運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1967-07-20 第55回国会 参議院 商工委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月二十日(木曜日)    午後二時十二分開会     —————————————    委員の異動  七月十九日     辞任        補欠選任      横井 太郎君     山下 春江君      黒柳  明君     白木義一郎君      高山 恒雄君     向井 長年君  七月二十日     辞任        補欠選任      山下 春江君     横井 太郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         鹿島 俊雄君     理 事                 井川 伊平君                 近藤英一郎君                 柳田桃太郎君                 阿部 竹松君     委 員                 上原 正吉君                 重政 庸徳君                 津島 文治君                 村上 春藏君                 森 八三一君                 横井 太郎君                 大矢  正君                 近藤 信一君                 竹田 現照君                 椿  繁夫君                 矢追 秀彦君                 向井 長年君    国務大臣        通商産業大臣   菅野和太郎君    政府委員        防衛庁装備局長  國井  眞君        大蔵省主計局次        長        相沢 英之君        通商産業政務次        官        栗原 祐幸君        通商産業大臣官        房長       大慈彌嘉久君        通商産業省鉱山        局長       両角 良彦君        中小企業庁長官  影山 衛司君        中小企業庁次長  金井多喜男君    事務局側        常任委員会専門        員        小田橋貞寿君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○小規模企業共済法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付) ○中小企業団体組織に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出衆議院送付) ○石油開発公団法案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  まず、委員の変更について御報告いたします。  昨十九日、黒柳明君及び高山恒雄君が辞任され、その補欠として白木義一郎君及び向井長年君が選任されました。     —————————————
  3. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 次に、衆議院送付小規模企業共済法の一部を改正する法律案及び中小企業団体組織に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、前回に引き続き質疑を行ないます。質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  4. 近藤信一

    近藤信一君 前に若干御質問をいたしましたが、小規模企業共済事業団の問題について、引き続いて質問をいたします。事業団ができましてからもう二年というものを経過しておるわでございますが、いろいろと資料をいただきますると、この二年間でこれを利用したというのは比較的少ないんじゃないかと思うんです。この前もこの利用状況資料をいただいたのです。これを見て私非常にふしぎに思ったのでございますが、特に中小企業の多い都市における利用者というものは、非常に少ない。比較的中小企業の少ない地方のほうがこれの加入者が多い、私どもからこれを見ますると、非常に変則的なように思われるわけでございまするけれども、一体こういう状況というものは、どういう結果で出てきたのか、この点をまずお聞かせ願いたいのであります。
  5. 影山衛司

    政府委員影山衛司君) 先生指摘のように、一番最近の統計で見まして、加入者は二万人をちょっとこえたようなところでございまして、私どもといたしましては、この本制度につきましては現在のところPR啓蒙の段階であるというふうに考えておりまして、理事長以下この啓蒙宣伝には非常に東奔西走してもらっておるわけでございますが、その場合に、各県、各中小企業団体に対しまして呼びかけをいたしておるわけでございます。で、その中で、たとえば茨城県のように、県当局、これは知事以下一生懸命になってやっておるわけでございますすが、あるいは県が中心になりまして商工会議所、あるいは商工会中央会というようなところがこの加入促進の運動に共鳴してくれまして、それで加入増加をいたしておるというような状況でございまして、都市部におきまして、まだそういう点で私どもPRも浸透いたしておりませんし、あるいは県、あるいは商工団体のほうの受け入れ体制というものもまだ対応いたしてきていないわけでございますので、私どもも、また小規模企業共済事業団のほうも、一生懸命PRをやってくれておりますので、おそらく都市部におきましても、今後は加入者もふえてくるのじゃないかというふうに私ども期待をいたしております。
  6. 近藤信一

    近藤信一君 いま長官答弁ございましたように、茨城県におきましては、特にこれは加入者がふえておる。それは県当局がいろいろと努力をしたたまものであるとも思っております。特に、これはことしの五月ですか、五月は非常に伸びが多い。たとえば加入者が五月だけで二百六十二と、こうなっておるのですね。で口数が五百九十、ところが仙台通産局管轄だけでみますると、五月が六十三、加入口数が三百五十六。こう茨城県だけ特別にふえておるわけなんです。このことは茨城県で特に努力をしたということでございまするけれども、これは自主的に小規模事業者の皆さんが喜んで加入されたとは私思わないので、というのは、どうしてこう伸びたかというのでいまお尋ねしました場合に、いわゆる責任口数というものを割り当てて、商工会は、お前のところは幾日、ここは、どこどこは幾口つくれと、こういうことで県当局努力された結果が、これだけの伸び率というものがあるわけなんです。本来ならば、これは小規模事業者が自主的に喜んで加入される、そういうのを私は望ましいと思っておったわけですけれども、それが比較的自主的に加入されるというのを待っておったのじゃ、これはなかなかふえないからというので、ひとつモデルケースをつくろうということで、茨城県が特にそのモデルケースとして積極政策をとった、その結果がこういったことになった。そうすると、他の府県に対しては、地方に対しては、あまり積極的にいままでやらなかったということは、いわゆるPRが足りなかったということになるのですね。その点、中小企業庁としてもやはりそのPRが私は十分でなかった結果が、この表にあらわれてきておる状況じゃないかと思うのですが、この点いかがですか。
  7. 影山衛司

    政府委員影山衛司君) この共済制度が、先生御承知のように、いわば保険勧誘というようなものでございますので、やはり事業団自体もあるいは中小企業庁自体も、この加入促進については一生懸命努力しなければいけないわけでございまして、こういう点で中小企業庁といたしましても、長官名をもちまして、各通産局長あるいは各都道府県知事に対しましてこの制度加入促進について協力してくれということを通達を出しておりますし、あるいはブロック別あるいは県別加入促進連絡協議会というようなものもいたしております。それからまた全国加入促進強調期間というようなものも設けまして、事業団としても説明会を行ないましたりあるいは印刷物を配付いたしましたりあるいは広報車によって巡回をして説明をしてもらうというようなことをして、せっかく私どもといたしましても一生懸命努力をいたしておりますので、この努力が必ず実を結んでくるというふうに私ども期待をいたしておるような次第でございます。
  8. 近藤信一

    近藤信一君 このPRが足りなかったこと自体は当然だと思うのです。  それからもう一つ、表にあらわれておるのを見ますると、たとえば仙台通産局累計が千二百四十一、それから東京通産局、これが茨城が含まれて一万一千百九十二、その一万一千百九十二の加入者の中で、茨城県はその半分以上、六千百八十三名というんですか、加入者。これはすばらしい。東京通産局という大きな通産局の半分以上が茨城県に占められておる。名古屋通産局はわずかに千二十七。大阪通産局は二千五十二、その他広島の千二百二十二人、四国にいくとずっと減って五百四十六人、こういう状況ですね通産局単位にこう見ましても。これは茨城県だけ特別ずば抜けておる。特に中小企業が多いであろうと、こう言われておる大阪通産局関係名古屋通産局関係、まあ特にまた東京通産局関係、私どもが見て小規模事業者が多いであろうと思われる管轄が非常に成績が悪い。あなたもいま答弁されましたように、いわゆる保険勧誘員がどんどんと勧誘して、保険をふやしていくと同じような制度でいけば、これはもっと伸びたかもしれないが、さあ店を開きましたからいらっしゃいということで、これが行なわれておったと思うので、いろいろとまああなたも努力はされましたけれども、比較的喜んで加入しない、小規模事業者が喜んで加盟しないというところに何か一つの欠陥というものがあるんじゃないか、こういうふうに私思うのですが、この点はどうです。
  9. 影山衛司

    政府委員影山衛司君) まあ加入促進末端機関といたしましては、たとえば商工会あるいは中央会あたりも活用してやっておるわけでございますが、まあ先生指摘のように、制度自体につきましても多少まだ不十分な点もあったことはいなめないわけでございまして、この点につきましてもそういう点を反省いたしまして、今度の第一種共済契約というようなものも新設したような次第でございます。
  10. 近藤信一

    近藤信一君 それからもう一つ、たとえば生命保険火災保険等は、本人、加入者自身が自主的に加盟する、もし火災にあったらいけないから、これだけの保障があるからといって保険に入るわけなんです。ところがこれ小規模の問題に対しては、そういう一つ保障というものはあまりないわけですね。ただこれができたときには、あなたも小規模事業者退職金もないしあれだから、何とか制度をつくらなきゃならないだろう、こういうことでやられた。不況の場合に、いま倒れればというふうなときには、若干の希望者もあるかもしれませんけれども、平常に事業が行なわれておるときには、事業者から考えてみれば、何か政府がお恵みでやってくれるような制度だと、これに入っておれば必ずこれだけの利益があるというのじゃなくして、そう利益に対しては希望が持てないと、何かあわれみをかけられて見られておるようだとかいうふうな気持ち小規模事業者も抱いているのじゃないか、だから進んで入ってやろうという気持ちが起こってこないのじゃないかと私は思うのですが、この判断はどうですか。
  11. 影山衛司

    政府委員影山衛司君) この小規模企業共済事業団が設立されまして、この制度ができました前後におきまして、小規模事業者人たちは、はじめて政府小規模事業者のための組織をつくってくれたと、それからこういう共済制度をつくってくれたということで、非常にこの制度を歓迎をされておるような次第でございます。それからまた魅力の点につきましても、たとえば現行共済契約の場合におきましても、廃業あるいは満期の場合におきましても大体七分ないし七分二厘というふうな運用利回り共済金が支給できるような仕組みとなっております。それからまた、今度の第一種共済契約におきましても、事業廃止会社解散の場合につきましては、七分九厘というような利回り共済金が支給できるというふうな仕組みとなっておりますので、こういう点がよくわかってもらえますならば、この制度はほかの定期預金をしたり、あるいはワリショーを買ったりというようなこともあるわけでございますが、それに比較してあるいは生命保険に入るよりも有利であるというようにわかってもらえるのじゃないかと思っております。
  12. 近藤信一

    近藤信一君 まあこの程度にしておきまして、次に移っていきますけれども、今度の改正で若干よくなったというのは、全額今度は所得税控除がされるわけですね。この点だけが若干有利になったように思われる、今度これを改正して第一種共済契約というものを設けるわけですけれども、私は、わざわざ一種をここに設けなくても、現行法律改正していけば十分これを補っていけると思うのですけれども、これを改正しなれけばならないという根拠改正してどれだけの、一体じゃこれがよくなったかというと、この表を私ずっと見ましても、特別よくなったというふうには私見ないわけなんですが、これはなぜ第一種制度というものをここに設けなければならなかったかという、その理由ですね。現行法律改正していけば十分これは間に合うのじゃないかと私は思うのですけれども、この点、私どうも納得いかないのですが、この点はいかがでしょう。
  13. 影山衛司

    政府委員影山衛司君) 先生指摘のような考え方も私ども当初持っておりまして、現行制度改正ということで制度を強化していきたいという方向でいろいろ検討してみたわけでございますけれども現行共済契約共済事由は、狭い意味での事業廃止あるいは事業第三者への譲渡、そのほかに、いわゆる法人成りあるいは隠居それから三十年満期というような制度がございまして、これを全体的に総合してみまして、いわゆる貯蓄共済的な色彩が非常に強いわけでございます。そういう点で、その貯蓄共済的な現行制度につきまして、掛け金税制上の特別措置を講ずるという場合に、他の税制上の措置とのバランスもございまして、掛け金生命保険料控除のワク内で処理するということ以上に出ないことになっておるわけでございます。そこで、ただいま申し上げました共済金共済事由の中で、特に最近の経済情勢のきびしさにかんがみまして、狭い意味での事業廃止あるいは第三者への譲渡あるいは会社解散というようなものに限定いたしまして、これを共済事由にするということになりますと、いわばこれが社会保険的な色彩が強くなってくるということで、そこを拠点にいたしまして税制上の特別措置につきましてもやっとこさ全額所得控除というところまでこぎつけたわけでございます。それからまた、共済金につきましても現行のものよりも一〇%ほど増加をするというふうなこともいたしたわけでございまして、そういう点で現行法律改正だけではやっていけないという根拠理由を申し上げたわけでございますが、今度改正いたしました場合のメリットにつきましては、先ほど申し上げましたように、掛け金につきまして全額所得控除ということと、それから、共済金につきまして、現行制度よりも、共済金の、事業廃止及び会社解散等につきましては、一〇%の増額を行なうということになっております。
  14. 近藤信一

    近藤信一君 いま御答弁ありましたように、共済金が、廃止した場合一〇%よけいもらえるようになるということと、税制上の問題、この二つだけでしょう。今度改正したのがこの二つだけだったら、現行法律改正でいけるのじゃないかというふうに思うのですけれども現行改正でこれができないという、そのあれはどこに根拠があるのですか。
  15. 影山衛司

    政府委員影山衛司君) 主として税金上の特別措置についての他の制度とのバランスでございます。現行共済契約は貯蓄共済的な色彩がございますので、どうも全額所得控除というところまでいっていないわけでございます。一方におきまして社会保険制度につきましては、一応税金上の特別措置をとるルールといたしまして、強制加入掛け金強制徴収という制度があるものについて全額社会保険と認めて、掛け金については金額所得控除をやるというのが従来の例であったわけであります。ところが、この第一種共済契約をつくりましても、強制加入あるいは強制徴収というところまではまだ進みませんけれども、先ほど申し上げましたように共済事由というものが、非常にやむを得ざる事業廃止あるいは会社解散というようなものをそういう事由にしておりますので、社会保険的な色彩が非常に濃厚であるということで、前例はないわけでございますけれども、特にこの掛け金について全額所得控除ということを認めてもらった次第でございます。相当これは前進じゃないかというふうに考えるわけでございます。
  16. 近藤信一

    近藤信一君 長官前進と言われるから前進かもしれませんが、もう一つお尋ねしておきたいことは、たとえばこのあとで審議いたします団体法改正によって協業組合制度ができるわけですね。そうすると、協業組合をつくるために自分事業というものを廃止するわけでしょう。自分の、個人のあれを廃止して協業組合になるわけなんだから、その場合に、ここにございますように、事業廃止をして一〇%増し共済金がもらえるということに私はなると思うのですが、そういうことになりますか。
  17. 影山衛司

    政府委員影山衛司君) 個人事業の場合には、事業廃止になるわけでございます。
  18. 近藤信一

    近藤信一君 今度は逆に裏から考えますと、あなたのほうでは、今度団体法改正して協業組合制度をつくるのだ、協業組合をよけいつくらせるために、こういう第一種の制度というものを設けて、第一種に入っておればこういうあれがあるぞ、早く廃止して協業組合をつくりなさい、そうすればこれだけの共済金が一〇%増しでもらえますよ。こういう宣伝にもなろうかと思うのですが、そういう意図があってこういう第一種の制度改正ということにあなたのほうは考えられたのか、どうかこの点はどうですか。
  19. 影山衛司

    政府委員影山衛司君) 特別にこの協業組合制度改正の契機になったわけではございませんが、この協業組合制度に参加する個人事業主が、すべて事業廃止を行なうわけでございますので、協業組合を結成するのに非常に好都合であるというふうにも考えるわけでございます。
  20. 近藤信一

    近藤信一君 それからたとえば世襲の場合、これは私が今度はおがれにこの工場を譲る。今度はせがれに譲った場合には、おやじの、前事業主掛け金年数というものが世襲者に対して加算されていくわけですね。これは妻またはその子供、二代限りの法律ですね。二代で打ち切って、三代までということになると相当年数が長くなってくるであろうけれども、二代限りでこれを切ったというのは、どういうところに意図がありますか。
  21. 影山衛司

    政府委員影山衛司君) まあ大体においておやじさんがもう隠居も間近いので、この共済制度に入っておきたいけれども自分だけの一代限りではどうも共済金年数が足りなくてもらえそうにない。しかしながら、その次の世代につきましてはひとつこれを引き続き加入できるなら自分もこれに加入しようというようなことで、そういう趣旨でやったわけでございまして、それをさらに三代、四代と延ばしますことにつきましては、やはり相当因果関係と申しますか、そういう点についてのいろいろの確認ということ等も非常にむずかしくなりますので、一応二代限りということになったわけであります。これも実施状況を見まして、今後もその点については検討していきたいというふうに考えております。
  22. 近藤信一

    近藤信一君 この共済制度加入者は、必要な事業資金についての将来還元融資が受けられることになっておりますが、このことは加入者にとっては魅力のあることであろうかと思うのです。本法制定当時からこれは期待が持たれていたことでございますが、一体いつごろからそれではこの還元融資実施ができるという見通しといいますか、それはどうですか。
  23. 影山衛司

    政府委員影山衛司君) 大体中小企業退職金共済事業団におきまして最近還元融資を行ない始めたわけでございますが、それは大体掛け金が百億ぐらいたまった時点から始めているわけでございます。もしもこの百億という掛け金の累積を頭におきますならば、この小規模共済制度におきましては、加入者が大体三十万人になりますならば、おそらく掛け金余裕金が百億円程度になろうかと思います。大体それを五年以内ぐらいには実現をしようじゃないかというような目標を立てております。
  24. 近藤信一

    近藤信一君 大体三十万人ということになっているが、たいへんですね。五年以内に何とかしたいと言うが、二年かかって一万九千四百三十二人でしょう。三十万ていったらまだだいぶ先が長い、三年ぐらいであなたこれはできますか。そんな安易な気持ち加入者還元融資できるぞと宣伝できますか。百億にならなければ還元融資できないというのでしょう、そうでしょう。二年かかって二万ないわけだ。十年か二十年かかる、この案でいくと。その点どうですか。甘くないでしょうか。
  25. 影山衛司

    政府委員影山衛司君) これは私どもも楽観いたしておるわけではございませんけれども中小企業退職金共済制度加入状況等を見てみますというと、まだ二年目、三年目でも加入者は二万人にはなっていないわけでございます、新規加入者は。それで、中小企業退職金共済事業が三十四年に始まりまして、三十八年ごろ、五年目に大体百億の運用資産ができたわけでございまして、最初のころは、やはり中小企業退職金共済制度の例を見ましても、なかなか加入促進しないわけでございますが、だんだん加速度がついてきて加入促進されるというふうに考えております。いずれにいたしましても、楽観いたしておりませんけれども加入PR等も積極的に行ないまして、そういう目標を達成したいと考えているわけでございます。
  26. 近藤信一

    近藤信一君 長官、せっかく法を改正して、還元融資の面を考えて、いま御答弁ありましたように、そうむずかしいものではないような御答弁ですけれども、私は、ちょっと長官のその考え方は甘いんじゃないかと思うのですね。積極的にやって茨城県なんかはこれだけ入った。いまの事業団の人数からいって、それから、地方自治体で、それではそのことに積極的にやろうかという決意が出てくるかどうか。そういうことを考えると、これはなかなか困難なことだと私は思うのです。二万人現在ない、一万九千四百三十二人の加入者があって、茨城県が六千百八十三人加入している。こういうあれから見ても、私はなかなか遠いことになっていくんじゃないか。どうもその点、あなたの答弁と私の思っている想像とでは、だいぶ食い達いがあるように私は受け取れるのですけれども、あなた、この法律通ってしまえば、またどこかに行けるわいということで、法律さえ通してしまえばいい、こういうことかもしれませんけれども、どうも私は甘いと思うのですが、どうですか。
  27. 影山衛司

    政府委員影山衛司君) 私どもも一応の目標を立てているわけでございますが、たとえば四十二年度におきましても、これで北海道とか岩手県とか福島県とか徳島県、大分県等をモデル県にいたしまして加入促進をはかるわけでございますが、大体いままでの目標を積み上げていきますというと、四十二年度でも六万人は入るだろうというふうな見通しを持っているわけでございますが、そういうふうにいたしまして私ども一生懸命やりますけれども、なかなかむずかしい仕事でもあろうかと思うわけでございますが、今度第一種共済契約も多少の魅力もあるわけでございまして、大いに加入促進されてくるのではないかと思うのでございます。ただ、そこまでまいりません場合にも、還元融資が実質上できるような制度をもうすでに行なっておるわけであります。その掛け金のたまったもので商工中金商工債を買いまして、それを見返りに商工中金のほうで還元融資的なものをやってもらっております。そういう制度も活用していきたいということでございます。
  28. 近藤信一

    近藤信一君 そこで、共済制度還元融資ができないと。いますぐやれないでしょう、あなたのほうもね。やれない場合に、たとえばこれに加盟している、共済事業団に加盟している証明ですね、たとえば手帳あるでしょう。そういうものを持っていって金融機間の窓口へ示した場合に、この融資ができる、こういう方法でも講じてやれば、私はまだこの加入者一つ希望というのが持てるだろうと思うのだが、あなたのいま商工中金で見返りとしてどうのこうのということでなく、普通の一般銀行でも中小企業の金融を扱っておる窓口に行って相談すれば、それによって融資ができると、こういう方法というものはあなたは考えなかったのですか。もしあるとするならば、やっておるというところがあるならばひとつ聞かしていただきたい。
  29. 影山衛司

