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1967-06-15 第55回国会 参議院 地方行政委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月十五日(木曜日)    午前十時三十四分開会     —————————————    委員異動  六月十五日     辞任         補欠選任      田代富士男君     辻  武寿君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         仲原 善一君     理 事                 林田悠紀夫君                 吉武 恵市君                 占部 秀男君                 原田  立君     委 員                 岸田 幸雄君                 小柳 牧衞君                 沢田 一精君                 高橋文五郎君                 林田 正治君                 加瀬  完君                 鈴木  壽君                 林  虎雄君                 松澤 兼人君                 松本 賢一君                 辻  武寿君                 市川 房枝君    国務大臣        自 治 大 臣  藤枝 泉介君    政府委員        運輸省鉄道監督        局長       増川 遼三君        自治政務次官   伊東 隆治君        自治省行政局長  長野 士郎君        自治省財政局長  細郷 道一君    事務局側        常任委員会専門  鈴木  武君        員    説明員        建設省道路局次  吉兼 三郎君        長     —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○昭和四十二年度における地方財政特別措置に  関する法律案内閣提出衆議院送付) ○住民基本台帳法案内閣提出)     —————————————
  2. 仲原善一

    委員長仲原善一君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  地方交付税法の一部を改正する法律案昭和四十二年度における地方財政特別措置に関する法律案一括議題といたします。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  3. 原田立

    原田立君 昭和四十二年度地方財政見通しについて、自治省が当初千四百二十億円の財源不足というふうにして大蔵省と交渉したと聞いておりますが、その後一般財源について三百八十五億及び地方債増額について三百六十四億、合計七百四十九億円の財源措置で話がまとまった、こういうお話でありますが、約半分の金額で、財源措置で了解ができたというのは、どうも外からながめておって納得のしがたい点なんでありますけれども、これについて自治省はどういう納得をなされたのか、あるいはまた、当初の予算要求内容予算折衝の経緯、これらはどういうようなことであられたのか、ひとつお話し願いたいと思うのですが、これは一応ちょっと基本的な問題ですから、ほんとうは大臣にお伺いしたいとは思っておったんですが、次官がお見えになっておりますから、次官のほうからお願いしたい。そして事務局のほうでお願いしたい。
  4. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 数字の点がございますので、私先にちょっと。  当初千四百二十億の財源不足が見込まれる、こういうことで予算要求をいたしました。その後税収が特に伸びてまいりまして、歳入の面で三百八十一億の当初の見込みに対する増が見込まれました。それから歳出の面で二百八十八億の減が見込まれるに至りました。その結果、差し引き七百五十一億の要財源措置が一こういうことになりました。そのおもな理由は、歳入の面におきまして、実は当時御承知と存じますが、昨年の下期の税収が非常に日々実は伸びてきておったのでございまして、国税自体もその間にかなり税収見込みを改定しつつ作業を進めておったということがございます。で、地方税におきましても、たとえば、同年度経済情勢を反映する法人関係の税でありますとか、あるいは消費の関係の税でありますとか、あるいは個人の住民税等は、御承知のように前年度課税をいたしておりますので、年度の末におきます増、そういったものが四十二年度地方税収入に影響してまいるわけでございまして、そのほか交付税の増も見込まれてまいったことによるものでございます。  それから、歳出の面におきましては、当初つくりました際に、国の支出を伴います公共事業でありますとか、社会保障というような事業費につきましては、各省要求額を見ながら実は推計をいたしたわけでございます。これは予算が最後にきまるまでは実は確定をいたさぬわけでございますので、それをもとにいたしておりました関係上、その点が是正を要する面が出てまいりました。そのほか、たとえば共済組合負担金の実施時期が、当初のときよりも十二月にずれるといったような問題もございまして、歳出の面で二百八十八億、合計六百六十九億という上下の増減が起こる、その結果七百五十一億、こういうようなことになったものでございます。
  5. 伊東隆治

    政府委員伊東隆治君) 別段、私としてつけ加えることはございません。大体事務当局の言われたとおりでございます。
  6. 原田立

    原田立君 それでは、その後改定をする必要があって、こういうふうに変わったんだというふうに御説明なんですが、何かあと理由をくっつけたというようにしか思えない。何とか妥当な筋を見つけて理由をくっつけたというふうにしか感じられないので、その点特にお伺いしているわけなんですが、やっぱり自治省として、推計するものそれ自体について、もっと権威あるものと私は思うのです。あるいはまた、その逆に、予算獲得のための常套手段で山かけでやったのか、そんなたいへん失礼なことは言いたくないのでありますけれども、もっと自治省で推計した千四百二十億というものは、最初計画というものは、もっと権威あるものであるべきはずなんだ。長い間の日数で変更になるなんというのでなしに、ほんの短時日の間のことなんですから。そうすると、どうもあとで理屈をくっつけたようにしか思えません。こういうふうなことが毎年行なわれるのかどうかですね。たいへん不見識ではないかというふうな感じを持つのですが、当初の案と決定の案と、決定線になったその折衝のいきさつ、これらもう少し詳しくお願いしたい。     —————————————
  7. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 委員異動についてお知らせいたします。  本日、田代富士男君が辞任され、辻武寿君が選任されました。     —————————————
  8. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 私どもも、できるだけ権威のある数字地方財政見通しを立てたいということは、常に念願をいたしておるわけでございます。しかしながら、現実の、現行税財政制度並びに国と地方との間の財政のからみ合いということを見てまいりますと、地方税の面、地方交付税の面、これはいずれも国の統一された経済見通しのもとで収入を見込まざるを得ないのでございまして、その点でやはり経済見通し確定と相まって国税地方税を通じて収入見通しを立てる。その収入見通しが、今年度の場合でありますと、実は昨年の十一月ごろから見通しが常に実績を下回るというような事態であったわけでございまして、予想外収入が伸びてきておる。経済回復の徴候がはっきり税収の面に出てきたというような事情があったわけでございます。  それからいま一つは、やはり歳出の面におきまして、御承知のように投資的経費地方歳出構成の中で三割程度を占めておるわけでございますが、その部分につきまして、公共事業費の国の予算額がどの程度に押えられるのかといったようなことが、どうしてもこれをはめ込まないと、地方財政計画が立たない。国自体もどの程度で押えていけるかということは、やはり予算編成の過程できまってまいるわけでございますので、そういう面からしましても、私ども狂いのない数字をつくりたいとは思っておるわけでございますけれども現実には多少の狂いはやむを得ないのではなかろうかと、こう考えております。  ただ、もう一歩進んで考えますれば、私どもは、地方財政につきましては、国との間にはっきりした財源の分配が事前になされ、そのもとで、地方財政がどういう財政の組み方をしていくかということが事前にきまっていくというような姿が実は望ましいと考えておるわけであります。現在の段階におきまして、まだそこまで十分いかずに、相当程度のところは、税とか交付税制度配分割合、あるいは譲与税制度配分割合がきまっておりますから、その程度のところまではいけますが、なお若干のものがどうしてもあとに残るというような現状であるわけであります。
  9. 原田立

    原田立君 いまの説明の中に、多少の違いというのなら、これは話はわかるのですよ。自治省の千四百二十億と言っておった。当初大蔵省は幾らと言ったのですか、三百五十億というのでしょう。それが政治折衝で七百四十九億と、こうはね上がっていったわけですよね。あまりにも自治省見方大蔵省見方と違うと思う。そのほか、いろいろな積算のしかたがあるだろうと思うのですが、多少の違いならいいけれども、あまりにも隔たりが大き過ぎる。そこでぼくは問題があると思う。この点いかがですか。
  10. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 私多少と申しましたのは、地方財政計画全体が、今度で御承知のように四兆七千七百億、こういう規模のものでございます。したがいまして、いま申し上げておりますのは、対前年増減額部分だけで議論をしておるわけでございますが、やはり公共事業等は根っこからの問題もあるわけでございます。そういう意味合いにおいて、全体四兆八千億になる財計政画のうち、多少のもののずれの見通しは起こるであろう、こういう意味で実は申し上げたものでございます。
  11. 原田立

    原田立君 ですから、それは四兆から見れば千四百億でも三百億でもたいしたことはないのかもしれないけれども、そういうふうな議論のように思えるのですが、そうじゃないと思うのですね、実際問題は。くどいようですけれども、千四百二十億、当初財源不足額の計算をした。大蔵省は三百五十億だと、約千億違うんですよね。四兆から見れば少ないかもしれない、多少かもしれないけれども、その差の千億というのは非常に大きいんじゃないかと思うのです。だからもっと権威あるものとして行なう場合には、こんな隔たりが出るべきではない、こういうふうにぼくは思うのですよ。いかがですか。
  12. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) おっしゃるとおり、私ども地方財政見通しを、普通の役所の事業費予算折衝のように多い少ないという査定をすべきものではないと考えておりますが、地方財政事業費査定とは違いまして、御承知のように、全国の地方団体を通じた一つ見通しでございますので、私どもとしては、そういう行き方は間違っているのではないだろうか。やはり、先ほど申し上げましたように、当初から地方財政というものと国の財政との間に財源の大きな配分がなされておって、その範囲地方財政が受けられるか受けられないか、こういう議論をすべきものであろう、こういうふうに思っております。そういう意味合いにおいて、私どもも、そういう方向に年々実は努力をいたしておるわけでございます。財源配分について大きな見通しをつくるということは、年々努力をいたしておるわけでございますが、何ぶんにも、現実には非常に国の補助事業なり、あるいは国の法律その他の制度によります地方財政負担という問題も起こってまいるわけでございまして、いまの段階ではそういう意味で、私どもも完全な姿とは実は思っておりません、直すべきであろう、こういうふうに思っておるわけでありますが、現実にはいま申し上げたようなことになっておるわけでございます。
  13. 原田立

    原田立君 四十二年度歳入総額は、先ほどお話しがあったように四兆七千七百十四億ということでありますが、そのうち特に歳入のほうでは——失礼しました。全体の額が四兆七千七百十四億で、歳入のほうは交付税臨時地方特例交付金国庫支出金地方債等含めて二兆五千百億円、すなわち歳入総額の半分にも至っているわけでありますが、こういうことは、現行制度においてはやむを得ないであろう、こう思いますが、いわゆる地方自治の育成、地方財政の確立という面から見て、こういうことははたして望ましいことなのかどうか。その点、自治省当局としてはどういうふうにお考えでしょうか。
  14. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 現在四十二年度財政計画で見ますと、地方税譲与税交付税等を通じまして約歳入構成の六〇%、約六割ということでございます。そのうち独立税であります地方税が約四割、こういう姿になっております。私どもは、この地方自治に即応した税財政制度としては、できるだけ地方税構成比を高めることによって、自治体の自主的判断による自治行政ができるようにということを絶えず念願をいたしておるわけであります。  そこでいろいろ、じゃあ、自主財源である地方税構成がどれくらいであればいいのかということが、絶えず議論になっておるわけであります。先年開かれました税制調査会におきましても、その問題が議論になりまして、多数の学識経験者の中でいろいろ熱心な御議論があったわけでありますが、さて、では何%がいいのかということについては、なかなか結論が理論的に出なかったのでございます。そこで、当時私どもといたしまして、地方税につきましては、せめて歳入構成の半分ぐらい、五割程度地方税によってまかなえるように考えるべきではなかろうかというようなことで、地方税歳入の五割にするための案というような試案税制調査会議論の場に出したわけでございます。それに対しましていろいろな議論があって、税制調査会では、そのときは結論は出ませんでしたけれども、こういう試案をたたき台にして、将来なお検討すべきものであるというような答申になったわけでございます。そういう意味合いにおいて、地方税割合について、どれくらいが適当かというなかなかきめ手がないわけでございますけれども、そんなようなことを私どもはひとつ頭に描きながら今後も努力してまいりたい、かように考えております。
  15. 原田立

    原田立君 第十一次の制度調査会で、国債発行下における地方財政のあり方について答申がなされているわけですが、これはいつも何回となく議論されるのですが、この答申尊重という面で、具体的にどういうふうな点を尊重して行なったか、この点いかがですか。
  16. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 答申はいろいろ内容がございまして、私どもとして、答申趣旨十分尊重をいたしたつもりでございます。ただ、全面的に実現ができなかった部面はございます。しかし、考え方としては、私どももそういう線を尊重していき、また、今後もそうすべきであろう、こう思っております。
  17. 原田立

    原田立君 具体的にその内容をお示し願いたい。
  18. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 先般の答申でいろいろございますが、おもな点を申し上げますと、一つは、四十一年度にとられた特別事業債、これはやめるべきである、やはり一般財源によって措置をすべきであるという点が一つでございます。  それから第二は、旧慣の発行に伴って地方負担を及ぼす場合、その地方財源一般財源で確保する、具体的には交付税とか譲与税というようなもので確保する、その際にその一つめどとして、国税国債収入の二三%程度を、過去十年の実績に二三%という数字が出ているので、そういうことを一つめどにしていくべきである。それから特別事業債を——昨年出しました特別専業債元利償還について財源措置をすべきである。  それから地方税につきましては、道路目的財源配分割合変更をすべきである。それから、その他地方税につきましては、住民税あるいは消防施設税、あるいは交納付金制度といったようなものについて合理化を検討する必要がある。  それから国庫補助金の問題に関しましては、超過負担解消につとめるべきである。それから補助金の——零細な補助金整理統合につとめるべきである。  それから地方債については、公共事業地方負担額財源に充てるよりは、単独事業、あるいは公費企業に重点を置いて地方債計画をつくるべきである。それから、そのほか地方経費効率化でありますとか、あるいは大都市あるいは辺地等に対する対策、あるいは大規模住宅団地市町村における財政上の特別な考慮、こういったようなことが、答申内容になっております。
  19. 原田立

