○
政府委員(
宮崎清文君)
総理府でございますが、最近におきます陸上におきまする交通事故の概況とこれに対します
政府の安全
対策並びに
昭和四十二
年度におきます交通安全に関します
予算につきまして一括御
説明申し上げます。
お手元に「陸上交通安全
調査室」というスタンプを押しました小さな資料をお配りしていると思いますが、資料が四部ございまして、そのうちの資料の1、「最近における交通事故の概況と
政府の交通安全
対策の概要」、これによりまして、ごくかいつまんで御
説明申し上げます。
最初に交通安全
行政に関します総合
調整の組織がどうなっているかということでございますが、御承知のように交通安全
行政は警察庁、建設省、運輸省その他
関係各省と、きわめて多岐にわたっておりまして、やはり
政府といたしましてはこれを総合して実施をする必要がございます。そこで現在、
閣議決定に基づきまして交通
関係閣僚協議会というものが設けられております。これは官房
長官、
総務長官を含めまして交通に
関係ある十二名の閣僚からなる協議会でございまして、交通混雑緩和、交通事故
防止に関します重要問題につきまして協議をする
機関となっております。従来からも交通安全
対策に関します重要問題はすべてこの交通
関係閣僚協議会で決定をいたしております。
次に、具体的な問題の総合
調整機関といたしましては
総理府に
総理府総務長官を本部長といたしまして、これもまた交通安全に
関係がございます
関係各省庁の事務次官等からなります
交通対策本部というものがございます。これは同じく
昭和三十五年に
閣議決定をもって設けられたものでございまして、これは一種の
会議体でございますが、現在この
交通対策本部が中心となりまして
政府の交通安全
施策全般にわたっていろいろの決定をいたしておるわけでございます。なお従来はこの
交通対策本部の事務を扱う部局が
総理府の
審議室でございまして、この点若干事務が必ずしも円滑にいかなかったといううらみがございました。また御承知かと思いますが、
昭和三十九年の三月に内閣
総理大臣の諮問
機関である交通
基本問題
調査会が内閣
総理大臣に対しまして
答申をいたしたのでございますが、その
答申におきましても
政府は
総理府に交通安全の総合
調整を専任的に行なう
機関を
設置すべきであるということを申しております。
また同じく
昭和四十年の通常
国会におきまして道路交通法の一部が
改正されました際、衆参両院におきます附帯決議におきましても同趣旨のことが指摘されております。このような経過から
昭和四十年つまり一昨年の五月に
総理府に現在私が所属しております陸上交通安全
調査室を設けまして、自来私のおりますこの
調査室が実質的な事務局となりまして、それなりの交通安全
対策を総合的に
推進しておる次第でございます。
ところで交通事故は最近御承知のように年々増加いたしておりまして、昨年一年間におきます事故といたしましては、交通事故による負傷者が五十一万七千七百七十五名、同じく交通事故による犠牲者つまり死者でございますが一万三千九百四名となっております。これらはいずれもわが国におきまして史上最高という悲しむべき数字でございます。しからばなぜこのように交通事故が最近ふえておるかということでございますが、いろいろ原因はございますが、簡単に申しますと、ここ数年間わが国におきます自動車の保有台数が急激に増加しておりますのに対しまして遺憾ながら交通安全
施策というものがいろいろ立ちおくれておるということに尽きるのではなかろうかと思っております。たとえば自動車の台数でございますが、昨年末におきましては
全国で約九百四十万台に達しております。これは
昭和二十二年のわが国の自動車保有台数に比べますと実に五十倍という非常な伸びでございます。また最近におきましては年間約百三十万台ないし百五十万台の自動車が増加いたしておりますので、このまま推移いたしますと四、五年中にはわが国の自動車は千五百万台を突破するのではなかろうかといわれております。またこれ以外に、いわゆるモーターバイクと称されます原動機付自転車、これがやはり
昭和四十一年の三月末現在で約七百三十六万台程度ございます。したがいまして両者合わせますと現在でもすでに千七百万台に近いモーターのついた車が日本国じゅうを走っておるわけでございます。またこれに対応いたしまして運転免許人口も逐年増加してまいりまして、昨年末におきます推計でございますが約二千三百万人の運転免許人口があろうかと推定されております。しかしながら、このように自動車が非常にふえておりますが、自動車台数の伸びに比例いたしまして交通事故は必ずしもふえておりません。試みに自動車千台当りで一年間に交通事故による死者が何人出ておるかという統計をとってみますと
