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1967-05-16 第55回国会 参議院 地方行政委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月十六日(火曜日)    午前十時四十五分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         仲原 善一君     理 事                 林田悠紀夫君                 吉武 恵市君                 松澤 兼人君                 原田  立君     委 員                 小柳 牧衞君                 沢田 一精君                 高橋文五郎君                 津島 文治君                 林田 正治君                 鈴木  壽君                 松本 賢一君                 市川 房枝君    国務大臣        自 治 大 臣  藤枝 泉介君    政府委員        警察庁長官官房        長        浅沼清太郎君        自治政務次官   伊東 隆治君        自治大臣官房長  宮澤  弘君        自治省行政局長  長野 士郎君        自治省財政局長  細郷 道一君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木  武君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方行政改革に関する調査地方公務員災害補償法案内閣提出) ○国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関す  る法律の一部を改正する法律案内閣送付、予  備審査) ○昭和四十二年度における地方公務員等共済組合  法の規定による年金の額の改定等に関する法律  案(内閣送付予備審査)     —————————————
  2. 仲原善一

    委員長仲原善一君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  地方行政改革に関する調査議題といたします。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  3. 松本賢一

    松本賢一君 一、二お尋ねしたいと思うのですが、選挙の問題で、この前、これで読み直してみますと、いろいろおっしゃっておるんですが、この大臣のおことばと直接関係がないかもしれませんが、ちょっと一、二ただしておきたいことがあるんですが、選挙公営の問題ですがね。選挙制度審議会相当数意見として、選挙公営方向に持っていかないで、むしろ党でやるべきだと。それでいわゆる党営といいますか、そういうような意見が相当あって、われわれの意見としては、選挙はもっと大幅に公債でやるべきだと思うのですが、それがむしろ公営という方向がやや方向転換になって、党営というような方向に向かっていっておるんじゃないかと、そういう感じが持たれるんですがね。その点、大臣どういうふうに御観察になっておるか、大臣自身のお考えはどんなことになっているか、お聞きしてみたいと思います。
  4. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 選挙制度審議会は、選挙運動等あり方について政党本位選挙運動を中心にすべきだという、そうした御意見が非常に多いようでございまして、したがって党営と申しますか、政党がなす選挙運動について公営をやるべきというような、こういうニュアンスが強いようでございます。いずれ第五次選挙制度審議会再開をされまして、第一委員会、第二委員会、第三委員会が開催されるわけでございまして、そこでまたその問題が取り上げられると思います。  私といたしましては、現在の選挙制度の中におきましては、やはり公営として取り上げられるべきものは取り上げていかなければならないのではないかということでございますが、さらに選挙制度そのものが、いま選挙制度審議会でいわれているように、政党本位選挙運動になれば、その政党本位選挙運動そのものを相当大幅に公営に取り上げていく、こういう方向ではないかと存じております。
  5. 松本賢一

    松本賢一君 そうすると、現在では政党本位というよりも、むしろ個人本位公営が行なわれているわけですね。そうすると、たとえば、おとついですかの予算委員会大臣が御答弁になっておったと思うのですが、テレビの利用などの問題ですが、これなんかも現在では経歴放送だけ、個人の、全候補者についての経歴放送だけテレビでやっておるわけですね。これを大幅にテレビ演説ができるように公営の幅を広げてもらいたいと、われわれは思うわけです。そういう場合に、政党本位運動ということに非常に重点が置かれてくると、政党にはたくさんの時間をさくけれども、個人にはほとんどそういう機会は与えられないといったようなことが出てくるのじゃないかと、テレビ放送というのは非常に時間に制約されますから。そういうようなことについて、大臣のお考えはどうでしょうか。
  6. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 選挙運動テレビを利用するということは、これはぜひ私は実現いたしたいと念願しているほうでございます。もちろん、放送局関係等、郵政省とも十分連絡をとらなければいけませんけれども、そういうあり方にしたい。したがって、現在の選挙制度のもとにおいては、やはり個人演説等テレビに取り入れられていくというようなことが望ましいんではないかと考えております。もっとも、いま御心配のような政党本位になると個人が利用できなくなるんではないかというような御心配もあろうかと思いますが、現在の選挙制度において、私はやはり個人演説等が、時間等に制約はあろうと思いますが、何とか取り入れるような方向で御審議をいただきたいと考えております。
  7. 松本賢一

    松本賢一君 大臣、そういう意見をお持ちなのは私賛成なんですが、こういうことは、実はもう三、四年前のことだと思いますが、当時の自治大臣——篠田自治大臣のときに、私がテレビの問題で質問したことがあるのです。そのころ、まだテレビ全然選挙には使っていなかったころでした。そのときに私がテレビを利用したらということに、大臣は賛成してもらったわけなんです。それが直接の動機であったのかどうかは知りませんが、その後間もなくテレビ経歴放送がされるようになったのですが、その際に、当時の選挙局長は非常に難色を示しておったんですね、その答弁の中で。テレビというものは、いまの技術上、全般に放送が行きわたるということはなかなかむずかしいから、テレビでせっかくやっても、ちぐはぐなものになるというようなことで難色を示されておったわけです。ところが、結果的には経歴放送が取り上げられたということは、私は、これはその間の事情は知りませんけれども、私がかってに想像すれば、大臣が相当思い切って無理押しをしたという感じがするのですね。私はこれは非常にいいことだと思うので、今後もおそらく事務当局のほうからは——選挙局長笑っておられるが、その面でどういう意見が出てくるかわかりませんけれども、こういうことについてはこういう難点もある、ここらがどうもいかぬといったような意見が必ず出てくると思うのですね。ですから、こういうことはひとつ国民は非常に要望しているのですから、候補者が茶の間に顔をあらわすということを非常に要望しているわけですので、こういう点は、大臣ひとつ思い切って、審議会なんか、それはけっこうなことなんですが、審議会意見なんか出る前にでも、ぱっとおやりになるというような勢いをひとつ示してもらいたいと思うんですよ。そういう点どうです。
  8. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) お話のように、個人演説放送するというようなことになりますと、その時間をどうとるとか、あるいは時間によって非常に有利、不利があるとか、あるいは場合によって停電した場合にはどうなるんだとか、そういうような技術的な問題はいろいろあろうかと思います。しかし、方向としては、やはりテレビ選挙運動に利用するということは、もう現在のテレビ普及度からいいましても、その方向だと思います。ただ、せっかくいま選挙運動方法等についても、審議会が熱心にこれから御審議いただくということでございますので、審議会にも十分御審議をいただいて、その方向が実現しまするように努力をいたしたいと考えております。
  9. 松本賢一

    松本賢一君 それはまあ大臣、非常に慎重な御答弁をなさるのですがね。こういうことはある程度憎まれ者になって思い切ってやらぬと、なかなか進まぬものでして、そういう点、憎まれ者になってもらいたいということを私は言いたいのですよ。それは結局国民が喜ぶのですから、それを。ですからね、そういう点はあまりに慎重でなく、いいことはなるべく早くやるということで、いまの私は何も個人の問題ばかりじゃない。政党の問題も、政党テレビで大いに宣伝するということも、十分にこれはやはりやっていただきたいと思うわけなんです。そういう点で今日の、やれ戸別訪問だ、やれ連呼だなんといって、いろいろいいだ悪いだという問題はありますけれども、私はもうテレビで大幅に選挙運動ができるとするならば、そういう問題はおのずから解消されてくると思うのですよ。そういう点で、この問題はもう一番、現在の選挙運動には最も重点を置いて考えていただきたいと思うわけなんですよ。もう一ぺんひとつそれに対して大臣の気がまえを聞いてみたいと思っております。
  10. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 実は選挙運動テレビを利用することにつきましては、郵政大臣も非常に積極的に乗り気でございます。もちろん、御承知のように関東地帯なとだととういうふうに——各県に局がございませんので、その辺がいろいろ問題はあろうかと思いますが、十分郵政当局とも相談の上、その方向の実現に努力をいたしたいと考えております。
  11. 松本賢一

    松本賢一君 それじゃ選挙の問題、それで打ち切ります。  もう一つ道路交通の問題でお尋ねしてみたいと思うのですがね。道路交通法改正案が今度出ることになっておるようなんですが、それはどんなものか、まだ知りませんけれども、新聞等で見るところによると、非常に厳罰主義がとられるらしいですね、今度の取り締まる方向として。それで私は、法案のこまかい点については何もあれしませんが、厳罰主義で臨めという国民の声があることは事実だと思うのですけれども、これは軽々にそういうものの考え方になるべきじゃないと私は思います。それよりも、むしろいま現在の自動車というものの、どういいますか、走らせ方、あるいは現在の交通全体に対する国民の認識というものが、どこかこうピントがはずれているところがあるために、いろいろなトラブルが起こっているのじゃないかという気がするのです。そういう点をむしろもっと掘り下げて研究をして、そうしてまあ指導というか、指導ということばはきらいですけれども、指導というかね、そういう面に重点を置いて、ただ国民の憤激を買う場合が多いからといって、それを直ちに厳罰主義をとられるという、そういう方向はどうかと思うのですが、そういう点、どうですか。
  12. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 実は本日の閣議で道交法改正提出を決定いたしたわけでございますが、今度の道交法改正そのものは、いまお話のような厳罰主義といいますか、罰則の強化というようなことではございません。たとえば横断歩道における追い抜きの禁止をするとか、あるいは雇い主の責任を明確にするとか、それともう一つは、非常に軽微な違反につきまして例の反則金という制度で、むしろ一億総前科というようなことを避けようとする、そういうことでございまして、お話のように、いたずらに厳罰主義をやるよりも、交通事故の原因になるような交通違反について、十分あらかじめ注意していくというような方向でやっていくことが必要だと思います。  もっとも一方刑法のほうの改正で、いまの、ことに交通事故を起こして死傷せしめたというような場合の罰則を弧化するというのが、法務省のほうから刑法改正で出ておることは出ておるわけでございますけれども、今回の道交法のほうには厳罰主義とか、そういう考え方は入っておりません。
  13. 松本賢一

    松本賢一君 じゃ、まあ法案の出てくるのを待ちたいと思うのですが、現在、警察取り締まりをやるのに、私もよく自動車に乗って走りますが、何といいますか、指導ということをほとんどやらないのですね。そして、ただ違反を取り上げるということにきゅうきゅうとしているような感じがするのですね。ですから、たとえばスピードを取り締まる場合に、陰に隠れて見ておって、何か無線か何かで通知し合って、そして比較的車の少ないところで、スピードを出してもあまり危険がないようなところで、スピードを出したからといってそれをつかまえたり、どうもやっていることが——そういうことよりも、むしろスピードを出したらほんとうに危険だということをのみ込ませる指導ということ、それから、せっかく二、三年前に左側通行になって、キープ・レフトとかという原則を法律的にきめてやっているにもかかわらず、そういうことに対する指導というものをほとんどやらないで、それで危険な左側からの追い越しは盛んにやって、それをちっとも注意しない。にもかかわらず、一方、何かもの陰に隠れていてふんづかまえるというようなことは盛んにどうもおやりになるようなんですが、こういう点について、これは中央の方針として、やっぱり地方に対してもっとはっきりと、ほんとう取り締まりと  いうよりも指導ということに重点を置くようにやってもらいたいと思うのですが、そういう点、どうですか。
  14. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 確かにお話のとおりでございまして、あるいはそういう不意打ちの取り締まりなどがお目についたのかと存じますが、基本的にはやはり注意を促して、違反をしないようにする、それが根本的な考え方だと思います。今後もそういう方向でやってまいりたいと思います。ただ、そのために悪質な違反等を見のがしてはなりませんので、それはもちろん厳重な取り締まりはいたしますけれども、基本的な考え方としては、やはり注意を促して、違反をなくさせるということが前提だと存じております。
  15. 松本賢一

    松本賢一君 そのお考え、まあ私の申し上げたことに賛成していただいたような御答弁なんですが、それについて具体的にどういうふうな方法をおとりになられるか、その点どうなんですか。
  16. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) これは常に交通関係の者なども、全国のその担当官を集めていろいろ注意をいたしたり、取り締まり方法などを指示をいたしておりますから、そういうあらゆる機会をとらえましてやってまいりたいと思います。  それから、先走った言い方をしては申しわけないんですが、もしも道交法改正が国会で御審議をいただき、可決していただきますならば、反則金制度という新しい制度ができますので、それについては、十分やはりいまお話の要点を考えながらやらなければなりませんので、これらもあわせて十分注意してまいりたいと思います。
  17. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 本件に関する午前中の調査はこの程度にいたしたいと存じます。午後時間を見て、本件についてまた続行いたしたいと考えます。     —————————————
  18. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 次に、地方公務員災害補償法案議題といたします。  質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  19. 松澤兼人

