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1967-07-04 第55回国会 参議院 商工委員会 第14号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十二年七月四日(火曜日) 午前十時三十五分開会
—————————————
委員
の異動 六月三十日
辞任
補欠選任
横井
太郎
君
園田
清充
君
和田
鶴一
君
堀本
宜実君
鈴木
強君
竹田
現照君 七月三日
辞任
補欠選任
園田
清充
君
横井
太郎
君
堀本
宜実君
津島
文治
君
—————————————
出席者
は左のとおり。
委員長
鹿島
俊雄
君 理 事 井川 伊平君
近藤英一郎
君
柳田桃太郎
君 阿部 竹松君 委 員 重政
庸徳
君
津島
文治
君
横井
太郎
君 大矢 正君 小柳 勇君
竹田
現照君 椿 繁夫君 矢追 秀彦君 国務大臣
通商産業大臣
菅野和太郎
君 国 務 大 臣 二階堂 進君
政府委員
科学技術庁長官
官房長
小林 貞雄君
科学技術庁研究
調整局長
高橋 正春君
科学技術庁原子
力局長
村田
浩君
通商産業政務次
官 栗原 祐幸君
通商産業省鉱山
保安局長
中川理一郎
君
中小企業庁長官
影山
衛司
君
事務局側
常任委員会専門
員
小田橋貞寿
君
説明員
文部省大学学術
局審議官
岡野 澄君
科学技術庁宇宙
開発推進本部長
東京大学宇宙航
空研究所長
高木 昇君
運輸省自動車局
通運課長
岩田 弘文君
建設省道路局企
画課長
豊田 栄一君
—————————————
本日の会議に付した案件 ○
原子力基本法
の一部を改正する
法律案
(内閣送 付、
予備審査
) ○
動力炉・核燃料開発事業団法案
(
内閣送付
、予 備審査) ○
産業貿易
及び
経済計画等
に関する調査 (
宇宙開発
に関する件) ○
中小企業振興事業団法案
(
内閣提出
、衆議院送 付)
—————————————
鹿島俊雄
1
○
委員長
(
鹿島俊雄
君) ただいまから
商工委員会
を開会いたします。 まず、
委員
の変更について御報告いたします。去る六月二十九日、
津島文治
君が
辞任
され、その
補欠
として
和田鶴一
君が選任されました。翌三十日、
横井太郎
君、
和田鶴一
君及び
鈴木強
君が
辞任
され、その
補欠
として
園田清充
君、
堀本
宜実君、
竹田
現照君が選任されました。また昨日、
園田清充
君及び
堀本
宜実君が
辞任
され、その
補欠
として
横井太郎
君及び
津島文治
君が選任されました。
—————————————
鹿島俊雄
2
○
委員長
(
鹿島俊雄
君) 次に、
原子力基本法
の一部を改正する
法律案
及び
動力炉・核燃料開発事業団法案
の両案を一括して議題といたします。 両案につきましては、すでに
提案理由
の
説明
を聴取いたしておりますので、本日は、まず
政府委員
からその
補足説明
を聴取いたします。
村田原子力局長
。
村田浩
3
○
政府委員
(
村田浩
君) 去る六月十五日でございましたか、
長官
より
原子力基本法
の一部を改正する
法律案並び
に
動力炉・核燃料開発事業団法案
につきまして、その
提案理由
の
説明
を申し上げたわけでございますが、本日は、その背景並びに
内容
につきまして、私より補足して
説明
さしていただきます。
わが国
将来の
エネルギー
の
需給状況
並びに
原子力発電
の
必要性
につきましては、
委員各位
とも十分御承知のことでございますが、この点、簡単に触れてみますと、お手元に配付いたしました
資料
「
図説
・
動力炉開発計画
」をごらんいただきまして、その三ページに、
わが国
将来の
エネルギー
の
需要
の
見通し
が
グラフ
で出してございますが、ここの第一図に見られますように、これは全体の
エネルギー需要
を
石油
に換算して書いてございますが、
昭和
六十年には
石油換算
六億キロリットルにも達するという膨大な
需要
が想定されております。しかも、その大
部分
が
輸入
の
エネルギー
に頼らざるを得ない、簡単に申しますと、
輸入
の
石油
に頼らざるを得ない、こういう
状況
で、いわゆる
国産エネルギー
でまかなえる
部分
というのは、きわめて少ないということに相なるわけでございます。そのような
状況
をその第一図の下のほうに円
グラフ
で示してございまして、
昭和
六十年度には全体の約七五%を
石油
に依存せざるを得ないというような
状況
になっております。そこで、
エネルギー需要増
の中でも最も重要な
電力需給
の
見通し
でございますが、この点につきましては次の五ページをごらんいただきますと、五ページの下の第二
図B
におきまして、将来
昭和
七十五年まで、
つまり
紀元
二十一
世紀
までの
電力
の
需給関係
を見てございますが、全体の中で
昭和
六十年度ぐらい以降になりますと、水力、
火力
による
部分
はほとんどなくなりまして、六十年以降はほとんど
原子力
に依存していくという形をとらざるを得ない、こういう
状況
であるわけでございます。これは
わが国
の
電力需要増
が御
案内
のとおり非常に急速に伸びているということからくるわけでございまして、四ページにも書いてございますように、四十年度を
基準
といたしますと、五十年度はその二倍、六十年度に至っては四十年度の五倍もの
電力
を必要とする、こういう
見通し
でございます。こういう
状況
でございますために、
各国
とも将来の
電力生産面
におきまして
原子力発電
に大きく依存しよう、こういうふうに考えておるわけでございまして、その
状況
は次の第七ページ第三図にごらんいただくとおりでございます。第三図におきましては
アメリカ
、
イギリス
、西ドイツ、
フランス
、
イタリア等主要国
におきますところの
昭和
六十年ごろまでの
原子力発電計画
を
グラフ
にしたものでございますが、ごらんのとおり
アメリカ
におきましては
昭和
四十年度にはわずか百八十万キロワットであった。これが四十一年からことしにかけまして非常に大きな
原子力発電計画
を打ち出しておりまして、本文にもございますように、この一年間に
アメリカ
で
建設
が契約されました
原子力発電
の量は、実に二千四百万キロワットにも達しておるわけでございます。さらに
イギリス
におきましては、早くから御
案内
のとおり
原子力発電計画
を持っておりまして、
昭和
六十年までには四千万キロワット以上の
計画
を打ち出そうとしております。
わが国
は、いままで申し上げましたように、
国外エネルギー
に依存しなければならぬという
状況
もございまして、
原子力発電
に特に大きく期待する
理由
があるわけでございますが、ただいま
原子力委員会
の
長期計画
で策定しております
見通し
によりますと、
昭和
五十年において約六百万キロワット、
昭和
六十年において三千万ないし四千万キロワットを見込んでおるわけでございます。この
グラフ
におきましては平均をとりまして三千五百万ということで線を引いてございます。 このような
各国
との
関係
で進んでまいっておるわけでありますが、この
状況
は、さらに九ページの第四図をごらんいただきますと、
昭和
四十年度から始まりまして、五十年度、六十年度、七十五年度に及んで
原子力
の
比重
がだんだん大きくなっていくところを示してございますが、先ほどの
グラフ
は六十年度まででございましたが、さらに
昭和
七十五年度までこれを延長して考えてみますと、およそその全
発電量
の半分は
原子力
に依存しなければならないという
状況
が出てきておるわけでございまして、
わが国
におきます
原子力発電計画
を早急に推進しなければならないという
状況
が明らかであると思うわけであります。第四図の上のほうにございます
図面
は、現在
わが国
において進められつつございます
原子力発電所
の
建設計画
でございます。このように
原子力発電
の将来の
比重
は、非常に大きくなると見込まれるわけでございますが、それにつきましては、やはりその
経済性
が問題であります。そこで、
経済性
の点につきましては、次の十一ページをごらんいただきますと、
各国
の
情勢等
から見ますと、
原子力発電
の
発電コスト
は年々
低下
いたしておりまして、その
低下
の
速度
は、
在来
の
火力発電
などに比べますと非常に急速な
低下
を来たしております。その
理由
は、第一にはこの間における著しい
技術進歩
のあらわれであります。第二には、やはり
原子力発電所
というものは非常に大型化していく、こういう
二つ
の
理由
から急速に
発電コスト
が
低下
しております。
アメリカ
におきましては、十ページにございますように、民営のものでも
キロワット当たり
一円二十銭から一円五十銭、公営のものでございますと、キロワット時
当たり
九十銭から一円十銭と、一円を切るような
発電コスト
もすでに言われておるわけであります。
わが国
におきましては
金利等
の違いもございますので、現在の
見通し
では、次の十二、三ページにございますように、現在のところ
日本原子力発電株式会社敦賀発電所
、それから関西
電力
の
美浜発電所
、東電の
福島発電所等
、
建設
中の三十万から四十万キロワットのものにつきましては一キロワット時
当たり
大体二円六、七十銭から三円
程度
でございますが、将来の発展を見ていきますと、
昭和
五十五年になりまして百万キロワット級の
発電所
ができるようになると考えておりますが、その
程度
の
規模
になりますと、一円五十七銭から一円八十銭、
つまり
二円を切る
発電コスト
が見込まれております。同じころにこの百万キロワット級の
発電所
を
重油火力
で
建設
いたしますと、その
発電コスト
は二円から二円二十銭
程度
見込まれるわけでございますが、今後
原子力発電
のほうが
重油新鋭火力
よりも安くなる
可能性
を大きく包蔵しておるわけであります。さらにそれだけではなく、第六図のBにございますように、大
規模
になればなるだけ問題であります
燃料
の
備蓄
という点から見ましても、
原子力
は
重油火力
に比べまして非常に経済的であるということが明らかであります。また次の十五ページ第七
図A
にごらんいただきますように、同じ
規模
の
発電所
を二十年間運転するに必要な
所要外貨
を比較してみますと、
重油火力発電
におきまして八百億円余りかかりますものが、現在導入しております
軽水型炉
というようなものでもその半分で済みます。後ほど御
説明
いたします
事業団
の
開発
しようとしております
新型転換炉
に至りましては四分の一の
外貨
で済む、こういう試算が出ておるわけでございます。このような
経済性
の点で見ましても、
所要外貨
の節約あるいは
備蓄
の
容易性等
から見ましても、将来
原力子発電
に大きく依存すべきであるということが出てまいるわけでありますが、次の問題は、このような大
規模
な
原子力発電計画
をどういう型の
原子炉
で実現していくかということに相なります。 そこで、現在
世界
的に見まして
原子力発電
を実際にやられておりますのはいわゆる
在来型炉
、こう呼ばれておるものでございます。
在来型炉
と申しますのは、端的に申しますと、
イギリス
、
フランス
で
開発
されました
天然ウラン
、
黒鉛減速炭酸ガス冷却
型と、
アメリカ
、ソ連で
開発
されました
濃縮ウラン軽水減速冷却
型この
二つ
でございます。これに対しまして今後
開発
されていくであろう、いわゆる将来炉といたしましては先ほど申し上げました
新型転換炉
と
高速増殖炉
があるわけでございます。 この
原子炉
の
分類
につきましては同じ
資料
の二十三ページ、第十
図A
をごらんいただきますと、
原子炉
の種類の
分類
が出ておりますが、
動力炉
を大きく分けまして、
熱中性子炉
、
高速増殖炉
に分かれます。
熱中性子炉
の中で
在来型炉
と
新型転換炉
というふうに分かれるわけでございまして、
新型転換炉
及び
高速増殖炉
は、今後も
開発
されていくべき炉であるわけでございます。
在来型炉
でなぜ済まないかという点でございますが、
在来型炉
、特に現在その
経済性
において非常な
可能性
を示しております
軽水
型、
つまり
濃縮ウラン軽水減速冷却
型を例にとりますと、これにつきましての
一つ
の問題がございます。それは、この型の
原子炉
は水を
減速冷却
に使いますために、どうしても
濃縮ウラン
が必要である。
濃縮ウラン
は御存じのとおり非常に大量の
電力
を使いまして濃縮するわけでございますので、どこの国でもが
経済性
のある
濃縮ウラン
を生産することはできません。したがいまして、現在では実際
上アメリカ
にのみ依存せざるを得ない、こういう
状況
でございます。この点におきまして
一つ
問題がございます。さらに、こういうことと相まちまして、
世界
に埋蔵されます
ウラン
の
効率的使用
という点から見ますと、その
使用効率
が非常に低いのでございます。このことは、ことばをかえて言いますと、同じ
エネルギー
を生産するのにたくさんの
ウラン
を使わなければならない、こういうことに相なるわけでございます。この点を簡単に示したものが十九ページの第八図並びに二十一ページの第九
図等
でありまして、十九ページの第八図では、
世界
の
ウラン
の
埋蔵量
が示されておりますが、大体安い一ポンド
当たり
十ドル以下のものが六十数万トンということになっております。それに対しまして
昭和
七十五年、
相当先
ではございますが、
紀元
二十一
世紀
までの間において、もし
わが国
が
軽水炉
だけで
発電
を行ないますと、その間に必要とする
ウラン
の量は約四十万トンに達するわけであります。これがもし今後新しい
新型転換炉
あるいは
高速増殖炉
を
開発
してまいりまして、これを
わが国
の
原子力発電計画
に織り込んでまいりますと、その
所要量
は同じ
昭和
七十五年までに四十万トンの半分以下、十七万トン
程度
で済むという
計算
が出ておるわけで、このことは
軽水炉
が
ウラン
をよけいに使用する炉型であるという不利を示しておるわけでございます。同じようなことが二十一ページの第九図で示してあるわけでございますが、こういった点を勘案しまして、将来の
原子力発電計画
を具体化してまいりますにあたっては、
軽水炉等
のいわゆる
在来型炉
のみによるのでは不十分でございまして、びひとも新しい型の炉を
開発
し、これをなるべく早く
発電計画
の中に
組み入れ
ていくという必要が感ぜられるわけでございます。その
組み入れ
の様相を示したのが第九図の上の
A図
でございまして、まず
在来型炉
で
原子力発電計画
を進めて
昭和
五十五年くらいになりまして、
新型転換炉
が実用化しますときにこれを
組み入れ
ていく、さらに
昭和
六十年を過ぎまして
高速増殖炉
が実用化しますときに、またこれを
組み入れ
ていくという形を考えることによって、先ほど申し上げましたように将来
わが国
として必要とする
濃縮ウラン
の量を半分以下に減らすことが可能と考えられるわけであります。 そこで、これらの炉型をどういうふうにして
開発
し、
発電計画
に取り入れるかでありますが、これらの新しい炉型は当然のことながら
各国
が現在もう競争して
開発
中でございますので、
わが国
においても
技術開発
の
重要性
を考えますときに、ただ単に
外国
の
技術
に依存するわけにはまいりません。そういった点を勘案しまして、国の力をあげて新しい
動力炉
を
わが国
の手で
開発
していく必要がある、そうして最も適切な時期に適切な形でこれを
発電計画
に
組み入れ
ていく、そのことによって
わが国
における
原子力発電計画
を最も効率的に進める
心要
がある、このように考えられたわけであります。 そこで、この新しい型の
動力炉
を
開発
する
事業団
が必要なわけでございますので、ここに新たに
動力炉・核燃料開発事業団
を設立さしていただき、この
事業団
を
中核的機関
としまして、国の
総力
をあげて、官民の力を結集して諸
外国
に負けない
速度
でこれらの新しい
動力炉
を実用化し、
組み入れ
ていくようにいたしたい、このように考えた次第であります。 そこで、次にこのような経緯で考えられましたこの
動力炉・核燃料開発事業団
につきまして、先般
提案理由説明
でも申し上げたわけでありますが、簡単に要点だけ
説明
申し上げます。 まず第一に、この
事業団
が行ないますところの
業務
でございますが、大別しまして
二つ
ございます。
一つ
は
新型転換炉
並びに
高速増殖炉
の
開発
というものでございます。それからもう
一つ
は、
核燃料関係
の
開発
並びに
事業
を行なうことでございます。
動力炉関係
について申しますと、
動力炉関係
では、ただいま申しましたように、従来
在来
型と述べられておりますところの
動力炉
の
開発
は、主として
民間
の努力に期待いたしまして、この
事業団
では新しい
動力炉
、
つまり
高速増殖炉
と
新型転換炉
の
開発
を進めてまいるわけでございますが、ここで
高速増殖炉
あるいは
新型転換炉
といいますものを、どのように定義づけておるかといいますと、この
事業団法案
の第二条にも示してございますとおり、
高速増殖炉
といいますのは、炉の中で主として
高速
の、スピードの早い
中性子
によって
原子核分裂
の
連鎖反応
が行なわれる
原子炉
でございまして、その結果、
原子炉
の中で消費されました
核分裂性物質
よりも
副産物
として生成される
核分裂性物質
のほうが多いものを申しまして、簡単に申しますと消費された
ウラン
二三五あるいは
プルトニウム
二三九よりも
副産物
としてできます
プルトニウム
二三九のほうがより多い、
つまり
燃料
の
増殖
ができる、こういうものを
増殖炉
と呼んでおります。
高速
の
中性子
を使いますので
高速増殖炉
というわけでございます。
他方
、
新型転換炉
は同じく第二条の定義にございますように、
原子炉
内における
核分裂
の
連鎖反応
が主として
熱中性子
で行なわれるものをいいます。
熱中性子
と申しますのは、
高速中性子
が
漸次炉
の中で動き回るうちに
速度
が落ちまして、大体数万分の一
程度
におそくなります。このようにおそくなった
中性子
を使って
連鎖反応
を起こすものでございまして、
在来型等
はすべてこれに類していることは先ほどの
図面
で御
案内
のとおりでありますが、そういったものの中で、
政令
で指定する
転換比
を持つもの、
つまり
消費された
核分裂性物質
の量に比べまして
副産物
として新たに生成される
核分裂性物質
が
政令
で定める
比率
以上のものということにいたしてありますが、この「
政令
で定める
比率
」といいますのは、今後の
設計
にまたねばなりませんが、概略私どもの考えておりますのは〇・八
程度
以上と思っております。
つまり
十燃えましたときに八つは新しい
核分裂性物質
ができる、こういう形の炉を
新型転換炉
といっております。現実には、しかしながら
新型転換炉
に属しますものの数多くある中で
わが国
が
開発
しようと思いますのは、先ほどの
燃料経済
という点を
中心
に考えまして、
重水減速沸騰軽水冷却
型というものを選定いたしてございます。この型の炉を
開発
してまいろう、こういうわけでございます。この型の炉は、うまくまいりますと
天然ウラン
でこれを動かすことができますし、あるいは
天然ウラン
に
プルトニウム
をまぜて運転することもできる。この点におきまして諸
外国
に例を見ない
一つ
の
わが国
独自の形ということに相なるわけでございます。 そこで
開発
のスケジュールは、この
図説
の
資料
