運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1967-07-17 第55回国会 参議院 内閣委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月十七日(月曜日)    午後零時十二分開会     ―――――――――――――    委員異動  七月十五日     辞任         補欠選任      矢追 秀彦君     鬼木 勝利君  七月十七日    辞任          補欠選任     宮崎 正雄君      内田 芳郎君     三木與吉郎君      高橋雄之助君     鬼木 勝利君      北條 雋八君     向井 長年君      中沢伊登子君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         豊田 雅孝君     理 事                 石原幹市郎君                 八田 一朗君                 稲葉 誠一君                 北村  暢君     委 員                 内田 芳郎君                 源田  実君                 柴田  栄君                 高橋雄之助君                 玉置 和郎君                 中村喜四郎君                 船田  譲君                 山本茂一郎君                 伊藤 顕道君                 前川  旦君                 山崎  昇君                 多田 省吾君                 北條 雋八君                 中沢伊登子君    国務大臣        農 林 大 臣  倉石 忠雄君        国 務 大 臣  増田甲子七君    政府委員        防衛庁長官官房        長        海原  治君        防衛庁防衛局長  島田  豊君        防衛庁教育局長  中井 亮一君        防衛庁人事局長  宍戸 基男君        防衛庁衛生局長  高部 益男君        防衛庁経理局長  大村 筆雄君        防衛庁装備局長  國井  眞君        防衛庁参事官   鈴木  昇君        防衛施設庁長        官        小幡 久男君        防衛施設庁総務        部長       財満  功君        防衛施設庁総務        部会計課長    春日敬太郎君        防衛施設庁施設        部長       鐘江 士郎君        農林大臣官房長  桧垣徳太郎君        農林省農林経済        局長       大和田啓気君        農林省農政局長  森本  修君        農林省農地局長  和田 正明君        食糧庁長官    大口 駿一君        水産庁長官    久宗  高君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  清君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法 律案内閣提出衆議院送付) ○防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付) ○農林省設置法の一部を改正する法律案内閣提 出、衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。去る十五日、矢追秀彦君が辞任され、その補欠として鬼木勝利君が、また本日、宮崎正雄君、鬼木勝利君、向井長年君、三木與吉郎君が辞任され、その補欠として内田芳郎君、北條雋八君中沢伊登子君、高橋雄之助君がそれぞれ選任されました。     ―――――――――――――
  3. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案並び防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、前回に引き続き質疑を続行いたします。  関係当局からの御出席は、増田防衛庁長官政府委員の方々であります。  それでは質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 防衛二法に関連をして、じみな質問をしていきたいと思うんですが、私はやはり日本防衛論争というのは、何かトピックをちょっと追いすぎているような感じがしまして、そういうのじゃなくて、やはりじみちな形での論議というものもする必要があるんじゃないかというふうに考えるのですが、そこで、いろいろ問題があるのですが、最初にお聞きをしておきたいのは、タイバンコクですね、あすこに防衛駐在官を置いたわけですが、それがどういう経過で置くようになったかということと、どういうような防衛庁内部の人を置くようにしたのかというところから始めたいと思うんです。
  5. 島田豊

    政府委員島田豊君) 防衛駐在官設置につきましては、現在十一カ国、十六名派遣いたしておりまするけれども、その駐在官派遣いたします場合の派遣先の選定につきましては、これはいろんな角度から慎重に検討いたしまして、毎年、予算をお願いいたしまして認められて派遣いたしておるわけでございます。タイにつきましては、東南アジアの情勢につきまして、特に軍事事情でございます。その国の軍事事情でございますが、それにつきましての情報を入手いたしたい、こういうことでタイ派遣をいたしておるわけでございます。現在、タイのみならず、ラオス派遣をかねておる、こういうことでございます。
  6. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 ぼくが聞いているのは、いつごろ、どういう経歴の人をバンコク派遣したかということを聞いているわけです。
  7. 島田豊

    政府委員島田豊君) 現在は三代目でございますが、最初伊藤一等陸佐、これは三十五年の十月から三十八年の十月まで派遣されております。その次に三十八年の十月から四十一年の十月まで坂本という一等陸佐でございます。四十一年の十月から現在まで坂崎という一等空佐派遣いたしております。
  8. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そのバンコクに駐在していた防衛駐在官が、その駐在している間にサイゴンに何回となく出張しておるようですね。この事実関係はどういうふうになっておりますか。
  9. 島田豊

    政府委員島田豊君) いつどういう目的サイゴン出張したかという具体的な事実につきまして、ちょっと私いま存じませんが、これはベトナムにも現在一名派遣いたしておりますし、タイベトナム、カンボジア、ラオス、こういう各国軍事事情というものは非常に密接な関係がございますので、ベトナムへ参りましてベトナムにおけるいろいろな各種軍事事情というものについて承知をしておくことが、タイの駐在官としての任務遂行上非常に好都合であるというようなことで出張したことはあるというふうに考えます。
  10. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 サイゴンにも防衛庁在官を常駐されていますね。これは去年の五月ごろからですか、これはどういう人をサイゴンにどういう必要から防衛駐在官として常駐させるようになったのですか。
  11. 島田豊

    政府委員島田豊君) 南ベトナムには、先生御指摘のように、昨年の五月から藤井という一等陸佐派遣いたしておるわけでございますが、この目的は、これは南ベトナムにおける御承知紛争が継続されておるわけでございまして、南ベトナムにおりまして各種ベトナムにおける軍事事情というものを――これはもちろん私どもが直接情報に接するというわけでございませんで、それぞれの大使館の大使の指揮監督を受けて行動いたすわけでございますし、また、そこで入手いたしました情勢等につきましては外務省を通じて私どもは入手いたしておるわけでございますが、必要性としましては、南ベトナムにおける最近の軍事情勢というものについて承知をしておくということが必要である、こういうことでございます。
  12. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 防衛庁長官にお尋ねするんですが、去年の九月ですね、いまのベトナムタイ軍事視察団というのを派遣いたしましたね、防衛庁から。これはどういう理由で、どういう人たちをどことどこへ派遣をしたのかということを、とまかいことば政府委員でいいんですが、どういう必要性から派遣をしたのかということですね。こまかい点は政府委員でいいですけれども、大筋は防衛庁長官のほうからお答え願いたいと思います。
  13. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) お答え申し上げます。視察団が行ったことは事実でございまして、三名でございます。南ベトナムあるいはタイその他周辺軍事情勢調査に参ったわけでございますが、詳細の点は、御指摘のとおり政府委員が補充説明申し上げます。
  14. 島田豊

    政府委員島田豊君) 昨年の九月から約一週間ないし十日ぐらいの日程だと思いますが、三名参りました。その三名の内訳は、有吉という防衛審議官、これはシビリアンでございます。それから、陸幕の第二部長と、それからいま一人は空幕調査課長、この玉名でございます。視察目的は、これは特に格別の任務を持って視察をいたしたわけでございませんで、南ベトナム及びタイ軍事事情ということについての視察という目的でございます。
  15. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いまの視察は、これは公式に行ったわけでしょう、ですから防衛庁の中の予算から金が出ているんだと思うんですがね、どこのどういう項目予算からこのお金が出ているわけですか。
  16. 大村筆雄

    政府委員大村筆雄君) お答え申し上げます。留学生等外国旅費の中から――目がございます。留学生等外国旅費という予算目がございます。
  17. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 その留学生等外国旅費というのと、軍事視察団ベトナムタイへ行くのとどういう関係があるんですか。これはそういう金をこの項目から出していいの。それはあまりこまかいことになってあれですけれども、それは本来ならば、自衛隊なり防衛庁のあれがアメリカや何かへ留学するときの旅費ですか、どういうことなのかな、これは。
  18. 大村筆雄

    政府委員大村筆雄君) 私ども外国旅費の中には、集団訓練外国旅費と、それから留学生等外国旅費留学生以外に一般視察等のために出される場合の外国旅費、それも留学生等外国旅費留学生等というのは一般視察も含めると、そういう意味でございます。
  19. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それは公費で出張したわけですからね。その視察団報告書というものが当然防衛庁に出ているわけでしょう、これは出ていますか。
  20. 島田豊

    政府委員島田豊君) 報告書は作成されております。
  21. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 その軍事視察団ベトナム情勢視察に行ったんですか、それとも  まあそういうふうに一応聞いておきましょうかね。じゃ、防衛庁長官にお尋ねしたいのは、一体ベトナムタイ軍事情勢防衛庁として視察をし、その報告書を出させたりしているわけですけれども、これは防衛庁にとってどういう必要があるわけですか。
  22. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 各国軍事情勢について一応調査するために、それぞれの大使館自衛官を、大使館員という身分を併任さして派遣しているわけでございますが、それ以上に軍事視察団が行ったことは事実でございまして、報告書も出ております。日本周辺における紛争事件等がある場合には、できればその軍事情勢を正確に把握するということは、やっぱり何らかの参考になる、こういう意味において必要だと思っております。
  23. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 防衛庁にとってベトナム情勢が何らかの参考になるということですね、さあ、そこのところですね、この問題の一つは。いろいろぼくは問題があると思うんですよ。どういう点が、ベトナム情勢防衛庁にとって参考になるんですか。それは、軍事視察団の人がどことどことどこへ行ったかということをはっきりすれば、どういう点が参考になるかわかりますわね。どことどこへ行ったのですか。ちょっと詳しく日程を述べてください、それが一つ。それはもう政府委員でいいです。それから、どういうふうに参考になるかということは、いまのお答えは抽象的でわからないんですね。あなたは非常に学のある方なんですから、もう少しぼくらにわかるように御説明を願いたいと思うのです。これはあと質問関係してくるのでお聞きするのですが。
  24. 島田豊

    政府委員島田豊君) この一行は、南ベトナムではサイゴン、ナトラン、ダナン、ビエンホアにおきまして、日本大使館南ベトナムの国防省及び米軍事援助司令部を訪問いたしまして、米軍基地を見学いたしております。さらに、タイではバンコク日本大使館タイ参謀本部及び米軍事援助司令部を訪問いたしておるのでございます。  これの目的は、先ほど長官からも申し上げましたように、現地におきますところのいろんな生起いたしております軍事事情等につきまして、知識を広め、認識を高めて、そうしてわれわれのいろんな作業、仕事の参考にする、こういう目的でありまして、こういう事情につきまして防衛庁として、ほとんど実情を把握できてないというととでは非常にこれは困るわけであります。したがいまして、できるだけ詳細に承知をしておく必要があると思いますが、やはり現地からの文書によりますところの情報だけでは、なかなかその実情というものが具体的に把握できませんので、現実に基地等を見学いたしまして、そこで、その認識をさらに深めていく、こういうことが必要であろうというふうに考えるわけでございます。
  25. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これは防衛庁長官にお伺いすろのですが、ベトナムの戦いですね、これは戦争というかどうか、まあ別の議論がありますけれどもベトナム紛争か何かをやっていることについての知識を広めて、いろいろな体験を深めてくるというか、何といいますか、それが防衛庁にとってどういう直接的な必要性があるわけですか、あるいはメリットがあるのですか。
  26. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 参考ということは、やっぱり私は間接日本自衛隊関係があるということではございませんのでございまして、御承知のとおり、日本自衛隊、あるいは日本国家は政治的に中立関係に入っておるわけでございます。しかしながら、紛争が起きておる。その紛争あるいは衝突等の状況を知っておくということは、せっかく日本におきましても海上、航空、陸上等におきまして作業をし、訓練をしておるわけでございますから、参考になると、こういうふうに考えるわけでございまして、この点は良識に富む稻葉さんも、参考にするぐらいには、そのためには軍事視察団が行ってもしかるべきではないかというふうに結論をつけられるのじゃないかと私は考えております。
  27. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そこで、陸海空訓練参考になるというのでしょう。その軍事視察団が行って、アメリカ最新兵器ジャングル戦ゲリラ戦でどのような効果をあげているかということを調査してきたのじゃないのですか。いやいや、それが全体の目的かどうかは別ですよ。全体の目的かどうかは別として、そのことも一つ目的に入っていたのではないのですか。それはそうですよね。ちょっと待ってください。それであなたは――防衛駐在官報告でもわかるし、外務省報告でもいいし、あとのことは幾らでもわかることですから。アメリカ最新兵器が局地のジャングル戦ゲリラ戦でどういう働きをしているかどうかということを、それが中心かどうかは別として、その調査本含まれていることは含まれているわけでしょう。
  28. 島田豊

    政府委員島田豊君) これは特定のそういうふうなベトナムにおきますところの米軍最新兵器調査というふうなことを特に意図しておるわけではございませんで、現地へ行きまして米軍の飛地を見学し、米軍からいろいろな説明を聞くわけでございますから、その過程におきまして、あるいはそういう兵器効用等につきましての話は聞いておることかと思いますが、それは決して出張目的ではございません。やはり全般的な情勢についての見聞を広める、こういうことでございます。
  29. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 国費を使って行ったのですから。どの程度国費を使って行ったのか、たいした金額ではないとは思いますがね。だから、行ったのだからあれでしょう、それだけの行ってきた効果はあったのでしょう、防衛庁として。そこのところはどうなんですか。防衛庁長官、どうなの。
  30. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 行くだけの効果はあったと思います。
  31. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 さあ、そこで行っただけの効果というのはどういう効果なんですか。ぼくはあとでいろいろな質問をするつもりですけれどもね。効果がないのに行くわけはないし、効果があったというのだから、かりに参考になるというので、陸海空訓練参考になったというのなら、アメリカのやっておるどういう行動日本自衛隊陸海空訓練等参考になったのか、それであって初めて効果があったわけですからね。そこがはっきりしてもらえたら。子供の使いみたいに遊びに行ったのでは意味ないわけでしょう。どっちでもいいですけれども。じゃ報告書出してごらんなさい、よくわかるのだから。何か書いてあるから。ぼくはもう一つ別な問題があるような気がするのですよ、これはあとで必ず出てくると思うのですけれども。どういう効果が具体的にあったのですかね。あまりやかましいことを言うなよ、それは視察に一週間くらい行っただけで、そんなことを一々やかましいことを言うなよというのも一つの考え方だと私は思うのですがね。あなたは効果があったというのだから、それじゃ具体的にどういう効果があったと聞きたくなるのも無理ないと思いますがね。陸海空訓練にどういう効果があったのか。
  32. 島田豊

    政府委員島田豊君) 出張いたしたものが、たとえば陸幕の二部長でありますとか、空幕調査課長、これは一般的な情報収集整理、こういうことを任務といたしておるわけでございまして、したがって、それが直接に陸海空自衛隊訓練に、個々のこまかい点について非常に参考になるというふうなほどの情報入手ということはなかったと思います。現に南ベトナムにおりました期間というものはわずか一週間でございまして、その間に各地基地を見学いたしておりますので、そう一つ一つのところで具体的なこまかい資料を集めてくるというふうな余裕はなかなかなかったというふうに思いますが、ただ、全般的に私ども南ベトナムについていろいろな認識を深めます上において、やはりわれわれの知り得なかったことを現地でいろいろ知ったというふうな点はあろうかと思います。そういう意味での効果はあったということでございまして、直ちに自衛隊の具体的な訓練計画を立てます場合にそれが参考になるというふうな資料はなかったというふうに考えます。
  33. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それは、われわれの知り得なかったことが知り得たというのは具体的にどういうこと。
  34. 島田豊

