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1967-06-16 第55回国会 参議院 産業公害及び交通対策特別委員会 第9号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十二年六月十六日(金曜日) 午後一時四十九分開会
—————————————
委員
の
異動
六月十二日
辞任
補欠選任
矢追
秀彦
君
小平
芳平
君 六月十五日
辞任
補欠選任
中野
文門
君 楠
正俊
君
野々山一三
君
加藤シヅエ
君
—————————————
出席者
は左のとおり。
委員長
松澤
兼人
君 理 事 宮崎 正雄君
柳岡
秋夫君 原田 立君 委 員 植木
光教
君 木村 睦男君 楠
正俊
君
柳田桃太郎
君
加藤シヅエ
君 戸田 菊雄君 成瀬
幡治
君
小平
芳平
君 瓜生 清君
衆議院議員
発 議 者
角屋堅次郎
君 発 議 者
岡本
富夫
君 発 議 者
折小野良一
君
国務大臣
厚 生 大 臣 坊
秀男
君
政府委員
経済企画庁水資
源局長
松本 茂君
厚生政務次官
田川 誠一君
厚生省環境衛生
局長
舘林
宣夫君
通商産業省化学
工業局長
吉光 久君
通商産業省鉱山
局長
両角 良彦君
事務局側
常任委員会専門
員 中原 武夫君
説明員
内閣総理大臣官
房参事官
仲矢
鍛君
農林省農地局計
画部長
目崎 初美君
通商産業省企業
局産業立地部長
馬場 一也君
運輸省自動車局
整備部長
堀山 健君
運輸省航空局参
事官
梶田 久春君
—————————————
本日の
会議
に付した案件 ○
公害対策基本法案
(
内閣送付
、
予備審査
) ○
公害対策基本法案
(衆第一一号)(
衆議院送付
、
予備審査
) ○
公害
の顕著な
地域等
における
公害防止特別措置
法案
(
衆議院送付
、
予備審査
) ○
公害対策基本法案
(衆第二四号)(
衆議院送付
、
予備審査
) ○
公害対策基本法案
(衆第一六号)(
衆議院送付
、
予備審査
) ○
産業公害
及び
交通対策樹立
に関する
調査
(
産業公害対策
に関する件)
—————————————
松澤兼人
1
○
委員長
(
松澤兼人
君) ただいまから、
産業公害
及び
交通対策特別委員会
を開会いたします。
委員
の
異動
について御報告いたします。 去る十二日、
矢追秀彦
君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
小平芳平
君が選任されました。 また、昨十五日、
中野文門
君及び
野々山一三
君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
楠正俊
君及び
加藤シヅエ
君がそれぞれ選任されました。
—————————————
松澤兼人
2
○
委員長
(
松澤兼人
君)
公害対策基本法案
(閣法第一二八号)、
公害対策基本法案
(衆第一一号)、
公害
の顕著な
地域等
における
公害防止特別措置法案
(衆第一二号)、
公害対策基本法案
(衆第二四号)、
公害対策基本法案
(衆第一六号) 以上五案を
一括議題
といたします。
坊厚生大臣
。
坊秀男
3
○
国務大臣
(
坊秀男
君) ただいま
議題
となりました
公害対策基本法案
の
提案
の
理由
を御
説明
申し上げます。 近年
わが国
においては、目ざましい
経済
の
高度成長
が遂げられつつあり、
産業構造
の
近代化
、
人口
の農村から
都市
への
集中
、
工業地帯
の
形成等
が予想をこえた速度で進行しておりますが、このような急激な
経済的社会的変動
の過程において、
企業
の
公害防止施設
や
社会公共施設
の
整備
の立ちおくれ、
立地
や
土地利用
に対する適正な配慮の
不足等
のため、
大気
や水の
汚染
、
騒音
、
悪臭等
による
公害
の
発生
が各地に見られ、人の健康や
生活環境
に対する脅威となって、重大な社会問題を引き起こしております。 このような
公害
を
除去
するため、
政府
としては、従来、
大気
の
汚染
、
水質
の
汚濁等
の
発生源
の
排出
の
規制
、
公害防止施設
の
整備
を促進するための金融上、
税制
上の
措置等
をそれぞれ講じてまいったところでありますが、
公害
問題は複雑かつ困難な問題を内包しているため、必ずしも満足すべき
効果
をあげ得ず、また、
対策
が制度化されていない
公害
も残されている
現状
であります。 これらの個々の
対策
を今後とも強化充実することは、もちろん必要とするところでありますが、
公害対策
は、相互に有機的な
関係
を保ちつつ、総合的、
計画
的に推進される必要があり、そのためには、
公害対策
の共通の
原則
を定め、
事業者国
及び
地方公共団体
の
公害
の
防止
に関する
責務
を明らかにし、
公害防止
のための基本的な施薬を確立することが重要であります。 このような見地から、
国民
の健康を保護するとともに、
生活環境
を
経済
の健全な
発展
との
調和
をはかりつつ保全することを
目的
として、ここに
公害対策基本法案
を
提案
することといたした次第であります。 次に、この
法律案
の
概要
について御
説明
申し上げます。 第一に、
公害
の
防止
に関する
事業者
、国、
地方公共団体
及び
住民
の
責務
を明らかにしたことであります。 第二に、
大気
の
汚染
、
水質
の
汚濁
及び
騒音
については、
環境基準
を定めることとし、
公害防止対策
は、この
基準
の
確保
を目標にして総合的かつ有効適切に講ずべき旨を規定したことであります。 第三は、
公害
の
防止
のために国及び
地方公共団体
の
実施
すべき
施策
について規定するとともに、
特定
の
地域
については、
施策
の総合的な
効果
を
確保
するため
公害防止計画
を策定し、その
実施
を推進することといたしております。 その他、
公害
にかかる
被害
に関する
救済制度
の
整備
の促進、
公害防止
についての
費用負担
、
財政措置
並びに
公害防止
のための
行政組織
として
公害対策会議
及び
公害対策審議会
を
設置
することを規定しております。 以上が、この
法律案
の
提案理由
でありますが、何とぞ慎重に御
審議
の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
松澤兼人
4
○
委員長
(
松澤兼人
君) それでは、
発議者衆議院議員角屋堅次郎
君。
角屋堅次郎
5
○
衆議院議員
(
角屋堅次郎
君)
公害関係
二
法案
について、順次御説明を申し上げたいと思います。 まず最初に、
公害対策基本法案
について御説明申し上げます。 私は、ただいま議題となりました
公害対策基本法案
につきまして、
日本社会党
を代表して、提案の理由並びにその趣旨を御説明申し上げたいと存じます。 およそ
公害
は、今日、洋の東西を問わず、
産業経
産の目ざましい発展、人口の
都市集中化
、
交通機関
の高度の
発達等
に伴い、逐年増大の傾向を示し、大きな社会問題、政治問題になっております。したがいまして、いずれの国においても、
国民
を
公害
から守るために、
公害
の予防、排除、救済について、思い切った
措置
を講ずべきことは、まさに
現代政治
に課せられた重大な責務と申さなければなりません。 災害は忘れたころにやってくるということわざがありますが、
公害
には必ず
公害
の
発生源
があり、この
発生源
に対する総合的な
対策
を誤れば、時に
被害
が人命にまで及ぶことがあります。かの有名なイギリスの
ロンドン事件
では、一九五二年十二月五日から九日まで約一週間のスモッグで、四千名にのぼるいたましい
犠牲者
を出しました。また、ベルギーの
ミューズ事件
、
アメリカ
の
ドノラ事件
、メキシコの
ポザリカ事件等
でも相当の死者を出しております。
わが国
では、熊本の
水俣病事件
で四十一名の死者を出し、その原因の
徹底的究明
をあいまいにしている間に、第二の
水俣病事件
が、新潟の阿賀野川で
発生
し、現在大きな社会問題、政治問題になっていることは御承知のとおりであります。いやしくも、
公害
が人命にまで
被害
が及ぶことは
近代国家
の恥辱であり、人道上からも絶対許し得ないところであります。この意味で、二度にわたる
水俣病事件
の
政治的責任
は、きびしく糾弾されなければなりません。
わが国
の憲法は、その第二十五条第一項において、「すべて
国民
は、健康で文化的な
最低限度
の
生活
を営む権利を有する」ことを述べ、同条第二項において、「国は、すべて
生活部面
について、
社会福祉
、
社会保障
及び
公衆衛生
の向上及び増進に努めなければならない」旨規定しております。
わが国
の
公害
の現状を見るとき、はたしてこの憲法の条項は完全に守られていると言えるのであろうか。いなむしろ、
公害
にかかる
国民
の
基本的人権
は全く無視され、侵害されていると断ぜざるを得ないのであります。 今日、
都市
の住民は、
ばいじん
によごれた空気を吸い、
亜硫酸ガス
のために、ぜんそくなどで苦しんでおります。かつては魚をつり、遊泳ができるほど澄んでいた川の水は、工場の廃液や家庭の汚水のために、どぶ川と化しつつあります。また、ジェット機の
交通騒音
のために、静穏な
日常生活
は破壊され、学力の低下や
食欲減退
、高血圧の
増加等
を引き起こしております。
地下水
の過剰汲み上げ等による地盤の沈下は、災害の危険を増大させております。その上、
住宅難
、
交通難
、
生活難
等々が加わるのであります。かくして
都市
の
生活環境
に望まれる安全、健康、能率、快適の条件は、ますます遠のくばかりであります。東京都の
美濃部知事
が、選挙の際、「東京都に青い空を」と都民に訴えて、共感を得たことは、けだし当然のことと申さなければなりません。 日本の
都市公害
が
国際的レベル
において決して好条件にないことは、
降下ばいじん量一つ
をとってみてもおのずから明らかであります。
降下ばいじん量
は、毎月一平方キロ当たりのトン数で表示されますが、東京の二十六・五トンに対し、
ロンドン
は半分以下の十一・五トンであり、大阪の三十三・七トンに対し、
ロサンゼルス
は四分の一以上の七・七トン、ピッツバーグでも半分の十六・四トンであります。その上、
総合エネルギー調査会
や
経済審議会
の答申にもあるとおり、昭和四十六年度の
総合エネルギー需要
が、
石炭換算
で三億七千万トンと昭和四十年度実績の一・六倍に達し、しかも石油が
供給構成
の六八%を占めると見込まれております。したがって、
亜硫酸ガス
の
発生等
による大気の
汚染要因
がさらに増大するわけであり、それに、工場、
事業場等
の増加による
大気汚染
、
水質汚濁等
の
悪化要因
をあわせ考えれば、今後
公害
の予防、排除のため、
総合計画
に基づく
土地利用区分
の設定、
工場立地
の
適正化
、
公害防止施設
の
研究開発
、厳格な
規制等
、なすべきことのきわめて多いことをあらためて痛感するものであります。その際
アメリカ
の
ロサンゼルス
、日本の宇部市など、
大気汚染防止対策
で顕著な成果をあげてきた教訓は、
公害防止
の指針として積極的に取り上げられなければなりません。いずれにせよ、今日我国の
公害対策
が、従来のような
産業偏重
、生産第一主義の姿勢では、これからの
公害対策
の万全を期することはとうてい不可能であり、われわれがつとに
国民
の健康、静穏な
日常生活
、財産及び
農林水産資源等
を
公害
から守るという
大前提
に立ったみずからの
公害対策基本法案
を提示し、
政府
に強く善処を要請してまいりましたのも、責任ある政党の立場として、けだし当然のことであります。
佐藤内閣
も、われわれの強い要請と世論の前に、ようやくみこしをあげ、先ほど
坊厚生大臣
より御説明のありました内容の
政府案
を提案されたのでありますが、
政府案発表
当時あらゆるマスコミがあげて批判したごとく、
経済界
の圧力に屈して、当初の
厚生省試案
より大幅に後退し、およそ
公害対策基本法案たる
にふさわしいバックボーンに欠けていることは、まことに遺憾であります。
政府
は、かつての水質二法、
ばい煙規制法等
で、本来の
公害防止
よりも産業との調和に目を奪われ、ほとんど実効をあげ得なかった過去の誤りを再びここで繰り返さんとしているのであります。われわれは、
