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田中一君 私はああいう
質問をしているのじゃないんです。事実
事例として、なぜこの
法律を出さなければならなかったかというものを出していただきたいと言っているんです。いま
局長はそういう
説明をしておるけれども、たとえばあなたのほうの
建設大臣の
提案理由の
説明の中にも、「近年の
地価高騰の
実情にかんがみ」——近年の
地価高騰の
原因は何かということです。ぼくは率直に言うならば、
政府が
高騰させるような
政策をとっているからではないかということなんです。これは
地価高騰の問題だけやっても、ぼくは三日ぐらいあなたと
質疑をしたいです。なぜならば、
地価高騰の
原因が
政府の手によってなされているということ、これを
地価高騰を停止しよう、あるいは安い
地価に持っていこうということを
収用法、この
発動によってそれを行なうということは、
政治ではないんです。いいですか、
地価の
高騰という
一つの事実を指してみても、
収用法のこの
法律の
改正によってその
高騰をはばもう、抑えようというような
政策を
収用法でとるなんということは、本末転倒の問題なんです。これこそ行
政府に
強権を与えるという、気違いに刃物なんです、いまたとえば
見積もり額、
買収額の問題もいま触れておったけれども、
政府は
予算策定の際の
地価というものを一応推定し、また将来の
価格の
伸び等をも考慮しながら一応の壁をつくっております。大体これは一坪十五万円でよかろうという壁をつくり、その壁をしょって
買収交渉をするとかということは間違いなんですよ。市場における
経済行為の中でもって——それはそうでしょう、
株式取引所の指値がある、三百円になったら買ってくださいよと、
取引所員に頼んでおる株の
買い方もあるわけです。しかし、背中に十五万なら十五万というものをがっちり縛りつけられて、これをこえることもできないというような一方的な
買い方の
判断を持っていながら、
国民の
私権に対して、これ以上おまえが言うなら、これはおれ
強権発動するぞというのは間違いなんですよ。だから、
総理大臣を呼んでこいと言うのです。これは執行する
建設省のために言うのです。と同時に被
収用者の当然たる
権利を守るために言っておる。あなた方に対して追及しようという考えを持っていないのです。
局長は、何もこんな高度の
政治性あるこの
答弁をするなどということは間違いです。それをするならば、いま示したところの
資料を出しなさい。
前回の
改正から今日に至るまでの間に、どういう障害があったか、どういう新しいどん欲な要求を出したか、どういう
判断をしたか、
資料を出しなさい。三十件でも五十件でも出しなさい。それによって私はその
実情というものを
判断しようと思う。これは私ばかりじゃございません。全
国民が、これの
採決権を持っておるわれわれ同僚の
委員みなが、ここに
問題点がひそんでいるのじゃなかろうかという心配をいたしているに違いありません。
公共の名において、
予算という壁を背負いながら買いに出るわけです。抜本的にぼくは言うならば、かってぼくは十何年間るるとしてあなた方に要求してきたところの、
公共事業を行なう場合には、全部に対して
土地収用法を適用しろ、そうして公平な
第三者の
判断にまかして
予算をつけろということを言っているのです、
公共という美名を背負いながら、
予算というどうにもならない壁を背負いながら、
国家公務員に商
行為、
買収行為をさせるなんという愚はやめなさいと言っているのです。二級酒の二、三本持って農民のところへ朝がけ夜うちをかけて、そうして
買収交渉しているという、あの下っぱの
国家公務員の姿をごらんなさい。あなた方は上にすわっておればいいだろうけれども、そうして間違いを起こせば汚職のなんのといって罰せられているのだ。したがって、この
法律の
審議にあたっては、
政府の
政治姿勢、
大蔵大臣の
予算編成に対する
姿勢というものが明らかにならなければ、
審議ができませんと言っているのです。これは
建設大臣並びに
局長その他
建設省の諸君に言っているのじゃないです。あなた方が
公共事業をスムーズに行なうための、
国民としての
発言をしようとしているのです。いま第一問の、第一問というとおかしいですけれども、これに対する
答弁なんというものは、観念的な
答弁をあなたから聞こうと思わないから、あなたは私の要求するところの
資料をお出しください。なぜ時間を短縮したり一切の
手続というものを簡素化したりして、
事業の執行を急ぐのですか。むろん、この
法律の中にはあるいは抵抗するべきものも入っております。何といっても、
憲法二十九条の
私権の制限は当然であります。これは私は反対することじゃございません。だから、根本的に
土地の
国有という
政策に対して、どういう立場をとるかということを
最初に聞かなければ、
質疑ができないんです。
委員長、私はこういう
考え方で、まず
最初に
総理並びに
大蔵大臣の
姿勢というものを聞かなければどうにもならぬという
気持ちを持っているんです。