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1967-06-27 第55回国会 参議院 社会労働委員会 第18号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十二年六月二十七日(火曜日) 午前十一時六分開会
—————————————
出席者
は左のとおり。
委員長
山本伊三郎
君 理 事 土屋 義彦君 丸茂 重貞君 佐野 芳雄君
藤田藤太郎
君 委 員 川野 三暁君 黒木 利克君 佐藤 芳男君
山本
杉君 横山 フク君 大橋 和孝君 藤原 道子君
柳岡
秋夫
君 小平 芳平君
衆議院議員
発 議 者
山田
耻目君
国務大臣
厚 生 大 臣 坊
秀男
君
政府委員
厚生大臣官房長
梅本 純正君
厚生省社会局長
今村
譲君
厚生省援護局長
実本 博次君
事務局側
常任委員会専門
員 中原 武夫君
—————————————
本日の会議に付した案件 ○
原子爆弾被爆者
の
医療等
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
(
衆議院送付
、
予備審査
) ○
社会福祉事業振興会法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
)
—————————————
山本伊三郎
1
○
委員長
(
山本伊三郎
君) ただいまより
社会労働委員会
を開会いたします。 まず、
原子爆弾被爆者
の
医療等
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
を
議題
といたします。
発議者
、
衆議院議員山田耻目君
から
提案理由
の説明を聴取いたします。
山田耻目君
。
山田耻目
2
○
衆議院議員
(
山田耻目君
) ただいま
議題
となりました
原子爆弾被爆者
の
医療等
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、その
提案
の
理由
を御説明申し上げたいと存じます。
昭和
二十年八月六日午前八時十五分、
人類史上最初
の
原爆投下
は、一瞬にして広島、長崎合わせて三十数万の
人たち
の
生命
を奪い去り、そして両市を焦土と化さしめたのであります。幸いにして一命をとりとめた
人たち
も、四十一年三月三十一日現在の
手帳交付者総数
が二十八万一千五百九十五人の多きにのぼっております。昨年、
政府
の御理解で初めて
実態調査
を行ないまして、同年二月に
中間報告
が出され、この十月を目途に
最終報告
が出るようでございますが、推定されます
数字
は約一万三千五百人の
手帳交付者総数
がふえてまいりまして、約二十九万六千人に推定されるに至りました。なお、そのほかに、
原爆被爆者
ということを言うことによって、
子供
の
結婚
のことを考えたり、いろいろな
家庭
の事情で
手帳
の未
交付者
が約四万人と推定されるに至りました。合わせますと約三十三万六千人の多きにのぼるものと判断をされます。 このようにいたしまして、この世のものとも思われない
焦熱地獄
を身をもって体験し、
原爆
の
被爆
という一生ぬぐい去ることのできない宿命を背負わされ、あるいは
原爆熱線
による痛ましい傷痕のゆえに
結婚
もできずに悲歎にくれております。あるいは、また、放射能の影響による
造血機能障害
、
原爆後遺症
に悩まされるなど、病苦、
貧困
、孤独の
苦痛
にあえぎながら、誰に訴えるすべもなく、ただ、だまって歯を食いしばり今日まで生きてまいっておるのであります。あれから二十一年、きのうは一人、きょうも一人と、くしの歯の落ちこぼれるように、
生命
のともしびが吹き消されていく中で、白血病、
貧血症等
の発病の不安、
生命
の不安と焦燥におののきながらも、働かなくては生きていけないという
実態
が
原爆被爆者
の今日の姿であります。 この悲惨な
現実
をもたらした原因が、
原爆
の
被爆
に基づくものであることにかんがみまして、
昭和
三十二年、主として
原爆症
の
医療
について、現行の
原子爆弾被爆者
の
医療等
に関する
法律
は制定され、その後、三十五年の一部
改正
以来、四回にわたり、
対象範囲
の拡大、
医療手当
の
所得制限緩和
と増額もはかられてまいりました。しかしながら、今日なお、
原爆
を受けた
被爆者
の肉体的、
精神的障害
をぬぐい去ることができないばかりか、
消費者物価
の上昇のもとでその
生活
の苦しみを訴える声は日増しに高まっているのであります。したがいまして、これら
被爆者
の置かれている心身上、
生活
上の不安を除去するために、
被爆者
に対する
措置
も、その
健康面
及び
精神面
の特殊な状態に適応させ、かつ、
生活援護
をはかるべく、一そうの
拡充
がはかられるべきであると考えるのであります。 次に、この
法律案
の
内容
の
概要
を御説明申し上げます。 第一は、
援護手当
の
支給
であります。
認定被爆者
はもとより、
特別被爆者
のうちそれに近い、いわゆる
ボーダーライン層
も含めて、これらの人々が
被爆
によって生じた
身体障害
のたのに
労働力
が減退し、それにより収入が減少した場合、
政令
の定めるところによりまして
最高月額
五万円までの
援護手当
を
支給
することにいたしたのであります。 第二は、
障害年金
の
支給
であります。
被爆
に起因した
身体障害
のある
被爆者
に対し、それが外的、
内的障害たる
を問わず、年額十二万円を
限度
とする
障害年金
を
支給
することにいたしたのであります。なお、この
障害年金
は、
国民年金
の無
拠出年金
を除き、他の
増加恩給
その他
障害年金
に相当する
給付
とは併給することができないものといたしております。 第三は、
医療手当
の
月額
の引き上げと
所得制限
の撤廃であります。
医療手当
は、
昭和
三十五年の
改正
によって新たに加えられたものでありまして、現在は、
認定被爆者
が
医療
の
給付
を受けている期間中、毎月三千四百円を
限度
として
支給
することになっておりますが、この
月額
を、さきに申し上げました
援護手当
の額と勘案いたしまして七千円に引き上げるとともに、
医療手当
のかかる
所得制限
を撤廃することにより、これら
被爆者
が、安んじて
医療
を受けることができることといたしたのであります。 第四は、
認定被爆者
はもとより、それに近い
特別被爆者
が、
日本国有鉄道
の
鉄道
、自動車または
連絡船
に乗車または乗船する場合には、
政令
により
身体障害者福祉法
に基づく
運賃割り引き
を行なうことにいたしたのであります。 第五は、
被爆者
が死亡した場合に、その
葬祭
を行なうものに対し、
葬祭料
として三万円を
限度
として
支給
することであります。なお、この
葬祭料
は、
本法
が施行された
昭和
三十二年四月まで遡及することができることとしたのであります。 第六は、以上のような
措置
を講ずることにより、いわゆる
医療法
から
援護法
へ移行するものとし、
法律
の題名を
原子爆弾被爆者援護法
に改めたことであります。 以上のほか、
原子爆弾被爆者医療審議会
の名称及び権限を改めるとともに、
委員
の数を十名増員して三十名とし、また、都道府県が設置する
原子爆弾被爆被爆者相談所
の
費用
の一部を国が
補助
する等、
被爆者
の
援護
に関して必要な
措置
を講ずることといたしております。 また、特に
沖繩
に在住する約八十名の
原爆被爆者
が、今日まで専門医の診断を受ける機会も与えられず、何らの
援護
も受けないまま放置されている
現状
にかんがみ、
政令
により
本法
を適用することとしたのであります。
原爆
の
被爆
という悲惨な災害をこうむった
被爆者
の苦境を
救済
することは、人道上も決して放置することのできない問題であり、
被爆
後二十年を経過した今日、
救済
さるべき
被爆者
は、国による
援護
の手が差し伸べられないままに、あるいは死亡し、あるいは老齢化して、肉体的にも、精神的にも、はたまた物質的にも
苦痛
と困窮の度を深めているのであります。いまにして
救済
せざれば悔いを千載に残し、
政治
はそのかなえの軽重を問われると申しても決して過言ではありません。しかも、近時、いわゆる
戦争犠牲者
に対する
救済
の
措置
は次々と講ぜられ、今
国会
においても
恩給法
の一部
改正
、
戦傷病者戦没者遺族等援護法等
の一部
改正
、
戦傷病者
の父母に対する
特別給付金支給法
、あるいは
引揚者特別給付金支給法等
、一段とその
拡充
がはかられているのであります。したがいまして、
被爆者
に対する右のような
措置
を講ずることは、むしろ遅きに失したものであると確信する次第であります。 また、このように
被爆者
に対する
援護
を一そう
拡充
すべきであるという考えは、
ひとり提案者
のみならず、
昭和
三十八年十二月七日の
東京地方裁判所
の
判決理由
の中に見ることができるのであります。同裁判所は、
被爆者
に対する
救済策
をとるべきことは多言を要せず、それは立法府である
国会
及び行
政府
である
内閣
の職責であり、終戦後二十年を経て、高度の
経済成長
を遂げたわが国において、
国家財政
上これが不可能であるとは、とうてい考えられない。われわれは本訴訟を見るにつけ、
政治
の
貧困
を嘆かずにはいられないと述べ、
被爆者救済
について国の責任を
指摘
しているのであります。幸い
昭和
三十九年四月には本院で、三月には参議院において
原爆被爆者援護強化
に関する決議の可決を見ており、本年二月には
厚生省
の
原爆被爆者実態調査
の
基本調査
の
概要
も発表され、来たる十月には
最終報告
も行なわれるやに聞き及んでおるのでありまして、必らずや
被爆者
の