わが国
の
公害
の現状と将来に深く思いをいたし、
国民
の
公害対策基本法案
に寄せる期待にこたえるため、最善の努力を尽くさなければなりません。その意味において、われわれの案こそまさに
国民
の期待にこたえる最良の案と信じ、以下、若干
政府案
にも言及しつつ、その内容のおもなる点を御説明いたします。 まず第一は、本法の目的に関する事項についてであります。 われわれの掲げている目的は、そのまますなおに御理解いただけると存じますが、
政府案
には「
経済
の健全な発展との調和を図りつつ」というきわめて重要な字句が挿入されているところに問題があります。この表現は、第一条の目的と第八条の「
環境基準
」に出ておりますが、本来
公害
の
防止
とは異質のものであり、
国民
の
生存権
にかかわる
公害対策
が、
産業界
の要求に道を譲って
公害対策
の万全は期し程ないし、
企業自身
も他の企業の
公害
によって
被害
を受けている事例に徴しても、当然削除すべきものであります。
国民
の健康と福祉の保持が、
事業活動
その他の
経済活動
における利益の追求に優先することを原則としない限り、
公害
の
発生
を
防止
することはできないと思考するからであります。 第二は、
公害
に対する
事業者
の責任を明確にうたっていることであります。本来
公害
は、
発生者責任主義
によって処理すべきものであり、
公害
の主たる
発生源
なる
事業者
は、その
社会的責任
の立場からみても、進んで
公害防止
のための万全の
措置
を講ずべきであります。このことは、われわれの
基本的主張
であるのみならず、
公害審議会答申
、
社会開発懇談会中間報告
、
人口問題審議会
の意見、
国民生活向上対策審議会
の
答申等
の中でも、一致して同様の主張を述べております。従来、日本の
事業者
の場合、
政府
の
企業擁護
の政策と相まち、
公害
に対する
企業責任
の自覚に欠け、あるいは責任を回避する傾向の強かったことは、経団連の「
公害防止対策
の基本的な考え方」の中でも、明らかに読み取れる点であります。
事業者
の中には、日本の
産業経済
や
地域開発
に貢献しているというゆえをもって、ある程度の
公害発生
は大目にという尊大な気持ちがあったり、あるいは、
企業間競争
や
国際競争
に勝ち抜くためには、コストのかさむ
公害防止施設
の設置や所要の
公害防止事業
の実施など、ほどほどにという
企業エゴイズム
の強いものもあります。われわれをして率直に言わしむれば、年間六千億円をこえる
交際費
のたとい三分の一でも四分の一でも、思い切って
公害防止事業
に振り向けるという新しい
企業者モラル
を持つべきだと思うのであります。われわれは、一方で強く
企業責任
を追及する姿勢をとる反面、
責任遂行
に伴う必要な資金の確保及びあっせん、税制上の
措置
、
助成金
の
交付等
の施策は、企業の実態に即して、十分やってまいりたい所存であります。なお、
公害防止
の徹底と
公害
にかかわる
被害
の救済に万全を期するため、
事業者
の無
過失賠償責任
を明らかにしたことは、きわめて重要な点であります。 第三は、国及び
地方公共団体
の責務を明確にし、
公害
の
発生
の
防止
のみならず、
公害
にかかわる
被害
の救済に関する施策を講ずることを明らかにいたしました。 第四は、
政府
が
公害対策
に関する五カ年計画を作成して、国会に提出するのみならず、これを広く天下に公表し、毎年その
実施状況
を国会に報告する義務を課しております。これは、なぜか
政府案
から除かれておりますが、
公害防止
に関する
総合計画
の樹立は絶対必要であり、その
年度別計画
の
実施状況
とあわせ、国会と
国民
にその内容を明らかにすることは、
責任政治
の立場から見ても当然のことであります。 第五は、
公害行政
の
一元化
による所要の
機構整備
をはかったことであります。 すなわち、今回新たに
公害
の
発生
の
防止
に関する
行政事務
及び
公害
にかかわる紛争の処理に関する事務を統一的に、かつ公正に遂行させるため、総理府の外局として
中央公害対策委員会
を置き、この
委員会
に
事務局
及びその
地方支分部局
、
中央公害対策審議会
並びに
公害防止研究所
を置くことといたしております。 また、都道府県または
指定都市
に、
地方公害対策委員会
を置くことができることとし、
地方公共団体
の
自主性
を尊重しつつ、
公害行政
の
一元化
をはかる所存であります。これらの新たな機構には、
技術的職員
の配置を含め、
公害行政
の
一元的運営
に必要な陣容を整備することとし、
公害
に対する
国民
の強い要請にこたえてまいりたいと存じます。 この点について、
政府案
は、現体制の上に
公害対策会議
という、いわば
関係閣僚会議
ともいうべきものを設けるに過ぎず、従来の各省のセクショナリズムの排除、
迅速適確
なる
行政運用
などほとんど期待し得ないことは、過去の実績に徴しても、おのずから明らかであります。 第六は、
公害
にかかわる
許容限度
の設定についてであります。
中央公害対策委員会
は、
中央公害対策審議会
の意見を聞いて、大気の汚染、水質の汚濁、及び騒音のそれぞれについて
許容限度
を設定することとし、その
基本的条件
は、住民の健康、静穏な
日常生活
、財産、
農林水産資源等
が侵害されないようにするため、必要かつ十分なものでなければならないと明確に規定して、
公害
から
国民
を守る国のき然たる態度を明らかにいたしております。しかも、この
許容限度
については、常に適切な
科学的判断
を加えて必要な改定を行なうことといたしております。 第七は、
排出等
の基準の設定についてであります。
排出等
の基準の設定については、
中央公害対策委員会
が
中央公害対策審議会
の意見を聞いて行なってまいりますが、その権限を一部
地方公害対策委員会等
に委任することができることとし、中央、地方を通じ、実態に即した
機動的運用
をはかる所存であります。
許容限度
と
排出等
の基準との関係は、
発生源対策
としてきわめて重要な点でありますが、
政府案
のように両者の関係があいまいで、しかも
環境基準
が
経済
の発展との調和で制約されるようでは、そもそも
環境基準
を設けた本来の意義が失なわれてまいります。その点、われわれの案では、前述の
基本的条件
に適合した
許容限度
をこえないという
大前提
に立って、
発生源
たる
事業者等
の遵守すべき基準を設定してまいるのであります。 第八は、
公害
にかかわる
被害
についての
救済制度
についてであります。 これは、
公害
にかかわる
被害
を受けた
国民
からすれば
重大関心事
でありますが、従来の事例に徴しても、
公害紛争
は、
被害者
と
加害者
の間で短期間の間に処理されることが一般的に困難であり、かつ
加害者
が不特定多数で見きわめがたい場合において、現に
被害者
が
公害
にかかわる死亡もしくは病気という事態も当然予想されます。したがって、われわれは、
公害
にかかわる
被害者
の立場に立って、
救済基金制度
や救済のための
公害保険制度等
の創設を検討し、その結果に基づく
救済制度
を確立して、
公害
にかかわる
被害者
に対する医療の給付もしくは
生活費
の給付または
公害
にかかわる
被害
についての
原状回復等
の救済がすみやかに行なわれるようにいたしたいと存じます。また、
公害
にかかわる紛争が生じた場合における
中央公害対策委員会等
による紛争の処理についても必要な施策を講じ、問題を
迅速適確
に処理してまいりたいと考えております。 最後に、
公害
の顕著な
地域等
における特別の施策については、
政府案
は、
基本法案
の中に
実体法的性格
の内容のものまで含まれていると考えられますが、われわれは、この点については明確に区分し、別に「
公害
の顕著な
地域等
における
公害防止特別措置法案
」として、
基本法案
と同時提案しておりますことを申し添えておきます。 以上が、われわれの提出いたしました
公害対策基本法案
の概要であります。何とぞ慎重御
審議
の上、御可決あらんことをお願い申し上げまして、
提案理由
の説明を終わる次第であります。
—————————————
引き続きまして、
公害
の顕著な
地域等
における
公害防止特別措置法案
について御説明申し上げます。 私は、
日本社会党
を代表いたしまして、ただいま議題となりました
公害
の顕著な
地域等
における
公害防止特別措置法案
の
提案理由
と内容につきまして御説明申し上げます。 すでに
公害対策基本法案
の
提案説明
の際にも申し述べましたように、今日の
公害
による
被害
の
発生
は日に日に増大の一途をたどり、
国民
の健康と
生活
はもとより、その影響は
産業自体
にまで及び、いまや正常な
生産活動
を阻害する事態すら招来せしめているのであります。したがいまして、わが党の
公害対策基本法案
の二十条の規定にございますように、特に現在、
公害
が著しく
発生
し、また今後著しく
発生
するおそれのある地域につきましては、早急に除去または予防を総合的かつ計画的に実施する必要があると考える次第であります。これが、この
法律案
を提出する理由であります。 以下、その内容について御説明申し上げます。 第一に、現に
公害
が著しく
発生
し、または人口及び産業の急速な
集中等
により
公害
が著しく
発生
するおそれのある地域について、
中央公害対策委員会
がその
関係地域
の
地方公害対策委員会
に対して、実施すべき
公害防止計画
の
基本方針
を示して、その計画の策定を指示することといたしました。 また、
地方公害対策委員会
は
中央公害対策委員会
にその指示を求めることができ、
公害防止計画
を作成するにあたっては、
都市計画
その他
土地利用計画
との調整をはかるとともに、
関係市町村長
、住民、
事業者等
の意見を聞かなければならないことといたしております。 第二に、
公害防止計画
の内容は、
公害発生
の原因となる施設の立地及び
土地利用
の規制、さらに国または
地方公共団体
の実施する事業のうち
緩衝地帯
の設置、住居と敷地の買い上げ、家屋と
宅地造成
、
工場移転
、
共同処理施設
、道路、下水道、
汚水処理場
、
清掃施設
、
工場団地
など
公害防止
に関係ある計画または事業を含むこととし、それを推進するために必要な監視、
測定等
の体制の整備について定めることにいたしております。 第三に、
公害防止計画
を達成するために、国及び
地方公共団体
が十分な
措置
を講ずるととはもとより、国と
事業者
はそれぞれその経費の一部または全部を負担することとし、負担すべき
事業者
の範囲と
負担割合
については、
中央公害対策委員会
の定める標準に基づき
関係者
が協議してきめることなど、
所要事項
を規定いたしております。 何とぞ慎重御
審議
の上、すみやかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
—————————————
松澤兼人
6
○
委員長
(
松澤兼人
君) 次に、
発議者衆議院議員岡本富夫
君。
岡本富夫
7
○
衆議院議員
(
岡本富夫
君) 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま上程されました
公害対策基本法案
につきまして、その
提案理由
並びに要旨について簡単に御
説明
申し上げます。
わが国
の
産業経済
の著しい
発展
は、
人口
の
都市集中
及び
都市化
を
増大
し、
都市
の過密、
交通量
の激増と
生産設備
の
拡大増設
は、
住宅難
、
交通難
に加えて必然的に
産業公害発生
の規模を
増大
し、これが
国民
の健康に重大な
被害
を与え、一時も看過できない問題となっています。 すなわち、
国家
のすべての
施策
は、常に
国民大衆
の
福祉増進
をその
目的
とした手段でなくてはなりませんが、
経済
の
高度成長政策
は、
産業経済
の
発展
のみにすべてを
集中
し、
国民生活
の上に
産業公害
をおおいかぶせ、
国民大衆
に最も大切な
健康維持
の上に
犠牲
をしいる結果になったのであります。本来の
産業経済
の
発展
は、常に
国民大衆
の健康の
維持
と
文化的生活
の
向上
を
確保
する
義務
が伴うべきものでなくてはなりません。 ところが、現実は、この
目的
に対する法の
整備
