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1967-05-23 第55回国会 参議院 地方行政委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月二十三日(火曜日)    午前十時五十三分開会     —————————————    委員の異動  五月二十日     辞任         補欠選任      塩見 俊二君     木暮武太夫君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         仲原 善一君     理 事                 林田悠紀夫君                 吉武 恵市君                 松澤 兼人君                 原田  立君     委 員                 沢田 一精君                 高橋文五郎君                 津島 文治君                 中村喜四郎君                 林田 正治君                 鈴木  壽君                 林  虎雄君                 市川 房枝君    国務大臣        自 治 大 臣  藤枝 泉介君    政府委員        自治大臣官房長  宮澤  弘君        自治省行政局長  長野 士郎君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木  武君    説明員        自治大臣官房参        事官       志村 静男君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方公務員災害補償法案内閣提出) ○地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣送  付、予備審査) ○昭和四十二年度における地方財政特別措置に  関する法律案内閣送付予備審査) ○地方行政の改革に関する調査昭和四十二年度  地方財政計画に関する件)     —————————————
  2. 仲原善一

    委員長仲原善一君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  地方公務員災害補償法案を議題といたします。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  3. 鈴木壽

    鈴木壽君 実は基金のことにつきましてお尋ねをしますが、地方団体から負担金補償をやっていくという、こういうことなんでありますが、地方団体負担率等については、まだこれは最終的にはきまっていないわけですね、予定してないわけですね、その点はどうですか。大体はこの前ちょっと資料で見ておりますけれども、どうです。こういう程度でやっていくんだという最終的なところまで、まだいっていませんか。
  4. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) この前お示しいたしました基金事業活動の基礎になりますところの負担金の率の試算表をお手元に差し上げたのでございますが、それで大体、教育職とか警察・消防職員あるいは公営企業職員、船員、その他の職員に分類をいたしまして、そして過去の災害補償実績等から一定の率を現在試算いたしておりますが、この表によりますと、この前も御説明申し上げましたが、総額が十五億六千九百万円、十五億七千万円ほどになっております。ただ、それに対しまして、なお多少未確定の要素がございますので、そういうものの影響を考慮いたしますと、十七億円を上回ることになりはしないだろうかというふうに考えております。  大体この基金費用総額は、そういう意味で十七億円を上回るぐらいのところではないかということになりますが、そのうちの九〇%程度のむのは、従来からの試算表の中にあります参考の’ころにも書いておりますが、十五億をこえるものとして、九〇%程度のものが補償に要する費用になるであろう。それから四%程度のものが福祉施設に要する費用になりはしないだろうか。四%として大体七千万円程度ということに考えられますが、それが福祉施設になりまして、一億円程度、七%程度のものが事務に要する費用になりはしないかという、ほかの災害補償実績等を勘案いたしまして、大体そういう目算を現在つけておりますが、なお、さらに精査をいたしていきたいと思っております。
  5. 鈴木壽

    鈴木壽君 福祉施設費用を大体四%ぐらい、およそ七千万円程度と推定される、こういうことなんでありますが、これによって、いわゆる福祉施設というものをいかなるものを考えているのか。
  6. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) まあ、当初でございますから、福祉施設は四十七条で予定しておりますが、外科後の処置に関する施設とか、休養療養に関する施設、リハビリテーションの施設、いろいろ今後充実していくことになるわけでありますが、とりあえず、やることを予定すべきだと考えておりますのは、いわゆる休業援護金関係でございまして、休業補償につきましては、この法律上は六〇%でございますが、これにプラスする二〇%分を福祉施設休業援護金として、これは福祉施設という中でやるのだそうでございまして、そういうものとして考えたい、これが大体大部分、当初の考えとしては大部分でございますが、そのほかにいわゆる義肢とか義眼とか、補聴器のような補装具支給等のことを行なうことはどうしても必要だと思いますので、そういうものを予定したいと考えております。
  7. 鈴木壽

    鈴木壽君 まあ、いわゆる施設の問題はお話しのように四十七条に掲げられてありますが、私、具体的に現在の時点でどういうことを考えているのかというので、それは「外科処置に関する施設」、「休養又は療養に関する施設」と、こうあるのですが、たとえば「休養又は療養に関する施設」として、どうしたものをどう考えているのか、それがもし大体構想があったら、こういう質問でございます。
  8. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) この福祉施設としての具体的な物的施設は、すぐにこれを保有するというわけにもまいりませんので、当初は、先ほど申し上げましたような休業援護金として金を支給する、休業補償の上積みとしての金を支給するということを中心にしていきたい、こういうふうに考えております。
  9. 鈴木壽

    鈴木壽君 もちろん、こまかいことは、こまかいといったらいいか、具体的なことは、今後基金ができてからということにならざるを得ないと思いますけれども、まあ私は、いまの時点で特にお聞きしたのは、いわゆるこういう法律をつくり、基金をつくりやっていくというからには、やっぱりいまの時点で予想されるこういうもの、こういうものというものを、一応考えてしかるべきじゃないだろうか、こう思ったんですがね。しかし、これはいま言ったように、いずれ今後この法律ができ、基金ができ、そうした上でやられると思いますから、それ以上触れないことにしましよう。  それから事務費関係でございますが、五%ないし七%くらい、約一億円、こういうお話であります。これは中央基金並びに地方支部、こういうものを全部含めてそのように考えているわけなんですね。もし、そうだとすれば、中央基金なり、それから地方支部等において、現在の時点で考えられる事務機構なり人間なりというようなものは、これは大体予想しておられるだろうと思うんですが、そういう点はいかがでしょう。
  10. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) お話しのように本部支部とございまして、支部は都道府県のいわゆる政令指定市、六大市に設けることが適当ではないかと考えておりますが、本部には二十人程度職員を置きまして、総括をする担当のところと、補償実施をいたしますところと、それから審査をいたしますところと、そういう三つの組織を考えてまいりたいというふうに思っております。  支部につきましても、大体同じようなやり方になると思いますが、支部は、人数にいたしまして、個々には多少違うとは思いますけれども、規模によって異なりますが、大体二、三人程度から、実情に応じてもっと必要なところはそれ以上の職員を置くようになるかもしれないと思いますけれども、そういうことで考えていく。そうしてこの二十人程度というのは、大体現在の消防関係基金と同じような規模でございまして、大体そういうところでの事務費関係を見ますと、それを勘案いたしますと、本部で四千四、五百万円程度、それから支部で五千四、五百万円程度のところが所要経費として必要ではないだろうかと、現在このように考えております。
  11. 鈴木壽

    鈴木壽君 この基金事務について「地方公共団体の便宜の供与」ということで十三条に、地方公共団体所属職員その他を「基金業務に従事させることができる。」、こういうことがございます。そうした場合に、いまのお話しの、たとえば本部で二十人、支部で、一様には言えないけれども、二、三人くらい、こういうお話と私聞きましたが、このほかに地方公共団体から、これはもちろん、必要があった場合ということでございましょうが、地方公共団体職員、その他地方公共団体に使用される者が基金業務に従事するんだ、こういうことでございますか。
  12. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) お話のとおりでございまして、支部としての業務かかり切りの者が、先ほど私が申し上げましたのは、一つ支部最初二、三人はどうしても必要だ、それで規模によっては、それはもっと必要かもしれませんけれども、大体そういうことを予定しておるということを申し上げたわけであります。ただ都市等におきまして、公営企業関係職員などが多い団体になりますと、勢いこの災害補償法関係なども多くなってくることが予想されますので、そういうところでは、もっと実情に応じてふやさなければならないと思っております。それから、そういうかかり切り職員と、それから一部業務協力してもらうというようなものと、いろいろあるわけでございまして、いま申し上げました職員は、かかり切りでひとつやってもらうという職員を考えております。そして支部職員には——基金職員というものはなるべく置かないようにいたしまして、むしろ地方団体職員支部職員として支部業務をやってもらう、かかり切りでもやってもらう、こういうかっこうにいたしたいと思っております。と申しますのは、人事の配置その他、どうしてもその支部職員であることのほうが、職員仕事の執務の体制から申しましても、また職員自身の将来の問題を考えましても、そのほうが望ましい場合が多いようにも思いますので、そういうために、地方団体職員をそれに充てると申しますか、そういう意味地方団体協力を頼みたいというふうに考えております。
  13. 鈴木壽

    鈴木壽君 そうしますと、十三条の、いま私のお尋ねしておるところのものは、あれですか、かりに支部なら支部というものを例にとりますと、支部にも専属といっていいかどうか、いずれ支部基金職員というのは、あまりそうしたことをしないで、地方公共団体職員で、身分はそのままにして、そうしてそっちのほうの仕事をさせるんだ、こういうことを可能ならしめるための条文的な措置としてとっておる、こういうことなんですか。それとも、これは基金職員として、もともと専門のあれがあって、さらに業務によって、いろいろ人手が足りないとか、あるいはかなりの、何といいますか、効率的にやはり人を使わなければいけないという場合に、地方公共団体からその必要な職員を回して仕事をさせるんだ、こういうふうなのかなと、こう思ったんですが、最初から基金専属する職員というものは、地方支部の場合には置かないという、こういう考え方なのですか。その点どうですか。
  14. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) もちろん、お話しのように、支部基金職員を置くことは当然できるわけでございますが、現在、公務災害補償関係仕事に従事しております、また府県なり五大市職員、まあ一番知識と経験を実は持っておるわけでございまして、結局、正直に申しまして、その人たちの能力なり事務処理の助けをかりなければ、基金出発が困難でございます。その人たち身分基金職員にすっかりとってしまうということは、なかなか実際問題として困難でございますし、そういうことをいたしますことが、本人たちの将来の問題、予想しないような問題もあるようでございますので、出発の当初でもございますし、最初はやはり地方団体職員に、いわば基金職員の兼務をしてもらいまして、そしてその業務をやってもらうようにすると、こういうことが、一番実際にも合っておるのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。  ただ、将来だんだんと基金の運営というものが軌道に乗ってまいりました場合には、そしてまた、基金業務支部において相当量あるというようなことになってまいりました場合に、基金固有職員を置くことが適当だ、むしろ適当だというようなことになりましたときには、これはやはりそういう職員を置くようにはもちろんいたしたいと思います。で、お話しのように十三条の規定を、最初からすっかりその規定にたよるという意味でもございませんけれども、実際問題として、公務災害補償実施をそれぞれの府県、六大市の担当職員処理をしておる現状でございますので、その職員の力をかりて支部の開設をいたしたい、こう考えておるわけでございます。
  15. 鈴木壽

    鈴木壽君 その場合、そうしますと、基金仕事をする地方公共団体職員ですね、身分はその団体職員としての身分を保有すると。それから、給与はどうなります、そうした場合に。
  16. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) この地方団体に使用される者を基金業務に従事させるということでございまして、お話しのように身分もその地方団体職員でございますし、給与もその地方団体で払ってもらう。したがって、この場合の事務費というものは何だということになりますと、公務災害業務を行ないますから、そのために具体のケースについて調査をいたしましたり、認定をいたしますための審査をいたしましたり、いろいろいたします。そのために、あるいは必要があればよそへ出かけていくこともございましょうし、専門家の意見を聞かなければならない場合もございましょう。そういうような経費は、これは基金費用から出さないと、そこまで地方団体負担をかけるということは、これはできないだろうと思っておるわけでございます。
  17. 鈴木壽