    政府委員島田豊君) これは程度の問題でございまして、文書だけではなかなか隔靴掻痒の感がありまして、知り得ないことをやはり現地米軍の当事者から直接聞くことはいろいろな面で参考になるわけでございまして、特にここでどういう点が、われわれの知り得なかった点がこれによって認識を深めたというふうなことは、ちょっと私ここで申し上げることはできません。
  35. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いや、あなたが申し上げることはできないというその理由だよね。その理由が、それを申し上げることによって防衛庁のいろいろな行動に支障を来たすということで申し上げられないというのも一つ理由ですわね、そういう場合もあるかどうかは別として。そういうことも一つ理由だし、それから、いやアメリカとの関係でそんなことはとても言えないのだというのも一つ理由だし、いろいろ理由があるわけでしょう。申し上げられないというその根拠だな、なぜ申し上げられないのかその根拠を――防衛庁設置法だとか、自衛隊法だとか、いろいろの法律根拠があるわね、国会法でもいいわね、それに従って説明をしてください。ぼくはあなたのおっしゃることが――防衛庁長官でいいやね、あなたのおっしゃることが納得できれば、これはぼくも無理なことな聞いておるなと私自身が感じれば幾らでも質問は変えますからね。どうして申し上げられないのか、ちょっと説明してくれませんか。
  36. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) まず参考になったということは御納得がいったようでございますが、私も一昨年の九月へ二日間行ってみました、百聞は一見にしかずというようなことで。できればベトコンのほうも――北ベトナムのほうも見たいと思っておりましたが、そういう機会が許されませんでしたが、またラオスのほうも行って見てきました。やっぱり聞くと見るとはたいへんな違いでございます。ということで参考になったということでございます。ただし、いまの調査団調査団といえるかどうかはわかりませんが、三人の出張ベトナムには一週間でございます。一週間の範囲は二日よりはよけい参考になったと私は思っております。そうしてまた自衛隊として専門にその職務についておる人々が行ったわけでございまするから、国会議員増田が行ったよりははるかに参考になったと思います。ただ、私の赴任前でございまして報告書等はよく読んでおりませんが、報告書等を読みまして、機密に属する範囲報告できないということも、これは国会全般について行政官庁全般についてあるわけでございますから、そういう範囲のことはあらかじめ申し上げて御了解を得たいと思っております。報告書は、正直に申し上げまして私は後刻読んでみたいと思います。
  37. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 ぼくの聞いているのはね、あなた申し上げられないと言うから、申し上げられない根拠を明らかにしてほしいと言ったのですよ。機密だと言うなら、じゃ、どういう機密日本にあるのかということですね。日本には機密なんかないじゃないですか。まあしかしこれはいいですよ、法制局じゃないから。  ここで質問を変えましょう。ほんとうならもう少しやるのですけれども、やめますがね。そこで問題は、いいですか、国連各地国連軍という形か、あるいは国連軍という形でなくて監視団とか何とか、いろんな形ありますね。そういうものがたくさん出ている、十何回も出ているわけでしょう。それについて説明を願いたいわけですが、いろんな形で出動していますからね。キプロスであるとか、レバノンだとか、コンゴだとか、いろいろありますわね。そういうのに国連が出ている形がいろいろある。その形に日本憲法でいまの自衛隊参加できるかどうかということですね、これをひとつ御説明を願いたいと思うわけです。ぼくの言うのは、あなた方は、いや憲法の問題ではないのだ、自衛隊法の問題だと言うに違いありませんから、私は自衛隊法の問題を聞くのじゃなくて、自衛隊法の問題を抜きにして、憲法との関係で、従来、国連派遣をしていたいろいろな形態のものがありますが、それに自衛隊日本憲法の中で参加ができるかどうかという問題ですね、それが一つあります。それから、自衛隊参加のしかたがまた問題がありますね。それらをひっくるめて、ひとつしっかりとした答弁を私は出していただきたいと思います。一つ一つ例をあげて説明を、こういう場合はこうなんだということを説明してくれませんか。
  38. 島田豊

    政府委員島田豊君) 国連監視団自衛官参加させるということが憲法に違反するかどうかという問題でございますが、これは国連参加をさせます場合の参加形態によっていろいろ異なるかと思います。かねがね政府として言っておりますように、要するに、集団的な武力行使目的とするような部隊の派兵ということは憲法上問題があるということでございまして、ただ単に、自衛官が全く国連警察活動参加するということが直ちに憲法違反になるかどうかということについては、これは必ずしもそうでないというふうに考えられますけれども、少なくとも自衛官が武器を持ちまして現地監視団参加をいたして、それによりまして、そういう武装した監視団の一員として参加するということは、これは憲法上おそらくできないというふうに考えます。一にこれは、その監視団目的任務、その態様というもののいかんによってきめられるべきものであるというふうに考えるわけでございます。
  39. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 私の質問は、国連がいろんな形で出ている一つ一つについて内容を吟味して、この場合には日本憲法上、自衛隊参加ができるかどうか、こういうことを聞いているんで、一般的な抽象論を聞いているわけじゃないですよ。具体的な事実に即して聞いているわけですから、それは、いますぐここでちょっと無理だというのならば、午後の休憩の間に調べて説明してくださってもけっこうですよ。それは非常に問題があるわけですよ。あなた方の話はいつでも、その点を一つ一つやらないで、適当にまとめてわかったようなことを言って済ましちゃう。これはいけないから、過去の例に即して、この場合は自衛隊憲法参加できたんだとか、できないんだとか、一つ一つ説明してください。
  40. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 一般的なことを申し上げまするが、海外派兵というものは憲法九条違反であると思っております。これは明瞭にそうでございます。国連軍の中に入ろうともいけないと思います。  それから、国連監視団でございますが、監視団のうち武力行使を伴うもの、すなわち海外派兵でございますが、これは憲法に触れると思っております。国連監視団のうち無腰で行くという場合、すなわち、外務省職員という職務と自衛官という職務を併任しておりますから、そういう場合には参加し得るかどうかということは、法制局外務省とのむしろ主管事項だと思いまするけれども、稻葉さん私にお聞きでございまするから、現にいままで知っておる範囲をお答えいたしますが、法律上は心ずしも違法ではないし、もし自衛隊法で禁止しておるならば、他の法律をつくってやっても憲法には触れない、自衛隊法と同等なものを、他の法律をつくれば、これは特別法になりまするから、やれるわけでございます。しかしながら、無腰のものであっても、法律上はできるかもしれぬけれども、政治的の見地からやらないというのが三木外務大臣の答えでございまして、私も同じ答えでございます。いかなる休戦監視団といえども――国連のそういう監視団に、あるいは非武装地帯の監視団、いろいろございます。いろいろの場合を分けて言えといえば、また外務省と打ち合わせをいたしまして、時間を与えられれば、後刻またお答えいたしますが、無腰の監視団といえども法律上はできるが政治上はやらないというのが、三木外務大臣が留守中に、ちょっとほかの話もございましたけれども――ほかの話というのは国連局長の話でございます。法律上できないわけではないという話でございましたが、法律上できるかできないかは別として、政治上しないのだというのが外務大臣の答えでございまして、大体、向こうに行っている駐在官外務省職員でございまするし、また、こちらから無腰の自衛官を、外務省の職員でなくて派遣するということもおもしろくない、ことに、自衛隊法はそういうことを書いてございませんし、新しく法律でもできなければいけないのではないか。政治上できないことはもとよりである、政治上は三木外務大臣も、外交の方針としてやらないと言っております。私もその方針には同感でございます。
  41. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 だから、私は、いますぐ無理だということならば、多少時間を置いてもけっこうだからということを言っているんですが、従来の論議が抽象論が非常に多いんですよ。そうじゃなくて、過去における、国連軍がいろんな形で出ているわけですからね。編成されているその一つ一つについて、憲法自衛隊参加できるかできないかということをはっきりさせてほしいということを言っているんで、抽象的な一般的な話ではないわけです。だから、個々の具体的例について、いますぐ無理だというのならば、午後でもけっこうだから、それを説明を願いたいと、こう私は思います。これは多少時間を置いてもいいですよ。それはどうですか。
  42. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) おっしゃるとおりさしていただきたいと思います。
  43. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いま防衛庁長官の言われたのは、海外派兵は憲法に違反だというのですけれども、これは、海外派兵という定義というか、それによって問題がすべて変わってくるわけですね。ですから、そこら辺のところもはっきりさせなきゃいかぬところですが、そこで、私がお尋ねをしたいのは、国連協力というのが日本の外交の基本方針なわけでしょう。これは防衛庁長官にお尋ねするのはちょっとあれかと思いますけれども、いずれにいたしましても、国連協力というのは日本の外交の基本方針ですわね。これは間違いございませんね。それでは具体的に、日本は一体国連にどういうふうにいままで協力してきたのですか、ことに防衛庁として。ほかのことを聞くのはぐあい悪いですが、防衛庁として国連にどういうふうにいままで協力してきたのか。
  44. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 昭和三十二年に閣議決定がございまして、国防の基本方針というものは現在まで有効に存続いたしております。その第一は、「国際連合の活動を支持し」云々と書いてございまして、これは国防会議できまったところを、閣議決定をそのあとを受けてやったわけでございまして、国防会議には外務大臣も、もちろん総理大臣も議長として入っているし、私も入っているわけでございます。そこで、国連に対して自衛官を云々というようなことは、自衛官を、あるいは視察ぐらいには行ったかもしれませんが、自衛官云々ということは、現在、活動の一部面を担任するというのが私の「云々」でございますが、そういうことは現在までございません。
  45. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 国連に協力するのは日本の外交の基本方針、日本の基本方針であるならば、国連からの要請があった場合に、自衛隊憲法に違反しない範囲参加をするということも、当然、日本の基本方針として将来考えられてくるのじゃないですか。その点はどうですか。
  46. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 国防の基本方針というものは閣議決定でございます。そこで国連にはでき得る限り協力をいたしております。また分担金等も出しております。でございまするから、間接には分担金を一番よく払っているのは日本でございます。たとえばコンゴ等に国連警察軍がいくというような場合に、その一部になっているかもしれません、これは。それはよくわかりませんが、事務総長の、これだけ分担してくれという事務的な各国に対する割り当てがございまして、日本は分担いたしております。これはお聞きになった範囲ではございませんが。そこで、国連警察軍等をつくって、もし国連協力が閣議決定で国防の基本方針であるならば参加したらいいじゃないかというようなこと、これはしてはどうかという疑念はあるということは、あなたおっしゃったと思いまするが、やはり日本憲法の制約があるわけでございまして、われわれの自衛というものは相当厳格に解釈をいたしております。そこで、国連警察軍がかりに武力を行使する国連という一つの団体である。そこへ武力を行使する日本自衛官を一部を構成する意味において派遣するということは、閣議決定がどうあろうと、憲法違反まで閣議決定がしばるわけにいきませんので、閣議決定というものは、憲法法律範囲内におけるものであるということを稲葉さん御了解がいくんじゃないかと思います。
  47. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 国連軍参加をするという形ですね。たとえば韓国にあるようなああいうのはほんとうに武力紛争というか、それに直接関与するわけでしょう。ですから憲法違反の問題が起きてくると私は思うのですが、ぼくの考え方誤解されてもいけないのですが、国連警察軍に参加することは警察行動として参加するというのでしょう。それなら国連警察軍に参加するということは、憲法との関係で、直ちに憲法違反だということが起きてこないということも言えるのじゃないですか。そうしろなんと言っているのじゃないですよ、ぼくは誤解されても困りますけれども増田さんの御意見はちょっとごちゃごちゃになっているのじゃないですか、その点が。国連警察軍というのは警察行動なんでしょう。警察行動ということは、あなた、武力行使とは、日本憲法が禁止している武力行使とどういう関係に立つのですか。ぼくの言うのは、そういうのに参加しろと聞こえちゃ困るので、ぼくもちょっと考えながらしゃべっているつもりですが。そういうところはっきりしませんね。
  48. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) それでございますから、私が申し上げるのでございますが、国連警察軍というものができて、私は理想的には各国が一というのはソ連も米国もでございます。軍備を全然撤廃して、そして国連警察軍というものができて、その場合に日本自衛官がそれに入っていくと、もっとも日本のじゃなくなりますが。しかしながら、やはり日本人がいくわけでございまするから、私は各国の軍備が全然なくなって国連警察軍ができる、そうして世界の警察行動をするという場合にも、やはり憲法改正が要ると思っております。日本の軍隊を廃止して、そして日本人が国連警察軍の中へ入るというようなときには、そういうような条項を私は設けたほうがいいのじゃないか。とにかくいろいろあるところでございまして、非常に疑義はございます。  それから国連警察軍というものは、やっぱり日本の警察隊が武力行使をいたします。ある場合には武力行使をするごとくやはり武力行使をする、そのための備えがなければ国連警察軍とは言えないわけでございまして、問題は国連監視団国連監視団というものは武力を行使する場合もあるかもしれませんが、多くは武力を行使しません。国連監視団のうちで武力を行使しない監視団であるならば、平和を確保するために寄与することは国連目的でございまするし、法律上は差しつかえないとは思っておりまするが、そこがつまり三木外務大臣の説と私が同じになるわけでございまして、武力を行使しない自衛官の入る国連監視団といえども政治的にはやらないと、こういうふうに幾つも建て方があるわけでございまして、稻葉さんは国連警察軍というものは、もう武力を行使しないんだということをおっしゃいますけれども、武力を行使する国連警察軍というものは相当いままでにもございましたし、戦死した国連警察軍の構成部員も相当あるわけでございます。
  49. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 本会議のほうに行かなければならないでしょうから、そこでちょっと切れちゃって非常に残念なんですけれどもね、国連警察軍というものが世界国家ができた後における、世界連邦みたいなと言いますか、そういうものができた後における国連軍という意味ではなくて、現実の、いまの中におけるいわゆる軍事、軍隊行動と警察行動とは違うわけでしょう。だから、いろんな相談があった後の、ひとつそれを平静に治安を守るという形で国連警察軍がくるということは、これは軍事行動との関係でどういうふうになるのですか。そこがぼくは一つ問題になってくるのじゃないかと思うのですよ。ぼくはベトナムの問題が、どうもそれが関係するような気がしてしようがないものですから、ベトナムの問題から、こう入っていって聞いているわけですがね。だから、国連警察軍というものの行動、警察行動というものと軍事行動というものと一体どこがどう違うのかというところですね。それがはっきりしないとわからなくなってくるのじゃないですか。
  50. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 国連警察軍といえども、私は国連警察軍といえば、やっぱり本質的には世界各国にある警察隊のごときものであろうと思います。警察隊のごときものでございまして、積極的に武力を行使するものでないことはもちろんでございまするが、やはり、平和と秩序を維持するためには武力を行使することになると思います。国連警察軍というものは、いまのこの状態において、理想世界国家のできた場合でないということでございまするから、その問題はしばらく別の問題としておきます。いまのこの国際情勢において国連警察軍というものはしばしばできております。韓国においても現にあるわけでございまするし、コンゴなんかにもございまして、それを見にいくためにハマーショルドなんかも死んだわけでございますが、やはり武力の行使をある程度しないと、警察行動といえども、国際紛争を解決するためには警察行動が必要であるというような場合にも、憲法上、そう海外へ、遠くへ行くということは私はいけないと思っております。疑義があるという人もございます。憲法学者によってはいいという人もございまするが、私はそれはいけないと、こう思っております。そこで、問題はだんだん限局してまいりまして、国連監視団、つまり国連警察軍でない国連監視団のことは、あなたはお聞きにはなりませんが、監視団のうちで武力を全然行使しない監視団があるとすれば、それには私は別段憲法上の問題はないと思っております、これに参加することは。武力を行使しない国連監視団参加することは憲法上問題はございませんが、法律もつくればできないことはないのでございまするが、政治上やらないという方針を貫いておるわけでございます。
  51. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それでは時間の関係もあって区切りをつけたいと思うのですが、そうすると、自衛隊法の中にですよ、自衛隊任務の中に、自衛隊は国際平和と安全のために行動ができるんだということを、それを自衛隊任務の中に加えるということは、これは絶対ないわけですか。結論を聞きますがね、自衛隊法を改正して、自衛隊任務の中に国際平和と安全のために行動できると、これは憲法が上にありますから、憲法範囲内ですよ、もちろんですね。ではありまするけれども自衛隊任務の中に、国際平和と安全のために自衛隊行動できるということを加えるということは絶対にないと、こうお聞きしてよろしいですか。
  52. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 稻葉さんの御質問ではございまするが、現在の自衛隊法上できないという範囲までしかお答えが、立法論としてはまだお答えができません。
  53. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そこで話がおかしくなってくるのじゃないですか。国連協力、国連協力ということを言っていて、国連では、日本防衛庁なり自衛隊が、国連、ことにアメリカなどではいろいろな部面において協力してくれないということで非常な不満があるのではないのですか、一部に。あるいはそうかもわかりませんけれどもね。現実にあれじゃないですか、自衛隊の中でも、自衛隊法の一部を改正して、自衛隊国連に――もちろん憲法範囲内ですけれども自衛隊国連に協力をできるように、自衛隊任務に、いま言ったものを追加をしようということを考えられているのじゃないのですか。これはそういうことは絶対ないのだ、あなたが絶対ないのだというなら、ぼくもそれでいいと思うのです。それは立法論だから答えられないということになってくると、将来やるかもわからないということになってくるでしょう。
  54. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 稲葉さんの御質問で、法律上できないのだから法律つくったらどうかということで私が答えると、また今度は政治問題として問題になってまいりまするから、そこで、なかなかお答えはしにくいし、私はしませんが、つまり立法論としてはいまのところ考えておりません。現存の自衛隊法じゃできないのでございます。  それから、国際連合に対する協力ということは、日本外交の方針でもございまするし、昭和三十二年の閣議決定は今日まで有効に存続しておりまするし、また国連各種の活動をいたします。警察的活動もいたしまするが、その費用の分担等は日本が世界で七、八番目でございまして、額は非常に少ないのですが、番目から申しますと七番目くらいでございまして、非常に内部あんばいはよろしいというわけで、ハマーショルドからも、ウ・タントからも称賛の的になっているということを申し上げます。
  55. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そんなこと聞いているのじゃないのですよ。あなたは自分で都合が悪くなってくるとよけいなことをしゃべっちゃ、話をそらしちゃうわけですね。そういうのは老巧というのか何というか、そういう行き方をほめる人もいますけれども、私はそういうのはいかぬと思います。やはり問題はまじめに論議をしなくちゃいかぬと思います。私は国連の協力ということがいろいろな問題になってきた中で、現在の外務省なり防衛庁の中で、自衛隊任務に、そのいま言ったものを加えようとする動きが現実にあるのじゃないですか。法案の作成が考えられているのじゃないですか。一部に伝えられています、そういうことが。いわゆる国連協力法案の名のもとに、外務省防衛庁、内閣法制局の間で、この防衛庁が、自衛隊がどこまで国連のいろいろな行動に対して協力できるかということについての協議を進められているのでしょう。これはもう間違いないでしょう。これは五本の政府としても、いまそれをどの程度まで関与できるかということは、これをぴしっと出すということは、将来いろいろな問題が起きてきたときに、非常に何といいますか、動きがとれなくなってくるから、フリーハンドで行きたいという考え方があることについては、私は事実だと思いますけれども、現実に自衛隊法を改正して、そういうものにしようということは、国連協力法案なりという形の中で、外務省防衛庁の中で進められているんじゃないですか。だから、ぼくが聞いていることで、いやそんなことはないと、ないなら、ないでよろしいのです。私は自衛隊法の一部改正で、自衛隊任務に、そういうものを加えられることは絶対にないと、絶対ないとあなたがおっしゃるならいいですけれども、そういうことになってくると、あなたの言うことはあいまいになってくるから、どうもおかしいと思うが。
  56. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 現行自衛隊法上違法でございますということはおわかりですね、違法でございます。それから将来、法律をつくれば合法になるということも、これはおわかりでございます。しかしながら、われわれは将来、法律をつくろうというようなことは、外務省法制局あるいは総理大臣その他において考えたこともなければ、協議したこともございません。
  57. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 考えたこともないし、協議したこともないというわけですね、そうすると、それはあれですか、絶対に今後、自衛隊法の改正というものはないというふうにお聞きしてよろしいのですか、そういうふうにお聞きしていいのですか。もうそれならばそれでいいです。それならば、ああそうですがと言って引き下がりますけれども、私らの聞いている範囲では、どうもそうではないように聞いているわけです。それがベトナムの休戦なり何なり起きた後においても問題として起きてくる可能性があるのではないかということすら言われている。これは杞憂かもしれませんが、しつこく聞いているわけです。
  58. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 重ねてお答えいたします、明確にするために。そういうことを考えておりません。普通の武力行使を伴わない国連監視団すら参加することをこばんでいるわけでございますから、国際連合警察軍に参加するための派兵というようなことが合憲であろうともなかろうとも、私は憲法上疑義があると、立法事項論として考えているということはないわけでございます。
  59. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 午後は二時に再開することといたしまして、暫時休憩いたします。    午後一時六分休憩      ―――――・―――――    午後二時十四分開会
  60. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案並び防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案の両案を一括議題とし、両案に対する質疑を続行いたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  61. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 午前中、国連のいろいろな行動日本憲法との関係一つ一つ具体的な場合どういうふうになるのかと、こういうことを研究しておいてくれと言ったんですが、それがもしできていれば説明願いたいし、まだできていなければあとでいいですが、どうですか。
  62. 島田豊

