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加藤シヅエ君 私は、
産業公害の問題につきましてただいま鋭意勉強中でございまして、まだいろいろむずかしい問題がたくさんあって、それについて十分に理解していない問題があるわけでございますけれ
ども、この問題がむずかしいということは、これはこの委員会の委員としてもむずかしいのでございますから、いろいろの問題で
公害によって
被害を受けた一般の人たちがその
被害をどこにどういうふうに訴えたらいいかというような問題については、さらにもつとむずかしい問題に直面しているわけだというふうに私は理解いたします。それで、今日伺いたいことは、こういうような問題で、
産業公害で起こった
一つの現実の問題について、その
対策をどういうふうにするかということについて伺うわけでございます。
問題は、この六月に福岡市で起こった問題でございまして、私が
質問するのは、下水の
処理の問題で、下水の
処理につきましては、その監督
指導の官庁から、どういうふうに
指導していらっしゃるか、どんなふうに監督していらっしゃるかということについて伺わなければなりませんです。それから、現実に起こった
被害につきましては、これは漁民が非常な
被害を受けましたので、
水産庁でございますか、漁民の問題について扱っていらっしゃる当局から、これにどういうふうに対処なさるおつもりであるか、伺わなければなりませんです。
それからその
被害を受けまして、どういう性質の
被害であるかということは、汚水によって汚されたところの
海水によって魚介が死滅したわけで、そういう死滅を起こした原因の汚れた水というものはどういう基準でどういうふうに検査するか、そうしてその検査する時期はいつであって、どういうところから問題になっている水を取るかというような、そういう問題について
答弁していただきたい。これは私の全部の
質問をカバーして一応申し上げました。
次には、具体的にこれを
一つ一つ伺ってまいりたいと思いますが、福岡県の福岡市の博多湾に面した箱崎漁業協同組合ほか七組合が福岡市の当局といろいろ交渉を持ったわけでございます。そうして問題の起こった場所は、中部下水
処理場設置について起こった問題で、その下水
処理場をつくりますときに、そこに必要な土地を埋め立てをする付帯工事をする、そういうことにつきまして、間に調停者の有力な方を三人選んで協定書を結んだわけでございます。そうしてその埋め立てに付随して漁業権が消滅する
補償の問題と、それから埋め立て工事に伴って今後問題を起こさないようにというような、近傍水域にある
漁場に
損害を及ぼさないように努力をすること、万一
漁場に
損害を及ぼしたときには
損害の
補償をすること、こういうことを協定しております。その問題でございますけれ
ども、そういうような協定を結んで始まったことでございますが、いま問題になっている下水の
処理場というのは、全然きれいな、飲めるようなきれいな水を流すということで埋め立てて、排出された以外の場所の
漁場に対しては何も影響を及ぼさないという約束のもとに、福岡市中部下水
処理場というのができたそうでございます。この写真で見ますと、まあたいへんりっぱな
処理場のようでございますが、その問題が起こりましたのは、この
処理場の
能力以上の水をどんどんと排水してしまった。しかも、雨が降りましたというような原因から、今度は
海水が逆流してきたというようなことで、さらに膨大な
汚濁水がどんどんと海面に流出してしまった。で、このことについて、この漁民は初めは何も知らなかったようでございますけれ
ども、どうも自分たちの扱っている魚介が死滅をしてきたので、これはどういうことだろうかと心配をして、いろいろと調べてみたところが、最初は、それは何か赤潮のためであるというふうに
水産試験場から言われたので、そうかしらと思った。しかし、その赤潮の出てくる時期がどうもいつもと違うので、少しおかしいと思って、この汚水
処理場に行ってみたら、驚くほどのたいへんなたくさんの汚水が湾の中に流出していた。これは、このように写真をとられておりまして、約束とはたいへん違う、真っ黒な水がこんなにたくさん流されている、こういうわけで問題が起こったわけでございます。それで、もうすでにたいへんたくさんな赤貝その他小さいお魚、そういうものが死滅いたしましたので、それについて、約束が違うではないかということで、漁民たちが組合の人たちみんなで市当局に抗議を申し込みにまいりました。市当局のほうでは、この約束の違うことをやったということをすなおに認めて、ここに今後こういうことをしないという覚え書きを漁民に対して渡しているわけでございます。
私がこのことを知りましたのは、漁民から訴えを受けたのではなくて、この問題がテレビのニュースに大きく報道されて、私はそれを見たわけでございます。たくさんの漁民が非常に怒りの表情をもって、はち巻きをして福岡市当局になだれ込んで、そうして約束が違う、
責任者を出せということで抗議を申し込みに行ったのに対して、その交渉相手に出ていたのは助役さん
——あとで助役さんだということがわかりましたのですけれ
ども、市長さんでないことは確かでした。その助役さんが当惑したような顔をしてまん中にすわらせられて、そうしてたくさんの漁民が取り巻いて卓をたたいておこっているわけです。そうして市当局としては、非常に当惑したような顔をして、ひたすらあやまっているような表情であった。これはどうして、もう少しはっきりした何か
答弁ができないのかしらと、私はそのテレビの画面を見たときにそう思いましたけれ
ども、なお私は、これを
公害として取り上げなければならない問題だとして、さらに詳しく調べましたところが、その福岡市の助役さんと立ち会い人二名がちゃんと判こを押して、六月十二日にそういうことを申し入れております。「(一)本市は組合に対する公約を守らず中部下水
処理場から下水を流した事は申し訳ありません。(二)今后はかゝることは致しません。日
被害補償については組合と誠意をもって話し合います。」この三点をちゃんとこういうふうに一種の詫び証文みたいなものを入れているのですから、明らかにこういったことで福岡市当局の手落ちがあったということを当局は認めているわけでございます。で、私が伺いたいのは、この写真でいろいろと
説明を聞きましたけれ
ども、こういうふうな、なかなかりっぱな
処理場のようでございますけれ
ども、漁民のほうからの話と、テレビの画面でのいろいろの
説明を聞きますと、
処理場がもう少し高度の精密な
処理をするものを使わなければ漁民との約束は果たせないにもかかわらず、簡単な
処理場であったから、それでこういうふうな汚水が流れたというふうに漁民は理解したようでございます。それで、はたしてそれがそのような事実であったのか、何かほかのことであったか、その
処理場がはたして適当なものであったかどうかということを最初に伺わなければなりませんし、また適当なものであったとしても、現実にこういうふうな
事故が起こったということになりますと、こういうような
処理場をつくったそのあとの
指導というのはどういうふうなされたか、
責任ある当局からそのことを初めに伺います。