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1967-05-23 第55回国会 参議院 社会労働委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月二十三日(火曜日)    午前十時三十四分開会     —————————————    委員異動  五月二十日     辞任         補欠選任      近藤英一郎君     紅露 みつ君      宮崎 正雄君     横山 フク君      後藤 義隆君     黒木 利克君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         千葉千代世君     理 事                 土屋 義彦君                 丸茂 重貞君                 佐野 芳雄君                 藤田藤太郎君     委 員                 川野 三暁君                 紅露 みつ君                 佐藤 芳男君                 山下 春江君                 山本  杉君                 横山 フク君                 大橋 和孝君                 杉山善太郎君                 藤原 道子君                 柳岡 秋夫君                 小平 芳平君    国務大臣        厚 生 大 臣  坊  秀男君    政府委員        警察庁保安局長  今竹 義一君        科学技術庁研究        調整局長     高橋 正春君        厚生政務次官   田川 誠一君        厚生大臣官房長  梅本 純正君        厚生省環境衛生        局長       舘林 宣夫君        厚生省薬務局長  坂元貞一郎君        厚生省社会局長  今村  譲君        農林水産技術会        議事務局長    近藤 武夫君        水産庁次長    山中 義一君        通商産業省化学        工業局長     吉光  久君    事務局側        常任委員会専門        員        中原 武夫君    説明員        外務省アジア局        南東アジア課長  木内 昭胤君    参考人        日本赤十字社血        液事業部長    外山 良造君     —————————————   本日の会議に付した案件参考人出席要求に関する件 ○社会保障制度に関する調査  (阿賀野川流域の水銀中毒問題に関する件)  (輸血問題に関する件)  (麻薬対策に関する件)     —————————————
  2. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) ただいまより社会労働委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。五月二十日、宮崎正雄君、後藤義隆君及び近藤英一郎君が委員を辞任され、その補欠として横山フク君、黒木利克君及び紅露みつ君が選任されました。     —————————————
  3. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  本日の委員長及び理事打合会の協議に基づきまして、輸血問題に関する件について、本日、日本赤十字社血液事業部長外山良造君を参考人として本委員会出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
  4. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 社会保障制度に関する調査を議題といたします。  阿賀野川流域の水銀中毒問題に関する件について調査を行ないます。本件に関し、御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  6. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 まず、最初に厚生大臣と、それから、その関連で、ほんとう科学技術庁長官に来てほしかったのでありますけれども、それなりの窓口科学技術庁研究調整局長ですか、いらっしゃっておりますもので、そのお二方にまず第一に御質問いたしますので、あらかじめお含みいただきたいと思います。  御承知だと思いまするけれども、去る三月の十八日の時点で、私、社会党を代表いたしまして、参議院の本会議代表質問を行なったのでありまするが、その際に、私は、問題意識として、当然この国会に問題の公害基本法が提案をされることを予測しながら、すでに過去の経過の中では、具体的な問題として、去る昨年の十月に、厚生大臣諮問機関であるところの公害対策審議会なるものの答申が出ておる、そういうことを問題意識として頭の中に置きながら、言うならば、やはり公害問題に関連をして佐藤総理質問をした、こういう経過があるのでございまするが、その経過の中で、その時点ではすでに現象面として公害が起こっておるところの、たとえば四日市のぜんそく病の問題であるとか、あるいは九州の三井三池におけるかの炭じん爆発におけるところの一酸化炭素などの問題に関連しての後遺症の問題の事後処置の問題、それから、本日お取り上げになっていただいておるところの、いわゆる阿賀野川流域に発生しておるところの水銀中毒事件の問題について非常に問題があるのだ、そういう形の中で、佐藤総理、あなたは御存じかと、こういう質問をした経過があるわけであります。その中で、それらの個々の問題については、総理答弁の中では、やはりそれぞれの担当大臣からのほうに譲りたい、こういう中で、その時点において坊厚生大臣はこういう御答弁をしておられます。これは議事録によって明瞭でありまするが、「阿賀野川における水銀中毒事件については、国としてその原因調査に当たっておる段階でございますが、その結果によりまして、必要な施策を早急に検討いたしたいと思っております。この結果があらわれるのも遠からざることと存じております。」、こうおっしゃっておられます。自後の問題については、これは別な問題でありますが、そこで、一応その日本語の通念上のことをせんさくするわけじゃありませんけれども、遠からずと、これは三月の十八日の時点でありまするので、その遠からずということにつきまして、今日的な時点から、これはそろばんの玉をはじくまでもなく、二カ月も三カ月も経過をしておるのだというようなとらえ方をいたしまして、あれを思い、これを思いいたしまして、一体まあその時点においてさらにこの必要なやはり施策を早急に検討いたしたいと思っておりますということになっているわけで、したがって、遠からず、その調査の対象は原因でありまするから、その点が、一体まだ、私どもの理解する範囲におきましては、去る四月の十八日に、厚生省の、まあ科学技術庁とも不可分な関係もあると思いまするが、調査班は非常に史上空前の権威ある調査班だと私どもは理解しております。したがって、その調査班報告結論はできておるわけでありますけれども、どうも私は、昨年の第一次佐藤内閣のもとにおける鈴木厚生大臣とのこの問題に対する克明なことばのやりとりの経過の中からも、さらに、昨年の十一月の時点だと思いまするけれども厚生省新潟で一日厚生省というものを開いておられる経過があるわけであります。その時点では、その水俣病患者代表にも厚生大臣は、直接もしくは間接のあれは別として、会っておられる、機会がありまして。その時点においても、大体阿賀野川流域におけるこの水俣病事件に対する原因調査については、これは昨年のことでありまするから、年内、もしくはおくれてもその新しい年、いわゆる通念上四十二年の正月までには結論が出るのだ、出るものと信じていると、こういうような経過もありまするので、これからいま申し上げたように、私が三月の十八日にいろいろな問題をやっておりまするけれども、やはり公害基本法公害防止という基本法がいま出ないのだ。しかも、それは国際水準国際並みに劣らない公害基本法をつくることが今日において必要だという問題意識をとらえながらこういう話をしているのだと、こういう経過からいたしまして、一体なぜ、いまだに問題が、四月十八日の権威ある、しかも、科学技術庁が一千万円に近い調査費をお出しになったああいう学者グループの権威ある調査班が、しかも、特別調査班が、新潟阿賀野川問題云々という、閣議の特別調査班と銘打ったそういう権威ある調査がなされておって、あれがやはり国の調査の結果であり、原因の結果であると私どもは理解をいたしておるわけであります。非常に不可解な点は、それとは別に、まだ調査の結果があるということについては、これは科学技術庁窓口だというので、一体何でそんなにおくれるのだ、一体その政治的背景は何だというようなことについて、まず厚生大臣から、いまいろいろ申し上げましたけれども問題意識のとらえ方が、数年前か、あるいは九州熊本県の水俣市におけるあの事件のときに、克明に原因追及というものが、行政面においても問題意識としてなかったから、世上第二の水俣病と評価されているところのとにかく水俣病新潟県に発生しているのだ。一度あったことが二度現象として起きてしまっているけれども、三度こういうことが起きてしまったら、一体どこに政治があるのだ。私は新潟県の選出でありますので、この問題は非常に人道上の問題となり、社会上の問題というふうに発展しておる経過がありまするので、その辺のところで一体私がお尋ねをしておるような諸点はおわかりだろうと思いまするが、その点についてまず厚生大臣から、一体あなたは遠からずこの原因はわかるのだ、わかった時点であの手この手でそれに対する施策検討するのだと、こう本会議で、佐藤総理大臣は、個々の問題については担当大臣はかくかくだと、こう言っておられる。そのときの担当大臣は、やはり産業を行政指導する立場から、やはり菅野和太郎さんが国務大臣通産大臣だと思いますが、この方もしかるべく答弁をしておられる。きょうは通産省から工業局長も来ておられますが、それはあとで順次伺いますが、さしあたって、いま私のこの問題意識のとらえ方と、過去の経過の中から、まあ本会議答弁比重において大きくて、委員会答弁がどうだという、そんなけちな受けとめ方は私はしておりませんけれども、非常に問題は、単に公害対策であるとか法体系であるとかいう問題ではなくて、こういう大きな人道上の問題となっている、社会問題になっているのでありますから、問題意識を明確にしながら、十分この問題をやはりとらえてもらわなければ困るというような点で、厚生大臣のいま私の問わんとする問題のお答えと見解と、それから所信を含めて、この点についてお答えをいただきたい。その関連で、一体なぜこんなに問題が延び延びになるのか。四月十八日のあの厚生省特別班調査の結果が国の調査の結果であるならば、それはそれで文句ないですよ。原因者がだれであるのか、真犯人がだれであるのか、はっきりしておりますけれども、そうではないのだ、もう一つ国のいわゆる一それはそれでもいいですよ。しかし、あまりに長引いているその理由は何だ、それを帰納法でも弁証法でもいいです。われわれはそうではない、そんなものならば簡単に出るはずなんです。ただ、この時点で、またもう一度別なこの次の機会にお伺いしたいと思いますけれども食品衛生調査会がこの問題について、一体毒物があるかどうかという問題については、これはきょう委員部のほうにお願いをしてみたら、それはやはりなかなか行政機関関連で別の調査会になるので、それは別の機会にやはり与野党の理事の御承諾を得てというようなことで、別の機会のほうがいいでありましょうというようなことでありますから、きょうはいま申し上げましたような点で、ひとつ関連科学技術庁のほうの担当官にもひとつお答えをいただきたいと言っておきます。念のために申し上げておきますが、私は非常に不可解に思いまするのは、こう言っております。厚生省調査団昭和電工鹿瀬工場工場廃液と断定したが、この報告を受けた科学技術庁が各省庁と協議して国としての結論を出すことになっていると、それはそれでいいでしょう。あなたのほうで一千万円近い予算をお出しになったからまあいいけれども一体調査して国の結論を出すという、これは産経の新潟版でありますが、新聞に出ているわけであります。それは新聞の間違いなら間違いでもいいのでありますけれども、おそらく間違いじゃありますまい。そういうようなことに関連をして、しかし、基底になる問題意識をとらえて、きょうは科学技術庁長官のあなは代理という、そういう受けとめ方でひとつお聞きをするということでありますから、そういう観念で、この発想とこの問題意識のとらえ方で、私は数点にわたって御質問をいたしますが、そういう点で、まず厚生大臣からお答えをいただきたい、こう思います。
  7. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 私が本会議におきまして、遠からずこの結果が判明するでございましょうというお答えを申し上げたのでございますが、その遠からずということは、私は、それに使われたところの事態と申しまするか、どういう場合と申しますか、そういうことによって遠からずということは、これはいろいろ国語的の解釈をいたしますれば幅のあることであろうと思いますが、遠からずということは、もう一日を争うということもございましょうし、それから、また、遠からずということは一カ月先のこと、二カ月先のこと、あるいは年内のことといったようなことも遠からずという表現をもってあらわすといったようなことがございましょうけれども、それはそれといたしまして、さようなことは別といたしまして、この阿賀野川事件についての結果を、私どもといたしましても、これはできるだけすみやかにこの結果ということをつかまえまして、そうしてこれに対処策を講じてまいりたいと思っておりますけれども、実は、御承知のとおり、この調査班は三班に分かれておりまして、疫学臨床分析ですか、疫学分析臨床、この三班に分かれて、それぞれの立場から調査の結果を厚生省が御答申を受けておるのでございますが、そうすると、この三班がそれぞれ連絡をしての調査報告ではなくして、それぞれ独立の立場からの調査報告でございますので、そういったような調査報告をどこかでやっぱり総合いたしまして、そうして結論を出さなければならない。そこで、厚生省といたしましては、厚生大臣諮問機関でありますところの食品衛生調査会で、この三班からのそれぞれの答申、これを食品衛生調査会へ提出いたしまして、そこでこの総合をしてもらう、こういうような作業をいまやっていただいておる、こういうわけでございます。で、この食品衛生調査会のほうでは、いまその結論を得べく検討を続けておるわけでございますが、その検討が、これは遠からず私は厚生省がこれを受けることができるであろう、かように申し上げたわけでございまして、鋭意急がしておりますけれども、まだ今日はその答申を受けておりません。  なお、先年の水俣病の場合にも各調査班からの御答申を、これを食品衛生調査会へかけたといったようなこともございまして、そういうこともありますので、厚生省といたしましては、できるだけ迅速にその結論をつかまえたいということと、もう一つは、できるだけ正確にして総合的なる御答申を得て、そうして厚生省としての意見をまとめたい、こういうようなわけで、目下食品衛生調査会において鋭意検討を急いでいただいておる、こういうような段階でございます。
  8. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 そこで、もう一度その関連厚生大臣に再質問いたしますが、これはものの物理的なあれから言って、始発駅があれば必ず終着駅があることは間違いない。いまお説のように、食品衛生調査会が、この前の九州水俣病のときに原因をつかむのに十分な役割りを演じたということも知っておりますが、今回もそこに大きな比重がかかっておる、そういうことになる。いずれこれは厚生大臣問題意識のとらえ方や、また、口裏からいいましても、遠からず私は始まりがあるならば結論があるのだ、厳然たる一つ被害を受けた、そういう現象があるわけでありますから、必ず原因はわかると思いまするが、そこで、大臣は、やはりそういうものがいずれ原因が究明されるという、そういう前提、タイミングの問題はさることながら、必要な施策を早急に検討いたしたいと存じておりますと、具体的に言うならば、やはり原因がはっきりしたそれによる被害があるのだ、そういう場合について、一体加害者がだれかということははっきりしているわけであります。その場合に必要な施策は現在御検討になっておるのですか、それとも、いや、それは原因が、言うならば真犯人加害者がはっきりしてから、それからぼつぼつ施策検討するのだ、そういうふうにお考えになっておるのですか。その辺のところをお聞かせいただきたいということと、それから、これは環境衛生局長からでけっこうでありますけれども、私は、これは問題を知っておって意地悪く質問する場合もあるいはあり得る。あるいは、実は食品衛生調査会なるものは、こういう問題について水質や毒物の中で、食べものについて非常に権威があるのだということは知っておりますけれども一体その現実のスタッフ、構成機能——厚生大臣諮問機関であるということは知っておりまするけれども、今日だれとだれが一体構成の単位になっておるのかというようなことを、たくさん委員がいるのですが、全部でなくていいのですが、骨格を教えていただきたいということと、あと資料で、ここが問題のかなめであるということが国民にもわかるように絵解きをしていただきたい。前段私が申しました、始発駅があれば終着駅があるということで、原因が出ると思います。出ると思いますが、そうした場合に、その必要な施策というものについてお考えになっておるのか、出てから考えるというのか、その一点をお考えいただきたいという点が一つと、それから、食品衛生調査会機能、機構など、そういったものについてお答えいただきたいと、こう思います。
  9. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 阿賀野川の問題につきましては、ただいま一体こういうことになった原因者がだれであるかということを正確に突きとめようというような立場から、先ほど申し上げましたとおり、これの追及をやっておるわけでございます。そこで、こういった真犯人が判明いたしましたような場合には、一体いかなる処置をとるべきかということをいま考えておるかどうかこういうことでございますが、そういったような場合には、いろいろ抽象的には、真犯人がだれであるとはっきりわかりましたならば、それに対する賠償、あるいは求償、あるいは見舞いといったようなことは、当然その原因者がこれを行なうべきであるというこの責任は、それはもちろんそうあるべきはずでございますけれども、この具体的の事件に関しまして、まだほんとう最後の犯人、最後加害者がだれであるかということもわかりませんし、それから、被害者は確かに出ておりまして、いろいろな病気になったり死亡した人も一人あるというようなことで、被害の程度というものが、これは外にあらわれておりますけれども、その被害に対して一体どれくらいの影響力があったものかといったようなことも、これも加害者追及するという過程におきましてこれが判明してくるというようなこともございますし、いまこの阿賀野川事件について、具体的にこの事件について加害者があらわれたらどういうふうな具体的な処置をするかということにまでは今日進んでおりません。
  10. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 食品衛生調査会は、法律によりまして、食品衛生上重要な事項に関しまして調査審議をいたします機関でございまして、委員構成は四十名であります。今回の阿賀野川の下流の水銀中毒事件審議するためには、従来の事例もそういうことがあったわけでありますが、特別の部会を設けまして、そこで調査審議をいたすことになり、その特別の部会は九名からなりまして、その九名は、そのうちの七名が本来の食品衛生調査会委員、そのほか二名の臨時委員を追加いたしまして、この問題を審議するのに適当と思われる専門家から構成いたしまして、目下審議中でございます。これらの氏名は、いずれその調査結果が判明する際に御報告をいただく機会に明らかにいたしたいと、かように考えております。
  11. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 環境衛生局長に再質問いたしますが、その委員の名簿は、たとえば人権擁護委員会だとか、あるいは検察官適格審査会のように、そういう権威あるものでありながら、それは主権在民立場で、これはおのおのの委員名前はそれは覆面の委員ですか。その資料としてお名前を発表していただいたり資料をいただけることはできないのですか。その辺はどうなんですか。
  12. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) おおむね二カ月前後の審議かと思うわけでございますが、この問できるだけ公正な立場で、これらの委員が他の問題にわずらわされることなく、専心この問題を審議していただくということから、結果が公表される機会にその氏名を公表いたしたい、かようなことでまいっておるわけでございまして、もちろん、いずれはこれらの氏名は明らかにいたしまして、それらの先生方責任の所在並びに審議内容等も明白にいたす所存でございます。
  13. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 関連で。それは単にあれですか、ここの食品衛生法の二十五条に、五十名以内の委員を置いて、そうして調査会委員の互選により委員長を置く、それから、場合によっては臨時委員を置くという、こういうことで、いつも厚生省の中に調査会メンバーは定着しているんでしょう。事が起きたときだけに選ぶ委員じゃないんでしょう。委員長まで置くと調査会法律にはきちっと書いてあるんだから、事件が起きて、報告するときだけ委員名前を発表するんじゃなしに、その食品衛生調査会メンバーというのは固定されて、特別な案件の場合に臨時委員をつけ加えるという運営でしょう。そんなことはここで議論することなしに、委員はこれだけおって、それで臨時委員はかくかくの理由でこの案件についてはこの人を指名したというぐあいに、事件が起きて答申のときに発表するような事柄じゃなくて、事務的じゃないですか、そんなことは。
  14. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) いままでの三班の調査の経緯から考えまして、やはり調査中はこれらの委員先生方の自由な活動で十分審議をしていただくということが望ましいと考えまして、今回は結論をいただいた機会にお名前を公表いたしたいと、かように考えております。
  15. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 それじゃ何ですね、この法律のたてまえとは違っているわけじゃな。委員を置いて、委員長までその委員の中から互選するということを書いてある。それは恒常的に置いている委員会じゃないんですか。臨時に事が起きたら指名する委員会ですか。そんなものじゃないでしょう、法律のたてまえは。それはどうなんですか。今日委員長をまだ任命せずに、委員長も置かずにいるんですか。それはこの法律のたてまえからいったらおかしいじゃないですか。法律改正しなければならぬ。
  16. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) この食品衛生調査会委員長は、日本医学会長でありまする小林芳人先生でございますが、今回の問題を審議するための特別の小委員会臨時にこの四十名の委員の中から編成いたしたわけでございまして、それはそれで別の独自の委員長を持っておりまして、その小委員会審議をする、最終的にはもちろん総会にかけますけれども、そのような形をとっておるわけでございます。
  17. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 だから、いまきめたのは隠密にしておく。なぜ隠密にしておく理由があるんですか、それをひとつ聞きたい、臨時小委員会の。
  18. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) この問題をきわめて公正な立場で、しかも、できるだけ早急に結論をいただくということから、従来の三班の委員会先生方調査状況から判断いたしまして、氏名は公表しないで、静かな立場でこのお仕事に取り組んでいただきたいと、かような配慮から、氏名は最終の結論のときに明らかにいたしたいと、かように考えておるわけでございます。
  19. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 ちょっとおかしいね。せっかく調査に行くのに、公的な立場から調査するのは当然でしょう。隠密な立場から静かに調査をしたいというのは、それは何ということですか。それは少し今日の主権在民国家において民主的な行政を進めていく中で、特別の理由があればとやかく言いませんけれども、その調査をする機関が公表できないで隠密だというような、そういう方法というのは各所でやっているところがあるのですか。そういうことは私はいままで聞いたのは初めてですね。隠しておいて、そうしてやるなんということは、少しどうもおかしいような気がしますね。これは各所でやっているのか、例があったらちょっと教えていただきたい。私はそんなことはおかしい。四十名の委員がおって、四十名のこれだけの委員を出され、その中から特別の事項を調査する場合に何人かで小委員会構成する。たいていのところは新聞に公表されて、この人格者がこの調査をやってくれるから、あの調査会にすべて一切まかす。その委員会の選び方が不公平なら不公平な議論が出て、そうして価値判断というものができる。その委員の人を何にも名前も発表しないで、それでやったと言ったって、やったかやらぬかだれが信用し、だれが保証しますか。そういうやっぱりあいまいな問題が起きてくるから、公的な立場から公的にものを処理しようと思えば、私はやっぱし何人で、その小委員会委員長はだれで、そうしてこういう責任を持ってかくかくの調査をするということにいくのが当然であって、それを隠さなきゃならぬ理由というものがあるのか。どういう理由ですか。静かにやりたいなんていう理由では、これではものごとは理解できませんよ。私も横から聞いて、関連ですからこれでやめますけれども、少しこれはよく相談をしていただいて返事をしていただきたい、大臣と。
  20. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 今度この問題の処理に当たる小委員会と申しますか、特別委員会と申しますか、これは食品衛生調査会の内部の問題でございまして、これに対しまして厚生省が、その内部の問題について、これは自由にやっていただくというようなことで、だれにしろかれにしろといったようなことを厚生省から指示するといったようなことは、これは控えてもおりますし、それから、これは問題が問題でございますので、藤田先生、先生がおっしゃるとおりです。こういったような問題は、もう明るみへほうり出してしまって、そうしてガラス箱の中でやるという一つの私は考え方が確かに正しいと思います。正しいと思いますが、もう一つの面からまいりますると、これは何も厚生省が指示したことでも何でもございませんけれども、先ほどから環境衛生局長がしばしば、静かに検討したい、こう申しておりますが、そこの意味は、まあ被害者ははっきりしておりますが、それから、加害者と見られるものという両方がございまして、両方の立場が利害相反するような対立的な両方の側がございまして、それが、もしもこれがはっきり、だれがその最後の裁判官だといったようなことになりますと、非常にこれに対する、たとえば昭和電工から働きかけてみたり、あるいはその反対の側から働きかけてみたりというようなことがありますと、そこにおのずから、非常に学者でございまするから、どんな働きかけがあろうとどうしようと、学識的見解でもって終始するのがそれは当然ではございますけれども、やはり人間でございますので、いろんな働きかけにまあ動かされるというのはおかしな話でございますけれども、それに動かされるようなこともあってはいけないというようなことで、先ほどから環境衛生局長が、静かに自由にと、こう申し上げておる意味は、私はそこにあるのだと、かように考えております。それから、両方の——藤田先生の言われる、これはもうガラス箱の中でやれという要請、これも私は間違いでないと思います。そのとおりだと思いますけれども、片っ方の要請というものも、これも無視もできないといったような配慮もありまして、とにかく結論が出たときに、これはこういった方法によって検討していただいたのだと、しかも、その人たちが、これは何もどっちへも片寄った人間ではない、こういうようにおそらくは先生方に御理解をしていただけるような方法であろうと私は信じておりますが、どうぞひとつその辺のところも御理解願いたいと思います。
  21. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 ちょっとね、まだ私は相談して答えていただきたいと思ったけれども、これはおかしいですよ。四十人委員が任命されて、予算まで一切そこで扱うことになってその調査会というものが成立しているわけです。それから、それは国民にかわってと、オーバーかしれませんけれども、国民にかわって、大臣が国民の輿望をになって委員を任命されるわけです。今度の事件が起きて、国民の要望にこたえてそういう公正な人、よい結論出していただける小委員会というものを大臣が任命をされて、どういう人とこういう人とが調査してくれるという、これは意見があったとしても、公正な人が選ばれて、その人がこの調査に入られる、それは委員会の運営でどういう方法でやるか、どうこうという運営上の問題があると思います。そこまで、その内容の調べ方の問題の方法とかいう問題について私はあると思いますが、しかし、かくかくの人がこの調査を任命されて、調査案件を明らかに国民の委託にこたえてやろうという、この姿のこの人は公表できないで、こんなところから結論が出て、この人がやったという行き方というものは、少しその運営上私は納得がいかないのですよ、いま聞いていても。だから、調べ方について公式に正面からいく場合と、それから周囲を調べる場合とあり得ると思うのです、これは調査会ですから。そういうことまで調査会の運営について私たちはとやかく言いませんよ。しかし、どういう人がこの調査会をやっておるのだ、どういう調査を進めているのだということだけは天下に公表すべきではないかと私は思う。特にここは国会でしょう。国会で質問されて、その委員もいま答えられないなんというようなことは、少し私はどうか。そういうことのないように、もっと国民の監視の中で立法府があり、行政府がありという姿に私はしていただきたい。ただ静かに調べたいからということだけで、それはどうですか。そんなら受け入れる側にしたらどうですか。何といっていくのですか。たとえば私がその被害者の周囲であり、被害者であった場合、Aという人がおいでになった、そうしたらその他大ぜいの一人としてたずねてきたといって答えられるのですか。そんなことは答えられんでしょう。おそらく国民の立場から言って、それは答えられませんよ。あなた、そんなことで構成をくずすわけにいかんでしょう。だから周囲を調べるとかいうことは別として、運営上の問題は別として、だれとだれが調査委員で、どういう仕事を今度の問題で一生懸命になっていただいておるか、御苦労さんでございますという立場から、もしも表から来られた場合に、正確に事実を明らかにしていくというのが、立法府の場合もそうでありますけれども、行政府の立場で私はやるべきじゃないかと思うのですが、そこらあたりはどうですか。各省にあるのなら教えてください、そういうやり方が。
  22. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 厚生省がこの問題についての検討審議を委託いたしました相手は、これは食品衛生調査会でございまして、これは藤田さんの言われるとおり、恒常的な厚生大臣諮問機関厚生省が委託したのは食品衛生調査会で、食品衛生調査会では、この問題をひとつ重大問題だからといって取り上げまして、その内部へ小委員会と申しますか、特別委員会と申しますか、数名の方々に食品衛生調査会が、そういったような恒常的な機関でも何でもありませんで、この問題を調査するというためにつくられた小委員会でございますので、われわれといたしましては、食品衛生調査会、これは御承知のとおり、この方々に厚生省はお預けしておるということでございますので、そういう方々の、これははっきりと官報に出るので、これははっきりと申し上げることに何らやぶさかではございません。ただ、小委員会はそこの委員会の内部のことでございますので、これはしかし、国会でぜひとも出せと、こういうことになれば、それはこれを拒むということは私はできまいと思いますけれども、願わくは、そういったような委員会の内部においてつくる小委員会でございますので、何とか、やはり環境衛生局長しばしば申し上げましたとおり、自由に、静かに学問的な研究をしていきたい、こういうことに考えております。
  23. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 あのね、私は問題意識をとらえながら、それを認識していただいて、本会議における担当大臣としての厚生大臣答弁は遠からずという中で、まあしびれを切らしておるわけでありまするけれども、しかし、私は、この背景に政治的な背景があるんじゃないか。しかし、とにかく明確にしていただきたいという質問をいたしておりまするが、いみじくも、いわゆる政治的背景という点の用語は大体この辺に——大体公式の四十名の調査委員がいらっしゃるわけですが、さらに問題意識をとらえて、阿賀野川のこの問題について、毒物のこの問題について九名の臨時の専門委員会が委託されておると、その辺に、私は率直に申し上げますが、これがなかなか出ないから、要するに二カ月たってもいまだに結論が出ていない。その辺がいわゆる政治的な背景の焦点ではないかというふうに考えますので、ぜひその委員名前を、とにかくあとでメモでもきょう知らしていただきたい。しかし、私は、審議の内容であるとか、審議の速度であるとか、中間報告をやれとか、そんないま静かなる、そしていま問題意識をとらえて、しかも、被害者は、そしてその社会的、人道的波及効果は大きいということをあなたたちも側面から認識していらっしゃる。だから、静かなる委員会を開いて、学者先生たちが思うところの、信ずる結論を出そうという、その点はわかりますけれども、その委員を発表せずというようなことについて、これはただ検察精査会などが、問題の事件によってやはりそれは三カ月交代で名前もさっぱりわからぬ。しかし、これは何もそんなに秘密至上主義をとるべき性格のものじゃないですよ。だから発表してください。同時に、発表できなかったとするならば、問題は非常におかしい、これは納得できない。だから、この問題は、私はこの時点でまだ窓口でありますから、非常にもう時間を費しておるし、非常に重大な問題をあとに控えておりますから、これは保留しておきます。同時に、これはやはり記録にとっておいていただきますが、食品衛生調査会委員長なり、この問題に関連のある人に次期の委員会ではぜひひとつこの証人として国会に出ていただきたいということもひとつ記録の中に残していただきたいと思いまするが、もう一回、これは私が勘ぐれば、加害者側の言うようになるような委員でやはりできておるのだということを私に耳打ちする人があります。しかし、それは別の問題として、中身の真実、しかし、いま聞いてみると、どうも加害者があり、被害者があり、また、過去の水俣の事例には、やはりそういう問題を扱った経験者もあるわけだ。それがほんとうに真実な人であるからということで、どの側面をとらえてみてもこれは公平なスタッフであるということで、これは納得できるような公表をできるはずなんです。世間で勘ぐっているような政治的背景があるのだ、それは言うならば、加害者側に都合のいい学者先生でできておるのだ、少なくとも、やはり九州の水俣における、つまりこの苦悩の問題を扱った学者先生であるとか、医者先生は入っていないんだというようなことを聞いておりますので、そんな痛くもない腹をさぐられる必要はないでしょう。しかし、世間というものはうるさいものです。しかし、真実は一つしかないから、ほんとうに静かなる研究の創意独創で結論を出すということは、それはいいと思うのです、行政庁のスタッフの中で。私はそうでないと考えますので、これは私は納得できません。必ず発表してください。だから、私が言うところの、何で一体その後二カ月も、大臣が本会議お答えになって、遠からずという問題は、それはとらえ方は先ほどおっしゃったようにいろいろあるでしょう、年内いっぱいでも遠からずということになるかもしれないけれども、そんなへ理屈では国会はまかり通りませんよ。しかし、一カ月も二カ月もたったその理由一体何か、政治的背景があると思うがどうかというようなことについて、この重要な、少なくも水俣の問題に対する熊本大学と、それに反論するところの学者先生との間に一つの争点があった。しかし、ここの食品衛生調査会答申というものが、世間も加害者被害者も、これは時の氏神的な、やはり花も実もある、うんちくのある答申だという形で、その時点ではほんとうに真実をうがった結論ではあった。けれども、今日また第二の水俣病が起きているのだというふうに私はとらえておりまするけれども、それはそれとして、一体発表できないのですか。そうして国会でもだめですか。その点もう一度だめ押しをいただいて、そうして結論が出たときにこの覆面を解くなんて言っても、その結論が真実をうがった——私は率直に言いますけれども、これは何回言ったって真実は一つしかないから、阿賀野川上流における工場廃液だ、これは間違いないというふうに私は判断いたします。逆説的に言いますならば、過般の厚生省の特別班の出された、工場廃液の発生原因者は昭電鹿瀬工場だということに間違いないのだというふうに私は信じております。しかし、これは私の強い主観でありますので、私なりの生きた主観ですが、これはしかし歴史が解決するでしょう。でありますから、この食品衛生調査会の静かなる調査の結果が、そのときに覆面を解かれたとして、ほんとうにもう加害者被害者、それとこの問題を過去に取り扱った熊本の経験者というものが入ってないというのは、けちをつけるのじゃないが、それはほんとうに間違った方向であるということで、この時点で問題をさらに提起しながら、私はそうしなければならぬということを申し上げて、この問題をもう一回どちらでもいいから答えてください。これで前のほうへ進みますから。
  24. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 厚生大臣に申し上げますけれども、先ほど大臣の御答弁の中に、ぜひにという御要望があればこれは公開をするのにやぶさかでないという御答弁があったわけです。杉山委員からの要求の中に、切なる要望として、ぜひ聞きたいという、こういう御要望なんです。したがいまして、先ほどの御答弁の中から考えますというと、きょうその氏名を御発表いただくわけにはいきませんでしょうか。その点だけきちっと答えていただきたい。
  25. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) メンバー氏名を発表することにやぶさかではないと、こう申し上げましたのは、食品衛生調査会メンバーを発表いたすのはやぶさかではない、それはそういうふうに申し上げたのでございまして、それで、小委員会につきましては、これは内部のことでございまするので、ここで私が発表するということを私は申し上げるわけにはまいりませんけれども、要するに、国会の御要望でございますならば、これはそれを拒否するわけにはまいらないと、私の立場としてこう申し上げたのであって、やぶさかでないと申し上げましたのは、私のほうで御委託を申し上げました食品衛生調査会メンバーを発表するのは何らやぶさかでない、かように申し上げたわけであります。それで、要するに、答申をいただくのも、食品衛生調査会として、調査会責任を持って御答申をいただくわけでございますので、それは私どもといたしましては、いま私はわかりません。いまわかりませんけれども、この調査会メンバーをこの次に発表するということは、これは私は御約束を申し上げてけっこうでございますが、小委員会につきましては、私の一存では——むろん国会の御要望でございまするから、私はそれをできるだけそういうことにしたいと思いますけれども、これは内部のことでございますので、今日ここで私はお約束を申し上げるだけの用意はできないのであります。
  26. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 杉山委員の要求は小委員のように伺ったのですが、その辺をもう一ぺん……。
  27. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 まあいみじくもこの社労の委員長がいまとりなしをしてくれていただいておりまするけれども、もちろん問題は、阿賀野川の、とにかく水銀の中毒事件の問題に焦点をしぼってやはりお尋ねをしておるわけで、しかも、経緯からいえば、その政治的背景が何かあるのだろうという問題意識の中から、とらえ方の中からお尋ねをしておるわけでありますから、いわゆる九名の小委員、そのほかに臨時に追加されております二名ということを聞いておりますので、その全員を今日ただいますぐではいろいろお差しさわりがあって発表できないとするならば、次の委員会までにはぜひ発表していただくことを強く要求いたします、実際問題として。同時に、これはただ誤解をしていただいては困るけれども、その委員会審議の内容であるとか中間報告をせよということをいま言っておるわけではない。そうだとすれば、この九名の小委員の方と、さらに臨時二名を追加した合計十一名と思いまするが、その委員名前を強く要求をしておきまするので、いま委員長の助言もあった関係から、この名前資料として次に出していただきたいということと、その関連で、次にはひとつこの食品衛生調査会の、やはりどなたか、しかるべき人を証人として喚問をしていただくべく、与野党の理事さんで合議をしていただきたいというようなことも、あわせてひとつ強く要望を申し上げておきます。
  28. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) いまの要望について、あと理事さんと相談の件は、理事会におはかりいたしますが、前の件、もう一ぺん厚生大臣からお答えいただきます。
  29. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 小委員会は、これは私が任命したものでも何でもございませんわけで、委員会がそういったような小委員会構成したのでございますので、私、もちろんそのメンバーについては知る由もない。これを私はこの次にここで御発表を申し上げるということにつきましては、いろんなその間の段階もございますし、これは私としては国会の御要望でございまするから、それはそういうふうに努力をしなければならないということは私は責任を感じておりますけれども、しかし、ここで発表申し上げるということをはっきりとお約束を申し上げるわけには、ちょっといまの段階ではいかないと、こういうような事態であります。
  30. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 じゃ、いまのも含めまして、ひとつ問題がだんだんよくわかってまいりましたので、四十名の調査会委員の中には委員長が当然おありになると思いますから、次にはその委員長が、やはりこの臨時の二名を含めて、合計十一名からなるその特別な権威ある小委員会と思いまするが、委員長に来ていただきたい、ひとつぜひ次の機会には。このことは理事会におまかせします。
  31. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) いまの件ですけれどもね、理事会に一任するということになりましたけれども、よろしゅうございますか。
  32. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 現段階はとにかく調査段階にありまして、いろいろ私はデリケートなことがあろうと思うんです。決してだれから圧力がかかっているとか、どういう毛色の人とかいうことは、私は絶対にないと信じておりますけれども調査段階におきまして、この当委員会においてこれの委員長なりしかるべき人間を参考人としてお呼びになって、そしてお聞きになる、これは国会でございますから、それはもう何から何までお聞きになることは、これはその権限をもってお聞きになるんでございましょうけれども、答えるほうといたしましても、まあ学問的に検討をいたしておるその段階におきまして、いずれ中間報告といったようなものは、これは当然調査会があるいはあるかもしれませんけれども、その調査段階においてお聞きいただくということは、これはちょっと私はそれに対しましてお受けいたしましたということを申し上げるわけにはまいらないのでございます。
  33. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) これは委員長から発言しておかしいんですが、議事の整理の都合ですね、委員長はやはり議事の整理の責任がありますから申し上げるのですけれども、あなたはさっき国会の要求があれば出すのはやぶさかでないとおっしゃったんです。そとで、いますぐ公表するということも、私は差し控えなければならない事情を察しましたから、理事会におまかせいただきたいということになったわけなんです。理事とよく相談をいたしまして、しかるべき機会を、やっぱり質問者と相談をしたり、いろいろ相談いたしましてしたいと考えておったわけですが、しかし、それをしも拒否なさるという、こういうわけなんですか、調査が終わるまで。はっきりしておいていただきます。
  34. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 何回もくり返してたいへん恐縮でございますけれども、やぶさかでないと申し上げましたのは、委員長、その全メンバーを提出するということについてはやぶさかでない。これはあとで速記録を調べていただけばよくおわかりのことと思いますけれども、そう申し上げたように私は記憶いたしておるのでございます。理事会でおきめになるということを、何も大臣がこれを拒否するとか、そういうことは、これはできる性質のものでないということは、私も長い間国会におりますので、さような道理は心得ておるつもりでございますけれども、私としましては、調査段階にございまするので、願わくば、これをひとつこの段階において国会でいろいろお聞きいただくというようなことにつきましては御考慮を願いたいという、私のたってのお願いを申し上げてるわけでございます。
  35. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 私がきょうは委員会のやはりとるべき順序と態度として、しかも、きょうの社会保障に関連する問題の取り扱いの中で、しかも、阿賀野川流域における何々の調査という問題で、私が質問権をもって質問してるわけでありますので、あなた幾ら大臣であっても、行政権力の長官であったって、そんなことは納得できませんよ、実際問題は。私は少なくとも国民の代表として、この委員会については、やはり主権在民の憲法に保障された背景の中で、やはり委員としてりっぱな調査権の要請権を持っているわけだ。だからぼくはその二カ月の期間をどうこう言うんじゃないんだ、必らずここに政治的背景があるんだ、その中間の報告をせよとか、あるいは審理の経過を言えということなら問題があると思っているけれども名前がなぜ発表できないんですか。そんなべらぼうなことは絶対に承知できませんよ、あなたと一騎討ちやったって。だから、ぼくは少なくとも本会議代表質問委員会質問比重の格差は全くない。みな権威ある質問であり、権威ある答弁である。記録に残っている。だから、問題意識のとらえ方は、現象面はこうですよと、それにしてもあんまり延びすぎるじゃないか。ほんとうは権威ある厚生省調査会、しかも、科学技術庁からお出しになった一千万円、これは足りない、ほんとうは二千万円くらいの要求があったはずでありまするが、しかし、ほんとうにやはり調査官の三つのスタッフの人たちが研究して出し結論が真実の結論に違いない。それをひんまげようとして一体やってるんじゃないかというふうに考えてもしかたがない。だから、おくれてる理由は、新聞の報道するところによるというと、夏から秋になって、いつになるかわかりゃせぬと、こういうふうな新聞の活字、週刊誌の活字を私は見ておるのであります。しかし、それは言うべき、批判をすべき意見は自由である。しかし、ここの場では、やはり何かそれなりの、善意にしても悪意にしても、政治的背景があるだろう。しかし、いみじくもこの食品衛生調査会毒物に対する一つの権威ある調査というものは、過去の水俣の事件の経緯においても、なおかつ、これが大きな役割りを持っておる。そこで、調査の結果等とか内容を聞かしていただきたいとか、また、ここへ来ていただいてその内容を喚問にこたえて証言していただきたいと言っているのではない。だから、私が絶対に納得しない点は、発表と同時に覆面をとるというような、そんな秘密的なことが通りますか、国会のまん中でそんなことは絶対にまかり通すものじゃないのです。大臣が、いま大臣という立場から、いまの段階では困ると、ひとつそういうことは痛いからさわらないでくれというあなたのお気持ちはわかるけれども、それも了承することはできません。でありますから、とにかくこれは理事会で、ひとつ委員長のおとりなしもありますので、その辺の私の言わんとするところをとらえて、ひとつ大所高所から、大事な問題でありまするから、慎重にひとつやっていただきたいということで、この点は私は再質問いたしませんが、そういうふうに、委員長、お願いいたします。
  36. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 関連して。  大臣は、先ほどから小委員会メンバーは、それぞれのいわゆる調査委員会の中の問題であって、大臣のあずかり知らぬことである、こういう解釈のできる発言をしているわけですよ。ところが、法律的には、やはり臨時委員の任命というのは厚生大臣が任命しているんでしょう、そうじゃないんですか。この小委員というのは、そういう委員会に全部まかしておるものではなくて、やはり厚生大臣が任命している委員じゃないんですか。その辺ちょっと明らかにしていただきたい。
  37. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 小委員の中に臨時委員が二人あるということを申し上げましたが、これはお説のとおり、厚生大臣の任命でございます。これは私としては発表をしなければならないことだと、かように考えております。
  38. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 ぼくは、しかるべく立法府に対して出せと言われれば出しますという話だから、私はさっき関連をやめたんですけれども、あなた何かこう話をだんだんと延長して枝葉に入っていって、そして調査中やからどうやこうやということで、委員も発表しないということを言われる。今度公害基本法という法律ができるわけです。そういたしますと、公害基本法をいかに実現していくかという中でも、非常に人間の生命や健康や環境をよくするというたてまえで公害基本法ができるわけです。抽象的でありますけれども、そういう案が出てきておるわけであります。私たちは、少なくとも私は、いまの法律では人の生命や健康を守るという真髄になかなか厚生省がやろうとしてもやれない段階にあるんではないか、そういう心配を公害基本法に対してしている一人です。人間の生命をあずかるのは厚生省だ、だから、むしろ今度の公害基本法に心配をしている立場で私たちは発言をしているわけです。振り返ってみてどうです。たとえば水俣病の問題の処理はどうでございましょうか。有機水銀が下の泥にまじって、その下に密着している魚を食うといまでも水俣病にかかるという状態、そういう問題が解決をされていないじゃないですか、これが一つであります。今度の新潟の問題も、そういう問題にまで触れなければ公害というものは防げない。私は水島コンビナートを見に行きました。そうしたら湾内の魚が全部一斉に死んだ。そうしてその会社へ行って説明を聞きますと、三十段階くらいの公式があって、その公式どおりやっていますから、最終段階においても人命や環境に被害を起こすようなことは零も零、零、零と、零が五つか八つかあって、その一くらいの零——小数点零、零がたくさんあって、絶対人命を損傷するようなことはありませんと、こうおっしゃっているのでありますけれども、でありますけれども、湾の魚がみんな死んでしまう。そうして解決はどうしたかというと、地方自治体が仲介に立って、結局漁民の補償その他は、つかみ金でありますけれども、そこらの会社が補償したという、理屈の上では正常に解決している問題だとおっしゃるけれども、しかし、事実問題としては魚が死ぬ、こういう問題、これが人体に入ってきたらどうなるのですか。そういうものがあいまいな状態でつかみ金でおさめられていく。私は、単に水俣や阿賀野川や、または水鳥だけじゃないと思う。そういう水質保全の問題を根本的に今度の公害基本法で直していこうじゃないかというのが実は基本法の大精神だと思う。それこそ公害の中で、こういう人格者がこういう形のものを天下に公表して・そうしてかくかくの理由でこういう結論がつきましたと言うことができない限り、今度の公害基本法はどうして生きていくんですか。そのことも私は配慮に入れて、肝心の被害を与えた根本の問題の調査をする人名もはっきりできないと言うが、調査の方法はたくさんぼくはあると思うのです。委員会の運営上あると思いますけれども、その人すら発表できないというのはどこに基因しているか。いかに基本法という名前をつけても、そういう態度では、そういうものの考え方では公害は直らないと私は思う。少し議論をしましたら、なぜ最低基準をきめないかと言ったら、最低基準をきめようと思ったら、それこそとんでもない悪いことになってしまうから、最低基準をきめないでこの基本法を進めようという、いみじくもそういう意見も出ている。私はとんでもないことだと思う。人間の生命の最低ぎりぎりの公害をきめようというのだから、きちんとしたことで公害基本法をきめなければならぬ。これは公害基本法法律のことですから、私はとやかく言いませんけれども厚生省はそういうあいまいな態度で、それで公害基本法を環境衛生局が事務局となって、大臣が中心になって総理大臣を長とする公害防衛会議というものをこの法律によって求めようとしている今日の段階においては、あまりにも何といいましょうか、そのものの考え方というものをいまのような状態に置いてもらっては公害なんというのは解決しない、私はそういうぐあいに感ずるのでありますから、いずれこれはこの委員長理事打合会でお話をして、われわれも相談をしてこの問題を処理することに先ほどなりましたから何ですけれども、あまりにもそのおっしゃっていることと考え方というものに対して、私は一言申し上げたくなったから一言申し上げたわけです。そういう総合的な問題の観点に立って前に進められるのは大臣の役目じゃないか、そう思います。これは答弁要りません。意見だけ申し上げておきます。もし御所見があったら聞かしてください。
  39. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 先ほどのことで答弁漏れがございましたので、科学技術庁答弁漏れです。高橋研究調整局長
  40. 高橋正春