    鈴木壽君 ちょっとあれだな、何といいますかね、そうしますと、中央木部、まあ中央木部といってはあれですけれども、その場合の職員は、これはどうなりますか。これは基金の雇用といいますか、専属といいますか、そういう職員としてですか、それともまた、どこかの地方団体からいまのお話のように、身分給与、その他そのままに据え置いて、ただ仕事基金においてするのだ、基金仕事をするのだという形になりますか、どうですか、中央の場合。
  18. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 中央の場合は、これは基金固有職員を置くということにいたさざるを得ないと考えております。
  19. 鈴木壽

    鈴木壽君 その場合に、中央基金職員の何といいますか、身分、これは基金職員だということでしょうが、たとえば地方公務員とか国家公務員とかという、こういう仕訳の中からすれば、一体どういうところになりますか、地方団体関係団体職員ですか。
  20. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 基金という法人職員でございますから、大体特殊法人でございますが、言ってみますと、公団や公社に近いような職員ともいえるわけでございまして、地方公共団体団体共済というのがございますが、あの団体共済には、この職員が入るようになって考えております。したがって、地方団体にかわって業務を行なっておる、そうしてその職員給与とか身分扱いが、地方公務員に準じたものである、そうしてこれは、法律上の機関としてつくられるということでございますので、地方団体に準じた、そういうところの職員ということに考えております。
  21. 鈴木壽

    鈴木壽君 お話しのように、地方団体関係団体職員というのがありますわね。共済等に組み入れて、そういう意味共済適用になるようにしたのがありますが、そういう扱いはそれは当然だと思いますが、その職員が、たとえば災害を受けたというような場合は、いわゆる地方公共団体職員のこの法律の中に含まれるのですか、どうですか、これは。
  22. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) お話しのような点について、いろいろ検討いたしたのでございますが、やはりその職員につきましては、地方公共団体職員でございませんので、いわゆる労災関係任意加入をいたすか、それとも職員公務災害につきましては、ほっておけば労働基準法最低基準適用がある、ちょっとそれは何とかこの中に入れる方法はと思いましたのでございますけれども、たてまえ上そういうことはできないわけでございます。
  23. 鈴木壽

    鈴木壽君 共済のほうには入れますか、入れませんか。もしやるとすれば、いまの法律の中にはありませんよ。これから出てくるものですけれども。
  24. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 附則におきまして、地方公務員等共済組合法の一部改正というのを第十九条で考えております中に、法案の六三ページでございますが、六三ページのまん中ごろに、「第百七十四条第一項中第六号を第七号とし、第五号を第六号とし、第四号の次に次の一号を加える。」というので、「地方公務員災害補償法第三条に規定する地方公務員災害補償基金」というのを入れることにいたしておりますが、これがいま先生御指摘になりました団体共済適用を受けるために、共済法改正をこの附則でやらしていただこうという関係規定でございます。
  25. 鈴木壽

    鈴木壽君 じゃ、あれですね。いまのあげられました六三ページの「地方公務員災害補償法第三条に規定する地方公務員災害補償基金」というこの項目による、当然の団体職員として共済等に加入できるんだと、これ間違いありませんね。
  26. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) そのとおりでございます。
  27. 鈴木壽

    鈴木壽君 中央はわかりました。地方公共団体職員の、さっきの第十三条の問題ですが、実態は、仕事の内容あるいは仕事をしなきゃいけない対象、これはやっぱりいままで地方公共団体において、そういう仕事をした人たちが一番いいだろうと思います。しかし、こういう基金をつくって、そしてそれぞれ中央あるいは各支部をつくると、支部においてそういう業務を行なうといった場合に、何か臨時的なといいますか、あるいは、どうしても専属職員だけでは足りないというような場合に、公共団体職員をして、いわば手伝わせると、その仕事に従事させるということは、これは当然あってもいいと思います、初めから。どうですかね、これは。たとえば、これはまあ多少性質が違うかもしれませんけれども、選管の事務職員——しかし、これはそれこそ、事あれは町会あるいはその他の人が全部——全部と言っちゃ悪いけれども、たくさんの人が手伝わなければならぬと、こういうこともありますから、私はそれはそれでいいと思うんですが、最初から、お話しのように、基金のこの機関固有職員、あるいは専属職員、どういう言い方がいいのか、ちょっといま適当なことばが見つかりませんが、いっそそういう職員を置かないで、最初から地方公務員団体の、公務員の、たとえばこれは普通の場合は県庁なんかへ呼ばれるでしょう、大体そうだと思います。六大都市——大都市の場合は別ですが、大体県庁へということになるだろうと思う。県庁の本来の仕事を持っている職員が、まあ、二人でも三人でも、このために全然本来の仕事をしないで、こっちへ向かわなければいけないと、こっちのことをしなければいけないと、しかもそれに対しては給与も全部払ってやるということになるとですね、ちょっとこれはおかしいじゃないですか。そこら辺、どうですかね。
  28. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 先生のおしゃいました、最初からそういうことをするというお話でございますけれども、まあ、むしろ実態からいいますと、最初だからそういう発足をせざるを得ないという感じのところが強いわけです。将来基金の運用が軌道に乗ってまいりまして、財政的にもゆとりができて、見通しがつくということにもちろんなってまいると思いますが、そうなってきましたならば、専門職員を置くということも当然考えられるし、また、それは初めから予定しないというのじゃなくて、もちろん予定をしているのでございます。したがいまして、この条文は、先生のおっしゃいますように、臨時に非常に必要な場合の協力を求める程度のものじゃないかというお気持ちも含めました規定でございます。しかし、それで最初からといわれても困るものですから、やはり最初は、むしろそういう専門家協力を得なければ基金支部業務発足ができませんので、そういうことにいたしたいと考えているのでございます。もちろん、たてまえから申しますと、地方団体職員、特に府県の場合でございますと、市町村の業務についてまで仕事をやるわけでございますので、どうかという気持ちももちろんごもっともでございますが、現在地方共済等事務につきましても、やはりその担当のところで、関連の深い関係職員がその事務に従事するということをやっているわけでございますが、同じようなやり方が、事務処理の能率からいいましても、むしろ便利な場合が多いわけでございます。また、かたがた、最初はそういう専門家協力を得なければ出発できませんので、ぜひそういうことでやらしていただきたい、こう考えておりますが、将来軌道に乗ってまいりますれば、お説のように、専門職員も当然置くべきところへは置くようになっていくと考えております。
  29. 鈴木壽

    鈴木壽君 あんまり局長ね、現実のそれと妥協し過ぎるような感じするんですがね。それはわかりますよ、私ね、お話は。だけれども、これはもう、もともと基金というのは、地方公共団体が本来やるべき仕事をかわってやるためにできたやつで、ですから、かわってやるだけの人間なり仕事の機構なり、やり方なりというものは、もう最初から、なければいけない。ただ、しかし、最初であるがゆえに、仕事についてのなれ、あるいはふなれというようなこと、これは当然ありましょうから、そういう意味での地方公共団体の従来からやってきた、いわばあなたがおっしゃるような専門家みたいな人たち協力させ、援助させる意味でその仕事をさせるということは、これは私はあってもいいと思うのですよね。最初だから、最初からそのお話しのようなことでいいということはね、基金、一体、たてまえどこかへ飛んじまって、これは少しきついような言い方かもしれませんが、地方公共団体、かりに三人なら三人提供すると、それだけ従来遊んでいるような人をやるわけじゃないです。それは災害補償に関しての仕事は、今度抜けるかもしれないけれども、だから抜けたから今度こっちに移して、それで全体の定員とか、事務のね、仕方とか、それでいいかというと、私は必ずしもそうはいえないと思う。まあ、こまいことのようですがね、そういう問題、私はあると思うのですね。だから初めからですね、全部が全部、その地方公共団体からの職員でその仕事をしていくということ、これは一月、二月——発足当時のそれならともかくですよ。私はやはりこれはおかしいと思うのですね。たてまえは私は、三人必要だったら三人ということにして、あるいは三人一度に全部そういう人をそこへ置くということはできないとしても、二人でも置いて、そうして足りないところへ、さっき言ったように、あるいはまた足りないというよりも、むしろ仕事になれておらない部分をやってもらうために、そういう団体から一人か二人やってもらう、こういうのは私、繰り返して申し上げますが、あってもいいと思うし、実際上やらなければいけないと思うんですが、どうですか。最初から肩がわりしてやるようなかっこうというのは、少しおかしいんじゃないですかね。どうですか。やっぱりたてまえだけははっきりひとつやっておいて、実際の問題で、なお足りないとか、あるいはふなれだとかいうことを補うために、地方公共団体所属職員をしてやらせるという、そういう形にやっぱりするべきだと思うんですがね、これはどうですか。
  30. 松澤兼人

    松澤兼人君 いまのこと、なかなかむずかしいので、私もちょっとその問題触れたんですけれども、局長はたんたんとして、あたりまえのようなことにお答えになっておるんですが、一つ考え方としては、そういう熟練の人を基金でもらってしまう。全然基金公務員というか職員にしてしまって、でなければ、身分は市のほう、地方団体のほうに置いておって、一定期間出向してもらう。そうすれば身分とか、あるいは権利義務の関係ははっきりすると思うんです。身分地方に置いたまま基金仕事をするということですから、そこにおかしいことが起こってくると思うんですよ。そんなことは万一にもないと思いますけれども、市長がこうしろと言うのに、基金はこういうふうにしろと言う、命令が二途に出るというようなことがあった場合に、地方団体所属している職員が、どちらの言うことを聞いていいのかと、むずかしい問題が出てくるんじゃないかと思うんですが、そういう関係はどうですか。まあ事務的なことだから、そんなに食い違うことはないだろうと言ってしまえばそれまでですし、また、多少食い違ったって、自治省なり、あるいは基金の考えでこうしなさいと言えば、それまでかもしれませんけれども、まあ身分がそういうふうになっている限り、やはり身分に対する任命権者といいますか、そういうものの力というものは、地方公務員法の立場からいえば、どこまでも守ってやるとか、あるいは尊重していくということがたてまえじゃないかと思うんですよ。そういう仮定の問題は答弁しにくいかと思いますけれども、身分関係をはっきりするということが第一だと思いますね。
  31. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 私どももお話し意味はよくわかるわけでございまして、なるほど、それは基金職員専門的な職員を置くということがたてまえであるというふうにも考えております。それから、御説明が十分でなかった点があるかもしれませんが、木部基金がやりまして、支部をそういうふうに四十六府県、それから六大市に置きます。で、支部長を、むしろ府県知事、市長を支部長にお願いしょうと考えておりまして、そして、そういう意味地方団体としての協力体制と申しますか、そういうものをひとつきちんといたしまして、そして職員協力地方団体協力を求める、こういう形を整えていくという考え方でございます。  実際問題として、基金職員というものを支部に置きます場合でも、いま先生お話しになりましたように、その市の職員なり、府県職員を、何らかの形で出向とか、いまのいろいろお話がありましたが、そういうような形で職員切りかえるというようなことしかできないだろうと思っております。また、そのほうが将来、その職員の将来の身分保障と申しますか、そういうことにも役に立つわけでございまして、また、そうでないと、いい人が得られないということにもなろうかと思うのでございます。  それから、地方団体にこの仕事をやらせるということになれば、地方団体はそれだけ食い込みになるではないかという鈴木先生お話、これもごもっともでございますが、ただ、基金仕事は、地方団体にかわって行なうのでございますから、従来地方団体としても、そういう公務災害補償仕事をやっておったわけでございます。それを支部という形において処理するということになりますので、それほど食い込むというかっこうではない形で運用もできるじゃないかと思います。  それから御説明について、私がむしろ実体論と申しますか、実情論に多少傾き過ぎた御説明を申し上げたきらいがありますが、実際問題としては、最初出発だから、支部専属的な職員を置いて発足するということは、理想的でございましょうけれども、実際問題としては、現在その事務に従事して精通しております人にやっていただくということにならざるを得ないということを、少し私が説明として申し上げ過ぎたかと思いますけれども、おっしゃる意味は、私ごもっともだと思っております。それと申し上げていることと、それほど違っているわけではないと考えておるのでございます。
  32. 鈴木壽

