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1967-06-06 第55回国会 参議院 逓信委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月六日(火曜日)    午前十時四十八分開会     —————————————    委員の異動  五月三十一日     辞任         補欠選任      田中 茂穂君     迫水 久常君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         森中 守義君     理 事                 植竹 春彦君                 寺尾  豊君                 西村 尚治君                 森  勝治君     委 員                 古池 信三君                 白井  勇君                 鈴木  強君                 永岡 光治君                 光村 甚助君                 横川 正市君                 和泉  覚君                 石本  茂君                 鈴木 市藏君    国務大臣        郵 政 大 臣  小林 武治君    政府委員        郵政大臣官房長  竹下 一記君        電気通信監理官  畠山 一郎君        電気通信監理官  浦川 親直君    事務局側        常任委員会専門        員        倉沢 岩雄君    説明員        日本電信電話公        社総裁      米沢  滋君        日本電信電話公        社総務理事兼技        師長       黒川 広二君        日本電信電話公        社営業局長    武田 輝雄君        日本電信電話公        社海外技術連絡        室長       松本  馨君     —————————————   本日の会議に付した案件郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に  関する調査  (電気通信事業運営に関する件)     —————————————
  2. 森中守義

    委員長森中守義君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  初めに、理事会の結果について御報告いたします。  本日の委員会においては、郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査を予定しておりますので、御了承願います。     —————————————
  3. 森中守義

    委員長森中守義君) 郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査を議題といたします。  御質疑のある方は、順次御発言願います。
  4. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 この機会に、一番最初の問題について、郵政大臣おいでになりますのでお聞きしたいと思いますが、きのうも中東でアラブ諸国とイスラエルとの戦火が開かれましたし、ベトナムの戦況は日増しにエスカレーションを続けているといったような、こういうあわただしい世界情勢の中で、特に最近における電波の持つ軍事上、外交上の役割りというものは、かつてないほど緊要な地位を占めるに至ったと思っております。こういうときにおいて、平和に徹し中立を守るということをたてまえとしている日本政府の基本的な立場から考えまして、いまの電波行政についてのそういう立場に立ったひとつ基本的な態度をお聞かせ願いたいと思います。
  5. 小林武治

    国務大臣小林武治君) 電波関係は、御承知のように、国際機関によって割り当てをきめておる。事態がどうあろうと、こういうことに影響なしにきめてある、こういうことでありますので、もしまた、直すことがあれば、毎年会議を開いておりますので、国際協議の上でもって適当な会議を持つ、こういうようなことでありますが、いまの問題については、さしむきの関係はないと、かように考えております。
  6. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 昨年の九月、韓国ソウルアジア国会議員連合——略称いたしましてAPUなるものの第二回総会が開かれました。日本からは元首相の岸さんを団長に、約二十名に及ぶ自民党国会議員がこれに参加をいたしましたが、このAPU総会決議に基づいて、アジアにおける電気通信網整備拡充をはかるためと称しまして、APU計画なるものがつくられましたが、その点について、郵政省御存じでしょうか。
  7. 小林武治

    国務大臣小林武治君) そういう計画のあることは知っております。しかし、これは政府段階お話でございませんので、われわれ直接これにはタッチしておらぬ、こういうことでございます。
  8. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 官房長官を長として、外務、郵政、大蔵の各省が集まって、その具体化について検討をされているということが言われておりまするが、この事実はございませんでしょうか。
  9. 小林武治

    国務大臣小林武治君) いまのところ、ありません。
  10. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 それでは、大臣は否定されましたが、公社はこの内容について御存じでしょうか。
  11. 米沢滋

    説明員米沢滋君) 私は存じておりません。
  12. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 この韓国ソウルで開かれた決議で言われているアジア通信設備会社——仮称というのは、すでに設立されているのじゃないかというふうに考えておりますが、この具体的なことについても、郵政並びに電電公社は双方とも御存じありませんか。
  13. 小林武治

    国務大臣小林武治君) そういうものが設立されておるとは聞いておりません。
  14. 米沢滋

    説明員米沢滋君) 私も目下聞いておりません。
  15. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 聞くところによりますると、このAPUなる会議において、自民党の所属の国会議員中心として参加いたしましたメンバーの中の某氏は、ここにはっきりと、この会議性格並びにこれに対する日本政府協力の度合い、与党としての自民党立場について、かなり突っ込んだ見解を述べておりまするし、また、この会議韓国代表は、きわめてこのAPU性格に関する重大な発言をしているわけであります。これを一々委員会の席上で読み上げる煩は避けますが、一口に言いまして、韓国代表発言は、このAPU会議なるものの性格、また、これが目ざす具体的な計画の方向としては、共産主義諸国に対する軍事上、戦略上の立場に立つ通信施設なるものをつくることに大いに役立つ、日本国会議員団の提唱はそれを進める上において非常に前進した体制をわれわれに示してくれたことになるということを、韓国代表がこの会議発言しているのでありますが、こういうことについても、大臣並びに公社のほうは一切関知しておりませんでしょうか。
  16. 小林武治

    国務大臣小林武治君) はっきり申し上げて、関知しておりません。
  17. 米沢滋

    説明員米沢滋君) 私のほうも関知しておりません。
  18. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 これは私は、こういう公開の席上で関知しないということで御答弁をなすっておられますが、しかし、団長岸信介氏であり、二十名からの大代表団自民党が出しておられるわけでありまして、このAPU会議内容並びにこの会議で方向づけられた計画というものは、きわめて重要なものを含んでいるというふうに思います。で、この会議はもし大臣並びに公社が知らないと言うならば、われわれはやっぱり、この会議が持つ軍事上、外交上の点から見て、特に東南アジアにおける電波の一般的な計画並びに建設内容について重要な点があると考えまするので、私はこのAPU第二回総会の経過なるものについて、この際ひとつ明らかにしておく必要があるというふうに思っております。  この日程は、昨年の九月の二日から開かれまして、九月の十一日に終わっておりまするが、この期間。参加代表団は、いま申し上げました日本をはじめとして、中華民国——もちろんこれは台湾であります。ラオス、マレーシア、フィリピンタイベトナム、こういったようなところの代表合計八十二名によって構成されているわけであります。それで、オブザーバーとしてインドネシアとオーストラリアが参加しておりまして、それで、各国代表団より選出された理事には、日本は二人の国会議員がこれに参加しております。それで、電気通信特別委員会委員には、特に日本側の某国会議員が副委員長として参加をしているわけでありまするが、このアジア国会議員連合第二回総会の概要なるものの内容は、先ほど申し上げましたように、平和的な立場としての電波行政をはるかに逸脱しているやに考えられる重要な内容を含んでいるものと言わなければなりません。もちろん、日本代表団長は、先ほど申し上げました岸氏でありまするが、いまの団員を代表して衆議院議員某氏発言をしておりますが、これを受けまして、先ほど申し上げましたような、韓国代表は、この会議を通じてこのマイクロウエーブラジオ通信施設を設ける計画を立て、そして各メンバー国間にすでに設けられている通信技師養成センターを統合強化することだ、こういう結論を出しておりまして、前記の諸目的を達成するために、アジア通信設備会社なるものを設立するよう提案すること、この会社資本金は、参加各国同額出資によるものとする、各国出資額は十万米ドルとし、第一回払い込みは五万ドルとするということまで設けて——明らかにこの会社資本金参加各国同額出資という形において国家的な立場でこれに参加をすることを申し合わせているわけでありまして、これは第一回が東京で開かれました。これは一昨年の一九六五年東京で開かれまして、第二回会議ソウルで昨年九月に開かれた。先ほど申し上げたような事情を考慮いたしてみますると、このことがかなり具体的な問題になって日程にすでにのぼりつつあるのではないか。これらの会議の諸経過から考えてみまして、そううかがわれるのでありまするが、これらの点については、郵政省としては何らの相談もしくは打ち合わせ等のこともなかったのでございますか。
  19. 小林武治