    政府委員島田豊君) 先ほど申しましたように、国連の警察軍あるいは監視団、いろいろな形態があるわけでございまして、要するに、実力を行使いたしましてその事態を鎮圧する、あるいは平和を回復するというふうなもの、たとえば韓国におきまする国連軍、あるいはコンゴにおきます国連軍、こういうものは憲法の許容するところではない、しかしながら、たとえば、レバノンの国連監視団のように、平和的事態の維持確保の目的を、実力の行使を含まない方法で達成すべき任務と権限を与えられておる、こういうものにつきましては、これは憲法に違反するところではない、これが非常に明らかなケースでございますけれども、それ以外の個々の監視団なり、あるいは国連軍なりというものにつきましては、これはやはりその一つ一つについて十分検討して、問題の解決をはかるべき問題でありまして、従来ありましたところの、どういうものは憲法違反であるか、あるいはどういうものは憲法違反ではない、こういうことはなかなか申し上げられない、申し上げにくい、こういうことでございます。
  63. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 申し上げにくいといっても、朝鮮のものとコンゴのものはわかった、それからレバノンもわかった、そのほかのものもずいぶんあるわけでしょう、それについてはどうなっているのですか、申し上げにくいというのはどういうのですか、どういう点で、どこにどういう問題があるのか、それは研究がまだつかないから日にちをかしてくれというなら話はわかるのですが、いきなり申し上げにくい、いきなりわからないというのは納得できないですよ。
  64. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 稲葉さんが、いま差で私と防衛局長とでお答え申し上げました範囲でおわかりの点から順次片づけてまいりたいと思います。国際連合警察軍が武力を使用して平和を回復する、こういうようなものに参加することは憲法違反でございます。これは例で申せば、いまも申しましたコンゴ、あるいは三十八度線のあそこにおる国際警察軍でございます。それから、その次に、いままで調べたところという意味防衛局長は申したので、申しにくいというのは、非常に不明瞭ということではございません。レバノンにおけるものは、平和を監視するための国際警察軍ではございませんで、いわば率直なことばで、お互いに共通することは無腰の監視団でございますので、これに自衛隊員を派遣することは、自衛隊法上はそういう規定はないのでございまして、そこでなお外務省のほうで、国連局長法律の必ずしも禁止するところではないという答弁がありまして、私はそれはわかりませんでしたが、結局、身分は外務省の職員になっておるのでございます。そこで、私は自衛隊法を改正しないと、併任した身分を持っておりますので、外交官でありましても、併任した身分で、自衛隊員たる身分も併任されて半分持っておるわけでございますから、これは自衛隊法の何らかの修正が必要であると私は考えております。これはまた話が違えば、そこの調節が外務省との間において必要でございますが、そこで三木外務大臣は、法律の問題はともかくも、政治的にそういうものは出さないのだ、政治的には、無腰のもので、国際連合休戦監視団にしたところで、あるいはトラブルの監視団にしたところで、そういう自衛隊員が入っていくようなものはやらないのだという答弁をいたしております。どうぞその辺でひとつ稻葉さんの御了解を得たいと、こう思っております。
  65. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いまの三つはわかりましたが、私の質問しているのは、それ以外のものが、いまのところ事実関係も調べなければならないからすぐは言えない、研究したいということなら、それはそれでけっこうですということなんですか。それが何だかあとのほうの三つだけ言って、あとのほうがわかったようなわからないようなことになっているから、だから、それをどうするんだ、こういうわけです。きちっとした答えを出せるものなら出してほしいし、いますぐは無理だから研究さしてくれというなら研究してほしいんです。いや、そんなもの研究する価値がないんだというなら、これも一つの考え方かもわかりませんです。そこら辺はどうなんですか、こうお聞きしているわけです。
  66. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) いま私の知っている範囲で、防衛局長とも打ち合わせましたが、ICCというのがございます。ベトナムの非武装地帯の監視をしておるが、ICCには参加をしないということでわれわれはやっております。まだ参加を要請されておりませんが、要請されても参加いたしません。  それから、いま国際連合がどんな監視団をどこまでやっているかということまでは、一つ一つの具体例でございまするから、まだほかにもあるかもしれませんし、答えにくいということを防衛局長が申したわけでございまして、事柄が明瞭になっているものまで、つまり防衛局において、あるいは防衛庁において明瞭になっているものまで、法制的見地から憲法解釈的見地から申し上げにくいと言っておるわけではないのでございます。
  67. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 ことし韓国に防衛駐在官を置くことになっている。これは外務省設置法が通ったんだから行っておると思うんですが、どうですか、もう行っておるんですか。行っておるとすれば、だれというか、どういう人が行っているんですか。
  68. 島田豊

    政府委員島田豊君) 今年度に韓国に派遣をする予定でございます。一応人選も終わっておりますが、まだ行っておりません。今秋ごろに派遣をすることになると思います。
  69. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 名前までを聞くのはこれはあなたの内部のことですから、そこまで聞かないが、たとえば陸海空だとか、いろいろあるでしょう。それでどういう人が行くのかということを聞きたいわけですよ。
  70. 島田豊

    政府委員島田豊君) 一等陸佐派遣する予定でございます。現在まだ外務研修所におきまして語学の研修を受けておるところでございます。
  71. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 サイゴンもこれは一等陸佐ですね。
  72. 島田豊

    政府委員島田豊君) 一等陸佐でございます。
  73. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 韓国へ防衛駐在官派遣するようにしたのはどういうことからするようになったんですか。去年はサイゴンでしょう、ことしは韓国、それだけじゃない、ほかにもあるかもわかりませんけれども、何かアジアの情勢というか、その中でいろいろ問題があるというか、そう考えられるところへ防衛庁としては駐在官派遣するように考えられますね。これ見ると韓国へことし派遣するようになったのは何か特別な、特別な意味といってはことばが悪いけれども、どういうふうなことから派遣するようになったんですか。
  74. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 韓国には平和関係に入りまして、韓国のほうからも日本に、いわゆるということばを使わしていただきますが、いわゆる大使館付武官というのが来ております。それで、こちらも儀礼的な意味でアタッシェを出していくのでございまして、それはもちろんその国の軍事情勢調査ということも使命の一つであるということは従来申し上げておりますが、これは何も韓国が特別に極東にあるからというわけではございませんで、フィリピンにも台湾にも英国にも西ドイツにもいる、アメリカにもいるというふうに御理解願いたいと思います。
  75. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 その韓国へ行く防衛駐在官の仕事がどういう仕事かということなんですが、軍事情勢を探ると言っちゃことばは悪いですけれども調査ですか、それも一つの仕事になってきているわけですね。そうすると、三十八度線のところにおけるいろいろな情勢というものを調査するというか、これも一つの仕事になってきているわけでしょう。当然ですわね。それから三十八度線の北のほうの軍事情勢というか、こういうふうなものも探るということ、これも一つの仕事になってくるわけでしょう。これは北のほうの情勢を探るのが主たる仕事かどうか、これは議論があるかもわかりませんが、それも仕事になってきているわけでしょう。
  76. 島田豊

    政府委員島田豊君) 防衛駐在官はその駐在しております当該国の軍事情勢調査するというのが主たる目的でございます。ただ、その国防等につきまして情報を収集いたします場合に、その周辺諸国と申しますか、そういうものに対する情勢を入手することはあると思いますけれども、駐在官の主たる目的はあくまでも当該国のいろんな軍事情勢調査するということでございます。
  77. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 対馬海狭というのありますね。対馬海峡というのは日本防衛上にどういう重要性を占めているところなんですか。
  78. 島田豊

    政府委員島田豊君) 対馬海峡はわが国と隣接している国とのいわゆる境界を形成いたしているわけでございます。ことに海峡でございますので、いろいろわが国の防衛上必要な情報を海峡面におきましてキャッチをするというふうな意味で、重要な意味を持っているというふうに考えるわけでございます。
  79. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 この対馬海峡を封鎖をするということはあれですか、日本防衛にとっていろいろな場合があるでしょうけれども、そういうことも当然考えられるのですか、そういう場合もあり得るわけですか。
  80. 島田豊

    政府委員島田豊君) もしわが国に進攻する勢力があるといたしました場合に、対馬海峡等を中心にいたしましていろんな活動をし、行動をし、それがわが国の侵略に直接関係があるというふうな場合におきましては、その海峡を中心にいたしまして、わが国の防衛という見地から所要の行動をとるということはございます。
  81. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そのためにも、それは日本だけではなかなかやりにくいことだ、やれないことはないでしょうけれども。隣接国というのは韓国でしょう。韓国と共同して対馬海峡の封鎖の問題も当然考えられる。そういうような韓国側の考え方をいろんな角度からキャッチしていかなければならないということ、あるいは連絡、こういうこともあって、防衛駐在官を韓国に置くようになったのじゃないですか。それがすべてというのじゃないけれども、それをも含めた形で防衛駐在官を置くということになり、そのことも一つ任務になっているのではないですか。
  82. 島田豊

    政府委員島田豊君) わが国の自衛隊の活動はあくまでわが本土に対する進攻に対処するためのものでございまして、それに関係のないものと申し上げますか、要するに、わが国の防衛に直接関係がない資料を収集するということはまあないと考えます。
  83. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これは対馬海峡の封鎖のことだって日本だけがやるわけじゃないでしょう。向こう側は韓国なんだから、韓国と一種の連絡をしたり、それから共同してやることもあり得るのじゃないですか。現に対馬海峡で日本と韓国とが共同して演習しているのじゃないですか。いや、その共同というのは一定の指揮下に入って、隊列の中に入っているという意味じゃなくて、同じ日なら同じ日にやっていることもあるのじゃないですか。
  84. 島田豊

    政府委員島田豊君) わが国の具体的な防衛計画を立てます場合、あるいは必要な訓練をいたしますけれども、それは韓国との関係は全くありません。
  85. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 韓国との関係はないというのだけれども、密接な連絡なり何なりをとらないでいて完全な防衛体制というものはとれないのじゃないですか。いまの対馬海峡の問題一つとってみても、日本が主導権を握るかどうか別として、そのことが一つの仕事になっているのじゃないですか。そういうことの事前の連絡なり何なりということもどうなんですか。
  86. 島田豊

    政府委員島田豊君) 防衛駐在官はそのようにわが国の防衛に必要な計画を立て、あるいは教育訓練を行なう、そういう特定の目的のために資料を収集する、あるいは情報を入手するというふうなシステムではございませんで、韓国における全般の軍事情勢というものの調査ということでございます。これが直ちに、したがいまして、わが国の防衛関係を持つということはございません。
  87. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 韓国における軍事情勢というものは、日本のそれとそれじゃどういう関係があるのですか、関係がないならそんなことをする必要はないのです。関係があるから防衛駐在官を韓国に貫いているわけでしょう。それは増田さんそうでしょう。それでないとおかしいですよ。そうじゃないですか、どうでしょう。
  88. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) イギリスにも置いてあるわけでございますから、イギリスとそれから日本とが共同してどうするということはないと同じでございまして、日本と韓国とは平和が回復したばかりでございます。また昔から平和は回復しておったにいたしましても、そういう意味で駐在官が行っておるわけではございません。ただ、アタッシェというわけで行っておるわけでございます。
  89. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 日本と韓国とで共同演習をやったことはないのですか。
  90. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) ありません。
  91. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 共同という意味は、一定の指揮下に入ってやっているという形を共同という意味じゃなくて、日にちを同じくして、向こうは向こう側、こっちはこっち側ということでやったことはあるのじゃないですか。
  92. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 私の知っている限りにおいてはございませんし、事実問題として全然ございません。
  93. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 台湾へ何か現地研修に行ったことがありますか。
  94. 中井亮一

    政府委員(中井亮一君) 台湾に三、四日程度、研修所の研修員が行っている事実がございます。
  95. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それはいつごろで、何人くらい行っておりますか。
  96. 中井亮一

    政府委員(中井亮一君) ことし六月に約三十人ほどの研修員が行っております。
  97. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 去年も行ったのじゃないですか。
  98. 中井亮一

    政府委員(中井亮一君) 昨年も同じような時期に行っております。
  99. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 去年のほうが人数が多いんでしょう。
  100. 中井亮一

    政府委員(中井亮一君) 大体いつも研修員の数は同じでございますから、大体同じでございます。
  101. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それじゃ、いつから台湾へ行くようになっているの。去年は六十人行ったのじゃないですか。
  102. 中井亮一

    政府委員(中井亮一君) 昨年から防衛研修所の研修員と航空自衛隊の幹部学校の高級課程の十五人くらいとが行っておりますが、大体六十人くらいになります。ことしも同じでございます。
  103. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 ことしは三十人だと言ったじゃないの。
  104. 中井亮一

    政府委員(中井亮一君) 研修所のほうが三十人ということを申し上げたので、両方足して六十人くらいでございます。
  105. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 台湾へどういう目的で研修に行くのですか。現地研修って何なんですか。どうもぼくらの考えている現地研修というものと、あなた方がやるのと違うかもわからないけれども、何で台湾へ去年から現地研修に行くことになったの、どういう経過から。
  106. 中井亮一