    鈴木壽君 何だかおかしいよね。私は最後に申し上げた、その地方団体事務のほうに支障があるんじゃないかという、これは実態からすれば、あるいはお話しのように、たいしたことじゃないかもしれない。従来やっていた仕事をその人がしていくんだから。ところが、従来こういうよらな仕事をやるために、たとえば県庁なんかの例をとって見ても、三人くらいで専門にそれにかかっているというわけじゃないんですよ。こういう問題は、二人や三人がそれ専門で、ほかの仕事一切やらないで、これだけかというと、そうじゃないんですよ。出てきた場合に、その担当はきめていますけれども、ふだん日常あんまりあることではないものです、これはほんとう言えば。ですから、他の仕事をやりながら、なお自分の所管事務一つとして——自分じゃない、そのもの所管のこととして、災害に関することというようなことがあるかもしれませんけれども、それオンリーじゃないわけですわな。私はそれだと思うんです。しかし、私が言うのは、だからこういうことを言うよりも、むしろやっぱり、たてまえ上、こういう基金をつくり、支部をつくってやっていく。そういう一つ機関ができるのだから、やりばり最初からそういうことでやっていくべきじゃないか。なお足らざるところは、おっしゃるように、いろんな形で協力し、あるいはその仕事の分担をしてもらうということは、私はあってもいいと思うから——そこら辺ですね。  確かに発足当初ですから、そういう事務関係といいますか、運営関係経費ということも心配されておるようでありますけれども、しかし、だからと言って、その仕事を、本来これは地方公共団体においてやっておった仕事だからというようか考えで、その経費まで——給与等含めてですよ、その経費まで地方団体負担さしておいていいということは、ちょっとおかしいと思うんですね、これは。身分身分として、給与基金から出すというくらいだつたら、またある意味においていいんじゃないかと思いますけれども、どうですか、その点。ちょっとあんまり便宜主義といいますか、こうやってしまってはおかしいんじゃないかと思うのですけれどもね、私はいささか。これはかりに三人の給与、そんなに大きな金でもなし、そんな大きな金でないから、地方団体だってたいしたことはないじゃないかと言われればあれですが、しかし、やっぱり私はひとつのたてまえといいますか、筋といいますかね、そういうことは一応はっきりさせておいて、何べんも言うように、なお足らざるところ、不十分なところを補ってもらうための協力というようなことは、これはやっていただきたい、こういうことが正しいいき方じゃないでしょうかね、私はそう思います。  ですから、もう一度申し上げますが、かりに三人が必要だという場合に、三人では、いわば適任者と申しますか、仕事の面からいっておらない、二人しかできない、ある場合によっては一人しかできないという場合もあるかもしれませんが、それでもそういう形で出発をして、いま言ったような足りないところをやってもらう、地方公共団体のほうから援助してもらうというかっこう最初からやるべきじゃないでしょうかね、だめですか。私は理屈としては、だめと言えないと思うのだが。
  33. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) たてまえは全く先生お話しのとおりでございます。私ども、できればそのようにいたしたいと思っておりますが、実際問題として、両方のかみ合わせでございますから、そこは私どもが考えるほどのこともなく、ほどほどのところで発足できれば一応けっこうだと思います。  なお、基金地方公共団体協力関係というものにつきましては、いろいろな点で、どこまでを基金負担をし、どこまでを地方団体支部と申しますか、地方公共団体として協力をしてもらうかというような点は、いまのお話の趣旨など、もちろんあることでございますし、いろいろ検討して、具体的にはもう少し詰めてこしらえてみなければいけないと思っております。
  34. 鈴木壽

    鈴木壽君 どうも局長、あなたの話を聞いていると、もっともだといいながら、しかし、やるかやらぬかともはっきりしませんで、私は、たてまえとして、はっきりそうするのだというたてまえで、実態は場合によってはお話しのようにやれないこともあるのかもしれませんが、私が言うようなことを、だからそれはそれとして、たてまえだけは一応はっきりしておいていただかないと、私はこういうものをつくって、さて、その職員は全部、身分から給与から全部、そこの事務所に置いてあるところの地方団体負担だぞというようなこと、これは従来自治省がいっておる、何といいますか、職員仕事によっての身分のきめ方なり、あるいは給与負担のしかたなりというようなことでも、いわゆる財政秩序を確立しとか、なんとかということにも触れてきますよ。少し私はルーズ過ぎると思う。だから実態やってみて、こういうふうにしようとしてやってみても、私はどうしてもできないというような場合に、かりにここの職員になってくれといっても、いやだといって、どうしてもできない人もあるかもしれませんし、場合もあるかもしれませんから、実態の上では、あなたがおっしゃるようなこともあり得るかとも思うけれども、それが初めからもっともなんだということでは、やっぱりこれはおかしいと思うのですけれども、たてまえはこうだということは、私ははっきりしておいていただかないと、でないと、この十三条がとんでもないところにかかっちまって、みんな地方公共団体で、これらの地方における支部の人員なりあるいは給与なり、これは全部初めから負担することが、法律上も当然であるというようなことでやられてしまいます、あなたのような解釈でいくと。  私は、例として適当でなかったかもしれませんが、何かあった場合に、たとえば専門職員でないと、とてもやれないので、他から一時的なものですけれどもやっていくという、そういう形ならやむを得ない、一つの形としてやむを得ないと言っていいが、仕事を進めていく実態上いいと思いますけれども、それが初めからそうなっておるというのはおかしい、大臣どうです、これは。
  35. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 確かにおっしゃられるように、たてまえとしては、やはり基金支部にも基金職員を置くということがたてまえだと存じます。お話しのように、しかし、実際問題としては、なかなかそういう適当な基金支部特有の職員を求めることが困難で、発足当時においては、地方公共団体職員がそれをやらなければならぬというようなことが、実際に起こるであろうことは予想されるわけでございます。局長もそういう意味で、実際論を少し強調し過ぎているかもしれませんが、そのために、これが非常にルーズな解釈といいますか、ルーズな運営になってはならぬと考えております。
  36. 鈴木壽

    鈴木壽君 まあその点、これはやはり原則だけははっきりしておいてもらいたいと思うのです。ですから、くどく申し上げるようでありますけれども、実際、今度業務開始という場合に、おっしゃるような事態があるかもしれませんけれども、それはそれとして、原則ではないということです。いまの局長お話を聞いておると、あくまでも、しばらくの間、将来これは一年たつか二年たつか、将来ということ、どの程度を言っているのかわかりませんけれども、それがおそらく既定事実みたいになってしまって、将来といえども発足当初のような形でずっといくということにもなりかねないです。ですから十三条にあるように、基金の運営に必要な範囲内において、本来基金人間でやるべきだけれども、なお必要な場合においてということで、やはり、たてまえ上はっきりしておく必要があると思うのです。それでまず一応終わっておきます。
  37. 松澤兼人

    松澤兼人君 いまの問題、実際は支部長と基金とが話し合うことになるのですか。土地、建物も出さなければならぬ、職員も出さなければならぬ、これは基金が直接やるか、あるいは基金ができるまでは、自治省がおやりになる、どういう段階で話し合いをなさいますか、任命するようになるのですか。
  38. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 基金のいまの支部の組織でございましたか、本部組織でございましたか、そういう関係のことの基本的な問題につきましては、お話のとおり、設立段階におきまして、設立委員等が選任されるわけでありますが、そういったところで本部の問題、支部の問題を通じまして、関係団体が協議をしてきめていくと、こういうことになると思います。
  39. 松澤兼人

    松澤兼人君 それで、いま地方支部は二、三人、あるいはもうちょっと必要かもしれない。その何人ということも、そういう段階で話し合われるわけですか、それともう一つは、土地といっても、土地はほとんど関係ない。県庁なら県庁、市役所なら市役所のどれだけの広さの土地をほしい、あるいは部屋をほしい、そちらのほうでは、知事なりあるいは市長なり、そんなに大きい部屋は困るというような話があったとしたら、それもやはり両方話し合いでやるわけでしょう。やらなければ、ただ部屋をいただきたいというだけでは話はきまらないと思いますが、実際上どういう手続をなさいますか。
  40. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 実際問題といたしましては、件数等から割り出しをする必要があると思いますが、それで何名くらいが必要だということになりますと、大体事務職員でございますから、それに必要なスペースというものも、それぞれのところで多少違いますけれども、まあ大体わかるのです。それだけのものが最初は確保されればいいわけでございます。これはそういうことの上で実際は支部にまかせると申しますか、適当に都合をつけていただく、こういうことになるだろうと思います。
  41. 松澤兼人

    松澤兼人君 もう一つは設備ですけれども、「土地、建物その他の施設」というのですが、「その他の施設」ということは、どういうことをお考えですか。
  42. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 現在直ちに「その他の施設」で、どういうものということは、実は具体的に予定しておるわけではございません。ただ、基金福祉施設をいろいろ実施することになるわけでございますので、そういう場合に、関係地方団体等におきまして経営している施設を利用さしてもらう、そういう関係のものが出てくるだろうということを予想して、規定を置いたほうが適当だと考えておるわけでございます。
  43. 松澤兼人

    松澤兼人君 では、施設の内容とか種類とかいうものは、いまは考えていないということですね。そういたしますと、たとえば計算上電子計算機などというようなものは必要ないかもしれないが、場合によっては必要かもしれません。それは施設といえるか。あるいはその他の機械器具ですか、そういったようなものも利用さしてもらわなければならないかもわかりませんが、そういうものは全然要りませんか。極端な場合はそういうことも考えられると思うのですが、この法文からいって、そういうものを使わしてもらえる、そういう内容になるわけでありますか。
  44. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) いまお話しのようなものも、この条文で便宜供与を受けたいと考えております。
  45. 松澤兼人

    松澤兼人君 何でも使いたいものだけ使うというわけでしょう。それだったら、やはり地方団体は自分の計画があるし、事務の遂行の能力というものもあるし、迷惑に思うこともあるだろうと思うのです。だから、それは基金だからしようがないということになるのか、しかし、鈴木君が次の質問に入るようでありますから、私もこの問題についてはこれ以上質問しませんけれども、要するに、いやだというものを無理に取るようなことをしないように、そこのところは十分に話し合って、双方とも納得づくで支部事務を運営していくということが、何よりも必要だと思います。それは大臣からでもひとつ御答弁願います。
  46. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) やはり自分にかわって基金災害補償をやってくれるわけでありましょうから、その間の便宜供与等はやらせる必要があると思いますが、いま松津さんが御指摘のように、それだからといって、何でもかんでも基金がわがままを言うということがあってはならないのであります。それは十分、地方自治体の長と基金側と納得づくで話し合いを進めさせていかなければならないと思います。
  47. 鈴木壽