がきわめて不十分であり、今日における全国的な
公害
を招来したのであります。 いまわれわれの急務は、すでに極度に
汚染
された
大気
と
騒音
、振動、河川の
汚濁
と臭気、さらには、人体をむしばんでゆく
有毒物
から
国民
の身体を守り、その
原因
の
除去
に全力を傾注しなければならないことであります。 しかるに、今回上程されております
政府案
には、重大なる問題点が数多くあらわれているのであります。 まず、その
目的
において「
国民
の健康、
生活環境
を守るとともに、
経済
との健全な
発展
との
調和
をはかりつつ」とうたっていますが、
国民
の健康優先をあと回しにし、
経済
発展
いかんによっては
国民
の健康も
維持
できかねるという底意をあらわすもので、大きく法律の
目的
を失うものであり、総理の言う「人間尊重」に相違していると言えましよう。 次に申し上げたいことは、
事業者
の
責任
が不明確である点であります。現行法における
規制
のあいまいさは、
事業
責任
者が社会
生活
の上から道義的に
公害防止
をはかることを裏づけにすべき精神と解せられるものでありますが、現実の
公害
状況は、もはや業者
責任
を明確にしない限り、
公害
を
防止
できないと言えましょう。 また、
被害者
に対する
救済
、損害補償についても
責任
ある手段が明文化されていないことは、政治
責任
をのがれようとする態度であります。 さらに、
環境基準
の
設定
においても
経済
調和
を強調している点は、結論的には、
経済
状態に法的
措置
が大きく左右されることとなります。 このような
理由
において、わが党は、画期的な
公害対策基本法案
を提出し、徹底的に
公害
を追放し、最優先的に
国民
の健康を保護するとともに、
国家
の繁栄に資するべきであるとの
立場
から、本
法案
の御
審議
を願うものであります。 では、その要旨について簡単に御
説明
申し上げます。 その要点は、一、人間性尊重を第一義としたこと。二、
発生
原因
者の
責任
を明確化するとともに、中小
企業
に対する助成
措置
を特にうたったこと。三、
被害者
の
救済制度
の確立をはかったこと。四、行政の
一元化
をはかるとともに、
地方公共団体
にも行政上の権限を与えたこと。 次に
法案
の
内容
についてその概略を御
説明
申し上げます。 第一は、その
目的
において、人間性尊重、大衆
福祉
の
立場
より、
国民
の健康、
生活環境
の保全を第一義として、さきに提出されました
政府案
のように「
経済
の健全な
発展
との
調和
をはかりつつ」という、
人命
と
経済
の並列をなくしたことであります。すなわち
国民
の健康保全があらゆる
事業活動
における利益の追求に優先することを
原則
としたことであります。 第二は、
事業者
、国、
地方公共団体
の
責務
を明確にした点であります。特に
公害発生
の多くを占める
事業者
の
責任
については、無過失
責任
も負うべきことを明らかにし、
公害対策
は、すべての
産業
政策
に優先して策定されなければならないことを明らかにしました。 第三は、
公害防止計画
でありますが、五年ごとの長期
計画
を立案し、その目標を達成するための
総合計画
及び
年度別計画
を作成し、
国会
に提出するとともに、一般にも公表しまた、
実施状況
を毎年
国会
に報告することとして、
公害対策
の
計画
的推進を保障しようとするものであります。 第四は、
環境基準
及び
排出
基準
、及び
排出
基準
の
設定
を行なうにあたっての厳重な規定を設けております。
環境基準
については、諸
条件
等を十分に考慮して実効的な
基準
を定め、かつ運用についてより適切な
措置
が行なわれるよう規定し、
排出
基準
については、今日までの
対策
の実情を考慮し、より適切な
措置
が行なわれるよう
整備
を行ないます。特にこの
基準
は最高のものであって、できるだけ努力すべきことを明らかにし、また、改善命令、停止命令等による
規制
の強化を行なった点であります。さらに、
規制
の強化のみでなく、中小
企業
等に対する助成にも特別
措置
をうたったことであります。 第五は、
公害
に関する研究
調査
については、科学技術の振興、また必要な指導及び助成を行ない、
公害
の
発生
防止
と、
発生
した
公害
に対する
措置
の
実施
を保障するよう規定の
整備
を行ないました。 第六は、
公害
の顕著な
地域
の特別の
施策
についてであります。このような
地域
については、その
地域
の
基本方針
を定め、これに基づいて具体的
計画
を
樹立
し、その達成に必要な
措置
を講ずべきことを規定しました。 第七は、
公害
による
被害
についての
救済制度
の
整備
について、
救済
の遅延、不完全、不履行等を
防止
するため、国が
責任
をもって必要な
施策
を講じ、
事業者
に対する分担金の賦課等の制度を確立し、また
紛争
処理
制度を確立するのに必要な
施策
を講ずべきこととし、
救済
の保障を明確化したことであります。 第八は、
行政事務
及び
紛争
処理
等の
事務
を統一的に、かつ公正に行なうために、総理府の外局に、
国会
の同意を得て任命される
委員
によって組織される
中央公害対策委員会
を置くこととし、
地方
には
地方公害対策委員会
を設けることとしました。特にこの点は、
公害行政
の統合
一元化
ということであり、行政の効率化と行政
委員会
による行政の中立性を
確保
しようとするものであります。 以上、公明党
提案
の
公害対策基本法案
につきまして、
提案理由
並びに
法案
の要点のみを御
説明
申し上げました。何とぞ慎重御
審議
の上、御可決あらんことをお願い申し上げまして、
説明
を終わる次第であります。
—————————————
松澤兼人
8
○
委員長
(
松澤兼人
君) 次に、発議者
衆議院議員
折小野良一
君。
折小野良一
9
○
衆議院議員
(
折小野良一
君) 私は、民主社会党を代表いたしまして、ただいま上程されました
公害対策基本法案
の
提案理由
並びにその
内容
につきまして、簡単に御
説明
申し上げます。
わが国
経済
の目ざましい
発展
は、一面におきまして、多くの
国民
の
犠牲
の上に成り立っていると申すべきであります。かかる
高度成長政策
のひずみとして続発する
公害
は
国民
の健康をむしばみ、
生活環境
の悪化はゆゆしい社会問題を惹起しているのであります。しかも、
産業
の
集中
と
人口
の過密化は、これに対する適切な
施策
のないままに、
公害
の恐怖とその害毒をますます慢延させているのであります。したがいまして、
公害
の
防止
は、
国民
の健康を守り、
財産
を守り、よき
生活環境
を
維持
する上で、何をさておいても早急に解決されなければならない国政上の最重要課題の一つであると確信いたしますが、現実は、その
施策
の裏づけたるべき法の
整備
が不十分なために、
公害
を全国的に野放しにする結果を招いているのであります。 すなわち、現行法制におきましては、第一に、
公害
と認定される統一された規定がなく、そのため、
公害
排出
に対する
規制
が円滑に遂行されておりません。 第二に、
公害
の
防止
に関する
事業者等
の
責務
があいまいでありましたがために、
公害
の事前の
防止
はもとよりのこと、
被害
補償や苦情
処理
等の
救済
も非常におくれているのであります。 第三に、
公害
に関する基本的
事項
が定まっていないため、現在の
公害
関連法律はすべて事後法であり、事前にこれを
防止
するという十分な法的
措置
がとれない状態にあります。 以上の諸点から、今日の
事態
は
公害
を抜本的に
防止
するための
基本法案
の制定を切実な問題として
要請
しており、本案を提出する
理由
は、まさにここにあるのであります。 次に、
法案
の
内容
につきまして、その概略を御
説明
申し上げます。 第一は、その
目的
において、この基本法は、
国民
の健康と
生活環境
を守るために、総合的かつ十分な
対策
が講ぜられなければならないことを明確に規定いたしたのであります。すなわち、
公害対策
についての人間尊重と社会正義の
立場
を宣言したものであります。 第二は、
事業者
。国・
地方公共団体
等の
公害
に対する
責務
を明確に規定した点であります。特に、
公害
原因
者である
事業者
の
責任
について、故意過失にかかわらず
責任
を負うべき旨を明らかにし、
公害対策
についての
施策
はすべての
産業
政策
及び
企業
利益に優先して策定され、及び
実施
されなければならないことを明記いたしました。 第三は、
公害
の
発生
の
防止
に関する
計画
等についてでありますが、十年ごとの長期目標を定め、この目標を達成するための
総合計画
及び
年度別計画
を作成し、これを
国会
に提出するとともに一般に公表し、または
実施状況
を毎年
国会
に報告することとして、
公害対策
の
計画
的な
実施
を保障しようとするものであります。 第四は、
許容限度
の
設定
と
排出等
の
規制
を行なうための
基準
の
設定
について、明確かつ厳重な規定を設けております。
許容限度
については、
地域
の用途別、水域の利用
目的
別、昼夜の別、
人口
密度等を考慮して実効的な
基準
を定め、かつ運用について適切な
措置
がとられるよう規定し、
排出
基準
については、今日までの
対策
の実情を考慮し、より適切な
措置
が行なわれるよう規定の
整備
を行ない、特にこの
基準
が最高限度のものであって、できるだけそれ以下にするようにつとめるべきことを明らかにし、また、改善命令、停止命令等による
規制
の強化を行なったのであります。 第五は、
公害
に関する研究
調査
について、科学技術の振興をはかり、必要な指導、助成を行ない、
公害
の
発生
防止
と、
発生
した
公害
に対する適切な
措置
の
実施
を保障するよう必要な規定の
整備
を行なうことといたしました。 第六は、
公害
の顕著な
地域等
における特別の
施策
についてでありますが、このような
地域
につきましては、その
地域
の
公害防止
の
基本方針
を定め、これに基づいて必要な具体的
公害防止計画
を
樹立
し、その達成に必要な
措置
を講ずべきことを規定いたしました。 第七は、
公害
による
被害
についての
救済制度
の
整備
につきまして、特に現実問題として、その
原因
並びに
責任
の不明確であることによる
救済
の遅延、不完全、不履行等を
防止
するため、国がその
責任
において必要な
施策
を講じ、自後
事業者
に対する分担金の賦課等の制度を確立し、また、
紛争
処理
制度を確立するのに必要な
施策
を講ずべきこととし、
公害
による
救済
の保障を明らかにいたしました。 第八は、
公害対策
についての
行政事務
及び
公害
にかかわる
紛争
処理
等の
事務
を統一的に、かつ公正に行なうために、総理府の外局として、
国会
の同意を得て任命される
委員
によって組織される
中央公害対策委員会
を置くこととし、その下に各都道府県及び
指定都市
に
地方公害対策委員会
を設けることといたしました。特にこの点については、行政
機構
の統合
一元化
による行政の効率化と行政
委員会
による行政の中立性を
確保
しようとするものであります。 以上、民主社会党
提案
の
公害対策基本法案
につきまして、
提案理由
並びに
法案
の要点のみ御
説明
申し上げました。何とぞ慎重御
審議
の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
松澤兼人
10
○
委員長
(
松澤兼人
君) 以上五案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
—————————————
松澤兼人
11
○
委員長
(
松澤兼人
君)
産業公害
及び
交通対策樹立
に関する
調査
を
議題
とし、
産業公害対策
に関する件について
調査
を行ないます。 これから質疑のおありの方の御発言を願うわけでございますが、先ほど理事会の御了解を得ましたので、私からごく簡単な質問をすることをお許し願いたいと思います。 それは、愛知県に起こっております佐屋川かんがい用水の問題で、約十万戸の農家の方々から、三興製紙
工場
の排水のために田植えができないということを、
委員会
あて、または
委員長
