運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1967-07-13 第55回国会 参議院 内閣委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月十三日(木曜日)    午前十一時二分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         豊田 雅孝君     理 事                 石原幹市郎君                 八田 一朗君                 稲葉 誠一君                 北村  暢君     委 員                 源田  実君                 柴田  栄君                 玉置 和郎君                 船田  譲君                 三木與吉郎君                 宮崎 正雄君                 山本茂一郎君                 中村 英男君                 多田 省吾君                 中沢伊登子君    国務大臣        労 働 大 臣  早川  崇君        国 務 大 臣  増田甲子七君    政府委員        防衛政務次官   浦野 幸男君        防衛庁長官官房        長        海原  治君        防衛庁人事局長  宍戸 基男君        防衛施設庁長官  小幡 久男君        労働政務次官   海部 俊樹君        労働大臣官房長  辻  英雄君        労働省労働基準        局長       村上 茂利君        労働省婦人少年        局長       高橋 展子君        労働省職業安定        局長       有馬 元治君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  清君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○労働省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     —————————————
  2. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案は、去る十日、衆議院から送付され、昨十二日、付託されました。  それでは、まず、本案提案理由説明を聴取いたします。増田防衛庁長官
  3. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 今回提出いたしました防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案提案理由内容概要について御説明申し上、げます。  まず、防衛庁設置法の一部改正について御説明いたします。これは、防衛庁本庁職員を、自衛官四千二百七十八人と自衛官以外の職員五十三人と、合計四千三百三十一人を増加するための改正であります。自衛官の増員の内訳は、陸上自衛隊については千五百人で、ヘリコプター部隊気象関係部隊等整備充実に充てるためであり、海上自衛隊については千六百二十八人で、艦艇の増加に伴い必要となる人員並びに航空関係部隊及び後方支援部隊等充実のため必要な人員であり、航空自衛隊については千百五十人で、航空団の改編、ナイキ部隊の新編成及び警戒管制救難等部隊充実のため必要な人員であります。自衛官以外の職員は、海上自衛隊後方支援部隊等充実のためであります。  次に、自衛隊法の一部改正について御説明いたします。第一に、教育航空集団の長の階級が海将補から海将に昇格いたしましたので、その称呼を司令官に改称するものであります。第二に、自衛隊予備勢力確保のため、予備自衛官を六千人増員して合計三万人とするものであります。第三に、第七航空団司令部を、埼玉県の入間基地から茨城県の百里基地へ移転するものであります。  以上、法律案提案理由及び内容概要を御説明申し上げましたが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成くださるようお願いいたします。
  4. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 以上で本案提案理由説明は終わりました。     —————————————
  5. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 次に、労働省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  前回に引き続き、本案質疑を続行いたします。  速記とめてください。   〔速記中止
  6. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記再開。  関係当局からの御出席は、海部労働政務次官、その他政府委員方々でございます。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  7. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 最近は女子若年労働者というのが相当減ってまいりまして、どうしても女子労働者でなければならないような職場相当にあるわけですけれども、非常に若年労働者を雇いにくい。幸いに雇い入れても、まあ言いますならば、大体いま若年労働者というのはだんだん高等学校に行く人が相当ふえてきた、全体の八〇%が高等学校に行ってしまい、残りの二〇%ぐらいがいわゆる中学卒業生である、こういう中からやっと、たとえますならば、繊維産業みたいなところはそういう労働者を雇っていく、しかし、そういう労働者が、高等学校に行かなかったような労働者というのは相当に、何と申しましょうか、質が以前より低下しておる、そういう人を雇わなければならぬ、そういうことでがまんしなければならぬというのがいまの現状のようでございます そのために相当雇い主といたしましては、そういう労働者を使うのに相当な苦労をしておる、こういうような中で、特にそういう女子年少者労働者については安全衛生上特別な配慮をしなければならない、こういうふうに考えられるわけですが、労働省のほうでは、この対策についてどのように対策を立てておられるか、承りたい。
  8. 村上茂利

    政府委員村上茂利君) 御指摘のような事情は私のほうも承知いたしておるわけでございますが、先生御承知のように、労働基準法のたてまえといたしましては、女子年少者については特別に規定がございます。ことに危険有害業務就業につきましては、労働基準法の六十三条で就業を制限しておるわけでございます。この六十三条の規定を受けまして、付属省令におきましてはこまかな規定を設けておりますということになっております。で、これらの規定順守方につきましては、監督の方法がどうかという問題がございますが、労働省といたしましては、労働基準法を守らせる監督の中で、女子年少者基準法違反は最重点にいたしておるわけでございまして、今日までの行政実績を見ましても、そういった基準法違反として処置いたしました件数相当な数にのぼっておりますし、違反を、是正方勧告しても直さないという者に対しましては、これを司法処分に付しまして送検するという措置もとっておりまして、労働基準法上の他の条項が幾つもございますが、女子年少者に関しましては、そういった処分件数も比較的多くなっている、こういうことでございます。それが実績でございますけれども、今後、十分この女子年少者生命身体に直接的な影響がございます安全衛生の問題については、十分留意いたしまして監督を進めたい、かように考えております。
  9. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 その中でも特に女子としては最近生理休暇がなかなか取りにくい、こういうような訴えをされるわけですけれども労働省考え方はいかがでございましょうか。
  10. 高橋展子

    政府委員高橋展子君) お答えいたします。生理休暇につきましては、基準法におきまして生理休暇を必要とする女子請求した場合に、これを与えなくてはならない、このような規定になっているわけでございます。したがいまして、すべての業態や、すべての職業女子にこれが当然に与えられるということではないわけでございます。この場合、条件といたしましては、使用者請求すればよろしい、生理に有事な業務についている女子、あるいは生理日航業が署しく困難な女子であれば、使用者に対して生理休暇請求すれば、そこで生理休暇が与えられる、このようなたてまえになっておるわけでございます。したがいまして、女子労働者は、その請求にあたりまして、もっぱら自分でその必要を申し述べればよろしいわけでございまして、医者の証明その他の煩班な手続というようなことは求められない、このようなたてまえになっているわけでございます。で、お尋ねの、最近とりにくいという実情でございますが、どのような理由でとりにくいかということはちょっとわかりにくいのでございますが、私ども調査したところによりますと、全国的な傾向といたしましては、むしろこの生理休暇請求した者の割合というもの、これなどは最近特に減っているという現象は見られないようでございます。また年間に何回とっているかとか、あるいは年間生理休暇要求した請求日数が何日になっているかというような数字もございますが、これらを年次的に見ますと、むしろ最近ではやや数字が高くなっているような傾向がございまして、その調査の上から申しますと、特に最近生理休暇がとりにくくなっているというような実情は把握できない状態でございます。しかし、先生もきっと何かお耳にされたことと思います。そのようないやしくもとりにくいというような事態があるようでございますれば、これは母性保護観点からたいへんに好ましくないことでございますので、基準法趣旨徹底ということにつきまして努力してまいりたいと、このように考えております。
  11. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 もっともいまのあのたてまえは、こっちが申し出れば許可をしなければならないというふうなことになっているようですが、いろんな職場においてはひょっとしたら生理休暇はもうとらせない、あるいは有給にしない、こういうようなワクをはめておる職場相当あるように私は承っております。それから、とりにくいというのは、やっぱり行きますと、相当に、ああ、あれかとか、いろんなことを言って侮辱をするような、恥ずかしい思いをさせるような、そんなようなことを言われる職場もある。また一方に、考えようによっては、その女子のほうに多少原因がありましてね、実際にそうでもないのに、友だち同士で何か言い合わしてとってしまう。そのために会社のほうであまり快しとしない。生理休暇を申し出てもとらせない。そういうような話もあるわけですけれども、そういういろんなことについて、これは労働省のほうがやっぱり指導をなさるべきものでしょうか、それともどこか厚生省のほうからでも指導するのでしょうか。
  12. 高橋展子

