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国務大臣(佐藤榮作君) ただいまの、たいへんむずかしいお話なんですが、とにかく、私どもが政治をやる、お互いがしあわせな、また住みいい社会をつくって、そして
生活を向上させよう、こういうことを願っております。この
内容を充実させ、
生活の向上をはかる、そのためには、やはり
産業が興こらなければできない。昔のような状態では、これはもう
生活が豊富で中身が充実していかれるものではない。だから、そういう意味で、
産業の
発展、これはやはり望まれるべきものだ。だけれども、ただいまのところ、都市化の傾向が非常に急激に出てきたし、また
産業の開発も、これも自由濶達であることはしあわせであるが、そこらに計画的秩序的なものがない。そういうのが、ただいま言われる都市集中へのことと相まって非常な弊害をかもし出している。これをやはりなくしていかなければならない。
私はしばしば
人間尊重ということを申したり、あるいは社会開発の必要性を説いてまいりました。ただいま言う
経済開発もさることだが、やはり社会開発、それと結びついて初めてりっぱな社会ができるのだ。それが私の
基本的な
考えでありますから、いま
柳岡君が、
産業優先の社会をつくっている、こういう御指摘ですが、私は必ずしも
産業優先だとは思いません。思いませんが、
産業の発達、
発展を願うあまり、そこらが野放図であり、これは自由濶達であることはけっこうですが、計画性を欠いてきた。それが、今日のような都市においての非常な
公害が出てきた。都市ばかりじゃございません。いなかにおきましても、水銀中毒なぞは、いなかの例でございますが、そういうようなものが発生してきた。やはりこれをなくしていかなければ、真のお互いのしあわせ、幸福というものは願えない、かように思いますから、
公害と積極的に取り組んでいく、こういう
考え方であります。これはひとり、
公害の場合に、人命尊重というだけではございません。この
公害が健康を害する、
生命に非常な重大な影響を与えている、そういう問題もございますが、そこまではいかないけれども、社会
環境をすっかりこわしている、
生活環境がすっかりこのために乱される、こういうものがしばしばあるのですね。そういう点が、これから、人命に直接
関係しないが、やはり
環境整備は大事なことですから、そういう意味の対策も怠らないようにしていく。
公害対策として取り組む場合に、広い
公害対策だと思いますが、そこで
公害のかもし出す弊害から見まして、それに対する処置も、非常に強いもの、またそうでもないもの等がいろいろあるだろうと思いますし、また、国あるいは地方公共団体、さらにまた、原因者もちろんでありますが、国あるいは公共団体が
公害防止についてつとめるべき
役割りもあるだろうと、かように思います。やっぱり
公害の態様からそれらの諸点が
考えられなきゃならぬ、かように思いますが、なかなかむつかしい問題が山積しておりますし、ことにこれからの問題、これをひとつ
公害が発生しないようにすること、これはひとつ、くふうしていただきたいと思うが、いままでの社会
経済状態からかもし出しておる
公害、その
あと始末の問題、それもなかなかたいへんな問題ですから、これから社会
環境の基準をつくるとか、あるいは原因者の
責任をどの辺まで原因者が
責任を持つべきなのか、こういうような問題もありましょうし、
処理の問題としてもたいへんな問題がある。たいへんなむつかしいポイントを包容しての
公害基本法でありますから、これができ上がって、今後いろいろ具体的な問題に取り組んでさらに進めなきゃならぬ、かように私は思っております。