あてに陳情がございましたので、簡単に、それぞれの所管の役所に御質問申し上げたいと思います。 おそらく、これは
工場
の
関係
から言いますと通産省、それから水の
関係
から言えば
経済
企画庁、用水の
関係
から言えば農林省ということになるかと存じますが、実際にどのような
事態
が
発生
しているか、さらにはどのような
対策
を現にとっておられるか——これにつきまして、順次
関係
の官庁の方々からお伺いいたしたいと思います。私は
委員長
の
立場
でございますので、質疑の繰り返しはいたしませんので、
現状
と
対策
、どうなっているかということを簡単に御
説明
、御答弁をいたがきたいと思います。
目崎初美
12
○
説明員
(目崎初美君) 現況と、現在とっております
対策
の
概要
を御報告いたします。 けさ現在、私どもが出先の東海農政局を通じて聴取いたしました状況を申し上げますと、この問題はいろいろな側面からとらえることができるのでございますが、一つは、木曾川の河川の流量が非常に減っております事実でございます。あわせて、ちょうど植えつけの時期でございまして、佐屋川用水から取り入れております
関係
面積が約千五百町歩ございます。だんだんと田植えの最盛期に入ってまいっております。そこで、現在
工場
の廃液の濃度は、当初、
水質
の
基準
で定められた線をおおむね守っておるやに聞いておりますけれども、水量が減りましたために、取水地点におきまして相当の
汚濁
をいたしておるわけでございます。そこで、
現状
といたしましては、何とか
工場
の廃液をとめるということを
措置
していただきたい、あわせて、でき得れば河川の流量を
増加
する
措置
が好ましい、こういう二点が当面の問題になるわけでございます。 農林省といたしましては、まず水量に対する
対策
といたしまして、佐屋川の取水地点にポンプを応急的に増設いたしました。これが平常ならば、自然流下で取水せきから河川流星が入ってくるのでございますけれども、水量が減っておりますので、特にポンプを使いましてこれを揚水せざるを得ないのでございます。六月の十四日ごろから逐次ポンプをふやしまして、現在では十五台のポンプを臨時に運転をいたしております。現在、おおむね三トン・毎秒程度の取水をいたしております。さらに、十七日ごろから二十五台のポンプを
設置
いたしまして、毎秒四・五トン程度の水を取水する予定で目下進めております。この
措置
ができますならば、現在の流量だけから見ますと十分ではございませんが、おおむね、植えつけ用水には支障はないものと思われます。水量的に見ますと、そういうことが言えるのでございます。 第二の点は、先ほども申しましたとおり、
水質
が悪くなっております。この点につきましては、通産省のほうに特に私どもお願いをいたしまして、出先の通産局にいろいろごあっせんいただきまして、県と、
関係
の佐屋川土地改良区及び東海農政局がよく現地で相談をしていただきまして、私どもが現在聞いておりますところでは、かなり
工場
側で
措置
をいたしてくださっているようでございます。 具体的な
措置
は通産省側から御報告いただければありがたいかと思いますけれども、これに関しまして、なお地元側の土地改良区の要望の点で、私どもいささかこの機会にお願いを申し上げておきたい点を御報告させていただきます。 出先機関からの報告によりますと、この十八日から二十一日の間の用水の取水が一番重要な時期になるやに聞いております。この時期におきまして、現在三興製紙の
施設
が五台あるのだそうでございますが、そのうち一台程度は操業を中止していただけるというような手はずになっているそうでございますが、さらに二台ほど追加して操業停止できないだろうかということを強く地元の土地改良区から要望いたしております。ところが、この点に関しましては、先出機関のお打ち合わせの結果では、会社側のほうでも誠意ある努力をされているようでございますけれども、その他の
措置
とあわせまして、この部分については目下のところなかなか困難であるという意向を示しているようでございます。土地改良区のほうの要望といたしましては、他の部面において会社側がかなりの努力をいたしてくれましたので、それほど強く十八日から二十一日の部分についてさらに追加して二台の機械の操作停止について申し入れるつもりもないようでございますけれども、私どもが判断いたしましたところでは、ぜひこの二台の操業停止が好ましいと考えますので、できるだけさらに御配慮をいただきたい、かように考えます。ただし、地元
関係
のほうで、今後の植えつけ状況の推移いかんによりましては、話し合いが落着いたしますれば、農林省として特別の支障はないかと考えます。 次に、河川の流量そのものをふやすという
措置
でございます。この点につきましては、木曾川の上流にございます発電
関係
のもろもろのダムがあるわけでございます。これらのダムの水を緊急放水していただく
措置
が考えられるのでございます。この点につきましても、東海農政局に指示をいたしまして、
関係
の土地改良区あるいは地建、関西電力、愛知県等でよく協議するように指示をいたしました。
関係
の出先機関が協議をいたしているわけでございますが、発電側にも、現在木曾川の本流の流量が絶対的に少ないという事実もございまして、発電用水にもかなり支障を来たしているという状況のようでございます。地元
関係者
の間では、この緊急放水ができるかどうかについては、なお研究中の由に聞いております。
中央
でこの問題を判断することはなかなか困難でございます。よく現地機関で誠意をもって検討を加え、今後必要に応じまして放水等の
措置
ができるように御配慮願えればよろしいかと思います。特にこれを要望する次第でございます。 現時点までで、私どものほうで現地機関から報告を求めました事情並びに現在までの
措置
は、以上のとおりでございます。 以上で終わります。
松澤兼人
13
○
委員長
(
松澤兼人
君) 次に、
経済
企画庁の松本水資
源局長
。
松本茂
14
○
政府委員
(松本茂君) 木曾川にございます名古屋市の上水道の取り入れ口でございます朝日取り入れ口から下流を
水質
保全法では木曾川下流水域といたしましてこれを指定水域にいたしまして、
昭和
三十八年の七月から
水質
基準
を適用いたしておるわけでございます。その際には、河口地帯にございますノリに対する影響、同時にまた佐屋川用水取り入れ口の
水質
、こういった点を考慮いたしまして
水質
基準
を決定いたしたわけでございます。しかるに、その後木曾川の水流が変わってまいりまして、左岸のほうに偏流するようになってまいりました。また
工場
の
施設
が増設されまして、
排出
される水の量が三割ほどふえてまいりました。そういうふうに事情が変わってまいりましたために、この佐屋川取り入れ口の
水質
がその後だんだん悪くなってきておる状況でございます。こういう事情になってまいりましたので、この下流
地域
の
水質
をどういうふうに改善していったらよろしいかという点につきまして、
水質
審議
会におきましていろいろな方々の御
意見
をお伺いいたしまして検討いたしますと同時に、通産省、それから愛知県等、
関係
行政機関に対しまして、具体的に
工場
においてどういう
汚水
処理
をされるか、またすべきであるか、そういった点についての研究と指導をお願いして今日に至っておるわけでございます。現在までのところ、通産省をはじめ、行政機関の指導によりまして、会社のほうも黒液分離装置を
設置
いたしますと同時に、引き続き、この分離いたしました黒液を濃縮燃焼いたしまして、その
水質
の保全をはかっていくという方向で、いろいろ具体的な検討が行なわれておるという状況でございます。
経済
企画庁といたしましては、その行政指導によりましてどういう具体的な
措置
が行なわれるか、また、そういった方法によりまして具体的にどの程度の
水質
に
工場
排水がなるか、そういった点と、また、下流のそういった農業なり、あるいはまた、水
産業
の観点から見まして保全すべき
水質
の
基準
としてどの
水質
基準
を求めるべきか、そういった点を十分検討いたしまして、できるだけ早い機会に
水質
基準
を改訂することにいたしたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
松澤兼人
15
○
委員長
(
松澤兼人
君) それでは次に、通産省の馬場
産業
立地
部長。
馬場一也
16
○
説明員
(馬場一也君) 御報告申し上げます。三興製紙の祖父江
工場
の工業排水と農業用水の
関係
でございますが、先ほど来農林省のほうからお話のございましたような
現状
でございまして、本年度非常な異常渇水期でございますために、私どもの聞いておるところでごさいますと、この木曾三の流量は普通でございますと毎秒大体三百四、五十トンという流量があるのでございますが、六月十四日現在ではそれが五分の一ぐらい、七十三トンという程度にまで激減をしまして、したがいまして、
工場
側の排水は通常でございましても、それを希釈する流量が非常に乏しいということで、非常なかんがい期に当たっておりますので、農業側のほうから強い御要望があるという、こういう実情でございます。具体的に申しますと、六月の七日に地元の通産局に対しまして、農業側から当面の問題を会社側の操業休止によって解決をしてくれという——操業休止によって解決をしてまいりたいという御要望がございました。さらに六月の十日だったと思いますけれども、農民の組合の方が御上京になりまして、私ども直接に状況を伺いまして、それらを勘案いたしまして、私どものほうから地元の通産局に、当面の問題としてこのかんがい期に対しまして、非常な渇水期でございますので、特別の
措置
として会社側にもできるだけの指導をするようにという指示をいたしました。今週の初めから、通産局のほうが会社側と二、三度会談をいたしました。当初会社側が提示しておりました操業休止——臨時に休止する期間というのは、大体主力機械につきましては六月二十二日から三十日まで操業を休止するということ、これを会社側が申し出ておりましたのでございますが、これをさらに御要望によって繰り上げまして、主力機械を十四日の夜から十七日の夜まで——これはまる三日間になるかと思いますけれども、休止するという、会社側にとりましては従来提示の線よりもさらに操業休止の期間を繰り上げるということを、会社側は承諾をいたしまして、それで大体当面のかんがいには差しつかえないということで、農民側も了承したというような状況でございます。 御参考までに申し上げますと、この三興製紙祖父江
工場
から排水されます
水質
は、この操業休止以前、つまり六月十三日現在におきましては、COD七五八PPMという状況でございました。その主力機械を操業休止いたしました十五日現在になりますと、それは操業が落ちましたので、二〇〇PPMという状況で非常に低下をいたしております。こういう状況でございますので、一応現在の大事なかんがい期における、しかも異常渇水期という状況におけるかんがいにつきましては、何とか農業側の御要望に沿えておるんじゃなかろうかというふうにわれわれは承知をいたしておるのでございます。さらにまた、ただいま農林省から御
説明
のありましたように、地元の農業側からはさらにこの主力機械の操業休止を二十一日まで延長してもらいたいという付帯的な御要望もあるようでございますけれども、会社側といたしましては、この主力機械は全
生産
量の大体半分をこれで出産する主力機械でございますので、十五日から十七日まで繰り上げて休止をいたしまして、二十一日まではひとつ会社側としてはぜひ稼働いたしたい。二十二日以降月末までは当初お約束いたしましたとおり、さらにこれを操業休止するということを会社側のほうは申しておりまして、この辺の具体的な状況につきましては逐次地元におきまして双方の御事情を把握いたしまして、大体これで差しつかえないものというふうに判断をいたしておりますが、今後、
工場
側の排水状況その他の、通産当局のほうでは状況を常時十分把握をしていくという状況でございます。 なお、これが当面の渇水期の緊急
措置
でございますが、この祖父江
工場
の排水はこの木曾川に、ただいま企画庁の御
説明
がございましたように、三十八年に
水質
基準
をきめられまして、平常時のきめられました
水質
基準
と、
工場
側の
水質
基準
は十分この
排出
水質
基準
