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1967-05-18 第55回国会 参議院 内閣委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月十八日(木曜日)    午前十時四十二分開会     —————————————    委員異動  五月十七日     辞任         補欠選任      北村  暢君     矢山 有作君      加瀬  完君     稲葉 誠一君  五月十八日     辞任         補欠選任      矢山 有作君     北村  暢君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         豊田 雅孝君     理 事                 石原幹市郎君                 八田 一朗君                 伊藤 顕道君                 稲葉 誠一君     委 員                 源田  実君                 柴田  栄君                 船田  譲君                 森 八三一君                 山本茂一郎君                 北村  暢君                 中村 英男君                 多田 省吾君                 中沢伊登子君    国務大臣      運 輸 大 臣    大橋 武夫君      郵 政 大 臣    小林 武治君      労 働 大 臣    早川  崇君      国 務 大 臣    増田甲子七君    政府委員        防衛庁長官官房        長        海原  治君        防衛庁防衛局長  島田  豊君        防衛庁経理局長  大村 筆雄君        防衛庁装備局長  國井  眞君        防衛庁参事官   鈴木  昇君        防衛施設庁長官  小幡 久男君        防衛施設庁総務        部長       財満  功君        運輸大臣官房長  町田  直君        郵政大臣官房長  竹下 一記君        労働大臣官房長  辻  英雄君        労働省労働基準        局長       村上 茂利君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  清君    説明員        国土地理院長   安藝 元清君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠互選の件 ○郵政省設置法の一部を改正する法律案(内閣送  付、予備審査) ○運輸省設置法の一部を改正する法律案(内閣送  付、予備審査) ○労働省設置法の一部を改正する法律案(内閣送  付、予備審査) ○国の防衛に関すの調査  (国の防衛に関する件)     —————————————
  2. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨十七日、北村暢君及び加瀬完君が辞任せられ、その補欠として矢山有作君及び稲葉誠一君がそれぞれ選任せられました。     —————————————
  3. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) この際おはかりいたします。  船田譲君から、都合により理事辞任いたしたい旨の申し出がございます。これを許可することに御異議ございませんが。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 御異議ないと認めます。よって、辞任は許可することに決定いたしました。  つきましては、委員異動及びただいまの辞任許可に伴い、理事補欠互選を行ないたいと存じます。互選の方法は先例によりまして、便宜その指名を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事稲葉誠一君及び八田一朗君を指名いたします。     —————————————
  6. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 郵政省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案は、去る三月二十三日、予備審査のため付託されました。  それではまず、本案提案理由説明を聴取いたします。小林郵政大臣
  7. 小林武治

    国務大臣小林武治君) ただいま議題となりました郵政省設置法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  この法律案は、郵政省所管行政合理的運営をはかり、及び地方管理組織適正化をはかるための改正であります。  まず、改正の第一点は、大臣官房に特別な職として置かれる電気通信監理官を廃止して電気通信監理局設置しようとするものであります。  電気通信監理官は、日本電信電話公社監督のみを行なっているのではなく、電波監理行政を除いた電気通信行政全般を所掌するものでありますが、最近における電気通信行政は、国際的にも国内的にも、昭和二十七年の電気通信監理官制度発足当時予想もされなかった新しい分野発生してきており、電気通信監理官所掌事務は、著しく増大、高度化してきております。  この情勢に対処して、国際電気通信行政における主管庁としての職責をはじめ、内外電気通信行政遂行にあたり、責任ある執行体制を確立するため、局に改組するものであります。  第二点は、関東郵政局設置しようとするものであります。  東京郵政局は、地方郵政局のうち最大の規模を有しており、その膨大な事務量は、一郵政局管理能力の限界を越えたものであるので、東京都を管轄する東京郵政局とその他の関東一円を管轄する関東郵政局とに二分割するものであります。  第三点は、小地方郵政監察局の統廃合を行なおうとするものであります。  地方郵政監察局における事務実態にかんがみ、管轄区域及び事務配分の適正をはかるため、他に比較して小規模金沢郵政監察局長野郵政監察局に、松山郵政監察局広島郵政監察局にそれぞれ統合し、信越北陸郵政監察局及び中国四国郵政管察局に改めるものであります。  以上が、この法律案を提出いたしました理由であります。何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。
  8. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 以上で提案理由説明は終わりました。  本案につきましては、本日はこの程度といたします。  速記をとめて。   〔速記中止
  9. 豊田雅孝

  10. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 運輸省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案は、去る二月二十三日、予備審査のため付託されました。  それではます、本案提案理由説明を聴取いたします。大橋運輸大臣
  11. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) ただいま議題となりました運輸省設置法の一部を改正する法律案提案理由につきまして御説明申し上げます。  改正の第一点は、運輸省本省航空局飛行場部設置することであります。  航空機大型化高速化及び運航回数増大に対処し、安全かつ円滑な航空輸送を確保するためには、飛行場及び飛行場に関連する施設整備拡充を強力に推し進めていく必要があります。  このための計画の策定、用地の取得、補償等事務が年々著増の一途をたどっており、また、これらの事務遂行が質的にもますます困難になりつつありますので、これら飛行場に関する事務を一元的に処理するため、本省航空局飛行場部を新設することといたしました。  改正の第二点は、運輸省本省附属機関として航空保安職員研修所設置することであります。  航空交通の安全を確保するためには、飛行場整備とあわせて航空保安業務に従事する職員の資質を向上させることがきわめて重要であります。航空機に対し航空交通管制を行ないます航空交通管制官その他の航空保安業務に従事する職員は、従来本省航空局において養成しまたは研修をしてまいりましたが、これらの職員に対しまして、日々進歩しております航空交通実態に即して航空保安業務を行ない得るようその養成及び研修を行なうための組織本省附属機関航空保安職員研修所として整備いたしました。  改正の第三点は、運輸省本省地方支分部局として東京及び大阪に地方航空局設置することであります。  航空輸送発展に対応いたしまして、航空行政事務は過去十年間に量的にも質的にも飛躍的に増大してまいりました。これらの事務を円滑にかつ能率的に遂行してまいりますためには、現地に即した事務地方支分部局において行なわせ、本省においては、企画事務中心に行なうことが最も適切、かつ、能率的であると考えられます。現状におきましては、本省地方支分部局として二十六の航空保安事務所が置かれておりますが、これは主として飛行場保安業務中心とした現場的な業務を行なうための事務所でありまして、これらの事務所本省管理事務及び許認可事務を行なわせることはきわめて困難な実情にあります。このような事態を解消するため、本省航空保安事務所との間に二つの地方航空局を設け、これらに本省事務を分掌させますとともに、職権を委任し得るようにすることによりまして、航空行政事務適確、かつ、円滑に処理することができるように体制整備いたしました。なお、これに伴い現在の航空保安事務所は、空港事務所として地方航空局のもとに飛行場中心とした保安業務を行なう機関といたしました。  改正の第四点は、運輸省本省附属機関として電子航法研究所設置することであります。  電子航法は、電子技術を応用した航法でありますが、近年船舶及び航空機航行援助施設として脚光を浴びるようになりました。海上交通及び航空交通安全性を確保するためには、開発された電子航法の適切な評価試験強化するとともに、航空の安全に重要な計器着陸装置等研究、さらには打ち上げられた人工衛星を応用して行なう航法研究を積極的に推進していく必要があると考えられます。現在これらの業務船舶技術研究所において行なっておりますが、研究分野も異なっておりますので、電子航法研究所として研究管理を独立させ、これら研究等業務を推進していくことといたしました。  改正の第五点は、運輸省定員を百二十七名増員したことであります。予算上認められました増員純計航空関係定員二百五名を含めまして三百十五名でありますが、凍結定員等の充当によりまして、法律定員は百二十七名の増加となっております。  このほか、激増する自動者事故及び自動車排気ガスによる大気の汚染が重大な社会問題となってまいりました現状に対処いたしまして、自動車安全対策及び自動者による公害防止対策を積極的に推進していくための研究を進める必要がありますので、現在自動車使用に関する試験及び調査を行なっております船舶技術研究所におきまして、自動車等使用に関する研究等をあわせて行なうことができるようにいたしました。  以上が、この法律案を提案する理由であります。何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
  12. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 以上で提案理由説明は終わりました。  本案につきましては、本日はこの程度といたします。速記をとめて。   〔速記中止
  13. 豊田雅孝

