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1967-06-08 第55回国会 参議院 内閣委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月八日(木曜日)    午前十時四十分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         豊田 雅孝君     理 事                 石原幹市郎君                 八田 一朗君                 稲葉 誠一君                 北村  暢君     委 員                 源田  実君                 船田  譲君                 三木與吉郎君                 森 八三一君                 山本茂一郎君                 伊藤 顕道君                 中村 英男君                 前川  旦君                 山崎  昇君                 多田 省吾君                 中沢伊登子君    国務大臣        厚 生 大 臣  坊  秀男君        国 務 大 臣  二階堂 進君    政府委員        科学技術庁長官        官房長      小林 貞雄君        科学技術庁計画        局長       梅澤 邦臣君        科学技術庁研究        調整局長     高橋 正春君        科学技術庁振興        局長       谷敷  寛君        科学技術庁原子        力局長      村田  浩君        科学技術庁資源        局長       佐々木 即君        厚生政務次官   田川 誠一君        厚生大臣官房長  梅本 純正君        厚生大臣官房会        計課長      高木  玄君        厚生省環境衛生        局長       舘林 宣夫君        厚生省医務局長  若松 栄一君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  清君    説明員        科学技術庁原子        力局次長     武安 義光君        科学技術庁原子        力局次長     式田  敬君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○科学技術庁設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付) ○厚生省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     —————————————
  2. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  科学技術庁設置法の一部を改正する法律案を議題といたし、前回に引き続き本案の質疑を続行いたします。  関係当局からの御出席は、二階堂科学技術庁長官外政府委員の方々でございます。御質疑のある方は、順次御発言願います。
  3. 北村暢

    北村暢君 前回に引き続いて御質問申し上げますが、あす本会議動力炉開発事業団法案の本会議質問があるようでございますから、これに関してはごく簡単に質問いたしたいと思います。  まず、この公社公団事業団の問題について、きょうの議運委員会においても取り上げてやるようでございますが、この前の質問で若干意図がわかったのでありますけれども、どうもわからないのは、臨調答申に対する燃料公社の問題についての改善意見というものが出ているわけですけれども、今度動力炉開発事業団発展的に改組する、こういうことなんですが、それにあたってどのように燃料公社指摘ぜられたことが改善されて、動力炉開発事業団に取り入れられるか、ここが前回質問ではどうもどこを改善して、発展的に事業団にするのか、その点はどうもはっきりしないです。したがって、私しつこく聞いたのは、国内のウラン資源開発探鉱採鉱、製錬、こういうものについても廃止する意思はございませんと、こういうはっきりした返事があるわけですね、しかし、それが将来のいわゆる原子力発電天然ウランの使用に用をなすのかどうかというと、ちょっと使いものにならない。しかし、国際的にどういうことが起こらないとも限らないから、性能が悪いものでも開発をしていくんです、こういうことの答弁であったようです。したがって、私はそろいう開発ばかりではないわけなんですけれども、今度は非常に大きな仕事は、動力炉開発、これはもう非常に長期にわたってやるわけですね。そういう大きな任務があるのですから、それの中に埋没をして、いままでの原子燃料公社欠点というものが、そのまま隠れた形で改組されて入っていくのじゃないか、こういうよらな感じがいたしますので、どういう反省をされて改善がなされるのか、この点をひとつ明らかにしていただきたいと思うんですね。臨調答申においてそういう点非常に指摘されているわけですが、指摘された事項は、この前局長も、どういうことがなされたかということはもう答弁されておるわけでありますから、理解されておるわけでありますから、その上に立ってどういうふうになっておるか、この点を少しお伺いしたい。
  4. 村田浩

    政府委員村田浩君) 前回も御答弁申し上げましたように、臨調答申で、原子燃料公社指摘されましたところは、本来核燃料というものが当時の状況で、国家管理的色彩の強いものであろうということと、もう一つはそのようなものを開発していく事業ということに焦点を置きまして、事業体としての性格を強く打ち出し、そういう趣旨から事業団とか公団とかという形でなく、公社というものにしたわけですが、しかるに、その後の情勢が変わって核燃料につきましては、近く日米原子力協定更改が行なわれますと、輸入化ということがすべての核燃料について確立することになりますし、また、従来は事業をやるべき公社において事業化のために必要な研究開発を行なっておる、こういうことでやってまいったのでありますが、まあ臨調のほうの御見解では、それにしてはあまりに研究開発的な要素が多過ぎるという点を御指摘になったわけであります。そこで同じく研究開発機関である原研等がやったほうがより効果的ではなかろうか、こういう御意見であったわけですが、今回、動力炉核燃料開発事業団に改組するにあたって、公社という形態を、民間出資も入りました事業団という形に改めまして、とれで燃料の国家管理的な色彩民有化に伴いまして解消するということが一つ前提であり、それから事業化を目ざしての研究開発というものは、再処理計画には現在当然あるわけでありますが、その他の核燃料開発並びに動力炉開発ということにつきましては、事業化前提とした研究開発というよりも、むしろ開発そのものをやろう、こういうことでありまして、そういう意味で、公社の従来考えられました性格というものはかなり大幅に事業団ということによって変わってきておるわけです。事業団も大きなカテゴリーからいえば研究開発機関であり、再処理についてはまあ一部事業が行なわれるということでありますが、その研究開発機関であるという点をとらえて、これを研究開発機関である原研と一緒にするかどうかという点につきましては種々検討いたしました結果、いわゆる長期的な研究を主体とする原研と、ある目標を設定してその目標にいついつまでに到達すべきものとして計画的に階段的に実施をしていくプロジェクトとは、推進のやり方等についてかなりの違いがございますので、そこでそういうことを責任を持って行なう中枢機関として別に開発機関を置いたほうがいいということから、この事業団という形をとったわけでありまして、燃料公社のこれまで行ないました仕事に、臨調のほうでいろいろ御指摘ありました点は、これから行なわれるところの核燃料を含めての開発あるいは事業というものの性格に即した形で事業団の中に取り入れてやる、こういうふうに私ども考えておるわけでございまして、行管のほうともこの事業団設立につきましては種々御相談してまいりました結果、臨調のほうからあった御答申の線から検討してもこういう事業団ということでいいのではないかという結論に達しまして、この事業団法案を用意したわけであります。
  5. 北村暢

    北村暢君 それから、大体この事業団をつくるいきさつについては説明でわかりましたが、これは行管にも実は質問しなければならないのですが、きょうはそれまではやりませんが、さらに基礎的研究に類する問題についてはやはり原研に移したらいいだろうということで、しかもその原研国立試験研究機関にしたほうがいいではないか、いまの原子力研究はいわゆる政府関係機関になっているわけですね。これを国立試験研究機関にしたらいいのではないかという意見一つあるわけですね、これに対してはどういうふうにお考えですか。
  6. 村田浩

    政府委員村田浩君) 原子力研究所が基礎的な研究並びに応用的な研究をやっておりますが、このような研究国立機関にしてはどうかというのは、たしか臨調の御答申の中にあるわけであります。しかし、他方におきましては、原子力研究所をつくりましたときの趣旨からも明らかなように、この日本原子力研究所はわが国における原子力の基礎的、応用的研究センターでありまして、そうして単に大学研究だけでなく、他の国立試験研究機関さらに民間産業の将来の発展のために必要な原子力関係の基礎的な研究ということも含めてとの研究所において総合的に行なわれることが期待されておるわけでありまして、そういうことで特殊法人の形をとりまして、かつまた、何といいましても非常に新しい分野でありますから、いわばその内容としての科学技術は日進月歩でございまして、十年間を見通すと申しましても、その間にいろいろな発展がございまして、研究費運用につきましてもできる限り弾力性を持たせる、こういうことが研究内容を高める上にも必要と考えられてきておるわけでございまして、それらの趣旨を含め、特殊法人形態がよろしい、こういう判断であったわけですが、今日の時点におきましてもその点は私どもまだ事情は変わらない、こう考えておるわけであります。ただ、原子力研究所設立の当初から、大学関係研究を含めた総合的なセンターということでございますので、そういった点について現在大学関係研究との一体性といいますか、そういった点において十分かどうかという点の反省を加えております。その点につきましては、最近大学側のほうからもいろいろ御相談もありまして、原研の中に大学研究施設を設け、そうして原研にあります原子炉等大型研究施設を共用して大学における原子力研究をも大いに支援していく、こういう体制をとるべく改善をはかりつつあります。そういった線を改善してまいりましたならば、ただいまの組織において臨調の御指摘にありました趣旨というものは十分生かされていくのではないかというふうに考えて、その線で文部省側とも御相談しておるわけであります。
  7. 北村暢

    北村暢君 原研資本金それから従来の研究費の調達、運用ですね、これは国の出資、国の資金——財政投融資ですね、そういう関係はどうなっているか。それから民間資金というものも入ってきているのかどうなのか、その関係はどうなっていますか。それは原研だけでなしに、原子力燃料公社、それから日本原子力船開発事業団、これについても同様にちょっと聞かしていただきたい。
  8. 村田浩

    政府委員村田浩君) 原子力研究所につきましては、設立昭和三十一年でございますが、昭和四十一年度末までの政府出資金合計は五百二十三億八千万円でございます。そのほかに政府現物出資といたしまして国有施設を使っておりますが、その現物出資が二億六千万円ございます。それからこの約十年間における民間出資合計は十七億五千五百万円となっております。したがいまして、これらを総計いたしますと、五百四十三億九千八百万円余りというのが今日までの出資状況であります。それから原子力燃料公社につきましては、公社でございますので全額政府出資によっておりまして、同じく三十一年に設立以来四十一年度末までの政府出資金合計は百三十九億八千三百万円となっております。それから原子力船事業団につきましては、昭和三十八年に設立されましたわけでありますが、ただいまちょっと手元出資金合計が出ておりませんので、後ほどこれを計算して申し上げたいと思います。
  9. 北村暢

    北村暢君 大体原研民間出資が十七億五千万というんですから、たいしたことないですね、五百四十三億のうち。こういう圧倒的な国費でやっている研究国立でぐあいが悪いというのは、先ほど来研究費弾力的運営がというようなことで言われておったようですがね、そういう面に大きな支障があるんですか。どうも原研国立研究所として、大学その他と共同研究のできるような施設原研にやるという場合に、国立でそういうものをやるほうが——実体的にも私はもっと強化してやるということであるならば、国の政策としてやる場合に国立がいいんじゃないかというふうに思われるんですが、その運用上の問題において何か国立支障がある点があるのか。一応そういう指摘があるわけですから、国立よりもやはり従来の特殊法人のほうがいいんだと、こういう積極的な理由というものはどこにあるのか。
  10. 村田浩

    政府委員村田浩君) 御指摘のとおり、論理的に申しますと、国立では絶対できない、あるいは特殊法人でないと絶対この種の研究はできないということは必ずしもないかと思います。そこで問題は、実体上のお話でございましたが、運営面を含めての実体上の問題として、原子力研究所の課せられた使命をどういう形でやるのが最も能率的であり効果的であるかということからの判断であろうかと思います。この点につきまして、予算の運用上の弾力性ということも一つございますが、人事面におきましても、たとえば現在原研には二千名をこえる職員がおりますけれども、従来、そういうことはできないというわけではございませんけれども国立試験研究機関では千名をこえることもないわけです。やはりなかなか人を採るという点におきましても、いわゆる定員をふやさないとかいうような政府一般方針の中に国立はそのまま適用されまして、いわば機械的に適用される面もございますが、なかなか研究所員は思うようにふやせない。それに対して特殊法人のほうは、それに対しての弾力性も相当大幅に認められておりまして、現に原研あたりでありますと、毎年、百二、三十名の新規増員も認められてきております。こういうような点からいたしまして、私どもとしては、特殊法人形態で進むのが、との原研の目的を果たす上で効果的であろうというふうに考えているわけであります。
  11. 北村暢

    北村暢君 大体そうすると、方針としては、いままでどおりでいきたい、こういうことですね。それでいいんですか。
  12. 二階堂進

    国務大臣二階堂進君) いまの局長がお答え申し上げましたとおり、いろいろとこれは研究機関のあり方については、先生のお説のように、そういう議論もございます。ございますが、いま局長が申し上げましたとおり、やはり相当原子力開発については膨大な資金組織が要るわけでありますし、国がやはり相当リスクのある仕事でもありますから、大半の責任を持ってやるという体制をつくって、したがって、この出資もほとんど政府が金を出しているというようなわけでございますが、将来、事業になった場合には、どうしても、これは民間が主になってやるわけでございます。したがって、人材養成その他のことを考えましても、相当な技術者養成も、政府はもとより、民間も協力して取りかかっていかなければならない。また、民間のほうも、諸外国の先進諸国研究に多くの人を派遣して研究もやっておるし、また、帰ってきたなら参画して進んだ技術研究開発する、こういうようなことで、広く学界、あるいは産業界の優秀な人材参画を求めて、そしておくれを取り戻していくというこの積極的な姿勢をとるということが、今日急務ではないかと考えております。したがって、民間等の優秀な人材参画を求めて、研究開発をするという態勢は、国の、国立研究所では処遇、待遇等の問題もありまして、うまくまいりません。また、そういう人材養成等急務と考えられるときでもございますので、一応、私どもは、そういう態勢のもとで、そういう方向で進めていったほうが適切ではなかろうかと、こういうふうに考えておるわけであります。
  13. 北村暢

    北村暢君 そこで要望しておきますが、原研給与その他についてもそれほどよくないのですよ。実は研究職のいま国立研究所では確かに給与は安いですね。研究職の特別の俸給表でも、これは民間研究機関から比べれば安くてどんどん引き抜かれていっておることは間違いない、国立研究所がね。それはもう事実ですよ。しかし、それじゃ原研はそういう特殊法人で、そういうときに弾力的な運営ができるからといって、原研研究者は非常に優遇されているかというと、どうも公務員の約二割くらい程度でないですか。そういう程度のもので、まだ民間と比較して、大臣のおっしゃるように、優秀な技術者がどんどん原研に集まってくるような情勢にはない。しかし、研究者というのは研究に情熱を持って、少々給与が低くても原研の権威というものがあるわけですから、集まってこないとは言えないのですけれども、そういう態勢にはないのですよ。ですから、私はやはり優秀な技術者をやはり確保するために原研給与体系では、弾力的に運用すると言うけれども、なかなかまだそういっていない、こう思います。ですからそういう点については、今後せっかくそういうように国立ではとても律し切れないことをするというのですから、原研だけよくするというわけではないでしょうけれども、やはり相当研究者の方に不満があるということですね。これは知っていただきたい。  それから弾力的な試験研究費運用というのですけれども、とにかくあらゆる公社公団事業団に言い得ることなんですが、それがどうも怠慢になったのではいけないと思うのですね。ルーズになつちゃいけないと思うのです。ところが、弾力的に人員を確保しなければならないとなると、百二、三十人ずつどんどん入ってくるというのですが、これが必要で入ってくるのかどうなのかという問題、特殊法人なるがゆえに自由にできて、そういう面でルーズに入ってくるというのでは、これはどうかと思う。したがって、これはもう日本のいろいろの特殊法人欠点なんですけれども官庁の非能率というものを克服するためにこういう特殊法人をつくるということだが、ところが、官庁の非能率はそのまま受け継がれ、そうして資金だけは自由にだなんということになると、これはもうまことにおかしな結果になる。これは原研は直ちにそうだとは言いませんけれども、ひとつ原子力船開発事業団、これは私は相当問題があると思うのですよ。これ原子燃料公社についても問題がある。運営上の問題がですね。ですから、せっかく科学技術庁監督下にある事業団特殊法人が三つもあるわけですから、これはひとつ、北海道開発庁のときにも私申し上げましたが、地下資源開発のときに申し上げましたが、ああいうような批判を受ける対象になっている公社公団事業団というのは非常に多いわけです。ですから、これはひとつそういう面の注意は、これはもう再三やっているわけですけれども原研においてもひとつ配慮してもらいたい、こう思うのですね。  それから原子燃料公社が解散されるわけですね。そうして動力炉開発事業団になるわけですが、この職員はそのまま引き継がれるからそのままいいでしょうけれども一体公社が解散するというと、ここでやはり退職金その他の問題について整理しなければならないと思うのですね。それは一体どのようにされるのか。  それからまた、原研燃料公社それから原子力船開発事業団役員構成、そうしてそれに対する民間人というのはどのくらい入っているのか。それで給与一体どのくらい払っておるのか。燃料公社の先ほど言った解散にあたって退職金その他についてはどういうふうに処置されるか。この点をひとつ御説明をいただきたい。
  14. 村田浩

    政府委員村田浩君) 現在の原子燃料公社職員は、燃料公社が解散されまして、事業団に承継されます際に自動的に全員承継されるということは法律案で明記されているとおりでありますが、その際の退職金の問題につきましては、全員そのまま承継いたすわけでございますので、希望退職等がございましたらこれはまた別問題でございますけれども、その他はそのまま引き継がれて事業団設立の後、事業団職員となる者につきましては、いわゆる燃料公社における勤務がそのまま続く形で承継することを考えております。したがって、退職金は支給いたしませんで、退職年限に漸次加算してまいるという形を考えております。  それから役員はもちろん職員でございませんので、そのまま承継するということではございません。しかし、核燃の関係事業もあるわけでございますので、そういう関係からは現在の原子燃料公社役員事業団に引き継ぎますためには、その役員任期は、現在この原子燃料公社役員として持っておるこの任期で引き継ぐ、こういうことにいたしております。と申しますのは、通常役員は四年程度任期を持っているわけでございますが、事業団理事者としてあらためて新しく任命された人は四年の任期でありますが、理事者のうち原子燃料公社から引き継がれた理事がいるとすれば、現在の原子燃料公社理事任期の範囲で事業団に引き継ぐということにいたしております。  それから役員内容でありますが、現在原子燃料公社には理事長一名、副理事長一名、理事五名、監事二名がおります。理事長民間の御出身でありまして、かねてこの燃料公社に入る前には金属精錬関係技術者として研究をやってこられた方で、工学博士でございます。それから副理事長は、この公社にお入りになります前にはいろいろおやりになりましたが、最終的には通産省の局長をやられてやめられた方であります。現在事務関係統括担当として副理事長をやっておられます。それから理事五名のうち一名は総務担当でございまして、総務担当理事は、科学技術庁審議官の御出身であります。それから経理担当理事一名がおりますが、この経理担当理事大蔵省の御出身であります。その他三名は技術関係理事でありまして、一名は精錬冶金関係担当、これは民間冶金産業関係の御出身技術者であります。それから山の関係探鉱採鉱等関係担当しております理事は、これも民間鉱業会社、マイニング・カンパニーの技術の御出身であります。  最後に、この再処理事業を行なうためにいろいろ準備をいたしております再処理関係担当をやっておられる理事は、これも民間化学工業会社で長らく化学工業の設計、建設を担当してこられた方においでいただいて理事となっていただいております。  それから監事二名につきましては、一名は公社の中の職員から任用した人でありまして、以前公社総務部長をやっていた人がいま公社監事をやっております。他の一名は、これは総理府の御出身の方を一人監事にお願いしております。以上、現在の原子燃料公社役員内容でございます。
  15. 北村暢

    北村暢君 いまの燃料公社だけでなしに、原研、それから原子力船事業団役員構成のほうもひとつ……。
  16. 式田敬

    説明員式田敬君) ただいま手元関係資料がございませんけれども、御説明いたします。原研理事長丹羽周夫。御承知のように、三菱重工業の出身の方でございます。副理事長出身大蔵省でございます。大蔵省から電源開発のほうに入られまして長らくそのほうをつとめられた方でございます。それから理事の一人は、大蔵省から長らく民間におられた方でございます。それからさらに郵政省関係から原研のほうに入られて、その後理事になられた方であります。そのほかは、それぞれ化学あるいはその他の技術専門家でございます。監事科学技術庁から入った方と総理府関係の方もおります。  それから原子力船開発事業団理事長は石川一郎氏でございます。もう御承知のように、民間の大御所でございます。副理事長はございませんで、専務理事というものがございまして、これは元運輸省の船舶局長、これは非常な技術の専門家でございます。それから理事が三名おりますが、一人は経理関係担当いたしております。大蔵省出身の方でございますが、あとの二人はそれぞれ造船及び原子力関係の専門技術家でございます。監事は運輸省出身の方でございます。
  17. 北村暢

    北村暢君 そこで、先ほどお伺いをした給与ですね、役員給与というものはどの程度あるのですか。
  18. 式田敬

    説明員式田敬君) 私もそうこまかい数字の資料は持ち合わせておりませんけれども理事長が大体三十五万ぐらいで、理事クラスで二十三万ぐらい。監事で約二十万ぐらい。大体そういう見当でございます。
  19. 北村暢

    北村暢君 それで、今度の動力炉開発事業団——先ほどちょっとほやほやしていたものだから、答弁されたのがよくわからなかったのですが、公社役員であった方が必ずしも動力炉開発事業団役員になられる、こういうようなことではないでしょう。相当事業が大きく違ってまいりますから、入る人もおるだろうし、人事の面はこれからだろうと思うのですが、この引き継いでいかれる人については、職員はまあ退職金を支給しないというのですが、役員の場合はどうなっておるのか、ちょっと聞き漏らしたので、そういう人もあるかもしれない。新しくなる人もおるかもしれない。新しい人は——やめられる人は退職金を払うのはあたりまえですが、引き継いでいかれる人がかりにあったとすれば、一体どういうふうにお考えですか。
  20. 式田敬

