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政府委員(
長野士郎君) まあ、
地方団体が
規模なり、置かれておる条件なり、その業秘なり、
職員なり、非常に千差万態であるという
お話は、もちろんそのとおりでございます。しかし、それだからといって、こういう
業務上または公務上の
災害補償というものがまあ統一的に、少なくともこれだけは
補償するという形がとれないかということになれば、これは現在民間企業は、これだけ千差万態の民間企業に対しても
労働者災害補償というので少なくとも
——業種ごとに
掛け金率なり、
負担金の率は、企業から出します率は違うかもわかりませんが、そういうものでひとつの統一的な運用をしておる。これはなぜそうするかといえば、ひとつの社会保障的な見地にも立ち、また同時に公務上、
業務上の災害というものに対する
補償責任というものは、これは
公務員の場合は国たり
地方団体なりの無過失責任、企業の場合でも当然そういう無過失の賠償責任を持っておるものだという
考え方に立ちまして、そしてそれをある
程度保険的な計算もしながら、合理的に責任を果たす仕組みとして、そういうものを国の場合
——民間
労働者の場合でも労災保険という形でつくる、国の場合には
公務員の特殊性に応じながらそういうものをつくる。それぞれの業種によりましては、それはそれぞれの事情が違うということは、これはもうお税のとおりでございますが、ただし、
地方団体にいたしましても、国にいたしましても、いろいろとやり方は違いますけれども、やはりそこにいま申し上げました
一般の行政職でありますとか、教育職でありますとか、消防
職員、
警察職員、
公営企業の
職員というふうに
考えてみますと、それぞれ違うとは申しましても、おのずからそこに
一つの類似性なり、統一的な形というものがあるわけでございまして、民間企業におけるほどの差異というものがあるかといえばそれほどではない。むしろ統一に
——親しみやすいものでありますし、同時に無過失損害賠償責任というものを完全に、またよりよく合理的に果たすという
考え方に立って、現実との間を
考えてみますというと、やはりこういう統一的な運用をはかる組織をつくる、
制度をつくっていくことは非常なプラスではないかというふうに
考えるわけでございます。これは単に個々の
地方団体で使用者と
労働者との間で、いろいろな何と申しますか、交渉の過程の中から、それではああするとか、こうするとかいうような性質
——まあそういう性質が全然ないとは申しませんけれども、むしろそれより、それをはるかに越えまして、要するに無過失損害賠償責任と申しますか、使用者たる
地方団体が無過失の損害賠償責任を負うという
考え方でものが統一されていく、こういうものが理論的な基礎になっておるわけでございますから、また同時に、職種にいろいろな変化があるといたしましても、それはやはり民間企業のそれほどの変化があるわけではございませんし、それを統一したやり方というものが十分可能でありますし、またそのほうが、いろいろ
補償にも年金
制度などが導入されまして、他の年金との調整なり何なり、非常に専門的な技術的な調整をする必要も出てまいります。そういうことになりますと、それぞれの
団体で条例でつくることが絶対できないかといえば、それはもちろんできると思いますけれども、それよりも、さらにそういう災害を受けました
職員に対するところの
補償というものを充実さす、
内容を向上さして、そうして公正な認定なり給付をやっていくというようなことにするほうが、役に立つのじゃないかというふうに
考えておるわけでございます。