運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1967-03-23 第55回国会 参議院 社会労働委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年三月二十三日(木曜日)    午前十一時三十分開会     —————————————    委員異動  三月十四日     委員亀井光君は議員を辞職した。  三月十六日     補欠選任        栗原 祐幸君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         千葉千代世君     理 事                 土屋 義彦君                 藤田藤太郎君     委 員                 川野 三暁君                 黒木 利克君                 山下 春江君                 山本  杉君                 大橋 和孝君                 藤原 道子君                 柳岡 秋夫君                 小平 芳平君                 高山 恒雄君    国務大臣        労 働 大 臣  早川  崇君    政府委員        厚生政務次官   田川 誠一君        厚生大臣官房長  梅本 純正君        厚生大臣官房会        計課長      高木  玄君        厚生省公衆衛生        局長       中原龍之助君        厚生省環境衛生        局長       舘林 宣夫君        厚生省薬務局長  坂元貞一郎君        厚生省国立公園        局長       大崎  康君        厚生省社会局長  今村  譲君        厚生省児童家庭        局長       渥美 節夫君        厚生省援護局長  実本 博次君        社会保険庁年金        保険部長     網野  智君        農林省畜産局長  岡田 覚夫君        労働政務次官   海部 俊樹君        労働大臣官房長  辻  英雄君        労働大臣官房会        計課長      上原誠之輔君        労働省労政局長  松永 正男君        労働省労働基準        局長       村上 茂利君        労働省婦人少年        局長       高橋 展子君        労働省職業安定        局長       有馬 元治君        労働省職業訓練        局長       和田 勝美君    事務局側        常任委員会専門        員        中原 武夫君    説明員        警察庁保安局保        安課長      本庄  務君        文部省大学学術        局審議官     清水 成之君        厚生省医務局次        長        戸澤 政方君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○社会保障制度に関する調査  (昭和四十二年度厚生省関係予算に関する件)  (インターン制度に関する件)  (病菌豚肉問題に関する件) ○労働問題に関する調査  (労働行政基本方針に関する件)  (昭和四十二年度労働省関係予算に関する件)     —————————————
  2. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) ただいまより社会労働委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。去る十四日、委員亀井光君が議員を辞職され、その欠員の補欠として、十六日、栗原祐幸君が委員に選任されました。     —————————————
  3. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 田川厚生政務次官から発言を求められておりますので、この際、これを許可いたします。田川厚生政務次官
  4. 田川誠一

    政府委員田川誠一君) 私、先月厚生政務次官に任命されました。浅学非才でございますけれども、委員の皆さんの御指導を得て、厚生行政のために一生懸命努力をしたいと思っております。どうかよろしくお願いを申し上げます。  簡単でございますが、一言ごあいさつを申し上げます。 (拍手)     —————————————
  5. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 社会保障制度に関する調査を議題とし、昭和四十二年度厚生省関係予算に関する件について調査を行ないます。  政府説明を聴取いたします。高木会計課長
  6. 高木玄

    政府委員高木玄君) お手元にお配り申し上げております「昭和四十二年度厚生省所管予算案の概要」、この資料に基づいて御説明申し上げます。  昭和四十二年度の厚生省一般会計予算額は六千七百十三億七千三百万円でございまして、前年度当初予算額五千七百六十一億七千七百万円に比べまして九百五十一億九千六百万円の増額と相なっております。これを対前年度予算と比較いたしますと一六・五%の伸びになっております。国の総予算伸び率が一四・八%でございますので、総予算伸び率に比較いたしますと、それを一・七%上回って伸びておる、こういうことになるわけでございます。  なお、国の総予算四兆九千五百九億の中で厚生省予算の占めるウェートは一三・六%でございます。それから、下水道終末処理施設整備費五十一億八千万円は四十二年度から建設省所管に計上されることに相なりました。  以下、主要な項目につきまして、この資料に基づきまして御説明を申し上げます。  二ページ目にまいりまして、保健所対策でございますが、これは四億三千七百万円の増額になっておりますが、これは右の備考欄にございますように、精神衛生相談員管理費事業費を中心といたしました二百二十三人の人員の増加が主体となっております。  次に、ガン対策でございますが、これは前年度二十億三千五百万円の予算が二十五億八千万円と、五億四千五百万円伸びておりますが、ガン対策につきましては、ガン治療のための国立がんセンターをはじめといたします医療施設整備、それから、ガン早期発見のための集団検診の実施、それから、ガン研究の推進、それから、ガン治療及び予防に携わる技術職員研修養成、この四本がガン対策の柱になっておりますが、来年度予算におきましても、国立がんセンター地方がんセンターそれぞれガン治療のための医療施設整備を進めますとともに、ガン集団検診につきましては、従前、胃ガン検診を、検診車のみを予算に計上いたしておりましたが、新たに子宮ガン検診車も計上いたすことにいたしております。また、ガン研究につきましても、前年二億円の予算を二割伸ばしまして、二億四千万円にいたしております。そのほか、ガン予防関係技術職員研修のために、対ガン協会に委託してガン技術職員研修養成を行なっている経費新規に計上しておるわけでございます。  次に、精神衛生対策でございますが、これは前年度対比十三億八千二百万円の増額でございますが、この中身のおもなるものは、措置入院対象患者を六万六千人から六万九千人と、三千人伸ばした、これが内容のおもなるものでございます。  それから、次に、伝染病予防対策でございますが、これは備考欄にございますように、従来、実施いたしておりましたインフルエンザの特別対策のほかに、新たに日本脳炎につきましても特別検診を実施する経費を計上いたしております。  それから、次の原爆障害対策でございますが、総額二十八億一千万円で、前年度対比四億千八百万円の増額でございます。この内容のおもなるものは、医療手当につきまして増額をはかりましたことと、広島、長崎の原爆病院原爆疾病病理標本室を設けることにいたしました。こういう点が新規のおもなる点でございます。  次のページにまいりまして、公害防止対策でございますが、これは前年度二億二千百万円の予算を四億百万円と、一億八千万ふやしております。この内容のおもなものは、まず、環境衛生局公害部を新設いたしまして、公害行政の体制を強化いたすことが第一点。それから、国立公衆衛生院公害衛生部を新設いたしまして、公害関係技術職員養成訓練を行なうことにいたしました。これが第二点でございます。それから、公害調査研究委託費につきましては、前年二千万を一億円にと、大幅に増額いたしております。それから、新規公害監視等設備整備費として一億一千二百万円計上いたしておりますが、この内容は、主としてテレメーター組織によりますモニタリング設備東京湾大阪湾沿岸地帯に二カ所設けまして、公害の常時監視の態勢を築くという点がこの公害監視等設備整備費の主要なるものでございます。  それから、次に、四日市公害保健医療研究助成費という項目が備考欄にございますが、これは四日市ぜんそくの患者につきまして医療費のめんどうをみようという予算でございまして、金額はわずかでございますが、これは国が全体の必要額の八分の一を持ち、それから県が八分の一を持つ。それから、地元四日市市が八分の二を持ち、地元の企業が八分の四を持つ。つまり全体の半分を地元の企業が負担し、県が八分の一、地元の市が八分の二、国も八分の一、こういうことで、金額はわずかでございますが、こういった公害のためにそういったぜんそく等に悩んでおられる方々の医療につきましての負担について新しい方式を打ち出したという点で注目すべき点だと思うのであります。なお、公害防止事業団におきましても資金量をふやして、事業を一そう促進することにいたしております。  次に、水道事業対策費でございますが、これは新規水道水資源開発等施設整備補助金が七億円計上されております。この補助金中身二つに分かれております。一つは、水道水源開発事業費補助金でございます。これは水道水源を確保いたしますために、先行投資となるダムの開発について補助金を出そうとするものでございます。この水道水源開発事業費は、地方公共団体に交付いたしますものと、水資源開発公団に交付いたすものと、この二つに分かれておるわけでございます。それから、いま一つは、水道開発補助金でございまして、これは水道開発事業を行なう場合の水道のパイプにつきまして補助金を交付しようとするものであります。これはいずれも新規補助金でございます。  次に、環境衛生施設整備費、これは四十四億八百万円計上いたしてございますが、これは清掃施設整備簡易水道等施設整備につきまして、従来の五カ年計画最終年度事業量を計上いたしたわけでございまして、これが新しい年次計画の初年度になるものでございます。  次のページにまいりまして、環境衛生金融公庫補給金二億二千百万円、これは環境衛生金融公庫が新たに設置されることになりまして、これに関連いたしまして大蔵省に政府出資金十億円が計上に相なっております。この環境衛生金融公庫は、大体八月一日発足の予定でおりまして、職員は、役員を含めまして五十名、資金量は二百億を予定いたしております。  次に、救急医療対策でございますが、前年度の予算の約十倍に当たります二億九千二百万円を計上いたしております。中身のおもなものは、公立病院に脳外科を主体といたします救急医療センター整備するとともに、所要の地に救急医療機械のサプライト・センターを設けようという予算が二億六千六百万円、それから、救急医療関係技術者、医師の研修費が二千万円、この二つがこの主要なる内容でございます。  次に、医師実地修練費、これは前年より約一億増しの二億七百万円計上いたしてございます。これによりまして医師実地修練病院におきます指導体制の強化、指導内容の充実をはかろうとするものでございます。  次に、血液対策は、前年予算の六倍に当たります一億二千九百万円計上いたしておりますが、これは献血受け入れ機関整備充実を主眼といたしまして、血液センター六カ所、血液センター出張所七十四カ所設置いたしますとともに、移動採血車二十六台、血液運搬車五十八台を整備しようとするものでございます。  次に、国立公園等施設整備費七億九千二百万円でございますが、これには新規のものが二つ入っております。一つは、不動産購入費補助金七千五百万円でございます。これは国立公園の中で、特に自然の風致を厳正に保存しなければならない地区につきまして、それがたまたま民有地であります場合に、その土地所有者の申し出によりましてそれを買い上げる予算新規に計上されたわけでございます。それから、「明治の森」といたしまして、明治百年記念事業といたしまして、東京、大阪近郊に「明治の森」を整備しようという予算新規に計上されております。  次に、生活保護一千四百五十二億六千百万円でございまして、前年対比二百十三億七千八百万円の伸びでございます。これは前年と同様、同じく生活扶助基準を一三・五%引き上げます。これによります標準四人世帯の生活扶助の各級地別の家族の、そこの下の欄に書いてあるとおりでございます。なお、生活保護につきましては、教育扶助出産扶助生業扶助についてもそれぞれ改善を行なうことにいたしております。  次のページにまいりまして、身体障害者福祉対策二十三億二千八百万円でございますが、その内容は、従来身体障害者福祉法におきまして、いわゆる外部障害のみを対象としておりますが、今回新たに低肺機能、それから心機能障害といった内部障害身体障害者福祉法対象にするという点、それから、身体障害者相談員、それから、身体障害者家庭奉仕員、ホームヘルパー、これを新たに設ける、それから、施設通所制度を新たに創設する、こういった新規事項は認められておりまして、こういった内容を主眼といたしまして法律の全面改正が行なわれることになっております。  次に、老人福祉対策でございますが、これは既存の施設充実強化でございまして、老人の全国一斉健康診断を、従前は六十五歳以上の老人の半分ということになっておりましたが、これを六五%を対象とするということで対象者を伸ばしております。また、老人クラブ助成につきましても、クラブ数を五千ふやしておりますのと、それから、老人家庭奉仕員につきましても増員をはかっております。また、手当月額も一万五千円から一万六千五百円に引き上げております。それから、特別養護老人ホームの寮母につきまして、従来六人に一人でありましたのを、五人について一人というふうに増員をはかっております。そういった内容であります。  次のページへまいりまして、社会福祉施設整備でありますが、これは前年二十九億の予算を三十三億円と、四億円増額になっております。この増額になりましたものは、主として老人福祉施設、それから保育所、これらの整備に重点が置かれることに相なっております。  次に、社会福祉施設処遇改善でございますが、三十五億八千三百万円でございます。その内容のおもなるものは、旅費、庁費につきまして前年の二割増額をはかったという点、それから、四十一年度から新たに設けられました民間施設経営調整費、これを三%から二%乗せて五%にしたということ、職員増員につきましては、保育所三歳未満児担当保母子供七人について一人でありましたのを、六人に一人というふうに増員をはかりました。また、教護院の教母につきましても、七人に一人を六人に一人に、それから、特別養護老人ホームは先ほど申し上げましたとおりでございます。それから、保育所地域差是正につきまして、地域差の四分の一を解消する予算を計上しております。それから、乳児院夜勤職員をふやしております。それから、事業費関係いたしましては、生活保護基準の一三・五%引き上げに伴う飲食物費日常諸費を計上いたしましたほか、次のページへまいりまして、先ほど申しましたように、身障援護施設通所制度を新たに設ける。それから、児童の採暖費につきまして、従来、交付金特定地域のみに限られておりましたのを全国に伸ばした、こういった内容がそのおもなるものでございます。  次に、地方改善対策十億五千百万円で、これは同和地区改善施設整備費として前年予算の四割増し計上しております。それから、不良環境地区改善施設整備費、前年予算の三割増し計上いたしております。  それから、一つ飛ばしまして、保育所緊急整備、これは保育所につきまして今後五カ年間に約四千カ所の保育所緊急整備しようという計画を持っておりますが、四十二年度におきましては、とりあえず増改築を含めまして四百五十カ所を設けようというものでございます。  次のページへまいりまして、母子保健対策でございますが、五億六千九百万円。その内容は、特別養育医療といたしまして、重症黄疸児交換輸血の費用が新規として認められたという点、それから、母子栄養強化費乳幼児指導費母性保護普及実地指導費それぞれにつきましても、それぞれ単価アップを行なっておる次第でございます。  次に、重症心身障害児(者)対策でございますが、この内容のおもなるものは、まず、施設整備といたしまして、国立療養所に五百六十床、それから、整肢療護園に四十床、新たに重症心身障害児(者)のベッドを六百床増床するということ。それから、国立療養所筋ジストロフィ子供のために新たに施設を八十床整備するということでございます。それから、一番下に書いてございますが、心身障害児(者)の国立のコロニーにつきましては七億七千三百万円計上いたしておりまして、この内容は、土地の買収と土地の造成でございます。で、高崎山におきまするこの施設の第一年度のものといたしまして、土地の買収と基礎的な土地造成等を行なう経費を計上いたしておるわけでございます。  それから、次のページへまいりまして、国民健康保険助成でございますが、これは千七百四十億円でございます。前年対比二百八十九億八百万円の増額でございますが、これは従来から四カ年計画で進めてまいりました国民健康保険の家族の七割給付最終年度予算を組み入れておりますとともに、新規といたしまして国民健康保険組合臨時調整補助金一億円が計上されておりますが、これは財政力の脆弱な国民健康保険組合に対し、財政援助を行なう道を開いたわけでございます。  それから、市町村に対しまする事務費は、被保険者一人当たり二百五十円を二割引き上げまして三百円に増額いたしております。  それから、次に、健康保険組合補助でございますが、これの事務費につきまして、被保険者一人当たり久しく百四十円に据え置かれたままにまいっておりましたが、四十二年度におきましては、総合組合につきましては三十円ふやして百七十円というようにいたしたわけでございます。それから、健康保険組合給付費臨時補助金二億八千万円、これの内容は、主として石炭山健康保険組合に対する財政援助でございます。  次に、石炭年金基金助成でございますが、これは石炭年金制度ができました場合に、その掛け金の徴収なり給付等の事務を行ないまする石炭年金基金に対する国の財政援助でございます。  それから、外地死没者遺骨処理、前年の二百万円増、千四百万円を計上いたしておりますが、これは外地にいまなおございまする遺骨の収集処理につきまして、年次計画をもって実施しようというものでございます。  それから、戦傷病者戦没者遺族等援護百六十八億三百万円、前年対比二十八億四千万円の増額でございます。その中味は、従来分が百五十四億、ベースアップ分が十二億、それから戦傷病者遺家族援護法の固有の改正分が一億、こういう中味に相なっております。  それから、次に、戦傷病者等の妻に対する給付金でございますが、これにつきましては恩給法五項症以上というふうになっておりましたのを、七項症以上に対象を広げたのでございます。  それから、次に、戦没者等の父母に対する特別給付金、これは新規でございまして、過ぐる大戦におきまして、すべての子供、あるいは最後の子供をなくされました父母に対しまして、十万円の五年償還無利子の国債を特別給付金として差し上げようということでございます。これは新しい制度でございます。  それから、次に、社会保険国庫負担につきましては、医療保険財政対策といたしまして、政府管掌健康保険二百二十五億、船員保険六億を含めまして五百三十五億を一般会計から繰り入れるわけでございます。  次に、国民年金国庫負担でございますが、この中で、国民年金につきましては、福祉年金改善を行なうことに相なっておりまして、四十三年一月から福祉年金年金額引き上げを行なう。その中身は、障害福祉年金母子、準母子福祉年金につきましては月額三百円、それから、老齢福祉年金につきましては月額百円それぞれ年金額引き上げを行なうものでございます。それから、次のページにまいりまして、福祉年金支給制限の緩和を四十二年五月から実施いたしたい。その中身は、まず、本人所得制限の加算でございまして、本人所得制限の場合、扶養義務者所得制限の計算を行ないます場合に、義務教育修了前の子供がおりました場合に従来四万円加算されておりましたのを、これを六万円にしたということが第一点。第二点は、扶養義務者所得制限扶養親族五人の場合八十一万七千五百円が現行でありますが、これを九十三万二千五百円に増額した。これによりまして、むすこさんの所得がふえましたために前年までもらえておった老齢福祉年金をもらえなくなるというような事態を防ごうという趣旨でございます。それから、市町村事務取り扱い交付金につきましては、国民健康保険同様、被保険者一人当たり二百円を、二割上げまして二百四十円といたしております。  なお、次ページ以下は厚生省所管の五つの特別会計がございますが、これの歳入歳出予算でございます。  それから、例年提出いたしております詳細なる予算関係資料は、いま鋭意作成中でございますので、でき次第お手元に提出いたすようにいたしたいと思います。  以上きわめて簡単でございますが、説明を終わらせていただきたいと思います。
  7. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) では、これより本件に関し、質疑を行ないますが、この際、厚生行政に関する件もあわせて質疑を行なうことといたします。  御質疑のある方は、順次御発言を願います。  速記をとめて。
  8. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 速記を始めて。
  9. 大橋和孝