    政府委員(中井亮一君) 台湾の同じような研修所で同じようなことを勉強している国防研修院の人たち日本にも前から来ておりますので、同じような意見の交換、あるいは向こうの防衛研修所に当たるようなところに勉強というようなことで行っております。
  107. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 台湾へは去年からそういう形で行くようになり、沖縄に行くのも近来非常にふえてきておる。それから、サイゴンには駐在武官が去年置かれ、ことしは韓国へ置かれておる。こういう形でアジアに対する防衛庁一つの、何といいますか、ことばはどういうことばを使ったらいいですか、目というか、アイね、これが非常に深まっておるような感じを受けるわけですね。これは考え方によってはあたりまえのことかもしれないと思いますけれども、そこでいま言ったソウルにしろ、サイゴンにしろ、バンコクにしろ、みんなこれ駐在武官が一等陸佐が行きますね。一等であっても二等であってもいいけれども、陸佐が行くというのは、これはどういう意味なんですか。陸佐が一番適しておるのですか。陸佐というのは、陸海空と分けた中で陸が行くというのが適しているという意味ですか、これはどういうわけですか。
  108. 島田豊

    政府委員島田豊君) どこの国の駐在士官がどの自衛隊から派遣するかということについては、必ずしも確たる方針があるわけではございませんが、一般的に言えますことは、その国の主として陸上を中心にして軍事事情視察をする、その国の軍の構成上からいたしまして、陸軍について軍事事情を把握したほうが情報入手として非常に適当であるというふうな場合には陸上自衛隊から派遣をする。その国が非常に海軍というものに重視をしており、わが国の海上自衛隊としてもいろいろそういう意味参考になると思われるようなものにつきましては、海上自衛隊から派遣をするというふうな考え方はございますが、できれば、やはりそれぞれ陸海空を持っておるわけでございますので、陸海空それぞれ派遣をしたほうが望ましいというふうに考えておりますけれども、課程の関係で必ずしもそういうふうにまいりませんので、さしあたり何部を重視しているかというふうなことによって自衛隊派遣者をきめる、こういうことをやっておるわけでございます。
  109. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 陸海空の中で陸が行くことが日本防衛というか、そういうふうなものに関してあれですか、海空が行くよりも陸が行くほうがプラスになるのですか。いまの台湾とか、サイゴンとか、ソウルの問題ですよ。そこはどうなんですか。
  110. 島田豊

    政府委員島田豊君) 一がいにそうばかりとも申し上げられませんけれども、それはいろいろに考慮いたしましてそういう人選をいたしておるわけでございます。
  111. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いや、私の聞いておるのは、アジアに行くのが、日本の近所のそういうところに行くのが、陸の人ばかりが武官になって行くというところに、これはぼくは何か一つの意義があるのではないかというふうに考えるのですよ。ということは、それらの陸地における情勢、ことにそこでのたとえば、何というか、民衆というか、そういうものに対する陸の、どういうことばがいいですか、抑圧というか、何というか、ベトナムなんかでやっているジャングル戦とか、いろいろなものがありますね。とういうふうなものを日本防衛の中の、特にあなた方のいわゆる間接侵略ですね、こういうときにそれを参考にしようということじゃないですか。ゲリラ戦だとか、ジャングル戦だとか。日本にはジャングルがないかもしれませんけれどもゲリラ戦だとか、そういうのじゃないのですか、これは。どうなんですか。海空は行かないわけでしょう、海空はアメリカが握っているわけですから。日本防衛の中では主たるものは、日本の陸というのは間接侵略が中心でしょう。あとで出てきますが、それは局地戦のものもあるけれども、それに参考にするためには、陸を送っておいて、そこで起きている対民衆作戦というものを、日本自衛隊の中の参考としていろんな角度から取り入れようと、こういうことじゃないですか、これは。
  112. 島田豊

    政府委員島田豊君) たとえば南ベトナムにつきましては、南ベトナムの陸軍の活動ももちろんでございますけれども、それは非常に空軍の活動も激しいわけでございます。また、派遣されております米軍の場合におきましても、空軍の活躍というものは非常に大きいわけでございまして、したがって、南ベトナムにおきまして、特に陸軍のそういう特殊な作戦というものを主たる目的として調査をするということではございませんで、陸上自衛官が同時に空軍の活動、あるいは海軍の活動というものについても調査をいたしておるわけでございます。ただ、陸上自衛隊から派遣しておるというのは、これはいろんな、一つは人事の都合もございますし、その人の適格性もございますし、そういういろんな見地からも判断いたしまして人選いたすわけでございます。特にベトナムにおきましてゲリラ戦が非常に活発であるから、これについての調査をする、それを目的とするだけに陸上自衛隊から派遣する、こういうふうには考えておらないわけでございます。
  113. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 まあそういうことなら問題を変えていきますけれども、どうも私は納得がいかないような感じがいたします。なぜ国連の警察軍の行動自衛隊関係ということをいろんな角度からしつこく聞くかというと、これは三矢作戦などにも出てくるように、日本アメリカ一つの作戦計画の中に、アメリカが占領した場合のところへ日本のこの自衛隊国連警察軍として派遣をするのだというようなことが、一つの研究題目の中に入っているようなんですよ。そういう作戦はただいまどうなんですか。いろんなのがありますね、ニックネームのついたやつが。ああいうものに入っているからということが言われているから、どうもという感じでぼくは聞いているのですが、どうも私は納得がいかないわけですね。これは国連協力という形の中にまた問題がいろんな角度から出てくるのではないかと、いまこういうふうに思いますが、問題を別のところに転換しましょう。  そこで、前々から言われておりますることの中に、日本の平和がアメリカの核抑止力によって守られているということを増田さんよく言われますね。これはあっちこっちで聞かれて口をすっぱくしてお答えになっておられますから、大体私どもわかっておるわけですけれどもアメリカの核抑止力というものが現実にどこにどういうふうにあるのか。これは前に聞いたことがあるのですけれども、これが一つと、それから、それがきわめて相対的なものであるわけなんですね、これが。その点はどういうふうにお考えになっておるかということをちょっと御説明願って、それからあと質問に入っていきたいと思うのです。
  114. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 私も専門家ではないからあまりよく存じませんが、常識的な見地から、防衛庁長官としてお答えいたします。一般論として、アメリカの強大なる核兵器が存在しておること、これがすなわち世界全面戦争が起こらないゆえんである、戦争をなからしめるゆえんである、こういうような意味で、日本のほうにも利益がある、こういうふうにまず一般論としては言えると考えております。それから、今度は具体論といたしまして、日本周辺はどうかといいますと、日本周辺におきましては、沖縄にメースBという、到達距離は二千キロと言われておりまするが、あまり進歩的なものでなく、原始的な兵器らしいのですけれども、これがあるらしいということもしばしば国会におけるほかの機会においても申し上げております。それから、あとのことはあなたの存じておるとおりでありまして、グアム島あたりに長距離爆撃機がありまして、もしそれで核を積もうとすれば積み得る、いまは積んでおりません。そういうようなこと、これは日本のほうにも関係のある部面でございます。それからあとポラリスというものが西太平洋におきましても遊よくをいたしております。これはポラリスミサイルというものがありますから、これで日本が戦争がなくて平和が維持されておる、安全が保障されておるというふうに考えるゆえんでございます。
  115. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、沖縄が日本の安全に寄与しておる度合いといいますか、現状のような沖縄ですね、日本の安全に寄与しておる度合いというものはどんなものでしょうか。
  116. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) こまかいことは防衛局長に補足させますが、いま第一に、日本には三万六千ないし七千しかアメリカ陸海空はおりません。もっとも陸は補給部隊だけでございます。それから沖縄は四万五千おるわけでございます。この四万五千のものがおるということが、やっぱり日本自衛隊があるというようなことが外国から侵略してこないゆえんであると同様に、沖縄に四万五千のアメリカ陸海空軍がおる、日本におる陸海空軍は三万六、七千でございますが、アメリカは沖縄においてはそれよりもちょっと多いものを置いておるということだけで、その存在によって日本が侵略されない、日本の平和と安全が維持される、こういうふうに考えております。
  117. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それはいまは四万五千の沖縄における米軍の人数だけの話でしたね。それは前のメースBは、これはちょっと原始的な兵器で古くなって、いまあまりつくっていないということでしたが、そういうようなものの基地もあるということも含まってあれですか、日本の安全に寄与をしておると、こういうふうに考えていいわけですか。
  118. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 沖縄が日本の安全に寄与しておる部面だけをお聞きになりますから、そこでその部面を答えましたので、いま申し上げたとおりでございますが、繰り返せと言われれば繰り返しますが、いま申し上げたすなわちメースBの存在もやはり一つの抑止力になっている。それから陸海空軍四万五千が沖縄に基地を持ち、駐とんしておるということも戦争を抑止しておる力であり、日本の本土に対する侵略がない方面に寄与をしておる、こう考えております。
  119. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、あなたのお考えによりますと、これらの二つのものがなくなった形で沖縄が日本本上に返還されることであると、日本防衛に影響があるということになりますか。
  120. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) これは沖縄委員会のときにあなたにお答えいたしましたが、各般の問題がうまく解決できて、日本に全面的返還があればよろしいと希望しておる点は、稲葉さんと私とは全然同じ意見でございます。しかしながら、沖縄の基地の存在というものは日本の平和と安全並びに極東の平和と安全、日本に影響のある、そういう方面に寄与いたしておりますから、調和ある関係において解決ができたならば、日本に全面的に返還されることを希望しておる点は稲葉さんと全然同感でございます。
  121. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 質問と答えとが相当違っておるわけですが、私の質問は、あなたが沖縄にメースBと、それから四万五千のアメリカ軍がおるということが日本防衛に、日本の安全に寄与しているというようなことですから、だから、それがなくなった形で沖縄が日本本土に返るということであっては、日本防衛に影響があるのですかということですね。あなたのお話聞いていると、それはそのとおりだ、影響はあると、いまはですよ。いまの段階でこの二つのものがなくなって日本本土に沖縄が返還されれば日本防衛に影響があるんだと、こういうふうにお聞きをしてよろしいですか。
  122. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) さように思います。
  123. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そういうことになると、防衛庁としては、沖縄の返還ということについては、現状を変更しないということにおいて返還を求めない、というと日本防衛に支障を来たすおそれがあると、こういうふうになるんじゃないかと、こう思うのですが、そういうふうにお聞きをしてよろしいでしょうか。
  124. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) これも沖縄問題であなたにお答えいたしましたとおりのことをまた繰り返すことになりまするが、沖縄は――対日本ということだげをあなたおっしゃいましたから、私は対日本のことだけを申し上げておきます。対日本の侵略防止に相当の効果を発揮しておるのが沖縄における米軍基地でございます。それから沖縄の問題のときには申し上げましたが、プラス極東の上平和と安全にも寄与いたしておる。でございまするから、その関係を何らかほかの形で解決できればけっこうである、ほかの形で解決できて、横田とか、厚木ぐらいの範囲で全面的の施政権、すなわち行政、立法、司法の三権が返ってくればけっこうだと私は思っておりまするが、その解決その他のことはまだ問題ではないかと、私一人で解決できる問題ではないと思っております。
  125. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 ちょっとよくあなたのおっしゃることがぼくはのみ込めなかったので、再度お尋ねして恐縮なんですけれども、沖縄委員会は別として、あすこであった議論も必ずしも十分な議論ではなかったように思うのですが、いま、あなたは何か横田とか、どこでしたっけ――ああ、厚木等がどうだとかいうお話があったのですが、よくわからなかったのですけれどもね。それは、ぼく頭が悪いものですから、ひとつわかりいいように説明してくれませんか、ちょっとわかりにくいんだ。
  126. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) アメリカ軍が考えて極東全体の平和、日米安保条約でも極東の平和と安全のため日本も多少の協力をいたすことに第六条でなっておりますから、ただ、アメリカが極東の平和と安全を保持するためにも効率的な基地であるということは稲葉さんもお認めでございます。そこで、できれば横田、厚木ぐらいの基地になって、もっともこれは島ではないから、横田、厚木というのは内陸の中ですから、ちょっと違います、港もないですから。ただ、そんなような性質のものになって返ってくる方法もあるのではないかということを申し上げたこともありまするが、しかし、まだなかなかこの問題はむずかしい問題でございまして、防衛庁長官一人では解決しにくい問題でございますと、こういうことを言っているわけです。
  127. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これまた頭が悪いのでおしかりを受けるかもわからないのですけれども、横田、厚木のような基地になって返ってくる、そういう意味ですか、沖縄が。はっきりしないな、話が。よくわからない。ぼくも聞いているうちにちょっとわからなくなっちゃったのだけれども、横田、厚木のように……。
  128. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 沖縄がです、沖縄の基地が。
  129. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 沖縄の基地が横田、厚木のようになるのですか
  130. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) なって返ってくれば望ましいが、しかし困難である。
  131. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 前の話といまの話とちょっと違うようなんですが、ニュアンスが少し。だいぶぐるぐると回ってわからなくなっちゃったような感じですね。ちょうとごまかされたかな。そんなような感じを受けるが、私の聞いているのは、これはわかり切ったことを聞いているのかもわからないのです。ただ、答えがぴんとこないから、あっちこっちつついてきておるのかもわからないですが、ぼくもそう思うのですが、わかりました、それは。  そうすると、防衛庁としては沖縄が現状のような形であるほうが日本防衛にとっては、これは好むとか好まないとかいうことではなくて、そのほうが日本防衛に役立っているのだ、現実の状態の中では。だから、その変化ということは日本防衛なり極東の情勢に影響を与えることになるということから結論をこう考えてくればわかるじゃないか、こういうふうにお聞きしていていいわけですね。
  132. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 総理大臣は、つまり政府を代表するのですから、総理大臣は、全面的に返ってくることが望ましいということをいつも両院において申しております。私もそうなんです。そこで現状ということはどういうことかというと、結局分析してみますというと、日本の施政権のもとに全面的に入るということなんですから、そこで基地はあって、その基地というものの性質は横田、厚木のごときものになるのじゃないかと増田甲子七が想像しておるわけですが、しかし、横田、厚木以上に、港もございまするし、それから現在メースBも配置されておりまするし、その兵たん基地等にもなっておりまするし、補給基地等にもなっておりまするから、これ、ただ私は横田、厚木ということを一応言ってみたのですが、各種の問題がございまするからなかなか困難であると言ったので、困難なほうへ少し力を入れてお話しを申し上げたわけであります。
  133. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、話はまたあとで戻ってくることになるとは思いますが、いまの日本の平和というものがアメリカの核抑止力によって維持されている。これは安保条約の関係で維持されているということになってくると、さあその自衛隊というものは一体必要なんだろうかということが常識的には考えられるのですね。これはあなたのほうでは、いやこういう点、こういう点必要なんだというふうに答えが出てきますよ。それはわかりますがね。そうすると、自衛隊はあれですか、核戦争ということについてはもう無力なんですか。
  134. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 無力でございます。
  135. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、自衛隊は何のために存在をしているわけなんですか。
  136. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 国防の基本方針、第一次防衛三カ年計画、それから一カ年、間がありましたが、第二次防衛五カ年計画、第三次防衛五カ年計画等に書いてございますとおり、通常兵器による侵略者の局地的侵略に対処する実力と、これを整備充実すると、こういうことでございまして、その存在は意義がある、有意義であると、こう考えております。
  137. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 侵略ですね。そうすると、あれですか、いま日本に対して直接侵略の脅威というか、そういうものが危険があるとあなたはお考えになっていますか。
  138. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 具体的にはあるとまでは断定できませんが、あり得ると考えております。
  139. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いま、そのあるというのと、あり得るというのと、具体的にどういうふうに違うのですか。
  140. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) あるというのはだいぶ差し迫った感じでございまするが、あり得るというのは、ちょっと違うのではないでしょうか、ことばのことを非常に厳密におっしゃる学識の高い稲葉さんにしてはおかしいと思います。
  141. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 なかなかあなた、あれですね、お年寄りのわりにと言っては失礼だが、なかなか闘志満々でなかなかいいところがありますね。なかなか防衛庁長官らしいと言っては悪いけれども、なかなかファイトがあってよろしいですね。そこでね、海原氏が書いたやつになってくるのだけれども、これは書いた海原氏に聞くのも変かもしれませんけれども、海原氏がちゃんといろいろな講演をして、ぼくのところにまで持ってきた本があるのです。この前ぼくがあげたからかもわかりませんけれども、直接侵略の危険はいま十分あるのだ、脅威は現存していると考えているということをはっきり言っているのですね。これは官房長がどこかでしゃべったのをちゃんと本にして出しているのですね。これといま増田さんの言うのとちょっと違いますね。そこはどうなのですか。――ちょっと待ってください。これは官房長ではなくて増田さんにお聞きしますけれども、あなたのところの官房長は長くいる人ですね。その人があっちこっちに行ってしゃべった中で本にして出した中に、いろいろ並べた中で、直接侵略、間接侵略の危険は十分ある、脅威はすでに現存していると考えております、こう言っておりますね。そのことといまのあなたのおっしゃったこととだいぶ違うのではないですか。まずそのことを増田さんのほうからお聞きしますがね。
  142. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 官房長の書いたものを私に答弁させるというのもこれは妙な話ですが、お答えしますが、私は事があることに備えておるのが自衛隊であると思います。事があるということ、有事ということ、有事ということはあり得る脅威ということでございまして、あり得る脅威に備えてこれを設置し、そうして平素において猛訓練を行なっておる、これが自衛隊の姿であると思っております。
  143. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、防衛庁長官としては現在はないのですか。今はないと言うのですか、直接侵略の危険性は、ないと言うのですか。ないけれども、将来あり得るかもわからぬということなのですか。
  144. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) あり得るということはあり得るということです。
  145. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 私が聞いているのは現在あるかということを聞いているのです。あなたのお考えではあり得るということの中には現在のことも含んであり得るということをおっしゃっていると、こうお聞きしてよろしいですか。
  146. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) あり得るということは、今日以後、相当将来にわたってあり得ます。
  147. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 くどいようですけれども、今日以後の今日ですから、結局、現在直接侵略の危険があるのだ、それも含んでいるのだと、こういうふうに承っていいですね。
  148. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 私はあくまでもあり得ると言っているのでございます。
  149. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 ぼくはいまの質問が、いいですか、どういう影響を及ぼすかということもぼくは考慮するものだから、ですから率直に言うと控え目にしているつもりなのですね。あなたのその答えによって次々に出てくれば、これは日本の外交問題に悪い影響を与えても非常に困りますからね。それは考えなければなりませんから、だから、ぼくもあれしているのですけれども、そこらのところはちょっと全体のニュアンスが何か違うような感じが私はするわけなのです。しかし、これは官房長にどうこう言うのはやめましょう。あなたのお考えで大体わかりました。  そこで問題になってくるのは、自衛隊が、いいですか、局地的に、何と言うのですか、核を用いない戦争ですか、戦いですか、それに備えるためにあるのですか。それはあれですか、警察予備隊のころから、そういう考え方だったのですか。
  150. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 警察予備隊のときは私はその創設に参加いたしましたが、警察力の不足を補うというわけでございます。あと保安隊のときにはだんだん性質が変わってきております。自衛隊になりましては自衛隊法に基づいて存在しているわけでございます。
  151. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 だから、いまあなたの言った在来兵器によるところの局地戦に備えるというのでしょう、自衛隊は。それが一つの大きな仕事になっているわけでしょう。それは警察予備隊のころからずっと同じ任務を持っていたのかと聞いているのです。現在の自衛隊法ができてから初めて持つようになったのですか。警察予備隊、保安隊、それからいまの自衛隊でしょう。
  152. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 警察予備隊のときといまとは違うのでございまして、警察予備隊は警察力の不足を補う実力部隊、こう考えております。それから保安隊のときには警察予備隊よりも強力なものでございまして、保安隊だけではいけないということで今度は自衛隊ができまして、通常兵器による侵略に、局地的侵略に対処する実力、こういうことに相なったわけでございます。
  153. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それはどういうふうなことからそういうふうに変化してきたのですか、どういう事情からそういうふうに変化してきたのですか。   〔委員長退席、理事八田一朗君着席〕
  154. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) それは日本の置かれてある立場、それから独立主権国家になったのは昭和二十七年の四月二十八日の午後十時半でございますが、だんだん変わってまいりまして、実力部隊といたしましても、最初は国内の騒乱、暴動等に備えるような警察力のあくまでも補充部隊でございました。それが保安隊となればその強力なるもの、自衛隊となっては今度は侵略者の局地的侵略に対処する実力を持たしめる、そういうことにだんだん独立主権国家としては、自衛力は国力、国情に応じまして充実整備するのがお互いにプライドとしても、稲葉さんのプライドとしても当然ではないかと私は考えております。
  155. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 個人のプライドを問題にしているのではないのですよ。私のプライドなんかどうでもいいので、独立国家だからプライドとして自衛隊を持たなければいかぬということなんですか。プライドの話が出たから聞くのですけれども、そういうことなんですか。それではぼくが聞きますのは、日本自衛隊の正式な名前は英語でいうと何というのですか。あなた英語が非常に得意だから。
  156. 島田豊

