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1967-05-17 第55回国会 参議院 石炭対策特別委員会 第2号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十二年五月十七日(水曜日) 午後一時四十三分開会
—————————————
委員
の異動 三月十四日
委員亀井光
君は議員を辞職した。 三月十六日
補欠選任
館 哲二君
—————————————
出席者
は左のとおり。
委員長
大矢
正君 理 事 西田
信一
君
小野
明君 鬼木 勝利君 委 員 井川 伊平君
石原幹市郎
君 徳永 正利君
柳田桃太郎
君 吉武 恵市君 阿部 竹松君
大河原一次
君 近藤
信一
君 片山 武夫君
国務大臣
通商産業大臣
菅野和太郎
君 労 働 大 臣 早川 崇君
政府委員
通商産業政務次
官 栗原 祐幸君
通商産業省石炭
局長
井上
亮君
通商産業省鉱山
保安局長
中川理一郎
君
労働省労働基準
局長
村上 茂利君
労働省職業安定
局長
有馬 元治君
事務局側
常任委員会専門
員
小田橋貞寿
君
—————————————
本日の会議に付した案件 ○当面の
石炭対策樹立
に関する
調査
(
昭和
四十二
年度
石炭対策
の
施策
及び
予算
に関 する件) ○
臨時石炭鉱害復旧法
の一部を改正する
法律案
(
内閣送付
、
予備審査
) ○
石炭鉱業合理化臨時措置法
の一部を改正する法
律案
(
内閣送付
、
予備審査
) ○
石炭鉱業再建整備臨時措置法案
(
内閣送付
、予 備審査) ○
炭鉱離職者臨時措置法
の一部を改正する
法律案
(
内閣送付
、
予備審査
)
—————————————
大矢正
1
○
委員長
(
大矢正
君) ただいまから
石炭対策特別委員会
を開会いたします。 当面の
石炭対策樹立
に関する
調査
を議題といたします。 まず、
通産大臣
から
石炭対策
の
施策
について
所信
を承ります。
菅野和太郎
2
○
国務大臣
(
菅野和太郎
君) 第五十五回
特別国会
におきまして
石炭対策特別委員会
の御
審議
をいただくに
あたり
、一言ごあいさつ申し上げます。 御
承知
のとおり、
石炭鉱業
につきましては、従来から、第一次及び第二次
石炭鉱業調査団
の
答申
に基づき諸般にわたる
施策
を講じてまいったところでありますが、
エネルギー革命
の
進行過程
における
石炭鉱業
の構造的な
危機
は予想以上に急迫の度を強め、
現状
のまま放置することを許されない情勢に立ち至っております。 このため、
石炭鉱業審議会
は、一年有余にわたる慎重な
審議
を経て、昨年七月、
石炭鉱業
の
抜本的安定対策
について
答申
を行ない、
政府
といたしましても、同年八月、この
答申
を尊重し、
石炭対策
を強力に推進する旨の
閣議決定
を行ない、今後の
石炭対策
の
基本的方向
を確立した次第であります。 その
内容
としましては、第一に
総合エネルギー
の中における
石炭
の
位置づけ
を五千万トン
程度
とし、そのための
需要
の
確保
については、
長期的観点
に立って五千万トン以上となるよう積極的に
努力
することとしております。このため、
電力
及び
鉄鋼業界
に対しては、合理的な
負担増対策
を講じ、長期引き取り
体制
を確立するとともに、
電源開発株式会社
の
石炭専焼火力発電設備
の
建設計画
を繰り上げることとし、所要の
財政措置
を講じております。 第二に、
石炭鉱業
の安定をはかるため、
炭鉱
の
近代化
、
機械化
を一そう促進するほか、
炭層探査
及び坑道掘進に対する
助成制度
を拡充強化することといたしております。 また、過去の
閉山合理化過程
において発生した過重な
債務
約一千億円を
市中金融機関
については十年間、
政府関係金融機関
については十二年間たな上げするとともに、その間において
当該債務
の
元利
を毎年均等に償還するための
補給金
を交付することとし、あわせて必要に応じ、
一定額
の
安定補給金
を交付することとしております。 なお、鉱区の再編及び
調整
、
流通体制
の
整備
についても、これを強力に推進するとともに、新
鉱開発
の
重点的促進
、
炭鉱終閉山
の
円滑化
をはかることとしております。 第三に、
保安
の
確保
と
雇用
の安定は
石炭鉱業
安定の基礎であることにかんがみ、
人命尊重
の
基本
に立って
保安
に関する
監督指導体制
を
充実
、強化し、
保安教育訓練
の徹底を期するため
鉱山保安センター
の設置をはかるとともに、
特別年金制度
の
実施等労働者
の安定した職場を
確保
するよう
努力
することとしております。 第四に、
鉱害
について、その総合的かつ
計画
的な処理を促進するとともに、
鉱害復旧事業
にともなう
地方公共団体
の
財政負担
の軽減をはかることとしております。 第五に、
産炭地域
の
振興
については、新
長期計画
を早急に策定し、
産業基盤
の
整備
、及び
中核企業
の
誘致
を強力に推進することとしております。 また、今回、これらの画期的な
石炭対策
を
実施
するに際しまして、その
内容
を他の
会計
と区別して明確に経理するため、
石炭対策特別会計
を創設することいたしております。 以上の
方針
に沿いまして、これまで、
対策
の
具体的措置
について鋭意検討してまいり、その一部はすでに
実施
に移しているところでありますが、
抜本的安定対策
の大部分は、本
国会
で御
審議
をいただく
立法措置
及び
予算措置
の成立をまって早急に
実施
をはかってまいる
所存
であります。 私は、
さき
に、
石炭対策
の
重要性
を現実に認識するため、
筑豊地域
を視察する機会を得ましたが、
石炭
問題の実情につぶさに接し、このたびの
抜本的安定対策
が早急に
実施
されなければならないことを、従来にも増して、痛感いたした次第であります。
石炭対策
につきましては、単に
石炭鉱業
としての問題にとどまらず、
エネルギー
の
安定供給
、
雇用
の安定、
国際収支
、
地域社会経済等
をも含めた
国民経済的観点
からする
国家的課題
とされているところであり、私といたしましては、今後とも、その解決に一そうの
努力
を傾注してまいる
所存
であります。
さき
にも申し上げましたように
石炭鉱業
の直面している事態はきわめて緊迫しており、
産業存亡
の
危機
に立つものと言うも過言ではない
現状
であります。したがいまして、
石炭対策
の
実施
はきわめて緊急を要するものであり、
関係
各方面の深い御理解とあたたかい御支援がぜひとも必要とされるのであります。 本
委員会
におかれましても、この事情を御賢察の上、今後とも、一そうの御協力を賜わりますようお願いする次第であります。
大矢正
3
○
委員長
(
大矢正
君) 次に、
昭和
四十二
年度
石炭関係予算
の
説明
を願います。
井上石炭局長
。
井上亮
4
○
政府委員
(
井上亮
君) ただいまお手元に
昭和
四十二
年度
の
石炭対策特別会計予算
の
概要
、
石炭関係投融資計画
の
資料
をお配りいたしますので、この
資料
によりまして
概要
を御
説明
さしていただきます。 まず、四十二
年度
の
石炭対策特別会計予算
の
概要
でございます。これは二枚目の一番下に書いてございますが、総額で五百二十一億八千万円でございます。
内容
といたしましては、最初の第一枚目の
石炭鉱業合理化事業団出資金
でございますが、これは四十一
年度
が六十六億に対しまして、
本年度
は四十五億七千万円と減っております。減っておりますが、これはあとで申し上げます坑道掘進につきまして、従来
融資
でありましたものを
補助
に切りかえましたために減っておりますが、実質はふえておるわけでございます。 その
内容
といたしましては、まず第一に
近代化資金出資金
でございますが、これは
備考欄
にも書いてありますように、大
規模近代化資金
、これが先ほど申しました坑道掘進の
補助
に振りかえられましたために大幅に減ったわけでございます。それから
中小炭鉱
の
機械化
は二億八千万円、新
鉱開発
につきましては、昨年から本格的に北海道における
開発
を始めましたので、
本年度
は既存の九州の有明の
開発
と合わせまして十億を計上いたしております。それから
保安施設
の
整備
は十二億九千万円、これも坑道掘
進等
の中に
保安関係
の、
保安
を維持するための坑道掘
進等
は
補助
で見ておるというような趣旨になっております。 それから
炭鉱機械化促進出資金
、これは昨
年度
から新設いたしましたが、
本年度
は倍額の六億を計上いたしました。この過半は
中小炭鉱向け
に主としてめんどうを見ていきたいというふうに考えております。 それから、その次に、
再建資金出資金
五億というのが計上されておりますが、これは
新規
でございます。この
再建資金
は、御
承知
のことと思いますが、従来は
財投
から
合理化事業団
にいきまして、
合理化事業団
から
再建企業
に立ち上がり
資金
として
融資
をしておったものでございますが、事柄の
性質
上、むしろ
財投的性格
ではなく、
特別会計
からの
出資
が適当だということで、
特別会計
に計上いたしたわけでございます。 それから、次は
炭層探査
及び坑道掘
進費補助金
でございますが、この
制度
は同じく昨
年度
から
実施
いたしたわけでございますが、本年は
抜本策
との関連もあり、五十億の計上をいたしております。 それから、その次は、
石炭鉱業元利補給金
いわゆる
政府
による
肩がわり措置
と申すものでございますが、これは金額としまして百二十五億一千万円計上いたしております。これはただいま
大臣
が
所信表明
でお述べになりました
石炭鉱業再建整備
に関連いたしまして、
政府関係
の
金融機関
につきましては十二年間、
市中銀行
につきましては十年間で、双方合わせて千億円相当の異常な
債務
を
元利均等補給
の形で償還しようという
予算
でございます。 それから、次は
石炭鉱業安定補給金
でございますが、二十五億計上されております。これは、
答申
では
中小炭鉱
に限定しない考え方に相なっておりまして、
肩がわり措置
を講じてもなおかつ安定を期せられない
企業
につきましては、あわせて
安定補給金
を交付するということになっておりますが、
本年度
におきましては、
中小炭鉱
を主体にしまして、大手につきましては、
再建企業
を対象にするという
方針
で二十五億計上されております。 それから、次は
石炭
増加引き取り
交付金
でございますが、従来は
原重油関税
の
還付制度
で
負担増対策
をやってまいりましたが、従来の
還付制度
によりますと不合理な点も多かったわけでございまして、たとえば引き取りに応じて