でごらんいただきますと三十七ページ第十七図にございますように、四十二年度に
事業団
が設立されますと、そのときから具体的に始まりまして、
新型転換炉
については四十五年までに
設計
を進めて
建設
にかかり、四十九年中に
建設
を終わり、五十年には
試運転
、直ちにこの
発電
に移る、こういうことでございます。
他方
、
高速増殖炉
につきましては、
二つ
の
原子炉
を実際に
建設
するわけでありまして、
一つ
は
実験炉
、
一つ
は
原型炉
と申しております。
実験炉
のほうは四十四年から
建設
にかかりまして四十七年中に完成し、引き続いて
試運転
に入る、でき上がりました後は種々の
実験
に使うとともに、将来の
高速増殖炉用
の
燃料
の
試験等
を重点的にやってまいりたいと考えております。それから
原型炉
につきましては、
昭和
四十四年ごろから
設計
に入りまして四十七年末に
建設
にかかり、五十年に
建設
を終わりまして五十一年から
試運転
に入る、こういうふうな
プログラム
を組んでございます。申し落としましたが、
新型転換炉
の
原型炉
と申しますのは
電気出力
にしまして約二十万キロワット
程度
を考えております。また
高速増殖炉
における
原型炉
としましては、
設計
が煮詰まりませんと確定いたしませんが、大体
電気出力
で二十万キロワットから三十万キロワットを考えております。で、このような
原型炉
、
実験炉
の
建設
並びにこれをサポートする諸種の
研究開発
、これを
事業団
を
中核体
として行なうわけでございますが、これに要します資金は、同じ十七図の下にございます表のように、十年間で総額約二千億円を予定いたしております。この二千億円のうち
高速増殖炉関係
が約千二百七十億円、それから
新型転換炉関係
が約六百七十億円くらいに相なるわけでございます。さらにこの図にはございませんが、
人員
といたしましてはこの
動力炉開発
に必要な
人員
は、
昭和
四十九年あるいは五十年ごろの
最盛期
におきましては大体千二百人
程度
がこの
計画
に取りかかる
心要
があろうというふうに推定いたしてございます。 大体の
動力炉開発
の
内容
は以上のとおりでございますが、この
事業団
をつくりましてこの
開発計画
を進めるにつきまして、いわゆるその
運営
につきましては、いろいろと新しくくふうしてまいる必要があると思っております。と申しますのは、このような
開発計画
というのは、
わが国
でこれまで経験したことのないような大型の
開発プロジェクト
でございますので、先ほど来申し上げますように国の
総力
を結集して当たる必要がございますが、同時に、
計画
を新しい分野で進めるにあたっては、常にこの
計画
の
進捗状態
というものを的確に評価しつつ行なう必要がある、こういうことから、俗に申しますチェック・アンド・
レビュー方式
というものを十分に取り入れてやりたい。具体的には、このごろ発達しております
電子計算機等
を十分に縦横に駆使いたしまして、
プログラム
・エバリュエーション・アンド・レビュー・テクニックという新しい
技術
などを十分使いまして的確なる
計画
の
進展
をはかりたいというふうに考えております。 それから第二には、
総力
を結集するというような趣旨から、
原子力研究所
をはじめ
大学
あるいは
民間
の
研究機関等
を動員する。そのためには、
法案
にもございますように、
一つ
の
基準
を設けまして、この
基準
に沿って
研究開発
の委託を十分に行ないまして、そのようなことから
総力
を結集して、この
事業団
が
中心
となり的確なる有効なる
計画
の
進展
をはかるようにしたい、こういうふうに考えております。 で、このような進め方につきましては、当
法案
の第二十五条にございますように、
原子力委員会
の議決を経て
内閣総理大臣
が定めますところの
基本方針
及び
基本計画
をもって
事業団
の
運営指針
に当てるようにいたしたい、こういうふうに考えております。 このような考え方でつくられます
事業団
の性格は、したがいましていわば
動力炉開発
につきまして、
わが国
の
研究開発
の
中枢的役割り
をいたします
機関
でございまして、この立てられました
開発計画
についての
責任
を全面的に負いますとともに、各
関係機関
の力が十分発揮できるようにこれをもっていく、そういう
役割り
を持っているわけでございます。対外的な
協力
ということも必要でございましょうが、そういった点につきましても
事業団
が
責任機関
としてこういった
国際協力
の
実現等
についても進めてまいる、こういうことを考えているわけであります。 以上、この
事業団
の
動力炉開発関係
の
業務
について申し上げたわけでございますが、この
事業団
は、設立にあたりまして、現在ございます
原子燃料公社
、これを解消いたしまして、それが現在行なっております仕事を全面的に承継することにいたしてございます。 このような形にいたしましたのは、一面、政府の政策としまして、新しい公社、公団等をいたずらにふやさないという政策に沿ったことでございますが、
他方
、また
動力炉
の
開発
というものが核
燃料
の
開発
と密接不可分である、こういった点も配慮いたしまして、従来、
燃料
公社で行なわれておりました核
燃料
の
開発
ということをあわせ進めることによって、
わが国
としまして最も適切な
動力炉
並びに核
燃料
の
開発
を確保してまいりたいという考え方を持っているわけでございます。そこで、この
事業団
につきましては、
核燃料関係
で従来
燃料
公社がやっておりましたような
業務
をその
業務
の範囲に掲げてございまして、国内における探鉱、国内における核
燃料
の生産あるいは保有さらに再処理の
業務
もこの
事業団
で行なうことにしてございます。特に今後重要な問題であります核
燃料
の確保につきましては、国内における探鉱のみならず、必要な場合には海外における探鉱も総理大臣の認可を得て行なうことができるようにいたしてございます。そのほか、もちろん附帯
業務
があるわけでございますが、このような趣旨で
動力炉・核燃料開発事業団
を設立するにあたりまして、
原子力
燃料
公社を解消し、その仕事を全面的に承継いたすわけでございますが、これによって
動力炉開発
の
業務
あるいは核
燃料
開発
の
業務
というものが非常に相互に入り乱れて複雑になり、したがって
運営
がうまくいかなくなるということがあってはいけませんので、
法案
にも三十一条に規定してございますように、区分経理を行なうということを定めてございます。
つまり
動力炉開発関係
の
業務
についての経理とそれから再処理——これは
一つ
の将来
事業
化されていく要素も持っておりますので——に関します経理と、その他の
核燃料関係
の経理、三つに区分いたしまして経理する、それによってそれぞれの
業務
が経理上入り乱れて混乱を起こさないように、このような配慮をいたす所存でございます。 最後に、この
事業団
の組織の模様でございますが、
資料
の三十九ページ、第十八図をごらんいただきますと、これはまだ決定的なものではございませんが、この
動力炉・核燃料開発事業団
が設立されました暁に、どのような立場で
業務
を進めていくか、またその内部職制は大体どういうものになるかということを御参考までに図にしたものでございますが、これでごらんのとおり、理事長のもとに副理事長二名置きまして、それぞれの副理事長が、一方は
動力炉開発関係
について、
他方
は核
燃料
開発
につきまして、それぞれ
責任
を持つ形になりまして、その下にそれぞれの理事者がそれぞれの
業務
を担当して仕事を進める。経理あるいは総務
関係
につきましては、これは両方に関連いたしますので、両方がそれぞれ
協力
をしていく、こういう形を考えているわけでございます。そのことから
法案
に規定してございますように理事長一名、副理事長二名、理事八名以内、そのほか
動力炉開発
を
総力
結集態勢でもっていくために必要な場合を考慮いたしまして、非常勤理事三名以内を置かしていただくようにお願いしてあるわけでございます。そこで、
動力炉
、核
燃料
の
開発
というものが、いわば車の両輪のごとく理事長のもとに統率されて効率的に進められることを期待いたしておるわけでございます。なお、理事長、副理事長等の役員の任命につきましては、理事長につきましては、
原子力委員会
の意見を聞いて総理大臣が任命いたします。副理事長以下の理事につきましては、理事長が総理大臣の認可を得て任命する。監事につきましては、総理大臣が
原子力委員会
の意見を聞いて任命する。このような任命方式を考え、このような
法案
につくってございます。 たいへん要領を得ませんかったかと思いますが、以上をもって御
説明
を終わります。
鹿島俊雄
4
○
委員長
(
鹿島俊雄
君) それではこれより両案の質疑に入ります。質疑のおありの方は順次御発言願います。
阿部竹松
5
○阿部竹松君 この
二つ
の
法案
は、ただいま衆議院で審議中でございまして、聞くところによりますと、政府が入っておるかどうかわかりませんけれども、与野党で大修正を加えておるというようなことも聞いておりますので、条文についてお尋ねをしても、修正されて回ってきた場合には、違っておりますと論議しても何にもならぬ、まあこういうことになりますので、この
法案
がいよいよ回ってきたときに参考になる基本問題とか、アウトラインについてお尋ねしたいと思うわけなのですが、その前に、きわめて適切な図解
説明
書をいただきまして、各省の
説明
書の中できわめて出色の
説明
書だというふうに思うのですが、ただ、
一つ
私疑点に思いますのは、通産省から今回の国会に出されております
石油
公団
法案
ですね。あの
石油
開発
公団
法案
のそれぞれの図解
説明
あるいはこの十三ページに
原子力
と
重油火力
の比較が出ておりますね。ただいまの局長さんのお話で承っても、この図解を見ましても、重油のほうはずっとこう横ばいでいくわけですね。あなたのほうの
原子力
のほうはずっと下降線をたどっておる。まことに望ましい姿になっておる。しかし私どものいただいておる、
石油
ですから鉱山局ですが、そこの図解はこのようになっておりませんよ。この
説明
書は有沢さんがやっておられる総合
エネルギー
の審議会で論議し決定されたものか。それとも国の総合
エネルギー
としていろいろ検討されておる経済企画庁の結論を得て出されたものか、あるいは単なるあなたのところで参考
資料
として出されたものか、それをまず承りたいわけです。ということは、いま当
委員
会にかかっておりますYS11のあの飛行機会社に融資をして、てこ入れするというような法律、十年前ここで論議して決定したときと、もう相当開きがあるわけです。政府の
説明
で私ども論議したことと、十年後たった今日とでは相当差がある。これは
説明
した政府も
責任
あるでしょうけれども、論議したわれわれもこれは当然そしりを免れぬだろうと思います。したがって、これはべらべらと御
説明
を承わって、通産省の出すデータ、数字と、あなたのほうの出す数字と同じでなければならぬわけです。科学
技術
庁と通商産業省と違っておっても、国の将来の
エネルギー
はどういうそのカーブを描いていくんだということは同じでなければならぬわけです。したがって、そういう点について、これは私きわめてりっぱにはできておるけれども、疑問を持つのです。これは経済企画庁が認め、国の総合
エネルギー
として、その中でこういうケースでいくんだということを、単なる
原子力
の発想なのかどうか、その点を私は承りたい。
村田浩
6
○
政府委員
(
村田浩
君) 御指摘のございましたこの
資料
の第六図の、将来における
重油火力発電
のコストの
見通し
並びに
原子力発電
のコストの
見通し
につきましての前提は、右のほうのページに書いてあるとおりでございますが、この根拠は、通産省の総合
エネルギー
調査会の
原子力
部会で検討いたしました際の
資料
によっております。
阿部竹松
7
○阿部竹松君 十三ページにあなたのほうの、この下のほう、下降線をたどっているのは
原子力発電
のコストがこのくらい。ところが、重油のほうは平行線、横ばいですね。しかし、私ども
原子力
のほうはきょう初めていただきましたが、
石油
のほうは
商工委員会
なものですからいただいておるが、こういうことになっていない。それは本日ここで可決、決定するわけでございませんから、通産省と打ち合わせたあと御答弁いただいてもいいわけですが、まあ
一つ
でたらめな図解になると全部でたらめだというように私どもは即断しがちですから、そのあたり明確にお答え願いたい。
村田浩
8
○
政府委員
(
村田浩
君) この十三ページの
図面
は総合
エネルギー
調査会の
原子力
部会で相当の時間をかけて検討されます際に、百万キロワット
規模
のそれぞれの
発電所
を、
重油火力
で
建設
した場合、
原子力発電
で
建設
した場合、これは将来のことでありますが、その際の
発電コスト
の
関係
を一応試算しましてつくった
資料
でございますので、私どもとしましては、まあ通産省の
エネルギー
調査会のほうとは十分協議して、この
見通し
を立てておるつもりでございます。私の記憶では、
図面
がやや
重油火力
の場合横に伸びておる感じの
図面
になっておりまして、その点ちょっと書き方の点はあろうと思いますが、要点は、右のほうの
図面
の
説明
にございますように、将来の
昭和
六十年ごろの
石油
の値段がどの
程度
かということは
一つ
の推定ではございますが、たしか四十五銭
程度
と見て
計算
されたと記憶いたしております。これは試算しましたのが昨年の春でございますので、あるいはその後の
状況
で多少数字が変わってきておるかもしれませんが、
エネルギー
調査会としては、そのときの
資料
に基づいて将来のコスト推定を行なっておりますので、それと私ども合わせてこの
資料
をつくったわけでございます。
阿部竹松
9
○阿部竹松君 次にお尋ねしますことは、ただいま
説明
された中にあったんですが、
アメリカ
と日本と
イギリス
の
電力
料金の
関係
ですね、
アメリカ
は大きな川があり石炭が安い、油もあるわけですから、十年たっても
原子力
よりも
アメリカ
は現行のほうが安いんですよ。私の見た
資料
に誤りがなければ。しかしあなたのお説を承るとそういうことにならぬですね。どこで調査されておるかわからぬけれどもですね、そういうことになっておらぬわけです。それからまたこの数字を見ますと、十年後膨大な
発電
力が出て市販されることになるんだが、はたしてそれだけの御自信があるかどうか。これはいやみでなしにお伺いしたい、十年たって。これはいまは生まれる初歩だからやむを得ないと思いますが、しかしながらこれから東海村、敦賀にもできる。それあたりは、
石油
あるいは重油あるいは石炭、水こういうものの総合したものの総
発電
力よりも、はたしてこのとおりの数字でこれだけいくかどうかということ。土地一カ所獲得するのでも容易でないでしょう。二年、三年かかる。はたして
原子力
局長の御答弁なさったように土地が確保され、それだけの
原子炉
が
開発
されていくかということ、十年くらいの短日数で、もう百万キロふやしますとかあるいは百五十万というんだったら理解できますが、はたしてこれだけの膨大な
発電
力を持つことができるかどうか。私は御答弁がいい悪い、中味がいい悪いではない。私自身のしろうと考えですが、そう思うわけです。もしこのとおりいかなかったらということで、十年後あなたを責めるわけにいきませんからね。これはちょっと架空の話といっては極端な表現になりますが、そのような気がしますね、いかがですか。
村田浩
10
○
政府委員
(
村田浩
君) まず第一の
アメリカ
における
原子力発電
の今後の
見通し
ですが、御指摘のとおり
アメリカ
におきましては天然ガスあるいは
石油
等国内
エネルギー
資源が非常に低廉であります。特に天然ガス産地では非常に低廉でございますので、これを使用いたします
発電所
というのは、非常に
発電コスト
が低いわけです。しかしながらごく最近のことでございますが、TVA
計画
で地元にあります石炭あるいは天然ガス、
石油
等を使う
発電所
と、それから
原子力発電所
等を入札させまして比較検討した結果、大体一基百十万キロワットという非常に大きな
規模
でございますが、一基百十万キロワットを二基並べたそういうユニットでございました場合、
原子力発電所
の
発電コスト
は、これは
アメリカ
の条件においてでございますが約九十銭
程度
、キロワット時で。このことは、その場所におきます非常に安い天然ガスあるいは石炭、
石油
等を使いました九十七、八銭というのに比べて、十分に対抗できる
発電コスト
であるということで、TVA当局から
原子力発電所
の
建設
が決定された事情もございます。そういうこともあると思うのでございます。ここに書きましたとおり、この一年間におきまして、
アメリカ
の中において発注されました
火力
、水力を含めての
発電所
建設
契約のうちに、実に七五%が
原子力発電所
の契約になっておる。と申しますことは、
アメリカ
は民営の電気
事業
でございますので、やはり
発電コスト
というものを、大きな要素にして考えておるわけでありまして、その点からしてかなりにこの
原子力発電
のコストの確実性ということが見通されておる証拠であろうと思っております。 それから第二の、
わが国
の将来のこの
規模
が、実際に用地などの点で実現可能なのかどうか、こういった点でございますが、
原子力委員会
における御検討でも、あるいは通産省の総合
エネルギー
調査会における御検討でも、
原子力発電
の
経済性
につきましては、先ほど来申し述べましたようなもちろん幾つかの前提条件がございますが、相当の実現
可能性
を見ておる。しかし問題が
二つ
あるわけでございまして、その第一は、このような大きな
原子力発電計画
を支えるに必要な核
燃料
をどうやって確保するか。それから第二には、ただいま阿部先生御指摘のように、相当の用地が必要となってまいりますが、
わが国
のような事情でこの用地の確保をどうしてやっていくか、この
二つ
が今後の
原子力発電計画
を実現するにあたっての重要な問題であるという指摘がなされております。したがいまして、この
昭和
六十年度における三千万ないし四千万というものがどことどこにどのようにということは、まだ具体的なところまで煮詰まっておりませんけれども、十年後の六百万キロワットということにつきましては、一応各
電力
会社等でも、通産省はもちろんでございますが、御検討いただきまして、中に幾つかまだ確定していないところもございますけれども、ほぼその場所も確定しております。
規模
も確定いたしております。それでこの十年後の六百万キロワットというものは、私どもとしてはその実現性の点で、用地も含め、かなり確実性の高いものと見ておるわけでありますが、その
一つ
の
理由
は、たとえばただいまの東電の福島
発電所
にいたしましても現在
建設
中のものは四十万キロワットでございますが、第二号基は七十八万キロワットにすることがすでに確定いたしております。さらに同じ場所、ここは約百万坪の土地を確保しておるわけでございますので、その同じ敷地の中にさらに
二つ
、したがいまして合計四つの
発電所
を持つことが
計画
されております。同様のことが関西
電力
の
美浜発電所
についても、あるいはまた、これはまだ具体化しておりませんけれども、原電の敦賀
発電所
の敷地についても申せるわけでございまして、すでに獲得され、
建設
が行なわれている
発電所
の用地に、ちょうど
火力発電
所における二号基、三号基のような形で
原子力発電所
