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政府委員(
鈴木光一君) 前回、
大倉先生からいろいろ
調査の宿題をいただいておりますが、その後私どものほうで
調査いたしました結果を御
報告申し上げたいと思います。
一つは、去る四月から
実施されました、免許証に医師の診断書を添付する
制度につきまして、全国的に見て相当拒否の事例があるんではないかということでございますが、私のほうで
調査いたしまして、現在までに判明いたしておりますのは、埼玉県の大宮
中央病院など一般の病院八件と、それから神戸市内、静岡県内、石川県内及び富山県内の各保健所が拒否をしたというような報道がされておるわけですが、これらが該当すると思うのでありますが、これらの事例につきまして逐一
調査してまいりますと、長野県内の六つの病院を除きましては、全面的に拒否したというものではございません。それからたくさんあります保健所の問題につきましては、保健所の通常
業務に支障を及ぼす範囲で拒否という形になったものでありまして、しかも、先ほど申しました長野県内の六つの病院におきましても、専門医が一応拒否したような形になっておりますが、内科において診断書を発給しておるという事例でございます。ということが実情でございまして、たとえば保健所の例につきましては、兵庫県の神戸市内の保健所でございますが、この前も私申し上げましたように、保健所では非常に一般の医師に比べて診断書の交付手数料が安いわけでございまして、したがって、非常に利用者が多くなるということが考えられるので、利用者が多くなった場合には、一般の保健
業務に支障があるということをおもんぱかって、支障がある際は拒否することもあり得るというようなことのようでございまして、新聞に報道されたように、診断書拒否のビラを窓口に掲示をしたというようなことはございません。その他、保健所につきましては、大なり小なり、やはり交付手数料が安いということで、殺到されて一般の保健
業務に支障があると困るということが拒否という形で報道されているということが事実のようでございます。この前もお話ししましたように、たとえば東京都内の保健所におきましては、一般
業務との関連を考えまして、特定の日にこの種の診断書の交付を行なうということで、一般保健
業務とのバランスをとりながらやっておるということでございますので、私どものほうも、厚生省を通じまして、保健所が拒否するという形にならないようにということで指導をしてもらうようにしております。
それから一般病院でございますけれども、たとえば、長野県におきます信州大学では、専門医が発給するということになりますと相当詳細な診断をしてからでなければできないという意味で、全く拒否したということではない。したがって、われわれが要求しております問診程度の診断ということになりますれば、内科のお医者さんでもできるということで、同一施設内の内科の医師が診断書を発給していくということでございます。その他、一般の病院、総合病院、この総合病院の中では、ほとんど専門の精神科のお医者さんが、拒否ということではありませんけれども、私が見るのなら長い間専門的なものを見なければならぬということで、ほとんどのところでは内科のお医者さんが、われわれが要求しておるような問診をして診断書を発給しておるということでございます。 まあ、先般来から診断書
制度につきましてはいろいろの御批判があろうかと思いますけれども、私どもは、精神病の専門的な診断ということまでは要求しておりませんので、一般の知識を持った医師に問診程度の診断で第一義的に広く浅く診断をしていただいて、疑いがある者はさらに専門医師に回していただくというようなことで、広く浅くチェックしていこうという考え方で発足した
制度でございますので、いろいろ、医師の中には完ぺきなものを要求されておるというふうに考えられ、またある意味では良心的にそういうことができないというようなことで、拒否というほどではありませんけれども、拒否に近いような事例がございまして、それが新聞等に報道されるというようなことになっておりますが、大観しては、われわれがかねて期待しておりましたようなことでスムーズにいっておるというふうに考えておる次第であります。
それからその次の問題につきましては、西武
鉄道の沿線の踏切の封鎖の問題に関連して、警察が踏切を封鎖してしまって、その際に住民の意向を十分聴取しなかったのではなかろうかという御質問でございましたが、御質問にありました具体的な事例は、西武線の東久留米の二号踏切というのが該当しておると思います。この踏切につきましては、警察のほうにおきまして、
道路管理者、それから西武
鉄道の
関係者と十分打ち合わせの上、付近の住民の意向を聴取した上で踏切封鎖という形になったわけでございまして、そういう意味のことを先般も申し上げたのでございますが、具体的に申し上げますと、この踏切は北多摩郡久留米町小山というところにあります東久留米二号踏切と称せられておる踏切でございますが、この
踏切道は町道でございまして、踏切の幅員は六十センチメートルと四種の踏切で、非舗装ということになっております。当該場所は、
電車が掘り割りの中を通っておりまして、踏切前後の取り付け
道路が上り側が十・八度、下り側が十三度という急勾配となっておりまして、構造上、車両は
通行できない踏切でございます。こういう踏切でございますので、
昭和三十七年に車両の
