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1967-06-27 第55回国会 参議院 社会労働委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月二十七日(火曜日)    午前十一時六分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         山本伊三郎君     理 事                 土屋 義彦君                 丸茂 重貞君                 佐野 芳雄君                 藤田藤太郎君     委 員                 川野 三暁君                 黒木 利克君                 佐藤 芳男君                 山本  杉君                 横山 フク君                 大橋 和孝君                 藤原 道子君                 柳岡 秋夫君                 小平 芳平君    衆議院議員        発  議  者  山田 耻目君    国務大臣        厚 生 大 臣  坊  秀男君    政府委員        厚生大臣官房長  梅本 純正君        厚生省社会局長  今村  譲君        厚生省援護局長  実本 博次君    事務局側        常任委員会専門        員        中原 武夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○原子爆弾被爆者医療等に関する法律の一部を 改正する法律案衆議院送付予備審査) ○社会福祉事業振興会法の一部を改正する法律案  (内閣提出)     —————————————
  2. 山本伊三郎

    委員長山本伊三郎君) ただいまより社会労働委員会を開会いたします。  まず、原子爆弾被爆者医療等に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  発議者衆議院議員山田耻目君から提案理由の説明を聴取いたします。山田耻目君
  3. 山田耻目

    衆議院議員山田耻目君) ただいま議題となりました原子爆弾被爆者医療等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げたいと存じます。  昭和二十年八月六日午前八時十五分、人類史上最初原爆投下は、一瞬にして広島、長崎合わせて三十数万の人たち生命を奪い去り、そして両市を焦土と化さしめたのであります。幸いにして一命をとりとめた人たちも、四十一年三月三十一日現在の手帳交付者総数が二十八万一千五百九十五人の多きにのぼっております。昨年、政府の御理解で初めて実態調査を行ないまして、同年二月に中間報告が出され、この十月を目途に最終報告が出るようでございますが、推定されます数字は約一万三千五百人の手帳交付者総数がふえてまいりまして、約二十九万六千人に推定されるに至りました。なお、そのほかに、原爆被爆者ということを言うことによって、子供結婚のことを考えたり、いろいろな家庭の事情で手帳の未交付者が約四万人と推定されるに至りました。合わせますと約三十三万六千人の多きにのぼるものと判断をされます。  このようにいたしまして、この世のものとも思われない焦熱地獄を身をもって体験し、原爆被爆という一生ぬぐい去ることのできない宿命を背負わされ、あるいは原爆熱線による痛ましい傷痕のゆえに結婚もできずに悲歎にくれております。あるいは、また、放射能の影響による造血機能障害原爆後遺症に悩まされるなど、病苦、貧困、孤独の苦痛にあえぎながら、誰に訴えるすべもなく、ただ、だまって歯を食いしばり今日まで生きてまいっておるのであります。あれから二十一年、きのうは一人、きょうも一人と、くしの歯の落ちこぼれるように、生命のともしびが吹き消されていく中で、白血病、貧血症等の発病の不安、生命の不安と焦燥におののきながらも、働かなくては生きていけないという実態原爆被爆者の今日の姿であります。  この悲惨な現実をもたらした原因が、原爆被爆に基づくものであることにかんがみまして、昭和三十二年、主として原爆症医療について、現行の原子爆弾被爆者医療等に関する法律は制定され、その後、三十五年の一部改正以来、四回にわたり、対象範囲の拡大、医療手当所得制限緩和と増額もはかられてまいりました。しかしながら、今日なお、原爆を受けた被爆者の肉体的、精神的障害をぬぐい去ることができないばかりか、消費者物価の上昇のもとでその生活の苦しみを訴える声は日増しに高まっているのであります。したがいまして、これら被爆者の置かれている心身上、生活上の不安を除去するために、被爆者に対する措置も、その健康面及び精神面の特殊な状態に適応させ、かつ、生活援護をはかるべく、一そうの拡充がはかられるべきであると考えるのであります。  次に、この法律案内容概要を御説明申し上げます。  第一は、援護手当支給であります。認定被爆者はもとより、特別被爆者のうちそれに近い、いわゆるボーダーライン層も含めて、これらの人々が被爆によって生じた身体障害のたのに労働力が減退し、それにより収入が減少した場合、政令の定めるところによりまして最高月額五万円までの援護手当支給することにいたしたのであります。  第二は、障害年金支給であります。被爆に起因した身体障害のある被爆者に対し、それが外的、内的障害たるを問わず、年額十二万円を限度とする障害年金支給することにいたしたのであります。なお、この障害年金は、国民年金の無拠出年金を除き、他の増加恩給その他障害年金に相当する給付とは併給することができないものといたしております。  第三は、医療手当月額の引き上げと所得制限の撤廃であります。医療手当は、昭和三十五年の改正によって新たに加えられたものでありまして、現在は、認定被爆者医療給付を受けている期間中、毎月三千四百円を限度として支給することになっておりますが、この月額を、さきに申し上げました援護手当の額と勘案いたしまして七千円に引き上げるとともに、医療手当のかかる所得制限を撤廃することにより、これら被爆者が、安んじて医療を受けることができることといたしたのであります。  第四は、認定被爆者はもとより、それに近い特別被爆者が、日本国有鉄道鉄道、自動車または連絡船に乗車または乗船する場合には、政令により身体障害者福祉法に基づく運賃割り引きを行なうことにいたしたのであります。  第五は、被爆者が死亡した場合に、その葬祭を行なうものに対し、葬祭料として三万円を限度として支給することであります。なお、この葬祭料は、本法が施行された昭和三十二年四月まで遡及することができることとしたのであります。  第六は、以上のような措置を講ずることにより、いわゆる医療法から援護法へ移行するものとし、法律の題名を原子爆弾被爆者援護法に改めたことであります。  以上のほか、原子爆弾被爆者医療審議会の名称及び権限を改めるとともに、委員の数を十名増員して三十名とし、また、都道府県が設置する原子爆弾被爆被爆者相談所費用の一部を国が補助する等、被爆者援護に関して必要な措置を講ずることといたしております。  また、特に沖繩に在住する約八十名の原爆被爆者が、今日まで専門医の診断を受ける機会も与えられず、何らの援護も受けないまま放置されている現状にかんがみ、政令により本法を適用することとしたのであります。  原爆被爆という悲惨な災害をこうむった被爆者の苦境を救済することは、人道上も決して放置することのできない問題であり、被爆後二十年を経過した今日、救済さるべき被爆者は、国による援護の手が差し伸べられないままに、あるいは死亡し、あるいは老齢化して、肉体的にも、精神的にも、はたまた物質的にも苦痛と困窮の度を深めているのであります。いまにして救済せざれば悔いを千載に残し、政治はそのかなえの軽重を問われると申しても決して過言ではありません。しかも、近時、いわゆる戦争犠牲者に対する救済措置は次々と講ぜられ、今国会においても恩給法の一部改正戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部改正戦傷病者の父母に対する特別給付金支給法、あるいは引揚者特別給付金支給法等、一段とその拡充がはかられているのであります。したがいまして、被爆者に対する右のような措置を講ずることは、むしろ遅きに失したものであると確信する次第であります。  また、このように被爆者に対する援護を一そう拡充すべきであるという考えは、ひとり提案者のみならず、昭和三十八年十二月七日の東京地方裁判所判決理由の中に見ることができるのであります。同裁判所は、被爆者に対する救済策をとるべきことは多言を要せず、それは立法府である国会及び行政府である内閣の職責であり、終戦後二十年を経て、高度の経済成長を遂げたわが国において、国家財政上これが不可能であるとは、とうてい考えられない。われわれは本訴訟を見るにつけ、政治貧困を嘆かずにはいられないと述べ、被爆者救済について国の責任を指摘しているのであります。幸い昭和三十九年四月には本院で、三月には参議院において原爆被爆者援護強化に関する決議の可決を見ており、本年二月には厚生省原爆被爆者実態調査基本調査概要も発表され、来たる十月には最終報告も行なわれるやに聞き及んでおるのでありまして、必らずや被爆者援護をはかろうとするこの法律案の趣旨に御賛同いただけるものと確信いたしておる次第であります。なお、これに要する費用は、平年度約七十八億五千万円の見込みであります。  以上がこの法律案提案理由及び内容であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに可決せられますようお願い申し上げます。
  4. 山本伊三郎

