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1967-04-18 第55回国会 参議院 社会労働委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年四月十八日(火曜日)    午前十時二十三分開会     ―――――――――――――    委員の異動  四月十八日     辞任         補欠選任      館  哲二君     横井 太郎君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         千葉千代世君     理 事                 土屋 義彦君                 藤田藤太郎君     委 員                 黒木 利克君                 紅露 みつ君                 山下 春江君                 山本  杉君                 横井 太郎君                 大橋 和孝君                 藤原 道子君    国務大臣        労 働 大 臣  早川  崇君    政府委員        郵政省人事局長  山本  博君        労働大臣官房長  辻  英雄君        労働省労政局長  松永 正男君        労働省労働基準        局長       村上 茂利君        労働省職業安定        局長       有馬 元治君    事務局側        常任委員会専門        員        中原 武夫君    説明員        大蔵省造幣局長  半田  剛君        大蔵省印刷局長  高田 壽史君        林野庁職員部長  吉原平二郎君        通商産業省化学        工業局アルコー        ル事業部長    秋本  保君        日本専売公社総        務理事      山口 龍夫君        日本国有鉄道職        員局長      武田 啓介君        日本電信電話公        社職員局長    遠藤 正介君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○労働問題に関する調査  (三公社現業当事者能力に関する件)  (雇用対策基本計画に関する件)  (失業保険に関する件)  (最低賃金に関する件)     ―――――――――――――
  2. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) ただいまより社会労働委員会を開会いたします。  労働問題に関する調査を議題といたします。  まず、公労協当事者能力問題に関する件について調査を行ないます。本件に関し、御質疑のある方は、順次御発言を願います。  なお、お断わりしておきますが、大臣が閣議中で、すぐ参ります予定になっておりますので、それまで担当官で御答弁願います。
  3. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 きょうは関係者見えておりますか、三公社現業は。
  4. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 三公社現業全部見えております。
  5. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 まず、第一に、大臣がお見えになっておりませんから、いずれ大臣がお見えになったら大臣質問したいと思いますが、大臣にかわって労働省から、今日の春の賃上げ状況はどうなっているか、御説明を願いたい。
  6. 松永正男

    政府委員松永正男君) 先生承知のように、ことしの春の賃上げ闘争は、例年に比べますというと、やや時期的にはおくれております。で、大体各組合とも、要求額は三月末において大体出そろってきておりまして、これに対しまして回答もぽつぽつ出てまいっております。で、要求の額でございますが、大体昨年の要求額比較をいたしてみますというと、平均におきまして七千円ちょっとぐらいになります。昨年よりは二、三%平均におきまして上回っておるというような状況でございます。それから、回答はぽつぽつ出ておりますけれども、先ほども申し上げましたような状況で、時期的におくれておりまして、まだ回答の全体の傾向というものをつかむ状態には至っておりません。しかし、御承知のように、注目されておりました鉄鋼が、平均におきまして四千三百円というような回答も出ております。妥結をいたしました件数もまだ少ないのでございますけれども、全体といたしましてこれも数が少のうございますので、傾向としてこれをつかまえることは困難かと思うのでございますが、四月十五日現在におきまして百二十七社が回答をいたしておりまして、その平均は約三千五百円のアップという回答になっております。現在のところ、そのような状況でございます。
  7. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 今度の問題についての考え方大臣から承りたいと思う。ただ、私は、きょう三公社現業皆さんに御苦労願ったわけでありますけれども、私たちの労働法体系というのは、賃金労働条件労使対等でそれをきめる。本来から言えば、賃金労働条件というのは、その事業、また、職場で働いている労使の中できめられることが、これは日本ばかりじゃない、どこでも大原則だと、私はこう思う。この同じ大原則がいつまでたっても守られない状態が便々として続いておる。たとえば三公社現業、そこで働いている方々労働組合は、当局、相手方と団体交捗できめていく。調停とか仲裁というものは、どうしてもまとまらなんだときに初めてこれが発動してくるものなんだ。今日の三公社現業公労協関係は、ようやくその調停段階云々というような話が今日出てきておるわけでありますけれども、昨年のこの国会でも、人を使っている経営者その人が賃金労働条件、実際自分が使って、自分生産をあげている責任者、雇い主が、労働者には働かすだけぶっ続けで働かすけれども、その労働者賃金労働条件は、自分回答したり自分労働者を守っていくという能力がない。こんなことを三公社現業理事者、要するに経営者でありますか、皆さん方どう考えおいでになるのか。今度の春の賃金要求に対しても、要求がされて三カ月もそのままに置いておいた。しびれをきらして調停申請労働者側からした。一銭の賃上げ回答も、労働条件を守っていくということもやらない。こんなことが続いていいんだろうかと、私はそう思う。皆さんはどういうつもりで、労使関係労働条件をどういう処理でやっていくのか。自分らが直接人を使っているものが、賃金労働条件のことについて一指も触れない、ゼロ回答を続けていってあなたまかせ。あなたまかせというかっこうで、最後は仲裁できまっていく、私はおかしいと思うんですよ。昨年の国会で、いや、当事者能力はあると、あるならなぜはっきりした回答をせぬかと言ってやったら、何か裏のほうで話がきまってきて、真実込めた労働者労働条件を守っていく、こういうことにはならなくて、非常に昨年は残念でありました。ことしは何かことばの端をつかんでみると、この前六百円出したけれども、そういうことはどうもいかぬから、ことしはゼロ回答。いずれ他の賃金云々というようなことで、そしてもうゼロの回答が続くから調停に入った。そしたら、調停解決するかせぬかというようなことが議論になっている。そうして労使間の条件をきめる大原則を破ってそういうことが行なわれている。私は、労政局長はこの問題をどう見ておられるか、労使団体交渉をはずれて、調停仲裁賃金労働条件がきまっていくということがそれでいいと思っているのか。調停概念とはどういうものだ、仲裁概念とはどういうものだということをひとつ、いずれ大臣に再確認してもらうけれども労働省はどう考えているのかということをはっきりしてもらいたい。それから三公社現業の人の意見を聞きたい。
  8. 松永正男

    政府委員松永正男君) ただいま藤田先生指摘のごとく、労使関係あり方といたしましては、労使が対等の立場におきまして交渉をいたしまして、自主的に賃金その他の労働条件をきめていくということが原則であろうと考えます。ただし、三公社現業の場合につきましては、そのような基本原則に基づきつつ、その予算がやはり国会におきまして決定せられるという関係からいたしまして、この予算との関係におきまして、当事者能力はあるけれども、ある程度の制約を受けるというのが現状であろうと存じます。で、おっしゃいますように、できるだけ当事者能力発揮をいたしまして自主的な解決をはかるということが望ましいと考えるのでございますけれども、一面におきまして、いま申し上げましたようなその事業公共性からいたしまして、給与を含めました予算国会において決定せられるということも、また事業の性質上必要な事柄であろうと思うわけであります。したがいまして、現在の状態におきまして、その範囲内におきましてできるだけ当事者能力を各公社労使におきまして発揮をされまして、自主的な解決をはかることが望ましいと考えるのでございます。  なお、この問題につきましては、先生も御承知のように、基本的な労使関係あり方につきましては、公務員制度審議会におきまして審議をしていただくということになっておりまして、政府におきましては、その結論が出るまでの間におきまして、現在の制度をできるだけ合理的に運用をしてこれに対処すべきであるという方針を決定いたしまして、これに基づきまして対処をいたしたいということになっているわけでございます。
  9. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 事業独算制だと、資金予算資金云々という国会承認と、こういうこと。それじゃ国会が開かれて結論が出るまで労使間の団交結論が出なかったかということじゃない。それは政府がかわって自分の納得のいく形で結論をつけている、労使関係賃金労働条件をきめていくという今日までの慣例です。そうでなければどうにもならない面がある。予算資金上の処置については国会承認を求めてやる、これはあなたがおっしゃるとおりです。しかし、おっしゃるとおりだけれども予算資金国会承認なくてはできないということだけで、それじゃその実際の経営に当たっている方々はそれまで知らぬ顔をしていたらよろしい、政府がきめるまで知らぬ顔をしていたらよろしいというのが労使関係でしょうか、そうじゃないと私は思う。三公社現業皆さん方は、これだけのものは必要だから、これだけのものは政府承認してくれという労働者側要求があったら、それが妥当か妥当でないか、出す事業としての能力があるのかどうかということは、要求にこたえて、実質上やれる回答について政府との間に努力を――いまの三公社現業関係ですから、政府との関係がありますが、事前に努力をされて、最大級自主交渉解決をするというところに努力するのがあたりまえです。ただ予算資金上ということだけで何カ月たったってゼロ回答。あまりに不合理じゃないか。これは労働省給与担当大臣の一切責任だ。あわせて佐藤内閣の、人を使って人権を尊重しないこのものの考え方がこういうところにあらわれていると私は思う。だから、そういうことはもう何回も議論して、ここでみんな知り尽くしている問題なんだから、労働省はできるだけの当事者能力発揮するように努力するというならば、それをやはり大いに努力してもらわなければどうにもならぬと思う。これは大臣にあとから言いますけれども。  それじゃ、ひとつ国鉄電電専売というぐあいに、順次関係局長さんや理事皆さん方おいでになっているのですから、ひとつ皆さん方意見を聞きたい。いままでも当事者能力がいかにあるべきか、いかに労使関係条件はきめていくべきかという議論が大いにされました。その中で、ことしも三カ月たっても何の回答もしない。しびれをきらして調停に入った。それじゃ、調停解決するのかどうか。君たちの三権の中の行動権は取り上げるということは法律できめているだけで何にもやらない。わしらがかってにきめてやるからそれに従えと言わんばかりのことを、皆さん方は、どうも政府を含めて、労働大臣にそういうことを言っている。私はそんな労使関係というものはないと、こう思うのです。しかし、当局皆さん方はどういうお考えをお持ちになっているか、ひとつ聞きたい。
  10. 武田啓介

    説明員武田啓介君) 本来、いま先生指摘のように、賃金問題を労使が自主的に解決するのはまことに望ましいことだと存じております。しかしながら、労政局長の御答弁にございましたように、予算資金上不可能な団体協約は、締結はできまするけれども国会承認がなければ実施できないという面で制約がございます。ところで、国鉄の、状態でございますが、先生のおことばがございましたが、三つの組合と昨年来団体交渉をしてまいりまして、その間ゼロ回答ということは実はいたしてございません。国鉄給与賃金は、公務員民間賃金生計費というようなものを考慮してきめるということが法定されておりますので、民間賃金がまだ出そろっておりませんために回答ができないということで実は終始いたしまして、それでいま調停段階になってございまして、過般第一回の事情聴取が行なわれたという状態でございます。調停段階では、当局制といたしまして、やはり団体交渉のときと同じように、民間賃金が出そろっておらぬということが一点と、もう一つは、労使関係のほかに、経営という面からいたまして、支払い能力関係で、今日ただいま回答すべき時期ではないということで終始している状況であります。したがいまして、調停作業が今後進行すると思いまするし、民間賃金が出そろってまいりましたときに判断をする時期がまいると存じておりますけれども、そのときにおきましても、国鉄経営支払い能力があるかどうかという問題を含めて結論を出すというぐあいに考えておる次第でございます。
  11. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) ただいま国鉄職員局長が申されたこととほぼ同じでありますが、電電公社の場合も、二つ組合が現在賃金問題について調停申請をいたしておりますが、この紛争事項は、大きく分けますと二つございまして、一つは、四十一年度中の賃金改定と、四十二年度以降の賃金改定二つございます。四十一年度の問題につきましては、私どもとしては、いわゆるゼロ回答と申しますか、同一年度で二度賃金改定する必要は認めませんのでゼロ回答いたしておりますが、四十二年度につきましては、ただいま国鉄当局からお話がございましたように、ゼロ回答というものはいたしておりません。私ども給与も、同じように、公社法で、公務員民間賃金その他の状況を見てきめると、こういうぐあいに法律できまっておりますとおりに、私どもとしては、現在では民間その他の情勢を見て御回答申し上げる、こういう回答をいたしております。それにもかかわらず調停申請をされておる状況でございます。
  12. 山口龍夫

    説明員山口龍夫君) 私どものほうも四月三日に労働組合側から調停申請がございまして、明日第一回の事情聴取が始まることになっております。  現在までの経過を申し上げますと、大体まあ国鉄電電と同じでございますが、生計費公務員給与民間給与等資料に基づきまして検討してまいっておりますが、民間賃金動向の見通しがなかなかまだ立ちませんので、その動向を見ながら慎重に検討しておる段階でございます。したがって、組合に対しても、そういうことで民間賃金動向を見きわめて結論を出したいとの回答をしてまいったわけでございますが、組合側から調停申請がなされた、そういう段階でございます。
  13. 山本博