    政府委員高橋展子君) 生理休暇につきまして、これを有給にするということは、基準法上は別に定めておりませんので、有給休暇のことは、この際、法律上は問題にならないわけでございますが、いま先生がおっしゃいましたような事態が起こっているといたしますれば、母性保護という見地からたいへんに好ましくないことでございます。これを行なうことに対しての指導は私ども責任労働省責任を持っておりますので、法の趣旨徹底、また具体的な婦人保護というたてまえから、労働基準局婦人少年局がともにその行政的な責任に当たるわけでございます。
  13. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 そうしますと、今度は若年労働者というのが非常に減ってまいっておりますので、勢い中高年齢層婦人を雇わなくてはならないという事態にいまなってきておるわけですが、今度は中高年齢層婦人といいますと、今度はお産の問題が出てくるわけです。産前産後の休暇というのは、いま大体六週間とれるように承っておりますけれども、私、昨年ソ連に参りましたときは、ソ連では四カ月、こういう話を聞いてまいりました。そして最近、日教組の方からの陳情を受けましたところでは、どうしても一年くらいは休ましてほしい、このような陳情がこの間私のところに参っておるわけですけれども、これについてはどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  14. 高橋展子

    政府委員高橋展子君) 産前産後の休養につきましては、日本では御存じのように、前後それぞれ六週間ということになっておるわけですが、これを国際的にいろいろな国々と比較して見ますと、この産前産後六週間という期間は、必ずしも国際的水準を下回るということではございませんようでして、もちろん六週間以上の国も若干ございますが、大勢といたしましては六週間あるいはそれよりも短いというところでございます。したがいまして、当面はこの期間を延長するという考えは持っていないわけでございますが、今後、諸般の情勢の変化によって必要があるというふうなことになりますれば、また慎重に検討をいたしたいと思います。
  15. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 そうしますと、いま六週間をいまのところ延長する意思はおありにならないようでございますけれども、そうしますとね、今度はここへ勤めている人の乳児院とか、託児所とか、そういうものが必要になってまいるわけですね。いまそれでも託児所とか保育所というものは非常に少なくてみな困っているわけです。そうすると、女子若年労働者が非常に減ってきて、中高年齢層にこの労働をゆだねなければならないことになるが、産前産後は六週間以上延ばさない。それならばというと乳児院はない、託児所も足りない、こういうふうになってくると、これはたいへんな問題だと思うのですね。そうすると、しゅうとめさんとか、だれかいる人でないと中高年齢増の人は働けないということになるわけですが、これについてのお考えはいかがですか。
  16. 高橋展子

    政府委員高橋展子君) 幼児を持って働く婦人というものが増加する傾向にございますし、今後は経済の動きの中で一そうその傾向も強まるものと思っております。したがいまして、これらの婦人たちが安心して子供を預けて、子供福祉も妨げられず、また、本人もその能力を有効に発揮できるための措置といたしまして、乳児施設というものの重要性、これはますます増大するものと思われます。私どもも従来から厚生省等と御連絡をとりまして、その普及増設の実現のために努力してまいっているわけでございますが、今後も一そう努力したいと思います。
  17. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 そこで中高年齢層乳児の問題について、あるいは少し大きくなった子供託児の問題について、企業内でその託児所とか乳児院とかをつくらせるようなことはお考えになったことはございますでしょうか。
  18. 高橋展子

    政府委員高橋展子君) 現在の状況といたしましては、保育施設一般地方公共団体設置するものが大多数でございまして、全数約一万一千ほどのうち、民同企業内で設置されておりますものは約八百を数えるにすぎないわけでございます。しかし、現実の働く母親要望といたしましては、非常に交通難通勤難の現在でございますので、職場保育施設がありましても、そこに連れてまいること自体が非常に困難であるということから、地域設置してほしいという要望一般的には強いようでございます。しかし、もちろん立地条件等によりましては、企業の中に保育施設を設けることが望ましいという場合もございますし、また、すでに申し上げましたように八百カ所ほど設けられております。私どもとしましては、これらを個々のケースによりまして、企業の中に設けることが望ましい場合には大いに設けていただきたいと、このような考えを持っております。具体的には、雇用促進事業団融資等によりまして事業所付属保育所設置の勧奨をいたしている状態でございます。
  19. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 そうすると、その企業乳児院とか、託児所をつくる場合に、雇用促進事業団のほうから補助とか、援助とかいうものが出るんですか。
  20. 高橋展子

    政府委員高橋展子君) さようでございます。企業あるいは企業共力で設可融する場合を含めまして、企業内の保育施設に対しましては設置についての融資が行なわれます。
  21. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 それは融資でございますか。そして労働省のほうからそれに対して補助とか、そういうものはないのでしょうか。
  22. 高橋展子

    政府委員高橋展子君) ただいまのたてまえでは事業団からの融資でございます。
  23. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 そこで、今度は問題になりますのは、そういうところで、たとえば雇用促進事業団からお金を借りて、せっかく乳児院をつくり、託児所をつくり、あるいはまた地域厚生省からの援助があったり、あるいは県のほうの援助があったりして、保育所とか、託児所とか、そういうものをつくるといたします。しかし、今度はそこで働く保母さんが非常に私は不足しているんではないか、このように思うのですけれども、もしも今後、中高年齢層婦人が非常に働かなければならないということになってまいりますと、そういうものをつくっても、そこで働く保母さんなんかに対する対策はどのように労働省では考えていらしゃっますか。
  24. 高橋展子

    政府委員高橋展子君) 一般保母さん、あるいは看護婦さん等の人手が足りないということがここ数年非常に問題になっております。このことにつきましては、一つには、やはりそれらの業態におきまして、いわゆる労働条件が必ずしもよくないということのために婦人がその職種につくことをあまり望まないと、このようなことがあるかと思います。その点につきましては、私どもは従来から調査等を行ないましてその実態を明らかにいたしまして、労働条件の向上のための行政指導の手がかりといたしておるわけでございます。また、一般保母さんあるいは看護婦さんといったような方々労働条件に限りませず、社会的評価というような点が、わが国の社会ではあまり高くないということなども関連しているかと思いますが、そういう点もあわせまして、これらの職業重要性ということを啓発してまいりたいと思っております。
  25. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 この間、私があるところで婦人たちから話を聞きましたら、それはいま住宅の問題はやはり非常な不足で困っている。それで新婚者向け住宅を建ててください、このようなことをお願いしてみても、新婚者向け住宅を建ててもらっても、すぐに次に生まれてくるのは子どもである。子どもが生まれると共かせぎも何にもできなくなる。ともかく住宅も必要だけれども、それと同時に託児所とか、乳児院とか、保育所とか、そういうものをとにかくたくさんつくってもらうように努力してくださいという要望が非常に強いわけです。それで、労働省のほうでせっかく高橋さんのような婦人局長がいらっしゃるのですから、どうかその婦人たちのいろいろな思いを十分反映さしていただいて、特に乳児院、あるいは企業内でもけっこうですし、また地域でもけっこうですから、そういう託児所保育所、そういうようなものに非常な力を入れていただいて、働きたくて働けない、あるいはだんなさんの給料だけでは暮らせないという家庭の婦人が十分働くことのできるように絶大な御尽力をひとつお願いしたいと、このように考えます。  承りますところによりますと、いわゆる厚生省のほうでやっている保育園ですね。その保育園には国からの援助はわずかに百万円しかもらえない、県のほうの補助は七十万円とか、六十万とかしかない、このように私は承っておりますが、それはうそか、ほんとうか、私はまだいまのところ調査いたしておりませんが、もしもそういうようなことで地域保育園をつくるとすれ、ば、これはどんな保育園ができるか、おそろしいような感じです。子供たちの安全を願う母親が、そんなところに入れたために、安全にほんとうに精神的な発育を十分お願いすることができずに、一方では働かなくちゃいけない母親の不安というものは非常に増すわけですから、厚生省ともいろいろお話し合いをなすって、労働省労働省なりに、私はこういう保育園とか、託児所とか、乳児院とか、そういうものを早急に設置してもらって、働きたい婦人が十分働くことのできるように御努力をいただきたいとお願いいたしまして、私の質問はこれで終わります。
  26. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記をとめて。   〔速記中止
  27. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記を始めて。
  28. 北村暢