    政府委員(高橋正春君) 先ほどの杉山先生の御質問の御趣旨、まず、私ども科学技術庁立場と申しましょうか、これを御説明申し上げたいと思いますが、御承知のとおり、今回の阿賀野川の問題は行政上必要な調査でございます。したがいまして、今回の問題にかかわります関係の行政機関というものも、厚生省、通商産業省、あるいは経済企画庁、農林省、多岐にわたるわけでございまして、お知りおきのとおり、私どもの設置法に基づきまして、「関係行政機関の科学技術に関する事務の総合調整」は私どもの所管するところでございます。したがいまして、今回の調査につきましても、研究の特別促進調整費というものを出しまして、これは厚生省のみならず、農林省等の関係の各機関をあわせましてこの事件に対しますところの研究調査をやっていただく、こういうようなたてまえをとっているわけでございます。したがいまして、今回の研究いたします場合におきましても、各省連絡会というものを持ちまして、関係各省の間におきまして、この調査をいかなる方向に進めるかということを四十年の七月に決定をいたしております。したがいまして、この調査の結果というものを、いま申し上げましたところの関係各省庁の行政上の責任を伴いますところの意見を総合いたしまして私どもが判断をいたすわけでございます。もちろん私どもの先ほど申し上げました促進調整費というものは、厚生省に予算上移しかえておりますので、厚生省が研究班にさらに御委託いただきましても、その結果につきましては、単に調査班の御報告のみならず、担当の省庁であるところの厚生省自体の御意見と申しますか、お考えをあわせて伺いませんと、私どもは各省庁の意見を総合して判断することはできないわけでございます。その点につきまして、先ほど厚生大臣からお話がございましたように、厚生省自体の判断はただいま食品衛生調査会におはかりになっておるそうでございまして、これが二カ月ということでございますが、それが出ましたならば、さらに厚生省食品衛生調査会の御意見に基づきまして、厚生省自体の御判断をお出しいただくことになっております。しかし、私どものほうは、いま申し上げましたようなことでございますと、現実の問題に対処いたします場合に、時日も延引いたすというような非難を受けることもあるかと思いまして、四月十八日に、この三班の研究報告が出ますと同時に、次の日に各省連絡会を開きまして、各省庁のほうで厚生省側から研究班の御報告を聴取いたしまして、並行的にただいま各省庁のほうで検討いたしております。  その後の経緯につきまして付加して申し上げますと、四月十八日に御提出いただきましたものは、ここにございますような研究班の概要でございます。約三五ページにわたるものでございますが、これは概要でございまして、御承知のとおり、疫学的な問題につきましては、研究の手法というものは、一つの仮説を立てまして、それに基づきましていろいろな人体実験や試験研究、あるいは野外調査というようなものを事実に当てはめましてこの仮説を立証していくわけでございまして、この概要書だけを読みまして各省庁は検討するということは不可能でございます。したがいまして、その調査報告書自体を検討する必要があるわけでございますが、約四五〇ページほどございますが、これが印刷の関係からいたしまして、各省庁が入手いたしましたのは五月の二日でございますので、五月二日以降、報告書に基づきまして各省庁が並行的にただいま検討いたしております。五月の十五日にさらに各省連絡会を開きまして、その報告書自体に対しますところの各省庁の御質問等を受けております。これに対しまして厚生省立場から御説明がございましたので、それをさらに持ち帰りまして、現在各省庁が進めております。このような状態でございますので、各省庁の意見、特に保健問題につきまして最も権威のありますところの厚生省が、食品衛生調査会の御意見に基づきまして厚生省自体が御意見を出されましたおりに、各省庁の意見もあわせまして総合的に判断いたして、できるだけ早急に事を進めますために、先ほど申し上げましたように、食品衛生調査会の御審議のほかに、各省庁もただいま検討いたしている段階でございます。
  41. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 もう一度、各省とは、具体的にどことどこか、名称をはっきりしてください、関係各省というのは。
  42. 高橋正春