    委員長山本伊三郎君) 本案に対する自後の審査は、これを後日に譲ります。     —————————————
  5. 山本伊三郎

    委員長山本伊三郎君) 次に、社会福祉事業振興会法の一部を改正する法律案議題といたします。  これより本案に対し、質疑を行ないます。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  6. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 社会福祉事業振興会として、社会福祉施設整備のために、老朽民間福祉施設、これについての五カ年計画にわたる整備を行なっておるわけでございますが、この老朽施設という、いわゆる基準と申しますか、どういう基準で、いかなる数の対象があって、今日までの実施状況というものはどうなっておるのか、この辺をひとつお伺いしたいと思います。
  7. 今村譲

    政府委員今村譲君) お答えいたします。  いま御審議を願っております民間老朽施設整備五カ年計画というものは、三十八年度から四十二年度まで五カ年間でやるということにいたしております。それで、その発足当時の全体計画といたしましては、民間の総坪数が三十五万五千坪、全部でございますが、そのうちで明治とか大正とか、非常に古いものがあるというので測定基準をこういうふうにいたしまして、できた当時の新品で非常にりっぱなものというもの全部で一万点ということにいたしまして、たとえば土台が腐っているとか、あるいは柱が傾いているとかいうようなそれぞれの項目につきまして減点をやっていきまして、総合判定として四千点以下というふうなものについては、これは老人子供を扱い、収容するというようなものについては非常に危険である、したがって、老朽はこわして建て直すというので、それは四千点以下というもので基準を引いたわけでございます。そういたしますと、総坪数がその当時三十五万五千坪、四千点以下は五万八千七百四十四坪ということでございまして、全体数の約一六・五%が四千点以下、いわゆる失格点というふうにきめまして、この五万八千坪を一〇〇といたしますと、三十八年度から四十二年度まで若干これに傾斜をつけまして、三十八年度は一六%で九千三百九十六坪、約九千四百坪、三十九年度が一八%、四十年度が二〇%、四十一年度が二二%、四十二年度が二四%、合計一〇〇%、こういうふうにそれぞれ坪数を出しております。したがいまして、その数字はほぼ、若干の傾斜でありますが、計画のとおりまいっておりまして、実施の実績につきましては、三十八年度は約八千八百坪、三十九年度が一万一千坪、四十年度が一万二千坪、四十一年度はちょっと計数が減っておりますが、約一万坪ということで、大体計画に近い実施をいたしております。最後に四十二年度の目標が残ります約一万七千坪というので、ちょっと坪数は多くございますけれども、これをぜひとも実行いたしたい、予算措置もととのえてございます。  以上でございます。
  8. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 その基準ですね、調査をした時点というのは三十五年と、こういうことでございますから、すでにもう七年たつわけですね。したがって、相当その後いわゆる老朽化した施設もあるのではないか、こういうふうに思います。そうしますと、今後この五カ年計画に引き続きそうした整備計画というものが考えられておるのかどうか、その辺を伺いたいと思います。
  9. 今村譲

    政府委員今村譲君) 仰せのとおりに、これは年々だんだん古ぼけてまいりますので、なくそうといいますか、どんどん四千点の落第点に落ちてくるのがございます。それで、大体五万八千坪で非常に目立つひどいものは一掃できるというふうに考えておりますが、逐年落ちてくるものというのは、いま各県から取りまして集計中でございますけれども、これが二万坪、あるいは三万坪というふうな数字になってまいります。  それから、四千点でいいのかどうか、もう少し上のほうをこの際一括してやったらどうかというような議論もございますので、それを全部集計いたしまして、予算の面と関連するわけでございますけれども、省議までに方針を打ち立てたい、どっちみち残ったものはまだ相当ある、こういうふうに考えております。
  10. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 この整備に対する国の補助、あるいは県なりの補助、こういうものは四分の三ということでございますが、結局自己負担があるわけですね。その自己負担関係で、たとえばいまあらゆる国庫補助なんかの単価というものが非常に安いわけですね。学校をつくる場合にも、非常に単価が安いために、地元の負担とかPTAの負担が起きてくる、こういうことがいわれておりますけれども、この場合は一体どういう実情にあるのか、十分国なり県なりで補助する額でその事業がやれるのかどうか、それとも、施設のほうでより多くの金をつくっているのかどうか、その点をひとつ。
  11. 今村譲

    政府委員今村譲君) 御指摘のように、単価の問題は、結局高率な地方公共団体超過負担民間ならばそれだけ借金がふえるということでございますので、毎年大蔵省と、これは建設省のいろいろ建築単価などとも合わせるようなかっこうで努力しております。ただ、現実論としましてはやはり足りません。国が二分の一、県が四分の一、四分の三が国庫補助、四分の一といいましてもやはり五分五分とは申しませんが、二五%というものは相当ふえる、自己負担部分が。状況によっては五分五分、あるいは四分とか四分五厘くらいというふうなかっこうでありますので、その部分についてはやむを得ず現在は融資面について老朽施設整備というもので無利子というかっこうで行なっておりますが、そういう融資面について十分みるという方針でいっておりますが、基本的には、やはり予算の問題として単価を是正していくという方向に努力しなければならないと、こういうふうに考えております。
  12. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 おそらく、これは私もまだそういう正確な実態を把握をしておりませんけれども、一般の例から考えても、相当この施設負担というものが大きいのではないか、こういうふうに思います。したがって、こういう事業にこそほんとうに国が、あるいは県が十分めんどうをみられるような十分な融資というもの、援助というものを考えていただきたい、こういうふうに思います。  それから、きょう、先日お願いをした「民間社会福祉施設整備に対する補助金等交付状況調」というものをいただきましたが、これによりますと、非常に競輪、あるいはモーターボートですか、そういういわゆるあまり好ましくないものからの補助交付金というものが非常な大きな額に達しておるわけですね。これに対して一体厚生大臣はどういう見解をお持ちなのか、ひとつお聞きをしたいわけなんです。
  13. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) お説のごとく、この競輪とか、そういったようなものから、何と申しますか、寄付と申しますか、そういうことを仰ぐということは、道徳的に非常にきびしく考えますと、これはかんばしくないことである、こういう御意見ももちろん私どもも否定はできないことだと存じます。しかし、こういったような団体等が、法律に基づきまして、そして一定の基準に従ってそういったようなものの寄付ということの道が開かれておるということでございますので、今日の制度下におきましてはこの寄付を受けておるということでございますけれども、しかしながらそういったような団体が、金がたまったということで自由に放恣にそういったようなものの金を使うというようなことでは、これは非常に弊害も伴うことでございますので、そういったような金の使途ということにつきましては、実はこの寄付社会事業施設に向けておる厚生省といたしましては、よく所管省連絡相談をいたしまして受けておるわけでございます。非常にきびしく考えますとお説のとおりのことだということは私も否定できないと思います。
  14. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 まあ競馬、競輪、あるいは競艇というようなものが、国民の非常な平和な生活とか家庭を乱しておるということが事例としてよく報道されておりますけれども、まあ各地方自治体等におきましても、これは必要悪だというようなことで認められている現状ですね。あるいは、また、自転車振興会とか、そういうところは、こういうところに金を出しているのだからいいじゃないかというような、何か自分たちのやっていることを正当化するようなこともうかがえる。そういうふうなことで、私は非常に遺憾だと思うのですね。私は、やはりここで約十三億両方合わせまして出しておるようでございますけれども、やはりそうした金ではなくて、国がめんどうをみるという基本的立場に立ってひとつこういう施設に対する対策というものを立てる、こういうふうに今後私は厚生省として積極的に取り組んでいく、そういう姿勢をとってもらいたい、こういうふうに思います。  それから、次に、職員処遇の問題でございますが、施設職員は現在全国的にどのくらいおられまして、その労働条件というものが、一般公務員、あるいは民間労働者と比べてどうなのか、こういう点がおわかりになりましたら、ひとつお伺いしたいと思います。
  15. 今村譲

