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1967-07-18 第55回国会 参議院 建設委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月十八日(火曜日)    午前十一時二十三分開会     —————————————    委員異動  七月十四日     辞任         補欠選任      伊藤 五郎君     松平 勇雄君      横井 太郎君     栗原 祐幸君      向井 長年君     中沢伊登子君  七月十七日     辞任         補欠選任      中沢伊登子君     向井 長年君  七月十八日     辞任         補欠選任      瀬谷 英行君     中村 英男君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         藤田  進君     理 事                 稲浦 鹿藏君                 大森 久司君                 山内 一郎君                 大河原一次君     委 員                 石井  桂君                 奥村 悦造君                 熊谷太三郎君                 小山邦太郎君                 中津井 真君                 平泉  渉君                 田中  一君                 松永 忠二君                 鈴木 一弘君                 春日 正一君                 相澤 重明君    国務大臣        建 設 大 臣  西村 英一君    政府委員        近畿圏整備本部        次長       上田  稔君        中部圏開発整備        本部次長     国宗 正義君        厚生省国立公園        局長       大崎  康君        建設省計画局長  志村 清一君        建設省都市局長  竹内 藤男君        建設省河川局長  古賀雷四郎君        建設省道路局長  蓑輪健二郎君        建設省住宅局長  三橋 信一君    事務局側        常任委員会専門        員        中島  博君    説明員        厚生省社会局施        設課長      飯原 久弥君        自治省財政局地        方債課長     山本 成美君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○都市開発法案内閣提出) ○近畿圏保全区域整備に関する法律案内閣  提出衆議院送付) ○中部圏都市整備区域都市開発区域及び保全  区域整備等に関する法律案内閣提出、衆議  院送付) ○派遣委員報告建設事業並びに建設計画に関する調査  (建設資材労務対策に関する件)     —————————————
  2. 藤田進

    委員長藤田進君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  去る十四日、伊藤五郎君及び横井太郎君が委員辞任され、その補欠として松平勇雄君及び栗原祐幸君が選任されました。     —————————————
  3. 藤田進

    委員長藤田進君) まず、都市開発法案議題といたします。  政府から提案理由説明を聴取いたします。西村建設大臣
  4. 西村英一

    国務大臣西村英一君) ただいま議題となりました都市開発法案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  最近における都市への人口集中による過密化と不合理な土地利用とによりまして、都市機能は低下し、都市環境はますます悪化しつつありますが、これに対処いたしますためには、工場の分散、流通業務地の再配置、都市施設整備等の諸施策を講ずる必要があることはもとよりでありますが、現下の状況は、既存の法制の活用では不十分であり、この際新たに市街地内における再開発を強力かつ効率的に推進するための制度を確立することがぜひとも必要となってきた次第であります。  現在、都市の再開発に関する法制としては、公共施設整備に関連する市街地改造に関する法律防災建築街造成法等があり、それぞれ効果を発揮してまいったのでありますが、いずれも都市の総合的な再開発のための手法としては、不十分であり、これらを統合整備して、都市の再開発のための新たな体制と手法を盛り込んだ法律制定が望まれておったのであります。  都市の再開発は、建築物公共施設とを一体的に整備することにより、必要な道路公園駐車場等を備え、土地が合理的かつ高度に利用された健全な市街地の形成をはかろうとするものであります。  今回、この法律案によりまして、市街地の再開発に関する都市計画市街地開発事業施行者市街地開発事業における権利処理方式等市街地計画的な再開発に関し必要な事項を定め、時代の要請にこたえることとした次第であります。  以上がこの法律案提案理由でありますが、以下この法律案要旨を御説明申し上げます。  第一に、市街地開発事業は、建築物容積最低限度及び建築面積最低限度が定められた容積地区内にあること、その他の一定要件に該当する地区において施行することができることにいたしております。  第二に、市街地開発事業は、都市計画事業として施行することとし、その施行者は、市街地開発組合並びに地方公共団体及び日本住宅公団といたしております。  そのうち市街地開発組合につきましては、事業施行地区内の土地所有者及び借地権者の三分の二以上の同意を得た上、都道府県知事認可を受けて設立されることといたしておりますが、なおその事業の継続が困難となる場合の措置として、都道府県知事または市町村長において事業を代行することができることにいたしております。  第三に、市街地開発事業手法は、従前の土地及び建物についての権利を新しい建築物とその土地に関する権利に円滑に変換せしめつつ、建築物の共同・立体化公共施設整備をはかるものでありまして、事業施行地区内の関係権利者権利は、原則として、権利変換計画の定めるところに従い、本事業によって整備される土地共有持ち分または施設建築物の一部とその施設建築物のための地上権共有持ち分に変換されることにいたしております。第四に、関係権利者権利を保護するため、施行者権利変換計画を定めるにあたっては、審査委員または市街地開発審査会の議を経なければならないこととするほか、公衆の縦覧に供して、関係権利者意見書提出する機会を与えなければならないこととし、さらに建設大臣または都道府県知事認可を要することにいたしております。  第五に、市街地開発事業促進する措置として、事業に必要な資金について国または地方公共団体は、補助金交付資金融通等配慮をすることとし、施行者は、事業によって整備される重要な公共施設管理者に対して費用負担を求めることができることとするほか、地方税法租税特別措置法等の一部を改正し、本事業に対する課税上の特例を定めることにいたしております。  第六に、この法律制定に伴って、公共施設整備に関する市街地改造に関する法律及び防災建築街造成法を廃止することとし、これに必要な経過措置を定めることにいたしております。  以上がこの法律案提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださるようお願い申し上げます。
  5. 藤田進

    委員長藤田進君) 本案についての質疑は、後日に譲ることといたします。     —————————————
  6. 藤田進

    委員長藤田進君) 次に、近畿圏保全区域整備に関する法律案及び中部圏都市整備区域都市開発区域及び保全区域整備等に関する法律案を一括して議題といたします。  両案につきましては、すでに説明を聴取いたしておりますが、その補足説明を聴取いたします。近畿圏整備本部上田次長
  7. 上田稔

    政府委員上田稔君) ただいま議題になりました近畿圏保全区域整備に関する法律案について、逐次に御説明申し上げます。  第一条は、この法律目的についての規定であります。  さきに、提案理由説明において申し上げましたように、この法律は、近畿圏建設とその秩序ある発展に寄与するために、近郊緑地保全その他保全区域整備に関して、特別の措置を定めることによりまして、保全区域内における文化財保存緑地保全または観光資源保全もしくは開発に資することを目的といたしております。  第二条は、用語の定義についての規定であります。  まず、既成都市区域とは、近畿圏整備法第二条第三項に規定する区域、すなわち大阪市、神戸市及び京都市区域並びにこれらと直接する都市区域のうち、産業及び人口の過度の集中防止し、かつ、都市機能の維持及び増進をはかる市街地区域であります。  また、保全区域とは、近畿圏地域内において文化財保存し、緑地保全し、または観光資源保全し、もしくは開発する必要がある区域で、近畿圏整備法第十四条第一項の規定により指定された区域であります。  次に、近郊緑地とは、既成都市区域近郊における保全区域内の樹林地で、相当規模の広さを有しているものといたしております。なお、近郊緑地樹林地でありまして、原則として農地等を含まないことといたしておりますが、樹林地に隣接する土地で、これと一体となって緑地を形成しているもの及びこれに隣接する池沼を含むものといたしております。  第三条は、保全区域整備計画承認申請及び承認についての規定であります。  関係府県知事は、保全区域指定があったときは、近畿圏整備法第八条に規定する基本整備計画に基づき、関係市町村長と協議して、当該保全区域に係る保全区域整備計画を作成し、内閣総理大臣承認申請しなければならないことといたしております。  また、内閣総理大臣は、この承認をしようとするときは、あらかじめ、近畿圏整備審議会意見を聞くとともに、関係行政機関の長に協議しなければならないことといたしております。  第四条は、保全区域整備計画内容についての規定であります。  関係府県知事が作成いたします保全区域整備計画には、それぞれの保全区域ごと保全区域整備に関する基本構想土地利用に関する事項、並びに文化財保存緑地保全または観光資源保全もしくは開発に関連して必要とされる道路公園等施設整備に関する事項につきましてその大綱を定めるものといたしております。  第五条は、近郊緑地保全区域指定要件手続等についての規定であります。  内閣総理大臣は、近郊緑地のうち、無秩序な市街地化のおそれが大であり、かつ、これを保全することによって得られる既成都市区域及びその近郊地域住民の健全な心身保持及び増進効果が著しいか、またはこれらの地域における公害もしくは災害防止効果が著しい土地区域を、近郊緑地保全区域として指定することができることといたしております。  この区域指定手続といたしましては、内閣総理大臣は、あらかじめ関係地方公共団体及び近畿圏整備審議会意見を聞くとともに、関係行政機関の長に協議しなければならないことといたしております。  第六条は、近郊緑地特別保全地区指定要件手続等についての規定であります。  建設大臣は、近郊緑地保全区域内の土地のうち、地形、交通施設整備状況や、周辺の土地開発状況等に照らして、無秩序な市街地化のおそれが特に大であり、既成都市区域及びその近郊地域住民の健全な心身保持及び増進または公害もしくは災害防止効果が特に著しい土地区域につきまして、都市計画施設として、近郊緑地特別保全地区指定することができることといたしております。  この地区指定にあたりましては、広域的な緑地計画等との調整をはかるため、建設大臣は、あらかじめ近畿圏整備長官等意見を聞かなければならないことといたしております。  第七条は、近郊緑地保全区域または近郊緑地特別保全地区指定準備のための土地立ち入り等についての規定でありまして、内閣総理大臣または建設大臣が、これらの指定準備のため他人の占有する土地に立ち入り調査を行なう必要がある場合における手続損失補償等についての定めをいたしております。  第八条は、標識設置等についての規定でありますが、近郊緑地特別保全地区につきましては、行為規制等を伴います関係上、府県は、近郊緑地特別保全地区である旨を表示した標識を設けなければならないことといたしており、本条はこの標識設置等に関する事項を定めた規定であります。  第九条は、近郊緑地保全区域における行為届け出についての規定であります。  近郊緑地保全区域のうち近郊緑地特別保全地区以外の区域において、建築物その他の工作物の新築、改築または増築、宅地の造成土地開墾等土地の形質の変更、木竹の伐採その他近郊緑地保全に影響を及ぼすおそれのある行為をしようとする者は、あらかじめ、府県知事にその旨を届け出なければならないことといたしておりますとともに、府県知事は、近郊緑地保全のため必要があると認めるときは、届け出をした者に対して、必要な助言または勧告をすることができることといたしております。なお、保全区域整備計画に基づいて行なう行為通常管理行為については、届け出を必要としないことといたしております。  第十条は、近郊緑地特別保全地区における行為の制限についての規定であります。  近郊緑地特別保全地区は、さきに御説明申し上げましたように、近郊緑地保全区域のうち特に重要な土地区域について指定されるものでありまして、その地区内におきましては、近郊緑地保全を特にはかる必要があります。そこで、前条で御説明申し上げましたような行為につきましては、府県知事許可を受けなければならないことといたしておりますとともに、府県知事は、これらの許可申請があった場合において、これらの行為近郊緑地保全支障があると認めるときは、その許可をしてはならないことといたしております。なお、通常管理行為等につきましては、前条の場合と同様、この規定の適用を除外することといたしております。  第十一条は、原状回復命令等についての規定であります。  府県知事は、近郊緑地特別保全地区内において、前条規定に違反して一定行為を行なった者等がある場合には、近郊緑地保全に対する障害を排除するため必要な限度において、これらの者に対して、原状回復等を命ずることができることといたしております。  第十二条は、損失補償についての規定であります。  府県は、近郊緑地特別保全地区内において、第十条第一項の許可を受けることができないため損失を受けた者がある場合におきましては、原則としてその者に対して、通常生ずべき損失補償することといたしております。ただし当該行為について、他の法令による許可その他の処分申請が却下された場合、または当該行為社会通念上、近郊緑地特別保全地区指定の趣旨に著しく反すると認められる場合におきましては、この法律による補償は行なわないことといたしております。  第十三条は、土地買い入れについての規定であります。  府県は、近郊緑地特別保全地区内の土地近郊緑地保全上必要があると認めるものにつきまして、その所有者から第十条第一項の許可を受けることができないため、その土地利用に著しい支障を来たすこととなるので、その土地買い入れてほしい旨の申し出がありました場合には、これを時価で買い入れるものといたしております。  第十四条は、買い入れ土地管理についての規定であります。  前条規定により買い入れ土地は、府県がこの法律目的に適合するように管理しなければならないことといたしております。  第十五条は、費用負担及び補助についての規定であります。  近郊緑地保全区域内の近郊緑地保全に要する費用は、府県負担といたしておりますが、国も、第十二条第一項の損失補償及び第十三条第一項の土地買い入れに要する費用につきましては、その一部を補助することといたしております。  第十六条は、第十条第一項の許可にかかる行為についての実施状況等報告、第十条第一項の許可等処分をするために必要な立ち入り検査等についての規定であります。  第十七条は、大都市特例についての規定であります。  地方自治法第二百五十二条の十九第一項の指定都市につきましては、第三条第一項の保全区域整備計画の作成に関する事務を除き、府県または府県知事が行なうこととされている事務を、指定都市またはその長に行なわせることといたしております。  第十八条は、施設整備等についての規定でありまして、国及び地方公共団体は、保全区域整備計画を達成するために必要な施設整備促進、及び資金あっせんにつとめるものといたしております。  第十九条は、近郊緑地特別保全地区内の近郊緑地保全のために必要な資金配慮についての規定であります。  すなわち、国は、府県近郊緑地特別保全地区内の近郊緑地保全のために行なう事業に必要な資金については、法令範囲内において、資金事情及び当該府県財政状況が許す限り、配慮するものといたしております。  第二十条は、第十条第一項の規定による処分に対する不服申し立てについての土地調整委員会との調整に関する規定であります。  第二十一条から第二十四条までの四条は、この法律実施を確保するために必要な罰則についての規定であります。  次いで、附則について御説明申し上げます。  附則第一項は、施行期日規定でありまして、公布の日から起算して六ヵ月をこえない範囲内において政令で定める日から施行することといたしております。  附則第二項から第五項までは、この法律制定に伴う関係法律の一部改正に関する規定であります。第二項は、第六条による近郊緑地特別保全地区指定に伴う都市計画法の一部改正でありまして、第三項から第五項までは、この法律施行のための所掌事務に関しての、建設省土地調整委員会及び近畿圏整備本部のそれぞれの設置法等の一部を改正しようと、するものであります。  以上、近畿圏保全区域整備に関する法律案につきまして、逐条に御説明いたしました次第であります。よろしく御審議をいただきたいと思います。
  8. 藤田進

  9. 国宗正義

    政府委員国宗正義君) ただいま議題となりました中部圏都市整備区域都市開発区域及び保全区域整備等に関する法律案補足説明を申し上げます。  昨年七月施行中部圏開発整備法は、中部圏開発整備に法的な裏づけを与えたもので、中部圏の総合的な基本開発整備計画策定に関する規定を骨子とするものであります。同法は、また、都市整備区域都市開発区域及び保全区域については、当該区域にかかる計画策定等、必要な事項を、別に法律で定める旨規定しております。本法律案は、この規定に基づいて定められるものであります。  本法律案内容については、第一条及び第二条は、目的及び定義に関する規定であります。  すなわち、本法律案目的は、都市整備区域及び都市開発区域整備及び開発並びに保全区域整備に関し必要な事項を定め、もって中部圏開発整備法の本来の目的の達成に寄与することにあります。  第三条から第五条までは、都市整備区域建設計画都市開発区域建設計画及び保全区域整備計画策定手続き及びそれらの計画内容を定めた規定であります。  すなわち、第三条は、県知事都市整備区域建設計画都市開発区域建設計画または保全区域整備計画策定しようとするときは、基本開発整備計画に基づいてこれを行なうとともに、関係市町村長と協議し、中部圏開発整備地方協議会意見を聞いた上で、内閣総理大臣承認申請しなければならないこととしております。  第四条は、都市整備区域建設計画及び都市開発区域建設計画内容として、それぞれの区域整備または開発基本構想人口規模労働力の需給、産業の業種、規模土地利用等大綱及び道路、港湾、公園等施設整備大綱を定めるものとし、なお、都市整備区域または都市開発区域整備または開発に関連して交通通信体系または水の供給体系については、広域的に整備する必要がある場合における当該区域区域外にわたるそれらの施設整備についても、その大綱を定めるものとしております。  第五条は、保全区域整備計画内容として保全区域整備基本構想土地利用及び道路公園等施設整備大綱を定めるものとしております。  第六条から第九条までは、都市整備区域建設計画都市開発区域建設計画及び保全区域整備計画を達成するための儀遇措置等規定であります。  すなわち、第六条は、都市整備区域または都市開発区域により都市計画区域を決定しようとするときは、関係市町村意見を聞くことを要しない旨の規定及び当該区域において都市計画を決定しようとするときは、都市整備区域建設計画または都市開発区域建設計画を尊重する旨の規定であり、第七条は、国及び地方公共団体は、これらの計画を達成するため必要な施設整備促進及び資金あっせんにつとめる旨の規定、第八条は、都市開発区域への工業の立地を促進するために、不動産取得税または固定資産税について不均一課税をした場合においては、地方交付税でその減収分を補てんする旨の規定並びに第九条は、都市整備区域建設計画または都市開発区域建設計画に照らして適当であると認められるときの一定の条件に該当する場合の国有財産の売り払い代金等の延納を認める旨の規定であります。  なお附則において、中部圏開発整備法の一部改正等この法律施行に必要な規定整備をはかっております。  以上がこの法律案説明であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますよう、お願い申し上げます。
  10. 藤田進

    委員長藤田進君) 両案についての質疑は、あとにいたします。     —————————————
  11. 藤田進

    委員長藤田進君) この際、委員異動について報告いたします。  本日、瀬谷英行君が委員辞任され、その補欠として中村英男君が選任されました。     —————————————
  12. 藤田進

    委員長藤田進君) 次に、派遣委員報告に関する件を議題といたします。  先日当委員会が行ないました昭和四十二年七月豪雨による建設関係災害実情調査のための委員派遣について、派遣委員から御報告を願います。
  13. 稲浦鹿藏

    稲浦鹿藏君 昭和四十二年七月豪雨による建設関係災害実情調査報告いたします。  藤田委員長中津井委員と私と、先週七月十四日から十六日まで三日間、広島兵庫両県の災害地実情調査してまいりましたが、以下その概要を御報告申し上げます。  初めに、調査の日程、経路を申し上げます。  十五日朝広島県庁に参り、永野知事外関係者から災害状況対策等について事情を聴取いたしましてから、呉市に入り、市役所災害対策本部において、市長以下関係者から、つぶさに状況を聴取いたしました。また同所にはせ参じておりました西条町からも、同管内災害要望を聞いたのであります。  終わって、直ちに現場視察に入り、市内被害地、いまなお陸上自衛隊出動作業中の崩壊危険地区、広地区仁方宮原地区等視察、次いで国道百八十五号線を通って竹原市に入り、市役所事情聴取後、同地区被害現場視察、次いで三原市、尾道市を同様視察調査をして、十九時福山市に入り、市長から災害状況を聴取いたしました。  翌十六日は、列車で神戸に入り、正午兵庫県庁金井知事並びに神戸宮崎助役等から、管内状況対策要望を聞き、宇治川筋元町をはじめ、明泉寺、西郷川等市内被災地視察、それより宝塚市、川西市の支多田川、最明寺川等の災害現場視察し、同夜帰京いたした次第であります。  次に、両県の被害の概況を申し述べますと、今次七月災害の大きな特徴であります人的被害については、広島県で死者百五十九人、負傷者二百十九人、兵庫県で死者、行くえ不明九十九人、負傷者九十四人でありまして、両県とも山くずれ、がけくずれによるものが大部分であります。  住家を加えての被害総額はいまだつまびらかでないものもありますが、広島県で約百二十八億、兵庫県で約百四十億円にのぼっております。このうち土木関係被害額については、広島県で約三十三億、兵庫県で建設省関係約六十一億円でありまして、公共施設被害が比較的に少ないのも、今次災害の特徴の一つとなっております。  これを呉市と神戸市について申しますと、呉市においては、山くずれ、がけくずれの個所六百十九カ所、うち大規模崩壊二百十一カ所で、四十三カ所の崩壊で百六十九人の生き埋めを生じ、八十八人の死者を出しております。家屋の全半壊は三百五十四戸、三百七十六世帯の罹災に及んでおります。  神戸市におきましては、家屋の全半壊百九十一戸流失二十戸で、死者、行くえ不明九十一名であります。  被害額については、呉市では総額約三十四億円、うち公共施設関係約六億、土木施設被害約三億円で、神戸市においては総額約三十六億円、うち市有公共施設被害約十四億と推計されております。  次に、今次災害に対する二、三の所見を述べてみたいと思います。  その第一点は、さきにも述べたように、異常なる集中豪雨による被害が急傾斜地、がけ地に多発しておるのでありますが、これらの崩壊地は、なおきわめて危険な状態にありまして、呉市について見ますと、その個所数約百カ所、このための予防措置に約二億円を要すると見られております。なおまた、小規模のがけくずれが多いことであります。  第二に、これらの災害の原因に宅地造成に関する規制の不備をあげなければならぬと思います。宝塚市の支多田川上流の六甲山におきまして、民間業者による大規模な宅造が行なわれておりましたが、その工事中のものを見ますと、土どめ、排水施設の用意がなく、そのための土砂流が災害を招いている感を強くいたしたのであります。  第三は、これらの急傾斜地、崩壊地に対する予防措置、特にまた民有宅地に起きている排土措置等については、現在補助の道がなく、しかもこれを放置するにおいては、ふたたび災害を生ずることが明らかでありますので、これが対策は緊急を要する課題であると深く感じてまいった次第であります。  なお、終わりに地元の要望のおもなるものを申し上げますと、建設省関係について述べますと、公共土木施設災害復旧事業及び災害関連事業の復旧年次を短縮すること、すなわち、緊急事業以外についても三カ年で復旧することにされたいこと。  第二、急傾斜地における土石流失、がけくずれの復旧と、再度災害の未然防止対策を樹立してほしいこと。  第三、都市河川については、一般河川とは別ワクに予算を計上し、改修の早期完成をはかられたいこと。  第四、砂防を重点にされたいこと。特に特殊緊急砂防を採択されたいこと。  第五、宅地造成規制法を強化されたいこと。  以上であります。
  14. 藤田進