    大橋和孝君 私は、いま非常に問題になっておりますところのインターン制度の問題について、少しく厚生省並び文部省側に御質問させていただきたいと思うわけであります。  インターン制度の是非が非常に問題になりましたのはずいぶん前からでありますが、三十七年の五月に国立大学医学部長会議でこれが問題になり、教育改善をはかることによって廃止したいというようなあれが出されております。また、三十八年の九月にはインターン生に給与の支給だとか、あるいはインターン生の地位の明確化の要求を行なっております。また、その後も国立大学病院長会議学術会議から同趣旨インターン廃止の提案も行なわれておる。あるいは、また、厚生省におきましても、三十九年の三月にはおもな大学医学部部長十人からできておるところの大学実地修練及び医学教育等研究検討会打ち合わせ会というのが行なわれて、改善案についてかなり研究されております。また、同年十月には、現行インターン制廃止、あるいは、また、医学部卒業後の国家試験実施、合格後には医師免許証を与える。あるいは、また、独立的に医業を行なう者に対しては、その後一年間の義務として実地研修を行なわせるという案も立てられております。あるいは、また、このようないろいろな経過をもって大きな学生の間に運動を起こし、あるいは、また、いまにおきましては、この国家試験をも、あるいは、また、インターンをやることに対しましても非常に大きな反対の運動が行なわれておるにもかかわらず、いままで非常にこうしたことがそのままに置かれ、現況におきましては、ほとんど卒業生が国家試験を受けていない。  一面、この国内の情勢を見、医療情勢を見てみますならば、医者が非常になくて、いま保健所だとか、あるいは国立病院におきましても、あるいは、また、大学病院におきましても、たとえば例をあげれば、京都の府立医大なんかもありますが、あそこなんかでは、そうした形でもってベッドを減らしたりしておる。いろいろなことを考えてみますと、あるいは、また、いろいろな問題で、看護婦の問題だとか、あるいは、また、医者の足らないという問題は、国民に対して、非常に深刻な大きな影響を及ぼしておるわけであります。特に私は、いまの現況で、卒業生が大学を六年もかかって、しかも、国においては相当の費用を負担をして、そうしてこの医学教育を終わらしめ、しかも、これが政治的な措置の悪さのために、あるいは厚生省、文部省においての適切な措置が行なわれないためにこれらの人たちが試験をボイコットして、しかも、免状を持たないところの中ぶらりんな状態におるということは、私は、国の行政の面からいって、ほんとうにこれは非常に重大な問題だと私は思うわけであります。このような問題をいかようにしていま考えられておるのか。私は、これは非常にゆゆしい問題であるから、この際、いろいろ報告を受けて、いろいろ審議会にかけておるとか、あるいは、また、いろいろな手当てとして予算も多少組まれておるということはわかりますが、その適切な時期でないために一方ではそういうことが起こっておるということであっては、私は適切な措置が行なわれておるとは考えられないわけでありますが、そういう観点から私はきょうはひとつ質問をさせていただきたいと思うわけでありますが、特に私は、この今度のインターンを終了した人が試験を受けない、こういうことに対しては、私は非常に大きな問題だと思うわけであります。で、特にそれに対しましてもいろいろと新しく厚生省側から考えられて、そうして、もう大体いろいろな話し合いが進んでおるようでありますけれども、実際問題においては、いまどこに大きな焦点があるかといえば、それらの若いまじめな、しかも、勉強しようという学徒たちが考えるのは、やはりいまの受け入れ体制ができてないということであって、一面から考えれば、東大なんかにおきましては、患者の数なんかよりも、無給のそういうインターンを含めての数が非常に多い、あるいは、また、いまの条件では、おそらくいまの国立大学においても、私はそうした適切な設備が行なわれていない。特に問題なのは、そうした六年間勉強をし、そうして実際の修練を受けようという念願を持っていた人たちが、ほんとうの小使い程度、何というか、医者でなくて、小間使い程度な仕事をさせられておる。たとえて言えば、つまらない小便と大便の検査をさせられておる、あるいは、また、そうでなければ予診をとらされて、同じくまた学生時代の終末において予診をとっていたようなことをやらされておるというような形でもって、ほんとうにその一年間が有効に送れないというのが、やはりかれらの一番問題としておるところではなかろうかと思う。こういう点について、もう少しいまの段階で、大学側におきましては、こういう勉強の受け入れ体制についてどういうふうに考えておられるのか、ひとついまの段階においての御所信を伺いたいと思うわけです。
  10. 田川誠一

    政府委員田川誠一君) インターンの問題につきましては、ただいま大橋委員が御指摘のとおりに、数年前から問題になっておる大きな事柄でございまして、厚生省といたしましても医育機関の責任者であるとか、あるいは病院の責任者であるとかという方々の意見をできるだけよく聞いて結論を出さなければならない。事柄が重大だけに、慎重を期しておるわけでありまして、決してこれを無視しているわけではございません。今回の医学生の紛糾につきましても、できるだけ説得するように試みたのでございますけれども、ああいう状態になったわけであります。しかし、医師国家試験は、御承知のように、年二回ございますので、せんだっての試験を受けられなかった学生に対しては、今後できるだけ秋の国家試験を受けてもらうように努力、指導をしておるわけでございまして、そういう意味で、秋には何とかできるだけ皆さん方に受験をしていただいて、支障のないように努力をする方針でございます。
  11. 大橋和孝

    大橋和孝君 文部省側で、この教育の受け入れ態勢については、いまどういうふうに考えておられるか、あわせて……。
  12. 清水成之

    説明員(清水成之君) ただいま大橋先生から御批判をいただきまして、私どもも十分反省をしなければならぬと存じております。で、いま厚生政務次官からもお話がございましたが、大学という学校教育の立場、それから、また、インターンを受け入れるという、こういう立場から見ました場合に、これまた先般の、二月三日でございましたか、例の懇談会が中間報告をいたしました際に、文部大臣が所信を一応出しておりますが、そこにもございますように、私どもは、今後施設、設備の整備、それから、また、指導要員の確保、こういう点に一段と努力をしてまいらなければならない、こういうようにかたく考えておる次第でございます。
  13. 大橋和孝

    大橋和孝君 特に大学につきましては、教育の面から、私は、大学病院というものをもう少し根本的に学問の場にするというので改正をされる必要があるのじゃないか。いまの大学病院でやっておられるいままで長く続いたシステムの中には、やはり非常にまだ何と申しますか、こういう若い人たちがほんとうに医術を勉強するという面において非常にいろんな支障がきておるんではないか、こんなことに解しておるわけでありますが、先ほどちょっとお触れになりましたように、この教育研修に関する懇談会というものができて、その中間報告が出ておるわけであります。この中間報告に対しましても、私はあとから一点厚生省の考え方をまとめて聞きたいと思います。  その前に、一ぺん、大学側としてはどういうふうに考えておられるのか。いまのこのインターン制の問題、あるいは無給医局員の問題を踏んまえて、大学病院の側として、文部省の大学病院課長がおいでになっておるようでありますから、ぼくは特にそれを尋ねたいと思いますが、一体、大学病院の側としては、いまの現在のままでいいと考えているのか、これをどういうふうに改良していったら若い人たちのほんとうの研修の場となるとお考えになっているか、その点を明確にひとつお答えができるならばお答えしていただきたいと思います。
  14. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 大橋委員の御指名は大学病院課長のようでしたけれども、清水審議官でよろしいですか。
  15. 大橋和孝

    大橋和孝君 審議官でもけっこうです。
  16. 清水成之

    説明員(清水成之君) 再度のお尋ねでございますが、インターン並びに無給医局員の問題を、これまた厚生省から私のほうはいろいろ注文をいただいておるわけでありますが、一つは、医局のあり方という問題について、大学病院当局、また、私どものほうも十分反省を加え、改善をしていかなければならぬであろう、こういうふうに考えております。  で、具体的な問題といたしまして、先ほども触れたわけでございますが、一つは、指導体制整備という問題が現段階で非常に必要ではなかろうか、それから、また、一面、非常に端的に申しますと、はっきりせずに、何と申しますか、もやもやとした形でいろいろ受け入れがなされておる、そういう点についてもはっきりと責任を持った体制を、付属病院当局、あるいは大学医学部当局がとる必要があるんではないか、こういうように考えておるわけでございまして、実はきょうも医学部長さんの常置委員会の方々に集まって、いただきまして、部長の御意見も聞き、また御相談もいたしたい、かように思っておる次第でございます。
  17. 大橋和孝