が第二基、第三基と出ていくことがかなり確実に見られておりますので、それらの
規模
を合計いたしますと、ほぼ六百万キロワットというものが達成可能であろう、こう見ておるわけであります。
阿部竹松
11
○阿部竹松君 ことばじりを取るわけではありませんけれども、その「であろう」というのが困る。そうであろうということで法律をつくるわけにはいかぬわけですよ。私はきのうの石炭がきょうの
石油
であって、やがてあすの
原子力
というように、
エネルギー
というものが変遷すると考えておるわけですから、
原子力
そのものには、平和利用されるのは大賛成なんですよ。ただあいまいもことして、いまおっしゃったような、であろうという、ちょっとできそうもないことをああそうですかといって賛成するわけにはいかぬ。たとえばいま
アメリカ
の
電力
の話をされましたが、
アメリカ
では水力、
火力
を含めて現在一円三十銭くらいでしょう。それと同時に減価償却が全部できたものですからコストは急ダウンしていきますが、いかに
アメリカ
といえどもいまの力をもってしてこれ
昭和
七十年、八十年になったらどうかわかりませんよ。現在の力をもってすれば、それは日本より安いものができるかもしらぬ。
ウラン
もたくさんある。さりとて、いま申し上げましたとおり一円三十七、八銭の
電力
コストがぐっと急カーブを描いて減価償却をした今日安くなっておりますから、それといま匹敵できませんよ、
アメリカ
の。それは次回のとにかく
委員
会までに
原子力
局長よく調査してください。私の言うのが誤りであるのか、あなたのおっしゃるのがあれですか。現在では
アメリカ
といえども
原子力
のほうが高い。しかし百年の大計のためにあなたのおっしゃるように、それは水力も限度があり、油も限度があるわけですから、いかに
アメリカ
といえどもですよ、百年の大計のためにそれはやるでしょう。しかしあなたのおっしゃったようなあるいは急カーブを描いてやるような
発電
はやりませんよ、と私は承知しておる。ですからどうも、これ
説明
はよく理解できます、しかしこういうようなわけにはいかぬのではないかという一点の危惧を持つのです。 それから八戸とか、あるいはいろいろいまおっしゃいましたが、やはり日本人は何というか、科学に理解がないのかどうか別として、特に
原子力
云々というと、核
燃料
というとすぐ広島の爆弾投下を頭に描いたり、長崎の爆弾投下を、感情論はいけないのだが、頭に描くわけです。なかなかその点について、
原子力発電所
を置くなんといったら、これは危険であるというのが頭にしみ込んでおるから、なかなか土地を獲得して
発電所
をつくるというわけにはいかぬと私は思う。そういうのもやはり考慮に入れなければいかぬ。したがってやはり
原子力
局、これはPRもへたくそだけれども、私はソ連のウスベクというところの
原子力発電所
を見ましたが、町の高校のようなものです。これは、大臣にもお聞きになっていただきたい。この建物はいなか町の五万人くらいの町の高校のようなものです、針金の鉄条網なんかを三本くらい回してそこで
発電所
をやっておる。あれ、日本だったらたいへんです、そんなところへ、東京ならいざ知らず、どこか、三重県があるいは広島あたりへ行って高校のようなところへ
発電所
を設けますなんて言ったらこれは大反対。そういうような国民感情があるということも頭に描いて
計画
を立てておると思いますが、やはりPRも十分やらなければただいま申し上げました広島あるいは長崎の事件があるもんですから、なかなかぬぐい去られない。したがって、やはり
原子力
局でやるか、これは科学
技術
庁全体、ひいては政府全体としてやらなければならぬでしょうが、そういうところのPRもやっておかぬで、ただ法律ができたから土地獲得だ何だと言ったって、なかなか局長のおっしゃるとおり、十年たっても建物が建つかどうかわからぬ、東海村をこれから見せてもらおうと思うのですが、初め行って見たら万里の長城みたいなものを築いておる。むだ金だと思う。むだ金であってもあれを築かない限りは、そこに
発電所
設置を認めないというから、おそらくああいうことをやったと思いますが、むだ金だと私は思う。ですから、PRをやった後にやらなければ、日本の国民は科学に無知である、広島あるいは長崎のことを二十年たった今日頭に描いている、けしからぬ、これだけではなかなか
原子力発電所
なんて発達しませんよ。同時に
アメリカ
では
濃縮ウラン
はくさるほど——くさりはせぬし、困らぬでしょうが、
ウラン
は必要ないのです、
アメリカ
は
プルトニウム
が必要なんです。われわれのことばで言うと、すすですね。それがやはり核爆発の原料の
一つ
にもなるわけですから、やはり
アメリカ
はそういう点を考えて
世界
各国
に
ウラン
を売ろうとしているわけでしょう、
アメリカ
の政策、自分のところで使うよりまず売ろうというのが
アメリカ
の政策です。したがって、いまから十年くらい前、日本は
アメリカ
と
イギリス
と一ぺんに
原子力
契約を結んだ、
アメリカ
の圧力とか
イギリス
の圧力とは言いませんけれども、出発当時は
イギリス
型で出発したはずだ。あなたの何代か前の局長さんは、いまこうおっしゃるけれども、そういうことじゃなかったはずだ。なぜこんなになったか、ひとつ
理由
をお尋ねいたします。
村田浩
12
○
政府委員
(
村田浩
君)
わが国
の最初の
原子力発電所
がいわゆる
イギリス
のコールダーホール改良型といわれるものを導入し、東海村に
建設
したことは御指摘のとおりであります。これを当時選ばれましたのは、私どもの承知するところでは、やはり当時の事情といたしまして
燃料
に
濃縮ウラン
を使うかあるいは
天然ウラン
を使うかこの観点からしたときに、日本のように国内にあまり多くの
ウラン
の埋蔵が期待されない場合に、それを海外から入れるとしましても、できるだけたくさんの場所から入れる
可能性
のあるもの、したがいまして
天然ウラン
、これが使用できる
原子炉
が望ましいのではないかと考えられたこと、それから第二に、このような
天然ウラン
を使う
原子炉
として、当時すでに海外において
開発
されておりましたものとしては
イギリス
におけるコールダーホール型と
フランス
におけるEDF、こういうものの
二つ
あるわけでありますが、その
二つ
の中では、明らかに
イギリス
のコールダーホール型のほうが
技術
的に進歩しておる。いわゆる実証性を持っておる、こういうことから最初の
原子力発電所
として
天然ウラン
を使用します
イギリス
型の
原子力
を入れたことになったと承知しております。しかしこれが、ではなぜいま
アメリカ
の
軽水
型を主として入れるように切りかわったかということでありますが、その間にはこの約十年の間において幾つかの情勢の変化がございました。第一は、何と申しましても平和利用でございますから、
原子力発電
のコストが問題であり、当時
天然ウラン
を使いますコールダーホール改良型と申しますものは、この
発電コスト
、
規模
にもよりますが、当時の他の
在来
燃料
に比べまして若干高い
程度
でいけるのではないか。したがって、
規模
が大きくなり、大量生産化されれば、
在来
の
燃料
、すなわち石炭とか
石油
というものに比べて、ほぼ競争可能なコストでできるのではないかというふうに考えられておったことが
一つ
であります。それから第二には、そういった点で
経済性
は十分これで達成できると思っておったわけでありますけれども、かつまた、いよいよというときは国内の乏しいものでありましても、
ウラン
が使えるということが、やはり当時の核
燃料
の
世界
の情勢からして、何といいますか、安全保障的な意味が非常に強く感ぜられておった。そういったような
二つ
の要素が大きな原因、
理由
となって、この型の
動力炉
をつくることになったわけでありますけれども、その後、こういった情勢というものは非常に変わってまいりまして、いわばこれは核の軍事利用というものの姿が変わってきた、国際的に変わってきたということから、一時
ウラン
がダブついてくるというと大げさでありますが、そういう過剰生産的な様相を呈しまして、そのために
ウラン
の価格が非常に
低下
いたしました。それで
ウラン
の価格が
低下
いたしますと、それに伴いまして
濃縮ウラン
の価格もぐっと安くなってまいります。
濃縮ウラン
が非常に安く入手できるようになりますと、何といいましても濃縮した
燃料
のほうが
原子炉
自体が非常に小さくできますので、その
建設
費が小さくて済む。
建設
費が小さくて済むと、日本のような金利負担の高いところでは非常にそのことが
経済性
にきいてくる。こういうような点が関連しまして、現在の
状況
では
イギリス
型の
原子炉
よりも、
アメリカ
型の
濃縮ウラン
を使う
原子炉
のほうが
経済性
としてはすぐれているのではないか、このように判断されるようになったわけであります。これと関連しまして、
濃縮ウラン
が
アメリカ
だけにしか供給を依存できないということは依然残るわけでありますけれども、しかし、
アメリカ
としましては、先ほどの阿部先生のお話のとおり、相当量のすでに
濃縮ウラン
を手持ちで持っているものでございますから、海外に対する
濃縮ウラン
の供給につきましては非常に積極的でございまして、相当の大量のものといえども、これが平和目的に限り、どしどし出して使ってもらいたい、こういうことを大統領も申しておるわけでございます。また、その価格につきましても、非常に安い価格がきめられております。そういったようなことから、この
濃縮ウラン
を使う炉型というものが日本の条件におきまして、ただいまの
状況
では最も安い
原子力発電
であるということに変わってきたわけでございます。ただ、そうは申しますものの、
わが国
の
燃料
事情からして、何とかできれば
天然ウラン
を使う炉型で経済的な
原子力発電
を行なえないものかという問題が残るわけでありまして、その問題に今後こたえてまいりたいというのが、先ほど申し上げましたように、この
事業団
が
開発
しようとしておる
高速増殖炉
、並びに
新型転換炉
の
開発
、こういうことに相なるのであります。
阿部竹松
13
○阿部竹松君 次にお尋ねしますが、この膨大な
計画
に基づいて遂行されるわけですが、予算の裏づけですね、たとえば防衛費などは第一次、第二次、第三次というように
計画
を立てて、あんまり
計画
に差がないような予算措置も講ぜられておる。私は、ここで二階堂
長官
と防衛費を論議したところで、これはやる場所でもありませんし、そういう問題を何時間やっても歯車が合わぬでしょうから、それはさておくとして、これにそういう
計画
がないのですね。
昭和
七十五年度まで云々といっても、聞くところによれば微々たる金額で、半分も三分の一もできないという金額を大蔵省が考えているやに承っている。これは私の聞き違いであればあれなんですが、こういう点については十分なのかどうか。 それから、たとえば探鉱費ですね、
ウラン
鉱の探鉱費、岡山県の人形峠あたりでやっておるのですね、あの懐中電灯にコードをつけたようなので。あれはガイガー探知機というのですか、懐中電灯にコードをつけたようなのでやっておりますね。あれはとてもあんた、話にも何にもならないのですな。ここであんたは理路整然としておっしゃっているけれども、探鉱費二億円です。二億円の探鉱費ではこれは話にならぬのです。これはいま
フランス
なども、初め
ウラン
鉱が出なくて、国力を相当投じて
フランス
全土にわたって
ウラン
鉱を探鉱したのですね。その結果、私の記憶しておるところでは、
フランス
が一番
ウラン
鉱が出るのですね。日本などはいま申し上げましたとおり、二億円の金でもって懐中電灯にコードをつけて、そっちのほうに電池を置いて、そうしてガーガー鳴ればここに
ウラン
鉱がありますよなどという非科学的なことをやっておって、もうこれで十年たったら、水力、
火力
合わせた以上の
発電
を起こしますなどと言っても、これは一事が万事で、これは全部
アメリカ
から
イギリス
から海外援助を仰いで海外から鉱石を買ってやるつもりでしょうが、一事が万事で、
わが国
の探鉱費
一つ
を見ても、いかに熱意がないということがわかるわけです。立証されるわけですね。そういうことですから、
長官
のお答弁は理解できるが、なかなか聞けば聞くほど実施困難である。 金が幾らかかるわけですか、このとおり七十五年までに
発電所
を
建設
しようとすれば。
村田浩
14
○
政府委員
(
村田浩
君) 御質問は、
昭和
七十五年——まあずいぶん先ですが、七十五年までの
原子力発電
の
建設
にどのくらいの費用がかかるか、こういうことかと思いますが、私どものほうでも通産省のほうでも七十五年までの
計算
はまだいたしておりません。
昭和
六十年までに大体三千万ないし四千万キロワットというところまでが現在出されておる目標でございまして、それから先、七十年、七十五年には大体一億六千万ぐらいになろうという推定はしたことございますけれども、これはあくまで試算の域を出ておりません。六十年までの三千万ないし四千万でございますが、これを大体三千五百万
程度
と見ますと、これに要します
建設
費は大体二兆二千七百億円
程度
のものと思っております。一方、この
動力炉
の
開発
のためにこの
事業団
が主として国費によりましてこの十年間に
開発
を進める二十万キロワット
程度
の
原型炉
を
高速
炉と新型炉でそれぞれ一基つくり、かつまた、
高速
炉の
実験炉
をつくっていく、この
計画
に必要なのは
昭和
五十年度までで大体二千億円ということでございます。先ほどの二兆二千七百億円といいますのは約三千五百万キロワットの
原子力発電所
を
建設
するに必用な費用でございます。
阿部竹松
15
○阿部竹松君 聞くと、現実の問題として、できるでしょうけれども、なかなか金額の数字になるとむずかしいね、局長。まあその金額、私のほうを向いて言わなくてもいいですから、隣の
長官
によく言っておいたほうがよろしい。理想は美しいけれども、現実は冷厳ですからね。 そこで、
法案
が回ってきませんので、劈頭申し上げましたとおり、
法案
の中身を論議しても始まりませんので、これで私質問をやめますが、最後に、
長官
にひとつお尋ねとお願いがあるのですけれども、まあここは一本になってやられるというので、これは
法案
が
二つ
出ておるわけですが、中身が
一つ
ですから、
一つ
論議すれば
二つ
の結論が出るということになる。ただ、これは日本ではスケールが小さくて、いつもこの種の問題ばかりでなく、申し上げるのですが、なかなか
民間
企業というのは、住友から、あるいは電気会社から三菱からみんな研究所を持って、盛んに小さい炉を持ってやっているわけですね。よその会社に抜けがけして安いコストで
発電
しようなんという考えは持っておらぬと思うのですが、そういうものを全部総合して、国が
中心
になって、そういうところに、こっちは一億、こっちは二億、こちらは三億という炉から一切
発電
装置まであれして盛んにやっているわけです。ぼくは各企業が努力して研究をされるということはけっこうだと思います。しかし、もう一歩こう進んで、みなで金を出し合って総合的な研究所をお建てになって研究なさったらどうか。こんな小さい日本の島に一億人もおって、そんな金がたくさんあるわけでもないのですから、あっちでもこっちでも研究所、各社、大きな電気あるいは金属あるいは学校——これはやむを得ないと思います、
大学
は。しかし、それ以外のものを全部糾合して、ほんとうにりっぱな研究所をつくられたらいいのではないかというように考えておるのですが、そういう点に大臣は努力していただくわけにはいかぬのですか。
二階堂進
16
○国務大臣(二階堂進君) 御承知のとおり、いろいろな研究が大型化してまいっておりますが、したがって、これには国の金で、あるいは
民間
の
協力
を求めてやる場合にも、
民間
のほうで非常にばく大な金が使われることになります。特に
原子力
エネルギー
の将来の
開発
の問題は、先ほど局長からいろいろ
説明
申し上げたとおりでありまして、国の
総力
を結集して当たらなければならない目下の私は急務ではなかろうかと思っております。そういう意味で前向きで新しい
燃料
の効率性を考えたり、また将来の
わが国
の
電力
需要
等も考えて、積極的に取り組む体制をつくりたいという意味で、
責任
のある
中核体
というものを設けて仕事をするのに今回
動力炉開発
事業団
法というものを御審議を願って、新しい法人をつくるわけでございますが、それと同時に、やはり
民間
のいろいろな電気会社等におかれても、たとえば人材養成の面においても
外国
の先進諸国の研究施設に参加して研究をしてくる、あるいは独自の研究炉をつくったりして研究をされることも私は必要ではあろうかと思っておりますけれども、先ほど阿部先生もおっしゃいましたとおり、ばく大な資金と国の
総力
をあげて取りかかっていかなければならないということから考えますならば、もう少し人材でも金でも有効に、効率的に使うというようなくめんが私は必要ではなかろうかと思っております。そういう面で、先生のいま御提案になりましたようなことも、政府といたしましても十分検討すべき問題ではなかろうかと、かように考えております。
鹿島俊雄
17
○
委員長
(
鹿島俊雄
君) 他に御発言もなければ、両案に対する質疑は、本日のところこの
程度
にいたします。
—————————————
鹿島俊雄
18
○
委員長
(
鹿島俊雄
君) 次に、
産業貿易
及び
経済計画等
に関する調査を議題とし、
宇宙開発
に関する件について質疑を行ないます。 質疑のおありの方は順次御発言を願います。
小柳勇
19
○小柳勇君
科学技術庁長官
に御質問いたします。去る七月二日の朝日新聞に「ちぎれ落ちた4段目」という見出しで、今春打ち上げましたラムダ4Sの四段目の球形ロケットがちぎれた。これを研究所でも最高首脳部だけわかっておって極秘にしていた。ところが、これを衆議院の科学
技術
振興対策特別
委員
会の三木君が
資料
提出を要求をして
資料
を出したのでわかった。こういうことが新聞に報道されておるわけですが、
長官
はお読みになったことございますか。
二階堂進
20
○国務大臣(二階堂進君) 私はその詳細な
資料
は見ておりません。ただ新聞でもってそういうことがわかったということでございます。
小柳勇
21
○小柳勇君 私は去る予算
委員
会で、たくさんの予算を使ってロケットの打ち上げを研究しておられる、もちろん研究の
開発
は急がなければならぬ、そういう立場から、成功したにしろ失敗したにしろ、ばく大な予算を使っておるのであるから、国会に報告するのが正当ではないか、たとえば米国などで事故がありますと、数千ページにわたる報告書が国会に提出されておる、そして議会もあるいは
民間
も学者も一体となってこの欠陥を検討するということを質問いたしました。
わが国
のいままでのロケットの打ち上げ研究に対して、国会あるいは文部省なり科学
技術
庁に報告書が出されておるかどうかということを質問いたしました。そのときに、これは
長官
であったか、あるいは文部大臣であったか、はっきり記憶いたしませんが、それぞれの研究所としては膨大な研究報告があるはずである、ただ国会への報告はありませんと、こういう答弁がありました。この三木君が、衆議院の科学
技術
振興対策特別
委員
会でこの問題に対して国会報告を要求しておる。三木君は報告を受け取っておるようでありますが、他の
委員
にも出してあるのかどうか。参議院では商工
委員
のだれもこの報告を受け取っておらぬ。このような重大な問題が、一人の議員が要求したから、その議員個人に報告を出すというようなことであっていいかどうか、
長官
の見解を聞きたいと思います。
二階堂進
22
○国務大臣(二階堂進君) 衆議院の三木