    政府委員今村譲君) お答え申し上げます。  社会事業施設民間公立を入れまして、保育所を入れますと約一万七千くらいの施設がございまして、約十一万人くらい、公務員、それから民間を入れまして、おるわけでございます。それで、民間施設というのは、大体職員が四万人ちょっとおるというような状況でございます。で、問題は、その処遇の改善といいますか、国が老人なり子供なり、いろいろ施設に委託した場合の委託費の中で二つに分けまして、飲食物費とか、そういう本人に帰属するもの、それから、それのお世話をする園長以下職員というようなものの人件費とかいうような、事務費といっておりますが、二つに分かれるわけでございますが、その事務費の中の人件費というものにつきましては、これは毎年予算でいろいろ問題があるわけでありますけれども、大きく分けまして、一つ職員の、たとえば老人施設に行った場合に寮母さんというものがおる。寮母さんというものは一体どのくらいの資格のものであるべきで、どのくらいの給与をいわゆる事務費の中の計算の中に織り込むべきかということが常に問題になるわけです。それと、もう一つは、たとえば百人の施設については寮母さんが何人であるべきか、これが少なければ労働強化になりますし、というような問題と二つに分かれますが、まず、給与面から申し上げますと、昭和三十五、六年くらいまでは、いまから振り返ってみますと非常に低いのじゃないか。国家公務員、あるいは地方公務員というものから比べると、学歴、経験年数から見て非常に低いのだというので、三十六年から、普通の公務員ベースアップがあります場合には、そのつどそれにふさわしいベースアップを機械的にやってもらっておりますが、そのほかにも根っこが低いというふうな問題がありまして、三十六年から四十一年まで、いわゆる公務員の普通のベースアップ以外に、本来的に低い部分、それを引き上げてくれというのが全部で五回やっております。それで、たとえば保護施設救護施設とか、いろいろありますが、寮母さんでいいますと、四十一年の九月で二万七千四百円、これは本俸だけであります。それを国家公務員に直しますと六の二で、役所でいえば係長の一番若いようなところというように格づけされております。それから、生活指導員が二万九千百円、そのほかに若干付加的なものがございますけれども、そういうような基本俸給を定めて、それで、たとえば一施設百人収容なら寮母さん十人というもので、二万七千幾らというものに掛ける十、そのほかに生活指導員、それから園長とか、そのほかのいろいろな職種の人全部積み上げて一カ月分を出して、それを施設に差し上げる、こういうようなことをやっております。
  16. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 幾ら施設近代化をし、施設整備いたしましても、そこに働く職員が集まらなければ、また、優秀な職員が来なければ、これは何にもならないわけです。ところが、非常に処遇が悪いというようなことで、一年間に約三割も退職する人がある、こういわれておるわけですね。これはやはり民間の場合ですけれども、民間公立の場合の労働条件の格差というものが非常に大きいのじゃないかと思うのですが、その辺はいまお話があって、そのような給与のことでございますけれども、しかし、年間に三割もやめていく人があるということは、やはり相当労働条件がまだまだ不十分な点があるのではないか、こういうふうに推測されます。それに、また、それぞれの施設には基準定員というものがあると思うのですが、それに対しての充足率というものは一体どの程度になっておるのか、おわかりでしたらお尋ねしたい。
  17. 今村譲

    政府委員今村譲君) 第一点の、民間の人の出入りが激しい、それは要するに労働条件、あるいは給与条件というのが低過ぎるんじゃないかというふうな御指摘でございます。これは先ほど申し上げましたように、たとえば寮母さんなら国家公務員にすれば六の二にひとしいような積算はいたしてございますが、施設によりましては、所にもよりますけれども、それ以上の高給者、要するに経験の高い人を雇っておるものもあります。しかし、施設によりましては、とてもこれだけの人は集まらないということで、もっと若い、経験の少ないような人を雇っておるようなところもあります。しかも、その一番民間社会事業問題点でございますが、国はそういうふうにして、百人なら寮母さん何名、指導職員何名という計算施設に委託して事務費を渡しますが、施設長が国がきめた積算単価のとおりに、何といいますか、給与なり何なりというものじゃなしに、人によってその範囲内で人を選ぶ、あるいは経験年数なんかを勘案して給与をきめるというふうな、民間施設としての自主性というものがあるのです。ただし、役所のほうとしますと、十人置くべきところを五人しか置かないというようなところには、そんなことなら金は十人分払いません。十人まで置けばまるまる払いますというふうなことをもって欠員がないようなかっこうに持っていきたい、そういうふうに思っております。やはり、今後問題になりますのは、いまお話のように、新しい労働条件、あるいは雇用関係というふうなもののためには、施設長が、また民間社会事業施設数千にわたってそれぞれがばらばらに適当な人を、大体の目安はありますけれども、格づけなり給与条件なりというものをきめておるのでは非常に施設間のアンバランスが出てくる可能性がある。その点で何か民間でも横の統一をとって、やはり一人一人役所のほうで給与まできめるというわけにはまいりませんが、何かそこに、どこへ行っても経験十年の人は三万円なら三万円というふうなことで、その身分的な、あるいは給与的なもので安心して働けるというかっこうにしたいというので、いろいろ社会福祉協議会のメンバーとか、施設の長の集まとかということもまじえてわれわれ検討しているというふうなところであります。実態は、やはり非常に手弁当で自分たちもやってきたからというので、わりに給与関係というものについても認識が薄いのじゃないかというふうな心配を私ども逆にしておるような状態でございます。
  18. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 それで、厚生省は、先ほど言われましたように、これら職員処遇改善のために毎年予算要求をしておると思いますが、大体大蔵省あたりのこれに対する認識が私はまだまだ足りないと思います。したがって、この予算要求と実際の確定ですね、そういうものがどの程度なのか。結局厚生省としては幾ら要求しても、実際に大蔵省がそれを査定の段階で減らしてしまうというようなことが積もり積もって今日のような職員状況にあると思うのですけれども、そういう実際の予算面における経過といいますか、そういうものは一体どういうふうになっておりますか。
  19. 今村譲

    政府委員今村譲君) 実は財政問題では問題点はたくさんございますが、たとえば一つ労働条件の緩和ということにしますと、たとえば特別養護老人ホームというので例を申し上げますと、これは寝たっきり、いわばたれ流しといっても病院にはなかなか入れないし、それほどでもないという人がいます。そういうふうな施設の場合に、初めは、三十八年当時は、そういう老人が八人について寮母さんが一人ということでいいじゃないかということで実は出発したわけです。まだ三十八年ですから、歴史は幾らもありませんが、そのうち、どうもそれでは、この前お話が出ましたように、おしめの洗たくだけでもたいへんだ。それから、夜中にいろいろ取りかえてあげなければならぬというようなことで、審議会でいろいろもめまして、審議会のほうでは五人に一人はどうしても要ると、こういう答申をもらったわけです。それで、率直にいいますと、八人を五人に一人といいますと人数が相当ふえてくるということでありまして、いろいろやりました結果、八人に一人を五人に一人の要求が六人に一人というふうに四十一年度になり、それから、四十二年度の予算、これはこの二月でありますけれども、やっと答申どおり五人に一人というものが要るだろうということで予算化されたというふうな事例がございます。これは保育所でも三十人に一人というのじゃ保母さんがとてもたいへんだ、二十人に一人にしてくれ、これは何千人という結果的には増員要求みたいなかっこうになります。それが一挙に二十人まで飛ばないで、年次計画で逐次少しずつ埋めていこうというふうなことになったり、これは三十本くらいいろいろな施設がございます。精薄とか重症心身とか、いろいろありますので、それぞれの施設に応じた人の要求ということになります。  それから、その職員給与につきましては、たとえば宿日直手当とか、あるいは超勤手当とか、あるいは被服手当をどうするとか。実際の本俸そのものについても、実態調査の結果、どうもいまの国家公務員に準じた線よりは少し学歴、経験年数が高そうな数字なりを感じで、調査をして、これはどうも一号ぐらい低いようだということで大蔵にぶつかるということがございました。そうすると、その調査のデータをめぐってもいろいろな議論が出るということで、これは数字項目にわたりますので、非常にデリケートでございますが、ただし、社会事業を運営するために一番とりあえず問題になっておるものから片をつけようじゃないかということで、私ども毎年この改善ということに努力をしておる次第でございます。こういう現状でございます。
  20. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 そういうふうに、非常に施設現状というものを見ますと、職員の交代、あるいは欠員、あるいは無資格者の問題、こういうものが見られるわけでございますけれども、ひとつ厚生省としては、そういうふうな問題についてやはりこれは指導監督する、あるいは援助する立場にあるわけですから、今後ともひとつ十分そうした面についての姿勢をとっていただきたいと思います。  それから、この振興会に関係する問題としては、振興会法の業務の一つに、こういう「社会福祉事業施設職員社会福祉事業に関する事務に従事する者の研修、福利厚生その他社会福祉事業の振興上必要と認められる事業を行う者に対し、必要な資金を貸し付け、又は助成を行うこと。」と、こういうことが規定されておるわけです。この助成というものは一体現在どういうことが行なわれておるのか。資金の貸し付けは、これはやられておりますけれども、「又は助成を行う」、この助成というのは一体どういうことなのか。
  21. 今村譲

