分わかりませんが、西日本に参ります国籍不明機というのは、九州の南部のほうから来るということは、これはもうほとんどございません。したがいまして、朝鮮海峡あるいはそれの以北と、こういうところから来る国籍不明機である、こういうふうに考えられます。
  305. 前川旦

    ○前川旦君 それじゃまあそれはいいですが、三次防、先ほど長官から伺いましたが、防衛力整備増強計画、これがいわゆる軍事計画というものではなくて、兵器、あるいは軍備、装備、この調達計画という性格であろうと思うのですね。普通、その軍事計画があって、それからそういう装備計画があるのが、これは常識だろうと思う。そういうものがなくてこの三次防の装備計画がなされておるのか、それとも、発表はされていないけれども、その三次防という装備計画の前提となる軍事計画というものが防衛庁にできているのかどうか、全然これはないのかどうか、教えていただきたいと思うのです。
  306. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 三次防を策定いたします前提といたしまして、わが国周辺諸国におきます軍備の動向、あるいは二次防の末の時点におきますところのわが自衛隊の能力、こういうものを彼此勘案いたしまして、それにわが国としての防衛構想というようなものを入れまして、先生おっしゃいますような軍事計画と申しますか、一つの見積もりをやるわけでございます。そういう見積もりの上に立ちまして具体的な防衛力の物的・人的の整備計画をつくったと、こういうような計画でございます。
  307. 前川旦

    ○前川旦君 そういう見積もりとおっしゃいましたが、それがないとおかしな話になるので、それは当然あるだろうと思うのですが、それは一体この国会で資料として発表してもらえるものなのかどうか。できればそういうものは国民の前にやはりオープンで論議をしてしかるべきものであろうと思うのですね。そういう意味で、表に出してもらえるのかどうか、その点いかがですか。
  308. 島田豊

    政府委員(島田豊君) これはわが国の自衛隊のいわゆる評価というものがこの中に入るわけでございますし、その関係書類というものはもちろん最高度の秘密書類になっておるわけでございますので、そういう評価を外部に出すということは適当でない、文書の形式からいたしましても非常に高度の秘密文書でございますので、提出は差し控えさせていただきたいというふうに考えるわけでございます。
  309. 前川旦

    ○前川旦君 それではお尋ねしておきますが、国会には出せないけれども、最高指揮官である総理大臣、これはまあ文官ですよね、まあシビルコントロールの立場からいって、そこにはやはりそういうものは出されておるというか、ちゃんと理解をするようになっておるのでしょうか。
  310. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 防衛庁長官には、概略的なことは御承知でございますが、総理大臣には、国防会議の機会等におきましていろいろな情勢についての説明はされておるわけでございます。
  311. 前川旦

    ○前川旦君 概略防衛庁長官に、それからやはり概略をまあ口頭で総理大臣に説明というふうに聞きましたが、それはやはり最高指揮官である総理大臣、防衛庁長官がそういうものをちゃんと見得る体制にないと、ほんとうのコントロールなりあるいは緊急事態の指揮はこれはできないと思うのですが、いかがですか。
  312. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 最高指揮者である総理大臣の指示を私が受けまして、私が指示してつくらしたものがいわゆる見積もり書でございます。
  313. 前川旦

    ○前川旦君 それじゃ、その内容は当然長官はたんねんに御存じだというふうに理解してよろしゅうございますね。
  314. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) なかなかむずかしいものでございまして、たんねんに存じておるというところまで参りません。
  315. 前川旦

    ○前川旦君 たとえば、その三次防は装備のみを対外的に発表し、その軍事力の軍事計画はあるのだと、こういうことでありましたが、もう一つ先ほど鬼木さんもちょっと触れられましたが、落としていけない問題いろいろあると思いますが、特にその中で、自衛隊員の処遇問題とか、基地演習場の取得問題基地の周辺対策、そういったものは一体どういうところで取り扱い、この三次防の中ではどこで具体化されているのでしょうか。三次防を見ると、装備だけが前面に出ておりますが、そのほかにも、いま鬼木さんが質問されたような処遇問題もありましょうし、それから演習場、基地という問題もいろいろありましょうし、そういう問題はどこでどういうふうにこの三次防の中では考えられているのか、お伺いしたいと思います。
  316. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 御承知のとおりに、大綱並びに主要項目の内容が国防会議で決定をせられて、同時に閣議でも決定をせられておるわけでありますが、こういう大綱なりあるいは主要項目の内容を受けまして、さらに細部的な計画につきましては現在詳細につきましての検討をいたしておる段階でございまして、ただいまおっしゃいましたようないろんな人事関係の処遇改善方策、あるいは演習場の取得、あるいは基地の整備、こういう問題もそれぞれ細部のものにつきましては現在作成いたしておるところでございます。そういう面で一応防衛庁としての計画ができますが、そういうものが実際に具体的にあらわれてまいりますのは、何と申しましても、やはり年々の予算審議の際に具体的にあらわれてくる、こういうふうになっておるわけであります。
  317. 前川旦

    ○前川旦君 私はふしぎに思いますのは、たとえばナイキハーキュリーズですか、国産化する、二個大隊ふやすとおっしゃいましたが、それを配置されるのだろうと思いますが、一体その配置する基地が一方ちゃんとできているのかというと、できてないでしょう。物はできたわ、持っていくところはないわ。かりに持っていく設置するところができたとしても、それじゃ一体それを撃って演習するのかというと、できませんね。片手落ちになりますね。結局、その兵器の生産というものだけが先行をして、それに伴う総合的なものの対策がなされていない。これはあとで私申し上げたいのですが、いわゆる三軍競争の問題も関係があるのですが、ですからその点を伺いたいので、兵器だけが先行して、その他のものが非常におくれて、総合的にできていない計画になっているのじゃないかと、こういうふうに実は思うのですが、いかがですか。
  318. 島田豊

    政府委員(島田豊君) これは、毎年度の業務計画をつくります場合に、そういう面で、装備の計画のみならず、それに伴いますところの部隊の編成、あるいはそれに必要な要員の教育訓練、あるいはそれを整備いたします場合の施設の取得というふうなものは当然相関連いたしますので、その間にギャップのないように十分詳細な計画をいたすわけでございます。そういう意味におきまして、ただ単にナイキなりホークなりの整備のみが先行しているのではないので、当然、年度内に編成されます場合には、人員の確保も必要であるし、それに対する特別の教育訓練も必要である。それを配置する施設ももちろん当然必要でございます。用地を買収するという場合におきましては、そういう計画も必要でございまして、そういうものは相互の間におきまして十分具体的にこまかく検討いたしていくつもりでございます。
  319. 前川旦

    ○前川旦君 こまかく検討いたしてまいる予定でございますという御答弁は、これはもう答弁がないのと同じことだと思いますが、省略いたします。時間があればもっと言いたいのですが。それじゃついでに、先ほど鬼木さんがちょっと御質問になりましたので、私ははしょって申し上げますが、たとえば、この自衛隊の隊員には停年制がありますね。その停年制が階級によって年齢が違うというのは、これは一体どこから割り出した数字で、どういう根拠でこういうことになっているのですか。たとえば曹、士、佐、それぞれ階級の停年制が違いますね。この法案が今度通らなかったら、それと関連があってたいへんなことになるのだということ——たいへんなことになるという大げさでしょうけれども、やめなければならぬ人が出てくるということもいろいろありますが、法案と関連がありますから、こういうふうにどうして差があるのか、どういう根拠で年齢の差がこういうふうにつけられているのか、説明していただきたいと思います。
  320. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 停年制の年齢は、御説明をしなくても御承知かと思いますが、最高は五十八で最低が四十三でございますが、それぞれ階級によって異なっておるわけでございます。どこに根拠があるかということかと存じますけれども、結局階級ごとの職務による。つまり、曹でありますと、直接士の者を引率いたしまして訓練に従事する。分隊長とかで演習場で訓練することに従事することが多い。したがって、体力を使うことがより多い。上にいけばいくほど責任は重くなりますけれども、尉官のクラスですと、中隊長とか大隊長になります。さらに、佐級になりますと、連隊長とか師団長ということになりまして、もちろん判断力等はさらに高度のものが要求されますけれども、直接の肉体的な条件というものは幾らか緩和されます。というようなことで、階級的に上になるほど幾らか年齢が高くなる、下ほど若い年齢で停年制をしいている、こういうことが根拠になっているわけでございます。
  321. 前川旦

    ○前川旦君 ただいまの説明では、階級が上になったらある程度肉体的に楽をするから、下の一番えらいところは停年は早くして、階級が上になれば少々年をとっても使えるから停年も長いのだ、こういうふうに聞きましたが、たとえばいまどうなっているのですか。曹の階級で一曹、二曹、三曹、これは全部停年が違いますか。
  322. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 一曹で五十歳でございます。二曹で四十五歳でございます。三曹で四十三歳、かようになっております。
  323. 前川旦

    ○前川旦君 一曹、二曹、三曹は、それほど仕事の内容に変化があるとは思えないのに、非常に大きな停年の差があるというのは、どういう根拠によるのか。先ほどのあなたの説明によれば、一尉、二尉、三尉ですか、これは五十歳ですか。一尉と二尉とは、これは仕事の内容が違いますね。内容が違うのに、ここは五十で切っている。一体どこに合理的な根拠があるのか、その辺もう少し説明していただかぬと、どうも理解しがたいわけです。なぜこういうふうに停年が違う、根拠があって、しかも曹でこれほど違う理由、その辺を中心にして御説明いただきたいと思います。
  324. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 先ほど申し上げましたのは、職務に伴う肉体的条件を主にして申し上げたわけでございますが、これは一般的に、そういうことがまず通則的に言えるかと思います。ただ、先ほどちょっと申し足りなかったかもしれませんけれども、上になればあとはどうでもいいという意味ではなくて、判断力のほうを重視される度合いも強くなると、こういうことをつけ加えて申し上げておきますけれども、そういう肉体的条件が共通の基盤になりますけれども、同時に一般の階級のピラミッドといいますか、階級構成に同時に基礎があるわけでございまして、御承知のように、階級制は、上がどうしても人数が少なくて、そして少しずつ多くなりまして、下の定員がずっと多くなるというふうなのが、一般公務員もそうでございますが、特に自衛隊員は階級がはっきりしておりますから、ピラミッドをつくっていかなくてはなりません。そして、それによって基本的な人事管理をやります。そして、それぞれ試験なり成績なりによって昇任をいたす。その人事管理上の必要からも、ある程度の階級によって停年をきめまして、それによって適当な人数に押えていく。上に全部の者が、たとえば一佐なら一佐、将補なら将補になるというふうな階級制では、自衛隊的な職務はなかなか維持できませんので、そういうこともあわせて、それから肉体的な条件もあわせて、こういうふうな停年制をしいている、こういうことになっているわけでございます。
  325. 前川旦

    ○前川旦君 これはあまり本質的な問題ではありませんから、あまり長く質問する気持ちはありませんが、警察はどうなんですか。警察は、私は実態を知りませんが、ずいぶん年をとった人で勤務していらっしゃる方がおりますね、停年まで。これは一体どうですか。やはり同じ階級制をきちっとやっていると思うのですが、それはどうなんですか、それと関連して。
  326. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 警察官には、自衛官のような法律上の定年制はございません。この階級では、一番下の階級で申しますと巡査、こちらでは二士あるいは一士、いわば兵隊さんでございますけれども、この職務は、おまわりさんのほうは、たとえば駐在とかいうようなことで、一人でああいうパトロールをしたり駐在の番をしたりするような職務でございまして、直接演習場を走り回ったりする職務とは若干違います。経験も要りますので、そういうふうな六十歳あるいは五十歳でもつとめられる。自衛官のほうは部隊を率いて部隊の激しい訓練に従事するということが主たる職務でございますので、警察官と停年制が違う。警察官のほうはいま申し上げましたように定年制がございませんで、実質上五十歳なり六十歳でも勤務しておると、こういうふうな違いが出てきておるわけでございます。
  327. 前川旦

    ○前川旦君 いや、もうこれでいいです。一つだけ、前々から四十三歳の停年というのはあまりかわいそうじゃないか。これは別に誤解しないでください。われわれの政治の立場を誤解しないでもらいたいのです。恩給までずいぶん長いじゃないか、ずいぶんこれは言われていることなんですが、この点はあなた方はどういうようにこれをやろうとしているのですか。今後これを固定化しようとしているのですか。もう少し特に下級下士官の待遇をよくして、恩級等のあれもひっつけるようにして、もっと前進されていくというお考えがあるのですか。これはこのまま固定化しようというお考えなんですか、どうですか。
  328. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) これは非常にむずかしい問題でございまして、いまは昔の恩給と違いまして年金制でございますので、一部国の補助もございますけれども、自分で月給から掛け金を毎月かけまして、それによってやめたあとの年金の額がきまるという仕組みになっております。ですから、年金を上げようと思えば月々の掛け金を上げなければならぬというので、待遇等の問題として非常にむずかしい問題を含んでおります。しかし、先ほど申し上げましたような理由で、四十三歳なり四十五歳の若年停年ということは、本人の一生涯の仕事から見ますと、ある面では非常に若年でやめなければいけない、次の就職を考えなければいけないということで、非常に問題をはらんでおりますけれども先ほどちょっと申し上げました人事管理のピラミッドから見まして、これを延ばしますと昇任が一ぺんに停滞するというふうな問題も同時に反面ございます。そういう両方のことを考えて、いろいろ研究しなければならない。  ちょっとついでに申し上げますと、数年前にそういうことを考えあわせまして、停年を下の者につきまして若干延ばしました。そうすると、昇任がストップしまして、内部の士気が多少沈滞したというふうな逆効果も同時に起こった経験もございます。そういうこととあわせ考えまして、またいま申し上げました掛け金をどうするかというふうなこともあわせ考えまして、慎重に検討しなければならぬと思っておりますが、同時にこれを固定しなければならぬというふうにも考えておりません。将来の検討問題だというふうに考えております。
  329. 前川旦