交付金
が出ない、
重油
をたくさん使えばたくさん
還付
がいくというような不合理な点もありましたので、これを改めまして、
特別会計
から
増加引き取り
の数字に応じまして
交付金
を交付するという方式にいたしました。そして四十一億を計上いたしております。これは九
電力
といたしましては二十二億八千万円。
電発
は一億五千万円。
鉄鋼
は十六億八千万円でございます。 それから、次に
電発
の
出資
でございますが、これも
特別会計
の中に入れられまして、これは御
承知
のように、現在三基を建設いたしまして、
本年度
からその三基が稼働に入りますけれども、さらに追加二基、これを
本年度
から
実施
いたしたいというようなことで必要な
出資
を計上いたしたわけでございます。 それから、次が
炭鉱整理促進費
でございますが、六十三億四千万円。これは
備考欄
に書いてありますように、
予算
といたしましては三百三万トンの
閉山
を見込んでおります。なお、ほかにいわゆる
保安
の
不良炭鉱
の
整理
として六万トンを見込んでおります。そういう
予算
が計上されております。 それから、次は二枚目の
鉱害対策
でございますが、これは六十三億五千万円計上いたしました。 これは特に
鉱害復旧事業費
としましては、昨
年度
四十二億が六十億一千万円にふえたわけでございまして、特に六十億で
復旧
の
規模
といたしましては七十八億
程度
の
復旧規模
を想定いたしております。 それから、なお
鉱害
につきましては無
資力鉱害
の
調整費
、それから特に
答申
でもうたっておりましたが、有
資力者
が
鉱害復旧
に対する
負担金
を負担する場合に、なかなか金繰りがつかないというような
意味
で
鉱害基金
から
融資
を受けてやりますが、その際の
利子補給
、これを計上いたしております。これは三%の
利子補給
でございます。 それから、次は
鉱害基金
の
原資
を
確保
する
意味
の
出資
を二億計上いたしております。 次は、
産炭地域振興対策
の
予算
でございますが、四十一
年度
二十八億に対しまして三十億六千万円、このうち産
炭地域振興事業団
の
出資
は二十七億六千万円でございます。
内容
といたしましては、
事業団
のほうから申しますと、特に
新規
の
施策
といたしまして
融資業務
の中で、
中核企業
の
誘致
というようなことのために、従来の
融資比率
四〇%、原則として
平均
四〇%
程度
の
融資
をするということになっておりましたのを、
中核企業誘致
のためには六〇%
程度
に引き上げようというような
方針
を一応この中に取り入れております。そのほか
出資業務
がありますが、これは昨
年度
から始めました
出資業務
でございます。昨
年度
は
筑豊
のボタを利用いたしました
事業
に
出資
いたしましたが、
本年度
は
活性炭
の
製造事業
、
活性炭
はいわば新技術でございまして、技術庁の
試験研究機関
でただいま
工業化
の
試験
がほぼ完成した段階でございます。これを
本年度企業化
そう、
企業化
に際しまして
事業団
から
出資
するというような
性質
のものでございます。それから
土地造成
につきましては、現地との
計画
の
すり合わせ等
によりまして十億を見ております。また
本年度
から特に
新規
のものとして
工場建物
の
貸与制度
を掲げております。これは現在具体的な問題としては、佐賀県
あたり
にいま
一つ
有力な
企業
の
誘致
、それに関連いたしまして
建物
を貸与するというような
計画
が進められておりますが、今後その他の
地域
におきましても、その
工場建物貸与制度
を活用して
企業
の
誘致
をするというような
計画
も進められております。これは
新規
でございます。 なお、
特別会計
の
予算
としましては、そのほかに
保安対策
、これは御
承知
のような
鉱山保守センター
の問題が非常に大きな問題になっておったわけでございますが、これにつきまして三億の
予算
が計上されております。 それから、ほかに
労働省
の
関係
で
炭鉱離職者
の
援護対策
としまして、これは五十億三千万円が計上されております。 以上、合わせまして
特別会計
の
規模
といたしましては五百二十一億八千万円。 以上申しましたのは
支出
の面を申し上げたわけでございますが、歳入につきましては、
原重油関税
をまず引き当てまして、
原重油関税
では足りない面を
一般会計
から繰り入れていただいたわけでございます。
原重油関税収入
といたしましては四百七十五億円の
見通し
でございます。それに対しまして
支出
が五百二十一億八千万円でございますから、四十六億円
あまり一般会計
からの繰り入れを認めていただいたわけでございます。 以上、簡単でございますが、
特別会計関係
の御
説明
を終わります。 もう
一つ
、
財政投融資関係
の
計画
につきまして、半ページの紙がございますので、この別紙によりまして簡単に御
説明
申し上げます。
石炭
の
投融資関係
につきましては、
開発銀行
につきましては昨年当初と同じ百十億、少しこれでは足りませんので、秋になりますと年末
融資等
の問題があるわけでございますが、近い将来、
再建整備計画等
もできると思いますので、そういった諸
計画
を勘案いたしまして、百十億で足りない場合には大蔵省も補正に応ずるというような話し合いに相なっております。 それから、ほかに
石炭鉱業合理化事業団
から
整備資金
が十五億
出資
されております。 それから、
産炭事業団
は、先ほど
一般会計
で申しました
事業
に伴いまして四十億の
財政資金
が
産炭事業団
に出されます。 それから、
鉱害基金
としましては、同じく
鉱害復旧
のための
原資
としての
融資基金
として
財投
から先ほどの
一般会計
のほかに十八億
支出
されます。 合計しまして百八十三億の
計画
でございます。 以上、簡単でございますが御
説明
申し上げます。
大矢正
5
○
委員長
(
大矢正
君) ただいまの
通産大臣
の
所信表明
並びに
石炭対策予算
の
説明
に対し、ただいまから
質疑
を行ないます。
質疑
のおありの方は、順次御発言を願います。
小野明
6
○
小野明
君
大臣
が言われますように、今回の
立法措置
、また
予算措置
によりまして、
石炭産業
について安定を得るかどうかということはきわめて問題でございまして、私、そういった
観点
から二、三の
疑点
について
お尋ね
をしてまいりたいと思うのであります。もちろん、今回の
措置
というのは、昨年七月の本
答申
を経て、それらの
答申
を受けて今回の
措置
がなされているわけでありますけれども、前二回、三十七年と三十九年の二回にも
答申
がなされまして、これが
石炭産業危機
を打開することができない。そうして中途で挫折をしたのでありますが、それで第三回の
答申
というのはやはり同じ
性格
のものではないかという
疑点
を持っておるのであります。それで以下順に
疑点
について述べてまいりたいと思うのでありますが、たしか、昨
年度
の
電力
の引き取りというのは二千五十万トンですかね、
局長
そうですね。
——
それで五千万トン
程度
という
目標
を立てられたのでありますが、現在
貯炭
の状況ですね、それをまず伺ってみたいと思うのであります。
井上亮
7
○
政府委員
(
井上亮
君) 今日の
石炭
の
貯炭
は、業者並びに
需要
部門合わせまして千二百万トン
程度
でございます。
小野明
8
○
小野明
君 そうすると、四十三年の三月末での
貯炭
の
見通し
というのはどういうふうでございますか。
井上亮
9
○
政府委員
(
井上亮
君) 千三百万トン近いものになるのではないかと思います。ただ、しかし、これにつきましては、なお今後
鉄鋼業界
の
好況等
の
関係
もありまして、
原料炭
の増量引き取りというようなことの
可能性
も見通されますので、まだ正確にはそこのところが明確でございませんが、いずれにしましても千二百万トンを相当大きく上回るという見込みでございます。
小野明
10
○
小野明
君 それで、五千万トンという
目標
を立てられておるのでありますけれども、いま
局長
から
説明
がありましたように、千二百万トンという
貯炭
がある、しかも四十三年の三月末、
本年度
末になりますというとさらにふえる
傾向
にある、こういうわけですね。しかも、
原料炭
の
消費
というのは、もちろん
鉄鋼業
が
好況
でありますからこれは
見通し
が立つとしましても、従来からも問題になっておりますように、
一般炭
ですね、この
消費
が、
需要
がどうして
確保
できるのかということが、やはり五千万トン
目標
を達成することができるかどうか、これの一番大きなかぎではないかと思うのであります。それで、問題は
一般炭
の
政策需要
をどう
確保
していくかと、これについて
具体策
を述べていただきたいと思うのです。
菅野和太郎
11
○
国務大臣
(
菅野和太郎
君)
お話
のとおり
貯炭
が予想したより以上に多いのでありまして、
一般炭
の
需要
が漸減する
傾向
にあると思います。そこで、この
一般炭
の
処置
をどうするかという問題でありますが、これにつきましては
共同火力
でその
一般炭
を使用するということをひとつ考えてみたいと思っておるのでありまして、まだ具体的にはきまっておりませんけれども、そういう
方向
でこの
貯炭
の
処置
をしたいと、こう考えております。
小野明
12
○
小野明
君 まあ私はやっぱりこの
電発火力
なり
共同火力
でもいいかと思うのでありますけれども、それの
充実
によって
一般炭
の
需要
を
確保
する、現在ではそれ以外にもうないのではないかという気がいたすのであります。で、そこから見ますと、昨年の院の
決議
から見ますというと八基建設するようになっておるのですね。それで今年は何基ですか
——
二基ですかね、それしかつくられていない。
計画
にない。これではやはりこの
一般炭
について
政策需要
をつけることが不可能なのではないか、こういうふうに見ておるのですが、この点はどうですか。
菅野和太郎
13
○
国務大臣
(
菅野和太郎
君)
お話
のとおり、
政策需要
を増加する以外に手はないということ、私も同じ
意見
でありますが、まあ幸い九
電力
については
昭和
四十二
年度
は二千百三十万トンでありますが、四十五年には二千三百万トンということで
需要
を増してもらうことにしております。
電源開発
につきましてはいま三基稼働しておりますが、もう二基また
増設
いたしまして三百三十万トンの
需要
が見込まれておるのでありますが、そこで
お話
のとおり、この
電源開発
の問題、
火力
の
発電
の問題とあわせてひとつ考えてみたいと、こう存じておる次第でございます。
小野明
14
○
小野明