    政府委員影山衛司君) なかなかやはり、銀行等にも働きかけておりますけれども、そこまではまだ行っていないわけでございます。まず、商工中金に対しまして模範を示してもらいまして、逐次それを拡大していきたいと思うわけでございます。たとえば、まず政府関係金融機関の国民金融公庫等にその制度をとり入れてもらっていきたいと思っております。
  30. 近藤信一

    近藤信一君 いますぐというわけにはいかぬが、国民金融公庫が何とか利用できるようにやりたいと、こういうことですか。
  31. 影山衛司

    政府委員影山衛司君) そういうふうに持っていきたいと思っております。
  32. 近藤信一

    近藤信一君 時間がだんだんと追い詰められてあれだから、どうもあんまりじっくりも御質問できませんけれども、やはり私はこの小規模企業共済法、これは小規模事業者は一応期待しておるやに見ておるけれども、実際のこの表のあらわれ方からいくと、われわれが最初考えたようには進んできていないということは、非常に私は残念だと思うのですね。で、茨城県を一つモデルケースとしてこれから全国的にこれをPRして積極的にやりたいというあなたのいまの御答弁でございましたから、一体これから一年間どれくらいの実績が上がっていくか、私も来年も生命があればもう一ぺん来年には十分お尋ねをしたいと思っております。やはりこの制度があるということがまだ十分知られていないかもわかりませんよ、小規模事業者の諸君に。そういう点からまずPRをしていかなければならぬということと、それから、ほとんど、茨城県の例は、先ほど私言いましたように、割り当てしてこれだけつくってくれということでお願いして、こうふえてきておる。そういうことも非常にいいのだけれども、何とか小規模事業者が自主的に喜んで加入できる面をPRさせなきゃ、私はなかなかこれは伸びていかないと思うのですね。あなたのほうのプランだけはいいけれども、実際の実績というものは、私はあらわれてこないと思うのですよ。そういう点を十分にこれから一年間積極的にやっていただきたい、このことを私希望しておきます。
  33. 影山衛司

    政府委員影山衛司君) 先生指摘の線で私ども、また小規模企業共済事業団努力をしていきたいと思うのでございます。本年度から事業団の広報室を設けましてPRを専門にやりたいという考えをしておりますので、せっかく努力をしていきたいと思うわけでございます。
  34. 向井長年

    向井長年君 関連。いま近藤委員から大体触れられたと思うのですが、この現行法はそのままにして、新しく創設するということですが、今後しからばこの現行法は今度創設されるほうに吸収していくと、こういう基本的な考え方を持っておられますか。この点どう考えるのですか。
  35. 影山衛司

    政府委員影山衛司君) 事業団のほうで現在加入している人たちの意見等も聞いてみたわけでございますけれども、この現行法の制度につきましても、やはり法人成りであるとか、あるいは隠居の場合、あるいは満期制度もございまして、新しい共済契約よりも共済事由によっては有利な点もあるわけでございます。そういった点で現行制度も一応存続させておいたほうがいいんじゃないかという結論を出したわけなんでありますが、今後の実行の模様を見まして、この点は検討したいと思っております。
  36. 向井長年

    向井長年君 有利な点があると思いますが、したがって、将来その有利な点を今度の法に繰り入れてこれは将来これに吸収していく、こういう基本的な考え方ではないかと思うのですが、あくまでも二本立てでずっといくと、こういう考え方でいくのか、この点いかがですか。
  37. 影山衛司

    政府委員影山衛司君) 有利な制度に統一していくというのが私どもの念願でございます。
  38. 近藤信一

    近藤信一君 それでは次の中小企業団体法の問題に移っていきますが、過日も私ちょっと触れておきましたのですが、非常に中小企業組織化のために通産省も政府努力していろいろときょうまであれやこれやと法律改正等も行なわれてきた。そして今度はどうしても協業組合をやってもう一つ中小企業の皆さんの事業をうまく保進していこうと、こういうことで団体法改正をされたわけでございますが、この今度の協業組合ができました場合、従来の工場団地、工業団地、これらが移行することができるのですね、今度の改正によって。その場合一体どれだけの特典というものといいますか、利益というのか、そういうものがあるかどうか。協同組合による工場団地が今度協業組合に移行した場合、依然としてあまり変わりないかどうか。協同組合法による工場団地でやっていっても協業組合へ移行してもあまり変わりがなければ移行する人もないが、いまの工場団地のやっておる運営のあれから見ると、九〇%から協業しておるところもあり、四〇%ぐらいが協業しておるところもあり、いろいろな工場団地によって違っておるわけなんです。全面的にこれを協業化していこうという場合に、その工場団地が移行した場合に、大きな特典があれば移行するけれども、あまりないとすると、従来どおりでいったほうがいいんじゃないか、こういうことにもなろうかと思うので、その点、一言お尋ねをしておきたいと思います。
  39. 影山衛司

    政府委員影山衛司君) 従来の工場団地の中にも全部協業あるいは一部協業が相当進んでおる団地も三、四あるわけでございますが、その人たちも私どものほうに寄り寄り協議をしてきております。この工場団地が協業組合に移行いたしました際に、これは従来からも工場団地でございますので、中小企業振興事業団の対象になる。金融上のめんどうも従来ともちろん変わりございませんが、やはり一番メリットがございますのは組織上のメリットでございまして、加入、脱退のある程度の同志的結合の意味での自由を制限しておりますので、ほんとうに気の合った人たちの協調性が保たれます。あるいは資本の維持、増加というものもできるわけです。それから員外利用の制限というものが従来の協同組合方式ではあったわけでございますが、今度は協業組合になりましたら、その員外利用の制限がないのでございます。これは自由な販売活動ができるというような点で非常に大きなメリットであると思います。それから既設のものにつきましても弾力性が持てるようになっておりますので、この組合運用の機動性が保たれるというようなこともあろうかと思います。そういう組織上のメリットが非常に大きいのではないか。その点は、やはり皆さんも評価をしておられるような次第でございます。また税制上につきましては、特別償却の機械等の割り増し償却あるいは現物出資の特例等もすることになっておるわけでございます。
  40. 近藤信一

    近藤信一君 協業組合の設立にあたりましては、四名以上が発起人になることを要する。四名以上ということは、四事業所が協業することになるわけですね。この場合に、その組合員が死亡して二人まではこれを認める。組合員の最少員数はきまっておりまするけれども、上のほうは制限がないわけです。あなたのほうは、協業組合というものは、一体どれほどの員数が適当だと思われますか。下はきまっておりますから上のほうにおいてはどれくらいまでが一体理想的か、この点お答え願います。
  41. 影山衛司

    政府委員影山衛司君) 従来協業を相当程度やっておりますところの組合の実態調査を私どもやりましたわけでございますが、その統計によりますというと、大体六人から二十人程度の組合員を持っているのが三十数パーセントあるわけでございます。大体そういうところが多いのではないか。そのくらいの人数でございますと、同志的な結合という点についてもふさわしいのではないかと思うわけでございます。
  42. 近藤信一

    近藤信一君 協業組合は一部協業と全部協業と、二本立てになっておるわけですね。なぜ一部協業と全部協業と二本立てにしたのか。一部協業のほうより、私が考えた場合には全部協業のほうが最もふさわしいのじゃないかと私は思うのですが、特別ここに一部協業ということになると、将来できる面でやはり一部協業のほうが多く設立されるというふうに私考えるのですが、その点あなたのほうはどちらのほうがこれは伸びるであろうというふうに考えておられますか。一部協業か全部協業か、この点について。
  43. 影山衛司

    政府委員影山衛司君) 私どもがこの法律をつくります契機になりましたのは、全部協業でございます。一部協業も、先ほど申し上げましたような組織上のメリットもございますけどれも、まずそういう一部協業をやりました上で全部協業のほうへ進んでいくという例も非常に従来多いわけでございます。両方ともひとつ差別なしに指導していきたいと思っておりますので、どちらに重点を置くとか、どちらを伸ばすとかいうようなことは考えてないわけでございます。
  44. 近藤信一

    近藤信一君 そうすると、たとえば販売の面だけ残してあと一部協業する、こういうのが出てきますね。その場合に、先ほどの小規模共済のほうと関連していくのですが、一部販売だけ残して主体が今度は協業をする、そのときに廃止とみなされるのか、これを廃止とみなさないのか、この見解はどうですか。
  45. 影山衛司

    政府委員影山衛司君) 販売事業者として継続いたしておりますので、これは廃止にはなりません。
  46. 近藤信一

    近藤信一君 業者として残っても、実際事業の主体というものは廃止されるわけでしょう。ただ、販売面だけ残るということになると、これは廃止になるのじゃないですか。その見解はどうも私と違うようですが、どうですか。
  47. 影山衛司

    政府委員影山衛司君) 事業廃止があったかどうかということは、地方税法におきまして、届け出をする対象になるかならないかということになるわけでございます。事業廃止して地方税法上の事業として、もうやめるのだということになりますというと廃止になりますが、やはりまだ引き続き個人、その人の名義で税金を納めていくというようなことになりますというと、やはり販売事業をやっているということになるわけでございます。
  48. 近藤信一

    近藤信一君 これは業態によっていろいろできてくると思うのですね。たとえばとうふ屋とかおまんじゅう屋だとかそうめん屋、こういう小さな小企業というかな、こういうのが今後協業組合に入ってきますね。その場合に、とうふ屋なんかはいまのお話の一部協業でできる面があるのですね。製造だけこっちで協業して、販売は依然としてやる。それから、私が聞くところによると、何かあんこ屋か何かが協業をやっているというふうな話も聞いていますが、これはあんを製造する段階まで、味つけのほうはまた各店が別々ということになるんですね。そうすると、今度は味つけの味のいい悪いによって、せっかく協業したのが、味のいい悪いによって過当競争がここに私は出てくると思うんですね。あなたのほうは過当競争を防止したいということで協業させると、こういうことだけれども、味つけだけ残して、味のついてないあんこだけをつくるところが協業になって、うまいまずいの味のほうになってくると、今度は別々だと、これでは私は意義がないんじゃないかというふうに思うんですよ。味の面で私のところと隣の先生のところの店屋と、味で今度は競争するわけです。これは過当競争になってくるんですよ、依然として。その点はどうですか。
  49. 影山衛司

    政府委員影山衛司君) 一部協業の典型的な例は、たとえば織物の組合の中で、染色整理部門を一部協業するというようなのが典型的な一部協業協です。先生の御指摘のようなあんこ屋の製造を協業で、あと味つけだけを残すという、あるいは販売だけ残しておるというのは、現在の協業組合制度というものが、やはりそういう点まで、全部協業しますと違法になりますので、わずかなところを残しておるわけでございます。むしろここまできておる組合は、もう一歩進んで全部協業に移るべきであるというふうに私ども考えます。そういう点でひとつ指導もあわせて今後やっていきたいと思うわけでございます。
  50. 近藤信一

    近藤信一君 今度の協業組合については、大企業もこれは加入することができる、ただし五〇%までと、そうでしたね。ところが中小企業基本法で中小企業の定義というものはきめられているんでしょう。そうすると、その定義以外の大企業も入ることができるかどうか、協業組合に。この点、矛盾するんじゃないですか。中小企業基本法上からもこれは違法行為ということになってくるんですが、この点のあなたの見解はどうなんですか。
  51. 影山衛司

    政府委員影山衛司君) 大企業を一定の制限のもとに加入を認めました理由は、従来の団地あたりでも例があるわけでございますけれども、逆に小規模の人たちだけでやるという場合には、指導者が必要なわけけでございまして、そういう指導者が中核になってやります場合は、中小企業者の中でも中の場合、あるいはさらに中小企業を卒業したような人たちが指導者になって行なうわけでございますが、むしろそういう人たちが入ってくれましたほうが組合全体の運営等がうまくいっている例が非常に多いわけでございます。そういう点を頭に置きまして、私どもといたしましては、そういう人たちもむしろ積極的に入そてもらおうというふうに考えたわけでございまして、これはたしか商工組合等につきましても、一定限度で大企業の加入というものも認められております。全体の制度といたしましては、必ずしも矛盾ではない、こういうふうに考えておるわけでございます。
  52. 近藤信一

    近藤信一君 協業組合がだんだんと発展して、これが活発になってくると、そうすると、協業組合に加盟しなかった業者との間に過当競争が起こり、格差ができるし、だんだんと大きくなって、加盟してない業者を今度は倒産へ追い込むというような現象が出てくると予想されるわけなんですが、この点あなたの何かこれに対するところの手だてというものは考えておられるのですか。
  53. 影山衛司

    政府委員影山衛司君) 協業組合へは、できるだけ同士的結合で小範囲の人たち加入をして一つの企業体をつくるということでございますが、一つの産地に一つでなければいけないというわけではございませんので、できるだけたくさん協業組合をつくっていくというふうにも指導いたしていきたいと思いますが、だけれども一国一城のあるじの考え方を持っている人たちで、なかなか乗ってこない人たちもいるわけでごいます。そういう人たちに対しましては、別個の観点から、やはり小規模、零細対策というものも用意いたしているわけであります。そういう点で勘案していきたいと思います。
  54. 近藤信一

    近藤信一君 協業組合をつくるには、気の合った者同士でどんどんつくりなさいと、それで事業を発展させなさい、これはまことにいいことだ。ところが協業組合どんどんできて、協業組合同士の今度は過当競争という面が出てくる。それで協業組合が幾つもできる。また、協業組合加入しない中小企業者も出てくる。三者が今度は過当競争をする面が出てくるわけですよ。そうした場合、依然として過当競争がそこに激しく展開されてくる。しかしあなたのほうは協業組合によってその事業を強くしなさい、そうして大きくなりなさい、こいうことで協業組合制度が今度はできてくる。あなたのほうのねらいというところは、将来これを株式に発展させると、そういう意図があるのかどうか、この点はどうですか。
  55. 影山衛司

    政府委員影山衛司君) 協業組合制度と申しますのは、むしろ個別のメンバーは事業者であることをやめるわけでございます。そこで過当競争を防止しながら近代化を進めるのにはどうしたらいいかということをきっかけといたしまして、この協業組合制度が考えられたわけでございます。そういう点で過当競争防止の一助にもなると私どもは考えているわけでございます。それから、これがどんどん発展して、株式会社制度にまでいくのが本来の姿であるかどうかという点につきましては、私ども協業組合中小企業者の企業勘定に合った制度でございますので、必ずしも株式会社に移行することを期待したり予定をいたしているわけではございません。
  56. 近藤信一

    近藤信一君 もう一つですね、この協業組合が将来大きくなっていく、先ほど申しましたように、いわゆるあなたも言っておられるようにね、そこの指導者的中心になるのは、やはり大きな、経験も持った大企業も入って、そうしてやっていかなければならぬと。なるほどこの発言権に対しては、若干の余裕を見て、五〇%までしか発言権がないわけでございまするけれども、やはり大きなのが発言権を十分持ってしまうと、やはりあとの小さな——あなたのことばで言うと小企業というのかな——この小企業の人も協業組合に入っているわけなんですから、その小企業と大企業が一緒になってこの協業組合をつくることもよろしいと、こういうのですからね、どうしても発言権というのは、その大企業のほうに移っていく危険性というものはあるのですよ。幾ら五〇%までだといっても、やはり指導的な立場になって中で発言するということになりますと、大企業に吸収されていくおそれというものは私は十分ある思うのですが、ただ発言権だけでこれ規制しているけれども、これだけでは私は規制できないと思うのですが、その危険性はどうですか。
  57. 影山衛司

    政府委員影山衛司君) 大企業もこの協業組合加入いたします際には、自分事業をやめて、廃止して加入するわけでございますので、そういう点から加入する大企業者も、やはり中小企業者と一緒になって仕事をやるのだという決意のもとに入ってくるわけでございますので、先生指摘のような点のおそれはあるわけでございますけれども、私どもそういうことは起こらないだろうと考えておりますが、かりに協業組合が大企業であったメンバーによって、不当に支配をされるというような事態が起こりました場合は、協業組合制度の趣旨に合致しないわけでございますので、業務改善命令等の対象にもいたしまして、強力な指導をいたしていきたいと思います。
  58. 近藤信一

    近藤信一君 あなたはおそれがないと言われるけれども、たとえばね、この法に基づいて四工場が入る、その中で一工場が大企業で入って、五〇%の発言権しかない。しかし、不幸にしてあとに残った三人の小企業の中で一人死亡したとする。死亡して事業廃止になった場合、あと残された人があるでしょう。一人死亡した。二人までこの法律で認めているわけですね、最少限二人。二人になった場合、大企業と小企業と二人でしょう。発言権は大企業のほうに——大企業は、いま長官言われるように、自分事業をやめて協業するのだから、当然権力というものは大企業に移りますよ。あなたそんなおそれないと言うけれども、移るのが当然だ、そうでしょう。あなたそう考えませんか。その場合どうなるのですか。
  59. 影山衛司

    政府委員影山衛司君) 先生指摘の事例では、やはり大企業のほうに支配権が移るというようなこともあり得るかと思います。そういう場合におきましては、やはり私どもも指導いたしまして、従来四人おって、それが二人になったというような事態は、むしろ理想的な状態ではございませんので、ほかにやはり小規模事業者加入せしめるというようなことで指導をしていきたいと考えております。
  60. 近藤信一

    近藤信一君 そうしますと、結成後におけるところの加入ということもあり得るわけですか。
  61. 影山衛司

    政府委員影山衛司君) あり得るわけでございます。協業組合の承諾を得れば加入できるわけでございます。
  62. 近藤信一

    近藤信一君 そのあとで、いま話しましたね、減っていった、もう一人どうしても見つけようとしても小規模では見つからぬ。大企業の人で、じゃひとつ一緒になろうかということになって、大企業の人が一人また入ってくる。大企業の経営者が、事業者が二人、そして中小企業が一人、この場合でも発言権というものは五〇%にとどまるのか、この二人で小のほうより発言権が多いのか、これはどうなんですか。
  63. 影山衛司

    政府委員影山衛司君) 大企業は総組合員の四分の一以下であることという制限がございます。そういう場合、大企業は入れないわけでございます。
  64. 近藤信一

    近藤信一君 そういうことは法律の何条に示されているんですか。
  65. 影山衛司

    政府委員影山衛司君) 五条の六でございます。「前条の中小企業者以外の者は、協業組合の総組合員の四分の一をこえてはならない。」とございます。
  66. 近藤信一

    近藤信一君 そういうことで四分の一をこえてはならないという個条があればほとんど心配ないと思うのですが、まあそういうケースはなかなかないと思うのですけれども、やはりそういうことが法律にきまってしまえば、この法律が優先することになるわけですが、私そういう点心配になるのでお尋ねしたのです。最後にもう一つ、今度繊維構造改善事業による織布関係等の協業組合というものが非常に出てくると思うのですね。その場合に織布関係等の協業組合が幾つかできてくる。その幾つかできて、一方協業組合の問題で固まるのと、それからこの間の改正によると、産地組合に責任を持たす、こういうことになってくるわけですね。すると、協業組合が発足して失敗した暁、もしも失敗した場合の責任というものは、今度は産地組合のほうにあなたのほうは責任を負わせる、こういうことになると思うのですが、この点はどうですか。
  67. 影山衛司

    政府委員影山衛司君) 産地組合のほうで、構造改善計画をつくりまして、その中には織布業の協業組合をつくったほうがいいという計画が出てまいりまして、それを通産大臣が認可するわけでございます。そういうことでございますので、万一、協業組合が失敗いたしました場合も、これは産地組合だけの責任ではございませんで、やはり通産省の、あるいは直接指導した県も連帯責任を負うわけでございます。一緒になってこれは失敗しないように、あるいは失敗した場合にはアフターケアということを一緒になって考えるわけでございます。
  68. 近藤信一