委員
からその
資料
の要求があったことは承知をいたしておりますし、したがって、その
資料
も全
委員
に対して配付すべきものだと考えて、その
資料
の提出を急ぐように督励をいたしているような次第でございます。実際に全部に配付されておるかどうかは、まだ承知をいたしておりませんが、前回の
委員
会におきましても三木さんから早く出せということでございましたので、早く出すように、こういうことを事務当局に指令をいたしておるようないま段階であります。
小柳勇
23
○小柳勇君 そういたしますと、まだ正確な国会報告書は出されていない、こういうことでございますか。
高橋正春
24
○
政府委員
(高橋正春君) ただいまの
資料
につきましては、衆議院の科学
技術
特別
委員
会で三木
委員
から御要求のございました事実がございますが、その際は部数を七部という御指定がたしかあったと思いますので、われわれこの点は文部省からお確かめいただけますれば幸いかと存じますが、私の記憶では部数制限で御提出を申し上げている事実があろうと、こう思っております。
小柳勇
25
○小柳勇君 文部省に聞きましょう。その要求された
委員
会並びにどういう要求があったか、それからどういう方面に配付されたか。
岡野澄
26
○
説明員
(岡野澄君) 三木
委員
から御要求がありましたのは部数七部ということでございましたので、それを取りそろえて差し上げた次第でございます。なお現物は、ここに持参しているようなものでございます。
小柳勇
27
○小柳勇君 私が予算
委員
会で質問したときには、文部省当局もおられたはずだと思うのです。私ども専門屋じゃありませんから、膨大な報告が出ても理解できないかもわかりません。しかし、昨年からこれだけ問題になっている研究であるし、しかも国会は、早急にこの人工衛星なり、あるいはロケットの成功を期待しているわけで、膨大な予算を組んでおるわけであります。したがって、三木
委員
ももちろん科学
技術
特別
委員
の一人でありますけれども、参議院の
商工委員会
でも十分なる関心を持って勉強しているのでありますから、当然出すべきであると考えますが、いかがでしょう。
岡野澄
28
○
説明員
(岡野澄君) 実ははなはだ報告がおくれておりまして申しわけないと思いますが、現在これを印刷中でございます。七月の十七日に研究所のほうでは印刷ができ上がるそうでありますので、そうすれば
委員
に十分お届けできるというふうに考えます。
小柳勇
29
○小柳勇君 そういたしますと、新聞紙上で報道されております事故の原因など、国会に報告されたその一部の報告によって新聞が取り上げてこれを書いておる、まだ十分国会で論議した結果ではない、こういうことでございますか。
岡野澄
30
○
説明員
(岡野澄君) この報告の中に、伝えられるような事故があったことが書いてあるのでございます。それは、したがって研究所内で大いにディスカッションされたというふうに聞いております。専門的な事項でございますので、お許しがあれば所長が参っておりますので、
技術
的なことを
説明
いたさせます。
小柳勇
31
○小柳勇君 専門的なことを所長から……。
高木昇
32
○
説明員
(高木昇君) ただいまの
資料
は印刷中でございまして、七月十七日にはできますので、御必要の部数をお申し出いただければ配付いたすことにいたします。
小柳勇
33
○小柳勇君 国会報告書というものが出されたいきさつ並びに現在印刷中ということもわかりました。したがって、できましたら、なるべく早く参議院の
関係
者にも送付願いたいと思います。なお、この新聞によりますと、昨年の九月、十二月、ことしの四月、連続三回失敗したが、三回目の
実験
の際に四段目の球形ロケットが飛行の途中でちぎれた。そのことを首脳者はわかっておったけれどもこれを極秘にしておったと。したがって研究所内でもこのことが、不信感が満ち満ちておる。ことしの秋に予定されておるラムダ4S四、五号機が成功する
比率
はきわめて低いということまで心配をしているようでありますが、この辺のいきさつにつきまして、所長わざわざお見えでありますから、御
説明
を願いたいと思います。
高木昇
34
○
説明員
(高木昇君) 新聞に書いてありますことは、ちょっと事実と違っておりますので、私からその辺のいきさつを申し上げたいと存じております。三号機は、三段目不点火というのはすぐわかることでございます。そして発射がありましてから二週間たって、すなわち四月の末だったと思いますが、所内で全所員を集めて、いままでの結果と事故の分析をいたしました。そのときには三段目に非常に重点が置かれておったわけでございますが、その後姿勢制御のデータあるいは四段目からくる電波、三段目からくる電波、いろいろなデータを総合いたしました。ところがこの四段目と三段目の結合を
設計
した人は、二号の場合よりも非常に改良して強くなっておるからそこが事故が起こることはないという自信が、ほかの事故もありましたので、各方面からのデータの突き合わせの食い違いは、ほかに原因を求めようという方向で、しばらく結論を出すのをとまどっておりましたが、同時に、構造研究班というのが所内にございまして、いろいろな人が参加しておりますが、そこでこの構造でどうかということで十分に検討していただきました。たまたまこの4Sの報告を所内でまとめておりまして、いよいよ最終結論を出そうというときに、いろんなデータを集めると、どうしても四段目の結合がとれたと結論を下さざるを得ない、そういうことでこの膨大な報告書にその結論を詳細に御報告いたしましたが、同時に、所内の
関係
者には一応お知らせしたわけでありますけれども、二、三の方がお集まりいただかなかったものですから、いよいよこの報告を国会に出す前、これは十五、六日前後だったと考えておりますが——これをつくるのにやはり約一カ月ほどかかります——その前後にお集まりいただいて、われわれかねがね報告をつくっておりますが、その中で必要な
部分
だけをまとめたものを国会に提出するから皆さんに御了承願いますと言ったときに、初めて、私は聞いていなかったという教授の発言がございました。その辺が新聞にも伝わりまして、所内の不信感ということが表に出まして、所長としてもまことに残念に思っております。
小柳勇
35
○小柳勇君 新聞を全面的に私も信頼するのでありませんけれども、郵政省の電波研究所などでも
実験
の直後から、その原因がわかっておって、東大宇宙研の発表に疑問を持っておった、そういうことまでこの新聞に書いてあるわけであります。しかも、あなたの研究所の教授の中にも、国会に報告書をまとめる段になって初めて話がされたというようなことであります。で、まだ研究段階でありますから、成功もありましょう、失敗もありましょう。失敗したのが、なぜその
関係
教授にまで秘密扱いにされねばならないかということが、私はこの新聞を読みまして、ふしぎでならなかったのであります。研究というものはもちろん失敗もありましょう。それはしかし直ちに全
関係
者に報告しながら、どこが悪いかということを是正していくのが研究ではないか、だから国会に報告書を出すのだって、なるべく早く、わかりやすく出して、ここが悪いから今度はここを研究するということを、国をあげてかかっていかなければならぬのではないか。ただ単に東大宇宙研の
事業
ではないと思うのです、私は。ばく大な予算を組んで、これはもう国民的な、あるいは国家的なあるいはこれは人類的な
事業
でありましょう。そういうものの失敗を
関係
教授にすら極秘にし、しかも郵政省の電波研究所でわかっておって、発表に疑問を持っているのに、秘密にされている。そういうものを私は理解できないのです。いま所長から若干聞きましたけれども、まだ十分理解できませんが、それは私は
技術
的にはしろうとでありますから、いまここでそういうものをなぜ早く言わなかったかと言ったって、これは水かけ論になりますから、報告書が出ましてから、また再度これは御質問しなければなりません。ただ、そういう仕組みが、この研究を前進させないのではないかということを懸念をいたすわけであります。私はこの前及び昨年の予算
委員
会で取り上げましたときに、東大宇宙研というものが独善的にあるいは独占的に、他の人たちを排除しながら——他の研究者、もちろん各
大学
からも研究所には入っておられますけれども——自分でなければならぬというようなことでやっておられて、十分ほかの意見が入らぬのではないかということを心配いたしました。しかも失敗に対して、こういうふうに極秘扱いにされるようなことでは、これは前進できないというふうな気がいたしました。それですからきょうお尋ねした。したがって、きょういま私がこの問題を取り上げましたのは、国会への報告書が、なぜ提出がおそいのかということと、衆議院だけ出ている、けしからぬではないかという問題と、その研究の失敗が
関係
教授にすら極秘にされておったのはなぜかと、こういう問題の究明のために質問いたしているわけでありますから、もう少し所長の御見解を聞かしていただきたい。
高木昇
36
○
説明員
(高木昇君) たいへん御忠告ありがとうございます。いまの電波研の中田さんのことでございますけれども、電波研究所に連絡とっておりますし、中田さんのほうで、とまってないのじゃないかということをおっしゃいまして、疑問に思っていた。ただし宇宙研に直接の問い合わせはございませんでした。それは上がはずれると——中田さんのところは四段目の電波しか受けておりません、私たちは四段目と三段目の電波を受けでおりますので、三段目のほうからはとまっているということはわかり、四段目のところに食い違いがある、その点がやはり四段目、三段目がはずれたのだろうということは、あとから慎重に検討した結果でございます。 それからその次に、
関係
教授に非常に秘密にしていたということでございますが、先ほど申し上げましたこの構造のほうを担当している
委員
会には、ぜひ慎重に検討してくださいということでおはかりしておりまして、御専門の教授のことは、皆さんこの二週間以後の時点で御研究いただいておりますし、ただ
関係
ないと言っちゃ申しわけございませんが、
燃料
をやっている化学の先生とかそういうような方が、これのことが耳に入るのがおそかった。私たち全所的に
委員
会をつくっやっておりまして、いろいろの御批判はすなおに受けているつもりでございます。なお一そう努力したいと思います。
小柳勇
37
○小柳勇君 それから所長のことばもここに、新聞に出ているわけです。その所長のことばの前に『宇宙研内には「ミュー4Sの
開発
はすべて見合わせ、衛星
計画
は国の一元的な
宇宙開発
機構に一任すべきだ」との声も出て「あくまで従来通りの
計画
を推進したい」というロケット・グループと意見が対立しており、宇宙研が最終的にどのような方針を打出すか注目されている。』このようなことが書いてありますけれども、いま予算も通った直後でございますが、どういう御
計画
でございますか。
高木昇
38
○
説明員
(高木昇君) いま新聞記事に、所内のおそらく教授の方が言われたのは、来年度の概算要求を出すのにどうするかということになるかと思うのでございます。これにつきましては、所内の意見をまとめておるところでございます。
小柳勇
39
○小柳勇君 それから「宮崎県漁民の反対もあって、打上げ時期は全体に遅れる傾向にあり、
計画
の遅延については近い将来、各方面に了解をお願いしなければなるまいと思っている。」こういうことも書いてあるわけですね。これは
長官
にこの前も予算
委員
会で質問いたしましたが、これはどういうふうになっておりましょうか、宮崎県漁民の動向なり、鹿児島県の漁連の動向なりについて詳細に御
説明
願いたいと思います。
二階堂進
40
○国務大臣(二階堂進君) 先般予算
委員
会で小柳先生が質問されましてから以降のことについて、大体のことを御報告申し上げておきますが、政府部内に設けられました
関係
各省の連絡協議会がございますが、そこでは、本年度の一応政府が考えている
計画
というものを明らかにいたしました。それは具体的なことは局長からお知らせいたしますが、その考え方を進める態度は、やはり漁民の了解を求めるように最後まで努力する。それから、漁業の被害と申しますか、漁業にできるだけ影響のないように、期間、数、方向等も
関係
各省の間で調整を行なってやる。それから、沿岸漁業の振興対策については水産庁ともよく打ち合わせをして、政府部内で、国のとるべき措置について明らかにして、漁民の了解を求めていくようにする、こういうような基本的な考え方を明らかにいたしたわけでありますが、その後、自由民主党の中におきましても、
鈴木
善幸さんを
委員長
とする
宇宙開発
特別
委員
会というものを設けまして、その中で漁業対策の小
委員
会、それから一元化に関する小
委員
会、こういうものを
二つ
設けていただきまして、それぞれ小
委員
会において、この
二つ
の問題について毎週一、二回ずつ会合を重ねて検討を重ねてもらっております。この考え方は、私は先ほど申し上げましたような考え方に立って、いろいろと宮崎県漁民あるいは漁業連合会との間の話をまとめるための漁業振興に対する施策というものをいろいろ取りまとめていただいておるようであります。また、一本化につきましても、現在のこの
宇宙開発
の機構をどうすべきか、どう持っていくべきかということについていろいろ御検討願っております。まだ最終的なこの
二つ
の問題についての結論は、党側においても出されておらないようでありますが、七月の半ば過ぎごろまでには大体党側の考え方もまとまるようでありますので、私どもも従来考えておりました
計画
等も、その党の考え方を基本にいたしまして最終的にはきめて、
関係
漁民あるいは鹿児島県、宮崎県その他大分県とか高知県もございますが、そういうところと打ち合わせをして了解を求めて、できる限り政府が考えておりまするような、この期間内に打ち上げができるようにはかっていきたい、こういうふうに考えております。政府といたしましては、一応の考え方を持っておりますが、従来宮崎県とか、鹿児島県等の漁民等の間において、いろんな問題もありましたが、漁民の方々、あるいは漁連の方々の意向等を聞いたり、あるいは両県の知事等が中に入ってあっせんしていただけるような環境というものをば十分党のほうでつくっていただいて、そうして漁民や、漁連の方々との話し合いが、納得の上にできて、そうしてこういう国の施策が進められるように持っていきたい、こういう考え方で目下話を進めておりますが、先ほど申し上げましたように、大体漁閑期が、八月、九月等が一番漁閑期であるということを承っておりますので、できるだけそういう機会に、
関係
各省で打ち合わせをいたしておりまするような帰趨に従って
実験
を実施してまいりたいと、こういうふうに考えております。
小柳勇
41
○小柳勇君
実験
のほうの、打ち上げのほうの研究が進みましても、漁民の反対などで
実験
ができなければ科学の振興はありませんので、漁民の方の問題は早急に解決されることを期待しております。先般の予算
委員
会で
長官
が答弁されましたことで安心しておったのですけれども、なかなか解決しないようですから。 それから、けさのラジオ放送で高木所長の辞意表明が何回か放送されました。さきに糸川教授がおやめになりましたし、高木所長の辞意表明ということ、私ども
宇宙開発
の前進を期待する者としては大きな問題でございますが、所長さん、いまここに見えておりますのに直接お聞きするわけにまいりませんと思いますけれども、国会の場でございますからお聞きをいたしますが、テレビ、ラジオの放送について、辞意表明ということでありますが、そうでございましたでしょうか、お聞きをいたしたい。
高木昇
42
○
説明員
(高木昇君) 私、けさの放送をよく知らずに、あとから人から言われて驚いておるのですが、科学
技術
庁の宇宙
開発推進本部長
は併任でございますが、私、十年来持病の糖尿病がこの春以来非常に悪くなったものですから、できるだけ身を軽くしたいと、こう考えておりますが、しかしその辞意は
長官
には表明しておりません。所内の、研究所の教授の連中が非常に心配をしてくれておりますけれども、また、かねて宇宙研の中にいろいろ不一致その他もございまして、健康もさることながら、本務に専念しろということは、教授会あたりで決議しかねまじき勢いで、私もほとほと弱っておる
状況
でございますが、私自体ちょうど健康がすぐれないので、考えてはおりますけれども、まだ
長官
には全然申し上げておりません。
小柳勇
43
○小柳勇君 けさの報道については推測であって、まだ辞意を
長官
まで表明しておられないと、こういうことでございますか。
長官
、さきに糸川教授の
辞任
がございましたですね。報道が出ますと、この
宇宙開発
全般に対しまして国民が非常に希望が持てなくなり、暗い気持ちになります。
宇宙開発
全般に対して、
長官
ひとつどういうふうに前進させようと考えておられるか——質問してまいりましたから、締めくくりに
長官
の決意、見解を聞いておきたいと思います。
二階堂進
44
○国務大臣(二階堂進君) その前に、高木所長の辞意表明の問題でございますが、どういうふうにラジオニュースが申したか、私もけさ聞いておりません。あとで聞いたようなわけでありますが、正式にと申しますか、高木さんとお会いしたことは二、三べんありますけれども、それがやめさしてくれとか、やめたいという意思表示を私は承ったことはありません。ただ、会談の途中で、私も健康がすぐれないと、糖尿病を持っていると、ですからまあいずれかのときには、ひとつ健康回復のために自分の養生をいたしたい、こういうようなことがあったことは事実であります。しかし、そのために私がやめたいとか、やめさせてくれという意思表示はなかったことは、私からも明確に申し上げておきます。 それから
宇宙開発
の問題でございますが、実は私も就任以来、大きな国策としての
宇宙開発
、実用衛星を打ち上げるという仕事につきましては、全く心を砕いております。と申しますのは、昨年以来の
計画
が思うとおりに進めることができない、私も非常に
責任
を感じております。この宮崎とか鹿児島、
関係
漁民の方々の了解を得るに至っていない。一部では国の国策だから何としてもやったらどうかという声も強いわけであります。しかし、私は反対の立場をとっている方々の意思を無視して、力でもってこういうことをやろうという考え方は、私はよくないと思っております。時間がかかりますが、あくまで理解と
協力
を得て進めていくことが、今後の
開発
を進めていく上において一番大事なことではないかと思っておりますので、基本的には、あくまでも
関係
の漁民の方々、
関係
県漁連等と話し合いを進めてまいりまして、積極的に
協力
ができるという態勢をつくっていきたいと思っておりますが、この前から申し上げておりますとおり、四十五年度には、少なくとも
実験
実用衛星を打ち上げたい、こういう方針はしばしばここで申し上げたとおりでございますけれども、私の就任以来、実際、四十五年度に打ち上げるためにはどういう体制をつくっていくべきかということについては、いろいろ今日まで勉強をしてまいりましたが、率直に申しまして、
宇宙開発
の体制というものは、非常にまだ貧弱であると考えております。これに
関係
をしております産業界、電子
関係
とかあるいは通信
関係
とか、こういう産業界の方々の体制というものも、
原子力委員会
、
原子力
産業等と比べますと、まことにばらばらである、こういう産業界の体制というものも、私はもっと体制を整えていかなければならぬと思っております。また
宇宙開発
審議会、この審議会のあり方につきましても、私は再検討する時期にきているのじゃないかと思っております。したがいまして、まあ前の
委員
の方々が任期が切れましたから、近く新しい
委員
の方々を任命いたしまして、この体制、
委員