    ○前川旦君 この間から自民党さんのほうの委員の方からしきりに指摘されておりましたね、日本のいろいろな原料その他の海外依存度は非常に高い。特に原油——石油の問題を非常に指摘されておりましたが、これは私も質問したいのですがはしょりますけれども一つだけその点で聞いておきたいのは、たとえば日本の国内で生産できないもの、これは輸入にたよるよりしかたがありませんが、一番大事な問題で、かりに海上交通がとだえてしまったような場合でも、それは石炭や、石油や、それから生ゴムとか、ニッケルとか、ボーキサイトとか、そういうようなものがとまっても、徳川時代に戻ったと思えば生きていけますね。ところが、めしが食えなければ生きていけないから、一番大事なのは食糧の問題だと思うのです。そこで、食糧の自給体制という問題について、一体防衛庁はどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか。いま政府の農業政策というのは、一体日本の食糧をどこまで自給さすのかという基本的な計画は全然ありません。はっきり言って、そういう農業に対する基本的な計画はないですね。毎年毎年国民の食糧というものは輸入にだんだん依存してくる。昭和三十年ごろには大体その自給度がほとんど八九%か九〇%くらいですね。これは必要でないものまで押しつけられて輸入していたのがありましたから、ほとんど一〇〇%近い食糧の自給度まで上がっていたはずなんです。だんだん落ちているでしょう。そうして、農業を荒廃さして、耕作を放棄させる。たとえば麦なんかどうですか、いま裏作の三分の一しか耕作しておりません。採算がとれないからです。米作だってそうでしょう。いま国民の食糧のエネルギーで、自給度というものは、カロリーに換算して七〇%です。あと三〇%は外国に依存している。こういう食糧政策、農業政策というものを防衛庁立場から見てどう判断なさるか、どのように御意見を持っていらっしゃるか、長官からお伺いしたいと思います。
  330. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 私は、食糧の輸入は相当ございます。前川さん御承知のとおり、六百万トン以上ございまするが、米麦等はそうないわけでございまして、たしか八一%あるいは八〇%と聞いております。つまり、人間の食糧でございます。そこで、農林省あるいは倉石農林大臣等は、まあ二%上げるということを目標にやっておる。そうするというと、八三%くらいになる。こういうことで、新しき用排水、かんがい、土地改良、開拓等につきましても——一面において、工業用その他宅地用関係において農地の転換が非常に行なわれております。しかし、一面において、新しき開拓、その他用排水、かんがい等をやりまして、プラスマイナスのところは六百三、四十万ヘクタールではないか、こう考えておる次第でございまするが、一面、人口は一年に一百万人弱ばかりふえますから、これに対処するためには、やはり八二、三%の目標のもとに、米あるいは麦、日本人の主要食糧の自給度を高めていくべきである、こう考えております。ただ、有事の際の備蓄をどう考えておるかという御質問もございましたが、そのことはいまもってまだ考えていないのでございます。
  331. 前川旦

    ○前川旦君 若干数字が違いますが、一九六五年の数字で、小麦の輸入ですね、輸入依存度は七三・七%ですね。米は一四・二%です。これは食糧の自給度が非常に低いわけですね。いま言ったのは輸入依存度です。それから昔、水産物というのは日本は輸出国だったはずですね。つまりこれは漁業ですね。これ、いま輸入国になっている。たとえば昭和三十五年を一〇〇とすれば、四十年には六五五という割合で輸入がふえております、水産物の。昭和四十五年には六十五万トン輸入しているという状態ですね。農業が荒廃している。農民が食っていけなくなって、土地を放棄している。しかも、政府には、農業に対するはっきりした自給政策というか、明確な態度がない。そうして一方では、これはアメリカからの押しつけでしょうけれども、どんどん小麦にしたって四百万トンは輸入しているでしょう。そこで、その補給線を痛めつけられては困るというので防御のあれをする——何かイタチごっこみたような感じがする。非常に国防という点から考えておかしなことをやっていると思うのですが、やはり食糧の自給度を高めるということは、これは当然やらなければいけないことだと思うのですが、いまの政府のやっていることは矛盾ですね、逆を行っている。その辺、長官はいま相談なさいましたが、一体どう食糧の自給度というものをほんとうに真剣に考えてやっていくというふうなお考えであるのかどうか。たとえば、備蓄なんか考えていないとおっしゃいましたけれども、これは国を守るというのは軍隊だけで守るのではありませんよ。私どもも国を守るという考えでありますけれども、軍隊だけに依存して守るという気持ちはないのでありますけれども、そういう点は私ども真剣に考えざるを得ないわけですけれども、その点どういうふうにお考えになっているのですか。先ほどあいまいな御答弁だったと思いますが、もっと食糧の問題真剣に考えなければいけないと思いますので、もう一度その点についての長官のお考えを伺いたいと思います。
  332. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 私は、長い間地方官をしておった者でございまして、知事時代を通じ今日に至るまで、農林のことにつきましては特別の関心を持っておるつもりでございます。  そこで、土地改良をする、あるいは新しき基盤の造成をする、整備をするということにつきましては、特に農林省は力を入れておるわけでございます。一面において、つぶれ地もございまするし、また去部落、離村というような現象もございまするが、しかし農地の生産力を落とさないように、そうして維持しこれを発展するように、農林省としても、現在の倉石農林大臣でございまするが、八三%までは自給度を向上さしたい。あと一七%、総合いたしまして小麦と米は百万トンよりちょっと少ないわけでございまするが、いずれも輸入いたしております。この、輸入しているということは、ほんとうは恥ずかしいことでございまして、輸出するほうへ向けてまいりたい。北海道における農地の造成のごときは、ことにこの十五年間目ざましいものがあると私は思っております。また、あとの三つの島における新しき農地の造成ということも非常に顕著ではないか。ただし、人口は八、九十万ずつふえますから、そこで輸入食糧にあまり依存しないでやってまいりたい。私は、八三%でもほんとうはおもしろくない、やっぱり自給度を向上して九〇以上にすべきものであると思っております。しかし、自衛隊の考え、あるいは事があるときの国民の食糧ということは、まだちょっと、恥ずかしいことでございまするが、非常に前川さん御心配くだすって、私は感謝いたしておりますが、まだ政府としては考えていないのが実情でございます。
  333. 前川旦

    ○前川旦君 それでは、長官に感謝されて恥ずかしいですから、次に参りますけれども、三次防の前文には、「通常兵器による局地戦以下の侵略事態に対し、最も有効に対処しうる効率的なものを目標とする。」、こういう文章が入ったと思うのです。そこで、これもいままで言い古されたことだと思いますが、「通常兵器による」となっておりますが、この通常兵器というものの概念といいますか、それを防衛庁どういうふうにお考えになっていらっしゃいますか、通常兵器とはどういうものを言いますか。
  334. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 細部は政府委員から補足させることを前提といたしてお答え申し上げます。  通常兵器とは在来の兵器でございます。ただ、一九四五年——昭和二十年に第二次大戦が終わりましたが、その後相当の兵器が発達をいたしております。たとえばナイキとかホークとかいうものは新しき兵器でございまするが、しかし核を持たない限りにおきましてはやっぱり在来の兵器である。その後、在来型と申しましても、一九四五年でとまったわけではございませんのでございまして、通常兵器といたしましても、在来型と申せば、私のしろうと考えでございまするが、核兵器以外の兵器であって、そうしてヘーグの陸戦法規等によって禁止されていない兵器、つまりケミカルの化学兵器のことは禁止されております。細菌戦術等も禁止されております。毒ガス等も禁止されております。ダムダム弾等も禁止されております。ヘーグの陸戦法規でまだ規定していないのが核でございます。核は規定してなくても、もちろん私はヘーグの陸戦法規に触れていると思います。それ以外の兵器が通常兵器であろう、こう考えておりますが、なお正確には政府委員に補足させます。
  335. 前川旦

    ○前川旦君 私もそういうことはあまり知りませんが、いわゆるCBRということばがありますね、Cは化学戦、ガス処理剤、あるいはBは生物の、細菌あるいはリケッチャというのですか、Rは放射性物質兵器、CBRというのが近代戦の兵器の一つの典型的なものであろうと思います。そうすると、通常兵器というこの考え方の中には、いまあげたCBRといったような化学戦、生物戦、放射性物質兵器、こういったものは含まれていないというふうに理解してよろしゅうございますか。
  336. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 三次防の大綱に、「通常兵器による局地戦以下の侵略」に対処するその場合、ただいま長官から申し上げましたように、核兵器というようなものが当然これは残されております。CBRということでございますけれども、たとえば毒ガスという手段によりまして攻撃を受ける、あるいは細菌を使いましての攻撃を受ける、まあ放射能は、これは核兵器の関係でございますので別としまして、こういうものに対して、わが国がこれに対処する方策が全然考えられていないかどうか、これはやはり今後の問題といたしましていろいろそういう面での研究はいたさなければならないと思うわけでございますけれども、まだ自衛隊ではそういう問題についての本格的な研究はいたしておらないわけでございまして、そういう意味におきまして、三次防におきましては、CBR対策というものが特に考えられておらない。もちろん、放射能対策といたしまして、いろいろなまあ基礎的な研究、あるいは核防護被服を使いまして、それによって核の防護をするというふうな基礎的な教育等はやっておるわけでございますけれども、それに対する格段の対策というものもそう真剣にはまだ考えられておらない。そういう意味で、まあ主として通常兵器、ここで表現しております通常兵器による局地戦というのは、やはり核兵器を除くものが通常兵器である、こういうふうに言えるのではないかというふうに考えております。
  337. 前川旦

    ○前川旦君 あなたのいまの答弁は、初めと終わりとちょっと変わったように思いますけれどもね。初めはCBR、そういったようなものについては考えていないという返事で、最後になると、核兵器以外は、核兵器を除くほかは通常兵器だというように話が変わったように思います。あなたの答弁、もう一ぺんはっきりしてください。あなたのあげ足をとるつもりで質問しているのでないから安心して答えてください。これはどういうことになるのですか。いま長官も通常兵器の定義でおっしゃいましたが、長官がおっしゃった中には、ヘーグの条約で規定されたもの、それから核兵器と、こういうふうに言われましたけれども、あなたはまたちょっと違う。初めは核兵器、しまいは核兵器を除くもののほかは全部通常兵器だというふうに、いま最後にお答えになったけれども、最初のほうは、それを全部含めて対処していないというお答えになりましたが、どうなんですか、ほんとうのはっきりした返事はどうなんですか、もう一ぺんはっきり言ってください。
  338. 島田豊

    政府委員(島田豊君) わが国が通常兵器、長官が言われましたような核のみならず、ヘーグの条約によりまして禁止されておるような、そういうふうな兵器をこちらが使うということは毛頭考えておらないわけでございます。相手方がそういう兵器を持ってわが国に侵攻してくる、攻撃してくるというふうな場合に、私が申しましたのは、核兵器に対処する対策はわが国としては現在ないわけでございますので、これはアメリカの核抑止力というものに依存するというのが一貫した考えでございます。もし万一ヘーグ条約違反を犯しまして、毒ガスあるいは細菌というものによって攻撃を受けた場合には、それらに対してわが国が何らの防護的な研究もやっておらないということでは困るのではないか。したがって、もしそういうものが使われました場合に備えましての研究は行なわれなければならないというふうに思いますけれども、私が申し上げましたのは、現在の段階ではまだそういうCBR対策というもがの本格的には研究せられておらない、基礎的な研究は化学学校等でやっておりますが、本格的な研究はやられておらない、そういう意味で申し上げたわけであります。
  339. 前川旦

    ○前川旦君 たとえば、自衛隊じゃ化学防護操典というのがありますか。
  340. 島田豊

    政府委員(島田豊君) ございます。
  341. 前川旦

    ○前川旦君 この化学防護操典というのは、これはおそらく軍事秘密というものじゃないと思いますから、昔の歩兵操典というのはそう軍事秘密じゃなかったと思うのです。この中にやはり放射能防護の問題、ずいぶん書かれておる、こういうふうに承っておりますが、かなり現実の問題としてこの核放射能攻撃というか、それに対処する具体的な対処のしかたが、教育の内容でずいぶん、たとえばいまのような操典の中にも盛られておるというふうに私は聞いているわけなんです。あるいはまた昭和三十五年に改訂増補された新隊員教程というのがありますね。各般研究会編、これは秘密じゃないでしょう。部外秘じゃないでしょう。おそらくこれにはかなり詳しくCBR対策というものを重視されて書いてある、こういうふうに伝えられております。これはいかがなんですか。実際そういうふうになっているのですか、この内容は。
  342. 中井亮一

    政府委員(中井亮一君) ただいまのCBR対策に関係して教育の面でございますが、個々の化学剤につきましての性能であるとか、どういうふううなものであるのかというような基礎的な知識というものを教えているという程度でございます。
  343. 前川旦

    ○前川旦君 その性能に対する基礎的な知識とおっしゃいましたが、たとえば化学防護操典には放射能剤に対する防護というところで、爆発前の処置とか、爆発時の処置とか、爆発後の処置とか、こういったようなそれに対処する内容が含まれているということが、これは新聞等でも書かれておりますね。そこで、そういう私は別にあなたのあげ足をとるわけじゃないのですから、あるならあると、はっきりおっしゃっていただきたいと思う。特に通常兵器に対する、通常兵器の何というか、定義との関連がありますので、一体そういうことが書かれているのかどうか、そういう教育がなされているのかどうか、核爆発に対する対処ですね、たとえば護衛艦ですか、護衛艦は放射能のちりがきた場合には洗い流す装置がありますけれども、そういう話を聞いていますが、そういうことで実際に核爆発に備えての、核攻撃に備えての対策というものはかなりたんねんに行なわれておるのではないか、こういうふうに思うのです。  そこでもう一点、あなたはあまりそういうことはやっていませんと言いましたけれども、ほんとうのことをひとつ教えてもらいたい。聞かしてもらいたい。もしそれがいまこの場で言えないのであれば、いま言った資料として化学防護操典、それから新隊員教程、これは決して秘密じゃないと思うのです。こういうのを資料として提出してもらえるのかどうか、これをお伺いしておきます。
  344. 中井亮一

    政府委員(中井亮一君) 特別、秘密でございませんが、基礎的なそういうものを個々の隊員に教えているという程度であって、まだまだ不十分ではないかというふうに、先ほど防衛局長が御説明しましたように、本格的な研究にまではなかなかまだ至ってはいない、ただ、こういうものがこういうふうにきたときにはこういうふうな性能があるから、気をつけてこういう態度でやらなければならないというような意味において教えている、そういうことであります。
  345. 前川旦

    ○前川旦君 そうすると、いまの答弁を聞きますと、やはり核攻撃に対する対処のしかたというのは、これはやはり核攻撃というものが現実にこれはあり得るかないかは別として、いまのこの今日の戦争ですから、核の投げ合いということは全面戦争になれば当然あると思うのですね。ですから、それに対してあなた方のほうで準備しているのは、いいの悪いのというそういう判断を私はしているのではない、またいつかそういう話をすることはあると思いますが、きょうはそういうことをしませんが、そういう事実があるかどうかということだけを聞いている。あなたはいま答弁の中でやはり肯定なさいました。ただ、おそらくそれに対処するほんとうのものであるか、その辺の判断はあなたがするのではなくて、やはり国民なり国会なり政府なりが、長い目の防衛計画、あるいは外交政策等で判断してきめていくものだろうと思うのです。そこで、やはり私は、いま資料として秘密でないとおっしゃった、秘密ではないと思う。この程度のことは軍事秘密じゃないと思うから、資料として国会に出してもらえないか、このことをもう一ぺんお伺いしたいと思いますが、どうですか。
  346. 中井亮一