君 私はこの二基では当然不足するのではないか、八基という
決議
があるのでありますから、この点をさらに
増設
するという
見通し
を
お尋ね
いたしておるわけです。
菅野和太郎
15
○
国務大臣
(
菅野和太郎
君) ただいまも申し上げましたとおり、
政策需要
を増す以外に手はないと思いますので、したがいまして、この
電発
の
増設
あるいは
共同火力
の
増設
というようなことで
政策需要
を増していくという
方針
で前向きに検討したいと、こう存じておる次第でございます。
小野明
16
○
小野明
君 そのことは、ことしは二基建設するということになって大体三年くらいかかるといわれておるのですが、さっそくこれは今
年度
なり
明年度
の
予算
に組み込まないと実現が四十五年ぎりぎりになる、こういうことになりますので、大きな
努力
をお願いをしておきたいと思うのであります。 それから四十五年までの
見通し
ということなんでありますが、最近
エネルギー部会
の
答申
があっておりますね。これとこの
安定策
といいますか、この
安定策
の中に
エネルギー部会
の
答申
というものがどう組み合わされておるのか、かみ合っておるのかその点を
お尋ね
したい。全然
関係
がないということはもちろんないと思いますけれども、
答申
がおそく出されておりますからどうかみ合っておるのか、
大臣
の見解を伺いたいと思います。
菅野和太郎
17
○
国務大臣
(
菅野和太郎
君)
エネルギー部会
のほうでは五千万トンということの
位置づけ
をしてもらっておるので、
石炭
は五千万トンという
前提
のもとで
石油資源
というようなことを考えて、あるいは将来は原子力の
エネルギー資源
というようなことを考えて案を立てておる。結局この
石炭
問題につきましては
石炭鉱業審議会
のほうで
審議
していきたい、五千万トンを
確保
していきたい、こう考えておる次第でございます。
小野明
18
○
小野明
君 それでは、
一つ
は炭価の据え置きということをそのまま
前提
の条件にして
価格差
の分析といいますか、そういうものがなされていないのではないかということを心配するわけです。特に
競合エネルギー
との
関係
ですね。競争すれば問題にならない、特にまた
石炭
がだんだんウエートが下がっておる、こういうことが予想されるのでありますが、それで
石油
の
価格低下
ということから
石炭需給
というものに大きな変動がくるのではないか、この点を私は心配しておるのであります。それがどのように
措置
されるのか、対応されるのか、
お尋ね
をしたいと思います。
井上亮
19
○
政府委員
(
井上亮
君) 御指摘のように
石炭
の
競合エネルギー
である
重油——一般炭
につきましては
重油
が
競合エネルギー
になりますが、これとの
価格差
の問題が今後の
需要確保
に大きな問題となってくるわけでございますが、今日の
価格差
の
現状
は、
電力あたり
を例にとってみますと揚げ地におきまして
平均
千百円から千二百円
程度
、これが
重油
と
石炭
の
価格差
でございます。なお、今後のこの
価格差
の開きの
見通し
は、
石炭
は先生の御指摘ありましたように、今後少なくとも四十五
年度
くらいまでは横ばいというふうに想定されておりますので、
重油
の
価格
の
見通し
がどうなるかということになるわけでございますが、これについては
石油業界等
につきましてはできるだけ
価格
は引き下げたくないという
希望意見
があるわけでございます。しかし、まあ通説的と申しますか、一般的な
見通し
からしますと、やはり
重油
の
価格
はなお若干ずつ低落の
方向
にいくんではないかというのが一般的な見方になっております。 で、そうなりますと
石炭
の
需要
についてのまた問題が起こるわけでございますが、先ほど
大臣
が御答弁されましたような
電力業界
につきましては、
政策需要
で
昭和
四十五
年度
に九
電力
で二千三百万トン、ほかに
電発火力
等で増量引き取りがありますという約束になっておりますので、この
需要確保
については私ども心配をいたしておりません。そのために
負担増対策
等も講じておりますので問題はないわけでございますが、問題は
一般炭
の、一般産業向けの
石炭
の
需要
、それから暖厨房用炭の今後の
見通し
ということが問題になりますが、これらにつきましては、私どももそういった
重油
価格
との関連から今後
石炭
の
需要
は逐年減少していくんではないかという
見通し
を立てております。今日一般業業炭、暖厨房用炭等の
需要
は全体で千五百万トンぐらいあるわけでございますが、おそらく
昭和
四十五
年度
には一千万トンを割るのではないか、七、八百万トン
程度
の
需要
になるのではないかということが予想されます。したがいましてそういった一般産業炭、暖厨房用炭の
需要
の減少を見越しまして、
政策需要
ということを考えておる次第でございます。
小野明
20
○
小野明
君 それでは次に、肩がわりの問題を
お尋ね
したいと思います。この肩がわりをやることによって四十五年に黒字になる、こう言うのですが、はたして黒字にすることができるかどうか。これのひとつ根拠を再度
説明
してもらいたいと思う。
井上亮
21
○
政府委員
(
井上亮
君) 率直に申しますと、正確なところは今日、まあことしの一月くらいから、今後の
石炭鉱業
の
長期計画
について検討をいま鋭意連日のようにやっておるわけでございまして、近い将来はっきりした姿が出ようかと思いますけれども、手元にある
資料
で申し上げますと、結局昨年、
石炭鉱業審議会
が
答申
を出されまして、
政府
はそれを受けて
閣議決定
したわけでございますが、その当時の
見通し
といたしましては、
昭和
四十二
年度
の赤字は、大手につきましてトン当たり五百円あまりの赤字が見込まれておったわけでございますが、四十二
年度
になりますと、ただいま、いわゆる抜本
対策
として考えておりますような
肩がわり措置
とか、あるいは
安定補給金
の
制度
とか、あるいは抗道掘進
補助
金の
制度
とか、こういうような助成策を講じてまいりますと、大体四十五
年度
の姿では、大多数の
企業
——
なお三、四社
程度
につきましては赤字問題が残ろうかと思いますけれども、大多数の
企業
については何とかやれるということになるのではないかというような数字に相なっております。
小野明
22
○
小野明
君 大体五百円くらいの見当でプラス、マイナスを計算されておると思うのですね。しかし、その計算の
前提
基礎に私は問題があるのではないか、こう申し上げたいのであります。それは、五年間に生産性を四〇%伸ばすということ、これはいまでもおそらく能率からいえば、生産性は西欧並みの、あるいはそれを上回る能率をあげているので、この点はまずいいとしても、
——
労働者にとってはいいことじゃないのですけれども、物価の上昇を大体年一%と押えている。この点が一体どうなるのか。それから賃金の上昇を年これは七%ですか、これに押えておる。で、こういった点ですね。実は問題なのは、物価の上昇を年一%と押えているというところにこの五百円プラスマイナスになるという計算の大きな危険があるのではないかと思う。この点はどうですか。
井上亮
23
○
政府委員
(
井上亮
君) お説のように、
石炭鉱業審議会
が
答申
を出すに際しまして、いろいろ各個別
企業
にわたっての
現状
並びに将来の
見通し
についての分析をいたして検討したわけでございますが、その際、まあ物価の上昇につきましては一%
程度
という試算をいたしまして、そういうことで計算したことは事実でございます。で、この一%といいますのは、
石炭鉱業
の昨年までの過去数年間にわたる物価の上昇率といいますか、物価といいますのは普通の物価ではなくて、
石炭鉱業
の物品費に影響する
価格
の変動、この実績が大体一%
程度
というようなことから一%を採用したわけでございますが、しかし、ひるがえって今日の情勢で、今後
再建整備計画等
を組みます場合に一%が妥当かどうか、三%というのが妥当かどうか、こういった点は今後慎重に検討していきたいというふうに考えております。
小野明
24
○
小野明
君 この一千億で安心するのは、私は銀行だけではないかと思うのです。新しい
事業
をやるには新しい借り入れをしてまたこの
債務
が出てくる。そうしますと、結局負債というものは減らない。しかも、銀行から言わせれば、非常に危険なこういった
企業
に対して貸ししぶる、あるいは選別
融資
をしていくという心配は、これはないのですか。
井上亮
25
○
政府委員
(
井上亮
君) やはりこの
肩がわり措置
につきましては、これは単に
金融機関
の問題というよりも、どっちかといいますと
石炭鉱業
みずからの利益になるわけでございます。むしろ今日、こういう
措置
を逆にありがた迷惑と申している銀行もあるわけでございまして、私ども再建
整備
計画
を組みまして肩がわりをするというその際に、一面において、
金融機関
に対して異常
債務
を肩がわりするわけでございますから、
金融機関
は喜んでくれてしかるべきでございますが、しかしながら、私どもはこの
肩がわり措置
と並行いたしまして、当該
金融機関
に対しましては、今後この
石炭産業
の
融資
に対する協力を要請するというような
方針
でおりますから、
金融機関
の中には、肩がわりをしてもらうというよりはむしろ、
石炭
企業
と縁を切ったほうが得だというふうに思う銀行もあるわけでございまして、この辺は私ども必要な資源を守るためには
金融機関
に要請をしたいというふうに考えております。しかし、そういう事情もあるわけでございまして、ところでこの
肩がわり措置
によりまして
——
大体過去の今日の
石炭産業
の不況の一番大きな原因は、何と申しましても、過去の重荷にございますので、この重荷を払うことによってまず再建のスタートラインにつかせる、こういうような趣旨で考えているわけでございます。
小野明
26
○
小野明
君 おっしゃるように一部の
——
一部ではございません。大手の経理はやはり若干好転していくだろうと思うのです。しかし、この恩恵をほとんど受けない中小の場合は、いまの収支の状態は非常に困難を感じていると思うのですが、これについては、
政府
としてはこういった
企業
格差を埋めるための
努力
というのはされないものであるかどうか、この点はいかがですか。
井上亮
27
○
政府委員
(
井上亮
君) 今日の大手と中小の間に
企業
経営、
企業
経理の格差が確かにございますが、一言で申しますと、大手につきましては、過去の終
閉山
対策
等のために過重なこういった負担、負債を背負っておりますが、
中小炭鉱
につきましては、ほとんど大部分の
企業
についてそういった過去の重荷は持っておりません。したがいまして、金利負担等、大手につきまして
平均