    政府委員島田豊君) セルフ・ディフェンス・フォース。
  157. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 だけれどもアメリカあたりの雑誌なんか見ても、そういうむずかしいことばは使っていませんね。みんなアーミー、アーミーと言っているでしょう。アメリカの雑誌、どの雑誌にもアーミーと使っていますね。そうでしょう。その点どうですか。
  158. 島田豊

    政府委員島田豊君) アメリカでも厳密に使います場合は全部やはりセルフ・ディフェンス・フォースということで使っております。あるいは一部軍事関係の雑誌でアーミー、ネービーということを使うことがあるかもしれませんけれどもアメリカでも正式にはセルフ・ディフェンス・フォースということでございます。
  159. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 どこでもアーミーと使っていますね、雑誌では。アーミーのがわかりいいですからね。そうすると、アメリカのいわゆる――アメリカはアーミーでしょうけれども、それと日本自衛隊とはいろいろな面で違いがあると思うのですが、どこが違うのですか、いろいろな面で違うでしょう。たとえば性格なんかも違う。いろいろあるでしょう。そういう点はどこが違うのですか。
  160. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 日本の実力部隊、自衛隊という実力部隊は――憲法九条一項というのは方々の国にあるわけです。憲法第九条第一項は方々の国にあるのですが、これはよく誤解して、憲法九条第一項がない国があるという話でございますが、相当ございます、あなたの御承知のとおり。第二項のある国は日本だけでございまして、そこで戦力に至らざるものである、戦力に至らざる実力部隊である、軍隊ではない、こういうふうに考えている次第でございます。
  161. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、あれですね、アメリカの軍隊の持っておる自衛権――アメリカの軍隊だって自衛権持っているわけでしょう。アメリカでなくたっていいですよ。どこでもいいですよ。アメリカの軍隊が持っている自衛権と日本自衛隊が持っている自衛権と違いはあるんですか。これはどうなんですか。
  162. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) つまり、陸海空その他の戦力はこれを持たない――もっとも憲法学者によって、前項の目的をもってというところに力を入れる人もございましょう、これは。現に芦田さんなんかは、憲法制定議会の特別委員長として、前項の目的をもってという字へ特に力を入れた方でございます、委員長として。また、そのことを報告もしておりますし、速記録もございます。ただわれわれは、前項の目的をもってという字はあまり力を入れて読んではおりません。「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。」、それからそれに続いて、国の交戦権はこれを否定する、こう書いてございまするから、正当防衛として侵略者に対処する実力はあります。実力を発揮したときでも、交戦権に基づく各種の権利の行使はしないと、こういうことでございます。その点が違います。たとえば、第三国の船を臨検、拿捕するというようなことございますね、国際公法上。これは交戦権から出るものでございます。あるいは、日本ではそういうことはないでしょうが――まあほかのことは、交戦権に基づくいろんな権利はないということでとめておきます。
  163. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いや、とめなくたっていいんですよ。だから、私の聞いているのは、アメリカの軍隊の持っておる自衛権――アメリカの軍隊が日本にいるわけですね、だから聞いているわけですよ。アメリカの軍隊の持っている自衛権と日本自衛隊の持っておる自衛権と一体どう違うのか。交戦権というようなことは自衛権とは関係ないでしょう。自衛権を行使した結果としての交戦権ですわね。だから、自衛権の範囲とか、そういうようなことについては、アメリカの軍隊も日本自衛隊も同じですか。
  164. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) アメリカが自衛権を持っているのは、世界各国が自衛権を持っているのと同じ形でございまして、九条二項はないんですから、九条第一項みたいなものはかりになくても、ケロッグの不戦条約に加盟している国は――条約と憲法は同じであるということでございますから、ケロッグの不戦条約に加盟している国は――いま全世界の国際連合に加盟している国はほとんど加盟しておりますから、相当大多数。そこで、第二項の違う範囲だけ違うということで、ひとつ法曹の大家であるあなたにおいても御了解願いたい。すなわち、交戦権に基づいて、つまり自衛権を発動した場合の態様が違うんですよ。日本は、発動した場合に、第三国船等の兵器を、日本に対する侵略者――正確なことばを使わなければなりませんが、侵略者に供給するという疑いが濃厚である場合は、戦時国際公法に従いまして、交戦権のある国は、第三国の船を臨検し、調査し、拿捕するというようなこともできます。日本ほそれができないというようなことで、アメリカが自衛権を発動した場合には、第三国の船で、そうしてアメリカの交戦しておる相手方に供給するであろう第三国船舶を、停船を命じ、臨検をし、拿捕するというようなことができると思います。
  165. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それだけですか。
  166. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) あと、自衛権の範囲と――つまり日本も自衛権というものはある程度ありまするが、第九条第二項の制約を受けておるということでございまするから、アメリカと態様が違いまするが、自衛権はあるということはこの際明瞭にしておかなくちゃなりませんが、その自衛権を発動した態様は、いま一つ申し上げましたが、あとのことはだんだんと法制局長官とも打ち合わせまして、いま即答する能力は実はございません。
  167. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 自衛権のあることは、私も認めております。これはあたりまえな話なんで、これは自衛権の行使の態様というものが無制限に拡大されて解釈をされてきているから、だからいわゆる日本自衛隊というものとアメリカの軍隊の持っておる自衛権というものが具体的にどういうふうに違うのか、行使の制限がどう違うのかということをぼくは聞いているわけなんですね、大事なところだと私は思いますよ。具体的にどう違うのかということですね。これは憲法の条文を言われたけれども憲法の条文がかかってきたとしても、具体的にどう違うのか。アメリカがやれる場合でも、日本ができない場合もあるでしょう。アメリカがやれるけれども日本ができないというのは、どういうことですか。
  168. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 前々からお話を申し上げておるのは、第一装備でございます。装備が――いつも総理大臣も私も申し上げておりまするが、外国に脅威を与えるような武器は、これを持つことはできない、ことに核兵器のごときは持ち込ましめず、製造せず、保有せず、これはやはり九条二項の精神に照らしてやれないことである、こう考えておる次第でございます。その他具体的事例をあげろと言われれば、だんだんと調べまして、だんだんあげますけれども、やはり時間の関係でお許しを願えれば幸いだと思います。
  169. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いやいや、脅威を与える武器を日本は持つことができない、アメリカは持つことができるの。
  170. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 私は、外国に脅威を与える武器は、自衛権の範囲からして道徳的におもしろくないということは、これは言えると思いますが、あとアメリカ憲法に照らしてアメリカは相当のものを現に持っておりまするし、ソ連の憲法に照らしてソ連も持っておりまするし、やはり持てるのではないか。遺憾であるというようなことは、これは別問題です。私は遺憾であるとは思っております。遺憾である、残念なことである、こう思っておりまするが、外国に脅威を与える武器をそれぞれ持っておるということは、それぞれの国の憲法に照らしてまず違憲とは言えないんじゃないでしょうか。よその国の憲法解釈まで私はする必要はないと思いますが、お答えいたしておきます。
  171. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 日本が外国に脅威を与える武器を持つことができない、わかりましたね。それはそのとおりずっと続いてきているわけですね。外国に脅威を与える武器を持つことができるアメリカの行き方というのは、日本憲法の精神に反するわけですね。
  172. 増田甲子七

    ○国務大屋(増田甲子七君) 日本憲法アメリカまで支配しておりません。
  173. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 日本憲法アメリカを支配していないというのは、あたりまえのことです。それは外国支配することはできませんから。日本憲法の精神とは違いますね。反するとか反しないというとあれですけれども、違うわけでしょう。いま言ったように、日本憲法では外国に脅威を与えるような武器を持つことはできないと言っているんですから、聞いてみると、アメリカは武器を持つことができると言っているんですからね。そういう国と同盟を結んでいるところに、ぼくは――これはあとの問題になりますが、あとの問題はあとの問題ですけれども、だから、そういうふうなことは日本憲法の精神とは反すると言えば語弊がありますけれども日本憲法とは違うことは違いますね、日本憲法の規定と違う、それははっきりしているんですから。日本憲法の精神とは相反しているんじゃないですか、アメリカの行き方は。
  174. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 私は、憲法九条二項といわんより、もっと上のことを言っております。つまり、全世界に戦争がないとか、それから全世界が武器に対してさようならというようなこと、そこまででなければ、すべて遺憾である、こう考えております。ただしかしながら、世の中のありさまを見ましても、警察が必要でございます。人殺しもありますから、これは遺憾だけでは済みませんから、警察の実力部隊が行きまして人殺しを逮捕するというようなことがあるわけです。遺憾というだけでは、自衛隊の存否に対して、これが存在が遺憾であるというようなことは言えないんじゃないか。自衛隊の現在の範囲の存在はやむを得ない、必要である、こう考えております。
  175. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 自衛隊の存在がやむを得ないのですか、そういうことですか。
  176. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 最高道徳の見地から見て、あらゆる武器がないほうがこれはいいと思います。そこで、日本自衛隊というものは、全世界の現状にかんがみまして、現在ある自衛隊、この範囲のものはやむを得ないというよりも、むしろ必要であるというほうに力を入れました。
  177. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 私はあなたに好意的に聞いているのです。防衛庁長官自衛隊の存在はやむを得ないと言ったら、自衛隊の中はたいへんな騒ぎじゃないですか。何だあれはということになっちゃうのじゃないですか。そういう意味で、わざとあなたにそういう答弁の機会をお与えしたほうがいいと思って、非常に好意的にいま聞いたわけなんですよ。だいぶ紙が回ってるけれども、(笑声)紙が回るのは自由ですが、私が言うのは、おかしいのですよ。いいですか、日本憲法では外国に脅威を与える武器を持つことはできないというのでしょう。それが日本の国土を支配しているわけですよ。そういう日本が外国に脅威を与える武器を持つことのできるアメリカと同盟を結んでいくことはおかしいですよ。ぼくはそこを言うのですよ。そこら辺の話になってくるのですが、これはあまりこまかい議論になってきて恐縮だから、別の議論に進めましょう。  そうすると、あなたが言われるこの局地的な、何というのですか、限定戦争というのですか、局地的な限定戦争というのは、これは具体的に日本の国土を見てどういうことが考えられるのでしょうか。これは特定の国の名前をあげたりなんかしますと差しさわりがありますから、そういう話はもちろん抜きでけっこうだと思うのですけれども、ぼくは日本で具体的にどういうような局地的な限定戦争というものが考えられるのかわからないのですよ。
  178. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 通常兵器をもってする日本に対する侵略を普通は通常兵器による局地的侵略と、こう言っておるわけでございます。
  179. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それはわかってるのですよ。それはわかってくるのだけれども、それはどういうふうに考えられるかというのです、日本周辺で。ということは、アメリカは核の抑止力があるわけでしょう。核の抑止力があるのに、相手の国がまかり間違えばそれに入るかもわからないというのに、それは核を用いないにしても、限定的な局地戦なんていうことがあるのですかね。それはヨーロッパや何かのように、アジアのほうの国のように、土地がずっと続いておるという場合には、ある場合考えられないこともないかとも思いますけれども日本のように海に囲まれている国で具体的にどういうことが考えられるのですかね。一つ例をあげて、一つでも二つでもいい、具体的にわかりやすく話していただけないでしょうか。私たち、ほんとうに、こういう防衛問題というか、軍事問題はしろうとでよくわかりませんから、ほんとうにわかりやすくぜひお話を願いたいと思うのです。
  180. 島田豊

    政府委員島田豊君) わが自衛隊は、直接及び間接侵略からわが国を防衛するということを任務としておるわけでございますが、直接侵略の態様というのは、これはいろいろなことが予想せられるわけでございますが、空からも参りますし、海からも参りますし、あるいは直接の上陸ということも考えられるわけでございまして、わが自衛隊はそういうあらゆる機会に対処するための防衛力を整備いたしたいということでございます。
  181. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それはどういう状態のときにそういうことが起きるのですか。何もないのにいきなりばんとそんなことをやってくるのですか。そんなことは考えられないじゃないですか。
  182. 島田豊

    政府委員島田豊君) 稲葉先生は、米国の核抑止力のもとにおいては通常兵器による局地戦的なものは生起しないではないか……。
  183. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうは言わないけれども、よくわからないというのだよ。
  184. 島田豊