    国務大臣小林武治君) これは私ども職務外でですね、お話をお聞きしておることはあります。郵政大臣としてではなくて、職務外お話をお聞きしたことはありますが、この問題は、政府レベルの問題にならなければ問題になりません。これはあくまでもいまのところは、アジア議員連盟お話でありますから、各国とも、まだ政府レベルの話には何もなっていないと、こういうことでありますから、これからAPUがどういうことにお出になるかわかりませんが、おそらく、いろいろなことをいまおっしゃいましたが、民間レベルではこういうことはできない。したがって、また、あるいは政府レベル話し合いになると、こういうこともあり得るかもしれません。いままでのところは、そういうことになっておりません。ただ、そういう計画とかいまおっしゃったようなことは、私は職務外として知ってはおります。しかし、政府立場においてこれに応答したことはないと、こういうふうに御承知願います。
  20. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 民間レベルの話で、政府としては関知はしていないと……。
  21. 小林武治

    国務大臣小林武治君) いままでのところは……。
  22. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 いままでのところはとおっしゃっておりますが、ここに出ているメンバーから見て、どうもそういうことはちょっと言えないと思いますが、大臣がそう否定しておりますから、これ以上この問題について深く立ち入ることは避けたいと思います。  しかし、このAPU計画なるものの案件日本側から提案されているという点に、私たち非常に重要性を感じているわけです。この日本中心になってつくられているということでありまして、この具体的な地図さえ出ているんですね、どこへどうつくるという。この地図などを大臣御存じですか。ここにいわゆる、さっき言いましたAPUから出されました、東南アジア通信計画一覧表地図です。
  23. 小林武治

    国務大臣小林武治君) 見たことがあります。
  24. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 大臣はこのような地図をごらんになり、あるいは、まあ政府代表としてではなく、個人もしくは民間という形で聞いたということをさっきおっしゃいましたが、そういう場合に、逓信行政責任者として、現在これをどうお考えになっておられますか。
  25. 小林武治

    国務大臣小林武治君) いまの東南アジア通信が非常に不十分だということは、どなたもこれは承知されておるところだと思います。で、通信そのものは平和の維持のためにも非常に大事なことでありまするから、東南アジア通信施設がもっと改善されることは、私はやはり適当であろうと、こういうふうに考えておりますが、私は繰り返して申しますが、いまはその議員連盟のお話し合い範囲を出ておらない。したがって、これからこれは政府段階でもって話をしてもらいたいと、こういうことになるかどうかわかりませんが、また、いまの参加諸国におきましても、政府レベルからは何のお話もないというのが現状でございます。
  26. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 政府レベルの話がないということは、先ほど大臣もおっしゃられましたから、それはそうだと思います。しかし、この計画がどういう目標を持ったものであるか、どういう内容であるかということは、お話を受けたときにおわかりだろうと思います。一口に言ってこれは、東南アジア及び東北アジアをこのような通信網で結ぶことによる軍事的な通信施設であるという性格がきわめて濃厚なものだと言わなければなりません。で、先ほどもちょっと申し上げましたが、これは東京グアムマニラとサイゴン、この四つが起点になって結ばれている海底ケーブル並びにマイクロウエーブ計画地図ですが、電電公社が出されました東南アジア海底ケーブルマイクロウエーブ建設あるいは各国が行なっているであろうと考えられるもの集めました地図よりも、はるかに具体性を持ち、かつ、計画性を持った地図だというふうに考えられます。こういうものの内容については、電電公社は全く御存じありませんでしょうか。
  27. 小林武治

    国務大臣小林武治君) これは御承知のように、電電公社国内施設をおやりになるものでありまして、海外に行くものは国際電信電話会社がおやりになる、こういうことで、いま日本からはグアムを通じてマニラまで海底線は使っております。それから遠いほうはいまない、こういうことでありまして、いまのところ、たとえば台湾海底線を引くとか、あるいはマニラからどこかへ引くということについては、具体的な計画はわれわれはないようにいま聞いております。
  28. 米沢滋

    説明員米沢滋君) ただいま大臣のお答えがありましたが、電電公社国内電信電話のサービスを提供し、あるいは電気通信設備建設することが本来の業務でありまして、私のほうの所管ではございません。
  29. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 いま電電公社所管ではないということは、一応の公衆電気通信法によってもきめられていることでありまするから、それはそれとして、たてまえはそうでしょうが、事実はどうかという点は、何か大臣所用があるそうですから後ほど電電公社にひとつ事実問題としてその見解をお聞きしたいというふうに思っております。  いま大臣が、これは民間レベルのものであって、政府レベルとしては関係がないということを申されましたが、もしこれが政府関係の話に持ち込まれてくるような事態——私はもうすでにそこまでいっているのではないかと心配をいたしますが、持ち込まれてきたような場合においては、どういう態度をもってこれに接せられようとしているか、一応この行政責任者としての大臣見解を聞いておきたいと思います。
  30. 小林武治

    国務大臣小林武治君) これは私もはっきり申し上げておきまするが、日本から直接つながる、こういうことになれば、国際電信電話会社等を通じて関係を持つ、こういうことになりますが、いまの東南アジアマイクロ回線の問題は、東南アジアの中だけの連絡機関であるように私は見ております。したがって、郵政省が直接タッチするような問題じゃないじゃないか。すなわち、もしやれば、これは海外経済協力とか、こういうふうな問題になって、外務省等の問題になる、こういうふうに私は思っております。したがって、あるいは将来において、外務省からどうだろう、あるいは技術的なアドバイスをしてもらえないか、こういうふうなお話は、これはあるかもしれませんが、私どもが直接関与する問題ではいまのところない、郵政省の問題ではない、こういうふうに私は存じます。
  31. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 そこで、先ほど私が質問した中にもありましたように、このねらいが、つまり、アジアにおける、特に東南アジアにおける通信網の平和的な建設といったような、そういうものとは全く違うのですね。そういう内容じゃないのです。これは大部分が、つまり アメリカベトナムの現在の侵略戦争に加担をし、あるいは直接参戦をしている国がAPUなるものの中に入っておりまして、たとえば韓国台湾タイ、南ベトナムフィリピン、そしてアメリカが入っている。ですから、これが外見上、いかに東南アジア諸国平和的通信網建設だと、こう言いましても、実体は全くそうではないということが明らかであります。しかも、ここにAPUにおける韓国代表演説の一部がございます。先ほどちょっとその概要を申し上げましたが、日本代表団によって示されたマイクロウエーブを主とした電気通信施設APU計画によって設立するいう提案に原則的に賛意を表明した。これは韓国代表ですが、こう言っています。「日本代表団提案は、アジア地域反共体制団結に資するものであり、共産主義に対する作戦として、政治経済上の安定とともに、文化的活動増進を通じて貢献するものである。」、こう言って、この反共体制団結共産主義に対する作戦上これが貢献するものであるとして、明らかに政治的に、軍事的な性格をまる出しにして、日本代表団提案に賛成しているわけでありまして、また、日本代表団代表して演説をいたしました某自民党国会議員も、「アジア各国の人が、整備された通信網で結ばれるならば、相互の情報連絡が迅速となり、政治的に完全な連帯関係を樹立することになる。」、こういうことを述べているわけです。ですから、このAPUのねらっているところのもの、その内容は、決して平和的な通信施設整備ではなくて、明らかに軍事的、政治的な内容であるということが、これらの報告によっても具体的に明らかになってきている今日でありまするから、私は、このような計画が今後日本政府に持ち込まれた場合といえども、これはやはりはっきりと理由を付して、協力をすることはできない、日本政府としては協力はできないということを言うべき立場にあると考えますが、この点いかがでしょう。
  32. 小林武治

    国務大臣小林武治君) われわれ郵政省なり電電公社あるいは国際電信電話公衆通信を扱う機関であるから、公衆通信である限りは、私はこれは是認してもいいと思うが、そのようなことはわれわれのもう関与すべき問題ではないというふうに考えております。公衆通信立場においてすべきものであればすると、こういうことであります。
  33. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 好ましい計画ではないというふうにお考えではございませんか。
  34. 小林武治

    国務大臣小林武治君) 私はいまそういう断定を下すだけの材料を持っておらぬ、こういうことでございます。
  35. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 先ほどあなたは、しかし個人的あるいは政府関係という立場を離れては聞いたこともある、この地図も見たこともあると言われておりまするから、御見解を承っておるわけです。
  36. 小林武治

