○源田実君 先ほど防衛局長の
お話の中に、例の、核戦争に関する限りはアメリカの核の傘の下に入るという、これは政府がずっと言っておる方針であります。しかし、これは方針なんでありますが、それからアメリカのほうの文献を見ても、アンブレラということばを使っておるから、あれは向こうからきたことばかと思うのです。ところが私はここで考えてみて、何か核の傘といって、日本の上に、アメリカが約束しておる国の上に何も傘を置いてくれるわけではないのであって、たまはやはり飛んでくると思うのです。あの核の傘という
意味は、もし日本なら日本を攻撃するものがおったならば、それを攻撃できないように未然にアメリカの優越した反撃兵力をもって防ぐ、これが
ほんとうの
意味じゃないかと思うのです。その次に考えられることは、それでもなおかつ気違いがおってやったとすれば
あとからかたきをとってやる。日本はそのときはもう参っておるのですね。
あとからかたきをとってくれたって非常に困るので生きている間に、これが
現実に守られる必要がある。そういうことになりますと、二つの問題が考えられると思うのです。その
一つは先ほ
ども申し上げましたように、ロケット防御、このロケット防御に対する対策というものは、これはどう振り回してみても攻撃に使うことはできないのです。いまの技術では。これから十年余りのところを予想して、どう振り回してみても、これを攻撃に持っていくことはまずできないと私は考えます。したがって、ロケットを、日本の上空に到達する前にこれがインポテントになるように、そういうことを考えることは絶対に必要でもあり、また、これがいまの政府の方針を逸脱することにも全然ならないと思うのです。いまのワクの中で十分にこれは
研究さえすればできることである、こう考えるわけです。しかし、ここは全然行なわれていないということは、
一つの防衛上の私は欠陥であろうと思うのですが、その次にもう
一つ大きな欠陥というものは、万一そういう核戦争が行なわれた場合、日本で行なわれなくてもよそで行なわれても、どういうことが起きるか。日本が全然戦争に巻き込まれない場合にどういうことが起こるか。全面核戦争が起こった場合、そういう場合どういうことになるか、もちろん地球上ほとんどこの放射能じんでおおわれるわけです。その放射能じんが一番乗りやすいのは、南北にある、このジェットストリームという、上空にある大きな空気のものすごい大きな川がございますね、御存じだと思います。これが日本の上空を冬は多いときは三本通り、夏は大体二本から一本、それから少し夏は北へ上がるわけです。それはちょうど日本付近を大体通るわけです。南は、冬は台湾まで下りますけれ
ども、北は北道道ぐらいまで上がります。しかし、大体日本の上空を通って北半球をぐるぐる回っているわけです。これは釈迦に説法だと思います。しかし、こういうジェットストリームが通っておるその上空は、いわゆるキノコ雲が行って放射能じんがそこにたまるところである。そうすると、よそでいくさが行なわれても、もしそれが核戦争の場合には、日本がそれにはたとえ入っていないとしても、いまごろのようなこのつゆどきには一番日本は放射能じんがよけい降りてくるところである。これは日本がこういうところに置かれておるので、もう土地をかえる以外に手はないわけです。世界の気象を変えるか、日本の位置を移すか、ここにいる限りは、墳墓の地にいる限りは避け得られない。その場合に、人の戦争だ、あるいは人の実験だといって、日本の国民がもし放射能の影響によって、被害を受けるようなことになったらこれはたいへんなことだと思うのです。これは武装する、しないというようなことに——これはいろいろ日本の国内でも
意見が分かれているのであります。分かれているのでありますが、武装する、しないにかかわらず、日本の国民が、自分が攻撃されたらもちろんのことだが、そうでなくても、人のけんかによっても日本の国民がなお被害を受けるというような
状況にあると私は考える。このいわゆる民防という問題でありますが、これには、たとえば食糧の汚染をどうやって早く探知して、どうやってこれをきれいにして国民のみんなの食糧に供するか、水はどうやるのか、あるいは空気はどうやるのか、いろいろな被服なんかにも降ってきて、それが影響を及ぼすと思うのです。平和に暮らすつもりでも、日本人が実はそのうちに放射能の反応をあらわし出すというようなことについて、私は、いまこれは防衛庁が主管ではないのでありますが、やはり防衛庁は相当なこれは関心を持たなければならぬ、相当じゃない、うんと関心を持たなければならない問題だと思うのです。こういうことについては、いま私は私の
承知している限りはほとんど日本では何にもやられていない。中立国、
ほんとうの中立国としてやっておるスイスとか、スウェーデンとか、これに関しては非常に、完全ではないでしょうが、実に至らざるところなしというほどの準備をしておる。それからほかの、もうソ連もそうであろうし、アメリカもそうであるし、イギリスも西独もみんなそれぞれの準備をやっております。これほどの大工業力と、これほどの大
人口を持っておる、しかも優秀な一億の
人口を持っておって何にもやっていないのは日本だけじゃないかと私は考える。これはこういうぐあいに放置しておくべき性質のものじゃないのであって、日本国民が一人でもそういうところで被害を受けることがないように、これは当然やるべきだと私は考えておるのですが、あるいは私が知らないで、そういうことがもう準備されておるかもしれないのでありますが、もしそういうことがあったら教えていただきたいし、そうでなければ、これはなるたけ早く始めるようにしていただきたいと思うのですが、ここひとつ長官の御見解を伺いたいと思います。