    近藤信一君 最後に私は要望しておくのですが、このことは団地のときにも長官に私はお願いしておいたのだが、発足したときには非常にうまくいく。しかし、中間において失敗する面があるのです、組合員の没落するところが。その責任は全部この団体にしょわされる場合がいままで往々にしてあったわけなんですね。また、そういうたてまえになっているわけなんだ。しかし、そうすると、また全体が倒産するというときがあるわけなんですよ。そのときになって、いや法律はこうなっているんだと、こういうことでなく、そのときにはやはりあたたかい気持ち中小企業庁なり、また政府は、それらの方々の相談に乗って、そういうことのないように私はしてもらいたい。特にこれは商工中金なんか非常にそういう点では冷淡なんですよ。もう官僚化している。商工中金は。この前も同僚議員から中小企業振興事業団法案の際にもそういう発言があったけれども、何か市中銀行以上に商工中金は冷淡なんだね、そういう点では。それで、おれのほうはそんなことは関係ないんだということで、ぼんぼんと業者に悪態ついているわけなんだね。それでは私はいけないと思うのですよ。やはり商工中金政府がめんどう見ておるという関係もあるのだから、やはりそういう点は、そういう業者がもし出て、相談された場合には、あたたかい気持ちでこれは相談に乗ってやる、こういうことでなければ、中小企業の振興育成だのなんてそんなこと言ってたって無理なんですよ。相談に来るやつは倒れかかったやつしか相談に来ないのだから、そうでしょう。事業がりっぱに進んでいる者は何も相談しなくてもやっていけるのだから、通産局や方々へ相談に行くやつは、そういう危険なやつが相談に行くのだから、そのときにそれはだめだということじゃ、これは中小企業に対してぼくはあたたかみがないと思うので、そういうのは将来も、もしそういうことで全体の負債というものがかかってきた場合にどうするか、こういうことで相談があった場合には、あなたのほうはそれで生きていける道を示してやる。これが私はあなたのほうの責任じゃないかと思うので、そういうことでひとつ十分この法律運用をやっていただきたい。このことを最後に希望いたしましてちょうど時間もきたようですから……。
  69. 向井長年

    向井長年君 時間があまりないようでございますので、二、三点ちょっと質問いたしますが、いま近藤君も触れられましたけれども、これはあくまでも協業組合は、少なくとも中小企業の基盤を強め、あるいは近代化をし、そうして過当競争を排していこうというところに大きな目的があると思うのですが、そうなってくると、少なくとも将来、やはり企業合併、合同というところに目標を持っておられると思うのですよ。いま近藤君は、株式会社に将来希望しているかという質問がございまして、それに対しては、必ずしもそうではない、こういう長官の御答弁でございますけれども、しかしあくまでやはり将来中小企業が協業化する、そういう中から企業合同あるいは合併、こういう形に持っていくことが正しい行き方ではないか、こうまず思うわけです。この点について再度御答弁を願いたい。  それからもう一点は、五条の八に、一応除外例を設けておるのですね。五条の八に「組合員は、総会の承認を得なければ、」同じ業種の場合はやれないという形がありますけれども、この目的からいうならば、同じ業種のいわゆる企業は、組合員になればやるべきではないというのが最も正しいあり方じゃないかと思うのですよ、目的からいえば、これをこういう形で非常に除外例を緩和しておりますけれども、この点の趣旨はどういうところにあるのかお聞きしたい。
  70. 影山衛司

    政府委員影山衛司君) 中小企業者が共同化し、それを進めていきまして合同、合併あるいは協業化という方向にいくのは、中小企業構造の高度化の一つの形でございます。協業組合を設けましたのも、中小企業者の企業感情に適するところの一つの協業化の形を認めたわけでございますが、会社形態による共同出資で寄り合い百貨店をつくるとかというふうな制度もやります場合には、従来どおり中小企業振興事業団法の対象にしたい。そういう点で中小企業者の協業化の促進という点は、あらゆる手段をもって促進をしていきたいと思うわけであります。  それからもう一つ先生が御質問の第五条の八の総会の承認を得て例外を認めるというような場合でございますが、これは競業禁止が本来の協調性を保つための最も理想的な形でございますけれども、組合員が加入いたしました場合に、従来の在庫あたりを持っていくような場合があるわけでございます。そういう在庫品、しかかり品をやはりさばかなければいけないというような必要性があります場合は、それはやはり競業禁止にひっかかるわけです。そういう場合を頭に置いて規定をいたしておるわけでございます。
  71. 向井長年

    向井長年君 こういう事態が生まれてくるのじゃありませんか、結局そういうかっこうにって私は禁止問題から出てくると思いますけれども、禁止の場合も裏があると思うのです。ということは、一応協業化し、協業組合に入っていると、そういうところで税制金融上いろいろ恩典を受ける。しかしながら、自分の企業は独自で別に持っている。そういう場合は、やはり総会のいろいろな条件があるから、そういう場合は一応現在やっている経営者が組合に加盟するけれども自分の企業はむすことか、あるいは奥さんの名前とか、こういうかっこうで別にやっていく。そうして有利な点だけこちらで配慮して、自分のお得意はお得意として持っていこう、こういう形が必ず生まれてくると思う。中小企業はあくせくしていますから、いい点があれば取っていってという考え方で、こちらから恩典を受けよう、しかしこっちのお得意はこっちで持っていこう、自分自分で握っているのだ、こういう形が必ず生まれてくると思う。こういうことはどういうかっこうで指導し、あるいは規制していこうとするのか。そうしないと、これは意味なくなるのですよ、中小企業は。どうもそういう傾向が多いと思いますが、どうですか。
  72. 影山衛司

    政府委員影山衛司君) 従来の協業化の例を見ましても、共同店舗を協業化でつくっていくというような場合に、自分の店舗は置いておきながら協業寄り合い百貨店をつくるというような場合は、たいては失敗しております。だから、やはりみんなが損することでございますので、同志的結合の協業組合が総会の承認等の場合に、十分考慮するであろうということを期待しておるわけでございます。また協業組合をつくります場合にも協業計画というものをつくって認可を受けるということになっておりますが、その場合にも、事業の統合関係につきましても、詳細な記載をしてもらうことにいたしております。そういう点でできるけだ先生指摘のような抜け穴がないようにいたしていきたい、それから指導もいたしていきたいと思うわけでありますが、先生指摘のむすことか奥さんにやらせるというようなことは、これも私ども法制をつくります前に、内部でも法制局でもいろいろとこの点を議論したわけでございますけれども、やはり人格が、法律上別人格になっておりますので、形式的にはやはり避けられないわけでありますが、まあ先ほど申し上げましたように、同志的結合でみんなが損をするということになるわけでございますので、そういう点のないように、お互いに気をつけさせると同時に、私どももそういうことのないように指導してまいりたいと思います。
  73. 向井長年

    向井長年君 特に強力な指導体制が必要になってくると思いますが、この指導はやはり通産が中心になってやられると思いますけれども地方においてはやはり都道府県ですね、こういうところに直接の指導性を発揮するような形をとるのか、中小企業庁として直接すべてやっていくのか、こういう問題をまずお聞きしたいと思います。  それからついででございますが、この間の振興事業団のときに質問しなければらなない問題でありますけれども、あわせて大臣に質問したいのですが、振興事業団のときに、地方公共団体のいわゆる資金、これは無利子で借りれますね、中央のほうは利子がかかる、これは非常に問題があるように感ずるのです。したがってこの協業化の組合も振興事業団から大きく融資を受け、利用すると思いますが、これについて中央もやはり無利子というかうこうになるのか、なれないのか、この点あわせて聞いておきます。
  74. 影山衛司

    政府委員影山衛司君) 指導体制の問題でございますが、これは中小企業庁みずからも力を入れて指導いたすわけでございますが、今度設立いたしますところの中小企業振興事業団におきましても融資対象とすると同時に、事業団が指導も行ないます。また地方におきましては、都道府県の総合指導所におきまして強力な指導をいたしてもらいますと同時に、中央会に対しまして、今度四十二年度の予算におきまして、一名ずつ各県の中央会に指導員を増置いたしますので、そういうところも強力な指導力を発揮してもらうということになるわけであります。  それから事業団関係で、中央は利子をつけるけれども、県のほうは無別子ではおかしいではないかというお話でございますが、従来の高度化資金は無利子であったわけでございますが、それだけにこれは補助金的な運用ということで相当制約が強かったわけでございますが、今度は財政資金も入れまして、非常に低利ではございますけれども利子を取る、そのかわり弾力的な運営をいたしていくというふうな趣旨で、非常に低利でございまするが金利を取る。それから地方につきましては、これは従来から二五%分につきましては無利子でお願いしておったわけで、今後もまた二五%お願いするわけでございます。その点は無利子で協力をしてもらうということにしておるわけでありますが、一方におきまして自治省あたりと相談いたしまして、地方交付税の算定基礎にも十分これを盛り込んでおります。そういう点で、県のほうにも手当てはいたしておるような次第でございます。
  75. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 他に御発言もなければ、両案に対する質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 御異議ないと認めます。  それではこれより両案の討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでありますが、討論は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 御異議ないと認めます。  それではこれより両案の採決に入ります。  まず、小規模企業共済法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  78. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 全会一致と認めます。よって本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、中小企業団体組織に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  79. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 全会一致と認めます。よって本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、両案の議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  81. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 速記を起こして。     —————————————
  82. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 次に、衆議院送付石油開発公団法案を議題とし、前回に引き続き、質疑を行ないます。質疑のおありの方は、順次、御発言を願います。
  83. 竹田現照

    ○竹田現照君 防衛庁にこの間残ったのをちょっと質問いたしますが、防衛庁が国防上の見地から必要とされる石油の備蓄、これは中東動乱のような場合を相定をして、その間は、純国民生活上からいっても、どうしても二カ月は必要であると、これは通産大臣のお答えですが、これには国防上の問題については入っていない、そういうお答えだった。防衛庁としては、こういう場合、どれくらいの石油を必要とするのか。
  84. 國井眞

    政府委員(國井眞君) 私のほうで現在調達をいたしております諸燃料につきましては、大体、ここ数年同じような傾向でございますが、五十万キロリットルから六十万の間でございます。四十一年で申しますと、五十六万キロリットル程度でございまして、このほかに雑用の油が多小ございます。概観いたしまして、六十万キロを多少切るところというような状況でございます。そこで、私どもがこれを平常の訓練等に使用いたします場合に、どうしても期末の繰り越し等が必要でございまして、そのためには、大体三カ月ないし四カ月というくらいのいわゆるランニングストックを持っております。で、そのほかにいわゆる純然たる備蓄というものは、現在持っておらないわけでございます。  なお、今後の問題としましても、現在のところは、いわゆる本来の備蓄というようなものは考えておりません。   〔委員長退席、理事近藤英一郎君看席〕
  85. 竹田現照

    ○竹田現照君 そうすると、あれですか、いわゆる中東問題に関連をして、この開発公団法に対する与党の代表質問にありましたような国防上の見地による備蓄という問題は、防衛庁としては考えなくてもいいというふうに理解しているんですか。
  86. 國井眞

    政府委員(國井眞君) 私どもは、ただいま申しましたような油の取得が、適時的確にできるということが最大の関心事でございます。そこで、これがどういう方法で確保されるかという方法はいろいろあるかと思いますが、方法のいかんにかかわらず、私どもの使います現在の数量は、きわめて微々たる、全体の数量の中で一%にも満たない数量でございます。〇・何パーセントかと思います。それが適時的確に入る方法でありさえすれば、私ども十分であろうと、こういうふうに考てえおる次第でございます。
  87. 竹田現照

    ○竹田現照君 的確に入りさえすれば、というのは、防衛庁に限らず、どこだって同じことなんで、なぜ、公団法の最初にこの質問をして、また、きょうこの防衛庁においでおいただいたかというのは、与党の代表質問の中に、この問題が強く言われていますし、衆議院における審議の中でも言われておりますから、衆議院における通産相の答弁と、私の質問に対するこの間の大臣のお答えにはちょっと食い違いがありますけれども、大臣のお答えでは、防衛庁関係は全然度外視して二カ月必要だと、こう言っているわけです。そうする、きわめて関心を政府与党が持っていられる国防上の備蓄というのは、一体どのくらいあるかということは、陸海空の自衛隊を動かしている防衛庁の立場として、ある程度の目安というものは持っていらっしゃると思うのですが、これが全然ない。石油がとまってしまったら全然動かないわけですから、飛行機も海上も陸上も。防衛庁があれだけの自衛隊を動かすには、ある程度のそういう資源というものは確保しておく必要を感じておられると思うのですが、そのことを聞いているのです。先ほど言った三カ月ないし四カ月というのは、石油が一滴もこなくても、いま防衛庁は確保しておるのですか。この三カ月なり四カ月の石油というのはいま現にある、こういうふうに考えていいのですか。
  88. 國井眞

    政府委員(國井眞君) ただいまの三カ月ないし四カ月と申しますのは、ランニングストックとしまして私どもが持っておる数量でございます。
  89. 竹田現照

    ○竹田現照君 この間、大臣も、これを所管している通産と防衛庁との間に国防上の石油資源の、エネルギー資源の確保等についてのお話し合いは、いままでのところありませんというお答えがありました。そこでお伺いをするのですが、四月の十一日、自民党の安全保障に関する調査会に長産省の官房長それから防衛庁の海幕の何とかという方が出席をされて、わが国の安全保障の見地から生活物資、主要生産品の原材料、エネルギー資源等の確保についていろいろとお話し合いがあったようですね。これはあれですか、事実と違いますか、そういうことはなかったですか、四月の十一日に。それもありましたから官房長の出席を求めていたんですがね。
  90. 國井眞

    政府委員(國井眞君) 私はただいまの話につきましては寡聞にして承知しておりません。
  91. 竹田現照

    ○竹田現照君 これは与党の調査会に出てこういうお話があるとすれば、通産省としてもいま私がお話しをした、端的に言えば国防上の見地からこのエネルギー資源の確保という問題についてお考えになっておらないということは、これは私はないと思うんです。ですから、そういういろいろ考えられたり、あるいは与党の調査会等に御出席をされていろいろとお話があったからこそ、衆議院における質問や、あるいは代表質問等の中に出てくるんじゃないかと、私はそういうふうに理解をしているんです。ですから、そういう事実というものがないんですか。私の調査が間違いであればこれは別ですけれども、これは四月の十一日、ことしですよ。これは官房長出席をしてからお答えをいただこうと思ったんですけれども……。それでは、出席をされでから聞きますが、このいわゆるエネルギー資源の確保というのは、いわゆる近代装備の、防衛長としては、これはきわめて重要な要件であると思うのですけれども、これが先ほどから私がお聞きをしているように中東動乱というああいうような問題が出てきたときに——いまのところはちょっと楽観していますけれども——あれが長期化していろいろなことになると、わが国のこういうものの確保ということがきわめて深刻な事態になるわけですね。それが防衛庁の段階で、全然想定をしていないというのは、これは先ほどお答えのように、順調に入ればいい、これは聞く必要はないんですけれどもね。ああいうような場合を想定をしたときに、これは通産省にもいろいろと防衛庁のほうから要請があって、その上に立って通産省も何らかの措置をとらなければならぬと思うのですがね。それが全然ないんですか。
  92. 國井眞

    政府委員(國井眞君) 先日の動乱に際しましては、私のほうから特に通産省に対して要望したことはございません。と申しますのは、先ほどお答えいたしましたように、大体ランニングストックとして三カ月ないし四カ月と申しますが、これはものによって、使い道によって多少違うわけでございます。その程度のもとを持っておりますし、同時に、私どもが聞いておりましたところによりますと、国内でもある程度のストックがあったようでございますし、また、私どもの全体に占めるシェアが小さいわけでございますので、当時としては情勢を見ておったという状況でございます。したがいまして特にその点について申し入れをしたり、あるいは話し合いをしたということはないわけでございます。
  93. 近藤信一

    近藤信一君 ちょっと関連して。先ほど竹田委員質問で、防衛庁約六十万立米ですね、必要とする燃料。それから先日の質問で、大臣がいわゆる産業上に対して石油の確保が必要だ、こういう答弁をしておられたようです。やはり将来産業上にウエートが置かれておるということは大臣の答弁でわかりますけれども、タンカーがこのごろ大型化してきたでしょう。五万トン、十万トン、将来二十万トンのタンカーをつくろうとしているのですが、タンカーで輸送をやっているわけなんで、その間にいまも竹田委員が言われましたように、中東の動乱が起きてああいう状態になった。もしこの戦争が発展していって、これは仮定のことだけれども、先日も英国のタンカーが火災を起こしたですね、十万トンのタンカーが。日本へ輸送するタンカーがそのとばっちりでやられる危険性というものは私は十分あると思うんですよ。その場合に、国内の保有力というものが乏しい。で、たちまち産業上に響いてくることはこれ当然だと思うんですが、一体どれほどの量というものが国内に貯蔵されているかということと——わかりますか、貯蔵量がどれくらい貯蔵されておるかということと、そのうちで防衛庁で必要とする量というものがどれほどあるか。その中で何%を占めておるか。この点いかがでしょうか。
  94. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 最近におきまする石油の貯蔵量は原油におきまして約二十一日分、それから製品におきまして二十五日分、あわせて約一カ月半という貯蔵量でございます。防衛庁のほうの分がどれほどかという点につきましては、明確なその中における割り当てがあるわけではございません。全体の商業ストックがただいま申し上げた量でございます。
  95. 近藤信一

    近藤信一君 貯蔵量は一カ月半というと、一カ月半、二カ月もこの間のような動乱が続くと、たちまちお手あげになる、産業上においてもお手あげになる、こういう情勢が出てくると思うんですね。大体この石油が、前には、終戦直後には国内の地下資源の利用ということで石炭に重点が置かれて、それで非常に無理して掘ったこともある。で、当時石炭産業としてやはり七千万カロリーとかなんとかで、だいぶ値段がどうのこうのでだんだんとまた石油のほうに移行してしまった、各産業はね。あの当時に、本来ならばこの国内の地下資源活用ということで通産省が方針を立てたのだから、それに重点を置いてずっと今日まで進んでくるべきでなかったか。いま石油に重点が置かれても、石油はわが国にはそんなにあるものじゃない。どうしてもいまのアラビアやら、あっちから運んでこなければならぬ。もしも戦争か何かが起こった場合には、およそ日本が参戦しないということが確実であっても。やっぱりそのとばっちりで輸送がとだえることが私はあると思うんです。そうすると、国内産業は全部麻痺してしまうということになるんだが、そのときの対策として何か通産省は考えているんですか。いまからそのときの対策何にもなしで、ずっとオープンで、石油石油で石油に重点が置かれていくのか。その点どうですか。
  96. 菅野和太郎

    ○国務大臣(菅野和太郎君) 中東の問題が起こってから特に教えられたことは、大体九割までは中東方面から石油を仰いでおったわけであります。その点で、もしそこで戦乱でもあれば日本に対する供給がとだえるということでありますから、石油の供給源を世界の各方面に求めなければならぬということが考えられるし、それから石油の供給というものが外国資本でやると、外国資本によって支配されるということが石油の価格あるいは供給量において非常な危険性を帯びるというようなことで、民族資本によって海外の石油資源を開発しようということで、今度石油開発公団というものを考えまして、したがいまして、なお中東の戦争が起こらなくてもこの石油開発公団というものはわれわれは考えておったのでありますが、あの中東の動乱によって一そうこの石油開発公団の必要性をわれわれは痛感いたしたのでございますが、さてしからば、かりにいま、もう二カ月も三カ月も石油が来なかったらどうなったかという御質問だと思いますが、それにつきましては、私どもはあのときもし今後石油が中東方面から来なかった場合ということも考えまして、まず第一に考えたのは、アメリカ方面から石油の供給を仰ぐということです。幸いアメリカのほうでは、それだけの石油供給能力があるということを聞いておりますので、もしもいよいよそういう場合にはアメリカに頼まなければならぬ。ところがもちろんアメリカのほうが石油は値段が高いのです。で、中東方面の石油が値段が安いがために、したがって主として九割まで中東方面から仰いでおったのでありますが、いよいよ来なかったならば、もう値段は高くとも、アメリカその他各方面から供給を仰がなければならぬということで、内々その準備をいたしておったのでありますが、幸い中東がああいうふうにおさまりましたので、したがいましてその心配はないのでありますが、しかし、この石油開発公団の設立は、あの中東動乱によって、一日も早くすべき必要性を実は痛感したような次第であります。
  97. 竹田現照

    ○竹田現照君 そこで防衛庁は、これはやっぱりある一つの想定をしていると思う、あれだけのものを動かすわけですから。それで、通産が言っているいまの段階における備蓄は一カ月半分ですか。そうすると、この間の鉱山局長のお答えによると、防衛庁が使っているのは〇・六%だというのだな、全消費量の。そうすると、それを算術計算そのままいくと、四十五、六日分ということになると、〇・六%というと三日分くらいだ。ですからある程度どうしてもそういうものは確保しておかなければならないという目安はあるのじゃないですか。やっぱり軍隊を動かしているわけだから、消上封鎖をされたとか、やれどうだとかこうだとかいう場合に、日本の国防をになっているのだから、そのときに、どれぐらいのものがなければ、飛行機も飛ばなければ何も動かない、陸上自衛隊も動かない、そういう一つの想定というものは、防衛庁というものは持たないのですか。それがちょっとわからないのですが。この間大臣は、少なくとも国防上の見地から言うと、二カ月や三カ月じゃない、半年や一年分ぐらいの石油は必要じゃないか、そういうことをちょっと言われていましたけれども、防衛庁としてはどうなんですか。
  98. 國井眞