    政府委員(高橋正春君) 厚生省、通産省、農林省、経済企画庁、並びに、総括いたしまして科学技術庁でございます。
  43. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 たいへん質問に時間をとりましたのですが、もう時間もありませんから、はしょって質問いたします。ほんとうは、きょうはこれで厚生大臣の都合もこれありということも計算の中に入れなければならないと思いますので、はしょって質問を申し上げますけれども、具体的な問題としては、御承知のように、すでに四月十八日にいま科学技術庁からお話のあった調査班結論がやはり発表になっている。そういう経過の中から、たとえば昭和電工側は、原因は農薬であって、たとい国の結論が出ても全く承服できない、また、被災者側が昭電を相手に訴訟を起こすなら応訴すると、まことに企業側の社会的な責任をわきまえない、恥知らずな傲慢な態度をやはりとっておられる。本問題に対する、少なくとも佐藤内閣のもとにおける——私は何でここで開き直った質問を申し上げるかと申し上げますと、佐藤内閣の施設の基調は、まあ人命尊重と言っても人間尊重といっても五十歩百歩だと思いますが、いわば人間尊重より、社会開発が産業振興の基調になっている。そういう中で、一体、昭和電工側が科学の権威ある調査班の出向に対して、これは阿賀野川の上流におけるいわゆる昭和電工鹿瀬工場工場廃液だ、それが川、魚、人体、こういう系統でいっているのだと、そういうものの中で、しかし、これは中間の発表で、よしんば国のやはり結論が出ても、これは農薬であって、承服できないのだ。被害者から、こういう考え方、つまり企業も社会的な責任というものを自覚しているかどうかといったような問題について、一体公害から国民の健康と生命を守り、そしていまの第二次佐藤内閣施策の基調が、いま申し上げたようなそういう態勢の中で一体どういうふうにとられているか。同時に、これは通産省についてもやはりお伺いしておかなければならぬのでありますが、一体どういう行政指導をおやりになっているのか。今日大きかろうと小さかろうと、いわゆる企業に対して行政指導の衝にあるのは、これは通産省なんです。通産大臣は、過般の私の本会議における代表質問の中では、やはり個々の問題についてはそれぞれの担当大臣からという、そういう関連の中でこう言っておられますよ。これは通産大臣でありますが、公害の問題につきましては総理並びに大臣から詳細にお話がありましたが、ただ、私ども公害加害者立場からいかにして公害を未然に防止するかという立場——これはこれでいいでしょう、しかし、現に現象面公害が起きている。水俣にしても、それから第二の水俣と評価されている新潟県の赤谷の問題にしても四日市の問題にしても、その他炭鉱における一酸化炭素の問題、この問題についてもこれは加害者だ。その加害者が、国の段階一つ調査結果が出ても、これは農薬だ、だから承服できないのだ、それの被害を受けている人たちが訴訟をするなら受けて立つのだ、こういう非常な強引な態度が一体許されていいのですか。この点については、実はいずれはこの問題で通産大臣にも来てもらいますが、一体こういう問題のとらえ方、問題意識のとらえ方、一体公害対策というものが幾らやられるとしても、幾ら法体系が整備しても、それを運用する、執行するのは行政当局者じゃないですか。こんな問題意識のとらえ方や行政意識のとらえ方では全然問題にならぬわけです。だから、この問題に関連して、前段は厚生大臣、行政指導の面については、きょうは通産省からは化学工業局長が来ておられますが、この辺の問題も、厚生大臣の答えと、その次にひとつ別々にやろうと思っておったのですが、あとでやりますよ、今度は通産大臣に来てもらいますから。いずれにいたしましても、きょうのところは化学工業局長でよろしいということになりますから、どうぞ。
  44. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) この災害につきましては、現在、政府におきましては、極力原因者追及していくというので調査審議をやっておるわけでありますが、いまその結果がどうなったということによってこれを予想いたしまして政府としてどうするかということについて的確なるお答えはできないと思いますけれども、かりに諸般の調査審議の結果、政府として、たとえば昭和電工である、ほかではないのだということが、政府の各段階の各種類の審議会の検討によってこれがきまりまして、政府といたしましても、これはそういったような審議会の結果だということに政府の意見というものがかりにきまりましたときには、私どもといたしましては、昭和電工に対しましてその責任をとるべく、これは強く行政指導、あくまで行政でございますので、行政指導をやってまいるべき筋合いのものだと、かように考えております。それでもなおかつ昭和電工が何としてもこれを承服しないというようなことに相なりますならば、これはまた別途の方法がこれあるべく、さらに、また、だれが何と言っても昭和電工だという結論がはっきり出ておるのに、なおこれに対して政府の行政指導も何も聞かぬというようなことに相なりますことは、これは私は、昭和電工というものがそういうようなことで近代産業を一体やっていけるかどうかということが考えられますし、私どもといたしましては強く行政指導をやっていく、こういうつもりでございます。
  45. 吉光久