  14. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 労働省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案は、去る三月十八日、予備審査のため付託されました。  それではまず、本案提案理由説明を聴取いたします。早川労働大臣
  15. 早川崇

    国務大臣早川崇君) ただいま議題となりました労働省設置法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上、げます。  労働災害防止につきましては、人命尊重観点からはもとより、国民経済の健全な発展観点からもゆるがせにできない問題でありまして、交通安全及び公害対策とともに社会開発の三つの柱の一つとして、つとにその重要性が強調されているところであります。  最近における労働災害発生状況を見ますと、災害発生率減少傾向を示しておりますが、その発生件数は依然高い水準にありまして、労働災害による年間の死傷者死亡者六千余人を含め七十万人に近く、その経済的損失は約二千七百億円の巨額に達しているのであります。  しかも、近年における経済活動拡大を背景とした新生産技術、新原材料の採用等に件いまして、新しい種類の災害発生災害規模大型化等の現象が見られるのであります。  このような労働災害現状にかんがみ、私は、かねてから労働災害防止労働行政の最重点施策一つとして取り上げているところでありますが、本年は、総合的科学的な第三次産業災害防止五カ年計画を策定し、安全衛生に関する指導監督強化、自主的な労働災害防止活動の推進のための労働災害防止団体育成強化等労働災害防止対策積極的展開をはかることといたしている次第であります。  従来、労働災害防止に関する事務は、労働省労働基準局労災防止対策部において所掌してまいったのでありますが、本事務重要性にかんがみ、労働災害防止に関する諸施策を総合的科学的かつ積極的に推進するため、これを専掌する安全衛生局設置し、行政体制整備をはかることがぜひとも必要であると考えるものであります。  しかして、労働災害防止に関する部局を拡充すべきことは、さきに提出されました臨時行政調査会の意見においても取り上げられているところでありますが、同時に、行政機構拡大を避けるため、今回安全衛生局設置に伴い、従来労働基準局に置かれていた労災防止対策部に加えて、労災補償部をも廃止し、行政組織簡素化趣旨にも沿うよう措置した次第であります。  以上がこの法律案を提出いたしました理由とその概要でありますが、なおあわせてその附則において関係法律について所要の整備をはかることとしております。何とぞ御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  16. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 以上で提案理由説明は終わりました。本案につきましては、本日はこの程度といたします。     —————————————
  17. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 次に、国の防衛に関する調査議題といたします。  関係当局出席は、増田防衛庁長官小幡防衛施設庁長官海原防衛庁官房長島田防衛局長大村経理局長國井装備局長財満防衛施設庁総務部長、安藝国土地理院長、以上の方々でございます。  それでは御質疑を願います。
  18. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 防衛問題のきわめて初歩的なことで、わかり切ったことであるかもわかりませんけれども、お聞きするわけですが、その前にちょっと、問題となっておりまする例の軍用地図の問題がございまするので、それを先にお聞きしたいと思います。  建設省国土地理院の安藝先生、いらっしゃっておられますか。——このつくるに至った経過ですね、それをひとつ御説明願いたいと思うんですが。
  19. 安藝元清

    説明員(安藝元清君) 国土地理院が、私たちは特定五万分の一の地図と申しておりますが、それを作製いたしました経緯について御説明申し上げます。アメリカからの余剰農産物の資金のうちの残金の中の二億五千二百万円をもちまして、日米で共同いたしまして特定五万分の一という地図をつくろうということにつきまして日米両国の合意を見まして、昭和三十五年二月十八日、外務大臣米国大使との間で交換公文がかわされたのでございます。これに基づきまして、国土地理院——当時、地理調査所と申しておりましたが、三十五年度から三十九年度の五カ年にわたりまして、本州及び北九州の一部につきまして、総面数四百五十四面の地図作製をするに至ったわけでございます。
  20. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、その地図作製するについては、これは前の武藤とかいうなくなった院長さんのところだと思いますが、どこへ相談をしてこの地図作製するということになったんですか。
  21. 安藝元清

    説明員(安藝元清君) 三十五年の条約でございまして、実際事務的な折衝は、その以前、三十四年ごろから続けられていたように思いますが、当時の院長もなくなりましたし、まあその辺の詳しい、どういうことで条約の中に入るようになったかということにつきましてはつまびらかにいたしませんけれども日本の五万分の一の地図が非常に古くなっておった——大体日本の五万分の一の地図ができましたのが大正十三、四年ごろに完成したわけでございます。その後ほとんど修正も加えられてなかったということでこれをやろうということになったのではないかと、かように考えるわけでございます。
  22. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そういう意味じゃなくて、つくることについて、国土地理院だけできめたのか、どこへ相談をしてこのつくるということをきめたのかと、こういうことです。——いま条約という話があったけれども条約ではないでしょう、交換公文のことでしょう。
  23. 安藝元清

    説明員(安藝元清君) 交換公文の中で、国土地理院がつくるというふうに書かれております。
  24. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そのもう一つ前の話。どこへ相談をして、どこの承認を得てこれをつくるようになったのかということ、それがポイントなんですよ。国土地理院だけでつくることをきめたんじゃないでしょう。
  25. 安藝元清

    説明員(安藝元清君) 交換公文の中に、国土地理院でつくるというふうになっております。
  26. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 質問趣旨がちょっとわかりにくいかもしれませんけれども交換公文になるまでの話。それは地理院だけでつくるという話じゃなくて、そういう話があったときに、たとえば外務省相談したとか、建設省の上のほうへ相談したとか、いろいろあるでしょう。つくるまでの経過ですよね。交換公文ができ上がるまでの経過を聞くわけですよ。国土地理院だけでつくるということをきめちゃったわけじゃないでしょう。そういう話が持ち込まれたときに、一存でやったのではなくて、どこへ相談をしたのか、どこへ承認を求めたのか、法律的な承認かどうかは別として。そういうことをお聞きしているわけです。
  27. 安藝元清

    説明員(安藝元清君) だれが起案してどういうふうになったかということは私もよく存じませんけれども、おそらく、外務省当局建設省とも十分協議をして交換公文になったことと思います。
  28. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 ですから、国土地理院へ話が持ち込まれたときに、当然建設大臣承認も得ているわけでしょう。そういうことはどうなっているんですか。それは日時も、建設大臣承認を得たのはいつかということもはっきりしているのでしょう、調べれば。
  29. 安藝元清

    説明員(安藝元清君) 当然建設大臣承認を得ていることと思います。
  30. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、国土地理院としては、この地図が何に使われると思ったんですか。
  31. 安藝元清

    説明員(安藝元清君) つくります地図は五万分の一の地図でございまして、それまでにも日本の五万分の一の地図というのはあったわけでございます。相当古うございまして、その測量もいわゆる平板測量という旧式のやり方による図面であったわけでございますが、それを戦後航空写真の俯瞰による図法に切りかえようという考えがございまして、そういうことで作業が始まっていたわけでございます。そういうことで新しい地図をつくるという一環の作業として考えたと、かように考えておるわけでございます。
  32. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 防衛庁長官お尋ねするのですが、こういう地図ですね、アメリカ軍へ提供する地図が、日本のいわゆる軍用地図といわれておりますがね、つくられることについて防衛庁には相談なかったのですか、あるいは全然御存じなかったのですか。
  33. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 私が新聞を見たのはこのごろ初めてでございまするが、防衛当局としてはさようなことを交換公文があるわけでございまするし、知っているはずであると、こう考えております。
  34. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これは海原官房長もせっかく来ておられるので、あなたが防衛局長やっておるころかどうかしれませんけれども交換公文ができる前に防衛庁にどういう話があったのですか。
  35. 海原治