    説明員式田敬君) お答えいたします。事業団が発足いたしますと、燃料公社は廃止になりますので、現在の役員は全部一たん退職いたしまして、退職金の支払いをいたします。そしてそのうち、まあある方々はあらためて事業団役員に任命される、こういうわけでございます。
  21. 北村暢

    北村暢君 大体わかりました。それで次に、原子力船開発事業団のほうですが、これは前回伊藤委員の質問に対して、計画変更のあった、その他の点でありましたけれども、当初の想定した事業計画予算は三十何億ですね、それが事業団が実際にやる場合に六十億かになりましたね。そういう点で非常に差が大き過ぎたので、第一船の着手がおくれておった、これはまあ計画変更があったことは事実である、こういうことがなぜ起きるのかという問題なんですね。原子力委員会の専門委員会で正式に論議をされて、そして計画されたものでしょう、そうしてその結論が出たものである。それが事業団が実際に実行の場合いったら倍ぐらい予算が違ってしまうという問題ですね。そして三十八年に発足をして、四十二年ようやっとことし第一船の建造に着手するというのでしょう。ここら辺に私は事業団、その他の事業のルーズさがあると思うのですよね。先ほど事業予算について幾らかと聞いたらわからないという、これ原子力船のほうはちょっと何も仕事やってないのに、金がかかり過ぎるというとぐあいが悪いから答弁できないのか、どうもそこら辺、勘ぐりたくなるのですがね。これは大体わかっているのですよ、三十九年以降の予算というのは私はわかっているのだけれども、聞いているのだけれども、私がわかるぐらいのことをそっちがわからないはずがないので、ちょっとした資料で、すぐ出てくる。
  22. 式田敬

    説明員式田敬君) 御説明いたします。三十六億円の当初の建造費がきまりましたのは、三十八年度の予算、三十九年度からでございますけれども、実は原子力船をつくろうという話は早く、三十一、二年ごろからスタートしたことは御承知だと思います。そのころまだほとんど情報らしき情報がなくて、いろいろ推測も加えて暗中模索しておったという状況でございまして、なるほど専門家を加えましていろいろな角度から検討はいたしたわけでございますけれども、実際に見積もり落としといいますか、必要な部分で抜けているのが非常にいろいろ出てきたわけでございます。そういうやはりこういう初期の段階のものでございますから、情報が非常に足らなかったという点がこれはやむを得ないことかとわれわれは思うのでございますが、そのほかやはり三十七、八年ぐらいにほぼ三十六億という額が出てきたのですが、そのころから最近まで、物価のみならず、特に工賃が非常に値上がりしたというふうなことがございまして、四十年に入札をいたしましたときには、思いがけないような金額が出てきたというふうな経緯でございます。  それから三十六億の場合の総経費が六十億というふうに見積もられております。それから現在は建造費五十六億円に対して総経費は百八億円くらいと見積もられておりますけれども、この建造費外の金額で一番大きなのは、よく母港——定係港といっておりますが、ここに小修理あるいは燃料積みかえ、取りかえをするような母港が必要でございます。これの建設に現在のところではかれこれ十八億くらいの金がかかるようでございます。そのほかこの建造に至るまでの間、外国の技術をいろいろ調査したりあるいは外国の舶用炉の見積もりを参考に取ってみたり、あるいは臨界実験装置というものを原研に依頼してつくって、その研究開発をやるとか、そういうふうに、いろいろ事前の準備的な開発費も相当かかったわけでございます。大体そういう点でございますので、こういう金額がかかるのはやむを得ないものとわれわれは思っております。
  23. 北村暢

    北村暢君 まあ国鉄の新幹線の予算みたいにべらぼうに要る、予定とだいぶ違うというのもあるけれども、三十九年に三十六億というものが出て四十年のときにもう六十億だ、これは労賃の値上がりもあるかもしれないけれども、あまりに違い過ぎると思うのですよ。ですからね、どうも五年も十年も前からの懸案で、そのころ見積もったものが三十六億で四十年に見積もったものが六十億というなら話はわかる。ところが、三十九年に三十六億と見積もったわけでしょう。ところが、もう四十年に六十億というのでしょう、建造費だけで。そこら辺のところはやむを得ないものであると思うと、こう言うのですけれども、どうも私には納得いかないわけですよ。そういう点について、まあ建造費五十六億というのですけれども、そこら辺について二十億くらいの差が出てくる。約倍くらいの違いがある、そんなことになるのかと思う。そのために一年なり二年なり建造のための着手をするのがおくれるわけでしょう。だから、これはやはり民間であったなら、こんなことをやってたんじゃ採算とれないというのでたいへんなことになりますよ。で、事業団なるがゆえに親方日の丸式でやっているから成り立っているわけです。しかも、あなた原子力船の建造費だけじゃないですよ。三十九年から相当の、事業団運営費だけでも相当かかってきているわけですからね。そういうので、事業団運営費だけでいままでに十三億……、四十二年度予算七億五千二百万円ですか、これまでにだいぶかかっているわけでしょう、十何億というものがかかっていますね。それは設計だの何だのというものにかかっているものなのかどうなのか、発足して四年間、これは国が経費を払っているわけですよね。民間からこれは来ているわけじゃないでしょう。だから、国の出している分と、資金と、それから民間から出している分とはどういうふうになっているのですか。
  24. 式田敬

    説明員式田敬君) いまの民間出資の点でございますが、これは設立の当初からの大蔵省との約束といいますか、そういうことで四分の一は民間出資になっております。四十一年までに二億五千万円程度民間出資がきまっております。
  25. 北村暢

    北村暢君 四十二年度はどうなっておりますか。
  26. 式田敬

    説明員式田敬君) 四十二年は民間関係——民間団体との話し合いで、やはり一年間で二億五千万円の民間出資がきまっております。
  27. 北村暢

    北村暢君 それでこの原子力第一船が完成を四十六年と見込んでいるようですね。それから第二船と続いてやっていくようですが、これはこの事業団はこういう原子力船を建造いたしますが、これがほんとうに原子力商船として今後どのように実用化していくかという問題ね。第一船、第二船と開発する上において国の相当の力でやらなければできない、あとは民間で自主開発ができる、こういう点に持っていくためにやっているんじゃないかと思うのですが、そしてできた一体原子力船民間に移譲するんですか。それとも事業団そのものが建造後における輸送その他をやっていくのか、この二つの点についてお伺いしたいのですけれども、この事業団事業内容として将来どういうところまでやるのか、民間の自主的な原子力船開発というものに移るのは一体いつごろなのか、また、そういう計画、考え方があるのかないのかですね。第一船、第二船をやるのに相当長期にかかるわけですね。そういうような点からいって、現在の原子力船以外の船舶関係の、現在ある船舶ですね、これを直ちにつぶすわけにもいかないでしょう。それとの関係が必ず出てくると思いますが、どのように将来考えておられるのかですね、その点をひとつお伺いします。
  28. 式田敬

    説明員式田敬君) 御説明いたします。原子力商船の実用化の問題でございますが、御指摘のように、第一船は実用化に備える一つのプロトタイプとして、いわゆる実験船という意味でつくるわけでございまして、原子力委員会の長期計画によりますと、大体四十八、九年ぐらいには実用船としての第二船を民間主体で建造をするという考え方を持っているわけでございますが、世界的に見ますと、アメリカは御承知のように、もう一昨年あたりからいろいろな計画が出ておりますが、本年か来年あたりから三十ノットの高速コンテナ船を原子力によってつくりたい、そういう非常に具体的な計画が熟しているわけでございます。そういう情勢から見ましても、また経済性がいつごろ出るか、在来の型の船に比べまして、いつから経済性を持ってくるかということについては、これはいろいろな見方がございますけれども、アメリカの関係者の中ではかなり早いというあれがございますので、わが国といたしましてもこの四十年代の末期ぐらいには実用船をつくる段階にこれをつくりますと、大体同じ型のものを一度に三隻ぐらいつくりまして、そしてこれがたとえば太平洋航路を三隻が回るとかいうふうな形になるわけでございますが、そのためにはやはり舶用炉——現在の舶用炉はやはりまだ経済性はございませんので、これの開発研究急務でございます。したがいまして、原子力委員会でもそれを特定総合研究の一課題といたしまして、これはまあ官民協力してこの舶用炉の開発を進めていきたい。それからついでに、いま三十ノットのコンテナ船と申しましたけれども、大体いまの見通しでは、舶用炉が改良されますと、三十ノットで経済性が出る。それからタンカーというふうな場合を考えますと、まあこれはやはり、たとえば五十万トンタンカーというふうな大型になりませんと経済性が出ないような一つの推算がございます。  それから第一船の運航でございますが、これは四十六年度に完成いたしまして、四十七、八年にかけて実験航海等を行ない、四十九年度から特殊な貨物の輸送を実際にやっていこうという計画でございますが、御承知のように、原子力開発事業団は、四十六年度末をもって一応期間が終わりますので、そのあとどうするかという問題が実はあります。これにつきまして原子力委員会は、いよいよこの船ができ上がります段階の少し前になりましたら、あとの運営のやり方について結論を出そうということになっておりますけれども、四十六年度末に船ができ上がって、四十七、八年度実験航海をやるということになりますと、何らかのやはり国の機関がこれを、あるいはこの現在の事業団の期限の若干の延長ということも議論になると思いますけれども、やはりそういう国の機関の手で見ていく——そのあとの運航につきましては、これはどういう形になりますか、たとえば適当な船舶を管理運営する機関がありますればそこにやらせるのもいいかと思います。いずれにしましても、取り扱いについては、現在の段階では急にきまらない問題でございますので、後々に何らかの方策を講ずるというふうな考えをしております。
  29. 北村暢

    北村暢君 そのあとのほうになるとだんだん声が小さくなってはっきりしなくなるのだが、まあそれだけ見通しができてないのかもしれませんけれどもね。したがって、この事業団というのは第一船の建造だけで終わるということのようですね。その間に第一船の舶用炉というのは輸入するのですか。それとも国産のものになるのですか。第二船からこの国産の舶用炉の開発ができるのか、ここら辺はどうなるのですか。
  30. 式田敬

    説明員式田敬君) 第一船の舶用炉は、三菱原子力工業と事業団が契約していわゆる国産炉でもってやることになっております。
  31. 北村暢

    北村暢君 結局はまあ将来のほうの見通しはまだ、四十六年で一応終わることになっている事業団が四十九年まで実際の原子力商船として実用化するまで残るかどうかということについては、まあ今後の検討としていまのところ結論出ないと、こういうことのようですが、大体こういう事業団公団というのができるというと、簡単にこれを解散するというわけにいかなくなってくるのですよね。どこの公社公団事業団もそうなんです。ですからこれはやはり相当見通しを持って、事業団というのはやはり原子力第一船をつくったならば目的を達すると、そこで解散をすると、こういうことですね、その第二船以降は民間の自主的な開発でやれるのだ、こういうことの見通しを持っている必要があるんじゃないかと思うのです。そうして原子力船というのは、いま説明のあったように、普通の船ではとても原子力商船として採算ベースに合わないということで、特殊のコンテナ船として三十ノットのすばらしいスピードのコンテナ船でなければいかぬ、あるいは五十万トン以上のタンカーでなければならないというのですから、これを実用化する場合においても、これはたいへんな海運界における変わった形のものになってくるわけですね。そういうものを一体将来の海運界の中に、民間でこの原子力船というものが、原子力商船として効果あるものに実際に運用されていくのかどうか。それをやはり見通して公団なら公団が解散をして、その技術者、その他だいぶおるわけですから、この解散した場合には、やはり民間に吸収するとかなんとか考えなければならない問題です。ですから、そういう点までやはり見通しておかないというと、ずるずる事業団がまた次から次へとやっていくというようなことになるんじゃないかという心配がある。そういう点の見通しをひとつ大臣からお伺いしておきたい。
  32. 二階堂進

    国務大臣二階堂進君) この原子力船の建造がだいぶおくれたことにつきましては、先ほど局長、次長から御答弁申し上げたいろいろな事情があってそういうことになってまいりましたが、ようやくことしから建造に着工するということになりましたが、この四十六年度までに第一船を完成して、そうしてその船によって乗り組み員の研修、訓練もやる、あるいは試験をやる、こういうもろもろの研究開発が行なわれるわけでございまするので、国としての原子力船開発事業団方針が私は一応四十六年度で終わる、こういうことであろうと思っております。しかし、その時点になってまたどういう事態が起こるかわかりませんが、一応国としてはそういう方針である。それから原子力商船の建造の問題は、これはもうアメリカ等におきましてもすでにもう大型のものができておりますし、先ほど次長が申し上げたとおり、三十万トン、五十万トンという私は大型化してくる時代がくると思っております。日本も好むと好まざるとにかかわらず、私は将来やはり輸送船、タンカーなどは大型化していくという方向にいかざるを得ない。しかもまた、経済性を考えてみますというと、先ほど五十万トンで約二十二、三ノットなら経済性が合う、あるいは三十万トンぐらいならもっとスピードがなければならないというようなことから、経済性が、いろいろ可能性が出てきておる。こういう状態でもございますので、日本といたしましても、従来から海運第一国だと誇っておった日本であればあるほど、私はこうした方向には国も研究開発を進めていかなければなりませんが、民間の造船業界としても、私はそういう態勢を漸次固めつつ、しかも、今度できます原子力船の炉は、これは動力炉日本で自主的に開発ができる。これは経済性に合うかどうかは別といたしまして、将来そういう方向で民間産業もどんどん進めておりますので、私はこの第一船ができて、そうしていろいろな研究を国、民間が協力してやれば、第二船、第三船はやはり民間の産業として移行してもいいんじゃないか、こういう方針だけは私は持っております。また、これが改組になった場合には、やはり民間から相当事業団に入ってきております、従業員、技術者が。したがって、自分のほうに引き取れる、こういうことになろうかと思っております。また、公社公団等のあり方については、先ほど先生からいろいろ御指摘のありましたとおり、相当反省していかなければならぬ面も、検討していかなければならない面も相当あるということは御指摘のとおりでございますので、そういう点につきましては、政府といたしましても今後十分臨調答申等を尊重いたしまして改善検討を加えていく、こういうことは当然であろうかと思っております。
  33. 北村暢

    北村暢君 それでは、原子力船の問題はこれくらいにいたしまして、次に、これは法案と直接関係ございませんので、ごく簡単にお伺いいたします。コールドチェーンの問題で若干お伺いいたしますが、コールドチェーンの問題が取り上げられたのは、たまたま物価問題がやかましくなった際に、生鮮食料品の流通という問題についてやかましく論議せられた段階にコールドチェーンというものが出てきた。そういう関係からいって、どうも生鮮食料品の物価の安定のために非常に役立つんじゃないか、こういうふうな受け取り方がされているようであります。しかし、私は、コールドチェーンが技術的に完成されて実際に実用化された場合に、必ずしも直ちに物価に役立つというふうには受け取れないのであります。したがって、そのコールドチェーンの発想、多額な経費をかけていま科学技術庁で実験をやっておるわけですから、そういう実験するに至った着想、発想のどういうところに重点を置かれてこういうものを取り上げるに至ったのか、この点をひとつ冒頭にお伺いしておきたい。
  34. 二階堂進

    国務大臣二階堂進君) こまかい技術的なことは局長から答弁いたさせますが、このコールドチェーンの着想は、これは私が就任以前から行なわれていることでございますが、一つは物価対策、特に物価に一番影響のあるのは生鮮食料品、野菜、こういうものが大都会の消費地において不足をすると急にまた値段が高くなる、国民のほうから非常に騒がれる、私は確かに一つの物価対策の上からもこういう構想が生まれたのではないかと思っております。また現在も私はそう考えております。それからもう一つは、農村の生産者擁護、たとえば蔬菜園芸、これは南九州では一年じゅう蔬菜園芸ができる、あるいは四国の一部においてできる、その他また果樹等においても適地があるわけでありますから、こういう所の適地を利用し、あるいは気候を利用して、そういうものをば零細農家に奨励してつくらせて、そうして安定した供給をはかる、物価の面からも安定をするように仕向ける、また、そういう特殊な地域における生産農家、零細農家を擁護するという立場からも、生産を計画的に行なって、そうして集荷を一元的に行ない、輸送それから大都会における供給の態勢というものをば一連の関連をもって実施していくならば、供給者、生産者の擁護にもなる、と同時に、消費者の立場にも価格引き下げで役立つ、こういうことでこの着想が生まれたのだと思っております。また、私もそういう構想で、一つの政策ですから、今後関係各省が緊密に連絡をとって実施していかなければならぬと思っておりますが、ただその場合、私ども科学技術庁で実験をいたしてまいりましたのは、従来、ともすれば鉄道輸送等によって冷蔵したものが生産地から消費地に送られる。その場合に非常に、たとえばトマトであるとか、あるいはサヤエンドウであるとかピーマンであるとか、それからレタスであるとか、あるいはキャベツであるとか、そういうものが一括して来る。しかも肉類なんかと一緒に詰め込まれてくることによって鮮度も非常に違い、ビタミンの含有量も非常に違ってくる、生鮮度が非常に違ってくる、こういうことではいけないのであって、そこで品物別に送る場合の研究を科学的にやっていく、これをやってきたのが科学技術庁の試験でありまして、したがって、トマトとかピーマンとかあるいはサヤエンドウとかいうものは、それぞれ鮮度を落とさないように、ビタミンの含有量をそのまま生産された現地におけると変わらないように持ってくるためには、温度も違わなければいけない、湿度も違わなければいけない、その他いろいろな試験というものを科学的に研究していく、そしてそれがとれたそのままの姿で消費者の台所へ送り届けなければならぬ、こういうことの研究を過去二年にわたって、昨年からことしにかけてやっているわけですが、その結果が、あちこちから肉もやっておりますが、南九州の野菜もやっておりますが、非常に科学的にいい結果が出てきている、こういうことだけは明らかになってきておるわけでございます。しかしながら、今日まで持ってまいりました量はほんのわずかでございます。したがって、これがコールドチェーンと騒がれますが、これが東京都内に計画的に生産物が輸送されて、そうして一定の量が東京都や大阪に運び込まれてくる、そとでそれぞれ品物によって特別につくられた倉庫の中に詰められて、そうして高くなったときに一斉にこれが放出されるということになりますと、私は確かに野菜というものの物価対策に役立つと思っておりますが、遺憾ながら今日まで実験段階でございますので非常に量が少ない。具体的な数量につきましては局長から答弁させますが、したがって、直ちにそれが今日の物価政策にいい影響を及ぼしたというわけにはまいっておりません。しかし、先ほど申し上げましたように、これは政策として進めております以上、生産も農林省や県に協力をしていただいて、適地に生産計画を立てて、そうして集荷も農協等が集荷をやり、輸送も海上輸送等によって、鉄道輸送よりも海上輸送のほうがきわめてコストも安くて時間も短くて鹿児島から東京へ到達する、こういうことが実験でわかっていることであります。そういう一貫した農林省、科学技術庁あるいは運輸省、あるいは厚生省というところが密接な関係を保ちながら政策を十分に生かしていくならば、私は考えておりますような効果というものは確かに出てくるのだ、こういうように考えておりますので、今後とも関係各省、特に農林省等とも密接な関係を保ちまして、来年度予算要求等につきましては一そうこれが効果的に実施ができるように努力をしてみたい、こういうふうに現在考えておる段階でございます。
  35. 北村暢