    原田立君 その内容承知しているのです。どういうふうにそれが尊重されたか、前の半分だけ答えて、あとの半分お答えがない。
  20. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 特別事業債につきましては、四十二年度においては廃止をいたし、かつ、その四十二年度利子償還について財源措置をいたしております。  それから、国債発行下財源配分については、二三%という数字は確保はできませんでした。  それから、地方税について道路目的財源配分、これにつきましては、御承知のように二十五億の、道路財源としてのかわりとしての二十五億の臨時交付金というものになっております。  それから超過負担につきましては、二百六十六億の超過負担解消、それから零細補助金につきましては、六億の零細補助金廃止と約六十億、二百件にのぼる統合が行なわれております。  それから地方債につきましては、今回単独事業地方債を従前よりも大幅にふやしております。また公営企業につきましても、地下鉄あるいは下水といったようなものについて重点的に増額をはかっております。  そのほか大都市の問題につきましては、差等補助率撤廃で、今度全部はできませんでしたが、一部撤廃をいたしております。下水道事業についていたしておるわけでございます。  そのほかに大都市の問題につきましては、先ほど申し上げました単独事業増額の中で、過密都市対策に充てるためのものを用意をいたしております。  それから辺地あるいは振興山村等に対しましては、御承知のような辺地債増額をいたしております。  それから大規模住宅団地に対します公共施設の整備のための問題につきましては、政府関係機関の間で、各省の間で協議をいたしまして、住宅公団等が大規模住宅団地をつくる場合に、公共施設をあらかじめ立てかえてやる、その公共施設範囲を拡大いたしまして、それから、それらの市町村がそれを年賦で償還する場合の年限をものによって延ばすというような申し合わせをいたしました。
  21. 原田立

    原田立君 事務当局にいまお伺いするのはどうかと思うのですが、局長答申尊重ということは十分なすべきだというふうにお考えなんだろうと思うんですが、いまちょっとお話聞いてみても、あるものはできたし、あるものはできてない。それで地方財政拡充充実ということは、前々から言われている問題でありますし、それも十分お考えだろうと思うんですけれども、ただ、あまりに、だんだんといっても非常に伸び方がおそいんですね、総体的に言って。それでは現在のように破産寸前にあるような地方財政は、まだ根本的に不安定な条件を解消していないと思うんです。今後こういう地方財政充実というふうな面から、自治省当局としては、どういうふうなめどをつくっておやりなさるのか、その点はいかがですか。
  22. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 四十二年度地方財政計画については、すでに御議論いただいたようなことで作成をいたしました。今年度は景気の回復に伴います税収のかなりな増というようなことで、四十二年度財政措置としては、一応のまとまりを持っておるものと考えておりますが、なお御指摘のように、基本的な問題は残されております。その点につきましては、私どもも、どういう方法でいってそれに近づくべくやったらいいのかということを、絶えず腐心をしておるわけでございます。  特に最近の地方財政を見てまいりますと、いろいろ局地的と申しますか、団体ごとのいろいろな財政需要変化が見られるわけでございます。御承知のように、社会的には人口の移動といったようなことで、一方ではどんどん人口が自分の地域団体の中から出ていく、そして都会あるいはその周辺に集まっていく、こういう非常に流動的な事態、これにどういうふうに財政制度として対処していったらいいのか。一方では経済情勢の影響を受けまして、経済産業地方分散労働力あるいは立地を求めての地方分散ということもございまして、それに対応すべく、地方団体がいろいろ地域開発というようなことにいま熱心になっておるわけでございます。そういう社会経済上のやはり情勢変化というものを、どういうふうに受けとめていくか。いままでの行き方でございますと、地方団体行政、あるいはそれに伴います財政需要というものは、事務配分が一律的であるというところから、制度的にほぼ一律という行き方がとられておったわけでありますが、現実の流動しております社会経済情勢は、なかなかそういった固定的なものでは安定をしない。いわゆる、いままで考えておった安定ということだけでは、なかなか問題の処理ができないといったようなことがございまして、非常にこれはむずかしい問題で、財政制度の面だけから処置することができるかどうか、非常にむずかしい問題であろうと思いますが、そういったような事態に当面いたしておりますので、そういう事態に対してどういうふうにやったらいいかということを、われわれも真剣に考え、かつは、いま開かれております地方制度調査会でも、この問題を御議論をいただくことにいたしておるわけでございます。
  23. 原田立

    原田立君 むずかしいという理由の開陳があったんですけれどもうしろ向きではなしに、前向きの姿勢で、地方財政拡充ということはせっかく御努力願いたい。  そこで、その話の中にありました二三%、国債プラス国税収入のイコール二三%を地方に回すべきだというふうな答申があるわけですが、現実には二一・六%ですか、なっておるんです。いまお話しがあったとおりですが、そうすると、約六百億から七百億くらいの財源不足計画上出てくるわけですが、この手当て等についてはどういうふうになさるのか。一応計画上のことでありますから、何も最初から二一・五なんだといえばそれきりなんだとは思いますが、やっぱり地方も国のそういう決定を非常に首を長くして待っておるわけであります。ましてや答申となれば、その尊重ということは常々政府は言っているわけなんですから、そういうようなめども立てていることでありましょうし、それで、ただ単に地方税収入がことしは非常に伸びたからこのままでいいのだというようなごく簡単な議論でなしに、今後将来それをどういうふうに取り扱っていくのか、その点はいかがですか。
  24. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 四十二年度につきましては、いま御指摘のようなことで、地方財政措置としてはできておると思います。ただ二三%には達しなかった、この点は御指摘のとおりでございます。地方制度調査会が二三%論を打ち出しましたことは、私は二つ意味があると思っております。  一つは、先ほどもちょっと触れましたように、国と地方の間では、やはり予算要求査定をしたり、されたりするような形でなく、財源を大まかに事前に分けてやっていくべきだという思想、それが一つと。もう一つは、調査会で御議論いただいた当時、実は四十二年度の日本の経済状況について、いま直面しているような姿は実は想像していなかった。かなりやはり苦しいであろう。国も国債を出したくないといっても、相当発行せざるを得ぬじゃなかろうかといったような実は状況下にあったのでございまして、そういう意味から、昨年のああいうつらい地方財政計画でなくて、あらかじめそういった国と地方財源配分をしておいたらいいだろう、こういう気持ちがあったと思うのでございます。  その二つの御趣旨を私どもはいろいろ考えまして、第一の問題につきましては、私どもも全く同感でございます。先ほど来申し上げておりますように、国と地方の間でこれだけ要るからどうの、これだけ要らぬからどうのというふうなことはできるだけ避けたい、こういう意味でその御趣旨尊重いたしたいと思って、いろいろ政府内でも議論を実はいたしたわけでございます。ところが現実地方財政計画は、ずっといままで対前年に対する増減の積み上げという方式をとってきております。かなりこれが固定化され、軌道に乗ってきているわけでございます。なかなか一気にそれが直し切れないといったような問題がございました。それからもう一つは、その間に景気回復に伴います税収の増といったようなことで、事情が少しずつ動いてきておる、こういう意味合いにおいて、結果としていま御提示しているようなものになっているわけでございます。私どもやはり調査会答申のお気持ちというものは十分尊重して、今後の地方税財政制度の確立に前向きに進んでまいりたい、かように考えております。
  25. 原田立

    原田立君 それでいまのお答えもやっぱり半分なんですが、その六百億減収になるというような、計画上のことですけれども、それはどうなさるのですか。
  26. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 二三%という数字を当てはめれば、おっしゃるとおり六百億でございます。しかし、答申のねらいとておりますことは、いま申し上げたようなねらいであったわけでございまして、特に四十二年度地方財政が非常に苦しいであろう、ここまで景気が回復しないであろうというふうなところから、どれくらい財源を分けたらいいかということについて、なかなか理屈がまとまらない。そこで、過去十年の実績というものを一応平均したものをとらえて、その程度のものを、特別な事情の変更がない限りは、そういうものをめどにしたらどうか、こういう御答申であったわけであります。したがいまして、先ほど来申し上げるようなことで、本年度経済情勢がこういう状況で、経済情勢によって税の自然増収もかなり出てまいりましたので、財政計画としては私は十分財源措置が組まれている。したがって、計算上出てくるような六百億というものが、この財政計画で足りないのだという議論には私はならない、こういうふうに思っております。基本的な問題としては、先ほど来申し上げるようなことでございます。
  27. 原田立

    原田立君 それではお伺いしますが、いまも局長が言われるように、地方財源というのは、大ワクを与えて、そしてやっていくのが至当なんだというようなことの御発言がありましたが、従来のやり方はそうじゃないんだ、増減があるんだというふうな、二つの意見がありましたけれども自治省当局としては、答申にあるように、二三%というような大ワクをぽんときめて与えるやり方について、これは御賛成になるのですか。
  28. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 私ども、もちろんそういう趣旨は賛成でございます。
  29. 原田立

    原田立君 四十二年度の第一種交付金は、特別事業債償還費の項目を基準財政需要額の中に入れて、いわゆる本年度限りというふうな臨時措置になっているのですが、来年度以降のことについてはどのような措置をされるのか。政府の方針ですね、どういうふうになさるのか、お教え願いたい。
  30. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 特別事業債あと始末につきましては、本年度に一気に片づけておきたいと実は思ったわけでございますが、なかなか議論がやはりこれも煮詰まりませんでした。と申しますことは、国の財政の面からも、非常に現在の日本の経済状態が流動的であるといったようなこともあっただろうと思います。たまたま四十二年度は、特別事業債につきましては利子の償還だけということでございます。元金の償還がまだ始まりません。そういったようなこともございまして、今回は四十二年度だけの臨時措置と、こういうことにいたしましたが、なお、四十三年度以降につきましても、これを国の責任で処理できるように、私ども努力をいたし、また、大蔵当局ともその点について十分検討をかわすことを約束をいたしておるのでございます。
  31. 原田立

    原田立君 いま大蔵省と約束してあるというちょっとお話でありましたが、利息のことは確かに四十二年度はなっておりますが、元金のほうは、これはやはり国のほうではっきりめんどう見るということで理解してよろしいのですか。
  32. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) その点が話がまとまれば、本年度措置としてできたのでありますが、現在、特別事業債自体も、各団体がいろいろな条件で発行しており、その実体もいまの段階ではまだ実はつかめないわけでございます。発行見込みはわれわれつかんでおりますけれども。それからもう一つは、いま申し上げましたように、どういう方式で将来これを処理したらいいかといったような問題もございまして、そういうことをくるめて検討しよう、こういうことになっております。
  33. 原田立

    原田立君 そうすると、まだ元金のほうははっきりしてないということですか。
  34. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 元金、利子ともに将来償還を要するわけでございますが、それに対します措置について全体として検討しよう、こういうことでございます。
  35. 原田立

    原田立君 ちょっとおしまいのほう、よく聞こえなかったのですが。
  36. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 元利をあわせて、どういうふうにするかということを検討しよう、こういうことでございます。
  37. 原田立

    原田立君 どういうふうにするかを検討というと、じゃあ、まだはっきりと国のほうでめんどう見るということにはきまっていないわけですね。
  38. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) まあ事務当局でございますから、具体的にはっきりいたしませんと、なかなかお約束はいたしかねるわけでございます。特に交付団体、不交付団体の問題もございますし、それからまた、国が処置をする場合の方法もいろいろあるわけでございます。そういった問題をあわせて検討するということになっておりますが、過般、衆議院の地方行政委員会におきましても、大蔵大臣が、来年度以降についても国の責任において措置をする、こういうことを言明されているわけでございます。
  39. 原田立

    原田立君 確かにことしは税収が非常に多かったということでありますが、これについての、何か大蔵省のほうの見解としては、年度間調整をして繰り越しをしようというふうな意見があったというふうに聞いているのですが、それはいかがですか。それと同時に、自治省としてはどういうふうにお考えになっているのか。
  40. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 税収については、そういう話は私は承知しておりません。
  41. 原田立

    原田立君 では、長期の見通しの上に立った年度間調整というようなことは、自治省としては考えておりますか。年度間調整による繰り越しですね。
  42. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) それは、地方財政の運営を行ないます個々の団体に対して、私どもは、財政運営は単年度で収支は締めるけれども、やはり長期的な立場に立って運営をするように、したがって、もし節約できるものがあれば節約をし、収入がそれを上回ったときには、これを後年度に繰り越して態勢に備えるように、こういう指導をいたしておりますし、現にそういうことをしている団体もございます。
  43. 原田立

    原田立君 先ほどの衆議院の地方行政委員会において、大蔵大臣が、四十三年度以降もめんどう見るというようなことが発言があったと、いま局長からあったわけですが、どういうふうな措置をするのか。これは大蔵大臣が言ったことで、自治当局は関係ないという、そんなことではないと思うのですけれども、いかがですか。
  44. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) どういう措置、方法、範囲等につきましては、先ほど来申し上げておりますように、将来の検討事項、こういうことでございます。
  45. 原田立

