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1967-07-11 第55回国会 参議院 内閣委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月十一日(火曜日)    午前十一時十二分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         豊田 雅孝君     理 事                 石原幹市郎君                 八田 一朗君                 稲葉 誠一君                 北村  陽君     委 員                 源田  実君                 柴田  栄君                 玉置 和郎君                 船田  譲君                 三木與吉郎君                 宮崎 正雄君                 山本茂一郎君                 伊藤 顕道君                 中村 英男君                 前川  旦君                 山崎  昇君                 多田 省吾君    国務大臣        農 林 大 臣  倉石 忠雄君        労 働 大 臣  早川  崇君    政府委員        農林大臣官房長  桧垣徳太郎君        農林省農政局長  森本  修君        農林省農地局長  和田 正明君        水産庁次長    山中 義一君        労働大臣官房長  辻  英雄君        労働省労働基準        局長       村上 茂利君        労働省婦人少年        局長       高橋 展子君        労働省職業安定        局長       有馬 元治君        事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  清君    説明員        食糧庁総務部長  田中  勉君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○労働省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     —————————————
  2. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  農林省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案は、去る六月九日、衆議院から送付され、付託されました。なお、衆議院におきましては、修正議決されております。その修正点は、お手元にお配りいたしましたように、附則の施行期日の、「この法律は、昭和四十二年六月一日から施行する。」を「この法律は、公布の日から施行する。」と修正されております。  本案提案理由説明はすでに聴取いたしております。  それでは、これより本案質疑に入ります。関係当局からの御出席は、倉石農林大臣、その他政府委員の方々であります。質疑のある方は、順次御発言願います。
  3. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この法案に関連いたしまして二、三お伺いいたしたいと思います。まず、先般、提案理由説明がございましたので、その順を追うてお伺いしたいと思います。  最初にお伺いしたいのは、食糧庁次長制を新たに設ける理由として、「食糧管理制度の適正な運営とその改善」云々と説明されておるわけです。そこでお伺いするわけですが、その実情とその必要性についてひとつ具体的に御説明いただきたい。
  4. 田中勉

    説明員田中勉君) お答え申し上げます。  食糧庁所掌事務は、御案内のように、主要食糧管理を初めといたしまして、現在、広範多岐にわたっておるわけでございますが、特に最近は、管理制度運営に伴います米麦価の問題、また、先般麦価審議会等におはかりいたしたわけでございますが、麦類管理改善等食糧管理上の基本的な問題が提起されておる現状であるわけでございます。また、他方におきまして、食糧庁におきまして食品行政面におきましても、食料品物価対策強化等、いろいろ根本的な問題の解決を迫られておるわけでございます。これらの諸問題は、その重要性から関係方面と折衝すべき事項が非常に多うございまして、食糧庁長官は、それらの対外的な折衝とか説明等にその時間の大半をさかざるを得ない現状にあるわけでございまして、そういうような状況のもとにおきまして、これらの諸問題の解決を促進いたしますとともに、日常の業務の的確迅速な処理を期するために長官を補佐いたしまして、それらの事務を整理する次長を置くことが必要であるというぐあいに考えておる次第でございます。
  5. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なおお伺いしたいのは、食品工業体質改善についての実情について御説明願いたい。
  6. 田中勉

    説明員田中勉君) 食品工業現状を申し上げますと、比較的に中小企業的な面が非常に多いわけでございまするので、最近の食品工業体質改善その他の面からいたしまして、中小企業近代化促進法によるその業種指定、また、それに伴いまする諸般の融資、あるいは税制上の措置、または企業につきましてはそれぞれその中小企業の面が非常に多いわけでございますので、あるいは統合、あるいはいろいろ業務上の共同的な仕事というような面におきまして、食糧庁としても、目下鋭意それらの業界の体質改善につとめているところでございます。
  7. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、法律職として次長制を新設することにしておるわけですが、大体、総括職である次長格になろうと思いますが、本省参事官ですね、これは政令職であると思うのです。そこでお伺いするわけですが、これは農林省に限ったことではなくて、最近、各省庁間に各種の名称政令職が設けられておると思うのです。しかも、その名称は各省庁ごとに区々であって統一性がない。もちろんこのことについては、いわゆる国家行政組織法上の問題として、行管中心に追及する問題であって、ここで深く追及しようとは思っていませんが、この際、農林省として職を設ける場合には、基本的な考え方はどういうことなのか、このことをこの機会に伺っておきたいと思います。
  8. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 御質問にございましたように、法律職のほかに、政令職として各省とも参事官あるいは審議官というような制度を持っておるのでございます。私の省でも参事官制度をとっておるのでございますが、法律職は、申すまでもなく、特定行政機構の中で、その機構自身の本来的な組織として、どうしても必要であるというものについて、国会の御審議を得た上で決定することにいたしておるのでございます。政令職につきましては、当該事務処理機構について、いろいろな行政上の繁閑と申しますか、問題の所在が流動することに対応いたしまして、特定事務について指示いたしました事項総括整理をさせるという意味設置をいたしておるのでございます。で、参事官制等につきましては、内閣政府、全体といたしまして行管等中心の検討は進められると思いますが、私ども当面の問題といたしましては、参事官制が、あたかも法律職のごとく一定の局あるいは庁に固定化いたしておることに問題があるのではなかろうか。若干そういう参事官について、たとえば参事官官房に一応集中をいたしました上で、各局の事務繁閑に応じて局長の補佐として配置をさせるというようなことも検討したらどうであろうかというふうに思っておるのでございます。
  9. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、この法案にございます水産研究所を今回改正しようとしておるわけですが、その趣旨についてまずお伺いしたいと思います。
  10. 山中義一

    政府委員山中義一君) 水産研究所組織改正いたします趣旨について御説明申し上げます。  御承知のように、近年、遠洋漁業がたいへん発達してまいりまして、日本の漁船は、世界中の各海洋に出ております。したがいまして、国際的な問題の処理のために、この遠洋漁業に関します試験研究を一そう強化する要請が高まっております。また、沿岸漁業のほうといたしましては、この振興のために調査及び試験研究を一そう効率的に行なうということがきわめて必要な事態になっております。このような情勢にかんがみまして、水産研究所につきましては、遠洋漁業沿岸漁業との専門別研究体制を確立するということ、それから一方、水産物の需給関係で、需要の高度化等に伴いまして利用加工に関しまする試験研究を一そう集中的に行なって、利用加工研究におきましてはこれを重点的に行なってまいりましたが、三十七年度以降、逐次、試験研究体制整備を行なってまいってきたところでございます。昭和四十二年度におきましては、新たに遠洋水産研究所設置いたしまして、遠洋漁業に関する試験研究調査を一括してこれに行なわせるとともに、沿岸漁業等につきましては、漁業の実態に即しまして、内海水産研究所南海水産研究所沿岸漁業等に関しまする部門とを合わせまして、南西海水産研究所を新たに設置することにしておるわけでございます。
  11. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 今度の新設されることになる両研究所について、組織とか、定員予算、こういう点についてまず伺いたいと思います。特に遠洋水産研究所については、新たな地に設けられることになるわけです。そこで、この点について詳細に御説明いただきたい。なお、あわせて職員宿舎等についても当然必要になる問題であるわけです。そこで、その点についてはどのような配慮がなされておるのか、こういう点もあわせて御説明いただきたいと思います。
  12. 山中義一

    政府委員山中義一君) 現在水産研究所八つのものがございます。そのうち七つは海のほうにございまして、北のほうから申し上げますと、北海道区水産研究所、東北区水産研究所、東海区水産研究所内海水産研究所南海水産研究所西海水産研究所日本海区水産研究所、それから内水面、淡水面部門を担当いたしまするものとして淡水水産研究所、この八つがございます。今度はそのほかに遠洋研究所を置きまして、それと同時に内海区と南海区に沿岸漁業等研究部門含わせまして南西海水産研究所というものをつくるのであります。数といたしましては、合計八つの点は変わりございません。  それから新たに設けまする遠洋水研の構成でございますが、遠洋水産研究所組織でございますが、これは一課四部でございます。課の名前組織名前を詳細に申し上げますと、課は庶務課でございまして、そのほか部といたしましては北洋資源部、これは北のほうの漁業資源研究する部門でございます。それから浮魚資源部、それから底魚海獣資源部、それから海洋部、この四部と一課でございます。それから定員につきましては百一名を予定いたしております。予算は一億七千九百三十七万一千円を予定しております。なお宿舎関係でございますが、宿舎につきましては、新たに遠洋水産研究所が清水市に設けられることにかんがみまして、いままで何もございません所に新たに設けられるということにかんがみまして、できるだけ宿舎の確保につとめました結果、六十余りの宿舎を確保することができて、大体ほぼこの異動する職員の満足し得る程度には確保できるというふうに考えております。
  13. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この法律によりますと、今回、南海水産研究所については廃止になるようですね。ところが水産研究所位置としては最適のように考えられるわけです。なぜ、このような最適な地区にある水産研究所を廃止しなければならないのか、この点について理解のできるような御説明をいただきたい。
  14. 山中義一

    政府委員山中義一君) ただいま先生のお話南海水産研究所は最も好適な位置にあるということでごごいますが、私どもといたしましても、南海水産研究所名前を変えまして、今度、いままで南海水産研究所が担当いたしておりました沿岸漁業等部分沿岸漁業沖合い漁業等部分というものは、これは依然として研究することになっております、南西海区の水産研究所といたしまして。いままでの南海水産研究所が担当いたしておりました海区の範囲と申しますと、これは和歌山県、それから徳島県、高知県、宮崎県、大分県の豊後水道より南の区域、愛媛県の豊後水道より南の区域、それから鹿児島県、これだけの範囲沖合い沿岸漁業、そのほか遠洋マグロカツオ等研究をいままで南海水産研究所はやってきておったわけでございます。その中のマグロカツオ等遠洋漁業資源につきましては、新しくできまする遠洋水産研究所で担当いたしますが、沖合い沿岸漁業につきましては内海水産研究所、この内海区と申しますのは、瀬戸内海関係沿岸漁業資源、あるいは養殖等研究をしておったわけでございますが、この瀬戸内海と、それから初めに申し上げました南海水産研究所が担当いたしております沿岸沖合いの水区とは資源がきわめて密接な関係にございまして、わかりやすく申し上げますと、和歌山県あるいは高知県沖の漁業資源産卵期等瀬戸内海の中に入ってくる、したがいまして、資源研究所は、むしろ、これを一括的にやるほうが研究上から申しましても便宜であるわけでございます。したがいまして、いままでの南海水産研究所遠洋資源部門は、これをはずすわけでございますけれども沿岸沖合い資源のことにつきましては、やはりいままでの担当区域の一番中心点であります高知市に、この沿岸資源研究部門はこれを置きます。したがいまして、いままでの南海水産研究所研究部門も、遠洋資源部門だけがなくなるわけで、また、海洋部というようなものも新たに南西海水産研究所には設けられることになりまして、沿岸沖合い等資源研究関係の、いま申し上げました県の沖合い沿岸資源研究につきましては、いささかもこれが弱体化するというようなことがないように心がけておるわけでございます。
  15. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この水産研究所職員について見ますと、学位等を持った優秀な人材が非常に多いように聞いておるわけです。にもかかわらず、その研究施設設備器材等がきわめて不十分なために、十分な研究が現在達せられていないと、こういうふうに聞くわけです。もしそうだとすれば、世界水産国日本水研としての使命は十分果たし得ないと思いますから、こういう部分について大臣としては長期的にどういうことを対策として考えておられるか。その基本的なことについては大臣から御説明いただき、現状についてはなお詳細なものを御説明いただきたい。
  16. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 御指摘の点は非常に大事なことでございまして、農林省でも前々からそういうことについていろいろ検討いたしておるわけでありますが、ことに水産研究所技術につきましては、これは御承知のように、ただいま東南アジアの諸国などでも、非常に日本技術に期待をいたし、また、昨年開かれましたアジア農業開発会議等でも、東南アジア地区漁業センター等設置することが決定されて、そういうことについての指導的立場をとるのはわが国でございますので、ますますそういう方面に力を入れてまいりたい。それからまた、いま直接技術関係ではないかもしれませんが、たとえば日ソ漁業条約等でも、その基礎にされて論じられておるものは、やはり技術的なことを中心として資源の保護というふうな問題が出てくるわけでございます。したがって、これはほかでもそうでございますが、ことに漁業関係については、技術面に非常な重点を置いて考えていかなければならない、このように考えます。
  17. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、日本漁業基本政策と、これに関係して遠洋沿岸沖合い、こういう漁業実情については一体どうなっておるか。特に遠洋漁業については、最近、諸外国の著しい進出によって国際規制硬化が問題になっておると思うんです。したがって、その実情についてもあわせて御説明いただきたい。
  18. 山中義一

    政府委員山中義一君) ただいまの御質問でございますが、日本遠洋漁業は近年諸外国、まあいままで漁業に関しましてはおくれておりました国々がだんだん急速に伸びてまいって、どのような形になっておるかという点でございますが、日本遠洋漁業は年々伸びておりまして、生産額といたしましてはこれは三分の一以上、金額におきましても四〇%近くを占めておるわけです。それから全世界漁業生産等をFAOの統計によって見ましても、数量的には南米ペルーが一番多いわけでございますけれども、これは八百万トン以上、こえておりますが、日本も最近の四十年統計で六百九十一万トン、それから速報ではございますが、昨年の四十一年度の統計におきましては七百万トンをややこえて七百九万トンというような事情になっておりまして、数量的には第二位でございますが、これは南米ペルーのはカタクチイワシの種類でございますアンチュベータというので、おもにフィッシュミールだけをとるわけでございますが、日本遠洋漁業におきましては御案内のとおりマグロあるいはカツオ、それから鯨あるいはサケ、マス、カニ、それから最近盛んになりました遠洋トロール漁業等におきましても、タイあるいはタコ、高級のイカ、そのほかそのような非常に高級の魚をとっておりまして、その生産の価値といたしましては、依然として世界で一番多くのものを占めておるということになっております。ただ、最近御案内のように、韓国でありますとか、あるいは台湾でありますとか、あるいはソ連というようなものが、相当海洋漁業関係にも力を入れてまいりまして、次第にその生産額を増しております。一方またいままでの海洋に関しましてはおくれておりました国々が、食糧事情等の問題にかんがみまして海洋に着目してきて、次第次第に漁業を振興させようとしておるような事情にはございます。しかし、日本といたしましても、先ほど大臣からのお話にございましたように、基礎的な調査研究等を最も大きな柱として今後考えて、その一つのあらわれといたしましては、この九月の終わりには三千二百トンの海洋調査船開洋丸どもでき上がることになっております。これを世界の海に回しまして未開発資源開発するというふうに考えておりますので、そのような点で万全を期してまいりたいというふうに考えております。
  19. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 ただいまお答えがあったわけですが、国際規制硬化という問題についてはどういう点があるか、遠洋漁業に関連をして国際的にいろいろ規制が強まっておるわけですね、その点いま御答弁がなかったんですが。
  20. 山中義一