    北村暢君 私は、法案と関連いたしまして、労働災害の問題について御質問いたしますが、まず、労働災害状況を見ますと、いただきました資料によりましても、労働災害は、絶対数はふえておりますけれども死傷者の千人率等は若干改善されてきているようでございます。したがって、労働省当局の今日までの努力がだんだん成果をあげてきている、こういうことをこの統計資料等より見ますというと理解できるんでありますが、しかし、何といっても欧米先進国なり何かから比較すれば、まだまだ労働災害は非常に多いということになっていると思うのであります。したがって、そういう点からいたしますというと、今後の労働災害防止のための安全衛生局等も設けられるわけでありますから、この基本の方針について労働大臣からひとつ今後の方針等について、其本的な問題についてお伺いしておきたい。
  29. 早川崇

    国務大臣早川崇君) 北村委員の御指摘のように、労働災害は、労働者飛躍的増加にもかかわらず、一応、死傷者数におきまして横ばいになっているということ、ことばをかえて言えば、産業災害発生率におきましては、この五カ年で非常に効果をあげているということは、お認めいただいていることを感謝いたしますけれども、いずれにいたしましても、六十八万人という死傷者数は、人間尊重を三本の柱の一つとする佐藤内閣といたしましては、非常に重要な問題だと考えております。そういう観点から、まず、安全衛生局設置、四十二年度におきましては、さらにもっと詳細、しかも科学的な産業災害防止五カ年計画を新たに作成することにいたしました。また、これは民間企業民間団体の御協力を得なければならない次第でございまするので、安全防止協会に対する援助、また東京、名古屋、福岡に安全福祉施設を設ける予算措置を講ずることにいたしたわけでございます。同時に、この事業所監督につきましても、昨年二十数万事業所につきまして監督を実施いたしましたが、人員の許す限り自動車その他施設整備もいたしまして、さらにこの事業所に対する安全衛生規則実施状況監督を強化いたしてまいりたいと考えておる次第でございます。最後に、やはりこれは役所だけではいけませんので、広く国民に産業安全というものにつきまして御理解と御認識をいただかなければなりません。アメリカあたりでは産業安全の技術職業が成り立つという社会環境があるわけであります。労働省といたしましては、各事業所職員の中から安全指導員を委託をいたしておるわけでありますけれども学校におきましても安全工学というものがようやく横浜大学設置されるという程度でございます。こういった学校社会全体、企業全体につきましても、いかに労働安全が大事かということを、労働省といたしましてもあわせて強力にやはりPRもし、推進もしてまいりたいと考えております。なお、御要求がございましたならば、しからば安全の科学的、技術的詳細にわたる計画、あるいは措置につきましては、御要求がございましたら局長からお答えをいたしたいと思います。
  30. 北村暢

    北村暢君 いま大臣から御答弁ありましたが、なるほどそういういろいろな施策が行なわれて成果をあげてきておるということでございますが、特にこの技術革新に対する調査研究ということか、国の安全衛生対策として一つの項目として取り上げられておるようでございますが、その専門的な研究、これは産業安全研究所等において研究されているようでございますが、この研究所研究テーマ等について、一体どういう範囲のことをやっておられるのか。私は前回稲葉委員からけい肺病の問題が取り上げられましたし、いま社会労働委員会一酸化炭素の問題が取り上げられておりますから、そういう当面する重要課題等についての問題はここで詳しく質問することを省略さしていただきますが、まず、この研究所でいま技術革新に伴う安全対策として一体どういうテーマ研究が進められているのか、この点をひとつ御説明いた、だきたいと思います。
  31. 村上茂利

    政府委員村上茂利君) 安全研究所衛生研究所研究内容は非常に広範多岐にわたっておりますが、先生の最近の技術革新の問題と関連した研究としてどういうものをやっているかという点でございますが、たとえば新物質新しい原材料、新しい物質を使うということより爆発、火災といったような事故が多発している、こういう傾向がございます。そういった新原材料、新物質の採用によりまして爆発が起こる、あるいはそれによって新しい職業病が発生する、こういった面につきましては安全研究所では爆発防止のための特別研究をやっておりますし、労働衛生研究所におきましてはその中毒関係の問題を扱う、こういった形で両々相まってやっておるわけでございます。特に最近、民間で新しい材料とか、物質を使いますために原因不明の疾病があらわれるといったような問題につきましては、その物質の有害性の判断ということが重要な問題になってまいります。こういった問題を地方的に解決する手だてが十分でありませんので、先ほど大臣からお答え申し上げましたように、安全衛生センターというようなものを本年度から地方にも設置いたしまして、民間のそういう個々の問題に応じまして有害性のテストをするといったような方向で処理する、こういうことで、中央における研究体制と相まちまして地方に安全衛生センターを設置して、これらの需要に対処するといったような方向をとっておるわけであります。あるいはまた特殊問題として、機械化あるいはオートメ化に伴いまして特殊のノイローゼといったような疾病が生じてまいります。こういった問題につきましては、人間工学的な観点からも相当幅広い研究を必要とするということになってまいりますが、こういった問題は労働衛生研究所ですでに手がけておるわけでございます。しかしながら、あるいは御承知かとも存じますが、労働省ではそういう特殊な単調労働につきましては、最近、専門家会議を設置いたしまして、ここで専門的な研究を速めるといったような措置を講じておる次第でございます。
  32. 北村暢