    松澤兼人君 ちょっとこの前、補足説明を承りまして、大体法案内容につきまして、一応了承を得たわけですけれども、実際上の数字などに基づきまして、さらに御説明をいただきたいと思うのですけれども、地方公務員一般職、それから船員現業とか、あるいは特別職、つまり地方公務員補償対象になる職員——職員ともいえないわけですが、地方公務員の実際の数字、ちょっとお知らせ願いたいと思います。
  20. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) お手元にお配りをいたしました縦長の長い資料がございますが、その詳しい資料もそこに入っておりますが、五一ページをお開き願いますと、「公務災害補償制度別適用職員数」といいますか、そういう表が一応掲げてございます。その表は、昭利四十年の四月一日現在の表でございます。現在とは多少数字が動いておりますが、これによってごらんいただきますと、現在のところでは、労働基準法適用関係、それから労働者災害補償保険法適用関係船員法関係と、こういうふうに分かれておりまして、労働基準法非現業職員でございます。それから労働者災害補償保険法のほうは、主として現業職員、それから船員というふうになっております。府県で申しますと、百四十三万四千七百六十四人、六大市でそれらを合わせまして、十六万二千二百十五、市が五十四万四千九百十、町村三十万一千六百三十五、一部事務組合が一万九千三百十二、合計いたしまして、二百四十六万二千八百三十六人、こういうことになっておるのでございます。  人員はいまのところそういうことでございますが、それからその一ページを開いていただきまして、一ページには、昭和三十九年度の職員区分別団体地方公務員災害補償実施状況という表が、一ページと二ページにわたっておりますが、これを見ていただきますと、ちょっとごちゃごちゃしておりますが、二ページの一番おしまいの欄、合計欄というのを見ていただきますと、職員数にいたしまして、数字がちょっと違っておりますが、これは実態調査の結果でありまして、二百四十一万一千五百十一人、そうして補償件数が四万件、これはabcの欄の三段目の一番下を見ていただきますと四万件でございます。それから補償金額、それぞれ適用の一区分がございますが、補償金額が十二億四千百万円というのがございまして、そうしてその次に療養補償休業補償、それぞれの補償の内訳がお示ししてあるわけでございます。  概括いたしますと、いま申し上げましたように二百四十万人ぐらいの職員数におきまして、そうして補償件数は大体いままでのところでありますと一年に四万件ぐらいございまして、そうして補償実施をいたしました額は十二億程度になっておる、こういう形でございます。
  21. 松澤兼人

    松澤兼人君 この数字の中には、常勤的非常勤といいますか、そういう人も入っておりますか。
  22. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 入っております。
  23. 松澤兼人

    松澤兼人君 その表はこのうしろに、さっき御説明のありました五一ページの備考の欄ですか、常勤一般職地方公務員の数は二百二十三万ですか、という数がありますけれども、常勤一般職地方公務員の中に常勤的非常勤が含まれているということですね。
  24. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) そのとおりでございまして、この五一ページの表の中の二百四十六万人というのは、常勤的非常勤を含んでおります。
  25. 松澤兼人

    松澤兼人君 常勤的非常勤の数は取り出すとどのくらいになりますか。
  26. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 正確な数は時点によってあれでございますが、大体三万ないし五万人というふうになっておるように思っております。
  27. 松澤兼人

    松澤兼人君 今度は特別職にも適用するような、この法律直接か、あるいはこの法律に準じた条例ですか、をつくるということになっているようですけれども、特別職の数というのはどのくらいですか。
  28. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 特別職は、四十一年の四月一日現在におきまして、議員が八万二百二十二人、行政委員会委員が十二万一千八百九十五人、それから付属機関委員が十三万一千九百六十八人、そのほかに統計調査員指定統計調査員等三十二万人、民生委員十二万九千七百九十三人、母子相談員婦人相談員などが千三百三十六人、四十一年の四月一日現在の調査でございますが、大体そういうところでございまして、合計いたしまして七十八万五千二百十四人でございますが、そのほかに臨時アルバイトでございますとか、そういう臨時に雇用されておる者がありますが、これはどうも把握が困難でございまして、そのときそのときで変わっておりますので、大体いま申し上げましたようなところが把握できる特別職の数だと考えております。
  29. 松澤兼人

    松澤兼人君 たとえば清掃業務のような仕事で、人を市が借り上げて、車に臨時にその日その日で日雇い労働者のような人たちを乗せてごみをとって歩く、まあ契約清掃業務に従事しておる人々、こういう人は全然もう適用外ですか。それとも、いまお話のありましたアルバイトというような形の中に入りますか。
  30. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) この法律は、この前も御説明申し上げましたが、そういう人でございましても、いわゆる常勤的な非常勤職員でありますと、これはもちろん基金対象になるわけでございます。それから現業関係で完全な、完全と申しますか、非常勤でありますと、これは労災法適用になる、こういうことになってまいります。
  31. 松澤兼人

    松澤兼人君 もう一度確かめますけれども、契約清掃業務を請け負っている会社なりあるいは団体なり、そういうもののところで日雇いされている人は適用外ですか。
  32. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 請負関係に立っておる場合に、その請負業者臨時に雇われているような人は、これは完全ではございませんので、そういう人は一般労働関係雇用関係に立つというわけでございますから、労災法適用がある、そういう労働者ということになると思います。
  33. 松澤兼人

    松澤兼人君 まあ仕事自身からいえば、市が当然やらなければならない、清掃業務というのは性質の仕事なんですけれども、契約とか請負とか、そういう形になっておりますから、職員身分の点からいえば、もちろん職員でないことはわかっておる。仕事の上からいえば市の仕事だというべきなんですよ。契約あるいは請負というような仕事で、市の固有仕事である清掃業務に従事している会社団体の使用人というものは、適用外ですね。
  34. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 確かにお話のような関係仕事は、市の固有業務であるということは、そのとおりでございますが、結局、この地方公務員公務災害という関係では、雇用関係におきまして、公務員であるかどうかということが、一つ適用になるかならないかという区分でございますから、請負業者が雇っておるというような関係でございますと、それはこの範囲には入らないということにならざるを得ないと思います。
  35. 松澤兼人

    松澤兼人君 小さな都市などでは、従来から市の固有仕事として清掃とか、あるいはし尿のくみ取りとか、そういうことを市自身がやる。だけれどもだんだんといろいろ市の財政がぐあいが悪いとかなんとかいうことで、市の仕事から切り離してしまって、そういうものを請負なりあるいは民間の会社に委託をして、市の仕事でなくしてしまうという傾向があちこちに見えているようなんですけれども、そういうふうに切り離されてしまったら、つまり身分を失ってしまったら、この適用外だということになるわけですか。
  36. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) お話のとおり適用外になると思います。
  37. 松澤兼人

    松澤兼人君 その問題またあれです。じゃ、地方公務員災害補償基金というものが別にできるわけですが、その収支見込みといったようなものは、どんなことになっておりますか。
  38. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 先ほど御説明申し上げましたものの中で、いままでの公務災害関係におきましては、労働基準法労災保険法適用による場合には大体、統計少し古うございますけれども、四万件ぐらいで十二億ぐらいということを申し上げましたが、この公務災害補償で、四十二年度で推計いたしますと、補償基準補償内容も上がっておりますので、大体十六億程度規模になりはしないかと考えておりますが、その掛け金等につきましては、この前も申し上げましたように、一般職でありますとか、あるいは公営企業職員でありますとか、警察、教育というふうな職種ごとに従来の実績等を勘案いたしまして、掛け金率といいますか、負担金の率を定めまして考えていきたいと思っておりますが、従来のような傾向から推計いたしますと、いま申し上げましたように十六億程度のことになるだろうと思います。ただ、その中に、ほとんどがそういう公務災害補償でございますけれども、この中に規定しておりますような、いわゆる福祉業務とか、それからわずかの事務費というようなものも、もちろんその中に予定をいたすことになりますが、大体その程度規模になると考えております。
  39. 松澤兼人

    松澤兼人君 そうすると、出ていく金は大体十六億ぐらい、それから地方公共団体ですか、分担金、負担金というものを徴収するわけですが、その金額がやはり十六億ということですか。
  40. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) そのとおりでございまして、出すために入れるわけでございますから、大体そういうことを予定して考えますが、当初でございますので、多少試算で出入りはあるかと思いますが、私どものいままでの見通しでは約十六億程度のことになるんじゃないかと考えております。
  41. 松澤兼人

    松澤兼人君 この基金にはあれなんですか、基金が新しくできると、それには何かはかの団体で財産を持っている、その財産が新しいその基金に、何か移譲されるとか、移管されるとかという、そういうどっかに財産があるというようなことは全然ないんですか。
  42. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 現在地方団体ごとに、たとえばこの基金考えておりますような福祉業務というようなものを行なっているところがあるとすれば、多少あるかもしれませんが、しかし、これは公務災害補償というかっこうで行なっているといいますよりは、職員の安全とか衛生とか、あるいは厚生事業として行なっているという面が多いわけでございますから、新しくそれをこっちへ持ってくるというわけにはまいりませんので、基金としては、どこからももらってくるものは予定いたしておりません。
  43. 松澤兼人

    松澤兼人君 かりにもし大きな都市で、そういう地方公務員の福祉施設といいますか、あるいは公務災害上療養施設なり、あるいは復帰の施設などでありましても、それはそれで、基金に取り込むという考えは全然ありませんか。
  44. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 基金にそれを持ってくるという考えはございません。
  45. 松澤兼人

    松澤兼人君 それからそれに関連して、いろいろ年金の中にも種類があるようですけれども、特に心配になりますのは、交通災害などによる後遺症などの問題が最近新聞で非常にやかましく言われているようですが、事故の発生した当時にははっきりわからなかったけれども、それが一年、二年あるいは三年たった後においてそういう症状が出てきたというようなケースがよくあるようですけれども、そういうものに対しましては、何かこの基金がめん、どうを見るということがあるわけですか。
  46. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) いわゆる交通事故等でけがをいたしました場合に、療養が必要になりますが、公務上の災害でありますというと、これは療養補償ということになるわけでございますけれども、その後に後遺症が残りまして、その人の能力というか、そういうものに障害を与えるということでありますと、その場合には障害補償、これは程度によりまして年金と一時金との差はございますけれども、そういう障害補償が支給されるということに相なります。
  47. 松澤兼人

    松澤兼人君 指がなくなったとか、あるいは片腕がなくなったとかいうようなことは、これは現実に見ればすぐわかることなんですけれども、頭の中の故障とかいうことで、年がたってからそういう症状が出てきたというような場合には、何か補償の条文というものがありますか。
  48. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 災害補償におきましては、公務上の災害によりまして障害を受けたということが、いわゆる何といいますか、相当因果関係と申しますか、そういう因果関係がはっきりするものであれば、時間がたってそういう障害があとで起きましても、それは障害補償対象になるわけでございます。
  49. 松澤兼人

    松澤兼人君 具体的に条文はどういう条文から、そういう将来の発生した後遺症的な身体障害というものに対して補償ができるかと、条文によって。こういう条文のこういう文句からこれができるんだということをはっきり御説明願います。
  50. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 具体的な条文と申しますと、それはこの法案の二十九条の「障害補償」ということにならざるを得ないわけでありまして、この障害補償は、身体に一または二以上の障害が残ったことによりまして、労働能力の喪失を来たしました場合にそれを補償することを目的としておるわけでございますので、したがいまして、その障害が存在する期間は、このそれぞれの別表の等級に応じまして補償する。要するにこの災害補償は、障害が起きました場合に、その障害の存続する期間補償を要する人に補償するということをたてまえといたしておりますから、いまお話しのような場合には、その規定に、いまお話しのようなこと、ばがそのままここにびたっと書いてはおりませんけれども、解釈上当然そういうように考えるべきだということになっております。
  51. 松澤兼人

