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1967-05-18 第55回国会 参議院 社会労働委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月十八日(木曜日)    午前十時四十分開会     —————————————    委員異動  五月十八日     辞任         補欠選任      横山 フク君     宮崎 正雄君      黒木 利克君     後藤 義隆君      紅露 みつ君     近藤英一郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         千葉千代世君     理 事                 丸茂 重貞君                 佐野 芳雄君                 藤田藤太郎君     委 員                 後藤 義隆君                 佐藤 芳男君                 宮崎 正雄君                 山本  杉君                 大橋 和孝君                 杉山善太郎君                 藤原 道子君                 柳岡 秋夫君    国務大臣        労 働 大 臣  早川  崇君    政府委員        労働政務次官   海部 俊樹君        労働大臣官房長  辻  英雄君        労働省労働基準        局長       村上 茂利君        労働省職業訓練        局長       和田 勝美君    事務局側        常任委員会専門        員        中原 武夫君    説明員        労働省職業安定        局審議官     岡部 実夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○雇用促進事業団法の一部を改正する法律案(内  閣提出) ○労働問題に関する調査  (身体障害者雇用対策に関する件)     —————————————
  2. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) ただいまより社会労働委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。本日、横山フク君、黒木利克君、紅露みつ君が委員を辞任され、その補欠として宮崎正雄君、後藤義隆君、近藤英一郎君が選任されました。     —————————————
  3. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 雇用促進事業団法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から提案理由説明を聴取いたします。早川労働大臣
  4. 早川崇

    国務大臣早川崇君) ただいま議題となりました雇用促進事業団法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  今後のわが国の雇用の動向を考えますと、技能労働者等生産部門に従事する労働者の不足が一そう深刻になることが予想される反面、中高年齢者身体障害者等就職問題が懸念されるところでありますが、このような情勢に的確に対処し、すべての労働者がその能力適性に応じた職業につくことができるようにするためには、企業における労働者受け入れ態勢を整備することが有効かつ適切な方策と考えられるところであります。このためには、企業能力の正しい評価の上に立った雇用慣行を確立するとともに、身体障害者等雇用に伴う負担を軽減することができるように、企業に対する援助強化することが必要でありますので、ここに雇用促進事業団の業務を拡充し、企業に対する援助体制強化することにいたしたいと考え、この法律案を提案した次第であります。  次に、法律案内容の概略を御説明申し上げます。  改正の第一は、職業安定機関雇用に関する事項につき事業主に対して行なう援助について、雇用促進事業団が必要な協力を行なうことであります。事業主が行なう労働者の雇い入れまたは配置その他の雇用管理については、雇用対策法に基づいて、職業安定機関が助言その他の措置を行なっているところでありますが、企業、特に中小企業において労働者適正配置が十分に行なわれていないために、労働者能力適性に応じた雇用が実現されていないきらいもありますので、職業安定機関の行なう援助強化するため、新たに雇用促進事業団雇用相談員を置き、必要な協力を行なわしめることにしようとするものであります。  改正の第二は、身体障害者を雇い入れる事業主に対して、身体障害者作業を容易にするため、必要な作業施設及び作業設備設置整備のための融資を行なうことであります。身体障害者については、身体障害者雇用促進法に基づいて、職業紹介の充実、適応訓練の実施、雇用率設定等により、その雇用促進につとめているところであり、企業における身体障害者雇用率は、全体としてみれば、法定雇用率に達している状況にあります。しかしながら、身体障害者については、通常の作業条件のもとでは作業を行なうことに支障があるため、企業がその雇用にあたって困難を感ずる場合が少なからず見受けられますので、企業雇用意欲を高めるため、事業主身体障害者作業を容易にするために必要な作業施設及び作業設備を設け、またはそれらを改善する場合に、雇用促進事業団がこれに必要な資金を長期かつ低利で貸し付けることにしようとするものであります。  以上、この法律案提案理由及びその概要につきまして御説明申し上げた次第であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  5. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 本日は、本案に対する提案理由説明の聴取のみにとどめておきます。     —————————————
  6. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 労働問題に関する調査議題といたします。  身体障害者雇用対策に関する件について質疑を行ないます。本件に関し、御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  7. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は大臣質問を一、二しておきたいと思うのです。予算委員会がありますから、そちらへ行ってもらうことになると思いますが、私は、あとの具体的なことは次官以下の方に御質問申し上げますが、いまの雇用促進事業団法の一部改正の中に身体障害者の問題が少し頭を出してきております。私は、このことはこれといたしまして、身体障害者というのが、戦傷病者以外に、普通の身体障害者が百万から、子供を入れて百十万ぐらいいる。その身体障害者援護措置というのが、これは労働省ばかりではありませんが、厚生省との関係においても非常におくれておる。そこで、厚生省厚生省福祉関係措置リバビリテーション措置が進んでいるわけでありますが、何といっても、人生というのは、私は手に合う仕事をして生活を立てていく、援護とあわせて、勤労の喜びの中から生活を立てていくというのが私は何といってもたてまえだと思う。それ以上の幸福はあり得ない。そのことの肝心な柱というのは何か。身体障害者に適切な仕事を与えて、勤労の中で人生を全うしていくという機会をつくるのが労働省の行政だと私は思う。身体障害者雇用ができて、官公庁の一番高いところでも一・五です。いま法律に基づいて云々というお話がありました。民間では一・一%、まだ適用されていない事業場が七千幾らもあると私は記憶いたしております。それはともかくとして、今日一・一%や一・三%で、身体障害者が働きたい、人生を豊かに送りたいという条件をそろえているかというと、たいへんなことだと思う。たくさんな就職希望者希望に対してそういう場がない。私は、民間事業など、何らかの事業によって援護措置を講じてあげなければ、身体障害者雇用促進の問題を考えなければなりませんし、官公庁としてもたった一・三%、一・五%の雇用をいまだ何らの検討もなしに続けておるというところに根本的に問題があると思う。昭和三十七年の身体障害者雇用審議会答申、四十一年の答申、再び三十七年に十分にやれなかつたものをおっかぶせて四十一年には建議、答申をして、処置をしなさいということを審議会は言っておる。これに対しても十分にこたえていないというのが労働省の施策だと思うのです。外国はどうやっておるか。私はあまりよその国のことはよくわかりませんが、あとから聞きますけれども、ドイツの例を見ると、一〇%以上という義務づけをきちっとしておるが、そうすると一〇%になるか八%になるか、その数字の問題は私はとやかくいいませんけれども身体障害者職業訓練しながら職場につけていくということは、職業訓練しなくても手に合う仕事をしたいという人がたくさんいるにもかかわらず、援護措置がとられていない。私はきょう大臣が行かれる前に聞いておきたいことは、身体障害者雇用促進法というものをいまのままでじっとしておいでになるのか、これを早急に根本的に改善をされる決意があるのかどうか、このことをまず私に他の委員会おいでになる前に、この議題審議する前に聞いておきたいというのが私の質問です。
  8. 早川崇