    原田立君 何でもかんでも検討中でこの場をうまくはずされて、あとでどうなるのだかさっぱりわからないというのじゃ困るのですが、どうも納得がいかないですね。もし少し親切に答えてくださいよ。
  46. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) いや、私どもは、まあ検討すべき事項ということで話し合いをしていることも事実でございますが、もちろん地方財政をあずかるわれわれといたしましては、地方財政が困らないようにということは絶えず念願をしているわけでございます。そういう意味で、私どもも真剣にその実現に努力いたすつもりでございます。
  47. 原田立

    原田立君 先ほどお話しがありましたが、大都市についての差等補助金の一部を解消したというようなことでございますが、附帯決議も衆議院の地方でもついておりますし、どのように考慮なさっておられるか、この点お伺いしたいと思います。
  48. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 四十二年度におきましては、下水道の差等補助率を改め、かつ引き上げたのでございまして、具体的に申しますと、従来は、下水道については一般は三分の一の補助、大都市については四分の一の補助と、こういうことになっておりましたのを、その差等をなくして、一律に四割の補助というふうに引き上げ、かつ差等をなくしたと、こういうことでございます。大都市の現在のいろいろな行政需要の中から、やはり下水というものは非常に重要だろうと、こう考えておりますので、これも適切な方法でやろうと、こういうふうに思っております。  それから第二には、地方債におきまして、単独事業債を、従来、昨年は百四十五億でございましたが、今回これを百二十億ふやして二百六十五億にいたしました。単独事業としてはかなり大幅な増額をいたしました。で、この中には政府資金が大部分でございます。従来、大都市は、一般の単独事業につきましては、どちらかといいますと、縁故債あるいはワク外債というような運用にまかされた部分が多かったわけでございますが、今回こういうふうに当初の地方債計画の中に含めるということによって、過密対策の振興に資してまいりたいと、かように考えております。
  49. 原田立

    原田立君 過日の委員会で鈴木委員から資料要求がありましたけれども、きょうは出してもらえますか。この特別事業債の償還、四十三年度以降の元利償還状況の説明
  50. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) お配りしたのじゃないですか。——お配りしてあります。
  51. 原田立

    原田立君 配ってある。それじゃ……。
  52. 加瀬完

    ○加瀬完君 今回の交付税等の改正の要点は、「制度改正による増加経費のほか、経済の発展及び国民生活水準の向上に資するため、関係経費にかかる財源充実をはかること」としたということですね。
  53. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 大体趣旨はそのとおりでございます。
  54. 加瀬完

    ○加瀬完君 大体ではなくて、おたくのほうの提出された資料によりますと、私の申し上げているとおりではありませんか。
  55. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) まあ具体的にいろいろこまかいことがございますので、そういう申し上げ方をしたわけですが、趣旨はそのとおりでございます。
  56. 加瀬完

    ○加瀬完君 その「経済の発展及び国民生活水準の向上に資する」ということで、投資的経費にかかる関係費目の単位費用が改正をされたということになるわけですね。
  57. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 投資的経費の単位費用を今回相当大幅に改正をいたしました。
  58. 加瀬完

    ○加瀬完君 その改正の内容としては、「後進地地方団体あるいは人口急増団体等について必要な配慮を加えること」にした、そういうことですね。
  59. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 後進団体に対する対策として、道路あるいは農業行政費、教育費等について増額をはかり、都市問題としましては、先ほど申し上げましたような下水等についての処置もいたしておりますが、そのほか、人口急増による補正を進めるといったようなことをいたしております。
  60. 加瀬完

    ○加瀬完君 後進地域のほうは一応おきましてね。人口急増のため、必要な配慮をしなければならなくなりましたその問題の点はどういうことですか。それから、下水道はいまおあげになりましたが、その他の点で具体的な対策はどういうことになりますか、お聞かせをいただきます。
  61. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 交付税は、御承知のように、いろいろな測定単位を使っておりますが、大きく分けますれば、人口要素それから面積要素、この二つに分けられると思います。地方団体の場合、特に大都市あるいはその周辺等におきましては、その人口が非常に増加をいたすことに伴う財政需要が多いわけでありますので、人口を、従来のように国勢調査の人口を使っておりますと、五年間の移動が的確につかめないというようなことから、住民の住民登録の人口等を使うことによって、年々の急増の姿を補正しながら、その需要をとらえていこう、こういういき方をとっております。
  62. 加瀬完

    ○加瀬完君 人口と面積の動態だけで、かりにそれが登録人口を使ったところで、それだけで急増地域の問題点が解決されるとは考えられませんね。ただそれだけですか、もっと具体的なものはないのですか。
  63. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) なかなか、先ほど原田委員との間で御質疑があったわけでありますが、社会経済の動態に対応する方策として、なかなか財政面だけで全部を尽くすことは私はむずかしいと思っております。しかし、現行財政面の中でも、交付税の面では、いま申し上げたような人口要素をとらえるということが、かなりその需要をとらえる上にプラスになるのではなかろうか。もとより人口要素だけではございません。たとえば道路の投資補正にいたしましても、交通量でありますとかいったようなものを含めることによって、そういった社会経済の状態に対応するように実はつとめておるのでございます。なお、なかなか実態どおりにはいきかねる面があろうと思います。
  64. 加瀬完

    ○加瀬完君 まあ一歩後退したわけではありませんからね、前進しているわけでありますから、その点は認めるにやぶさかではありませんがね。社会構造上の変化の動態というものをもっと対象に押えなければ、根本的な問題の解決にはならないと思うのです。たとえば、これはやがて当委員会で審議をされるでございましょう道交法の問題にかかりますがね。たとえば、その道交法の原因でございますね。交通災害の問題にいたしましても、その原因は、法律的な規制とか行政的な手段で解決できない場面というのはたくさんあるわけですね。たとえば安全施設に一つの例をとりましても、一体、国は道路財源のうち何%これに投入しているか。あるいは地方に、まあ交通災害に例をとれば、むしろ交通災害は大都市から地方都市、しかも、国道とか主要地方道というものよりも、いわば裏道のほうに移ってきているわけです。これが安全施設をするのが当然地方負担になるわけです。ところが、地方負担というものの財源は、これは全然現状においてはありませんよ。ですから交通安全施設のための一体財源というものはどうするのだ、あるいはですね、道路改造のための交付税の算定の基礎というものはどうするのだという、具体的なものがもっと私は出てこなければ、抜本的な解決はできないと思うのです。  しかし、本日は交付税の問題でございますから、一応意見がましいことは差し控えまして、交付税のねらいは、地方格差の是正と財源の保障ということで出発をいたしまして、この筋はいまでも堅持されておるわけですね。
  65. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) そのとおりです。
  66. 加瀬完

    ○加瀬完君 すると、いわゆる富裕団体と貧弱団体とを区分けをして、富裕団体を不交付団体としていままで取り扱ってきたわけでありますが、確かにこの方法で地方格差の是正はある程度はかられてまいりましたが、いわゆる富裕団体地域の過密対策あるいは再開発事業の見方というものが変わってきておるわけでございますから、それらに対応するためには財源の保障という点では、いわゆる富裕団体の内容は、いままでのような対策では解決がつかない問題が新しく生じてきておりますね。これはお認めになりますか。
  67. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) なかなか富裕団体ということば、私ども実は好ましくないことばだと思っておるのでございますが、よく使われるので実は残念に思っております。富裕団体ということば、御承知のように不交付団体をひっくるめて言っているんだろうと思います。ただ、先ほど来いろいろ御議論がありましたように、最近の諸情勢からして、交付税の計算上の不交付団体という事実だけで、富裕団体であるという実態をきわめたようなことばは、やはり誤っているんではなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  68. 加瀬完

    ○加瀬完君 けっこうなおことばを伺いまして、富裕団体というものは、ことばは好ましくないと、しかし富裕団体というものを認めたから不交付団体というものが生まれてきたわけですね。富裕団体として扱ってきた不交付団体も、実際は富裕団体でないということになれば、交付税の算定あるいは交付税配分そのものが基本的に変わってくるということになるわけですよね。これはやはり交付税だけでその財源保障というものを可能にするということは困難な問題ではありますが、いままでの交付税法の考え方は、おっしゃるように、富裕団体というものでは見られなく、不交付団体がなってきておる段階では、見方を変えてこなければならないことになりますね。これはお認めになりますか。
  69. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) ことばの上の富裕団体ということは、私どもは好んでおりません。ただ、そういった団体、主として都市的な団体であるわけでありますが、そういった団体が、現実財政需要に困っているというのは、日々動く状態に対応するために、特に投資的な経費をどういうふうに確保するかというところに問題があろうと思います。したがいまして、その需要にこたえるためには、私ども交付税制度でも、今回かなり投資的な需要に対しまして、投資補正といったようなことを導入いたしまして、先ほど申し上げましたように、たとえば道路について言えば、混雑度であるとか交通量であるとかいうようなものを補正の要素に加えるというような考慮を払っておりまして、反面では何といっても交付税の計算に出てまいりますものは一般財源でございますから、至急に一ぺんにたくさんの建設を要するというものを全部一般財源でまかなうということは、私は財政制度では適当でないと思います。そういう面から地方債増額して、これに充てるというような方途を実はくふうをいたしておるわけでございます。
  70. 加瀬完

    ○加瀬完君 そういう方法は、今日の段階においては便宜的に一応の解決のめどがつけられますけれども、将来の財政見通しということになりますと、完全に解決がつくというわけにはまいりませんね。起債で新規需要をまかなうという形になってまいりますと、その償還額の問題が将来生じてくるわけでございますし、一応施設をすれば、あとは償還に充てればいいということばかりではございませんから、新しい都市開発の問題として次から次へと新規需要が生まれてまいりますと、いつでも確定された財源がありませんと、もう起債でまかなう。起債でまかなったものは、償還に追い回されるという今度は繰り返しになりますね。ですから私は、これはそのまま局長のお話を承知するわけにはまいりません。  しかし、質問はそういう点にはありませんから先に進みますが、逆に、そういういろいろ、いわゆる都市的な新しい開発をしなければならない団体は、いろいろの仕事があるわけでありますけれども、一応、だからといって地方情勢に応じて目一ぱいに財政規模をふくらませていいという見方は、これは好ましい方法としては認められないわけですね。あくまでも交付税なり、その他の法律や政令による補助金なり、あるいは交付金なり、そういうワクの中で健全な財政というものを、かりに富裕団体であってもやってもらわなければ困るという基本線は変わっておらないでしょう、自治省の指導の態度としては。
  71. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) やはり財政運営の態度としては当然のことだろうと思います。
  72. 加瀬完

    ○加瀬完君 では、自治省のいまおっしゃった御説明のとおりにこの地方団体財政の立場をとってまいるとすれば、さっき私が尋ねましたが、社会的要因による人口の急増、または急激な都市化のための自治体の必要経費というのは、交付税の算定の対象とはなっておらないという矛盾がそこに生じますね。交付税あるいは、起債は別ですよ、独立財源を持たない、しかも交付税もこない、しかも都市的要因によるところの必要な事業をやっていかなければならないとなりますと、これは地方はどういうやり方をすればよろしいことになりますか。
  73. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) ちょっと御質問の趣旨がはっきりわかりませんが、大都市、あるいは先ほど来出ております不交付団体等におきましては、やはり自分のところに入る税収、それから国からくる負担金、その他の補助金、それに起債、こういったようなものによって、そのときそのとき緊急に必要とされる財政需要を的確につかんで、そしてその順序をはっきりとさせながら運営をしていただく以外にないと、こう考えております。
  74. 加瀬完

    ○加瀬完君 聞き方が悪かったようですからあらためて伺いますと、社会的要因による人口の急増、または急激な都市化のための自治体の必要経費は、交付税算定の対象となるべきものと考えてよろしゅうございますか。
  75. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 交付税の算定にあたりましても、捕捉できます需要はこれを捕捉してまいりたい、かように考えております。ただ、御承知のように、交付税は全国三千幾つの団体に配分をいたす関係から、その捕捉にあたりましても、やはり共通の尺度というものをとらざるを得ない、かように考えます。
  76. 加瀬完

    ○加瀬完君 共通の尺度ということになりますと、逆に言うならば、算定の対象となれないものが当然出てくるわけですね。地域には必要でありましても、一般的に見て、これを財源を補てんをする対象とは考えられないというものが出てまいりますね。具体的に政府機関なり——市町村に対して都道府県なり、あるいは政府の外郭団体等が地方支出負担を強制しているもろもろの問題がありますね。こういう問題のほとんどは交付税の算定の対象にはなりませんね。そうするならば、地方団体は当然健全財政の立場からは、自治省としてワクの中には認められないというものなんですから、拒否をしていいということになりますね。あるいは負担をすべきものではない、一歩譲っても。そういう負担や寄付をすることは好ましいものではないという御見解と了解してよろしいのですね。
  77. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 財政的には、やはり財源範囲内で財政運営をしていただかなければならない、かように考えます。
  78. 加瀬完

    ○加瀬完君 ありますよ。県が保健所をつくりますと、必ず関係市町村補助金といいますか、負担金の要請をしていますよ。警察署なんかをつくるにも寄付金の要請をして、負担をしておりますよ。高等学校なんかもそうですね。これは法律的には禁じられておる。禁じられておることを当然のごとく市町村はかぶせられておるわけです。自治省は、そういう問題に対しましては、やはり好ましいこととはお認めにならない。好ましいこととは認めるわけにはまいらないというお態度には変わりがないんですね。
  79. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 財政秩序を確立するという観点から、法令で定められた趣旨に沿ってやってもらいたい、こう思って、強く指導いたしております。
  80. 加瀬完

