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1967-07-06 第55回国会 参議院 建設委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月六日(木曜日)    午前十時四十九分開会     —————————————    委員異動  七月四日     辞任       補欠選任      石井  桂君     笹森 順造君  七月五日     辞任       補欠選任      内田 芳郎君     森 八三一君  七月六日     辞任       補欠選任      笹森 順造君     石井  桂君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         藤田  進君     理 事                 稲浦 鹿藏君                 大森 久司君                 山内 一郎君                 大河原一次君     委 員                 石井  桂君                 奥村 悦造君                 熊谷太三郎君                 小山邦太郎君                 中津井 真君                 平泉  渉君                 森 八三一君                 瀬谷 英行君                 田中  一君                 松永 忠二君                 鈴木 一弘君                 片山 武夫君                 相澤 重明君    国務大臣        建 設 大 臣  西村 英一君    政府委員        建設省計画局長  志村 清一君    事務局側        常任委員会専門        員        中島  博君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○土地収用法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○土地収用法の一部を改正する法律施行法案(内  閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 藤田進

    委員長藤田進君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  まず、委員異動について報告いたします。  昨五日、内田芳郎君が委員辞任され、その補欠として森八三一君が選任されました。     —————————————
  3. 藤田進

    委員長藤田進君) 土地収用法の一部を改正する法律案及び土地収用法の一部を改正する法律施行法案を一括して議題といたします。  両案につきましては、すでに説明を聴取いたしておりますので、これより質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  4. 田中一

    田中一君 藤田委員長にお伺いいたしますが、いま上程されている二つの法案審議にあたって、私は各委員相談の上参考人を呼んでいただきたい、こう思うのです。そこでなぜ参考人を呼んでいただきたいかということは、土地収用法二十六年に制定以来、常に強権的性格を帯びている改正案が数次にわたって出ております。したがって、今日公共性という問題と私有財産権という問題とが、これ以上公共性としての解釈が進んでまいりますと、容易ならない社会混乱が起きるというように推定されているわけです。土地に関する私有権というものが、このように飽くなく公共性というもの、公共の福祉というものに侵害されるならば、私はもうこれを飛び越えた一つ政策的な政治的段階でこれらを規制するということ以外にはなかろうと思うのです。そういう点につきまして、土地国有化前提とする参考人を呼んでいただく、政府に対する質疑の以前に委員長判断によってその手続を踏んでいただきたいと思います。
  5. 藤田進

    委員長藤田進君) お答えいたします。委員長といたしましては、私見はございますが、御提議がございましたので、御趣旨も含めて後刻理事会相談して、しかるべく結論を下したいと思います。
  6. 田中一

    田中一君 再度委員長質問します。政府提案者質疑する前に、その問題をまず理事会をお開き願って、参考人を招致して一応その意見を聞くかどうかの問題を、先議として取りはからってもらいたいと思います。
  7. 藤田進

    委員長藤田進君) 趣旨をお尋ねしますが、いまのあなたの御質疑に入られる予定で委員長理事打合会を開いてきめたわけですが、その質疑に入る前に理事会を再度招集してくれ、こういう要望ですか。
  8. 田中一

    田中一君 委員長理事会を開いてきめようとおっしゃるから、そこで委員長に、その決定を早めてやってくれという要望をしているので、委員長委員長判断参考人を呼ぼう、それも限定するところは、私が申し上げたいのは、土地国有化という点について参考人の招致をしていただきたい、こういうわけです。でありますから、この法案全部の問題、内容の問題以前の問題として要求しておるのです。
  9. 藤田進

    委員長藤田進君) お答えします。これは参考人を呼ぶ、そしてその日程をどう組むか、参考人はどういう人にして人数をどうするかということも含めて相談をするのが、委員会としての慣例だと私は思うのです。でありますから、委員長判断でかようにいたしますということは、委員長理事打合会を開いて協議をしてきめたい。おそらく私の推定ですが、提議された田中委員の御趣旨もっとものように思われるから、たぶん御趣旨に沿うような取りはからいができるのじゃないだろうかと思われますから、質疑に入っていただいて、このことは、本日のところ終了後もろもろ日程について委員長理事打合会を再度開くということで、実はきょうは予定しておりますので、その際に譲っていただきたいと思います。
  10. 相澤重明