    松澤兼人君 継続して存在しているという場合には、もちろんこの条文のとおりだろうと思う。まあ診察あるいは治療の関係上、これでもうすっかり手を尽くしたのだといって、その補償対象たる事故が中断することがあるわけです。それが何年かたって、三年なら三年たって、またどこかに故障が出てきたという場合、継続してない、存続していない、突然何年かたってからそういう症状が出てきたという場合、これもしかし因果関係ということを証明できれば、当然公務上受けた災害によって補償されるということは考えられますけれども、中断した期間、それからその因果関係というもの、その証明あるいは立証、挙証ということがどういうことになりますか。
  52. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 初め何にもなくてあとであらわれるというような場合が、先生のお話の一番むずかしい場合だと思いますが、初め障害かありまして、それからその程度がだんだん重くなってきたというような場合もあるわけでございます。初め障害があって重くなってきたという場合には、二十九条の六号などにおきまして、障害の程度に変更があったから、別表中の該当事項が変わっていくということは予定をして書いて、おりますが、初め何にもあらわれなくて、途中であらわれてきたというような場合は、ここには直接は書いておりませんけれども、しかしながら、それが公務上の事故によりまして、それでそれがある時間をおいてあらわれてきたということがはっきりすれば、当然補償対象になることは、これは疑いありません。ただその場合に、お話のとおり、現在の別表などの書き方も、実はこれは労災も国家公務員災害補償も同じ書き方をしておりますが、これが非常に古いと申しますか、多少いまのようなお話交通事故なんかの場合に、十分適合しないということは言われておるようでございまして、関係機関で研究、検討がされておるようでございますが、何せ医学上のいろんな問題を研究をしなければいかぬそうでございまして、多少時間がかかるようでございますけれども、確かにそういうことを、医学の研究の成果に応じまして、そういうものがはっきりとつかまえられるように次第になってくるだろうと思いますが、私どものほうにおきましても、そういう実際の扱いに応じて、必ずしも別表の中にない場合も出てくるようでございます。そういうものも、従来関係の機関では医学的な研究の成果等を取り入れまして、別表にあらわれないでも、同程度のものというような扱いをしておるようでございます。そういう場合のケースにおきましては、この公務災害補償の運営も同じようにいたしたい、こう考えております。
  53. 松澤兼人

    松澤兼人君 そういう、何というか、後遺症といいますか、事故があって、それが回復した、健康状態になった、それから何年かおいて、どっかに故障が出てきたという場合。それから自動車にかりにちょっとかすれた程度であったけれども、そのときには痛みも何も少しも感じない。しかし、あとでどうも腕が痛いからレントゲンやいろいろやってみたところが、どうも骨折があるとか、あるいは何とか、そういう事故があるようだということを証明するのに、この場合は地方公務員ですけれども、その人があちらの病院、こちらの病院というふうに診療してもらって、そうしてその結果、それはそういう自動車にぶつかったのなら、それが原因かもしれない。三人なり四人なりのお医者さんに全部見てもらって、そうして因果関係というものを医学的に結びつけてもらうという、その立証あるいは挙証の責任というものを、一切地方公務員に負わせてしまうということは、相当これは金も要ることじゃないかと思います。そういう点をもう少し条文か何かの中にはっきりうたうべきじゃないかと思うのですけれども、いまの考え方じゃそこまでいっていないことはよくわかるのです。運用の面でやっていただくということならば、それでもいいと思いますけれども、もう少しはっきりすべきじゃないかという、私はそういう考えを持っているのです。
  54. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 障害の関係についてのまあ探求という問題は、もう先生のお話のように、医学的な診断なり認定なりというものが最も根本的な力になるわけでございますから、そういいことの探求のためには、まあ任命権者のほうにおきましても、もちろんそういう協力をするようなしかたというものを考えていかなければならないと思います。  それからまた同時に、そういうことをいたしますと、非常に金がかかるじゃないかというお話でございますけれども、それはもちろん金、必要な経費というものは相当かかると思いますが、まあそのためには、やはりいわゆる共済関係の医療給付でございますか、そういうものを利用することによって、極力本人の負担が少なくなるようにしていかなくてはならない、こう考えております。
  55. 松澤兼人

    松澤兼人君 まあ共済関係というお話が出ましたけれども、かりにあとになってからそういう故障が起こったという場合に、三人なり、まあこれは個人のお医者さんなり、あるいは病院等において診察してもらって、因果関係がわかった。だからして当然この災害補償法の適用を受ける資格があるというふうにわかった場合には、それを立証するに必要であった経費というものは、どっかで見てくれますか。
  56. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) そのとおりでございまして、公務災害補償に該当するというようなことがはっきり出てまいりますというと、それに必要な経費、療養に要した経費とか、その後の障害はもちろんでございますけれども、療養に要した経費等は補償されることに相なります。
  57. 松澤兼人

    松澤兼人君 くどいようですけれども、療養に要した費用でなくて、まあ診察、診断、そういうものに要した費用も、やはり基金においてめんどうを見てくれるのですか。
  58. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) そのとおりでございます。最終的に公務上の災害ということがわかれば、そのために最初に要した診察料も補償される、こういうことになっております。
  59. 松澤兼人

    松澤兼人君 それでは問題を変えまして、基金の執行機関という問題ですけれども、少数の執行機関、役職員を置くということになっております。大体いまお考えのところでは、どのような構成になっておりますか。
  60. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 基金につきましては、第八条におきまして「理事長、理事若干人及び監事一人を置く」ということになっております。それから第十一条におきまして「運営・審議会を置く」ということになっておりますが、そこで、理事長とか理事、それから本部と申しますか、そういうところには、補償なり審査なり、あるいはそういうものを総括いたしますところの分担の組織を置く必要があるだろうと思っておりますが、大体職員の数にいたしますと、二十人程度のもので足りるのじゃないだろうかと考えております。それで、主として都道府県の支部、あるいは指定都市の支部というものに実際の業務は行なってもらうということになっておりまして、地方団体職員——都道府県や指定都市の職員を、実際は基金業務に従事をしてもらうというかっこうにいたしたいと思っております。これは自分のほうの仕事と多少——府県て申しますと、市町村の公務災害関係仕事もいたさなければならぬわけでございますから、これは公務上の性質から言って、そういう協力をひとつやってもらうというかっこうで考えていきたい。そこで、そういうことを考えますというと、一府県におきまして雇用の職員はほとんど考えておりませんが、それに従事する職員としては、まあ府県の大小にもよりますけれども、二、三人ないし四、五人の人にそういう事務に従事をしてもらいたいというふうに予定いたしております。
  61. 松澤兼人

    松澤兼人君 府県の大小にもよることですけれども、一府県に二、三人ということで、そうしますと、六大市も同様ですか、大体そんな人数ですか。
  62. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) いま申し落としましたが、六大市といいますか、指定都市も大体同じくらいな人数が要ると思っております。
  63. 松澤兼人

    松澤兼人君 そうしますと、たとえば六大市の場合、二、三人の人がこの地方公務員災害補償仕事に従事するという場合は、身分は市の職員ですか。
  64. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) そのとおりでございます。身分は市の職員でございます。
  65. 松澤兼人

    松澤兼人君 給与も市から出すことになりますか。
  66. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) そのとおりでございまして、この法案の十三条におきまして、「地方公共団体の機関は、基金の運営に必要な範囲内において、その所属の職員その他地方公共団体に使用される者をして基金業務に従事させることができる。」、こういう規定を置きましたのは、身分も市の職員、給与も市の職員で、公務災害基金業務を行なうということにいたしたいと考えておるからでございます。
  67. 松澤兼人

    松澤兼人君 実際いまでも市の職員の公務上の災害等につきましては、二、三人ぐらいの人ではないと思うんですけれども、二、三人ぐらいの人で大きな市の職員公務災害というものを全部めんどう見ることできますか。
  68. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 実際に職員身分を扱っておりましたり、給与関係に従事しておりましたりしております係の人たちが、相当いろいろな意味で関与しておりますことは、これはもうそのとおりでございまして、相当な数の人がかかっておることと思っております。たとえば市で申しますと、各部局がございますが、部局にばいわゆる人事管理担当者という者がおりまして、そういう人の手にかかることも当然でございます。それからまた、公営企業関係などに参りますというと、非常に事故が多いわけでございますから、そういう意味で、そういう関係の人が公務災害関係にも従事するということは当然でございますけれども、それはまあ一種の、災害の要求する側のほうと認定する側のほうと両方でございますから、支部というほうは、それに専門的にかかり切って、いわゆる基金業務として認定と給付を行なうという関係のことで、専門的にほとんどあげてかかり切るということになれば、その程度の人じゃないか。しかし、自分の局、たとえば交通局なら交通局で事故が起きたと、それをそこの支部の関係のところまで整理した資料を整えたりして持っていく、本人はもちろん、それからそれの労務管理をしておる担当の人も当然出てくるわけでございます。そういう者まで含めますと、相当な数にもちろんなると思いますが、実際の支部として、そういうものを受け付けまして、認定をしたり給付をしたりするという専門的な、そして専心して業務に従事するということを考えますと、そういう人たちは二、三人あるいは四、五人になるかもしれませんが、その程度のことでいけるんじゃないだろうかと考えております。
  69. 松澤兼人

    松澤兼人君 そうしますと、支部の地方公務員災害補償の事務を担当する人は、いま、二、三人あるいは四、五人というおことばがありましたけれども、それは、下から出てくる書類を審査したり、補償したりするというそれだけの仕事ですか。どういう仕事を予想されておりますか。
  70. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 支部も本部も同じでございますが、災害補償のケースにまず第一にはまるか、はまらないかという認定でございます。それから、まあ、公務災害だということでありますというと、どういう災害の種類に合っておって、それに対してどういう補償——実際に給付をするということを中心にいたしております。もちろんその認定をいたします場合に、実際実地にあたって調査をするとか、あるいは関係者の話を聞くとかというようなことも必要な場合もあるかと思います。これはまあケースによってそれぞれ違うわけでございますが、主として支部なり本部で行ないますことは、そういう意味での公務災害補償の認定と給付ということに相なるわけでございます。それぞれの支部によりまして、実情に即して事務をとってもらうというかっこうにいたしたいと思っておりますけれども、主としての内容はそういうことになっております。
  71. 松澤兼人

    松澤兼人君 そうしますと、指定市なら指定市の支部、その管轄の中で起こった災害補償対象に対する補償額とか年金とか、そういうものを決定するのは、もう本部に承認は得ないでも、そこだけで何もかもやってしまえるのですか。
  72. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 通常の場合は、災害補償も、いまの労災関係とか国家公務員災害補償とか、いろいろ実施いたしております結果、大体の基準なり認定のしかたというものについては、おおむね一つのスタンダードといいますか、ものさしが相当はっきりしたものができておりますから、そういう場合は当然支部だけでやっていいと思います。ただ、非常に異例な場合と申しますか、どちらに触れ合うかわからないというような疑問のような場合が起きてまいりますが、そういうような場合には、本部というものとの関係において相談しながらといいますか、そういうことで、相談をし、打ち合わせをした上で認定なり給付なりをする、こういうことに相なろうかと思います。
  73. 松澤兼人

    松澤兼人君 それじゃ、だいぶ時間もたちましたから……。  運営審議会の問題なんですが、これは本部と支部にそれぞれできるようになっておりますけれども、その構成は、地方公共団体の代表者、それから学識経験者ということになっております。本部の場合は委員十二人以内で組織するということになっておりますが、支部の場合には、地方公共団体の代表者というのは市長ですか。
  74. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 運営審議会と申しますのは、これは基金にだけ置くことにしておりまして、支部には置くことにいたしておりません。ですから、おっしゃいますのは、審査会のことかもしれないという気もいたしますが、審査会は、本部の審査会と支部の審査会を置きまして、不服の申し立ての審査等を行なうようにいたしたいと考えております。
  75. 松澤兼人

    松澤兼人君 本部の運営審議会のほうは、地方公共団体の代表者ということでここに例示してありますけれども、学識経験者ということで、地方公共団体の代表者以外に、これに委員として加わることができるようになっておりますけれども、これはどういう人を予想しておられるわけですか。
  76. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 基金の運営審議会は、基金と申しますものが、地方団体が行なう公務災害補償地方団体にかわって行なう。この法律に規定をいたしましたところの災害補償の種類とか内容につきましては、地方団体にかわって行なうということになっておりまして、したがいまして、地方団体の機関の代表者を加えまして、基金の運営の基本的な事項の審議に参画してもらうという形をとったほうが適当であろうということでいたしておるわけであります。学識経験者は、運営の公正を期するといいますか、あるいはそれと同時に、こういう公務災害関係基金でございますので、ある種のそういう意味での知識経験の深い人も加えまして、運営の良好な結果をもたらすようにいたしたい、目的を果たすようにいたしたいということで、学識経験者を加えるということにいたしておるわけでございます。
  77. 松澤兼人