援護
をはかろうとするこの
法律案
の趣旨に御賛同いただけるものと確信いたしておる次第であります。なお、これに要する
費用
は、平年度約七十八億五千万円の見込みであります。 以上がこの
法律案
の
提案
の
理由
及び
内容
であります。何とぞ慎重御
審議
の上、すみやかに可決せられますようお願い申し上げます。
山本伊三郎
3
○
委員長
(
山本伊三郎
君)
本案
に対する自後の
審査
は、これを後日に譲ります。
—————————————
山本伊三郎
4
○
委員長
(
山本伊三郎
君) 次に、
社会福祉事業振興会法
の一部を
改正
する
法律案
を
議題
といたします。 これより
本案
に対し、
質疑
を行ないます。御
質疑
のある方は、順次御発言を願います。
柳岡秋夫
5
○
柳岡秋夫
君
社会福祉事業振興会
として、
社会福祉
の
施設
の
整備
のために、
老朽民間福祉施設
、これについての五カ年
計画
にわたる
整備
を行なっておるわけでございますが、この
老朽施設
という、いわゆる
基準
と申しますか、どういう
基準
で、いかなる数の
対象
があって、今日までの
実施状況
というものはどうなっておるのか、この辺をひとつお伺いしたいと思います。
今村譲
6
○
政府委員
(
今村譲
君) お答えいたします。 いま御
審議
を願っております
民間
の
老朽施設整備
五カ年
計画
というものは、三十八年度から四十二年度まで五カ年間でやるということにいたしております。それで、その発足当時の全体
計画
といたしましては、
民間
の総
坪数
が三十五万五千坪、全部でございますが、そのうちで明治とか大正とか、非常に古いものがあるというので
測定基準
をこういうふうにいたしまして、できた当時の新品で非常にりっぱなものというもの全部で一万点ということにいたしまして、たとえば土台が腐っているとか、あるいは柱が傾いているとかいうようなそれぞれの項目につきまして減点をやっていきまして、
総合判定
として四千点以下というふうなものについては、これは
老人
や
子供
を扱い、収容するというようなものについては非常に危険である、したがって、
老朽
はこわして建て直すというので、それは四千点以下というもので
基準
を引いたわけでございます。そういたしますと、総
坪数
がその当時三十五万五千坪、四千点以下は五万八千七百四十四坪ということでございまして、全体数の約一六・五%が四千点以下、いわゆる
失格点
というふうにきめまして、この五万八千坪を一〇〇といたしますと、三十八年度から四十二年度まで若干これに
傾斜
をつけまして、三十八年度は一六%で九千三百九十六坪、約九千四百坪、三十九年度が一八%、四十年度が二〇%、四十一年度が二二%、四十二年度が二四%、合計一〇〇%、こういうふうにそれぞれ
坪数
を出しております。したがいまして、その
数字
はほぼ、若干の
傾斜
でありますが、
計画
のとおりまいっておりまして、
実施
の実績につきましては、三十八年度は約八千八百坪、三十九年度が一万一千坪、四十年度が一万二千坪、四十一年度はちょっと計数が減っておりますが、約一万坪ということで、大体
計画
に近い
実施
をいたしております。最後に四十二年度の目標が残ります約一万七千坪というので、ちょっと
坪数
は多くございますけれども、これをぜひとも実行いたしたい、
予算措置
もととのえてございます。 以上でございます。
柳岡秋夫
7
○
柳岡秋夫
君 その
基準
ですね、
調査
をした時点というのは三十五年と、こういうことでございますから、すでにもう七年たつわけですね。したがって、相当その後いわゆる
老朽
化した
施設
もあるのではないか、こういうふうに思います。そうしますと、今後この五カ年
計画
に引き続きそうした
整備計画
というものが考えられておるのかどうか、その辺を伺いたいと思います。
今村譲
8
○
政府委員
(
今村譲
君) 仰せのとおりに、これは年々だんだん古ぼけてまいりますので、なくそうといいますか、どんどん四千点の
落第点
に落ちてくるのがございます。それで、大体五万八千坪で非常に目立つひどいものは一掃できるというふうに考えておりますが、逐年落ちてくるものというのは、いま各県から取りまして集計中でございますけれども、これが二万坪、あるいは三万坪というふうな
数字
になってまいります。 それから、四千点でいいのかどうか、もう少し上のほうをこの際一括してやったらどうかというような議論もございますので、それを全部集計いたしまして、
予算
の面と関連するわけでございますけれども、省議までに
方針
を打ち立てたい、どっちみち残ったものはまだ相当ある、こういうふうに考えております。
柳岡秋夫
9
○
柳岡秋夫
君 この
整備
に対する国の
補助
、あるいは県なりの
補助
、こういうものは四分の三ということでございますが、結局
自己負担
があるわけですね。その
自己負担
の
関係
で、たとえばいまあらゆる
国庫補助
なんかの
単価
というものが非常に安いわけですね。学校をつくる場合にも、非常に
単価
が安いために、地元の
負担
とかPTAの
負担
が起きてくる、こういうことがいわれておりますけれども、この場合は一体どういう実情にあるのか、
十分国
なり県なりで
補助
する額でその
事業
がやれるのかどうか、それとも、
施設
のほうでより多くの金をつくっているのかどうか、その点をひとつ。
今村譲
10
○
政府委員
(
今村譲
君) 御
指摘
のように、
単価
の問題は、結局高率な
地方公共団体
の
超過負担
、
民間
ならばそれだけ借金がふえるということでございますので、毎年大蔵省と、これは建設省の
いろいろ建築単価
などとも合わせるような
かっこう
で努力しております。ただ、
現実論
としましてはやはり足りません。国が二分の一、県が四分の一、四分の三が
国庫補助
、四分の一といいましてもやはり
五分五分
とは申しませんが、二五%というものは相当ふえる、
自己負担部分
が。
状況
によっては
五分五分
、あるいは四分とか四分五厘くらいというふうな
かっこう
でありますので、その
部分
についてはやむを得ず現在は
融資面
について
老朽施設整備
というもので無利子という
かっこう
で行なっておりますが、そういう
融資面
について十分みるという
方針
でいっておりますが、基本的には、やはり
予算
の問題として
単価
を是正していくという方向に努力しなければならないと、こういうふうに考えております。
柳岡秋夫
11
○
柳岡秋夫
君 おそらく、これは私もまだそういう正確な
実態
を把握をしておりませんけれども、
一般
の例から考えても、相当この
施設
の
負担
というものが大きいのではないか、こういうふうに思います。したがって、こういう
事業
にこそほんとうに国が、あるいは県が
十分めんどう
をみられるような十分な
融資
というもの、援助というものを考えていただきたい、こういうふうに思います。 それから、きょう、先日お願いをした「
民間社会福祉施設整備
に対する
補助金等交付状況調
」というものをいただきましたが、これによりますと、非常に
競輪
、あるいはモーターボートですか、そういういわゆるあまり好ましくないものからの
補助
と
交付金
というものが非常な大きな額に達しておるわけですね。これに対して一体
厚生大臣
はどういう見解をお持ちなのか、ひとつお聞きをしたいわけなんです。
坊秀男
12
○
国務大臣
(
坊秀男
君) お説のごとく、この
競輪
とか、そういったようなものから、何と申しますか、
寄付
と申しますか、そういうことを仰ぐということは、道徳的に非常にきびしく考えますと、これはかんばしくないことである、こういう御意見ももちろん私どもも否定はできないことだと存じます。しかし、こういったような
団体等
が、
法律
に基づきまして、そして一定の
基準
に従ってそういったようなものの
寄付
ということの道が開かれておるということでございますので、今日の
制度下
におきましてはこの
寄付
を受けておるということでございますけれども、しかしながらそういったような
団体
が、金がたまったということで自由に放恣にそういったようなものの金を使うというようなことでは、これは非常に弊害も伴うことでございますので、そういったような金の使途ということにつきましては、実はこの
寄付
を
社会事業
の
施設
に向けておる
厚生省
といたしましては、よく
所管省
と
連絡
、
相談
をいたしまして受けておるわけでございます。非常にきびしく考えますとお説のとおりのことだということは私も否定できないと思います。
柳岡秋夫
13
○
柳岡秋夫
君 まあ競馬、
競輪
、あるいは競艇というようなものが、
国民
の非常な平和な
生活
とか
家庭
を乱しておるということが事例としてよく報道されておりますけれども、まあ各
地方自治体等
におきましても、これは
必要悪
だというようなことで認められている
現状
ですね。あるいは、また、
自転車振興会
とか、そういうところは、こういうところに金を出しているのだからいいじゃないかというような、何か
自分たち
のやっていることを正当化するようなこともうかがえる。そういうふうなことで、私は非常に遺憾だと思うのですね。私は、やはりここで約十三億両方合わせまして出しておるようでございますけれども、やはりそうした金ではなくて、国が
めんどう
をみるという
基本的立場
に立ってひとつこういう
施設
に対する対策というものを立てる、こういうふうに今後私は
厚生省
として積極的に取り組んでいく、そういう姿勢をとってもらいたい、こういうふうに思います。 それから、次に、
職員
の
処遇
の問題でございますが、
施設
の
職員
は現在全国的にどのくらいおられまして、その
労働条件
というものが、
一般
の
公務員
、あるいは
民間
の
労働者
と比べてどうなのか、こういう点がおわかりになりましたら、ひとつお伺いしたいと思います。