——これはお手元にお配りした表にも出ております。たとえば
昭和三十一年には自動車千台当たり三・九人という死者が出ておりました。これが年々減少いたしまして
昭和四十年には一・六人まで減少いたしております。
また非常に死者がふえたと申します昨年にいたしましても自動車千台当たりの死者数は一・五人でございまして、前年の丁六人をわずかではございますが下回っておるわけでございます。このことは
政府、
国民すべてを含めまして交通事故
防止に
努力いたしておりますことが必ずしも全く無
意味ではないということを物語っておるのではないかと思われます。しかしながらこの千台当たりの死者数を西欧先進諸国と比較いたしました場合、まだまだ日本は不十分でございます。ちょっと古い統計でございますが、一九六三年の国連統計によりますと、この自動車千台当たりの交通事故による死者数は、アメリカが〇・五、イギリスが〇・八、西ドイツが一・七、フランスが一という数字が出ておりますが、この年におきます国連統計によりますと、日本の自動車千台当たりの交通事故による死者数は三・二でございまして、アメリカに比べまして約六倍、西欧三国の平均に比べましても三倍という数字になっております。このことは、道路交通環境が西欧諸国とわが国とはいろいろ違いますので、簡単な比較はできませんが、大ざっぱに申し上げますと、やはりわが国の交通安全
対策が、まだまだこれらの国に比べまして非常に立ちおくれているということを物語るものと思われます。
それからまた、これは特にアメリカ合衆国と比較した場合でございますが、わが国におきます交通事故の
一つの特色は、交通事故による死者のうち歩行者の占める割合が非常に高いということでございます。ここ数年間、交通事故による死者のうちの約三分の一、三三%は道路を歩行中に自動車にはねられたり、ひかれたりいたしてなくなった方でございます。また、これに自転車に乗っている途中の事故で死亡した人を加えますと、大体四七、八%になります。つまりわが国におきます交通事故による死者のうちの約半分は歩行者か、あるいは自転車に乗っている人である、こういうことでございます。しかしながら、これもアメリカ合衆国におきましては、たとえば一九六五年の統計でございますが、歩行者の全交通事故による死者において占めます割合は約一八%、これに自転車乗車中のものを加えましても二〇%でございまして、わが国はアメリカ合衆国に比べますと倍以上で、いわば道路利用者のうちの弱者が犠牲になっている、こういうことでございます。この原因につきましては、いろいろございますが、何と申しましてもわが国におきます道路の交通安全施設の不備が大きな原因でございます。この点から今後、私たちもいろいろやっておりますが、交通事故
防止対策の
一つの大きな
重点といたしましては、歩行者の保護を目標として交通安全施設の緊急な
整備をはかるということが出てくるわけでございます。
それから、もう
一つ、国内の
一つの最近の特徴でございますが、これは交通事故が最近大府県から中小府県へ、また同一府県内においては都市部から周辺部へ移行する傾向がございます。いわゆる交通事故のドーナッツ化現象と申しておりますが、これが最近非常に顕著でございます。この原因はいろいろございますが、
一つは、最近
地方部におきます自動車の保有台数が急激に伸びてきたにもかかわらず、
地方部の道路が交通安全施設という面で必ずしも
整備されていない。また、
地方における
住民の方々の交通安全思想が必ずしも浸透していない、これらが原因と思います。こういう現象を呈しているわけでございますが、このことからは交通安全
対策が、今後は
地方の末端まで浸透するように、きめのこまかい
対策を立てなければならない、こういう結論が出てくるわけでございます。
ところで、交通事故の原因でございますが、これもまた非常に複雑でございます。ただ要約いたしますと、道路環境の不備に起因するもの、それから車両の構造の欠陥に起因するもの、運転者または歩行者等、人の行為に起因するもの、この三つに大別することが可能であろうと思われます。 したがいまして、これらの交通事故を