    政府委員山本博君) 私のほうの事情といたしましては、いままで各公社お話になりましたことと大同小異でございます。現在のところは私のほうの関係組合二つございますが、いずれも調停申請をいたしておりまして、すでに第一回の事情聴取が行なわれました。その内容は、先ほど電電公社から話がありましたのと同じように、年度内に賃上げという条項と、それから、四月以降の賃上げという二つに分かれております。前者につきましては電電公社と同じ回答をいたしております。しかし、四十二年度の賃上げの分につきましては、私のほうも特例法第三条という一つ法律によって賃金をきめていくという原則がございますので、これにつきましてはゼロ回答ということではなくて、今後の模様を見ながら額というものを考えていきたいということで回答をいたしております。  なお、当事者能力の問題につきましては、現在のたてまえにおきましては、給与総額の問題、あるいは国会承認の問題、いろいろ制約がございます。この国会できめてあります制約の中で最大限の合理的な努力をしょうという方針でございますが、基本的には、将来の公務員制度審議会の中できめていただくことを期待いたしております。
  14. 吉原平二郎

    説明員吉原平二郎君) 林野庁は、総評系組合一つと、それから、同盟系組合一つと、二つございまして、前者全林野労働組合が四月一日に調停申請をしております。後者の同盟系日林労組合では、現在なお団体交渉中でございます。  賃金交渉におきますわれわれの態度といたしましては、大体いままでの各公社現業方々お話と同じでございますが、われわれのほうとしましても、同じく給与特例法第三条にございます民間賃金動向というものを十分注視しておるところでございますが、まだ現在のところ、完全に煮詰まっておらない段階でございますので、いわゆる回答はいたしておりません。その意味におきまして、ゼロ回答ということではございませんけれども組合のほうでは、時期的な問題として全林野のほうで調停申請をしたわけでございます。
  15. 高田壽史

    説明員高田壽史君) 印刷局情勢につきまして申し上げます。  昨年十一月の三十日に全印刷労働組合からベースアップの要求がございまして、自来、三月二十五日まで九回にわたりまして団体交渉を行なってまいりました。われわれもお説のとおり、できる限り当事者といたしまして自主的に解決をするよう努力してまいったわけでございます。それで、団交におきましていろいろ議論をしてまいったわけでありまするが、結局われわれとしましては、四十一年度内、すなわち、組合側の一月一日から給与を上げてほしいという点につきましては、いろいろ研究いたしましたけれども、最度賃上げを行なうことには応じられない。しかし、四十二年度以降の賃金につきましては、今後におきまする民間企業等賃金動向、その他諸般状況を勘案いたしまして、追って回答いたしたいというふうに回答を最終的にはいたしたわけであります。これに対しまして、組合側としましては、三月三十日に公労委に対しまして調停申請を行なったという段階に現在ございます。
  16. 半田剛

    説明員半田剛君) 造幣局の場合も大体他の方の申されたのと同じような状況でございますが、去年の十二月七日に要求書が提出されまして、自来、九回交渉を重ねました。三月三十一日に組合調停申請いたしまして、それで、実は第一回の事情聴取が本日午後行なわれることになっております。  当事者能力につきましての藤田先生の御質問に対しましては、職員に臨む基本的な気持ちといたしましては藤田先生のおっしゃるとおりだと思いますけれども、また、制約されながら当事者能力を持っていることも事実でございますが、労政局長その他の方々がおっしゃっているとおり、やはり公共企業であるという特殊性から、予算その他につきましてある程度の制約があるのもやむを得ないというふうに考えておりますが、今後のこの調停の過程に臨む気持ちといたしましては、他の方が申されたような気持ちと同様な気持ちで今後に臨みたい、こう思っております。
  17. 秋本保

    説明員秋本保君) アルコールの関係につきましても、先ほど来各三公社現業から述べられておりますのと同じ経過をたどっておりまして、三月の二十七日に、現在の賃金につきましては同一年度内に再度賃金改定を必要とするような特別な事情の変化があったとは認められないということで、四十一年度内の賃金につきまして改定を行なう考えはないという回答をいたしております。ただし、四十二年度につきましては、民間企業における賃金動向、その他諸般情勢について慎重な検討を行なった後、あらためて省側考え方を申し述べますと、こういう回答をいたしましたけれども、それにつきまして不満であるということで団体交渉が決裂し、昨日第一回の調停委員会が開かれまして、主として労働者関係労働組合側に対しまして質問が行なわれたような事情でございます。  当事者能力の問題につきましては、労政局長はじめ、お述べになりました点につきまして同じような考えを持っておる次第でございます。
  18. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は皆さんの御意見を聞いているとたいへん時間がかかるわけですが、ただ、電電公社の方、遠藤さんですか、そういう事実になっているのに、かってに組合調停申請をすることはけしからぬという話がありましたね、そういうことでなかったですか、もう一度言ってください、そこを。
  19. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) 私は、かってにとか、けしからぬということは申し上げませんでした。
  20. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 調停申請組合がかってにしているということをおっしゃったのじゃないですか。
  21. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) 私どものほうとしては、かってにということでなくて、組合側からそういう御通告をいただきまして、私どもとしては、先生がおっしゃったように、ゼロ回答をいたしておるわけじゃございません。民間その他の情勢を見て御回答申し上げる、こういう形で自主交渉を進めておりましたところが、先週でございましたか、そういうことになった。私ども協約では、片方が通告をいたしますれば調停申請が可能でございます、こういうことを申し上げたわけでございます。
  22. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 これは当事者能力の問題のものの考え方が、私は、職員局長がみなさんの給与をあずかる中心だと思う。それは了解します。しかし、事業独立採算制をおやりになっているんでしょう、そうしてそこで働いている労働者には独立採算制がとれるようにしっかり働かしておいて、そうして民間がどうの、公務員の給料がどうの、生計費がどうの、私は、生計費の部面から見れば、これだけの物価の値上がりで生計が苦しくなっているというのはどの資料を見ても明らかだと思う。生産もあがって、どんどんと業績をおあげになっている。ただ機械の設備さえしたら生産があがるというものじゃないと思うんです。そうでしょう。そうしてそこの従業員労働者には働かしておるのに、いままで九回団交されたというところが二、三ありましたが、これは団交のときどんな話をされたでしょうか。予算上、資金上ぐあいが悪いから云々、それから、民間賃金がまだ出そろっていないとかきまっていないから云々、その民間賃金というのは、それじゃ同じように事業をやっているのじゃないですか。生産をあげて利益をあげているのじゃないですか。あなたのほうの独立採算制は、生産をあげ、利益をあげて、そして事業そのものが発展しているのじゃないですか。私は、法律できまったということだけをたてに取って、予算資金上は国会だ、賃金をきめるときには民間賃金云々、それじゃ、生計費のことはどうなるのですか。これも民間のことになるのですか。ひとつ国鉄局長さんの武田さんから、生計費が上がって生活が困難になっていることは、それじゃ国鉄理事者側としてはこれはどういうお考えがあるわけですか。
  23. 武田啓介

    説明員武田啓介君) ただいまの国鉄賃金ベースと申しますものは、昨年の四月に仲裁裁定をいただいてきまった賃金でございます。したがいまして、仲裁裁定におきましては、当然公務員給与、あるいは民間賃金、あるいは生計費というものを勘案していただきまして仲裁裁定が出た、このように理解をいたしておりますので、その面ではまず妥当な賃金だ、御指摘生計費も含めまして、まず妥当な賃金である、このように理解をいたしておる次第であります。したがいまして、今日ただいまの時点では、やはり法律にございますように、民間賃金が出そろってまいりませんと比較のしようがございません。大体先ほど申し上げましたように、国鉄の場合に、一方には労使関係賃金ベース要求にこたえなければならぬという面がございますし、半面、経営支払い能力があるかという問題もございまして、両者を彼此勘案しつつ考えます場合に、なお組合に対しまして答える時期がまだ早いという事態に立っている次第でございます。  先ほど申し落としまして恐縮でございますが、国鉄の場合も、他公社のように、組合側からは、昨年度はことしの一月一日からというような要求がございましたが、四十一年度につきましては上げるだけの理由がないというのでゼロ回答いたしましたが、四十二年度以降の賃金につきましてゼロ回答は申し上げておらぬ、こういうことでございますので、よろしくお願いします。
  24. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 国鉄武田さんに代表してひとつ答えてもらおうと思って私は質問しているわけですから、そういうふうに了解してもらいたい。また変わったところがあったら手を上げて答えてもらいたいと思う。  問題は、四十一年度の賃金査定のもとに昨年賃金仲裁裁定できまりました。私どもよく知っておる。それから後、物価の値上げその他の生活苦のために四十一年度の分として追加してもらいたい、これが一つ要求だと思う。それから、四十二年度はかくかく上げてもらいたいという、要求二つになっている。そこで、私の申し上げているのは、第一に、やはり皆さん方が独立採算で事業をやって、そして生産も発展されて、それがどうも法律できまっているからなんというような、一般に日本原則からいっても世界中の原則からいっても間違っているのだ。あなた方はとりでとしてそれに便乗しておいでになっているのかどうか。賃金労働条件は、労働省も言っているように、対等の立場できめるというのだから、皆さん方要求をして法律を変えていただくか、日本の法の原則労使間の法律原則皆さん方労使関係も変えていくというかまえがなければ、むしろそれを橋頭堡にして、その陰に隠れようという考え方では、いつまでたっても世の中の世界的な水準の矛盾というものをはらんでいくのじゃないか、そこらの問題が少しも考慮されていない。昨年も一昨年もここで議論しても考慮されていない。予算資金上の問題をどうするか、政府を代表してその事業理事者との間に相談をして、理事者が一番よく知っているのですから、一番よく知っている理事者労働者との間に団交してものをきめていくというぐあいにこれは労働省は当然指導すべきだと思うのです。国鉄皆さんだけに言っているのじゃない。これは労働省もそうですし、皆さん方も協力してもらいたい。しかし、こういう状態が続くということについて何ら考慮もされていないような皆さんの御返事なんです。私は非常に残念だ。何回ここでやっても、また議論を始めると、少し質問をしていくともとに返っていく。いや、私は、法律がありますからこれでよろしいのだ、こういうことをおっしゃる。聞きたくないか知らぬけれども団交は、ゼロ回答団交を、何べんやってもしようがない。それに、団交をやっているのに組合がかってに調停申請したと、そうとしたら、組合調停申請しなければ、皆さん方はゼロ回答の中で当局側から調停申請されるわけですか。団交というものをずっとやっていって、もしも組合がその調停申請をしない場合、あなた方はゼロ回答のままで調停申請をされるでしょうか。組合が黙っていればそのままになってしまうというのではなおあぶないじゃないですか。そこで、民間のどこでも、労働力によって生産を高め、発展をしている中で、みずからの事業の発展をどうしていくかということによって、民間でしたら、要するに経営者労働者が話をきめて分配をして、そうして次の生産、再生産のために労働者の生活を守りながらいくというのが労使関係労働条件のきめ方の順序であると思う。どうも私は、うがち過ぎかもしれませんけれども労働組合調停申請しなければゼロ回答でそのまま押し切るという考え方が基礎にあるのじゃないか。まあ労働者は黙っていませんけれども、もしも労働者が黙っておれば、賃金も何も負担能力その他云々ということをいって黙って行き抜こうという考え方が底にあるのじゃないか。そのときでも、業績があがらないとか負担能力がないとかいう理屈をおつけになるでしょう。生計費が上がった、物価値上げで生計が苦しくなったというときにはどうされるのですか、その場合。そこらあたりをどういうぐあいに考えになっているのか。それで、生産があがった分はみんなどこへいくのですか。発展した、収益があがる、生産があがる、その分はどこへいくのですか。当局が全部握るわけですか。もっと大きくいえば、政府が全部とって、労働者は生かさず殺さずというものの考え方を三公社現業も引き継いでおやりになるのですか。私は、そこらがどうも労働省もサービスが足らぬし、当局のほうも、三公社現業のほうも私はどうもおかしいという感じがする。あなた方は国に保護されている事業ですからそういうことで済むけれども民間ではそういうことで事業がやれますか。あなた方が民間事業主になったときに、そんなことで、そんな態度でいけるでしょうか。よその賃金がきまったらそれはまあ考えましょうというかっこうで公労協労働者がしんぼうするでしょうか、また、社会がそういうことを許すでしょうか。こういうことを皆さん方当局の中で議論されたり話し合われたことがあるのですか。それから、また、政府との関係においてそこらがちっとも進歩していない。日本の大原則にもとるようなことが平気で行なわれているということは、私は残念でしょうがないのです。労働省はそういうことをどう考えておられるか。また武田さんをわずらわしますけれども、一般の意見を代表してお答えを願いたい。
  25. 松永正男