    北村暢君 まあ、長官のおっしゃるコールドチェーンが物価の安定のために役立つようにやっていくという着想でやられる、これはまあ当然でしょう。そうでなければ実験やる必要何もない。ただ物価の安定というものについて役立つようなコールドチェーンというものは、これは魚については、もうすでにコールドチェーン、科学技術庁、これはやっているわけですね。コールドチェーンの態勢というものはできている。まあ、改善の余地はあるでしょう。主として生鮮食料品の物価の安定のために役立つというのは、生果物のコールドチェーンは実際に、それと肉を一部やっておりますね。その場合に、いま大臣のおっしゃられたようなピーマンであるとかサヤエンドウであるとか、まあ、サヤエンドウの消費というのは、どのくらいあるかわかりませんが、とにかく、そういう季節はずれのものを特殊な用途に、特殊な消費に利用する。ピーマンなんかもう大衆化してきましたけれども、そういうものでは物価安定に役立たないわけです。大衆野菜にこのコールドチェーンが生かされないというと、物価安定には影響しない特殊なものをつくるのだったならば、金、少々高くたって、これは売れるのですから、それではしかし量的には非常に限られたものです。そういうものは何も試験しなくたって、金さえかければ、実際に品物がいたまないで、しかもいいものが来る方法は幾らでもある。問題はやはり大衆野菜、大衆生果物、これがコールドチェーンに乗るか乗らないかという問題、そういう点がこの物価に安定的になるかどうかという問題、ところが、確かに直接直ちにその物価の安定に役立つかどうかということについては非常に疑問である。ということは二段、三段の意味においては、全然ないとはいいませんよ。大衆野菜、生果については大量に取り扱い、大量に取り扱うものについて、しかもこれは値が張るものではない。産地に冷蔵庫をつくり、輸送機関に冷蔵の施設をし、そうして消費地にまた冷凍施設をし、小売り店にまで、家庭にまでいかないとチェーンにならないわけですね。チェーンというのはそういう意味で、生産から消費の過程に至るまで態勢ができないというと、コールドチェーンの役をなさないわけですから、途中で切れたのはコールドチェーンにはならないわけです。そういう意味において大衆野菜について、そういう冷蔵施設をするという、これは非常に大きな投資が必要ですし、経費がかかるわけですね。そのためにはやはり包装も冷凍に合った包装にしなければいかぬ、大衆野菜についてりっぱな包装もしなければならぬ。ただその場合に、普通で送れば腐ったりなんかする損耗率が、コールドチェーンで来ると、その損耗を少なくしてやり得る、ある程度の投資はするけれどもカバーできる、こういうふうにやって、経済的に見て成り立たないというと、いかに品いたみしないで鮮度のいいものを持ってきても、値段がべらぼうに高くては意味がない。また、そういうふうに施設をすれば、大衆野菜について経費がかかる、何といっても。ですから、直ちに私はコールドチェーンというものは、生鮮食料品、特に大衆野菜について値段を下げるという役割りを直ちにするかどうかということについてははなはだ疑問がある。そういう点のこまかい、普通輸送で来るものと、コールドチェーンで来たものとの価格の、一方はロスができたり、片一方はロスがなしにきわめて鮮度がいい、そういうようなもので、価格の面でいえば相当の検討がなされなければならないのじゃないか。そうでなければコールドチェーンというのは、確かに技術的には九州のものが船に積み、冷蔵施設で着いた、品いたみもしないで非常にりっぱないいものが着いたというだけであって、経済的にペイするのかしないのかという問題、これを私は心配している。したがって、大臣のおっしゃるように、直ちに生鮮食料品の価格が安くなる、安くなるのじゃなくて安定すると、こういうふうに逃げているわけですけれども、少なくとも高くならないということでなければならないと思うんですね、いま高い高いとこう言っているのですから。だから高いところに安定するのも安定ですし、低いところに安定するのも安定ですし、これ以上上げないでいくというところに安定するのも安定です。したがって、高いところに安定させたのじゃ消費者に迷惑なんですから。確かに変動があって生産にも影響するということで、価格変動があまりないように安定をしていってという点に役立つということについてはある程度認めなければいけないんだけれども、そのために非常に冷凍施設その他の輸送等について、一般輸送その他について経費がかかるというのじゃいかぬと思うんです。だからその辺の認識を、大臣は政策的にやるのですからと、こうおっしゃるけれども、安くならないんじゃ、これは私はあまり政策的とは言えない。それだけ技術を要したものを国民一般が要求しているのかどうなのかということも問題なんですね。だからそういう点についての見解というものをもう少しやはりはっきりしておきたいと思うんです。
  36. 二階堂進

    国務大臣二階堂進君) 御指摘のとおり、私もこれはまだ相当研究もしなければならぬ問題がたくさんあると思っております。また、 コールドチェーンをすぐ一部実施したからといって、すぐそれが物価に影響する、特に生鮮食料品等の、大衆野菜等の価格引き下げに役立つ、私はこれだけがその大きな役割りを持つということには考えておりません。これはもう物価は御承知のとおり、いろんな総合的な施策を関連して講ずることによって私はできていくものだと思っております。そしてまた、サヤエンドウとかピーマンとか、そういうものが高級料飲店等で使われて、特殊な人が食べていると、そういうことでなくて、少なくともニンジン、キャベツ、それから白菜、ネギ、こういうものぐらいは、これは常時やはり供給も農林省あるいは地方と協力して生産を常時行なっていく、これがまたできたものがやはりこれは農民の所得をふやしてある程度安定した価格で取り引きされて、そして消費地にこれが一貫した形で流れていく、こういう流通機構や生産体制の問題もあわせて私は行なわれていかなければいけないと思いますが、ただそういう面でたとえば魚等のとれたときに腐る、そこで漁港において冷凍設備をつくりあるいは東京に大きなものができると、そういうものができて初めて腐る魚が——いわゆる豊作貧乏で、たくさんとれて価格が安くなって漁民の所得が減るというようなことであってはならないというので、そういう施設をつくって、また、流通機構を漸次整備されていきつつあるわけでございますが、そういうことなども織りまぜて一貫した政策で行なっていかなければならない。しかし、いま申し上げたとおり、試験の段階でも、肉もやっておりますが、白菜もやっておりますし、ニンジンもやっております。こういうものが、より高い鮮度で、より高いビタミンを持ったものがやはり国民の口の中に入っていく、特に大都会においてそういうものが困っておるときに入っていくということは、私は非常に国民の保健の上から言ってもいいのではないかと、特にまた給食の関係等においても実行してきて、そこに直接持っていって、しかも適正な価格でこれを使用してやってもらっておる、こういう実験もやっております。ですから何も国民生活に結びつかない政策というものはあり得ない、試験というものはあり得ない、こう考えておりますので、今後そういうもろもろの政策を総合的に進める中において、そういう地域の農民の生産を高めて所得をふやす、一面においてはそういうものが大量に生産され、貯蔵されて、そうして物価が高くなるときにこれを安く出すというようなことも私はあわせて考えていくべきものだと思う。そういうものが一括して一束になって輸送されてきたもので、より高い鮮度で、より高いビタミンを持ったものを供給する、そういうものもまたあわせ研究することが、これは当然じゃないかと思う。また、チェーン組織のいろいろなものがどんどん進んでまいりますから、もとよりそのために相当な投資も一必要でありましょう。今日まで私は、昭和四十一年度ですか、財政投融資、たとえばコンテナのメーカーあるいは陸上荷揚場の施設につきましても、約七十数億の財政投融資をこのことのために注ぎ込んでおるわけでございます。ですから科学技術庁研究だけでは二億数千万でございますが、財政投融資を入れますと四十一年度も七十数億かけておるわけでございます。ですから、これも一部でありまするが、持ってきたものはすぐ喜んで買われていく、デパートにも出しておりますが、これが非常に喜んで買われていくということでございますので、まあ私はこれを進めることによって、考えておりますようなある一定の効果というものが出てくるんじゃないか、また、そういうことで出るように政策を進めていかなければならぬと考えておるわけでございます。
  37. 北村暢

    北村暢君 この問題は大臣そうおっしゃられるのですが、簡単にそういうふうに受け取るわけにいかないんです。四十二年度の農林省の方針はそうなってないんですよ。科学技術庁が今年度で試験を終わりますね、来年度からこの試験を応用して農林省なり何なりが、このコールドチェーンを実際の行政の場に受け入れていく場合にどうなっているかというと、それはそうなっていないんです。ということは、特殊なものについてはコールドチェーンはよかろうけれども、大衆的なものについてはあまり積極的ではない方針を出している。したがって、これは政府の内部において調整をとらなければならない問題ですがね。流通問題について農林省は農林省でいろいろ検討され、魚なり野菜なり生果物なり肉なりの、いわゆるコールドチェーンについての検討をやはりやっておるわけです。やっているんですが、魚なんていうものは、先ほど言ったように、もうすでに実施されておりますし、ある程度いっているわけですね、肉についても相当な点までいっている。しかし、まだまだ肉についても検討する余地があるようです。これはまあコールドチェーン——ほとんど部分肉で消費しておりますから、この部分肉のいわゆる小売りにおける流通段階において、なかなか簡単に、このコールドチェーンに乗ったものが直ちに消費者の嗜好なり、消費の目的ごとに——肉だってなかなか、夏と冬では違うし、めんどうな問題があるわけですね。そういう点、ずいぶん農林省は農林省なりに検討はしているんですが、いま科学技術庁で、たとえばコールドチェーンに乗りにくい、いままで未経験の生果物などですね、いま言ったような特殊的のものについてはコールドチェーンというものを評価はしているようですけれども、大衆のものについてはあまり期待しておらぬという行政庁間の意見の不統一があるんです。こういう点については、私はやはり、いま長官がだいぶ張り切って説明はされましたけれども、受け入れる農林省があまりはっきりしておらぬようですね。ですから、これはそういう点を指摘だけしておきますから、ひとつ行政庁内部においてよく連絡をして、長官のおっしゃるようなことが、非常に安い、栄養の高い、鮮度の高いものが貧乏人の口に入るようにひとつそういう方向でやってもらう、やはりコールドチェーンに乗ったものは大臣がおっしゃるように、貧乏人の口に入るような形になっておらないのですよ実際は。その点は家庭の冷蔵庫の設備もいまの冷蔵庫はだめなんですよね、相当大型のものにならなきゃならない。そういうようなチェーンの最終的な処理までやはりいかないというと、消費者の認識も変わってこないというとできない。その点は簡単なものでないことだけはひとつ……。
  38. 二階堂進

    国務大臣二階堂進君) 承知しております。
  39. 北村暢

    北村暢君 次に、もう時間が来ましたから一点だけ御質問をしておきたいと思うのですが、今度の職員の定員の改正の中で無機材質研究所のものがこれは二倍以上に定員がふえるようでございますね。倍以上にふえる理由は一体何なんですか。
  40. 谷敷寛

    政府委員谷敷寛君) 無機材質研究所は四十一年度から発足しまして、四十二年で設立以来二年目になります。最初の四十一年度には研究グループが一つしがなくて非常に小さなところで発足したわけでございます。第二年度は研究グループが三つふえまして、四つになりました。こういうことで研究グループの数が三つふえたということで、人員が非常にふえたということでございます。
  41. 北村暢

    北村暢君 その研究グループがふえなければならぬ理由は何ですか。
  42. 谷敷寛

    政府委員谷敷寛君) 当初の計画といたしましては、無機材質研究所は、わが国ではそういう研究を総合的にやる研究所がないものでございますから新設したわけでございますが、当初の計画では、研究グループを十五ぐらい必要であるということで始めているわけでございます。ところが、一挙に十五グループ整備するのはなかなかたいへんでございますので、数年に分けてやる。こういうことでぼつぼつ整備しておるわけでございます。
  43. 北村暢

    北村暢君 いまさしあたっての十五ぐらい必要だと言いますが、さしあたって一つでき、今度三つのグループがふえる。こういうことですが、さしあたっての研究課題というのは何ですか。
  44. 谷敷寛

    政府委員谷敷寛君) 四十一年度に最初に発足いたしましたときは炭化珪素に関する研究。これは最初にできたグループでございます。今年度できます三つのグループは酸化アルミニウム、酸化バナジウム、窒化アルミニウム、こういうものでございます。
  45. 北村暢

    北村暢君 非金属の研究ですね、これは。そういういま言ったようなものが実際には材質としてどういうものに利用されるのか。こういうことです。
  46. 谷敷寛

    政府委員谷敷寛君) 用途はいろいろございますが、まず、非常に高温高圧というようなところに使用して摩耗が少ない、こういうものが大体中心になっております。
  47. 北村暢

    北村暢君 それは宇宙開発のロケットとか、何かそういうものに関係あるのでしょう。
  48. 谷敷寛

    政府委員谷敷寛君) お話のとおり、宇宙のロケット関係あるいは原子力発電の部品、こういうものに関係がございます。
  49. 北村暢

    北村暢君 大体わかりましたが、十五ぐらいというのですから、これは将来もっともっとふえていくという考え方ですね。こういう無機材質の研究というものがおくれておったために宇宙開発というものに支障があったと、こういうふうに言われておるようでありますが、今後の宇宙開発との関係で、この無機材質の研究所というのは、宇宙開発技術発展というものとのバランスにおいていままでどうなっておったのですか。
  50. 谷敷寛

    政府委員谷敷寛君) 現在でも、東大等でロケットをこしらえておりますが、そういうものに使われておる部品は、現在できておるものを使っておるわけでございます。しかし、世界の進運を考えますと、各国ともにこれよりももっと性能のいいものをだんだんやっておるという状況でございますので、そういう情勢におくれないために、さらに現在使っているものよりもいいものを開発しようと、こういうことでやっておるのでございます。
  51. 北村暢

    北村暢君 最後に一つだけ、それじゃ宇宙開発の急速に技術開発が行なわれておるわけですけれども科学技術の情報というものはすべてこれは公開されているわけですね。秘密というものはないわけですね。それで私は、ここで、これは時間かけて聞かなければならないのですけれども、いわゆる自衛隊の技術研究本部、これはどうもわからないですね。第一部、第二部、第三部と言ったって、内容何をやっているのかわからない。これは自衛隊のほうで聞かなければならないわけですけれども。したがって、わからないのですが、いわゆる国なり民間研究せられることというものはすべてデータが公開されているということですから、当然これは自衛隊の技術研究本部で、この技術というものを取り入れるということについては、これは自由なわけですね。したがって、今後自衛隊の技術研究本部との連絡関係というものはどういうふうになっているのか。
  52. 高橋正春

    政府委員(高橋正春君) 先先御存じおきのとおり、私どもが所掌いたしております宇宙開発というものは、宇宙開発審議会の第一答申に基づきまして平和利用の目的のみに専念いたしておるわけでございます。それで、もちろん御指摘のとおり、特に国の開発いたしました研究というものは、一般的に公開いたしますことが、これは原則でございますけれども、しかし、たとえば、私どものほうでいろいろな委託、並びに試作というようなものを企業に委託いたします場合におきましては、これは非常に企業そのものがその研究を用いまして軍事利用等に流れるというようなおそれ等もございますので、契約の条項の上におきまして、はっきりとその委託研究につきまして特許権をとります場合、あるいはこれに基づきまして実施いたしますような成果を利用いたしますような場合におきましては、すべて科学技術庁の承認を得なければ実行できないというような取りきめがございますので、そのような点はないと思います。  それから御指摘の防衛庁の研究所は、先ほど申しましたように、私どもは平和利用に専念いたしておりますので、具体的には技術上の関連と申しまするか、そのような関係はいまのところ全くございません。
  53. 北村暢

    北村暢君 まあ毎回質問すれば、そういうふうに関係ないというふうに言われるのですけれども、ただ研究せられたことというのは、研究は自由ですから、大いにデータその他発表されて、そのものを研究された、科学技術庁なりの研究機関でやられたものそのものは直ちにそれは利用しないかもしれないが、理論とかそういうものは幾らでも利用できるわけですね。したがって、このロケットの技術というのは平和のロケットだろうと、たとえばロケットの誘導する技術ですね、これはいまの誘導弾のロケット技術と何も変わらないわけでしょう、理論は。そういう意味において、画然と区別していると言われるけれども科学技術庁で発言せられる試験研究の結果というものは自由に公開されているわけですから、当然自衛隊の技術研究本部にも行っておって何も差しつか、えないものですね、これ。そうじゃないですか。自衛隊の技術研究本部にだけは科学技術庁の資料は行かないということではないでしょう。
  54. 高橋正春

    政府委員(高橋正春君) 仰せのとおりでございまして、研究所が当庁で開発いたしました研究の成果を、文献あるいは学術発表等の場におきまして、知識として得る機会は十分にあると思います。
  55. 北村暢

    北村暢君 まあきょうは時間ですからね、その問題はまたいっかやることにいたしまして、きょうは私の質問は、時間が時間ですから、終わります。
  56. 多田省吾

    ○多田省吾君 私は、原子力の平和利用の問題からお尋ねしたいと思います。  当然これからの発電は、重油等は十年、二十年後相当コストが高くなりますから、原子力発電によっていくものと思われますけれども、世界でも一九七〇年には二千五百万キロワットですか、それから一九八〇年には一億五千万、あるいは二億五千万キロワットぐらいの原子力発電量になるであろうと、こう言われているわけです。との前もお話しありましたけれども、わが国としての原子力発電の今後の十年先、あるいは一九八〇年あるいは二〇〇〇年等を考えますと、相当な量になると思いますけれども、その見通しと、それから発電量に対する大体の割合、パーセントはどのくらいになる見通しか、それをまずお伺いします。
  57. 式田敬

    説明員式田敬君) 御説明いたします。  昭和六十年度の原子力発電の見通しにつきましては、私ども原子力委員会の長期計画におきましても、あるいは通産省の総合エネルギー調査会の答申におきましても、大体三千万ないし四千万キロワットの原子力発電所ができるであろうという見通しでございますが、それから先の数字につきましては、政府関係でははっきりした数字を見通しておりませんけれども原子力産業会議の試案がございまして、約一億六千万キロワットというふうになっております。で、比率は昭和六十年度において約二五%、全体の発電の四分の一でございますけれども、七十五年度におきましては四六、七%、ほぼもう五〇%に近いというふうな数字が出ております。
  58. 多田省吾

    ○多田省吾君 昭和五十年度はどうですか。
  59. 式田敬

    説明員式田敬君) 昭和五十年度は六百万キロワットの計画でございまして、これは全体に対して八%でございます。
  60. 多田省吾

    ○多田省吾君 まあそういう見通しでございますから、当然コストなんかも非常に安くなる見通しですが、重油のコストあるいは石炭のコストを追い越すのは日本ではいつごろだという見通しですか。
  61. 式田敬

    説明員式田敬君) 現在つくっております関西電力の美浜の発電所、これを例にとりますと、二十カ年平均で大体二円五十銭という数字が出ておりますが、現在重油専焼火力で一番大きい六十万キロワットの姉崎の発電所の見通しでございますが、これはやはり二十カ年平均で二円二十銭というふうな見当でございますが、四、五年後からは建設されるより大型のたとえば八十万ないし百万キロワットの原子力発電になりますと、大体二円か二円を割る状況になりまして、そのころの重油専焼火力の大型のものと比べましても、原子力のほうが安いという見通しが得られるわけであります。
  62. 多田省吾

    ○多田省吾君 そうなりますと、近い将来エネルギー源というものは、当然原子力発電によってくることになりますが、その場合の核拡散防止条約で一番ソ連と西ドイツの間で査察の問題で難航していると思いますけれども、結局は西ドイツがIAEA等の査察にはやはり産業の秘密が盗まれるので応じたくないと、ソ連はそれを西ドイツに核兵器だとか持たせないように締めつけていこうというような思惑があるのでございます。そういう意味で、いま日本では核兵器を絶対つくらないという平和利用を主張しておりますので、全くモルモット的な姿で進んで査察に応じているような姿があるわけでございますけれども、将来やはり日本産業界にとって原子力発電というものがエネルギー源として大きな力を持ってまいりますと、当然産業の秘密の問題もありましょうし、また、査察で締めつけられれば原子炉をとめなくちゃいけないというような問題も起こってくるでしょうし、まあそういったいろいろの問題で、やはり核拡散防止条約の面においても科学技術庁が当然原子力関係業者や、あるいは学者等の意見を聞いて、その条約に対する強い要望がなければならない。外務省ではどうもそういう政治外交的な問題からのみ取り扱っていこうとしているような傾向があるわけでございます。で、ちなみに、西ドイツなんかではキージンガー首相がいち早く米ソ側に対して、原子力関係学者や業界代表の意見をまず聞いた、そしてそれを核拡散防止条約に反映させていくというような態度をとっているわけです。そういった面において科学技術庁長官として、このたびの核拡散防止条約においてどういう進言を外務大臣、首相等になさったのか。で、今後査察に対するお考えは一体どの辺にございますか、それをお伺いします。
  63. 二階堂進

    国務大臣二階堂進君) 原子力開発につきましては、御承知のとおり、わが国の政府の態度は、これはもう平和利用に限る、これは多田先生おっしゃったとおりでありまして、しかもこの研究開発は自主、平和、公開と、こういう原則に貫かれておるわけでございまして、そういう趣旨のもとに今日まで過去十カ年余り原子力のエネルギーの開発には努力してまいっておるわけでございます。また、平和に限るというたてまえを貫くために国際原子力機構の査察も受けております。これは、燃料のあり場所あるいは使用、あるいはまた、原子力研究所等において行なっております研究の成果は、英国の査察員が常時駐在もいたしております、年二回ぐらい査察を受けております。そういうわけで、今日までその査察を受けましてもわが国の原子力エネルギーの平和利用の開発には何ら支障はない、こういう考え方でございます。ただいまこの核拡散防止条約の問題で、今後の査察がどうなるかというようなお尋ねでございますが、私どもはまだこの米ソ間において協議されておりまする条約の内容が明らかになっておりません。なっておりませんが、この平和利用に対する政府の態度は、外務大臣とも密接にいろいろ連絡をとってわが国の方針——原子力委員長としてのまた立場からもやはりこれは従来の方針と変わるべきでない、また、核を持てる国と持たざる国との間において平和利用についての権利というものが差別を受けるようなことがあってはならない、あくまでも平和利用に対する査察というものは平等でなければならない、平和利用に対する権利というものはあくまでも同等でなければならない、こういう主張を繰り返し外務大臣にもお伝えいたしまして、原子力委員長としての立場というものは明確にいたしておるわけでございます。先ほど申し上げましたとおり、まだこの条約の内容が明らかにされておりませんし、ソ連とユーラトム諸国の間においても、またアメリカとの間においてもいろいろ議論があるようでありますが、こういう内容がもし明らかにされました場合には、以上申し上げましたような政府の態度に食い違いがあるような場合には、やはり今日まで堅持いたしました姿勢あるいは平和利用に対する政府の考え方というものはあくまでも貫いてまいりたいと、こういうふうに考えております。
  64. 多田省吾

