○
国務大臣(
二階堂進君) 御承知のとおり、最近宇宙開発は大きなプロジェクトとして
各国とも
先進諸国取り上げていることは御承知のとおりでありますし、かつまた、打ち上げた衛星が通信なり放送なり漸次
実用化されてきている。こういう
状況下における
わが国の宇宙開発の現状はどうかと
考えてみますと、今日まで宇宙の開発に取り組んできたのは御承知のとおり東京大学の宇宙開発研究所であります。これが宇宙の科学的、物理的な案件を
目的として過去十カ年余りにわたって相当な研究を重ね、また、これに
施設あるいは機械、ロケット等、研究費等を入れますと約百億近い金が投入されていると思います。この研究の成果は、私は相当見るべきものがあったと
考えるのでございます。したがって、
世界の
アメリカ、フランス、ドイツ等からもこの宇宙の開発の成果研究等についていろいろ協力を求めてきているということもあるのであります。それほど大きな成果を
わが国の宇宙開発が過去十カ年に積み重ねてきたということは御承知のとおりでありますが、先ほど申し上げましたとおり、今度はそれを越えて科学衛星を打ち上げてきている。そこで、
科学技術庁におきましても、少なくとも
昭和四十五年度を目途として科学実験衛星を打ち上げる、こういう
方針を明らかにいたしておるわけであります。こういうときに、郵政省におきましても放送通信衛星を
実用化しようという研究開発の
段階に入ってきております。あるいはまた、
運輸省におきましては、
航海に必要な衛星、あるいは潮流とか魚族とか、そういうものを衛星から観測し研究する衛星を打ち上げようという
計画を立てておる、あるいは建設省は、国
土地理院あたりが測地衛星を
考えている、あるいはまた、気象庁が気象に関するロケット打ち上げを
考えておる、まあこういうことが現実の状態でありまして、そこで
考えなければならないことは、何といってもロケット人口の点から
考えてみましても、非常に
わが国においては少ない。また、研究投資等も
考えてみますときに、
アメリカとかソ連とかその他の国はいろいろな
目的もあって巨大な投資をして研究開発を進めているが、一方
わが国におきましては財政上の制約もありまして、なかなか思うような資金の投入もできない。しかも平和
目的という限られた方向にのみこの研究開発が進められなければならないということでありますので、何といたしましてもわずかなロケット頭脳で、しかも限られた金で、限られた目標に向かって、期限の間に効果的な研究開発を進めるためには、各省がばらばらでいろいろなことをやっていく、特にまた打ち上げる仕事までやっていくということは、どう
考えてみてもやはり効率的な運営のあり方ではないと私も
考えましたので、研究開発はもとより、先ほど申し上げましたごとく大学のほうでそれぞれやっておるところもあります、また、
関係各省におきましてもいろいろ衛星についての研究開発等はやります、研究等はやりますけれども、基礎的研究その他は、しかし、打ち上げる作業、
事業というものはやはり一元的な機構を持ってそこで打ち上げる、そうしてそこで管理していくというような態勢を一日も早くつくるべきではないかと私も
考えまして、文部大臣あるいは郵政大臣あるいは運輸大臣、建設大臣等とも個人的にもいろいろ話をしてまいりましたが、一元化的な機構をつくるということは賛成である、ぜひそうしたいという御意思でもありましたので、閣議におきまして、私は二回ほどこの問題について発言をいたしましたが、総理もその際、積極的に宇宙開発は国の政策として目標を持って進めていかなければならないビッグサイエンスの一つである。したかって、頭脳も金も効果的にむだにならないように態勢を整えてやるべきであるという御指示がありましたので、私もその方向で
検討を鋭意進めてまいっておるわけでございます。いま、しからばどういう構想で
考えておるか、こういうことでございますが、もとより一つの国家機関を使ってやるということも
考え方の一つにあるようであります。また、特殊法人というものをつくって、そして官民、官学、まあ一体となって頭脳を集めて、そうしてそこでこういう作業をやるということも一つの
考え方である。また、宇宙衛星に関する特別な部署をつくって、そこで国がやるのだという
考え方もあるようでございますけれども、先年、宇宙開発審
議会の建議にもありますとおり、やはり一つの
考え方としては、特殊法人をつくってやったほうがいいのではないか、と申しますのは、やはり国の
政府機関になりますというと、民間とか、あるいは大学のこういう技術者、研究者の参加を求めることが非常にむずかしい。そこでやはり民間とか大学の研究者等を利用すると申しますか、活用するということから
考えますと、やはり特殊法人という組織を持ってきたというほうが一番手っとり早いのじゃないか、こういう
考え方がかなり有力になっておるようでございます。近く私はこの構想をまとめて、そうして研究に関する部門は一体どこでやるのか、そうしてまたこれを打ち上げる作業あるいは打ち上、げたあとの管理、あるいは国際協力、あるいは予算の一括計上、あるいは
計画、これは総合的な
計画を立てるというようなもろもろの仕事がございますので、そういうものを明確に区分をいたしまして、そうして打ち上げる作業をどこでやるかとか、研究開発はどこでやるかということをひとつ
検討して、そうして明らかにして、閣議にはかってきめてまいりたい、こういう構想でございますが、これにはもとより宇宙開発審
議会の意見も聞かなければならぬと思っておりますし、また、
関係各省ともそれぞれの指示に基づいて、これは私の庁が、
科学技術庁が独断でやっているわけではございませんが、いろいろと打ち合わせもさせておるようなわけでございますので、こういうことにつきましては、いましばらく
関係各省との打ち合わせ等もございますので、時間もかかると思いますが、できれば私は来年度予算の編成時には、こういう構想をまとめて、そうしてでき得るだけこの一元化を進められるように持っていきたい、かように
考えておるわけでございます。