    政府委員海原治君) 私、防衛局長になりましたのは、三十五年の十二月の二十七日でございます。したがいまして、それ以前のことにつきましては、私は承知いたしておりません。
  36. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 だけれども、あなたがなる前はあれでしょう、あなたがなる前は、あなたどこにいたのだっけ……。特定の名前を出すのも変なもので、ほかの人に悪いから、あなたが何か防衛庁実力者みたいにとられてかえって悪いかもしれぬから言いませんけれども、じゃ防衛庁のどなたでもいいけれども防衛庁のほうに具体的にどういう話があったわけですか。話はあったわけでしょう。これは話がないわけはないですよ、だれが見たって。どういう話があったのですか。だれからどういう話があったのですか。
  37. 海原治

    政府委員海原治君) 私が防衛局長になりましたのは、ただいまも申し上げましたように、三十五年の十二月の二十七日でございます。それ以前のことにつきましてのお尋ねでございますが、私ども防衛局防衛二課では、地図警備地誌との関係をやっておりますので、過去のいろいろいきさつ等につきまして、防衛庁限りのことにつきましては、前任者からの引き継ぎを受けております。そういう事情につきましては承知しておりますが、地理院のほうでいま問題になっておりますようなことのお引き受けにつきましては、防衛庁としては御相談を受ける筋合いのものではございません。防衛庁にはどのような地図があるか、どのような地図作製計画があるかということにつきましては、当然いわゆる官庁間の事務連絡という形でのやりとりはあったかと思いますけれども御存じのような経緯でものがきまっております。日本政府意思としての、いわゆる政府としての意思決定に際して防衛庁は御相談を受ける筋合いのものではございませんので、その辺の経緯につきましては、詳細なことは文書としては残っているものではございません。
  38. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 文書としてそれがあったかどうかは別として、アメリカ軍がそれじゃ日本防衛のために必要な地図——これは軍用地図かどうか、俗に軍用地図と言っておるので、あるいは軍用地図でないかもわからないけれども、常識的に軍用地図ですね。それをつくるのに、防衛責任者である防衛庁に対して何の相談もなしにつくっているのですか。そういうことはあり得るのですか。そこをよく事実関係を調べて答弁をするならわかりますけれども、何かの話があったのじゃないか、そこのところどうなっておりますか。
  39. 海原治

    政府委員海原治君) どうも同じ趣旨のお答えを繰り返して恐縮でございますけれども、この地図が、軍用地図があるという前提稲葉委員お尋ねでございますけれども、私どもはそう考えておりません。御存じのように、米軍は進駐直後、マッカーサー司令部の時代から日本の全土については詳細な航空写真等とっております。それで、日本の五万分の一の地図等につきましても、これは本来軍用地図というような定義が当てはまるものとは私どもは考えておりません。したがいまして、軍用地図だからという御前提で、したがって防衛庁つまり相談を受ける筋合いのものである、こういうことでございますけれども、理屈のようになって恐縮でございますが、日本国内地図作製でございますから、これは防衛庁のほうが相談を受ける筋合いでない、こういうことでございまして、問題が起こりましてから、私念のために過去の記録等も調べてみましたけれども、私どものほうといたしましては、お尋ねのような趣旨を御説明するものは残っておりません。
  40. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 ぼくは軍用地図だと断定してないですよ。私の質問趣旨をおわかりになると思うのですけれども軍用地図だというふうにぼくは断定はしてないのです、現物見てないのだから。見てない段階で軍用地図と断定するのも早計だと思うのですけれどもね。そうすると、それはそれとして、そうすると国土地理院では具体的にはどういう人数の人がこの地図作製に関与したのですか。これはアメリカ軍も一緒に地図作製に関与したのですか、そこはどうなんです。
  41. 安藝元清

    説明員(安藝元清君) 作業の内容につきましては、最終的な編集は国土地理院の責任になっております。事務的な手続につきまして、だれが測量してだれが途中の検査をするというような具体的なとりきめは事務手続としてなされておりまして、そのやり方は別にきめられておるわけでございますが、実際にその人間が何人それに参加したかということにつきましては、いまのところ資料を持っておりませんけれども日本の国の地図作製するための一環の仕事だという感覚のもとにわれわれはやったわけでございます。
  42. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 具体的な取りきめがあるのでしょう、いまあなた言われたように、作製するについて。それをじゃ資料として出してください。そうすればその内容がわかってくるわけだからね。ぼくの言うのは、その作製について、国土地理院の人がどの程度関与したのかということが一つですね、日時的にも人数的にも。もう一つは、米軍もこの地図作製に関与しているのじゃないですか。そこどうなんですか。
  43. 安藝元清

    説明員(安藝元清君) 原図をつくる前の段階においては、ほとんどの責任は国土地理院の責任においてやっておりますが、その途中の段階において、検査の段階で米軍との共同作業になるということはきめられております。
  44. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、これは米軍に提供したという控えは、国土地理院にあるのですか。全部渡しちゃったんですか。それにしてもそれだけの控えというか、そのものは当然残っているわけでしょう。
  45. 安藝元清

    説明員(安藝元清君) 基礎資料につきましては、全部国土地理院に返却すると、こういうふうに書かれております。
  46. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いや、アメリカへ渡したと同じもの、たくさんつくったんでしょう、いまあなた言ったように、四百何面つくったんでしょう。それと同じものがいまでも国土地理院に残っているのですかと聞いているのですよ。
  47. 安藝元清

    説明員(安藝元清君) 原版は国土地理院にございます。
  48. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これはここで聞くのは悪いと、あなたに聞くのは悪いので、防衛問題に入っていきますけれども、これつくるのは建設省設置法のどこに書いてあるの、こういうことを、つくれというのは。これはちょっと問題が違うから別のところでやろうと思っているのだけれども
  49. 安藝元清

    説明員(安藝元清君) 国土地理院の任務は、建設省設置法の土地の測量及び地図作製ということが書いてございまして、日本地図作製すると、その日本地図調製の修正計画の一環としてやったというふうに考えております。
  50. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それは建設省設置法のときにやりますが、そこで防衛問題に入りますけれども、いま官房長が言ったように、防衛庁でも当然いろんな地図をつくっているわけですね。つくってなければおかしいわけなんで、少なくとも防衛の責任を持つのですから。そうすると、防衛庁ではどんな地図をいまつくっているわけですか。
  51. 島田豊

    政府委員島田豊君) 防衛庁使用しております地形図につきましては、国土地理院作製したものを使用しております。また、防衛庁としていろいろな行動に出動いたします際に必要なものがございますので、たとえば、平素の演習でありますとかあるいは教育訓練、こういうものに使用しますものにつきましては、自衛隊自体でいろいろないわゆる地勢的な、地理的な情報を集めましてこれを編集をして印刷して部隊に配付をする、こういうことをやっております。
  52. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いま海原さんも言ったでしょう、警備地誌をつくっているとかなんとか言ったんじゃないですか。そういう警備地誌とか、いろいろなものがあるわけでしょう。まあ演習のときの地図なんかもありますけれども、どういうふうに分けるんですか、地図を。地図の種類というか……。
  53. 島田豊