    相澤重明君 関連質問。いまの田中君の提案はもっともだから、方向だけをきめておげば、あと具体的なことは、理事会でおきめになってもいいのじゃないか、委員長のおっしゃるように。ただ、参考人を呼ぶか呼ばないかということについて、呼ぶか呼ばないかを含んで理事会ということじゃなくて、やはり参考人を呼んでいこうという趣旨は、ここに出席委員各位はそう私は反対ないと思う。そういう方向をきめておいて、具体的なことは、委員長理事打合会におまかせする、そうしてきょうは田中君の質問に入ってもらう、こういうふうなことはとれないですか。
  11. 藤田進

    委員長藤田進君) 私も委員会運営は経験しておりますが、発言を許していれば、それはここできめたほうがいいか、理事会でやったほうがいいか、最後は決をとる以外にありませんが、そういうことはとるべきでないので、そういう今後の日程については、委員長理事打合会できめていくのが至当である。他の委員会でも委員長がその場その場ですぐ採決するというようなことは、これは院の運営として私は好ましくないと思う、他の委員会でも。この委員会は私がやっておりますから、私が思うようにやってもいいかもしれないが、したがって、以上申し上げたことでおさめていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  12. 相澤重明

  13. 田中一

    田中一君 どうもいけない。これは委員長質問するのですよ。なぜこういうことを執拗にお願いするかというと、この提案されている改正趣旨は、私にわかるわけです。これは国民感情としてわかるのであって、これは法律論としては非常に疑義があるわけなんです。質疑前提として、そうした法律論としての根拠を明らかにしながら、これはいずれ総理出席するでありましょうから、総理にその意見をもととした土地国有化の問題について質疑をしたい。それらの政治的な政府としての判断ができ上がった後に実際の質疑に入るのが、現時点では妥当であるというように私は判断いたしております。したがって、土地に対するところの所有権私権というのは、今後どう変貌させようとするのか。今回提案されているところの改正案内容を見ても、これによって公共事業並びに収用法第三条できめているもろもろ事業が、円満に遂行されるとは考えておらないのであります。したがって、提案者の意図するところがどこにあるのか。そういう点が、私有権に対する一切の提案者の意思が明らかにならぬと、私の質問がなかなか進まないという意味から要求しているのであって、なに三分か五分でよろしいのですけれども、委員長のところに理事が集まって、この問題をどうしようか、先ほど委員長発言されている、当委員会が済んだならば委員長理事打合会を開いてその後に手続をきめよう、これは手続の問題ではなく、私が提示したこの問題についてどう扱うかということを、五分ぐらいひとつ休憩をしてお取りきめ願いたい、こう思います。
  14. 藤田進

    委員長藤田進君) 速記をとめて。   〔速記中止
  15. 藤田進

    委員長藤田進君) 速記起こしてください。
  16. 田中一

    田中一君 前国会でなぜ今回提案された改正案提案しなければならなかったかという点について、これはむろん国が直接に行なう公共事業事例を明らかにしていただきたいと思うんです。それを明らかにしてほしいと思う。これは作文じゃないのです。収用法改正というのは、作文じゃないのです。約束でもないのです。行為なんです。したがって、なぜこういう提案をしなければならないかということの事例を、たとえばダム工事につきましても、道路工事についても、あるいは鉄道の新幹線等、あなたの主管しないものをも含めて、全国的になぜこうしなければならなかったかということの事例をひとつ、きっと集められておると思うんです。そういうものがなければ、こういうものを踏み切れるものじゃない。勘じゃないのです、これは。したがって、その事例を、三十あるか五十あるか知らぬけれども、それを明らかにしてもらいたい。文書にして出すなら出していただきたい。口頭で言うならば、それを説明していただきたい、これが前提です。
  17. 志村清一