    国務大臣小林武治君) 私が聞く範囲においては、お互いの国の間の通信連絡をするということは非常にけっこうなことじゃないか、すなわち、通信そのものは、やはりお互いの国の理解増進し、また、平和にも貢献するだろう、こういうふうに考えるのでありまして、いまのような東南アジア通信状況は、私は満足すべき状況ではない、かように考える。そこにそういうものが開発されることは、公衆通信なり、あるいは国の理解を深める、あるいは平和増進のためにも私はよいのではないかというふうに、私はいままで個人的に考えてきております。しかし、あなたのおっしゃるようなものでほんとうにあるかどうかということは、これからまた検討しなければいかぬが、私は、ああいうふうな通信状況は直したほうがいいのじゃないか、東南アジアお互いの間にも。こういうふうに思っております。しかし、あなたの言うような隠された目的が大きいかどうかということは、私にはわかりませんが、これはこれからひとつ検討してみなければならぬ、こういうことでございます。
  37. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 これは隠された内容と言っているのじゃないのですよ。その公にされた文章の中で出ている見解なんですね。ですから、何もこれが秘密にされたものだという意味で言っているのじゃない。大臣もすでに個人としてはこれを見ている、話も聞いているということを言っておられますが、私たちもこれは見ているし話にも聞いている。こういうことが日本一体国策上好ましいものであるかないかということは、少なくとも電波通信をあずかる行政の長としての見解は私は述べても差しつかえないのではないか、また述べるべきである、こういうふうに考えておりますが、さらに大臣のひとつ見解を承りたいと思います。
  38. 小林武治

    国務大臣小林武治君) これは私、繰り返して申し上げますが、これは外国間通信のことで、私ども郵政省は直接関与いたしません。これがもし問題になれば、外務省でひとつお取り上げになって、そして政府間のお話をなさるのじゃないか、かように考えております。日本が直接連絡するということになれば問題になりますが、外国間のこれは回線と、こういうことになっております。
  39. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 つまり、日本が加わり、日本がしかも中心的な役割りを果たすという立場においてこの計画がつくられているわけです。ここに問題があります。
  40. 小林武治

    国務大臣小林武治君) だから、これはいま私が申しますように、郵政省的立場において問題になっておるのじゃないと、こういうことでございます。
  41. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 だから、それはわかりましたよ、郵政省的な立場でいま問題になっている段階じゃないということはわかりました。しかし、あなたはこの電波行政責任者なんだから、こういうことが日本国策上正しく沿っているものであるかどうかということを、見解を述べる私は立場にあられる方だと思うのです。それで聞いているのです。  こういうことが一体日本のいまの憲法下で、しかも、しばしば佐藤総理は平和に徹する、こういうことを国会でも施政方針たびごとに言っているのですから、そういう立場として、こういう計画、こういう内容を持ったものが一体日本国策上許されるものであるかどうかということを、見解を聞いているわけです。
  42. 小林武治

    国務大臣小林武治君) これは、私が政府見解を述べるわけにはまいりません。
  43. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 どうしてですか。
  44. 小林武治

    国務大臣小林武治君) 問題があれば——私は政府じゃありません。政府の一部分にすぎないので、もし国でそういう方針をきめたなら、閣議なり外務省提案して、そして、そういうことをやるかどうか、あるいは協力するかどうかということをおきめになるのですね、そういう相談を経てからでなければ、やれない、言えない。
  45. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 くどいようですが、これについて、つまり、郵政省当局として積極的に賛成をするのか、どうするのかという態度はいますぐとることはできなくとも、少なくとも、これが政府レベル間の問題になったときにはどういう態度をおとりになるのか、これはもうあなたが先ほど、まだそこまでは話は具体的にいっていないと言っておりますけれども、必ずしもそうではないと考えまするので、これが具体化したときの、一体郵政当局態度はどうあるだろうかということをお聞きしているのです。あなたに全部政府のことを答弁しろと言っているのではない、郵政当局としは……。
  46. 小林武治

    国務大臣小林武治君) この電波の使用は、日本の関与する問題じゃありません。東南アジアが国際的に割り当てられた電波をお使いになるので、私どもは、その施設の趣旨がどうだこうだという、電波そのもの日本が割り当てるのじゃありません、これは国際機関によってわれわれが割り当てられたものを使う、こういうことでありますから、われわれが容喙すべき筋じゃありません。また、そういうものがわれわれとしては、公衆通信上けっこうなことじゃないか、こういうことを言うておるのでありまして、いまの通信状況が客観的に見て私はいいと思っていない。ただ、そういうようなことを第三者として見ておるだけでありますし、また、日本がこの回線に直接つながる問題でもない、したがって、これはいまの政府の一部としての郵政省がいま関与すべき問題ではないので、必ず、問題となれば、外務省がこれはお取り上げになるべき問題であろう、こういうことを申しておるのでありまして、私どもは、通信というものが、いわゆる軍事に使うものは軍用線というものが別にありますし、いまのものが軍用線だとは思っておりません。これはあくまでも、われわれは公衆通信立場においておやりになっておる、こういうふうに思っております。
  47. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 そうすると、もうかなり話は進んでいると見ていいわけですね。あなたのいまの御説明によりますと、これは公衆上の通信施設であると、こういうふうな御見解ですから、あなた自身は、かなりもう具体的に話は聞いているが、しかし、その性格はやっぱり公衆上のものだ、こういう御見解だと理解してよろしゅうございますか。
  48. 小林武治

    国務大臣小林武治君) これは、私が要するに、職務外でいろいろな話を聞いているということを申し上げたのであります。しかし、われわれに、もしたとえお話しになるにしても、何もわれわれに軍事上の話をされるわけがありません。公衆通信としての話をされるにきまっております。したがって、いまのような話は進んでおらぬということは事実で、これからどうなるかわかりません。いま政府レベルでこれを検討している段階ではないということをはっきり申し上げておきます。
  49. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 この計画の主たる性格が、やっぱり東南アジアにおける、つまり、反共体制の確立という問題に資するための通信施設であるというところにその問題がある、重要な問題があるというふうに私たちは考えて質問をしているわけなんで、ここが、これが単なる公衆上の通信を云々するという、そういうものじゃないんじゃないか。それはどんな場合でも、初めからこれは反共の政治体制をつくるための通信施設だと、むき出しに言う者はいませんから、それは表面上のことばを語ることもいいですけれども、しかし、具体的に計画を追ってみますと、決してそうは言えないわけです。たとえば、先ほど申し上げましたように、地図を見ますと、まずグアム島が全体の中心になっているようです。そうして東京マニラ、バンコクがその拠点になっているということがよくわかります。それで、特に問題とすべきは、緑の点線がAPU計画によるマイクロ回線でありますが、一つは、南ベトナムのサイゴンからマレーシアのコタバル、さらにシンガポール、インドネシアのジャカルタに至るものがあります。二つ目は、サイゴンからコタバル間にバンコクからの回線を接続させるのが一つ。三つ目に、タイ国内回線を一つはラオスのビエチャンまでもう一つはパクセまでそれぞれ延長して、ビエンチャン——パクセ間にマイクロ回線を新設する、こういう具体的な内容を持っているのでありまして、これが完成すれば、南ベトナム、ラオス、タイ、さらにマレーシア、シンガポール、インドネシアが完全に結びつけられ、マニラを中継にしてグアムに接続される、これが東京に来る、地図を見ますと、こういう関係になっているのでありまして、これらの地域の今日の軍事的な政治情勢ともにらみ合わして考えたときに、これがいみじくも、先ほどの韓国代表が述べたような、アメリカ東南アジアにおける軍事的、政治上の作戦に重大な寄与をなす通信網整備である、建設計画である、こういうことがこれは私なんか、しろうとですけれども、そのしろうとが見てもはっきりそういうことがうかがわれる性質のものです、これは。したがって、これを大臣が話を受けて、これは公衆通信整備の一つだと、まだ政府間の話になっていないが、けっこうなことだと言わんばかりのようなお話をしておられる。私たちはその感覚は非常に危険なものがある、主観的意図はどうであれ、客観的にそれはきわめて危険なものがあるというふうに考えています。再度この点について、私は具体的ないま地図の内訳をもって御質問申し上げているわけですから、お答え願いたいと思うのです。知らないわけはないですよ。
  50. 小林武治