    政府委員(吉光久君) ただいま厚生大臣のほうからお答えがございましたと全く同じでございますけれども、せっかくいま原因の究明をやっておりますので、これがすみやかに行なわれまして、はっきりと原因者を指摘していただく、これが迅速に行なわれることを現在希望いたしております。と同時に、この原因者がはっきりときまりました場合、先ほど厚生大臣のお話がございましたように、これが鹿瀬工場であるというようなことがはっきりいたしましたならば、それに対応する行政指導措置をやってまいりたい、このように考えております。
  46. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 問題を今後に残しておりますので、大体大臣の都合がありますので、ずっとひとつ急行列車に乗ったような形でやっていきますけれども、ひとつ記録に残こすために、このことは御存じでしょうね。具体的な問題ですが、昭和四十二年の二月十九日、NHKテレビの報道特集で「二つの証言」に出た、これは昭電の安藤信夫、昭電の専務ですが、こういうようなことを言っておるのです。「二つの証言」で。国が鹿瀬工場の廃液が原因であると結論出しても絶対に承服しないと全国民の前で公言しているわけですよ。四十二年二月十九日、NHKテレビ、報道特集「二つの証言」という中で言っているわけです。でありますから、なまっちょろい行政指導ではだめですよ。少なくとも、かつて前鈴木厚生大臣のじぶんに化学工業局長は、たとえば水俣の原因、あの事件について、同じような工場工程が日本に幾つかあったので、いわゆる工場廃液の問題などについてどういう行政指導をしたか、何々通達を出したということは聞きましたけれどもほんとうに実地的に立ち入り実験をやっていないと思う、実際問題は。だから、幾らそんな通達をしても、今日、企業資本家は、公害防止に対する一つの投資というものをマイナス投資と言っているのです、いままでも。これは危険思想ですよ。実際これを改めさせるように行政指導をしなければ、今日各省は内閣のもとにおける行政長官として行政権力というものがあるはずです。幾ら資本主義経済構造であって、資本主義経済が権力をどうこうするといっても、資本主義経済の上でも、権威ある行政庁の長官が権威ある行政指導をしないと、少なくとも、公然として、やはり「二つの証言」の中で、国民の前でこういうことを言っている、暴言ですよ、実際問題として。だから、そういう点もひとつ記録にとめて、この問題はいま大臣も御答弁になっておりますし、通産省の工業局長も言っておられますけれども、私はこの問題を今日的にこれはなるほど取り上げなければならぬすでに態勢になっているということを国民に認識してもらうためにやっているわけですから、次に質問を移すことにいたします。  昭和四十一年の三月十九日から三日間、安全工学協会なるものが新潟調査に入っておりました。この中心のメンバーは、横浜国立大学北川徹三教授で、この学者先生は昭電川崎工場爆発事件以来、昭和電工と深いつながりを持っていらっしゃる学者先生であります。四十一年の十一月十日の衆議院科学技術振興対策特別委員会、これは新潟県選出のおそらく石田宥全代議士だと思いますが、しかし、昭電側の証人として、いわゆるこの地震農薬説を立証した人であります。この北川徹三さんは。で、この調査団は、新潟大学の椿教授や北野新潟県衛生部長にかみついております。新聞記者が記者会見を申し込んでも拒否しております。かけ足で新潟を通り過ぎたようなかっこうで、なるほど新潟調査に行ったという手形は残っておりまするけれども、こういうようなざまであったわけであります。ここで私が一番心配になるのは、ちょうどいまから十年前か、あるいは正確には——当時私は国会に席を持っておりませんでしたけれども、とにかく昭和三十一年五月前後の当時だと思いますが、水銀中毒患者が続出した熊本県水俣市でのいわゆる原因が徹底的に究明されていたら、第二の水俣病といわれる新潟阿賀野川の悲劇は防げたのではないかという声がいま新潟ではほうはいとして上がっておるのであります。しかも、熊本の場合は、熊本大学医学部の、つまり水俣病研究班の血の出るような努力によって、新日本窒素水俣工場の廃液による有機性水銀中毒であるとの、つまり完ぺきに近い結論が出されたのでありますが、その時点において東京工大の清浦雷作教授は、工場廃液説に反論する報告書を通産省に出しておるという事実を私どもは側面からとらえておるわけでありまして、あとでやはりその時点報告書はひとつ出していただきたいと思います。これはまたこういう反論書が出たことによって、その時点においてやっぱり原因の究明が一とんざしたのではないかと思うのであります。  そこで、この問題に関心を持つやはり政治家として心配するのは、学者の意見の独立と、時間空費のお役所調査が因となり果となって、いわゆる加害者であり、真犯人である原因追及というものがやはりうやむやになった熊本県水俣病の過去の事例にかんがみまして、過去のあやまちは再びおかしてはならないのだ、こういうふうに考えておるわけでありまするので、それはそれなりのやはり見解と真情を吐露して、この辺の問題意識のとらえ方について、きょうはたとえば厚生大臣をはじめ、やはり通産省なり、あるいは農林省も、やはり水質、たとえば先ほど関連の中で藤田委員も、コンビナートにおける岡山の水島の水域から魚が浮く、そういったような関係について水質の問題、いま新潟では、やはり問題のとらえ方として人権調査委員会も起きているし、史上空前のいわゆる公害裁判も提起されておる。そういう中で、やはり新潟地方検察庁も、これが刑事事件になるかどうかという問題を側面からとらえて、いまこの調査を進めておる、こういうような社会問題に発展をしておるというような段階でありまするから、やはり学者間の対立、あるいは調査研究に時間が空費されている。それが因となり果となって、熊本では、なるほど最終的にはけじめにはならなかったけれども、食品調査会のやはり結果が、これは水俣病は新日本窒素KKの工場廃液から出た泥の中から検出された有機性水銀であるということが証言されて、大体そういう過去の経緯でありますけれども新潟ではまだそこまでいっていない。しかし、いずれにしても、一回あったことは二度新潟であったけれども、三度繰り返してはならないのだ。だから、過去のあやまちは二度絶対に繰り返してはならないのだという、そういう問題意識のとらえ方から、一言だけでもいいから、きょう御出席の各省から、ひとつその間の御答弁をいただきたい、こう思っております。
  47. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) いろいろ水俣から始まりまして、各方面に公害が起こっておるということにつきまして、これはその公害をどうしても防止しなければならない。今日のわが国の制度におきましては、まだこういったような公害の対策が十分とられていくというようなことにつきましていろいろ不備な点もございまするので、そこで公害対策基本法というものを制定いたしまして、そうしてこの基本法に基づく諸般の具体的な措置を決定いたしました。そうして責任者はだれであるか、この公害責任者は一体いかなる措置を、この公害に対してその責任をどうしてこれを果たしていくかといったようなことを、これを今度の公害対策基本法できめまして、そうしてできるだけ公害を未然に防ぐということ、また、公害が起こった場合には、これに対してでき得る限り完ペきなる処置をとっていく、こういうようなわけで公害対策基本法を今度制定する運びに相なったのでございますので、私は、この法律の十分運用の妙を得まして、そうしてこの公害の処理をやってまいりたい、かように考えております。
  48. 吉光久

    政府委員(吉光久君) 御指摘のような水銀の有毒性ということに対処いたしまして、水銀を現在取り扱っておりまする工場につきましては、徹底的にその廃水処理等について万全の処置をとらせるように、さらに努力してまいりたいと思います。ちなみに、現在、昭和電工の鹿瀬工場と同じ方式によりましてアセトアルデヒドを製造いたしておる工場は全国に三工場ございます。ただ、最近の原料事情からいたしまして、カーバイト・アセトアルデヒド系統の工場は、だんだんに石油化学方式に転換いたしてまいっておりますし、そういう転換自身もすみやかに行ない、そうして水銀触媒等を使う機械をできるだけ少なくするという方向もあわせて努力してまいりたい、このように考えております。
  49. 近藤武夫