    委員長藤田進君) この際、私から若干の点についてお伺いしておきたいと思います。  まず西村建設大臣、その後、今次七月災害に対する政府、中央防災会議等含めて、どのように対処されようとしておられるのか、具体的に御報告いただきたい。
  15. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 災害につきましては、私のほうではいち早く調査官を派遣いたしまして、現状の把握をやっておるところでございます。そこで、その現状がわかりまして帰った方もあります。まだ帰らない方もありますが、一々報告は受けて、大体被害額等につきましても、河川、それから道路その他、事業別にその算定もいたしております。したがいまして、もう少しこれが落ちつきますれば、直ちにその査定をして、わかったものから復旧を急ぎたいと、かように考えておる次第でございます。  いままで判明しました災害の額に関しましては、大体直轄河川におきまして、これは小さな数字は略しますが、二百八十カ所三十七億、砂防につきまして十五カ所約二億、一億九千八百万、それから道路につきましては五十九カ所二億一千五百万、それで計が四十一億でございます。補助災害につきましては、補助災害が非常に、個所がたいへん多いのでございまして、二万三千二百三十九カ所でございまして、二百八十九億となっております。それから都市施設は百十五カ所、公園等都市施設がございますが、それが百十五カ所ほど被害を受けて、約四億八千万ほどでございまして、今回のいわゆる四十二年七月豪雨災害におきまする被害が、金額的に申しまして三百三十五億でございます。  これは余談でございまするが、本年の一月から今日までの他の被害も相当にありまするが、これはすでに一部予備費を計上いたしまして、かかっております。したがいまして、今回の三百三十五億のこの被害につきましては、査定を急ぎまして、わかっておるものから予備費の計上をいたしまして、復旧にかかりたい、かように考えておる次第でございます。  その他、こまかいことは河川局長のほうから御説明申し上げます。
  16. 古賀雷四郎

    政府委員古賀雷四郎君) いま大臣から御説明があったとおりでございますが、異常な集中豪雨によりまして、先ほど報告がありましたとおりに、非常ながけくずれとか、あるいは中小河川のはんらん等が生じまして、貴重なる人命を失っております。  お手元に、こういう縦刷りの報告書がございまするが、建設省から報告します。昭和四十二年七月豪雨による被害状況というのがございます。これにつきまして簡単に御報告します。  雨量等につきましては、一ページ、二ページそれぞれの時間雨量と連続雨量が書いてございます。それから被害状況につきましては、さいぜん大臣からお話があったとおりでございます。被害の中身といたしまして四ページに書いてありますのは、直轄河川の被害状況でございますが、特に豪雨のひどかった六角川、松浦川、いわゆる佐賀県の川につきまして六角川で三億六百万、松浦川で四億四千三百万等が生じております。これらに掲げた河川は全部警戒すべき水位を上昇したものでございまして、特に六角、松浦につきましては、計画の基本となる計画高水位をオーバーいたしておりまして、非常な最悪の状態に達しました。破堤等が生じております。したがいまして、「箇所」の中に「内緊急」とありますのは、破堤箇所並びに緊急に次の豪雨に対しまして対処するための緊急費の金でございます。それから直轄砂防の状況はそれぞれ六ページから七ページにかけてございますが、木曾川、神通川、信濃川等につきまして、兵庫で住吉川、都賀川、石屋川、新湊川、宇治川、新生田川、西郷川、天上川というそれぞれのダムが災害を受けております。  それから直轄道路につきましては、路線名、それから被害県名、被害個所、被害内容それぞれ書いてございます。ただいまの状況は、一車線は交通は確保しておる状況でございます。一〇ページまでに書いてあります。  以上が直轄でございますが、県別の損害を御報告します。一一ページに長崎県が書いてございますが、おもなる被災地災害救助法が発動のあった市町村を書いてございます。その次はおもなる被災河川、路線名を書いてございまして、川の名前をあげてあります。その次は個所数と金額でございますが、長崎県は非常に被害がはなはだしくございまして、五十八億六千四百万の報告がただいま入っております。佐賀県につきましても同様でございまして、五十五億四千三百万の被害報告が入ってございます。その他広島県におきまして三十五億二千六百万の被害の報告が入っております。  それから一二ページの中途のところに兵庫県がございますが、これにつきましては二十五億七千八百万の被害報告が入っております。  以上おもなところを申し上げました。詳細は省略さしていただきます。以上合計で直轄災害の合計で三百三十億となっております。  一五ページに都市施設の被害状況が書いてございます。一五ページから二二ページまで、それぞれの被害のあった県、市町村について書いてございます。  それから二三ページに住宅の被害状況が書いてございます。各県別に全壊、半壊、流失、床上浸水、床下浸水、一部破損ということで、警察庁で十七日の八時現在で調べたものでございまして、全壊は七百九十九棟、半壊千百七十六棟、流失百七十五棟、床上浸水五万六百七十七棟、床下浸水二十四万三千三百二十六棟、一部破損千二百十棟という住宅の被害でございます。  その次のページは、ただいままで建設省がとりました対策でございますが、建設省では七月豪雨建設省非常災害対策本部を設置いたしまして、直ちに災害査定官を被害のひどかった長崎、佐賀、広島兵庫に派遣いたしまして、それからさらに詳細の調査をやるために、長崎、佐賀、広島兵庫関係の係官を派遣いたしました。直轄災害につきましては、緊急復旧のところにつきましては、既定経費を立てかえて復旧工事を実施中でございます。現地調査を行ないまして予備費をあらためて要求するつもりでございます。砂防につきましても同様でございます。道路につきましては、一車線以上の交通を確保しております。現地調査を行ないまして予備費を要求する予定になっております。補助災害につきましては、緊急復旧につきましては工法協議を行なって、応急工事をただいま施行中のところもございます。また現地の準備の完了を待って早急に査定を実施するわけでございます。  都市施設災害につきましては、応急工事の早急なる施行と、査定を早急に実施したいと思っております。住宅施設災害につきましては、被害直後長崎、佐賀県に建設省係官を、長崎、佐賀、広島兵庫の各県に住宅金融公庫の担当理事を派遣して、現地指導に当たらせております。公営住宅につきましては、災害公営住宅建設等につきまして、被害の実情に応じ、地方公共団体と協議の上、所要の措置を講ずることにしております。公庫住宅につきましては、災害復旧のための住宅資金の貸し付けを行なうことといたしまして、七月十三日から申し込みの受け付けを開始いたしました。なお、被災地に住宅相談所を開設しております。災害の予防措置といたしまして急傾斜崩壊予防事業と相まって、地方の実情に即し、建築基準法に基づく災害危険区域指定等、所要の建設規制を行ない、特に現在住宅できわめて危険なものについては、保安上必要な措置を緊急に講ずる等の方向で、地方公共団体を指導するということにいたしております。  以上簡単でございますが、御報告申し上げます。
  17. 藤田進

    委員長藤田進君) それで今後の長期気象見通しですが、例年よりもむしろ七月災害は早いものですから、これからさらに八月、九月、十月と台風期にかけて、どういう長期見通しなのか、河川局長でもいいと思いますが。
  18. 古賀雷四郎

    政府委員古賀雷四郎君) ちょっと手元に資料がございませんので、具体的な御報告はできませんけれども、ようやくつゆ明けの状況になったことは確かでございます。前の前の気象庁の報告によりますると、台風等が二、三個程度はあるだろうというお話でございまして、われわれも台風の襲来に備えまして、応急工事を急がしているところでございます。以上簡単でございますが。
  19. 藤田進

    委員長藤田進君) まあそういうふうに、今後傷を受けた地域が、さらに崩壊の拡大といったようなことが、私ども現地を見ましてつくづく感じられるわけですが、そこで地元の財政事情等から見て、第一激甚災害指定をしてもらいたいというのが、非常に強い希望です。これについては、すでに数日前に議論されたやに聞いていたわけですが、現時点における激甚災害に対する政府の態度についてお伺いしたい。
  20. 西村英一

    国務大臣西村英一君) いままでの災害をいろいろ調べて見ますれば、今回の災害は、激甚災害となる見込みでございます。しかし、これはまだ総理府で所管いたしておりまして、閣議の決定にはなっておりませんけれども、それに十分値する災害のように思われます。近く、この損害の総計がまとまれば、その決定を見るのではなかろうか、かように存じておる次第でございます。
  21. 藤田進

    委員長藤田進君) これは、いろいろ基準はありますが、そのとり方等で若干の幅は技術上出てきますので、激甚災害に扱えるように、国務大臣としての御努力を要望しておきたいと思います。  それから現地関係での希望は、報告にありましたごとくですが、山あるいはがけくずれ、これがさらに宅地の崩壊、建物の流失、あるいは死亡事故というふうに関連を持っておりますが、現行法では、宅地の損害について国がこれを保護、助成し、復旧をするということが困難だと言われておりますが、しかし、あるいは地すべり地域指定するなり、法の実定法の運営で救済され得るという議論もあります。これは、山の場合は、緊急砂防でこれを助け得る。農地の場合は、農林災害としてこれが助け得る。肝心かなめの住宅については、何ら現行法上救済の手が、特に建設省関係については土砂の片づけとか、あるいは復旧防災工事とか、こういうことについて何らないというようなことはいかがなもんだろうか。これに対して建設省は、どういう対策で臨もうとされているのか、お伺いしておきたい。
  22. 西村英一

    国務大臣西村英一君) この被害地に対して、堆積土砂に対するどういう補助をするか、これは、従来も例がありますが、いまは一定の基準があるわけでございます。したがいまして、そういう個所がありますれば、それは十分政府の援助ができるわけでございます、一定の条件はありまするけれども。すでに佐世保その他については、数個所それに該当するところがあるように見受けられます。  それから宅地造成にかかる復旧と申しますか、それをどうするかということは、これもいま委員長が申されましたように、あまりはっきりしたことがないのであります。これをどう取り扱うかということは、今後研究を要するのではないかと思います。したがいまして、この点は一つの問題点であろうと思われます。ことに今回は非常にそういうことが多かったので、その点は十分研究をいたしたいと思います。  それから、この際、私がちょっと委員の各位、先生方どう感ずるか知りませんが、私のこれからのあれですが、もちろん気象は、非常にことしは的確に当たったと思うのです。陽性型の梅雨で、じわじわ、じめじめしないけれども、どっと陽性に降る。そういうことは知っておりましたけれども、そのためにわれわれは、実は特段の手を下したわけじゃございません。しかし、どうも集中豪雨に弱いという感じを、非常に私は強く感ずるのでございます。おそらく、陽性ですから、集中豪雨はあるだろう。しかし、その集中豪雨を、いまの気象の技術をもってすれば、集中豪雨はあるけれども、それがどの地点にあるかということがつかめないわけであります。つかめるようになったときには、もう時間的におそいということでございます。したがいまして、今回、気象庁が考えておる方法も、その各部落、各地域にいかにして迅速に、それぞれの地域住民に知らせるかということに一つの制度の行き方を考えたいと、こう言っております。それは、私のほうの建設省でも、そうでございまして、非常に前と河川が相当違ってきました。大体、中小河川が非常に困るのでございます。中小河川は非常に勾配がきつい。それで、いまの状態は、荒らしておりますから、非常にとにかく、立て板に水というようなもので、前には二、三時間かかって下に出てきた水が、いまは、一時間で出てくる、非常に流速は速くなったというようなことがございますので、堤防関係を、私のほうとしても考えなければならんのではないかと思っております。  それからもう一つは、やはり危険な個所には、危険体制として雨量計あたりを建設省でも備えたい。これは部落にひとつ勧誘もし、建設省が自身でもやはり雨量計を備えたい。結局、雨量の問題にしましても、連続雨量がどれだけであって、あるいは時間雨量がどれだけであったかということでその勝負がきまるのでございますから、そうして、それがいかに早く、手っ取り早く住民にわかるかということで、人命に対する損傷がきまるのでございますから、今回のこの集中豪雨に弱いということについてひとつ皆さま方の御意見も承り、建設省としても十分な注意をもって臨みたいということを、ただいま考えておるのでございます。宅地造成補助の問題については、これからよくひとつ研究していきたい、かように考えております。
  23. 田中一

    ○田中一君 関連して。この中小河川並びにいまの直轄河川等の損害は、やはり土砂の流出が多かったから溢水したということなんですか。たとえば雨量だけが多いからといって、こんなに雨量だけではない。雨だけが降ったからといって、何ミリも降ったからといって、堤防そのものが破堤するものじゃないのです。それに一緒になって土砂が流れ込んでいたのかどうかということです。むろん、土砂が流れ込んで、流れと水と一緒にくれば倍以上になるのですよ、ふくらんで。その辺は各河川の状態はどうなんですか。
  24. 古賀雷四郎

    政府委員古賀雷四郎君) 個所によって幾らか様相が異なりますが、神戸市等における災害は、土砂と流木が非常に多うございました。神戸市は幸い現在のところ、神戸市を横切っている川が直接海に流れておりますが、暗渠状態のものがかなりあります。したがいまして、そういう暗渠で土砂が詰まり、材木が詰まりまして、そのためにそれからはんらんしたというような事態もございます。材木が流れてきたということは、上流でがけの災害あるいはむやみにがけを切ったとか、いろんな問題にも原因があるかと思います。それから呉市におきましては、これはほとんど急傾斜地、いわゆる、従来からありました住宅の上のがけがこわれまして、災害をこうむったという実例でございます。それは、河川に土砂がはんらんしたとかというような問題も若干あろうかと思いますが、昔の造船所の中を通っているような川も非常に狭くて、こういう災害をこうむっている。それからそれがはんらんしているという問題もございます。いずれにしても、そういう川につきましては、土砂が流れてきた。佐世保の場合も、そういった事態が黒髪川等において見られます。なお、直轄河川の松浦川とかあるいは六角川につきましては、土砂くずれというよりも、むしろ、川の水が非常に多くなって、高水位をオーバーしたというような状況でございます。上流地域には若干、土石流の災害がございましたが、下流地域等につきましては、土砂の災害はそれほどでもございませんでした。以上のようなことでございます。
  25. 田中一

    ○田中一君 結局、二つに分けて見ていいと思うのですよ。砂防、いわゆる予防砂防が完全でなかったということですね、予防砂防が完全でなかった、これは一般河川災害について。したがって、この点については、かつて、第二次の五カ年計画のときに、予防砂防という一つの項目を見出して、そこから一河川一つ、一支流一つですね。中小の一支流一つずつまず砂防堰堤をつくろうじゃないかということで出発してきているのですけれども、これが不十分だということですね。ことに土砂が、まあ長崎県の特性として、どれがほんとうの自然の山だか、あとでつくった人工の山だかわからぬぐらいにたくさんのずりがあるわけですよ。それが常に動いていますよ。だから予防砂防という点でずいぶん欠けているんではないか。災害がないと、結局砂防ということが忘れられてくるのですね。それが一つ。  それから都市河川についての問題は、これはさっき報告にもあったように、人工的な宅地造成という面、かつて三十六年災のときの神戸の現実を見ても、大体その後宅地造成の規制法ができても、何たって係官が神戸に当時三人しかいない。それが、はやりのように政府が宅地造成をやるもんだから、一緒になって宅地造成、宅地造成といって民間の業者がやる。それを一々指導するなんていったって、たった三人しか神戸でいなかったと言っていますよ。宅地造成法をつくるときに、神戸の場合に何人かといったらたった三人しか係官がいない。申請するほうは何人おるか。それを書類面で見て、一つ一ついいか悪いか判断するのが、地方公務員のあり方なんですけれども、やはり営利事業でやるんだから手抜きを盛んにやります、設計上はこれは心配ないが、実際はそうじゃないということですね。だから法律制定してどうこうということ以前に、行政指導の面が欠けているということが言えるのです。都市災害の面を見た場合に、いま委員長が質問している。だからといって、民間の崩壊したところのがけ地がそのまま放置されている。金がなければしゃしません。ましてや、もうとてもじゃない、売れっこないというようながけ地の上ですね。その宅地造成が崩壊した場合には、あと売れないと思えば手をつけないですよ。うっちゃりっぱなしですよ、そういうものはどっちみち。そういう現象をどうするかということが、いま委員長の聞いている大事な問題なんです。  私がここで聞きたいのは、呉地区ですね。あれはああいう天下の要害であって、軍港にもなるぐらいなところなんで、非常に過去の戦争の形からいい港、良港なはずです。ところが、今度の崩壊というものは、がけくずれというものは、何年度ぐらいに造成された宅地が崩壊したか。それから、したがって宅地造成法で規制した後にできたものがどのぐらい崩壊しているか、以前のものはどのぐらい崩壊しているのか、そういうようなことをきめこまかく調査しなければならぬと思うのです。それがたとえば呉の場合は、ずいぶん公園がやられている。ここにあらわれている報告は、建設省所管の事業が主であって、そうしてそれに付随する補助工事が出ておるのです。民間のものをどうするか。これはおそらく呉なんかそれがポイントだと思うのですよ。手をつけません、もう結局そういうところは。ましてやくずれた土なんかを運んで、どちらかに捨てるというような良心的な業者はおらぬですよ。これがまあ懸案だ、それが問題だと大臣は言っておるけれども、そんなものこそ早く手をつけなければならぬですよ。ほかのものは自動的に政府資金を流してやればやっていくのです。  そこで二つ聞きます。河川災害の上流の砂防施設というものを早急に、緊急砂防四億でしたか五億でしたか、それっぱっちのものでしょう。その緊急砂防というものを予算をうんと出して、砂防施設がくずれたものは復旧でいくでしょうけれども、何にもないところへ砂防してやらなければならぬという場合には、これは緊急砂防でやるということになっていますね、予算措置は。だから緊急砂防の予算をぐんぐん伸ばす、出すことです、ことしは。そうして土砂の流出をまず食いとめるということですね。これを建設大臣どう考えるか、これ一つですよ、するかしないかということです。それは決して長崎、佐賀等の直轄河川並びに中小河川ばかりじゃないですよ。もしも、かりに呉地区のように、ああいうがけ地の場合に、集水して、流すだけの川があるわけですよ。現在でもあるわけですよ。これは一体上流にどういう、たとえばあなたがいつも言っているため池をつくるのもよろしいし、調節的なものをつくるのもよろしいし、あるいは土砂が流れないように、何というか、たくさんダムをつくっておくのもよろしいし、そういうことを今度の予算措置でするかしないかということです。これはあなたの姿勢の問題ですよね。緊急砂防四億か、五億じゃしょうがないんです。砂防施設がこわれたものはこれは復旧でできます。どうしても、ここに砂防施設を持たなければならぬという場合に、その金をどういうぐあいに、あなた今度考えようとするのか、これ一つ。これは大臣から聞きたいんです。それはたくさんあります。それがことし秋に続くところのあるいは台風その他に対するところのあなたの姿勢がそうなって、初めて信頼できるということになるんです。その点どうですか。
  26. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 大体いま田中先生がおっしゃいましたこと、呉、それから神戸、長崎、それから佐賀のおもなところにつきましては、いわゆるがけがくずれてそれは自然のがけであったのか、宅地造成であったか、宅地造成でも宅地造成規制法以前のものであったか、以後のものであったか、それ全部調べているんです。ちょっとここに持ち合わせがありませんが、全部調べております、いまの状態で。これから少しふえるかもしれませんが、もう少し調べれば。そういうデータはとっております。その中でやはり今回の事故は、自然がけが相当にくずれているということ、それからその規制法の施行以前の宅地に相当に事故があったということ、それが非常に顕著でございます。まあ神戸の例で、私は今度まだ見ておりませんけれども、やっぱり従来、昭和十三年の事故で砂防をやりましたので、私は非常に助かっておると思います。あれがもしなかったら、今回はもっとたいへんなことだったろうと実は思っておるのですが、今回神戸付近でもって死傷者をよけい出したのは、自然のがけの問題でございます。したがいまして、こういうことにつきまして十分現状を把握いたしまして、事故の復旧に当たりたい。  いまの緊急砂防の問題ですが、これはやはり土砂を押し流すわけですね、それで川が自然容量を発揮できないから、はんらんするというのが、集中豪雨の私は特徴のように思います。全部上から押し流していくわけです。それは宅地造成のみならず、いなかに行きましても、農業構造改善事業によって山がくずされて、やれミカン畑にする、ブドウ畑にするでやられていますから、一緒にどっと土砂を含んで流れるわけでございます。したがいまして、河川はその容量を発揮できないわけでございます。したがいまして、いま緊急砂防をやってはどうかということでございまするが、十分調査をいたしまして、この緊急砂防は、最も重要な項目として私は取り上げていきたい、かように考えておる次第でございます。
  27. 田中一