    北村暢君 私はそういうふうに技術革新等による新たな労働災害、あるいは職業病等については、これは当然熱心に研究もされるし、やっておられるのですが、実際に労働災害の発生状況を見まして千人率を見ても、鉱業、港湾荷役業、林業、こういうところがほかの産業に比較して死傷率が非常に高いのですね。高い。したがって、いま申されたこの技術革新その他についての新しいものに対しての研究は、これはもちろんやらなければならないと思うのですが、鉱業、港湾荷役業、林業等の研究が私はどうもおくれているのじゃないか。特にその中においても大企業と中小企業において中小企業労働災害発生率というのは非常に高いわけなんですね。したがって、いまおっしゃられる国のとっておる安全衛生センターの設置によって、相談、指導、教育、検査等のことをやられる。そういうものに乗ってくるものはいいのでありますが、そういう指導、教育、検査等に乗ってこない災害というのが私は相当あるのではないかと思うのですね。そういう点でまず具体的にお伺いいたしたいのですが、労働省でも特殊な労働災害に対する、非常に多い災害の発生率の高いものについて特別な対策というのを講じられておるようでありますが、特定業種に対する対策というものをやはりとっておられるようでご、ざいます。そこで、具体的にお伺いいたしますが、陸上の貨物運送事業の労働災害、これについていろいろ対策を講じられておるようでありますが、作業工程の合理化等について指導をされるようでありますが、実際問題として、この陸上運送のいわゆる特に砂利トラというようなものについては、経営者のいわゆるノルマ的なものによって、賃金収入を上げるためにどうしても無理をするというような点があるんだろうと思います。そういう点からいって作業工程の合理化等について指導をするだけにとどまっているのか、労働省安全衛生対策としては、これは運行計画までいくというと、企業内容にタッチするようなことになりますが、そういうところまで入って指導監督ができるのかどうなのか、現状はどういうふうになっているのか、こういう点をまずお伺いしておきたいと思います。
  33. 村上茂利

    政府委員村上茂利君) 先生の御指摘の点、私ども同感しておるところでございます。特殊業態につきまして、経営、それから労務管理のおくれ、災害対策の具体的なおくれといったような各種の問題がございます。そこで、最近は自動車の運転手等の問題につきましては、単に災害防止という観点だけじゃなくて、労務管理の近代化という観点から、労働時間を中心に具体的な基準を定めまして監督指導しているということでございます。災害問題を単に災害技術的な問題にとどめず、労働条件にかかわる労務管理の問題として推し進めるというのが最近の傾向でございまして、今後ともそういう手法によりまして指導監督を進めたいと存じております。特に砂利トラ等につきましては、労働時間の面から目下強い監督指導カ行なっておるという次第でございます。
  34. 北村暢

    北村暢君 それに対して現在タコグラフの採用等によって運行の実態を知るということが行なわれておるようですけれども、このタコグラフの採用は、それが運行の状態がどうなっておるかということを知るだけなんですね。したがってあれを知っただけで、これをつけとけばだいじょうぶがというようことでは問題は解決しないので、これはわかるわけですから、それによって対策を講ずる。そういうところまでの徹底した指導といいますか、指導にしても、あれはスピードが幾ら出たということがわかるだけであって、スピード違反をやったものはやったように出てくるわけですよ。したがって、そういうものの使い方等においても、先ほど申したように、どうも労働省対策というのは、あまり企業内容に入るというと、またそういう面での弊害が出てくるわけですけれども、あくまでも指導でいくということでしょうが、そういうところまで立ち入って検討されているのかどうなのか。これはもちろん業者の団体なり何なりの協力を得なければならないでしょう、それをやっているとなかなか企業が成り立たないという問題もある、そこら辺の調整が非常にむずかしいのだろうと思うのですが、何にしても私はやはり安全対策の面からいって、これはまあ最近頻発する交通事故の問題とも大きく関連して、労働条件の問題とも関連してくるのでありますが、どの程度これができるのか、これらの点をもう少し具体的にお伺いしたいと思います。
  35. 村上茂利

    政府委員村上茂利君) タコグラフの採用等については関係業界団体にも申し入れをしているわけであります。そのタッチのしかたとしましては、災害防止のために長時間労働は制限をする、その際に、実作業時間が何時間で、休憩時間が何時間であるということがなかなか確認できない、そういう確認の手段としていろいろな方法がございますが、一つにはタコグラフといったようなものも手がかりになりはしないか、いずれにしましても、労使が実作業時間と休憩時間とを明確に確認して、労働時間管理ができるようにするための具体的な方法を検討してもらっておりますが、その中にタコグラフも入っておるわけであります。そういうタッチのしかたで、業界団体にも強く労働時間管理と関連して研究を要請しておる、こういうことであります。しかし、あくまでも労働組合の側においてもいろいろな意見がありますので、労使の間においてその問題を十分検討してもらいたいということをつけ加えておるわけであります。
  36. 北村暢

    北村暢君 次にお伺いしたいのは、林業関係の労働災害についてお伺いいたしますが、労働災害防止の実施計画においても取り上げられておるのですが、集運材手の安全確保と伐木造林労働者の安全教育訓練の徹底、こういうことで林業の主たる労働災害の発生は、やはりこの集運材、伐木事業、これだと思うのです。これは間違いないのでありますが、やはり林業といえども最近技術革新で機械化がどんどん進んでまいりました。そういう意味で確かに集運材関係の労働災害がふえてきていることは事実でありますが、そこで、ここのところにちょっと出てきておらないのでありますが、チェーンソーを使うことによるレイノー現象、いわゆる由ろう病と称するもの、これが職業病であるということについて、公有林のほうは人事院の認定で職業病の指定がなされておるようでありますが、一般民有林のほうの労働者についての、この白ろう病のレイノー現象を職業病と指定した状況というものが、一体どのようになっているのか。それからこれの医学的な研究というものがどの程度なされておるのか、私は先ほどお伺いした労働安全衛生研究所等において、技術革新による研究テーマが新たに出ているというのですが、そういう面での、林業等においてもそういう問題がある。新しい職業病として出てきておるわけです。こういうものの検討がどの程度行なわれているのか、現状をひとつ御説明願いたいと思います。
  37. 村上茂利

    政府委員村上茂利君) 国有林野の関係を除きまして一般民間のいわゆる白ろう病として補償の対象となりました件数は三十八年四月から四十一年七月までの間に五十七件ございます。労災補償の立場からは労働法準法施行規則第三十五条の第十一号によりまして、白ろうを業務上の疾病として扱うというたてまえをとっております。御承知のように、林野関係におきましてはそれが明確でなかったために、人事院規則で明らかにするという問題があったわけでございますが、これも御承知のように、昨年七月、人事院規則で定められたわけであります。一方におきまして、補償のみならず、予防に重点を置かなければならないという観点から、労働省では衛生研究所に対しまして、このチェーンソーの防振構造に関する問題とか、あるいは防振材料に関する研究とか、最近数年間継続して研究を命じておるわけでありますが、別にまた災害医学に関する委託研究という面から、別な団体にも委託費を交付いたしまして研究さしております。その結果、防震措置につきましては幾つかの結論が出てまいっておるわけであります。そしてまた、いろんな防振措置と関連いたしまして、休憩時間の適切なる採用とか、いろいろな問題がだんだん明らかになってきておるわけであります。これらの明らかにされた問題を労使双方にいかにこれを明らかにして浸透し、今後白ろう病の予防につとめていただくかということが今後の大きな課題であろうかと思うわけでございまして、逐次、研究成果はまとまってまいってきておりますけれども、これをさらに普及徹底するという方面に今後一そうの努力をいたさなければならない、かように考えておる次第でございます。
  38. 北村暢

