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1967-06-14 第55回国会 参議院 石炭対策特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月十四日(水曜日)    午後一時二十九分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         鈴木  壽君     理 事                 西田 信一君                 二木 謙吾君                 小野  明君                 鬼木 勝利君     委 員                 石原幹市郎君                 沢田 一精君                 高橋雄之助君                 徳永 正利君                 柳田桃太郎君                 阿部 竹松君                 大河原一次君                 宮崎 正義君                 片山 武夫君    国務大臣        通商産業大臣   菅野和太郎君    政府委員        通商産業政務次        官        宇野 宗佑君        通商産業省鉱山        局長       両角 良彦君        通商産業省石炭        局長       井上  亮君        通商産業省鉱山        保安局長     中川理一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        小田橋貞寿君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○石炭鉱業再建整備臨時措置法案内閣提出、衆  議院送付)     —————————————
  2. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) ただいまから石炭対策特別委員会を開会いたします。  石炭鉱業再建整備臨時措置法案を議題といたします。  本法律案は、五月十七日に提案理由説明を聴取いたしておりますので、本日は直ちに質疑に入ります。質疑のある方は、順次御発言願います。
  3. 西田信一

    西田信一君 石炭政策の一番中心になるのがこの石炭鉱業再建整備臨時措置法案であると思うのです。で、質問に入る前に一度聞いておきたいのですが、この石炭政策を立てるにあたっては、非常に長い経緯があり、また、それぞれの機関にかけて慎重な検討をされた結果、総合的な石炭政策というものが立てられたというふうに理解をしておりますが、その石炭政策基礎になる石炭鉱業実態というものは、審議会答申基礎も同様であると思いますが、すでに今日になりますと、その間にかなり時間の経過があって、石炭鉱業現状とその石炭対策を立てたときの時点との間に、相当実態のズレが生じておるというふうに思うわけです。私は、この間の予算委員会でも、その問題について聞いたのですが、かなりその実態に悪化の状況が出ておるというふうに、この間も答弁がございましたが、実際、その立案当時の基礎になった石炭鉱業実態と今日とではどういうふうな変化があるのかということを、まず政府側からひとつ説明を願いたい。
  4. 井上亮

    政府委員井上亮君) ただいま御指摘がありました石炭鉱業審議会が、政府に対しまして石炭鉱業抜本対策についての答申を出されましたのが昨年の七月でございます。政府は、直ちに同年八月には閣議決定をいたしまして、今後の石炭対策基本方向をきめたわけでございますが、御指摘にありましたように、答申は昨年の七月末の段階でございますし、政府は、その後、鋭意この具体化に努力いたしまして、本年度予算におきまして、あるいは今国会に提出されております法案、こういうものをもちまして抜本策実施をはかるという努力をしてまいったわけでございますが、一方、石炭鉱業実態は、この答申時点が昨年でございますが、検討を始めましたのは一昨年の七月来でございます。一昨年の七月に三木通産大臣が、石炭鉱業の内外の情勢から見て、特にそれまでの間に昭和三十七年には第一次調査団昭和三十九年には第二次調査団政府は派遣しまして、それぞれ石炭対策についての答申をいただいて、実施してまいったわけでずが、これらの施策をもってしても、どうしても石炭鉱業長期安定はむずかしいということで、この際、政府としても思い切った抜本策が必要だという御決意のもとに、諮問されたのが一昨年でございます。そうしますと、一昨年から昨年にかけて満一年間、石炭鉱業審議会中心になりまして、現地調査をはじめ、詳細なる検討を行なって御答申をいただいたわけでございますが、しかし、その後、さらにまた今日、一年経過いたしておるわけでございまして、実態面につきましては、御指摘がありましたように、特に答申がありましてから今日までは全くのつなぎ対策ということで当面を過ごしてまいりました。  つなぎ対策と言いますのは、いわゆる抜本対策のような肩がわり措置とかあるいは安定補給金とかというような補助体制とか、あるいは合理化資金補助というような思い切った助成措置がありませんので、すべて金融対策中心実施してまいったわけでございます。したがいまして、その間、企業におきましては、金利負担増高とか、あるいは特に昨年ごろから顕著になりました貯炭増加というようなことのために——貯炭増加になりますと、同時にまた費用増高いたすわけでございます。そういったようなことのために、今日ではさらに、当時想定しましたより相当額赤字を計上いたしております。  昨年からことしにかけて大体、この損益見通しで見てみますると、四十年の下期、四十一年の上期という段階で見てみますると、四十年の下期の公表損益から申しますと、公表損益としましては、四十年の下期が百十四円の赤字、四十一年上期は二百七十七円の赤字、それから四十一年の下期、ごく最近でございますが、二百六十円の赤字、四十一年度計といたしましては二百六十七円の赤字という姿でございますが、これは公表損益でございまして、これを実質損益に引き直してみますると、四十年下期の実質損益といたしましては、これは大手だけでございますが、四百八十四円の赤字、四十一年の上期には六百六円の赤字というようなことに相なっておりまして、四十一年度計で赤字額だけで二百二十億程度赤字累積をざらに見ておるというのが実情でございます。なお、答申当時には大体、大手につきまして見ますとトン当たり平均五百円程度赤字を想定しておったわけでございます。それがただいま申しましたような実質赤字累積を今日まで見ておるというのが実情でございます。
  5. 西田信一

    西田信一君 いま答弁にありましたように、調査基礎になった時点と今日とではトン当たり赤字も百十四円から二百六十七円に増大をしておる。また、これを実質損益で見れば、計画は、この抜本政策基本になった赤字トン当たり五百円だったのが、実質は六百六円になっておる。しかも、累積赤字が二百二十億増加した、こういうことですね。これは、この計画基礎になったものは、こういうものは織り込んであった、そういう見通しは立っておったのかどうか、こういうものは増大するということを見込んで計画を立てられておったのか、あるいはそういうものは見込まれておらなくて、この計画当時よりもこういうふうに悪くなってきたということなのか、その点はどうですか。
  6. 井上亮

    政府委員井上亮君) 計画を組みましたときは、今後の推移も一応見まして、それを織り込みまして計画を立てたわけでございますが、しかし、特に違います点は、最後の費用増、これは当時、織り込んでいなかった。それから同時に、金融でしのぎましたので、金融関係金利増高というものは、当時の計画では見ていない。しかし、一応、損益関係として将来、やはり依然として悪いというような見通しは、当時立てておったわけであります。
  7. 西田信一

    西田信一君 そこのところが明確でないのですが、一応、見込んであったものもあるし、それからまたその後、見込み外のものもある、こういう答弁のようですが、いまあなたがおっしゃったトン当たり実質赤字五百円というのが六百六円になった。これは実際どっちになるのですか。そういう五百円で組まれておったのか、六百六円というくらいになるだろうという、数字はぴたっといかなくても、そういうふうに百円以上もふえるであろうというようなことは、計画に織り込まれておったのかという点はいかがですか。
  8. 井上亮

    政府委員井上亮君) 六百六円——六百円の赤字と申しましたのは四十一年上期でございまして、四十一年下期では四百数十円程度というふうに考えておりますので、年度を通じますと五百十円から二十円くらいのものになるのではないかというふうに考えております。
  9. 西田信一

    西田信一君 大体わかりますけれども、感じ、あなたの答弁でもそうだが、まあ私の感じでも、計画を立てたときよりも業界実態は悪化しておって、必ずしもいい方向ではない、むしろマイナスの方向に進んでいるということだと思うのです、その程度は別としまして。これは、はたしていまの立てている計画がこういうふうな一年経過した後における実態に実際うまく適合するものかどうかという点については、あと大臣の見解も聞きたいと思うのですが、私がここで確認できる点は、その当時よりも業界実態は悪くなってきているということは認められたわけですから、あとからまた伺いたいと思うのです。  それから次に、何といっても石炭は掘ることも大事だけれども石炭をたくことも、つまり需要を確保するということが一番大事だと思うのです。  そこでどうなんでしょう、私どもも実は石炭政策というものに多少関係してみて感ずるのだけれども、何といってもやはり国内資源であるから、これはもう十分その国内資源を活用すべきであるという、そういう、何というか、ある程度国内資源の活用ということにものの考え方を重点を置いていくべきだと考えておったわけですが、この間中東でああいうようなことが起きまして、案外これは戦火が早くおさまったからけっこうであったけれども、ああいうことまでもわれわれは予想していなかったわけです。しかしながら実際起きて、われわれもこの石炭のことよりも別な意味で非常に心配したのだけれども、案外早く戦火がおさまってけっこうでしたが、そういうようなことが将来再び起きないという保障はつかないわけだが、そういう立場から、政府としては石炭産業というものをどういうふうに——そんなことが起きるというようなことも十分想定されていまこの石炭抜本政策というものを立てられたのかどうかという点はいかがですか。これは政務次官からでもどちらでもけっこうです。
  10. 井上亮

    政府委員井上亮君) 先生から御指摘のありましたように、エネルギー政策を考えますときには、これはエネルギー調査会あたりでも特に指摘しておりますし、石炭鉱業審議会でもかねてから強調いたしておりますけれども、これは、単に経済合理主義だけの立場でなしに、産業エネルギー国内唯一といっていいような資源については、やはり安全保障といいますか、そういう角度から見て——石炭を考えます場合、その位置づげ等を考える場合にあたっては、この安全保障見地というのが、単に低廉性だけという意味でなしに、低廉性政策の重要なものでしょうけれども、同時にやはり安全保障あるいは石炭の場合にはさらには雇用問題とか地域社会との関係というような問題もございますので、そういった見地政策は立てるべきだというような考え方で私ども一貫してまいっている次第でございます。
  11. 西田信一

    西田信一君 基本的なことは、まあ以上といたしまして、時間の関係上個々の問題に入っていきたいと考えますが、そこで、いまちょっと申しましたように、需要確保ということは石炭政策石炭対策としては一番重要な課題だと思うわけですが、政府は、需要確保対策についてどれくらいの決意を持っておられるのかということです。電発火力につきましても、われわれもかねてから要望を持っておって、もう少し積極的にやってもらいたいというふうに考えておったが、これなどもいろいろな障害があって、われわれの期待するように進んでおるのか進んでおらないのか、多少の不安を持っておりますが、これらに対する——電発火力なんか将来どういうふうに需要確保の面で活用していくのかというようなこと、そのほか、私は、電発だけでなくて、共同火力方式といいますか、こういうようなこともどんどん進めて国の、——電発なんか以外にも石炭需要増加する対策というものはもっとも強力にやっていくべきものと思いますが、これらについてどれぐらいの腹がまえを持っておられるのか伺いたいと思います。
  12. 井上亮