    ○田中一君 今度は都市災害の場合ですがね、都市災害の場合にも言えることは、この土砂の流出なんですね。それから公共施設、いわゆる道路、鉄道等に落っこちてきた土は、これも自然に管理者が除去するでしょう。しかし私有地の、がけがくずれて私有地に流れ込んだという土砂は、だれがそれを排除するかですね、除去するだけの義務があるかということです。狩野川の災害のときは、御承知のように、もうそれこそあの辺の近所は、どこもここもみんなこんな石が入り込んじゃって、だれがそれを除去しなければならぬ義務があるかということですね。これはやはり災害である以上、都道府県なり政府なりが補助金を出して、それを除去するということ、これをしなければならぬと思う。先ほど委員長の質問に、これが一番大事なことですといって、あなた逃げているから、あえて言うのです。それは、役人かたぎで、そういうことは自分の責任じゃないというようなことを言外にほのめかしている発言なんです。やはり災害というものは、いろいろな形でまいります。だから、それも、人為的な災害でない自然の災害であり、かつまた国土保全の責めにあるところの建設大臣の所管事項に間違いないのです、民有地だろうが公有地だろうが、国有地だろうが。その現状というものを除去するという方法は、あなたの所管している法律内においても、解釈のしかたによっちゃできるのです。またできないならば、いままでの慣行なり法律を変えなさい、それでできるのです。そういうことを、抜本的に急速にやりますというような発言が、私は、いまこの災害質疑の場合に望ましいわけなんですが、その点ひとつ勇気を持って言ったらいいじゃないですか、何も遠慮することはない。
  28. 古賀雷四郎

    政府委員古賀雷四郎君) 緊急砂防は、ただいま五億をワクとして取っております。したがいまして、ただいま各所で、大臣が申されたとおり、調査いたしております。その結果に基づきまして、早急に緊急砂防を出すようにいたしたい。  それからそのほかに、 ことしの予算としまして、四十年災害、四十一年災害で、非常にがけくずれが多かったので、私らの手元にいま二億の予算を持っております。
  29. 田中一

    ○田中一君 一億じゃないですか。
  30. 古賀雷四郎

    政府委員古賀雷四郎君) 国費で一億円。したがいまして、それらの予算も効果的に使いたいと考えております。ただ、いま災害実情が、具体的にはっきり個所別に明らかにされておりませんので、そういったものを明らかにしまして、これをどう使うか、ただいま検討いたしておるところでございます。なお、緊急砂防の増額ということになれば、これはまた予算補正の問題になりますので、特別会計の予備費のワクとの関係もございますので、その辺は、今後の問題として十分検討してまいりたいというふうに考えております。
  31. 藤田進

    委員長藤田進君) それで大臣の御答弁にもありますように、宅地に関する限り手が出ない。しかし、これにはいろいろありますが、たとえば呉の場合、あるいは神戸もそうです。大体今度共通点は、上流の公共施設道路あるいは山とか、そういうものがくずれて、そうして通常の流量計算とは全然常識はずれのほとんど土砂、くり石、こういうもので、河川は、橋が三メートル前後以下の高さのところは、木の根が来て、それが詰まって、川というものが機能をなさなくなって、そのため両岸の宅地がほとんど荒野になってしまう、そういうものが典型的な今度の災害の様相ですね。それで、そういう破壊原因等から見ても、宅地というものについては、これは当然考慮しなければならぬのではないだろうか。  それから、さらに今後の災害に備えて、がけくずれがあり得る可能性は、これは兵庫県知事、あるいはその他の皆さんからも強い要望がありまして、もう当然くずれるということは、予想されておる。しかも、すぐ下には建物が建っている、上にも建っている。こういうものは、やはり法規制によって措置する以外にはないのじゃないか。たとえば建ててはならないという規制地、現在建てておる者に対する警告なり、そういうものを含めて、これは一連の立法を必要とするのではないだろうか。しかし、現状の七月災害には間に合いませんから、会期もあとわずかですから、そこで、現行法の範囲内で、運用面で、できるだけこれを救済するということでなければならないのではないであろうか、この二つです。そこで、自衛隊については緊急災害出動で非常に感謝されておりますが、一歩進めれば、いまのように橋の上流でどんどんたまってきて、そうしてたいへんな被害を及ぼした。その結果、人が下に埋った、それから家が倒壊し始めたというようなことに対する応急措置であったように思います。ですから、結果から論じて、そう簡単にはいきませんでしょうが、しかし、一挙にそういう被害が起きたのではなくて、若干の時間はあったわけですから、部隊の出動を願う以上は、橋、橋に配置して、それが詰まらないように、工具の用意もして。初めはどんどん橋の下を通っているのです、それが逐次たまっていっているから、そういうものをやれば、相当未然にこれが防げたように思います。それから死体の発堀は、ほとんどできて、若干残っております、神戸あたりは。ですが、それが済めば自衛隊はほとんど引き揚げております。あと道路が、呉でも両岸に沿っているところが、相当長距離ありますが、たいへんなくり石の堆積です。もう道路じゃないです。それが人手もなしに、そのまま放置されている。家の中にも入っております。ああいうものは、あらごなしぐらいは、自衛隊でやってもらえないだろうかというような要望がかなり強かったのです、感謝しながらも、さらに協力していただきたいという。国務大臣として、これは検討していただきたいと思いますね。  それからもう一つ、これは御答弁いただきたいのですが、竹原市長からの要望ですが、これは他の県市にも共通だと思いますが、大体従来三カ年で復旧するとか。しかし、それを待っていたのでは、また増加するということもあり、たとえば竹原の場合は、目の子算で約五千万ぐらいは農協等で借りて、金利負担をして、施越しの工事といいますか、今後三年かかるものを、ことしで全部やってしまいたい。それには利息の負担は、先借りしますから、それは負担する覚悟だ。しかし、自治省は、やみ起債だというようなことで、やかましく言われるし、どうも困る、こういうことでしたが、私ども聞きまして、これはごもっともなことで、それだけの力があり、金融の事情が許せば、これは当然国が単年度でやるべきでしょうが、それができないとしても、地元でそういう運営ができるならば、今後災害もあり得る、台風も来るということは、当然覚悟しなければならない。そうなると、ことしやれるものならば、農協等で金融を受けて、そうして金利は地元で負担しますというものならば、これをしもとめて、三年延ばして、さらに災害が大きくなるのを待って復旧するというのは、愚の骨頂ではないだろうかと思うので、建設省並びに自治省財政局の山本地方債課長も来ておられますから、この点についての御答弁を伺っておきたい。
  32. 西村英一

    国務大臣西村英一君) この復旧年限の問題ですが、これはもう御承知のように、前はずいぶん長かったのですが、ようやくここまで詰めたのです。これは公共事業負担法の問題で、いまは直轄については二年、北海道は三年になっていますが、補助については、緊急は三年、一般は四年、しかし平均いたしまして四年はかかっておりません、三年とちょっとぐらい、だんだん年々縮めてきております。しかし、また今度災害が大きくなると、これは何と申しますか、やはり少し延びるような傾向になりますが、いまはやや落ちついておるところでございます。しかしながら、この年限を縮めるということは、私は今後努力したいと思います。またしかし一方、施越しの問題は認められておるのでございますから、絶対に三年にわたってやらなければならぬことはない。施越しの点は認めておるわけでございますから、これはひとつそういう希望のところがあれば復旧をして、さっさと、三年かからなければいかぬというものではない、復旧はなるべくひとつ早目早目というようなことを十分今後考えたい、かように思っておる次第でございます。
  33. 山本成美

    説明員(山本成美君) ただいま委員長からのお話の中に具体的に竹原市のお話が出ておりましたけれども、そういうふうな場合の手当てといたしまして、制度としてははっきりしたものはございませんけれども、施越しの分につきましては、施越しが認められるならば普通交付税の繰り上げ交付措置でありますとか、あるいは政府資金の‐大蔵省の所管になるわけでございますけれども、地方団体に関係がございますから私から申し上げますけれども、政府資金の短期の融資を行なうというふうな措置を現実にやっております。いまお話の出ました市についての結果がどうなったかにつきましては、まだ確報は持っておりませんけれども、すでにそういうふうな場合を予想いたしまして、被害の比較的大きく、しかも財政が非常に不如意である、さしあたり資金を都合しなければならぬというふうな団体につきましては、すでに本日付で交付税の繰り上げ交付といたしまして約五十億、厳密に申し上げますと四十九億八千二百万円でございますが、これをきょう十八日付で交付することにいたしております。それから、先ほどの一時的なつなぎ融資といたしましては、大蔵財務当局におきまして約五十億、これも各団体から要求をとりまして、資金の手当てをやっておるように聞いております。以上、若干ずれた面もございますけれども、お答えいたします。
  34. 藤田進

    委員長藤田進君) いまの点は不明確なんだが、三年かかるものを単年度で、場合によれば市が農協等で融資を受けて金利は負担をします、それでよいか、建設省のほうは施越し工事が許されておるからよい。ところが、市のほうでは自治省等がそういうやみ起債みたいなことになるので困るということになれば、非常に措置がない。その点はどう処置するのかというのです。
  35. 山本成美

    説明員(山本成美君) いま建設省からお話がございましたように、施越しが認められる部分につきましては、十分検討してみたいと思っております。
  36. 藤田進

    委員長藤田進君) これはどういうところに障害が出てくるのですか。金利だけは負担してもいい。むしろ全国的な財政上の事情があって三年にしなければならぬというのが本旨だろうと思う。それを今度の被害のように非常に拡大してくる、山もだんだん増破してくる、河川がはんらんしてくるということになれば、国に全国的な施策に対して特例を認めるということは心苦しいし、無理だろうから、地元の特殊事情負担しておきたいというものを認められないというふうにも聞こえる。まだ一定の方針がないように思う。障害があるのですか、何か。
  37. 山本成美

    説明員(山本成美君) いま具体的におっしゃいました市につきまして、自分のところで利子を負担してでも借りてやりたいという意欲と申しますか、努力をしたいという気持ちはよくわかるのでありますけれども、問題は、そういうふうにやります場合の金利なり、あるいは将来の財政支出上どういうふうに見通しをつけてやれるかということもあわせて地方団体で考えてみませんと、施越しをやらなければいけないというふうな状況がなるべく少ないほうが望ましいわけでございまして、できるならば施越しでなくて、毎年度の事業としての量を各省で規模を大きくしていただきまして、当該年度の事業としてやれるようにやっていただきたいというのが、私どもの念願でございます。そういうふうな点からいたしまして、やむを得ず施越しになる場合も想定されますが、そういう場合は、さき申し上げましたように、十分検討してまいりたいと思いますが、一般的にその方向が望ましいというふうには、若干のまだ検討の余地が残っているのではないか、かように考える次第でございます。
  38. 藤田進

    委員長藤田進君) この点は十分地元の実情、それから負担がかえって増加する、危険度が加わるという実情のものは、自治省は起債についても考慮するように要望しておきます。  それから宝塚の場合も顕著な例ですけれども、宅地造成の規制ですね。これはもういま指定地域並びに全国的にも問題が起きておりますが、特に宝塚の場合には、法の指定を受ける前にすでに着工していた。市長としてもどうにもならなかった。ところが、地元は相当の反対運動が起きているにかかわらず、渓流をはさんで両サイドに相当大規模な宅地造成が、企業は主として右岸、左岸二つに分かれますが、この工事たるや、実に私ども行ってみまして無責任きわまる工事です。ゆえに、これが今次災害に際会して、下流の河川はほとんど埋没、護岸もくずれ、民家に濁流が浸入するということで、これは徹底した宅地規制をしてもらいたい。市長要望、これは私ども見まして、あれではおそらく宅地造成者も、あそこへ家を建ててあの災害を見たら、宅地として買う人がはたしてあるだろうか、どうだろうかと思うので、決して宅地造成企業者にとっても得策ではないと私は思います。これは一例ですが、各地がそうです。たとえば神戸の周辺ですが、これもかつてはこれ以上、上流部に宅地ができないだろうとおそらく予想してでしょう。現在も乳牛が三百頭以上いますが、この水害で五十頭埋没して死んでおります。人も四人死んでおります。その上に宅地ができて、そこからの浸水も私は一つの原因になったと思います。山はだの谷間のような様相を呈している。全部ずつております。途中で湧水があるというようなことで、だんだんと拡大発展する都市においては、なおさらこの宅地造成、つまり自然を切り開くということについての相当下流に与えるこういう脅威というものを度外視するわけにいかない現状に来ていると思います。ですから宅地規制について、これはこれから開発しようとするところ、あるいはすでにできていても、これが措置、たとえば同じ宝塚と川西の境は、分譲住宅が相当多数できておりますが、ちょうどその上流百メーターぐらいの裏に堤防が決壊しております。天上川ですね。ですからこれはたいへんなものです。大体一メーター五十ぐらい。ですから、畳よりもまだ一メーター以上の土砂量が家の中に全部入っております。幸いに今度の場合、暮れる時間、夕方の五時、六時、明るいときですね。それから川西、宝塚の場合は夜になりましたけれども、九時ごろですね。寝静まった夜中でなかったという点は、確かに幸いしていると思います。こう見てまいりますと、宅地というものに対する国の立場からの規制というものが、不動産業者等が無責任にやっている実情から見て、規制が必要だと思われます。これに対する法的規制なり、あるいは行政指導なりについての所見を伺っておきたいと思います。
  39. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 今回の災害で、特にこの宅地の問題がまたきびしく批判されるようになったのでございます。いまの場所はこれは宅地規制法の施行前のものか、施行後のものかわかりませんが、やはり施行後でありますれば、都道府県知事認可を受けなければできないわけであります。やみで不法行為をやれば別ですが、そういう場合にもこれは善処いたしまして工事中止ができるわけです。また、そういうことをやっている場合もあるわけです。しかしながら、今回は特に法施行前のやつもありますので、全般的にひとつ見直さなければならぬではないかということを考えております。  それから、もう一つ、やはりいまの造成等規制法につきましても、これはやはり強化するということに持っていかなければならないと思います。現在、宅地規制法によりまして、これを指定されておる都道府県は二十九都道府県ございます。相当な府県がみな指定をされております。市でも六大市は指定をされているわけでございます。その運用がどうであるかという点につきましては、監督行政を十分強化する、法律的にもまたもう一ぺんひとつ考え直さなければならぬのじゃないか。とにかく今回は宅地に対しまするずいぶんの批判がございまするから、十分法的にもそれから行政監督上も、両者ともこれは新たに検討し直すつもりでご、ざいます。
  40. 春日正一

    ○春日正一君 今度の災害について、私のほうでも兵庫広島、長崎、五島列島のほうまで含めて調査団を出していろいろ調べてみました。私自身もおととい神戸まで行って、現場をよく見てきたのです。やはりこの前の、去年の四号から二十六、七号ですか、あのときにも私は行ったのですけれども、異常な集中豪雨があったという条件があるにしても、やはり人災、もっと言ってみれば政災——政治からくる災害だという印象がますます強くなるんです。  で、私具体的な事実について幾つか調べてみたところでお聞きもし、また、大臣なんか御存じないこともあるかもしれませんから注意を促したいと思いますが、今度の災害の特徴は、人口密集地帯で中小河川が決壊しておるということ、山くずれ、がけくずれが非常に多くて大きな被害を出しておる。これは災害地全部に共通ですね。その中で特に分けてみますと、排水計画を無視して、自然に手が加えられて、初めからあぶないことがわかっているのにやっておるというところが、非常にたくさんあるわけです。たとえば、神戸の市ケ原地区、あそこでは二十一名か、なくなっております。そこに行っていろいろ事情を聞いたり、私、見てきましたけれども、あそこの世継山ゴルフ場、神戸のカントリークラブがつくってやっておる。あの周辺五十カ所がくずれておるというんです。ほかは何ともない、あそこからくずれてきておる。あれだけの人死にが出たのは、地元の人に聞いてみますと、いままでだとあの妙見さんと言っておりますが、こっちから水が出るので、この流域の人たちがあそこの何というんですか、休み茶屋のようなものがあるんですが、そこにみんな集まった。その隣に駐在があって、このゴルフ場からどっときたから、そこに避難した人がみんなやられて、家の様子を見ようと出た人がたまさか助かったということになっているんです。そういうことになっておる。その原因はどういうことになるかというと、ゴルフ場をつくって、まわりの木を切っちゃったり、いじったりしているんですね。それが一番直接の原因になっているんだけれども、ひとつこの点で、これは厚生省のほうの管轄下になるんですか、あそこが国立公園になっているんですね、六甲、そこにゴルフ場などをつくらせる場合の許可の基準ですね、これは一体どうなっておるのか。
  41. 大崎康

    政府委員(大崎康君) ただいまお話がございました六甲のゴルフ場、神戸のカントリー・クラブと申しますか、これは三十四年三月二十三日に厚生省が認可をいたしておりまして、その後三十七年の七月になりまして変更の承認を与えているわけでございます。  で、公園法上における認可の基準でございますが、これは次のようなものが基準になるわけでございます。といいますのは、公園法というものは、わが国の自然を保存して、これを利用させるというのが目的でございまして、美しい風景を保存するというのがねらいでございます。したがいまして、公園法上におきましてゴルフ場を認可する場合におきましても、風致、景観に害がないかということが第一でございます。それから第二は、ゴルフ場であれば、ゴルフ場というものが公園利用として適しているかどうか、こういうふうなことでございます。そういたしますと、それでは災害の点についてはどうかというふうなお尋ねになるわけでございます。もちろん、私ども認可をいたします際には、常識的にはいろいろ災害につきまして注意もいたしますが、専門的な知識を持っているわけではございませんで、いろいろ土地につきましては、それぞれ森林法でございますとか、あるいは砂防法でございますとか、宅地規制法と申しますか、それぞれの法律、あるいは運輸機関でございますれば、地方鉄道法でございますとか、そういうふうな法律による認可関係にお願いをいたしておるわけでございます。で、これは非常にまあいまから十年くらい前の認可でございますが、その当時の書類を私ども調べてみますと、認可の指令にあわせまして、都道府県知事を通じまして、災害等の注意にいたしましても、関係機関のそれぞれの指示に従うようにという文書がつけてあるわけでございます。以上お答えいたします。
  42. 春日正一

    ○春日正一君 そうすると、認可した全責任は政府にある、こう見ていいわけですか、それから起こる結果についての責任ですね。
  43. 大崎康

    政府委員(大崎康君) このゴルフ場につきましては、問題になった個所につきまして、私どもの自然公園法上の認可につきましては、自然公園法における認可の基準、つまり風致、景観に支障がないかということ、それからその事業公園事業としてふさわしいかどうか、こういうふうなことにつきましては、私ども確かに責任がございます。それからさらにいろいろの宅地規制法等の適用になっておるような場所でもありますので、これにつきましてはそれぞれその法律の所管庁からお答えをいただいたほうがいいかと思います。
  44. 春日正一

    ○春日正一君 そうすると、結局あなた方のほうは、いま言った風致、景観とか、そういう公園的な見地だけから認可をされる。それで認可をしてしまえば、好きなようにやらしてしまうけれども、その責任は風致、景観だけ保たれておればいいんだと、あとは建設省の責任、林野庁の責任、そういうところへ持っていってしまうということになるわけですか。
  45. 大崎康

    政府委員(大崎康君) 私どもは施設認可をいたしたわけでございますから、行政官庁といたしましてもそのとき災害等につきまして、私どもいわば何といいますか、専門的な災害関係の技術者を擁していない局でございますけれども、常識的にあぶないというふうなところがあれば、それぞれ私ども当然に行政をやっておる者として御注意申し上げているわけでございます。したがいましてその責任につきまして、私どもがそういうふうな責任までないということで言っているわけではございませんで、当然私ども公務員として勤務いたしておりますから、予見できるだけのことは、事業者に対して注意をいたしておるわけであります。
  46. 春日正一