    政府委員松永正男君) ただいま藤田先生のおっしゃいました基本的な考え方というものは、私は全く同感でございます。ただ、繰り返しくどいようでございますけれども、現在の公共企業体の運営のやり方といたしまして、やはり公共性からいたしまして、国会できまる予算との関係からくる制約、これとどういうふうな形で対処をするかという問題、それから、また、おっしゃいましたように、民間の企業と同じように、経営におきましてパートナーであります労働者の人たちの協力を得るというたてまえからいたしまして、労使関係をどのようにしていくか、基本的には非常にいろいろな問題があるかと思うのでございます。したがいまして、政府といたしましても公務員制度審議会におきまして、これら全体の問題を含めまして御検討をいただくということになっておるのでございますが、当面といたしましては、それらの制度のワク内におきまして、おっしゃいましたような、自主的な労使関係をできるだけ確立していくということがまずやるべき努力であろうかと考えるのでございます。  先ほど来、各公社、各現業職員担当の方々から、団交の実情、現在の状態等の説明があったわけでございますが、これらの方々も、同じような趣旨によりまして、現行制度においてはどのように対処していくかという御苦心をされておられると思うのでございます。その自主的な解決ということが非常に望ましいと思うのでございますけれども、現在におきまして、すでに御報告がございましたように、公労委にほとんど全部の組合から調停申請がなされまして、前に調停申請がありましたものについては第一回の事情聴取が行なわれ、それから、また、今月中にさらに第二回が行なわれるというふうに聞いておるのでございます。われわれといたしましては、そのような段階におきましても、引き続き各公社におかれましても、また、公労協の各組合におかれましても、先ほど来御説明がございましたような、法律に基づく賃金考え方を基礎にいたしまして、労使の話し合いをその調停段階等におきましてできるだけ煮詰めて、早期に解決ができますように、しかし、労使の話し合いでございますので、調停段階におきましても解決ができないという場合には仲裁に移行するということもやむを得ないかと考えるのでございますけれども考え方といたしましては、できるだけ今後の段階におきまして交渉を煮詰めて、そうして早期に円満な解決ができるようにという御努力をお願いをいたしたいということが、目下労働省といたしまして考えておりますところでございます。
  26. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) じゃ国鉄武田職員局長さん、御意見ございましたら……。
  27. 武田啓介

    説明員武田啓介君) いま労政局長からお話があったとおりでございますけれども、またくどいお答えで恐縮でございますが、国鉄賃金は、先ほど申し上げましたように、昨年の四月の仲裁裁定諸般事情が勘案されておるという理解に立っておりますので、今後民間賃金のたとえばベースアップが出そろう、これは仮定の話でございますが、そういう場合には考えなければならぬ。しかし、一方には支払い能力の問題があるということでございます。  それから、御指摘のございました、もし組合側が黙っていた場合という、これは文字どおり仮定の議論でございます。そういうことはなかろうかと思いますが、その場合に、国鉄は、労使関係と、それから、経営能力といいますか、経営状態というものからいたしまして、賃金を上げるべき能力がございますれば、それをやるようなつもりで仕事をしなければならぬと、こう考えております。しかしながら、たとえば目下国会において審議をちょうだいしております四十二年度をとってみますと、収入におきまして八千二百億をこえる収入を計上してございます。もちろんお願いをしている以上は、努力をしてその収入に到達しなければなりません。しかしながら、過去数年間見ておりますと、国会で御決定願いました収入予算の確保ということには、過去におきましては実は到達いたしておりません。くどいようでございますけれども、最近の輸送形態、輸送内容の変化によりまして国鉄経営そのものは相当変貌いたしております。また、かたがた、これも御承認をいただいております国鉄の体質改善のための長期計画のために、これも工事経費として三千七百八十億円お願いいたしております。これはぜひともやらなければならぬというような事態になりました場合に、支払い能力という問題は大きく出てまいる次第でございまして、気持ち先生のおっしゃいます気持ちに非常に賛同申し上げたいわけでございますが、実際問題としてそのようにまことに苦慮すべき状態にある、このように考えておる次第でございます。
  28. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は、いま御返答がなかったのですが、予算資金上の問題というのは、非常に国家財政との関係で疑問があると思う。しかし、いままでの賃金の手続、たとえば民間がどうとか公務員がどうとか、そういうことを考えなければ三公社現業賃金はきめられないと言うが、あなた方の事業独立採算制なんです。それを見なければ考え方が出ないのでしょうか。そこらがどうも私にはわからぬ。だから、対等の立場できめるように予算資金上の結末をどうするか。みんなで寄って考えたらいい考えが出てくると思う。しかし、働いている人は、民間であろうと公社であろうと現業であろうと、やはり生産をあげて国家社会に奉仕しているわけです。奉仕している基礎は労働者ですよ。むろん設備もあります。その人に、よそのところがどうやこうやと、よその事業状態というもの、出てきた結論だけを見て、そして判断をする、このくらいでよかろうというものでしょうか、賃金というものは。私は、どうも真剣に生産をあげて社会に奉仕する事業をおやりになっている経営者としてのかまえがないような気がする。ただところてんみたいに押し出して、よそがきまったから似たようにする。なぜそれをもっと労働条件賃金を対等の立場できめるという原則にお戻りにならないか。それでなければ労働者はいつの場合でも要求をし、抗議をし、闘争をしなければ当局は世間並みの賃金にできぬと言う。そして闘争するとか要求するということは、当局のほうはむしろ排除するようなかっこうばかりやっている。私はこれではどうにもならぬじゃないかと、こう思う。だから、これは労働大臣、石田総裁からみんな来ていただけると思っていた。職員局長さんを中心として、人事担当の局長さんがおいでになったから、かわってお答えになっていただくという形ですけれども、みなさんのお答えを聞いていると、労働者賃金の事務的な面だけをおっしゃっているという感じです。その事業体を代表しておいでになっているという感じが出てこないのです。非常に残念です。私は、今日の状態でどうやったらいいかという議論はまたあらためていたします。今度は総裁、代表者の皆さんに来ていただいて、この当事者能力をどう生かしていくか、普通の事業における立場というものを私は貫いてもらいたいと思う。労働者も、ただ資金予算云々だからどうにもならぬというようなことでは、私は労働省の任務はつとまらぬと思う。働いているのは百万からの労働者なんですよ。その労働者団体交渉をやったら返事ができぬ、だから調停に入った。いままでの例からいいますと、調停結論が出る、それまでゼロ、仲裁裁定が出るまで何も知らぬ顔をしてほうっておいて、それで仲裁裁定で何かさせるとぐにゃぐにゃと話をして、労働者をあの中へ入れて、出血的な解決をしたといわんばかりで、手も足も全部もいでしまって、そうして公労協賃金解決するなんということは、私はたいへんなことだと思う。それを労働省としては知らぬ顔をして見ているとは私は言わぬけれども、どうもあなたのほうの、たとえば労働基準法にもぴしっと書いてあるし、いまの三権を認めた憲法があるのに、段階的に行動その他の制約を受けているというのをほうっておいて、そうして手も足もほとんどもいでおいて、まだもう一つ手も足ももいでしまう、そうして法治国だから法に従えと言う。それで労働条件は対等だとか、世界の水準に合わぬようなことをやっておいて、頭から押しつけて、それで一生懸命に業務的にはこれを働け、あれを働けと言う。勤労者は生活を立てようというのが全部の労働者気持ちだと私は思う。だから、自分の社会的な役目というものを自覚して、生産増強その他で一生懸命働いて、よりよい生活をしたいというのが労働者気持ちだと私は思う。その気持ちも、労働者の社会に対する貢献的なものの考え方も全部無視してこんな労使状態がいつまでも続いていくというようなことは、私は、当局職員局長や人事局長皆さん方は事務的な面をつかさどっておいでになるのだから、労働省としては、または事業体の総裁、理事と申しましょうか、その代表になる方々は、こんなことをいつまでもやっておいてはいかぬ。本来、きょう当事者能力の問題で質問したいといったら、総裁でもきょうお見えになって、私ども事業ではかくかくで、こうなっているから、そうしてやりたいぐらいの話が私は聞けたと思う。法律的な手続はきょうここで話がつくわけではございませんけれども、その大原則はそうあるべきだということを私はやはり明らかにしてもらいたかった。しかし、残念ながらこういうかっこうなんです。私はあまり時間もないし、順番がありますからあまりできませんけれども、しかし、こういうことが連年続いておって、昨年も一昨年も労働者の願っていることが全部白紙になって、のうのうとして職員局長さんがおいでになってこういうことをおっしゃるのでは、私は残念の一語に尽きると思います。私は、その中で団交をやられたという造幣局の皆さんにひとつお聞きしておきたいのは、九回団交をやられたというのですが、その九回団交をやられた内容はどうであったのですか、具体的にちょっと聞きたい。
  29. 半田剛