    政府委員井上亮君) 石炭需要確保は、今後の石炭関係の安定を確保いたしますためにはやはり基本的な課題でございますので、政府といたしましても、昨年、石炭鉱業審議会答申を受けまして閣議決定をいたしました際にも、特にこの点を強調したわけでございまして、位置づけにつきましては、五千万トン程度ということになっておりますが、需要確保につきましては、少なくとも五千万トンを下らざる需要確保政府としては積極的に努力するということを閣議決定でも明記いたしておるわけでございまして、私どももその線に沿って今後善処してまいりたい。今後の見通しにつきましては、特に最近の傾向といたしまして、これは答申当時と少し事情変化がこの点でもあるわけでございますが、答申当時の見方としましては、特に電力鉄鋼といいますようないわゆる政策需要、この需要の逐年の増大は別としまして、一般炭の、一般産業向け需要見通しが若干変化をしておりまして、まあ長期的に見て、特に四十五年度ごろにはこの需要は七百万トンよりも落ちるのではないか、当時は一千万トン近く考えておったわけでございますが、そういうような今日の見通しでございますので、政府といたしましても、閣議決定の趣旨、精神に即しまして、今後、政策需要拡大に努力してまいりたい。政策需要拡大を考えます際、電力については、九電力については二千三百万トンという長期約束があるわけでございますが、これは一般炭需要が確保できません場合には、やはり先生指摘のように、将来電発火力あるいは御指摘共同火力増設というような点を今後さらに検討しまして、善処していくというようなつもりでおるわけでございます。
  13. 西田信一

    西田信一君 考え方はけっこうなんですが、具体的に、たとえば計画にのっておった横浜のも何か障害にぶつかったような話を聞いておるのだが、そういうことで計画すらもすでに実施がおくれていくというような状況のように思うのですが、ですから、電発について、政府としては大体の年度別計画というようなものもある程度立てていますか、どうですか。
  14. 井上亮

    政府委員井上亮君) 電発火力につきましては、従来三基の建設を進めてまいりまして、それが本年度にはほぼ完了いたしまして、一部来年のものもありますが、完成するわけでございまして、先生も御承知のように、本年度から新たに二基電発火力の新設をするという方針のもとに、一基はすでに着工いたしておりまして、もう一基横浜の磯子の問題でございますが、これは一応政府としては予算もついておるわけでございますが、まだ地元との間の関係調整に若干の時間がかかるというような事情がございましておくれておるわけでございますが、これも私ども近く御了解をいただけるのではないかというふうに考えております。短兵急に押しましても、地元との関係がありますので、その辺、話し合いによって円満に解決するように努力しているわけでございます。  それでこの二基だけで十分かということになるわけでございますが、少なくとも答申をつくります段階におきましては、今後の見通しについてはこの二基増設と、それから鉄鋼の将来の伸び、これに伴う原料炭増加、あるいは九電力の逐年の増加約束——二千三百万トンを目途にしてのお約束、こういうようなもので一応やっていけるものと考えておったわけでございますが、最近の情勢からしますると、少しくやはり需要確保について問題が出てまいりますので、私ども今後、これらの点につきましてさらに具体的にどうするか、早急に検討したいというふうに考えております。
  15. 西田信一

    西田信一君 次は、このいろいろな政策が立てられておるが、現在国会審議中であるということで、こういう法案法律として成立することを非常に業界も期待しておると思うし、また金融機関もこれを見守っておる、見詰めておると思うのです。私がちょっと耳にしておるところですけれども、こういう法律ができないというと、やはり金融の面でいろいろ円滑を欠いておるというふうに聞いておるのですが、いまこういういろいろな審議過程にあるわけですが、現在こういう状況下にあって、業界金融なんかの、当面の借金——二百億ふ、えたということはわかりましたけれども、当面の金融事業遂行するためのそういう面で、一体どういう実態に置かれておるのかというようなこと、それからまた、あわせて古い借金返済なんかは、これができればまた変わってくるわけなんですが、現在どうなっておるのか、利子なんかどうしておるのかということと、現在、事業遂行上、金融の面でとういう状態にあるのかという実態、おわかりでしたら……。
  16. 井上亮

    政府委員井上亮君) お話のように、今日、石炭鉱業で一番困っているのは金融問題でございます。特に金融機関はやはり膨大な債権といいますかを持っておりますので、これの返済がなかなか思うようにならないというようなことから追加貸し出しといいますか、純増ベース貸し出しを手控えておるというのが実情でございまして、純増ベースの手控えならまだよろしいほうでございますが、そうでなくて、むしろ吸い上げ一方というような現状を呈しておるわけでございます。こういうような状態に対処しまして、私どもとしましては、昨年の秋、石炭鉱業審議会金融機関、それと関係業者企業、まあ三者一体になったような形の金融懇談会を設けまして、この金融懇談会は、全体としての審議をする懇談会個別企業についての懇談会個別企業とその企業に対する、取り巻く銀行団、それとまあ政府も入った、そういった両面にまたがる個別と全体という懇談会を設けまして、昨年来、今後この抜本策実施されるという前提に立って、金融協力を要請したわけでございます。その際、金融機関としましては、とにかく再建整備計画ができた場合には、それはその計画によって長期協力するというような約束をしてくれておるわけでございまして、しかし、政府があれだけの助成策施策を決定したわけでございますから、したがいまして、昨年度におきましては、ことしの三月一ぱいにかけて、とにかくつなぎ金融を了承していただいて今日にきておるというのが実情でございます。それからさらに今年度に入りましてからは、いよいよ本年度からこの抜本施策を実行する段階に入ったわけでございますので、特にこの肩がわり措置につきましては、これは予算措置でもそうでございますが、四月一日から、今年度当初から実行するというような予算に相なっておりますので、したがいまして、この法律が通りまして再建整備計画ができるということになれば肩がわりができるわけでございますが、その場合に、企業としては四月からさかのぼってもらわないと非常につらいというようなことで、現在特にこの元利のうち、元本につきましては四月一日から一応返済猶予というような形をとっていただいておる、そういう形で何とかしのいでおるというのが実情でございます。
  17. 西田信一

    西田信一君 元金は返済猶予でこの法律待ちだと言うのだが、当然払わなければならぬ利子もあるでしょう。利子なんかどうなっているの。
  18. 井上亮

    政府委員井上亮君) 利子はこれは取られておるわけでございます。取られてはおりますが、払えないところは延滞の形になっておるというのが実情でございます。
  19. 西田信一

    西田信一君 利子は取られておるといっても、これは四月一日から実施されるということになれば利子も形が変わってくるわけでしょう。それを現行の利率で払っているわけだな。そうすると、あとはどうするのですか、この法律が通ったあと
  20. 井上亮

    政府委員井上亮君) 法律が通りまして、再建整備計画ができて肩がわりが決定いたしますれば、さかのぼりまして清算するというような約束になっております。
  21. 西田信一

    西田信一君 そこで、この法律が通るのを非常に待っておるという理由もそれでよくわかるのですけれども、実際、そうすると、いまつなぎ融資業界はどうやらこうやら動いているというか、状況ですか、どんな状況なんですか。
  22. 井上亮

    政府委員井上亮君) 石炭鉱業大手、中小あるわけでございますが、特に大手の中にも比較的何とかしのぎやすい企業と、あすもわからないで非常に困窮している企業と、一般的に苦しいというような、三つのグループに一応分かれるかと思いますけれども、比較的安定している企業といいますのは、大体、肩がわりの対象にならないような企業、こういうのが三、四あるわけでございますが、そういった企業につきましては、苦しい中でも兼業の利益等で補いまして、何とかやっていけるというようなところもございます。それからどうにもならぬ企業もございます。これはまあ全国には今日を争っているというような企業もあることは事実でございまして、これらにつきましては何とかいたしたいということで、実は衆議院の石特で救済についての決議等もいただいたわけでございますが、私どもはこれをもとにいたしまして、開発銀行とか関係市中金融機関等にも当たって協力を要請いたしておるわけでございますけれども、なかなか、政府機関でありましても融資でございますので、やはり将来の再建計画についての見通しが明確でない段階協力するわけにはまいらないというようなことを言われて、今日私ども弱っているというのが実情でございます。
  23. 西田信一

    西田信一君 そこで、この肩がわり措置実施された場合、これは金融機関は現在の取りきめておる金利よりも引き下げて五%、五分に引き下げるわけですね。これは金融機関も納得しておるのだろうと思いますけれども、そういう不利な条件も出てくるし、それから、もし途中不幸にして閉山になった場合に、その場合半分に、二分の一にするのでしょう。そういうような条件で、これでいろいろ企業整備計画に移るわけだけれども金融機関はこういう条件十分協力をする、してくれるという政府としては確信がありますか。
  24. 井上亮

    政府委員井上亮君) 御指摘にありましたように、この法律によりますと、市中金融機関につきましては金利は通常八分五厘とかいうようなのが普通でございますが、それを五分だけ保証しておるというようなこと、それから会社が倒産ないし閉山いたしました後も、金融機関に対する損失補償につきましては二分の一ということに債務保証をいたしておるわけでございますが、一般のいわゆる何といいますか、中小炭鉱等に行なっております債務保証等も、これは事業団がやっておる例でございますが、これも八割保証というような前例があるわけでございます。万一、回収できないというときには、国が八割保証するというような制度を現在やっておるわけでございます。そういうような点からしても、まあ半分というのはなかなかつらいというような意見もございました。審議段階ではありましたけれども、しかし先ほど御説明申しましたように、昨年の秋に、今後の石炭鉱業再建整備計画についての金融機関協力についていろいろ私ども金融機関と、これは審議会一体になりまして、今後の打ち合わせをいたしたわけでございます。その際・金融機関も、国もこれだけの助成措置をやっておるわけでございますから、したがって金融機関につきましても、市中もこの程度措置で今後協力するということを一応一般的には約束をしてくれております。ただ個別的な問題になりますと、たとえば将来の見通しが立つか立たぬかわからぬような場合には、これはまたケース・バイ・ケースになろうかと思いますが、一般的には再建整備計画ができる企業については、再建整備計画が認定されるような企業については協力するというようなお約束をいただいておるような次第でございます。
  25. 西田信一