    政府委員山中義一君) 私申し落としましたが、日本が伸びていくことに関し、またおくれておる国々海洋に着目することにかんがみまして、それぞれの国が自分の沿岸水域を十二海里、あるいはそれ以上のところを漁業に関する水域として漁業に関しての主権を主張しており、よそから入ってくるものを排除する傾向がだんだん高まっております。しかしながら、これに対しましては、わが国といたしましては、いままでの実績をそこなわないように、できるだけそれらの国と話し合いの上で、この十二海里の内あるいは外で漁業ができるように交渉を進めてまいりたい。そのような進め方で、いままでもアメリカあるいはニュージランド等とも話し合いを進めて、所期の目的はほぼ達しておると思う次第でございます。
  21. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは定員関係ですが、まず、順序として定員改正の内容について承りたい。
  22. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 定員改正についてでございますが、基本的に定員配置をどういうふうにするかということは、変動いたします農林水産行政の推移に応じまして、常に行政事務が能率的に処理できるように配分配置をすることが必要であるという考え方に立っておるのでございますが、人数につきましては、法律案にもございますように、農林本省で新定員が三万三百三十三人、現行定員が三万三百二十八名でございますからプラス五名、食糧庁が新しく新定員としてお願いをいたしておるものが二万八千八百六十一名、現行定員が二万八千九百十三人でございますのでマイナスの五十二名、林野庁が新定員千八十人、現行定員が千七十八名でございますのでプラスの二名、水産庁が新定員千八百六十五人、現行定員が千八百二十一名でプラスの四十四名、合計いたしまして新定員六万二千百三十九人、現行定員が六万二千百四十名でございましてマイナスの一名ということに相なっております。  で、この定員がかように変わりました中身は、別途、資料でもお配りをいたしてございますが、それぞれ現段階におきます行政事情の変動というものに応じまして、全体として農林省の総定員には増減がないということをたてまえにいたしまして、今回は水産庁大型遠洋調査船が竣工いたしますので、それの定員をはかるための調整ということが一番大きな数字でございますが、そのほか植物防疫業務等の避けがたい行政事情というものがございますので、それに対する対処、地方農政局事務の充実のための定員配分、それから果樹等研修施設設置に伴います定員配置というようなことを、いろいろ複雑な増減の結果、最終的にこういう数字に相なったのでございます。なお、定員が一名総体で減少になりましたのは、増減の最終の結果でございますが、実質的には外務省へ在外公館農務担当職員配置するために移管する人間の数として一名減ということになったと御理解いただいてよいかと思います。
  23. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この食糧庁減員について見ますというと、五十二名という大量の減員をやっておるわけです。このことは、食糧庁次長を新設することについての提案趣旨と相いれないと思うのです。非常に矛盾しておると思うのです。それはどうなんです、定員を減らしておいて一方で職制を強化するというのは。
  24. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 食糧庁定員減員は、現場業務に従事しておる非常に数多くの職員がおるわけでございますが、現場実務処理については臨時行政調査会あるいは行政管理庁等からも、それの能率化をはかることによってできる限り定員を他の行政事情に振り向ける等、適切な措置をとる必要があるということを指摘をされてきておるのでございますが、農林省といたしましても、食糧庁現業業務がにわかに大きな変革をすることは不可能でございますけれども検査事務その他の能率化ということによりましてこの程度定員減実務支障がないという観点で、他の行政事情の強いところに調整配分をいたしたのでございます。次長設置理由につきましては、先ほど食糧庁総務部長が御説明いたしましたように、食糧庁業務全体としては増大をいたしておるのでございまして、それに対する全体的な管理体制整備をする必要があるという見地に立っておるのでございまして、確かに一見、問題であるように思われますけれども、少なくとも私どもの考えでは、次長設置の問題と省内におきます定員配分の問題はやや次元の異なる問題であろうかというふうに考えておるのでございます。
  25. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それはことば巧みに答弁されておりますけれども、いままで各省庁機構拡充に伴って定員を減らすという例はあまり例がないわけです。で、いま定員は大幅に減らしても次長という職制強化によって何ら支障がないのだ、まあそう言ってしまえば、簡単に聞いておるとそうかなという感じもいたしますけれども、これは一つ問題点じゃないですか。どうも納得しがたいと思うのですがね。次長を置いて強化しようというその食糧庁を、わずかの人数ならともかく、五十二名というと相当大幅な減員になろうかと思いますね。いま一度この点をよく理解できるように御説明いただきたい。
  26. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 根本的には、ただいま申し上げましたように、食糧庁を含め省全体として定員の全体的な増減のない中で、行政事情上どうしても人員を必要とするところへ、事務支障のない範囲で割愛できるところから配分をするという考え方をとったのでございますが、別途お配りしております説明資料にもございますように、食糧庁減員の中には、ある意味では食糧庁業務にかなり密接をして、あるいは間接に関係のあるような部門へ割愛をしたのが相当多いわけでございます。たとえば、最も多いのは植物防疫業務の強化に伴う本省への振りかえが十五名ございますが、これは食糧庁と直接関係いたします輸入食糧等の植物防疫の観点からする検査業務でございまして、これはかなり密接な形で食糧庁業務に影響をいたすわけでございます。つまりここでの円滑な防疫業務が行なわれるということは、食糧庁食糧管理特別会計にとりましても至って重大な影響のある問題でございますので、そういうふうな観点もございますので、食糧庁からの振りかえ減が食糧庁としても関心を持たざるを得ないというような部門への振りかえを含んでおるわけでございまして、この五十二人程度減員では現業業務支障はない。なお、多少微妙な問題に相なりますが、御案内のように、行政管理庁の調査のもとに定員について不補充の原則があるわけでございまして、私ども現在のようないろいろな行政事情の変動の中では、それらの問題も含め処理をいたしますなれば、食糧庁の現行の事務態勢には影響はないというふうに考えておるのでございます。
  27. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 去る五十一国会で、国営八郎潟干拓事業、八郎潟新農村建設事業団に全面移管すること、このことに伴って二百十人の農林省職員の転出、振りかえ、こういう問題が問題になったことがあるわけです。そこでお伺いするわけですが、この問題はその後どのように処理されたのか、この点を明快にしていただきたいと思います。
  28. 和田正明

    政府委員(和田正明君) ただいまお尋ねの八郎潟事業団との関係につきましては、昨年、八郎潟に関します国営事業の全部を八郎潟の事業団に委託をするということで、二百十名の農林省定員減ということで、設置法の改正で国会に提案いたしたのでございますが、その改正案は、御承知のように通過をいたしませんでした。そこで昨年来、そういう御批判のあったことも含めまして検討いたしました結果、干拓地の一番大きな中央の堤防と、それから外海へ排水をいたしますための船越水道と、この二つについては引き続き国営事業として継続事業を実施をすることにいたしまして、干拓系統の中の水田の圃場整備、あるいは若干の水路をつくりますとか、道路といいますか、そういう事業についてのみ八郎潟の事業団のほうに事業委託をするということにいたしたわけでございます。その結果、昨年考えました二百十名の定員の事業団への振りかえは、これをやめまして、事業所はそのまま継続することといたし、委託をいたしました分については若干の事業量の減が出てまいりますが、それは国営事業の全体として、新たに増加する事業もございますし、減少する事業もございますので、そういう全体の問題としての配置がえ等で処理をするということで、八郎潟の事業団との関係定員減は本年はいたさないことにいたしたわけでございます。
  29. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この八郎潟の新農村建設事業団へは、一部事業委託と、そういうふうに方針が変更されたという、そういう説明でありますが、しかしながら、これに伴う要員は依然として必要だと思うのですね。そこでお伺いするわけですが、その数は何人ぐらいかということと、要員の確保はどのように手が打たれておるのか、こういう点について説明願いたい。
  30. 和田正明

    政府委員(和田正明君) 今年の三月三十一日現在で、二百十名のうち四十名を地方農政局本省等に振りかえをいたしまして、六十四名を現地から転出をいたしましたので、残りが現在事業所の職員として出ておるわけでございます。
  31. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この農林省からの転出者の中で復帰希望を有する者があろうかと思うのです。その復帰希望者については、農林省としては全員を受け入れる用意があるのかないのか、この点をはっきりさせていただきたいと思います。
  32. 和田正明

    政府委員(和田正明君) 復帰の希望者につきましては、それぞれ調査をいたしまして、将来とも適当な時期に復帰ができるようにという方向で処理をいたしたいと思います。
  33. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この点についてはここではっきりさせておきたいので、その責任者である大臣から、この復帰希望者については全員受け入れるとの確約をひとつこの際いただきたいと思います。
  34. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) ただいまの問題は、農林省としてももう方針を決定いたしておることでありますから、先ほど局長申し上げましたとおりにやろうと思っております。
  35. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この際、八郎潟干拓事業の事業計画あるいは進捗状況、こういうものについて概要を御説明いただきたいと思います。
  36. 和田正明

    政府委員(和田正明君) 八郎潟の全体の事業計画は、四百三十五億円の工事費を要するわけでございまして、四十二年度以降にその事業のうちの百二十七億五千九百七十七万の工事関係の事業が残りますが、それも今後二、三年のうちに工事は完了していくということになると思います。現在までのところ、中央干拓地を除きましたいわゆる周辺の干拓地については、ほぼ工事を完了いたしまして、すでに地元の増反者に仮配分をいたしまして、一部はすでに作付け等をいたしております。内部の干拓地につきましては、昨年、第一次の入植者を全国募集をいたしまして、昨年の暮れから現在現地の訓練所において訓練をいたしておりますが、でき得れば明年の作付け期から、約九百ヘクタールの土地について、これらの人に作付けをしてもらうというふうに考えております。なお、現在さらに約九百ヘクタールにつきまして第二回目の入植者の募集選考をいたしておると、そういう状況でございますが、工事が完了をいたしましてから、先ほど申しましたような金額での工事が完了いたしましてから以後も、入植者の営農の指導とか、そういう仕事が引き続き残りますので、八郎潟の事業団の事業としては、昭和四十五年ごろが最盛期になるというふうに考えておるわけであります。
  37. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この際なおお伺いいたしておきますが、国会に提出されましたいわゆる四十一年度の漁業白書、これを拝見したわけですが、これを見ますると、四十年には史上最高の六百九十一万トンの漁獲量、こういうことになっておるわけです。ところが反面、需要も高まって、世界最大の漁業国でありながら、同時に世界有数の水産物輸入国にもなっているわけです。その上に、四十年当時に比較いたしますと、先ほどもちょっと触れましたように、漁業をめぐる国際環境が大きく変わっておろうかと思うのです。特に遠洋漁業の競争が非常に競争激甚となっておるわけです。日本漁業への外国の圧力も加わっておる、こういう情勢の中で、現実がこういう状況に変わりつつあるというこういう中で、国民経済全体の視野から考えて、水産業の構造政策の推進ということも必要でありましょうし、また、国際環境の変化に即応するいろいろな対策が当然に必要になってきょうかと思うのです。これらの点に対する農林大臣としてのお考えをこの際承っておきたいと思います。
  38. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 御存じのように、わが国の国民の摂取いたします動物たん白の中で、魚は一番大きい部分を占めております。ことに、そればかりではありませんで、先ほど来ここでお話のありましたように、いままで非常に漁業国としての地位を確保いたしておりましたわが国にとりましても、やはりいろいろなことに新興国などが進出してまいること等も勘案いたしますというと、やはりわが国は、漁業についていままでのような考えよりも、さらに一段と、先ほど政府側からも申し上げましたように、計画的に増産対策を行なっていかなきゃなりませんが、それにいたしましても、例の専管水域十二海里説というようなものが至るところで行なわれてきて、そのためにいろいろな、まあトラブルを起こしておるわけでありますが、そういう点は外務省とも連携をいたしまして、慎重にこれから対処いたしてまいるわけでありますが、私の見るところでは、やはり、たとえば日ソ漁業条約などにしても、ただいまはまあサケ、マス、カニ程度でありますが、私はそう遠くない間に、私はやっぱり多獲制御についての話なども、当然、これはソ連だけじゃありませんが、ほかとの間の関係にも問題になってくると思いますし、深海魚についても、これは国際的にやはりいろいろな要請が出てまいるのではないかと想像いたしております。しかし、私どもいま申しましたように、国民の動物蛋白のこともさることながら、漁業として雄飛してまいりました地位を確保するためには、まあ遠洋はいまのところ御存じのような状態でありますが、これとても、やはり非常に私は将来明るい見通しであるとは申しかねるのではないかと思います。国際的に雄飛はいたしておりますが、そう明るいものではありません。それから沿岸及び中小漁業でありますが、中小につきましては、ただいまの国会でもこれを援助いたしますことについての法案の御審議を願ったわけでありますが、まあ中小はああいうこと、ことに零細な沿岸につきましては、特段の援助を与えることによって沿岸漁業を守らなければならぬ。同時にまた、一方においては、とかくこの物価問題などになりますというと、すぐに生鮮魚介類という、しろうとわかりのいいことが問題になってまいりますこともあり、かたがたわれわれは国民経済全体の調和のとれたものを進めてまいるという意味においては、やはり沿岸等においての生産コストを引き下げることに非常な力を入れなければいけないのではないか。その意味においては、生産に対する近代化、それから同時にまた流通機構の改善というようなことに力を入れてまいらなければならないのではないか。私は日本の政治の中で、ことに農林省所管の業務の中で、水産行政というものはなかなか多くの問題をかかえ、困難性のある問題ではあるが、これはわが国の特殊な立場から見て、さらに一段の努力を傾倒いたさなければならないという心組みでただいま農林省は取り組んでおるわけであります。
  39. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それでは時間の関係もございますから、最後に一点だけ資料の提出をお願いして、本日の私の質問だけを打ち切っておきたいと思います。  先ほどお尋ねいたしましたが、漁獲量ですね、これを最近五カ年の分についてどのような推移があるか。それから反面、相当水産物の輸入についても伸びておると思う。これについても最近五カ年間の推移を数字によって一見明確に把握できるよう、ひとつそのような資料を早急に提出いた、だきたい。
  40. 山中義一

    政府委員山中義一君) 早急に資料を整えまして提出するようにいたしたいと思います。
  41. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) それでは午後は一時に再開することといたし、それまで休憩いたします。    午後零時五分休憩      —————・—————    午後一時二十一分開会
  42. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 委員会を再開いたします。  労働省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回に引き続き、本案質疑を続行いたします。関係当局からの御出席は、早川労働大臣その他政府委員の方々であります。  それでは、御質疑のある方は、順次御発言願います。
  43. 山崎昇

    ○山崎昇君 この労働省設置法の一部を改正する法律案の提案説明を読ましていただいておるわけですが、最近、労働災害の発生がきわめて減ってきておる、こういう説明であります。私はいまわが日本において、平和だとはいいながらも、一番問題があるのは二つあって、一つは、この委員会に直接関係ないかもしれませんが、交通災害だと思うんですね。これはもう交通戦争と呼ばれるように、一年間に約二万人ぐらい殺される。あるいはまた五十万人ぐらいけがをしておる。もう一つの問題は、何といっても労働者の災害がその問題だと思うんです。これも資料を見ますというと、一年間に七千人近い者は死んでいっておるし、あるいはまた年間を通して八日以上休む者が約七十万人ぐらいある。それ以下のけが人も入れれば相当な数に私はのぼると思うんです。そこで、労働省は、従来からこの労働災害の問題は、人命尊重の観点からもいろいろ対策を講じてこられたと思うんですが、特に今度のこの機構改革と関連をして、どういうふうにこの労働災害の問題に取り組んでいくのか、まずその姿勢についてお伺いをしたいと思います。
  44. 早川崇

    国務大臣(早川崇君) 御意見のとおり、佐藤内閣の人間尊重の三つの柱は、交通災害と、公害と、産業労働災害という三つの柱を、本年度予算にあたりまして基本方針に立てまして、施政方針演説でも総理から三つの柱を強調された次第でございます。いま御指摘のとおり、相対的には、労 働者がふえておる比率から申しますと、この五カ年間に産業災害防止五カ年計画が実績が上がりまして、先週、稲葉先生からいろいろ御指摘されたとおり、比率においては減っておるわけでございますが、絶対数におきましては依然として六千人をこえる死者、合わせて死傷者六十八万人を上下しておるという状態でございまするので、この三つの柱の一つといたしまして、従来、労働基準局の中の一部にすぎなかったのでございまするが、ここに安全衛生局という局を設置いたしまして、産業災害に大きく取り組む姿勢をまず確立しようというのが今回の設置の大きい理由になっておる次第でございます。
  45. 山崎昇

    ○山崎昇君 いま労働大臣から、局に昇格させて、この労働災害について積極的な姿勢を示すんだというお話でございました。ところが、私どももらったこの資料を見ると、そうたいした積極的な姿勢だとはどうも受けとれない。なぜかなれば、二つの部をつぶしてただ一つの局をつくるだけです。いわば、もっと極端な表現を使えば、部長が局長になるだけであって、中身は何も変わっていない。これでは、いまの大臣の言われたように、積極的な政策とはどうしても私ども受けとれないわけです。ただ役所の機構面からいえば、部が局になれば確かに上がったような気もします。しかし、実質は何も伴っていない。これでは労働災害を絶滅するために積極的な姿勢をとるという理由にはならないんじゃないかと、こう思うんですが、大臣の見解を聞きたいと思います。
  46. 早川崇

    国務大臣(早川崇君) これは、役所の機構なりお役人さんの気持ちを、私は大臣に二度なりましていろいろ経験をするのでありまするが、局ができるということは、まあ役所としてはたいへんなことでございます。そこで、まあいわば役所における大臣は、たとえことばを申しますと、大臣が総理であれば局長大臣でございます。部長、部という場合には政府委員にもなれないのでございます。で、一たん産業災害が起こりましたときに、現在は労働基準局の中の一部に過ぎません。災害などある場合に、直ちに、このほかの関係で現地にも行けないと、まあこのあらゆる扱いが局長と部長というものは行政機構の中で非常に違いがございます。そこで、本来は局に昇格する場合に部もそのまま残したかったんでございますが、一方、行政監理庁等の立場からすれば、できるだけこの行政機構は拡大しないという強い御要請がございまして、まあすったもんだいたしまして、ようやくこの部というものを廃止して局にするということに落ちついたのでございまして、私といたしましては、決して局がこの内容でいいという考えは持っておりませんが、しかし、行政機構というウエートから申しますと、局が設置された、これは将来の末広がりを予約するものでございまして、専任の局長もおるということによりまして、それに専念できる体制が整ったという意味におきまして評価をいたしまして、行管の御要望に従ったと、こういう経過でございまするので、決してこれだけで十分だとは思っておらないのでございまするが、今日考えられる行政機構の姿勢を大きく前進させたということはお認め願いたいと思う次第でございます。
  47. 山崎昇

    ○山崎昇君 いま大臣から答弁ありましたが、私も役人をやったから、部から局になれば、なるほど大臣の言うような面、全然否定するわけにいかないと思うのです。しかし、あなたのほうから出されたこの資料を見ると、三十七名の部が、何か欠員が一名あって三十六名であったようですが、それが三十七名でただ局に直っただけであって、それもこの分課の内容を見ますというと、従来、安全課あるいは労働衛生課等には相当な人数配置されておりますが、それらが全部削られて、ただ一課を設けて、計画課を設けて三課にしておる。いわば、確かに役所の機構面としてはいま大臣の言われたような、部から局に昇格をする、あるいはその面だけでいえば強化をされたような錯覚だと思うのです。しかし、内容は何も伴っておらぬじゃないですか。局の体をなしておらぬじゃないですか、これでは。そうして、あなたの言っているように、労働災害の防止を労働行政の最重点政策の一つというのだけれども行政機構からだけいえば何にもそんなことになっていない。中身は何にも伴っていない。ただ二課を三課にして、定数のやりくりをしただけですね。それしか私どもはどうしても受け取れないわけです。これがまあ極端にいって、計画課をつくるならば、計画課の人員だけでも新たにここに用意をされて、そうしてもっと積極的な面が出されたというのならともかく、そうでもない。ただ末広がりといったって、役所の機構はそんなに定数がふえるわけでもないと思う。そうして、これもあとで聞きたいと思うのですが、いま佐藤内閣のとっておるのは欠員不補充という政策もあって、欠員があってもなかなか埋められない、特に事務系統はほとんど埋められておらない、そういう状況の中にあって、あなたの言うように末広がりだなんということでは、私はこの機構というのはどうも理解できない。重ねて、これは単に部から局に名前が変更になって、部長が局長になっただけじゃないのか、こう思うんですがね、重ねてひとつ聞きたいと思うんです。
  48. 早川崇