    ○多田省吾君 まあ長官は成案が出てからというような、原案が出てからというようなお話でございますけれども、結局米ソ案がはっきり原案として出てからこちらがそれを修正させようとして強く働きかけるということがあっても、なかなかそれは修正というものはできない。それで、やはり西ドイツなんかも、その原案ができる前に強く申し入れをしているような姿があるわけです。やはり日本においてもその米ソ案がはっきり出る前に日本の態度というものを強く押し出すべきであると、このように思うわけです。また、一面において、西ドイツあたりはユーラトムの査察でかんべんしてほしいというようなことを言っておるわけです。日本はそれと同じ条件でゆるやかな査察を希望するというようなことを言っておりますけれども原子力産業界なんかでは、伝え聞くところによりますと、IAA以外の第三者の査察機関というようなものも、これは現状としてはなかなかできないと思いますけれども、考えなくちゃならないのではないかというような要望をしているということも聞きましたけれども、もし、仮定の問題でありますが、そういった西ドイツ、EEC関係諸国がユーラトムの査察でよろしいというようなゆるやかな査察になった場合に、わが国はどういつだ態度をとられるか、それをお伺いしたい。
  65. 二階堂進

    国務大臣二階堂進君) この草案が示されてからまた検討するという意味を申し上げましたが、これは今日まで外務大臣を通じまして、ソ連、アメリカ等にもわが国の基本的な考え方、平和利用についての考え方は十分私は伝えていただいていると思っております。また、原子力委員会のメンバーである西村さんが特派大使としてアメリカ、英国その他にもお回りになりましたが、その際にも私は西村さんに対しまして、外務省から依頼がございましたので、特派大使としてお出向きになることを許可いたしましたし、また、そのときにも私自身、先ほど申し上げたような基本的な考え方というものはあくまでも貫くべきだ、こういう態度は強く私は申し入れているわけでございまして、ただ案ができるまで手をこまねいてそれを見ているということでは決してございません。再三、再四外務大臣も各国の首脳部、大使等にもそういうことを申し入れをしておりますし、私は私の立場でそういう、先ほど申しましたような基本的な考え方を強く伝えているわけでございます。
  66. 多田省吾

    ○多田省吾君 現在の査察は、年二、三回査察に応じているということを聞きましたけれども、原子炉をとめるような強い査察は受けていないのかどうか。それから将来、いま日本技術はまだ未熟だと思いますが、核拡散防止条約の期限だって五年ごとでございます。非常に長期的な案が出ております。当然五年後、十年後日本技術が進んだ場合、いわゆる産業秘密がスパイされるというような姿もあるわけでございますけれども、そういった査察と産業秘密の関係について、また強い査察の場合は原子力発電そのものにさえも差しつかえるようなことがないのかどうか、そういった問題をお聞きしたい。
  67. 式田敬

    説明員式田敬君) 御説明いたします。ただいま強い査察を受けることはないかという御質問でございますが、現在の査察のやり方はそういう原子炉をとめて査察をするというようなことはいたしておりませんし、将来ともそういうことはないと思います。これは現在IAEAで査察のやり方をきめておりますけれども、将来ともそういうふうな強い査察というものはないと思います。
  68. 多田省吾

    ○多田省吾君 産業秘密、商業秘密の漏洩のおそれがないかどうか。
  69. 式田敬

    説明員式田敬君) 査察のやり方は、非常にこまかい技術的な問題がございますけれども、主として燃料の、外国から輸入した核燃料の流れを調べるというのが主眼になっておりますので、技術的な、秘密が漏れるというような心配はあまりないのではないか。私どもはドイツの心配は多少行き過ぎでないか、心配し過ぎでないかというふうな感じを持っております。
  70. 多田省吾

    ○多田省吾君 西ドイツの場合は心配し過ぎているというようなお話でございますけれども、西ドイツあたりはウラン濃縮技術なんかも非常に発達している。もし日本が、今度動力炉核燃料開発事業団が発足されるようでありますけれども、そういった高速増殖炉なんかが、日本技術が非常に発達したような場合、ほんとうに漏洩するおそれが多分にあると思うのですね。私は西ドイツが神経質であるというような御意見は非常にまだ甘いお考えじゃないかと思うわけでございますけれども、将来その査察の問題で禍根を残さないように、十分関係学者や業界とも、国益の面からも御相談されて、しかるべく強い要請をされるよう希望する次第でございます。  次に、この前、高速の実験装置が四月二十九日に臨界点に達したということが報道されましたけれども、高速増殖炉はほんとうに大型化して実用に使われるのはもう遠い将来のことではないというように伺っておりますけれども、このような実験装置の完成等によってどのくらい早められたのか。そして日本としてはいつごろ高速増殖炉が完成して実用化される予定なのか、その点をお聞きしたい。
  71. 武安義光

    説明員(武安義光君) 高速増殖炉の開発は現在世界的に各国熱心にやっておる段階でございまして、現在のテンポでは昭和六十年代ぐらいが実用化のめどではなかろうかということが言われております。わが国におきましては、その時期までに、現在のところスタートは立ちおくれておるわけでありますが、動力炉開発計画を策定しまして急速にこれを進めたいという考えであります。先般、日本原子力研究所に完成しました施設は、その一番基礎となる炉心のいろいろな物理的特性を実験する装置でございまして、それに燃料が入って実験ができるような段階になったということでございまして、これを基礎としましてできるだけ早い時期に完成いたしたい。現在のところ、動力炉開発における計画は昭和五十年代の前半に原型炉、これは発電設備を持ちました十五万ないし二十万程度の発電用高速炉の実験装置をまず完成するということを目標としております。
  72. 多田省吾

    ○多田省吾君 わが国は核爆発の平和利用ということも考えてない段階でございますけれども、将来、きれいな小さな水爆等によって、土木工事等が核爆発によって、平和利用の面によって大きな進歩をとげるということは当然予想されるわけでございます。わが国も、当然、核爆発の平和利用については留保こそすれ断念したわけじゃないわけですね。しかし、平和利用という面からすれば、こういった開拓というものは全然行なわれていないわけです。しかし、どうしてもこういう土木工事とか運河あるいはいろいろの工事になりますと、将来、実用的に考えても核爆発の平和利用というものは当然考えていかなくちゃいけないものだと、この前、外務大臣もアメリカという特殊な国からはいかぬけれども、クラブから譲り受けるのならば考慮してもいいということを、まあいまは考えていないということでございますが、そういった核爆発の平和利用を将来受け入れるお考えはあるのかどうか。
  73. 二階堂進

    国務大臣二階堂進君) 現在、そういう考え方は持っておりません。御承知のとおり、平和利用と軍事目的に使われる爆発、このけじめが明確にされていない。アメリカなどでは相当大規模ないろいろな実験をやっておるようでございますが、将来、これは平和利用と軍事利用との区分が明確にされるという段階になれば、またそしていろいろな放射能等が、完全に被害が防げるというような措置が、安全措置が確認されるというようなときになれば、これはわが国としてもやはり考えなければならないと私は思っております。思っておりますが、現在のととろ、平和利用と軍事利用との区別ははっきりしていないし、また、安全措置というものが確認されていない段階で核爆発の問題が議論されておる今日において、私は少なくともそういう平和利用だからといって核爆発をすぐ考えるという段階ではないと思っております。これは将来どんどん技術も進んでまいりますし、特にアメリカ等では、との爆発がきわめて小さな規模において行なわれてきておる。まあ日本で申しますというと、すぐ長崎とかあるいは広島の原子爆を考えがちでございますけれども、しかし、平和利用の名をつけてアメリカなどで研究しておりまする実際の状況を見ておりますと、非常に小型化してまいっておる。したがって、この技術がどの程度進んでおるのか、あるいはこれから何年かかってそれがもっと小さくなって、そして平和利用に限るという名目でこれがはたして行なわれることが確認されるかどうか、また、被害等についての安全措置等が完全にこれができるかどうかということのめど、見通しが明確にならなければ私たちはそういうことを考えてはならないと、こういうふうに考えております。
  74. 多田省吾

    ○多田省吾君 この前、ある新聞に、カナダのウラン鉱の開発について九電力会社が相当意欲を示しておる、それでその共同開発の計画についていろいろ懇談をしたというような話が出ておりますけれども、これはどうなんですか。
  75. 武安義光

    説明員(武安義光君) お答えいたします。カナダにありますカー・マギー社から日本側に対しましてウラン鉱の探鉱及び開発についての打診がございまして、これにつきまして電気事業者あるいは鉱山業者等が現地に調査団を派遣しまして、その結果等を聞きますと、かなり鉱区としましては有望であるという判定をいたしております。ちょうど原子力発電を本格的に始めます時期で、ウラン資源の確保という問題は非常に大きい問題でありますので、電気事業者あるいは鉱業会社等でかなり積極的な意欲を示しておるというふうに承知しております。
  76. 多田省吾

    ○多田省吾君 平和利用についてもう一点、先ほど詳しいお話がありましたので、簡単にお聞きしますけれども原子力商船の問題ですが、まあ軍艦は別にしまして、民間ではアメリカで原子力の貨客船のサバンナ号ですか、ソ連では原子力砕氷船のレーニン号がもう完成して就役しておりますけれども、西ドイツでも原子力鉱石運搬船オットー・ハーン号というのが、ことし完成するような予定である、このように聞いております。昭和四十六年に第一船が完成する予定だと、そういうことを聞いておりますが、当然まだ経済性においては問題にならないわけです。で、先ほどもお答えがありましたけれども、経済性において毛実用化するのは大体いつごろの見通しか。それから第二点は、原子力商船の母港として横浜が予定されていましたけれども、この前の話では否定的な話でした。どうも十月ごろ着工しないと手おくれになるというような話も聞いておりますけれども、その見通しはどうですか。
  77. 式田敬

    説明員式田敬君) 原子力船の経済性の見通しの御質問でございますが、先ほどちょっと申しましたように、原子力委員会の長期計画専門部会における検討では、貨物船の場合には三十ノットの高速貨物船において経済性が出る、また、タンカーにおきましては五十万トンの超大型タンカーにおいて経済性が出る、こういう結論がございます。で、いつからかということでございますが、これは舶用炉の研究開発をさらに進めるという必要がございますので、ここ数年がかかると思いますけれども、先ほども申しましたのですが、アメリカにおきましては、もうことしからでも高速コンテナ船、三十ノットの原子力商船をつくり、着工したい、こういうことでございますので、アメリカにおける舶用炉の改良研究というものは相当進んでるものと思われます。  それから横浜の定係港、つまり母港のことでございますが、これは事業団が方々さがしました結果、横浜に一応候補地をしぼって検討をしているわけでございますが、原子力船の着工のほうは、現在原子力委員会の安全専門審査会においてその安全性の検討をいたしております。その結論が出ますれば、これは安全であるという結論が出ますれば、原子炉等規制法の許可を出すという手順になるわけでございますが、その許可が出ますれば、この秋か年末には着工できるというふうに見通されております。
  78. 多田省吾

    ○多田省吾君 予定地はどこですか。
  79. 式田敬

    説明員式田敬君) いまの母港のほうは横浜の富岡地区にこれから埋め立てを始めます地区を原子力船開発事業団は希望しておりまして、現在横浜市に対して申請書を提出いたしております。市のほうでこれが認可されますれば、やはりその安全専門審査会においてその安全性等十分に検討するわけでございますが、この日取りは未定でございます。
  80. 多田省吾

    ○多田省吾君 ですから、四十六年度に原子力船が完成するとして、いつごろ着工しなければ手おくれになるのか、……母港です。
  81. 式田敬

    説明員式田敬君) 現在の事業団の計画では、この原子力第一船が進水いたしますと、母港に回航いたしまして、そこで原子炉を積み、その他の艤装を行なうということでございますので、四十四年にはこの母港の岸壁ができ上がるということが望ましいわけでございます。
  82. 多田省吾

    ○多田省吾君 宇宙開発について、時間もありませんので、まとめて二、三お伺いします。  宇宙開発行政の一元化ということは前から問題になっておりますけれども一体長官はその試案をいつごろ出されるのか。それから研究調整局航空宇宙課というところにこの計画室を新設して、これが一元化の拠点になるということも聞いておりますし、また、特殊法人を設けるということも聞いておりますが、あくまでもリーダーシップをとるのは科学技術庁であると思うのですが、長官としてその宇宙開発行政の一元化についてどのような試案をつくっておられるか、いつごろそれを完成されるのか、その問題をまずお伺いしたい。
  83. 二階堂進

    国務大臣二階堂進君) これは今日まで委員会等におきましてしばしば申し上げましたとおり、できれば私の役所でいま私が一元化の構想というものをまとめるように事務当局にも検討を命じておりますが、これはあくまでも私の考え方でございまして、これをもとにいたしまして、関係各省、文部省あるいは郵政省、運輸省等々と連絡をいたしまして、そしてこの一元化のあり方について御相談を願いたいと思っております。まあ来年度の予算編成時期までにはこの方針を明らかにして、そして閣議で了解を求めて、そしてこの一元化の体制をまとめてまいりたいと、こういうように考えております。ただいま関係各省大臣との間におきまして、私もいろいろと話を進めておる段階でございます。また、これを進めていきまする形としてはいろんなことがあるようでございますけれども、私はやはり民間とか大学という研究者あるいはロケット人口と申しますか、そういう技術者が非常に少ないわけでございますので、そういう総力を集め得る機関といえば国家機関もあるでしょうけれども、それよりも私は特殊法人というようなものをつくって、そこで打ち上げの作業あるいはその後の管理等もやる、そういう組織をつくったほうがいいのではないかと考えております。また、役所の中にいま宇宙開発局というようなものも一応考えの中にはございますが、まだきめたわけではございませんので、いずれにいたしましても、各関係省がばらばらに予算を要求するという形であっても困りますので、やはり国家資金を有効適切に使うためには予算の一括計上が必要でありましょうし、また、計画も各関係各省の間で話し合いをしてもらっておりますものをまとめて計画を立てる、あるいは国際協力も必要でございますので、そういう面についての国際協力を求めるということも必要でございますので、そういうものを一まとめにして計画を立て、調整をし、予算の要求をし、あるいは国際協力を求めていくような機構というものが必要であるならば、私の役所の中に宇宙開発局というものをつくって、そこで総合調整をしていくことが大事ではなかろうかと思っておりますが、いまそういう構想を固めつつある段階でございます。
  84. 多田省吾

    ○多田省吾君 次に、ロケット及び人工衛星の追跡の問題でございますが、今度一つは委託に応じてあらゆる追跡をやっていくという方針のようでございますが、地理的に最適だという理由で、施政権のない沖縄に電波追跡所を設ける予定だそうでございますが、その理由ですね、どうして沖縄でなければいけないのか。  それから委託は、もしアメリカ軍あたりから軍事目的のために委託を受けるということがあったならばそれを断わるのか。そうすれば、どうしても委託の範囲というものをきちっときめなければいけないと思いますが、その計画がおありなのかどうか、その点をひとつ。
  85. 高橋正春

    政府委員(高橋正春君) 沖縄におきまして追跡所を設けます理由は、まず宇宙開発審議会の昨年八月の建議に際しまして、追跡をいたしますためには、計算室とそのほかに三つの追跡所をつくる必要があることになっております。さらに三つの追跡所は、できるだけ赤道に近くて観測可能なところが必要であるということをいわれております。したがいまして、三カ所のうち、現在打ち上げ施設のございます内之浦とそれから東京の計算室に追跡所を設けますと、あと一カ所は大体技術的に五百キロメーターの遠隔の地でございませんと、データをとりました場合の時間差が非常に少なくなりますと技術的に追跡が不可能になります。そういたしますと、内之浦から南に五百キロメーター離れた中間距離をとりますと沖縄ということになります。さらに必要な条件といたしまして、おのおのの追跡所の問並びに計算室の間にマイクロ回線がございませんと、データを直ちに計算室に送ることができません。そういうようなマイクロ回線を利用し得る条件のあること等、以上技術的な理由から沖縄に定めたのでございます。  なお、後段の、アメリカ軍の要請によりまして、軍事的な利用をいたすということは、先ほどから申し上げておりますように、この宇宙開発は平和利用の目的のみ行ないますので、そのようなことはございません。  なお、具体的な追跡の計画といたしましては、現在ございますのは、四十二年度末に打ち上げられます東京大学の科学衛星第一号を追跡するということが具体的な計画となっております。  以上でございます。
  86. 多田省吾

    ○多田省吾君 最後の一点でございますが、東大のL4式ですか、科学衛星はまだ打ち上げられないわけでございますが、宇宙開発推進本部が中心となって種子島で行なうようになっている昭和四十五年までの実用実験衛星ですね、これはほんとうに見通しがあるのかどうか。で、液体燃料を最終段階で使っているようでありますけれども、誘導装置はどうなっているのか、また、組み入れ実験が成功したとこの間伝えられましたが、その実験の意義、さらにこの前衆議院でも問題になっておりましたけれども、このロケットがオネストジョンのような軍事目的にも使おうと思えば使えるのか、その点をまとめてお願いします。
  87. 高橋正春

    政府委員(高橋正春君) まず将来の実用実験衛星の実現の構想でございますけれども、これは宇宙開発審議会の答申にございますように、四十五年度を目標といたしましてこれを打ち上げるべく必要な長期計画を定めるということに相なっております。  そこで先ほど御質問のございました、私のほうの計画室におきまして特にユーザー側でありますところの関係各省の方々の御出向を仰ぎましてただいま計画を練っております。この計画ができ上がりませんとはっきりしたことは申し上げられませんけれども、現在といたしましては、四十五年度までの実用実験衛星の計画と、それから以後、五十年までの間の次の段階と、それから非常に長期の見通し、三段階を立ててやっておりますが、いまの見通しでございますると、一、二段につきましては東大のミューの改良をいたしまして大体二・五メートル程度の経になると思います。それから、液体燃料のロケットは、従来私ども開発いたしておりましたので、これを第三段目に利用いたしますが、これにつきましては誘導制御が固体燃料ロケットに比べて有利であるという点がございます。この点につきましては、本年度の四十二年度予算におきまして四基誘導制御用のロケットの試作費がついておりますので、これによりまして必要な誘導制御関係研究を引き続いて行ないたいと考えております。
  88. 多田省吾

    ○多田省吾君 軍事目的に転用できるかどうか。
  89. 高橋正春

    政府委員(高橋正春君) もちろんロケット、ミサイルというものは、これは燃料と酸化剤を自蔵いたしておりますようなことにつきましては、なるほど共通的なものがあると思いますけれども、現時点におきましては、構造、設計、その他軍事用のものとはほど遠いものでありまして、たとえば最初におきますところの加速度の問題でございますとか、あるいは積載量の問題でございますとか、そういうような点におきまして、直ちにこれを軍事利用に転用いたすということは不可能だろうと思います。
  90. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  91. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記を始めて。  他に御発言もないようですから、本案の質疑は尽きたものと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  92. 八田一朗

    ○八田一朗君 私は自由民主党を代表して、ただいま議題となりました科学技術庁設置法の一部を改正する法律案について、修正案を提出いたしたいと存じます。  修正案の内容は、お手元にお配りいたしました印刷物について御承知願うこととし、朗読は省略させていただきます。  修正の趣旨は、本法律案の施行期日である六月一日がすでに経過いたしましたので、これを公布の日に改めるとともに、定員に関する改正規定は六月一日に遡及して適用することにしようとするものであります。  右修正部分を除き、原案に対しましては賛成いたしまして、私の討論を終わります。
  93. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  それでは、これより科学技術庁設置法の一部を改正する法律案について採決に入ります。  まず、討論中にありました八田君提出の修正案を問題に供します。八田君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  94. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 総員挙手と認めます。よって八田君提出の修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  95. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 総員挙手と認めます。よって修正部分を除いた原案は、全会一致をもって可決されました。以上の結果、本案は全会一致をもって修正議決すべきものと決定いたしました。  なお、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  午後は二時に再開することといたし、暫時休憩いたします。    午後一時五分休憩      —————・—————    午後二時十分開会   〔理事八田一朗君委員長席に着く〕
  97. 八田一朗

    理事(八田一朗君) 委員会を再会いたします。  厚生省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に続き本案の質疑を続行いたします。  なお、関係当局からの御出席は、坊厚生大臣、梅本官房長舘林環境衛生局長、若松医務局長、高木会計課長、北川人事課長、橋本公害課長、松下総務課長、以上の方々でございます。  それでは御質疑のある方は、順次御発言願います。
  98. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 今度の設置法の中で、凍結欠員の解除の問題などあるのですが、現在はどういうふうに欠員の状況がなっているか。そこら辺をひとっこまかく各部門別ですか、わかる範囲で御説明を願いたいわけです。詳しいものは資料として出していただければよいのですが、一応説明してくれませんか。
  99. 梅本純正