    政府委員今村譲君) これはこういうことです。いまお読みになりました二十三条の一項の第二号に、いわゆる「資金を貸し付け、又は助成を行うこと。」とございますが、実はその次の第二項に、振興会はその必要な助成を行なう場合には、いわゆる何といいますか、収支決算上黒字が出た、これは一審出発当時は政府出資だけで出発をしておりました。政府出資で金も貸し、事務経費もまかない、そして、なおかつ決算上剰余金が出た、そういう場合に、その金額の範囲内においてのみ前項第二号によっていわゆる社会系統の福祉事業に関する助成を行なうことができるということが法律に書いてございます。したがって、三十九年まで推移いたしましたので、十カ年間は政府出資をしてきましたが、毎年一億、一億というような小さな出資でございますので、これはできる限り貸し付けのほうに回すというかっこうになってきておりまして、事実上事務経費を差し引いた黒字決算がほとんどありませんので、事実上やっておらない。三十九年以降、今度は財投方式に切りかえまして、財投方式でやりまして、六分五厘で借りてきて、貸すのは四分、あるいは三分八厘というふうなかっこうになりますと、その利ざやを大蔵に全部持ってもらう、そのほか、この貸し付けに要する事務費も全部大蔵に持ってもらうということになりますので、事実上は、第二項のほうで黒字ができたら助成をやるのだ、付帯事業のようなかっこうでございますので、そういうような面におきまして、いまの財政状況では、申し訳ない次第でございますけれども、事実上黒字決算による財政援助というふうなものはやっておらない、やれない状況になっておるということで、これは今後政府出資金の増というふうな問題ともからんで、今後われわれの努力しなきゃならぬ目標ではないかというふうに思います。ただ、事実上の問題としましては、いろいろな民間社会事業に対するPR資料を送ったり、あるいは運営指導——指導といっては、これは民間で指導ではありませんが、運営の参考資料を送ったりというふうな、事実行為としてはやっておりますが、ここにぎょうぎょうしく助成を行なうというふうなものはできないかっこうに相なっておる、こういうふうな状況になっております。
  22. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 ちょっとそうすると、法律でこういうふうにきまっておりながら、実際は当初からそういうことが全然やられておらないということになると、これはやっぱり問題だと思うんですね。そうすれば、初めから資金の貸し付けでとどめておくべきであって、少なくとも、助成を行なうということになっておれば、これはいま局長の言われたように、出資をもっと大幅にふやして、それでそうした余裕ができるような形にするか、あるいはそういう黒字にとか何とかというのでなしに、何か別な措置でもって振興会に対する国の予算的、財政的裏づけを与えて、そして法律上の助成ができるような、そういう何かしないと、せっかく法律でこうつくられておるのが全然発足当初からやられておらないということになると、私は非常に問題でないかと思う。また、厚生省としても、こうした法的根拠があるわけですから、この根拠に基づいてやっぱり大蔵省に対する要求をしていくということが必要じゃないかと思うんですが、その点はいかがですか。
  23. 今村譲

    政府委員今村譲君) 仰せのとおり、これは発足当時は非常に大きな夢がございまして、政府出資毎年毎年ということになりますと、もし黒字決算になり得るならば、まず金利を下げてくれというふうな民間からの要望がございますし、まあ金利はいいから、若干黒字が出たらそれを職員の研修とか何とかのほうに回してくれというふうな意見等、まあいろいろありました。客観的には毎年一億ぐらいしか出資金がふえないというわけで、はなはだ申しわけないわけなんですが、現在までそういう状況でございます。まあこの法案が提案になった当時におきましては、将来数十億の政府出資金ということになれば、ある程度のものは利子引き下げに回しても助成ができるんじゃないかというふうな希望を持っておったわけですが、最近政府出資金も出しにくい、財投方式に切りかえて赤字をぬぐうという方式になりますと非常にむずかしい。ただ、御指摘のように、せっかくそういう条文もありながら寝かしておくということについては、はなはだ私どもとしても知恵の足りないことだと思いますが、これは御指摘の方法を実現できるような方法をいろいろ考えてまいりたい、こういうふうに思っております。
  24. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 まああらゆる法律の中に、こうした法律できめられておりながら、実際にはそれが守られておらないということが往々にしてありますけれども、しかし、先ほど申し上げましたように、非常に職員の問題が大きな問題になっている現在ですから、私は、やはり振興会としては、そうした法律上の規定された問題については、積極的にもっと取り組めるような体制をひとつ厚生省として十分つくってもらいたい、こういうふうに思います。もしそうでなければ、この法文はやはりここで削除をするか何かして、すっきりしたものにすべきだというふうに私は思います。  それから、もう一つ社会福祉施設職員の退職手当共済がありますが、これについて、これはまあ職員の待遇改善の一助になっているわけでございますけれども、現在なお相当数の施設が本制度に加入していない、こういう実情にあるわけですけれども、一体それはどういうところに問題があるのか、お伺いしたい。
  25. 今村譲

    政府委員今村譲君) いまの御指摘は、これは民間施設だけでございますが、施設数が児童から何から全部入れまして約五千九百三十六というふうな、これは四十二年の三月三十一日現在ということで、四十一年度末ということでございますが、五千九百三十六、入っておりますのが五千三百十五、したがいまして約六百施設がまだ入っておらない、こういうことでございます。問題は、これは入るか入らないかは、強制加入でございませんので、大きな施設や何かは全部これは事態がわかっておりますが、常に新設の施設あたりで、たとえば保育所とか何か小さいところで気がつかなかったというふうな問題もありましょう。それから、もう一つには、中小企業の退職共済法というのがございます。そっちのほうに入ったものはこれに入れない。ということは、こっちにも給付費が出ておりますし、中小企業のほうにも出ております。したがって、ダブリで両方口をかけることができないというふうな法制上の問題がありますので、ケースははっきりいたしませんが、若干のものは中小企業のほうに入っているというものがあろうかと思います。ただ、問題は、施施長がぼんやりしておったということでは申しわけありませんので、県のほうに極力すすめて、これに入れるようにという行政指導は目下いたしております。
  26. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 そういうやっぱり退職手当は、わりあい中小企業の共済から見ますと有利な形になっておるわけでございますけれども、十分そうしたものに対するPRというか、そういうものがなされなくちゃならぬと思いますし、また、掛け金の問題ですね、これなんかも社会保険なんかと同じように措置費でみてやるということが必要じゃないかと思うんでんけれども、そういう考えはないでしょうか。
  27. 今村譲

    政府委員今村譲君) これは現在基本額が一万五千円、十人おりますとちょうどその十倍というふうな、それから長年になりますと百分の百二十とか百三十とか、一応の率はございます。問題は、四十二年度におきましては総給付費の三分の一は国が持つ、三分の一国庫負担、三分の一は県が持つ、三分の一は施設長が持つ、こういうことになりまして、施設長が持ちますものは毎年変わりますけれども、本年度一人につき千八十円、年間でございます。したがいまして、これは職員が十人おりますと一万八百円というものを施設長が払い込まなければならないということになります。で、これはいまお話のように、その施設長職員一人当たり千八十円払い込むのも措置費という形における負担にしたらどうかという議論になりますと、私どもいろいろ負担過重ではないかという検討はいたしましたが、これすらも措置費でみるということになりますと、結局は国と県とで全部退職共済制度を運営するというかっこうになりまして、施設のいわゆる全額公費負担共済制度というところまで波及いたしますので、そういたしますと、中小企業の対策なんかは五%、あるいは状況によっては一〇%ぐらいにしか国庫負担がないという点から見ても、非常に大きな問題に発展する。しかも、従来のこういう共済におきましてはいろいろ国庫負担の制度もございますけれども、三分の一持つ、事務費はもちろん全部国が持ちますから、そういうふうな制度というものは、非常に比べますと恵まれた、逆に言えば、社会事業施設というのは非常に苦労が多い施設であるから、そのくらいのことはせにゃいかぬじゃないかということでできたものですから、根っこの施設負担三分の一まで全部ということはちょっとわれわれとしても踏み切れないというふうな状況なんでございます。
  28. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 しかし、それぞれの施設の要望としては、これはやっぱりぜひ全額国庫でみてもらえないか、こういう希望もあるわけです。それから、その都道府県の補助率ですね、これは三分の一、こう言われましたけれども、これも規定上はっきり書かれているわけじゃないと思うのですね。これは明確に三分の一、三分の一というふうに規定する必要はないのですか。
  29. 今村譲