    大橋和孝君 ことに私は、ここで付属病院の実態についてもう少し詳しく聞きたいと思うのでありますが、この医療行政の姿勢から見ると、いまの大学病院では横の連係が何にもない。ですから、どこの科なら科に行けば、そこだけがある程度独立しているために非常に過剰になる、あるいは、また、もっと端的に言えば、あちらこちらへ研究をしたいと思って行っている人がそのほかの病院に行かされて、そしてもっと端的に言うならば、いまの低医療費政策の中で、そして非常に安い賃金でもって、勉強したいにもかかわらず、その保険の診療のワクにはめられていっておるのだ。勉強したいほんとうの気持ちがあっても少しも勉強できないのが現況であると思うわけであります。こういうようなことの実態をもう少ししっかり踏んまえて、これは文部省のほうとしましても、将来非常に国民の医療が大切な状態であり、日進月歩進んでおる状態であるのに、そうした若いときに勉強意欲を十分に満たせないために、そうしたやり方ができないために、つい地方の病院へ派遣されたり、ひいては、また、それが勉強をあきらめて開業に向かっていく、こういうようなことで、私は、そこらの根本の問題を改正しない限り、医療はよくならないし、そして、また、非常に悪い方向にまだまだ向いていくのではなかろうかという観点から、私は、大学病院のあり方を文部省としてはどういうふうな計画でやるかということをある程度煮詰めた展望を示さなければ、私は、いまの若い医学生たちが、あるいは、また、インターンをボイコットしている人たちが納得できないのじゃなかろうかと思う。私はすぐにはできないということはよく承知しておりますが、いろいろいわれておるような、あるいはいまおっしゃっておるような大学の中でも教授のグループのいろいろな研究会があると思うのですが、そういうことも含めて、将来こういうふうにするという展望を示したならば、私は、若い学徒は将来に希望を持ち、あるいは、また、それによって何とか将来これをやっていこうという非常な勉強の意欲を燃やすのではなかろうかと思うのです。それがないために、どうしてもいまおっしゃっておるように、厚生省のほうでは早く国家試験を受けさせようと思っても、なかなかそういうふうにはならないわけです。そこらのところは、厚生省のほうにも、もちろんこれから私はいろいろお伺いをしたいと思いますけれども、文部省のほうではそういうふうなことで十分ひとつ検討してもらわなければならぬ。いますぐ答弁はできないかもしれないけれども、こういう重大な問題に対して、将来の展望はかくかくであるというくらいのことは早く打ち出して、そうしてそういう線に沿うてやっぱりいろいろな機関でそれをまとめてもらうようにしなければならないと思うわけであります。  もう一点、私は、大学の病院の医局の問題に対しては、非常に封建的なものがまだ続いておると、こう考えるわけで。そういうことで、これは私見でありますから、あるいは言い過ぎになるかもしれませんが、いまの制度自身にもっと抜本的な考え方をしない限り、私はよくならないのじゃないかと思うわけです。特に一言触れるならば、たとえば大学教授が一度教授になってしまうと定年まで永続するのだ、そうして大学教授のもとへ入れば、大学教授の言うことを聞かなければもうなかなかうまくいかないのだという形で、他の科に対しての横の連係というか、あるいは、また、他の病院に対しての横の連係というものがとりにくくなっておる。私は、いまの非常に高度の進んだ医学の中においては、やはり一人の教授——もちろんゆっくりとその教授について勉強するのも一つの方法ではあろうけれども、いろいろ専門に分科されておる人がおれば、いろいろ教育病院——この中間報告にも出ておるようでありますが、教育病院式のものをもっと明確化して、教育病院の相互の研究権威者は教授と同じような待遇を受けていける。特に私は、これが是か非かわからないが、私の一つの私見でありますが、たとえば教授あたりが任期五年ということになって、そうしてそこのところでいままでの研究の次第によってまた新しい場所に教授について行かれるというような形になり、教育病院の部長としてやっておった人は、また研究いかんによっては教授にもなっていけるというような交流がどんどんできていくならば、もっとほかのほうに対しても横の連携がとれるんじゃなかろうか、また、教育病院そのものにも権威ができていくんじゃなかろうか。こういうような形をいまから考えて、もっとそれぐらいのことは——これは例でありますけれども、それほどまでの根本的な飛躍をするような教育行政というもの、ことに大学病院のあり方、また、大学教授のあり方というものがもっとこれが進められたものになれば、これは医学教育というものが、また、実地の研修というものが大きに飛躍するんじゃなかろうかと、一つの例を申し上げたのであります。これはいろいろ差しさわりもありましょうから、私は例を申し上げたわけでありますが、それほどのような根本的な大学病院のあり方、医局のあり方というものを私はひとつ考えてもらいたい。私はきょう返答をもらおうとは思わないけれども、私は、きょうはそういうふうな問題の提起、それに対しての今後の文部省あるいは大学の病院を指導している側から、ひとつ徹底的にこういう問題に対して早急に結論を出していただいて示していただきたい。  特にもう一つ大学病院で考えてもらいたいことは、いま専門医の制度が考えられております。あるいは、また、学術会議でこれが問題にされておるようでありますけれども、こういう問題に対しましても、私は、この教育の立場から相当また考えて、そしてそういう学術会議等といろいろ連絡をとっていただくほうが、私はより好ましいものが出てくるんではなかろうかと思うわけであります。特に最近ちょいちょいいわれておるのを私個人の考えで聞いてみますならば、また屋上屋を架するような、何年間どこどこの修練を受けた者をこれを専門医にするということ、これも一つの方法ではあろうと思いますけれども、また、そのことは前のいわゆる医学博士の問題と同じようなものをあとに残すのじゃなかろうかというような懸念もあるので、私は、こういう点につきましても、もっともっと真剣に大学側としても各学界に対していろいろと諮問をして、そしてこの方向をひとつうまくやってもらいたい、こういうふうに考えます。特に私は、日本の大学病院以外に、国立病院のほうも、あるいは、また、大きな完備したその他の公立病院を考えますときに、やはり私は、こういう国公立病院大学病院とどういうふうな関係においてこれが持たれるかを討議してもらって、私は、もっと教育病院というものがそうした公立病院の中にも発展をして、そしてそれはどういうシステムによって変わっていくかどうか考えてもらわなければならない点だと思いますけれども、その医術を研究する場というものが非常に高度のものになって、それがいろいろな専門家によって指導されて初めてその人の医術が伸びていくというふうな形の、非常に幅広い勉強のできる場をつくる必要があると思うのです。そうしてそういうところにいる人が専門医としてはいいと思いますが、開業している人まで専門医になっていくという形になっては、非常に私はそこのところに変なものが起こってくるのじゃないかという感じがいたします。こういう点もひとつ文部省側では十分考慮していただきたい一つの私のお願いであります。こういうようなものに対するひとついろいろな見解をまとめて、近い将来に報告していただきたい、そういうことをお願いする次第であります。  それから、厚生省側におきましては、特にいま申し上げたような、公立病院あるいは国立病院、そういうふうなもので非常に内容充実したものをもっと研修の場に充てられるようにしなければならない。私は、いまのインターン制が、この間厚生省あたりの案では、卒業後に試験を受けさして、あと一年間なら一年間、二年間なら二年間の研修の場をつくるとするならば、私はその研修の場というものがやはり大学病院だけでできるものとは考えられない。そうすると、やはり公的病院をそれに充てるということになれば、公的病院の性格というものはもっと明確な勉強の場にしなければならぬと思うんです。つまり大学病院においてもそうでありますけれども、公立病院においてもやはり独立採算制がとられている、こういう中にあって、私は、やはり非常に研究の場よりは、収益をあげるということのほうに重きを置かれて、非常にその一環としての被用者としての働きになっていったんでは、私は若い人たちの目的が達せられないのではないかと思うわけです。こういうことに対して厚生省はどういうふうにする考えを持っておられるか。もうこれは早急にしなければならない問題であるので、ひとつその点をはっきりと聞いておきたい。
  18. 戸澤政方

    説明員(戸澤政方君) お話のとおり、今後の医科教育を終わった者の研修実地修練充実さしていくためには、教育病院の整備強化ということが非常に重要な問題でございます。その場合に、これを大学病院、付属病院だけに依存するという行き方は、その指導医あるいは物理的な収容力、そういった点からいっても限度があることでございますし、現在確かに大学附属病院にいささか片寄っていると思われます。今後国立あるいは公立病院のあり方としては、診療のほかに、そういう医学生のための教育的な使命というものが当然考えられなければならないと思います。大学病院と国公立病院との密接な提携によって、でき得ればお話のような人事の交流等も活発に行なって、国公立病院医学生の臨床修練の場として大いに活用していけないかというふうに考えております。今後の教育病院のインターン制度の改正の方向としても、そういう方向でもって考えていきたいと考えております。
  19. 大橋和孝

    大橋和孝君 いまのお答えであれですが、私いまお答えを聞いておって、もう一ぺんこういう質問をしてみたいと思うわけです。この中間報告がいまおっしゃったように出されていますね。そうして、また、厚生省もそういうふうに考えておると言うておられるんですが、しかし、いまのインターン制の紛糾はおさまらぬのじゃなかろうかと思うんですが、一体ここはどうしたらおさまると思われるか、あるいは、また、どういうふうなそれに対してお考えを持っておられるか、根本的の問題をひとつ聞かしていただきたい。
  20. 戸澤政方

    説明員(戸澤政方君) このインターン問題の反対運動の由来する原因並びにいきさっというものが、先ほどもお話のあったとおり、非常に複雑なものがございます。初めは経済闘争的だったものが、いろいろ思想的な背景、あるいは大学の医局のあり方、大学病院のあり方、そういったものにも通ずる反対運動になり、あるいは低医療政策に対する反対といったような、いろいろな原因がふくそうしてまいりましたために、この解決というものも非常にむずかしいものがあるわけでございます。しかし、思想的な立場からする反対運動というようなものをさし置いて考えましても、いままでのわが国で実施してまいりましたインターンというものが、十分卒業後の医学生の臨床研修に効果があったか、それだけの体制内容があったかどうかというと、遺憾ながら不十分な点が多かったことは認めなければならないと思います。予算面においても、あるいは施設の受け入れ態勢においても不十分な点があったかと思います。それで、しかしながら、卒業後の医学生の臨床研修ということは、これはもう医師の水準を高めるためにも、また、国民医療の立場からも絶対必要なものでございまして、これはますます強化していかなければならないものでございます。それで、これをどういう方法でやればよいかということがいろいろ考えられるわけでございますけれども、いままでのインターンというのは、医師の身分も与えられずに、不完全なかっこうでもって、また、不完全な受け入れ態勢のもとで行なわれておったというところに、思想的な立場等を抜きにしても、いろいろ問題があったろうと思います。それで、懇談会、あるいは大学側の管理者側の意向というものも、現行国家試験受験の要件として考えておるようなインターン制度は廃止しまして、もう卒業後国家試験に合格した者については医者の免許を与える、そして安定した立場において十分充実した場所で研修を受けるということを望んでおる、そういう方向が大勢を決しております。それで、二月に出ました懇談会の中間答申においても、そういう趣旨から現行インターン制度を廃止して、卒業後直ちに国家試験を受けて医師の免許を与えよう、しかる後に十分合理的な研修制度をやれというような趣旨も出ております。厚生省としましてはこの趣旨を尊重いたしまして、現行国家試験の要件とするようなインターン制度は廃止いたしたい、そして卒業と同時に医師の免許を与えるということに踏み切りたいというふうに考えているわけでございます。それで、そのあと、今度は十分な安定した身分において充実した臨床研修の受けられるように教育病院の体制整備ということに重点を置いて今後整備していきたい、考えていきたい。それで、そのための教育病院の人的物的な整備、そのための国家的な助成、そういったものを推し進めて、ほんとうにいい実地修練が受けられるような受け入れ態勢をつくっていきたいというようなことを現在考えておるところでございます。それに必要な法律改正等をこの国会にぜひ提案したいというふうに考えております。
  21. 大橋和孝

    大橋和孝君 だいぶ具体的な話を聞かしてもらったのですが、私は、まだいまそうした中間報告でそういうことに踏み切ったといういまの厚生省の考えであっても、まだいまの若い受験をボイコットしている人たちの希望といいますか、将来というものに夢を持たし得ないというのは何があるかということを実際はいま厚生省側に聞きたいと思っているわけでありますが、時間も非常にせかれておりますから、簡単に申し上げて、そして次までにはひとつ何とかしてもらいたいと思うので、私から申し上げたいと思います。やはりいまの医療制度の中で、非常にそうした勉強するような公立病院、あるいは、また、国立病院あたりが勉強の場に使われていいと思うところが、やはり独立採算制のワクにはめられて、健康保険の非常な粗悪なというか、非常に大ぜいの患者をみなければならぬという状態に追い込まれて、独立採算のために非常に忙しい。結局はそういう働き手になってしまうということが、かれらに対して大きな失望ではないかと思うのです。そういう観点から、これを直すならば、私は相当抜本的なものを考えなければならぬのじゃないかと思うのです。そういう観点から公的病院、設備が整った病院あたりは、もう教授と同じような待遇をして、そこでも勉強ができるというような研究室も与えるというぐらいにしていかなければ、若い人たちはワクにはめられて、ほんとうに研究の場にならない。ただ仕事に追いやられて、でっちみたいな形ではほんとうに医学の勉強にならないと思う。そういう観点から申しましても、私は、もっと根本的に考え、少なくとも教育病院の中にそういう組織をつくりかえてもらわなければならないと思います。あるいは、また、医療制度の問題にもこれは問題がはね返ってくるわけで、問題が多いわけです。同時に、勉強の場におけるところのアシスタントの問題もそこに加わってくるわけであります。そういうようなことで、いろいろ問題は非常に大きい問題ではありますけれども、少なくとも、いま私はここで望みたいことは、それをどうしよう、どういう方向でどうやろうという少なくとも展望があれば、若い学徒といえども、むちゃなことを要望してああしたストライキをやっているのではなかろうと思います。ですから、私は、少なくとも厚生行政なり、そうした非常な将来の展望のもとに国民の医療を完全にいまの科学の進歩にマッチしたものとしてどんどんと普及していける、そうして国民の要望にこたえられるものとしての教育行政というものが確立しなければならぬと思います。そういう観点から、私は、この次までにそうした問題を具体的にもっといろいろ厚生省に案を持ってもらって、ひとつこの点について詳しくこの問題について、医療制度問題、あるいは医療のそうした教育の問題、いろいろな問題について、ひとつゆっくりと今度は質問したいと思いますから、それまでの間に、文部省におきましても、あるいは、また、厚生省におきましても、これらの問題について根本的にひとつ早く考え方をまとめていただきたい。そうして、こういう展望であるから、若き学徒たちも安心して勉強しろというような、責任あるような立場になってもらわなければ、この学生たちも心から安まらないと思う。そこで、私は、この間、若い青年の連盟の人たちに話を聞きました。いま何か厚生省のほうの話を聞くと、いかにも思想的に反対の面もあるように聞こえますけれども、中には純粋に勉強をしたいという真心を持っている人もあるのです。こういう人たちが希望を失うということは、私は、将来の医療というものの前進に大きな役割りをするのではなかろうかと思います。少なくとも、こういう人たちが将来に希望を失って、将来大学病院に入らなければ勉強ができないからといって大学病院に入れば、いま言った便の検査なんかやらされてつまらない、飯も食えない、金もくれないということになれば、今度はやはりほかの病院へ出かけていく。しまいには開業しなければならぬというようなところに追い込まれていくというかっこうが医療というものに対してマイナスになっているのじゃないかと思います。こういう観点から、十分これに対して御配慮いただきたい。  もう一つ最後にお伺いしたいのは、この間、二億七百万円の予算が組まれております。これに対して、いつごろになったら政策となってはね返るようなものが示されるのか、一応私は聞いておきたいと思います。
  22. 戸澤政方

    説明員(戸澤政方君) 四十二年度の予算に組まれました二億七百万円の予算内容は、お話しのような線に沿って、厚生省におきましても、教育病院の充実という点に重点を置いて組んでおります。つまり教育病院たるべき施設指導員の謝金だとか、あるいは施設整備費、設備費、そういった人的物的の強化という点において組んでおります。この施行でございますが、これは新年度の各医育機関、あるいは指定病院のインターンの受け入れ態勢がきまりませんと配賦のしかたがないわけでございます。インターンを行なう者がどのくらいおるのか、各施設ごとにどのくらい出るのか、そういう点を把握しませんと施行できないわけであります。これを早急に各施設のほうから報告を徴しまして、そういうものがまとまりますれば年度早々にでも内示したいというふうに考えているわけでございます。
  23. 大橋和孝