    国務大臣早川崇君) 御指摘のように、身体障害者という、非常に気の毒な方の一番いい道は、その中で能力のある人に職業を与えていくということだと思うわけであります。これに関しましては、身障者雇用促進法によりましてそれぞれの事業所雇用率を設定いたしまして、その雇用率の高低は別といたしまして、一応民間事業所におきましては一・一、二%という大体の目標が達成されておるわけでありまして、中には達成されておらない事業所もございますので、この達成にまず努力をいたしておるのであります。官庁、三公社も含めまして雇用率達成していないのが、成績の悪いのが三公社の中では電電公社でございまして、電電公社にも労働省から忠告をいたしまして、昨日の新聞の報ずるところによりますと、一千人の大量の身障者を採用する年次計画を立てておられるように聞きまして、非常に喜んでおるわけでございます。もう一つは、官庁関係では都道府県自体の県庁の関係雇用率達成状況が非常に悪いわけであります。これは自治体のことでありますから、われわれとしては、自治体の御自由でございますが、労働省といたしましては、これが達成のための勧告をいたしたいと思っておるわけでございます。ただ、職業安定所身障者就職あっせんをいたしておるのでありまするが、大体身障者八十万といい、百万といわれまするが、求職をしておる登録身障者は六万人内外でございます。これに対しましては職業安定所が非常に努力をいたしまして、できるだけの就職あっせんをいたしておりまするので、決して悪い就職状況ではないと私は報告を受けておるわけでございます。  第二に、企業側から、身障者はどうしても能率が悪い。企業は、御承知のように、営利事業でございますから、受け入れやすい態勢を整えさせなければならないわけでございます。今回、ただいま読み上げました法律案改正も、その趣旨に沿いまして身障者を受け入れるための施設、あるいは作業施設に対しまして国として雇用促進事業団援助するという内容になっておることはただいま申し上げたとおりでございます。また、御承知のように、身障者職業訓練をして技能を身につけてあげなければならないわけでございます。労働省といたしましては、全国に身障者職業訓練所を設けまして現在訓練をやっておるわけでございまするが、私は東京の身障者職業訓練を見ましたけれども、どうしても定員に満たないのですね。なぜだろうと思っておったのですけれども、なかなかこの身障者職業訓練というものに対する意欲というものが、はたしてどこまで身障者自身にあるかどうか、いろいろむずかしい問題がございまするが、身障者訓練施設は今後とも努力をしてまいりたいと思っておるわけでございます。身障者職業にどういうものが適するか、これも労働省検討いたしておるのでありまするが、最近たいへん明るいニュースといたしまして、ムサシノ電子工業株式会社というのが御殿場に、身障者だけで三百人の身障者、重身障者を使ってやる電子工業の会社をいま建設中でございまして、六月初めに操業開始する。私はぜひそこに見に行きたいと思っております。そういうことが私企業として、営利企業としてどんどん経営が成り立っていくということになりましたならば、こういう業種身障者だけでもこの資本主義自由競争経営が成り立っていくという、こういう明るい一つのエグザンプルになるわけでございまして、もしそうなれば、そういう業種身障者だけで雇用率をうんと、藤田先生指摘のように、一〇%に上げても二〇%に上げても、電子工業のそういう部門については支障がないわけですから、そういう明るい面も事業主自体から出てきております。そういうことをひっくるめまして、身障者就職というものにつきまして十分配慮してまいりたい。ただ、根本的に西ドイツのように、法律雇用率を義務づける、あそこは特に戦傷病者を中心とした身障者雇用政策でございまするが、こういった基本的な問題につきましては法律改正を要するわけでございます。現在、審議会——私は審議会審議会ということはあまり好かないのですけれども学識経験者をもってする審議会に御審議をいただきまして、その結論を待って法律改正という問題につきましては検討してまいりたいと、かように思っている次第でございまして、ただいま労働省として実施していること、並びに、労働大臣として考えておりす一端を申し述べましてお答えといたしたいと思います。
  9. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私の尋ねているのは、審議会をあまり好まぬというのはそれはそれでいいでしょう、それはそれでいいでしょうけれども、今日就職希望者が、働きたくてもハンディキャップで働けない人をどうするのか、いま民間努力されるのもいいけれども、やはり国の事業、国の仕事でどれだけの責任範囲雇用者を雇うという、それから全体の事業を見渡して、たとえばこれなら身体障害者でやれるというような職種を指定して、そうしてそれを身体障害者雇用の対象の根本、それを軸にして民間に奨励をするとか努力するとか訓練するとかして、雇用が保障されるというならば訓練所へみんな入ります。だから、そういうことを私は聞いておるのです。それではぼつぼつ検討するということではなく、その根本的な意思です。二回もその答申を受けて、まだ十分にそれが出ていない。厚生省福祉審議会もそういう答申を出しているが、それもまだ進んでいないというところが問題なんだから、至急にこれと取り組むという大臣決意のほどを示していただければあとは具体的なことについてはほかの方から聞きますから。
  10. 早川崇

    国務大臣早川崇君) 御指摘のように、前向きに検討してまいりたい決意でございます。現状ではもちろん不十分でございまして、現状の不十分の面は法律上の面があるのだから、審議会答申を得まして前向きに検討してまいりたいと、かように考えております。
  11. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は、これは担当は職安局ですか、職安局は見えておりますか。
  12. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 岡部審議官が見えております。
  13. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 それではお尋ねしますが、私は、身体障害者対策を今日までどうやってきたかということですね、第一に。  それから、三十七年の答申、それから、四十一年の答申について労働省は何をやってきたか。ここに少し身体障害者民間云々という、根本的でない、はしのほうの対策がこの法律に出ているわけですが、政府国家機関がなぜ率先して範を示すように雇用対策を立てないか。たとえばエレベーターの操作であるとか守衛であるとか、または最近道路公団公共事業のああいう事業ができる、そこのチケット渡しとか、いろいろ私は身体障害者でできる職業というのはたくさんあると思う。そういうものをなぜ指定をして身体障害者の救済ということをやらないのか。そういう点はどの審議会答申を見ても、そこまで職種分析をしていませんけれども雇用ということを第一に掲げ、そして生活の、要するに残存労働力ぐあいによって保障措置というものが議論されておる。厚生省身体障害者福祉審議会というようなものの答申なんかお読みになったのでしょうかと私は聞きたくなるくらいなんです。だから、そこらを含めて、今日までどう身体障害者対策をやってこられたか、これをまず第一に聞きたい。
  14. 岡部実夫

