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1967-04-17 第55回国会 参議院 社会労働委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年四月十七日(月曜日)    午前十時五十七分開会     ―――――――――――――    委員の異動  三月三十日     辞任         補欠選任      小平 芳平君     鬼木 勝利君  三月三十一日     辞任         補欠選任      鬼木 勝利君     小平 芳平君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         千葉千代世君     理 事                 土屋 義彦君                 丸茂 重貞君                 藤田藤太郎君     委 員                 川野 三暁君                 黒木 利克君                 紅露 みつ君                 山下 春江君                 山本  杉君                 大橋 和孝君                 藤原 道子君                 柳岡 秋夫君                 高山 恒雄君    国務大臣        厚 生 大 臣  坊  秀男君    政府委員        警察庁保安局長  今竹 義一君        厚生大臣官房長  梅本 純正君        厚生大臣官房会        計課長      高木  玄君        厚生省公衆衛生        局長       中原龍之助君        厚生省環境衛生        局長       舘林 宣夫君        厚生省医務局長  若松 栄一君        厚生省薬務局長  坂元貞一郎君        厚生省国立公園        局長       大崎  康君        厚生省社会局長  今村  譲君        厚生省児童家庭        局長       渥美 節夫君        厚生省保険局長  熊崎 正夫君        厚生省年金局長  伊部 英男君        厚生省援護局長  實本 博次君        社会保険庁医療        保険部長     加藤 威二君        社会保険庁年金        保険部長     網野  智君        農林省畜産局長  岡田 覚夫君    事務局側        常任委員会専門        員        中原 武夫君    説明員        文部省大学学術        局審議官     清水 成之君        厚生省大臣官房        企画室長     首尾木 一君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○社会保障制度に関する調査  (厚生行政基本方針に関する件)  (病菌豚肉問題に関する件)  (インターン制度に関する件)  (乳飲料成分規格等に関する件)  (昭和四十二年度厚生省関係予算に関する件)     ―――――――――――――
  2. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) ただいまより社会労働委員会を開会いたします。  社会保障制度に関する調査を議題といたします。  まず、厚生行政基本方針に関する件について調査を行ないます。本件に関し、政府より所信を聴取いたします。坊厚生大臣
  3. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 第五十五回国会における社会労働委員会の御審議に先立ち、この機会に、厚生省所管行政に関し、所信の一端を申し述べたいと存じます。  厚生行政の推進については、各位の格別の御尽力により、着実な進展をみているところでありますが、なおこの分野において解決しなければならない課題は少なくないのでありまして、今後さらに施策拡充に一そうの努力を払ってまいりたい所存であります。  御承知のごとく、わが国社会保障は、体系的にこれを見るとき、児童手当制度が未だ創設されていないことを除けば、一応その姿を整えており、国民保険国民年金体制を中核として、すべての国民に均てんし得るに至っておりますが、欧米諸国に比較すれば、総体としての規模はなお低い水準にあり、また、部門別に見て立ちおくれた分野や、今後の経済社会発展に対応するため大幅に改善を要する分野をかかえている現状であります。  今後のわが国経済社会の変動に即応しつつ、国民生活の安定と高度の福祉水準実現を期する上には、このようなわが国社会保障について、長期的視点のもとに、内容的、質的観点を重視しつつ、その総合的な体系整備と、実質的な水準向上を期することが急務でありまして、医療保障部門における当面の課題の解決と、その制度的な立て直しに努力するとともに、極力年金制度等所得保障部門拡充につとめ、また、老人福祉児童福祉心身障害者福祉成人病対策精神衛生対策救急医療対策看護婦等医療従事者対策環境衛生対策などの分野において、社会経済発展に即応し、これに立ちおくれることのないような施策拡充格段努力を払うことを基本的方向とし、着実にその実現をはかっていきたい考えであります。  以下、厚生行政の当面する主要な事項について申し述べます。  まず、医療保険につきましては、各制度とも、近年その財政状況が悪化しており、特に政府管掌健康保険は、財政的に重大な危機に当面するに至っております。このような財政状況を再建し、制度の健全な運営をはかるため、医療保険制度の全般にわたり、抜本的な検討を行なっているところでありますが、とりあえず昭和四十二年度においては、当面、その財政収支の均衡をはかるため、政府管掌健康保険については二百二十五億円の国庫補助を行なうとともに、保険料率の引き上げ及び一部負担金増額等内容とする当面の財政対策を緊急に実施し、また、船員保険についても、これに準ずる対策を講じたいと考えております。このため、健康保険法及び船員保険法の一部改正案について、現在社会保険審議会に諮問しているところでありますが、すみやかに成案を得て本国会に提案する所存であります。  なお、診療報酬体系適正化については、昨年十一月以来、中央社会保険医療協議会において審議が行なわれているところでありますが、医療保険制度の抜本的な改正と並んで、きわめて重要な事柄でありますので、できるだけ早期にその実現を見るよう、同協議会審議促進方につとめる所存であります。  次に、国民健康保険につきましては、世帯員に対する七割給付実施を四カ年計画をもって進めてまいったところでありますが、昭和四十二年度はその最終年度あたりますので、その完全な実施を期するとともに、事務費国庫負担金を大幅に引き上げ、国民健康保険財政健全化事務執行適正化をはかる所存であります。  第二に、生活環境整備につきましては、まず、最近における著しい経済発展に伴い、大気汚染等公害が大きな社会問題となっていることにかんがみ、公害防止に関する国の総合的な施策を確立するため、公害対策基本法案を本国会に提案する所存であります。また、環境衛生局公害部を新設して公害防止に関する行政体制強化するとともに、地方における公害監視体制整備し、公害防止に関する調査研究を、従来に比し、飛躍的に推進する等、公害対策充実をはかりたい所存であります。  次に、生活環境施設につきましては、最近の経済成長に伴う人口の都市への集中等により、ますますその重要性を増していることにかんがみ、新たに昭和四十二年度を初年度とする五カ年計画を策定し、し尿処理施設ごみ処理施設上水道施設等整備をはかってまいる所存であります。特に上水道につきましては、水道水源開発水道広域化を強力に推進いたしたいと存じます。  また、環境衛生関係営業につきましては、国民日常生活に密接な関係を有することにかんがみ、その指導育成の徹底をはかり、昭和四十二年度においては、新たに環境衛生金融公庫を設置して、行政と金融との一体的な運営により、環境衛生関係営業近代化合理化をはかるとともに、国民日常生活に密着したこれら営業に関する料金の安定に資する所存であります。  第三に、国民保健衛生及び医療につきましては、結核予防対策精神衛生対策成人病対策をはじめ、各種の疾病予防対策を推進するとともに、第一線機関である保健所の強化充実をはかり、国民保健衛生向上につとめてまいる所存であります。  また、近年交通事故等の不慮の災害による死傷者が増加し、救急医療対策の確立はきわめて緊要な課題となっていることにかんがみ、国立及び公立の病院に脳外科を中心とする救急医療センターを設置する等、施設設備整備をはかり、また、医師等に対する研修拡充する等、救急医療対策を推進してまいる所存であります。  このほか、看護職員につきましては、その処遇改善養成施設整備拡充を推進してその確保をはかることとし、また、医師実地修練につきましては、「大学医学部卒業後における教育研修に関する懇談会」の意見を十分に参酌して、現行の実地修練制度にかわる合理的な臨床研修体系を織り込んだ医師法の一部改正案を本国会に提案いたしたい所存であります。  なお、血液対策につきましては、献血の実績はその後着実な伸展を示しておりますが、献血による保存血液確保をはかるため、昭和四十二年度から二カ年計画をもって献血受け入れ態勢を緊急に整備するとともに、献血組織強化育成を促進する所存であります。  第四に、生活保護及び社会福祉分野につきましては、生活扶助基準を一三・五%引き上げる等、生活保護内容改善するとともに、身体障害者老人、要保護児童等に対してあたたかい配慮の手が届くよう、施設整備及び運営改善をはじめ、その福祉のための施設を一そう充実してまいりたいと存じます。特に身体障害者については、昨年十一月の身体障害者福祉審議会の答申に基づき、呼吸器及び心臓の機能障害者身体障害者に含めるとともに、身体障害者相談員及び家庭奉仕員を設ける等の措置を講ずるため、身体障害者福祉法の一部改正案を本国会に提案する所存であります。また、重症心身障害児についても、その施設収容力が僅少な現状にかんがみ、施設整備をはかりたい所存であります。  また、保育所につきましては、昭和四十二年度から年次計画をもって緊急にその整備をはかる所存であります。このほか、母子保健対策児童健全育成対策強化をはかるとともに、老人福祉対策充実をはかってまいりたいと存じます。  第五に、年金制度につきましては、過去二回にわたる改正により、厚生年金国民年金とも、いわゆる一万円年金水準実現したところであります。昭和四十二年度においては、これに引き続いて福祉年金中心として改善を行なう所存でありますが、厚生年金国民年金制度とも、今後その一そうの改善につとめてまいる所存であります。なお、昭和四十二年度においては、国民年金事務費交付金を大幅に引き上げ、制度の円滑な運営をはかる所存であります。  第六に、戦傷病者戦没者遺族援護については、その処遇改善充実をはかるため、関係法改正し、また、すべての子または最後の子を戦争により失なった父母等に対して特別給付金を支給する制度を創設するとともに、戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給対象を拡大いたしたいと存じます。また、海外戦没者遺骨収集昭和四十二年度以降計画的に行なうことといたしております。  以上のほか、広範にわたる厚生行政分野には、なお重要な課題が少なくありません。私は、国民生活の安定と向上をはかるため、厚生行政の一そうの進展を期して、今後とも誠意をもって努力する所存でありますが、ここにあらためて各位の一そうの御支援と御協力をお願いする次第であります。
  4. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) では、これより本件及び厚生行政の諸問題について質疑を行ないます。  御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  5. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 厚生大臣に、私は、大臣としての基本的なお考えをお聞きしたいと、こう思うのです。いま所信の表明の中で、総合的な体系整備をやる、それから、「社会経済発展に即応し、立ちおくれることのないような施策拡充格段努力を払う」というお話がございました。私は、まあ非常にけっこうなお話だと思うわけでございます。ただ、しかし、予算に出てきているものと日本経済体制との関係について厚生大臣はどうお考えになっているか。今日の経済は、倍増計画中期経済計画、新しい経済計画というぐあいに、国民には三段階で政府経済計画を発表されております。しかし、今日は、機械化生産によって、生産力昭和三十六年を基準にして三倍以上になっている。ところが、社会保障を含めて、国民所得購買力が伸びない、物価値上げによってマイナスをしている、だから、昨年度ぐらいまでの国民実質所得の伸びが、片方の生産力が三倍になっているのに、こちらのほうは二割ぐらいしか上がってないというのが政府の統計でも明らかなんです。そこで、一番大事なことは、生産が上がる、生産国民公器である、だから、これに応じて国民生活を上げるということは、私は、勤労による所得の問題、それから、あわせて社会保障による国民購買力を高める問題、その生産消費バランスがとられて初めて経済が安定をしていく、このことについてはどうも深くお考えになってないんではないかと私は考える。生産設備さえできれば、自然に国民生活はそれによって潤っていくのだというものの考え方を政府は言っておいでになりました。しかし、もう六年、七年です。追っかけとっかけ、生産設備拡大だけに力を入れられるけれども、主権者である国民所得購売力について、勤労所得社会保障を含めて、あまり力が入っていない。だから、いまここで仰せられたことはどういう意味を含んでいるのか。私はここで古い議論を思い出すのでありますけれども、国民老齢年金が一年に百円上がった。百円で生活をたてまえにする所得保障の問題はどういうことなんだと言ったら、いや、百円でも上がったらよろしいよという政府の答弁であります。私はそんなことでは解決せない問題である。だから、私は、生産力と、それから勤労所得との所得分野における分配、それから所得保障年金児童手当というものと重なってバランスがとられて経済が進んでいく、このことをどうお考えになっているのかということが一つ。  それから、ここにいまおっしゃられました総合的な体系整備と、社会経済発展に即応してこれに立ちおくれることのないような施策を十分にやる。社会経済発展に即応してということなら、生産力が上がれば、それだけ国民所得購買力を上げる。貿易ともフィフティ・フィフティですから、そういう形でなければこのアンバランス経済というものはいつまでたっても直らないと私は思う。人間の生命をあずかる厚生大臣としては一番大事なところだと私は思うんですが、大臣としてはそこら辺のところをどうお考えになるか、ちょっとお聞きしたい。
  6. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 御指摘のように、日本社会経済的には非常に進歩向上をしてまいったが、これに対して社会保障等、いわゆる社会開発というようなことがバランスがとれてないじゃないか、おくれておるじゃないか、こういう御質問のように承ったのでございますが、私は、その傾向がこれはもう確かにある。そこで、数年来、漸次社会開発社会保障の面につきましても政府は鋭意努力を重ねてまいっておりますけれども、まだまだ経済進歩向上したテンポにはなかなか追いついていっていないということは御指摘のとおりだと思います。と申しますることは、戦後何年かの間、荒廃いたしました日本経済というものを復興し、これを開発していくということに非常に政策としてウェートがかかってきた。そこで、その問に社会開発というものがそれに追っつかなかったということでありまして、いずれにいたしましても、日本社会福祉福祉国家というものを目ざして進んでおりますことは、これはもう当然のことでございまして、そのために、日本経済なり国民生活なりというものを円満にこれを発展向上せしめていくためには、これは経済開発と、それから社会開発ということは、まさに車の両輪のようなものでございまして、この双方がバランスがとれておるということで日本国民生活というものが円満なる姿になっていくと、こういうようなことでございますので、私は、今後はむろん経済開発生産拡充生産向上ということも大事なことでございますけれども、それとともに、いままで非常に追っつかなかった、こういうことにかんがみまして、社会開発といったような方向へこのウエートをだんだん乗せていかなければならない、かように考えております。  そこで、現在日本社会保障、いわゆる所得保障医療保障といったような点について考えてみますと、制度としては、これはほんとうに皆保険、皆年金といったような制度が一応でき上がっておりますけれども、その内容を点検いたしてみますと、その内容は、これは必ずしも十分なものではない。これはまだ改善の余地を多く残しておるというようなものでございますので、今後は鋭意そういったような方面で政策ウエートを乗せていかなければならないと、かように考えております。
  7. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 大臣はいまそうおっしゃいましたけれども、どうも生産力だけに力をお入れになって、国民生活や、そういうものをお忘れになっているような厚生行政ばかりじゃないと思うんです。しかし、私は、この中で柱になるのは、労働行政と、それから厚生行政だと思う。それを産業とかその他の生産設備の問題にしても、生産増強だけにお力をお入れになりますけれども、どうして国民生活をもっと――裏を返せば購買力ですよ。幾らお金があったからといって、百ぱいのめしを一度に食べるわけにはまいらないのでありますが、そこらあたりをもっと力をお入れにならないといけない。そういうことを厚生大臣は、具体的にいまのこの予算書を見ても、今日の日本生産力世界で三番目になろうかというときに、今日の所得保障の分を一つ取り上げてみても、福祉年金は一万千五百円、七十歳以上です。今日ヨーロッパ各国が、経済が安泰といいましょうか、繁栄しているヨーロッパの国の所得購買力はどういう案分であるか、そして生産消費バランスをとっているか、こういうことについてどの程度政府はお考えになっているのか、前段おっしゃったことはまことにきれいなことであります。生産力を上げれば国民生活は上がってくるのは当然であります。そのことをなぜ実施されないのか、私はそこを聞いているわけですね。たとえば国民年金が一万円年金になったとおっしゃいましたけれども、国民年金が出発したのは昭和三十六年ですね。そして調整のポイントは、厚生年金共済年金は二十年でその資格がある。国民年金は二十五年ですね、二十五年というのはこれから先何年たたなきゃいけないか、十七、八年たたなきゃいけない。一万円年金と言われても、二人で一万円ですね。だから、そういう点で経済バランスがとれるとお考えになっているのかどうか。いずれ児童手当の問題もあとから聞きますけれども、昭和四十一年度からやるという児童手当がいまだにまだ頭を出してこない。四十一年、二年なり三年なり、そういうところはどういうかまえになっていくのか。これは所得保障の重要な分野として、六十二カ国も世界各国でやっているという現実をどう見ておいでになるのか。私は、そういう意味で、非常にことばはきれいでありますけれども、実際にやろうとしてやっておいでになることが、どうも厚生省は、日本経済日本政治社会の中で、厚生省はいままでよく言われる、生産が伸びれば自然に潤いは国民にくるんだという、このことでいつもどうも前へ進んでおいでになるようであります。私は、大臣の非常にきれいなおことばを承りまして、そんならどう実行していくか。いま日本のみんなが困っている、不況で困り、物価値上げで困り、それは結局国全体からすれば、生産消費アンバランスによって主権者国民だけが犠牲になっているという、との姿をどうしたらよくなるとお思いになるのか、そこのところを聞きたいんです。それでなければ、一般論としてはそれはけっこう、生産が上がり、社会経済が上がれば、それに応じて社会保障を進めるという、ことばはきれいですけれども、問題は事実行為なんです。だから、そこらあたりはどうおやりになるのかということで、一年でせいと私は言いません。一年でしなさいと言いませんけれども、そういう方向がもっと明らかにならぬ限りどうにもならぬじゃないですか。その点をまず第一に私は聞いておきたいんです。
  8. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 国民福祉生活向上していくというためには、まず、国民経済というものを充実向上していかなければならないということは、これは御了解を願えると思いますけれども、さて、その生産が上がって国民経済が上がっていけば、当然に国民福祉生活というものが向上する、こういう考えは私は持っておりません。今日までの日本の実情に即しまして、まず、福祉生活向上さしていくためには、ともかくにも国民経済力をつけていかなければならぬという、これはそのとおりでございますけれども、これが漸次国民経済力がついてきたら、当然に福祉生活向上するんだと、そうでなくて、今日までは、とにもかくにも、政策ウエートと申しますか、それを国民経済向上に置いておかなければならなかった。ところが、今度はいま御指摘のとおりです。非常に日本経済力というものが強くなって生産が進んできておるということでございますので、今後はひとつそのウエートを、何も福祉生活ということだけに持っていくということも、これはどうかと思いますけれども、いままでとは違って、この国民生活ということに重点をだんだんと置いていって、そうして両者のバランスがとれるという方向に持っていくべきだと、かように考えております。
  9. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 いや、私の言っているのは気持ちの問題じゃないんですよ、具体的政策の問題です。そうでしょう、具体的政策の問題。ヨーロッパ各国は、国民分配所得でいったら大体日本の倍ですよ。三割から四割操業短縮をやっている日本経済と違って、ノーマル生産をやり、ノーマル国民生活を上げていく。たとえばいまの現状日本国民分配所得が半分としましよう、これがノーマルの状態で、日本生産設備ノーマル生産活動をやっていったとしたら、半分でなしに、七割ぐらいの水準国民分配所得はなると思う。しかし、半分としても、六十五歳以上の人に、ヨーロッパの最低二万円として、一万円の年金が出せるのであり、児童手当は、二人目以上の児童教育生活をみることにすべきである。事業所得分配率がどの国を見ても五〇%、日本は三〇%です。それでも今日生産第一主義に日本経済が動いている。本年景気がよくなったと言っているけれども、国民生活は少しもよくなっていない。よくなっているのは重化学工業だけじゃないですか。そこで、鉄が八千五百万トン計画、まだ五割増しの設備拡大をやるといっておる。それからセメントにしたって、半分ぐらいしか動いていない設備があるのに、これもまた投資をやろう。繊維でも、もったいない話だが、五百万トンの設備のスクラップをやろうとしておる。国民の日々物価やその他で困っている現状と、過剰設備投資で、国民を守らなければならぬことをみんなそういうところに進めているんじゃないですか。厚生大臣はそのことを閣議や経済計画できちんとして、何といっても生産力というのは国全体の公器ですよ。これに応じて人間の能力でつくった生産増強公器国民生活を潤す。この根元はどこかといったら、国民生活購売力を高めること、そして経済の回転を行なうことですよ。社会保障を含めた国民のしあわせというものが起きてこない限り、自然に潤うだろうというようなかっこうで国民生活犠牲にしているようなかっこうではどうにもならぬ。私は、厚生大臣計画を立てるのでも、閣議においてもほんとうに、よく世間でけつをまくるという話がありますが、そういうことばは別として、これだけやらなければ主権在民の国家とは言えないのじゃないか。だから、生産を上げることはけっこう、けっこうだけれども、経済ノーマルにいく状態というものは何かという、理論ばかりじゃない、実際にどうやったらいいかということを発言をして処理していこうというかまえを大臣はお考えになっておやりになっているのかどうかということを私は非常にふしぎに思うのです。これはきょう初めてお会いしてきょう初めて聞くわけですから、いずれぼちぼちそのことを聞いていきたい。それで明らかにしたいと思いますけれども、私はきょう初めて大臣とここで顔を合わせて、いまきれいなおことばをおっしゃっていただいたのですから、そのことについて、もっと具体的にどうやっていくのだということがなければ、予算書を見たら、まあ私からいえば微々たるものです。経済関係して云々ということはむしろないですね。だから、どういうかっこうでいくかということを私は聞いているわけです。ほかにもまだたくさんありますけれども、私はあとに譲って、ほかの方々にも質問をしていただきますが、そこのあたりがはっきりしないと、厚生行政社会保障をどうするのだということが明らかになってこない。ただ物取り的な問題じゃなしに、主権在民の国家における経済発展というものはどういうところに置かなければいかぬのかというようなことは、もっとうんちくを傾けた御検討をいただきたいと私は思うのです。
  10. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 四十二年度の予算にあらわれた政策を見てみると、厚生行政が非常にプアじゃないか、こういうお話のように承ったのでございますけれども、四十二年度のこの予算で、私はその厚生行政を担当しておる人間といたしましても、これで何も十分だとか、そういうことを考えておるのではございません。いまの日本経済の実力に即応して、さらに社会保障等について充実をしていかなければならない、これは私も全く同感でございます。そこで、具体的にどういうことを考えておるのか、こういうことでございますけれども、たとえば医療保障等につきましても、これは現在の医療保障制度につきましては、いろいろな不合理の点、欠陥のある点が露呈をされておりますので、これを技本的に改めていこうということもこれは大きな問題でございますが、さらに、また、年金の問題にいたしましても、御指摘のとおり、ちっともこれで十分というわけではございませんので、これも充実強化をしていかなければならないと考えております。それから、いろいろ、たとえば病人だ、老人だ、子供だといったようなものに対する福祉生活といったようなことにつきましてもさらに努力を重ねていかなければならない。万般の厚生行政につきまして、さらに一そうのこれは努力を重ねていきまして、でき得る限り国民福祉生活というものが、完全無欠にはそれはいかぬにいたしましても、そういう方向に持っていくのが厚生省に与えられた課題であり、かつ、これを解決していくべく考えておる次第でございます。
  11. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 私も若干基本的な問題でお尋ねしたいのですけれども、大臣の言われておることは、私は非常に抽象的だと思うのですよ。で、いままで大臣も言われたように、福祉向上、あるいは社会保障充実させるためには経済発展が必要だ、こういうことはいままでどの大臣も言われてきたと思うのですよ。しかし、いま大事なことは、私は、もう経済発展よりも、国民の健康が阻害され、国民が非常に毎日苦しい生活をしなければならぬという事態の中に置かれておるわけですから、ここに重点を切りかえなくちゃならぬということも大臣言われましたけれども、それならば、一体、四十二年度のこの施策なり予算はそういう重点施策の中でどういう地位を占めておるのかということをまず聞きたいわけですよ。いままで、残念ながら、私は、社会保障に対する長期計画というか、具体的な政策計画というものがないと思うのですよ。だから、経済の問題では長期計画、いろいろこう何カ年計画とか、あるいはここには、たとえば環境施設の問題にしても、たとえば五カ年計画とか、そういうものありますけれども、一体、社会保障はどういう目標を持って、その目標に向かってどういう計画的な政策をやっていくのか、また、その目標をいつ達成するのか、そういう点を私はこの際やっぱり明らかにしてただかなくちゃ、いま大臣がいろいろこう抽象的に言われたことでは国民は納得をしないと思うのです。ですから、まず第一に聞きたいのは、一体、社会保障の目標をどこに置くのか、それをお聞きしたいわけです。
  12. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 御承知のとおり、四十二年度の予算において何を一体重点を置いてやったのか、将来の社会保障計画といったようなものをつくっておるのかどうか、それから、四十二年度予算でそういったようなものがたとえば片りんでも出ておるのかどうか、こういうことのように承るのでございますが、ほかの経済計画はいろいろとわが国においては今日樹立されておりますけれども、社会保障計画については、長期の年次的な計画といったようなものは、御指摘のとおり、私はまだつくられていない。しかし、これはどうしてもほかの計画ができておるのでございまするから、社会保障計画といったようなものを長期に目標を定めてこれをつくっていかなければならないような事態にまいっておるということは私も同感でございます。そこで、少なくとも医療保障の問題といったものにつきましては抜本的な改正をやっていこう。何にいたしましても、この社会保障については、この医療の問題というものは、これは一つの大きな柱になっておる。その大きな柱になっておる医療保障の問題が、いまのところまことに脆弱な、不合理な点がこれは露呈されておるのでございますから、そういったようなものをまずこれを是正をいたしまして、そうしてそれと並行していろんなその他の社会保障の問題といったようなものを、これをひとつ計画的に規定をしそれを実行していくというようなことをやらなければならない事態に私は逢着しておる、これはぜひやらなければならないと、かように考えております。
  13. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 まあそういう計画がないのですからしかたがないかもしれませんけれども、抽象的でなくて、一体、社会保障なりの目標を達成するのに具体的にどういうふうに考えておるのかという具体的なものを私は大臣に聞きたいわけなんですよ。しかし、ないと言えばそれでしかたございませんが、そういう中でこの四十二年度の予算というのはどういう位置を占めておるのか。結局いまの大臣の答弁では、そういうことがまだ確立をされておらない。特に中心医療保障の問題が、抜本的な問題をいま検討中だということであって、したがって、そういうものについてはいまのところ確たるものがないということだから、四十二年度の予算も、あるいは四十二年度の厚生行政も、いわゆるすべてが場当たり的な内容だ、こういうように私どもは解釈せざるを得ないわけですよ。一つの目標、計画があって、その計画の中で四十二年度の予算はこういう位置を占めておるのだ、こういうことではっきりしておれば私ども納得できますが、そういうものが全然ない。そして四十二年度の政策を説明されても、それはすべてその場しのぎの場当たり的な政策にすぎない、こう言っても私はいいのじゃないかと思うのですが、その点はどうなんですか。
  14. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 今回政府できめられました経済社会発展計画におきましては、均衡のとれた充実した経済社会発展をはかる上に社会開発の推進を重点的な課題として取り上げておるわけでございますが、社会保障充実についても、今後の経済社会の変動に対処しながらその体系的整備をはかっていくとともに、ともかく西欧諸国の社会保障水準、これを目途といたしまして今後やっていく、こういうことでございます。
  15. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 もう一つだけ。社会保障制度審議会で、社会保障充実のために二兆円ですか、こういう予算をとるべきだ、こういうことを会長が総理に会って、おそらく大臣も立ち会ったと思うのですけれども、申し入れをしておりますけれども、これは御存じですか。それと、それに対して厚生大臣としてどういうふうにお考えですか。
  16. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 昨年まだ私が就任しないときに総理大臣に会われて、社会保障制度審議会の会長からそういうお話があって、西欧諸国の水準に達するためにはどうしても、おっしゃるとおり、二兆円の予算計画的に立てなければならないのじゃないか、こういうお話があったのでございますけれども、それについては私もその後承っておりますけれども、まだ四十二年度の予算におきましてはそれに基づく計画的な計上が行なわれておらないということであります。
  17. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 ちょっと私はいまの関連で申し上げるのですけれども、社会保障制度審議会というのは内閣総理大臣の諮問機関としてあるわけですよ。御存じですか。それが昭和三十七年に、今後三十七年当時のヨーロッパ社会保障までしなさい、してもらいたいという答申をして、残念ながら政府方向がちっともそこに力が入らないから、いま柳岡さんが言われたように、ことしは大幅に上げないとわれわれの答申と国民の期待に反するのじゃないかということで内閣に要求をした話ですよ。事務当局も、大臣が就任されたらそのことはきちっと言うておいて、理解しておいてもらってここで答弁してもらわないと、ことしの四十二年度には入っておりませんという答弁をここでするとは何ということだと私は思うので、これはちょっと補足の意見だけ私は言っておきます。
  18. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 私は、それについて、私の就任前のことであったからといって逃げたりなんかするつもりは毛頭ございません、就任前であろうと何であろうと、厚生行政の責任の地位に私は立っておるのでございますから。  なお、その三十七年の答申と申しますか、意見と申しますか、それについては、私は厚生省へ入りましてよく承っておるのでございますが、ただいま御質問の二兆円でなければというようなことにつきましては、私が失念をしておったということでございまして、私は、三十七年の答申と申しますか、意見と申しますか、大いにこれを尊重してまいらなければならないものである。ただ、四十二年度の予算におきまして、そういう方向を目ざした予算ではございますけれども、これを十分に取り入れるといったような計画的なものができなかったということを申し上げておるわけでございます。
  19. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 ただいまずっと厚生大臣お話を聞いておりまして、私はまだまだ一部に納得のいかない点があるのでございますので、少しぐらい重複するかもしれませんけれども、ぼくの考え、意見を述べて、もう少し具体的なお話を伺いたいと思うわけでございます。  今年度の重大政策の中で、経済の効率化を軸として、物価の安定だとか社会開発の推進を最重点の政策課題とした、こうなっておるわけでありますが、その中で、昭和四十年代においては、社会開発経済の効率化に基づく経済規模の拡大なしには持続的進展を期待し得ないと、こういうこともいっておられるわけであります。また、一方には、これと同時に、経済の効率化も国民の創意とエネルギーを不断に培養するための社会開発の推進によって初めて達成される、こういっておられるわけであります。これはどちらが鶏か卵かのような問題であろうと思うわけでありますが、私は、社会保障制度審議会の委員と佐藤内閣の関係閣僚との懇談会の席で、経済発展がなければ社会保障充実はないという、当時は福田蔵相でありますが、その発言に対しまして、大内兵衛会長がまっこうから反対しておられるのを聞いております。確かに二つを並列して、どちらも大切だということはわかりますけれども、しかし、政治をされる場合には、厚生行政を担当する厚生大臣として、やっぱり鶏か卵かということをはっきり明快にこれをやってもらわなかったならば私はだめだと思うわけでありますが、この社会保障の長期計画を策定するにあたって、きわめて政治的に重要な意味を持っておるわけでありますから、そういう点に対してどちらをとっていくかということを一ぺん明確に所信を聞きたいと思うわけであります。
  20. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) ともかく人間生活というものは、命あってのものだねという俗のことばがございますけれども、要するに人間の生命なり健康なりといったようなもの、これをまず第一に考えなければならないということは、私は、ことに厚生大臣としてはそういうふうに考えなければならない。そこで、いろいろほかの政策がございます。たとえば経済政策もございますし、教育政策もありますし、いろいろな政策がありますけれども、やっぱり当然の帰趨というものは、そこの国民なり住民なりがしあわせな生活をしていくということが究極の目的であろうと思います。そこで、重点をそういった方向に置いていくというのは当然でございましょうが、そこに重点を置いていくためには、これを充実強化していくためには、これはほかの政策、たとえば経済政策が非常にストレートなものでございますけれども、そういったようなものもこれを無視するというのは少し行き過ぎでございますが、それも相当重大視していかなければ、結局この人間の目的と申しますか、人間の存在自体でございますが、それを充実していくことに中心目標を置きますけれども、それだからといってほかのことを無視していくわけにはいかない。結局究極の目的というものを達成する、究極の存在というものを充実化していくためには、やはりほかのものも重視していかなければならない。これが経済社会発展計画の中にいわれているバランスのとれた発展ということであろうと思いますが、私は、厚生行政の責任者といたしましては、何にいたしましても、人間生活、健康、そういったようなものに私としては重点を置いてまいるべきだと、かように考えております。
  21. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 それをひとつ明確にしていただかないと、何か最終的には、ぼけてしまって、そうして非常に何と申しますか、あとのほうが、いわゆる鶏のほうが大きくなってしまって困るということでありますが、特にそういう観点で大臣が態度を明確にしていただくとすれば、この四十二年度を初年度といたしておりますところの五カ年計画であったはずでありますこの経済社会発展計画と四十二年度の予算における社会保障政策との関連の問題でありますが、これは四十二年度を初年度とするのでありますが、私は、この計画と四十二年度予算に盛られたところの社会保障政策との関連をもう少し明らかにしてもらいたい。先ほど柳岡委員からもその指摘がありましたけれども、この明確さが私はないと思うわけであります。いまここで達成目標がかなえられるかどうかということを議論するのではありませんが、少なくとも初年度であるところの四十二年度の予算については、その目的達成を目ざして力強くこの発足をされたということを信ずるわけであります。それで、厚生大臣とされましては、この経済社会発展計画に基づいて、四十二年度の予算ではこの点に重点を置いたという所信であったわけでありますが、それを明らかにしてもらいたいわけであります。たとえば生活保護について言うならば、本計画との関連及び最終年度の目的達成についてどのような施策を盛り込まれたのであるか。ことに、また、本計画で述べられている老後の保障の重要性についてはいかなる施策が行なわれたのか。初年度にあたって厚生大臣が特に配意された重点施策を本計画との関連において具体的に明示していただきたいと思うわけであります。また、この計画における最終年度であるところの四十六年度にはわが国社会保障水準をどの程度にまで引き上げられるのか、目標を具体的にお伺いしたい。ことに西欧水準といっても、部門別についていろいろあるわけであります。参考までに、きわめて具体的に、それのプロセスを含めて、ひとつ御説明願いたいと思います。
  22. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 四十二年度の予算におきまして厚生省が何に力を入れたかと、こういうことだと思いますが、非常に予算が広範なものでございますので、重点的なお話を申し上げたいと思います。  まず、第一には、いま御指摘のありましたような生活扶助基準というもの、これを二二・五%前後引き上げたということ。それから、国民年金等について、これはほんのわずかじゃないかというお話でございましょうけれども、是正を行なったということ。それから、非常にこれは一時的なことでございますけれども、医療保障につきまして政府の負担というものを非常にふやしてまいったというようなこと。その他老人身体障害者対策、あるいは重症心身障害児対策といったようなものを充実してまいったということ。それから、保健所を充実してまいったということ。いろいろそういった点につきまして、あるいは当面急を要する交通事故対策としての救急医療についての対策を推進してまいったというようなこと。非常に広範でございますが、そういったようなことにつきまして、四十二年度の予算におきまして、四十一年度に比べて相当程度のものを引き上げをやってまいりましたけれども、むろんこれでもって十分なものであろうと私は考えておりません。さらに努力を払わなければならない余地が各般のことについてたくさんあります。こういったようなものの解決を今後とも全力をあげてやってまいりたいと思っておりますが、なお、詳細な点につきましては、事務の者が参っておりますから、補足をして御説明を申し上げます。
  23. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 たいへんけっこうな御答弁いただきましたけれども、たとえば私は例をひとつ生活保護にとったわけでありますが、もう少しこの四十二年度の中に具体的にどう盛り込まれておるか、いま経済社会発展五カ年計画の中で、今度四十二年度でどういうふうに盛られておるか、もう少し具体策をここで述べていただかなければ、何かこう抽象的なことで済んでしまって、もう毎年毎年、先ほど柳岡委員からおっしゃったように、非常に抽象的なぐあいで、ほかのほうにとられてしまって、社会保障の中に大きく打ち込まれていかないというような観点から、初めに姿勢として、厚生大臣が、たとえば生活保護の問題についてはかくかくに四十二年度に盛り込んだ、同様に五カ年計画の最後の目標はここにあるのだ、また、これを西欧並みのものにするとか、西欧のものに比べてどの程度までのものにするのだというようなことを、いま見通しとして明確にしてもらわないと、いつもピントがぼけてしまう。こういう観点で、ぜひひとつ明確にしてもらいたいと思います。
  24. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 生活保護関係経済社会発展計画との関連の問題、四十六年にはどうなるのだといったようなことにつきましては、数字の問題もございますので、事務当局から説明をさせます。
  25. 今村譲