    政府委員(梅本純正君) ただいま御審議になっております厚生省設置法の定員につきまして、本省と社会保険庁を合わせまして四十一年度末定員が五万五百七十九人でございます。四十二年度の定員としてお願いいたしておりますのは五万一千四十三人、したがいまして、四百六十四人の増員をお願いいたしております。その内訳は、本省におきまして一二百九十四人、それから社会保険庁におきまして七十人の増員になっております。  それで御質問の凍結解除との関係でございますが、今回増員を認められました、仕事として増員を認められましたのは八百四十九名でございまして、そのうち本省が七百六十一名、社会保険庁が八十八名というふうになっております。その本省七百六十一人の増員につきまして、そのうち三百六十六人の欠員の解除を認められたわけでございます。したがいまして、純増として三百九十五人の純増になって定員法の改正をお願いいたしております。それから社会保険庁につきましては、八十八人の増員でございまして、そのうち凍結解除につきまして十八人の解除を認められまして、したがいまして、純増七十人の増員を定員法の改正でお願いいたしております。  それから先ほどの凍結解除の点でございますが、来年度の予算を決定されました時期におきまして、先ほど申し上げましたように、三百六十六人の凍結解除をお願いしたのでありますが、その当時におきましてなお十一人の凍結解除の残を残して予算を編成したわけでございます。その後、凍結解除の数も順次各部局において徐々にふえておると思いますが、現時点におきましてまだ正確な数字をつかんでおりませんが、これの数倍の数が凍結欠員という形であらわれてきておるものというふうに考えております。
  100. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 私の質問は、四十二年度の定員増のことではなくて、現在——四十一年度といいますか、そこでその欠員がどういうふうになっているかということなんです。そこはどういうふうになっておりますか。
  101. 梅本純正

    政府委員(梅本純正君) 先ほど申し上げましたように、予算編成時点におきまして十一人の凍結欠員の残がございましたのですが、その後各支分部局なり、附属機関なりにおきましてこれの数倍にわたる凍結欠員が生じておるものと思いますが、本日現在につきまして正確な数字を持っておりません。
  102. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 私も官庁の何といいますか、定員のことよくわからない。わからないと言っちゃ申しわけないのですが、わからないのですがね。私の聞きたいのは、四十二年度の予算の関係だけじゃなくて、四十一年度の段階において、もう一つ前の段階において、これはまだこの法案は通っていないわけでしょう。通っていない段階において欠員がどのくらいあるのか。これは十一名だけということなんですか。そうじゃないでしょう。どういう比べ方をしたらいいのか。
  103. 梅本純正

    政府委員(梅本純正君) 一定の時点をとります場合に、予算編成で、予算を確定します時点をとったわけでございます。その場合に、それまでの凍結欠員といいますものは、先ほど申し上げましたことをもう少しお話ししますと、三百六十六人と十一名とを足しました三百七十七名が四十一年度末におきます凍結欠員でございます。そういうことになります。それで今回の設置法にお願いしております増員分が出てまいりましたので、凍結欠員を差し引いて厚生省の定員が四十一年末で五万五百七十九名ときめられておりましたので、それにやはり四百六十四人の増員をお願いいたしておると、こういうことでございます。  なお、御承知のように、凍結欠員につきましては、原則として、離職によりまして発生した欠員数のうち、行政職については五割、それから私のほうは特に病院、療養所を持っておりますので、研究職及び医療職につきましては九割を限度として埋めてもよろしいという原則になっておりますが、それでなおかつ埋められない欠員が、先ほど申しましたように、四十一年度末で三百六十六人とプラス十一名、四百七十七名ございまして、その後なおこの欠員につきましては、残り十一名がなおもう予算編成の四十一年末から数カ月たっておりますので、これの数倍にわたる欠員が各支分部局なり附属機関も合わせまして出ておると思いますが、ちょっと正確な数字を現在の時点でつかんでおりません。
  104. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 いまの三百七十七名ですか、その欠員というのは、具体的にはどこにどういうふうに発生しているものなんですか。どういう部門に欠員が多いかということですね。それが一つと、それからもう一つは、いまあなたの言われた最後のところでですね、十一名が補充されないのだけれども、それは現在ではそれに数倍するものが欠員になっているというような話を、いま最後にされましたね。それは四月一日からふえているという意味ですか。どうもよくわかりませんけれども、具体的にどういうことですか。
  105. 梅本純正

    政府委員(梅本純正君) 第一点の欠員の生じております部門でございますが、やはり一番大きい部門につきましては国立療養所関係でございます。これは二百数十名という一番大口になっておりまして、その次が数字的には厚生省の内部部局の六十数名というのが大口でございます。  それから、その次の十一名の点でございますが、先ほど申しました制度によりまして、一般職については五割、研究職及び医療職につきましては九割埋めてもよろしいという形になっておりますが、それが埋められない状況のものが、先ほどのように四百七十七名残っておりまして、そして大蔵省なり行政管理庁と折衝の際に十一名だけを残しまして解除を認められました。そうしますと、その制度がずっと続いておりますので、やはりぼつぼつと辞職しました場合に、埋められない欠員というものがやはり数カ月のうちにこれの数倍ぐらいにふえてるんじゃなかろうかというふうに考えておる、いままでの進行状況から、経験から見まして。正確な数字が必要でございましたら、各支分部局、附属機関、調べましてまたいずれの時期かに資料を提出したいと思います。
  106. 北村暢

    北村暢君 関連。いまの、定員の改正が出てるんだから、何月何日現在三月三十一日なら三十一日現在で定員というものが幾らで、欠員が幾らで、そのうち凍結欠員がどうだとかと、この数字が大体わかってなけりゃならないんですよ。大体三月三十一日ということで大体わかっているのが普通の官庁であたりまえの話なんです。で、いまの答弁聞いていると、官房長の答弁聞いてるというと、どうもはっきりしないようですね。そしてまた納得いくような答弁にどうしても聞こえない。ですからね、これは表で、ひとつ資料として出してください。三月三十一日現在の欠員がどういうふうになってるのか、凍結欠員凍結欠員というけれども、凍結欠員以外に欠員あるわけでしょう。凍結するものがあるけれども、欠員の補充のしかたについても、その補充されない欠員もおるわけだ。三月三十一日なら三十一日現在の定員の状況というものを、定員と実員との状況がわかるように資料でひとつ出してもらわないというと、どうも論を聞いててはっきりしないですよ、これ。ひとつそういうふうにしてください。
  107. 梅本純正

    政府委員(梅本純正君) 先生のお話を承りましてはっきりわかりましたのは、われわれのほうで御審議願っております定員法の組み方が、増員と凍結解除ということで組みましたためにそういうふうに申し上げましたが、先生の御質問は、四十一年度末なら末の定員と、実際の欠員という資料々出せということでございますので、早急に御提出いたしたいと思います。
  108. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 私の質問したのも、いま北村さんの言ったような趣旨質問をしていたつもりなんですけれども、その点が十分、まあ私の率直にいって質問のしかたもわかりにくかったかと思うのですが、ぼくが疑問に思いますのは、いま官房長が言われた、聞きたいのは、全体としての欠員は幾らあるかということよりも、むしろどこの部分にどういう欠員があるかということが、これはぼくは一つのポイントだと思うわけですよね。そこで、国立療養所が二百何名ということを言われた。そこで、あなたの手元で定員の改正を出すときに、厚生省の内部でもどこで何人の欠員があり、どこの時点をとるかはいろいろあると思うのですがね。それがぴしっと出てないと、これはぼくはやっぱり何か発展しないんです、論議がね。その場合に、私が言うのは、多少無理があるかもわからぬと言うのは、いつの時点をとるかということは、これはぼくはあなたのほうにまかしたほうがいいと思うんです。この時点をとってやれと言ったって、これはなかなかたいへんな騒ぎですからね。あなたのほうで言われた資料の中で、国立療養所が二百何十何人とか言われた、これぴしっとした数字じゃなかったように聞いたんです。だからちょっと変じゃないかというふうに感じたのですよ。ちゃんとした数字をある時点をとって出せるようにしていただかないと、質問が進まないわけです。それが出てこないから質問しないというわけでもないですがね。そこのところはどうなんですか。
  109. 梅本純正

    政府委員(梅本純正君) 先生のおっしゃいますポイントからもう少し大ざっぱなものでございますが、一応四十二年三月三十一日現在における欠員状況でございますが、本省の定員が四万九千九百五十四人、現在員が四万九千十一人、欠員九百四十三人、それから社会保険庁が定員六百二十五人、現員六百一人、欠員が二十四人、こういうふうになっておりまして、あと特に本省につきまして、附属機関なりあるいは国立病院、療養所の内訳につきましては、あとで資料にいたしまして御提出いたしたいと思います。
  110. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 これは厚生省が出した資料なのか、調査室で独自に調べた資料なのか、それはぼくのほうちょっとわからないんだが、ぼくらのところに配ったのでは、増員の内容で、内部部局と附属機関、附属機関はいろいろありますね、国立病院、国立療養所、こう分けて増員関係が出ているわけです。出ているんですが、もう一つ前の段階のものが当然なければならぬ。それでお聞きしているわけですよ。この資料がどっから出たのかこれは別にして、それがわからないと……。いまの厚生行政の中での欠陥がどこにあるかということをはっきり見きわめる必要があると思うのですよ。どこへ重点を置くか、置かなければならないか、そういう理由、欠員がたくさんふえている部門、それはどういう理由かとか、いろいろあると思うんですよ。これを一つ一つ説明を聞いていかなければならぬのですが、そこら辺のところがはっきりしないんですが、進行どうしますかね。
  111. 八田一朗

    理事(八田一朗君) 速記をとめてください。   〔速記中止〕
  112. 八田一朗

    理事(八田一朗君) 速記を起こしてください。
  113. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 その資料はあとでいただくとして、質問を進めますが、私はよくわからないんですが、定員法のこと。内閣委員会に来たのは初めてなもんでわからないんですが、初歩的なことをお聞きして、何だ、こんなことを聞いておるんかと思って聞いておられる方もおられると思ってちょっと恥かしく思っているんですけれども、あなたの言われるように、本省が九百四十三、社会保険庁が二十四の欠員があるというわけでしょう、四十二年三月三十一日で。前の凍結の関係の欠員ですか、よくわかりませんが、それを合わせると何名になるんですか。当然違っていいわけですね。五割の場合と九割の場合とあるわけですから、それとの数字的関連はどうなってくるのですか。
  114. 梅本純正

    政府委員(梅本純正君) 先ほど申しました四十一年度の凍結欠員の残というのを十一名と申し上げましたが、それが相当数ふえておるというふうに申しましたが、四十二年三月三十一日現在におきます合計が九百六十七名の中には先ほどの凍結定員も含まれておる数字でございます。三月末でございますので、退職者も相当ふえるということで九百六十七という数字が出ておるわけでございます。
  115. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 本省の九百四十三名と社会保険庁で二十四名の欠員が四十二年の三月三十一日現在あるというわけですが、これは間違いないわけですね。数字的な問題ですから、別に重要なことでもないので、ぼくは別にそれをお話ししているわけじゃないのですが、それで前に言われた国立療養所が三百何名、内局が六十何名というが、それとの数字が違うのはあたりまえだと思うのですが、そうすると、両者の数字の関連ですね、関連が一つと、それからこれはわかるのでしょう、五割凍結のものの欠員と、それから九割のものの医療職とか研究職ですか、一割は凍結になるのですか、それとの内訳は当然出てこなければならぬわけでしょう。いま言われた国立療養所が二百何名、それから内局が六十何名というのが出てくるのでしょう。出てこなければおかしいのじゃないかな。
  116. 梅本純正