    説明員半田剛君) 造幣局におきまして調停申請に至るまで九回やりましたことは先ほどお答えしたところでございます。その内容のこまかいことは省きまして、主としては、もちろん最初に向こうの要求書が出てまいりまして、それに対しまして組合のほうから概要の説明をいたしまして、それで造幣局の交渉委員のほうからそれに対して資料についての質問とか、そのほかいろいろな資料についての議論そのほかいたしまして、それで、結局最後に、ほかのほうでも申されましたとおり、問題を四十一年度の問題と四十二年度に分けまして、四十一年度につきましては、昨年の五月十九日の仲裁裁定に至ったというわけで、これによって賃金改定をすでに行なってあるわけですから、再び年度内における賃金引き上げをするわけにはいかない。四十二年度は、これもよそでお答えいたしましたけれども、今後の民間賃金諸般情勢を検討の上、あらためて回答するというようなことで三月に至りまして、三月の二十八日でございますか、それで三月の三十一日調停申請したというわけです。要するに、向こうの組合要求に基づきまして説明を聞いて、それについていろいろな資料に基づいて、いろんな議論と申しますか、こちらからも答えるということを行ないまして九回になったと、大体こんなふうなわけです。     ―――――――――――――
  30. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 途中で恐縮ですが、ちょっと報告事項があります。  委員の異動について御報告いたします。本日、館哲二君が委員を辞任され、その補欠として横井太郎君が選任されましたので、報告いたします。     ―――――――――――――
  31. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 いま経過をおっしゃいましたけれども、結局四十二年度の要求に対する返事は何にもされなかったということですね。そういうことになるんじゃないですか。あなたのほうの労働者皆さん賃金労働条件を具体的にどう上げるとか何とかいうことについては、待ってくれの一点張りですね。そういうことですね。これはどこも似たようなかっこうだと私は思うんだけれども、そんな状態でおって、経営者として、働いている労働者関係について良心が許すんでしょうか。私はそういう疑問を持つんですよ。電電公社遠藤さんですか、あなたの気持ちを言ってください。
  32. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) 端的に申しますと、私は責任が果たせると思います。というのは、いま先生のおっしゃっておられる当事者能力の問題と違いまして、私ども賃金の水準というものは、民間の会社と違って、やはり公務員でありますとか民間賃金状況によってきめる、こういう原則法律にも書かれておりますが、私は正しい姿だと思うのであります。
  33. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 あなたはそういうものが正しい姿だと言って、あなたのところは事業をおやりになっているんです。それで事業を拡大し、業績をあげておいでになるわけでしょう。それならば、あなたのほうで、他力本願じゃなくて、自力本願でその労働者の生活を守ったりするという発想になるのはあたりまえじゃないですか。いまの法律体系からくる事務手続きはあなたのおっしゃるとおりでいいかもわかりません。しかし、あなた方は人を使ってるんでしょう。そうしたら、法律原則は対等の立場で賃金労働条件をきめるとなっているじゃありませんか。それを段階的に制約しているというかっこうのものが日本状態で、それが正しいということには日本の中でもならないし、世界じゅうの労使関係がどうなっているかということぐらいはよく御存じのはずです。なぜ直そうとしないのです。直そうというお気持ちになれないのですか、私はそこを聞いてるんですよ。いまの法律の事務的な面からいえば正しいということになるかもしれぬが、そんなことで事業の発展や国家社会の発展というものはあり得ないじゃありませんか、どうなんです。
  34. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) 私が申し上げておるのは、民間会社と違いまして、私どもの場合には、たとえば料金も法律できめていただいております。そういうような事業でございますから、したがって、端的に言えば、もうかったものを全部どういう形でやるかということについては、いわゆる賃金の基準というものにつきましては、私は、法律一つの基準がきまっているのを守っていくということは、現在におきましても正しいことだと思っております。
  35. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 あなたのほうは、そうするとこういうことですか。事業は、あなた方事務当局、要するに電電公社当局経営能力や、業績発展とか社会への貢献というものは、法律に基づいて、いま法律がそうなっているから、それに従ってということ以外には考えないということですか。実際あなた方は事業をやって労働者を使っているのでしょう。民間会社と違うことは、これはあたりまえです。しかし、労働者にとってみたら、民間とあなたのほうの三公社と違うのですか。労働者は同じ労働者じゃないですか。人間ですよ。そうなったら、いまの法の大原則に従ってそれを手直ししていく、そういう方向に向けていくというのがあたりまえじゃないですか。それが社会の進化じゃないですか。そこを、あなたの意見を聞いていると法律云々と言う。まあいいですよ。あなたとここで議論してみたってしょうがないから、私はいずれ皆さんの代表者に来てもらってやりましょう。賃金職員労働条件当局者としての事務的な面だけのお答えしかぼくは得られなかった、私はそう判断します。そんなものの考え方労働者が働くのですか。そんなものの考え方だから問題が起きるのですよ。それじゃ外国はどうですか。労働三権というものがどこの国でも確立されているじゃないですか。公務員までスト権、行動権承認されている国が多いじゃないですか。それはどういうことになりますか。手も足もとっておいて、法律にきめられているから、そんなものは事務的だというものの考え方で世の中が済むと思っているんですか。あなたはそういう職員局長という立場だからこれは済むかわかりませんが、社会というものはそんな簡単なものじゃないですよ。社会の進歩なんというものはそんなものじゃないですよ。まあいいです。  そこで、労働大臣はまだ来ないんだが、どうなっているんですか。
  36. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) いま催促させまして……。
  37. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 一言関連。いま藤田委員電電公社職員局長の話を聞いておって、ぼくは局長考え方というものは、もう少しあたたかい気持ちをもって労働者に接するというかまえなしに、いまの法律でこうあるから、これはあたりまえだというような、風を切ったような態度自体は私は非常に嘆かわしいと思う。こういう人が労働者賃金を担当する、あるいはこれらの労働条件に関する事務を掌握するという責任を持たされている男であって、こういうようなのが涼しい顔をしているいまの態度を見ていて、私自身非常に憤慨を感ずるのです。こんなのは資格がない、実際。法律をもう少し勉強したまえ。外国の様子も考えてみたらどうか。それで、われわれもそういう方向で法律改正をしようという努力をしておるのだから、少なくともその当事者労働者のいろんな条件考えるのに、もう少しあたたかい気持ち考えてみたらどうか。私はそういう話を聞いておって非常に憤慨を感じます。それらは法律できまっているのだから、おれはこれ以上知らないと、そういう考えであるかも知らないけれども、藤田委員のいま言っているその内容は、当事者がそういう能力を持っていて、もう少し当事者能力発揮するという方向でもう少し考え直してくれ、そういうことに協力してくれという意味の実は質問がありました。われわれも責任があるかもしれないけれども、そういう考え方を持つことによっていろんな労使間の問題がもっとあたたかい気持ちで運ばれるのじゃなかろうかと私は思うわけです。そういう関係で、もう少し考え方を変えてもらいたいということを一言申し上げておきます。
  38. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) いまのは要望ですか。
  39. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 一応考え方をもう一ぺん聞いておきたい。
  40. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) 私が申し上げましたのは、あるいは御質問の趣旨を取り違えたのかもわかりませんが、現在公社法で私ども職員賃金の水準について一つの基準がきまっております。この基準は、公務員あるいは民間賃金その他の条件を見てきめなさい、こういう基準がきまっておるわけです。これがあるということがいまお話当事者能力関係があるというようなぐあいの御質問と承わりましたので、私はその法律の条項というのは現在そう理解しております。あるいは労働省労政局長がお答えになりましたような当事者能力の問題とは関係がないと思って、公社というものの立場からそういう一つの基準をきめているということは、当事者能力があろうとなかろうと、一つの問題として私の考えによれば正しい考えじゃないかと、こう申し上げたわけであります。
  41. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 そのいまのそういうことが正しいと考えているから、もう少し考えをあれして、先ほど労働省のほうの考えを話されたようなことならぼくは了解できる。これが一番最上のものであって、一番のものだと考えるのはぼくは遺憾だと思う。
  42. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 あなたのおっしゃる当事者能力関係がないということはどういうことなんですか。
  43. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) たとえば当事者能力についてはいろいろ御意見もあると思うのですが、たとえは当事者能力というのは、完全に――完全にというとちょっと語弊がありますが、完全にありましても、私どもとしていろいろな賃金をきめますときに一つの基準を持つということは、当事者能力それ自体の問題には関係がないというぐあいに思っているわけです。
  44. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私の言っているのは、あなた方は人を使っているんでしょう。電電公社という事業をやって人を使って、一般から見て特殊な事業をやらして、電電公社事業は向上しているでしょう、あなた方は。そうすると、事業は機械さえ設備したらそれでいいというものじゃない。労働者、生きた人間を使っているんですよ。生きた人間を使って業績の向上をやったり、それを通じて社会に貢献しているんですよ。そうしたら一番先に守らなければならないのはだれですか。一つ事業の発展である。その事業の発展をもたらすのは労働者の労働力じゃないですか。その事業の発展のささえになっている労働者賃金がこうきまっているから、こっちは知らぬのだ、民間やその他のよその結果を見てやるんだという、そういうことだけで済ましておいていいでしょうかということを私は言っているんです。そこじゃないんですか。働かすことは何ぼ働かしてもいい、賃金はそういうかっこうで見習ってやったらいいということですか。特に電電公社というのは成績をあげているんじゃないですか、国民に貢献しているんじゃないですか。電話がついて国民は便利になっている。それはだれがやったんですか。雨の降る日も風の吹く日も、その故障したのもみんな労働者がやったんじゃないですか。あなたは命令さえ出したら機械のように人間は動くと思っているんですか。そうしたら、事業をやっている当事者が一番最初に守らなければならない労働者を守っていくというのが当然じゃないですか。よそのことは私はとやかくいいませんけれども自分事業が発展したら、それだけの賃金労働条件をみずからの事業経営者が出して、そうして労働者を通じてもっと発展させていく努力をされるところに、国から委託された公社であっても、そこに努力されるのはあたりまえじゃないですか。それと当事者能力とどうして関係がないんですか。当事者がそれだけのことを決断して事業の発展をやっていくというのはあたりまえのことじゃないですか。当事者能力関係がないということは何だ、それは。
  45. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 局長に申し上げますが、あなたの観点は質問者とちょっと違っているように思うんですよ。というのは、あなただって労働者賃金がよくなるということについては賛成なんでしょう。よくしたいでしょう。したいけれども、現在の賃金の基準というものの中で、あなたは局長という立場の範囲でしか解釈できない、それが正しいと思っているんでしょう、思わざるを得ない立場にいるということだけなんでしょう。だからね、そこらのところが何かいやにかちかちしちゃって、そんなにかちかちしなくてもいいんです。ここは国会で、お互いによくしたいんだということで問題を摘出しているんです。私も公平に聞いているんですが、どこかかちんときているわけです。だから、やっぱりよくしたいと思ったら、いまはこういうところはこうなんですけれどもということで、やはり発展するような方向で御回答をいただければいいんです。それができなければできるようにしなければならぬじゃないですか。いつまでも同じことを言っていたって、委員会は午前中という約束をしたんですから、答えのほうもはっきりしてもらわないと困るんですけれども、どうでしょう。御答弁ください。
  46. 遠藤正介

    説明員遠藤正介君) それでは、ちょっとおしかりを受けましたので、この点、私どもが現在民間状況等を見て回答申し上げる、こういうぐあいに言っていること自体は、私は、何度も申し上げましたように、民間賃金というものを参考にしてきめるという原則からいってあれだと思うのであります。ただ、いま藤田先生がおっしゃいましたように、いろいろおっしゃったことについては私どももちろん同感でございます。私どものほうは、実は団体交渉というのは、毎回公労委からほめられるんですが、自主交渉というのをよくやりまして、その中では、いまの物価の問題とか生産性の問題でございますとか、あるいは生活水準の問題も議論いたします。それだけではなくて、やはり民間状況も見てきめるということがいまの制度としては正しい考えじゃないか、こういうことを申し上げておるわけでございます。ですから、基本的には別に先生の御意見に決して異を唱えているわけではございません。
  47. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は、それを乗り越えて、そうしてそういう日本の大原則からはずれているようなものはみんなして相談して直していかなければならぬのじゃないか、こういうことを言っている。もうくどくど申し上げませんが、あなたの答えは、いや、これが正しいと思っているんだということでは、これは日本の大原則にもとりはせぬか。残念ながら三公社はこうなっているんだけれども、社会の進歩、世界との共同生活、みんな日本国内もそうなんですから、そういうことを理解して、それと組んでいかなければ、当事者能力関係がないんだ、それは法律できまっているからしようがないんだということではどうにもならぬじゃないか。いま幾らかあなたの考えがわかりましたけれども、あまりそういうかっこうで、いままでの回答のような話のかっこうで労働者を見ていくということは根本的に改めてもらいたいということを私はここで申し上げておきます。  そこで、大臣、待っていたんですが、えらくおそくなったですね、どうなったんですか。  大臣に聞いておきたいんですが、今度の春の賃上げについては局長から聞きました。しかし、いま残念ながら、毎年同じようなことを繰り返している。三公社現業が一番国家独占ですよ、この事業は。そうして独立採算制になっておる、そうして業績を皆さん努力してあげておいでになる。そうして賃金労働条件を対等の立場できめるという大原則日本は言うに及ばず、世界じゅうの国がそうである。ILOを見てもそうなんです。それと同じようなことが予算資金上、これは国会関係だから、いますぐ法律をどうこうというのはむずかしいでしょう。しかし、いまのように、民間がきまってから、それを見てからだと、極端な意見を言えば、団体交渉はしたけれども賃金回答は少しもしていない。九回したとか十回したとか、それがきまるまでは。それから、そうおっしゃったとは申しませんけれども、かってに組合調停申請をしたんだという口吻の皆さん意見がありました。私はこんな残念なことはないと思います。去年もおととしも、当事者能力については、三公社の総裁をはじめ、労働大臣、それから郵政を代表して郵政大臣おいでになって、それはほんとうだと、だから当事者能力というものを生かして、自主交渉を発展して賃金労働条件をきめていくように努力しますということがあるのに、そういう国会というものは審議経過を経てきているのに、それは法律できまってるから知らぬということじゃ、そういうことじゃ困る。だから、いまのように、たとえば生計費とか公務員とか民間賃金とか、そういうものを見習ってやると、こうおっしゃるけれども、それなら生計費が物価値上げで上がっていることについてくらい最小限度考えて問題を議論したらどうだというけれども、それはそうだけれども、結局いままでの歴史からいったら調停だと、調停でゼロ回答で、今度仲裁だと、仲裁が出たら、それに従って命令で上から押えつけて労働条件賃金がきめられてきたというのが歴史なんです。私はそんなことはいつまでも許すべきじゃない。本来、労使の問題というのは自主交渉できめていくべき問題です。調停概念というのは、どんなものも、まとまらぬときに調停あっせんをやってまとめるように努力するのが第一段階ですよ。その次に信頼の度合いで任意申請によって仲裁が行なわれて、そうして両方がそれに承服するというかっこうなんです。ところが、日本公労協仲裁裁定というのはそうじゃないのです。任意仲裁じゃない。それで、そういう任意仲裁のかっこうを持っているけれども、どうにもならぬから仲裁にいってしまうという、これは本意的じゃないです。他意的な仲裁ですね。むしろ権力で押えられるような印象を受ける仲裁です。私は、もっと自主交渉をやるためには、当事者がもっと能力を持って事業をやっているのだから、そうしてその問題を自主的に解決するようにすべきじゃないかというのが三公社現業皆さんに申したいのです。それを指導されるのが私は労働大臣だと思うのです。自分の業績とか、物価値上げ、そこにいくまでの判断をみずからの事業ごとにやっていくという、そういう方向に法律でもきまって、予算資金上の問題はあとの問題として、それも前段でもそういう方向で努力ができないかということを申しているわけです。労働大臣意見を聞きたい。
  48. 早川崇

    ○国務大臣(早川崇君) 労働大臣といたしましては、現在すでに調停段階に入っているわけです。したがって、調停段階労使ができるだけ実質的に、形式的には仲裁になるかもしれませんけれども、実質的に妥当な線で話し合いができるように最善の努力をするように、労働省としては指導ということばはどうかと思いますが、アドバイスをいたしておる段階でございまして、ただ、民間企業とやはり違いますので、根本的な民間企業のような形の労使問題の賃金解決というのができればいいんですけれども、この問題は基本の問題にも触れますので、現在公務員制度審議会で根本的な問題は結論を得てもらうと、こういうことにつとめておるわけでございます。
  49. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 公務員制度審議会にゆだねているからということですが、それはいつ結論が出ますか。
  50. 早川崇

    ○国務大臣(早川崇君) 労働側の総評委員が欠席をいたしておりますので、その関係審議が進んでおらないわけでございます。できればすみやかに労働側の委員も入っていただいて、できるだけ早い機会に結論を得るように努力してもらいたいと、私の所管でございませんが、そういう気持ちを持っております。
  51. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 公務員制度審議会の中に労働者側が入っていないというのは、原因があるから入ってない。正常な状態議論をしょうとすれば入らぬはずがない、任命されて、やりましょうといって参加をしたんだから。それは労働者側が入れるようなフェアーな仕組みをお持ちになったら、その公務員制度審議会労働者側が入っていくと私は思う。これは労働大臣に大いに努力してもらわなければならぬと私は思う。しかし、毎年民間と違うといったって、三公社現業で働いている人も民間で働いている人も同じ労働者なんです。特に三公社現業政府に委託されたようなかっこうで独立もしておりますけれども、しかし、独立採算制でその事業をまかなっているわけです。それが当局の命令する人ばかりじゃなしに、労働者を含んで、そこで働いている人を含んで業績の向上をおやりになっているわけです。むしろ国家独占事業じゃないですか、ほとんど。その国家独占事業当局というか、経営者が、自分労働者を鞭撻して生産をあげ、労働者は勤労によって生活を立て、向上しようという考え方なんです。だから、民間やそこらの賃金がきまってから相談しましょうというようなことは、予算資金上の問題は政府が代行して、これなら国会承認を得られるということで結論を出していくわけです。いままでの手続はそうなんですけれども、そういうぐあいに問題は残るとしても、前段の、みずから人を使って、その労働者のために、どういうぐあいにして労働者を守り、生産をあげて社会に貢献するかというのは、当然考えられるだけの条件を私はつくるべきだと、事業ごとに。それを法律できまっているからいつまでもほうっておいたらいい、昨年の暮れから賃金要求が出されて団体交渉がされて、回答はゼロ、そうして調停に入って、それでいつもの例でいったら仲裁だと、私はこんなことでは産業国といわれているのは無理じゃないですか、そんなことを続けていくことは。それはどうなんです。大臣はどうお考えですか、そこは。
  52. 早川崇