会のあり方についても審議会のあり方についても、私は再検討を加えてまいりたいと考えております。 また、私どもの役所の体制におきましても、
調整局長
のもとに調整局があって、いろいろ仕事を進めてまいっております。私はこのままで決して弱いとは申しませんが、やはり、役所の中にも
宇宙開発
局といったようなものを考えていかなければならぬのではないか。それからこの実施
機関
、打ち上げる
機関
というもの、
業務
を行なうものも、何か特殊法人といったようなものをつくって、そうしてそこで実際ロケットを打ち上げる作業をやる
機関
というものがなければならぬと、こういうふうに考えておりまして、そういう体制を一元的に総合的に強化する対策について、目下、私は事務当局にも私の試案としていろいろ案を示して検討中でございます。また、私の所属しております自由民主党の中におきましても、先ほど申し上げましたとおり、
宇宙開発
の一元化に関する小
委員
会等を設けて各界各層の意見等も聞かれまして、そうしてどうあるべきかということについていろいろ意見をまとめてもらっておる段階でございます。端的に申しますというと、
原子力
の
関係
は、産業界あるいは役所の
関係
あるいは
委員
会あるいは研究
機関
、こういうものが整っておるように私は考えております。そうであればこそ、また将来に向かっての新しい動力の
開発
といったようなものも進められていく体制が私はでき上がっておると思う。ところが
宇宙開発
につきましては、実際、実用衛星を四十五年度に打ち上げるのだという国の方針は示されてまいりましても、これを打ち上げていくだけの体制というものが十分でき上がっていない。この体制を私は早急にひとつ整えるということが大事だということで、いろいろ私自身、先ほど申し上げましたような考え方なんですが、党のほうにも御相談申し上げ、また、私自身もいろいろな方々の意見を聞きながら、その体制をどう持っていくかということについて研究を進めておりますが、これを私は、でき得るならばこの七月中に一応まとめまして、そうして政府の中におきましても、この
関係
閣僚の協議会というものをつくって、政府全体の
責任
においてこれを遂行していきたいというふうに考えて、このことにつきましては、総理とも先日お目にかかりまして、大体の御了承を得ておるわけでございますが、七月中には大体こういう構想をまとめて、皆様方のほうにも御報告を申し上げて御
協力
をお願いしたい、こういうふうに考えているようなわけでございます。
小柳勇
45
○小柳勇君 いまの七月中のやつについて近いうちに報告を聞きます。 それから文部省のラムダの四号機、五号機、それからミューの一号機に入っていくのでしょうが、何か混乱しているように……、新聞を読みましただけでは、今後の打ち上げについても混乱があるような気がいたしますから、明確なひとつ
計画
をお立てくださいまして、その御報告をお聞きいたしたいと思います。 きょうは私の質問はこれで終わります。
鹿島俊雄
46
○
委員長
(
鹿島俊雄
君) 他に御発言もなければ、本件調査はこの
程度
にいたします。 一時二十分に再開することにいたしまして、これにて休憩いたします。 午後一零時十六分休憩 —————・————— 午後一時三十一分開会
鹿島俊雄
47
○
委員長
(
鹿島俊雄
君) これより
商工委員会
を再開いたします。 午後は、まず衆議院送付の
中小企業振興事業団法案
を議題とし、前回に引き続き質疑を行ないます。質疑のおありの方は順次御発言を願います。
小柳勇
48
○小柳勇君
法案
の
内容
に入る前に二、三点、現在の団地を形成している人たちの意見をここに反映しながら法律の上で考慮してもらいたいと思います。 まず第一は、融資査定
基準
が現実と合っておらないために、名目上の助成は六五%であっても実際は二〇%から三〇%ぐらいになってあとは自己資金になるが、査定
基準
をもう少し改定する意思はないか、こういう問題です。
影山衛司
49
○
政府委員
(影山
衛司
君) 先生御指摘のとおり、従来の高度化資金特別貸し付け時代におきましては、相当厳格な
基準
を設けて助成をいたしておりました結果、五〇%まで助成をするということになっておりますが、大体三五%
程度
になっておるわけでございます。今度、振興
事業団
をつくりますのを機会に、この実質助成率を六五%まで引き上げていくということでございまして、査定
基準
、助成
基準
もひとつ弾力的にやっていきたいというふうに考えておるわけでございます。
小柳勇
50
○小柳勇君 これは建屋などの単価あるいは助成する場合の相手の物件に対する融資条件ですからね、名目上は六五%になりましても、単価が低いと六五%にならぬわけでしょう。そういうことですから、たとえば原価、建屋が坪十万円かかるとすれば、その十万円について六五%というふうに、建屋あるいは土地などの原価など十分加味しなければ、名目上はパーセントは上がりましても、実質は自己資金を多く出さなきゃならぬということになるので、そういう点について特に要望したいのですが、そういう点について見解を伺いたい。
影山衛司
51
○
政府委員
(影山
衛司
君) 土地または建屋につきましての単価につきましても、これが非常識でない限りは、実情に応じた単価で助成をいたしてまいりたいと考えておるわけでございます。
小柳勇
52
○小柳勇君 次に第二の問題は、協同組合を——協同する場合に二十社という制限がありますが——これを十社ぐらいに引き下げる意思はないか。
影山衛司
53
○
政府委員
(影山
衛司
君) ただいまでも後進地域等につきましては十社以上ということにいたしておるわけでございます。これは団地に限っておるわけでございますが、この制限につきましても、これを今後は実情に応じて弾力的に行なっていきたいと考えておるわけでございます。
小柳勇
54
○小柳勇君 第三点は、現在までの法律の適用によりますと、第一年目に土地を取得し、第二年目に建屋を建てて、第三年目に生産が上がるような三年制度に考えておるけれども、これでは景気の変動もありますし、据え置き期間が二年ですから、まだ生産が上がらぬうちに償還が始まるという不合理があるから、これは短期間で生産できるように考えるか、据え置き期間を二年を三年なり五年に延期するか、どちらかを考えてもらわないと償還ができない。この点についての見解をお聞きしておきたいと思います。
影山衛司
55
○
政府委員
(影山
衛司
君) 大体、高度化資金
関係
あるいは
事業団
関係
につきましても三年
計画
で工場団地等は助成をいたすことになっておりますが、普通の実際の
状況
は、なかなか大
事業
でございますので、この三年
計画
をむしろ延ばしてほしいという要望のほうが多いわけでございますが、ただ、早く結束を固めて早く
計画
を実現をしたいと、あるいは二年でやっていきたいというふうな場合には、二年
計画
であっても助成ができるようにいたしたいと思います。
小柳勇
56
○小柳勇君 極端に言って一年
計画
でも助成ができますか。
影山衛司
57
○
政府委員
(影山
衛司
君) その実際に応じまして一年
計画
でもいいと思います。
小柳勇
58
○小柳勇君 できる。 次の問題は、既成団地の拡張及び建屋の増設に対して今度のこの法律が適用できるのかできないのか。造成完了団地が流通機構の整備などによりまして経営
規模
を拡大しなければやっていけないような情勢もあると、したがって、あと土地を拡張したり建屋を増設する場合に、いままでのほかにプラス現在のこの
事業団
法によって融資あるいは指導ができるかどうか。なお、現在三年
計画
で一年残っておるもの、この分はいままでの法律を適用するのか、新しい
事業団
法を適用するのか、この二点をお伺いしたい。
影山衛司
59
○
政府委員
(影山
衛司
君) すでに助成完了いたしております団地で、その後
運営
がうまくいきまして建屋等を拡張していかなければいけないというような場合があるわけでございまして、こういう点につきましても、今度
事業団
がアフターケアをやっていかなければいけないと考えるわけでございますので、そういう場合におきましても助成の対象にできると考えております。 それから第二点の三年
計画
で助成をしておって二年まで高度化資金でやっておって、あと一年残っておるというこのあとの一年のものにつきましては、
事業団
の対象に移すことにいたしております。
小柳勇
60
○小柳勇君 念を押しておきますけれども、前の土地拡張並びに建屋増設については、新しい
事業団
法によって助成できると、こう確認していいんですか。
影山衛司
61
○
政府委員
(影山
衛司
君) さようでございます。
小柳勇
62
○小柳勇君 次の問題は、職員の福祉施設に対しても店舗に準じて助成並びに融資の対象にしてもらいたい、郊外地などの団地では働く人の通勤が不便なためになかなか人手が集めにくい、したがって宿舎や寮などを付設したいと考えるけれども、なかなか金のくめんもつかぬので、年金融資あるいは住宅公団などのように店舗に準じて融資を考えてもらえぬかと、こういうことであります。これに対する見解をお聞きいたします。
影山衛司
63
○
政府委員
(影山
衛司
君) 共同宿舎あるいは共同給食等の福利施設につきましては、組合の共同施設としてこれを設ける場合には振興
事業団
の対象にできるわけでございます。
小柳勇
64
○小柳勇君 組合の共同宿舎の場合には国と県が八割融資すると、あの条件で適用できますか。
影山衛司
65
○
政府委員
(影山
衛司
君) 六五%のほうでございます。
小柳勇
66
○小柳勇君 そういたしますと、共同施設以外に個人で、私のほうは要りません、あなたのほうは要る、いろいろ条件がありますが、一社あるいは二社、一店あるいは二店、そういうことではできないのですか。
影山衛司
67
○
政府委員
(影山
衛司
君) 団地に入っております中で、一店、二店がまとまります場合、この共同、その中のまた共同施設として見れるかどうかということでございますが、大体共同施設のもとになる協同組合は、四人以上でないとこれは設立できないことになっております。もしも、それが四人以上がまとまって別個の共同施設をつくるということになれば、理屈の上ではできるわけでございます。できるだけ団地組合全体での共同施設としてこういうものは設置してもらいたいと考えております。
小柳勇
68
○小柳勇君 次は、団地造成あるいは共同工場設置には、地理的条件や販路の想定、近郊都市の経済事情など、高度の経済的判断が必要であるから、そのために、少し指導をひんぱんにして強化してもらえぬであろうか。現在も指導員がときどき来られるけれども、相談しようと思うときにはなかなか来てもらえない。したがって、指導体制を少しひんぱんにしてもらいたい、強化してもらいたい、こういう要望がありますが、今度の
事業団
法ができまして指導体制はどうなるんでしょうか。
影山衛司
69
○
政府委員
(影山
衛司
君) この振興
事業団
をつくりました
一つ
の
理由
も、アフターケアの指導もひとつ力を入れていきたいということでこの
事業団
をつくったわけでございますが、ただ、地域的に末端の協同組合、団地等におきますところの指導は、県、あるいは北九州においては北九州自体で持っておるところの指導所あたりにお願いをいたしておるわけでございまして、そういうところの
人員
等も拡充をいたしまして、あるいは
事業団
からもこれに
協力
をいたしまして、アフターケア
関係
の指導というものに力を入れていきたいと考えておるわけでございます。
小柳勇
70
○小柳勇君 この前
長官
にちょっと質問したのですが、商工会議所や別の
民間
の中小企業連合会とか組合とかに優秀な人がいるわけですね。そういう人を嘱託にしたり、あるいは、その
事業団
の何といいましょうか、顧問にしたり、
民間
人をその指導要員として活用すれば非常にパイプの
役割り
をするのじゃないかと思うのですが、そういうものについて検討されたことございますか。
影山衛司
71
○
政府委員
(影山
衛司
君) できるだけ指導員につきましても、
民間
のそういう経験者、有力な人を活用していきたいということを考えておりまして、嘱託制度も今度の
事業団
では用意をいたしておるような次第でございます。
小柳勇
72
○小柳勇君 それから団地を形成する意義がまだ十分にわかっていないで、商業団地があると、これを友人に話すというと、まあ土地だけひとつ確保するかというような軽い気持で入っているようなものが、あの団地の中に半分以上ある。そこで、少し政府の、共同化、協業化の精神が、なぜそうしなければならぬかという徹底した教育がありませんと、じゃ、ひとつ土地だけ手に入れようかということで協同組合に入ってくる。ちょっと
事業
が不振になるとすぐ脱退するというような、安易に考えるから安易になるのだということでありますが、少しPRする必要があると思うが、PRの方策についてどう考えるか。
影山衛司
73
○
政府委員
(影山
衛司
君) 先生御指摘のように、従来の中小企業対策につきましては、どうも末端まで中小企業対策の普及徹底がどうも不十分であったと考えるわけでありまして、私どもも、中小企業庁に施策普及室というものを設けまして、簡易なパンフレットをつくりましたり、あるいはテレビ、あるいはラジオ等を通じまして、普及宣伝につとめておるわけでございますが、この振興
事業団
におきましても、企画広報課という課を一課つくりまして、その普及徹底のために、専門にこの広報
事業
あるいは協業化の
重要性
についても啓蒙いたしたいと考えておるわけでございます。それと同時に、実際の具体的な
事業
が出てまいりました場合には、県の指導所、それに振興
事業団
のコンサルタントも加わりまして、
計画
診断というものを十分にやりまして、そういう点では万遺漏のないようにいたしていきたいと、こう考えておるわけでございます。
小柳勇
74
○小柳勇君 次に、新たに団地をつくりましたその店の親方さんたちが集まって優秀な講師の話を聞くということが非常に有益である。先般ゼミナーがありまして、非常に好評を博した。ところが、これには金がかかりまして、なかなか年に何回もやれない情勢にある。したがって、
事業団
や国や県が優秀な講師を地方に派遣をしてゼミナー等を再々やってもらえないであろうか。そうして経済情勢の話や、あるいは経営の方針などについて討議する場をつくってもらえないかという要請があるが、そういう費用などは
事業団
にはありますかどうか。それからまた、地方公共団体などはそういうものをどういうふうに指導しておられるのか。
影山衛司
75
○
政府委員
(影山
衛司
君) 県がそういう講習会等を主催する場合におきましては、現在の予算では、年間五百件ほど無料で県で講習会ができるというような補助金を用意しているわけでございます。 それから県段階でやり得る以上の高度のものにつきましては、
事業団
自体が主催をいたしまして、講習会等も研修の一環といたしましてやっていきたいと思うわけでございます。
小柳勇
76
○小柳勇君 では、その団地のほうでそういう意見があれば、県や市あるいは
事業団
に申し込んで講師派遣を要請すれば、費用が少なくてできるわけですね。
影山衛司
77
○
政府委員
(影山
衛司
君) さようでございます。
小柳勇
78
○小柳勇君 次は、員外者利用は現在二〇%の規制があるが、この員外者利用二〇%の規制では非常に不便であるから、もう少しこの規制のワクを広げてくれないかという意見がありますが、どうですか。
影山衛司
79
○
政府委員
(影山
衛司
君) 現在協同組合は協同組合員の共同の利益の追求というために、共同施設等を設けておりますので、法律上も、そういう組合員の利益のためにやる場合はいいけれども、員外者利用という場合は、これは例外的に二〇%しか認められないということになっておるわけでございますが、先生御指摘のような協業化というものが、これが進んでまいりますというと、協同組合、組合自体が企業体になりまして
事業
の
運営
をやっていくという場合も出てくるわけでございます。そういう点での現在の協同組合法の不備を是正いたしますために、今度国会に提案いたしまして御審議を願うことになっておりますところの協業組合というものがこれに該当するわけでございまして、協業組合につきましては、員外者利用の規制というものはないわけでございます。
小柳勇
80
○小柳勇君 わかりました。現在の協同組合法によっては拡大の余地はございませんか。
影山衛司
81
○
政府委員
(影山
衛司
君) 現在の協同組合法上では、明確に二〇%以上の員外者利用を禁止いたしております。ちょっとむずかしいと思います。
小柳勇
82
○小柳勇君 それでは、協業組合法を論議するときにまた論議いたしましょう。 次は、中小企業基本法の定義で、商業団地の場合の中小企業者の定義は、資本金一千万円で五十人でありますけれども、これを少し一千万の金額も上げるし、五十人の人数を少し上げてくれないか、いま少し強力な店が入ったほうが団地としてやりやすいというような意見もございますが、特例はありますから、現在も若干やっておりますけれども、中小企業基本法の定義については、どういうふうにお考えになっておりますか。
影山衛司
83
○
政府委員
(影山
衛司
君) 中小企業基本法自体の定義を引き上げてくれという要望は非常に強いわけでございますが、私どもも現在実態を調査いたしておりますけれども、この限度をどこまで引き上げたらいいのか、中小企業性というものをどこで線を引いたらいいか、また、上に引き上げることによりまして、中小零細企業対策というものをおろそかにならないようにしなければいけないというような点も考慮いたさなければいけませんので、そういう基本的な問題につきましては、これから早急に中小企業政策審議会の企画小
委員
会等で審議をしてきめていきたいと思うわけでございます。暫定的には、この振興
事業団
法あたりでも、
政令
で例外が定め得るというようなことにもなっておりますが、そういう点も今後検討をいたしていきたいと思っておるわけでございます。
小柳勇
84
○小柳勇君 それから先般の中小企業の倒産に関連して、連鎖倒産が起きている、工業団地に起こりましたのを、それを原因を調べてみますと、自己資金をつくりますときに、銀行借り入れが全体の二二%もあった。だから、総資金の中で三三%が自己資金であったけれども、ほんとうの自己資金は一〇%しかなかった、あとは銀行借り入れである、したがって、連鎖倒産で二十社のうち十社倒れた、そういうことでございまして、この自己資金をつくるときに協調融資をもっと考えて利下げをしてもらいたい。それから銀行借り入れの問題など、まあ銀行から借り入れなくてもできるような方法をもちろん考えなきゃなりませんけれども、協調融資の問題でも格段の配慮をしてもらえぬであろうか、いかがでございましょうか。
影山衛司
85
○
政府委員
(影山
衛司
君) 自己資金の確保につきましては、
一つ
税制上の制度がございまして、構造改善準備金制度というのが昨年度から発足いたしておるわけでございますが、これは共同
事業
を行ないますための自己資金を、自分たちが金を出し合って積み立てをするという場合には、それを構造改善準備金といたしまして積み立てるほうのその企業につきましては損金扱いにする、というような特別の配慮がなされておるわけでございます。こういうものによりまして自己資金の積み立てを行なうということがたてまえでございますが、ただ、それでは不十分な点もございますので、先生御指摘のように、協調融資というものによりまして自己資金の確保もやってあげなければいけないということでございまして、商工組合中央金庫等にも要請をいたしまして、商工組合中央金庫もそのつもりになっております。そういうところで自己資金の確保をしていきたいと思っております。
小柳勇
86