    政府委員今村譲君) これはおっしゃるとおりに、はっきり書いたほうが一番いい、こういうふうに思いますけれども、この法律案が制定されます当時においては、事実上国は三分の一払うのだ、それから施設長には、逆に今度は下のほうから三分の一持たせるのだ、あと残り足らぬところは県が持つのだということで、こういうことで非常に抽象的な規定でございます。ただ、一般に財政負担の分については自治省との関係もございますし、それから大蔵省との関係もございまして、いろいろ難航するわけでありますが、いま事実上行なっているのだからいいじゃないか、決して政府はそう逃げ回ることはないじゃないかという議論で押し問答した時期もございます。この問題はいますぐ解決をつけなくてもいいのじゃないかというふうに私ども考えておりまするが、仰せの筋は、制度ならばそのとおりしなければならぬじゃないかということはよくわかるわけであります。この辺ひとついろいろな情勢を見て、ということは、あまりはっきり書きますと、これが中小企業なり何なり、あっちこっちに響くわけです。その辺もありますので、ひとつ研究させていただきたいと思います。
  30. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は大臣に申し上げておきたいと思うのですが、一つ職員給与の問題です。で、私の推察によると、いま公務員との差が三〇%くらいあると推察をしておる。これは昭和三十六年に灘尾大臣のときに本会議で公務員並みにするという誓約があるわけです。当時甲、乙、丙とあったのを、丙をなくして甲、乙にした。そして五回ほど特別なアップをした。しかし、特別なアップの最後の段階で、いま施設職員給与について質疑がありましたが、あの国会の本会議で約束したことは少し最近緩慢になっているのではないか、私はそう思います。ですから、柳岡委員の、三割もやめていくというのもそこが根本の原因だろうと、こう思うのです。これは施設職員給与の問題については真剣に考えてもらいたいということが一つ。  それから、この競輪や競馬、ボートですか、そこから十三億近い金が入っている。それは寄付してもらって施設ができるのですから、これにとやかく私は言わないのです。ただ、その施設に金を出すのに、厚生行政が全国的なバランスの上でやっぱり出してもらう、この規律だけはきちっとしてもらわぬと、かってに政治が入って、個々には好き好みでその金がおりていく、そういうかっこうにやるのなら、私はそういう競技自身をやめたらいいと思います。大臣もさっきおっしゃったように、詰めていくとやっぱりおもしろくないことなんだとおっしゃっている、この事業自身が。そんなら、福祉事業に足らないということでそういうことがいま行なわれているわけですから、いまあしたからやめろと私は言わないのですが、しかし、そういうものが社会福祉のために一助になるというなら、私は、厚生行政の施設建設、それから地域的バランス、人口バランスの上に厚生大臣がリードをして、バランスをやっぱりとって、住民に奉仕する業務、全く公的な業務なんですから、やっぱり薄いところの施設に金が入っていって、足らないところを補うということでないと、好みで重複したりなんかするところに金がおりていくというのなら、私は少し問題があると思う。だから、そういう点は、この施設にこういうところから金を寄付させるというなら、やっぱり厚生省施設建設の全国的なバランスにおいて足らないところへ持っていくというぐあいに、コントロールをむしろ厚生行政の中ですべきじゃないか。むしろほうっておいて、そこには政治が動いておって、わしが取ってきてやる云々というふうなことでこんな施設建設が行なわれるというならば、最も私は好ましくない姿になるのではないか。この点も心していただきたいということの二つを、私は質疑を承って、いま関連して申し上げて所見を承っておきたいと思います。
  31. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 御指摘のように、施設職員処遇と申しますか、給与だとか、あるいは労働条件だとかといったようなものにつきましては、今日の実情はまだ遺憾な点が非常に多いということは私も考えます。ここ数年来、これの改善につとめてまいりましたけれども、おっしゃられたように、まだ非常に緩慢じゃないかというお話、これは私は、これに対しましてはお説のように考えざるを得ない。そこで、この点につきましては今後とも鋭意努力をしてまいりたい、かように考えます。  それから、競輪、競馬、ボート、いろいろなものにつきましては、政治の変な姿勢がこれに反映しておるんじゃないかというお話も、これも全然そうではありませんということをお答えするわけにも私はまいらないかと思いますが、しかし、そういったようなとこでたまりました金についての使途ということにつきましては、厚生省も今後相談をいたしまして、そうして適正に配賦をされるように努力はしておりますけれども、この点もおっしゃるとおりです。さらに厚生省といたしましては強い態度をもって今後やっていかなければならない問題であろうかと考えております。
  32. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 それから、もう一つ国庫補助の問題、まあいま言われましたけれども、しかし、特殊な問題として私はやっぱり検討していただきたいと思います。  それから、通算制度について、いま一つ施設から他の施設にかわった場合には通算されておらない。これについてもやはり通算できるようにしていく必要があるのではないか、こういうように思うのですが、これも検討していただきたいと思います。  それから、対象範囲の中で、たとえば全国社会福祉協議会、あるいは県の社会福祉協議会、あるいは法人の事務所等ありますけれども、こういうところの職員もこの共済組合の中に含める、そういう考えがあるかどうか。
  33. 今村譲

    政府委員今村譲君) 第一点の問題、これは仰せのとおりに、できてからまだ五年目でございますけれども、至急事務局において検討を進めなければならない、こういうふうに思います。  それから、第二点の、社会福祉協議会系統の人を入れるか入れないか、これも非常に強い要望でございます。ただ、問題は、この共済手当制度ができましたのは、国が、あるいは県が、たとえばこの老人をこの施設に頼む、この子供をここへ頼むという公の委託をやったそこの職員、しかも、それはほとんど全部公費で委託費として支払われている職員、その職員として共済制度をやろうという、いわば措置権の行使といいますか、措置委託に伴う職員に対する処遇を改善するといいますか、その改善の一環になると思いますけれども、ということで発足できたものでありますが、社会福祉協議会、これは各県にもございますけれども、ぼちぼち全市町村にも形だけはできているかっこうになっておりますけれども、これは社会福祉事業法にもありますように、公の機関でもなし、それから、ほんとうのボランティアとして、その地域地域の婦人会であれ老人会であれ、いろいろな組織を活用して地域の福祉をはかりたいというボランティア活動という仕組みになっておるわけです。それに対しては、やはり公の措置権の行使によって、この人をあなたの施設へ頼む、したがって、職員は何名で、こういう処遇をして、その経費は全部国と県で出す、こういうふうなものと性格がちょっと違ってくるわけです。似たような話だけれども、最終的には変わりないが、片方は完全なボランティア組織だというので、そうなりますと、いわゆる先ほどお話のように、三分の一、三分の一、三分の一というふうな非常に高額な負担をしておるこの制度は、やはり公の保護の責任がある国なり県なりが出した施設職員に対する処遇だというものとちょっと異質のものでありますので、そうなら、国庫負担でみるなら制度はちょっと変えなければいかぬじゃないかというふうな議論もあったりして、これは非常になかなか一本でそうだというきめ手がないものですから、毎年私のほうも考えながら——といって、全然社協職員というボランティアの職員だけを対象とした別個の退職手当制度というものを出すわけにもまいらぬというので、非常に苦慮しておりますが、この点は要望が強いことでもあり、ああいう手弁当に近い状態で社会福祉協議会の活動をしておられる方々もあるので、この制度でいくのか、あるいは別の制度でいくのか、何らかの方法を考えなければならぬという気持ちは十分ありますけれども、ちょっとこの制度にすぐということは理論的に非常にむずかしいということで苦心しておる次第でございます。もうしばらく時間をかしていただきたい、こういうふうに考えます。
  34. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 いずれにいたしましても、非常に退職共済法の内容に、あるいは現実の問題からしていろいろ改正しなければならないところが多いと思うのです。したがって、この共済法の改正についても、私は、本来ならば、こういう振興会法の一部改正にあわせまして、この国会等において共済組合法のこの改正案も出す、これくらいの私はやはりもっと積極的な取り組みがほしいと思うのですけれども、ひとついま申し上げましたような二、三の点も最も重要なことでございますけれども、このほかにもいろいろあろうかと思います。そういう点をひとつ十分検討していただいて、早急にこの退職手当共済法の改正ができるような、そういうひとつ取り組みをしていただきたいと思います。  それから、もう一つ、いま振興会は貸し付け業務の実施については、それぞれの都道府県なり、あるいはこの共済制度につきましても、そういう都道府県の福祉協議会、こういうところに全部委託しているわけですね、仕事を。その委託費というものが昭和四十年では平均一件当たり四万円ということですね。こういう額で、はたして十分に活動ができるのかどうかですね。振興会法によりますと、これは事務所も置くことができるとなっているわけです。現在はそういう事務所がどの程度——まだないのじゃないかと思うのですよ、ほとんど都道府県にまかせっ切りで。しかも、一件当たり四万円程度ということでは振興会としての十分な活躍というか、活動ができないというふうに思うのですけれども、この点はいかがですか。
  35. 今村譲