    西田信一君 それは約束されておるということで安心できるかもしれませんけれども、まあこれは抜本策をやるということは、石炭企業の荷を軽くするということもあるけれども、一面においては、条件は多少つくけれども金融機関としては、ある程度見通しのない債務を国がめんどうを見て返してくれるということになるわけですから、その目的は、この法律に書いてあるとおり、あくまでも石炭鉱業の再建整備ということがねらいで、国がこういう抜本措置をやるんだから、古い借金は入るが、あと金融の面でそれはまたケース・バイ・ケースとおっしゃったけれども、やはり全面的に協力するというその姿勢なり、あれが、ただ審議会の中に入って約束したという程度でそれで十分いくのかどうかという点が多少不安なんですが、そういう点について何かもう少しはっきりした手を打たれるお考えはないんですか。手を打つというか……。
  26. 井上亮

    政府委員井上亮君) この法律の中でうたっておりますけれども、私どもはこの再建整備計画、これをまず石炭鉱業審議会の中立委員だけで構成しております経理審査会で個別企業検討をいたすわけでございますが、その検討をしていただき、しかる上に立って通産大臣がこの再建計画についての認定をするわけでございますが、認定をいたします事前に、これは金融機関に対してやはりこの長期石炭鉱業再建計画協力していただくことを約束いただいて、その上で認定いたしたい、その上で肩がわりするというふうにいたしたいと考えております。
  27. 西田信一

    西田信一君 そのぐらいの用意がなければいかぬと思うんですが、それはたいへんけっこうな方法だと思いますが、その保証がつかない限り、やっぱり一つのほんとうの石炭産業のあれにならない。金融機関を助ける結果だけになってはいかぬと思うのですが、そこでこの肩がわりは、これは間違っていたら御指摘願いたいが、肩がわり措置というのは、実質赤字があるうちはやるわけでしょう。そこで、これがなくなればとめるわけですね。この実質赤字というものは肩がわりによって、肩がわりが、助ける分も入っているわけでしょう。入っていますね。それがなくなった場合にとめたら、また何というか、それだけでも、肩がわり分がなくなるんだから、また赤字が出てくるようなことになりゃせぬのかということが一つと、かりにそうでないとしても、一ぺんこれが黒字になったらとめてしまうということになれば、石炭産業——これは経営が怠慢でできたのはどうか知りませんけれども、懲罰的にどうか知りませんが、そうでなくても社会経済情勢に押されて、そしてまた赤字ができたというような場合に、一体とめたやつ、一ぺん停止した場合、そのあと措置はどうするのだというようなことについてはっきりしておらぬのですが、どうなんですか。
  28. 井上亮

    政府委員井上亮君) この法律は、とりあえず石炭鉱業の経理の現状をこのまま放置しておけば、過去の累積赤字の重圧とか、あるいはこの累積赤字を反映いたしております銀行からの借金とか、この重圧のもとに今後金融機関から金を借りることもできない、どうすることもならないというような状態におちいりますので、とにかく過去の重圧、これを企業の経理面から取り除くことができますれば、金利負担も非常に軽くなります。金利は特にコストの中で相当大きなウエートを占めております。大手の会計経理を見ますと、トン当たり平均四百円ぐらいが金利負担、大きいところは七百円ぐらいの金利負担というような企業もあるわけでございますので、したがいましてこういった過去の重圧を取り除くということが、まず石炭鉱業の安定のスタートラインだというふうに考えておるわけでございまして、この肩がわり措置だけで将来、石炭産業が絶対に安定するというふうには答申も考えておりませんし、私どももそう考えておりませんで、とにかくそういう考え方で過去の赤字、これだけはきれいにしたい。もちろん十年均等償還ということでお約束すれば、その十年の間に逐年また赤字が加わっていきます場合には、それは赤字として追加して、それがまた消す対象になるという、先生指摘になりましたとうりのやり方で考えるわけでございます。  そういうやり方をして、まあ一定年次が過ぎましてそういった過去の累積赤字が全部消えてきれいになった。しかも、その赤字は単なる公表赤字ではなくて、実質赤字という意味でございます。実質赤字と申しますのは、公表赤字の場合には普通、何といいますか、できるだけ赤字の姿を少なくしたいというようなことから、積み立てるべき積み立ても十分行なわない、あるいは退職給与の引き当て等につきましても税法上認められておる限度まで引き当てない、あるいは減価償却等につきましても税法上認められる限度一ぱい引き当てないという形で、まあきれいな形で公表するのが普通でございます。あるいは赤字を少なく見せるのが普通でございますが、私どものここで考えております赤字実質赤字でございます。で、その実質赤字がなくなるということは、企業が健全な姿になって、なお過去の負担がないという姿でございますから、そうなれば一応この法の目的は達したわけでございますので、一応そこで当該企業については、この助成策はおしまいということにするわけでございますが、その後さらにこの助成がなくなったときに、その後また諸情勢が変わりまして、コストが増高してなかなか黒字に——一時黒字に、すっかりきれいになったけれども、その後また赤字累積するというようなこともあろうかと思います、観念的には。あろうかと思いますけれども、その場合にはやはり他の助成策をもって補う以外にない。と申しますのは、まずスタートラインにおきまして現に——まあ会社の名前をあげることもどうかと思いますが、たとえば太平洋炭礦等は累積赤字も何にもありませんで、それから現在でも一割配当を続けておる、そういうような企業もあるわけでございます。こういう企業と同じ姿になるわけでございますから、この再建計画で。しかし、太平洋炭礦は将来赤字にならぬとも限らない。なるときには、これは当然また安定補給金とか、その他の補助助成策で対処するということでございます。同じ立場に立つというような考え方に立っております。
  29. 西田信一

    西田信一君 ちょっとぼくの質問と答弁と食い違っておるのだけれどもね。私が言っておるのは、この実質赤字がなくなったときというけれども、その実質赤字というのは、この肩がわり措置によってある程度助けてプラスしているのでしょう。力をプラスしておってなくなった。なくなっても、それがなくってもその実質赤字がなくなるという事態がこないと、その力を借りておって実質赤字がなくなるという姿ではだめでしょう。そこのところがどうなるかということなんですがね。
  30. 井上亮

    政府委員井上亮君) 同じことになるわけでございまして、私どもも先ほど言いましたように、要するに実質赤字がある間は、この助成策をやっていく。実質赤字がなくなるということは相当な利益額が出るという事態であろうと思います。と言いますのは、実質赤字のとり方が、普通の公表損益のとり方と違って、限度一ぱい引き当てるものは引き当てるというような、そうしてなお余裕があるかないかというような見方をしておりますし、過去の積み重なった赤字も消えてしまったという段階でないとはずしませんので、ですからこの助成策がなければ赤字だというような状態では、これは卒業したことにはなりませんから、なおそれ以上の利益があった場合ということになりますので、ただ、私はその後でも、ちょっと思い過ごしがあったかもしれませんが、そうしてまあ一応は非常によくなったというあとでも、また数年して悪くなる場合もあることも考え得るわけでございますが……。
  31. 西田信一

    西田信一君 それではそう解釈していいのですね。実際に実質赤字が解消するということは、これを肩がわり措置の力をかりないで、これのゼロの場合に、そういう状態になったときに初めて、というように考えていいんですね。
  32. 井上亮

    政府委員井上亮君) そのとおりでございます。
  33. 西田信一

    西田信一君 それからもう一つ、先ほどお聞きしたのは、そういう状態になったけれども、ある期間内に、十年なら十年の期間内に、また転落したというやつをどうするのかということなんだが、それはかまっておれぬという話だったから……。
  34. 井上亮

    政府委員井上亮君) これはちょっと思い過ごしをしまして、そこまで先ほど言ったわけでありますが、その場合は今日でも、この法案ができましても、累積赤字がない企業はこの肩がわり措置助成措置を受けないわけでございます。それで、むしろそういう企業は他の助成策、坑道掘進補助だとかあるいは安定補給金はそこまで今日及んでおりませんけれども、いろいろのそういう制度もあるわけでございますので、そういう助成策を通じて今後善処してまいりたいと、こう思います。
  35. 西田信一

    西田信一君 ちょっと違うんですよ。そういう、すでに赤字を出しておらぬところは、ほかの助成策石炭企業を助けていくというのはわかる。だけれども、沈んでおったやつが水平線に浮んでくる。また水平線にくぐっていったというやつはこれまた違うのだ。沈んだが、またある時点で浮いた、浮いている時点だけはいいけれども、水平線に沈んだやつはまた助けてやらなければいかぬじゃないか、こういう肩がわり措置は、そういうことはないのですか。
  36. 井上亮

    政府委員井上亮君) 沈んだのは浮んだときは浮ぶと先生おっしゃいましたときには、今日たとえばこの肩がわりの恩典を受けない企業、経営成績がよくて、累積赤字がなくて受けない企業と同じ形になるということでございますので、その後悪くなった場合は、当然またこれは炭量でもなければ——炭量がほとんど枯渇しているような状態なら別でございますけれども、将来のエネルギー政策上なお確保すべき山であるというような場合は、国はこの肩がわり以外の助成策をもってめんどうを見るという考え方になります。ということは、言いかえれば、今日いいと言っている企業であっても、将来悪くなる場合もあります。この場合に、これはそれじゃ何にもしないのかというのと同じでございまして、やはり国として維持すべき資源、維持すべき企業でありますれば、それはやはりこの肩がわり以外の助成策で対処したい、こういう考え方であります。
  37. 西田信一

    西田信一君 私がほんとうに聞きたいのはこういうことです。ほんとうは単年度、ある年度ずっと実質赤字がなくなって黒字になった。そこでぱっと切ってしまうと先がまた不安がないか。だからそれから先また沈んでいくような危険がないかということを考えるならば、ここに二年なり三年なり、ある期間先の見通しを見る期間を置いて、二年なり三年なり安定しておるなら先は打ち切るとかというようなかっこうにしなければ、そこら辺多少考慮の余地があるのではないかという気がするのですがどうですか。大臣そういうことはどうですか。
  38. 菅野和太郎

    ○国務大臣菅野和太郎君) 先ほど答弁を聞いておったのですが、問題はこの肩がわりで安定したというときには、もうそれで打ち切るわけです。だからして、安定すればもう打ち切るわけですから、安定しなければ打ち切らないわけですから、そこでいまの御質問の二年ほどそこで肩がわりの何を置いておくということはどうかと思います、もう安定しておるのだから。
  39. 西田信一

    西田信一君 またケース・バイ・ケース、個々の問題になると思いますから、それ以上質問いたしませんが、ただ、沈んだ場合にまた考えるというならいいが、それがないというから、そこで、少し何か考えてあげることはないかという気持ちを申し上げたわけであります。御検討願っておきたいと思います。  それから肩がわり措置を希望する企業は、いろいろ再建整備計画というのを出すのでしょう。これは私どもにわかるように、どんな内容のものを要求されておるのかということと、それから一ぺんに出てくるのじゃないから、ずっと出てくるでしょうが、大体どういう手順で、どんなふうに想定しておられるかということをひとつ……。
  40. 井上亮