    大橋和孝君 もう一つお伺いします。  また、一面、無給医局員の定員化ということを考えておられます。あれは二百名ですか何かであって、四百円とかなんとか聞いておるのでありますが、一体あの金はどんなにして出てきておるのか、私は非常に了解に苦しむわけであります。何か実地に医療に携わる時間が何時間であるからして何ぼだという積算基礎だと聞いておりますけれども、私は、こうした問題に対しても、おそらく将来勉強を志している学徒あたりにもそういったことが頭にきているのであろうと思うのでありますが、私どももそういったことが納得できないわけです。こうした問題に対しても根本的な考え方をしていただかないと——一応こうしたことに対して、簡単でよろしいから、説明を聞いておきたい。
  24. 清水成之

    説明員(清水成之君) ただいま先生から二百名というお話がございましたけれども、百名で四十二年度まずお願いしております。  それから、いまの四百円云々というお話でございますが、これは診療協力謝金という点のお話かと思います。新聞紙上に四百円というふうなあれが出たことからのお話と思いますが、私どもといたしまして、一応積算の試算の段階でそういうものを考えたことはございます。そして一応一億という数字を計算いたしましたが、なお、私どもといたしましては、医学部長ないしは病院長等の御意見をさらに聞き、かつ、また、研修生の実態調査の費用を五百六十万程度四十二年度でいただいております。これは約半年間で実態調査を終えるということでございまして、その調査を見、かつ、また、病院長、医学部長の意見を聞いて支給基準について再考いたしたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。そこで、いまちょっと四百円にあまりこだわっていただくと、結果がどうなるかわかりませんのであしからず。
  25. 大橋和孝

    大橋和孝君 定員百名とならば、八千何ぼおるわけですね、いま。それで一年間に百名ずつ定員化していったら、一体どれだけかかるかということをちょっと考えられるだけが非常にマイナスだと思うんですよ。そんなのばかばかしくて、ちょっと聞いただけでも、それはもう考えられないような数字を出して、そして一応それがどこの意見だ、あすこの意見だと言ってみても、いまの常識外のことなんだ。だから、そういうことじゃなくて、もっと実際に即したことをやってもらわなければ、いま六年間相当の金をかけて大学を出たその人たちがそれらを納得できるというようなものを出さなければいけないわけでありまして、私は、ここで先ほどもちょっとお話をしましたが、そういう観点からも、もう少し具体的なものを出していただいて、私がこの次に質問さしていただくときまでに用意しておいていただきたい。それから、厚生省においても、先ほどの話は、文部省におきましても、国家試験は春と秋やっているから、秋までにと、ぼくはそういうことを言っているのじゃなくて、国民の医療を受ける側からいえば、こういう人たちには半年などは非常にもったいないと思うわけであります。ですから、そういったものはもっともっと具体的に急いで臨時に国家試験をやっても受けられるという態勢に持っていっていただきたい。少なくとも五月か六月までには納得して試験が受けられるというようなところまで持っていくだけのひとつ積極的な指導方針なり、あるいは、また、具体的な方針なりを示して話し合っていただきたいということを私は要望しておきます。
  26. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) いまの大橋委員の御要望、御了承いただけますでしょうか。文部省と厚生省、よろしゅうございますか。
  27. 田川誠一

    政府委員田川誠一君) ただいまの一番あとにおっしゃいました、早急に追試験をやれというお話でございますけれども、この間の国家試験におきましては、受けたいという方は全部受験をすることができたのでございまして、あとは拒否をされたわけでございます。そういう意味で、私どもはできるだけ国家試験を受けていただきたいということを学生側に説得をいたしつつありますが、ただ、追試験というものをやりましても、納得をしていただけなければ受けていただけないわけでございます。  それから、もう一つ、先ほど来、学生の言い分、確かに私どもももっともな点があると思っておりますが、しかし、また、学生の意見の中には、ずいぶん行き過ぎた意見もございますし、すべて学生の意見をそのままのむわけにもまいらないのでございます。先ほど来、医務局次長が申し上げましたように、このインターンの問題は、単にインターンだけの問題ではございませんし、無給医局員の問題もあるし、ひいては医療制度全般の問題である、そういう根本的な問題を考慮しつつ、できるだけ早くインターン制度を解決していきたい、こういう気持ちでおります。でありますから、私どもといたしましては、最初に申し上げましたように、六月といっても、すぐ九月になるわけでございますから、この間を利用して、できるだけ残った方々に受験をしていただくように私どもの意向も十分説明をして、できるだけ大ぜいの方に受験をしていただくように努力をしていくことについて御了承をいただきたいと思います。
  28. 清水成之

    説明員(清水成之君) ただいま大橋先生から、至急に、あるいは次回に何とか示すようにというお話でございましたが、たとえば無給副手の問題に関連いたしまして、実は診療要員がどの程度要るのか、あるいは、また、それを含む診療指導要員がどういう都市でどの程度要るのか、こういうようなことも実は懇談会で御相談をいただいておる問題でございまして、また、医学教育、あるいは、また、大学卒業後の問題につきましても懇談会でやっておりますので、まあせっかくやっておられまして、できるだけ早く答申を出していただきますように厚生省に今後ともお願いをしておる段階でございますので、ちょっとしばらくお時間をかしていただきたい、かように思います。
  29. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) たいへんお昼が回りましておそくなりまして恐縮ですが、いろいろな都合で開会が少しおくれましたので、質問がもう一件ございますので、しばらくごしんぼうをお願い申し上げます。
  30. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は、いま国民に一番不安を与えている豚コレラといいますか——の問題について質問をしたいと思うのです。  私は、日本の今日の薬事法からいっても、食品衛生法からまいりましても、今度国民が騒いでいる、または不安のどん底におとしいれられている問題を厚生省や農林省がいままで何の処置もしてなかったというところに第一の問題があると思うわけでございます。国民の側からいったら、豚肉にいたしましても、その他の獣肉は、国の定めたと殺所を通じて食肉としてお店に販売される。で、衛生的にも完全に整備されたものを買って生活をしているというぐあいに思っておったと思うのであります。ところが、今度のかような血清豚肉、血清山羊肉事件というのは、私は、どう厚生省や農林省が国民に説明されるか。今日、二月十七日、訴えが出てから国内の世論になりましたけれども、そのものについて国民の不安感というものは解消しておりません。それから、事態の再発を防止する対策というのも、私は見ていて十分でないと思うわけであります。たとえば社会労働委員会の議論を見ておりましても、悪徳業者の捜査の結果を待って今後のことを検討したいというぐあいな返事しか受けられていないわけであります。ですから、たとえば業界を見れば、この豚肉の業界は、国民が不安がって買わないというので、それで生活をしている人の商売を脅かしておるわけです。もう一つの面から見れば、国民が動物性たん白質をとるためにその獣肉をいままで使っていたのを、不安でこれを使わないのは国民の保険上、健康上からいってもこれは問題がある事件だ、こう思うわけでございます。たとえば私は、一つの問題として、国民の不安をいかにして早急に解消するかということが一つあります。それから、もう一つは、再発を防止する、こういう事件が完全に国民から信頼されるような事態に復するための対策というものがあると思います。もう一つ突っ込んで言えば、健康上の問題で科学上、きょうの新聞で東大の農学部の微生物学教室ですか、この尾形教授の発表によりましても、長くなりますから結論だけ申し上げますけれども、たとえば六十度の熱で三十分以上熱しないとこの付着した雑菌は死なない、百度以上に熱した焼き豚はまずだいじょうぶだろうというようなことがあって、それで、いまのような状態では非常に不安だということがここに出ております。ですから、農林省としても厚生省としても、病理学的と申しましょうか、学問上、このようなものが自由に流されておって人体に関係ないと判断しておられるのかどうかということを、あわせて私が申し上げたことをひとつ農林省と厚生省にお答えをいただきたいと思います。
  31. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 先月の半ばごろから豚コレラワクチンをとったあとの豚が食肉市場に流れておる、最近に至りましては狂犬病ワクチンをとりましたあとのヤギがやはり食肉市場に流れておるということから、全国的に食肉に対する国民の不安感を巻き起こしました。なお、その事態が判明いたさないのはきわめて公衆衛生上遺憾な状態にありますことは私どもも非常な事態だと、かように感じておるのでありまして、この問題を一刻も早く明らかにし、源を断ち切り、今後絶対起こさない、かような措置をとる必要がある、かように感じておる次第でございます。ただいま藤田先生からお尋ねのございましたこの汚染肉の衛生問題につきましても、しばしば誤解を招くような扱いがなされておりまして、私どもも、いま少しその公衆衛生上の性質を明確にする必要を感じておった次第でございまして、ただいま御指摘のありましたように、豚コレラビールスそのものは、通例、WHOにおきましても、人体に病原性はない、かようなことになっておりましても、この豚は正規の屠場を通ったものではなく、したがいまして、屠畜検査員による公衆衛生上の検査が済んだものでもありませんし、また、解体の場所、あるいはその取り扱い等がきわめて不潔に流れるおそれのある物件でございまして、その意味合いから食品衛生上きわめて危険な食肉である、かように私どもは解しておる次第でございます。
  32. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 たとえば年間豚だけで一万五千頭もそういう形で処理がされている、こういうんです。私はこの議論に入る前に、ことしの二月十七日にどこかの方から訴えがあって、それから初めて保健所や警察がこれに手をかけたという、それまでの間はどうしていたのか。食品衛生法上からいっても、第五条に、斃死した獣肉は食品に供してはならないというりっぱな法律があるわけです。それから、薬事法からいっても、このような獣肉に関しては、本来からいえば厚生省の管轄であるけれども、農林大臣と読みかえる、要するに厚生大臣にかわってこれをやるということになっている。どちらに責任があったのか。法律で斃死した肉は食べちゃいかぬという法律をつくっておきながら、そうしてそのままずっと行なわれておる。問題が明らかになって、きょうの新聞を見ると、そのいわれている肉の中にコレラ菌がみな入っているということが報じられている。この始末をどうされるのか。いずれこれは厚生大臣と農林大臣が正式に処理しなければならぬところに私は追い込まれていると思うんです。だから、その議論に入るまでの前段、厚生省と農林省の見解を伺いたい、いままでほうっておいたということについて。
  33. 岡田覚夫

    政府委員(岡田覚夫君) 豚コレラのビールスを取りました材料豚が今回のような不祥な事件を起こしましたことは、農林省といたしましても、はなはだ残念なことであるというふうに考えておるわけでございます。  御承知のように、農林省のたてまえは、家畜防疫、家畜衛生というたてまえから、家畜伝染病予防法と薬事法に基づきましていろいろな処置をいたしておるわけでございますが、従来の法律のたてまえから申しますと、豚コレラの材料豚につきましては、原則といたしましては焼却または埋却というたてまえになっておるわけでございますが、非常に数が多いということと、それから、経済的に利用価値があるということで、これを化製場において化製する場合は認められておったわけでございます。ところが、化製場にまいります途中におきまして横流しというふうなことがあったように聞いておるわけでございますが、どのような形で行なわれたのかということにつきましては、もちろん捜査の結果を待たなければはっきりいたしませんけれども、外部的にあらわれました形におきましてはそういうふうな形になっておったんではないかというふうに考えておるわけでございます。そこで、法律のたてまえはただいま申し上げましたとおりでございますけれども、今回のような事件が起きましたことにかんがみまして、農林省といたしましては、原則的に材料豚を利用するということはやめるというふうな考え方にいたしまして、各ワクチンメーカーは全部焼却炉を備えつけるという指導をいたしたわけでございます。で、ワクチンメーカーにおきましても、今回のような事態にかんがみまして、全部のメーカーが焼却炉を設置しまして、原則として焼却炉で焼却をするというたてまえに立ったわけであります。もちろん焼却炉を設置いたしますのには一週間二週間という程度ではできないわけでございます。若干の期間がかかるわけでございますので、その期間の間におきましては埋却をしますか、やむを得ない場合においては化製場で処理する。しかし、その場合には、従来のような化製場に売るということでなくて、もちろん売るわけでございますけれども、直接化製場にワクチンメーカー自体が運ぶというふうなたてまえにいたしまして、輸送の途中において横流しがされることのないような措置をとったわけでございます。同時に、報告を厳重にやるようにいたしますとともに、監督だとか立ち入り検査をさらに厳重にやるというふうなたてまえにいたしまして、焼却炉が完成をいたしまして、全部が自家工場の中におきます焼却炉で焼却されるまでの期間はそういうふうな形をとりたいというふうに考えて、今後そういうふうな問題が絶滅するというふうなことにいたしたいと考えておる次第でございます。
  34. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 今回の事件の原因については、なお詳細な探求が必要なわけでございますけれども、いやしくも国民が汚染した食肉ということで脅威にさらされておるということは、国民保健上の責任を有する厚生省としては、まことに遺憾な事態であると、かように思っておる次第でございます。
  35. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は、農林省の方に申し上げたいのです。私のいまお尋ねしているのは、あなたのほうが薬事法を厚生大臣にかわって農林大臣と読みかえてやるという立場にありながら、人から訴えがあるまでの間、何十年といいましょうか、何年間といいましょうか、網の目のようにあなたのほうの行政機関は全国各地にあるわけです。それが人から訴えられるまで知らなかったということは、ちょっと言いにくいことだと私は思うのです。だから、知っておったけれども、どういう考え方でこれに手を加えなかったかということを聞きたいのです。知らなかったなんていうことは私は聞けないと思うのですよ。このワクチンをつくり始めてから何年になるか知りませんけれども、それを今日までどうしておられたか、そこが問題ですよ、まず第一に。その問題については、いま事件が起きたから今後の対策のことについてお述べになりました。私は、もっと厳重に警察にお願いして、捜査の手をきちっとやるとか、根を断つようにしてもらいたい、それは思います。しかし、ことしの二月十七日まで、それから調査や捜査が始まるまで何をしておいでになったか、そのための行政じゃないですか。ワクチンを製造しかけてから何年になるか、その間に農林省としては不安も何も考えなかったのか、そこらあたりを明らかにしてもらいたい。
  36. 岡田覚夫