    鈴木壽君 ちょっと問題を変えまして、五十七条ですね、「年金たる補償の額の改定」として、五十七条に、年金等についてのスライドのことが書かれてあるわけでありますね。具体的には、これは年金の改定なんかをする場合には、どういうものを基準に出して、だれが改定を行なうのか、これはどうなんですか。
  48. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) お話しのとおり、この五十七条の規定は、自動的にスライドするというかっこうではございませんで、年金の補償額の改定をこういう状況のもとでは行なうべきものだという方向を示したような規定でございますから、したがいまして、こういう事情に該当する場合には、やはり法律によって改定措置を講ずるということになるのが第一でございます。  それから、なお将来問題でございまして、この関係規定は、恩給法その他の年金制度にもこういう規定が入っておりまして、この運用につきましては、なおそれぞれ関係機関がこれから協議して検討するということになっておりますが、災害補償だけで考えました場合には、法律改正ということも一つでございますが、平均給与額の算定におきまして著しい不均衡、不公平ということが生ずるようなことになる場合には、前のほうの条文、第二条でございましたか、その条文の算定方法の一つとして是正を加えるというやり方は、これは当然できると考えております。
  49. 鈴木壽

    鈴木壽君 お話しのように、恩給法あるいは共済法律等に最近これが入ったわけですね。しかし、実質的に具体的に一体どうするのだということになると、何か条文のひとつの飾りものみたいなかっこうになってしまって、これがさっぱり生きていないというのが実態だと思うのです。そこで、こういうものを入れるからには、やはりひとつの、ここに書かれた国民生活水準とか、公務員給与、物価その他の諸事情に著しい変動が生じた場合に、こういうことに一つのめどを持っていないと、物価はどんどん上がっているのに、何年たっても改定されない、公務員給与はどんどん上がっているのに、それに応じた年金、恩給のスライドがさっぱりされないというのが現状ですから、それを今度新しく法律をつくって、基金においてこういうことをしていくという場合には、そういう現在までのいきさつ等からして、これははっきりしためどを持ってやってもらわないと、さっき言ったように、単に飾りものみたいになってしまうおそれがあると思うのです。もちろん、自動的にスライドできるというようなところまでここで書けとは私言いませんけれども、一体、公務員給与が毎年のように上がっていく、国民生活の水準というものも、これはいろいろな見方はあるにしても、とにかく上昇しているということだけは確かなんです。物価に至っては、年々何%というように、ああいうふうに上がっているのですから、だからそれをいつどこで押えて、どうそれを基準にして、どうスライドさせるかということを、やっぱりもっと具体的にしておかないと、役に立たないと思うのです。それはほかの共済とか何かともいろいろ話し合うとか、そうして最終的には法律によってやるということを話し合うと言ったって、何をもとに話し合うのか、私はそういうところをもう少しはっきりしておかないと、繰り返して申し上げますが、単なる法律の、一つの安心を与えるようなことばだけであって、何も実際には生きてこないと思うのですが、どうです、その点は。
  50. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 御指摘のように、この関係規定は、非常に政策的な意味で、方向を打ち出しておるというだけにすぎないというところが、正直のところあるわけであります。しかも、また関係のいろいろな年金制度とか、共済その他の関係にもこういう規定がございまして、この運用につきましては、災害補償法だけでこうする、ああするということは、なかなか言いにくい事情でございます。ただ、災害補償について申しますと、国家公務員災害補償にもこういう規定があるわけでございます。これに対して労災保険につきましては、たとえば、いわゆる自動スライドと申しますか、二〇%以上の増減に伴ってスライドをしていくという、そういう増減に伴って改定をするという規定がございますが、災害補償関係からいいますと、やはりそういう労災関係のようなスライド制の規定というものが一つのめどになって、今後も運用されていくということになるのじゃないかと考えておりますが、具体的には、国家公務員災害補償制度、その他との関連におきまして、実際の運用のめどというものがこれから具体化するように検討をしてまいりたいと考えております。
  51. 鈴木壽

    鈴木壽君 国家公務員災害補償法もこうなっているし、他の年金あるいは共済等においてもこうなっているから、まあこれにも入れたのだというふうにも聞こえるのですけれども、しかし、入れるからには、やはり私はさっき言ったような、この条項を入れたことによって実効があがる、そういうものでないといけないと思うんです。だから、もしこういう新しい法律をつくって、先日来の話によれば、現在ある労災関係では一番いいところに持っていったのだ、こういうことなんでありますが、だったら、いま、あなたが引用されました労災のほうにあります平均給与二〇%以上というふうなこんなものでも一つはっきり入れてもいいと思うのですがね。実際の適用というのは別にこれは考えていくと、こういうことなんですか。それしかないと思うんですが、この条文からすれば。気休めにすぎないんじゃないですか、これだけでは。
  52. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) やはりこの規定が非常に抽象的で、方向しか述べたにすぎないではないかという、気休めじゃないかというお尋ねでございますが、しかし、こうやっていろいろ災害補償関係規定なり、年金関係規定なりに、こういうスライドの規定が入ってきました以上は、やはりこれに応じた運用というものは、当然にはかられなければならないことになってまいるわけでございまして、そのためには、さらに法律改正を要するとか、いろんな法的な措置が必要だという点はございますけれども、しかし、その法的な措置を促す一つの根拠がここでできておるわけでございますから、その意味では、こういう制度の改定を促し、非常に前進するために役に立つものではないだろうかというふうに考えております。
  53. 鈴木壽