的にトン当たり四百円くらいの負担がありますが、中小についてはほとんどそういうような負担はないというような
企業
格差がございますが、中小につきましては、もちろん私ども
肩がわり措置
に際しましては、中小の中にも相当やはり炭量を持ち、将来の安定的
企業
としてやっていけるものもあるわけでございまして、当然これは大手だけではなくて、
中小炭鉱
にも当然一視同仁の
措置
を講じたいというふうに思っております。しかし、
中小炭鉱
の、一般的にいえば過去の重荷のない
企業
につきましては、この対象になりませんから、したがってそういう
企業
につきましては、
安定補給金
等の
施策
で中小の経理改善
対策
をはかってまいりたいというふうに考えております。
小野明
28
○
小野明
君 次には、これは
大臣
に御答弁いただきたいと思うのですが、これは労働
大臣
でも
通産大臣
でもいいですよ。この五年間に五千万トン
程度
といえば、ほぼ一千万
程度
のスクラップが出てくる。私どもは、その数字はほぼ三万人くらいではないか、こういうふうに考えるのでありますけれども、離職者につきましては十分ではないですけれども、かなり
措置
がされてきつつある。問題は、いまいわれておるように、労働力の不足、
炭鉱
における労働力の不足をどう補っていくか。こうしないと、結局、安定産業ということになり得ないのでありますが、労働力の不足を補うための、あるいは質のいい労働者を
確保
していくというための
施策
というのは、一体どういうことを考えられておるのか、それを
お尋ね
してみたいと思うのです。
大矢正
29
○
委員長
(
大矢正
君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
大矢正
30
○
委員長
(
大矢正
君) 速記をつけて。
菅野和太郎
31
○
国務大臣
(
菅野和太郎
君)
炭鉱
の労務者を
確保
するということが、今後において私は重要な問題だと思います。離職者手当よりも
炭鉱
に必要な労力を
確保
するということに今後は重点を置いていかなければならぬ、こう思うのであります。それには産炭地の
振興
というようなことも
一つ
の方策だと思いますし、それから年金
制度
、これもそういう
意味
において一策だと考えます。幸い年金の
制度
につきましては、先般
炭鉱
審議
会のほうで
答申
が出ましたから、目下厚生省のほうにおいてこの年金
制度
の法案を作成しておられることと存じます。そういうようなことで、
炭鉱
から労務者が離れないようにするということが今後の重点じゃないか、私はこう存ずる次第でございます。
小野明
32
○
小野明
君
大臣
の答弁はそれなりにいいと思うのですけれども、答弁の中身というのはあまりないわけですね。いまおっしゃられた年金だけなんですね。それで、これは年金が出ましたから
お尋ね
をしてみたいと思うのですけれども、年金
制度
小
委員会
ですか、ここから出ておる結論といいますか、それを見ると、抗内、抗外と分けて抗内だけに適用するというわけでしょう。そうして、二十年ですか、抗内におって五十五歳以上にならないと月七千円はもらえない、こういうことなんですね。これは年金を加えて魅力ある職場にして、いくというのについてはあまりにもお粗末ではないか。しかも、年金について見ても、二十年も坑内におるということは、現実考えてみてこれはたいへんなことではないかと思うのですね。で、抗内労働というものは相当激しい労働であります。しかも、五十一、二歳になると抗外にぽんとあげられる。けがをするとみんなあげられるということになってしまうのですから、そういうことから見ると、この小
委員会
が出しておる結論というのはきわめて非現実的な結論ではないかと思うのです。この年金問題だけでも、坊内、抗外の差別なく支給をしていく、こういうことに変えられるものかどうか、また私は変えてもらいたい。魅力ある職場にするためにはこのように思うのですけれども、この点はいかがですか。
井上亮
33
○
政府委員
(
井上亮
君) 先般、年金小
委員会
から年金少
委員会
としての最終的な
答申
が出されたわけでございますが、それによりますと、従来は、先生からただいま御指摘がありましたように、労働者の対象につきまして坑内夫に限定しておったわけでありますが、今回の年金小
委員会
の報告では、抗外夫についても対象にしようということで
答申
がなされております。ただ、抗内夫と坑外夫とでは当然労働の質等の点からいたしましても根本的に違うわけでございますので、給付の額については坑内夫に重くということになろうと思いますけれども、一応年金の対象にすべきであるということで、従来の説を変えていただいて、そういった
答申
が出されております。
大矢正
34
○
委員長
(
大矢正
君) ただいま労働
大臣
の出席がありましたので、労働
大臣
から
石炭対策
についての
施策
の
所信
を表明していただき、引き続き
質疑
を続行いたしたいと思います。 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
大矢正
35
○
委員長
(
大矢正
君) 速記をつけて。早川労働
大臣
。
早川崇
36
○
国務大臣
(早川崇君)
石炭鉱業
に関する当面の労働諸問題について、一言
所信
を申し述べ、各位の御解理と御協力を得たいと存じます。 昨年七月、
石炭鉱業審議会
から
石炭鉱業
の
抜本的安定対策
に関する
答申
が行なわれたところでありますが、今後
答申
に基づく諸
施策
が講ぜられる過程におきまして、
閉山
合理化に伴う新たな離職者の発生が予想されております。 このような事態に対処するため、昨年十二月の臨時
国会
において、鉱業離職者求職手帳の発給要件の緩和、移住
資金
の支給対象者の拡大等、急を要する事項について、
炭鉱離職者
臨
措置
法の改正が行なわれたところであります。引き続き、今
特別国会
においても、離職者
対策
の
充実
を期するため、
炭鉱離職者
が自営業を開始する場合における自営支度金の支給、開業
資金
を借り入れる場合の
債務
保証、
炭鉱離職者臨時措置法
の廃止期限の延長等の
措置
を講ずることとし、
炭鉱離職者臨時措置法
の改正案の御
審議
を願うことといたしております。 次に、
石炭鉱業
における労働災害は、昨年におきましてもガス爆発等の災害が続発し、まことに遺憾と存ずるのであります。今後とも、一そう、通商産業省との連携を密にし、鉱業労働災害防止協会による自主的災害防止活動の積極的展開をはかる等
石炭鉱業
の労働者を危害から防止するよう
努力
いたす
所存
であります。また、不幸にして事故にあわれた労働者の保護につきましては、従来からも
努力
してまいったところでありますが、なかんずく一酸化炭素中毒患者に対する医療
対策
につきましては、三井三池の災害発生以来、専門病院及びリハビリテーション施設の開設、産炭地付近の労災病院に高圧酸素室等の救急器材を
整備
する等被災労働者の保護に万全を期してきたところであります。また、かねて各方面から要請されていた一酸化炭素中毒症に関する特別
対策
については、現在労災保険
審議
会において
審議
をお願いしているところであり、成案を得次第、今
国会
に法案を提出する考えであります。 なお、
石炭鉱業
における賃金不払いについては、かねてから監督指導につとめてきたところでありますが、昨年末の
石炭鉱業合理化臨時措置法
等の一部改正よる
石炭鉱業合理化事業団
の
交付金
の大幅引き上げ等により、今後、賃金不払いの解消が促進されるものと期待されるのでありまして、
労働省
としても、
関係
機関と連絡を密にし、さらに一そうの
努力
をしてまいる
所存
であります。 以上、当面の諸
施策
について
所信
の一端を申し上げた次第でありますが、今後とも各位のご
意見
を十分拝聴しながら行政の推進に一そう力を尽くしてまいりたいと存じます。
小野明
37
○
小野明
君 先ほど
井上
局長
が答弁をされました年金について、坑外内にも適用するこう言われているのですけれども、この具体的な
内容
はわかりませんか。
井上亮
38
○
政府委員
(
井上亮
君)
答申
によりますと、抗外夫でもやはりこの際適用すべきである、ただし抗外夫でありましても、抗外夫の概念自体が非常に広いわけでありますがたとえば二次製品部門、いわゆる
炭鉱
では付帯
事業
部門と言っておりますが付帯
事業
部門とか福利厚生、こういうような点については除いて考えるべきではないかというような趣旨の
答申
がなされております。なお、具体的にどこまでの範囲で考えるかという点につきましては、
関係
者の間でも非常に関心の強い問題でございますので、ただいま検討しておる次第でございます。
小野明
39
○
小野明
君 労働
大臣
いまお見えになりましたが、先ほど
通産大臣
のほうに質問申し上げたのは、
炭鉱
労働者が非常に流出している、また
炭鉱
に働いても先の
見通し
がない、こういうようなことで、この労働力不足というのが、この
抜本策
を
実施
するにあたって一番大きな欠陥になって出てくると思われるわけですね。そういった面で、この労働力を
確保
するためにはどういった
施策
が必要なのか、それを考ておられるか、こういう質問を申し上げておったのであります。 それでこれは労働
大臣
にお伺いをしたいと思うのでありますけれども、いま
炭鉱
労働者には、特にまた管理
炭鉱
、再建
炭鉱
ですか、こういうところには能率の向上、四十五年で五十三・六トンですか、非常なこれは高能率ですね、そういうまあ過重な負担がかけらる。しかも出勤率の向上、あるいは基準賃金の一部たな上げ、あるいは期末手当は制限するわ、こういうきびしい
措置
がなされているわけですね。一方、ことしの春闘の結果を見ましても、
鉄鋼
が約四千円から四千五百円、軒並み大きな賃上げをかち取っているわけですね。これから見ると、
炭鉱
労働者というのは七%に押えられるわ、しかも、過酷な労働条件はしいられるわでは、結局、
炭鉱
で働こうという、こういう意欲がなくなってしまうわけですね。いま
通産大臣
の
お話
の中には、魅力のある職場にするために年金と、こう言われているのですが、年金だけではどうにもならぬ。やはり賃金アップこの点を考慮いただかないと、あるいはあわせて
保安
の
確保
ということを考慮いただかないと、いわゆる労働力不足というのは避けられない結果を見るのではないか。このように私は考えるのであります。 そこでこの一千億の肩がわりにせよ、あるいはその他のいろいろな
施策
にせよ、
炭鉱
経理というのは、会社は救われるけれども、
企業
が優先して労働者のほうに薄いと、こういうふうに見ざるを得ぬのであります。そこで賃金アップ問題なり、
炭鉱
労働者
——
炭鉱
に働くことが魅力のある、将来性のある職場なんだ、こういうことにするための