防止するためには道路交通環境の欠陥、悪いところを改めるとか、車の構造が悪ければこれを改めること。それから運転者と歩行者に対しましては、教育をしたり、あるいは取り締まりをして、これを
防止すると、こういうことが
重点になるわけでございます。
アメリカ合衆国等におきましては、もう二十年ほど前からよく言われておることでございますが、交通事故
防止対策は三つのEが柱になるということが言われております。そのEは何のEかと申しますと、エンジニアリング、エデュケーション、エンフォースメントの三つの頭のEでございます。この点は日本においても大体同じでございまして、現在われわれといたしましては、エンジニアリングと申しますのは、俗に交通工学と訳しておりますが、
内容といたしましては、先ほど申し上げましたように、道路の交通安全施設を
整備するとか、踏切道を改善するとか、交通
規制の合理化をはかるということが
内容でございます。
第二のエデュケーションは、これは文字どおり教育でございまして、交通安全教育、これは学校における交通安全教育、
地域社会における交通安全教育、運転者に対する再教育、こういうようなことが
内容となっております。エンフォースメント、これは文字どおり取り締まりでございまして、主としては警察によります交通の取り締まりでございます。
ただ、現在におきましては、これ以外に直接の交通事故
防止ではございませんが、不幸にして交通事故にあわれた
被害者の方の救済が非常にまた立ちおくれている。これはたとえば交通事故によって死亡する方は、頭を打ってけがをする場合が非常に多うございますが、それに対する適切な外科手術ができる病院の数がまだまだ不足している。また脳神経外科の専門医の数も不足している。こういうような問題。それから、交通事故で被害を受けた以上は、結局金銭賠償でしかその被害は回復できないわけでございますが、この損害賠償につきましても強制保険の限度額がまだ低過ぎるとか、あるいは
国民の一般の方も
法律的知識が必ずしも十分でないために、みすみす悪質な示談屋にひっかかってとれるものもとれないというような点もございまして、現在わが国といたしましては、先ほど申し上げましたEプラス
被害者の救済問題というものを大きな柱にいたしまして、四本の柱を
基本的な考え方といたしておるわけでございます。
そこで、
政府が具体的にどういう
対策をとっているかということは、いろいろここに書いてございますので、簡単に申し上げますが、先ほどちょっと申し上げましたように、
昭和三十九年に内閣
総理大臣の諮問
機関でございます。交通
基本問題
調査会が
答申を出しまして、その
答申は大体いま申し上げた四つのことを
基本にいたしております。
これを受けまして、
昭和四十年の一月に、先ほど申し上げました
交通対策本部におきまして、「交通事故
防止の徹底を図るための緊急
対策について」というものを決定いたしております。これは別添の「資料3」の3に掲げてございます。項目だけを簡単に申し上げますと、項目が六つございまして、第一が「道路および交通環境の
整備、拡充」、第二が「交通安全活動の
推進」、第三が「交通秩序の確立」、第四が「
被害者救済
対策の確立」、第五が「交通事故
防止に関する総合的
研究の
推進」、第六が「交通安全
国民会議の開催」。かようになっておりますが、このうち第一から第四までがいま申し上げました四本柱をうたったわけでございまして、
政府といたしましては、先ほど申し上げました交通事故
防止対策、交通安全
対策の四本の柱を明確な形で打ち出したのはこれが初めてでございます。したがいまして、この緊急
対策と、その後におきます
政府の交通安全
施策が
基本になっているわけでございます。
昭和四十年には幸い交通事故による死者が、
昭和三十九年を下回りまして、交通事故問題は一時小康を得たのでございますが、その後
昭和四十一年になりますと、またこれが非常に急増してまいりました。そこで
昭和四十一年、つまり昨年の春ごろでございますが、こういうことではたいへんなことになるというところから、これは同じく「資料3」の4に掲げてございますが、「交通事故
防止に関する当面の
重点施策について」というようなものを
交通対策本部で決定いたしました。
なお、昨年の十一月ごろになりますと、大体におきまして、昨年中の交通事故による死者が再び史上最高になるということが明確になってまいりましたので、さらにこれに加えまして、同じく「資料3」の5に掲げてございますが、「交通安全
施策の