    国務大臣(早川崇君) 先ほどお答え申し上げましたとおり、専任の局長ができるということは、行政機構の面から申しますと質的な大きな飛躍でございまして、局長がたとえば大臣とすれば、部長は政務次官というほど役所の中では違うことは御承知のとおりでございます。ただ、その部下になる陣容あるいは課というものにつきましては、そういうかまえをいたしただけで、もの足らないではないかという御指摘は全くそのとおりでございまするが、一方、行政管理庁のほうのやはり機構の簡素化、人員の不補充という原則がございまして、必要最小限度の人員を擁するのやむなきに至りました。しかしながら、この局の下部機関としては、産業安全研究所及び労働衛生研究所職員を合わせまするならば百五十数人をこえる陣容でございまして、さらに、この局の出先機関として労働基準監督局というものがその面で共管で働いてくれるわけでございます。ですから、私といたしましては、特に労働組合あるいは日経連その他から安全衛生局のかまえを早く出せと、この強い要望がございました。そういう意味で、局に伴う課あるいは人員という点では決して十分と思っておりませんが、非常に重要な質的な安全衛生に対するかまえ、また体制ができたことを私は喜んでおり、また今後これの充実にこの局が発足するとともに努力をいたしてまいりたいと、かように思っておる次第でございます。
  49. 山崎昇

    ○山崎昇君 いまの大臣説明を、それじゃ別な角度から私は言うと、労災補償部がなくなるということになると、行政機構の面では後退ではありませんか、そうすると。たとえば部が局になる、あなたはそれを発展だと言う。それじゃ部がなくなって課になっちゃう、だからこれは後退になりますね。だから、行政機構の面でいえば、いままで板べいだったものがブロックか何かになったけれども、中身は何にも変わってない、間取りが全然変わってない。それであなたは強化された、強化されたと言うんだが、私は強化にならないと思う。確かに権限上の問題でありますとか、そういう点ではあなたの言うこと全然否定はいたしません。しかし、私はどうしても、形は整ったかもしれませんけれども、中身は何にもない。だから、行政機構論として言えば、もう一つの労災補償部がなくなるということは、それじゃ後退にはなりませんか。そう私は行政機構論からいけばなると思うんですが、どうですか。
  50. 早川崇

    国務大臣(早川崇君) 先ほど申し上げましたように、行管の御方針としまして、局に昇格する場合にはやっぱりスクラップ・アンド・ビルドという考え方がございます。したがって、労災補償部が廃止になりましたけれども、安全衛生局にその仕事が吸収されるわけでございます。そういう意味におきましては、労災補償部というものがなくなったことの補いというものが局の昇格ということで補われていく、こういうことが言えるわけでありまして、決して労災補償関係の仕事が逆に低下した、あるいは弱くなったという意味ではございません。
  51. 山崎昇

    ○山崎昇君 いや、あなたがどう言おうとも、私が先ほど来言っているように、行政機構論からいったら、それは何としても労災補償部がなくなることは後退じゃないですか。それはあなたのさっきの説明によるというと、部長は政務次官だという、その政務次官がなくなっちゃうのですね。そうして労災補償部の仕事が何も安全衛生局に移るわけじゃない。これは依然として労働基準局に残るわけです。ですから、安全衛生関係の仕事といえば、部が局に上がることは、機構論として私は前進であるというふうには言えると思う。しかし私が言うのは、どうしても、ただ形は確かに整ったけれども、中身が何にも整っていない。伴っていない。こういう点を先ほど来あなたに指摘をしているわけです。もちろん行政監理委員会から行政機構の簡素化についての勧告なり出ていることも私は承知しています。それとこれとは関係ないとは言いませんけれども、直結するものではないと思うのです。だから、ほんとうにあなた方が労働災害を何とかなくしたい、こう思うなら、もっと実のあるような安全衛生局ができるなり、あるいは労災補償という仕事がもっと前進するなりするならば、私は労働省の機構というものは強化されたと思う。しかし、片一方は、いまの政務次官から課長に落としておいて、片っ方のほうは多少昇格をした。だから機構論から言えばこれはもう相殺されてしまって、何にも前進策がないのじゃないか、こう私どもは思うわけです。しつこいようですけれども、それじゃ大臣重ねてお伺いしますが、この安全衛生局は、いまはこのまま発足するのだが、一体、あなたは将来末広がりだと言ったが、どういう形で、どの程度まで発展する構想があるのか、お聞かせを願いたい。
  52. 早川崇

    国務大臣(早川崇君) 先ほど来お答えしておりまするが、局長は役所でいえば大臣で、部長は政務次官というたとえ話でございまするから、ひとつ誤解のないように御理解を願いたいと思います。政務次官だからどうだとか、大臣だからどうだという意味じゃございませんので、御了承願いたいと思います。  現在、労働基準局は三部がございまして、どうしても労働基準局の仕事というものは、御承知のように多岐にわたっております。そこで勢い労働災害というもの、どちらかと言えば技術的、衛生的、いろんなこまかい緻密なあれを包含しておるということ、有能な局長でありましてもなかなか十分手が回らないという事情もございます。そこで、安全衛生局という、いわば役所でいえば大臣でございますが、それ専任にひとつ責任を負い、しかも局長でありましたならば、国会で政府委員としてその所管につきましては全責任を持てる体制ができるわけでございます。そういう意味で、私は質的なかまえを、門がまえをいたした。しかし、御指摘のように局としては、課あるいは人員においては、これからやって見なければわかりませんけれども、特にふえたわけでございませんので、今後この安全衛生局が産業災害の防止にどれだけ進歩をしていくかということと並行をして、機構もさらに充実をすることがあり得る、少ないにこしたことはないのでございますが、そういう意味で重要な局だから末広がりになっていくのだと、仕事の面におきまして必ずしもこれは人員だけというのじゃございません。そういう意味でございます。なお、実際、基準局長として、この産業災害を所管しておりました局長もまいっておりますから、村上君から職務のいろんな問題につきまして御答弁さしていただきたいと思います。
  53. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) ただいま大臣から仰せのように、現在の労働基準局の体制自体の問題とも関連をするわけでございますが、労働基準法の施行という一般監督行政、これが基本をなしておりますが、そのほかに労災保険という、いわば保険業務的なものがございます。それから賃金部がございまして、賃金政策といったような、必ずしも法規的な問題だけじゃない、経済的な問題を扱う。それから災害防止対策といったような安全衛生という、工学的あるいは医学的問題を扱うといったような分野に分かれておるわけでございます。その中で安全衛生に関する、いわゆる人命尊重に関する部門につきましてもっと力を入れるというのが政府全体の考えであり、労働省の考えでもあったわけであります。そうして、その実態を見ますると、全体としては災害率は減っておりますけれども、何ぶんにも行政需要という点から申しますと、労働行政全体がそうでございますが、安全衛生の関係につきましても、事業場はふえる、それから、労働者数はふえる、それから、たとえばクレーンだとか、ボイラーだとか、検査を要する施設もどんどんふえるという行政需要が、日本経済の発展とパラレルの関係においてどんどん拡大していくというのが最近の趨勢でございます。かてて加えて、新生産技術、新原材料の採用などによりまして、新しい、あるいは大型の災害か発生するという傾向を見せております。そこで、そういった行政需要の増大の傾向と、新しい災害の発生ということがすでに予測されておりますので、ある程度の先見性の上に立ちまして、この際機構を拡充いたしまして、いわば独立した体制で臨みたい。しかも、労働省で扱います安全衛生は、特殊なものを除きまして、ほとんど全産業を対象にしておるのでございまして、他の政府部内の機構と比較いたしましても部では十分ではない。局という行政機構でこれに対応するということは、他とのバランスから見ましても適切ではなかろうかといったような種々の観点から私どもは安全衛生局の新設を切望いたしまして、今回のような内容になったわけでございます。しかし、定員増加ということは非常にむずかしゅうございますので、実は設置法上の定数は変わっておりませんが、たとえば欠員不補充の埋め方をどうするとかいったような点につきましては、予算折衝の段階で、たとえば安全専門官については中央、地方を通じまして十八名欠員不補充を補充するとか、特別に入れるとかいったような問題もあるわけでございまして、先生御指摘の点は、私どもも実は十分痛感しておりまして、非常に何と申しますか、体制の内容を充実せずして看板だけじゃないかというおしかりを、私どももごもっともだと思うのでございますが、しいて申しますならば、小さく生んで大きく育てると、その基礎には、増大する行政需要があり、何とかしてこれをしのがなきゃいけないということが私の悲願でございますので、徐々に体制も強化されるであろうというふうに期待いたしておるような次第でございます。
  54. 山崎昇

    ○山崎昇君 いま局長から補足的に——私はそのことばをとらえるわけじゃありませんが、小さく生んで大きく育てると、こう言うのですね。ところが、いまあなたの説明の中に、行政需要がどんどんふえてくるということですが、大きく育つ前に仕事だけは山ほどかかえてくるわけです。ですから、看板だけ塗りかえて中身が伴わないのじゃないかということを心配をするわけです。そういう意味で、私はやっぱりこういう機構をつくる場合には、ある程度めどを立てるなり、あるいは近い将来の計画案なり、そういうものをあなたお持ちの上でこういうものをやったと思うのですね。ただ局にすればいいということではないだろうと思う。そういう意味で、先ほど大臣が末広がりだと言うから、それならば大体どの程度のことをお考えになっているのか、できたら聞かしてほしいということを質問したわけですが、いま局長から説明がありましたので、重ねてそれじゃ看板塗りかえにあたって中身を一体どの程度にどうするか。ただ、いま安全衛生官ですか、何か欠員不補充を十八名くらい認められたというけれども予算額見ても何を見ても変わっておらぬのですね、一つも。ですから、私はどんなにあなた方が説明しようとも、これは文字どおり看板の塗りかえだけであって中身は何にもない。ただ行政監理委員会の要望に多少沿うように呼応して、看板塗りかえたにすぎないのじゃないか。これではあなた方が言っているように、労働災害の克服に積極的だということにはなかなかなってこないのじゃないか。ただ幾らかの前進はあると思うのですよ。それは私は全部否定しませんが、しかし、あなたが言うほどの、大臣が言うほどの最重点施策だという、私は大上段に振りかぶったものではないのじゃないか。先ほど触れましたように、この課の設置のしかたを見ても、人員のやり方を見ても、ただ既存の課の人を減らして新しい課に持っていっただけである。ですから、幾らやっても並行線になっちゃうと思う。しかし、私はどうしてもこういう局をほんとうにつくるならば、もっとやっぱり中身の伴うような局にしてもらいたい。そうでなければ現象面としては、労働災害も多少横ばい状態でございますけれども、これをほんとうになくして、経済的な損失をゼロにするというためにはとうていほど遠い機構だと思う。そういう意味で、私はこの局の看板の塗りかえそのものについては反対いたしませんけれども、中身を伴っていないということを繰り返し私は指摘しておきたいと思う。  そこで、次の質問に移るわけですが、それならば、中央に局ができて看板もできあがった、ところが、支店のほうは何もいじっていない、地方のほうは何にもないわけです。私は労働災害については社労委員会でもやりましたけれども、労働災害が起きて地方で一体何の対策をやっているかといえば、ただ調査をするだけ、あるいは監督署を通じて事前に何をやられているかというと何もない。それならば今後地方の機構を整備されるか、この局の設置に伴って。あるいは地方の人員というものをどう整備されるか、あるいは地方を通じての労働災害というものにどう対処されるかということをひとつ聞いておきたい。
  55. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 地方の組織関係でございますので、私から御答弁いたします。  災害防止の関係につきましては、役所の機能も幾つかに分かれておりまして、つまり法令を順守させるために監督行政をやる、あるいは特殊な機械、施設につきまして検査をする、あるいは指導をするといったような機能を持っております。そこで第一線の行政になりますと、たとえば労働基準法及び施行規則等、付属法令等に違反しないかという立場で事業場に臨みます場合に、これが監督となってあらわれるわけでございます。ところが、ややもすると、安全衛生の関係の仕事は専門家の仕事じゃないか、指導面じゃないかというふうに見る向きもありますが、それはいわゆる指導行政でありまして、それからいろいろな機械、施設、ボイラーとか、クレーンとか、そういった設置の場所に臨みまして具体的な検査をする。こういう活動もあるわけでございまして、きわめて多面的な内容を持っております。そこで地方の体制としては、監督官のほかに安全専門官とか、そういった種類の公務員がいるわけでございまして、それが府県段階においては地方の労働基準局、その末端には監督署がある、監督署の段階になりますと、労働基準行政のほとんどが、何と申しますか、こん然と一体化されまして運用されているわけでございまして、そういった観点から見ますと、本省組織に対応するような、がっちりした明確な分課を、監督署段階においてとるのがいいのかどうか、これは省全体として総合的な機能を発揮していただくという面がございますので、この際は何ら手をつけておらない。むしろ、これは今後とも定員増という観点で監督官なり安全専門官といったような担当官の数をふやす、あるいは適切な研修などを行ないまして、その能力を高めるといったような方法で対処すべきではなかろうかというふうに存じている次第でございまして、目下、来年度予算編成に着手する時期でございますので、そういった点を私ども目下真剣に検討している次第でございます。
  56. 山崎昇

    ○山崎昇君 地方の労働災害で私どもが現地へ行ってみると、日ごろから監督署の監督なり、あるいは指導なりというのは、これはやっていないとは言いませんが、極端に表現するならゼロに近いと思う。もし、そうでなければ毎年毎年横ばいの状態のような、こんなに災害が起きるはずのものではない。特殊な災害が起きるなら、それはそういう条件がそのときにできたのだ、こういうことに私は理解をしてもいいと思うのですが、しかし、労働災害の中身を調べてみると、ほとんど毎年同じような災害が起きている。いわば、これは第一線機関の整備ということがほとんどおくれているのではないだろうか。いま局長からいろいろなお話がありました。第一に人員増で、第二に能力の問題、あるいは中央の指導の問題だと、こういう。それがなぜこんなに一年間に、労働災害が減少の傾向だといわれながらも、年間に七十万件もけがする者が出てくる、死んでいくものはそうたいして減っていない。こういう労働災害がなぜ毎年毎年相次いで起きるのか、いわば私は、第一線の機関というものがあまり整備されていないのではないかと、どうしても思うわけです。そういう意味で、先ほど来、労働大臣の言われるように、中央で局ができ上がって、何か積極的な姿勢は示すのだそうですが、第一線のほうは何も手をつけられてない。私は課をつくれという意味で言っているのではない。総体的に第一線は弱いのではない、だろうか、こういう気がするわけですが、重ねて、第一線は今後どうされるのか、いま、ただ来年度予算で多少のことを考えているようですが、それではいまの事業場がふえていく、あるいは労働者がふえていく、行政需要がふえていく、これにとても追いつかないのではないだろうか、こう私どもは判断するわけです。そういう意味で、この局の設置とも関連して、第一線の強化についてもう少し具体案があれば示してほしいし、もしなければ、来年度ではこの程度、再来年度ではこの程度と、これはもちろん予算できまらないことでありますから、あなたが答弁されることがすぐ実現するとは私は思いませんけれども、ただ、労働省としてどういう計画があるのか、できたら示してもらいたい。
  57. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 従来、私ども組織の強化という面から考えました方向としては、幾つかの点があるわけでありますが、第一に、地方組織としては必要な地区に監督行政組織網をさらに強化する。もっとわかりやすく言えば、監督署をつくるということが一つ考え方であります。過去三年間、毎年二カ所づつ監督署を増設いたしまして、新産業都市の問題、あるいは新工事地帯の造成とかいったような、いわゆる産業地図の変化に伴いまして、監督行政組織的にこれに対応できますように、監督署の網の目を整備するという立場から監督署の増加をいたしてまいりました。それから次の人の問題でございます。これもわずかではありますが、逐年、監督官の増加ということにつとめてまいってきたわけであります。その傾向は先ほども申し上げましたように、労働基準行政における行政需要の増大というのは、ある程度把握可能な面もございます。たとえばボイラー検査の検査件数は何件かとか、クレーンの検査はどうかとか、こういうものはふえてまいります傾向はわかるわけであります。そういたしますと、検査関係の要員は考えられないか、あるいは旅費その他の関係はどうするかといったような観点から、水かけ論じゃなくて、ある程度把握可能な基礎数字もある、こういうことから私どもは問題を現実に即した形で処理する、予算要求もそのような形でする、こういうことでやってきたのであります。こういう人員の増加要求などは三カ年計画ということで逐次補充してまいろうといったような考えも持ったことがございます。これは政府全体の統一した方針で、人員増加は認めないということで、なかなか困難な面もございましたが、今後とも行政需要をある程度予測いたしまして、計画的に組織面においても拡充をはっていきたい。現段階では目下いろいろ検討中でございますので、具体的には申し上げる段階に至っておりませんけれども考え方としては、行政需要を予測いたしまして、できるだけ計画的にこの行政を消化し、行政需要と対応し得るように予算人員の面で強化してまいりたい、かように考えております。
  58. 山崎昇