以内にあるわけでございますけれども、先ほどお話のありましたように、木曾川の河床低下あるいは中州の状況が変わりましたというようなことで、従前木曾川の河口へ主として流れておりました排水が、農業用水の佐屋川の取り入れ口に転流したというところに新しい問題が出てきたわけでございますが、これらの
事態
にかんがみまして、会社側のほうでは、単に
水質
基準
を守っておるということだけではいけないということで、これは昨年来、通産局から指導いたしまして、会社側のほうといたしましても、たいへん技術的にはむずかしい問題でございますけれども、このパルプの黒液燃焼装置を急遽
設置
するということを取りきめまして、濃縮燃焼装置でございますが、この装置をつけますのに六、七億かかる、非常に膨大な経費を要するのでございますが、これを四十三年末までに取り付けるということにきめておりまして、これを取り付けますと、この
水質
は、現在
水質
基準
が一一〇〇PPMでございますけれども、これを四五〇PPMまでに低下し得るということで、大いに努力をいたしておるのでございます。さらにまた、これは四十三年までかかりますので、その周の期間といたしましては、ことしプレスファイナーというのを一台導入して、黒液を抽出をして、一応穴にためておき、それを逐次船に積みまして、差しつかえない海まで捨てにいくというような
措置
までやっておりまして、会社側といたしましては、大体資本金五億ぐらいの会社でございますが、その
水質
基準
以下に下げることにつきまして、会社側としましては一応精一ぱいの努力をしておるというふうにわれわれは判断をしています。
松澤兼人
17
○
委員長
(
松澤兼人
君) ありがとうございました。それぞれの
関係
官庁及び出先の方々、御尽力いただいてありがたく存じます。 なお、これで全部が解決したわけじゃございませんから、さらに円満な妥結を見るように御努力願いたいと思います。
成瀬幡治
18
○成瀬
幡治
君 関連でございますから簡単に伺っておきたいと思うのですが、御案内のとおり、ここが穀倉地帯であることは私が申し上げるまでもない。また弥富の金魚、金魚で有名なところです。そこで、
責任
は会社にないということになるのですね。
水質
基準
等を守っておる、ですから、
責任
、手落ちというものは会社になかったのだ、そういう観点をとられるものなのか、どうなんでしょうか。その辺のところをひとつ、まず明らかにしていただきたい。それはどこになるか。これはいわゆる
水質
ということになるなら、経企になるのか通産になるのか、どちらになるのですか。
馬場一也
19
○
説明員
(馬場一也君) ただいま私、御報告申し上げました
水質
基準
一一〇〇PPMというのは、
水質
保全法によりまして企画庁がこの川についておきめになった、いわば
規制
基準
でございます。で、ただいま私が御報告申しましたように、平常時の
水質
基準
はその
水質
基準
以内にもちろんおさまっておりますし、さらに他面、臨時の渇水期等で、操業を一時休止することによりまして、さらに平常時の約三分の一程度にとどまっておる、こういう状況でございます。むろん、この
水質
保全法の
水質
基準
というものは、いわゆる公的な
規制
法の
排出
基準
でございますから、これをこれ以上に出すということは、むろんその
水質
保全法なり、あるいは
工場
排水法違反でございまして、これは当然公的
規制
を守らなければいかぬことは当然でございますが、同時に、この
基準
以内に出しておりましても、具体的にいろいろな農業その他に御迷惑をかけるというような問題は、これは
基準
を守っておる守らないということとは一応別問題に私どもは存じております。したがいまして、ただいまのような異常渇水
事態
に対しましては、会社側といたしましても平常時の状況を——できるだけ操業を休止する、その他の応急
措置
をとりまして、そうして農業側にできるだけ御迷惑をかけないように、いわば農業と紙パルプ工業とのお互いの操業を、まあひとつできる範囲まで譲り合って、そうしてお互いにひとつ差しつかえのないようにやっていく。こういうことをやりますのは、これはこの
水質
保全法の公的
規制
の以内でございましても、必要に応じてお互いに話し合ってやるべきことだというふうに存じております。
成瀬幡治
20
○成瀬
幡治
君 いや、
責任
はどこにあるかということだけ明らかにしてもらいたい。話し合ってやるのだとか何とかいうことじゃなくて、
責任
は……。そういうふうに法律を
工場
側は守っているのだ、だからわしのほうが操業を停止してやるのは、農民に対して一つの恩恵を与えるという、そういう態度なのか。そういう場合には、操業を停止するというのがあたりまえの話になるのか。そこのところをびしっとしてもらいたい。そうでないと、いわゆるざる法で、今度
提案
されております
公害対策
基本法も同じことで、ざる法ばっかりふえたって
意味
がない、そういう一つのモデルになってくると思う。ですから、そこのところを明らかにしてもらいたい。こういう
意味
で質問申し上げておるのですから、そこのところをびしつとしてもらいたい。
馬場一也
21
○
説明員
(馬場一也君) 先ほど来、企画庁のほうから御
説明
もございましたように、どの川でもそうかと存じますけれども、
水質
基準
をきめますときには、その川の水がどういう状態にあることがいいのであるか、具体的に申せば、この
水質
基準
は河口におきますノリその他の漁業に対する
水質
であれば支障がないということを
基準
に
水質
基準
がきめられておる、こういうぐあいに承知をいたしておるのでございます。したがいまして、この
水質
基準
以内に会社が操業しております場合には、平常時におきましてはおそらく、ほかの農業、漁業に御迷惑をかけることはないはずでございます。ただ、本年度のようなこういう異常渇水時期ということになりますと、まあ
水質
基準
は、こういうような異常に流量が減ったときの流量を予想してつくられたものでございませんので、この場合には、会社側のほうで平常の
水質
基準
を守っておるからという一点張りでは、これはいけないかと思いまして、その場合にはやはりそういう状態に対応して臨時に御迷惑をかけないような
措置
をする。お互いに、農業のほうの御要求を受け、あるいは会社側のほうもそれに対してなし得る限りのことをするというのは、当然のことかと存じております。
成瀬幡治
22
○成瀬
幡治
君 そうすると、こういう異常の
事態
が
発生
をした場合にも、その
責任
は
工場
側にあると、この点は明らかですね。そういうふうに言い切っていいですか。
馬場一也
23
○
説明員
(馬場一也君)
責任
というのはどういう
意味
の
責任
か、私よくわかりませんが、普通の状態で川が流れております場合には、企画庁がおきめになりました
水質
基準
を守っておれば、他の
産業
の支障にならないというのが
水質
基準
であろうかと存じますので、その場合におきましては、この
水質
基準
以内にこれを守るということが大体においてその
産業
としてなすべきことを一応果たしておる、こういう
関係
になるかと思いますが、しかし、この水量が異常渇水によって非常に激減をしたというのは、これはまあいわば天然自然の現象でございますので、天然自然の現象で会社側の罪にも帰せられない、あるいは農業のほうの事情でもないというような、いわばお互いに予想しなかったような
事態
が起きましたときには、これはもうだれに
責任
があるか、これは会社側の
責任
で渇水になったのではなかろうと思いますけれども、しかし、そういう
事態
に対応して、そのときにはお互いに迷惑をかけないという状況には、どういうふうにしたらいいのかということをお互いに話し合って、会社側も操業を休止するということはたいへんつらいことでございますが、同時に、農業に必要なかんがい用水が一定の
水質
で異常渇水の場合でも保たれるということは、これまた大事なことでございますから、その
関係
をどうやって
確保
するかという問題は、これは基本的に申しますればやはり両者が話し合う、もしその話し合いについて必要がございますれば、通産局なり、
関係
の役所がそれに対してごあっせんをするとか、あるいは話し合いの仲介をするというのが、まあ両者の
関係
を円滑にする道ではなかろうか、かように存ずるのでございます。
成瀬幡治
24
○成瀬
幡治
君 これは先ほど農林省のほうが、いみじくも要望ということを言っておいでになる。法律に従って云々することができないことは私も承知しておるのです。それは
水質
基準
というもの、あるいは
工場
排水
規制
法というものには、増設されたときにはどうするとか、いろいろなことがないわけですね。水が減ったり、いろいろなことがなくて、まあ簡単にいえば法律はあるけれども、
産業
優先のような形になってしまっておるところに問題があったり、あるいは何か工業
立地
適正化
法案
ぐらいが用意されておるようですけれども、いろいろなことをして努力をされようとする、そういうこともわかるわけです。しかし、現実にこういうことが起きたということになれば、これはもう何としても譲り合って、そしてしかも片方は三百六十五日とはいわないけれども、
生産
は取り返しができるものだと思う。田植え時期というのは一定の期間しか許されない。これは延びたらたいへんなんです。ですから、そういう場合には、どちらを取るかということになれば、なるほどそれは工業
生産
がたいへんなことだということはわかるわけです。わかるわけですけれども、それは譲ってもらわなくちゃならぬと思います。ですから、農民のほうからなお強い要望等が出てくる、あるいは地元の農政局等のほうから強い要望が出れば、あなたのほうの通産
関係
のほうの
姿勢
としては、機械をとめさしても田植えはさせると、こういう考え方でございましょうか。
馬場一也
25
○
説明員
(馬場一也君) 刻々の状況でございますので、流量もたぶん刻々変わっておりますし、こういう刻々の具体的な現場の状況というものは、われわれ
東京
におりますと的確に把握できませんので、ただいま先生のお話のようなことが今後起こってまいりましたらば、この渇水期に対してただいま述べましたような精神で、ひとつ現場、現場の具体的な状況に応じまして、実情に即した
措置
をとるように調産局として指導したい、かように考えます。
成瀬幡治
26
○成瀬
幡治
君 ポンプ・アップ等を盛んにされて渇水に備えるとともに、まあそういうものが薄くなるようにと申しましょうか、そういう努力をされてもおりますが、しかしそれは、そういう努力はうんとしていただかなきゃならぬとともに、万が一それでもなおかつという場合は、いまあなたがおっしゃったような、そういう
姿勢
で取り組んでいただくことを、私も心からお願いをしておきたいと思います。 それから、そうでないと——何といったって、あそこの穀倉地帯はほんとうにまあ田植えの時期としてはおそくなっておる。しかも気候があれですから、時期を失したら取り返しのつかないことになると思いますから、そういうことでやっていただきたいと思います。この際のことですから、あとは基本法の
審議
のときに、いろんな点でまた
意見
を交えつつ質問をしていきたいと思いますが、ああこれは
水質
保全法はりっぱなものだ、
工場
排水
規制
法というものはいいものだ、だからここら辺のところはあまりなぶらんでもいいという考えをお持ちなのか。こういうようなこと、これは出た一つの例でございますが、私はまだほかにもあろうと思うんです。そういうことについて、いままで運用もしてお見えになったろうと思うんです。たとえば
水質
の保全のほうは
昭和
三十三年から施行されておるし、
工場
排水
規制
法も三十三年からやられておるわけですから、いままであなたたちが実際にこれが運営に当たられて、なるほどりっぱなものだと、これで大体手落ちがないというふうにお考えになっておるのか、いろいろな困難な問題があるんだ、ここらあたりは再検討しなくちゃならぬというふうにお考えになっておるか。その運用をいままでやってお見えになりました、過去まあ約十カ年。初めてこの問題が出たわけじゃございません。ですから、そういうことについても何か御感想があるなら、この際承っておきたいと思います。
松本茂
27
○
政府委員
(松本茂君)
水質
保全法が制定されまして、
実施
に入りましてから、かなりの年月を経過いたしたわけでございますが、最近
公害防止
につきましての基本法が成案を得まして目下御
審議
を受けておる、こういう状況でございます。
対策
基本法が成立いたしますれば、これは公等に関しましての基本的な国の