    政府委員(今村譲君) お答えを申し上げます。  いま生活保護の運用につきましては、三十六年に社会保障制度審議会から、所得倍増計画の十カ年計画に関連して、一般は二倍になるが、生活保護適用はその当時のものの三倍にしろ、こういう勧告がございました。なぜ三倍かという詳細な議論はついておりませんけれども、方向としては、政府は、低所得者階層であるから格差を是正する、一般が二倍になるのなら、もっと低いものは三倍にする、そのバランスでちょうどいいんだと、こういうことで私ども金科玉条といたしまして、三十五年から申し上げますと、三十五年は対前年二・九%くらいしか上がっておりません、生活保護基準は。三十六年が一六%、三十七年が一八%、三十八年が一七%、それから三十九年が一三%、四十年一二%、四十一年一三・五%、四十二年一三・五%、こういうふうに従来二、三%くらいしか上がらなかったようなかっこうのものを、極力制度審議会の御答申の線に合わせるというかっこうで努力してまいっております。それで、ただいま御質問の所得倍増計画が新しい経済社会発展計画にきまるというので、その線に関しては、去年の暮れからいろいろな予算折衝をやるわけでございますが、きまります最終的なかっこうが本年に入りまして二月の予算折衝の寸前というふうなかっこうになっておりますので、私どもは、所得倍増計画が発足した三十六年当時の制度審議会の御答申の三倍にする、これでいきますと、年率が四十五年までで、三十六年を一〇〇といたしますと、年率実質が一二・九八と、約一・三%なければならないというのを、一つの毎年均等にいきますならばそういう計算になるわけでありますが、その線で極力追っかけるというかっこうにしたいということで四十二年度予算もやっておりまして、新五カ年計画に伴いますものの、最終決定はおくれましたので、四十二年度はとりあえずはその線でどうなるかという計算はしておらないわけであります。その部分につきましては、私ども、いま今後新計画に基づく国民消費水準、それもただ全国平均では困りますので、国民平均、それから、下のほうから第一十分位、また、低所得階層の平均の方向が全国民平均とどういうふうに関連し、影響しているか、その辺の分析をかねながら、将来何%アップというかっこうにしたらいいのか、この辺を目下検討中でございます。
  26. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 いまの御答弁を聞いても、何か非常にこうした施策なり計算なり計画なりが、非常にまだ考慮中考慮中ということで、明確になってない。これは私は先ほど申した、どちらが鶏か卵かという問題で、私はそこで明確なものを持ってもらわなければこういうことになって、実際先ほど厚生大臣が、人間の命のほうが大事だから、厚生省としてはそれを主にしてやっていくのだ、こう考えておられるわけでありますが、実際いまのお話を聞いても、まだその点で具体性を欠いておるというふうなことを私は遺憾に思うわけなんです。そういう点で、もう少しこの五カ年計画ができたからには、この四十六年までにはかくかくするというものをもう少し明確にして、たとえば生活保護そのものに対してでも私はこういうようなものを明確にして、四十六年度の最終年度にはこういうふうにするのだと、こっちのほうで五カ年計画考えているのだから、こちらもそれに合わしたものを考えて、きちっと各部門それがいかなかったら、この厚生行政というものはやはりあと回しになってしまって、口では抽象的には言われておっても、これは実現しないということになりますから、私は、こういう点についてもっと積極的に、いままでの生活保護の問題を取り上げて申し上げましたけれども、すべての老後の保障の問題もそうでありましょうが、あるいは、また、健康保険厚生省のその問題についてもしかりでありますけれども、こういうような具体的な問題をもう少し計画がされなければならない。ぼくはあるのじゃないかと思いますが、そういうものは発表されない、私はむしろそういうふうに解釈しますが、その点どうですか。ないのですか、あるの  ですか。
  27. 首尾木一