    北村暢君 その研究せられておることについては説明で大体わかりましたが、予防対策としてのいわゆるこの対策の基準といいますか、連続使用時間の規制をどの程度やるとか、あるいはこれは交代的に、一人の者でなしに二人で交代してやるとか、そういうような使用上の労働のいわゆる作業のやり方に対する対策、こういうものもこういう研究成果からだんだん出てくるのじゃないかと思うのですが、このレイノー現象というのは、やはりいま使い出したらいま直ちに出てくるというものではなくて、二年なり三年なりやった後に大体こういう現象が出てくるようですね。そして、しかもそれが非常に重症患者になるというと相当入院をしてやらなければならない。からだの自由というものがなくなるというような重症患者も実際には出てきているよう、であります。したがって、そういう面からしての労働時間の規制等について、その指導のしかたというものもやはり対策としては私は出てこなけれ、ばならないと思う。  それからもう一つは、この発生したものに対してのまだ病気の治療対策というものが実はないようですね。どうやればなおるのかという、それがなかなか出ない状態、したがって、これはまあ衛生研究所等においてそういう治療対策まで可能なのかどうなのかということは、私ちょっとわかりませんけれども、これは純医学的な問題になって、いまのところではちょっと治療対策というものが、治療方法というものがなかなか的確なものがまだはっきりしておらぬ、こういう状態ですね。そういう点についてまでこの研究がなされているのか、また今後どういうふうなお考えを持っているのか、この点ひとつお伺いしたい。
  39. 村上茂利

    政府委員村上茂利君) 御指摘のとおり、白ろう病の症状判定基準、治療方法等については、医学的にまだ確立していないという段階にございます。そこで、先ほども申し上げました委託研究としては、振動障害の早期診断等に関する研究等につきまして委託研究をしてもらっておりますが、そういう委託研究成果と相まちまして、いま専門家等によりまして、症状判定基準あるいは治療方法を決定する必要があるというふうに考えておる次第でございます。鋭意研究を進めておりますけれども、御指摘の点、私ども重々承知いたしております。できるだけ早期にそういった治療対策につきましても基準を確立したいと存じております。
  40. 北村暢

    北村暢君 それからもう一つは、災害認定による補償の問題について、先ほど三十八年以降五十七件あったというけれども、これは零細な、林業労働者は大体零細で、がまんをしているというところがあるのじゃないかと思うのですね。大体民有林のほうが圧倒的にまだ多いのですから、国有林でも今日まで発生している件数から言えば何百件というのが出ているのでありますが、実際に認定をしたらどうかわかりませんけれども。したがって、三十八年から五十七件というのは、私はどういう結果で五十七件しかないのかわかりませんけれども、認定のしかたというのが非常にきびしいということになると、患者の、対象人員というものが減ってくるわけですね。したがって、この認定のやり方はどういうふうにやっておるのか、伺いたい。
  41. 村上茂利

    政府委員村上茂利君) 先生御承知と存じますが、白ろう病と称せられる症状は作業終了後消退する、そういった病理的に症状が消退する場合がございまして、疾病状況の判断がむずかしい場合がかなり多うございます。したがいまして、一方においては、民有林の関係におきまして補償を要求してこない場合が想定されますし、一方においては、時の経過によりまして、そういう症状が消退するという場合がございますので、判断になかなかむずかしい面があると思います。しかし、との問題は、数年前から特に問題として提起されておりますので、労働省としても十分公正な立場で白ろう病の措置をしたいと、かように考えておりますので、今後、問題のないように善処いたしたいと考えている次第でございます。
  42. 北村暢

    北村暢君 もう一つ林業関係の労働災害で、いわゆる雑草を枯らすために枯殺剤による労働災害が出ているようです。この面に対する研究なり対策なりはどのように行なわれているか、ちょっとお伺いいたしたいと思います。
  43. 村上茂利

    政府委員村上茂利君) 御承知のように、クロレートソーダの使用に伴う火傷、やけどと申しますか、皮膚炎、結膜炎その他の傷害が発生しておるわけであります。それらの対策としてはいろいろな面がございますが、火器の使用禁止、防護めがね、防護手袋、保護具の着用、あるいは身体に付着した場合の洗浄、散布地域への立ち入り禁止等いろいろな対策が必要でございますが、これらの対策について国有林野のほうではかなり基準を明らかにして災害防止につとめておるようでございますが、これらの対策は民有林におきましても同様でございまして、労働省といたしましては、林野庁と連絡いたしまして、それらの災害防止対策をさらに普及徹底いたしまして、やけど、皮膚炎、結膜炎といったような疾病が生じないように、できるだけ努力いたしたいと存じております。
  44. 北村暢

    北村暢君 そういう対策を立てて普及徹底することが必要ですが、林業の経営者というのは、どちらかというと中小的な、中小というよりは零細企業的な経営が非常に多いのでありますが、林野庁と協力してやるということでございますが、その周知徹底をし指導をするというやり方、特に一工場とか何とかでなくて、先ほど安全対策において、相当個所数を指導監督しているようでございますが、場所がとにかく都会地じゃないものですから、一カ所の事業所へ行くのにも、これはもうたいへんなわけです。したがって、とても現地でどうこうというようなことを調査に行くにしても何にしても非常に困難をきたしている状況はわかるのでありますが、それだけにレイノー現象にしても枯殺剤の労働災害にしても、林業労働災害全体について、そういう指導監督というようなことが非常にやりにくいだろうと思うのですが、そういうような点で特にどのように対策を講じておるのか、この点をひとつお伺いしておきたい。
  45. 村上茂利

    政府委員村上茂利君) 監督指導の困難なことは先生指摘のとおりでございますが、私どもとしましては大体二つの面から考えております。一つは、業者自体がこういう問題について認識を持っていただく、業者自体のルートから災害防止の認識と具体的な対策を検討してもらう。これには林業労働災害防止協会という団体がございまして、これらも指導いたしておりますので、災害防止協会に加入しております会員が、すなわち業者でございますが、そういったルートを通じまして災害防止の関係の認識と具体的対策の浸透をはかってまいりたい。一方、監督指導の面におきましては、個々の業者をそれぞれ指導するという面に非常に困難がございますので、集団的に業界関係者を指導する講習なり、あるいは説明会をする、いろいろなそういう形で集団的な監督指導という方法を講じておる次第でございます。しかし、何ぶんにも山奥でやりますような作業でございますので、個別的にやると非常に困難な面がございますけれども、いま申しましたような手段、方法によりまして災害防止の指導徹底を期したいと考えております。
  46. 北村暢

    北村暢君 そこで、会員相互のパトロールをやるというようなことが対策としてひとつ考えられているようでありますが、パトロールというのは、いまお話のとおり、これは安全衛生のパトロールをやるにしても、それはとても奥地をパトロールするというわけにはいかないのだろうと思いますが、そういうもので総合的に検討されたことがあるのかどうなのか。まあ一つには安全衛生ということだけに限らないで、山の問題はほかにも問題があるわけです。安全衛生の問題だけでパトロールということは任務としてはやりにくいのじゃないかと思う。ほかの任務で、たとえば国立公園地帯なら国立公園地帯の山の管理面で、そういういわゆるレンジャー的なものを設けて、それに安全衛生の問題も教育をして、幾つかの任務を持った者、そういう人を養成しないというと、そういう専門の人をやろうとしてもなかなかできないのじゃないかと思うのですが、そういう点についてはこの会員相互のパトロールというのは、これは普通の工場ならやりやすいのだろうと思いますが、この林業労働災害についてのパトロールというのは、ちょっととてもできないのじゃないかと思いますが、一体、とのように対処されるつもりか、ひとつ伺いたいと思います。
  47. 村上茂利