    政府委員(中井亮一君) よく検討を部内でもさしていただきたいと思います。
  347. 前川旦

    ○前川旦君 あなた方あまり秘密主義にして、秘密の中に閉じこもってしまうから、何となくもやもやした黒い雰囲気というものを感じるようになるのです。もっとオープンに、これは自民党の方だって賛成する方がいらっしゃると思うのです。もっとオープンに本気で日本の国防をどうするのか、国を守るのはどうすべきか、もっとオープンにすべきだと思う。そういう意味で、へっぴり腰で、あまり秘密秘密とおっかなびっくりにならないで、出すものは出して、オープンのところで議論する、こういうふうな風習を身につけてもらいたいと思います。そのためにも、この程度のものは国会に出してもらいたいと思います。あなた検討すると言われましたけれども、出してもらいたいと思います。長官いかがですか。
  348. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 私はまだその操典というものを見ておりませんから、そこで、これを見まして、そうしてヘーグの陸戦法規なんかに違反して、もし局地戦でも、つまり通常兵器と私は見ていないのです。この関係は私とちょっと違うかもしれませんが、つまり使うべからざるものですから、毒ガスとか、細菌とか、その他化学兵器とか、火炎放射器まではいいのだそうですが、それ以上のものに対する対処のしかた等を化学学校等においては研究しておるし、何か操典というのは、いま教育局長が言ったんですからあるでしょうけれども、私が見まして、指揮者として、責任者として見まして、別段秘密主義じゃございません。ただ、やっぱり自衛隊というものは一種の実力としての威力を発揮せんなりませんから、そういう意味で発表できないということもございますということを前川さんにお答えいたしておきます。
  349. 前川旦

    ○前川旦君 現実にそういったような核攻撃に対する対処、たとえば使うべきでない毒ガスなんか、いわゆるヘーグの条約で禁止されております。これは第二次大戦のときでも、どこでも使いませんでしたね。使うべきでない。こちらは使わない決心をしていたのですが、防毒面なんか配置していたのです。対処していたわけです。その対処することがいいとか悪いとかという判断をきょうしようと思っていないし、そういうことをとやかく言うほど子供っぽい議論をしたいと思わないのです、私は。ですから、そういう点はあればあるとして出してもらいたい、こういうふうに思います。  それから、これは戦略的といいますか、一体、日本に核攻撃を加えられる危険性がはたしてあるのかどうか、どういう場合に核攻撃が加えられるのか、そのような判断をやはり皆さん方検討なすっていると思うのです。どういう状態のときに核攻撃を加えられる危険性がある、こういうことをどういうふうに討議されたのか、やはり討議されていると思います。討議されていないとすれば、これはやはり国民に対して無責任だと思う。これはどう考えます。どういう場合に、どういう条件のときに日本には通常兵器によらない、それ以上の核攻撃を受ける可能性があるか、その点どういうふうに判断なすっていらっしゃいますか。
  350. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) これは増田個人としての考えになるかもしれませんが、私は日本が最小限度の自衛力しかない、そして出動部隊として働く場合には、原則として正当防衛あるいは緊急避難の範囲しか——まあその精神にのっとって武器を使用するだけでございます。こういうような国が大量の核攻撃を受けるとは私は思っておりません。それから米ソの関係において大量の核攻撃があるかどうか。これは各雑誌等に出た知識しか持っておりませんが、一応もし東西の陣営で起きても、また報復的の核の大爆撃をやって相手方をせん滅せしめるなんということを用意はしてあるようでございます。そうしてみるというと、結局これは人類が絶滅されてしまう、あるいは残った人類でも不具者のみである。不具者というのは何も手足がない者のみではない、遺伝的素質を持った者ということになると、毛沢東の、これは別に中共を仮想敵国として言うわけじゃございませんから、増田個人が言っているとおわかり願いたいと思いますが、三億人死んでも、残った三億人で理想的な共産主義国家をつくればいいといったような発言は、ちょっと精神状態がおかしくはないかということをフルシチョフが言いまして、そのときからこれは平和共存の政策をソ連はとるようになった。(「人のことじゃだめだ、自分のことを言え」と呼ぶ者あり)増田の話をだんだんお聞きください。そういうようなことから中ソの論争が起きてきたと私は思っております。でございまするから、一九七〇年代の後半に有効に水爆等を運搬し得る手段がたとえ中共において開発されましても、私は大量の核兵器を使う戦いというものは、まず広島、長崎が終わりであろう、広島、長崎をもって終わりとするというのが私の見解であります。(「時間、時間」と呼ぶ者あり)
  351. 前川旦

    ○前川旦君 時間、時間というやじが非常に強いので、時間がきたかと思いますが、少し急いではしょっていきたいと思います。  聞いておきたいことがもう一つ、二つありますから伺いますが、核攻撃というものが加えられる可能性というのはほとんどないんだ、これはもうどんな場合でも可能性というものがゼロということはあり得ないでしょうが、いまの判断ではほとんどゼロに近いというふうに私伺っております。それじゃ局地戦以下の侵略というものですね、この想定されている通常兵器による局地戦以下の侵略、これは一体どういうことを想定したものでしょうか。もちろん、こうはっきり三次防に臨んで、通常兵器による局地戦以下の侵略に対し、最も有効に対処し得る、こういうはっきりした線をお打ち出しになっておるからには、局地戦以下の侵略というものはどういうものだ、どういう危険性が現実にあり得るのだというプランというか、あるいは判断というものがなされているはずです。それがないとしたらきわめて無責任ですね。そこでどういうふうにこれは考えればいいのか、御見解を伺いたいと思います。
  352. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) いろいろな場合を考えられないわけではございませんが、侵略者というものが四つあるというようなことも前に稲葉さんに申し上げております。その侵略者が四つ仮定される、しかしながら、私どもは仮想敵国ということも言わないし、考えてもいませんし、またそういうことばを使用もいたしておりません。中ソ友好条約には日本が云々と書いてございます。日本が武力行使をした場合には双方に対する共同の敵と認める云々ということばが書いてございますが、日本は条約はおろか、われわれの計画等におきましてもそういうことは考えません。対象国ということも考えないわけでございます。先般、対象国ということばを使って一時各種の訓練等をしたことがございまするが、私が厳重に命令をいたしまして、対象国ということばを使うなということを言ったのは約二月半前でございます。自後、対象国ということばもないわけでございます。しかしながら、無防備でよろしいか。私どもは無防備でよろしいとは思っておりませんのでございまして、通常兵器による侵略というものが極東にもございますし、また中近東にもあるわけでございまして、前川さんが現に見ていらっしゃるとおりであります。で、いろいろなああいう場合には、日本の自衛隊という実力部隊がございまして、一億国民の平和を守り、生命、身体、財産、幸福を守ることが必要である。こう来た場合にはこう、ああ来た場合にはこうと言って、四十六都道府県のことの具体的な想定ということは言いかねるわけでございます。
  353. 前川旦

    ○前川旦君 地続きに国境のある国は確かに国境紛争なり、そういう一部から流れ込んでくるということがあるかと思いますが、地続きの国境というものが日本にはありませんね。そうなってくると、いわゆる局地戦以下の侵略というものを想定した場合に、これは舟艇か何かで船団組んで敵前上陸してくるということしか考えられませんね。トンネル掘ってくるわけじゃないから。それだけの船団を組む能力、それを護衛してくる能力、それからそれだけの兵員、日本を全部占領し得る兵員。たいへんな数でしょう。それだけを全部有効に日本に持ってくるだけの総合戦力を持った国がアジアにあるのかどうか。一体この点はどう考えているんですか。それがあることにならぬと、「局地戦以下の侵略事態に対し、」云々と、こう書かれているからには、それはどこにもないのだということになると、これは宙に浮いた文章になると思いますが、一体それだけの侵略能力がある——これはいろいろな意味でですね——国が一体日本の近辺にあるのかどうか、これは一体どうお考えになりますか。これは非常に概括的な素朴な質問で悪いと思うけれども、それだけにぼくは一番真理に近い質問だと思います。
  354. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 脅威があるかないかという問題につきましては、稲葉さんにこのごろお答えをいたしたとおりでございまして、私は日本周辺諸国の軍備その他の状況に照らしまして、どこの国がどう、北鮮がどう、あるいは韓国がどう、ソ連がどう、アメリカがどうということはあとで局長から申し上げまするが、脅威はあり得ると思っております。全然ないなんていうことは非常に政府として無責任な政府ではないか。やっぱり一億国民の身体、生命、財産をあずかるという責任を果たすためには、ある程度の自衛力は必要でございますし、またこれを設定し、猛訓練を施しておく必要が平素からあると、こう考えております。
  355. 前川旦

    ○前川旦君 これは局長が回答するとおっしゃいましたけれども、局長だってなかなかこれは回答できぬでしょう、具体的に。実際それだけの船団組む能力のある国がアジアのどこにあるかというと、——アメリカしかない、それはおかしいじゃないかということになりますので、これはいいです。ああいうふうにやかましく言う人がいますからしかたございません。最後に一つだけ大事なことをお伺いしておきます。  長官、この間、本会議で伊藤顕道さんの質問に答えられて、シビル・コントロールあるいはシビリアン・コントロールのことをおっしゃいましたが、ここでいう、憲法でいういわゆる文民というものの解釈はいまどういうふうになっておりますか。これは長官でなくてけっこうです。文民というものの解釈、いますぐ答えが出せますか。出せなければいいですけれども、出せますか。
  356. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 制服を着ておる人は文民とは考えていないということになっておるそうでございます。制服を脱げば、つまり退役、退団すれば文民になるわけでございます。
  357. 前川旦

    ○前川旦君 そうすると、自衛官というのはこれは文民ではないわけなんですか、これどうでしょう。
  358. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 自衛官といえば、私は制服を着ておれば文民ではない。自衛隊員というのは、防衛庁長官を除いてあとは自衛隊員ということになっております。これはシビリアンと、それから制服とがある、こう考えております。その制服は文民ではないと考えております。
  359. 前川旦

    ○前川旦君 それではもう一つ伺いますが、内局の方、皆さんいらっしゃいますがね。これは皆さんいわゆるシビリアンだろうと思うのです。前はいわゆる自衛官は内局に入れなかったと思うのですが、いまは自衛官は現職のまま内局に入ることができるようになっていますか。変わりましたか、そういうふうに。
  360. 海原治

    政府委員(海原治君) これは保安庁時代の規定におきましては、制服を着たいわゆる自衛官は課長、局長にはつけない、こういう規定がございました。したがいまして、部員、課員ということにはなるわけであります。この規定は自衛隊法の制定に際しましては削除されました。現在の自衛隊法には、防衛庁設置法にはそのような規定はございません。
  361. 前川旦

    ○前川旦君 長官は制服ということばを非常にお好きなんですが、制服さえ脱げば文民だということになるといろいろ問題があると思うのです。たとえば、理論的に言えば、きのうまでかりに自衛官であっても、きょう退職をすれば防衛庁の長官になり得るという、理論的にはそうなりますか。
  362. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 防衛庁長官というのは初めから文民です。
  363. 前川旦

    ○前川旦君 ですから、きのうまで自衛官であって制服であっても、退職すれば、そのとたんに文民になると、こう解釈してよろしいのですか。そうなると、退職をした翌日からもうこれは文民としての防衛庁長官に、これは国務大臣ですね、任命される資格があるのだというふうに法的には解釈していいのでしょうか。
  364. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 法的にはそうだと思います。
  365. 前川旦

    ○前川旦君 それではほんとうの最後です。シビリアン・コントロールというもの、これは一体本質的にどういうものか、あるいは基本的な精神というもの、あるいは本来の意味するものは一体何か。たとえばこの間、長官は国会がこれを統轄するとおっしゃいましたが、そんな国会ということばを使われたと思うのですが、そういう意味で、このシビリアン・コントロールというものはどういうものを言うのだということをごく簡単でけっこうですから、ずばりとおっしゃっていただきたいと思うのです。
  366. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) シビル・コントロールというふうに、実は伊藤顕道先生お話を直して恐縮でございましたが、政治優先というふうに考えております。文官が幕僚長の上官になるというわけではないのでございます。幕僚長以下自衛官というものは制服を着ておりますが、たとえば内局の局長、課長が幕僚長の上になるというものではございませんで、すべて防衛庁長官を通じて内局はそれぞれ所轄事項がございます。防衛局は左の事項をつかさどるとか、官房においては左の事項をつかさどるとか、その事項をつかさどるけれども、その事項を責任を持ってつかさどるのは防衛庁長官でございまして、その事項について防衛庁長官を補助する、こういうわけでございます。そこで、幕僚長を私が指揮監督をいたします。内閣総理大臣の指揮監督のもとに私が幕僚長を通じて部隊を指揮監督いたしまするが、その際には内局が私に助言をする、補助をする、こういうことでございます。そういう形がシビルのコントロールである、ただし、局長が幕僚長を指揮したり、課長が幕僚副長を指揮したりする関係はないのでございまして、一応こう上がってまいりまして、私服を——皆さまと同様の私服を着ておるこの防衛庁長官、あるいは私服を着ておる内閣総理大臣、これが部隊としては最高のところである、これがシビル・コントロールの実態だと思います。それから今度は防衛活動に入る、治安活動に入る、こういうような場合には、国会の事前の承認が防衛出動は原則でございます。すなわち、厳粛にシビルである国会議員の監督を受けておる、やむを得ない場合には事後の承認を得る、治安出動の場合には二十日以内に国会の承認を得るし、国会のない場合には来たるべき国会において承認を得る、こういうことでございまするから、シビルが監督しておるというのは、政治優先ということばに、文官優先ということばでなしにお考えを願いたいと思います。
  367. 前川旦

    ○前川旦君 形式的な単に文官優先、その下に制服がつくのだというような形式的なことを言っているわけじゃないですが、これは「国防」という雑誌に門叶宗雄さん、前に官房長をやっておるのですが、シビル・コントロールについて非常にすぐれた論文を書いていらっしゃいます。これは昭和三十四年の二月号、非常に啓蒙されるいいことを書いていらっしゃる。こういう方がいらっしゃれば、ほんとうに自衛隊はしっかりしていいなと思うのですが、この中にシビリアン・コントロール、シビル・コントロールというものの本質は、国民の意思を代表する国会、あるいはその国会に対して責任を負うところの政府の統制下にあるということ、これが本質的な問題だというふうに書いておられますが、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  368. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) そのとおりのことを私ば今国会におきまして衆議院、参議院においてはしばしば言明いたした次第でございます。
  369. 前川旦

    ○前川旦君 それでは政府国会、あるいは政治に対していわゆる自衛隊も含めて民主国家における軍隊というものは中立であるということ、これは基本的にシビリアン・コントロール、シビル・コントロールから私は出てくる結論だと思うのですね。中立である。たとえばイギリスにおいても労働党が政権をとろうと保守党がとろうと軍隊はそれに関与しない、時の合法的に成立した、合法的に国民の支持を得て成立した政府に対してその軍隊は中立である、つまり政治に中立であるということがシビリアン・コントロール、シビル・コントロールの非常に大事な側面ではないかと思いますが、日本においてもそういうふうにお考えになりますか。ちょっとつけ加えますが、この論文の中にはちゃんとそういうことを門叶さん書いていらっしゃるわけですね。いかがですか。
  370. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) そこが大切なことでございまして、合法的に成立した政府国会の指示を受ける、こういうことでございます。
  371. 前川旦