    国務大臣小林武治君) これは私は、どこからどういうふうに引くのか、地図を見ただけで記憶も何もない、こういうわけでありますから、外国がおやりになることで、第三国、われわれにとって第三国の外国がおやりになることで、われわれがやることじゃありません。したがって、これらについて鈴木さんはいろいろな考え方をされる、われわれはまた一つの第三者としての見方をしておる、こういうことでございまして、この問題はこれ以上いろいろお話しになっても結論が出ないんじゃないか。第三国というのは、要するに、外国がおやりになることで、外国同士でおやりになっていることで、日本は直接参加していない。これはAPUでもって議員さんの有志がいろいろ御相談なさることは政府には関係がない。いまの回線網というのは、それぞれ外国間の回線網であって日本にはいま直接の関係がない、こういうことでございます。
  51. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 これは第三国のやっていることで日本には全然関係がないと言われましたが、その第三国というのは、どこを一体具体的にさすのですか。
  52. 小林武治

    国務大臣小林武治君) 第三国というのは、要するに、日本を除く国ということで私は称したわけであります。
  53. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 第三国というのは具体的な名前は何ですか。
  54. 小林武治

    国務大臣小林武治君) 東南アジア十カ国かなんか入っているでしょう、そこに。
  55. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 全部ですか、これは。
  56. 小林武治

    国務大臣小林武治君) 全部かどうか知りませんが、あなた地図をごらんのとおり、その国の間にやっているのだから、これはよくおわかりでしょう。どの国とどの国の間に回線があるということは。
  57. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 大臣、そういう答弁でお逃げになろうと思っても、ちょっとおかしいですよ。つまり、第三国がやるといっても、第三国だけじゃない、東京へも集まってくるんですよね。ですから、第三国がやっているということは、日本に全然来なければ話は別ですよ、私は質問いたしませんよ。しかし、グアムを通じ、あるいはソウルを通じ、マニラを通じて日本に集中してくるからこそ、言っているんですよ。もちろん、東南アジア各国が、大臣がいまおっしゃったように、具体的な名前をあげないけれども東南アジア各国関係しているならば、日本に当然関係がないということはないでしょう。問わず語りに、大臣日本としての関係はないと、ことばでは否定なさっておられますけれども、御答弁の内容は、実はそうではないのだということを裏書きするようなお話をしているかのように印象を受けます。どうですか、これは。
  58. 小林武治

    国務大臣小林武治君) これはいま申し上げているように、APUという団体が、議員の方が、日本国会議員もお出になっている、こういうことでありまして、これは地図をごらんのように、回線そのものはいま日本には関係ないと、それのお手伝いを代議士さんたちがおやりになっている、あるいは相談にあずかっておる、こういうことは政府としては関係がない、こういうわけであります。
  59. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 これは大臣、なかなかほんとうのことをおっしゃらないような印象を受けます。しかし、これは、これ以上この問題で詰めていってもしかたがないと思いますが、私は、これは日本国会議員団が言ったことだと、やっていることだというふうには言えない。この日本国会議員団二十数名が出かけていって、このような具体的な計画を一緒に練ってきたというこの背後には、私は日本政府の何らかの了解なしに、いかに自民党、与党の国会議員といえども、こういう計画をきめてくるはずはないんじゃないか。普通、常識で考えてもそうです。ですから、大臣が否定をされておっても、事実の進行は、その否定にもかかわらず、やはりこの計画の背後に日本政府はある程度の影響力を持っているというふうに考えざるを得ません。大臣のせっかくの何回にもわたる否定の御答弁でありますが、どうもそういう懸念が濃厚であります。  そこで最後に、日本政府としては、これが日本政府に直接問題となって表面化した場合においても、これを積極的にバックアップするという方針はとらない、少なくとも現在はとっていない、こういうふうに理解してよろしゅうございますね。
  60. 小林武治

    国務大臣小林武治君) いまはとっておりませんが、将来のことまでは、私は言明はできません。
  61. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 大臣お忙しいようですから、この点に関しては、あとは公社のほうでやります。
  62. 森中守義

    委員長森中守義君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  63. 森中守義

    委員長森中守義君) 速記を起こして。
  64. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 公社は、先ほど私の質問に対しまして、まあ大臣もお答えいたしましたが、公社法に基づいて外国との関係通信についてはタッチしておらぬというような御答弁を総裁は行なったと思いますが、その点、変わりございませんか。
  65. 米沢滋

    説明員米沢滋君) 先ほど申し上げましたが、もう一回繰り返します。  電信電話公社は、国内電信電話サービスを提供し、あるいは電気通信設備をつくることを本来の業務としております、こういうふうに申し上げたのでありまして、この問題につきまして私は存じておりません。
  66. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 本来の業務であるということは、法のたてまえからもそうでありますが、本来の業務というのは原則的にというふうに理解してよろしゅうございますか。
  67. 米沢滋

    説明員米沢滋君) 局長から答弁させます。
  68. 武田輝雄

    説明員(武田輝雄君) 電電公社公衆通信業務を行なうことを目的としておりますが、その公衆通信業務はあくまでも国内公衆通信業務でございます。ただし、沖縄との間のものは、法律上、公社の国際通信業務となっておりますが、それ以外は、公社国内公衆通信業務を行なうということになっております。ただ、公社法第三条によりまして、そのほかに一部、「目的を達成するために必要な業務」、あるいは郵政大臣から委託された業務並びに委託によりまして電気通信設備建設、設置、保存その他の行為を行なうことは許されておりますが、公衆通信業務といたしましては、あくまでも国内公衆通信、また、法律に定められた範囲内におきます国際通信業務ということになっております。
  69. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 そうしますと、公社海外の国々に通信施設の技術的なサービスをするとか、あるいはコンサルタントに出かけていくということは、公社本来の任務からいってそれは逸脱だと、間違いだと、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。そしてまた、そういう法のたてまえをずっと堅持してきたのはいつからですか、公社始まって以来一貫した方針ですか。
  70. 武田輝雄

    説明員(武田輝雄君) 私は、公衆通信業務といたしましては、公衆法に規定されている範囲のものをやっていると申し上げました。なお、公衆通信業務のほかに、公社法第三条によりまして、公衆通信業務に付帯いたします業務その他一条に規定いたします目的を達成するに必要な業務、それから第二番目には、第三条二項によりまして、「前項の業務の円滑な遂行に妨げのない限り、逓信大臣から委託された業務及び委託による左の業務を行なうことができる。」ということになっておりまして、これには四号ございまして、「電気通信設備の設置及び保存」、その他「電気通信用の機械、器具その他の物品の調達、保管、修理、加工及び検査」、そのほかに三号、四号といったものが、本来の業務ではございませんけれども、やれることになっております。こういうことでございます。
  71. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 公社は、ちょっと旧聞に属しますが、昭和三十二年の八月、現在のマイクロの無線部長をしておられる大槻さんを団長として、マイクロ通信設備のための測量の調査を実施するため、調査団を台湾に派遣されたことがございましたですね。このことは御記憶ございませんか。
  72. 黒川広二

    説明員(黒川広二君) 台湾マイクロウエーブの設計を委託されまして派遣したことがございます。
  73. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 これはすでに国会でも論じられまして、この通信網軍事的な通信網であるということについて、大槻さんも国会委員会の場で認めざるを得なかったという事実がございますので、このこと自身については、深く私はこの委員会で、旧聞ですから、古いことですから、引っぱり出す必要はないと思いますが、こういう明確な事実があがっている場合を除いても、やはり公社が諸外国——東南アジアの国々にもこういう意味での、やはり法に規定された以外の立場協力をしている場面がかなりあると、また、あるやに承っているわけです。そこで、一、二その辺のところについても質問をしたいと思いますが、公社台湾と結びました、つまり、技術協力覚え書きというのは、三十三年六月ですが、これは大槻さんたちの調査及びその後の建設運営と密接に関係があると思うのでありますが、なお、三十六年に改定前の覚え書きとあとのものと、公社は持っておられると思いますが、これは資料として出していただくことはできませんか。
  74. 黒川広二

    説明員(黒川広二君) 先ほどのお話台湾の縦貫のマイクロの委託設計と、技術協力の覚え書きとは関係がございません。技術協力の覚え書きの資料に関しましては、内部といたしまして検討して、お話のようにしたいと思います。
  75. 森中守義

    委員長森中守義君) 速記をとめてください。   〔速記中止〕
  76. 森中守義

    委員長森中守義君) 速記を始めてください。
  77. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 黒川さんのさっきの答弁、語尾がはっきりしませんでしたので、もう一ぺん聞きたいと思います。
  78. 黒川広二