姿勢
を示すものでございまして、
公害
に対する
施策
は今後この精神にのっとり、またこの規定に即応してやっていくと、こういうことになるわけでございます。
水質
保全法はそれに対しまして一つの
実施
法になっていくわけでございますから、基本法が確定いたしますれば、それに応じまして、それに即して
水質
保全法も必要な点があれば改正していく必要があろうと、こういうふうに思っております。そういうことで、現在具体的に問題点がないかどうか、いろいろ検討いたしておるところでございますが、たとえば
目的
のところ、あるいはまた、今度基本法におきまして
環境基準
という考え方が確立されておるわけでございますが、まあ流水
基準
ということで、いままでにすでに運用におきましては
環境基準
におおむね相当することは想定してやってまいったわけでございます。今度新しくそういうふうに
環境基準
ということが明定されておりますので、それに関連する規定をやはり
水質
保全法に制定する必要があるのではないかと、こういうふうにも思われます。また、
規制
の対象といたしまして、現行の
水質
保全法は
特定
施設
を持っております
工場
、
事業
場、鉱山、水洗炭業の
事業
場、それから下水
処理
場、こういったものを対象にいたしておるわけでございますが、今度新しく
防止
法が制定されますと、廃油
処理
場あるいはまた屠殺場、へい獣
処理
場、し尿
処理
場、そういった河川を
汚濁
する、一つの経常的に
事業
を行なっております
施設
がいろいろあるわけでございますが、そういったものが現在その対象に入っておりませんので、そういったものをもこの保全法の中に取り入れていくべきではないか、こういうふうに考えられます。そういった点を総合いたしまして、その結論に応じまして
所要
の改正を加えていく必要がある、こういうふうに思っております。
戸田菊雄
28
○戸田菊雄君 具体的な質問に入る前に、これは
内閣総理大臣官
房になるわけですが、
公害
という概念についてひとつ
説明
をしていただきたいと思います。
仲矢鍛
29
○
説明員
(
仲矢
鍛君) ただいまお尋ねのありました
公害
という概念はたいへんむずかしい概念でございまして、何をとらえて
公害
と申しますか、まあ
公害
ということばは、たいへん失礼でございますけれども、これは英語のパブリック・ニューサンスということばを
日本
語に訳した「公の害」ということばを書いておるわけでございます。ただ、元来公という字を使う
意味
は、不
特定
多数の
原因
で、だれがどういう形で出したのかわからない、けれども、とにかく何らかの現象が出ている。たとえば煙のようなもの、これは
工場
の煙突から出る煙もございましょうし、家庭の暖房の煙もございましょうし、あるいは自動車の排気ガスの中にまじっている煙もございましょうし、そういういろんな現象がまじって一つの煙、
大気汚染
という現象を生じて、それでまた、
特定
の人ではなくて、不
特定
多数の人がそれによって
被害
を受けておる。そういう、出たところも受けるところも、きわめて不
特定
多数でばく然として、悪いことばを使いますと、だれが犯人かなかなかきめにくいというようなものを、パブリック・ニューサンスということばであらわしておるのが、通例だと考えております。ただ、これはまあ語源的な
意味
で申し上げたわけでございますけれども、現実に
わが国
で
公害
と言われておりますのは、いわゆる不
特定
多数の
原因
による不
特定
多数者の
被害
だけを
わが国
で
公害
と言っているかと申しますと、必ずしもそうでございませんで、これは
事例
は非常に悪いのでございますけれども、
工場
がある
地域
に一つしかない。その
工場
の煙突から出る煙、これによる害につきましても、これを一般に
公害
と呼んでおります。この呼び方が語源的に正しいかどうかということは、これは語源的な
意味
での判断はあろうかと思いますが、社会感情としましてはどうも不
特定
多数のものでないと
公害
とは言わないという、そういう
日本
語としての感じはないようでございまして、多くの人が何と申し上げますか、じわじわと目に見えないような形でいつの間にか
被害
を受けている。その
被害
を持っていける場所というものが、因果
関係
その他で画然としないようなもの、そういうものをとらえて
公害
と言っておるのが通例でございます。それからもっと極端な例を申し上げますと、ときどき新聞などをにぎわしております、野犬が郊外の荒れ地あたりに跳梁いたしまして子供にかみついたりしている
事例
、こういうのをとらえて、これも
公害
だというような言い方をしている例もございます。 そういうふうに、
公害
ということばは、比較的
人口
に膾炙しておることばではございますけれども、現在の社会通念的な
意味
での
内容
がはっきり固まっていない。その辺が実は
公害
という問題を
処理
する上での一番むずかしい問題でございます。それで
公害
基本法をつくりますときにも、
公害
というものの定義をどうすればいいのかという議論があったわけでございますけれども、一応何と申し上げますか、語源そのものの正確さを全く捨てたわけではございませんけれども、社会通念というものに従いまして、できるだけその社会通念に近いような考え方で、
発生
者が不
特定
多数であるのか不
特定
少数であるのかということに、あまりとらわれないで、むしろ何らかそういう形の
原因
によって不
特定
多数の人が
被害
を受ける、その
被害
の受け方がかなり不
特定
多数の広範囲にわたる、そういうものを
公害
ということに考えたらどうか。現在の
日本
の社会感情としてはそういうとらえ方が一番妥当なんじゃなかろうか。基本法では
公害
というものをとらえるのにあたりまして、そういう考え方をとったわけでございます。
戸田菊雄
30
○戸田菊雄君 この問題にあまり時間をとりたくないが、何か結論はあまり抽象的で、ぴりっとしないのですけれども、世界保健
機構
あたりでは、いまあなたが
説明
されたようなことは全然言ってないのですね。そういう問題については国、
地方
自治体あるいは
企業
、こういうものがすべて適切な
救済
措置
といいますか、そういうものを含めて
対策
をとるべきだ、こういうことを明確に言っているわけです。そういうことは、あとで基本法等の問題についていずれ具体的に伺ってまいりたいと思いますが、私が聞いたのは——具体的に出ておる問題についての補償、
救済
、こういうことについて国がやっていることは皆無にひとしい。そういう
事態
の中で、一体
公害
というものについてどういう認識を持っておるかということを聞いたのですが、あまり明確には出ておりません。これは具体的な問題について進める中で伺ってまいりたいと考えております。 それで、第一にお伺いをすることは航空局
関係
です。運輸省からも来られておりますからお尋ねしたいと思いますが、最近ジェット機の
騒音
が市民
生活
に非常な影響を与えている。今後もおそらく航空ということが相当拡大
発展
することは間違いないと思う。ことにジェット機の運航というものも
増大
することは間違いないと思うのです。そういうジェット機
騒音
に対して、ことに四発ジェット機でありますが、これらが離陸するときに一体何ホンぐらいの爆音が
発生
するのか、その辺が一つであります。それから、たとえば羽田なら羽田の飛行場一つとって見て、その爆音というものはどの辺まで
地域
的には影響を与えているものか、その辺の問題が一つあります。それから、たとえば牛が乳が出ない、鶏が卵を産まぬということがあると思いますが、こういうものに対して爆音の
被害
というものがあるかどうか、こういう問題について具体的にひとつお答えを願いたいと思います。
梶田久春
31
○
説明員
(梶田久春君) ただいまの御質問の第一点につきまして、
東京
並びに大阪の国際空港におきます
騒音
の状況でございますが、
東京
国際空港におきましては、
昭和
三十四年十月、それから大阪の国際空港におきましては
昭和
三十九年の六月に、それぞれジェット機が就航するように相なりました。それ以後、ジェット機の就航がひんぱんになりますにつれまして、いろいろと
騒音
の問題が非常に大きな問題になってまいったのでございますが、実は
東京
国際空港の状況につきまして、
日本
音響学会が、先ほど御指摘のありました四発のDC8型機につきまして、当該航空機の発着
騒音
についていろいろ測定いたしました結果の数字が手元にございますので、御
説明
申し上げます。 離陸時には、航空機の飛行経路に沿いまして、滑走路——これは御承知のように滑走路長三千メートルでございます——の先端から一キロメートルで最大百ホン、それから四キロメートルで最大九十ホン、それから六・五キロで最大八十ホンと、こういう数字が音響学会の
調査
の結果出ております。しかも、その継続時間は大体五秒ないし十秒間、こういう結果になっております。 それから、第二点のお話でございますが、実はこういった航空機の
騒音
によりまして、家畜類、たとえば御指摘のございました、鶏が卵を産まなくなるのではなかろうか、あるいは乳牛が乳の出が悪くなるのではなかろうかということにつきましては、今日までいろいろ各界において検討されております。で、その中で、実は基地周辺——これは防衛庁の所管いたしております基地でございますが、基地周辺民生安定法の制定促進実行
委員会
というところの資料では、こういった
騒音
が畜類等に非常な影響を与えるのだということで、法務省の人権擁護局あたりに苦情を申し込まれたことがあるやに聞いております。その際、法務省人権擁護局から防衛
施設
庁あてには、「厚木米海軍航空基地の航空機
騒音
による人権事件について」という通告がございまして、その中で、
騒音
が健康にある程度影響を及ぼしておる疑いがあるけれども、
主張
されておるような健康上の
被害
が
騒音
に起因し、他の
原因
によるものでないとまで断定することは困難だというふうな通告があったことも一つの例でございます。それから、鶏の卵の問題でございますが、これは
騒音
がそういった鶏の産卵率に直接影響を与えるようなことではないと、それから乳牛の場合につきましても、乳牛を他の地区から航空機の
騒音
の障害のあります
地域
に連れて参りまして、そこで放牧なり何なりいたしました際には、一時的には乳の産出量が減るようでございますが、しばらくたちますと、もとに戻るというふうな状況である。こういった
調査
の結果を私ども受けておる次第でございます。
戸田菊雄
32
○戸田菊雄君 いま、いろいろキロによって滑走路から出発する際の音量というものについて
説明
があったのですが、これは大体何ホン以上になると、いわば市民
生活
に障害を与えるのか、あるいはテレビやラジオの受信等についても障害を与えるのか、そういう
基準
といいますか、そういうものを一応航空局あたりで出しておるわけですか、その辺はどうですか。
梶田久春
33
○
説明員
(梶田久春君) 実はどの程度のホンの場合にいろいろな障害が起こるかということで、私ども
調査
いたしましたところ、普通の学校の教室内で先生が生徒にいろいろ授業をやっておられますが、そのときの先生の声は七十ホンというふうに承知いたしております。したがいまして、当該学校において七十ホン以上の航空機の
騒音
が
発生
いたしますと、先生の授業が困難になると、一応の標準といたしまして、そういうふうに了解いたしております。
戸田菊雄
34
○戸田菊雄君 これは羽田の場合ですけれども、大森第四中学校屋上でジェット機の
騒音
の測定をやった結果が出ております。それによりますと、夏場でありますけれども、これは大体百ホンないし百五ホンですね。こういうことになりますと、いま
説明
がありましたように、先生の発声音量というものは七十ホン、それ以上になると妨害になる、こういうことですから、少なくともいまジェット機が運航されておる大阪や羽田については、飛び立つその周囲にそれらの音量が
発生
されるところではしばしば授業というものは中断される、こういう結果が出てきておると思うのですがね。そういう問題についてはどういう一体
措置
をとっておるか、具体的に
説明
をお願いしたい。
梶田久春
35
○
説明員
(梶田久春君) 御指摘のような状況で、現在羽田の周辺は非常に
騒音
による障害、
被害
を受けておられることは事実でございます。で、先生御指摘の第四小学校は大森第五小学校と記憶しておりますが……。