    ○前川旦君 合法的にということばにいろいろ問題があると思いますが、選挙という民主的な手段を通じて、国民の意思として、しかも法律に基づいた選挙という、いまの憲法のもとにおける法律に従っての選挙に基づいて多数をもって国民の支持を受けてできた政府、これはどこの政府であろうとも、たとえばそれがいわゆる革新政党といわれる政党であろうとも、これは軍隊——失礼しました。自衛隊は本質的に中立であるんだ、これがやはりシビリアンあるいはシビル・コントロールの本質であるのだ、民主主義国家における自衛隊のあり方というものは本質的にそうなんだというふうに理解してよろしゅうございますか。
  372. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) よく政治的に中立中立とおっしゃいますけれども、政治に優先される、政治のコントロールを受ける、こういうふうに考えるわけでございます。そこで、政治というものは、国会、行政、司法とございまするが、いずれも合法的に合憲的に存在しておるものでなければいけないと思います。そういうものから指示を受けて動くのが自衛隊の実態である。何か国家から離れた横の特別な中立なものではない。よく政治に中立中立とおっしゃいまするが、前川さんと、その点は私とは大体合意が成り立っておるように思いまするが、合法的、合憲的に成立いたしておる政府政府といえば、大きい意味でいえば、三権が一緒になったものが政府であります。小さい意味では、行政府、それから立法府、司法府それぞれの——司法府というものは自衛隊を別に統轄はしていないと思いますが、私はこれは、この点は明確にする必要があると思いますので、しばらく御猶予を願いたいと思います。
  373. 前川旦

    ○前川旦君 最後にしめくくりを申し上げます。「えらいもんだ、社会党の締めくくりなんだろうね」と呼ぶ者あり私の締めくくりでございます。  長官、私はなぜこういうことをシビル・コントロールと関連さしてくどくど言っているかというと、最近のいろいろなアンケート、あるいは自衛隊の隊員のアンケートですね、そういうのがぼつぼついろいろな雑誌などに出ておりますが、その中に、いま一つの憂うべき傾向として、こういう問題をアンケートされておる。合法的に革新政党が政権をとったときにはそれに従いますか、あるいは革命政党がその政権を合法的な手段でとったときには従いますか、こういうアンケートが出された場合に、それに従わないという、これは個人の意見で、いろいろ自由ですから、それがいい悪いは別にして、ふえているという傾向が最近のアンケートに出ているということを私は非常に憂えているわけです。そういうことがだんだんと、この武装集団というものが次第次第に大きくなって、みずからの政治的な目標、目的を持って動き出すということが、もし、そういうことが万一にでもあれば、再び、もう一ぺんわれわれは苦い経験をしなければいけないのじゃないか。そこで、シビル・コントロールというものをうんとしっかりやっておいてもらいたいということですね。そうして、やはりシビル・コントロールというものが確立されておれば、合法的な手段で、全国民的な基盤で、多数によって支持されて得た政府が、政党が合法的に、合憲的に政府をつくった場合には、これはやはりそのコントロールに従うべきだという、この基本的な考えをやはり一本通してもらいたいということを私は申し上げたいのです。その点について御見解いかがですか。これは最後の質問です。石原さん、がまんしてください、大事なことですから。
  374. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) あくまで合憲的、合法的というところに、ことに合憲的というところに力を入れておっしゃっていただきたいと思います。そういう政府ならば従うべきでしょう。
  375. 前川旦

    ○前川旦君 よく、はっきり聞こえませんでしたが、どういう意味でいまそういうふうに長官、合憲というところに力を入れて言われたのか知りませんが、日本の憲法のもとで、憲法に従ってつくられた日本の法律のもとで、しかも、暴力とか、いわゆる武力蜂起とか、そういった日本の憲法を否定するような方法によらない合法的な手段で国民の支持を得て政府をつくる、つまり政権がその場合に動きますね。かりにいまのそういう場合でも、やはりこれはそれに従っていくのだ、その新しい政府に忠実であるのだ、これがやはり私は、シビル・コントロールの基本的な問題ではないかと思うのですが、その点を私は聞きたかったのですから、その問題をずばりとひとつ長官の考えをおっしゃっていただきたいと思うのです。
  376. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) なかなかむずかしい問題で、合憲的というところに特に力を入れていただきたいというのは、あなたがちょっとおっしゃいましたけれども、革命政党云々、これが暴力革命政党ということになりますと、国民のコンセンサスが私はないと思うのです。だから、暴力があるのでして、私はマルクス主義の、お互いの講釈になると長くなりますからやめますが、とにかくそういうようなことでないということは、お互いが自由を尊ぶ民主主義の政府には従う——自由を尊ぶ民主主義の政府には従う。もう一ぺん申します。自由を尊ぶ民主主義の政府には従う、こういう意味のものが自衛隊の姿でございます。
  377. 前川旦

    ○前川旦君 それじゃ長官、時間がきたということでもうやかましゅうございますから、これでやめますが、いまの問題は非常に問題をはらんでいると思いますが、そこで別の機会をつくっていただいて、また国会の中で十分に論議をさせていただきたいと思います。そこで、たいへん圧力がかかっておりますので私の質問を終わります。     —————————————
  378. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) この際、委員異動について報告いたします。  鬼木勝利君が辞任され、その補欠として鈴木一弘君が選任されました。     —————————————
  379. 多田省吾

    ○多田省吾君 この前、日本海で日米合同演習が行なわれたわけです。で、二回にわたってソ連の駆逐艦と接触事故を起こしたわけでございますけれども、今度は米韓日の合同演習が行なわれることに聞いておりますけれども、どうでしょうか。
  380. 中井亮一

    政府委員(中井亮一君) 去る六月の下旬に出発しました遠洋航海の部隊がいまカナダにちょうど到着しております。
  381. 多田省吾

    ○多田省吾君 そうじゃない、米韓日について言っている。
  382. 中井亮一

    政府委員(中井亮一君) それはありません。
  383. 多田省吾

    ○多田省吾君 米韓日の合同演習が行なわれない理由は。
  384. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 日本と韓国とは共同防衛でも何でもございませんから、合同訓練するということは絶対にないわけでございます。
  385. 多田省吾

    ○多田省吾君 今度、きょうの新聞によりますと、「カナダのエスカイモルトを訪れている海上自衛隊練習艦隊四隻は、十九日午前九時半、(日本時間二十日午前一時半)からエスカイモルトの海上で行なわれた日米加三国の合同観艦式に参加した。海上自衛隊の護衛艦が外国との合同観艦式に参加したのは戦後初めてで、日本のほかアメリカ、カナダ合わせて二十五隻の駆逐艦を中心とした軍艦が参加した。観艦式は、カナダのジョージ・ピアクス副総督の観閲を受け、午前十一時終了した。」、このようになっております。米韓日の合同演習が行なわれない理由は、日本と韓国には条約がない、こういう防衛庁長官答弁でございます。日本とカナダは条約がないわけです。どうしてこういう観艦式に、事実であるならば、参加したとするならば、これは大きな問題だと思いますが、ほんとうですか。
  386. 中井亮一

    政府委員(中井亮一君) 先ほど言い間違えました。カナダの件でございましたならば、親善の意味をかねて遠洋航海の部隊がカナダにちょうど参っております。たいへん儀礼的な観艦式が、ちょうどカナダの建国百年祭でございまして、向こうで催されるということがございまして、招待を受けてそこへ出席をして観艦式に参加をした、こういうことでございます。
  387. 多田省吾

    ○多田省吾君 儀礼的ということを言いましたけれども、この合同観艦式に参加したのは戦後初めてですね。いままでは全然招待されていなかったのですか。
  388. 中井亮一

    政府委員(中井亮一君) 先ほども御説明しましたように、建国百年祭でございますから、初めてでございます。
  389. 多田省吾

    ○多田省吾君 カナダは初めてらしい。そのほかの国のは全然そういう招待を受けていなかったのですか。
  390. 中井亮一

    政府委員(中井亮一君) その意味がどうもよくわからないのでございますけれども、どういうことでございますか。
  391. 多田省吾

    ○多田省吾君 ですから、日米以外の合同観艦式に、とにかく日本の海上自衛隊が外国のいわゆる艦隊と一緒に行動をともにしたというのは、日米以外には今回が最初なわけです。あなたは儀礼的な意味で参加したとおっしゃる、招待をされて参加したとおっしゃる。それでは韓国とかアメリカ以外の諸国から自衛隊の練習艦隊等がこういう観艦式等に参加を招待されたことはないのかと聞いている。
  392. 中井亮一

    政府委員(中井亮一君) 前に南米のほうに遠洋航海に参りました際に、アルゼンチンで一緒に行動をしたことがございます。
  393. 多田省吾

    ○多田省吾君 それは観艦式ですか。一緒に行動したというのはどういう意味ですか。合同演習でもしたのですか。
  394. 中井亮一

    政府委員(中井亮一君) たいへん儀礼的に行動をともにしたと言うと誤解されるわけですが、一緒に並んで走ったということ。(笑声)
  395. 多田省吾

    ○多田省吾君 防衛庁長官に伺いますけれども、並んで走ったという例、あるいは合同観艦式に参加したという例、これは防衛庁長官は知っておりましてそれを許可したのですか。
  396. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 百年祭であるから何かあるかもしれないということはあらかじめ聞いておりました。そこで、国際儀礼として当然なし得ることでございますから仲間に加わった、そうして並んでお祭りみたいなことをした、こういうことでございます。
  397. 多田省吾

    ○多田省吾君 ですから、防衛庁長官はそれはあらかじめ知っていて許可をしたのか。
  398. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 向こうへ行ったときに、招待を受けたならば、してもいいぞ、というようなあらかじめの含みはしております。ただ、許可、認可といったような、そういうようなむずかしいことでなしに、お祭りでございますから、カナダへ行ってから初めて招待があったようでございます。招待があるかもしれないということは、六月二十六日に日本を立ちましたが、練習艦隊司令官は私に言っておりまして、それならば仲間に入ってお祭りを一緒にやったらよかろう、せっかくの建国百年祭のおめでたい日であるから、ということを私は申しております。
  399. 多田省吾

    ○多田省吾君 それでは、今後韓国等からそういった儀礼的な意味で参加を求められた場合、フィリピンでもいい、またオーストラリアとかニュージーランドとか、あるいはそういった国々で求められたら、そういった参加をさらに許しますか。
  400. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 紛争を起こしているような国とはなるべく遠慮したいと思いますが、この次にはヨーロッパに行くというのが練習艦隊の計画になっております。そこで、ヨーロッパ諸国等におきまして招待を受けた場合に、ノーと言う必要も私はないと思う。そんなに心を狭くする必要はないと考えておる次第でございます。
  401. 多田省吾

    ○多田省吾君 韓国から求められた場合には、韓国はいま紛争なんか起こしていないと思いますけれども、許しますか。
  402. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 韓国のことは慎重に考慮しなければならないと思っております。
  403. 多田省吾

    ○多田省吾君 カナダに許して韓国に許さないという根拠はどうですか。
  404. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 許す許さぬということじゃないので、ここへ行って招待があるかもしれぬという話があったから、私は包括的によかろうと言ったのです。そこで、韓国とカナダ——カナダのときには慎重考慮しないで、韓国の場合には慎重考慮する差異というのは、常識上やはり多少あるのじゃないかと思います。
  405. 多田省吾

    ○多田省吾君 私が常識がないのかどうかわかりませんが、それはどういう差別があるのですか、カナダと韓国。あなたはさっき、紛争を起こしている国には慎重考慮して参加しないとおっしゃっておる。カナダにそれでは許して、韓国に行った場合に、現地の状況で参加をしてもよろしいという許可は与えないとおっしゃる。その差別はどうなんですか。
  406. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 仮定のことでいろいろ聞かれても困るのですが、まだ韓国から招待があったこともございませんし、そのときには、もしあれば慎重に考慮しようと、こういうわけでございます。
  407. 多田省吾

    ○多田省吾君 それじゃ、カナダの場合に慎重考慮しないで、韓国の場合に慎重考慮するという差別はどこから出ておりますか。
  408. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 常識でございます。
  409. 多田省吾

    ○多田省吾君 聞こえません。
  410. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 常識でございます。
  411. 多田省吾

    ○多田省吾君 どういう常識ですか。その根拠をおっしゃってください。
  412. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 常識は、社会通念でございます。
  413. 多田省吾

    ○多田省吾君 それじゃ、カナダと韓国の場合はどういう差別があるかということをお尋ねしておるのです。差別の根拠をお尋ねしておるのです。
  414. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) まだそのときになってみなければわからないから、そのときには慎重に考慮しようというわけで、行くとも行かぬとも言っていないわけです、大体韓国から招待状も何も来ちゃいないのですから。
  415. 多田省吾

    ○多田省吾君 それはおかしいと思うのです。先ほど、紛争を起こしている国とは慎重にかまえるとおっしゃった。それで、韓国といまは紛争していない。そしてその次はあなたは、常識とおっしゃった。私は、そのカナダだって、参加してくれという招待は来ていなかったのでしょう。そして現地の状況を見て判断しなさいという通達をあなたは出したとおっしゃる。韓国の場合だって、いっどこでそういう姿になるかわかりません。その違いはどうなんです。
  416. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) まずまず韓国南ベトナムあたりから招待があっても、慎重にしたほうが私はいいと思います。
  417. 多田省吾

    ○多田省吾君 ですから、どういう意味ですか、それは。
  418. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) そこが多田さん、常識でございます。
  419. 多田省吾

    ○多田省吾君 ですから、少しはその韓国との間にまずい点があるとか、紛争を起こしやすいとか、カナダと違う点があるでしょう。でなかったら、同じような状況の国だったら同じような許可を与えるべきじゃないですか。
  420. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 日米合同訓練というのは、安保条約によって当然やれることでございまして、日本海でやったわけでございまするが、それでも接触事故が二度もあったわけでございます。日韓という関係は安保条約はないわけでございまして——米韓はございますけれども——でございまするから、翌々日かに米韓の間で合同訓練があったようでございまするが、こちらは直ちに大湊のほうに帰ったようなわけでございまして、でございまするから、やはり常識を働かして繊細なる配慮が必要である、こう考えております。
  421. 多田省吾

    ○多田省吾君 カナダと韓国と聞いている、違いを。韓国とカナダと。
  422. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) それだけの違いがあるでしょう。
  423. 多田省吾

    ○多田省吾君 アメリカとカナダは合同演習をやってないとは言えないのじゃないですか。アメリカと韓国だって合同演習やっていますよ。同じ状況じゃないですか。じゃ、なぜアメリカとカナダの合同観艦式には参加して、韓国の観艦式等には参加しない、そういう理由は、その根拠はどうですか。
  424. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 根拠は常識でございます。
  425. 多田省吾

    ○多田省吾君 まあ時間もありませんので、私はこういった米加合同観艦式に初めて参加した。聞くところによると、アルゼンチンとも並んで走ったということでありますけれども、アジア、太平洋条約でもできたんじゃないかと、こう一瞬思ったんですけれどもね、海上自衛隊が、自衛隊かあるいは軍隊かという激しい論争があるさなかに、こういったアメリカと日本はそれは日米安保条約がありますけれども、安保条約のない国の合同観艦式にも参加するということは私は好ましくないと思うんですよ。防衛庁長官はこれは好ましいことだと思っていらっしゃるんですか。
  426. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 私は国際儀礼上けっこうだと思っております。
  427. 多田省吾

    ○多田省吾君 それでは、今度はヨーロッパ等に行ったときはですね、ベトナム韓国と違って、当然こういった合同観艦式等には参加すると、そういう明言できますか。
  428. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) まず中近東あたりは遠慮したいと思っております。
  429. 多田省吾