    政府委員志村清一君) 今回の提案理由にもございますように、土地取得円滑化をはかる、あるいは手続の促進をはかる、開発利益の帰属の適正化をはかりたいという目的を、一応提案理由といたしまして掲げておるわけでございます。たとえて申しますと、事業認定から裁決までの所要日数等を調べてみますと、一番長いものでは、たとえば大阪空港の場合、起業者運輸大臣でありまして、所要日数は千五百四十五日かかっております。この点につきましては、現行法事業認定をいたしましてから三年以内に細目公告をやってよろしい。細目公告があったら、一年以内に裁決申請ができるということになっております。そういう現行法のたてまえの、いわばぎりぎりの線で参りますと、相当長い日数がかかります。この問題によりまして手続も非常に遅滞すると同時に、土地権利者等につきましても、不安定の時期が非常に長いというふうな問題が出てまいるわけでございます。起業者側にとりましても、大事な公共事業でございますから、できる限りすみやかにつくり上げまして、国民の利用に資したいということにも支障が生ずるという事例等があるわけでございます。また、価格の問題につきましては、土地収用法におきまして、たとえば起業者申し立て額裁決額との差異でございますが、起業者申し立てよりも四五%程度アップという事例も、しばしばあるわけでございます。ところが、起業者申請価格というのは、事業認定を経ましてから相当日数を経ました裁決申請時における土地価格でございますから、従来の価格と比べますと、事業を始めた当時の価格と比べますと著しく高いものが見積もられる。その見積もられた額に対しても、さらに裁決額が相当アップした事例も間々あるということ等でございます。
  18. 田中一