今村譲
14
○
政府委員
(
今村譲
君) お答え申し上げます。
社会事業施設
、
民間
と
公立
を入れまして、
保育所
を入れますと約一万七千くらいの
施設
がございまして、約十一万人くらい、
公務員
、それから
民間
を入れまして、おるわけでございます。それで、
民間
の
施設
というのは、大体
職員
が四万人ちょっとおるというような
状況
でございます。で、問題は、その
処遇
の改善といいますか、国が
老人
なり
子供
なり、いろいろ
施設
に委託した場合の
委託費
の中で
二つ
に分けまして、
飲食物費
とか、そういう本人に帰属するもの、それから、それのお世話をする
園長
以下
職員
というようなものの
人件費
とかいうような、
事務費
といっておりますが、
二つ
に分かれるわけでございますが、その
事務費
の中の
人件費
というものにつきましては、これは毎年
予算
でいろいろ問題があるわけでありますけれども、大きく分けまして、
一つ
は
職員
の、たとえば
老人施設
に行った場合に
寮母
さんというものがおる。
寮母
さんというものは一体どのくらいの資格のものであるべきで、どのくらいの
給与
をいわゆる
事務費
の中の
計算
の中に織り込むべきかということが常に問題になるわけです。それと、もう
一つ
は、たとえば百人の
施設
については
寮母
さんが何人であるべきか、これが少なければ
労働強化
になりますし、というような問題と
二つ
に分かれますが、まず、
給与面
から申し上げますと、
昭和
三十五、六年くらいまでは、いまから振り返ってみますと非常に低いのじゃないか。
国家公務員
、あるいは
地方公務員
というものから比べると、学歴、
経験年数
から見て非常に低いのだというので、三十六年から、普通の
公務員
の
ベースアップ
があります場合には、そのつどそれにふさわしい
ベースアップ
を機械的にやってもらっておりますが、そのほかにも根っこが低いというふうな問題がありまして、三十六年から四十一年まで、いわゆる
公務員
の普通の
ベースアップ
以外に、本来的に低い
部分
、それを引き上げてくれというのが全部で五回やっております。それで、たとえば
保護施設
で
救護施設
とか、いろいろありますが、
寮母
さんでいいますと、四十一年の九月で二万七千四百円、これは本俸だけであります。それを
国家公務員
に直しますと六の二で、
役所
でいえば係長の一番若いようなところというように格づけされております。それから、
生活指導員
が二万九千百円、そのほかに若干付加的なものがございますけれども、そういうような
基本俸給
を定めて、それで、たとえば一
施設
百人収容なら
寮母
さん十人というもので、二万七千
幾ら
というものに掛ける十、そのほかに
生活指導員
、それから
園長
とか、そのほかのいろいろな職種の人全部積み上げて一カ月分を出して、それを
施設
に差し上げる、こういうようなことをやっております。
柳岡秋夫
15
○
柳岡秋夫
君
幾ら施設
の
近代化
をし、
施設
を
整備
いたしましても、そこに働く
職員
が集まらなければ、また、優秀な
職員
が来なければ、これは何にもならないわけです。ところが、非常に
処遇
が悪いというようなことで、一年間に約三割も退職する人がある、こういわれておるわけですね。これはやはり
民間
の場合ですけれども、
民間
と
公立
の場合の
労働条件
の格差というものが非常に大きいのじゃないかと思うのですが、その辺はいま
お話
があって、そのような
給与
のことでございますけれども、しかし、年間に三割もやめていく人があるということは、やはり
相当労働条件
がまだまだ不十分な点があるのではないか、こういうふうに推測されます。それに、また、それぞれの
施設
には
基準定員
というものがあると思うのですが、それに対しての
充足率
というものは一体どの程度になっておるのか、おわかりでしたらお尋ねしたい。
今村譲
16
○
政府委員
(
今村譲
君) 第一点の、
民間
の人の出入りが激しい、それは要するに
労働条件
、あるいは
給与条件
というのが低過ぎるんじゃないかというふうな御
指摘
でございます。これは先ほど申し上げましたように、たとえば
寮母
さんなら
国家公務員
にすれば六の二にひとしいような
積算
はいたしてございますが、
施設
によりましては、所にもよりますけれども、それ以上の
高給者
、要するに
経験
の高い人を雇っておるものもあります。しかし、
施設
によりましては、とてもこれだけの人は集まらないということで、もっと若い、
経験
の少ないような人を雇っておるようなところもあります。しかも、その一番
民間社会事業
の
問題点
でございますが、国はそういうふうにして、百人なら
寮母
さん何名、
指導職員
何名という
計算
で
施設
に委託して
事務費
を渡しますが、
施設長
が国がきめた
積算単価
のとおりに、何といいますか、
給与
なり何なりというものじゃなしに、人によってその
範囲
内で人を選ぶ、あるいは
経験年数
なんかを勘案して
給与
をきめるというふうな、
民間施設
としての
自主性
というものがあるのです。ただし、
役所
のほうとしますと、十人置くべきところを五人しか置かないというようなところには、そんなことなら金は十人分払いません。十人まで置けばまるまる払いますというふうなことをもって欠員がないような
かっこう
に持っていきたい、そういうふうに思っております。やはり、今後問題になりますのは、いま
お話
のように、新しい
労働条件
、あるいは
雇用関係
というふうなもののためには、
施設長
が、また
民間社会事業施設数
千にわたってそれぞれがばらばらに適当な人を、大体の目安はありますけれども、格づけなり
給与条件
なりというものをきめておるのでは非常に
施設
間のアンバランスが出てくる
可能性
がある。その点で何か
民間
でも横の統一をとって、やはり一人一人
役所
のほうで
給与
まできめるというわけにはまいりませんが、何かそこに、どこへ行っても
経験
十年の人は三万円なら三万円というふうなことで、その身分的な、あるいは
給与
的なもので安心して働けるという
かっこう
にしたいというので、いろいろ
社会福祉
協議会のメンバーとか、
施設
の長の集まとかということもまじえてわれわれ検討しているというふうなところであります。
実態
は、やはり非常に手弁当で
自分たち
もやってきたからというので、わりに
給与
関係
というものについても認識が薄いのじゃないかというふうな心配を私ども逆にしておるような状態でございます。
柳岡秋夫
17
○
柳岡秋夫
君 それで、
厚生省
は、先ほど言われましたように、これら
職員
の
処遇
改善のために毎年
予算
要求をしておると思いますが、大体大蔵省あたりのこれに対する認識が私はまだまだ足りないと思います。したがって、この
予算
要求と実際の確定ですね、そういうものがどの程度なのか。結局
厚生省
としては
幾ら
要求しても、実際に大蔵省がそれを査定の段階で減らしてしまうというようなことが積もり積もって今日のような
職員
の
状況
にあると思うのですけれども、そういう実際の
予算
面における経過といいますか、そういうものは一体どういうふうになっておりますか。
今村譲
18
○
政府委員
(
今村譲
君) 実は財政問題では
問題点
はたくさんございますが、たとえば
一つ
は
労働条件
の緩和ということにしますと、たとえば特別養護
老人
ホームというので例を申し上げますと、これは寝たっきり、いわばたれ流しといっても病院にはなかなか入れないし、それほどでもないという人がいます。そういうふうな
施設
の場合に、初めは、三十八年当時は、そういう
老人
が八人について
寮母
さんが一人ということでいいじゃないかということで実は出発したわけです。まだ三十八年ですから、歴史は
幾ら
もありませんが、そのうち、どうもそれでは、この前
お話
が出ましたように、おしめの洗たくだけでもたいへんだ。それから、夜中にいろいろ取りかえてあげなければならぬというようなことで、
審議
会でいろいろもめまして、
審議
会のほうでは五人に一人はどうしても要ると、こういう答申をもらったわけです。それで、率直にいいますと、八人を五人に一人といいますと人数が相当ふえてくるということでありまして、いろいろやりました結果、八人に一人を五人に一人の要求が六人に一人というふうに四十一年度になり、それから、四十二年度の
予算
、これはこの二月でありますけれども、やっと答申どおり五人に一人というものが要るだろうということで
予算
化されたというふうな事例がございます。これは
保育所
でも三十人に一人というのじゃ保母さんがとてもたいへんだ、二十人に一人にしてくれ、これは何千人という結果的には増員要求みたいな
かっこう
になります。それが一挙に二十人まで飛ばないで、年次
計画
で逐次少しずつ埋めていこうというふうなことになったり、これは三十本くらいいろいろな
施設
がございます。精薄とか重症心身とか、いろいろありますので、それぞれの
施設
に応じた人の要求ということになります。 それから、その
職員
の
給与
につきましては、たとえば宿日直手当とか、あるいは超勤手当とか、あるいは被服手当をどうするとか。実際の本俸そのものについても、
実態調査
の結果、どうもいまの
国家公務員
に準じた線よりは少し学歴、
経験年数
が高そうな
数字
なりを感じで、
調査
をして、これはどうも一号ぐらい低いようだということで大蔵にぶつかるということがございました。そうすると、その
調査
のデータをめぐってもいろいろな議論が出るということで、これは
数字
項目にわたりますので、非常にデリケートでございますが、ただし、
社会事業
を運営するために一番とりあえず問題になっておるものから片をつけようじゃないかということで、私ども毎年この改善ということに努力をしておる次第でございます。こういう