    政府委員島田豊君) 地図についての特別な分類というものはございませんけれども、要するに、基本的な地形図、これは国土地理院作製したものを使用しているわけでございます。それ以外に、たとえば、道路がどういう状況であるとか、あるいは海岸の海岸線がどういうふうになっているとか、あるいは日本全土におきまするところの気象条件はどういうふうになっているか、そういうふうなものは特別な資料を国土地理院で集めていただきまして作製するもの、あるいはわがほうで情報を提供いたしまして、それに基づいて国土地理院作製していただくもの、こういうものがあるわけでございます。それ以外に自衛隊自体で現在測量大隊というものを持っておりますので、そこでいろいろデータを編集いたしまして印刷する、こういうことをやっておるわけでございまして、地図についての梯尺上の分類はございますけれども、どういう地図どういう地図という分類は特にいたしておりません。
  54. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 分類のことを聞いたら分類のことばかり答えているが、警備地誌というのは何ですか。
  55. 島田豊

    政府委員島田豊君) 警備地誌というのは、自衛隊が防衛あるいは警備の行動に従事いたします場合に必要ないろいろな情報を編集をし、また図化したものである。こういうふうになっておるわけでございますが、防衛なりあるいは警備をやります場合のいろいろな自然的な条件あるいは人文的な条件、こういうものをいろいろ編集いたす、また、それを図化した、そういうものをまとめたものを警備地誌というふうに言っておるわけであります。
  56. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 その警備地誌というのはどの程度できているんですか。
  57. 島田豊

    政府委員島田豊君) 陸上自衛隊につきましては、各方面隊ごとにできております。なお、まだいろいろ資料として不十分な点もございますので、これからいろいろ計画をいたしておる段階でございます。海上自衛隊につきましては、海岸線等につきましての地誌を作製いたしております。航空自衛隊はまだそういう態勢が整っておりませんので、これからつくるという段階でございます。
  58. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 警備地誌というのですけれども、何に対する警備なんですか。どういうことが起きた場合の警備なんですか。
  59. 島田豊