    政府委員今村譲君) これは普通の銀行なら、あちこちに全国に委託組織を持った場合に、その手数料というので一〇%、あるいは何%というふうなかっこうになりますけれども、これは現在件数も非常に少ないし、三百件、あるいは二百七十件というような件数でありますし、それから、これは少しおかしいのですが、多年社会事業関係が要望した振興会というものができて、そこで法的資金化される。むしろ社会福祉協議会なんかは、ある県の中の施設ならば喜んでその資料を作成してくれる、そして進達してくれるというかっこうで、むしろ県社協なんか補助金がなくたってできたんだから、どんどんやりますというふうなかっこうで始まったものですから、その四万円というのがほんとうのいわゆる郵送代というようなかっこうで、出発がそういうものだったわけです。ただ、お話のように、県の社協にしましても、やはりその施設とかなり連絡がありますし、いろいろな実質調査ということでありませんが、内容とか書類の点検とかいろいろありますので、これについては人件費なり事務費なりというものを当然考えるべきじゃないかという時期がきたと思います。この出発当時から昨年までは、とにかく政府出資十億、財投が十九億、合計二十九億、年々貸し出されるのはせいぜい七、八億ということでございましたが、件数としてはそれほどの件数ではございませんのでこの程度できたのでございますが、本年のように貸し付けが二十二億にもふえるということになりますと、お話のようなことも検討しなければならぬというふうに考えております。  それから、事務所は、ちょっといまの段階でいまの件数では、大阪に置くとか八ブロックに置くとか、直轄の事務所を置くところまで至っていないのじゃないかという気がいたします。これは県なり、県の社会福祉事業協議会なりのそういう財政手当てを十分にいたしまして、そこからスムーズに上がってくるということで当面のところは足りるのじゃないか、こういうふうに考えております。
  36. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 何かそういうふうに現状を見ると、どうも福祉事業というものが、国民の善意というか、あるいはそういう人たちの善意、そういうものに何かたよって、それにおんぶしてやっていくというような考え方が政府のほうにあるのじゃないかという感じを受けるわけですから、もっとやはり積極的に取り組んでいくためには、十分な活動のできる体制というものをつくっていく必要があるのじゃないか、こういうふうに思うわけです。しかも、今度の振興会法の一部改正によって、いままで振興会と年金福祉事業団と両方が貸し付けについては行なってきたのですね、それを今度一元的に振興会が行なう、こういうことになってくれば、私は、やはりこの際もっと活動できるような体制をあわせて考えていくということが必要ではないかと、こういうふうに思うわけです。そこで、今度の法案では一元的に振興会が資金の融資を行なうということになっておるのですけれども、年金福祉事業団でもまだ法制上はそういう貸し付け業務はできることになっておるのじゃないのですか。その点はどうですか。
  37. 今村譲

    政府委員今村譲君) これは年金福祉事業団のほうでは、法制上というか、業務方法書で、たとえば民間社会福祉施設老人福祉施設に貸し付けるとか、あるいは社会事業施設の新設に貸し付けるとかありますが、これはたてまえ上は全部落とす。ただ、会社、工場あたりで従業員のための保育所をつくったり、あるいは従業員対象だけのものをつくったりというふうな場合には、現在も職員の福利厚生ということで、住宅をつくったり病院をつくったりという融資をやっておりますので、保育所事業は、これは県なり市町村なりから委託するということになれば無差別平等に施設は受け入れなければならぬということになりますが、それは振興会でまとめますが、会社自体の保育所とか、会社自体のいろいろな遊び場をつくったりというようなものについては、これは厚生年金被保険者のためのいわゆる企業の福利施設ということでその部分だけは残る、こういうかっこうになっております。
  38. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 もう一度はっきりしていただきたいのですけれども、振興会が行なうものと年金福祉事業団が行なうものの違いというものをもう一回お聞きしたい。
  39. 今村譲

    政府委員今村譲君) 年金福祉事業団は、厚生年金の福利施設といいますか、福利の関係で還元融資を使いまして、民間の企業主がいわゆる年金被保険者のために会館をつくったり、あるいは病院をつくったり、それから住宅をつくったりというふうなものに金を貸すというためにつくられたものでありまして、いわば社会福祉事業関係、これは一般国民対象というようなことについては振興会の資金のワクが少ないということもあるので、少ないといってはおかしいのですが、付帯的にやっておった。ことに緊急を要するものの資金の裏づけがないということでございますので二次的になっておった。今度こういうように割り切りましたのは、社会福祉事業というのは、たとえば自分の会社だけしか入れないというような、一企業には限定しない、すべて知事さんから、これを入れてくれという話があれば全部入れるというような、いわゆる無差別施設というものが本来的なもので、それは振興会のほうでやる。したがって、残りました、一企業が企業の内部における従業員のための福利施設というようなものは社会事業ではなくて、企業の内部における一つの福利施策だから、それは年金事業団に残すということでまいるつもりでおります。
  40. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 時間の関係もございますし、これで終わりたいと思います。いままでの議論の中で、やはりまだまだわが国の社会福祉事業、あるいは施設というものが十分でない、それに対する政府の対策も十分でないということを痛感いたします。  そこで、ひとつ最後に厚生大臣に、こうした問題に対するこれからの決意というか、基本的な方針というか、そういうものをひとつお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  41. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) いろいろと御指摘がございましたとおり、いまの日本の国の社会福祉事業、また、これに対する政府の施策なり、あるいは融資といったような実情がなお十分でない、西欧先進国に比べましてもまだ相当の開きがあるということは、これは私どもといたしましても大いに看取せざるを得ないということでございまして、こういったような点につきましては今後鋭く検討を加えまして、そうしてこれの改善をはかるというために、鋭意各関係省とも連絡相談をいたしまして、御指摘の点を改善、強化してまいるべく努力をいたしたいと考えております。
  42. 小平芳平

    ○小平芳平君 いま厚生大臣から、将来に対する、まあ重点的に社会福祉関係政治の姿勢として推進していくという御答弁がございまして、私たちも心強く思うわけです。ただ、かつてやったような高度経済成長、経済が高度成長すれば、こうした恵まれない人たちも自然に上がってくるんだというような考えではなくて、やはりそこに経済成長とともに、また、社会開発、社会の発展をしていくという。この行き方がいま必要だというように私たちも考えるわけです。ところで、この競馬、競輪、それから競艇等について、柳岡委員からも、また、藤田委員からも指摘がありまして、大臣から御答弁がありましたのですが、まあ佐藤内閣として、経済社会の発展をしていこうという、そのときにですね、  〔委員長退席、理事藤田藤太郎君着席〕 こうした社会福祉施設整備補助金等が、まあ先ほども御指摘がありましたように、競馬、競輪等から十三億、それから、国と県の補助金を合わせて十六億というような資料をいただいておりますが、こういう現状で、はたして経済社会の発展を重点的にやっていくということになるかどうかということをお尋ねしたいわけです。実際問題、それじゃ競馬、競輪がなくなったらどうなるか、相当の金額がごっそりなくなってしまう。そのほかにもありますが、大体国と県を合わせた額と、これは民間施設となっておりますけれども、特に民間施設は国や県が重点的にやってあげなければ、非常に先ほど来も指摘がありましたように、施設も悪いし、職員の待遇も劣悪であるという現状から、もっとこういう点に重点的にやっていくべきではないでしょうか。
  43. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 御議論がございましたとおり、過去数年来にわたりまして、日本の国策というものは経済開発に重点を置きまして、そのほうに非常な力を加えてまいった、そういうようなことで、社会開発の面がこれとバランスがとれなくなっておるということは、これはもうおおうべくもない事実だと思います。さような意味合いにおきまして、まあ佐藤総理が人間尊重ということを申しておるのもそこのところを私は考えておるのだと、かように考えますが、今後は、もちろん経済開発も大事なことでございますが、立ちおくれておりますこの社会開発という面に、政策として、国策として力点を注いでまいるべき時期にまさに逢着しておると考えます。さような点におきまして、この社会福祉、広くは社会保障という、そういった面に御指摘のあったように、ただ競馬、競輪にたよっている社会の善意と協力とがなければ、社会福祉事業、あるいは社会事業といったようなものが、これはもう善意の御協力を期待することはもちろんでございますけれども、それになれるというようなことでは制度としても充実整備されていかない。国として全力をあげてそういう方向に持っていき、国としての力を加えていかなければならない、かように考えております。
  44. 小平芳平