戸田菊雄
36
○戸田菊雄君 第四中学校、屋上です。
梶田久春
37
○
説明員
(梶田久春君) はあ、そうですが。そういったことで私ども羽田の飛行場の囲辺につきましては、いろいろ測定点を設けまして、各小学校、中学校、そういったところにおきます
騒音
のいわゆるホン数を
調査
いたしておりますが、こういった九十ホンだ、百ホンだ、あるいは百ホンをこえる
騒音
というものに対します
対策
というものは、これはまあいろいろと
措置
しなければいけない状態でございます。つきましては、今回
国会
にもお願い申し上げまして、公共用飛行場周辺におきますこういった
騒音
の
対策
についての法律、いわゆる
騒音
防止
法案
を御
審議
願っておるわけでございますが、こういった法律によりまして、まず教育、そういった人間の基本になります教育
施設
、学校、それから常に静穏を必要といたします病院、あるいは診療所、そういった
施設
については早急に防音工事を施行いたしたい、これが今度の法律の中にございますように、
騒音
の
防止
工事の助成ということでございます。それと、こういった
騒音
を
防止
いたします以前の問題といたしまして、できるだけそういった
発生源
を
規制
することができないだろうかということが考えられるわけでございまして、御承知のように羽田におきましては、夜間のジェット機の離着陸を、夜間十一時から午前六時まででございますが、閣議の了解を得まして、現在禁止いたしております。大阪におきましても同様でございます。それからもう一つは、飛行機の飛行経路によりまして、そういった大森地区におきます
騒音
のホン数がかなり異なってくる。現在、羽田には三本の滑走路がございますが、A滑走路、C滑走路、これはおおむね大森のほうに向かっておりますが、それで直進いたしました場合の
騒音
と、海側に旋回いたしましたときの
騒音
と比較いたしますと、四ないし五程度の——これははかる時、あるいは気象
条件
によってそれぞれ異なりますが、おおむね四、五ホン程度の差があって、右旋回いたしました場合には——海側に旋回いたしました場合には
騒音
の量が少なくなるということでございますので、現地におきます
騒音
防止
対策
委員会
といった組織がございますが、その要望も加味いたしまして、現在羽田空港におきましては、飛行経路を
規制
いたしております。かような
措置
によりまして、できるだけわずかでも
騒音
を少なくしようということで
措置
いたしております。 〔
委員長
退席、理事
柳岡
秋夫君着席〕
戸田菊雄
38
○戸田菊雄君 この市民
生活
に耐え得るためにはいろいろあると思うのです。いま言われたように、夜間
規制
によって睡眠を妨害するということを取り去る、その辺はできるでしょう。だけど学校の場合は、何といって本昼間ですから、これはどうしても離着陸、こういうものについては
規制
ができないと思うのですね。ですから、勢い
対策
としては
騒音
防止
対策
、こういうものになっていかなくちゃいけないと思うのですが、その周囲の各学校とか、あるいはまた市民全体、いろいろ障害を受けておる者に、どうしても早期に
防止
対策
というものを——
政府
が
責任
をもって、航空会社と協力して、そうしてひとつモデルケースというふうなものをやってみてはどうかというふうなことが
意見
として大きく出てきているのですけれども、そういう問題については何か具体的な防音
措置
——いまおっしゃられたことは、大体運航
規制
ないし運航方法によって少しなりとも防音というものを減少させよう、こういう
説明
にとどまったように思いますが、そういう何か具体的な、積極的な防音
対策
というものがないのかどうか、その辺はどうですか。
梶田久春
39
○
説明員
(梶田久春君) 航空機の
騒音
を積極的になくするということ、あるいは相当幅広く軽減させるということは、現在の技術水準からいたしまして非常に困難性がある。もちろん世界各国におきまして、航空機自体が発します
騒音
の何らかの軽減策というものについては、あらゆる面から検討いたしておることは事実でございますが、
現状
におきましては見るべき程度の
騒音
軽減という技術はなかなか私どものほうでは見つからない状況でございます。したがいまして、地上におきますいろいろの
騒音
発生
の
防止
ということは、これまた、いろいろの
施設
を
設置
することによりまして可能でございます。たとえばエンジンのテストをやる場合には遮音装置のあります建物の中でやるということ、これは現に羽田でやっております。それからランアップの際にはサイレンサー、いわゆる消音装置を装置することによりまして、そういった
騒音
が外部に伝わることを
防止
するという
措置
も可能でありますが、航空機自体の
騒音
というものについてはなかなか現時点においては技術的に困難である。したがいまして、そういった航空機、これは現在の航空交通の状況からいたしまして、やめるというわけにはまいりませんし、勢い積極的に学校、病院等におきます防音工事を
実施
するということ、さらには一般
住民
の方も航空機の
騒音
によりましていろいろと障害を受けておられるわけでございます。非常な迷惑を受けておられるわけでございます。こういった場合におきましては、当該
住民
の居住しておられる区域を管轄します市町村において、共同の学習
施設
なり、あるいはいろいろの共同利用
施設
をつくられる場合には、国がその建設費について補助をしましよう、助成いたしましょうという
事項
も今回の
法律案
には入っておるわけでございます。また、羽田の周辺におきましてはこのような例はございませんが、たとえば、大阪の空港におきましては、あの周辺において農業をやっておられる方がずいぶんたくさんございます。そういった方々が、これは
騒音
による直接の
被害
ということではございませんが、滑走路延長上で農耕に従事しておられる方々が、飛行機が低空で着陸しあるいは離陸するといった場合に、いろいろと圧迫感というものを受けられるのじゃないか。そういった場合、農耕の作業に非常な支障を来たしておるのじゃなかろうか、こういった農業を経営いたしますについて、その
事業
上こうむります損失についてもこれを補償するという、いわゆる防音工事の
実施
施行、それから共同利用
施設
の補助、それから損失補償、農耕損害補償。もう一つ、損失補償と申し上げましたのは、飛行場のある一定の区域をわれわれ現在検討中でございますが、一定の区域をきめまして、その中に住んでおられる方、一定区域の中におられる方につきましては、あまりやかましい所は移転をしていただく、これは当該本人から申し出がございましたならば、その建物の移転について補償しましょう。また、ある一定の区域につきましては土地も買い入れましょうという
措置
、こういった
措置
を今回の
騒音
防止
法案
の中に織り込んでございますし、本年度すでに三億円ばかり、額は少額でございますが、予算についておりますので、できるだけ積極的に、そういったいわゆる
住民
の
生活環境
に寄与し得るような方向でいろいろと
措置
をとってまいりたい、かように考えております。
戸田菊雄
40
○戸田菊雄君 これは、諮問第十二号に対する第一次追加
答申
というのが航空機
騒音
対策
、こういうことで航空
審議
会から
政府
に
答申
されたわけです。いまおっしゃられたようなことは、この中に具体的に
答申
内容
として盛られておるわけです。ですから、問題は、私はそういういまおっしゃられたようなことが実行形態として具体的にやられておるのか。大体ジェット機で問題がある空港というものは羽田と大阪に限定されているわけです。また、こういう過密地帯に対する
騒音
というものは非常に最近大きくなっているわけです。だからそういう問題に対して、こういう
答申
案に基づいたものが具体的に尊重され、実行されているかということをいま聞いたのですが、残念ながら三億程度の予算
措置
をやったけれども、しかしそういうものに対してどういう助成で、どういうふうに金というものが使われているか。さしずめ私は、学校とかあるいは幼稚園であるとか、そういうものに対してはこれは大きな問題だと思っているのですよ。だからそういう問題について、各学校なんかも独自的にいま
調査
研究をして、そういうデータというものも出そろっておるわけです。そういうものをやはり吸い上げて、適切な防音装置
対策
というものを立てていく、こういうものがやられていかなくちゃいけないと思うのです。これは一つの例ですが、そういうものがいまの
説明
にはないのですけれども、何か具体的なものがありますか。
梶田久春
41
○
説明員
(梶田久春君) 先ほどの
説明
で、具体的な件に触れませんで、いろいろお話がございましたが、四十二年度予算三億の金は具体的に申しまして、これは実際にこれをやるというところまで現在いっておりませんが、おおむね
東京
におきましては学校三校、大阪におきましては六校、計九校の学校の防音工事の補助ということで考えております。
戸田菊雄
42
○戸田菊雄君 せっかくこういったいい
答申
があるんだけれども、いまおっしゃられたものによりますと、学校
関係
九校と、こういうことでございます。やはりもっと早急にそういう執行というものを推し進める必要が私はあると思うのです。何かどこかに欠陥がないかということなんです。たとえば運輸省内において
公害対策
というものがある。私が調べた範囲では船舶技術研究所ですか、これに何か
公害
課というものが
設置
された、こういうことですが、そういういわば組織
機構
上の問題について、運輸省としては再検討の余地がないかどうか。また、そういうところから、いまの公審
対策
というものはあまり進展していない、執行されていない。こういう弊害というものが生まれてきていないかどうかということですが、それはどうですか。
梶田久春
43
○
説明員
(梶田久春君) 運輸省の
機構
上の点について、こういった
公害
問題を
処理
するのが非常におくれておるのではなかろうかというお話でございましたが、船舶局の
公害
、これはおそらく海水
汚濁
の問題ではなかろうかと思いますが、これは現在、運輸大臣官房でやっております。 それから、航空機のこういった
騒音
に対しますいろいろの
施策
につきましては、航空局自体がやっておりまして、運輸省の組織の中でいろいろ利害が相反するために、こういった
施策
が円滑に
実施
できないということは全然ございませんで、むしろ航空機の
騒音
問題に対しますいろいろの
施策
というものは、航空局が最も
実態
についてよく把握いたしておるわけでございますから、航空局自体でこういったものを推し進めることが最も有効な方法ではないかと、かように考えております。
戸田菊雄
44
○戸田菊雄君 それから、これはどなたに伺ったらいいのかわかりませんが、運輸省における
公害
課の
設置
について、
機構
上これはどうあるべきがいいと思いますか、大体
機構
のあり方についてですね。
堀山健
45
○
説明員
(堀山健君) 先ほど研究
機構
のことについてお話がございましたが、実は船舶技術研究所の中に陸上部門につきましては陸上交通部というものがございまして、それが今般予算の上では通していただきましたが、ただいま御
審議
中の
設置
法の
関係
で、自動車に対する
公害
の研究機関を今度部として増設する、こういうことになったわけでございます。 〔理事
柳岡
秋夫君退席、
委員長
着席〕 それで
機構
として、何と申しますか、運輸省は海陸空全部を含んでおりますので、これを一つの
機構
としてまとめてやることも一つの方法かと思いますけれども、なかなか膨大な組織、
機構
でございます。それから同じ乗り物でございますけれども、それぞれ特色がございまして、自動車のように数の多い——何と申しますか、船のように一隻一隻がオーダー・メードのようなものと、それから自動車のように大量
生産
されるものと、これは扱いが違うと思います。自動車の場合におきましては、この研究所の中に、そういう自動車についての、主として排気ガスを中心とした交通
公害
担当のものをつくって、そこで専門的に研究する、そうしてその成果を行政に反映させる、こういうことにしております。
戸田菊雄
46
○戸田菊雄君 いろいろ
説明
を聞いておりますと、
騒音
防止
にしても問題はやはり財源の問題じゃないかと思うのです。いまおっしゃられたように、三億と、こういっておりますが、三億ではとても私は完ぺきな具体
政策