    説明員首尾木一君) 社会保障全般の問題に関連しまして、経済社会発展計画で言っております点をちょっと申し上げますと、今度の経済社会発展計画におきましては、四十六年度における振替所得のワクといたしまして、ワクといいますか、総ワクといたしまして、大体国民所得、これは現在昭和四十年度の実績で見ますと、振替所得国民所得の五・五%ということになっておりますが、これを二%程度さらに引き上げるということを言っているわけでございます。二%と申しますと、国民所得が四十六年度に四十九兆でございますので、大体その二%と申しますと一兆程度のさらに増加といいますか、従来の五・五%の分がさらに経済成長率に広がっていくものと、それからさらに追加して一兆円のものがワクに加わるというわけでありまして、大体国民所得の計算に対する割合から計算しますと、四十年度で一兆三千八百三十億円振替所得がございますが、これが大体におきまして三兆六千七百億、大体七・五%の計算でいきますと三兆六千七百億というような数字になるわけであります。総体のワクとしましては、この程度にまで振替所得のワクを広げるということを考えているわけでございます。  そこで、いま先生の仰せになりましたのは、各部門別にそれぞれがどういうふうになっているかということが問題の焦点になるわけでございますけれども、実はこの総体の七・五%という数字を出しましたのは、これは過去のいろいろな傾向でありますとか、さらにそれを今後意欲的に充実させるというようなことで、いわゆる巨視的な接近の方法によって立てた数字でございまして、これを分解してこういう積み上げをやるからこうなるといったような数字になっておらないわけであります。実はこういったような数字をつくる過程におきまして私ども作業をしてみたことはございます。しかしながら、その数字を最終的にそれぞれの部門において財政当局も入れて固めてしまうということは困難であったわけでございまして、その理由の最大のものといたしましては、現在のところ、振替所得の約半分を占めます医療保障の問題に関しまして非常に大きい問題がございまして、抜本対策もまだ最終案を固められないといったような状況がありましたので、その帰趨のいかんによりましてブレークダウンということも相当変わってくるわけであります。そういうような点がございましたので、各部門別にそれぞれの最終的な数字というものを固めてしまうということはできなかったわけでございます。そこで、数字としましては固まっておりませんけれども、考え方といたしましては、こういうふうな国民所得に対するワクを増大するという中において、特に所得保障の部面について今後力を入れていきたい。従来の、ややもすれば医療保障のほうに金が食われていくというようなことでございましたのと、均衡のしかたとしては、所得保障の部面に今後大いに力を伸ばしていかなければいかんじゃないかということを考えているわけでありまして、中でも年金制度でありますとか、あるいは、また、児童手当制度、そういうものについて検討を行ないますとか、そういうようなことによりまして所得保障部門というものを大きく伸ばしていこう。それから、さきに社会局長のほうから申し上げましたような生活保護問題につきましては、一般世帯との格差を縮小するという方向でもって充実をさしていくというようなことを考えているわけであります。  それから、医療保障の部面につきましては、これは現在の制度というものが財政的にも安定した姿で進歩する医療事業に対応できるような医療保険制度というものをつくるために抜本的な対策というものを至急考えなければいかぬというような考え方に立っているわけであります。  それから、さらに、従来全般的にはおくれがちでありました社会福祉の部面でありますとか保険制度の部面でありますとか、そういうようなところに力を入れて、配分といたしましても、お金もそちらのほうに比較的多くその配分をするという考え方でもって今後計画を達成するということにしたいと思っているわけであります。最終的に各部門別に数字をやはり今後固めていかなければいけないわけでございますが、そういう問題につきましては、医療保険の抜本対策というものを確定いたしますに並行いたしまして、ぜひそういうような計画というものをつくり上げたいというふうに考えているわけであります。
  28. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 私は、大臣にちょっとお聞きしたいのですが、ここに保育所については昭和四十二年度から年次計画をもって緊急整備をはかるということになっているのですが、計画を立てられてやられるということには異論は何もないわけですが、問題になりますのは、何といっても、先ほどお話に出ましたように、高度成長による地域産業の発展ですね、そのために非常にこうした施設の不備がありますね。たとえば私申し上げますと、幼稚園の問題があるのですが、関連性があるから私は申し上げたいのですが、日本の幼稚園は、香川県等においては八二・三%、兵庫県、徳島県は七五・五%、東京は五四・二%、高知、長野は九・六ないし九%、これだけ日本の幼稚園に差があるわけです。したがって、四十九国会ですか、問題になりましたいわゆるこの保育所の役割りというものと幼稚園との混乱をどう解決を出すかということは、非常に重要な問題として文教でも問題になったと思うのです。またああいう事態でありますと、特にこれは労働省からも要請があったかもしれませんが、非常に労働力の不足が地域において起こりつつある現在、やはり婦人の働く場、働きやすい方法を求めるためには、何といっても保育所は緊急の問題ですね。そういう問題を計画的にやられるということですからいいですけれども、一体、幼稚園の関連と保育所の関連をどういうふうに判断をして結論を出しておられるか。そのときには結論を出すべきであるということであったのですが、その点について大臣の見解をまず聞きたい。
  29. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 保育所と幼稚園との関係でございますが、幼稚園は、これは父兄の、何と申しますか、幼児に対する教育ということで幼稚園があったことは御存じのとおり。保育所のほうは、これはむろん教育もやっておりますが、親御さんがいろいろな都合によって保育所へ子供を入所させる、こういうようなことで、つまり保育所は子供を親にかわって一定の期間、一定の時間これを育てていく、こういうような目的を持っておるというようなことで、おのずからそこに違いがあるものでございますけれども、しかし、今日は、保育所におきましても、ただ育てるということでなしに、これは将来おとなになってだんだんりっぱな日本の期待される人間になっていかなければならぬものでございまするから、幼稚園でやっておる幼稚園教育何とか、準則か何か、そういったような規程みたいなものに、私は名前を正確には忘れましたが、そういったようなものに従いまして、そうして子供に対して教育もやってもらう、こういうようなのがいまの保育所の状態でございます。なお、幼稚園と違う点は、幼稚園は学校へ行くまでの、義務教育に行くまでのあれは三歳、四歳、五歳ですか、ところが、保育所は赤ん坊からこれをお預かりをして養育をしていく、こういうような制度になっておるものでございますから、そういうものは全然これは同じものではない。ただ、保育所は、しかし、教育もせにゃならぬということで、その辺に力を入れておるわけでありますが、大体において幼稚園が非常に進んでおるというところと、そうでないところも地方においてあるわけでございますから、いまのおっしゃられたように、これはどうしても保育所というものを拡充して数をふやしていかなければならぬというようなことで、年次計画を立てまして、厚生省といたしましてはできるだけこれに力を入れていこう、ことしの予算におきましてもでき得る限りの措置を講じてまいった、どういうふうなことでございます。
  30. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 実は結論は出てないのですね、そうしますとね。むろん保育所は乳飲み子も預かっておるし、ないことはございません。けれども、やはりほとんど三歳児、四歳児、五歳児なんです。これはもう私も現地を見ておりますからよくわかっておりますが、乳児を預かっておるのはほとんどごくわずかです。そこでやはり同じような教育もやっておるわけです。ところが、私が先ほど申しましたように、幼稚園としてはあまりにも格差が大きいわけであります。そうすると、今度は保育所保育所で、地域の要求に応じて施設を今後増大するということについては計画があるでしょうけれども、私は、施設だけを増大するのじゃなくて、幼稚園と保育所の全体的な関連性を持つ設置の地域ですね、これをやはり根本的に考える必要があるのじゃないかと思うのです。ある地域ではノーマル一〇〇%まで保育所と幼稚園が設置できておる、ある地域は全然ない地域もある。こういう問題を一体やはり計画的にやられるなら、五カ年計画なら五カ年計画でどの地域を一番やはり重点にしておるのだ、これはやはり一番重要な問題だと私は思うのです。そういう面、幼稚園児と保育児との内容の相違が根本的に違うなら別ですよ。もう全然違うのだ、幼児も扱うのだ、そういう意味保育所は別問題だというなら。しかし、設置方法は幼稚園と保育所とは、やはりある程度関連性を持ってどの地域に保育所をつくる、こういう計画があってしかるべきだと思うのです。それが大臣にはないとおっしゃるなら、別に考えておるのだということなんですか。これは非常に重大な問題なんです。
  31. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) いま御指摘の点でございますが、四十年に保育所の設置計画考えましたときに、おっしゃられるように、どういう部面に配置していくかということも一応これを考えまして、そうして計画をつくったわけでございます。いまどこへ配置するかといったようなことについては、できるだけ、国民と申しまするか、その地方地方の人たちの御要望に沿えるようにこれを持っていこうという計画でございます。  それから、内容でございますが、保育所に入所しておる子供と、それから幼稚園に行っておる子供とちょうど年齢がダブるぐらいの階層が園児及び所児にあるわけでございますから、そういったようなダブるような年齢層の子供に対しましては、できるだけ幼稚園へやってもらうといったような内容をもってこれを保育し、これを教育していくと、こういうような考えでもってやっていっておる、こういうようなわけでございます。
  32. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 もう一つ。大体わかりましたが、多少計画を立っておるようですが、問題は私立の保育所ですね、私立でも市なりあるいは政府からの多少の助成金、補助金を出しておる。ところが、私立というものは六十人の保育児を最低として、そして経営がその地域によって非常に高くつく場合と安くつく場合がある。六十人を最低として立てたけれども五十人しか入らないものがある。こういうものこそ私立でやるのではなくして、もっと政府としては全面的にやっぱり公立にして、そしてどこの子供でも、保育所に入った者の月額の支払いというものは二千二百円なら二千二百円、こういうふうに私はすべきだと思うのですよ。現在では二千円から三千六百円、ひどいのは四千円というところもございますね。そういう私立をどんどんふやすような施策を今日までしておったというところに問題があるのであって、私は公立に全部切りかえるべきだと、こういう意見を持っておるのですが、大臣はそういう意思はないですか、どうですか。これは重大な問題ですよ。同じ日本人が国税なり県民税なり市民税を納めているのに私立がどんどんふえているというのはおかしな問題です。
  33. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 保育所の私立のものを公立にだんだんしていかぬかと、こういう御趣旨のように承ったのでございますが、現在におきましては公立と私立とが六対四ぐらいの割合であるのでございますが、それでだんだん私立に対しましても、いまのところはできておりませんけれども、政府が何らかの形でしていかなければならないというふうに考えておりますが、その私立も、なかなか保育所がないといったようなところには、できるだけ公立の保育所をつくっていくという方針でおります。
  34. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 これは大臣じゃなくてもいいですけれども、これは非常に労働省との関連がありますから、私は係の方に言っておくのですが、労働力の不足が非常に極端な地域が出てくるのですよ。労務闘争が必至です、ことしの秋から来年の春にかけて。もう少なくとも私立の保育所の申請というものがどんどん出てくるような気配が濃厚なんですね。したがって、ことしの四百八十何ぼの計画ですか、一体どんなもので満たされるのかどうか、どういうふうにお考えになっておるのか。これは大臣でなくてもいいですけれども、私は千つくっても問題にならないと思うのです。私立が増大する、逆転してくるという形勢が今日でも出ております。これをどうお考えになっておるか、その点ひとつ。
  35. 渥美節夫

    政府委員(渥美節夫君) 昭和四十二年度を基点といたしまして、五カ年計画で約三千九百カ所から四千カ所の保育所をつくるというのが計画でございます。その計画の前提は、昭和四十年の六月に、厚生省、都道府県一緒になりまして保育を要する児童調査をやりまして、とりあえず五年間くらいは三十万人程度の子供さんを保育所に通わせる必要があるという結論を得たわけです。したがいまして、五カ年計画でございますと、約一年に七百カ所から八百カ所くらいの保育所確保しなければいけないということに相なったわけです。本年度の予算におきましては四百五十カ所を国の補助金によりましてつくっていこうという計画でございます。そうしますと、あと二百五十カ所足らないわけでございますが、一体これをどうするのかという御指摘であろうかと思います。この点については、実は国民年金の還元融資等におきまして、国庫補助金を持たないでも還元融資だけで、それを財源といたしまして保育所をつくるということも従来もやってまいりまして、私どももそういうのをことしも百カ所から二百カ所くらい考えております。なお、また、最近におきましては、工場、事業等におきまして厚生年金の還元融資等で事業者がおつくりになるという傾向も相当あらわれております。それから、また、特に最近におきましては住宅団地の問題がございます。住宅団地等におきましても、住宅をつくる場合に必ず保育所確保するということにつきまして、私どもといたしましても建設省の住宅局等とも十分連絡をしておりまして、そういった面における保育所確保ということも、従来も多少やっておりましたが、本年以降十分にやってていきたいという話をしております。そういうような意味で、合計いたしますと、国庫補助金による分につきましては四百五十カ所でございますけれども、そのほかの社会事業費を使いまして七百カ所以上の保育所を毎年確保したい、かように考えております。そうなりますれば、先ほど御説明いたしましたように、五年間のうちには約四千カ所近くの保育所ができ、私どもがどうしてもこの五年間に入れなくてはいけないと考えております三十万人の子供に対しても保育所を提供することができる、こういうような計画で進んでまいりたい、かように思っております。
  36. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 先ほどの御答弁の中で、医療保障よりも所得保障に重点を置くというお話がありましたですが、私どもこれはたいへんな問題であります。厚生大臣は人命が第一だと言っていまお話しになりますけれども、一方では医療のほうはあと回しにして、所得保障のほうに重点を置くという御答弁があって、そこら辺に私は問題点を感ずるわけです。そういう観点から、今度の重要施策の中でも、社会開発中心とか社会保障充実とかいう問題について非常にあるわけでありますが、ことに先ほどその問題がありましたから、この社会保険の問題についてちょっとお尋ねしたいと思うわけでありますが、社会保険中心主義によって給付水準向上等に見合って、相当程度保険料が引き上げられるべきだということは当然であるというようなことが言われておるわけであります。私はこの基本的な考え方に対して非常に大きな異論があるわけでございますが、きょうはその問題を別にいたしまして、そして第三部のところの財政金融政策、第一章の財政政策の第四の財政の規模と内容のところに書いてあるわけでありますが、国民社会保険料負担は四十年度の一兆一千四百六十億から、四十六年度にはその二・七倍の三兆一千億に増加するものと見込むと、こう書いてあるわけであります。そこで一つ伺いたいのは、中期経済計画は、これは御破算になったわけでありますが、とにかく三十六年度の千二百八十五円であったところのこの社会保険料、これの負担は五年後の四十年度には約二千三百三十七円で、約二倍になっておるわけであります。さきの記述によりますと、給付水準に見合って向上されるのが当然であるということになっておりますが、たとえば医療給付費の増加が、単にその給付水準向上ということになるのか、あるいは、また、家族給付率がいつまでたっても五割給付に据え置かれたり、あるいは、また、厚生年金老齢年金が依然としてこの生活保護水準以下であるということ、あるいは、また、給付水準とはかかわりないのか、との点を詳しく伺いたいと思うわけでございます。そうでないと、この給付水準を上げるから保険料も二・七倍に上げるのだと、こう言われても、このままでずるずるやらずぶったくりというような形が出てくるということになるわけでありますので、私はこの点をある程度明確にしていただきたいと、こういうふうに思うわけであります。  それから、もう一つは、今度の経済社会発展計画と本年度の予算との関連についてですが、この国会にいろいろな予算関係法案が出てくることでありますから、それについて、この問題については詳しくいろいろ伺いたいと思うわけでありますが、ただ一つ、この計画の中で「社会保障の長期計画を策定し」と、こう書いてあるわけでありますが、いつできるのか明らかになっていないのであります。これを一ぺん明確にしていただきたいと思うわけであります。一方では非常に防衛計画とか、こういうようなものがどんどん進んでおるにかかわらず、こういう社会保障の長期計画というものが明確にされないということでは、どうも私はいまの大臣の御所信と少し違いがあると思いますので、この点も最後にひとつ伺っておきたいと思うわけであります。
  37. 首尾木一