○小柳勇君 その場合の利率の引き下げについては話し合いが進んでおりますか。
影山衛司
87
○
政府委員
(影山
衛司
君) 商工中金あるいは中小企業金融公庫の金利の引き下げにつきましては、政府出資を行ないながら、過去におきましても何回も引き下げをいたしておるわけでございまして、今後とも、その金利の引き下げにつきましては、予算措置と相まちまして、金利の引き下げに努力をいたしたいと思っておる次第でございます。
小柳勇
88
○小柳勇君 その商業団地あるいは工業団地に共同販売会社をつくるということを想定して、その共同販売会社に
事業団
法の適用はできるかできないか。
影山衛司
89
○
政府委員
(影山
衛司
君) そういう共同販売会社がメンバーの共同出資という形ででき上がりますものにつきましては、その共同施設分につきましては、
事業団
法の対象になる予定でございます。
小柳勇
90
○小柳勇君 次は、運転資金で非常に困るわけですが、団地に入りまして二年据え置きで、やっと二年目、三年目に仕事が軌道に乗り収入がふえる、そこへ償還が始まりまして、二年目ごろから三年目に、運転資金で倒産した例が相当あるようでありますが、いままでそういう団地には優先運転資金を配慮するというような例がありましたかどうか。将来、運転資金の問題については、どういうふうな配慮をされるか。
影山衛司
91
○
政府委員
(影山
衛司
君) 先生御指摘のように、設備資金
関係
の共同融資につきましては、相当の配慮をいたしておるわけでございますが、その後におきます運転資金についてのめんどうというものは必ずしも十分ではなかったように私ども考えております。これは今後とも運転資金のめんどうというものも、アフターケアの一環といたしまして、
事業団
を
中心
にいたしましてめんどうを見ていきたいと考えております。
小柳勇
92
○小柳勇君 次は、運輸省の自動車局岩田
通運課長
に質問いたします。 工業団地あるいは商業団地で、その店がトラックを持って輸送しております。それで一店に二台、二十店でしたら四十台あるのでありますが、四十台要らないわけで、したがって、これを共同輸送にしますと、たとえば、その商店、商業団地からデパートや同じところに行く荷がたくさんあるそうです。したがって、その特定運送
事業
の認可などを申請したい——協同組合では会社じゃありませんから、代表者に問題があろうが、どういう方法でやれば、車を減らして共同輸送、運送ができるであろうか、この点についての見解をお伺いしたい。
岩田弘文
93
○
説明員
(岩田弘文君) ただいま先生の御指摘、ごもっともでございまして、都市の間におきまして自動車の車両がふくそうしておりますので、これのふくそうを防ぐとともに、荷主さんのコストを低減するというような見地から、皆さん一カ所の方々がお集まりになりまして、荷主さんの御意思でこの運送会社にやらしたらどうか、あるいは別に会社をおつくりになりまして、こういう会社に荷主さんが全部出して効率的な車の運用をはかるということになりますと、やはりコストの面からもプラスにもなりますし、車の効率化というような面でもいいわけでございます。したがいまして、そういう組織が適法でございますれば、申請して荷主さんの方々の御了解を得てこの会社がやる、あるいは、こういうものにしたらどうかというものを御申請になりますと、前向きの方針で処理していきたいと存じております。
小柳勇
94
○小柳勇君 特定の会社に荷を頼むことは、これはいま合法ですから、それは質問いたしませんが、別に協同組合——いま二十社入っていますね、そこの荷主の代表が申請をして、その二十店の品物を輸送できるのか、あるいは共同出資で別に運送
事業
の会社をつくるのか。
岩田弘文
95
○
説明員
(岩田弘文君) そういう組織をつくっていただきまして、たとえば法人格を持つとか、そういうことで、たとえば農業のほうで農業協同組合がおやりになっているようなやり方でおやりになれば、前例もございますことですし、前向きの処理でできるのじゃないか、かように存じております。
小柳勇
96
○小柳勇君 二十店の人が共同出資して法人をつくり、その団地が法人化されておる、それがその全体の各店から運賃を取って輸送する運送
事業
というのは、いまの法律で認可できますか。
岩田弘文
97
○
説明員
(岩田弘文君) それは一応ただいまのところ、そういうやり方といたしましては、そういう協同組合がやはり個々のお客さんのためにやっておるということになります場合には、いわゆる青ナンバーを使うというようなことになりまして、申請をして業者になり、彼ら自身が自身のためにやるというような場合には、それは問題はないと存じます。
小柳勇
98
○小柳勇君 協同組合ですね、たとえば、ここにお菓子をつくる商業団地がある、同じお菓子屋だから、二十店あるから、それはデパートへ種類の違ったお菓子を運搬するから、各店でトラック二台くらい必要ないわけです。だから五台か十台にしたらいいわけです。そういう場合には、そこの協同組合が、理事長が特定運送
事業
を申請していいのか、別に特定運送
事業
の会社を設立して、そうして申請をしなければならないのか、こういう点、具体的に質問しているわけです。
岩田弘文
99
○
説明員
(岩田弘文君) それでけっこうでございます。理事長が御質問のように御申請してくださってけっこうでございます。
小柳勇
100
○小柳勇君 次は
建設
省に質問いたします。 この団地から、団地の中は道路舗装してありますが、団地の外から県道や市道までの間の道路がだれも手がつかない、でこぼこになっておりますから非常に困っておりますが、これは産炭地振興
事業団
の場合もその問題があります。あるいは住宅公団の場合ももちろん問題がございますが、公道から団地の入り口までの道路の整備については、格段の配慮を払ってあるのか、交付金とか補助金は、あるいは県や市に対して配慮してあるのかどうか、お聞きいたします。
豊田栄一
101
○
説明員
(豊田栄一君) お答えいたします。 先生ただいまの御質問でございますが、まあ団地関連あるいは公共
事業
、それぞれ特殊立法でいろいろなあれがございますけれども、それに関連いたしましての、一番、生活基盤、生産基盤と幹線とを結ど道路という意味では、現在やはり市町村道そのものが一番足りませんので、こういう点につきましての促進というものは、今度の私どもの予算では、非常に昨年から傾斜がかかってまいりまして、いまの御趣旨の点の促進を盛んにいまはかっているところでございます。 ちなみに例を申し上げますと、そういう
事業
関連での市町村道整備の倍率は、ほかの道路
事業
の伸び率よりずっと高うございまして、たとえば、いまの市町村道等の他の
事業
関連を集計いたしますと、四十一年度に対比いたしまして三八%の増でございます。そういう点では、道路の一般
事業
の伸びが一六%という点につきましは、非常に高率なものでございますが、まあ御指摘の点については、まだ熟度がない点、あるいは、そういう点での補正としては、経済企画庁のほうで所管しております
事業
調整費、そういうものの運用等をプラスされまして、道路のほうの足りない点を補うということをやっているわけでございます。
小柳勇
102
○小柳勇君 具体的に、団地から国道や県道までの間の道路、これはほとんどが私道ですけれども、百メーター、二百メーター、あるいは長いところは五百メーターございますが、その道路の整備というものは、そこまでは団地でなかなか手が出ぬわけです。したがって、地方公共団体でやってもらえれば、一番いいわけです。あるいは若干自己負担してせいとおっしゃればしますけれども、そういう指導はしてあるのかどうかという点を具体的に、それから補助金などがあれば、それを教えていただきたい。具体的な問題です。
豊田栄一
103
○
説明員
(豊田栄一君) いま先生の御質問の第一点の私道に関しましては、これは道路法の体系から見て、補助金体系には入りません。 それから第二点の補助の問題につきましては、ただいま私が申し上げました市町村道整備
事業
として取り上げられたものについては、それぞれの根拠法規によりまして、四分の三ないし二分の一の補助がされております。そのほかに、地方公共団体が行ないます単独
事業
というものがございます。これは一般的にいいますと、大体維持修繕
関係
の費用が約四割、それから、先ほど御指摘のような改築に相当するもの約六割というような大体
計算
になって、そういうぐあいに運用されておりますが、その中で行なわれるわけでありますが、これもやはり道路法でいえば、市町村道以上の戸籍のものになるかと思います。 以上でございます。
小柳勇
104
○小柳勇君 これは、たびたび石炭
委員
会でも論議したのですが、産炭地振興
事業団
で造成しますね、工業団地を造成します。県道から相当距離がありますけれども、そこまでなかなかやれないのです、金がかかるものですから、単価が高くなるから。だから、そこに企業誘致するためには、その道路には特別の援助をしてくれということを再度お願いして、国会で問題にしているわけですが、それと同じ意味で、いま通産省が協業化、共同化を進めているのだから、団地が山の中にできた、相当郊外ですから、ずいぶん長い私道をつくらなければならぬわけですね。そこまでつくりますと、工場団地の単価がうんと上がるわけです。そういう場合、国として、あるいは県や市が三分の二なりあるいは五分の四なり補助してやったら、早く舗装できるわけでしょう。そうすると、その中の団地が生きてくるわけです。そういう配慮をしてあるのかどうか、こういう質問です。
豊田栄一
105
○
説明員
(豊田栄一君) ただいまの御質問でございますが、やはりそういう場合には、道路法の戸籍にあげることがまず第一でございまして、いま御指摘のような団地からの距離が長い場合には、これはそのものを市町村道そのものにしていただきまして、その上で補助をするという措置はとれると思います。
小柳勇
106
○小柳勇君 これは
長官
、その問題はどういうふうに考えておりますか。
影山衛司
107
○
政府委員
(影山
衛司
君) 従来から、団地の人たちからもいろいろと要望があるわけでございます。これはよく存じておるわけでございますが、なかなかむずかしい問題もございまして、結局のところ、市町村のほうにお願いをいたしまして、市町村道としてつくっていただく、あるいは場合によりましては、産業関連施設道路というような手もあるわけでございます。そういうところに乗せていったりというようなことで、具体的なケース、ケースでいろいろと奔走しておるわけでございますけれども、まだ十分であるとは言えないわけでございます。
小柳勇
108
○小柳勇君 今度は
建設
省に聞きますが、市町村道に指定されたら、その上で優先配慮できますか、そこの、特別に団地だから、そういうような通達など出してある実績がありますか。
豊田栄一
109
○
説明員
(豊田栄一君) 市町村道の
事業
としての採択の
基準
の中に、そういう
事業
関連の団地、あるいは、たとえば先生御指摘がありました産炭地、そういうようなときには、申請があれば、予算の範囲内でつき合うようになると思います。
小柳勇
110
○小柳勇君 もう一ぺん教えていただきますが、市町村道に指定されますと、あとは国、県などの補助が幾らありますか。
豊田栄一
111
○
説明員
(豊田栄一君) 通例の場合ですと、改築
事業
については三分の二、それから特改
事業
、これは金額が小さい場合でございます、こういう場合には二分の一。大体二分の一の限度額が二千万円ということにきまっております。
小柳勇
112
○小柳勇君 それは路盤から舗装までの全体の金額を含んでですか。
豊田栄一
113
○
説明員
(豊田栄一君) そのとおりでございます。
小柳勇
114
○小柳勇君 これは
建設
省に希望いたしておきますが、産炭地振興
事業団
とか、あるいは、いまの通産省の
事業団
の宅地造成あるいは団地造成などで非常に困っておるのですよ、現実に、なかなかそこまで舗装できぬものですからね。したがって、優先市町村道に持定してもらうと同時に、その舗装などの問題を、もっと補助を出して早急にやれる方法をひとつ指導してもらいたいと思うのです。希望いたしておきます。何か意見ありましたらお聞きします。
豊田栄一
115
○
説明員
(豊田栄一君) 御趣旨の点よくわかりました。
小柳勇
116
○小柳勇君 次は、短時間に
法案
の内部を質問いたします。 まず、第四条です。
事業団
は事務所を東京に置くということになっておりますが、地方のほうで事務所なり支所を置く考えは——将来置く考えはございませんか。それから、
事業団
の窓口は一体どこが当たるのか。
影山衛司
117
○
政府委員
(影山
衛司
君) 地方事務所につきましては、ただいまのところ、これを設置する予定はございません。できるだけ地方の都道府県に窓口になっていただき、そこで地方事務所のような
役割り
を演じていただくというような方針になっております。窓口が原則として都道府県でございますが、例の
事業団
の直接
事業
に
当たり
ます場合は、商工中金の場合がございます。
小柳勇
118
○小柳勇君 次は、第十七条の評議員会のところでありますが、
事業団
に評議員会を置く
理由
、「評議員会は、評議員二十人以内で組織する。」ことになっておりますが、知事、中小企業団体中央会会長、学識経験者の中から選ぶことになっております。その構成割合、それから知事や中央会会長は数が多いが、そのうちから何人を選ぶ
基準
としておるか、諮問事項はどういう点かと、以上お尋ねいたします。
影山衛司
119
○
政府委員
(影山
衛司
君) 十七条の評議員会を設置いたします趣旨は、まず、
事業団
の
事業
運営
を民主的に行なうという意味におきまして、広く
関係
の各界の意見をここにおいて聴取をするという趣旨に出るものでございまして、都道府県が中小企業の指導、振興をいたしております。また、中小企業の組織化
関係
でも、中央会をはじめ中小企業団体の指導者がこれを指導いたしております。また、その他広く中小企業の振興という点につきましても、ここで審議をいたしてもらいたいという趣旨で、その審議を行ないますと同時に、たとえば都道府県の地方自治との
関係
等につきましても連絡調整をはかっていきたいというような趣旨で、この評議員会を設けたわけでございまして、二十人以内で組織いたしますが、現在のところ、都道府県知事、中小企業団体中央会その他中小企業団体の代表者、中小企業
関係
の金融
機関
の長、その他学識経験者、おのおの数名ということになっておりまして、まだ具体的に人数はきめていないわけでございます。また、都道府県知事につきましては、これは都道府県の代表者を、各府県の商工部長とも相談をいたしまして選んでいただくという方法によって、代表者を選定いたしているわけでございます。
小柳勇
120
○小柳勇君 二十人のまだ決定ないようですけれども、これは中小企業庁できめて指名をするのですか、それひとつ。それから代表者を、中央会の代表者といいますと、たとえば知事会は知事会と、中小企業団体中央会は中央会、学識経験者は学識経験者、おのおののグループからその代表者を選ぶんですか。
影山衛司
121
○
政府委員
(影山
衛司
君) 形式的には通産大臣が任命をするということになっておりますが、実際上は、都道府県
関係
におきましては、商工部長とも相談いたしますが、先生御指摘の知事会とも相談をしていく、あるいは中小企業団体におきましても、おのおのその
関係
の向きとも相談をいたしまして代表者を選定してもらって、そこを任命していきたいと思うわけでございます。 それから権限につきまして答弁漏れがありましたが、諮問事項につきましては、これは
事業
計画
あるいは予算、あるいは今後の
業務
方法の行き方等、重要事項はすべてにわたって諮問をいたして審議いたすということになっております。
小柳勇
122
○小柳勇君 次は、第二十条です。第一項第四号中、「中小企業指導担当者」、「並びに都道府県が行なうことが困難な中小企業者」云々「研修を行なうこと。」とありますが、この都道府県が行なうことが困難な研修とはどういうことでございますか。
影山衛司
123
○
政府委員
(影山
衛司
君) 現在、都道府県段階で、中小企業の技能者を
技術
者にまで養成するところの研修をやっているわけでございますが、さらにそれよりも高度な
技術
関係
がございまして、たとえば一般に機械類は自動化が行なわれているわけでございますが、あまり高度の自動化というものは中小企業にそぐわないものでございますので、半自動化というような点の
研究開発
を、従来から指導センターがやっておりまして、それに基づきまして、高等
技術
研修所というのがございますけれども、そこで実際上のそういうものの研修
技術
の養成というようなものもやっているわけでございまして、そういうものを、都道府県においてなし得ないところの研修
事業
というふうに考えているわけでございます。
小柳勇
124
○小柳勇君 次は、第二十条の第一項第七号ですが、「前各号に掲げるもののほか、第一条の目的を達成するために必要な
業務
を行なうこと。」と、こうあります。これは第四項で通産大臣の認可を受けることになっておりますが、どのような
業務
を行なうと考えておりますか。
影山衛司
125
○
政府委員
(影山
衛司
君) たとえば第一項第四号におきましては、
事業団
で中小企業指導担当者、すなわち、府県段階の診断指導員を養成をする、研修をするということになっておりますけれども、商工会、商工会議所あるいは中央会というような中小企業団体の中の指導者、これにつきましては規定がないわけでございまして、そういうものの研修につきましては、第七号の
事業
といたしまして、これを通産大臣が認めて行なわしめると考えるわけでございます。
小柳勇
126
○小柳勇君 次は、第二十条の第二項です。「次に掲げる者は、中小企業構造の高度化を促進するため特に必要がある場合には、通商産業省令で定めるところにより、中小企業者とみなして、前項第一号、第二号及び第四号の規定を適用する。」とあります。このうち、通商産業省令はどのようなことを定めるつもりでありますか、その
内容
について
説明
してもらいます。
影山衛司
127
○
政府委員
(影山
衛司
君) 第二項の合同、合併の場合の適用の
基準
といたしまして、通商産業省令で定める場合は、たとえば企業合同あるいは合併の場合、あるいは小売り店舗の共同化、すなわち、寄り合いの百貨店あるいは協業スーパーマーケットというようなものを共同出資で行なうというような場合、あるいはボランタリーチェーンの本部を共同出資で行なうというような場合があるわけでございまして、そういうふうな
事業
の種類——対象となるところの
事業
の種類あるいは
内容
等を規定いたしたいと思うわけであります。
小柳勇
128
○小柳勇君 次は、第二十条の第三項について質問いたしますが、「第一項第二号イ及びロの中小企業構造の高度化に寄与する
事業
並びに同項第三号の
業務
の範囲は、
政令
で定める。」とありますが、この
政令
はどのようなことを定めるのでありますか。
影山衛司
129
○
政府委員
(影山
衛司
君) 対象高度化
事業
の
内容
を規定いたすわけでありまして、第二十条第一項第二号の対象
事業
といたしましては、協同組合等の共同
事業
、それから工業団地、商業団地あるいは共同工場、商店街の改造、それから小売り商業の、ただいま申し上げました店舗の共同化、あるいは新たに共同
計算
センターを
計画
いたしておりますが、共同
計算
センター、あるいは小売り商業の連鎖化、すなわち、ボランタリーチェーンというような
事業
を
政令
で規定いたすつもりでございます。 それから法第二十条の第一項の第三号に掲げてございますところの直接
事業
につきましては、これは二府県以上にまたがる場合、それからもう
