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政府委員(村上茂利君) ただいま
大臣から仰せのように、現在の労働基準局の
体制自体の問題とも関連をするわけでございますが、労働基準法の施行という一般監督
行政、これが基本をなしておりますが、そのほかに労災保険という、いわば保険
業務的なものがございます。それから賃金部がございまして、賃金政策といったような、必ずしも法規的な問題だけじゃない、経済的な問題を扱う。それから災害防止
対策といったような安全衛生という、工学的あるいは医学的問題を扱うといったような分野に分かれておるわけでございます。その中で安全衛生に関する、いわゆる人命尊重に関する
部門につきましてもっと力を入れるというのが
政府全体の考えであり、労働省の考えでもあったわけであります。そうして、その実態を見ますると、全体としては災害率は減っておりますけれ
ども、何ぶんにも
行政需要という点から申しますと、労働
行政全体がそうでございますが、安全衛生の
関係につきましても、事業場はふえる、それから、労働者数はふえる、それから、たとえばクレーンだとか、ボイラーだとか、検査を要する施設もどんどんふえるという
行政需要が、
日本経済の発展とパラレルの
関係においてどんどん拡大していくというのが最近の趨勢でございます。かてて加えて、新
生産技術、新原材料の採用などによりまして、新しい、あるいは大型の災害か発生するという傾向を見せております。そこで、そういった
行政需要の増大の傾向と、新しい災害の発生ということがすでに予測されておりますので、ある
程度の先見性の上に立ちまして、この際機構を拡充いたしまして、いわば独立した
体制で臨みたい。しかも、労働省で扱います安全衛生は、特殊なものを除きまして、ほとんど全産業を対象にしておるのでございまして、他の
政府部内の機構と比較いたしましても部では十分ではない。局という
行政機構でこれに対応するということは、他とのバランスから見ましても適切ではなかろうかといったような種々の観点から私
どもは安全衛生局の新設を切望いたしまして、今回のような内容になったわけでございます。しかし、
定員増加ということは非常にむずかしゅうございますので、実は
設置法上の定数は変わっておりませんが、たとえば欠員不補充の埋め方をどうするとかいったような点につきましては、
予算折衝の段階で、たとえば安全専門官については中央、地方を通じまして十八名欠員不補充を補充するとか、特別に入れるとかいったような問題もあるわけでございまして、先生御
指摘の点は、私
どもも実は十分痛感しておりまして、非常に何と申しますか、
体制の内容を充実せずして看板だけじゃないかというおしかりを、私
どももごもっともだと思うのでございますが、しいて申しますならば、小さく生んで大きく育てると、その基礎には、増大する
行政需要があり、何とかしてこれをしのがなきゃいけないということが私の悲願でございますので、徐々に
体制も強化されるであろうというふうに期待いたしておるような次第でございます。