    政府委員(國井眞君) ただいまのお話は、おそらく一朝有事のときに、どういう程度の数量が防衛庁関係だけについて必要になるか、こういうお話だと思いますけれども、実は一朝有事と申しますが、この様相と申しますのは、あらゆる様相がございまして、一体どういう形のものが起こってくるかということは、実は私ども現状において的確に把握し得ないわけでございます。実は油でございませんが、弾丸等につきまして、従来いわれておりますのは、現在持っております数量は、有事初動一カ月分というような考えできておるわけでございますが、そういったことが油でも同様でございまして、的確にどういう形の様相、戦闘形態が起こるか、的確に現状において把握することはできないわけでございます。そこで、一体そういう際に備えて、本来の備蓄というものを持つべきかどうかというのは、これは非常に議論のあるところでございまして、今回の実は三次防におきましては、そういった意味の備蓄というものは、実は考えておりませんで、現在持っております程度の保有数量をそのまま維持をしていくという考えをとっているわけでございます。
  99. 竹田現照

    ○竹田現照君 そうするとあれですか、与党が心配されているように、国防上の見地からの備蓄というような問題は、現在の段階においてはそうさして心配はないというふうにわれわれは理解をしていいのですか。なぜこういうことを言うかというと、本会議における代表質問の中で、こういう質問がありましたから、私ども社会党としては、きわめてこの法律案の審議に関心を持っているのです。そうするとあれでしょう。通産省が中東戦争を契機に石油の備蓄体制の整備をするということですけれども、一昨日の新聞ですか、大型基地を二カ所建設をするというような一つの計画を持っておられる、こういうことが少なくともいま大臣がお話しになった二カ月ぐらいを想定をされている計画だと思うのですね。そうすると、これは全然防衛関係の問題を別とすれば、相当かなりのお金を必要とすると思うわけですね、この国防上必要だという石油は、ですから、それは防衛庁なら防衛庁なら防衛庁が独自の力で、通産省とは関係はないのだ、だから防衛庁は防衛庁の中で、独自のことをやるといったって、入ってくる石油には限度がありますからね。それは私がいまお伺いしたようなことを心配する必要はないと、そういうふうに理解していいのですか。これは私というより与党の方が心配しているのだから。
  100. 國井眞

    政府委員(國井眞君) 同じようなことを繰り返すようでまことに恐縮でございますが、先ほども冒頭申しましたように、全体に占める防衛関係の費用、現状におきまする、これも相当激しい訓練をやっているわけでございますが、それにおきまして大体調達をしております年々の数量が、〇・五%ないし六%というような、国全体の中で占める比率はそういう程度でございます。そこにおいて大体ものによって三カ月ないし四カ月、あるいは使い道によっては多少それよりも多い数カ月というものもあるわけでございますが、そういったものでまず対処をするようになると思います。で、こういった比率の少ない数量でございますから、当初においてそれで対処をいたしまして、その後において逐次本格的な取得の方法を考えるという、まことに迂遠なような方法でございますが、現在三次防を考える段階においては、そういった方法をやむなくといっていると申しますか、現状はそういう方法でいかざるを得ないということで、三次防を組んでおるわけでございます。
  101. 竹田現照

    ○竹田現照君 防衛庁の石油はどこから買っているのですか、どういう購入状態になっているのですか。
  102. 國井眞

    政府委員(國井眞君) これは国内の精製業者並びに販売業者の中で、これについて指名をいたしまして、指名入札の方法で購入をいたしております。
  103. 竹田現照

    ○竹田現照君 そうすると、国内業者、指名業者でも、そういうことをやり想定しながら、ある程度石油というものを確保しておかなければいかぬと思うのですが、冒答お答えがありました三カ月ないし四カ月というのは、これは常時防衛庁は備蓄をするようなシステムになっておるのですか。常にそれだけは残しておくというならば、そうすると五十から六十万を全消費量の中で、これを常時押えておくということになると、実際の使用量というものはどれくらいになるのですか。
  104. 國井眞

    政府委員(國井眞君) 先ほど五十六万ないし六十万といったような数字で申し上げておりますのは、調達数量でございます。そのほかにランニングストックとして三カ月から四カ月、ものによって数カ月というようなものをすでに持っているわけでございます。それで期末の繰り越し、その他あるいは期によって消費量も違うわけでございまして、多少その間にものの増減等が、時期によってあるわけでございますが、原則としてその程度が常にころがして残っていくという形で持っておるわけでございまして、そのための担当も実は持っておるわけでございます。
  105. 竹田現照

    ○竹田現照君 そうすると、中東戦争のようなことがあって、かりに石油のあれがとまったとしても、防衛庁に関する限り、三カ月ないし四カ月は現状のままで動くと、そういうふうに理解していいですね。
  106. 國井眞

    政府委員(國井眞君) 現在の訓練体系をそのまま維持する、訓練状態を維持するということにおきましては、それぐらいは入らなくてもこれに耐えると、しかし、そのあとばったりとまるということになりますと、これまた困るわけでございますから、その点の取得の努力というものは、これはそういう際には真剣にやらなければならないというふうに考えております。
  107. 竹田現照

    ○竹田現照君 それで最後のことばですが、そういう際には真剣にやらざるを得ないというのが、これはあれじゃないんですか、防衛庁としては大事なところじゃないんですか。それがあるから、この代表質問の中に出てくるんですよ、でなければ必要ないんですからね。そういうような時に、それこそ防衛庁というのは一朝有事の際を考えながらやらなければならぬのじゃないんですか。そうすると、一朝有事の場合に、そういうものを動かすいわゆる原動力になるものがどれぐらい足らぬということは、常にやっぱり考えられていいように思うんですが、それを聞きたいんです。
  108. 國井眞

    政府委員(國井眞君) ただいまちょっと私のことばの点でございますが、実は私ども航空部隊で現実の例を申し上げますと、常に即応体制と申しますか、警戒体制にあるわけでございます。で、私どもが常に考えておりますことは、そういう際にと申しますのは、実は私ことば使いがちょっとまずかったのでございますが、常に真剣な態度で手配をするということになるわけでございまして、ただ四カ月なり五カ月たって、あとがばったり切れるということになることのないように、常時そういった購入方法なり、あるいは調達方法の合理化ということも私どもの中で考えておりまして、そういった努力を平時も続けておると、こういう意味でございます。
  109. 近藤英一郎

    ○理事(近藤英一郎君) 速記をとめてください。   〔速記中止〕
  110. 近藤英一郎

    ○理事(近藤英一郎君) 速記を始めてください。
  111. 竹田現照

    ○竹田現照君 それじゃ防衛庁にだけお聞きしますが、海幕で、輸送船舶の護衛だとか、あるいはそういうような問題について、やはり考えられているんでしょう、安全保障の立場で。そういうことはいまここでお答えできませんか。
  112. 國井眞

    政府委員(國井眞君) この点、私は実は防衛庁の中でございますけれども、通産省の関係で申しますと、たとえば鉱山の問題について、繊維局長が答えるという形の関連でございまして、確かにお話の重要物資の輸送という点については、確かに二次防、三次防、ことに三次防におきまして重要な海上部隊の任務として実は考えられておるわけでございます。ただ詳細につきましては実は防衛局所轄の問題でございますので、残念ながら詳しくお話しできないわけでございますが、確かにその点につきましては三次防において一つの任務として考えられておることは事実でございます。
  113. 竹田現照

    ○竹田現照君 だからぼくは局長ではちょっとお答えができないんじゃないかと思いまして、官房長か防衛庁長官に出席を求めたんですが、それはやっぱり一連の関連があると思う、通産省と防衛庁との。これは日本の、こういう資源を確保するということについて、この間も私の質問については相談がないと言っておる。これは三次防をこれから進める上に石油が全然度外視されていいものではないんですから、実際は動かす潤滑油なんですから。それを通産省との間に全然そういうような問題の相談がないというようなお答えと、それから衆議院におけるお答えとの間にどうも食い違いが私はあると思うし、加えて与党がきわめて関心を持ってこの問題について御質問があったので、この際、むしろ野党の立場ではっきりしておいてあげたほうが与党の御心配が解消されるんじゃないかと思いまして、私は非常に熱心に聞いているんですよ。全然ないんですか、そういう相談は。
  114. 國井眞

    政府委員(國井眞君) 私の関連の石油の備蓄等、今度のいろいろな開発公団等に関してどうこうというようなことについては一切お話し合いをいたしたことはございません。
  115. 竹田現照

    ○竹田現照君 審議に協力する意味において、官房長来るまでほかのことをちょっと飛び飛びになってこっちのほうがやりにくいんですけれども、ちょっと聞いておきます。  で、公団法案の関係についてちょっとお伺いいたしますが、公団法の十九条に探鉱機械の貸し付けというのがありますが、その機械のおもなるもの、その台数、こういうものはどういうことを考えられているんですか。
  116. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 御承知のように、石油の開発、採鉱に使いまする機械はきわめて特殊な機械でございまして、かつ非常に大型な機械でございます。したがいまして、これを公団等が一括購入をいたしまして、随時効率的に各探鉱開発企業に貸与いたしていくことが必要であろうということで、かような業務を掲上いたしたのでございますが、その機械と申しますのは、たとえば物理探鉱に必要な設備でございますとか、あるいは海洋掘さく——大陸だなの開発等に使いまする海洋掘さくのためのバージとかあるいは大型のボーリング機械等、個々の企業が持つよりも一括公団で保有して効率を高めることができる設備を想定をいたしております。その具体的な台数あるいは種類を、各年度どういうように購入していくかという点につきましては、現在まだ未決定でございまして、これからの進行状況とにらみ合わせながら検討を加えたいと思っております。
  117. 竹田現照

    ○竹田現照君 そうすると、海洋掘さく装置、そういうものを含めて、これは公団が発足してから考えると、そういうことですね。
  118. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 全体としてはさようでございます。特に四十二年度につきましては、主として物理探鉱設備に重点を置きまして購入を行なう予定でございますが、ただいまのところ詳細はまだ未決定である、こういうことでございます。
  119. 竹田現照

    ○竹田現照君 では、この公団が発足してからですから、今年度の公団の予算等の中には、そういう一つの明確なものというものは考えられていないと、そういうふうに理解していいんですか。
  120. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 本年度石油開発公団が成立の暁に出資を受けまする四十億円の中の一部分をさきましてかような設備購入に充てたいと思います。
  121. 竹田現照

    ○竹田現照君 それでは官房長見えたから一つだけお聞きします。ことしの四月に自民党の安全保障に関する調査会に官房長御出席になって、日本の安全保障の見地からエネルギー資源等の確保について、官房長や海幕の、ちょっと私、名前忘れましたけれども、御出席になって、いろいろとお話があったというふうに私は聞いておりますけれども、その事実はどうかということをまずお聞きしたい。
  122. 大慈彌嘉久

    政府委員(大慈彌嘉久君) 突然のお尋ねでございまして、はなはだ恐縮でございますが、はっきり覚えておりませんので、もう一度ちょっと調べさせていただきたいと思いますが、四月には出席した記憶がないのでございますが、ちょっとはっきり記憶がございませんので調べさせていただきたいと思いますが、だいぶ前に一度お伺いしたことがございます。
  123. 竹田現照

    ○竹田現照君 それでは、いずれにしても私はことしと聞いたのですが、四月十一日なんですが、(「去年の四月だよ。」と呼ぶ者あり)去年ですか、去年ならばなお見通しが一年も前から言われているわけで、なおはっきりお答えができると思うのですが、そういうことがやはりあったのですか。あって御説明なさったのですね。
  124. 大慈彌嘉久

    政府委員(大慈彌嘉久君) はっきり日にちの記憶はございませんが、もちろん調べればすぐわかることでございますが、だいぶ前に一度委員会に出席したことがございます。その際は、油だけでなくて鉄鋼原料、それから小麦と、あらゆる輸入物資につきまして輸入依存度と申しますか、どれくらいのものを輸入しているか。それからストックがどのくらいあるかというような一覧表について説明した記憶がございます。その場合に、私のほう以外の出席者については、食糧関係については農林省が出席していたように記憶をいたしますが、防衛庁のほうはあまり記憶がはっきりしておりません。で、官庁別に聞かれたと思います。
  125. 竹田現照

    ○竹田現照君 それは海幕から出ているのですけれども、その中に、いま官房長お答えのように、鉄鋼その他ですから、生活物資、主要生産品原材料、もちろん食糧も入っている。この中にエネルギー資源等の確保というものがあるわけですから、そうすると、これは当然石油なんというものはその資源確保の中に加わっている、私はそういうふうに考えましたから。そうすると、日本の国防上の見地で一年も前にやはり与党のほうは御心配の上でお呼びになって聞いているわけですから、そのときに官房長としてはどのくらいの資源を確保しておくという必要を認められて説明されたか、むしろこの機会に明らかにしておいていただいたほうがいいんじゃないか、こう思うのです。
  126. 大慈彌嘉久

    政府委員(大慈彌嘉久君) その場合は、やはりはっきりどうも記憶がなくて恐縮なんでございますが、防衛用ということでの計算はしてなかったと思います。ただいま申し上げましたように、鉄鋼原料も、それ以外の繊維原料等すべて含めまして、国内で使用しているうちのどれだけが輸入されている、それからどれくらいのストックがある。したがいまして、何カ月とまれば国内の在庫がからになる。これは当然使用量と国内在庫の状況から出てくるわけでございますが、まあそういう事実を説明したように記憶をしております。
  127. 竹田現照

    ○竹田現照君 そうすると、防衛庁との間にそういう資源確保等について具体的な相談がないというおとといの大臣の答弁どおり、いまのところ理解していいですね、私どもは。
  128. 大慈彌嘉久

    政府委員(大慈彌嘉久君) その際の説明でございますと、ただいま先生のおっしゃるとおりでございまして、どれくらいのストックでどれくらい途絶をすれば産業もとまるといいますか、全部からになると、こういう説明をしたと記憶をしております。
  129. 竹田現照

    ○竹田現照君 それじゃ委員長、これはこれ以上やっていてもけじめがつきませんから、いずれまた他の場所で、国防上の問題については与党のほうがまた一生懸命質問されると思いますから、一生懸命勉強しておいてください。私はあらためてまた……。  それではこの間の続きをお伺いいたします。  いまの機械類もそうでありますが、公団ができてからいろいろと実行計画をお考えになるという点が、いろいろな点でお話があるのですけれども、それだけではどうも心もとないのでありますが、海外の開発地域、さらにその探鉱開発資金、目標確保量、こういうようなものをどのようにお考えになっていらっしゃるのか。
  130. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 海外開発の目標でございますが、本年二月の総合エネルギー調査会の答申によりまして、大体昭和六十年度におきましては、わが国の所要量の約三割をわが国自身の手による開発原油で供給をいたしたいということになっておりまして、そのような目標を実現するために必要な規模の開発を毎年度具体的に検討してまいりたいと思っております。このような目標につきましては、一応の現在の計画では開発の地点は中東を含めまして、東南アジア、太洋州、北米、中南米、全世界にわたりまして四十五地点ほどの適格地点を検討いたしております。また、おそらくこれらの地点の探鉱に必要な資金は三千億円程度を要するのではなかろうかという計算をいたしております。
  131. 竹田現照

    ○竹田現照君 開発資金はどのくらいですか。
  132. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) これらが探鉱の成果があがりまして、開発に移るといたしますと約八千億円ぐらいかと思います。
  133. 竹田現照

    ○竹田現照君 それで、いまの説明政府全体の考えと了承してよろしいですか、いまの資金計画等を含めまして。
  134. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) ただいまの申し上げました内容は、エネルギー調査会の答申に示されました基本的な方向に即応いたしまして具体的に当省として一応の試算を行ないました数字でございまして、これを今後各年度にそれぞれ海外における開発、探鉱の進行状況等をにらみあわせながら毎年度具体的な計画を設定をしてまいりたいと思います。そのつど政府としましての意思統一をはかってまいることになろうかと思っております。
  135. 竹田現照

    ○竹田現照君 そうすると、これは通産省だけのお考えのようでありますが、エネルギー計画というものは、やはりその場その場で考えていけばいいというものではないと思いますし、この間お話がありましたように、国家百年の大計とも言えるものであります。で総理大臣も衆議院で「答申の線に沿いまして、長期的また総合的観点に立って政策を遂行をされる」と、そういうお答えをされているのでありますが、いまの鉱山局長がお答えになりました通産省の説明を実行に移すとこれはお金の問題ですが、大蔵省は移すというお考えと受け取ってよろしいですか。
  136. 相沢英之

    政府委員(相沢英之君) 今後における石油開発、原油開発のための所要資金につきましては、ただいま鉱山局長から御答弁がございましたとおり、八千億円という数字は通産省の試算でございまして、今後毎年度予算編成に際しまして、特に一般会計の、たとえば公団に対する出資その他につきまして、どの程度の額を組んでいくかということは、これはまた年々の折衝の問題、それから今後におけるところの原油開発に対する投資の効果の実績等も勘案してきめられることであると思っております。で、まあ総体の八千億という数字のうち、財政資金、民間資金にどの程度期待するか、また、毎年度のテンポはどういうふうになっていくか、こういった点につきましては、何と申しますか、道路五カ年計画その他の計画のような、かちっときまったという、そういうものになっておりません。今後さらに投資に対する効果、実績等を勘案してきめらるべき問題だと、かように考えます。
  137. 竹田現照

    ○竹田現照君 これはやはり総額一兆二千億に近い金になるのですね、その資金というのは。そうすると、やはり公団をつくってひとつこの推進母体として積極的に海外資源の開発をやっていこうという一つの構想なんでありますが、それがいまお話がありましたように、単年度の、つまり毎年々々の予算折衝では、事業を行なっていく面からいくと非常に支障があるのではないだろうか。ひとつある程度の長期計画に基づいて外国での鉱業権を取ったり、利権料を払ったり、あるいは現地法人をつくったり、こういうようなことを具体的に軌道に乗せていかなければならないと思うのでありますが、そういう見通しを立てて進めるということが、実際問題としてできかねるのではないか、いまのような御説明では。民間会社がやるにしても、三年後にははたして国の予算の面で開発公団がどれぐらいの予算が確保できるのだろうか、五年後にはどうなんだろうかという、こういうことの一つ見通しがつかないということは、仕事をやる上では非常にむずかしいのではないだろうか、そういうような気がするのです。ですから、当然大蔵省の金を握っているほうとの間に、より折衝を深めて、大蔵省としても資金計画というやつを明確に出すことが、開発公団をつくって資源開発を積極的に進めるという、この法律案を出していることにも合致するのではないかと思いますが、それがちょっといまの御説明では、そういうような趣旨に沿わない結果を招くのではないかと思いますが、どんなものですか。   〔理事近藤英一郎君退席、委員長着席〕
  138. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 御指摘のように、石油の探鉱開発というものはきわめて長期的な仕事でございますので、計画自体も長期性を持って推進することが望ましい、こういうことはさようでございますが、かような意味での事業計画というものにつきましては、私どもといたしましても、また将来の公団におきましても、これからの開発状況等をにらみ合わせまして具体的に設定をいたすことになろうかと思います。しかしながら、その事業計画を現実に実行に移していく場合の資金計画というものにつきましては、そのつどの必要性、各年度の必要性、具体的な計画の進行状況に対応して定めてまいることが実際的ではなかろうか、かような趣旨でございます。
  139. 竹田現照

    ○竹田現照君 大蔵省として、やはりこういうことが発足するのですから、大蔵省自体もこれは資金計画というものを立てて、これにバックアップをしてやる態勢というものをすることが、政府全体として、この答申を生かし、仕事を具体的に進めることができるのではないか、そう考えるのであなたのほうでもそういうような計画を立てるというような考え方がないのかということをお伺いしたい。
  140. 相沢英之