    政府委員(岡田覚夫君) ただいまお尋ねの件でございますが、先ほど申し上げましたように、ワクチンメーカーといたしましては、化製場に引き渡して化製をされるということは、法律のたてまえとしては前提にいたしておりますから、当然善意と良識をもって処理されるものというふうに考えて引き渡しをしておったと思うわけでございます。われわれも家畜衛生の問題として、その点については十分監督をする必要があるわけでございますけれども、具体的に食肉という形で回っておるというところまでは必ずしも具体的につかんでおったわけでございません。そういう点につきまして十分存ぜなかったことはまことに不明のいたすところでございますが、事実はさような状況でございます。
  37. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私はもう一つ聞きたい。いま七つの会社のワクチンメーカーが、農林省直轄が二つある。いま問題が起きたから焼却炉をこしらえるとか、なんぼ入って、その豚をどう処理するというお話がありましたけれども、それじゃ一万五千からの、要するにビールスをとるために使った、血清をとるために使った豚、ヤギその他については、今日までワクチンメーカーはどう処理していたか、その監督はなさらなかったのですか。いまになって焼却炉をこしらえたり埋没したりするというお話がありますけれども、いままではどうなっているんだというのを監督するのが法律のたてまえではありませんか、そして、また、国民生活を守る行政の筋道ではないですか。その点についてはお考えになってなかったのですか。
  38. 岡田覚夫

    政府委員(岡田覚夫君) ただいまの点でございますけれども、七つのメーカーがあります中で、一メーカーは全部焼却をいたしておりました。あと六カ所のメーカーは、法律で認められました化製場に売り渡すということによって処置をしてまいっておったわけでございます。
  39. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 化製場に売り渡すということでいいのですか。法律のたてまえとして、斃死した、むしろ斃死さしたのですね、ビールスをとって斃死しますね、その肉を化製場へ売ったりそういうところに流していいんですか、そこのところがもう一つわからぬです。
  40. 岡田覚夫

    政府委員(岡田覚夫君) 先ほど申し上げましたように、この豚コレラの材料豚につきましては、焼却または埋却ということが原則でございますけれども、非常に数が多いということと、焼却もなかなかたいへんであるということで、一方で国民経済的に利用できるものは利用したほうがいいという考え方から、法律上化製場で化製することが認められておるわけでございます。したがいまして、その法律上認められた規定に従いまして化製場に売り渡しをいたしておったわけでございます。
  41. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 食品衛生法の五条で、斃死した獣肉は食品に供してはならぬということが明確になっているわけです。その法律を順守されるのは厚生省ですか。しかし、そういう扱いは薬事法で読みかえておやりになっている。その原母体の法律適用はそうしておいて、あなたのほうは、豚コレラというのは人体に障害はないんだという立場に立っておられたのかどうか。それでなければ、焼却炉はないわ、埋没する現地を見たことはないわというかっこうでおいでになったということがよくわからぬ。それならそれで、ここでぴしっとした、それは毒でないからこうやるんだとおっしゃるなら何だけれども、社会的に問題が起きたら、今度は焼却炉をこしらえて云々という話がすぐ国民に答えることばとして出てくるなら、その長い間どうしてきたか。あなたの今後の処置といままでのおやりになってきたというのは一体にならないじゃないですか。そこをちょっと。
  42. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 関連して。農林省のお答えを聞いておりますと、何か化製業者に責任があるようなふうにも受け取られますね。しかし、薬事法なんかによりましても、そうした斃死した豚を焼却または完全に消毒をして廃棄をするのですね。その廃棄されたものを、一応化製業者が受け取って皮をつくったりなんかする、油をとったりするということでしょう。そうしたら、あくまでも完全に消毒される、廃棄される前提として消毒をされたということでなければならぬはずです。したがって、それを十分やられておるかどうかと、そういう監督をする事務は、やはり責任といいますか、それは農林省にあるわけですね。それがいままでどう行なわれておったかということが藤田先生の質問ではないかと私は思うのです。その点がやはり不明確であると思います。
  43. 岡田覚夫

    政府委員(岡田覚夫君) 先ほど申し上げましたように、化製場で処理することは認められておるわけですが、薬事法の規定に基づきまして、動物用生物学的製剤の取扱いに関する省令というのがございます。この省令の規定によりまして、家畜伝染病をもっぱらとどめる、そういうようなものにつきましては、斃死しました死体につきましては、焼却するか消毒をしなければならないという規定がございます。そこで、原則といたしましては、そういうふうな死体につきましては焼却か消毒でございますが、家畜伝染病予防法の規定に従いまして外に出して処理する場合には焼却か埋却か化製場かということになるわけです。そこで、いずれにいたしましても、法律上のたてまえといたしましては、焼却か埋却か化製場で化製されるという三つのケースしかないわけでございます。そこで、化製をされるということが前提になります消毒といたしましては、これは全部の消毒を完全にどの程度やるかということが非常に問題になるわけでございますけれども、従来の考え方といたしましては、焼却、化製場に行って化製されるのであるから、その間に家畜の伝染病が伝播しない、伝染しないということを旨としまして消毒をするというたてまえになっておるわけであります。したがいまして、それは消毒したものを密閉した箱に入れて化製場まで届けるというのが従来の法律に基づきます考え方でありまして、そういうふうな処理をいたしておったわけでございます。
  44. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 たとえばその消毒というのは血液を抜いた——まあ問題は製造の過程がどうなっておるか、それから血液を抜いたあとの豚の消毒がどうなっておるか、それから、消毒というのは、人間が肉を食べられないようにするための消毒だろうと私たちは思うわけです。それから、消毒済みであるということの確認体制。それから、たとえば、ここをはっきり一つもおっしゃらないんだが、食用に供された場合に人間に無害であるのかどうかという問題が農林省の頭の中にあるからこういうことになったのではないかと、私はそう思うのです。そこらあたりのことをはっきりおっしゃらないから問題が明らかにならないんだと思うのです。だから、科学的に病理学としてそういう豚コレラの問題は人体に云々という問題、しかし、片一方では、斃死した肉は食用に供してはいかぬというこの法律のたてまえからいって、脱法的なそういう話がたとえば出てきた、そういうものを頭の中にお入れになってお考えになってきたんじゃないか。だから、私は、やっぱしそこが問題だと思うのです。それを一つ話してください。
  45. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 関連して。消毒する場合には、伝染しない範囲での消毒だと、こういうふうにいまお聞きしたのですけれども、私らが、未熟な知識ですけれども、いままでいろいろこう新聞等で見ましても、それはもう食肉に供される危険も多分にあるということも考えて、そして食肉に供されないような予防措置という面もこの消毒の中にはあるんではないかというふうに思っているのですけれども、それは間違いないですか。
  46. 岡田覚夫

    政府委員(岡田覚夫君) お話の点が厚生省所管の食品衛生法なり、その他の屠場なり斃獣処理に関する法律と、それから農林省の所管しております家畜伝染病予防法とのそこに違いがあるわけであります。農林省所管の家畜伝染病予防法の規定に基づきましてする処理は、家畜伝染病が他の家畜に伝染しないということをもっぱら旨といたしております。したがいまして、人にどういうふうな影響を与えるかどうかという問題は、これは厚生省の所管の問題として処理されておるわけでございます。私どもは、あくまでもその病気が家畜に伝染しまして——最近非常に家畜がふえておるわけです。伝染病もふえておるわけでございますが、そういうふうな事態になりますと経済的に非常な損失になりますので、そういうふうな伝染病に対する家畜衛生上のたてまえを旨として家畜伝染病予防法が構成されておるわけです。したがいまして、埋却するか焼却するか、あるいは化製場で化製されるかという三つのケースでございますから、法律が尊重されるというたてまえにおきましては、化製場では完全に化製されるということになると思います。そこで、消毒しましたものを送ります場合には、その消毒は、送る過程において外部に伝播して家畜に伝染しないということを旨として考えておるわけであります。したがいまして、化製場が完全に化製されないで、もし横流しされるという事態になれば、これは若干問題が違ってくると思うのでございますけれども、いまの法律のたてまえからしますと、それが完全に処理されるということを前提にいたしまして、消毒につきましては、伝染病が外部に伝染しないということを旨として消毒をして送るという形になっておるわけでございます。
  47. 藤原道子

    ○藤原道子君 あなた方の農林省の立場はそうでございましょう。それならば、送り出すときに消毒していたかどうか。はたして消毒が完全であるかどうかということは調査なさいましたか。あるいは化製場で焼却するといたしますならば、焼却炉というものがあるはずなんです。その最終的な処理がどう行なわれておるかというようなことについての御調査、監督等はどのようになされていたか。  それから、もう一つは、少々の量ならこれはあなたの言うことも納得してもいい。しかし、これたけばく大な量でございます。それがきょうまでそのまま放置されたということが私たちには納得がいかない。若干何やら新聞等を見ましても、その間に不正なことがあるやのことまでにおっておるのですよ。事は人命に関するし、法律にそむいてやっているということに対して、何だか聞いておると弁護するように聞こえる。はっきり答弁してください。
  48. 岡田覚夫

    政府委員(岡田覚夫君) 私がいま御説明いたしましたのは、まあたてまえを実は……。
  49. 藤原道子

    ○藤原道子君 たてまえじゃなくて、実際を言ってください。
  50. 岡田覚夫

    政府委員(岡田覚夫君) そこでワクチンメーカーは消毒をいたす、どういうものを消毒をするということにつきましてははっきりいたしておるわけでございます。で、ワクチンメーカーは数が少ないわけでございますから、県のほうでも、直接監督者は県でございますけれども、県も指導をいたしておるわけでございますけれども、しかし、それが完全な消毒をされないで——まあわれわれが考えておりますような消毒をされておったのかないのかという点につきましては、まあいま警察でお調べになっておるわけですから、その結果を待たないとわかりませんけれども、従来指導はしばしばいたしておりまして、したがいまして、消毒はやっておったと私たちは思っておるわけでございます。その結果、消毒されましたものが斃獣処理場、化製場に送られまして、完全に化製されたかどうかという点につきましては、これはもちろん化製場につきましてはこれは厚生省の所管でございますし、私のほうといたしましては、一応そこに送り届けるということで化製されるというふうに考えておるわけでございます。これは所管の問題がどうこう言うわけではございませんけれども、いずれにしましても、こういうふうなことが起きないようにこれは指導監督はやらなければいかぬ問題だと思いますけれども、事実関係から申し上げますと以上のとおりでございます。
  51. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 あのね、今度の起こっておる問題ですね、化製場が横流しをしたのでしょう、そうですね。そう思っておられるのでしょう。そうしますと、化製場の監督、それは農林省がやるのでしょう。化製場に送ったら、もう厚生省にいくわけじゃないでしょう、その点はどうなっておるのですか。その点が一番重大ですよ。化製場が横流しをしたという事実の上に立って今度の国民に大きな迷惑をかけておるという事実があるわけです。しかも、いま藤原さんがおっしゃったように、相当の数ですわね。しかも、化製場の監督は農林省がやっておるということになりますれば、化製場の処理というものが非常に問題のポイントになるわけです。その監督が非常に不行き届きじゃないかというところをもっと明らかにしないと、私は、この問題のいままでの説明では、ただ単に問題が起きてきたから今後の問題としてどういう処理をしなければならぬというふうな説明であったのでは、私はポイントがわからぬと思うのです。その横流しの点は、どういうところからそういうミスが出るのか。
  52. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 関連。農林省の答弁を聞いていますと、私は、ここで、いわゆる農林省、厚生省の問題に対する監督行政の二元化というか、そういうものが根本の大きな一つの問題点だと思っておるのですけれども、その中で、いま家畜に伝染をしない範囲で消毒をするのだということそのことは、私は考えれば、なるほど農林省から出した省令等にはそういうことも書いてありますけれども、それはあくまでも家畜の立場に立った措置であって、いわゆる人間のそうした保健上の問題、いわゆる食肉に供されるのじゃないだろうかという心配そのものに対して全然考慮が払われておらないということが明らかですね。したがって、厚生省が今度は食品衛生の立場でそういう食肉があるかどうかということを、これは少ない検査員でやっているとは言いますけれども、そういうものがカットされた肉などを見て、はたしてそれは屠畜場でやられた肉なのか、あるいはいま言ったワクチンメーカーから持ってきた肉なのかということはわからないと思うのです。そうすれば、当然その根本であるもとの段階で十分私は監督し、検査しておかなければならないという点で、農林省の責任というものは非常に重いのじゃないかと思うのです。そういう点も含めてひとつ御答弁を願いたい。
  53. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 局長さんに申し上げますが、委員長から議事の整理の都合で一つ申し上げたいのですけれども、やはり集中して根本を聞きたいと思って、真相を聞きたいと思って一生懸命聞いているわけですが、大事なところにひっかかると話がぼけてしまうのですよ。あなた知っていらっしゃるなら、やっぱり正々堂々と、知らなかったら知らないと、ここまではわかってるならわかってる、わからなかったらわからないと、この点は怠ったなら怠ったでいいですよ。警察の方も隣にいるのですから、そちらにも伺います。あなたの知る範囲ではっきりしてもらいませんと、やっぱりここできちっとしておきませんと国民は不安でしょうがないわけです。そういうわけで、議事の整理にも御協力いただいて、はっきりしていただきたいと思うのです。
  54. 岡田覚夫

    政府委員(岡田覚夫君) 先ほど申し上げましたように、消毒をしまして化製場に届けるわけです。そのときに、要するに法律のたてまえは、家畜防疫員の指示によりまして化製場に届けて化製をしろという指示をするわけでございます。化製をするまで見届けるということが、これは監督の責任としては私はあるものだと思っております。そういう点では化製場でどういうふうにされたか、化製場に届けたというだけにとどまっておって、化製されたかどうかという点については十分な見届けをしてなかったということにつきましては、これは指導に不十分の点があったというふうに考えております。
  55. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そうしますと、あなたがさっきおっしゃったように、埋没と焼却だと、こうおっしゃった。焼却するところはもうそのメーカーになく、それから、埋没するところもいままでなかった。そうしたら、ほとんどが化製場に回っておったということになるのじゃないですか。どうですか、そこは。
  56. 岡田覚夫