    政府委員(梅本純正君) ただいま本省のほうから数字をとっておりますので、先ほどの数字とあわせて一緒にお答え申し上げます。
  117. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 それが来てから質問するのがいいかと思いますが、国立療養所のそうした欠員があるというのは、具体的にはどういう人の欠員が多いわけですか。お医者さんとか看護婦とか、看護婦の中でもこういう看護婦があるとか、いろいろあるわけでしょう。それらの欠員はどういうふうになっているのですか。
  118. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 国立療養所の関係の欠員では、医療職(一)つまり医師の部分でございますが、これが五月一日現在で二百六十三名欠員、医療職(二)といいまして、これはレントゲン技師とか、薬剤師とか、衛生検査技師とかいう者、これが二百九十二名です。それから医療職(二)、看護婦あるいは助産婦でございますが、これが九百三十七名の欠員でございます。その他行政職(一)、(二)については若干オーバーだと思います。これはオーバーといいますのは、行政職(二)、つまり看護婦の欠員が多いために、看護助手という者を若干埋めておりますので、その関係で行政職(二)のほうに若干振りかえて充足いたしております。
  119. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 もうさっきの説明では、四十二年三月三十一日の現実の欠員が本省では九百四十三名ということだったでしょう。それがいまの説明では千五、六百になってしまうのじゃないですか。その違いはどこから出てくるのですか。どうなっているのですか。日付は違うわけですね、片方は五月一日だから。
  120. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) いま欠員のほうだけ申しまして、過員といいますか、余分に採っているほうを申しませんでしたが、たとえば看護婦の学校を卒業いたします。そして看護婦の国家試験を受けます。その試験の合格発表までは、これはまだ看護婦の免状を持っておりませんので、たとえば医療職日に採用すべき者を暫定的に行政職(二)で採用いたしております。これが行(二)で千七十名、そういうような者を過分に入れております。したがって、このようなものを差し引きいたしまして総トータルで四百七十四名が欠員になるわけでございます。
  121. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そうすると、いまの行(二)では千七十名いるという人は、将来はどこへ行くのですか、医療職の(一)、(二)、(三)のうちの。
  122. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) これはほとんど大部分が医療職(三)に転換すると思うのです。
  123. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そうすると、千七十名が医療職日にほとんど行くと、いま九百三十七名の欠員があると言っていましたね。今度は過員になってしまうのじゃないですか、医療職(三)が。
  124. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 看護婦といいますものは大体定員がございますけれども、看護婦の学校を卒業いたしますのが三月、そして国家試験が四月あるいは五月ということで、その時期に一挙に採用いたします。後の時期にはほとんど採用は不可能になります。したがって、年間平均でほぼ定員が充足されるように年度の初めには多少余分に採りまして、それがどんどん結婚やその他でやめていって、年度のしまいには逆に欠員になるというような状態が常例でございまして、そういう意味で年度の初めには幾らか余分に採っておるのが従来の常識でございます。
  125. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 いまの看護婦の問題でお聞きしたいのは、看護婦さんは患者何名に対して何名という形の、いわば一つの基準みたいなものができているわけですか。
  126. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) これは医療法で大体病院におきましては、一般のベッドにつきましては四ベッドに看護婦一人、精神とか結核とかというものにつきましてはおおよそ六ベッドに一人という大体の標準がございます。
  127. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 それは何かできまっているのですか。
  128. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 医療法の省令でおおむねの病院における職員の標準というものを定めております。
  129. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 それが出てきた根拠はどこにあるのですか。そういうような具体的な、実証的な調査などをしたとか、いろいろな形によってそういうものが出てきたと思うのです。目分量で出てきたわけではないと思うわけです。どこから出てきたかということが一つと、それから、たとえばアメリカとか、ヨーロッパとか、社会主義国でソ連とか、こういうようなところではそういう点はどうなっているのですか。それはわからないならわからないでけっこうですから大ざっぱでいい。というのは、なぜこういうことを聞くかというと、こういうものが出てきた根拠というものはきわめて薄弱だということを病院関係の人、厚生省関係の人も言うのですよ。それで私お聞きするわけですがね。
  130. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 医療法に定めております一般ベッドの場合、四ベッドに対して一人、精神、結核は六ベッドに一人というようなものは医療法制定の当時直ちに省令できまりまして、いまからすでに十数年前にきまったのでございまして、それがどういう科学的根拠できめられたかということについては、いま御指摘のように疑義がございます。私どもも、十数年前のことでございますが、大体そのころのやはりおよその実情に合わして大体きめたということが現実のようでございまして、これを諸外国と比較いたしますと、およそ諸外国、文明国の中で、日本くらいのところ、あるいは日本より若干低いようなところもありますし、かなり高いところもあります。しかも各国によりまして違うのみならず、各国の中でも施設ごとに非常に違っております。かなりいい施設とか、あるいは高度の医療を行なう施設はほとんど二対一というようなことにしておりますし、また、逆に欧米でもたとえば精神、結核というようなものは日本よりもはるかにまた低いところもございます。そうしてしかも、看護婦というものが一定の資格を持っておるわけでございますが、日本では看護婦、准看というような二種類になっております。さらにこれに看護助手というものを現実に使っておりますが、各国の看護婦の制度がそれぞれまた違っておりますので、アメリカのようにレジスタード・ナースという者は非常に高くて、その一人が十数名の看護助手的な者を使うというようなところもあり、日本のようにほとんど大部分を少なくとも看護婦、准看というような有資格の者で埋めておるところもあり、看護の事情というものは各国によって相当違っております。そういう意味で、数だけの上で一律に比較することもまた事実上困難かと思います。
  131. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 医療制度が国によってみんな違うわけですから、だから、沿革もあるし、そういうようなことで一ただ外国がこうだからというようなことでは問題の資料にはぼくもならないと思います、厳格に言って。だからその点はあまりやかましく言わないのですけれども、いま言った、何人に対して一人というようなことは法律できまっているのですか、省令ですか、告示ですか。ぼくも勉強していないので申しわけないのだけれども
  132. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 医療法の省令でございます。
  133. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 それが何かだいぶ前のようなことを言われておりましたが、その当時の実情ということからでしょうけれども、そうすると、厚生省としては、相当十数年たったのですか、それで現在はどういうふうにしようというふうに考えているわけですか。現状のままでいいという考え方もあるでしょうし、それからそれをもっと、三対一にするとか、二対一にするかは別として、しなければならぬ、これは理想かもしれませんけれども、理想としてはどういうふうに考えているのかということですね。それと、しかしいま現実に財政の問題だとか人の確保とか、こういったようなものからいってそう理想どおりにはいかぬ、まあこの程度ならやむを得ないだろう、こういう線もあると思うのですね。あるいは逆に、医学が進歩してくるし、いろいろな技術も進歩してくればまた逆な考え方もあるかもしれませんがね、そこら辺はどういうふうに考えておりますか。
  134. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 看護婦の基準といいますか、通常基準と称しておりますが、医療法の省令におきましては、標準とするということばを使っております。標準でありますので、その上下に相当の幅があるという解釈でございます。当然それは上下に幅がなければならぬのでございまして、たとえばがんセンターみたいに非常に手のかかる病気の患者をたくさん収容しておりますところでは、四対一ではとうてい間に合いません。したがって、二対一程度にする。また、小児病院みたいに小さな赤ん坊だけを扱っておりますと、これも非常に手がかかりますので、事実上三対一に、子供三人に一人というふうにいたしております。また、同じような一般病院でも、軽症だけを扱っておるところでは四対一までいかないところもございます。そういう意味で、病院の性格によりまして本来相当幅のあるべき性質のものでございます。これを一律に押えていくということはむしろ現実に沿わない規定でございます。しかし、ただ私どもこれを標準といたしておりますのは、実は医療機関によりましていろいろな差がありますけれども、一面、健康保険法の入院料等を点数単位できめます場合に、がんセンターの入院料は二千円でよろしい、どこの病院は千五百円でよろしいというような格差を設けておりません。したがって、大ざっぱにやはり比較的看護力の薄いところも厚いところも一応に入院料が定まっておるわけで、そういう現実から見れば不合理でございますが、そういう不合理をそのまま容認して、そういう手のかかるものはなるべく公的医療機関でやるというような態度をとっておりますために、一応医療機関の水準を確保するという意味から、標準を定めましてそれに合わせていくという方針をとっておるわけでございます。
  135. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 予算の概算要求するなり予算要求するときに、どういう基準で四十一年度、四十二年度を大蔵省に要求しているんですか、具体的な数字はどういうふうになっておりますか。
  136. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 現在国立病院が二万ベッド、国立療養所が六万ベッドでございますので、がんセンターとか小児病院とか特殊なものもございますけれども、それは置くわけでございますけれども、したがって、現実には医療法の標準でもって算定して定数を要求し、その間でやりくりをやっておるというのが実情でございます。
  137. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そのベッドの数は全体として動かないわけですか。それから、だけれども、患者の数はベッドの数と、回転なんかもあるから多少見込みは変わるかもわかりません。そうすると、四十一年度も四十二年度も予算要求するときに看護婦の人の数をこの程度ふやしてくれというものを同じように要求しているんですか、多少違うのですか。
  138. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) これは私どもたとえば国立病院が二万二、三千床あると申しましたが、二万三千床という、建物は二万三千床ありましても患者は二万人しか入っていない、国立療養所は六万数千床分のベッドを持っておりますけれども、現実には五万人しか患者が入っていない。そういう患者の実情をとらえまして、医療法上許可されているベッドというものは六万ベッドである。しかし、現実に運用するベッドは五万ベッドであるというふうなことにかんがみまして、その現実の数に合わしたものを私ども訓令病床、大臣の訓令によって定めた病床というものをつくりまして、その訓令病床というものが現実の患者に合わせた運用に必要な人数でございますので、その面から病床というものを年々更新しておるわけであります。つまり、ある病院は去年は二百名入っていたけれども、ことしは百六十七名しかなかった。あるいは去年は三百名の訓令で定員を配賦したけれども、ことしは実績が三百五十名も入ったというような差が出てまいります。そういう場合は年々訓令を修正しながら実情に合わせていくということでございまして、そういう意味で病床増に伴なうもの、あるいは外来患者の増加に伴なうものというようなことでいろいろ計数をはじき出しまして、総定数を要求するわけでございます。
  139. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 その訓令病床というのは、四十一年度、四十二年度各病院なり療養所いっぱいありますね、それごとのものがあるわけでしょう。いまそれを全部ここで述べろというわけじゃありませんよ、ものがあるわけですね。そういうものを資料として出してもらいたいのですがね。私、なぜそういうことを申すかというと、厚生省の予算要求というものの根拠が非常に科学性に乏しい場合が多いわけですよ。たとえば生活保護基準のきめ方の問題にも出てくると思うのですね。これはきょうは関係ありませんけれども、生活保護基準というものがそう科学的にきまるものではないにしても、それをある程度の科学性というものをもってきめていって、そうしてこれだけが必要なんだからというので、大蔵省のほうへ要求するというならこれは私は筋が通ると思うのですよ。ところが、あなたは、聞いてみるとそうでないような、去年より何%よけいくれというような形で、概算みたいな形で要求するから、大蔵省のほうから聞かれるとさつばり科学的な根拠がないというので何だということになってうまくいかないというようなことも、ぼくは朝日訴訟の中でいろいろ何といいますか聞いたり、自分も代理人としてなった中で感じてきたのですけれども、ですから、いまのこの場合はそれとはちょっと違うと思うのです。生活保護基準の場合にはなかなかむずかしいところがあるから違うと思いますけれども、そういうふうなことを、しっかりとしたものを持ってその上で看護婦さんの問題、お医者さんの問題というか、この定員の増の問題というものもやはり研究していかないとぼくはいい議論にならない、こう思うものですから聞くわけです。だから各療養所、各病院ごとの毛のを出していただきたい、こういうふうに思います。これは当然できているのだと思いますがね。それからいま言った入院患者を外来との場合ですね。もちろん外来の人もたくさん、多いでしょうけれども、看護婦さんがそれに関与する一つの何といいますか、ウエートというか、たとえば入院愚者を一〇と見れば外来を幾らに見るとかパーセンテージを見る、こういうふうな割合で計算していっていると私は思うのですがね。そうでないと、看護婦さんの一人当たりの負担量というものは出てこないと思うのですよ。たとえば話は違いますけれども、法務局あたりでは、この謄本の場合を一〇とすれば、いろいろな抄本の交付の申請とか、いろいろなほかのものが簡単なものがあるわけですよ。甲と乙とに分けて、それで乙は甲の何分の一くらいの割合、こういうふうな形で一応計算するわけです。その計算が合っている場合もあるし合っていない場合もある。そこら辺のことはやったことがあるのですか。
  140. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) お話のように、病院には外来と入院とございます。入院についてはただいまのように四ベッドについて一を基準とする、外来については三十人について看護婦一人というそれぞれの基準を設けてございます。
  141. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そうすると、外来患者は三十人について一人というのはいつごろからやっているのですか。それはずっと変わらないのですか。また、その根拠はどこにあるのですか。
  142. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 外来について三十人に一人というのは、これは医療法の規定でもなく慣習的にやっておりまして、これは現実に慣習的に妥当な線をはじいて、そのようにきめてこと当分そのまま続いております。
  143. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そうすると、外来をやる人と入院関係をやる看護婦さんと同じ人がやるわけじゃないでしょう、別の人がやるわけでしょう。その場合、そういう計算で一応厚生省としてはずっとはじいてきている、こういうわけですね。そこで四十一年度、四十二年度はどの程度の人員を要求したのですか。看護婦さんにしろ、お医者さんにしろ、どの程度認められたのですか。
  144. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 大蔵省に要求した額は現在よくはっきり覚えておりませんが、千数百名要求したものと思います。といいますのは、私どもとしては、現在なお国立病院の建物そのものが全部フルには使っておりませんし、できるだけふやしたいということと、それから建物が近代化整備を進めておりまして、その際に相当の増床ができる分もございます。それらの点もできるだけ早く使いたいということから本年度内に定員増を認めてもらいたいというものも建設ができ上がってからというようなことで押えられるというようなこともありまして、現実にはそのような数におさまったわけであります。
  145. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 いや要求したのは何名であってその根拠はどこにあるかということなんです。何名認められたかということです。これはもちろん要求するときには、これは多少オーバーにするのはやむを得ないから、そういまのように根拠と言われても困る、多少山をかけているのだからその点やかましく聞かないでくれと、こう言われるならぼくらのほうもなるほどなと思うけれども、そうじゃないと言われるならその根拠があるわけでしょう。この看護婦さん千何名要求したという根拠があるわけです。あなたが言われたような抽象的なものじゃなくて、もう少し何かなくちゃならないんじゃないですか。あると思うのですけれども、そこまで言えないというなら話は別として。
  146. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) もちろん私どもといたしましては、看護婦の数も多々ますます弁ずるわけでございますし、いい看護をするということが国立としては望ましいわけでございますが、現実には医療法の定数というもの、基準というものをあんまりはみ出しますと、それが国立だけじゃなしに文部省にも波及し、さらに県立もそれにならうというようなことになりますと、定員の問題が非常に他に影響するところもございます。そんなこともあるかと思いますが、やはりなかなか基準外には定数の増を認めてくれないというのが実情でございます。
  147. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 いや、わかるけどね、そういうことを聞いているのじゃなくて、千何名というのは——何名要求したのかわかりませんけれども、その要求したのはどういう根拠で千何名という数字が出てきたのかということを聞いておるわけですけれども、資料あるわけでしょう。それを聞いているわけですよ。あんまりこまかいことは聞きませんよね、悪いから。
  148. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 定員が認められなかったということの中には、たとえば私どものほうとしては、現在の病院自体の入れものから考えてまだ二千床程度はふやせるというものについてはフルにそれを要求する。あるいは現在医療法の規定にはないけれども、ことしは非常に赤ん坊がたくさん生まれるであろう、そのために産科方面の看護婦も非常に足らなくなる、そういう面もたとえ医療法の規定にはないけれどもそういう方面を充実強化したい。また、外来患者の分等につきましては、実はこれは実績どおりに看護婦が充足されていない面がございます。それらも何とかわれわれの最も現実の要望に近い線まで要求するというような、いろいろな要因はきわめて多彩でございます。そういういろんな多彩な要求をしているわけでございますが、現実にはやっぱり病院経営全体の問題もあって、あるいは現実に看護婦が著しく不足しておりますので、あまりに一カ所に集中するといいましても全体の需給問題もございますし、まあほどほどのところで妥結したということであろうと思います。
  149. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 私の聞いているのは何名どういう根拠で要求したのか。——それじゃ何名認められたのかということに端的にしぼりますわ。
  150. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 昨年の千数百名の要求の中の内訳を現在私ども手にしておりませんので……。
  151. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 いや認められたのは何名……。
  152. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) お手元にございますように、病院関係の定員は二百九十九名であり、療養所関係は二百八十八名でございます。
  153. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 この二百八十八名というのは重症心身障害者対策としての二百五十二名と進行性筋萎縮対策としての三十六名、この合計が二百八十八名ですね。これが全部看護婦さんということになるわけですか、これは。児童家庭局長はきょうは高知へ行っていますから、そっちの管轄になってわからぬなら聞きませんけれども、そっちのほうで。病院のほうでは看護婦さんをふやすというあれはなかったわけですか。
  154. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) ただいまの最初の重症心身障害者対策並びに進行性筋萎縮対策というのは各種の職種が、医師、看護婦、理療師、いろいろ入っております。それから国立病院の関係では、そこにございますようにいろいろの職種がありまして、たとえば一番大きい「病床切替に伴う増」という、資料にございますが、これはほとんど看護婦であります。その他定床増に伴う増、これもほとんど看護婦、最初の三項目はほとんどが看護婦でございます。医師が若干入っております。
  155. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 二百八十八名というのがいま言った国立療養所関係の二つの数字に合うものですから——偶然で合っているのかもしれませんけれども、そういう感じ持ったのですが、いまあなたの言われたところで言うと、どことどこに看護婦さんがどのくらいふえることになるのですか。
  156. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 重症心身障害者対策二百五十二人となっておりますが、これは十四カ所に分散されております。その他国立病院関係のものは、これは相当各施設に分散されますので、現在何カ所になりますかちょっと私覚えておりません。
  157. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 いや国立病院のどこに何名ふやすかということは、そういうことは聞いてない。あなたの内部の問題であって、そとまで聞くわけじゃありません。私の聞いているのは、看護婦さんを何名要求して何名ふえることになったのか。その何名は大ワクでたとえば国立病院、国立療養所という分け方があるが、それはどこにどういうふうにいくのかという大ワクだけでも当然いまの段階では厚生省としては考えておるわけじゃないかと思うから聞いているわけですがね。
  158. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 明年度増員の中で、看護婦について見ますと国立病院が百四十七名増でございます。その内訳は現実に療養所のベッドの増加に伴うものが五十三名、それから結核ベッドの一般ベッドに切りかえるというために、たとえば六対一を四対一に切りかえるための差額が八十三名、それから国立療養所が一部転換してまいりますので、そういう施設の転換に伴う増が八名、それから国立病院に併設しております看護婦養成所の指導者としての看護婦が三人というふうなことで百四十七名になります。  それから国立療養所関係の看護婦の増は百六十名でございまして、重症心身障害児施設に百四十名、筋ジストロフィー施設に二十名というのが内訳でございます。
  159. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そこで看護婦さんの夜勤制限ということに関連する人事院の判定が四十年の八月に出ておりますが、これはどういう判定ですか、どういう経過からその判定が出るようになったのですか。
  160. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) それは国立病院、療養所における看護婦の勤務態勢が過酷であるということから、国立病院、療養所の職員の団体である全医労が人事院に行政措置要求をいたしたわけでございます。そのおもな内容は、夜勤の看護婦の夜勤の回数を減らしてほしい、それから看護婦の勤務する看護単位と言いますか、これは一病棟に婦長一人、看護婦十名というような場合に、その看護単位と言いますか、その看護単位の人数を患者四十名程度に減らしてくれ、現実は五十何名になっておりますが、それを四十名程度に減らしてくれ、それから一人夜勤を解消してほしい。また、産前産後の夜勤を一年間免除してほしい。また、休憩、休息の時間を明示してほしいというようなことがおもな内容でございます。それに対して、人事院の判定が出たわけでございます。
  161. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 その人員、判定というのは、それに対してどういうような判定があったわけですか。
  162. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 第一の夜勤の問題につきましては、人事院への全医労の要求が、夜勤回数は月六日以内にしてほしいという要求に対して、人事院判定の要旨は、約八日を一応の目標として、計画的にその実現をはかるようにという判定でございます。  次に、看護単位の問題につきましては、一看護単位の病床数を四十床以下にし、二名以上の夜勤勤務を配置することという要求でございますが、これに対して人事院の判定は、すべての看護単位における患者数を一律に規制するということは適当でないと、一人夜勤を実施している看護単位であっても必ずしも二人以上の夜勤者を配置しなければならないというものとは認められない。ただし、一人で一人夜勤をするような場合には、患者の容態の急変等の事態に即応するような措置もとれるようにしておく。また、二人夜勤を必要とするような看護単位で、現在二人になっていないようなものについては、計画的にこれを改善していくというような判定が出ているわけでございます。  また、産後の夜勤につきましては全医労の要求は、産後一年間は夜勤を禁止してほしいというものに対して、人事院の判定は、おおむね六カ月程度を標準にして、実情に応じた夜勤免除をやるようにという裁定が出ております。   〔理事八田一朗君退席、委員長着席〕  また、休憩、休息については、全医労の要求が、休憩、休息時間を職員ごとに明示しろということでございますが、人事院の判定は、昼間の勤務の場合には明示すべきである。しかし、夜勤についてはこれを明示してみたところで、必ずしも実効がない。したがって、計画的に勤務態勢を整備して、休憩時間を明示するようにし、また、休息時間については実情に応じて実際に休息がとれるような配慮をするようにというような判定が出ております。  以上が、非常に長文の判定でございますが、要約するとそのようなことでございます。
  163. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 これは申し立てと判定をあとで資料としていただきたいと思うのですが。  そこで、これは大臣、いま言った人事院の判定が出て、そうして、これに対して厚生省としては、それを受けてどういうふうにしたのか、どういうふうにして、現在どうなっているかということですね。これは大ざっぱな点を伺って、具体的にはあとで政府委員でいいですが。
  164. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) 人事院の判定は、厚生省といたしましても、これは十分尊重すべきものだと、こういうふうに解釈をいたしまして、順次その判定の線に沿いまして諸般の改善を行なって、予算上におきましても、いろいろの措置をとってまいっておる次第でございますが、いろんな関係もありまして、十分これを充足するというところまでいっておりません。詳細なところは事務官からお話し申し上げます。
  165. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 いまの点は、一般的には大臣の言われたとおりですが、具体的にそれを受けてどういうふうに行政上の指導をしたとかいろいろありますね、そうして、結果としてどうなっているかという点ですね。これはどうなんですか。
  166. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) これは全般的に非常に望ましいことでありますけれども、非常に困難の多く伴う仕事でございまして、できるだけ努力をしてまいります。  第一の夜勤日数につきましては、看護単位で見ますと、婦長一人に大体看護婦十人というのが標準でございます。これでもって毎日毎日夜勤を交代で組んでおるわけでございます。したがって、同じ十人の中で夜勤の回数を減らすということになりますと、どうしても看護婦の絶対数を増加しなければなりません。また、一人夜勤でやっているところを二人夜勤にするということもまたこれも絶対数を増さないとなかなか困難であります。そういう意味でこの要求を完全に実施してまいりますためには、相当数の看護婦の増員が必要でございます。これがこの当時、三十八年の要求でございますが、当時から、三十八年、三十九年という時代は、実は歴史的に見まして看護婦の数が一番足りなくなった時代でございます。といいますのは、御承知のように、昭和三十五、六年ころに、いわゆる病院ストライキという事態がございまして、それにその他各方面にストライキが起こりまして、看護婦が白衣の天使とかナイチンゲールとか言われた時代から、看護婦は低廉酷使労働であるというようなことが一般的に広がりましたために、看護婦の志望者が非常に少なくなった。その影響が一番端的にあらわれた時代でございます。そういう意味で一番看護婦が不足しておりました。それが逐次改善に向かいつつありますが、そういう時代でありましたので、確かに夜勤も回数が多かったわけでございます。それを逐次改善する努力をいたしておりますが、国立病院については三十八年当時九・一日であったものが四十一年にようやく八・八日、〇・五%減ったというような状況でございまして、少しずつ改善に努力をしてまいっておるという実情でございます。  また、看護単位の縮小につきましては、これは看護単位をできるだけ小さくするということは、それは看護の充実にはなりますけれども、逆に看護単位を小さくいたしますと、看護婦が非常にたくさん要るわけです。たとえば四百人を十単位にしておけば夜勤は十組でよろしゅうございますが、十五単位にすれば十五組の夜勤が要るということでございまして、夜勤の回数を減らすということと看護単位を小さくするということは相反する結果になります。そういう意味で、私どもとしては、いたずらに看護単位の数を小さくするということよりは、むしろ看護単位を整理していく。たとえば二十五床の単位と六十床の単位とあった場合に、できるだけ平均的なものにするというような努力をいたして、看護単位の調整をいたしております。  また、産後の夜勤免除につきましては、これは実情に応じまして、できるだけ夜勤を減らしていくということをやりまして、たとえば病棟勤務でありますと、どうしても夜勤をせざるを得ない。これを外来勤務にするとか、あるいは手術室勤務にする、あるいは中央材料室勤務にするというような、夜勤の当たらない勤務に回しておくというような方法で、産後の夜勤の減少をはかっております。  また、休憩、休息時間の明示等につきましては、これも人事院判定にもありますように、夜勤をしておりまして、休息時間を明示しておきましたところで、職場を離れるわけにもいきません。実態的にあまり効用のないことでございます。したがって、その実効をあげるためには夜勤勤務者の勤務環境を整備して、実際に休養のとれるような方法をやってやりたいということから、夜勤室に夜勤の場合の休息室、仮眠室というようなものを全般的に整備いたしまして、また、夜勤の場合の暖房設備であるとか、あるいは給湯、給水設備であるとか、あるいは保安設備あるいは電話その他の通信設備等の勤務環境の改善をはかることによって、実態的に休憩、休息の効果がとれるようにというような配慮をいたしてまいったわけであります。
  167. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 大臣ね、看護婦さんがいま三交代で、月に何日くらい夜勤しているというふうに大臣は聞いておられるのですか。あなたは聞いておられるかというのです。聞いてないなら聞いてないで、しょうがないけれども
  168. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) 月に九回程度と聞いております。
  169. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 これはどっからそういう数字が出てきたんですか。
  170. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) 直接私が病院へ行ったわけではございません。事務当局からの報告でございます。
  171. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 月に九日というのは、どうも違うようなんですね。多少これは自分の調べはオーバーかもしれませんが、場所によって非常に違うところもあるかもしれないから、平均して九日というふうに言うのは正しいかどうか、私はちょっと議論があると思いますけれども、大体やはり十日から十五日、ひどいところは、十五日くらいやっているというのです。少ないところで十日くらい夜勤をしているということを聞いているのですが、いま大臣が答えた平均九日というのはあれですか、どういう調査をやって、いつごろどういう調査をやって、どういう結論が出て、集計してそういうことになってきたんですか、そこらを資料として詳しく説明してくださいませんか。
  172. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 三十八年に九・一日が四十一年七月に八・八日といいますのは、実は約九日程度といいますのは、これは関東地方医務局と称しまして、関東地方並びに甲信越を含んだ地域における病院、療養所の調査でございます。
  173. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 だからいつどういうような方法で調査をしたんですか、調査の方法もいろいろあると思う。抽出して、ある特定のところだけ抽出してやったのもある、いまあなたの言ったように、関東、甲信越の全部のものに厚生省からどういう指示をしてどういうような数字が集まってきた結果、こういうのが出てきたのかということです。ばく然としたものではなくて。
  174. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 昨年の七月に関東、信越地方のただいま申し上げました全施設について地方医務局が調査いたした結果でございます。
  175. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 地方医務局というのですか、これはどこにあるのですか。
  176. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 国立病院、療養所は、国立病院が約九十、療養所が百六十カ所ございます。これを本省で一括指導するということはきわめて困難でございますが、人事面も経理面もすべてかなりこまかな指導をいたしておりますので、日本全国を八つのブロックに分けまして、ブロックごとに地方医務局というものを設けております。たとえば北海道地方医務局、東北地方医務局も関東信越地方医務局というふうに、地域別に医務局——地方医務局を設けております。
  177. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そこでやった資料というのはあれですね、四十一年七月だから少し前ですね、調査が。そこで各病院なり療養所なりへ指示してあって、そうして、そこで各病院、療養所で集計したものを上へ上げてきたわけですか、そういうわけですね、それは。  それではその各病院なり療養所ごとにどういう数字が出てきたんですか、どうやって調書したのですか、これはこまかい表はあとから資料としてもらいますけれども、調査のしかたなど相当これはラフなんじゃないですか。
  178. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 看護婦の勤務につきましては、病棟ごとに婦長が一週間あるいは一カ月ごとに全部勤務割りをつくりまして、何月の何日の何時から何時までだれだれ、何時から何時までだれだれという勤務割りを全部個人の名前を入れて勤務割りをつくるわけです。したがって、その勤務割当表を一ヵ月分まとめれば、だれが何月何日、何時から何時まで夜勤をしたかということは一目瞭然になります。
  179. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 私の聞いているのは、夜勤がいまでも、十日から十五日間くらいやっているということを聞くわけですが、そういうところもあるかもわからないし、いま厚生省の調査のようなところもあるかもしれないが、これは各対象によって違うかもわかりませんが、そうすると、それを八日以内にするという人事院の判定に従うと、これは概算ですが、あとどのくらいの看護婦さんをふやさなければならないということになるのですか。概算でいいです、こまかいことはなかなかわかりませんから概算でいいです、目見当でもいいです。
  180. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) これは勤務割りの組み方によって非常に変わってまいります。たとえば同じ人数を増加しても、昼間の勤務をずっと減らして、そうして夜間に回すというようなことをいたしますと、同じ人数の中でも夜間の勤務時間はふえるわけでございます。しかし、看護婦の勤務は原則的に三交代制で、八時間勤務でございますので、夜間の人間の勤務をふやすと、それだけ絶対数が必要なわけでございまして、それ以外は超過勤務にならざるを得ない。現実に現在看護婦については、超過勤務をほとんどいたさせておりません。そういう意味で、完全に二人制にするというようなことにいたしますと、おそらく千名以上の者が必要になろうと思います。昨年度実は四百名程度を要求いたしましたが、これは全部完全に二人制にする案ではなくて、一部は、たとえば一人夜勤の病棟が二病棟ありますと、一人をパトロールをさせて、両方を応援させるというような形で補って、完全でないにしても、ある程度の成果をあげようというようなことで試算いたしました場合に、約四百名という数字が出たわけでございます。
  181. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 人事院がどういう根拠で、どういう調査の上に、その看護婦の夜勤制限ということについては、八日以内にしなくてはいかぬという意味のことを出したのか。これは私もその点は十分調べてあるわけじゃありませんけれども、少なくとも婦人労働者を保護しなければならないという、これはぎりぎりの限界だという形で出したのじゃないかと思うのですが、そのほかいろいろな理由があるかもわかりませんが、あると思いますけれども、なぜ厚生省としては、その人事院の判定を最小限度守ろうという形で努力をしないのですか。努力はしているけれども大蔵省が聞かないというのかな。そこら辺はよくわからぬけれども、人事院判定は適当なことを言っているのだ、高ねの花のことを言っているので、それは一つのマニフェストなんだ、宣言だ、別にそれに拘束されることはないのだというような考え方なんですか。ぼくは概算聞いているわけです、目見当で。人事院判定どおり従ったら、どのくらいふやさなければならぬのかということです。こまかい数字はわからないが、その間の内部の調整なんかもあれば、もっと減るかもわかりませんけれども、人事院判定を守ろう、しっかり守っていきたいというつもりなんですか。それは大臣どうなんですか。
  182. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) 人事院の判定をおろそかに考えておるというようなことでは絶対にございません。できるだけ人事院の判定を尊重してまいりたい、かように考えておりますが、先ほど来担当局長が申し上げましたとおり、いろいろ困難な点もございまして、今日十分に充足されていないということでございまして、鋭意その線に沿うて努力してまいりたい、かように考えております。
  183. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 大臣答弁というのは、いつもそういうものですね。ぼくはそう思うのだ。いつでもそうなんだ。私は厚生省だけ責めるわけじゃないのですよ。厚生省の立場というものはよくわかっていますからね。それはあなた、日本は資本主義社会なんですからね、その中で厚生省というものは大きなウエートを占めるわけはないのです、日本の現在の政治の体制の中で。これはこんなことを言っちゃ悪いかもしれぬけれども、それはそういうものですよ。社会主義国の厚生省と全く違いますからね。これはここでこういうことを言っても、話は別ですが、いろいろ困難があるということは、いろいろあるでしょうが、どういうことですか。一つ一つあげて説明してくれませんか。どういう困難があって、それがどういう理由で除去できないのか、これは大臣でなくてもいいですけれどもね。
  184. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 二人夜勤にするということのためには、看護婦の絶対数を相当ふやさなければいかぬということでございますが、先ほど申しましたように、現在看護婦の数というものはきわめて不足しております。大ざっぱに計算しましても、約三万名ぐらい看護婦が不足しておるという実情でございまして、看護婦を求めることそれ自体も非常に困難でございます。またもしも——これはまあ現実的ではない考え方ではございますけれども国立に看護婦をあまり集め過ぎるというようなことになりますと、ほかの方面に非常にそのしわ寄せがいくという実態もあります。また、国立で完全にこれを実施するために看護婦の数を相当大幅に増加するということは、少なくとも国立医療機関では先ほど来の医療法の基準をかなり上回る結果になります。それが引き続いてその他の公的な医療機関云々に波及してまいりますと、そのしわ寄せがきわめて大きくなる可能性もあるわけでございまして、そういう意味で、当時の実情からいたしましても、あまりに大幅な看護婦の増員ということは国全体の医療体制の上からもやはり困難があるという点が一つでございますが、まあそれはむしろどっちかというと、杞憂にすぎないことでございまして、現実には大蔵省等の見解も、やはり国の医療機関も医療法の基準に従ってやるのが当然であって、もしも医療法の基準で二人夜勤がどうしてもできない、しかも、二人夜勤をどうしてもしなければならないという場合には医療法の基準をまず改正すべきであるというような意見も出ました。ここで医療法の基準をいま改正いたすといたしますと、三万人不足の看護婦がおそらく五万人、七万人不足という事態も起こってまいります。そういうことから日本の医療全体の混乱も予想されますので、そこら辺の配慮も若干あって、必ずしも定員増を強行しなかったという実態もございます。
  185. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 人事院判定として、いまの三交代制の夜勤の日数が八日以内という判定が出ましたね。そうなってくると、当然前の省令による基準というものはそれに伴って再検討されて、場合によっては改定されなければならない筋合いのものじゃないですか。そこら辺のところを厚生省はほったらかしてあるのじゃないですか。そこはどうなんですか。
  186. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) これはいろいろ検討いたしましたが、これは看護婦の組み方によりまして、一単位十名でございますので、全部必ず夜勤を二人にするということにいたしますと、当然できないことはございません。できないことはございませんが、そのかわり昼間の勤務者がかなり減ってまいります。ところが、病院の勤務というものは朝の勤務が非常に忙しく、また準夜というような勤務が非常に忙しいわけでございまして、逆に言いますと、深夜というものは仕事の量は比較的少ないのでございます、現実の仕事の量は。そういう意味で、深夜に無理に二名を配属いたしますと、なるほど夜勤は二人になるかもしれませんけれども、昼間勤務が非常に繁忙になる。そういう意味で、かえって勤務時間の労働の配分が不適正になるという点もございまして、そういう意味で、同じ定員内でやりくりをするということは非常に困難がございます。そういう意味では、まあどうしてもある程度の定員増ということが必要になってくるわけでございますが、定員増それ自体につきましては、先ほど来申しましたようないろいろな困難もございまして、そのころの時点でこれを強行するということがなかなか差し控えられたということでございます。
  187. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 いまあなたは、看護婦さんの絶対数が三万名不足しているということを言われましたね。それはどこからそういう数字が出てくるのですか。こういうふうな計算をやるには前提がありますね。こういう前提、こういう前提だから三万名不足なんだという、そういう前提から結論が出てくるわけですからね。それはどこにあるのですか。
  188. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 先ほど申し上げました医療法の基準によりまして、一般病床、結核病床、精神病床、それぞれ病床が確定いたしておりますので、それごとに入院患者に必要な看護婦を計算し、外来患者がまた統計上出てまいります、それの計算をし、また診療所につきましては、それは大体従来の実績をもとにいたしまして計算をいたしますと、大体三万名程度不足になるという計算が出てまいります。
  189. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そうすると、基準に従ってやれといっても、その医療基準というか、それに従って現実はやってないということなんでしょう。やってないけれども、それはこういう理由があってやむを得ないのだ、こういうととなら、これは一つの理由であって、それはわかります。だけど、いま言った三万名の不足ということは、基準というものをそのまま当てはめてみて計算したということになれば、計算どおりやってないということになりますね、そういうことなんでしょう。これはどういうわけなんですか、結局基準どおりやってないことは認められるわけですか。
  190. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 三万名不足ということは、医療法の基準によって計算したものより不足ということでございまして、こういうものが、もちろん病院自体に基準どおりの定数がないということと、それから診療所には基準がございません。したがって、診療所が、六万数千の診療所がございます。これが本来一人あるいは一人半ほしいというものが、実際は〇・八人しかいないということになりますと、それで三万人だけ数が浮いてくるわけでありますが、そんなことで、病院自体もある程度足りませんが、このしわ寄せが、診療所の実際の職員の要求に対してかなりしわ寄せされてきているという事実がございます。
  191. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 三万名看護婦さんが不足だということの内容として、厚生省は直接管轄しているというか、やっている国立病院だとか、療養所だとかありますね、こういうところの不足というのは、この三万名のうち、大ざっぱの計算になると思いますが、どのくらいなんですか。
  192. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 国立病院についてはもうほとんど規定どおりの定員を持ちまして、あるいは規定以上の定員を持っておりまして、それがほとんど九八%程度充足しておりますので、国立病院に関しては規定どおりにいっているといっていいと思います。
  193. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 療養所は。
  194. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 療養所につきましては、どっちかというと、余裕のあるところが多うございます。といいますのは、これは近年でございますが、年々約四千名ずつ結核患者が減少しております、国立療養所における入院患者で。したがって、四千名に相当する分だけ職員の減をしなければならぬわけでございますが、現実にはそれに見合う職員の減が行なわれておりませんために、療養所においてはむしろ過剰定員を持っているところがかなりあるという実情でございます。
  195. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そうすると、この三万名以上は医療基準に従って計算すると不足になるということは、民間の病院、開業医やなんかのところは、看護婦さんがそんなに不足しているということになるのですか、それだけ設備が悪いということになるのかな。
  196. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 一般の病院の中にも相当不足しているところもございます。ことに年々約四万床くらいの病院が増加しておりますが、新設の病院はなかなか看護婦が得られない、したがって、規定どおりの看護婦が得られない、したがってまた、ベッドを回転させることもできないというのもございまして、新しい病院あるいは精神病院というようなところにはかなり欠員があって、規定に満たないというものがあるわけでございます。
  197. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 この今度の国立病院なり、国立療養所の人員の増が、定員の改正に大きく出ているわけですね、そこで、あれですか、病院関係は特別会計になっているのですが、これはどういうわけですか、いつごろから、どういう理由でなったんですか。
  198. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 正確ではございませんが、昭和二十八年だったと思います。国立病院を特別会計に移管したわけでありまして、これは国立病院が一般の病院と同じような、同じとは言いませんが、似た形態、経営をしているものに対して、その経理の実態を明らかにする必要があるということ、それから、病院というものは、非常に事業内容に変動がございます。たとえば冬にインフルエンザが三カ月はやったというような場合に、患者が著しい激増をいたします。そういう場合、一般会計でありますと、予算がきまっておりまして、薬がなくなっても買うことができない、また人を雇い入れようとしても臨時の支出もできないというような非常に窮屈なんでございますが、特別会計でございますと、その収入でもってまかなう関係上、著しい予測しなかった事態が起きましても、その収入でもって支出をカバーしてまいりますために、非常に弾力的な面がございますというような便利もございまして、昭和二十八年から特別会計制度にいたしておるのでございます。
  199. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そうすると、各国立病院は年間の収入目標とかそういうものをいろいろ定めるわけですか、どこの病院が幾らかかったか、そこまで聞きませんが、きめるのですか、どうやってきめるのですか。
  200. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) これは大体各病院ごとに、地方医務局が個々の病院を指導しておりますので、前年度の入院患者の実績、外来患者の実績、検査件数の実績、レントゲンの実績を詳細に検討いたしまして、その傾向がどの程度になっているか予測を入れまして、大体年度の一つ目標というものを定めて、地方医務局と施設の協議のもとにそういう目標を設定しております。
  201. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そうすると、収入の目標をきめて、その収入をあげないと成績が悪かったということはないでしょうけれども、その目標を一生懸命到達するため骨折るのですか。国立病院のほうはそこまで収入目標を掲げなくても、そこまであがらなくても、地方医務局としては別にやかましく言わぬということですか、どうなんですか、督励するのですか、一生懸命。
  202. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) この収入目標といいましても、大体患者数が去年これだけだ、ことしはこれだけであろうと思えば、それを目標にいたします。ところが、去年が大体五%、おととしも五%伸びているということであれば、来年もあるいは三%くらいは伸びるかもしれないというような予想を立てて収入目標をきめます。一方支出につきましては、収入とはまた別に、その病院の実情に応じまして職員をふやす場合、あるいは施設の整備をやるとか、あるいは特殊な器機を購入する場合も含めまして、支出は支出で計算をいたします。決して収入の範囲内で支出を組むとか、あるいは支出に応じて歳出を許可するというようなことではございません。それぞれ歳入は歳入としての目標でやる、支出は一応事業計画に従ってきめます。したがって、初めから収入が支出にとうてい及ばないところもございますし、ある施設は初めから収入のほうが予定される支出よりかなり多いというものもございます。これが特別会計全般でプールさして運営されているわけでございます。
  203. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 職員の超過勤務手当などはあれですか、収入の目標をきめて、それに見合った形で超勤を配分するのですか、これは超勤と全然関係ないの、そういうこととは。
  204. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) もちろん年度当初にある程度の支出経費の内示をいたしますけれども、先ほどのように、非常にインフルエンザがはやった、あるいは夏休みで子供の患者が非常にふえたというような場合に、超過勤務あるいは臨時の雇い上げというようなものが必要であれば、必要に応じて、それぞれまた施設に追加配賦するというようなことで、弾力的に運営してまいります。
  205. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 収入目標をきめるわけでしょう。収入目標をきめることと超勤の額とは関係があるのかないのかということなんですが、これは全然関係がないわけですか。
  206. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 直接関係はございません。
  207. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そこで、病院が特別会計になって収入目標をきめる。だからどうしても収入目標をあげなければならないということで、結局、いろいろ理由はあるのかもわかりませんけれども、いわゆる差額徴収といいますか、そういうふうなものが非常にふえてきているのではないですか。これは差額徴収の実態というのは、どういうふうになっているのですか。
  208. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 差額徴収という問題は、そういう病院のいわゆる収入増のための努力とは私どもは全く関連させて考えておりません。といいますのは、昔、国立病院が陸軍病院あるいは海軍病院等から移管されまして、あるいは衛戌病院等から移管されまして、きわめてお粗末な事態に、たとえば一例を申しますと、外来患者が来ている、ぜひこの病院で、この先生に見てもらいたいけれども、入院する場合に病室を見せてもらったら、とてもここへは入れないというようなことで、その病院の先生に見てもらいたいけれども、との病室ではとても治療がやりたくないというような例が多々ございました。それをだんだん近年、各施設を近代化しまして、かなりりっぱな施設にいたしました。そういたしますと、相当その地方におけるいろいろなかなり社会的な地位にある人も十分に利用することができるようになります。そういたしますと、これも御承知のように、最近はある程度の病気では相当の地位を持っている人は、社会生活を病院の中に持ち込むということも必然的に起こってまいります。そうした場合に、これはどうしても個室で電話がほしいというようなあれが起こってきますので、そういうような実際の要求にこたえるために、ごく少数はそういうような施設をしておくほうがよろしい。これはできるだけ広い、あらゆる国民の階層に国立の医療を提供するという意味からも適当であろうということで、最小限度そのような施設をする。したがって、これは数において最小限度であると同時に、料金というようなものも一般の国立以外の医療機関に比べて、きわめて低廉に押えております。したがって、これをもって病院の収支改善の具にしようというつもりは毛頭ないのでございます。
  209. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 差額徴収にもいろいろあるのですが、暖房料から氷代、体温計の貸し賃からふろ代まで取っているところがあるのですか、国立にはないの。
  210. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 国立にはそういうものはないです。
  211. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 国立の病院の中でも、トイレット。へーパーも差額徴収をやっているところがあるということを言う人があるのですが、ほんとうですか。それは兵庫、国立がありますね。国立神戸療養所か玉津の療養所か、ここら辺にトイレットペーパーまで有料だというそんな事実があるの。
  212. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 実は本年度、私ども国立病院の予算の中にトイレットペーパーの費用というのを正式に組み込みまして、非常に笑いものみたいな費用でございますが、これを正式に施設が整備するということで、その費用を組んだわけでございますが、そのために料金を徴収するというようなことは、これは全くございません。
  213. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 全くございませんって、調べたの。
  214. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) とれは調べたというわけではございませんが、国立病院の経営管理をしているものの常識として、そういうものを取っているということは、夢にも想像できないわけです。
  215. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 ぼくも変だと思うのですが、いかに何でもひど過ぎると思うのですが、兵庫県ではそういうのをやっているというから、実態はぼくも調べておりませんから、私も何だか変だと思っているんですが、トイレットペーパーはどうしたっていうんです。
  216. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) トイレットペーパーというようなものは、これは通常、病院の庁費の中で、ほうきを買ったり、ぞうきんを買ったり、紙を買ったりということで、庁費というものに一括算入されておるわけでございますが、また、この費用がかなり目に余ってくるというので、施設側から何とかこの費用を別に考えてくれということもございまして、庁費の一積算の中にトイレットペーパーの費用を積算して、予算をつくったということでございます。
  217. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 国立病院は特別会計になっておる。療養所のほうは、そこはどういうふうになっておるのですか。
  218. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 療養所は現在なお一般会計のままで運営しております。と言いますのは、国立病院は経理の内容を明らかにするといいましても、これは一般病院と非常に似た形態でございます。そこで県立病院であるとかあるいは私の病院とも非常に似た形態でございます。したがって、経理の実態を明らかにするということの中には、一般のそのような類似の病院の経営と比較してみる。そうして同じような内容で同じような仕事をしておれば、同じような経営結果が出るはずだ。これがもし非常に国立の場合だけ収入が少ないとか多いとかということになれば、何らかのそこに異常な条件があることになります。そういう意味で、国立病院の経理の実態を明らかにするという意味で、特別会計で一般のその他の病院と大まかにでも比較できる形にしておくということは、国立病院の職員が税金を使って経営する施設として、最も合理的かつ能率的に仕事をしなければならぬという立場から、そのような効果判定ということも必要でございますので、一般会計から離して特別会計でやっていったということでございますが、国立療養所につきましては、御承知のように、結核対策というものが非常に大きなウエートを示しておりました戦後十数年の間に、結核対策に協力するという立場から、当初におきましては、結核患者の費用を軽減させるために初めから二割引き制度を採用したわけであります。二割引きを採用し、しかもたとえば一般の病院でありますと、基準給食でありますとか基準看護とかいうようなことで料金の上のせをできるようなサービス内容を持ちながら、それの料金を一切徴収しないというようなたてまえをとっておりました。したがって、これはもう結核対策というものの一環であるというたてまえから、もう経営ということに関しては必ずしも重きを置いておりませんし、また、そういうことによって結核対策の勢いをとめては困るということから、国立療養所だけは一般会計のままで、すべて国費でもって、相当、約六〇%の収入しかございませんが、そういう形でやってまいったわけであります。
  219. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そうすると、療養所関係は一般会計でずっといくというか、そういう基本的な考え方と承ってよろしいですか。
  220. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 従来は大体そういうことでございましたが、最近は国民皆保険にもなり、生活保護も充実し、結核予防法による公費負担というような制度も充実してまいりまして、国立療養所が直接的に結核対策に寄与する分野が、ほかの制度が充実したために、かなり少なくなってきているという面もございます。国立療養所のあり方というものについても根本的な検討を加える必要があり、また、結核が減少してまいりましたために、現在六万数千人収容できるのに、五万人も入っていないという実情でございまして、これらの国立施設をいかに活用していくか。たとえば老人性の長期疾患であるとかあるいは交通災害のあとの長期の療養というようなものにも利用する必要があるということで、療養所自体の性格の転換というものも考えられますので、この際、療養所の基本的な再編成というものを考えている次第であります。
  221. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 前に話した差額徴収ですね、これは前に局長通達が出ているのですか。何か七百円以上取ってはならないというような通達が出ているのですか。
  222. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 国立病院、療養所の差額徴収については、一応厚生省の各施設が本省の認可を得てやっております。その中で、特に療養所につきましては、従来から療養所は非常にお粗末な施設が多うございまして、これはたしか、正確な記憶ではございませんが、基本入院料の範囲内にとどめるようにと、そうしますと、大体七百円程度が頭打ちになると思います。
  223. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 それはいつの通達ですか。何ですか、通達ですか。何なのか、それはあとで資料として出してくれませんか。いつごろのことですか。
  224. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 七百円程度に押えるというのは国立療養所関係でございます。国立病院につきましては、これはたとえば築地のガンセンターにつきましては一室六千円というのもございます。この通達等がいつどういう形で出たのかにつきましては、現在、詳細に記憶しておりませんので、後ほど御連絡を申し上げます。
  225. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 差額徴収の全国的な調査を厚生省はしたことはまだないのですか。
  226. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 差額徴収の問題につきましては、全国的な調査といたしましては、保険局が保険医療機関の差額徴収の様子を知るために昭和三十九年の三月に調査をいたしたことがございます。そのときに、全国で大体二二・七%、国立が六%、公立が一四・四%の差額ベッドを持っていたという調査がございます。
  227. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  228. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記をつけて。
  229. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そこで、この定員の増の内容になってくるわけですが、たとえば国立病院の中で国立療養所からの転換に伴う増というのがありますね。これは何人ぐらいですか。で、どういう根拠でこういうふうにふえるわけですか。
  230. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 転換に伴う増といいますのは、先ほど病床の基準で申しましたが、結核につきましては、看護婦が六ベッドについて一人、ところが一般病床になりますと、四人について一人、それから医師も一般病床では大体入院患者十六ベッドについて医師一人、それが結核、精神につきましては三十あるいは四十人程度に一人という実情になっておりますので、結核養療所が一般病院に転換いたしますと、必然的に職員がその差額だけふえてくるわけであります。
  231. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 それは基準はそうなんですが、もう一つ上の数字があるでしょう。国立療養所へ現在何人ぐらい入っていて、ベッドがこうだ。それが何人くらい減ってきたので国立病院のほうへ回すのだという上の数字がなければいかぬでしょう。いまのは下の基準の数字でしょう。
  232. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) それは国立病院と療養所の間には扱う患者の性格が違いますために、それぞれ分かれておるわけでございますが、国立療養所が現実にはその地域の医療需要にこたえ、たとえばだんだんその回りが団地になって都市化してくるということになってくると、事実上療養所が一般病院の機能を持ってくることがございます。そういう場合に、現在年に幾つかの施設国立療養所から国立病院に転換いたしております。そういう転換に伴うものでございます。
  233. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 それはわかったですよ。具体的に国立療養所から転換に伴う増として国立病院では全部で二十四人でしょう。看護婦さんが八人でそれを含めて二十四人の増員を見込んでおるわけでしょう。そうではないですか。だからその出てくる根拠をお示し願いたいというわけです。いまあなたが言われたのは、その下の基準のやつでしょう。単位の基準を御説明になったわけですけれども、それだけでなくて、全体の療養所の中に何人ぐらい人がいて、それが減ってきておるから、だから看護婦さんは八人、その他の者は十六人ですか、これはどういうふうにして国立病院へ回すのか、その根拠、全体としての根拠はどこにあるのかということですよ、数字的な。それを聞いているわけです。あなたのお話だと、二十四人なら二十四人という数字が出てこないわけですよ。出てくるまでの一番下のところを言っているわけですが、つながらないのですよ。だから聞くわけですよ。
  234. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 具体的には四つの療養所が国立病院に転換いたしまして、四つの国立療養所に現在四百六十名の職員がいるわけであります。それが国立療養所から国立病院に籍が移りましても、なおかつ結核ベッドから一般ベッドに転換する分がありますために、その分だけ増員、純増を必要とするわけであります。その分が二十四名ということであります。
  235. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 ちょっとわからないのですけれども、四つの療養所がある。それがどういうふうになったのですか、統合するのですか。国立病院になるのですか。清瀬なんかありましたね、東京病院というのですか。それから愛知県なんかやっておりますね。それでは四つの国立療養所が具体的にどういうふうになったのですか。それからどういうふうになって、経過が、ずっと。二十四人という数字は間違いないのですか、ふえることは。それに至る経過ですよ。それをわかりやすく説明してもらわないとわからない。
  236. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) たとえば三百床の療養所があるといたします。
  237. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 いや、どこの療養所、四つあると言うのでしょう。その四つは、どことどことどこなんだということを言ってごらんなさい。言ってごらんなさいと言っちゃ悪いけれども説明してください。
  238. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 転換いたします療養所は、岩手県の陸中療養所、静岡県の湊療養所、それから大阪府の福泉療養所、それから鳥取県の三朝療養所というものが転換いたします。その転換いたします場合に、大体、転換をいたしましても、一ぺんに結核患者を出してしまうわけにはいきません。したがって、相当数の結核病床はそのままございまして、そのほかに一般病床。たとえば三百床の結核病床がありますと、五十床は一般病床としてまず転換する、来年また五十床を転換するというような順序を経てまいります。したがって、その五十床を結核病床から一般病床に転換するということは、四施設でたとえば二百床の転換が起こると、そういたしますと、従来の結核病床として配置されていた定員の医師、看護婦では不十分でございますので、その差額分を純増として要求してお願いしてあるということでございます。
  239. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 それはわかるのですけれども、それじゃ二十四人はどういうふうな計算でどういうふうにやると二十四人が出てくるのか、そこをもう少し具体的に説明してください。二十四人増員になるのでしょう。その根拠ですよね。
  240. 北村暢