    説明員首尾木一君) 最初、私ちょっと変な言い回しをやりましたので、その点をお断わりしたいのですが、医療保険に力を入れないということでございませんで、現在のわが国社会保障の体系を見ますと、諸外国に比べますと、医療保障の部面に比べて所得保障のほうが非常におくれておるというようなことがいわれておりまして、その関係から、特に社会保障の今後の発展につきましては、所得保障の面についておくれを取り戻すことに特に重点を置いていく必要があるのだ、こういうような意味社会保障に力を入れる、こういうことを申し上げたわけであります。  それから、次は社会保険に対する負担の点でございますが、経済社会発展計画の中で、財政収支表の中でいま仰せになりましたような社会保険に対する負担の増ということを見込んでおるわけでございますが、これは先ほども申し上げましたように、全体の振替所得につきまして昭和四十年度から四十六年度までに五・五%、国民所得に対する五・五%を二%程度引き上げるということをいっておりまして、二%程度という数字になりましたのは、実は後に申し上げますような社会保障積み上げの長期計画がまだできておりませんので、したがって、その辺にはある程度の変動があるということを想定しまして二%程度という数字に表現がなっておるわけでございます。その中で財政収支表をつくりますために一応の数字、その過程において出しました数字というものを、これをそこの財政収支表の中で書いてあるわけでございますが、なおその社会保険に対する負担につきましても、これも昭和四十年度の実績で申しますと、国民所得の大体四・六%であったものを、これを大体昭和四十六年度にはそれを二%程度引き上げる、こういうようなことを一応見込んでいるわけでありまして、このことはちょっと誤解を招くおそれがあるわけでございますが、振替所得を二%、国民所得対二%程度引き上げて、社会保険負担率を二%程度引き上げるということになりますと、これは一般財源というものを全然そこに導入をふやさないのか、国民所得の上昇程度しかふやさないのかという疑問があるわけでございますが、それはそうでないのでございまして、実は過去における社会保険保険料負担の伸びを見てまいりますと、やはり年金の部門における保険料の増というものが年金給付改善に従いましてふえておりまして、これは積み立て金の部門に回るものでございますから、したがいまして、現実に年々振替所得の形で出てくる財源といたしましては、社会保険料の負担を二%で出しましても、一般財源というものはさらに国民所得よりもより大きく出さなければ二%程度の増にならないという結果になるわけでございまして、そういうような意味で一応のこういう数字になっておるわけでございます。なお、この試算と申しますのは、これは大体過去の傾向というものを引き延ばして、それをやや部門によりましては政策的にその延ばし方を大きく見るというようなことでやりまして出した数字でございまして、この数字そのものは、いま申し上げましたように、積み上げてのものではございませんから、最終的にそういう形できめたということには必ずしもならない、そういうように考えております。で、そういう点で、この点につきましては部門別の数字の積み上げがございませんので、明確なお答えになるかどうかわからないのでありますが、いずれにしましても、全般的には社会保障の部門を増加させる、しかし、それに応じてやはりその部門の中で大きな比重を占めております社会保険につきましては、保険料負担の増加というものを給付改善に見合って考えていかなければならない。その見合う程度をどの程度にするかという点につきましては、なお今後具体的に各分野を固めます際にその点をきめてまいりたいと、こういうような考え方に立っているわけでございます。  それから、最後に社会保障の長期計画ということにつきまして、これをいつつくるかというようなお話でございますが、これも先ほど申し上げましたように、その社会保障の全般の中に占めております医療部門というものが非常に大きなウエートを占めておりますので、これをどういったような形のもので最終的に固めようかということにつきまして、現在医療保険における抜本対策というものを鋭意検討いたしておりますので、それと並行しまして、この板木対策が固まれば、全体につきましてのやはり計画をそれと同時につくりたい、こういうように考えておるわけでございます。  で、そういう中におきまして、結局総体的には経済社会発展計画では五・五%を二%程度といっておりますが、二%程度という表現をしましたのは、繰り返し申しますが、かなり幅があるということでございまして、まあ二%から二・四%、まあ国民所得に対する割合としては五・五%というのを七%から七・九%くらいの、そういったような幅の中で最終的には社会保障の費用というものを四十六年度、大まかな目標としては確保してまいりたい、こういうような考えでおるわけでございます。
  38. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 いまの御答弁を附いていると、また一番初めにぼくが尋ねたことに戻るわけでありますが、これから医療制度の抜本的改正考えて、それでやらなければできないと、こういうわけでございますが、そうなってくると、それは考え考えてといってのあれでもって、もっと明確性がないわけで、私は、それが中核となるとすれば、医療制度の抜本改正はいつごろまでにやろうとする考えを持っておられるか、その点を一ぺん厚生大臣にお聞きしたい。
  39. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 社会保障計画を立てるためには、いま企画室長から、その中の非常に大事な部面を占めておりまする医療保険について、これを固めていかなければならないと、こう申し上げたのでございますが、これを私、しばしばほかの審議会等でも申し上げておるわけでございますけれども、どうしてもこれは早急にと申しますか、来年度と申しますか、これは医療保険の抜本対策を、全部一ぺんにこの建物を一年の間に建ててしまうということは、これは私はちょっと困難かと思いますけれども、少なくとも来年度これの着工にかからなければならない、かように考えております。
  40. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 企画室長のさっきの数字は、四・二%からまあ大体二%増して六・二%、これは社会保障ですか。
  41. 首尾木一

    説明員首尾木一君) 社会保険でございます。
  42. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 経済計画は五・五%から七・五%にするというのは、振替所得を含んだ社会保障全体ですね。そうすると、四十七年度にヨーロッパ並みにするということで、さっき盛んに生活保護の問題が、言われておったけれども、いまヨーロッパ水準は、どこでも、国民所得に対して、実際の社会保障と振替所得とは違いますけれども、二〇%水準にいっているわけでしょう。そうするとどこで伸びるのですか、日本社会保障は。
  43. 首尾木一

    説明員首尾木一君) 振替所得について申し上げますと、現在の一番新しい数字で申しまして、イギリスが八・九%、これは振替所得でございます。それから、西ドイツが一六・六%、フランスが二一・七%、イタリアが一二・七%、こういつたような数字でありまして、これは振替所得でございまして、社会保障給付費という点からいきますと、イギリスが一二・九%、西ドイツが一九・九%、フランスが一七・四%、イタリアが一五・二%、スウェーデンが一三・六%、こういったような形になっておるわけでございまして、先ほども申しましたわが国昭和四十年度の五・五%というものに対応します社会保障給付費というのは、国民所得に対して六・四%ということになっておるわけでございます。  いずれにしましても、現在西欧諸国というのは、大体において大ざっぱにいいまして、社会保障給付費というものを考えてみますと一〇%をこえるというような数字だ、こういうように考えてよかろうと考えておるのでございます。それに対しましてわが国の場合、経済社会発展計画におきましては、これを振替所得のベースで大体二%程度、二%にいたしますと七・五%ということでございますが、それを社会保障給付費にいたしますと、五・五%のとき六・四%でございますから、大体七・五%のときには八・五とか六とかといったような数字になるのではないかというふうに考えておるわけでございます。そういう点では、確かにまだ昭和四十六年度の段階におきまして、規模としましては、年々の振替所得の形で国民所得を構成している部面というのは、これはまだ西欧水準に至らないということになるわけでございますが、これには実はいろいろ問題があるわけでありまして、たとえばなぜこういうふうな数字に落ちついたかと申しますと、いろいろなほかの部門の伸び率とか、そういうようなものを勘案してみますと、この振替所得だけを非常に大きく伸ばすということに問題があるのじゃないかというような観点からこういうような数字になったものでございまして、ちなみに申し上げますと、経済社会発展計画では国民所得の伸びが毎年年率一一・九%ということでございます。それから、その中で、たとえば政府の固定資本形成とか、これは公共投資をやっていかなければならないというような問題がありますので、それの伸び率が一二・五%ということになっております。これに対しまして、いま申しました二%程度引き上げるということになりますと、二%程度を引き上げるだけでも年率一七%以上のその伸び率をやらなければ二%程度に達しないということになるわけでありまして、こういう国民所得が一一・九%に対しまして一七%以上の社会保障部門につきましてそれだけの伸び率を経済社会発展計画で見るということが、まあかなりの伸びというものを見たというような感覚で考えておるわけでございます。決して個別につきまして十分であるということになるかどうかは問題があると思いますけれども、相当大きな伸びを見たということになるというふうに考えておるわけでございます。
  44. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 きょう議論しませんから、そのいまおっしゃった資料を全部出してください。そうしてすべて所得保障の部面の社会保障福祉年金、たった百円上げるでしょう、どこからそれじゃ所得購買力が出てくるのですか。そうして私は、個人がものをもらうということじゃなしに、あなたの計画は、経済というものを、生産向上というものを勘定に入れぬで立てておられるような感じがしますから、十分にひとつ説明のできる資料を出してください。それを見てからまた詳しく伺いましょう。
  45. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 午前中の質疑はこの程度にとどめます。  これにて休憩いたします。    午後零時四十八分休憩      ―――――・―――――    午後二時八分開会
  46. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) ただいまより社会労働委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、社会保障制度に関する調査を議題とし、質疑を行ないます。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  47. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 豚コレラをはじめといたしまして、この前の委員会で問題になったヤギ、最近はニューカッスルという鶏の病気にも伝播してきているわけでありまして、これはこの前の委員会では、主としてこの豚コレラと人間の生命、生活に対して食品衛生法上の問題として議論をいたしたのであります。で、その処置を早急に講ずるということでありましたから、主として食品衛生法の関係では、農林省が実務的にはおやりになっている。だから、農林省から、その処置をとられた話をお聞きしたい。厚生省でどうしたか、厚生省もあると思いますから、農林省と厚生省で、化製場との関係、それからワクチンメーカーと化製場との関係において、食肉としてあとの処理をどうしているか、どうさせているのかということを明らかにしてもらいたい。
  48. 岡田覚夫

    政府委員(岡田覚夫君) ただいまの御質問の点でございますが、すでに先般の当委員会におきまして、病菌豚の問題につきましては御質問がございました点について御答弁を申し上げたところでございまして、その中に、三月八日に次官通達を出しまして、ワクチンメーカーにおきましては焼却をするということを原則といたしまして、早急に焼却炉を設置する、焼却炉ができるまでの間は埋却をいたします、埋却が不可能な場合におきましては、みずからの手によりましてワクチンメーカーが化製場に消毒した病菌豚を運んで、化製場で化製するというふうなたてまえで通達を出したわけでございます。その後三月の二十四日にワクチンメーカーを集めまして種々協議をいたしました結果、六月の末までに全部が焼却炉を設置するということにいたしまして、それまでの間におきましては全部埋却をいたしまして、外部には出さない、つまり化製場には出さないということにいたしたわけでありますが、その際、ワクチンメーカーから、埋却もできない場合にはワクチンの製造を中止するというふうな決議をいたしまして当省に報告があったわけでございます。で、それに関連いたしまして、四月の十四口、薬事法に基づきます省令を改正をいたしまして、自今すべて焼却をするというたてまえにいたしました。ただ、六月の末に全部が完成するということになっておりますので、それまでの間におきましては自社の庭の中で埋却をするということにいたしまして、一切外部には出さないということを法的に裏づけをいたしたわけでございます。次官通達を出しました以後の経過は以上のとおりでございまして、これによりまして、病菌豚につきましては、もう一切外部へ出ないということになったわけでございます。
  49. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 町に食肉として出ました汚染肉につきましては、これは食品衛生上、厚生省が責任を持つ立場にありますので、これに対しましてどういう措置をとったかということ、及び将来どうするかということ、具体的にはここに担当局長が参っておりますから、担当局長から詳細に御説明いたします。
  50. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 先般御報告申し上げましたように、三月八日に次官通達によりまして監視の強化を指示いたしたわけでございますが、その後三月十七日に、全国衛生担当部長会議におきまして、大臣並びに局長から、特にこの問題について厳重な監視を行なうように指示をいたしました。同日、局長より、食肉販売業者、加工業者の代表に対して取り扱いの注意を喚起して、今後の善処方を要望いたしました。また、翌三月十八日、全国関係府県に対しまして、ワクチンメーカー並びにその取り扱いの先の化製場の特別調査を指示いたしました。また、三月二十一日には、課長から、全国関係府県に対しまして、食肉関係施設へ一斉に立ち入り検査を指示いたしました。三月二十日には、政令市の衛生部長会議におきまして、局長並びに課長から監視並びに検査の強化を指示し、四月の七日には、食品牛肉衛生担当課長会議におきまして経過を説明して、監視検査の強化を指示いたしたわけでございます。今後におきましては、今日の許可営業の対象として、食肉関係のものでさらに対象を拡張する必要がありはしないか。また、カット肉等の取り扱い、雑肉の取り扱い等に関しまして政令等の改正の必要があるかどうかということを、あらためて今月末に全国の担当者会議を開きまして、現地の事情も十分聴取いたしました上で処置いたしたい、かように計画をいたしております。
  51. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 まあそこで一応今日からの事態は、まあ推移を今後見てみなけりゃよくわかりませんけれども、いまのせっかく網を張っていただいて、今後焼却、埋却いずれかの方法によって、六月になったら全部焼却炉ということでうまくいく、そういう処置を食品衛生法の立場からもおやりになっているということでありますから、厚生省のほうはこの豚肉、それからニューカッスルという鳥の病菌肉はどうなるのか、これはどちらからかお答えをいただきたいと思います。そのために人間に害のあるような不衛生的なことは許されないと思いますから、私は今後とも厳重に取り締まりをやっていただきたい、こう思うわけであります。  ただ、ここで聞いておきたいのは、この前の委員会で、まあ時間の関係やその他で入りませんでしたけれども、畜産行政についてこの際聞いておきたいと思うのです。たとえば豚六百万頭の処理を年間される中で、一万五千頭ワクチン血清で、結局豚をコレラにしてそれからワクチンを取る、あとは化製場、ここのところがややこしかったわけです。そこで、この焼却場もなし、あとはもう自由奔放で人間のからだに全部入っていたわけです。私も帰りまして驚いたのは、私の近所で豚肉の安売りがあった。半額売りでどんどん売って黒山の入だかりになっている。半月もしない間にそれがいま逮捕されたということで、私の近所は大騒動なのであります。これは何とか処置していただけると思うのですけれども、しかし、そういう過程があって、社会的問題が起きるまで農林省の畜産行政としては何ら関係がなかったというのは、この前も私はひどく追及をしたのであります。問題は、人間関係ばかり議論しないで、一年間に六百万頭も処理をして、動物性蛋白質をこの食肉の中からわれわれは保健のためにとっているというこの形の中で、六百万頭を毎年殺そうとすれば、これは私は豚だけだから、まあ牛のほうにはいっていないからいいようなものの、もしもそういう状態の中で今日農家やその他が飼っているものが、予防措置がなくてこの豚コレラが全国に蔓延するということになったら農林省はどういう責任をおとりになるおつもりであったかということを私は聞きたい。そして、そういう点がこの前のときには意識的におっしゃらなかったか知りませんけれども、農林省の畜産行政、これはひいては防疫検査が明らかであったら一つ一つわかりますけれども、なかなか食肉の検査というのはむずかしいと思う。私はそういう不安が、突っ込んでいけば国民全体まだなかなか解消しないんじゃないか。だから、そういう前のことで一般の畜産行政にそれが放任の状態で置かれて、もしもそのコレラがそのときから流行したということになったらどんなになっていただろうというふうに私は心配するものです。そういう点を一ぺん局長、そういうことを仮定してあなたの所見を承っておきたいと思うんです。
  52. 岡田覚夫