    政府委員(岡田覚夫君) 先ほど申し上げましたように、一社だけが焼却して、あとは全部化製場に回っておったわけです。
  57. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 だから私は前段の話を聞いているわけで、一社だけが焼却場に回して、どれだけ焼却したか知りませんけれども、あとの六社というものは何にもなかったわけで、全部化製場に回っておった。あなたは、法律上のたてまえはこういうことになっておりますということは、事実問題として大きな違い、それが第一に問題がある。  それから、たとえば今後の問題としていろいろこれからあるわけですが、その前に、私は警察の方に聞いておきたい。警察は、あの事件が二月十七日から起きていろいろ捜査されたわけであります。警察から見て事実はどうなっておるのかということをひとつお聞かせいただきたい。
  58. 本庄務

    説明員(本庄務君) 捜査の経過につきまして、概要を申し上げたいと思います。  今年の二月、一市民からの密殺肉が販売をされているという投書がございまして、その投書に基づきまして捜査を開始いたしました。で、内偵いたしました結果、動物用ワクチンの製造に使用されました豚がワクチンメーカーから化製場へ、化製場からいわゆる食肉ブローカーへ、いわゆる食肉ブローカーから食肉販売店へと流されて市販をされているという容疑が濃厚となりました。自後、捜査を継続しました結果、現在、本日時点におきまして判明いたしている状況、一つは、東京都警視庁管内でございますが、これが大きく分けまして二つのグループに分かれます。一つは、いわゆる佐藤グループと称せられるものでございまして、これは四十一年の八月以降、総数にいたしまして千四百三十頭、それを肉にいたしますと約三十九トンでございます。それが下のほうに流れて、どうも市販に供せられているようでございます。大体三つの系統で流れているようでございます。そのうち、二つの系統につきましては、ほぼ捜査を終了いたしております。残りの一系統の中の一部分につきましては、目下捜査を継続中でございます。警視庁管内の第二のグループ、これがいわゆる加瀬グループと称せられているものでございます。これは四十一年の二月以降、これは総数で約五千四百頭といっておるわけでございます。これが下のほうに流れているようでございます。おおむね二つの系統に分かれて流されているようでございます。この加瀬グループにつきましては、まだ目下中心的な人物について捜査を継続中でございますので、ただいまのところ、以下詳細についてははっきりいたしておりません。以上、東京警視庁管内でございます。この二つのグループの容疑がわかりましたので、他の府県にも同様の事件がないかどうかと思いまして、ワクチンメーカーの所在する関係の府県に警察庁から連絡をいたしまして内偵をいたしましたところ、京都と熊本に類似の事件があることが判明いたしました。京都につきましては、四十一年の五月以降、二千三百頭余りのものが化製場から流れている。それから熊本でございますが、熊本につきましては、これは少し古く、四十年の五月ごろから、これは豚ではございませんで、先ほどお話のありました狂犬病ワクチンを製造するためのヤギ、これが約二千頭、これは鶏肉にまぜまして、大体鶏肉を七〇%、ヤギを三〇%、そのくらいの割合で混入をいたしまして市販をしておった、こういうことがわかりました。現在までの捜査結果、概要、以上のとおりでございます。
  59. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そういたしますと、厚生省のほうにいくわけですが、枝肉か、または切った肉として外へ出てきたらよくわからぬ、ようやく調査が行なわれて、そうしてコレラ菌が入っているということがきょうの新聞で出ているわけです。そこらあたりとか、きょうの新聞に載っている東大の微生物学教室ですか、そこで出ているように、大腸菌の関係が二年間かかって云々という記事が出ているわけです。だから、今度は人間のからだに対する衛生上のまた問題として厚生省が遺憾であったとおっしゃいましたけれども、こういう点について専門的に検討されてきたのかどうか、そこらあたり。それから、また、鶏肉の問題も出ているわけです。ニューカッスル病、これも相当な数が出てくるわけでありますが、そこらあたり、農林省の管轄と厚生省の段階にきて双方の監督行政の関係をちょっとおっしゃってください。
  60. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 今度の問題の一応私どもが把握しております問題の全貌といいますか、行政的に筋を通して考えてみたわけでございますが、ワクチンメーカーで人間用のワクチンをつくる場合には、薬事法に基づいて、厚生省の省令によって取り締まりをいたしております。それから、動物用のワクチン、血清類をつくる場合には、もとの法律は薬事法でございますが、農林省の省令によりまして農林省が監督に当たっておられるというわけでございまして、その場合にはワクチン、血清等をとりましたあとの廃獣の処理は、両省ともに、原則は焼却、あるいは場合によれば消毒ということでございますが、動物用のワクチンの場合には、そのほかに家畜防疫員の指示によって処理できるような条項がございます。で、今回の事例がその家畜防疫員の指示によって処理されたものか、あるいは消毒の部類に属しておったのか、これはまあなお必ずしも今日の段階で明確ではございません。今回の豚コレラ菌の消毒というのは、学理的にはかなりむずかしいものと私どもは考えております。と申しますのは、血液の中で豚コレラビールスが最大限度繁殖した場合に血を取った動物でございますので、身体のかなり深部に至るまで豚コレラビールスがある可能性ありということでございますので、これを完全消毒するということは容易なことではなかろう、かように思うわけでございます。このような処置によりまして扱われたものが、したがって、完全消毒を了したものであれば家畜伝染病予防法上の対象にはならない対象物でございます。これは農林省の御見解でございますからわかりませんが、少なくとも家畜を汚染する疑いなしという御判定が下るようなものであれば、当然に家畜伝染病予防法の対象にはならぬものと思いますが、必ずしも十分な消毒が行なわれないというような対象であれば、当然に家畜伝染病予防法の対象物件でございますので、その処理が家畜防疫員の指示によりまして、化製場で、先ほど来農林省が詳細に御説明になりましたように、最後の化製に至るまで十分な監督のもとに化製が行なわれるという種類でございまして、家畜伝染病予防法の第五十一条にも化製場に対する家畜防疫員の立ち入り権があるわけでございます、その意味合いにおきまして。   〔委員長退席、理事土屋義彦君着席〕 ただ、今回は遺憾なことに、私どもの聞いております範囲では、それが化製場にいっていない、化製場にいくまでの問に他のところへ持っていかれる。行政当局の目の届かない場所で解体されたという事態があるわけであります。そこで、他の場所へ持っていった者は何者か、それはワクチンメーカーの者でもなければ、化製場、あるいは斃獣処理場の職員でもない者であります。そのような者が他の場所へ持っていって解体いたした、こういう事例であります。それに対して法的規制は何かというような問題があるわけであります。それから、その者が、あるいはその者の意思か、あるいはだれかに使嗾されてか、食肉として販売をいたしたわけであります。その時点においては、食品衛生法上は食品の販売を行なったものであります。ただし、これが食品衛生法上の許可を必要とする販売者であるかどうかという問題がなお残されておるわけであります。その上で、今回のものは非常に入念に発覚を防止するために隠れた場所で解体し、しかも、解体して商品とした形はかなりこまかい形で、検印を必ずしも必要としないような小型の肉片の形にして、中には、しかも、それをまぎらわしい、正規のルートの肉を入れるような容器に入れて販売しておったという事態があるわけであります。ここにこの問題のもう一つのかぎがあるわけでございまして、従来、正常のルートを通った肉に対しましては正規の検印があるわけであります。肉の取引は、通常は枝肉の形で、必ず検印が最後まで残る場所につけるのであるということでありますが、近年は畜産事業団等の扱っておる食肉も同じことでございますが、ボール箱の中へ肉の固まりの形で詰めて、それが販売されるということで、必ずしも末端で検印によって正規のルートであるかどうかを確かめにくい形の販売ルートがあるわけであります。そのようなことで今回のものが末端に販売される、しかも、大部分のこれを購入した者は、おそらくは正規のルートの食肉でないと判断して買ったものと私どもは判断いたしております。これは詳細なことは警察関係でなければわかりませんが、したがいまして、購入した者はそれと判断できないように、おそらくかなり早期にこれをこま切れにするとか、発見に非常に困難な形に早急に加工して販売をするという努力はする余地があったものと思います。しかしながら、もちろん購入したものがそのままの形でなお多数押収されておりますので、すべてがそういう形をとられたとは思いませんけれども、そういう販売形式がとられた可能性はある、かように考えております。そのような末端でそれでは監視員がわからなかったかという問題があるわけでございますが、非常にむずかしい問題であることは確かであります。しかし、そのようなブロックのような肉が非常に大量店先にあれば、それの出所を突きとめるような努力をすればあるいは判明したかもしれませんが、この点は今日においては必ずしも明確ではございません。  今回の経緯を行政的に見れば以上のようなことでございます。
  61. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 警察にお尋ねしますが、化製場からブローカーに流れたという話でしたね。ところが、いまの環境衛生局長は、化製場へいくまでにその肉は流れている、こま切れにしてボール箱に入れて売っている。こうなってくると、いまの警察のお話の、いままで調べられた関係もあるでしょうけれども、また違った形のものがいま言われておるので、この点についてどうですか。
  62. 本庄務

    説明員(本庄務君) 先ほど申し上げました幾つかのグループにつきましては、いずれもワクチンメーカーから化製場に入ったものが、さらに下のほうに流れておるということでございまして、それ以外と申しますか、化製場でない、よそから流れたもの云々ということにつきましては、目下のところ、警察としては判明いたしておりません。
  63. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 関連。警察にもう一つ聞きたいのですが、いまの厚生省のお話から私ちょっと感ずることがあるのですがね。やみ屠殺をやって、そうして一つの容器に入れてこれを販売しておるという場合ですね。ところが、いまのお話ですと、やはり化製場から流したという事実ですね。そうしますと、最近の新聞で、加工メーカーがそういうものを使って、場合によれば犬の肉も入っているのではないか、ネコの肉も入っているのではないかということが一ぺん新聞に出たと思う。こういう点が非常に疑義がわいてくるのですね、いま厚生省のお話から聞くと。そういうことはないですかどうですか、厚生省にお聞きしたいのですが、そういう加工場以外のところに屠殺したものを販売したということになりますと、   〔理事土屋義彦君退席、委員長着席〕 かなりの加工メーカーにその製品がいっているのかどうか、その点はどうですか。
  64. 本庄務

    説明員(本庄務君) いまの御質問と先ほどの御質問につきまして、若干表現が誤解を招く点があったかと思いますから、あらためて申し上げますと、ワクチンメーカーから出ました豚等が化製場を経由して流れたと申しましたのは、化製業者を経由してということでございます、正確に申しますと。ですから、必ずしもその肉が施設としての化製場に入ったものが全部であるというわけではございません。そういう意味におきまして説明を補足させていただきます。
  65. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 加工メーカーの点を答弁してください。
  66. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 加工業者が今回の不正な食肉ルートの問題に大きな役割りを演じておるようでございますが、したがいまして、私どもも、食肉の中に他の勅物の、通常食用に供しないような動物がまぎれ込みはしないかということも懸念するわけでございまして、少なくとも現在までの私どもの把握ではそのような事実は判明いたしておりませんけれども、正規の屠場を通らない、しかも、けだものの肉というものは非常に不潔でございますので、その点はこういう問題を契機として十分警戒する必要がある、かように考えております。
  67. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 前にちょっと戻りますけれども、ちょっとお聞きしておきたいのですが、農林省のほうですが、化製工場、そこの監督権と申しますか、それは農林省にあるわけですね。いわゆる家畜というか、斃死したものを焼却、あるいは埋却、あるいは廃棄する、最後のそこまでの段階まで一応見届ける責任はあるわけですね。その処理をする場合に、家畜防疫員ですか、それが指示をしてやるのだ、こういうことですが、その指示というものは一体どういう内容の指示か、具体的に指示するのか、あるいは一般的な指示なのか、その辺をちょっとお聞きしたい。
  68. 岡田覚夫

    政府委員(岡田覚夫君) 法律の条文そのものでは、個々にやるか包括的にやるかということは明らかでございません。で、絶えず出てまいるものでございますから、個別的に指示をするということはかなり行政的にはむずかしい問題である。したがいまして、同様なルートでやるというたてまえになっておりますから、したがいまして、包括的な指示をいたしまして、それで消毒の方法だとか、それから化製場にこういうものでこういう方法で持っていけというふうな指示をいたしておるわけでございます。
  69. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 先ほど警察庁のお話によりますと、熊本でヤギがやはり密売されたと、こういうことですが、熊本ではやはり焼却施設はあるのじゃないですか。
  70. 岡田覚夫

    政府委員(岡田覚夫君) 焼却施設はございまして、豚のコレラの材料豚については焼却をいたしております。それ以上の家畜を使っておるわけでございますが、すべてについて焼却をいたしてはおりません。
  71. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 そういう施設があって、豚については焼却その他はしておらないと、そういう具体的な指示というのは、いわわる家畜防疫員ですか、これがやるわけですか。
  72. 岡田覚夫

    政府委員(岡田覚夫君) 焼却につきましては、薬事法に規定がありますように、薬事法に基づきます省令で焼却または消毒するということになっておりまして、焼却につきましては問題はないわけです。消毒につきましてはどういうことで消毒するということになっておるわけです。したがいまして羊につきましては、これは豚コレラのワクチンをとります材料豚とはやや法律の扱いが違っておるわけでございます。これは家畜伝染病予防法に基づきます、または薬事法に基づきます、伝染病を広げるおそれがある動物という形に考えられておらないわけでございます。したがいまして、豚コレラの材料豚の場合と羊の場合とは、法律上の取り扱いは違っておるわけでございます。そういう点から、一つは取り扱いが違っておりますことと、で、焼却をいたします場合に、非常に悪臭が出たり煙が激しかったりするというような、一方において公害の問題もございますから、したがいまして、その動物によりましてその程度がかなり違ってくるわけです。そういう点もございまして扱いの違っているという点もございます。
  73. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は、少し問題をあげますと、いま警察から聞いたのでも、四十年あたりからあったのが、他の通告によって問題が表に出たということです。先ほどどうも触れられないのですが、ワクチンをいつからつくり出してどうなっておったかということは表に出た分だけで、いままで長い間行なわれてきたことについて、私は、農林省としてはこのような事態、七カ所のうち、一カ所だけ焼却炉があって、六カ所は何にもなくて化製場に全部いっていたというような問題について、やっぱり行政上の責任だと私は思う。それから、今後おやりになるということで、ここもどうも三月九日に厚生省と農林省は血清豚で次官通牒をお出しになっておられるわけですけれども、これでも設備の整った化製場に確実に送ると、そうして、そう送るのはワクチン業者がやるべきだと書いておるわけです。  そこで、問題になることは、一つは焼却場を確実にいつまでにつくって、どう処理するかということが明確でない。それから、消毒の問題がありますけれども、消毒というものは徹底的に消毒したら食品には供することはできないのですよ。だから食品に供さないということをここでなぜ明確にお書きにならないのかどうか。そこが問題のところだと思うのです。消毒をして設備の整った化製場に送ると書いておって、その次には監視員の問題があります。監視員はいま人が足らぬと聞いております。十分な監視ができない。そういう問題もこの通牒に関してみても出てくるわけであります。ですから、私は、第一の行政責任と、それから今度通牒をお出しになって、これがいつまでにそれじゃ焼却場その他が設置されるという期間がない、通牒を出したけれども下が抜けておったということになるわけでありますから、そこらの点を明らかに、あなたが先ほど焼却場全部こしらえて処理するんだということ、それから、焼けないものは埋没さすんだと、その見分けをどうするかという議論がこれはあるわけですが、それから、設備の整った化製場へ送るんだということですけれども、この調子で締めくくりをせないと、いつまでたったって、通牒は出たけれども、同じことになりゃせぬかと私は思う。だから、食品衛生法の五条に基づいて、斃死した肉は食べない、食品に供しないということが一項この中に入って、そうしてこういう処置がいつまでに行なわれるということを明確にせないと国民の不安というものは除けないと私は思う。その点は、これは厚生省と農林省と共同でお出しになったんですから、双方からいま私が申し上げたようなことが確認されるのかどうか、これを明らかにしてもらいたいと思うんです。
  74. 岡田覚夫