    ○春日正一君 それで、七月十四日の読売新聞の夕刊ですね、それによりますと、あれだけの大災害を出して世間の注目をあびてまいりますから、地元の人々はあのゴルフ場を非常に恨んでいるのです。あれをやったからだ、みんながいっています。そこで読売新聞が調べたものですが、昭和三十三年にゴルフ場造成工事を申請した、翌三十四年地元の神戸カンツリークラブゴルフ場工事災害防止対策委員会というのが結成された、代表者平井健次郎さん、六十歳、当時市ケ原に住んでおった、これは反対した。反対の理由としては、十三年の災害が、がけを削って畑にしたために被害が出た、さらに、だからゴルフ場をつくられたらたいへんなことになるといって、地元はそういう対策委員会までつくって反対して、工事の中止方を、県と市に数十回足を運んで要請している。ところが原口市長は、これは県の所管であるといって逃げてしまうし、当時の阪本知事は、中央できめたんだ、中央で許可になって、きまってきているから、県知事としてはどうにもしようがないということで逃げてしまった。そういうことで、らちのあかないうちに昭和三十五年五月十日、県が現場調査をやって、当時の県の土木計画課長広瀬加一君、この人は翌年本省に来て現在横浜かどこかで働いているようですが、この人が調査の結果、工事はきわめて良好で、災害防止上全く安全だという報告をしている。それに基づいて進められたということになっているのですが、地元のそれほどの反対を無視して、しかも県庁としては工事がきわめて良好である、絶対安心である、こういってつくらせて、やはり排水も合理的に計画されている、だいじょうぶだというので、三十五年六月には半分できて、それからずっとできるというふうになっているんですね。ところが、実際には昭和三十六年五月三十一日の神戸市の水防連絡会議では、あそこの地域は山津波の危険地区として指定しているのです。危険のあることは昭和三十五、六年から、あのころから明らかにわかっているのです。ところがそういうことは何ら手を打たずにやってきている。そうして、こういうふうに言っているんですね、これは新聞の記事だと思うのですが、当時の県土木計画課長補佐高瀬安政という人が、現在現地の開発公社につとめているそうですが、談話として、県としてはゴルフ場造成について消極的であったが、国立公園の許認可は厚生大臣の権限である、政治的な背景があって中央から決定されたように記憶しておる、こうなっておる。そうすると、これは厚生省の責任というものは重大だと思うんですよ、この点どうなんですか。
  47. 大崎康

    政府委員(大崎康君) 実は私その読売新聞おそらく中央紙ではないんではないかと思います。
  48. 春日正一

    ○春日正一君 中央紙だろうと思う。
  49. 大崎康

    政府委員(大崎康君) 地方紙じゃないかと思いますが、私実は読んでいない、恐縮でございますが、私どもにあります書類で調べた範囲では、いま申された委員会というものについての記憶はございません。その点については、十分今後調査いたしてみたいと思うわけでございます。今回のこの事件は、まことに不幸な事件でございまして、私ども一同戒心をいたしておるわけでございます。これにつきましては、今後における防災措置につきましては、私ども万全を期したいと思いまして、それぞれ関係の諸機関にお願いをいたしまして、専門的な指示をゴルフ場にしていただきたいということをお願いをしているわけでございます。その指示に従うように、私どもも十分に指導を現在までしておりますが、将来ともこの点は戒心をいたしたい、かように考えます。
  50. 春日正一

    ○春日正一君 それで問題は、たくさんの人が死んで、うちが流されて、まだ死体の発見されない人が十幾体あるという状態、これに対する責任ですね、これはあなたに聞くよりも大臣にお聞きしたほうがいいと思うのですが、この被害に対する賠償の責任ですね。これは六甲開発株式会社にあるのか、あるいは許可した県や国にあるのか、その補償というものはどうなるのか、結局いかれ損で、見舞い金五千円で泣き寝入りしろというのか、その辺の見解ですね、大臣からお聞きしたいのですが。
  51. 西村英一

    国務大臣西村英一君) それは、その場合のみならず、遺族の方々につきましては、政府といたしましては、できるだけのことをしたいと、かように考えております。全般的な事故、それだけをつかまえて云々するわけにはいかないと思います。
  52. 春日正一

    ○春日正一君 そういうことで、私はあとでも触れますけれども、被害者に対する見舞いとか賠償とかいう問題、この問題は、やはり事故のあと運が悪かったということだけで済む問題ではないと思うのです。いきさつがこうなんだから。  それからもう一つ例を見ますと、神戸の妙泉寺町のがけくずれ、これは五十メートルのがけの上に数十戸も造成して、鉄道でよくやっているような防護壁も何もやってない。さっき委員長も言ったあれだと思うのですが、がけがやられて、しかも、その下にうちがあって、下を片づけてやっておるのを、上のほうからのぞいて下を見ると、またあれがやられはせぬかという、こういうところの手当てですね。そういうものを緊急にやらないと、また雨が降れば、また上のほうがくずれてくるという危険がある。こういうふうな形で、全くあとの災害の場合ということを考えなしに宅地の造成がやられておる。特に私この市ケ原に行く途中で見たんですが、こっちから上がっていって左手になりますか、山を何十メートルも切って、その下に石段をつくって宅地造成している。あんなやわらかい、さざれ石のような土地造成ですから、水を含んでだあっといくと、どうにもならぬと思うのですが、ああいうものが何十メートル、相当高いものです。汽車に乗っていても上から見えます。だあっと切って赤肌が出ている、相当急に切って造成している、あんなものどうして許可になるかということです。その辺どうですか、あれは大体だいじょうぶということで許可しているのですか。
  53. 志村清一

    政府委員(志村清一君) ただいま御質問の事例、私具体に存じておりませんが、宅地造成規制法の適用を受けました場合には、二メーター以上の切り土、あるいは高さ一メーター以上の盛り土をやるという場合は、知事さんの許可を必要とします。大体基準に従いまして安全であるということが明らかでない場合には、造成工事の許可はしないというたてまえになっております。また、これは宅地造成上の問題ではなくて、建物の場合でございますと、高いがけの真下に家をつくるということについては問題が多いわけでございまして、建築基準法におきましても、がけの高さの一・五倍、あるいは二倍以内のところには家を建ててはならぬという規制が条例でできるということになっております。また同様に災害の危険のあるところには、危険区域指定もできている。そこからは出てもらうというような措置を、基準法等には定められております。神戸等におきましても一部、条例でがけ下の住宅につきましては建てないようにという規定ができておったかと存じますが、さようないろいろな方法を十分運用いたしまして、今後の災害に対処するということが必要かと考えております。
  54. 春日正一

    ○春日正一君 つまりいまの説明でいうと、私のうちもそうですけれども、がけをまあ十メートルかそこらかすばっと切って、そのすぐ五メートルや三メートル以内にうちを建ててはいかぬ。もっと離して建てろということなんですけれども、いま、私の言ったのは、でかい山をばっと切っておるのですね。そしてそれに段々をつけているのですから、そういう意味で言えば、直接そういった条項に当たらないということになるけれども、しかしあの辺はどっと押し出してくる。くずれるのじゃなくて、下から押してきますよ。そうすると全部被害を受けるということになるわけですね。だからそういう点について、そういうふうに規制することになっておりますと、だいじょうぶかと思って許可をしました、しかし、事故が起きてしまったときには、見込み違いでありましたというような簡単なことになってしまったのでは、まずいので、そういう点はもっと十分強化していく必要があるのじゃないか。  それから乱伐ですね。これであなたの報告を聞いてみると、百七十五カ所がけくずれした。原因は国有林の乱伐、これは坑木とかパルプ材ですか、せり合っているようですが、そういうことで、乱伐のためにくずれてきておる。先ほど大臣の言われた伊万里あたりは切ってミカン畑にして、上のほうからくずれてやられておるというような形で、やはり乱伐がひどくなってきているみたいですね。そういう規制をする必要もあるのですけれども、特にここで乱伐という問題で言いたいのは、宇治川の上流ですね。神戸のあそこで県道、兵庫三田線のバイパス工事というのをやっているというのですね。ここを地元の人に聞くと、それをやるためにハッパをかけて樹木をどんどん飛ばしている。それが今度の水害でどんどん流れてきてふさがったというようなことになっている。そうして、これなんかは、明からに道路工事をやるというそのことの都合のために、同じ建設省の所管の中で出てくる河川とか災害の問題に対して何らの配慮もなしに、こうぼんぽんと切られて、それもハッパをかけていくのだから、どうせ切った樹木のあと始末というものはしてない。だから、それが一つの宇治川の被害を大きくした原因になっているということを地元の人が言われておる。こういう形の乱伐だとかそういうことがやられておるし、そういう問題。  それからもう一つは、ここに行ってみて、私どもしろうとが見ても非常に常識はずれなことをやっているので驚いたのですが、神戸なんか、たとえば神戸の宇治川の被害の状況、これは一番有名なところだから皆さん御存じだと思うのですけれども、昭和三十六年以来、三回目の被害を受けておる。それであそこの山手通りの橘橋ですか、あそこに暗渠の入り口をつくって暗渠をやっているのです。でございますけれども、とにかくあれを見ると、上のほうに相当に大きな川が流れてきて、橘橋、あそこの写真をとってきたけれども、プールのように広がって、取り入れ口は橋のほうにほんの小さな二メートル四方程度の取り入れ口がぽこつとできて、そこから道路のまん中のほうに暗渠が一本、これも幅三メートルか三メートル半、そんなものじゃないですか。そんなものが一本だけ通っておるというようなことで、大体あの取り入れ口がふさがれるのであふれてしまった。もうそんなことは、神戸という地形、上流があって中流がなくていきなり下流でしょう、海へいくという、あんな地形でもってそんなことをすれば、これはそういう被害が起こるということはさまっていることだし、しかもここでは、この暗渠を二本にしなければならぬということは、前の災害のときに言われて、昭和十三年のときに言われて、そのときの計画で、一時間八十ミリの流量に耐えるということで川幅三十メートルに広げるというようなことに計画がきまっておるのに、二・二キロのところを三十年かかって五百五十メートル、下流の三越のあるほう、あそこは暗渠が二本になっており上のほうは一本というようなことで、ここで詰まってはんらんして、非常な浸水をやられなければならない。そんなことは、私たちしろうとが見たって、これはもう無理なことはわかっておる。そのわかっておるものを、三十年間もどうしてほうっておくのかということになれば、これはどこの仕事ですか、県の仕事ですか、とにかく県のほうの怠慢もあるし、建設省のぼうとしても、そういうものについて監督上のやはり目が届かぬという理由もあると思うのだけれども、こういうむちゃなことがやられている。そういう点ですね。だから、しかもあそこは地下鉄工事がそういう条件のもとでやられておる。それで地下鉄工事現場に水が入って地盤が崩壊して、あの線路の角の鉄筋コンクリートのうらが倒れたり、立っておるうちも、私が行ってみたら、こんなに傾いておる。そういうふうな非常な被害をつくり出しておる。こういう点、なぜあそこが二、三十年間もかかって五百五十メートルしか改修できなかったのか。それから県では、県に言わせれば、地元の県会議員、市会議員が行っていろいろ質問すると、国が暗渠を二つ認めなかったというふうに言っておるのでありますけれども、これは一体どういうことなのか。しかもあそこのところは結局、下のほうは認めて——五百五十メートルのところですね。県が施行者になって、建設省の砂防事務所が委託工事としてあれをやったというように聞いておるのですけれども、こういう事情はどうなんですか。
  55. 古賀雷四郎

    政府委員古賀雷四郎君) 私らの河川関係といたしましては、暗渠にすること自体に非常に疑問に思っております。暗渠はできるだけ都市内には避けたいというのが、私のほうの基本方針であります。ところが宇治川については、これは二メートル五〇程度の暗渠がございまして、一本で通っておる。しかしこれは以前、暗渠を二本にするのを許可しなかったというお話でございますけれども、そういう事情はちょっと調べてみないとわかりませんが、少なくとも私の知る限りでは、二本の計画を認めてやろうという……、上流等は大体痕跡等で調べてみますと、大体計画どおりの水が流れてきます。計画高水位をきめた高さよりちょっと低い水が流れてきて、そこは開水路に流れてきておる。その開水路に大きな木の根がたくさんある。開水路の終わったところに沈砂池がありまして、沈砂池で砂をとめて暗渠に流すという方策でございますが、残りの五百メートル程度に工事が間に合わなかった。これはここ一両年でやるつもりにいたしております。残念ながら間に合わなかったということでございます。予算的にも相当宇治川にはつけております。ただ、神戸市内の河川は全体で相当ありまして、約二十一本近くあると思います。そのうちに甲河川と乙河川と歴史的にきめられておりまして、甲河川につきましては、相当改修を急いできております。したがいまして、改修の終わったあるいは上流砂防の終わった河川につきましては非常に被害が少ない。改修の終わらない河川だけに、宇治川とかそういったものに非常に被害が多かった。これは改修のおくれがほとんど原因だと思います。ただいま重点的にやっておるところでございますが、都市計画上の問題それから三越の前を通るところに問題点がありまして、なかなか工事施行上もいろいろなトラブルがございまして解決できなかった点でおくれておると思います。今後できるだけ促進するようにしたいと思います。
  56. 春日正一

    ○春日正一君 結局そういうところに問題がある。だから八十ミリにしておけば、今度は一時間そこまで降らなかったと言っておるのでございます。だから助かったはずだ。だからそれが三十年前にそういう計画がされて、とにかくやられたということですね。生田川の場合なんか解決したので、被害がわりあい少なかったというような事実が現にある。行ってみると、狐川というのは一メートルでしょう、幅が。川とも思えない。あれは全部暗渠になっている。あれがやはりあふれているのですね。私は狐川という名前だけ聞いてあれしたのですけれども、こんな幅の暗渠です。そういうものができております。だから、そういうものはふさがるきまっている。そういうふうなことで被害を出している。だから、こういう点もやはり政治上の責任があると思うのですよ。それからもう一つ、神戸の新湊川の番町という所は、一帯浸水しているのですけれども、あそこなんかの場合、やはり菊水橋の上流に護岸つくって、堤防高くして改築、こうずっと流れておったのを港湾をつくるためにということで川の流れを変えたのですね。それが今度の大水でもってあの橋の所で詰まって、もとの川の流れが道路になって、そこへどっと流れてしまって、川はもとへ戻りたがっているのですね。そういうようなことになっている。それからもっと小さなところで言えば、神戸市の市民中央病院ですか、あそこも土砂を受けて大きな被害を出しているけれども、私行ってみて驚いたのですけれども、あの中央病院の裏、相当急な山ですよ。相当急な山ですわ。そこから渓流が流れてきて中央病院の敷地の中をまっすぐ流れておったのを、九十度以上にひん曲げて外側へ持ってきている。だから、この山からこう傾斜がきて、中央病院までの距離、私も歩測したが百メートルないと思います。どっと下へきて、百メートルないところへもってきて、ひん曲げているのです。だから、土砂が今度そのままどっと流れて、中央病院の中にどっと入って、あの地下にあった千何百万円もする機械がだめになってしまったというようなことで、だれが考えたって、そんなひん曲げ方をすれば、被害が起こるのはわかっている、しろうとが考えたって。それを専門家がついておって、そういうふうなことをして被害を起こしておるというふうな点ですね。こういう点は、佐世保なんかでも黒髪川は小学校の敷地があるところに川を曲げてある。そこがあふれているというようなことですね。だから、そういう点考えてみれば、本気でもって日本のいま到達している高い技術水準を適用して都市をつくっていくというような観点が、ここの説明ではずいぶん言われるのですけれども、実際には、ちっとも実地には出ていない。たとえば神戸の観音寺川というのは上流の幅五メートル、下流の幅二メートルというようなことで、結局自然の道理にさからって川をいじったところ、そこで災害を起こしている。こういう点は、やはり早急に調べて必要な手を打つというようにしなければ、またよそで災害が起こってくるし、そういうことになると思います。それからもう一つは、尼崎に地盤沈下がどんどん起こって、聞いてみると昭和の初めから多いところで三、四メートル沈下しているというようなことで、蓬川というのですが、比較的少数のポンプ、これが水につかって、去年も一尺五寸、ことしは二尺ぐらい浸水している。それでこのゼロメートル地帯でポンプが常時活動しているのだけれども、水が出てくるとすぐつかってしまう。当然こういう点、わかり切ったことがやられていない。強力なポンプ設置して、しかももう少しポンプの場所を上げて水がつからぬようにしておけば助かるものを、そのままにしておくものだから、水が出たときには、ポンプがつかって肝心のときに役に立たないということになってしまう。こういう事実が幾らでもあるのです。そうしてみると、やはり国とか地方公共団体が、この災害の予防対策という面で十分な配慮もしていないし、金も出していないだけでなく、かえって災害を起こすような工事を認可したり、みずから施行したりというようなことをしているというところに、一番大きな問題があるのです。だから、宅地の規制とかなんとかということで、これはあぶないところはいかぬという民間の規制をやるにしても、国が率先してそういう模範を示していかなければ、これは通らぬと思うのですよ。だから、そういう意味で、今度のこの災害の経験から学んで、そういう点はやはりこれから先やらぬというだけでなく、いまあるものでも、大きい災害が起こるようなところは、早目にひとつ手当てするというようなことをやる必要があると思います。  ところが、これはついでですけれども、大臣七月十三日の朝日新聞を見ますと、自民党の安保調査委員会ですか、これが十二日に大災害や内乱などの際の治安対策を検討するということをおやりになったというのですけれども、これはほんとうですか。
  57. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 私は存じません。
  58. 春日正一

    ○春日正一君 新聞にも出ているのだから、うそではないと思うのですけれども、そういう大災害のときの治安対策ということをお考えになる前に災害を起こさぬこと、災害のあとにどういうふうに復旧事業のために労働力なり物資なりを投じてやるかというようなことを、この災害の直後の十二日なんですね、おやりになったほうが国民の望むところにこたえるのじゃないか、そう思います。私はこれは意外に思ったのですが、何で、この時期に急遽災害対策あるいは大災害あるいは内乱に際して、大災害を内乱と結びつけて治安対策をやらなければならぬのか。かんぐって言えば、そういう無責任なことをやっているから、人民の反感がつのってきておる。だから何かのときに爆発しやせんかという、そういう憂いを持っておるのじゃないかというふうにも思えるのです。これは公党として非常に遺憾だと思います。  それから対策について言えば、さっきも藤田委員長の質問にいろいろお答えになったのですけれども、がけくずれも山くずれも全国の危険個所、特に緊急を要するもの、これはどのくらいあって、どのくらいやらなければならないのかという問題ですね。
  59. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 実は四十一年の足和田の事故がありましたのにかんがみまして、ああいうようないわゆる土砂、土石類の流出発生個所というものを、これは調べておかなければならぬということで調べましたのですが、全国一万五千カ所ほどあるのでございます。したがいまして、これらの点に対処するためにも、おそらく砂防工事をもってしなければならぬと思うのであります。今回の四十二年度の予算につきまして、私たちもかねてからやはり急傾斜地に対する、そういう場所に人家がある、これは一、二軒というような所にまでなかなかこれは手が及ばないのでございますが、相当な部落があって、それが危険だというような所に対して、これはぜひひとつ何か対策を立てたいということで、大蔵省と折衝いたしました結果、急傾斜地に対する本年度の急傾斜地域対策事業費というものを、新たに項を起こしまして認めてもらって、わずかでございますが、事業費にいたしまして二億、国庫にいたしまして一億の予算を計上いたしたのでございます。しかし、その個所はどういう所を先行してやるかということを、ただいま調査中のところへ、今回の事故になったのでございますが、しかし、おおむねその個所はまとまっておりますので、いずれ近く終結ができると思います。できますれば、今回の事故を参酌いたしまして、直ちにその予算をもって急傾斜地には臨みたい、かように考えておる次第でございます。
  60. 春日正一

    ○春日正一君 それで大体まとまったということ、けっこうですけれども、これは一億、いわば二億ですね、これでは少な過ぎると思いますよ。やはり追加予算でも十分とって、できるだけ早目に手当てをするということをやってほしいと思います。  それから先ほど来問題になっているがけの上の住宅とか、危険なもの、こういうものは立ちのかせる、あるいは今後そういう所に建てさせないということが必要なわけですけれども、神戸へ行って事情を聞いてみますと、何であのがけの上にうちをつくるかということになると、結局、あっちのほうに行けば安い、須磨、明石なんか、まあ平らなところは高くて行けない、そういうような事情があるというのですね。そうすると、当然公営住宅を大量に建ててそこへ移ってもらうとか、あるいは宅地を造成して提供するというようなことを、政府のほうで援助しませんと、理屈はわかっておるけれども、金がないから山のほうに行くということになってしまうのですね。だから、こういう点も十分配慮してやはり予算をとっていくということをやってほしいと思います。  それからもう一つの問題は、神戸……、私ども聞いたのではだいぶ違うのですがね。全壊が三百四十、半壊三百四十二、で市として二百七十戸応急住宅を要求したら、県としては国のほうの規制もあるということで九十戸余りしか建てない。これでは少な過ぎるという話を聞いたのですけれども、応急住宅を建てる基準といいますか、ワクというのですか、どのくらいになっていますか。
  61. 飯原久弥