    政府委員(相沢英之君) 何ぶん目下のところ石油開発公団に対しますところの財政資金は一般会計の出資のみになっております。将来の問題としまして、これは総体の公団の資金の需要の推移と関連すると思いますが、なかなか一般会計の、たとえば税金を財源といたしますところの一般会計の出資のみでどの程度まで所要資金がまかなえるかどうかという点については、なかなか問題もあろうかと存じます。これはまあ私見てございますが、やはり石油開発公団の所要資金の量が、現在このエネルギー調査会の答申に基づく石油資源の確保を前提といたしましての資金計画、そういう資金計画の線に沿って考えるということになりますと、なかなかこれは一般会計の出資のみをもって手当てをしていくということは困難な面もあるのじゃないか。そういう場合には、それではどういうような方法が考えられるか。財政投融資の資金を導入するとかなんとか、いろいろと考えねばならない、検討しなければならない面もあろうかと存じます。いずれにしましても、またこの石油開発に対する投資はある面におきましては、まあ私が申し上げるまでもなく、非常に当たるか当たらぬかわからないというような、そういう投機的なファクターということもあり、それだけに財政投融資というような資金の対象になりにくい面がございますけれども、そういう投機というものがかなりな程度において確実になってくれば、これまた財政投融資の対象になる部分もあろうかと存じます。そういったような点もございますものですから、いまここで今後何年間かにおける毎年度のあるいは総体の財政資金の投入量をこれこれということを確定することはなかなか困難であると存じますけれども、まあ基本的な方向はそういう海外におけるわが国が確保し得る石油資源というものを確保するということでございますから、そういった線に沿って毎年度の予算において所要資金の手当てを考えていくということに、当面はそういう方向でこの問題を処理せざるを得ないのではないかと思います。
  141. 竹田現照

    ○竹田現照君 それでは通産省はその点をどういうふうに考えられていますか。いまの大蔵省の答弁を聞くと、なかなか国家資金を出資するということは一般会計の面ではかなりむずかしい。しかし、約一兆二千億になんなんとする金を大蔵省との間に折衝する場合、どういうふうに解決をしてこれを推し進めていこうとする考え方を持っていらっしゃるのですか。
  142. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 当省といたしましては、エネルギー調査会で示されました目標を達成をいたしまするために各年度それぞれ計画を立てまして、全力をあげまして必要な資金を確保いたしてまいりたいと思いますが、これにはただいま大蔵省から答弁ございましたように、国の資金だけでなくて、所要の民間資金の活用ということも今後とも努力してまいりたいと思っております。
  143. 竹田現照

    ○竹田現照君 大蔵省で石油関税それから揮発、軽油税の昨年度の実績はどのくらいあるのですか。それから今年の見通しは大体どのくらいになりますか。
  144. 相沢英之

    政府委員(相沢英之君) 四十一年度における石油関係の税収入は、総額四千七百七十七億でございまして、そのうち関税収入が六百六十二億円、それに揮発油税が三千三百四十六億円、軽油引取税が七百三十八億、石油・ガス税が三十一億となっております。
  145. 竹田現照

    ○竹田現照君 そうすると今年の見通しは。
  146. 相沢英之

    政府委員(相沢英之君) 四十二年の見込みは、総額が五千五百七十二億円でございまして、そのうち関税収入が七百七十三億円、揮発油税収入が三千八百五十三億円、軽油引取税収入が八百五十五億円、石油・ガス税収入が九十一億ということになっております。これは通産省の所管でございます。便宜私がお答え申し上げました。
  147. 竹田現照

    ○竹田現照君 金のことだから大蔵省だと思ったが……。この財源を石炭と同じく石油に使うという考え方はないのですか。
  148. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 御承知のように石油関係の税収入につきましては、あるいは道路財源といたしまして、あるいは石炭対策といたしまして、それぞれ現在きわめて効果的に使用されておるわけでございますが、今後かかる税収を石油政策の面でいかに考えていくかという点につきましては、エネルギー調査会等におきましてエネルギー関係の税体系の問願として検討をしていただきたいと思っております。
  149. 竹田現照

    ○竹田現照君 大体これからできてから計画を立てるということなんですが、大体そういうようなことでかなり海外開発というものは、国際競争が激しい、きびしいものだろうと思うのですが、いまのような通産省のお考え方で、六十年度の目標の一億四千万キロリッターというようなものの確保が確実にできるという見通しを持っていらっしゃるのですか。
  150. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 私どもといたしましては、この石油開発公団の設立を通じまして、かつ今後の努力を傾注いたしまして、さような目標をぜひ実現をいたしたいと考えております。
  151. 竹田現照

    ○竹田現照君 それはできないというお答えはあるわけがないですが、金が単年度、単年度のものですから、ほんとに六十年度にそのことが確実にできるかどうかという心配が、資金計画の面であるものですから聞いているわけなんです。しかし具体的に通産、大蔵との間に話し合いがないとすれば、大臣もお見えになっておりますが、先ほどおらないときに、総理が衆議院でお答えしているように、国全般の問願としてこの問願について真剣に取り組んでいきたいというお答えがあるわけでありますから、当然に通産省のいまの試算だとかなんとかということでなくて、金のほうの面も適切な相談の上で、両々相まった形において進めていかなくては、この問題は仏つくって魂入れずになりかねないから私は聞いているのですが、そういう政府なり政府部内の統一した見解というものをどういうふうに持っていかれるのですか。いまのところはないわけですか。第二次答申を待って具体的なことを考えるというこの間お答えがありましたが……。
  152. 菅野和太郎

    ○国務大臣(菅野和太郎君) 四十二年度の分については、それから石油開発公団をつくるということについては、総理大臣並びに大蔵大臣が認め、閣議決定をしたわけであります。これはやはり石油開発公団をつくらなければならぬ必要性を総理も大蔵大臣も、新しい公団でありますけれども、認めたわけです。  そこでエネルギー資源という、ことに石油問題の重要性ということは、これは各大臣ともみな認めているところでありますし、また昭和六十年には相当の石油が要るということはみな認めていることでありますからして、したがいまして、それに対する資金の問題を御心配になっておられるのだろうと思いますが、私はこれだけの石油を使うということは、日本全体の産業がそれだけ発展するということになるわけでございますから、したがって、税源と申しますか、大蔵省から申しますれば、税収入の源が拡大していくことになるわけでありますからして、したがって私は、これだけの石油を使う日本の産業というものを考えてみれば、いわゆる税源というのは豊富にあるし、税の収入というものは相当ふえていくということになりますから、したがって、そこから石油資源の開発に必要な資金というものは生み出されるのじゃないかということを考えております。もしこれだけの石油を使わないような日本の産業であれば、日本の産業は伸びないということになるわけでありますから、そういう意味において、私は日本の産業の発展と両々相まって、この石油開発の資金というものを考えられないか、こう考えておる次第であります。
  153. 竹田現照

    ○竹田現照君 たいへん通産大臣楽観をしておりますが、来年以降の進展状況を私は見ていきたいと思います。  そこで、四十二年度の探鉱資金四十億円でありますが、これは具体的にどことどこを対象にして、大体いつから実施されようとしているのですか。
  154. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 四十二年度の出資、四十億円の使途につきましては、公団が設立されました際に、事業計画として決定をさるべきものでございますので、現在の段階はまだ未確定でございます。しかしながら、大きく分けまして、この四十億円の出資は海外の石油探鉱のための出資並びにこれに必要な債務保証及び探拡機械の購入その他に充てる予定でございます。
  155. 竹田現照

    ○竹田現照君 次の質問者も待っておりますから、一応はしょりまして、最後に二、三質問いたしますが、ほかにもあるのですが、二年後の分離についてちょっとお伺いいたしますが、SKを吸収——吸収というよりは解散をして公団ができるわけです。ところが公団は営業部門を大体やらないという原則を——公社公団を整理統合するという政府の方針から何かちょっとおかしなかっこうで公団法案が出ているわけですね。無理をしているといえばしている。結果的に三年たったらまた何かつくらなくちゃならぬ、そういうことなんですが、新しい会社というのは純民間会社か、あるいは、当初通産省がお考えになっておられたようでありますが、公団出資の会社になるのか、それはどちらなんですか。
  156. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 石油開発公団法の附則の第九条によりますと、公団がその直接部門の業務を廃止いたします際は通産大臣の認可を受けましてその財産を譲り渡すかあるいは出資を行なうといういずれかをとることになっております。したがいまして、事業部門の財産を譲渡するというかっこうで業務の廃止を行なう場合には、当該事業部門は純民間会社になるわけであります。また出資という形式で業務を廃止いたしまする場合には、当該事業部門は公団の出資を受けました子会社になるわけでございます。われわとしましては、現在想定いたしておる姿としましては後者の出資形態というものになる可能性が多いと考えております。
  157. 竹田現照

    ○竹田現照君 そうすると、公社公団の整理統合という、先ほど言ったようなことで、こういうことでやりくりをしてこの公団をつくっていくわけなんですが、衆議院での行管のお答えは「三年たったらSKの業務というものは終わるものだと理解をしている」、そういうふうに言われているのですね、衆議院の答弁で行管の石原管理官は。そうすると、公社公団に類似する、あるいはこれは隠れ法人にはならないでしょうけれども、大体同じようなかっこうのものが三年後にはできるのかできないのかですね。できるとすると、最初からこんな無理をしないで、整理統合というのは何でもかんでも整理統合しなければならぬというものではないと思うんですね。どうしても必要なものは必要なものとして残し、新しくつくらなければならぬものはつくらなければならぬと言うほうがすっきりしている。一つ新しくつくるためには一つぶっつぶすぞ、これはあまりにもしゃくし定木のものの考え方だと思うんですが、これは三年たったらやっぱり二つになる、こういうのだったらちょっと私はいまの段階を糊塗する一つの逃げ工作にすぎないと思う。こう思うんですが、これは行管の衆議院でのお答えとどういうふうになるのですか。
  158. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 私どもといたしましては、行政管理庁の衆議院における答弁の趣旨は、公団としてはその直接事業は三年以内になくなるものと解釈する、かように理解をいたしております。したがいまして公団として直接事業を三年以内に廃止いたしまする場合に、それをいかなる形態で廃し、かつその事業をいかなる形態で公団以外の分野において継続していくかというやり方につきましては、この三年の間に十分意見を尽くしまして、議論を尽くしまして進めていきたいと考えております。
  159. 竹田現照

    ○竹田現照君 去年の九月七日の鉱山局の「石油開発公団仮称の設立について」という構想がありますね。その中に、現在の石油資源開発株式会社事業のうち、直接事業としての探鉱開発部門については、公団出資の事業会社とし、特に国内事業については他の民間石油鉱業企業との集約化のための業務調整をはかり四十二年度においては探鉱開発事業の共同化を早急に進めるものとする。こういうふうにありますが、これとの関連はどういうことなんですか。この当時の構想と。
  160. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 今回の公団の設立構想の最終的な考え方といたしましては、国内の探鉱開発を担当いたします直接事業部門の将来のあり方というものにつきましては、この際早急な結論を出すことを避けまして、できるだけ他のいろいろ考慮すべき用件たとえば帝国石油の問題あるいは公団発足後の事情の変化等々諸般の情勢を慎重に検討した上で決定することが実際的であり、かつ合理的ではなかろう、かような考え方に立ちまして、今回の法律案のような趣旨にいたした次第でございます。
  161. 竹田現照

    ○竹田現照君 この公団をつくるという総理以下大臣との間の談判過程において、先ほど私がお話しておるように、いろいろと無理をされておるわけですが、それで三年後には何らかの形のものをつくらなくちゃいけないわけですか、何らかの形のものを。そうするとその何らかの形でつくるというものの会社は、現在のSKを中心とした企業として新発足させるものと理解していいのですか。
  162. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) その際の姿は、今後慎重に検討いたしたいと思いまするが、その考え方一つといたしましては、御指摘のようにSKを中心とした姿というものも当然あり得ると思います。
  163. 竹田現照

    ○竹田現照君 これは最後に一つお何しますが、国内と海外との企業を分離するというお考えが通産省の中にあるということもちょっと聞いているわけですが、それはどうですか。
  164. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 三年後の姿としまして、国内と海外との直接事業を切り離すことが妥当か、包括的に一体的にいくことが妥当か、いろいろな考え方があり得るかと思いますので、その辺のところを含めまして石油及び天然ガス資源開発審議会において御検討いただきたいと思います。
  165. 竹田現照

    ○竹田現照君 それじゃいいです。ちょうど時間が過ぎましたから……。
  166. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 いまも少し問題が出ておりました三年間の問題でありますけれども、これはどうしてその三年間というふうにされたのか、その理由から……。
  167. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 公団が本来直接の営利活動を行なうということは生路上好ましくないということでありまするが、さりとて現在の石油資源開発株式会社を公団に改組するにあたりまして、いかなる形態でその直接事業のほうを切り離すことが妥当であるかということを直ちに結論を出すことも困難でありますので、その間の調整を見込みまして、できるだけ短い期間に直接事業部門を合理的な形態で切り離すことが望ましい、そのための時間として三年間という時間を一応考えたわけであります。
  168. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 先のお答えの中に、三年後につくられる会社がやはり石油資源開発株式会社のようなものだというような意味のことをちょっと聞いたのですが、そうしますと、この公団がつくられなくても、いまのままで何らかの形でお金を出すというふうにはならないものですか。その点どうですか。
  169. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 現在の石油資源開発株式会社では、今後のわが国の国内及び海外の石油の探鉱開発を総合的に推進をしていく場合には、やや不適当であるという判断のもとに石油開発公団の設立をお願いをいたしておる次第でございますがその主たる事情は、直接事業主体である石油資源開発株式会社のほかに、新しく民間の企業といたしまして、たとえばアラスカ石油、あるいはサバ・テイセキあるいは南カリマンタンの開発を計画しておりまする九州石油開発といったように、純粋の民間企業が各方面に進出たいたすという新しい事態になってまいったわけであります。したがいまして、政府の資金をこれら各企業の海外探鉱活動に対して公正に分配をし、かつその活動を公平に助長をしていくためには、一個の事業会社としましての石油資源開発株式会社を発展的に国の機関としての公団に改組するということが必要ではなかろうかと、こういう趣旨でございます。したがいまして、ただいまお話のようにな将来公団に臨時に付置されました事業部門が切り離されるから公団は必要ないということにはならないかと存じております。
  170. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 まあこれが三年後も続くのであれば納得できるようなものですが、いま言われたように、さっきから言われておるように、三年間で何らかの処理が行なわれて、そして合併が行なわれるか会社がつくられるかと、こういう点にやはり疑問を抱くわけですが、その点どうですか。
  171. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 公団の機能が、将来のわが国の石油の開発、探鉱のために必要であるという前提で、公団は今後ともその企業を拡充、強化していくべきことを考えておりまするが、直接事業部門をどういう形態でしていくかという点につきましては、ただいまのところ一つの具体的な案があるわけではございませんので、これは公団設立後の情勢の変化なり、あるいは海外における開発事業進捗状況、また石油資源開発自体考え方、あるいは労働組合の御意見、いろいろな面からの意見をしんしゃくいたしまして決定すべきであると、かように考えておるわけでございます。
  172. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 もう少し結局将来の方針を明確にされないでまあこういうのがつくられるのでは、さっきも質問がありましたように、公社公団は整理していくということに反すると、結局疑いを持たれるというか、あいまいなものだと言われてもやむを得ないと思うんです。したがって、やはりそれは石油という問題はある程度わからない面もあるかもわかりませんけれども、もっと的確なビジョンというものを示して、三年間は、こうする三年後はこう持っていくと、十年後はこうするんだと、やはりそれがなければ私は意味がないと、こう思うんですけれども、その点いかがですか。
  173. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 内外の石油の探鉱、開発の事業計画というものにつきましては、当省といたしましてもできるだけ詳細かつ的確なビジョンの設定につとめてきておりまするし、今後もさような方向でまいりたいと思っておりまするが、いまの公団が臨時に付置いたしまする直接事業部門の形態、将来の分離のあり方という形式につきましては、各方面の御意見を承った上でこれを慎重に決定をしていきたいと、かように考えておるわけでございます。
  174. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 で、資本金の四十億円の内訳でありますけれども、国内、国外、その点はどう考えられますか。
  175. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 四十億円の出資の内訳につきましては、公団設立後の事業計画で決定になるわけでございまするけれども、さしあたりの予定といたしましては、海外の石油の探鉱のための出資がこの中の大部分を占めるかと思います。すなわち、継続の事業五カ地点、新規の事業四カ地点等を四十二年度の対象にいたしたいと考えております。
  176. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 石油開発公団の件でありますけれども、まあこの決算報告書を見ますと、相当の赤字になっているわけです。昭和三十九年で申しますと、次期繰り越し損失が二十三億、約二十三億となっておりますし、また四十年度で二十二億三千九百万。で、四十一年で十九億と、こういうふうに非常に膨大な赤字が出ておるわけですが、これはこの公団ができて資本金が四十億、その他政府からもお金が出るわけでありますけれども、この損失に対してはどのような処置が講じられておりますか。
  177. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 現在石油資源につきましては、約十九億円の累積赤字があるわけでありますが、これの処理につきましては、この法律の附則に掲げてございまするように、石油資源会社の純資産の額を通商産業省に置かれまする評価審査会の審査にかけて厳正なる評価を行なっていただくことになっております。したがいまして、その審査の結果の純資産の評価によりまして、その分を石油開発公団が引き継くという形になるわけでありまして、その場合、現在の累積赤字は償却残高が主でございまするので、これは無形資産の再評価によりましてほとんど吸収され得るものと考えております。
  178. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 ということは、なくなるということですか。
  179. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) その辺は計算の結果評価審査会の決定にまたないと、ただいまのところ、何と申せません。
  180. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 石油資源開発株式会社解散等の中でですね、第八条のところでこの公団は、「石油資源開発株式会社法第七条第一項及び第二項に規定する業務を行なうことができる。」と要するに、この公団の仕事は、最初にあります探鉱に関する仕事及びその石油資源開発株式会社のやっておった仕事をそのままやっていくことになると思うのですが、まあこの決算書を見ておりますと、これは昭和三十九年だったと思います。秋田観光開発の株を六十万五千買っているわけですけれども、これはどういうことですか。
  181. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 石油資源開発が秋田観光に対しましての株式取得は、その経営に参加するというような趣旨のものではございませんで、むしろ秋田観光の行なっておりまする観光事業というものに対する利用のための出資ではなかろうかということでございます。
  182. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 まあこれはゴルフ場でありまして、結局ゴルフにお客さんを招待すると、そういうためのように聞いておりますが、そのほか毎年、昭和三十九年は三百四十一万円、昭和四十年は三百四十一万円、昭和四十一年は四百四十一万円のこれはゴルフの入会金が出ているわけですけれども、やはりこれもいまのゴルフに招待をするというふうなことだと思いますけれども、これが公団になった場合、やはりこういったことがそのまま続くのかどうかお聞きをしたい。
  183. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 通常の事業今社といたしましては、法人会員というような形でゴルフクラブに入会するということもよくあるように伺っておりますが、資産といたしまして、これが現在の石油資源開発の勘定に計上されておるということでございますと、その評価をいたしました暁に、すべての債務と債権との相殺の結果の純資産は石油開発公団に引き継ぐということは、法律の規定上当然であろうかと思います。
  184. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 ということは、公団ができてもやはりこういうゴルフの入会金は払われていくわけですか。
  185. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) その辺の方針につきましては、公団設立後の事業計画の詳細な検討を待たなければ何とも申し上げかねます。
  186. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 検討を待たなければとおっしゃいますけれども、一応、民間会社であればそういうことはかまわないと思いますけれども、やはり公団となった場合には、それはまずいと思うんです。いまのような返答では、ちょっと問題であると思うんですけれども、その点通産大臣はいかがお考えですか。
  187. 菅野和太郎

    ○国務大臣(菅野和太郎君) ゴルフ場に出資するということ自体は、私から見るとちょっと本来の業務に反する気がしますが、それが資産として残っているのであれば、多少許されると思うんです。今後も、石油開発公団が設立されれば、そういう問題についてはいろいろと考えてみたいと、こう存じておる次第です。
  188. 竹田現照

    ○竹田現照君 関連。資産は各省の共済組合の中にもあるんですよ。これは資産で利回りがいいから、こういうものに出資するという答弁をしているんですが、私も決算委員会で、おととしですか、その問題を取り上げたことがある。これは言うならば、いま矢追さんが話したように、招待用だとかこういう問題で、いろいろ問題があるんですよ。ですから、百八つの公社・公団の一つなんですから、こういうようなかっこうというものは、やっぱり許されないと思うんですよ、四百万以上の金が毎年出ているということは。これは通産省の人が秋田とかどっかに行って、ゴルフをやられたかやられないかわからないけれども、そういうような姿勢の問題と関連をするわけですから、これは地下資源の資産だなんというかっこうで通産省が掌握をされておったら、全然本来転倒です。ですから、こんなものの資産をそのまま引き継ぐとかなんとかというやつは、引き継ぐときに明確にけじめをつけてもらわぬといかぬと思うんです。こんなものを出しておくこと自体が間違いなんだ。大体、地下資源の会社が、秋田観光やゴルフ場の入会金を出して、その利回りである程度資産をふやしていかなきゃならぬという、そんなことは必要ないんだから、全然事業目的にないんだから、ゴルフ場に出資をして、それで資産をふやしていくということはないんだから、これはもう少しはっきりしておかないとだめです。
  189. 柳田桃太郎