施策
について労働
大臣
のお考えを承りたいと思うのです。
大矢正
40
○
委員長
(
大矢正
君) いま
小野
君の質問がありましたが、この際、私も関連して
お尋ね
をしておきたいと思うのでありますが、それは御存じのとおり、今日の
炭鉱
労働者の
平均
年齢というのは三十九歳を上回りまして、現在ではおそらく
平均
年齢が四十歳になっておると思うのであります。しかも、今日の
炭鉱
労働者の
平均
賃金、先般労働
大臣
が
予算
委員会
で
説明
された
内容
のものは、言ってみますれば、坑内作業という非常に危険な、他にその類例を見ないような産業の実態をあわせ考えた数字になってあらわれておるわけですね。 そこで私が特に承りたいことは、ただいま
小野
君の質問の中に七%ということばがありましたが、私は七%というのはどこにあるのか、どういう理由のもとに存在をするのかよく存じませんが、いずれにいたしましても、今日、労働力の不足が、
一つ
にはこれからの
石炭産業
の行くえというものをはばみ、日本の重要産業というものが
危機
に瀕する事態になることが予想される今日、それに直接的には
関係
はないかもしらぬが、しかし、労働力の
確保
という面から見た場合に、労働行政を担当する労働
大臣
の立場というものは、まことに私は重要なものがあると思うのであります。したがいまして、そういう立場にあられる労働
大臣
として、今日、ほかの産業の労働者の賃金がほぼきまりつつありまする段階で、
大臣
自身として、今日の
石炭産業
に置かれている労働者の賃金の水準は、一般的な常識として、たとえば従来の水準は一応おくといたしまして、今日の段階で考えられる賃金の水準というものはどの
程度
のものが妥当であるとお考えになっておられるか、あわせてひとつお答えをいただきたいと思います。
早川崇
41
○
国務大臣
(早川崇君)
石炭
労働が魅力あるためにはどうすればよいかという
小野
先生の御質問でございますが、これは、単に賃金が上がるだけではだめなんで、まず私たちが心配しておるのは、災害の多過ぎるという点、一般の産業
平均
に比べまして十二倍も労災率があるということ、これをどうするか、これはなかなかむずかしい問題でございますが、
労働省
といたしましては鉱山
保安
局とも連絡しまして、いまCO中毒立法というような
措置
も考えておるわけでございまするが、まずこの点が第一であります。 第二番目は、抗内夫の労働条件が著しく悪かったのです。いわゆる十六時間ぶつ続けに労働しているというようなこともございまして、労働基準法にのっとった労働条件の改善、これは非常に進んできております。こういった面で、
労働省
といたしましては、大いに
施策
の成果があがりつつあると思っているわけでございます。 根本の賃金の問題でございますが、
昭和
三十三年までは大体全産業の五番目の高水準の賃金でございました。ところが、昨年は大体十番目というところまで落ちまして、
平均
賃金が四万五千円、ボーナスその他、手当を合わせましても五万円というので、一般の製造業の
平均
賃金は四万二千円ですから、それよりは低くはありませんが、上昇率がほかの産業に追い越されてまいりして、十番目という業種に落ちてきておるわけでございます。で、たまたま燃料革命によりまして
石炭
が斜陽産業といわれるようになりましたのでございますから、これに伴って、
鉄鋼
その他のような好景気の産業のようにはあるいはベースアップがいかないかもしれませんけれども、七%という一応の積算の基礎というものはございますけれども、まあできるだけひとつ労使間でただいま析衝中でございますので、労働
大臣
としては妥当な賃金上昇ということを念願をいたしておるわけであります。 今後の問題としては、さしあたってここ一、二年は御
承知
のようにむしろスクラップすることから失業者が出るという状態、中高年を主とした現在の労働力というものが直ちに逼迫するとは思いませんが、弱年労働力というものがそういうところに魅力を感じないという事態は、これは、単に
石炭産業
のみならず、全般的な人手不足ということに影響されておりますので、私も率直に言いますと、五年、十年後の
石炭産業
を考えますと、人手不足が
石炭産業
の溢路になる時期が来るのではないかと心配をいたしておるわけでございます。そういう立場から
特別年金制度
、非常にけっこうなことで、
関係
各省ともに推進してまいったわけであります。できましたら
石炭
合理化が進んで生産性が上がって、まあそういう災害が多い産業には、いわゆる災害危険というものを見込んだ賃金というところまでいかなければ、やはり十二倍も普通の産業に比べて災害率が多いということではどうにもならぬ。ですから、今度の合理化案によりまして、
石炭産業
が非常に生産性のあがる、支払い能力のある産業に一日も早くなってもらわなければ、いかに来い来いと言っても弱年労働力はまいりません。そうなると外国労働力を入れなければならぬという、非常にわれわれにも好ましくないような姿になる危険すら起こってきはしないかと思っております。 どのぐらいの賃金が妥当か。これはなかなかむずかしい問題でございまして、ただいまも総評の議長や事務
局長
からも陳情を受けたのですが、全
炭鉱
並びに炭労、それぞれの立場で使用者側と折衝しておる段階でございます。労働
大臣
としてこれに介入する権限はございませんが、できるだけひとつほかの産業とも考え合して、妥当な、良識ある賃上げが労使間で妥結されることを心から望んでおる次第でございます。
大矢正
42
○
委員長
(
大矢正
君) 労働
大臣
、いまの御答弁ですが、あなたは七%ということを口にされたが、七彩というものは一体具体的にはどこから出てくるかということを私は存じませんけれども、かりに七%ということを言われるからには、七%というのは一体幾らかということを数字の上で御存じですか。これはいまあれですよ。七%というと大体一方八十円という計算になる。一方八十円ということは、二十五日全部働いても二千円にしかならないということです。かりにそれを
平均
二十二日に、坑内外を
平均
すると稼動日数は大体二十二日ぐらいにしかなりませんが、そうなりますと千七、八百円のアップにしかならぬということですね。そうなりますと今度は相場が四千円とかいうことをあなたは
予算
委員会
で
説明
されていたが、これがいかに低いものであるかということがおわかりになると思うのです。単に七%というだけではなくして、金額的にどれほどの違いがあるかということを御認識になりませんと、私は話が合わないのではないかと思うのですが、もう一回ひとつ御答弁を願いたいと思います。
早川崇
43
○
国務大臣
(早川崇君) 私の
承知
しているところでは、第三次
答申
の検討にあたって対前年の賃金アップの試算率でございまして、これでなければならぬという問題ではないのではないかと
承知
をいたしている次第でございます。昨年は対前年の増加率は一〇・四%、一昨年は一〇・七%ということで、実際にはそれだけの賃金というものが上昇しているという実績でございまして、本年がどういうようなアップ率になるかということは目下労使間で大いにひとつ折衝している、こういう実情でございます。
小野明
44
○
小野明
君 いまの賃金の問題で、結局、これだけ
政府
が
企業
に肩を入れるといいますか、腰を入れる、通産省のほうでむしろ会社側にブレーキをかける、このおもしが非常にきいていると思うですがね。それで労働
大臣
の答弁もありましたけれども、この問題について
通産大臣
の答弁をお願いしたいと思うのです。
菅野和太郎
45
○
国務大臣
(
菅野和太郎
君) この労賃の問題については労使の間でおきめになることでありますが、問題は
炭鉱
産業自体の安定ということが先決問題だと思うのであります。したがって、今度の
特別会計
でいろいろきめられておることも、
炭鉱
自体の安定ということを主眼としてやっておる。したがって、労働者
あたり
も、いままで不安に思っているのは、自分のところの
炭鉱
がいつつぶれるかわからぬ、これが続けてやっていけるかどうか、これだけ借金があってやっていけるかどうかということで、非常に不安を持っておられると思うのであります。でありますからして、
炭鉱
自体が、
炭鉱
産業自体が安定するという
方針
でいって、それによって適当な賃金をきめてもらうということにしてもらったらいいんじゃないか、こう思っておるのであります。
小野明
46
○
小野明
君 いまの考え方、私は間違っておるとは言いませんけれども、やはり
炭鉱
、
石炭産業
の安定というのは、あるいは
抜本策
の成功するかどうかの要素の中に、優秀な労働力を
確保
するかどうか、できるかどうか、こういうことが非常に大きな要素として私は考えてもらわなければならぬと思うのであります。しかも、先ほど申し上げたように、西欧の
炭鉱
労働者以上の非常な高能率を要求されている。あるいは労働
大臣
が言われたように、労働災害、
保安
の問題も非常に大きくある。こういうところで、やはり労働力の流出を防ぐという
観点
から、この
抜本策
も諸
施策
も考えてもらわなければならぬと思うのです。こういう点についてどうなのかと、こう
お尋ね
をしているのであります。
菅野和太郎
47
○
国務大臣
(
菅野和太郎
君) お説のとおり、労働者を
確保
するという
意味
においては、賃金というものが大きな要素になるということはわれわれも考えておりますが、そこで、それだけの賃金を出し得る
炭鉱
の経理状態であるかどうかということが、結局先決問題ではないかと思うのでございまして、その点において労使の間でひとつ相談して、賃金をもう少し上げてもらってもいい、あげてもいいというように経営者も考え、また
炭鉱
労務者もひとつ上げてもらいたいということで話し合いができれば上げてもらってけっこうだ、こう思うのでありまして、私といたしましては賃金をストップすると、そういうような考えはないので、要するに
炭鉱
の産業が安定するということで労使双方がひとつ考えてもらったらけっこうだと、こう存じております。
阿部竹松
48
○阿部竹松君 関連して。
通産大臣
に
お尋ね
いたしますが、私、立法府の議員ですから、行
政府
の仕事に干渉するようなことは質問を避けるべきですが、しかし
通産大臣
の御所見として承りたいことが一点ある。労働
大臣
の答弁もございましたし、あるいはさいぜんの提案
説明
の中にもございましたが、
石炭鉱業
における労働災害は、昨年に増してガスの爆発等、災害が続発しておる状態であります。災害がますます起きておるということを労働
大臣
が提言なさっておる。佐藤総理
大臣
は、
人命尊重
ということについては、歴代の総理
大臣
中、一番多く言明されておるわけであります。したがって、
保安
ということは車の両輪ということが、池田さんなり岸さんなり、あるいは今の佐藤さんの言明だったが、今日では、生産と