    ○山崎昇君 そうすると、いまの局長の答弁はこういうふうに理解しておいていいですか。第一線の強化については、本省の安全衛生局に対応するような部なり何なりを、労働基準局、監督署か、あるいは地方の基準局かに将来設けるというお考えですか、そういうふうに私ども受け取れるようにも考えるし、どうなんですか。あるいはまた人員の増についても、いまの第一線の機関では、やはり何としても人員が少ないということをあなた方感じているわけですね。それは認めるわけですね。そうすると、そういうものについても年次的に増員をはかっていき、整備をしていく、しかし、あまりそれは時間がたったのでは、先ほど言うように、行政需要の増に追っつかないわけですから、少なくとも二、三年くらいの間にはそういうものは整備していかなければならぬ。こう思うのですが、そういうふうに理解していいですか。
  59. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 私の申し上げた点が誤解があるといけませんので、はっきり申し上げたいのですが、本省は、いわば中央における企画的な業務を扱うわけでありまして、いわば現業的な仕事ではないわけであります。いわば手足と頭になぞらえますと、頭の点につきましては、今回、局を新設いたしまして整備いたしますから、第一線の手足が幾つかにも分かれるということははたして適当であるかどうか。私どもはむしろ第一線においては、労働基準行政内部における各種の業務をできるだけ一元化いたしまして、総合的に力を発揮するようにいたしたい。第一線の行政になりますと、安全衛生の問題も、労働時間とか、そういった他の条件とからみ合って、事業場に臨みます場合には、いろいろな問題がからみ合って出てくるわけであります。したがって、ことさらにこまかく分けまして、課を幾つもつくるということは適当ではない。むしろ第一線はこん然となって総合的に事業場に臨むべきだという考え方が、むしろ従来とられてまいりました。その方向は、今後、安全衛生局ができましても、監督署の段階ではまずまず変化はないだろうというふうに私は考えます。また、本省と第一線の中間段階にあります地方の労働基準局をどうするかという点につきましても、ことさらにこれを分けてどうこうするといったような問題意識は持っておりませんので、現在のかまえのまま、さらに監督官や専門官をふやして、そうして第一線の能力を増すという方向で進むものと私は考えております。
  60. 山崎昇

    ○山崎昇君 いま局長から、第一線の強化についてそうこまかい分化はないのだ。総合的に力が発揮できるようにするのだ。それは私もそうだと思う。その場合に、先ほど来から私が言っておるように、かりにこの局を、看板塗りかえにしろ認めたとしても、労働災害をほんとうになくするためには、第一線がもっと活躍しなければならぬのですね。ただ、私どもが、労働災害が起きて現地に行ってみると、ほとんど第一線というのはそう活動できるような態勢にないのではないかというふうにさっきから言っておるわけであります。たとえば、ふだんから監督があまりできていない、あるいは指導があまりできていない。それだけの陣容もない。私どもがどの監督署なり、あるいはどの地域の方々にお会いをしても、一番先に言うのは人が足りないということを言われる。その次には金がないということを言われる。それは出張旅費その他の予算もひっくるめて金がないということを言われる。だから、なるほど大臣の言うように、頭に局ができてかなりいいスタッフができたとしても、ほんとうに労働災害をなくするためには、第一線の機関が十分活動できるだけの体制がなければ、労働災害というものはなくならないのじゃないか。その証拠には、多少減少の方向だと言いつつも、総体の数ではたいして変わらないような労働災害が起きておる。さらに、先ほど大臣局長から指摘されたように新しい労働災害が発生しておる。特に最近は大規模な労働災害というものが続発しておる。こういう点を考えてみますと、総合的なことはいいといたしましても、第一線の強化については何も触れてない。もちろんこれは局の設置だけの改正案でありますから、私はいますぐあなたから回答を聞くということはむずかしいかもしれませんが、一体、将来労働省は第一線の強化についてどういうふうにお考えになっておるのか。先ほどは三年間ぐらいで二カ所づつ監督署をふやしたというだけなんです。それも新産業都市にふやしたという話なんです。その他の第一線機関の強化についてはどこにも触れてない。この提案説明を見たり、あるいは関係資料を見ても、第一線機関については何も触れてない。そこで第一線は人が足りない、金がない。こういうことでもう悩んで、結果としては仕事が何もできておらない。こう私ども思うのですが、重ねて、年次計画でもあれば出してもらいたいし、そこまでいかぬまでも第一線の機関をどう強化されるのか。これは大臣からひとつ決意なり何なり述べてもらいたいし、大臣の構想があれば発表してもらいたい。単に専門官十八名ぐらいの欠員不補充を解除しただけではおさまらない問題だと思う。あらためてこの第一線の強化の政策についてお伺いをしたいと思います。
  61. 早川崇

    国務大臣(早川崇君) 安全行政につきまして人員を増せ、機構を拡充しろという御激励に非常に感謝を申し上げます。むろん人手は不足でございます。しかしながら、昭和四十一年におきましても、この数字によりますと約二十八万事業場に安全衛生の面で監督を実施いたしておるわけでございます。さらに、この違反の設備等三万四千七百件、これを使用停止等処分にいたしておりまするし、安全衛生の法規違反で七百二十件の送検をいたしておる。限られた人員で非常に努力をしていただいておりまするので、先週、稲葉委員に局長からお答えを申し上げましたように、五カ年間にこの事故発生率という面からみると、約半減に近い成果をおさめておるわけでございます。しかし、もちろんこれで十分とは申しておるわけではございませんので、来年度予算において必要最小限度の人員増加を要求いたしたいと思っておるわけでございます。また、機動力を強化するという意味で、自動車とか、そういった手足の問題は、本年度の予算が配賦されましたのでかなり充実することになりました。同時に、監督署を増設するというだけでなくて、要するに、この産業災害を減らすというためには、それぞれの事業場というものに、いわゆる安全衛生の指導員という制度を設けまして、それからまた、東京、大阪、名古屋、福岡に安全センターという設備を設けまして、広く民間人ともどもこの安全衛生の普及努力というものをいたしまして、全体としてこの人命尊重、それから詳細な安全規則がございまするので、各事業場が厳密に人間尊重という立場で守ってもらうという風潮を起こし、またその相談に乗ろうというわけでございます。ただ、日本ではアメリカのように労働災害のガードといいますか、ボディガードのようにアメリカでは産業災害を防止する仕事がそれ自身として職業として成り立つのでございます。日本ではまだそこまでいっておりませんが、安全工学と申して、最近、横浜大学で安全工学という学科がようやく設置されるという段階になってまいったわけでございますが、単にこの監督署の人員の増加、機動力の強化、本省の頭脳の局の増加による整備とともに、ひとつ広く民間企業あるいは大学等にも御協力願って、そういった工学が発達するよう総合的にこの問題に真剣に取り組んでまいりたい。単に鉱山の保安だけで通産省には鉱山保安局がある、警察庁には交通局かあるという意味におきまして、非常に多くの事業場の安全を守るために、労働省に局というものが当然もっと早くあってしかるべきだ、ようやく今国会に御承認をお願いしているのでございまするから、ひとつ労働大臣といたしましては、むろん人員の増が十分なら私どもとしてはほんとうにうれしいのですけれども、単に人手が足りないというのではなくて、限られた人員を最も集約的に、広く民間事業会社とも協力しながら局の設置を契機としてさらにこの労働災害の防止に全力を尽くしてまいりたい、かような考えでございます。来年度、再来年度、人員をこれだけふやすとか、監督署をどれだけふやすとかいうことは来年度、再来年度の予算の要求の試算を労働省としてまだいたしておりませんので、できるだけひとつ御激励の線に沿って努力してまいりたいという気持ちだけを表明させていただきたいと思います。
  62. 山崎昇

    ○山崎昇君 私から重ねてこの第一線の強化については要望しておきたいと思う。特に予算の面でかなり窮屈なように私は聞いております。これはいずれ機会を見て具体的にまた申し上げたいと思いますけれども、何といってもやはり第一線の職員が自由に活動できるだけの予算というものを最優先的にひとつ考えてもらいたい。あわせて、この設置法とはすぐ関係はありませんが、たとえば労働委員会にしても、最近はもう調停件数なり、その他がものすごくふえている。どうもこの労働関係の第一線機関が弱いと私は思う。そういう意味で重ねて大臣に労働省関係の出先機関の充実強化等について私は要望しておきたいと思うのです。  そこで、第三点目の質問に移るわけですが、私はこの局ができることによって、従来から問題になっております通産省関係の鉱山保安局との一元化の問題がどうなるのか。いわば通産のほうは経営の実績を上げるためにいろいろなことはやりますけれども、そういう面からのみやっぱり追っていく、労働省のほうは、これは労働災害そのものを扱って、これを減らしていくという対策になるわけですから、従来から鉱山保安局との関係を機構的に一元化すべきではないか。そうしなければ、労働災害は減らないのではないか、なくならないのではないか、こういうことが論議されているのですが、この局ができることによって、この機構の一元化というものはますます遠のくのではないかと私どもは心配するのですが、その点はどうですか。
  63. 早川崇

    国務大臣(早川崇君) 先生御承知のとおり、実は労働災害行政は労働省にもやはり鉱山保安として鉱山課がかつてあったわけでございます。ところが、片山内閣の加藤勘十さんが労働大臣のとき通産省に、通産大臣が水谷長三郎先生で、私も存じておりますが、通産省のほうに移管されたのでございまして、まあそれ以来、鉱山に対する保安はあげて通産省の所管になっておるわけでございます。ところが、通産省は鉱山保安法によりまして協議及び勧告の権限を保有いたしております。そういう関係で、三池災害あるいは山野炭鉱の爆発等、四回にわたりまして勧告権の実施をいたしまして、この勧告は詳細にわたる専門的なものでありまするが、鉱山保安局におきましてそれを取り入れて、非常に規則も改正をいたしましたり、そういういきさつでございまして、私は労働省といたしましては、所管ではございませんけれども、労働者の安全という大きな立場で、いまの機構をフルに活用して通産省に御協力を申し上げておるのが現状でございます。立法論、政策論といたしましては、労働大臣から言うのはどうかと思いますけれども、やはり労働者の安全というのは労働大臣が責任をとる、三池災害で何百人も死ぬとなると、労働大臣が進退伺いを出すと、まあそういう責任体制という点から言えば、権限争いを私は好みませんが、労働省が全般的に安全衛生局設置に伴う、これを機会に一元化という御議論も確かに一利はあろうかと思いますけれども、現在、政府としては機構改革ということは考えておりまりませんので、現状のままを十分生かして協力し合っていこう、こういう考えでございます。もちろん安全衛生局ができることによってますます一元化がむずかしいんではないかという御意見に対しましては、むしろ私は安全衛生局がどんどん実績を上げていったならば、通産省の鉱山保安局も、ひとつ専門家の労働省にお預けしようではないかというようになってくる可能性のほうがむしろ将来出てくるのではないか、かように私は思っておる次第でございます。
  64. 山崎昇

    ○山崎昇君 私は、こういう局ができることが、いま労働大臣は、何か将来、鉱山保安局のほうがこちらのほうに吸収されるようなニュアンスの話をされました。ところが役所の行政機構からいけば、必ずしもそうなってこないんではないでしょうかね。一つの局ができて活動する、もう一つの既存の局がある、なかなか対等合併なり、一つのほうに吸収するということは、これは役人やった人はおわかりのとおりではないかと思うんです。私はむしろこういう局ができることによってこの保安行政の一元化というのは遠のいていくんではないだろうか、こういういま気がしているわけです。しかし、これはもちろんやってみなければならぬ問題でありますが、ただ従来、社労委員会等で議論されているのは、その方向で検討しようというようなたしか回答だったと思うのです。だから、私はできるんならば今度の局の設置に伴ってカッコ書きをとってもらいたいと思うわけです。本来ならばこういう局の設置の際に一元化を実現さすべきではないだろうか、こう思うんです。ですから、大臣に積極的な姿勢があるならば、当然こういう機会にこの保安業務というものはやはり一元化してもらいたい、こう思うんですが、どうですか。
  65. 早川崇

    国務大臣(早川崇君) 御指摘のように、通産省は生産行政の管掌が大部分でありまするから、勢い労働者の安全保安という面が、どちらかといえば少数派といいますか、そういう傾向ははっきりあると思います。これは率直に申しまして。しかしながら、石炭のように生産と災害というものが非常に密着している関係がございまして、なかなかこの問題に対して結論を得ることができませんでした。臨調の答申におきましても、最初は労働省に一元化の案でありましたが、最終的にはこれはペンディングになったことは御承知のとおりでございます。したがって、労働省はあくまでも労働者の福祉の役所でございます。労働者の生命の安全というものは労働行政の根本の仕事でございまするから、生産官庁と違った意味で責任と情熱を注ぎ得る役所であることは申すまでもないわけであります。しかしながら、この加藤労働大臣以来の歴史がございまするし、われわれといたしましては、炭鉱、鉱山以外の産業災害もばく大な数にのぼっておりまするので、この安全衛生局の設置を契機にいたしまして、りっぱな仕事をして、生産行政である通産省のほうで、もうひとつこういう災害の問題はそちらが専門だから、ひとつというような機運が出るまで努力をしていって、自然な形で一元化が達成できればそれに越したことはございません。私はそれぞれの役所の御事情がございますから、保安局はこっちへ寄こせというようなことを大臣としてお答えする以前に、まずこの安全衛生局の実績をあげたいという気持ちでございますので、いま保安行政の一元化ということは日程にのぼっていないということだけははっきり申し上げておきたいと思います。
  66. 山崎昇

    ○山崎昇君 私は三池の災害を見たり、あるいは昨年六つばかり大きな炭鉱爆発等がありまして、そういうのを見たり、あるいはまたそのときの報告等を見ても、いまなぜああいう爆発が起きるのかといえば、生産第一主義で人命が軽視されている。だから、幾ら爆発が起きたあとに労働大臣が責任をとろうとも、涙をこぼそうとも、遺族に向かってうまいことを言おうとも爆発事故というものはほとんど減っていない。さらに大規模な爆発事故が続発をしておる。それはいま、いみじくも大臣が言うように、通産省のやっておる保安行政は片手間なわけです。ですから、ほんとうにあなたが言うように、人命尊重あるいは労働災害をなくする、そうするならば、片手間でやっている保安行政というものを専門の保安行政に直すべきではないか。それは今度のこの法を実施するときが最大のチャンスではないのか、こう私どもは思うわけです。ところが、大臣は実績をあげてからと、そうすれば向こうのほうで黙っておっても寄ってくるであろうと、こう言うのですが、なかなか行政機構はそう簡単に寄ってくるものではないと思うのであります。だから、私は重ねて大臣に聞きたいのですが、できるならばこの労働省設置法で保安行政を一元化してもらいたい。それはもうすでにさっきお話ありましたように、社会党の大臣がやったのは昭和二十四年ですからね、今日までにもう十八年——約二十年近くたっておるわけですから、かなり事業の形態も変わっておるし、労働者のあり方も変わっておるし、そういう意味で私は保安行政はそろそろ一元化すべき時期にきているのではないだろうか、こういう観点で先ほど来聞いているわけなんですが、重ねてお聞きしますが、どうですか。まあ、ここに提案されているわけですから、ここですぐこの法律を手直しするというわけにはならぬかもしれませんが、でき得るならば再提案をしてもらいたいと、こう思うんですが、一元化する気持ちありませんか、いま。
  67. 早川崇

    国務大臣(早川崇君) 安全衛生局の運営につきましては、先ほどいみじくも村上局長がお答え申し上げましたように、小さく生んで大きく育てる、こういう気持ちでいきたいと思っております。現在まだ子供は小さいですから、鉱山の保安まで抱き込む力はございません。もう少しこの子供を育てて時期を待って、私はもう大臣やめましても議員である限り、そういう時期がきましたら労働者の安全の向上のために、むろん保安行政は一元化するほうがいいにきまっておるわけですから、もう少し経過を見て努力いたしたいと思います。
  68. 山崎昇

    ○山崎昇君 いま大臣、小さい生んで大きく育てるという先ほどの局長の話を再度出したんですが、私は今度の局の設置というのは、これは小さく生んだという問題ではないと思うんですね。いままでの機構に、あなた方でいえばカンフル注射でもやって、何か栄養剤を与えて一ぺんにでっかくしようという案だと思うんです。ですから、そんな気長にでっかくなるまで待って、そして保安行政を一元化するなんということは手ぬるいんではないだろうか。むしろ、こういう機会にこそやっぱり踏み切って一元化すべきではないのか。その間、労働者に災害がなければいいです。人命が失なわれなければいいです。しかし、そうではないと思うんですね。ただ、一元化されたら、それじゃすぐ災害がなくなるかというと、そんなものでもないと思うんですよ。しかし、少なくとも通産省の片手間でやっている、それがよくないということはあなた方自身わかっているわけですから、それならば、大きくあなた方の言うように飛躍しようとするこの局の設置の際に、当然一元化すべきではないのか、重ねて私はそう思うんです。これはもう何年にもわたって社労委員会で議論されているわけです。ですから、私は今度の設置法が出てくるときに、一番先にその面がどうなのかと見たら、依然としてカッコ書きがついている。そういう意味で、私はいますぐならないとしても、大臣の気持ちの中に、一体どれくらいたったら一元化ということが実現できるのか、しようとするのか、もう少し積極的な回答がほしいと思う。
  69. 早川崇

    国務大臣(早川崇君) 山崎先生も役所の御経験がおありかとお聞きいたしておりまするので、いかに機構の吸収合併がむずかしいかということはお気づきだと思うわけであります。私は昭和二十四年に加藤勘十労働大臣というほんとうに労働運動のベテランの方が、どうして通産省という生産行政に鉱山保安をお譲りになったか、そこがわからないのでございます。一たんそちらに移管した以上——現在の鉱山保安局も一生懸命やっておられます。膨大な機構を持っておられます。私は決して通産省がその面で弱い行政をやっているとは思っておりません。よくやっていただいていると思っておるわけであります。ただ、私は一般論として、やはり労働者の生命、財産、福祉という面からいえば、筋からいえば、労働省というもの、人間を扱う行政生産行政と違う一つの性格を持っておりまするから、行く行くはこの安全衛生局が育って、非常にいい成績をあげていく、鉱山保安についても当然一元化したほうがいいじゃないかという機運が出てまいりましたならば、これは万人の納得する、単なる機構いじりではなくって、一元化されるような時期も私はくるのではないかと思っておるわけでございます。私も内閣の一員でございまするから、言いたいことはまだございますけれども、この問題はこの程度でひとつごかんべんを賜わりたいと思います。
  70. 山崎昇