強化に関する当面の
方針」、こういうようなものを決定いたしております。なお、これは新聞等でも御承知と思いますが、昨年の後半期におきましては、大型貨物自動車
——ダンプカー等の大型貨物自動車がいとけない学童、園児等を多数死傷させるという非常に痛ましい事故が何件か起こったわけでございます。こういうような事故は何としても緊急
防止しなければならないというふうな点から、同じく昨年の年末には、「大型貨物自動車による事故
防止等に関する特別
措置について」というようなものを決定いたしたわけでございます。
そこで、
政府といたしましては、当面はこれらの
対策、特に第五に掲げてございます「交通安全
施策の
強化に関する当面の
方針」に基づきまして、
昭和四十二
年度におきまして
予算化すべきものは早急に
予算化する、立法化を要するものは、今
特別国会に
法律案を
提出して御
審議をお願いする。
予算も
法律も必要でないものは即刻これを
行政措置で実施に移すということを定めまして、自来それらの
施策を
推進しておるわけでございます。 おもだったものを二、三御紹介申し上げますと、まず交通安全施設の
整備でございますが、これは御承知のように昨年の通常
国会におきまして交通安全施設等
整備事業に関する緊急
措置法という
法律を
制定していただきまして、これに基づきまして、交通安全施設等
整備事業三カ年計画、これを昨年の七月十五日に
閣議決定いたしております。自来、これに基づきまして、主として既存の道路におきます交通安全施設、ことに横断歩道橋でございますとか、ガードレールでございますとか、街路照明灯、信号機、こういうようなものを三年間で早急に
整備をする、こういうことでございます。
事業量の総額としては約六百三億円見込んでおりまして、初
年度には百十三億円すでに実施済みでございます。特にこの問題につきましては、昨年末非常に交通事故が非常事態に至りましたので、本来三年目、つまり四十三年に
予定されておりました
事業量のうちの約八十億程度を
昭和四十二
年度に繰り上げまして、総額約二百六十億の
事業量をもちまして交通安全施設のうち特に歩行者保護
関係の施設を、おおむね
昭和四十二
年度で完成させるということを目途といたしまして、現在着々実施中でございます。それから運転者の問題につきましては、これはやはり交通事故を起こします悪質な運転者、これを道路交通から排除する問題、あるいは運転者を
指導する問題、いろいろございますが、たとえば警察庁におきましては、これも同じく三カ年計画をもちまして運転者管理センター、これは大きな電子計算機を警察庁に備えつけまして、
全国の運転免許の台帳をすべて警察庁で
集中管理する、これによりまして免許の不正取得その他の
防止をいたしますとともに、これと並行いたしまして、これは俗にポイント・システムと称しておりますが、運転者がいろいろ違反いたしました場合にそれぞれの違反につきまして合理的な点数を与えまして、それぞれこれを電子計算機に記録させて、この点数が一定の点数に達しました場合には
——たとえば右折禁止をやりました場合には一点、追い越し禁止をやりました場合には三点というようなことでございますが、これがたとえば十点になった場合に運転者を呼び出していろいろ
指導する、十二点になったら運転免許を停止する、十八点になったら取り消す。簡単に申し上げますとこういう制度でございますが、これも同じく三年計画で現在実施中でございます。その他、当面の問題といたしましては、先ほど申し上げましたように、大型トラックによります学童、幼児等の事故が非常にふえておりますので、大型免許の取得の資格を引き上げる。たとえば運転免許の年齢を十八才から二十一才にするとか、運転経験期間を二年を三年にする、あるいは非常に悪質な事故を起こした運転者に対しましては即刻免許を仮停止する。こういう制度を考えて、これらの点も現在警察庁で検討中でございまして、近く道路交通法の一部を
改正する
法律案の
内容といたしまして
国会で御
審議をお願いする
予定になっております。
それから、その他、先ほどから申し上げておりますように、わが国におきまして非常に立ちおくれております救急医療の問題でございますが、これもいろいろ説がございますが、一応人口百万につき一カ所の割合で脳神経外科を含む救急医療センターというものが必要であるということが通説になっておりますので、これを目標といたしまして年次計画で
全国で百カ所程度の救急医療センターを