保安
と車の両輪から、生産より
保安
のほうが大事でございますという言明になっている。にもかかわらず、これはあなたのほうの省で決定することですから私は言いませんけれども、
石炭
のせの字も、
保安
のほの字も知らぬ人をいきなり
保安局長
に持ってきておる。
保安
行政なんというものは、
保安
の仕事なんというものは、五年、十年、二十年というように、やっぱり専門的にやらなければならない。繊維
局長
が重工業
局長
になったり、あるいは重工業
局長
が公益
事業
局長
になったりするということは、これは通産省の行政の一環としてやむを得ないということは私は認めます。しかし、鉱山
保安
というものは、そう簡単な通産省の人事行政で解決できるものではない。山より海のほうが災害が多いとか、海より山のほうが災害が多いとか、あるいは交通事故でなくなったりけがをする人は日清戦争の死傷者よりも多いといわれておる。しかし、それよりも
炭鉱
での被災者のほうが多い。日本全国で、重傷か軽傷か、どれだけの犠牲者が出ているか、どれだけ災害が起きているかわかりません。そういうことをやっておって、
大矢
委員長
やあるいは
小野
委員
の質問に対して、それは、
保安
は大事だなんということを言っておるが、全然、それは話にならぬ。それは、
保安
ということを知らないでそういうことをなさっているのかどうか知らないけれども、あなたの省にも
保安
という仕事について幾多の
対策
を立てたエキスパートがたくさんおられるはずだ。人の名前をあげたくございませんから、これ以上私は申し上げませんけれども、ほんとうに
炭鉱
の状態とか
保安
の行政を守ってやらなければならぬと、こういうことであるならば、もう少し、もっと慎重に取り組むべきですよ。単なる序席、単なる人事でもって、ぽつりぽつりと全然知らない者を、かりに二十年前に東京大学卒業の当初、かつて一年半ほどおりましたというような人を持ってきて、仕事ができますか。これは全然できませんよ。それを単に人事で解決して、
保安
を守ります、これはとんでもない話だと思う。しかし、これは行
政府
のおやりになることですから、立法府ですから、私は、人事問題に介入できませんけれども、答弁できないなら答弁できませんと、しかし、答弁できるならば、こういうことで私はやりましたということをはっきり答弁していただきたい。あなたのその心境を私は承っておきたい。ほんとうに
保安
を守る、
炭鉱
を守るという
お話
であるならば、そういう一問一答では、これはだめですよ。あなたは労働
大臣
をなさっておって、一体、恥ずかしくありませんか。 それから、基準法によれば、労働
大臣
は、災害が頻発した場合、勧告することができるということになっておる。一体、労働
大臣
が勧告されたことがありますか。労働
大臣
にも
お尋ね
したい。あなたは就任されてから日にちが浅いから、そういうことがあったかどうかわかりませんと言うかもしれないが、ちゃんと基準法に書いてある。勧告できるということが書いてある。あるいは、ここに基準
局長
は出ておられませんけれども、あなたのほうから、基準
局長
から
保安局長
に対して、勧告できる。一体、そういう例があったかどうか、お示しを願いたい。
菅野和太郎
49
○
国務大臣
(
菅野和太郎
君) まあ
局長
がかわりましても、課長にみなそれぞれたんのうな人がおりますから……。したがいまして、この
保安
の問題については、有能な課長がみなそれぞれやってもらえることでありますからして、
保安
のことについての不安は私はないと思います。また、有能な人でありますからして、
局長
として私は十分に職責を果たすことができる人と存じまして
局長
にいたしたのであります。また、有能でなければ、それは問題でありますが、私のほうでは、この人であれば
保安局長
としてけっこうやっていける人だというように考えましたから、任命をいたした次第であります。 それからなお、
労働省
からその
保安
の問題についてのことは実は私が
大臣
になってからまだ聞いておりません。
早川崇
50
○
国務大臣
(早川崇君) 三池災害の直後、勧告をいたしたことを
承知
いたしております。
阿部竹松
51
○阿部竹松君 三池災害以後、山野
炭鉱
から伊王島、北炭夕張、奔別等、あのくらい
炭鉱
の大災害が起きて、法律で明示しておることをやっておらぬということになれば、これはぼくは
労働省
の怠慢だと思う。少なくともあれだけの大事故が起きたら、
炭鉱
の大災害が起きれば、
労働省
の守るたった
一つ
の線なんですから、それをやっておらぬということになればあれですが、しかし、それはそれとして、
通産大臣
の話を聞くと、
局長
がだめでも有能な課長がおる、これは
大臣
がかわっても、有能な次官がいればいいと、そういうことに通ずるので、そこまで言うと私は何をか言わんやだけれども、それではあなた、真剣味が足らぬでしょう、真剣味が。そういうことでいいわけですか。特にただ、国の財産を
——
通産
局長
が東南アジアと貿易交渉をやって、やれガットなり、やれ何をして一億ドル負けたとか、損をしたとか、こういうことは国にとっては損失である。しかし、これはいつかは取り返すことができるのです。しかし、
炭鉱
で人命を失ってしまうと、いかに
大臣
を責めたところで、
保安局長
を責めたところで、これは話にならない。特に
保安局長
なんというものは技術に練達の人でなければならぬわけです。あなたのように、
局長
がわからぬでも、課長がおると、何でその課長を、そのくらいの課長がおられれば
局長
にせぬのですか。そのくらいあなた、考えていただかなければ、永劫、
炭鉱
災害はなくなりませんよ。労働
大臣
もかわっているのだから、昨年よりもまだ
炭鉱
災害は増しておるということを堂々と提言されておるのだから、あなたは並んでいて恥ずかしくはないですか。
通商産業大臣
に責任があると思わぬですか。あなたはにこにこ笑っておりますけれども、こういう間にも遺家族がたくさん出るわけですよ。そういう
通産大臣
だったら質問したってつまらぬですが、そうなったら一体どうなるのですか、
通産大臣
。
菅野和太郎
52
○
国務大臣
(
菅野和太郎
君)
保安
ということが
石炭産業
においては重要なことであるということは、たびたびいままでの前任
大臣
からも申しておりますし、私のほうでも
保安
ということが重要だということを申しておるのでありまして、
保安
が
確保
されてこそ労務者が安心して働けるということでありますので、その点においては今回、先ほど
局長
から申し上げましたとおり、
予算
も増し、また
保安
センターも設けるというようなことで、極力
保安
を
確保
することに
努力
いたしております。したがいまして、ひとつ
保安
ということについて従来よりも熱意を持ってやっておるというところを理解していただきたいと思う次第であります。
阿部竹松
53
○阿部竹松君
委員会
の答弁でなしに
——
委員会
では、熱意を持ってやります
——
そういうことは何十回も聞いておるので、そういうことをぼくは聞いておるのじゃない。具体的に実例をあげて
大臣
の心境を聞きたい。 しからば、
保安
と別個に、去年、北海道で一日内閣があったとき、あなたは
通産大臣
ではなかった。三木さんが
通産大臣
で、佐藤総理と一緒に北海道へ行って、豊里のような
炭鉱
災害をなくします、こうおっしゃった。間違いない。どうやったのですか。それをまず第一点お聞きしたい。 それからもう
一つ
、つい先週、佐賀県の杵島
炭鉱
で災害が起きたが、あなたの言明と違う。それをどういうふうに
処置
したのですか、あなたの答弁……。
菅野和太郎
54
○
国務大臣
(
菅野和太郎
君) 豊里
炭鉱
のことにつきましては、労使の間でも
お話
し合いができて、
閉山
することに決定したのであります。これは円満に話がまとまったということを聞いております。 杵島
炭鉱
につきましては、これの善後策について、目下
関係
者と相談をいたしております。杵島
炭鉱
の火災の起こったことは、まことに遺憾に存ずる次第であります。
阿部竹松
55
○阿部竹松君 佐藤さんが言明し、労使双方で解決しなければならぬほど現内閣は微力なんですか。少なくとも総理
大臣
が言明し、当時の
通商産業大臣
の三木さんが、しかるべく
処置
をする、と言って、だめになったのじゃないですか。そんな答弁だったらもう聞く必要がございません。 それからもう
一つ
お伺いしたいのは、あなたの提案
説明
の中の第三項目、
保安
センターを云々ということで、
保安
にあまり触れておりませんけれども、第三項目に触れておる。これも私どもは、国で金を出して
炭鉱
経営者並びに
炭鉱
労働者を教育して、
保安
の万全を期すものであると私は信用しておった。ところが、国でちょっぴり金を出して、あとは全部
炭鉱
経営者に金を出させておるでしょう。たとえば防衛大学にしてもほかの大学にしても、国の場合は防衛大学、あなたたちの言う、あるいは自由民主党の諸君の言う、あるいは
政府
の言う、防衛大学でも全額国でしょう、一人の
——
とにかく航空自衛隊をつくるのに三千億もかかる。ところが
炭鉱
労働者を守るためには国は金を出さぬ。呼び水としてスズメの涙ほどの金を出して、あと全部
炭鉱
経営者に金を出せと、こういって、そうして
炭鉱
経営者に金を出させる。
炭鉱
経営者は、労働
大臣
、
通産大臣
から話があったように、斜陽産業なんですからなかなか出したくない。しかし
保安
ということで出しておる。飛行機一機買う金があれば、もう万全な
措置
を講じることができる。私どもと思想、考え方が違うから、自衛隊もけっこう、防衛大学もけっこうでしょう。しかし、それはそれなりに、これだけ三人に一人災害が起きると、世界一のとにかく災害の多い
石炭産業
に、飛行機一機分の金が出せぬというばかな話はない。それは全部
炭鉱
経営者の金だ、
政府
は三分の一か五分の一かわかりませんけれども、そういう金を、
通産大臣
、それしか出しておらぬわけですよ。ひどいじゃないですか。あなた良心的にとがめませんか。
大臣
に聞いておるのだ。
菅野和太郎
56
○
国務大臣
(
菅野和太郎
君)
政府委員
から、数字のことですから……。
阿部竹松
57
○阿部竹松君 政策的のことを聞いておるのだから、あなたが
——
何という人かわからぬけれども……。
大矢正
58
○
委員長
(
大矢正
君) それじゃ、具体的な数字をまず
局長
から
説明
して、そのことに対して
政府
が金を出さない、出して足らない部分を業界に依頼をするということの
説明
については、
大臣
から御答弁を願う、こういうことにしたいと思います。
中川理一郎
59
○
政府委員
(
中川理一郎
君) ただいま阿部先生から
お話
ございましたように、私どもの
保安
の中央協議会の御
意見
によりまして、
保安