    ○多田省吾君 じゃあ、どういう国と、参加するんですか。
  430. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) そのときそのときできめたいと思っております。
  431. 多田省吾

    ○多田省吾君 時間もありませんので次に移りたいと思いますが、いままでさんざん論議されましたけれども、中共の水爆実験というものは、水爆開発というものは非常に予想よりも早まっているという常識だと思います。アメリカは七年、ソ連は四年ちょっとですか、中共は二年七カ月ほどで大体水爆まで行っておるわけです。で、防衛庁長官として、マクナマラ長官等もその予想については言っておりますけれども、予想よりも早いのか、それとも予想どおりなのかお答え願いたいです。
  432. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) こまかいことは防御局長から答弁させますが、大体において予想どおりでございます。
  433. 多田省吾

    ○多田省吾君 中共の水爆等の脅威というものに対して、または今後の中距離弾道弾あるいはICBMも開発が早いんじゃないか。マクナマラ長官の予想よりも、アメリカのある安全保障調査会の信頼すべき情報によると、もう八年と言わず五年でICBMの体制を整える、あるいは今年じゅうにMRBMも開発できるだろうというようなことを言っておるわけですね。その水爆の脅威というものに対して日本はどういう防衛対策をとられようとしているのかお答え願います。
  434. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 核兵器を使って侵略者があるといたしましても、アメリカの核抑止力によりまして核兵器による侵略はないと、ないようにしておるのが日米安保体制である、こう考えておる次第でございます。
  435. 多田省吾

    ○多田省吾君 アメリカの核抑止力というものは、具体的に簡単でよろしいですから、どういうものがございますか。
  436. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) こまかいことは防衛局長からお答えさせますが、ポラリスが四十一隻、それが一メガトンずつのが十六発ある。ですから、四十一隻に十六をかければ数が出てきます。六百何発でございます。それからミニットマンあるいはタイタンというのが残っておるのかもしれませんが、そういうものがICBMですね——IRBM、MRBMのことはよくわかりませんが、これは局長から補足いたさせますが、千数百発あって、ソ連には三百発余りと、こういうように聞いております。
  437. 多田省吾

    ○多田省吾君 沖繩の核基地、いわゆるABM基地は核抑止力になり得ると考えますか。
  438. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) ある程度なり得ます。
  439. 多田省吾

    ○多田省吾君 今度マクナマラ長官が一月二十三日の議会に対する報告書でも詳しく言っておりまするけれども、まあ一九六四年公開されたかロッシュ・ミサイルを使用してモスクワ上空に対弾道弾防御組織ABMを建設しつつあるようであると、ソ連の他の地方でも別の防御組織を展開しておる云々と、こう言っておるのですね。そしてABMに対する研究というものはアメリカでも相当進んでおると思います。最近また中共の水爆に対するABMとして、ソ連がABMを展開する場合は二百億ドルから二百五十億ドルもかかるだろう。しかし、中共の水爆に対するABMというものは三十五億ドルくらいで済むだろう。もしそういう核戦争が始まった場合、アメリカが中共のICBMによって、たとえ一千万人死ぬような場合があっても、もしABMが備えてあればゼロにすることができるという見解を発表しまして、そうして相当、特に中共に対するABMを展開しようというような研究、また来年も国防白書等においては当然そういった姿になるのではないかと言われておりますけれども防衛庁長官はどう考えられますか。
  440. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 現在アメリカにおきましては、御承知のとおりに、ABMの研究開発をやっておるわけでございますけれども、まだこれを現実に展開するというところまで至っておりません。と申しますのは、やはりABMシステムを設置いたしましても、さらにそれを浸透していくための補助手段というものが一そう開発されなければ、ABMの効果というものは必ずしも十分でないということもありますし、これの開発にはたいへん巨額な金と長年月がかかるわけでございますので、アメリカにおいてもまだ踏み切っておらないような状況でございます。したがいまして、まあわが国としてもこれについて非常に関心は持っておるわけでございますけれども、まだ具体的に検討するというふうな段階には至っておらないのでございます。
  441. 多田省吾

    ○多田省吾君 防衛局長はそんなことおっしゃいますけれども、いま申しましたように、対中共のABMは三十五億ドルで済むから、さっそく展開しようじゃないか、そういう世論は相当起きております。また、フォーチューンの六月号、スタンフォード大学でも相当研究されている、また、最近では潜水艦にABMをつける、二隻の潜水艦のうち一隻にはレーダー装置、一隻にはミサイル発射装置というものをつけて、ABMを今度領海外においても展開できるということで、もしアメリカや西ドイツで希望すれば展開してもいいというような報道もなされておるわけです。で、ABMは金がかかるし、将来のことなんだというのは、これはずっと前の話であって、いまは費用対効果比についても昔の一対百から一対十、一対四、一対一まで来ているというような研究もなされている。そういう状況で、ABMはまだ遠い将来のことだ、そういう簡単な考えでよろしいのですか、どうですか。
  442. 島田豊

    政府委員(島田豊君) いろいろ私どもそういう新聞の報道等は注目をいたしておりますけれども、また現実にこれがどういうふうな計画のもとにどの程度のテンポで行なわれるかということについては、詳細は承知いたしておらないのでございます。ただ、いろいろ関心を持って勉強はいたしております。
  443. 多田省吾

    ○多田省吾君 ソ連も対中共のABMというものをつくるような雰囲気にあるといわれております。アメリカ、ソ連が対中共のABMをつくって、そのついでにそれぞれアメリカないしソ連に対抗するABMをもしつくるならば、ここで恐怖の均衡というものが全部破れてしまって、そうして核戦争の脅威というものが増大すると思う。ですから、そういったABMの研究というものが、防衛研修所からでもアメリカに行って、いろいろそういう研究を携えてきている人がいるのではないですか、どうなんですか。
  444. 島田豊

    政府委員(島田豊君) いろいろな人がアメリカにも行きますので、その間にそういう情報についていろいろ勉強してくることはあると思いますけれども、まだ、防衛庁として特にそういう目的で派遣をしている、また、それを正式に研究をするというふうな段階ではございません。
  445. 多田省吾

    ○多田省吾君 私はそういうお答えは非常に危険だと思うのです。もしABMが開発されるとすれば、近い将来そういった組織ができるとすれば、たちまち日米安保条約の、いま長官がおっしゃったような核防止力なんというものは粉砕されてしまう。  もう一つお聞きしますけれども、この前の日米の事務官会議というようなものは、東京やあるいは伊豆でやりましたけれども、そういったところで、そういった領海外における潜水艦に積んだABMのことについて話し合いは全然ありませんでしたか。
  446. 島田豊

    政府委員(島田豊君) そういう話があったということは、私、承知しておりません。
  447. 多田省吾

    ○多田省吾君 そういったABMの開発がもし進むならば、日米安保条約の核防止力というものは一時に粉砕をされてしまう、なくなってしまうと、そういう観点から、私は早い機会に、たとえば朝鮮国連軍を撤退させるとか、あるいは中共を早く国連あるいは核防条約等に参加させて、そして、中共やソ連を含めた核軍縮会議というものが早急に開かれなければならぬと、そして、国連中心の安保体制というものを早くつくっていくような世論を巻き起こさなければならないと、このように考えておるわけです。長官はどのように考えますか。
  448. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 多田さんの御意見に賛成でございます。
  449. 多田省吾

    ○多田省吾君 そうしますと、もう私が申しましたように、日米保安条約の核抑止力というものは早晩になくなるときが来るということもお認めですね、さっきそのように私言ったんですから。
  450. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) そこは認めません。
  451. 多田省吾

    ○多田省吾君 じゃあ、話が一貫しないじゃないですか。私は、そういう事態があるからこそ、日米安保条約に遠い将来まで依存せず、そして国連中心の、いわゆる四十三条による国連警察軍というようなものを世界の世論を結集して早くつくって、そして、核軍縮あるいは世界の平和をつくっていかなければならないと、そのように私は述べたわけです。それに対して防衛庁長官は賛成だとおっしゃいましたから、これは日米安保条約の核抑止力にもそう将来たよれないなと、そういう意味お答えになったのだとこちらは思ったわけなんですね。どうなんですか。
  452. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 米の核抑止力には私どもは信頼いたしているものであります。しかしながら、あなたのおっしゃったとおり、あとのほうの、つまり核拡散防止条約とかあるいは核の製造、保有、持ち込み等を有効に管理し得るような国際的機構ができまして、しかも、お互いの国へ監視に行くというような、あのワシントン条約のときのようにお互いの国へ監視に来ると、そうして軍艦を廃棄するなら廃棄すると、こういうようなところまで徹底した国際的な警察軍的な組織ができれば、私はその点は恒久平和を願う者としては賛成でございます。しかしながら、現実面といたしましては、この自衛隊は必要でございまするし、また、米国の核抑止力も必要だと思っております。私はまあしろうとでございますが、モスコーあるいはワシントンその他にABMの施設が展開されましても、絶対的に有効なものだとはまだ考えていないのであります。むしろ、ABMを有効に展開するためには国力を消耗して困るという悲鳴のことばが、モスコーのほうへマクナマラのほうから伝えられまして、それに対してまだ交渉中である、こういうふうに考えている次第でございます。理想とするところはあなたと一致していると、こういうわけでございます。
  453. 多田省吾

    ○多田省吾君 ですから、私は新しい問題を提起しましてですね、アメリカのスタンフォード大学、あるいはニューヨク・タイムズにも出ましたけれども、費用対効果比がもう一対一、攻撃用のミサイルとほとんど同じようなABMがつくれるような経済的な条件がそろいつつある。だから、そういう研究を私も申し上げまして、それからもう一つは、対中共に対するABM、三十五億ドルで済むから、それは早晩につくらなければならぬと、もうアメリカの世論が伝えている。そういう新しい条件のもとで、私はお伺いしたのです。ですから、長官のおっしゃるような、経済的に間に合わないとか、効果がないとか、そういう段階はもう過ぎているんじゃないか、かように私は申し上げた。この点はどうですか。
  454. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) よく知らないと言ったほうが適当でございます。ただ、雑誌、新聞等に出ておる状況におきましては、政府委員が答えたと思いまするが、スバルタンとかあるいはスプリントとかいうものがございますけれども、それに対して、こちらのほうからまた模擬的なものを送ってやって、攻撃せんとする側が。それであとで本物をやるというようなこともありまするが、そう幾つも幾つも来た場合に、私は全部がABMで抑止できると思っていない。でございますから、核弾頭の製造競争になっておりまして、いまのところは、アメリカがソ連の三倍ぐらいICBMを持っておる、こういう状態だと思っております。
  455. 多田省吾

    ○多田省吾君 この前、源田委員質問に答えられて、非核ミサイルに対する防御用のミサイルをつくることを考慮せずばなるまいというお答えでございましたけれども、それはどうですか。
  456. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 源田さんにお答えいたしたのは、ICBMでもって、そのBM——弾道弾が、核を含まないものも、命中度が正確になれば有効な破壊力になり得る、そういう場合には、これは相当の備えをしなくちゃならぬと思うがどうかという御質問でございました。つまり、非核のICBMができるかもしれない、そういうようなときには——そういうようなときがまだ来ているとは思いませんが、そういうようなときには、何らかの研究をしなくちゃならぬと思いますということを源田さんにお答えいたしたわけでございます。
  457. 多田省吾

    ○多田省吾君 非核ICBMでなくて、非核MRBMであっても、日本には届くわけですから、そのときもやはり考慮されますか。
  458. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 非核ICBMに対する対抗策を考慮せねばならぬときには、非核MRBMあるいはIRBMがあるとすれば、考慮しなければならぬ時期も来るのではないかと思っております。
  459. 多田省吾

    ○多田省吾君 もう中共では、ことし一ぱいに中距離弾道弾が有効に完成するだろうといわれております。じゃあ、ことしじゅうに考慮するのですか。
  460. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 私はMRBMがまだ開発されたと思っていないのです。ですから、中共の関係とか、特定の国をさしていろいろなことを考えたくないのでございまして、まだまだこのバリスティック・ミサイルの中に、核を入れない普通の弾頭が入るというようなことも、ほんとうはよく無学にして知りませんで、源田先生から教わったような次第でございますが、そういうようなときが来れば、一般的にMRBMといわず、IRBMといわず、ICBMといわず、非核弾道弾が来るならば、これに対処する道ぐらいは考えなくてはならないと思っております。
  461. 多田省吾

    ○多田省吾君 先ほどのABMの締めくくりをしたいと思ますが、相当これまで新聞にも出たわけですが、潜水艦にABMを取りつけるときが早晩に来る、一、二年に来るのではないか。タクマーというのは、集積回路が非常に発達しまして、小さくて済むようなレーダーが全部備えつけられ、そのときに日本の領海内にアメリカの潜水艦があれば、ABMを展開し得るのではないか、そういう話も実は聞いているわけですよ。それに対して、そういう核抑止力を、防衛庁長官は、向こうが言ってきた場合は求められますか。これは決して仮定の質問じゃないです。
  462. 島田豊

    政府委員(島田豊君) まだ具体的に研究する段階には至っておりません。
  463. 多田省吾

    ○多田省吾君 国連監視団というものは、いわゆる国連憲章四十三条によるものではなく、変則的な監視団であり、国連警察であると思います。朝鮮国連軍は一体国連憲章の何条でできた国連警察軍か、また、そのほかの監視団は大体どういう過程で国連においてつくられているのか、簡単でよろしいですから、お答え願いたい。
  464. 海原治

    政府委員(海原治君) この件は外務省の所管でございますが、私ども承知しておるところで申し上げますと、朝鮮に派遣されました国連軍は、これは国連憲章に基づいたものではございません。国連憲章に基づい正規の国連警察軍は派遣することができませんので、アメリカの大統領の要請にこたえまして各国が自発的に集めて兵を出した、こういうものでございます。
  465. 多田省吾

    ○多田省吾君 もし四十三条による国連警察軍のそのアジア支部みたいなものが将来日本に誘致された場合、自衛隊がもしそういったものに参加した場合は、これはわが党だけじゃなくて他の政党も言っておりますし、そういった場合にはあれでしょうね、国連警察軍から監視団として外国に行く場合は、憲法あるいは自衛隊法の制約は受けますね。
  466. 海原治

    政府委員(海原治君) この問題はきわめて高度な政治問題でございまして、私ども防衛庁としては具体的な検討はいたしておりません。
  467. 多田省吾

    ○多田省吾君 ですから、もし将来そのようなものがつくられるとするならばどうかということです。
  468. 海原治

    政府委員(海原治君) 私ども承知しておるところでは、やはり憲法上の制約があるように聞いております。
  469. 多田省吾

    ○多田省吾君 それでは、国連憲章四十三条によってつくられた国連警察軍が日本に誘致されたとしても、それが外国に出ていく場合は憲法の制約がある、そういうわけですか。
  470. 海原治

    政府委員(海原治君) その辺はきわめて微妙な法理解釈問題でございますので、私どものほうからお答えすることはちょっと遠慮さしていただきます。
  471. 多田省吾