現状
でございます。
柳岡秋夫
19
○
柳岡秋夫
君 そういうふうに、非常に
施設
の
現状
というものを見ますと、
職員
の交代、あるいは欠員、あるいは無資格者の問題、こういうものが見られるわけでございますけれども、ひとつ
厚生省
としては、そういうふうな問題についてやはりこれは指導監督する、あるいは援助する立場にあるわけですから、今後ともひとつ十分そうした面についての姿勢をとっていただきたいと思います。 それから、この振興会に
関係
する問題としては、振興会法の業務の
一つ
に、こういう「
社会福祉
事業
施設
の
職員
等
社会福祉
事業
に関する事務に従事する者の研修、福利厚生その他
社会福祉
事業
の振興上必要と認められる
事業
を行う者に対し、必要な資金を貸し付け、又は助成を行うこと。」と、こういうことが規定されておるわけです。この助成というものは一体現在どういうことが行なわれておるのか。資金の貸し付けは、これはやられておりますけれども、「又は助成を行う」、この助成というのは一体どういうことなのか。
今村譲
20
○
政府委員
(
今村譲
君) これはこういうことです。いまお読みになりました二十三条の一項の第二号に、いわゆる「資金を貸し付け、又は助成を行うこと。」とございますが、実はその次の第二項に、振興会はその必要な助成を行なう場合には、いわゆる何といいますか、収支決算上黒字が出た、これは一審出発当時は
政府
出資だけで出発をしておりました。
政府
出資で金も貸し、事務経費もまかない、そして、なおかつ決算上剰余金が出た、そういう場合に、その金額の
範囲
内においてのみ前項第二号によっていわゆる社会系統の福祉
事業
に関する助成を行なうことができるということが
法律
に書いてございます。したがって、三十九年まで推移いたしましたので、十カ年間は
政府
出資をしてきましたが、毎年一億、一億というような小さな出資でございますので、これはできる限り貸し付けのほうに回すという
かっこう
になってきておりまして、事実上事務経費を差し引いた黒字決算がほとんどありませんので、事実上やっておらない。三十九年以降、今度は財投方式に切りかえまして、財投方式でやりまして、六分五厘で借りてきて、貸すのは四分、あるいは三分八厘というふうな
かっこう
になりますと、その利ざやを大蔵に全部持ってもらう、そのほか、この貸し付けに要する
事務費
も全部大蔵に持ってもらうということになりますので、事実上は、第二項のほうで黒字ができたら助成をやるのだ、付帯
事業
のような
かっこう
でございますので、そういうような面におきまして、いまの財政
状況
では、申し訳ない次第でございますけれども、事実上黒字決算による財政援助というふうなものはやっておらない、やれない
状況
になっておるということで、これは今後
政府
出資金の増というふうな問題ともからんで、今後われわれの努力しなきゃならぬ目標ではないかというふうに思います。ただ、事実上の問題としましては、いろいろな
民間社会事業
に対するPR資料を送ったり、あるいは運営指導——指導といっては、これは
民間
で指導ではありませんが、運営の参考資料を送ったりというふうな、事実行為としてはやっておりますが、ここにぎょうぎょうしく助成を行なうというふうなものはできない
かっこう
に相なっておる、こういうふうな
状況
になっております。
柳岡秋夫
21
○
柳岡秋夫
君 ちょっとそうすると、
法律
でこういうふうにきまっておりながら、実際は当初からそういうことが全然やられておらないということになると、これはやっぱり問題だと思うんですね。そうすれば、初めから資金の貸し付けでとどめておくべきであって、少なくとも、助成を行なうということになっておれば、これはいま局長の言われたように、出資をもっと大幅にふやして、それでそうした余裕ができるような形にするか、あるいはそういう黒字にとか何とかというのでなしに、何か別な
措置
でもって振興会に対する国の
予算
的、財政的裏づけを与えて、そして
法律
上の助成ができるような、そういう何かしないと、せっかく
法律
でこうつくられておるのが全然発足当初からやられておらないということになると、私は非常に問題でないかと思う。また、
厚生省
としても、こうした法的根拠があるわけですから、この根拠に基づいてやっぱり大蔵省に対する要求をしていくということが必要じゃないかと思うんですが、その点はいかがですか。
今村譲
22
○
政府委員
(
今村譲
君) 仰せのとおり、これは発足当時は非常に大きな夢がございまして、
政府
出資毎年毎年ということになりますと、もし黒字決算になり得るならば、まず金利を下げてくれというふうな
民間
からの要望がございますし、まあ金利はいいから、若干黒字が出たらそれを
職員
の研修とか何とかのほうに回してくれというふうな意見等、まあいろいろありました。客観的には毎年一億ぐらいしか出資金がふえないというわけで、はなはだ申しわけないわけなんですが、現在までそういう
状況
でございます。まあこの法案が
提案
になった当時におきましては、将来数十億の
政府
出資金ということになれば、ある程度のものは利子引き下げに回しても助成ができるんじゃないかというふうな希望を持っておったわけですが、最近
政府
出資金も出しにくい、財投方式に切りかえて赤字をぬぐうという方式になりますと非常にむずかしい。ただ、御
指摘
のように、せっかくそういう条文もありながら寝かしておくということについては、はなはだ私どもとしても知恵の足りないことだと思いますが、これは御
指摘
の方法を実現できるような方法をいろいろ考えてまいりたい、こういうふうに思っております。
柳岡秋夫
23
○
柳岡秋夫
君 まああらゆる
法律
の中に、こうした
法律
できめられておりながら、実際にはそれが守られておらないということが往々にしてありますけれども、しかし、先ほど申し上げましたように、非常に
職員
の問題が大きな問題になっている現在ですから、私は、やはり振興会としては、そうした
法律
上の規定された問題については、積極的にもっと取り組めるような体制をひとつ
厚生省
として十分つくってもらいたい、こういうふうに思います。もしそうでなければ、この法文はやはりここで削除をするか何かして、すっきりしたものにすべきだというふうに私は思います。 それから、もう
一つ
、
社会福祉
施設
職員
の退職手当共済がありますが、これについて、これはまあ
職員
の待遇改善の一助になっているわけでございますけれども、現在なお相当数の
施設
が本制度に加入していない、こういう実情にあるわけですけれども、一体それはどういうところに問題があるのか、お伺いしたい。
今村譲
24
○
政府委員
(
今村譲
君) いまの御
指摘
は、これは
民間施設
だけでございますが、
施設
数が児童から何から全部入れまして約五千九百三十六というふうな、これは四十二年の三月三十一日現在ということで、四十一年度末ということでございますが、五千九百三十六、入っておりますのが五千三百十五、したがいまして約六百
施設
がまだ入っておらない、こういうことでございます。問題は、これは入るか入らないかは、強制加入でございませんので、大きな
施設
や何かは全部これは事態がわかっておりますが、常に新設の
施設
あたりで、たとえば
保育所
とか何か小さいところで気がつかなかったというふうな問題もありましょう。それから、もう
一つ
には、中小企業の退職共済法というのがございます。そっちのほうに入ったものはこれに入れない。ということは、こっちにも
給付
費が出ておりますし、中小企業のほうにも出ております。したがって、ダブリで両方口をかけることができないというふうな法制上の問題がありますので、ケースははっきりいたしませんが、若干のものは中小企業のほうに入っているというものがあろうかと思います。ただ、問題は、施施長がぼんやりしておったということでは申しわけありませんので、県のほうに極力すすめて、これに入れるようにという行政指導は目下いたしております。
柳岡秋夫
25
○
柳岡秋夫
君 そういうやっぱり退職手当は、わりあい中小企業の共済から見ますと有利な形になっておるわけでございますけれども、十分そうしたものに対するPRというか、そういうものがなされなくちゃならぬと思いますし、また、掛け金の問題ですね、これなんかも社会保険なんかと同じように
措置
費でみてやるということが必要じゃないかと思うんでんけれども、そういう考えはないでしょうか。
今村譲
26
○
政府委員
(
今村譲
君) これは現在基本額が一万五千円、十人おりますとちょうどその十倍というふうな、それから長年になりますと百分の百二十とか百三十とか、一応の率はございます。問題は、四十二年度におきましては総
給付
費の三分の一は国が持つ、三分の一国庫
負担
、三分の一は県が持つ、三分の一は
施設長
が持つ、こういうことになりまして、
施設長
が持ちますものは毎年変わりますけれども、本年度一人につき千八十円、年間でございます。したがいまして、これは
職員
が十人おりますと一万八百円というものを
施設長
が払い込まなければならないということになります。で、これはいま
お話
のように、その
施設長
の
職員
一人当たり千八十円払い込むのも
措置
費という形における
負担
にしたらどうかという議論になりますと、私どもいろいろ
負担
過重ではないかという検討はいたしましたが、これすらも
措置
費でみるということになりますと、結局は国と県とで全部退職共済制度を運営するという
かっこう
になりまして、
施設
のいわゆる全額公費
負担
共済制度というところまで波及いたしますので、そういたしますと、中小企業の対策なんかは五%、あるいは
状況
によっては一〇%ぐらいにしか国庫
負担
がないという点から見ても、非常に大きな問題に発展する。しかも、従来のこういう共済におきましてはいろいろ国庫