    説明員岡部実夫君) 藤田先生ただいま御指摘いろいろ問題点につきましては、四十一年の八月の、いわゆる身障者審議会答申の中にもいろいろ触れておるところでございます。で、その中で私どもどういうものをやってまいったかということでございまするが、ここに指摘してありまする職業紹介体制強化の問題とか、あるいは就職促進のための援護措置の拡充とか、そういうことについては、徐々にではございますが、援護措置については、たとえば住宅福祉施設援護から、さらに作業施設に対する融資援助ということにも進んでまいる。それから、紹介体制強化につきましても、これは政府機関でございまするので、一挙に実は大幅に拡充できませんのでございますが、専門紹介官を、徐々にでございまするが、拡充してまいるということで、できる範囲でやってまいったわけでございます。ただ、御指摘のように、それが実は効果の面においては必ずしも十分にあがっておりません。これはまあ率直に私ども認めておりまして、目下、実はこの四十一年八月の答申の際にも、そのことを一応この答申としては中間的に取り上げた答申であって、今後さらに時間をかけて本答申をしたいという趣旨でなされておりまして、目下その審議会でいま先生の御指摘のような諸点について専門的な検討を願っております。近く出されると思いますので、その答申を得て十分検討し、さらに具体的に措置をとってまいりたい、こう思っております。
  15. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 大臣お話を聞いていても、全くもって身体障害者雇用促進するという基本を忘れてしまって、いま民間でどうしてやろうとか何とかなんて、枝葉の議論大臣ともあろうものが私はここでおっしゃると、それほど労働省は全体として身体障害者の基本的な雇用対策に無関心だったと、ちょっと言い過ぎか知らぬけれども、そういうことを言わざるを得ないのですよ。それは身体障害者はどこが雇うにしても、 ハンディキャップがあるわけです、労働には。そうでしょう。身体障害者に対しては半分でいいとか三分の一で賃金がいいというようなところは、そういうことは現実できないわけです、家族を生活させているのだから。どこでも雇おうとしたらハンディキャップがあって、そこで、これはやはり社会貢献的なものに考えるとか、民間ですればそういうやはり観念がプラスされなければなかなか雇うということの観念が起きてこない。これを社会全体で守っていくのが社会保障だと思う。これは社会保障の私は一環だと思う。そう言うて、全部の国民が共存していくという場をつくっていくという調整はだれがするか、これは政府だ。だから、一・一%とか、もう雇用促進法ができてから十年近くなるのですよ。十年近くになった今日になって初めて民間云々というような雇用促進事業団法律が出てくるということで、根元には一つも触れていなかったということは、私は何をおやりになってきたかということをお聞きしたい。いみじくも、単に身体障害者訓練をやってもなかなか来ないというのは、訓練を受けたって、働くところがなければだれも希望して来る人ありませんよ。そのことをお考えになっているのかどうかということまで私は言いたいわけですよ、ざっくばらんに言って。だから、私はもっとまじめに取り組んでもらいたいと思うのですよ。厚生省が今度の予算四つの柱を立てて、そうして身体障害者福祉審議会から出した答申を、四つの柱を立てて、私はこれでいいとは言いません。言いませんけれども、何とか前向きに厚生省がやっているわけです。しかし、身体障害者雇用ということが身体障害者対策前提だと思う。その前提をあずかる労働省が、何かもう一つその対策が進んでいないということでは、身体障害者援護措置というものは前に進まないと私は思うのです。だから、私は、いみじくも大臣お話を聞いておってそう感じたのです。これは感じ過ぎかわかりませんけれども、何かそういうかっこうで、身体障害者援護措置というものが非常におくれておるといいますか、本来あるべき姿でやっていないというぐあいに考える。それはおまえが考え過ぎだ、そういうことをおっしゃるなら、もう少し具体的にやってもらいたい。お話を聞かしてもらいたい。
  16. 岡部実夫

    説明員岡部実夫君) 御指摘のいろいろな点につきましては、何回も申し上げるようで恐縮でございますが、審議会で、たとえば、いわゆる強制雇用制度を導入することが現在の情勢下に可能であろうかどうかという点、それから、雇用率を設定してやっておりますが、その雇用率を高めていくこと、たとえば諸外国の例に見られます、これはいろいろの形で違っておりますが、数字は先ほど先生指摘のように、西ドイツでは、ある規模の事業所には一〇%という雇用率を設定しております。ただ、そういうことがいまできるかどうかということで、私どももいま問題になっている点は、ひとつ率直に審議会で御検討願うということでやっておりますので、先ほど大臣も御答弁いたしましたように、その結論を得まして、ただ、私どもとしては、これは当然やらなければならないことと十分思っているわけですが、なぜ実効があがらないのか。なかなかまた強制雇用——いまの審議会の御議論を聞いておりましても、たとえば義務雇用までやることはどうしてもむずかしいのじゃないか。たとえばやってみても、それを罰則を課して強制雇用させるまではとてもむずかしいのじゃないか。そうすればどういう形で入っていくのがよろしいかというようなことは掘り下げた議論をされておりますので、私どもは率直にその御議論を承り、また、ほんとうにどこから入っていくのか、民間に対する雇用、あるいは公共団体、国を含めましての雇用率を上げていく誘因になるかということを、これは真剣に検討してまいるつもりでございますので、その点は今後の答申を待って具体的に進めたいということで御了承賜わりたいと思います。
  17. 藤原道子