    説明員(黒川広二君) 覚え書きの資料につきましては、よく検討いたしまして処置したいと思っております。
  79. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 その検討して処置したいということはどういうことなんですか。どういうことを検討なさるか、その具体的なことがわからないと。どういうことなんですか、検討して処置したいというのは。これはだから、私が先ほど申し上げましたように、あなたも認めたわけですね、つまり、大槻さんはさような、三十二年の八月に台湾マイクロウエーブの設置についての測量調査を行なったということについて国会で認めているわけですから。その後、つまり、技術協力覚え書きなるものが、私たちが聞くところによると、つくられてある。これが三十六年にもまた改定になっておるかに聞き及んでいるが、その後、国会でのこの問題に対する追及——明らかになっておりませんので、これを資料として提出していただきたい、こういうことを言っておるわけですから、何を具体的にあなたは検討して処置するというんですか。
  80. 黒川広二

    説明員(黒川広二君) 先生のお話の大槻マイクロ部長が台湾マイクロウエーブを測量しましたことと、この覚え書きとは全然関係がございません。で、そういうものはございますので、その提出方につきまして公社において検討して御要望に沿いたいと思っております。
  81. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 これはできるだけひとつ要望に沿うように検討してください。そういう立場で質問いたしますが、三十三年以降、台湾からの研修生、調査団というものはどのくらいになっておりますか。うち、軍の関係者は一体どれだけでしょうか、公社からのまた派遣等もどうか、この三つの点をお答え願いたい。
  82. 黒川広二

    説明員(黒川広二君) 数字については、ただいま持ち合わせておりませんが、軍とは全然関係がございません。また、当方も台湾日本の電気通信事情を説明するために、ごく少数の人間を派遣したことはございますが、これも軍とは全然関係ございません。
  83. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 現在台湾に引かれております通信施設の概要については、公社も知っておられるはずだと思いますし、特に大槻さんなどが調査測量までされたのですから、実情はかなり知っておられると思いますが、台湾の台北から高雄に至るところの縦断幹線通信施設なるものの性格は、まさに大槻さんも国会で答弁なすったように、今日でも公社はやはりこれは軍事的な性格のものであるということについては認めておられると理解してよろしゅうございますか。
  84. 黒川広二

    説明員(黒川広二君) 現在台湾政府がどのような設備を持っておるかということに関しまして、つまびらかな資料を持ち合わせておりませんが、台湾を縦断したマイクロは公衆通信及びテレビの中継等に使っておると聞いております。
  85. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 その際に、この大槻調査団なるものの報告書を委員会に提出されたいという強い要望があったときに、当時私の記憶によりますると、当委員会ではなかったかというように思いますが、米沢総裁はかたくこの資料の提出を拒んだ事実がございましたですね。
  86. 米沢滋

    説明員米沢滋君) 私、総裁になりましてまだ二年しかたちませんで、私が拒んだのじゃなくて、前の総裁の時代だと思います。
  87. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 この資料というのは、当時のつまり、大槻調査団資料というのは、公社に、手元に残っているのでございますか。
  88. 黒川広二

    説明員(黒川広二君) これは契約によりまして設計結果を提出いたしまして、あと一切の資料を委託先に提出せいという契約になっておりますので、現在、資料は一つも残っておりません。
  89. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 その資料のもとになるものは、コピーのようなものも何もないのですか、報告書のコピーなるものは、報告書の写しはないのですか。
  90. 黒川広二

    説明員(黒川広二君) これは契約によりまして、全部そのような資料を先方に出せということになっておりますので、私どものほうとしては、そういうものを持っておりません。
  91. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 先方に一切これを出せといった先方とはどこですか。
  92. 黒川広二

    説明員(黒川広二君) この契約の当事者が、相手側は米軍でございますので、米軍と契約いたしましたので、それをさしておるわけでございます。
  93. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 そうすると、この米軍との契約によって調査されたこういう事業は、やはり公社法の精神から見て、今日では古いことですが、やはり明らかな逸脱であったと、これは三十四国会で当時その調査に当たりました大槻さん自身も認めておることでありまするが、再度この点については、今日やはり公社立場としても確認できることだと思いますが、いかがですか。
  94. 黒川広二

    説明員(黒川広二君) 先ほど営業局長が説明申し上げましたとおり、公社本来の公衆電気通信業務の円滑な遂行を妨げない限り、委託がありました場合には、政府等の御了解を得まして公社はこれを行なったものでございまして、これが違法であるとは現在考えておりません。
  95. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 これはかなり私たちとは重要な見解の食い違いだと思いますが、この台湾におけるアメリカ軍の委託によるところのこのような事業の、公社法の立場から見て違法ではないと、これを言い張る、そういうふうに言明される態度というものは、これはわれわれの見解とはかなり大きく食い違ったものがあると思いますが、この立場で問題をあなた方がやられるならば、これは公社法というやつはあってなきにひとしいようなものでありまして、どこへでも出かけて行って、どこへでも軍の委託でもやれるのだ、こういうことになりはしませんか。拡大解釈したらきりがないところに落ちつく危険を持っていると思いますが、その辺のところどうですか。
  96. 黒川広二

    説明員(黒川広二君) ただいまのお話の軍の委託ということでございますが、あの場合はごく例外でございまして、一般の場合には、政府海外技術協力事業の一環といたしまして行なうか、あるいは公社が相手の海外の国から協力の依頼を受けまして行なう場合におきましても、関係政府機関の御了解を得て実施をするというたてまえでございますし、そのまた量はきわめて少ないものでございまして、公社の本来の目的であるところの公衆電気通信業務の円滑な遂行に妨げがない範囲で行なっているという現状でございます。
  97. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 量が少ないとか多いということを言っているのじゃないのです。つまり、たてまえとして、あれは公社法の原則としてそれは逸脱してはいないか、まして、いまあなたがここでまた再び繰り返して申しましたように、三十二年の八月に、とにかく大槻無線部長が台湾の無線の、マイクロ通信の測量調査を行なった、ところが、アメリカ軍の委託によるものだ、その報告書も何も全部アメリカ軍に差し上げて何も残っていない、これも今日振り返ってみて、これが公社法の精神を逸脱したものではないと、こう言っておられるのですから、これは三十四国会で衆議院の安保特別委員会で大槻さん自身が認めたこととは違うのじゃありませんか。いっそういうふうに変わったのですか。
  98. 黒川広二

    説明員(黒川広二君) 当時の台湾縦断のマイクロ設備については、契約先は軍ではございましたけれども、軍も使いますし、また、公衆通信にも使う、あるいはテレビの中継にも使う、こういうことでございまして、単に軍目的にだけ使うということで、私どもそれだけを承知してまいったものではございません。公衆通信業務にも供用するマイクロウエーブでございまして、そういう供用するということを聞きまして、協力の委託を受けて協力したわけでございます。その後、軍等の委託を受けて協力したことはございません。
  99. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 たいへん申しわけありませんけれども、黒川さん、あなたこの当時公社のそういう責任のある立場におられた方ですか。約十年前のてとですから、あなたにもし質問して困る場合には、速記をとめてもいいですが、いまあなたのおっしゃったことは、公社の統一見解かどうか、当時の速記録——三十四国会の速記録を持って来て聞いているのですから、公社の統一見解だとおっしゃるのでしたら、当時の速記録と対照して見ないと……。
  100. 森中守義

    委員長森中守義君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  101. 森中守義

    委員長森中守義君) 速記を始めて。
  102. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 これは安保特別委員会の議事録ですけれも、ここでやはりはっきりと、これは軍事関係のものであってということを認めているわけですね、大槻さん。これは質問者は社会党の岡田議員ですが、話のあった当時はそうだとは思わなかった、台湾に行って見て初めてその事実がわかった。最初に出発のときは、必ずしも向こうの軍あるいは米軍ということは考えていなかったわけでありますが、その報告書にもございますように、二、三回打ち合わせしている間に、はっきり軍用であるということに決定をして、われわれも了解したわけでございますと言っているのです。いまあなたのおっしゃったように、台湾逓信省が使うものであるか等の疑問もございまして、それらもディスカスしたわけでありますが、結局、はっきり軍用であるということがわかった、こういうことを言っているわけでありまして、これは、速記録を一々私は読んで説明を申し上げている時間のいとまがございませんが、はっきりとこれは軍用である、台湾のテレビとか、公衆電話とか、公衆通信とかいうようなことは、ここにはっきり、いまあなたのおっしゃったように、はっきりここに書いてある。それまでは、テレビに使うもの、あるいはほかの、TTAと申しますが、台湾逓信省が使うものであるか等の疑問もございましたが、二、三回後に、はっきり軍用であるということに決定をして、われわれも了解をしたわけでございます、こういうふうに、大槻さんが当時答弁なすっているのですが、このとおり理解してよろしゅうございますな。  そうすると、あなたが先ほどおっしゃったように、その通信施設は軍用である場合であっても——軍事用である、軍事専用であるという場合であっても、公社法としては、公社法のたてまえから言って、何ら逸脱はない、業務に余力があるならば、負託されたところの委託業務の中の一部としてやってもよろしいという見解なんですね。
  103. 黒川広二