    北村暢君 ちょっと関連。それは国立病院と療養所の看護婦の基準は違うわけですよ。だから、ベッド数を移すというと、それだけ国立療養所の看護婦なり何なりがふえると、その意味においてこの二十四人がふえると、こういうことなんだろうが、その二十四人ということは、その基準の差によって、ベッド数の差が二人なら二人、二十四人なら十四人かふえると、ベッドが十四ふえれば人員が二十四人ふえると、差が二人であるとすればね。そういうことを説明してくださいということです。二十四の根拠ですね。
  241. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 これ定員増をこれだけふやすのでしょう。ふやすならふやすその数字が出てくる根拠、その根拠としての資料があるわけですよ。調査資料があるわけでしょう。それをよこさないから、だからわからなくなっちゃうというか、質問と答弁との間で時間がかかっちゃうのですよ。あるいはその資料くれているのかもわからぬけれども、そうでしょう。あるいはこれはあなたのほうで予算委員会に出したのかどうか、社労に出したのかどこで出したのか知りませんけれども、資料がないから話が時間がかかっちゃうのですよね。そうじゃないですか。  ぼくの言うのは、国立療養所の転換に伴う増が二十四人だというその二十四人という数字はどこからどういうふうに出てくるのかと聞くわけでしょう。あなたは単位の基準の下のほうをとられたけれども、それを結びつけるところへいかないのです。二十四人という数字はこういう計算でこういう計算をしますというその計算の中身を説明してくれれば、二十四というものが出てくることがわかるのです。そこのところなんですけれどもね。
  242. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) たとえば六十床の結核病床を一般病床に転換いたします。そういたしますと、結核病床であった場合には六十床で十人の看護婦でよかったわけでございます。これを一般病床にいたしますと十四名の看護婦が必要になってくるわけでございます。したがって、そこに四名だけ看護婦がふえる。また医師につきましても、六十名おりますと結核の場合には二人の医師でよかった。ところが、一般ベッドになりますと、これも四名の医師が必要になってくる。そこで医師二名、看護婦四名というものがふえてくるわけでございます。これはそのトータルが二十四名になっておるわけであります。
  243. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 それはたとえばの話であって、じゃあその二十四人が出てくるのは実際にはどういう……。四つあるというのでしょう。四つをこういうふうにやるというのでしょう、あなたの言われた。その四つのものをどういうふうにやるのかということなんですね。その四つのものをトータルすると二十四になるのだけれども、四つのものは、一つの療養所の中でも医師がおる、あるいは看護婦がおる、あるいは事務職員もおるのですが、よくわからぬけれどもその内容があるでしょう、それを聞いておるわけですよ。
  244. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) この個々の施設の詳細については、現在手元に資料がございませんので、後ほど御報告させていただきます。
  245. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 資料がないというのは、ぼくのほうもそこまでこまかく聞くというふうにあなたのほうでお考えにならなかったのかもしれませんけれども、これは定員をふやしてくれという法案でしょう。だからそれに伴って、じゃあその定員をふやす根拠はどこかということをだれだって聞くのはあたりまえですからね。石原さんだってそう思うでしょう。思わないのがおかしいよ。それはまじめに審議しようと思えば当然ですよ。それはそうですよ。それじゃないとおかしいですよ。いまの速記に入っちゃったけれども、その具体的なものを出さないで抽象的にこれだけふやすのだ、ふやすのだといったってだめですよ。そういう資料は前もって出してくれればいいのですよ。具体性がないのですよ、話に。これはやっぱりまずいですよ。ぼくらのほうでは早く厚生省の設置法を何とかして上げてあげたいと思って一生懸命努力しておるのだけれども、あなたのほうで乗ってこないのだからだめだよ。きょうはこれで終わりだ。だめだ、これは。
  246. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) いまの病院転換、国立療養所の転換に伴う二十四名についてでございますが、その資料を、お手元の資料でそのほかに定床増に伴う六十七名というのもございます。これも幾つかの多数の病院についてどこに何ベッド、どこに何ベッドふやして合計がこうなるということでございまして、そのほか以下全部そのような、どこの療養所に薬剤師を一名、どこの療養所に検査医師が何名というようなものが全部積み重なっておるのでございまして、その詳細につきましては、これは膨大な資料でございますので、これはもし御必要ならば後ほどお目にかけたいと思っております。
  247. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 それはいままでの国会の審議というのはあれですか、そういう点までこまかく触れないのですか、そんなことは、言っちゃ悪いけれども、いままでの国会が悪いのですよ。そこのところに問題があるわけですよ。その療養所療養所の独自な問題なんかも出てくるので、そこからやっていかないとほんとうの審議にならないのだとぼくは思います。そこら辺のところは足りないですね。厚生省一生懸命やっているのでしょうけれどもね。どうも何か不十分な感じがするな。
  248. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  249. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記を始めて。
  250. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 いまの療養所の問題の、今度は統合ということが行なわれるのですか。そこはどういうふうになっているのですか。
  251. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 療養所の統合ということをやっております。と言いますのは、たとえば近くでは千葉に千葉療養所と千城園という療養所が、どっちも結核療養所がございました。これはかきね一つで続いております。これを一緒にして千葉東療養所というものにいたします。また、愛知療養所と大府荘というのはこれもかきね一つで続いております。これも統合いたしまして新しくつくりかえましたときに、これを中部病院という名前に変えました。また、その他直接かきねは接していなくとも非常に近いところ、八事療養所と梅森光風園を合わせて一つの療養所にするというような形で国立療養所の統合は順次行なっております。
  252. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 東京の場合はどういうふうになっているのですか。
  253. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 東京療養所と清瀬療養所がございまして、これも非常に近いところにございましたので、これも鉄筋コンクリートで集約的に近代化する場合にこれを統合しようということで、東京病院——国立療養所東京病院というものに統合いたしたわけでございます。しかし、なお、患者が新しい病棟に全部入りませんので、旧清瀬療養所をまだ清瀬分院として一部残しておる状態でございます。
  254. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 いま言った統合はあれですか、どういう計画を持っておられるわけですか。大体いままでに統合は終わったわけですか。まだ今後統合していきたいというものもあるわけですか。
  255. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 現在すでに統合いたしたものが千葉とかそれから清瀬、それから中部、それから梅森光風園、それから福岡で隣接した三カ所を一カ所にまとめた、こういうふうなことをやりました。大阪の近辺にも三つありましたものを統合し、また近く神戸にも近接したものが二つございますので、それも統合したいという計画がございます。
  256. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 その場合にベッドを減らすわけですか。いままでの定数のベッドがありますね。実際に入っておる人は何人かいますね。あいているベッドもあるわけでしょう。この機会にベッドを減らすということも考えられているわけですか。それに伴って人員の異動というか、そういうようなものもあるわけですか。そこらはどうなっているのですか。
  257. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 現在国立療養所のベッドは、建物としては六万人を収容する能力がございます。しかし、現在の収容人員は五万人を切っております。つまり一万床の空床があるわけでございまして、しかも年々全国で最近は平均して四千名ぐらい患者が減少しております。したがって、こういう統合の際には将来を見越して、たとえば五百ベッドのところと四百ベッドのところを統合する場合に七百ベッドにするというような減床をいたし、それに伴って職員の定員も減少いたしております。しかし、その場合に実質的な首切りが起こるというようなことはないようにという注意をして万全の配慮をいたしております。
  258. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 首切りは起きたらたいへんなんですから、起きないはずですが、そうすると、いまのこれらが統合した場合に職員の定員が減るのですか。統合計画一ぱいありますね。統合したものがあるでしょう。これからするものもあるのですか。そこで統合の結果として定員が減るのですか。それが一つと、ベッドが減るのもあるし、減らないのもあるかと思いますが、そこはどういうふうになっているのですか。
  259. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 現実的なやり方といたしましては、統合した場合に職員に対して動揺を与えても困りますので、統合の当初は少なくとも職員はそのままに統合をいたします。しかし、ベッドがだんだん減ってまいりますし、また、現実に自然減がございますので、そのようなものをにらみ合わせまして、訓令を減らしつつ現実の人員をできるだけそれに長期的に調整し、合わせていくという方法をとっております。
  260. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そうすると、これは聞かないほうがいいかとも思うのだけれども、そういうふうに統合した場合に、職員の首切りはもちろんないですけれども、ある程度やはり配転ということは考えられるわけですか。
  261. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) いま申しましたように、当初は定員はそのまま、合併した場合にも定員はそのままできるだけ引き継いでいく、ただし、現実に患者が減ってまいりますので、そういう訓令がいままで合計で九百床あったものが七百床になってくるとすれば、訓令の定員が減ってくるわけでございます。しかし、現実に減らすわけにはいきませんので、暫定的には過剰の定員をかかえておりながら、そうして配転等でいけるものは配転をいたしていく、また、退職した者の補充をしないというような方法で長期的に現実の訓令定員に合わせていくという方法をとっております。
  262. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 配置転換の問題については、これは配置転換されればたいへんなことになりますから、この点は十分統合に伴ってそういうことのないようにこれは考えてもらいたいわけです。  それからもう一つ、前にも戻るし、いまのことにも関連するのですが、たとえば厚生省としては、看護婦さんが三交代であるとか、あるいはこういう統合の問題だとか、看護婦さんばかりでなく職員の問題もありますけれども、たとえば看護婦なら看護婦さんが、一体結婚している人はどのくらいだとか、子供を持っている人がどのくらいだとか、独身の人がどの程度だとかいうようなことの調査はしているのですか。ということは、いまの三交代の勤務制にも関係するわけですけれども、そこの点はどういうふうになっているのですか。
  263. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 当然婦長がそういう勤務の編成をいたします場合に、個人の身上を十分把握して、家庭生活その他に不都合のないように配慮をいたすわけであります。もちろん私どもとしても看護婦全体の身上の把握をいたしております。現在国立病院、療養所の看護婦で結婚している者は四四%程度でございます。
  264. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 いまの職員の問題、この定員の問題にこれは関係するのですが、予算の中に被服寝具整備費というのがありますね。
  265. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) いま手元に見つかりませんが、寝具の整備費が計上してございます。
  266. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 これは相当な額ですね、一億幾らですか。
  267. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 約一億三千五百万、計上してございます。
  268. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 どうしてこういうふうなものを計上することになったんですか。整備費というんだから、これは療養所で買うんですか。そうじゃなく、何か下請に出すとかいうんですか。
  269. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) これは今年度飛躍的に大きくいたしましたのは、いわゆる基準寝具というものを実施したいということでございます。基準寝具といいますのは、御承知のように、病院、療養所に入りました場合に、病院がふとん、敷布、掛けぶとん等を一切給与する制度でございます。現在まで国立療養所においてはその制度がございませんでした。したがって、患者が入院する場合には自分で寝具や寝巻きを持ってくるということでございまして、これが実際は患者には非常に不便をかけておりました。一般病院においてはすでにほとんど寝具を給与するシステムができておりますが、国立療養所は、先ほど来のように、結核対策に協力して二割引き云々ということもございましたために、その制度を導入いたしておりませんでした。しかし、それではやはりもう現在の実情に合わないということから、この際基準寝具を実施しようということで、しかし、一年ではなかなか金がかかりますので、これを三年計画くらいでやろうということで、第一年度として約一万ベッド程度の寝具をやりたいという計画でございます。これは、もちろん一挙にこれを購入するということになりますと非常に多額の金がかかります。そこで、一般病院等にも行なわれておりますように、これを、いわゆる寝具業者というのがございますので、そういうものに委託してやろうという計画をいたしております。
  270. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 これは病院も療養所も両方ですか。
  271. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 実は国立病院につきましてはすでに当初からやっておりまして、逐次整備してまいりましたので、現在すでに全部病院のもので実施しております。療養所についてはこれから全面的にやろうというわけでございますが、何ぶんにも四万床というベッドでございますので、それだけの寝具を一挙に用意するということは数十億かかるわけでございまして、これはもうとてもたいへんでございますので、できるだけ少ない経費でこれをやっていける方法として、そういう業者に委託してやらせるということを計画しております。
  272. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 病院で基準寝具をやる場合は病院にその設備が必要なんだということの厚生省の告示が出ているんじゃないですか。出ていませんか。二二八号という告示があるんじゃないかな。
  273. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 御指摘の通知、いま私ちょっと正確に覚えておりませんので、後ほど調べましてから御返答いたします。
  274. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 なぜこれを聞くかといいますと、厚生省設置法関係ないように考えられるかもしれませんけれども、そうじゃなくて、これは定員の問題に関係してくるから聞くわけなんですがね。被服寝具整備費というのは、本来は国立病院がそれを設備するという意味だったんでしょう。そういう意味じゃなかったんですか。どうなんですか、最初の出発点は。療養所のほうは別にして、国立病院のほう聞きますが。
  275. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) もちろん国立病院におきましては全部病院の所有の寝具でやっておりますから、これはもう当然整備費になるのでありまして、国立療養所においても、従来から国立療養所の一部では、被服、寝具をたとえば生活保護階層等において貸し出しているものが相当ございまして、したがって、もともとそういう項目がありまして、金額はそれほど多くないものがあったわけでございますが、それをこの際寝具を大幅に整備しようということで、同じような名前でやっておりますが、この内容としてはそういう委託でやっていきたい。そういうことは、一挙に整備することに多額の経費を要するのと、もしこれを全部療養所自体でやりますと、相当数の職員の増加もいたさなければなりません。それらの非常に困難が伴いますので、比較的安易な方法として委託という形でやろうとしているわけでございます。
  276. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 最初に国立病院では基準寝具を病院で設備をすべきだというような告示が出ていて、そしてその後、結局それは貸しぶとんのようなものでもよろしいというような告示が何か出たようにも聞いているんですね。変わってきたというふうにも聞いているんですが、まあこれはあとで調べていただければいいんですが、そこで、業者に委託をして、消毒なども全部業者にやらしているわけですか、いま。それから洗たくなども、これは洗たくして消毒するんでしょうから、全部業者がやるわけですか。そうすると、現在それをやっている職員がいるわけです、国立病院に。それらの人との関係はどういうふうになるんですか。
  277. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 国立病院におきましては全部施設自体でこれをやっておりますので、この被服寝具全部国立病院のものであり、その洗たく等、一切国立病院の中で実施いたしております。国立療養所はそのような施設が十分ではございませんでして、もちろん一部は施設を持っておりまして、洗たくも、あるいはそれに従事する洗たく婦もおりますけれども、全面的に基準寝具を実施するに間に合うほどの職員あるいは洗たく設備等がございません。そういう意味で、先ほど来申しますように、これを、国立療養所で一万床、二万床分の被服寝具を買い、その洗たくに必要な洗たく場の設備を設け、あるいはそれに必要な従業員を確保するということはきわめて多額の予算を要します。そういう意味で、急速にやることは困難でございますので、できるだけこれを能率的に短時間にやるためには委託という方法が合理的であろうということで、その方法を選んだわけでございます。
  278. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 国立病院では洗たくなどは下請に出していないというんですか。そんなことないでしょう。やってるようですよ。やってるという話、ぼくらは聞きますがね。まあそれはあとの話だから調べますけれども。  そこで、そういう仕事に従事している人が、下請に全部出ちゃって、洗たくなんか出ちゃうものだから、仕事関係で将来に不安を持つわけですね。ここら辺のところは、国立病院に限っては全然そういう心配はないわけですか、そうすると。
  279. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 国立病院におきましては寝具等を下請に出していることはないはずであります。ただ、下請問題で最近国立病院等で問題になりますのは、院内の掃除を下請に出すということで問題になっておることがございます。しかし、それも従来からやっておるものについて下請に出すということでなしに、たとえば鉄筋コンクリート五階建ての建物が整備されたと。こういうような施設につきましては、窓ふきその他の問題も従来の職員では無理でございます。ある程度専門家でないと無理でございますので、そういう面について、掃除の一部を下請けさしているという点がございます。しかし、そのために職員自体が余って首にするというようなことはなく、適当な配置転換等をやっておるわけであります。
  280. 北村暢