負担
の制度もございますけれども、三分の一持つ、
事務費
はもちろん全部国が持ちますから、そういうふうな制度というものは、非常に比べますと恵まれた、逆に言えば、
社会事業施設
というのは非常に苦労が多い
施設
であるから、そのくらいのことはせにゃいかぬじゃないかということでできたものですから、根っこの
施設
負担
三分の一まで全部ということはちょっとわれわれとしても踏み切れないというふうな
状況
なんでございます。
柳岡秋夫
27
○
柳岡秋夫
君 しかし、それぞれの
施設
の要望としては、これはやっぱりぜひ全額国庫でみてもらえないか、こういう希望もあるわけです。それから、その都道府県の
補助
率ですね、これは三分の一、こう言われましたけれども、これも規定上はっきり書かれているわけじゃないと思うのですね。これは明確に三分の一、三分の一というふうに規定する必要はないのですか。
今村譲
28
○
政府委員
(
今村譲
君) これはおっしゃるとおりに、はっきり書いたほうが一番いい、こういうふうに思いますけれども、この
法律案
が制定されます当時においては、事実上国は三分の一払うのだ、それから
施設長
には、逆に今度は下のほうから三分の一持たせるのだ、あと残り足らぬところは県が持つのだということで、こういうことで非常に抽象的な規定でございます。ただ、
一般
に財政
負担
の分については自治省との
関係
もございますし、それから大蔵省との
関係
もございまして、いろいろ難航するわけでありますが、いま事実上行なっているのだからいいじゃないか、決して
政府
はそう逃げ回ることはないじゃないかという議論で押し問答した時期もございます。この問題はいますぐ解決をつけなくてもいいのじゃないかというふうに私ども考えておりまするが、仰せの筋は、制度ならばそのとおりしなければならぬじゃないかということはよくわかるわけであります。この辺ひとついろいろな情勢を見て、ということは、あまりはっきり書きますと、これが中小企業なり何なり、あっちこっちに響くわけです。その辺もありますので、ひとつ研究させていただきたいと思います。
藤田藤太郎
29
○
藤田藤太郎
君 私は大臣に申し上げておきたいと思うのですが、
一つ
は
職員
の
給与
の問題です。で、私の推察によると、いま
公務員
との差が三〇%くらいあると推察をしておる。これは
昭和
三十六年に灘尾大臣のときに本会議で
公務員
並みにするという誓約があるわけです。当時甲、乙、丙とあったのを、丙をなくして甲、乙にした。そして五回ほど特別なアップをした。しかし、特別なアップの最後の段階で、いま
施設
職員
の
給与
について
質疑
がありましたが、あの
国会
の本会議で約束したことは少し最近緩慢になっているのではないか、私はそう思います。ですから、
柳岡
委員
の、三割もやめていくというのもそこが根本の原因だろうと、こう思うのです。これは
施設
職員
の
給与
の問題については真剣に考えてもらいたいということが
一つ
。 それから、この
競輪
や競馬、ボートですか、そこから十三億近い金が入っている。それは
寄付
してもらって
施設
ができるのですから、これにとやかく私は言わないのです。ただ、その
施設
に金を出すのに、厚生行政が全国的なバランスの上でやっぱり出してもらう、この規律だけはきちっとしてもらわぬと、かってに
政治
が入って、個々には好き好みでその金がおりていく、そういう
かっこう
にやるのなら、私はそういう競技自身をやめたらいいと思います。大臣もさっきおっしゃったように、詰めていくとやっぱりおもしろくないことなんだとおっしゃっている、この
事業
自身が。そんなら、福祉
事業
に足らないということでそういうことがいま行なわれているわけですから、いまあしたからやめろと私は言わないのですが、しかし、そういうものが
社会福祉
のために一助になるというなら、私は、厚生行政の
施設
建設、それから地域的バランス、人口バランスの上に
厚生大臣
がリードをして、バランスをやっぱりとって、住民に奉仕する業務、全く公的な業務なんですから、やっぱり薄いところの
施設
に金が入っていって、足らないところを補うということでないと、好みで重複したりなんかするところに金がおりていくというのなら、私は少し問題があると思う。だから、そういう点は、この
施設
にこういうところから金を
寄付
させるというなら、やっぱり
厚生省
の
施設
建設の全国的なバランスにおいて足らないところへ持っていくというぐあいに、コントロールをむしろ厚生行政の中ですべきじゃないか。むしろほうっておいて、そこには
政治
が動いておって、わしが取ってきてやる云々というふうなことでこんな
施設
建設が行なわれるというならば、最も私は好ましくない姿になるのではないか。この点も心していただきたいということの
二つ
を、私は
質疑
を承って、いま関連して申し上げて所見を承っておきたいと思います。
坊秀男
30
○
国務大臣
(
坊秀男
君) 御
指摘
のように、
施設
の
職員
の
処遇
と申しますか、
給与
だとか、あるいは
労働条件
だとかといったようなものにつきましては、今日の実情はまだ遺憾な点が非常に多いということは私も考えます。ここ数年来、これの改善につとめてまいりましたけれども、おっしゃられたように、まだ非常に緩慢じゃないかという
お話
、これは私は、これに対しましてはお説のように考えざるを得ない。そこで、この点につきましては今後とも鋭意努力をしてまいりたい、かように考えます。 それから、
競輪
、競馬、ボート、いろいろなものにつきましては、
政治
の変な姿勢がこれに反映しておるんじゃないかという
お話
も、これも全然そうではありませんということをお答えするわけにも私はまいらないかと思いますが、しかし、そういったようなとこでたまりました金についての使途ということにつきましては、
厚生省
も今後
相談
をいたしまして、そうして適正に配賦をされるように努力はしておりますけれども、この点もおっしゃるとおりです。さらに
厚生省
といたしましては強い態度をもって今後やっていかなければならない問題であろうかと考えております。
柳岡秋夫
31
○
柳岡秋夫
君 それから、もう
一つ
、
国庫補助
の問題、まあいま言われましたけれども、しかし、特殊な問題として私はやっぱり検討していただきたいと思います。 それから、通算制度について、いま
一つ
の
施設
から他の
施設
にかわった場合には通算されておらない。これについてもやはり通算できるようにしていく必要があるのではないか、こういうように思うのですが、これも検討していただきたいと思います。 それから、
対象範囲
の中で、たとえば全国
社会福祉
協議会、あるいは県の
社会福祉
協議会、あるいは法人の事務所等ありますけれども、こういうところの
職員
もこの共済組合の中に含める、そういう考えがあるかどうか。
今村譲
32
○
政府委員
(
今村譲
君) 第一点の問題、これは仰せのとおりに、できてからまだ五年目でございますけれども、至急事務局において検討を進めなければならない、こういうふうに思います。 それから、第二点の、
社会福祉
協議会系統の人を入れるか入れないか、これも非常に強い要望でございます。ただ、問題は、この共済手当制度ができましたのは、国が、あるいは県が、たとえばこの
老人
をこの
施設
に頼む、この
子供
をここへ頼むという公の委託をやったそこの
職員
、しかも、それはほとんど全部公費で
委託費
として支払われている
職員
、その
職員
として共済制度をやろうという、いわば
措置
権の行使といいますか、
措置
委託に伴う
職員
に対する
処遇
を改善するといいますか、その改善の一環になると思いますけれども、ということで発足できたものでありますが、
社会福祉
協議会、これは各県にもございますけれども、ぼちぼち全市町村にも形だけはできている
かっこう
になっておりますけれども、これは
社会福祉
事業
法にもありますように、公の機関でもなし、それから、ほんとうのボランティアとして、その地域地域の婦人会であれ
老人
会であれ、いろいろな組織を活用して地域の福祉をはかりたいというボランティア活動という仕組みになっておるわけです。それに対しては、やはり公の
措置
権の行使によって、この人をあなたの
施設
へ頼む、したがって、
職員
は何名で、こういう
処遇
をして、その経費は全部国と県で出す、こういうふうなものと性格がちょっと違ってくるわけです。似たような話だけれども、最終的には変わりないが、片方は完全なボランティア組織だというので、そうなりますと、いわゆる先ほど
お話
のように、三分の一、三分の一、三分の一というふうな非常に高額な
負担
をしておるこの制度は、やはり公の保護の責任がある国なり県なりが出した
施設
職員
に対する
処遇
だというものとちょっと異質のものでありますので、そうなら、国庫
負担
でみるなら制度はちょっと変えなければいかぬじゃないかというふうな議論もあったりして、これは非常になかなか一本でそうだというきめ手がないものですから、毎年私のほうも考えながら——といって、全然社協
職員
というボランティアの
職員
だけを
対象
とした別個の退職手当制度というものを出すわけにもまいらぬというので、非常に苦慮しておりますが、この点は要望が強いことでもあり、ああいう手弁当に近い状態で
社会福祉
協議会の活動をしておられる方々もあるので、この制度でいくのか、あるいは別の制度でいくのか、何らかの方法を考えなければならぬという気持ちは十分ありますけれども、ちょっとこの制度にすぐということは理論的に非常にむずかしいということで苦心しておる次第でございます。もうしばらく時間をかしていただきたい、こういうふうに考えます。
柳岡秋夫
33
○
柳岡秋夫
君 いずれにいたしましても、非常に退職共済法の
内容