    政府委員島田豊君) これは自衛隊法にも書いてありまするが、要するに、直接侵略または間接侵略に対処するために防衛あるいは警備をいたすわけでございますが、その行動に必要ないろいろな地勢上のデータ、こういうものが当然これは自衛隊として必要でございますので、そういうものを織り込んだものを警備地誌、こういうふうに呼んでおるわけであります。
  60. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これは防衛庁長官にお伺いいたしますけれども、いま警備地誌は、直接侵略または間接侵略に備えるためにつくってあると、こういうわけですね。しかし、安保条約によってアメリカの核の抑止力があるから、日本には直接侵略はないと言うんじゃないですか、防衛庁長官お尋ねしますが……。
  61. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 稲葉さんにお答えいたしますが、われわれは侵略戦争がないようにこれを阻止しあるいはあった場合にこれを排除する、これが国家目的の一つでございます。そこで自衛隊の存在も、安保条約も、理想といたしましては、その存在によって、その存在することによって武力行使が日本本土に行なわれないようにすることが理想でございます。しかしながら、万一武力行使が行なわれている場合には、日本も米国もそれぞれこれに対処するということを条約として規定し、国会においても御同意を得まして批准されたものが日米安保条約第五条でございます。
  62. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いや、いままでアメリカは核を持っていて、その核の抑止力というものが非帯に働くから日本は戦争に巻き込まれないというんでしょう。日本に直接侵略なんかないといっているんじゃないですか。いまのあなたのお話を聞きますと、安保条約があってもまだ不安だと、こういうことなんですね。アメリカの核抑止力なんというけれども、まだそれじゃあとても不安だと、こういうことなんですか。
  63. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) どうも稲葉さんは、あるべき姿ということについてわれわれが考えておることと、それから現実の問題とをごっちゃにして考えられたり、それから条約が要らないんだという立法論をとっていらっしゃるようでございますが、条約は存在しております。その条約の第五条には、日本の施政権の下にある領域に武力行使が行なわれた場合に、日本アメリカもこれに対処をする措置をとるということが書いてあるわけでございまして、その範囲においては私は必要だと思っております、万一ということがございますから。しかし万の一、九千九百九十九ぐらいまでは、いまの抑止力が働いて私は不幸な事態はないと、またないようにするのが国家の行政権あるいは立法権あるいは司法権を持っておる、つまり全体としての政府の国民に対する責任ではないかと考えております。
  64. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 安保条約があって、アメリカの核の抑止力があるけれども、それでもなおかつ危い場合もあるんだと、万が一かあるんだということに承ってよろしいですね。
  65. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) さようでございます。
  66. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そういうことならば、またそれで一つの私は見解だと思うんです。ただいままでの見解と違うか違わないか、これは議論のあるところです。  そこでお尋ねをするのは、ベトナムで戦争が行なわれているというわけですね。それが将来アメリカと中国の衝突にも発展しかねない。いまのあなたの大好きな万が一ということがありますね。そういうことも考えて防衛庁としては日本防衛というか、そういうことをお考えになっているわけですか。それでないとなかなか責任が果たせないようにも思うんですね、防衛庁の。
  67. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 稲葉さんの御質問がよくわかりかねますが、ベトナムのことが発展して万一ということまではわれわれは考えていないのでございます。
  68. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、ベトナムの戦争というのはアメリカと中国が衝突し、それが将来大きくなってくるということは考えていないと、これは希望ですか。あるいはそういうことになるかもわからないという前提日本防衛体制を組んでいるんですか。そういう考慮も払って日本防衛というものを考えておられるんですか。
  69. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) すべて森羅万象因果関係がないわけではございませんけれども、いまのベトナム紛争が、私はベトナム戦争とあまり言いたくないのでありまして、ベトナム紛争が拡大して、そうして全面戦争になるなんということは私は考えておりません。ただ日本日本独自の平和と安全を守る責任が国家として当然ある、そのためには先ほども申しましたとおり、行政府、立法府、司法府、これが加わったものが大きな意味で政府でございますから、政府はやっぱり全国民一億を守る責任がございまして、万一、万一と、私が好きなわけではないのでございまして、日米安保条約第五条に、日本の施政権のもとに置かれたる領域に武力行使が行なわれたる場合、これは万一の場合でございます。
  70. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 ぼくがベトナム戦争というのは通俗的なことばで言ったのですね。これは戦争かどうか議論がある。アメリカは宣戦布告していないのですから、戦争というのは間違いかもしれない。まあ私は、これはことばは別として……。そうすると、自衛権というものの範囲ということが問題になると思うのです。アメリカが、防衛庁としては——北爆しているわけでしょう、それはアメリカの自衛権の行使だというふうにお考えになっているのですか。これはどのように考えられておるのですか。
  71. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) このことは外務大臣にひとつお聞き願いたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  72. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 外務大臣でも総理大臣でも何でもいいですけれども、なぜそれを聞くかというと、自衛権の範囲というものにぼくは非常に大きく関係してくると思うのです。それでお聞きするのですけれども、まあ防衛庁としてはベトナムの問題は直接関係じゃないといいながら——それはあなたの言われることは私はもっともだと思うのです。ですから、じゃいまの場合は、アメリカの北爆がアメリカとしての自衛権の行使かどうかという質問はぼくは保留しておきます。ここではあなたのお答えを求めないことにしておきまして、そこで、私が疑問に思いますことは、自衛権ということは一体どこまで認められるかということですね。それと海外派兵との関係なわけなんです。ぼくの疑問に思いますことは、そこで一つの問題は、国連協力、国連協力ということを言うわけでしょう。外務省だけじゃなくして、防衛庁だってそれは言うわけです。日本政府全体の考え方でしょう。そうすると、防衛庁としては国連のいろいろな行動がありますけれども、それにどこまで協力できるのか。ここまでは協力できるのだ、これ以外は協力できないのだというところの限界があると思うのです、ぼくは。ここまでは協力できる、国連からこういう要請があった。ここまでは協力できる、ここまではできないというところが憲法なり自衛隊法なりでたくさん出てくると思うのです、ぼくは。そこら辺のところをひとつ御説明願いたい。ここのところは初歩的な問題なんですけれども、なかなか考え方によってはむずかしいし、あるいはやさしいかもわからないけれども
  73. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 稲葉さんの御質問、非常にこれむずかしい問題でございまして、また、御質疑を受けますというと私お答えするというわけで、ほんとうに長時間にわたる問題で、非常にむずかしい問題で、そこで、国連に対する協力は、日本の国連軍の地位に関する行政協定というものがございまして、これは国会の承認を得た上批准をされております。そこで、その範囲の国連軍には協定をいたしておりまするが、その当時の昭和二十九年の国会で同意を得た上、天皇の批准行為が行なわれたるときの国連というものは、三十八度線事変のときの組織されました国連軍を対象にしているように私は思います。でございまするから、文章の上からいったたらばアフリカに行く国連軍に対しても、あるいはオーストラリアに行く国連軍がかりにあるとしましても、地位に関して主として調達関係でございますが、あるいは基地を供与したり施設を供与したりする関係でございますけれども、おそらく朝鮮関係の国連軍に対する便宜の供与であると私は考えております。でございまするから、ほかの国連軍がかりに来た場合には、やはり政府とみっちり相談をした上やる必要があると私は考えております。ちょっと制約するようでございますけれども、前の国会の同意を得た上の批准された条約と同様な扱いを受けておる。国連軍の地位に関する行政協定は、私はそういうふうに扱うべきものである、こう考えております。  それから日本の出兵の問題でございまするが、海外出兵ということは、これは兵ということばは便宜上使わしていただきますが、憲法の九条一項二項の精神に照らして憲法違反である、いけないことである、こう考えております。
  74. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 国連軍に対する自衛隊の協力が政府相談——そのときになって政府相談をしなければきめられないというのはこれはおかしいじゃないですか。憲法なり自衛隊法というものからいって、ここまでは協力できるはずだ、ここまでは協力できないということがはっきりしていなければならないのじゃないですか。国連軍というものの内容はいろいろあることは事実ですね。いろいろあるけれども、たくさん国連軍出ているでしょう。その場合に、日本の自衛隊が参加するしかたはいろいろあると思うのですよ。その場合にどれだけ日本は協力できるのか。こういうものはどんなことがあっても協力できないのか、その限界がぼくはあるはずだと思うのです。これははっきりしていただいていいのじゃないですか。
  75. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 昭和二十九年にできました国連軍の地位に関する行政協定は、まだ当時は三十八度線の休戦協定ができていないときでございまして、日本にある国連軍の施設あるいは基地を提供してこれが便宜をはかるという意味の協定であると、こう考えております。したがいまして、それ以上のことであるならば、あらためて私は政府が協議をするかあるいは新しい行政協定をつくるかどうかということは、そこまではまだ考えておりませんが、要するに、十分政府の納得をする国連軍でなければ、施設や基地はそうばく大なるものを供与はできない。要するに、朝鮮に派遣されました、安全保障理事会で決議しました国連軍の日本における施設あるいは基地に対する便宜を供与するその地位協定である、こう考えておる次第でございます。将来国連軍に自衛隊がどの程度協力するかという別問題の御質問がございましたが、将来の国連軍と申しましてもいろいろ形がございまするが、国連警察軍とか国連監視隊とかいろいろございまして、その国連軍の形成のしかたによって協力のしかたが変わると思います。国連警察軍であって武力行使を伴うものであるならば日本は参加できない、こういうふうに考えております。ただ国連監視隊であって、その組織と編成の態様によります状況を見に行くだけである、たとえばベトナムでも四カ国がいま見に行っております。見に行くだけであるからちょっと仲間に入らぬかというような場合にはそのときあらためて考えたい。こう考えておる次第でございます。
  76. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いま海外派兵ということを言われたのですけれども、これは海外派兵ということの定義を厳格にしていかないというと、論議を幾らしても結局同じことなんですよね。意味がないわけですよ。ですから防衛庁で考えている、海外派兵ができないというならその海外派兵というのは一体何をいうのか、それを厳格にきめないと意味ないですね。どういうのですか、厳格にきめて……。
  77. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 私の答えは、どうしてもお互い政治家としての常識を伴った法律論なり何なりになりますことを前提としてお聞き願いたいと思います。  私は、海外派兵が自衛隊はできないというのは、武力行使を伴う意味の海外派兵はできない、こういうことを常識的にはっきり言えるのではないかと考えております。
  78. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そこで、それでは自衛権の行使ということは考えられますね、当然。その自衛権の行使として自衛隊が海外へ派兵される場合もあるわけでしょう。そういう場合はどうなんですか。
  79. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 稲葉さんのような御質問がございまして従来答えている範囲のことをお答えいたしますが、急迫不正な侵略を受けまして、そうしてその侵略の基地等をたたくにあらざれば、日本は滅びるというようなことが想定された場合には、その基地をたたくこともあり得るというのが従来の答弁でございまして、私もその答弁を繰り返しておきます。
  80. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、そういう場合はあれですか、自衛隊は武力行使のために団体として行っても海外派兵にはならない、あるいは海外派兵にはなるけれども、自衛権の行使の範囲内なんだから問題にならないのだ、こういうことになるのですか。
  81. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 他に方法が、もうその基地をたたく以外に方法がないという場合には、たたくことも憲法違反ではないというのが鳩山さん以来の答弁でございますということをお答えしているわけでございます。  それから、われわれの行動というものは、あくまで刑法三十六条、三十七条の範囲に限局されるわけでございます。正当防衛ないし緊急避難、その範囲の行動を、日本を守るためにとる。そのためにわれわれが一定の実力を設定し、これを訓練しておる、こういうわけでございます。
  82. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 だから、私の言うのは、いまあなたの言われた場合の自衛権の行使の場合ですね。これは海外派兵という概念に入らないということなんでしょう。あるいは海外派兵という範囲に入るけれども、許されない。三十六条、三十七条では違法性がないのだということなんですね、これはもうわかり切っているかもわかりませんけれども。だから海外派兵ということは憲法で許されないというけれども、許されることもあり得るのだ、こういうことですね。くどいようですけれども念を押しておきます。
  83. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) いわゆる海外派兵ということは行なわない、また憲法違反である、こう考えているわけでございます。ちょっとややこしい答えかもしれませんが、それで万々一のことを考えて、刑法三十六条、三十七条、御承知のとおり、一方は正当防衛であるし、一方は緊急避難でございます。この範囲のことがどこの線まで及んでいくか。それが海外派兵ならば原則として海外派兵を認めているじゃないかというような御質問は困るのでございまして、海外派兵というものはわれわれはやらないのだ。認めない。憲法上認められないのだと、もう他に手段がなくてやむを得ない場合の万々というものを百も重ねたその万々一のことでございますから、そういうようなことをあまり想定してお聞かれになっても、ちょっとこちらも困るということを申し上げておきます。
  84. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 ちょっと困るかどうかは別として、困るのはあなたの御自由かもわかりませんけれども、そうするとあれですね。いま盛んに三十八度線の朝鮮の国連軍のことを言われましたね。あの国連軍に対して日本は従来どういう協力をしてきたわけですか。そうすると……。
  85. 小幡久男