    説明員(飯原久弥君) ただいまのお尋ねの点で、災害救助法が適用になりました場合には、その災害救助法の適用になりました市町村のうちで所得割りを納めておる住民の方を除きまして、比較的低所得の方に応急仮設住宅を建てることになっておるわけでございます。で、基準といたしましては、全壊ないしは流失をいたしました全家屋の三割ということになっておりますが、ただ、今度のようにかなり広地域災害の場合におきましては特別な基準ということで、実情に合うように設置の戸数というものも個々の実態に合わせて認めてまいっておるところでございます。
  62. 春日正一

    ○春日正一君 それでいま聞いていると、所得割りを払っておる人はいいと、こういうような形で、均等割りだけしか払えない人に応急住宅といっても、実際災害状況によれば、所得割りを払っておる人だって、簡単に自分のうちを建てられないという人もたくさん出てくると思うのですね。だから、やはりそういうものはそちらの実情に応じて必要なものだけはっくらせるということに、これはできない規則になっているのですか。
  63. 飯原久弥

    説明員(飯原久弥君) 災害救助法のたてまえから申しまして、やはり一定の比率で困っておる方々の応急仮設住宅ということでございますから、勢い標準的な基礎といたしましては、三割というふうにならざるを得ないと思うのでございます。ただ、災害救助法の応急的な救助以外に、世帯更生資金災害資金と、あるいは住宅資金等もございますので、こういった制度も合わせましてさしあたっての応急対策を行なってまいると、こういうふうな取り扱いをいたしておるところでございます。
  64. 春日正一

    ○春日正一君 では実情に応じてやれるということですね。  それから復旧工事の問題ですけれども、これは建設大臣のほうですけれども、先ほど藤田委員長も言われましたように、あれはいま三カ年で三、五、二の比率でいっておるのですか。
  65. 古賀雷四郎

    政府委員古賀雷四郎君) 災害復旧は全体を四カ年、そのうち緊要工事を三割にしてやっております。しかし、大臣から御説明がありましたように、ただいま非常に進度アップしておりまして、さらに第四年目の仕事につきましては、国庫債務負担行為等の活用によりまして、おおむね三カ年範囲内程度にいままで進度アップしてきております。
  66. 春日正一

    ○春日正一君 これを地元の自治体に聞いてみますと、やはり三、五、二を五、三、二の割合でやってくれないか、初年度にできるだけよけいやってほしいという非常に強い希望があるのです。これを申し添えておきます。  もう一つ、有田とか伊万里も相当今度水害があったわけですけれども、やはり水田なんか点々と被害を受けておるところがある。一つに大きくかたまってやられたときには援助が得られるけれども、しかし点々として、個所としては多いけれども、一かたまりになっていないというようなところでは、援助の対象にならないのではないかという不安があるのですけれども、こういうものに対する援助はどういう考慮をされておりますか。−これはいないですか。いなければ、これは別に役所に直接聞いてみますから。  それから厚生省のほうですけれどもね。この災害のあとの緊急の援助というのですか、あれのやり方ですけれども、私ども行って調べてきたのでは、神戸の東須磨小学校、これ十五日現在ですね。ですから、災害後一週間ですけれども、朝めし二人にパン一個、昼めし抜き、夕食ににぎりめし一個、これは救助法でいう金額にも私は満たぬものだと思いますよ。それで特にそういう長い期間の間、日本人ですからやはりパンとかそういうものだけでなくて野菜もほしい、みそ汁もほしいというような要求もあるわけですね、当然。この場合、呉なんかは学校の給食設備を使って、みそ汁なんかたき出して非常に喜ばれたというようなことがある。そうすると、こういうものがどこの都市に行っても大都市にはあるわけですから、そういうものを使ってやろうとすれば、応急の場合に、まあそれはみんな被害を受けて苦しんでおるのですけれども、やはりそういう要求の満たされるようなことができるはずなんですけれども、そういう点の指導はどうなんですか、やっておいでになるのですか。
  67. 飯原久弥

    説明員(飯原久弥君) ただいまお尋ねの災害救助によるたき出しでございますが、一部の地方では、確かに御指摘のように災害救助の基準に満たないでたき出しの状況上非常にお困りになったということは、現地の方とも常に連絡をとってきておりますが、これは一般的に申しますと、この輸送とかそういったことが必ずしも徹底してなかったというふうに聞いておりますので、私ども日ごろ実施機関でございます県、さらにその委任を受けた市町村の直接従事をされる方々に、一刻でも早くかつ適正な応急の救護を実施してもらいますように、日ごろ会議あるいは訓練等を通じまして努力をしておるところでございますが、これは鉄砲水等の非常に急激な、しかも短期間の場合には、間々ともしますというと三食のたき出しが、配給が十分でなかったというような事情もございますので、一そうそういう点の援助の体制とでも申しますか、そういうものは強化をしてまいりたいと思っております。
  68. 春日正一

    ○春日正一君 それで、法でいうと一日食費幾らになっておりますか、神戸あたりで。
  69. 飯原久弥

    説明員(飯原久弥君) 災害救助法に基づきましてたき出しは一日百円でございます。ただ、これは初めの五日間が百円でございまして、六日目から百三十円に、これは被災状況が長引きますと、先ほども御指摘ございましたように、かなり栄養その他の面も不足してまいるものでございまして、こういうふうな特別基準を設定するということにいたしておるわけでございまして、冠水状態がと申しますか、そういう被災状態が続いております長崎の一部あるいは大阪の一部等では、やはりその延長を行なっております。これは従前と同じでございます。  なお、単価につきましては、年々引き上げを財政当局のほうと折衝をいたしまして、行なっておるところでございます。
  70. 春日正一

    ○春日正一君 その点で、ふだんにやはり準備がされていないという問題があるのじゃないですか。たとえば佐賀県の例を聞いてみますと、緊急用の食糧の用意がなかった、あるいは防疫の問題でも、クレゾールがドラムかんに三十本しか用意がしてなかった。だから、伊万里あたりでも、石灰を一回まいただけで、あとあと消毒を続けていくというふうな点では非常に不十分だったというふうな報告が私どもにも来ておりますけれども、こういうような特別いまの時期に、伝染病の広がる危険性もあるこういうときに、やはり消毒のための緊急必要な分くらいはいつでも調達できる、あるいは緊急な食糧くらいはいつでも調達できる。特に大体災害を受けているのは都市ですから、神戸あたりで、パンがそんなにない、緊急に焼けといっても間に合いそうなもんですよ。だから、そういう面では、やはりそれに対する準備配慮というものがなかったのではないかということですね。この点、将来、やはり十分に今度の経験をくみ取って、十分準備する必要があると思います。  それからもう一つ、商店なんかの融資の問題ですけれども、これは建設大臣に聞いてもむりだから飛ばしておきますか……。  もう一つはこういう問題があるのです。これは建設省と直接関係があると思うのですけれども、つまり災害のどさくさにまぎれて、都市計画道路の拡張をやるので、被害者にうちを建てさせないという問題が出ているのですね。これは神戸兵庫区荒田町三丁目、荒田小学校東側の道路を十メートルを十五メートルに広げる。そこで、五軒流失で二軒半壊になっているのですけれども、そのうちの一軒の人がそこにうちを建てようと思ったら、地主は自分の土地だからということで建てさせない。ところが、神戸市の都市計画局は、再建まかりならぬという立て札を建てておるというのですね。事情を聞いてみたら、こういうことになっているというのですけれども、つまり、地主との間には七、八年も前からここを広げるから、だから、これは収用するといって、かえ地までちゃんとできている。ところが、それが家人には全然知らされぬままに来ておって、災害で流されてしまったとたんに、ぱっとへいを建てられてしまった、こういうことです。こういうことが、やっぱり役所に対してたいへんな不信をつくり出しているわけです。人の災難に乗じて追い立てるというような意味でですね。こういうことはあれですか、規則としては、地主が国なり自治体とそういう契約をする場合、借地人なり、借家人には全然そういうことを話をせぬでやってしまっていいということに、法律上なっているのですか。
  71. 志村清一

    政府委員(志村清一君) 具体の事例、私もよく承知しておりませんが、たとえばある土地が、いまその地主さんがおって、借地人が家を建てておる。その家をどかして、そこを道路にしなければならないという場合には、当然租地権者の地主さんばかりでなく、借地人とも話し合いをする必要があろうかと思います。
  72. 春日正一

    ○春日正一君 これで私は最後の質問としますから。  最後に、先ほども出た見舞い金の問題ですけれども、こういうような、私はずっと行ってきた事実から見れば、国とか地方公共団体の責任というものは、相当重いと思うのですよ。ところがこれに対して神戸の場合、死亡者には県から五千円、市から五千円、重傷者には県から二千円、市から二千五百円、全壊に対しては県から千円、市から千五百円、半壊に対しては県から五百円、市から五百円というようなことになっていますけれども、これは全国大体こんな標準でやられているのですか。その点が一つと、ついでに聞いてしまいますけれども、やはり、これではあまりひど過ぎるのじゃないか。先ほど大臣も答弁していただきましたけれども、罹災者、特にカントリークラブの下の二十一名というような死亡者を出した、ああいうような人たちに対しては五千円五千円で一万円というようなことで済ましていいものかどうか、この点、国なり地方自治体の責任としてどう考えるか、この二つの点を答弁していただきたい。自治省から。
  73. 山本成美

    説明員(山本成美君) これはどこからお答えしていいのかちょっと私も迷ったのでありますが、御指名でございますので申しますと、見舞い金と申しますのは、どちらかと申しますると、災害の起こりました場合に、さしあたって身のまわり品で石けんでありますとか、あるいはタオルでありますとかといったようなものが必要になるといったような程度のところに着眼いたしまして、各都道府県あるいは市町村におきまして、さいふの許す範囲でお見舞いと申しますかお気持ち料と申しますか、そういう形で見舞い金と称して渡しておるというのが実態でございます。したがいまして、財源のよろしいところ、あるいは財源の悪いところによりまして差が出てくるのは、当然でございまして、したがって、各府県あるいは各市町村間に統一できないということも事実あるわけでございまして、実情に応じて出しているのが実態だと思います。
  74. 春日正一

    ○春日正一君 もう一つ。それで見舞い金は、そういうことで見舞いなんだから、金があるなしによってということは言えますけれども、この国家賠償法の第二条ですか、これには「道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があったために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる。」ということになっていますね。そうすると、私が先ほど来ずっとあげてきたような幾つもの事例というのは、当然これは、この国家賠償法による、賠償の対象になるべきものだ、というふうに思いますけれども、その点どうですか。これは建設大臣に聞いておきます。
  75. 西村英一

    国務大臣西村英一君) それはやはり、法制局長官に聞かぬとわかりませんが、大体は、国は個人には対抗せぬということにたてまえはなっておるわけでございます。何らかの間接的なあれを通じてやる。今回、そういう国家のそれは、実際の事例に即して言わなければならぬわけでございます。今回の場合は、山やがけがくずれた、何々がどうしたということが国家の責任になるかどうかということになるわけでございまして、もし、国家の責任ということになればそうでございましょうが、一般的の個人の損害に対して国家は対抗しないというのが、いまのたてまえでございます。しかし、それがあるから国家は何もしないというわけではございませんが、いろいろ間接的な救助の方法はとるわけでございまして、国家の責任ということになれば別ですが、今回の場合、国家はそれは責任が——責任というか、そういう直接的な賠償責任云々とかいうことは、軽々しく私は言えないのでございます。
  76. 相澤重明

    ○相澤重明君 ちょっと関連して一つだけ聞いておきたいのは、大臣、さっき被害報告が出たが、災害危険区域という指定をされたところが災害の、事故になった個所のうち何カ所ぐらいあるんですか。これわかったら、あとで資料でけっこうです。いま答弁がもしできなかったら、あとで資料出してください。それから災害危険区域指定を行なった場合、災害救助法の発動以前はどういう措置をとりましたか。この場合のいわゆる避難の勧告なり命令というものがあるのかないのか。法律的な解釈はどうなのか。これをひとつ説明してください。
  77. 三橋信一

    政府委員(三橋信一君) ただいまのお尋ねでございますが、建築基準法の第三十九条に災害危険区域という条項がございます。この条項は地方公共団体は、条例でその津波とか高潮とかあるいは出水等によりまして、危険の著しい区域災害危険区域として指定することができるということになっております。この条例におきまして、その危険区域内におきます住居の用に供します建築物の建築を禁止するとか、あるいはその他の建築物の建築に関する制限で、災害防止上必要なものを規定することができるということになっております。また同時に第四十条におきまして、地方公共団体がこの建築基準法にいろいろな規定がございますけれども、さらにそれに条項を付加いたしまして、危険と認められる場合等には、その条例によりまして建築物の敷地、構造または建築設備に関しまして、安全上、防火上または衛生上必要な制限を付加できるということになっています。したがいまして、三十九条の条例におきましては、住居の用に供する建築物について禁止ができるということになっていますが、その条例以外の四十条等におきましては、単なる制限でございます。したがいまして、この条例がどういう地域に設けられているかと申しますと、現在まで全国で五カ所だけでございます。この五カ所の条例は、それぞれいろいろな台風とか津波とかそういうような事例が発生いたしまして、その結果設けられたものが多いわけでございまして、大阪市と堺市の一部につきまして大阪府の条例がございます。それから北海道の厚岸郡の浜中村に対しまして、やはり同じような条例がございます。それから長野県の飯田市、それから名古屋市の一部、これは名古屋港の周辺でございます。それからもう一つ札幌市の白石町におきまして条例がございます。そこで、このような条例で禁示したらどういうことになるかというようなお尋ねだと思いますけれども、やはり建築基準法で建築物が危険である、あるいは住居が危険であるという場合に、この建築基準法に盛られておりますたとえば地すべりの地域におきまして、地すべりの規制法ががございます。あの法律において地すべりの危険地域ということに指定されまして、それでたとえば危険だからこの地域はあぶないんだということになりますれば、基準法でも、これを受けて当然いくべきものであろう。したがいまして、一例をただいま申し上げたにすぎませんけれども、やはりその危険であるかないかという物理的なその判断というものは、何か建築物だけの尺度から判断できるものではないんではなかろうか。やはり他のそういういろいろ制限的な立法がございます。こういうものとタイアップいたしまして、そうしてこの建築の規制というものをやっていくべきではなかろうか。特にこれは火災等の場合につきましては、必ずしも私ただいま申し上げたような関係ではないと思いますけれども、ただいまの問題になっておりますような天然の自然現象から発生いたしますこういうものにつきましては、やはりそのような他の種の立法がいろいろございますけれども、それの制約と相まって建築の規制をするのが、妥当ではなかろうかというふうに私ども考えておる次第でございます。
  78. 相澤重明

    ○相澤重明君 建設大臣ね、がけという問題についての定義の問題この前田中君からも話があったね。これはいわゆる天然のものと、自然現象のものと人工でつくったものとあるわけだね。いまのたとえば建築の問題について、住宅の問題についてがけ下につくる、がけ上につくる。こういう問題でいま住宅の問題をとっても言えるわね。いわゆる災害危険区域だという指定は、条例があれば条例で押さえることもできるわね。条例がない場合には、なかなか指定ということがむずかしくなる。そうすると、地方の自治体におけるこの行政指導の上でだね、私権、国民の私権に対して、おれはここに住宅を建てたいのだ、こう言ったときに、それを制限するものはどうする。いわゆる命令が出せるのか、勧告で終わるのか、こういうところに問題点があると私は思う。ですからこれは現在の立法上の問題も含むかもしれんが、いわゆるそういう定義の、たとえばがけの定義の問題なり、あるいは避難をさせる場合の命令であるか勧告であるか、そういう立法上にどうそれを当てていくかということをしないと、これがいわゆる建築局長の指示に従うか、消防署長のいわゆる命令にくるのか、河川局長の勧告にくるのか、一体どこの省がそういうことをやれるのか。起きた結果については、こういうふうにたいへん被害がありました、しかしどこにもそれは立法上あるいは行政上の責任というものが持てない、こういう点を私ども心配するわけです。そういう点についてのいまの見解を聞くために、たとえば住宅の問題点を解明をしてもらったわけですが、この点、大臣どうお考えになりますか。
  79. 西村英一

    国務大臣西村英一君) おたくのそういう言は、詳しくはありませんが、つまり宅地造成規制法には罰則はあるわけです。罰則は明らかにある。もちろん罰則を適用する場合は、それは中止命令というものが出せます。で中止命令を聞かなかったらどうなるか、それは罰則はあるわけです。しかし、いまの建築基準法で言うその規制、危険何とかということについて罰則があるかどうか知りませんが、法律に基づいて、そしてその法律に基づいて地方公共団体が条例をつくって、そしてその条例に従わないというなら、それは罰則の適用は私はできるものだとかように考えます。
  80. 相澤重明

    ○相澤重明君 だから、大臣は新しい法律をつくった場合、たとえば建築基準法というものがようやく新しくできた、宅地造成法ができた、これは新しい法律なんですね。そういういままでの実態からいって、こういう法律をつくらなければいかんということでようやく法律ができて、いまその規制が加えられつつある。しかし、この法律のできる前のものはどうなる。法律ができる前にすでに家が建っておった。あるいはそういう事態になっておったというものは、一体どうなるか。これを規制するものはない。そこで、先ほどの危険区域という指定をすれば、ある程度そういう問題についての規制ができるわけです。ところが、残念ながら条例がなければそれは規制はできない。そこで、条例がある場合と条例がない場合の政府として行政上の指示というものを考えておかないと、あるいはもし足らなければ法律改正していかないと、私は災害が起きた場合に、いつもこういうことが繰り返されてくるんじゃないか、こういう心配をするわけです。そういう点についての基本的な問題を、われわれは末端において常にそういう点を立ち会っておるわけです。危険区域指定する場合にも、どうすればいいかということで立ち会うと、そういうような悩みを持っているわけですから、やはり政府の一貫した指導方針というものを持ってもらいたい。私はこういう意味で、いまの新しい法律の宅地造成法なり、建築基準法なりができた後のことはいまわかっておる、以前のものはどうするのか、大臣どうですか。
  81. 志村清一

    政府委員(志村清一君) 宅地造成等規制法の適用になった後は、なるほど今回の災害の例を見ましてもわずかな崩壊でございまして、それ以前のものが問題ではないかという御指摘かと存じますが、それにつきましては、宅地造成等規制法におきまして、知事なり市長が、従来行なわれた宅地で災害防止のため必要な擁壁または排水施設が設置されていないか、またはきわめて不完全で、これを放置するときには、宅地造成に伴う災害の発生のおそれが多いという場合には改善命令を行なう、あるいは保全の勧告を行なうという措置ができることになっております。これらにつきましても、従来規制区域指定いたしました公共団体に対しましてできるだけ回りまして改善命令、勧告を行なうように指導いたしておりますが、今回の災害にあたりましても、危険な区域につきましては、パトロールと申しますか、回りまして、これがあぶないからというふうな注意などをしておったのが実態でございます。
  82. 藤田進

    委員長藤田進君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  83. 藤田進

    委員長藤田進君) 速記を始めて。
  84. 相澤重明

    ○相澤重明君 私はこれで終わりなんですが、局長、いまの命令と勧告とは違うわけですよ。命令と勧告は明らかに違うのです。私はそう解釈をしているのです。ですから現場では混乱をするのです。私はそういう意味で、非常災害を常に頭に置く場合に、勧告だけではどうしても十分ではないという見解を持っているのです。いまの災害危険区域指定をする場合には、勧告だけじゃどうしてもだめだ、こういう意味で政府の施策というものを前向きに進めてもらいたい、こういう希望を持って私の質問を終わります。
  85. 藤田進

    委員長藤田進君) 他に御発言もなければ、派遣委員報告はこれをもって終了いたします。
  86. 藤田進

    委員長藤田進君) 次に、建設資材労務対策に関する件を議題といたします。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  87. 田中一