    政府委員村上茂利君) 現在、林業労働災害防止協会でも自主パトロールという自主的なパトロールを計画し、実施いたしておるようでありますが、北村先生指摘のような多目的パトロ−ルと申しますか、そういった形のものがむしろ具体性があるんじゃないかという御意見、私どもそういった点につきまして今後検討をいたしたいと考えております。
  48. 北村暢

    北村暢君 そこで一つ、最後のほうになりますが、中小企業労働災害対策ですが、これは中小企業といってばくぜんと対策をとるといっても、さきに掲げましたいわゆる運輸、交通産業にいたしましても、いろいろな製造工業にしても、中小企業のものに労働災害発生率が非常に高いということでありますから、そのための対策として、いわゆる先ほどの集団的な指導なり何なりということが行なわれておるようでありますが、この点の対策というものをお伺いしたい。特にこれはもう零細企業になると、労働省の言う安全衛生の対象からはずれてしまうんじゃないかというような感じすらするわけです。特に家内労働等について、これは非衛生的な、安全衛生の面からいって、おそらくこういう点については手が届かないのじゃないかというような感じがするわけです。こういう点については一体どのような対策を持っておるか、まあ労働省は、大きな企業なり何なりは、労働災害が起こりましてもすぐ政治問題化しますから、そういう面ではできるわけですが、この目の届かない中小企業、零細企業、家内労働というようなものについては、これはもう安全衛生だの何だのという行政の対象にはおそらくなってないのじゃないかというような感じすらするのであります。したがって、そういう面についての、従来、労働省としては行政の対象としてどのようなことをやってこられておるのか、また、そういったようなところまであたたかい行政の手というものが一体伸びておるのか、伸びてないのか、こういう点についてお伺いいたしたいと思います。
  49. 村上茂利

    政府委員村上茂利君) 中小企業というとらえ方で災害防止対策を進めましても、業種業態によりましてそれぞれ災害防止対策のきめ手というのは違うわけでございます。したがいまして、中小企業性産業で災害が多い、まあ林業も、あるいは海湾荷役も、どちらかというとそういう形態のものでありまして、でありますから、そういう特殊零細性の業態につきましては、むしろそういうようにグループをつくりまして指導をすると、こういった方向がとられておるわけであります。しかし、中小企業一般について特別な対策を考慮しかかという点につきましては、たとえば使用する機械に安全装置を備えるようにと申しましても、資金がないのでできない、こういう問題もございますので、労働省といたしましては、中小企業を対象にいたしました安全衛生施設特別融資制度、あるいは減税特別措置といったような方法を考えまして、減税につきましては昨年度から実施いたしておるような次第でございまして、これは中小企業という一般的立場からとりました特殊の措置でございます。また、衛生問題につきましてもなかなか指導監督徹底いたしませんので、昨年度から労働衛生モニター制度を設置いたしまして、見間の適当な医師にモニターになっていただきまして、産地集団において発生する異常疾病等を特別に注意いたしまして、それが職業性疾患であるかどうかといったような点についての把握をさらに深めたい、かように考えておるような次第でございます。しかし、中小企業の問題は、災害防止という観点だけでは解決し得ない労務管理の問題が基本にございますので、労働省といたしましては、中小企業に対しましては労務管理の近代化という問題ともあわせまして、災害防止を含め集団指導を行なうという方向でさらに推進していきたい、かように考えておる次第でございます。
  50. 北村暢

    北村暢君 最後に、こまかいことを質問してまいりましたから、大臣に最初に基本的な考え方をお伺いいたしたのでありますが、いま局長の答弁をされました点について、まああれもやり、これもやり、だいぶ心を配ってやっておられるということは質疑の中でわかりましたけれども、これは実際には、もう非常に実施の面において、特に中小企業等においては指導監督、それはやりたくても実際できないということで、まあ不十分であるということについては私はもう否定できないと思うのです。ところが、やはり労働災害等においても、大企業であれば相当の処置はとれますけれども、中小企業、零細企業、家内労働等におきますというと、もう泣き寝入りになっているものが私は相当多数あるのじゃないかということは想像するにかたくないわけですね。したがって、重点が大企業に行きやすいわけなんですが、そうではなしに、ひとつ泣き寝入りになっておるような、また監督指導の非常に困難なところというところにも十分配慮をされて、ひとしく安全衛生対策というものがいくような方向にひとつ今後とも努力をしていただきたいと思いますが、この点について大臣の所見をお伺いして私の質問を終わりたいと思います。
  51. 早川崇

    国務大臣早川崇君) 北村先生の御意思のとおりでございます。大企業はそれぞれの安全衛生の担当官もおりまして十分進んできております。ただ、中小企業の特に土建業、あるいは林業、港湾、その他零細企業、こういうところにこそ労働省の機関を動員いたしまして、監督もあるいは相談も特に重点を置きまして、これらの方には特に労働者の災害防止の万全を期するつもりでございます。
  52. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 大臣、お聞きしたいのは、労働災害防止対策の予算で、あれですか、四十一年度に比べて四十二年度は少なくなっておるのがありますね、これはどういうわけですか。
  53. 村上茂利

    政府委員村上茂利君) それは四十一年度におきまして安全衛生研究所の屋外実験場を設置する予算が非常に大きかったために、それが今年度で落ちた。それで若干減ったような形になっておりますが、実質はふえております。
  54. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そのほかに二つ減っておるものがあるでしょう。これはどういうわけで減ったのですか。
  55. 村上茂利

    政府委員村上茂利君) 二つ減りましたところちょっと私もわからないのでありますが、安全衛生研究所の屋外実験場は、これは……。
  56. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 全額なくなったのですか。
  57. 村上茂利

    政府委員村上茂利君) はい、なくなったわけでございます。あと一つは、ちょっと私いま気づきませんで——たいへん失礼しました。いま一つは、四十一年度において労働災害調査の基本調査を実施いたしました。それは特殊調査でございます。本年度は落としております。いま一つと申しますのは、そういった点じゃないかと理解いたしております。
  58. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 研究機関の拡充というのはちょっと減っておるのでしょう。これが一つと、それから科学的労働災害調査労働災害動向調査費というのが、これが減っていますね。これはどういうわけなんです。
  59. 村上茂利

    政府委員村上茂利君) 研究機関の拡充と申し、ますのは、題目は拡充なんですが、内容は減ったじゃないかという御印象のようですけれども、これは安全衛生研究所は、現在ございましたところを建物を取りこわしまして新しく改築中でございます。したがって、従来の安全研究所の機能が、若干改築期間中停止するような状態に置かれますので、ほんの一時的な現象でございますけれども、その分の研究に要する経費がやや減っておるということに相なっておるわけであります。  いま一つは、先ほど申しました特殊な調査が今年度は行なわれないということでございます。
  60. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 設置法の八条の二の第三号にありますね。「じん肺に関する労働者の健康管理の区分等の決定に関すること。」、これはどういうことなんですか。これは四つに区分が分かれているのですね。具体的にちょっと説明していただきたいと思うのですが。
  61. 村上茂利

    政府委員村上茂利君) 御承知のように、管理区分の四になりますと、労災補償の対象になるわけでございまして、また配置転換その他の特殊の問題が生じます。そういった行政処分を要することでございますので、その管理区分を明確にすることが必要になってまいります。したがいまして、それが一つの行政権限でございますので、設置法にこれを特掲しておるわけであります。
  62. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 この四の場合に、厚生年金の傷害等級等の認定のしかたは、だいぶ違うのだという話があるのですがね。何か労働省厚生省との間で話し合いをしているのですか。
  63. 村上茂利