    藤原道子君 関連。先ほどから伺っておっても、私ども毒舌のようですけれども、熱意がないと思わざるを得ない。私はずっと前に一度西ドイツへ参りましたときに、非常に身障者が目立ちました。けれども、すべての人が非常に明るいのです。私はそれを質問したことがあるのです。そうしたら、身障者に対してどれほど保護しても、たとい働く場所を与えても、その人の手のない、足のない不自由さは一生背負っていかなければならない本人の苦痛なんです。したがって、能力の足らざるところは国家社会が補っていくのが当然である、こういう方針で、ある事業所では四%ある事業所では一〇%というように企業に対する義務づけをして、それで足らざるところは国家社会が補っていく、こういう方針なんです。それで、国立の博物館ですか、行って見ました。受付をやっている人が足のない人、足がなくても、受付は電話があれば十分できる。案内をして説明をしてくれました人は手のない人でございます。手のない人でも、やはり案内して説明していくには何ら支障がない。こういうふうにして職種を選べば幾らでも私は身障者は使えると思うのです。ところが、いまあなたのおっしゃるのを聞いておりますと、十年近い歳月を通しながら、いまから答申を聞いてから何とかする、こういうことは私は聞き捨てにならないと思うのです。ことに官公庁が率先して、そうして持てる能力を生かしていこうと思えば、私は幾らでも職種はあると思うのです。ただ、見た目が悪いとか、やはりあの人にはどうもじょうぶな人だけの能力がない、あたりまえです。能力が劣ればこそ身障者対策というものがいわれているのです。普通の能力があれば、何もこんな身障者雇用法というものはなくたっていい。能力がどうしても劣る点があるからこそ特別にこうして保護政策を考えているのでしょう、お互いに。ですから、そういうただその場だけを切り抜ければいいというような御答弁では私どもは納得いかない。で、官公庁あたりが率先してその能力を開発して、りっぱに役立つというふうにもっと真剣に考えてほしいと思うのです。やれば幾らでも私は職種はあると思うのです。そうして訓練所を出たって、訓練所内容にも私は問題があると思う。  それから、先ほど身障者住宅が話されましたが、あるところへ行って見ましたら、下のほうが普通の住宅で、身障者住宅は高いところにあるのです。さか立ちじゃありませんか。足の悪い人たちが坂を登っていかなければ住宅まで帰れない、どんなに苦痛かわからない。もし愛情があるならば平坦地へ身障者住宅は建てるべきじゃありませんか。しかたがないからやるんだということがあらゆる場所で目につくのです。そういう点はどういう指導をしていらっしゃるのですか。身障者住宅なんか山の上にある、そんなばかなことはありませんよ。私は行って見てびっくりした。愛情欠如といわなければならない。その点についてお伺いしたい。
  18. 岡部実夫

    説明員岡部実夫君) ただいま熱意がないというおしかりをちょうだいいたしましたが、実はヨーロッパ諸国の身障の問題の取り上げ方が、第二次大戦以前、それから第二次大戦以後と、いろいろ変わってまいったわけでありますが、一つは、やはり戦傷者の保護の問題、援護の問題、それから労働災害を受けた人たちの保護、援護の問題、そういうことからいろいろ発達をいたしまして、それで、社会的に、やはり一般的な身障者に対しても十分社会全体の責任として保護、援助していくべきだ、こういう発展のしかたをしてまいったのであります。  そこで、私どもがその身障者雇用促進をはかるためにいろいろもっと強力に働きかけるべきだ、これは仰せのとおりでございます。そこで、たとえば強制雇用の問題にいたしましても論議をされているのですが、社会的にやはりそういう受け入れる環境なり情勢なりがないとなかなかむずかしいのではないかという議論も一方にございますので、ただ、いま御指摘のように、もし国としてそう考えるならば、まず国とか公共的な機関、あるいは地方公共団体等については率先してすべきだ、これは仰せのとおりでございますので、いま設定をしておりまする国等に対する雇用率がこれで満足すべきものであるかどうか、これはいま前向きに具体的に検討をしているのであります。そういうことで、ただ、いま審議会でもいろいろ言っておりますのは、まず、その雇用率が設定されながら、全般的にはほぼ達成されておるけれども、未達成なところが現にございますので、まず、それをどうすれば達成できるようになるのかということを重点に取り上げておりますので、十分目標を達成する方途について真剣にいま検討されておりますから、私ども今後さらに、これは単なる口先だけでなく、十分やってまいりたいと思っておりますので、その点でいままでのところはひとつ御了承をいただきたいと思います。
  19. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 あんまり理屈を言いたくないのですが、昭和三十五年にできたときに、公務員や官公庁は一・五%までする、民間のほうは一・一%する。なかなかむずかしいといったら、一%でも〇・五%でもむずかしいわけですよ、単に労働力生産ということだけ考えたらそうなるわけです。身体障害者援護するというのはどこから始っているか、身体障害者生活を守り、その方々を社会全体で包んでいこうというところから身体障害者雇用法というのが始っているのでしょう。あなた審議官で、職安局のこういう基本的な問題を討議される柱ですから、たとえばいま二百万の技術労働者が不足していると、こう労働省はおっしゃっておるわけですね、そういう事態で、身体障害者にも技術のある人があるし、教えればまた技術も生まれるし、教えたらここへいくのだということも出てくる。私は話は順番に出てくると思います。しかし、そういうのは、先ほどあげましたように、特殊な例で、特殊な事業には身体障害者でもできる。官公庁の事務は一・五%を一〇%に上げるとか八%に上げるとか、そういうことを政府機関が率先してやって、それに対して職業訓練とか、民間もこうやってもらいたいとか、どうしても民間官公庁と差がついていますよ、つけざるを得ないでしょう。そのかわり、義務づけたのだから、援護措置事業にしています。そういうことの根元は、何といったって雇用法でこれを縛ることです。法律で縛ることはむずかしいというなら、三十五年に何でそんな縛る法律をつくったかと言いたくなってくるのです。だから、そういう議論じゃなしに、もっと真剣に、ここにありますけれども身体障害者雇用法を見てみましても、たとえば御主人がなくなったときの未亡人の職業をどうするか、どう保障するか、事業の中で事故傷害責任は使用者にあるわけですから、解雇制限をどうする。その人自身が社会の中で何らかの残存している労働力を社会に貢献をしながら生活を立てていく、人世を送っていくという道を外のほうから守っていくのが今日の私は筋道じゃなかろうか。いみじくも大臣の先ほどの発言を聞きますと、私は審議会なんというものは好かん、こういう話が出てくるなら、なぜ労働省が行政の中で国家責任を果たそうとしないのか。私は、そういうことが一つもやられてないでどうだとかこうだとか、最後になったら、いま岡部さんのおっしゃるように、審議会にかけていますから、審議会からきてからやるというようなことは、少しどうもわれわれから見てなかなか納得できないですよ、これは。だから、私が大臣にさっきお尋ねしたのは、前段のお話は要らない。それぐらいの理解があって、労働大臣というのはそれぐらいの身体障害の現状というものに理解があって、それじゃ身体障害者雇用法というものを改正するとか改善するとかいうことを、かくかくのことをやりたいと思っていますという答えがあれば、私はもう一言もそれ以上言いたくなかった。しかし、そういうものをどけてしまっているということは、私は労働省の中でそういう議論が行なわれていないのじゃないかと思う。そういう考えがないから、大臣というても万能でありませんよ。先日来られて、大臣からいみじくもああいうことばが出たが、だから皆さん方は日々おいでになって、そうしてあらゆる角度から問題を提起しておいでになるでしょうけれども、基本が少し違ってはいないか。だから私はそういうことになってはいないかという心配をしているところなんです。だから、そういうところをまあ進めてもらうにあたって、私はこれから二、三具体的なことをお聞きしたいと思います。  たとえば具体的に東京都が精薄児や身体障害者雇用促進対策の一環としてそれを四十一年度からやっているということを聞いているのですが、これはどうなっているか、これをひとつお聞かせいただきたい。  それから、もう一つ一緒に言いますが、身体障害者雇用審議会審議中であるのでありますけれども、いまどういう審議の段階にあり、いつ答申になるのかというようなこと、それを二つ答えてください。
  20. 岡部実夫