    ○田中一君 建設大臣に伺うのですが、二十日にいよいよ建設資材労務調査室というものをどこかの局に設けることになっているそうですが、それは大体どういうものを目的としてやるのか、資料はもらってありますけれども、大体大臣からひとつ構想を話していただきたい。
  88. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 今回建設資材等を扱う部屋を、計画局につくりたいと思っておるのであります。元来、公共事業は今後もますます進めていかなければなりませんし、また、その使いまする金も、国家財政の非常に大きい部分を占めることになっておるのでございます。それで今後三年や五年のみならず、ずっとそれは続いていくと思うのであります。したがいまして、そのときにおける建設行政として一番やはり大事なことは、従来はそうでもありませんでしたが、大体建設の仕事に必要な骨材であるとか、あるいは鉄骨であるとか、木材であるとかいう資材の面に、相当に注意を払わなければならぬような気がいたすのであります。従来は請負工事にかければ、まあ全然取り合わなかったことではございませんが、請負工事にかければ、もうわが事終われりというような態度で、今日まで進んできたように見受けますが、今後はなかなかそうはいかないと思います。したがいまして、その方面に対してより一そうの関心を高めまして、そうしてなるべく安いような、あるいは工事がスムーズにいくように、その資材の面について十分調査研究をさせたいということのために、計画をいたしたような次第でございます。
  89. 田中一

    ○田中一君 労務対策については……。
  90. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 労務対策につきましても、これはやはり若年労働力が非常に少なくなりつつあるということは、もう田中先生も御承知のとおりでございます。したがいまして、こういうような点につきましても、もう少し何と申しますか、やはり建設業だけにまかせず、少し計画的に総合的にものごとを考えていきたい。どちらかと申しますると、労働省はございましても、まあそのときに及んでは労働省にごやっかいになることもありますけれども、ほとんど系統的な連絡がないように見受けられるのでございます。しかもその労働者の中には、ことに欠けておる点は、技能者の問題でございます。技能者は実に、たとえば大工であるとか左官であるとか、それは建築の近代化でそういうものがだんだん要らなくなるような傾向にありましても、なお日本の現状からいいまして、必ずしもそれを軽視するわけにはいきません。したがいまして、そういうわが国における特殊な技能者というものにつきましても、これはひとつみずから進んでこれを養成するというような体制をとっていかないと、どうもこれからの建設量をまかなっていけないような気がいたしますので、労働もあわせてひとつ研究調査をさせたい、かような意味がございます。
  91. 田中一

    ○田中一君 これはかって職業訓練法ができた当時も、私は労働委員会にいってこれはきびしく建設省と打ち合わせをして職業訓練、特に建設関係の技能、技術に対してはやれと言っておいたんですよ。ところが、いまあなたから連絡がないと、連絡が少ないんだというような発言があったのは、はなはだ遺憾です。当時職業訓練法に基づく職業訓練を青少年に行なう場合には、常に建設省と合議をしてやるように協定書ができているはずです。どういう文面か、ひとつ計画局長読んでください、協定書を。
  92. 志村清一

    政府委員(志村清一君) 協定書をただいま持ち合わせておりませんが、労働省ともなるべく緊密な連絡をとるということで折衝いたしておりますが、大臣も仰せられたように、今後はこれ以上さらに緊密な連絡をとりたい、かように考えております。
  93. 田中一

    ○田中一君 大臣が緊密な連絡がないと言っているんですよ。だからこういう質問をしている。さらにどういう緊密な連絡をとろうというのか、もう少し具体的に何をしようとするのか、今日の実態として大工職が少ない、したがって大工職に対してこうするのだ、あるいは木舞職なんというのは、だんだんなくなっているから、それにかわって新建材を扱うとかなんとかという、そうした具体的に建設大臣が命じている公共建築物というのは、相当たくさんあるわけなんだ。こういうものに対して何をもって要求しようとするのか、折衝しようとするのか、ひとつ説明をしてほしいと思うんです。
  94. 志村清一

    政府委員(志村清一君) 建設労働者、特に技能系の労働者につきましては、従来から充足率が低く、この養成につきましては、われわれとしても苦心をいたしておるところでございますが、先ほども申し上げましたように建設省、労働省、それから業界、三者の懇談会をしばしば持ちまして、全体的な問題等についても議論をいたし、また特に技能糸の労働者につきましては、昭和四十年から四十五年の間に一体どれくらい不足するだろうという数字なども、互いに計算し合っております。大体私ども推計したところでは、四十四万人ぐらい足りないんじゃないか。そういたしますと、それを職業訓練あるいは事業内訓練、さらには建設省でやっております産業開発青年隊によるオペレーターの訓練といったようなことで、どういうふうに割り振りなり訓練していくか、また事業内訓練にいたしましても、従来の行き方をどう変えたらいいかというようなこと等につきまして、今後ともお互いに話し合いを進めたい、かように考えておる次第でございます。
  95. 田中一

    ○田中一君 そうすると六人ですね、職員は。六人が部屋に配属されることになっておりますが、この六人の人は、資材と労務と分けてどういうぐあいに配置されるんです、構成はどういうことになるんです。
  96. 志村清一

    政府委員(志村清一君) これから新設しようという室でございますので、わずかの人数ではございますが全員で労務、資材関係の問題を担当させていきたい、かように思っておりますが、労務、資材につきましては、同時に私どものほうで調査統計課というのがございまして、そこでも労務問題についての調査なり統計なり、あるいは資材面の調査なりの問題を処理いたしております。それから先生御存じのとおり、建設振興課というのがございます。そこでも建設振興の問題も取り扱いいたしておりますが、そういった各関係の課と連絡をとりながら、この建設資材労務調査室におきまして取りまとめをするようにつとめさせていきたい、かように考えております。
  97. 田中一

    ○田中一君 この建設労働者は結局こういう大きな問題があるわけです。たとえば不安定な就労条件だということですね、それから賃金もこれまた相手次第によっていつも動くということですね。職場がむろんこれは安定してないということ、こういう点の悪条件がある。ほんとうに労務問題を考えるならば、いま懸案になっている大きな問題、ことに社会保障制度なんというものは、そのうちの大きな障害です。今日一般労働組合の労働者と同じようなことにならないわけなんです。労働組合というか、労働法に規定されている労働者ですね。一ぺん雇用すれば終身雇用という形の雇用契約の中における条件とは合わないわけです。そういう根本的な問題が解決されれば、建設労働者を指向する青年の数が多くなってくるわけなんです。そうした問題も十分に検討しょうというのですか。ただ技能、技術を持っているところの青少年がたくさん出ればいいんだ、何とかそれをしりをたたいてでも、それを生み出すというような考え方で立っているんですか、この根本的な姿勢を聞きたいんですよ。労働省はただ、いまの現状では労働政策の面からいって不安定雇用、低賃金、それから社会保障皆無というような状態の中で、ただ仕事さえ与えていけばいいんだ、貧乏人の能力のない、能力というか、あまり頭がよくないから大工、左官にしようというのはとんでもない考えなんです。いま建設大臣も請負人と相談してものをきめようと言っておりますが、これは請負人の問題ではないのです、労務問題は。なぜ建設労働者が少ないか、これを解決しようというのは、請負人に聞いたから解決されるものじゃない、労働省に聞いたから解決されるものじゃない。ほんとうに本質的な質という問題、なぜその労働者に相談してそれをきめようという姿勢がまずそこにないのですか。その労働者の置かれている条件がどんなものであるかということをまず知らないで、何といいますか、資材労務調査室が発足するのじゃこれは非常に危険です。その意味で、もう少し大臣からこの部屋の性格というものを明らかにしてほしいのです。置かれておる条件というものが一般労働法に基づく労働者と違う条件にあるということをまず前提に考えながら、何を労働者が求めているかということを考えなければ出てこないですよ、議論が出てこない。もう一ぺん伺っておきます。
  98. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 資材のほうは別としまして、労働者の問題ですが、これはやはり大体二つございます。一つは、いま言ったとおり特殊な技能者を養成することにもう少し省として力をいたしたい。もちろん労働省が職業訓練所等でやりまするけれども、やっておって、しかもなおかついまはやはり充足率がやっぱりうまくいかないのですから、もう少し建設省として、どういう方向にいくか知りませんが、力を尽くしてまいりたいということが一つ、それから一般の労働者につきましては、いまのままでいきますると、これは各建設業者が自分のところで、ただ単にその場限りで高く金を積み上げて、背に腹はかえられぬときは料金をたくさん出して、その場限りになるわけでございます。したがいまして、長い目ではやはり建設業の労働者については、安定のいくような、また建設業界がもっと従業員のための、労働者のための福祉を考えた、安定した職業になるように、そういうことをも含んでひとつ研究をさせて安定に持っていきたい、こういうようなことを含めまして今度室をつくっていきたい。二つの技能者の養成とそれから労働者の安定というようなことを考えつつやっておるのでありまして、もちろん、いま労働者のそれぞれの方々にまだ意見は聞きませんが、徐々に私もそういう思想で展開をしていくつもりでございます。
  99. 田中一

    ○田中一君 この業務内容としては建設労働者の問題ですが、「建設労働力に関する実態調査及び確保対策」これが3にあがっております。4には「労働力不足等に対処するための基本的施策の推進」5には「特定大規模工事に関する資材、労働力の確保対策」といって、非常に目の前の問題だけが仕事の業務としてあらわれております。2には「建築資材の供給確保及び価格安定対策」、安い家を、安くていい家をつくるのだということは、これは原則です。しかし、これは低賃金でつくるのだというものじゃないわけです。だからこれに先行するには、まずあなたが、あなたのほうで公共事業の大部分というものは直接工事、補助工事、融資工事、いろいろな面で建設大臣の行なわれておる指導力というのは大きなものです。また、政府の持つところの地方公共団体の仕事としても、みな政府としての大きな発言力が行なわれるはずです。その場合に、先ほど言っているように根本的にはその労働者自体の置かれておる地位というもの、条件というもの、これを真剣に取り上げて検討されなければならないと思うのです。この点は十分におやりになるつもりですね。
  100. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 十分にやるつもりでございます。
  101. 田中一

    ○田中一君 それからこの建設工事の価格の安定ということは、建設労働者の賃金に対してはどういう見方をしておるのですか。かつて御承知のように占領時代にはPWという賃金体系がございました、PWというね。これは局長も知っているだろう。これは何であったかということですね。この性格は何であったか、局長ひとつ説明してくれ、PW賃金。
  102. 志村清一

    政府委員(志村清一君) もう廃止になってしばらくいたしておりますので、よく覚えておりませんが、たしか労働省で調査をいたしました結果、PW賃金を出しまして、大体その額でもって公共事業等に使う賃金ベースにするというふうなように記憶いたしております。
  103. 田中一

    ○田中一君 これは御厨知のように、終戦後にもう労働者の不足からウナギ登りに上がる、それから占領軍がピストルを突きつけて知事や土木部長に命令して仕事をするという時代に、国としても一応の安定されたときに標準的な賃金表がないと予算もつくれないというところから、これは一面は占領軍に対する反発もあったし、それから予算をつくるための一応の賃金表をつくったわけなんです。ここにあるところの建設価格の安定なんということには、新しい賃金体系をつくるのだというようなことを考えておらないのでしょうね。新しい賃金体系、PWに見合うようないわゆる予算の積算に必要な時価というものを一いま時価本位ですね、時価プラスアルファでもって予算を組んでいますね。物価の上昇に見合ったアルファをつけて、予算編成では賃金の場合。それをそうでない形で新しいものをつくるのだというような形、固定した賃金を考えているのじゃないかということを調べようとするのじゃないかということを質問しているわけです。建築工事の価格の安定という項目は、それはどうですか。
  104. 志村清一

    政府委員(志村清一君) 一体基準賃金をつくりましてそれを押しつけるなんということをいたしましても、できるはずのものではございません。さようなことは考えておりません。
  105. 田中一

    ○田中一君 それから職業訓練所、職業訓練を行なうのだということの考え方は、労働省はまあ建築中央職訓センターをつくっていますね、二つばかり、昨年でしたか。それでそういう具体的な養成所、訓練所あるいは学校なんかをつくるのだということの考え方ですか。労働者が行なっておるところの職業訓練、いわゆる事業内訓練ね、公共施設における訓練と二つに分かれておりますけれども、その点はどういう形で建設省は行なおうとしておるのですか。
  106. 志村清一

    政府委員(志村清一君) それらにつきまして、十分今後とも検討いたしたいと存じておりますが、先生御承知のとおり公共職業訓練所だけでできるはずのものではございません。事業内訓練というものの持つウエートというのは、きわめて高うございますので、これをどうスムーズに能率的に、しかも特定の方が喜んでやれるようにするかということも、今後十分検討せねばならぬことだと考えております。
  107. 田中一

    ○田中一君 職業訓練、現在の職業訓練法の欠点は、いわゆる職業訓練で技能士なら技能士になったということから生まれる賃金と、就労の安定がないから希望者がないということになるのですよ。それからまた事業内訓練、いま各労働組合なんかで事業内訓練として行なっておりますけれども、事業内訓練にしても労働組合でできるのであって、いま一般の請負人がやるようなものではありません。請負人がやってその卒業生を全部安定した就労条件で雇うならいざ知らず、そうでないのです。当然水と同じように流れる、労働条件のいいところへいくのです。こうなればいま言ったような請負人によって事業内訓練をさせようなんということは、これは絶対できません。終戦後かつてやったのですよ。終戦後かつてやって失敗している。労働市場というものは、長期雇用による労働市場でないというところに大きな欠点があるのですね。建設労働者の場合にはそれを、いま建設大臣が言っているように、労働省がやっているこれ以外に新しい訓練方式をとるということは、どういう方式をとろうとするのかですね。事業内訓練を請負人等にやらせたところには、相当補助金でもやるとか——補助金をもらったって、それはなるほど国家的に見て一つの滅びいく技能というものが残されるということのむろんプラス面もありますけれども、はたしてそれが今日建設大臣が考えているような労務対策、労働者不足からくるところの充足にはならないわけなんですよ。そうすぐつながらないわけなんですよ。だからもっと根本的に職業訓練所で行なうところの訓練の実態がどうであるか、卒業生の就労状態はどうであるか、一般労働者としての権利が与えられておるかどうかという根本的な労働者対策というものを、この室で研究しなければならぬと思うのですよ。この点、大臣そういう方向に向かって進んでいかすつもりですか。
  108. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 私も建設省に来ましてから、いま田中さんが言うようなことについて所管局長説明を求めるわけですが、どうも納得があまりいかないのです。たとえば事業内訓練といっても、そううまくいっているようでないし、それから労働省が職業訓練所、それにまかしておるといっても何のあれもない。そこで建設省建設青年隊も持っておりますが、建設大学というものがある。その大学の内容を聞いてみますと、これまた少し納得がいかない。したがいまして、こういうせっかくの大学があるのだから、これをもう少し活用すべきものじゃなかろうか。そうしてこの技能者の養成をいま一部分はやっております、機械の部分だけ。しかしいずれにいたしましても、やはりだんだんすべてのものもいずれにしても進歩していくのでございますから、やはり数の点からいいましても、それから近代化からいいましても、やっぱり国家がたくさんな人員を養って、それを今度は機動隊にしてその実務につかせるというようないろいろな方法をこれからとろう、方法論はいまこうやるのだ、だからひとつ見ていてくれというだけのまとまったものはないのです。しかしながら、これから建設業がますます進んでいく上におきまして、いまのように建設業だけにまかしてどうも置けないような点がありますので、さらにひとつ力を尽くしたいと、こういうのがいまの考えでございまして、今後いろいろ練っていこうという考えでございます。  それからついででございまするが資材の問題です。実はセメントは、これはもう土建業者が大部分使う。セメントの相手になるのが砂利なんです。戦後相当長い期間がありながら、砂利問題なんというものは、これは土建業以外にほかに使うところがないのです。それに対してやはり対策が持てないのです。もとより砂利問題は非常にむずかしい問題です。これはおい立ちがありますから簡単にはいきませんけれども、これあたりももう少し系統的に何かやらないと、これはかりで——さいぜんもダンプカーの取り締まりをすると一ぺんにトン当たり二千円も上がるということでありますから、今後ますますこのほうも技術的に量的に、やはり何かの対策を立てなければならぬというのが、資材と労務に対する部屋を持ちまして関心を払いたい、こういうことでございます。
  109. 田中一

    ○田中一君 それから業務内容に特定の大型工事というのは、何をさしているのです、特定の大型工事。たとえば住宅等のプレハブ、大型プレハブ化などを考えているのですか、それとも三十六階を考えているのですか。
  110. 志村清一

    政府委員(志村清一君) もちろん、労務の生産性を向上する点につきましても配慮いたしますので、資材の向上生産化というふうなことにつきましても、たとえばプレハブなんかにつきましては、住宅局を助けましてやっていくというふうなことも考えられるわけでございますが、先生お手持ちの資料につきまして私まだ見ておりませんのですが、たとえば大きな万博というようなことがございまして、そこで資材、労務が非常によけい要るというような場合に、この室が一つの何といいますか、事務局といいますか、窓口と申しますか、さようなことになることも考えられることだと思います。なお、労務問題につきましては、先ほど来先生おっしゃっておられますように、建設労働力のいろいろ問題になりますのは、質的にやはり何と申しますか、労働環境とか、労働者の福祉とかというふうな基本的な問題にメスを入れなければならぬことは事実でございます。これらの点につきましては、単に労務調査室だけではございませんで、地方建設審議会等におきます議論なんかにも当然出てきますが、そういった点につきましては、今後とも十分な配慮を進めたい、かように考えておる次第でございます。
  111. 田中一

    ○田中一君 いま局長から万博工事が出たから、万博工事がかりに大型緊急な、至上命令的な、時間的ないろいろな制約がある仕事であります。そこで万博工事に対しては、建設大臣何か構想が、たとえば労務がないならばこうしよう、ああしようという何か構想を持っているようですが、それはどんな構想ですか。
  112. 西村英一

    国務大臣西村英一君) まず第一番には、やはり工事を早く出す。したがいまして四十二年度の、つまり近畿地建及び大阪市、府の工事は十月までに全部工事は出してしまう、この命令をいたしまして、これは直接の労働問題ではございませんが、どうしてもピークがあれば、非常に困る。しかしまあ、私はこれはどうかわからないのですが、万博までには三つの冬がある。ことしの冬、来年の冬、再来年の冬がある。この冬には、いままでの例として冬季に仕事のない方々は出かけて仕事をするわけです。これはわれわれが誘わなくてもするわけです。したがいまして、この労働力をもう少し組織的にうまく利用できないか、そのためには、もちろん当該県に対しまた当該労働基準局に対して組織的に労働者をあれする、しこうしてその労働者に対しましては、この建設業が自分のほしいままにできないような、ある程度のこちらがにらんでおって、労働者のための福祉施設も考えてやり、そのほうに向けるというようなのが、ある程度の統制をもって労働力を使えないだろうかと、いまおぼろげながら考えておるのでございます。したがって、国会が済みますれば、もちろん大阪当局におきましては、労働者対策本部等もつくってやっております。やっておりまするが、まあ、建設省として考えることは、いろいろな手はございましょうが、私としては冬季労働者をうまく利用するということ、したがいまして工事はスムーズに出すということを、いま考えておるところでございます。
  113. 田中一

    ○田中一君 それは決して何というか、職業安定所を通じたり、一つの供出県等に命令して供出させるなんということでなくして、どこまでも労働者の基本的な人権というか、労働条件というものの的確な方針を、建設大臣が定めてくれればいいわけなんであります。これは従来ともに何べんも私もそういう労働者に実際に聞いて、建設省に持ち込んだことあります。下請けの下請けあたりがいろいろ使って、労働者に賃金払わないで逃げちゃうんですね、そんな例はたくさんあります。だからそれにはまず建設大臣は、労働者は何を考えているか、労働者は何を求めているか、全国の労働者、ことに季節労働者、冬季労働者、寒冷地の労働者に助けてもらおうというならば、その人たちがどういう条件で何を考えているか知らなければならぬのですよ。この点を十分に話し合っていくという実態を、ただ局長や何かにまかしてはだめです。あなた政治家なんだから、あなた自身が完全に把握しなければだめです。これひとつお願いします。そこで、この間どこかから、自民党の中から出たのですが、台湾か韓国の技能労働者を移入しようじゃないか、こういう案が出たように聞いておりますけれども、その点はどうですか。
  114. 西村英一

    国務大臣西村英一君) ちょっと聞いたことはありますが、私はそれは考えておりません。
  115. 田中一

    ○田中一君 考えておらぬということよりも、もっとはっきりと、そういう日本の労働者はまだ労働不足とはいいながら、適所適材にないから、条件が悪いからなかなかないのであって、一人前の人格を尊重する形になれば出てくるわけなんです。そこで外国人の労働者を使わないというように断言——だれか予算委員会か何かで断言した記憶があるけれども、建設大臣は断言できますか。
  116. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 考えておりませんということは、私はそれにひとしいわけでありまして、私は使う意思はございません。
  117. 田中一

    ○田中一君 それからこの間、つい最近建設審議会から小委員会の答申が出ましたね、これに対してどういう対処をしようとするのか、これは一つの答申の案として考えられておるので、これを政府としてはどういうぐあいに扱っていくのかということは……、まだ見ておりませんか、大臣。
  118. 西村英一