に、あるいは
現実
の問題からしていろいろ
改正
しなければならないところが多いと思うのです。したがって、この共済法の
改正
についても、私は、本来ならば、こういう振興会法の一部
改正
にあわせまして、この
国会
等において共済組合法のこの
改正
案も出す、これくらいの私はやはりもっと積極的な取り組みがほしいと思うのですけれども、ひとついま申し上げましたような二、三の点も最も重要なことでございますけれども、このほかにもいろいろあろうかと思います。そういう点をひとつ十分検討していただいて、早急にこの退職手当共済法の
改正
ができるような、そういうひとつ取り組みをしていただきたいと思います。 それから、もう
一つ
、いま振興会は貸し付け業務の
実施
については、それぞれの都道府県なり、あるいはこの共済制度につきましても、そういう都道府県の福祉協議会、こういうところに全部委託しているわけですね、仕事を。その
委託費
というものが
昭和
四十年では平均一件当たり四万円ということですね。こういう額で、はたして十分に活動ができるのかどうかですね。振興会法によりますと、これは事務所も置くことができるとなっているわけです。現在はそういう事務所がどの程度——まだないのじゃないかと思うのですよ、ほとんど都道府県にまかせっ切りで。しかも、一件当たり四万円程度ということでは振興会としての十分な活躍というか、活動ができないというふうに思うのですけれども、この点はいかがですか。
今村譲
34
○
政府委員
(
今村譲
君) これは普通の銀行なら、あちこちに全国に委託組織を持った場合に、その手数料というので一〇%、あるいは何%というふうな
かっこう
になりますけれども、これは現在件数も非常に少ないし、三百件、あるいは二百七十件というような件数でありますし、それから、これは少しおかしいのですが、多年
社会事業
関係
が要望した振興会というものができて、そこで法的資金化される。むしろ
社会福祉
協議会なんかは、ある県の中の
施設
ならば喜んでその資料を作成してくれる、そして進達してくれるという
かっこう
で、むしろ県社協なんか
補助
金がなくたってできたんだから、どんどんやりますというふうな
かっこう
で始まったものですから、その四万円というのがほんとうのいわゆる郵送代というような
かっこう
で、出発がそういうものだったわけです。ただ、
お話
のように、県の社協にしましても、やはりその
施設
とかなり
連絡
がありますし、いろいろな実質
調査
ということでありませんが、
内容
とか書類の点検とかいろいろありますので、これについては
人件費
なり
事務費
なりというものを当然考えるべきじゃないかという時期がきたと思います。この出発当時から昨年までは、とにかく
政府
出資十億、財投が十九億、合計二十九億、年々貸し出されるのはせいぜい七、八億ということでございましたが、件数としてはそれほどの件数ではございませんのでこの程度できたのでございますが、本年のように貸し付けが二十二億にもふえるということになりますと、
お話
のようなことも検討しなければならぬというふうに考えております。 それから、事務所は、ちょっといまの段階でいまの件数では、大阪に置くとか八ブロックに置くとか、直轄の事務所を置くところまで至っていないのじゃないかという気がいたします。これは県なり、県の
社会福祉
事業
協議会なりのそういう財政手当てを十分にいたしまして、そこからスムーズに上がってくるということで当面のところは足りるのじゃないか、こういうふうに考えております。
柳岡秋夫
35
○
柳岡秋夫
君 何かそういうふうに
現状
を見ると、どうも福祉
事業
というものが、
国民
の善意というか、あるいはそういう
人たち
の善意、そういうものに何かたよって、それにおんぶしてやっていくというような考え方が
政府
のほうにあるのじゃないかという感じを受けるわけですから、もっとやはり積極的に取り組んでいくためには、十分な活動のできる体制というものをつくっていく必要があるのじゃないか、こういうふうに思うわけです。しかも、今度の振興会法の一部
改正
によって、いままで振興会と年金福祉
事業
団と両方が貸し付けについては行なってきたのですね、それを今度一元的に振興会が行なう、こういうことになってくれば、私は、やはりこの際もっと活動できるような体制をあわせて考えていくということが必要ではないかと、こういうふうに思うわけです。そこで、今度の法案では一元的に振興会が資金の
融資
を行なうということになっておるのですけれども、年金福祉
事業
団でもまだ法制上はそういう貸し付け業務はできることになっておるのじゃないのですか。その点はどうですか。
今村譲
36
○
政府委員
(
今村譲
君) これは年金福祉
事業
団のほうでは、法制上というか、業務方法書で、たとえば
民間
社会福祉
施設
の
老人
福祉
施設
に貸し付けるとか、あるいは
社会事業施設
の新設に貸し付けるとかありますが、これはたてまえ上は全部落とす。ただ、会社、工場あたりで従業員のための
保育所
をつくったり、あるいは従業員
対象
だけのものをつくったりというふうな場合には、現在も
職員
の福利厚生ということで、住宅をつくったり病院をつくったりという
融資
をやっておりますので、
保育所
事業
は、これは県なり市町村なりから委託するということになれば無差別平等に
施設
は受け入れなければならぬということになりますが、それは振興会でまとめますが、会社自体の
保育所
とか、会社自体のいろいろな遊び場をつくったりというようなものについては、これは厚生年金被保険者のためのいわゆる企業の福利
施設
ということでその
部分
だけは残る、こういう
かっこう
になっております。
柳岡秋夫
37
○
柳岡秋夫
君 もう一度はっきりしていただきたいのですけれども、振興会が行なうものと年金福祉
事業
団が行なうものの違いというものをもう一回お聞きしたい。
今村譲
38
○
政府委員
(
今村譲
君) 年金福祉
事業
団は、厚生年金の福利
施設
といいますか、福利の
関係
で還元
融資
を使いまして、
民間
の企業主がいわゆる年金被保険者のために会館をつくったり、あるいは病院をつくったり、それから住宅をつくったりというふうなものに金を貸すというためにつくられたものでありまして、いわば
社会福祉
事業
の
関係
、これは
一般
国民
対象
というようなことについては振興会の資金のワクが少ないということもあるので、少ないといってはおかしいのですが、付帯的にやっておった。ことに緊急を要するものの資金の裏づけがないということでございますので二次的になっておった。今度こういうように割り切りましたのは、
社会福祉
事業
というのは、たとえば自分の会社だけしか入れないというような、一企業には限定しない、すべて知事さんから、これを入れてくれという話があれば全部入れるというような、いわゆる無差別
施設
というものが本来的なもので、それは振興会のほうでやる。したがって、残りました、一企業が企業の内部における従業員のための福利
施設
というようなものは
社会事業
ではなくて、企業の内部における
一つ
の福利施策だから、それは年金
事業
団に残すということでまいるつもりでおります。
柳岡秋夫
39
○
柳岡秋夫
君 時間の
関係
もございますし、これで終わりたいと思います。いままでの議論の中で、やはりまだまだわが国の
社会福祉
事業
、あるいは
施設
というものが十分でない、それに対する
政府
の対策も十分でないということを痛感いたします。 そこで、ひとつ最後に
厚生大臣
に、こうした問題に対するこれからの決意というか、基本的な
方針
というか、そういうものをひとつお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
坊秀男
40
○
国務大臣
(
坊秀男
君) いろいろと御
指摘
がございましたとおり、いまの日本の国の
社会福祉
事業
、また、これに対する
政府
の施策なり、あるいは
融資
といったような実情がなお十分でない、西欧先進国に比べましてもまだ相当の開きがあるということは、これは私どもといたしましても大いに看取せざるを得ないということでございまして、こういったような点につきましては今後鋭く検討を加えまして、そうしてこれの改善をはかるというために、鋭意各
関係
省とも
連絡
、
相談
をいたしまして、御
指摘
の点を改善、強化してまいるべく努力をいたしたいと考えております。
小平芳平
41
○小平芳平君 いま
厚生大臣
から、将来に対する、まあ重点的に
社会福祉
関係
を
政治
の姿勢として推進していくという御答弁がございまして、私たちも心強く思うわけです。ただ、かつてやったような高度
経済成長
、経済が高度成長すれば、こうした恵まれない
人たち
も自然に上がってくるんだというような考えではなくて、やはりそこに
経済成長
とともに、また、社会開発、社会の発展をしていくという。この行き方がいま必要だというように私たちも考えるわけです。ところで、この競馬、
競輪
、それから競艇等について、
柳岡
委員
からも、また、藤田
委員
からも
指摘
がありまして、大臣から御答弁がありましたのですが、まあ佐藤
内閣
として、経済社会の発展をしていこうという、そのときにですね、 〔
委員長
退席、理事
藤田藤太郎
君着席〕 こうした
社会福祉
施設
整備
の
補助
金等が、まあ先ほども御
指摘
がありましたように、競馬、
競輪
等から十三億、それから、国と県の
補助
金を合わせて十六億というような資料をいただいておりますが、こういう
現状
で、はたして経済社会の発展を重点的にやっていくということになるかどうかということをお尋ねしたいわけです。実際問題、それじゃ競馬、
競輪
がなくなったらどうなるか、相当の金額がごっそりなくなってしまう。そのほかにもありますが、大体国と県を合わせた額と、これは