    田中一君 私はああいう質問をしているのじゃないんです。事実事例として、なぜこの法律を出さなければならなかったかというものを出していただきたいと言っているんです。いま局長はそういう説明をしておるけれども、たとえばあなたのほうの建設大臣提案理由説明の中にも、「近年の地価高騰実情にかんがみ」——近年の地価高騰原因は何かということです。ぼくは率直に言うならば、政府高騰させるような政策をとっているからではないかということなんです。これは地価高騰の問題だけやっても、ぼくは三日ぐらいあなたと質疑をしたいです。なぜならば、地価高騰原因政府の手によってなされているということ、これを地価高騰を停止しよう、あるいは安い地価に持っていこうということを収用法、この発動によってそれを行なうということは、政治ではないんです。いいですか、地価高騰という一つの事実を指してみても、収用法のこの法律改正によってその高騰をはばもう、抑えようというような政策収用法でとるなんということは、本末転倒の問題なんです。これこそ行政府強権を与えるという、気違いに刃物なんです、いまたとえば見積もり額買収額の問題もいま触れておったけれども、政府予算策定の際の地価というものを一応推定し、また将来の価格伸び等をも考慮しながら一応の壁をつくっております。大体これは一坪十五万円でよかろうという壁をつくり、その壁をしょって買収交渉をするとかということは間違いなんですよ。市場における経済行為の中でもって——それはそうでしょう、株式取引所の指値がある、三百円になったら買ってくださいよと、取引所員に頼んでおる株の買い方もあるわけです。しかし、背中に十五万なら十五万というものをがっちり縛りつけられて、これをこえることもできないというような一方的な買い方判断を持っていながら、国民私権に対して、これ以上おまえが言うなら、これはおれ強権発動するぞというのは間違いなんですよ。だから、総理大臣を呼んでこいと言うのです。これは執行する建設省のために言うのです。と同時に被収用者の当然たる権利を守るために言っておる。あなた方に対して追及しようという考えを持っていないのです。局長は、何もこんな高度の政治性あるこの答弁をするなどということは間違いです。それをするならば、いま示したところの資料を出しなさい。前回改正から今日に至るまでの間に、どういう障害があったか、どういう新しいどん欲な要求を出したか、どういう判断をしたか、資料を出しなさい。三十件でも五十件でも出しなさい。それによって私はその実情というものを判断しようと思う。これは私ばかりじゃございません。全国民が、これの採決権を持っておるわれわれ同僚の委員みなが、ここに問題点がひそんでいるのじゃなかろうかという心配をいたしているに違いありません。公共の名において、予算という壁を背負いながら買いに出るわけです。抜本的にぼくは言うならば、かってぼくは十何年間るるとしてあなた方に要求してきたところの、公共事業を行なう場合には、全部に対して土地収用法を適用しろ、そうして公平な第三者判断にまかして予算をつけろということを言っているのです、公共という美名を背負いながら、予算というどうにもならない壁を背負いながら、国家公務員に商行為買収行為をさせるなんという愚はやめなさいと言っているのです。二級酒の二、三本持って農民のところへ朝がけ夜うちをかけて、そうして買収交渉しているという、あの下っぱの国家公務員の姿をごらんなさい。あなた方は上にすわっておればいいだろうけれども、そうして間違いを起こせば汚職のなんのといって罰せられているのだ。したがって、この法律審議にあたっては、政府政治姿勢大蔵大臣予算編成に対する姿勢というものが明らかにならなければ、審議ができませんと言っているのです。これは建設大臣並びに局長その他建設省の諸君に言っているのじゃないです。あなた方が公共事業をスムーズに行なうための、国民としての発言をしようとしているのです。いま第一問の、第一問というとおかしいですけれども、これに対する答弁なんというものは、観念的な答弁をあなたから聞こうと思わないから、あなたは私の要求するところの資料をお出しください。なぜ時間を短縮したり一切の手続というものを簡素化したりして、事業の執行を急ぐのですか。むろん、この法律の中にはあるいは抵抗するべきものも入っております。何といっても、憲法二十九条の私権の制限は当然であります。これは私は反対することじゃございません。だから、根本的に土地国有という政策に対して、どういう立場をとるかということを最初に聞かなければ、質疑ができないんです。委員長、私はこういう考え方で、まず最初総理並びに大蔵大臣姿勢というものを聞かなければどうにもならぬという気持ちを持っているんです。
  19. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 私、答弁を求められておりませんが、大体やはり土地政策は、政府全般の責任でございます。したがいまして、総理大臣また大蔵大臣からその姿勢を聞かれることもけっこうでございます。しかし、建設大臣といたしましては、まあ土地に対する国有論というようなものに対して、私は深いあれはいまは研究いたしておりませんから申し述べるわけにはいきませんが、いま現実問題として、土地のみが他の物価に比較してはなはだ上がりつつある。しかし、これをあらゆる面からいって抑えなければ、これは土地のみではなしに物価そのものにも影響があります。しかし、それを押えると申しますか、安定させる方法といたしましては、われわれのいままで政府がとってきたその手段をすれば、何か一つ手を打てば、あるいはいま田中さんのおっしゃる国有論とが、何か大きい一つ手を打てば、それがちゃんと安定するものがあるかというと、それは私の頭ではいま考えられないわけでございます。したがいまして、建設大臣としてやるいまの方法としては、やはりいろいろな手段を講ずるということでございます。そのいろいろな手段のうちの一つが、この土地収用法にもあるのじゃないか。しかし、それだからといって、その土地収用法ができれば、どれだけ地価が安くなるかという、そういう数量的なことは出ませんが、少なくともいままでの経験にかんがみまして、やはり土地収用法によってごね得等もこれはやはり防げるんじゃないか。しかし、それだからといって、その土地収用法を私は強化したとは思われないわけであります。収用された被収用者も、十分それに対して利益を見てやるということで、やっぱり税制全般も考慮いたしておるのでございまして、この土地収用法、今回この法案が成立いたしましても、土地収用法が強化されたという観念には私はなりたくないのであります。合理化される、合理化したいんだと、こういうふうに私は解釈しておるのでございます。したがいまして、これも、この土地収用法改正も、土地の安定に何%かやはり影響があると、かように私は考えております。また、田中先生のおっしゃること、よくわかります。用地屋というものは非常に難儀をいたしております。それには政府予算の壁があって、それにこぎつけようと思って、その買収をされる方に押しつけるんだというようなこと、非常に用地屋難儀をしているということもわかりますけれども、やはり何と申しますか、私権も一方は保護しなければならぬ、しかしそれとて、やはり公益もこれは保護しなければならぬ、社会開発をするのには、この私権公益とが衝突するのでございます。社会開発政府の方針でございます。社会開発を進める場合のそれを実行に移す場合は、どうしたって私権公益とが衝突すると思うので、その衝突をどの程度で調整するかということが、やっぱり問題ではなかろうかと思うのであります。私はあまりこういう方面を専門にはやっておりませんからよくわかりませんが、少なくとも今回の収用法改正法律案で幾分の、土地の安定に何%かの働きはあるということを、私は申し上げる次第でございます。
  20. 田中一