    政府委員近藤武夫君) 阿賀野川水銀中毒事件につきましては、農林省といたしましては、厚生省の権威ある客観的な研究班の調査結果から、もう農薬がその原因であるとは考えておりません。ただし、農薬一般が公害原因であるということも黙視しがたいと考えますので、農薬につきましては低毒性の農薬の開発、あるいは使用方法、さらには農薬による防除方法にかわる生態的な防除法の開発推進というようなことの研究を進めておるわけでございます。  それから、農林水産関係としましては、特に公害による被害者的な立場に立つ場合が多うございまして、特に水産被害というものが非常に大きな問題になっておるわけでございます。この問題につきましては実態の調査をやり、原因の究明をやりまして、被害の軽減防止対策についての研究を特に推進していかなければならないというふうに考えております。公害基本法の環境誌準の設定と関連いたしまして、この面の強化をはかっていきたいというふうに考えております。
  50. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 これは大臣一体いつまでですか。もう十分ぐらいいいですか。十二時までですか。——それではもう一点。  これは読む原稿じゃないけれども、読みます。  いま新潟では、阿賀野川の有機水銀中毒事件による五人の死者の遺族や患者、二〇〇PPM以上の水銀保有者など、八十四人で結成しておる「新潟県有機水銀中毒被災者の会」では、会長は近喜代一というのでありますが、昭和電工側を相手取り、被害補償の民事訴訟を起こすことをきめ、六月十二日までに新潟地方裁判所民事法廷に裁判を提起するということになっております。また、被災者のいまの訴訟決定に対して、腕ききの自由法曹団二十一名からなる新潟水俣病訴訟弁護団が結成され、団長に新潟県弁護士会人権委員長渡辺喜八氏が選ばれ、訴訟準備に取りかかっております。また、新潟では、過ぐる十八日、新潟市で、新潟地区人権擁護委員会が総会を開き、阿賀野川有機水銀中毒事件で工場側に人権侵犯の疑いがありとして調査に立ち上がることを正式に総会できめております。しかも、この訴訟の性格は、被災者の生命と生活を守り、真実の勝利のために、裁判によって原因を正しく出し、被災者の損害を完全に補償させ、三たび水俣病を起こさないための、いわば真実を明らかにし、水俣病をはじめ、あらゆる公害を根絶するために、さらに何よりも人命の尊厳を、独占資本はもちろん、すべての関係政府機関、全国民が公害に対する認識を新たにするための歴史的な公害裁判の出発点であると私は理解しております。したがいまして、政府は一日延ばしになっている阿賀野川水銀中毒事件に関する原因をすみやかに全国民の前に発表する責任と義務があるのであります。その窓口である科学技術庁長官責任ある見解と所信のほどを伺いたい、こういうことでありましたのでありますが、長官がおりませんので、これは記録の中にとどめておいて、不日、長官が来てからということに強く申し入れておきます。したがいまして、この問題に関連いたしまして、繰り返し繰り返しでありますけれども、いまのような問題は、やはり人権擁護委員会が総会を開き、史上空前の民事裁判を提起をしている、こういうふうな実情にかんがみまして、この問題意識を持っていただいて、少なくとも、やはり国民の生命と健康を守る権威ある行政官庁の長官である厚生大臣から、やはりこの一つの所信といいますか、そういうものをお聞かせいただきたい。したがって、やはり水俣においてもそうでありまするが、新潟阿賀野川流域におきましても、多くの被害者、多くの漁民の非常に人道上やむにやまれない大きな問題であります。したがって、これらの有機性水銀中毒の被害者の補償の問題について、やはり繰り返し繰り返し申し上げましたけれども厚生大臣から所信をお伺いしたい。簡単でようございますが、大体現在そういう現象が客観的に起きているわけであります。これで厚生大臣に対する質問は終わることにいたします。  この問題は当然次回に残しますけれども、本日はほんとうに水俣の問題までさかのぼって、十数年の記録を持っておりますので、いろいろやりたかったんですが、これは次に譲って、私は、きょうはだいぶ——たいしたことはありませんが、大臣の都合がありますので、この辺でやめておきます。
  51. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 厚生省といたしましては、この事態が非常に重大なものであるということを痛感いたしまして、そこで、この事態についての原因者、これを一日も早くつかまえまして、そうしてこの原因者責任をとらせるように強力な行政指導をやってまいりたいと、かように考えております。
  52. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 他に御発言もなければ、本件に関する質疑は、本日はこの程度でとどめておきます。  午前の調査はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午後零時十六分休憩      —————・—————    午後一時十六分開会
  53. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) ただいまより社会労働委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、社会保障制度に関する調査を議題といたします。御質疑のある方は、順次御発言を願います。  なお、午前中決定いたしました輸血問題に関する件についての参考人日本赤十字社血液事業部長外山良造君が御出席になっておりますので、まず、本件について御質疑を願い、引き続いて他の問題について御質疑を願いたいと存じます。  外山参考人には、お忙しいところわざわざおいでいただきまして、ありがとうございました。よろしくお願い申し上げます。
  54. 藤原道子

    ○藤原道子君 私は、三十八年当時だと思いますが、黄色い血に付随いたしまして輸血問題が論議されました。献血一本にしぼるべきであるというようなことからいろいろ論議がございましたことは御案内のとおり。ところが、当時厚生省では、三年かかってもやっと二〇%できるかどうかというようなちゅうちょをされた点もございましたが、その後これの方針が決定いたしましていろいろ努力されたこと、さらには、国民のこれに対する理解と協力が実を結びまして、現在は実に献血が六七・九%とふえてきた。それで、ことに売血はわずかに二・六%に減ったという資料をいただきまして、この点非常にうれしく思っております。ところが、これに付随いたしまして、まだいろいろ社会に流布されていることもございますし、それが献血の国民の意欲をそぐという傾向もまた出ておりますので、それらの点について、命の一部をささげるわけでございますから、いささかといえども国民に不安の念を与え、あるいは不信の念を与えてはならないと思いますので、それらの点について若干御質問を申し上げたいと思います。  そこで、いまの現状と今後の対策、これをまず伺いたいのです。聞くところによると、全国的には六七・九%に献血がふえておりますけれども、大都市において献血が少ないので、ことに東京あたりでは四〇%が献血で、六〇%はやはり預血なりその他の方法にたよっておる。ところが、御案内のように、大都市ほど輸血の機会が多いと思うのです。夢故にしても、不慮の災難に遭遇したり、あるいは、また、輸血が必要なときに知人はいない、親戚はいない、こういう人が大都市ほど多いわけでございますが、大都市の献血のふえてこない理由、これについて厚生省はどう考えておるか、さらに今後のこれに対する対策はどう考えておいでになるのか、これを伺いたいのです。東京は日本の人口の一割を占めておるといわれておりますのに、採血に応じようとしても採血車がこなかったり、行ってもどうも時間の食い違いがあったりしてばかばかしくなったわということを団地の主婦から耳にいたしまして、これはゆゆしい問題だと思う。採血車はふやすふやすと言っておられますけれども、現在この大東京にたった三台の採血車しか動いていない。これらに対して今後どう対策を立て、陣営の強化を考えておいでになるかということについてお伺いをしたいと思います。
  55. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 血液の問題は、御指摘のとおり、非常に重大な問題でございまして、厚生省といたしましても、血液が十分足りるように、しかも、献血でまかなうことのできるように鋭意努力を重ねておる次第でございますが、だんだんと国民の御理解を深めてまいりまして、全国的に献血の実績はきわめて順調に伸びておりますことは、これは私どもといたしましてもたいへん喜ばしいことであると思っておりますが、まだまだ足りないということも事実でございます。最近に至りましては、全国で一カ月約十二万人の献血者の協力が得られておるわけでございますが、保存血液の総製造量に占める割合において、約六〇%程度献血によって確保することができるに至っております。また、献血の受け入れ機関は全国的に一応の整備を完了いたしましたが、献血事業を円滑に推進させるためには、御指摘のとおり、大都市の献血体制を確立する必要があるので、今年度におきましては大都市を対象として、重点的に献血受け入れ機関を充実させることといたしまして、血液センターの出張所の設置、あるいは移動採血車の整備などを行なっておる次第でございます。何といたしましても、これは大都市が交通事故、御指摘のとおり、そういったようなことで血液の需要というものが地方に比べまして非常に大きいと思います。いずれにいたしましても、大都市に大いにこれは御協力を願いまして、大都市で献血をお願いするということがきわめて大事だと私は考えております。
  56. 藤原道子

    ○藤原道子君 従来、民間血銀のなかった地方へは伸びているのです。ところが、いままで民間血銀がやっておりました地方において伸び悩み出しておるということになると、問題はいろいろあると思うのです。  それから、いま一つは、採血車等が一千万人口のところに三台ではあまりにも対策がのろいと思うのです。これに対して至急採血車をふやす、あるいは人員をふやしていくというような御計画がございましたらお聞かせ願いたいと思います。
  57. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 御意見のとおりでございまして、採血車等をふやす計画を立てまして、四十二年度の予算でも御要求を申し上げておる、こういうことでございます。
  58. 藤原道子

    ○藤原道子君 私は、日赤が一生懸命やっていらっしゃいますけれども、技術者の養成ということはなかなか急にはできないという面もあるのじゃないか、こういうようなことでこの問題が論議された以上、私は、民間血銀、ここの技術者、あるいは労働者、こういう人、なれた人をこれは日赤へ吸収して、そうして陣容の強化をはかり、さらに血銀としてもいろいろ悪いことをされた点はございますけれども、一時期においては日本政府が売血の方法をとったわけでございますから、果たしてきた役割りはやはり評価しなければならないと思うのです。ですから、私たちは、それがつぶれていいとは思っておりませんので、そういうところでほんとうに働いてこられた技術者、労働者、これらを吸収といいましょうか、善用されておるかどうか、これらのことも伺いたいと思います。さらに、民間血銀の対策というものも論議されておりますが、いまどういう現状になっているかをちょっとお聞かせ願いたい。
  59. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 血液に関する民間の技術者といったような人たちは、その技術者そのものがやったことの功罪ということはしばらくおくとして、確かにそういったような技術ということについては、これは認めるものだと私は思うております。そこで、現在献血の中心になっております赤十字社等ともよく相談をいたしまして、できるだけそういったような技術を活用する方向で検討を進めてまいりたいと思います。
  60. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) 後段のほうの民間血液銀行の現在の現状を申し上げたいと思います。  民間の血液銀行は、ただいま藤原先生が御指摘のように、一ころ売血によりましてわが国の血液事情をささえていたわけでございますが、その後だんだん売血の比重が減少いたしまして、ちょうど本年の四月一日から売血を全廃というような自主的な決議もやっているわけでございます。したがいまして、いま民間の血液銀行の運営の状況は、一口に申し上げますと、いわゆる売血を全廃するかわりに、従来からいわれておりますいわゆる預血というものに方向転換をしているということが第一点でございます。  それから、第二点としましては、いわゆる廃棄血液といわれるものの有効な活用方法を目下研究をしているということでございます。これはもちろん私ども厚生省としても、民間血液銀行の今後の生きる道といいますかは、こういうような廃棄血液等を十分効率的に活用をいたしまして、血液事情を一歩でも前進さしていくということにあろうかと思いまして、民間血液銀行の協会あたりとそのような話し合いをしておるわけでございます。もちろん全部が全部の民間血液銀行がそういう技術と能力を持っているわけでないわけでありますけれども、できる限り優秀な技術なり能力を持っている民間血液銀行は、そういう廃棄血液等の活用方向、つまり分画製剤等の製造を今後できるだけ強力に進めていくよう、いま寄り寄り相談をしている、こういう状況になっているわけでございます。
  61. 藤原道子

    ○藤原道子君 私は、この民間血銀が売血はやめた、預血をやっている。この預血がやはり将来問題になってくるのじゃないか。これは表面上は血を預けておけばいつでもお返ししますということなんですね。一時は預血に対して五百円の見舞金を出していたが、これはいろいろ指摘されて、この間ある民間血銀へ行きましたところ、金を出すことはやめましたということで、これは一歩前進だ、あくまでも国の方針で献血をきめた以上は、やはり預血が存在する限り、献血一〇〇%にはなかなかいかないと思う。したがって、これに対する指導対策を今後進めてもらわなければ困る。と同時に、いまあなたのおっしゃった廃血の製剤ですね、廃血といえども、とうとい命の献血、これが期間を過ぎて廃血になるわけですね、これもあくまで一〇〇%生かすべきだ、この前の委員会でも、決算だったかしら、そのことを取り上げてきたわけでございますが、私も製剤をしておる会社の二、三を視察をいたしております。非常にいい薬ができるのだそうですね。私も医者でないからよくわからないけれども、いまやなくてはならないものだというふうに聞いておるのです。ところが、外国へも製剤が出たりするというのですけれども、そこで、非常にこの前の委員会で、たしか日赤でも製剤施設をつくる方針でございますと、こういうことを伺っているのです。その方針がいまどうなっておるのか。それから、あれだけの施設をつくって、あれだけの優秀な技術を必要とするというほど、私は、そう日赤が堂々とした製薬設備をするということは困難じゃないのかしらと思う。それよりも、日赤はあくまで献血一筋に生きていただいて、そうして製薬は、何と申しますか、委託加工なり、あるいは何らかの方法でそのほうを生かして、政府が指導していくべきではなかろうかというふうな考えを持っております。いま寄り寄り相談しておいでになるということでございますから、製剤能力のある血銀はどことどこかということと、それから、日赤にお伺いしたいことは、いま日赤で廃血の処分をどうしておいでになるか。それから、いま廃血の量がどのくらい日赤にあられるかという点をお伺いしたいと思うのであります。さらに、私は専門家でございませんからよくわかりませんけれども、ある会社へまいりましたら、これもはっきり言っていいですが、ミドリにまいりましたが、ここでは五種類の薬をつくって、Aから取ったらBをとる、Bからとったらあとの廃血からCをとるというふうに五種類の薬ができている。これは止血剤だとか、あるいは賢臓の薬だとか、はしかの薬だとかいうことを聞いておるのですが、そういうふうな系統的に製薬をしておるほかの血液製剤のところの状況はどうなっているのでしょうか、私一カ所だけ見たのでございますけれども、そこでは単剤というのですか、一つだけとっていらっしゃる。いろいろ研究しましたけれども、ばく大な設備費がかかるので、とてもわしらはそこまではやれません、こういうことを言っていらっしゃるのですが、これらしろうとにはわかりませんので、ひとつお聞かせ願いたい。
  62. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) 廃棄血液を利用します血液製剤の製造についての御質問でございます。現在の民間血液銀行のうちで、この問題について端的に、現在、程度の差はございますけれども、幾ぶんなりとも能力を持っておると思われる民間血液銀行は、私どもの判断では三社あると思うのでございます。一番大きなメーカーとしましては、ただいま先生が名前をあげられました、いわゆる株式会社ミドリ十字でございます。これは日本で最大の技術水準を持ち、能力を持っている民間血液銀行でございます。それから、その次は、財団法人化血研と申しまして、九州の熊木に本社があるわけでございますが、この財団法人の化血研、ミドリ十字ほどではございませんが、この分野の能力は持っているというふうにわれわれは判断いたしておるわけでございます。それから、第三番目は、県立の千葉血清でございます。これも所長もこの方面の最高の専門家でございます。技術スタッフ等もある程度そろっておりますので、この千葉血清もこういう分画製剤等の製造については能力を持っていると、こういうふうにわれわれは承知いたしておるのでございます。大体この三社が現在民間血液銀行の中では一応の適格者だと、こういうふうにわれわれは考えているわけでございます。もちろん先生もお触れになりましたように、こういう分画製剤等の生産につきましては、ばく大な財源、それから、優秀な技術陣営というものが兼備されることが当然必要でございます。現在のわが国の血液銀行の実態を見ますと、そういうような能力を一挙に持っていかせるには非常に大きな困難の面があるわけでございますが、いま申し上げました三社に、私どもとしましては、できるだけ早くこの方面の分画製剤の生産を担当させるように、現在関係方面とも十分相談しながら寄り寄り相談しておる、こういう現状になっているのでございます。
  63. 外山良造

    参考人外山良造君) 日赤でいま扱っておる廃血の状況でございますが、日赤では、保存血液の配給をいたしますのに民間の業者等に委託しておるのが相当ごさいますが、それを廃血——期限切れとか、あるいは、また、汚染等によって使えなくなった血液、これは向こうで引き取ることになっておったのでございますが、それによって非常に弊害があるということで、余った血液といいますか、廃血液は全部センターに返すようにということで契約を結びまして、そのことを励行さしております。それで、余ったものは日赤に返ってくるわけでございます。それを各血液センターから、ただいまのところ、中央血液センターのほうに送るようにということで昨年来やっております。これらの数字は、いろいろ血漿製剤施設でいまできておりまして、ガンマグロブリンをいまつくっておりますが、これは薬をつくり出しましてから、試作段階を経て一応ガンマグロブリンになるという段階までまいりまして、ただいまのところ、製品にしてしまいますと、これはわりあい期限がありまして、早く使い道がなくなりますので、原材料で保管のきく状態にしておきまして、いま大体ガンマグロブリンにしまして五千七、八百本程度のものが中央血液センターで持っております。これはそれぞれ提供しました血液センター等に希望を聞きまして、そこへ現物で返したほうがいいか、それとも中央血液センターのほうで一括して医療機関にやったほうがいいか、それは出したほうともいろいろ相談がございますので、いまそれを相談中でございます。近く結論を得て逐次処理してまいりたい、こう思っております。  それから、もう一つは、この四月からでございますが、かねて、先ほど薬務局長からお話がありました九州の熊本化血研、ここでは売血はもちろんでございますが、保存血液をつくるための採血はやめましょうと、だいぶ九州地方一円、かなり日赤が伸びてきたから、私ども手を引きましょう、しかし、私どものところでは、ガンマグロブリンその他の血漿製剤をつくる施設と技術を持っております。できるならば、財団法人でもあることですから、公益性を持ったことであるから、私どものほうへ回してもらえないかという御相談がございましたので、これはいろいろ関係方面と十分連絡をいたしまして、九州地方の廃血はひとつ化血研へお渡ししましょうということにいたしまして、いままだ数字は全部わかっておりませんけれども、四月からそういう体制にいたしまして、いま申し上げましたように、日赤の将来の血漿製剤も、これは全部をやるとすれば非常にばく大な経費と施設を要します。しかし、そういうことに力を注ぐよりも、日赤としては、中央血液センターはある程度のそういう血漿製剤をつくるという施設は現状程度で持っておる。しかし、そうしたこともやるが、一面、もっと血液の研究というような方面に力を注いでいくべきじゃないかというような考え方を持って、いま将来のことを考えていろいろ研究をしておるところでございます。
  64. 藤原道子