    政府委員井上亮君) 再建整備計画の内容としましては、第二条に概要が触れられておりますが、一応計画としましては、まず企業から将来の再建計画を出していただきたい。そのうち今後の五年間につきましては、具体的な、やはり実行計画というような精緻な計画内容を御提出いただきたい。で、その後さらに五年間程度につきましては、それは十年後の姿というのは、的確に描けと言われましても、なかなかむずかしい面があろうと思いますので、当初前半五年と後半五年に分けまして、後期につきましてはやはり長期の展望というような内容にして提出していただきたいというふうに考えております。で、その内容といたしましては、この第二条にも触れておりますように、石炭の生産計画、販売計画、財務に関する長期見通し計画、さらには、鉱区調整の必要な場合もあろうと思います、そういう場合には勇敢に鉱区調整をやろう、やっていただきたいというようなことを記載して、やってもらいたい。それからその他近代化計画、合理化計画さらに資本構成の是正についてのいろいろな当該企業としての諸計画についてやはりあわせて御提出いただく。こういうような計画を最小限要求いたしまして、これを御提出いただきまして、この法案の二条の最後にありますように、一応通産大臣が認定するわけでございますが、認定する前の段階といたしましては、石炭鉱業審議会の中立委員で構成しております経理審査会の意見を聞きまして、しかる後に通産大臣がこの再建計画を認定する。で、通産大臣が認定いたしますと、今度は政府といたしましては第四条にあります開銀とか中小企業金融公庫とかその他の金融機関に対しまして、政府との間に、市中につきましては十年、政府関係金融機関につきましては十二年の元利補給契約を結ぶというような順で善処してまいりたいつもりであります。
  41. 西田信一

    西田信一君 お聞きしたいことはわかりましたが、大体どれくらいの時期に、どういう手順でこれをやるという、出せるというタイミングの問題、どんなふうになりますか。
  42. 井上亮

    政府委員井上亮君) 実は先ほども先生から御指摘がありましたように、今日、石炭鉱業金融に非常に苦しんでおりまして、そのために一日も早く体制を整備したい、体制整備ができないとなかなか金融供与が得られないというような事情がありますので、実は昨年の末以来、業界にはこういった趣旨の勉強をしていただきまして、本年の三月くらいまでは私ども業界との間で、いろいろ業界の意見も聞きながら研究会を続けてまいりました。さらに本年の四月からは経理審査会の幹事会といいまして、経理審査会の正式の委員が出られるものではありませんが、これは開銀の理事とか事業団の理事とか、私どもとかいうものをもって構成している幹事会があるわけですが、この幹事会を開きまして、ここで四月以降、各社個別に、いろいろ各社の提出されました計画について検討を加えながら、今日に至っておるのであります。まだ幹事会といたしましても、いろいろむずかしい個別企業の問題がありまして、最終の詰めまで至っておりませんが、まあそういう勉強を、もう何ヵ月もかかってしておるわけでございまして、この法律が通りますれば直ちに審議会を開きまして、これは正式の審議会を開きまして、一月以来検討を加えてまいりました個別企業再建計画について、正式な取り上げをいたしたいというふうに考えております。  なお、タイミングといたしましては、いままで幹事会で相当練っておりますので、これを一社一社、通常、従来、再建会社と称する企業については一社一社について相当綿密にやったわけでございますが、そのつどやったわけでございますが、今回の場合は、一月以来ないしは、幹事会としても四月以来やっておりますので、できるだけ、問題のない企業については一括審議をいただき、問題のある企業については、要すれば個別にやはり検討をいただくというようなことになる場合もあろうと思います。というような形といたしまして、まあできるだけ問題を少なくするように幹事会でいま練っておりますから、問題が少ないならば、できるだけ一括して御審議をいただくというような形で、通産大臣の認定を一日も早くできるように努力してまいりたいということでございます。
  43. 西田信一

    西田信一君 大体、何月ごろには全部が出そろって、認定が終わるというような見通しはありますか。
  44. 井上亮

    政府委員井上亮君) 私ども、いまこの法案にかかっておりますので、率直に言いまして、この法案が通りますれば、おそくも二週間くらいの間には何とか審議のめどをつけたい。そのためには幹事会が相当掘り下げておかなければなりませんので、今日鋭意そちらに取り組んでおる次第でございます。
  45. 西田信一

    西田信一君 それから、肩がわりのいろいろな条件があると思うのです。炭量というか、採掘可能量というのですか、これはどれくらいの基準に考えておられるのですか。
  46. 井上亮

    政府委員井上亮君) 第二条の、要するにこの肩がわりを受け得る対象となる企業、言いかえれば、再建整備計画をつくられる企業ということでございますが、この要件として二つございます。一つは財務の状況からみた場合、もう一つは採掘可能鉱量の点でございますが、財務の状況につきましては、先ほど御説明申しました公表損益ではなくて、実質赤字をどう組むという点でみてまいりたい。それから採掘可能鉱量につきましては、大体これは数年後に閉山するというような企業ではございませんで、やはり資源産業としての長期の安定出炭と申しますか、安全保障というか、安定出炭につながるものとしての対策でございますので、少なくとも十年くらいの採掘可能鉱量があることを要件にしたいというふうに考えております。
  47. 西田信一

    西田信一君 大臣にお聞きしますが、この間私、安定補給金の問題で予算委員会でお聞きしましたね。大臣は、相当幅をもって弾力的にやりたいという御答弁がありましたけれども、大蔵大臣はどうもちょっと少しにおいの違うような答弁をされたのですが、これは私は、あの予算の組み方からいっても、そういう性格のものであろうと思うのですけれども、どういうふうにお考えでしょうか。
  48. 菅野和太郎

    ○国務大臣菅野和太郎君) 大蔵大臣と私と、そう食い違っていないので、大蔵大臣から見ると、百円でがんばっておったのを、こっちがやかましく言ったから百二十円にしてやったという気持ちがあると思うのです。私どものほうは、計算上は百二十円ですけれども、つまみとして二十五億をもらっていますから、それでひとつ運用よろしきを得たいという考えでおるわけでありまして、実際やってみて、あるいは百二十円をこすかもしれません。あるいは百二十円以下になるかもしれません。まあ、そこは運用よろしきを得て、できれば百二十円をこすようにやりたいというつもりでございます。
  49. 西田信一

    西田信一君 ぜひそういうお考えでひとつ実行してもらいたいと思います。  それから大臣にちょっとお聞きしたいのですが、私は先ほどから申しておりまして、いろいろ大臣がお見えになってからお聞きしようと思っておったのですが、実際、計画を立てるときと時間のずれがあるために、実際に石炭鉱業実態というものは悪化しているというのが、先ほども答弁にありましたけれども、実際そのとおりだと思うのですが、そこで安定補給金というのは、審議会答申にも安定補給金というのはなにも中小炭鉱に限るということは書いてないのです。だから、これからこういう抜本策を講じられ、非常に好転していけば、たいへんけっこうですけれども、なかなかしかし、そうはいかないと思うのです。そこで、私は安定補給金という、こういうような総合政策実施された結果、結果を見なければわかりませんけれども、私は答申のその趣旨から言っても、全部にやれとは書いてないけれども、中小炭鉱だけに限れとも書いてない。だから、将来は安定補給金というのは、石炭鉱業の再建が国家的に重要であるという立場から考えるならば、もう少し幅広くものを考えていいのじゃないかという気がするのです。これは来年度予算以降の問題でありますけれども、そういう点について、どういうようなお気持ちを持っておられるか、ひとつお伺いしたいのです。
  50. 菅野和太郎

    ○国務大臣菅野和太郎君) 予算委員会や何かでもしばしば御質問があったかと思うのですが、この答申ができた基礎は、昭和四十年でありますからして、もう二年たっている間に事情は非常に変わっております。したがって、この答申どおりにやって、はたして石炭対策を安定させることができるかどうかということについては、それは私自身も疑問を持っておりますけれども、一応この答申が出たので、昭和四十二年度予算としては、答申に従って予算を計上したわけですが、これをやってみて、そうしてこの経過を見てひとつまた考えてみたい、こう思うのです。  そこで考えられるのは、安定補給金をどうするかという問題、これが一番手をつけやすいのじゃないかという感がしているので、これも答申では百円というのを百二十円に、大蔵大臣に無理言うたのでありますが、この安定補給金などにやはり手をつけて、大蔵大臣とまた折衝しなければならぬのじゃないかというふうに考えております。
  51. 西田信一

    西田信一君 私どもの考えているような方向で通産大臣もお考えですから、ぜひこれは、必要のないものに出す必要はないけれども、将来は必要が起きるのじゃないかという気がするものですから、安定補給金というものはもう少し、中小だけではなく幅広くものを考えて、将来のひとつ構想の中に取り入れていただきたい、こういう気持ちで申し上げたわけでございます。  それから、再建整備を実施すれば国が相当の財政援助をするわけですから、これに対して指導や監督が強化されるというか、これは当然のことだと思います。業界もそれくらいの覚悟はなければならぬと思います。思いますが、あまりまたきびしくやり過ぎてしまって、どうにも動かぬということになってもいかぬと思うのです。そこでお聞きしたいのは、いま石炭会社は、石炭プロパーでなくしていろいろなことをやっていますね。やはり企業が苦しいからそうなると思うのですが、また実際そういう必要の面もあると思うのです。一から、そういう意味でこれから石炭会社が社外投資をする場合に、これは国があれしたのだから一切社外投資はけしからぬぞと言って縛ってしまうと、かえってぎこちない面が生じてきはせぬかという気がするものですから、社外投資もいろいろ、ものによっては必ずしも好ましくないものもありましょうけれども、いわゆる関連企業というような範疇のものであるならば、たとえば離職者があるときに離職者の始末がつけられるとか、人のやりくりがつくとか、あるいは産炭地振興なんかにも、石炭会社が投資して産炭地の需要を確保するというようなことにも、ある意味においては役立つ場合もあるだろうし、そういう社外投資などにあまりひどい規制を加えられてしまうと、そこら辺はやはりほどほどにやる必要があると思うのですが、こういう点についてどうお考えですか。
  52. 菅野和太郎