民間施設
となっておりますけれども、特に
民間施設
は国や県が重点的にやってあげなければ、非常に先ほど来も
指摘
がありましたように、
施設
も悪いし、
職員
の待遇も劣悪であるという
現状
から、もっとこういう点に重点的にやっていくべきではないでしょうか。
坊秀男
42
○
国務大臣
(
坊秀男
君) 御議論がございましたとおり、過去数年来にわたりまして、日本の国策というものは経済開発に重点を置きまして、そのほうに非常な力を加えてまいった、そういうようなことで、社会開発の面がこれとバランスがとれなくなっておるということは、これはもうおおうべくもない事実だと思います。さような意味合いにおきまして、まあ佐藤総理が人間尊重ということを申しておるのもそこのところを私は考えておるのだと、かように考えますが、今後は、もちろん経済開発も大事なことでございますが、立ちおくれておりますこの社会開発という面に、政策として、国策として力点を注いでまいるべき時期にまさに逢着しておると考えます。さような点におきまして、この
社会福祉
、広くは社会保障という、そういった面に御
指摘
のあったように、ただ競馬、
競輪
にたよっている社会の善意と協力とがなければ、
社会福祉
事業
、あるいは
社会事業
といったようなものが、これはもう善意の御協力を期待することはもちろんでございますけれども、それになれるというようなことでは制度としても充実
整備
されていかない。国として全力をあげてそういう方向に持っていき、国としての力を加えていかなければならない、かように考えております。
小平芳平
43
○小平芳平君 たいへん大臣のおっしゃることは大事な問題であると思います。で、ここでもって競馬、
競輪
にたよらなくても、国あるいは県のそういう金で十分やっていくという体制——といいますのは、こういうことを言う人もあるわけです。確かに競馬、
競輪
はもうやめたほうがいい、けれども、じゃやめるにしても、皆さん
社会福祉
施設
など、ああした恵まれない
人たち
のためのいろいろな
施設
はその競馬、
競輪
でできているのですよと、こういうことを考えれば競馬、
競輪
が悪い悪いというわけにもいかないじゃありませんかと、これはおかしい議論だと思うのですね。ですから、それは競馬、
競輪
というものがスポーツとか娯楽とか、そういう面からとらえるならばとにかく、実際問題非常な社会悪、それが原因でいろいろな
家庭
の悲劇、社会の悲劇というものが
現実
に起きる。そういう悲劇を見ては、それはやめたほうがいいやめるべきだという人が出る。それに対する答えとして、いま申し上げるような、そのもうかったお金はそういう
社会福祉
施設
に使うのだから、何もやめる必要はないと、そういうのはおかしいと思うのですが、いかがでしょうか。
坊秀男
44
○
国務大臣
(
坊秀男
君) 競馬、
競輪
等は、私は、これはもう全部が社会悪だときめつけるのも少し疑問を持ちますけれども、だが、しかし、そういったようなものがあるから、そこでこのおかげによって
社会福祉
施設
というようなものができたりこれが運営されたりするのだということは、これは私は非常に間違いであろうと思います。さような意味におきまして、私はでき得る限り——まあこれが全部が全部社会悪とは申されませんけれども、社会悪を発生しておる
一つ
の場であるということは、これはもう否定はできまいと私は思います。そういったようなところから資金を仰ぐということは、いまおっしゃられたように、世間では、それがあるから
社会福祉
施設
ができたり運営されたりしておるのだといったような口実を与えるといったようなことにも相なることは、これはもう論理的にそういうような結果から見ればそういうことになるのでございますが、そういうことのないようにするためには、どうしても
社会福祉
施設
その他公共
事業
といったようなものは、これはやはり国なり、あるいは地方
団体
なりというものが中心になりまして、それにそういったようなものでなく、ほんとうに善意の
国民
の皆さんの御協力に期待をいたしましてやっていくべきものだと、本来はそうあるべきものだと考えます。
小平芳平
45
○小平芳平君 それで、次に、
改正
の
内容
については
柳岡
委員
からいろいろ問題が提起されましたので、ダブっては申し上げませんが、要綱の二で、民法法人の
施設
、それから、また、児童福祉
施設
を設置する宗教法人、これを新たに含めるものとする、こういうことになるわけでありますが、ここでもって民法法人の
施設
及び宗教法人の
施設
ということになると思いますが、宗教法人の
施設
というものは、児童福祉
施設
はどのくらいになりますか、数は。
今村譲
46
○
政府委員
(
今村譲
君) お答え申し上げます。 現在のところ、児童
家庭
局の調べによりますと六百五十九
施設
、これはほとんど
保育所
だけでございます。
小平芳平
47
○小平芳平君 そこで、
保育所
に対して貸し付けをする、これは
施設
が非常に
老朽
であったり、あるいは今度修理とか改造とか拡張とか、そういう場合には貸し付けをする、こういう趣旨だと思いますが、ですから、そうした福祉
施設
に対する国の援助、これはこの
法律
の趣旨であり、また、それは先ほど来大臣が御答弁くださったように、いま力を入れていくべき
問題点
である、こういうふうに考えます。ただ、ここでもって経理がはたしてそれでは宗教法人の場合は、たとえばお寺ならお寺というものと、それから
保育所
なら
保育所
という
施設
とがはっきり分けて、そこでもって貸し付けするほうも間違いなくやっていかれるものかどうか。これは
補助
金の場合も、国から出たり県から出たりするように思いますが、そういう点、経理をだれが責任を持って把握し、
実態
の運用として現在やっていかれるか。また、将来宗教法人のそうした
施設
に対する
融資
なら
融資
をする場合、確かに経理の上からいって、これは宗教そのものを何も
厚生省
が保護を加えるというような考えは毛頭ないことでありますので、そういうものは憲法で宗教を国が保護するなどということができるわけがないのであって、しかし、実際の運用面で経理が非常に不明瞭なものがあって、
実態
はこんがらがってしまうというようなおそれがないかどうか。また、そういうおそれがないためにはどういうふうにやっていかれるか、そういう点について。
今村譲
48
○
政府委員
(
今村譲
君) お答え申し上げます。 これは宗教法人でやっておりますものは収容
施設
は
一つ
もございません。
保育所
だけでございます。問題は、宗教法人には
国庫補助
金を
現実
には出しておらないのであります。出しておりませんが、
老朽
問題に引っかけまして、現に
保育所
が非常に
老朽
しているというふうな場合に、
子供
たちにけががあっては困るということで、
融資
ということで利息も取るわけでありますが、そういうことで出発したものを、年金福祉
事業
団から
社会福祉
振興会のほうに、
社会福祉
事業
全般の
融資
関係
を引き継ぐということで、やむを得ずといってはおかしいのですけれども、そういう
かっこう
ですが、御
指摘
のように、
社会福祉事業振興会法
ではこういう立て方で、
融資
は原則としては
社会福祉
法人に限る、
社会福祉
法人を原則とする。といいますのは、民法法人でも、そのほか私立とか、昔はたくさんございました。それで、
補助
金を受けたり
民間
の
寄付
を受けたりしていろいろやりますが、さて、その財産処分ということになりますと、いつの間にやら個人のものになってしまったり、何だかわけのわからないような
かっこう
でどこかへ消えてしまう場合も間々あるというので、少なくとも、現在の民法三十四条の法人でも困る。やはり
社会福祉
施設
というのは公共の器だということで、それがもし解散する場合には同じ
社会福祉
法人に財産を譲り渡す、決して個人のふところに入らないという
かっこう
でないと、
補助
金もあり、非常に有利な
融資
もありということで、しかも、公共的なものでまかなわれている
施設
という点から見ておかしいというので、振興会法では、原則として
社会福祉
法人、当分の間、例外として民法法人というものを付け加えておったわけです。そのところで、いわゆる当分の間という
かっこう
で附則で書いたものに宗教法人を入れようということでございますが、やはり民法法人では、経理決算というものを、これは民法法人として主管大臣がいろいろ監督なりができる。宗教法人も、この
部分
については公金
補助
はありません。
融資
だけでありますけれども、
現実
に
老朽
建てかえでやっておって、これは県のほうに全部
連絡
いたしまして、ほんとうにそれは建てかえしたのか、ほんとうにそれがどれくらいのお金で、
融資
がどれくらいかということを
現実
には監査をさせております。それで、おっしゃるように、法制的には、宗教法人の中には、
社会事業
は特別会計にしろという規定はございませんけれども、それは事実上の行政的な指導で解決できるというふうに考えております。
小平芳平
49
○小平芳平君 ちょっと私の説明もあれこれ申し上げてしまったものだからわかりにくかったかと思いますが、私がいま申し上げている主眼は、局長が最後に御答弁なさったように、県が監査をするわけですね。そうすると、
融資
の場合でも、こんな話ではなかったのに、とんでもないところへ
融資
してしまった、あるいは
補助
金は宗教法人にはないといわれましたから、これは
関係
ないわけですが、実際起きてから、これはとんでもないことだったと、それは
予算
委員
会や、あるいは参議院の決算
委員
会でもしばしば問題になったベル福祉協会のような場合ですね、こういう場合でも、それだけの
補助
金を出しそれだけの
融資
をするならば、初めからもっと的確に把握できないものかどうかということですね。それがもうこの前の
予算