    政府委員(岡田覚夫君) 焼却炉の設置の問題でございますが、この点につきましては、それぞれメーカーに設置の計画書を出させることにいたしておりまして、すでに計画の予定は出ております。すでに千葉の血清研究所でございますか、三月十五日に完了いたしまして、これは焼却を始めております。それから、その他のところにおきましても、具体的に四月、五月、最終が六月でございますが、六月までに設置するという計画が出されております。ただ一社のみは現在製造を中止いたしまして、具体的に今後の対策をどうするかを検討いたしておる次第でございます。
  75. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) ワクチンを製造する場所は七カ所でございますので、比較的そこへ集中をして特に監督を厳重にすれば、当面は汚染肉が流れることを防止できる可能性があると、かように考えております。将来は、ただいま農林省からお話がございましたように、焼却するなり完全消毒するなりという徹底的な基本方策はお立ていただくわけでございますが、これは施設を必要とするものでございますし、当面絶対流れないという措置を必要とするわけでございまして、その意味合いから、ワクチンメーカーから化製場へいき、化製場で完全に食品以外の化製が行なわれる、処理が行なわれるということの確認を両省それぞれの監視員が連絡を密にして、絶対に不正のルートに乗らないようにいたしたい。そのためには、化製場にワクチンメーカーから発送した発送先を明記し、そのとおりに発送が行なわれたかどうか、化製場についてそれを確認するというような措置をとってまいりたいということで、先般両省その方針の通達を出した次第でございます。
  76. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そのワクチンメーカーと化製場と、それから販売の関係はこれから警察も調べられるでしょうから、この点はここできちっと期限をきめて処理するということをお約束いただければ、私は、この点は将来に対して希望が持てます。しかし、もう一つの面のやみ屠殺ですね、やみで行なわれている屠殺関係、豚やヤギばかりじゃなしに、鶏の問題まで出てくる。こういう問題に対する取り締まりは今後どうおやりになっていくのか。これもやっぱし監視員、監督行政以外に私は道はないと思うんです。そうすると、監視員や監督行政が今日のこれだけで事足りるのかということが問題になってくると思います。ですから、そこらの点はこの次の委員会を開いたときに、前段のほうの経過等、明確になったことをひとつ警察等の関係や皆さんのほうからもう一ぺん報告を受けて、国民の不安を取りのけるためにやらなければいかぬ。それから、後段のほうも、経過の報告やら、それを聞かしてもらわなければいかぬ。それから、もう一つ病原体——生物学的に何と言うんですか、私は専門家じゃないからよくわかりませんけれども、よく病理学的に云々ということが出てまいりますが、そういう根本は人体生命に関してどうかということ、農林省のほうには試験所もありますし、また、厚生省にもちゃんと予研というのがあるわけですから、それを明確にして、人体にどうなのかということを明確にしてわれわれに報告してもらいたい、私はこう思うのであります。
  77. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 最後に、いま藤田先生から言われましたように、いずれ次の機会で、今後の問題点と申しますか、現在の法律上の欠点等についてはお互いに指摘をしていきたいと思いますが、この際、私は、やはり何よりも、まず、いま国民がもう肉を食う気がしないと、こういう主婦の一般的な声を一日も早くなくすということが大事でございますから、そのためにはあらゆる努力を払って、いま市場に流れているそうした不正の食肉を一日も早くさがし出して解消するということをぜひお願いしたいと思います。  それから、先ほど焼却の問題も出ましたが、私は、今後はやはり一切もうこうしたものは焼却以外に処理の方法はないと、いま焼却とか埋没とか、あるいは化製場行き、消毒というようなことを言っておりますけれども、今後は資源の活用といっても、いままでの材料豚の内容を見てみますと、いわゆる屠殺の頭数の中におけるこうしたワクチン用の材料豚の比率というものは非常に少ないんですよ、年にわずかに一万五千頭前後ですから。ところが、実際に日本の現在の食肉用のために屠殺されている数というのは、いわゆる六百八十万頭近くに及んでいるわけですから、したがって、資源の活用といっても、そうたいした比重はないわけですから、この際、やっぱり焼却をすべてやっていくんだというような方向をまず考えていくべきじゃないかということ。それから、もう一つは、二月にこの問題が起きて、当然来年度の予算の中で、この監督する者、いわゆる検査監督する要員等についても、私は、十分予算の中で政府としては見ておると思うのですけれども、そういう予算的な措置をこの際——いま幸いにして予算の審議中ですから、厚生省、農林省とも、十分国民の不安を一掃できるような体制をつくっていただきたい、このことを申し上げて終わりたいと思います。
  78. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 私も一つ希望を。現在の、まあ私は犬だとか猫だとか、あらゆる動物の食肉ですが、これを規制する法律ないと思うんです。私は法的な盲点もやっぱりあると思うんですね。特にまた最近飼料としての肉ですね、動物に対する飼料肉、これらとともに、輸入してしまえば、これはもうどんなことでもできるわけですね。ですから、私は、やっぱり法律の盲点があれば法の改正をして、そうしてもっと加工品でありましょうとも、安心して国民が食べられると、こういう方針を私はこの際やっぱり厳重にやるべきだ、この点を一つ希望として申し上げておきます。
  79. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 他に御発言もなければ、本件に関する質疑は、本日はこの程度にとどめておきます。  午前の調査はこの程度とし、午後は三時に再開して労働関係調査を行ないます。  これにて休憩いたします。    午後一時四十九分休憩      —————・—————    午後三時十五分開会
  80. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) ただいまより社会労働委員会を再開いたします。  労働問題に関する調査を議題といたします。  まず、労働行政基本方針に関する件について調査を行ないます。本件に関し政府より所信を聴取いたします。早川労働大臣。
  81. 早川崇

    ○国務大臣(早川崇君) 第五十五回特別国会にあたり、労働大臣として所信を申し述べ、各位の御理解と御協力を得たいと存じます。  わが国経済は、戦後二十年にして、目ざましい発展を遂げ、国民所得において世界有数の地位を占め、国民生活水準も著しい向上を示し、世界各国の驚きの的となっているのであります。この最大の理由の一つは、わが国の労働者が優秀な資質と能力を備えているとともに、きわめて勤勉であったからにほかならないのでありまして、私も国民の一人として、このことを誇りに感じ、わが国の労働者諸君に対し深い信頼の念を持つものであります。申すまでもなく、労働政策は直接人を対象とするものであり、人間尊重の理念を具現するものであります。私は、労働政策の目標は、同胞としての信頼感に立って国民の大部分を占める労働者が自由な創意と努力を発揮することができる機会と条件を整え、これによって労働者諸君とその家族が豊かな生活を営めるようにすることであると考えるのであります。  このような基本的な考え方のもとに、私が考えております労働政策の主要な点を申し述べたいと存じます。  まず、雇用対策について申し上げます。  今後の雇用情勢につきましては、進学率の向上等に伴い、技能労働者、ブルーカラー労働者を中心に労働力不足が一そう強まることが予測されるのでありますが、長年にわたり形成されてきた年功序列の雇用賃金慣行や学歴偏重、技能軽視の社会風潮はなお根強く残り、このまま放置すれば、労働者全体の福祉の向上と国民経済の均衡ある発展を阻害するおそれがあると考えられるのであります。  このような事態に対処するため、このたび雇用対策基本計画を策定し、政府全体が雇用問題を重視し、一体となってこれに取り組む態勢を確立いたしました。この計画は、昭和四十年代の前半において完全雇用達成の地固めをはかることを課題としており、今後この計画に沿って、近代的労働市場の形成につとめ、技能労働力の養成確保、中高年齢者の雇用の促進等積極的な対策を講じていくことといたしております。  特に、技能労働者の養成確保は、今後一そう激化する国際競争に対処するためにも、きわめて重要な政策目標であります。そのため、技能検定制度の拡充、技能者表彰制度の創設を通じ、社会における技能尊重の気風を醸成し、技能者に対し正当な評価と待遇が与えられるようつとめるとともに、公共職業訓練、事業内職業訓練を拡大実施してまいる所存であります。  また、今後、人手不足の進展に伴い、婦人の積極的な職場進出も予想されますので、これに対処するための対策について検討を進めますとともに、ILO第百号条約についても、これを批准する方針で臨んでまいりたいと存じます。また、炭鉱離職者対策、駐留軍関係離職者対策についても、その一そうの充実をはかることとし、関係法案を今国会に提出し、御審議をお願いすることといたしております。  次に、産業災害の防止について申し上げます。  産業災害の防止は、交通事故対策公害対策とともに、政府の人間尊重に関する重点施策の三本の柱の一つであります。産業災害の現状を見ますと、昭和四十一年においては、死傷者数は前年に比し約二万の減少を見ておりますが、いまなお、年間死亡六千余を含む七十万近くの死傷者が発生しており、かつ、災害が大型化する傾向にあることはまことに遺憾に存じます。このため、特に、本年においては、安全衛生局の設置等行政体制整備するとともに、第三次産業災害防止五カ年計画を策定し、指導監督の充実、作業環境の改善整備、安全衛生センター、労災防止会館の建設等により、労働面からする交通災害対策を含め、総合的な産業災害防止活動をさらに積極的に展開してまいる所存であります。  次に、労働福祉対策について申し上げます。  労働者の福祉の増進をはかることは、労働者に人間としての豊かな生活をもたらし、また労働者の能力の一そうの発揮を促すこととなるわけでありますが、特にわが国経済の目ざましい発展の成果をすべての国民にひとしく均てんせしめることは、私のかねてからの念願であります。  そのために、まず、多年の懸案であった労災保険、失業保険の五人未満事業所への全面適用を昭和四十三年度から実施することとし、近く関係法案の御審議を願うことといたしております。  なお、失業保険につきましては、低所得層に対する給付内容改善を行なうとともに、本土で働き、沖縄に帰郷している失業者についても本土並みに失業保険給付を行なうこと等の措置を講ずることといたしております。また、失業保険の適用拡大と関連しまして、失業保険制度の健全な運営を確保するため、一般受給者と短期循環受給者との均衡を考慮して若干の合理化の措置を講ずる考えでありますが、これについては、従来からの被保険者の生活に急激な変化を与えることを避けるため、十分な配慮を行なう考えであります。  また、大企業に比べ立ちおくれが見られる中小企業の労働者の福祉施設につきましては、各種融資制度の拡充、青少年ホームの増設等により、積極的にその整備を進めてまいる所存であります。さらに、出かせぎ労働者、身体障害者等経済社会の目まぐるしい変化に対応することが困難な労働者につきましても、たとえば清酒製造業退職金共済制度の設立、出かせぎ相談所の設置、総合的家内労働対策の検討推進、身障者の雇用の促進、愛隣地区における総合労働福祉施設の建設、失業対策事業就労者の賃金引き上げ並びに事業主体負担の軽減等の各般の施策を進め、働く人々が希望と意欲に満ちた明るい生活を送ることができるようにつとめてまいりたいと存じます。  なお、一酸化炭素中毒症に関する特別対策については、現在労災保険審議会において御審議をお願いしているところであり、成案を得次第、今国会に法案を提出いたしたいと考えております。  次に、賃金問題につきましては、賃金は国民経済の成長と調和を保ちつつ改善されるべきものと考えており、今後とも、関係労使がかかる国民経済的観点から良識をもって自主的に問題の合理的解決をはかられるよう期待いたします。また、最低賃金制につきましては、中央最低賃金審議会の答申に基づき、その実効ある拡大につとめてきているところでありますが、将来の制度のあり方については、昭和四十年八月、同審議会に基本的検討をお願いしており、その結論を待って考えたいと存じます。  最後に労使関係について申し上げます。  今後、資本の自由化の問題等も控え、国民経済の均衡し、かつ安定した発展を持続するためには、労使関係の安定が強く望まれることは申すまでもないことであります。このためには、労使がお互いに同胞であるという信頼感と労使協力の精神を基調とし、国民経済という共通の基盤に立って話し合いにより問題を自主的に解決するという慣行を確立することが必要であり、私としても、かかる話し合いの機運の醸成になお一そうの努力を傾注してまいる所存であります。  以上、当面する労働諸問題について所信の一端を申し上げた次第であります。今後とも、労働行政の推進にあたりましては、各位の御意見を十分拝聴しながら、一そうの努力をいたしてまいりたいと存じます。何とぞよろしくお願い申し上げます。     —————————————
  82. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 次に、昭和四十二年度労働省関係予算に関する件について調査を行ないます。政府説明を聴取いたします。上原会計課長
  83. 上原誠之輔