    ○国務大臣(早川崇君) やはり民間、たとえばたばこを民営にする、あるいは電電をアメリカのATTのようにする、国鉄も私鉄のようにするというところまで根本的に変われば、もうこれは問題はなくなるわけであります。問題は、予算上、あるいはその他の面でどうしても三公社だけでいかない面がございます。そこが引っかかっているのじゃないかと思います。いわゆる生産性向上に見合う賃上げというのは、これは民間企業では実にスムーズに進んでいくわけであります。そういった基本問題はいますぐどうこうという問題ではございませんので、労働大臣としてでき得ることは、従来、調停段階でも全然話し合いが水と油というのは困る、そこで誠意を尽くして、使用者側も、あるいは労働組合側も、実質的に妥結するように努力してもらいたい。また、それに対して労働省としても、局長、課長を督励してそういう場をつくって、一歩でも二歩でも労使問題というのはいろいろな制約が三公社にございますけれども、前向きに前進した姿をことしはとりたい、せっかく誠意を尽くしている段階でございますが、それでもなかなかうまくいくかどうか、私も、従来のいきさつから申しますと、ここで自信は一〇〇%あるとは申しませんけれども、そういう気持ち理事者側もなっていることは事実です。また、組合側も私の誠意を十分認めて、非常に激励してくれていることも事実でございますから、調停段階にすでに入った現在におきましては、その努力を多としていただくということをお願いしたい。
  53. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 あなたは、そうすると努力する、努力しているとおっしゃいますけれども、しかし、今日までゼロできて、調停段階でもゼロできて、それで仲裁で押えたというのが歴史です。今日の事業は独採制でやっている。予算資金上の問題は政府がこれで納得した、ある程度これなら国会承認してもらえるということになれば、政府と三公社現業の間に話がついて、そして前に進むのじゃないですか。だから、いまの姿を見ていると、政府自身が三公社現業のその発想や発言を押えているというふうにしか感じられませんが、それはどうなんです。制圧しているのですか。
  54. 早川崇

    ○国務大臣(早川崇君) ことしは民間企業が、どんどん鉄鋼をはじめ、おそらく私鉄もその他の産業も妥結するわけですから、いままでと違って、民間企業ベースアップを参考にしてという場合、理事者側としましてもゼロ回答というわけにいかないと思います、調停段階で話し合いの場合に。ですから、私は、もちろん三公社なりの理事者側に対しましては、回答するなというのはとんでもないことでございまして、むしろ私としては、民間企業ベースアップはきまりつつあるから、それを参考にして、まあ何といっても労使関係は自主的に話がきまれば一番いいんですから、そのように指導していく、藤田先生の言われる逆の努力をしているということを申し上げたいと思います。
  55. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 ちょっとおかしいな、大臣のものの考え方が。あなた民間賃金をきめるという根本の問題にちょっと触れているのでしょう。自分事業をやって、独算制政府から委託されたにしても、自分労働者を働かして、それは機械生産の合理的な要素もあるでしょうが、業績をあげて、そこで第一に守られなければならぬのは労働者でしょう、民間であろうと官公労であろうと三公社現業であろうと、同じですよ。それが例年にならってゼロ回答が出てきて調停で自主的解決というのは、調停とか仲裁を別にして、労使が自主的にきめることですよ、そうじゃないですか。そこのところを調停に入ったから自主的にというのは、調停は何の機能を果たすのですか、そうでしょう。自主的にやるというのは調停仲裁もない、全体の立場でやるわけだから、残念ながら日本は労働三権が公労法の十七条で行動権が制限されているが、これも間違いです。しかし、その根本の議論はやめますが、しかし、だんだんと自主的事業をやっている者がその一番先に守られなければならぬ労働者を守っていく、労働条件賃金を守っていくということを明らかに努力するのが労働省の任務じゃないか。調停に入ったから自主的なというような議論は出てこない。
  56. 早川崇

    ○国務大臣(早川崇君) 法律で、藤田委員御存じのように、民間給与を参考にしてというはっきり明文がございますので、その点も一般の民間の会社と違う点でございまして、制度論になりますと、やはり三公社現業というのは、やはり民間企業とは違う面があるのですね。ですから、その根本的な問題、あるいはあれを民営に移したらもっと人間が少なくていいかもしれない、あるいはもっと民間企業より生産性があがっているかもしれない、その判断がなかなかむずかしい。基本的な制度論は別にいたしまして、現段階におきましては調停に入っているわけですから、ほんとうの労使自主交渉ではございませんけれども、一歩でも二歩でもそれに近づけるという意味におきまして、調停段階労使が腹を割って、従来と違いまして、使用者のほうも相当今度はそうしたいという決意を持っておると思うのです。労働組合のほうもそうしたい。だから、雰囲気としては、その段階で一歩でも二歩でも、むろん藤田委員の言う理想的な労使の話し合いではありませんけれども努力するということでございますから、御了解願いたいと思います。
  57. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 いまほとんどの組合当局側と入っている調停の問題については、大いにこれから努力をして、一日も早く円満なうちに問題が解決するようにしてもらいたい。私はこれ以上今日の事態では申し上げません。ただ、原則的に労使が対等できめるという法律に基づいて、よその山を見てからうちの山をつくるなんということじゃなしに、自分が業務をやって、幹部だけで事業が進むものじゃない、みんな寄ってやっているのに政府が制圧しているのかどうか。私は、当局法律の陰に隠れて、それを言いわけにして逃げておるのか、それは知りません。知りませんけれども、自主的に対等の立場というのが、その対等がくずれているわけですから、なおさらそういうものを解決するように今後の方針を明らかにしてもらいたいということを、労働大臣が率先をしてそれをやらないでだれがやるのですか、そこを私は聞いている。
  58. 早川崇

    ○国務大臣(早川崇君) 御趣旨の線に沿って、制約された制度上の問題の範囲内で率先して御趣旨の点で努力をいたしておるわけであります。
  59. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 それから、もう一言。ですから、法律の範囲内とか何とかという話なら、それなら差しさわる法律は変えていこうという努力をされないと、いつまでたっても同じ状態が続くと思うのですよ。それは私は、やはり自主的に働いている労働者と、その使用者の立場になる当局との間に、よその山を見てから自分のところの山をきわめるということでなしに、みずからおのおの業態が違うのですから、成績も業績も違うわけですから、どうしてもいかない。社会貢献が優先する事業自身もあります。それから、みずからの事業で成長している事業もあるわけですから、だから、その中で裁定は政府にいって個々に押えるけれども、その業績に応じてみずから自主的な交渉によって問題がきまっていくように、私は、やはり労働大臣はそれに差しさわるような法律があったらそれをのけていくという努力をしてもらう。予算資金上の問題はなかなか簡単にここではむずかしいと思います。しかし、それは政府が代行し得る条件が生まれるわけですから、だから、その前段の問題をはずしながら自主的に解決するような努力を払っていただきたい、それだけを申し上げて私は質問を終わります。
  60. 早川崇

    ○国務大臣(早川崇君) 全く同感でございます。
  61. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 他に御発言もなければ、本件に関する質疑は、本日はこの程度にとどめておきます。     ―――――――――――――
  62. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 雇用基本計画に関する件について調査を行ないます。  本件に関し、御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  63. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 雇用基本政策、この前の雇対法の中からできた雇用基本計画というのはできておるのですか。まだ説明を受けてないようです。それで、だいぶきょうは大臣の来方がおそいから、これはなかなか事が運ばなかったわけだが、もっと閣議が終わったら精勤に出てもらいたいということを、私は苦言を申しておきます。  それで、私は、雇用基本計画を説明してもらって、あまりこの議論は、きょうは時間がありませんからやれないと思いますが、一応ものの考え方資料を配っていただいて大まかな説明をしていただいて、大臣意見をそれにつけ加えておいてもらいたい、こう考えます。
  64. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) いま資料を配付さしていただきます。
  65. 早川崇

    ○国務大臣(早川崇君) 雇用基本法にのっとりまして雇用対策基本計画を立案をいたしたわけでございますが、この大きいねらいは、経済発展に伴いまして、真の意味の質量ともの完全雇用というものを実現いたしたいと、こういう基本的立場に立っておる次第でございます。現在の雇用情勢の根本的な特色は、神武以来、戦時中を除きまして、初めて人手不足、特に若年労働力、あるいは技能労働力の不足と、こういう時代に立ち至ってまいったわけでございまして、今後経済発展に際しまして、労働力が隘路にならないように基本的な計画を立てる必要に迫られておるというわけでございます。かような立場に立ちまして、技能労働力をどう充実していくか、中高年層がふえてまいりまするから、こういう人たちをどう有効に活用していくか、また、婦人労働力をどう活用していくか、あるいは季節的な、いわゆる通年雇用でない不完全就業労働力をどう活用していくか、こういった問題を中心といたしまして雇用基本計画を樹立いたしておる次第でございます。
  66. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 さっき申し上げたように、これについて大筋の説明をしてください。
  67. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) ただいまお手元にお配りいたしました「雇用対策基本計画」について、概略御説明申し上げます。  これは、ただいま大臣から御答弁がございましたように、昨年できました雇用対策法に基づきまして、去る三月十四日、閣議決定を見たものでございます。そこで、計画の荒筋は、最初の総説の「雇用政策の目標」というところに集約されておるわけでございますが、この政策目標を、一ページの冒頭のところに書いてございますように、「すべての人が適性に応じた仕事につき、能力を有効に発揮することができるようにし、その経済的社会的地位の向上を促進するとともに、国民経済の発展に寄与する」、こういう政策目標を掲げておるのでございます。  そこで、今後の雇用の動向につきまして基本的にどういうふうな考え方をとっておるかと申しますと、同じく一ページのまん中辺に、第二の項目に書いてありますように、最近の雇用の動きを見ますと、すでに一部の分野では労働力の不足が強く訴えられており、今後ともこの基調は継続して、このような逼迫が広がっていくと考えておる、こういうふうな雇用の動向として将来の見通しを立てておるわけでございます。そこで、わが国の実情を見てみますと、長年にわたって形成されてきた年功序列の雇用賃金の慣行や、学歴偏重、あるいは技能軽視の社会風潮等が経済、社会制度と結びついて、労働市場の機能に強い影響を与えておる、こういう現状認識をいたしておるのでございます。したがって、一方では求人難の強まりが高まると同時に、他方では労働能力の不完全燃焼が併存をしておる、こういう現状認識をいたしまして、そこから各種の施策を引き出しておるわけで、ございます。  その施策の引き出し方といたしましては、まず第一に、この目的のところをごらんいただけばおわかりだと思いますが、第三部のところに、「技能労働力等の養成確保」という項目がございます。第一には技能労働力の養成確保、それから、さらに中高年齢者の雇用の保進、三番目に不安定雇用の改善、こういった角度から施策を展開すべきである、こういう見方をいたしておるのでございます。同時に、こういった狭い意味の雇用政策だけではこの雇用基本計画を遂行することができませんので、勢い関連施策との有機的な連携ということがどうしても重要な意味を持ってくるわけでございます。これは二ページの③のところで書いてありますが、まず第一には、「中小企業、農林漁業等の近代化をふくむ産業・経済政策、社会政策等の関連施策と連携し」云々と、こういう表現になっておりますが、これが、この見出しの三部の第二項に書きました「関連施策との有機的連携」ということを特に強調しておるわけでございます。こういうふうな全体の構成にいたしまして、最後には、近代的な労働市場の形成ということを最後の項目に掲げまして、今後の基本的な施策の方向をこの基本計画で打ち立てたわけでございます。もちろんこの計画は、さきにきまりました社会経済発展計画とうらはらの関係を持つものでございまして、計画期間も、三ページの終わりのところに書いてございますように、四十二年から四十六年までの五カ年間を計画期間といたしております。そして、この五カ年間の計画期間中といえども、現実に発生してまいりまする、たとえば石炭の合理化対策に伴う離職者対策の問題、あるいは景気変動に伴う緊急的な事態に対処する政策の問題、こういったことは、この計画期間内におきましても実情に即したような対処のしかたを機動的にとるようにということが計画運営の基本的な態度として示されておるわけでございます。こういう考え方で、四十年代のいわば前半期におきまして、わが国の雇用の状況の移り変わりに対処しつつ雇用政策を展開いたしまして、この時期においていわば完全雇用への地固めをはかっていく、そして四十年代の後半期を迎える、こういう考え方でこの基本計画を策定いたした次第でございます。  なお、細目については、時間がございませんので、一応御質問にお答えするという形で補足させていただきたいと思います。
  68. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 それでは、ひとつ雇用計画の問題について、完全雇用をどうするかということと同時に、技能を養成していくことも大事なことでしょう。だから、具体的な施策というものが、これはやつばしもう少し細部にわたればあるのだと思いますけれども、しかし、たとえば労働時間を短縮をして、そして機械が人にかわって生産をするわけですから、そういうものが一つ出てくるのでしょうし、労働力が不足だというなら、学卒の安い労働者ばかりねらわないで、中高年の労働者の労働力をフルに社会に貢献してもらうというためには、この間私は新聞で見たのですが、労働大臣は、定年制の廃止というのですか、延長というのですか、何かおっしゃっているようですが、定年制なんて持っている国はいまありませんから、だから、体力に応じてその労働力を社会に活用するというかっこうにならざるを得ぬでしょうし、それから、たとえば住宅との関係で、都市の過密化というか、生産事業場の分散であるとか、私はそういう計画が非常にたくさんあると思うのですね。しかし、これをつくる前段階ではそういうことが全部抽象的な文言に入っておったので、私は残急に思っておったのですが、いまの考え方を具体的にどうするかということが今後完全雇用をやる道の姿ではないか。特に労働省は、単に落ちてくる失業者を受けとめているというかっこうではどうにもならぬわけです。だから、経済計画をやるときに、きちっと、その労働力は、勤労を通じて完全雇用の道を開いていく、そうして社会保障とあわせて国民の所得を高め、購買力と生産力とのバランスをとっていく、こういうこととマッチして雇用計画をつくられないと、どうもうまくないんじゃないか。また、われわれはそう主張してきたわけです。まだ要因がたくさんありますけれども、だから、大臣の所見として、まあ最近大臣になられたのだから、きょうはあまりこまかいことは言いませんけれども、まあどうも大臣に心がまえを聞くというのもおかしな話なんですけれども、私は、やっぱりそういう根本的な問題について閣議で政府自身がそれと取り組むということでなければ、最近出た経済計画、六〇年代をどうするかという経済計画を私は見ましたし、企画庁の計画局長か調整局長から話を相当長い時間で聞いたのですけれども、しかし、その中ににじみ出てくることというならば、労働者は、勤労を通じて所得になり、これが国民購買力になり、または社会保障を通じてこれが購買力になるという要件があまり盛られていない。そして生産拡大、設備拡大というところだけつじつまを合わせて経済計画を立てようとしている。私は、労働大臣としては非常に関心を持って、大いにそういうところにはチェックをしてやらなければならぬところだと思っている。だから、そういう意味を含んで、ひとつ労働大臣といずれあらためてこの問題については双方で議論をして、できるだけひとつよい行政をやってもらうための議論の場をつくりたいと思いますが、そういう点、今度出た経済計画と雇用基本計画との関係について、一言ひとつ考え方を聞かしておいてもらいたい、こう思うのです。
  69. 早川崇