    政府委員島田豊君) これは具体的には申し上げられませんけれども、とにかく第二次大戦後、各地における紛争を見ておりますと、米ソの核のバランスのもとにおきましても、現実にいろいろな紛争あるいは戦争というものが生起しておるわけでございまして、私どもとしては、そういう事態に対処することを考えているわけでございます。
  185. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 だから日本の場合――じゃ世界各国でそういう限定された戦争が行なわれたというのでしょう。ベトナム等、いろいろなことがあるでしょう。それはどういうようなファクターがあるときにそういうものが起きてきているのか。その原因というか、そういうことですよね。それがいま日本にそういう情勢があるのかないのかということなんですよ。要件というか、そこら辺のところが問題ですね。それは、あなたのほうとしては、国内の情勢というものの分析をしているわけですから、ですからそこで、いろいろ言いづらいというか、刺激するということもあるから、なかなかうまく言えない点があって、言いたいことは言いたいけれどもそこが言えない点があるかと私は思います。その点は私も理解しているつもりですけれども、どうもよくわからないのですよ。抽象的にあるということだけで、具体的にどういうことが考えられるかわからないからしつつこくお聞きしているのです。日本の国内がどういう、状態のときにそういうことが起きるのかお伺いしているのです。
  186. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 事はいろいろ政治的にも関係しておりますから申し上げますが、自衛隊はその存在によって局地的な通常兵器による侵略をされないようにするということに一番力を入れているわけです。こんなことは、国会議員の各位においては御如才ないわけでございますけれども、深い御理解をいただきたいと思います。自衛隊設置され、訓練をいたしておるということによって、通常兵器による局地的侵略がないように、そうして一億国民がまくらを高くして眠れるようにしておる。つまり、自衛隊の存在というもので局地的侵略がないのである、私はこのことを特に強調いたします。自衛隊が存在しているから局地的侵略がないのである。自衛隊が存在しなかったならば、通常兵器による局地的侵略はあり得ます。これは世界各国にあり得ると言っていい、あり得ると。そこで、それは都道府県のうちでどこどこがどうなるこうなるということは、それは言いにくい問題だから言えません。
  187. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 自衛隊の存在によってあれですか、局地的な、何といいますか、そういうふうなものがないように現在なっているというわけですね、現在。そうですが。そうするとあれですか、日本周辺の国が日本に対して、そういう局地的なアグレサーというか、そういうものを考えているというか、なんかということを前提としているわけですか。そうでなければおかしいですね。
  188. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 私はこの際やっぱり明瞭にしておきますが、侵略者ということばですべて自衛隊に私が指示をいたしております。そこで、侵略国家というようなことを想定する場合もございましょうけれども、われわれは仮想敵国とか対象国ということばは――仮想敵国というようなことはもちろん使いもしませんし、考えてもおりません。それから侵略するであろうかもしれない勢力というものは四つばかりありまして、第一は国でございましょう。第二は国際公法上認められた交戦団体、第三には、まだ国家としての存在を否定されているけれども、しかし一つの国家的存在であるオーソリティー、それから第四には強力なる大国というようなものが侵略する可能性があるのでございまして、これらに対して対処する、しかも通常兵器によってきた場合に対処する。しかしながら、対処するという力があれば実は侵略がないようになる、こう考えております。しかし、全面的に対処できるとは考えていませんから、日米安保条約によってアメリカの力をかりまして、そして共同防衛をいたしておる、これが実情でございます。
  189. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、そういう局地戦というものにたえ得る力としては、どの程度のものがあれば局地戦というものにたえ得るということになるのですか。それが起きないようになるのですか。日本にどの程度の、そういう戦力か何か知らぬけれども、そういうフォースがあれば局地戦というものが起きないようになるのですか。
  190. 島田豊

    政府委員島田豊君) 先ほど長官から申されましたように、何と申しましても、やはり戦争を未然に抑止する、侵略の未然防止ということが自衛力整備の一番大きな問題でございまして、万一侵略が生起いたしました場合にこれを排除する。もちろん排除するにつきましては、それ相当の実力がなければならないわけでございまして、要するに相手国をしてわが国に対する侵略の意図を起こさせない、あるいは侵略の意図がありました場合にもこれを挫折させるという実力がわが方にあるということが必要でございます。ただ、御承知のとおりに、今日のわが自衛力というのは、わが国だけであらゆる事態に対処するという力を整備しようとするものではございませんで、日米安保体制を基調としてわが国みずからもできるだけの力を持とう、こういうことでございます。したがいまして、現在の自衛隊の力単独でそれに対する未然防止力があるかということになってまいりますと、私はそうはいかないというふうに考えるわけでございまして、ただそれが具体的に、たとえば飛行機が何千機、艦艇が何万トン、陸上自衛官が何万人おれば、これが要するに戦争抑止力になるというふうなことは、これは要するに相手国の能力の問題もありますし、基礎の問題もありますので、一がいには言い得ませんけれども、少なくとも現状におきまして、わが国単独であらゆる事態に対処するということは、これは困難であるというふうに考えておるわけであります。
  191. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、安保条約によって補完しているわけでしょうが、そうすると、自衛隊は千人や二千人数がどうであろうと、局地戦ということに関連しては、そう力の違いというものは起きないわけですな。
  192. 島田豊

    政府委員島田豊君) わが国みずからもできるだけの防衛努力をいたしまして、他からの侵略にできるだけ対処する能力を持とう。そのためには、国力、国情に応じて漸進的にこれを整備していくというのが従来からの一貫した方針でございます。私どもが今回お願いいたしております増員につきましても、やはり現在のたとえば陸上自衛隊につきまして申し上げれば、陸上自衛隊の現行体制というものをできるだけ内容を充実していく、またそこに現状の自衛力というものを基礎にしまして、それをできるだけ近代化し、さらに活用をはかっていくという意味で、たとえばヘリコプター部隊等の増員をお願いをいたしておるわけでございまして、人数が千五百人であるから、それは要するに抑止力の中におきましては大きな位置を占めない、こういうことにはならないのでございまして、私は非常にこれは大きな力になるというふうに考えておるわけでございます。
  193. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いまの局地戦というふうなものが考えられるときに、それじゃ日本自衛隊が二万人ぐらい欠員があっても別に抑止力ということにはあまり関係ない、そこはどうですか、長官。   〔理事八田一朗君退席、委員長着席〕
  194. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 私どもは、三次防の終末においてぜひとも陸上実力部隊は十八万人にいたしたい、とりあえず十七万一千五百人でございまするが千五百名増員いたしたい、こう考えている次第でございます。  なお、欠員のことは非常に遺憾でございまして、順次充員してまいりたい、こう考えておるわけでございます。
  195. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いや、定員を充員するとかしないとかいう話じゃなくて、いま一万七、八千人欠員があるわけですか、あっても局地戦というものを起こさせないだけの力が自衛隊にあるのかということですよ。これは安保条約で補完し合うにしても、あるのかと、こう聞いているわけですよ。質問意味、わかりますか。わからないかな。わからなければ、もう少し説明しますがね。いま自衛隊は欠員あるわけでしよう、二万近くね。二万近い欠員があるというのが現状ですね。現状でも何でしょう、安保条約という力をかりてか何かで、外国に対する局地戦を起こさせないために抑止力になっているかどうかというのですよ、そういうことを聞いているわけです。
  196. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 相当程度なっておりまするけれども、まだ欠員がございまするから、順次充員してまいらないとなかなか抑止力としても不十分であると考えておるわけでございますが、しかしある程度の抑止力になっていることは事実でございます。しかし、欠員が補てんされ定員が増加されないと不十分である、こういうことでございます。
  197. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これ以上そこのところを質問していくとあなた方のペースになってしまうといけないから、こっちも用心しますがね。  そこで、いま言ったものはそうするとあれですか、局地戦における抑止力というものは、自衛隊アメリカ軍との力の割合はどの程度になっているのですか。核じゃないですよ、核の問題には関係ないのだから。いまのは局地戦でしょう。局地戦に対する抑止力というものは自衛隊アメリカ軍との両方でやるというのでしょう。そうすると、どっちがどの程度のウェートを持っていることになるのですか。
  198. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) その局地的侵略の態様にもよりまするが、核がないと仮定いたしますね、そういう点でございますが、核がないという前提に立ちますというと、やはり局地戦の中の小規模のごときものは、安保条約第五条が働くことは明瞭でございまするが、日本の実力部隊がある程度その存在の意義を果たさなくてはいけないと、こう考えております。  あと一つ一つの例は、一つ一つ御提示になれば、具体的に防衛局長その他からお答え申し上げさせたいと思います。
  199. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いまの局地戦というものは、核がないことを前提としているというお話でしたね。そうすると、核のあるものと核のないものとのぎりぎりのところにまで高まってきた局地戦というものも、当然考えられてくるのじゃないですか。ある程度の核が使われる局地戦ということも考えられるのですか。そこはどういうふうになっているのですか。
  200. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 先ほどの稻葉さんの御質問が、核がないという場合の局地戦においてということで、前提をあなたのほうでおつくりになっての私に対する御質問でございまするから、その御質問に対して私も先ほどの答弁でよろしいと思ったのです。  それから、局地戦で核があるというふうなことは、私はちょっと通常兵器による局地戦というわけで、局地戦にあるいは核があるのかどうかわかませんが、わが自衛隊というものは通常兵器による局地戦でございまして、二つの条件があります。でございまするので、核がある場合というふうなことを設定してお聞きになれば、またこちらも考えまして御答弁申し上げます。
  201. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、局地戦の場合でも核を相手方が使うことを――核の大きさとかなんとかいろいろあると思いますけれども、そういうふうなものも考えているのですか、防衛庁としては。そうして、それに対する対策を立てているわけたんですか。
  202. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 私どもは、局地戦というときには、核を実は考えておりませんが。
  203. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いないわけでしょう。
  204. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) なお、防衛局長以下で私の発言が違っておれば訂正させますが、普通局地戦といえば、核を使う全面戦争に対応する本のであって、局地戦といえば核を使わないんじゃないか、こう考えておるわけでございます。
  205. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 何か私の聞き違いかもわからぬけれども、いま私もそういうふうに初めから思っておったわけです。ところが、いまの増田さんのお話を聞くと、何か局地戦で核を使う場合もあり得るようにいまちょっと聞いたのですが、私の開式違いかな。そういうふうなことも考えて防衛庁としては対策を練っておるというふうにちょっと聞いたのですが、それは私の聞き違いですか。だから、局地戦の場合は、ぎりぎりのところまで行っても核を使うことはないんだ、あり得ないんだという前提で対策を立ててやっているわけですか。
  206. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) おことばをお返しするようですが、最初に、核を使わない局地戦と仮定してと言って、あなたが局地戦に二種類あるような御質問だったのです、ほんとうは。私のとり違いだったら私が訂正いたしますが、核を使わない局地戦というようなことは通常言わないんじゃないか。核を使う場合には、全面戦争というようなことにおそらく言うんじゃないかと思っております。そこで、核を使わない通常兵器による局地戦と――これは二つ条件がありまするが、局地戦といえば核を使わないことであるというふうに、私もしろうとでございますからまあしろうと的な答弁をいたしますが、なお専門的に、ことばが違っておりましたならば、防衛局長から補足させます。
  207. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それじゃ、時間がきょうはもう少しということですから、お尋ねするのは、そうすると、局地戦というのは、従来は、ある年月を日本が――日本というか、自衛隊ががんばっていると、そしてあとはどこかアメリカから何か来て助けてくれるのだというような答弁がよくありました。一カ月間持ちこたえればだいじょうぶなんだというような答弁がありましたが、よく前には。いまでもそういうこともあるのですか。局地戦の態様というものも相当変化をしてきているのじゃないかと思いますけれどもね。一カ月間なら一カ月間持ちこたえれば、あとは安保条約でアメリカが助けてくれるという考え方できているのですか、そこはどうなんですか。何かそんなような答弁が従来ありましたね。
  208. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 侵略に対処するやり方を、一応戦争ということばを使わしていただくと仮定いたします。最初の直接侵略に対する戦争というようなものは、もう直接侵略があれば直ちに安保条約五条が発動するわけですから、ですからある程度こちらが独力でやっておいて、その次は頼むだなんということは、それは少し気のきき過ぎた間の抜けた答弁でございまして、将来そんなことがあったならば、もう日米双方が、日本の施政権下において日米双方に対する攻撃があった場合には、自国に対する攻撃と認めて、おのおのの国の憲法法律にのっとって防衛について対処すると、この第五条というものは直ちに発動すると私は考えております。
  209. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 第五条の発動の問題は、議論があるところですね。攻撃があってから発動するのか。だけれども、あなたのほうのいろいろな防衛計画のやり方を見ると、攻撃がある前に五条が発動するような、そういうような資料なんか相当あるのじゃないですかね。これは戦争になってくるのだから、攻撃を受けてから発動するというのではなくて、攻撃起きそうになったら発動してやろうという行き方も私はあると思うのですが、いずれにいたしましても、あなたのお話を聞いていてぼくらが疑問に思いますのは、一体そういうふうになってくると、安保条約というものを全面的にもう大前提としての話ですね、どうもその話は。そうすると、まあ一応安保の期限が七〇年に切れると、これは条約上の問題はありまするけれども。そうすると、安保の期限が一応七〇年に来たと、その後においての話は、防衛庁としてはそれをどういうふうに考えていまおられるわけですか。
  210. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 防衛庁のことは、防衛庁長官が責任を持っておりまするから、防衛庁長官という意味において答弁いたします。これは総理大臣が、日米安保条約は、昭和三十二年の閣議決定にも、「日米安保体制のもと」と、こう書いてある。「日米安保体制のもと」――この閣議決定は、他の閣議決定をもってしてでなければ、あなた御承知のとおりに、改正できないわけでございます。現在も有効に存続いたしております。それから、ある程度の安定ということが、これは国際間においては必要でございまして、これは平和においても、また侵略に対処する場合も、同様でございます。そこで、一九七〇年以後どうなるか。われわれといたしましては、総理大臣が、その条約の存続のしかた等については、まだ三年あるから検討しておるけれども、安定したもとにおいて安保体制を考えていかなくてはならない――これは長期固定化ということばを使いましたけれども、最近は安定した日米安保体制というものを考えていかなくてはならぬということで、総理大臣は答弁いたしております。私もそのとおりでございます。
  211. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、防衛庁としては、この安保体制の安定ということですね、安定ということがとりもなおさず長期固定化ということにつながるのだと、こういうふうにお考えになっていると承ってよろしいでしょうか、いまの段階で。
  212. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 総理大臣が長期固定化ということばを使われたこともございます。これは速記録に載っておりますから。しかし、最近は、安定した日米安保体制のもとにおいてわが自衛を考えなくてはならない。しかしながら、日米安保条約の扱い方は、まだ三年あるから、その三年間においてじっくり検討いたしたい、こういうふうに考えております。長期固定化ということばに、すぐ結論が政府全体でなっているわけではございませんでございまして、三年間まだ時間もあるから、ゆっくり検討いたしたいが、しかし、日米安保体制というものは安定した基礎のもとにおいて考慮をいたしたい、こういうふうに答えておりまするが、私も総理と同じ考えでございます。
  213. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 ゆっくり検討をするというのは、じゃあ具体的に何をどのように検討するのですか。
  214. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 安保条約第十条第一項と二項との関係でございます。
  215. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それはあれでしょう、あなたいま言われるのは、日米関係は安定した、というのでしょう。安定した基礎の上に置きたいということですね。そうすると、安保体制に一年ごとの切りかえというか、そういう形では、これは安定した基礎の上には置かれないというふうに常識的にお考えになっておられるのでしょうか、防衛庁長官はお考えになっておられるのでしょうか。
  216. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 防衛庁長官としては、総理と同じ考えでございまして、安定した基礎のもとに日米安保体制をつくり、その安保体制のもとにおいて極力国情に応じた自衛力の充実整備をはかる、こういうことでございまして、十条第二項についての所見を――十条一項はおわかりですね、第十条第二項についての所見を直ちに申せといっても、いま申しかねるわけでございます。
  217. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうですが。だけれでも、いや直ちに申しかねるというのはあれですが、じゃあこういうふうに一年ごとに安保の廃棄だ廃棄だとかなんとかという形のものが起きてくるということは、これは日本防衛上なりアメリカとの関係上好ましくないということはお考えなんですか、そういうふうにお考えになっておられるのですか。
  218. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 廃棄だ、廃棄だということがわいわい言われておるからどうこうというふうな御質問でございまするが、私は、時間とともにやはり社会情勢も違ってまいりまするし、また、人間の知恵とかあるいは理性とかいうものもだんだん進歩発展いたしまするし、いま第十条第二項について安定した基礎のもとに置きたいということを言えるだけでございまして、それ以上のことは申しかねるわけでございます。
  219. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、あなたとしては、日米安保条約、安保体制ということで日本の政治、外交、経済、文化、いろいろな面にプラスがあるというふうにお考えになっておられるわけですか。それからマイナスということ――その半面ですよ、物事にはプラスとマイナスがあるわけですからね、だからその半面、安保体制というものがもたらすマイナスという面、こういう点がある、だけれども、それはこういうふうに除去していきたいというふうに考えておられるのでしょうか。そこはどういうふうにお考えでしょうか。安保体制というものは万能なんだ、オールマイティだというふうにお考えになっておられるのでしょうか。
  220. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 答えが少し長くなるかもしれませんが御了承願います。  稲葉さん御存じのごとく、国連憲章第五十一条というものは、国際紛争が起きたときに安全保障理事会が適当なる手段を講ずる、講ずるけれども、その間、締約国は自国を集団的もしくは個別的に防衛する権利がある、そうして、いろいろな手段をとった場合いは、すみやかに安保理事会に報告せい、こういうことが書いてございます。  そこで、国連というものをわれわれは非常に強力なものにしたいと思っておりまするが、国連自身が、全世界の平和を維持し紛争を未然にする力はないのだということを、一面国連憲章第五十一条で告白しておるようなものです、あれは。でございます以上は、あれに基づいてまず共産圏としてはワルシャワ安全保障条約がございまして、またその他いろいろな条約が共産圏にもあるのでございます。また自由圏には、北大西洋安全保障条約を初めとして各種の安全保障条約があるわけでございまして、日米安保条約だけが世界に存在する安保条約ではないということをあらゆる機会において私は声を大にして申し上げておりまするが、この機会においてもあなたに申し上げるのは、ほんとうはあなたは必要以上に知っていらっしゃいますから、日米安保条約だけが全世界に存在する安保条約ではないということをこの際あなたに対するお答えとしては恐縮かもしれませんが、申し上げておきます。  そこで、安保体制のもとにおける日本は、利益と害と――害というものも考えられないわけじゃございませんでしょうが、私は、利益というものははるかに大である、日本が一億国民の生命、身体、財産、福祉というものを守る根本のものは憲法であり、それから日米安保体制である、こう考えておる次第でございます。
  221. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 この議論は、いずれにしてもまだまだ日にちが早いかもわからないので、いずれゆっくり出てこなければならぬ議論だと思いますが、いま言われた中で、あげ足をとるようで恐縮ですけれども、安保体制で害がないわけじゃない、安保体制で。さあ、そうすると、どういう点が害というか、マイナスとして考えられるのでしょうか。
  222. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) まだ害ということはあんまり考えたことはございません。害がないわけではない、絶対にないというわけではございませんでしょうが、ということを言っただけでございまして、日米安保条約破棄なんて言って、ほんとうに内容をよくわからない人々が相当の政治運動、社会運動を起こしているなんということはこれは害の一つではないか、もう少し啓蒙したいものであると私は考えております。
  223. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そういう答弁が出てくるなら、これは私どものほうも考えなきゃならないですね。ちょっと調子に乗り過ぎているのじゃないのですか、ちょっとこっちが、あれですね、あんまりあれしちや悪いと思って言わなかったことが出るというと、つけ上がると言うとことばが悪いかもしれませんけれども、どうも少し調子に乗り過ぎているというような感じがいたしますね。あなたがそういう答弁をするなら、ぼくのほうでも意地の悪い質問というものをせざるを得なくなってきますね。(「これ以上」と呼ぶ者あり)これ以上と言うのは、別に、紳士的にやっているのだから……。  それではもう少しですが、お尋ねしていきますが、治安出動に関連をして、その訓練ですね、これはどの程度やりているのですか。
  224. 中井亮一