    ○加瀬完君 けっこうなお話でございまして、安心をいたしております。  もう一つ、そういうことを政令や法律できめられておるものに違反をしないようにということを、自治省はチェックするだけではなくて、地方団体の健全財政というものを保護育成をしていく、こういう指導監督の責任というものがあると考えてよろしゅうございますね。
  81. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 個別の団体の財政運営をどうすべきかは、もちろん個々の団体の自分の責任で私はやるものと考えます。しかし、私ども地方財政をおあずかりしております以上、それぞれの団体が健全な運営をするように、いろいろな面で指導をしてまいりたいと思います。
  82. 加瀬完

    ○加瀬完君 地方地方の独自の立場でやるということでは、法律はないわけですね。法律の上で自治省が当然責任のある問題が幾つかありますね。たとえば、あとで申しますが、政府機関などが地方負担をかけるときは、自治大臣に協議をしなければならないという問題もございましょう。したがいまして、そういう手続きも経ないで、不法にと言って悪ければ、不当に支出強要をするものに対しましては、自治省はこれを禁止するよう強硬な方針を当然とるべきだと思いますが、まあ抽象論ですが、もう一度申しますと、法律や命令にはずれるワクの中で、不当に地方支出の強要をするような場合、それが政府機関等であった場合は、自治省としては、これはそういうことがあってはならないという措置を、あるいは処置をおとりいただくことも当然と考えてよろしゅうございますね。
  83. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 法令に違反するようなことはもちろん排除すべきである、こう考えます。
  84. 加瀬完

    ○加瀬完君 具体的に問題を伺ってまいります。いまの負担金の問題でございますが、千葉県の市川市あるいは松戸市の周辺の総武線、常磐線の複々線の対象になっておりまする地域におきましては、国鉄から、市川は三十億の年間予算で三十二億、船橋市は四十億の年間予算で四十億、松戸市は二十六億の年間予算で十四億九千万、柏市は十三億の予算で六億、我孫子町は五億の予算で七億五千万、こういう負担金が県の仲介できめられておるわけです。この金額は五年間に年賦で納入をするということになりますと、市川市においては年間予算の二〇%、船橋市も同様であります。我孫子町においては三〇%に近い額になるわけです。こういう負担に、いまいったような地方団体はたえ得るとお考えになりますか。
  85. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) ちょっと個別の数字は持っておりませんので、具体的に的確なことではないと思いますが、いまおっしゃるように、年間予算総額相当分の負担金がくるというようなことであれば、これはもうできないことだろうと思います。
  86. 加瀬完

    ○加瀬完君 市川市の財政構造を見ますと、歳入構成は二十五億六千万、四十一年。市税が二十一億で八一%、交付税はゼロ、国庫支出金その他が六%、市債が四%、雑収入が三%、使用料、手数料が二%、その他となっております。歳入の八〇%が市税、交付税国庫支出金も非常に少ない。まあこの状態は、健全財政と認めてよろしゅうございますね。
  87. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) まあ健全かどうかということは、歳入構成といいますよりは、むしろ構成並びに運営を通じて私どもは判断すべきものだと考えております。いま御指摘のようなことでありますれば、歳入構成としては、非常に自主財源が高くて、むしろほかの団体からはうらやましがられる状況じゃなかろうかと、こう思います。
  88. 加瀬完

    ○加瀬完君 歳出構成は、教育費が二四%、土木費が二一%、以下その他ということになっております。この中で建設事業費のみで見ると、単独事業分は六億、大体道路等の関係が、土木関係が二億三、四千万、教育関係がやはり二億三、四千万と、その他ということになっております。この建設事業費のうちの単独事業費の状態は、一応他の団体と比較してみてどう御判断になりますか。状態よろしいと御判断になりますか。
  89. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 財政計画上は、単独事業を含めた投資的経費の状況は大体三割ぐらい、そのうち単独事業が一割ぐらいというような姿になっております。
  90. 加瀬完

    ○加瀬完君 しかし、現在額は四十一年度分では十八億、これに、先ほどのかりに国鉄の負担金ですか、寄付金ですか、それがきまりますと、いわゆる鉄道負担金分の償還額その他を入れますと、四十二年度には概算七億、四十四年度には十四億ということに推定をされます。予算総額に対する償還額の見積もりは、四十二年度では二三%、四十四年度では三〇%をこえるということになりますが、これは健全財政とはいわれなくなりますね、そういう状態の変化は。
  91. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 公債費が予算の中でどれぐらいを占めるか、これはまあ団体によっていろいろ違うわけでありますが、私どもは現在の地方財政の全体的なレベルから申しますと、多くの団体は一〇%以下であろうと、こう考えております。
  92. 加瀬完

    ○加瀬完君 それが三〇%をこえるという状態ということになりますれば、これは地方団体としては、財政運営ができないということにまあ判断をしなければならないと思うわけですが、一応、とてもそれは地方団体としては正常な運営ができる状態ではないと判断はしてもよろしいでしょうな。
  93. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 公債費は年々どういう程度に償還をしていくかという問題だろうと思いますが、いまおっしゃいますように、その年の予算規模と同額ぐらいのものを起債で起こすということは、私は財政運営上は好ましくないと、こういうふうに思います。
  94. 加瀬完

    ○加瀬完君 しかし、これは交付税の対象にはなりませんね。こういう協議や契約に基づいて寄付の納入を市町村が認めたとしたところで、それは交付税の対象にはなりませんね。
  95. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 普通交付税の算定にあたりましては、各団体を通じて一般的な経費を、共通的な経費をいたしますので、お話しのように個別のものは交付税の算定にそのものとしてはかかりません。
  96. 加瀬完

    ○加瀬完君 じゃ、特別交付税で何割見られることになりますか。
  97. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) そういった場合に特別交付税をどれだけ見るかということは、そのものだけではなくして、その団体の歳入の状況等も勘案しなければなりませんから、何割ということをここで一律にきめることはできません。
  98. 加瀬完

    ○加瀬完君 結局交付税では、普通交付税でも特別交付税でも、対象としてワクの中に入れるわけにはいかない、これは経費の支出ですよね。しかし、結局過密化といいますか、新しい都市の再開発といいますか、そういうために、大都市周辺の小都市は現実にいま言ったような問題をどう処理していくか、しょわせられているわけですよ。地方が出したいという、地方の責任ではこれはございません。余儀なくそうさせられておるわけですね。この実態は、一応そういう実態があるということをお認めいただきまして、どうしてそういう実態が一体生じてきたかという点を伺ってみたいと思います。  いまも申し上げましたとおり、予算規模は三十億で、税収は伸びても四十二年度は三億でしょう。それに対して負担金が三十二億、市川市です。船橋も四十億の予算に対して大体四十億の負担金と、こういうものがたえられないことは、御説明をいただくまでもなく当然のことでございます。ところが、どうしてこういう負担をさせられるかというその理由に、常磐線あるいは総武線、総武線を取り上げますと、総武線を高架に複々線にして、複々線の部分を高架にするので、それには建設省と国鉄との協定、いわゆる建国協定というものがあるので、建国協定によるとこういう負担になるという立場をとっておるわけです。とらせられておるといったほうが正しいかもしれません。  そこでこの前、昨年この委員会でも同様の問題を鎌田参事官に伺ったわけですが、そのとき、いわゆる建国協定は法律的に地方団体を拘束するものではないという点が明らかにされたわけでございますが、これは確認してよろしゅうございますね。もう一回言いますよ、いわゆる建国協定は、建設省と国鉄との道路と鉄道、その交差をすること等についての申し合わせですね。これが地方自治体を法律的に拘束をいたしますかという質問に対して、拘束をいたしませんと自治省はお答えになった、これは再確認してよろしゅうございますね。
  99. 増川遼三

    政府委員(増川遼三君) そのとおりでございます。
  100. 加瀬完

    ○加瀬完君 それならば結論が出たわけです。法律的に義務のないものを負担するばかはないわけですから。けれども一応、私はここで破壊的な言辞を弄するために割り込んでまいったわけではございませんから、経緯を説明をいたします。どうしてこうなったか、それで自治省としてももっと本腰を入れて問題の解決をしてもらわなければなりませんので、経緯を申し上げます。  これは最初に建設省に伺いますが、いまのような建国協定のような事案に対しましては、原因者負担というものが原則として確定をされておりますね。ある工事をいたしますときに、その工事は原因者負担という定則といいますか、基本的な原則がございますね。これは認めてよろしゅうございますね、そのとおり。
  101. 吉兼三郎

    説明員(吉兼三郎君) 御質問の御趣旨が、協定と原因者負担という思想との関係、そういうことを……。
  102. 加瀬完

    ○加瀬完君 それじゃもう一回。道路と鉄道との交差の協議、こういうものが道路法の三十一条にございますね。それによりますとね、建設大臣または道路管理者が、みずからその新築もしくは改築を行なうときは負担協議をする要件となっておりますね。そしてその負担は、その工事の原因をつくったものが原則として負担をするということになっておるわけですね、それでよろしいでしょう。
  103. 吉兼三郎

    説明員(吉兼三郎君) 御指摘道路と鉄道の交差に関しましては、道路法では三十一条にその際の費用の負担等のことについての規定があるわけでございまして、これに基づきまして、私どもと国鉄との間においては協定があるわけでございます。協定の思想としましては、その交差をする際に道路側が、たとえば新しく道路側の事情でもって鉄道を越すという、いわゆるしかけていく場合にはこれは道路が一応持つ。すなわち原因者が原則として持つという思想が前提となっております。そういう前提でいろいろな協定がつくられております。
  104. 加瀬完

    ○加瀬完君 よくわかりました。そうすると、他の原因、具体的に言うならば、鉄道の計画によって道路が改築あるいは新築をされなければならないという場合は、道路管理者のほうから国鉄に対して、負担協議を要請をする必要はないということになりますね。原因が鉄道側にあるときに、原因者でない、悪いけれども、被害を与えられる側の道路管理者のほうから国鉄に負担協議をいたしましょうという要請をする必要はないというたてまえになっていますね。
  105. 吉兼三郎

    説明員(吉兼三郎君) ちょっと御質問の趣旨がよくわかりかねますけれども、鉄道側の原因で高架にする、つまり線増とか総武線のような場合もそうでございますが、そういう場合には、道路側が負担をいたしますというようなことを要請する、鉄道側に要請するという必要はないという、こういう御質問でございますか。——これは線増等の場合におきまして、おっしゃるとおりこの逆で、原因者は鉄道でございますから、鉄道がその線増にかかわるものについては一応負担する、こういう原則があるわけでございます。しかし、こういう鉄道と道路の連続高架、高架化といったような問題につきましては、そういうお互いにその原因をなすようなものがからみ合っておる問題でございますので、したがいまして、管理関係者、つまり道路管理者と鉄道事業者のほうでいろいろ協議をいたしまして、きめられましたルールに従ってお互いの負担割合等を計算して負担をしよう、こういうことでございます。簡単に割り切れない問題じゃないかと思います。
  106. 加瀬完

    ○加瀬完君 簡単に法律的には割り切れるはずですよ。道路法の五十八条は、「道路管理者は、他の工事又は他の行為に因り必要を生じた道路に関する工事の費用については、その必要を生じた限度において、他の工事又は他の行為につき費用を負担する者にその全部又は一部を負担させるものとする。」と、これがいわゆる費用の原因者負掛でしょう。こうありますね。しかも建国協定の第四条の前提条件は、道路側に平面交差の除却原因があるということになるわけでしょう。そうでありませんければ、道路側が三分の二を負担して、鉄道側が三分の一を負担するという負担割合はおかしくなってくるでしょう。道路側に原因がありますから、道路側が三分の二を持つ、鉄道側は三分の一を持ちなさいということが建国協定の第四条でしょう。ですから、これはあくまでも道路側に平面交差の除却原因があるということが前提になるわけですよね。法律的にはそう解釈するほかないでしょう。これはお認めになりますか。
  107. 吉兼三郎

    説明員(吉兼三郎君) 建国協定の第四条の考え方は、既設の平面交差を道路側の事情並びに鉄道側の事情等から平面交差のままにおいておくことがいろいろ問題があるということから、これを立体交差にする場合の費用負担の取りきめを書いたものでございまして、いわば双方に原因がある。現存している平面交差を立体にするという理由が、道路側の事情もあるし、鉄道側の事情もあるということから、その場合の費用負担についてはいろいろ理屈はあろうかと思いますけれども、ここでは道路側が三分の二、鉄道側は三分の一、こういう取りきめをされているわけです、そういうふうに私ども理解しております。
  108. 加瀬完