    説明員岡部実夫君) 東京都の関係は、後ほど資料を見まして御説明申し上げたいと思います。  審議会のほうは、いま審議会専門部会で問題を整理しておられる段階でございまして、私どもといたしましては、来年度の予算編成を前に、それに間に合うように御答申を願うということで、予算編成を七月といたしますれば、六月中にはぜひ出していただきたいということでお願いをしておりますし、また、そういう目途で出てまいると思います。  それから、東京都でございますが、これは都自体の施設といたしまして、精薄を含めて、身障者に対して総合的な施設をつくりたいということで計画をしておりまして、これは総合的と申しますのは、いわば機能回復の問題と、それから職業の紹介の問題と、これをあわせて機能回復と直結した形の施設をつくらぬとなかなか現実に動かない、こういうことで計画しておるようであります。具体的にはいま手元にちょっと数字がございませんので、どの程度ということは、後ほど資料の届き次第申し上げたいと思いますが、施設というか、そのねらいはそういうところでやっておるように聞いております。
  21. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 これも身体障害者の重要な一環として、まあ具体的にどうやってどうなっているくらいのことはひとつ御理解をいただいておきたいと思うのですがね。それはあとで話をしますが、いま身体障害者雇用状況はどうなっていますか。
  22. 岡部実夫

    説明員岡部実夫君) 最近の雇用状況でございますが、官公庁を最初に申し上げますと、官公庁身障者として雇用しておりまするものが非現業機関で二万五千三百八十七名でございます。現業機関では一万一千百十二名。それから、民間事業場でございますが、これは現在数字として百人以上の事業場をとっておりますのですが、これでは身体障害者雇用数が、いわゆる純粋な民間企業雇用率一・一%が適用される現場事業所、これが六万八千七百六人、それから、一・三%の雇用率が適用されますところが五千七百二十三人、それから、特殊法人等では、これを合わせまして五百八十三名、こういうことになっております。なお、全般的な職業紹介機関を通じての一般的な求職、それから、紹介状況は、四十一年度の実績におきまして、求職者全体で二万三千五百七十人、これはその年度に求職してまいった数でございます。そのうちで就職いたしましたのが七千四十三人ということで、これは四十一年度中の求職と紹介でございます。前に申し上げましたのは在職の雇用者数、こういうことになっております。
  23. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 また四十一年十月現在の私の資料によりますと、雇用率が一番高いのが炭鉱で、三・四七ですね。あとは〇・何ぼという状態なんですね。産業別に見て政府雇用率が一・一二ですか、一・四八ですか、政府機関雇用率が。それで、雇用されている身体障害者の総数は幾らになりますか。雇用されている身体障害者の総数ですね、働いておいでになる総数は。
  24. 岡部実夫

    説明員岡部実夫君) 身障者全体の雇用数は、雇用者全体といたしましては約十一万でございます。
  25. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そこで、視覚障害、聴覚障害、肢体障害合わせて、児童を含まないで百四万八千というこの数字厚生省からとったのですが、これは間違いありませんか。
  26. 岡部実夫