    松澤兼人君 これは学識といえば自治問題とか、あるいは地方行政に詳しい大学の先生ということが考えられますけれども、経験者としては、職員などの意見を聞く必要もあると思うのですが、そういう職員側の、職員としての経験のある人、そういう人もやはり経験者として運営審議会に加わることができるというお考えですか。
  78. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) この学識経験者は、学者というお話もございましたが、運営審議会自身は、基金の事業計画でありますとか、予算、決算、あるいは定款とか、そういう運営の基本に関する事項でございますから、特にそれほどのことはないということも考えられますが、公務災害の認定とか、補償給付というものについては、非常にある意味の医学的な知識と申しますか、専門的な知識というようなものも非常に要求をされるわけでございますので、そういう災害補償という関係、あるいは公務上の認定関係というようなものについての学識経験者というような者も、ぜひ加えなければならないというようなことで考えておりますが、もちろん、そういう人として適当な人で、公務も知っておる、そういう知識も持っておるというような人があることが、一番望ましいわけであります。そういう中で職員に適任者があれば、職員はこの中に入らないという必要はいささかもないと考えております。
  79. 松澤兼人

    松澤兼人君 なるほど、医学的とか、あるいはそういう公務災害それ自体の、医学的な権威者が入るということは必要だと思いますけれども、しかし同時に、これはまた職員の権利といいますか、あるいは生活にかかわる問題なんですから、やはりそういう職員の経験があるとか、あるいは職員であるとかいうような人が、そういう基金の運営に参加するということは、当然のことじゃないですか。単にこれは災害の問題だけだから、お医者さんを入れればいいのだということにはならないと思うのですが、どうですか。
  80. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) この運営審議会は、基金の運営と申しますものの中心は、何と申しましても、公務災害の認定と給付というものを中心にして運営をされるわけでございます。そういう意味では、ある種の専門的な知識というものが運営審議会の中にも加えられまして、基金そのもののあり方というものについての一つの基本の指針を下していくということが、これは不可欠のことだと考えておるわけでございます。また公務災害につきましては、そういう意味で非常に客観的な公正さというものを強く要求されるわけでございますから、そういう意味での関係から、特に学識経験者を入れるということを考えたわけでございます。お話しのように、そういうものを、公務員の権利を守るんだからということの意味合いも含めて考えてしかるべきじゃないかというお話でございますが、ごもっとものところだとも思いますが、主として考えました意味は、いま申し上げたようなことでございます。権利を守るといいましても、これは無過失責任のようなものでございまして、公務上の災害があれば地方団体として、あるいは地方団体に加わって、国としてもそういう公的な責任というものを当然に果たしていく。そういうものが入らなければ、十分に補償しないなんという性質のものではないというふうにむしろ考えておるわけでございます。
  81. 鈴木壽

    鈴木壽君 端的にお聞きしますが、学識経験者というものを任命することになっているんで、それの考え方の、いわゆる災害についての専門的な知識を持っている人、それはそれでいいと思うんですが、お尋ねしておるこの中に、いわゆる職員代表という形の、職員を代表するものをはっきり入れるのか入れないのか。入れてもいいようなお話ですけれども、入れるのか入れないのか。私、これは大事な問題だと思うんですよ。確かに災害の補償を受ける権利あるいは補償する権利、これはあなたのおっしゃるとおり、権利としてお互いに持っておるし、果たさなければいけないことなんで、それはそれなりに、そのとおりだと思うんですが、だからといって、こういう審議会というものをつくって、あなたの言うような運営なり、あるいは仕事の計画なんというものをつくる場合に、ほんとう公務員といいますか、あるいは職員といいますか、そういうものの側から入れなくてもいいということにはならぬと思う。はっきり言って、入れるべきだと思う。その点どうです、入れるのか入れないのか。
  82. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) これは従来からのいきさつとか、そういうことを申すわけではございませんか、公務災害につきましては地方団体——国も地方団体も同じでございますけれども、これが全責任を持って補償を行なって、そして職員の勤務というものに対する公務上の災害の補償はなるべく行なう、完全に行なうという考え方を持っておるわけでございますから、そういう意味では職員代表を入れていいんじゃないかという御議論もごもっともだと思います。ただ、いままでのやり方の、地方団体それぞれがそういう責任を負っておりましたものを、合わせてこの基金が行なうということにいたしたにすぎないわけでございます。したがいまして、それぞれの責任者が集まって基金というものをつくるという形でございますので、そのために必要な限りにおきまして、機関の代表者は、それぞれそういう任命権者としての責任というものを果たすという意味で出てくるわけでございます。また、それにあわせまして、学識経験者といいますか、専門的な問題というものとの関連におきまして非常に深い関係を持っておりますので考えておったわけでございますが、学識経験者の中に職員代表を入れなければならないというふうには、実は考えていないのでございます。
  83. 鈴木壽

    鈴木壽君 時間もありませんから、午後にその問題についてもう少しお聞きしてみたいと思います。ただ申し上げておきたいんですが、私、これは今度のこの法の基本的な一つの問題だと思うのですが、それと関連してくるんですが、公務災害災害補償ということは、当然任命権者といいますか、そっちのほうの権利であると同時に、当然職員あるいは公務員として受けられる権利がある。しかも、それはもともとへ返っていけば労働条件の問題ですから、お互いに話し合い——あなた方いやかもしれませんが、団交とか交渉とか、そういうことによってきめられるべき問題なんです。しかし、いまの地方公務員法の中にそういうことはないけれども、一方、今度この中に入れてしまう現業関係公営企業関係職員なんかは、はっきりいまの条文の中にそういうことがうたわれているわけですよね。そういうことによってやられるべきものが、今度法律一本でぴしゃっとやっちゃって、おまえたち運営等に関して出てこなくていいじゃないかというようなところに、一つ基本的な問題があると思う。もう当然団交なり交渉なり、話し合いなりによって、いかなるものをどう受けるかという発言権は当然あるんだからね。それがそもそも、公務災害補償に関する基本的な態度でなくてはいけない。たまたま、国家公務員の災害については一つできている。今度はこれに準じたやつで一本化しよう、こういうことなんでしょう。ですから形の上からすれば、いままでの条例をつくっている——まあこれはあとで研究したいと思っておったんですが、条例をつくっておる団体、これは本来のあり方なんですよ。こういうものを今度は否定してしまうというふうに私見なければいけないと思うんですが、ともかく、そういう問題とからんで、そんなことは当然補償されなければならない、職員の側からは。しかも、いろいろな補償する機関というか基金なり、いまのそれの運営について、何らの発言権も与えることが必要じゃないんだというようなことになると、私はやっぱり問題だと思うんですよね。ですから、どこかに、基金のほうにそういう人が入っているかというと、それももちろんないと、これはやっぱり私は問題だと思う。まあいずれ私あとで、午後の時間なり、あるいはあとの機会で、もう少しお尋ねをしますけれども、いま関連でございますから。その点はどう持っていくか、はっきりしない。
  84. 松本賢一

    松本賢一君 関連。ちょっとお尋ねしますが、社会保障制度審議会の答申というか、何というか知らぬが、その審議会審議に際して、何か事をきめるときに附帯決議みたいなものがついている一これは聞いた話なんですが——それで、その附帯決議みたいなものがついて、その中に、いま鈴木さんが言われたような職員の代表というか、職員の組合の代表というか、そういう者を審議機関——運営機関とか審査機関とかというようなものに職員の代表を加えることと、そういったような附帯決議がついたということを聞いているんですが、そういうことはあったんですか。
  85. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) いまのようなお話は聞いておりません。
  86. 松本賢一

    松本賢一君 もしそういうことがあったとしたら、尊重していただかなければならぬと思うんですが、どうですか。いまの局長の答弁を聞いていると、全然そういう職員の代表なんていうものは加える意思なんていうものはないんだという、こういうような御答弁なんだけれども、そういうようなことが論議され、附帯決議がついたというようなことを私は聞いているんだが、もしそういうことがあったとしたら、それは尊重しなきゃいかぬと思うんですが、どうですか。
  87. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 社会保障制度審議会の御審議にあたりまして、私どもも審議会に出席をさせていただいておりましたが、そういう御議論はあまりなかったように思いますが、また審議会の附帯決議というようなものも実は承知をしておりません。あるいは審議の途中でそういうお話が二、三の委員の方からあったかとも思いますが、附帯決議という形にはなっていないと考えております。
  88. 松本賢一

    松本賢一君 そうですが。なお一そう私も調べてみたいと思います。じゃ、これで……。
  89. 松澤兼人

    松澤兼人君 いま鈴木委員からお話がありました、やはり災害の問題は、使用者と、それから組合、職員側とが、始終団体交渉の中で話し合っておる問題だと思うんです。今度はこの法律に一本になってしまって、発言も、参加の機会も全然なくなってしまうということは、私どもとしては納得がいかない。しかも、さっきお話しになりました運営審議会というものは、災害の問題が中心だから、医学的な知識を持っている学識経験者等を入れなきゃならぬというお話がありましたけれども、しかし、それでは運営審議会はどういう仕事をするかと言ったら「理事長の諮問に応じて基金業務に関する重要事項を調査審議し、又は必要と認める事項につき理事長に建議することができる。」、そのときに「重要な事項」というものはどういうものかといえば、定款の変更、業務規程の作成及び変更、それから毎事業年度の事業計画及び予算並びに決算、重要な財産の処分及び重大な債務の負担というだけじゃないですか。こういうところに、医学的な学識を持っている人を入れるというようなことは、全然意味をなさない。それでも必要とおっしゃるならば、やはり片方では職員側の意見を聞くということも当然、学識と言えないまでも、経験者として参加する資格があるというふうに考えます。この問題は、私たちやはり焦点だと思いますので、政府側としても答弁によほど注意していただかないと、審議が非常にむずかしくなるということをひとつお考え願いたいと思うんです。まあそれで言いっぱなしでよろしい。また昼から……。
  90. 仲原善一

    委員長仲原善一君) それでは答弁はまた午後にいたしまして、本案に対する午前中の審査はこの程度にいたします。  暫時休憩し、午後一時半より再開の予定です。   午後零時十分休憩      —————・—————   午後二時二十分開会
  91. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 地方行政委員会を再開いたします。  地方公務員災害補償法案議題といたします。  午前中に引き続き質疑を行ないます。本案に対する質疑のおありの力は、順次御発言を願います。
  92. 松澤兼人

    松澤兼人君 先ほどの基金に対する職員の参加の問題ですが、これは私どもがそう言いましても、なかなか政府の側としては、それならということをこの場でお答えいただくことは困難だと思いますけれども、やはり一つの問題はここにあると思うので、今後審議の過程において、もう少し明確に、もし職員の間でも、学識経験者として、この地方公務員災害補償に関する十分な知識と経験を持っている人であるならば、資格がある者として参加せしめることができると、こういう点はいますぐでなくてもよろしいと思いますけれども、御発言をいただきたいと考えるわけでございます。  次の問題は、分担金の問題でありますけれども、これは条文の中で、計算の根拠といいますか、どういうふうにして計算するかということが出ているわけであります。四十九条の二項がそうだと思うのですが、その中には「政令で定める職務の種類による職員区分に応じ、」というような具体的な計算の基礎という根拠というものが示されているわけでありますけれども、かりにもし、あるまあ東京に近いところの都市なり、あるいは標準的な都市の場合をとって考えてみたときに、その都市の基金に対する負担金は、どのように試算されるかという計算をされたことがありますか。もしそういうものがありましたら、お示しを願いたいと思います。
  93. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) いまの、政令で定める職種と申しますのは、先ほどもちょっと申し上げましたが、たとえば一般職員とか教員、あるいは消防職員船員現業職員というふうな職務の種類によりますところの区分を設けたいと考えておりますが、現在その点につきまして検討中でございまして、明確にこういう職務の種類による職員区分がいいという、まだ最終的な結論を得ておりませんが、早急に検討いたしまして、それがきまりますと、大体お話のような試算も可能になると思っております。ただ、現在のところ、非常に大まかな数字でございますが、先ほども申し上げました地方団体負担金が、四十二年度で十六億前後になるというようなことも申し上げましたが、あとで調べまして、まあ十七億から十八億くらいになるんじゃないかというようなことのようでございますので、ちょっと訂正させていただきますが、その場合に、私どもがいま推算をいたしておりますところでは、たとえば、従来このうちで労災の適用がありましたものの分は、その十七億から十八億の中でどのくらいになるかといえば、大体五億円前後になりはしないか。そうしてそれを労災の保険料率で考えてみますと、大体これも推算でございますが、約倍ぐらいになるはずである、約十億ぐらいになる。そういう計算のしかたといいますか、労災の保険料から考えますと、地方団体負担金関係は多少減るようでございまして、そういうこともございますので、もう少し職種に応じまして計算を詰めていま検討しておりますが、それができましたら、お示しすることができると思っております。
  94. 松澤兼人