    ○加瀬完君 それはおかしい。建国協定というのは協定ですよね。かりに命令であったとしたって、法律に違反することはできないでしょう。法律道路法でしょう、この場合は。道路法には明らかに五十八条によりましても、原因者負担ということが出ておるわけでしょう。道路管理者は、他の工事または他の行為により必要を生じた道路に関する工事の費用については、その必要を生じた限度において、相手方に要求することもできる。自分が負担するということではない。あくまでも工事を起こした、原因をつくったものが負担をするという原則が確認されておるわけですね。  そこで、一つの工事のうちに、三分の二は道路側、三分の一は線路側、この場合、国鉄側が負担をするということをきめてあるということは、結局道路側のほうで平面交差の除却原因があって、こういう負担になるということにならなきゃおかしいですよ。そんなばかな話ありますか。両方相談してやるというなら、二分の一、二分の一ならわかる。相手方がやるものに、道路のほうから三分の二を負担をするというばかがどこにありますか。  もっと具体的に言うと、高架の場合はこういうことでしょう。四メーター五十という高架にする場合、道路幅が十メーターならば、建国協定によれば、十メーターの上の線路だけ直せばいいというのじゃありませんね。この四メーター五十に勾配を上げてくる、上り下り八百五十メーターのところから、のりが上がってきた、こののりの上げ分までも全部負担するわけでしょう。十メーターの近路を直すために千七百メーターの負担をしなきゃならないということでしょう。そういう膨大な負担をするということは、どうしても道路側のほうで、鉄道を上に上げてもらわなきゃならないという必要が、いわゆる平面交差の除却原因がありますから、こういう負担になるでしょう。鉄道のほうが高架にするために、道路が、立体交差にするということだけで千七百メーターの負担をしなければならないということは常識で考えたっておかしいですよ。しかし、そういうことを適用しているわけです。自治省局長、どうお考えになりますか。そういうのが建国協定だ、だからそういう無理なことを弄いてあるということは、結局道路側に、ぜひそうしてもらいたいという要請があった場合という前提がなければおかしい、そう解釈しなければならないのが常識ですよ、これは。どうです、第三君としてひとつ御判断してください。
  109. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) ちょっと実は当面の関係者でないものですから……。
  110. 加瀬完

    ○加瀬完君 当面の関係者ですよ、あなた。これから言いますけれども
  111. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 建国協定の適用が、具体的にどうなっているかということを承知をしておりません。よくいまの御趣旨考えまして、われわれとしても検討したいと思います。
  112. 加瀬完

    ○加瀬完君 そういうことを聞いているのじゃない。法律解釈として、私の言うほうが筋が通っているのじゃないか。原因者でもないものが三分の二を負担するというばかな法律はどこにもない。そういう協定もあり得るはずがない。しかも原因者負担というのは法律上きめておる。ところが、建国協定に三分の二道路側が負担するということになっている、四条は。そこであれば、道路側の除却原因の要請というものに責任があるということでないかと、そう解釈しなければおかしいじゃないですか、こういうことですよ。法律にごたんのうな局長のことですから、ひとつ第三者として、それはやっぱりそうであろうということにはなりませんかね。その御所見を伺いたい。
  113. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 道路法の主管は建設省の道路局でございますから、そちらのほうからお願いいたしたいと思います。
  114. 吉兼三郎

    説明員(吉兼三郎君) 先ほど私がお答えしましたことが少し不十分でございましたので、補足さしていただきます。  五十八条の関係につきましては、つまり本件の御指摘の場合、除却原因というものが、除却者である原因がどちらにあるかということが通用の問題かと思います。建国協定の場合は、いろいろなケースがあるが、全国的に能率的に処理をいたすための一つの画一的な基準をきめましたのが建国協定であります。それの大体の思想は、平面踏切を除却する、立体交差にするというのでは、最近の道路交通の事情等からいきまして、非常に道路の交通量がふえてまいります。そういうようなことから、どうしても平面のまま置いておくことは、交通安全対策の面からいって支障があるというような要素がかなりあるわけでございまして、片や鉄道自体のほうの列車の運転回数の問題もございますが、そういうようなことをいろいろ総合勘案いたしまして、全体の三分の二は道路側、三分の一は鉄道側ということでいこうじゃないかということから、こういうルールがとられたものと私ども理解をいたしておるのであります。  したがって、原因がどこにあるかというその実態、その実態からお互いが原因について負担し合うというふうに理解をしていただければよいのじゃないかと私ども考えます。
  115. 加瀬完

    ○加瀬完君 ですから、原因者負担ということはお認めになるでしょう。
  116. 吉兼三郎

    説明員(吉兼三郎君) はい。費用の負担の限界において、その原因者の負担であることは当然でございます。
  117. 加瀬完

    ○加瀬完君 御存じのように建国協定という負担のしかたと、新幹線方式という負担のしかたがあるわけですね。新幹線方式は、先ほどの例でもう一回示せば、十メーターなら十メーターの道路、それが四メーター五十上がったら、その四メーター五十上がった十メーター幅の上の線路だけ改修すればいいということでしょう。同じ建設省関係と国鉄関係の協定でも、いま言ったように新幹線方式だというと千七百メーターを負担しなくてもいい、十メーターなら十メーター、道路幅だけを負担すればいい。にもかかわらず、建国協定というもので、上り下り、左右両翼の千七百メートルまでも費用を負担しなければならないということは、負担をしても、道路の改修をしなければならないという原因のウエートが道路側にあるということでなければ、これは法律違反ですよ。原因者負担だ。原因はありませんが、鉄道が勝手に道路をまたいだだけで、両翼千七百メートルを道路側に負担をしろ、こういうばかな理屈は成り立たないでしょう。  こういう非常に法律解釈上、あるいは協定の解釈上、あるいは運営上と言ったほうが正しいかもしれない、地方団体にとっては、はなはだ妥当を欠くやり方で、市川なら三十二億というものが、極端に言えば押しつけられてきているわけですよ。法律上何ら義務はない。それをこういう形で、建国協定があるからといって、知事もどうかと思いますが、自治省に相談するなり、あるいは法律家に十分検討をさせて、義務があるかないかということを検討すべきだのに、けっこうでございますと言って、大体了承しちゃった。それがばんと地上に降りてきて、地方は四苦八苦、こういう状態です。これは十分検討をしなければならないとは、自治省もお考えになるでしょうね。政務次官ですか、ひとつお答えをいただきたい。いかがです。これを地方に、固まらない、疑義のある協定で、三十億しか予算のないところに三十二億という負担金をかけられている。これは御検討をしていただかなければならない問題でしょう。いかがですか。ひとつ御所見を承りたい。
  118. 伊東隆治

    政府委員伊東隆治君) これはなお自治省におきましても、とくとひとつ実情を調べまして、検討いたします。
  119. 加瀬完

    ○加瀬完君 運輸省に伺いますが、この総武線、常盤線の複々線化という工事の計画者は国鉄でございますね。
  120. 増川遼三

    政府委員(増川遼三君) そのとおりです。
  121. 加瀬完

    ○加瀬完君 そうすると、原因者は国鉄と考えてよろしいではないですか、工事責任者が国鉄ですから。
  122. 増川遼三

    政府委員(増川遼三君) 当然、鉄道の複々線化ということをやらなければならないという点につきましては、鉄道側の原因から起こっておることでございますけれども、それと同時に、この鉄道の複々緑化と並行いたしまして、これと交差いたします道路というものの需要も相当大幅に増大いたしておるわけでございまして、鉄道も複々線にいたしまして、非常に列車ダイヤも込んでまいります。同時に、これと交差いたします道路における、特に自動車交通の需要というものが非常に大きいわけでございますので、こういう道路と平面交差をしていなければ、鉄道といたしましても、こういった立体交差化ということは必要ないわけでございますが、そういうこともございまして、両々相まって、この複々線化に伴っての高架化ということが起こってきたわけでございます。
  123. 加瀬完

    ○加瀬完君 わかりました。だからといって、建国協定を適用しなければならないという理由にはなりませんね。確かに、高架線にすると、そうすれば交通量の場合にも道路側が利益するだろう。お説のとおりだ。だからといって、直ちに建国協定を適用しなければならないということにはならないでしょう。これはどうですか。
  124. 増川遼三

    政府委員(増川遼三君) 道路法等の規定によりましても、原因者負担ということになっておりますので、こういった観点は、当然前提として検討いたしますが、先ほど吉兼次長からも御説明ございましたように、これらの費用の負担区分を算定いたします際に、非常にいろいろと原因自体もふくそうしておりますし、算定がむずかしいというために、こういった原則的な建国協定というものが結ばれているわけでございまして、この協定によって試算をいたしますにつきましても、やはり個々の場合場合でそれぞれの事情を詳細に調べました上で、この点はどういうふうに、それぞれ原因者が直接に全額負担する、それから残りの分につきましては、既設部分というものについてはそれぞれ半々に負担するとか、いろいろの原則がございます。これをやはり適用して算出しているわけでございます。
  125. 加瀬完

    ○加瀬完君 あの総武線なり常磐線なりのラッシュの状態というのは、一平方メートル十五人に近い。これはもう非常に、かつての日暮里の惨事の起こる一歩手前だというようなことは、国鉄側からも言われるわけです。したがいまして、これは社会的にも必要があるのです、複々線化することは。それはおくとして、複々線化になりましたときに、これは損をしますか、もうかりますか、将来の見通しで。建設費がどうこうじゃないですよ。せっかく複々線にしたけれども、乗客がひとつもなかったというようなことになって、非常に赤字になるか、それとも経常経営の間では黒字になるのか。もうかるのか、損するのか、どっちなんです。
  126. 増川遼三

    政府委員(増川遼三君) 運輸収入といたしましては、ある程度向上いたします。
  127. 加瀬完

    ○加瀬完君 そうすると、同じ建国協定の中でも、特に鉄道に利益のある場合もしくは公共団体の負担能力が十分でないときは別途協議するという一条がありますね。なぜこれを使わないのか。建国協定なんていうものを持ってきて頭からかぶせて、三分の二地元負担、幾らかまけても二分の一だ。こういうばかげたことをやらないで、国鉄はもうかることは先ほどおっしゃったとおり。しかも、地方団体負担能力がないということは、自治省が御指摘のとおりです。第三者の判断もいただいたわけです。そうであるならば、利益のある場合もしくは公共団体の負担能力が十分でないときは別途協議するという方策があるのに、なぜこれを使わないのか。
  128. 増川遼三

    政府委員(増川遼三君) 先ほど運輸収入上は向上すると申しましたけれども、経営の収支の面から見ますれば相当の赤字になるということでございまして、国鉄といたしましては、受益の限度ということで、それ以上の負担は非常につらいわけでございます。地方自治体のほうで負担が過大であるとおっしゃいますと同様に、国鉄自体負担が過大であるということを申しているわけでございまして、これらにつきましては、別途国からの何らかの助成というものがあってしかるべきじゃないか、こういうふうにわれわれ考えております。
  129. 加瀬完

    ○加瀬完君 それは賛成だ、あとのほうだけは。しかし、一平方メートルに十五人も乗って、損するということはあり得ない。背が高くなってしまうんだ、総武線に乗ると、胸囲が狭まって。それほど詰められて、損をしているというなら、どこでもうかっているんだ、国鉄は。もうかっているところはないじゃないか、そんなことを言うならば。  それはとにかくとして、公共団体の負担能力が十分でないときは別途協議するということなんだから、少なくとも別途協議という方法がとられななればならないわけですよ。そういうことでしょう。しかも、国鉄がこういう負担というものを地方団体にさせるためには、地方財政法の二十二条によって、自治大臣に協議をしなければならないことになりますが、自治省、この協議を受けておりますか。
  130. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) まだ協議を受けておりません。
  131. 加瀬完

    ○加瀬完君 地方財政再建促進特別措置法二十四条の二項は、国等に対する地方団体の寄付等を禁止した規定でございますが、「寄附金、法律又は政令の規定に基かない負担金その他これらに類するもの」と書かれておりますね。いまの問題は、「これらに類するもの」の中には入りませんか。
  132. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 実はこの問題につきましては、先般、地元の関係団体から、こういう負担になるのだということで、いま御指摘のような相談を受けまして、まだ法律上の問題までいかずに、事実問題として実は相談を受けました。そこで私どもも、これはなかなか地元の負担としてはたいへんじゃないか、なおよく関係の国鉄等と協議をもっと詰めていくべきではなかろうかと、こういうことで、そっちのほうが現在進行中というふうに私どもは聞いております。
  133. 加瀬完

    ○加瀬完君 おかしいですね。法律に違反するような負担行為に対して、協議をしろとは、どういうことですか。いま言ったように、再建法の二十四条の二項には、「寄附金、」あるいは「負担金その他これらに類するもの」という内容がある。そうすると、この「これらに類するもの」には、少なくとも寄付金といわなくたって入るわけでしょう。政令でもなければ法律でもない。何ら法律的な拘束力がないにかかわらず、地方負担をされているものに、どこに協議をする必要があるのですか。納めなくていいということにはなりませんか。先ほど運輸省の方も、法律的には地方団体を建国協定は拘束いたしませんとお答えにはっきりなったわけです。法律的に拘束しないものをね、なぜ一体協議をして寄付しなければならない、負担しなければならない理由がありますか。そこがおかしいのだ。私は、自治省としてもっとはっきりしてもらわなければ困る。
  134. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) いろいろいきさつがあったようでございます。建国協定は、確かにおっしゃるように、国道と国鉄あるいは地方鉄道との間の協定、こういうことでございますが、一般的に、他の地方道の場合におきましては、その費用負担につきましての実はめどというものがないわけでございます。全くきまっていないという分野でございまして、したがいまして、そういった場合にどういう負担の分け方をするかと、しない場合もありましょうし、それはまあいろいろ先ほど来出ておりました原因者等の負担すべき場合もあるわけでございます。負担をしない場合もありましょうし、負担をする場合でも、どういう場合にするかということについて話し合いをいたしますときには、現実問題として、建国協定というものから話のスタートがいつも始まるというのが現実の姿でございまして、そういう意味合いにおきまして、さっきお話しのありましたような数字のものをまず実は私どもも伺ったわけでございます。それはどうもたいへんじゃないのかというので、もう少し、具体的な問題でもあるしするから、話を詰めていかなければいかぬじゃないか、こういう意味で申し上げておるのでございます。
  135. 加瀬完