    ○多田省吾君 どなたかお答えできませんか。——じゃ、この問題は留保しまして、ナイキ・ハキュリーズが三次防で開発されますけれども、核をつけないところのナイキ・ハーキュリーズの威力というのはどうなんですか。編隊で来た場合、編隊全部を落とせるんですか。あるいは一機しか落とせないんですか。
  472. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 被害半径五十メートルというくらいにわれわれ考えております。
  473. 多田省吾

    ○多田省吾君 ですから、編隊全部を落とせるか、あるいは一機しか落とせないか、具体的に御説明願いたい。
  474. 島田豊

    政府委員(島田豊君) これは編隊の組みぐあいでございます。非常に密集してまいりました場合には、編隊にも被害を与えることができると思います。
  475. 多田省吾

    ○多田省吾君 それは何メートル以内というのは研究していますか、何メートルぐらいの編隊できたら落とせるか。
  476. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 被害半径と申しますか、要するに、加害半径と申しますか、それが五十メートルでございます。したがいまして、その辺からおのずから判断できる、こういうふうに考えております。
  477. 多田省吾

    ○多田省吾君 国防の基本方針には「自衛のため必要な限度において、効率的な防衛力」ということをうたっております。また、今度の三次防では「わが国が整備すべき防衛力は、通常兵器による局地戦以下の侵略事態に対し、最も有効に対応しうる効率的なものを目標とする。」とあります。その国防の基本方針に言われている「防衛力」と、それから三次防で言われている「防衛力」とは一体どっちが大きいんですか。
  478. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 三次防は、一次防、二次防に続きまして防衛力を整備していこうという段階でございます。もちろん、今後これがさらに引き続き四次防、五次防というふうなことになるのかどうか、これはまあこれからの検討問題でございますが、とにかく一つの目標を掲げまして、それもやはりわが国がみずから有効な防衛力を持ちたいということでございまして、三次防は二次防に引き続く一つの五カ年の段階であるというふうに考えておるわけでございます。
  479. 多田省吾

    ○多田省吾君 前に海原官房長がたしか防衛局長時代に、必要最小限で効率的な防衛力の限界ですか、について、たとえば陸軍は二十三万とか、海軍は二十五万トンぐらいじゃないかとか、そういうことを示されたことがあると記憶しておりますが、いかがでしょう。
  480. 海原治

    政府委員(海原治君) お話しの点は、予算委員会の際に、どの程度のものを一応限界と考えるかという羽生委員の御質問お答えしまして、いろいろの案がございまして、一案としてそういうものがございますということを申し上げました一つの案でございます。
  481. 多田省吾

    ○多田省吾君 その案をもう一ぺんおっしゃってください。
  482. 海原治

    政府委員(海原治君) その当時申し上げました案としましては、一つの案としまして、陸が十八個師団、二十六万程度、海が二十二万トン、飛行機が三百五十機程度、空が航空機四十隊、SM——地対空のミサイルでございますが、二十五基程度、この程度のものが一応必要ではないかという一つの研究があるということを御紹介したわけでございます。これは決して防衛庁のまとまった案ではないということでございます。
  483. 多田省吾

    ○多田省吾君 前の防衛局長が羽生委員質問に答えられて予算委員会で述べられておりますけれども、現在の防衛局長はその限界はどのようにお考えですか。
  484. 島田豊

    政府委員(島田豊君) これは一応部内におきまして、まあ、所要防衛力と申しますか、そういうものを研究した一つの試案はございます。それは、現在の三次防の目標といたしております防衛力よりも、まあ、かなり高いものでございますが、少なくとも、先般申し上げましたように、私は陸上自衛隊の人員につきましては、今後そうこれを大きく増強する必要はない。むしろ、やはり装備の更新、近代化というほうが適当ではなかろうかというふうに考えております。  艦艇につきましては、やはり現在の十四万程度の目標ではまだ不足をするので、これにつきましてはさらに整備をしていく必要があるというふうに考えておるわけでございます。  航空機につきましては、むしろやはり質の向上ということが必要ではないかというふうに考えております。
  485. 多田省吾

    ○多田省吾君 そうすると、まあいまの三次防の目標よりもその限界はずいぶん高いとおっしゃいますけれども、四次防、五次防でそういった限界まで伸ばしていかれるというお考えなんですね。
  486. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 四次防、五次防につきましてまだ検討の段階ではございませんけれども、まあ、現在の漸増の防衛力というものを大きく曲げることなしにいきました場合に、たとえば艦艇につきましては、やはり三次防では十分ではない。それ以後、まあ五年なり十年というものが必要ではないかというふうに、まあそういう面だけにつきまして私ども考えておる次第でございます。
  487. 多田省吾

    ○多田省吾君 海原官房長は、まあ防衛局長時代にそのようにお答えになったんですから、ひとついまその大体の考えておられる陸海空について、あるいはナイキ等についておっしゃっていただけませんか。
  488. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 部内におきますところの一つのまあ試算と申しますか、研究はございますが、ここで、そういう数字につきまして具体的に申し上げることはあまり適当でないというふうに考えております。
  489. 多田省吾

    ○多田省吾君 まあ、あまり苦しめてはいけませんので控えますけれども、一点思いますのに、国防会議というものがこの十一年間に十五回しか開かれていないということを聞いておりますけれども、どうでしょう。
  490. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 多田さん御指摘の、議案決定をいたして答申をする、そういうようなものは十五回でございます。しかしながら、国防会議の議員懇談会というようなものをしょっちゅう開いておりますから、四十三回開いております。
  491. 多田省吾

    ○多田省吾君 最終決定は国防会議であると思いますので伺いますけれども、そういった国防会議が非常に熱心じゃないということはたびたびいわれる。ただいま、日本の安全保障にとって非常に重大だと思われるような、一九六五年のアメリカ空軍の北ベトナム爆撃、あるいは今回の核拡散防止条約、こういった問題については全然国防会議が開かれていない。それに反して、F104の選定問題とか、F401Jの継続生産問題とか、そういった問題ではたびたび開かれている。それは非常におかしいと思うのです。国防会議というものがほんとうに、国防会議幹事会が「国防の基本構想」で述べているのは、国防というのは国の安全を保障することであって、単なる軍事的防衛に限定されないということもありますし、国防会議というものはもっと熱心に行なわれるべきではないか。そして国防会議の三次防の決定を見ましても、海幕あるいは空幕、陸幕で持ち寄ったものを国防会議において真剣に検討されないで、むしろシビル・コントロールというものが大蔵省当局によってなされているんじゃないか。大蔵省から派遣されて国防会議に参加している方々がチェックしているんじゃないか。実際に総理大臣とか防衛庁長官とか、そういった方々は、全然熱心に三次防あるいは重要な問題について国防会議で検討されていないと、そういう不満が強いわけですね。これじゃ防衛庁長官、国防に熱心だとは言えないんじゃないですか。どうですか。
  492. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 国防会議というものはしばしばやるほうがよろしいという御意見には賛成でございます。そういたしまして、いま回数は四十三回ということを申し上げましたが、これは延べでそうなるわけです。それから、これは十一カ年間のことでございまするが、また、次官等をもって構成しておりまする幹事会がございます。この幹事会はほとんど無数と言ってもよろしいくらいに、関係部局長の間の打ち合わせはいたしておるわけでございます。でございますから、大蔵省レベルでものがすべて運んでしまうということはないわけでございます。
  493. 多田省吾

    ○多田省吾君 ですから、国防会議幹事会とか国防会議議員懇談会というのは、十一年間に四十三回とか五十回とか、それでも一年にせいぜい三回とか四回ぐらいでございます。一番重要な国防会議が一年に一・三六回ですか、そういう状況でしょう。そうすると、国防会議というのは、いまいわれているのは、総理大臣や防衛庁長官や各大臣がいわゆるめくら判を押す会議じゃないか、このようにもいわれているわけですね。この状態をどうごらんになりますか。
  494. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 答申案を決定するときの国防会議は十五回でございます。けれども、その前に議員懇談会というものを四十三回も開いております。それから、形だけの国防会議ではございませんで、国防会議議員、それから通常参加する科学技術庁長官とか、あるいは通産大臣等とはしばしば閣議等においても話をいたしております。
  495. 多田省吾

    ○多田省吾君 角度を変えまして、安保条約における在日米軍基地というものがいまかなりまだあるわけです。まだ三万四千ほど駐留しているというわけでございますが、将来ベトナム戦争、あるいは今後第二の朝鮮戦争もあり得るんじゃないかということもいわれております。そういった事態において、そういうF105とかファントムなんかも、アメリカのいわゆる在日米軍基地にはあるわけでしょう。そういった段階において、戦争に日本が巻き込まれるおそれがあるということは、当然これは考えなくちゃいかぬことだと思うんですよ。前の椎名外務大臣だって、結局はベトナム戦争に対して日本は中立ではあり得ないということを言っているわけですね。私は在日米軍基地というものは、段階的に撤廃していくべきである、このように考えますけれども、どうでしょうか。
  496. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 多田さんをもって代表される公明党の方々が、日米安保条約の段階的解消ということをおっしゃっているのは、すなわち、現在の段階は肯定されるわけでございまして、その点につきましては、私は同感の意を表するものでございます。ただしかしながら、日米安保条約は紛争を日本に及ぼすものではない、各種の極東における紛争を日本に現実的に及ぼすものではないということをこの際国民の前に明瞭にいたしておきます。
  497. 多田省吾

    ○多田省吾君 時間もありませんので、こまかい問題でありますけれども、一、二お伺いします。  船団護衛の問題でございますけれども、原子力潜水艦等の攻撃も当然予想されるわけでありますけれども、その訓練はやっているんですか。
  498. 中井亮一

    政府委員(中井亮一君) 船団護衛の訓練はやっております。
  499. 多田省吾

    ○多田省吾君 原子力潜水艦による攻撃に対処する船団護衛の訓練はやっておられますか。
  500. 中井亮一

    政府委員(中井亮一君) ただいまのところ、その船団護衛の訓練はやっておりません。
  501. 多田省吾

    ○多田省吾君 当然その攻撃も予想されまけすれども、どういうわけでやらないんです。それでは役に立たないじゃないですか。
  502. 中井亮一

    政府委員(中井亮一君) いずれ練度の向上をはかりながら、そういう訓練ができる時期が来ればできるかもしれませんけれども、当面は米軍に日米安全保障条約によってお願いすることになる、こう思います。
  503. 多田省吾

    ○多田省吾君 それでは、もう日本の領海内等においても、原子力潜水艦等の攻撃に対しては日本の海上自衛隊はお手あげであって、全部米軍にまかせると、こういうわけでございますか。
  504. 中井亮一

    政府委員(中井亮一君) 原子力潜水艦が水中の速力の速いことは御承知のとおりでございますが、それに対して自衛艦等のソーナー等の性能の関係もあるのでございます。
  505. 多田省吾

    ○多田省吾君 それでは空軍のことを聞きますけれども、結局、大体、来襲した敵機を、いまの三次防が完成すれば、まあ三割程度撃ち落とせば防衛の目的は達せられるというようなことを言われておりますけれども、大体いまの三次防の達成のときの空からの攻撃に対する自衛力はどのくらいなんですか。
  506. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 過去の経験——第二次大戦におきます経験からしますれば、三〇%というのが一つの目標と考えられるわけでございますが、わが自衛隊はまだそこまで十分の能力を持っている段階ではございません。
  507. 多田省吾

    ○多田省吾君 私は、こういったように、三次防においてほんとうに日本の防衛を真剣に考えてなされた成案かどうか、それとも先ほど申しましたように、陸海空から出された予算原案を大蔵省がチェックして、プラス、マイナス、すなわち足して二で割るような方式でつくられたものか、非常に疑惑を感ずるわけですね。そうして先ほども、直接間接の侵略に対処する陸上自衛隊のほうの可能性があるのか、侵略の可能性があるのかどうかに対しても明確な答えがない。空からの攻撃また海からの攻撃に対しても絶対守り得る自信はない。また核に対する攻撃は全然考えていない、こういった姿ではほんとうに三次防というものが日本の防衛を真剣に考えているのかどうかはなはだ疑わしいと言わざるを得ないと思うのです。先ほど防衛局長が、ほんとうに最小限度効率的な防衛力というものはいまの三次防よりも実はもっと高いのだ、三次防ではこれではどうもというようなお答えもしておりますし、非常に現実にそぐわないのじゃないか、こう思うわけです。  それは一応お答えは要らないとして、もう一つだけ。結局、自衛隊の応募に関しては非常に全国からさまざまの強制応募であるとか、そういった非難がなされているわけです。一々あげてもよろしいわけです。時間がありませんから避けますけれども……。それから予備自衛官にしましても、自衛隊員にしましても、いわゆる逃亡した場合の罰則とか、予備自衛官でも招集に応じない場合には何年以下の禁錮とか、そういう罰則もかなりあるわけですね。そういったものをきちんと伝えた上で募集しているのかどうか。これも非常に疑わしい。ただもうかり集めじゃないかというような危惧も覚えるわけですね。そういった方々を集めてほんとうに日本の防衛がなし得るのかどうか。日本の防衛なんというものは自衛隊だけがやるのじゃない。そういう点についてお答え願います。
  508. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 募集の状況は、先ほども申し上げましたように、一時悪かったものが最近はだいぶ好転いたしておりますので、質のほうもだんだんよくなってまいっております。入りました隊員は、教育部隊あるいはそれぞれのいろんな部隊に入れまして、精神教育その他各種の訓練をやっておりますので、自衛隊の任務に十分たえ得るというふうにわれわれは考えております。
  509. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 内容が少し変わっていますけれども、衆議院で昭和三十九年から四十年までの会計検査院から出されている決算報告書に対してのいわゆる防衛庁関係の未確認額表というのがあるわけです。それについての質問をしたいんですが、非常に、私が見たところでは精算書のついていないものが昭和三十四年に十七件の四億、三十五年に百九十八件の十九億、あるいは三十六年には十六億、三十七年度で六億というように膨大な額にのぼっている。それだけじゃなくて、物品未納入というのがある。三十五年から引き続いて物品の未納入があるし、精算手続中というのも、三十四年からクレームの未解決というのもある。総合計の金額で言うと、三十七年から三十八年までで百二十四件の九百二十五億円というものが未済になっている。未解決になっている。こういう問題について、いろいろ答弁では、なかなか、いま精算中でございますとか、そういうことをいろいろ言っておられるわけですけれども、八年間も、あるいはことしは昭和四十二年、——八年も、七年も、六年もというふうに、長い間、精算書がついていない。あるいは、そのために払っていないのかどうかわかりませんけれども、一切がっさいのけりがついていない。こういう古い年度のけりがついていないということは、これは一体どういうことなんですか。
  510. 大村筆雄