    政府委員小幡久男君) 先ほど大臣から申し上げましたとおり、日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の実施に伴いまして、朝鮮事変がまだその紛争のさなかにおきましては、いろいろな協力をしておったと思いますけれども、最近におきましては基地の提供と、若干の後方要員を残しておるわけでございます。後方要員は現在輸送関係要員が若干と、それからその他派遣十一カ国のうちの大使館付の武官等が後方の司令部要員とを兼ねておりまして、大使館におるというふうな数字を集めまして、大体五十名程度が現在残っております。  基地は、現在では座間、府中、立川、横須賀、佐世保、朝霞、岸根の七カ所を提供することになっております。残留員が少ないので実際には利用していなかったり、あるいは少し利用しているという状況でございます。
  86. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 防衛駐在武官は韓国へ行っているのですか、ベトナムヘも行っておりますか。
  87. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 南ベトナム、サイゴンに行っておりますが、韓国はこれから行こうとしております。
  88. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 韓国のほうはあれですか、駐在武官はまだ行っていないわけですけれども、これから行こうというのはどういうことですか。
  89. 島田豊

    政府委員島田豊君) 四十二年度に韓国に防衛駐在官を派遣すべく予算措置をとっておるわけでございます。これを現在御審議いただいているわけでございます。
  90. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 防衛駐在官はこれはどういう資格で行くわけですか、行って何をするわけですか。サイゴンならサイゴンへ行って防衛駐在官は何をしているわけですか。
  91. 島田豊

    政府委員島田豊君) 防衛駐在官は外務省の身分を持ちまして、在外公館長の指揮監督のもとに主としてその国におけるところの軍事事情等について調査をいたし、それを大使に報告する、こういうことでございます。
  92. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 どうしてそれは外務省の身分を持つのですか。そうすると、具体的ないろいろな報告を全部こちらに出すのですか、防衛庁のほうへ。
  93. 島田豊

    政府委員島田豊君) これは外務省一つの方針といたしまして、在外公館に勤務します者は、全部外務省の身分を持ちまして、現在防衛駐在官につきましては、防衛駐在官を兼務いたしているわけでございます。現地からの報告につきましては、全部これは大使館から外務省を経由いたしまして、われわれのほうはこの報告を入手している、こういうことでございます。
  94. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 きょうは第一回ですから、あまりいろいろなことを聞かないで、あと法案が出たときに質問することにいたしますが、ただもう一つ聞いておきたいのは、核の持ち込みはしないということでしょう。それはよくわからないのですけれども日本の憲法でできないのですか、自衛隊法でできないのですか、あるいは何でできないのですか、あるいはできるけれどもしないのですか。そこら辺はどうですか。
  95. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 政府の方針として核兵器は製造せず、保有せず、持ち込まずというきびしい方針を岸内閣以来堅持しているわけでございます。
  96. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、いまの方針ですね、憲法上はどうですか、核兵器の製造、保管、持ち込みですか、これはできるわけですか。
  97. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 憲法上も核兵器を持ち、行使するというようなことは疑問であろうと私は考えております。
  98. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 あなたは刑法三十六条、三十七条を引かれまして非常に法律にお詳しいことを説明されたわけですけれども、刑法三十六条、三十七条のことが、自衛隊のことに適用になるかどうか問題ですけれども、いまの憲法で核兵器を持つこととか、あるいは行使することは、どこにそういうことが書いてありますか。憲法にいいとか、悪いとかということはどこに書いてあるのですか。
  99. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 九条一項、二項の精神に照らしてみてその積極的、攻撃的の武器はいけないという意味で、私は憲法上許されないのではないか、こう考えております。  それからもう一つ、われわれの核のかさの中にあるというのは、外国の武力を持って防衛力の不足を補うことは合憲であるという判決もございまして、つまりそういうときには、外国の武力を仰ぐ、しかしながら、日本の国土内においてこれを使用するかどうかということは、従来の政府の方針によってこれは持ち込ませしめない、製造しない、保有しないという方針を堅持しているわけでございます。  それから刑法三十六条、三十七条は別に、陳腐だとおっしゃいますけれども、自衛隊法七十六条によって出動という場合の基準というものは刑法三十六条、三十七条の域を出でない。こういうことは法曹家である稲葉さんの御存じのことだと思います。
  100. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 刑法論議はいいですけれども、国際法上の、国際間のあれに日本の刑法の精神が適用になるのかどうかというのは問題であると思いますが、まあそれはどうでもいいと思いますけれども、そこであなたのお話を聞いていると、非常に明敏なあなたのお話で感服したのですが、前のお話は持ち込んだり、つくったりするのは憲法上疑問があるというお話でした、前のほうは。あとの話になってくると、何かこうそういうことはできないのではないかというような話も出てきましたね、あとの話は。そうすると、核兵器の持ち込みだとかまあ製造とか保管とか持ち込みとか、こういうことについては、あなた自身は日本の憲法との関連でいろいろな疑問をお持ちなんでしょうか。もう疑問をお持ちならお持ちでけっこうですよ。非常にそれはすなおないい答えですから。
  101. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 私は消極的な意味、つまり持ち得ない、というほうの意見として疑問である、こういうことを申し上げております。
  102. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 持ち得ないと思うほうの意見として疑問なのですか。
  103. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 持ち得ないほうに賛成しているわけです。
  104. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それなら持ち得ないとはっきり言われたらいいのではないですか。あなたのあれは右へ行くような左へ行くような、どうもぐるぐる回っているような、回らないようなあれですね。——ちょっとまだ待ってください。あまりあわてないでください。楽な気持ちで答えてくださいね。こっちもきょうは楽な気持ちで聞いているのですからね。別にあなたから言質を取ってどうこうしようというつもりはございませんから、学習会のようなつもりで聞いているのですから、あまり気を使わないでください。それで結論はどうなのですか。核兵器を持ち込まないのは政府の方針なのだということは憲法上できるのだけれども、やらないのだという、そういうふうに聞こえますね。それが結論なのですか。あるいは憲法上できる場合もあるのだがやらないというのが政府の方針なのだ、こういうことなのですか。
  105. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) これは重要な問題でございますから、政府の従来答えたとおりを答えさせていただきます。要するに、従来答えている点と私は全然賛成なのです。そこで従来答えている点は、核兵器も攻撃的なものでなければ憲法上違憲ではない、こういうことを答えております。ただ、しかし、政府のきびしい方針といたしまして、核兵器は製造せず保有せず、持ち込まずと、こういう行政府の方針を堅持していると、こういうことでございます。それから核兵器であって攻撃的のものは、私はよく足が長いとかなんとか申しておりますけれども、これまた重要な問題でございます。要するに、攻撃か防衛かが、われわれの行為は刑法三十六条、三十七条によって限局されますから、したがって、どうしても外国に脅威を与えるようなことに核兵器はなります。でございますから、政府といたしましては、そういう行政方針を堅持いたしております。憲法論といたしましては、純粋に防御的の核兵器であるならばこれを持っても憲法違反ではないということに従来なっております。しかし、方針といたしまして、そういう純粋防御的の核兵器もこれを保有せず、製造せず、持ち込まずという行政方針を堅持しておる、こういうわけでございます。
  106. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると核兵器が攻撃的であるとか、防御的であるとかいうことは、あれですか、核兵器そのもの自体の性質からきまることなのですか。いいですか、これが一つ。  それから、もう一つは、この用いる人の主観によってきまるべきことなのですか。かりに攻撃的な核兵器であっても、その人が、防御的にのみ持とうという主観で持った場合にはそれは防御的なものになるのではないですか。
  107. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 防御的、攻撃的ということは、あとで政府委員に補足説明させますが、もう一つ私が前の稲葉さんの御質問に対してお答えを、追加御答弁申し上げます。それは原子力利用法というものがございまして、核の関係にもし立ち至りましても、それは平和的利用以外は法律違反になります。憲法違反になる前に法律違反になりますから、要するに、日本国内におきましては核兵器の製造保有というようなことは法律違反になる。それは原子力利用法という法律違反になるということをつけ加えておきます。  それからこの武器が本質的に攻撃的か防御的か、どういうところできめるのだという御質問でございますが、われわれは一応の答えをいたしておきまして、あと補足説明いたしますが、われわれの行動あるいは武器というものは、自衛隊の行動あるいは武器というものは、刑法三十六条、三十七条によって制約されますから、三十六条、三十七条ということがもう両方、あなたがよくおわかりのとおり、すべて防御的の行動でございますということを申し上げたわけでございまして、その範囲の武器ということに、常識上も法律上も相なります。さらに政府委員に補足させますが……。
  108. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 ちょっと。政府委員の補足はいいんですけれども、その前に私が聞いているのは、攻撃用の核兵器であるのか防御用の核兵器であるかということは、そのもの自身の持っている性質というか性能によってきまるべきものなのか、あるいは、いや攻撃的なものであっても、その用いる人の主観が、これは防御的に使うのだということの場合には、防御的というふうに考えられるのか、こういうことですよ。これはいまあなたが盛んに三十六条、三十七条を言われるから、刑法三十六条の場合が出てくるものですから、たとえば物自身によって凶器のものと、用法によって凶器になるものと、いろいろありますね。だから聞いているわけですけれども、そこが一つのポイントじゃないですか。
  109. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 大体これは常識の線できめなくちゃならぬのでございまして、物自身によってはこれは攻撃用、防御用とは必ずしもきまらぬわけでございます。出刃ぼうちょうのごときでも攻撃用になりますが、核兵器はおおむねこれは攻撃用であって、私はよくないと、こう考えております。
  110. 海原治