    ○藤原道子君 私は、日赤で言われましたように、日赤は献血一本で、やはりもっともっとサービスもよくして、そしてそれをいかに生かしていくかというところに重点を置いてほしい。大臣がいま帰られてあれですけれども、結局、将来献血が一本になっても、やはり廃棄血液は出るわけですね。やはり安心して輸血の保存血をとるためには、百必要とすれば百二十ぐらいとっておかなければ、いざというときの間に合わない。だから、予備として、百必要なんだと見通したときには百二十ぐらいおとりになるというのが常識だとうかがっております。ということになると、結局二十だけはどうしても廃棄血が出るわけですね。そしてそれをそのまま流してしまうという手はございませんので、優秀な薬だと折り紙がついているようでございますので、これは会長のほうでも局長のほうでも十分お考えいただきまして、これを一社なんということは弊害がある。やはり千葉の県立の血銀ですか、あれと、いまおっしゃったところ、非常に優秀な設備を持っておるところとか、これらをよく総合したり相談したりなすって、将来もっと施設を伸ばす必要があるならば、設備投資ですか、あなた方、三悪追放協会には六千万円も出している余分な金があるんだから、ほんとうに人間の命を生かすという意味で、そういう点にも私はこの際踏み切ってもらいたい。そのかわり、その条件としては、一切採血はやらないということ、化血研にしても千葉にしても、あるいはミドリにしてもですよ、かりに。一切採血はやらない、そのかわりにこちらの廃棄処分になっておる血液を委託加工させるとか、それはいろいろ方法はあるでしょうけれども、そういう方法で、国民が出した命の一部がむだにならないように、最終までこれを生かす方向でひとつ御検討が願わしいということをこの際申し上げておきます。と同時に、私は、委員会として、この製剤が非常になかなかいいものだと思うのです。一方、千葉は近いのですから、千葉と、代表的なミドリ、これは大阪ですが、これを一度委員会から視察していただきたいと、これは要望でございます。そうして私たちも、ここまで取り上げてきた以上は有終の美を飾りたいと、こういうことで私はお願いしておきたいと思うのです。  そこで、最近はしきりに、また悪質なデマでしょうかほんとうでしょうか、飛んでおるのです。ベトナム戦が非常に熾烈になってきた。そのために、日本人がまじめになって献血をしても、その血液がベトナムへ送られておる、あるいは、また、東京にございます野戦病院へ調達されておるんだ、だから、あなた方とうとい血を出しちゃばかばかしいじゃないかというような風説がなされておる。私あるところのこの間会合へ出ましたら、こういう質問が出たのです。私はそんなことはないと信じますと、ことに血液製剤が出ているということで、これを問題にしまして、通産省でもこれをぴったりとめておるし、厚生省は幾らしても出ないといっておるんだから、出ていないと私は思う。けれども、これこれの人が言いました、だからこれは明らかにしてもらいたいというようなことを言われて、まだこういう風説があるのかなと思って、この際は国民の不安感をなくす意味において、あるならある、ないならないとはっきり明らかにしていただきたい。
  65. 田川誠一

    政府委員(田川誠一君) 血液製剤をベトナム戦争に輸出しているのじゃないかといううわさが出ておりましたことは私もちょっと聞きましたです。通産省、外務省、両方を通じまして調べましたところが、そういうことは絶対にないということでございます。藤原委員承知のように、米軍が物資を調達する場合には、在日米軍調達局から物資の調達をやるわけでございますが、その場合、アメリカ大使館を通じて、その調達した物資の写しを通産省に送るわけであります。そういうものを調査いたしましても絶対そういうことはない、また、外務省を通じましてアメリカの大使館にも聞かせましたところが、そういうことは絶対にないということでございました。私どもとしては、そういう事実は全然ないし、かりにそういうことがありましても、私どもはベトナム戦争に介入する誤解を与えるようなことは絶対にいたさせないつもりでございます。
  66. 吉光久

    政府委員(吉光久君) 血液製剤の輸出の関係でございますけれども、先生すでに御存じのとおり、昨年の三月五日付をもちまして輸出貿易管理令を改正いたしました。これは厚生省と御相談の上でやったわけでございますけれども、その血液製剤自身を輸出しようといたします場合には、すべて政府の承認が要ると、こういう制度に現在はなっておるわけでございます。現在までのところ、この制度によりまして輸出を承認したという事実は全然ございません。それから、先ほど厚生政務次官のほうから御答弁ございましたように、米国大使館のほうから、特需契約につきましては特需統計等私のほうでつくっておりますので、いろいろな資料がまいっておるわけでございますが、その資料の中にも、血液製剤が特需契約されたという事実、そういうふうな形での資料は全然ございません。したがいまして、特需契約によりましても、あるいは正常貿易によりましても、現実に輸出されておるという事実はないものと信じております。
  67. 木内昭胤

    説明員(木内昭胤君) ただいま田川政務次官、あるいは吉光局長からの答弁のとおりでございまして、外務省のほうにも、現地の大使館からはそのような事実については何ら報告もございませんし、そういう事実はないと確信いたしております。
  68. 藤原道子

    ○藤原道子君 私の調査によってもそういうことはないということが出ているんですけれども、さらに責任を持って私たちが社会に訴えますときに、少しでも不安があると力が弱くなりますので、この際、厚生省、通産省、外務省からはっきり言明を聞かしていただいたわけであります。私は信じたいと思います。  ところが、またこの一面に、最近アメリカの保存血が余って、これがいま沖縄へ送られてきて、沖縄住民のための輸血に使われているというようなうわさも聞きますが、これは事実でございましょうか。さらに、沖縄にアメリカの保存血が使われているということをこのままにしておいでになるのか、日本国民としての沖縄の輸血対策についてどのようなお考えを持っておいでになるのか、事実かどうかということと、その対策がございましたらお聞かせを願いたい。
  69. 田川誠一

    政府委員(田川誠一君) 沖縄におきます血液事業の正常化をはかるために、今年度琉球政府技術援助計画の一環といたしまして血液制度の指導を行なう方針でございまして、目下関係当局と折衝中でございます。
  70. 藤原道子

    ○藤原道子君 厚生省から沖縄に調査に行かれるとかいう話もちょっと聞きましたが、そういう動きはあるのですか。
  71. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) ただいま政務次官が申し上げましたように、沖縄に対する技術援助計画の一環として四十二年度の計画の中に入れてもらうという方針で関係当局と折衝中でございますが、もしその計画が最終的に承認されますならば、私どものほうから沖縄に対する担当官を派遣しまして、いろいろ現地の実情を調査しながら、沖縄における血液制度というものをどういうふうに持っていくかというようなことについてもいろいろ技術的に指導をしたい、こういう考え方で、いま申し上げましたとおり、関係方面と折衝している、こういう状況でございます。
  72. 藤原道子

    ○藤原道子君 私は、沖縄に対して、日本人でありながら、政府の対策がいつも後手後手でやっているのですが、アメリカの農産物が余ったからもらう——もらうんじゃない、高い金を取られて、また今度保存血が余ったから沖縄に持っていくというやり方は、私は反対です。そこで、お伺いしたいのですが、その点はひとつ調査なさいましたらまたお聞かせを願いたいと思います。  それから、もう一つお伺いしたいのでございますが、最近胎盤から製剤をしている。これが相当技術が進みまして、胎盤からも非常に優秀な製剤ができると伺っております。それで、各産婦人科にポリバケツですか、ああいうものを備えておいて胎盤の回収をして、これで製剤に使っている。これがグロブリンを大体主として取るようでございますが、これを見ますと、全グロブリン製剤の中の一四・四%くらいは胎盤から取っているということですね。胎盤は捨ててしまうのですね、焼き捨てて埋めるものです。これからもし薬剤が取れるとするならば、これは大いに奨励して、血液ですね、やはり捨てるべきものを生かすというようなことに対して厚生省はどう考えておいでになるか。もしこれからほんとに優秀な薬ができるということでございますならば、政府も本腰を入れて援助していったらいいじゃないか、開発していったらいいじゃないかと思うのですが、それについてのお考えを聞かしてほしい。
  73. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) 胎盤血からガンマグロブリンを製造することにつきましては、ただいま藤原先生御指摘のように、まだ全面的に軌道に乗っているというわけではございませんが、日本の国内の血液銀行のうちで、先ほど名前が出ましたミドリ十字がこの胎盤グロブリンというものを製造いたしまして、この製造量が年々少しずつではございますが、増加いたしているわけでございます。しかも、これは外国にまでいま輸出しているというような状況でござまして、確かに胎盤血は本来廃棄するものでございますけれども、このような方面でグロブリン等を製造するということは非常に有効な方法だと、こういうふうに私ども厚生省考えております。今後できる限りこういう胎盤血の活用と、そして貴重な医薬品であるグロブリンを生産するというような方向で、私ども大いにこの問題についての技術の開発、あるいは指導、そういう面について十分関係の業界等を指導をしてまいりたい、そうして、少しでも血液業の正常化と相まって、良質な医薬品の生産というものが効果的になってまいりますと非常にいいんじゃないか、こういうふうにわれわれは考えておるわけでございます。
  74. 藤原道子

    ○藤原道子君 私は最近の新聞を見て、心臓病の心臓欠損の子供が生まれて一週間くらいで三分の一は死ぬ、それから一年以内に三分の一は死ぬ、そうしてまた手術をしないでうっちゃっておけばほとんど死んでしまう。ところが、榊原博士の話によると、早くに手術すれば、一〇〇%手術が可能であるというようなことを読むにつけても、その心臓の手術をいたしますためには、ばく大な血液が要るわけで、その血液がないために手術ができないという記事を見まして、私はたまらない気持ちなんです。ですから、血液がないために手術ができないような悲劇をなくさなければならない、あるいは金がないために手術ができないというようなことも当然対策を立てて、なくして、とおとい命を救うような方向にぜひ厚生省は軌道に乗せて進んでもらいたい。それには献血一〇〇%に持っていきたい。そして、また、胎盤血で廃棄処分にしなければならないようなものを、これはとおとい命でございますから、これを一〇〇%生かしていくということを念願すればこそ、私はあらゆる問題をたびたび本委員会で取り上げさせてもらっているわけであります。きょうの新聞——読売新聞だと思いますが、目薬が今度だいぶ騒いでいるようであります。この記事の中に、私が決算委員会で騒いだから、だから会社がつぶれる運命になったのだということを言っている。これはいま聞きますと、東京版にはなくて、千葉県の版に大きく載っているそうであります。私は繰り返し申し上げますが、私は民間血銀にうらみも何にもない、よき血液行政をと念願すればこそ、黄色い血追放、また、これを化粧品に使って売っている、あるいは、また、黄色い血の問題で、これを是正するために私はこの血液問題と取っ組んでいるのであります。だから一部の人からうらまれてもかまいませんが、私の申し上げるのは、ですから一〇〇%献血にいくためには技術者が必要で、つぶれればそこに働く労働者の生活の問題がからんでくるのでありますから、だから日赤でもそういう点をぜひ考慮して、そういう人員を吸収するとか、あるいは出先のほうからも言ってくるわけですから、そういうところを利用するなりして、犠牲は最小限度にして、しかも、技術は最高に吸収するというような考えでもって今後対処していただきたいということが一つ。  それから、いま一つは、いつも問題になりますのは、売血も献血も同じ値段である、献血でもうけているのだという宣伝が相当きいているわけです。なるほど献血はただであります。ところが、売血は、これは五百円が六百円で出している。そうすると、一般国民の間から見ると、その間に値段の差が出てこなければならない、同じ値段で売られているというのは一向に納得がいかない、こう思うのです。この前、私は民間業者と座談会を持ちましたときに、われわれは、三年ばかり前から、血液の値段、これを値上げしてもらいたい、二千三百円くらいにしてほしいということを要求しているのだが、一向取い上げてもらえないと言っております。聞くところによると、千六百五十円ですか、これは長いこと据え置きになっていることは事実です。しかし、いままで売血であったのが、今度は献血一本になるわけでありまして、預血問題は別といたしまして、預血も金を出さなくなったということになると、五百円なり六百円は違ってくるわけでございます。この間十年近い値段の据え置きがあったと聞いておりますので、これは若干の是正はあるかもわかりませんけれども、同じ値段で押していくというところに国民の不信があるわけなんです。これに対して輸血の値段というものについてのあなた方のお考えを聞かしてほしい。少なくとも、あらゆる面で不信を取り除いて信頼される血液行政、これをやりたいから私はくどくど申し上げるわけでございます。
  75. 田川誠一

    政府委員(田川誠一君) ただいま御質問の点は、保存血液の供給価格の中の血液相当額のことだと思いますが、まあこの五百円の差というものがいままでもたびたび問題になっておることは私もお伺いをしたわけでございまするが、できますればこういうような五百円の差額というものはできるだけなくしていくように検討を進めてまいりたいと思っております。  それから、前段にお話がございましたが、献血を一〇〇%しなければならぬという御意見はまさにそのとおりでございまして、しかし、これには何と言いましても国民の皆さんの協力がなければできない問題でありまして、何と言っても一番大事なことは、献血の思想をもっともっと普及することが必要ではないかと思いますし、また、同時に、献血を簡単にできるような一つの組織をつくっていかなければならない。会社や工場、あるいは官庁というようなところで気安く、また、お互いに話し合いながらできるような一つの組織をつくっていくことも必要ではないか。あわせて、いままでお話がございましたような受け入れ態勢をもっと整備をすると、こういうようなことが充実をしていけばもっともっと献血が充実されるものと存じます。厚生省といたしましてもそういう点に思いをいたして、さらに献血の実績をあげるように、私ども関係者は努力をしてまいるつもりでございます。
  76. 藤原道子

    ○藤原道子君 その最後答弁が気に入らないんですよ。値段の問題は、これは問題になってからもう二、三年たっているんですよ。いつも検討して検討してと言うんですよ。ところが、国民は納得がいかぬですよ。それはいままでも売血は五百円出してもらっていたんじゃないか、それがただになったんじゃないか、それをネコババをきめるのは日赤がもうけているんだ、こういう宣伝があるんですよ、実際。だから、それに対して検討いたします、価格の是正を検討中でございます、いつの委員会でもそれなのよ。私に大きい声を出させないでくださいよ、そういうことについて。だから私は厚生省は弱いと言うのですよ。もう三年もかかりゃ検討はできていていいと思うんですが、できてないんですか、まだ。
  77. 田川誠一

    政府委員(田川誠一君) いままでも委員会でこういうお話が出たということをお聞きいたしました。今日まで延び延びになっておりますので、できるだけ早い機会にそういうことが実現できるように私ども努力をしてまいることをお誓い申し上げます。
  78. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) 藤原先生から御注意を受けまして、まことにごもっともでございまして、恐縮しております。やや政務次官のお答えをふえんして私ども現在の考え方を申し述べさせていただきたいと思います。  保存血液の供給価格の千六百五十円について世情いろいろ批判なり疑惑があることも、たびたび当委員会なり決算委員会でも御指摘を承っておるわけであります。確かにこの問題は、私ども当局の者としましても、この五百円という血液代相当額が供給価格の中に混在しているということは、国民感情からいきましてもなかなかこれは了解しにくい点だということは、もう十分わかっているわけでございます。したがいまして、昨年来この五百円を廃止するという方向で検討をいたしているわけでございます。ただ、現在の作業の進行状況を申し上げますと、との五百円を廃止しますと、当然千百五十円というように、現在私どものことばでは調整管理費ということばで呼んでおりますが、千百五十円というものに献血の供給価格は一応なるわけでございますが、ただ、そういうような千百五十円というものに一応価格を決定いたしますと、現在日赤がやっている献血等におきましては、藤原先生も御案内だろうと思いますが、相当な赤字を出している現状でございます。したがいまして、千百五十円で日赤のほうに一切の経理をまかすということについては、日赤当局としても非常に困難な面があるわけでございます。したがいまして、何とかしてまあ千百五十円というものに日赤がやっております献血というものの特殊事情を加味します。つまり一般の民間血液銀行と日赤等でやっております献血の採血方式というものは明らかに違っておる面が多いわけでございます。逆に申しますと、日赤等でやっております献血はよけいな手間がかかっておる。県のすみずみまで車を運行して一般の人に呼びかけて採血をしておるというような、そういう特殊な採血方式をとっておりますので、そういうことに関連する必要経費というものも、一般の民間銀行とは違う必要経費がプラスアルファーをされなければならない、こういうような現状に相なっておるわけでございます。そういうようなことからいたしまして、千百五十円に、日赤の献血方式がどういう特色を持っておる、どういう面で必要な経費がかさばるかということを、いままで原価計算等、これは日赤等にもやってもらい、それから役所のほうでもやったわけでございます。原価計算等いたしますと、どうしても千百五十円よりもある程度プラスアルファーするような結果になってまいるわけでございます。そういうことでこの千百五十円をどの程度プラスアルファーするかということについて、二百円とか二百五十円とか、あるいは三百円とかというふうなプラスアルファーの分があるわけでございます。この面について、まだプラスアルファーする方向はいいとしても、具体的な金額を二百円にするか二百五十円にするか、あるいは三百円にするか、そこらあたりの問題について、もうちょっと関係各方面との了解がきちんとそろっていないというのが現在の進行状況でございます。しかしながら、ただいま政務次官から申し上げましたように、ごく近い時期にこの問題について最終的に大臣の裁断をもらいまして、この保存血液の供給価格というものを最終的に省として決定をいたしたいということで、いま現在作業を急いでおるわけでございます。あとちょっとしばらくお待ちを願いたい、こういうふうに思っておるわけであります。
  79. 藤原道子