センターというものを設置すべきであるという
お話
が、結論が出てまいりました。今
年度
予算
の要求に際しましては、北海道と九州に一カ所ずつの
保安
センターを設置したいということで、財政当局と話を進めてまいったわけであります。ただいま
お話
ございましたように、当初私どもが要求をいたしました数字は、全額
予算
で設置する、こういうことであったわけでありますが、事柄の
性質
上、利用者側その他にも応分の負担があってしかるべしという御
意見
もございますし、また全体としての
石炭
予算
の一環としての
保安
センターでございますので、全体の
予算
額をも勘案してもらいたいといういろいろの経緯がございまして、最終的にはいま御
審議
を願っております
予算
は、必要経費の三分の二であるところの一億五千万円に相なっておるわけでございます。残りの三分の一の建設費その他の分につきましては、ただいま阿部
委員
おっしゃいましたような
石炭産業
の状況ということもございますので、なるべく
企業
者側の負担の少ないように、と申しますことは、地元の
地方公共団体
等からも応分の御援助をいただくということで話を進めておりますので、私のいま力を入れております点は、北海道、九州の地元の道、あるいは県といったところから、これはかなり、推定ではございますけれども、かなりの御協力を得られ得るという
見通し
がついておりますので、できるだけ
企業
側の負担というものが少ない
方向
でいく
努力
をいたしておるわけでございます。したがいまして、数字はいまのところ確定はいたしておりませんが、建設費等の三分の一のうちのある割合というものを
企業
側にお願いしよう、かようなことで考えておるわけでございます。
菅野和太郎
60
○
国務大臣
(
菅野和太郎
君) ただいま
保安局長
からも御
説明
がありましたが、大体、もともとこれは全額国庫負担ということでこちらのほうでは希望したのでありますが大蔵当局との折衝でいまの三分の二ということになったのでありまして、しかしながら、なるたけ
企業
者の負担を軽くしようということで、いま
保安局長
のほうでせっかく地方団体から出してもらうということで苦労しておるようであります。でありますからして、
お話
のとおり、これはできればやっぱり国庫全額負担ということが私は理想だとは考えておりますが、まあそういうことで、
企業
者の負担はできるだけ軽くするように
努力
したいと、こう存じております。
阿部竹松
61
○阿部竹松君 その点が、
大臣
、あなたと全く見解が違う。さいぜん
石炭
局長
の
井上
さんから五百二十数億の
予算
の
説明
を承った。たとえば、坑道堀進に金を出しましょう、
補給金
を出しましょうあるいはこういう手当を出しましょう、そこから切るのは忍びないことである。しかし、忍びないことであるけども、
保安
を第一と考えるならば、そこからやっぱり切るべきである。特にいま私、
保安局長
ですか、話を聞いてけしからぬと思ったのは、地元の公共団体からお世話になると、こうい言う、協力すると。土地を拝借するのかあるいは工業用水の拝借をするのかどうかわかりませんよ。北海道で農林省の直轄である農産物検査所が、北海道の妹背牛というところへ行って、土地を借りて家を建てる寄付を農協団体とか
地方公共団体
から仰いだというわけです。これは北海道でたいへん問題になった。国の機関が
地方公共団体
へ行って、そうしてそれが協力を仰ぐなんてとんでもない話だ。いい土地をあっせんしてくれとか、ここを譲渡してくれという話ならいいけれども、金銭的にはぼくはびた一文もらう必要もないし、お世話になる必要もない。これは大問題になる。
委員会
で問題になったからいいけれども、先に新聞で問題になってごらんなさい、一番先びっくりするから。それほどばかげた話はない。
炭鉱
労働者が苦しい目にあって犠牲者が出るのに、地方の公共団体に御協力いただいてなんてとんでもない話だ。なぜ通商産業省の直轄にしないのか。
保安
監督局の下部機関にして、あなたの部下の課長の一人ずつやって、九州、北海道にやってそうして厳重にやらぬのですか。
石炭
経営者からも金をもらう、
地方公共団体
からも金をもらう、そういうものの機関をつくったって何にもなりませんよ。ぼくはそういう精神なら質問したって話になりませんがね。そこへ行って、それはどこへ行くかわかりませんけれども、土地も拝借いたします、住宅も拝借いたします、こういう調子だ、くだけて申せば。そんなばかなセンターがございますか。もう少し筋の通ったものをやっていただけぬものですか。それは筋が全然通らぬですよ。
大矢正
62
○
委員長
(
大矢正
君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
大矢正
63
○
委員長
(
大矢正
君) それじゃ、速記をつけて下さい。
菅野和太郎
64
○
国務大臣
(
菅野和太郎
君) いま阿部
委員
のお説のことは、私どもごもっともだと存じますので、しかし、まあ
予算
がそういう
予算
になっておりますが、御趣旨の線に沿うように
努力
したいと考えております。
大矢正
65
○
委員長
(
大矢正
君) 本件については本日はこの
程度
にいたします。
—————————————
大矢正
66
○
委員長
(
大矢正
君) 次に
臨時石炭鉱害復旧法
の一部を改正する
法律案
、
石炭鉱業再建整備臨時措置法案
、
石炭鉱業合理化臨時措置法
の一部を改正する
法律案
及び
炭鉱離職者臨時措置法
の一部を改正する
法律案
、以上四案を一括して議題といたします。 順次提案理由の
説明
を願います。
通産大臣
。
菅野和太郎
67
○
国務大臣
(
菅野和太郎
君) ただいま議題になりました
臨時石炭鉱害復旧法
の一部を改正する
法律案
につきまして、その提案理由及び要旨を御
説明
申し上げます。
臨時石炭鉱害復旧法
は、
昭和
二十七年に制定され、同法に基づき、過去十五年間にわたりまして、
鉱害復旧
の促進につとめてまいったのであります。しかしながら、現在なお、
石炭鉱業
による累積残存
鉱害
量は膨大な量に達し、国土の保全、民生の安定の見地から深刻な問題となっております。 かかる事情にかんがみ、
政府
といたしましては、今後とも鋭意
鉱害復旧
の促進に
努力
してまいる
所存
でありますが、
本年度
におきましては、七十七億円の
復旧
事業
を
実施
することとし、
石炭対策特別会計予算
の要求の中に
鉱害復旧事業
資金
補助
金として六十億円を計上しております。この
石炭対策特別会計
は、
本年度
から新設され、従来
関係
各省に各
事業
ごとに計上されていました
鉱害復旧事業費
予算
についても一括してこの
特別会計
に計上しているのでありますが、この際、
鉱害復旧事業
のための国からの
補助
金の交付方式につきましても
鉱害復旧事業
団に一括して交付することに改め、今後の
復旧
事業
の
実施
をより適切に行なうよう配慮することといたしました。今般、これに伴う
制度
の改善につきまして、
臨時石炭鉱害復旧法
の一部改正を提案いたした次第であります。 次に、この
法律案
の
概要
について御
説明
申し上げます。 第一は、従来、国が、
復旧
工事の施行者に対し、
復旧
工事に関する
補助
金を交付していた方式を改め、国は、
鉱害復旧事業
団に対して、その事務経費及び
復旧
工事にかかる費用に充てたるための
補助
金を一括して交付することといたしました。 第二は、
事業団
は、
復旧
工事の施行者に対し、
復旧
工事費を負担することとし、これに関連する規定について所要の改正を行なうことといたしております。 以上がこの
法律案
の提案理由及び要旨であります。何とぞ慎重御
審議
の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
—————————————
次に、
石炭鉱業合理化臨時措置法
の一部を改正する
法律案
につきまして、その提案理由及び要旨を御
説明
申し上げます。 御
承知
のとおり、わが国
石炭鉱業
は、
エネルギー革命
の渦中にあって、経営基盤の悪化等きわめて憂慮すべき状況に置かれており、このまま放置することを許されない情勢に立ち至っております。 このため、
石炭鉱業審議会
は、一年有余にわたる慎重な
審議
を経て、昨年七月、
石炭鉱業
の
抜本的安定対策
について
答申
を行ない、
政府
といたしましても、同年八月、この
答申
を尊重し
石炭対策
を強力に推進する旨の
閣議決定
を行ない、今後の
石炭対策
の
基本的方向
を確立した次第であります。 この
抜本的安定対策
のための諸
措置
は、
本年度
から本格的に
実施
する
所存
であり、その中核をなす
肩がわり措置
につきましては、
さき
に
石炭鉱業再建整備臨時措置法案
を提案いたしたところでありますが、さらにこれらの諸
措置
の
前提
として、
石炭鉱業
合理化
基本
計画
を
昭和
四十五
年度
を
目標
とした新たな
計画
に改め、そのほか
再建資金
等につきまして
制度
の改善をはかる必要がありますので、今回、
石炭鉱業合理化臨時措置法
の一部改正を提案いたした次第であります。 次に、この法案の
内容
についてその
概要
を御
説明
申し上げます。 第一は、
石炭鉱業
合理化
基本
計画
の
目標
年度
を現行の
昭和
四十二
年度
から
昭和
四十五
年度
に改めることとしたことであります。これは、今回の
抜本的安定対策
が、当面、
昭和
四十五
年度
までの
石炭対策
の
基本
骨格を設定するものであるので、
昭和
四十五
年度
を
石炭対策
の
目標
年度
とする趣旨であります。なお、これに合わせて、
石炭鉱業合理化事業団
の主要業務の廃止期限も、現行の
昭和
四十二
年度
末から
昭和
四十五
年度
末まで延長することといたしております。 第二は、
石炭鉱業合理化事業団
が行なう
石炭
の運賃の延納にかかる
債務
の保証業務を廃止することとしたことであります。
石炭
運賃の延納
措置
は、
昭和
三十六年及び
昭和
四十一年の国鉄運賃の引き上げに伴う暫定的な
措置
であり、当初の目的は達成されましたので、今後は、
抜本的安定対策
により対処すべきものと考えて、予定どおり廃止することとしたものであります。 第三は、
石炭
鉱山
整理
促進
交付金
制度
により放棄された鉱区等の区域においては、
石炭
と同種の鉱床中に存する他の鉱物を目的とする鉱業権等を有する者についても、
石炭
を掘採してはならないこととしたことであります。 第四は、最近の
石炭鉱業
の
資金
経理面の実情にかんがみ、
石炭鉱業合理化事業団
が行なう経営改善
資金
の借り入れにかかる
債務
保証
制度
及び
再建資金
の貸し付け
制度
を拡充強化することとしたことであります。経営改善
資金
の借り入れにかかる
債務
の保証については、現行の