    ○山崎昇君 かんべんしてくれと言われれば、かんべんしないというわけにもいきませんが、ただ、私は単に機構いじりということでなしに、ほんとうに労働省が労働災害というものに本腰を入れるならば、当然そこまでやはり議論をすべきだし、また対策を講ずべきだと思うんです。ただ、そういう点がほとんど触れられずに、先ほど来言っているように、どうも看板の塗りかえだけに終わりそうな気がする、こう私どもどうしても考えさせられるわけです。しかし、いま労働大臣から、かんべんしてくださいと言うので、かんべんできませんけれども、これ以上やっても平行線をたどるのじゃないかと思いますから、この点は今後機会を見て、また労働大臣の見解等を聞きたいと思うのです。  そこで、私は次に一つの私の提案として意見を述べたいと思うのですが、労働大臣がもし、それも一つの方法だと賛成できるならば私は賛成してもらいたいということが一つある。それは社労委員会でも述べて、通産省のほうでも検討しますということになっておったのですが、その後何の回答もありません。それは災害が起きると必ず中央から調査団が派遣をされる、そうして調査の結果が報告をされる。ところが、私ども見ているというと、その鉱山なり炭鉱なり、あるいはその事故を起こした事業場のある自治体というのは、あと始末に狂奔する、しかし、事前には何の連絡もない、そういう状況になっておる。あるいは最近の労使関係からいくと、どうも労働組合というのは軽視をされる傾向にある、こういうふうに、私ども考えてみるというと、ほんとうにこの労働災害というものをなくするためには真剣に、どういう方法があるのかということを検討しなければならぬのではないかと思っているわけです。そこで、私どももいろいろ関係する労働組合、あるいは自治体の方々の意見を聞いてみると、こういうことができないのかどうかという意見がありました。それは労働省と通産省の出先機関と、それから関連をする自治体と、その事業場を経営する経営者と、そこで働く労働者の集まりであります労働組合、こういうものが一つ対策委員会のようなものをつくって、月に一ぺんなり二月に一ぺんなり定期的に協議会等を持つ、そうして、その席上で関係する行政機関から行政機関としての意見が述べられる、あるいは経営者から保安状態について説明が行なわれる。それについて労働組合からこれまた意見が述べられる。絶えず労働災害については関連するものが意識をしている、あるいは絶えず何らかの形で対策を講じている、こういうことが日常的にやられることが、少なくとも労働災害を減らしていく一つの方策ではないのか、こういうことを私ども現地へ行きますとかなり言われるのですが、こういうことをやられるという考えがあるかどうか、お聞きをしたいと思うのです。もしも大臣から、そういう方法も賛成だというなら、さっそくひとつ労働省中心で私はつくるように御努力願いたいと思うのですが、どうですか。
  71. 早川崇

    国務大臣(早川崇君) 交通災害については、御承知のように地方庁、自治省と協議をやっております。労働災害につきましては、北海道におきましては、北海道庁、市町村自治体と協議体制ができているわけであります。まことにごもっともな御意見でございます。よく労働省で検討いたしまして、国の出先機関でありますけれども、産業災害の防止に自治体の御協力を得なければならぬわけであります。よく研究、検討いたしまして御趣旨に沿うことができるようにいたしたいと思います。
  72. 山崎昇

    ○山崎昇君 まだまだこまかいことを聞きたいのですが、ちょっと私自身の都合がありまして恐縮でありますが、この程度で、まあ主として行政機構からの質問をやめたいと思うのです。  総括して今度の局昇格については、そのものに反対はいたしませんが、何としても中身が伴わないという点と、それから第一線がほとんど手がつかずに置かれておって充実されてないということ、そういう点等、早急にひとつ私は確立するように努力願いたいことと、それから機構の一元化並びに再度申し上げましたように、事故が起きるまでは各自治体がつんぼさじきに置かれて、事故が起きるともう自治体は動員をされて、知事なり市町村長以下中央に陳情にこなければならぬ、飛び回る。これではやはりたいへんだと思うわけですから、事前にやはり自治体にも保安情勢がどうなっているか、あるいは関連する労働組合にももっと親切に保安状況等を知らせる、そういうことについていま大臣は検討してみたいというので、具体的なそれらの点についてはひとつ検討願いたい。そして、もっともっとこの労働災害が減るように、できるならば皆無になるようにしたいと思うんですが、なかなか至難だと思いますが、そういうことにして労働者の尊い生命が失われないように、あるいはけがでその生活がみじめにならぬようにぜひはかってもらいたいと思うんです。さらに、労災補償部がなくなることについても私はいろいろ危惧の念を持っています。それはやはり行政機構からいえば一つの部がなくなって課になるということは何としても後退のそしりを免れないと思います。そういう意味で、三池の問題その他を見ても、いまは起きております労働災害のあと始末ではありますけれども、この労災補償の仕事というのはきわめて私は重要だと思うんです。そういう意味で、部はなくなるようでありますけれども、実質的に機能が低下にならないように、どうぞこの労災補償の問題が停滞しないように大臣の特段のひとつ私は御努力をいただくように要望して私の質問をきょうは終りたいと思います。
  73. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 労働大臣が就任されたときに、たいへん失礼ですけれども、前の大臣と引き継ぎされるわけですね、何か引き継ぎ書というのはあるんですか。あまり立ち入ったことを聞いて悪いけれども、その引き継ぎ書というものにいろいろ今後の労働省としてのやるべきことというのが明記されているようにお聞きするわけですが、その引き継ぎ書を出してくれというのはちっとあれですから、そこまでは言いませんけれども、具体的にどういうような点が引き継ぎになっているのか、大きく分けると官房関係と基準関係と職安関係となっていろいろあると思いますから、ポイントはどういうところにあるのか、ちょっと御説明いただきたいと思います。
  74. 早川崇

    国務大臣(早川崇君) 大臣の直接の引き継ぎは口頭で人事の面、いわゆる経過等でございまするが、文書では大臣引き継ぎ書という膨大な印刷物がありまして、これは部外には発表できませんが、労働省のやっていること、これからやろうとする事項全般にわたりまして詳細な引き継ぎ書がつくられていて、それをまたあとで事務当局から御説明を受ける、こういうことになっております。
  75. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 その大臣引き継ぎ書というのは、これは内部の資料でしょうから、ぼくはほんとうは出してもらいたいけれども、そこまで言うのは遠慮しますけれども、それが労働省設置法なり今後の労働行政にいろいろ関係してくるものが出ているものですからお聞きするわけですが、おもなものは一つはどういうふうなことですか、いろいろあると思うんですけれども
  76. 早川崇

    国務大臣(早川崇君) まあ各局のやっておる仕事が中心でございまして、これからまた懸案になっている法案、たとえば失業保険法の改正とか、あるいは最低賃金法であるとか、その他万般にわたる引き継ぎでございまして、これはあくまで部内限りの引き継ぎ文書にすぎない次第でございます。
  77. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 だから、引き継ぎ書に書いてあるのを、四十二年度、四十三年度というふうに実施したいということ、考えていることがあるでしょう、それをできるだけの範囲で御説明願いたいと思うんですが、どういうふうに実現したいというふうに考えておられるか。
  78. 早川崇