    ○国務大臣(早川崇君) 藤田先生の多年の御主張でございました、労働の面から経済計画を指導していけと、また、制約していけという御主張が、いままでは労働力が過剰でございましたので先生の御主張が十分に生かされない状態でございましたが、最近になりまして、好むと好まざるとにかかわらず、労働力の面から産業政策を考えざるを得ない。たとえば農業ひとつとりましても、若い者がおらなくなりましたね。だから、もう中高年の女の方と男、二人でとてもやっていけない。そうすると、農業の近代化、あるいは集約化をせざるを得ない。今度は労働力から迫られてまいりました。大企業は実際は労働力に困りません。いいところにだけみんな就職を希望してくるのですけれども、一番困るのは中小企業にしわ寄せがまいりまして、どうしても中小企業というものは人手が少なくて済むような生産性の向上をやらなければいかん、また、近代化をやらなければならない、それができなければ中高年を雇わなければならない。これは定年制を中小企業あたりでは延ばさざるを得ない、どういうことからいえば、多年の藤田委員の御主張の、労働力の面から、産業構造、あるいは地域的な産業分散というものを実際迫られてまいった。この雇用基本計画というものは、その要請に応じまして立案されたものですけれども、まだまだほんとうに労働力が産業を指導するというウエートまで上がっておりませんが、たまたま私が労働大臣になりました時期がそういう時期に遭遇しておると思いますので、そういう意味では非常に労働大臣としての責任の重大性を痛感いたしまして、労働力の面から積極的に閣内でも発言し、また、マスコミ並びに国会におきましてもこの面から強く発言をいたしておる次第でございまして、多年の先生の御主張に応じなければならんような状態になってきたと、こういう立場に労働大臣が立っておるということを申し述べて、今後ともひとつ貴重な御意見を拝聴しながら、マンパワーの面から日本の経済計画というものを指導していく、こういうふうに考えております。
  70. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 十分にもう少し内容の説明も聞かなければいかんでしょうから、きょうはこの問題についてはこの程度にして、あらためて議論をすることにしたい。ただ、いま労働大臣が言われた中でいろいろ努力されることであろうと思いますが、それは期待しておきます。
  71. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 他に御発言もなければ、本件に関する質疑は、本日はこの程度にとどめます。     ―――――――――――――
  72. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 失業保険問題に関する件について調査を行ないます。本件に関し、御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  73. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 失業保険法の関係に関しては、一部改正案は、いまちょうど中央の職安審議会のほうで諮問にかかっておりますし、また、社会保障制度審議会のほうの審議にもかかる模様でありますので、ただ一、二の基本的な問題だけをお尋ねして労働省の見解をお聞きしておきたいと、こう思うわけであります。  まず、季節労務者の問題を切り離して改正案を審議すべきである、こういうふうに思うのでありますが、これは国会の決議にも基づいているものでありますから、この点は労働省のほうではどのようにお考えになっておるのですか。
  74. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 今回の失業保険法の改正につきましては、もちろん多年の懸案でございました五人未満への拡大適用ということが一番大きな主眼になっておりまするが、同時に、季節循還的な受給者についても、従来のやり方、慣行等について若干の改正を考えなければいかんのじゃないかという立場で労働省原案を両審議会に諮問をいたしております。したがいまして、私どもは、季節循環受給者の問題だけを今回の改正から切り離して改正を考えるべきだという御意見もございますし、わかるのでございますが、やはり保険制度全般の問題として合理化を考えなければならないのじゃないかという立場で、一括いたしまして今回の改正案の諮問の中に含めて御諮問申し上げております。
  75. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 この点は国会の決議の中にも入れられておった問題でありましょうし、これはまた別な方法で、これはこういう人たちを守るべきものにすべきだと、こう考えておりますが、やはりそうしたたてまえはどこまでもお通しになるわけですか。
  76. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) これはやはり失業保険制度全般にわたる基本的な問題でもございますので、これだけを切り離して云々するというわけにはいかないのじゃないかという考え方で御諮問を申し上げております。
  77. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 この季節労働者六十万の受給者は、いまのこの改正では、あと二年、三年後か、半分に切り捨てるとかいうことになっておるわけでありますが、これはこの季節労務者の生活を非常に不安定にするものだと思うのでありますが、いままで歴代の労働大臣は所信の中にこういうことは歴代述べてこられたわけでありますが、これと少し相反すると思うのでありますが、労働大臣の御意見はいかがでありますか。
  78. 早川崇

    ○国務大臣(早川崇君) いま諮問いたしておりまする案では、従来の五十八万人の循環季節労務者に対しましては、いわゆる既得権ということを認めまして、それによって生活設計を立てておられるわけでありますので、これを守ってずっとそのまま保険金を支給いたす案になっておるわけであります。ただ、これからいわゆる循環労務に新しく加入される方に対しましては、二年間は現状どおり、しかし三年後には二分の一の給付という案になっておるので、ここが御議論になっておるかと思うわけであります。  ただ、保険というのは、本来予期しない事態に備えたのが保険でありまして、火災保険しかり、あるいは生命保険しかり、全部保険というのはそういうものでありますので、必ずこの半年は失業するというのを無制限に延ばしてまいりますと、御承知のとおり、五十八万人の循環季節労務者は、わずか四日分の保険料金を払いながら九十五日分もらっておるわけです。ですから、毎年二十数倍、これはまたこの事業主がまた半分を受け持つわけでありますから、数十倍の保険金を必ず毎年もらう、こういうことになりまして、現在保険財政では三百億の赤字給付金を出しております。それに対しまして季節労務者からもらっておるのは七、八十億円に満たないわけであります。そうしますと、結局、このほかの会社なり事業所なりに働いておる被保険者の負担において、不当に赤字を背負わされる結果になりまして、これをある程度どこかでチェックしなければならない。カナダの例に見るように、保険制度自身がつぶれちゃう。しかも五人未満の事業所になりますと、これは非常に失業の多い勤労者階級でございます。これが二百万人新たに失業保険に入ってくるということになりますと、当然この赤字が出てくることが予想されますので、したがって、まああの程度のものはひとつごしんぼう願う。  しかし、それによって生ずる三年後二分の一、といいましても、十数倍の保険金をもらうわけでございますけれども、こういう人たちに対しましては、通年雇用ができるように冬期の施設をつくるための融資制度を拡充しようではないか、またこの事業主も人手不足になってまいりましたので、できるだけその人をくぎづけするためには少し手当も出したらいいじゃないか、それで三年でどうしても困るというなら就職をごあっせん申し上げましょう、いま冬場でもどんどん需要があるのですから。そういった方法を講じまして、この問題は処理してまいりたい。また、一部では、審議会では有沢私案というのが、三十五以上の中高年は家族もあるし、なかなか就職があっても行きにくいというような特殊な事情考えて、どうしても冬場に行けないような人に対しては従来どおりやったらどうかというような御意見が答申には出ております。原案には出ておりません。そういうことを考えて、やはり失業保険制度をせっかく創設したのですから、つぶれないように、そうすると二千万の勤労者は困るのですから、その程度の配慮をいたしておることだけはひとつ御理解を賜りたいと思っておるわけでございます。
  79. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 その意味はよくわかるのでありますが、それならば、やはりそういう季節労働者に対しては、いま大臣おっしゃるように、通年とかあるいは何かの処置をした上でそういうふうにさせていただかないと、何かいまのままで締め出すということになっては、非常にまあぐあいが悪いのじゃないかというふうに考えます。  それからまた、財政の面でありますけれども、千四百五十億、ことし過ぎますと千六百億くらいの黒字になっているわけです。さらにまた、毎年二百億ずつの大体黒字が見込まれておるわけでありますが、改正案では五人未満の事業所も強制適用になって、この五十億、八十億、二十億、こういうものを考えてみましても、わずか百五十億でありますし、二十億程度でほぼいけるわけでありますので、これらの点でもいけるので、こうしたことを締め出さなくてもいけるのではないか、いわゆる赤字になるという御心配はないのじゃないか、こう思いますが、その点はどうですか。
  80. 早川崇