    ○加瀬完君 その点はそういうことであればよくわかりますが、建国協定は地方団体法律的には拘束いたしません。これははっきりしました。しかも、建国協定にかりに一歩譲って準拠するとしても、第四条の、地方三分の二、国鉄三分の一という負担割合でなければならないという理由はどこにもない。国鉄が利益のある場合、地方負担能力のない場合は、別途協議をするという条項もあるのだから、一歩譲っても、これは別途協議をするということにならなければならないし、三分の二を、一つの市が三十億の予算で三十二億を負担するなんという、こういうべらぼうな負担を、これは受けられる筋合いのものではない。こういう基本線は自治省としてもお認めいただいて、さてそれならば、全然負担しないということではないとするならば、地方財政規模あるいは財政能力に応じて、どのくらいが限度かということで話し合いを進めろということでございましょうね。
  136. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 大体そういう趣旨関係者の話をもっと進めるようにと、こういうことでございます。
  137. 加瀬完

    ○加瀬完君 関係者の話を進めるという前提に、自治省としておやりになることはございませんか。二十二条はね、各大臣は、その所掌事務のうち地方団体負担を伴う部分の見積もり書について、自治大臣の意見を求めなければならない、こういう規定がありますね。見積もり書出ていますか。
  138. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) そういうことで、先ほど申し上げましたように、まだそういう段階に至っていないわけでございまして、その前に、できるだけもっと地方の側から見て、負担が無理でないようなことを考えなければいけない、こういうので、話を進めておるわけでございます。私どもも十分その成り行きに対して注意をして検討してまいりたい、こう思っておるわけです。
  139. 加瀬完

    ○加瀬完君 幾らですね、再建法の規定で寄付金等を禁止しても、しかも二十二条によって、負担をかけなければならないときは自治大臣と協議をしろといっても、これが守られないで、すでにずんずんずんずん寄付行為の強要は進められている。それじゃあ、いつまでにこの問題をはっきりさせてくれるのか。
  140. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 現地は非常に、まあ現実の問題として非常に急いでおるようでございます。何といっても非常に、通勤その他もたいへんのようでございます。したがいまして、私どもも、いつまでにということはあれでございますが、ともかく早くこの問題の解決をはかりたい、まあこういうふうに思います。
  141. 加瀬完

    ○加瀬完君 それ自治省としてですね、大体予算規模と匹敵するような寄付金を、なんら法律的な根拠も伴わない条件の中で、負担義務に応ずる必要はないということは、確認してよろしいのでございますね。
  142. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) まあこの問題はケース・バイ・ケースの問題でございますから、一律的に断定を下すことはできませんが、従来もそのような予算規模と同額の寄付であるとかいったようなものについて、協議を受けたこともございませんし、また、あってもそれは適当でないと考えます。
  143. 加瀬完

    ○加瀬完君 あのね、自治省でもう少し法律的な根拠というものを究明をしていただきたいのですがね。運輸省すらですよ——すらと言うと悪いけれども、金をもらわなければやっていけません運輸省ですら、建国協定は法律的に地方団体を何ら拘束するものではありませんということをはっきりおっしゃっておられますね。その法律的拘束力のないものを、頭から寄付金かぶせてきたのだから、そういう寄付金は受けられません。お互いに利益のあることですから、協議をしてきめるということは別ですよ。頭から建国協定の第四条で、おまえのほうは幾ら幾らという、そういう押しつけ方には応じられるはずのものではないということは、これは確認してよろしいと思いますがね、いかがですか。
  144. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) それは、建国協定は国道に関するものでございますから、地方道に関してはそれが当然適用ということではございません。
  145. 加瀬完

    ○加瀬完君 それから、財政的に、いままで私があげたような多額の負担金地方団体はまかなえられる状態ではないということも、お認めいただけますか。
  146. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 先ほど来ありましたように、その都市の予算規模相当額のような寄付をするというふうなことは、私ども常識的にも避けるべきことであると、こう思っております。
  147. 加瀬完

    ○加瀬完君 財政法の二十二条によって何も協議がないわけでございますから、むしろ自治省のほうからですね、二十二条もあるわけですから、むしろ自治省のほうから、こういう問題が地方から出ておるけれども、どういう内容だと、十分自治省と協議の上でなければ困るという点も、運輸省なり国鉄なりに連絡をして、協議をしていただくことはできませんか。
  148. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) こういう事態については、私どもも地元から前から話を聞いておりますし、関係省のほうも、十分その事態承知しております。
  149. 加瀬完

    ○加瀬完君 最後に一点、この国会中に国鉄と協議の上、この問題の結論をこの委員会に御報告いただけますか、政務次官に伺います。
  150. 伊東隆治

    政府委員伊東隆治君) この委員会に報告できるようにひとつ努力をいたします。
  151. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 両案に対する午前中の審査はこの程度にいたします。  午後は二時再開の予定でございます。  休憩いたします。    午後零時三十分休憩      —————・—————    午後二時二十五分開会
  152. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。  地方交付税法の一部を改正する法律案昭和四十二年度における地方財政特別措置に関する法律案一括議題といたします。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  153. 原田立

    原田立君 午前中、中断いたしましたので、続けてお聞きしたいと思うんですが、差等補助金の問題でありますが、先ほど少しく、下水道だけのお話がありましたが、そのほか全体的な問題として、どのくらい富裕団体ということでとめられているのか、この点はいかがですか。  それから、こういう富裕団体についての交付税は流れていないわけですが、今後どういうふうな扱いをなさるのか、その点いかがですか。
  154. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 差等補助率によります差等額を、四十一年度予算で見てまいりますと、府県分につきましては百七十四億、市町村分で十八億ほどございます。そのうち下水道につきましては、先ほど申し上げましたので是正をされたわけでございます。あと残っておりますものでは、大きいものは高潮対策事業、これが東京、大阪、兵庫県にまたがってございますが、これが三割の補助になっております。他にも千葉県等でございますが、それには四割ということになっておりますので、そこで一割ほどの差がございます。それからそのほかでは工業用水道の補助金がございます。これが四大工業地帯の基盤整備分、それから東京、大阪の地盤沈下に対応する分、これがそれぞれやはり一割ぐらいずつ差がございます。具体的には基盤整備は、一般であれば二割五分のが二割、あるいは地盤沈下は三割五分のが二割五分、こういったようなことでございます。そういったようなものが大きなものとして残っておりますが、先ほど申し上げました百七十四億の中で額として実は一番大きなものは、これは差等補助率と呼ぶことが適当かどうかあれでございますが、義務教育の国庫負担金の抑制額、これが一番大きな額になっております。
  155. 原田立

    原田立君 今後もこういうような差等補助金等は廃止しろというふうなことが衆議院の思量で附帯決議がついておりますけれども、それを漸次改善をなさっていく考えはおありなんだろうと思いますが、その点はいかがですか。今後の見通しについて。
  156. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) いま申し上げましたように、本年度も下水について直しましたし、それから義務教育の国庫負担金につきましても計算のベースを直すようにいたしまして、ことしその分でも二十三億ほど実は是正をいたしております。なお、残っております分につきましても、私どもは差等をなくすようにという方向で関係省にも折衝してまいりたい、こう思っております。
  157. 原田立

    原田立君 別な話題になるのですが、道路についての道路整備の五カ年計画、これは七兆三千億当初考えられていたのが六兆六千億になったという問題と、それから第四次の道路計画が三十九年から四十三年にかけて行なわれるようになっておったのが、今回の改正になったわけですが、こういうように長期の計画というものがしばしば改定されているわけですが、新しい整備計画等の地方負担額、または財政措置等の態容、それらはいかがなものでしょうか。下水道、上水道、住宅、治山治水、道路と、いろいろ長期計画が行なわれているわけですが、おしまいごろになるというと新規改定になってくる。そのたびにいろいろと取り扱いが変わってくるわけでありますが、そういう長期計画の改定の動き等なんかはいかがですか。
  158. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) たとえば道路の五カ年計画では、まだ第五次のはこの間お話ししましたように、中身は具体的には決定しておりませんが、従来道路の五カ年計画は、総体の計画をきめ、個々の年次割りは、その年度ごとに実はきめるという行き方であったわけでございます。したがいまして、この四十二年度地方財政計画におきましても、四十二年度分のその五カ年計画の相当分、その分を財政計画に織り込むようにいたしております。
  159. 原田立

    原田立君 道路のほうはいろいろと説明聞きましたので、ある程度わかっているのですが、そのほかのこと、下水道、上水道、住宅等々ですね。もしわかりましたら資料にして出してもらいたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  160. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 公共事業費単独事業費のそれぞれの需要額を資料にして提出をいたします。
  161. 原田立

    原田立君 いろいろ長期計画ができると、地方負担というのがいろいろ組まれるわけですが、それらが基準財政需要額の中に組み入れられて計算されていると聞いておりますが、この下水道のことでありますが、地元負担額、これは基準財政需要額にどのくらい見込まれているのか、そういうふうなことと関連してお聞きしたいと思います。
  162. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 下水道の関係では、四十二年度は補助、単独、合わせまして九百八十五億が総事業費でございまして、それに対しまして補助事業については国庫補助がございます。二百三十三億でございます。したがいまして、その残りが地方負担あるいは受益者負担ということになるわけでございます。で残りにつきましては約七百五十億ほどあるわけでございますが、全体といたしまして、地方債で五百二十八億、それに交付税の需要で二百三億、こういう見込みをいたしております。
  163. 原田立

    原田立君 こういうふうなことで、それと同じような形式で、先ほど資料を要求しましたけれども道路にもあるだろうと思いますが、そういう道路計画実績、それをあわせて資料にしてもらいたいと思いますが、よろしいですか。
  164. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 道路事業費財政計画と決算のものは、けさ単独事業分について、過日の御要求によって拠出をさしていただいておりますが……。
  165. 原田立

    原田立君 基準財政需要領にどのくらい入っておるか、その部分の……。  しばしば当委員会で問題になっておる道路財源の二十五億の問題ですけれども、当初自治省が一キロ千円、百三十三億の税源移譲を要求していたのが二十五億になった。さきの委員会で大臣は、つかみ金である、百を出した程度の問題だというふうな御説明であったのですが、それ以外に何か根拠がおありなのかどうか。
  166. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) ちょっとその前に、先ほど下水道の基準財政需要額算入分たしか二百三億と申し上げたと思いますが、二百三十六億の誤りでございます、訂正さしていただきます。  道路の二十五億につきましては、経過的には、最初ガソリン税の一キロリットル千円の移譲ということで百三十四億ということで折衝が始まったわけでございます。その後いろいろ経緯がございまして、内部におきまして、ガソリン税の移譲がなかなか困難であるというようなことから、額についてそのとおりの額が得られないというので、運転免許税というようなものを考えてみてはどうかといったような議論もあったりいたしまして、結果において二十五億という数字に、大臣折衝できまったわけでございます。
  167. 原田立

    原田立君 いまのところ、新道路整備五カ年計画の中身がはっきりしないからつかみにくいんだというようなことらしいのだけれども、それじゃ、はっきりしたら明年度以降の市町村道路に対しては税源移譲、財源移譲等、どんなふうになさるお考えですか。
  168. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 五カ年計画全体の具体的な内容は、なお今後決定を見る予定でございますが、四十二年度分の道路につきましては、地方負担額、いわゆる公共事業分の地方負担額が千七百三億、それから地方単独分が千八百十億、合わせて三千五百十四億、これだけの地方日掛が必要である。こういうように計算されるわけでございます。それにさらに後進地域の補助率差額というような問題もございまして、それが九十三億ほど見込まれますので、それを勘案いたしますと三千四百二十億、こういう地方負担ということになるわけでございます。  それに対しまして、目的財源といたしまして、地方道路譲与税、軽油引取税、あるいは石油ガス消費税、都市計画税の一部といったようなことがございますので、それらが千六百二十二億、差し引き千七百九十八億というものが一般のその他の地方財源を要する。これにつきましては、交付税と一部起伏によって措置をするように財政計画上は計算をいたしております。したがいまして、二十五低との関係は、二十五億相当分が道路の延長で市町村配分されると同時に、本年度に限って、財政需要として道路分の需要を二十五億だけ上乗せをすることにいたしております。したがって、二十五億は一般財源ではございまするけれども道路財政需要に充てられることを期待して二十五億の計算をいたしておるわけでございます。で、それを合わせまして、今年度の四十二年度に限ります道路地方負担は、財政計画上の措置は一応できておる、こういうように考えております。  なお明年度以降につきましては、五カ年計画全体の中で、たとえばどういう公共事業が取り上げられていくか、御承知のように、道路公共事業でも国庫負担率が四分の三のものもありますれば、三分の二のものもある。市町村に対しては二分の一であるといったものもございますので、その事業の分別が明らかになりませんと、全体として地方負担額が出てまいりません。したがいまして、その作業ができますれば、それと地方単独事業を合わせた地方負担額というものに対して、財源をどういうようにしていくか、特にその際、道路目的財源をどのようにその中に見合うものとして考えていくか、こういう問題になろうかと思います。したがいまして、今度の新しい五カ年計画決定される際には、どうしてもそういった意味で、地方道路財源の問題もあわせて検討し、決定をしなければならない、こういうように考えております。
  169. 原田立