    田中一君 私は最初西村建設大臣に聞きたくないんですよ。あなたは仕事をする方なんですからね。ぼくはあなたの味方となってここで質問をしたいと言っているわけです。公共事業の優先ということは、私なんかあなたより以上に強く感じております。一人の利益よりも多数の利益、しかしながら、一人の利益を守らなければならぬことも当然です。だから、いままで行なった施策、ことに、ちょっとでもあなたがこれによって地価高騰を抑止するんだというような考え方があったのでは、これは問題にならないんですよ。そういう姿勢を、収用しようという、収用行為を行なおうという、命令しようという建設大臣が、そういう気持ちをちょっとでも、かけらでも持つちゃいけないのです。憲法には、私権に対しては当然な補償を行なうと書いてあるんですよ。地価が上がれば上がるとおり、下がれば下がるとおり、当然な補償をすべきが正しいのであって、それをこの法律を使って、少しでも高騰を抑止しようなんという考え方が、あなたの心の片すみにでもあることによって、あなたの姿勢というものは憲法違反姿勢考え方だというのです。憲法には、私権というものはいろんな方法を通じてその正当なる補償をされるのだとは書いてないんですよ。いいですか、あなたの発言というものは、少しでも高騰を抑止しようということを、まあうっかり言ったと思うけれども……
  21. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 合理化です。
  22. 田中一

    田中一君 合理化をして補償させると書いてないんです、憲法には。正しい価額を、正しい報酬を払うのですよ。それを、あなたのそうした片言隻句の中に、そうした思想が入るということは危険です。だから、ぼくはあなたに聞かない。最初総理並びに大蔵大臣に聞きたいと思うんですよ。あなたの言っていることは、発言は全面的に賛成ですけれども、ただ、あなたがこれによって地価高騰を少しでも抑止しようという発言があった。これはとんでもない間違いなんですよ。正当な補償をしろと憲法に書いてあるんです。正当な補償とは、買い方がきめるべきものではないんですよ、買い方が。やはりこれは公正な第三者によって決定しなさいと言うんですよ。せめて、みんなが、あの人たちの言うことならば、まあ間違いなかろうという相場が立つものだ。取引所も、一応納得する相場というもので取引されているんですよ。常に、収用法発動強権であるかのごとき行政上の権利をちらつかせながら買収行為を行なうなんということは、憲法違反であります。委員長、私はいまここでもって西村建設大臣仕事を、何とかお助けしょうと思ってこういう発言をしているんです。スムーズに日本の公共事業が行なわれるようにと思って発言しているんです。しかし、法律前提としては、なぜこのような改正をしなければならないかということの資料提出が少ない、ないです。われわれは慎重に、国民の代表として、あなたが言っている国民の中に、ごね得をするとかという姿がかりにあるとするならば、その姿をはっきりと出していただきたいのです。われわれはそれをもって判断いたします。あるいはこの改正よりもっと強い判断をするかもわかりません、場合によれば。したがって、その事例というものを、いままで、前回土地収用法改正案、それから今日までの間にどういう困難があったかということをまず資料として出していただきたい。これはずいぶん無理なことを言っているけれども、これはあなたがその資料出すと言うか、出さないと言うか知らぬけれども、一応当然のこととして、私は委員長から要求してもらいたいと思います。いたずらに作文を書いて、国民私権を、国民の抵抗を受けるという政治は、よい政治じゃないんです。納得の政治以外にないんです。知らしむべきなんです。
  23. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 資料提出でございまするが、非常にむずかしい資料でございます。しかし、私のほうもできる限り調査をいたしまして、ここで出すという断言ができれば出しますが、どういうものができるか、これはいまちょっと見当がつきません。非常にむずかしいのですが、調査はいたします。
  24. 田中一

