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参考人(
前田義徳君) 第一点について人工衛星、その中で、私
どもは実は
放送衛星というものを開発し、同時に
政府の御方針が
決定されれば、できればわれわれの分野で協力できるものは御協力申し上げます、できるだけ早く衛星が打ち上げられることを希望するという
考え方をここ二、三年来とってきているわけでございますが、この問題については、いろいろな角度から、いろいろな御
意見も多いかと思いますが、
放送自体から
考えますと、私
どもとしては、多目的通信衛星よりも、やはり一億の
国民を相手とするもの、ないしは、日本を中心とする
放送事業界から見て、隣接地域の福祉の向上に同時に役立って使えるもの、これが製作の面でもかなり安くできる。多目的の場合は、研究の時間、その研究費、さらに製作費、さらに多目的のものを打ち上げるためには、ロケットについてもかなりの問題点があるという、きわめて概括的な
考え方から、私
どもの
立場から申し上げると、やはり全
国民のために使用が可能となり、比較的に経費も安く、そして、それが
放送を通じて隣接諸国との友好の親善と、諸
国民の福祉の増進に役立つものをまず
考えるべきだという主張をいたしてまいっております。今年度の
予算では、すでに約一億円が衛星本体の研究の準備的研究費として御
承認をいただいたわけでございますが、ただいま御
審査をいただいております明年度
予算の中では、総額三億円を本体の研究費という形で計上いたしております。問題は、なぜその
ように急ぐのかという疑問も出るかと思いますが、これについては、私
どもとしては二つの面から
考えております。
第一には、第三の御
質問かと記憶しますが、要するに、置局計画を促進すべきであるという
考え方とも関連する問題でございます。この点につきましては、置局の方式は、日本の特別の地理的事情から申しましても、だんだん狭まったエリア、人口希薄なエリアに実は全力を集中しているわけでございまして、御
審査をいただいております
予算でも、総合、教育とも、それぞれ百二十局の建設を完了し、さらに、できれば五十局ずつ着工したい。さらに、これと関連して、いわゆる共同聴視施設に対しては御要望の全額を満たしたいという
予算を組んでいるわけでありますが、しかし、実際問題としては、それを御一
承認いただいても、ある意味では、明年度末にはそのカバレージは九五・五%というのが実情でございます。そこで、
先生の
ように、とにかく建設は主力を置局に置けというお
考えになることは当然であり、私
たちもそれに努力いたしたいと思っておるのでありますが、地理的
条件は必ずしも局を置くことの方針をきめるだけで実際に効果があがるということも
考えられませんので、私
どもとしては、簡易中継機と申しますか、それを目下開発中であり、同時に、ただいま申し上げた
放送衛星を分配衛星の形において使用することでその効果をさらにあげたいという
考え方を持っているわけであります。
これが
放送衛星の第一の主要目標でありますが、第二の主要目標は、現在の全世界的な趨勢から申しまして、ヨーロッパにおいても、あるいはまたアメリカの中においても、カナダにおいても、それぞれ
放送事業者はいろいろな角度から
放送衛星の打ち上げという方針を、あるいは
関係当局に要求し、あるいはヨーロッパなどはすでにその製作に着手しており、そういう現況であり、そういう事態から申しますと、少なくとも、まあ自負を許されるならば、日本の
放送事業の中でそういう仕事をそれぞれ
関係御当局の御協力と御指導によってでき得る
立場にあるものは
NHKであるというたてまえから、そういう関連においてもこれを急ぐべきであるという
考え方を持つわけであります。そういう意味で、今後の御
審議願っておる
予算の中でも三億円を計上し、そうして
郵政大臣も妥当であろうという御
意見を付していただいておるわけであります。
次に、オリンピックにつきましては、私は昨年メキシコに参りまして、約二週間近く滞在いたしまして、その間、メキシコの大統領、
郵政大臣、それから国内オリンピックの組織
委員長その他と話し合いまして、日本及び沖繩を含めて日本に対する独自の
放送権をもらいたいという要求をし、さらに、それに先立って開かれたダブリンのヨーロッパ
放送連合の委託を受け、また、カナダ
放送協会の委託を受けて、ヨーロッパ
放送連合とカナダ
放送協会、それからオーストリア、ニュージーランドのためにも、その地域における
放送権の獲得のための予備交渉を行なってまいりました。
NHKとしては、その後問題が順調に進んで、浅沼総
局長あるいはその他の
関係者が
ようやくメキシコ国内組織
委員会と了解がつきまして、六十万ドルで沖繩を含む日本全域の
放送権を獲得することができ、また同時に、ヨーロッパ
放送もいまから十日ほど前に最後の契約をいたしまして、約百万ドルでヨーロッパの
放送権を獲得いたしております。このメキシコの
放送権問題については、御
承知かと思いますが、アメリカがこれを全世界的に独占するという方向で、アメリカの一
放送局がアメリカ国内における
放送権を四百五十万ドルで獲得し、さらにヨーロッパ、日本、全世界を含めて新たに二百数十万ドルを出すという了解がほぼできつつあるという情勢のもとに、私としては、オーストラリアのオリンピックの
テレビ放送の経験から、当時苦い経験をいたしまして、日本選手はほとんど出てこない絵をかなり高額の金で買わざるを得なかったという実情もございますので、そういう意味で、実はメキシコでいろいろ話し合いをしたわけでございます。
大体これで御
質問にお答えできたかと
考えておりますが、よろしくお願いいたします。