○須藤
五郎君
審議会の
答申には、引き揚げ者はわが国の対外発展に寄与したと、こういうことが盛んに強調されております。わが国の対外発展に寄与したというのは一体どういうことなんですか、伺いたいと思うのです。戦前、日本帝国主義時代の対外発展とは対外侵略、植民地収奪のことではなかったのでしょうか。
政府はこの点どういうふうに
考えておるか、答えていただきたいと思います。これを正当だと
考えているからこそ、一般引き揚げ者に加えて、侵略
戦争の露払いをした反動分子さえも犠牲者として
補償し、これを鼓舞激励しているじゃないですか。あなた方は一般の引き揚げ者の声にこたえるかのごときふりをして、引き揚げ者の中にこういう反動的、侵略的勢力を温存し、激励し、軍国主義復活の推進者に育成しようとしている。これこそ今回の
特別交付金支給法の最大のねらいだと私は
考えます。だから
政府、自民党は国民の当然の
批判や
要求には何一つまじめにこたえようとせず、ろくに
審議もせず、会期末のどさくさをねらって、国民の目をはばかりながら、一気に通してしまおうとしておるのであります。これもまたこの
法案の性格を実によく示しておるといわなければなりません。
次に、第四問に移ります。こういうことは何も私がかつてに根拠のないことを言っているのではないのです。あなた方が出しておる資料に基づいて私はやっているのですよ。この引揚者
特別交付金支給法とともに、
在外財産基金法というのが出されてきております。先ほど長官は私の知ったことではないと、こういうふうに答えておりますが、木村議員もおっしゃったように、それはあまりに無責任な答弁ではないかと思うのですよ。自民党議員があの
法案を出してくるならば、やはり
政策審議会の目を通っておるにきまっているのですよ。長官は自民党の幹部ですもの、幹部が知らぬ存ぜぬと言っても、それでは世間が通りませんよ。必ず知っていることだと私は思うのです。これについて、その目的、事業
内容、資本金総額など、ひとつ
説明してもらいたいと思います。(「
法案が出ていないよ」、「答弁できる人おらぬ」と呼ぶ者あり)答えられない
——それならわからぬと答えてください。
まあ議員
提案だから、
政府は知らぬ知らぬと言うから、知らぬものをこれ以上追及してもしようがないから、私は追及しませんが、しかし、知らぬ存ぜぬでは実際世間が通らないですよ、あなたたち笑うけれども。長官も知らぬと言ったって、それでは世間が通りませんよ。実際は知っておっても答えないのだと思いますから、私はこれ以上追及しませんよ。ぼくたちが知っておる、報道されておるところによりますと、基金の設立目的、この目的は、
圧力団体側が自民党内の在外議員を突き上げて、無利子の
交付国債に果実を実らせることであり、また、
補償問題の
解決で存在
理由のなくなった引き揚げ
者団体の空中分解を防ぎ、選挙の票田として確保することだと、こういうふうに言われているのです。まさに
政府の言うとおり、
政策措置とは一体このことかどうかという、こういうことになるわけですね。ここに
政策措置政策措置と
政府が言う根源があるのじゃないかと、こういうことになってくるのですよ。私が読みました基金の
法案によりますと、基金の目的は、「産業の振興その他
国民経済の発展に寄与する」と、こういうふうになっているのですよ。引き揚げ者に交付される
国債をかき集めて営利を目的とする金融機関をつくる、こういっておるのですよ。これは自民党の議員立法なんだから、議員諸君よく聞いておいてください。こういう
法案があなたたちの同僚によって計画されておるのです。
在外財産補償の総額は千九百二十五億円、これははっきりしております。これを全部基金の資本金に
繰り入れることが予定されている、こういうふうに言われているのです。最終的にはおそらく二千億円になんなんとする巨額のものになるのではないだろうか。素朴な引き揚げ者の中には、これで何がしかの金が手に入ると期待している人が多くいると思うのです。ところが、実際は引き揚げ者の手に入るのではなく、基金の資本金としてプールされる、これは明らかに引き揚げ者を食いものにしようというものではないでしょうか。あなた方は
苦労した引き揚げ者に報いるなどともっともらしいことを言っておりますが、実際にやろうとしていることはこういうことなんです。しかも、これは国民の血税なんです。千九百二十五億円というのは国民の血税です。日本の国民総数一億、赤ちゃんからおじいさんに至るまで頭割り二千円ずつですよ。その金を引き揚げ者の諸君に交付金の形で差し上げようというのですよ。たいへんなことじゃないですか。この国民の血税を一度引き揚げ者に渡して、それをもう一ぺんかき集めて二千億くらいの金融機関をつくる。一体
政府はこんなようなことが許されると思うのですか。
以上明らかにしてきましたように、他の
戦争犠牲者をほったらかしておいて、引き揚げ者だけを特別にとり上げて
特別交付金の
支給をやろうということは、いかなる点から見ても私は不当なことだと思うのです。そうして実際には引き揚げ者の
要求にさえもこたえるものではないということは、いまのあなた方の答弁、態度で私はわかる。これはどんな言いのがれをしても、
農地報償、紀元節の復活、靖国神社の
国家護持、これにあらわれておる。佐藤自民党内閣の軍国主義復活
政策の一つであることは否定できない事実だと思うのです。
在外財産補償問題は、
審議会答申をかくれみのにしていろいろな理屈をこねておりますが、金でごまかそうとしておりますが、そのほんとうのねらいは、佐藤内閣、自民党、米日反動勢力が全体として押し進めようとしておるところの軍国主義の復活、対外侵略
政策の一環であるということは私は明らかであると思うのです。
さらに、あなた方はいかにももっともらしい
ことばを並べ立て、人民からしぼり立てた血税二千億円を使って、自民党の強い支持
団体といわれる引揚
者団体連合会の
要求にこたえることで自民党の選挙地盤の培養をはかろうとさえしておるのです。このような不法不当な今回の
措置は、わが党はとうてい認めることはできないのです。