    鈴木壽君 といろあれでしょう、前進するために役に立つという単なる一つの期待であって、私は実効はあがらぬと思うんですがね。現に年金、恩給等において、これは地方公務員給与に順次スライドしていくようにやっていくんだということを、しばしば政府当局はいままで言っております。それが現実の問題としては、多少の手直しはここ一、二年、毎年のようにやりますけれども、これはうまくいっていないですね。そういうことからしますと、どうもこういういろいろなことがここに書かれてありましても、一体本気にやるのか、やらぬのか。私は少し悪口のようになりますけれども、単なる気休めでここにこうやって、期待感を抱かせるにすぎぬのじゃなかろうかというふうに言いたいんですがね。  ですから、たとえば公務員給与が、これは何も法律に書かなくても、あなた方がいま持っている考え方の中に、公務員給与がこういうふうになったらこうだと、それから物価の上昇が現実にはこうなっているが、将来こうなっていった場合にはこうなんだという、何か一つのものを持っていないと、他のものと協議をするとかなんとか言っても、なかなかこれは生きてこないですよね。私そこを、せっかくここにこういうものを入れるからには、将来の何といいますか、改善、前進のためのということで入れるなら、もっとそこまで考えて、こういうことは必ずやるんだぞと、こういう場合にはこうだというぐらいのところでないと、ちょっと信用できないんですよね、私にも。これは局長にこういうことを言っても、局長一人で何とも言えないかもしれませんが、大臣、これは私、ここだけの問題に限らず、さっきから申し上げておりますように、年金、共済、その他いろいろ恩給等において、もう少しこれを生かす具体的な措置をやっぱりやってもらわないといけないと思うんで、そういう意味から、今度新しくできる法にも、こういうものができたとすれば、そういうところを踏まえながら、ほんとうにこういうふうにやっていくんだと、政策スライド——政策スライドということばは少しおかしいでしょうが、そういうことをやっていかなければいけないんだということでないと、私はいけないと思うんですがね。どうでしょう、大臣。
  54. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 確かにお話しのように、各種年金についてこういう一種のスライド的な規定が入ったわけでございます。政府といたしまして、やはりある程度のめどを、こういう規定がある以上、ある程度のめどを立てる必要があろうかと思います。関係各省とも十分、これだけ独走するわけにもいきませんけれども、至急に政府部内として、こういう規定に対するある種のめどを立てるようにいたしたいと存じます。
  55. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 本案に対する午前中の質疑はこの程度にいたします。     —————————————
  56. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 次に、地方交付税法の一部を改正する法律案及び昭和四十二印度における地方財政特別措置に関する法律案を議題といたします。  提案理由の説明を願います。藤枝自治大臣。
  57. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) ただいま議題となりました地方交付税法の一部を改正する法律案及び昭和四十二年度における地方財政特別措置に関する法律案について、その提案理由と内容の要旨を一括して御説明申し上げます。  昭和四十二年度の地方交付税の算定については、給与改定等の制度改正による増加経費のほか、経済の発展及び国民生活水準の向上に資するため、関係経費にかかる財源の充実をはかることといたしたいのでありますが、これに加えて、同年度においては、地方財政の一そう健全な運営をはかるため、特別措置として、地方団体に対し総額百二十億円の臨時地方財政交付金を交付することとし、その充実をはかるとともに、この際、算定方法の合理化及び簡素化をはかることといたしたいのであります。  このため、地方交付税法に所要の改正を加えるとともに、臨時地方財政交付金の算定方法、昭和四十二年度分の普通交付税の額等についての特例措置を定める必要があります。以上がこれらの法律案を提出いたしました理由であります。  次に、これらの法律案の内容につきまして御説明申し上げます。  まず、地方交付税法の一部を改正する法律案の要旨でありますが、その一は、基準財政需要額の算定に用いる単位費用の改定であります。行政水準の引き上げにより増加する一般行政経費給与改定の平年度化等に伴い増加する給与関係経費、生活保護基準の引き上げ等により増加する社会保障関係経費、その他、制度改正等によるものを基準財政需要額に算入するため、関係費目の単位費用を引き上げることとし、また、特別事業債の廃止に伴う財源措置を講ずるとともに、道路事業費等公共事業の増加等に伴う財源の充実をはかるため、投資的経費にかかる関係費目の単位費用を改めることといたしております。  その二は、基準財政需要額の算定に用いる費目、測定単位、補正の方法等に関する改正であります。  道路費及び橋りょう費を統合して、道路橋りょう費とし、また、清掃費及び都市計画費の一部をもって、新たに下水道費を設けること等により、基準財政需要額算定の適正化および簡素化をはかるとともに、主として都道府県の投資的経費にかかる各種の補正を整理統合して、新たに態容補正の一種として、投資的経費の必要度に応じて財政需要の算定を行なうための補正を設けることとし、その他、費目に対する補正の適用の種類について所要の改正を加えることといたしております。これらを通じて、後進地方団体あるいは人口急増団体等について必要な配慮を加えることといたしております。  以上のほか、地方交付税の算定方法の改正と関連して、公営企業金融公庫法及び後進地域の開発に関する公共事業に係る国の負担割合の特例に関する法律の一部を改正することといたしております。  次に、昭和四十二年度における地方財政特別措置に関する法律案の要旨でありますが、その一は、臨時地方財政交付金の交付に関することであります。総額百二十億円の臨時地方財政交付金のうち、九十五億円を第一種交付金とし、二十五億円を第二種交付金といたしております。そのうち、第一種交付金は、普通交付税とあわせて算定し、基準財政需要額が基準財政収入額をこえる都道府県に対して交付することといたしており、また、第二種交付金は、市町村道の整備に要する財源の充実をはかるため、総額を市町村道の延長に案分して市町村及び特別区に対して交付することといたしております。  その二は、昭和四十二年度分の普通交付税の額の算定方法等の特例に関する事項であります。第一種交付金の交付に伴い、その交付方法を定めるほか、基準財政需要額の算定については、昭和四十一年度において発行を許可された特別事業債の償還費を算入することとし、また、市町村分の道路費の単位費用について特例を設けることといたしており、その他、臨時地方財政交付金の交付時期等、必要な措置を講ずることといたしております。  以上が地方交付税法の一部を改正する法律案及び昭和四十二年度における地方財政特別措置に関する法律案の提案理由及びその内容の要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  58. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 両案に対する質疑は後日に譲ります。     —————————————
  59. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 次に、地方行政の改革に関する調査といたしまして、昭和四十二年度地方財政計画に関する件を議題といたします。  自治大臣の概要説明を願います。藤枝自治大臣。
  60. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) このたび昭和四十二年度の地方財政計画を策定いたしましたので、その概要を御説明申し上げるとともに、これを中心として、本年度の地方財政の見通しと地方財政に関する政府施策の概要について申し述べたいと存じます。  昭和四十二年度は、給与関係経費、社会保障関係経費等、義務的経費がかなり増加するほか、行政水準の立ちおくれを取り戻すための公共事業費、社会経済情勢の変化に即応して、地域の特性に応じ実施しなければならない単独事業費等の経費を増額する必要があります。一方、最近の経済は順調な回復を示しており、地方税、地方交付税等の地方一般財源はかなりの増収を期待することができるのでありますが、また、他方では、昨年度の地方財政対策の決定の際の経緯等から、特別事業債の廃止等、事後処理を要するものもあり、さらに、市町村における道路財源のように財源確保の必要性の生じてきているものもあります。  そこで、地方財政計画の策定にあたりましては、これらの客観情勢を念頭に置き、地方団体が財政の健全化を促進しつつ、地方行政水準の引き上げをはかり、地方財政の自主性を高めることができるよう措置することを目標といたしたのであります。  すなわち、計画策定の方針といたしましては、第一に、地方独立財源の充実をはかりつつ、地方負担の軽減合理化を推進するため、一、昭和四十一年度の第一種臨時地方特例交付金にかえ、たばこ消費税の税率を引き上げ、二、事業専従者控除及び事業主控除の引き上げにより、個人の事業税及び住民税の負担を軽減する等、地方負担の合理化をはかることといたしました。  第二に、道路整備五箇年計画、下水道整備五箇年計画等の各種長期計画に基づく昭和四十二年度の事業の円滑な実施を確保するため、所要の措置を講ずることといたしました。  第三に、地方財政の現況を考慮して、昭和四十一年度に臨時に設けられた特別事業債を廃止するとともに、地方団体がその地域の特性に応じて実施する事業の財源を確保するため、単独事業債等の地方債を増額することといたしました。  第四に、昭和四十二年度に限り、特別事業債の償還財源及び市町村に対する道路財源等を確保する趣旨で、臨時地方財政交付金百二十億円を交付することといたしました。  第五に、人口急増地域、後進地域、その他各種地域の態容に即した行政水準の向上をはかるため、基準財政需要額の算定方法を改善するとともに、特に投資的経費にかかる基準財政需要額を充実することにより、地方交付税配分の合理化を推進することといたしました。  第六に、零細補助金の整理統合、超過負担の解消等、国庫補助負担金の合理化をはかるとともに、財政秩序の確立につとめることといたしました。  なお、第七に、地方公営企業の財政再建につきましては、最近ようやく軌道に乗ってまいりましたが、これをさらに促進するとともに、その経営基盤を強化するため必要な措置を講ずることといたしました。  以上の方針のもとに、昭和四十二年度地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出の規模は四兆七千七百十四億円となり、その前年度に対する増加は、六千三百六十六億円、一五・四%となるのであります。  次に、歳入及び歳出のおもな内容について御説明申し上げます。  第一に、歳入についてであります。  その一は、地方税収入であります。ただいま申し上げましたとおり、昭和四十二年度は事業主控除及び専従者控除の引き上げ等により、個人事業税及び住民税の負担の軽減合理化をはかることといたしましたが、経済の現況から、自然増収についてかなりの額が期待できます上に、たばこ消費税の税率引き上げを行なうことといたしておりますので、前年度に比較して三千四百六十五億円の増収となる見込みであり、この結果、本年度の地方税の総額は一兆九千二百六億円となります。  その二は、臨時地方財政交付金であります。  ただいま申し上げましたような経緯から、昭和四十二年度限りの措置として百二十億円の臨時地方財政交付金を交付することといたしたのでありますが、このうち九十五億円は特別事業債の廃止等、昭和四十一年度の地方財政対策の事後処理的な趣旨をもって、また、二十五億円は市町村の道路財源に充てる趣旨をもって、それぞれ配分することといたしております。  その三は、地方交付税であります。  地方交付税については、国税三税の大幅な増収が見込まれる結果、八千九百二十一億円の交付が見込まれ、その前年度に対する増加額は千四百五十四億円となります。  その四は、地方債であります。  本年度は財政の健全化を促進する見地から、昭和四十一年度限りの措置として発行された特別事業債を廃止することといたしました。一方、社会経済情勢の変化に即応して必要とされる事業の財源を確保する見地から、単独事業債等についてはこれを大幅に増額することといたしました。この結果、昭和四十二年度の地方債の発行予定額は六千六百九億円となり、前年度と比較して九十八億円の減となりますが、特別事業債を除きますと、前年度に比し八百二億円の増となります。このうち、地方財政計画に算入いたしましたのは、一般会計債二千五億円、特別地方債のうち一般会計分二百九十六億円、合計二千三百一億円であり、前年度に比較して、特別事業債の減等を除きますと、実質三百六十四億円の増加となっているのであります。  第二は、歳出であります。  その一は、給与関係経費であります。  給与費につきましては、一 給与改定の平年度化及び昇給に伴う経費 二 警察官、高等学校の教職員及び消防職員等の職員の増加に要する経費等、を見込み、前年度比較、一千八百四十九億円増の一兆六千五百二十八億円を計上いたしたのであります。  その二は、一般行政経費であります。  この一般行政経費のうち、国庫補助負担金を伴う経費は、総額五千五百五十八億円と見込まれ、前年度に比し七百八十七億円増加いたしました。また、国庫補助負担金を伴わない経費については、地方公営企業に対する繰り出し金、税外負担の解消等を含めて、前年度比七百三十九億円増の四千二百四十三億円を計上いたしたのであります。  その三は、投資的経費であります。  まず、国の直轄事業に対する地方団体負担金は、前年度に比し八十億円増加し、六百九十億円となっております。  次に、国庫補助負担事業につきましては、道路整備事業、治山治水事業、港湾整備事業、住宅対策事業及び農業基盤整備事業等にかかる経費の増加により、前年度に比し一千四百四十三億円の増加となり、総額は一兆八百十一億円と見込まれます。  次に、国庫補助負担金を伴わない地方単独事業費につきましては、道路、港湾、下水道等の各種長期計画による事業、その他、過密都市、新産業都市、辺地等、それぞれの地域の特性に応じて地方団体実施する事業費等について増額をはかりました結果、前年度に比し、九百八十二億円の増加となり、その規模は六千七百三十二億円となったのであります。  なお、先般、政府は、地方公営企業の基盤を強化し、その健全化を促進するため、同会計と一般会計との間の経費負担区分を明らかにするための法令の規定を整備いたしましたが、本年度はこの原則に立脚して、一般会計から同会計に対する出資その他の繰り出し金を増額し、総額五百五十一億円を一般行政費及び投資的経費の単独分に計上いたしております。  以上、昭和四十二年度の地方財政計画の概要を申し述べたのでありますが、これを要するに、本年度の地方財政は、景気の回復に伴い、その収支については、前年度よりはやや改善される見通しにありますが、なお、その運営には十分慎重を要する点が多いと思われますので、中央地方一体となって、国民の福祉を増進しつつ、地方財政の一そうの健全化をはかるよう引き続き努力を重ねてまいる所存であります。
  61. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 本案に対する質疑は後日に譲ります。午後二時まで休憩いたします。   午後零時二十七分休憩      —————・—————   午後二時十六分開会
  62. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 地方行政委員会を再開いたします。地方公務員災害補償法案を議題といたします。午前に引き続き質疑を続行いたします。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  63. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 速記を起こして。
  64. 松澤兼人

    松澤兼人君 お伺いしますけれども、基金には運営審議会という、運営全般に対する審議機関というものがあり、また同時に、基金には災害補償基金審査会というものがあるわけであります。そこで、この運営審議会のほうは十二人以内の委員をもって組織しますし、さらに地方公務員災害補償基金審査会のほうは、学識経験を有する者の中から委員五人をもって組織するとあるわけですが、この「学識経験を有する者」というのは法律的なことばでありますから、読んで字のごとしといえばそれまでですけれども、運営審議会といい、あるいは審査会、さらには支部審査会、いずれも関係する職員の生活に非常に大きな関係のある機関でございますから、学識経験者の中に、当然職員の立場から、この基金の運営を考えるという人が入ってもいいんじゃないか、こう思うわけです。この点につきまして、自治省としての、あるいは自治大臣としての御見解を承りたいと思います。
  65. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) この基金は、申し上げるまでもなく、職員災害に対しまして、無過失賠償責任を負う使用者たる地方公共団体にかわって補償を行なう性格のものでございます。したがいまして、運営審議会も、こうした基金の性格を踏まえて、その運営に参加する機関であると考えます。したがいまして、いま松澤さん、当然職員を入れるべきであるという意味お話でございましたが、この十一条にありますように、地方団体を代表するような者等を入れますが、それに対応する意味での職員というような、そういうことはちょっと考えていないのでございます。ただ、この基金の運営について非常な知識経験を持っておる者が職員にある場合に、学識経験者という立場において入れることはあり得ると考えます。
  66. 松澤兼人

    松澤兼人君 十一条には、「都道府県知事を代表する者、市長を代表する者、町村長を代表する者、都道府県教育委員会を代表する者、都道府県公安委員会を代表する者」、それから「地方公営企業の管理者を代表する者」、こういう人たちは、当然それを代表するという立場から基金の運営審議会に入る資格がある。いま大臣が、それに対応する意味職員ということでは考えられないけれども、まあ職員のうち学識経験を有する者は入ることがあり得る、あるいは入れるべきである、あるいは入れるのが適当であると、そういうようなお話をされましたけれども、つまり対立する関係では、職員の代表というものは入れられないということですか。
  67. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) いわゆる基金は、無過失損害賠償をかわって行なうということでございまして、もちろん災害補償職員の経済的な問題に関係するわけでございますが、そういう地方公共団体にかわって賠償をするということなんでございますから、そういう意味で、先ほど申し上げましたような、一方、運営審議会の中に地方公共団体等を代表する者が入りますが、これと対応する意味においての職員あるいは職員団体の代表というような意味では、それは考えていないのでございまして、ただ職員の中に非常なこういう問題について学識経験を持っておる者があれば、学識経験者として入れることがあり得るということを申し上げたわけでございます。
  68. 松澤兼人

    松澤兼人君 どうも私、対応する意味における職員団体の代表、職員の代表、そういうものは入れることは困る、単純に学識経験を持っている人として入れるんだと、そこのところがよくわからないんですけれども、対応するということは、どういうことなんですか。階級対立みたいな利害関係の対立というか、そういう対立、あるいはまたは利害相反する、そういう立場の職員としてでは困るということなんですか。
  69. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) いわゆる職員代表というのではなくて、あくまで学識経験者として考えるということを申し上げたわけでございます。
  70. 松澤兼人