    国務大臣(早川崇君) あくまでこれは秘密の部内限りの引き継ぎ書でございまするから、特にこの委員会で御説明するような問題はございません。大臣になりまして、社労委員会におきまして、最初に大臣就任と同時に、今後の労政につきまして全般的な施政方針の御説明をいたしたことに尽きるわけでございます。
  79. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 それではお聞きするのですが、労働保険関係改正の準備室というのをつくったのですか。
  80. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 昨年の九月だったかと思いますが、大臣の訓令でもって官房に準備室を置くことになりました。これは五人未満の労災、失保両保険の改正準備のための組織でございます。
  81. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 それは具体的にはどういうふうな、何というか、あらわれ方を今度の国会にしているわけですか。
  82. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 両保険の実態はそれぞれ両局で今度の改正につきましても担当いたしておるわけでございますが、両保険共通の適用、徴収、特に徴収機構の問題、徴収方法の問題、それらにつきましては、その準備室で検討、準備をいたしたわけでございます。
  83. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 それは準備したわけですけれども、それを具体的にどういうふうにして、いつごろから実施したいというふうに考えているわけなんですか。実施時期も引き継ぎ書の中に明記してあるでしょう。四十三年の四月からやるとか、あるいは十月からやるとかいうふうに書いてあるのじゃないですか。
  84. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 大臣の申し継ぎに明確にそういうふうに書いてあったかどうか私記憶はございませんが、懸案事項として五人未満の問題が引き継がれたことは事実だと思います。ただ、その際にいつから実施するか、これはやはり新大臣のもとであらゆる方面から検討した後に、今日、衆議院に先に提出しておりまする両保険の改正法案の中に、施行時期は二年以内という準備期間をいただきまして、二年以内に施行する、これはいろいろな準備が要りますので、そういう方針のもとに法案改正を用意いたしておるわけでございます。
  85. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 だから、それに伴う法案改正というものはどれとどれとであって、どういうふうに国会へ出ているのですか。大体四十三年の十月実施を目途としているというふうにちゃんと書いてあるのじゃないですか、一元化の問題ですよ。
  86. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 五人未満の問題はいろいろな準備が要りますので、二年以内という改正案になっております。
  87. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そこで、なぜそういうふうな改正案というものを出すようになってきたのですか。改正案というのは何と何の改正案、どういう改正案を出すというのですか、出してあるのですか。
  88. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 失保法、労災法と両法の改正案を現在衆議院に出しておりますが、その一番大きなねらいは、御指摘のように五人未満に拡大をする、それからこれは労災、失保共通でございますけれども、失業保険独自の問題といたしましては、いろいろ新聞等へ出ておりますように、短期循環受給者の給付の合理化、あるいは不正受給に対する納付命令制度、それから保険の基礎日数を十一日から十六日に引き上げる、それからさらに低所得者を中心とする給付の改善、こういったような内容が盛り込まれておるわけでございます。
  89. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そこで、問題は全面適用に伴って、そして労働省の現実の仕事の中でどういうような影響というか、変化があるかということが一つのポイントになってくるわけですね。これはあなた方のほうではいろいろありますよ、村山にあるとか、電子計算機があるとか何とかいろいろあるでしょう。答えは先に話しているんですけれども、そのことになるんだけれども、そこへいく過程で問題になるいろいろな問題があると思うんですが、いまあなたのほうでつかんでいるのは現実に五人未満の事業所を強制適用してというのでしょう、今度の法案は。だけれども、実際に現在労災にしろ、失業保険にしろ、入っていなければならないのに入っていないのがあるわけですね、適用漏れというのが。それがどの程度あるというふうに見ているんですか、これは推測にしかなりませんけれども
  90. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 五人以上は現在の制度で強適でございますけれども、五人未満は任意適用になっている関係で、五人前後の企業のところは非常にボーダーラインでつかみにくいわけであります。したがって、私どもの推定では、五人から三十人までのいわゆる小規模企業、事業所におきまする捕捉率をいろいろな角度から推定いたしておりまするが、大体六割五分から七割見当の捕捉率である。したがって、まあ三割前後現在でもつかめていない、こういう実態でございます。
  91. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 ぼくは実はもっとつかめているんじゃないかというふうに考えていたんですが、そうすると、三割前後つかめないというのはどこに原因があるんですか。
  92. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 一番大きな理由は五人未満が当然適用でない。ここに抜け穴があるというところに一番大きな原因があると思います。私どものほうの手が足りないというふうな問題もございまするけれども、一番大きな問題は五人未満が任意適用であるというところが一番大きな理由でございます。
  93. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 それは五人未満だって——いまの五人から三十人の間のものは、それは三十人に近いところがたくさんあるのか、五人に近いところがたくさんあるのか、それによっていろいろ違ってくるから、一がいには言えませんけれども、現実に五人以上が強制適用でありながら、それだけの現実に未適用というか、適用漏れがあるということは、人員が非常に少ない、非常にとは言わないけれども、人員が少ないということも一つの原因だというわけですね。そうすると、あなたのほうでは、それを完全に捕捉するということのためにいままで努力してきたんですか、努力してきたとすればどういうふうに努力をしてきたんですか。努力はしてきたけれども、こういう事情からそれはなかなか実現できなかった、それは五人未満のものは未適用で、今度完全適用になると、それは解消するかというと、そうでもないように考えられるんですね。そこら辺はいろいろ問題が出てくると思うんですが、そこはどうなっているんですか。
  94. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 当然適用の五人以上につきましては、これはこちらが捕捉をする義務といいますか、当然捕捉しなければならぬわけでございますが、さっき申しましたように、五人未満の抜け穴があるもので、従業員規模が五人であるか、六人であるか非常にこれはむずかしい、変動もございますし、むずかしいわけでございます。そこで、私どもとしましては五人未満に拡大適用するにあたりまして、捕捉の方法についていろいろ部内で検討いたしておるわけでございますが、今度は五人以上を含めまして、両保険の徴収、適用の関係を機構的にも一元化する、徴収の方法も一元化する、機械徴収による、それからさらに労働保険事務所を育成いたしまして、これをいわば代行的な機関として活用していく、こういうふうに四本立ての柱で五人未満に対処してまいりたい。と同時に、五人から三十人に及ぶ小企業の適用漏れについても、この際徹底的に捕捉をしていく、こういうふうな考え方で対処していきたいと思っております。
  95. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 四人か、五人か、六人かいるのがはっきりわからないからというので、捕捉ができないというなら、これはまた筋はわかるのですよ。そうじゃなくて、あなたは三十人までいるというのでしょう。三十人のものが四人か五人にそう一時にならぬでしょうから、そこら辺のいろんな面、濃度、濃さと、それから薄さがあるから、ちょっと抽象的には言いにくいことですけれども、だから現実に捕捉するということになれば、ただ五人以下が未適用だから捕捉できないということはもちろんあるかもわかりませんが、現実には事業所、事業所へ行って捕捉するんですか。あなたちょっと人手がないということを言いましたね、それが今度のいわゆる一元化とか、強制適用に伴ってどういうふうな影響があるかということをぼくは聞きたいわけですよ。それは大体あなたもわかるでしょうけれども、現実に前に三割以上の未適用があったということ、四人か五人か六人ぐらいの。非常に何というか、限界すれすれのところが非常に多かったというのか、あるいは三十人までというのは十人、二十人、三十人近いところもあるので、そういうところの未適用も相当あったということが考えられるでしょう。そこはどうなんですか、大ざっぱにいって割合は。
  96. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) もちろん五人に近いほうの零細規模のほうがつかみにくいわけでございます。
  97. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 つかみにくいんだけれども、現実につかみにくいつかみにくいと言う前に、つかむ方法としてどういうふうなことをやったかというんですよ。だから、それはあなた人手が足りないからできなかったということをちょっと言われたけれども、それが本筋じゃないですか。
  98. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) これは人力によって、職員の足によってかせぐというのが最終的な方法でございますが、一般的には関係者に対するPR、それから特に職員の中でも調査官を置きまして適用についての推進を専門的にやっておる体制でございます。さらに、まあいままでの体制でも労災保険、あるいは厚生省の関係の厚生年金保険、あるいは健康保険、それぞれの保険におきましてつかみ方が多少零細企業については違っております。それらのデータといいますか、情報も交換し合ってお互いに適用を促進していくと、こういう努力もやっております。したがって、今度両保険を一元化するというやり方は、適用、徴収の面において非常に効果的であるという確信を持っておるわけでございます。
  99. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 それでは、たとえば東京にいろいろ安定所がありますね、上野の安定所なら上野の安定所に例をとって調べてごらんなさい。事業所の数がどれくらいある、失業保険の適用がいまあるのはどれくらいか、今度の完全適用によってどの程度がふえるのか調べてごらんなさい。どこの安定所でもいいですよ、大ざっぱにどの程度だと思いますか。それはまああなたの所管じゃないからわからぬでしょうが、どこでもいいですよ、東京の例を一つとって、大体大ざっぱにわかりますか。ここでなくてもいいですわ、ほかのところでもいいです。ほかったってあまり山の中なんか困るけれども、大ざっぱにどの程度だと思いますか。
  100. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) これは五人未満の零細規模については、実は毎勤統計等についても調査が完全には行なわれておらない領域でございます。したがいまして、各府県におきましては、それぞれの事業所センサス等を活用いたしまして大体の推定数字はつかんでおります。したがって、今回改正が行なわれるとするならば、五人から三十人規模でどの程度適用漏れになっておるか、それをどういうふうにつかみ、あるいは新しく、五人未満について任適が約一割から二割近くございますから、それを足場に大体八〇%目標を立てまして、まあ気長な話というおしかりがございますけれども五年がかりくらいで八〇%の捕捉を五人未満の領域について達成していこう、こういう具体的な計画を各県別に立てさせておるわけであります。
  101. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 各県によってもちろん事情が違いますし、いろいろあると思いますけれども、たとえば東京の上野の安定所管内で事業所の数は二万五千あるというんです。それは私のほうの調べですから違うかもしれませんが、失業保険が現在適用になっているのが五千だ、これはぼくはもっとあると思います。少ないような気がいたしますが、二万が未適用になっているんですね。この二万というのは、五人未満が二万というのではなくて適用漏れを含めて二万くらいというふうに言われたんですが、これがそのとおりかどうかは別として、かりにこういう状態とすれば、それを強制適用というか、全面適用になってきた中で、現在の労働省の職員でこれがやっていけるかどうかということが非常に大きな問題になってくると思うんです。だから、未適用のものが五人未満ではなくて捕捉率からは三割以上のものが漏れておる。それがプラスしてまいりますから、それは全体としてどの程度あるというふうにつかんでおるかということを聞いてみれば、労働省は適用事業所数で約百万、適用事業所労働者数で約二百万と言っておるとすれば、その根拠はどこからどういうふうにしてこの数字が出てきたのか、この根拠を説明してもらいたいと、こう思うわけです。これは口頭である程度説明して、あとは資料でもいいと思いますが、これは非常にぼくは少ないと思う。ちょっと納得のできない数字なんです。おかしいと思うんです。事業所が百万で労働者が二百万、これは違っているかもしれませんが、どうなっておりますか。
  102. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 概数はおっしゃるとおりでございます。ただ、さっき上野の例が出まして、多少補足させていただきますが、現在、事業所の数は労災と失保で違いますが、約六十万前後になっております。したがって、百万事業所というのは倍になるわけでございます。しかし、保険でとらえた対象は雇用労働者でございますので、商店その他零細事業所におきましては、家族従業員をもって事業を営んでおるという例が相当あるわけであります。雇用労働者は一人も使っていない事業所も相当ございます。したがって、私どもが現在把握しておる事業所の倍、今度は事業所がふえるのだ、こう一口に申しましても、そのほかに家族従業員だけ使った事業所もございますので、上野の失保から言いますと、いま五千事業所をつかんでおって、大体五人未満に拡大すれば平均的には倍になりますから一万事業所で足りるのじゃないか。それが二万五千事業所があるという御指摘でございますが、これは確かに家族従業員だけでやっている事業所も相当あると思います。そんなこんなで、具体的に数字を当てはめますといろいろ違ってくるという状態でございます。
  103. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 上野の例というのはぼくが言っただけで、それが正確かどうかよくわからないので、あなたのほうでよく調べていただかなければいけないと思うんです。ただ、いま言った数字はどこから出てきたんですか、どうもはっきりしないんですが。六十万が百万になって、あとはどうなるんですか。
  104. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 三十八年の事業所センサスをもとにいたしまして、自後、逐年修正をいたした推定数値でございます。
  105. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 三十八年というのはどうして三十八年をとったんですか。それでその修正率はどの程度になっておりますか。三十八年はだんだん経済が発展した段階でしょう、ずっと。だから三十八年を基準にとったというのもちょっとはっきりしないんですが、それは基準の取り方だからいいけれども、その修正率をかけるでしょう、どういうふうにかげるんですか。
  106. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 労災保険と失業保険と両方の面から何しておりますが、失業保険のほうは、いま安定局長が御答弁申し上げましたように、事業所センサスを使う、三十八年のをなぜ使うか、これが一番最近での新しい数字でございますので、それを基礎にして毎月勤労統計で修正しておる。労災のほうは、ただいまの事業所センサスのほかに、農業調査漁業経済調査、労災月報などを用いまして、それらの調査に基づく資料を突き合わせまして推計をいたしておるような次第でございます。ですから、いわばこれはマクロ的な推計でございますので、職業安定所あるいは監督署ごとの実態に即した数の把握ということになりますと、さらに足で調査をする、その他きめのこまかい措置を施さなければならない、こういうことになろうかと思います。しかし、マクロ的な大数観察ではそう狂いはなかろうという判断をいたしております。
  107. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 それは一々そんなこまかい調査をすることが全体の一つの目標をきめるについて必要かどうか、これは問題があります。そういうことをやっていては仕事にならないから、これは概算でいいわけです。それはいいですが、どうもこれは少ないような感じがするんですが、これはまあ別の問題ですが、そうすると、それに伴って機構の統合の問題というものもひとつ出てくるわけですね、そこはどういうふうに考えられているんですか、いまどんなふうな機構統合をしようというお考えですか。
  108. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) まあ両保険適用徴収のための機構を一元化しよう、こういう考え方で省内で進めております。これはい、ずれ来年度の予算と、それから所要の設置関係組織関係改正が要りますので、いずれ予算法律、両面で国会に御審議をお願いしたいと思います。いずれにしても両保険を一本の徴収機構、仮称でございますが、労働保険事務所という機構をつくって、そこで適用と徴収事務を一元化する、こういう基本的な方向でございます。
  109. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 その労働保険事務所というのをつくるんですね、それはあれですか、つくることによって、たとえば事業主はこういう利益を得るとか——利益ということばは悪いけれども、利便というか、そこを利用する人はこういうプラスがあるとか、いろいろあるでしょう、これはいろいろ考えられますね、それがあるから、あなたのほうでつくろうとしていると思うんですが、それは具体的にはどういうことなんですか。
  110. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 機構を一元化するということは、われわれの側から見ましても非常に合理化になりますが、お客さんの側から見ましても窓口が一本になりますし、それから徴収の方法を両保険共通にできるだけ持っていきたい。賃金総額の計算のしかた等もできるだけ一本にしたいというふうな考え方で進めておりますので、事業所側、それから被保険者側両方にとって、この一元化された機構のほうがより便利になるというふうに確信いたしております。
  111. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そのより便利になるというのは、具体的にどういう場合に、どういう便利になるかということですね、いろいろあるでしょう、そこは、ずっと一つ一つ分けて説明してごらんなさい。だから、最初はたとえば五人未満なら五人未満でもいい、五人より上でもいいが、一つの事業所をつくるでしょう、つくったときから、労災なり失業保険の適用が始まってくるでしょう、それが一元化してくるわけでしょう、そのときにどういうふうなことをやるのか、いままでとどういうふうに違うのか。事業所ができたときからのいろいろな手続があるでしょう、それがいままでとどういうふうに違うのか、どこにどういうプラスがあるのか、どういうマイナスがあるのか、これはちょっとこまかくなってくるんだね、労災と失業と両方だ、説明してごらんなさい。説明してごらんなさいというのもちょっと悪いけれども
  112. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 現実にはいろいろプラスの面が生じてくると思います。たとえば会社、使用者側のほうからみますれば、納付の手続が一回で済む、その納付書をどうするか、同一の用紙を用いるか、点線切り取りにするか、そういう点はいま同時に検討中でございますが、要するに、従来、労災保険と失業保険それぞれ手続とっておったものが、一回で済むという便利がございます。そして、職業安定局長が御答弁申し上げましたように、従来は、賃金の計算も労災と失業保険では賃金総額の計算のしかたが違います。それから保険料を納めるにしましても、失業保険は毎月、労災保険は概算といったように違っておりましたが、その納期も一定するということで、企業の立場からは保険手続が簡便になるばかりでなく、労災、失業両保険を通じて、企業で必要な保険料の算定が容易になり、経営の面にもプラスになる、いろいろな波及効果はあろうかと思うわけであります。労働者のほうから見ますれば、一回の手続で自分の使用者は加入しているということが確認できるわけでありますし、そういう面で、労使双方とも事実上の点においては相当多面的なプラスを受けるのじゃないか。その間に処して行政事務をどう簡素化するかという問題がありまして、先生御懸念の点は、私どもも重々予測いたしまして検討いたしておるような次第であります。
  113. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 御懸念の点だといっても、まだそこまでいっていない。そこで、じゃ、こういうふうに聞きましょうか。いろいろ手続が始まりますね。たとえば最初は事業所の成立届け、それから被保険者資格の得喪届け、事業場番号、保険料の報告、賃金総額の算定、被保険者の保険料控除、保険料の納付、保険料の還付、督促、滞納処分、被観察調査、それから事務組合の問題、こういうふうなところで、現在の労災、失業保険と比べて、一元化になった場合とどういうふうに違うかということですね。これをまとめてというか、いま休憩になりますから終わりまして、ひとつ聞きたいと思う。聞きたいが、あなたから説明してください。どういう点が、こうではあるけれども、その辺こういう問題点が残っておるのだということを懸念しておるということが大体わかったようでありますから、この懸念が杞憂だと、杞憂なら杞憂でいいのだけれども、杞憂だということをあわせて説明してください。それはあなた方の独創性に待ちますからひとつやってください。
  114. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  115. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記再開。  暫時休憩いたします。    午後三時四分休憩      —————・—————    午後五時十七分開会
  116. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 委員会を再開いたします。  労働省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  休憩前に引き続き、本案質疑を続行いたします。御質疑のある方は順次御発言願います。
  117. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 休憩前に質問をした件ですね、労災、失業両保険の完全適用ということで、具体的にどういうふうな事務がどう変化してくるかという点ですね、これはどうなんですか、何かできているのでしょう、労働省では資料が。
  118. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 関係事務の統一処理方針というのが、一応、案としてできておりますが、おもなものを申し上げますと、まず事業所の関係では成立届け出を一本で出せる、それから事業所番号も労災と失業一本の番号になります。それから保険料の関係も、先ほど申し上げましたが、保険料算定の基礎になります賃金総額の算定のしかたも同一歩調でやりますので、これが事業主側にとりましては非常に簡便になる。保険料の関係は全部両保険が一本で処理されるということに相なります。その他事務組合の結成指導等についても両保険が一本で指導できる。こういうふうなことで事務的にはずいぶん合理化になる、また事業主側にとっても、このほうが便利であるということを検討いたしておるわけでございます。
  119. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 この失業保険のほうはどうなんですか。
  120. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) いまのは失業保険、労災保険、両方共通の統一化の問題で、失業保険独得の問題は、御承知のように被用者保険でございますから、被保険者資格の取得届出だとか、あるいは被保険者の保険料の控除の問題だとか、そういった独得の問題が若干ございますけれども、それらを除けば全部一元化される、こういうことでございます。
  121. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そうすると、あなたのほうに言わせればそれで非常に合理化されるというわけでしょう、そんなにいいことだったら、どうしていままでやらなかったのですか。
  122. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) ここまで両保険を統合一元化するということは、同じ省内におきましても、これはなかなか経過的にはやっかいな問題でございまして、五人未満に拡大適用するということとうらはらの関係におきまして、この問題を踏み切ったわけでございます。むしろ、事務的にはこういう適用徴収を一元化するという前提が省内で確立されたために、五人未満にも拡大ができる、これがうらはらの関係で結びついている、ここまで踏み切って五人未満に拡大をする、こういう状態でございます。
  123. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 踏み切った踏み切ったと言われるのだけれども、そんなにむずかしい問題だったんですか、それは結局あれでしょう、片方は基準局でしょう、片方は安定所の関係なんでしょう、局は違うわけですね、内部においても、管掌というか、そういう点がなかなかむずかしかったわけですか、今度どうするのですか、今度はどこが受け持つことになるのですか。
  124. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 中央はこれは労働省一本でございますが、末端もまた労働保険事務所ということで一本でございます。胴体のところが県と基準局というふうに分かれざるを得ない、いまの事務配分からいいますと。ただ、これは御承知のように、職安行政については地方委譲論という問題が別個にございます。こういったものとも総合的に考えて解決しなければならぬという問題がございますけれども、いまのところはそういう行政ルートで一元化をしたいという考え方でございます。
  125. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 労働省ではどこが扱うのですか、労働省では主管の局はどこになるのですか。
  126. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) これは両局にまたがる問題でございますので、官房になるだろうと思います。適用、徴収の本省における責任部局は官房になるだろうと思います。その中にどういう機構をつくるか、これは来年度以降の問題でございます。
  127. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そうすると、それが官房になると、たとえば、いまの基準局なら基準局の仕事が減っていくわけですか。どうなの、労働基準局のほうでは。安定局でもいい。
  128. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 職安局も基準局も同じでございますが、適用、徴収については、新しい第三の機構に一元化されるわけでございます。
  129. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そうすると、各出先といいますか、労働基準局が県に一つずつあるわけでしょう。安定所は県に安定課があって、安定所が各地にありますね。それが集まって労働保険事務所というものをつくるのですか、どうなっているの、どこへつくるんですか、それは。基準局の中につくるの、全然別個のところにつくるのか、人数なんかどうなるのですか、どういうふうにするのですか。
  130. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) これは御承知のように、基準局と県に分かれて、適用、徴収事務をやっておりますが、この適用、徴収事務の部面を、第三の機関でございます保険事務所に統合して、ここで一元的にその事務処理させる。この保険事務所の所属をどうするかという問題でございますが、これはわれわれの考え方では、安定所と監督署と同じように、国の直轄の出先機関として現在考えております。
  131. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 県の安定課の職員は、全部が国家公務員ではなくて、一部、地方公務員もいましたか、これは訓練関係だけでしたかな、いまは全部国家公務員ですか。
  132. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 安定関係は、保険を含めまして全部国家公務員でございます。
  133. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 職業補導か何かのあれで、一部、地方公務員がおりましたね。それはわかりました。県の中にある失業保険課とか、そういうふうなものが労働保険事務所に全部移っちゃうことになるわけですか。新しい役所というか、建物なんか全部一応つくるというたてまえになるわけですか。
  134. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 中間機関としての県並びに基準局は、新しく労働保険事務所ができて、適用、徴収事務を一元化いたしましても、中間的な職責というものは県の段階と基準局の段階に残るわけでございます。そのほかに膨大な給付事務が両保険それぞれございますので、これは当然、従来どおりの県と基準局の系統でやるわけでございます。
  135. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 いまのお話を聞いていると、職業安定局長だけが答弁しているわけですね。これはどういうわけなの。これはどういうわけという意味は、いまの一元化というものは、主管は安定局がにぎることになるのか、そういう意味なのか。それは片一方は失業保険とか労災保険でしょう。失業保険のほうにウエートがあるわけですか。
  136. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 職安局長が答弁しておりますけれども、十分私ども打ち合わせて代表選手をきめておるわけでございます。実は、先生御承知のように、労働基準局の系統は、純然たる国の直轄機構であります。問題は比較的、組織の問題として考えやすいわけであります。しかるに、いま御指摘のように、職業安定関係におきましてはやや異なった形をとっておりまして、問題の所在が、比較的に申しますれば、職業安定の地方組織があるという、こういう観点もありまして、職業安定局長からいまいろいろお答え申し上げたのですが、考え方は一緒でございますので、適用、徴収の一元化という問題を本省でどうするかといいました場合には、労働保険という新しい考え方一つのまとまりがここに生ずるわけでありますから、両局共通の問題として、これは官房で扱う、そこまでは思想は統一しております。どういう名前の機構にするかといったような問題は、来年度の問題といたしまして、これはまだ確定いたしておりません。それから地方の問題も、実は具体的に活動いたしますのは来年度のことでございますから、来年度の問題として固めたいというので、職安局長が答弁いたしましたその線までは固まっておるが、その先はこれから詰めたい、こういうことでございます。
  137. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そこで強制適用ということになって、事業場なり、それからその適用される人員もふえるわけでありますね。どの程度ふえるか、いろいろ計算のあれもあると思うのでありますが、ふえて、しかも、職員は増員しないという考え方でやっていくわけですか。
  138. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 両保険から当然持ち寄る分のほかに、これでは足りませんので、相当数の増員を来年度予算で要求したいと思います。
  139. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 いまこの関係の人、従事しておる人はどの程度いるわけですか。
  140. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 両保険、全業務を通じて合計いたしまして一万人をこえる、一万五百三十六人でございますが、適用と徴収の業務に限定いたしますと、両保険の合計数が、適用において四百六十三名、徴収関係が千五百八十名、約二千名ちょっとの人員でございます。
  141. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 労災と失業保険両方の定員の合計は一万九百十一名じゃないですか。ちょっと私聞き違えたかもわかりませんが。
  142. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) いま職業安定局長が御答弁したとおりであります。それを労災と失業保険に分けますと、適用徴収以外に給付事務がございます。それで多くなるわけでございまして、それを全部含めますと、労災保険では四千二百八十七名、失業保険では六千二百四十九名、合わせて一万五百三十六名であります。しかしながら、適用、徴収だけに限定して申しますと、労災では適用が三百三十一、徴収が七百三十七、失業保険のほうは適用が百三十二、徴収関係が八百四十三、それ以外に資格得喪関係職員がおると、こういうことでございます。
  143. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 いまの段階だから、はっきりしたことはわからないと思うのでありますけれども、まず事務量がどの程度ふえて、それからそれによって、いまあなたが言われたのは、ある程度の増員をしなければならぬわけでしょう。その事務量がどの程度ふえて、それがどういうふうな、電子計算機を導入するとか、いろいろあると思うのでありますけれども、それによってある程度事務の合理化というか、何か進んだとして、あなたのほうとしては概算でどの程度の増員が必要だというふうに考えるのですか、これは大ざっぱな話ですね。いまの段階では。
  144. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) これは来年度の予算折衝の問題でございますから、ここで端的にぎりぎりの線を申し上げる段階でもございませんけれども、いま申しましたように、両方合わせると現状で二千名ちょっとの職員があるわけでございます。そこで、先ほど申し上げましたような一元化の合理化、それから機械徴収、それから事務組合の活用、こういう三本立てを考えて、できるだけ増員を少な目にしていこう、こういう考え方でいまはじいておりますが、それにしても相当数の増員は絶対に必要であるという考え方でこれから作業を進めたいと思います。
  145. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 これは将来の問題ですから、あまりこまかいことを聞いてもあれかと思うのですが、そうすると、電子計算機を入れてやると事務が非常に簡素化するというようなことを言われるのだけれども、具体的にどうなんですか、何か村山の分室にあるのですか、電子計算機が二台あるとか、何か言っていますね。これは二人とも電子計算機というのは見たことあるか、と言っちゃ悪いけれども、村山にあるのを見たことあるの。
  146. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) これは見たことどころじゃなくて、すったもんだして入れたわけでございまして、現在、日本では一番高性能のユニバック一一〇八というアメリカのやつを入れております。もちろん国産品で能力が十分あれば国産品を使いたいところでございますが、何せ二千万人の被保険者にのぼる保険の詳細な事務を全部ここで処理いたしておりますので、この大型の電子計算機を使って現在も処理をいたしております。今後、両保険が一本になり、しかも百万事業所になんなんとする五人未満の適用拡大をいたしますので、その辺は十分準備を整えまして、そうして機械処理に万全を期していく、こういう態勢で進めておりますので、もし電子計算機なかりせば人力でどれくらいかかるか、その比較がとてもなかなかむずかしいのでございます。しかし相当程度、機械処理によって人力が節約されるということはわれわれ経験的にわかっておりますので、今回の場合もその方式はそのまま拡大をしていきたいと思うのであります。
  147. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 その電子計算機が入ったということによって、電子計算機で一体何と何があれですか、何というかな、利用できるというのか、かけるのですか、ぼくはよく見たことないからわからないけれどもね。なぜそういう質問をするかというと、電子計算機が入ったことによって、かえって事務が複雑になってきたということの、それはもちろん簡素化された一面もありますよ。機械だから便利なところもあるのだけれども、かえって、それほどじゃなく逆に複雑になってきたのだといういろいろな説があるわけですね、だから聞くわけですよ。電子計算機でできるのはここまでだ、できないのはここまでだと、いろいろあるわけでしょう。
  148. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) これは電子計算機の効能書き一般になるわけでございますが、従来は手作業で失業保険の場合なんか被保険者台帳、事業所台帳というものを製作しておったのですが、これを現地からのデータ電送によって中央のセンターで全部記録し、集計し、そうして失業保険の算定の基礎になる期間計算を電子計算機がやる、こういう仕組みになっておるわけでございます。それは人力でやってもその程度のことは不可能ではないのでございますが、これは電子計算機を使ってデータ処理をすることによって非常に簡素化される、合理化されるのみならず、失業保険の場合には、四年前の法改正によりまして、いままで一つの会社単位に失業保険の計算を、被保険者期間を考えておったのですが、企業が変わっても通算される、こういう仕組みになりました。これは理論的には人力でそういった通算業務ができますけれども、実際上は人力ではできない。電子計算機の力を借りなければ、一人々々の通算業務を追っかけるということは、千八百万から二千万に被保険者がなっておりますので、これは不可能でございます。そういう意味で、いまや絶対的に電子計算機を中核とするデータ処理事務をこなさなければ保険の事務はできない仕組みになっておりますので、今回の五人未満についても当然この機械処理方式を採用する、こういうことに考えておるわけでございます。
  149. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 それは、たとえば督捉状の裏の金額とか、内容とかいうものは電子計算機で出るのですか。だけれども表に書く住所はできないわけでしょう、一人々々に違うから。どうなのですか、ぼくはよくわからないが、どうなのですか。切手なんかも張らなければならない。そうすると、こういうことなんですよ。電子計算機で書いたときと実際出すときとの間に日にちのズレが相当あるというのです。十日間ぐらいのズレがあるから、結局、電子計算機でやったときのものが正確かどうかということをもう一ぺん対比しなければならないというのです。日にちのズレがあるから、だから裏を刷ったのと表を書くのとの間の日にちが違うでしょう。これはどうなのですか。
  150. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) これはごらんいただければすぐわかりますが、いろいろな計算上の数字は電子計算機を使って割り出してまいりますが、そのあとの督促状あるいは納入の告知書、こういったものを発送する場合に、手作業になればそこで業務がスローダウンするじゃないかという御指摘のようでございますが、これは一貫して全部印刷から、何と言いますか、表書き、あて名のタイプから、それから発送の何と言いますか、荷づくりと言いますか、一貫して機械処理をいたしておりますので、まあ現場をごらんいただくと非常にわかるのでございますけれども、相当思い切って合理化をしておるつもりでございます。
  151. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 合理化はいいのですが、そうするとぼくの言うのは、督促状や何かに、裏の金額や何か書くのと実際に出すまでの間に日にちが相当あるというのですよ。日にちがあるので一週間か十日間ぐらいかかる場合があるのだ、だから、あらためて対比しなければならないのだというのですよ、そういう事実関係が合っているか合っていかないということを。そのために結局よけいに手数がかかっちゃって、何のために入れたかわからなくなっちゃっているというのですよ。これはもちろん電子計算機が入ったから事務が簡素化したのは間違いないでしょう。間違いないけれども、そういうようなよけいなことまで入ってきちゃって非常に困るんだというのですがね。私もよくわからないのですがね。
  152. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) その点のズレは全然いまのところないというふうに私聞いております。木曜日にかりに計算をして出したとして、すぐまあ発送にかかるわけでございますから、その間に日にちのズレに基づく数字の狂いはないというふうに私ども報告を受けております。
  153. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 先生の御質問現状をいろいろ御調査なさってのことと思いますが、いままで二年間機械を据えつけてからこの方式になれるように努力してまいりましたが、まだなれていないために間違いがあってもう一度計算をし直したり、そういう手数はございました。それからいま先生がおっしゃったように、督促状のほうをあて名印刷機で印刷する、こういう段階にまいりましても、現段階では一応労働基準局の場合は地方の局にそれを移しまして、そこから事業所にまた送るという手続をしておりますので、その間の時間は少しおくれる、督促の日数その他でおくれるといったようなこともございます。しかし、これは過渡的な現象でございまして、本来ならばもうセンターから直接やるというたてまえなんでございますが、いま過渡期なものですから、そういうことで多少手間ひまを食っているという傾向がございます。しかし、これは将来においては解消いたしたい、かように考えております。
  154. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 ぼくもそれをよく見たことがないからわからないのですけれども、十日間ぐらい違うといっているのですが、そんなに違いますか。だから、督促状に書いてある金額なんかが、地方におりていって、いま言ったように出すわけでしょう。出すときに十日ぐらい間があるというのです。その金額が合っているか合っていないか、もう一ぺん確かめなければならないというのですね。それから住所も電子計算機でやっているのですが、住所が合っているか合っていないか確める。それから切手を張るのでしょう。どうやって張るか知らないけれども、そういうようなことで非常にごちゃごちゃ、かえって複雑になっちゃって困っているというのですが、ぼくは現場を見たわけじゃないからよくわからないので、申しわけないけれども
  155. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) いま基準局長からお答えありましたように、失業保険のほうはセンターで全部告知書、納入告知書、全部直送しております。したがって、地方段階経由の一週間なり五日なりという期間はないわけであります。いずれ統合されて、一本の方式に統一されるわけでございますから、その辺の御懸念はもう全部解消すると思います。
  156. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 基準局長と安定局長の答弁、仕事が違うからかわりませんけれども、多少の違いがあるように思いますが、ぼくも現場を見ておるわけじゃないからよくわかりませんから、もう一ぺん確めてみましょう。私の言うのは多少オーバーかもしれませんが、電子計算機が入ってかえって複雑になっちゃって、事務的に困っているというか、あれだと、だから、労働省が言うほどそれが効果があるのとは違うのだというようなことを言っておるのですが、まあそれはまだよく研究しましょう。  それから、事務組合をつくるという話がありましたね。これはあれですか、将来どういう仕事をやるのかどうもよくわからないけれども事務組合をつくって、これを民間にやらせるという考え方があるのですか、そこはどういうふうなんですか。
  157. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) この事務組合は、地域別、業種別の事業主が結成する組合で、決して強制加入を考えておるというわけではございませんけれども、事実上はやはり事務組合を結成させて、そこで組織的に適用、把握をはかっていく、この事務組合にできるだけの助成をいたしまして、そうしてこの事務組合を育成していこう、こういう考え方でございます。
  158. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 それじゃ、事務組合というのはどの程度の仕事をやるわけなんですか。本来あれですか、労働省がやる仕事をやるのか、そこのところちょっとはっきりわからないのだけれども
  159. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 事務組合の任務は、適用と保険料の徴収、これは両保険共通でございますが、失業保険の場合にはこれに加えて被保険者資格の得喪、こういった事務まで事務組合に処理させよう、こういう考え方でございます。
  160. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 それからいまの労働保険事務所というものを、将来、労働省から離して特殊法人にしようというような考え方がいまの段階ではあるのですか、あるいはそういうことは全然考えられないのですか。
  161. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) これは労働省の直轄出先機関という考え方で、法人にして切り離すという考え方は全然ございません。
  162. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そこで労働大臣、聞いていたのか聞いていないのか知らないのですけれどもね、そこで、いま言ったような話の中で、職員が非常にまあ関心を持っているというか、動揺しているというか、影響を考えておるのは、結局この一元化が行なわれることによって事務量が非常に膨大になる。膨大になるけれども、結局、職員の増員というものもするような話だけれども、実際は行なわれないようになってくる。そこで、まず行なわれるのが配置転換が強制的に行なわれるのではないかと、こういうようなことが盛んにいま言われておるわけですね。何か三千名くらい配置転換があるのじゃないかといわれておるのですけれども、これは統合になれば、たとえばある都市なら都市で同じところに労働保険事務所ができて、そこに基準局と県の安定課のほうから行くのも、配転というのかもわかりませんけれども、あるいはほかの土地へ移されるとか、いろいろあると、こう思うのですがね。結局それに伴っての強制的に配置転換をするというようなことですね。こういうようなことについては、これはあれですか、どういうふうに大臣のほうでは考えているわけですか。非常に混乱が起きているわけですね。あるいはその混乱が考え過ぎによる混乱かもわかりませんが、そこら辺のところはそうじゃないのだと、こういうようなことなので、どうするのだということを大臣のほうからはっきり言ってもらえば、あるいは安心をするかもしれませんが、そこのところはどうなっておりますか。
  163. 早川崇