    政府委員(岡田覚夫君) ただいまの御質問の点でございますが、家畜の伝染病につきましては家畜伝染病予防法というのがございます。御承知のとおりでございますが、これに従いまして家畜伝染病の予防、蔓延防止という措置を講じておるわけでございます。  そこで、最近の家畜の状況を申し上げますと、国民の食生活の変化に伴いまして、畜産物の需要というものは飛躍的に増大いたしておるわけでございますが、これに伴いまして家畜の生産というものが非常にふえてまいっております。家畜の生産がふえてまいるに従いまして、畜産経営というものは非常に大規模化し、しかも、地域的に主産地を形成いたしまして集中化するという傾向が出てまいっておる。一方、生産されましたものが至る方面に出荷されていくと流通が非常にひんぱんになってまいる、こういう事態のもとにおきまして一たび伝染病が発生いたしますと、昔日の家畜が非常に少なかった当時と違いまして、伝染病の流行というものが非常に激しくなって、非常に蔓延をするという傾向が出てまいっておるわけであります。特に顕著なものといたしましては、豚コレラと鶏のニューカッスルでございます。そこで、この病気にかかりますと非常な経済的な打撃を受けるということもございまして、この防遏に対しましては、家畜衛生関係者あげまして予防並びに蔓延防止に努力をいたしておるわけでございますけれども、たとえばことしのニューカッスルのように、かなり蔓延をいたしたというふうな形が出ております。最近下火になりまして、おそらく一、二カ月の間に終息をするというふうに思われるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、そういうふうな形が非常に強く出るという傾向がございますので、われわれといたしましても、これに対しましては徹底的な防遏措置をとりたいということで考えておりますのが、何といたしましても、まず予防注射を徹底するということでなければならぬと思うわけでございます。そこで、豚コレラにつきましても、従来死毎ワクチンで行なわれておったわけでございますけれども、最近生ワクチンが開発されまして、生ワクチンを併用いたしましてこれの防遏につとめるということにいたしております。ニューカッスルにつきましても、従来から死毒ワクチンを使用してこれが防遏に当たっておったわけでございますけれども、かなりまあ労力もかかることでございますし、御承知のように、すでに数十万羽も飼うというふうな農家も出てまいっておるわけでございます。そういう事態におきましては、労力の面からいたしましても死毒ワクチンというものは問題もございます。そういう点から新しく生ワクチンというものの使用の実験を開始いたしているという実情でございます。いずれにいたしましても、新しい薬の開発を伴いながら、これの予防、蔓延に対しまして万全の策を講じておるわけでございますが、一方、末端の衛生行政を担当いたしております家畜衛生保健所につきましても、これを集中化いたしまして大規模化いたしまして、機動性を持ったものにいたしましてこういう事態に対処できるというふうな形にしたいということで、現血予算的措置を講じまして努力をいたしておるわけでございます。大体まあ以上のような方法によりまして豚コレラないしニューカッスルにつきまして徹底的な防遏措置を講じてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  53. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 いや、私のあなたにお尋ねしたいことは、この事件が起きたからこうやるああやるという話を聞いているわけじゃない。この事件が起きるまでは放任しておいたんでしょう。放任しておいて、事件が起きたからこれからこうやるああやる。私は、この問題がここで国民問題、世論の問題になったから何ですけれども、もしもこういうところが原因でこれまでも豚コレラがはやっておったのかはやっていなかったのかということを想像すると、身ぶるいするのですよ、私は。そういう点を、前のことはこうやっていますということで、私は、農林行政、畜産行政は重大な責任を持っておったものだと思う。この問題が起きるまで六つのところで、何らか処置する設備の幾らかでもあったというのはたった一つじゃないですか。ようやくここで社会的問題になったからあなたは全部焼却をしろと、いま厚生省とあなたのほうから聞きました。けっこうなことだと私は思っておるのですよ。だけど、ただ問題にならなきゃ私はこういうものが放任されておったということが、立法府のわれわれとしてはなかなか了解ができないのですよ。そのことについてあなたはこの前も今度も一つもお触れにならないじゃないですか。これからやりますということだけじゃないのですか。これからやってもらわなけりゃいけないことは、それはけっこうですよ。しかし、世論が問題にしなければほうっておく。これまた牛の問題や、いまニューカッスルの問題があれから以後出てきた。これは人間の健康を非常に害するということを業者が言っています。だから、これもやっていただかなければならぬけど、ここで話題になったりしなければいままでのことを放任していたことは、行政が、ようやく世間で騒がれてきたからやりますということでは私はならないと思う。畜産業、食肉、また食肉ばかりじゃありません。野菜の問題までも関係してくるでしょう。人間の生命に関係するような、健康を害するような形のものは専門的な農林省でできなければ――農林省も研究所をお持ちになっているのですからできるわけです。だから、そういうぐあいに、こういうかくかくでこうやったということを私は反省してもらった上で処置をしてもらわなければ、済んだことはおしまいだ、社会で問題になったからこれからやるんだと、私はどうもこの前の委員会から今度の委員会にかけて、なかなかそこのところが気に入らぬのです。いまおっしゃったことでもそうでしょう。だから、あなたもしもほうっていたとしたらどういうぐあいにあなたは想像しますかと私は尋ねている。これからやっていただくことはけっこうです。これを機会にやっていただくことはけっこうですけれども、あなたのところは畜産局という、一つの省の中で局を持っていて、その業者が、もしもそういう病気になって経済的に破綻をするようなことになったらだれが責任持つのですか。こういうやっぱり人間の生命を守るのは厚生省だけじゃないですよ。農林省もそうです。だから、そこらあたりのところは万全を尽くしてもらいたいことはそうだけれども、ほかにも私はこういう食肉または野菜その他の人間の生命、健康に関係するものはないかどうかということをきょうはあなたの口から聞きたかった。いままでのことは反省します、実際今後はこういう間違いを起こさないように努力しますから、皆さん新しい規律については協力してもらいたい、国会も。こういう話から始まって、他にも人間の生命、健康を害するような事態があるかどうか。まあ畜産ばかりじゃないでしょうけれども、農林省全体ですけれども、農林省としては、一切の薬品関係からその他のことについて私たちは努力して万全を期したいと、こうおっしゃるなら幾らかわかるけれども、どうもあなたのおっしゃることは気になる。私一人だったら何をか言わんやで、私は何も言いませんけれども、国民の不安はそこにあるのじゃないか。初め豚から出てきた、産業に出てきた、今度は鶏に出てきてニューカッスル、ニューカッスルは数が多いから経済的云々で十分の処置ができないのだといういままでのお話でしょう。だから、それをどのようにしていくのだということを、私は午前の論議とどうもよく似てくるわけですけれども、せっかく農民が五百羽、千羽の鶏を飼おうとしたら、十万羽二十万羽とほかの商売の大資本が出て、これががさっと農家の養鶏をつぶすような処置が平気で行なわれていることも事実。これは農林省はその人間生活とか農家経済というものをどう守っておいきになるのか。あなたに全部質問しても無理でしょうけれども、しかし、そこらはみんな主権在民の国家ですから、主権者国民の商業にしても生活にしても生命にしても、みんな内閣は一本ですから、守っていくということが相通じてなければ私は政治とは言えぬと思うのですよ。なわ張り争いで、わしの分はこれだけだから、あとは知らぬのだということじゃ話にならぬのじゃないかという私は気がしますから、それで、もしもそんなことが、その一万五千頭のものがずっと外を走って一般の人間生活社会を流れて、そして化製場へ行って人間の口に入ってきたのがいままでです。今度は改まったけれども、その間、そんな状態が続いたら、それがほんとうの畜産業の、みんなおやりになっているところの豚肉のことがそんなことになったらどうなる。それが実際に化製事業だから検査がされるでしょう。一般の屠殺場にいく六百万頭の豚、それは豚コレラに全然関係がないという証明をして、検査が一匹ずつ行なえているかどうかということも私は不安になる。そこらあたりはどうなっているのですか。
  54. 岡田覚夫

    政府委員(岡田覚夫君) ただいま先生のお話がございましたように、実は私、先生のお話を聞き違えておりまして、豚コレラ、ニューカッスルに対してどういうふうにやっているかというふうな御質問と承ったのでそういうお答えをいたしたわけでございますが、先生の御質問の趣旨を取り違えておりまして、はなはだ恐縮でございます。豚コレラの問題は今回出たわけでございますけれども、これに対しましては、先般申し上げましたように、われわれのほうの監督が必ずしも十分でなかったという点もございましてこういう問題が起きたということにつきましては、はなはだ残念に思っておるわけでございます。こういう事件をきっかけにしまして豚肉の消費がやや減退するという事態になりまして、国民の食生活の上にいたずらな不安を起こしたということにつきましては、はなはだ恐縮に存じておるわけでございますけれども、今後は一切こういうことがないことにしょうというふうなことで先ほど申し上げました処置もとってまいったわけでございます。その他の病気につきましても同様な考えで、伝染病が農家経済に及ぼす影響というものはできるだけ防止しようというふうな考え方で努力をいたしておるわけでございます。それで、現実にまあ豚コレラなり伝染病が発生いたしますと、それに対しまして伝染病予防法の法律に基づきまして、家畜防疫員が殺処分いたしまして、伝染病が外部に流行することを阻止するための万全の努力をいたしておるわけでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、非常に畜産が多頭飼育になり、しかも主産地化されて、流通が非常に激しいということのために、必ずしもそれが十分行なわれがたい点もございまして伝染するという場合もございますけれども、伝染病が発生いたしましたときには、法律に従いまして、できるだけ地域を局限いたしまして、その地域以外に出ないようにということであらゆる努力をいたしておるわけでございます。
  55. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 よくわかりました。そこで、つけ加えて聞きたいのは、要するに六百万頭の食肉になる豚が一々厳密な自信のある検査ができる仕組みになっているのかどうかということを聞きたいのです。
  56. 岡田覚夫

    政府委員(岡田覚夫君) 六百万頭――年間出荷されますものはもっと最近は多いわけでございますけれども、それは通常の場合、屠場で屠殺されましたものが食肉市場等を通じて流通するという形になっておりますので、この面については問題がないというふうに思っておるわけでございます。ただ、病気になりましたものは、これは家畜伝染病予防法で殺処分にいたしまして、これは焼却、埋却するというたてまえにいたしておりますが、この分が出回ることはないというふうに考えております。
  57. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 たてまえということで、どこかに発見をして現象が起きぬ限り検査をしていないということでしょう、あなたの話によると。そうしたら、私は、一頭ずつどうこうという何だけれども、どこの屠殺場においても処理されているものはだいじょうぶだということを、厳密に防疫員でも検査員でもふやしてやらないと、結局やみからやみにそういうものが葬られていくという心配が、ここまでくると国民はそういう心配をしている。だから、そこのところを今後どうおやりになりますか、やれる機構にありますかということを聞いておる。
  58. 岡田覚夫

    政府委員(岡田覚夫君) 屠場に出ますのは、屠場検査員が検査をいたしておるわけでございますから、私のほうでやっておりますものは、まあ屠場に出荷されまして、それで屠場検査員の検査を受けるという形になっておりますから、そこの検査で問題はないというふうに考えております。
  59. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 屠場検査員というのは農林省の監督下にあるのですか。
  60. 岡田覚夫

    政府委員(岡田覚夫君) 厚生省です。
  61. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 それじゃあ厚生省にその話を聞きます。
  62. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 現在屠畜場の数は全国で八百二十七カ所でございまして、ここにおきまして屠畜検査に従事する職員の数は二千四百九十四名でございます。この検査の方法は、一応外観を見るわけでございます。この上に、屠殺したあと内臓の検査をいたしまして、リンパ腺の腫脹その他病変部分を見ますので、正規の屠畜場を通り、検査員の検査を終わりましたものについては、十分安全な検査が行なわれるわけでございます。
  63. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 四月十四日の毎日新聞に、「こんどは腐った豚肉」ということで、「畜産振興団で発見」、「納入黙認、汚職に発展か」という見出しで新聞記事が出ていますね。これはどういうことか、ちょっと聞きたい。
  64. 岡田覚夫

    政府委員(岡田覚夫君) 御承知のように、現在豚肉の供給が過剰で、価格が下落をいたしております関係から、畜産物価格安定法の規定によりまして、畜産振興事業団が豚肉の買い入れをいたしておるわけでございます。買い入れましたものを、屠場で屠殺されたものが加工業者のところにまいりまして部分肉にされまして、その部分肉にされましたものが冷凍されまして冷蔵庫の中に入れられるという形で保管を現在されておるわけです。で、たまたま南九州畜産商事株式会社というのがございまして、この加工過程、つまり枝肉から部分肉にする過程の業務を畜産振興事業団が委託をしておったわけでございます。委託して加工肉にいたしたものを冷蔵庫の中にしまっておくという形をとっておったわけでございます。で、その南九州畜産商事と申します会社が、たまたま先般の病菌豚事件の関係業者から豚肉を買い入れたというふうなことがございまして、その関連から、現在冷蔵庫に入れております南九州畜産商事の加工いたしましたものにつきまして調査をされたわけでございます。その結果、腐敗ということではないのでございますけれども、やや雑菌が多いというふうなものが若干ございました。そういうふうなことがあったわけでございます。畜産振興事業団は現在六十万トンに及ぶ豚肉を買い上げて、それを部分肉にいたしまして冷蔵庫に貯蔵している。そのための加工業者といたしましては、七十三名ぐらいの業者を選定いたしておるわけでございます。これは十分な施設があり、信用のあるものにつきまして委託契約を結んでおるわけでございます。たまたま南九州畜産商事というのがそういうふうなことになりまして、われわれとしては、はなはだ残念なことだというふうに考えておるわけでございます。
  65. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 時間がありませんから、私はきょうのところはこれでやめます。ただ、お願いしておきたいことは、私は、農林省も厚生省も、今日までのいきさっというものをずっとやはり振り返っていただいて、そうしてこういうことが起きた、世間で問題にならなければ事は済んだ、世間が騒いだから処置をしたのだという印象を国民に与えないように、食品衛生法のたてまえからいっても、人間の生命、健康からいっても、十分ひとつ気をつけてあらゆるものに取りかかっていただきたい。そして、いまお話を聞いたのでは、大体ニューカッスルのほうはもう一度勉強してもらわなければいけませんけれども、豚コレラのほうは大体一生懸命にやっていただいておるようですから、だから、農林省は特にニューカッスルの問題について、これはひとつ大胆な処置をしていただきたいと、お願いをしておきます。  そこで、警察庁の方においでいただきまして、ありがとうございました。いろいろの角度からこの問題で国民の世論にこたえて御協力いただいておるわけですけれども、警察の皆さん方の努力されたいま今日、どういう処理方法をおやりになっているか、できたら、簡単でけっこうでございますが、これをなくしようという運動の中の役割りを演じていただいたのでありますから、ちょっと御報告かたがた御意見を伺っておきたいと、こう思います。
  66. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) 御承知のとおり、今度い病原豚の問題につきましては、東京と京都、熊本におきまして、いわゆる化製業者が取り扱いましたワクチン製造用の豚を悪質なブローカーを通じましていろいろと食肉市場に販売されておった、こういう事案でございます。御承知のとおり、東京におきましては、化製業者の佐藤というグループと加瀬というグループがございます。佐藤のほうは捜査はほぼ完了いたしております。目下加瀬の関係のグループの捜査もほぼ完了いたしました。ただ、いま農林省の畜産局長から話のありました南九州畜産というものの関係を調べておるという状況でございます。熊本及び京都における関係は全部捜査を終了いたしまして、この関係の被疑者が全国で四十五人、取り扱いました豚が食肉に回されたもの約七千頭、ヤギが約一万頭ということでございます。いままでの捜査で衛生当局の協力もいただきまして、差し押え、あるいは押収いたしました。大体市場にはもうそういう肉はほとんど出回っていない、こう考えております。  捜査を通じましていろいろ私ども考えますことは、こういうワクチンに使われたものが悪質な化製業者を通じまして市場に出回ったということ、これはもっとも農林省の措置等によりまして、今後はそういうことはないということを確信できると思いますが、さらにもう一つ、いわゆる免許の対象でもないようなブローカーが非常にたくさんいまして、そういう食肉市場の、何と申しますか、取引の信用のなさということについて今後行政的な対策が必要ではないか、かように考えております。
  67. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 きょうは時間があまりありませんようですから、ちょっとまとめて御質問したいと思います。  インターンの問題につきましては、これからいろいろと論議もかなり進んでおるようでありますし、また医療法の改正案が提出されるという段階でもってもっと詳しくは質問したいと思いますが、厚生大臣は、おいごさんが東大の医学部の助教授をしておられるし、医療行政の面では非常にお詳しい、特にインターンの問題、こういう問題については特に大学でいろいろな問題が起きておりますので、十分御案内だと思いますが、いままで論議されたものはあと回しにいたしまして、最近その後になって起きている状態で私がお尋ねしたいのは、どうもこういう問題に関して、すべての問題でありますけれども、いろいろ懇談会の答申を待って、あるいは審議会の答申を待ってということで、非常にこれが遷延化されておる、そういうふうに私は考えるわけでありますが、今度のこのインターンの問題に関しましても厚生省としてはどう考えておるか、あるいは、また、教育をする面の文部省ではどう考えておるかという基本的な問題ぐらいは明確になっておらないといけないのではないか、こういうふうに考えますので、いずれこの懇談会の答申を待ってということにこのインターンの問題はなるだろうと思いますが、その前に、一体、厚生大臣としてはどういうお考えであるかということを第一点にお伺いしたいと思います。  それから、また、青年医師連盟というのがストライキをやっております。東大でもストライキが解消して、いろいろ何か取りきめも行なわれたように存じておりますが、一体どういうふうなことか、それに、ストライキは終結したのか、また、一面では、そうしたストライキの原因だとか結果だとかその措置というものについて、一体、厚生省ではどういうふうにお考えになっているのか、こういうふうなこともひとつあわせて第二点としてお伺いしたいと思います。  第三点の問題は、この間衆議院の予算委員会で、わが党の岡本代議士の質問に対して、佐藤総理大臣は、医者の卵に給与を出すのは行き過ぎだというような答弁をなされているように思うのであります。これは非常に大きな問題になるわけですが、一方では検事だとか判事だとかになるところの弁護士の卵である司法修習生ですか、これに対しては二万七千円の給与を出しているのに、なぜ医者のほうでは人命をとうとぶような研修をする場でお金を出さないかという議論がおそらく行なわれたと思うのでありますが、こういう意味で、卵にも属しないものに給与を出すことは問題だというような態度があったのでは私はたいへんだと思うのでありますが、こういう問題に関して厚生大臣としてはどうお考えになっているか、この点についてちょっとお伺いしたい。
  68. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 現行のインターン制度というものにつきましては、いろいろこれは欠陥と申しますか、不合理の点があるということは御指摘のとおりでございまして、私もこの現行のインターン制度というものは是正、改正をしていかなければならないものだと思います。たまたま医学問題懇談会の中間答申もございましたが、その中に、現行のインターン制度というものは、これはこの際やめるべきものであるという、こういう答申も受けておりますし、私は、すでに現行インターン制度というものはこれは廃止すべきものであると、こういうふうなことを私もすでに言明をいたしておるのであります。ただ、問題は、しからば現行インターン制度を単純にいますぐやめてしまう、そうするというと、御指摘のように、人命をあずかるお医者さんというものが、いまのインターン制度をやめてしまったということでは私は少し軽挙にすぎないだろうか。そこで、現在のインターン制度にかわるべきもっと合理的な、もっと実際的な、いまの実情に即したような研修制度というものをつくりまして、そうしてそこでひとつ臨床なり研修をやってもらう、そうして一人前のお医者さんになっていただく。ただし、現行のインターン制度というものは、インターン生を一年やって、そうして医師の国家試験を受けるという制度になっておりますが、これをやめる以上は、学校を卒業すれば直ちに医師の国家試験を受けてもらって、そうしてこれはいまのインターンにおる人は学生でもなければお医者さんでもないというような、非常に不安定と申しまするか、資格のはっきりしないような地位にある。それを、学校を卒業すれば直ちに試験を受けてもらって医師免許を与えまして、そうしてこの研修制度に従事していただく、そしてりっぱなお医者さんになってもらうというのが私の考えでございますけれども、そこのこまかいことにつきましては、やはりそれは回りくどいじゃないか、おそいじゃないかというおしかりを受けるかもしれませんけれども、この懇談会がございまして、せっかくこれのしりをひっぱたいてというとおかしゅうございますが、これに急いでいただきまして、そして医師法改正というところまで持ち込みまして、そしてできる限り今国会でひとつそれを御審議を願いたいと、こういう考えでおります。  それから、ストライキの件につきましては、これは文部省からひとつ、学校のことでございますので。  それから、最後に、佐藤総理が衆議院の予算委員会におきまして、インターン生に対して手当なんかは出さないのだと、こういうお話は、私も聞いておりましたが、それで佐藤総理大臣と私はいろいろなことでまだ詳しい話をいたしておりませんけれども、私のあのときの感じから申しますと、佐藤総理大臣は、現在のインターン生というものを、あるいはその対象として考えておったのじゃなかろうか、さように私は考えておるのでございまして、今後できる研修生をどういうふうに扱うかということにつきましては、これは懇談会がどういうふうにお考えになるか、そこいらのところをにらみ合わせてみないと、これをどうするのだこうするのだということについては、ちょっと私ここで申し上げかねるような次第でございます。
  69. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 まあ懇談会でいま審議中でございますので、それに対しての答弁を求めるのはちょっと無理だと思います。いま申したように、大臣から大体の姿勢を聞いて、そしてやはりできるだけそういうふうな形でやろうという御意向は伺いましたので、たいへんけっこうだと思います。特にまあストライキの問題はあとから聞くことにいたしまして、いまのインターン生は、この秋の、何と申しますか、追加の国家試験と申しますか、試験をボイコットするとも聞くのであります。これについては一体どういうふうにお考えか。この前私がここで御質問したときには、秋には受けてもらうのだ、むしろそれをボイコットしているやつが悪いのだ、こういうような厚生省の御見解のように私は承ったわけでありますが、相変わらずそういうような考えであるのか。この間の岡本代議士の衆議院のほうでの問題の中にも、非常に医者不足のことを繰り返し質問の中で言うておられたようでありますが、実際問題としては毎年三千百というような医師が出るのに対して、厚生省の場合は、いま厚生行政を受け持つ中で、私は、そういうふうなおまえたちの態度が悪いのだという態度だけではいけないのであって、それをどういうふうにされるのか、もう少し具体的なことをいま考えて、それをいろいろな委員会なり、あるいは懇談会にいろいろ反映さしてもらうことが必要だと思うのでありますが、その姿勢についてひとつお尋ねしたいと思うわけです。
  70. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) いま国家試験をボイコットしたインターン生のおまえたちが悪いのだと一口にそれは私は申せないと思いますけれども、しかし、おまえたちはいいんだということも、これはどうも申しがたいと思います。そこで、そういったことが起こってくるということが、これは何ら原因なしにさようなことが起こってくるとは考えられない。そこで、インターンの人たちの現在の環境ですね、先ほども申し上げましたとおり、医者でもなければ学生でもないというような、きわめて不明確なる地位でおるといったような、そういう状況にあって、それでこれに対して非常に心外だということを、心外なら心外でボイコットまでいかなくてもと私は思いますけれども、しかし、それは一がいにボイコットするのは悪いので、ほかは決して悪くないのだと、そういったような態度では私はいけないと思います。さようなことのないようにこれを制度的にも考えてまいりまして、そしてまあ喜んでと申しますか、進んで研修制度に応じていただく、応じてもらえるといったような制度をくふうしていって、そしてできるだけ先ほども申し上げましたとおり、こういう方針でいくんだから、ひとつ九月の試験、秋の試験というものに応じてもらいたいと、こういうふうに私は持ってまいりたいと、かように考えておる次第であります。
  71. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 それでは、もう一つそこでお伺いしたいと思いますけれども、新聞で発表されておるように、無給医局員の定員化というものが何か出ておりますが、前回の質問では、あれは新聞で報道しておるんだというようなお答えもあったようでありますが、定員化を百名とか、日額四百円とか、こういうふうなことでは、私は、先ほどからおっしゃっておるような研修の問題に対しましても、やはりいまの若い手たちが意欲を失うのじゃないだろうか、こういうようなことが根拠がないものなら別でありますけれども、しかし、この周新聞に発表をするなら、何か厚生省に根拠があるんじゃなかろうかと思うのでございますが、その点についてお伺いしたいと思います。文部省ですか。
  72. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) いまの問題は、主としてこれは大学の中の問題でございます。
  73. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 ちょっと、大学ならば、ついでに先ほどの残しました三点についてまとめて質問したいと思います、時間がありませんから。第一点は、いま申し上げましたように、東大でのストライキが終結したときの、妥結されたときの要件、そしてどういうふうなことをもって若い医員とかインターン生あたりが妥結に応じたか、また、それに対しては文部省としてはどういうふうに処理されたのか。  もう一点は、この間御質問申し上げたときに、いわゆる受け入れ態勢で、いわゆる教育というものを、もっと若いお医者さんの立場で充実した教育をしてもらいたい。設備とか整備とか、または教育病院とか、いろいろな形でもって教育の場をもっと勉強できるような場にしてもらいたいという要望に対して、これをどうされるかという問題。  それから、第三点の問題は、定員と日額四百円という問題はどうなっておるか、この三点について詳しく説明をお願いしたい。
  74. 清水成之