    松澤兼人君 先ほどの十六億というのが、十七億、十八億に御訂正になったわけですが、そうすると、地方に対する分担金というものは、十七、八億を逆算して、地方に割り当てるというかっこうになるのですか。そうでなくて、十七億、十八億というものは、こういう計算をしたら、総額で十七、十八億になるということが理屈じゃないかと思いますけれども、下のほうの、個々の地方公共団体の負担すべき分担金というものは計算されずに、全体の総額から逆に計算するということになるのですか。
  95. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) その点、計算のしかた、推計のしかた、いろいろ方法かあるわけでございますけれども、従来からの、過去の数ヵ年の私どもがまとめました資料によりますと、大体そういうかっこうになるの、じゃないか。御承知のように、もう一つは、いままで対象になりませんでしたものが新たに対象になるという部分も多少ございますのと、それから内容が変わっているということがございます。もう一つは、基金でいわゆる福祉施設と申しますか、福祉業務をどの程度取り上げていくかというようなこと、がちょっとあるわけでございまして、そういうものを大ざっぱにと申しますか、大体見出で考えてまいりますと、いろいろな、ほかの関係でやっております福祉業務なども参考にいたしまして考えてやってまいりますと、いま申し上げましたような数字に大体なるのじゃないかと考えております。
  96. 松澤兼人

    松澤兼人君 実際の補償ということ以外に、福祉施設、福祉業務というようなものを含めて十七、八億ということですね。それはごく大ざっぱに、いままでの実績と、補償内容が変わってきた。それからこういう福祉施設もやっていこうということで十七、十八億というものをはじき出した。そうすると、それば年間の仕事としてどうしても必要だ。それを各地方公共団体に負担させる、それにはこういう計算めしかたをしなければ、十七、十八億という金は出てこないというような妙なことになりはしませんか。
  97. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 推計のしかたは、いろいろ専門的なあれがあると思いますが、私どもが理解しておりますところを大ざっぱに申し上げますと、結局いままでと内容が違うことになりますが、件数の多少の伸びというものも考えていかなくちゃなりませんし、それから平均給与額というものが年々上がっているわけでございますので、それも要素として少し考えなければならない。そこで従来の実績にそういうものを加味いたしまして、給与の伸びその他も考えまして試算をいたしますと、大体その辺になっているんじゃないか。  それからもう一つ、そういうことで、大きく全体の額が大体見ていけるという考え方になるわけでございます。そうしますと、今度は職種別に、これも過去の実績によりまして、いわゆる公務災害が起きやすい職種と、そうでない職種があるわけでございますから、そういうものの実績をにらみ合わせまして、それぞれの職種ごとの平均給与額というか、給与総額に対しますところの負担金の率というものを導いていくということにも相なります。したがって、積み上げというより、むしろ全体の一つの大きく総額というものを大体推計をしまして、それから逆算していくという面も、確かにお話しのとおり出てくるわけでございますが、両方から詰めていくということで、一種の保険数理、のようなことでございますが、それを導いて出していきたいと、こう考えております。
  98. 松澤兼人

    松澤兼人君 さっき私聞きましたように、これだけは必要だという金額を先に出してしまって、そうすると、これを上から強制割当みたいなかっこうになって、あなたのところはこれだけ出してもらわなければ、基金全体の運営ができなくなるんだ、こういうことになってしまうと、いままでそういう多額の金を公務員公務災害というものに割り当てていなかったということに、そういう団体に対してはちょっと不当な押しつけ割当だとうことになりはしないかということを考えるのです。下から順々に計算していって、それでその金額が、根拠のある計算をしていって、その合計が十億であるか、十二、三億であるか、わかりませんが、そういうことであれば、その足らない分の五億とか、あるいは四億というものは別途考えるべきであって、これだけ要るから、あなたのほうでこういう基準によって計算したものを負担してください、こういうやり方では、話が逆になりはしないか。
  99. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) お話しのとおり、ちょっと先ほども申し上げましたが、従来掛け金といいますか、負担金あるいは保険料でございますか、そういうもので掛けておりますのは、船員保険とか労災保険でございますから、そういうものしか掛けてなかったわけです。したがって、労働基準法関係とか、そういう地方団体ごとにやっておりました部分については、事故が起きましたたびに出しておったということでございますので、個々の団体にとりましては、いままでより負担金がふえるというようなことは確かに出てくるかもしれないと思います。ただし、全体が幾らくらいでなければいかぬだろうという積算自体は、過去の実績等を勘案いたしまして、一応の積み上げた基礎をもって全体の額というものを計算することになると思いますが、個々の団体からいいますと、そういう意味ではふえる。先ほども申し上げましたように、大体これが十七、八億かかる。労災関係、だけの保険料で考えましても、それは十億程度のものはかかる。それにさらに七億くらいふえるということになりますから、個々の団体から考えますと、その点の負担金の増に対し、それが割当的になるという面は確かにあると思います。しかし、その結果におきまして、多少の保険的な作用もいたしますが、多少の内容の充実と、それから補償を統一的に迅速に、公平に行なうということは達成せられるわけでございまして、そういう意味で財源措置が、財政的な配慮というものは、本年度から地方財政計画の中でも見てもらうようにいたしております。
  100. 松澤兼人

    松澤兼人君 年間どのくらいかかるかと言って私質問しまして、最初は十六億だ、それが十七、八億かかる。その数字が先に出てきましたから、それならばどうして、どういう根拠でそういう数字をはじき出したんだ、それには法律にある方式に従ってはじき出すんだ、そういう理屈になる。ところが、全体の数字が先に出てしまったから、割当は強制割当じゃないかということになるわけです。下の数字からずっとはじき出していって、総額が十七、八億になるんだ、そういう計算の根拠、計算の手続というものが、先にあなたのほうからおっしゃって、こういうわけだから十七、八億必要なんだ、こういう話があれば、それはそうかなと思いますけれども、それでなくて、全体の数字が先に出てきて、その計算の根拠はまだ政令できめていないん、だ、政令案もまだきまっていないということになると、全体の金が必要なん、だから、計算の手続ですか、それぞれに、たとえば危険度を少し余分にはじくというようなことになれば、そういう数字が出てくると思うのです。そういうことでは、やはり地方団体として、これは保険でもなければ共済でもないのですから、ほかの都市で災害がたくさん起き、それを自分の都市で負担しなければならないという義理合いは何にもない。自分の都市では、自分の職員だけやればそれですんでいたし、またそれが保険や共済なんかと違って、何もほかの都市の危険度の多いところで働いている職員に対してめんどう見てやらなければならないという義理合いもない。ですから連帯とか、保険とか、そういう共済とかいうものと違った意味がここにありますから、地方公共団体には、強制割当の金額がいままでよりも余分にかかれば、やはりそれだけ非常に今度の法律実施によって、自分のところは財政的な支出増になるんだ、あるいは仕事内容に比べて大きい負担がかかっているような感じがすると思うのです。この点はいかがですか。
  101. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 確かにまだ政令で定める職種の種類による職務の区分、あるいは職員区分ごとの負担の率というものは確定いたしておりません。それにもかかわらず、十七億ないし十八億ということになれば、全体の額が先に出ているのはおかしいじゃないかというお話もごもっともだと思います。これは私どもも過去の実績から、それから給与総額というものがだんだん伸びていって、補償内容、基準とか、それから従来の事故の件数、それを大まかにさっき申し上げましたような職務分類によって試算をすると、こういう結果になるのじゃないかということを申し上げたわけであります。したがいまして、個々の地方団体で申しますと、結局平均的には従来労災保険で掛けておりましたものと、それから個々に起こりました災害補償に支出しておりました、予算措置をしておりましたものとの総利よりは、特に、どちらかといいますと、内応が少し違いますから、上げてございますが、予算措置をしておりますものよりも、もちろんふえるわけでございますが、全体の労災保険に掛けましたものよりば減る。だから結局のところ、労災保険で予算措置をしたものと、内容是正いたしますと、大体平均的にその辺に落ちつく、しかし個々の団体では安全施設が非常に行き届いておるとか、あるいはそういうびどいことがない状態と、ある状態とか、いろいろ状況が、災害その他ありまして、出てきたから、そのときははみ出したり、はみ出さなかったりいたすわけでございます。全体として、社会保険というような作用をいたすわけではございませんけれども、やっぱり個々の団体との間での平均値は常に一致することでございますけれども、具体的に出てまいります災害件数と負担金の割合はぴったりは一致しない、これはまあやむを得ないのじゃないかと考えますが、結果は、おっしゃ、いますように積み上げたか。こうで計算をして、地方団体としても納得のできる負担金の額というものが当然に導き出されるだろうというふうに思っておるわけでございます。
  102. 松澤兼人

    松澤兼人君 私はあれですからやめますけれども、先ほどちょっと申しましたように、ある都市をとって、そこの一般職職員あるいは消防の職員といったようなふうには計算できませんか。もし、かりに計算ができるならば、それを出してもらいたい。まあ政令の内容というものはまだきまっていないから、かけるものが何も出ていないから、試算はできないかもわかりませんけれども、かりにこうした場合にはこのくらいの負担金、分担金が必要だという計算ができたら、お示し願いたいと思います、この次でよろしいですから。
  103. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 局長、よろしゅうございますか。
  104. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) なるべくそういうことにいたしてお目にかけたいと思います。
  105. 鈴木壽

    鈴木壽君 いまの松澤理事からのお尋ねといいますか、提起された問題、その関連という、ふうな形で入っていきたいと思いますが、やっぱりこれはひとつ基本的にはあれですね、今回のこうした地方公務員災害補償法という一本の、全国で一本にして、それによって災害補償をやっていこうというところに問題——いま指摘されたような問題、心配されるような問題なんかもあると思うのですよね。それで、こういう一本の法律でやっていって、それでプラスになる面も確かにこれはあると思います。しかし、一面いま言ったように、それが全部が全部そういうプラスとして受けとめることができるかというと、必ずしもそうでないというふうに私は思うのですが、それはともかくとして、どうです。もともと、いまの公務員法、地方公務員法や、その他の関係のそれからいたしますと、これは各地方団体ごとに条例なんかをつくってやることが私筋ではないだろうかと、こういうふうに思うのです。ただ、現実のところ、その地方団体で条例を制定しておるようなところがいかにも少ないことは御指摘のとおりで、道府県関係では十一ですか、それから都市関係で、大都市でわずかに五つと、こういうものしか私ども承知しておりませんか、ほかにまだあるか山しれませんが、いずれにしても、全体の地方団体の数からすれば、きわめて少ないということはいえると思うのですが、しかし、このままほって置けないから、何とかしなければならぬという、そういう気持ち一応理解できますけれども、やはり本筋に返って、地方団体ごとに条例をつくる、あるいはもし町村一つ一つまでというふうなことが多少無理があったら、県単位くらいに何かそういうものをつくるというような、そういう形で進むべきではないだろうか、こういうふうに私基本的な考え方として思うのですが、それをとら、ずしてこうしなければならなかった、こう一本化した地方公務員災害補償法案というものをつくらなくてはいけなかった理由について、いま少しくお話をいただきたいと思う。
  106. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 確かに条例で、法律によらなくても条例でできるではないかというお話、そういう御指摘もあろうかと思いますが、一つは、最近の公務災害には規模大小いろいろございますけれども、そういうものを、程度はプールいたしまして、合理的に経営していくという保険的な意味というものも一つ考え方として適当ではないだろうかという点が第一でございます。それからまた同時に、民間企業等におきましても、とにかくそれぞれの業種、労災保険というような形で統一的に行なっておりまして、労災保険ということでやっていくか、公務員の特殊性というものを考えてやっていくかという点でございますと、まあ国家公務員でも一つの例がございますが、そういうことを考えまして、公務員の、地方公務員としての多くの特殊性というものを重点にして、労災保険に統一されるのがいいか、地方公務員災害補償として統一的に考えるのがいいかという問題については、後者の考え方をとって今後運営をしていきたいというふうに考えたわけでございます。  それから第三番目には、最近こういう災害補償法にもいろいろな年金制の導入ということになりまして、他の年金の給付との関係の調整等、災害補償そのものが非常に長期的なものにもなりますし、同時に非常に技術化し、専門化してまいるわけでございます。そういう意味で専門的な機関によって実施することが一そう必要だということにもなってまいりました。それから災害を受けました職員の生活の保障というような問題につきましての社会保障的な見地というものもあるわけでございますが、他の社会保障立法と必ずしも同様とはいいませんけれども、まあやはり法律で一部給付内容の水準というものを保障していくと、こういう性質のものについては保障していく、少なくともこれだけのものは用意するというような考え方制度をつくっていくことが非常に有効ではないだろうかというふうに考えるわけでありまして、現実のところ、条例でやれるということになっております。条例による公務災害補償実施というものがそれほど十分に参っていっていないわけでございます。その間に他の公務災害補償なり、業務上の民間の補償、少なくとも労災補償等の内容は非常に進歩したものになってまいっておりまして、現実にも非常にアンバランスが出てまいったわけでございます。そういう実際の状況からも考え合わせまして、なるべく法律で少なくとも一定の水準による給付を保障する。そしてその専門化、技術化というものに対応いたしまして、迅速で公正な公務災害補償の認定なり実施をやっていくということのために、何が一番やりやすいかということになりますと、ここに提案いたしましたように、統一的な実施をはかる制度をとるのがよろしいのじゃないだろうかというふうに考えたわけでございます。
  107. 鈴木壽