    ○藤原道子君 私が国民の疑惑をなくしたいといっているのは、だからこれこれこれだけの費用がかかるからこうする、あるいは値段は同じであっても、日赤本来の救援事業にこれだけの金を回すとか、使途が明確になれば国民は納得する。それをいつまでも検討検討中でほおかぶりしていらっしゃるからこういう質問をせざるを得ない。至急にそのことを明白にして、国民に納得のいくような処置のなされますことを強く要望いたします。  そこで、委員長最後にお願いがございます。お聞き及びのとおりでございまして、胎盤から製剤して非常に優秀な薬ができている、いままでむだになっていた。それから、廃棄血液はいままでは捨てたわけでございます。それがいま製剤に生かされている。これには非常に多額な設備が要るそうでございます。技術もたいへんだ。そこで、これをいま二カ所くらい厚生省がおあげになった。一つ九州でございますから、ちょっと視察するといってもたいへんだと思いますが、千葉と大阪、この二カ所だけでも委員会から一度視察していただきたい。私もぜひお供さしてもらいたいということを理事会におはかりくださいますよう、よろしくお願いいたします。
  80. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 理事会で相談いたしまして、しかるべく善処いたします。
  81. 藤原道子

    ○藤原道子君 じゃ血液の問題はこれまで。
  82. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 外山参考人には、たいへんお忙しいところを国政に御協力くださいまして、ありがとうございました。御苦労さまでございました。
  83. 藤原道子

    ○藤原道子君 私は、麻薬の問題について若干御質問したいと思います。で、きょうは時間の関係で、三時ごろまでに……。
  84. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) たいへん途中で失礼でございますけれども、三時ぴっちりに終了いたしたいと思いますので、御協力いただけますようにお願いいたします。
  85. 藤原道子

    ○藤原道子君 そういう委員会の方針でございますので、ごく大ざっぱに御質問いたしまして、また日を改めてただしたいと思います。  そこで、非常に亡国とまでおそれられました麻薬の問題、麻薬禍の問題、これは法改正になりましてから非常に努力されまして、いまでは中毒患者も、あるいは違反事犯もだんだん減少の状態にあるということを聞きまして、私も非常にその点は喜んでおります。と同時に、危険な暴力団等の中に入りましての取締官、取締員の御努力に対しましては、私はその困難に対して働いておいでになる諸君に、その労苦を多としたいと思います。そこで、私がお伺いしたいのは 私はそういうふうに理解しておりますが、今日の現状をお聞きしたいと思います。  それから、警察庁と厚生省との間に麻薬捜査に関する協定というようなものがあるんですね。それがどのように生かされ、どのように活動されておるか、この点についてひとつお聞かせを願いたい。  それから、麻薬取締官の人員、その処遇、これらについてお聞かせを願いたいと思います。
  86. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) まず、第一点の、麻薬の現状でございますが、簡単に申し上げますと、三十八年ごろの麻薬取締法の改正をやっていただいて以来今日まで、麻薬の取り締まり違反は急激に減少をしてきているわけでございます。特にいわゆる不正麻薬といわれるヘロイン等の麻薬事犯というものが、最近ここ二、三年来急激に減少してきている。これはもちろん法律改正によりまして罰則の強化なり、あるいは取り締まり監督の強化なり、一般の国民の方々の積極的な協力、いろいろなことがその原因となっているわけでございますが、この点につきましては、私どももこういう不正麻薬事犯というやつが激減したことについては非常に喜ばしいことだと思っております。ただ、残念ながら、最近の傾向としまして、とのような不正麻薬事犯にかわるものとしまして、いわゆる海外からの麻薬の密輸入というものがぼつぼつ件数をふやしつつある現状にございます。こういう海外からの、主としてまあ東南アジア等でございますが、あるいは韓国等からでございますが、そういうような海外からの密輸事件が最近毎年毎年少しずつ件数がふえているというのが一つの大きな特色でございます。それから、第二の特色としましては、いわゆる正規の医療麻薬に関連するいろいろな事犯が最近また急激にふえてきているということが第二の特色でございます。したがいまして、不正麻薬事犯は激減をいたす一方、海外からの密輸なり、あるいは正規の医療麻薬等の事犯がふえてきているということが最近の著しい現状、特色であるわけでございます。  それから、第二の点の、警察庁と厚生省との間に麻薬取り締まりなり捜査面につきましていろいろ協定をやっているわけでございますが、この協定の趣旨は、お互いにそれぞれ役所のセクショナリズムというものを排しまして、できるだけ協調態勢をとって麻薬事犯について当たろうというのが趣旨でございまして、そういう覚え書きを両者の間に交換をいたしているわけでございます。したがいまして、個々の麻薬事犯については、できるだけそのような趣旨で協調態勢を整えながらやっているわけでありますが、何ぶんにも私どものほう、つまり厚生省のほうは海外情報というやつが警察に比べてなかなか取りにくい。警察庁は海外に駐在官を置いて、まことに手ぎわよくやっておられるようでありますが、厚生省のほうではそういう海外からの情報がなかなか取りにくいという面もありまして、警察のほうで最近いろいろ麻薬事犯を摘発し、検挙しているわけでありますが、私どものほうも、とにかく海外情報等をもとにして水ぎわ作戦というふうな方法で密輸等の防止をはかっておるわけでございますが、両省の間において一ころいわれたようないろいろなトラブル等も現在ではほとんどなくなりまして、相当程度スムースな協調の関係にあるということが一口にいって言えるかと思うのでございます。  それから、最後の麻薬の取り締まりの組織なり人員等でございますが、これは御案内のとおり、厚生省としましては、全国の八ブロックに直轄の麻薬取締官事務所というものを持っております。それから、それ以外に、麻薬禍の濃厚地区であります横浜、神戸それから北九州、こういうところにいわゆる麻薬取締官事務所の分室というものを設置いたしまして、全国八つの取締官事務所と三つの分室によりまして捜査なり何なりをやっている。これに従事しております麻薬取締官というものは現在百六十名いるわけでございます、全国的に。それから、それ以外に各都道府県に同じような権限を持っております都道府県職員であります麻薬取締員というものが百三十五名おるわけでございます。このような百六十名の国の公務員である麻薬取締官と地方の公務員であります麻薬取締員の百三十五名で現在麻薬の取り締まり捜査に当たっている、こういうような組織なり人員になっておるわけでございます。
  87. 藤原道子

    ○藤原道子君 そこで、私もこの資料を見まして非常にたいへんなことだと思うのは、医療麻薬ですね、これの事犯が、去年ですか、最高になっておりますね、違反の中で。これに対してどういうふうな指導対策を立てているか。これね、医療麻薬が違法に使用されるということは重大だと思うのです。それはお医者さん本人が中毒になっている人もあるし、それから、また、一部の者と結託しまして横流しをしている。治療のために必要だといってそこには割り当てがいっている。中には、悪質なのは、調査の際に擬装の麻薬を置いて、そうして言いのがれをしょうというような悪質の人もあるわけなのです。これらに対して厚生省はどういう指導と取り締まりをしておいでになるか。急激にふえているんですよ。
  88. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) 正規の医療麻薬の事犯がここ数年急激にふえてきておりまして、現在の麻薬取締法の違反事件のうち、大部分がこの医療麻薬に関連する事犯であるわけでございます。非常にこの点は残念だと思っております。これは一口に申し上げますと、最近、特に医療機関に勤務する者、たとえば個々の勤務員、開業医等の麻薬中毒者、あるいは暴力組織等が強制をしたり、あるいは脅迫をしたり、あるいは欺罔をさしたりして麻薬を医者からもらうというようなことが一つ大きな特色でございます。  それから、もう一つは、いま藤原先生も御指摘のように、医者なり看護婦、あるいは医者の家族、そういうものが何かのきっかけで、自分自身で正規の医療麻薬を不正に使用するというような件数が最近非常にふえている、どういうようなことからしまして、この医療麻薬の件数というものが急激にふえてまいったわけでございます。したがいまして、これの対策でございますが、もちろん私どもは、先ほど申し上げましたような組織なり定員で全国的にいわゆる麻薬を扱っております医療機関というものに対して、立ち入り検査というものをしょっちゅうやっておるわけでございますが、この立ち入り検査というものをもうちょっとやはり重点的に実施する必要があろうかと思います。したがいまして、昨年来も、全国の麻薬取締官あるいは取締員等の研修会、講習会等を通じて、立ち入り検査というものを、限られた人員なり予算ではございますが、もう少し重点的にやって、目ぼしいような、あるいは疑わしいような医療機関にはしょっちゅう重点的にひとつ立ち入り検査というものを強化してほしい、こういう指導をしているわけでございます。したがいまして、この点が対策の第一点でございます。  それから、もう一つは、医者、看護婦等のいわゆる医療関係者というものの、何と申しますか、職業倫理と申しますか、倫理が若干欠除している、法令を守るためのそういう気持ちもなくなっている。それから、医者が自分自身で不正に使用する、あるいは患者に使用させるというようなことがございますので、そういう倫理の欠除というものが一面においてこの原因をなしているのではなかろうかという感じがするわけでございます。したがいまして、私どもとしましては、関係の団体等にこの点を呼びかけまして、医者のそういうような職業倫理の向上、あるいは法令順守の気持ちをもう少し強く持ってもらうというようなことを呼びかけている。  それから、もう一つは、最後に、いわゆる中毒者の対策というものをもっともっと地についたものにしていかなければいかぬ、この中毒者自身が医者のほうに行って脅迫したりして麻薬を接種するという事故が多いわけでございますので、この中毒者対策というものをもう少し地についたものにして、早期発見、早期治療、あるいはアフターケアというようなことについて、もう少し具体的な地についた指導なり施策考えていく、こういうことが必要だろうと思いまして、以上のような点についていまいろいろな施策なり指導を考えておるわけでございます。
  89. 藤原道子

    ○藤原道子君 私はこれは非常に危険だと思うのです。私、若いころ、病気でずいぶんモルヒネの注射をされたのですね。痛いと言うとすぐ注射、それがモルヒネだったのです。その後、大手術をしなければならないというときになって麻酔がきかないんですね。ずいぶん苦しい思いをいたしました。だから、私は、こういうことはよほど医者の倫理をもってやってもらわなければ、中毒患者の横流しだとか、やれ何だとか、ずいぶん資料に出ていますね。これを見て実は私ぞっとしたわけです。ですから、いまあなたのおっしゃったような、お医者さんがいまいろいろ批判されていますね。こういうことにプラスして、こういう麻薬の問題等が出れば国民が信頼しなくなる。信頼しないお医者さんの治療というものはあまり好ましくございませんので、取り締まりと指導を強化されますと同時に、こういうことが一日も早くなくなることを私は念願してやまないわけです。ところが、いま一つ、最近は韓国人であるとか中国人であるとかいう違反持ち込みですね、これが減ってきて、第一位に米国人が出てきました。アメリカ十九名、中国十四というふうに、これが逆転してきたのです。それから、このごろ入ってくる薬の中には、アメリカ製のもの、イギリス製のもの、こういうものがどんどん入ってきているという資料なんですよ。そこで、私が非常に心配いたしますのは、アメリカはフリーパスで入ってきます。軍艦にしても飛行機にしても、ときどき羽田でもつかまったりしておりますけれども、たまたまつかまるのであって、艦内捜査はできませんね、捜査権ないんですから。そのアメリカのほうがどんどんふえてくるということは、いろいろな面で、パンパンの問題でも、最初はアメリカ人がああいうことをした。また今度大事な麻薬で日本国民が廃人になるおそろしい麻薬の持ち込みまでが米人が一位を占めているということは、私これは重大だと思う。そこで、どういうものは取り締まるときどういう方法でやっているか。たまたま偶然にわかったのか、船内の捜査はできないんだし、飛行場もそれができないはずですが、これに対してどういう方法でやっておいでになるか、非常に困難だと思いますが、これはどうなんだ。もしこれが困難だからいいかげんにしているとますますふえてきます。あるいは、また、ほかから来たものも、日本を中継地としてアメリカへ行ったり香港へ行ったりしているということが出ているわけです。この実情をちょっとお聞かせ願いたい。重大問題だと思う。それで、外務省の方にもちょっとその点お伺いしておきたいと思う。
  90. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) 確かに最近は、いま御指摘のように、アメリカ系統の麻薬事犯というものが逐次ふえてきているわけでございます。これはいわゆる本来の麻薬よりも、むしろいわゆる大麻というものが、これももちろん麻薬の一種でございますが、そういう大麻の不正な所持なり不正な密輸なり何なりがふえてきているわけでございます。御記憶だろうと思いますが、黒人のドラマー事件というものがあったわけでございますが、ああいうような形で向こうの芸能関係の人たちが日本にいろいろ参っているわけでございますが、そういう人たちが大麻の吸煙をする目的のもとで日本に持ち込んできているというような件数が相当ふえてきておるということ、それから、もう一つは、アメリカのいわゆるベトナム戦争に参加しております向こうの陸海軍の将兵が、こういうような大麻というものを東南アジア方面から持ち込んできているというような件数もありまして、大体そういう芸能関係なり陸海軍の将兵等がおもなものでございますが、いずれにしましても、私どもとしましては、特にアメリカ本国から参ります芸能関係等につきましては、あらかじめ入管なり何なり等と情報をお互いに交換をしておりますので、最近も向こうからの芸能関係の入国を拒否した例がありますが、そういうようなことによりまして情報をお互いに交換して、いわゆる大麻吸煙者であるというようなリストに載っているような者の入国なり何なりは未然に防止するような体制で現在入管当局等とも相談をしてやっております。そういうような情報収集というものがこういう問題については一番大事だろうと思いますので、できる限り、芸能関係等が入国するようなことが事前にわかりますと、そういう情報に基づきまして、この中に大麻吸煙者がいるかどうかということを事前にキャッチして、そして対策を講ずる、こういうようなことをいたしているわけでございます。
  91. 藤原道子

    ○藤原道子君 主として大麻だとおっしゃいますけれども、この資料によりますと、米国製のモルヒンシレットというのですか、これが大量に岡山へあがっていますね。岡山とか東京においてあがっている、あるいは香港からモルヒンシレットが入っている、こういうことも資料に出ているのですよ。だから非常に危険だと私は思っているので、私たちはアメリカと安保条約を結んでいるけれども、日本人を擬人にしてもらいたいと思っておりません。  それから、もう一つは、芸能人はいまおっしゃったような取り締まりが可能でしょう。ところが、ベトナム駐在の兵隊さんが帰休、休養という名目でどんどん来ていますね。一週間に千人くらい来るのじゃないですか。どんどん入ってくる。そういう人が持ってきた場合、これは飛行機でいきなり来て、それで基地に入るのでしょう。調べようないじゃありませんか。これが最近ふえていると私は聞いている。これに対してはどういう取り締まりができるのか、外務省はこういうことに対してお聞き及びになっておるか、この対策をどうしたらいいとお考えになっているか、ちょっとお聞かせ願いたい。
  92. 木内昭胤