    政府委員(大村筆雄君) 昭和四十年度の会計検査院の検査報告の末尾に、ただいま御質問の未確認額表というのがございます。これの意味でございますが、四十年度、各省の検査をいたしました際に、すべて精算が完了いたしましたものについては、検査院は検査確認完了をいたしたわけでございますが、精算の完了の終わっていないものにつきましては、これこれは精算が終わっていないので検査は完了確認をしていない、後日に譲る、それだけがこれだけありますよというのが未確認事項の検査院の報告でございます。  で、私どもの未確認事項の関係で、精算未了のものが相当あることは事実でございます。この中で、本来、制度的にそういうものが、特に防衛庁関係で多いものが相当あるわけでございます。と申しますのは、国庫債務負担行為あるいは継続費、納入時期で長いもので五年かかるものもございます。そういうものは、契約の際に前払い金があります。五年先になりませんと物が入りませんから、精算ができませんから、そういうものにつきましては、四年あるいは五年、未確認ものが出てくる。これは制度的に当然あり得ることでございます。これは契約で三年納入、四年納入、五年納入があって、契約の終わったときに精算をいたしますから、当然、未確認はそのときになくなります。  もう一つ、未確認事項ができます一つの大きな原因は、特に私どもはアメリカから、米軍から有償援助というものを買いつけております。これは同じように契約をいたしまして、物が入るまでに相当長時間要するものがあるわけでございますが、相手の米国自身、本来の自分の米軍に対しての物資の供給のほかに、世界各国を相手に相当膨大なる調達補給をやっております。こういう関係で、物自身は納入になりましても、その後の精算関係がなかなか思うようにはかどらないという関係が相当ございます。そういう関係で物が入っておりますが、精算書が未着とか、あるいは精算手続中、そういう関係でまだ精算が未了ということで、検査院の検査がまだ確認が終わっていない。そういう点で、古いもので三十四年度のものがまだ残っているという状況でございまして、その点につきましては、極力、精算を促進して精算を早く完了するように、これはここ数年努力してまいりまして、相当、減らしてまいっておりまするが、精算をきちんとやろうといたしますと、なかなか終わりませんで、残っておるものがまだ古いもので、三、三年のものがある、そういう状況でございます。
  511. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 前回の衆議院での答弁を見ると、調達実施本部から担当職員を毎年一回アメリカにやって、数十億円決済している。これは毎年一回というのじゃなく、これは常駐してもいいから、何とか片づけなければしようがないのじゃないですか。その点どうなんですか。
  512. 大村筆雄

    政府委員(大村筆雄君) 常駐職員といたしまして、空軍関係、海軍関係それぞれ一名派遣しておりますが、なおかつ、それで思うようにまいりませんものですから、年一回、調達実施本部から職員をそのためにわざわざ派遣いたしまして、特にその期間、集中的に精算を完了させるように努力いたしておる次第でございます。
  513. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これは、アメリカに対して前払い金を払っているものもあると思うのです。前払い金というものは、何%くらい払っていますか。
  514. 國井眞

    政府委員(國井眞君) ただいまの御質問は、代金のうちでどの程度までの前払い金を払っているかという御質問だと思いますが、ものによって違いまして、最高は十割まで払うものがあるわけでございます。
  515. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 十割まで払って未納だというようなものがありますか。未納な品物がだいぶありますけれども、部品未納入については、これは何%くらい払うわけですか。この中に十割の部分も含まれていますか。
  516. 國井眞

    政府委員(國井眞君) その点、ただいま資料を取り寄せて申し上げたいと思います。
  517. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これは、会計検査院から指摘をされた事項です。当然国会審議には出てくる問題でしょう。そうすれば、いま資料が手元にないといっては話にならない。資料が来てから、いまの問題、答えてください。  それから、部品未納入のものが三十五年度からだいぶあるわけですけれども、その納入の可能性というものはあるのですか。三十五年に三件、航空機部品で四十三万三千円、三十六年で十二件、弾薬と航空機部品で四億円というような未納があるのですけれども、これは納入の可能性があるわけですか。
  518. 國井眞

    政府委員(國井眞君) ただいまお話しの、たとえば三十五年の四十三万三千円の分でございますが、これは購入いたしますときに一つのロットと申しますか、まとめた数で注文をするわけでございます。したがって、その中の一部が入らなくても、未納入という形で片がつかない金額に算入をされるわけでございまして、たとえば三十六年の例をとりますと、残っておりますのは四億ほどでございますが、実際に払っておらないものの金額は二千五百万という数量でございます。そこで、ただいまお話しの、残っておりますものについて、現在在米の長期出張中の者を督励をいたしまして、納入をする出荷手配の強化をやっておるわけでございます。大体、ものによって在庫のないものもございますが、督励すれば、ものによって出荷できるものも相当あるというふうに考えておるわけでございます。
  519. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 この報告の中によると、未納入のものに、部品の関係が、いま申し上げたように、だいぶ多いわけですが、こういう部品の未着ということになれば、現在ある兵器の運用というものに支障を来たすということにならないのですか。
  520. 國井眞

    政府委員(國井眞君) 確かに、予定したものが予定時期に予定数量入らないということになりますと、これは何らかの形で支障が出ると考えられるわけでございますが、実は部品等につきましては、たとえば航空機の部品というようなものは、ものによって違いますが、大体補用部品の所有数量というものは、一年三カ月前後、これは従来の経験その他から持っておるのが普通でございます。したがって、右から左、買ったものをすぐ使うというようなものではございませんので、その間のやりくりと申しますか、そういう形をできるだけつけまして運用をしておるわけでございます。
  521. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 ものによっては昭和三十五年あたりの物品未納入、三十六年の未納入ということになれば、四十二年すでに六年もたっているわけですが、六年から七年あるいは八年、そうなってまいりますと、品物によっては時代おくれになって使えないものも出てくるでしょう。一部の部品は使えるけれども、他の部品が来ないので、ロットとしては使えないということになると、実際には役に立たないものが出てむだづかいということになるんじゃないでしょうか、どうでしょうか。
  522. 國井眞

    政府委員(國井眞君) ただいまのお話で、非常に古いものでもう入る見込みがないもの、あるいは物として適切でないというようなものが出てまいりますれば、それはもう打ち切りの措置をするというように私ども考えております。
  523. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 いまの打ち切りの措置をするというのはわかります。打ち切りの措置をするとして、前払いのほうはどうなっているのですか。これは払い過ぎている場合は精算してもらうのですか、逆に。
  524. 國井眞

    政府委員(國井眞君) もちろん精算をするわけでございます。
  525. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 現在の物品未納入、これは三十八年まで見ると、先ほどの御答弁では、三年から四年かかるという話だった。三十八年といえばすでに四年もたっている。その品物は八億以上の物品未納入ということになっている。そうすると、これは相当に差しつかえが起きているだろうと見るのですけれども、この物品の未納入のものについて今後どういうように、もっとすみやかにすべきだと思うのです。四十年度からの物品未納入があるというならわかりますけれども、三十八年度、三十六年度の未納入があるというのはどう考えてもおかしい。
  526. 大村筆雄

    政府委員(大村筆雄君) お答え申し上げます。私、先ほど御説明申し上げましたように、本来制度的に、私ども契約いたしまして物が入りますまでに、国庫債務負担行為ですと長いもので五年でございます。継続費でいま五年まで取れますけれども、私どもの継続費で運用しておりますのは、長いもので四年でございます。それで、検査院が検査しておりますのは、四十年度の検査報告でございますので、四十年度の時点での報告でございます。したがいまして、四十年度でございますから、四年契約でございますと、制度的に三十七年契約したものでも当然未確認ということで出ておるわけでございますので、三十七年、三十八年のものにつきましては、そういうものが大部分ある。それが本来未確認として出てくるものが大部分あるものだというふうに御理解いただきたいと思います。
  527. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 それは四十年の報告ですから、そうでしょう。しかし、四十年度の時点でそうであったということは、四十二年の時点でいけば三十六年のものがあるかもしれないが、三十四年のものは、現在ありませんか。未確認のものは、現在ではどうですか。現時点に立って言ってください。
  528. 國井眞

    政府委員(國井眞君) これは先ほど御説明いたしましたように、毎年調達実施本部から担当課長が大体出ておりまして、それが逐次整理をできるだけやってくるわけでありますが、その結果は実はまだ見ておりませんが、相当整理が出てくるというふうに考えております。
  529. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 相当整理がついているというようないいかげんなことでなくて、いまの時点で、あるいはそれでわからなければ、四十一年の年度末の時点で三十四年の分が残っているのかと聞いている。まだ未確認中のもの、精算書未着のもの、精算手続中のもの。
  530. 國井眞

    政府委員(國井眞君) これは四十一年十二月五日の会計検査のときのものでございますが、部品未納入、これはないわけでありますが、精算書未着のものが四億ほどございます。同じく精算手続中のものが二千二百万。したがって、これにつきましていまきょう現在でどうかということは手元に資料がございませんが、大体整理を進めているというふうに考えているのであります。
  531. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 そういうことを絶えず正確につかんでおかなければいけない。答弁では、四十年度のときの会計検査院の報告なんだから、すでに終わっているようなことを言いながら、いま聞くと、そうでないようなことを言ってみたり、どっちがほんとうなんですか。部品未納入は現在では何年度まで残っているのですか、現在の時点では、明らかにしてください。
  532. 國井眞

    政府委員(國井眞君) 三十五年の分は打ち切りまして、これはないはずでございます。したがって、三十六年度以降が未納入で残っております。
  533. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 そうすると、先ほど答弁の、四、五年はかかると言ったのと食い違ってくるのです。三十六年のは現在未納入です。もう六年たっているのです。一〇〇%前払いのものだってあるのです、この中に。それは国民の税金を一〇〇%前払いをしておきながら、こういう膨大な金額が残っているということは、たいへんな問題ですよ、これは。その理由もちゃんとわかっているのでしょう。その理由を明らかにしてもらうということと、一体どういうふうにこれから片づけていくのか、未納入の物品一つ一つについて説明してください。
  534. 國井眞

    政府委員(國井眞君) 未納入のこまかい品目につきましては、別途資料を取りそろえまして後刻提出をいたしたいと思います。
  535. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 その理由です。どうして来ないのか、その理由を入れてほしいのです。それはわかるでしょう。それはいま答えられないですか。
  536. 國井眞

    政府委員(國井眞君) それぞれのものによって理由が違うわけでございますので、あわせてその理由をその際付記したいと、かように考えております。
  537. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これはいまの答弁で、ちゃんとした資料をもって出したいということでありますから、委員長のほうからちゃんとはかってほしいのです。
  538. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) よろしいですね。
  539. 國井眞

    政府委員(國井眞君) できるだけ理由等を詰めまして、資料等を提出いたしたいと、かように考えております。
  540. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 それでこの問題については終わっておきたいと思うのですけれども、長官にここでお伺いしたいと思うのですが、こういうような、ものによっては一〇〇%前払いというものがなされておる。そうなりますと、先ほど申し上げたように、国民の税金を前払いしていって、その品物が現在時点でも三十六年でも物品すら未納入のものがある。精算書未着のものもあればクレームのついているものもある。こうなれば、これは長官の責任は非常に重いと思うのです。その点で国民の税金であることを私は忘れてはいけないと思う。長官として、前にも極力これを解決するという答弁がなされていますけれども、一体どういうふうに具体的におやりになるのか、そのことを責任ある答弁をお願いしたい。
  541. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) この前に決算委員会におきまして、会計検査院の御指摘の点につきましてはすみやかに善処いたしますと、こういうことを回答したことは、鈴木さんの御指摘のとおりでございます。そこで経理局長、装備局長その他を督励いたしております。いま両局長のお答え申し上げました線で三十四年、三十五年だけは一応解決がついたことは鈴木さんお認めのとおりでございます。問題は三十六年からでございまして、なかなか向こうのFMSという機構は、世界各国に政府が武器を売っているのだそうでございまして、向こう自身も何かわからなくなってしまっているように、悪意ではないのでございますよ、善意ではございますが、わけがわからなくなっちゃって、こちらから毎年数字を詰めに参りますけれども、一千万やそこらは……、困っちまっているということを当時も聞いたわけでございます。しかし、毎年一回行くところを二回行くというふうにいたしまして、たとえ有償援助で安くアメリカが武器を売ったにしても、税金であることは御指摘のとおりでございまするから、会計検査院の御指摘を受けないように迅速正確に、しかも過年度払いでございまするから、過年度のものは早く解決してまいりたい。ただ、しかしながら、国債あるいは継続費、四年にわたり五年にわたる、そういう関係がございまするから、昭和四十二年度から見まして少し前にわたることもあり得るということは御了察を願いたいと思います。しかし、向こうへ行って督促して、ことに物を渡して受け取りをなかなかよこさぬというのが実際あるらしいのです。ちょっとルーズにできている線があるらしいのです、正直申しまして。向こう側です。そういうルーズの線はまずいと、物を渡したならば、お金を取ったときにはすぐ受け取りよこせということをどんどん言えということを私は自分の部局長等にも申しつけておるところでございます。これからは、御指摘の点はごもっともでございまするから、しっかりと、会計検査院にしかられないように、また皆さまからしかられないように、善処をいたしてまいる、まじめにいたしてまいるつもりでございます。
  542. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 もう一つこの問題で伺っておきたいんですけれども、物品未納入の件で三十五年まではいま片づいたということですね。三十六年あたり弾薬が残っているんです。弾薬あたりは、注文の契約をいたしましてから、それを製造してつくるまでに、特別な弾薬でも頼まない限りは、そんなにおくれるわけはないだろうと私は思うんですね。その点はどうなんですか。これは非常に奇妙なことなんで、伺っておきたい。
  543. 國井眞

    政府委員(國井眞君) ただいまお話のありました三十六年の弾薬は、対空弾でございまして、特別のものでございます。
  544. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 対空弾だからといったって、そんなに特別なものではないでしょう。そのために何ロットも組み合わせなければならぬものだとか、そういうものではないわけでしょう。
  545. 國井眞

    政府委員(國井眞君) あるいはその他の事情等もからんでおるかもしれませんが、いま御説明しましたように、この対空弾は特殊のものであるということが主たる理由である、こういうふうに考えております。
  546. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 次の問題に移りたいのですが、栃木県の雀宮、あそこに陸曹の宿舎ができたと思うんですが、何戸新しくできましたかわかりますか。
  547. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 雀宮の部隊の宿舎は、昨年九月現在で五十五戸という数字の資料がございますが、それ以後の新しい資料をただいまちょっと手元に持っておりませんので、昨年九月現在では五十五戸でございます。
  548. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 昨年九月の五十五戸の件ですが、入居基準はどうなっていますか。どういう者を入れるためにつくった宿舎でございますか、住宅ですか。
  549. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 部隊用の幹部及び曹の宿舎でございますが、その内訳——幹部に何戸、曹に何戸、そういった内訳は、ただいま資料を持ち合わせておりませんので、資料の提出させていただきたいと思います。
  550. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 資料は出していただきたいと思いますが、ここは陸曹の宿舎としてつくった新しいところに、陸曹を入れないで、曹を入れないで、幹部を入れている。幹部の入っていたところに——当然入らなければならない曹を、そっちの古い家に入れた。そういうことは防衛庁御存じですか、本庁のほうでは。
  551. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) ただいまのようなお話は、私直接耳にいたしておりません。調査いたしたいと思います。
  552. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 昨年の九月にできた宿舎ですよ。いまどきになってまだ聞いてないというのおかしいし、実際できてどういうふうに利用されているかどうかということも調べてみないのですか、やってないのですか。
  553. 宍戸基男