    柳田桃太郎君 関連。ちょっと関連質問を大臣にさしていただきますが、国策会社であっても、今回公団に接収する場合に、そういった国民的疑惑を招くような資産は処分をさして、そうしてきれいに引き継ぐべきものであると思います。そのままゴルフ株を引き継ぐような御答弁に聞こえますが、そうではないと私は解釈をしておりますが、大臣の御答弁をお聞きしたいと思います。
  190. 菅野和太郎

    ○国務大臣(菅野和太郎君) いま両委員の御質問があったのですが、私から見れば、これは本来の目的に反する行為だと思うんです。そういうことに金を出すこと自体は本筋じゃないと思っております。したがって、これがどういうような方法で支出しておるのか私まだ詳細に知っておりませんが、これは今度、開発公団になにする場合に、この問題についてよく調べて、その上で善処したいと思います。これは資産ということを聞いておるんだが、資産であれば処分ができると、こういうふうに聞いておる。しかし、これはもう少し実質を調査してその上で善処したい、こう思っております。
  191. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 これは、科目の中は、どういう科目になっているかといいますと、「その他の投資」ということになっているわけです。三十九年度の資料によりますと、借室の保証金、借家の保証金、借地の保証金、そして、ゴルフクラブ入会金となっています。このような項目が一つ設けられているわけです。だから、いま大臣言われましたけれども、よく調べていただきまして、絶対にこういうことのないようにというよりも、さかのぼって、こういうことがずっと行なわれていたということ、それに対して何らかの処置というか、やっていただかなければいけないと思うのですが、その点どうですか。
  192. 菅野和太郎

    ○国務大臣(菅野和太郎君) ただいま御回答申し上げましたとおり、この表の上では資産ということになっておりますが、しかし、私は、いよいよ石油開発公団が設立されて、引き継ぐ場合に、この問題についてはもう少しよく実態を調査して、その上で善処させるようにしたいと思います。
  193. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 これはこの辺でやめておきます。  また、三年後の処理方針に戻りますけれども会社をつくるか、あるいはさっき出ましたけれども、帝国石油との合併というのは、かなり強い線として考えられておるのかどうか、その点はどうですか。
  194. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 三年以内に直接事業部門を分離いたしまする際の形態といたしましては、お話のような帝国石油との関係をどうするか、あるいは現在の石油資源の形との関係をどうするか、いろいろな問題がございますので、その辺は、石油及び可燃性天然ガス資源開発審議会、労働組合の御参加等をいただきまして、各方面の御意見を伺って決定をいたしたいと、かように考えております。
  195. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 国帝石油との合併は、これからきめられるということでありますけれども、帝国石油が三十九年度以降は相当の赤字になってきているわけです。三十九年度で十九億、四十年度で九億、それから四十一年度で四億、そういうものが出ておるわけですけれども、この赤字はどういうふうな原因があると考えておられるわけですか。
  196. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 帝国石油は三十九年度以降、相当な赤字を計上いたしておりますことは御指摘のとおりでございますが、これは過去におきまする天然ガスの埋蔵量につきまして、やや過大な見込みを行なった、したがいまして、これに対応する先行投資というものが、会社の規模からしてはやや過大であって、その圧迫があったということがあったということが一つの原因であろうかと思います。また、埋蔵量自体の食いつぶしが進みまして、その結果、三十九年度に至りまして一挙に赤字が表面化した、かようなことではなかろうかと思っております。
  197. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 帝石の経理が将来好転する見込みがあるかどうか、お伺いしたい。
  198. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 帝国石油といたしましては、三十九年度におきまして経営の刷新ということに努力をいたしまして、いわゆる再建計画を策定をいたしたわけでございます。その結果、開発銀行等の融資を受けまするとともに、不良債務の整理あるいは遊休資産の処分等を行ないまして、積極的に経理内容の健全化に努力をいたし、かつ探鉱活動を充実し、重点的にその効率を高めるといったような努力も行なっておりまして、漸次経理的な実態は好転いたしつつあると考えております。その結果、四十三年度以降は、会社の経理は黒字基調に転換をいたすということを期待いたしております。
  199. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 帝石と資源開発株式会社が共同して探鉱をした例が多くあると思うのですが、この場合、国庫補助がどのくらいの金額で行なわれていたか。で、資源開発はその分の国庫補助金を収入として受け取っていたのかどうか、その点。
  200. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 国産原油及び天然ガスに対しまする探鉱補助金は、昭和三十年度から昭和四十一年度まで約十三億八千万円ほど投入をされております。で、これが帝国石油におきまして受け取られた場合には、当然その収入に計上しておるわけでございます。
  201. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 天然ガスの問題ですが、裏日本のガスは非常に不足をしておりまして、問題が大きくなってきておりますが、真冬になると、一五%も供給が不足をしておる、こういう現状であります。特に新潟県においてひどいわけでありますが、これに対しての具体的な対策はお持ちになっておりますか。
  202. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 新潟県下の天然ガスにつきましては、昭和三十九年の初めごろから生産量の減退が見え始めました。あわせて需要が増大をいたしてきましたために、需給が逼迫をするという事態が招来されました。かような傾向に対しまして、当初といたしましては需要業界、特に化学業界等に対しまして燃料の転換、重油への転換を要請をいたしました。また、新たにガス需要の抑制を行ない、また大手の需要が、たとえば東京ガス等に対しましては積極的にその供給量をカットするというような措置を講じてまいりまして、いわゆる需要業界の協力ということを大幅に努力をお願いいたしまして、事態の改善につとめてきたわけでございますす。他方、生産そのものを増大をいたしまする意味におきまして、探鉱につきましては従来の努力を倍加いたしまして、特に四十二年度につきましては五億八千万円という基礎調査費の計上をいたしまして供給力の増大につとめまして、需要の調整と供給の増大と両者から需給バランスの好転をはかりたいと考えておる次第でございます。
  203. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 天然ガスの探鉱のいま調査が進められおると言われましたけれども、現在調査の現状及び見通し、これはどのようなものでしょうか。
  204. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 天然ガスの調査につきましては、第三次石油及び可燃性天然ガスの開発五カ年計画というものによりまして毎年三%ずつその生産の増大をはかるように努力をいたしておりまして、それに対応する天然ガスの基礎調査費の計上並びに探鉱補助金の計上を行なってまいっております。特に昭和四十二年度につきましては、報告にありまする天然ガスの基礎調査費五億八千万円、探鉱補助金といたしまして六億二千万円というものを計上いたしておる次第でございます。今後とも年率三%程度の天然ガスの増産を達成するために必要な探鉱及び基礎調査費は確保してまいりたいという方針でございます。
  205. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 揚所をかなり指定されて探鉱されていると思いますが、裏日本における有望地域というのは、大体どういうふうな状態であるか、今後それを開発をすれば、現在の足りない点の需要に供給が間に合うかどうか、その点をお伺いしたい。
  206. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 需要の増大に対しまして供給が間に合うかどうかということは、一に探鉱の成果にかかるわけでございますが、その探鉱の重点は、今後は、従来探鉱のおくれておりました新潟県下あるいは秋田県下におきまする四千メーター、五千メーター級の深層探鉱というものに努力をいたしますとともに、日本海の大陸だな等に対しまする探鉱も積極的にこれを進めまして、需要の増大に対処してまいりたいと思っております。
  207. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 いま大陸だなの問題が出ましたけれども、私もかつて委員会でこの問題については質問をいたしました。あのときもたしか、探鉱の船は一隻しかなかったわけであります。その後今日まで大陸だなに対しての考えはどの程度進んできたか、その点お伺いしたい。
  208. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 今日まで日本海大陸だなの探鉱につきましては、石油資源開発株式会社によります白竜号を使いましての探鉱を、秋田沖、新潟沖等において積極的に進めてまいったのでありまするが、新たに出光興産株式会社が裏日本の北海道から能登半島に至ります海域全体につきましての大陸だなの鉱業権を出願をいたしております。これに対応いたしまして、本年にかけまして航空機を使いましての磁力探鉱を行ないまして、一応その終結を見ているわけでございます。これからは出光及び石油資源が相共同いたしまして、特に今回の航空磁力調査の成果等を検討いたしまして、両者の共同の探鉱を効果的に進めてまいりたいと考えております。
  209. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 その調査の結果は公表されておりますか。
  210. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) これは出光興産の行ないました調査でございまして、現在公表はされておりません。
  211. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 そういう場合は、政府としては全然それを公表するようにということは言えないわけですか。
  212. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) かような日本海大陸だなの探鉱は、石油資源といたしましても、従来ともきわめて努力してまいったところでありまするし、今後とも石油資源の技術、知識、経験というものを、出光興産としても必要とする場合が多いと考えますので、両者の共同体制というものを強化する意味合いから、今日の出光の探鉱、航空磁力調査の結果につきましては、専門的な見地で石油資源と共同の利用ができるような措置をはかりたいと考えております。
  213. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 それから新潟と東京間を結ぶパイプラインでありますけれども、これは昭和三十七年の十月に五十五億円もかけて完成されたわけでありますけれども、現在のようなガス不足で、需要が非常に増大する中にあって、この新潟−東京パイプラインが、完全に役目を果たしているかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  214. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 御指摘のパイプラインは、現在のところその能力に対しまして三分の一程度の利用度ではなかろうかと思っております。
  215. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 そのように非常にお金をかけても、まだ三分の一しか利用されていないということは、この新潟方面の天然ガスの裡蔵量の基礎的な調査にミスがあったのではないか、また、需要の増大に対する見方というものが甘かったのではないか、このように考えるわけでありますが、その点はいかがですか。
  216. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 先ほど申し上げましたように、当初新潟地区の天然ガスの生産の見通しというものにつきましては、水溶性のガスも含めまして、これを検討いたしておった次第でございますが、新潟地区の地盤沈下という事態に当面いたしまして、天然ガスの生産はもっぱら構造性ガスに切りかえられた次第でございます。むしろ構造性ガスに集中せざるを得なかった次第でございまして、これらの事情が重なりまして天然ガスの生産見通しというものが、予想よりも下回ったということは事実でございます。また、近来天然ガスの探鉱というものについては、各年それぞれ基礎調査及び補助金をもちまして努力をしてまいったのでありまするが、その技術的な努力にもかかわらず、その成果が必ずしも十分ではなかったという点もあったかと思います。しかしながら、探鉱の成果があがるかあがらないかということは努力に必ず正比例するというわけのものでもございませんので、会社といたしましては十分な探鉱努力は払ってきたというふうに私どもは考えております。
  217. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 いま地盤沈下のことを言われましたけれども、この地盤沈下に対する対策というのは十分講じられておりますか。
  218. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 新潟地区の地盤沈下につきましては、まず水溶性ガスの採取を取りやめたということによりまして、大きくその沈下の予防が講ぜられると思います。さらに観測井というものを現地に設けまして、これによりまして沈下の観測をいたしております。その状況によりまして随時適切に地下水のくみ上げ規制等々の措置を講じていくことになろうかと思っております。
  219. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 次に、海外の石油資源開発利用についての問題でありますが、マレーシアのサバ州にあるサバ・テイセキオイル事業、これに対しては四十一年三月より四十一年十二月までに三回にわたって四億六千四百万円を資源開発から貸し付けておりますけれども、その貸し付けの条件、担保の請求、あるいは保証契約、利子収入、そういうものはどういうようになっているのか。今後の新公団の海外融資と関連があるのでお聞きをしたい。
  220. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) サバ・テイセキに対しましては石油資源開発株式会社といたしまして政府から受けました出資の一部をサバ・テイセキの探鉱事業に振り向けるというために融資を行なってきております。これは本来出資形式によるべきものでございまするが、マレーシアとインドネシアとの間の両国間の政治的な紛争がございまして、インドネシアにおきまする石油開発と密接な関係を持っておりまする石油資源開発株式会社がマレーシアのサバ・テイセキに出資を行なうということにつきましては、政治的にマレーシア側として異論があるという強い意見がございました。その結果、本来出資をいたすべきところをやむを得ず融資というものに切りかえた次第でございます。したがいまして、この融資はいわば出資にかわる融資でございまして、担保等はサバ・テイセキの株券をこれに充てるというようう形態をとっておりますし、また、利子等も将来の株券に対する配当というもので受け取るたてまえをとっておる次第でございます。
  221. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 今後も海外に対する融資あるいは出資、どちらかになるかと思いますが、いまのような形式で行なわれますか。
  222. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) サバ・テイセキに関しましては石油開発公団が設立されました暁には、融資形態から出資形態に切りかえたいと考えております。
  223. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 海外での開発事業でありますが、この石油資源開発株式会社の関係会社、いろいろあげられておりますが、この資料、四十二年三月現在のをいただいたわけですが、北スマトラ海洋石油資源開発会社は、設立年月日四十一年二月二十一日、出資額九億七千万、四十一年度の損益が九千八百万、累計が一億五百三十五万、こういうふうになっているのですが、非常に大きな損益になっているわけですが、これは今後どういうふうになるのでしょうか。
  224. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 北スマトラ海洋石油資源開発につきましては、昭和四十一年度から探鉱事業の着手をいたしたばかりでございます。したがいまして、探鉱投資というものは企業のいわば先行投資でございまして、それに見合う収入というものは、探鉱の成果があがりまして、油田を当てまして、その油田から取り上げました油が販売されて収入が出てからはじめてバランスがとれてくる、こういう仕組みでございますので、いわば探鉱段階に着手したばかりの開発会社というものは、当然その性質上赤字にならざるを得ないという性格でございます。将来はその油田の開発が順調に進みますならば十分収益をあげることができると思っております。
  225. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 これは従業員が四十四名と、こうなっておりますが、そのあと三つ目の項にあるジャペックス・カナダ社、これは従業員が八名で日本人は四名、それで七億五千万というのが出ているわけですが、これの損益等についてはまだ記載がありませんけれども、この点はどうなんですか。いまの北スマトラ海洋石油資源開発の場合は九億七千万も出しております。四十四名の従業員で、かなりこれは充実したものもやっておると——これだけのデータですから、はっきりしたことは言えませんが——考えられるのですが——こちらのほうは同じくらいの金、まあ少ないですが、そうして八人でやっている。非常にこれだけの関係では何とも言えませんが、何が内容がよくないのじゃないか、こういうふうに考えられるのです。その点はいかがですか。
  226. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 石油資源開発会社の子会社の従業員の数の問題でございますが、御承知のように、インドネシアの場合には、その石油の探鉱開発を行ないますには、一切の技術者並びに一切の設備等はわが国自身の、つまり日本人の手によりまして日本人の調達しまする設備によって行なわれなければならないわけでございます。ところが、カナダ等におきまする担鉱開発事業は、御承知のよにきわめて現地の探鉱企業水準が高いために、いろいろ専門的な請負の会社がたくさんあるわけでございます。たとえば物理探鉱を担当をいたす会社あるいはボーリングを専門とする会社といいたように、それぞれの専門分野におきまして、現地で活用することのできる現地企業もしくは現地技術者というものが多数ございます。したがいまして、ジャペックス・カナダの場合は、日本人従業員は少なくて済むわけでありまして、決してそれが事業活動が低調であることを意味するものではないわけでございまいます。
  227. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 そうすると、この会社は単に事務所だけで、あと下請をさせている、そういった場合は直接この石油資源開発会社がそういったボーリングの会社と契約をしてやって、こんな会社をつくる必要はなかったのじゃないか、こう考えられますが、その点はいかがですか。
  228. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 御承知のようにカナダにおきます鉱業法の法制上のたてまえといたしましては、外国法人が鉱業権を取得することは制約を受けております。したがいまして、現地法人というものを設立いたして、現地法人の資格におきまして鉱区の取得を行ないませんと石油の探鉱開発ができない、かような実情から設立をいたした次第でございます。
  229. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 それはオーストラリアも同じなんですか。
  230. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) オーストラリアも同様でございます。
  231. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 それからもう一つの項で、これは全然記載がないのですが、三十五年六月につくられておる北スマトラ石油開発協力株式会社、これは出資が一億円でありますけれども、これは調査が不十分なのか、資料が出ておりません。これはどういうふうな状況ですか。おわかりになっておればお知らせいただきたい。
  232. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 北スマトラ石油開発協力株式会社は、昭和三十五年にインドネシアの石油のプルミナとの間でラントー油田の復興開発を共同して行なおうという目的のために設立いたした次第でございます。その設立の結果、昭和三十五年以降十年間にわがほうから百八十八億四千五百万円のクレジットの供与を行ないました。その見返りに現地で生産されまする五百六十万キロリッターの原油を受け取るということになっておるわけでございます。現在までの実績で申し上げますと、クレジットの供与が、すでに総額の七割を行なっておりますが、原油の返済が今日まで約三割程度しか行なわれておりません。したがいまして、今後この契約期間を三年七カ月延長をいたしまして、この延長された期間を含めまして原油の返済の増量を求めておりまして、今後毎年約五十五万キロリッターくらいのわが国に対する原油供給が行なわれるものと考えております。以上によりましてこの北スマトラ石油開発供給の目的を達成することになろうかと思います。
  233. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 この海外のこういった探鉱は、まあ将来もうかるといったらあれですけれども事業としては有望と考えておられるのですか。それよりも直接、まあ金は高くなるかと思いますが、輸入をするほうがいいか、こういうものを開発していくほうがいいか、かなりお金をかけてやるわけですけれどもその辺はどういうふうにお考えになっておりますか。
  234. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 今日までアメリカ、イギリス、フランス、先進諸国を中心として行なわれまする石油の探鉱開発のための事業は、いずれも収支相償う、採算に乗るものとして行なわれております。したがいまして、わが国としましても残された世界の未開発油田地帯に対して、これから積極的な進出を行ないまして、その成果を活用するならば、十分採算に乗るものと考えております。もちろん輸入原油が安いケースもあり得まするが、その点につきましては、安定供給という見地から、ある程度のみずからの開発する原油が必要であるということは、この公団の設立、冒頭の趣旨で御説明を申し上げたとおりでございます。
  235. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 今後タンカーも大きくなってきますし、いま言われましたように、安い原油をたくさん運べる時代もだんだんやってくるわけです。それとともに、いま言われた探鉱事業も、だんだん海外でやっていくと採算が十分とれると。それで、まあそこのバランスといいますか、その点を現在は、将来どういうふうに持っていくか、ちゃんとお立てになっておりますか、お伺いしたいと思います。
  236. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) われわれは、そのバランスを昭和六十年度におきまして七対三といたしたいと考えております。
  237. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 それは、どういう根拠ですか。
  238. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 安定供結の見地から申しまして、わが国の所要原油の三割程度をみずからの開発原油というものによって供給を確保するということが必要ではないかと、かような見地からでございます。
  239. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 最後に、探鉱の技術の開発の問題でありますけれども、先ほども物理的な面で特にやっていくと言われましたけれども、将来どの技術を重点的に開発をすることが、最も特にまあ日本の国内における探鉱に適しておるか、この点の方向をお伺いしたい。
  240. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) わが国の国内の面がら申しましても、海外問題も含めまして、やはり深層——深いところの探鉱及び大陸だなの開発これに伴う技術開発という点がきわめて重要ではないかと考えております。また、世界的に申しましても、アメリカ、ヨーロッパ等におきまして現在大きな発達を遂げておりまする技術は、もっぱら大陸だなと申しますか、海底、海洋資源の開発に関する技術でございまして、さような見地からも、わが国としても大いに努力をすべき技術分野ではなかろうかと考えます。
  241. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 それはやはりさっき航空機による音波探鉱ですか、一番いいわけですか。
  242. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 大陸だなの探鉱技術は、もちろん航空磁力調査というものもございますし、また地震探鉱というものもございますし、またボーリングを掘りまするための各種の新しい技術もあり得るわけでございます。それらの総合的なものを考えておる次第でございます。
  243. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 日本の場合は、ややもすれば、こういった技術開発に対する予算も少ないことでありまするし、やはり安くて非常に効果があるものがこれから出てこないともいえないと思うし、特にそういった大陸だなの問題もありますので、特に電子工学等も発達しておりますから、かなり新しいのができるのじゃないか、こう思いますけれども、その点の見通しはどうでしょうか。
  244. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) もちろんわが国自身で新しい探鉱技術の開発も必要でございます。また昨今は、特にアメリカ等におきましては、アラスカの大陸だなの開発に関連いたしまして、また欧州におきましては北海の海底ガス油田の開発に関連いたしまして、新しい技術成果が続々と生まれてきておりますので、さような技術の導入という点におきましても、積極的につとめたいと考えております。
  245. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 最後に、大陸だなに関連してこの前もお伺いしたのですが、東シナ海の大陸だなの中には相当の石油があるといわれておりますが、その点についてどういうお考えですか。
  246. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 東シナ海の大陸だなにつきましては、詳細は今日まだ不明でございまするが、いずれにいたしましても、この大陸だなの所属が、わが国以外の国であるということから、その大陸だなの鉱物資源の探鉱開発は、わが国自身の自由に行なうわけにいかないという問題が一つございます。もう一つは、東シナ海の海の深さが今日まで技術的に、特にわが国にとりまして可能な水深をはるかに越しておりまして、今日までのわが国の技術では、二十五メーターないし五十メーターくらいがせいぜいでございまするが、これをこえまする百メーター、二百メーターの東シナ海の大陸だでの探鉱ということは、しかし簡単には行ないがたいのなございます。のみならず、かりにこれらの探鉱事業に着手いたしますとしましても、台風の進路でございまして、操業の安定性という点にもなお多くの問題がございまするので、これら海底資源の活用ということは、国際的に見ましても大いに望ましいわけでございますが、東シナ海につきましては、なおそれらの点を勘案しまして、慎重に検討をいたしまして、これに対処いたしたいと考えております。
  247. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 もう一つ最後に、この公団につきまして、海外の、外国の人たちの声というものをお聞きになりましたか。
  248. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) わが国の石油開発公団の設立構想につきましては、本年のOECDにおきまする石油委員会におきまして、これが説明並びに質問が行なわれて、西欧諸国はきわめて活発な関心を寄せております。また、昨今の中東動乱に際しまして、アメリカのウォール・ストリートの新聞におきましては、わが国が石油開発公団の設立構想を公にし、それに基づきまして海外原油の自己開発に乗り出してきておるという点を大きく取り上げまして、中東動乱との対比におきまして、日本の政策転換に非常な関心を示しておることが報道されております。
  249. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 四十億ぐらいで何ができるかと、たいしたことはできないとかいう声も聞くのですが、その点はいかがですか。
  250. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 新規の出資で四十億では不十分ではないかという御意見もあったわけでございますが、われわれもこれをもって足りるものとは考えておりませんが、これは今後の努力で御期待に沿いたいと考えます。
  251. 向井長年