    ○小平芳平君 たいへん大臣のおっしゃることは大事な問題であると思います。で、ここでもって競馬、競輪にたよらなくても、国あるいは県のそういう金で十分やっていくという体制——といいますのは、こういうことを言う人もあるわけです。確かに競馬、競輪はもうやめたほうがいい、けれども、じゃやめるにしても、皆さん社会福祉施設など、ああした恵まれない人たちのためのいろいろな施設はその競馬、競輪でできているのですよと、こういうことを考えれば競馬、競輪が悪い悪いというわけにもいかないじゃありませんかと、これはおかしい議論だと思うのですね。ですから、それは競馬、競輪というものがスポーツとか娯楽とか、そういう面からとらえるならばとにかく、実際問題非常な社会悪、それが原因でいろいろな家庭の悲劇、社会の悲劇というものが現実に起きる。そういう悲劇を見ては、それはやめたほうがいいやめるべきだという人が出る。それに対する答えとして、いま申し上げるような、そのもうかったお金はそういう社会福祉施設に使うのだから、何もやめる必要はないと、そういうのはおかしいと思うのですが、いかがでしょうか。
  45. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 競馬、競輪等は、私は、これはもう全部が社会悪だときめつけるのも少し疑問を持ちますけれども、だが、しかし、そういったようなものがあるから、そこでこのおかげによって社会福祉施設というようなものができたりこれが運営されたりするのだということは、これは私は非常に間違いであろうと思います。さような意味におきまして、私はでき得る限り——まあこれが全部が全部社会悪とは申されませんけれども、社会悪を発生しておる一つの場であるということは、これはもう否定はできまいと私は思います。そういったようなところから資金を仰ぐということは、いまおっしゃられたように、世間では、それがあるから社会福祉施設ができたり運営されたりしておるのだといったような口実を与えるといったようなことにも相なることは、これはもう論理的にそういうような結果から見ればそういうことになるのでございますが、そういうことのないようにするためには、どうしても社会福祉施設その他公共事業といったようなものは、これはやはり国なり、あるいは地方団体なりというものが中心になりまして、それにそういったようなものでなく、ほんとうに善意の国民の皆さんの御協力に期待をいたしましてやっていくべきものだと、本来はそうあるべきものだと考えます。
  46. 小平芳平

    ○小平芳平君 それで、次に、改正内容については柳岡委員からいろいろ問題が提起されましたので、ダブっては申し上げませんが、要綱の二で、民法法人の施設、それから、また、児童福祉施設を設置する宗教法人、これを新たに含めるものとする、こういうことになるわけでありますが、ここでもって民法法人の施設及び宗教法人の施設ということになると思いますが、宗教法人の施設というものは、児童福祉施設はどのくらいになりますか、数は。
  47. 今村譲

    政府委員今村譲君) お答え申し上げます。  現在のところ、児童家庭局の調べによりますと六百五十九施設、これはほとんど保育所だけでございます。
  48. 小平芳平

    ○小平芳平君 そこで、保育所に対して貸し付けをする、これは施設が非常に老朽であったり、あるいは今度修理とか改造とか拡張とか、そういう場合には貸し付けをする、こういう趣旨だと思いますが、ですから、そうした福祉施設に対する国の援助、これはこの法律の趣旨であり、また、それは先ほど来大臣が御答弁くださったように、いま力を入れていくべき問題点である、こういうふうに考えます。ただ、ここでもって経理がはたしてそれでは宗教法人の場合は、たとえばお寺ならお寺というものと、それから保育所なら保育所という施設とがはっきり分けて、そこでもって貸し付けするほうも間違いなくやっていかれるものかどうか。これは補助金の場合も、国から出たり県から出たりするように思いますが、そういう点、経理をだれが責任を持って把握し、実態の運用として現在やっていかれるか。また、将来宗教法人のそうした施設に対する融資なら融資をする場合、確かに経理の上からいって、これは宗教そのものを何も厚生省が保護を加えるというような考えは毛頭ないことでありますので、そういうものは憲法で宗教を国が保護するなどということができるわけがないのであって、しかし、実際の運用面で経理が非常に不明瞭なものがあって、実態はこんがらがってしまうというようなおそれがないかどうか。また、そういうおそれがないためにはどういうふうにやっていかれるか、そういう点について。
  49. 今村譲

    政府委員今村譲君) お答え申し上げます。  これは宗教法人でやっておりますものは収容施設一つもございません。保育所だけでございます。問題は、宗教法人には国庫補助金を現実には出しておらないのであります。出しておりませんが、老朽問題に引っかけまして、現に保育所が非常に老朽しているというふうな場合に、子供たちにけががあっては困るということで、融資ということで利息も取るわけでありますが、そういうことで出発したものを、年金福祉事業団から社会福祉振興会のほうに、社会福祉事業全般の融資関係を引き継ぐということで、やむを得ずといってはおかしいのですけれども、そういうかっこうですが、御指摘のように、社会福祉事業振興会法ではこういう立て方で、融資は原則としては社会福祉法人に限る、社会福祉法人を原則とする。といいますのは、民法法人でも、そのほか私立とか、昔はたくさんございました。それで、補助金を受けたり民間寄付を受けたりしていろいろやりますが、さて、その財産処分ということになりますと、いつの間にやら個人のものになってしまったり、何だかわけのわからないようなかっこうでどこかへ消えてしまう場合も間々あるというので、少なくとも、現在の民法三十四条の法人でも困る。やはり社会福祉施設というのは公共の器だということで、それがもし解散する場合には同じ社会福祉法人に財産を譲り渡す、決して個人のふところに入らないというかっこうでないと、補助金もあり、非常に有利な融資もありということで、しかも、公共的なものでまかなわれている施設という点から見ておかしいというので、振興会法では、原則として社会福祉法人、当分の間、例外として民法法人というものを付け加えておったわけです。そのところで、いわゆる当分の間というかっこうで附則で書いたものに宗教法人を入れようということでございますが、やはり民法法人では、経理決算というものを、これは民法法人として主管大臣がいろいろ監督なりができる。宗教法人も、この部分については公金補助はありません。融資だけでありますけれども、現実老朽建てかえでやっておって、これは県のほうに全部連絡いたしまして、ほんとうにそれは建てかえしたのか、ほんとうにそれがどれくらいのお金で、融資がどれくらいかということを現実には監査をさせております。それで、おっしゃるように、法制的には、宗教法人の中には、社会事業は特別会計にしろという規定はございませんけれども、それは事実上の行政的な指導で解決できるというふうに考えております。
  50. 小平芳平

    ○小平芳平君 ちょっと私の説明もあれこれ申し上げてしまったものだからわかりにくかったかと思いますが、私がいま申し上げている主眼は、局長が最後に御答弁なさったように、県が監査をするわけですね。そうすると、融資の場合でも、こんな話ではなかったのに、とんでもないところへ融資してしまった、あるいは補助金は宗教法人にはないといわれましたから、これは関係ないわけですが、実際起きてから、これはとんでもないことだったと、それは予算委員会や、あるいは参議院の決算委員会でもしばしば問題になったベル福祉協会のような場合ですね、こういう場合でも、それだけの補助金を出しそれだけの融資をするならば、初めからもっと的確に把握できないものかどうかということですね。それがもうこの前の予算委員会の大臣の御答弁でも、予算がついたのは三十六年ですが、実際渡したのは三十九年であった。それが最近になって国会で問題になり始めて、厚生当局も、これはほっておかれないといって、経理をどうしようこうしよう、突き合わせようというようにあわてなくちゃならないというようなことが、これは宗教法人に限らず、ベル福祉協会に限らず、起きてきたのでは非常にマイナスになると思うのですね。せっかく国が政策として重点を置いてやっていこうというときに、実際その出した補助金は変なところへいっちゃっている、実際やった融資はとんでもないところにいっちゃったというようなことじゃ非常に情けないと思うのですね。ですから、そういう点について、過去は一、二そういうまずいことがあったにしても、今後はこういうふうにやっていけばそういうふうな面は防げるのだというような点はありませんか。
  51. 今村譲

