○戸田菊雄君 私は、労働省は労働者保護政策が第一義だと思いますから、そういう点は
交通対策本部の中で十分に発言をして実行をさせなければいけないと思います。少なくとも、いまおっしゃられたように、また極端な例じゃないですよ、それがあたりまえなんです、百何日間休まずに働いておるというようなことは。そういうのが常態なんです。少なくとも私が実際
調査をした内容によりますと、東海道の路線のトラックの場合、これはもう大体比較的いいんですよ。そういうところでも、こういう作業を始終組まなければならない。具体的に申し上げますと、第一日、朝九時出社としまして、直ちに集荷に出かける。そうして出発準備、夕方五時ないし六時に出発、そうして第二日目は早朝名古屋に着く。大阪に昼前に着いて配達をして、また集荷をして、そうして大阪を夕方また出発をしている。そうして三日目は午前中に東京に着く。全くトンボ返り。三日間かかって二日間寝ない。ですから、一日の実働が十時間ないし十二時間になっていることは間違いない。拘束時間は十七時間も拘束されている。そうしてその人が帰るのが、東京に着いて配達をして午後の五時に退社をする、こういういわば運行
管理計画なんです。だから、こういうものに触れていかなければ、いまの運転する人たちのいわば安全、健康保全、こういう問題についてとても守り切れないのじゃないか。だから、この点は、大体この三十六年通達にもありますように、零細企業で金がないという会社がいっぱいあるのですよ。一人一社というものもあるのです。だから、そういうものを含めて、両方相待って初めてこれは実現可能だと思う。事業経営も——大蔵省はきょう呼ばなかったから
あとでやりますけれ
ども、融資形態についても、危険負担行為は
政府でもってやるとか、そして何とか事業が成り立って、そうして、何といいますか、人間並みに働く
一つの態様というものをつくり上げてやらなければ、幾らここでいまおっしゃられましたような基準案というものをつくって善導、
指導強化していく、こういっても、この実態を解決しない限り、ほんとうの意味での
事故防止ということにはなっていかない。確かに通達にもりっぱなことがいっぱいあるのですよ。労働条件
改善についてこういうことを流されておる、通達には。「労働基準法の施行を確保すべき重点的事業として監督し、あわせて労働条件の実態の把握に努める。」ということは、こういうことをやって具体的に
改善していくということだと思うのです。それから「一日八時間労働及び週休制の
指導に努めるとともに、時間外労働、休日労働に対しては、協定の締結、割増賃金支払……」と非常にいいことが書いてあるが、これが全然実行されておらない。こういうことでは、幾ら通達を流し、
対策本部を設け、
方向を与えたって、この根底になるものを解決しない限り、
事故防止なんというものはナンセンスだと思う。そういう意味において、ほんとうに
交通対策本部を置いてやっていくならば、まず運転する人の待遇なり労働条件なり、これをほんとうに守るということだと思うのです。
そこで私は厚生省にちょっとお伺いしたいのですけれ
ども、いま大体三日でもって一作業になっている。この東海
道路線のトラックは大体これでいっていると思うのですけれ
ども、これで八作業が組まれている。ですから八作業ですと二十四日です。稼働日数の二十四日はいいんだけれ
ども、実際の稼動している、そういう拘束時間なり実働態様から見るならば、これはもっと休みをやらなくちゃいけないのですね、少なくとも基準法のたてまえというものは。こういう乗務員に対しては、第八条のいわゆる適用外になっているのでしょうけれ
ども、しかし、それだからといって、やはり運行して実際実働した分だけは休ませるというのが基準法のたてまえなんです。それすら全然守られていないのですから、労働省が幾ら口をすっぱくして
指導を強化するといっても、この実態はなかなか解消できないと思うのです。それで問題は、この一作業三日間かかってやる中で、休養時間というものは、内容はわからぬのですけれ
ども、小休止というのが
一つある。どんなものかと思って
調査したら、
道路のわきに最近非常にいろいろな食堂とかなんとか、そういうものができまして、そういう茶店で小休止をさせる。ところが、この時間たるや、一体何時間休ませるか。もう
一つはキロ制限で、二百二十キロ、これで交代しろ、しかし二人乗務員で、休養の場所が
自動車の中なんです。一体こういうものが許されていいのかどうか。もう
一つは、健康保全上これで一体完ぺきなのか。完ぺきとは言わなくても、一体休めるのかどうか。その疲労度のぐあいはどうなのか。こういうものに対して、厚生省あたりは、トラックやダンプの従業員の疲労度
調査といったものをほんとうに具体的に一体やってみたことがあるのか。これは、
警察庁関係もあるいはちょっとそういう問題について
関係があるかもしれませんけれ
ども、そういう問題について、この小休止の
範囲、何時間ぐらい——二百二十キロでもって大体大阪までいくには二交代になると思うのでありますが、一体、
自動車で休む、そういう休養態様というものでは、ほんとうに安眠できるような状態ではないのじゃないか。それで東京−大阪間トンボがえりするのに十分な休養をとれるのかどうか。これでいいというのか。そういう問題について、ひとつ見解を示していただきたい。