    説明員(木内昭胤君) 直接の所管の課の者ではございませんので、一般論としてしか申し上げられませんですけれども、麻薬の問題につきましては、厚生省、あるいはその他関係の当局からの御連絡に応じまして、随時関係相手方、関係当局との連絡、あるいは情報収集とか、あるいは東京から係官が現地に参ります場合の便宜供与、その他在外公館の一部には直接麻薬の取り締まりを専門とされております係官がおられるわけでして、その面での協力ということを外務省としてはやっておるわけでございます。  それから、ただいまの在日米軍関係でございますけれども、これに関しましては、外務省としましても在日米軍当局と直接なり間接なりの連絡を持ちまして、本件につき、十分注意して行なっておるものと存じます。
  93. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) 御質問のございましたモルヒンシレット、昨年の事件でございまして、これは岡山県へ日本人が韓国から持ち込んだ事件でございます。はっきりとしたことはわからないのでございますが、かつて米軍が使用したものであろうということになっております。それから、また、昨年の夏ごろ、同じようなモルヒンシレット——別種のものでございますが、これがあるところで拾われまして、この落としたものが米軍関係から手に入れたというような事件が発生いたしております。私ども、こういう関係の麻薬につきましても厳重な警戒をいたしておりまして、そのつど関係米軍当局とも協力をいたしまして、この事案の解明等につとめております。
  94. 藤原道子

    ○藤原道子君 この検挙の状況を見ましても、警察では海外に情報機関があって情報をキャッチできる、厚生省ではなかなかそれがむずかしいということで、それは私もよくわかるのですけれども、押収の数量にしても検挙にしても、厚生省のと警察庁のとは格段の相違があるのですね。これは資料ほんとうかしらね。だから、やはり警察も一生懸命やっていらっしゃると思うし、厚生省でもやはり一段のあれが必要じゃないかというふうに考えるわけなんです。それから、いろいろ伺ったんですけれども、外務省にお願いしておきたいことは、いまお聞きのようにベトナムから来るアメリカ兵を中心にこのごろどんどんふえているということを私は聞くんです。このままにしておくとたいへんなことになると思いますので、そういうことは厳重にアメリカ軍とも折衝なさいまして、日本が立ち入り検査ができないならば、アメリカが責任を持ってもっと厳重にしてもらわないと、これ以上麻薬禍が蔓延したらたいへんだと思います。取締官はそれこそ待遇もあまりよくないし、しかも、危険をおかしてやっているのですから、そういう点をお考えいただきまして、外務省でも特段の御努力が願いたい。  きょうは時間がございませんので、次へ進みたいと思います。  私は、麻薬の問題については、このくらい真剣にお互い頭を痛めているわけです。ところが、最近新聞をにぎわしました麻薬官のおとり捜査の行き過ぎですが、これの問題について二、三お伺いしたいと思います。  厚生省は、三十八年の六月に麻薬取締法が改正され、その取り締まりの罰則も強化され、それに措置入院制度ができて、それからきょうまで経過しているわけでございますが、その取り締まりはいまいろいろお伺いしたとおりなんでございます。ところが、その中におとり捜査が認められている。おとり捜査というのはどの程度までが認められているか、ちょっとこの点を伺いたい。
  95. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) 私どものほうでやっておりますいわゆるおとり捜査というものにつきましては、麻薬取締法の五十八条に基づきまして、あるいは、あへん法等にもございますが、麻薬に関する犯罪捜査に当たる場合に、厚生大臣の許可を受けて麻薬取締官なり麻薬取締員は麻薬を譲り受けることができる、こういう規定が麻薬取締法の五十八条にあるわけでございます。これに基づきまして実際の捜査というものをやる場合に、いわゆるおとり捜査的なことをやっておるわけでございますが、確かにおとり捜査というものにつきましては、御指摘のように、一つの限界があるわけでございます。おとりという名目のもとでいかなる行為も許されるということにはならないわけでございまして、私ども考えておりますおとり、捜査の限界というものは、あくまでも、麻薬の密売の意思を持っている人が、その麻薬を売却するというためにいろいろなところで売却方を物色中であるわけでございます。そういうような物色中の者に対してその実行の機会を与える、つまり逆に申しますと、検挙の端緒を得るためのものがおとり捜査であろうと、こういうふうに考えているわけでございます。したがいまして、非常にわかりやすく申し上げますと、おとりの手段によりまして人を犯罪行為に積極的に誘惑したり奨励するようなことはこの限界を逸脱している、あくまでも本人の自由意思というものを主眼としまして、決してその自由意思に強制なり脅迫を加えて犯罪行為にまで誘発していくというような行為は絶対おとり捜査の限界を逸脱しているものだ、こういうふうに考えているわけでございます。したがいまして、簡単に申しますと、おとり捜査というものは、法律の根拠に基づきまして、必要最小限度において違法性を阻却された行為として認められているわけでありますが、やはり相手方の自由意思を十分尊重して、相手方の意思に強制なり脅迫を加えて一つの犯罪行為にまで誘発していくというようなことは許されない、こういうのがわれわれのほうのおとり捜査についての基本的な考え方であります。
  96. 藤原道子

    ○藤原道子君 私も取締官の相当数と会っていろいろ聞いてみたのです。ところが、当時法改正後の厚生省の上層部は、地方の取締官に対して、おとり捜査の権限もあるんだから積極的にやれ、問題が起きたら引き受けてやるくらいのずいぶん強い指示がなされているということを聞いているのです。で、私は、危険をおかしてやっているうちに、おとり捜査が、つまりミイラ取りがミイラになったというのが今度の事件じゃなかろうか。おとり捜査にしては、暴力団と結びついて、やはり不正持ち込みを手伝うような形になるから、お金をもらってごちそう食って、女まで抱かされた、ここまで起きたのが今度の事件です。にもかかわらず、これが裁判に七、八年かかっているのですね。私はこれら事犯にしてはずいぶん長過ぎると思う。一体この裁判の費用その他の金はどこから出ているのですか、これを伺いたい。
  97. 坂元貞一郎

    政府委員坂元貞一郎君) 裁判の期間が非常に長かった点は事実でございますが、お尋ねの裁判の訴訟費用等についての出どころ等については、私はつまびらかに真実を承知しておりませんが、私どもとしましては、当然被告人本人がいろいろな手段、方法を用いて負担をしているものだと、こういうふうに承知しているわけでございます。
  98. 藤原道子

    ○藤原道子君 ちょっとおかしいです。私の聞いているところでは、やはり本省でいろいろな面でめんどうみているというふうに聞いている。それから、もう一つは、無罪になるからがんばれと、こういうふうなことも伝えられておる。ところが、今度有罪になった。有罪になった三名の被告はだまされたと、あまり公判廷でよけいなことをしゃべると有罪になるからというようなことをにおわして、自分たちは自分たちだけの責任としてきょうまでやってきた、ほんとうにだまされたんだから、必ず控訴してというようなことまで言っているのですね、言っているやに聞くのです。そこがまことに不明朗なんです。ところが、まさかと私思っておりましたけれども、私この間新聞の切り抜きを出して調べてみたのです。ところが、厚生省が頼んだのだろうと思うのですが、特別弁護人に三悪追放で有名な菅原通済さんがなっている。その菅原さんが特別弁護人として法廷においてこういうことを言っている。「三人はオトリ捜査の義務を忠実に実行したまでで、“勇敢なる三勇士”として叙勲を申請したいぐらいだ。」本人たちが無罪になったら、近藤らはむしろ功労者で、叙勲の申請をする、これは公判廷で言っているのですよ。しかも、その特別弁護人は厚生省が依頼したんだということを私は伺っておるわけです。一体、収賄だの何だのやって破廉恥罪じゃないですか。密輸を誘導したりごちそうになったり金もらったり、あげくの果ては女のサービスまで受けている、こういうことをしたこの麻薬Gメンが、これが三勇士として叙勲の申請をしなければならない、一体何です、私はこれは許せないと思う。新聞に全部出ています。産経にも出ている、朝日にも出ている、読売にも出ている。よくこれを厚生省が黙っていると思う。しかも、その後において菅原さんは、三悪追放の委員長か会長か、しかも、その三悪追放は一体どういうことをするのか、それに厚生省は予算がないないと嘆いておりながら、この三悪追放協会に対して六千六百七十五万円補助金を出しているのです。その人に対してあなた方が特別弁護人を依頼している。私は厚生省というところがわからなくなった、真実を明らかにしてもらいたい。
  99. 田川誠一

    政府委員(田川誠一君) ただいまの菅原通済さんが特別弁護人になられたということは、これは厚生省は全然関係ございません。三人の被告人は、あくまでこれはそうした法律にもとったことによりまして起訴されたのでありますから、これはおそらくその三人が菅原さんに弁護人として頼んだのではないかと、これは確かめておりませんけれども、私はそういうふうに推測をしております。それから、菅原さんが法廷で述べられたといういまのおことばは、おそらくこういう趣旨で言われたのではないかと思います。捜査官が非常にむずかしい仕事として組織の中に飛び込んで行った、そうして一生懸命やった、そういうことを賞賛しておるのであって、その仕事の中で金品を受理したとかというようなことよりも、いま申し上げましたような、非常に困難な仕事に飛び込んで行ったということをおそらく賞賛したいために、それを強調したいために弁護をかったのではないか、こういうふうに私どもそのお話を聞きまして感じを受けたわけであります。もちろん叙勲を申請したいとかというようなことは、弁護の中で放った放言に近いことではないかと私は推測をしておりまして、私どもは、そういうような叙勲を申請しようなんというふうに本気で菅原さんがおっしゃったとは思っておりません。
  100. 藤原道子

    ○藤原道子君 それなら伺いますが、いままで知らなかったというような御答弁、この問題は、その結果いかんは厚生省では非常に注意していたと思う。しかも、これが産経から日経、朝日、読売、全部出ている。その記事をいままで知らなかったなんて、それは政務次官は知らないかもしれないけれども局長だの課長が知らないでは済まされません。第一、神聖なる法廷で、おとり捜査は認められているのだから、これを最大限利用したもので、近藤らは功労者だ、無罪になれば叙勲を申請をする、三勇士である、こういうことを言われた。それをそのまま見過ごしていることは、厚生本省から、私の聞いているところでは、ずいぶんきびしい指令が出ております。だから厚生省は、この裁判の結果は非常に注目しているはずです。てんやわんやだということまで聞いております。私はあまり名前をあげることはこの際御遠慮いたしますけれども、私はある程度の資料を持っております。このままで一体ほんとうに麻薬捜査をどう思っているのか。近藤さんのごときは厚生省の某責任者の教え子である。それを通じて学歴詐称で就職をさせておる。もし何なら私は名前を言ってもいい。そういうことまでして、そして取締事務所ですか、そういうところに行って、それで公の自動車を乗り回してゴルフをしたり釣りに行ったり、乱脈をきわめているというじゃないですか。それで形だけ整っているから取り締まり業績があがっているのだというようなことでは因ります。それと同時に、そうした一部の不心得者があるために、多数の、それこそ身の危険を感じながらがんばっていらっしゃる麻薬取締官はいまどういうことを言っていると思いますか。ほんとうならば、あれだけの問題を起こしたならば当然免職になるはずだ、それがいまだに休職なんですよ。いままでこういう事件を起こして、それで休職でずっと過ぎています。七年も八年も休職にして、特別弁護人の問題まである。こういうことが本省の腹だとするならば、われわれは身の危険を感じてまで働く意欲を失った、取締官であるということに肩身の狭い思いをする、こういうことを嘆いているのです。ということになるとどうしますか。これからいよいよ出先関係者には大いに働いてもらわなければならない。そういう人たちからこうした疑いを持たれるような指導をなされていたとすれば、これは重大問題だと思います。私は最初に名前も何もぶちまけてやろうと思ったけれども、それは遠慮いたします。しかし、この特別弁護人を頼んだ経過、きょうまで免職にしないで休職でずっとこられたその理由、それから、裁判費用の出所、これらは明らかにしてもらいたい。きょうできなければ重ねて質問したい。やはり信賞必罰ですか、正しい者は大いに激励していかなければなりません。間違いをおかした者に対しては、やはり厳然とした処断がたければ、どこに法の秩序を守るということが言えますか。私はきょうまでのこの経過をずっと資料等で調べてみた。私はかなり勉強させてもらいました。ところが、今後どういう経過になるか、もし本省が知らぬ顔ならばわれわれにも考えがある、こういうことも言っておるやに——私は近藤さんには、あまり好ましくないから、直接会っておりませんけれども、そういう風評が私の耳にまで入っておるということを申し上げます。きょうまで休職で来たことの理由は、裁判費用は断じて出ていないかどうか、断じて特別弁護人に依頼された人はいないかどうか。局長がというのではないのですよ、厚生省の中でそういう働きをしている人があるのではありませんか。
  101. 田川誠一

    政府委員(田川誠一君) ただいま藤原委員がおっしゃられましたことは、私も実はちょっと感じた点でございまして、最近この事件を聞きまして、休職になっているということにちょっと疑問を持ちました。ただ、その三人の中の一人が責任を問われているという点だけで、所長であったために責任追及されているという意味で起訴をされているという点も聞きましたので、まあそういうことであるいは休職のままになっているのではないか、こういう推測をしておるだけで、詳しくまだ調べる時間がございませんでしたので、いま藤原委員が御要求になられたように、即刻私どものほうからもう一度調査をいたしまして、裁判費用の点、弁護人を頼んだいきさつ、こうした点をもう一度詳しく調査を私自身させていただいて御報告することで御了解をいただきたいと思います。
  102. 藤原道子

    ○藤原道子君 私はね、あなたが休職になっていることにちょっと不審を持ったというようなことばもあるし、あなたは何も知らなかったということは了承いたします。私が追及したいのは、何も首を切れとかなんとか言うのではない。秩序が立たないでしょうということなんです。前線で働いている、危険をおかしてもやらなければならないと決意をして、使命感に燃えている捜査官というのですか、取締官、この人たちの意欲をそぐ結果になっているということ、これは会合を持ってごらんなさい、みんな嘆いていますよ。同じ目で見られると思うといやになっちゃった、こういうことで嘆かれておるようでございます。それで、しかも、主犯といわれていた鈴木兼雄は、三十六年の四月、公判中にピストルで自殺しているのですね。暴力団に入り込んでいるうちにだんだん深間に入ったのですね、それに利用されて、それでこういう結果になったと思う。しかも、その利用した麻薬組織の関西自興グループというのですか、そこの主犯は公判中にピストルで自殺しているのですよ。これはずいぶん世間を騒がせた事件なんです。にもかかわらず、厚生省がこの長きにわたって休職で来ている。そこへもってきて特別弁護人がこういう証言をして、麻薬取締官等に当たって聞いてみると、本省の指令はずいぶんきびしいものであったらしい。おとり捜査の権限は許されているじゃないか、一〇〇%に発揮してやれといってハッパをかけているらしい。私も、そう自分自身に言われたのではないから、それを聞いたまでで、調査の線にこれが浮かんできたというだけでございますから、そういうものがあるやに聞くのです。それで、中央官庁の一指導部の立身出世とか、あるいは手柄に熱中するあまり、もしそういう苛酷な指令が流され、それが動機でこういうことになったといたしますならば、相当反省してもらわなければならぬ。それから、社会から疑惑を生むようなことは、今後、厚生省は弱い、だらしがないというけれども、こんなところまでだらしがなくちゃ困る。規律はきちんとしてもらいたい。  それから、きょうはもう時間が三時という委員長のお話でございましたので、これ以上追及する時間がございませんけれども、三悪追放推進協会ですか、三悪追放協議会か協会か、それはどういう仕事をするのですか。どういう仕事をすることによって六千六百七十五万円という大金を補助しているのか、こういう点も聞きたいところでございますが、きょうはこの程度にしておきますので、十分調査して、答弁にまごつかないように明快なる御答弁を次回にお願いしたい。  以上です。
  103. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 他に御発言もなければ、本件に関する質疑は、本日はこの程度にとどめておきます。  他に御発言はございませんか。——別に御発言もなければ、本日はこれにて散会いたします。    午後三時零分散会      —————・—————