一つ
は、繊維の構造改善
事業
法が成立いたしました場合には、その構造改善
事業
につきましては、都道府県の財政負担の見地から、一〇%
程度
の都道府県の負担をしてもらうことになっておりますので、それは一度
事業団
のほうへ貸し付けてもらいまして、
事業団
自体の六〇%の金と合わせて、これを商工中金等を通じて産地の商工組合に流すというような方式を考えておりますが、これも
政令
で規定いたすということにいたしていくということになろうと思われます。
小柳勇
130
○小柳勇君 次は、第二十一条であります。「
事業団
は、
通商産業大臣
の認可を受けて、
政令
で定める金融
機関
に対し、」云々「一部を委託することができる。」とありますが、「
政令
で定める金融
機関
」とはどういうところを考えておりますか。
影山衛司
131
○
政府委員
(影山
衛司
君) さしあたり、これは中小企業振興
事業団
の直接
事業
として融資をいたします場合の
業務
の一部を委託する金融
機関
を考えておるわけでございまして、商工組合中央金庫かそういう組織金融、組合金融としてこれは高い実績を有しておりますので、さしあたりといたしましては、商工中金を指定をいたすように考えております。
小柳勇
132
○小柳勇君 商工中金だけでなぐ、広く都市銀行あるいは地元の経済発展と密接に結びついている地方銀行にも
業務
を委託して活用する考えはないのか、この点についての見解を伺います。
影山衛司
133
○
政府委員
(影山
衛司
君) 今後の運用の実績等をも考えてみまして、そういう方向に進んでいきたいと思うわけでございます。まず、その前提といたしましては、地方銀行がやはり協調融資をしてもらうということが前提であるわけでございます。
小柳勇
134
○小柳勇君 地方銀行が協調融資に
協力
するならば、通産省としては地方銀行も
業務
委託を考えると、そういうことも考えていいですか。
影山衛司
135
○
政府委員
(影山
衛司
君) そういう方向で今後も検討していきたいと思います。
小柳勇
136
○小柳勇君 商工中金が組合金融を通じて中小企業を育成強化する使命を持っているにもかかわらず、貸し付けにあたって、往々にして独善的、官僚的な
運営
が行なわれ、中小企業に対して不親切な場合があると聞いておりますが、これでは困るんで、常に借りる側の中小企業者の立場に立って貸し付けに当たるよう、
事業団
も発足しようとしておりますし、商工中金にも、協業ができたという機会であるから、さらに十分そういう点については指導してもらいたいが、いかがでございましょう。
影山衛司
137
○
政府委員
(影山
衛司
君) 先生御指摘のような点も、遺憾ながら間々あるわけでございますが、この
事業団
発足を機会に、商工中金のほうといたしましても、
業務
運営
の改善を大いにはかっていきたいという気持ちを持っておりますので、私どももそういう方向で指導をいたしたいと考えておるわけでございます。
小柳勇
138
○小柳勇君 商工中金にもひとつとくと通産大臣から言っておいてもらいたいと思います。これは私だけではありませんで、各
委員
がそういうことを申しておりますから、私は代表して申し上げておきます。 次は、二十一条の二項でありますが、「
事業団
は、
通商産業大臣
の認可を受けて、地方公共団体その他
政令
で定める者に対し、」「一部を委託することができる。」とありますが、
事業団
が都道府県から資金の一部を借りて
業務
を行なう場合に、委託する「地方公共団体その他
政令
で定める者」とは、一体何を考えているのか、お聞きいたします。
影山衛司
139
○
政府委員
(影山
衛司
君) ここで考えておりますところの地方公共団体は、むしろ都道府県ではございませんで、市町村なりを考えておるわけでございます。また、「その他
政令
で定める者」と申しますのは、県あたりで実際上土地造成の実務をいたしておりますところの
開発
公社等を考えておるわけでございます。
小柳勇
140
○小柳勇君 次は、二十七条でありますが、「
事業団
は、」「中小企業振興債券を発行することができる。」ことになっておりますが、なぜ
事業団
が債券を発行する必要がありますか。
影山衛司
141
○
政府委員
(影山
衛司
君)
事業団
の所要資金につきましては、でき得べくんば、一般会計からの出資だけによりたいわけでございますけれども、しかしながら、一般会計だけからの出資ということになりますというと、従来からの行きがかりもございまして、相当補助金的な厳格な運用をいたすというようなこともございますし、また、従来五〇%まで資金助成するということになっておりましたけれども、それの助成の限度を引き上げていくということになりますというと、やはり中小企業振興債券等も発行いたしまして、外部資金も、これは一種の財政投融資の資金でございますけれども、そういうものを導入をいたしまして、貸し付け範囲を拡張いたしますと同時に、反面におきましては、運用を弾力的にいたしていきたいというような考え方から、外部資金であるところの中小企業振興債券も、これは導入をいたすということにしたわけでございます。
大矢正
142
○大矢正君 関連して。
長官
、いまの
事業
計画
、すなわち、ことしの
事業
計画
ですね、この
事業
計画
の
内容
はおおむね、きょう
資料
としていただいたんですが、正確なひとつ原資の
内容
を、政府出資が幾ら、債券の発行が幾ら、資金運用部からの借り入れが幾ら、そのほかにあるのかどうかわかりませんが、それをひとつ正確に御
説明
願いたい。
影山衛司
143
○
政府委員
(影山
衛司
君)
事業団
の
事業
計画
の原資でございますが、
事業団
の資金は、百七十八億を現在のところ予定いたしているわけでございますが、その中で、出資金によりますものが約百十一億でございます。それから、すでに高度化資金時代の債権債務の中から現金として引き継ぐもの、これが八億七千万円
程度
でございます。それから、先ほどの中小企業振興債券が三十七億円、それから二十七条にございますところの長期借り入れ金というものが二十一億で、借り入れ金が合計五十八億ということになりまして、
事業団
の資金は百七十八億円でございます。
大矢正
144
○大矢正君 借り入れの
内容
は。ほかはわかるんだが、借り入れはどこから借りるのか。
影山衛司
145
○
政府委員
(影山
衛司
君) 借り入れにつきましては、これは市中銀行から借り入れるということになっているわけでございます。市中銀行から借り入れて政府が保証をする、債務保証をするという形になっているわけでございます。
大矢正
146
○大矢正君 それからもう
一つ
、念のために、出資に関連してお尋ねしておきたいことは、この百七十八億にさらに若干の数字的な違いが出てくるかもわかりませんが、国が六十二億ですか、繊維の構造改善の例の織布に対する助成といいますか、融資といいますかね、これを行なわれることになるんだが、この法律が通らないということになると、
事業
計画
は根本から大きく狂ってきますね、六十二億ですからね。そうすると、これはちょっと私の考えからいけば、今年度
事業
計画
の立たないような、資金
計画
がまるっきり狂ってしまうような、三分の一も狂ってしまうようなこの法律の
内容
というものはね、繊維の構造改善に関する繊維新々法でも出てこないうちは、容易にこれを賛成して、上げるわけにはいかないという理屈を私は持っているのだが、その理屈は間違いかどうか、これだけ聞かしておいてください。
影山衛司
147
○
政府委員
(影山
衛司
君) 先生御指摘のように、繊維の織布対策も六十二億ほど
事業団
から金を出す予定にしておりまして、新規のこれからやりますところの
事業
といたしましては、非常に私どもも期待をいたしているところの施策でございますが、この六十二億に対しまして、あと全般の
事業団
の
事業
計画
と申しますものは、工場団地、商業団地等の案件につきましては約九十九億、それから共同工場、公害防止施設等におきましては約十七億というような……
大矢正
148
○大矢正君 それはわかる。三分の一が狂いが生ずると言っているのだ。百七十八億のうちの六十二億といったら三分の一でしょう、三分の一の資金
計画
が大幅に狂うのに、それでも法律をこのままそういう
計画
のもとに通していいんですか、悪いんですかと聞いているんです。
影山衛司
149
○
政府委員
(影山
衛司
君) 私どもといたしましては、この繊維の法律が早急にこの国会で成立いたしまして、私どもの用意しております
事業団
の
事業
内容
に変わってくるということを期待いたしているわけでございます。 それと同時に、もう
一つ
事業団
関係
におきましては、たとえば工場団地につきましては、四十二年度の
計画
といたしましては、件数で五十七件を予定いたしているわけでございますが、その中で、四十七件と申しますものは、これは従来からの三年
計画
で助成をいたしておりますものの継続分でございます。そういうものが商業団地についても十五団地ございますし、これは早く
事業団
が成立をしてほしいということで待ち望んでいるわけでございまして、その他にも一般案件につきましても、あるいは共同工場等におきましても、新しい
計画
で
事業
を早く発足さしてほしいということを待ち望んでいるわけでございますので、先生御指摘のような点も私どもはよくわかるわけでございますけれども、どうぞ、そのところはひとつよろしく御了承願います。
小柳勇
150
○小柳勇君 これで最後になりますが、附則の施行期日、第一条では、「公布の日から起算して三月をこえない範囲内において
政令
で定める日から施行する。」 とありますが、この
法案
が成立すると、いつから
事業団
を発足させるつもりでございますか。
影山衛司
151
○
政府委員
(影山
衛司
君) これにつきましては、設立
委員
会等を設けて準備をいたすことが法律上も規定されておりますので、その期間を考えまして、大体おそくとも八月一日ごろから発足させたいというふうに考えておるわけでございます。
小柳勇
152
○小柳勇君 衆議院の本会議で附帯決議されましたあの附帯決議の
内容
などが、現在既存の団地の業者の皆さんの多数の意見のようです、私、報告を探ってみましても。したがいまして、あの附帯決議、おそらくこの参議院の
商工委員会
でも、そういう附帯決議をつけられるものと思いますけれども、あの
内容
についてひとつ格段の配慮をしてもらいたい。見解を聞きながら、私の質問を終わります。
影山衛司
153
○
政府委員
(影山
衛司
君) いずれも、私どもといたしましても、今後の重要な検討項目として考えておるものでございますので、真剣に、前向きで検討を進めていきたいと思う次第でございます。
小柳勇
154
○小柳勇君 では、いまの衆議院の附帯決議の
内容
につきまして、大臣の決意、見解を聞いておきたいと思います。
菅野和太郎
155
○国務大臣(
菅野和太郎
君) 先般の衆議院の
委員
会におきまして附帯決議が決議されたのでございますが、私はそのときに、この附帯決議の趣旨を尊重して
運営
に
当たり
たいということをお答えしたのであります。私の気持ちはそのとおりであります。
小柳勇
156
○小柳勇君 質問を終わります。
矢追秀彦
157
○矢追秀彦君 この振興
事業団
ができることによって、いままでの高度化資金の特別会計と、それから指導センターの一元化ということでありますけれども、この
事業団
ができることによって、具体的にどのように中小企業に対する対策が効果があがるかということをお聞きしたいのです。 〔
委員長
退席、理事
近藤英一郎
君着席〕 といいますのは、大臣にこれはお聞きしたいのですが、衆議院の
商工委員会
で、とにかく今度中小企業の振興
事業団
をつくりまして、そうして、これをひとつ一、二年やってみて、その上で大体
見通し
がつくのではないか、こういうふうなお話があったのですが、やってみて、そして、よかったらまた拡大していくと、こういうお話のようでございますけれども、そういうふうなビジョンしかお持ちじゃないのかどうか、お聞きしたいのですが……。
菅野和太郎
158
○国務大臣(
菅野和太郎
君) この中小企業振興
事業団
は、いままで中小企業の振興については従来いろいろの方策も講じてきたのでありますが、しかし、中小企業の問題というものは依然として残っておる問題だと思うのです。そこで、いろいろ研究した結果、この高度化資金の
運営
と、そして、この指導の
事業
とをあわせてやるほうがより効果的じゃないかと、そこで、この中小企業の振興
事業団
という案を考えたのでありまして、これによって中小企業の問題の解決に一歩前進したいと、こうわれわれ考えておるのでありまして、したがいまして、
運営
については、いろいろ附帯条件も衆議院でも決議されたのでありますが、われわれはこの
運営
をやってみて、なお足らざるところがあれば、ひとつまた足らざるところは補って、より効率的な
運営
をやりたいということを述べた次第であります。
矢追秀彦
159
○矢追秀彦君 いまの、一歩前進でありますけれども、どのような一歩前進を考えておられるのか。
影山衛司
160
○
政府委員
(影山
衛司
君) 改善されますおもな点を申し上げますというと、先ほど大臣が申し上げましたように、啓蒙指導と助成とが一体的、総合的に実施されるということが第一であります。 第二点は、助成割合が、従来の五割、これは実質上は三割五分
程度
しか行なっていないわけでございますが、これが実質的に六割五分以上に引き上げられるということでございます。 それから、金利につきましても、中小企業者の全体の実質負担金利につきましても有利になるようにこれは考えております。 それから、助成対象につきましても、これは構造改善
事業
なども、今後法律が成立いたしますれば積極的に取り上げるというふうに、助成対象もできるだけ構造改善
事業
を積極的にこれに取り入れていく、拡大をいたしたいということが次の点でございます。 それから、その次は、償還期間につきましても、従来の十年が十五年に延びますし、あるいは、従来七年であったものは十二年に延ばすというふうに、償還期間も大幅に延長をいたしておるような次第でございまして、そういう点。あるいは造成、分割譲渡というような仕事もできる。従来は高度化資金ではできなかったものでございますが、 〔理事
近藤英一郎
君退席、
委員長
着席〕 それを法律上はできることにいたしておるような次第でございます。 またもう
一つ
は、従来高度化資金でできませんでした点は、
二つ
の都道府県にまたがるような
事業
ができなかったわけでございます。従来、東京都からたとえば茨城県に団地が出ていくというような場合には、どちらの都道府県もめんどうを見てくれないというような面があるわけでございます。これは、東京都とそれから茨城県から、おのおの
事業団
が貸し付けを受けまして、
事業団
の直接
事業
として団地が融資
事業
ができるというようなことも今度できるようになったわけでございまして、そういう点を考えますというと、相当な前進がはかられるんじゃないかというふうに考えるわけでございます。
矢追秀彦
161
○矢追秀彦君 大臣にお伺いしたいのですが、中小企業については、政府としてもいろいろな仕事はやっておられるわけです。しかしながら、日本の中小企業に対する対策というものを、私はこの一、二年ずっと
商工委員会
に出ておりまして感じることは、どうもあとで、こう薬を張っておるような感じを受けるわけです。ちっとも問題は解決をしないで、依然として中小企業も倒産が多い。今度
事業団
ができると、いま一歩前進のようなことは伺いましたけれども、まだまだ中小企業、日本にたくさんある中小企業の人たちが希望を持って、日本の将来の中小企業はこういうふうになるんだと、自分たちもそういうふうに努力をしようと、そういう方向も示されていないし、こういう点について大臣は、中小企業、特に日本の中小企業がこういった自由化のもとにあって、どういう方向にいくことが理想的であるのか、そういうことをどのようにお考えになっているのか、お聞きしたいと思います。
菅野和太郎
162
○国務大臣(
菅野和太郎
君) ただいまお話しのとおり、中小企業問題がいつも解決をしていないということは仰せのとおりであります。そこで、この中小企業の問題でまず必要なことは、中小企業者に対する啓蒙運動が必要だと私思うのでありまして、この中小企業の振興
事業団
の性質なども十分理解してもらうし、あるいは協業化とか共同化とかいうようなこと、御承知のとおり、これから
技術
もだんだんと大
規模
な装置をしなければならぬようになってきまするし、資本力もより多くの資本力を持たなければ
事業
がやっていけないというようなこと、あるいは労働力の不足というような問題、これらを解決するためには、中小企業がやはり協業化していく、共同化していく必要があるというように考えますので、そういうようなことについて、中小企業者に対しての指導啓蒙ということを積極的にやる必要があるということで、今回の中小企業振興
事業団
の仕事の中にもそれが含まれておるのであります。そういうことで、ただ単にこの
事業団
というものができただけで、決してこれは私は効果をあげることはできないのでありますからして、むしろ積極的にこの
事業団
の本来の目的を達成するように中小企業の人々に対して働きかけるということが最も必要なことではないかと、こう考えておる次第でございます。
矢追秀彦
163
○矢追秀彦君 いま大臣、協業化のことを言われましたけれども、いまの中小企業を全部協業化していけばよくなると、こういう考えなんですか。その場合、協業化する場合、大企業との問題があります。協業化したから中小企業の体質が改善され強くなって、大企業に対抗できるとか、そういうことでは私はないと思いますが。要するに、私が言いたいのは、日本における中小企業は諸
外国
に対しても対抗できるいわゆる優秀な中小企業であると思います。また、中小企業でなければできないようなものが一ぱいあると思います。そういうものは大いに力を入れて、そうして自由化に対抗していく、それが望ましいと思いますけれども、それに対しても、あまり強い方策はいままでとられていなかった、啓蒙もされていなかったと考えるのですが、ただ大臣ばく然と協業化と言われましたけれども、どういう方向で協業化をされるのですか。
菅野和太郎
164
○国務大臣(
菅野和太郎
君) 日本の業種の中で、中小企業でなければ存立し自立し得ないものがあります。それはそれとして、その存立をはかるように政府は助成しなければならぬと、こう考えております。したがって、その中小企業でたとえば資金が不足するとかいうような場合には、その資金の融通方について助成するというようなことで、中小企業として存在しなければならぬ中小企業は中小企業として存立するように努力したいと思う。だがしかし、また、他の中小企業では、大資本のために中小企業であるがために圧迫されるというような場合には、協業化を進めていく、そして大資本と対立するようにしていくというやり方でやります。
矢追秀彦
165
○矢追秀彦君 中小企業で成り立つものはそのままにしておくと、大企業に対して圧迫されるものを協業化して防壁にする、これであれば、ちょっと協業化ということは、これは単なる防衛手段といいますか、非常に消極的ではないかと思います。もっと積極的に、協業化というものはそういうものではないじゃないかと思います。いかがでしょうか。
菅野和太郎
166
○国務大臣(
菅野和太郎
君) 協業化しなかったならば滅びるから、われわれは協業化して大資本と対立さすという意味で、協業化を進めるべきである、それが、先ほど申し上げました
技術
の点、だんだん装置が大
規模