設置する。また
被害者の交通事故相談につきましても、悪質な示談屋等が介入する余地がないように、これは
総理府で補助金をとっておりますが、本
年度から
全国の都道府県に、都道府県による公の交通事故相談所を
設置いたしまして、これによって交通事故により被害を受けて困っておられる方の親身の相談に応ずる、こういう
体制を進めております。また自動車損害賠償保障法によります強制保険の限度額につきましては、現在御承知のように死亡事故につきましては百五十万、負傷事故につきましては五十万でございますが、この額が諸外国に比べて非常に低いということは御承知のとおりでございます。したがいまして、これを何とか
段階的に引き上げたいというところから、現在
関係省庁で検討中でございますが、近く、これはまだ確定はいたしておりませんが、大体死亡事故三百万円程度を目途としてこの引き上げを実施することを検討中でございます。
こういった点が当面のいろいろな問題でございまして、これらにつきましては現在
政府も、鋭意、先ほどから申し上げております諸般の
施策声
推進中でございます。
また、本年に入りましてから、御承知のように、四月一日に南海電車におきます踏切事故が
発生いたしました。これにつきましては、踏切事故の改善につきましていろいろまだ問題がございますので、これをすみやかに
解決いたすために、踏切事故の
防止に関します
対策を四月六日に決定をいたしております。これも「資料3」の8に掲げてございます。また学童、園児の通学通園路における事故
防止につきましても、
政府は先ほど来申し上げておりますように、当面の緊急
課題といたしまして、これを取り上げまして、本年の二月十三日にすべての市町村に学童の通学通園路の事故
防止の協議会を
設置させまして、これによって学校ごとに子供たちの通学する道路の交通安全施設を点検させまして、危険のあるものをすみやかに直していく。また先ほど来申し上げております交通安全施設の
整備につきましても、当面はこの学童、園児の通学通園路におきます交通安全施設、たとえて申しますと、横断歩道橋でありますとか、信号機でありますとか、そういうものの
整備を最
重点的に取り上げる、このような
方針を定めております。
以上が
政府の当面の交通安全
対策の概要でございます。
最後に、一言、
昭和四十二
年度の
予算の概要を申し上げます。
これはお手元にお配りいたしました「資料4」にまとめてございます。御承知のように、交通安全に関します事務は
各省庁に分かれておりますので、その中から交通安全に関する
予算を引き抜くことはいろいろ困難なのでございますが、一応
総理府におきまして直接交通安全に
関係ありという
予算を拾い上げたのがこの表でございます。総額にいたしまして約二百六十九億。これは私たちといたしましても必ずしも満足すべき額とは思っておりませんが、この同じ範囲におきます昨
年度の当初
予算は百四十億円でございまして、百二十三億、つまり八四%増加いたしておるわけでございます。なおこれ以外に、国鉄
関係の
予算が約三百四十億ございますし、また先ほど申し上げました自動車損害賠償
責任保険につきましては、自動車の分につきましては
政府が六割の再保険をいたしておりまして、それに要します額が千二百五十億ございます。それらを一切合切合わせまして千八百五十億程度の額になるわけでございます。内訳は、大体ごらんになれば、おわかりと思いますが、先ほど四本柱としてごく簡単に申し上げました道路交通環境の
整備につきましては、交通安全施設の
整備を中心としておりまして、交通安全教育の
推進につきましては、非常にわずかであります。交通取り締まり等を含めまして交通秩序の確立につきましては約三十八億。それから
被害者の救済
関係、これは救急医療センターの
整備等につきまして約二億六千万。それから先ほどちょっと申し上げました交通事故相談所
関係が五千万。
法律扶助協会に対します補助が六千万。最後に交通安全に関しますいろいろ科学的な
研究の
推進といたしまして、
通産省、運輸省におきますところの試験所に対する経費が約一億五千万。国立大学等におきます脳神経外科の講座、
研究部門の増設に約一億四千五百万。締めて全部で二百六十九億、かように相なっております。
以上、非常に簡単に申し上げましたが、
各省庁にかわりまして、最近におきます交通事故の概況と
政府の当面の
施策、それから
昭和四十二
年度における
予算の概要を御
説明申し上げた次第でございます。