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政府委員(松本茂君) 水質
基準の設定のやり方でございますが、これは、従来は
汚濁源になります工場等のわりあい数の少ないところを対象にいたしておりました。そういうようなことで、個々の業種、個々の工場別に、たとえばパルプの場合は幾ら、医薬品の場合は幾ら、セメントの場合は幾ら、こういうふうに水質
基準を設定いたしましてまいってきたわけでございます。しかしながら、淀川でございますとか、あるいは寝屋川でございますとか、あるいは神崎川でありますとか、そういった大都市の諸河川、それからまた京浜で申しますならば、鶴見川でありますとか、城南の諸河川でありますとか、多摩川でありますとか、荒川でありますとか、そういった川につきましては、非常に工場の数もたくさんございますので、そういった個々の工場につきまして
基準を設定するということはできないことでございます。それで、一括方式と申しますか、
一つの
基準をいずれの工場にも
適用するという方式を採用いたしまして水質
基準を設定することにいたしておるわけでございます。すでに設定いたしましたのは、東京の、首都圏の諸河川についてすでに水質
基準を設定したわけでございまして、近畿圏のそういった都市河川につきましては、これから原則としてそういう
方向でやっていこうということでいま作業を急いでおるところでございます。ただ、近畿圏の諸河川につきましては、やはり従来からの経緯なり地元の事情なり、そういった点もございますので、そういった点も十分考慮してやっていかなくてはならないということで、そういった事情をいろいろ勘案いたしまして
一つの試案を作成いたしまして、その試案につきまして、府、市あるいは業界の方々の御意見をお
伺いしておる、こういう段階でございます。
それで、たとえば淀川につきましてやっていきたいと思っております方法は、まず、既存のものと新設のものと二つに大別いたしまして、既存のものにつきましては、その工場があります地域の下水道
整備ということから
考えまして、その地域の性質によりまして三つに分類いたしております。
まず、下水道がすでに
整備されておる地域、これにつきましては、BODで申しますならば二〇
PPM以下にしてもらいたい、こういうふうに
考えております。これは下水道がすでに
整備されておるわけでございますから、それに流し込まれればそれで事足りるわけでございます。特に事情があって川に直接放流される場合には、下水処理場から出ているのと同
程度にしてもらいたい、こういう趣旨でございます。
次に、下水道の
整備計画区域、今後三年の間に下水道が設置される見込みがきわめて確実である、こういう地域につきましては前処理
基準のところまで下げてもらいたい、こういうふうに
考えておるわけでございます。これは、下水道がその水を受け取りますその
程度といたしまして定めておる
基準でございまして、東京の場合などは、これがBODで三〇〇
PPMでございますが、京都の場合は六〇〇
PPMになっておりますので、その六〇〇
PPMにしてもらいたい。三年間ほどの岡はそういうふうに六〇〇
PPMということで水が流れていきますので、非常によろしくないという意見もあるわけでございますが、三年以内には下水道が完備いたすわけでございますから、汚水処理のためにいろいろ費用を使われるということも重複投資になりまして非効率ではなかろうかというふうな観点から、そのようにいたしておるわけでございます。
それからそれ以外の
一般地域でございますが、これは、たとえば首都圏の川についていたしました場合は、一括二〇
PPMとか、あるいはまた場所によりましては一二〇
PPMとか、そういったふうにいたしておるわけでございます。しかしながら、この淀川につきましては、従来すでに三十八年度に水質
基準を設定いたしまして、七つの業種につきましてはそれぞれ水質
基準をすでに設定いたしてきておるという事情もございますので、原則的にはその他のものを一括いたしまして、B○Dでは一〇〇
PPM以下にしてもらいたい、こういうふうに
考えておるわけでございますが、個々の業種につきましてその事情を検討いたしました結果、たとえば食料品、染色整理業、パルプ、染料、合成樹脂、医薬品、ガラス、セメント、ガス供給業、セロハン、そういった業種につきましては、それぞれの事情を勘案して決定する。たとえば食料品につきましては二五〇以下にするというふうに、それぞれの業種の実態に即し、またその今後の改善の
程度も
考えまして、そういった
基準を設定していく、そういうふうに
考えておるわけでございます。
それから、いままで申しましたのは既設のものについてでございますが、新増設、今後新しく工場ができる、あるいはまた増設されるというその増設のものにつきましては、これは下水道の
整備地域につきましてはBODで二〇
PPM以下、それから下水道の計画されております地域、これは前処理
基準の六〇〇
PPM、それからそれ以外の
一般の地域、これにつきましては二〇
PPM、こういうふうに
考えておるのであります。特にこの
一般地域につきまして二〇
PPMというのははなはだきついではないか、こういう御意見があるわけでございますが、しかしながら、すでに水質
基準が設定されて、そういう規則もあるという、そういう地域に今後工場ができるということでございますから、すでに既存の、町の中に工場がありまして、いろいろ制約があるというところとはおのずから事情も違うと思いますので、こういう
基準を守っていただきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。ただし、これにつきましても、
技術的なあるいは化学的な現在の処理
技術の水準からいきまして、どうしてもむつかしいというものにつきましては、それぞれの産業の主務官庁からの申し出もあることと思いますので、そういった点につきましては十分実態に即したやり方を
考えていきたい、こういうふうに思っております。ただ、その場合の、たとえば中小企業の場合に、個々の工場がばらばらにそういったところに工場立地するということではなしに、所管官庁等と十分相談されまして工場団地等のようなやり方で集合して出ていく、そうしてそこで共同して処理
施設をつくってもらう、その場合には
公害防止事業団等の助けをかりまして、そういった処理
施設がつくりやすいような
体制のもとにそういった
施設をしていただく、そういうふうによく現地現地におきまして指導していただきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。