    政府委員村上茂利君) 厚生年金の傷害の区分は三つでございますが、労災のほうは十四に区分いたしております。そこで厚生省としては、厚年と他の社会保険との間におきましても、傷害等級の区分が違います。そこで、違った区分のものをどう調整するかという問題がございます。厚生省では専門家会議を設けましていろいろ検討しまして一応中間的な結論を得たのであります。それを労災の傷害等級とどうかみ合わせるかという点につきまして、基本理念その他に若干の違いがございます。たとえば社会生活一般を保障するという観点から傷害の等級を格づけする、あるいは労働能力の喪失、いわゆるアーニング・キャパシティの喪失という観点から、労働能力の喪失を評価するとかといったような問題がございまして、それぞれの保険の特殊性に応じてさらに研究をする必要がある。労働省では、厚生省研究成果を踏まえまして、目下、傷害等級の専門家会議で鋭意検討を進めておる次第でございます。
  64. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いろいろこの区分のことに関連しての問題などがあるようなんですが、じん肺にかかっている人が検診を申し出た場合には、どこへ申し出るのですか。そうすると全部無料でやってくれるのですか。それが今度変わったんですか。何といいますか、やり方というか、何というか。
  65. 村上茂利

    政府委員村上茂利君) 検診は、先生御承知のように、使用者に対しまして定期健康診断等の義務があるわけでございまして、そういった法定の健康診断の結果明らかにされるという場合は、もちろん使用者がその経費を負担するわけであります。そこで、それ以外に管理四に該当するかどうかといったような問題になると、医療補償の支給と関連してまいりますから、それは労災指定病院等におきまして診断をいたしまして、その結果によって判断するということになりますが、その認定につきまして、もし争いがあったらどうかという場合には、じん肺診査医という特別の制度がございまして、その医師が判断するということになります。
  66. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 労働大臣、これで私の質問終わりですが、大臣に対して最終的に一つお聞きしておきたいのは、この前から話が出ている労働保険事務所ですね。あれをつくることについて、労働省職員の中に、相当いろいろの面での動揺があるわけですね。配置転換の問題だとか、退職の勧奨が行なわれるのではないかとか、いろいろの動揺があるように私どもは聞くわけです。それはもちろんその中にずいぶん誤解があるかもわからないし、考え過ぎがあるかもわかりませんけれども、いずれにいたしましても、そういうものがあることは事実なんですから、大臣としても、よく職員の人たちと話し合いをして、そうして何とか納得のいくようにするとか、あるいは納得できないところもあるかもわかりませんけれども、いずれにしても、十分な職員との話し合いを進めていくと、こういうことをぜひやってもらいたいと思うのですがね、その点についての大臣考えを聞かしていただいて、それで私は終わります。
  67. 早川崇

    国務大臣早川崇君) まだ私のほうにはそういう話は聞いておりませんが、もしそういう事態があるとするならば、よく御趣旨を尊重して善処いたしたいと思っております。
  68. 多田省吾

    ○多田省吾君 初めに産業災害防止五カ年計画について若干お尋ねしたいのですが、新産業災害防止五カ年計画、すなわち第二次五カ年計画の本年度は最終年度に当たっておりますけれども、この計画の最終目標が、死傷年千人率が一二・三になっておりますけれども、この目標を達成できる見通しというものがあるのでしょうか。
  69. 村上茂利

    政府委員村上茂利君) この最終目標に到達いたしますためには、本年度相当がんばらなければ、やや目標を下回るという懸念がございますので、目下行政機関、関係団体その他全力をあげまして、四十二年度の一二・三という目標を達成すべく鋭意努力中でございます。
  70. 多田省吾

    ○多田省吾君 努力されることはけっこうですけれども大臣としてどうですか、自信はおありですか。
  71. 村上茂利

    政府委員村上茂利君) これは今後の災害発生状況を見なければ予断を許しませんけれども、かりにもし下回るといたしましても、ごくわずかなことでございまして、全体としましたならば、ほぼ四十二年の目標は達成するものと私ども考えております。
  72. 多田省吾

    ○多田省吾君 第一次五カ年計画では、死傷の年千人率の減少とあわせて、災害件数の減少ということも一緒に目標としたわけでございますけれども、結局、災害件数の減少ということは、目標を達成できなかったわけです。それで、第二次五カ年計画では、死傷の年千人率の減少だけにしぼって、災害件数の減少というものを目標からはずしてしまったような姿です。しかし、経済が発展してまいりますと、どうしても事業所数もふえますし、労働者数も非常に増加するわけですから、死傷年千人率がたとえ減少したとしても、労災の絶対件数というものは増大する傾向にあると思うんですね。そういう意味で、ひとつ災害件数の絶滅も非常に大事な問題ですから、当然今後は災害発生件数の減少というものを目標にすべきではないか、また、第二次五カ年計画の最終年度にあたってこの点をどのように反省をしておられるか、また、どのようにそういう災害発生件数の減少傾向があるか、あわせてお尋ねいたします。
  73. 村上茂利

    政府委員村上茂利君) 具体的な災害件数そのもので計画を設定すべきではないか、こういう御意見と承りましたが、御指摘のように、第一次の五カ年計画が、昭和二十八年を基準として計画をつくったのでございますが、これはわが国で初めてのことでございまして、当時におきまして雇用の伸びが必ずしも十分予測されなかった。したがいまして、災害実件数で見てまいりますと、二十八年以降日本経済が非常に急速に伸びまして、雇用数も非常に乏しく増大いたしました。そこで、やはり雇用の伸びを考えずに発生率というものを考えてまいりますと、これは災害発生率と申しますか、災害が多くなったか少なくなったかという判断につきまして必ずしも適当でないというので、雇用の伸びというものを考えましたのが第二次の計画でありました。そこで、本年度は第三次の五カ年計画をつくらなければなりませんが、より正確な数字といたしまして、第二次の計画は休業八日以上の死傷発生率をとっておりますか、今後の計画におきましては、これは休業四日以上というふうに基準を下げまして、これは労災保険の休業補償の基準が四日に下がりましたので、それを基礎にいたしまして、休業八日を四日に下げますので、その数字の正確度はさらに高まるわけであります。そこで今後の計画を設定いたします場合には、そのようなより、正確なデータによりまして今後の目標を設定いたしたいというふうに考えております。
  74. 多田省吾

    ○多田省吾君 労働災害の防止体制について若干お尋ねしますが、監督官の中でエンジニアが占める率はどのくらいかということです。  それからもう一つは、最近労働省で毎年五十名の監督官を募集しておられますけれども、その応募状況、並びに応募者並びに採用者の中にエンジニアがどのくらい含まれているか。
  75. 村上茂利

    政府委員村上茂利君) 監督官に占める技術者の率でございますが、現在技術監督官は約三割、人数の実数で申しますと、監督官定数が二千五百七十二名に対しまして技術監督官は七百十名、こういう現状になっております。しこうして監督官につきましては、いわゆる公開試験で監督官を採用しておるわけでありますが、四十一年度におきましては、七十六名の監督官採用者のうち、いわゆる技術系統の職員の占める数は九名というように、できるだけ技術系の職員を多数採用したいと考えております。
  76. 多田省吾