    政府委員上原誠之輔君) 昭和四十二年度労働省関係予算の概要につきまして、お手元資料によりまして御説明申し上げたいと思います。この資料は四十二年度労働省予算の概要をまとめたものでございまして、目下、各事項の詳細につきましては資料を調製中でございまして、でき次第あらためて御配付を申し上げますので、御了承を得たいと思います。  まず第一に、全体の予算規模でございます。一般会計につきましては、新設が予定せられます石炭対策特別会計に計上される石炭離職者援護対策費五十三億三千三百万円を含めまして、実質千百二億二百万円であります。四十一年度に比しまして八十六億五千万円の増加ということになっております。労災保険特別会計でございますが、この特別会計につきましては、歳入歳出ともに千三百十五億六千七百万円でございまして、百三十六億六千八百万円の増となっております。失業保険特別会計は、同じく歳入歳出ともに千九百五十億三千七百万円で、百四十六億八千八百万円の増加と相なっております。  次に、主要事項につきまして申し上げたいと存じます。  その第一は、長期的視点に立った積極的雇用対策の推進に必要な経費でございまして、四十一年度予算に対しまして十六億一千二百万円の増加でございまして、二百五十六億三千七百万円を計上いたしております。  そのおもなものについて申し上げますと、第一は、近代的労働市場の形成と中高年齢者の雇用促進に必要な経費でございまして、総額は百九十四億九千五百万円となっております。これによりまして、一つは、雇用の長期的展望に立脚した雇用対策基本計画の策定をいたすことが第一でございます。第二は、近代的労働市場の形成のための経費といたしまして十五億一千四百万円を計上いたしております。これは労働市場センターの機能を四十一年度に引き続いて整備いたしますとともに、特に求人者・求職者に対する雇用サービスの強化をはかることといたしまして、一つには雇用相談所の新設、主要な都市につきまして三カ所に設置することにいたしております。なおまた、テレビ等を利用いたしましての広報活動の強化をはかることにいたしております。この項目で特に額が多うございますのは、中高年齢者の雇用促進対策関係経費でございまして、二ページでございますが、百七十七億九千二百万円となっております。この内容でございますが、職業転換給付金制度につきまして拡充強化をすることといたしておりまして、その内容は、中高年齢者の住宅確保奨励金を新設するということ、もう一つは、職業訓練手当等の現行の諸給付金につきまして単価を改定すること、これがおもな内容でございます。なお、中高年齢者等の雇用促進をはかりますため、四十二年度の新しい試みとしまして、全国三カ所に人材銀行の新設をすることにいたしております。なお、移転就職者用宿舎の建設につきましては、四十一年度と同様一万戸につきまして建設を行なう、こういう計画でございます。それから、雇用促進融資につきましては、四十一年度百億に対しまして、二十億を増額いたしまして百二十億ということでワクを設定し必要な融資をやってまいりたい、こういう計画でございます。  なお、能力と適性を中心とする近代的労働市場の形成のために職業に関する基礎的な研究の必要が痛感せられておるわけでございますけれども、将来におきまして職業研究所を新設することを予定いたしまして、その用地の購入と、それから四十二年度から職業研究調査に取りかかるということで、合わせまして一億六千万円の予算を計上いたしております。  次は、先ほどの近代化に関連して発生してまいります雇用問題に対しまする対策の推進に必要な経費でございまして、合計いたしまして六十一億四千二百万円を計上いたしております。その一つは、炭鉱離職者対策強化拡充に必要な経費でございまして、五十億八千六百万円を計上いたしております。これによりまして、雇用促進事業団が行なっております炭鉱離職者の援護業務をさらに強化拡充いたしますとともに、特に四十二年度におきましては、最近の炭鉱離職者の状態を考慮いたしまして、自営対策につきまして強化していくということを考えておる次第でございます。なお、緊急就労対策事業でございますが、これにつきましても、四十一年度に引き続き事業費単価を若干増額いたしまして、実施をしていくという計画でございます。  次に三ページに参りまして、港湾労働対策の推進に必要な経費でございます。この関係では、九億二千八百万円を計上いたしております。おもな内容は、雇用調整手当の増額一つでございます。最近の港湾労働者の賃金の実態が実情を十分反映していないということもございますので、これを実情に即するように雇用調整手当の単価の改定を行なうというものでございます。なお、港湾労働者の福祉施設につきましては、本年に引き続き、来年度におきまして、さらに拡大された形で整備をしてまいるということで、所要の予算を計上いたしておる次第でございます。  それから、第二は失業対策事業改善に必要な経費でございまして、四十一年度に比較いたしまして、三十一億四千四百万の増。合計いたしまして、三百六十八億六千七百万を計上いたしております。来年度の失業対策事業改善につきましては、特に労力費単価を改定いたしております。四十一年度が六百二十九円二十八銭でございますが、これを七百十円七十銭というふうに改定をいたしております。それから、一番下のほうに書いてございます超過負担の解消でございます。地方公共団体が失業対策事業実施いたしていく上におきまして、かなりの超過負担をいたしておりますので、これを解消する措置を講じた次第でございます。  次に、四ページに参りまして、労働力の質的向上対策の推進に必要な経費でございます。総額といたしまして、百三億九千二百万円となっております。  その一つは、技能労働力の開発向上対策推進に必要な経費でございまして、九十九億九千三百万円を計上いたしております。これによりまして、まず第一は、事業内職業訓練の助成援助を強化することにいたしておりまして、共同職業訓練運営費補助金につきましては、一人当たり補助単価の千二百五十円を千四百円というふうに引き上げまして、運営の強化をはかることにいたしております。それから、事業内職業訓練施設に対しまして、資金貸し付けの拡充をいたしております。それから、公共職業訓練につきましては、総合職業訓練所を新設六カ所、職種の拡充につきましては、前年度十職種というのを二十一職種というふうに大幅に拡充いたしております。なお、一般職業訓練所につきましては、新設九カ所、拡充は職種転換を含めまして二十職種でございます。それから、五ページに参りまして、身体障害者の職業訓練所でございます。現在九カ所ございますが、さらに一カ所を昭和四十二年度におきまして新設をするということでございまして、なおそのほかに、職種拡充が一職種ございます。  次が技能検定制度整備と技能者の地位向上対策強化に必要な経費でございます。合計いたしまして、一億五千九百万円を計上いたしております。中身といたしましては、まず第一が技能検定職種の増でございまして、四十二年度五十四職種を六十職種にわたりまして実施をすることにいたしております。次は技能者表彰制度の創設でございます。大臣の所信の表明の中にもございましたように、来年度新しく卓越した技能者につきまして国家といたしまして表彰するという制度を創設することにいたしております。  それから、最後の欄に書いてございますが、昭和四十五年におきまして技能オリンピックが日本において開催される運びとなっておりますが、その開催準備を四十二年度から始めるということにいたしておりまして、さしあたり現在千葉にございます中央技能センターの敷地を拡充するという措置と、寄宿舎等の施設をつくるという予算を計上いたしておる次第でございます。  次に六ページに参りまして、労働災害防止対策の積極的展開と労働条件の近代化の推進に必要な経費でございます。この関係では、総額十三億五千二百万円を計上いたしております。  第一は、労働災害防止対策の積極的展開についての経費でございます。この関係では十二億一千二百万円を計上いたしておるわけでございまして、第一に、行政体制につきましては、中央におきまして安全衛生局を新設するということが一つ、地方におきましては監督指導体制整備をはかりまして、積極的に労働災害防止対策を推進することにいたしております。特に、労働災害防止に関する啓蒙、教育指導強化し、また自主的災害防止活動を推進するという考え方に基づきまして、労災防止会館をいよいよ来年度から建設の緒につかせるということと、それからもう一つは、労災防止協会の付属機関といたしまして安全衛生センター二カ所を設置する、こういう措置を考えておる次第でございます。これによりまして、労災防止協会に対する補助は四億一千万円から四億六千万という金額にのぼるということに相なります。  次に、労働条件の近代化の促進でございます。資料の七ページでございます。この関係では、最低賃金制の確立、それから賃金問題の合理的解決への指導援助の強化等の諸措置を強力に推進することといたしまして、一億四千万円を計上いたしております。四十一年度に比しまして四千八百万円の増となっております。  第五に、労働保険の拡充に必要な経費でございます。この関係では五十六億四百万円の予算を計上いたしておる次第でございます。  まず、労働保険の全面適用の関係でございますが、昭和四十三年度から労災、失業両保険につきまして五人未満にその適用範囲を拡大するという目標のもとに、昭和四十二年度におきましては適用徴収事務の一元化体制整備をするということと、事務組合方式による加入促進をはかるということを考えておる次第でございます。この関係で二億九千七百万円を計上いたしております。  それから、八ページに参りまして、労災保険制度に関しまして、四十三年の全面適用を目前にいたしまして、四十二年度におきましては、政令改正によりまして強制適用事業の範囲の拡大をはかりますとともに、労災保険施設につきまして、労災リハビリテーション・センター、義肢センターの設置を考えておる次第でございます。  それから、失業保険制度につきましては、まず第一が、低所得層に対する給付内容改善、それから第二に、沖縄帰郷者等に対する失業保険の適用、それから失業保険受給資格者の就職促進の強化と給付の適正化、こういった措置を考えておりまして、この関係では二十三億六千万円を計上いたしておる次第でございます。なお、通年雇用の推進につきましては、四十一年度創設の建設業に対します融資制度をやっておるわけでございますが、四十二年度におきましては、建設業のほかに水産加工業を新たに適用範囲に加えまして、通年雇用の推進をはかっていく、こういう計画でございます。  第六に、労働者の福祉の増進に必要な経費でございまして、この関係では十六億三千五百万円を計上いたしております。  おもなものについて申し上げますと、四十二年度における新たな施策といたしまして、清酒製造業につきまして、中小企業退職金共済組合法に基づく退職金共済組合を設立する、こういう措置を考えておる次第でございます。加入事業主については四千人、加入労働者数は四万人という数を見込んでおります。  それから、労働福祉施設の設置の問題でございます。九ページ備考欄に書いてありますような施設につきまして設置をしてまいるわけでございます。中ほどに、勤労青少年ホーム、働く婦人の家の増設と補助単価の引き上げという欄がございますが、勤労青少年ホーム、働く婦人の家、いずれもを通じまして、従来の補助単価を大幅に引き上げるという措置を講じておる次第でございます。設置個所数は前年度同様二十個所でございます。  それから、最後の行に書いてございます、出かせぎ相談所の新設、これは最近出かせぎ労働者がいろいろと社会的に問題を提起いたしておりますので、労働省といたしまして、これらの労働者の就労経路の正常化といったような措置を特に強化して実施することにいたしておりますが、その一環といたしまして、東京と大阪に出かせぎ相談所を新設いたしまして、これらの労働者の世話をしていくという措置を考えておる次第でございます。  次に、十ページでございますが、恵まれない労働者層に対する対策強化に必要な経費、これに十二億七千百万円を計上いたしております。  その第一は、身体障害者対策の推進でございます。これは先ほど申し上げましたことと重複をいたしますが、労災リハビリテーション・センターの設置、それから義肢センターの新設、それから身体障害者職業訓練所の強化拡充のほか、就職促進対策につきましては一そう強化をして実施をしてまいりたい。なおまた、雇用促進融資の中におきましては、特に四十二年度は身体障害者を雇用する事業所の作業施設設備に対する融資というものを始めたいということで計画をいたしております。  それから、先ほど申し上げました、出かせぎ労働者対策強化に必要なもの、これが二億三千四百万円でございます。この中では、いま申し上げました出かせぎ相談所の新設のほか、農村婦人対策の推進といたしまして、特に出かせぎ労働者を送り出した留守家庭の生活の確保という点から、特に四十二年度におきましては内職相談員を設置するということによりまして、留守家庭の生活の確保をはかっていくということを考えておる次第でございます。  次は、一一ページでございます。総合的家内労働対策の樹立と行政措置の推進、前年度に比しまして五百万円増の八百万円によりまして、家内労働審議会の総合的家内労働対策の樹立のための検討と、標準工賃制度の普及促進等の行政措置の推進をはかっていくことにいたしております。  それから、最後に、特別地区対策の推進といたしまして四億三千二百万円を計上いたしております。これは大阪の愛隣地区における労働者の福祉対策として措置するものでございまして、内容といたしましては、愛隣労働福祉センターを設置するということ、それから愛隣地区において公共職業安定所を新設して、この地区の労働市場の秩序の確立をはかるということ、それから簡易宿泊所を設置いたしましてこの地区の福祉の向上をはかる、この三つがおもな内容になっております。  第八は、相互信頼関係の上に立った合理的労使関係の促進に必要な経費でございまして総額十億五千五百万円でございます。  この内訳といたしまして、第一が労使間における信頼関係の基盤の育成のための経費、それから中小企業における労務管理、労使関係近代化の促進に必要な経費となっておりまして、四十一年度に比し二億三千三百万円の増加でございます。  次に、一二ページでございますが、第九は婦人年少労働者対策の推進に必要な経費でございます。この関係では三億九千八百万円の予算を計上いたしております。  これによりまして第一は、婦人労働力の有効活用対策の推進をはかってまいりたい、それから内職対策の推進をはかってまいりたい、それから婦人年少労働者の保護対策の推進をはかってまいりたい、最後に農村婦人対策の推進をはかっていくということで、前年度に比しまして七千二百万円の増加となっております。  あと一三ページで、総合的中小企業労働対策の積極的展開ということで項が設けてございますが、これはいままで申し上げましたことと重複いたしますので、省略をさしていただきたいと思います。  最後に、一四ページの国際労働行政充実に必要な経費でございまして、この関係では二億五百万円ということで、海外情報の収集と対外広報の強化、発展途上の諸国に対する技術協力の推進をはかっていくということの関係経費でございます。  以上、はなはだ簡単でございますが、予算説明を終わります。
  84. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 労働行政基本方針に関する件及び昭和四十二年度労働省関係予算に関する件に関し、御質疑のある方は順次御発言を願います。
  85. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 九ページの労働福祉施設の設置促進の中で、雇用促進事業団を通じて融資を行なう、それからこれは中小企業退職金共済事業団だと思うのだが、十三億の融資を行なう、これはどういうところへどう貸していくのか、これは一言も説明を受けたことないから、書類にして出してく、ださい。
  86. 海部俊樹

    政府委員(海部俊樹君) 書類にして提出さしていただきます。
  87. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 ちょっとお伺いしたいのだが、この働く婦人の家の増設ですね、大幅に単価を見積もったというのはどのくらい見積もったのか、何倍ぐらい……。倍率だけでいいです。
  88. 高橋展子

    政府委員(高橋展子君) 従来五百万の補助額でありましたものを七百五十万に引き上げました。もう一つのタイプは、四百万でありましたものを五百五十万に引き上げております。
  89. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 他に御発言もなければ、両件に関する調査は、本日はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十九分散会      —————・—————