    国務大臣(早川崇君) そつのないように善処いたしたいと思います。
  164. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 この配置転換が三千人くらいあるというのはどうなんですか、あるだろうという考え方ですね。そういうのはどこから出てくるのですか。
  165. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 三千人という数字はどこから出てくるかよくわかりませんが、現在、適用、徴収の事務に従事しておる職員の数は、先ほど申しましたように、両保険合わせますと二千名ちょっと、これは役所が新しく機構がえをする場合には、現在従事しておる職員は当然仕事と一緒に配置がえになる、これは当然のことだと思います。しかし、その際に、まあ組合側がおそらく先生のところに言っていっているだろうと思われることは、同じ国家公務員でございまするけれども、東京とか大阪とか、地域によってはわがほうの失業保険といいますか、職安系統の職員は号俸調整がついている。号俸調整をどうするのだ。号俸調整をそのままこれを切り下げるというわけにいきませんので、そして基準から来た職員と一緒に合流した場合に、一方はついていないじゃないかと、こういったやっかいな問題でございますね。こういったことにつきましては、われわれは前向きで積極的に解決していかなければならぬ。こういういろんな問題はございますけれども、いままでよりも待遇条件を切り下げるというような方向では絶対考えたくないというつもりで今後編成がえを考えていきたいと思いますので、いろいろ組合側からわれわれも心配している向きを聞くのですが、どうも杞憂にすぎないというような場面もございますので、なおこれは十分組合側とも話し合いをして進めてまいりたいと思います。
  166. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 これは労働大臣ね、あなたは保守党の中でもなかなか進歩的な人なんでしょう。人なんでしょうといって、まさか答えるわけにはいかないでしょうけれども、進歩的な人と聞いているわけですよ。だから、いま言ったような、こういう徴収の一元化に伴って強制配転が起きる、労働強化が起きる、こういう定員が再配置される、号俸調整がなくなって一部の方が非常に不利になるとか、こういういろんな問題が起きてくるわけですね。だから、こういう点についても、これはやはりそういうような職員と十分話し合いをして、話し合いの中からいまよりも不利な状態が起きないようにしてもらいたいと、こう思うわけですね。この点についての労働大臣考え方をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  167. 早川崇