    ○多田省吾君 今度は監督官を多数とりたいというんですが、まあ待遇でございますね、初任給が二万二千百円だと、七等級の一号と聞ておりますけれども、これはこの春の大学卒の民間初任給平均二万六千二十円と比べますと四千円の開きがあるわけです。工学部、医学部系統はもっと大きくなるんじゃないかと、このように思うわけですね。で、待避の面でその格差というものはますますはなはだしくなりますから、どうしてもこれは監督宮の待遇というものを改善していかなくちゃいけないんじゃないか。そうしなければ志望する人が逆に減ってくるんじゃないかと、こう思われますけれども、その具体的な対策がございますか。
  77. 村上茂利

    政府委員村上茂利君) 監督官採用の制度が公開試験であり、職務の内容がきわめて重要であり、国際的な監察官制度の例もあります、が、監督官の待遇をできるだけ高めたいというのが私どもの切望するところでありまして、従来人事院、大蔵省に折衝してまいり、ましたが、来年度におきましても何とか特別な待遇が実現いたしますように、目下鋭意努力をいたしておるところでございます。
  78. 多田省吾

    ○多田省吾君 まあ最近技術革新の進歩というものが非常に大きいわけでございますが、まあ監督官のいわゆる監督機能にもからんで、知識水準というものが非常に大事になってくると思います。で、現在就任している監督官についてのその知識水準の向上についてどういう措置をとっておられますか。
  79. 村上茂利

    政府委員村上茂利君) 監督官の質を高めますためには、労働省では研修制度、これが確立されておりまして、長期間にわたる研修を労働省の研修所において実施いたしておりますが、それ以外に、専門技術的な問題については大学聴講制度を設けまして、大学に一年間派遣いたしまして特政研究に従事さすと、こういう措置を講じておる次第でございます。
  80. 多田省吾

    ○多田省吾君 ZD運動でちょっとお尋ねしたいのですけれども、まあ日本電気等のZD運動もちょっと聞いたことがありますけれども、このZD運動の現状について、そうして労働省がこのZD運動に対してどのような評価を下しておられるのか。
  81. 村上茂利

    政府委員村上茂利君) ZD運動というのは私よく存じませんので、実はそういう問題があるらしいというのは、昨日、ものの本によって多少知った程度でありますけれども、これが労働災害防止とどう結びつくのか、もう少し調査いたしましてからどういう判断を下すべきか考えてみたいと思っております。
  82. 多田省吾

    ○多田省吾君 最後にお尋ねしたいのですけれども、まあ労働災害防止団体について、中央あるいは業種別の労働災害防止協会を設立いたしましてから現在まで三年間の運営状況を見て、労災防止にどのように役立っているか。どのようにそれを確認しておられるかお尋ねします。
  83. 村上茂利

    政府委員村上茂利君) 労働災害防止協会は設立後約三年を経たわけであります。協会といたしましては、参加会員の協力体制を確立するというのに一両年を費やしたようでありますが、第三年目に及びましてようやく本来の普及啓蒙活動、あるいはいろいろな法で定められました措置、たとえば災害防止規程を逐次定め、これを会員に普及すると、そういった本来の目標を積極化してまいっております。今日までの状況を見ますると、法の期待いたしておりますような方向に進んでおるというふうに私ども感じておる次第でございまして、かすにもう少しの年月をもってしたならば、相当成果をあげ得るのではなかろうかと期待いたしておるような次第でございます。
  84. 多田省吾

    ○多田省吾君 この組織率がどの程度になっておるかですね。今後の伸び。それから未組織、未加入の層が非常に多いわけですけれども、中小企業、零細企業のみならず、大企業等においても、まあ企業体で入っておりますからですね、本社だけが入って、地方の支店が入っていない、こういう場合が非常に多いわけです。これを事業所単位に入れるとか、そういった行政指導ができないのかどうかですね。どうですか。
  85. 村上茂利

    政府委員村上茂利君) 災害防止協会は、たとえば港湾、林業、陸上貨物といったような零細性の企業のものが多うございますので、まあ加入率の判断につきましてもいろいろな基準があるわけであります。しかし、現在までのところ、平均いたしますと加入率は六〇%を上回っておりますので、いましばらく年月を経過いたしましたならば、この組織率——まあ組織率のとり方もいろいろございますが、労働者総数に対する割合を見ますと六〇%をこえておる。これがさらに増大するものと私どもは期待いたしております。
  86. 多田省吾

    ○多田省吾君 この協会の地方組織が非常に弱体で、地方ブロックごとに支部を置いて一名程度のコンサルタントを置いている、こういう状況でございますけれども、これを各府県ごとに支部を置いてコンサルタントを配置するというような、そういう機構の拡充は考えておられませんか。
  87. 村上茂利

    政府委員村上茂利君) 地方組織の機構は今後拡充いたしたいと存じております。ただ、業種によりましては、たとえば建設で申しますれば、県には建設業協会があるわけであります。それ以外に建設労働災害防止協会の支部を設置するということにつきまして、そういった業者の従来あります地方組織との調整その他の問題がありますので、特殊な面だけ大きくすることがいいのかどうか、いろいろな問題があるわけでございます。しかし、要は、本来の機能が発揮できるような体制をとることが必要でありますので、既存団体の支部組織といったものとからみ合わせまして、災害防止協会の支部が一そう強化されることを私ども考えておる次第でございます。
  88. 多田省吾

    ○多田省吾君 この協会の拡充につきましても、財政の充実ということを強くはかっていかなくちゃいけないと思います。まあ会費を値上げするような方法もありますけれども、当然労働省からの国難補助がもっと増額されなければならない。昭和四十一年度は四億一千万円、四十二年度は四億六千万円と、あまり補助額がふえておりませんし、今後どういう方針で臨まれるのか伺いたい。
  89. 村上茂利

    政府委員村上茂利君) 補助金は、実情に合うように考慮いたしまして、本年度も若干増額をいたすことにいたしております。ただ、自主的な民間の団体でございますから、会員の協力が必要でございます。先ほど先生指摘のように、組織率がまだ一〇〇%に達しておらぬ。したがいまして、六〇%の状態がさらに高まりますれば、会費を上げませんでも会費収入が多くなるということが期待できるわけでありますので、そういった協会自体の努力と相まちまして、今後必要なる活動ができますように措置したいと考えております。
  90. 多田省吾

    ○多田省吾君 最後に大臣にお尋ねをしたいのですが、本年度は第二次産業災害防止五カ年計画が終了して、いよいよ第三次五カ年計画が策定される段階でございますけれども趣旨説明の中でも「総合的科学的な」計画を樹立するとおっしゃっておられる。その目標というものも先ほど聞きました。それについて大臣として、今後のこの第三次五カ年計画とあるいは労災防止等について、具体的な御所見を最後に承りたいと思います。
  91. 早川崇

    国務大臣早川崇君) 今年度新しく第三次五カ年計画を樹立するにあたりましては、従来からの経験を十分生かし、また、今回新たに設立される予定の安全衛生局という局の整備とあわせまして、抜本的に検討すべき点その他洗いまして、前の五年間以上の災害防止計画目標を設定いたしまして、十分人命尊重、労働災害防止に有効な計画を樹立してまいりたいと考えておる次第でございます。
  92. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 他に御発言もないようでございますから、質疑は尽きたものと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますから、討論は終局したものと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  労働省設置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  93. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 総員挙手と認めます。よって本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  94. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  午後二時に理事会を開会することといたし、暫時休憩いたします。    午後零時四十五分休憩   〔休憩後開会に至らなかった〕      —————・—————