    ○国務大臣菅野和太郎君) 社外投資の中にも黒字を出しておる社外投資がいままでもあったと思いますが、しかしいまでも赤字を出しておる社外投資もあるようであります。したがいまして、炭鉱自体で赤字経営じゃなくして、社外投資のために赤字になったようなケースもあるように聞いております。がしかし、今後の社外投資については、やはりこちらに相談してもらってきめるということにして、プラスになる社外投資であればそれはいいと私は思います。しかしながらマイナスになるような社外投資であれば、これは厳重に取り締まることにして、やはり石炭鉱業自体の安定をはかりたい、こう存じておる次第でございます。
  53. 西田信一

    西田信一君 これで私、終わりますけれども、通産大臣、最後にひとつ特にお願いをしておきたい、またお考えを聞いておきたいことは、冒頭、大臣がお見えにならない前に、石炭産業抜本策が、先ほどから何べんも話が出ておりますように、その後一年間の様子を見ておると、いろいろな事情があると思いますけれども、どちらかというと、悪い方向に向かっておるということ、それからまた、この間の中東のああいう国際紛争が起きまして、だいぶ日本もみなびくびくしたわけですけれども、幸い早く戦火がおさまってけっこうだったが、あんなことをわれわれ予想して石炭対策と取り組んだんじゃないと思いますけれども、しかしいろいろなことを考えますと、国内でたった一つの石炭であるから、これで十分だということではなくて、まあスタートをしてみてもし足りないところがあれば、さらに場合によっては、年内にどうということは私はあえて申しませんけれども、もう少し様子を見て、政策なり予算の面なりで考えて、少なくともやっぱり五千万トン以上の需要を確保されて、石炭産業を安定させるという方向に向かってひとつ勇敢にやっていただきたいという気持ちを持っておりますが、最後に通産大臣の、政府としての御決意を伺って、私の質問はこれで終わります。
  54. 菅野和太郎

    ○国務大臣菅野和太郎君) 石炭鉱業の問題についての将来、今後の動向などについていろいろ御心配になっておられる点は、私も全く同じ気持ちを持っておるのでありまして、まあ五千万トンを確保すること自体に、これは非常な困難性があると思うのです。がしかし、日本の安全保障という観点からも五千万トンはぜひこれを確保しなければならぬというように考えておりますから、いろいろの点において他にマイナスの点があっても、まあ無理算段して五千万トンは確保したいという考えをしておりますから、五千万トンを確保する上において今日までの対策で不十分な点があるとすれば、これはひとつその対策検討して、そしてよりよい対策を講ずるということで、あくまで五千万トンは確保するという方針でいきたいと、こう存じておる次第でございます。
  55. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 与党の西田委員が長時間かけてお尋ねしなければならぬほど問題点がたくさんある法律なんですね。私は、西田委員はこの法案をつくるときに中身について当局と御相談にあずかっておると思います、ぼくら野党ですから全然知りませんが。その西田先生が疑問を持ち、要望があり、意見があるわけですからね、したがってなかなかこの法律で、炭鉱が、大臣のおっしゃる御答弁のようにはいかぬわけですね。したがって私は、これからいろいろお尋ねするわけですが、お尋ねする前に大臣にお願いしておきたいことは、衆議院の委員会での同じ問題をお尋ねしては大臣に対して気の毒であるということで、いろいろと、全部ではありませんけれども衆議院の速記録を通読してみました。大臣の御答弁がなかなかりっぱで、大臣りっぱなことをおっしゃるという委員の発言等があるわけです。その場の空気がわかりませんから、ひやかして、りっぱな答弁と言ったか、それともほんとうに心から得心して、りっぱな御答弁と言ったか、これはわかりませんけれども、とにかく大臣の御答弁を読ましていただいても、説明をされる井上局長の御答弁を聞いても、りっぱなものだ。  そこで、私のこれから言いたいことは、決して皮肉な意味でなしにね、昭和二十九年に石炭合理化法案ができるまで、石炭関係法案というのは、あの鉱業法とか鉱山保安法とか、二つ三つしがなかったわけです。いまは膨大にできている。したがって、政策政策とこうおっしゃるけれども、その当時から石炭政策というのがあったわけです。近年五ヵ年の間を見ても、いまの総理大臣の佐藤さん、あるいは福田さん、あるいは櫻内さん、三木さん、いまの大臣まで、何代かの大臣がそのつど石炭政策を述べ、ここで御説明なさった。五千五百万トンも政策、五千二百万トンも政策、今度五千万トンも政策、衆議院の御答弁を聞いても、金がなかったらどうなるのですか、これは政府からもらいます、借りるのか、助成金か、それは助成金だと大臣答弁していらっしゃる。なるほどけっこうで、衆議院の喜ぶのも無理ないが、そんな甘くない。ですから、もう少しシビアーに言ってもらいたい。われわれ、もっとひどいですよと言われてもびっくりしない。四千七百万トンしかだめですよと言われてもびっくりしない。五千五百万トンと言われても、大臣の委員会切り抜けの答弁であると言って逆に反論しますよ。いま五千三百万トンの貯炭がありますよと言ってもらったほうが、私御相談にあずかってもけっこうですし、意見申し上げてもけっこうだ。答弁を聞いてみると、まことにりっぱな、王道楽土のように炭鉱がなるということまでは言っていらっしゃらないけれども、りっぱになる。石炭産業によって生活の安定とか職場の安定をはかろうなんという炭鉱労働者はほとんどおりませんよ。チャンスがあれば炭鉱をやめたいという気持ちが横溢しているのです。国の基幹産業——これは大臣もこの前、有閑マダムもおりますよという答弁をやっておったが、そんな気持ちは一人もないわけだから、ですから石炭だけ論議してもだめなんです。この法律一本だけ論議してもだめなんです。したがって、石炭と電気、やがては日本の中心のエネルギーとなるべき原子力、この三つをどう大臣が日本の総体エネルギーとしてお考えになっているか、基本的にひとつ伺いたい。  補給金も出しましょう、一千億出しましょう、これは日本の国としてやっぱり抜本対策の一つでしょう。しかし、石炭産業にとって抜本と言えるかというと、抜本と言えない。あれ抜本になりませんよ。ということは、五百億という特別会計のワクをつくっている。したがって五百億のワク内——五百二十億ですか、このワク内で金を使う分については、来年十億上がるか二十億上がるかわかりませんけれども、このワク内で使う分には、いままでのように石炭局長が大蔵省とにこにこして……まなじりを決して言う必要ありませんが、それからはみ出るということになったら、あるいは特別会計はないほうがいい場合も出てくる。  それから、イギリスの例を見てごらんなさい。イギリスの石炭は、四千億の金を動力省にひとつ出してくださいと言ったら、九千億ぽんと出した。なるほど出炭量はイギリスと日本は違うけれども、諸外国の例を見てもわかるが、日本はあまりにも少なきに失する。ですから、これだけの赤字が出ればこれこれこれこれ国が整理しますよと言うぐらいが、かえってぼくは、いまは冷たいけれども、将来のためにいいのだという気がするわけです。  ですから石炭と電気とそれからいま申し上げました原子力発電、この三つを合わせて将来、二十年、三十年とは言いませんけれども、五年、十年先は、日本の総体エネルギーはカーブを描いていっている情勢ですから、その数字を示してください。
  56. 菅野和太郎

    ○国務大臣菅野和太郎君) いま阿部委員の言われたことはほんとうに石炭鉱業を憂えての御質問だろうと思います。私も石炭鉱業については決して安易に考えていないわけで、この対策でこれで十分だという、これでもう何も心配要らぬかというと、決してそうではありません。これまた阿部委員の言われたとおり、石炭鉱業石炭鉱業自体についての起こってきた問題ではなくして、周囲の事情でこういうふうにならざるを得ないことになったと思うのです。というのは、石油の問題、将来は原子力の問題ということになってくる。そうするとエネルギーはほかから、石炭以外の資源からエネルギーを獲得するような世の中にだんだんなりつつあるというのが、石炭鉱業自体に対する需要を失ってくるということになると思いますからして、その情勢は今後もますます加重されてきますから、したがって、石炭対策ということは決して現在の対策で私はこれでもう安心だという考えはございません。しかし、いままでの石炭対策に比べたならば、石炭鉱業審議会答申によって今度の案を立てたのでありますからして、いままでに比べたならばよほど思い切った案ということが言えるのではないか、こう思うのです。で、まあ石炭鉱業審議会もよほど思い切った答申を出された、こう思っておるのでありまして、そういう意味で五千万トンはぜひ確保していきたい。しかし、先ほどからも言うとおり、五千万トンを確保することにいろいろ困難があるということを申し上げておるのでありますが、しかし安全保障というようなことを考えてもどうしても五千万トンは確保していきたい。その確保するについて、いま今日やろうとしておる対策が不十分であれば、もっと万全な対策、よりよい対策を考えていかなければいかぬという私は考えを持っておるわけなんです。  そこで、先ほどからこのエネルギー資源のことについてお尋ねがありましたが、総合エネルギー調査会の答申によりますと、昭和六十年度におきましては、水力が四・四、それから原子力は一〇、それから石炭が五・五、それから石油が七四・八というようなことで、大体七五%は昭和六十年度において石油資源によっておる。原子力はまだようやく一割で、石炭が五千万トン確保すればそれで大体五・三%というような状態でありますので、したがって、日本全体のエネルギー資源ということを考える場合にはやはりこの石油というのが今日重要性を帯びておりますし、将来は私は原子力だと思います。で、原子力というものが私はエネルギー資源のほとんど大部分の供給を占めてくる時代がやがてくる、こう考えております。したがって、科学技術庁のほうでも原子力の事業団のことを提案しておるのでありまして、そういうことで原子力の将来の平和利用の発達ということを考えていきたいのでありますが、せめて石炭だけは五%はひとつエネルギー資源の中で確保するように今後努力していきたいという考えを持っております。
  57. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 これは大臣、決しておことばを返す意味でございませんよ、大臣決意のほどは同じようなことを衆議院でも答弁なさっているし、しかし、何度も何度も下がってくるから私は疑心暗鬼を持ったり、知らず知らずのうちに当局に対して不信を持っておるかもしれません。しかし、私、通産当局がなまけておるとかなんぞということは毛頭考えておりません。私の言うことは、したがって、炭鉱経営者にも冷たいし、同じ仲間である労働者諸君にも冷たいこと言う。しかし、大臣が、であろうと言うことと、その結果とあまりにも違った場合に、これは文句の一つも言いたくなるわけです。したがって、いまのような政策ではたして——いま数字を聞いてみたんだが、その中で五〇%、六〇%は電気屋さんですよ、いやだいやだというやつを政策的に使わせているわけです。はたして、いやだいやだというのを永久に——いまおっしゃった年次に使わすことができるかどうか、そういう心配が一つあるので、あるいは一般炭の例をさいぜん申し上げましたとおり千数百万トンの貯炭があるわけです、これ一体どうやるのだ。もう少し親切丁寧に、まあいま右左というわけにはいかないでしょうけれども、これをどうするのかということをお聞きしたい。  それからもう一つ、これは大臣でなくてけっこうで、鉱山局長にお願いしたいのです。重油の三年間の輸入量、それから電力会社は重油と原油両方使っておりますね、これを九つの電力会社がどういうパーセンテージで使っているかお示し願いたい。
  58. 菅野和太郎