    ○国務大臣(早川崇君) 御指摘のように百五、六十億円の積み立て金がございますけれども、カナダの例を引いて恐縮ですが、三千億ほど黒字があったのが、季節労務者を全面的にやり始めてまたたく間につぶれました。これほどいまの保険というのはおそろしいものでございまして、したがって、五人未満の事業所に全面適用されますと、実際大企業というのはそんな簡単に失業しませんけれども、どれだけ失業者が出るか、非常に多く言う人もあるし少なく言う人もございますので、そういったことを考慮いたしまして、非常に心配いたしておるわけでございます。  なお、ある程度の黒字がございます関係で、勤労者アパートもつくり、   〔委員長退席、理事土屋義彦君着席〕 あるいは職業訓練所をつくり、あるいは通年雇用のための融資の担保にもなるというわけでございまして、幸い黒字でございますので、労働者、被保険者のためになるように十分そういうものを活用していく。しかし、今後の五人未満を適用すると、そのとおりにはいかないと心配しておるわけでございます。
  81. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 そういう観点から、また一面財政の健全化ということを見てみますと、技能習得手当だとか、雇用促進事業団に対しての出資百五十億からあるわけですね。こういうようなものは、この制度を見てむしろ切り離すべきではないか、私はむしろそういうように考えるのでありますが、その点お考えはどうですか。
  82. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 事業団に対する出資金は、ただいま大臣からお話がございましたように、これは住宅なり訓練施設に使っておる出資金でございまして、そういう意味で、千八百万被保険者全体に還元をしておると、こういう性質の金でございます。また、技能習得手当については、失業保険から出すのはおかしいじゃないかという議論はあるのでございますが、ただ、被保険者であった訓練生に対する技能習得手当でございますので、やはり失業保険でこれを出していく、その他のものは一般会計で手当を支給しておりますので、その辺も一般の分まで手当を支給しているというわけではないので、あくまで失業保険のワクの中で手当を継続支給しておる、こういう状態でございますので、御了解いただきたいと思います。
  83. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 この辺の程度で、この問題はもう少し次の機会に詳しくもっと質疑をしてみたいと思いますが、きょうはちょっと基本的なことだけをお尋ねをして……。もう一点私この問題についてお尋ねしたいのは、不正受給の場合に追徴金制度をつくった。これは非常に貧しい人々に対してのきびしいあれでありまして、これは非常に何と申しますか、生活にも影響することでありますし、非常に私はそうまでしなくても――悪いのは悪いで、もちろん処罰はしなきゃならぬけれども、これはまた行政面でほかの制裁を加えることができるのであって、追徴金制度というのはいかがかと思うのですが、この点はどうですか。
  84. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 私どもの御諮問申し上げました案には追徴金制度の創設ということがございますが、これは最近不正受給が非常に量的にもふえてまいっております。私どもの監察制度でとらえただけでも、一昨年の実績でございますが、二万数千件、四億六千万円という金額にのぼっておるわけでございますが、この不正の状態をよく分析してみますと、非常に悪質化しておるという傾向が出ております。たとえば地域的な集団で不正をやる、あるいは雇用主と共謀をして水増し賃金あるいは雇用の水増し、こういったことをやる、それからまた一部の職種に見られるんですが、繰り返し繰り返し不正をやる、こういう事態がございます。こういう悪質なものに対しましては現行の制度で不正の部分について返還命令を出すようになっておりますが、これがいわゆるばれもとといいますか、返しゃいいんじゃないかというふうな考え方で、非常に悪用されるという傾向が強いわけでございます。それからもう一歩、現行の制度でも刑法による詐欺罪という刑罰規定がございますが、これはなかなか、告発して裁判で結論を出すというわけでございますので、手続をいとうわけではございませんが、私どもも罪人をつくるということが目的じゃございませんので、何とかこの不正が多くなっておる傾向に対しまして社会保障制度といいますか、失業保険制度を何とか防衛しなきゃならない、これをこのまま放置しておけば崩壊に通ずるんではないか、こういう考え方もございまして、私どもとしては、現行の制度だけでは不十分でございますので、いま言ったような行政罰として追徴金制度を設けたい、こういう案を出しております。ただ、審議会としては非常にいろいろな角度から消極論が強いものでございますから、審議会の答申が出ましたら、それを十分検討した上で、最終的に成案を固めていきたい、かように考えております。
  85. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 いまのお考え方は、むしろ何と申しますか、職安行政の、むしろ行政的な面の不備を――その不正受給者はもちろん悪いのであります。これはなくさなきゃならぬことは当然であります。そういうことを当然なくさなきゃならない職務を職安行政の中でやらなきゃならないのを、追徴金できびしくやる、それも一つの方法かもしれませんけれども、私はそういうような、失業するような条件の人は非常に生活的に困っている人なんだ、そういうような人に追徴金で生活のできないような、生活を脅かすようなことをするんではなくて、私はむしろ職安行政の中でもっとそれを徹底的に取り締まることのできるぐらいの行政をやってもらいたい、こういうふうに基本的に考えるわけです。その行政をやらずして、そういうところに転嫁をしていくというのではなくして、そこのところの根本的な考え方を心にとめておいていただきたい。また詳しいことは後ほどいろんな角度から質問を申し上げたいと思います。  続きまして、最賃の問題ですが、労働大臣、今度新しくなられまして、最賃、この問題に対してどんなふうな御見解をお持ちになっておるのかということの御所見を伺いたい。
  86. 早川崇

    ○国務大臣(早川崇君) 最賃につきましては、現在中央最賃審議会に諮問中でございまして、私として希望するところは、いわゆるILO二十六号条約の精神に沿った労使対等の最賃方式というような点に御改正を願いたい、こういう立場で審議会の審議にゆだねておるわけでございます。
  87. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は、最賃は大橋委員がやりますから、失業保険のことについて少し大臣考えを聞かしておいてもらいたいと思います。  いま大橋委員が述べたように、ことしは千六百億も積み立て金がたまりそうだと。保険経済の面からどうも稼働の問題、要するに出かせぎの問題で、保険のそろばん勘定の面から出ているわけですけれども、失業保障というものを根本的になぜお考えにならないか。それをなぜ、失業保険の改正をお出しになるならば、なぜそこのところを中心におやりにならないかということが大きな疑問なんです。だんだんとその積み立て金の中から家も四万戸、ことしも一万戸も建てるので五万戸できる。むしろ炭鉱の離職者対策より一般の離職者の問題にまで手が入るようになって、私はそのこと自身はけっこうだと思う。けっこうだけれども、そんなものは本来建設省のやる仕事なんです。それを急場を押えるために私はこの失業保険金の積み立て金で住宅建設ということをお考えになったのだと思う。私はまあどちらがどうか、どっちが先かということは言いませんけれども、本来の筋に戻すべきではないかということが一つ。  それから、融資をされる。これも事業の面から失業保険云々の関連なしとは言いませんけれども、これも住宅公団、住宅金融公庫、その他年金等の積み立てで同じようなかっこうのものを一年で、厚生年金と国民年金でことしは四千六百億、来年は五千億以上の積み立てが行なわれて、これで年金福祉事業団から住宅を建てるところにいまもいきつつある。そういう中で、千四百五十億、今度は千六百億というかっこうで、その中から住宅を建てるのに急だから、おやりになることは、住宅を建てること自身は私は反対するものじゃありません。それから融資することの事実は反対するものではないけれども、しかしその失業保険会計からなぜ金を出さなければならないか。建設関係で処理すべきではないか。百二十億もお出しになるような融資を……。それから、住宅一万戸、これはもう根本的に建設省の関係において何らか処置をして、そしてこの積み立てられていくのは――政府も借金があります、三分の一か四分の一減らしているのじゃから。これは借金がある。それを正常に戻して、そして失業者の給付をよくする。先ほど雇用基本計画の中で技能労働者をつくりながら云々というような話がありました。けっこうな話ですが、しかしその失業保険の会計から一般行政に使うと最大許しても、雇用関係の補足的な面よりお使いになるのはいいけれども、たまってくるものは三分の一ずつ労使が出して、全体の四分の一を政府が出しているというこのかまえからいっても、少しどうも違った面でこの失業保険の積み立て金が発展しているのじゃないか。なぜ、給付をもっと急に上げていく今度のような問題に差しかかられるなら、本来の姿である本体の失業保険、失業保障というものに何でもっと力を入れて、その中で足らない分は、いままでの国が借りているようなかっこうはもとに戻して、そして給付を高めて、そして技能労働者の養成その他の問題について多少お使いになっているようだけれども、そこまであまりこまかしく言いませんけれども、少なくとも住宅の問題なんかはこの段階で建設省関係の正常なもとに戻す、そうして給付を高めるというのが失業保険の今度の改正の柱でなかったかと、私はそう思っている。  去年の雇用対策を審議するときに、昨年の八月から失業保険の問題については取り組みましょうというのが、ここでの約束であります。大臣がかわられた。そうしたら、その出かせぎの赤字になる分だけの問題を取り上げられて――まあこのことはまた法案が出てくるでしょうから私はとやかく言いませんけれども、しかし根本の問題について抜かっているとは言いませんけれども、なぜ触れられなかったかということが私はふしぎでしょうがない。これはひとつ大臣から聞かしてください。
  88. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 若干の経緯がございますし、藤田先生から毎国会おしかりを受けておる問題でございますので、私から先に経過的に御説明を申し上げます。  御指摘のように、移転住宅あるいは雇用促進融資というものが、建設省がやっておりまする住宅政策と関連するじゃないか、向こうへ移しがえをしてもいいんじゃないかというようなお話でございますが、建設省の住宅政策が飛躍的に拡充されて勤労者の住宅にこと欠かないというふうな状態になれば、われわれとしても目的が達成できますので、失業保険で同じような政策をとる必要はないと思いますが、現状においてはやはり雇用の促進という角度から、移転住宅を毎年一万戸程度は建設をしていって、そして主として中高年者の誘導化対策を強力に展開していかなければ、地域的なアンバランスあるいは産業部門ごとのアンバランス、これを解消していく政策としては不十分であるというふうに考えまして、今日失業保険法の規定によりまして、福祉施設としてこれを設置運営をしておるのでございます。しかし、藤田先生からも毎年御指摘がございますし、私ども失業保険制度でこれを年々ふやしていくというふうな考え方では毛頭ございませんで、失業保険財政の全体の規模の中に占めるこの種の出資金の比率は、若干ずつでも下げていきたいということで努力をいたしております。そして比率を下げることによって本体のほうの給付の改善にできるだけ向けていくと、こういう基本的な考え方で対処をいたしておりますので、もうしばらく移転住宅についても失業保険の福祉施設として続けていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  89. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 いまの宿舎、住宅は、一度入った人は出られないと私は思うんですよ。ほかのところへ、それじゃ社宅とかなんとかへかわりますというわけにいかないのが現状だと思う。これはいずれ大臣から意見を聞きたいんですが、それで、住宅は建った、その時点ではお喜びになっている。これは出なさいというわけにはいかない、行くところないんですから。その意味で、国家全体の住宅政策としてはその面は貢献はしていると私は思っている。マイナスだと思っていない。しかし、本来のことを忘れて――むしろ年金ですね、長期の厚生年金や国民年金が五千億も六千億も一年間にたまっていくというこの中で、大いに私は活用できる問題だと思う。それは年度が来なければ、年度まで複利計算で積え立てておいて、そうしてそれは国民の生活福祉を高めながら、それが有効に年金制度のものが活用される。いま二五%ですけれども、福利融資は。これを三〇%ですか四〇%にすることによって、いまのようなことは本来の姿に戻す。それは建設省の住宅建設計画の中に入れてやるべきことで、失業保険の金をそんなところへ持っていくというのは、はいれる人は、そのときはいれる人は喜んではいります。私も住宅を建てることはけっこうだと思うけれども、本来の失業で困っている人が、その掛け金をして困っている人があるのに、そんなところへ金を出す、困っている人の。労働行政としては私は本筋に戻すべきだということを言っている。これは十分に検討してもらわなければ困る。  ただ、私は妥協といいますかね、技能者の養成であるとかですね、それから広域紹介云々の中に、その積み立て金を使って失業のないようにというようなことについては、本来いえばそういうことにもなかなかきびしいのだけれども、その程度なら私はやはり全体の部門として多少お使いになることはけっこうだけれども、どうもそこのところあたりがもう一つ労働大臣はね、大臣になられたのだから、だからそこらを本筋に戻すように、やはり閣議ですか、内閣全体としてやってもらう。資金が足らなければ、五千億もたまるところの資金をちょっとやれば、いま千二百億か三百億ぐらいあるのですから、これがどんどんふえる。福祉関係だけで、来年は千四百億ぐらい。二五%になるのです。だから、こういう支出をしてもらうということにおやりになって、給付の問題と根本的に取り組むということにしてもらいたいと思う。
  90. 早川崇

    ○国務大臣(早川崇君) 本筋とすれば藤田先生の言われるとおりで、実は大蔵省や建設省からいつも、そいつを労働省からもぎ取れという意見が常にあるわけでございます。しかし、たとえば道路については農林省が農免道路を持っている、あるいは健康保険の会計でりっぱな旅館を建てている、寮も建てている。補足的な施設をして、保険料も下げたらどうかという意見もあります。そこで、これは一つ経過がありますので、私は失業保険会計が失業者をふやさないために、移動する労働者に住宅を建てることによって、直接ではございませんが、失業者を少なくする間接的効果も果たしていることは事実でございますし、いま有馬局長がお答えしたように、建設省というのは労働者だからというしぼりを公営住宅にしても公庫住宅にしてもできないわけで、そこで労働省の雇用促進事業団のやつに、はっきり被雇用者、労働者だというしぼりで、しかも移転流通労務の需給関係のアパートという特殊性の範囲内で、建設省と大蔵省もまあまあということできているわけでございまして、これは各省間の権限争いというか、理屈からいえば、建設省もあり余る住宅ができればいいのでございます。まあ過渡的に失業者を防いでいく、勤労者の福祉をはかっていくという立場から、まあひとつ大目に見ていただいて、しかもそれが失業をなくするための移動労働者に住宅をという制約でなければ出さないように、過渡的にやはり活用していくということも行政上妥当なところではないだろうか。御意見は建設省や大蔵省からもたびたび聞いている問題でございます。いままでの経過から申しまして、ひとつ御了承賜わりたいと思います。
  91. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 それはそういうことをいえば何でもそうなるわけで、やはり労働省の行政というものはある程度明確に私は閣議できめてもらって、ただしていったらいいのではないか、関連して。やっぱり労働者が出している金を使う、少し出すとこが違うではないかと私は思っている。まあ緊急の離職者のたいへんなところだから、わしらも黙って、有馬さんおっしゃったけれども、わしらどうも理屈に合わぬと思ってもしんぼうしてきたけれども、もうけじめをつけないとこれはやはり問題ですよ。これはひとつ、大臣、きちんとそれはしてもらいたい。あなたの在職中にお願いしておきます。
  92. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 先ほど大臣の御答弁で審議会の答申を待つんだというお話でありますが、この審議会に労働者の代表でありますところの総評とか中立労連が加わっておりませんね。こういうことに対しては、私は非常にどうかと思うのでありますが、この点についての大臣の御見解、それからまた審議会待ちだとおっしゃってるんでありますが、この問題も、非常に前々からいろいろあれされておるのでありますから、大臣としての今後の方針というものを、ある程度御所見を伺っておきたいと、こう思う。
  93. 早川崇