通行止めの
規制を
実施いたしました。その後歩行者もあまり通らない、一日に大体警察の調べでは二十三名程度しか通らない、ということがございまして、危険な踏切の統廃合の問題が出ておりましたので、いろいろ
調査したわけです。その
調査の中には、隣接する踏切の
調査もしたわけですが、この該当の踏切の隣接踏切といたしましては、少しこまかくなりますが、上り方向百五十メートルに隧道がありまして、下りのほうには三百三十メートルに東久留米の三号踏切というのがございます。そういう状況になっておりまして、この該当の踏切につきましては、もちろん四種の踏切でございまして、特に下り方向は見通しが非常に悪い、二十メートル程度しか見通しがきかない。上り方向は四百五十メートル程度見通しがきくということであります。こういうことでありますので、危険な踏切ということになっております。それから上り方向百五十メートル付近に隧道がありまして、これが利用できるという状況がございます。その上、この踏切では五歳の幼児が、これは死亡に至りませんでしたけれども、歩行者の
事故が発生しておるというような状況がございまして、昨年の十月に
関係者が集まりまして、西武池袋線に対する
規制計画についていろいろ協議を行なったわけです。で、この当該東久留米二号踏切につきましては、ことしに入りまして、その協議の際に、一応廃止しようじゃないかという協議の結論が出たわけでありますが、その後、ことしに入りまして、二月の三日の日に、警視庁の係官と、所轄しております田無の担当官が付近の自治会長に相談をいたしました。この踏切が非常に危険だし、車両の
通行どめは全面的に行なっておりましたが、歩行者
通行どめの
規制を行ないたいということで
説明をいたしまして、自治会長はその
説明の
趣旨を了承いたしました。がしかし、なお地元民の意見も聞きたいということで、アンケート等をとっておったわけですが、その後地元の
関係者からも何らの反対意見もなかったということで、一カ月半ばかりの後に、公安委員会で歩行者の
通行どめも決定いたしまして、五月に標識を
設置して、西武
鉄道側が踏切にさくを施して閉鎖したというのがいきさつでございます。前回、先生から御質問がありましたので、所轄署に指示して
調査いたしましたけれども、自治会長も現在反対意見は持っておらないし、地元民にも、反対の動向とか、いがみ合いというような
実態のあることは知らない、自治会長もそう言っておられる。署といたしましても、御質問にあったような事実はないと思いますけれども、一部住民がもし不満を抱いているということでありますれば、実情を
調査いたしまして、事情をよく話して説得をいたしたいというふうに言っておりますので、全く住民の意思を無視して踏切を閉鎖したということではないようでございますので、御了承を願いたいと思います。
それから、そのほか信号整理の際に、車町を全部停止させて歩行者をたとえば斜め横断させるというような
方式の採用についていかがかという御質問があったかと思うのですけれども、これは私もその際お答えいたしましたように、アメリカで私も現認して参りましたのですけれども、アメリカであのような
方式をスクランブル
方式というわけですが、ああいう
方式が採用されております。
調査によりますと、アメリカのコロラド州のデンバーというところで最初にあの
方式が採用されまして、あの
方式によりますと、歩行者はその交差点を安心して横断ができる、対角線の場所へも一気に横断できるという利点がありますので、アメリカでは相当程度全国に普及した。しかし、その後あの
方式を採用いたしますと、信号のサイクルの時間が非常に長くなりますために、最近ではアメリカでもやめているというところが多くなっているというふうに聞いております。
わが国でもあれに類似した
方法で、全赤
方式とわれわれ言っておりますけれども、車両を信号で全部停止させまして、その間に歩行者を、対角線ではやっておりませんけれども、直角に横断させるという
方式を採用しております。東京では、皇居前、八重洲口、新宿ガード東、渋谷道玄坂下等、数カ所でこの
方式を採用しております。この
方式を採用いたしましたのは、やはり交差点で右左折する車両、
交通量の多い場合に適するわけでございまして採用しているわけですけれども、やはりサイクル時間も非常に長くなるということでございますので、車両の
交通量が非常に多くなりますと、それの待ち時間中に停滞するという
交通が多くなりまして、それがしたがって隣接の交差点にまで影響してくるというようなことになりますので、この
方式を採用する場合には十分な検討が必要だということになっております。
なお、
わが国で、御指摘のように、斜めに交差点々横断する
方式を採用しておりませんのは、このようにいたしますと、歩行者が交差点の
中央部でかみ合うというようなことになりまして、そのためもございますし、また横断する距離が非常に長くなりますので、歩行者用の信号時間を相当長くとらないといかぬわけでございます。まあ、アメリカの場合でも、あまり広い
道路ではやっておらない。片側一車線の
道路で斜めに横断する、しかも車両の
通行量が少ないところで採用しているようでございますので、
わが国の
交通事情でございますと、現在のところ、対角線横断
方式というようなものを採用しがたいのではなかろうかというふうに考えております。
以上、なお漏れているとともあろうかと思いますけれども、一応御
説明申し上げておきます。