    向井長年君 まず、通産大臣にお聞きしたいんですが、今度の石油開発公団法の提案も、すべて日本の総合エネルギーという立場から今度こういう公団をつくってやろうと、探鉱をやろうということでしょうが、これは政府としてどうなんですか。総合エネルギーという立場において、何だか一貫性がないように思うんですよ。ということは、先に原子力のやつこの間できたんですな。これは科学技術庁から出されて、あるいは石炭は石炭対策でやっておるわけですが、これに対して、まずやはり日本のこれからのエネルギーという観点から、あるいはまたそれに対して石油のいわゆる位置づけ、総合エネルギーの中においてのこういう問題についてどう対処して考えていこうとするのか、石炭をどう位置づけしようとするのか、あるいは電力の問題も入ってくると思いますが、こういう問題に対するやはり位置づけというものを考えて、将来こうあらねばならぬ、総合エネルギーとしてこうあらねばならぬ、こういう問題について、何だかそのときそのときで石油は石油でやっていこう、あるいは石炭は石炭でやろうと、こういうように感ぜられるんですが、こういう一つのエネルギーの位置づけというものをどう考えておられるかまずお聞きしたい。
  252. 菅野和太郎

    ○国務大臣(菅野和太郎君) 今度の石油開発公団の設立については、総合エネルギー対策の一環として考え出したものでありまして、すべて総合エネルギーの供給の全体の見通しによって、この石油開発公団なりあるいは将来の石油資源の量を考えておるものであります。石炭につきましては、これは五千万トンということで、これをぜひ確保するということなのでありまして、そこで、私は将来においては、エネルギー資源は原子力になると、こう考えておりますが、しかしいまの技術では、まだ原子力によってのエネルギーというものは不十分でありますからして、したがいまして、将来原子力によるエネルギーということを実現するまでは、やはり石油にたよらなければならぬということで、そこで一時のエネルギー供給源といたしまして、昭和六十年度についてたとえば原子力は一〇%、それから石油は七四・八%、石炭は九五%というように大体の標準を立ててそうしてやっておるのであって、決して無計画でやっておるのじゃありません。
  253. 向井長年

    向井長年君 そうであるならば、今国会にこれを出されておるけれども、いま始まった問題じゃないんですよね、石油問題も。去年もおととしもこういうことを感じられておると思うが、それについて、いま公団つくって四十億の出資をしてやろうということはこれは決して悪くないんですよね。そういう意味で言っておるのではなくて、現在までにそれに対してどういう取り組み方をしてきたのか。少なくとも民間依存であったか。今度は事業団をつくって政府も真剣に取り組む、まあこういうところに、私は、言うならば一貫性がないと言うのですよ。本来であるならば、総合エネルギーについては、政府みずからこれに取り組まなければならぬという姿勢が、最近においてこういうかっこうで出ておる、いままでないでしょう。実はわれわれ商工委員会でも過去においてもたびたび石油資源の国内の探鉱調査をしてきました。そういう中で事業者が、あるいはまた現場においてまだまだ国内においても資源がある。資源はあるんだけれども探鉱できないんだ。できないということは資金が足らないからできないんだというかっこうで、いろんな陳情を受けておるんですよ。したがって、今度の場合においては、この事業団の本旨は国外においての探鉱を主としておるように思うわけでございまして、国内の資源の探鉱という問題については、まあ一応はやるんだということでしょうけれども、この問題について政府としてはどういう姿勢で取り組むか。それに対してどういう資金を持って当たるか。こういう問題、どうもわれわれ納得できない。この点を私はお聞きをしたい。
  254. 菅野和太郎

    ○国務大臣(菅野和太郎君) 数字的のことは局長からお答えすると思いますが、まあきょうまで石炭の問題、石油の問題、原子力の問題については、皆相当研究もするし、悩んでもきたと思うのです。石炭の問題は第一どうするかということ。原子力も五、六年前には原子力の発電というようなことは、われわれ容易にできるように思っておったが、さて事実はそうはいかないというようなことで、原子力の平和利用という問題の見通しも、いままではっきりしなかったということで、根本的な百年の大計ということを私はいままでは立てられなかったと思うのです。がしかし、ようやく石炭の問題についても大体見通しを立てて、日本としてはこれだけの石炭は保有しなければならないということ。原子力についても大体いま現在すぐに原子力の平和利用ということもおそらく期待ができないということで、そこで石油についてはどれだけというように考えてきたと思うのでございまして、まあ今日まで百年の大計を立てなかったということについてのおしかりは、私はもっともだと思うのです。これはいままで政府当局もあるいは民間人も、いろいろとこの問題については石炭がいいか石油がいいか原子力がいいかということで、皆悩んできたと思うのでありますが、ようやく百年の大計が私はこれで確立したと思いますが、しかし、あるいは原子力の平和利用の問題でも技術の開発によってこれはわれわれの予想以上に早くあるいは増殖炉などが開発できるということになってきますと、非常にこれはまたエネルギー資源として大変革がくると思いますし、あるいは石油の問題にしましても、探鉱の技術があるいは予想以上に発展してきて、あるいは日本の国内において石油がどんどん出るというようなことになってきますと、これはまた計画なども変えなければならぬという問題が起こると思いますけれども、現在の技術水準において考えられたエネルギー対策に対して、私たちは、これで現在における百年の大計として、石油開発公団というものを考えたのでありまして、しかし、これで私はこの開発計画が永久不変のものとは考えておりません。むしろ技術の開発によって、この計画をまた変更するときがあることを、われわれもそれを期待していきたいと、こう考えておる次第であります。
  255. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 国内の探鉱開発が重要であるという点はまことに御指摘のとおりでございまして、私どもといたしましては、過去におきまして国内の探鉱開発につきましては、国の直接の事業といたしまして、基礎調査というものを四十一年度まで十二億円の金をかけて行なっておりますし、また四十二年度予算におきましても五億八千万円の計上をいたしておる次第でございます。また国内の探鉱を、民間企業によりまする探鉱を助成いたしまするために、四十一年度までに十三億八千万円の国庫補助金を投入いたしております。これまた四十二年度におきましては倍増をいたしまして、六億二千万円の計上を行なった次第でございます。さらに国産の原油が国内の諸般の条件から割り高につきまするが、これを生産を維持育成いたしまするために、海外原油との割り高分につきましては、関税還付制をもちましてこれを補てんする措置をとって、国産原油の生産を維続維持発展せしめるような対策を講じておる次第でございます。したがいまして、今回の石油開発公団の発足の後におきましても、国内の開発探鉱ということにつきましては、従来と同じ方針で、かつ、それを一そう強化して、国の直接的な助成、育成の対象としてこれを推進したいと考えております。
  256. 向井長年

    向井長年君 大体この事業団の主たる目的は、国外に対する探鉱、こういう方向に向けられたようにわれわれしろうとは感じるのですが、国内でもいままでどおり、いわゆる助成なりあるいはまた民間等もあわせてやっていくんだと、こういう答弁でございますけれども、結局、国内で多くの資金を投入して探鉱するよりも、国外で、豊富なところで大きな効率をあげる、こういうほうがいいのではないかと、こういう考え方からその形が進められているんじゃないですか、その点どうなんですか。
  257. 菅野和太郎

    ○国務大臣(菅野和太郎君) 現在のところは、国内の油源というものに対して、そう期待はできないと思います。そこで、海外から購入したほうが安く、また豊富に購入ができる。だから今日この石油の供給ということを考えてきたと思うのでございますが、しかし、先ほど申しましたとおり、探鉱の技術やなんかで、日本国内において石油がもう少しどんどん出るというようなことになれば、また日本にとってありがたいことだと思うのでありますが、現在では、やっぱり海外にたよらなきゃならぬというのが実情だと私は思っております。
  258. 向井長年

    向井長年君 もちろん含有量から見て国内は僅少である。したがって外国に依存をしなきゃならぬ。外国というか、国外において探鉱を進めなきゃならぬ。これは常識的にわかる。そこで、国内に埋蔵されている資源がどれくらいあるというやはり技術的な調査もあると思いますが、あるいはまた、それを探鉱するためにはどれくらいの経費が必要であるか、こういうものが出されて、初めてそういう意図が出てくるんですよ。そういうことはやられたんですか、われわれしろうとはわからないです。まあ考えてみるならば、国内の北海道の開発鉱についても相当埋蔵されていると、こういわれておるわけなんですけどれも、そこで、これに対して、計画的にこれだけの資金を投入して探鉱すればどれだけが採取できる、それについてはあまりにも高率でないから国外に依存すると、こういう理論的な、一つの技術的な何か調査をされたのか、国内資源として、この点、ただしろうとが常識的にものを言うのじゃなくて、やはり、政府のほうではおそらく資料を持っていると思う、そういう問題についてどう考えられますか。
  259. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 国内の資源の探鉱努力が、いままでのところまだ十分ではないんではないかという点につきましては、今日までの成果では、年間七十万ないし八十万キロリットルの原油生産程度に見合う成果しかあげておりません。しかしながら、今後は、より深い油田の探鉱並びに大陸だなの探鉱等が、今後努力すべきところでありまして、あわせまして、北海道等も新しい白亜紀層の探鉱を、より努力する必要があろうかと思っております。ただ過去におきまして、北海道につきましては、石油資源開発株式会社が約三十億円程度の探鉱資金を投入しましてこれを調査いたした経緯がございまするが、その成果はきわめて小規模な油田を一、二発見したにとどまっておりまして、所期の成果をおさめ得なかったという実績がございます。しかしながら、われわれとしましては、今後さらに努力を倍加いたしまして、より深いあるいは大陸だなといった新しいところの探鉱につとめていきたい。そのことと海外の探鉱ということとは、並行して進めていくことが必要ではないかと、かように存じております。
  260. 向井長年

    向井長年君 そうすると今度の公団は、もちろん国外に対する探鉱、あわせて国内に対しても相当のいわゆる精力を、あるいは資金的な面をつけて探鉱すると、まあ、こういう考え方のように受け取れるわけですが、しからばそれに対して、一応現在は国内においての資源探鉱のために、どれくらいの埋蔵——あるいはそれに対してどれくらいのいわゆる資金を投入するという計画がありますか。
  261. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 現在国内の探鉱投資につきましては、四十五年度までの探鉱投資計画というものを一応策定をいたしております。四十一年度から四十五年度にかけまして、国の基礎調査といたしまして、一応の計画で約四十四億円を投入をいたしたいと存じております。また企業側におきまする探鉱投資としましては、約二百五十七億円を計画をいたしている次第でございます。
  262. 向井長年

    向井長年君 今度のこの法案について、衆議院でも相当論議されて、最終的にこういう附帯決議がつけられました。そこで、この附帯決議のに対して、おそらく大臣は、附帯決議を尊重して最善の努力をいたしましょうという答弁をしたのじゃないかと私は思う、想像ですが。そういう中で、今後国内外の探鉱開発十カ年計画を樹立せいと、こういうかっこうを出されていると思います。これに対して現在、いま国内の場合につきましては、昭和四十五年度まで一応説明がございましたが、今後こういう問題について、いまこういう法案を通した中で、先ほど大臣が答弁されたように、原子力の問題は十年あるいは二十年という計画で、あれきめられているが、石油の場合において、十カ年計画として、どういう構想をいま持っておりますか、あるいは構想はいまないわけですか。この点、どうでしょう。
  263. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 石油につきましては、昭和六十年度におきまして約一億四千万キロリットルの原油の開発を、わが国及び海外を含めまして目標といたしているわけでございまするが、それに到達する手だてといたしましては、国内につきましては、石油及び可燃性天然ガス開発五カ年計画というものが現在ございまして、第三次計画に入っております。このような五カ年計画を今後とも継続をしてまいりたいと思っております。また海外につきましては、各開発プロジェクトごとに、その開発探鉱が軌道に乗るまでの計画を、五カ年計画程度の規模をもって推進をいたしていきたいと考えております。
  264. 向井長年

    向井長年君 計画の問題については、そういう形でですね、五年まではやっていく、その後それでは引き続いて同じかっこうで計画を進めていきたい、こういうことで大体わかりました。  次は、この公団が三年たつと分離されて、そうして石油資源あるいはまた出資会社、こういう問題が中心となっていくと思うのですが、この分離されたやつは一つの、一本の組織——いわゆる会社組織ですか、こういう形に持っていくべきだと思いますが、この点はどう考えておりますか。
  265. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 三年以内に公団の直接事業部門が分離されまする際の形態といたしましては、ただいまの石油資源のような形での一体的な分離形態もあり得ると思いまするが、最終的な形態の決定は、審議会の場におきまして、労働組合等の御参加もいただきまして、各方面の御審議を尽くしてきめてまいりたいと思います。
  266. 向井長年

    向井長年君 一応ですね、明確に三年たてば分離するときまっているのだから、したがって、それに対する一つの方向としては、ただここでぱんと抜けるのじゃなくて、やはり方向としてはそうしていきたい、しかし審議会においていろいろな意見の方があるから、どうこれが変わっていくかは別として、それに対してやはりある程度、三年後分離するときまっている以上は、一応確固たる方向で進まなければ不安じゃありませんか。この点、いかがでしょう。
  267. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 従業員の方々あるいは職員の方々のいろいろな御不安の点もあろうかと思いますので、そういう御不安をできるだけ早く解消いたしますためにも、公団の発足後すみやかに審議会を開催いたしまして、いろいろな御意見を十分反映する仕組みで方向づけを行なってまいりたいと考えております。
  268. 向井長年

    向井長年君 政府としてはそれに対してただいま何ら構想を持っていませんか。
  269. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 考えられます構想としましては、先ほど御指摘をいただきました石油資源株式会社が、そのような形態で一体的に分離される形態、あるいはそれが各開発プロジェクト、開発地域を主体として民間資金の導入をはかりながら今後の私企業形態として独立できるような形態あるいは帝国石油等との合理的な業務の調整をはかり得るような形態、いろいろ考え方を持っております。
  270. 向井長年

    向井長年君 いま局長から触れられましたが、そうなってくると、公団設立に伴って石油資源の従業員諸君は公団に入れられることになりますね。そういう結果になって順次引き継がれますね。そういうかっこうになってくると、いろいろやはり様子が変わってくると思うのですよ、現在の会社の様子と。そういう中で、特に賃金をはじめとする一切の労働条件、こういう問題について変化があってはいけない、変化というか、切り下げてはいけない、少なくともそれを確保しつつ今後考えていかなければならぬと思うのですが、この点についてどう構想を持っておられるか、あるいはまた、場合によって分離やむを得ない中で、新会社組織に入った場合に、そういう中でそういう諸君のやはり一切の労働条件というものについて、あくまでも継承する、こういうことが私は必要だと、そういう点についてやはり大きな不安があるんですね。そういう問題についてどう考えるか。
  271. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 石油資源開発から石油開発公団に切りかえますに際しましては、従業員の給与の問題あるいは退職金の問題等は、すべて現行の形態と内容とを全面的に承継をいたしてまいる方針でございます。
  272. 向井長年

    向井長年君 この問題、大臣保証しますか。
  273. 菅野和太郎

    ○国務大臣(菅野和太郎君) いま局長が言うたとおりの方法でまいります。
  274. 向井長年

    向井長年君 保証するかと聞いているんです。
  275. 菅野和太郎

    ○国務大臣(菅野和太郎君) 保証というか、局長が言うたことばをそのまま承知したのでございます。
  276. 向井長年

    向井長年君 それは同じことをことばを変えなくてもいいですよ。そういうふうに継承されていくのだから。当然こんなものは切り下げてはいかぬことなんです。したがって、継承していかなければならないという私が意見を含めて質問しているんですから、局長は、それに対してそういうことを考えていかなければいかぬと言ったら、そういうことは当然のことであるから保証しましょうと、そういう答弁を大臣はされなければおかしいと思うんですがね。
  277. 菅野和太郎

    ○国務大臣(菅野和太郎君) 局長のことばは私のことばと同じですから、承継しますということを局長が言うておるからそのとおりですと、こう言っているんです。局長が承継しますと言うているから、そのとおりですと私は返事している。全然別のものであれば保証しますと言うけれども局長も私も同じことだということを言うているんです。
  278. 向井長年

    向井長年君 保証するというように私は解釈をいたしますが、それでよろしいですか。
  279. 菅野和太郎

    ○国務大臣(菅野和太郎君) けっこうです。
  280. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 七時に再開することにいたしまして、これにて休憩いたします。   午後六時三分休憩      —————・—————   午後七時二十分開会
  281. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) それではこれより商工委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、石油開発公団法案質疑を行ないます。質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  282. 大矢正

    ○大矢正君 鉱山局長も長時間にわたって答弁をされておられるから、だいぶお疲れのことと思いますから、この際、休んでいただいて、大臣はたいへん博学の方だから、この際、ひとつ大臣を中心にお尋ねをしてまいりたいと思います。  中東の動乱というものが日本の国のエネルギー、特にエネルギーの中心であります油の安定的な供給ないしは確保という上におきまして非常に大きなショックでありましたことは、私どもも同様でありますが、そこで、私は事業団それ自身の問題ではなしに、日本のエネルギーの中における油というものが、現状どのような事態にあり、そうして将来に対して政府は政策的にどういうものを持っておられるかということを中心にしてお尋ねをいたしたいと思うのであります。  まず第一の問題点は、国産原油というものはまことに微量である。アラビア石油の数量を入れてみましても、日本の国内における需要量から判断をいたしますると、これまたわずかの比率にしかなりません。そこで、結局のところ、今日の段階では、中東をはじめとする世界各地からの原油の輸入が中心的な供給源となっているわけであります。そこで、私がいまさら申し上げるまでもないように、今日の日本の石油業の中で、この中には、外賃系の企業と民族系の企業というふうに、大きく分けて二つの内容のものがあるわけでありまするが、私どもが感じますることは、国際石油会社というものの力、これが今日、日本の石油業の力をもってしては、あらゆる面でその壁を破ることが困難な状態にあります。それは一つには資金面から来る精油業に対する力の反映、また、その資金面からきたところのひもつき契約、こういうことは、今日の日本の石油業にとりまして非常に重大な内容を持っているものであります。そこで、通産大臣として、日本の石油業、そうして日本のエネルギーの中心であります油の安定的確保のために、具体的にはどういう考えを持っておられるか。もとより石油開発公団というものがその一つの部分であることは間違いないが、この石油開発公団というものがかりに成立を見たからといって、日本の国内における石油企業の現状なり、また日本のエネルギーの中の中心であります油の現状というものが大幅に変わるような内容のものでは私はないと思うのであります。むだであるとは申しませんが、必要なことではあろうと思うけれども、しかし、今日の巨大なこの原油を必要とするわが国の中にありましては、まことに微々たるものである。したがって、この石油開発公団とは別個に、どういう方向で日本の石油業というものを考え、そうして日本のこのエネルギーの中心であります油の安定的な確保をするかというこの問題は、当然のことながら、考え方として出てこなければならぬ問題だと思うのでありますので、その点についての大臣の政策的な考え方をお聞きしたいと、こう思うのであります。
  283. 菅野和太郎