    説明員(黒川広二君) 先生のただいまのお話のごとく、当初契約いたしました場合は、軍用だけであるということは判然といたしておらなかったわけでございます。また、軍用に使うということが、向こうに参りましてから、ある程度はっきりいたしまして、軍用のみの委託設計ということにつきまして協力するかどうかという点につきましては、かなり問題があるのではないかと思いますが、この辺も、私、私どもだけでなく、政府のよく御意見を伺いまして、御指示に従いまして実行したい、かように考えておる次第でございます。
  104. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 だから、私は、いまの公社の姿勢が、あの当時の、台湾のああいう形の、軍用であるということがはっきりわかるようなああいう形の技術協力ということは、公社法のたてまえから言っても、また、日本全体の通信業務のたてまえから言っても、正しくないということについての見解の統一がもうすでに公社としては行なわれているものだということを思っておった。ところが、さっきの御説明を聞きますると、あの台湾のような場合でも逸脱ではないんだと、こう言っておられるので、これは非常に私たちの見解と食い違いを来たしているわけですが、再度、この点について、これはかなり具体的な問題ですから、ああいう台湾で行なったようなああいうケースは公社法のたてまえとして好ましくないという見解か、それとも、あれをも含んでそれは公社法のたてまえから言って正当であるというふうにお考えか。もう非常に簡単ですから、ひとつ、総裁のほうから、これはお答えを願いたいと思います。
  105. 米沢滋

    説明員米沢滋君) 十年前の話でありますが、この公社法第三条第二項の問題につきましては、これは私はその時点において考えるべきだというふうに思います。公社の業務に差しさわりがあるかないかということは、私は、私がいま総裁でございますが、私がいまの時点において考えるべき問題でございます。したがって、今後の問題につきましては、私は公社の業務に関係があるかないかは私が判断してきめたい、こういうふうに思っております。
  106. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 それで、いま総裁がそうおっしゃっていますから、話を先に進めたいと思います。  私がいま十年前の問題を出しましたのは、現に戦火が広がっております南ベトナムに対しましても、公社は三十二年に在日米軍調達部と契約を結んで、南ベトナムに十六名の公社の職員を派遣して、マーグの監督のもとで、南ベトナムの軍の直接指示に従いながら、約二百二十日間にわたって、マイクロ通信施設の測量調査を実施した、このことも十年前、ちょうど台湾と時期を同じくしておりますが、このことは国会のあのときには問題にはなっておりませんでしたが、同様のケースが他にもあるのではないか。これははっきりとやはり、在日米軍調達部と契約を結んだという形になっておりますので、かなり台湾のとよく似ておるのですが、こういうことについて、南ベトナムにいま申し上げましたような人数と日数をかけてマイクロ通信調査を行なったということは確認をされますね。
  107. 黒川広二

    説明員(黒川広二君) 南ベトナムの場合と台湾の場合と、ほとんど同じ時期に同じ契約をいたしましたわけでございます。
  108. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 その後、南ベトナム通信網は完成しましたか。
  109. 黒川広二

    説明員(黒川広二君) 南ベトナムの当時設計いたしましたものは、その後、工事に入っておらないというふうに聞いております。なお、台湾のものにつきましても、これは施工されておらないというふうに聞いております。
  110. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 その台湾、南ベトナム以外に、タイはどうですか、タイには、契約をしておもむかなかったのですか。
  111. 黒川広二

    説明員(黒川広二君) タイとはマイクロウエーブ等の測量を軍と契約してやったことはございません。軍と契約いたしましたのは、この同時期に二件だけでございます。
  112. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 そうすると、やはり南ベトナムで行ないました調査の報告書も手元にはございませんな、これは。
  113. 黒川広二

    説明員(黒川広二君) 台湾の場合と全く同様でございまして、両方とも同じ形の契約でございますので、現在、私どもの手元には一切資料はございません。
  114. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 そうすると、台湾と全く同じように、南ベトナムも、これまた、アメリカ軍の軍事上の通信施設だ、これの測量調査日本電電公社協力をした、事実はそういうことでございますね。
  115. 黒川広二

    説明員(黒川広二君) この場合も、南ベトナム公衆通信施設も非常に貧弱でございまして、これは公衆通信もその中に入れたいということを当時の南ベトナム郵政当局は話しておりました。
  116. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 公社のほうでも、具体的には、直接にアメリカ軍との契約のもとで行なった測量調査は、台湾と南ベトナムだ、こう言っておりますから、ほかにはございませんか、念を押すようですが。これはいいです、答弁しなくても。ほかにはない、こう言っておられまするので、この二件の問題についてだけでも、私は、これは今日に至ってもなおかつ、この協力公社法の精神から、たてまえから見ても正しかったということを強弁するのはおやめになったほうがいい。いま佐藤政府は南ベトナムにおけるところのアメリカ軍の作戦について、公然と正式には支持しない、支持する立場ではない、と言っておられますが、日本政府が南ベトナムの、とにかく、アメリカ軍の通信施設について十六名、二百二十日間にわたって協力をした、これは公社法のたてまえから言うと、今日はっきりと言うのは、いかなる根拠、いかなる事実に基づいて、どういう見解でそういう発言をされるのか、私は全くわからない。これははっきりと、むしろ、きょういい機会でありますから、お取り消しになったほうがいいのではないか、このことは間違っていたのだ、こういうケースは公社としてはとるべき態度ではないのだというふうに、はっきりこの際、いい機会ですから、私はお述べになったんほうがいいじゃないかというふうに思いますが、再度見解を承りたいと思います。
  117. 光村甚助

    ○光村甚助君 関連して。この旅費はどこからお出しになったのですか、それもあわせお聞きしたい。
  118. 米沢滋

    説明員米沢滋君) 私、当時のことを知りませんので、お答えできません。
  119. 黒川広二

    説明員(黒川広二君) 旅費につきましては、契約でございますので、契約いたしました経費によりましてまかなっております。
  120. 光村甚助

    ○光村甚助君 もう一つ。そういう軍事上の契約で頼まれても、電電公社は職員をそういうふうに使っていいのですか。
  121. 米沢滋

    説明員米沢滋君) 私、先ほど申し上げましたように、だいぶ前の話でございまして、十年前の話であります。私はこの公社法第三条第二項は、これは私が今後問題が起こった場合に、その時点において考えたい、こういうふうに申し上げた次第でございます。
  122. 光村甚助

    ○光村甚助君 前のことじゃなくて、今後もそういうことがあったら使っていいのですかと聞くのです。
  123. 黒川広二

    説明員(黒川広二君) 私どもといたしましては、当時の情勢では、政府の御支持も得まして契約いたしたわけでございますが、その後は、先ほどから申し上げましたように、軍との契約はいたしておりませんので、あまり好ましく——そのときの情勢によって判断いたしますが、現在までそれにふさわしいような契約というようなものはないわけでございます。
  124. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 先ほど総裁自身がそれは私が判断をして決定するものだということばの言外の意味を、好ましくない、これは——というふうに、私たちもしいてそう理解する以外にないのじゃないか。それは十年前だと言われますけれども、これがなおざりになっているということが、先ほど郵政大臣に私が盛んに質問したことの中の一つであるAPU軍事的な性格を持ったこの通信網の設立に、いまのような姿勢で公社は引きずり込まれる、公社は必ずこれに協力させられる、そのときには、やはり東南アジアの国々との平和的な通信をやるために、そこの国のテレビのためにというようなことを口実に、今日になってみれば、台湾や南ベトナムがはっきりとアメリカ軍事施設であったということがわかるように、また、このAPUのそういうふうな名目によってなされる通信も、一皮はげば東南アジアにおける軍事性格がきわめて濃厚である。これは、歴史は繰り返すと言いますから、そういう点で、十年前のこの事実は、今日私は公社の姿勢を正す上にとって非常に重要だ、そういう立場で、あえて十年前の問題を引き出して、公社の今日の立場をはっきりとしたほうが、今後のために、私は公社自身としてもよろしいのではないか、こういうことで質問をしたわけです。  さて、問題は次に、先ほどのAPUプランに基づくところにちょっと移りますが、APUプランなるものが力をこめて今後マイクロウエーブを設立しようとしているのは、タイとのつまり国境にあるラオスですね、ラオスに向かって非常にマイクロウエーブの設置の計画を急いでいる、かなりこれは具体的に進んでいるかのように聞いておるわけですが、このラオスに対して公社がどの程度の調査といいますか、あるいは技術援助といいますか、そういうことをなすった経験があるかどうかをお聞きしたいと思います。
  125. 黒川広二