    説明員(清水成之君) 第一問はストライキの点でございますが、学内でああいうストライキが起きましたことは非常に残念に思っておりますが、いまお話がございましたように、最近まあ一応終結はしたわけでございます。結論から申し上げまして、一つは、一、二、三内科の研修生の受け入れ人数の問題であります。当初ストライキが起こりました発端が、この受け入れ人数をめぐりまして起きたというふうに私ども大学から聞いておったのでありますが、この一、二、三の三内科に対する受け入れ人数が解決した、これが一点でございます。  それから、第二点は、経過におきまして、定数なりあるいは指導上の関係上、全部を一、二、三内科へ受け入れられない、残余についてはほかへ、こういうようなことがあったのでございますが、解決をしましたことに伴いまして、今後の三内科以外のことにつきましてどういうふうにやってまいるかということは、研修生自体と話し合いで決定をしていくというのが第二点でございます。  それから、第三点は、いまお話が出ました青年医師連合の存在と申しますか、立場を認めよう、こういうことでございまして、その三番目が調印の形式で存在を認める、この一、二、三点がストライキ終結に至る三条件でございます。私ども文部省といたしまして、そういうストライキが起きましたことは非常に残念でございますし、終結しましたことはけっこうでございますが、教育のあり方、あるいは大学の運営体制から見て、いまの三点そのままが妥当な行き方であったかどうかということにつきましては、必ずしも心から賛成をいたしかねている、こういう状況でございます。  それから、二番目の、若い青年医師受け入れ態勢の問題でございますが、前回も大橋先生の御質問がございましてお答えいたしましたが、先ほど来、大臣からお話がございましたように、医学部終了後の若い青年医師研修体制、あるいは、また、医局の問題を含めまして、施設設備、あるいは指導教官の充実ということには十分力を注いでいかなければならない、かように思っております。その具体的な問題としまして、たとえば指導診療教官、要員がどの程度要るか、こういうようなことも懇談会のテーマになっておりまして、まだ結論をいただいておりませんので、これまた時間を少しおかしいただきたい、かように考えておるのでございます。  それから、三番目の、百人、四百円の問題でございますが、これも前回私申し上げましたが、実は診療要員の増員としまして、私ども事務当局では、ある方式でこれぐらい要る、それを年次計画でという考え方をとった時期もございます。ございますが、懇談会の答申が出ない先にちょっと私どもの計画どおりにはいかなかったというのが真相でございまして、とりあえず百人だけ診療要員の定員化をする、そのほかに従来の整備に伴います八十何人かがございますが、百八十何人かの運用によりまして、結果的に受け入れ医師の解消に四十二年度はつとめてまいりたい、こういう状態でございます。  それから、四百円の点でございます。この考え方の発端でございますけれども、定員化をはかりますと同時に、残った研修生と申しますか、医局員に対しまして、診療に従事しておる面をとらえて、それに何がしかの報酬なり手当を考えるべきである、こういう観点から、これも事務的に年次計画に応じて考えた段階もございますが、これまたその計画どおりにはまいりませんで、とりあえず診療協力者謝金ということで、四十二年度報酬謝金としましては一億円をいただいたのでございます。いま御審議を願っておる最中でございますが、この積算としまして、一時四百円という基礎が出てまいりますのは、研究に従事しておる時間がどれくらいとか、あるいは診療に従事しておる時間がこれぐらいで、一日のうちどれぐらいの比率になるとか、あるいは、また、週幾日出てまいっている人が何人とかというような計算から逆算して試算した時期がございます。その試算からいきますと四百円という数字が出たのでございますけれども、私どもとしましては、医学部長なり病院長の意見を十分聞く必要が一面ございますし、それから、また、最近におきます実態をつかみたいということから、別途ただいま御審議をいただいております調査費といたしまして五百六十万ほどいただいておりますので、それの活用によりまして実態を調査し、かつまた、医学部長、病院長の意向等も徴しました上で、できれば秋ごろから基準をつくって支給に入りたい、こういうことでございますので、いま直ちに四百円であるというふうにはちょっと私ども断言いたしかねるような次第でございます。
  75. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 この問題についてもう一言だけ私は申し上げておきたいのですが、この若い学徒の人は真剣に勉強というものを考えておるわけでありまして、そういう方がこういうようなことで、いままでの論議の中にもありますように、審議を待ち、あるいは、また、いろいろなことをやってもらわなければならぬことは、話を聞けばよくわかるのでありますけれども、厚生省なり、あるいは、また、文部省が、こういう人たちの受け入れ態勢というか、こういう人たちの勉強したいという念願をもっと具現化するような熱意を示さないとこういう人は失望するというわけであります。この間もちょっと私はそういう理論をここで展開したわけでありますけれども、私はそこをもう一つよく考えていただいて、この計算をして、何時間診療に従事するから、それじゃこのくらい入るのだという、そういうことじゃなくて、診療に従事するしないにかかわらず、勉強するわけでありますから、勉強だけするものに対しては、その勉強を教えるだけの費用をとってもいいかもしれませんし、また、診療に従事するものは、そのわずかな計算で年次計画のもとにこういうものを割り出して四百円という、いまさら四百円ということばが出れば、私は言語道断だと思うわけです。ですから、私は、こういう問題に対しては、もう少し真剣な態度で、審議会に対しては答申を待ってやられるということはよくわかりますけれども、文部省のほうにおいても厚生省のほうにおいても、こういう何と申しますか、人命を尊重する状態にあって、特に若い人たちが大学を出てこれから真剣に勉強しようという人、こういう人たちは非常に真摯な気持ちで、純粋な気持ちで臨んでおると思いますが、こういう人たちに対して希望と将来の夢を失わせるような制度考え方が出ることがこういうストライキが起こってくる根本原因だと私は思います。そういう点をもう少し明確にとらえながら、所轄官庁としては十分な指導体制を願いたい、こういうことを私は希望するわけであります。特にそうしたことを明確化して、早く具現するような方策を出していただきたい。同時に、審議会のほうに対してもそういう意見をもって、早くそういうものを充実するような形で進めていただきたい。そういう熱意がやはり私はこういう若い学徒たちのほんとうの根本的な要求ではなかろうか、こういうふうに考えております。  それから、もう一点、この前、医療費の赤字の問題について、衆議院の予算委員会で厚生大臣、熊崎保険局長との間で取りかわされましたところの質疑応答の中で、一、二私がわからない点についてこの際ちょっとお尋ねしておきたいと思います。担当の方いらっしゃいますか――じゃこの次にします。     ―――――――――――――
  76. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 私は、時間がありませんから簡単に、いま家庭の主婦が一番大きく問題にしております牛乳の値上がりの問題に関連して、特に厚生省の管轄であるものについて二、三お伺いしたいわけです。  牛乳については、生産者価格をキロ当たり六円ずつ上げる、こういうことから小売り価格を二円引き上げるということで、いま消費者の間で大きな問題を起こしておるわけです。問題は、こういう値上がりについて、それに便乗するいわゆる色もの乳ですね、これについての成分の規格、あるいは牛乳という名前をつけているところの問題ですね、その二つについてまずお伺いしたいわけですけれども、この法律上の問題で、乳及び乳製品の成分規格等に関する省令、この中で乳飲料ということで、この色ものもその中に含まれているわけです。しかし、その成分規格表というものを見ますと、牛乳とか特別牛乳についてはそれぞれ規格があるわけです、たとえば加工乳にしても、それから牛乳にしても。たとえば無脂乳固形分ですが、これが八%から八・五%以上とありますね。あるいは乳脂肪分が三%から三・三%以上、こういうことになっているのですけれども、いわゆる色ものといわれる乳飲料についてはそういう定めがないわけです。ただ、あるのは、細菌数が一㏄当たり三万以下とか、あるいは太腸菌群が陰性であるとか、そういうふうにきめられているだけですね。どうして色もの牛乳にこうした乳成分があってもなくてもいいようになっているのか、その辺をひとつ伺いたいのです。
  77. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 元来、食品として乳が使われる、その場合に、その主要な食品である、ことに乳児とか病人とか、そういう人たちに主要な食品として使われるものは主として牛乳あるいは加工乳ということでございまして、コーヒー牛乳とかフルーツ牛乳とか、いわゆる世にいわれるこういう種類のものは乳飲料という形で、やや嗜好飲料的な性質を持った飲料として規格がつくられておるわけであります。したがいまして、御指摘のように、規格の中に乳成分の含有量が記載されておりません。ただ、定義の中で、主要な原料であると、かような表示があるわけでございます。したがいまして、乳の成分は、中には五〇%を割るものもあるという状況でございまして、その意味合いから、いわゆる乳飲料と称するものを乳成分を主体とした栄養食品というような考え方でこれを取り締まる、規定をするという考えに立ちますと、今日の規定は、お説のとおり、不十分でございます。単に細菌数というような、危険防止という意味合いの内容だけでございます。  それから、そのような性質のものでありながら牛乳ということばを使っておるという点に次の問題があるわけでございまして、これも御指摘のとおりであります。中には牛乳がかなり少ないものもございますが、多くのものは牛乳または乳成分が五〇%以上を占めておるものが大部分でございまして、その意味から申しますと、名称の中に何々牛乳というような形で、牛乳という呼称をすることは必ずしも間違っておるという種類のものとは思われないわけであります。もちろん牛乳石けんとか、あるいはミルクキャラメルとかいう意味合いとは違いまして、一般大衆はフルーツ牛乳とかコーヒー牛乳とかいうものについては、かなり多量の牛乳が入っているという誤解を起こしやすいという意味から、間違いではなくても、一般国民に、消費者にそういう誤解を与えやすい名称であるということであれば、それは御指摘のとおりでございます。その意味で規則で内容成分を表示させることといたしております。ところが、これが非常に小さい字でございまして、虫めがねで見ないとはっきりわからないというような小さい字になっておりますので、よけいいま申しますような誤解を招きやすい点があるということで、私どもとしても、最近の乳の乳飲料、あるいは牛乳の使用の状況から見て、これらは十分検討に値する、改正を考慮する必要もある、かように考えておる次第でございます。
  78. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 主要牛乳のみにこういう規格を設けて、その他は必要ない、ないというか、そういうことで省令ができておるというのですが、しかし、食品衛生法の第七条の原則は、やはり規格を定めることになっておると思うのですよね。その中にやはり乳飲料も入っていると思うのですよ。だから、私は、牛乳や特別牛乳、あるいは加工乳等にそういう成分規格がちゃんときめられているなら、やはり国民は、いま局長の言われたように、牛乳という名のもとに色もの牛乳も見ていますから、そうすれば何か飲んで、とにかく嗜好物といいましたけれども、やはりある程度は栄養もあるのだと、そういうある程度の主食的な考え方も多分にあると思うのですよ。だから、やはりそういうほかの牛乳と同じようなそういう規格をこの際はっきりきめる、そうしないと値上げなんかにも関係すると思うのですよ。全然そういうものが厚生省では、これは厚生省の範囲でないと言われれば別かもしれませんけれども、しかし、牛乳や特別牛乳はそれがちゃんときまっておって、色もの牛乳だけきまっておらない。それで、今度牛乳の値上げが色ものを含めて値上げをするということになれば、一体その中に成分がどのくらい入っているのかということは、これは国民の立場、消費者の立場に立っても、消費行政を確立する上からも、厚生省としてはこの乳飲料についての成分をはっきりさせるということが私は必要じゃないかと思うのですが、その点はいかがですか。
  79. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 現在の省令の規定によりますと、成分は一応書かせることになっておりますが、問題は、柳岡先生がただいま御指摘になりました、ある程度以上なければ乳飲料と呼称してはならないという規定を設けるかどうかという点でございます。先ほど申しましたように、人間の乳にかわるものである、あるいはそういうことで幼児、乳児がこれを使う、あるいは病人がこれを使うという対象に対しては、内容の保証という、国民保健の立場から内容を規定しておるわけでございますが、したがって、これは加工乳並びに牛乳という名称をこれにつけさしておるわけでございますが、それ以外のものを成分を規定して、それ以上なければこういう名称をつけてはならないという規定をつくる場合には、そういう成分を保護する何らかの目的がないとぐあいが悪いわけでございます。その意味合いから申しまして、たとえばコーヒー牛乳という、コーヒーと牛乳という字がおおむね同じ大きさで書いてございます。今日売られておるものは、おおむねコーヒー五〇%、牛乳五〇%程度のものでございますので、見かけ上は、論理的にはその点の詐称といいますか、誤解を招く形にはなっておりませんけれども、コーヒー牛乳というと、ややもすると牛乳の中へ少しコーヒーを混ぜたものという誤解のもとに国民がこれを飲むという点から御指摘があるのだろうと思うわけであります。その点、まあ啓蒙の問題でございますが、表示の中で、現在乳飲料という字とかコーヒー牛乳というような字が非常に大きく書いてございまして、成分は非常に小さい字で書いてある。これが乳飲料とかコーヒー牛乳というような字とほとんど同じように成分が明確に書いてございますれば、飲む人が、これは牛乳は五〇%しか入っていないというようなことがわかるわけでございますので、御指摘のような点の改善は、成分規格を設けることが必要であるのか、あるいは成分をきわめて明瞭に国民にわかるようにすることが必要であるかどうかという点で、私どもとしてはただいま検討中でございますということを先ほど申し上げたわけでございます。
  80. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 五〇%入っているんだと、こう局長言われますが、しかし、消費者は五〇%ほんとうに入っているのかどうか、これは検査してみるわけにはいかぬと思うのです。厚生省はそれについてどういうような検査をしているのですか。
  81. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 牛乳、あるいは牛乳を使いましたそういう製品につきましては、成分規格のあるものは成分の規格を定めてありますし、いま申しましたように、成分規格のないものでも乳飲料内容を表示しなければならないことになっております。もちろん食品衛生上は、これはその表示の内容を盛ることが規制されるわけでございまして、牛乳について成分を守らせると同じように、内容表示と同じような内容を持つべき義務が課せられておるわけでございますので、そういう形で取り締まりが行なわれるわけでございます。
  82. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 ここには成分規格の定めがないわけでしょう、色ものには。そうすれば、色ものの内容が、たとえば五〇%以下であっても厚生省はそれはいかぬというわけにはいかないでしょう。ほかの特別牛乳とか普通の牛乳は、ちゃんとこの脂肪分が何%とか何とかあるわけですよ。ところが、色ものはそういう規格がなくて、単にあるのは大腸菌がどうの細菌数がどうの、それだけしかないでしょう。だから、その乳製品が全然なくとも厚生省は別にこれは取り締まるわけにはいかないのじゃないですか。
  83. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 内容を表示することになっておりますから、表示違反になりますので、食品衛生法上の違反品になります。
  84. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 その表示はしてあっても、表示はしなければ悪いかもしれませんけれども、その内容の表示は、それはしなければいかぬけれども、内容自体が、たとえば乳製品が五〇%以上なければだめだとか何とかというのは別にないわけでしょう、規格が。そうなれば、それが五〇%以下であってもそれは厚生省としてはやむを得ないわけでしょう。
  85. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) それは内容と違った表示をしておることになりますから、違反品でございます。ちょうど牛乳が乳脂肪、固形分八%以上となっているものを、八%以上ないものを売るということになれば、表示違反したものは食品衛生法上の違反品になります。
  86. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 ちょっとその辺がわからないのですよ。表示違反すれば確かに表示違反になりますけれども、しかし、表示そのものは、たとえば五〇%以下であっても、あるいは全くその乳製品がなくとも、それは違反にならないわけでしょう。
  87. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 一%という極端な場合には主要成分とはなりませんけれども、かりに三〇%くらいのものを三〇%入っているということで売っているものについては違反品ではありません。ところが、三〇%しかないものを五〇%という表示で売れば食品衛生法第十条違反でございます。
  88. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 そのことは私もわかるのですよ。だから色ものについて規格がないわけでしょう、省令には。乳脂肪分が何%なければいかぬとか、あるいは無脂乳固形分が何%以上なければならぬということが色ものにはないわけですね。色ものにはないわけでしょう。だから色ものの中に乳製品がどのくらい入っているかということはわからないわけでしょう。これは消費者もわからないし、また、厚生省も、それがたとい三%以下、二%以下であっても、それに対して、これは色もの、いわゆる乳飲料として販売してはならないということにはならないわけでしょう。
  89. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 何%でなければ販売してはならないとはなっておりませんけれども、何%入っておりますということをはっきり書いて売れと、こういう規則でございます。それで、何%入っているというものをそれ以上に書いたという場合には違反でございます。
  90. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 だから何%でもいいわけでしょう。それじゃ簡単に質問すれば、色もの乳については乳製品はなくてもいいということでしょう。
  91. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 主要成分でございますから、なくては乳飲料と称することはできません。
  92. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 そうすると、それはたとえば若干でも入っていればいいわけですね。
  93. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 固形分――中に入っている成分、水を除いた残りの成分でございますが、水を除いた残りの成分の中で主要部分をなしていなければ乳飲料とは称せられないわけでございます。したがいまして、どんなに少なくても、水を除いた残りの成分が二五%以上のものでないと乳飲料という呼称は許してないわけでございます。これはもちろん指導でございますけれども、法律上の規定は主要成分となっております。
  94. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 それはどこにそういうのがきめてあって、そして、それならばなぜそういうことをちゃんと普通の牛乳や特別の牛乳と同じように、特別に一項を設けてそういうものを書いておかないのですか。
  95. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 乳及び乳製品の成分規格等に関する省令の第二条の二十三項にございます。それによりまして「主要原料とした飲料であつて、」ということばが出ております。主要原料でないと乳飲料と呼称することができないわけでございます。ただ、御指摘のように、何%であろうと、主要原料であれば差しつかえないことは御指摘のとおりです。何%以上なければというはっきりした規定はございません。ただ、そのかわり、内容どおりの表示をしなければならない。だから、五〇%あれば五〇%入っている、三〇%あれば三〇%入っているという表示をしなければならない。その表示にうそがあったらどうかという先ほど来の御質問でございますが、これは違反でございますから、乳飲料に限らず、牛乳におきましても、成分に間違いがあるものは違反品でございまして、牛乳のようにこまかい規定があるから成分どおりにあるかというと、違反品であればその成分規格が守られない場合があることと同じでございます。
  96. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 だから、私の質問している要点は、その表示に違反した場合はどうかということでなくて、いわゆる消費者がやっぱり牛乳という名前を使って売られておれば、ある程度これは栄養分があるのだという感じ、感じというか、そういうものを持つわけですよね。したがって、乳飲料として牛乳や特別牛乳と同じような法的な規制を受けているものであれば、当然その乳飲料もそうした規格を設けて、そして国民がほんとうに牛乳を飲んで健康を保っているのだという感じに実質的に沿うようなやはり厚生省の指導というものが必要じゃないですか。
  97. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 純綿とか何とかというものでも、多少まじりけがあるものまで純綿と言わせていると同じように、八〇%以上牛乳があれば牛乳と言わせる、それ以外は牛乳という呼称を使わせないという考え方はあり得ると思います。外国でもそういう国がございます。ただ、これは公衆衛生上の観点からでは必ずしもないので、外国がこういう呼称をさしておるのは酪農奨励の意味があるように聞いております。ただ、何%以下は牛乳ということばを使わせないということが適当であるのか、内容を明記させる、何%あろうと、何%牛乳を使っておるということを明記させることによって一番国民が正確に内容を知ることでございますので、それを非常に明瞭にわかるように書かせるという方法もあるということで検討いたしておるわけでございます。ただ、コーヒー牛乳とかいう、牛乳ということばを使わないでコーヒー乳とか、何か別の呼称を使うという考え方も十分考慮に値することでございまして、この点は今後どうやりますか、私どもとしても最近のこれらの飲料の嗜好の状況とにらみ合わせまして検討はいたしております。その結果はまだこの段階では申し上げかねますけれども、そういう段階であるということを申し上げておきます。
  98. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 公正取引委員会で、色もの牛乳についてはそういう規格がはっきりしていないのであるから、これは牛乳という呼称を表示してはいかぬ、これはやめるべきだ、こういう提案をしているのは御承知でしょうか。そして、また、厚生脚としてはどういうふうにお考えですか。
  99. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 要は、その原因は牛乳というものに間違いやすいということからくる問題であろうと思います。したがって、今日この間違いが、内容を非常に小さい字で書いてあるということで、内容を大きな字に改めさせれば誤解が払拭されるのではなかろうかという考え方が私どもにはございます。しかし、それでもなおかつ国民は、そんな成分なんか読まないで、名称だけでコーヒー牛乳のようなものを牛乳と間違って飲んでしまう、こういう誤解があるかもしれませんが、その意味合いから、わざわざ牛乳の色を使わせないように色をつけさしてあるわけです。必ず牛乳色でない色彩にしてあるわけでございますが、それでもなおかつ誤解がひどく、ひいてはそれが物価に影響するというような最近の時勢を反映した問題がございますので、私どもとしては検討はしてまいりたいと思います。
  100. 藤原道子