    原田立君 ちょっとつまらぬ質問かもしれませんけれども、二十五億を現在の道路延長で案分した場合、一メートル当たりの第二種交付金の案分額はどれくらいになりますか、四円くらいだと思いますが、いかがでしょう。
  170. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 大体そんなところであります。
  171. 原田立

    原田立君 それで非常に少ないという意見なんですよ、正直言って。頭金が出たとか、つかみ金をつかんだとかいうような説明があったけれども、それは頭出したのだからいいだろうと言えば、悪いとは言わないけれども、少な過ぎるのですよ。たった一メートル四円の補助なんて、そういうことを問題にするわけなんですよ。  それで、そこまで言ったからまたお聞きするのですけれども、今度の単位費用の計算のところでは、一メートルにつき二十九円、こういうようになっているのですが、二十五億を道路延長で割った場合に、案分したときに、一メートルごと四円、四円と二十九円と差があるわけですね。第二種交付金を道路延長に案分した額と、基準財政需要額の単位費用に算定する額との相違はどうなんですか。
  172. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 二十五億は、私どももちろん十分とは思っておりませんし、今後の努力に待つべきものが多いと思っております。単位費用の道路の延長、ここでは主として御承知のようにいわゆる投資的経費を算定いたしておるわけでありますが、それを一メートルについて二十九円ということにいたしております。これは本年度限り特別に二十五億の見合いであげておるものでございまして、もとの臨時措置をとります前は二十六円二十銭、こういうことで単位費用を、たしかこれは法律の中に入っていると思いますが、算定をいたしておるわけでございます。したがいまして、二十六円二十銭と二十九円との差の二円八十銭という単位費用当たりの需要、それの総需要、市町村全体を通じての総需要が二十五億という財源に見合うもの、こういうふうに計算をいたしておるわけでございます。
  173. 原田立

    原田立君 計算じゃなしに、差が出てくるのはどうなさるのかというのです。それをどうするのですか。
  174. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 御承知のように交付税の需要を算定いたしますときに、標準団体についての単位費用を、いま申し上げたように延長については一メートル当たり二十九円、こういうことでとっておりますが、個々の団体につきましては、それにいろいろの市町村の態容の相違によります補正をいたすわけであります。したがいまして、標準団体の単位費用としては二十九円でございますが、市町村全体の需要といたしましては、この二十五億に見合うもの、こういうことで計算をいたしておるわけでございます。
  175. 原田立

    原田立君 昭和四十二年度の財特の件で、これはしばしば議論しているのですけれども、要するに昭和四十二年度限りの臨時的措置となっておりますけれども、政府はいつも口を開けば、恒久的対策地方財源拡充、そういうことを言っておきながら、毎回と言ったのでは語弊があるかもしれないけれども、いつも臨時的措置ばかり、これでは今後の地方財政計画にもはなはだ支障を来たすと思うのですよ。それで、恒久的対策の確立についてどういうふうに考えるのですか、基本的に。
  176. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 基本的には、午前中申し上げましたように、やはり自主財源を増血していくということであろうと思います。いまの道路の問題にいたしましても、将来は道路財源の国、地方配分是正、こういうことで、問題を恒久的なものとして安定させるようにつとめたい、こう思っております。
  177. 原田立

    原田立君 地方交付税法改正案の附則で、公営企業金融公庫法の一部改正ということで、草地改良事業を含めることになっておりますけれども、それはどういうふうなわけですか。
  178. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 従来から公営企業金融公庫では農林漁業金融公庫からの資金をもって造林事業についての融資をいたしております。で、それが今回草地改良事業についてもその道をとる、こういうことになりましたので、金融公庫法の中で、その根拠規定となります部分に、草地改良事業をつけ加えるということにいたしたものでございます。
  179. 原田立

    原田立君 最近の公営企業金融公庫の貸し付け状況及び運営状況、わかりますか。
  180. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 昭和四十二年度におきます公営企業金融公庫の事業計画といたしましては、御承知のように電気、水道、工業用水道、交通、港湾整備、と畜、公共下水道、地域開発、それに公営企業債券債等を加えまして、七百三十億という事業計画を持っております。その資金の内訳といたしましては、出資金によりますもの三億、それから公営企業債券あるいは回収金——過去の貸し付けの回収金等が七百二十七億、こういうふうに見込んでおるわけでございます。なお前年度の四十一年度の事業計画では、その七百三十億に対応するところが六百二十五億でございました。したがいまして、本年度はそれに対して百五億の貸し付け額の増大、こういうことでございます。
  181. 原田立

    原田立君 話は別になりますけれども地方財政計画の問題として、計画と決算の開きが年々拡大しておりますが、これは衆議院の地行でも指摘されている点ですが、昭和四十一年も、まだわからぬですかね、三十九年あるいは四十年、年々開きが大きくなるんじゃないかと、こう思うんですが、これは是正したほうがいいと思うんですがね、どうお考えですか。
  182. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 昭和四十年度で見てまいりますと、財政計画と決算の面では、歳入で七千七百八十四億、歳出で六千六百五十五億の開きがございます。歳出の面から見てまいりますと、その開きの大きなものは、給与関係費で約二千億、それからそのほか一般行政経費で三千二百億、投資的経費で千六百億、こういったようなものが大きな額になっております。特にこの中で一般行政経費の三千二百億の中では、その大部分と申しますか、過半が、半分以上はいわゆる地方団体が貸し付けをいたしまして、年度内にその償還を受けるというものでございまして、したがいまして、その分の見合いの財源は、先ほども申し上げました歳入の雑収入のところで見合いの財源があがってくる、いわば歳入歳出通り抜けの貸し付け金、こういうことでございます。  そこで、財政計画とこういった歳出といいますか、決算の実態を、私どももなるべく合わせることがいいと、こういうふうに思っております。ただ問題は、財政計画は、御承知のように、どちらかといえば、各団体に共通した標準的な規模のものをあらわしていこう、そういう意味合いにおいて、たとえば給与費等につきましては、その単価を国家公務員のベースで計算をする、こういうたてまえをとっております。したがいまして、そういうものの差はなかなか縮めにくいと考えます。それからまた、先ほど申し上げましたような歳入歳出の通り抜けと申しますか、見返り歳入を含んでの貸し付け金といったようなものも、ある程度までは地方団体に共通なものがございますので、これは取り入れてまいりたいと思いまして、今回も多少そういった見合いを百億ほど是正をいたしました。しかし、中には個々の団体の独自の方向としてやっているものもございます。そういう点は、やはり財政計画になじまない点ではなかろうかと思います。そういうことから、なるべく規模は一致させるほうが、いろいろな意味でいいとは思いますけれども、両方のそれぞれのたてまえからくる相違はやっぱり詰まり切れないものが残るのではなかろうか、こういうふうに思っております。
  183. 原田立

    原田立君 詰まり切れないようなものが残るというお話ですが、これがへたをしていくと、赤字の増大というような問題にまで発展していくのじゃないかと心配するわけなんですが、その点どうですか。
  184. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) いま歳出の面を申し上げましたが、歳入の面でも、年度当初に立てました財政計画のたとえば収入見込み税収見込みが、年度途中でかりに自然増があったり減があったりする、そういったものがやはり決算に出てまいります。また、税収でも超過課税をしておる団体がなおある、そういったものは財政計画にやはり取り入れるべきものではなかろうか、こういうふうに思うわけでございますから、要は財政計画と決算の数字とを一致させることによってのみ赤字問題が防げるのではなくて、やはり赤字問題はそれぞれの団体の財政運営というところに帰する面が非常に大きい。また、全体としての国の財源措置のいかんというのに影響されるものというふうに考えております。
  185. 原田立

    原田立君 超過負担の問題ですが、先ほど説明で、ことしは二百六十六億解消した、こういうふうにお聞きいたしましたが、今後の超過負担解消計画はおありでしょうか。
  186. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 超過負担については、昨年三百三十一億、ことし二百六十六億という解消をいたしたわけでございます。なお残っていると思います。そこで今回は、いままでの経験にかんがみまして、予算要求あるいは編成の前に、個々の補助金について関係当局のほうで十分協議を遂げて、そして適正な単価なり適正な補助対象範囲というものをあらかじめきめて予算の編成に臨んでもらうということが必要ではなかろうか、こういうふうに考えまして、先般の予算編成の際に大蔵当局とも相談をいたしまして、四十二年度、近くそのための協議を始めたい、それによって超過負担解消を実効あらしめるようにしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  187. 原田立

    原田立君 いまのお話お聞きしておりますと、今後のことについては努力待ちというふうに受け取れるわけですが、幸いにして去年は三百億幾らですか、ことしは二百六十六億で、あったからいいようなものの、来年のことについてはそれは努力待ちだ、もしなかったら困る話なんです。ただ努力待ちということだけでなしに、ただこれからの見当ということだけではなしに、何らかのお考えはないのですか。
  188. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) いま申し上げましたように、いままでは補助金がそれぞれ関係各省要求をして、そうして国庫当局が査定をしていくという行き方でございましたので、私ども関係各省にもっぱら要請し、大蔵省にも連絡をして、解消につとめるようにいたしておったわけであります。どうもそれでは予算のどさくさで、的確なことが行なわれないという経験も得てまいりましたので、事前に、補助金につきまして、どの程度のものが適当なものであるのか、これを定めることによって、予算編成の際のどさくさまぎれによる逸脱を防ぎたい、こういう考えでございます。したがいまして、もちろん、努力しなきゃならないことでございますが、その方法につきまして、いままでよりは違った、いわばより具体的な、前進的な方法をとろうと、こういうふうにいたそうとしているものでございます。
  189. 鈴木壽

    鈴木壽君 いま超過負担解消の額についてですね、四十二年度は二百六十六億ですか、こういうお話がございましたが、四十一年度ではまあ計数上三百三十一億だと言いますが、しかし、実質的には二百五十億ということになるんだという自治省側の、皆さんの側のそういう説明でございましたが、四十二年度における二百六十数億というものはですね、昨年のように実質の解消額というようなことに引き直してみるとどのくらいになるんですか。
  190. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 二百六十六億は、去年で言えば三百三十一億に対応する数字でございます。で、御承知のように、その年度の補助事業の中でどれぐらい超過負担解消になっているかというものを見たものは二百六十六億、こういうことでございます。
  191. 鈴木壽

    鈴木壽君 いや、ですからね、昨年度では三百三十一億解消になったと、大蔵省なり一般にはそう言われております。しかし、実質は二百五十億しかできないんだと、こういうことをあなた方しばしば言われておるんですね。ですからね、そういう形でいわゆる実質解消額というものが、額面の三百三十一億より相当減っておりますから、そういうふうな言い方をするとするならば、ことしの二百六十六億円は、あるいは二百億になるか、二百十億になるかというふうに思わざるを得ないわけですね。ですから、その場合の二百六十六億、しかし実質には昨年のようにこれくらいだぞと、こういう一つの皆さんのほうでの見当をつけた額があるんじゃないかと思ってお聞きしたわけなんです。
  192. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) ことしの分の、去年の二百五十億に対応する数字は、計算はいたしておりません。しかし、大まかに言って二百億ぐらいと思っております。
  193. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 速記とめてください。   〔速記中止〕
  194. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 速記を起こしてください。  両案に対する質疑は後刻に譲ります。     ————————————— 委員長仲原善一君) 住民基本台帳法案を議題といたします。  前回すでに質疑は終了しておりますので、これより討論を行ないます。  御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もないようでありますので、討論は終局したものと認めて、これより採決を行ないます。  住民基本台帳法案全部を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  195. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、林田悠紀夫君から、各派共同提出による附帯決議案が提出されました。よって本決議案を議題といたします。  林田君の説明を願います。
  196. 林田悠紀夫

    林田悠紀夫君 私は、この際、各派共同により、ただいま可決すべきものと決定いたしました本法律案に対し、附帯決議案を提出いたしたいと存じます。  ただいまから案文を朗読いたします。    住民基本台帳法案に対する附帯決議案   政府は、本法の実施について、特に次の諸点  に留意すべきである。  一、住民基本台帳の備付けに要する経費につい   ては、十分な財源措置を講ずること。  二、住民基本台帳に関する事務の管理態勢が十   分整備されるよう指導すること。  三、地方自治の本旨を尊重し、かつ、住民基本   台帳制度の本来の趣旨にのっとり、この制度   の適正な運用を期すること。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ各位の御賛同をお願い申し上げます。
  197. 仲原善一

    委員長仲原善一君) ただいまの林田君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  198. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 全会一致でございます。よって、本附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定をいたしました。  ただいまの決議に対し、藤枝自治大臣から発言を求められております。これを許します。藤枝自治大臣。
  199. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) ただいま御決議になりました附帯決議につきましては、十分その趣旨尊重いたしまして、基本台帳制度の適正な実施につとめてまいりたいと存じます。
  200. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 審査報告書の作成につきましては、先例によりまして、委員長に御一任を願いたいと存じます。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  201. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 速記を起こしてください。     —————————————
  202. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 地方交付税法の一部を改正する法律案昭和四十二年度における地方財政特別措置に関する法律案一括議題として、質疑を行ないます。
  203. 原田立