    政府委員(中井亮一君) 治安行動に対処するための訓練といたしまして、学校等の基本教育ではそれぞれ必要な法規類の勉強をさしておりますし、また、部隊等の場合には、各種使います資材の用法であるとか、制圧等をする場合のいろいろな行動の基本的なことを訓練をさしております。
  225. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 具体的にどういうことをやっているのですか。治安出動の場合というか、治安行動の場合の訓練というのは、具体的にどういうことをやっているのですか。
  226. 中井亮一

    政府委員(中井亮一君) 初めに申しましたように、学校等の場合には、治安行動に関連のあるいろいろな法規類がございますので、そういう法規類の解説をするというようなことがその中心でございますが、部隊でやる場合には、小さい単位の班の程度訓練から、小隊、中隊というふうに逐次訓練をやっているわけでございますが、たとえば、必要な場合に重要な物件とか施設等、あるいは人物等の警護に当たることがございます。そういう場合の警護のしかたについての基本的な行動をどういうふうにやるかということを訓練をしているわけでございます。
  227. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そんな、言っていることがよくわからないな。具体的だと言っている。具体的にどういうことをやっているのかと聞いている。要するに、もっと具体的に話してください。
  228. 中井亮一

    政府委員(中井亮一君) たとえば、部隊の場合のことだと思いますけれども、そういう場合に、ある一定の施設を警護をしなければならないというようなことを命ぜられることがございます。そういう場合に、この施設をどういうふうに、たとえば周囲に一種の鉄条網的なものを並べて配置をして、そこの施設の警固をするかというようなことを個々に訓練をするわけでございます。
  229. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 鉄条網を張るだけのことでしょう。もっとあるでしょう、訓練は。そんなことじゃ訓練にならない。もっとどういうふうにやっているのですか。だめだ、具体的に言わなくちゃ。
  230. 中井亮一

    政府委員(中井亮一君) いまのような重要な物件の警護を命ぜられる場合のことを考えれば、当然そういうようなこともあるわけでございまして、そういうような場合のほかの場合のことは、警察のうしろがまえになって、後方で警察行動を支援するような場合もございますから、どういうふうなところに部隊を集結するようにするか、あるいはまた、直接万やむを得ず実力で鎮圧に当たらなければならないような場合には、銃を撃たないで、かまえた銃の形でどういうふうに相手の勢力に相対するかというなこと、そういうような銃のかまえ方というようなものももちろん訓練するわけでございます。
  231. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そういうのはどこに書いてあるの。何かよりどころがあるでしょう。何かあるでしょう。
  232. 中井亮一

    政府委員(中井亮一君) 国内の治安に対する問題としましては、すでに警察予備隊以来各部隊でいろいろ訓練を続けておりますので、それぞれが必要なような訓練成果というものをお互いに積み重ねながらそういうものをやっているわけでございます。
  233. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これはあなた、体験を重ねているというだけでしょう。そうじゃなくて、一つのよりどころがあるでしょう。昔の操典みたいなものがあるならあるし、ないならないで答弁してください。あるにきまっているじゃないですか。
  234. 中井亮一

    政府委員(中井亮一君) 操典のようなものはございません。
  235. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 操典と言うから操典というようなものはないんでしょうが、一つの何か、規則でもないのですが、草案というか、そういうふうなものはあるわけでしょう。あって、みなにそれを示すというか、それに基づいて訓練しているんじゃないですか。
  236. 中井亮一

    政府委員(中井亮一君) 操典というようなものは、先ほど草案ということばも出ましたけれども、まだきまったものはございません。
  237. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 きまったものはなくても、こういう場合にはこういうふうにするんだというようなことを書いた一つ資料というようなものがあるわけでしょう。それに基づいてやっているでしょう。
  238. 中井亮一

    政府委員(中井亮一君) いままでの成果を積み重ねて、いろいろな各種訓練上必要な資料のようなものは、お互い部隊の必要に応じてやっているわけでございますから、そういう類のものはございます。
  239. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これはどういう資料があるの。
  240. 中井亮一

    政府委員(中井亮一君) 私先ほど御答弁申し上げましたように、鉄条網にいたしましても、その資材、そういう資材の使い方というようなもの、あるいは銃にしましても、銃の使い方というようなものは、そういう類の個々のものについての用法というようなものはあるということでございます。
  241. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 だから、そういうようなものはどんなものがあるの。例をあげて、いま二つくらいあげたでしょう、あなたのお話。もっと一ぱいあるでしょう。例をあげてごらんなさいよ。
  242. 中井亮一

    政府委員(中井亮一君) 訓練に、そういう意味で必要な、個々の事態に対処するような性質のあるいは資材とか用法というようなものについての、そういう使い方についてのものは、もちろん小銃だけではなしに、いまの鉄条網にしましても、あるわけでございますが、これは平素自衛隊が使っている類のものでございます。
  243. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 だから、どういう資料があるんですかと聞いている。一ぱいあるんじゃないですか。人殺しの場合の、あるんでしょう、こういうふうにして殺すんだというのがあるのじゃないか。
  244. 中井亮一

    政府委員(中井亮一君) 治安行動は、御承知のように、国民が対象でございますので、自衛隊といたしましては、できる限り必要最小限の力を使うように、いろいろな場合にお互いに訓練をし合っているということでございます。
  245. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 必要最小限の力を使うというのは具体的にどういうことですか。その場合の訓練というのは具体的にどういう訓練ですか、例をあげて説明してごらんなさいよ。鉄条網はわかった。
  246. 中井亮一

    政府委員(中井亮一君) たとえば警察行動を応援する場合に行くことが多いわけでございますが、拡声機で相手側に呼びかけるようなことをやるとか、あるいはこれも同じようなことでございますが、できる限り証拠をそろえなければなりませんから、証拠になるような写真をとるというようなことをお互いに研究するというふうなことはございます。
  247. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 証拠になる写真をどうやってとるの。どこにそういう法律があるの。
  248. 中井亮一

    政府委員(中井亮一君) 警察の支援行動として活動したり、あるいはやむを得ないで動く場合にも、国内の治安に関係した行動でございますから、これは普通の防衛出動における対敵行動であるというような形のものではなしに、国民として、相対するというようなことのために出てくるいろいろな問題であるということであります。
  249. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そんなことは聞いていない。人の写真をとってもいいというようなことはどこに根拠があるのか。どこに書いてある。
  250. 中井亮一

    政府委員(中井亮一君) 刑事訴訟法で当然証拠をそろえなければならないのは、警察とその場合には同様になると思います。
  251. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 刑事訴訟法で証拠をそろえるというのは、犯罪があったときです。犯罪がないのに、どうやって人の写真をとれるんですか。
  252. 中井亮一

    政府委員(中井亮一君) 先ほどどういうことをやるかとおっしゃられたから、そういうことも最後の場合にはあるという意味で私は申し上げたわけであります。
  253. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 だから、人の写真をとってもいいというのはどこに根拠があるのか、条文を持ってきて説明してごらんなさい。
  254. 中井亮一

    政府委員(中井亮一君) 警察の平素やる行動と同じような立場でございます。
  255. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そんなことを聞いていないですよ。どこに根拠があるのかと聞いているんですよ。答えてごらんなさい。――あなたに聞いていない。教育局長に聞いているんだから。
  256. 海原治

    政府委員(海原治君) 法律関係ですから私から御説明いたしますが、先ほど教育局長がお答えしましたのは、治安行動の場合の特定の場合、すなわち、治安行動で出動いたします場合にはいろいろな事態がございます。その場合には暴徒、群集の整理とかいろいろな目的もございますけれども、当然そこで一種の秩序破壊行為が出ますから、その場合には、先生おっしゃるとおり、私どもの警務官も警務官補もおります。それらには司法警察職員――司法警察官、司法警察員としての権限が与えられております。そういう者が、先ほど申しましたような証拠保全のため写真の撮影、これは当然あり得ると思います。そのことを先ほどお答えしたわけでございます。
  257. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いまのは議論のあるところですよ。証拠保全たって、単なる証拠保全でとれる写真の範囲というのは限定されているのですよ。そんな特定の人を、犯罪でもないのに特定の人をとる写真なんというのは、これは違法なんですよ。これはまあこの委員会でやるあれじゃないから、あまりやりませんが、これは判例が出ているのじゃないですか、大阪で。まあ、あまりよけいなことを言っちゃ悪いからこの程度にしておきますから。(「あなたが一番詳しいようじゃないか」と呼ぶ者あり、笑声)いやそれは防衛庁長官の答弁はいかぬですよ。ああいう答弁をするなら、私のほうも質問の態度を変えますわ。変えますよ。これはぼくはできるだけ紳士的に、これはもっと突っ込めるところもあるのだけれども、あまり外交・防衛の問題になるから、こっちとしては悪いと思って遠慮しているのですよ。ああいう答弁するのだったら、ぼくのほうも絶対承知しないですよ。  きょうはこの程度で、また口をあらためて、あしたでもゆっくりやりますがね。あしたやるときの質問は、きょうの質問の態度のときとちょっと違いますよ。態度を変えますよ、質問に対して。変なことを言っちゃ悪いけれども
  258. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  259. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記再開。  暫時休憩します。    午後四時十一分休憩      ―――――・―――――    午後四時四十三分開会
  260. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 委員会を再開いたします。  農林省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回に引き続き本案の質疑を続行いたします。  関係当局からの御出席は、倉石農林大臣その他政府委員の方々であります。  御質疑のある方は順次御発言願います。
  261. 北村暢

    ○北村暢君 農林省の設置法のいろいろな今度の改正点の問題については、食糧庁の次長並びに水産庁関係の試験研究機関の整備等あるわけでありますが、その中で従来農林省は一番行政機構の改革等の問題について多くの問題を臨調答申等においても指摘せられているところでございますが、きょうは時間の関係から、各般にわたり質問したいのでありますけれども、限定をいたしまして、特に新しい行政需要に対する組織機構の整備ということが臨調答申においても指摘されております。それは、一つには流通機構の整備というものが大きく取り上げられているわけであります。したがって、お伺いいたしたいのは、農林省関係の新しい行政需要に対する組織機構の整備という問題点に対してどのように対処されておるか、また検討されておるか、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
  262. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 農林省は、いま御指摘のように、農林省の機構、それから農林関係の公団、事業団等、臨時行政調査会からもいろいろ勧告等を受けておるわけでありますが、それらにつきまして政府の基本的態度は、臨調の答申並びに行政管理庁の意見についてはできるだけこれを尊重してできる限り実施に移したい、こういうつもりで対処するために研究をいたしておるのでありますが、私ども部内で見ますというと、ただいまあります機構、それからまた、いま申しました公団、事業団等は、やはりその当初設立をいたしました当時の事情は、あるいは若干の変化を見ておるものもありますけれども、それぞれのその存在理由と価値がありまして存在いたしておるわけでありますが、そこで、いまお話しのありましたような農林行政の中で特に力をだんだんと入れていかなければなりません問題の一つには、流通機構の改善等もございます。ところが、一般的に申しまして、たとえば統計調査について、こういうことについてはその当初設置されました当時のいわゆる作報というようなものを念頭に置いて、いまの非常に農業統計が複雑化してきておるときの、それに対応して活動いたしておる統計事務についての若干の理解不足等もあるのではないか。流通機構の改善をいたしますには、その基礎となるものは統計でございますので、そういう点について、もちろん人員の配置転換並びに合理的な運営には努力をいたしてまいるわけでありますが、そういう点についていま一例を申したのでありますが、なお、これからも行政管理庁等とも協議をいたしまして、行政の簡素化、能率化に力を入れてまいると同時に、公団、事業団等にも同じような趣旨で対処いたしてまいりたい、こう思っております。
  263. 北村暢

    ○北村暢君 ただいまの臨調答申の大きく問題にされている公社・公団、事業団等の問題、特殊法人等の問題については、きょうは時間の関係でやっておられませんので、後ほどお伺いいたします。  この流通機構の整備というのは、いま大臣の考え方はわかりましたけれども、実際には今度の設置法等においても出てきておりません。御存じのように、いま大臣おっしゃいましたように、統計事務所の機構というものを整理縮小して、流通機構の新しい行政需要の方向に向けるべきだという答申があるわけです。それについても後ほど詳しくお伺いしたいんでありますが、まず流通問題に対する地方農政局等における行政を担当しておる部課というものが、これだけ問題になっておってほとんどない状態です。こういう点についておわかりになっておられるのかどうなのか。地方農政局において、流通部門の行政を担当する部課というものがあるのかないのか。この点について、経済局長いま見えましたから、説明を願いたいと思います。
  264. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 地方の農政局におきまして、流通関係を担当いたしております課は経済課でございます。経済課で全体的な仕事をやっておるわけでございますが、私ども関係で、重要な問題につきましては、わりあい中央できめなければならないような性格のものが多いわけでございますので、地方農政局に一ぺんに権限をおろすというふうにはなかなかまいらないわけでございますけれども、気持ちといたしましては、あるいは方針といたしましては、だんだんに地方農政局にも権限をおろしてまいるほうがいいのではないかという気持ちで行政をいたしております。
  265. 北村暢