になりましたからして、まだ資本力の点あるいは労働力の点において大企業と対立ができないから。したがって、そういうような業種に対しては、協業化をさして、そして大資本と対立するように助成していきたいと、こう考えておる次第でございます。
矢追秀彦
167
○矢追秀彦君 この問題はやり出すと、また長くなりますから、
事業団
、この法律に返りますが、この振興
事業団
では、高度化資金と指導センターの一元化でありますけれども、設備近代化という問題はまた別に残っておりますが、それを一緒にするという考えはなかったのかどうか、お伺いしたい。
影山衛司
168
○
政府委員
(影山
衛司
君) 設備近代化資金は小
規模
零細企業対策の大きな
一つ
の柱であるわけでございまして、これらの点につきましても、振興
事業団
の
事業
内容
とするかどうかにつきましても、相当慎重な検討をいたしたような次第でございますが、まず、この小
規模
零細
事業
個々の問題につきましては、これはやはりそういう企業に密着しておるところの県のベースで指導をしながら、それから零細
規模
層に対して設備近代化資金の貸し付けを行なっていただいたほうがこれはいいのではないかという結論になりましたのが第一点と、それから、もうすでに設備近代化資金制度というのは相当の歴史がございまして、県の段階に補助金が出ておりまして、県の段階で相当回転をいたしているような次第でございますので、いまさら、これを
事業団
に取り上げるというようなかっこうになりますのも、せっかく都道府県のほうで一生懸命やっていただいております
関係
をも考慮いたしまして、このたび、この
事業団
を設立するにつきましては、設備の近代化資金は従来どおりの体制でいくということになるわけであります。従来どおりの体制と申しますのは、設備近代化資金を補助金として県のほうに差し上げるということでございまして、
事業団
方式になりますというと、県に貸し付け、県に回収をするというような貸し付け制度でございますので、こういう零細企業対策につきましては、むしろ県に対して補助金を出すというような対策のほうが、従来からやっております点から好都合ではないかというふうに考えたわけでございます。
矢追秀彦
169
○矢追秀彦君 業種別の近代化とこの
事業団
とはどういう
関係
になるのですか。
影山衛司
170
○
政府委員
(影山
衛司
君) 近代化促進法におきましても、業種別の近代化
計画
を立てまして、この近代化を業種別に進めていくという法律あるいは中小企業対策があるのでございますが、この中小企業振興
事業団
の対象となりますところの共同化、協業化の
事業
も、やはり業種別の近代化、業種ぐるみ、あるいは産地ぐるみの近代化の推進の
一つ
の行政手段といたしましてこれを推進していきたいと思うわけでございます。また、繊維につきましては、産地ぐるみの構造改善を行なうというようなこともはっきりと出ておるような次第でございます。
矢追秀彦
171
○矢追秀彦君 この
事業団
が、先ほど、少し話は出ましたけれども、中小企業の対策の中でどの
程度
の位置を占めるか、かなり重要な位置であると思いますが、ウエートといいますか、この点はどうお考えですか。
影山衛司
172
○
政府委員
(影山
衛司
君) 中小企業の大
部分
を占めますところの小
規模
零細企業が、まあ過小性過多性という性質を持っておりまして、国際競争力等も非常に弱いということでございますが、しかしながら、これを共同化し、あるいは協業化していくことにつきましては、なかなか一国一城のあるじというような考え方もございまして、非常にむずかしい
事業
でございます。また、それを行ないますところの中小企業者にとりましても大
事業
でございます。こういうむずかしい
事業
こそ、やはり中小企業振興
事業団
というようなものを設けまして推進をいたしていきたいと考えたわけでございまして、この中小企業振興
事業団
は、中小企業対策の中では非常な大きなウエートを持っておるものでございます。また、
技術
的にも特色のある中小企業者というものが、輸出にも伸びていっておるというような点もございまして、先ほど大臣からも御答弁いたしましたように、
技術
対策という点につきましても、これは中小企業対策の中でも非常なウエートを占めておるというふうに考えるわけでございまして、いろんな中小企業対策をやり、総合的に実施をしていく必要があるのではないかと思うわけでございます。
矢追秀彦
173
○矢追秀彦君 この指導センターの問題でございますけれども、いま言われましたように、確かに一国一城のあるじが多くて、なかなかこういった協業化とか団地の問題に対しても、理解が薄い人がいるわけです。いままで指導はされてこられたと思いますけれども、こういった指導
機関
へ相談に来る人、指導を受けに来る人は問題ないと思います。なかなか指導を受けに来ない人、これに対して、先ほど、啓蒙するというお話もございましたけれども、かなり強力に指導といいますか、啓蒙しないといけないと思うのです。それに対しては、何か特別な方法、方策はおありになるかどうか。
影山衛司
174
○
政府委員
(影山
衛司
君) 先生御指摘のとおりでございまして、小
規模
零細層の中小企業の人たちが自分の仕事をやっておることだけで手一ぱいでございまして、講習会に行くとか、あるいはコンサルタントの指導を受けるというふうに、こちらから出かけていくというような機会が少ないわけでございます。そういう面を考慮いたしまして、県の行なっておりますところの総合指導所につきましては、マイクロバス等も補助の対象にいたしておりまして、巡回指導を行なうということをやっております。それからまた、
技術
指導につきましても、県の公設試験研究所に対しまして、やはり同じようにマイクロバスとか簡易な試験器具というようなものも補助いたしておりまして、そういうところは、産地を巡回いたしまして指導をいたすというようなことになっております。それから商工会あたりの経営改善指導員、これは小
規模
零細層の人たちの経営改善のための指導員でございますので、こういう人たちにつきましては、現在も四千九百七十名の指導員を持っておるわけでございますが、そういう人たちが積極的にやはり中小企業者の中に飛び込んでいって指導を積極的にするというふうに、人数もふやしますと同時に、そういう中小企業者の指導に臨む態度につきましては、私どもは強力に指導をいたしておるような次第でございます。
矢追秀彦
175
○矢追秀彦君 この指導員でありますけれども、いろいろな指導をする
機関
とか指導員がおります。たとえば商工会の経営改善普及員、また中小企業団体中央会の指導員、また指導法に基づく診断員、それから労働省の労務管理指導員、その他いわゆる
民間
にある経営コンサルタント、そういうようなのが非常にたくさんあるわけでありますけれども、そのおのおのに特徴があると思いますけれども、その特徴を教えていただき、また、こういうのが——大ざっぱでもけっこうですから、どのように、現在どういう部門の人が特によく仕事をしているといいますか、一般の人が指導を受けに行くかどうか、その点についてお尋ねいたします。
影山衛司
176
○
政府委員
(影山
衛司
君) まず、県の指導体制でございますが、経営管理の合理化につきましては、従来商工指導所というものがございましたけれども、それを総合指導所というふうに組織を改善いたしまして、それに要する補助金あるいは施設等も補助をいたしております。それで、その要員につきましては、今度も五百八十四人にふやしたような次第でございますが、こういう総合指導所におきましては、たとえば系列診断でございますとか、あるいは産地診断でありますとか、あるいは商店街診断でございますとか、そういうふうなグループ別に、政策的に
重要性
のあるところの診断というものを総合指導所でも行なっていただく。それからまた、今度の
事業団
の対象となるところの団地等につきましても、総合指導所あたりに
計画
診断あるいは事後の
運営
診断というような指導も行なってもらうということになるわけでございますが、県の段階におきますところの総合指導所は、そういうふうな特色を持っておるわけでございます。もちろん、個別企業の診断ということもやるわけでございますが、そういうふうな政策的な診断もウエートを置いておるような次第でございます。それから商工会、商工会議所におきますところの経営指導員は、これは現在商工会で二千九百三名、商工会議所
関係
で千八百九名、商工会連合会で二百十八名、計四千九百七十名の経営改善指導員を持っておるわけでございますが、これは小
規模
零細層の人たちに対して、帳簿のつけ方から、あるいは税金の納め方、あるいは金の借り方というようなことから指導をしていくというふうな小
規模
零細企業対策でございます。それから中央会の指導員につきましては、これは全体で四百八十名ほど配置しておりますけれども、これは中央会におきまして、全国の協同組合等の組織化あるいは協同組合の
運営
等につきまして、一般的な指導を行なうというふうな組織化、指導というようなことを行なっておるわけでありまして、おのおのその特色があり、おのおの持ち分というものがきまっておるわけでございます。そういう点につきましても、やはりおのおのの特色を生かしますと同時に、やはり総合的な
運営
というものも私は必要なんではないかというように考えておるのでございます。
矢追秀彦
177
○矢追秀彦君 こういうようないろいろな指導員がおるわけでありますけれども、これといまの
事業団
の指導センターとの
関係
、それはどのようになっておりますか。
影山衛司
178
○
政府委員
(影山
衛司
君) まず、振興
事業団
におきましては、そういうふうな各種の指導員の資質の向上という意味におきまして、これの研修養成
事業
を行なうわけでございます。 それから第二といたしましては、県段階におきましてそういう政策的な診断を行ない、あるいは助成
事業
の前提となるところの
計画
診断等を行ないます場合には、
事業団
におりますところのコンサルタント、これは相当高度のやはり協業化、共同化、あるいは団地化等につきましての専門の高度のコンサルタントを置いておくことにいたしておるわけでございますので、そういうコンサルタントは広い視野、高い見地から、県の行ないますところの診断指導に参加をいたしまして、指導をしながら、これを一緒になって行なっていくというふうなことをやるわけでございまして、そういうふうに
協力
体制と申しますか、そういう体制も整えておるような次第でございます。
矢追秀彦
179
○矢追秀彦君 そうすると、その
事業団
としては、こういったものを全部まとめて、いわゆる指導の
機関
をつくって、それを組織化する、そういうことは結局考えていないわけですね。
影山衛司
180
○
政府委員
(影山
衛司
君)
事業団
の職員といたしまして全部をこれを統合するというようなところまではまだ考えていないわけでございます。
矢追秀彦
181
○矢追秀彦君 一般の中小企業の人がこういういろいろなところへ行くわけですけれども、いろいろなのがありますから、やはりどこへ行っていいかわからぬ。ともすれば
民間
の経営コンサルタントに頼むこともあるわけです。まあいい人であればよろしいのですけれども、中にはあまりよくない人がいた場合は、かえってまずいことになるというようなことも全然ないとは言えないような状態ですし、やはり、せっかく
事業団
ができたのですから、こういうものを、いろいろな部門に行くのを何とかこう系列化して、どこかへ行ったならば、この問題についてはここで指導を受けろと、こういうふうにすぐ持っていけるようにしたほうがいいのじゃないかと、このように思うのですけれども、今後の問題として、それに対してどうお考えになりますか。
影山衛司
182
○
政府委員
(影山
衛司
君) 先生御指摘のような点につきましては、非常に重要な点でございます。今後そういう方向に向かいまして、中小企業者といたしましては、どこかの指導の窓口に行けば、おのおのその適当な窓口のほうへ内部で連絡ができるというような連絡調整体制も、ひとつ
事業団
が
中心
になりまして整えたいと考えております。
矢追秀彦
183
○矢追秀彦君 この資格の
基準
ですね、指導員になる人の。これは現在どういうふうになっておりますか。
影山衛司
184
○
政府委員
(影山
衛司
君) 資格でございますが、商工会、商工会議所の経営指導員につきましては、
大学
卒業者で、商工業の指導または経営実務に最近五年のうち二年以上従事しておった者というふうな資格にしております。それから中央会の指導員につきましては、
大学
卒業者で、組合員の指導または経営実務に三年以上従事した者というふうなことを資格といたします。また、県段階におきますところの診断員におきましては、原則といたしまして、中小企業診断員試験の合格者、あるいは中小企業指導センターの診断員養成課程終了者というようなものを資格にいたしております。
矢追秀彦
185
○矢追秀彦君 指導の問題についてやはり今後考えられることは、資本の自由化等によって、やはり中小企業がいまのままではいかない、どうしても転換せざるを得ないという問題が今後どうしても多いと思うのですけれども、これに対する指導は、
事業団
としては入ってないように思うのですが、この点について。
影山衛司
186
○
政府委員
(影山
衛司
君) 先生御指摘のように、従来からも、生活様式の変化あるいは
技術
革新あるいは原料の転換というようなことで転換は行なわれてきているわけでございますが、今後、外資の自由化あるいは後進国からの追い上げというような見地から、転換を迫られる場合も出てくるわけでございます。大体そういう場合におきましては、産地ごとに、あるいは業界の協同組合ごとに問題が起こってくるというように考えられますので、やはりそういう場合におきましては、業界全体が産地ぐるみ、あるいは業界ぐるみということで、そういう困難な問題にぶっつかっていかなければいけないということでございます。やはり協同組合の共同施設といたしまして、
技術
の問題あるいは転換先の検討、研究というようなものも行なわれるのでございまして、そういう場合におきましては、必要な共同施設等につきましては、この振興
事業団
の対象にいたしていくということで、そういう面の指導と助成というものをこの振興
事業団
を通じて行ないたいと考えておるわけでございます。また、産地ごとには、各県の公設の試験研究所もございますので、そういう面につきましては、転換等についての
技術
の問題につきましては、都道府県の公設試験研究
機関
が
中心
となって産地等の指導を行なっていく、そのための必要な施設は、やはり中小企業庁で組んでおりますところの補助金をそういうようなところに回していくというようなことで、指導と助成というようなものもこれに投入いたしまして、転換というものが前向きにひとつスムースに行なわれていくというふうに努力いたしたいと考えておるわけでございます。
矢追秀彦
187
○矢追秀彦君 いまの自由化の問題等もからんで、結局、日本の中小企業に対して、さっきから言っているように、はっきりしたビジョンを打ち出して、そしてやっていかないと、結局、中小企業はどんどんつぶされていく。そして、それからあと幾らお金を出してやっても、それは一応はその場しのぎはできるでしょうが、日本の経済全体の立場から考えれば、そういうことはプラスであるかマイナスであるか、非常に検討しなければならぬ。だから、やはりはっきり将来を示して、日本としては中小企業はこういう方向でいく、こういうものを海外に対しても出していくのだ、どうしても現在ある中小企業で、むしろ大企業にしたほうが日本の経済全体としてプラスになる場合もあるかと思うのです。そういうものはどうしても転換しなければならない。それをただこわしてしまう、冷たい行き方ではなくて、補助を加えつつ、そうして、いい方向へ持っていく。だから、私は、はっきりした方向を示していかなければ、中小企業問題は決していまのままでいったんでは解決しない。さらにまた、中小企業に対しては、政府としても金を出しております。まだ足りませんけれども出しております。けれども、何かむだ金が相当あるようにも感じますし、そういった点をほんとうにはっきりした方向を出して、これにのっとった上で指導を行なわれ、どんどん進めていかなければ、結局はおくれてしまう。いつまでたっても小さな町工場で、いつも絶えず倒産のうき目を見ながら、また、働いておる人たちは非常に環境の悪い中で仕事をしていかなければならない、そういうことになっていくと思うのです。それに対して、先ほど大臣の答弁も、ああいうふうな状態ですし、中小企業庁としては、どのようにこういった問題をお考えになっているか、お伺いしたいと思います。
影山衛司
188
○
政府委員
(影山
衛司
君) 中小企業対策のビジョンを明らかにし、今後中小企業が進むべき方向を明らかにするということは、中小企業基本法でも原則的な方向につきましては明らかにしておるところでございますが、今後そういう中小企業をめぐるところの内外の環境のきびしさというものに対処しての、今後の中小企業の行き方というものにつきましては、何ぶん、先生御承知のように、中小企業の業種あるいは
規模
別というふうに非常に複雑でございますけれども、それだからといって、むずかしいからビジョンなり方向づけができないというようなことでは困りますので、今後の中小企業対策の
一つ
の行き方といたしましては、中小企業近代化促進法あるいは繊維の構造改善の法律というようなものによりまして、業種別にひとつ中小企業の行くべき道を明らかにして、その方向に従って中小企業を指導していく運動を起こしていくということを心がけていきたいと思うわけでございます。
矢追秀彦
189
○矢追秀彦君 最後に、団地の問題でありますが、団地に移転した場合に、あと地の処理の問題ですけれども、所有者がかってに処理ができるのかどうか。 それから二番目としては、あと地に同種の工業または業者が来た場合、その場合は、移転の意義というものが薄くなっていく。これに対する業種の選定をどうしていくのか。最後に、公共用地としてそのあと地を地方公共団体で買い上げる、そういうことは考えておられるのかどうか。この三点をお伺いして終わりたいのであります。
影山衛司
190
○
政府委員
(影山
衛司
君) あと地の処理につきましては、最後の問題から御答弁申し上げますと、都道府県のほうへ
建設
省から金が流れておりまして、あと地の買い上げをいたしまして、これを公共用地に転換をいたすという方途もとられておるわけでございます。なかなかまだこれは中小企業分野にまで及んでくるというようなところには至っておりません。 それから、そのあと他の所有者がこれを処分できるかという問題でございますが、もちろんこれは所有者が処分できるわけでございます。しかしながら、その際に、工場のあと地にまた工場を持ってくるというようなことでは、これは首尾が一貫いたしませんので、そういう場合には、助成の条件といたしましても、あと地は工場には使わない。それで、事務所でありますとか、あるいは市内で売りさばくところの倉庫等には、これは転用ができるかと思います。そういうふうなところに転用をいたしていくべきであるというふうに指導をいたしております。それからまた、今後ともそういうふうに指導をいたしていきたいと思う次第でございます。
鹿島俊雄
191
○
委員長
(
鹿島俊雄
君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
鹿島俊雄
192
○
委員長
(
鹿島俊雄
君) 速記起こして。 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は、本日のところこの
程度
にいたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時十分散会 —————・—————