    説明員(黒川広二君) ラオスに対しましては、技術協力をしたことはございません。
  126. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 公社自身としては直接にはなくとも、公社参加している何らかの機関を通じて参加したことはございませんか。
  127. 松本馨

    説明員(松本馨君) お答えいたします。  いまの御質問に関しては、いかなる形においても調査をしたことがございません。
  128. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 これ、台湾、南ベトナム、さらにラオス、こういった一連の計画を持っている、先ほど読み上げましたようなAPU計画がありますので、これに対するところの協力方の要請が公社——公社直接ではなくとも、公社参加する海外技術協力機関なるものを通じてこういう要請があった場合の公社見解をお聞きしたいと思うのです。
  129. 黒川広二

    説明員(黒川広二君) 現在、先生のお話のAPu計画なるものを存じておりませんので、そういう要請があった場合はどうするかというようなことに関しましても、検討したことがございませんので、いまのところ、お答えすることができないわけでございます。
  130. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 そうすると、先ほどのAPU計画なるものについては、公社は全く知らないのですか。あるいは、先ほど大臣も言ったように、個人的にも全然知らなかったというのでございますか。
  131. 黒川広二

    説明員(黒川広二君) 正式に公社がそれに参画した、あるいは相談を受けたということはございません。そういうものがあるのだということの話は聞いております。
  132. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 先ほど、約二十名にのぼる自民党国会議員団が韓国へ行って、ああいう計画を立ててくるのに、日本の、つまり、電信技術関係のやはり最先端にいる公社側技術陣の意見を聞かずに私はあのような計画具体化されるということは、ちょっと考えられない。ああいう計画の設計図自身もできないじゃないかというふうに思っておりますが、公社は部内としてそういうことにタッチしたという事実は全くございませんな、念を押してお聞きします。
  133. 黒川広二

    説明員(黒川広二君) APU計画に関しまして公社がタッチしたことはございません。
  134. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 それでは、APUを離れても、東南アジア通信網設置に関する計画というような、ばく然とした名前についての技術協力をしたことはございませんか。
  135. 黒川広二

    説明員(黒川広二君) 東南アジアに関しての通信網計画というような問題に関しまして、公社が技術協力をしたことはございません。
  136. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 では、他の民間の法人を通じてそういうことを、協力体制をとったことはございませんか。たとえば海外電気通信協力会を通じて、多くの公社の職員を海外へ派遣したりなどしたことはございませんか。
  137. 黒川広二

    説明員(黒川広二君) 海外技術協力会がそのような計画協力したということも聞いておりませんが、海外技術協力会を通じて海外諸国に、技術協力のために、東南アジア関係以外も含めまして、派遣したことはございます。
  138. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 派遣したことはないのですね。
  139. 黒川広二

    説明員(黒川広二君) 海外協力団を派遣したことがございます。
  140. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 その海外に派遣した具体的なひとつ数字をあげてみてください。私はこのことについて、あらかじめ公社職員の海外派遣状況というのを、おたくのほうに資料として求めておりましたが、これ協力によって出していただきましたが、この出した資料は、これ全部じゃございませんな。これ、ほんの一部ですね。私たちの知っている範囲から見ても、あなた方のほうから出された資料というのは一部です。全部じゃないというふうに考えて質問しているですから、同じようなことを答えたってだめですよ。
  141. 米沢滋

    説明員米沢滋君) 電電公社といたしまして、海外派遣については、大体二種類があると思います。一つはどういうのかといいますと、これは予算で認められておりまして、たとえばジュネーブなり、あるいはニューヨークなり、あるいはバンコクに駐在員を置くということによりましてやっております。あるいはまた、国際会議その他ITUとの関係とかその他で、いわゆる外国旅費等の中でもいろいろ細目がございまして、それによって外国に人を派遣しておる、これが一種類あります。  それからもう一種類は、これはいわゆる、先ほど来問題がございましたが、公社法第三条第二項によりまして、公社本来の業務に支障なしという判断がある場合には、その制限のワク内におきまして、政府海外技術協力事業の一環として、電気通信技術に関する海外協力を行なう。あるいは公社が直接相手方から電気通信技術に関する協力依頼を受けて海外協力を行なう。しかし、この場合におきましても、政府その他関係機関と十分協議して行なう。この二種類があるのでございまして、数字につきしては、主管局から申し上げます。
  142. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 いまその二種類あるということはわかりました。  それで、時間の関係もありまするので、あと二、三質問をして終わりにしたいと思いますが、一つは、昭和三十五年の七月に、公社が、通信研究所の調査役をしておられる横井大六さんを団長として、日本電気などの技術者と一緒になって、トルコ、イラン、パキスタンに派遣したことがございますが、この調査団の目的は何だったのでしょうか。また、この調査団の果たした役割り。それで、この調査団の報告書なるものは、いま公社の手元にございますかどうか。この三点をお聞きしたい。
  143. 黒川広二

    説明員(黒川広二君) どういう形で派遣したか、はっきりいま手元に資料がございませんので、よく調べましてお答えいたしたいと思いますが、そういうことがあったと私は記憶しております。
  144. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 これはあなたのほうにも関係がある社団法人海外電気通信協力会の海外電気通信協力事業概要なるものの中の一部に載っていることですから、お聞きするわけですが、このトルコ、イラン、パキスタンに派遣したこの調査団の目的は、つまり、CENTOマイクロ網建設計画であるということなんですね。このCENTOというのは、言うまでもなく、御承知のように、アメリカの中近東の軍事同盟でありますが、このアメリカ軍事同盟の必要のために、ここでもまた同じことをやらされておる、台湾、南ベトナム、さらにまた、中近東と、こういうふうに次々と出てくるこれらの事実というものは、私はまあ、日本電電公社アメリカ軍事同盟の基地の神経を何かつないでいっているような役割りをしていると、あなたたちは、主観的に、それはそうではないのだと、平和的なものだと言っておられるでしょうけれども、事実が示すところは、こういうふうに次から次とアメリカ軍事整備のために技術協力をされているという事実についてどう思うのです、これは。この調査団の調査項目の欄に、はっきり書いてある、CENTOマイクロ網計画。どういうふうに私たちは理解したらいいでしょう。
  145. 黒川広二

    説明員(黒川広二君) これは先ほどの台湾とかベトナムのものと違いまして、そういうマイクロの計画があると、設計もできておると、それにつきまして日本の機材が輸出できないかどうかと、あるいは建設ができるかどうかということを調べる必要がございましたので調べたわけでございまして、設計をしたわけでもございませんし、また、日本がそれを落札したこともないわけでございますが、大きなマイクロウェーブの工事があるということで、日本のメーカーがはたしてそこに入札をできるかどうかというようなことの関係上調べに行ったものと私は記憶をいたしております。
  146. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 そういう目的で行ったので、これは軍事目的協力範囲ではないということをあなたは言いたいのでしょうけれども、事実は、これがこのような軍事通信網であるということは明らかなことです。百歩かりに譲って、それがそうでないという場合であっても、なぜ一体公社がですね、日本民間技術会社がそこでもって商売をやるかどうかということについて、一緒に技術協力をしたり、お手伝いをする必要がありますか。そういうこと、いままでもたびたびやっていることですか。
  147. 黒川広二