    ○藤原道子君 ちょっと関連。ちょっとわからないのですけれども、私どもときどき駅なり店で、ちょっと牛乳というと、白ですか、色ものですかと聞くのです。牛乳として売っているのです。白は切れましたが、色ものはございます。結局色ものにしたほうがもうかるのですよ、業者は。あるメーカーへ行きましたら、ほとんどうちでは色ものをやっている、こういうふうに不正が生まれているのです。一般の人は牛乳だと思って飲むのです。二五%しか入っていないものをなぜ牛乳という名前をつけなければならないか。これをどうお考えですか。栄養になると思って飲んでいるのよ、国民は。どうしてそんなに業者を守るような変な答弁ばかりしているのよ。
  101. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 私どもがやや煮え切らない答弁を申し上げるのは、食品衛生法をお読みいただきますと、危害防止というのが目的でございます。したがいまして、現行の食品衛生法の性格を再検討する必要が生じますので、そのかなり基本的な問題に触れますので、いろいろ検討しておる、かように申し上げるわけでございます。
  102. 藤原道子

    ○藤原道子君 大臣に伺いたいんです。食品衛生なら食品衛生のたてまえからしか答弁しない。大臣はどうお考えですか。私は、保健衛生とか栄養強化とかいうことを厚生省考えてもらいたいと思う。厚生省どうお考えですか。
  103. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) この問題につきましては私はしろうとでございまして、ここではっきりした正確なる御答弁になるかどうかは私はわかりませんけれども、厚生省で扱っておりますのは、いま局長がお答え申し上げましたとおり、保健衛生上の見地から、厚生省は、色もの牛乳といったようなものは、これは人体に害がない。それから、牛乳が主たる成分になっておるから、なまのほんとうの牛乳ほどもそれは栄養はないかもしれませんけれども、ある程度牛乳が入っておるという意味におきましては、これは飲む人にとっても栄養にもなる。しかし、もう一面、それなら色ものにしておるということは非常に人体に害があるかどうかというようなことについては、これは厚生省としては厳密に監視もしなければなりませんし、その規格もきめていかなければならない、こういう立場に厚生省はあるわけでございまして、そこで、一体、乳飲料と色ものの牛乳というものが、主として牛乳を成分としておる、原料としてあるということを食品衛生法できめておるということで、これはとにかく牛乳が入っておるから栄養になる。それから、色はついておるけれども、人体に危害はないということで厚生省としてはこれをきめておるということでございまして、その牛乳の乳価が今度変動するというようなことで、そうなってきますと、色もの牛乳に対して、従来は五〇%入れてあったが、牛乳が非常に高くなったから四〇%にしようといったようなことになってきますと、これはちゃんと表示をしておるわけでございまするから……。
  104. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 四〇%と表示すればいい。
  105. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 四〇%と表示すれば別に違反品ということではない。しかし、最後の場合に、厚生省としては、そういうようなことをすれば人体に害を及ぼすかどうかといったようなことは、これは厚生省としての立場から考えるべきものであろうと、かように考えております。
  106. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 時間がないから、きょうまたあとでこの問題をやりますが、いずれにしても、公衆衛生の立場からするということだけではこれはおかしいですよ、答弁が。ほかの牛乳とか特別牛乳は規格をちゃんときめているのですから、それだったら色ものだって、当然牛乳と名のる以上は、そして国民がとにかく色ものでも、飲めば、白を飲むと同じような栄養分があるのだということをやっぱり考えているのですから、国民は。しかも、業者は業者でもって今度の値上げに便乗して値上げしようとするわけですから、色ものも。成分もほとんどないのに値上げされたんでは、これは消費者こそいい迷惑だと思うのですよ。だから、やっぱり消費者の立場に立つ厚生省としては、そういうものについて、業者の立場でなくて、消費者の立場に立って、もう少し省令の改正というか、あるいはもし色もの牛乳というものがもうどうしようもないのだったら、牛乳という名称をはずして、別な飲料水にしてもらう、こういうふうにどっちかに私はしてもらわなければいかぬと思うのですよ。これはひとつ意見として出しておきますが、それから、もう一つ、いま牛乳は、いわゆる販売曜日をつけておるわけですね、表示に。これは製造年月日に改正できませんか。たとえばいま非常に配達の労働力の不足もあると思うのですけれども、非常におくれて配達される場合もあるわけですよ。で、聞くところによると、そういう表示の方式を変えると三百六十五種類のキャップをつくらなければならない、だから非常に金がかかってしょうがない。とにかく鮮度ですか、それを保つのは、家庭はいま冷蔵庫を持っているのだから、十分家庭で鮮度を保てるのだからいいじゃないか、こういう意見があるようですけれども、しかし、全部が全部冷蔵庫を持っているわけでないし、当然これは業者の責任で国民に一番新しい牛乳を飲ませる、それがやっぱり必要ではないかと思うんですけれども、その辺はどうですか。
  107. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 現在牛乳には曜日をつけさしておるというのはただいま御指摘のとおりでございます。最近隔日配達というようなことの考慮から、毎日の販売の日にち、曜日でない日にちの標識にしたらどうかという御意見がございます。私どもとしては、この点は何ら差しつかえがない。保健衛生上はかえって非常にいい問題でございます。というのは、一週間前のものとあとのものとが混同されるようなことがなくて、明確に日にちがあれば、それにこしたことはございません。残る問題は、ただいま御指摘のありましたように、かえって高くつくかもしれないし、人手がないところでさらにそういう煩瑣な措置をするというような別の問題があるわけでございまして、厚生省としての公衆衛生上の見地からは非常に歓迎すべき問題でございます。なお、生産地の状況からくる側からは、今日の段階では難色を示しております。
  108. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 それで、厚生省としてそういう保健衛生の立場からいいというなら、そういう方向に指導する気持ちがあるのか。まあ、また検討中だというようなことばになるかもしれませんけれども、どうなんですか。客観的な人ごとのような回答でなくて、一体厚生省ではどういうふうに考えて、どうしようとするのか。
  109. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) これは指導だけでは実施ができないわけでございます。省令を改正しなければなりません。方向としては、日にちをつける方向でただいま交渉中でございます。     ―――――――――――――
  110. 藤原道子

    ○藤原道子君 時間が非常にないですから、往復二十分というのですから、ちゃんとはっきり返事してください。  まだ私はきょう質問する予定でなかったのですけれども、ちょっと見たところが、いま非常に社会問題になっております精神衛生費が減っているのですね。この点は私ちょっと納得いかないのですがね。このごろ突発的な事故がたくさん起きております。とれらに対して精神衛生費が非常に減っておる。ほかに減っているところはあまりないのですけれども、たいへん減っているのですね。精神衛生費はずいぶん減っている。これはどういうわけなんですか。精神病者が減ったのですか。  それから、もう一つあわせて伺いますのは、他傷のおそれのある者は措置入院ができるのですね。人を傷つけたりみずから傷つくという場合、そういう場合には措置入院の対象になる。ところが、病院からもういいだろうということで退院した者が突然人を刺したりなんかした事件が新聞をにぎわしておりますよね。それはどういうふうな扱いにしていらっしゃるのか、それをひとつ。  それから、もう一つは、精神専門医が足りないというふうに聞いておりますが、それは事実であるかどうか。それから、いま精神病者と精神衛生の対象になる人員はどのぐらいと見ていらっしゃるのか、ベッドはどのぐらいあるのか、それをちょっとお伺いします。
  111. 中原龍之助

    政府委員中原龍之助君) 四十二年度の精神衛生対策費として予算を計上いたしましたものにつきましては、総額におきまして、いま御質問がございましたように、四十一年度のものよりは若干減っております。この理由は、実は四十一年度予算が当初予算に比べて措置入院費で十四億三千三百万円の増でございます。しかし、四十一年度におきましては、四十年度の不足分は約十億、それを補正予算に繰り込んだために、総額におきまして、四十二年度のほうが若干減ったという形になっております。しかし、四十二年度の精神衛生対策それ自身について見ますと、措置入院の数というものは、四十一年度に比しまして対象人員が三千名の増になっておりまして、したがいまして、額におきましては全体で措置入院費が十四億三千三百万円の増であります。  それから、なお、通院医療費がございます。通院医療費は、これは若干の減になっております。しかしながら、この通院医療費が予算化された経緯から見ますと、その当時の予算額というものは、大体の予算額をはじいた上でやりました。ところが、四十二年度予算につきましては実際の実績によりまして計算をいたしましたので、若干単価が下がっております。それはむろん単価が下がっておりますのは、実際やる上において支障がございませんし、また、人数におきましては、四十一年度のこれの実績が当初われわれが見込みました数までいっていなかったので、したがいまして、人数は四十一年度の人数と同じだけのものを余裕を見て、そうして四十二年度と同じ数にいたしたわけでございます。したがいまして、総額におきまして表面上は減っておるように見えますが、内容といたしましては、これは十分にふえておるわけでございまして、私ども措置入院患者の対策につきましては支障がないものと考えておるわけでございます。  それから、精神病院に入院しておる者が緩解をして退院する、そうして野にあってたまたまいろいろの事件を起こすじゃないかという問題でございます。これは先生がいつもおっしゃっておられるアフターケアの問題、この問題は私どもいわゆる保健所を中心にいたしました精神衛生相談員の充実、それによりますと、在宅における精神障害者の指導というものにからみまして、退院いたしましても、なおしばらくいわゆる通院医療費を使って通院させるというような措置をとる、あるいは場所によってはデー・ケア・センターなり、あるいはナイト・ホスピタルなり、いろいろ公的なものでためしております。そういうようなものでいろいろやって対策充実さしていきたいというふうに考えております。  なお、いわゆるアフターケアの問題、中間施設の問題は、いろいろの問題が各種論議されておりまして、現在精神衛生審議会でどうするかということでいろいろ審議していただいている。それによりまして、実際に日本に合うようにするにはどういうのがいいかということをきめて、具体的な全体的な対策に取りかかっていくという形になっております。  それから、ベッドの数は、精神病者の場合は、ここ数年一万数千ベッド大体年間ふえております。四十一年末では十九万一千五百五十五床ございます。そうして全体の精神障害者で入院を必要とする者はどれだけあるかということは、前回精神障害者の実態調査を行ないまして、それによりまして、これは推計数でございますけれども、入院を要する者二十八万人というような数が出ているのでございます。そのうち、精神病が二十一万、精神薄弱が三万、その他四万という形になっております。これはもちろん推計数でございますので、この数を全部実際につかまえておるという数字ではもちろんない。いずれわれわれといたしましては、現在ベットはそのようにふえておりますが、現在の状態ではなお若干足りない面もあるということで、ベッドはなお整備してまいるつもりでございます。それから、そういうようないわゆる精神病を治療するための人員はどうであるかということになりますと、やはり年々病床が最近は急激に伸びておりますので、やはりそこに従事をする医者とか、あるいは看護婦さんの問題とかという問題は、私どもにもいろいろ痛切な問題になってきております。まあ現在、最近までということで、最近の数字では、一応全部これを調べた数字はございませんのですけれども、いわゆる措置入院患者を収容してもらうために指定病院というのがございます。それの昭和四十一年四月一日現在では、全部の精神病院数が千百二十四カ所のうち、指定病院が八百五カ所、そうしてそのところのいわゆる指定病院の状況について申し上げたいと思います。これが八百五カ所で、病床数が十四万二千七百九十七床、これに勤務しておるお医者さんといいますと、大体常勤の者と、それから非常勤の者をひっくるめまして約四千七百名ぐらい。したがいまして、約三十床に一人ぐらいの割合にはなっておりますが、しかし、それが半分ちょっと強が常勤であるというようなことでありますので、この面について、常勤の面についてみますれば、まだ私どもはもっと強化をいたしたいというふうに考えておるのであります。もちろんこれにつきましては、一応外来を除外して考えております。看護職員につきましても、いわゆる看護婦、准看護婦、これを合計いたしまして二万百七十四名、約七ベッドに一人というようなぐあい。このほかに、精神病院は、御存じのように、男の看護人などがおりますので、そういう面から、またいわゆる看護助手というのがございます。これが約一万二百名ぐらいおります。いわゆるこういうものを全部入れますれば、大体四・七床に一人というような形になっております。しかし、私どもも正規の看護婦、准看護婦というような形になりますと、やはり不足という形になっておりますが、とにかくこれは四十一年の四月一日現在では、今後ともひとつ従業員の充足に努力をしていきたいというふうに考えております。  以上でございます。
  112. 藤原道子