    鈴木壽君 ただ、地方公務員の場合、まあいまさらあらためて持ち出すまでもないんですが、団体が非常に多いということ、しかもその団体には都道府県、大きな都市、小さな町村までいろいろある。またその中でまあ、いわば現業、非現業、まあ大ざっぱな言い方ですが、そういうふうなもの——公営企業関係職員とか、何かそういうふうなものを一律にこれはぴしゃっと一本にまとめてしまうということには、私は非常に大きな無理があると思うんですよね。国家公務員の場合は一木であるじゃないかと言うが、国家公務員の場合とは違った、そういう別の各地方団体ごとの事情なり、またその職場の具体的な内容等においても違ったものがあるわけでございますから、それをぴしゃっと一本化して、一律化したものにするというところから、さっき松澤さんから出たような問題も出てくるし、それから現に条例をつくってやっておるところは一体どうなるのか、それから特に公営企業関係職員の場合、これは一体どういうことでこのまま、労災と同じ内容だというようなことで、ぴしゃっとそこへ持っていっていいのか、あるいは非現業現業との関係は、従来まで考えられておったそういうやつは、一体どうするのか、いろいろむずかしい問題が私は残ると思うんですね。だから、たてまえからすれば、私はいま育ったように、これは労働者と、それから使用者との関係ですから、その団体ごとで処理していくべきものであって、法のたてまえもそうなっていると思うんですね、いままでの法は。ですから、それをあっちもこっちもみんな一律に一本化して、ならしてこれでいくんだという考え方には、私はちょっと問題があり過ぎると思うんですがね。だから私は、条例の制定についてあなた方が指導する、あるいはまたその条例をつくる場合に、何か基準といいますか、あるいは最低限の線というものは法律化していくと、こういうことでこの問題を処理すべきではないだろうかと、こう思うんですがね。その点はあれですか、まあいままでここまでやってきて、にわかにそうとは言えないだろうけれども、考え方としては、私はそこら辺が大事な問題だと思うんですね。
  108. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) まあ、地方団体規模なり、置かれておる条件なり、その業秘なり、職員なり、非常に千差万態であるというお話は、もちろんそのとおりでございます。しかし、それだからといって、こういう業務上または公務上の災害補償というものがまあ統一的に、少なくともこれだけは補償するという形がとれないかということになれば、これは現在民間企業は、これだけ千差万態の民間企業に対しても労働者災害補償というので少なくとも——業種ごとに掛け金率なり、負担金の率は、企業から出します率は違うかもわかりませんが、そういうものでひとつの統一的な運用をしておる。これはなぜそうするかといえば、ひとつの社会保障的な見地にも立ち、また同時に公務上、業務上の災害というものに対する補償責任というものは、これは公務員の場合は国たり地方団体なりの無過失責任、企業の場合でも当然そういう無過失の賠償責任を持っておるものだという考え方に立ちまして、そしてそれをある程度保険的な計算もしながら、合理的に責任を果たす仕組みとして、そういうものを国の場合——民間労働者の場合でも労災保険という形でつくる、国の場合には公務員の特殊性に応じながらそういうものをつくる。それぞれの業種によりましては、それはそれぞれの事情が違うということは、これはもうお税のとおりでございますが、ただし、地方団体にいたしましても、国にいたしましても、いろいろとやり方は違いますけれども、やはりそこにいま申し上げました一般の行政職でありますとか、教育職でありますとか、消防職員警察職員公営企業の職員というふうに考えてみますと、それぞれ違うとは申しましても、おのずからそこに一つの類似性なり、統一的な形というものがあるわけでございまして、民間企業におけるほどの差異というものがあるかといえばそれほどではない。むしろ統一に——親しみやすいものでありますし、同時に無過失損害賠償責任というものを完全に、またよりよく合理的に果たすという考え方に立って、現実との間を考えてみますというと、やはりこういう統一的な運用をはかる組織をつくる、制度をつくっていくことは非常なプラスではないかというふうに考えるわけでございます。これは単に個々の地方団体で使用者と労働者との間で、いろいろな何と申しますか、交渉の過程の中から、それではああするとか、こうするとかいうような性質——まあそういう性質が全然ないとは申しませんけれども、むしろそれより、それをはるかに越えまして、要するに無過失損害賠償責任と申しますか、使用者たる地方団体が無過失の損害賠償責任を負うという考え方でものが統一されていく、こういうものが理論的な基礎になっておるわけでございますから、また同時に、職種にいろいろな変化があるといたしましても、それはやはり民間企業のそれほどの変化があるわけではございませんし、それを統一したやり方というものが十分可能でありますし、またそのほうが、いろいろ補償にも年金制度などが導入されまして、他の年金との調整なり何なり、非常に専門的な技術的な調整をする必要も出てまいります。そういうことになりますと、それぞれの団体で条例でつくることが絶対できないかといえば、それはもちろんできると思いますけれども、それよりも、さらにそういう災害を受けました職員に対するところの補償というものを充実さす、内容を向上さして、そうして公正な認定なり給付をやっていくというようなことにするほうが、役に立つのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
  109. 鈴木壽

    鈴木壽君 労災保険法とは私は成り立ちが、成立までの経過なり事情なりというものが違うと思うんですよ。これは民間の小さな雇用主といいますか、主人連中ですね、当然やらなければいけない補償を、しかしやらなかった。やらないために、全部じゃないけれども、やらないものがずいぶん多かったために、やってもまたごくわずか、ちょっとした見舞い金程度のものしかやっておらなかったということから、これはむしろ強制的にやらせなければならぬということでやったのが労災保険法の成り立ちなんですね、発生的にいえば。だから強い、とにかくあれもこれも取り集めてしまってね、とにかくやらせなければだめだというので、それで一つの基準を示したというのが労災保険のそれだと思うんですね。いまのとは違うんですよ。いまのとはそういう意味では違うんですね、あくまでもこれは。だからいまのあれは、普通の民間の労災保険のやつなんか、ああいうものがなくても、それぞれの事業場等で、あるいは使用者が全従業員労働者に対して一定の補償のしかたをやれば、それですむのです。ただあの法律は、基準としてこういうものだということを示す、これは労基法だって同じことだと思います。  だから、いずれにしても、そういうことと今回のこれとは逢うのです。あの地方公務員法の中に、あなた方専門家なんですから、補償しなければならぬということはきめてある。しかし補償の仕方については別に何らきめていないということは、使用者と雇用されておる者との問におけるいろいろな話し合いなり協定なり、そういうものを中心にした、土台にした条例等でやることが筋なんです。たまたま、その条例をやらない、条例をつくっているのはきわめて少ないという、これは確かにそのとおりです。ですから、あるものは基準法によるもの、あるものは労災法によるものの、あるいは船員法によるもの、こういうようにばらばらになっておったり、したがってそのほかにいろいろ格差が出てきたり、それからまた、条例をつくっているところと、他の条例をつくらないで、いま言ったようなものによってやっているところと、いろいろな違いが出ておるわけです。あまり違いが出てきているから、見ておれないという気持ちは私も持ちます。しかし、いろいろな違いなり、一つの基準なりというものを示す場合に、こういう形でびしゃっと一本にしてしまってやることがいいのかというと、繰り返して申し上げますか、私はある程度の基準は示すけれども、実際の問題は、これは条例によってやるべきだ。労基法なり労災法なりというのは、一つの基準ですから、災害の状況なり、あるいは起こったさまざまな情勢、情勢と言っちゃ悪いが、状態なり、あるいは程度等によって、これはもともと私は、災害を受けた者と、それから雇用主との間のこういうものによって煮詰められるべきものだと思うし、しかし個々の事情で一々やるわけにはいきませんから、大体の線で話をまとめて、それをさっき言ったように条例化をしていくというのが、何と考えても筋だと思いますね。  そこで、それについての考え方をさらにもう一度お聞きしたいと同時に、この法律ができてしまえば、地方公営企業の労働関係法の中にある、災害補償は団交でやるといったようなことは、一体どういうふうになるかこの一点。それから、すでに条例ができておる団体等については、これがどうなるのか、条例が失効してしまうのか、しまわないのか、生きていくのか、その点ひとつ、新たに条例をつくって制定をしようとする団体があった場合、つくれるものかどうか、この点あわせてひとつ。
  110. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) お話の点については、労災保険等につきましては、私どもも沿革的な点等につきましては、お話のとおりだろうと思うのでございますが、ただ、現在の時点で考えますと、地方公務員公務災害補償を、結局労働基準法なり労災保険なり、条例なりというような形で、個々に取り扱われておりますけれども、それをさらに労災保険のほうは、適用事業場をさらに拡大していくというようなかっこうになってまいりますと、まあそのままでありますと、地方公務員関係も、労災保険のほうの適用に全部統合されるということも一つの成り行きになっていくということもあるわけでございます。で、それも一つ考え方とは思いますが、やはりまあ公務員の公務における特殊性というようなものを考えながら、将来の長い公務災害補償制度でございますので、そういう意味で、地方公務員に統一的なものの制度をつくって適用していく。引き合いに出してはあれでございますけれども、当然そのときに考えましたことは、国家公務員にも統一的な災害補償制度がある。ただお話しのように、地方団体はそれぞれの団体で自由的に補償制度をつくられるというたてまえをとっておるわけでございますが、基金を設けて、基金地方団体にかわって補償を行なうというかっこうにいたしますが、地方団体が理屈上、独自のそれに加えた補償が絶対に認められないかといえば、これは地方自治のたてまえ上、また現在の地方公務員法のたてまえというものをあわせて、今回の地方公務員災害補償法、地方公務員法、両者の関係考えてみますと、また地方自治のたてまえから考えましても、この公務災害補償内容実施されれば、一応地方公務員法が予定しておるところの最低の公務災害補償というものは、地方団体にかわって行なわれることによって、災害補償の責めを地方団体としては免れますけれども、さらにその上に個々の地方団体の特殊な状態、あるいは職種の特殊な事情に応じて、さらにその上につけ加えることが一体できるのか、できないのかという問題になりますと、その点では、今回の改正法でも何ら触れないことにいたしたのでございます。したがいまして、基本的には矛、ういう付加すると申しますか、そういうことの余地は、理論上あり得るということに実は考えておるわけでございますが、しかし、公務災害補償全体として考えますときには、他の地方団体との補償の均衡も考慮して考えていくということでございます。  私どもとしましては、この現在ここに案として御審議を願っております内容補償さえ行なえは、まず現在の時点において要求される公務災害補償としては十分のものだろうというふうに考えておるわけでございますけれども、それ以上の特殊性というものを考慮しない、考慮することができないかという議論になりますというと、それは考慮することは可能であるというふうに実は考えておるわけでございます。したがいまして、お話のございました、現在条例でつくっておるものがどうなるか、あるいは将来条例でつくり得るのか得ないのか、それから、そういうことがいわゆる地公労法の関係の交渉事項たり得るのか、たり得ないのかということになりますと、いずれもイエスでありまして、理論上もたり得るし、現在の条例でプラスアルファをしておるようなものは、プラスアルファが行ない得るし、将来新たにプラスアルファを考えるかどうかということについては、考え得るということにはなろうかと思うのであります。しかし、これだけの公務災害補償制度を整備いたしますと、この上にさらにつけなければならないものがあるというふうに私どもは考えておるわけではございませんが、理論上可能かどうかということになりますれば、理論上可能である、それは現在の地方公務員法のたてまえ、また地方自治のたてまえ、それからこの地方公務員災害補償法との関係において、そういう考え方は出てまいるというふうに考えております。
  111. 鈴木壽