    国務大臣西村英一君) まだ見ておりません。
  119. 志村清一

    政府委員(志村清一君) 先生御指摘になられました分は、中央建設審議会の法制委員会の中のさらに起草小委員会がそういう案を求めまして、法制委員会にかりに中間報告をしたという段階にとどまっております。まだ審議会としても意見を全部取りまとめているわけではございませんので、大臣もまだ詳細に御存じございません。
  120. 田中一

    ○田中一君 自民党が衆議院に提案している電気工事業法案、これは建設省としてはどういう見解を持ち、またどういう態度でこれに臨んでおりますか。
  121. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 好ましくございません。
  122. 田中一

    ○田中一君 それは議員提案で出ているのだから、それに対してどうこうは政府としては言えぬでしょうけれども、好ましくない、こういう答弁ですか。そうすると、私はこう解釈してよろしいですか、もうこういう法案は出ない、成立しないほうが政府としてはいいのだというような見解だというふうに解釈していいですか。
  123. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 議員の方々の立法で出されたもので、私は相談受けておりませんが、他の委員会にかかっているようでありますが、もともとあの法案は、やはり現在の建設業法との関係におきましてあまり好ましい法律ではないのであります。そういう意味で、私は好ましくないと言ったのであります。
  124. 藤田進

    委員長藤田進君) 本件についての質疑は、この程度にいたします。  これにて暫時休憩いたします。    午後二時三十八分休憩      —————・—————    午後四時十一分開会
  125. 藤田進

    委員長藤田進君) ただいまから委員会を再開いたします。  近畿圏保全区域整備に関する法律案、及び中部圏都市整備区域都市開発区域及び保全区域整備等に関する法律案を一括して議題とし、これより質疑を行ないます。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  126. 松永忠二

    ○松永忠二君 きょう整備本部長ですか、大臣にお聞きしますが、中部圏開発整備法に基づく整備開発、首都圏や近畿圏と違っている最も特色を持っているという点は、どんなふうな点があるのですか。
  127. 西村英一

    国務大臣西村英一君) まず第一の特徴は、まあ首都圏あるいは近畿圏のように都市の過密がひどくない。これからやり方によっては、りっぱな都市がわりあい安価な金でもって建設できるだろうということでございます。しかも、近畿圏と首都圏の中心に位して、将来非常に希望の持てる都市である。したがいまして、法律の立て方もちょっとばかり両者に比べて違うわけでございます。
  128. 松永忠二

    ○松永忠二君 これはいま言ったような御説明もありますし、特に近畿圏や首都圏と違って、わりあいに新産都市だとか工業整備特別地域とかというふうな都市がわりあいにある。それで他の大阪とか京都、また東京のように非常に集中的な都市で中心的な都市よりも、むしろ名古屋の中部圏の占める位置というのは、それとはやや性格が違っているのじゃないか、特に中部圏内に非常に新産都市、工業整備の特別地域がある、これと名古屋の都市との連携をとっていくというようなところに、相当大きな違いがあるように私たち思うんです。特にまた日本海地方に特に開発を必要とするような地域、こういうようなものを持っているというようなことで、そういう意味で多角的な性格を持った開発事業だ、こういうふうに考えておるわけなんですが、したがって、そういうような意味からいって、この地域の発展、開発整備にあたって特に非常に重要な位置を占めるものがあるのです。重要な仕事、特に力点を入れなければできない仕事というのは、相当あるように思うのですが、こういう点について大臣からお答えいただいてもいいし、あるいは次長もいるわけですから、そういう点について、特に近畿圏、首都圏と比較して特に重要性を持つような仕事、そういう内容をそういう点についてどういうふうにお考えになっているか、この点をひとつお聞かせを願いたい。
  129. 西村英一

    国務大臣西村英一君) やはり何と申しますか、名古屋付近、表とやはり裏を、北陸のほうの地点、裏を結ぶ交通関係、これがまあ主として道路、鉄道もございますけれども、主として道路というものを、やはり基幹的な、これを結ぶことが、やはりこの圏内のやはり基幹的な仕事じゃないかと思われます。その道路交通は、ひとりこの北陸と東海を結ぶという意味のみならず、非常に広い範囲の中部の開発ということにつきましても、これは単に、レクリエーションとか観光とかいうこともありますが、それのみならず、たとえば工場にいたしましても、精密工場とかいろいろのものの産業の誘致もできるのじゃないかというふうな感じがいたしますから、第一に何をあげるかというと、まあ交通関係——道路、こう思われるわけでございます。
  130. 松永忠二

    ○松永忠二君 お話しのように、やはり私たちも交通——道路というのが非常に重要性を占める、それと同時に、何か首都圏や近畿圏と違って、いま言ったように、非常に事情の違っているところもあるわけで、いよいよ仕事を始めるという段階になれば、単に東京に整備圏本部があるからそれでいいという筋合いでもないように思う。こういう点について、やはり地方事務所を置くとか、整備本部だけでなしに、そういう意味で、近畿圏については大阪事務所というのがあるそうであります。今後そういった面のつまり問題について考えていただきたい、そういうふうに思っているわけです。  そこで、もう少し話を進めて、中部圏開発整備法の基本計画というのがいま進行されておるように思うわけですが、この進行している状況と、今後どういう時期にこの基本計画が上がっていくのか見通しの問題これをひとつ、ちょっと次長のほうからお話をしていただきたい。
  131. 国宗正義

    政府委員国宗正義君) 中部圏開発整備の基本計画につきましては、ただいま中央と地方の協議会、九県の知事及び県会議長、市長の代表とからなります地方の協議会と中央と鋭意緊密な打ち合わせを行ないまして作成の準備中でございますが、地方協議会は、ちょうど昨日第三回目の会議を開きまして、基本計画の骨子となりますところの基本方針案なるものを審議し、まとめつつあるところでございます。それが答申を待ちまして、おおむね本年の十月を目標にいたしておりますが、その答申を得まして、中央におきまして、できるだけすみやかに、来年のおそからない期日に作成する予定にいたしております。
  132. 松永忠二

    ○松永忠二君 その基本計画が閣議決定をされてくるのはいつごろの予定を考えておるのか。また、これが予算を出していくという時期が一体何年度に予算を出されるのか、これをひとつ。
  133. 国宗正義

    政府委員国宗正義君) 閣議決定につきましては、それ以前に中央における各省の協議、大蔵省、自治省、その他の関係省を含めます各省の協議等を必要といたしますほかに、中央におきまする審議会の意見も聞かなければならないわけでございますので、地方が提出いたしましてから六カ月見当は、ぜひ必要な期間に相なります。したがいまして来年の六月を目標に閣議決定に持っていく事業計画予定にしております。予算化につきましては、したがいまして昭和四十三年度の予算には直ちには間に合わないわけでございますが、地方開発に必要といたしまする予算並びに事業は、一日も休みなく進めております関係上、すでに根幹となりまする事業につきましては、地方協議会、九県、知事から提出されまして、すでに本年昭和四十二年の予算につきましても、すでにそれが促進方を現に努力しておるところでございます。
  134. 松永忠二

    ○松永忠二君 地方協議会がいま基本計画を作成中だということですが、それについて中部の開発整備本部は、具体的にどういうふうな構想を持って進められておるか、この点を伺いたい。
  135. 国宗正義

    政府委員国宗正義君) 中部圏開発整備法の骨子は、住民の各界各層の意見が結集いたしまして、それらを地方の協議会でさらに協議いたしまして出るわけでございますが、中央といたしましては、それをただ出てくるのを待つだけではございませんで、中央におきましても並行いたしまして、審議会、専門部会を開催いたしまするほか、各省ともいまの案を下打ち合わせいたしておるところでございます。さらに調査につきましては、中部のあるべき姿というものを、すでに前年度におきまして調査をいたしまして、それらを課長会議、部長会議、場合によっては知事会議に私どものほうからも参加いたしまして、中央と地方の緊密なる連携をはかっている次第でございます。
  136. 松永忠二

    ○松永忠二君 中部圏整備本部が二十年のビジョンを発表されている、こういうことですが、これは基本計画の地方協議会の作成ということとどういう関係を持っているのですか。
  137. 国宗正義

    政府委員国宗正義君) 基本計画には、三つの事項内容といたしているわけでございまして、一つは、中部圏開発の基本的な方針でございます。第二点は、それらの基本的な区域指定に関する基本的事項でございます。第三点は、根幹となるべき事業でございす。そこでお示しの二十年と申しますのは、計画の目標年次といたしましては、長期に目を置かなければならないわけでございますので、おおむね二十年すなわち十八年、いまから数えまして昭和六十年、十八年目に当たるわけでございますが、十八年の長期を目標にいたしまして、さらに昭和五十年、十年後を中間目標にいたしまして、計画の基本的な方針並びに計画を作成する作業を進めておるわけでございます。十年、暦年におきます五十年、六十年をとりましたわけは、他の国土総合開発事業道路その他根幹となるべき事業計画と平仄を合わせたわけでございます。
  138. 松永忠二

    ○松永忠二君 実は中部圏開発整備法近畿圏とか、あるいは首都圏と違う一つの大きな特色というのは、基本計画を地方協議会が作成をするというところに非常な大きな違いがあるわけなんです。実はいま非常に重要な私は問題だと思う。で、そういうふうな意味で、地方協議会の基本計画の作成にあたって、整備本部がやはりできるだけの協力をしていかにゃいけないし、そういう面の努力をしていく必要が非常にあると思うのですね。そこで、一体地方協議会がいま基本計画を作成しているわけなんですが、一体地方協議会の予算というのはどうして出しているんですか。
  139. 国宗正義

    政府委員国宗正義君) 地方協議会につきましては、地方の各県の協議によって成立しましたるところの法律上の公の機関でございますが、それらにつきまして国も関与するところ甚大なものがあるわけでございますが、元来、地方の関心がまず深いところでございますので、地方の経費をもって運営していただいているわけでございます。もっとも交付金を交付される対象となりまする県につきましては、交付税にそれらの事務費の一般的な需要といたしまして計上せられるわけでございます。
  140. 松永忠二

    ○松永忠二君 一体、中部圏開発整備のための基本計画策定するにあたって、地方協議会が一年に使う費用というものは一体どのくらいなのか、その中で財政的にいまいう交付税でめんどうを見ている金額は幾らになっているんですか。
  141. 国宗正義

    政府委員国宗正義君) 本年度地方協議会が使いまする金は約一千万と承っております。その一千万の分担につきましては、九県及び名古屋市が協議によって負担いたしておるわけでございます。
  142. 松永忠二

    ○松永忠二君 私の聞いているのはそんな金額ではないのです、七千万円……、協議会の基本計画作成の段階で整備本部の計画策定に要する経費というのが。で、もう一つ私が聞いたのは、あなた、交付税で交付金をもらっているところはめんどう見ているというお話なわけですね。大臣、ちょっとこの点は私は意見があるわけなんですが、首都圏や近畿圏はまん中で案をこしらえる、基本計画をつくるわけですね。ところが、中部圏の場合には、地方協議会がつくって作成したものを、中部圏開発整備長官に提出をすると、それで基本計画は、この案に基づいて作成をするということになっているわけなんです。したがって、地方協議会というのがっくる案が、つまり基準、もとであって、それに基づいてつくると、しかも特にそれで著しい相違があった場合には、関係の県の意見を聞くものとするということで、相当地方協議会がつくる基本計画が、従来のように上でつくった計画でなしに、地方の協議に基づいて実情に即した計画をつくるということ、これをいまつくっている段階。ところが、地方協議会の費用というやつは、一文も国は出さないわけですね。まあいまお話しのように、整備本部ができていて、整備本部の調査は、将来整備本部がつくるものについての調査費を予算計上しているわけなんですね。そうなってくると、やはりこれは国自身が中部圏開発整備を行なうわけなんです。それを地方が、とにかく協議会としてその基本的な案をつくるというので、もっと予算的な措置をしてやるのがあたりまえじゃないか、お前らが協議してお前らがつくるのだから、お前らが金を持ち寄ってやればいいんだという考え方は、私はおかしいと思うのですね。相当な費用を実は持ち寄って使っているわけなんで、こういうふうな点について、もっと国が地方協議会に対して財政的なめんどうというようなものも見なきゃできぬじゃないか。地方協議会が基本計画をつくるにあたって、調査をする調査費、こういう費用だって一文も見ないわけです。こっちで、中部圏で持っている調査費というのは、自分の整備計画を自分がつくるわけですからね。それに基づく、地方の出したものに基づいてつくるときに参考にしなきゃできない調査費用というものを、国のほうでは七千万円予算計上しているわけですね。地方協議会が基本計画をつくり、調査費も何もめんどうを見ない、もちろん地方協議会自身の運営費とか、そういう点も全然めんどうを見ない。地方が全部持ち寄って負担をさせるというこの考え方は、少し私は理解ができないのですが、こういう点はどうなんでしょうかね。
  143. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 私は非常にけっこうだと思います。これが近畿圏、それから首都圏と中部圏が非常に違うところです。それをいま聞いて、金が七千万円かかっているということで相当びっくりしたのですが、相当負担がかかっていると思います。これについては、考えるといたしましても、中部圏が非常に活発な動きができるというのは、やはり土地から盛り上がっているのですね。近畿圏のようなのは、もうざっくばらんに申しまして、どうも手が出しようがないから、国が手を出してやるので、地区的にもあまりまとまっていないのです、正直なことを言いまして、首都圏の各地方公共団体、県は。それに比べて中部圏は非常に地区の方々が熱心です。したがいまして、これは地方協議会がほんとうに自主的にやっておることなんですが、いまおっしゃったように一文も補助がないじゃないかという責めは受けますけれども、非常にやり方がほんとうに地についたやり方で、私は中部圏のやり方非常に喜んでいるわけです。それだからこそ、非常に今後の発達を期して待つべきものがあるのじゃないか。近畿圏にいたしましても、首都圏にいたしましても、にっちもさっちもいかぬから国が手を出したというような形で、そのわりにその地区の人は熱心じゃないと言ったら悪いけれども、まあ中部圏のほうがもっと根をおろしているわけでございまして、私は必ずしもその地方協議会の制度は悪いとは思いません。ただし、費用が今後要ることになれば、助成というものは考えていきたいと思います。何さま発達の歴史もおそいからそういうことになっていると思いますが、行き方としては、地方計画としては根がおりた行き方だと、かように考えておる次第でございます。
  144. 松永忠二

    ○松永忠二君 それは地方協議会が案をつくって、それから中央でそれをもとにしてつくるという考え方、そういうやり方というものは、私は大臣と同じ賛成なんです。しかし、これだけ中部圏に集まった各県が独自に人を出して集まって、そして案をつくるわけなんです。基本計画が、はたして各県の要求が調整できるかどうかという点についても、この基本計画がどんなものができてくるだろうかということは、なかなかそう野放しに楽観ばかりはできないわけですね。それからまた、各県が持っている独自の調査というものよりもなお広い、広範囲の別角度の調査が必要だから、国も七千万円の予算を計上しているわけですね。地方が持っている資料で事足りるならば、何も中央が七千万円の調査費を必要としないと思うのですよ。地方の基本計画に基づいて中央がつくるんでさえも、七千万の調査費が必要であるわけです。したがって、地方協議会がそのまたもとの基本計画をつくるにあたって、その費用をみんな地方で持ち寄りでやることは、非常にけっこうなことだという手放しな言い方は、私はできないと思うのですよ。中央が地方の出した基本計画に基づいてやるという、それでさえ調査費を相当使っているのに、関係府県が集まってくる協議会へ持ち寄った調査と、持ち寄った費用で、それでやるから非常にけっこうだとばかりは言えない。そういう意欲的なものをますます盛んにさせるためにも、もっとやはり予算的な措置を考えてやったっていいんじゃないか。極端なことを言えば、こういう基本計画をつくるときには、整備本部なんかまん中にいないでもいいんじゃないか。半分くらい地方に行って基本計画をつくる仕事をやったらどうか、そういうことさえわれわれは考えるわけなんです。まん中に何もそんなにいることないじゃないか。基本計画を地方でつくるのだから地方へ半分くらい行っていたらどうだ、そうして地方の協議会の基本計画がいいものがつくられるように協力してやったらどうか、そう簡単に大臣の言うように野放しでそれでいいということでは、せっかく自発的に起こったこういう構想を、なおよりょくいいものにするための地方への協力があってこそ、私は地方協議会がますます自主性を発揮することができると思うので、これは大臣そう野放しにけっこうだと、——構想はけっこうだかもしれぬけれども、その構想に基づいて現在活動している状態から言うと、もっとやはり国の協力のしかたというものは、人の配置の面からいったって、予算の面からいったって、現状でいいとばかりは私は言えないと思うのですよ。再度、もう一度大臣から御答弁を聞かしてください。
  145. 西村英一

    国務大臣西村英一君) まあ法律も昨年できたばかりでございますので、ようやく緒についたのでございます。したがいまして本部の人的な問題、あるいは本部の仕事のやり方の問題、地方協議会の連絡協調の問題それに助成する問題等は、将来に向かって考えていきたい。どちらにいたしましても地方の方々が非常に協力的であるということは、他の二つの圏に対して著しい特徴でございますから、政府におきましても、それに十分おこたえするだけのことは考えてみたいと、かように思っております。
  146. 松永忠二

    ○松永忠二君 なお大臣も御承知だと思うのですが、中部開発センターというものを自主的につくっておるわけですね。これの予算も四十二年四千十五万二千円、これを計上しているわけですね、自主的に。そういうふうにとにかく地方が独自に努力をしているわけですから、もっと私は人的にも予算的にも、いま大事な基本計画の作成の段階の協力のしかたというものを、もう少しやはり御研究をいただきたいというようなことを考えるわけです。  それで、この中部圏開発整備法の関連法律ですね、次長のほうにお聞きしますがね、関連法律はここに出てきている中部圏都市整備区域都市開発区域及び保全区域整備等に関する法律のほかに、まだ幾つ法律を考えているのか、それは大体いつごろ一体提案をするという運びになるのか、これをひとつお伺いしておきたい。
  147. 国宗正義

    政府委員国宗正義君) 基本法のほかに、今回御審議を願っておりまするところの中部圏都市整備区域都市開発区域及び保全区域整備等に関する法律で、おおむね基本的なものは終わりでございまするが、現に議題になっておりますところの近畿圏保全区域整備に関する法律案と同趣旨のもので、若干首都圏、近畿圏中部圏の特色を発揮したところの保全区域に関する法律も、次の通常国会以後におきまして予算の裏づけを待ちまして考えなければならないという点が一点でございます。第二点は、財政援助に関する法律でございます。これにつきましては大蔵省、自治省とたび重なる折衝を必要といたしまするが、首都圏、近畿圏におきましては、近郊整備地帯等における整備に関する事業について特別の財政援助の規定を持っておりまするので、これまた次の予算のときにおける審議を待たなければなりませんが、その結論を得ますれば、財政の援助措置に関する法律が必要と考えております。さらに若干専門的、こまかく相なりまするが、この法律は一般的には、実施都市計画法に基づいて実施されるところが多いわけでございますが、工業団地の造成事業につきましては、他の首都圏、近畿圏等に整備されておりまする法律がありますが、私のほうにも、将来工業団地の造成都市計画、住宅等との関連におきまして、総合的な事業法規としての立法が必要かと考えられるわけでございます。以上三つの法律がとりあえず将来予想されるものでございます。
  148. 松永忠二

    ○松永忠二君 そうい法律が全部完備される時期は、いつごろだというふうに考えておられるのですか。
  149. 国宗正義

    政府委員国宗正義君) これは予算を伴うものもございますが、できますものは、次の通常国会に了承を得た上で提出をいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  150. 松永忠二

    ○松永忠二君 いますでに話が出ましたように、中部圏の地方協議会というのがあるわけですね。この地方協議会の、たとえば整備区域をつくるにも、開発区域にも、保全区域にも意見を聞くということがあるわけなんですね。だから他の首都圏、近畿圏とは一つ入っているやつがあるわけです、協議会。これがまた特色でもあるし、同時に段階的には一つ多いということにもなるわけです。こういう意味で、私たちが一番心配しているのは、ほかの首都圏、近畿圏のようにスピーディにいくだろうか、整備がそういうものとの調整とか何とかいうことで、非常にスピードがおくればせぬかという心配を持っているわけなんですが、現状における整備状況というものは首都圏、近畿圏と比べて順調にいっているのですか。それともやや少しおくれておるのか、その点はいかがですか。
  151. 国宗正義

    政府委員国宗正義君) 首都圏、近畿圏に比べまして、基本計画作成過程はいまのところ決しておくれておりませんで、むしろ進んでおるところでございます。基本計画の作成につきましては、地方協議会の調査審議を経て九県、関係県が持ってくるわけでございますが、それらが足かせ、手かせになるのではなくて、むしろ力強い推進力になっておると、私ども考えるわけでございます。
  152. 松永忠二

    ○松永忠二君 お話もありましたように、全部法律が完備をしなければ、それができないことには予算は執行ができないというわけじゃなくて、こういう段階でも、それぞれ関連した事業の予算の要求というものはあるわけです、要望という点もあるわけなんですが、この点について関連した最も重要な事項として、本年度予算において前進を見ているというようなものは、具体的にどういうものがあるのですか。
  153. 国宗正義