委員
会の大臣の御答弁でも、
予算
がついたのは三十六年ですが、実際渡したのは三十九年であった。それが最近になって
国会
で問題になり始めて、厚生当局も、これはほっておかれないといって、経理をどうしようこうしよう、突き合わせようというようにあわてなくちゃならないというようなことが、これは宗教法人に限らず、ベル福祉協会に限らず、起きてきたのでは非常にマイナスになると思うのですね。せっかく国が政策として重点を置いてやっていこうというときに、実際その出した
補助
金は変なところへいっちゃっている、実際やった
融資
はとんでもないところにいっちゃったというようなことじゃ非常に情けないと思うのですね。ですから、そういう点について、過去は一、二そういうまずいことがあったにしても、今後はこういうふうにやっていけばそういうふうな面は防げるのだというような点はありませんか。
今村譲
50
○
政府委員
(
今村譲
君) 全国にも非常に多くの
社会福祉
法人がございます。民法法人もございます。いろいろ財政規模も非常に希薄なものですから、そのつどそのつどいろいろな
計画
書、あるいは集まるべき予定であったその募金が集まらないとか、いろいろな事情がございます。しかし、やはり法人が目的たる
事業
が遂行できなくなるというふうな事態に立ち至るということは、やはり国なり県なり、第一には県、その次は国という
かっこう
になりますが、その指導が不十分であったということでございますので、
社会福祉
法人に対しましては、たとえば
予算
の組みかえとか、あるいは役員の解任勧告とか、相当きつい公の支配に属するような規定がございます。民法法人もある程度そうで、宗教法人はそこのところはちょっと規定が非常にあいまいといいますか、社会法人のたてまえだけではっきりとした体制にはなっていませんけれども、そういうような問題について、ベルなんかの問題も含めて、
役所
のいわゆる行政指導、あるいは個々の資金
計画
に対する吟味、その辺が、まあ何とか集まるだろうというふうなものから出発したというふうな、非常に楽観的といいますか、悪く言えばずさんだといわれますが、そういうような事態があったことは非常に私ども申しわけないというふうに思っております。ただ、これがきめ手というのは、
公立
なら別としまして、今後とも県なり私どもなり一緒になって、できる限りきめこまかい指導をしていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
小平芳平
51
○小平芳平君 きめ手がないということ、それから、また、宗教法人の場合は、特にこれは大体は宗教法人自体は文部省のほうが管轄していることになると思いますが、そういう点で、社会的な不信——せっかくこうした大臣が先ほど来しばしば言われた善意の結集が、これが当事者のそうした不正や乱脈でおかしくなったということがないように、これはそれこそみんなが協力してやっていかなくちゃならないことだと思いますが、
厚生省
当局としても力を入れて、きめこまかくやっていただかなくちゃならないと、私もそのように思います。 それから、そこで、直接この
法律
改正
のこの段階で、この前ベル福祉協会についていろいろな
問題点
が
指摘
され、
厚生省
当局がいま書類を点検中だという御答弁でこの前は終わっておりますが、その後の経過についていかがですか。
今村譲
52
○
政府委員
(
今村譲
君) いま御
指摘
のベル福祉協会の問題につきましては、約二億七千万円ほどの、これ全部引っくるめまして、負債があるということでございまして、それの当初からの全部経理
内容
をいま詳細に調べております。三十九年度まではほとんど全部判明いたしました。四十年度、四十一年度はいま詰めている段階でございます。問題は、それの処理につきましては、いろんな負債の条件とか、大口のもの小口のもの、いろいろありますが、できる限りいわゆる利息の高いもの、あるいは高額なものについての、まあ十年とか十五年とかたな上げとかというふうな、負債整理の方法というものを至急に検討してもらう、詰めてもらうというふうに私のほうからやかましく言っております。それ以外の
事業
内容
につきましては、現在三十人ほど人を入れて訓練しておりますが、それ以外に、いわゆる会館再建というような意味において、いろんな訓練
事業
なり会館
事業
なり、こういうような業務面の再検討、転換できるものは転換ということにして、ろうあ者の中心のセンターになり得るような
かっこう
の業務
計画
をもう一ぺん練ってもらうということで、東京都と一緒になりましてこの
団体
に指導いたしておる、こういうふうな
状況
でございます。
小平芳平
53
○小平芳平君 そうしますと、書類の点検のほうは
予算
委員
会のときの段階をまだ進んでいないわけですね、ほとんど。それから、また、いま局長が最後に言われたいろんな訓練、あるいは会場の運営ですけれども、ろうあ者の方々は、会館ができる、センターができるというふうに喜んでいたけれども、、実際問題できたものはマンションつきであったとか、非常にがっかりしたというような話もいままで十分いろいろ述べられてきているわけです。そこでもって会館の運営も
厚生省
でどういう指導をなさっていらっしゃるか。いまベル福祉協会について見れば、協会側としては、実費というか何というか、とにかく会場費を払ってもらいましょう。けれども、そうなると、ろうあ者の
人たち
は、それじゃせっかくできた会館なり中心になるセンターなりはいままでは無料で使わせてもらったのが、さあ
厚生省
が入ったために会場費を支払わなければならなくなるとかというような点も、いまのところちょっとあいまいのようなんですがね。 それから、もう
一つ
は、実際そこで職能訓練ですか、聴能訓練のための膨大な設備がある、けれども、いまはこれを休んでいる、こういうような点は、まあベル協会がいい悪いはともかくとしまして、次に、今度国の政策の上から見れば、そういう訓練は相当お金がかかる、それから設備にも運営にも
人件費
にも想像以上のお金がかかる。こういう点は、やっぱり国がその気になって力を入れていかなければならないと思いますが、いかがですか。
今村譲
54
○
政府委員
(
今村譲
君) 御
指摘
のとおりでありまして、会場の使用につきましては、本来からいえばみんなこれはただだという
かっこう
でいけばいいのじゃないかと私ども思いますけれども、
一つ
には、やはり維持管理、それから、現在、申し上げますような協会全体のいろんな赤字の問題、その点も考えまして、まあどの辺がいいのかということもあわせて、業務改善の
内容
をもう一ぺん見直そう、そういうふうな指導をいたしております。 それから、聴能訓練でございますが、機械設備約四千万円ぐらい導入しております。相当有名な耳鼻咽喉科の先生が来て出発するということでありますけれども、あれは相当財界なり何なり、月々相当の
寄付
金が集まる。したがって、来る人方は非常に気の毒な
人たち
ですから、十万円も二十万円も取っているという
かっこう
にはならない、しないのだという
方針
でまいりましたが、そこの点が財界の
寄付
なんかもなかなか集まりにくいという点もございまして、それも、その財政基盤全体をどうするのだといって、せっかくあれだけの機能なり組織なりありますので、やめてしまうというわけにはまいらないというので、実はなるべく早く全般の基本
計画
とあわせて練り直そうという段取りでございます。いまこういうふうに持っていくということを申し上げられないのが非常に残念でございますが、いましばらく時間をかしていただきたいと思います。
小平芳平
55
○小平芳平君 じゃこれで私終わりにいたしますが、やはり
補助
金あるいは
融資
ですね、こういう場合、国が四千万円投入したと、職能訓練の設備のために。けれども、実際は運営ができないと、これはまあ時間がかかるとは思いますけれども、もう少し
計画
的に
一つ
の
民間
の福祉協会が聴能訓練のそうした四千万円の設備をつくり、また、財界からの
寄付
をまるきり初めから当てにして運営していこうという、それだけで
厚生省
はじゃ四千万円出しましょうと、じゃそれが実際協会が動けなくなったら、検討するからしばらく待ってくださいということを繰り返しているということはたいへんうまくない結果だと思うんですね。ですから、もっとこうした
関係
の
社会福祉
法人はたくさんあって、とても
厚生省
が全部掌握し切れないんだというむずかしさはもちろんあると思いますけれども、実際そうした国の
予算
から出した四千万円のお金なり、あるいは善意で集まったお金が、
融資
はした、
補助
金は出した、実際は動けない、それじゃうまくないと思うですね。ですから、国自体が聴能訓練なら聴能訓練のこの分野をどう開拓し、どう確立していくかという、その政策が大事だと思いますが、その点いかがですか。
坊秀男
56
○
国務大臣
(
坊秀男
君) 御
指摘
の点は非常に大事なことだと思います。せっかく
施設
をつくり、あるいは設備をつくったといったようなものが、いろんな事情でもってこれを活用できないというようなことがあっては、これはもう
お話
にならないことでございますので、そういったようなことのないように、これはもう初めの
計画
から十分気をつけまして、せっかく貴重なる資金を投じ、せっかく貴重なる設備をつくる。ところが、最初の
計画
が非常に大事でありますから、そこらの点を気をつけるとともに、その後の運営にあたりましても、
厚生省
といたしましてはできるだけその指導よろしきを得るように持ってまいりたいと考えております。
藤田藤太郎
57
○理事(
藤田藤太郎
君) 他に御発言もなければ、
本案
に対する
質疑
は、本日はこの程度にとどめておきます。 午前中の
審査
はこの程度とし、午後二時まで休憩いたします。 午後零時五十三分休憩 〔休憩後開会に至らなかった〕 —————・—————