    ○北村暢君 そういう機構そのものについての問題は、後日、地方農政局問題について詳しく質問することにしておりますから、きょうは時間の関係からいたしまして、この流通機構の問題と関連して、いま問題になっている流通関係の諸問題について二、三点質問させていただきます。  まず、中央卸売市場の卸売り業者の単複の問題についてお伺いいたしますが、従来、農林省の指導方針は、単数制を主張し、指導をしてきたはずであります。ところが、金沢、高松等の中央卸売市場の新しい開設にあたって、公取から指摘があり、今日問題となっているようでありますが、金沢はすでに青果のほうは単数で発足したのでありますけれども、公取から指摘をさせられて、これを複数制にせよということが出ているようであります。したがって、この金沢の問題について、農林省はいかように対処せられるか。それから、高松の新しく設置せられる中央卸売市場は単数で指導をしたが、実際には公取の意見もあり、複数で発足をいたしております。したがって、今後設けられる中央卸売市場の卸売り人の単複問題について、農林省は一体どのような方針で望むのか。この点をひとつ説明していただきたいと思います。
  266. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 卸売り人の単複の問題につきましては、いままでもいろいろな経過がございますが、ただいまの時点におきましての私たちの取り扱いについて御説明いたしますと、卸売り人、特に中小都市における卸売り人の数につきましては、できるならば単数であることが望ましいのではないかという考え方を捨ててはおりません。それは、卸売り人が中小都市におきまして複数で乱立をいたしますと、経営がはなはだしく不健全になる可能性がございます。経営が不健全になりますと、集荷能力が落ちまして、そこの地帯において生鮮食料品の荷さばきが十分に行なわれないということもございますし、出荷者に対して迷惑を及ぼす可能性も出てまいるわけでございますから、集荷力を強めて、その地帯における生鮮食料品の需給を満足させるということと、出荷者に安心感を与えるという意味で、私ども、できるならば単数であることが望ましいというふうに思います。また、単数になりました場合でも、当然都市同士の卸売り人の集荷の争い、競争がございますから、私ども一般の営業に比べて、独占禁止の問題は、卸売り人についてはよほど違った局面があろうというふうに思うわけでございます。  ただ、私ども、いま申し上げたような事情で、単数であることが望ましいけれども、それは無理に地元の意向を無視して、何が何でも単数でなければいかぬというふうな硬直的な態度はとっておりません。これは昨年の例で、いま御指摘になりました金沢では、水産、青果について単数で出発いたしましたことは、私どももそれが望ましいということを考えたばかりではなしに、地元が単数で固まっていて、それでやりたいという希望が強かったことがございます。それから、ことしになりまして開場いたしました高松は、私ども当初は単数が望ましいというふうに思いましたけれども、その後の地元の事情から、なかなか単数では無理であろう――これは一般的に申し上げまして、単数では場内に収容する卸売り人の数が限定されて、なかなか全部が卸売り市場に入ってこないという問題が一つあるわけでございますから、高松の場合も単数であることが望ましいけれども、地元の意向あるいは地元の実態から言って、単数であるよりは複数であることがいいのではないかという判断で、青果、水産についてそれぞれ二社で出発をいたした経過もございまして、これは当然公正取引委員会の意向もございましたけれども、それよりも、私どもとして考えましたことは、地元の意向なり、あるいは地元の商売の模様が、それでいいかどうかということが大きな判断でございます。金沢の問題につきましても、もうすでに十一回ほど審判が行なわれまして、私がいま申し上げましたようなことを農林省からも参考意見としては申し上げておるわけでございます。  私ども、今後の卸売り人の取り扱いにつきましては、ただいま申し上げましたように、できるならば、中小都市においては単数であることが望ましいけれども、しかし、それはいろいろな事情を判断して、硬直的な態度で何が何でも単数というふうには考えない。これはもう現実の事態に即してきめていくということでございます。
  267. 北村暢

    ○北村暢君 その問題ですね、いま局長御答弁になりましたけれども、単数という豊林省の従来の指導はそのとおりで、望ましいということで指導した。高松も実際は単数で発足するべく、農林省の指導によって準備が完了したのですよ。だけれども、公取から意見があって、そしてまたやり直した。でありますから、これは中央卸売市場間で競争のできるところ、ある地方の集散地的な中央卸売市場、その立地条件によって違うわけですけれども、やはり単数ということは独占の弊害が必ず出てくるのでありますから、私は、公営化が強くならなければ、単数化をやれば単数の弊害が出てくる、独占の弊害が出てくる、それよりもやはり複数制をとったほうがいいのじゃないかという公取の意見でありますけれども、今後そういう傾向になるのじゃないでしょうか、どうなんですか。これからもずっと豊林省は、地元の意思とか意思でないとかいうのは、皆さんは単数ということで強引に単数の指導をやるわけですよ。それで単数に、高松だって実際はなったのですよ。それを公取のほうからのもの言いで複数に変わったというのですから、やはり今後における農林省の方針としては、ここら辺で私は検討し直すべきじゃないか、このように思うのですが、複数といっても、乱立するような複数はいかぬです。これはしたがって二社もしくは三社、地方であれば二社もしくは三社までいったらあれだけれども、二社くらいで競争をやらしたほうがかえっていい。乱立して、五社も六社も入るというなら、これは乱立になりますけれども、そうじゃなしに、二社もしくは三社という少数の複数制をとる。これは現実的にそういうようになっているのじゃないですか、どうですか。
  268. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 地方の中小都布から、中央卸売市場建設についての相談が農林省に現在ございます。その場合も、私が申し上げましたようなことで指導をいたしておりまして、中小都市において卸売り業務を健全にするために、単数が望ましいけれども、それはいま先生が御指摘になりましたように、その都市がどういう都市をまわりに持つかということも一つの問題点でございますし、それから事業量の問題もございます。二つ三つあって、三つあってはとてもやりきれないというところが現実にあることも事実でございます。  さらに、単数にするために、中央卸売市場に収容できない業者が脱落してくるということも、あまり好ましくございません。そういうことを勘案して、現実に即してきめているのでございます。私ども、単数が望ましいであろうけれども、単数を無理押しして、中央卸売市場ができる場合に卸売り人は一つでやってくれというような話は、現在のところいたしておりません。
  269. 北村暢

    ○北村暢君 具体的な例で恐縮ですが、最近東京の周辺地域に中央卸売市場ができるようになりますが、それの荷受け人の収容の問題について、現在の中央卸売市場の支店的なもので行なうのか、周辺地市場における私設の荷受け業者等をも含めて収容されるのか、この点についての方針をひとつ承っておきたい。
  270. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 私ども周辺地域として大きなものとしては、将来、大井があると思います。もう少し規模の小さいものとしては、杉並、練馬あるいは世田谷、板橋等々、現実に市場の建設にかかっているものもございます。ただ、卸売り人をどういう形で収容するか、いまのある卸売り人を支店の形で収容するか、あるいは別会社をつくるかということについては、まだ具体的な判断をいたしておりません。いろいろ実情といいますか、業界の意向あるいは関係者の意向等も十分突き詰めて判断をいたしていくつもりでおります。
  271. 北村暢

    ○北村暢君 これはやはり原則としては、私は中央卸売市場ができれば類似市場ができることになる、残しておけば類似市場ができることになりますから、それはやはり類似市場を解消することのほうが望ましい。それで適正な流通機構というものが整備せられていく、そのように考えますので、まだ方針がきまっていないということでありますから、新設の卸売り市場は、やはり従来の周辺地市場というようなものをなるべく吸収をしていくことが望ましい。このように思いますので、今後の方針としてひとつ取り入れていただくように希望をいたしておきます。  それから次に、転送の問題については、行政管理庁が行政監察を行なっておりまして、これについては、集散地市場的な色彩のあるところは転送問題が出てくるわけなんですけれども、それはやはり輸送の経費等の点を考えますというと、一度東京に入って、それからまた交通困難なところを外へ出ていくということは、輸送の経費からいっても、混雑の点からいっても不合理であることはもう間違いないわけですね。それからまた公正取引の面からいっても望ましくない。合理的な解決の方法を、措置を考えるべきである、こういうふうな行政管理庁の監察報告が出ておりますが、農林省としてはいかように対処いたしますか。
  272. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 転送の問題は、確かに一つは荷受け人の信用の問題で、どうしても大きいところへ荷物が集まってくるということがございますし、同時に、いま御指摘になりましたように、東京のような都市の、いわば交通が非常に麻痺しているような状態において転送が行なわれるということは、必ずしも好ましくないことは事実でございます。私ども、行政管理庁から話がありました前後から、実は各地の市場長を集めて、転送についてルールをつくろうではないかという話し合いをいたしております。大体、各地でそれぞれの市場の実態に合わして一応ルールができて、東京は多少おくれておりますけれども、これもそのうちできるだろうと思います。私ども、全然これを禁止するということは実態としてできませんし、あまり、ルールをつくらないで、何でもかんでも転送は自由だというふうにもまいりませんので、そこのところは、各地の市場の状態に合わして、やはり守るべきルールというものをつくって、それによって運用をしていきたいというつもりでやっているわけでございます。
  273. 北村暢

    ○北村暢君 そのルールをつくる際には、市場関係者の意見を、卸売り仲買い、その他の意見を聞く、こういうふうに理解して差しつかえございませんか。
  274. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) そういうふうに御理解いただいてけっこうでございます。
  275. 北村暢

    ○北村暢君 次に、今度の国会で環衛金融公庫の問題が法案化されて出るわけなんでありますが、公庫、公団を新設するということについて、私は必ずしも賛成ではございません。ございませんが、この環衛金融公庫等において、食品関係において肉その他の環営法適用下の中小企業者には公庫資金が融資せられる制度ができております。ところが、農林省関係の青果あるいは鮮魚等の小売り業者に対しては、従来農林中金等の融資等も考慮されたようでありますけれども、特に仲買い人の大型化ということについて、そういう融資のあっせんもなされたようでありますが、これも仲買い人の法人化、大型化による合理化をやろうということを指導しておりますけれども、この指導だけでは私はなかなかうまくいかないと思うのですね。したがって、実際には転業資金なり、あるいは転業する者の負債整理なり、そういう資金面のめんどうを見てやらないというと、仲買いの大型化、合理化というものはできないのじゃないかと思うのですね。そういう点において、また小売り業者の融資問題について、環衛公庫との均衡の上からも新しい施策を、積極的な施策を講ずべきであると思うのですが、農林省としていかように対策を考えておられるか、この点お伺いいたしたいと思います。
  276. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) お話しのように、今国会に環境衛生金融公庫法の提案がなされておるのでございますが、その中で農林省所管の業種といたしましては食肉販売業と氷雪販売業が融資対象の業種としてあげられることになっておるわけでございます。この理由は、御承知と存じますが、環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律の中で、この二業種が適正化法の適用対象業種となっておるわけでございます。環境衛生金融公庫の令融の考え方には、環境衛生を保持するために必要な施設の整備を制度上要求をするということに相なっておりますので、それらの施設の整備要請とからんで、特殊な金融の制度を考えたいという趣旨に主として出るものでございます。したがいまして、農林関係の適用業種二業種が入るというととは、私どもも、他の関係においては若干の問題が残ると思いますけれども、当然対象とされるべきであり、またその制度化は農林省としても、農林行政の立場からとの調整がつく限り望ましいものであるという考え方をとっておるのでございます。  一般的に小売り業の近代化に関します金融の制度化をどうするかという問題は、既存の各種の制度金融――中小企業金融公庫でありますとか、あるいは国民金融公庫でありますとか、各種の金融がございますわけでございまして、農林関係のみならず、一般に小売り業種に対する、業界に対する金融制度を、どうすることが適切であるかという今後の課題として検討をすべきであり、私ども関係各省と連絡をとって検討を進めてまいりたいというふうに思っておるのでございます。
  277. 北村暢

    ○北村暢君 その点について、現実に魚関係の小売り商業協同組合が、環衛公庫と同様な公庫を新設してもらいたいという要請が出てますがね。そういう点について、青果と鮮魚関係、肉関係は環衛公庫で適用になるわけですけれども、鮮魚と青果は環衛公庫には関係ないわけですね。バランスの関係からいって、こういう要求が出ているんだろうと思う。したがって、いま各金融機関と協議してということですけれども、何か特別に考える意思があるのかないのかということをお伺いしている。
  278. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 水産の小売りの組合で、環衛公庫的なものについての要望があるといふうに私ども伺っておりますけれども、まだ農林省に正式に要請があったわけではございません。どうも中でいろいろ御議論されておるようでございます。私ども、その環衛公庫的なものとしては現在考えておりませんけれども、中小企業、特に生鮮食料品の小売り業の近代化につきましては、昨年から実は実務者を含めて協議会をつくって、いろいろ御調査、御議論をしてもらっておりますので、その協議会の議論の推移とあわせて、一体どういう制度として考えるべきか、あるいは新しい制度としてではなくて、既存のいろいろな金融機関の資金量をふやすということを考えるのかというようなことについて、十分結論を出して、実施をいたすつもりで現在おるわけでございます。
  279. 北村暢

    ○北村暢君 それから次に卸売り人の手数料の問題ですが、中央卸売市場の卸売り人の手数料の問題ですが、これについて、現在は法律規定によるというと、最高限をきめることになっておりますが、実際には定率制で実施しておるわけですね。それを規定どおりに最高限をきめて、その範囲内で運用をさせるというようなことをある業界から要望があるやに聞いておる。私はこれは手数料でありますから、これに差をつけるということになれば、結局手数料の安い方向に流れていってしまう。それは大量に扱うところは安くできるので、結局大きな荷受け、いわゆる卸売り業者に荷が集中してしまうという結果にならざるを得ないじゃないか、そういう点からいって、この卸売り手数料というのは、現状において、やはり定率制でなければ大きな混乱が起こるんじゃないかというふうに思われるのですが、方針をひとつ承りたい。
  280. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 現在の定率制を変えて、最高限度で率をきめてはどうかという御意見がございますけれども、いま御指摘になりましたように、都市の大きさによって違いますし、また、卸売り人の業態がいろいろ違いますので、定率制を現在動かすつもりは持っておりません。
  281. 北村暢

    ○北村暢君 次に、仲買い人の先ほど申し上げました法人化、大型化の問題ですが、これは現在どのように進んでおり、今後どのような対策をとられるのか、この点をお伺いしたい。
  282. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) この仲買人の大型化の問題は、実はたしか三十七年でございましたか、生鮮食料品流通改善対策要綱の全体的な輪の中の一つとして取り上げたわけでございますが、その後の経過を申し上げますと、水産においては相当といいますか、ある程度まで進んでおりますが、青果においては、まだそれほど進んでおりません。これにつきまして、私ども中金から実は特別の融資を考えておるわけでございますが、どうも利率、二銭三厘という利率が、私は高いとは思いませんけれども、どうもそれほど強い希望がございませんので、それがてこになって大型化が進むというふうにも、どうもあまりなっておらないのであります。私ども中金の利子をすぐさま下げるということもなかなか考えづらいわけでございますが、仲買い人の大型化については、やはりこれも市場の取引の合理化の一環でございますから、今後もいろいろ手を加えて、その推進をはかってまいりたいというふうに考えておるのであります。
  283. 北村暢

    ○北村暢君 その点について、法人化ですがね、法人化はずいぶん進んでおるのだろうと思うのですが、しかし、これはまあ個人商店の法人化程度であって、実質的な法人化による大型化というのは進んでいないようですね。そのために、従来は、届け出の名義は個人でなければならないというふうに指導しておった。それはその店舗の利権化を防ぐのに大きな役割りをしておったのですが、法人化をしたことによって、それが株で売買されるわけですから、結局、その利権化というものは公然化してしまったような結果になっておると思うのですがね。そういう点については、私は一がいに、商権として営業権というものがあるわけですから、何にもかにもいかぬということは言わないのでありますが、中央卸売市場において利権的な行為が行なわれるということは、これは望ましくないことはもう明らかです。しかし、これは実態は合併するにしても、その合併の吸収されるものについては、従来の借金を整理するとか、まあそういうケースが非常に多いのだと思うのですがね。そのために、権利売買ではないのでありますけれども、その借金を肩がわりする結果が権利売買のような形になっているというものが非常に出てきているのだろうと思うのですがね。そういう点について、一体農林省としては、どういう指導をされようとするのか、この点お伺いいたします。
  284. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) まあ仲買い人の株がある程度まで現実に売り買いされておることは事実でございましょうが、なかなか機微に属する問題で、私ども実態をそう簡単につかめられないことでございます。私どもが現在考えておりますことは、大型化の場合に、新しい法人に十分適正な利子で金融の措置が講ぜられて、大型化が進められるためには、一体いまの制度をどういうふうに直したらいいか、もう少し手直しする方法はないものだろうかということを、現在検討している最中でございます。
  285. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 理事会を開くために、暫時休憩いたします。    午後五時二十二分休憩   〔休憩後開会に至らなかった〕      ―――――・―――――