    政府委員海原治君) 特定の兵器が攻撃的なものか防御的なものかということにつきましては、従来しばしば衆参両院の関係委員会で御質問がございまして、そのとき御説明していることでございます。現在もその考え方は変わっておりません。ただ具体的にいま御質問がございますので、例をあげて申しますと、たとえば地対空のミサイル、今度三次防で私どもが持とうとしておりますナイキハーキュリーズというものは、これは核と非核との両用でございまして、これは高射砲の進歩したものでございますから、入ってくる敵機を落とすということにつきましてはすべての方が認められるわけです。この地対空のミサイルは、かりに核弾頭をつけましても、それは防御的兵器であるということが言えるかと思います。しかし、同じようなものでございましても、日本は採用いたしませんでしたが、アメリカで現に配置いたしましたボマーク、このボマークにつきましては当時防衛庁側にも会社のほうからいろいろとその効用等を説明した文書が来ておりますけれども、このボマークは飛行機にも使えるし、相当な距離が飛べますので、地対地ミサイルとしても使える。こういうことが説明されております。こうなりますというと、兵器自体としては防御的な面と攻撃的な面と両方持っている。しかし、そのときには使う人の意思によってこれは地対地に使わなければそれは防御的兵器になる、こういうことになると思います。一般的に申しまして、はっきり客観的にその兵器自体の性能等から完全に防御的兵器と認められるものと、そのいずれとも認められるものと、疑わしいもの、こういうものがございます。その場合には、結局は稲葉委員が御質問になりましたような、保持者の意図、主観によってきまるということになろうかと思います。以上が従来の考えでございます。
  111. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 だから、あなた方お二人の答弁を聞いておれば、いいですか、ボマークだって防御的には持てるということでしょう。防御的意思によって、ボマークですか、これを持とうとすれば、日本の憲法なり現在の自衛隊において持てるということでしょう。
  112. 海原治