    原田立君 四十二年度地方債計画で、地方制度調査会答申には、積極的に発行するよう方向が示されておりますが、地財法の第五条には、歳出地方債以外の歳入をもって充てることと、こういうふうになっている。そうすると、基本的に何か矛盾するようなものが感じられるわけですが、この規定との関係性をどういうふうにお考えになるか。あるいはまた、第五条の規定の改正をすべきときがきたというような意見等もありますけれども、いかがですか。
  204. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 地方制度調査会答申では、御承知のように、単独事業公営企業等についての起債をなるべく伸ばすようにと、こういう趣旨の御答申でありました。それにつきましては、一般会計債では単独事業あるいは辺地対策事業、公共用地先行取得事業等につきまして増額をはかっておりますし、また準公営、公営につきましても、下水道、上水道、地下鉄といったようなものについて、それぞれ増額をはかってまいっておるわけでございます。したがいまして、その意味では、やはり答申の御趣旨尊重しておるものと考えております。  いま御指摘のございました地方財政法第五条の地方債制限の規定につきましては、実は調査会におきましても、もうそれができた時期から見て時代も変わってきているから、考え方を改めるべきではなかろうかというような御意見も出ておりました。しかし、事柄は相当重大な問題でもございますので、なお引き続いてその問題につきましても、私どもも検討してまいりたい、かように考えております。
  205. 原田立

    原田立君 その地方債は年々ふえていく傾向にありますが、地方債の減債制度考えているというふうに聞いておりますが、その点はいかがですか。
  206. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 減債制度として、特に新しいものをいま具体的に考えているわけではございません。しかしながら、御承知のように、地方団体といたしましては、地方財政法の規定もありますが、剰余金が出れば一定割合を積み立てる、こういったようなことも、財政運営の面でするようにいたしておりますし、また、相当数の団体がそういった立場でその問題を処理をいたしておるわけでございます。そういった面から、やはり地方債の将来への負担の過重に対する措置も生まれてくるのではなかろうかと、こう考えております。  ただ、一般的には、現在の程度地方債発行でございますと、一般会計分につきましては、なお公債費の割合は、平均的に見ますと五、六%というところでございます。したがいまして、この程度発行額でありますれば、私はそう大きな心配は要らないのじゃなかろうか。ただ、個別の団体といたしましては、いろいろな事情から、公債費の割合が二〇%あるいは三〇%になっているような団体もまれにはございます。そういう団体につきましては、十分財政上の指導をするなり、あるいは新しい起債の発行を抑制するなり、そういった指導をいたしております。
  207. 原田立

    原田立君 大臣もお忙しいようですから、ちょっとお伺いしたいのですが、まあ過密過疎対策、いろいろといわれておりますが、当面大きな問題として過密対策、都市化対策ということは、非常に重要な問題とされておりますし、過日、自民党の田中都市政策調査会長ですか、いろいろな案を、私のほうにもまいっておりましたけれども、それら等を含めて、今後の都市化対策、あるいは過密対策に対する政府の基本的政策、そういうものは御構想としてもうおありだろうと思いますけれども、いかがでしょうか。
  208. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 基本的には、もうこれ以上の大都市への人口、産業の流入は抑制すべき時期にきておると考えます。そして、むしろ地方の拠点都市に育成につとめていかなければならないという大勢である、基本的にはそう考えます。しかし、現実になお都市への人口、産業の集中が起こっておるわけでございますから、その必要の限度におきましては、都市の再開発ということもあわせて行なわなければならない。しかし、都市の再開発というものをその限度にとどめまして、そしてできるだけ地方の拠点都市の開発のほうに精力を向けていくということが根本的な考え方ではないかと考えております。
  209. 原田立

    原田立君 財源的にどういうふうな手当てをなさるのですか。
  210. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) まあ、現在過密過疎につきまして、交付税においてそれを考慮する、あるいは起債の面でそのようなことを考慮をいたしておるわけでございます。  ただ、非常に人口の流動の激しい今日を、動態的にうまく十分とらえておるかとおっしゃられると、必ずしもそうではないということが現状だと思います。したがいまして、今後とも、財源的にはそうした交付税の一種の傾斜的な配分のほかに、やはり大都市で役立つような税源を考えていかなければならない。所得税、住民税の問題をこの前も申し上げましたが、そういった点で考えていかなければならない。また、それをやる時期にきているのじゃないかというふうに考えております。
  211. 原田立

    原田立君 局長、ちょっと数字のことでお伺いしたいのですけれども、現在、富裕団体といわれているところの国税であがってくる税額、それから地方に還元される税、これらの比率はどうですか。あわせて金額と。
  212. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) ちょっといま手元に数字は持っておりません。
  213. 原田立

    原田立君 概略わかりませんか。
  214. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 概略と申しても、ちょっと数字でございますので申し上げかねますが、東京とか大阪には、御承知のようにいまの税務署単位ごとの収入額の推計ということになりますと、相当大きな国税収入が入る。そうしてその東京、大阪に還元されます交付税譲与税補助金というのは、割合としては非常に小さいということは申し上げられると思います。
  215. 原田立

    原田立君 いまも局長が言われるように、一応はなはだ少ない。これは新聞の社説でありますけれども、東京は国税の三〇%に当たる八千二百億も納税しているのに、還元されるのはわずかに七百二十億である。東京都への財源配分としては、少な過ぎるのではないかというふうに意見として出ているわけですが、いかがですか。
  216. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 東京とか大阪というようなところは、なるほど経済力が大きいのでございますから、国税のあがり方は非常に大きい。おそらく東京は人口は一割でも、税のほうは二割とか三割とかという収入になっているのじゃないかと私も考えます。したがって、それに比べて国からくるのが少ないといえば確かに少ないと思います。ただ、地方税として、たとえば営業税であるとか住民税であるとか、これも全国の中では東京というのは相当大きな割合を占めているということでございます。したがって、必ずしも財政調整的な意味で国が国税の中から出すのがいいのか、あるいはまたそういう税源を与えて、東京や大阪のようなところは、十分その税源でまかなえるようにするのがいいかというと、今後の方向としては、やはり地方税自主財源でまかなえるような形を大都市についてはとるほうがいいのではないかというふうに考えられるわけでございます。
  217. 原田立

    原田立君 結局そうなれば、やはり国税の税源移譲というふうなことが出てくるだろうと思うのですが、それを前回もお聞きしました。答申待ちというのではなしに、積極的に前向きな姿勢として、自治省としては、どういう青写真をつくっているのか、その点をお聞きしたけれども、やはりそのときは答申待ちというだけのお答えがあったのですが、いかがですか。
  218. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) せっかく御審議をいただいているのですから、その答申考えなければなりませんが、一方、来年度予算編成の問題もありますし、また、地方制度調査会なり税制調査会なりに、われわれがどのような考え方を持つかというようなことを申し上げるのも、御審議の促進になるだろうかと思いますので、そういう意味で、この前申し上げましたように、道路財源の一部の移譲であるとか、あるいは所得税と住民税との再配分の問題であるとかというものを進めてまいりたいと考えている次第でございます。
  219. 原田立

    原田立君 自治省は昨年末、過密過疎対策についての問題点の実態調査をなさったとお聞きしておりますが、調査結果がもしおわかりでしたらお教えいただきたい。
  220. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 私の所管でございませんが、ただいま取りまとめ中で、近くまとまると思います。
  221. 原田立

    原田立君 あとこまごました問題にちょっとなるのですが、地方交付税制度の中で、何々補正、何々補正というふうに、いわゆる便乗をして措置を出しているようなことがありますが、その結果、現実によくなるのかどうかですね。何かたいへんこの計算のしかたは、自治省の中でも二、三人しか知っている人がいないらしいけれども、はたしてそれが、いろいろな便乗が、地方にとってプラスになるのかどうなのか、その点どうですか。あわして、そんなことを、やかましいことを言わないで、ごく簡単にならないのかどうか、その点はどうですか。
  222. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) やっぱり結論的には年々よくなっているものと考えております。ただ算定のしかたについては議論のあるところでございまして、一方では、この交付税制度によって、国が意図する諸施策をどの団体にも財源的に保障していこうと、こういう考え方がございます。それでまいりますと、やはり各行政分野にわたって、法律なり予算なり、そういった諸制度を、できるだけ財源的に各団体に可能なように算定をしていかなければならぬ。これでまいりますと、どうしても勢いまあこまかくならざるを得なくなる。反面では、やはり計算事務の簡素化ということで、もっと簡単な方式でやったらどうだろう。まあこういう全く相反する二つの意見があるわけでございます。ただ、現状におきまして、いろいろ国の行政に関する諸制度もだんだんきめこまかくなってきておりますので、私はやはり一挙にこれを簡素化するということでは、なかなかまとまらないと申しますか、納得が得られないのではないだろうかというふうに考えるのでございます。しかしながら、それだからといって、精微になって、いわゆる木を見て森を見ずというようなことになってもいけないという点は、絶えず反省しながらやっておるのでございまして、今回の改正にあたりましても、補正係数の通用の種類はだいぶ減らしました。減らすと同時に、そうかといって、やはり反面では、合理的な算定をしなければなりませんので、計算の方式としては簡素化しながらも、そういう合理化のための指標は用いていく。  たとえば道路の投資補正におきまして、交通量の補正でありますとか、あるいは混雑度の補正でありますとか、こういったようなものが、建設省の道路の調査によって明らかになっておりますので、そういう要素を加味することによって、なるべく合理的な算定をするようにと、まあこういうふうにいたしておるつもりでございます。
  223. 原田立

    原田立君 今回未開発補正をば廃止したというようなことを聞いておるのですが、これはそれなりに効果はあったのじゃなかったかと、こう思うのですが、今回なぜやらぬのですか。
  224. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 特別態容補正のことかと存じますが、特別態容補正は、御承知のように、需要の算定にあたりまして、そこの経済力あるいは担税力といったようなもので税収をとらえながら、実は需要の算定をいたしておるわけでございます。交付税におきましては、一方で需要を算定すると同時に、収入で実は算定をいたしておりますので、多分にまあ政策的と申しますか、そういう意味でのやり方であったわけでございまして、前から検討を要するものと、こうされておったのでございます。今回はそれを廃止いたしまして、新たに投資態容補正というようなもので、先ほども申し上げましたように、たとえば道路については未改良部分の延長の全延長に占める割合、その高いものに需要が多く算定されるように、そういったようなやり方によってそれをカバーしてまいっておるのでございます。
  225. 原田立

    原田立君 それで、その投資態容補正ですけれども、それによって激変減額ですね、そういうふうなことはありませんか。
  226. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 数値につきましては、この法律が成立を見ますれば、各団体にそれぞれ計算の要領を示して、八月にまとめるわけでございますが、前年に比べて、この新しい投資態容補正を使うことによって減額になるということは、私どもあり得ないものと見込んでおります。
  227. 原田立

    原田立君 なけりゃあけっこうですけれども、あったらどうなさいます。というより、それはあった場合に、どういう配慮をするかということです。
  228. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 合理的な理由でそういったことがもしありますれば、私はやはりそこの個々の団体の財政状況を見て、たとえば特別交付税等によって措置をしなければならぬと思っておりますが、いま私どもの持っております見込みでは、そういうことはまずないと、こう申し上げられるわけであります。
  229. 仲原善一

    委員長仲原善一君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  230. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 速記を起こして。
  231. 鈴木壽

    鈴木壽君 これはできるだけ、あんまりこまかい具体的なことについて、ただ口でああだこうだということで暇とることも避けたいと思いますから、そういう意味においてひとつ。それから、いろいろたとえば補正のしかたなり、あるいは単位費用の立て方等、若干変わったところもございますから、そういうようなものをよく承知しておきたいと、こういうつもりで、資料としておつくりになって出していただきたいと思うのです。  道路橋りょう費、今度都道府県の項目の道路橋りょう費ですね、これ、従来の道路費、橋りょう費、いわば二本立てになっておったものが統一された形になるようでありますので、従来の計算方法の算定方法のこまいのと、まあ四十一年度のやつですが、それと、新しく統一された、一本になった道路橋りょう費との算定のそれを、ひとつ、めんどうでも二つこう並べて、紙は違ってもけっこうでございますけれども、そういうふうにしていただきたい。  それから今度新しく下水道費が出てまいりますが、これをひとつ、今度の新しい算定の仕組みを数字的にお願いをしたい。  それから、いま原田さんの質問に関連をしてほしいと思うのですが、投資態容補正、新たに設けられましたが、これの具体的なそのやり方というものが、もしプリントでもしていただければと思いますが、それ。こういうものをひとつとりあえずお願いをしたいと思います。それから——まあ、以上三つぐらいでいいと思いますけれども、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
  232. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) できるだけ御趣旨に沿うようにつくりたいと思いますが、ただ四十二年度と申しましても、新しい数字市町村におろしませんとわかりませんものですから、算式その他、例示等で、できるだけ御趣旨に沿うようなものをつくりたいと思います。
  233. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 両案に対する本日の審査はこの程度にいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十分散会