    鈴木壽君 前段のことはを、ちょっとしばらくまず別にしておきますが、特にお尋ねしたいといった三つの点ですね、念を押してお伺いしますが、現在条例をつくっておる団体で、今度できるこの法律の給付といいますか、内容より、ものによって、種類によってはいい条件をつけておるところがありますね。御承知のように、たとえば休業補償の問題なんかでもありますし、それから遺族補償の一時金の日数でプラスになっておるところもあるし、そういうところもありますね。だから、これはそのまま地方団体のそれによって残して、いわば付加給付みたいな形でやることについては、この法律では何ら禁止とか、いけないとかということ、じゃないのだと、やり得るんだということですね、一つは。それから新しく条例をつくって、内容がこの法律にきめられておるものよりも、ものによってはいいのが出てくるかもしれませんが、そういうことについては、地方自治団体の自主的なそれにまかせるのだと、こういうこと、この二点については、それでよろしゅうございますね。
  112. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 現在条例でつくっておりますものの中身で、基金といいますか、今度の公務災害補償法と全く同じ内容のものがかりにあるといたしますと、それはこれにとってかわりますから、その点はあるなしは意味をなさないのであります。その関係においては、その条例はその範囲においては効力がないと一緒になるわけでございますが、かりにそれを上回る、あるいはそのほかにさらに加わったものがあるといたしますと、それもいわゆる災害補償の一種であることは間違いない。これは地方公務員法上、災害補償の一種だというふうに考えられますので、その部分に関しては、お話しのように、その条例はなお有効であるということになると考えております。  それからいままではそういうものがないけれども、今後そういうものがなし得るか、なし得ないかということになると、まあ考え方は同じでございまして、それは地方公務員法におけるところの災害補償の一種として、地方団体か自主的に考え得る範囲というものがある以上は、そういうことは可能である。ただし、これはあくまで理論上の話でございまして、実際問題として、それをやれというふうに私どもが考えておるわけではございません。
  113. 鈴木壽

    鈴木壽君 局長、うまいことを言うが、別に私ども、もっともっといいものをつくれ、つくれと言って、そういう指導をやれというところまでは意っていませんが、しかし、そういうものをつくって、おまえのほうはけしからんじゃないかと、たとえば、給与条例関係でこれはときどき見られますが、注意だか勧告だか、助言だか知りませんけれども、やられますね。ああいうふうなことをやられると、これはっくりたくてもつくれないということにもなるし、あるいはまた、従来の条例を、現行までの条例の一部を生かしておきたくとも、どうもこれじゃまずい。たとえば、休業補償で百分の六十ですね。百分の百というところが幾つかありますね。おまえのところは高過ぎるんじゃないか、こういうふうなことになってくると、これは地方自治団体の自主性の問題だといって、あなた方が、おことばのように、理論的にはそうだし、実際もそうだと言っておればいいのですけれども、何かときどきやりますからね、あなた方は。その点どうでしょう。ざっくらんなところを……。
  114. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 休業補償お話が出ましたので申し上げますが、お話しのように、現在百分の百という団体があるようでございます。ただ、この法律の中では百分の六十でございますけれども、これは福祉施設といたしまして、それにさらに百分の二十、援護金と申しますか、そういう制度はできればつくっていきたいというふうにも考えております。そうすると百分の八十になる。その上にさらに百分の二十を加えるということになるわけで、現在そういうところの団体が二、三あるようでございます。それはそういう過去からのやり方があるわけでございますので、私どもとして、それをやめてしまえ、必要がないというようなことを、この法律実施とともに申すというようなつもりではおりません。ただし他の団体に対して、もっとできるんだということで大いに慫慂するかといえば、実はいたしたくない、もうこの補償ぐらいで十分だということにいたしたいと考えておるのでございます。
  115. 鈴木壽

    鈴木壽君 それは、だから、前段は局長さん、いいですよ。これからつくろうとするのもあるし、私これから出てくるんじゃないかと思うんです。また出てくるのを押えるべきじゃないことはお話のとおりで、特に地方公営企業関係の場合に、いろいろな交渉なり協定なり等によって、もっと高い目標のものができるという可能性が私はあると思う。そうした場合に、たとえばいまの休業補償で百分の六十、国家公務員の場合は人事院規則かなんかでプラス二十という付加がありますね、福祉施設とかなんとかいうことで。それをあなたは取り入れよう、取り入れたら百分の八十だと、これ以上はだめだぞと、おまえの企業はそろそろ赤字も出しそうなのに何事かと、これは変な言い方ですが、そんなブレーキのかけようというのはおかしいと思うんですがね。しないでしょうね。私も、何もそれを大いにやれ、奨励せよとは言いませんけれども、出てくる可能性は私はあると思うし、そういう点から、出てきた場合にブレーキかけたりなんか、渋い顔をしたりということはないだろうと思うんですが、そこら辺どうですか。もう一度念を押しておきたい。
  116. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) いま先生御指摘でございましたが、通常行なっております休業補償は、給与として地方団体が払っておる場合が多いのでございます。したがいまして、どうもこれは理屈上そういう問題がいろいろと起こるわけでございますけれども、実際問題は、休業補償を払うべきときに給与で払っておるという慣行みたいなものが非常に多いのでございまして、これは理屈上正しいかというと、決してそうとは言えません。むしろ休業補償で払うべきものだろうと思いますが、どうもそこのところはなかなか割り切れない。国家公務員についてもそういう場合が多いのでございます。したがいまして、そうなりますと、百分の百なんというものは、あまりそれほど意味をなさないということにも実はなるわけであります。  それから実情から申しますと、こういうことはあまり申し上げたくない、速記など困るんでございますが、百分の百という休業補償を払うことは非常に不公平なんです、実は。と申しますのは、これは休業補償であります限り、課税の対象からはずれる、給与で働いているときのほうが税金がかかりまして、休業補償のときのほうが税金がかからないという形になることを、あまり慫慂するわけには私どもはまいらないという感じも実はございます。したがいまして、新たにそういうものをつくるのを、つくっちゃならぬと言わぬだろうなとおっしゃいますけれども、これはある程度言わざるを得ないというところがあるわけでございまして、そういう意味で、特に公営企業等で赤字で苦しんでおるところが、そういうことを積極的にやるということまでするのが一体公平なのであるか、社会的な公平の原則に合致するものであるかどうかということにたりますと、これはなおそれぞれの場合によって考えてみなければならないということにもなって、正面から議論しますと、いろいろ実は問題が休業補償としての百分の百という問題にはあるわけでございます。あまりくどくど申し上げることは差し控えたいと思いますが、以上のような状況でございます。ただし申し上げておきますことは、理論上は付加給付ができないとは言えないということでございます。
  117. 鈴木壽

    鈴木壽君 この法律で、これはいまお尋ねしたことや、それからお答えしたことから、問題はそうあとなくなったように思うんですが、さっき私三つと言った二つについて主としてお尋ねをしたんですが、依然として地方公営企業関係労働関係法律の中にある団交事項としてば残るということは、これはそのとおりですね。
  118. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) そのとおりでございます。
  119. 鈴木壽

    鈴木壽君 今度の新しいこの法案をいろいろ見ましても、適用除外というようなことのその中にも入っていませんし、当然私は残ると思うんですが、そうしますと、私がさっきから言っておる、新たにこれからそういう団交なり話し合いなり、協定等によってできたもの、これをやはりはっきり生かしてもらうためには、条例か何かつくっておかないことにはいけませんし、まあ条例までいかなくてもいい場合もあるかもしれませんか、いずれにしても、はっきりそういうためには条例をつくったほうがいいと思います。そういう意味での条例の制定については、何らこの法律によって拘束されることはない、こういうふうに考えていいわけですね。
  120. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 法律的にはそのとおりでございます。
  121. 鈴木壽

    鈴木壽君 さっきちょっとお答えありましたが、休業補償の百分の六十に、国家公務員でいま人事院規則でやっているようなプラス二十というのは、これもこの法律のたてまえからすれば、国家公務員災害補償法、それと準ずるたてまえになっておりますから、当然これはそういうことも付加給付として認めていくことがたてまえじゃない、だろうかと思うのだが、それはもう一度念を押てお聞きしますが、いかがです。
  122. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 福祉施設の休業援護金として、ぜひそういう給付を実施したいと考えております。
  123. 鈴木壽

    鈴木壽君 私、さっき公営企業関係人たちの問題で聞きましたが、一般職職員が、この問題について当局側といろいろ職員団体との間で補償内容、給付の内容等についての話し合いをする、そうしてある程度のたとえばプラスアルファみたいなものが出てくるというようなことは、予想しておりますか、しておりませんか。一般職の場合は、この問題についてはもう話し合いの余地がないんだと、こういうふうに考えておられますか、その点どうです。
  124. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 一般職の場合におきましても、その点では、団体交渉肝項ではもちろんございませんけれども、職員の勤務条件の決定につきましては、地方自治のたてまえからいたしまして、地方公務員法では個々の地方団体が条例できめられることになっておりますから、そういう勤務条件の一つとして、一般職職員補償につきまして、地方団体が独自の決定を行なうということは、団体交渉事項ではございませんけれども、これは法律上は同じような形に地方団体がきめられるわけでございますので、勤務条件の決定に関する地方公務員法の一般的な原則のことから申しまして、いわゆる交渉と申しますか、当局との交渉の対象にもなり得るというふうに考えております。
  125. 鈴木壽

    鈴木壽君 話し合いの対象にはなる。しかし、さっきの問題にまた帰るようでありますが、ある程度のこの法に定められているようなものを若干上回るというようなものも出てくる、ものによってはですね。そういう場合にも、これはまあ繰り返すようなことになりますけれども、もし条例、それによって新たな条例を、付加給付ができるような条例ができても、それについてはあなた方、奨励はしないだろうけれども、さればといって、チェックするとは言わない、そういうふうに理解していいですね。
  126. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 法律的にはまさにそういうふうな付加給付と申しますか、特別な措置が不可能じゃございませんが、やはり、こういうものは均衡をとって考えていくという原則も、これは非常に重要なことでございますから、まあ理由がそれぞれあるとは思いますけれども、理由のないような形のそういう特殊例というものは、私どもとしてはなるべく開きたくない。もうこの補償で、必要かつ十分なもの、が行なわれるということで、ぜひ考えていきたいとは考えております。
  127. 鈴木壽

    鈴木壽君 いや、少ししつこいようですけれども、ここに今度の法によって、この内容とする補償のいろいろな、これがこれで十分、だという考え方というものは、これはおかしいと思うのですよ。一つの私は最低の基準、これを下回ってはいけないものであって、これで十分だという、完全に十分だということの認識に立っているとすれば、これば問題ですよ。何も私さっきから何べんも言うように、なんぼでも、これより上回るようなものをどんどん取れ、こういうことをしてまで、あなた方取って差しつかえないのだ、やれやれ、せいということを私言っているのじゃありませんけれども、これは私は考えますと、基準法でも、あるいは労災保険法でも、労災上の保険法ちょっと前に改正になって、若干よくなっています。しかし、これはこれで完全だというのでなくて、あまりにも低過ぎたやつが若干よくなっておるということ、そうして、まあ、それによって大体国家公務員のやつもとられておるということなんですから、これで完全だとか、もう十分だったとかいうことの認識でやられると、私は困ると思う。あくまでもこれは最低の基準、これより下げちゃいけないという一つの基準であって、若干これから頭を出したやつ、それはけしからぬとか、不均衡だとか、おまえのほうばかり何肝かというようなことで、条例の問題なり、付加給付の問題について考えられるのは、これば私はおかしいと思うのですよ。そうじゃないでしょうか。何か全部が全部そういうことでぴしっと一律化してしまっていくという、基準として一律化することは、私はあり得ると思うのです、か、これはもう完全で、一番上はこれ以上上がってはいかぬというような考え方に立つならば、これは私はうまくないと思うのですが、どうです、その点は。あなた、しばしば、十分だとか完全だとか、こういうことを言っておりますけれども、間違いだと思いますね、これは。
  128. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 私が申し上げておりますのは、この給付内容というものは、御説明申し上げましたように、国家公務員災害補償法あるいは労働者災害補償保険法等の給付内容と本則において全く同一の水準、すなわち、現在わが国で要求されておるような意味での最高の水準といってもいいかと思いますが、そういう水準を確保するということをまず目的として、地方公務員にそこの水準は必ず維持するという保障にいたしたいということにいたしておる意味では、まさに最低の水準ともいえるわけでございますが、ただし、この水準というものは、現在わが国でとられておるこの種の災害補償におきましては、最も高い内容を持っておるものであることも間違いないわけでございます。したがいまして、それ以上のものをぜひということが、まあこれが絶対論として不十分だとか何とかいう議論は、それはいろいろあるかと思いますけれども、現状において考えました場合には、この公務災害補償内容というものは、高い水準を地方公務員のためにも確保したいということででき上がっておるものだというふうに考えておるわけでございますから、そういう意味におきましては、これよりさらに上回ることを当然というかっこうで、現時点でものを考えることはいかがであろうか。ただ、従来からのいろいろな経緯によりまして、ある種の給付がこれより上回っておるような団体があるわけでございます。そういうものにつきまして、それをことさらにこれにそろえるようにということまではいかがかというふうには考えておりますけれども、これをさらに上回ることが当然であるという考え方地方団体指導していくというわけにはいかないのじゃないだろうかというふうに考えておる次第であります。
  129. 鈴木壽