    松澤兼人君 私も初めに質問いたしましたときに、職員代表ということばは使わなかったと思うんです。また、自治大臣もそういうようには言っておられないと思いますけれども、もとより、この法文を読んでみますと、そういう職員団体の代表であるとか、そういったような形の資格では入れにくいということを言われた。けれども、やはりこう一方では、地方自治団体の中におきましては、使用する人、それから使用される者というものがあるわけですから、やはりその使用される者の、つまり職員の代表ということでなくとも、職員の中から、学識経験を有する者は、当然、これは自治大臣が任命するわけですから、自治大臣においてそれを適当と思えば、任命していただけばいい。そういう意味では、適当と思う者があれば、自治大臣は任命するというふうにお答えできますか。
  71. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 適当な者がおれば、これは任命してよろしいかと考えております。
  72. 松澤兼人

    松澤兼人君 職員の中で……。
  73. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) はい。
  74. 松澤兼人

    松澤兼人君 それからもう一つの問題は、先ほどもちょっと触れたのでありますけれども、基金審査会というものができると、そうして支部にもまた審査会というものができる。こういうふうに、審査会のほうは、基金にできる審査会と、それから支部にできる支部審査会というふうに二段になっているようであります。この審査会の職務権限というものは、おのずから法文の中で明らかでありますけれども、そういうところにできます、たとえば本部審査会は五人、それから支部審査会は三名というふうになっておりますけれども、そういうところへは、この学識経験を有する職員というものが、資格のある者があるならば、やはり同じように入れるのじゃないかと、このように考えますけれども、この点はいかがでしょうか。
  75. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) この審査会のほうは、非常に専門的な知識を持った公平な第三者ということを期待いたしておるわけでございます。したがいまして、そういう審査委員職員あるいは職員を代表するような形での者を入れることは、適当ではないというふうに考えます。
  76. 松澤兼人

    松澤兼人君 なるほど、審査会は、災害補償に対しましていろいろ不服があったり、あるいは補償が適当でないという場合に、要求があって審査するという、そういう職責を持っているわけでありますけれども、やはりここでも、学識経験を有する者で、非常にすぐれた才能を持っているというような人があるならば、やはりそういうことは、これは仮定の問題なんですけれども、そういう適格者がいるならば、必ずしもこれは排除すべきじゃないと、こう考えますが、この点はいかがですか。
  77. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) その人自体が、その問題については中立的な立場ということもあろうかと思いますが、職員というものは、やはりその災害を受けた公務員と同じような立場に立つ、その意味では、非常に牽強付会な言い方かもしれませんが、一種の利害関係者と見るべきではないか。したがって、こういう審査会等につきましては、やはり多少でも利害関係があるというような人は、排除したほうが適当ではないかと考えております。
  78. 松澤兼人

    松澤兼人君 これもかりの問題ですけれども、たとえば、先ほど鈴木君と行政局長の間でやりとりがありました。こういう労働者災害の問題について何年もこれまでやってきた、そういう人が、たまたま今度基金仕事からははずれている。しかし、これはもうだれが見ても、労働者災害なり公務員災害専門家だという者があった場合——これもかりの問題ですけれども、あった場合に、たとえばそれを支部長が任命しようとする、その場合に、これは職員であるからと言って排除するということは、あんまりひどいんじゃないですか。そういう経験のある人で、しかも、これは従たる事務所の長が委嘱するわけですから、何も中央基金が委嘱するわけじゃないんですから、そういう多年、労働者災害あるいは補償の問題について経験を積んできた人がいる、そういうような場合には、私はそういう人が審査会の委員になっても一向差しつかえないんだと、そう考えるんですが……。
  79. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 若干御見解と変わるんですが、そういう方がやめられたあとというような場合は別でございますが、やはり職員身分を持っている間におきましては、多少でも利害関係をともにするというようなこともございますので、あくまで公正な第三者という形が妥当ではないかと考えております。
  80. 林虎雄

    ○林虎雄君 ちょっと関連質問。いまの大臣のお答えですが、この五十三条の審査会の委員ですが、審査会の場合は学識経験者だけということになっておりまして、いまお答えのように、利害関係者でなくて、公平な第三者というお答えでありますが、この公平な第三者というのは、どういうところを尺度としてお考えになっておるか。理事長が委嘱するわけですから、その公平という尺度が、具体的にはなかなか困難だと思いますが、逆に利益代表を公平という意味から排除したいというお考えでありますが、その反対の立場で出る人が一応出る場合もないとはいえないのでありますが、この委嘱の尺度といいますか、そういうものに対して、どういうふうに大臣はお考えになっておられますか。
  81. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 御指摘のように具体的事実の問題になりますと、はたしてどなたが公平であるかというような認定は、なかなかむずかしいと思います。理事長が委嘱する場合に、そうした審査会の性格にかんがみて、最も適当な人を選んでいただくほかないというふうに考えております。先ほど松澤さんにお答え申し上げたのは、そういう意味では、やはり職員というのは職員的な共通の立場を持っておる関係で、多少でも利害関係が共通するのではなかろうか、したがって、それは排除したほうが妥当ではなかろうかということを申し上げたわけです。
  82. 松澤兼人

    松澤兼人君 さっきは鈴木君の質問に対しまして、身分ということをあいまいにして、地方団体職員はそっくりそのまま、身分も何も向こうに置いておいて、それで基金に採ろうとして、今度は、身分がそういうものであるから審査会の委員にはなれぬ。同じ身分を持っておる者を、片方じゃ基金職員になる、片方じゃまた審査会の委員になれぬ、これは変な言い方だと思うのですが、どうですか。
  83. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 十三条にからんでの先ほどのお尋ね、私は、原則としては、やはり基金固有職員を持つことが原則であろうと思います。ただ、現実の問題としては、いままで地方公務員身分を持っていた人が、その身分を捨てて基金職員になるというようなことをなかなか渋るような場合もあろうかと思います。もちろん、先ほど松澤さんがおっしゃったような出向的な形というものもとれないではないかと思いますが、いずれにしても、年金その他の計算等、むずかしい問題が起こってくるのじゃないかと思います。したがって、事実上なかなか地方では採りにくいというような現実を行政局長は申し上げておったわけでございまして、原則的にはやはり基金固有職員を持つのが妥当であるというふうに考えます。
  84. 松澤兼人

    松澤兼人君 大臣がそういうふうに、原則的には固有職員を持つのが適当であるという、そういう言明があれば、この法律は非常にていさいの上からいって十分でないと思います。当分の間とかという、いわゆる条件つきの字句がありまして、当分の間地方職員をもって基金職員にするというようなうたい方がしてあればいいと思いますけれども、それはしてないですから、こういう関係が今後何十年も続くわけです。せっかく一方では地方公務員という、そういう法律の規制がある、一方では、かってにこの法律でもって、その身分も何もそっちへ置いたままこの仕事だけしろと、そういうことでは、今後地方公務員身分あるいは地位というものを混乱させる原因になるのじゃないかと思う。いま大臣が率直におっしゃったですから、将来、この問題につきましては検討していただきたいと思います。  なお、審査会の委員の問題につきましても、私申し上げましたことは、必ずしも自治大臣の御賛同を得ないわけでありますが、これも懸案の問題として、将来、職員であって、災害補償の練達の人があるというような場合には、私は委員になることを排除するということは、ひとつやめていただきたいということを、意見として申し上げて、検討していただきたいと思います。
  85. 鈴木壽

    鈴木壽君 ちょっと法律の条文関係のことで、これは参事官にお聞きしますが、この法律地方公務員法の一部改正もやっておるのでありますが、そこで第六十八条、これはこの法律としての地方公務員法との関係を述べたのでありますけれども、これと関連をし、それから附則の第十二条で地方公務員法の一部改正をしておりますね。ここで、さきの六十八条では、「地方公務員補償を行なう基金の制度は、地方公務員法第三条第二項に規定する一般職に属する職員については、同法第四十五条第四項に規定する制度とする。」と、こういって今度新しく第四十五条第四項ができておるわけなんでありますが、そこでお尋ねしたいのは、地方公務員法の一部改正で、四十五条の第二項から第四項までが、現行のものが廃止されまして、消えて、そうして新しく二、三、四項が入ってくるというのでありますが、第四項の「第二項の補償に関する制度は、法律によって定めるものとし、当該制度については、国の制度との間に権衡を失しないように適当な考慮が払われなければならない。」と、こうあります。その前の二項で、地方公務員法の一項にある補償の義務といいますか、「補償されなければならない。」という規定の第一項を受けて、その「補償の迅速かつ公正な実施を確保するため必要な補償に関する制度が実施されなければならない。」、そうして、その「実施されなければならない。」というその制度は、「法律によって定めるものとし、」と、こうあるわけでございますね。第四項の「法律によって定めるものとし、」云々と、こうあります。あとのほうは、これは国との均衡の問題ですから、それはともかくとして、ここで「補償に関する制度」ということは、単にここで六十八条でいう基金のことだけであるのか、いわゆる補償制度すべてを包含したそれなのか、そこら辺、これはどういうふうに読めばいいものか、そこをひとつはっきりしていただきたいと思うのです。
  86. 志村静男

    説明員(志村静男君) お尋ねの点でございますが、地方公務員法は、地方公務員身分取り扱いに関する基本法でございますので、地方公務員災害補償法を制定するということになりますと、地方公務員法と地方公務員災害補償法との関係というものを規定しなければなりませんので、四十五条というのはそういうふうに改正をしているわけでございます。  そこで、お尋ねのその十二条でございますけれども、四十五条第四項の「第二項の補償に関する制度」ということでございますが、これはあく才でも地方公務員法四十五条第一項を前提にしているわけであります。つまり四十五条第一項におきましては、使用者である地方公共団体の義務が規定されているわけであります。その義務につきましては、具体的にこの法律、つまり地方公務員災害補償法できめておりますので、地方公務員災害補償法によりますところの基金補償を行ないますれば、四十五条第一項に規定されます使用者としての地方公共団体としての責任が果たされる、あるいは免れる、こういうことになるわけであります。ところが、それではそれ以外のことは一切がっさい、使用者としての地方公共団体としてはやってはいけないのかということになりますと、これは地方自治のたてまえからいたしまして、あるいは地方公務員法のたてまえからいたしまして、そういうことにはならないのでございます。先生御承知のように、地方公務員法第二十四条第六項におきましては、 「給与、勤務時間その他の勤務条件は、条例で定める。」ということになっておりまして、いわゆる四十五条第一項以外の広い意味での公務災害補償というものも、当然二十四条第六項にいうところの「勤務条件」に入っておるわけでございますので、理屈といたしましては、その条例で規定をいたしますれば、法律的には可能である、こういうことになるわけでございます。
  87. 鈴木壽