    ○国務大臣(早川崇君) 中立労連、総評の委員も入っておるのです。ただ、三カ月前にボイコットしておるわけですね。藤田先生もおられるのですけれども自分意見がどうも負けそうだ、主張が通らないとなると、オール・オア・ナッシングで、委員会の場に入っていただけぬというのは、私は非常に残念なんですよ。入っているんですよ。その点はひとつ。それから、中立労連の人も参加を始めておるはずでございますが、総評の委員方々に対しましても、有沢会長を通じまして、委員会にひとつ入って御意見を述べてもらいたい、こういうことを言っておるわけでございます。決してボイコットしておるわけじゃない。
  94. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 審議会の進め方においてもっと正常であれば、私は入ると思うんでありますがね。そういう点で私はもう少し審議会の運営そのものに、大臣としては相当そこに、そういう労働者の側の発言を正しく取り上げるような、押えつけていくようなことじゃなくていけるという状態を、もう少し指導するなり、あるいはしてもらわないと、やはりこういうふうな点はうまく進まないと思うので、そういう観点も大いにひとつ力を注いでいただきたい。  先ほど第二点としてお願いをいたしました、この審議会待ちという形じゃなくて、やはりこれに対してはそういうふうな指導のもとにどういうふうにやるのか、あるいはまた最賃の問題に対しては大臣自身はどういうふうに取り組みたいかという基本的な考え方とかいうものを、先にちょっと説明を伺っておきたいと思う。
  95. 早川崇

    ○国務大臣(早川崇君) 審議会に労使、公益が入って御審議願っておりますので、私はどういう線だということは申し上げませんが、最小限最大公約数として申し上げますと、現在の最賃法による、労使が対等でなくて、業者間協定というものが原案づくりの役をして、そして審議会では労使対等という方式は、なるほど形式的には審議会はILO二十六号条約の精神を生かしておりますけれども、原案作成は業者間だけだというのは少し改正の要があるんではないかと、これがまあ最大公約数でありまして、さてそこで総評の言うように、全国一律、全産業一律最賃がいいのか、あるいは諸外国でやっているように地域別、あるいは業種別という、何といいますかが実情に沿った方式がいいのか、こういったことは、大いに公益、労使協議していただかなければ、それでなければこの審議会に入らぬというのでは民主主義的な審議会じゃございませんので、まあひとつお入り願って、もししかしそういう最終的な結論を得られないならば、最大公約数的なものでもどうかと、いまその妥協案で話し合いしておる最中でございます。どうかひとつその点は御理解賜わりたいと思います。決して除外しておるわけじゃない。
  96. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 賃金問題ですがね、どうも大臣はどういうお考えを持っておいでになるのか知りませんけれども、今日の最低賃金というものは業者間協定を主体にやるなんていうのは、きょうは少しでやめますけれども、そんなもの便々として続けていくということに対して、労働大臣労働省としては、もっと真剣に、先ほど議論しました賃金労働条件は対等の立場できめるということを明らかにしないと、これは恥ずかしいですよ、世界の国に向かって実際に。それは二十六号条約がある、その他の条約もありますけれども、しかし根本的に恥ずかしいですよ。あの三十号勧告というもの、賃金決定制度の勧告というものがあるわけです。あれは批准行為ではありませんけれども、これはILOに参加して常任理事国である日本が三十号勧告すら守らない法律をつくって便々としているのは私はおかしいと思う。お読みになったらよくわかるように、労使が同等な議論をして、あとの少し調整がつかぬところは中立委員が調整をする。むしろ団体交渉的な、両側の代表によって団体交渉的なものが突き詰められて、最後の一点だけは中立委員がやる。対等の立場でやるんだというのが、世界じゅうの最賃をきめる指針として三十号勧告にきちっと書いてあるのですよ。それで、日本が常任理事国なんです。それできめられたのが、九条方式が二千八十三で、十条方式が三百十六件、十一条とか十六条という、少しは対等の立場で賃金がきめられるものはたった十四件ですよ、今日。そんな状態法律を続けてきているのが私はおかしいと。日本は常任理事国ですよ。私もILOの会議に行きまして、常任理事国というのは私はILO自身をリードしていく立場だと思う。それが、労働者の一番の問題の基本である最低賃金のきめ方を業者間協定で続けているということじゃ、これはお話にならぬ。ぼくは露骨にものを言いますけれども、そういうことじゃどうにもならぬのじゃないか。  ですから、大橋大臣やその他、何とかせなけりゃいかぬということで、歴代の大臣は苦慮してまいった。私はいま大臣に申し上げたいことは、そういう歴史がある、日本を取り巻く問題もある、そういう中で、今度諮問されるときに、まあ審議会だからひとつ自由にやってくださいなんという諮問のされ方が私は少し気に入らぬのですよ。少なくとも業者間協定でないように、世界の水準による賃金の方式をひとつ考えながら大いに勉強して結論を出してくださいとか、または、日本の地域条件、私は一律賃金をすべきだと思いますけれども、ここまで私はあなたに押しつけませんけれども、少なくともいまのように業者間でかってにきめたようなかっこうを便々としてしていくというようなことは、大臣は新しく来られたのだから、私はきょうここでどうこう言いませんけれども、そういう考えに立ってくれなければ、世界の第三位生産国の日本が、近代国家としていくのにどうもはずかしい事態じゃないかと思う。だから、きょうは基準局長も用事で出られたからあまり言いませんけれども大臣はここらあたりのかまえぐらいはきちっとしてもらわなければ私は困ると思う。  それから、まあ総評が入らない……。私も聞いてみました。そうしたら、その大臣の諮問のしかたにも問題があると。白紙でどうぞやってくださいというかっこうでいままで労働省労働組合との関係ができたのに、これでいいのかというやはり不平不満があるわけですよ。だから、諮問を委員会に出すんだから、かくかくやりなさいという諮問のしかたもありますけれども、しかしまあそれはおくとして、もう少し世の中の波に沿って、私はやはり新しい労働大臣の抱負というものをおっしゃったんですから、その抱負というものが具体的な問題まできちっとやろうというかまえになってもらわなければ、これはやはり国内の物取り勘定じゃないと私は思うのです。そこらはひとつ、大臣、はっきりしておいてもらいたいと思うんですね。
  97. 早川崇

    ○国務大臣(早川崇君) 最賃審議会には、ILO二十六号条約の精神に沿って、業者間協定は問題があるからひとつ御検討願いたいという意思表示をいたしております。ですから、いま御指摘のありましたような線には全く同感でございますが、ただ、総評がこのように全国一律最賃でなければならぬということを意思表示しなければ入らないというのでは困るので、最大公約数的な前向きの意思表示はいたしておるわけでございます。いずれ審議会がどういう結論を出しますか、あるいはよう出さないか、われわれは最大公約数で前向きの線を出すように、大いに努力をいたしておるわけでございます。結論がございましたら、よく検討いたしまして、国会に御審議をいただきたいと、こういう段取りになっております。御了承願います。
  98. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 たとえば賃金制度については、これは産業別をやっているところもあります。しかし、外国の賃金に対する最賃の出発点というのは、家内労働工賃から生まれて発展してきたものですね。日本は家内労働賃金もほっぽらかしだということで――それはイギリスのウェイジ・カウンセルのように産業一本でやっている。大企業も小企業も一緒になってこれをやっているわけですから、一本にして六十何種類の賃金がきまっているわけですね。だから、そういうことを見てみたら、日本の業者がかってにきめて押しつけるなんていう、そういうかっこうのものはないですよ、これは。だから、自然に日本のような二重構造のこういう経済下における最低賃金保障というのは、結局賃金はきめたわ、足を引っぱる産業予備軍つくりのようなかっこうにならざるを得ないし、業者がかってに――まあ業者の問題はやめましょう、あなたのほうもそうおっしゃったのだから。一律的な要件というものを備えなければやはり零細なレーバーは救えないという感情にだれでも立ちますよ。まあ大橋さんも、それは一律のほうがいいからそういう努力をしましょうと、そういう約束をしているのに、前の大臣がしているのに、今度の大臣はそこを、気持ちがあるのかどうかわからぬけれども、白紙で出したのはけしからぬじゃないかという感じが持たれているようですから、十分にひとつ総評と大臣みずから話してもろうて、それでやはり審議会に入って、正常に、まあ民主的にきめるということですから、それはやはり入ってもらうように大臣のほうから努力してもらえれば、私は何も総評かてかってなことばかり言うて通るという団体じゃないと思う。それはひとつ努力してもらいたい、こう思うんですよ。
  99. 早川崇

    ○国務大臣(早川崇君) 大橋君の大臣の時代の速記を読みましたが、理想としては最低全国一律制、しかし具体的には十六条方式で積み重ねていって、その上でということでございますから、まあ理想としては確かにそのとおりだと思います。同時に、この最低問題は、最近はこういう背景がございます。初任給を大体きめるというわけでありまするが、人手不足で非常に初任給が高くなって、一万五千円とか六千円とかになってまいりました。ですから、そういう背景がございますので、同時に、この移動できない――いわゆる流動性があれば、もういまはいわゆる最賃よりはうんと上回らなければ人が来ないわけです。いま御指摘の家内労働というものは、察庭に縛られて移動できない。ですから、非常に低く押えられているというわけでございまして、移動できる労働者の最賃以上に、むしろ家内労働、手内職、特に御婦人等、まあこの問題を真剣に取り上げなければ、むしろ初任給が非常に高くなっているときの最賃よりももっと緊急性がある段階になってきておる。したがって、家内労働の最賃が山梨と奈良でできましたけれども、あれはいまの最賃法の適用になっておるという地域でなきゃできない規定になっておる御承知のように。ですからこれでは話にならないので、同時に、家内労働の審議会に、またこれ審議会で恐縮ですけれども、長沼さんが会長で一生懸命やっていただいておるわけでありまして、八十万といい百万というほんとうにこの移動できない、家庭内に縛られる人の最賃を、御指摘でございますから、真剣に取り上げて、早急に結論出してほしいということを、強く長沼君にも御要望申し上げておるわけであります。  なお、最賃に総評入ってくれと努力はいたしております。まあ総評の御出身の藤田委員から、その点は私の意のあるところをひとつ伝えていただいて、まあ理想的なことを一挙にやるとなると今度はほかの委員が反対するかもしれませんし、今度は使のほうが反対する。全国一律になりますと、東京の最低賃金できめられますと、鹿児島とかおくれたところの中小企業がばたばた倒れては、今度は労働者が不幸になるわけですから、いろいろ意見があるわけなんで、しかし、私の意思表示は最小限度、業者間協定というのがILO二十六号からいうと少し疑義があるから、まあこいつはひとつ直すようにしてもらいたいという意思表示はしておりますので、どうかひとつその点は御理解いただきたいと思っております。
  100. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 ですからね、私はつけ加えて言ったけれども、家内労働者という概念は、むしろいまは内職者の概念に変わりつつあると私は思うのですね。家内労働者調査を始められてからもう五年くらいになるのじゃないですか。五年くらいです。五年くらいになってですよ、何の結論も、何の経過の報告もせぬなんというのは、怠慢ですよ、これはいずれにしたって。これが一つ。それから、最近の内職は、賃金が安うて苦しいから、サラリーマンの奥さんはほとんどというていいほど内職をしているのですよ。それもものすごい安い値段でですね。子供のあめ玉を買うことになるのか、一カ月働いてエプロン一枚買うことになるのか、私は具体的な調査はしていませんけれども、みんなやっているのですよ。だから、そこらの問題はやっぱり内職労働者をどうするか。いままで家内労働者といわれてきたそうした方々は一応、業としてだんだん向上しつつある、専門的に。しかし、いまはもう網の目から漏れておるのは、内職労働者といいますかね。だから、そういうものを総合して、早く、こういうぐあいになっておるくらいな結論は、ここで報告をしなさいよ。それをせぬとだね、それは労働者は、納得しませんよ。それが、いま大臣が言われたように、結局いろいろ地域がどうやの、賃金がどうの、それで正規の雇用をされている者は、初任給が中学卒業で一万六千円も七千円も出さなきゃもう来られぬというほどの、フレッシュの学卒の労働者は、そういう事態になっている。で、結局それを入れて中高年がほうり出されておるというかっこうが多い。年金にしたって、まあ厚生年金が一昨年上がりましたけれども、これはやっぱりそこらの問題等も総合して考えていただいて、それでひとつ全体の国民の生活をどう上げるかということを、きょうはやりませんけれども、ひとつ考えていただいて、再開国会でひとつ大いに皆さんのほうから報告をしてもらって、それでやっぱり結果を求めるというようにしなけりゃならぬと私は思っておる。だから、大臣も大筋ばかりでなしに、こまかいところもひとつ取り組んでもらって、やってもらいたいということをお願いしておきます。
  101. 早川崇

    ○国務大臣(早川崇君) 御趣旨に私全く同感なんで、家内労働審議会の審議をさらに督促しまして、この問題を日程に上げたいと思います。
  102. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 他に御発言もなければ、本件に関する質疑は本日はこの程度にとどめます。  では、本日の調査はこの程度といたします。  次回の委員会につきましては、委員長に御一任願うこととし、追って公報をもってお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時十一分散会