    政府委員(宍戸基男君) 宿舎に関する全国的な調査はいたしておりますけれども、具体的な部隊におけるお話のようなことは、各幕僚監部あるいは各部隊ではしておると思いますが、直接私のところに現在手持ちの資料はございません。
  554. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 部隊幹部でやっておる云々ではなくて、五十戸できた、これをたよりにしてほんとうに新しい家に入りたいと思っていた曹の方が入れなくなってしまう。その人たちは全部いままで幹部の入っていた古い宿舎に入れられておる。けしからぬですよ、これは。それは向うの怨嗟の声になっておる。それはつくっておきながら調べないというのはおかしいじゃないですか。
  555. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) さっそく事情を調査いたしまして、責任ある回答を申し上げます。
  556. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 時間がなくなってきたので、まだたくさんやりたいのですけれども、ほんとうに簡単にやります。  一つは、ジェットの燃料が毎年毎年航空輸送量の増大に伴って必ず不足するであろうという予想がすでになされております。ジェット燃料が、アメリカの国内市場の需要だけで、アメリカの太平洋岸と大西洋岸でできるジェット燃料、直溜のジェット燃料は、その生産能力を凌駕するほどの燃料を使われるだろうということが予想されている。すでに合成のジェット燃料をしなければならないという時代に入ったというのがアメリカあたりの空気になっております。わが国においても、当然超音速のジェット機もできてくる。そうなれば、今度は燃料によるわが国の安全保障というものも締められてくるわけです。ジェット燃料についての今後の防衛庁の開発の計画、そういうものはどうなっているか、お聞かせ願いたい。
  557. 國井眞

    政府委員(國井眞君) ジェット燃料につきましては、現在私ども調達をしております燃料の約半数程度を占められているわけでございますが、現状においてはまだ数量的にわりあい少ないものでございます。したがって、ただいまお話しの合成ジェット燃料、合成燃料という点については、特別の研究をいたしておりません。
  558. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これはすでにアメリカの石油業界あたりでは大問題になっているんですよ。大体あと十年か二十年たたないうちに現在の十倍は使われるだろう。準備のない日本の国が戦争に突入したのは、わずか六百万トンの石油があったからでしょう。第二次大戦に突入したのは。そういうことから考えたら、よほど慎重にやっておかなければならぬ。現在の研究所ではどうやっているんですか、四つある研究所では。研究の内容を教えてください。
  559. 國井眞

    政府委員(國井眞君) 確実な研究体判に入っておるわけではございませんが、確かにお説のとおり、今後の問題としてきわめて重要な問題であろうと存じますので、今後十分検討いたしていきたい、かように思います。
  560. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これは時間がありませんから、最後に長官にお尋ねしたいと思うのですけれども、いまの答弁聞いていると、この燃料それ自体というのは、この間の中近東の戦争でもわかったように、日本の国にはわずか二十日もつだけの燃料しかない。それだけじゃなくて、今後十年ないし二十年たったときには、現在のジェット燃料では足りないということがはっきりしている。そのときに、アメリカが自分の国を防衛するだけで一ぱいになれば、日本に燃料なんか送ってこないだろうし、中近東の燃料だって押えられてしまう。そういういろいろなことを考えると、そうなったときに、そういう燃料のいわゆる一つの大きな消費と革命が来ているわけです。それをまともに見ようとしなかったら、これは防衛としては、安全保障としてはなってないと思うのです。いまの答弁では、まるっきりそんなこと初耳のような顔をしていますけれども、すでに前から新聞や雑誌に書かれている。その点については長官はどうされますか。
  561. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 本年も一億ドルになんなんとする輸入、国内はわずか百万トンでございます。でございまするから、中近東の紛争が起きてから実はびっくりしたような状態でございます。これではいけないということで、国防会議の議員に、通産大臣も準議員になっておりまするから、政府全体の問題として真剣に考慮しなくてはならぬことではないかと考えておる次第でございます。
  562. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 新しい燃料の開発についてはどうお考えになりますか、その見解を聞いておきたいと思うのです。
  563. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 人造燃料その他については、まだ検討いたしたことはないようでございます。これからやはりこの問題は通産省その他において検討すべき対象ではないかと思っております。
  564. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 それは通産省等で研究すべき問題だと言われるけれども、通産省だけでなくて、いまの防衛庁には研究所があるのでしょう、そこでやらせないのですか、現在の研究所では。
  565. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) まだ研究してないそうでございます。これからの研究課題だと思っております。
  566. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 最後になりまして、女なるがゆえにもう五分でも六分でも詰めてほしいと、こういうことなんでございますが、そこで大急ぎで質問いたしますが、この間から防衛法案審議が始まりましてから、何べんとなく、自衛隊員がなぜ集まらないか、このことについては国民の認識が必ずしも十分ではなかったと、こういう答弁が何べんかあったわけでございます。そこで、私はこの問題について質問をしたいと思いますが、その前に、婦人の自衛官を募集するというような新聞記事を見ましたので、一体どのような構想で、いつから、何人ぐらいを募集なさるのか。また、婦人の男性と違った肉体的ないろいろの問題がございますのと、いままで女人禁制であった自衛隊の中に、婦人自衛官を募集されて、どのようにこれを取り扱っていかれるか、その構想をひとつお伺いさせていただきたいと思います。
  567. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 婦人自衛官の問題につきましては、三次防の計画の一つとして検討してまいったわけでございます。現在婦人自衛官の職域といたしましては、いわゆる看護婦さん、看護職域の方々が四百十七名おるわけでございます。その職域を、看護職域のみならず、一般事務でありますとか、会計でありますとか、通信でありますとか、あるいは衛生看護でありますとか、そういう職域に広げていきたいということで考えておりますが、まだ具体的な内容につきましては、現在検討中という段階でございます。
  568. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 いずれの職場においてでもですけれども、婦人というものはたいてい三、四年あるいは四、五年で結婚をされて退職をしてしまう、こういうようなことも婦人自衛官を募集するにあたっては私は考慮の中に入れていただかないと、せっかく訓練してみても、三、四年か四、五年でやめてしまうと、こういうことになりますと、この間からも非常に問題になっておりました、一人の自衛官を募集するのに七万円も八万円もかかって、一人の自衛官のために百五十万円もお金がかかると、こういう中で、せっかく訓練しても四、五年か五、六年で退職してしまう、ここにはずいぶん大きな問題をはらんでいると思いますので、その辺のところは十分考慮していただきたいと思います。
  569. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 非常に大事な問題でありますので、十分考慮いたすつもりであります。
  570. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 それから、これは十五日の産経新聞の「サンケイ抄」というところに、この婦人の自衛官のことが載っていたのですけれども、「募集難の男性隊員のピンチ・ヒッターの役目と、防衛意識の低い“婦人票”に刺激を与え」云云と、こういうふうに出ていたのですけれども、確かに婦人は防衛意識があるいは低いかもしれませんけれども、男性の自衛官の募集難、これと同じくまた自衛隊の中には私はお医者さんが非常に少ないのではないかということを心配しているのです。そのお医者さんの不足に対してどのように解決をしようと考えられましたか、あるいはどのような対処をなさってこられましたか、伺いたいと思います。
  571. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 男子の自衛官がつとめております職域に、女子の自衛官で十分効率的にやっていけるという職域を考えているわけでございます。
  572. 高部益男

    政府委員(高部益男君) 自衛官の充足につきましては、先ほど鬼木先生お話お答えしたところでございますが、従来、給与、処遇等の改善、募集方法の強化及び教育研究、病院勤務環境等の整備を極力進めてまいりまして、努力をしてまいりました。しかし、なおかつ現状は、先ほど申し上げましたように、三百二十名ぐらいの医官が足らないのが現状でございます。
  573. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 私は、その不足のお医者さんに対して、一つ提案があるわけです。それは、自衛隊の専従のお医者さんをみずから養成する、こういう意味で、あるいは防衛大学の中に医科のようなものを設けて、そこで自衛隊自身のお医者さんを自分で養成なさるということが一つ考え方ではないかと思いますが、これについてはいかがなお考えでありますか。
  574. 高部益男

    政府委員(高部益男君) ただいま御指摘いただきました防衛大学校に医学部を設置する、そして医官を確保するということにつきましては、きわめて卓越した一つのお考えかと存じますが、古今東西を通じましてそういう試みが現在までなされておりませんような実情もございますので、十分検討して今後対処したいと存じております。
  575. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 婦人の防衛意識が低いと、さっき「サンケイ抄」を読んだわけですけれども国会に席を置いております私どものような婦人ですら、国の防衛についてはわりあいに知識が乏しいわけです。そこで、幾つかの新聞に出ておりましたように、日本海で米ソの戦艦が舷々相摩するというふうな新聞報道を見て、実はほんとうにびっくりした。それからこの間の本会議で増田防衛庁長官が、毎日一日に一回ぐらい日本のどこかでスクランブルが行なわれている、緊急出動がされている、このようなことも伺いましたし、それから日本海には一年間に四千何百回国籍不明の船が遊よくしておった、あるいは北の宗谷海峡が凍れば津軽海峡を国籍不明の船が通るとか、太平洋岸においてもどうとか、こういうようなことを私どもは初めてこの間伺ったのですけれども、これはいままで国民にあまり防衛のことが知られていな過ぎた、こういうところに問題があるのであって、婦人が必ずしも防衛意識が低いということは責められる問題ではないと思いますが、この点についてはいかがでございますか。
  576. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 中沢さんの御指摘のとおり、私は、独立主権国家の誇りを保ち、平和を保つためには、防衛が必要だということは、皆さん共通の御認識があるのではないかと思っております。それで、特に御婦人が低いとは考ておりませんから、御指摘の新聞に対するお答えはできかねます。しかしながら、あらゆる機会を通じまして、たとえばレーダーが二十四カ所ございまして、三部制で二十四時間勤務をいたしまして、それが三百六十五日に及んでおって、日本の空に不法侵入がないように守っているというようなことを、私も実は長官になってから初めて知りまして、勤務している人の姿に接して、ほんとうに涙が出たような次第でございます。それから、三海峡を通過する船の相当部分が国籍不明であるというようなことも、われわれが監視を怠っていないからでございまして、ただ船の標識等を不明にわざわざしているものがございますから、そこで船舶法その他の国際法規に従って見てわからないものもあるわけでございます。有事に備えまして、事がないように平素から国の守りについておるのが自衛隊であるという姿を、長官になってから初めてわかったというようなことも、少し迂遠な話でございまするが、国会を通じまして、相当、中沢先生もおっしゃるとおり、国民の皆さまに、自衛隊の日常、国家の平和、国民の皆さまのしあわせを守るために働らいている姿をPRすべきであるということをつくづく感じている次第でございます。
  577. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 私は、国民の防衛意識が低い、婦人がどうだとかということは、いまの物価高に追われていること、それからまた交通戦争に身の縮まるような思いをしている、あるいはまた子供を一流大学にどうでもこうでも入れない限り子供の出世があり得ないというようないまの社会構造、そういう中で婦人も非常に苦労しているわけです。また一方、レジャーブームだとか、三種の神器だとか、いろいろのことが言われて、物欲主義に国民を引っぱり込み過ぎたことは、私は所得倍増政策の失敗でもあるし、また消費は美徳である、こういうようなことも宣伝されて、産業が発展するほうにばかり力が入れられた、こういうところにも私は一つの大きな責任があると思います。そういう中で、やはり国民の意識が十分でなかった、婦人の防衛意識が低い低いと言われるのは、主客転倒であって、これは私はむしろ政府が責任を持つべきであると思います。こういう点について、もう一度防衛庁長官の御意見を伺いたいと思います。
  578. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 国民の生活水準を上げていく、ことに消費生活を預かっていらっしゃる御婦人の職域に対しまして心から配慮を政府がすべきこと、御指摘のとおりでございまして、十分各大臣、総理大臣等とともに、消費生活という部面を預かっていらっしゃる大切な御婦人の職域について配慮せよということを各大臣にも申し伝えまして、一生懸命努力をいたし、御期待に沿いたいと思います。
  579. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 最後に、先日からずっとこの防衛問題はずいぶんみんな熱心に審議をしてまいりました。今夜はまだ長官は夕食も召し上がっていらっしゃらないようでございますけれども、その審議をずっと聞いておりまして、何か答弁がいつも秘密主義におちいっているような感じがします。無理にこちらから質問することに対してはぐらかしているような答弁をされることに、非常に不満を覚えます。自分みずからの力で自分の国を守る、こういう国民の防衛意識の向上に対して、政府は著しい私は怠慢があったと思います。今日までの政府の態度を見るときに、自主防衛の所信を率直に国民に披露して、理解と納得を求め、国民合意による自衛体制の確立をはかろうとする努力がきわめて乏しかったと思います。こういう点で、私は政府が大いにこの国民の防衛意識の乏しいということを責任を持ってほしいと思いますし、国民はまたあまりに知らな過ぎます。そして、国民にもっと知らしめ、国民とともにこの防衛考えるべきではないかと思います。それでなければ、もしも大きな力があってこれを右に引っぱろうと思えば、きっと自分の正しい判断のないいまの国民は右に引っぱられるでしょう。あるいは左に引っぱっていこうとしたら、ひょっとしたら左に引っぱっていかれるかもしれません。非常に大きな私どもは危険を感じていると言わざるを得ないのでございます。国家の防衛は国民の熱意と協力なくしては全うし得ないのに、政府の態度は、なしくずし的に既成事実をつくっていって、国民世論の一部の反対を強引に押し切っていくというようなことに終始してきたように私は思いますが、非常に遺憾でございます。そのために、何か他国の要請に従ってがむしゃらに防衛力という名の軍事力を増強していこうとする姿勢としか受け取れないのでございます。そこに疑惑を生み、不信をつちかってきたように思いますが、これはむしろやり方が反対であったのではないか。政府の姿勢がはっきりしないために、自衛隊は日陰的な存在になって、一生懸命この防衛に専心しているあの自衛隊の人たちは非常に肩身の狭い思いをしているのではないかということが、非常に残念でございます。この点について、防衛庁長官の決意を伺いたいと思います。
  580. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 御高見は重々ごもっともでございまして、機密の点は別でございまするが、でき得る限りPRにつとめます。ことに防衛白書等につきましても、しばしば野党の皆さま方からの要望もございますから、日米安保体制のもと日本の平和が守られてあるのだということの姿も、やはり日本語で明瞭にしていく必要があると思います。私はあらゆる機会において努力をいたしているつもりでございまするが、ことに自衛隊の諸君が非常に一生懸命働いている、そのことについていたわりのおことばをいただきまして、感激いたしている次第でございます。一生懸命働いている者が全国民的の合意と支持と御協力のもとに日本の国を守っていく、しかも自主防衛の線を強く出せというお説も、日米安保体制のもとではあるが自主防衛の線を強く出せというおことばは、非常に敬服に値する御発言でございます。拝聴いたしまして、努力を継続してまいりたいと思っております。
  581. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 これで終わります。
  582. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) それでは、両案の質疑は尽きたものと認めます。  これより両案の討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もないようですから、討論は終局したものと認めます。  それでは、両案につきまして順次採決を行ないます。  まず、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  583. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって可決すべきものと決定いたしました。  次に、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  584. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって可決すべきものと決定いたしました。  なお、これら両案につきまして議長に提出すべき報告書につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  585. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後十時十一分散会