    鈴木壽君 おっしゃっていることについては、前から私お聞きして、局長からも同趣旨の答弁をいただいておりますのですが、ただこういうふうな条文からしますと、今度の地方公務員法の第四十五条の二項、三項、四項の改正からいたしますと、二項では、おっしゃるように、一項の、いわゆる補償しなければならぬという義務づけがされている、それが制度として実施されなければならぬということが二項にですね、しかもその制度が、四項では、法律によって定めるのだと、ただこれだけ見ますと、法律以外には、いわゆるこういう制度としてのものはできないということにも解釈され得ると思うのですが、実態の問題でなくて、この条文から私はそういうふうに思うのですが、そうじゃないのでしょうか。だから私聞きたいことは、「補償に関する制度」ということが、前に、地方公務員法との関係で、この法律の第六十八条に、基金の制度はこうだと、こう書いてありますから、いわゆる基金ということの、狭くと言っては悪いけれども、いわば基金そのものだけをさして、ここでいう制度というから、私はもっと災害補償ということになりますと、この基金という以外に、もう少し広いものが制度としてあってもいいと思うし、そういう意味からすると、何かこの制度を、基金ということに限定をしてしまって、あとこれ以外にはだめなんだぞというふうな解釈ができるように思うわけなんですが、そうですが、ちょっと私法律の読み方として一体どうなのかということをお聞きしたいわけです。
  88. 志村静男

    説明員(志村静男君) この地方公務員法の四十五条第一項におきましては、使用者としての地方公共団体補償義務を規定しているわけでございます。そして地方公務員法の一部改正におきましては、四十五条第二項におきまして、「前項の規定による」云々と書いてあるわけです。その第二項というのを受けまして、第四項におきましては、「第二項の補償に関する制度は、法律によって定めるものとし、」と書いてございますので、地方公務員法四十五条第一項に規定いたしますところの使用者としての補償責任、これは具体的にこの法律、つまり地方公務員災害補償法規定しておりますので、地方公務員災害補償法によりますところの常勤職員の場合でございますれば基金でございます。基金によりまして補償ということを行ないますと、四十五条一項に関する限り、そこに規定いたしますところの使用者としての地方公共団体補償責任は果たされたと、こういうことになるわけです。これが一つでございます。  次に、一方、それではそれ以外一切がっさいいけないのかということでございますが、これは一方、別の理屈からいたしまして、やはり地方自治のたてまえ、地方公務員法のたてまえ、さらには、一般的に見まして、他の規定におきまして、それ以上のことはいけないというふうに禁止をしてないわけでございまして、やはり法文の読み方といたしましては、地方公務員法第二十四条というものがございます以上、二十四条第六項にいうところの、「職員給与、勤務時間その他の勤務条件」というものの中には、四十五条第一項の公務災害補償ではございませんが、それ以外の公務災害補償、広義の公務災害補償といってもよかろうと思いますが、そういったものも理屈として入ってくる。そうであるならば、やはり条例でもってそういうものをつくることは可能である、こういうことになるわけです。先ほど御説明がございましたこの地方公務員災害補償法の六十八条の規定は、地方公務員法との関係でございますが、この規定は、実はなくてもあっても同じでございますが、基金地方公共団体とは別個の存在でございますので、基金につきましては、念のため特に規定している、こういう状況でございます。
  89. 鈴木壽

    鈴木壽君 ちょっとわかったような、いわゆる公務災害補償ということは、もちろん勤務条件の中に入るわけだけれども、したがって、条例とか、いろいろそういうものによってやるということ、それはまあそのとおりですが、少なくとも予想しておる公務災害、それに伴う補償、これは第四十五条で、 「補償されなければならない」ということで、まずその一つの義務づけといいますか、それができているわけですね。ですから、これ以外にまだほかにもっと別の公務災害があって、それに対してまた別に補償しなきゃならないという趣旨のものじゃないと思うんですよね。公務災害と称するもののすべてをここで拾わなきゃいけないと思うんですよね。ただ、補償のしかた、内容、給付等についてはいろいろあるにしても、とにかく公務災害、あるいはそれを補償しなきゃならぬという、それはもうこれで全部余すところなくやられなければ、いや、ここに入ってくるのはこの部分公務災害で、別にもっと公務災害というものがあって、それは条例なり話し合いなり、何かによってきめられるんだ、やっていくんだ、こういうことでは私はないと思うんですね。私はそういうふうに考えるものだから、それについて第二項では、今後必要な制度をつくるという、これはっくらなきゃいかぬ。そこで、その必要な制度はしかし法律によって定めるのだと、こうなりますと、その法律によって定めたこの制度によって補償するとか賠償するとかという以外に、あとやっちゃいかぬということになりかねないと思うんですよ、私は。あとあるはずないんです。そのほかに何があるか。  私はもう一度申し上げますが、御理解を願うために言うのだが、第四十五条の公務災害補償ということは、公務員としてあらゆる、いわゆる公務上生じた災害、それに対しての補償だと思うので、この法律の中にあること、それはいろんな災害がありますよ、公務上の。しかし、これとこれとこれは公務災害補償で、それ以外にまだ幾つもあるというようなことじゃないと思うんですよね。全部を拾ってここでやらなきゃいけないと思うんですよね。それを、法律でやることはまあ一応私どももいいとしても、じゃお話しのように、実際は別のところで条例がつくれるとかなんとかいっても、この新しく今度できた四項からすると、何かそんなものをやったって役に立たないというような、むしろ法律違反じゃないかというような解釈を私せざるを得ないと、こう思ったものですから、そこら辺もう少し……。
  90. 志村静男

    説明員(志村静男君) どうも私の説明が不十分で、なかなか御理解いただけないようでございますが、先生も先ほどからおっしゃっておりますように、改正後の地方公務員法第四十五条の第二項というのは、「前項の規定による」ということで、第四十五条第一項を受けているわけでございます。したがいまして、第四十五条第一項に関する限りは、地方公務員災害補償法規定による補償が行なわれますれば、使用者としての補償責任というものは全部果たされると、こういうことになるわけでございます。ですから、それはもうそれでおしまいでございます。  それじゃそれ以外に地方公共団体としてやってはいかぬかという問題になるわけでございますが、これにつきましては、禁止規定がない限り、また、やはり地方自治というたてまえからいたしまして、禁止ということもいかがなものであろうかと、そういうことになってまいりますれば、技術的な問題でございますが、地方公務員法二十四条には、「給与、勤務時間その他の勤務条件」についての規定があるわけでございます。ですから、特に第二十四条第六項なら第六項にいうところの「勤務条件」というものには入らないのだと——四十五条第一項以外の公務災害補償といっていいと思いますが、四十五条第一項の公務災害補償ではないところの、まあ広い意味での公務災害補償と言ってよかろうと思いますが、そういったものについて、これは二十四条第六項にいうところの「給与、勤務時間その他の勤務条件」に入らないんだというように解釈する必要は、私ども毛頭ないと思っておるわけでございます。そうであるならば、二十四条第六項というものが、付加給付を理屈として行ないます場合の法律的な根拠になるのではないかと、こういうことでございます。  もっと言いますと、地方公務員法四十五条第一項の使用者としての地方公共団体補償責任に関する限り、この法律規定による補償を行なえば済んでしまうと。しかし、それ以外のものについてやはり禁止をするというわけにはいかないのじゃないか、こういったのが基本的な問題でございまして、具体的に根拠はいかんというふうにお聞きになられますれば、それは地方公務員法の二十四条第六項と言わざるを得ないのではないか。しかも、その場合の「勤務条件」に該当すると思われますものは、四十五条第一項にいうところの公務災害補償ではないと、非常に持って回った言い方になって恐縮でございますが、そういったような解釈を私どもはとっておるわけでございます。
  91. 鈴木壽

    鈴木壽君 この四十五条に定められておる公務災害のほかに、いわゆる広い意味での公務災害ということがまだあると。それはこの法律適用に限定されることなく、他の何かの制度をつくってもいいしということ。その点ちょっと、そんなに公務災害というのは、いわゆる広義だとか狭義だとかというのがあるんですか、どういうことなんですか。私どもは、勤務条件の中で、いろいろな勤務条件の中で、その中の一つとして、いわゆる公務災害補償の問題が当然取り上げられなきゃならぬし、あるのだと。その公務災害については条例によって——まだあるとか、もっと広い意味のものがあるとかなんとかじゃなしに、すべてを条例によって、いわゆる補償制度としてつくっていくことが筋だと思っている。しかし、それはまあ筋論はともかく別として、いま言ったように、勤務条件の中の公務災害というものは、私は、ここに書かれてあるもの以外に、どこかにいわゆる公務災害として考えなきゃいけないということがあるかどうかということになってくると、ちょっとあなたの御説明では私は納得できない。もし公務災害だったら、全国これに持ってこなきゃならぬ。これに含ませなきゃならぬ。ここの表現はあるいは十分でないかもしらぬけれども、四十五条の一項が、あるいは狭い範囲しか盛っていないというようなことがかりにあるとしても、もしそうであればそうのようにここで含めてこないと……。ここでやるのと、そのほかにまだ公務災害があるんだぞということは、ちょっと私わかりませんがね。補償の内容じゃないですよ、給付の内容じゃないですよ、それはいろいろ考え方はありますから。災害そのもの、補償されなければならない災害そのものが、地方公務員法の四十五条のほかに、もっと広義のものが別に存在をするんだと、それは条例とか何かでやってもいいんだということは、ちょっと私は、せっかくのお答えですが、理解しかねますね。これは私ども、条例をつくってやっていいということは、ここに取り上げられていることであっても、四十五条の一項によって、こういう法律ができてやってやることによって、給付の内容——給付の内容というと悪いけれども、給付と言ったらいいか、補償と言ったらいいか、補償の内容と申しますか、そういうものが一律に法律できちっとこういうふうにきめられて、これが限度だぞというようなやり方は、私どもはおかしな話だと思うから、そういう内容の面において、もっとこれと違ったものを条例等によってつくり得るのじゃないかということで、せんだってからも長野さんとの間には、そういうことがあったっていいんじゃないかということで、それはよろしいということになっている。そういう意味のものであって、公務災害というのはたくさんあるのだが、そのうちの狭義の、これはここの四十五条の適用によってこの中にあるそれ以外のものが別にまた広義の公務災害というものがあって、それはまた別に条例等によってやっても差しつかえないのだということについては、ちょっと私はその点は考えるわけにいきませんが、これはそうなのですか。
  92. 志村静男

    説明員(志村静男君) まあ、同じことをどうも繰り返すようになりまして、非常に恐縮なんでございますが、地方公務員法の四十五条の第一項におきまして、使用者の補償責任というものを規定しているわけでございます。この四十五条第一項に規定しております使用者としての、地方公共団体補償責任に関する限り、先生のおっしゃいますように、この地方公務員災害補償法規定により補償を行ないますれば免れる、あるいは果たしてしまう。ですから四十五条第一項に関する限り、それで地方公共団体としては義務はもうみんなと負わなくなるのだ、責任は果たしてしまったのだ、こういうことになるわけです。それでそれ以外に全然何もしてはいかぬのかという問題が次に起こってくるわけでございます。そういうことになりますと、その場合問題になりますのは、地方公務員法四十五条第一項の分はすでに済んでいるわけでございますから、四十五条第一項に規定するもの以外のものについてしか問題は起こり得ないわけでございます。そういった意味におきまして、適当なことばではないと思いましたけれども、いわば広義の公務災害補償と申しますか、四十五条第一項に規定する公務災害補償ではないという意味におきまして、広義の公務災害補償的なものと申しますか、そういったことを申し上げたわけであります。
  93. 鈴木壽