中小炭鉱
のほか、
再建資金
の貸し付けを受けている者についても適用できるものとするとともに、
再建資金
の貸し付けについては、現行の六分五厘の利率を改めて無利子とし、そのほか償還期間等につきまして所要の規定を加えることとしたものであります。 第五は、
鉱害
賠償に関する通商産業
局長
の裁定
制度
を、
石炭
鉱山
整理
促進
交付金
制度
により放棄された鉱区等にかかる
鉱害
紛争についても適用することとしたことであります。現行の裁定
制度
は従来の
炭鉱
買収
制度
により買収された鉱区等に適用される
制度
でありますが、
交付金
交付制の円滑な運用をはかるため、
石炭
鉱山
整理
促進
交付金
制度
により放棄された鉱区等についてもこの裁定
制度
を適用する必要があり、
制度
の拡充を行なうこととしたものであります。 以上がこの
法律案
の提案理由及びその要旨であります。何とぞ、慎重御
審議
の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
—————————————
次に、
石炭鉱業再建整備臨時措置法案
につきまして、その提案理由及び要旨を御
説明
申し上げます。 御
承知
のとおり、わが国
石炭鉱業
は、
エネルギー革命
の潮流の中におきまして急激かつ大
規模
な
閉山
を行なうなど各面にわたる合理化を遂行しておりますが、その経営基盤の悪化はきわて憂慮すべき状況におかれており、崩壊の
危機
に直面しております。わが国における
エネルギー
の
安定供給
、
雇用
の安定、
地域
経済の発展などの
国民経済的観点
から見まして、このまま放置することは許されない情勢に立ち至っているのであります。 このため、
石炭鉱業審議会
は、一年有余にわたる慎重な
審議
を経て、昨年七月、
石炭鉱業
の
抜本的安定対策
について
答申
を行ない、
政府
といたしましても、同年八月、この
答申
を尊重し、
石炭対策
を強力に推進する旨の
閣議決定
を行ない、今後の
石炭対策
の
基本的方向
を確立した次第であります。 この
抜本的安定対策
のための諸
措置
は、
閉山
交付金
制度
などの一部の
措置
につきましては、すでに
昭和
四十一
年度
から
実施
いたしましたが、大部分の
措置
つきましては、
本年度
から
実施
する
所存
であります。その中でも最も重要かつ画期的な
施策
といたしまして、
石炭鉱業
の過去数年にわたる急激かつ大
規模
な
閉山合理化過程
において発生した過重な負担を軽減するため、約一千億円の借り入れ金を
財政資金
により肩がわりする
措置
を講ずることとしております。 この
肩がわり措置
は、現在の
石炭鉱業
の
危機
が特に
資金
経理面の悪化に集約的にあらわれており、過去の
資金
経理面における過重な負担を取り除かない限り、
石炭鉱業
の経営基盤の回復は不可能であり、将来の再建もあり得ないことに着目いたしまして、このような思い切った
措置
を取ることといたしたのであります。また、このような画期的な
措置
を講じます以上は、この
措置
の対象となる
石炭
企業
については、今後、長期間にわたり安定的な出炭を継続するため、その再建
整備
について適正な
計画
が樹立され、かつ、その誠実な実行が義務づけられるべきであり、さらに国として、かかる
企業
に対して、経理、業務面における規制を一そう強化し、
石炭鉱業
の再建が効率的かつ適正に行なわれるよう当然配慮すべきものと存ずるのであります。今般、これらの事項につきまして国の
施策
を明確にするため、この
法律案
を提出した次第であります。 次に、この法案の
内容
についてその
概要
を御
説明
申し上げます。 第一は、再建
整備
計画
に関する規定であります。
肩がわり措置
の対象となる会社は、財務の状況及び掘採可能鉱量が一定の基準に該当することといたしておりますが、これに加えまして、将来にわたる
石炭
企業
としてのあり方を明確にするため、生産、販売及び財務
計画
、生産合理化のための
措置
、経営合理化のための
措置
並びに資本構成是正のための
措置
を織り込んだ再建
整備
計画
を作成し、その
計画
の適否について
通商産業大臣
の認定を受けることとしたのであります。 第二は、
元利
補給契約に関する規定であります。再建
整備
計画
の認定を受けた
企業
が、
金融機関
からの借り入れ金のうち
一定額
につきまして、当該
金融機関
との間に、借り入れ契約の
内容
を、
財政資金
については償還期間十二年、利率年六分五厘、市中
資金
については償還期間十年、利率年五分とし、
元利
均等に償還することに変更した場合におきまして、
政府
は、その借り入れ金の元本の償還及び利子の支払いのための
補給金
を交付する旨の
元利
補給契約を結ぶことといたしております。 第三は、利益を計上した場合の納付金の規定であります。
政府
から
元利
補給金
の交付を受けている再建
整備
会社が、財務の状況が改善されました場合及び
元利
補給金
の交付終了後五年以内に
一定額
以上の利益を計上しました場合には、それぞれ
一定額
の利益を国庫に納付させることといたしております。 第四は、
元利
補給契約の解除の規定であります。再建
整備
会社が
石炭
の生産を止めた場合、財務の状況が一定基準以上に改善されました場合及び再建
整備
計画
の
実施
、変更などについての
政府
の勧告に従わない場合には、
元利
補給契約を解除することといたしております。 第五は、
金融機関
に対する損失の補償の規定であります。再建
整備
会社が
石炭
の生産をやめたことにより
元利
補給契約を解除された場合に、金触機関が元本の償還に関して損失を受けましたときは、回収できなかった元本の二分の一を国が補償することといたしております。 第六は、再建
整備
会社に対する
政府
の指導監督
体制
の
充実
に関する規定であります。再建
整備
会社の経理の適正化と再建
整備
計画
の適正な
実施
をはかるため、利益金の処分を認可制にすること、投資や重要な財産の処分を届け出制にすること、毎営業
年度
再建
整備
計画
の
実施
状況を報告させること、再建
整備
計画
が適切に
実施
されるよう
政府
が所要の勧告をすることができること、
政府
が毎年業務及び経理の監査を
実施
することなどの規定を設けることといたしております。 以上、この
法律案
の提案理由及びその要旨について御
説明
申し上げた次第であります。何とぞ、慎重御
審議
の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
大矢正
68
○
委員長
(
大矢正
君) 労働
大臣
。
早川崇
69
○
国務大臣
(早川崇君) ただいま議題となりました
炭鉱離職者臨時措置法
の一部を改正する
法律案
につきまして、その提案理由及び
内容
の
概要
を御
説明
申し上げます。
石炭鉱業
の合理化に伴う
炭鉱離職者
の
援護対策
につきましては、
昭和
三十四年
炭鉱離職者臨時措置法
の制定以来、同法に基づき、その職業及び生活の安定に資することを目的として諸般の
施策
を講じ、その再就職の促進に努めてまいったところであります。 しこうして、昨年七月、
石炭鉱業審議会
から今後における
石炭鉱業
の
抜本的安定対策
について
答申
をいただきました
政府
は、この
答申
の趣旨を尊重して
石炭対策
を強力に推進することにいたしました。また、その
実施
に際しまして、離職者
対策
については現行諸
施策
の
実施
期限をさらに延長することとし、特に今後は、その再就職について、
石炭鉱業
内部における配置転換を促進するとともに、離職者の年齢、生活環境等の実態に即して
援護対策
を推進するよう特段の配慮をすることにいたしました。 離職者
対策
の拡充のうち、
昭和
三十七年四月以降新たに
炭鉱
労働者となった者が
石炭鉱業
の合理化に伴い離職を余儀なくされた場合にも
炭鉱離職者
求職手帳を発給できるようにすること、
炭鉱離職者
が
炭鉱
労働者として再就職するために移住する場合にも移住
資金
を支給できるようにすることなどにつきましては、急を要する問題と考え、すでに第五十三回臨時
国会
において
立法措置
を講じていただいたところであります。今般はその他の事項につき
援護対策
を
充実
するため、この
法律案
を提出した次第でございます。 次に、その
内容
について概略御
説明
申し上げます。 この
法律案
による改正の第一は、独立して
事業
を行なおうとする
炭鉱離職者
に対する援護
措置
を拡充することであります。
炭鉱離職者
の中には、その有する技能を生かして自営しようとする者など、かなりの者が自営業を開業することを希望いたしております。しかるに、これらの者に対する援護
措置
としましては、現在、
雇用
促進
事業団
により生業
資金
の借り入れのあっせんなどが行なわれているところでありますが、開業
資金
のくめんなどにこれらの者がなお相当困難を感じているのが
現状
でございますので、
炭鉱離職者
が
事業
を開始する場合に、自営支度金を支給すること及び
金融機関
から借り入れた
資金
の
債務
を保証することを、援護業務の一環として
雇用
促進
事業団
に新たに行なわせるようにいたしました。 改正の第二は、
炭鉱離職者臨時措置法
の廃止期限を三年間延長することであります。
炭鉱離職者臨時措置法
は、現在
昭和
四十三年三月三十一日までに廃止することになっておりますが、
石炭鉱業審議会
の今回の
答申
が、
昭和
四十五
年度
を、
石炭鉱業
を安定させるための
目標
年度
としていることにかんがみ、この廃止期限を
昭和
四十六年三月三十一日まで延長して、離職者
対策
につきましても万全を期そうとするものであります。 このほか、現在法律で規定されております就職促進手当の最高日額及び扶養加算額を、諸般の状況の推移に即応して改定できるよう政令で定めることといたしましたほか、
炭鉱離職者
に対して
雇用
促進
事業団
から支給されるすべての給付金について、就職促進手当についてと同様、その支給を受ける権利を保護するため、差し押えなどを禁止するとともに、租税その他の公課を課する際の標準とすることも禁止することにいたしました。 以上この
法律案
の提案理由及びその
概要
につきまして御
説明
申し上げた次第であります。なにとぞ御
審議
の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
大矢正
70
○
委員長
(
大矢正
君) 以上で四法案の提案理由の
説明
は終わりました。
質疑
は後日に行なうこととし、本日はこれにて散会いたします。 午後三時四十二分散会 —
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