    説明員岡部実夫君) 厚生省の調べでそうなっております。私のほうは直接調べておりませんが、それを基礎に考えております。
  27. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そうしますと、厚生省のこの数字を見ますと、その中で未就業というか、六十三万六千人という数字になっているわけです。この就業というのがどういう事態にあるのかどうか、分析は十分していませんが、雇用労働者が十一万というわけですね、あと三十万は何らかの就業をしている。四十一万ですからそういう数字になるわけですが、いま未就業の人が、重度の人で働けない人もあるでしょうが、その中の相当数というものがやはり職業につきたい、もう訓練したら職業につけるような人が、いま四十一万の中でも、訓練を受けて何か職業ができるといえば、これもそういうできるだけ貢献度の高いところへ移動するでしょうし、それから、六十三万の中で、何割かは就業ができることになるでしょうし、ここの資料を見ると、いまこの中で困っているという数字だけ調べて書いてありますが、それでも一万一千人おると書いてある。私は六十三万の中から一万一千ぐらいの人がいま就職したいというような数字にはとてもならぬと思うんです。どの事業でも、ハンディキャップがあるから雇わない、絶対の条件があるから雇わないということになるわけですから、この数字からとってみますと、なかなか私は希望者が多いのではないか。それから、もう一つの分析をしてみますと、一級から六級まであるわけです。その一級から六級までの間で、一級、二級で三十五万人おいでになります。それから、三級、四級で三十五万ぐらい、それから、五級、六級で三十三万から三十四万おいでになるわけです。この数字を見て、一級、二級という人は、これは労働力のほとんどない人だと私は思います。しかし、三級、四級と五級、六級というのは軽症ですから、軽症といったらおこられるかもしれないけれども、軽い人ですから、三十何万という人、それから、三級、四級が三十七万ぐらいいる、合わせて七十万余りの人、その中からどれだけ就業しているかと出るわけですから、こういう分析からしても、二十万ぐらいの身体障害の人は、何らかの生計を勤労を通じて立てたいということがうかがわれるのではないかと、私は独断ですけれども、そう考えるわけです、軽症の人やその他の人。だから、そういう意味からいっても、私は、やはり中心が肢体不自由者ですから、それが成人だけでも六十一万の肢体不自由者、身体障害者。だから、視覚の悪い人は、たとえばあんま、マッサージの職業につけてあげる。六万近く就業されておりますけれども、二十三万のこの中で働ける人がどれだけおるか、それを厚生省に私は文句を言っておるところだが、障害者のあんまでなくて、目あきのあんまをつくっていくというから文句を言ってやかましく言っておるところですが、こういうようなところを労働省雇用対策の面から、また、職業の就業の面から要求されるところじゃないですか。それから、聴覚、おし、ろうあ者だと思いますけれども、ろうあ者というのは健康体の人が多いわけですから、そういう人にはそういう人の適職があると思うのです。目が見えなければなかなかたいへんでしょうけれども職業も限定されるわけですが、耳の聞こえないろうあ者というのは健康体の人が多いわけですから、勤労の方法があると思う。職業訓練をすれば、その人の生存を勤労を通じて立てていく道が開けると思う。そういうことを見てみますと、七十万、もっと多いかもしれない、働いて生活したいという人はもっと多いかもしれませんけれども、大体三級以下七十万から七十二、三万の人がおる。それが就業したいというのが四十万ぐらいですね。この厚生省の統計で一・一%という統計のとり方は、私は疑問があると思うのです、この統計のとり方は。それは何ぼ言うたって、働く場所がないんだからメーファーズ的な感情になっている身体障害者の方が多いと思います。それはやはりその労働力を生産を通じて社会に貢献してもらうという道をつけるのが労働省仕事じゃないか、そういうぐあいに思うわけであります。そこで、労働省がことしの予算からくるのについて、いま雇用促進事業団法の問題点が出てきましたけれども、主として人間の生命に関するものは厚生省がやっているわけですが、身体障害者の相談員の設置とか、内部疾患も身体障害者の適用に入れる、通院も身体障害者の中に入れるとか、また、家庭奉仕員を派遣して家庭訪問をしてやるとか、四つの柱で相当な施策、これはまだ身体障害者から見れば何ですけれども、たとい一歩でも踏み出そうとしてやっておる。これを労働省は、岡部さん御存じでしょうかどうでしょうかということを聞きたいわけです。これはやはりセクトの問題じゃないでしょう。身体障害者対策というものは、雇用の問題も福祉の問題も、労働省厚生省が話を密にして何とか努力していく、身体障害者福祉審議会答申にも、やはり対策は十分に立て、しかし、訓練雇用の問題が、やはりその人自身の気持ちになりかわってみれば柱であるということを書いているわけです。そういうことからして、私は、どうも労働省は、ここに答申がありますから、私はお見せしてもいいけれども、あなたのほうは厚生省から取って、これが出たときから身体障害者の問題について、この問題も昨年の答申とあわせて検討されてきたのかどうか、それから、社会保障制度審議会社会保障的な三十七年度に出しました問題の中にも、重要な問題として掲げているわけですね、不自由者とか身体障害者。それがそのもの自身のすべての問題は根本的には援護であるけれども、何としても、全体がまとまっていくのは援護とやはり勤労ですよ。勤労というものが柱になって社会が進んでいくわけなんだから、そこらをもっと真剣に考えてもらわなければ話が前に進まぬのじゃないかということを私は言いたいわけです。どうですか。いま厚生省やその他の問題だけ言ってください。
  28. 岡部実夫

    説明員岡部実夫君) ただいま先生から身体障害者の全体の数字の問題についていろいろ詳細に御指摘がございした。私どもも大ざっぱに申しまして、身障者が百万、その中で四十万が一応何らかの形で就労している。六十万がいま先生お話で、就業可能でもってしたいのだ、その中には不可能な方もおられましょう。ただ、その数字全体のあり方と、私どもがいわゆる安定所を通じてとっておりますこれは現在安定所が四十年の末までに登録が六万ちょっとございます。それで、そのうちで求職を申し込んでまいりまして、現在さらに有効求職中のものが一万五百九十六、それから、四十年度までに安定所でずっと職業紹介をして就職してまいったのが四万五千六百九十五、これはまあ有効、そのうちで、さらに有効求職として残っているのが一万ございます。こういうあれで見ますと、いま藤田先生指摘のように、身障者全体の数から見て、安定機関の網にかかってまいるといいますか、把握し得るものが非常に少ない。これを審議会でも非常に問題とされまして、一体ほんとうに就業したいが、まあ安定機関に行ってみてもどうにもならぬだろう、こういうことで来ない面もあるのじゃないか。そこで、やはり一つの面は、いま御指摘のように、厚生省でいろいろ行なっておりますが、職業更生関係の指導所、その他特にやはり安定機関とが緊密に連絡をとって、かつ、具体的に職業相談等の連絡をとって、それで安定機関に結びついてくると、こういう形をとらないとだめではないかということでございまして、率直に、いままで厚生省関係のいわゆる身体障害者の更生指導関係事業職業紹介関係の機能が十分有機的に結びついてないと、これも審議会等でも出ておりますし、御指摘の点もございますので、今後そういう面からも連携を強化してまいりたいというふうに思っております。ただ、安定機関としては、いまともかく安定機関に出てくるものについて、できるだけまず全力をあげてやりたいと、こういうところで目下のところはやっておりますので、その点だけ申し述べたいと思います。
  29. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 問題が少しこまかくなるわけですが、いま雇用関係からいっても、民間は八千に近いものがまだ一人も雇っていないところがあるわけですね。そういうことについてはどうしておいでになるか、今度は法律が出るとちょっと変わってくるわけですけれども。それから、身体障害者を雇うほうは、できるだけハンディキャップがないように仕事をさせようとする、そういう状況が想像されるわけですけれども、そうなってくると定着ができていくのかどうか、一ぺん就職した人が定着を続けているかどうか、そこらのところもちょっとお話をいただきたい。それから、実態調査をされたということですが、実態調査をひとつ出してもらいたい。この三つひとつお答えを願いたいと思います。
  30. 岡部実夫