    鈴木壽君 補償の責任は確かにあるし、また、災害をこうむった者は受ける権利はあるのですね、だれが何と言おうとも。そういうものはここで問題になるのであって、そういうものに対していま私どもどうのこうのとやっているのですね。そうすると、あなたのおっしゃるようなそれは確かにそれで、ここで済めば、それで責任もなくなる、というのは悪いけれども、責任を果たしたことになるし、こちらの権利もまたそれによって、多少の不満はあるにしても、それでまあいいということになるわけですね。それ以外に何か公務災害ということが、だから、あるやに言われるのですから、それは当然この中の——そうすると、公務災害でもあるけれども、補償されない場合があるということなのですか、この法律で、どうもわけがわからぬな。
  94. 志村静男

    説明員(志村静男君) 地方公務員法四十五条第一項に規定する公務災害補償、これはくどいようでございますが、この法律によるところの補償が行なわれますれば、それでおしまいになるわけでございます。それではそれ以外に——どうも四十五条第一項におきまして公務災害補償ということばを使っておりますので、どうもことばとして一緒になって恐縮でございますが、四十五条第一項に規定する補償責任以外に災害補償あるいは災害補償的なものを一切がっさいやっちゃいかぬという規定はないわけでございます。また、そういったようなことは、地方自治のたてまえから、あるいは地方公務員制度のたてまえからして禁止すべき理屈は私どもないというように考えておるわけでございます。ですから、先ほどから二十四条第六項というのを根拠に申し上げたわけでございますが、その場合も、そこで言いますところの災害補償というのは、四十五条第一項の公務災害補償ではございません。それはもうすでに済んでいるわけでございますから。そういった意味で、それ以外の公務災害補償的なものという意味で広義の公務災害補償と、こういうことを申し上げたわけでございます。
  95. 鈴木壽

    鈴木壽君 そんなもの要らぬな、そんなものは要りませんよ。何のためにこんなものは——必要な補償に関する制度というものをただ法律によってやったのだというだけで、こんなものあったってなくたって、こんな法律できますよ。私はどうもこれは私の一方的な考え方か……。
  96. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 速記をとめてください。   〔速記中止〕
  97. 仲原善一

    委員長仲原善一君) それじゃ速記を起こしてください。
  98. 鈴木壽

    鈴木壽君 ここにある地方公務員法の第四十五条の二項以下の改正によって、特に四項の改正で、補償に関する制度は法律によって定めるものとしたということがあるのだが、これによって地方公務員法の何といいますか、第二十四、二十五の条令でやっていくということについてのそれは失われるものではないということははっきりしていますね。その点ひとつ、それじゃ最後に、何かしり切れトンボみたいに変なことになりましたけれども、大臣ひとつ、じゃ締めくくりでその点を……。
  99. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) お話しのように、第四十五条第一項の、地方公共団体の責任は、この基金の制度ができまして、これでやられれば、その責任は果たされたことになるわけでございます。しかし、そうかといって、この基金制度以外にいかなる給付も行なってはならないという意味ではございません。
  100. 鈴木壽

    鈴木壽君 それから、前にもこれは局長との間で話が、一応結論が出ておりましたけれども、あらためて。そうしますと、もちろん、現在条例をつくって、普通の適用をやっておる団体もありますが、これの失効というようなことはもちろんないと思うし、今後新たに条例をつくってやっていくという団体があっても、それは先ほどからの繰り返しで、当然やれることなんだ、やっても差しつかえないことなんだ、こういうふうに理解してよろしゅうございますね。
  101. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 今回の基金による補償は、現行の各種の災害補償の中で、最高水準とまでは申しませんけれども、相当高い水準のものでございますから、これ以上に付加給付をする必要はないと考えます。しかし、現にやっておられるのは、その沿革もございますから、それを禁止するような措置はいたさないつもりでございます。  それから、今後やるということにつきましては、いま申し上げたような趣旨からいたしまして、行なわないでもらいたいのでございますが、いろいろな特殊事情がありまして、これ以上の付加給付をやろうというようなものにつきまして、これを阻止するつもりはございません。
  102. 鈴木壽

    鈴木壽君 これに関連して、この前も局長との間の質疑応答の中でありましたが、何もことばじりをつかまえて申し上げるつもりはございませんけれども、その中に、今度の補償の内容が最高の線をいっているのだ、こういう話があったのです。しかし、いま大臣もおっしゃっておられるように、現行の各種の災害補償のそれからすれば、一番高いところにそろえてあるということだけは、これは確かにそうだと思います。しかし、これがいわゆる災害補償の最高限の内容をきめたものだというふうに考えて、これ以上はだめだというふうな考え方は私はもちろんないと思いますが、私は最低の一つの基準を示したんじゃないか、こう言ったら、いや最高だと、こう言うのですが、言っていることはわかるような気もいたします。いま言ったように、いろいろ幾つかある。労険法によるもの、災害補償法によるもの、そういうものなんかと比べて、いまの国家公務員災害補償法は、一番程度の高いところで、それにならったのですから、現時点においては、他と比べてはそうだけれども、内容そのものからすれば、これは最高限、これ以上に出てはいけないということでは私はないと思うので、その点はそのように考えて、したがって、今度の新しく条例をつくるとか、あるいは既存の条例の問題なんかも、そういう観点からすれば、扱い方がどうも私心配せざるを得ないようなことも出てくるんじゃないだろうかと思うのですが、その点は大臣はいかがですか。
  103. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) お話しのように、現行の制度の中では一番高いものだと思います。しかし、公務員災害補償がもう、これが最高限であるというような意味にはとっていないわけでございまして、したがって、ただいまお話しのような趣旨に解します。
  104. 鈴木壽

    鈴木壽君 それから、あともう大臣においで願えないでしょうから、さっき松澤委員から大臣にお尋ねがありましたが、審議会の委員として、それから審査会の委員として、ことばは職員代表ということばを私ども使いません。使いませんが、おのおの職員の中で、それこそ学識経験豊かなものについては、委員として入れることに差しつかえがないというふうにお聞きしたんですが、ただ学識経験者として適当な人、適格者として、これは理事長なんかがそういうふうに認定するわけですね、支部長や理事長が。御答弁いただいたように、入れることもあるんだ、適当なものは入れるんだと、こう言っても、結果としてさっぱり入っていない、適当な人がいなかったと、こういう認定のしかたも出てきますね。ですから、いまはっきり条文の中に書けとか加えろとかいうことを言っているんじゃありませんけれども、はっきりそういうものを、一つの答弁技術としての逃げ道でなしに、たてまえは入れるんだというふうなことを、ひとつ大臣おっしゃっていただけませんか。
  105. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 運営審議会のほうは、先ほども松澤さんにお答えしましたように、職員であっても、非常な学識経験を持っている者は入れてよろしいという考え方を持っています。ただ、審査会のほうは、繰り返して申し上げるようでございますが、公平な第三者、専門的な知識を持った公平な第三者という意味から、やはり職員という立場でくるのは、多少でも利害関係があるというような意味で、妥当でないというふうに考えておるわけでございます。
  106. 鈴木壽

    鈴木壽君 前段の運営審議会の委員の問題ですが、適当な人があれば入れる、だから私は心配なのは、入れないで、適当な人がいなかったということになりはしないかという心配なんです。理事長は大臣が任命する人なんですからね。これは理事長たる人に、大臣が、そこをちゃんと念を押さなければ、私も安心できませんね。
  107. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 運営審議会のほうは自治大臣の任命でございます。
  108. 鈴木壽

    鈴木壽君 そうです、間違えました。
  109. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) それで、まあ私もしろうとでございますから、職員の中で非常な知識経験を持っておる者がおるかどうか存じませんけれども、適当なそうした高い知識経験を持っておる者があれば、任命するにやぶさかではございません。
  110. 鈴木壽

    鈴木壽君 時間がありませんが、そうしますと審査会のほうはだめだと、こういうことですね。中央審査会の五人、地方審査会三人ですね。この中央審査会の場合の五人というのは、全部お医者さんとか、いわゆる専門的な知識をもって公正に御判断をする方だけを考えているんですね。
  111. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) そのとおりでございます。
  112. 鈴木壽

    鈴木壽君 地方の場合は、事務所の長がやはり委嘱することになっておりますが、これも三人はお医者さん等のいわゆる専門的な知識を有して、公正なる御判断をもってやられる方ということなんでございますね。
  113. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) そのとおりでございます。
  114. 鈴木壽

    鈴木壽君 問題は、実は私こういうことをしつこく言うのは、公正といっても、いわゆる医学的な立場とか、何かそういうことだけで公務障害の問題が判断され、審査され、それで過ぎるものであればいいんですが、実情公務災害にあった補償がどうかという問題の場合に、必ずしも公正というか、当然公務上の災害と思われるものが、これはだめなんだと、こういう問題で切られてしまう例が従来地方にたくさんありますよ。それはね、何かというと、単に医者、お医者さんなり、専門的な知識を持っている人がその立場で、たとえば勤務中に率中みたいなことでいくと、こいつは従来から心臓悪いやつで、たまたま何かの拍子にきたんだと、これは公務災害の対象じゃないんだと、こういう例があったんですね。  もっと具体的に私言うとね、ある学校の先生で、たまたま運動部の監督でもないが、いずれそんなことをやっておって、そしてその競技会ですか、試合ですか、いずれそういうことで、はずみにぽんといってしまったと、まあ幸い命は助かりましたけれども、あとで非常に不自由なからだで、それが公務災害としてどうのこうの、うんともめたことがあるのですね。学校毎日やって、競技会といったって、学校の競技会じゃないじゃないかとか、いずれ、そういうことがあるのですね。一体、いわゆる公務というものをどう考えるか、業務実態がどうなのか、態様がどうなのか、そういう一つの状況判断といいますかね、そういうことに欠ける場合がずいぶんあるんですよね、と思う。そういう事例がら私思うのですけれども、ですからそういう点からいって、そういう何も病気そのものの診断とか判定とか、そんなことじゃもちろんないが、一つ審査の分野として、そういうことに対して事情がよくわかって、十分それこそミスのない審査をやってもらう。そういうことを主張できるような人をやはり私ほしいと思う。そのためには、もし今回のやつに、三人、五人ということでは入れなかったら、もっとワクをふやして、場合によっては使用者代表というような者も入れる。雇用主も入れるし、いま言ったように、名前は職員代表と言わなくても、職員の中からでも、いま言ったようなことがよくわかって、主張できるような人も入れるというふうに考えていってもらうことが、非常にこれはほんとうにねらう、公正な審査なり、そういうものができると思うし、運営上もいい運営ができると思うのですがね。私、どうもそういうことで、一がいにお医者さんがだめだとか、専門的な者がだめだとか言わないけれども、それはそれなりの公正さで、また、専門的な知識をもって十分に判断をし審査をなさるでしょうが、何か私のほうから見て、欠けるところがあるような感じもするもんですからね。そういう主張を、まあ利益代表といってしまえばそれっきりですが、当然私は利益代表入れても、その人次第できまることでもないのだから、入れるというような考慮があってもいいんじゃないかと思うのですがね。これはさっき松澤先生、もう少し研究問題として、将来の研究問題として投げておかれたようですが、やはりひとつ考えてもらいたいと思いますね。考慮の余地ございませんか。
  115. 仲原善一

    委員長仲原善一君) ちょっと速記をとめてください。   〔午後三時三十六分速記中止〕   〔午後三時五十二分速記開始〕
  116. 仲原善一

    委員長仲原善一君) それじゃ速記を起こして。  他に御質疑はございませんか。——別に御発言もなければ、本案に対する質疑は終了したものと認めます。  本日はこれをもって散会いたします。    午後三時五十三分散会      —————・—————