を推し進めることはできないと思うのです。一体どのくらい当面の
予防
措置
として予算が組まれれば、具体的な
施策
ができるのか、その辺の見通しについてひとつお聞かせを願いたいと思います。
梶田久春
47
○
説明員
(梶田久春君) 御承知のように、去る三月二十二日の閣議了解をもちまして空港
整備
五カ年
計画
を策定いたしました。これが
内容
につきましては今後早急に詰めることになっておりますが、総額千百五十億のいわゆる空港
整備
の投資額、この中で
騒音
対策
の費用を考える。これは新
東京
国際空港の分は別でございます。したがいまして千百五十億円の中で
騒音
対策
費はどの程度のものを見るかという作業を現在やっておりますが、御指摘のように本年度の三億円、初年度でございますので非常に少額でございまして、われわれこういうものではごく一部の
対策
しかとれないという考えには相違ございません。できるだけ来年度以降大蔵省との折衝もございますが、私どもが考えますような十分な額をできるだけ取るように努力いたしたい、かように考えます。
戸田菊雄
48
○戸田菊雄君 ぜひ、そういうことで進めていただきたいと思います。 次に、厚生省にお伺いするわけですが、この
公害
の
被害者
救済制度
の問題についてですが、たとえば社会的に問題になりました水俣病の場合に現地で一応結着をつけたわけでありますが、この死亡者が実は三十万ですね、葬祭料が二万、生存者のおとな、これが十万円、子供が三万円の年金、子供が成人になれば五万円、一体こういう
公害
による
被害者
救済
というものを
政府
としてはどう考えておられるか、これは人の命がたった三十万で片づけられている。少なくとも交通
災害
の場合には最低百五十万、われわれとしては当面これを五百万まで上げろと、こう言っているのでありますけれども、こういう問題について厚生次官はどう考えておられますか。
田川誠一
49
○
政府委員
(田川誠一君)
公害
の問題は、いろいろその因果
関係
がたいへんむずかしい問題が非常に多うございます。
原因
がはっきりしているところは
原因
者が補償をするわけでございます。いま御指摘の水俣の場合の金額をおっしゃられ、たいへん少ない額だということでございますけれども、これはお見舞金として差し上げたものでございます。地元の自治体から差し上げたものでございます。いま、そうした何といいますか、補償
救済
の制度が確立しておりませんから、そういうようなことにつきましてはっきり何といいますか、具体的にこれこれだというようなものができておりません。今度基本法におきまして
被害
の
救済
の必要な制度を
整備
するというようなことを、私どもも考えておりますが、そうした将来の問題といたしましては十分検討していかなければならない問題ではないか、このように考えております。
戸田菊雄
50
○戸田菊雄君 その検討するということは、結局
救済
というものは必要であるから国が直接——それの
負担割合
はどうするというようなことは別にいたしましても、そういう補償態様というものをつくるということですか、つくると。かりにつくるとすれば、当面どのくらいがその限度と考えていますか。死亡あるいはもう、ほとんど就労不可能というか、そういう場合、一体その辺の見通しについてはどうなんですか。
田川誠一
51
○
政府委員
(田川誠一君) 具体的な金額については、その
原因
であるとか、そのときの状態であるとかということで、いまここで申し上げるわけにはまいりませんし、また、そうした金額がすぐ出る問題ではございません。
救済制度
は何らかの形で立てていかなければならないということで、
公害
に関する
紛争
処理
の問題であるとか、あるいは
被害
の判定、
原因
を把握する専門の
機構
の
整備
というような問題を、あわせてただいま検討をしておるような状況でございます。
戸田菊雄
52
○戸田菊雄君 具体的に申し上げたこの数字を、水俣病の場合この補償金はどう考えますか。厚生次官低いと考えますか、これでいいと思いますか。
田川誠一
53
○
政府委員
(田川誠一君) 必ずしも十分の額であるということは申し上げられません。
戸田菊雄
54
○戸田菊雄君 少なくともいま
災害
発生
の場合は、国が直接それに対しては一たん支出をして、あとで
地方
自治体が幾らといってそれを
処理
していくわけですね。少なくとも
公害
における問題は
人命
に直接
関係
する問題ですね。そういう
立場
からすれば、こういう補償なり医療態様について
政府
はやはりすべて国で当面めんどうを見る、こういう
立場
で推し進めるわけにはいかないのですか、これは。
田川誠一
55
○
政府委員
(田川誠一君) いま戸田
委員
がおっしゃったようなことで、一つ一つ補償をしていくということに、かりになりますれば、これは一般の
災害
に対しても国がすべて補償をしていかなければならないということになるわけでありまして、こうした問題はたいへん簡単には考えられますけれども、実際にすぐ実現できるというような事柄ではないのではございませんでしょうか。
戸田菊雄
56
○戸田菊雄君 いずれまた、あとで伺いますけれども、ぜひひとつ、この
救済制度
につきましては万全の
措置
を
政府
としてはとるような、前進の方向でひとつ御検討願いたいと思うのですね。さらにいろいろ、むずかしい問題もあるでありましょうけれども、問題はやはり生命にかかわる問題でありますから、ひとつ真剣に御検討願いたいと思うのです。 次に、
東京
都立大工学部で
東京
都の
公害
部と協力して、定期的に都内の
汚染
度のぐあいについて検討を進めてきたわけでありますが、一応この
東京
都立大の研究によりますと、
東京
に白いスモッグが実は
発生
をしている、こういうことなんですが、こういうことについて厚生省としてはタッチされているかどうか、まずお伺いをしたい。
舘林宣夫
57
○
政府委員
(
舘林
宣夫君)
東京
都の
汚染
状況の
調査
につきましては、厚生省みずからも
調査
をいたしますし、あるいは
東京
都の
調査
に対しまして厚生省も協力をして
調査
状況を把握しておるわけであります。
東京
都の
大気汚染
の数年前の状態は石炭等によりますばい煙が相当多くなっておりまして、一平方キロ当り三十トン近いほどの降下
ばいじん
があったわけでありますが、それが漸次重油に切りかえ、しかも
排出
規制
などをいたしまして、いまやスモッグの状態は黒いスモッグの状況ではなくて、それほど濃くない、いまお説のような白いといったほうがいいようなスモッグを来たしております。ところが、そのスモッグなるものはばい煙こそございませんが、その状況の中にかなりSO2のような色のない
有毒物
質を相当含んでいる状況のスモッグを来たしておる、そういう
傾向
が漸次強まっておることは御指摘のとおりでございます。
戸田菊雄
58
○戸田菊雄君
大気汚染
の
基準
濃度というものは、大体どのくらいにあるのがいいと思っているのですか、その辺の見解はありますか。
舘林宣夫
59
○
政府委員
(
舘林
宣夫君) この
大気汚染
の標準といいますと、この程度以下であれば、まあ
都市
の環境としてはやむを得ないという線そのものが、今回提出いたしております
公害対策
基本法の中の
環境基準
に該当するものでありまして、その点は目下厚生省の
公害
審議
会に諮問をいたしまして、専門の先生に検討をしていただいているわけでございます。したがいまして、いまの段階でどの程度が適当であるかということを申し上げるまでに至っておりません。
戸田菊雄
60
○戸田菊雄君 衆議院の
公害対策
委員会
で四十一年四月二十一日、自動車排気ガス
規制
に関する決議案というものが出されているのです。これによりますと、少なくとも三分の一以下に押さえろ、こういう趣旨になっているわけですね。ですから、いま
局長
のおっしゃったのを含めて、一体今後こういう
基準
というものを早急につくらなければいけないと思うのですが、その辺のお考えはどうですか。
舘林宣夫
61
○
政府委員
(
舘林
宣夫君) お説のように大
都市
、ことに
東京
、大阪周辺におきましては、
排出
規制
はいたしておりましても、漸次濃度は濃くなってまいっております。したがいまして、できるだけ早急に
環境基準
をつくりまして、それ以上の
汚染
を食いとめるというような
措置
を講ずべきことは御指摘のとおりでございます。 なお、ただいまお話のございました、三%以下にとどめる部分はCOの濃度でございまして、大原町の交差点、その他非常に交通が混雑いたします地点におきましては、漸次
汚染
の高まるおそれもございますので、この点も自動車の
機構
上の
排出
規制
、あるいは交通の立体交差化というようなことで、環境の
基準
をきめるだけでなくて、それを守るような
防止
措置
を強硬に推し進める必要が生じてきていると思います。
戸田菊雄
62
○戸田菊雄君
東京
の白いスモッグは、時間もありませんから、はしょって要点を申し上げますが、
東京
都立大の加藤博士の発表によりますと、結局、最近プロパン車が相当
増加
してきておって、その燃料であるプロパンガスの不良燃料、そういうものが出回っている証拠ではないか、こういうのでありますけれども、その辺に対して、厚生省としては何か
調査
をいたしておりますか。 それからもう一つは、通産省として、そういういわばブテン類の混入燃料というものが出回っているという事実について御存じかどうか、ひとつお聞かせ願いたい。
舘林宣夫
63
○
政府委員
(
舘林
宣夫君) 御説のような、プロパン車から出てまいります炭化水素が
原因
となりまして白いスモッグを形成している面がございます。この影響は高濃度の場合は呼吸障害を起こすわけでございまして、最近の自動車排気ガスがどれだけ人体に影響するかということを、ただいま
調査
研究を進めておるところでございます。
両角良彦
64
○
政府委員
(両角良彦君) ただいまお話がございました白いスモッグにつきまして、その
原因
がLPG自動車にあるかどうかという点につきましては、現在なお明確な結論が出ていないかと思いますけれども、少なくともLPG自動車に使用されますLPGにつきましては、通常不飽和分が非常に多いとされております石油化学
工場
から出てまいりまするものを充当しないで、自動車燃料としては一般の石油精製
工場
から出まするLPG、ないしは輸入のLPGを組み入れるように指導いたしておる次第でございます。
戸田菊雄
65
○戸田菊雄君 そういった不飽和の炭化水素ですね。そういうものが
発生
するとすれば当然イソブテン、ブタジエン、こういうものが混入されている証拠だと加藤博士は指摘をしているのです。ですから、そういうことだとすれば、当然オイルスタンドではそういう技術的な操作はできない、当然メーカーに
責任
があるということを指摘しているわけですが、その辺はどうですか、通産省としての考えは。
両角良彦
66
○
政府委員
(両角良彦君) 御指摘の点につきましては、先ほどお話も出ました厚生省におきまする研究
調査
等の成果を待ちまして、
所要
の
対策
を講じたいと考えますが、少なくとも現段階においては石油化学
工場
の不飽和分の多いLPGは、これを避けるように指導いたしておるという段階でございます。
戸田菊雄
67
○戸田菊雄君 最近非常に需要度が高まって、プロパンガスの品薄といいますか、そういう状態があると思いますが、そういうところがこの不良業者を現出さしてまいったことになる。それが結局、白いスモッグの要因になっている。こういうことになるとすれば、これはたいへんなことだと思うのですね。だから、そういう問題に対して通産省としては、メーカーに対して適切な指導監督というものを強めていく必要があるのではないかと考えますが、その点はどうですか。
両角良彦
68
○
政府委員
(両角良彦君) そのような問題につきましては御指摘のとおり、これに
関係
いたしておりまする厚生省あるいは運輸省、通産省等、
関係
各省が十分協議、協力いたしまして、
原因
の究明なりあるいは
所要
の
対策
の推進をはかりたいと思いますが、少なくとも通産省といたしましては、そのような
原因
究明にあたっての資料の提供その他については、積極的に協力をいたしてまいりたいと思っております。
戸田菊雄
69
○戸田菊雄君 終わります。
松澤兼人
70
○
委員長
(
松澤兼人
君) 本日の
調査
はこの程度とし、これにて散会いたします。 午後三時五十七分散会
—————————————