    ○国務大臣(菅野和太郎君) 今日までの石油業というものは、ほとんど外国資本の力によっておることは申すまでもないことでありますが、戦後、日本には資本力というものはなく、また技術ももちろんないで、したがって、石油。業については外国資本がほとんど支配しておるということが言えると思うのであります。しかしながら、やはり民族資本で石油を購入し、あるいはできれば石油の油田の開発をしなければならぬというようなことで、民間人としはアラビア石油などが民族資本として石油の開発をやった。もちろん、クエート、あちらのほうの人も協力はいたしておりますが、とにかく日本として海外の石油油田開発をやったのでありまして、漸次、海外の資本が持っておる権力をこちらへ譲ってもらうような方策をとっておるのであります。  たとえば一例を申し上げれば、丸善石油などのごときはそうですが、これは数年前、ほとんど破産状態になっておりましたために、やむを得ずアメリカの資本にたよらなければならぬということで、アメリカの資本にたよったのでありますが、また期限がまいりましたので、したがってこの際アメリカの石油会社の持っておる株券を日本に買い戻すというような方法を考えさしておるのでございます。そういうことで、漸次日本の民族資本で石油の購入、開発をやりたいという考えをしておるのであります。したがいまして、今度の石油開発公団も、民族資本における海外の石油開発ということを大いに助長したいということで、石油開発公団というものを考えたのでありますが、しかしできれば、われわれからして望むところは、日本の国内あるいは日本の近辺において油源を見出すことができれば一番いいと思うのであります。その意味において、いままで以上な探鉱をやろうという計画をいたしておるのであります。今日までの技術では、まだ日本の国内においては石油を発掘する量が非常に少ないのでありますからして、やむを得ず外国の石油にたよらなければならぬということになっておりますが、これとてもわれわれは決してこれで甘んずるわけではないのであって、できれば日本国内あるいは日本の近辺において石油の油田の開発をいたしていきたいということ、そういう点において本年度におきましても、いままで以上に探鉱資金を予算化いたしたような次第であります。そういうことで、内外ともに石油の開発をして、そうしてできれば外国人が外国の資本によって採掘しておるその石油も、日本人の手で購入、販売するというような方策を漸次強めていきたいという方針でおる次第であります。
  284. 大矢正

    ○大矢正君 大臣、あなた、いまの日本の石油業というものが、もちろんこれは輸入原油を中心にして、外資系、民族系を含めて、比率の上においてどの程度のものがいわゆるひもつき、いわゆる国際石油会社、七つの大きな石油会社、このひもつきになっているか、その数字はおわかりになっておられるでしょうか。
  285. 菅野和太郎

    ○国務大臣(菅野和太郎君) 外国の資本による石油の輸入は大体八割でありますが、詳しいことは局長からお答えさせます。
  286. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) わが国で購入をいたしておりまする原油の八割は、いわゆるひもつき原油でございまして、選択の上におきましてわれわれの余地がないという形になっております。
  287. 大矢正

    ○大矢正君 そこで通産大臣、日本のこの重要なエネルギーを確保する上において、その八割までがひもつきであり、そこに原油購入に対するフリー・ハンドといいますか、余地がないということは、日本の現状にとっても将来にとっても重大な問題ですね。この面について具体的にどういう考えを持っておられるのかということを承りたいと思う。
  288. 菅野和太郎

    ○国務大臣(菅野和太郎君) いま申し上げましたとおり八割まではひもつきの石油でありますが、わが国の資力の増加にしたがってこれを漸次日本の資本によって石油を輸入するような方策をとりたいと思います。それで、先ほど一例として丸善の例を申し上げたのであります。その他の石油会社においても機会があればひとつ外国のひもつきからこれをほどくように努力したい、こう考えておる次第でございます。
  289. 大矢正

    ○大矢正君 これは両角局長に具体的にお尋ねしてから大臣にお答えを願ったほうがいいと思うのでありますけれども、いま八割はひもつき契約に基づくものである。したがって、そこに自由裁量なり自由選択の余地が何ら許されていないというこの問題は、かりに石油開発公団をつくって、海外に対してアラ石と同じように自主的な日本の国力において、また民間の企業の努力によって、ひもつきではないといいますか、純粋な意味における外からの油の導入ができるけれども、しかし、これから伸びていく日本のエネルギー、そしてその中に占める油の位置からいけば、少々のことではこの八〇%の全く選択の余地のない原油購入というものが改善されるような方法は、私は今日の段階で求めることはおよそ困難ではないかという感じがするのであります。それは、政府それ自身の中に目標として具体的にそういうひもつき契約というものをいかにしてこれから取り除いて自由選択の余地をその中に求めていくかという具体的かつ政策的なものがないから、結果としてはこうなる。なるほど石油開発公団ができる、あるいはアラ石も年々採油量を増してはおるけれども、しかし、なお今日のふえていく日本の油の需要の中においては、その八〇%を割るということはむずかしいのじゃないですか。どうされるおつもりですか。
  290. 両角良彦

    政府委員(両角良彦君) 原油の購入にあたりまして、わが国の自主性を高めていく、言いかえますと、ひもつきの程度を下げていくということがきわめて緊要な問題であるという点は、全く御指摘のとおりでございます。これにつきましては、なかなか困難な問題ではございまするが、われわれ当面大きく三つの施策を購じてまいりたいと思っております。  その第一は、長期契約等によりまして精製各社が外国企業と結んでおりまする契約の更改期にあたりましては、過去と異なりまして、今後はわが国側の原油選択の自主性の高い条項を挿入することを求めることにいたしたいと考えております。  また第二に、外資からのローン、インパクトローンの導入に際しましては、できるだけドル当たりのひもつきの割合を低めてまいりたい。これは過去におきましてドル当たり五バーレル以上のひもつきでございましたが一漸次昨今改善をいたしまして三・五バーレル程度に落ちてきておりますが、今後とも外資法の適正な運用を通じまして、短期契約の改定並びにインパクトローンの導入に際しましてひもつきのウエートを下げたいと存じております。  第三の方策は、わが国におきまして、新しくわが国におきます石油の精製業が今日まで二、三追加をされましたし、また、これからもあるいは出てくるかもしれません。さような新規の業者と、新規の原油の購入の選択にあたりましては、極力自主性のある原油の購入のフリーハンドを留保するよう行政指導を強力に行なってまいりたいと考えております。
  291. 大矢正

    ○大矢正君 大臣、民族系と呼ばれるわが国の石油企業につきましても、ひもつき原油の占める比率というものは、減るのではなしに、むしろ最近は増加しているのじゃないですか。ここ数年間、私はそういうように感じとっておるわけでありますがね。もしそうでないならば、私の考えは間違いだからけっこうですがね。この点はどういうふうに判断をしておられますか。
  292. 菅野和太郎

    ○国務大臣(菅野和太郎君) ひもつきの率と申しますか、それは大体横ばいであって、決してひもつきの率はふえておるというような状態ではないと思っております。
  293. 大矢正

    ○大矢正君 私はまあ通産大臣からいただいた資料ではなくて、自分で調べた結果によると、むしろここ二、三年来民族系と呼ばれる企業のひもつき原油の比率というものが高まっているというふうに解釈をいたしております。しかし現状が横ばい状態であるといわれるならば、それは私も自分で具体的な数字をはじき出したわけじゃありませんから、そのことは深く触れませんけれども、いずれにいたしましても、日本の国自体が、ただいま議論にありましたとおりに、自由選択の余地のない形で日本のエネルギーの中の大宗を占める原油が置かれているということは、まことに重大な問題ですよね。しかも先般石油業法ができて過当競争あるいは過剰設備というものを排除するための法律的なよりどころはできたけれども、しかし、今日なお依然として石油業の現状というものは、私は楽観を許さないものがある、こう思うわけですね。そこで問題を具体的にひとつお尋ねしてみたいと思うのでありますが、アラビア石油が今日一千四百万キロリッターというものを国内に持ち込む態勢になってきましたが、このアラ石が今日このみずから採油したものを、日本の国内の販売ルートの上に乗せようという段階では、非常に多くの障害があったわけです。これは御承知のとおり、七大国際石油会社を中心とした圧力ですけれども、これに全力の上から、また油の供給の上から押えられて、アラ石というものが非常に苦労して今日の態勢ができたわけです。そこで私が心配するのは、たとえば海外の油田開発で投資をし、そうして国力をもってやったとしても、その油を日本の国内に持ってきて自由に売れる態勢にはないわけです。なぜかといえば、今日日本の石油業というものは、日本の国民や、日本の企業家の判断だけで油は売れない態勢にあるからですね。この問題はどうしてこれから解決されるおつもりですか。
  294. 菅野和太郎

    ○国務大臣(菅野和太郎君) お話のとおり日本の石油業界というものは、外資が支配しておると言ってもあえて過言ではないような状態であります。でありますから、決して日本の産業あるいは日本にとって有利な状況にあるとは言えないのでありますが、しかし、これは先ほど申し上げましたとおり、戦後、日本の資力のない、また技術のないときにおきましては、全部外資にまたざるを得なかったという実情からこういう結果になってきたのでありますが、しかし、漸次民族資本による石油の購入あるいは開発を拡大していくというよりほかに方法がないと思いますが、あくまで、先ほど局長が申し上げましたとおり、契約期間がきたときには、いままでよりもひもつきの率を少なくするということで、漸次外資の支配力を少なくするという方法をとる以外に道はないと考えておるのであります。そうすると同時に先ほど申し上げましたとおり、日本の力によっての海外の石油油田の開発ということ、これをやることによって漸次ひもつきの率を少なくするということ、この二つの方法で何とかして海外の資本力というものを漸次軽減するように努力したい、こう考えておる次第であります。
  295. 大矢正

    ○大矢正君 私が申し上げたいことは、大臣、ひもつき契約というものを、これを極力率を低めていかなければならないという問題が一つあることは、先ほど来言っているとおりですが、同時にあわせて考えなければならないことは、半面でどうして国内のシェアを持つかということが問題の一つになりますけれども、これを考えないで開発を中心にものを考えてみても、私は結果としては、何らそのこと自身は日本のエネルギーの需給度というか、自由な購入というものの向上には役立たない、こう思うのです。だからその問題についてどう思うか。たとえば、あなたが、石油業界を集めて、たとえばスマトラの油がこれだけ多量に国内に入れることができるようになった。アラ石がもっともっと、出るようになったんだから、これを精製を通して販売ルートに乗せたい、こうあなたが言われても、はいそうですかと、聞けるような体制に今日日本の石油業界はないでしょう。この問題をどうしてこれから解決をしていくのか、ということは非常に重大な問題だと思うのです。その点のお答えをお願います。
  296. 菅野和太郎

    ○国務大臣(菅野和太郎君) お話のとおり販売機構においても今日やはり外資が支配しておりますから、したがいまして、民族系による販売網を拡大していくというよりほか道はないと思います。その一例としては、共同石油が一例でありまして、共同石油に対しては政府は相当援助いたしておりますが、これによって民族資本による販売網を拡大していくというようなことを考えておる次第でございます。
  297. 大矢正

    ○大矢正君 別に大臣の言質を取ろうというわけで私は申し上げませんが、今日の国際石油会社というものの日本に対する政策というものを、あなたはどういうふうにお考えになっておられますか。
  298. 菅野和太郎

    ○国務大臣(菅野和太郎君) 日本に対してどういうふうに思っているかということは、悪いことばで言えば、搾取する気持ちであるかどうかというようなお考えの御質問かと思いますが、幸いいま外資の石油業者というのは非常に日本に対しては好意的であるように、われわれは見受けておるのであります。でありますから、いまの丸善石油の問題にいたしましても、経営は全部日本人によって経営する経営陣ということで、ただ株だけ持っているというようなことで、経営はこちらにまかすというような態度をとっておりますから、大体非常な好意的な態度で日本に臨んでおるように、私はそう見受けておるのであります。
  299. 大矢正

    ○大矢正君 あなたは国際石油会社というものに気がねされて大臣みずからが国際石油会に対決の立場にあるとか、それは考え方が根本的に違うとか、二そういうことをこの席上で言うことは国際的にも問題があっちゃ困るという配慮の上でそういう答弁をされるのかと私は思いますけれども、しかし、これはやはりナショナル、インタレストという立場からいけば、この際この国際石油会社というものが、いかにして実質的に日本の産業の原動力であるエネルギー、そのエネルギーの中心である油というものを支配しているかということをはっきり指摘をして、やはりあなた自身が国際石油会社に向かって、いまのひもつき契約というのはこれはけしからぬ、あまりにもそれはひど過ぎる。この際これはできる限りすみやかにその契約というものをもっと少なくするようにすべきであるということを表明すべきじゃないかと思うのですよ。あなたがいまのように、国際石油会社とは全くうまくいっておりまして、同調的でありましてと、こういう答弁では、依然として日本の国における油の問題は私は解決しないと思いますが、どうですか。
  300. 菅野和太郎

    ○国務大臣(菅野和太郎君) 今日まで私の耳に達しているところでは、非常に好意的だというように聞いておるのでありますが、もしも外資の会社がまあ横暴をきわめると申しますか、そういう態度をとるのであれば、それはわれわれとしてはこの横暴を押えるように極力努力したいと、こう考えておるのであります。あくまで日本の利益という立場からわれわれは石油産業というものを発展させたい、こういう考えを持っておりますからして、したがいまして、先ほども申し上げましたとおり、日本の政府並びに日本人によって支配できる石油産業にしたい。かような念願をもって臨んでおるわけでありますから、もし御心配のようなことがあれば、これはやはりわれわれとしてもそうい横暴を断固として抑制するような態度で臨まなければならない、こう考えておるのであります。
  301. 大矢正

    ○大矢正君 あなたのそういう考え方、態度の表明が、今日問題があると思うのですよ。少なくとも日本の石油精製会社が原油の供給を受け、しかも資金面から援助を受け、この両面から制約を受けている限りにおいて、その一つの石油会社というものがささやかな力で国際石油会社に抵抗しようとしても、これはできってない。そうじゃないですか。それをやってやろうというのが私はやはり政府であると思うのです。もっとやはり遠慮しないで国際石油会社に向かって堂々と、今日の日本の石油業の現状ではいかぬ、ひもつきをもっともっと少なくすべきだということをあなたが言い、そうして今日の日本の情製を中心とした石油業というものをバックアップしてやらなければならないそのあなたが、国際石油会社とはうまくいっております、同調的であります、これではどうやってひもつき契約なり国内の販売網ないしは販売の中のシェア、そういうものを確保していくのですか。あなたの考えは根本的な間違いがあると思うのです。
  302. 菅野和太郎

    ○国務大臣(菅野和太郎君) いま大矢委員の言われたことは私はしばしば口にしておる、外資のひもつきを少なくするということ、民族資本でやるということ。この石油開発公団などがその最も顕著な例であって、民族資本で石油を開発する、民族資本で石油の販売網を拡大するということはしばしば言っておるのであります。ただ私が申し上げておるのは、そういうようなことで横暴をきわめるというような事実を知れば、それはそれに対してわれわれは断固としてそれは抑制するように努力したいということでございます。政府は数年来、あくまで民族資本の石油産業にしたいということで、たとえばアラビア石油の問題にいたしましても、相当政府がこれに対しては援助を加えておるのであります。そういうことで、できるだけあらゆるチャンスをとらえて、民族資本のもとにおいて日本の石油産業を発展するように努力したいと、こう考えておる次第であります。
  303. 大矢正

    ○大矢正君 原油の値段というものは、国際石油会社にかってにきめられて、おまえはこれだけで買いなさいというのが今日の実態でしょう。日本の石油会社というものは、単にそれを精製してまことに付加価値の少ない、利潤の薄いそういう中で競争をしていかなければならぬという問題をかかえているわけでしょう。だとすれば、私はやはり大臣みずからが、私の言うことの認識が正しければ、そういう方向で取り組んでいかなければならぬ問題ですよ。その点を私特に強調したいと思うし、それからもう一つ、それに関連をして、この開発事業団として考えてみれば、少なくとも個々の石油精製会社、灯油を含めて、この力だけで日本のこの石油問題を解決させたりあるいは企業の自由な競争や、自由な創意だけで問題の解決はできないわけです。だから、この際、思い切って国家的な見地に立って日本の国のこの石油業というものが置かれている問題を解決をしてやらなければいかぬ。とすれば、どうするかということになれば、私は、そういう意味でこの公団というものはけっこうなことだと思うのです。けっこうなことではあるけれども、しかし、内容がこういうことでは、私はまだまだ不十分である、これを指摘させなければいかぬのです。こんな金貸しの代行だけをやるような公団で一体何ができるかというのです。そうでしょう。何のことはない、この公団というのは、金貸しをやるだけですよ。たとえば銀行とどう違うの、これは。銀行に国内の石油資源の開発、海外の石油資源の開発というものに金を積極的に貸してあげなさいということと、これと、一体どれだけの違いがあるのですか。そうじゃないですか。こんなかっこうのものでは、今日の日本の石油業という問題の、根本的な解決はできない。私は、むしろこの際、国際石油会社とまっ正面から対決をする意味においても、日本の国家権力を用いても対決をするという気がまえをこの公団なり、その政策の中であらわしていかない限り、問題の解決にはならないと思うから申し上げておるわけですよ。とにかくあなたの認識がまことに私は違うと思うのだよ。ほんとうに日本の国家のことを考えるならば、そういう国際的なわが国に及ぼす影響というものをいかにして排除するかということを、もっと堂々と、しかも真剣に取り組んでいき、しかも遠慮会釈なく言うべきことは言う立場が必要じゃないかと思うのです。  それからもう一度念を押せば、いま言ったとおり、石油開発公団という名前だけど、どこがこれ開発なの。石油開発すると、一体このどこの条文に書いてあるの、名称だけが石油開発公団で、一般的に石油開発公団といえば、みずから石油を開発するということでしょう。ところが、この目的の中に一体どこに石油開発すると書いてあるの、金貸しするというだけでしょう。こんな中途半端なものじゃいけないというのだ。もっとやるなら国家権力の庇護のもとに日本の国家利益を守るために、むしろ国際石油会社と対決するくらいのことをやっていかなければいけないと思うのです。こんなことを遠慮することはないと思う。私はそういうことを考えているけれども、国際石油会社と対決したくないから回り道をしてということで、金貸しだけこの公団にやらせようと、まことに中途半端なものができ上がったものと思う。しかもさっきから聞いていれば、三年たてばいまの資源開発の営業部門は別会社にして切り離すと。そんなことをしたらそれこそ金貸しでしょう。それなら開発銀行に資金ワクをやったり、開発銀行に出資をもっとやって、ただで金を貸してやったり金融の道を講じてやったりすることとどこに違いがあるのか。どこにあなた方が原油の安定的な確保をはかるというものがこの法律の中に出てくるのか、お答えを願いたいと思う。
  304. 菅野和太郎

    ○国務大臣(菅野和太郎君) いま大矢委員から日本民族資本による石油産業についての力強い御発言がありましたが、私どもも全く同感であって、そのとおりな気持ちでおるのでありまして、また、すでに二月、エネルギー資源の答申を見ましても、自主性ということがはっきり書いてありますし、それでまたひもつきの抑制をやるべきだということも答申にはっきり出ておりますからして、したがいまして、もう日本がひもつきを抑制するということは、もう内外に発表しておることであります。そのような答申によって生まれたのが石油開発公団であって、これは石油業者あるいはその他の人が寄って、さしあたり石油開発公団をつくって、そして実際の第一線的なものはたとえばアラビア石油とか、そういうところに第一線的な開発をやらして、そして金融的なバックをしてやったほうがより有効な開発ができるのじゃないかということの答申によって石油開発公団ができておるのであります。単なる私は金融業者とは違って、やはり石油開発公団が第一線的な、ともに事業をするという気持ちでこの開発公団をつくっておるのでありますからして、金を貸して利子をあげてやるという考えではないと思います。その点だけ私は違っておると、こう思うのであります。単なる金融業者ではないと、こう私は考えております。
  305. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) では他に御発言もなければ、本案に対する質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  306. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 御異議ないと認めます。  それではこれより本案の討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますので、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  307. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。  石油開発公団法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  308. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 全会一致と認めます。よって本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  309. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたしました。  本日はこれにて散会いたします。   午後七時五十六分散会      —————・—————