    ○国務大臣菅野和太郎君) 阿部委員のお尋ねの石炭の消化の問題ですが、五千万トン採掘しても、実際はそれだけの需要はないじゃないか、貯炭が今日たくさんあるということ、そういうことについてもいろいろ心配になっておる点は、私たちも同じようなことを実は心配いたしておるのであって、五千万トン採掘しても、実際需要がそれだけなければ、そこに政策の破綻を来たすのでありまして、そこで、まあいままで、きょうもおそらく局長からも返答があったことと思いますが、政策需要ということと、これをお願いしておるのでございます。  そこで電力会社がそんな石炭を買うかどうかというお尋ねでありますが、これはどうしても電力会社に国策に順応してもらうという意味において、やはり電力会社にお願いして、より多く一般炭を買うてもらうということにお願いせざるを得ないようになっていく、こう思うのでございまして、まあ阿部委員はその点について御心配になっておられますが、この点については、国策という観点から、電力会社にひとつ一般炭を消費してもらうように、いわゆる政策需要をもっと多くしてもらうようにお願いせざるを得ない、こう私は考えておる次第でございます。
  59. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) わが国におきます石油の輸入の推移は、逐年きわめて上昇いたしておりまして、過去の数字からの推移を申し上げますと、昭和三十五年度におきましては約三千三百万キロリッターの輸入、昭和四十年度におきましては八千七百万キロリッターの輸入、昭和四十二年度におきましては一億一千五百万キロリッターの輸入ということを、それぞれ計上いたしております。したがいまして、原油の輸入量の伸びは逐年きわめて高いわけでございますが、そのうちC重油は全体の原油の中から約四割がこれに該当いたすわけでありまして、そのC重油の相当部分が電力用に充当されておる次第でございます。
  60. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 鉱山局長、九つの電力会社の使用しているパーセンテージをお示し願いたいと質問しているわけですが、そこで大臣、アメリカの前国務長官、あの人がガンになった。ところが、お医者さんは、あなたはガンですよ、ダレスさん、あなたはもうあまり長くない、だから、十分遊んで世を過ごしなさい、こうおっしゃっている。日本の場合、池田さんの例をとってたいへん恐縮ですが、満枝夫人以下、あなたもその一人だったでしょうが、みんな隠すのですよ、ガンでないからなおりますと。どちらも、国柄もありましょうし、民族性もありましょう。どちらが——君はガンだぞ、ゆっくり休みなさい、いや、だいじょうぶだと、どちらが幸福かわかりませんが、炭鉱の場合はこれと同じで、ガン、それをこれでなおすのだ、こういうのは、そのことはいまは親切かもしらぬが、最後に奈落の底に突き落とすわけですから、これはなくなってしまう場合には、どちらが幸福かわかりませんけれども、奈落の底に突き落とされた方は、経営者といえ、炭鉱労働者といえ、生きていかなければならないから……。  そうすると、これが抜本策とすれば、有沢さんの答申も第一回から、中間答申から、第三回の答申が出たが、これが抜本策だと言ってしまえば、もう毎年抜本策を出すわけにいかないでしょう、多少アフターケアは毎年なさるでしょうが、抜本策で五千万トンの石炭大臣のお力によって電力会社に押しつけて、使ってもらって助かるかどうかという問題、そこが私は心配なんです。大臣に質問より、心配なんです、そんな心配はございませんか。
  61. 菅野和太郎

    ○国務大臣菅野和太郎君) 心配すれば際限はないのでありますが、私が通産大臣になったときにも、歴代大臣が一番悩んだのは石炭問題だということを聞いております。なるほど私も大臣になってみて、石炭行政というものがこれは非常に困難な問題であるということを聞いて、幸い石炭鉱業審議会からこんなりっぱな答申が出て、そこで経営者も、またこの答申案には労務者の方も参加されておって、そうして中立の人々も参加されておって、そこで、日本の石炭鉱業を安定さすというこの答申案が出たのでありますからして、私は、この答申案に従ってやってみて、これでいかなければいかぬときでひとつ考えたい、せっかく皆さんが苦心してこの答申案をつくられたのでありますからして、この答申案に従って、ひとつ対策があれば政府対策を立てていきたいということでやって、その上でなおこれが不十分であるということであれば、また私は、アフターケアということばかりじゃなくして、根本的に考えてみてもいいのじゃないか、こう私は思うので、阿部委員の御心配になる点も、この案では石炭というものはとうてい浮かばぬじゃないかというお気持ちだと思いますが、私は答申案のとおりやれば、一応これで浮かぶのじゃないかという、私自身はそういう気持ちを持っております。しかし、確かに浮かぶということについては私自信がありません。しかし、一応せっかく皆さん方が答申案をつくられた、その意思を尊重して、四十二年度はこの案でいきたいという考えを持っておるのでありまして、何も全然心配ないということは、はたしてこれでやっていけるかどうかということについては、私自身も不安を持っておりますが、まあとにかくこの案でやれば、多少いままで心配されておったことが消えるのではないかという一るの望みを持っておるのでありまして、せっかく皆さん方の苦心された答申案をひとつ尊重していきたい、こう考えておる次第であります。
  62. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 答弁を追加させていただきますが、電力向けの重油の供給量は、昭和三十九年度におきましては千百三十七万キロ、四十年度におきましては千二百四十七万キロ、四十一年度におきまして千二百七十五万キロ、四十二年度千六百四十二万キロ、これはほとんどすべてが九電力向けのC重油であるということをお答えいたします。
  63. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そこで大臣、私ども社会党は、御承知のとおり炭鉱国有化、国営化です。ですから大臣と意見が食い違うので、私いまここで石炭国管を出して大臣と論争しようということは思わないので、ただ、イギリスでも、あるいはフランス——フランスは全部じゃありませんけれども、まあ国営でやっている。いかに社会主義国家.まあソ連とか、中共、これは大臣もあまり好きでないから、ソ連や中共のようにやれとは言いませんが、大臣、イギリス、フランスあたりはやっております。ただ、資本主義国家でもそういうことができる。資本主義国家でも、社会党の言うような四角四面なものでなくても、もう少し何らかの方法があるのではないか。特に、基幹産業というものは、鉄とか石炭とか幾つもないのですね。  そこで有沢先生ともときどき懇談をするのだが、大体一千億の金を使って、五百億のワクをつくって、膨大な鉱害を抱えて、将来の基幹産業なんだから、たとえば五千万トンが四千五百万トンになっても、大体石炭局長一人置いて、そこへ五十人か六十人置いてやれということは大体政府は不見識である。したがって、石炭庁でも設けて、真剣に取り組むべきであるということで、いろいろと意見を交換したことがございます。私これは国会が終わってからでしたので、委員会では申し上げませんでしたけれども、三木前通産大臣とも話をした。三木さんは弁舌さわやかですから、次の国会でも石炭庁ができるようにする、それはできます、阿部君のお説ごもっともです、はい、あとはさようなら、外務大臣になりましたが、しかしあなたは、そのことぐらい石炭庁ぐらい設けて——外国は動力省とか燃料省、ベルギーのようなところでもやっておりますよ。それくらいの熱意があってしかるべきだ。こういう点についてはどうですか、特に、公社、公団、事業団をつくるのが大好きな佐藤内閣ですから。
  64. 菅野和太郎

    ○国務大臣菅野和太郎君) 石炭国有論、国営論は実は衆議院でも皆さん方からお話が出ました。で私は、現在、いまの段階においては、国有論には私は賛成いたしませんということを申し上げたのであります。これは何もイデオロギーの問題ではないのであって、そこで私はなぜ現在の段階においては賛成しないかということは、この石炭鉱業審議会で、経営者の方も労務者の方もこの答申でやろうというようなやっぱり企業意欲を持っておられるのでありますからして、したがって、やはりこの企業意欲がある間は、これは民間人にやらせればよろしい。何も石炭局長だけで人数が少ないというようにおっしゃいますが、これが国有になれば、国が経営するのですから、したがって相当政府の役人を置かなきゃなりません。しかし炭鉱はみんな経営者が経営するのでありますからして、その上でただ監督とかなんとかいうことをわれわれのほうでやっておるのでありますからして、私はいまの石炭局のこの組織で十分だと思っております。そこで私自身が御指摘のように国有論に反対しておるのは、これはその気持ちは皆さん方、ことに社会党の皆さん方と同じ気持ちだと思うのですが、皆さんが公社、公団に反対されておる一つの理由は、能率があがらぬということだと思うのです。日本では公私の差別が日本人は割合少ない、外国人はその点公私の差別がはっきりしております。でありますからして、外国の国有国営というのは、私はあるいはそれは妥当かと考えております。日本では公私の差別がはっきりしませんから、自分のことだと一生懸命やるが、公けのことだったらないがしろにするというようなことで、まあ今日の公社、公団に皆さん方が批判されておるのもそれが一つの理由だと思っておるのであって、私は石炭鉱業を国有にしたらもっと能率が悪くなる。でありますからして、これはかえって私は国全体に対して決して経済的にいいとは考えない。いませっかく企業意欲を持っておられるし、それで炭鉱労務者の方も、この際これでやろうというふうな意気込みを持っておられるのでありますからして、この答申案のとおりにひとつやってみて、そうしてひとつ実績を見て、その上で、どうしても企業者も全部お手上げだと、まあおれはやる考えがないというような段階になれば、それはまたそのときにひとつ根本的に考えてみなきゃならぬのじゃないかと、こう私は考えておる次第であります。
  65. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 どうも大臣、勘違いしたと思うのですな。私は社会党ですから、国有国管論です。しかし、大臣のお立場は違うからこれは論争いたしません。しかし、石炭庁ぐらいはできるでしょうと、その二段目がぼくの質問なんです。大臣、かんかんになって、社会党の国有論はどんなものか、あなた知らぬでしょう。どんなものか知らぬで、ただ国有反対だと、そういうことになれば新しく論争しなきゃならぬが、法律をあげるためにじゃまになる。それをやると長く論争しなければならぬから……。あなた何も聞かぬことを答弁せぬでもよろしい。ただ、私の聞いたのは、石炭庁でも設けてそれで根本的にやるとおっしゃるのだから、もう少し機構をがっちりと固めておやりになったらどうですか、そういうことは資本主義国家で自由主義経済の中でもできるでしょうと、こういう話を私はしておるのです。
  66. 菅野和太郎

