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杉山善太郎君 問題を今後に残しておりますので、大体
大臣の都合がありますので、ずっとひとつ急行列車に乗ったような形でやっていきますけれ
ども、ひとつ記録に残こすために、このことは御存じでしょうね。具体的な問題ですが、昭和四十二年の二月十九日、NHKテレビの報道特集で「二つの証言」に出た、これは昭電の安藤信夫、昭電の専務ですが、こういうようなことを言っておるのです。「二つの証言」で。国が鹿瀬工場の廃液が
原因であると
結論を
出しても絶対に承服しないと全国民の前で公言しているわけですよ。四十二年二月十九日、NHKテレビ、報道特集「二つの証言」という中で言っているわけです。でありますから、なまっちょろい行政指導ではだめですよ。少なくとも、かつて前
鈴木厚生大臣のじぶんに化学
工業局長は、たとえば水俣の
原因、あの
事件について、同じような工場工程が日本に幾つかあったので、いわゆる
工場廃液の問題などについてどういう行政指導をしたか、何々通達を
出したということは聞きましたけれ
ども、
ほんとうに実地的に立ち入り実験をやっていないと思う、実際問題は。だから、幾らそんな通達をしても、今日、企業資本家は、
公害防止に対する
一つの投資というものをマイナス投資と言っているのです、いままでも。これは危険思想ですよ。実際これを改めさせるように行政指導をしなければ、今日各省は内閣のもとにおける行政
長官として行政権力というものがあるはずです。幾ら資本主義経済構造であって、資本主義経済が権力をどうこうするといっても、資本主義経済の上でも、権威ある行政庁の
長官が権威ある行政指導をしないと、少なくとも、公然として、やはり「二つの証言」の中で、国民の前でこういうことを言っている、暴言ですよ、実際問題として。だから、そういう点もひとつ記録にとめて、この問題はいま
大臣も御
答弁になっておりますし、通産省の
工業局長も言っておられますけれ
ども、私はこの問題を今日的にこれはなるほど取り上げなければならぬすでに態勢になっているということを国民に認識してもらうためにやっているわけですから、次に
質問を移すことにいたします。
昭和四十一年の三月十九日から三日間、安全工学協会なるものが
新潟に
調査に入っておりました。この中心の
メンバーは、横浜国立大学北川徹三教授で、この学者先生は昭電川崎工場爆発
事件以来、昭和電工と深いつながりを持っていらっしゃる学者先生であります。四十一年の十一月十日の衆議院科学技術振興対策特別
委員会、これは
新潟県選出のおそらく石田宥全代議士だと思いますが、しかし、昭電側の証人として、いわゆるこの地震農薬説を立証した人であります。この北川徹三さんは。で、この
調査団は、
新潟大学の椿教授や北野
新潟県衛生部長にか
みついております。
新聞記者が記者会見を申し込んでも拒否しております。かけ足で
新潟を通り過ぎたようなかっこうで、なるほど
新潟に
調査に行ったという手形は残っておりまするけれ
ども、こういうようなざまであったわけであります。ここで私が一番心配になるのは、ちょうどいまから十年前か、あるいは正確には——当時私は国会に席を持っておりませんでしたけれ
ども、とにかく昭和三十一年五月前後の当時だと思いますが、水銀中毒患者が続
出した熊本県水俣市でのいわゆる
原因が徹底的に究明されていたら、第二の
水俣病といわれる
新潟県
阿賀野川の悲劇は防げたのではないかという声がいま
新潟ではほうはいとして上がっておるのであります。しかも、熊本の場合は、熊本大学医学部の、つまり
水俣病研究班の血の出るような努力によって、新日本窒素水俣工場の廃液による有機性水銀中毒であるとの、つまり完ぺきに近い
結論が出されたのでありますが、その
時点において東京工大の清浦雷作教授は、
工場廃液説に反論する
報告書を通産省に
出しておるという事実を私
どもは側面からとらえておるわけでありまして、
あとでやはりその
時点の
報告書はひとつ
出していただきたいと思います。これはまたこういう反論書が出たことによって、その
時点においてやっぱり
原因の究明が一とんざしたのではないかと思うのであります。
そこで、この問題に関心を持つやはり
政治家として心配するのは、学者の意見の独立と、時間空費のお役所
調査が因となり果となって、いわゆる
加害者であり、
真犯人である
原因の
追及というものがやはりうやむやになった熊本県
水俣病の過去の事例にかんがみまして、過去のあやまちは再びおかしてはならないのだ、こういうふうに
考えておるわけでありまするので、それはそれなりのやはり見解と真情を吐露して、この辺の
問題意識のとらえ方について、きょうはたとえば
厚生大臣をはじめ、やはり通産省なり、あるいは農林省も、やはり水質、たとえば先ほど
関連の中で藤田
委員も、コンビナートにおける岡山の水島の水域から魚が浮く、そういったような関係について水質の問題、いま
新潟では、やはり問題のとらえ方として人権
調査委員会も起きているし、
史上空前のいわゆる
公害裁判も提起されておる。そういう中で、やはり
新潟地方検察庁も、これが刑事
事件になるかどうかという問題を側面からとらえて、いまこの
調査を進めておる、こういうような
社会問題に発展をしておるというような
段階でありまするから、やはり学者間の対立、あるいは
調査研究に時間が空費されている。それが因となり果となって、熊本では、なるほど最終的にはけじめにはならなかったけれ
ども、食品
調査会のやはり結果が、これは
水俣病は新日本窒素KKの
工場廃液から出た泥の中から検出された有機性水銀であるということが証言されて、大体そういう過去の経緯でありますけれ
ども、
新潟ではまだそこまでいっていない。しかし、いずれにしても、一回あったことは二度
新潟であったけれ
ども、三度繰り返してはならないのだ。だから、過去のあやまちは二度絶対に繰り返してはならないのだという、そういう
問題意識のとらえ方から、一言だけでもいいから、きょう御
出席の各省から、ひとつその間の御
答弁をいただきたい、こう思っております。