    鈴木壽君 何べんも言っていますけれども、あなたのほうの指導として、もっと上回るような条例をつくれとか何とかいう、積極的にやれということを、私は毛頭言っているわけではないのですよ。出てくるだろうという、また出てきそうなところ、これは幾つかあると思いますよ。いまの自分たちがつくっておる条例の中で、ほとんどはだめになって、一部分、給付がいいのだというところだけ条例がいま残るわけだ。それでなしに、さらにやろうという、そういうところもある。たとえば、いまの条例をつくっているもので、労働基準法に合わせてつくっているところがあるわけですね。それから労災保険法に合わせてつくっているところ、実質として労災保険法に合わせてつくっているところは、さっき言ったような例として申し上げましたが、休業補償なんか、それなんかよくなっているわけですね。ですから、実はいままでの条例は、今度のこの法案もしできれば、役に立たなくなるところが大部分ですね。しかし、一部分でも何か残っておるものを、それをきっかけにしてもっと、何といいますか、全部という意味じゃありませんけれども、ものによっては補償内容がもっとプラスになるようなものということを考えていくところもあるわけです、職員団体がね。そういう特殊のことを私言うので、一律にもっといいものをつくれといって、あなた方に指導せいとか何とかいうことを毛頭私言っているわけではないのですから、その点はひとつ誤解のないようにしてほしいと思うのだが、なお、確かにお話しのようにいまある、たとえば労働基準法なり、あるいは労災法なり、こういうものといまの、今度できるこの新しいこれを比べられた場合には、一番高い水準のところをとっておると、これだけの話ですね。だからそれで、しばしば申し上げますように、あなたのおっしゃる、十分だとか完全だとかということではない。あれでしょう、これはちょっと引用させてもらいたいのだが、社会保障制度審議会の答申の中にも、これははっきりありますね。「すなわち現在国家公務員の線以下にある一部の地方公共団体災害補償を国家公務員のそれまで引き上げ、これを最低線としようとするものである。」、いまのいろいろな災害補償のきめてあるということは、あくまでも私は最低線だと思うのです。これで十分だとか、完全だとかいう評価というものは、これは当たらないし、すべきじゃないと思うのです。そういう意味で、今後予想される条例制定とか、あるいは団交によってかちとられる何かのそういうものの中には、これを上回るものが出てくるだろう。しかしそれをあなた方がアンバランスだとか、他との均衡上おもしろくないとか、財政上どうだとかいうようなことでチェックされるようなことであるとすれば、私は遺憾であると思うから、そこを念を押して聞いているわけなんです。まあいずれ——くどいことを、この問題はかりに取りかかってもいられませんでしょうから、あれですね。条例の制定なり、団交等によって、いろいろな協定なり、それについてはあなたのほうでは、理論上も実際上も何ら文句を言うところは私ないと思うのだが、それでいいと思いますが、いかがですか。
  130. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 理論上はまさにそのとおりでございますけれども、実際上は、まあ他との均衡、その他をいろいろ考えてみまして、全然特殊な条件、ケース・バイ・ケースではないかと思いますが、そういう実態から考えまして、無理もないと思われるようなところであるかないか、これは見方によっても違うかと思いますが、そういう場合が私ども全然ないとは、これは申されないと思っております。しかし、まあ一応これで地方団体にかわり、先生のおっしゃるように最低かもしれませんけれども、私どもは現時点で考え得る最高のものだというふうに考えておるわけでございますが、その補償をすることによって地方団体が当然負うべきところの無過失損害賠償責任というものの責めを果たさしていただきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  131. 鈴木壽

    鈴木壽君 何でもかんでもあれですよ、私この法律に定められてある、こういう内容を上回るものをつくらせたいために言っているのじゃなくて、しかしものによっては話し合いによっては、これは公務員としてはあれですよ、補償をしてもらう当然の権利があるのだし、また補償すべき団体側のほうでは当然それがあるのだし、そういう面で補償内容についてはいろいろ文句があるわけなんですよね。文句と言っちゃ悪いけれども、要望なり、こうしてもらいたいというのがある。それがたまたま、話し合いによって、あるいは交渉等によって、もっとこの内容を上回るものも出てくるのじゃないだろうか。そういう場合に、あなたは理論上それはいいのだけれども、実際上は困るから、ケース・バイ・ケースだとか何とか言っておりますけれどもね。それは一々何のかんのいうべき筋のものじゃないと思うのですかね。そして、実際は、かりにいまさっきから休業補償の百分の六十とか百分の八十の問題出ておりますけれども、そんなにべらほうに、そんなに、この線をはるかに上回るというようなことが出るとはまだ予想されませんですから、やはり多少色をつけるとか、若干のプラス・アルファをという程度のことを私予想して言っているのですが、そういうことまで、これは最高の水準を、これ以上上回ったら困るというようなことでは、私はおかしいと思うのですよ。まあその点ひとつ、じゃ、あとでもう少し伺います。あとで頭冷やしながら、もう一度やりましょう。もうここであなたがおっしゃってしまってね、言い直すわけにいかぬかもしれません、私もちょっと引くに引けなくなってきたから。これはほんとうに基本的な問題ですよ。公務災害に対する補償の権利、義務の関係からいって、おくれている地方公共団体職員あるいは企業体の職員、こういうものの、いわゆる一つの労働条件としてのそれなんですから、一応私は基準は示すと、さっきから言っているように、あとで条例でやることが一番私は正しいやり方だと思う。場合によっては、基金というものは私はあってもいいと思う。しかし、あとでちゃんと各団体に精算して負担をするというかっこうにして基金というものはあって、金が右から左とすぐ支払われるような、そういう意味でのやつはあってもいいと思うが、内容のこまかな補助のそういうことまできちっときめて、これ以上これはもう最高のものだから一歩も出ちゃいかぬぞというような法律だとするならば、私はおかしいと思う。その点ひとつ、あとでもう一度……。  どうもね、時間がないようですから、一言あれで、あとはまた次回に譲らしていただきたいと思いますが、そういうような考え方、それから、したがって、そういう考え方があるから、どうもこの法律といいますか、いわゆる基金のいろいろなことでね、全くその地方の自主性というものを一体どう考えているのかわからぬというくらいきつい、何といいますかね、政府が統制しているような感じ受けますね。これは地方公共団体職員関係するものとしては、ちょっとこれはおかしいと思うのですよね。監督といいますか、統制といいますか、あまりにこれは強過ぎますね。さっきやりました、具体的に言えば、基金の人事の問題も、これは大臣が任命しますね。これは理事長でしたか、それから理事というものは、理事長が大臣の承認を得なければ任命できませんね。「理事長及び監事は、自治大臣が任命する。」と、こういうところからしてもね。しかも、そのさっきの松澤さんの質問の中にありました運営の関係からいっても、当然これは職員を入れて、意見を聞かなければいけない、述べさせるように機会を与えなければならない、職員の代表の者が入っておらぬと、入れる気持ちはないのだという、どうもそこら辺、この法律ちょっと納得しかねるところが一つありますね、全体として。まあ私、これから始めますと、また大臣来ても聞けなくなりますから、一応きょうはこの程度にさしていただきます。
  132. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 答弁要りますか。
  133. 鈴木壽

    鈴木壽君 いいです。この次あらためて……。
  134. 仲原善一

    委員長仲原善一君) それでは大臣来るまで、しばらくこのまま……。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  135. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 速記を起こしてください。  本案に対する本日の審査は、この程度にいたします。     —————————————
  136. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  提案理由の説明を願います。藤枝自治大臣
  137. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) ただいま議題となりました国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概略を御説明いたします。  国有資産等所在市町村交付金及び納付金制度は、国、地方公共団体または日本国有鉄道等が所有する固定資産について、当該固定資産と所在市町村との間における受益の関係等を考慮し、その所有者である国、地方公共団体または日本国有鉄道等から、所在市町村に対し、固定資産税相当額を交付し、または納付することとしているものでありますが、今回の改正は、最近における本制度実施の状況等にもかんが入、対象資産の範囲等について所要の合理化をはかろうとするものであります。  改正の第一は、地方公共団体が所有する水道施設または工業用水道施設の用に供する土地を新たに市町村交付金の対象に加えようとするものであります。水道施設または工業用水道施設は、その所在市町村の区域内に相当な規模の面積を占め、当該所在市町村と受益関係があるにもかかわらず、所在市町村においては、これらの施設から固定資産税収入が得られないため、その財政運営にも少なからぬ影響を受けているのであります。したがって、今回、これらの事情にもかんがみ、水道施設または工業用水道施設の用に供する土地で政令で定めるものについて、その所有者である地方公共団体から所在市町村に対し市町村交付金を交付することといたしたものであります。  改正の第二は、日本国有鉄道にかかる市町村納付金の負担の軽減についてであります。現在、日本国有鉄道は、通勤輸送、幹線輸送等の増強を中心とする長期計画に基づき多額の設備投資を要請されているのでありまして、そのため、線路増設等に伴う市町村納付金負担の増加は、今後相当額に達するものと見込まれるのであります。したがって、今回、地方鉄道に対する固定資産税についての負担軽減措置との均衡等をも勘案して、一定期間内に新設された線路設備等にかかる市町村納付金について、最初の五年度間その価格の三分の一の額をもって納付金算定標準額とすることとし、負担の軽減をはかることといたしたものであります。  なお、水道施設及び工業用水道施設にかかる市町村交付金の額は約一億四千万円程度であり、また、日本国有鉄道にかかる市町村納付金の軽減額は約三億五千万円程度となるものと見込まれます。  以上が国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案の提案の理由及び内容の概略であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに本法律案の成立を見ますようお願いいたす次第であります。
  138. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 本案に対する質疑は後日に譲ります。
  139. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 次に、昭和四十二年度における地方公務員等共済組合法の規定による年金の額の改定等に関する法律案議題といたします。  提案理由の説明を願います。藤枝国務大臣
  140. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) ただいま議題となりました昭和四十二年度における地方公務員等共済組合法の規定による年金の額の改定等に関する法律案について、その提案の理由とその概要を御説明申し上げます。  政府は、恩給制度について、恩給年額の増額等の措置を講ずるため、恩給法等の一部を改正する法律案を今国会に提出し、御審議を願っておりますが、これに伴い地方公務員の退職年金制度についても退職年金等の年額改定等の措置を講ずる必要があります。このほか、地方公務員等共済組合法の施行日前に地方公共団体臨時に雇用され、厚生年金保険法の適用を受けていた期間を組合員期間に通算する等の措置を講ずる必要があります。これがこの法律案提出した理由であります。  次に、この法律案の概要を御説明申し上げます。  第一は、地方公務員共済組合が支給する地方公務員等共済組合法の規定による退職年金等の年額を、いわゆる二万円ベースの給料により算定した額の三二%増額した額に引き上げることとし、その額のうち、地方公務員等共済組合法の施行日前の期間を基礎として算出する部分については、七十歳以上の者は五四・二%、六十五歳以上七十歳未満の者並びに六十五歳未満の妻、子及び孫は四四%、それぞれ増額した額に引き上げることとしております。なお、この年金の額の改定に要する費用は、そのうち地方公務員等共済組合法の施行日前の組合員期間を基礎として算出する部分については、全額国または地方公共団体が負担することとし、地方公務員等共済組合法の施行後の組合期間を基礎として算出する部分については、国または地方公共団体及び組合員が負担することとしております。  第二は、恩給法の改正に伴い、高額所得停止を行なっている退職年金について、恩給法の高額所得停止基準の是正に準じその支給停止の基準を是正することとするほか、新たに旧軍人の恩給を受けることとなる者またはその遺族に対して、退職年金または遺族年金を支給する等の措置を講ずることとしております。  第三は、地方公務員等共済組合法の施行日前に地方公共団体臨時に雇用され、かつ、厚生年金保険法の適用を受けていた期間を組合員期間に算入することとしております。  第四は、増加退隠料等を受ける権利を放棄した組合員について、国家公務員共済組合法の取り扱いに準じ、地方公務員等共済組合法の施行後に公務により廃疾となった者と同様に、その廃疾の程度に応じ、公務による廃疾年金を支給することとしております。  第五は、地方議会議員共済会の退職年金を受ける者が五十五歳未満であっても、その者が公務に関連する傷病により公務傷病年金を受給できる程度の廃疾の状態にあるときは、その状態にある間、退職年金の支給の停止は行なわないこととしております。  以上がこの法律案の提案の理由及びその概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  141. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 本案に対する質疑も後日に譲ります。  ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  142. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 速記をつけて。  それでは、本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十八分散会      —————・—————