    北村暢君 私、資料を要求しておきますが、国立療養所の現在の患者の収容状況というか、入院の状況ですね。ということは、非常に片寄っているのじゃないか。ベッド数満員のところと非常にがらがらあいているところと、そうして施設が非常に悪いところが相当あるようですね。したがって、この国立療養所の、先ほど稲葉君の質問に対して根本的に考え直さなければならない段階だというような話もございましたが、私ども歩いてみると、療養所で非常にひどいところがある。医者も国立療養所でありながら結核の専門の医者じゃない、結核の専門の医者のおらない結核療養所があるというふうなところもあるようですね。したがって、患者はなるべくいい施設のところへ、いい医者のおるところへとこう移っていく傾向があるようですね。したがって、この百七十幾つかある療養所、これの状況がわかるような——、先ほど来、一万のベッドがあいていると、こういうことでしたから、そのあいている状況は非常にへんぱになっているのじゃないかという感じがいたします。それで、これは非常にいい療養所と悪い療養所で、患者がたいへんな不満を持ってるようですから、そういう点で、全国的に国立療養所の利用状況がどうなっているか、これがわかるような資料をひとつ出していただきたい。その上でまた質問いたしたいと思います。その資料をひとつ……。
  281. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 国立療養所個々について、あるいは国立療養所について建物の収容力といいますか、ベッド数、国で職員の裏づけをしたヘッド数並びに昨年度入院した患者数というものの一覧表を提出いたします。
  282. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 いまのに関連いたしまして、国立療養所はほとんどあれは軍のものが多いのですが、だから、いつごろできたものか、建築年度がいつごろで、耐久、耐用年数といいますか、それがどういうようになっているのか。それに対する建設計画というのか何といいますか、新しく建てる、そういう計画がどうなっているのかということ、これをやはり資料としてぼくは出していただきたいとこう思うわけです。実は、私の近所にも岡本療養所というのがあるのですが、私、ときどき行きますけれども、ひどいですよね。歩くと落っこっちゃうのですよ。靴で療養所の中を歩いていると穴があいていて落っこっちゃう。靴できつく歩けない。きつく歩いたら板が穴があいていますから、あぶなくてしょうがない。こういう状態ですから、どういうふうにしようとしているのか、これはやはり大きな問題だとこう思いますから、そういう資料を出していただきたいと思います。  ただ、いま私が言った中で、再建計画というか、いつごろ建てたいというようなことは、いまの段階ではとてもあなたのほうではかんべんしてくれ、内部の問題だからかんべんしてくれということなら、そこまではぼくのほうはあれしませんけれども、そういう点の資料をひとつ出していただきたいと思いますね。
  283. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 先ほどの療養所の個別の資料の一部といたしまして、その療養所が傷痍軍人の療養所の施設であるかあるいは医療団の療養所であったのか、その国立になりました前身の性格、それからその施設の設置された年月日等について資料をお出しいたします。
  284. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 本日はこの程度にいたしまして、本日はこれをもって散会いたします。    午後四時三十五分散会      —————・—————