    田中一君 この改正案を立案したのは、一昨年あたりから準備して昨年だと思うんです。なぜこうしなければならないかということを、あなた方の感覚、勘でこれが出たものとは考えておらないんです。あなた方が、全国の公共事業を遂行する場合に、いろんな形の、さっきごね得ということばを使ったけれども、そういう姿があったということによって、この改正に踏み切ったものと考えるんです。資料は必ずあるものだと確信しております。もしも、そういうもののデータがなくして、一方的にやるなら、政治的陰謀です、多数による陰謀です、革命を呼ぶ法律です、これは。そのように裏づけのない資料で、そうしてこういうような私権を脅かすというような、法律改正するなんということはあり得ないんです。おそらく少なくとも百や二百のデータはあるはずです。その上に立ってこの改正に踏み切ったものと思う。感覚的に、観念的に、抽象的にそんなものではなかろうかといって出したのじゃないと思う。私は、もしもそういう官僚がいたならば、その官僚こそ国民の敵だと思う。もし、勘でそういうことを行なうならば、それこそ国民の敵の政治だと思う、行政官だと思うんです。そういうものではないから、私どもは慎重審議をしたいというのはそれなんです。そうして私たちが納得することは、すなわち国民も納得してくれるだろうと思う。だからこれに対する資料はあるはずです。しかしこれもだ、何十何百というものをまとめるといったんでは時間がかかるから、必ずお出ししますと、大臣、おっしゃい。ただし会期も短いんだから、会期が終わったあとでも、必ず調製して出しますというほどの誠意をお示しなさい。私は野党だから、これを言っているんではなくて、おそらく私の前に並んでいる与党の諸君だって、この問題には非常に大きな関心を持っておると思う。そのデータなくしてこういうものが発想されたものとは考えません。これは、委員長建設大臣答弁を求めます。
  25. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 私としてもずいぶん古いことでございますから、事例は、ごね得等のことは知っております。それを調書としてまとめることができるかどうかということなんです。最近も私は知っております。しかし、これはそう何百件と拾えるか、短い間にあれですが、まあできるだけ努力して、出したいと思います。
  26. 田中一

    田中一君 どうもね、私は西村建設大臣質問したくないんだ。私はあなたの援護射撃をしよう、あなたの仕事が楽にいくようにしよう、特に土地を収用しておる建設大臣に、国民的な支持を受けさせるような形に持っていかなければ、現時点の政府のもとにおいては、国民が納得するような土地収用法の適用は困難ではなかろうかと思うんです。少しでもそれを、抵抗をやわらげたいために、こういう激しい質問をしておるわけなんですけれども、だから、最初にやはり総理並びに大蔵大臣が来てくれぬと、どうも質問しても、質問の的はずれになって困るんだけれどもな。  それじゃ、あと二十五分、お茶を濁す質問をしてよろしゅうございますか。
  27. 藤田進

    委員長藤田進君) お茶を濁す質問ではなくて、所要の質疑をお願いしたいと思います。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  28. 藤田進