    政府委員海原治君) 私は大臣がお答えしましたあとの補足説明として申し上げたわけでして、私の御説明の前に大臣は、はっきりとおそれのあるものは持たない、外国が脅威を有するものは持たない、こういう方針を鮮明にしております。したがいまして、私のほうはボマークというものはかりに持てれば、いまおっしゃいましたような地対地のミサイルとしても使われる可能性がある、そのことが近隣の外国に攻撃的な脅威を与えるものというおそれがあるからという理由でこのボマークという兵器は採用いたしておりません。したがいまして、私の御説明は先ほど大臣から申し上げましたように、憲法解釈といたしましても、外国に脅威を与えないものという大前提があるわけです。その次には、じゃ脅威を与えないものはどんなものかということになりますと、その下の分類のときに、攻撃的兵器、防御的兵器ということがしばしば問題になる。それについての従来の解釈を申し上げたのでございますので、すべて大臣が御説明になりました中の細部的な事実上説明と御解釈願いたいと思います。
  113. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 何かしかし、あなたの話を聞いていると、いま私が念を押しておるのは、物自体と主観と二つ分けておるわけですね。だから最初から物自体によって脅威を与えないというか、攻撃的なものじゃない、防御的なものがある。だから両方に考えられるものもあるというのでしょう。両方的に考えられるものは、主観によって防御に使うのだということになれば、これは防御的な兵器として考えていいということになるのでしょう。ただその場合にも、近隣に脅威を与えるということであるならば、防御に使ったとしても、近隣に脅威を与えるならばやらない趣旨だ、こういうことですね。そういうふうに、ちょっとあれですけれども、整理されるわけですね。そうすると、攻撃的な核兵器であっても、脅威を与えるかどうかは別として、その使う人の主観によっては防御的兵器になり得る、これははっきりしているわけですね。それをどうこうするという意味じゃないですよ。それを、あなた困っているかもしれないけれども、それをどうこうするという意味じゃない、それを日本が使うとか使わないとかいうのじゃなくして、攻撃と防御と両方持っている核兵器は、その主観が、防御的に使おうという主観でやるならば防御的兵器として考えられるということは間違いないでしょう。
  114. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) このことは非常に常識と法律と政治論をこね合わせて、結局良識という、グッドセンスという線でお互いに結論をつくりたいものと思っております。そこで前から申し上げておりまするのは、相手方に脅威を与えるような武器は持たないのだ、持ってはいけないのが憲法九条一項、二項の精神であるとわれわれは考えております。でございまするから、客観性があるわけでございます。それから今度は、客観的に見て防御用の武器といわれるものでも、主観的にこれを攻撃用に使う場合もあるかもしらぬが、それは使わないのだ、そのときには主観的にも、客観的に一応攻撃用でない、相手方に脅威を与えないというきまった範囲のものでも、まだ慎重にやるということを海原君は答えているわけでございますから、最初の大前提としては、ある程度客観的に私は武器の分類はできると思います。ややこしいけれども、つまり相手方に脅威を与えない武器ということでございます。でございまするから、具体的に言ったほうがいいわけでございまして、ICBM、IRBM、MRBM、長距離爆撃機等は客観的に相手方に脅威を与えることは明瞭でございますから、衆議院等において具体的に答えておりまするが、これは憲法上疑義がある、こういうことを言っております。それから短距離の核兵器等はどうか、これは憲法上は差しつかえないということをこれまた従来答えております。しかながら、行政府の方針として、そういうものは製造せず、保有せず、持ち込まずということを堅持しておるのである、こういうふうに答えておるわけでございますから、どうぞその辺のことは、やはりお互い良識の線で、国のために明確にしておきませんといけませんから、ただ主観によってすべてきまるものだということでは……、一応客観的にずっときまるわけでございます。そこで足の長い、短いという問題がやはり問題になるのでございまして、足の長いのはいけないと言ったことは、あれは別段私の勇み足でもなんでもないのでございまして、足の長いのがいけないというのは、つまり相手方に脅威を与えるからいけない、こういうことでいけないと言ったわけでございます。これは衆議院で言ったことでございますが、参議院ではまだ言ったわけではございませんが、あなたが先ほど拘泥していらっしゃいましたから、足の長いのはやっぱり私は客観的に見て脅威を与える、こういうふうに考えるわけでございまして、すべて長距離爆撃機等はいけない、MRBMはいけない、IRBMはいけない、ICBMはいけない、こういうふうに考えておるものでございます。
  115. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると結論は、客観的に見て防御的なものもある、客観的に見て攻撃的な核兵器もある、その中間にどちらにもなり得るものもあるというわけです。これは三つあっていいわけですか。
  116. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 別にここで分類をしておるわけじゃございませんが、一応外国にだれが見ても——だれが見てもと言ったほうがほんとうはいいと思うのですが、だれが見てもその存在によって脅威を与えるというふうなものは除外しまして、あとのものでもこちらは非常なデリケートな配慮をしておるということで、つまりその点は主観的にいろいろな配慮をしてきめて、何とかいう武器はこれを選択しないことにしたということを官房長が言っておるわけでございまして、大まかなクラシフィヶーションというものはできるわけでございます。ICBM、IRBM、MRBM、長距離爆撃機はいけないということは、もう稲葉さんも御賛同くだすっておりますから、それからあとのほうで少し不明瞭なものがあるとして、それでもわれわれは慎重の上にも慎重の配慮をしておる、こういうことでございます。
  117. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 予算委員会のほうへ行かれるのだと思いますから、きょうはあまりこれ以上聞かないのですけれども、最後に一つお聞きしておきたいのは、盛んにあなたは刑法の三十六条、三十七条を引っぱられるわけでしょう。だから聞くわけでしょう。そうすると、日本の自衛隊が外国との紛争か何かの中で、刑法三十六条なりあるいは三十七条なり、それを適用した場合はどういうふうなことを考えられるのですか。どういう場合のことを考えておられるのですか。あなた盛んに言われるものだから、念を——念をというか、最後に聞きたいのですがね。
  118. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 自衛隊法七十六条によって出動した場合あるいは七十八条によって治安出動した場合、そういうふうな場合における、こちらが実力行使をいたします場合もあると思います。そういう場合のことを言っておるわけですから、その場合に各般の場合があって、こういう場合にこうだということは、私は具体的の三十六条、三十七条の適用の問題までは、まだ一々、事例でないとお答えしかねますけれども、自衛隊員が治安出動、防衛出動した場合の心得は、三十六条、三十七条というものでございますということを申し上げるわけでございます。
  119. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 だから、三十六条の場合は正当防衛でしょう。具体的に自衛隊が出動する場合はどういう場合に当てはまるのですかということを聞いておる。三十七条は緊急避難でしょう。緊急避難が具体的にどういう場合に当てはまるかということをお聞きしておる。あなたが盛んに言われるから聞いているのです。具体的な場合を想定しないと、ただ抽象的に刑法の三十六条、三十七条を引っぱってこられても意味ないでしょう。だからお聞きするわけです。
  120. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 私が好きで盛んに言っておるのじゃないのでございまして、やっぱりわれわれの、第七十六条に基づいて自衛官が出動するという場合には、三十六条、三十七条以外にはないのです。ほかの何かものがあって、もう少し向こうをやっつけたり、日本を守るためにもつと何かあるということはないのです。これは三十六条、三十七条きりないわけですから、それで盛んに言っておるわけでございますが、別に好きで言っておるわけじゃございません。
  121. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 こんなことをくどくど言っていてもしょうがないのです。あなたが三十六条、三十七条をごちゃまぜにして言うからおかしくなってくるのですよ。三十六条の場合——正当防衛の場合には、自衛隊が出動するのに刑法の三十六条の類推されるような場合というのは、具体的にどういう場合なのか、三十七条の緊急避難の場合はどういう場合なのかということをこっちは聞いておるのです。あなたはごちゃまぜにして三十六条と三十七条を言うから、具体的な場合をああだこうだと言わないから、だからお聞きしておるわけで、あなたは好きで答えておるのじゃないと言っておられるが、あなたが好きで答えておるのじゃないのと同じように、ぼくも好きで聞いておるのじゃない。ただ答えがはっきり出てこないから聞いているだけです。分けてごらんなさい、三十六条し三十七条分けて答えてください。
  122. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 刑法問題の高等文官試験を受けているような感じがしますが、三十六条は事故に対する緊急避難。
  123. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 自衛隊の場合に当てはめて。
  124. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 自衛隊の場合というのは幕僚長か何か来ないとぐあい悪いが、かりに飛行機がほんとうに日本を侵略する意図を持って領空の上に来た、そうして侵略の意図があって、侵略的な武器を備えておるというようなことが明瞭であれば、すでに領海、領空を侵されている場合には、これは撃墜するというようなことがあっても、これは三十六条だと思います。三十七条という場合は、これはちょっとこれも刑法の高文受けているような感じがしますけれども、第三者が第三者の法益を守るために、各種の実力行動をとった場合に、そのとった行動が過剰避難になってもいけないというようなこともございまするが、要するに、自衛隊と国民そのものではないが、しかし、見るに見ていられないというような場合が三十七条だと思います。これは刑法上の問題。
  125. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 具体的にどういうことですか。
  126. 海原治

    政府委員海原治君) これは大臣が先ほどからおっしゃっておられますのは、自衛隊が命令を受けまして出動しました場合の個々の場合のよるべき根拠規定の御説明をしておるわけです。具体的なたとえば例で申し上げますと、航空自衛隊は常に領空侵犯に対処する体制で、いわゆるスクランブルの体制でございます。領空侵犯があった場合、上空に飛び上がりまして、違反をしております飛行機に対しましては退去を求める、あるいは航路を変更してもらう、ないしは国内に着陸してもらうというようなことをやるわけでございますから、そういう場合には、これがいわば海賊のような飛行機でありまして、攻撃を加えるということには当然正当防衛が適用されるわけであります。さらには海上におきますところの人命、財産の保護のために警備艦が出動することがございます。これは大臣の命令によって行動いたしますから、そういう場合にやはり海賊船のようなものがございまして、いまおっしゃいました緊急避難的な事態が発生するということは容易に想像されます。さらには国内におきましての治安出動等の場合におきましては、これは私が申し上げるまでもございませんが、暴動等の鎮圧のためには正当な防衛あるいは緊急避難の条章によりまして出動する隊員がそれぞれの任務を達成する、これは当然にあり得ることでございます。
  127. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いまの問題なんかそれほど論議する必要もないような問題ですけれどもね。ですけれども、あなた盛んに言われるからお伺いしたわけですけれども、いずれにしてもきょうは第一回ですから、きわめて初歩的なおさらいみたいなこと、押し問答みたいなことであまり収穫がなかったのですけれども、今度いずれにしても一つの問題をしぼりまして、一つ一つ時間をかけていろいろお伺いしてみたいと思うのですね。あなたもグッドセンス持っておられるというふうに御自分で言われるが、自分で言われるわけではないでしょうけれども、持っていられるようですから、私のほうもそれはお答えしにくい点もあると思うのです、現実問題として……。憲法論とか自衛隊法の問題だけでなかなか解決できない点もあるし、あなた方のほうのいまの立場としてできるだけフリーハンドでいきたい、将来国際情勢がどういうふうに変わってくるかわからぬということを考えたときに、できるだけここでぴしっと言ってしまってはあとで困るということがあるから、何とか適当にごまかしておこうということもある程度は理解できるのです。ぼくら内閣とったって、何か聞かれても防衛問題ではそう一々答えられぬ場合もあるかもしれませんが、だからそういう立場はわかりますけれども、これは答えるべきものはできるだけやはりすなおに答えていただきたい。ぼくもペダンチックな議論を展開するつもりはない、御了解願いたいと思います。きょうはいずれにしても第一回ですから、大臣がほかの委員会に行かれる御都合もありますから、この程度で終わります。
  128. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 他に御発言もないようですから、本件につきましては、本日はこの程度といたします。     —————————————
  129. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 委員異動について御報告いたします。  本日矢山有作君が辞任され、その補欠として北村暢君が選任されました。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時十五分散会      —————・—————