    説明員(黒川広二君) メーカーは機材を製造いたします。われわれは全体のシステムを設計いたしまして、マイクロの局であればどういうアンテナをつけ、どういう機材を使い、どういう電源を使うと、あるいは高さをどうするかというような電気通信施設の設計は、当時部外にはその熟達者がおりません関係上、海外協力という意味で、その協力会に少数人を貸したわけでございます。
  148. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 そういうあれですか。技術を貸す仕事も公社はやっておられるのですか。まあこれはいいです、答弁は。  それで、次に聞きますけれどもね、今度さらにマレーシア、インドネシア等に公社の職員を派遣する計画があるかのごとく聞いておりますが、具体的にどうでしょう。
  149. 松本馨

    説明員(松本馨君) 何らまだ聞いておりません。
  150. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 これは公社としてではなくても、だいぶいま国会公社の、そういう要するに、あれですね、国外の問題についてやかましいので、海外電気通信協力会とか、そういった、つまり、民間の法人を通じてやっていると、そういうふうな立場でも、ございませんが、マレーシア、インドネシアなんかに対する派遣計画は。
  151. 松本馨

    説明員(松本馨君) ただいま先生が御質問なさいました協力会でもって計画しておるということは聞いておりますが、まだ正式には何ら公社に対して申し入れを受けておりません。
  152. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 これは協力会が昭和四十二年度の事業計画書に書いてありますが、「マレーシア及びインドネシアに無線技術専門調査団を派遣して、わが国の無線技術の紹介につとめ、ひいてはOH回線等による当該国の通信網整備のコンサルタントを派遣するための基礎をつくる」云々といって、マレーシアには六名、二十五日間、インドネシアには四名、約二十日間派遣する計画をすでに立てていると聞いておりまするが、これには公社の職員は参加しないのでございますか。
  153. 松本馨

    説明員(松本馨君) 申し入れを受けて参加するかしないかは、先ほど総裁が御発言いたしましたように、公社の業務に支障があるかどうかということによって決定されると思います。
  154. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 これはまだ公社の側としては未決定の部類に属することだというふうに承知してよろしゅうございますな。
  155. 松本馨

    説明員(松本馨君) そのように考えます。
  156. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 これは、これもまた、マレーシア、インドネシアのこの調査も、先ほど申し上げましたようなAPUとの一連の関係のもとで行なわれるものでありまするから、これに対してまだ態度が未決定であるならば、ひとつすみやかにこのような危険な性格を持つものには協力するわけにはいかぬという基本的なひとつ態度公社として御決定になるように深く希望をしておいて、この点に対する質問は終わりたいと思います。  次に、最後に一つだけ、時間の関係がありますので聞いておきたいと思いますが、米軍——日本にいるアメリカ駐留軍ですが、新しくこの関東地区の軍事通信網を拡充強化するため、いわゆる関東マイクロをつくる計画だということを聞いております。また、この工事の一式を日本電気が約四十九億円で受注したと聞いておりまするが、これが完成すれば、北海道から沖縄、さらに韓国まで、アメリカ軍独自の軍事通信網が確立されるというふうに言われておりまするが、これに対してひとつ公社が関与した、あるいは知悉しているところのことをお聞かせ願いたいと思うのです。
  157. 米沢滋

    説明員米沢滋君) 電電公社といたしましては、これは公社関係ないことでございまして、関与しておりません。
  158. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 これは電電公社関係がないというのは、どういう理由から出ていることでしょうか。
  159. 武田輝雄

    説明員(武田輝雄君) 公社は安保条約に基づきまして、米軍に対しまして専用線とかその他のサービスを提供いたしておりますが、いま御指摘の関東マイクロは公社と全然無関係に米軍が施設、設備としてつくるものであるようでございますし、私のほうへも何ら公社の線を貸してくれとかいったような申し出はございませんので、公社関係ないということでございます。
  160. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 これは昭和四十一年の十二月二十三日の日経に載った「米軍、関東地区の通信網拡充というこの記事を中心に質問をしているわけですが、この日本における通信施設を、どういうものをつくって、だれがどういう目的で使うかということについて、私はやっぱり最もその衝に当たらなければならない——どういうものがどういう目的で使うかということを電電公社が全然関知しないということはおかしいではないか、日本の空の電波についてですね。それはアメリカ軍がやるのだからということで関知しないというのは、むしろ、どういう理由によってやるのか、そうするのか、かえってそのほうがおかしいと思うのですが、どうでしょうか。
  161. 武田輝雄

    説明員(武田輝雄君) 電電公社は、電電公社法一条にもございますように、公衆電気通信事業の合理的かつ能率的な運営をやるということを主たる業務、設立の主たる目的とされておりまするので、いま御指摘のような施設、設備については、公社と無関係でございます。
  162. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 これは民間日本電気に発注ということになっておりまするが、これは人のことを言ってたいへん——ちょっとこれは避けたいと思いますが、いまこの関東マイクロ建設本部長をやっておられる方が前の公社の技師長であったという点でどうなんですか。全くこれは関係がないというふうに言われてよろしゅうございますか、そういうふうに言い切って。
  163. 米沢滋

    説明員米沢滋君) 私、いまそのお話を初めて伺ったのでありますが、佐々木技師長は昨年、一年前に公社をやめておられまして、現在日本電気でどういうことをやっておられますか、私もそうそう、一々調べておるわけではございません。先ほど申し上げましたように、公社といたしましては、この問題については関知しておりません。
  164. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 もう一度この点はっきりいたしますが、これは総裁から佐々木さんという名前が出たから、私も佐々木さんという名前を申し上げますが、この方は公社をやめてから何年——はっきり言ってください。
  165. 黒川広二

    説明員(黒川広二君) 一年弱でございます。
  166. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 一年前には公社の技師長であった人が、一年足らずで今度は日本電気の関東マイクロ建設本部長になるというようなことが、一体関係がないとか、そういうことは知らないということで、どうなんですか、通る話ですか。
  167. 黒川広二

    説明員(黒川広二君) これは日本電気の中の問題でございまして、私ども公社とは直接全然関係がございませんので、どういう仕事をなさっておるのか、私どもは知らないわけでございます。
  168. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 それは公社と直接関係がないということを言ってあなたたちは逃げますけれども、事実はどうなんですか、そういうことで世間が通りますか。これはひとつ総裁からお答え願いましょう。
  169. 米沢滋

    説明員米沢滋君) 佐々木技師長の名前が出ましたが、あまり本人の名前を出したくなかったのですが、御本人が長く公社におられてやめたいという申し出がございまして、昨年退職された。私たちといたしまして、退職されたあとはもう公社の身分が何もないわけでございますし、そういう意味におきまして全然——日本電気の中のどういう仕事をしておるか、私も調べたことは実はないわけでありまして、いま初めてそういうことをやっておられるというお話を聞きましたが、もともと、この関東マイクロの話は、私も新聞で知っておるという程度でありまして、公社として別に相談を受けたとか、そういうことは全くありませんし、これは施設、設備の問題でありまして、したがって、公社関係ない、そういうふうに考えております。
  170. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 先ほど来、ずっと一連の質問をしてまいったようなこととあわせて考えてみまして、私は、公社の姿勢は十分根本的にひとつ検討してみる必要がある問題じゃないかというふうに思います。  この関東マイクロが完成して、独自の軍事通信網が確立整備された場合、一体どういう事態が来るかということをお考えになったことがありますか。これはアメリカの本国から在日米軍の基地——海外各基地間を直通する即時通話が可能になるような、そういう通信システムをつくるわけですが、先ほど申し上げましたAPU計画もその重要な一環になっておりまするが、それらは全部昭和四十三年末までに完成予定のバッジシステムとあわせて、ABM、つまり、ミサイル迎撃用ミサイル設置の不可欠の要件であるとも言われております。いうならば、日本が太平洋におけるところのミサイルの防波堤になるその危険を意味する通信施設なんです。そういう軍事的にきわめて重大な性格を持つ施設に、海外においてもしかり、国内においては公社はタッチしないということを言明しておられますが、そういうことが着々と進められているということについて、法律に違反しなければいいんだと言って、お互いが自分たちの小さなワクの中で問題を考えるだけではなくて、民族の全体の運命や、いまのアジアに起きてきている大きな戦争への危険という問題とも関連して、主観的意図いかんにかかわりなく、問題の本質をもっとえぐって、正しく平和の利益に沿うように問題を持っていかなければ、取り返しのつかない危険をおかすかもしれないということを、最後に警告しておきたいというふうに思うんです。  私の質問をこれで終わりたいと思います。
  171. 森中守義

    委員長森中守義君) 他に御発言もなければ、本件についてはこの程度といたします。  次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十二分散会      —————・—————