    説明員岡部実夫君) いま御指摘のように、雇用率達成しておりません事業所が約八千でございます。これについては、具体的に安定機関からなぜ達成できないかということを個々に照会をする。ただ、その結果は、最終的にはやはりその職種というものを十分に把握いたしまして、これならばほんとうに雇えるじゃないかと、こういう説得ができる態勢にならないと、事実上未達成を強制的にやらせるという強制力も十分にございませんものですから、いまもっぱらほかの事例を示しまして説得をしていくということでやっております。ただ、なかなか進んでおりませんで、未達成がいまのように多いのでございます。これも審議会でそれを達成されるための手段を検討されておりました。  それから、定着の問題でございますが、これはいま確実な数字が実は手元にございませんので申し上げにくいのでございますが、おおむね全般といたしましては、定着はほぼよろしいということです。というのは、一回現に就職しておられる方について、これはほぼ定着が、一般のあれと比べまして、特にひどいということではないように聞いております。ただ、その間にいろいろ障害等が悪化していくような場合等、それらは別といたしまして、通常の場合に、固定した障害者については、ほぼそうひどい離職率ではないというふうに考えております。具体的には実態調査等を御提出申し上げまして御説明したいと思っております。
  31. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 実態調査をおやりになったんでしょう、身体障害者の実態調査をおやりになったんだから、その資料をいただきたい。
  32. 岡部実夫

    説明員岡部実夫君) 就職状況の実態調査をしておりますので、それをまとめて数字的なものはお出しいたします。ただ、その中に、いま言いました定着のための要するに追跡調査をやっておりませんので、その辺の具体的な資料は御提出できかねるのでございまして、御了承いただきたいと存じます。
  33. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 実態調査をおやりになったのなら、求職、それから、就職状況がどういう状況であるか、職業安定所の窓口でその移動状況もわかるでしょうし、現状の平面的な調査ということじゃ、ちょっと何ですね。一回とにかくおやりになったというだけですか、その瞬間をとらえて。
  34. 岡部実夫

    説明員岡部実夫君) いま御指摘のように、実態調査と申しますのは、主として安定所の窓口から紹介をした就業状況調査でございます、いまやっておりますのは。ですから、全体の身障者を雇っている事業所に対して、その実態を調べるという広範な調査はやっておりません。ただ、一、二、審議会等の必要によってある事業所を個別的に実態を調べた程度のことはございますが、総合的な実態調査としては、安定機関を通じて、安定所から紹介されたものの就業、これを統計的につかんでおる、こういうことでございます。
  35. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 その調査をやられたこと自体についてとやかく言うわけじゃないけれども、どうもあまりにも熱意がなさ過ぎるという感じですな。それでいけなければまた職安へ帰ってくるというのが常識でしょう、そこの職場でいけなければ帰ってくる。そうしたら、この四万五千の身体障害者の就労あっせんも、その一人の人が何回になっているか、それ自体もわからぬということになりますね。たとえばAのところへ働きにいってやめた。また今度は職安の窓口へ来てBのところへ行った。これをやめてまた帰ってきてCのところへ行ったというようなことを含めて四万五千ということになるのでしょう。その個人の重複その他の追及ということがないとすれば、そういうことでしょうか。現状のいまの瞬間四万五千人定着して働いているという調査じゃないんですか。ただ窓口で紹介したということだけの調査ですか、四万五千というのは。
  36. 岡部実夫

    説明員岡部実夫君) この四万五千は、先ほど申しました安定機関に求職の申し込みがあって、それを紹介して就職しているという数でございまます。
  37. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 しているじゃなしに、したという……。
  38. 岡部実夫

    説明員岡部実夫君) そうです。就職したという数でございます。
  39. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そうすると、やめているやらやめていないやらわからぬということになりますね。
  40. 岡部実夫

    説明員岡部実夫君) この数そのものは、このうちの個々の人がその後やめたかどうかということは確実にはつかんでおりません。
  41. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 だから、それが累積でしょうが、もう少しやはり身体障害者ですから、おやりになるのなら、五年間なら五年間という年限をきめて実態を把握してもらいたいと思うのですよ。ただ就職した、半月目にやめてしまっているかわからぬ、またそれが同じように一カ月目に来ているかわからぬ、そういうことはなかなかわからぬという状態ですね。だから、実数が四万五千かどうかよくわからぬ、残念ながら。これ以上この問題は議論しませんが、実際に身体障害者幾らおるか、実数は百四万おる。百四万の中にそれじゃ幾ら就業をしているか、幾らの人が困っているか、その対策をどうするかというところまで、これはちょうど厚生省も同じ援護処置があるわけですから、十分に連絡をとってやっていただきたいし、私の先ほど申し上げたのは独断ですけれども、大体それくらいの人が就職希望しているのだけれども、お先まっ暗だから就職希望を放棄しているという条件にあるのじゃないか、こういうぐあいに推定をしているわけですから、どうしてもやはりそんなに民間にどうやのこうやのと、ハンディキャップが、初めからこの人の労働力は五〇%だから、子供がおろうと家族がおろうと、賃金所得は五〇%で、生産から見ればそういう理屈は立つでしょうけれども、他方、プラスこれは国から援助してその五〇%の所得を六〇とか七〇とか八〇に上げてやる、また、国のほうでも仕事をさせる、国のほうも身体障害者援護するという、この愛情が流れてこなければ私は話にならぬと思うのです。それには絶対条件としてこれだけの身体障害者を雇うという条件がもとになければ、柱がなければそれはもうなかなか進みませんと私は思う。しかし、統計を見ると、炭鉱ですね、斜陽産業といわれる炭鉱の中でけがが多いわけでありますけれども、それでも三・五も身体障害者を雇っておる、ほかの景気に乗っているところが一・一%も雇ってないというこの状況はどうなんだ。そこらも私は経済の仕組みのうち、労働省の直接の担当じゃありませんが、労働省が要求をしてやっていく。むろんその上に立つのは政府機関政府事業です。それから、、職種をきめて身体障害者の働く場所をやっていくということに突っ込まない限り、身体障害者雇用というものは解決点が出てこないと思うのです。その点を私はあまり長くやりませんから、ひとつ力を入れてやってもらいたいと、こう思うわけです。ただ、零歳以上の身体障害者でいきますと百十四万六千人いるわけです。だから百十四万六千人の重度の方々やその他の子供ですね、身体障害児のほうは主として厚生省がやらざるを得ぬから厚生省がやるわけですから、そこらの関係をどうしていくかということも、真剣にひとつ労働省は考えてもらいたいと思うのです、厚生省と相談をしながら。そして訓練、本来言えば身体障害者福祉審議会、リハビリテーションを中心とした福祉審議会、それと身体障害者雇用審議会ですね、答申を見たって似たようなことになるのですよ。焦点が雇用認定、片一方は援護ということになるわけです。むしろ行政の何で分かれているのか知らんけれども審議会というものが私は一本でもいいというくらいに思うわけですね。その点は雇用されて働いて所得を得ておれば援護という問題は抜けていくわけだし、どうしても働けぬという人なら、何ぼ成年でも援護だけでいかなければならぬわけですから、むしろ非常に関連が強いから、一本で審議会が行なわれていかなければならない。これは予算のことでしかられるかもしれないけれども、そういう点に頭を置いて訓練をしてもらう。訓練局長見えておるわけですから、いろいろ政府ばかりではなしに、身体障害者訓練所、正式な名前はいろいろついておりますけれども、いずれにしても身体障害者のアフターケアとか訓練所とか、それから収容施設とか、都道府県やっておりますね。みんなやっておりますけれども、都道府県は数が少ないから、まだ入った人についての職業指導とか、それから賃仕事を持ち込んで、そこでやって幾らか所得をあげるとか何とか努力をしておりますよ。しかし、それにしてもたくさん入れる施設はそうありませんから入りにくい。しかも、訓練所に入っても、あと就職の保証がない限りは、なかなか入る気もせぬ。苦労して入っても、あとまた苦労するというような感情も身体障害者の中にあるわけですから、私はいま申し上げましたように、たとえば盲人にはどういうぐあいにするか、これはあなたのほうの立場から雇用問題について厚生省によく知ってもらう、それから、ろうあの問題はどうするか、それから、普通の肢体不自由児の問題はどうするか、それから、入れるワクをじゃどうしていくかというぐあいに、根本的にひとつ至急に考えてもらいたいということをお願いしておきたい。次官もずっと傍聴されてよくわかっていただいたと私は思うのです。あなたは元気で、何でも取り組むように私も伺っておりますから、ひとつ次官、責任を持って取り組んでもらってやってもらいたいと、こう思うのです。
  42. 柳岡秋夫