    委員長藤田進君) 速記を起こしてください。
  29. 田中一

    田中一君 この資料として、今度の手続の簡素化を図解でひとつ出してほしいと思います。できていますか——それをひとつ配付してください。
  30. 志村清一

    政府委員志村清一君) 作成いたしまして、委員会にお配りいたします。
  31. 田中一

    田中一君 それから、さっき要求した、なぜこうしなきゃならないかという資料は、建設大臣は出そうといって答弁しておりますが、いつごろになるだろう。
  32. 志村清一

    政府委員志村清一君) 先生御質問の御趣旨あるいは調査内容等につきまして、非常に時間がかかるとか、あるいはごてたとかいう事例があるかどうかということのように承知いたしますので、それらにつきまして、ある程度手持ちの資料もございますので、できるだけ早く御提出申し上げたいと思います。
  33. 田中一

    田中一君 私のほうで指定する現場というか、それを要求したならば出てまいりますか。
  34. 志村清一

    政府委員志村清一君) 先生から御指定がございましたならば、調査をさしていただきます。調査の結果によりまして御報告でき得るものがございましたら、御報告さしていただきます。
  35. 田中一

    田中一君 では下筌ダム、松原ダム両方とも含めたもの、当初事業計画をしたところを起点として、表でひとつ出してほしい。次にくるのは、予算がいつ通って調査にかかったか。それから向こうの抵抗があってこうしたが——それが逐次年月日を書いて、今度収用委員会にかかった場合にはどうなったか、収用委員会ではどう扱ったか、そして判決はどうなったか、判決がくる前に数々の訴訟を起こしております。その訴訟がどういう形で、収用委員会と別にそれらが審議されてきたか、そうしてそれがどういう結論になったか。それは相当、六年くらいかかっているならば六年くらいの経緯、これはもう記録あるはずだから。そうして現時点ではどうなっているか。松原ダムのほうの仕事は、現在どのくらい進んでいる、下筌のほうは一体どのくらい進んでいるか、そしてまた控訴している訴訟案件がどのくらいあるか、そういうような資料をわかりやすいような図表か何かで出してほしいと思います。
  36. 志村清一

    政府委員志村清一君) ただいま御要求の資料につきましては、担当の河川局とよく相談いたしまして、できるだけ早く調製いたしたいと思います。
  37. 田中一

    田中一君 これに対して、松原のほうは相当話が進んできましたから、あの場合にはそこの補償の問題、別表で補償はこの場合にはこういう要求があり、こういう査定のもとにこうした、そして昭和何年に内閣がつくったところの補償法準でこうしているんだ、ダムはダム補償基準でこうしているんだ、そして具体的に一つ事例をあげて、評価の内容は、これはこうしてこうした、こういう物件はこうした、ということの一覧表を出してもらいたい。
  38. 志村清一

    政府委員志村清一君) これまた実際仕事をしておりますのが、河川局あるいは九州地建でございます。私ども計画局ではございませんが、担当の局とも相談いたしまして、一つの例をあげるとかいうようなことで検討さしていただきたいと思います。
  39. 田中一

    田中一君 それから道路で何かそういう事例はないだろうか。これはここで山内君、稲浦君に聞くのはおかしいですけれども、どこかそういう紛糾したものはなかったか。
  40. 志村清一

    政府委員志村清一君) 道路に関しましても、いろいろ問題の長引いたものもございますので、そのうちの例を取りまして、先ほど御指摘ございました下筌、松原と類似したような資料を、できるだけ取りまとめたいと思います。
  41. 田中一

    田中一君 あれも出してください、いま栃木県でやっている太郎杉の問題、これもそういう収用法手続上の問題ばかりでなくて社会的な動き、そうして現時点ではこのような判断になっているとかいうもの、それを出してください。
  42. 志村清一

    政府委員志村清一君) これもまた道路局の所管でございまして、実際の事業施行は栃木県でございますので、そういった事業を施行している向きとも連絡いたしまして、できるだけすみやかに調製いたしたいと思います。
  43. 田中一