    ○藤原道子君 だから、私が伺うのは措置入院ですね、この場合に他傷、自傷と書いてある。それをどういうふうにして判定していらっしゃるか。結局かあっとして人を刺すとか、あるいは放火するとか、あるいは強姦するとか、こういうのはたいていあとでは精神的な問題、精神異常の傾向があると報じられている。だから、どういうときに他傷、自傷のおそれある者、これがなくなつたら退院させなければならない、これはどういうことなんですか。大体非常にこのごろ運転手さんだっても精神衛生の対象者がいるというし、大学なんかの学生だってもそういう傾向がふえている。こういうときに、この精神衛生対策というんですか、これをもっと強化してもらいたいと思っているんです。だから、それがかあっとして社会不安を起こしていると、お互いに周囲には措置入院しなきゃならない者が二十八万というけれども、それに類する者はもっと広範にあると思うのです。それはどういうふうに考えていらっしゃるか、今後どういう対策をお立てになるか。入れものばかりどんどんふやしたって、お医者さんだの看護婦さんだの足りなければ、医療法では助手は看護婦と認めていないんですから、こういうのはどうでしょう。
  113. 中原龍之助

    政府委員中原龍之助君) 実は二十八万というのが全部が措置入院というわけではございませんので、入院をして治療をする者というのが二十八万人ということであります。それで、いわゆる措置入院はどうやって発見し、どういうふうにきめていくかという順序でございますが、大体発見の者はいわゆる通報、本人の家族だの警察官だの矯正施設とか、いろいろなもののやはり通報があって、そうしてそれによりまして、いわゆるこの自傷他害のおそれがあるというような申請が出されるわけです。そういたしますと、それにつきまして某知事は精神鑑定医二名以上のいわゆる鑑定を終わった上で、それが措置に該当をするのだということになりますと措置入院命令を出して措置入院をさせるわけでございます。自傷、他害のおそれのないような患者も、やはり精神病者といいましても多いわけでございまして、ほんとうに治療をするというためには、これは普通の形では保護義務者の同意による入院という形で入院をしているのでございます。で、措置入院をやる場合におきましては、いわゆる精神病そのものが全部狂暴性があるとか、自分を傷つけるというおそれがあるわけではございませんで、その中の、いわゆる極端にいいますと一つの症状でございます。あらわれ方でございます。あらわれ方によりましてはそういうおそれがありますので、そういう時期におきましては措置入院をして治療をするという形になっております。この精神障害者が、これは必ずいわゆる自傷、他害を将来するおそれがあるかないかという問題になりますと、幾ら専門のお医者さんでも、なかなかその将来の判定までは私はむずかしいように思うのでございます。それで、現在の措置入院制度は、現在のその患者の状態によってやはりやらざるを得ない。あとは一般的な精神障害者対策といたしましては、精神病が、いわゆるこの入院治療を必要とする者は入院をし、緩解をしてくればそれはおそらく家庭に帰ると思います。その者に対するいわゆる在宅における精神相談に当たるとかいうような、総合施策精神衛生対策を進めていくというような形にならざるを得ないと思っております。
  114. 藤原道子

    ○藤原道子君 私は厚生省考えてほしいのですよ。問題は、いまの精神病とか精神病質というのですか、治療によってはなおるのですよね、いまの精神医学のたてまえから。だから、悪くなって人を傷つける、それだけを見るのではなくて、もっと思いやりのある厚生行政をしたらどうですか。悪くならなければ入れないのだ、そうして人を殺すおそれがなくなればもう出している。結核だってそうでしょう。措置入院患者は菌を出さなくなれば、もう退院の命令をしていますよね。社会復帰に適応するかどうかということでなしに、菌が出なくなれば結核患者も退院させる。人を殺すおそれがなくなれば精神病患者も出している。出して社会の刺激にあうと、それが発作的にやるのですよ。だから、精神病をなおすつもりなのか、おっかないから入れておくというのか、どっちなんです。私はそれに対して非常に不満を持っていますが、きょうは時間がありませんので、いずれあらためてその点についてはお伺いしますけれども、いまの厚生行政は、ちょっと表面だけなでているようなやり方です。まことにきょうの御答弁は私は不満足でございます。  老人問題は、きょうだれもいらっしゃらないというから抜きますが、心身障害児の施設をふやすとか、それから救急医療対策強化されるとかいうようなことがきょうの大臣所信表明の中にあるのです。ところが、これは心身障害児の施設はつくっても保母さんがいない、看護婦がいないと大騒ぎしている。秋田おばこにたよらなければ解決ができなかった。救急医療対策といっておりますが、医者がいなかったり、なおるべきものがたらい回しになって死んだり、こうしているのですが、この施設をつくると同時に、そこに従事するお医者さん、看護婦さんの養成、これはどうなっておりますか。これも確かに脳外科の医者が非常に足りない、全国で何名、こういうことを伺っておりますが、これの対策はおできになっているかどうか、これを伺いたい。  それから、もう一つは保育所保育所がやっぱりふえますね、ことしも。保母さんの養成は一体どうなっているか。  それから、もう一つ、特に乳児保育の非常にこのごろ希望者がふえている。母よ家庭に帰れなんと言うけれども、労働不足でどんどん家庭婦人までかり出されている。しかるに、保母さんの資格を持っている人も、看護婦さんの資格を持っている人もやめざるを得ない現状にある。家庭の主婦は非常に過労になっている、こういう場合に乳児保育所が非常に少ないのです。金がかかるからやらないんですよ。これに対してはどういう対策をお持ちになっているか、これが一つ。  それから、もう一つは、児童福祉法ができた当時から問題になっておりますが、幼児教育の一木化、これに対しては、けさほど高山さんからも保育所の問題で幼稚園とのことで御質問がございましたが、幼児教育の一元化についてはどういうふうに厚生省では考えていらっしゃるか。  それから、もう一つ、季節保育所でございますが、このごろ農村は出かせぎがふえてまいりまして、農繁期とか農閑期というものがない。農閑期には、農業では食えないから、やっぱりあちらのほうの弱電気とか何かにどんどん進出して、農閑期の農村婦人の手間を吸収しているということになると、季節保育所というのじゃなくて、私は、農村にもむしろ保育所の常設のものがなければならないと考えますけれども、それに対してどういうふうにお考えになっていらっしゃるか。  以上、時間がないから、全部一括して伺います。
  115. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 御指摘のように、医療施設福祉施設といったようなものを拡張、充実してまいりましても、これに対して医療従事員、あるいは看護従事員といったようなものがなかなか現在不足しておりまして、その面から、施設をふやしてもこれはだめじゃないか、こういう御指摘でございますが……。
  116. 藤原道子

    ○藤原道子君 だめだと言わない。養成を急がなければならない。
  117. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) だめではなくて、非常にまだ足りないんじゃないかという御趣旨かと思いますが、そういうようなことにつきましては、厚生省といたしまして、極力そういったようなことで支障が生じないようにつとめてまいっておりますが、四十二年度の予算におきましても、いま御指摘になったような従事員というものをだんだんふやしてまいっておりますが、予算上の増員といったようなことにつきましては、これは担当の局長から御説明させますが、厚生省といたしましても御指摘の点が非常に重要な問題だと思いまして、極力これを充足するようにつとめてまいっております。
  118. 藤原道子

    ○藤原道子君 看護婦、保母さんの足りなくなるということは、当委員会でも私は十何年前から言っている。厚生省努力いたします、努力いたしますと言っているが、だんだん足りなくなる。しっかりしてください、大臣局長から……。
  119. 若松栄一

    政府委員(若松栄一君) 医療施設における職員が足りないということは、ただいまお話のありましたように、すでにかなり前からの問題でございまして、特に看護職員につきましてはここ数年来非常な不足がございまして、現実に医療機関の運営にも支障するという状況でございまして、これに対して、看護婦の養成につきましては、ここ数年来、やはり私どもも相当な努力をいたしてまいりまして、数年前まで一年に養成される看護婦の数が一万六千名程度でございましたけれども、現在はすでに二万数千名というところまで強化してまいりまして、おかげて最近の需給状態はちょっとだけは緩和した様子でございます。しかも、なお今後数年は看護婦の養成は依然として増加をたどっておりますので、今後におきましてもいままでよりは幾らか楽になってくる、しかし、完全にこの困難が解消するというわけにはなかなかまいりかねるようでございます。大体私どもが現在計画しております線では、四十五年ころになりますと、少なくとも医療法の基準で理論的に計算いたしました看護婦の需要に対しては一応間に合うという計算になります。しかし、御承知のように、ある程度の偏在、あるいは看護婦と准看護婦の比率の問題、あるいは、さらに将来起こる、たとえば新生児の看護に対して相当数の看護婦を充当する、あるいは将来予想される労働時間の短縮というようなことになってまいりますと、また新たな要因が出てまいりまして、また不足が重なってくると思います。しかし、私どもも、そういうような将来における要因ということも考えて、いままでの養成の規模をさらに強化していきたいという心がまえでございます。現実に重症身障児等の施設に看護婦あるいは保母が足りないということも事実でございますが、この数は総体の需給の中で見ますとこれは微々たるものでございますので、もちろんこの総体の需給を緩和するということを目途にいたしまして、あと重症身障施設等に勤務条件その他が悪いためになかなか行きかねるということがございますので、そのような勤務条件の改善というような方向で、また別な努力をして解消してまいりたいというふうに考えております。
  120. 渥美節夫

    政府委員(渥美節夫君) 保育所に勤務いたします保母の不足のことにつきまして御指摘いただきました現実の情勢といたしまして、先生の御指摘のように、非常に困難な情勢にあるわけでございまして、何をしたらいいかというのが最大の課題でございます。私ども一応の考え方といたしましては、第一点は、養成力を増すということ、第二点は、その養成中にあるところの学生生徒を確保する、第三は、保母の勤務条件あるいは処遇改善する、こういうふうな三つの点を強力に進めることによりまして保母の不足対策に資したい、かように考えております。  第一点の養成力を増強するという点につきましては、御承知のように、保母の資格は、厚生大臣の指定する養成所なり、あるいは学校を卒業した者が保母になります。それと同時に、都道府県の知事の行なう試験を受けるということによって保母の資格を取得するわけでございます。したがって、第一のそういった厚生大臣の指定する学校なり施設をふやしていくということが必要であろうと思います。そこで、現在はこういった施設が百三十五カ所ありますけれども、これを四十二年度におきましては百五十六カ所、つまり二十一カ所ふやしたい、かように考えております。それから、次に都道府県知事の行なう保母試験でございますが、実は昭和三十七年度までは年に一回しかこれを行なわなかったわけでございますが、しかしながら、いろいろな御指摘のような保母不足の現状にかんがみまして、昭和三十八年から春夏二回これを行なうというふうな制度に改めております。しかしながら、まだ各都道府県全部が二回やっておりません。したがって、二回をやれというふうなことにつきまして、先般の児童福祉所管課長会議におきましても強く各都道府県に呼びかけをしておるところでございます。  それから、申し上げました第二の養成中の保母さんをほかにやらないで学校を卒業してもらうというような意味におきましての保母確保対策でございますが、これは保母の修学資金の貸与制度というのがございまして、これを毎年少しずつ拡充していくというふうなことをやっております。  それから、最後にはなりましたが、最も重要な職員の処遇改善でございますが、この点につきましては、毎年国家公務員の給与並みにはベースアップが行なわれるわけでございます。しかしながら、最も重要なものは、現在私のほうの制度といたしまして、甲地、乙地という、地域によりまして児童保護費を支払う基準に差がございます。甲地というのは、主として六大都市及びその周辺でございます。いなかとそれ以外の都市におきましては乙地といたしまして、金額に差がございますので、この差を毎年縮めていくというふうなことで、四十二年度の御審議中の予算におきましても、この地域格差の是正ということをその中に盛り入れてあるわけでございます。  それから、もう一つは、その勤務条件を改善するということでございますが、これは同時に、先生御指摘の乳児保育の問題にも関連することでございますが、現在におきましては、三歳未満の子供に対しましては、子供七人に対して一人の保母というふうに予算上きまっておるわけでございます。これはいかにもその保母さんの労働条件を悪くしております。したがいまして、四十二年度の予算におきまして、この七人の子供に対する一人という現在の状況を改善いたしまして、子供六人に対して一人の保母さんが受け持つというふうな条件の改善をはかっておるわけでございます。まあそのほかいろいろな点におきまして処遇上、あるいは勤務条件上いろいろ問題がございますので、そういった点につきましては、さらに運営改善をするようにもっていきたい、かように考えておるわけでございます。  それから、季節保育所の常設化につきまして御指摘を受けたわけでございますが、現在のところ、季節保育所が全国で六千カ所ばかりございますが、こういった季節保育所をさらに継続していきますとともに、さらに季節保育所ではございませんが、農村におきまする僻地保育所をつくれというふうな非常に強い要望がございまして、この点につきましては、現在千九百五十五カ所の僻地保育所がございますが、昭和四十二年度におきましては、これに二百四十二カ所の僻地保育所を増設するというふうなことでやってまいりたいと思いますとともに、午前中も申し上げましたように、正規の保育所をどんどんつくっていく、国庫補助におきましては四百五十カ所を予定をするというふうなことで進んでまいりたい、かように思います。
  121. 藤原道子

    ○藤原道子君 保母さんの給与を公務員並みに上げていると言うけれども、もとがうんと低かったのです。だからいつまでいったって追っつかない。もとがばかに低かったのです。それも考慮して改めてもらわなければ保母さんになり手がない。保母の学校を卒業しても、保母なんかいやだという人が出てくるので、こういう点もお考えになっていただきたい。  それから、七人に一人を六人に一人にしたって手柄にならない。あなたの奥さんに一ぺんに六人の子供を見ろといったらどうします。非常に責任を負っていますから、そういう点をお考えになっていただきたい。  それから、医務局長ね、看護婦さんはだいぶふえてきたとおっしゃるが、学校を卒業する人とやめる人と相半ばするくらいなんですよ。定着率がふえましたと言うけれども、やめる人もごそっとやめていっているのです。どんどん看護婦をふやしてまいりましたけれども、准看をふやしている。医療法のきめでは五、三、二だったんですよ。普通の看護婦が五、准看が三、助手が二ということだったんです。それが四、四、二になって、このころ逆転してきておりますよ。ところが、医療法では准看はいろいろの勤務の制限があるんですよ、監督のもとにやる。ところが、准看にだけ夜勤させるところがずいぶんある。いつか医務局、長は、婦長が夜勤しておりますと言うが、婦長室なんというものはどこにあると思っておりますか。婦長なんか夜一々看護婦に協力しちゃいませんよ。資格のない准看に四十ベッド、五十ベットの患者に対して一人で夜勤をさしている。こういうむちゃなことをして日本医療は成り立っているのです。問題は、看護婦さんも保母さんも過労です。重労働です。こういう点を厚生省で真剣に考えていただかなければ、幾ら病院つくったって働く人がなくなる。医療法で四人に一人、療養所は六人に一人と最初きめましたのは、有資格者がベッド四に対して一人だったんですよ。このごろは准看が大半を占めている。このごろの厚生省の養成機関を見ましても、ほとんど准看じゃないですか。准看は上にのぼる道が狭き門です。で、頭打ちになるから、七、八年たった優秀看護婦がその職をやめていく、こういう非常に惜しいことが起こっていることは、大臣、真剣にお考えいただきたい。幾ら病院をつくったって、看護婦がなければだめなんです。保健所を強化するなどというきょうの大臣所信表明なんかはりっぱなものですよ。だけれども、中身が伴わなければだめなんですよ。さらさらといいことばかり言ったって、中身が全然ない。こういうことをお考えになって、真剣に生命を守る、大臣は最初に生命は大切だとおっしゃった。その生命を守っていくところは厚生省なんです。厚生大臣なんです。こういう点で、子供の生命から年寄りの生命まで、ひとつ十分にお考え願いたい。きょうは時間がございませんので、この程度にしておきますが、またあらためて……。
  122. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 他に御発言もなければ、本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時十七分散会     ―――――――――――――