    柳岡夫君 資料をちょっとお願いしておきたいのです、あとから来て申しわけないのですが、この関係資料の中には、いままで大体こういう法案をもらうと、うしろのほうにそれぞれのいま質疑応答なされたようなものが載っておるのですけれども、ここには全然載っておらないわけです。したがって、できれば身障者の総数と申しますか、いわゆる生産年齢における総数ですね。それと、その中で就職希望者数がどのくらいと把握しておるのか。それから、現在の就職状況と、政府関係機関での実際の雇用率、それから、就職者数、雇用数ですね。それから、民間のこれは一々企業別にというわけにいかぬでしょうから、平均でもけっこうですけれども雇用率と、それから、雇用者数、それをひとつお願いしたい。それから、もう一つは、いま言われた答申ですね、これをひとついただきたいと思うのです。
  43. 岡部実夫

    説明員岡部実夫君) ただいま柳岡先生から御希望がございました資料は御提出いたしますが、そのうちで、就職希望する数とおっしゃいましたが、就職希望するというのが安定機関で現在把握している数ということになりますれば、全般的に百万のうちどのくらいということはちょっとつかめませんが、その点だけ御了承いただきたいと思います。
  44. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 要求者、それでよろしいですか、柳岡委員
  45. 柳岡秋夫

    柳岡夫君 よろしいです。
  46. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 もう一つ私は聞いておきますが、この数字でいくと七千七百となりますが、大体八千の事業所がいまの法律の適用を知ってないところがありますね。身体障害者雇用のワク、一%のワクですね、それについては、要するに身体障害者雇用促進法で、計画作成命令というものを出せるわけでしょう、いまの法律でも。しかし、罰則や何かないからほってきぼりになっておるようであります。こういうことについて八千くらいの事業所は知らぬ顔をしておる。雇う気のあるところだけ雇っておる、雇う気のないところは知らぬ顔してということになるが、こういうのは現在のこれどうなるのですか。労働大臣と基準局長になるのでしょうね、その命令書の発行。職安ですか、職業安定所の窓口になるわけですか。それなんかどうなっておりますか、どういうぐあいにやっておいでになりますか。
  47. 岡部実夫

    説明員岡部実夫君) 一応いまの先生の御指摘のように、未達成事業所が約八千ございます。これに対しましては、一応所管の安定所がいわゆる身障者雇い入れ計画命令書というのをつくって出します。この命令書自体の数が、これは必要なと思われる数をそのうち選びますので、四十一年の十月のときに五千八百六十二命令書を出しております。これは要するに未達成事業所のうちで、まあ客観的に見ましてなかなか困難だという実情が見られるところは一応一般の勧奨にしまして、それで命令書を出して、さらにまあ雇用を勧奨したいというところについては命令書を出しているということで、大体八二%くらいでございますが、いまの五千八百六十二に出してまいったわけです。それで、そのうちで、それを受けまして計画書を作成しているものが二百三十六所、このいまの五千八百の対象の中で二百三十六はそれに応じて雇い入れ計画をつくっている。それから、それを受けまして、なかなか常用の形で労働者を雇い入れることは非常に困難だと言ってきておりますのが二千六百六十七、その時点で。これは全体に常用雇用を雇い入れる計画がないということです。そのうちで、さらに身障者の雇い入れが困難なものと言っておりますものが千九十所、この四十一年十月一日のときの雇い入れ計画命令書の運用状況についてはそういう状況になっております。
  48. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 きょうのところはこのくらいでやめておきますけれども、いずれ大臣が見えたら、もうちょっとその事態を把握して、あなたのほうに資料がなくても、資料を寄せて、これに私ばかりじゃなく、実態の質問に答えるように、それまで時間をちょっと置きますから、だから、そういう資料をみんなそろえてくださいよ。身体障害者が何人おって、何人がどうなってこうなってということを一ぺんそろえてもらって、根本原因の問題についてもう少し皆さんの中で議論をしてもらって、それでこうだというやつを出してもらわないと、何かこうぼけていますよ。私が聞いていてぼけている。だから、ぼけないように、あなたのほうの考えは考えであるでようから、それはそれでひとつ出していただいて、大臣もああおっしゃっているわけですから、ひとつできるだけ早くその対策が立つようにしていただいて、その関係資料をみんなに、柳岡さんも資料要求がありましたが、関係資料を厚生省からも寄せていただいて、私のほうから要求すると何か重複しますから、むしろこの関係の資料をまとめて要求をして、どっかから集めていただくならいただいて、また、研究機関もあることですから、ひとつ皆さんに出していただきたい、これをお願いしておきます。きょうはこの程度にしておきますが、ぜひ対策を進めていただきたいとお願いして私はやめます。
  49. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 他に御発言もなければ、本件に関する質疑は、本日はこの程度にとどめておきます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時五分散会      —————・—————