    ○国務大臣菅野和太郎君) 私は将来、 エネルギー省というか、まあ動力省とかいうようなことはやがて考えなきゃならない時代がくるのじゃないかと思うのです。ところが、産業のうちの重要なエレメントといえばエネルギーです。でありますからして、ことに日本のように国内エネルギー資源がない国というのは、エネルギーをいかにして確保するかということが、これが重要な日本の国策でありますからして、したがって、いままでは石炭にたよっておったのであるけれども石炭はたよれないという状態で、石油を何とかして獲得しなきゃならぬというような国情になってきたので、そこでまあ、別の法案として石油開発公団というものを皆さん方に御審議をお願いしておるのでありますが、そういうようなことで、これは私は石炭庁じゃなくして、全部含めてのそういうようなことはやがて考えるべきときがくるのじゃないかという気持ちは持っております。
  67. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 大臣、そのやがてがだめなんです。大体外国ですと、一つの都市をつくるときに道路を一番先につくるわけです。それから家を建てる、ビルを建てる。日本は家を先に建てて、人通りが多くなったからここに道路をつけて舗装せにゃならぬ、やがてのことですよ、やがてのこと。それでひとつ大臣、あなた、あらためて今度の国会は無理でしょう、しかしあんたの考えを聞いておきたい。この次の国会石炭庁をつくってもらわなければならぬ。これは大臣、あなただけでなくほかの大臣にも頼まなければなりませんが、むろんその立場抜本対策を立てなければならぬ。抜本対策ができてから、それでは石炭庁をつくりましょうなんと言ってもこれはだめです。ですから今度の国会は不可能です、もう国会の期日は十何日しかありませんから。まさか会期が延びるなんて考えられませんから。ですからこの次の国会でぜひ出してもらいたいということと、それからあんた担当大臣になったからいやみを言うようにとられては困りますが、日本にオリンピックを持ってくる、万国博をやる、私は反対しません。オリンピックけっこう、万国博もけっこうだけれども、どうもそういうところに金を使い過ぎるのだ。そういうところに金を使い過ぎて、ほんとうに炭鉱のような困っているところ、あるいは日本の裏街道——北陸から山陰にかけたこういうところに金を使っておらぬわけです。万国博けっこう、オリンピックもけっこうです。しかしそういうところの金をなぜ、こういう石炭産業でもよい、繊維産業でもよい、そういうところに政府はなぜ意をいたさぬかというような気がしてならぬわけです。石炭の一部門だけ論議したって炭鉱は助かりませんよ。日本全体としてどうするか、その中の一部門として石炭をどうするかということにならなければならぬと思う。
  68. 菅野和太郎

    ○国務大臣菅野和太郎君) それはお説のとおりで、問題はエネルギー資源ということが根本問題です。先ほども申し上げましたとおり、その一環として石炭問題なり石油問題を考慮していまやっているのであって、そこへ片一方では原子力の問題がある。だからして、私はこれをひとつまとめてエネルギー全体を取り扱う省というものが考えられなければならぬのじゃないかという気持ちがいたしておりますが、それは私がいまそれをああするこうすると言うことは、今日言える立場ではございませんから、私個人としてはそういう時代が来るということだけを申し上げておきます。これは根本的にこの問題を日本の国策全体として取り上げて、このエネルギー問題というもの、これをどうするかということをひとつわれわれとしては大いに取り上げていくべきだ、こう考えておる次第でございます。
  69. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 いま審議会というのがあるので、審議会にかけるのもけっこうですが、審議会が二百幾つもあるのです、何でも審議会、その審議会で半年も一年も論議して、その審議会のとおり結論を守るかといったら守らぬでしょう。これは通産省ばかりでない、ほかの省——通産省のほうはかなり動いているほうなんです、通産省の関係。ほかのほうは審議会つくったってまだ動いておらぬ審議会もある。審議会もけっこうだが、行政庁の長としてどうあらねばならぬという抱負経綸があろうとぼくは思うのです。ですからこれはしつこいようですが、ぜひ大臣にこの石炭庁というものをつくるために御努力願いたい、これは要請ですから答弁は要りません。  その次に鉱山局長にお尋ねいたしますが、いまおっしゃった重油、原油をたいているところもあるでしょう、その土地によって違うところもあるでしょう。まあ平均ベースでけっこうですが、発電力のキロ当たり大体何円何十銭くらいかかるか、石炭をたいた場合に北海道と九州と本州と違うでしょうが、その比率はわかるでしょう、それを一つお尋ねしたい。
  70. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 発電原価の、石炭におきます、各種燃料におきます燃料コストの詳細は公益事業局で検討いたしておると思いますが、私どもの承知いたしております範囲では、発電単価として、単価に占めますコストは、カロリー当たり重油が五十一銭、石炭が六十八銭という数字を示しております。
  71. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 若松あたりは四十五、六銭でできるのではないですか。これはあなたに聞くのではなく熊谷局長がどなたか公益局に聞くのが当然でしょう。だからあなた、御承知置きなければけっこうですが、重油、原油を入れる場合に一応あなたのほうでもお調べになって許可されるんでしょう。だからどうも数字が違うような気がします。
  72. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) ただいま申し上げました数字は全国平均の数字でございます。
  73. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 今度の再建法案の骨子になるのは、むろんこれは一千億の肩がわりだと思いますが、その点に対して私も、先ほどからお話があっておるように、十分この生産、それから需要、消費、そういうような面をにらみ合わせてよく検討されたのであるかどうか、そういう点をひとつ、大臣がお答えできなければ局長でけっこうです。
  74. 井上亮

    政府委員井上亮君) 私ども再建整備計画をつくるに際しましては、ただいま先生が御指摘されましたように、今後の各社別の石炭の出炭の見込みとか、あるいはその背景をなします埋蔵炭量等を十分調査して計画を立てるつもりでおります。と同時に、生産されました石炭がどのように販売されていくか、需要確保との問題ともからみまして、そういった問題も当然のことではございますが、十分配慮して計画を組みたい。そういう前提に立ちまして、さらに細部の状況はどうかというような検討を行なってまいりたいというふうに考えております。
  75. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 そうすると五千万トンという位置づけがある、これを基準として計画されてあると思うのですが、四十一年度の生産は、四十年度と四十一年度と比較してどういうふうになっていますか、生産は。
  76. 井上亮

    政府委員井上亮君) 四十年度の出炭と四十一年度の出炭の現状でございますが、四十年度は実績でございますが、四十年度は全国の生産量が五千十一万トンというような出炭量になっております。それから四十一年度につきましては、これは速報による集計でございますが、五千五十五万トンというのが実績に相なっております。
  77. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 そうしますとね、それに対して需要の面はこれをどういうふうにさばかれたか、その点をひとつ。
  78. 井上亮

    政府委員井上亮君) 四十年度需要につきましては、これは原料炭一般炭、無煙煽石の需要というふうに大別して見ておりますけれども、まず原料炭につきましては四十年度の実績としましては千百五十四万トン、これが原料炭の実績でございます。さらにこの内訳を申しますと、原料炭の大宗をなします鉄鋼需要につきましては八百三十七万トン、これがこの内訳の実績でございます。それからなお一般炭につきましては、九電力は千八百十一万トン、電発はまだこの時点では建設中でございますので需要はございません。その他電力、これは共同火力等でございますが、二百八十万トン、合計いたしまして電力関係需要は二千九十一万トンでございます。それからなお、一般炭につきましては、電力需要のほかに一般産業の需要が千八百五十一万トンございまして、一般炭需要合計といたしましては三千九百四十二万トン。このほかに無煙煽石が二百二十万トンあります。無煙煽石というのは主として暖房等に使われることが多いわけでございますが、これは練・豆炭等の原料にもなるということでございますが、合計いたしまして、これは雑炭を除けまして、四千七百六十四万トン、これが四十年度の実績でございます。  これに対しまして、四十一年度は、原料炭が四十年度の千百五十四万トンに対しまして千二百二十九万トン、これが原料炭の総需要。それから電力用炭につきましては、九電力は二千六十二万トン、これは前年は千八百十一万トンでございます。これに対しまして二百万トン近い増加をいたしまして二千六十二万トン、その他電力が二百八十二万トン、それから一般産業の需要が、これは前年度千八百五十一万トンと申しましたが、四十一年度は二百五十万トン程度減りまして、千六百五万トンという見込みでございます。しかしまあ原料炭がふえている、それから九電力需要がふえているというようなことで、需要全体としましては、前年よりふえまして、四千八百八十九万トン、こういう需要の実績になるわけでございます。
  79. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 そこで、大体生産と需要関係が、四十年度、四十一年度、わかりましたが、在庫は現在どのくらいございますか。
  80. 井上亮

    政府委員井上亮君) ことしの三月末現在の在庫で千二百万トン程度ございます。
  81. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 そうしますと、千二百万トンという在庫に対する処置ですね、どういうふうにあなた方考えておられるのですか。
  82. 井上亮

    政府委員井上亮君) この千二百万トンの在庫と申しますのは、石炭業界が持っているのがそのうちの約半数の六百万トンあまりでございまして、その他は需要部門、商社その他が保有しているということでございます。全体として私は三百万トンぐらい、在庫が正常在庫より多いのではないかというふうに考えておりますが、正常在庫は、これは当然なことですから、これはけっこうだと思うわけでございますが、その異常分につきましては、ただいま電力用炭の販売会社等を通じまして在庫融資を行なっておるというような現状でございます。
  83. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 そこで、石炭のあなた方の施策はいろいろ検討しておられると思うが、年間五千万トンを目標とする、それで四十五年度ということになっておると思いますけれども、実際は千万トンくらいの閉山をしなければならぬ、合理化をしなければならぬ、こういうことになると私は思いますが、ここで火力発電二基分ぐらいを今度の再建施策の中に、本年度内にそれを着工するというようなお考えはないのか、その点を、これは大臣にお伺いしたいと思う。
  84. 菅野和太郎