    政府委員今村譲君) 全国にも非常に多くの社会福祉法人がございます。民法法人もございます。いろいろ財政規模も非常に希薄なものですから、そのつどそのつどいろいろな計画書、あるいは集まるべき予定であったその募金が集まらないとか、いろいろな事情がございます。しかし、やはり法人が目的たる事業が遂行できなくなるというふうな事態に立ち至るということは、やはり国なり県なり、第一には県、その次は国というかっこうになりますが、その指導が不十分であったということでございますので、社会福祉法人に対しましては、たとえば予算の組みかえとか、あるいは役員の解任勧告とか、相当きつい公の支配に属するような規定がございます。民法法人もある程度そうで、宗教法人はそこのところはちょっと規定が非常にあいまいといいますか、社会法人のたてまえだけではっきりとした体制にはなっていませんけれども、そういうような問題について、ベルなんかの問題も含めて、役所のいわゆる行政指導、あるいは個々の資金計画に対する吟味、その辺が、まあ何とか集まるだろうというふうなものから出発したというふうな、非常に楽観的といいますか、悪く言えばずさんだといわれますが、そういうような事態があったことは非常に私ども申しわけないというふうに思っております。ただ、これがきめ手というのは、公立なら別としまして、今後とも県なり私どもなり一緒になって、できる限りきめこまかい指導をしていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  52. 小平芳平

    ○小平芳平君 きめ手がないということ、それから、また、宗教法人の場合は、特にこれは大体は宗教法人自体は文部省のほうが管轄していることになると思いますが、そういう点で、社会的な不信——せっかくこうした大臣が先ほど来しばしば言われた善意の結集が、これが当事者のそうした不正や乱脈でおかしくなったということがないように、これはそれこそみんなが協力してやっていかなくちゃならないことだと思いますが、厚生省当局としても力を入れて、きめこまかくやっていただかなくちゃならないと、私もそのように思います。  それから、そこで、直接この法律改正のこの段階で、この前ベル福祉協会についていろいろな問題点指摘され、厚生省当局がいま書類を点検中だという御答弁でこの前は終わっておりますが、その後の経過についていかがですか。
  53. 今村譲

    政府委員今村譲君) いま御指摘のベル福祉協会の問題につきましては、約二億七千万円ほどの、これ全部引っくるめまして、負債があるということでございまして、それの当初からの全部経理内容をいま詳細に調べております。三十九年度まではほとんど全部判明いたしました。四十年度、四十一年度はいま詰めている段階でございます。問題は、それの処理につきましては、いろんな負債の条件とか、大口のもの小口のもの、いろいろありますが、できる限りいわゆる利息の高いもの、あるいは高額なものについての、まあ十年とか十五年とかたな上げとかというふうな、負債整理の方法というものを至急に検討してもらう、詰めてもらうというふうに私のほうからやかましく言っております。それ以外の事業内容につきましては、現在三十人ほど人を入れて訓練しておりますが、それ以外に、いわゆる会館再建というような意味において、いろんな訓練事業なり会館事業なり、こういうような業務面の再検討、転換できるものは転換ということにして、ろうあ者の中心のセンターになり得るようなかっこうの業務計画をもう一ぺん練ってもらうということで、東京都と一緒になりましてこの団体に指導いたしておる、こういうふうな状況でございます。
  54. 小平芳平

    ○小平芳平君 そうしますと、書類の点検のほうは予算委員会のときの段階をまだ進んでいないわけですね、ほとんど。それから、また、いま局長が最後に言われたいろんな訓練、あるいは会場の運営ですけれども、ろうあ者の方々は、会館ができる、センターができるというふうに喜んでいたけれども、、実際問題できたものはマンションつきであったとか、非常にがっかりしたというような話もいままで十分いろいろ述べられてきているわけです。そこでもって会館の運営も厚生省でどういう指導をなさっていらっしゃるか。いまベル福祉協会について見れば、協会側としては、実費というか何というか、とにかく会場費を払ってもらいましょう。けれども、そうなると、ろうあ者の人たちは、それじゃせっかくできた会館なり中心になるセンターなりはいままでは無料で使わせてもらったのが、さあ厚生省が入ったために会場費を支払わなければならなくなるとかというような点も、いまのところちょっとあいまいのようなんですがね。  それから、もう一つは、実際そこで職能訓練ですか、聴能訓練のための膨大な設備がある、けれども、いまはこれを休んでいる、こういうような点は、まあベル協会がいい悪いはともかくとしまして、次に、今度国の政策の上から見れば、そういう訓練は相当お金がかかる、それから設備にも運営にも人件費にも想像以上のお金がかかる。こういう点は、やっぱり国がその気になって力を入れていかなければならないと思いますが、いかがですか。
  55. 今村譲

    政府委員今村譲君) 御指摘のとおりでありまして、会場の使用につきましては、本来からいえばみんなこれはただだというかっこうでいけばいいのじゃないかと私ども思いますけれども、一つには、やはり維持管理、それから、現在、申し上げますような協会全体のいろんな赤字の問題、その点も考えまして、まあどの辺がいいのかということもあわせて、業務改善の内容をもう一ぺん見直そう、そういうふうな指導をいたしております。  それから、聴能訓練でございますが、機械設備約四千万円ぐらい導入しております。相当有名な耳鼻咽喉科の先生が来て出発するということでありますけれども、あれは相当財界なり何なり、月々相当の寄付金が集まる。したがって、来る人方は非常に気の毒な人たちですから、十万円も二十万円も取っているというかっこうにはならない、しないのだという方針でまいりましたが、そこの点が財界の寄付なんかもなかなか集まりにくいという点もございまして、それも、その財政基盤全体をどうするのだといって、せっかくあれだけの機能なり組織なりありますので、やめてしまうというわけにはまいらないというので、実はなるべく早く全般の基本計画とあわせて練り直そうという段取りでございます。いまこういうふうに持っていくということを申し上げられないのが非常に残念でございますが、いましばらく時間をかしていただきたいと思います。
  56. 小平芳平

    ○小平芳平君 じゃこれで私終わりにいたしますが、やはり補助金あるいは融資ですね、こういう場合、国が四千万円投入したと、職能訓練の設備のために。けれども、実際は運営ができないと、これはまあ時間がかかるとは思いますけれども、もう少し計画的に一つ民間の福祉協会が聴能訓練のそうした四千万円の設備をつくり、また、財界からの寄付をまるきり初めから当てにして運営していこうという、それだけで厚生省はじゃ四千万円出しましょうと、じゃそれが実際協会が動けなくなったら、検討するからしばらく待ってくださいということを繰り返しているということはたいへんうまくない結果だと思うんですね。ですから、もっとこうした関係社会福祉法人はたくさんあって、とても厚生省が全部掌握し切れないんだというむずかしさはもちろんあると思いますけれども、実際そうした国の予算から出した四千万円のお金なり、あるいは善意で集まったお金が、融資はした、補助金は出した、実際は動けない、それじゃうまくないと思うですね。ですから、国自体が聴能訓練なら聴能訓練のこの分野をどう開拓し、どう確立していくかという、その政策が大事だと思いますが、その点いかがですか。
  57. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 御指摘の点は非常に大事なことだと思います。せっかく施設をつくり、あるいは設備をつくったといったようなものが、いろんな事情でもってこれを活用できないというようなことがあっては、これはもうお話にならないことでございますので、そういったようなことのないように、これはもう初めの計画から十分気をつけまして、せっかく貴重なる資金を投じ、せっかく貴重なる設備をつくる。ところが、最初の計画が非常に大事でありますから、そこらの点を気をつけるとともに、その後の運営にあたりましても、厚生省といたしましてはできるだけその指導よろしきを得るように持ってまいりたいと考えております。
  58. 藤田藤太郎

    ○理事(藤田藤太郎君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめておきます。  午前中の審査はこの程度とし、午後二時まで休憩いたします。    午後零時五十三分休憩  〔休憩後開会に至らなかった〕      —————・—————