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説明員(
馬場一也君)
産業構造
審議会に
産業公害部会という部会が設けられております。この部会は二、三年前から設けられておるのでございますが、この
産業公害の問題をどう考えていったらいいかという基本的な方向あるいは個々の
産業公害別にどう対処していったらいいかということにつきまして、年来御検討いただいておりまして、昨年の十月であったかと記憶してまりますが、そういう問題に対する答申をいただいておるのでございます。その
産業公害部会の答申の
結論を簡単に申し上げますと、
産業公害問題というのはたいへん大事な問題だ、また、この問題を防止いたしますために、
産業公害を出します
企業の側におきまして個々の
企業がそれぞれ自分のところから出す
公害を最小限度にとどめますように、いままで以上に積極的にいろんな施設、施策を講じていくということの
責任は当然もっと強調されなければならないというのが部会の答申の第一点でございます。
それから最近の
産業公害問題を見ますと、こういう個々の
企業がめいめいそれぞれ努力をするということはもちろんでございますが、一方におきましては、こういう大都市、大工業地帯に多くの
企業が集中をいたしますと、一つ一つの
企業はなし得る限りのことをやっておりましても、やはり
公害そのものが一つ一つの
企業でゼロにはならないわけでございますから、これが集積をいたしますと、全般として非常に大きな
産業公害問題を起こすというのが最近のいわゆる大都市、大工業地帯において起こっておる
公害問題の見のがしてはならない一つの要素である。こういう全般としての
公害問題、
企業の数もめいめいふえることにどう対処していくか、あるいは
工場が次々ふえます場合に
工場地帯といろいろな
住宅地帯というような土地利用あるいは都市計画というようなものが十分に行なわれておりませんと、同じ量の
公害が出ましても、ある場合には非常にスムーズにそれがうまくいっておりますと解決されますが、非常に計画等がふぐあいでございますと、また同じ
公害でございましても非常に大きな問題を起こすというような問題もございます。そういうように現在の
公害問題はめいめいの
企業が一生懸命努力するということはもちろんでありますけれ
ども、その個々の
企業がめいめい自分のことを気をつけるというだけでは、それぞれの
企業がたくさんにふえたという問題にどう対処するか、あるいは工業地帯と
住宅地帯の問題をどう対処するかというような全般的な問題をあわせて考えて
対策を講じませんと、現在の
公害問題というのは全部解決するわけにはまいらない、こういうような問題意識が
公害部会の二番目の問題意識でございました。
こういうような全体としての
公害防除ということを考えますと、やはり
企業の
責任を問うことのほかに、やはり国なりあるいは
地方公共団体なりが全般的な
立場から、必要な場合には
企業の
立地について必要な調整を行ないあるいは都市計画について万全の策をつくるというような全体の
立場からの施策というのが並行して行なわれなければ現在の
公害問題は十分に解決できない。したがいまして、
公害の
責任あるいは
公害の
対策というものを考えます際に、
企業の
責任のみならず、こういう全般の
立場からの国なり、府県の
責任も同様に重大であるというようなことが今回の
公害部会で答申されました内容の
結論を要約いたしますと、そういうような
結論になっておるのでございます。