    ○国務大臣菅野和太郎君) ことしは電発関係で二基ふえますから、それで一般炭需要増加いたしますが、それ以外については、あるいは共同火力というようなものを考えなければならないのじゃないかということでもって目下検討中であります。
  85. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 先ほどからいろいろ御心配があっておるようでございましたが、一千億の肩がわりということは、むろんこれは軸になっておりますからぜひやってもらわなければならぬけれども、いまのお話のように共同火力、そういうようなもの、もしこれが抜本的の石炭対策であるならば、先ほど大臣もおっしゃったように、一千億肩がわりしたからこれでだいじょうぶだと思う。従来の石炭対策よりもずっと強力になっておる。むろんそれはそうだと思いますが、しかし決して安易な考えを持っておるのじゃないと、なかなかうまいことをおっしゃっておったが、ただ単に、この一千億の肩がわりをやるということで将来の石炭再建ができるのだというようなお考えは、私はほんとうにこれは安易なお考えだと思う。いろいろな諸施策を進められることによって一いま読んで私、予備知識で生産・需要関係、消費・在庫関係をお聞きしたのでございますが、そういう観点からいたしましても、強力にそういう点も私は同時に考えていただかなければならない時点にきておるのじゃないかと、こういうふうに考えるのですね。
  86. 菅野和太郎

    ○国務大臣菅野和太郎君) 一千億の肩がわりだけで決して甘んじておるわけじゃないのでありまして、もうお話のとおり、総合的な対策を講じて石炭鉱業の安定をはかりたいということを考えておる次第であります。したがいまして、電力会社に石炭をより多く買ってもらうというようなことを立ててやっておるのでありまして、いろいろの方策もあわせて総合的に考えて石炭鉱業の安定をはかりたいと、こう考えておりますが、しかし、それでもなお不十分であるとすれば、またよりよい対策を考えなければならぬじゃないかということを先ほど答弁しておる次第であります。
  87. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 そこで特にお願いをしたいのは、ビルド対策の促進のために、今回の異常債務の肩がわりあるいは安定補給金ということを言っておられますが、安定補給金ですね。どういうふうにして補給金を支給されるか、最低二百円というふうなことに業者は言っておるのですが、その安定補給金の支給方法について具体的にひとつお話しを願いたい。
  88. 井上亮

    政府委員井上亮君) 本年度におきましては、安定補給金の交付は、一応予算上再建会社及び中小炭鉱中心に交付するということにいたしておりますが、ただいま先生お尋ねの具体的の方法については、大蔵省当局とも検討中でございます。で、一応問題点を申し上げますと、トン当たり単価はいま一応百二十円というようなことに大蔵当局と私のほうではなっておるわけでございますが、ただ、先ほども大臣が御答弁されましたように、予算額は二十五億大臣がお取りになりまして計上されておるわけでございまして、これをどのように交付するかということでございますが、ただいまこの点について、まず問題点としては、一律に交付するのか、それとも非常に高い利益をあげている企業については、この安定補給金の交付をどう考えるかというのがまず基本的にあるわけでございます。この点につきましては、従来関係省との打ち合わせの際には、原則的には非常に高い収益をあげている企業について政府が補助金を出すというのはおかしい、性格は赤字補給金の性格であるから、やはりそういった経理の実態を調べて出すのが原則であるべきだということが、従来関係省との打ち合わせでは通説に相なっておるわけでございます。これに対しまして私どもといたしましては、そうは言うものの、中小規模の中小炭鉱につきましては、これは特に零細企業の多い現状でございますので、経理の実態等を調べます場合にもなかなかむずかしい面がございます。しかも苦しい度合いにおきましても、とにかく低賃金の上に立った経営をやっておりますので、一般的にとにかく苦しいという状況が言えますので、まあ一定の中小規模のそれ以下の零細炭鉱につきましては、一律に交付すべきではないかというような主張を現在私どもいたしておるわけでございます。まだ決定はいたしておりませんけれども、そういったいま考え方で進めております。  なお、この二十五億の具体的な出し方につきましては、出炭トン当たりについて出すことに相なるわけでございますが、この出し方につきましても、いろいろ企業の、カロリー別にどういうふうに見て交付するかというような問題もあります。そういった点につきまして、ただいま関係各省と最後の詰めをいたしておるのが現状でございます。
  89. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 いま石炭局長のお話を聞きましてね、私のやはり心配していることは、あなたもそうおっしゃったのだが、安定補給金というものは、結局石炭産業を安定させるために、これは大事な軸になると私は思うのですね。これは一千億の肩がわりをするからと、呼びかけが大きくて、これで能事足れりというようなお考えではない、そういう安易な考えは持っていないと大臣はおっしゃったけれども、しかし、安定補給金予算として二十五億取っている。その予算を二十五億取っているということは、何を基準で二十五億取ったのか、いまから調査しなければならぬと——これは業者のほうとしましては、最低二百円を希望しておるのですね。そうして、いま石炭局長のお話を承れば、大蔵省との折衝の結果は、百二十円だと、こういうお話でございますが、それも一律にやるか、実情に応じてこれを配分するかと——配分と言ってはちょっとおかしいですけれどもね、交付するかという問題になると思うのですが、その辺のところは、私はむしろ中小炭鉱のほうに非常に必要だと思うのですがね。そうして再建措置法は通過さしてくれ、内容はまだいま検討中で、はっきり線も出ていない。どうもあなたのお考えが、大臣ももう少しはっきりしてもらわないとね、審議のしようがないじゃないですか。その点、大臣はどうお考えになりますか。
  90. 菅野和太郎

    ○国務大臣菅野和太郎君) この法律案安定補給金とは別のあれでありまして、安定補給金答申が百円と出ておりましたが、当時と事情が変わりましたために、百円ではとうてい赤字補填とかというようなことにはならないということで、われわれとしては百五十円ぐらい出してほしいということを大蔵省にねばったのでありましたが、結局、大蔵省との話し合いで二十五億円ということになったのでありまして、大体の基礎は一トン当たり百二十円ということで、二十円答申よりも増してもらったということになっておるのでございます。  そこで、先ほど阿部委員にも申し上げましたとおり、今後の石炭の動向によっては、将来、安定補給金に融通性を持たしてやるべきじゃないかということを、先ほど阿部委員の御質問に対してお答えしたのでありまして、安定補給金というものを、将来もっとふやしてもらって、石炭鉱業の安定をはかりたいというふうにも考えておるのでありまするが、とにかく今年は百二十円で、ひとつこの一年間の実績を見て、その上で考えてみたいと、こう存ずる次第でございます。
  91. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 時間がありませんので、私の質問はこの程度で、また次回に質問を続行いたしますが、いまの点がどうも大臣答弁では、私は納得できないんですね。百円ぐらいに考えておったけれども、それを二十円ばかりちょっと増したと、大蔵省がどうしても言うことを聞かない、二十円ばかり増したと、これは私、安定補給金というのは、これは山元にとってはほんとうにありがたい、これで息をつくのですからね。一千億の肩がわりということは、これは大手はそれでいいでしょうけれども、中小炭鉱なんかというものは、安定補給金にたよっておるのですね。実態調査研究された結果、これだけ必要だいうことならば、これは理屈はわかるのだけれども、あなたのおっしゃるような、百円がどうも何だから百二十円に、そこをちょっと色をつけたというような、率直に言ってですな、あなたの表現は、そういう表現にしかとれない。そういう不確実なあれでなく、もう少し数的に、科学的に、合理的に、こういう基準、根拠のもとにこうやったのだと、こういうことならば納得できますけれどもね。現に業者は最低二百円ということを希望している。その点が、そういうお茶のみ話みたような答弁では、大臣答弁としては完全に不合格。
  92. 井上亮

    政府委員井上亮君) 百二十円の論拠でございますが、これはトン当たり百二十円ということで試算いたしたわけでございます。先ほど言いましたのは、やはり出炭の実績に応じて出すわけでございますが、出炭の実績等の個別的な調査を行なって、しかる上に安定補給金は交付したいと、こういう考え方でおるわけでございます。  それからなお安定補助金は、この法律によって出すわけではございませんで、補助金適正化法によって支出するという考え方でおります。  それから、なお百二十円の積算の根拠といたしましては、昨年の年末予算要求に際しまして、中小炭鉱につきまして経理の実情調査をいたしました。そのときの中小炭鉱から提出されました大体赤字額が平均で申しましてトン当たり六十七円、これが昨年末現在における中小炭鉱の予算折衝に際しましての調査のときの実績でございます。それに対しまして、さらに当時から年金制度を実施する必要があるというような考え方がありましたので、この年金負担額を追加し、かつまた合理化事業団の閉山交付金等にからみます業者負担額、これを十五円ほどトン当たり追加するというような必要性がありましたために、こういった諸経費を入れますと、大体百十七円程度になるんではないかというような見通しから、ラウンドで一応トン当たり百二十円ときめたのが大蔵省と私ども事務当局の試算でございます。
  93. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 大体その説明でわかったが、しかし安定補給金トン当たり百二十円だ。この法案によって安定補給金を出すのじゃないのだとか、そんなふざけたことは言わないでもらいたい。読んでいるよ。読んでここへ来ているんだから、そんなことを聞いているんじゃないんだ。トン当たり安定補給金が百二十円ぐらいのことは、そのくらいのことは三歳の童子でも知っている。それで大臣答弁とあなたの答弁——あなたの答弁からいけば、計数的にこれを考えるというと百十七円で大体いいように思う、そこで百二十円にした、だったら百十七円が百二十円になったからあなたたちがよくやったことになるわけだが、ところが、業者のほうは百二十円じゃなくて最低二百円を要望している。そこの誤差の問題なんですがね。あなたは実際にこれを調査検討したその基準によってこういうことにしたのだと、非常に自信満々のお話をなさっておりますが、業者はどういう点から最低二百円と、こう言ったか、あなたたちの計算では百二十円あれば十分だと、あなたたちが調査された、計算されたそれじゃ資料をひとつ出してもらいたい、それによって私も研究いたしますから。業者はこう言っている、あなたたちはそれでいいと言っている……。
  94. 井上亮

    政府委員井上亮君) 私が先ほど申しました数字は、中小炭鉱から提出されました資料に基づいてそのまま試算をした、業者の出された資料によりまして、大体平均的な赤字がトン当り六十七円、これは私どもの査定ではございません。業者の出されました数字を一応集計いたしまして出しました数字でございます。これにさらに年金制度、あるいは合理化事業団の賦課金の増徴、こういうようなものがございますので、それをさらに加えて勘案した、こういうことでございます。
  95. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 時間がございませんので、これで終わりますが、なおまだ質問は続行しますから、これで終わったのじゃありませんから、きょうはこの程度にしておく、まだまだちょっとこれは話にならぬ。私は、きょうはこの程度で終わります。
  96. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) 本日はこの程度といたし、これにて散会いたします。    午後三時三十六分散会      —————・—————