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政府委員(
大和田啓気君) 卸売り人の単複の問題につきましては、いままでもいろいろな経過がございますが、ただいまの時点におきましての私たちの取り扱いについて御
説明いたしますと、卸売り人、特に中小都市における卸売り人の数につきましては、できるならば単数であることが望ましいのではないかという考え方を捨ててはおりません。それは、卸売り人が中小都市におきまして複数で乱立をいたしますと、経営がはなはだしく不健全になる可能性がございます。経営が不健全になりますと、集荷能力が落ちまして、そこの地帯において生鮮食料品の荷さばきが十分に行なわれないということもございますし、出荷者に対して迷惑を及ぼす可能性も出てまいるわけでございますから、集荷力を強めて、その地帯における生鮮食料品の需給を満足させるということと、出荷者に安心感を与えるという
意味で、私
ども、できるならば単数であることが望ましいというふうに思います。また、単数になりました場合でも、当然都市同士の卸売り人の集荷の争い、競争がございますから、私
ども、
一般の営業に比べて、独占禁止の問題は、卸売り人についてはよほど違った局面があろうというふうに思うわけでございます。
ただ、私
ども、いま申し上げたような
事情で、単数であることが望ましいけれ
ども、それは無理に地元の意向を無視して、何が何でも単数でなければいかぬというふうな硬直的な態度はとっておりません。これは昨年の例で、いま御
指摘になりました金沢では、水産、青果について単数で出発いたしましたことは、私
どももそれが望ましいということを考えたばかりではなしに、地元が単数で固まっていて、それでやりたいという希望が強かったことがございます。それから、ことしになりまして開場いたしました高松は、私
ども当初は単数が望ましいというふうに思いましたけれ
ども、その後の地元の
事情から、なかなか単数では無理であろう――これは
一般的に申し上げまして、単数では場内に収容する卸売り人の数が限定されて、なかなか全部が卸売り市場に入ってこないという問題が
一つあるわけでございますから、高松の場合も単数であることが望ましいけれ
ども、地元の意向あるいは地元の実態から言って、単数であるよりは複数であることがいいのではないかという判断で、青果、水産についてそれぞれ二社で出発をいたした経過もございまして、これは当然公正取引
委員会の意向もございましたけれ
ども、それよりも、私
どもとして考えましたことは、地元の意向なり、あるいは地元の商売の模様が、それでいいかどうかということが大きな判断でございます。金沢の問題につきましても、もうすでに十一回ほど審判が行なわれまして、私がいま申し上げましたようなことを農林省からも
参考意見としては申し上げておるわけでございます。
私
ども、今後の卸売り人の取り扱いにつきましては、ただいま申し上げましたように、できるならば、中小都市においては単数であることが望ましいけれ
ども、しかし、それはいろいろな
事情を判断して、硬直的な態度で何が何でも単数というふうには考えない。これはもう現実の事態に即してきめていくということでございます。