    国務大臣(早川崇君) お説のとおり、摩擦が起ったり、あるいは不利になったりするようなことはやらないように措置いたしたいと思っております。
  168. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 もう一つお聞きしたいのは、今度の中でもじん肺法の関係のことが設置法の中にあるようなんですが、じん肺の患者が現在どの程度おるわけですか。そうしてこれらの人のいろいろな問題があるわけですね。どこにどういうような問題があるというふうに労働省では考えておるのかということですね。ちょっと抽象的かもわかりませんが、私はそれらの人々から、こういうふうにしてほしい、こういうふうにしてほしいというようないろいろな要望がいろんな段階で出ているわけですね。それに対して労働省としてはどういうふうに考えておるかということを、時間の関係もあるものですから、まとめてひとつお答え願いたいと思います。
  169. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 現在、じん肺患者で労災の給付を受けておるといった方々は約四千七百名ほどおるわけでございますが、その適用を受けない方もございまして、現在三種類ございます。労災保険の適用を受けていない方、それから受けているが法改正のときにすでに打ち切り補償をもらっておりますので減額支給されている方、それからまるまる改正法の給付を受けておる方、三つの段階がございます。第一の労災保険法の適用を受けていない方、これはごく少数でございますけれども、しかもこの問題は昭和三十年にけい肺等特別保護法を制定する際に、一応、立法の際に理論的には割り切ったことなんですけれども、現実の問題として、なお直らずに何らかの措置を必要とするという方がごく少数でございますが、おります。そういう方々に対しましては労災保険施設でできるだけ療養援護という形でめんどうを見たい、こういうことにいたしておりますが、それらの方々が自分たちも法の安全適用を受けるようにしてもらいたいとか、あるいは援護措置としての金額を引き上げてもらいたいと、いろいろな要望がございます。また、現在の法の適用下にありましても、将来の生活不安がございますから、リハビリテーション施設をさらに充実してもらいたいとか、あるいは給付内容を改善してもらいたいとか、いろいろな意見がございますけれども、そういった方々の御意見は私ども拝聴いたしまして、審議会等の場においてもいろいろ意見が出、検討いたしておるような次第でございます。
  170. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 その問題の中で、この最低保障費ですね、最低生活費というのか、基礎日額の算定の問題があるわけですね。これはどこにどういう問題があるんですか。
  171. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 大きく分けて二つの場合があると思います。一つは、じん肺患者が療養を要すると認められる段階においては前の職場から配置転換をしている、こういうことで、前の職場と配置転換後の職場における賃金が違いますので、平均賃金を算定いたします際に、たくさんもらっておった職場の賃金ではなくて、あとでかわった職場の賃金が基礎になるということで、低いじゃないかということが一つ。それからいま一つは、じん肺患者は長期療養をいたしておりますので、たとえば年金額にいたしましても、そのスライドアップがその後の賃金上昇に見合いまして、もっときめこまかに上がるようにしてもらいたい、二〇%でなくて一〇%にしてもらいたいといったような種類の問題がございます。しかし、後者の問題は、これは法改正のときに割り切った問題でございます。前者の問題につきましては、法改正のときにそういう事情も考慮いたしまして、平均賃金という思想じゃなくて給付基礎日額という考え方をとりまして、その最低額は労働大臣が告示で定めるということにいたしたわけでございます。
  172. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 その基礎日額の算定はどうやってやっておるんですか。
  173. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) この基礎日額の算定につきましては、類似の諸制度、たとえば失業保険におきます給付額の最低額の額とか、あるいは社会保険におきますところの標準報酬日額とか、あるいはこれに類似のいろんなデータがございますが、そういうものを突き合わせまして、相当額と認められる額を労働大臣が定めて告示をする、こういうことにいたしております。
  174. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 抽象的にはそうなんですが、もう少し具体的に実際の数字をあげてちょっと説明してくれませんか。そこに問題が相当あるんじゃないんですか。これを、この数字を実際三百八十円の要求があったんですか。その六〇%のものを基礎日額としたの。これはどういうふうになっているんですか。それをもっと上積みをするということを労働省当局は約束をしていたんじゃないですか。
  175. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 基礎日額そのものは六〇%ということじゃなくて、三百八十円そのものなわけです。給付額がその六〇%になります。で、先ほど申しましたようないろいろなデータを基礎にいたしまして金額をきめておるわけでございます。しかし、その後、関係いたしております諸手当、あるいは諸給付の金額が上昇いたしておりまして、まあそういった関係もございますので、これは検討を要するものというふうに私どもは考えておる次第でございます。
  176. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 だから、その三百八十円というのがどこから出てきたかということが一つと、それからその六〇%というのはどこから出てきたか。まあ六〇%は法律できまっておるのか、そこら辺のところはどうなんですか。というのは、これをもっと上積みをするということは、労働省は前々から約束をしていたと、こう思うんですよ。石黒さんか何かが。何か病院の人が会ったときに約束したとか言うんですね。だから、その三百八十円をもっと上げてくれという要求を出しているわけなんです。三百八十円というのは、どこからどういうふうに出てきたのか、これは去年の五月のあれですか、どうなっておるんですか、これ。
  177. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) これは具体的に申し上げないと御納得がいただけないようでありますので、たとえば金額を告示しました当時の最低賃金の、これは三十九年十月の最賃の例について申しますと、その最低賃金額の目安が、最低が三百六十円、あるいは失業保険の、これは三十八年でございますが、失業保険金額の最低が百八十円、それに加算額が扶養親族一人について二十円といったような加算があった。それから失対労務者の昭和四十年度ですか、失業者に支払われるべき賃金の最低額が三百六十一円だったというような諸指標を取りまして、そうして算定いたしましたのが三百八十円であったわけであります。六〇%と申しますのは、これは休業補償の額を算定するときの率でございまして、これは別でございます。しかるところ、先ほど申し上げましたように、たとえば最低賃金の最低額にいたしましても、その後改定されております。そういった事情もありますので、これは検討を要するというふうに考えておるわけでありますが、その際の参考指標としては、ただいま申しましたような、当時用いました関連指標の変動というものを考えるということになろうかと存じます。
  178. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 その三百八十円というのは、いつ三百八十円になったんでしたっけ。
  179. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) ただいまの金額は四十一年度に改定したものでございます。
  180. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 四十一年五月だったというように聞いておりますが、私の疑問に思うのは、三百八十円という数字が出てきた根拠が、これは何も科学的にそうあるわけじゃないし、予算との関係なんかで出てきたんだと思いますが、どうもこれがはっきりしないわけですね。だから、これで計算すると、一人六割でしょう、そうすると、月に大体七千五百円ぐらいですか、大体が。それと生活扶助基準との関係の金額的な比較からいっても、比較するのが筋が違うという議論があれば、その理由がはっきりすればぼくも納得しますが、そこのところがどうもよくわからないですね。
  181. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 御承知のように、休業補償給付の額を算定いたしますときには、平均賃金制度をとっておるのが原則でございます。ところが、それよりもっと低い、もっと低いと申しますか、著しく低いという平均賃金の方々をどうするか、こういうことで何らか下ざさえをしなきゃいかぬというので、給付基礎日額の最低額を労働大臣が定め得るようにしたわけでありますけれども、そこでどのような類似の制度と比較して考えるか、これはいろいろ御議論があるところであろうと思います。そこで、私どもといたしましては最低賃金額の目安を決定いたしております。これは一番、賃金の関連においては親近性があるというので、最低賃金額の目安というものを考え、それから失業保険の金額を考えるといったような形で、似たような類似のものについての検討を行なったわけであります。これが生活保護の問題になりますと、最低賃金とか、あるいは失業保険とか、いろいろな制度との関連においてもそもそも問題のあるところでございます、最低賃金額の目安の額にいたしましても。しかし、これは賃金というカテゴリーの中における一つの問題でございますから、私どもはやはり生活保護の問題賃金の問題の分野においてこの額を考えるのがよかろう、こういう考え方に立っておるわけであります。
  182. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 ちょっと最後のところがはっきりしなかったのですが、生活扶助基準との関係はどうなっておるのですか、全然別個だというのですか、ちょっとはっきりしなかったのですが。
  183. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 生活保護法的な考え方と、それから賃金そのものを基準にする立場とあるわけでございますが、たとえば最低賃金額の目安の最低額にしましても三百六十円でございます。これが生活保護法と比較して安いか高いかという議論があるわけでございます。そこで、賃金とそういった生活保護の扶助料の額と直接の比較になりますと、それぞれの立場が違いますのでいろいろ議論があるところでございます。そこで、私どもが給付基礎日額をどのようにきめるかというきめ方の考え方でございますが、やはりそれは最低賃金額とか、失業保険の給付額といったようなものにより重点を置きたいということを申し上げたわけでありまして、生活保護費とは直接的な比較をして、どちらが多いか少ないかといったような考え方はむしろ第二義的にならざるを得ない、こういうことを申し上げたわけでございます。
  184. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 まだいろいろこれに関連して聞きたいこともあるのです。ちょっとぼくはどうもよくわからないというか、納得ができない点が多いのですがね、いまの金額の点について。それから積損との関係だとか、それから最賃の金額といっても、そのきめ方にも一応いろいろあるのだろうと思うのですが、どうもこの三百八十円、それから六〇%というのはこれはなんですか、失業補償だから法律改正しないと、この六〇%を八〇%にするというようなことはできないのですか。
  185. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) これは法律改正じゃなしに規則で定めますから、でありますから賃金の水準の上昇といったような傾向に対処いたしましてこれは検討を要する、必要な検討は加えまして、改定を要すれば規則で改定するというようなことになるわけであります。
  186. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 それは生活保護のほうは毎年大体一四、五%どんどん上がっていくわけですね、それと考え方が違うとしても基礎日額のほうはさっぱり動かないというわけですね。しかも、それは六割かけるのだということになってくると、どうも考え方の基本が違うからと言えば違うかもわかりませんけれども、一応、最低補償費というような意味も含んでいるのではないかと、こう思うのですがね。そうなってくると、もっとこれは上げなくちゃいけないのじゃないかというふうにも考えるのですがね。だから、いずれにいたしましても理論的な違いとか何とかいうことは抜きにして、この金額をどういうふうにして上げていくか、それから六割というものを八割とか何とかにしようと思えばできるわけでしょう、そこら辺のところをどういうふうに考えているのか、そこはどうなんですかね。
  187. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 六〇%の率は、これは法律で休業補償、これは法律事項でございます。基礎日額そのものは先ほど申しましたように規則で改定できるわけです。ただ、いずれにいたしましても賃金が基礎になりますので、私どもはいろいろデータによりまして賃金の推移というものを見ておるわけであります。別に硬直的に考えておるわけではありませんが、賃金そのものの上昇が、特に先ほど申しました三百八十円前後のクラスの者がどのように移行しておるか、三十八年当時、現在の金額を算定いたしましたときの基礎年時の状況、その後の推移といったようなものを考えますと、若干の上昇があることは、こそは疑いもないところであります。ただ、それがどの程度の変動を見せた場合に改定するかという、そういう問題であろうかと思います。そこで、繰り返しになりますけれども、率と違いまして金額のほうは必ずしも硬直性のあるものではない。賃金の一般的な上昇等とにらみ合わせまして、適切な改定は行ない得るものであるということだけをお答え申し上げておきます。
  188. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 これは去年三百八十円にしたのかと思っておったのが、したのは去年ですか。だけれども、その数字の計算の根拠は三十八年の統計からとっているわけですね、お聞きすると。そういうことですか。
  189. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 先ほど申しましたように、金額をきめます場合に、たとえば最低賃金額ですと、昭和三十九年十月にきめた目安、失業保険ですと三十八年八月一日告示、それから失対賃金の場合ですと四十年度の賃金といったように、それぞれのものをとっておりまして、いま、たまたま私の申し上げましたのは賃金日額による労働者構成率という資料がございますが、そういったものを、一体三百八十円前後のものが全体の中で何%ばらつきがあるかといった、そのばらつき状態を見ますときには、賃金日額による労働者構成率といったようなものを参考に見るわけでございますが、三十八年当時の数字が、昨年決定の給付基礎日額の三百八十円と比軟してみる場合の一応の参考資料になったということを申し上げたわけでございます。その程度意味のものでございます。
  190. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 まだいろいろ聞きたいのが一ぱいあるんですけれども、時間もあれで、皆さんおくたびれでしょうから、きょうはこの程度にしておいて、次回に質問させていただきます。
  191. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  192. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記再開。
  193. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 けい肺の患者の問題の中で、給食費の問題ですね、これはどういうふうになっているのですか。これまた問題があるようですね。いまの三百八十円のあれは、ぼくはどうもよくわからないんですよ、納得しないから。それはもう少し明確に、上げますということを大臣なら大臣から答えないうちは、悪いけれども、ちょっと無理ですね。この法案あげるということはだめだ。これは内容を調べていくとよくないですね。労働省というのはもう少しいいと思ったらあまりよくないが、給食費はどうなっているの。
  194. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 現在、労災病院の給食費を申し上げますと、一日一人の患者につきまして二十八点、一点につき十円五十銭ですから、一日二百九十四円という金額になっております。
  195. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 二百九十四円——ちょっと違うな、聞いたのと。そこで、実際に食事にかかるのは幾らなんですか。
  196. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 実際に食事にと申しますと、ちょっと意味がわからないのですけれども、労災病院で給食のために必要な財源として出しておるのはこれでございます。おそらくこれをまるまる使っておると思います。
  197. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 それは全部三食の食事の中に入ってこないのですよね。それからいろいろなものが引かれておるのですよ。米なり、おかずなりに入ってくるのはもっと金額がずっと少ないのですよ。これはそうですよ。その点どうなっておるのですか。
  198. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 支払いとしては、いま申しましたような点数単価によって支給しておるわけであります。それを多くの労災病院ですと、少なくとも二、三百人、多ければ五百人以上の患者が収容されておりますから、全体としてどのようなやりくりをいたしておりますか、その具体的な内容はつまびらかにいたしておりません。しかし、この給食費はほとんど消化されておるのじゃないかというふうに考えております。
  199. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 じゃ、いまの点は実地にあたって——つまびらかにしていないと言うから、つまびらかにしてから答弁を願うことにしたいと思うのですが、これはだいぶ違うのですよ。ずいぶんいろいろな形、事務費や何かに使っちゃうのじゃないですか。もちろん計算が、たとえば光熱費の計算とか、まかないの人の人件費とか、いろいろあるから、実際の食物に使われるのは非常に少ないのですよ。金額はこれ一つ問題があるのです。実態を調べてごらんなさい。それが一つと、これは昭和三十八年から上がっていないでしょう。そこはどういうふうになっておりますか、あまりこまかくなっちゃって恐縮だと思うのだけれども
  200. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 先生の御質問は労災病院のことでございますか。
  201. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 ええ、労災病院です。
  202. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 労災病院につきましては、先生御指摘のような形で処理をいたしております。ただ、私ども個々の労災病院でどのようなやりくりをいたしておりますか、これは具体的な内容はつまびらかにいたしておりませんけれども、労災病院全体につきまして、給食費として、先ほど申しましたように一人一日二百九十四円を支払う、こういうたてまえにいたしております。
  203. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 これは労働福祉事業団がやっているのでしょう、労災病院ね。いま言った二百九十四円というのはぼくは聞いてなかったのですがね。ちょっと数字も違いますが、その中からいろいろなものを引かれて、現、実に食物となっているものの金額は非常に少ないのですよ。これは実態調査をやったことがないのか、あるいは現実にいろいろと調べたことがないのですかね。それと、それが三十八年から上がってないのですね。そうでしょう。
  204. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 先ほど申し上げましたのは——先ほどと申しますより、経緯を申し上げますと、労災病院につきましては、最近の改定を見ましても、昭和三十三年十月、三十六年七月、四十年一月というふうに改定をいたしてきておりまして、必要な点数単価の改定をいたしているわけでございます。おそらくこの改定をいたします場合には、給食費として必要な経費の調査はいたしているはずでございますけれども、いま手元に資料がございませんので、つまびらかにいたしてないということを申し上げたわけであります。
  205. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 これ非常に問題がありましてね、患者の人権の問題にも関係するのですね。ですから、これはぼくは決して引き延ばすとか何とかいう意味で言ってるのじゃなくて、何かずいぶんいろいろな、何といいますかな、引かれるというとことばは悪いのですけれども、何と何と何にお金がかかってくるのか問題だと思いますけれでも、実際にその食費にかかるのは非常に少ないというのですよ。この全体の半分ぐらいじゃないですか、これは実態調べてほしいと思うのです。あるいはぼくも勘違いしているかもしれませんよ。それからぼくは三十八年から上がってないと思うのだけれども、四十年と言うけれども、四十年というのは点数は上がったかもしれないけれども、実際のあれは上がってないのじゃないですか、何かいろいろなものを差し引きされるのですよ。
  206. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 御指摘の点さっそく調査いたしまして、問題がありますれば是正いたします。
  207. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 稻葉さん、大臣に締めくくってもらったらどうですか、大方針を。
  208. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  209. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記をつけて。
  210. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 じん肺法の患者のいま言ったような給食費の問題なり、それから基礎日額の問題ですね。これらの内容について、これはぼくのほうでも多少誤解があるかもしれませんし、何といいますか、十分な調査がまだ足りない点がありますから、その点はもっと調べてみなければわかりませんけれども、それはそういうことをうのみにするわけじゃないけれども、いずれにいたしましても、基礎日額の三百八十円、これはどうしても少ないようにぼくは思うのですね。それは生活保護の関連で考え過ぎているかもしれませんけれども、少ないように思う。六割だというけれども、休業補償が六割だとしても、それは七割、八割に上げられないことはないのだと、こういうように思うのですが、それからいま言った給食の問題にしても、どうもいま言ったような金額と、実際に食物にかかるのがどうも違うように聞くのですね、何と何とがどういうふうに減ってきているのかよくわからないのですがね。これはいろいろありますけれども、いずれにしてもそういうふうなところに入っている患者のその人権というか、そういうようなものはもう十分守るような形にしていってもらいたいというふうに思うわけです。それが一つと、それからいま三池の三川炭鉱のあの爆発事故の人たちの問題で法案が出てくるわけでしょう。そればかりではないと思いますけれども、そうすると、それは何か参議院の社労で一年以内に立法するという決議がありましたね。それが今度立法したというわけですが、それに伴って現在いる人については、いままでどおりの措置を続けていくというのが第二の決議として出ているわけですね。これはどういうふうにやっているのですか。何か三川炭鉱の人は、まだ入院していて非常に困っておるというのに対して、去年の十月、もう何というか、いろいろな療養費の支給や何かを打ち切ったという通知があったということがちょっと出ておりますね。それと社会労働委員会の決議との関係はどういうふうになるのか、これはいずれ社会労働委員会でほかの方から詳細な質問が私はあると思うのですが、決議は、去年の六月二十七日の決議で「立法措置が成立する迄被災者に対する療養その他の援護措置は現在の状態と変らざるよう措置すること。右決議する。」ということが決議になっておりますね。これを何かこう労働省のほうでは守られていないんですか、何か打ち切りを通告したということもちょっと出ておりましたが、そこはどういうふうになっておりますか。
  211. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 御質問の前段につきましては十分調査をいたしまして、私ども改善の必要なものにつきましては、さらに検討を進めていきたいと存じます。後段の一酸化炭素中毒症患者の問題につきましては、参議院社労の決議がございまして、一年以内に立法措置を講ずるということで法案を提出いたした次第でございます。ただ三井三池の患者の問題につきまして専門の医師がいろいろ診断をいたしまして、いわゆる治癒した、ないしは症状固定いたしまして職場復帰が可能だという判断を下しました者については、労働省といたしましては不支給の決定をしたという事実がございます。しかしこれは、いわゆる三井三池医療委員会の医学的な判断に基づきまして処理したものでございまして、昨年の社労の決議は、療養その他の援護措置は継続すると、こういう趣旨でございますが、療養の必要なものについては従来どおり療養を継続するということであると私どもは理解いたしまして、医学的に療養の必要なしという者についてまでも給付をするという趣旨とは、実は解しませんで、医師の判断に従いまして処置をしたような次第でございますが、現段階におきましては、その決定に不服ありといたしまして保険法上の審査の請求の手続をとっておるという段階でございます。いろいろな関係方面と連絡をいたしまして、その審査手続が円滑かつ公正に行ない得ますように目下いろいろ措置をいたしておるような次第でございます。
  212. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 まあまだいろいろ質問もあり、実際ぼくが聞きたいのは労災補償の問題の中で認定の問題ですね、ことに通勤途上の災害の問題ですね、これは村上さん専門家だからあれですが、これは西ドイツやフランスにおいては立法化されているわけでしょう、通勤途上の災害。これはなかなか範囲の限定なんかむずかしいと思いますけれども、これについて何か労働省でも立法するというような考え方があるということも、ちょっと書物で見たこともあるのですが、こういうことなどについても、いろいろ私は聞きたいわけなんですね。それから業務の起因性と業務遂行性との関係の問題、それから立証の問題、いろいろあるわけですね。こういうことについても聞きたいのですが、ということは、通勤災害を業務上にすべきだというふうな意見もあるわけですね。だから、あなたの書いたものもあるわけですけれども、その中にいろいろ書いてあるのだけれども、通勤途上の問題なども、将来どういうふうにしようと考えておるわけですか、西ドイツやフランスとの、立法の中での関連もありますね。
  213. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) イギリス、西ドイツの例を見ましても、いずれも立法で解決をいたしておる、つまり法律の中に明記いたしまして処理しておるわけでございます。で、わが国でも現在問題になっておるわけでありますが、これを結論づける前に検討すべき問題がある。たとえば労災保険で扱いますには、いわゆる事業主の支配管理のもとにおいて発生した災害、こういうことになっておりますが、一般的な通勤をこのように理解していいのかどうかという問題がございます。そういうことで、イギリスや西ドイツでも立法でこれを処理したというのが——理論をある程度こえまして、立法で処理したというのがその経過であるようでございます。割り切りますためには、いま申しました事業主の支配下にあるかどうか、それから、しかも通常第三者が加害行為を加えておる、使用者じゃなくて、第三者であるというような問題、それと関連いたしまして、そういった災害が発生しました場合に、現在関連した制度がないかというと、たとえば自賠法がございます。それから健康保険、あるいは厚生年金保険というような制度もございます。それらの関連制度を考えずに、労災保険だけで当然見るべきだというような結論を出すには、いま申し上げたような諸点がございますので、なお検討しなければならないと思います。将来の方向としては、何らかこれは解決せざるを得ない問題でございますけれども、結論を出すにはなお調整を要する幾つかの問題があるというのが現状でございます。
  214. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 それは現実には立法をしないでも、立法をしたと同じような解釈というか、認定でやっているわけですが、特段に新しい立法というものを必要としないという考え方ですか。自賠法なんかもありますしね。
  215. 村上茂利

    政府委員(村上茂利君) 結論は立法を要すると思います。いま解釈でやっておりますのは、その交通機関が、使用者の提供したもの、たとえば、会社のバスとか、会社の船、そういった場合には施設欠陥ありということで、業務上にいたしておりますが、一般の国鉄とか、私鉄とか、そういうバスの問題につきまして、同じように扱うかどうか、解釈でいくには幅が広過ぎまして、やはり立法で解決せざるを得ないというふうに存じております。
  216. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 私の質問は一応、本日はこれで終わりにしておきます。
  217. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) それでは本日はこの程度にして散会いたします。    午後六時二十九分散会      —————・—————