    政府委員国宗正義君) まず計画につきましては、いま申し上げました三つの法律ができませんでも、計画には何ら手待ちと申しますか、支障はございません。むしろこの法律を、いま御審議を願っておりますが、成立をさしていただくことによりまして、地方協議会は将来都市整備区域開発区域保全区域計画内容とその手続法律でもって正確に処置した上で、手待ちなく順序よく計画の作成作業は進むと考えております。なお予算につきましては、基本計画建設計画事業計画ができましてから確定するわけではございませんが、現に昨年七月の九県議会において議決せられ、さらに本年になりまして地方協議会に各県から共同して提案いたしました中部圏開発整備の基本的な事業十八項目というものを提出して、政府関係各省にその実現の推進方をはかっておるところでございます。具体的に申せば主として交通関係でございます。昭和四十二年度中に中部圏開発整備要望事項といたしまして、先ほど長官から説明のございました日本海と太平洋を結びます東海北陸自動車道の建設事業促進をはじめといたしまして道路、鉄道、港湾等に関する具体の十八項目の推進をはかっております。
  154. 松永忠二

    ○松永忠二君 私がお聞きしたいのは、その個々の要望事項に基づいて中部圏開発整備法ができたために、とにかく飛躍的にというか、前進をしたという予算の項目は何なのかということをお聞きをしているわけです。
  155. 国宗正義

    政府委員国宗正義君) 十八項目にわたります予算の各項目につきましては、それぞれ金額及び総額さらに促進の方法等を記載いたしておりますが、これらにつきまして、もし中部圏法律がなければどのようになり、もしなければこれよりも少なかったか多かったかということにつきましては、正確には比較できないわけでございますが、私どもの大ざっぱな判断を持ちますれば、特に日本海と太平洋を結びますところの東海北陸自動車道あるいは高山線の複線電化等、及び幹線交通を担当いたしますところの道路、鉄道それから港湾それぞれ健全な伸びを進めております。それらの金額につきましては、必ずしも同じ項目で同じように調べ上げまして金額を個々に列記するわけにはまいりませんが、全般的には、力強い促進がはかられておると考えております。
  156. 松永忠二

    ○松永忠二君 大臣にいまの点ですがね、私はいま質問もしたように、この法律以外にまだ三つばかり法律を考えているわけですね。そうしてしかも、その法律ができたからといってすぐ実施計画ができるのじゃなくて、またそれがいろいろな段階を追って計画ができる、計画ができてから予算がつくということになるわけですが、完全に言えば。しかし、すでに中部圏整備をする以上、特にお話のあった鉄道、交通とかそういうふうな面で非常に重要な地域である。そういうような面でこの地域開発整備をはかるのには、どうしてもこの路線というものは、非常に重要な路線だというものがあると思うのですね。いま出てきたように東海北陸自動車道なんというのは、何が何でもどうしても早くつくりたいというようなことで出てきているし、あるいは第二東海道というような話もありますし、あるいはまた名阪国道をバイパスができる機会に大阪までずっとつなげていこうという、こういうような事業あるいは名古屋の環状線の問題などもあるわけです。こういう問題は、法律が完備をしなければ予算がつかないという段階ではないので、特に中部圏整備開発をやろうという以上は、やはりこういう作成段階の中でこの項目は非常に重要だ、そういうものについては特にめんどうを見ていくようなことが行なわれて、なるほど整備本部のほうでも従来の予算のつき方と格段にやはり伸びが出てきているというようなことを見せてもらわないと、やはりこの効果をはっきりするわけにいかないわけなんです。こういう点について、特にひとつ大臣も要望項目の中で重要と思われるような問題については、従前よりもやはり格段の整備についての努力をしていただきたい。そういうことが結果的には法律をつくった趣旨にも合致をするわけなんで、こういう点についてぜひ要望したいと思うのですが、いかがですか。
  157. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 法律が全部整わなければできぬものではございません。すでにもうその根幹になる法律はあるのでございますから、あとは必要によってその基本的な法律の中の必要があれば、他の法律をもってこれこれということなんですから、これからできる法律もさることながら、現在の状態ででき得るものはたくさんあるわけでございます。しかし、私が考えますると、皆さん方の努力で中部圏法律ができましたために、何と申しますか、東海北陸自動車道というものも、だれが考えてもやらなければならぬじゃないかという了解にまでこぎつけたのでございます。それでなければ、なかなかその了解まであの線について特にこぎつけるというようなことは私はなかったのじゃないか。横断道路というものは他にもたくさんあります。他にも中国のほうにもあります。九州のぼうにもあります。いろいろありますが、いまやはり横断道路を考えるというと、この中部圏の場合が重要なものじゃないかということは、この法律で相当クローズアップしたような考え方もあるわけでございます。のみならず、名古屋環状線に対して、名古屋市でもって何といいますか、先行投資をやっていきたいというようなこともやはりこの法律で、しこうして、それが先行投資をやれば、東京のようにあとから後手後手とやらぬで、相当なこれは都市交通に対して寄与すると思うので、いずれにいたしましても、まだ結局緒についたばかりでありまして、顕著にあげることはできませんけれども、非常に何と申しますか、高山線の複線、電化工事にいたしましても、やはりやらなければならぬじゃないかというような機運を相当につくっておるのは、この法律のおかげだと、かように私は思う次第でございます。
  158. 松永忠二

    ○松永忠二君 それじゃ近畿圏について少しお尋ねいたします。近畿圏整備法の成立した後の基本計画整備区域建設計画、工業開発造成事業計画都市開発区域建設計画、この計画は現在どんなところまで進捗しておるのですか。
  159. 上田稔

    政府委員上田稔君) 近畿圏におきまして、まず、近畿圏基本整備計画でございますが、近畿圏ができましたのは昭和三十八年七月でございますが、基本計画ができましたのが昭和四十年五月十五日でございます。それから区域をいろいろきめた、区域といいますのは、既成都市区域近郊整備区域都市開発区域保全区域、そういうものをきめましたのが同じく四十年五月でございます。それから近郊整備区域並びに都市開発区域に対する建設計画昭和四十二年二月二十日でございます。既成都市区域におきます工場等の制限に関する法律、これは昭和三十九年七月でございます。これは既成都市区域につきまして、過密の状態になっておりますので、人口の増加を来たさないように、工場とか学校、たとえば千平米以上の工場または千五百平米以上の学校、そういうものに対する新増設を禁止する法律でございますが、そういうものをつくっております。それからこれが働き出しましたのが四十年の七月からということでございます。それから団地につきましての法律でございますが、これは昭和三十九年のやはり七月でございます。
  160. 松永忠二

    ○松永忠二君 私の聞いているのは、法律に基づいて事業計画なり建設計画をつくれと書いてあるでしょう。法律規定したものができたのは、いつできたかということを聞いているのです。工業開発造成事業計画というものを法律でつくらなければできなくなっているのですが、それはできているのか、いつできたのか、それから都市開発区域建設計画というものを法律でつくることになっている。これは一体いつできたのか、そういうことを聞いているのです。
  161. 上田稔

    政府委員上田稔君) 先ほど申し上げましたが、近畿圏基本整備計画昭和四十年五月十五日でございます。近畿圏近郊整備区域並びに都市開発区域建設計画昭和四十二年二月二十日でございます。
  162. 松永忠二

    ○松永忠二君 それと同じ時期にできたわけですね。これは相当早いのですか。相当やはり計画としては順調にいってやはりこのくらいかかるのですか。
  163. 上田稔

    政府委員上田稔君) まず、近畿圏の基本計画でございますが、これにつきましては、やはりいろいろ問題点のあるところがございまして、たとえば水の問題、これにつきましては、調査もいままで十分できてないような点もありましたので、そういうことにつきまして、上水道計画というようなものはまだ基本計画からおくれております。そういうような点はございます。しかしながら、その他の交通とかその他のものについての重要な問題については、その四十年の五月十五日にきめたわけでございまして、建設計画はそれから二年おくれてつくったわけでございます。この考え方ですが、それでは首都圏とどうなっているかということでございますが、首都圏のほうにおきましては、まず、いままでの考え方が東京都だけの周辺を考えて、まず区域をおつくりになって、そうしてそれに市街地開発区域というふうなものをその周辺に考えて計画をおつくりになったのでございますが、これがいまのところ近畿圏のような区域にまたお考えを変えられてやっておられますので、首都圏のほうは、基本整備計画はまだ全部にわたってのものができていなかったのじゃないかというふうに考えております。
  164. 松永忠二

    ○松永忠二君 そこで、今度出される法律の中に出てきているこの近郊緑地保全区域指定、この予定地の坪数というものは、大体どのくらい予定せられているのか。それからもう一つ、緑地の特別保全地区指定、その中の特に重要なところについて指定をする、これについては一体どのくらいの坪数を考えておられるのか、そういうことをちょっとお聞きしたい。
  165. 上田稔

    政府委員上田稔君) 近畿圏保全区域は、先ほども申し上げましたように、昭和四十年五月に指定をいたしております。それで全体でどのくらいの面積かということでございますが、近畿圏の全体の面積は大体三百七十万ヘクタール、日本の十分の一ぐらいでございますが、これに対しまして保全区域はそれの一二・三%、すなわち四十六万ヘクタールでございます。そのうちで近郊緑地保全区域として考えておりますのは、それのやはりまた一五%ぐらいでございまして、十七万ヘクタールぐらいのものを考えております。それからその中で今度は特別保全区域というものが出てくるわけでございます。
  166. 松永忠二

    ○松永忠二君 今度法律をこしらえて、そしてこの土地買い入れを予定をしている、そういう予算的な措置というのは、どのくらい持っているのですか。
  167. 上田稔

    政府委員上田稔君) 現在のところ、本年度におきまして、昭和四十二年度におきましては、国費において二億、事業費において三億でございます。
  168. 松永忠二

    ○松永忠二君 何かお話に聞くと、これについては特に何か今度の災害等に関係した地域等を予定されているような話を聞いているわけですが、この点はどんなふうな内容ですか。
  169. 上田稔

    政府委員上田稔君) この特別保全区域でございますが、この区域を現在六甲山並びに大阪の北摂の連山、それから大阪並びに奈良にまたがります金剛生駒地帯、それから和泉、葛城の地帯、それからもう一つは矢田、斑鳩の地域、このような地域を一応想定をいたしております。その中で六甲山の地帯、これは先日非常な集中豪雨にあいまして、この宅地造成がだんだんと山の上に上がってきて、その宅地造成が非常に害をなしたということでございますが、このそういう急傾斜になった地帯、現在は大部分は緑の地帯になっておりますが、そういう樹林地帯を守っていこう、そういう樹林地に対して許可制度にして守っていきたい、こういうことでございます。
  170. 松永忠二

    ○松永忠二君 まとめてそれじゃひとつ言ってください。いま言った予算措置で買える坪数はどれくらいになっているのか。それから、補助率は首都圏のときと同じような補助率になっているのか。それから、なおその施設整備促進、それから資金あっせんというようなことがあるけれども、この資金あっせんとかそういうふうな問題については、どういう具体的な方法をもって資金あっせんをするのか、それから、最後にもう一つ、万博との関係について何か積極的なものがあるのかないのか、この点をひとつまとめてお話をいただきたい。
  171. 上田稔

    政府委員上田稔君) まず第一点の買い入れの面積でございますが、場所によりましてだいぶ値段が変わっておりますが、十ヘクタールぐらいなものを考えております。  それから、第二点の補助率につきましては、首都圏の緑地の予算と同じく三分の二の国庫補助でございます。  それから、第三点の資金あっせんというのは十八条にございますが、これはこの保全区域といいますのは、ずっと近畿圏一円にまたがっておるわけでございますが、そのまたがっておる、いま申しております近郊緑地ももちろん込めましてですが、全体に対する整備計画というものを立てていくということをこの法律できめておりますが、その整備計画というものができますと、その整備計画にいろんな施設計画が出てくるわけでございます。たとえて申しますと、この周辺のところは観光地といたしまして保全開発する地域ということになっておりますが、そういう地域に対しまして、私どもは阪神間に、いま現在非常に過密な地帯、この地帯に住んでおる人たち、これが非常に公害を受けられ、あるいはまた生活上非常に暗い状態になっておる。そういうことから、どうしても将来は緑を求めて外へ出ていかれるだろう。現在においては、たとえば琵琶湖の周辺におきましては、週末におきまして、自動車にして一万台というような自動車でレクリェーションを求めて出ていっておる。これが自動車の普及と、将来収入がふえることと、それから週末の何といいますか、時間が長くなるというようなことから、そういうレクリェーション、郊外ヘレクリェーションを求めてくるだろう。そういうものに対する計画を周辺の緑地地帯といいますか、保全区域に考えていきたい。それがためには自動車の駐車場ももちろん考えなきゃいけないだろう、計画されるだろう。また、いろんな民間施設というものも考えられるだろう、そういう民間施設に対して資金あっせんをやっていただきたい。
  172. 松永忠二

    ○松永忠二君 具体的にどういうことを、金利とか、融資の場所とか、それはどこから……。
  173. 上田稔

    政府委員上田稔君) たとえて申しますと、これは私どものほうは開発銀行にお願いをしたり、また中小企業金融公庫のほうにお願いをして、そういうものの融資を入れていただく。近畿圏のこの保全区域整備計画に合っておるものであれば、そういうものに対しては、融資対象にしてもらうというようなことを考えております。
  174. 松永忠二

    ○松永忠二君 万博は。
  175. 上田稔

    政府委員上田稔君) それから万博につきましては、これの関連事業というものが、やはり近畿圏整備計画と非常に関連が深うございます。したがいまして、この万博の開催時において、近畿圏のいろんな、道路であるとか、鉄道であるとか、その他の施設がどういうふうに住民の増加と、あるいは工業の状態と、そういうものから見てどうなるかということを私どもは想定をいたしておりますので、それに万博の事業が加わるということになりますので、その加わった状態においてこういうふうな状態になるだろうから、この道路を、あるいは鉄道を、あるいはまた下水をやつていただかなければいけないということを想定をいたしまして、そうしてそういうものを担当のところと打ち合わせをやっておるわけでございます。
  176. 松永忠二

    ○松永忠二君 いま、一番最後の問題などについては、具体的にまだそのどこをどういうふうにするかというようなお話はまだ聞かないわけですが、そういう点については、もうすでに具体的に協議をして進めていると、こういう段階なんですか。
  177. 上田稔

    政府委員上田稔君) 私どものほうでは、そういう案をいろいろつくりまして、具体的に進めております。
  178. 松永忠二

    ○松永忠二君 じゃあ、これで。
  179. 藤田進

    委員長藤田進君) ちょっとお伺いしますが、近畿の場合は、保全区域は今度の七月災害で若干変更になるという意味ですか。
  180. 上田稔

    政府委員上田稔君) この六甲山につきましては、保全区域そのものはもう前に決定をいたしておりますので、変わっておりません。ただ、その中につくる、六甲山のところは、この法律におきます近郊緑地保全区域として設定をいたしたいと、こういうふうに考えております。その中に特別保全区域というものをつくるわけでございますが、これが買い上げの対象になるわけでございます。その六甲山に考えております区域は、六甲山の急斜面になっておる部分を考えておりますので、今度の災害でまさに原因をなした地域に該当をするわけでございます。
  181. 藤田進

    委員長藤田進君) ところが、この資料によると、二十五の区画になるんだ、保全区域は、そうでしょう。これは大体見取り的な図面ではあるが、しかし百万分の一ですか、これで見ると、かなり神戸よりも北の山のてっぺんですね、今度の水害、地すべり、山くずれの多いのは、町の神戸市家屋連権区域周辺なんだ。そうすると、保全区域二十五番に当たるところよりもはずれて、神戸市街地近郊ということになるんだから、二十五番よりはかなり離れている、これは。
  182. 上田稔

    政府委員上田稔君) 御説明を申し上げます。この保全区域といいますのは、近畿圏全体にまたがっておりますが、買い上げまでして守っていこうと思っております区域は、ここで申し上げますと、六甲山の二十五の区域、それから二十二の金剛生駒の区域、それからその上の二十一の北摂連山区域、それから二十三の和泉、葛城の区域、それから二十七番の矢田、斑鳩区域、こういう区域で、いまこの規制都市区域——大阪並びに神戸を含んだ、京都も含んでおりますが、そういう区域に隣接をした区域のみを考えておるわけでございます。そのうちで特別保全区域といいますのは、さらにこの市街地に隣接をしておる急傾斜の地帯、そういうものを考えておるわけでございます。
  183. 藤田進

    委員長藤田進君) いや、ですからね、いかにも今度の水害の復旧並びに今後の保全については、六甲地区保全区域で国が買い上げるというような誤解を受けている向きが、国会の中でかなり多い。ですからいまの点をただしたわけですが、ですから、必ずしも市街地周辺の地すべり、山くずれがあったところが保全区域に入るとは言えないわけです。いま言われたほかの地域は別として、六甲地域の二十五番、これは大きい地図を見ても、相当部分は市街地から離れている。それは従来の方針どおりで、その境界なり総体の面積なりが、今度の七月災害で変わるのか変わらないのかという点にかかると思う。既定方針どおりなのか、区域を拡大するのか、その点いかがですか。
  184. 上田稔

    政府委員上田稔君) 二十五番の六甲地域でございますが、この地域は、神戸市の連権地域に接して、大体、区域がきめられておるわけでございます。その中で特別保全区域と申しまして、買い上げまでやって守ろう、許可制にしようという区域は、その連檐地域に接して定めるように考えておったわけでございます。しかしながら、今度の水害によって、ある程度、もっと山の頂上のほうに近いところまでそういうような影響があるいはあらわれておるかと思うんです。そういう地域については、地元のほうとよく相談をいたしまして、もちろんこの区域はまだ決定をしておるわけではございませんから、十分に御相談をしてきめていきたいと、こういうふうに考えております。
  185. 藤田進

    委員長藤田進君) そこが違うんで、家屋は連檐していて、散在している。一、二戸ずつはこれは入るとしても、神戸市街地というのは、大体ある意味では、コンターラインに沿ったように家が建っているんですよ。牛が五十頭も死んだ、人も死んだという、そのズレというものは、連権したところとはかなり下に下がっている。図面を見ると、家屋がないところから、きわから上が保全区域になっておるんですよ。市街地を離れている。市街地の境界の部分に接したところが相当ある。あと半分は山の上ですから、今度くずれた地域市街地には入らないということが言えると思うのです。それとも、今度入れるというのか。
  186. 上田稔

    政府委員上田稔君) 市街地は入れません。この市街地からはずれた山の傾斜の部分、この部分を盛んにいま土砂を取って、住宅地に変えようとしておるわけです。これ以上は、この急傾斜地はそういう宅造をさせないという考え方でございます。
  187. 藤田進

    委員長藤田進君) ちょと西村長官に聞きますが、いまの保全区域については、その差異が出てくるとすれば、午前中の審議の過程に出た住宅宅地造成、これは俗にいう宅地造成で、ゴルフ場だろうが、運動場だろうが意味は同じですが、少なくとも自然に手を加える場合に、別の法律を必要とするということで議論をしたわけです。午前中、規制を強化するとか、それと保全区域との関係をどうお考えでしょう。将来の問題も含めて、保全区域だけは新しく規制を強化しようとするものからはずすのかどうか。近畿圏中部圏にはそういうものがある。あるいは首都圏にもそういうものがあるはずです。つまり、午前中の審議で宅地造成等規制を強化しなければ、二十数府県指定をしてあっても、現行法では十分その目的が達せられていないということで、もう少し規制を強化しょうと、そういう方向で検討をするということになったわけですね。保全区域は今度買い上げるということで、手をつけさせないと、こういう趣旨のいま答弁があったわけです。だとすれば、保全区域は一応、宅地等造成の規制強化の内容区域からはずすことになるのか、あるいは統合してしまうのか……。
  188. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 買い取るというのは、保全区域全部を買い取るのではございませんで、保全区域の中にまた、近郊緑地区域があり、その近郊緑地区域の中のまた特別なところを買い取るというわけでございまして、それはいまの規制法との直接の関係はないわけでございます。しかし、目的とするところは、この法律の買い取るという趣旨の特別な地区は、やはりその近所はあくまでも緑地として守っていきたい。それがどんどん切られていく形になることは、これはがけでなくて、平地の緑地でも困るということでございます。たまたま六甲はがけであって、しかも、そういうところは緑地として買い取って住宅を建てさせぬというのですが、一方の宅地等造成の規制というのは、やはりもっぱらがけあるいは急傾斜というようなところで、宅地を造成するのに不適当なところというものに規制を加えたのでございまして、究極の目的はとにかく、似たところは、ありましても、全然同じことではないわけでございます。
  189. 藤田進

    委員長藤田進君) 両案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめまして、これにて散会いたします。    午後五時十八分散会      —————・—————