    田中一君 それから鳴子ダムの訴訟がどうなっているか、鳴子ダムは御承知のように戦争後の、収用する部分に対する収用法の適用によって収用しようとしたところが、宮城県収用委員会は、一つ裁決をした。この裁決に対して政府は不服で異議の申し立てをした。その結果がどうなったか、これもひとつ詳細に出していただきたい。これは建設大臣、あなた御存じでしょう。鳴子ダムというのは、戦時中に砂防ダムをつくるためにやった。それが若干残っておった。この連中は、戦後になったら非常に社会も民主化され、とんでもないと言って収用委員会に持ち込んで、収用委員会で裁定が出たわけです。そうすると、今度逆に政府がこれはけしからぬ、この収用委員会裁決には服さないと言って抗告しているのです。これは訴訟をやっているはずです。まだ結論がつかないんじゃないかと思うのですが、こういう事例が非常にあいまいでは、収用法に対する信頼感というものがない。一つの例としてぼくはいつも言うのですが、この実態をひとつ、これも出していただきたい。そうして、これには戦前の買収価格、そのときのいわゆる物価の指数、それから戦後における価格、裁定金額並びに物価の指数等も正確に、あなたが手心を加えない正確なデータを提出していただきたい。
  44. 志村清一

    政府委員志村清一君) 鳴子ダムの事件につきましては、かねてより先生からいろいろ御指摘等もございますので、これにつきましては、御承知のとおり建設大臣が原告となりまして、被告荒雄岳鉱業に対しまして、収用委員会裁決した額がいささか不当ではないかというふうなことで訴訟が出ております。同時に高橋さんという方を原告といたしまして、建設大臣に対しまして、どうも裁決の額が不服であるという訴訟が出ております。これらにつきましては、いずれも四十年の二月に棄却の判決がございましたのです。それに対して両方とも控訴というようなかっこうになっておりますが、しかしながら、建設大臣原告によります訴訟につきましては、四十年の十月に棄却の判決がございまして、これに対して控訴はいたしておりません。一応完結いたしております。原告高橋氏の分につきましては、これにつきましてはなお訴訟が係属されておりますが、近く結審する予定かと聞いております。これらにつきまして一番大きい問題は、発電所の価格の評価についてでありますが、先生御指摘のように、戦前の一般物価とちょっと性格が違うのじゃないかと思いますが、御指摘になりました点につきましても、できるだけ集められる資料を考えてみたいと思います。
  45. 田中一

    田中一君 その他に収用委員会裁決が不服で、起業者が抗告をしているという事例がほかにありますか、むろん、これは地方公共団体も含めて。
  46. 志村清一

    政府委員志村清一君) 起業者側裁決不服で申し立てました例は、鳴子ダムの事件の例でございまして、その他にも一つぐらいあるように聞いておりますが、ただいま明白にはどういう事例であるということを申し上げかねるわけであります。
  47. 田中一

    田中一君 もう一つの分も調べて出していただきたい。  それからその場合の収用委員の氏名、身分、いつ知事から任命されたか、その人たちが現在いるのかどうか、それから現在の収用委員の氏名等も一緒に出してもらいたい。いまの別の事例があるならば、これはもう直轄工事ばかりではなく、地方公共団体の行なっているものにも、そういうものがあるのじゃないかと思うのですが、そういうものを急速に調べて資料を出してください、これはすぐできるでしょう。
  48. 志村清一

    政府委員志村清一君) できるだけ調べさせていただきます。
  49. 田中一

    田中一君 これらの資料を出していただいて、また続けて質問したいと思います。きょうはこの辺で質問を留保いたします。
  50. 藤田進

    委員長藤田進君) 速記をとめて。   〔速記中止
  51. 藤田進

    委員長藤田進君) 速記を起こして。  両案についての質疑は、本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後零時一分散会      —————・—————